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百貨店のピックアップカード受注を機に カラーPOD機と

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百貨店のピックアップカード受注を機に カラーPOD機と
朝日印刷紙工株式会社
百貨店のピックアップカード受注を機に
カラーPOD機とバリアブルソフトを導入
小ロット・短納期に対応できる体制を確立
導入の狙い
オフセット印刷に代わる事業の柱を
確立する
小ロット・短納期オーダーに対応する
導入システム
カラーPOD機
『RICOH Pro C5100S』
バリアブルソフト
『モリサワ MVP Professional』
導入効果
大口顧客からバリアブル印刷の大量
オーダーを獲得した
ベテラン技術者も納得する品質のオ
ンデマンド印刷を実現した
オフセット印刷を基本に地元百貨店の広告などを手がける同社は、デザインの提案にも力を入れている
神奈川県藤沢市の朝日印刷紙工株式会社は、地元百貨店などから新聞折り込みチ
ラシやカタログ、DM、名刺などの印刷を請け負う老舗印刷会社だ。企業のコーポ
レートカラーなどに使用される特色印刷に強く、顧客の思いどおりの色に仕上げる
— U S E R P R O F I L E ———————————————————
朝日印刷紙工株式会社
●業種:印刷業
●事業内容:オフセット印刷および情報処
優れた技術に対する信頼は厚い。保有するオフセット印刷機の寿命が迫り、事業の
方向転換を模索していた同社は、百貨店からのピックアップカード印刷受注を機に、
大塚商会を通じてバリアブル印刷に対応するカラーPOD機とバリアブル専用ソフ
トを導入。小ロット、短納期にも柔軟に対応できる機動力を手に入れた。
理加工、商業印刷物(チラシ・パンフレッ
ト等)の企画・製作
●従業員数:16名
(2014年7月現在)
カラーPOD機の導入で、小ロットのオーダーにも対
応可能となった朝日印刷紙工株式会社
2014年7月取材
に株式会社に組織変更し、現在の社名
特色印刷に強みを持つ
地域密着型の老舗印刷会社
となった。
神奈川県藤沢市の朝日印刷紙工株
ることなく、地元のお客様に質の高い
式会社(以下、朝日印刷紙工)
は、新聞
印刷サービスを提供してきた。得意先
折り込みチラシやカタログ、DM、名刺
は、百貨店をはじめとする小売業、サー
など、さまざまな商業印刷物を手がけ
ビス業、製造業など多岐にわたる。
創業から65年、一度も藤沢を離れ
る老舗印刷会社である。
「何十年も、長いお付き合いをさせ
前身の朝日印刷合名会社は、戦後
ていただいているお客様が多いこと
間もない1949年に創業。1961年
は特徴の一つです。お客様から『いつ
1
朝日印刷紙工株式会社
ものあれ、頼むよ』
と言われれば、どん
「例えば、
『温かい感じの赤』といっ
な印刷物が求められているのかをす
たような漠然としたオーダーでも、お
ぐに理解して、納期までにきちんとお
客様のイメージにぴったりな色を提案
届けする。常にお客様の気持ちになっ
することができます。デジタル印刷の
てサービスを提供していることが、会
普及と共に、職人芸とも言える特色印
社が長続きしている理由かもしれませ
刷を請け負う印刷会社は減っていま
ん」
と語るのは、代表取締役の川畑 順
す。だからこそ、特色にこだわり続け
氏。
ることが価値につながるのだと思いま
会社としての歴史だけでなく、社員
す」
と川畑氏は語る。
の勤続年数が長いのも朝日印刷紙工
の特徴だという。社員を大切にする社
代表取締役 川畑 順氏
との関係が親密になり、同社のサービ
オフセットの次の事業として
バリアブル印刷に挑む
スに対する信頼も深まるのであろう。
ただし、オフセット印刷の需要が今後
「社員16名と小さな会社ですが、1
ますます縮小するであろうことは川畑
人1人の営業担当者がこまめにお客様
氏も覚悟している。同社では長く使い
の元に出向いて、急な注文や難しい相
続けているオフセット印刷機が遠から
風を感じるが、長く勤めるほど得意先
談にもしっかりと対応するように努め
ず寿命を迎えるが、数億円かけて新し
ています。正直言って、印刷の技術は
い印刷機を導入したとしても、投資に
どの印刷会社もそう大きくは変わりま
見合った受注が得られる保証はない。
せん。そうした中で差別化を図るには、
そこで同社は、あえてオフセット印
常にきめ細やかなサービスをお客様
