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7 - Pmda 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

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7 - Pmda 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
6.
申請する適応症に関する比較対照試験報告書
6.1
申請する適応症に関する比較対照試験報告書 1200.32
Page 255
試験 1200.32
LUX-Lung 3; A randomised, open-label, phase III study of BIBW 2992 versus chemotherapy as first-line
treatment for patients with stage IIIB or IV adenocarcinoma of the lung harbouring an EGFR-activating
mutation(資料番号 5.3.5.1-1)
試験方法
試験方法の概略を表 6.1: 1 に示す。
表 6.1: 1
目的
試験方法の概略(1/5)
上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の病期 IIIB 期(細胞学的に証明された胸水また
は心嚢液貯留あり)または IV 期の肺腺癌を有する,EGFR チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)
未治療の患者において,1 次療法としてのアファチニブ(BIBW 2992)単独療法の有効性およ
び安全性をペメトレキセド+シスプラチン併用化学療法と比較する。
試験の種類
第 III 相,国際多施設共同,非盲検,ランダム化(2:1),実薬対照,2 群並行群間比較試験
対象
対象疾患
病期 IIIB 期または IV 期の肺腺癌で EGFR 遺伝子変異を有する患者
選択基準
本治験に組入れられる患者は以下のすべての基準を満たすこととした。
1
病理学的に病期 IIIB 期(細胞学的に証明された胸水貯留または心嚢液貯留)または IV 期
の肺腺癌と確定診断された患者。組織学的な混在が認められる患者は,腺癌が組織学的
に優勢であれば適格とした。
2
中央測定機関における腫瘍生検検体の解析で EGFR 遺伝子変異が検出された患者
3
RECIST 第 1.1 版に従い測定可能な病変を有する患者
4
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0 または 1 の患者
5
年齢が 18 歳以上の患者(日本では 20 歳以上)
6
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
7
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
除外基準
以下の基準のいずれかに該当する患者は治験から除外した。
1
再発性または転移性の非小細胞肺癌(NSCLC)に対する化学療法を前治療として行った
患者。ただし術前/術後補助化学療法で,化学療法終了時からランダム化割付けまでに
12 カ月以上経過した場合は可とした。
2
EGFR を標的とする低分子または抗体による前治療を行った患者
3
ランダム化割付け前 4 週間以内に放射線療法または手術(生検を除く)を受けた患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 1
対象(続き)
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試験 1200.32
試験方法の概略(2/5)
4
活動性の脳転移(安定期間が 4 週間未満,症候性,抗痙攣薬またはステロイドによる治
療を要するか,または軟膜・髄膜疾患の場合)を有する患者
5
他の悪性腫瘍の併発または過去 5 年以内に悪性腫瘍(非メラノーマ性皮膚癌と子宮頸部
上皮内癌を除く)と診断された患者
6
間質性肺疾患の既往を有する患者
7
クローン病,吸収不良,原因を問わず grade 2 以上の下痢など,主症状として下痢を伴う
重大な胃腸障害が認められるか,または急性胃腸障害が最近認められた患者
8
コントロール不良の高血圧,ニューヨーク心臓学会(NYHA)の機能分類 3 のうっ血性心
不全,不安定狭心症,コントロール不良の不整脈など臨床的に問題となる心血管異常の
既往歴または合併症を有する患者。ランダム化割付け前 6 カ月以内の心筋梗塞を有する
患者
9
安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満の患者
10 その他の重篤な疾患または臓器系障害を有する患者で,治験責任医師が患者の安全性に
悪影響を及ぼす,または治験薬の安全性の評価を妨げると判断した患者
11 好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
12 血小板数が 100000/mm3 未満の患者
13 クレアチニンクリアランスが 60 mL/分未満,または血清クレアチニンが基準値上限の 1.5
倍超の患者
14 総ビリルビンが基準値上限の 1.5 倍超の患者
15 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラ
ーゼ(ALT)が基準値上限の 3 倍超(肝転移に関連する場合は基準値上限の 5 倍超)の患
者
16 治験期間中に医学的に適切な避妊法を使用する意思のない,妊娠の可能性のある女性ま
たはパートナーを妊娠させる可能性のある男性
17 妊娠中または授乳中の女性
18 治験実施計画書を遵守できない患者
19 活動性 B 型肝炎,活動性 C 型肝炎または HIV キャリアであることが確認されている患者
20 薬物乱用またはアルコール依存症が既知の患者,もしくは疑われる患者
21 併用禁止薬による治療を要する患者
22 ペメトレキセド,シスプラチン,デキサメタゾンの治療が禁忌の患者
23 アファチニブまたはいずれかの治験薬の添加物に対する過敏症が既知の患者
24 ランダム化割付け前 4 週間以内に何らかの治験薬を投与した患者
日本人患者の場合
25 動脈血酸素飽和度が 92%以下の患者
試験薬剤
被験薬:アファチニブ錠(50 mg,40 mg,30 mg,20 mg フィルムコート錠)
対照薬:ペメトレキセド(凍結乾燥粉末)/シスプラチン(注射用液)
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試験 1200.32
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表 6.1: 1
症例数
試験方法の概略(3/5)
目標症例数:
ランダム化割付け症例 330 名(アファチニブ群 220 名,ペメトレキセド+シスプラチン群 110
名)
実施症例数:
スクリーニング登録症例数 1269 名
ランダム化
割付け症例数
投与症例数
解析症例数
(主要評価項目)
アファチニブ群
230 名
229 名
230 名
ペメトレキセド+シスプラチン群
115 名
111 名
115 名
345 名
340 名
345 名
計
投与方法
投与期間
アファチニブ群:
投与方法
アファチニブを開始用量の 40 mg で 1 日 1 回経口投与し(食事の 1 時間以上前
または食後 3 時間以上後の毎日ほぼ同じ時刻に服用),治験実施計画書で規定さ
れた投与量増減基準に従い,50 mg への増量,または 40 mg,30 mg,20 mg へ
の減量を可とした。減量後の増量は不可とした。管理上の理由から 1 コースを
21 日間とした。
投与期間
疾患進行(PD),許容できない有害事象または中止を要する他の理由が認めら
れるまで連日投与。
ペメトレキセド+シスプラチン群:
投与方法
各コースの Day 1 にペメトレキセド 500 mg/m2 を 10 分間かけて点滴静注し,そ
の 30 分後にシスプラチン 75 mg/m2 を 2 時間かけて点滴静注。1 コース 21 日間。
ペメトレキセドおよびシスプラチンは,製品概要または添付文書に従って,投
与の延期または減量を可とした。
投与期間
観察項目
観察時期
疾患進行が認められるまで最大 6 コースまで投与。
スケジュールの項を参照
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表 6.1: 1
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試験方法の概略(4/5)
評価項目
有効性
評価基準
主要評価項目:
y
RECIST 第 1.1 版に基づく独立判定委員会評価による無増悪生存期間(PFS)
主な副次評価項目:
y
客観的奏効(RECIST 第 1.1 版に基づく完全奏効[CR]または部分奏効[PR]と定義),
奏効までの期間,奏効期間
y
病勢コントロール(RECIST 第 1.1 版に基づく客観的奏効または安定[SD]と定義),病
勢コントロール期間
y
全生存期間(OS)
その他の副次評価項目:
y
腫瘍縮小
y
体重のベースラインからの変化量
y
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)のベースラインからの変化
y
標準化された質問票で測定した健康関連の生活の質(HRQOL)
(標準化された質問票は,欧州がん研究・治療機構[EORTC]の生活の質質問票 C30
[QLQ-C30]および肺癌特異的補足的モジュール LC13[QLQ-LC13]を用い,主な評価
項目である咳嗽(QLQ-LC13 質問 1),呼吸困難(QLQ-LC13 質問 3~5 および QLQ-C30
の質問 8 から個別項目)および疼痛(QLQ-C30 質問 9 と 19 および QLQ-LC13 の質問 10,
11,12 から個別項目を事前に規定した))
y
アファチニブの薬物動態
安全性
y
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価した)の発現率および重症度,および臨床検査
値の変化
解析方法
本試験の目的は,EGFR 遺伝子変異陽性の病期 IIIB 期または IV 期の肺腺癌患者の 1 次治療と
して,アファチニブの有効性がペメトレキセド+シスプラチン化学療法と比較して優れている
かどうかを検証することであった。
主要評価項目は独立判定委員会の評価に基づく PFS とし,217 名の患者が PD(独立判定委員
会の評価に基づく)または死亡を発現した時点で解析を実施することとした。カットオフ日
は治験責任医師および独立判定委員会の評価により確認された PFS のイベント数の差から独
立判定委員会の評価に基づく PFS イベントが到達する時点を予測して設定した。OS の主解析
は死亡例が 209 名に達した時点で実施することとした。
アファチニブの PFS に対する効果は,層別ログランク検定(両側,α=0.05,層別因子は,割
付け因子の EGFR 遺伝子変異カテゴリー[L858R 対 Del 19 対その他]および人種[アジア人
対非アジア人])を用いて検証した。
安全性の評価には,重要な有害事象が過小評価されないよう,同様の有害事象を示す MedDRA
の基本語をグループ化した「グループ用語」を用い,「+」記号を付けた。
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表 6.1: 1
試験方法の概略(5/5)
治験調整医師
治験実施施設
国際多施設共同試験(アジア[日本を含む],オーストラリア,欧州,北米および南米の 25
カ国,133 施設)
治験実施期間
20
年 月~進行中(PFS の主解析のデータカットオフ日:20
年
月 日)
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スケジュール
表 6.1: 2
検査・観察スケジュール(フローチャート)(1/2)
アファチニブ群:
Days
スクリーニング 1
SV 1
SV 2
治験薬投
治験薬投
与開始
与開始
28 日前以
6 週前以内
内
X6
X7
X
X
X
X8
X
第 1~第 2 コース 2
Visit 1
Visit 2
Day 1
(± 2)
Day 8
(± 2)
第 3 コース
以降 2
EOT 3
FU 4
OP 5
Day 1
(± 2)
同意取得 1
同意取得 2
患者背景
既往歴・合併症
選択基準/除外基準
ランダム化割付け
身体所見(詳細) 9
X
身体所見(限定的) 9
X
X
X
バイタルサイン
X
X
X
X
X
X
ECOG パフォーマン
X
X
X
X
X
X
ス・スコア(PS)
生活の質
X
X
X
X
心電図 10
X
X
X
X
左室機能 11
X
X
X
臨床検査 12
X
X
X
X
X
妊娠検査
X
EGFR 遺伝子変異解析 13
X
X
EGFR 遺伝子変異解析
X
X
(血清) 14
DNA バンキング用採血 15
X
薬物動態
X
X
X
腫瘍評価 16
X
注釈参照
併用療法
X
X
X
X
X
X
服薬状況確認
X
X
X
X
有害事象および医療資源
X
X
X
X
X
X
X
利用 17
アファチニブの処方
X
X
アファチニブ投与
連日投与
アファチニブ投与終了
X
試験終了
X
生存確認 18
X
EOT : 治験薬投与終了, FU : 追跡調査, OP = 観察継続期間
1 EGFR 遺伝子変異解析はスクリーニング 1(SV1)で行った。その結果 EGFR 遺伝子変異が確認された患者の
みスクリーニング 2(SV2)に進んだ。EGFR 遺伝子変異解析結果が明らかになる前に,通常診療で SV2 の観
察項目に含まれる検査などを実施した場合には,当該観察を SV2 で再度実施不要(ただし,治験薬投与開始
の 28 日前以内)。
2 各コースは 3 週間(21 日間)。患者は疾患進行がみられず,忍容性があり,患者または治験責任医師が治験の
中止を希望しない限り,治療を継続することができた。
3 EOT Visit は,アファチニブの永続的な中止から 0~14 日で実施。投与期間中にアファチニブを永続的に中止
することを決定した場合,投与期間中の検査の代わりに治験薬投与終了(EOT)の検査を実施。
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4
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EOT の検査後,21 日ごと(±7)に追跡調査を行った。全患者に対し少なくとも 1 回の追跡調査を実施した。
その際,疾患進行がみられず抗癌剤による後治療を開始しない患者に対しては,疾患進行または別の抗癌剤に
よる後治療の開始まで 21 日ごと(±7)に追跡調査を行った。
5 観察継続期間中には Visit は実施しなかったが,疾患進行,抗癌剤による後治療および死亡に関するデータを
死亡まで 60 日(±15)ごとに収集した。
6 すべてのスクリーニング評価を実施する前に文書による同意を得た。同意取得 1 は生検実施および生検検体の
EGFR 遺伝子変異解析についての内容を含んだ。
7 同意取得 2 は EGFR 遺伝子変異陽性が確認された患者から得た。同意取得 2 はすべての試験手順(EGFR 遺伝
子変異の詳細な解析のための採血実施を含む)についての内容を含んだ。DNA バンキングのための採血に対
する同意は任意。
8 ランダム化割付けの後,可能な限り早く(遅くとも 2 日以内に)投与を開始。
9 身長(スクリーニング時のみ)と体重を含んだ。詳細な身体所見検査は臨床的腫瘍評価に利用する。詳細な身
体所見検査には,心肺検査,局所リンパ節検査,腹部検査および精神神経学的状態の評価を含む。これまで報
告されていない新たな症状がある場合,それを記録する。検査は原則として同一の治験担当医師が行う。
限定的な身体所見検査には,心肺検査,臨床的腫瘍評価,局所リンパ節検査および腹部検査を含む。
10 安静時 12 誘導心電図はスクリーニング 2(SV2)時,第 1 コースの Day 8,その後 3 コースごと(第 4,7,10
コースなど,投与終了まで)の Day 1,および投与終了日(過去 8 週間以内に実施していない場合)に実施。
11 心エコーまたは心臓スキャンマルチゲート収集法を用いた。スクリーニング 2(SV 2)時,第 4 コースおよび
その後 3 コースごと(第 7,10,13 コースなど,投与終了まで)の Day 1 および投与終了日(過去 8 週間以内
に実施していない場合)に実施。
12 血液学的検査,血清生化学検査,尿検査を含んだ。投与開始前の 2 日以内に実施した場合,再度の臨床検査の
実施は不要。
13 EGFR 遺伝子変異解析用の腫瘍生検検体をスクリーニング 1(SV1)時に採取。治験参加前の通常診療で腫瘍
生検検体が採取されており,解析用材料が入手可能な場合は,再生検不要。追跡調査時(疾患進行がみられた
場合)の腫瘍生検は任意。
14 治験薬投与開始時の EGFR 遺伝子変異解析用の採血は必須。採血は第 1 コースの Day 1 に実施。追跡調査時(疾
患進行がみられた場合)での EGFR 遺伝子変異解析用の採血は任意。
15 DNA バンキング用の採血は任意としたが,別途同意が必要。ランダム化割付け後のどの時点で採取してもよ
いとしたが,第 1 コースの Day 1 を推奨した。
16 腫瘍評価は,胸部,腹部の CT スキャンを含み,さらに臨床的に必要な場合,その他の既知の腫瘍部位または
疑われる部位(たとえば骨盤部,頭部など)の適切な検査方法(CT スキャンまたは MRI)による画像検査を
含んだ。試験期間中は同一の画像検査を用いた。スクリーニング時に骨転移が確認されていないが疑われた場
合には,腫瘍評価のために骨スキャンを実施した。骨病変が既知または骨スキャンにより確認された場合は,
スクリーニング後の腫瘍評価時に従来の撮影方法(X 線撮影または CT スキャン)を実施した。腫瘍評価は,
疾患進行または抗癌剤による後治療の開始まで,以下の時点で評価を行ったスクリーニング 2(SV2)
6 週目(ランダム化割付け後 35~42 日後)
12 週目(ランダム化割付け後 77~84 日後)
18 週目(ランダム化割付け後 119~126 日後)
24 週目(ランダム化割付け後 161~168 日後)
30 週目(ランダム化割付け後 203~210 日後)
以降は疾患進行または抗癌剤による後治療の開始まで 6 週間ごと。48 週目以降は 12 週間ごとに評価。
永続的な中止,治験薬の投与中断または投与延期の場合でも腫瘍評価のスケジュールは変更しなかった。
17 試験期間中に発現したすべての有害事象(SV2 で同意後,最後の追跡調査まで)は収集され,記録され,報告
された。最初のスクリーニング時(SV1 から SV2 まで)は,患者の試験参加との因果関係が否定できないと
考えられる有害事象のみが収集された。医療資源利用は,第 1 コースの Day 1 から EOT までのみを評価した。
18 疾患進行,抗癌剤による後治療,死亡に関する情報の収集。施設への来院は不要。これらの情報は患者記録ま
たは電話連絡により収集した。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 9.5.8: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 6.1: 2
検査・観察スケジュール(フローチャート)(2/2)
ペメトレキセド+シスプラチン群
スクリーニング 1
SV1
SV2
治験薬投
治験薬投
与開始
与開始
Days
28 日前以
6 週前以内
内
同意取得 1
X6
同意取得 2
X7
患者背景
X
既往歴・合併症
X
選択基準/除外基準
X
ランダム化割付け
X8
身体所見(詳細) 9
X
身体所見(限定的) 9
バイタルサイン
X
ECOG パフォーマン
X
ス・スコア(PS)
生活の質
心電図 10
X
左室機能 11
X
臨床検査 12
X
妊娠検査
X
EGFR 遺伝子変異解析 13
X
EGFR 遺伝子変異解析
(血清) 14
DNA バンキング用採血
15
第 1~第 2 コース 2
Visit 1
Visit 2
Day 1
(± 2)
第 3~第 6 コ
ース
EOT 3
FU 4
Day 8
(± 2)
Day 1
(± 2)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
OP 5
X
X
X
X
X
X
X
X
X
腫瘍評価 16
X
注釈参照
併用療法
X
X
X
X
X
X
有害事象および医療資
X
X
X
X
X
X
X
源利用 17
ペメトレキセド+シスプ
X
X
ラチン処方
化学療法
X
X
ペメトレキセド+シスプ
X
ラチン投与終了
試験終了
X
18
生存確認
X
EOT : 治験薬投与終了, FU : 追跡調査, OP = 観察継続期間
1 EGFR 遺伝子変異解析はスクリーニング 1(SV1)で行った。その結果 EGFR 遺伝子変異が確認された患者の
みスクリーニング 2(SV2)に進んだ。EGFR 遺伝子変異解析結果が明らかになる前に,通常診療で SV2 の観
察項目に含まれる検査などを実施した場合には,当該観察を SV2 で再度実施不要(ただし,治験薬投与開始
の 28 日前以内)。
2 各コースは 3 週間(21 日間)。患者は疾患進行がみられず,忍容性があり,患者または治験責任医師が治験の
中止を希望しない限り,最大 6 コースまで継続することができた。
3 EOT Visit は,第 6 コースの Day 1 の 21 日後(±7 日)に実施。6 コースを完了しなかった場合,ペメトレキセ
ド+シスプラチンの治療終了を決定後 0~14 日で実施。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.32
EOT の検査後,21 日ごと(± 7)に追跡調査を行った。全患者に対し少なくとも 1 回の追跡調査を実施した。
その際,疾患進行がみられず抗癌剤による後治療を開始しない患者に対しては,疾患進行または別の抗癌剤に
よる後治療の開始まで 21 日ごと(± 7)に追跡調査を行った。
5 観察継続期間中には Visit は実施しなかったが,疾患進行,抗癌剤による後治療および死亡に関するデータを
死亡まで 60 日(±15)ごとに収集した。
6 すべてのスクリーニング評価を実施する前に文書による同意を得た。同意取得 1 は生検実施および生検検体の
EGFR 遺伝子変異解析についての内容を含んだ。
7 同意取得 2 は EGFR 遺伝子変異陽性が確認された患者から得た。同意取得 2 はすべての試験手順(EGFR 遺伝
子変異の詳細な解析のための採血実施を含む)についての内容を含んだ。DNA バンキングのための採血に対
する同意は任意。
8 ランダム化割付けの後,可能な限り早く(遅くとも 2 日以内に)投与を開始。
9 身長(スクリーニング時のみ)と体重を含んだ。詳細な身体所見検査は臨床的腫瘍評価に利用する。詳細な身
体所見検査には,心肺検査,局所リンパ節検査,腹部検査および精神神経学的状態の評価を含む。これまで報
告されていない新たな症状がある場合,それを記録する。検査は原則として同一の治験担当医師が行う。
限定的な身体所見検査には,心肺検査,臨床的腫瘍評価,局所リンパ節検査および腹部検査を含む。
10 安静時 12 誘導心電図はスクリーニング 2(SV2)時に実施した。その後,必要と判断された場合に実施。
11 心エコーまたは心臓スキャンマルチゲート収集法を用い,スクリーニング 2(SV2)時に実施した。その後,
臨床的に必要と判断された場合に実施。
12 血液学的検査,血清生化学検査,尿検査を含んだ。投与開始前の 2 日以内に実施した場合,再度の臨床検査の
実施は不要。
13 EGFR 遺伝子変異解析用の腫瘍生検検体をスクリーニング 1(SV1)時に採取。治験参加前の通常診療で腫瘍
生検検体が採取されており,解析用材料が入手可能な場合は,再生検不要。追跡調査時(疾患進行がみられた
場合)の腫瘍生検は任意。
14 治験薬投与開始時の EGFR 遺伝子変異解析用の採血は必須。採血は第 1 コースの Day 1 に実施。追跡調査時(疾
患進行がみられた場合)での EGFR 遺伝子変異解析用の採血は任意。
15 DNA バンキング用の採血は任意とし,別途同意が必要。ランダム化割付け後のどの時点で採取してもよいと
したが,第 1 コースの Day 1 を推奨した。
16 腫瘍評価は,胸部,腹部の CT スキャンを含み,さらに臨床的に必要な場合,その他の既知の腫瘍部位または
疑われる部位(たとえば骨盤部,頭部など)の適切な検査方法(CT スキャンまたは MRI)による画像検査を
含んだ。試験期間中は同一の画像検査を用いた。スクリーニング時に骨転移が確認されていないが疑われた場
合には,腫瘍評価のために骨スキャンを実施した。骨病変が既知または骨スキャンにより確認された場合は,
スクリーニング後の腫瘍評価時に従来の撮影方法(X 線撮影または CT スキャン)実施した。腫瘍評価は,疾
患進行または抗癌剤による後治療の開始まで,以下の時点で評価を行った。
スクリーニング 2(SV2)
6 週目(ランダム化割付け後 35~42 日後)
12 週目(ランダム化割付け後 77~84 日後)
18 週目(ランダム化割付け後 119~126 日後)
24 週目(ランダム化割付け後 161~168 日後)
30 週目(ランダム化割付け後 203~210 日後)
以降は疾患進行または抗癌剤による後治療開始まで 6 週間ごと。48 週目以降は 12 週間ごとに評価。永続的な
中止,治験薬の投与中断または投与延期の場合でも腫瘍評価のスケジュールは変更しなかった。
17 試験期間中に発現したすべての有害事象(SV2 で同意後,最後の追跡調査まで)は収集され,記録され,報告
される。最初のスクリーニング時(SV1 から SV2 まで)は,患者の試験参加との因果関係が否定できないと
考えられる有害事象のみが収集された。医療資源利用は,第 1 コースの Day 1 から EOT までのみを評価した。
18 疾患進行,抗癌剤による後治療,死亡に関する情報の収集。施設への来院は不要。これらの情報は患者記録ま
たは電話連絡により収集した。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 9.5.8: 2
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.32
試験成績
治験対象
患者の内訳
本治験の患者の内訳を表 6.1: 3 に示す。合計 1269 名が 25 カ国 133 施設から本治験にスクリーニ
ングされ,345 名がランダム化割付けされた。ランダム化割付けされた患者の約 2/3 がアジア地
域,約 1/5 が欧州地域の患者であった。
スクリーニングされた 1269 名のうち約 30%が適格例であった。ランダム化割付けされなかった
924 名のうち 817 名の腫瘍検体が EGFR 遺伝子変異陰性であった。EGFR 遺伝子変異陽性患者 452
名のうち 58 名が選択基準を満たさないかまたは除外基準に抵触し,24 名が同意撤回,5 名が有害
事象,5 名が追跡不能,15 名がその他の理由によりランダム化割付けされなかった。
EGFR 遺伝子変異陽性であった 345 名が,アファチニブ群(230 名)またはペメトレキセド+シス
プラチン併用化学療法群(115 名)に 2 対 1 の割合でランダム化割付けされた。ランダム化割付
けは EGFR 遺伝子変異カテゴリー(L858R 対 Del 19 対その他)および人種(アジア人対非アジア
人)で層別して行った。
ランダム化割付けされた患者のうち,5 名は治験薬の投与を行わなかった(アファチニブ群 1 名,
化学療法群 4 名)。理由は,化学療法群の 1 名は同意撤回,残りの 4 名は不適格例のためであった。
データカットオフ時点で,アファチニブ群の多くの患者(71.6%)は永続的にアファチニブの投
与を中止し,28.4%は治験薬の投与を継続していた。アファチニブ群の永続的中止の主な理由は
疾患進行(PD)(58.1%)および PD と関連しない有害事象(10.0%)であった。
化学療法群では全患者がデータカットオフまでに永続的に投与を中止した。理由は,半数以上
(54.1%)が最大 6 コースの化学療法を完了したためであった。その他の患者の中止理由は,6 コ
ース完了前の PD(17.1%),PD と関連しない有害事象の発現(15.3%),もしくは投与継続の拒否
(9.9%)であった。
治験薬の投与期間中に追跡不能となった患者はいなかった。
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 3
患者の内訳 – 全患者
Afatinib
Chemotherapy
Total
N (%)
N (%)
N (%)
Patients enrolled
1269
Patients not randomised
924
Patients randomised
230
115
345
1
4
5
229 (100.0)
111 (100.0)
340 (100.0)
164 (71.6)
111 (100.0)
275 (80.9)
n.a.
