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投資顧問 - 日本投資顧問業協会

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投資顧問 - 日本投資顧問業協会
一般社団法人
日本投資顧問業協会
投資顧問
JAPAN INVESTMENT ADVISERS ASSOCIATION
No.83
2016
Contents 目 次
「フィデューシャリーを果たし運用の高度化の実現によって勝ち取る投資家の信頼こそ我々の目指すべきもの」
01 巻頭言 岩間会長 03 協会の動き
11 投資顧問業概説
平成28年8月10日発行 通巻83号
(1) / 2016/08/18 01:09 (2016/08/18 01:09) / wn_16240127_01_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_巻頭言.docx
〈巻 頭 言〉
フィデューシャリーを果たし運用の高度化の実現によって勝ち取る
投資家の信頼こそ我々の目指すべきもの
一般社団法人
日本投資顧問業協会
会長
岩間
陽一郎
会員の皆様のご支援ご協力により今年も協会の新体制がスタートした。
時を同じくして英国の EU 離脱国民投票成立という大波乱が出来し、リーマンショックの悪夢の再来
を想起させる市場の混乱が生じ、わが業界のみならず、日本経済はもとより世界経済の先行き懸念が
喧伝されつつある中でのスタートである。
Brexit 派の勝利は英国のブラッセルを中心とする EU 政府の肥大化に対する反発と自由化、グロー
バル化に対する反作用ともいえるエネルギーがイスラム圏の動乱に惹起された難民流入に対する警戒
感と複合して加速され齎された結果という印象が強い。
短期的に見ると多様なリスクが顕在化しかつ強まっていることは否めず世界の市場もこれを如実に
反映しており、投資家のリスクオフ姿勢が懸念される。
先進国が共通に抱える高齢化社会問題の最たるものに年金財政の維持可能性が上げられるが、英国
の EU 離脱を巡る争点の核心に高齢層対若年層の利害不一致が上げられていることは象徴的である。
既得権益を守ろうとする高齢者層と負担感に耐え難い若年層が反発する姿は我が国の状況と相似す
るともいえる。
これらの相矛盾する問題の解決には長期的視点で粘り強く取り組む以外に術はない。
英国の指導者は自国民の良識を信じて敢えて国民投票に訴えた結果全く予期せぬ逆の結果となり驚
愕しているのではないか。
先進国経済における格差拡大、グローバル経済の複雑な連鎖から出現する歪み、欧州金融資本市場
の波乱などリスクは多様に存在する。
しかしながらどのような環境下にあっても投資家のニーズは不断に存在し続けるのであり、その委
託を受けてフィデューシャリーを果たすべき資産運用業の役割は資本主義自由市場が存在する限り不
可欠のものであり、ますますその重要性は高まっている。
特に我が国の現状を考えるとつとに指摘されるように蓄積された金融資産が着実に果実を生み国民
経済全体に持続的な好影響を齎すことが極めて需要であることは論を待たない。
資産運用の高度化とフィデューシャリーの徹底は金融庁の行政方針に示されるまでも無くわが業界
が率先して取り組まなければならない永遠の課題である。
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(2) / 2016/08/18 01:09 (2016/08/18 01:09) / wn_16240127_01_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_巻頭言.docx
資産運用業界には資産運用等に関するワーキンググループ報告書に提示された課題に具体的に取り
組み着実に成果を示すこと、さらにはスチュワードシップ・コードの定着とその取組の成果を粘り強
く追及することがまさに求められているのである。
会員各位におかれても個社のガバナンス体制の確立に向けてそれぞれ創意工夫され成果をあげる好
例も出つつあり、業界の信頼性向上を目指して真摯に努力する動きが加速されることが期待される。
アベノミクスの第三の矢に示される施策は課題設定が妥当であっても具体策を推進する上でいずれ
も構造改革を避けて通れないものが多く実現には時間を要し困難性を伴うものであることは否めない。
しかしこれらはいずれも避けて通ることは出来ず必ず成し遂げねばならないものであることを改め
て肝に銘じなければならないのではないだろうか。
資産運用の高度化とフィデューシャリーの徹底は資産運用業界に課せられた言わば第三の矢である
と認識し腰を据えて取り組むべき長期的課題である。
アセットオーナーの信任の下にリスクマネー供給の仲介者として高度な専門性を発揮し経済成長に
寄与することを今ほど社会から期待されている状況は無かったのではないか。
経済の持続的成長には企業価値の持続的成長が不可欠であり、短期主義の弊害を排し中長期的取組
が不可欠であるとの認識が普遍化しつつあることは歓迎すべきである。
資産運用業界が取り組むべき中長期的重要課題の一つに良きスチュワードシップの発揮、すなわち
企業経営者との有効な対話能力の発揮、エンゲージメント能力の向上があげられる。
スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードに関するフォローアップ会議の
論議や、直近の株主総会に関する報道にも見られるとおり、二つのコードが実行に移され、コーポレー
トガバナンスの改革は着実に進展を見ていることは喜ばしい。
スチュワードシップ・コードの実践主体である我々は積極的に取組を進め実効性を高める努力を要
請されることを強く認識しつつ行動していく所存である。