刷機の更新を見送り、それに代わる新
に提供できる『 人間力』が大事だと思
しい事業の柱を育てることにした。
うのです」
(川畑氏)
その手始めとして、2011年にプロ
もっとも、この言葉には多少の謙遜
カメラマン2名を配置した写真撮影ス
が込められているようにも思える。確
タジオを開設。印刷という
「川下」だけ
かにデジタル印刷の進歩と共に、印刷
でなく、チラシやカタログに掲載する
会社ごとの技術の差はなくなりつつあ
商品写真、モデルなどの撮影という
「川
るが、朝日印刷紙工には他社を圧倒す
上」
にまでサービスの幅を広げた。
る技術的な強みがある。
さらに2014年春には、商業デザイ
それは、特色印刷の技術である。
ンを手がける新プロジェクト
「ダダ デザ
同社は、企業のコーポレートカラー
イン」を立ち上げた。これは、商業印刷
などに使用される特色印刷を長年に
物だけでなく、CIや展示会の展示ブー
わたって手がけてきた。通常、特色印
スのデザインなど、企業の総合的なイ
刷はインクメーカーの色見本帳を基に
メージ戦略を支援する取り組みだ。
指定するが、朝日印刷紙工は、熟練し
「コンセプトは『 既成の秩序や常識
た職人が豊富な経験と知識を基にイ
に対する否定』です。商品が思ったよ
ンクを練り合わせ、顧客がイメージす
うに売れない、会社の知名度が上がら
る色を思いどおりに再現できる技術を
ないといったお客様の悩みを、アイデ
持っている。
アやデザインで解決したいという思い
2
「大塚商会さんには印刷ソリューション以外
にも、PCや複合機の導入などでお世話に
なっています。いつも私たちの要望や相談
にスピーディに対応してくれるので、大変助
かっています」
で始めました」
(川畑氏)
だが、デザインというもう一つの「川
特色にこだわるプロが選んだ
カラーPOD機とは
上」分野を会社の未来のためにしっか
依頼を受けた大塚商会は、さまざま
り育てたいと考えているようだ。
なカラーPOD機の印刷見本を朝日印
そしてもう一つ、朝日印刷紙工が野
刷紙工に提出した。しかし、高度な特
心的に取り組み始めたのがバリアブル
色印刷を手がける同社の技術者たち
印刷などのオンデマンド印刷である。
が納得するような仕上がりの見本は少
同社は2014年3月、大塚商会を通
なかった。何度も見本を作り直しては
じて最新鋭のカラーPOD機『RICOH
提出。ようやく
「これなら」と技術者に
P r o C5100S』とバリアブルソフト
納得してもらえる見本が仕上がったの
立ち上がったばかりのプロジェクト
『モリサワ MVP Professional』を
事務業務を行うスペースに、カラーPOD機『RICOH Pro
C5100S』
を配置。ピックアップカードなどの小ロット商品
を、社員は部屋を移動せずに操作し、印刷可能になった
は、依頼から9カ月後のことだった。
同時導入した。その狙いは、大口顧客
「実を言うと最終的な見本も、長年
である地元の百貨店から、中元・歳暮
印刷業に携わっている私たちから見れ
などのギフト商品販売に使用するピッ
ば100%満足できるものではありま
クアップカードのバリアブル印刷を受
せんでした。とはいえ、
『POD機でも
注することにあった。
ここまでの色が出せるのか』と驚かさ
ピックアップカードとは、ギフト商品
れたのも事実です。複合機に比べれば
を購入する消費者が、商品の代わりに
圧倒的に仕上がりが良く、これならお
レジに持っていくカードのこと。商品
客様に提供しても私たちの看板には
名やバーコードなどが印刷されてお
恥じないと確信しました」
(川畑氏)
り、レジでバーコードを読み取れば購
9カ月に及ぶテストを経て最 終 選
入金額が集計される仕組みである。
定した『RICOH Pro C5100S』は、
朝日印刷紙工は、以前からこのピッ
「仕上がりの品質や導入コスト面でも
クアップカードの印刷を受注したいと
ベストな選択」だったと川畑氏は言う。
考えていた。しかし、商品1アイテムに
しかも用紙対応力が柔軟で、出力速
つきせいぜい数十枚から数百枚、そ
度が速く、ピックアップカード以外にも
れもアイテムごとに印刷する商品名や
さまざまな印刷用途に使えることも選
バーコードなどの内容を変えなければ
定の大きな決め手となった。
ならない小ロットのバリアブル印刷に
一方、バリアブルソフトの『モリサワ
対応できる体制は整っていなかった。
MVP Professional』
には、テキスト
「試しに複合機で作ってみたことも
はもちろん、イメージやバーコードな