60 (54.1)
60 (17.6)
133 (58.1)
19 (17.1)
152 (44.7)
23 (10.0)
17 (15.3)
40 (11.8)
1 (0.4)
4 (3.6)
5 (1.5)
Lost to follow-up
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Refusal to continue intake of study medication
6 (2.6)
11 (9.9)
17 (5.0)
1 (0.4)
0 (0.0)
1 (0.3)
65 (28.4)
0 (0.0)
65 (19.1)
Patients not treated
1
Patients treated
Treatment discontinued
Completed 6 courses of chemotherapy
2
3
Progressive disease
Other AE
Non-compliance with protocol
Other
4
5
On treatment at the cut-off date
n.a. :該当なし。
1)治験薬(アファチニブまたはペメトレキセド+シスプラチン)を 1 回以上投与された患者。
2)6 コースの化学療法後に疾患進行した患者を含む。
3)治験薬投与中の疾患進行(PD)。
4)治験責任医師が化学療法を ASCO ガイドラインに従い 4 コースで完了と勘違いした(化学療法群 3 名),放射
線治療を要した(アファチニブ群 1 名),患者が他院での治療を希望(化学療法群 1 名)。
5)アファチニブ投与後に敗血症のため死亡し,治験責任医師が他の理由(死亡)により中止と記録した 1 名。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 10.1: 2
治験実施計画書からの逸脱
治験実施計画書からの重大な逸脱例を表 6.1: 4 に示す。重大な逸脱例は化学療法群(15.7%)より
もアファチニブ群(28.3%)で多かった。多くみられた重大な逸脱は治験薬の誤った投与(主に
治験実施計画書で事前に規定した用量の増減基準からの逸脱[アファチニブ群 15.2%,化学療法
群 1.7%],以下同様),選択基準からの逸脱(7.0%,10.4%),安全性関連の中止基準からの逸
脱(PD 後に治験薬を継続 6.1%,0.9%)であった。
治験実施計画書からの逸脱例のうち主解析から除外された患者はいなかった。
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表 6.1: 4
治験実施計画書からの重大な逸脱例 – RS
Afatinib
Chemotherapy
Total
N (%)
N (%)
N (%)
230 (100.0)
115 (100.0)
345 (100.0)
65 (28.3)
18 (15.7)
83 (24.1)
Entrance criteria not met
16 (7.0)
12 (10.4)
28 (8.1)
Written informed consent signed too late or procedure
3 (1.3)
2 (1.7)
5 (1.4)
35 (15.2)
2 (1.7)
37 (10.7)
Randomisation not followed
8 (3.5)
1 (0.9)
9 (2.6)
Non-compliance
1 (0.4)
0 (0.0)
1 (0.3)
Non-adherence to safety-related withdrawal criteria
14 (6.1)
1 (0.9)
15 (4.3)
Patients
1
Patients with at least 1 important protocol violation
2
performed prior to written informed consent
Incorrect trial medication taken3
1)重複例あり
2)臨床検査値の選択基準からの逸脱,ベースラインの画像診断が治療開始の 28 日以上前,病期 IIIB 期(細胞学
的に証明された胸水または心嚢液貯留あり)または IV 期肺腺癌の診断の誤り,その他の選択基準からの逸脱
3)アファチニブの用量の増量/減量基準からの逸脱,アファチニブの開始用量が 50 mg など
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 10.2: 1
解析対象集団
本試験の有効性の主解析は,治療の有無を問わず randomised set(RS)の 345 名(アファチニブ群
230 名,化学療法群 115 名)に基づいた。345 名のうち治験薬の投与を 1 回以上受けた 340 名(ア
ファチニブ群 229 名,化学療法群 111 名)を treated set(TS)とした。
人口統計学的特性と他のベースラインの特性
全患者の人口統計学的特性と他のベースラインの特性
全患者の人口統計学的特性と他のベースラインの特性を表 6.1: 5 に示す。本試験の対象患者集団
は,EGFR 遺伝子変異陽性の NSCLC 患者を代表するものであった。全体の平均年齢(標準偏差)
は 60.3(10.1)歳で,アファチニブ群の 60.9%および化学療法群の 61.7%が 65 歳未満であった。
患者の約 2/3 が女性であった(アファチニブ群 63.9%,化学療法群 67.0%,以下同様)
。全体の 2/3
以上がアジア地域の患者(69.6%,72.2%)で,人種は主に東アジア人であった(71.7%,72.2%)。
多くの患者が非喫煙者であった(67.4%,70.4%)。ベースライン時の ECOG パフォーマンス・ス
コアは,1 名を除いて 0(40.0%,35.7%)または 1(60.0%,63.5%)であった。両投与群間の人
口統計学的特性はよくバランスがとれていた。
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表 6.1: 5
人口統計学的特性と他のベースラインの特性 – RS
Afatinib
Patients [N (%)]
Chemotherapy
Total
230
(100.0)
115
(100.0)
345
(100.0)
83
(36.1)
38
(33.0)
121
(35.1)
147
(63.9)
77
(67.0)
224
(64.9)
60.5
(10.1)
59.9
(10.0)
60.3
(10.1)
<65 years
140
(60.9)
71
(61.7)
211
(61.2)
≥65 years
90
(39.1)
44
(38.3)
134
(38.8)
61
(26.5)
30
(26.1)
91
(26.4)
165
(71.7)
83
(72.2)
248
(71.9)
Other Asian
1
(0.4)
0
(0.0)
1
(0.3)
Other
3
(1.3)
2
(1.7)
5
(1.4)
47
(20.4)
27
(23.5)
74
(21.4)
2
(0.9)
0
(0.0)
2
(0.6)
160
(69.6)
83
(72.2)
243
(70.4)
21
(9.1)
5
(4.3)
26
(7.5)
155
(67.4)
81
(70.4)
236
(68.4)
70
(30.4)
32
(27.8)
102
(29.6)
5
(2.2)
2
(1.7)
7
(2.0)
61.06
(12.87)
58.53
(12.08)
60.22
(12.65)
23.855
(4.053)
22.963
(3.995)
23.557
(4.050)
0
92
(40.0)
41
(35.7)
133
(38.6)
1
138
(60.0)
73
(63.5)
211
(61.2)
0
(0.0)
1
(0.9)
1
(0.3)
Gender [N (%)]
Male
Female
Age, mean (StD) [years]
Age categories [N (%)]
Race group [N (%)]
Caucasian
Eastern Asian
Geographical region [N (%)]
Europe1
North America
Asia
2
3
Other
4
5
Smoking status [N (%)]
Never smoked
Ex-smoker
Current smoker
Weight, mean (StD) [kg]
Body mass index, mean (StD) [kg/m²]
ECOG performance score at baseline [N (%)]
6
2
ECOG :Eastern Cooperative Oncology Group,StD :標準偏差
1)オーストリア,ベルギー,フランス,ドイツ,ハンガリー,アイルランド,イタリア,ルーマニア,ロシア,
ウクライナ,英国
2)カナダおよび米国
3)香港,日本,韓国,マレーシア,フィリピン,台湾,タイ
4)アルゼンチン,オーストラリア,ブラジル,チリ,ペルー
5)電子症例報告書の記録に基づく。非喫煙者は生涯喫煙本数が 100 本未満と定義。
6)ECOG パフォーマンス・スコアがスクリーニング時の 0 が,治療開始前に 2 に悪化した例。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.2.1: 1
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試験 1200.32
サブグループの人口統計学的特性
層別ランダム化割付けをしていたため,全般的に両投与群間のバランスはとれていたが,サブグ
ループによっては患者数が少ないため必ずしもバランスはとれていなかった。両投与群間に 10~
15%の差がみられたのは,65 歳以上の患者サブグループでの喫煙歴および ECOG パフォーマン
ス・スコア,ベースライン時の ECOG パフォーマンス・スコアが 0 の患者サブグループでの人種,
地域および喫煙歴,L858R 遺伝子変異の患者サブグループでの年齢,男性患者サブグループでの
人種,地域および ECOG パフォーマンス・スコア,および非アジア人患者サブグループでの性別
においてであった。両投与群間に 20%以上の差がみられたのは非アジア人患者サブグループでの
喫煙歴および ECOG パフォーマンス・スコアにおいてであった。これらの不均衡が治療効果の推
定を偏らせた可能性は否定できない。
人口統計学的特性の違いは個別のサブグループでもみられた。たとえば発現頻度が高い EGFR 遺
伝子変異(L858R または Del 19)を有する患者では,
「その他」の遺伝子変異を有する患者よりも,
女性(66.2%,54.1%),アジア地域の患者(71.1%,64.9%)
,ベースライン時の ECOG パフォー
マンス・スコアが 1 の患者(62.3%,51.4%)の割合が高かった。
対象疾患のベースラインの特性
全患者の層別因子
ランダム化割付けは EGFR 遺伝子変異カテゴリー(L858R 対 Del 19 対その他)および人種(アジ
ア人対非アジア人)で層別したことにより,これらの層別因子の両投与群間のバランスはよくと
れていた。患者の多くはアジア人(両投与群とも 72.2%)で,EGFR 遺伝子変異カテゴリーは Del
19 単独(アファチニブ群 49.1%,化学療法群 49.6%)または L858R 単独(39.6%,40.9%)であっ
た。残りのアファチニブ群の 11.3%および化学療法群の 9.6%の患者は「その他」に分類される
EGFR 遺伝子変異(L858R または Del 19 以外)を有していたが,患者数は少なかった(表 6.1: 6)。
なお,本試験の EGFR 遺伝子変異型の特定は中央検査機関で TheraScreen®:EGFR29 Mutation Kit
(QIAGEN Manchester 社,英国)を用いて行われた。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 6
投与群別のベースラインの層別因子 – RS
Patients
Afatinib
Chemotherapy
Total
N (%)
N (%)
N (%)
230
(100.0)
115
(100.0)
345
(100.0)
91
(39.6)
47
(40.9)
138
(40.0)
113
(49.1)
57
(49.6)
170
(49.3)
26
(11.3)
11
(9.6)
37
(10.7)
166
(72.2)
83
(72.2)
249
(72.2)
64
(27.8)
32
(27.8)
96
(27.8)
EGFR mutation category
L858R1
Del 19 alone
Other
Race category
Asian
Non-Asian
EGFR :Epidermal Growth Factor Receptor
1)同一検体に L858R および Del 19 の両方が認められた場合はその患者を「L858R」の層別カテゴリーに含める
こととしたが,該当する患者はいなかった。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.2.2.1: 1
「その他」の遺伝子変異を有する患者のサブグループは遺伝的に異質で,全体で 10 種類の「その
他」の遺伝子変異が特定された(表 6.1: 7)。これらの EGFR 遺伝子変異を有する患者数は両投与
群間でバランスがとれていなかったことから,このサブグループにおける形式的な統計解析の解
釈は困難と考えられ,評価は主に患者別に行った。
「その他」の EGFR 遺伝子変異を有する NSCLC
患者の個別の結果は本文書の「EGFR 遺伝子変異を有する NSCLC 患者の個別」の項に記載して
いる。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 7
投与群別の「その他」の EGFR 遺伝子変異を有する患者 – RS
EGFR mutation
Patients
Afatinib
Chemotherapy
Total
N (%)
N (%)
N (%)
230
(100.0)
115
(100.0)
345
(100.0)
‘Other’ EGFR mutation
T790M
T790M only
2
(0.9)
0
(0.0)
2
(0.6)
Del 19 + T790M
3
(1.3)
0
(0.0)
3
(0.9)
L858R + T790M
5
(2.2)
2
(1.7)
7
(2.0)
G719S, G719A, and
1
(0.4)
0
(0.0)
1
(0.3)
Exon 20 insertion only
6
(2.6)
3
(2.6)
9
(2.6)
S768I only
1
(0.4)
0
(0.0)
1
(0.3)
L858R + S768I
2
(0.9)
0
(0.0)
2
(0.6)
G719S, G719A, and
3
(1.3)
1
(0.9)
4
(1.2)
0
(0.0)
2
(1.7)
2
(0.6)
3
(1.3)
3
(2.6)
6
(1.7)
G719C + T790M
Exon 20 insertions
S768I
1
G719X
G719C only
G719S, G719A, and
G719C + S768I
L861Q
L861Q only
EGFR :Epidermal Growth Factor Receptor
1)G719S,G719A,または G719C
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.2.2.1: 2
サブグループの層別因子
層別化に使われた EGFR 遺伝子変異カテゴリー(L858R 対 Del 19 対その他)をサブグループごと
にみると,L858R および Del 19 を有する患者の特性は両投与群間で比較的バランスがとれていた
が,L858R カテゴリーではアファチニブ群で年齢が高く,ベースライン時の腫瘍サイズが大きい
傾向にあった。「その他」の EGFR 遺伝子変異を有する患者(37 名)では患者特性の不均衡はさ
らに大きかったが,これは患者が少数であったことによると考えられた。
腫瘍歴
全患者の腫瘍歴
全患者の腫瘍歴を表 6.1: 8 に示す。本治験では,病理学的に病期 IIIB 期の肺腺癌患者(細胞学的
に証明された胸水貯留または心嚢液貯留)または IV 期の肺腺癌と確定診断された患者のみを対
象とし,組織学的な混在が認められる患者は,組織学的に腺癌が優勢であれば適格としたため,
ほとんどの患者が腺癌を有していた(アファチニブ群 98.7%,化学療法群 96.5%)
。アファチニブ
群の 1 名は腫瘍の組織型は「癌」とのみ分類されそれ以上の細胞型は明らかにされていなかった。
本試験の患者の肺癌は全般的に進行性または転移性であった。診断後すぐに本試験の治験薬の投
与が開始され,初診時から治験薬投与開始までの期間の中央値は 1.00 カ月(範囲:0.0~103.1 カ
月)であった。スクリーニング時に病期 IV 期の NSCLC を有する患者の割合は化学療法群(85.2%)
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試験 1200.32
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よりもアファチニブ群(91.3%)で高かった。病期 IIIB 期の患者は全体で 37 名(10.7%)であっ
た(アファチニブ群 8.7%,化学療法群 14.8%,以下同様)。
最も多かった遠隔転移部位は骨で,患者の 44.9%にみられた。胸水は 43.8%に,脳または肝臓へ
の転移はそれぞれ 10%超の患者で認められた。骨(50.0%,34.8%)および肝臓(16.5%,11.3%)
への転移では両投与群間でバランスがとれていなかった。
表 6.1: 8
投与群別の腫瘍歴 - RS
Afatinib
Patients [N (%)]
Time since first diagnosis, median (range)
230
Chemotherapy
(100.0)
1.10 (0.0 - 103.1)
115
(100.0)
1.00 (0.0 - 91.6)
Total
345
(100.0)
1.00 (0.0 - 103.1)
[months]
Clinical stage at screening [N (%)]1
IIIB
20
(8.7)
17
(14.8)
37
(10.7)
210
(91.3)
98
(85.2)
308
(89.3)
229
(99.6)
113
(98.3)
342
(99.1)
Pleural effusion
102
(44.3)
49
(42.6)
151
(43.8)
Bone
115
(50.0)
40
(34.8)
155
(44.9)
Brain
27
(11.7)
15
(13.0)
42
(12.2)
Liver
38
(16.5)
13
(11.3)
51
(14.8)
Other
163
(70.9)
79
(68.7)
242
(70.1)
IV
Any metastases at screening [N (%)]
Location of metastatic sites [N (%)]
StD :標準偏差
1)AJCC の病期分類(第 6 版)に基づく。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.2.2.2: 1
本試験では,再発性または転移性 NSCLC に対する化学療法による前治療および EGFR を標的と
する低分子または抗体による治療を受けた患者は除外したが,1 名は再発性または転移性 NSCLC
に対する化学療法による前治療を受けていた。
サブグループの腫瘍歴
腫瘍歴をサブグループ別にみると,たとえば,EGFR 遺伝子変異が L858R カテゴリーの患者で,
ベースライン時の腫瘍量ならびに肝(アファチニブ群 12.1%,化学療法群 6.4%,以下同様),骨
(52.7%,34.0%),および脳転移(9.9%,14.9%)において両投与群間に不均衡がみられた。ま
た,
「その他」
の EGFR 遺伝子変異を有する患者でも,ベースライン時の腫瘍量ならびに肝(26.9%,
18.2%),骨(42.3%,27.3%),および脳転移(26.9%,0.0%)において両投与群間に不均衡がみ
られた。これらの不均衡が治療効果の推定を偏らせた可能性は否定できない。
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試験 1200.32
癌以外の前治療歴
癌以外の前治療の解析は本試験の治療開始前の前治療を対象に行った。ほとんどの患者(94.3%,
99.1%)が治験薬開始前に抗癌剤以外の治療を受けていた。進行性 NSCLC の患者で予想されるよ
うに,よくみられた治療薬は,鎮咳薬,オピオイド,鎮痛薬および解熱薬であった。これらの薬
剤の使用頻度は両投与群間でよくバランスがとれていた。化学療法群と比べてアファチニブ群で
使用頻度が低かった薬剤は,ペメトレキセド+シスプラチンによる化学療法を受ける患者で,初
回投与の 1 週間前に開始が求められた前処置薬を反映し,葉酸,デキサメタゾン,ビタミン B12
であった。
癌以外の併用療法
ベースライン時および治療期間中に使用された抗癌剤以外の併用療法はほとんどの患者で行われ
た(99.6%,96.5%)。対象疾患に伴う症状を治療するための併用療法(鎮咳薬やオピオイドなど)
は両投与群で同程度の頻度で使用された。両投与群間に違いがみられたのは,アファチニブ(発
疹,下痢,粘膜の炎症など)および化学療法(悪心,便秘など)の典型的な副作用に対する治療
薬および化学療法に課せられた前処置薬(葉酸,デキサメタゾン,ビタミン B12)の使用であっ
た。
ベースラインの状態
ほとんどの患者がベースライン時に何らかの合併症を有していた(97.8%,99.1%)。最もよくみ
られた合併症(全体の 20%超)は,呼吸器,胸郭および縦隔障害(61.7%,60.0%)で,このうち
基本語で多かった(全体の 10%超)のは咳嗽(43.9%,42.6%)および呼吸困難(18.3%,17.4%)
であった。次いで多かったのが筋骨格系および結合組織障害(40.4%,33.9%,基本語では背部痛
[13.5%,16.5%]),血管障害(38.7%,33.0%,基本語では高血圧[36.1%,27.0%]),胃腸障害(37.4%,
33.0%,基本語では便秘[10.9%,16.5%]),代謝および栄養障害(36.1%,27.8%,基本語では食
欲減退[11.7%,8.7%]),一般・全身障害および投与部位の状態(20.4%,28.7%,基本語では胸
痛[14.8%,15.7%])であった。
服薬遵守状況
本試験におけるアファチニブ群の服薬遵守率の平均値は 97.6%であった。ほとんどの来院時に処
方されたアファチニブの 90%超が服薬されていた。
有効性
有効性の解析には 20
年
月
日のデータカットオフまでのデータのみを含めた。なお,全生存
期間(OS)の主解析は死亡が約 209 件発現した時点で行うこととした。
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
主要評価項目
独立判定委員会の評価に基づく PFS の主解析
PFS の主解析は,独立判定委員会の評価による PFS のイベントが約 217 件確認された時点で実施
することとした。本試験での PFS のフォローアップ期間の中央値は 16.4 カ月であった。PFS の主
解析の要約を表 6.1: 9 に示す。PFS の主解析の実施時点では 221 名(152 名[66.1%]
,69 名[60.0%])
で PFS のイベント(独立判定委員会の評価による疾患進行または死亡)が確認された。PFS の中
央値はアファチニブ群 11.14 カ月,化学療法群 6.90 カ月(ハザード比 0.577,p=0.0004)で,両投
与群間の差は 4.24 カ月とアファチニブ群で有意に長かった。
表 6.1: 9
独立判定委員会の評価に基づく PFS の要約 - RS
Afatinib
Chemotherapy
Patients [N (%)]
230 (100.0)
115 (100.0)
Patients with PFS event [N (%)]
152 (66.1)
69 (60.0)
5.32 (3.98, 6.87)
3.06 (2.56, 5.32)
11.14 (9.63, 13.63)
6.90 (5.39, 8.25)
19.12 (16.49, 19.35)
10.84 (8.77, 16.39)
PFS time [months]
25th percentile (95% CI)
Median (95% CI)
75th percentile (95% CI)
Hazard ratio vs. chemotherapy
95% CI
p-value (2-sided)
1
0.577
(0.425, 0.784)
2
0.0004
CI :信頼区間
1)ハザード比は EGFR 遺伝子変異カテゴリーおよび人種を層別因子とした Cox 回帰から算出。
2)EGFR 遺伝子変異のカテゴリーおよび人種を層別因子とした層別ログランク検定により算出。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.1.1: 1
PFS の Kaplan-Meier 曲線を図 6.1: 1 に示す。ランダム化割付け 12 カ月後の無増悪生存率はアファ
チニブ群で 46.5%,化学療法群で 22.0%であった。同様にして,ランダム化割付け 18 カ月後の無
増悪生存率は,それぞれ 26.4%および 8.6%であった。2 群の Kaplan-Meier 曲線は早い段階で分か
れ,アファチニブを投与された患者全体のベネフィットが示された。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
図 6.1: 1
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試験 1200.32
独立判定委員会の評価に基づく PFS の Kaplan-Meier 曲線 – RS *
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.1.1: 1
・患者のデータの打ち切り
患者の打ち切りの要約を表 6.1: 10 に示す。PFS の主解析に際しての打ち切り例はアファチニブ群
78 名(RS の 33.9%)および化学療法群 46 名(40.0%)であった。打ち切りの主な理由は両投与
群間で異なり,アファチニブ群ではデータカットオフ時点で増悪せずに生存していること(23.0%)
による打ち切り,化学療法群では新規の抗癌治療の開始(28.7%)による打ち切りであった。治
験責任医師は,患者に疾患進行がみられたと判断した時点で腫瘍の画像診断を中止し,多くの患
者はその後新規の抗癌治療を開始した。これらの患者のうち,独立判定委員会が疾患進行がみら
れていないと判定した患者についてはその後の画像がないため,表 6.1: 10 での打ち切り理由を新
規治療の開始としている。独立判定委員会および主治医の評価の違いによる影響については「PFS
の感度分析」の項に記載している。
*:新薬承認情報提供時に点線の位置を12カ月
時点へ移動修正した。
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試験 1200.32
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表 6.1: 10
PFS の解析のための患者のデータ打ち切りの要約(独立判定委員会の評価に基
づく)– RS
Afatinib
Chemotherapy
N (%)
N (%)
Patients
230 (100.0)
115 (100.0)
Patients with PFS event
152 (66.1)
69 (60.0)
Disease progression
150 (65.2)
69 (60.0)
2 (0.9)
0 (0.0)
78 (33.9)
46 (40.0)
Alive and no progression at the cut-off date
53 (23.0)
5 (4.3)
New anti-cancer therapy
20 (8.7)
33 (28.7)
No post-baseline imaging, alive, and no progression during the trial
3 (1.3)
8 (7.0)
No post-baseline imaging, death or progression after the second scheduled
1 (0.4)
0 (0.0)
1 (0.4)
0 (0.0)
Death
Patients censored
imaging
2 or more consecutively missed images immediately prior to death
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.1.1: 2
・疾患進行の内訳
標的病変の悪化により PD と判断された患者の割合は両投与群で同程度であった(39.3%,34.8%)。
標的病変の悪化に加え新規病変が認められた患者の割合(6.0%,5.8%)および標的病変の悪化は
なく新規病変の出現により PD と判断された患者の割合(22.7%,23.2%)も両投与群で同程度で
あった。
PFS の感度分析
・主治医の評価に基づく PFS の解析
主解析と同じ打ち切りルールを適用した主治医の評価に基づく PFS の解析では,PFS の中央値の
点推定値および 95% 信頼区間(CI)は主解析の結果と一貫性がみられた。主治医の評価に基づ
く PFS の中央値はアファチニブ群 11.07 カ月,化学療法群 6.70 カ月(ハザード比 0.488,p<0.0001)
で,両投与群間の差は 4.37 カ月であった(表 6.1: 11)。無増悪生存率は,ランダム化割付け 12 カ
月後でアファチニブ群 46.1%および化学療法群 17.0%,ランダム化割付け 18 カ月後で 30.1%およ
び 7.2%で,主解析の結果と一貫性があった。主治医の評価に基づく PFS の解析のために打ち切ら
れた患者の割合はそれぞれ 32.6%および 27.8%であった。
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表 6.1: 11
主治医の評価に基づく PFS – RS
Afatinib
Chemotherapy
Patients [N (%)]
230 (100.0)
115 (100.0)
Patients with PFS event [N (%)]
155 (67.4)
83 (72.2)
11.07 (9.66, 13.60)
6.70 (5.42, 8.11)
PFS time [months]
Median (95% CI)
Hazard ratio vs. chemotherapy
1
0.488
95% CI
p-value (2-sided)
(0.367, 0.649)
2
<0.0001
CI :信頼区間
1)ハザード比は EGFR 遺伝子変異カテゴリーおよび人種を層別因子とした層別 Cox 回帰から算出。
2)EGFR 遺伝子変異のカテゴリーおよび人種を層別因子とした層別ログランク検定により算出。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.1.2: 1
・独立判定委員会および主治医の評価の差異
独立判定委員会および主治医の評価の違いを詳細に解析した。表 6.1: 12 に示すように,PFS のイ
ベントの判定において両者は全体の 2/3 以上で一致していた(アファチニブ群 80.5%,化学療法
群 72.2%)。
表 6.1: 12
PFS のイベント判定の一致率 - RS
PFS event based on investigator assessment
Afatinib N (%)
Chemotherapy N (%)
No
Yes
No
Yes
PFS event based on central
No
54 (23.5)
24 (10.4)
23 (20.0)
23 (20.0)
independent review
Yes
21 (9.1)
131 (57.0)
9 (7.8)
60 (52.2)
分母は各投与群へランダム化割付けされた患者数(アファチニブ群 230 名,化学療法群 115 名)。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.1.2: 2
独立判定委員会および主治医の評価に基づいて,PFS に対する治療効果のすべての測定項目(ハ
ザード比,PFS の中央値,PFS の中央値の両投与群間の差,無増悪生存率の Kaplan-Meier 推定量
の推移および無増悪生存率の Kaplan-Meier 推定量の両投与群間の差)を分析したところ,いずれ
も一貫性があった(表 6.1: 13)。両者の評価に基づく測定項目の結果の一貫性から,打ち切りの
違いにかかわらず,PFS の主解析の結果が頑健であること示された。さらに,両者の評価の違い
による影響を確認するために複数の感度分析を行ったが,いずれも PFS の主解析と一貫性がみら
れた。
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表 6.1: 13
独立判定委員会および主治医の評価に基づく PFS の比較 – RS
Afatinib
Chemotherapy
Treatment effect between the
2 treatment arms
Central
Investigator
Central
Investigator
Central
Investigator
independent
assessment
independent
assessment
independent
assessment
review
review
review
Hazard ratio vs.
chemotherapy
0.577
0.488
1
Median PFS time
11.14
11.07
6.90
6.70
4.24
4.37
82.8
85.1
75.1
79.5
7.7
5.6
[months]
3 months %2
2
6 months %
73.0
72.4
55.1
51.3
17.9
21.1
2
46.5
46.1
22.0
17.0
24.5
29.1
2
26.4
30.1
8.6
7.2
17.8
22.9
12 months %
18 months %
1)ハザード比は EGFR 遺伝子変異カテゴリーおよび人種を層別因子とした層別 Cox 回帰から算出。
2)各時期における無増悪生存率の推定値。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.1.2: 3
・あらゆる PFS のイベントを考慮した PFS
独立判定委員会および主治医の評価に基づいた PFS の解析を,あらゆる PFS のイベントを考慮し
て(データカットオフ日前に PFS のイベントのない患者は評価可能な最終の画像診断日で打ち切
るという以外の打ち切り基準を適用しないで)再実施した。解析結果を表 6.1: 14 に示す。解析結
果は,PFS の中央値,ハザード比および 95% CI に関して PFS の主解析の結果と一貫性がみられ
た。
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表 6.1: 14
あらゆる PFS イベントを考慮した PFS – RS
Afatinib
Chemotherapy
230 (100.0)
115 (100.0)
159 (69.1)
76 (66.1)
11.04 (9.63, 13.60)
6.93 (5.55, 8.28)
Patients [N (%)]
PFS by central independent review
Patients with PFS event [N (%)]
PFS time [months]
Median (95% CI)
Hazard ratio vs. chemotherapy
1
0.591
95% CI
p-value (2-sided)
(0.441, 0.792)
2
0.0004
PFS by investigator assessment
Patients with PFS event [N (%)]
159 (69.1)
88 (76.5)
11.07 (9.66, 13.60)
6.87 (5.49, 8.18)
PFS time [months]
Median (95% CI)
Hazard ratio vs. chemotherapy
1
95% CI
p-value (2-sided)
0.487
(0.369, 0.643)
2
<0.0001
CI :信頼区間
1)ハザード比は EGFR 遺伝子変異カテゴリーおよび人種を層別因子とした層別 Cox 回帰から算出。
2)EGFR 遺伝子変異のカテゴリーおよび人種を層別因子とした層別ログランク検定により算出。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.1.2: 4
・画像診断の実施時点の遅延または逸脱の影響
ベースライン時の腫瘍の画像診断は治療開始日に可能な限り近い日で,ランダム化割付け前 28
日以内に実施することとした。ランダム化割付けから Week 48 まで,または PD もしくは抗癌剤
による後治療の開始までは 6 週間ごとに,Week 48 以降は 12 週間ごとに実施することとした。投
与中止,中断,遅延時にも画像診断を予定どおり行った。ドイツの医療機関の腫瘍画像診断スケ
ジュールは少し異なり,Week 18 までは 6 週間ごとに,その後 Week 36 までは 9 週ごとに,その
後は 12 週ごとに実施することとした。ドイツ人患者が少数であったことから(16 名),ドイツ人
患者のデータの取扱いについては特にルールを定めなかった。
規定された画像診断スケジュールがよく遵守されていたことが,実際の腫瘍画像診断の評価時点
をプロットした図 6.1: 2 および図 6.1: 3(アファチニブ群および化学療法群)で示されている。実
際の画像診断の要約をみると,予定された画像診断評価時点の多くで,
予定されていた患者の 90%
超で腫瘍画像診断が行われたことがわかる。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
図 6.1: 2
アファチニブ群の実際の画像診断評価時点 – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.1.2: 1
図 6.1: 3
化学療法群の実際の画像診断評価時点 – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.1.2: 2
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画像診断の実施時点の逸脱による影響を,PD 例および打ち切り例に対する実際の画像診断日を
元の予定日に置き換えることによって検討した。解析は,主解析の打ち切り基準を適用して,独
立判定委員会による評価に基づいて実施した。結果は PFS の主解析と一貫性がみられた(ハザー
ド比 0.581,95% CI 0.428~0.789)。また,抗癌剤による後治療で打ち切らない解析および画像診
断データのみを用いた解析を,独立判定委員会の評価に基づいて再実施した結果においても,PFS
の主解析と一貫性があり,すべての PFS の感度分析で主解析の結果の頑健性が確認された。
PFS のサブグループ解析
PFS に対するアファチニブの治療効果を独立判定委員会の評価に基づいて化学療法と比較した場
合の一貫性を,ベースライン時の ECOG パフォーマンス・スコア,性別,年齢,ベースライン時
の標的病変のサイズ,人種,EGFR 遺伝子変異カテゴリー,地域,喫煙歴およびベースライン時
の脳転移の有無について検討したところ,いずれも PFS の主解析結果と一貫性があった。特に注
目すべきサブグループにおける独立判定委員会の評価に基づくアファチニブの治療効果を図 6.1:
4 に示す。
1/16
1/4
1
4
16
ひし形の大きさは PFS のイベント数を反映。
各サブグループのアファチニブ対化学療法のハザード比は右列に記載。
図 6.1: 4
事前に規定したサブグループ別のアファチニブ群および化学療法群の PFS に
対する治療効果の比較(独立判定委員会の評価に基づく)– RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.1.3: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
主治医の評価に基づくサブグループ別の PFS の解析でも結果は一貫性があった(図 6.1: 5)。独立