これからも世界経済の動向には注意が欠かせず短期的な波乱が多発する可能性は否定できない。
長期的に見ても変動要因は多様であることも否定できない。
資産運用に携わる者にとってどのような環境にあっても委託者であるアセットオーナーの期待に応
える成果に向かって力を尽くすこと、イノベーションを作り出す能力を示し続けることが義務である
ことを再確認したいと思う。
- 2 -
(3) / 2016/08/18 01:09 (2016/08/18 01:09) / wn_16240127_02_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_協会の動き.docx
協会の動き
●第 32 回定時総会の開催
平成 28 年6月 16 日、東京証券会館8階ホールにて第 32 回定時総会を開催しました。
総会では、平成 27 年度事業報告および公益目的支出計画実施報告がなされた後、平成 27 年度財務
諸表等および平成 28 年度理事選任について審議が行われ、いずれも原案どおり可決・承認されました。
また、同日開催された理事会において、協会長に岩間陽一郎が、副会長には後藤正明、西惠正、山
本幸次が、副会長専務理事には長尾和彦が選定されました。
なお、総会議案の詳細につきましては当協会ウェブサイト、協会ディスクロージャー資料をご覧く
ださい。
※URL:http://www.jiaa.or.jp/profile/disclosure.html
●拡大版コーポレートガバナンス研究会の開催について
〇平成 28 年度第1回拡大版コーポレートガバナンス研究会を開催しました
平成 28 年5月 11 日(水)午後1時より、当協会大会議室において、平成 28 年度第1回拡大版コー
ポレートガバナンス研究会が開催されました。
平成 28 年度の拡大版コーポレートガバナンス研究会は「アセットオーナーとして果たすべき役割と
アセットオーナーから見たアセットマネジャーへの期待」をテーマとし、第1回の研究会には、国際
基督教大学
績と株価
理事(基金担当)の新井亮一様をゲスト・スピーカーにお招きし、
「日本の上場企業の業
アセットオーナーの視点からの考察」と題してお話いただきました。その後、参加メンバー
による自由討論が行われました。
〇平成 28 年度第2回拡大版コーポレートガバナンス研究会を開催しました
平成 28 年6月 23 日(木)午後2時より、当協会大会議室において、第2回拡大版コーポレートガ
バナンス研究会が開催されました。
第2回の研究会には、年金積立金管理運用独立行政法人
理事兼 CIO の水野弘道様をゲスト・スピー
カーにお招きし、GPIF が抱える問題意識と運用会社に対する期待」と題してお話いただきました。そ
の後、参加メンバーによる自由討論が行われました。
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(4) / 2016/08/18 01:09 (2016/08/18 01:09) / wn_16240127_02_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_協会の動き.docx
●各種研修の実施状況
○不動産系列会員向けコンプライアンス研修を開催しました
平成 28 年4月8日に不動産系列会員向けコンプラ
イアンス研修を「適格機関投資家等特例業務制度の見
直し(平成 27 年度金商法改正)への対応」とういテー
マで開催しました。森・濱田法律事務所
植田利文弁
護士を講師に迎え、平成 28 年3月1日施行の適格機関
投資家等特例業務に係る政令・内閣府令等の改正に関
係する実務上の留意点および不動産ファンドにおける
近時のコンプライアンス上の留意点について説明いた
だきました。
○杉山証券検査課長の講演会について
平成 28 年6月1日に証券取引等監視委員会事務局
の杉山真証券検査課長を講師に迎え、
「証券検査を巡る
最近の動向について」と題してご講演いただきました。
講演では、最近の証券検査等における主な取組みや課
題等について、個別の事例等を交えつつ説明いただき
ました。
○佐々木証券取引等監視委員会事務局長の講演会について
平成 28 年6月 16 日に開催された第 32 回定時総会
終了後、証券取引等監視委員会の佐々木清隆事務局長
を講師に迎え、
「証券取引等監視委員会の課題」という
テーマでご講演をいただきました。講演では、証券監
視委を取り巻く環境と証券監視委としての問題意識に
ついて解説いただきました。
- 4 -
(5) / 2016/08/18 01:09 (2016/08/18 01:09) / wn_16240127_02_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_協会の動き.docx
●苦情相談の状況(平成 28 年4月~平成 28 年6月)
(1)協会は、お客様等からの会員の行う業務に関する相談、苦情対応およびあっせん業務を、特定
非営利活動法人「証券・金融商品あっせん相談センター」
(FINMAC)に業務委託しています。
(2)平成 28 年4月~平成 28 年6月に FINMAC が対応した苦情・相談、あっせんは、苦情が 11 件、
相談が 35 件、あっせんが1件(表1)となっており、それぞれの具体的内容は表2、表3のよ
うになっています。
苦情・相談の状況(平成 28 年4月~28 年6月)
(表1)受付状況
(単位:件)
区分
投資運用会員 投資助言・代理会員
その他
合計
苦
情
7
4
0
11
相
談
16
14
5
35
あっせん
1
0
0
1
24
18
5
47
合
計
(注)・その他には、一般的な問合せや非会員に対する苦情・相談を記載(以下同じ)。