あるのですが、印刷に比べて色味が
ど、さまざまな可変データに対応する
悪く、色ムラや紙詰まりなどのトラブ
ことに将来性を感じたようだ。
ルも多くて役に立ちませんでした。や
ひとまずピックアップカードのバー
はりしっかりとしたPOD機を導入すべ
コード印刷用に導入したが、ほかにも
きだということで、長年お付き合いの
D Mの宛名印刷や名刺の刷り分けな
ある大塚商会さんに相談したのです」
ど、多様なバリアブル印刷ニーズに対
(川畑氏)
応できる拡張性を備えている。
こうして、採用するPOD機とバリア
3
朝日印刷紙工株式会社
ブルソフトは決定。実際に導入したの
『モリサワ MVP Professional』
は、百貨店からのピックアップカード印
も想像していた以上に使いやすく、便
刷の受注が決定した直後だった。投資
利に感じているようである。
が無駄になるリスクを避けるため、確
「お客様からテキストやバーコード
実に受注を得るまで導入を待ったので
のデータをExcel形式でご提供いただ
ある。あわただしい導入とはなったが、
き、
『モリサワ MVP Professional』
川畑氏は「無理を聞き入れて迅速に対
に読み込めば、あらかじめ作っておい
応してくださった大塚商会さんには、
たレイアウトに合わせてどんどん印刷
本当に感謝しています」
と語る。
してくれます。さほど専門的な知識や
職人が経験と技を駆使してインクを混合し、色の表現にこ
だわる特色印刷に対応する
技能がなくても使いこなせるのは、本
長時間稼働しても
パフォーマンスと品質が安定
当にありがたいですね」
(川畑氏)
朝日印刷紙工は今後、
『RICOH
P r o C5100S』と『モリサワ M V P
あらかじめピックアップカード印
Professional』
をさらに活用して、バ
刷 の 受 注が決 定していたおかげで、
リアブルをはじめとするオンデマンド
『RICOH Pro C5100S』
と
『モリサ
印刷の受注を増やしていく計画だ。
ワ MVP Professional』は、導入当
「既にお客様である百貨店から、
ピッ
初からフル稼働となった。
クアップカードのほかに、チラシや吊り
「中元シーズンが目前に迫っていた
下げビラなどもオンデマンド印刷して
ので、驚くほどの大量の印刷注文が舞
もらえないかというご相談を受けてい
い込んできました。まさに嬉しい悲鳴
ます。オンデマンドなら、吊りビラのよ
です。導入して間もなかったのでオペ
うに10枚、20枚の小ロット注文でも
レーターが操作に慣れておらず、最初
無駄な在庫を抱えることなく対応でき
は紙詰まりなどのトラブルにもずいぶ
ますし、即日納品も可能です。今まで
ん悩まされましたが、どんな問題が発
は受けたくても受けられなかった仕事
生しても大塚商会さんが電話一本で
のチャンスが広がったのですから、積
すぐに駆け付けてくれるので、本当に
極的に受注を拡大していきたいです
心強かったですね」
(川畑氏)
ね」
と川畑氏は意欲を示す。
昼夜を問わずフル稼働させたにも関
デジタル印刷の普及と共にオフセッ
わらず、
『RICOH Pro C5100S』の
ト印刷の需要は縮小しているが、
「価
パフォーマンスは非常に安定的で、印
格競争の激化と共に、かつてのような
刷の仕上がりにムラが少ないことにも
印刷会社ごとの
“縄張り”
が消滅し、自
川畑氏は感心したようだ。
由競争の時代が訪れています」と川畑
「長時間印刷しても、刷り始めから
氏は言う。
刷り終わりまで、仕上がりにほとんど
「だからこそバリアブル印刷などの
変化がありません。正直、ここまで性
付加価値をどんどん磨いて、積極的に
能やクオリティが高いとは思いません
営業を仕掛けていきたい。大塚商会
でした。オフセット印刷の品質にはか
さんには、有意義なご提案をこれから
なわないとしても、合格点の評価はで
も期待しています」と川畑氏は話を締
きます」
(川畑氏)
めくくった。
朝日印刷紙工株式会社のホームページ
http://www.asahi-printing.co.jp/
・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。
・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
・この記事は2014年8月に作成されました。
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