判定委員会の評価に基づく解析結果と比較して顕著な違いがみられたのは,EGFR 遺伝子変異カ
テゴリーL858R および「その他の元喫煙者」のサブグループにおいてで,主治医の評価に基づく
結果の方がアファチニブ群で高い治療効果が認められた。これは打ち切り時点の違いによるもの
と考えられる。
1/16
1/4
1
4
16
ひし形の大きさは PFS のイベント数を反映。
各サブグループのアファチニブ対化学療法のハザード比は右列に記載。
図 6.1: 5
事前に規定したサブグループ別のアファチニブ群および化学療法群の PFS に
対する治療効果の比較(主治医の評価に基づく)– RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.1.3: 2
・発現頻度が高い EGFR 遺伝子変異を有する NSCLC 患者における PFS
独立判定委員会の評価に基づき,EGFR 遺伝子変異カテゴリーのサブグループにおいて投与群と
サブグループ間に統計的に有意な交互作用がみられた(EGFR 遺伝子変異カテゴリーの発現頻度
が高い[L858R および Del 19]対「その他」では p=0.0012,EGFR 遺伝子変異カテゴリー「L858R」
対「Del 19」対「その他」では p=0.0002)。アファチニブの PFS に対する治療効果は,発現頻度が
高い EGFR 遺伝子変異のサブグループで化学療法群と比較して高かった(表 6.1: 15)。発現頻度
が高い EGFR 遺伝子変異を有する患者の PFS の中央値は,アファチニブ群 13.60 カ月,化学療法
群 6.90 カ月で,両投与群の差は 6.70 カ月であった(ハザード比 0.471,p<0.0001)。また,発現頻
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
度が高い EGFR 遺伝子変異の中でも,Del 19 を有する患者では PFS の中央値が化学療法群と比較
して特に大きく,PFS の中央値はアファチニブ群 13.70 カ月,化学療法群 5.55 カ月(ハザード比
0.278,p<0.0001)であった。Del 19 と L858R 間にみられた治療効果の差は,ベースライン特性の
不均衡が一因であると考えられた。
表 6.1: 15
発現頻度が高い EGFR 遺伝子変異を有する NSCLC 患者の PFS(独立判定委
員会の評価に基づく)– RS
EGFR mutation category
Afatinib
Chemotherapy
Patients [N (%)]
204 (100.0)
104 (100.0)
Patients with PFS event [N (%)]
130 (63.7)
61 (58.7)
13.60 (10.84, 13.77)
6.90 (5.39, 8.25)
Common
PFS time [months]
Median (95% CI)
Hazard ratio vs. chemotherapy
1
0.471
95% CI
p-value (2-sided)
(0.344, 0.646)
2
<0.0001
Del 19
Patients [N (%)]
Patients with PFS event [N (%)]
113 (100.0)
57 (100.0)
67 (59.3)
35 (61.4)
13.70 (11.14, 16.36)
5.55 (3.06, 8.15)
PFS time [months]
Median (95% CI)
Hazard ratio vs. chemotherapy
1
95% CI
p-value (2-sided)
0.278
(0.176, 0.441)
2
<0.0001
L858R
Patients [N (%)]
Patients with PFS event [N (%)]
91 (100.0)
47 (100.0)
63 (69.2)
26 (55.3)
10.84 (8.25, 13.77)
8.11 (5.72, 9.69)
PFS time [months]
Median (95% CI)
Hazard ratio vs. chemotherapy
95% CI
p-value (2-sided)
1
0.733
(0.461, 1.165)
2
0.1871
CI :信頼区間
1)ハザード比は投与群のみを因子とした Cox 回帰より算出。
2)ログランク検定(両側)より算出。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.1.3: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
副次評価項目
腫瘍縮小効果
・最良総合効果
RECIST 第 1.1 版に基づいた独立判定委員会の評価の客観的奏効(CR または PR の最良総合効果)
および病勢コントロール(CR,PR または PD の最良総合効果,または非完全奏効/非進行)は,
本試験の主な副次評価項目であった。客観的奏効率はアファチニブ群(56.1%)で化学療法群
(22.6%)の約 2.5 倍であった。アファチニブ群の 1 名は CR を示した(表 6.1: 16)。主要評価項
目の PFS と同様,アファチニブ投与は化学療法と比較して統計的に有意な客観的奏効率の増加を
示した(オッズ比 4.660,p<0.0001)(表 6.1: 17)
。
表 6.1: 16
独立判定委員会の評価に基づく最良総合効果 – RS
Afatinib
Chemotherapy
N (%)
N (%)
Patients
230 (100.0)
115 (100.0)
Disease control
207 (90.0)
93 (80.9)
129 (56.1)
26 (22.6)
1 (0.4)
0 (0.0)
128 (55.7)
26 (22.6)
62 (27.0)
61 (53.0)
16 (7.0)
6 (5.2)
15 (6.5)
11 (9.6)
0 (0.0)
1 (0.9)
8 (3.5)
11 (9.6)
Objective response
Complete response
Partial response
Stable disease
1
Non-CR / Non-PD
Progressive disease
2
SD or Non-CR / Non-PD for less than 35 days
Non-evaluable
CR :完全奏効,PR:部分奏効,PD :疾患進行,SD :安定
1)
「 Non-CR / Non-PD(非完全奏効/非進行)」のカテゴリーはベースライン時に標的病変が認められず,非標的
病変の安定が認められた患者を指す。
2)ランダム化割付け後 35 日間未満の最良効果で SD,または「Non-CR / Non-PD」で,その後 PD となった患者。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.2.1: 1
Page 284
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 17
独立判定委員会の評価に基づく客観的奏効率および病勢コントロール率 –
RS
Afatinib
Chemotherapy
Patients [N (%)]
230 (100.0)
115 (100.0)
Objective response [N (%)]
129 (56.1)
26 (22.6)
(49.4, 62.6)
(15.3, 31.3)
1
95% CI
2
Odds ratio vs. chemotherapy
95% CI
4.660
(2.774, 7.828)
p-value (2-sided)
<0.0001
Disease control [N (%)]
1
95% CI
2
Odds ratio vs. chemotherapy
95% CI
p-value (2-sided)
207 (90.0)
93 (80.9)
(85.4, 93.6)
(72.5, 87.6)
2.140
(1.134, 4.037)
0.0189
1)Clopper-Pearson 法による正確な 95% CI。
2)オッズ比,95%CI および p 値は,EGFR 遺伝子変異カテゴリーおよび人種を層別因子としたロジスティック回
帰分析を用いて算出。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.2.1: 2
主治医の評価に基づくと,客観的奏効率は,アファチニブ群で化学療法群の約 3.0 倍で,アファ
チニブ群の客観的奏効率は化学療法群と比較して統計的に有意に高かった(オッズ比 3.040,95%
CI 1.884~4.903,p<0.0001)。客観的奏効率は両投与群とも独立判定委員会の結果と比べて高かっ
た(アファチニブ群 69.1%,化学療法群 44.3%)
。アファチニブ群の 5 名と化学療法群の 1 名では
CR が認められた。独立判定委員会および主治医の判定における最良総合効果の一致率はアファ
チニブ群 67.4%,化学療法群 67.8%で,同程度であった。
・奏効までの期間および奏効期間
アファチニブ群の客観的奏効は化学療法群と比べてより早くみられ,より長く持続した。アファ
チニブに奏効した患者の 73.6%(95/129 名)および化学療法に奏効した患者の 57.7%(15/26 名)
が第 6 週までに客観的奏効を示した(表 6.1: 18)。奏効期間の中央値はアファチニブ群で 11.10 カ
月,化学療法群で 5.52 カ月であった。主治医の評価に基づく奏効までの期間および奏効期間は独
立判定委員会の評価に基づく結果と一貫性があった。
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 18
独立判定委員会の評価に基づく奏効までの期間および奏効期間 – RS
Afatinib
Chemotherapy
Patients [N (%)]
230 (100.0)
115 (100.0)
Objective response [N (%)]
129 (56.1)
26 (22.6)
By Week 6 (Day 1 to 64)
95 (41.3)
15 (13.0)
By Week 12 (Day 65 to 106)
115 (50.0)
21 (18.3)
By Week 18 (Day 107 to 148)
123 (53.5)
26 (22.6)
11.10 (8.51, 12.58)
5.52 (4.14, 8.31)
Patients with objective response, cumulative [N (%)]
Duration of objective response [months]
Median (95% CI)
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.2.1: 3
・客観的奏効のサブグループ解析
独立判定委員会の評価に基づく客観的奏効に対するアファチニブの治療効果を化学療法と比較し
た場合の一貫性を PFS と同じサブグループで検討したところ,高い一貫性がみられ,主なサブグ
ループである性別,年齢,腫瘍サイズ,喫煙歴およびベースラインの ECOG パフォーマンス・ス
コアではいずれも化学療法群と比較してアファチニブ群で高い客観的奏効が認められた(図 6.1: 6
および表 6.1: 19)。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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1
4
16
ひし形の大きさは PFS のイベント数を反映。
各サブグループにおけるアファチニブ対化学療法の客観的奏効率のオッズ比は右列に記載。
図 6.1: 6
事前に規定したサブグループ別のアファチニブ群および化学療法群の客観的
奏効に対する治療効果の比較(独立判定委員会の評価に基づく)– RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.2.1: 1
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 19
特に注目すべきサブグループ別のアファチニブ群および化学療法群の客観的
奏効に対する治療効果の比較(独立判定委員会の評価に基づく)– RS
Subgroup
N
Afatinib
Chemotherapy
N (%)
N (%)
Objective response, N
N
Objective response, N (%)
(%)
Male
83
40 (48.2)
38
8 (21.1)
Female
147
89 (60.5)
77
18 (23.4)
<65 years
140
88 (62.9)
71
19 (26.8)
≥65 years
90
41 (45.6)
44
7 (15.9)
Asian
166
104 (62.7)
83
17 (20.5)
Non-Asian
64
25 (39.1)
32
9 (28.1)
Common EGFR mutations
204
124 (60.8)
104
23 (22.1)
Del 19
113
73 (64.6)
57
13 (22.8)
L858R
91
51 (56.0)
47
10 (21.3)
Other EGFR mutations
26
5 (19.2)
11
3 (27.3)
Baseline ECOG score 0
92
47 (51.1)
41
8 (19.5)
Baseline ECOG score 1
138
82 (59.4)
73
18 (24.7)
Never smoked
155
92 (59.4)
81
19 (23.5)
<15 pack years and stopped >1 year prior
19
10 (52.6)
11
3 (27.3)
56
27 (48.2)
23
4 (17.4)
to diagnosis
Other current or ex-smokers
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.2.1: 4
EGFR 遺伝子変異カテゴリーのサブグループで,投与群とサブグループ間に統計的に有意な交互
作用がみられた(発現頻度が高い遺伝子変異対「その他」の遺伝子変異では p=0.0150,L858R 対
Del 19 対「その他」の遺伝子変異では p=0.0458)。化学療法群と比較したアファチニブ群の客観
的奏効に対する治療効果は,
「その他」の EGFR 遺伝子変異のサブグループ(オッズ比 0.635,95%
CI 0.1225~3.295,p=0.5886)よりも,発現頻度が高い EGFR 遺伝子変異のサブグループでより高
かった(オッズ比 5.459,95% CI 3.176~9.383,p<0.0001)。Del 19 を有する患者ではアファチニ
ブの治療効果はさらに高かった。
さらに,人種(アジア人対非アジア人で p=0.0147)および地域(欧州対北米対アジア対その他で
p=0.0333)の各サブグループでも投与群とサブグループ間に統計的に有意な交互作用がみられた。
化学療法群と比較したアファチニブ群の客観的奏効に対する治療効果は,非アジア人(オッズ比
1.638,95% CI 0.653~4.109,p=0.2930)よりもアジア人(オッズ比 6.512,95% CI 3.507~12.093,
p<0.0001)で高かった。
主治医の評価に基づいた場合,投与群とサブグループ間に統計的有意な交互作用がみられたサブ
グループは,EGFR 遺伝子変異カテゴリー(発現頻度が高い EGFR 遺伝子変異対「その他」の EGFR
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.32
遺伝子変異)
,人種(アジア人対非アジア人)および年齢(75 歳未満対 75 歳以上)であった。
・病勢コントロール
本試験の大半の患者が,独立判定委員会の評価に基づく病勢コントロール(最良総合効果で CR,
PR または SD)を達成し,その割合は化学療法群よりもアファチニブ群で高く(アファチニブ群
90.0%,化学療法群 80.9%),その差は統計的に有意であった(オッズ比 2.140,95% CI 1.134~4.037,
p=0.0189,表 6.1: 17 参照)。独立判定委員会による評価に基づく病勢コントロール期間はアファ
チニブ群で 13.60 カ月,化学療法群で 8.11 カ月であった。主治医の評価に基づく病勢コントロー
ル期間も同様で,アファチニブ群で 12.68 カ月,化学療法群で 6.93 カ月であった。
・腫瘍縮小
個々の患者における独立判定委員会の評価に基づく腫瘍の最大縮小率を図 6.1: 7 に示す。EGFR
遺伝子変異カテゴリー別に解析すると,Del 19(p=0.0007)または L858R(p<0.0001)で化学療法
群と比較してアファチニブ群において,統計的に有意な腫瘍縮小が認められた。
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試験 1200.32
患者インデックスの順序は最大縮小率に基づく降順。
図 6.1: 7
標的病変の径(合計)のベースラインからの最大縮小率(独立判定委員会の評
価に基づく)– RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.2.1: 2
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試験 1200.32
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全生存期間
主解析のデータカットオフ時点での死亡例はアファチニブ群 67 名(29.1%)および化学療法群 31
名(27.0%)で,OS のデータは未成熟であったため,OS の中央値は推定不能であった(表 6.1: 20)。
死亡例が約 209 名になった時点で OS の最終解析を実施することとした。OS の Kaplan-Meier 曲線
を図 6.1: 8 に示す。
表 6.1: 20
全生存期間(OS) – RS
Afatinib
Chemotherapy
Patients [N (%)]
230 (100.0)
115 (100.0)
Deaths [N (%)]
67 (29.1)
31 (27.0)
16.23 (13.24, 17.94)
14.82 (13.04, 21.62)
NE (22.64, NE)
NE (21.62, NE)
NE (NE, NE)
NE (NE, NE)
Survival time [months]
25th percentile (95% CI)
Median (95% CI)
75th percentile (95% CI)
Hazard ratio vs. chemotherapy
95% CI
p-value (2-sided)
1
1.121
(0.727, 1.728)
2
0.6046
CI :信頼区間,NE :推定不能
1)ハザード比は EGFR 遺伝子変異カテゴリーおよび人種を層別因子とした層別 Cox 回帰から算出。
2)EGFR 遺伝子変異のカテゴリーおよび人種を層別因子とした層別ログランク検定により算出。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.2.2: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
図 6.1: 8
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試験 1200.32
OS の Kaplan-Meier 曲線 – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.2.2: 1
・抗癌剤による後治療
データカットオフ時点で,患者の多くが治験薬の永続的な投与中止後に 1 種類以上の抗癌剤によ
る後治療を受けていた(アファチニブ群では投与中止患者の 72.0%,化学療法群 80.2%)。アファ
チニブを投与中止した患者の多く(62.2%)は化学療法または化学療法ベースの併用療法を受け,
化学療法群では多くの患者(64.9%)が EGFR TKI による治療を受けたため,EGFR TKI による治
療のクロスオーバーが生じた。さらに,アファチニブ群で別の EGFR TKI を投与された患者(23.8%)
および化学療法群で新規の化学療法を受けた患者(32.4%)も少なくなかった。治験薬投与中止
後の後治療の詳細を表 6.1: 21 に示す。予想されたとおり,PD 後の抗癌剤による後治療は,治験
薬の永続的な投与中止後の抗癌剤による後治療と同様であった。
Page 292
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表 6.1: 21
治験薬の永続的な投与中止後の抗癌剤による後治療の要約 – RS
Afatinib
N (%)
Patients
230
Discontinued study treatment
164 (100.0)
Any new anti-cancer therapy
118 (72.0)
Systemic anti-cancer therapy
114 (69.5)
Chemotherapy (or chemotherapy-based combination)
102 (62.2)
Platinum-based
80 (48.8)
Single agent chemotherapy
39 (23.8)
Platinum-based + bevacizumab
15 (9.1)
Single agent + bevacizumab
4 (2.4)
Other chemotherapy combinations
3 (1.8)
EGFR TKI
39 (23.8)
Erlotinib
24 (14.6)
Gefitinib
15 (9.1)
Afatinib
0 (0.0)
Other
5 (3.0)
EGFR TKI-containing combination
2 (1.2)
Erlotinib in combination
2 (1.2)
Gefitinib in combination
0 (0.0)
Radiotherapy
18 (11.0)
1)この 3 名の患者は named-patient use programme でアファチニブを投与された。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.2.2: 2
Chemotherapy
N (%)
115
111 (100.0)
89 (80.2)
89 (80.2)
36 (32.4)
7 (6.3)
29 (26.1)
0 (0.0)
1 (0.9)
3 (2.7)
72 (64.9)
39 (35.1)
40 (36.0)
3 (2.7)1
4 (3.6)
8 (7.2)
6 (5.4)
2 (1.8)
9 (8.1)
・OS のサブグループ解析
PFS と同じサブグループで OS の解析を行ったが,データカットオフ時点での OS のデータが未成
熟であったため,結論を出せなかった。
体重および ECOG パフォーマンス・スコアのベースラインからの変化
患者の体重は投与期間中,比較的安定していた。アファチニブ群のベースライン時の平均体重(標
準偏差)は 61.25 kg(12.82),投与期間中での最低の平均体重は 57.51 kg,最終測定時点での平均
体重は 60.27 kg であった。化学療法群ではベースライン時の平均体重(標準偏差)は 58.76 kg
(12.24),投与期間中での最低の平均体重は 56.08 kg,最終測定時点での平均体重は 58.36 kg であ
った。
ECOG パフォーマンス・スコアについては,最終測定時点でのスコアをベースライン時のスコア
と比較すると,アファチニブ群では患者の 11.8%で改善,64.5%で維持された。化学療法群では
4.5%で改善,73.0%で維持された。
症状コントロールおよび健康関連の生活の質
・状態の変化
アファチニブ群では化学療法群と比べて,呼吸困難(アファチニブ群 64.0%,化学療法群 50.0%,
p=0.0103,以下同様),個別項目である「階段昇降時の呼吸困難」(52.0%,37.0%,p=0.0109)お
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
よび息切れ(57.0%,36.0%,p=0.0004)で改善率が有意に高かった。化学療法群よりもアファチ
ニブ群で高い改善率がみられた疼痛では統計的な有意差はなかったものの(59.0%,48.0%,
p=0.0513),個別項目では有意差が認められた(「痛みがある」では 56.0%,40.0%,p=0.0095,
「胸
痛」では 51.0%,37.0%,p=0.0184,
「腕または肩の疼痛」41.0%,26.0%,p=0.0103)
。咳嗽では投
与群間に有意差はみられなかった(67.0%,60.0%,p=0.2444)(表 6.1: 22)。
表 6.1: 22
QLQ-C30 および QLQ-LC13 の咳嗽,呼吸困難および疼痛関連項目の改善,不
変および悪化 – RS
Afatinib
Improved
1
Stable
Chemotherapy
Worsened
1
Improved
Stable
Worsened
N
%
%
%
N
%
%
%
Cough
218
67.0
12.0
21.0
105
60.0
12.0
28.0
Dyspnoea*
218
64.0
9.0
27.0
107
50.0
8.0
42.0
Dyspnoea, rested
217
24.0
46.0
30.0
107
23.0
43.0
34.0
Dyspnoea, walked
218
46.0
26.0
28.0
107
40.0
22.0
37.0
Dyspnoea,
218
52.0
18.0
30.0
107
37.0
21.0
41.0
Short of breath*
218
57.0
18.0
24.0
107
36.0
21.0
42.0
Pain
218
59.0
5.0
36.0
107
48.0
13.0
39.0
Have pain*
218
56.0
8.0
36.0
107
40.0
21.0
39.0
Pain affecting
218
42.0
12.0
46.0
107
33.0
22.0
45.0
Pain in the chest*
218
51.0
25.0
24.0
107
37.0
28.0
35.0
Pain in arm or
218
41.0
23.0
36.0
107
26.0
42.0
32.0
207
42.0
12.0
47.0
98
34.0
24.0
42.0
climbed stairs*
daily activities
shoulder*
Pain in other parts of
the body
咳嗽: QLQ-LC13 の質問 1。呼吸困難:QLQ-LC13 の質問 3~5(質問 3:安静時呼吸困難,質問 4:歩行時呼吸困
難,質問 5:階段昇降時呼吸困難)。息切れ:QLQ-C30 の質問 8。疼痛:QLQ-C30 の質問 9 および質問 19
(質問 9:疼痛あり,質問 19:日常生活活動に支障をきたす疼痛)。胸痛:QLQ-LC13 の質問 10。腕また
は肩の疼痛:QLQ-LC13 の質問 11。その他の体の部位の疼痛:QLQ-LC13 の質問 12。
*)p<0.05 (両側)でアファチニブ群が有意に優れていた。オッズ比は EGFR 遺伝子変異カテゴリーおよび人種を層
別因子とした「改善あり/なし」のロジスティック回帰分析を用いて算出。
1)ベースライン時の測定値およびベースライン後の測定値が 1 つ以上ある患者。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.2.4: 1
アファチニブ群は化学療法群と比較して疲労の症状尺度(72.0%,57.0%,p=0.0075),および「休
憩が必要」(53.0%,39.0%,p=0.0199),「力が出ない」(54.0%,38.0%,p=0.0099)および「疲れ
を感じる」(51.0%,38.0%,p=0.0314)の個別項目で有意に高い改善率を示した。
全般的健康状態では投与群間に差はみられなかった(50.0%,46.0%,p=0.4737)。
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
・悪化までの期間
アファチニブは化学療法と比べて,咳嗽(ハザード比 0.595,95% CI 0.406~0.872,p=0.0072)お
よび呼吸困難(ハザード比 0.682,95% CI 0.501~0.928,p=0.0145)の悪化までの期間について統
計的に有意な延長を示した。疼痛の悪化までの期間では統計的な有意な延長はみられなかった(ハ
ザード比 0.825,95% CI 0.618~1.101,p=0.1913)。個別項目ではアファチニブは呼吸困難(歩行
時および階段昇降時の呼吸困難),息切れおよび胸痛の悪化までの期間を統計的に有意に延長させ
た。QLQ-C30 と QLQ-L13 の咳嗽,呼吸困難および疼痛関連項目の悪化までの期間のハザード比
のフォレストプロットを図 6.1: 9 に示す。
1/16
1/4
1
4
16
咳嗽: QLQ-LC13 の質問 1。呼吸困難:QLQ-LC13 の質問 3~5(質問 3:安静時呼吸困難,質問 4:歩行時呼吸困
難,質問 5:階段昇降時呼吸困難)。息切れ:QLQ-C30 の質問 8。疼痛:QLQ-C30 の質問 9 および質問 19
(質問 9:疼痛あり,質問 19:日常生活活動に支障をきたす疼痛)。胸痛:QLQ-LC13 の質問 10。腕また
は肩の疼痛:QLQ-LC13 の質問 11。その他の体の部位の疼痛:QLQ-LC13 の質問 12。
ひし形の大きさは患者数を反映。
各サブグループのアファチニブ対化学療法のハザード比は右列に記載。
図 6.1: 9
QLQ-C30 および QLQ-L13 の咳嗽,呼吸困難および疼痛関連項目の悪化までの
期間に対するアファチニブと化学療法の治療効果の比較 – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.2.4: 1
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.32
アファチニブは疲労(ハザード比 0.691),悪心および嘔吐(ハザード比 0.546)ならびに QLQ-C30
質問票で測定された個別項目のいくつか(「布団に寝たまま」[ハザード比 0.531],
「休憩が必要」
[ハザード比 0.608],「力が出ない」
[ハザード比 0.644],「吐き気がする」[ハザード比 0.545],
「吐いた」[ハザード比 0.657]),脱毛(ハザード比 0.608)の悪化までの期間も延長させた。
アファチニブの既知の安全性プロファイルから予想できたとおり,化学療法群と比べてアファチ
ニブ群で悪化までの期間が有意に短かったのは下痢(ハザード比 7.736),口の痛み(ハザード比
2.469)および嚥下障害(ハザード比 1.847)であった。喀血(ハザード比 1.747)および末梢性ニ
ューロパチー(ハザード比 1.239)では悪化までの期間が短かったが統計的に有意ではなかった。
全般的な健康状態の悪化(ハザード比 1.013)では両群間の差はみられなかった。
・スコアの経時的変化
アファチニブ群は化学療法群と比較して,咳嗽(p<0.0001)および呼吸困難(p<0.0001),さらに
呼吸困難の個別項目の経時的な平均スコアで統計的に有意な改善を示した(図 6.1: 10)。疼痛の
経時的な平均スコアでは有意差はなかった。
Page 296
試験 1200.32
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
-14
-12
-10
-8
-6
-4
-2
0
2
4
6
8
10
12
14
咳嗽: QLQ-LC13 の質問 1。呼吸困難:QLQ-LC13 の質問 3~5(質問 3:安静時呼吸困難,質問 4:歩行時呼吸困
難,質問 5:階段昇降時呼吸困難)。息切れ:QLQ-C30 の質問 8。疼痛:QLQ-C30 の質問 9 および質問 19
(質問 9:疼痛あり,質問 19:日常生活活動に支障をきたす疼痛)。胸痛:QLQ-LC13 の質問 10。腕また
は肩の疼痛:QLQ-LC13 の質問 11。その他の体の部位の疼痛:QLQ-LC13 の質問 12。
アファチニブ対化学療法の調整後の平均スコアの差は右列に記載。
図 6.1: 10
QLQ-C30 および QLQ-L13 の咳嗽,呼吸困難および疼痛関連項目スコアの経時
的変化における平均スコア(全データを含む)の差に対するアファチニブと化
学療法の治療効果の比較 – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.2.4: 2
また,アファチニブは化学療法と比べて,疲労,悪心,嘔吐,QLQ-C30 質問票の大半の個別項目
および QLQ-C30 で評価した全般的健康状態の経時的平均スコアを改善した。
アファチニブの既知の安全性プロフィールから予想できたとおり,アファチニブ群は化学療法群
に比べて下痢,口の痛み,嚥下障害の平均スコア推移で統計的に有意な悪化を示した。QLQ-C30
の全般的健康状態,機能性尺度および症状尺度の平均スコアの差における経時的変化のフォレス
トプロットを図 6.1: 11 に示す。
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
-10
-8
-6
-4
-2
0
2
4
6
8
10
アファチニブ対化学療法の調整後の平均スコアの差は右列に記載。
「+」は治療効果を同じ尺度で表示するために結果を反転させたことを示す。
図 6.1: 11
QLQ-C30 の全般的健康状態,機能性尺度および症状尺度の経時的変化におけ
る平均スコア(全データを含む)の差に対するアファチニブと化学療法の治療
効果の比較 – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.2.4: 3
・健康関連の生活の質についてのサブグループ解析
ベースラインの ECOG パフォーマンス・スコアおよびベースラインの HRQOL 症状の有無におい
て結果の一貫性を検討したところ,ベースライン時に対象疾患の症状がなかった患者よりもあっ
た患者においてアファチニブの効果はより顕著であることが示された。
・有害事象としての咳嗽および呼吸困難
事前に規定した NSCLC 関連症状である咳嗽および呼吸困難に関する患者報告と一貫性があり,
アファチニブは咳嗽(ハザード比 0.40,p=0.0017)および呼吸困難(ハザード比 0.30,p=0.0038)
の有害事象発現リスクを軽減した。有害事象発現リスクの低下は直接的な臨床的ベネフィットと
いえる。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.32
「その他」の EGFR 遺伝子変異の NSCLC を有する患者における有効性
「その他」の EGFR 遺伝子変異のサブグループに含まれた患者は 37 名(アファチニブ群 26 名,
化学療法群 11 名)であった。
「その他」の EGFR 遺伝子変異を有する患者が少なかったこと,そ
の分子多様性および遺伝サブグループ内の患者数の不均衡が,「その他」の遺伝子変異を有する
NSCLC 患者での正式な統計解析の解釈を制限した。このため,データを遺伝子変異または二重変
異で 5 つのグループに分類し,個別の患者ごとに要約し,表 6.1: 23 に示す。「その他」の EGFR
遺伝子変異を有する NSCLC 患者においても化学療法と比較してアファチニブの効果が認められ
た。
アファチニブ群では,L858R+T790M の遺伝子変異カテゴリーに含まれた 4 名の患者(PR1 名,
11.0 カ月;SD3 名,9.6+,8.3 および 6.7 カ月),さらに L861Q(SD1 名,8.3 カ月),G719X(PR1
名,10.8 カ月),S768I+L858R(PR1 名,13.8+カ月)および S768I(PR1 名,19.2+カ月)のカテゴ
リーで腫瘍縮小効果および PFS の延長(6 カ月超)がみられた。
化学療法群では,L858R+T790M(PR が 1 名,6.7 カ月),エクソン 20 挿入(SD1 名,10.8 カ月),
および G719X+S768I(PR1 名,8.2+カ月)の遺伝子変異カテゴリーで各 1 名に,L861Q の遺伝子
変異カテゴリーで 3 名(Non-CR / Non-PD 2 名,19.3+および 13.8 カ月,SD1 名,9.9 カ月)に奏
効および 6 カ月超の PFS がみられた。
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 23
Group
「その他」の EGFR 遺伝子変異の NSCLC を有する患者
EGFR
Treatment arm
1
mutation(s)
T790M
PFS time
T790M only,
Afatinib
T790M+Del 19,
(n = 11)
T790M+L858R,
Chemotherapy
2
T790M+G719X
Exon 20 insertions
Best overall
OS time
1
[months] , range
tumour response
[months], range
0.3 - 11.0
1 PR, 7 SD, 3 PD
2.1+ - 25.6+
2.6 - 6.7
1 PR, 1 SD
4.4 - 10.2+
0.4 - 5.3
5 SD, 1NEV
0.4 - 21.0
3.1+ - 10.8
3 SD
9.3 - 25.3+
2.6 - 19.2+
3 PR
3.4 - 19.2+
0.0+ - 10.8
1 PR, 1 PD, 1 NEV
0.7+ - 17.3+
3.8 - 8.2+
2 PR, 1 SD
6.8 - 23.3+
1.1 - 8.3
1 SD, 1 PD,
1.1 - 18.6
(n = 2)
Afatinib
(n = 6)
Chemotherapy
(n = 3)
S768I
G719X
2
S768I only,
Afatinib
S768I+L858R
(n = 3)
2
G719X only,
Afatinib
2
(n = 3)
G719X +S768I
Chemotherapy
(n = 3)
L861Q
Afatinib
(n = 3)
Chemotherapy
(n = 3)
1 NEV
9.9 - 19.3+
1 SD, 2 Non-CR /
Non-PD
13.8+ - 19.3+
3
CR:完全奏効,NEV:評価不能,PD:疾患進行,PR:部分奏効; SD:安定
主解析の打ち切りルールに基づいて打ち切られた患者の PFS および OS のデータには「+」記号を付けてい
る。
1)独立判定委員会の評価に基づく。
2)G719S,G719A または G719C。
3)「Non-CR / Non-PD」は,ベースラインで標的病変がなく,非標的病変の SD がみられた患者。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.4.1.3: 1
「その他」の EGFR 遺伝子変異を有する NSCLC 患者における,標的病変を有する合計 32 名のう
ち,アファチニブ群の 19/23 名および化学療法群の 8/9 名で測定可能な腫瘍縮小が認められた。
「そ
の他」の EGFR 遺伝子変異を有する NSCLC 患者の腫瘍縮小の Waterfall プロットを図 6.1: 12 に示
す。
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試験 1200.32
患者インデックスの順序は最大縮小率に基づく降順。
図 6.1: 12
「その他」の EGFR 遺伝子変異を有する NSCLC 患者における標的病変の径(合
計)のベースラインからの最大縮小率(独立判定委員会の評価に基づく)– RS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.4.1.3: 1
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臨床薬理
薬物動態
アファチニブの投与前血漿中濃度を表 6.1: 24 に示す。薬物動態(PK)の評価は特に記載されて
いない限りフリー体(BIBW 2992 BS)に基づいている。
表 6.1: 24
アファチニブ 40 mg/日の反復投与後および 50 mg/日への増量または 30 mg/
日への減量後におけるアファチニブのトラフ血漿中濃度の幾何平均 - TS
Afatinib 30 mg q.d.
Visit
N
gMean
gCV [%]
Afatinib 40 mg q.d.
N
[ng/mL]
Course 2 Visit 1
gMean
gCV [%]
Afatinib 50 mg q.d.