・苦情とは、会員の行う業務に関し、会員に責任若しくは責務に基づく行為を求めるもの、又
は、損害が発生するとして賠償若しくは改善を求めるものなど、会員に不満足を表明するも
のをいう(苦情及び紛争の解決のための業務委託等に関する規則第2条)。
(表2)苦情の内容
(単位:件)
区分
投資運用会員 投資助言・代理会員
その他
合計
(1)勧誘・契約に関する苦情
4
1
0
5
(2)会費つり上げ
0
0
0
0
(3)運用、助言内容の不満
1
3
0
4
(4)契約不履行等
1
0
0
1
(5)その他の苦情
1
0
0
1
7
4
0
11
合
計
(表3)相談の内容
(単位:件)
区分
投資運用会員 投資助言・代理会員
その他
合計
(1)業者の内容
0
1
0
1
(2)契約・勧誘に関する相談
4
7
1
12
(3)途中解約
6
1
1
8
(4)運用、助言内容の相談
4
1
1
6
(5)その他の相談
2
4
2
8
16
14
5
35
合
計
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(6) / 2016/08/18 01:09 (2016/08/18 01:09) / wn_16240127_02_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_協会の動き.docx
●会員の動き(平成 28 年4月1日~6月 30 日)
協会の会員は、投資運用業のうち、①投資一任業務(従来からの有価証券の一任運用、および不
動産等を原資産とする金融商品の一任業務)を行う会員、②ファンド運用業務(ベンチャー企業育
成や事業再生等を目的として組成されたファンドの運用を行う業務)を行う会員、投資助言・代理
業を行う会員で構成されています。
平成 28 年6月末現在の会員数は、次のとおりです。
会員数
投資運用会員
投資助言・代理会員
751
273
478
○入会会員一覧
・投資運用業者の入会
5件
業者名
協会入会日
SBI ボンド・インベストメント・マネジメント株式会社
平28年 4月21日
オールニッポン・アセットマネジメント株式会社
平28年 4月21日
株式会社リサ投資顧問
平28年 4月28日
楽天証券株式会社
平28年 5月 2日
株式会社ウエルス・スクエア
平28年 5月31日
・投資助言・代理業者の入会
9件
業者名
協会入会日
ソシエテ・ジェネラル証券株式会社
平28年 4月20日
第一管財株式会社
平28年 4月21日
株式会社シナジーキャピトルマネージメント
平28年 4月26日
株式会社アセット・インベストメント・パートナー
平28年 4月28日
PA インベストメント・アドバイザーズ株式会社
平28年 5月 2日
株式会社 ALL アセットパートナーズ
平28年 5月31日
MCUBS ジャパン・アドバイザーズ株式会社
平28年 6月 1日
株式会社和キャピタル
平28年 6月13日
スタンダード・ライフ・インベストメンツ・ジャパン株式会社
平28年 6月20日
○退会会員一覧(8社)
業者名
退会日
資格喪失理由
フェニックス・キャピタル株式会社
平28年 3月30日
投資助言・代理業登録の廃止
三菱商事・ユービーエス・リアルティ株式会社
平28年 4月30日
投資一任業務の廃止
ソシエテジェネラルセキュリティーズノースパシフィック
リミテッド(ソシエテジェネラル証券会社)東京支店
平28年 4月30日
投資助言・代理業登録の廃止
株式会社フロンティア
平28年 5月 2日
会費未納による資格喪失
株式会社トレーディングスター
平28年 5月 2日
会費未納による資格喪失
株式会社ウィン情報
平28年 5月 2日
会費未納による資格喪失
株式会社ベンチャーネット
平28年 5月31日
投資助言・代理業登録の廃止
※当協会ウェブサイトに最新の会員名一覧(電話番号入り)を掲載しています。
詳細につきましては、そちらをご覧ください。
URL: http://www.jiaa.or.jp/profile/kaiin.html
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(7) / 2016/08/18 01:09 (2016/08/18 01:09) / wn_16240127_02_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_協会の動き.docx
統計数値で見る投資顧問業
日本投資顧問業協会では、四半期ごとに投資運用会員の契約資産に関する統計を作成し、協会のホー
ムページ(下記)で公開しております。今回掲載したデータ以外にも、多種の詳細なデータを公開
しておりますので、是非ご覧ください。
日本投資顧問業協会ホームページ統計資料:http://www.jiaa.or.jp/toukei/
1.契約資産残高は 242 兆円
※投資一任、投資助言、ファンドの契約資産の合計
※数値は、各年全て3月末時点の残高(以下同様)
平成 28 年3月末の契約資産残高は、242 兆 624 億円となり、3月末ベースでは、4年連続過去最高
を更新しました。これは、平成 24 年の秋以降、良好な市場環境を背景として増加傾向が継続している
なか、国内年金資金および年金以外(国内)の契約資産額が増加したことによるものです。
契約資産の内訳を見てみると、国内年金資金の割合が約 50%となっており、当業界において年金資
金の存在が非常に大きいことが分かります。年金の資金は、公的年金(年金積立金管理運用独立行政
法人など)と私的年金(企業年金基金など)に分けることができますが、その残高推移は次のとおり
です。