N
[ng/mL]
gMean
gCV [%]
[ng/mL]
11
21.8
36.6
165
28.0
85.0
3
29.9
46.1
25
28.0
82.4
143
25.8
69.5
16
29.6
79.2
38
24.4
64.1
126
23.7
66.5
14
27.5
64.4
(Day 22)
Course 2 Visit 2
(Day 29)
Course 3 Visit 1
(Day 43)
gCV:幾何変動係数,gMean:幾何平均,q.d.:1 日 1 回
アファチニブ 20 mg への減量の患者数は 2 名であったため,本表には含めていない。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 11.5.2: 1
個別のアファチニブのトラフ血漿中濃度は用量に伴って増減した。トラフ血漿中濃度のばらつき
はいずれの投与群でも大きかった。
全般的に,トラフ血漿中濃度の高い患者は 30 mg に減量され,
トラフ血漿中濃度の低い患者は 50 mg に増量されると考えられた。これと合致して,40 mg 群の
幾何変動係数(gCV)は Day 22(第 2 コース Visit 1)の 85%から Day 29(第 2 コース Visit 2)の
69.5%へ,さらに Day 43(第 3 コース Visit 1)の 66.5%に減少した(図 6.1: 13)。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
図 6.1: 13
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試験 1200.32
アファチニブ 40 mg/日の反復投与後における個別の投与前アファチニブ血漿
中濃度(Cpre,ss)
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.5.2: 1
Day 43 における最終 PK 測定時のアファチニブのトラフ血漿中濃度はすべての投与群で同程度で
あった(図 6.1: 14)。トラフ血漿中濃度の幾何平均は,30 mg に減量された患者では 24.4 ng/mL(gCV
64.1%),40 mg の患者では 23.7 ng/mL(gCV 66.5%),50 mg に増量された患者では 27.5 ng/mL(gCV
64.4%)であった。
アファチニブ 40 mg を投与された患者のデータに基づくと,アファチニブの血漿中濃度は Day 21
(第 2 コース Visit 1)に定常状態に達した。全般的に,40 mg 群のトラフ血漿中濃度は PK 観察期
間を通して(43 日間)一定であった。Week 6 におけるアファチニブのトラフ血漿中濃度と腫瘍縮
小または PFS との相関関係はみられなかった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
図 6.1: 14
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試験 1200.32
アファチニブ 20 mg,30 mg,40 mg および 50 mg/日の反復投与後の Day 43
(第 3 コース Visit 1)におけるアファチニブのトラフ血漿中濃度(Cpre,ss)の
個別値および幾何平均の比較
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 11.5.2: 2
安全性
曝露状況
治験薬の曝露期間
本試験の治験薬の曝露状況を表 6.1: 25 に示す。アファチニブを投与された患者数は 229 名で,デ
ータカットオフ時点でのアファチニブの投与期間の平均値は 335.4 日,中央値は 336.0 日,最長投
与期間は 827 日であった。
化学療法を施行された患者数は 111 名であった。化学療法群ではペメトレキセド+シスプラチンを
最大 6 コースまで投与可能とした。投与期間の平均値は 85.0 日,中央値は 105.0 日であった。患
者の 74.8%が 4 コース以上を施行され,半数以上(55.0%)が最大 6 コースを施行された。17.1%
の患者が「4 コース」を施行されたが,これは ASCO ガイドラインに基づき化学療法を 4 コース
で完了と治験責任医師が勘違いしたことによると考えられた。
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表 6.1: 25
治験薬への曝露状況 - TS
Patients [N (%)]
Afatinib
Chemotherapy
229 (100.0)
111 (100.0)
335.4 (210.5)
85.0 (42.5)
336.0
105.0
7.0, 827.0
1.0, 157.0
Total treatment time [days]
Mean (StD)
Median
Range (min, max)
1
Number of treatment courses [N (%)]
≤1
(Day 1 to 21)
8 (3.5)
8 (7.2)
>1 to ≤2
(Day 22 to 42)
12 (5.2)
12 (10.8)
>2 to ≤3
(Day 43 to 63)
4 (1.7)
8 (7.2)
>3 to ≤4
(Day 64 to 84)
11 (4.8)
19 (17.1)
>4 to ≤5
(Day 85 to 105)
8 (3.5)
3 (2.7)
>5 to ≤6
(Day 106 to 126)
9 (3.9)
61 (55.0)
>6 to ≤10
(Day 127 to 210)
23 (10.0)
>10 to ≤15
(Day 211 to 315)
34 (14.8)
>15 to ≤20
(Day 316 to 420)
38 (16.6)
>20
(>Day 420)
82 (35.8)
総投与期間には治験薬の中断期間を含む。
1)アファチニブ群の投与コース数は,総投与期間÷21 日で算出。化学療法群ではペメトレキセド+シスプラチン
の各投与を 1 つの投与コースと定義。本試験のデザインでは,ペメトレキセド+シスプラチンの最大投与コー
スは 6 コースとした。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.1.1: 1
治験薬の永続的な投与中止までの期間についての Kaplan-Meier 曲線を図 6.1: 15 に示す。アファチ
ニブ群で投与中止例が特に多い時点または時期はみられなかった。化学療法群では最大投与コー
ス数が完了した Day 105 前後まで,患者数の割合は徐々に小さくなった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
図 6.1: 15
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試験 1200.32
治験薬の永続的な投与中止の確率 - TS
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Figure 12.1.1: 1
本試験では,化学療法群では最大投与コース数を 6 コースとしたのに対し,アファチニブ群では
疾患進行または過度な有害事象のない限り投与を継続することとしたため,治験薬の曝露期間に
は投与群間に本質的に差があった。この曝露期間の差を考慮した有害事象における投与群間比較
を容易にするため,グループ用語および基本語による有害事象の分析では,発現密度も用いた。
人・年ごとの発現率は,各有害事象の患者数を総リスク期間で割ることで算出した。総リスク期
間には治験薬の最終投与後の 28 日間も含めた。
アファチニブの用量別曝露状況
アファチニブの曝露状況を,用量増減基準に基づいて投与された用量別に表 6.1: 26 に示す。治験
薬投与期間中,227 名が 40 mg を投与され,うち 120 名が 30 mg に減量,40 名が 20 mg に減量さ
れた。平均投与期間は用量の減量とともに長くなり,40 mg 投与患者では 174.26 日,20 mg 投与
患者では 273.98 日であった。アファチニブ 50 mg を投与された患者は 21 名で,うち 16 名は治験
実施計画書に基づいて用量が増量されたが,5 名では誤って開始用量として 40 mg ではなく 50 mg
が投与された。50 mg 投与患者の平均投与期間は 130.19 日であった。
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表 6.1: 26
アファチニブの投与量別の曝露状況 - アファチニブ TS
Afatinib
Patients [N (%)]
229 (100.0)
Total treatment time on 40 mg [days]
N
Mean (StD)
Median
Range (min, max)
227
174.26 (186.60)
85.0
7.0, 827.0
Total treatment time on 30 mg [days]
N
Mean (StD)
Median
Range (min, max)
120
196.28 (181.58)
140.0
4.0, 773.0
Total treatment time on 20 mg [days]
N
Mean (StD)
Median
Range (min, max)
40
273.98 (197.14)
276.5
3.0, 668.0
投与中断期間は中断前の投与量の総投与期間に含めた。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.1.2: 1
アファチニブの用量ごとの患者数の推移を表 6.1: 27 に示す。時間の経過とともに高い用量から低
い用量へ患者のシフトがみられた。PFS および治験薬投与期間の中央値に近い Day 336 には,患
者の 43.5%(50/115 名)が開始用量の 40 mg を継続投与されており,この割合は投与終了時にも
同程度であった。
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 27
アファチニブの投与量別の患者数の推移 - TS
Patients [N (%)]
Total
Afatinib 50 mg
Afatinib 40 mg
Afatinib 30 mg
Afatinib 20 mg
1
224 (97.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
Day 1
229 (100.0)
5 (2.2)
Day 21
221 (100.0)
6 (2.7)
196 (88.7)
18 (8.1)
1 (0.5)
Day 42
212 (100.0)
14 (6.6)
152 (71.7)
44 (20.8)
2 (0.9)
Day 84
197 (100.0)
10 (5.1)
116 (58.9)
62 (31.5)
9 (4.6)
Day 168
169 (100.0)
6 (3.6)
80 (47.3)
62 (36.7)
21 (12.4)
Day 336
115 (100.0)
3 (2.6)
50 (43.5)
39 (33.9)
23 (20.0)
EOT
164 (100.0)
7 (4.3)
78 (47.6)
56 (34.1)
23 (14.0)
EOT:投与終了
1)患者 5 名に,開始用量として 40 mg でなく 50 mg が誤って投与された。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.1.2: 2
1 回目の用量減量までの期間および治験薬の中断期間を表 6.1: 28 に示す。アファチニブ群の 43.2%
は用量変更を必要とせず,減量は 38.0%の患者で 1 回,18.8%で 2 回実施した。1 回目の減量の多
くは治験薬投与開始後 2 カ月以内に行われた。1 回目の減量が行われたときの平均投与中断期間
は 8.7 日であった。アファチニブ群の 57.2%が減量に至った有害事象を発現した。
表 6.1: 28
アファチニブの投与量減量の要約 - TS
Patients [N (%)]
Number of dose reductions1 [N (%)]
0
1
2
3
Time to first dose reduction [days]
N
Mean (StD)
Median
Range (min, max)
Off-drug period before first dose reduction [days]
N
Mean (StD)
Median
Range (min, max)
1)重複例なし。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.1.2: 3
Afatinib
229 (100.0)
99 (43.2)
87 (38.0)
43 (18.8)
0 (0.0)
130
88.2 (97.0)
49.0
13.0, 443.0
130
8.7 (5.6)
8.0
0.0, 35.0
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試験 1200.32
有害事象
本試験では,治験薬の投与開始から最終投与の 28 日後までに発現した好ましくない事象を,治療
期間中の有害事象として集計した。原疾患である癌から予測される変動や悪化は有害事象としな
かったが,癌の進行が症状を伴っている場合,または重篤の基準に該当する場合は,その徴候お
よび症状を有害事象または重篤な有害事象として報告した。ただし,疾患進行による死亡で,徴
候および症状がなかった場合は,疾患進行を重篤な有害事象として報告することとした。追跡調
査期間の最初の来院以降に発現した死亡は,治験薬または医学処置との因果関係がない限りは重
篤な有害事象としなかった。
本試験ではその他の重要な有害事象は解析せず,代わりに重篤および非重篤な有害事象で,治験
薬の永続的な投与中止または減量に至った有害事象を解析した。
また,本試験の安全性の解析では,1 つの有害事象が複数の基本語で表現される可能性を想定し,
通常の器官別大分類および基本語による解析に追加して,基本語をグループ化したグループ用語
(「発疹/ざ瘡」,「口内炎」,「眼の障害」,「口唇障害」,「爪の異常」および「疲労」[CTD 2.7.4
表 2: 1])も使用し,これらには「+」記号を付けた。
さらに,下痢,発疹/ざ瘡,腎機能不全,白血球減少症,ニューロパチーを特に注目すべき有害
事象として事前に規定し,発現率,重症度,処置,転帰,発現までの期間および持続期間を解析
した。また,間質性肺疾患(ILD)様事象についても事後解析を行った([CTD 2.7.4 表 2: 1,表
2: 2 および表 2: 3]参照,これらにも「+」記号を付けて表記した)。
有害事象の概要
有害事象の概略を表 6.1: 29 に示す。治療期間中,アファチニブ群の全患者(100.0%)および化学
療法群のほとんどの患者(98.2%)が有害事象を発現した。また,両群の大半の患者が治験薬と
の因果関係が否定できない有害事象を発現した(アファチニブ群 99.6%,化学療法群 95.5%)
。
アファチニブ群では 57.2%の患者が減量に至った有害事象を,14.0%が永続的な投与中止に至った
有害事象を発現した。治験薬との因果関係が否定できない永続的な投与中止に至った有害事象の
発現率は 7.9%であった。重篤な有害事象は 28.8%にみられ,大半が入院を必要としたためであっ
た(27.1%)
。致死的な有害事象は 5.7%の患者に発現した。有害事象の最も重い CTCAE grade は
51.1%の患者で grade 3,9.6%の患者では grade 4 または grade 5 であった。
化学療法群では,16.2%の患者が減量に至った有害事象を,15.3%が永続的な投与中止に至った有
害事象を発現した。治験薬との因果関係が否定できない永続的な投与中止に至った有害事象は患
者の 11.7%に発現した。重篤な有害事象は 22.5%にみられ,多くが入院を必要としたためであっ
た(18.0%)
。致死的な有害事象は 2.7%の患者に発現した。有害事象の最も重い CTCAE grade は
44.1%で grade 3,12.6%の患者では grade 4 または grade 5 であった。
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減量に至った有害事象の発現率における両投与群間の大きな差(アファチニブ群 57.2%,化学療
法群 16.2%)については,両投与群の用量変更方法の違いによる影響を考える必要がある。すな
わち,アファチニブ群で規定した減量基準では,投与中断した際に減量することが求められ,中
断前と同じ用量で投与継続できなかったのに対し,化学療法群では有害事象や臨床検査値(白血
球減少症)に基づく次コース開始の延長が認められ,実際,1 コースを超えて化学療法を受けた
患者のうち,51.5%で 3 日超の延長を,39.8%で 6 日超の延長が行われた。
表 6.1: 29
治療期間中の有害事象の概略 - TS
Afatinib
Chemotherapy
N (%)
N (%)
229 (100.0)
111 (100.0)
229 (100.0)
109 (98.2)
Drug-related AEs
228 (99.6)
106 (95.5)
AEs leading to dose reduction
131 (57.2)
18 (16.2)
AEs leading to permanent discontinuation
32 (14.0)
17 (15.3)
18 (7.9)
13 (11.7)
SAEs2
66 (28.8)
25 (22.5)
Fatal
13 (5.7)
3 (2.7)
Immediately life-threatening
1 (0.4)
4 (3.6)
Disability / incapacity
0 (0.0)
0 (0.0)
Required hospitalisation
62 (27.1)
20 (18.0)
Prolonged hospitalisation
4 (1.7)
6 (5.4)
Congenital anomaly
0 (0.0)
0 (0.0)
Other
2 (0.9)
1 (0.9)
Grade 1
12 (5.2)
14 (12.6)
Grade 2
78 (34.1)
32 (28.8)
Grade 3
117 (51.1)
49 (44.1)
Grade 4
9 (3.9)
11 (9.9)
Grade 5
13 (5.7)
3 (2.7)
139 (60.7)
63 (56.8)
Patients
Patients with any AE
1
1
Drug-related AEs leading to
permanent discontinuation
By highest CTCAE Grade
AEs of CTCAE Grade ≥3
1)治験責任医師の判断による。
2)重複例あり。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.2.1: 1
高頻度に発現したグループ用語および基本語での有害事象
・全患者
いずれかの投与群の患者の 20%超で発現した有害事象をグループ用語または基本語で表 6.1: 30 に
+
示す。アファチニブ群で grade を問わずよくみられた有害事象は下痢(96.1%),発疹/ざ瘡(90.0%,
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+
+
発疹が 62.9%),口内炎(73.4%,
口内炎 38.0%および粘膜の炎症が 29.3%)および爪の異常(61.6%,
爪囲炎が 56.8%)であった。また,これらの有害事象はよくみられた grade 3 の有害事象でもあっ
た(発疹/ざ瘡+16.2%,下痢 14.8%,爪の異常+ 11.8%および口内炎+ 8.3%)。Grade 4 の有害事象
を発現したのは患者の 3.9%で,最もよくみられたのは低カリウム血症(5 名,2.2%)であった。
その他の grade 4 の有害事象は 1 名ずつでの発現であった。アファチニブ群の患者の 5.7%で致死
的な有害事象が報告された。
化学療法群でよくみられた有害事象は悪心(67.6%),食欲減退(55.0%)および疲労+(49.5%)
であった。よくみられた grade 3 の有害事象は好中球減少症(16.2%),疲労+(12.6%)および白
血球減少症(8.1%)であった。Grade 4 の有害事象は 11 名(9.9%)で発現し,このうち 3 名(2.7%)
が好中球減少症であった。ペメトレキセド+シスプラチンの有害事象のプロファイル(重度の好
中球減少症,白血球減少症)と一貫性があり,11.3%が免疫賦活薬による支持療法を必要とした。
アファチニブ群では投与期間中に G-CSF(granulocyte-colony stimulating factor)を投与された患者
はいなかった。化学療法群の患者の 2.7%で致死的な有害事象が報告された。
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表 6.1: 30
いずれかの投与群で発現率 20%超の有害事象(投与群,最も重い CTCAE grade,
グループ用語および基本語別)- TS
Afatinib
Chemotherapy
All Grades
Grade 3
Grade 4
All Grades
Grade 3
Grade 4
N (%)
N (%)
N (%)
N (%)
N (%)
N (%)
Patients
229 (100.0)
229 (100.0)
229 (100.0)
111 (100.0)
111 (100.0)
111 (100.0)
Patients with AEs
229 (100.0)
117 (51.1)
9 (3.9)
109 (98.2)
49 (44.1)
11 (9.9)
220 (96.1)
34 (14.8)
0 (0.0)
25 (22.5)
2 (1.8)
0 (0.0)
206 (90.0)
37 (16.2)
0 (0.0)
12 (10.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
168 (73.4)
19 (8.3)
1 (0.4)
19 (17.1)
1 (0.9)
0 (0.0)
141 (61.6)
27 (11.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dry skin(皮膚乾燥)
69 (30.1)
1 (0.4)
0 (0.0)
2 (1.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
Decreased appetite(食欲減退)
66 (28.8)
10 (4.4)
0 (0.0)
61 (55.0)
4 (3.6)
0 (0.0)
62 (27.1)
7 (3.1)
0 (0.0)
55 (49.5)
14 (12.6)
0 (0.0)
58 (25.3)
3 (1.3)
0 (0.0)
75 (67.6)
4 (3.6)
0 (0.0)
52 (22.7)
1 (0.4)
0 (0.0)
8 (7.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
Vomiting(嘔吐)
52 (22.7)
10 (4.4)
0 (0.0)
52 (46.8)
3 (2.7)
0 (0.0)
Pruritus(そう痒症)
46 (20.1)
1 (0.4)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
Constipation(便秘)
30 (13.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
39 (35.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
Anaemia(貧血)
14 (6.1)
4 (1.7)
0 (0.0)
31 (27.9)
5 (4.5)
2 (1.8)
Neutropenia(好中球減少症)
3 (1.3)
2 (0.9)
0 (0.0)
35 (31.5)
18 (16.2)
3 (2.7)
Diarrhoea(下痢)
+
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
Stomatitis(口内炎)
+
Nail effect(爪の異常)
+
+
Fatigue(疲労)
Nausea(悪心)
Ocular effect(眼の障害)
+
CTCAE grade 5 の有害事象は,アファチニブ群の 13 名(5.7%)および化学療法群の 3 名(2.7%)に発現したが,
該当するグループ用語または基本語での発現率が 20%未満であったため,表には記載されていない。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.2.2.1: 1
アファチニブ群でよくみられた器官別大分類別の有害事象は,胃腸障害(97.4%),皮膚および皮
下組織障害(92.6%)ならびに感染症および寄生虫症(76.4%)であった。胃腸障害で多かった有
害事象は下痢(96.1%),口内炎(38.0%)および悪心(25.3%),皮膚および皮下組織障害で多か
った有害事象は発疹(62.9%),皮膚乾燥(30.1%)およびざ瘡(22.3%),感染症および寄生虫症
で多かった有害事象は爪囲炎(56.8%),鼻咽頭炎(14.0%)および上気道感染(10.9%)であった。
総合すると,これらの器官別大分類で高い発現率を示したのは,いずれもその中で顕著に高い発
現率を示した基本語別の有害事象である下痢,発疹および爪囲炎に起因していた。また,これら
の有害事象はアファチニブの既知の安全性プロファイルから予測可能であった。
ペメトレキセド+シスプラチンの副作用として知られているとおり,化学療法群で発現率が高か
った器官別大分類別の有害事象は,胃腸障害(87.4%,基本語では特に悪心[67.6%],嘔吐[46.8%]
および便秘[35.1%]),一般・全身障害および投与部位の状態(68.5%,基本語では特に疲労[36.0%]
)
および代謝および栄養障害(62.2%,基本語では特に食欲減退[55.0%])であった。器官別大分
類ごとの上記以外の基本語別有害事象の発現率はアファチニブ群および化学療法群それぞれで
23.0%未満であった。
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試験 1200.32
・性別
全般的に,男女別でみた有害事象プロファイルはアファチニブ群においても化学療法群において
も類似していた。しかし,grade 3 以上の有害事象はアファチニブ群(女性 63.3%,男性 56.1%,
以下同様)でも化学療法群(60.8%,48.6%)でも,男性よりも女性に多くみられた。アファチニ
,
ブ群でよくみられた grade 3 の有害事象は,下痢(19.0%,7.3%),発疹/ざ瘡+(18.4%,12.2%)
口内炎+(8.8%,7.3%)および爪の異常+(13.6%,8.5%)であった。Grade 4 の有害事象は男性,
女性ともに少なかった(3.4%,4.9%)。致死的な有害事象は男性の 7.3%および女性の 4.8%に発現
した。
化学療法群でよくみられた grade 3 の有害事象は,好中球減少症(20.3%,8.1%),白血球減少症
(10.8%,2.7%)および疲労+(16.2%,5.4%)であった。Grade 4 の有害事象の発現率は男女とも
同程度であった(9.5%,10.8%)。男性および女性の各 2.7%が致死的な有害事象を発現した。
・年齢別
65 歳未満および 65 歳以上の年齢別でみた有害事象プロファイルは全般的に両投与群で類似して
いた。しかし,grade 3 以上の有害事象の発現率は両投与群とも 65 歳以上の患者で高かった。
アファチニブ群における grade 3 以上の有害事象の発現率は,65 歳未満の患者では 53.2%,65 歳
以上では 72.2%であった。どちらの年齢群でもよくみられた grade 3 の有害事象は,発疹/ざ瘡 +
(65 歳未満 14.4%,65 歳以上 18.9%,以下同様),下痢(11.5%,20.0%)および爪の異常+(10.1%,
14.4%)であった。最も重い CTCAE grade が grade 4 の有害事象はそれぞれ 3.6%および 4.4%の患
者でみられた。致死的な有害事象はそれぞれ 5.0%および 6.7%に発現した。
化学療法群における grade 3 以上の有害事象の発現率は,65 歳未満の患者では 53.7%,65 歳以上
+
18.2%),
では 61.4%であった。どちらの年齢群でもよくみられた grade 3 の有害事象は,疲労(9.0%,
好中球減少症(16.4%,15.9%)および白血球減少症(7.5%,9.1%)であった。さらに grade 3 の
低ナトリウム血症が 65 歳以上の患者の 9.1%(65 歳未満では 1.5%)でみられた。最も重い CTCAE
grade が grade 4 の有害事象の発現率はどちらの年齢層でも同程度であったが(9.0%,11.4%),致
死的な有害事象は 65 歳未満で 1.5%,65 歳以上で 4.5%に発現した。
治験薬との因果関係が否定できない有害事象
いずれかの投与群で発現率が 10%超の治験薬との因果関係が否定できない有害事象を表 6.1: 31 に
示す。アファチニブ群ではほとんどの患者(99.6%)で治験薬との因果関係が否定できない有害
事象が発現した。治験薬との因果関係が否定できない有害事象はアファチニブ群全体の有害事象
のプロファイルと非常に類似しており,よくみられた有害事象は,下痢(95.2%),発疹/ざ瘡+
(89.1%),口内炎+(72.1%)および爪の異常+(61.1%)であった。これらの有害事象では,grade
3 の事象が多くみられた(発疹/ざ瘡+ 16.2%,下痢 14.4%,爪の異常+ 11.8%および口内炎+ 8.3%)。
アファチニブ群で,grade 4 の治験薬との因果関係が否定できない有害事象は 4 名(1.7%)に 5 件
発現した(基本語で低カリウム血症 3 名,血中アミラーゼ増加および口内炎各 1 名)であった。
「過敏症」とコーディングされた有害事象を発現し,治験責任医師により治験薬との因果関係が
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Page 313
試験 1200.32
否定できないと判断された患者が 2 名いた。報告用語はそれぞれ,
「過敏な指および足(過敏症)」
/「過敏な指および足指(過敏症)」および「手および足の反応(アレルギー)」であった。これ
らはアファチニブでみられる EGFR 阻害による皮膚反応と一貫性があった。重症度は軽度または
中等度で,アファチニブの用量変更や支持療法なしに回復した。
化学療法群では患者の 95.5%が治験薬との因果関係が否定できない有害事象を発現した。よくみ
られた治験薬との因果関係が否定できない有害事象は,悪心(65.8%),食欲減退(53.2%)およ
び疲労+(46.8%)で,化学療法群全体でみられた有害事象のプロファイルと類似していた。よく
みられた grade 3 の治験薬との因果関係が否定できない有害事象は好中球減少症(15.3%),疲労+
(12.6%)および白血球減少症(8.1%)であった。Grade 4 の治験薬との因果関係が否定できない
有害事象は計 8 名にみられた(好中球減少症 3 名,貧血 2 名,ヘモグロビン減少,心筋梗塞およ
び血小板減少症各 1 名および心房細動/失神/好中球減少症が 1 名)
。
Page 314
試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 31
いずれかの投与群で治験薬との因果関係が否定できない発現率 10%超の有害
事象(投与群,最も重い CTCAE grade,グループ用語および基本語別)- TS
Afatinib
Chemotherapy
All Grades
N (%)
Grade 3
N (%)
Grade 4
N (%)
All Grades
N (%)
Grade 3
N (%)
Grade 4
N (%)
Patients
229 (100.0)
229 (100.0)
229 (100.0)
111 (100.0)
111 (100.0)
111 (100.0)
Patients with drug-related
AEs1
228 (99.6)
104 (45.4)
4 (1.7)
106 (95.5)
45 (40.5)
8 (7.2)
Diarrhoea(下痢)
218 (95.2)
33 (14.4)
0 (0.0)
17 (15.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)+
204 (89.1)
37 (16.2)
0 (0.0)
7 (6.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
Stomatitis(口内炎)+
165 (72.1)
19 (8.3)
1 (0.4)
17 (15.3)
1 (0.9)
0 (0.0)
140 (61.1)
27 (11.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Nail effect+(爪の異常)
+
Dry skin(皮膚乾燥)
67 (29.3)
1 (0.4)
0 (0.0)
2 (1.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
Decreased appetite
(食欲減退)
47 (20.5)
7 (3.1)
0 (0.0)
59 (53.2)
3 (2.7)
0 (0.0)
Pruritus(そう痒症)
43 (18.8)
1 (0.4)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
Nausea(悪心)
41 (17.9)
2 (0.9)
0 (0.0)
73 (65.8)
4 (3.6)
0 (0.0)
Ocular effect(眼の障害)+
41 (17.9)
1 (0.4)
0 (0.0)
2 (1.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
40 (17.5)
3 (1.3)
0 (0.0)
52 (46.8)
14 (12.6)
0 (0.0)
39 (17.0)
7 (3.1)
0 (0.0)
47 (42.3)
3 (2.7)
0 (0.0)
Fatigue(疲労)
+
Vomiting(嘔吐)
Lip effect(口唇障害)
+
33 (14.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (1.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
Epistaxis(鼻出血)
30 (13.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
Weight decreased
24 (10.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
10 (9.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
(体重減少)
Alopecia(脱毛症)
Anaemia(貧血)
Constipation (便秘)
23 (10.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
19 (17.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
7 (3.1)
1 (0.4)
0 (0.0)
31 (27.9)
5 (4.5)
2 (1.8)
6 (2.6)
0 (0.0)
0 (0.0)
21 (18.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
4 (1.7)
1 (0.4)
0 (0.0)
21 (18.9)
9 (8.1)
0 (0.0)
Haemoglobin decreased
(ヘモグロビン減少)
3 (1.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
12 (10.8)
2 (1.8)
1 (0.9)
Neutropenia
2 (0.9)
1 (0.4)
0 (0.0)
35 (31.5)
17 (15.3)
3 (2.7)
Leukopenia
(白血球減少症)
(好中球減少症)
CTCAE grade 5 の治験薬との因果関係が否定できない有害事象はアファチニブ群の 4 名(1.7%)および化学療法
群の 0 名に発現したが,該当するグループ用語または基本語での発現率が 10%未満であったため,表には記載さ
れていない。
1)治験責任医師の判断による。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.2.2.2: 1
特に注目すべき有害事象
・下痢
下痢の発現率,その処置,転帰および発現までの期間を表 6.1: 32 に示す。下痢はアファチニブま
たは化学療法の既知の副作用である。アファチニブ群では 96.1%の患者が治療期間中に下痢を発
現し,95.2%が治験薬との因果関係が否定できないと判断され,6.6%は重篤な有害事象として報
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Page 315
試験 1200.32
告された。アファチニブ群では多くの患者(83.5%)で投与開始後 14 日以内に下痢の初回発現が
認められた。アファチニブ群の 14.8%が grade 3 の下痢を発現し,それ以外はすべて grade 1 また
は grade 2 であった。大半の患者がデータカットオフ日までに回復し,致死的に至るまたは後遺症
を示すことはなかった。アファチニブ群で下痢を発現した患者の大部分(204/220 名,92.7%)は
下痢に対する治療を受けており,これは 87.4%の患者に止瀉薬が投与されたというデータと一致
した。減量に至った有害事象の下痢は 19.7%の患者にみられたが,永続的な投与中止に至った有
害事象の下痢は 3 名(1.3%)のみであった。1 名は投与中断や減量基準に沿った減量を実施する
も grade 2 の下痢が長引いたため投与中止し,他の 2 名は投与中断や減量による有害事象の処置を
試みることなく grade 3 の下痢のため投与中止した。
化学療法群では 22.5%の患者が下痢を発現し,15.3%が治験薬との因果関係が否定できないと判断
された。多くは grade 1 であった。
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 32
下痢,その処置,転帰および発現までの期間(投与群別)- TS
Patients [N (%)]
Mean total time at risk1 [days]
Patients with diarrhoea [N (%)]
Hazard ratio vs. chemotherapy (95% CI)2
p-value (2-sided)
Considered as drug-related
Reported as SAE
Outcome of diarrhoea [N (%)]
Recovered
Not recovered
Unknown
Sequelae
Fatal
Clinical consequences of diarrhoea [N (%)]
Dose reduction
Permanent discontinuation
Therapy required
Patients with diarrhoea by worst CTCAE Grade [N
(%)]
Grade 1
Grade 2
Grade 3
Grade 4
Grade 5
Missing
Time to first onset by category3 [N (%)]
Day 1 to 14
Day 15 to 28
Day 29 to 84
>Day 84
Afatinib
229 (100.0)
354.8
220 (96.1)
11.492 (7.464, 17.694)
<0.0001
218 (95.2)
15 (6.6)
Chemotherapy
111 (100.0)
112.8
25 (22.5)
170 (74.2)
46 (20.1)
4 (1.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
24 (21.6)
1 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
45 (19.7)
3 (1.3)
204 (89.1)
1 (0.9)
0 (0.0)
10 (9.0)
99 (43.2)
86 (37.6)
34 (14.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.4)
20 (18.0)
3 (2.7)
2 (1.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
191 (83.5)
13 (89.3)
13 (95.3)
3 (97.6)
15 (13.5)
3 (16.2)
5 (21.7)
2 (24.6)
17 (15.3)
0 (0.0)
1)Time at risk(リスク期間):(最終投与日- 投与開始日)+ 1 日 + 投与後 28 日間
2)下痢の初回発現のハザード比は投与群を唯一の因子とする Cox 回帰より算出,p 値はログランク検定より算出。
3)各期間中に下痢を初回発現した患者数(Kaplan-Meier 推定量によるリスク期間終了までの有害事象発現の累積
発現率)。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.2.2.3.1: 1
下痢の管理に関して,日本では日本の薬事規定に合うように,治験実施計画書の変更が 2 点行わ
れた。1 点目は日本での承認用量に合わせて推奨するロペラミドの最大用量を 20 mg から 2 mg(適
宜増減)へ変更,2 点目はアファチニブの投与中断/減量までに許容される grade 2 の下痢の持続
期間を 48 時間から 7 日間へ変更した。これらの変更がアファチニブの安全性プロファイルに影響
したかどうかをみるため,日本人患者での下痢の発現についてのサブグループ解析を実施した。
その結果,アファチニブ群での下痢の発現率は,日本人以外では 94.9%であったのに対し,日本
人では 100%であった。また,治験薬との因果関係が否定できない下痢は日本人以外では 93.7%で
あったのに対し,日本人では 100%であった。また,grade 3 の下痢の発現頻度も日本人以外(13.1%)
よりも日本人(20.4%)で高かった。しかし,重篤な有害事象として下痢が報告された患者の割
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 317
試験 1200.32
合は日本人以外(7.4%)よりも日本人(3.7%)で低く,治験薬の投与中止に至った有害事象の下
痢は日本人ではなかった。
・発疹/ざ瘡
発疹/ざ瘡+の頻度,その処置,転帰および発現までの期間を表 6.1: 33 に示す。皮膚反応はアフ
ァチニブの既知の副作用である。アファチニブ群では 90.0%の患者が発疹/ざ瘡+を発現し,多く
の場合,基本語は発疹であった(62.9%)。ほとんどの発疹/ざ瘡+が治験薬との因果関係が否定で
きないと判断された。Grade 3 の発疹/ざ瘡+は患者の 16.2%にみられ,grade 4 以上の発疹/ざ瘡+
の発現はなかった。患者の 1 名が皮膚炎(発熱を伴う)を発現し,入院を必要としたため重篤な
有害事象として報告された。発疹/ざ瘡+を発現した患者のほとんどで治療が必要とされたが,治
験薬の永続的な投与中止に至ったものはなかった。
化学療法群では,発疹/ざ瘡+を発現した患者の割合は 10.8%で,すべて grade 1 または grade 2 で
あった。
Page 318
試験 1200.32
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 33
発疹/ざ瘡+,その処置,転帰および発現までの期間(投与群別)- TS
Patients [N (%)]
1
Mean total time at risk [days]
+
Patients with rash/acne [N (%)]
2
Hazard ratio vs. chemotherapy (95% CI)
p-value (2-sided)
Afatinib
Chemotherapy
229 (100.0)
111 (100.0)
354.8
112.8
206 (90.0)
12 (10.8)
17.966 (9.967, 32.382)
<0.0001
Considered as drug-related
204 (89.1)
7 (6.3)
1 (0.4)
0 (0.0)
Recovered
111 (48.5)
10 (9.0)
Not recovered
89 (38.9)
2 (1.8)
Unknown
4 (1.7)
0 (0.0)
Sequelae
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
44 (19.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
188 (82.1)
10 (9.0)
Grade 1
69 (30.1)
8 (7.2)
Grade 2
100 (43.7)
4 (3.6)
Grade 3
37 (16.2)
0 (0.0)
Grade 4
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Day 1 to 14
147 (64.3)
8 (7.2)
Day 15 to 28
35 (79.7)
0 (0.0)
Day 29 to 84
16 (87.9)
4 (11.5)
>Day 84
8 (97.5)
0 (11.5)
Reported as SAE
+
Outcome of rash/acne [N (%)]
Fatal
+
Clinical consequences of rash/acne [N (%)]
Dose reduction
Permanent discontinuation
Therapy required
+
Patients with rash/acne by worst CTCAE Grade [N (%)]
Grade 5
3
Time to first onset by category [N (%)]
1)Time at risk(リスク期間):(最終投与日- 投与開始日)+ 1 日 + 投与後 28 日間。
2)発疹/ざ瘡+の初回発現のハザード比は投与群を唯一の因子とする Cox 回帰より算出,p 値はログランク検定
より算出。
3)各期間中に発疹/ざ瘡+を初回発現した患者数(Kaplan-Meier 推定量によるリスク期間終了までの有害事象発
現の累積発現率)。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.2.2.3.2: 1
・腎機能不全
腎機能不全+の発現率,その処置,転帰および発現までの期間を表 6.1: 34 に示す。アファチニブ
群では 6.1%の患者が腎機能不全+を発現した(基本語で多かったものは血中クレアチニン増加
[2.2%]
)。治験薬との因果関係が否定できないと判断された腎機能不全+は患者の 3.5%にみられ,
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 319
試験 1200.32
2 名(0.9%)では重篤な有害事象として報告された。3 名(1.3%)が grade 3 の腎機能不全 +を発
現し(重篤な有害事象の 2 名を含む),grade 4 以上の腎機能不全+の発現はなかった。半数の患者
で治療が必要とされたが,減量または投与中止に至ったものは少なかった(それぞれ 6 名および
1 名)。
化学療法群では腎機能不全+は 16.2%の患者にみられ,14.4%では治験薬との因果関係が否定でき
ないと判断され,2 名(1.8%)では重篤な有害事象として報告された。2 名を除くすべての腎機
能不全+が grade 1 または grade 2 であった。投与中止に至った腎機能不全+は 2 名に発現した。
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 34
腎機能不全+,その処置,転帰および発現までの期間(投与群別)- TS
Patients [N (%)]
1
Mean total time at risk [days]
Patients with renal insufficiency [N (%)]
2
Hazard ratio vs. chemotherapy (95% CI)
p-value (2-sided)
Afatinib
Chemotherapy
229 (100.0)
111 (100.0)
354.8
112.8
14 (6.1)
18 (16.2)
0.292 (0.142, 0.601)
0.0004
Considered as drug-related
8 (3.5)
16 (14.4)
Reported as SAE
2 (0.9)
2 (1.8)
Recovered
11 (4.8)
7 (6.3)
Not recovered
2 (0.9)
9 (8.1)
Unknown
1 (0.4)
2 (1.8)
Sequelae
0 (0.0)
0 (0.0)
Fatal
0 (0.0)
0 (0.0)
Dose reduction
6 (2.6)
4 (3.6)
Permanent discontinuation
1 (0.4)
2 (1.8)
Therapy required
7 (3.1)
4 (3.6)
Grade 1
4 (1.7)
10 (9.0)
Grade 2
7 (3.1)
6 (5.4)
Grade 3
3 (1.3)
2 (1.8)
Grade 4
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Day 1 to 14
1 (0.4)
8 (7.2)
Day 15 to 28
9 (4.4)
1 (8.1)
Day 29 to 84
1 (4.8)
7 (15.7)
>Day 84
3 (6.6)
2 (18.6)
Outcome of renal insufficiency [N (%)]
Clinical consequences of renal insufficiency [N (%)]
Patients with renal insufficiency by worst CTCAE Grade [N (%)]
Grade 5
3
Time to first onset by category [N (%)]
1)Time at risk(リスク期間):(最終投与日- 投与開始日)+ 1 日 + 投与後 28 日間
2)腎機能不全+の初回発現のハザード比は投与群を唯一の因子とする Cox 回帰より算出,p 値はログランク検定
より算出。
3)各期間中に腎機能不全+を初回発現した患者数(Kaplan-Meier 推定量によるリスク期間終了までの有害事象発
現の累積発現率)。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.2.2.3.3: 1
アファチニブ群で重篤な腎機能不全+の有害事象を発現した 2 名の患者の詳細を記載する。
患者 3701057(66 歳,アジア人,女性,タイ):アファチニブ投与開始から約 10 日後に嘔吐を発
現した。急性腎機能不全を発現し,水分補給のため入院し,回復した。アファチニブ 30 mg で投
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 321
試験 1200.32
与再開した 3 日後に,嘔吐および下痢のため再度水分補給を要した。その後回復し,アファチニ
ブを 20 mg で継続した。
患者 3701073(54 歳,アジア人,女性,タイ):アファチニブ投与開始後の Day 7 に grade 1 の下
痢および grade 3 の嘔吐を発現し入院した。Day 21 に嘔吐は grade 2 に改善し,Day 24 に下痢が回
復した。しかし Day 22 より grade 2 の腎機能不全を発現した。Day 61 に,当時アファチニブ 20 mg
を投与されておりそれ以上の減量ができなかったため,アファチニブの投与を中止した。投与中
止 17 日後に,患者は錯乱のため入院した。診断された合併症は下痢(grade 2),疲労(grade 3)
および腎機能不全(grade 3)であった。水分補給後に回復した。
・白血球減少症
白血球減少症+の頻度,その処置,転帰および発現までの期間を表 6.1: 35 に示す。アファチニブ
群では患者の 4.8%で白血球減少症+(よくみられた基本語は白血球減少症[2.6%])が報告され,
大半(8/11 名)が治験薬との因果関係が否定できないと判断された。Grade 3 の白血球減少症 +は
4 名(1.7%)でみられ,grade 4 以上の有害事象はなく,重篤な有害事象もなかった。減量に至っ
た白血球減少症+は 1.3%にみられたが,投与中止に至った白血球減少症+はなかった。
アファチニブ群における grade 3 の白血球減少症+は 4 名に計 5 件発現した。このうちの 1 件はア
ファチニブ投与中止後に化学療法を受けていた患者で発現し,治験薬との因果関係はないと判断
された。他の 4 件は,好中球減少症および白血球減少症の 2 件を併発した患者 1 名とリンパ球減
少症および好中球数減少の各 1 名であった。これらの有害事象は重篤ではなく,治験薬との因果
関係は否定できないと判断された。3 名とも用量を減量した上で投与を継続し,その後,有害事
象は回復した。
予想されたとおり,白血球減少症+の発現頻度は化学療法群で高く,患者の半数近く(43.2%)が
治療期間中に白血球減少症+を発現した。白血球減少症+を発現した患者の 23.4%で grade 3,2.7%
で grade 4 であったが,1 名を除いてすべて回復した。重篤な有害事象と報告されたものはなかっ
た。白血球減少症+による減量または投与中止に至った患者の割合が小さかったのは(それぞれ
2.7%および 0.9%),白血球数が許容範囲内に戻るまで化学療法の次コースを延長できたことによ
ると考える。
Page 322
試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 35
白血球減少症+,その処置,転帰および発現までの期間(投与群別)- TS
Patients [N (%)]
1
Mean total time at risk [days]
+
Patients with leukopenia [N (%)]
2
Hazard ratio vs. chemotherapy (95% CI)
p-value (2-sided)
Afatinib
Chemotherapy
229 (100.0)
111 (100.0)
354.8
112.8
11 (4.8)
48 (43.2)
0.050 (0.023, 0.109)
<0.0001
Considered as drug-related
8 (3.5)
48 (43.2)
Reported as SAE
0 (0.0)
0 (0.0)
Recovered
9 (3.9)
47 (42.3)
Not recovered
2 (0.9)
1 (0.9)
Sequelae
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dose reduction
3 (1.3)
3 (2.7)
Permanent discontinuation
0 (0.0)
1 (0.9)
Therapy required
1 (0.4)
10 (9.0)
Grade 1
4 (1.7)
8 (7.2)
Grade 2
3 (1.3)
11 (9.9)
Grade 3
4 (1.7)
26 (23.4)
Grade 4
0 (0.0)
3 (2.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
Day 1 to 14
0 (0.0)
8 (7.2)
Day 15 to 28
1 (0.4)
13 (18.9)
Day 29 to 84
4 (2.2)
20 (39.4)
>Day 84
6 (6.3)
7 (49.5)
+
Outcome of leukopenia [N (%)]
Fatal
+
Clinical consequences of leukopenia [N (%)]
+
Patients with leukopenia by worst CTCAE Grade [N (%)]
Grade 5
3
Time to first onset by category [N (%)]
1)Time at risk(リスク期間):(最終投与日- 投与開始日)+ 1 日 + 投与後 28 日間
2)白血球減少症+の初回発現のハザード比は投与群を唯一の因子とする Cox 回帰より算出,p 値はログランク検
定より算出。
3)各期間中に白血球減少症+を初回発現した患者数(Kaplan-Meier 推定量によるリスク期間終了までの有害事象
発現の累積発現率)。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.2.2.3.4: 1
・ニューロパチー
ニューロパチー+の発現率,その処置,転帰および発現までの期間を表 6.1: 36 に示す。アファチ
ニブ群では患者の 10.9%がニューロパチー+を発現した。ニューロパチー+の MedDRA 標準検索式
から特定された,最もよくみられた有害事象は,手または足および足指のしびれで,これらは基
本語で感覚鈍麻であった(4.4%)。次いでみられたのが末梢性ニューロパチーおよび感覚ニュー
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 323
試験 1200.32
ロパチー(各 1.7%)およびチクチクする感じ/ピリピリ感として報告された有害事象(1.7%,基
本語で錯感覚)であった。ニューロパチー+の発現に顕著な頻発やパターンはみられなかった。治
験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断したニューロパチー+は患者の 3.9%にみ
られた。ニューロパチー+を発現した大半の患者において,発現は投与開始から 84 日以降にみら
れた。さらに,多くの患者で grade 1 または grade 2 であった。Grade 3 および grade 4 のニューロ
パチー+を発現した患者は 1 名ずつであった。1 名は grade 4 の両脚衰弱が Day 1 に始まり,治験
薬との因果関係は否定された。他の 1 名は grade 3 の筋力低下を発現し,治験薬との因果関係は否
定され,アファチニブの用量は変更されなかった。ニューロパチー+による減量または投与中止は
なかった。
化学療法群では 19.8%の患者がニューロパチー+を発現した。よくみられた基本語は感覚鈍麻およ
び末梢性感覚ニューロパチー(各 4.5%)であった。多くの患者(16/22 名)で治験薬との因果関
係が否定できないと判断された。大半が grade 1 で,grade 3 は 1 名,grade 4 はなかった。ニュー
ロパチー+による減量または投与中止はなかった。
Page 324
試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 36
ニューロパチー+,その処置,転帰および発現までの期間(投与群別)- TS
Patients [N (%)]
1
Mean total time at risk [days]
+
Patients with neuropathy [N (%)]
2
Hazard ratio vs. chemotherapy (95% CI)
p-value (2-sided)
Afatinib
Chemotherapy
229 (100.0)
111 (100.0)
354.8
112.8
25 (10.9)
22 (19.8)
0.222 (0.113, 0.436)
<0.0001
Considered as drug-related
9 (3.9)
16 (14.4)
Reported as SAE
0 (0.0)
1 (0.9)
Recovered
13 (5.7)
11 (9.9)
Not recovered
7 (3.1)
11 (9.9)
Unknown
4 (1.7)
0 (0.0)
Sequelae
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dose reduction
0 (0.0)
0 (0.0)
Permanent discontinuation
0 (0.0)
0 (0.0)
Therapy required
6 (2.6)
4 (3.6)
Grade 1
20 (8.7)
19 (17.1)
Grade 2
3 (1.3)
2 (1.8)
Grade 3
1 (0.4)
1 (0.9)
Grade 4
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Day 1 to 14
3 (1.3)
2 (1.8)
Day 15 to 28
1 (1.7)
0 (0.0)
Day 29 to 84
4 (3.6)
7 (9.0)
17 (16.5)
13 (30.0)
+
Outcome of neuropathy [N (%)]
Fatal
+
Clinical consequences of neuropathy [N (%)]
+
Patients with neuropathy by worst CTCAE Grade [N
(%)]
Grade 5
3
Time to first onset by category [N (%)]
>Day 84
1)Time at risk(リスク期間):(最終投与日- 投与開始日)+ 1 日 + 投与後 28 日間
2)ニューロパチー+の初回発現のハザード比は投与群を唯一の因子とする Cox 回帰より算出,p 値はログランク
検定より算出
3)各期間中にニューロパチー+を初回発現した患者数(Kaplan-Meier 推定量によるリスク期間終了までの有害事
象発現の累積発現率)
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.2.2.3.5: 1
Page 325
試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
・間質性肺疾患様事象
ILD の MedDRA 標準検索式から特定された間質性肺疾患様事象はアファチニブ群で 7 名に発現し,
化学療法群ではみられなかった。7 名のうち 3 名で治験薬との因果関係が否定できないと判断さ
れた。1 名は 57 歳の日本人男性で,grade 1 の ILD を発現し(Day 126 に発現,同時にアファチニ
ブの投与を中止した),アファチニブ投与中止後に回復した。1 名は 66 歳の日本人女性で,肺炎
の基礎疾患を有し,Day 43 に CT スキャンで grade 3 の ILD と診断されたが,アファチニブの投
与中止,抗生剤およびステロイドによる治療により回復した。他の 1 名は 56 歳のタイ人女性で,
急性呼吸器窮迫症候群を発現した。この患者(患者 3701012)の詳細は「死亡の項」に記載して
いる。
計 4 名がアファチニブとの因果関係がないと判断された間質性肺疾患様事象を発現した。1 名は
grade 1 の放射線性肺臓炎,1 名は grade 2 の肺浸潤,1 名は grade 2 の肺臓炎であった。他の 1 名
は 66 歳の台湾人女性で,肺炎(アファチニブ投与中止の 7 日後に発現)が進行し,深刻なショッ
クおよび多臓器不全を伴う致死性の急性呼吸窮迫症候群を発現した。
アファチニブ 40 mg から 50 mg に増量した患者における有害事象
アファチニブの投与量を 40 mg から 50 mg に増量した患者における,発現率 20%超の有害事象を
表 6.1: 37 に示す。アファチニブ群全体の有害事象プロファイルと同様,よくみられた有害事象は
下痢(93.8%),発疹/ざ瘡+(81.3%)および口内炎+(62.5%)であった。これらは発現率が高い
grade 3 の有害事象でもあった(それぞれ 12.5%,31.3%および 18.8%)。Grade 3 の有害事象を発現
した患者の割合は,アファチニブ群全体(51.1%)よりも用量増量群で高かった(68.8%)が,用
量増量群では grade 4 または grade 5 の有害事象はみられなかった。
表 6.1: 37
発現率 20%超の有害事象(最も重い CTCAE grade,グループ用語および基本
語別)- 40 mg から 50 mg に用量増量群 - TS
Patients
Patients with AEs
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)+
Stomatitis(口内炎)+
Nail effect(爪の異常)+
Dry skin(皮膚乾燥)
Fatigue(疲労)+
All Grades
N (%)
16 (100.0)
16 (100.0)
15 (93.8)
13 (81.3)
10 (62.5)
7 (43.8)
4 (25.0)
4 (25.0)
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.2.2.4: 1
Afatinib dose escalation from 40 mg to 50 mg
Grade 3
Grade 4
N (%)
N (%)
16 (100.0)
16 (100.0)
11 (68.8)
0 (0.0)
2 (12.5)
0 (0.0)
5 (31.3)
0 (0.0)
3 (18.8)
0 (0.0)
2 (12.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (6.3)
0 (0.0)
Grade 5
N (%)
16 (100.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Page 326
試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
治療期間終了後における有害事象
治験薬の最終投与後 28 日以降に発現した有害事象については,治験責任医師が治験薬または医学
処置との因果関係を否定できないと判断したもののみを報告することとした。Grade 3 以上の有害
事象が報告された患者数は少なかった。重篤な有害事象は 6 名で報告され,多くは入院によるも
のであった。
死亡,その他の重篤な有害事象
死亡
治療期間中または治療期間終了後に発現した致死的な有害事象の概略を表 6.1: 38 に示す。治療期
間中に発現した致死的な有害事象はアファチニブ群の 5.7%にみられた。また,アファチニブ群の
1 名で投与中止 28 日超以降に発現した敗血症による死亡は重篤な有害事象として報告された。化
学療法群では 2.7%の患者が致死的な有害事象を発現し,治療期間終了後に重篤な有害事象として
報告された死亡例はなかった。
表 6.1: 38
治療期間中または追跡調査期間中に発現した致死的有害事象 - TS
Afatinib
Chemotherapy
N (%)
N (%)
229 (100.0)
111 (100.0)
14 (6.1)
3 (2.7)
During the on-treatment period
13 (5.7)
3 (2.7)
During the post-study period2
1 (0.4)
0 (0.0)
Patients
Patients with fatal AEs
1
1)治験薬の投与開始後から投与終了 28 日後までに発現した有害事象を治療期間中の有害事象とした。
2)投与終了 28 日後以降に発現した有害事象は治療期間終了後の有害事象とした。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.3.1: 1
治療期間中に発現した致死的な有害事象の発現頻度を表 6.1: 39 に示す。報告された基本語に基づ
き,治療期間中の死亡は,感染症により死亡したアファチニブ群の 2 名および原因不明の理由(基
本語は「死亡」)により死亡したアファチニブ群の 2 名と化学療法群の 1 名を除き,すべて基礎疾
患である癌に起因するものと判断できた。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 39
治療期間中に発現した致死的な有害事象(投与群,主要器官別大分類および基
本語別)- TS
Afatinib
Chemotherapy
N (%)
N (%)
229 (100.0)
111 (100.0)
Patients with fatal AEs
13 (5.7)
3 (2.7)
Infections and infestations(感染症および寄生虫症)
2 (0.9)
0 (0.0)
Pneumonia(肺炎)
1 (0.4)
0 (0.0)
Sepsis(敗血症)
1 (0.4)
0 (0.0)
4 (1.7)
1 (0.9)
Neoplasm malignant(悪性新生物)
1 (0.4)
1 (0.9)
Metastases to central nervous system(中枢神経系転移)
1 (0.4)
0 (0.0)
Metastases to meninges(髄膜転移)
1 (0.4)
0 (0.0)
Neoplasm progression(新生物進行)
1 (0.4)
0 (0.0)
3 (1.3)
1 (0.9)
Acute respiratory distress syndrome(急性呼吸窮迫症候群)
2 (0.9)
0 (0.0)
Dyspnoea(呼吸困難)
1 (0.4)
1 (0.9)
4 (1.7)
1 (0.9)
Death(死亡)
2 (0.9)
1 (0.9)
Disease progression(疾患進行)
2 (0.9)
0 (0.0)
Patients
Neoplasm benign, malignant and unspecified (including cysts and polyps)
(良性,悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む))
Respiratory, thoracic and mediastinal disorders
(呼吸器,胸郭および縦隔障害)
General disorders and administration site conditions
(一般・全身障害および投与部位の状態)
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.3.1: 2
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
致死的な有害事象の詳細を表 6.1: 40 に示す。
表 6.1: 40
Patient
治療期間中に致死的な有害事象を発現した患者(投与群別)- TS
Age
Gender
Fatal adverse event
Onset1
[years]
Actual treatment at
the time of onset
of the AE
Afatinib arm
4305015
60
Female
Pneumonia(肺炎)
2
259
Afatinib 30 mg
3502005
75
Female
Sepsis (敗血症)
80
Post-treatment
3701041
49
Female
Metastases to central nervous system
520
Post-treatment
(中枢神経系転移)
4306001
49
Male
Metastases to meninges(髄膜転移)
358
Afatinib 40 mg
4807002
43
Female
Neoplasm malignant(悪性新生物)
139
Post-treatment
2302001
73
Male
Neoplasm progression(新生物進行)
44
Post-treatment
3602028
66
Female
Acute respiratory distress syndrome
29
Post-treatment
11
Afatinib 40 mg
6
Afatinib 40 mg
104
Post-treatment
Death (死亡)
118
Afatinib 20 mg
(急性呼吸窮迫症候群)
3701012
56
Female
Acute respiratory distress syndrome2
(急性呼吸窮迫症候群)
3701009
75
Male
Dyspnoea2(呼吸困難)
3701022
47
Male
Death(死亡)
2
3701057
66
Female
2711009
46
Male
Disease progression(疾患進行)
129
Afatinib 40 mg
4803003
70
Male
Disease progression(疾患進行)
33
Post-treatment
Neoplasm malignant(悪性新生物)
134
Post-treatment
Chemotherapy arm
3402013
66
Male
3503005
46
Female
Dyspnoea(呼吸困難)
34
Post-treatment
5503001
72
Female
Death(死亡)
71
Post-treatment
1)Day of onset(発現日)は治療開始日から数えた日数。
2)治験責任医師の判断による治験薬との因果関係が否定できない有害事象。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.3.1: 3
・アファチニブ群で治験薬との因果関係が否定できない致死的な有害事象を発現した患者の叙述
患者 3502005(75 歳,アジア人,女性,フィリピンで登録):アファチニブ投与開始後の Day 8
より下痢を発現,Day 77 に脱水のため入院。入院時の下痢は grade 3 であった。入院の翌日にア
ファチニブの投与を中止した。入院 2 日後に,下痢は grade 3 のままであったが,下痢の量は減少
し,患者の状態は改善したため,希望により退院した。その 2 日後,呼吸困難および重度の疼痛
のため再度入院し,低血圧,低酸素状態および脱水が認められた。再入院の日(アファチニブの
永続的な投与中止の 3 日後)に患者は死亡した。最終診断は敗血症であった。血液培養結果はな
く,剖検は実施されなかった。死亡時の合併症は,下痢,粘膜炎,口唇炎,高カリウム血症およ
び食欲不振であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.32
患者 3701009(75 歳,アジア人,男性,タイで登録):アファチニブ 40 mg を投与中に致死的な
有害事象の呼吸困難を発現した。治験責任医師によると,ベースライン時の胸部 CT で左胸膜小
節,舌区に境界不鮮明結節影および右上肺野と右下肺野の後部に斑状陰影(誤嚥が示唆された)
を認めた。呼吸困難は Day 6 に発現し,栄養障害,粘膜炎,急性貧血および胸水を併発した。有
害事象の発現時には胸部 X 線写真で左下肺野に進行性の小房状化浸出液および右肺の網状-斑状
浸潤の顕著な増加がみられた。肺感染の根拠は明確でなかったが,治験責任医師は感染の治療が
必要と考えた。胸腔穿刺による 1000 mL の吸引を実施した。アファチニブは Day 7 に投与中止さ
れた。3 日後,患者の妻がさらなる積極的治療を辞退し,患者は退院し,自宅で死亡した。
患者 3701012(56 歳,アジア人,女性, タイで登録)
:アファチニブ 40 mg を投与中に急性呼吸窮
迫症候群のため死亡した。心臓および肺の疾患の既往歴,または肺照射の治療歴はなかった。ア
ファチニブ 40 mg の投与開始から 11 日後に呼吸困難のため入院した。胸部 CT でスリガラス陰影
および硬化が,気管支鏡検査で主気管支およびその支流に軽度な炎症が認められ,気管支洗浄お
よび肺生検では微生物の増殖はみられず,肺間質における繊維化増加および硝子膜がみられた。
最終の胸部 X 線では急性呼吸窮迫症候群と一貫性がある両側性の斑状浸潤がみられた。患者は急
性呼吸窮迫症候群の発現 34 日後およびアファチニブ投与中止 33 日後に死亡した。
患者 3701057(66 歳,アジア人,女性,タイで登録):アファチニブ 20 mg 投与中に死亡した。
報告された用語は「原因不明の死亡」で,アファチニブの投与開始後の Day 118 に発現した。患
者は突発性の呼吸困難を伴う胸苦しさを自宅で発現した。状態は急速に悪化し,患者は自宅で死
亡した。剖検は実施されなかった。死亡時に発現していた有害事象は,皮膚乾燥,爪囲炎,貧血
および疲労であった(いずれも grade 1)。
重篤な有害事象
発現率が 1%超の重篤な有害事象を表 6.1: 41 に示す。重篤な有害事象はアファチニブ群の 28.8%
で報告された。最も多かった重篤な有害事象は下痢(6.6%)で,次いで嘔吐(4.8%)であった。
その他の重篤な有害事象の発現率は 2%未満であった。重篤な下痢および嘔吐で多かった CTCAE
grade は grade 3 で,grade 4 はみられなかった。アファチニブ群の 6 名(2.6%)で grade 4 の有害
事象が報告されたが,そのうちの 3 名が低カリウム血症であった。3 名中 2 名では低カリウム血
症は下痢と関連し,また 3 名中 2 名では治験薬との因果関係が否定できないと判断された。アフ
ァチニブの胃腸への影響(粘膜炎や下痢など)に起因する他の重篤な有害事象もみられ,これら
は脱水(3 名),急性腎前性腎不全(1 名)および低ナトリウム血症(1 名)であった。アファチ
ニブ群の 1 名で「肝機能検査異常」の重篤な有害事象がみられた。この患者(患者 3102009)の
叙述は「臨床検査値 Potential Hy’s law の患者」項に記載している。
化学療法群では 22.5%の患者が重篤な有害事象を発現した。多かったのは嘔吐,疲労+および胸水
(各 2.7%)であった。Grade 4 の重篤な有害事象は 3.6%の患者に発現した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 41
治療期間中に患者の 1%超で発現した重篤な有害事象(投与群,最も重い
CTCAE grade,グループ用語および基本語別)- TS
Afatinib
Chemotherapy
All Grades
Grade 3
Grade 4
All Grades
Grade 3
Grade 4
N (%)
N (%)
N (%)
N (%)
N (%)
N (%)
229 (100.0)
229 (100.0)
229 (100.0)
111 (100.0)
111 (100.0)
111 (100.0)
Patients with SAEs
66 (28.8)
33 (14.4)
6 (2.6)
25 (22.5)
14 (12.6)
4 (3.6)
Diarrhoea(下痢)
15 (6.6)
13 (5.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Vomiting(嘔吐)
11 (4.8)
8 (3.5)
0 (0.0)
3 (2.7)
1 (0.9)
0 (0.0)
Dyspnoea(呼吸困難)
4 (1.7)
2 (0.9)
0 (0.0)
2 (1.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
Fatigue(疲労)+
4 (1.7)
2 (0.9)
0 (0.0)
3 (2.7)
2 (1.8)
0 (0.0)
Hypokalaemia
4 (1.7)
0 (0.0)
3 (1.3)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
Dehydration(脱水)
3 (1.3)
2 (0.9)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
1 (0.9)
Metastases to central
3 (1.3)
2 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Pneumonia(肺炎)
3 (1.3)
0 (0.0)
1 (0.4)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
Stomatitis(口内炎)+
3 (1.3)
3 (1.3)
0 (0.0)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
Neoplasm malignant
2 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (1.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
Pleural effusion(胸水)
2 (0.9)
2 (0.9)
0 (0.0)
3 (2.7)
1 (0.9)
0 (0.0)
Anaemia(貧血)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (1.8)
0 (0.0)
1 (0.9)
Nausea(悪心)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (1.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
Patients
(低カリウム血症)
nervous system
(中枢神経系転移)
(悪性新生物)
SAE:重篤な有害事象
CTCAE grade 5 の有害事象は,アファチニブ群の 13 名(5.7%)および化学療法群の 3 名(2.7%)に発現した。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.3.2: 1
・治験薬との因果関係が否定できない重篤な有害事象
アファチニブ群では重篤な有害事象を発現した患者の半数(アファチニブ群の 14.4%)で,化学
療法群では重篤な有害事象を発現した患者の約 2/3(化学療法群の 14.4%)で,その重篤な有害事
象が治験薬との因果関係が否定できないと判断された。両投与群ともに,因果関係が否定できな
い重篤な有害事象は全体(因果関係を問わない)で発現した重篤な有害事象と類似しており,よ
くみられたのは,アファチニブ群では下痢(6.6%)および嘔吐(3.5%)で,化学療法群では嘔吐
および疲労+(各 2.7%)であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 331
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その他の重要な有害事象
減量または永続的な投与中止に至った有害事象について記載する。
・投与中止に至った有害事象
治験薬の永続的な投与中止に至った有害事象は,アファチニブ群で患者の 14.0%で発現し,発現
率が 1.0%超であった唯一の基本語またはグループ用語は下痢であった。化学療法群では投与中止
に至った有害事象は患者の 15.3%に発現した。
治験薬との因果関係が否定できない永続的な投与中止に至った有害事象を表 6.1: 42 に示す。アフ
ァチニブ群では,18 名(7.9%)で治験薬との因果関係が否定できない投与中止に至った有害事象
が発現した。2 名以上に発現した治験薬との因果関係が否定できない投与中止に至った有害事象
は,下痢(3 名,1.3%),間質性肺疾患および爪の異常+(各 2 名[0.9%])であった。その他の治
験薬との因果関係が否定できない投与中止に至った有害事象は各 1 名に発現し,明らかな傾向は
みられなかった。発疹によるアファチニブの投与中止はなかった。
器官別大分類別でも治験薬との因果関係が否定できない投与中止に至った有害事象の種類や傾向
はみられなかった。よくみられた治験薬との因果関係が否定できない投与中止に至った器官別大
分類別の有害事象は,呼吸器,胸郭および縦隔障害,胃腸障害(各 1.7%)ならびに感染症および
寄生虫症(1.3%)であった。これらは治験薬との因果関係を問わず,投与中止に至った有害事象
でよくみられた器官別大分類別の有害事象でもあった(それぞれ 3.1%,1.7%および 2.2%)。
化学療法群では 11.7%の患者で治験薬との因果関係が否定できない投与中止に至った有害事象が
発現した。治験薬との因果関係が否定できない投与中止に至った有害事象で最もよくみられたの
は疲労+(2.7%)で,それ以外は各 1 名に発現し,明らかな傾向はみられなかった。その結果,器
官別大分類別の有害事象では一般・全身障害および投与部位の状態が多く(2.7%),3 名以上で発
現した治験薬との因果関係が否定できない投与中止に至った有害事象はなかった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 42
治験薬との因果関係が否定できない永続的な投与中止に至った有害事象(投与
群,最も重い CTCAE grade,グループ用語および基本語別)- TS
All Grades
N (%)
Afatinib
Grade 3
N (%)
Grade 4
N (%)
All Grades
N (%)
Chemotherapy
Grade 3
N (%)
Grade 4
N (%)
229 (100.0)
229 (100.0)
229 (100.0)
111 (100.0)
111 (100.0)
111 (100.0)
Patients with drug-related AEs
leading to treatment discontinuation
18 (7.9)
8 (6.1)
1 (0.4)
13 (11.7)
4 (3.6)
2 (1.8)
Diarrhoea(下痢)
3 (1.3)
2 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Interstitial lung disease
(間質性肺疾患)
2 (0.9)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Nail effect(爪の異常)+
2 (0.9)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Acute respiratory distress syndrome
(急性呼吸窮迫症候群)
1 (0.4)
0 (0.0)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Blood bilirubin increased
(血中ビリルビン増加)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Death(死亡)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Decreased appetite(食欲減退)
1 (0.4)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Patients
Dyspnoea(呼吸困難)
1 (0.4)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Herpes zoster(帯状疱疹)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Mitral valve incompetence
(僧帽弁閉鎖不全症)
1 (0.4)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Neoplasm malignant(悪性新生物)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Ocular effect(眼の障害)+
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Ocular surface disease
(オキュラーサーフェス疾患)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Pancreatitis acute(急性膵炎)
1 (0.4)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Alanine aminotransferase increased
(アラニン・アミノトランスフェ
ラーゼ増加)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
Atrial fibrillation(心房細動)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
1 (0.9)
Blood creatinine increased
(血中クレアチニン増加)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
Epistaxis(鼻出血)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
Fatigue(疲労)
+
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (2.7)
1 (0.9)
0 (0.0)
Myocardial infarction(心筋梗塞)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
1 (0.9)
Nausea(悪心)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
Neutropenia(好中球減少症)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
Renal impairment(腎機能障害)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
Schizophreniform disorder
(統合失調症様障害)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
Syncope(失神)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
1 (0.9)