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(8) / 2016/08/18 01:09 (2016/08/18 01:09) / wn_16240127_02_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_協会の動き.docx
公的年金の残高は、平成 24 年3月末以降、継続的に増加しており、平成 28 年3月末の残高は 94
兆円で、国内年金資産残高の 77%となっています。
2.ラップ口座:契約残高、件数ともに過去最高を更新
平成 28 年3月末のラップ口座の契約状況は、契約件数が 48 万 2,221 件、契約金額が5兆 7,776 億
円となり、契約件数、契約金額とも過去最高を更新しました。
- 8 -
(9) / 2016/08/18 01:09 (2016/08/18 01:09) / wn_16240127_02_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_協会の動き.docx
● 事業日誌
28.4.20
5.25
6.1
6.6
6.7
6.9
(平成 28 年4月1日~平成 28 年6月 30 日)
第 351 回理事会
(1)役員の退任について
(2)理事会の出席者について
(3)業務委員会の委員の委嘱について
(4)平成 28 年度会長候補者選考委員会委員長報告
(5)協会役員の構成の改定について
(6)平成 28 年度協会役員候補者の推薦について
(7)規律委員会の委員の選任について
(8)入会承認および退会等報告(入会9件、退会6件)
(9)会員の処分について
(10)その他報告
第 352 回理事会
(1)第 32 回定時総会の開催および提出議案等について
(2)入会承認および退会等報告(入会3件、退会5件)
(3)その他報告
研修(於:東京証券会館)
・証券検査を巡る最近の動向について
第 37 回業務委員会
(1)「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」等(案)及び「主要行
等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)に対する意見募集の結果等について
(2)「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」の公表について
(3)「主要行等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表について(犯罪収益移転
防止法の改正等を踏まえた金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針等の改正)
(4)「主要行等向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの
結果等について(コーポレートガバナンス・コードの適用開始等に伴う金融商品取引業者
等向けの総合的な監督指針等の改正)
(5)欧州清算集中義務の導入に伴う外貨建て金利スワップ取引の実態調査に関する金融庁か
らの依頼について
(6)企業年金連合会の 2015 年度資産運用実態調査について
(7)業務各部会の一年間の活動状況について
第 162 回自主規制委員会
(1)自主規制ルール遵守状況等調査票(投資一任)の集計結果について
(2)自主規制ルール遵守状況等調査票(不動産・運用)および自主規制ルール遵守状況等調査
票(不動産・助言)の集計結果について
(3)自主規制ルール遵守状況等調査票(ファンド)の集計結果について
(4)自主規制ルール遵守状況等調査票(ラップ)の集計結果について
(5)自主規制各部会の一年間の活動状況について
プレス発表
・契約資産残高統計(平成 28 年3月末)
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(10) / 2016/08/18 01:09 (2016/08/18 01:09) / wn_16240127_02_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_協会の動き.docx
6.10
6.16
6.16
6.16
6.16
第 353 回理事会
(1)業務委員会委員長報告
(2)自主規制委員会委員長報告
(3)自主規制ルール遵守状況等調査票(投資一任)の集計結果について
(4)自主規制ルール遵守状況等調査票(不動産・運用)および同(不動産・助言)の集計結果
について
(5)自主規制ルール遵守状況等調査票(ファンド)の集計結果について
(6)自主規制ルール遵守状況等調査票(ラップ)の集計結果について
(7)入会承認および退会等報告(入会2件、退会3件)
(8)その他報告
第 32 回定時総会(於:東京証券会館)
第 354 回理事会
(1)会長の選定について
(2)副会長および専務理事の選定等について
証券取引等監視委員会 佐々木事務局長講演会(於:東京証券会館)
・証券取引等監視委員会の現状と課題
プレス発表(於:兜倶楽部)
・定時総会開催結果の報告
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(11) / 2016/08/18 1:09 (2016/08/18 1:09) / wn_16240127_03_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_投資顧問業概説.docx
投
資
顧
問
業
概
一般社団法人
説
日本投資顧問業協会
調査役
川崎
勝彦
1.投資顧問業の概説
(1)投資顧問業の歴史
投資顧問業とは、一般的には、有価証券など金融商品の投資判断に関して、顧客のために助