Thrombosis(血栓症)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
Weight decreased(体重減少)
0 (0.0)
0 (0.0)
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.3.3.1: 1
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
Page 333
試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
・減量に至った有害事象
減量に至った有害事象のうち発現率が 1%超のものを表 6.1: 43 に示す。本試験では,事前に規定
した特定の有害事象が発現した場合はアファチニブ投与を中断し減量して再開することとした。
アファチニブ群では 57.2%の患者が用量を減量した。減量に至った有害事象の多くが grade 3 で,
2 名では grade 4 であった。アファチニブ群全体の有害事象のプロファイルと同様に,減量に至っ
た有害事象で多かったのは,下痢(19.7%),発疹/ざ瘡+(19.2%)および爪の異常+(13.5%)で
あった。
化学療法群では患者の 16.2%が減量に至った有害事象を発現し,その多くが grade 3 で,1 名が
grade 4 であった。
表 6.1: 43
減量に至った発現率 1%超の有害事象(投与群,最も重い CTCAE grade,グル
ープ用語および基本語別)- TS
Afatinib
Chemotherapy
All Grades
N (%)
Grade 3
N (%)
Grade 4
N (%)
All Grades
N (%)
Grade 3
N (%)
Grade 4
N (%)
Patients
229 (100.0)
229 (100.0)
229 (100.0)
111 (100.0)
111 (100.0)
111 (100.0)
Patients with AEs leading to dose
reduction
131 (57.2)
90 (39.3)
2 (0.9)
18 (16.2)
12 (10.8)
1 (0.9)
Diarrhoea(下痢)
45 (19.7)
24 (10.5)
0 (0.0)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
44 (19.2)
31 (13.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
31 (13.5)
22 (9.6)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
23 (10.0)
16 (7.0)
1 (0.4)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
Decreased appetite(食欲減退)
7 (3.1)
5 (2.2)
0 (0.0)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
Vomiting(嘔吐)
7 (3.1)
4 (1.7)
0 (0.0)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
Palmar-plantar erythrodysaesthesia
syndrome
(手掌・足底発赤知覚不全症候群)
4 (1.7)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
ALT increased(ALT 増加)
3 (1.3)
2 (0.9)
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
AST increased(AST 増加)
3 (1.3)
1 (0.4)
0 (0.0)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
GFR decreased(GFR 減少)
3 (1.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Nausea(悪心)
3 (1.3)
1 (0.4)
0 (0.0)
1 (0.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
3 (1.3)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
+
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
Nail effect(爪の異常)
+
Stomatitis(口内炎)+
Pruritus(そう痒症)
+
Fatigue(疲労)
2 (0.9)
1 (0.4)
0 (0.0)
6 (5.4)
6 (5.4)
0 (0.0)
Neutropenia(好中球減少症)
1 (0.4)
1 (0.4)
0 (0.0)
3 (2.7)
1 (0.9)
1 (0.9)
Renal failure(腎不全)
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (1.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
Anaemia(貧血)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (1.8)
1 (0.9)
0 (0.0)
Blood creatinine increased
(血中クレアチニン増加)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (1.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ,AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ,
GFR:糸球体濾過率
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.3.3.2: 1
Page 334
試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
臨床検査値
血液学的検査
・治療期間における最も重い CTCAE grade
治療期間中に血液学的検査値が grade 2 以上を示した患者を表 6.1: 44 に示す。アファチニブ群で
最もよくみられた grade 2 以上を示した血液学的検査値はリンパ球数で,grade 2 が 18.2%,grade 3
が 8.0%,grade 4 が 0.4%(1 名,0.2 × 109/L 未満)であった。また,10.7%の患者に grade 2 以上の
ヘモグロビン低値がみられた。白血球数,血小板数および好中球数の grade 2 以上の発現率は低か
った(4.0%以下)。
化学療法群では,血小板数を除いて grade 2 以上の血液学的検査値はいずれも 25%超で発現した。
ヘモグロビン低値および好中球数減少はそれぞれ 40%超の患者でみられ,grade 4 のヘモグロビン
低値(6.5 g/dL 未満)は 4.6%に,grade 4 の好中球数減少(0.5 × 109/L 未満)は 2.8%に認められた。
表 6.1: 44
治療期間中に CTCAE grade 2 以上を示した血液学的検査値(最も重い CTCAE
grade 別)- TS
Afatinib
1
N
Chemotherapy
Worst CTCAE Grade [N (%)]
Grade 2
Grade 3
Grade 4
1
N
Worst CTCAE Grade [N (%)]
Grade 2
Grade 3
Grade 4
Haemoglobin
225
18 (8.0)
6 (2.7)
0 (0.0)
108
39 (36.1)
7 (6.5)
5 (4.6)
WBC count
225
8 (3.6)
1 (0.4)
0 (0.0)
108
25 (23.1)
16 (14.8)
0 (0.0)
Platelets
225
1 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
108
3 (2.8)
3 (2.8)
0 (0.0)
Neutrophils
225
4 (1.8)
3 (1.3)
0 (0.0)
108
21 (19.4)
22 (20.4)
3 (2.8)
Lymphocytes
225
41 (18.2)
18 (8.0)
1 (0.4)
108
18 (16.7)
11 (10.2)
0 (0.0)
WBC:白血球
1)評価可能患者数(欠測値のない患者)。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.4.1: 1
・CTCAE grade の変動
アファチニブ群ではほとんどの患者(95%超)でベースラインおよび投与終了時のヘモグロビン
値は grade 0 または grade 1 であった。ヘモグロビン値の grade が治療期間中にベースラインから 2
以上変動した患者は 7 名であった。治療期間中にみられた最も重い grade は grade 3 であった(6
名,2.7%)。化学療法群でもアファチニブ群と同様,ほとんどの患者でベースラインのヘモグロ
ビン値は grade 0 または grade 1 であった。投与終了時には患者の 1/3(33.3%)が grade 2,3.7%が
grade 3 および 2.8%が grade 4 であった。
リンパ球数については,アファチニブ群で治療期間終了時に grade 2 以上を示した患者の割合は
8.9%であった。化学療法群で治療期間終了時に grade 2 以上を示した患者の割合は 13.9%であった。
治療期間中を通して,白血球数,好中球数および血小板数が低い grade から高い grade に移行した
患者数はアファチニブ群では少なかった。化学療法群では血小板数では低い grade から高い grade
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 335
試験 1200.32
への移行は少なかったが,白血球数および好中球数が grade 2 以上を示した患者数は治療期間中に
増加し,grade 2 以上を示した患者は,ベースラインではそれぞれ 1 名および 0 名であったのに対
し,投与終了時にはいずれも患者の 25%超であった。
肝機能検査および総ビリルビン
・治療期間における最も重い CTCAE grade 肝機能検査値が grade 2 以上であった患者数を表 6.1: 45
に,ALT または AST 上昇を示した患者を表 6.1: 46 に示す。アファチニブ群では患者の約 10%で
治療期間中に grade 2 以上の AST,ALT,またはアルカリフォスファターゼ(ALKP)の上昇がみ
られた。Grade 3 以上の上昇はそれぞれ 3%未満であった。
ALT が基準値上限の 5 倍超の上昇を示した患者の割合は両投与群で同程度であった(ハザード比
1.12,化学療法群 2 名およびアファチニブ群 8 名)。
ALT が基準値上限の 5 倍超の上昇を示したアファチニブ群の 8 名の患者では,ALT 上昇は一過性
で,ALT 上昇のために投与中止した患者はいなかった。この 8 名中 4 名では,ALT および AST
ともに基準値上限の 5 倍超に上昇した。AST が基準値の 5 倍超に上昇した患者は 6 名みられたが,
6 名中 2 名では ALT 基準値上限の 5 倍超の上昇は示さなかった。このうち 1 名は胆道閉塞を伴う
黄疸の有害事象を発現した患者であった。黄疸は疾患進行に起因すると考えられた。AST 上昇は
疾患進行のためにアファチニブを投与中止した 9 日後に発現した。もう 1 名の患者(患者 3102009)
の叙述は「臨床検査値」の「Potential Hy’s law の患者」項に記載している。
アファチニブ群では 5.3%の患者が grade 2 以上のビリルビン上昇を示し,
このうちの 1 名は grade 4
であった(基準値上限の 10.0 倍超)
。
化学療法群では grade 2 以上の肝酵素上昇を示した患者は少なく,grade 2 以上のビリルビン値上
昇はみられなかった。
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試験 1200.32
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 45
肝機能検査値が CTCAE grade 2 以上を示した患者(最も重い CTCAE grade
別)- TS
Afatinib
N1
Chemotherapy
Worst CTCAE Grade [N (%)]
Grade 2
Grade 3
Grade 4
N1
Worst CTCAE Grade [N (%)]
Grade 2
Grade 3
Grade 4
AST
225
14 (6.2)
6 (2.7)
0 (0.0)
107
0 (0.0)
1 (0.9)
0 (0.0)
ALT
225
19 (8.4)
4 (1.8)
0 (0.0)
108
4 (3.7)
1 (0.9)
0 (0.0)
ALKP
222
20 (9.0)
5 (2.3)
0 (0.0)
107
2 (1.9)
1 (0.9)
0 (0.0)
TBili
225
9 (4.0)
2 (0.9)
1 (0.4)
107
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
ALKP:アルカリホスファターゼ,ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ,AST:アスパラギン酸アミノトラ
ンスフェラーゼ,TBili:総ビリルビン
1)評価可能患者数(欠測値のない患者)
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.4.2: 1
表 6.1: 46
ALT または AST 上昇を発現した患者(投与群別)- TS
Afatinib
Chemotherapy
Patients [N (%)]
229 (100.0)
111 (100.0)
Maximum ALT
>3×ULN and ≤5×ULN
15 (6.6)
3 (2.7)
>5×ULN and ≤10×ULN
6 (2.6)
1 (0.9)
>10×ULN and ≤20×ULN
2 (0.9)
1 (0.9)
>20×ULN
0 (0.0)
0 (0.0)
Maximum ALT >5×ULN
8 (3.5)
2 (1.8)
Hazard ratio vs. chemotherapy (95% CI)1
1.12 (0.23, 5.52)
p-value (2-sided)
0.8848
Maximum AST
>3×ULN and ≤5×ULN
10 (4.4)
0 (0.0)
>5×ULN and ≤10×ULN
5 (2.2)
0 (0.0)
>10×ULN and ≤20×ULN
1 (0.4)
1 (0.9)
>20×ULN
0 (0.0)
0 (0.0)
Maximum AST >5×ULN
6 (2.6)
1 (0.9)
Hazard ratio vs. chemotherapy (95% CI)1
1.68 (0.19, 14.78)
p-value (2-sided)
0.6377
ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ,AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ,ULN:基準値上
限
1)ハザード比は Cox 回帰より算出,p 値はログランク検定より算出
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.4.2: 2
・CTCAE grade の変動
AST,ALT および ALKP の値はアファチニブ群では患者の 90%超がベースラインで grade 0 また
は grade 1 で,投与終了時にもいずれの項目も同程度であった。しかし,AST および ALT が grade 1
の患者の割合はベースラインよりも投与終了時の方が多かった。化学療法群では,肝機能検査値
における grade 別の患者分布は,ベースラインではアファチニブ群と同様で,投与終了時に明ら
かな変動はみられなかった。総ビリルビンがベースラインから投与終了時に悪化した患者数はア
ファチニブ群(8 名)および化学療法群(0 名)ともに少なかった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
・Potential Hy’s law の患者
治験薬との因果関係が否定できない肝損傷の発現の可能性を検討するため,AST または ALT が基
準値上限の 3 倍超の上昇および ALKP が基準値上限の 2 倍未満の上昇かつ総ビリルビンが基準値
上限の 2 倍超の上昇を示した患者について検討した。AST,ALT および ALKP が同日測定である
こと,また,総ビリルビンが基準値上限の 2 倍超の患者は,AST/ALT 上昇の前後 30 日以内の測
定値であることとした。これらの基準に該当する患者がアファチニブ群で 1 名みられたため,そ
の詳細を記載する。
患者 3102009(62 歳,女性,香港):アファチニブによる治療を 20
年 2 月 22 日に開始した。
Day 170 に心窩部痛および吐き戻しを発現し入院を必要とした。翌日の臨床検査では総ビリルビ
ンが 55 µmol/L(基準値 4~23,grade 2),ALP が 213 U/L(基準値 47~124,grade 1),ALT が 195 U/L
(基準値 8~45,grade 2)および AST が 1085 U/L(基準値 15~37,grade 4)であった。同年*
8
月に胆嚢炎と診断され,腹部 CT を実施したところ,肉眼では正常で,当該肝病変の大きさに顕
著な変化はみられなかった。3 日後の臨床検査では,総ビリルビンが 13 µmol/L,ALP が 158 U/L,
ALT が 48 U/L,AST が 35 U/L およびアミラーゼが 80 U/L(基準値 25~124)であった。さらに 2
日後の臨床検査では総ビリルビンが 11 µmol/L,ALP が 118 U/L,ALT が 31 U/L および AST が
33 U/L であった。矯正治療は実施しなかった。診断は肝機能検査値異常で,患者は回復した。治
験責任医師はアファチニブの用量の変更は行わず継続することを確認した。
さらに,AST または ALT の基準値の 3 倍超の上昇かつ ALKP の基準値上限の 2 倍未満を示した
患者の割合は,アファチニブ群で 8%,化学療法群で 2.8%であった。治験薬投与開始後の Day 168
(化学療法の第 6 コースの完了時点)までに ALT または ALT の上昇が基準値上限の 3 倍超かつ
ALKP が基準値上限の 2 倍未満の患者の割合は,アファチニブ群で 3.9%,化学療法群で 3.7%で
あった。Day 168 後は,治療を継続したアファチニブ群のみについて観察を続けた。これらの上
昇の発現までの期間に明らかな傾向はみられなかった。
・肝関連の有害事象
器官別大分類の別有害事象で肝胆道系障害を発現した患者の割合はアファチニブ群で 5.2%であ
った。Grade 3 および grade 4 が 1 名ずつで,それぞれ急性胆嚢炎および黄疸であった。いずれも
治験薬との因果関係は否定されたが,入院または入院期間の延長を必要としたために重篤な有害
事象とされた。黄疸は確認された疾患進行に起因すると考えられた。また,アファチニブ群の 2
名が AST 増加または ALT 増加による grade 3 の有害事象を,さらに 2 名の患者が AST 増加およ
び ALT 増加の両方に起因する有害事象を発現した。このうち 2 名では治験責任医師によって治験
薬との因果関係が否定できないと判断された。前述したように,肝酵素上昇は一過性で,アファ
チニブによる治療は継続された(場合によっては減量して継続)。全患者が回復した。
化学療法群では器官別大分類別の有害事象で grade 3 以上の肝胆道系障害を発現した患者はいな
かった。1 名が AST 増加による有害事象を発現し,治験薬との因果関係が否定できないと考えら
れた。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
他の生化学検査値(酵素,基質および電解質)
・治療期間における最も重い CTCAE grade
治療期間中の grade 2 以上の生化学検査値を表 6.1: 47 に示す。ナトリウム,カリウム,クレアチ
ニン,糸球体濾過率(GFR)およびクレアチンホスホキナーゼ(CPK)について検討したところ,
アファチニブ群で最もよくみられた grade 2 以上を示した生化学検査値は GFR
(16.9%)であった。
Grade 3 および grade 4 を示した患者が多かったのはナトリウムおよびカリウムであった(それぞ
れ患者の 6.3%および 8.5%)。クレアチニン,GFR および CPK 値が grade 3 を示した患者は少なく
grade 4 を示した患者はいなかった。この状況はアファチニブ群の胃腸障害の有害事象と一貫性が
あった。
化学療法群では,ナトリウム,カリウム,クレアチニン,GFR および CPK の値が grade 2 以上を
示した患者の割合は全般的に少なかった。Grade 3 の患者も少なく,grade 4 の患者はいなかった。
ただし,1/5 以上の患者(22.4%)が grade 2 以上の GFR 値を示した。
表 6.1: 47
生化学検査値が CTCAE grade 2 以上を示した患者(最も重い CTCAE grade
別)- TS
Afatinib
1
N
Chemotherapy
Worst CTCAE Grade [N (%)]
Grade 2
Grade 3
Grade 4
1
N
Worst CTCAE Grade [N (%)]
Grade 2
Grade 3
Grade 4
Sodium
224
NA
11 (4.9)
3 (1.3)
108
NA
4 (3.7)
0 (0.0)
Potassium
224
NA
13 (5.8)
6 (2.7)
107
NA
2 (1.9)
0 (0.0)
Creatinine
225
5 (2.2)
2 (0.9)
0 (0.0)
107
4 (3.7)
1 (0.9)
0 (0.0)
GFR
225
33 (14.7)
5 (2.2)
0 (0.0)
107
23 (21.5)
1 (0.9)
0 (0.0)
CPK
208
11 (5.3)
1 (0.5)
0 (0.0)
96
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
NA:該当なし,CPK:クレアチンホスホキナーゼ,GFR:糸球体濾過率
1)評価可能患者数(欠測値のない患者)
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.4.3: 1
・CTCAE grade の変動
酵素または基質に関し,ベースラインおよび投与終了時に基準値範囲外の値を示した患者の割合
を比較したところ,ナトリウム,カリウム,クレアチニンおよび CPK ではいずれの投与群でも顕
著な変化はみられなかった。GFR 値が基準値範囲外であった患者数はベースラインから投与終了
時にかけて両投与群ともに増加した。
バイタルサイン,身体所見および安全性に関連する他の観察項目
バイタルサイン
バイタルサイン(収縮期および拡張期血圧,脈拍数,呼吸数および体温)の平均値はベースライ
ンから治療期間を通して両投与群とも安定していた。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
身体的所見および安全性に関連するその他の観察項目
QTcF の平均値はいずれの投与群でも臨床的に問題となる変化を示さなかった。投与終了時に
QTcF を測定した患者における QTcF 値のベースラインからの平均変化量は,アファチニブ群の
57 名で 2.0 ms で,化学療法群の 15 名で-0.5 ms であった。
ECG に追加して,試験期間中に左室駆出率(LVEF)も定期的に測定した(スクリーニング時,
第 4 コース Day 1,その後 3 コースごとおよび投与終了時)
。LVEF の測定は化学療法群では必須
としなかった。いずれの投与群でも,LVEF はベースラインから投与終了時までに顕著な変化を
示さなかった(表 6.1: 48)。
表 6.1: 48
左室駆出率(LVEF)の要約(投与群別)- TS
Patients [N]
Baseline LVEF [%]
N
Mean (StD)
Minimum on-treatment LVEF [%]
N
Mean (StD)
N
% change from baseline to minimum value, mean (StD)
Last on-treatment LVEF [%]
N
Mean (StD)
N
% change from baseline to last value, mean (StD)
治療期は治験薬の初回投与から最終投与の 28 日後まで。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.5.2: 1
Afatinib
229
Chemotherapy
111
227
66.0 (6.9)
110
66.6 (8.0)
210
62.6 (6.3)
208
-4.9 (10.0)
15
68.9 (10.6)
15
-1.1 (15.3)
210
67.3 (7.0)
208
2.2 (11.4)
15
68.9 (10.6)
15
-1.1 (15.3)
重要な LVEF 低下を,ベースラインから 20%以上の減少かつ実施施設における基準値下限より低
値(基準値下限がない場合は 50%とした)と定義した。アファチニブ群の 3 名(評価を実施した
患者の 1.4%)および化学療法群の 1 名(評価を実施した患者の 6.7%)が,その定義に該当した。
重要な LVEF 低下を発現した患者の要約を表 6.1: 49 に示す。
Page 340
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.1: 49
重要な LVEF 低下を発現した患者(投与群別)- TS
Afatinib
LVEF events1
Chemotherapy
Observed
Significant
Observed
Significant
[N (%)]
[N (%)]
[N (%)]
[N (%)]
Anytime on-treatment
208 (100.0)
3 (1.4)
15 (100.0)
1 (6.7)
Course 4 Visit 1
198 (100.0)
0 (0.0)
8 (100.0)
1 (12.5)
Course 7 Visit 1
167 (100.0)
1 (0.6)
0 (0.0)
0 (0.0)
Course 28 Visit 1
33 (100.0)
2 (6.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
EOT
50 (100.0)
0 (0.0)
6 (100.0)
0 (0.0)
Last
208 (100.0)
1 (0.5)
15 (100.0)
1 (6.7)
治療期は治験薬の初回投与から最終投与の 28 日後まで。
1)ベースラインおよび来院時に LVEF 測定値のある患者を対象とした。
引用元:CTD 5.3.5.1-1(U -1199),Table 12.5.2: 2
アファチニブ群で下記に叙述した計 3 名の患者に通常のモニタリングで LVEF 低下がみられた。3
名ともベースラインから 20%超の低下を示し,心エコー所見で異常がみられたものの,用量を調
整せずにアファチニブの投与を継続し,3 名ともベースライン時の値に回復した。
患者 3605007(71 歳,アジア人,男性,台湾)
:スクリーニング時の LVEF は 60%であった。第 7
コースで LVEF が 48%に低下し,投与終了時に 63%に回復した。ベースラインに心血管系の合併
症や治療期間に発現した心血管系の有害事象はなかった。
患者 3608003(54 歳,アジア人,女性,台湾):ベースラインの合併症として,大動脈弁硬化症,
拡張機能不全,心室拡張,心嚢液貯留,三尖弁閉鎖不全および高血圧が報告されていた。治療期
に心血管系の有害事象として,Day 64 に大動脈弁疾患,僧帽弁閉鎖不全および心室肥大,Day 127
に左心房拡張および左心室拡張および Day 567 に心室収縮機能不全が発現した。スクリーニング
時の LVEF は 65%で,治療期間の最低値は第 28 コース(Day 567,20
年
月
日)の 47%であ
った。データカットオフ後に電子症例報告書へ記録された情報によるとこの患者の LVEF は第 31
コースに 56%に回復した。
患者 4305017(52 歳,白人,男性,ドイツ)
:ベースライン時に高脂血症および高血圧を合併して
いたが,治療期間に心血管系の有害事象は発現しなかった。スクリーニング時の LVEF は 75%で,
治療期間の最低値は第 28 コースの 48%であった。入手できた最終の測定値は第 31 コースのもの
で,74%に回復していた(この患者はデータカットオフ時点にはアファチニブで治療継続中であ
った)。
化学療法群の 1 名(患者 3402002,69 歳,アジア人,男性,マレーシア)で重要な LVEF 低下が
発現した。ベースラインで心筋梗塞の既往および高血圧の合併症を有していたが,治療期間に心
血管系の有害事象は発現しなかった。ベースラインの LVEF は 63%で,治療期間の最低値は 45%
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 341
試験 1200.32
(第 4 コース)であった。この患者は化学療法の第 6 コースまで完了し,その後の LVEF 値は測
定されていない。
結論
本試験は EGFR 遺伝子変異陽性肺癌患者を対象とした最大の国際多施設共同,前向き試験であり,
ペメトレキセド+シスプラチンを対照薬とする最初の試験であった。本試験は主要評価項目を満
たし,EGFR 遺伝子変異陽性の病期 IIIB 期または IV 期の肺腺癌を有する,EGFR TKI 未治療の患
者において,ペメトレキセド+シスプラチン化学療法と比較してより高いアファチニブの有効性
が検証された。アファチニブは化学療法と比較して,独立判定委員会の評価に基づいた PFS で臨
床的に意味のある改善を示した。異なる民族および EGFR 遺伝子変異サブタイプにおけるアファ
チニブの PFS に対するベネフィットは,その大きさ,頑健性および一貫性から,疾患進行に対す
るアファチニブの観察された延長効果の意義を支持するものであった。
独立判定委員会の評価に基づく結果では,アファチニブは,PFS の中央値を化学療法と比較して,
全患者で 4.24 カ月,発現頻度が高い EGFR 遺伝子変異を有する NSCLC 患者では 6.70 カ月増加さ
せ,疾患進行を有意に延長させたことで,その効果の臨床的重要性が確認された。また,アファ
チニブは化学療法と比較して,ランダム化割付け 12 カ月後および 18 カ月後の無増悪生存率を 2
倍以上増加し,客観的奏効率を 2.5 倍以上改善した。さらに,アファチニブは,化学療法と比べ
て,NSCLC 特有の症状の有意な改善および管理ならびに生活の質の向上も示し,咳嗽および呼吸
困難の有害事象のリスクも低下させた。
薬物動態のデータから,個々の患者の忍容性に基づくアファチニブの投与量変更が,対象患者に
おける過剰な血漿中濃度を低減し,本試験の患者に対して同程度で,有効かつ忍容性のある曝露
を可能にしたことが示された。
本試験の安全性データおよび有害事象のプロファイルは過去の試験結果と一貫性があり,EGFR
阻害の作用機序に沿ったものであった。化学療法と比較して,アファチニブ群での有害事象によ
る投与中止率の低さ(発現率の高かった下痢および発疹/ざ瘡+を含めて)および全般的な生活の
質の改善は,推奨されたアファチニブの減量基準および支持療法が有効で,臨床的有用性が認め
られている患者においてアファチニブの投与継続を可能にしたことが示唆された。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
6.2
Page 342
試験 1200.23
申請する適応症に関する比較対照試験報告書 1200.23
Phase IIb/III randomized, double-blind trial of BIBW 2992 plus best supportive care (BSC) versus
placebo plus BSC in non-small cell lung cancer patients failing erlotinib or gefitinib (LUX-Lung 1)(資
料番号 5.3.5.1-2)
試験方法
試験方法の概略を表 6.2: 1 に示す。
表 6.2: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
1 または 2 レジメンの細胞傷害性化学療法(少なくとも 1 レジメンはプラチナ製剤ベース
の療法を含む),およびエルロチニブまたはゲフィチニブもしくはその両薬剤の 12 週間以
上の前治療を行った後に疾患進行を示した非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に,プラセ
ボ群を対照としてアファチニブ(BIBW 2992)単独の有効性および安全性を検討する。両
投与群の患者には,治験薬投与に加え最善の支持療法(BSC)を実施する。
試験の種類
二重盲検,ランダム化,プラセボ対照試験
対象
対象疾患
1 または 2 レジメンの細胞傷害性化学療法(少なくとも 1 レジメンはプラチナ製剤ベース
の療法を含む),およびエルロチニブまたはゲフィチニブもしくはその両薬剤の 12 週間以
上の前治療を行った後に疾患進行を示した病期 IIIB 期(胸水を伴う)または IV 期の NSCLC
と確定診断された患者
選択基準
1.
組織診により病期 IIIB 期(胸水を伴う)または IV 期の NSCLC 患者で腺癌と確定診断
された患者で,1 または 2 レジメンの細胞傷害性化学療法(術後補助化学療法を含む)
を受け,治療不応となった患者。少なくとも 1 レジメンの化学療法にはプラチナ製剤
ベースの療法を含むこと。
2.
12 週間以上のエルロチニブ(Tarceva®)またはゲフィチニブ(Iressa®)による治療後
に疾患進行が認められた患者
3.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0,1,2 の患者
4.
磁気共鳴画像(MRI)またはコンピュータ断層撮影(CT)により少なくとも 1 次元で
正確に測定でき,最長径が従来の検査法で 20 mm 以上またはヘリカル CT で 10 mm 以
上の腫瘍病変を 1 つ以上有する患者
5.
性別を問わず,年齢が 18 歳以上の患者
6.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
7.
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
除外基準
1.
再発性または転移性 NSCLC の治療のため 3 レジメン以上の細胞傷害性化学療法の前
治療がある患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 1
対象
Page 343
試験 1200.23
試験方法の概略(2/4)
2.
治験薬投与開始(Day 1)前 14 日間以内にエルロチニブ(Tarceva®)またはゲフィチニ
ブ(Iressa®)を使用した患者
(続き)
3.
過去 4 週間以内に化学療法,ホルモン療法(癌以外の維持療法として使用する酢酸メ
ゲストロールまたはステロイドを除く)または免疫療法を受けた患者
4.
活動性の脳転移(安定期間が 4 週間未満,症候性,抗けいれん剤の治療を要するか,
または軟膜・髄膜疾患の場合)を有する患者。なお,デキサメタゾンは,ランダム化
割付け前少なくとも 1 カ月間,一定用量の投与であれば許容される。
5.
ベースライン時に,クローン病,吸収不良,原因を問わず grade 2 を超える下痢など,
主症状として下痢を伴う重大な胃腸障害が認められた患者,または急性胃腸障害が最
近認められた患者
6.
その他の生命を脅かす疾患または臓器系障害を有する患者で,治験責任医師が患者の
安全性に悪影響を及ぼす,または治験薬の安全性の評価を妨げると判断した患者
7.
過去 5 年以内に他の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌および子宮頚部上皮内癌を除く)と診
断された患者
8.
治験薬投与開始前 2 週間以内に放射線療法を受けた患者
9.
NYHA 機能分類 3 を含む,うっ血性心不全,狭心症,心筋梗塞,不整脈などの臨床的
に重要なまたはコントロール不能の心疾患の既往歴/合併症がある患者
10. マルチゲート心血液プールイメージング(MUGA スキャン)または心エコーにより測
定した安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満の患者
11. QTc 間隔が 0.47 秒以上の患者
12. 累積投与量 400 mg/m2 以上のドキソルビシン(または相当量)のアントラサイクリン
系抗癌剤の前治療のある患者
13. 好中球絶対数が 1500/mm3 以下の患者
14. 血小板数が 100000/mm3 以下の患者
15. 総ビリルビンが 1.5 mg/dL(26 µmol/L,SI 単位相当)以上の患者
16. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼまたはアラニン・アミノトランスフェラー
ゼが施設基準値上限の 3 倍(肝転移に関連する場合は施設基準値上限の 5 倍)以上の
患者
17. 血清クレアチニンが施設基準値上限の 1.5 倍以上,またはクレアチニンクリアランス
計算値/測定値が 45 mL/min 以下の患者(カナダのみ,血清クレアチニンが施設基準
値上限以上)
18. 治験期間中,医学的に適切な避妊法を使用する意思のない妊娠の可能性のある女性ま
たはパートナーを妊娠させる可能性のある男性
19. 妊娠中または授乳中の女性
20. 治験実施計画書を遵守できない患者
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表 6.2: 1
対象
(続き)
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試験 1200.23
試験方法の概略(3/4)
21. 重篤な活動性の感染症(HIV 感染,活動性の B 型肝炎または C 型肝炎を含む)を有す
る患者
22. 薬物乱用またはアルコール依存症の患者,または疑われる患者
23. 基礎疾患として間質性肺疾患(ILD)が確認されている患者
治験薬剤
アファチニブ錠(30 mg 錠,40 mg 錠,50 mg フィルムコート錠)
プラセボ フィルムコート錠
目標症例数
目標症例数:
スクリーニング登録症例 630 名,登録症例数 560 名
アファチニブ + BSC 群:374 名
プラセボ + BSC 群:186 名
実施症例数:
スクリーニング登録症例 697 名,ランダム化症例 585 名,投与症例 585 名
アファチニブ + BSC 群:ランダム化症例/投与症例 390 名,イベント発現症例(主要評価
項目)244 名
プラセボ + BSC 群:ランダム化症例/投与症例 195 名,イベント発現症例(主要評価項目)
114 名
投与方法
投与方法:
投与期間
アファチニブ 50 mg 開始用量(治験実施計画書の減量基準に従って 40 mg または 30 mg に
減量可能)1 日 1 回経口投与
プラセボ 1 日 1 回経口投与
投与期間:
1 コースを 28 日間とする。患者が忍容性を示し投与中止基準に合致せず,患者または治験
責任医師が投与中止を希望しないかぎり,疾患進行まで投与コースを反復して投与を継続
した。
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性評価項目/臨床薬理評価項目
評価基準
主要評価項目:
全生存期間(OS)
副次評価項目:
無増悪生存期間(PFS),RECIST 第 1.0 版に基づく客観的な腫瘍縮小効果,病勢コントロ
ール期間,奏効までの期間,奏効期間,健康関連 QOL:3 症状(咳嗽,呼吸困難,疼痛)
の悪化までの期間およびアファチニブの薬物動態
安全性評価項目
有害事象共通用語規準(CTCAE)第 3 版に従って評価された有害事象の重症度および発現
率,臨床検査値,身体所見,ECOG パフォーマンス・スコア,心電図,左室機能,バイタ
ルサイン
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 1
解析方法
試験方法の概略(4/4)
アファチニブを服薬した患者 40 名が投与期間中に少なくとも 1 回画像診断を受けた後,デ
ータモニタリング委員会(DMC)により客観的な腫瘍縮小効果に関する中間解析が実施さ
れた。独立した DMC は観察された奏効例の症例数に基づき,治験の継続勧告を行った。
中間解析実施時,DMC は非盲検下で評価したが,社内のすべての本試験担当者および医師
らは盲検下にあった。
OS および副次評価項目に関する最終解析は,目標症例数まで患者が登録され,全ランダム
化割付けされた患者のうち死亡例が 358 名確認された時点で実施した。ベースライン時の
ECOG パフォーマンス・スコア(0 または 1 対 2)および性別(男性対女性)で層別した log
rank 検定により片側有意水準 0.025 でアファチニブの有効性の検定を行った。
治験調整医師
治験実施施設
国際多施設共同試験(米国,ドイツを含む 15 カ国, 85 施設)
治験実施期間
20
年
月~進行中(解析のためのデータ固定および開鍵:20
年
月)
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試験 1200.23
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スケジュール
表 6.2: 2
検査・観察スケジュール
Study Period
スクリー
ニング
Visit (V)
Day
−28~−1
同意取得 d)
投与コース a)
第 1 コース
第 2 コース
V1
V1
V2
Day 1* Day 15*
Day 1* Day 15*
EGFR 血清 DNA 解析
e), v)
X
選択基準/除外基準
X
g)
X
X
バイタルサイン h)
X
X
X
X
ECOG パ フ ォ ー マ ン ス ・ ス コ ア
(PS)
X
X
X
X
X
健康関連 QOL 評価 i)
入院 j)
Day 1*
心エコーまたは MUGA スキャン l)
m)
n)
妊娠検査 o)
X
X
Xv)
X
X
X
Xv)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
Xw)
X
X
X
心電図 k)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
p)
q)
X
併用療法
アファチニブ服薬状況確認
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
中止
X
X
治験薬の処方
X
X
r)
有害事象
X
X
t)
Xs)
連日
BSCu)
連日
X
治験薬投与終了
EGFR 遺伝子多型解析
(検体採取 1 回)
X
X
X
アファチニブ薬物動態用採血
治験薬の投与
FUVc)
X
既往歴・合併症
腫瘍評価
V1
X
患者背景
血液凝固検査
EOTVb)
第 3 コー
ス以降
X
f)
X
臨床検査
FUc)
X
EGFR 遺伝子変異解析
身体所見
V2
EOTb)
X
x)
(X)
y)
(X)
y)
(X)
y)
(X)
y)
(X)z)
(X)z)
*)± 1~3 日
a) 1 コースは 28 日間とし,画像診断により疾患進行(RECIST に基づく疾患進行)が認められるまで治験薬
の投与を継続した。
b) EOT:治験終了時,EOTV:治験終了時の来院
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Page 347
試験 1200.23
c) FU:追跡調査,FUV:追跡調査の来院。最初の追跡調査の来院は EOT の来院後 28 ± 7 日に実施し,それ
以降の追跡調査の来院は死亡または追跡不能まで,12 週間隔または必要に応じて間隔を短縮して実施し
た。患者が来院できない場合は電話での問診も可能とした。追跡調査期間中に患者が死亡した場合は,
死亡を確認してから 48 時間以内に,電子症例報告書(eCRF)の次回の追跡調査の来院ページに情報を入
力した。
d) 何らかのスクリーニング評価を実施する前に文書同意を得た。
e) EGFR 遺伝子変異解析のため,可能な限りスクリーニング時に生検検体を採取または採取を依頼した。た
だし,検体の入手は治験登録の要件ではなかった。アファチニブ投与中に疾患の再発または進行が認め
られた場合,再生検の実施が推奨された。
f) 全血 5~7 mL を採取した。
g) 身長(スクリーニング時のみ)および体重測定,心肺機能,腹部およびリンパ節の検査,精神状態およ
び神経学的状態の評価を含む。
h) 体重,呼吸数,脈拍数,体温,血圧を含む。
i) 健康関連 QOL は 3 種類の質問票(EORTC QLQ-C30,EORTC QLQ-LC13,EQ-5D)により評価した。
j) 各コースの Day 1 ならびに検査・観察スケジュールに特定した各時点で,患者の外来受診,入院,介護者
の支援について記録した。医療機関は医療経済分析のために情報を提供した。
k) 安静時 12 誘導心電図検査をスクリーニング時および EOT 時に実施した。また,第 3 コースの開始前 7
日以内に再度実施し,その後は 12 週ごと(第 6,9 コースなどの開始前)に実施した。
l) 心エコーまたは MUGA スキャンにより左室駆出率の評価をスクリーニング時および EOT 時に実施した。
また,第 3 コースの開始前 7 日以内に再度実施し,その後は 12 週ごと(第 6,9 コースなどの開始前)
に実施した。
m) 血液学的検査(全血球数,白血球分画および血小板数を含む)および生化学的検査(血清生化学的検査
項目を含む),尿検査(試験紙法)。
n) プロトロンビン時間,国際標準化比(INR),部分トロンボプラスチン時間
o) 妊娠可能な女性を対象に尿中または血清中 β-HCG 検査を実施
p) ベースライン時の腫瘍評価は胸部および腹部の CT または MRI により,治験薬投与開始前 28 日以内に実
施した。なお,骨転移が確認された,または骨転移が疑われる場合は骨スキャンや標準的な画像検査に
より行った。ベースライン後の腫瘍評価は 12 週(第 3 コース)までは 4 週ごと(各コース終了から次コ
ース Visit 1 までの間に実施),それ以降は 8 週ごと(第 6,8,10,12 コースなどの開始前)に実施した。
一般に腫瘍評価は予定来院の前 7 日以内(Week 4 のみ 3 日以内)に実施することとした。同一患者の画
像検査の方法はベースライン時の評価を含め,治験期間を通じて同一とした。腫瘍縮小効果の記録また
は疾患進行の診断/確定のために治験責任医師が必要と判断した場合,規定より短い間隔での評価実施
を可能とした。腫瘍縮小効果(完全奏効または部分奏効)が認められた場合,4 週以上あけて再度評価し,
RECIST に基づく効果基準を満たした場合に判定を確定した。
q) 各 visit の採血時点は次のとおり:第 1 コース Day 1 および Day 15 の各投与直前。第 2 コース Day 1 の投
与直前ならびに投与 1 時間後および 3 時間後,任意で投与 6 時間後から 24 時間後までの間で 1 時点。第
3 コース Day 1 の投与直前および投与 2 時間後,任意で投与 6 時間後から 24 時間後までの間で 1 時点。
r) 第 1 コース Day 15 に開始した。
s) EOT で有害事象が継続している場合,治験薬との因果関係が否定できない新たな有害事象が発現した場
合,患者が死亡した場合に実施した。
t) スクリーニング評価の実施後,治験参加の同意を得た登録適格患者を,2: 1 の割合でアファチニブ投与群
(A 群)またはプラセボ群(B 群)にランダムに割付けた。
u) BSC とは,各医療機関の診療基準に従い利用可能な最善の医療であると担当医師が判断したもの。BSC
には,栄養補給,抗菌剤,鎮痛剤,酸素,制吐剤,輸液,短期(14 日未満)コルチコステロイド,他の
何らかの対症療法(細胞傷害性化学療法を除く),心理療法士の支援が含まれる。ビスホスホネート系薬
剤の使用は許容された。また,局所照射療法は,総線量が当該医療機関の診療基準に従い緩和治療の範
囲内にあり,かつ腫瘍縮小効果の判定に用いる標的病変以外に対するもので,疼痛などの症状軽減を目
的とした場合は許容することとした。
v) 任意。
w) 健康関連 QOL 評価は最初の追跡調査来院時のみ実施した。
x) EGFR 遺伝子変異解析に用いる血漿検体の細胞成分を使用。
y) スクリーニング時に検体が得られなかった場合,薬物動態解析用検体の細胞成分を遺伝子多型解析用と
して使用可能とした。
z) 治験薬投与が中止された場合,安全性評価の臨床検査採血時に全血検体 5~7 mL を採取可能とした。こ
の場合,血漿の分離は要求されていないため,全血検体を送付することとした。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Table 9.5.8: 1
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
試験結果
患者の内訳
86 施設で計 697 名の患者から文書同意を取得した(アジア 432 名,欧州 174 名,北米 91 名)。
そのうち適格性基準に合致した 585 名がランダム化割付けされた。ランダム化割付けされたす
べての症例が少なくとも 1 回は治験薬を投与された。スクリーニング(同意取得)症例および
ランダム化割付け症例を地域および国別に表 6.2: 3 に示す。
表 6.2: 3
患者の内訳の要約(地域および国別)
Number of centres
地域/国
Number of patients
screened
Number of patients randomised
and treated
合計
86
697
585
アジア
27
432
361
中国
9
124
109
香港
1
5
5
韓国
6
106
90
シンガポール
1
15
14
台湾
7
156
122
3
26
21
40
174
156
5
18
16
ドイツ
8
31
29
フランス
7
35
35
イタリア
6
36
33
オランダ
3
15
13
英国
5
20
12
スペイン
6
19
18
19
91
68
カナダ
5
56
43
米国
14
35
25
タイ
欧州
ベルギー
北米
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
データカットオフ(20
-3048),Table 10.1: 1
年
月
日)時点の患者内訳を,表 6.2: 4 に示す。治験薬の投与を受
けた 585 名のうち,アファチニブ群の 10 名およびプラセボ群の 1 名が治験薬の投与を継続して
いた(データカットオフ時点)。治験薬の投与中止理由で最も多かったのは疾患進行(プラセボ
群 91.3%,アファチニブ群 80.5%)であり,その他の有害事象(プラセボ群 2.1%,アファチニ
ブ群 13.1%),同意撤回(プラセボ群 3.6%,アファチニブ群 2.1%)が続いた。
Page 349
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 4
全患者の内訳 – 全登録症例数(%)
Placebo
Afatinib
Total
N(%)
N(%)
N(%)
Enrolled
697
Randmised
195
390
585
Treated
195 (100.0)
390 (100.0)
585 (100.0)
Continuing on treatment at data cut-off
1 (0.5)
10 (2.6)
11 (1.9)
Treatment discontinued
194 (99.5)
380 (97.4)
574 (98.1)
Progressive disease
178 (91.3)
314 (80.5)
492 (84.1)
Other adverse event
4 (2.1)
51 (13.1)
55 (9.4)
Patient refusal to take study medication
7 (3.6)
8 (2.1)
15 (2.6)
3 (1.5)
4 (1.0)
7 (1.2)
Other1
Non-compliant with protocol
2 (1.0)
3 (0.8)
5 (0.9)
1)自宅で死亡(原因不明),再生検で扁平上皮癌であったことを確認,患者の状態が悪く追跡調査不能,有害
事象および疾患進行,有害事象のため用量の減量ではなく治験薬投与中止を希望,患者が治療変更を決定,
原因不明の死亡
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Table 10.1: 2
治験実施計画書からの逸脱
全患者の 13.7%で少なくとも 1 件の治験実施計画書の重大な違反が認められた(プラセボ群
9.7%,アファチニブ群 15.6%)。全体的にみると,ランダム化割付け症例 22 名(3.8%)
[プラセ
ボ群 8 名(4.1%),アファチニブ群 14 名(3.6%)]で「除外基準からのその他の逸脱」を認め,
その大半は除外基準で規定された臨床検査値範囲からの逸脱であった。プラセボ群のうち 7 名
は,治験実施計画書では除外となる臨床検査値だったが,治験に登録された。1 名は再発性ま
たは転移性 NSCLC に対して 3 レジメン以上の細胞傷害性化学療法を受けていた。カナダ国内
でのみ適用された治験実施計画書の変更に従い,カナダでは血清クレアチニン値が施設基準値
上限を超える患者は治験に登録しなかった。すなわち,カナダの 6 名(プラセボ群 2 名,アフ
ァチニブ群 4 名)はより厳格な血清クレアチニン値基準では不適格であったが,
(カナダ以外の)
緩やかな除外基準に従うと適格であった。他の国ではこの穏やかな除外基準が適用された。こ
のため,「除外基準からのその他の逸脱」に該当するアファチニブ群 14 名中 4 名およびプラセ
ボ群 2 名は,治験実施計画書(カナダで適用された除外基準 17)に抵触する臨床検査値であっ
たにも関わらず治験に登録された。
また,アファチニブ群に関しては,1 名は 3 レジメンの化学療法を受け,1 名はスクリーニング
時および Visit 1 に臨床検査値が未測定のため適格性が確認できず,2 名は他の悪性腫瘍を有し,
1 名は非活動性と断定できない肺結核を合併しており,1 名は化学療法後に疾患が進行しておら
ず,1 名は治験薬開始前 14 日以内にゲフィチニブを投与されていた。
治験実施計画書の重大な違反として,NSCLC の前治療が選択基準に合致しない化学療法であっ
たのは,プラセボ群 5 名(2.6%)およびアファチニブ群 17 名(4.4%),疑わしい NSCLC の診
断(または病期が不正確)がプラセボ群 4 名(2.1%)およびアファチニブ群 12 名(3.1%)で
確認された。
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
アファチニブ群の 1 名では,20
を取得した。20
年
月
年
月
日に初回スクリーニング検査を実施し,同意文書
日に再スクリーニング検査を実施したが,誤ってこの再スクリー
ニング検査の日を本患者の同意文書に記入した。アファチニブ群およびプラセボ群の各 1 名で
は,ランダム化割付け前に治験の同意文書を取得したが,任意の EGFR 遺伝子変異解析の同意
文書はランダム化割付け後に取得した。
有効性 – 臨床薬理評価
解析対象集団
2 種類の解析対象集団を次のように定義した。Randomized set(RS)はランダム化割付けされた
すべての症例 585 名(アファチニブ群 390 名,プラセボ群 195 名)とし,Treated set(TS)と
はランダム化割付けされ,治験薬を少なくとも 1 回以上投与された症例とした。本試験では全
ランダム化割付け症例が少なくとも 1 回以上治験薬を投与されたため,両解析対象集団の対象
患者数は同一である。本報告書の有効性の結果は RS に基づき,安全性解析は TS を対象に実施
した。また,安全性パラメータは治験薬の初回投与日から最終投与後 28 日目までのデータを用
いて評価した。薬物動態解析は,アファチニブを服薬し評価可能な血漿中濃度データが得られ
たすべての患者(計 384 名)を対象に実施した。
人口統計学的特性
全体的に,人口統計学的特性データは両投与群でバランスが取れていた(表 6.2: 5)。ランダム
化割付けされたすべての症例のうち,女性は 59.5%,アジア各国での登録症例は 61.7%,アジ
ア人は 66.1%(東アジア人 57.6%,その他アジア人 8.5%)であった。治験登録時の平均年齢は
58 歳(範囲:30~85 歳)で,65 歳未満は 68.7%であった。大半が非喫煙者(62.6%)で,軽度
の喫煙歴がある者(1 年間の喫煙量が 15 パック未満かつ肺癌の確定診断の 1 年以上前までに喫
煙をやめた)は 6.8%であった。大多数の患者(92.3%)はベースラインの ECOG パフォーマン
ス・スコアが 0 または 1 だった。
Page 351
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 5
人口統計学的特性の要約 – RS
Total randomized [N(%)]
Placebo
195 ( 100.0)
Afatinib
390 ( 100.0)
Total
585 ( 100.0)
Gender [N (%)]
Male
Female
78 ( 40.0)
117 ( 60.0)
159 ( 40.8)
231 ( 59.2)
237 ( 40.5)
348 ( 59.5)
Baseline ECOG performance score [N (%)]
0
1
2
53 ( 27.2)
127 ( 65.1)
15 ( 7.7)
92 ( 23.6)
268 ( 68.7)
30 ( 7.7)
145 ( 24.8)
395 ( 67.5)
45 ( 7.7)
Race/ethnicity [N (%)]
Caucasian
1
Eastern Asian
Other Asian
Other
72 ( 36.9)
110 ( 56.4)
12 ( 6.2)
1 ( 0.5)
121 ( 31.0)
227 ( 58.2)
38 ( 9.7)
4 ( 1.0)
193 ( 33.0)
337 ( 57.6)
50 ( 8.5)
5 ( 0.9)
Age at entry [years]
Mean (Std)
Median (min, max)
59 (10.4)
59 (32~82)
58 (10.8)
58 (30~85)
58 (10.6)
58 (30~85)
Age category 1 [N (%)]
< 65 years
≥ 65 years
127 ( 65.1)
68 ( 34.9)
275 ( 70.5)
115 ( 29.5)
402 ( 68.7)
183 ( 31.3)
Smoking history [N (%)]
Never smoked
<15 pack years + stopped >1 year before diagnosis
Current or other ex-smokers
121 ( 62.1)
13 ( 6.7)
61 ( 31.3)
245 ( 62.8)
27 ( 6.9)
118 ( 30.3)
366 ( 62.6)
40 ( 6.8)
179 ( 30.6)
Alcohol history [N (%)]
Non-drinker
Drink - but not interfere with study medication
Drink - could interfere with study medication
Missing
146 ( 74.9)
47 ( 24.1)
0 ( 0.0)
2 ( 1.0)
292 ( 74.9)
94 ( 24.1)
2 ( 0.5)
2 ( 0.5)
438 ( 74.9)
141 ( 24.1)
2 ( 0.3)
4 ( 0.7)
Height [cm]
N
Mean (Std)
Median (min, max)
189
163 (8.8)
163 ( 140~191)
385
163 (8.8)
162 ( 141~192)
574
163 (8.8)
162 ( 140~192)
Body weight [kg]
N
Mean (Std)
Median (min, max)
195
64 (13.5)
63 (37~109)
388
64 (12.6)
62 (34~116)
583
64 (12.9)
62 (34~116)
Region [N (%)]
Asia
119 ( 61.0)
242 ( 62.1)
Europe
55 ( 28.2)
101 ( 25.9)
North America
21 ( 10.8)
47 ( 12.1)
1)東アジア人とは,アジア人のうち,中国人,日本人,韓国人,台湾人とした。
Std:標準偏差
mim:最小値,max:最大値
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.2.1: 1
361 ( 61.7)
156 ( 26.7)
68 ( 11.6)
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
非小細胞肺癌のベースライン特性
ベースラインの疾患特性を表 6.2: 6 に要約する。治験実施計画書の選択基準に規定するとおり,
97.8%の患者が腺癌を有していた。うち 2.1%の患者は細気管支肺胞上皮癌または腺扁平上皮癌
を有し,95.7%の患者は腺癌が優勢であった。全患者が胸水を伴う IIIB 期または IV 期で,96.4%
が IV 期だった。大半の患者(97.9%)が転移病変を有しており(転移部位は平均 2 カ所),33.0%
の患者は 3 カ所以上の転移部位を有していた。主な転移部位は肺,骨,胸水であった。
表 6.2: 6
ベースラインの疾患特性の要約 – RS
Total randomised[N(%)]
Placebo
195 ( 100.0)
Afatinib
390 ( 100.0)
Total
585 ( 100.0)
Clinical stage at screening[N(%)]
IIIB
IV
6 ( 3.1)
189 ( 96.9)
15 ( 3.8)
375 ( 96.2)
21 ( 3.6)
564 ( 96.4)
Histological classification[N(%)]
Adenocarcinoma
Adenosquamous
Bronchioalveolar
Other
190 ( 97.4)
2 ( 1.0)
0 ( 0.0)
3 ( 1.5)
370 ( 94.9)
3 ( 0.8)
7 ( 1.8)
10 ( 2.6)
560 ( 95.7)
5 ( 0.9)
7 ( 1.2)
13 ( 2.2)
Number of metastatic sites
Mean(Std)
Median(min, max)
Number of metastatic sites[N(%)]
0
1
2
>2
2 (1.2)
2 (0~8)
4 ( 2.1)
67 ( 34.4)
56 ( 28.7)
68 ( 34.9)
Metastatic site1[N(%)]
Any
Brain
Liver
Pleural effusion
Bone
Lung
Adrenal glands
Other
191 (
45 (
46 (
77 (
93 (
105 (
15 (
29 (
Baseline tumour size2(mm)(independent review)
N
Mean(Std)
Median(min, max)
165
66 (48.8)
50 (11~278)
97.9)
23.1)
23.6)
39.5)
47.7)
53.8)
7.7)
14.9)
2 (1.1)
2 (0~6)
2 (1.2)
2 (0~8)
8 ( 2.1)
131 ( 33.6)
126 ( 32.3)
125 ( 32.1)
12 ( 2.1)
198 ( 33.8)
182 ( 31.1)
193 ( 33.0)
382 (
101 (
79 (
140 (
175 (
214 (
32 (
65 (
573 (
146 (
125 (
217 (
268 (
319 (
47 (
94 (
97.9)
25.9)
20.3)
35.9)
44.9)
54.9)
8.2)
16.7)
325
63 (45.0)
50 (10~278)
Baseline tumour size 2(mm)(investigator assessment)
N
194
390
73 (51.3)
76 (57.4)
Mean(Std)
Median(min, max)
62 (10~365)
60 (10~397)
1)複数の転移病変のある患者については,転移病変が存在する各部位数をカウント。
2)ベースラインにおける標的病変の最長径(合計)
Std:標準偏差
mim:最小値,max:最大値
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.2.2: 1
97.9)
25.0)
21.4)
37.1)
45.8)
54.5)
8.0)
16.1)
490
64 (46.3)
50 (10~278)
584
75 (55.4)
60 (10~397)
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
EGFR 遺伝子変異解析
EGFR 遺伝子変異の確認は本試験の登録に必須ではなかったが,得られた情報は記録した。
EGFR 遺伝子変異の情報は,各治験実施施設または中央検査機関(Genzyme Corporation)が実
施する保存腫瘍組織分析,もしくは中央検査機関(
)が実施す
る血清分析により得られた。
31.8%の患者(585 名中 186 名)で,各施設の検査室または中央検査機関に提供できる保存腫瘍
検体があった。さらに,組織検査結果が得られた患者は 141 名で,そのうち,96 名(68%)が
EGFR 遺伝子変異陽性であった(表 6.2: 7)。EGFR 遺伝子変異陽性であった 96 名において,発
現頻度が高かった EGFR 遺伝子変異はエクソン 19 欠損(Del 19)およびエクソン 21 の点突然
変異(L858R)であった。大半の保存組織が最初の EGFR チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR TKI)
の治療前に採取したものであったため,T790M 変異が検出される割合は高くないと予想された。
表 6.2: 7
組織検査の EGFR 遺伝子変異の結果
Number of Patients
Positive
96(positivity rate168%)
Del 19
50
L858R
T790M
19
2
8
Other
3
Type not specified
16
Negative
45
Unclear results
45
Total with an interpretable result
141
Total with archival tissue for testing
186
1) positivity rate は,陽性患者数(96 名)を結果が得られた患者数(合計 141 名:陽性 96 名 + 陰性 45 名)で
割って算出。
2) T790M 変異を有する患者には,同時に Del 19 または L858R 変異を有する患者も含まれる。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.2.3: 1
血清学的検査では,ランダム化割付け症例合計 273 名の血液検体から EGFR 遺伝子検査に十分
な量の DNA を抽出できた。そのうち,90 名(プラセボ 25 名,アファチニブ 65 名)で EGFR
遺伝子変異が検出され,179 名(プラセボ 70 名,アファチニブ 109 名)は陰性であった。血清
学的検査の EGFR 遺伝子変異率は 33.6%[90/(90 + 179 名)]と組織検査結果よりはるかに低
く,血清学的検査の偽陰性率は組織検査より著しく高いことが示唆された。
Page 354
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
治験登録前に実施した抗癌剤の前治療
化学療法,放射線療法,手術の前治療
全例が前治療の化学療法に治療不応となった症例で,1 レジメン治療不応例は 59.8%,2 レジメ
ン治療不応例は 39.3%,3 レジメン以上の治療不応例(治験実施計画書逸脱例)は 5 名(0.9%)
であった(表 6.2: 8)。ほぼ全例(99.7%)がカルボプラチンまたはシスプラチンを含む化学療
法の前治療を受けていた。また,36.6%の患者は単独療法を受け,ペメトレキセドおよびドセ
タキセルが使用頻度の高い薬剤であった。治験登録前に,患者の約 1/3(29.9%)が手術,41.7%
が放射線療法を受けていた。
表 6.2: 8
ランダム化割付け前に実施した抗癌剤の前治療の要約 – RS(1/2)
Total randomised[N(%)]
Placebo
195 ( 100.0)
Afatinib
390 ( 100.0)
Total
585 ( 100.0)
Prior EGFR TKI[N(%)]
Erlotinib only
Gefitinib only
Erlotinib and gefitinib
108 ( 55.4)
79 ( 40.5)
8 ( 4.1)
215 ( 55.1)
152 ( 39.0)
23 ( 5.9)
323 ( 55.2)
231 ( 39.5)
31 ( 5.3)
3(
75 (
88 (
50 (
174 (
4(
109 (
126 (
80 (
266 (
Duration of prior EGFR TKI[N(%)]
< 12 weeks1
12 - <24 weeks
24 - <36 weeks
36 - <48 weeks
48 weeks or more
1(
34 (
38 (
30 (
92 (
Duration of prior EGFR TKI(weeks)
Mean(SD)
Median(minimum~maximum)
59 (44.8)
44 (9~311)
Best response to prior EGFR TKI[N(%)]
CR/PR
Stable disease
Progressive disease
Unknown
85 ( 43.6)
97 ( 49.7)
4 ( 2.1)
9 ( 4.6)
178 ( 45.6)
177 ( 45.4)
15 ( 3.8)
20 ( 5.1)
263 ( 45.0)
274 ( 46.8)
19 ( 3.2)
29 ( 5.0)
Duration between end of prior EGFR TKI and
randomization[N(%)]
< 4 weeks
4 - < 8 weeks
8 - < 12 weeks
12 weeks or more
Missing
84 ( 43.1)
39 ( 20.0)
15 ( 7.7)
56 ( 28.7)
1 ( 0.5)
146 ( 37.4)
78 ( 20.0)
34 ( 8.7)
130 ( 33.3)
2 ( 0.5)
230 ( 39.3)
117 ( 20.0)
49 ( 8.4)
186 ( 31.8)
3 ( 0.5)
Duration between end of prior EGFR TKI and
randomization(weeks)
N
Mean(SD)
Median(minimum~maximum)
194
13 (20.6)
4 (2~170)
388
16 (23.0)
5 (1~160)
582
15 (22.2)
5 (1~170)
0.5)
17.4)
19.5)
15.4)
47.2)
0.8)
19.2)
22.6)
12.8)
44.6)
53 (40.8)
42 (9~370)
0.7)
18.6)
21.5)
13.7)
45.5)
55 (42.2)
43 (9~370)
Page 355
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 8
ランダム化割付け前に実施した抗癌剤の前治療の要約 – RS(2/2)
Progressed on prior EGFR TKI[N(%)]
Placebo
195 ( 100.0)
Afatinib
389 ( 99.7)
Total
584 ( 99.8)
Systemic therapy between end of EGFR TKI and
randomization[N(%)]
No
Yes
156 ( 80.0)
39 ( 20.0)
286 ( 73.3)
104 ( 26.7)
442 ( 75.6)
143 ( 24.4)
Clinical enrichment2
No
Yes
61 ( 31.3)
134 ( 68.7)
133 ( 34.1)
257 ( 65.9)
194 ( 33.2)
391 ( 66.8)
Acquired resistance to prior EGFR TKI per Jackman
3
criteria
No
Yes
113 ( 57.9)
81 ( 41.5)
250 ( 64.1)
133 ( 34.1)
363 ( 62.1)
214 ( 36.6)
Number of lines of prior chemotherapy[N(%)]
1
2
>2
119 ( 61.0)
74 ( 37.9)
2 ( 1.0)
231 ( 59.2)
156 ( 40.0)
3 ( 0.8)
350 ( 59.8)
230 ( 39.3)
5 ( 0.9)
Patients with platinum−based regimens[N(%)]
Yes
No
195 ( 100.0)
0 ( 0.0)
387 ( 99.2)
3 ( 0.8)
582 ( 99.5)
3 ( 0.5)
Prior chemotherapy regimens[N(%)]
Conbination
Gemcitabine + Cisplatin
Gemcitabine + Carboplatin
Paclitaxe l+ Carboplatin
Cisplatin + Vinorelbine
Docetaxe l+ Cisplatin
Paclitaxel + Cisplatin
Carboplatin + Vinorelbine
Other
Monotherapy
Pemetrexed
Docetaxel
Other
195 ( 100.0)
55 ( 28.2)
27 ( 13.8)
29 ( 14.9)
14 ( 7.2)
11 ( 5.6)
10 ( 5.1)
6 ( 3.1)
69 ( 35.4)
63 ( 32.3)
28 ( 14.4)
23 ( 11.8)
13 ( 6.7)
388 (
117 (
63 (
61 (
33 (
21 (
15 (
16 (
105 (
151 (
74 (
56 (
26 (
583 (
172 (
90 (
90 (
47 (
32 (
25 (
22 (
174 (
214 (
102 (
79 (
39 (
99.5)
30.0)
16.2)
15.6)
8.5)
5.4)
3.8)
4.1)
26.9)
38.7)
19.0)
14.4)
6.7)
99.7)
29.4)
15.4)
15.4)
8.0)
5.5)
4.3)
3.8)
29.7)
36.6)
17.4)
13.5)
6.7)
Other prior anti−cancer therapies[N(%)]
Surgery
49 ( 25.1)
126 ( 32.3)
175 ( 29.9)
Radiotherapy
80 ( 41.0)
164 ( 42.1)
244 ( 41.7)
Other
36 ( 18.5)
57 ( 14.6)
93 ( 15.9)
1) EGFR TKI の前治療が 9 週間~12 週間未満しか実施されていなかったため,治験実施計画書違反例
2) Clinical enrichment とは,EGFR TKI の前治療期間が 48 週間以上,または最良効果が完全奏効/部分奏効を
達成した患者
3)Jackman らが提唱する次の項目を満たした患者を,前治療の EGFR TKI に対する耐性を獲得したと定義した。
(1)エルロチニブもしくはゲフィチニブの前治療で完全奏効/部分奏効を達成,または,エルロチニブも
しくはゲフィチニブの前治療で 6 カ月以上安定(2)エルロチニブまたはゲフィチニブの前治療からランダ
ム化割付けまでの間に全身化学療法を実施せず。(3)エルロチニブまたはゲフィチニブの前治療の終了か
らランダム化割付けまでの期間が 4 週間以下
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.2.4.1: 1
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 356
試験 1200.23
前治療の EGFR TKI 療法
4 名を除く全例が,EGFR TKI の前治療を連続 12 週間以上受け,疾患進行を示した患者であっ
た。エルロチニブのみを投与した患者は 55.2%,ゲフィチニブのみを投与した患者は 39.5%で
あり,エルロチニブとゲフィチニブの両剤を投与した患者は 5.3%と少なかった(表 6.2: 8)。前
治療の EGFR TKI は平均 55 週間(範囲:9~370 週間)投与されており,48 週間以上は 45.5%,
24 週間以上は 80.7%であった。EGFR TKI の投与終了からランダム化割付けまでの期間の中央
値は 5 週間であり,59.3%の患者で 8 週間未満であった。EGFR TKI は大半の患者(91.8%)で
臨床的ベネフィットを示した。45.0%の患者は最良効果として完全奏効または部分奏効を達成
し,46.8%の患者は安定を示した。
次に,Jackman 基準を満たした患者 214 名(36.6%)に関するデータを表 6.2: 8 に示す。Jackman
らが提唱する次の項目に合致した患者を,前治療の EGFR TKI に対する耐性を獲得したと定義
した。(1)エルロチニブもしくはゲフィチニブの前治療で完全奏効/部分奏効を達成,または
エルロチニブもしくはゲフィチニブの前治療を 6 カ月以上実施。(2)エルロチニブまたはゲフ
ィチニブの前治療からランダム化割付けまでの間に全身化学療法を実施せず。(3)エルロチニ
ブまたはゲフィチニブの前治療の終了からランダム化割付けまでの期間が 4 週間以下。
臨床的に EGFR 遺伝子変異率が高い集団
本試験では,すべての患者がエルロチニブまたはゲフィチニブの前治療を 12 週間以上受けてい
ることを必須とした。結果として,組織検査により遺伝子検査を実施した 141 名のうち 68%が
EGFR 遺伝子変異陽性であり,この陽性率は一般的な肺腺癌患者集団で予測されるよりはるか
に高かった(表 6.2: 7)。
解析および考察を行う上で,EGFR TKI の前治療で完全奏効/部分奏効を達成,または EGFR
TKI の前治療を長期間(48 週間以上)実施した患者は,そのいずれかに該当する患者からなる
サブグループを「臨床的に EGFR 遺伝子変異の可能性が高いサブグループ(subgroup of patients
highly clinically enriched for EGFR mutations)」と定義し,EGFR 遺伝子変異状態が有効性に与
える影響を検討する事後解析に用いた。臨床的に EGFR 遺伝子変異の可能性が高い患者のサブ
グループでは,EGFR 遺伝子変異率が非常に高く(83%),全試験集団の約 2/3(391 名/585
名)を占めた。一方,臨床的に EGFR 遺伝子変異の可能性の低いサブグループの陽性率(26%)
はそれより低かったが,依然高い値であった(表 6.2: 9)。
Page 357
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 9
臨床的に EGFR 遺伝子変異の可能性が高いサブグループおよび低いサブグ
ループ
Category
Subgroup of patients highly clinically enriched
for EGFR mutations:
Prior EGFR TKI: CR/PR and/or duration ≥48
wks
Complementary subgroup with low likelihood of
EGFR mutations:
Prior EGFR TKI: no CR/PR and duration <48
wks
No. of
Patients in
Designated
Group
EGFR Mutation Positivity
Rate in Trial 1200.231:
No. of Patients Positive2/
No. of Patients in Specified Subgroup
withTest Results (% of Patients)
391
86/103 (83)
194
10/38 (26)
1)組織検査に基づく(各治験実施施設または中央検査機関)
2)結果を解釈可能な症例数
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.2.5: 2
服薬状況の評価
服薬状況は,服薬しなかった回数を時系列に沿って評価した。全般的に,アファチニブ群では
各評価時点で約 80%の患者がアファチニブを毎日服薬していた。アファチニブ投与患者 390 名
のうち,297 名(76.2%)は治験薬投与開始から 4 週間終了時まで,1 日 1 回服薬していたが,
93 名は服薬しなかった日があった。服薬しなかった回数は平均値で 6 回,中央値で 5 回であり,
主な理由は,治験薬との因果関係が否定できない有害事象から回復するための,治験実施計画
書に規定した中断であった。
プラセボ群では大半の患者が治験薬投与を早期に中止し,治験薬投与開始から 8 週間終了時ま
で治験薬を服薬していたのは 64 名のみであったが,約 90%の患者は永続的に中止するまで毎
回欠かさず服薬していた。
有効性試験の結果
主要評価項目
主要評価項目である全生存期間(OS)の主解析は,合計 358 名の死亡が報告された時点で実施
した。
OS はランダム化割付けされた日から死亡日までの期間と定義した。生存例の打ち切り日はデ
ータベースロック前の患者に最後に連絡した日とした。追跡調査不能例 11 名の打ち切り日は,
最後に連絡し患者の生存が確認できた日とした。データベースロック時点で投与を継続してい
た 11 名は,データベースロック日を打ち切り日とした。
Page 358
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
OS の主解析は Intent-to-Treat(ITT)で実施した。割付けられた投与群別に全患者を解析し,治
験期間中の全死亡をイベントとした。主要評価項目の解析結果を表 6.2: 10 および図 6.2: 1 に要
約する。
ITT での主解析の結果,OS の中央値はプラセボ群 11.96 カ月,アファチニブ群 10.78 カ月であ
り,OS は割付けられた両投与群で同程度であった。アファチニブのプラセボに対するハザー
ド比は 1.077(95% CI:0.862~1.346)であり,統計学的に有意ではなかった。
表 6.2: 10
全生存期間の要約 – RS
Placebo
Afatinib
Total randomised (N [%])
195 (100.00)
390 (100.00)
Patients died (N [%])
114 (58.46)
244 (62.56)
5.91 (4.63~7.06)
5.75 (4.90~6.80)
11.96 (10.15~14.26)
10.78 (9.95~11.99)
19.71 (17.51~NA)
19.48 (17.22~NA)
Survival time [months]
25th percentile
Median
75th percentile
Afatinib vs. Placebo
Hazard ratio1
1.077
(95% CI)
(0.862~1.346)
P−value2
0.7428
1)ハザード比は,性別およびベースラインの ECOG パフォーマンス・スコア(0 または 1 対 2)で層別した
Cox 回帰モデルを用いて算出
2)p 値は,上記と同じ因子で層別した片側ログランク検定(アファチニブ対プラセボ)で算出
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.4.1.1: 1
Kaplan-Meier 曲線で示されるとおり,OS は 2 群間で同程度であり,統計学的に有意な差は認め
られなかった。しかし,8 カ月付近で両投与群の曲線は離れており,プラセボ群の曲線はアフ
ァチニブ群より上側に位置した。ログランク検定の結果,この差は統計学的に有意ではなかっ
た(図 6.2: 1)。8 カ月時点では大多数の患者が生存していたため,これらのデータは成熟して
いなかった。新たなデータを入手し次第,結果を更新する予定である。
Page 359
試験 1200.23
1.0
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
0.6
Hazard ratio (95% CI): 1.077 (0.862, 1.346)
Log-rank test p-value: 0.7428
Placebo
0.4
Afatinib
0.2
Estimated OS probability
0.8
25th Median 75th
Placebo: 5.91 11.96 19.71
Afatinib : 5.75 10.78 19.48
0.0
Number at risk (top=Placebo; bottom=Afatinib)
195
169
142
112
390
344
283
217
0
3
6
9
65
122
12
33
69
18
32
5
12
15
18
21
24
Time of overall survival [Months]
グラフ中の(+)は当該患者のデータ打ち切りを示す。
図 6.2: 1
全生存期間の Kaplan-Meier 推定値
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.1: 1
患者が疾患進行または忍容できない有害事象を発現したと診断された場合,治験責任医師は治
験薬の投与を中止することとした。治験薬投与 中止 後は,患者は治験期間中であっても治験薬
以外の抗癌治療が可能であったため,OS の解析は治験薬以外の抗癌治療の影響を受けた可能
性がある。
治験薬投与中止後に治験薬以外の抗癌治療を実施した患者および割合を表 6.2: 11 に要約する。
両投与群とも疾患の進行後に多くの抗癌治療を受けた。治験薬投与中止後に治験薬以外の抗癌
治療を実施した患者の割合は,プラセボ群の方がアファチニブ群より高かった(78.9%対 67.6%)。
両投与群とも抗癌治療の大半が全身療法である化学療法剤,血管新生阻害剤,分子標的治療薬
[ゲフィチニブ,エルロチニブなどの EGFR TKI]であった。これら治療を受けた患者の割合
は 3 種類ともプラセボ群の方が高く,その差は EGFR TKI などの分子標的治療薬で顕著であっ
た(プラセボ群 23.7%対アファチニブ群 12.1%)。両投与群ともペメトレキセド,ドセタキセル,
ビノレルビン,ゲムシタビンが使用頻度の高い化学療法剤であった。
Page 360
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 11
治験薬の永続的な中止後に実施した抗癌剤の要約 – RS
Placebo
N (%)
Afatinib
N (%)
Patients received study medication
195
390
Patients discontinued study medication
194 ( 100.0)
380 ( 100.0)
34 ( 17.5)
91 ( 23.9)
No anti-cancer treatment after discontinuation
Unknown, insufficient follow-up
7(
3.6)
32 (
8.4)
Received anti-cancer treatment after discontinuation
153 ( 78.9)
257 ( 67.6)
Systemic anti-cancer treatment after discontinuation
148 ( 76.3)
246 ( 64.7)
135 ( 69.6)
230 ( 60.5)
Chemotherapy
Pemetrexed
92 ( 47.4)
136 ( 35.8)
Docetaxel
51 ( 26.3)
81 ( 21.3)
Vinorelbine
37 ( 19.1)
55 ( 14.5)
Gemcitabine
29 ( 14.9)
35 (
9.2)
Anti-angiogenesis
12 (
6.2)
17 (
4.5)
Bevacizumab
6(
3.1)
11 (
2.9)
Sorafenib
6(
3.1)
4(
1.1)
EGFR TKI or other targeted therapy
46 ( 23.7)
46 ( 12.1)
Erlotinib
31 ( 16.0)
33 (
8.7)
Gefitinib
14 (
11 (
2.9)
Non-systemic anti-cancer treatment
Radiotherapy
7.2)
33 ( 17.0)
42 ( 11.1)
27 ( 13.9)
35 (
9.2)
Unknown type
7(
3.6)
4(
1.1)
Surgery
1(
0.5)
4(
1.1)
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Table 11.4.1.1: 2
生存例を対象として,治験薬の投与および治験薬以外の抗癌治療の実施を経時的に解析した。
プラセボ群では,34.4%の患者が極めて早期(Week 4 の初回腫瘍評価後時点)に疾患進行を来
し,他の抗癌治療を開始した。また,過半数の患者(51.8%)は 2 回目(Week 8)の腫瘍評価
後に他の抗癌治療を開始した。一方,アファチニブを投与した患者は疾患進行および他の抗癌