言を行うこと(投資助言行為)、または、顧客に代わって運用を行うこと(投資一任行為)を業
とすることを指す。投資顧問業は、19 世紀にイギリスで発生し、20 世紀にアメリカで発展した
とされている。
日本においては、1950 年代頃には自然発生的にいわゆる街の投資顧問会社が生まれ、1960
年代に証券会社の一部門として投資顧問部門が設置され、1970 年代から証券会社系列の投資顧
問会社が設立され、1980 年代から銀行や保険会社系列あるいは外資系の投資顧問会社が設立さ
れるようになった。
こうした発展の一方で、1980 年代初頭から「投資ジャーナル事件」など一部の悪質業者によ
る不祥事が発生し、1986 年に投資家保護のために投資顧問業法が制定され、87 年には、自主規
制機関として「社団法人日本証券投資顧問業協会」
(現:一般社団法人日本投資顧問業協会)が
設立された。
その後、1990 年の投資顧問会社による厚生年金基金の運用受託解禁を皮切りに、1996 年には
日米構造協議の成果として年金福祉事業団の年金運用受託解禁(1996 年 LPS 方式)など、私的
年金・公的年金の運用受託が順次解禁され、それまでの財テク資金の運用から、投資顧問会社
のビジネス領域が質量ともに飛躍的に拡大した。
2006 年に、公的年金の運用を行う「年金積立金管理運用独立行政法人」
(GPIF)が設立され、
投資顧問会社に運用が委託されるようになってからは、投資顧問会社の契約資産残高の中心は、
公的年金となった。
(2)投資顧問業の社会的役割
投資顧問業務は、年金資産の運用等を通じ顧客ニーズに応えた専門的かつ高品質のサービス
を顧客に提供し、少子高齢化社会における年金基金等顧客の金融資産形成に寄与している。
さらに、投資顧問業務は、以下の2点において、企業の成長や健全な経済の発展に寄与し、
社会に貢献している。まず、①市場を通じ成長企業に資金を提供することにより、効率的な資
金配分機能を果たしている。次に、②顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大のために、
スチュワードシップ活動を通じ、投資先企業の企業価値の向上や持続的成長に貢献している。
(3)投資顧問業法制下での枠組み
現在、わが国の投資顧問業は、金融商品取引法(2007 年9月 30 日施行)により規制されて
いるが、金融商品取引法施行以前には、
「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」
(投
資顧問業法、1986 年 11 月 25 日施行)により規制されていた。
投資顧問業法下において、「投資顧問業(広義)」は、①業務範囲が顧客に対する投資判断の
助言に留まり内閣総理大臣(法制定当時は大蔵大臣)の登録で足りる「狭義の投資顧問業」
(投
- 11 -
(12) / 2016/08/18 1:09 (2016/08/18 1:09) / wn_16240127_03_os7 一般社団法人日本投資顧問業協会様_投資顧問第 83 号_投資顧問業概説.docx
資助言業)と、②顧客から投資判断が一任され登録に加え内閣総理大臣の認可が必要な「投資
一任業」との二階建て構造であった。
(4)金融商品取引法制下での枠組み
その後、投資顧問業法は、証券取引法等とともに、金融商品および金融取引に関する包括的・
横断的法制である金融商品取引法に取り込まれた。金融商品取引法下においては、投資助言業
と投資一任業は、証券業等とともに、金融商品取引業(同法2条8項)の一形態となった。金
融商品取引業は、
「第一種金融商品取引業」
(証券業等)、
「第二種金融商品取引業」、
「投資助言・
代理業」(同法 28 条3項)および「投資運用業」
(同法 28 条4項)に四分類され、それぞれが
異なる業の区分とされた。つまり、金融商品取引業として業規制の横断化を図るとともに、業
の区分を設けることにより規制の柔軟化を図っている。
金融商品取引法において、投資助言業務(同法 28 条6項)は、投資助言・代理業のうち、
「投
資顧問契約(当事者の一方が相手方に対して有価証券又は金融商品の価値等に関し、助言を行
うことを約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約)を締結し、当該投資顧問
契約に基づき、助言を行うこと(同法2条8項 11 号)を業として行うこと」と定義付けること
ができる。なお、「業として」行うとは、一般に、「対公衆性」のある行為で「反復継続性」を
もって行うものをいうとされている。また、代理・媒介業務は、
「投資顧問契約又は投資一任契
約の締結の代理又は媒介」(同法2条8項 13 号)を指す。
一方、投資一任業は、投資運用業のうち、
「投資一任契約(当事者の一方が、相手方から、金
融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断
に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約)を
締結し、当該契約に基づき、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券又
はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、金銭その他の財産の運用を行うこと(同
法2条8項 12 号ロ)を業として行うこと」と定義付けることができる。なお、投資助言業にお
いては、
「報酬を支払うことを約する」ことが要件とされるが、投資一任業を始め他の金融商品
取引業においては、報酬は要件とされていない。
つまり、①金融商品取引業の部分集合として、法令上の用語としての②投資助言・代理業や
投資運用業といった業務の種別があり、それぞれの一形態として③投資助言業や投資一任業が
あるという、三層構造をなしている。
このように金融商品取引法の施行に伴い、法令上の用語として、投資助言・代理業や投資運
用業という用語が用いられているものの、一般用語や法人名としては、現在においても依然と
して「投資顧問」という用語が定着している。
(5)金融商品取引法体系
投資顧問業に関係する金融商品取引法体系は、主に、法律としての①「金融商品取引法」、政
令としての②「金融商品取引法施行令」(金商法施行令)、内閣府令としての③「金融商品取引
業等に関する内閣府令」
(金商業等府令)等の構造となっている。
また、法令ではないものの、実務を行う上で重要なものとして、金融庁監督局証券課が策定
している④「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」(金商業者等監督指針)、証券取引
等監視委員会事務局の⑤「金融商品取引業者等検査マニュアル」(金商業者等検査マニュアル)
などがある。さらには、上記②~⑤の制定・策定時の⑥パブリックコメントに対する金融庁等
の考え方(パブコメ回答)も、条文等の隙間を埋める解釈指針として重要である。
さらに、投資顧問業者等の自主規制団体である日本投資顧問業協会の定める⑦「定款・諸規
則」
(自主規制ルール)も、法令等の規定を具体化し、より実務に近いものであり実務を行う上
で重要である。
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(6)投資信託委託業との相違
投資運用業の一形態として、投資信託委託業(同法2条8項 14 号)がある。投資一任業も投
資信託委託業も、経済的には他人資産の運用(アセットマネジメント)という共通点がある。
また、1995 年に投資一任業と投資信託委託業の併営が解禁されて以来、両方を併営する会社が
増加している。
一方、相違点としては、伝統的な投資一任契約は大口顧客との相対契約によるオーダーメイ
ド型の運用であるのに対し、投資信託契約は約款形式の附合契約によるレディメイド型の運用
である。また、投資一任の顧客は機関投資家など知識・経験があり交渉力のある投資家が中心
であるのに対し、投資信託の顧客は幅広い個人投資家であるため、個人投資家の保護の観点か
ら、業規制を定めた金融商品取引法以外に、法的スキームやビークル・器を定めた「投資信託
及び投資法人に関する法律」
(投信法)が存在する。もっとも、私募投資信託、投資一任勘定へ
の投資信託の組入れ、あるいはラップ口座など、経済的側面での両者の差が近い領域もある。
(7)日本投資顧問業協会
投資顧問業者等の自主規制団体として「一般社団法人日本投資顧問業協会」がある。協会は、
1987 年、投資顧問業法 42 条の規定に基づき大蔵大臣の認可を得て「社団法人日本証券投資顧
問業協会」として設立された。
金融商品取引法施行後は、同法 78 条に規定される認定金融商品取引業協会として、会員の行
う投資運用業および投資助言・代理業の公正かつ円滑な運営の確保により、投資者の保護を図
るとともに、投資運用業および投資助言・代理業の健全な発展に寄与することを目的とし、自
主規制ルールの制定・改廃等や当局との折衝等種々の活動を行っている。2012 年、協会は、特
例民法法人から一般社団法人に移行し、協会の名称を「一般社団法人日本投資顧問業協会」に
変更した。
また、協会は、投資顧問業の資本市場における重要性に鑑み、会員のスチュワードシップ・
コードへの取組状況を取りまとめて公表したり、コーポレートガバナンス研究会を組成し議論
や研究を行うなど、コーポレートガバナンス向上にも取り組んでいる。
金融商品取引法施行後は、伝統的な投資顧問会社以外にも、不動産関連の投資顧問会社、ラッ
プビジネスを行う証券会社・信託銀行、ベンチャーキャピタルなどのファンド運用会社など、
会員の業務の多様化が進んでいる。
2.投資一任業
(1)参入規制
金融商品取引法において、投資一任業を含む投資運用業、更には金融商品取引業全体が、原
則として登録制となっている(同法 29 条)。登録に当たっては、登録拒否要件に該当しないこ
とが条件となる。投資運用業においては、主に、①人的構成要件(金融商品取引業を適確に遂
行するに足りる人的構成)と②財産要件(資本金 5,000 万円以上)がある。なお、適格投資家
向け投資運用業(同法 29 条の5)においては、資本金 1,000 万円以上と財産要件等が緩和され
ている。
(2)行為規制
金融商品取引法において、投資一任業者に課される行為規制は、①すべての金融商品取引業
者に共通して課される行為規制(同法 36 条~40 条の7)と、②投資一任業者を含む投資運用
業者に課される行為規制(同法 42 条~42 条の8)の二階層構造となっている。
行為規制のうち、特に重要なのは、受託者責任としての忠実義務(同法 42 条1項)および善
管注意義務(同法 42 条2項)である。また、日本投資顧問業協会では、受託者責任の基本であ
る利益相反行為の禁止等を具体的に定めた自主規制ルールとして、伝統的な投資一任会員向け
の「業務運営にあたり留意すべき基準について」を始め、会員の多様性に合わせ各分野でのビ
ジネスモデルを勘案した、五種類の業務運営基準を定めている。また、
「倫理綱領」においても、
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①「受託者責任の徹底」を始め、②「コンプライアンスの強化」、③「ガバナンスの確保」の遵
守を宣言している。
なお、金融庁の平成 27 事務年度金融行政方針においては、ベストプラクティスとして、フィ
デューシャリー・デューティー(他者の信任に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき
幅広い様々な役割・責任の総称)の浸透・実践が掲げられている。
(3)ビジネスモデル
伝統的な投資一任業の主な顧客としては、公的年金・私的年金や金融法人・事業法人、政府
系ファンド(SWF)などの機関投資家が挙げられる。投資一任業は、他業態や海外からの参入障
壁が低く、金融業界の中でも自由化・国際化が進んだ業態といえる。資産運用を専門とする投
資運用業には、投資一任業の他に、投資信託委託業や、ベンチャー企業の育成などを目的とし
て組成された集団投資スキーム(ファンド)の運用を行うファンド運用業などがある。
(4)信託銀行との相違
年金を顧客とする場合の投資一任業者の運用の特徴は、信託銀行(年金単独運用指定信託等)
と比較して、アクティブ運用の比率が高いこと、投資一任業者の特徴を生かし顧客の意向を反
映した木目細やかなオーダーメイド的な運用サービスを提供することにある。なお、投資一任
業者が資産運用を受託する場合、資産管理は信託銀行等が行うことになる。
一方、信託銀行の運用の特徴としては、投資一任業者に比べて、合同運用とパッシブ運用の
比率が高いことの2点が挙げられる。合同運用とは、複数の年金基金の資産を同一の勘定でま
とめて運用する手法であり、年金基金から委託された資産を他の資産から独立して個別に有価
証券等に投資する単独運用に比べ、資産規模の小さい年金基金であっても分散投資が可能とな
り、また、運用報酬や取引コストが割安となるメリットがある。一方、合同運用よりも単独運
用の方が、個々の年金基金のニーズに沿った運用が容易である。
パッシブ運用とは、特定のベンチマーク(指標)の動きと連動した投資収益を達成すること
を目指す運用方法のことである。パッシブ運用は、個別有価証券の投資価値を運用者が判断し
て売買を行うことによりベンチマークを上回る成績を目指すアクティブ運用と比較して、取引
に関わるコストが少なくてすむこと、運用報酬が低く抑えられること等のメリットがある。
一方、パッシブ運用においては、ベンチマーク並みの運用成績しか期待できない。また、パッ
シブ運用は資金配分機能をあまり持たず、アクティブ運用に対するフリーライドであるとの批
判もある。
なお、信託銀行が公的年金等の運用を受託する場合は、資産運用と資産管理を包括した年金
信託契約ではなく、資産運用のみの投資一任契約の場合が多い(資産運用と資産管理のアンバ
ンドリング)
。
(5)スチュワードシップ・コード
近年、投資一任業者を含む機関投資家に関係することがらとして、スチュワードシップ・コー
ドがある。2013 年6月に閣議決定された「日本再興戦略」を踏まえ、
「日本版スチュワードシッ
プ・コードに関する有識者検討会」
(金融庁内に事務局を設置)が策定を進めてきた「責任ある
機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫が、2014 年2月 27 日に公表さ
れた。スチュワードシップ・コードは、機関投資家が、投資先の日本企業やその事業環境など
に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」などを通じて、当該企業の企業価値
の向上や持続的成長を促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る
責任(スチュワードシップ責任)を果たすにあたり、有用と考えられる諸原則を定めたもので
ある。
スチュワードシップ・コードは、コーポレートガバナンス・コードと「車の両輪」をなし、
両コードが幅広く普及・定着することにより、日本における実効的なコーポレートガバナンス
の実現に寄与することが期待されており、200 を超える機関投資家に受け入れられている。
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スチュワードシップ・コードは、法令とは異なり、法的拘束力を有する規範ではない。また、
法令のような細則主義を採らずに、原則主義を採用している。スチュワードシップ・コードに
おいて、機関投資家に求められている投資先企業に対するアクションは、①モニタリング(原
則3)、②エンゲージメント(原則4)、③議決権行使(原則5)の3点である。
モニタリングとは、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果た
すため、当該企業の状況を的確に把握することである。把握は、継続的かつ実効的であること
が求められる。把握する内容としては、非財務面の事項も含まれる。
エンゲージメントとは、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に資するため
に、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を行うことである。どのような対話を行う
かについて、あらかじめ明確な方針を持つことが求められている。
議決権行使とは、保有株式について議決権を行使することである。議決権行使に当たっては、
投資先企業の状況や当該企業との対話の内容等を踏まえた上で、賛否を判断することが求めら
れる。また、議決権行使についての明確な方針の策定と公表が求められている。
(6)不動産私募ファンド
伝統的有価証券を投資対象とする投資顧問業以外に、特別目的会社(SPC)を形式的な顧客と
して、不動産信託受益権など不動産関連有価証券を投資対象とする不動産私募ファンドから投
資一任契約を受託しファンド運営を行う不動産投資顧問ビジネスがある。
不動産関連有価証券は、株式や債券と異なり実物資産の裏付けがあり、リスク・リターン特
性が株式や債券と異なっている。そのため、ポートフォリオに不動産関連有価証券を組み入れ
ることによる分散効果をもたらすことができる。
(7)ラップ口座
投資一任ビジネスの中で、近年著しく成長している分野にラップ口座がある。ラップ口座と
は、証券会社や信託銀行が、主に個人投資家を対象に提供する、投資一任業と一種業のサービ
スを一括して包み込んだ金融サービスである。
日本投資顧問業協会では、ラップ業務を、
「証券業を営む会員が、投資顧問業務(投資一任契
約に係る業務又は投資助言業務をいう。)に係る報酬と売買執行手数料、口座管理料等の手数料
を運用資産残高に応じて一括して徴収する契約を顧客との間で締結し、その契約に基づいて行
う業務」と定義している。
3.投資助言・代理業
(1)法的枠組み
金融商品取引法において、投資助言・代理業とは、投資助言業務と代理・媒介業からなる(同
法 28 条)。代理・媒介業務とは、「投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介」(同
法2条8項 13 号)を指す。
(2)参入規制
金融商品取引法において、投資助言・代理業の参入要件としては、投資運用業とは異なり、
資本金要件が課されていない。その代わり、営業保証金(500 万円)の供託義務が課されてい
る(同法 31 条の2)。
なお、以前は、投資助言・代理業の参入要件として、人的構成要件が課されていなかったが、
①証券取引等監視委員会による投資助言・代理業者に対する集中的な検査において、多数の法
令違反事例等が認められ、その原因として、役職員の基本的な法令の知識や法令遵守意識の著
しい欠如等が挙げられ、②犯罪対策閣僚会議において、各府省は業の主体から暴力団等を排除
する対策の充実に努めることとされたことから、2012 年4月からは、投資助言・代理業者につ
いても、登録拒否事由に人的構成要件が追加された。
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(3)行為規制
金融商品取引法において、投資助言・代理業者に課される行為規制は、①すべての金融商品
取引業者に共通して課される行為規制(同法 36 条~40 条の7)と、②投資助言・代理業者に
課される行為規制(同法 41 条~41 条の5)の二階層構造となっている。
(4)ビジネスモデル
伝統的な投資助言業のビジネスモデルは、①個人投資家に対する、②有価証券、特に株式に
関する、③文書による投資アドバイスであるが、現在では、ビジネスモデルの多様化により、
①顧客としては法人やファンドに対する、あるいは、適格機関投資家等特例業務届出を行った
特別目的会社(SPC)を形式的な顧客とする、②投資アドバイス対象商品としては不動産証券化
商品や為替などに関する、③インターネットや電子メール、インターネットを使った自動配信
(システムトレード)などによる投資アドバイス、に広がっている。
4.ファンド運用業
(1)法的枠組み
金融商品取引法施行以前は、ベンチャーキャピタルなど組合型ファンドなどの運用について
は、投資顧問業法等の規制の枠外であった。これは、投資一任契約の要件に「顧客」という他
人性要件があり、運用者自身の自己資金が入る組合契約には、規制が及ばなかったからである。
しかし、自己資金が入るからといって規制の対象外とする積極的な理由はなく、金融商品取引
法においては、規制の隙間を埋める形で、
「投資運用業」の一部として規制対象となり、一般的
には、ファンド運用業(ファンドの自己運用業)と呼ばれている。
ファンド運用業は、「投資運用業」のうち、「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基
づいて主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、信託受益権や
組合型ファンドなどの権利を有する者から出資又は拠出を受けた金銭その他の財産の運用を行
うこと(同法2条8項 15 号)を業として行うこと」と定義付けることができる。なお、ファン
ド運用行為は、「第 12 号(投資一任行為等)及び前号(投資信託委託行為)に掲げる行為に該
当するものを除く」という控除概念である。参入規制や行為規制については、同じ投資運用業
として投資一任業と同様の規制の枠組みである。
(2)ビジネスモデル
控除概念であるため、ファンド運用業のビジネスモデルは多岐に及ぶが、典型的なものとし
ては、ベンチャーキャピタルを挙げることができる。ベンチャーキャピタルとは、①投資事業
有限責任組合(LPS)を設立し(ファンドレイジング)、②顧客(LP)から出資を募ると同時に
運用者(GP)自らも LPS に出資し(セイムボート出資)、③成長が見込まれる未上場企業を発掘
し(ファインディング)
、④ビジネスモデルの精査や技術評価を行った上で(デューデリジェン
ス)、⑤株式未上場企業の株式等に投資し(インベストメント)、⑥投資先企業の経営支援(ハ
ンズオン)を行って株式上場等を促進し、⑦上場後に市場で株式を売却、または事業会社に売
却するなどして投資収益を図る(イグジット)ビジネスモデルである。
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投 資 顧 問 No.83 2016
平成28年8月10日発行
編集兼発行人
宮保 貞
発
一般社団法人 日本投資顧問業協会
行
所
〒103-0025
東京都中央区日本橋茅場町1-5-8
東京証券会館7階
電 話 03(3663)0505(代表)
FAX 03(3663)0510
http://www.jiaa.or.jp
制
作
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一般社団法人
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