治療の開始が遅く,43.8%は 4 回目の腫瘍評価時(Week 20)に,25.6%は 5 回目の腫瘍評価時
(Week 28)に治験薬の投与を継続していた。
治験薬の投与中止後に実施した抗癌治療の数をプラセボ群とアファチニブ群で比較したデータ
を図 6.2: 2 に示す。
Page 361
試験 1200.23
76%
Afatinib
Placebo
60
63%
40
44%
28%
20
Patients with subsequent systemic Rx (%)
80
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
16%
10%
6%
0
2%
1 or more
図 6.2: 2
2 or more
3 or more
4 or more
治験薬の投与中止後に実施した全身抗癌治療の数
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.1: 2
生存例では,治験薬の投与中止後に実施した抗癌治療の数は両投与群で大きく異なり,抗癌治
療を複数実施した患者はプラセボ群 44%,アファチニブ群 28%であった(Fisher の正確検定,
p<0.0001)。
治験薬以外の抗癌治療が OS 解析に及ぼす影響を評価するため,次の 2 種類のモデルを追加使
用した。1)Inverse Probability of Censoring Weighted 法(IPCW 法)を適用した Cox モデル(死
亡前に他の抗癌治療を受けた患者については,その開始日で打ち切る),2)他の抗癌治療開始
までの期間を時間依存性の共変量として組入れた Cox モデルである。両モデルの解析結果は類
似しており,アファチニブ群はプラセボ群と比較して,良好な OS を示した。
時間依存性 Cox モデルでは,治験薬と治験薬の投与中止後の抗癌治療の有無で強い交互作用が
示された。治験薬以外の抗癌治療を実施しなかった患者では,アファチニブ群の全生存率の推
定値がプラセボ群より高かった(図 6.2: 3)。治験薬以外の抗癌治療を実施した患者では,OS
に投与群間で差は認められなかった。
Page 362
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Had subsequent systemic therapy
1.0
1.0
OS: No subsequent systemic therapy
Placebo, deaths = 38/47, median = 4.6mon
Placebo, deaths=76/148, median=14.4mon
0.6
Placebo
Afatinib
0.0
0.2
0.4
Estimated survival probability
0.6
0.4
0.0
0.2
Estimated survival probability
0.8
Afatinib, deaths=138/246, median=12.7mon
0.8
Afatinib, deaths = 106/144, median = 5.8mon
0
3
6
9
12
15
18
21
24
Time [Months]
図 6.2: 3
0
3
6
9
12
15
18
21
24
Time [Months]
後治療(全身抗癌治療)の有無別の全生存期間の Kaplan-Meier 推定値
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.1: 3
OS のサブグループ解析
統計解析計画書の規定に従い,16 種類のサブグループで解析した結果,主解析の結果と一貫性
のある結果を示していた(図 6.2: 4)。
Page 363
試験 1200.23
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Figure 2.1.3.37
Overall survival in subgroups - randomized set
Source data: Appendix 16.1.9.2, Statdoc 6.1.8
図 6.2: 4
ctr15_2\ef3osgrp.sas
サブグループの全生存期間のフォレストプロット– RS
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.1: 4
20
Page 364
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
副次評価項目
無増悪生存期間(PFS)
独立判定委員会の評価
無増悪生存期間(PFS)の中央値はアファチニブ群 3.29 カ月,プラセボ群 1.08 カ月であった
(p<0.0001)。また,ハザード比は 0.381 であり,これはアファチニブ群の疾患進行リスクがプ
ラセボ群より 62%低いことを示す。独立判定委員会の評価に基づく PFS の解析結果を表 6.2: 12
および図 6.2: 5 に要約する。
表 6.2: 12
独立判定委員会の評価に基づく無増悪生存期間の要約 – RS
Placebo
Afatinib
Total randomised (N [%])
195 (100.00)
390 (100.00)
Patients progressed or died (N [%])
133 (68.21)
275 (70.51)
25th percentile
0.92 (0.89~0.95)
1.77 (1.22~1.84)
Median
1.08 (0.95~1.68)
3.29 (2.79~4.40)
75th percentile
2.00 (1.84~2.79)
6.28 (4.86~6.51)
PFS time (months)
Afatinib vs. Placebo:
Hazard ratio1
(95% CI)
P-value
2
0.381
(0.306~0.475)
< 0.0001
1)ハザード比は,性別およびベースラインの ECOG パフォーマンス・スコア(0 または 1 対 2)で層別した
Cox 回帰モデルを用いて算出。
2)p 値は,上記と同じ因子で層別した片側ログランク検定(アファチニブ対プラセボ)で算出。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.4.1.2.1: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
図 6.2: 5
Page 365
試験 1200.23
独立判定委員会の評価に基づく無増悪生存期間の Kaplan-Meier 曲線 – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.2.1: 1
主治医の評価
主治医の疾患進行に対する評価に基づく PFS の中央値は,アファチニブ群 2.83 カ月,プラセボ
群 0.95 カ月であった(表 6.2: 13 および図 6.2: 6)。ハザード比は 0.365(p<0.0001)であり,こ
れはアファチニブ群の疾患進行リスクがプラセボ群より 63.5%低いことを示す。これらの結果
は独立判定委員会の評価に基づく結果と一貫性があり,アファチニブが PFS を延長させること
を示している。
Page 366
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 13
主治医の評価に基づく無増悪生存期間の要約 – RS
Placebo
Afatinib
Total randomised (N [%])
195 (100.00)
390 (100.00)
Patients progressed or died (N [%])
189 (96.92)
358 (91.79)
25th percentile
0.89 (0.82~0.92)
1.77 (1.38~1.84)
Median
0.95 (0.95~0.99)
2.83 (2.73~4.01)
75th percentile
1.84 (1.77~2.60)
6.08 (4.80~6.44)
PFS time [months]
Afatinib
vs. Placebo:
Hazard ratio1
0.365
(95% CI)
P-value
(0.303~0.441)
2
<0.0001
1)ハザード比は,性別およびベースラインの ECOG パフォーマンス・スコア(0 または 1 対 2)で層別した
Cox 回帰モデルを用いて算出
2)p 値は,上記と同じ因子で層別した片側ログランク検定(アファチニブ対プラセボ)で算出
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.4.1.2.1: 2
図 6.2: 6
主治医の評価に基づく無増悪生存期間の Kaplan-Meier 曲線 – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.2.1: 2
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 367
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PFS の評価の一貫性
PFS の評価の一貫性を検討するため,統計解析計画書で規定した 2 種類の探索的解析[1)サブ
グループ解析,2)異なる打ち切り基準を適用した解析]を実施した。これらの PFS に関する
解析結果はすべて一貫性があり,アファチニブの PFS に対する臨床的ベネフィットが示された。
PFS:サブグループ解析
解析したほぼすべてのサブグループ[性別,年齢,人種,ベースラインの ECOG パフォーマン
ス・スコア,前治療の EGFR TKI の種類,ベースラインの腫瘍の大きさ,前治療の化学療法レ
ジメン数,および EGFR 遺伝子変異陽性のサブグループなど]でアファチニブ投与群の無増悪
生存率はプラセボ群より高かった。
(図 6.2: 7)。例外は,前治療の EGFR TKI の最良効果が疾患
進行(19 名)または不明(29 名),ならびに EGFR 遺伝子変異陰性のサブグループであった。
これらのサブグループは患者数が少なく,統計学的な有意差を示すことはできなかったが,当
該サブグループのハザード比の点推定値はアファチニブ投与群での良好な結果を示唆していた。
Page 368
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Figure 15.2.2.3: 17
PFS in subgroups
by independent review and primary censoring rules - randomized set
Source data: Appendix 16.1.9.2, Statdoc 6.2.2.2
図 6.2: 7
ctr15_2\ef3osgrp.sas
20
独立判定委員会の評価に基づく,サブグループの無増悪生存期間ハザード比
のフォレストプロット – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.2.1: 3
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 369
試験 1200.23
異なる打ち切り基準を適用した解析
下記に示した異なる打ち切り基準を適用したいずれの PFS においても,アファチニブ群の PFS
はプラセボ群に比較して,有意に長かった(ログランク検定,p<0.0001)。
y
独立判定委員会および主治医の評価の悪い方を採用
y
画像検査日を治験実施計画書の規定日ではなく,実際の検査された日とする。
y
PFS のイベントの判定には「死亡」と「放射線画像検査による増悪」のみを用いる。
y
治験薬でない抗癌剤治療の使用を打ち切りとしない。
y
画像検査未実施を打ち切りとしない。
腫瘍縮小効果
最良総合効果
腫瘍縮小効果は,治験責任医師および独立判定委員会の両者が RECIST 第 1.0 版に基づいて評
価した。
客観的奏効率データを独立判定委員会および主治医の評価別に表 6.2: 13 に要約する。完全奏効
は独立判定委員会および治験責任医師のいずれの評価でも報告されなかった。したがって,こ
こでは「客観的奏効」は部分奏効を意味する。
独立判定委員会の評価ではアファチニブ群の 29 名が部分奏効を達成し,客観的奏効率は 7.4%
であった。治験責任医師判定によるアファチニブ群の客観的奏効率(10.8%)は独立判定委員
会の評価より高かった。プラセボ群では 1 名が部分奏効を達成した。RECIST 第 1.0 版に基づき
完全奏効または部分奏効が認められた場合は,確定のため事後の画像診断を必要とした。本報
告書では客観的奏効(完全奏功および部分奏効)は,最初に認められてから 28 日以上経過した
後に再度部分奏効を確認することで確定とした。
完全奏効,部分奏効,安定をまとめて病勢コントロールと定義した。独立判定委員会の評価に
基づく病勢コントロール率はアファチニブ群(58.2%)の方がプラセボ群(18.5%)より統計学
的に有意に高かった(表 6.2: 13)。アファチニブ群が病勢コントロールを達成する可能性はプ
ラセボ群の 6 倍以上であった(オッズ比 6.28,p<0.0001)。
Page 370
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 14
客観的奏効率の要約 – RS
Placebo (N=195)
Number (% of Patients)
Afatinib (N=390)
Number (% of Patients)
Independent
Review
Investigator
Assessment
Independent
Review
Investigator
Assessment
Confirmed
1 (0.5)1
1 (0.5)2
29 (7.4)1
42 (10.8)2
Regardless of Confirmation
2 (1.0)
1 (0.5)
52 (13.3)
68 (17.4)
Objective Responses(all Partial Responses):
Stable Disease (SD)
35 (17.9)
41 (21.0)
198 (50.8)
194 (49.7)
Disease Control (PR+SD): Confirmed
36 (18.5)3
42 (21.5)4
227 (58.2)3
236 (60.5)4
Progressive Disease (PD)
95 (48.7)
134 (68.7)
102 (26.2)
114 (29.2)
Not evaluable
64 (32.8)
19 (9.7)
61 (15.6)
40 (10.3)
1)p=0.007,独立判定委員会の評価に基づく客観的奏効(確定)のアファチニブ対プラセボの差
2)p=0.002,主治医の評価に基づく客観的奏効(確定)のアファチニブ対プラセボの差
3)p<0.0001,独立判定委員会の評価に基づく病勢コントロール(確定)のアファチニブ対プラセボの差。p 値
は性別およびベースラインの ECOG パフォーマンス・スコア(0 または 1 対 2)で層別したロジスティック
回帰分析で算出
4)p<0.0001,主治医の評価に基づく病勢コントロール(確定)のアファチニブ対プラセボの差。p 値は性別お
よびベースラインの ECOG パフォーマンス・スコア(0 または 1 対 2)で層別したロジスティック回帰分析
で算出
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.4.1.2.2: 1
奏効までの期間および奏効期間
独立判定委員会および主治医の評価ともに,アファチニブ群の奏効例 29 名中,20 例はランダ
ム化割付け約 4 週後に奏効が確認され,奏効期間の中央値は独立判定委員会評価で 23.6 週間,
治験責任医師評価で 20.1 週間であった。
腫瘍縮小
図 6.2: 8 に示すとおり,独立判定委員会の評価ではアファチニブ群の 304 名でベースラインお
よびベースライン後の標的病変の測定値が得られた。独立判定委員会の評価では,これらのア
ファチニブ投与患者の 50%超で標的病変の最長径(合計)がベースラインより減少し,その縮
小率は 30%以下が 152 名(39.0%),30~50%が 40 名(10.3%),50%超が 13 名(3.3%)であっ
た。一方,プラセボ群の大半の患者(58.9%)ではベースライン後の最長径(合計)は不変ま
たは増加した。また,主治医の評価でも同様の結果であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
図 6.2: 8
Page 371
試験 1200.23
独立判定委員会の評価に基づく,標的病変の最長径(合計)のベースライン
からの最大縮小率(%)の Water fall プロット – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.2.2: 1
奏効のサブグループ解析
アファチニブ群の全サブグループで客観的奏効が認められた。症例数が 100 名を超えたサブグ
ループにおいて,独立判定委員会の評価に基づく客観的奏効率が最も高かったのは,全身療法
を受けたサブグループおよび前治療の EGFR TKI が奏効したサブグループ(EGFR 遺伝子変異
率が約 90%のグループ)であった。アファチニブの客観的奏効率は白人で最も低かったが,本
サブグループに対するベネフィットは PFS,病勢コントロール率および Water fall プロットでも
示され,全解析集団に対するベネフィットと同様であった。
プラセボ群の客観的奏効例は 1 名のみであるため,治療効果のサブグループ解析は,いずれも
妥当性はなく有用ではない。
EGFR 遺伝子変異を有する患者の有効性解析
独立判定委員会の評価では,PFS に関してプラセボと比較したアファチニブのベネフィットは,
腫瘍組織検査に基づく EGFR 遺伝子変異陽性患者(PFS を中央値で 2.3 カ月延長,p=0.009,ハ
ザード比 0.51)の方が EGFR 遺伝子変異陰性患者(PFS 中央値の差は 1.0 カ月のみ,p=0.216,
ハザード比 0.61)より高かった(図 6.2: 9)。
Page 372
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
B: Tissue test negative
1.0
1.0
A: Tissue test positive
Placebo, PFS events = 24/34, median = 1.0 mon
Placebo, PFS events = 9/14, median = 1.8 mon
0.6
0.0
0.2
0.4
Estimated PFS probability
0.6
0.4
0.0
0.2
Estimated PFS probability
0.8
Afatinib, PFS events = 22/31, median = 2.8 mon
0.8
Afatinib, PFS events = 47/62, median = 3.3 mon
0
3
6
9
12
15
18
21
24
0
3
Time [Months]
6
9
12
15
18
21
24
Time [Months]
(A)EGFR 遺伝子変異陽性腫瘍(組織検査で評価)を有する患者の PFS(N=96),
(B)EGFR 遺伝子変異陰性
腫瘍(組織検査で評価)を有する患者の PFS(N=45)
図 6.2: 9
EGFR 遺伝子変異陽性および陰性患者(組織検査で評価)の無増悪生存期間
(独立判定委員会の評価)
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.2.3: 1
EGFR 遺伝子変異率の異なる患者サブグループの有効性解析
前述したように,前治療の EGFR TKI でベネフィットが得られているほど EGFR 遺伝子変異率
は高かった(表 6.2: 9)。表 6.2: 9 で示した同じサブグループにおいて PFS および OS に対する
ベネフィットを検討した(表 6.2: 15)。アファチニブの PFS および OS に対するベネフィットは
EGFR 遺伝子変異率と関連していた。たとえば,前治療の EGFR TKI で完全奏効/部分奏効を
達成したサブグループは,EGFR 遺伝子変異率が最も高く(約 90%),アファチニブのプラセボ
に対する PFS のハザード比も最も良好であった(ハザード比 0.23)。前治療の EGFR TKI の投
与期間が 24 週未満のサブグループは EGFR 遺伝子変異率が最も低く(33%),PFS のハザード
比は 0.58 で,最も劣っていた。
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 15
EGFR 遺伝子変異率の異なる患者サブグループの有効性解析
Category
No. of Patients EGFR Mutation PFS: Hazard
in Designated Positivity Rate in (95% CI)
This Study1
Group
585
All patients:
Entry requirement was
≥12 wks duration of prior EGFR
TKI
ratio2 OS: Hazard ratio
(95% CI)3
68%
0.38 (0.31, 0.48)
1.08 (0.86, 1.35)
Prior EGFR TKI duration
<24 wks
113
33%
0.58 (0.34, 0.99)
1.24 (0.76, 2.05)
≥24 wks
472
75%
0.35 (0.28, 0.45)
1.04 (0.81, 1.33)
≥48 wks
266
83%
0.31 (0.22, 0.44)
1.00 (0.72, 1.40)
Prior EGFR TKI: CR/PR
263
88%
0.23 (0.17, 0.33)
0.90 (0.65, 1.25)
1)組織検査に基づく(各治験実施施設の検査室または中央検査機関で実施した結果)
2)独立判定委員会の評価に基づく PFS
3)CI:信頼区間
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.4.1.2.4: 1
臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高い患者サブグループの有効性解析
EGFR 遺伝子変異率の高い患者集団を確保するために,前治療の EGFR TKI でのベネフィット
に基づき,臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者の割合を高める方法を用いた。
本サブグループ(表 6.2: 16 参照)は,EGFR 遺伝子変異率が高く(83%),症例数が全解析集団
の約 2/3 を占めた。臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い本サブグループでは,
アファチニブの PFS に対するベネフィットが全解析集団より高く,PFS のハザード比は 0.28 で
あった。臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が低いサブグループでは変異率がはるかに
低く(26%),アファチニブの PFS に対するベネフィットもはるかに低かった(ハザード比 0.67)。
OS ハザード比のパターンは PFS ハザード比のパターンと傾向が似ており,臨床的に EGFR 遺
伝子変異を有する可能性が高いサブグループでベネッフィットが高かった(表 6.2: 16)。
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 16
臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者サブグループおよび
臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が低い患者サブグループの有効
性解析
Category
No. of
Patients in
Designated
Group
391
EGFR
Mutation
Positivity Rate
in This Study 1
83%
Subgroup of patients highly
clinically enriched for EGFR
mutations:
Prior EGFR TKI: CR/PR
and/or duration ≥48 wks
194
26%
Complementary subgroup of
patients with low level of
EGFR mutations:
Prior EGFR TKI: no CR/PR
and duration <48 wks
1)組織検査に基づく(各治験実施施設または中央検査機関)
2)独立判定委員会の評価に基づく PFS
3)CI:信頼区間
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.4.1.2.5: 1
PFS: Hazard ratio2
(95% CI)
OS: Hazard ratio
(95% CI)3
0.28 (0.21, 0.36)
0.90 (0.69, 1.18)
0.67 (0.46, 0.98)
1.53 (1.02, 2.28)
同様のサブグループ(臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高いまたは低い)では,PFS
の Kaplan-Meier 曲線に顕著な違いが認められた(図 6.2: 10)。すなわち,臨床的に EGFR 遺伝
子変異の可能性が高いサブグループ(PFS を中央値で 3.4 カ月延長,図 6.2: 10,パネル A)の
方が,EGFR 遺伝子変異の可能性が低いサブグループ(PFS を中央値で 1.0 カ月延長,図 6.2: 10,
パネル B)よりアファチニブのベネフィットが高かった。これらの PFS の結果は,EGFR 遺伝
子変異陽性/陰性確定例からなる小規模サブグループで認められた結果と類似していた(図
6.2: 9)。これらの結果から,EGFR 遺伝子変異がアファチニブの有効性と関連することが裏付
けられた。
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
B: no CR/PR AND < 48wks
1.0
1.0
A: prior EGFR BOR=CR/PR OR duration>=48wks
Placebo, PFS events = 94/134, median = 1.0 mon
Placebo, PFS events = 39/61, median = 1.8 mon
0.6
0.0
0.2
0.4
Estimated PFS probability
0.6
0.4
0.0
0.2
Estimated PFS probability
0.8
Afatinib, PFS events = 97/133, median = 2.8 mon
0.8
Afatinib, PFS events = 178/257, median = 4.4 mon
0
3
6
9
12
15
18
21
24
0
3
6
Time [Months]
9
12
15
18
21
24
Time [Months]
(A)臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い(陽性率 83%)サブグループ(N=391,全患者の 67%)。
EGFR TKI の前治療で完全奏効/部分奏効を達成,または EGFR TKI の前治療を 48 週間以上実施した患者。
(B)臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が低いサブグループ。EGFR TKI の前治療で効果が認められ
ず,かつ EGFR TKI の前治療が 48 週間未満であった患者(N=194,全患者の 33%)(陽性率 25%)。
図 6.2: 10
臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者からなるサブグルー
プ(A)および臨床的に EGFR 遺伝子変異率を有する可能性が低い患者から
なるサブグループ(B)の無増悪生存期間(独立判定委員会の評価)
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.2.5: 1
アファチニブのベネフィットを示す OS のハザード比が,EGFR 遺伝子変異率の高さと関連す
ることは既に記述したとおりである(表 6.2: 16)。OS の Kaplan-Meier 曲線で,臨床的に EGFR
遺伝子変異を有する可能性が高いサブグループ(EGFR 遺伝子変異率 83%)は,前治療の EGFR
TKI で完全奏効/部分奏効を達成したサブグループ(EGFR 遺伝子変異率約 90%)とほぼ同じ
結果を示した(図 6.2: 11)。両サブグループともアファチニブでより良好なハザード比(0.90)
を示したが,いずれも統計学的に有意でなかった。以上の結果から,これらの 2 つの大きなサ
ブグループを用いた OS の結果は一貫性があることが示された。
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
B: prior EGFR BOR=CR/PR OR duration>=48wks
1.0
1.0
A: prior EGFR BOR=CR/PR
Placebo, deaths = 53/85, median = 11.2 mon
Placebo, deaths = 81/134, median = 11.2 mon
0.6
0.0
0.2
0.4
Estimated PFS probability
0.6
0.4
0.0
0.2
Estimated PFS probability
0.8
Afatinib, deaths = 154/257, median = 11.8 mon
0.8
Afatinib, deaths = 108/178, median = 12.0 mon
0
3
6
9
12
15
18
21
24
0
Time [Months]
3
6
9
12
15
18
21
24
Time [Months]
(A)前治療の EGFR TKI で完全奏効/部分奏効を達成した患者からなる事前規定サブグループ(N=263,全
患者の 45%)の OS。EGFR 遺伝子変異率は高い(陽性率 88%)。
(B)EGFR 遺伝子変異の可能性が高いより大
きなサブグループ(陽性率 83%)の OS。前治療の EGFR TKI で完全奏効/部分奏効を達成し,または EGFR TKI
の前治療を 48 週間以上実施した患者,またはそのいずれかに該当する患者(N=391,全患者の 67%)。
図 6.2: 11
EGFR TKI の前治療で完全奏効/部分奏効を達成したサブグループ(A)およ
び臨床的に EGFR 遺伝子変異の可能性が高いサブグループ(B)(EGFR TKI
の前治療で完全奏効/部分奏効を達成,または EGFR TKI の前治療を 48 週
間以上実施した患者)の全生存期間
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.2.5: 2
Jackman 基準に基づきエルロチニブまたはゲフィチニブに対する耐性を獲得した患者サブ
グループの有効性解析
Jackman 基準に基づき,エルロチニブまたはゲフィチニブに対する耐性を獲得していると想定
される患者サブグループ(N=214,全試験集団の 37%)を解析した。これらの患者は特にエル
ロチニブまたはゲフィチニブに抵抗性があり,臨床ではこのような患者に対する新規標的薬が
必要とされている。したがって,全解析集団での有効性が,近年の発表論文で規定されている
基準で定義されるこの重要なサブグループでも認められるか検討する必要があった。図 6.2: 12
に示すとおり,Jackman 基準に基づく耐性獲得サブグループで認められた PFS に対するアファ
チニブのベネフィットは,全解析集団でのベネフィットを上回らないものの同程度には良好で
あった。本耐性獲得サブグループの PFS 中央値はアファチニブ群 4.5 カ月,プラセボ群 1.0 カ
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 377
試験 1200.23
月であった。この Jackman 基準に基づく耐性獲得サブグループの OS ハザード比(1.09)は全
試験集団の OS ハザード比(1.08)と同程度であった。
図 6.2: 12
耐性獲得基準(Jackman 基準)を満たした患者サブグループの無増悪生存期
間(独立判定委員会の評価)
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.2.6: 1
健康関連 QOL
ベースラインの症状および健康関連 QOL スコア
両投与群とも,事前に規定した NSCLC 関連症状(咳嗽,呼吸困難,疼痛)のベースライン時
の平均 EORTC 変換スコアは全般的に低く(すべて 31 点未満),重症度が低いことが示唆され
た。ベースライン時の合併症も,咳嗽(両投与群約 30%),呼吸困難(プラセボ群 16%,アフ
ァチニブ群 18%),疼痛(両投与群約 7%)と CTCAE grade は低く,両群で同程度であることが
示された。
症状および健康関連 QOL スコアが改善した患者の割合
EORTC 質問票を用いた評価で,事前に規定した NSCLC 関連症状が 10 点以上改善した患者の
割合は,アファチニブ群でプラセボ群より統計学的に有意に高かった(咳嗽:プラセボ群 25%
対アファチニブ群 46%,p<0.0001,以下同様。呼吸困難:36%対 51%,p=0.0060。疼痛:32%
対 50%,p<0.0001)
(図 6.2: 13)。また,息切れ(プラセボ群 25%対アファチニブ群 40%,p=0.0014,
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試験 1200.23
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
以下同様),胸痛(24%対 40%,p=0.0014),腕または肩の疼痛(27%対 41%,p=0.0044),他部
位の疼痛(26%対 36%,p=0.0037)の各項目でも同様にアファチニブ群に良好な改善が認めら
れた。
Coughing (Q1 from QLQ-LC13)
p<0.0001
Dyspnea (Q3-Q5 from QLQ-LC13)
p=0.0060
Dyspnea, rested (Q3 from QLQ-LC13)
p=0.3439
Dsypnea, walked (Q4 from QLQ-LC13)
Placebo
Afatinib
p=0.1787
Dyspnea, climbed stairs (Q5 from QLQ-LC13)
p=0.0574
Shortness of breath (Q8 from QLQ-C30)
p=0.0014
Pain (Q9, Q19 from QLQ-C30)
p<0.0001
Having pain (Q9 from QLQ-C30)
p<0.0001
Pain affecting daily activities (Q19 from QLQ-C30)
p<0.0001
Pain in chest (Q10 from QLQ-LC13)
p=0.0014
Pain in arms or shoulders (Q11 from QLQ-LC13)
p=0.0044
Pain in other parts (Q12 from QLQ-LC13)
p=0.0037
0
10
20
30
40
50
60
70
Patients improved (%)
図 6.2: 13
咳嗽,呼吸困難,疼痛スコアが改善した患者の割合 – RS
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.4.1.2.7: 1
一方,アファチニブの忍容性プロファイルと一致して,アファチニブの投与により食欲減退,
下痢,口腔内痛,嚥下障害の症状スコアがプラセボと比較して統計学的に有意に悪化した[食
欲減退(プラセボ群 40%対アファチニブ群 53%,p<0.0001,以下同様),下痢(17%対 83%,
p<0.0001),口腔内痛(17%対 76%,p<0.0001),嚥下障害(17%対 46%,p<0.0001)]。アファチ
ニブは疲労と関連せず,結果として疲労症状スコアをプラセボより改善させた(40%対 53%,
p<0.0007)。
全体として,アファチニブ群の全般的健康状態 QOL はプラセボ群より改善した(38%対 29%,
p<0.084)。
Nippon Boehringer
B
I
Ingelheim
Co., Ltd.
アファチ
チニブ CTD 2.7.6 個々の
の試験のまと
とめ
Page 379
試験
験 1200.23
症状およ
よび QOL スコアの悪化
化までの期間
間
アファチ
チニブは咳 嗽の悪化ま
までの期間を
をプラセボよ
より有意に延
延長させ(
(ハザード比
比 0.60,
p<0.001)
),呼吸困難
難(ハザード
ド比 0.84,p=
=0.170)およ
よび疼痛(ハ
ハザード比 00.88,p=0.28
87)の悪
化までの
の期間の延長
長する傾向が
が示唆された
た。疼痛の各
各項目の悪化
化までの期間
間はさらに長
長く,こ
れらは統
統計学的に有
有意であった
た[疼痛あり
り(ハザード
ド比 0.73,995% CI:0.55~0.96),胸
胸痛(ハ
ザード比
比 0.61,95% CI:0.45~00.84),腕また
たは肩の疼痛
痛(ハザード比 0.71,95%
% CI:0.52~0.98)]。
呼吸困難
難に関しては
は,アファチ
チニブはプラ
ラセボに比較
較して,歩行時呼吸困難
難(ハザード比
比 0.72,
95% CI:0.55~0.955),階段昇降時呼吸困難
難(ハザード比 0.69,95% CI:0.52~0.92)お
および息
切れ(ハ
ハザード比 0.73,95% CI:0.55~00.97)の悪化
化までの期間
間を有意に延
延長した。咳
咳嗽,呼
吸困難,疼痛の悪化
化までの期間
間のハザード比を図 6.2
2: 14 に要約する。
図 6.2: 14
1
咳
咳嗽,呼吸困
困難,疼痛ス
スコアの悪化
化までの期間
間のハザー ド比のフォレストプ
ロ
ロット
– RS
S
引用元:CTD 5.3.5.1-22(U
-3048),Figure
,
11.4.1.2.7: 2
アファチ
チニブ群の下
下痢(ハザー
ード比 7.88,95% CI:5
5.63~11.02)
)および食欲
欲減退(ハザ
ザード比
1.29,955% CI:1.00~1.66)の悪
悪化までの期
期間はアファ
ァチニブの忍
忍容性プロフ
ファイルと一
一貫して
おり,プ
プラセボ群よ
より有意に短
短かった。一
一方,アファ
ァチニブは全
全般的健康状
状態/QOL(ハザー
ド比 0.778,95% CI:0.62~0.9995),不眠症
症(ハザード
ド比 0.70,95% CI:0.53~0.93),便
便秘(ハ
ザード比
比 0.46,95%
% CI:0.34~
~0.62)の悪
悪化までの期
期間を有意に
に延長させた
た。
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
咳嗽および呼吸困難の有害事象
咳嗽および呼吸困難の有害事象報告の解析結果は,悪化までの期間の解析結果と一貫しており,
アファチニブの咳嗽リスクは有意に低かった。これは呼吸困難および咳嗽リスクの低下傾向を
伴った。
投与量(薬物濃度)および腫瘍縮小効果との関連性
Week 4 の客観的腫瘍縮小効果と Week 2 および Week 4 のアファチニブの投与前血漿中濃度との
間に,若干の濃度反応関係が認められた。全般的に Week 4 に部分奏効を示した患者は,安定
または疾患進行を示した患者より Week 2 および Week 4 の投与前血漿中濃度が高かった(表 6.2:
17)。
表 6.2: 17
薬物濃度および腫瘍縮小効果 – アファチニブ投与患者
Week 2(Day 15)
Week 4(Day 28)
N (%)
Concentration1
(ng/mL)
N (%)
Concentration1
(ng/mL)
323 (100)
40.2
237 (100)
35.5
29 (9.0)
42.9
27 (11.4)
39.2
Stable disease
223 (69.0)
39.3
179 (75.5)
35.0
Progressive disease
52 (16.1)
33.0
26 (11.0)
36.2
Total with pre-dose plasma value
Overall response at week 4
Partial response
1)濃度はアファチニブの投与前血漿中濃度
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.4.2: 1
PFS および OS とアファチニブの投与前血漿中濃度にはこのような傾向は認められなかった。
Week 2 の投与前血漿中濃度を測定した患者を四分位で分割し,それぞれ Kaplan-Meier 曲線を引
いた結果,この曲線には 4 群間で明確な傾向は認められなかった。投与前血漿中濃度が最も高
い群は各時点で全生存率の推定値が最も低かったが,すべての信頼区間が重なるため統計学的
に有意でなかった。Week 4 の投与前血漿中濃度も同様の結果であった。
臨床薬物動態の結果
全投与期間中,アファチニブ 50 mg/日を連日投与した[CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Section 9.1]。
治験薬との因果関係が否定できない有害事象が発現した場合は,用量を順に 40 mg および 30 mg
へ減量可能とした。
以下の基準を用いて薬物動態を解析した。
•
薬物動態解析用検体を前回のアファチニブ投与後 16~32 時間あるいはアファチニブの最
終投与後 10 分以内に採取した場合,これらのアファチニブ血漿中濃度を投与前血漿中濃度
とする。その他の血漿中濃度は薬物動態解析から除外した。
•
薬物動態の Visit について,薬物動態解析用検体の採血日時または治験薬の投与日時が不明
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 381
試験 1200.23
な場合,その検体は薬物動態解析から除外した。しかし,薬剤の投与時間のみが不明で,
治験薬の投与日および薬物動態解析用検体の採血日時は記録がある場合,その検体は薬物
動態解析の対象とした。このような場合は,治験薬を治験実施計画書の計画どおりに投与
したとみなした。
•
薬物動態解析用検体の採取前 3 日以内に用量を減量した場合,その血漿中濃度は薬物動態
解析から除外した。
薬物動態解析用検体は Day 1(Visit 1/第 1 コースの投与前),Day 15(Visit 2/第 1 コースの投
与前),Day 29(Visit 1/第 2 コースの投与前,投与 1,3,6 時間後),Day 57(Visit 1/第 3 コ
ースの投与前,投与 2,6 時間後)に採取した。投与 6 時間後の検体採取は任意とした。Cpre,ss,15,
Cpre,ss,29,Cpre,ss,57 値はそれぞれ 15,29,57 回目の投与前の血漿中濃度である。
投与前,および Day 15(Visit 2/第 1 コース),Day 29(Visit 1/第 2 コース),Day 57(Visit 1
/第 3 コース)の吸収相に採取した検体のアファチニブ血漿中濃度を,表 6.2: 18 に要約する。
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試験 1200.23
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表 6.2: 18
アファチニブ 50 mg/日を反復投与後,ならびに 40 mg および 30 mg に減量後の平均アファチニブ血漿中濃度の要約
Afatinib plasma concentrations (ng/mL)
Afatinib dose:
Day
Sampling
(Visit/Course)
time point
Day 15
(V2/C1)
Day 291)
(V1/C2)
Day 57
30 mg qd
40 mg qd
50 mg qd
N
gMean
gCV[%]
N
gMean
gCV[%]
N
gMean
gCV[%]
Pre-dose (Cpre, ss, 15)
-
-
-
-
-
-
323
39.1
64.3
Pre-dose (Cpre, ss, 29)
-
-
-
21
32.2
79.3
237
34.1
65.2
1h
217
51.5
65.8
3h
211
64.6
58.1
162
33.0
52.8
151
56.8
66.8
1)
(V1/C3)
Pre-dose (Cpre, ss, 57)
7
21.4
55.5
2h
7
38.3
39.7
38
1)投与 6 時間後の検体採取は任意とした。記述統計量は検体数が少ないため算出できなかった。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 11.5.2: 2
26.4
90.9
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試験 1200.23
各時点のアファチニブ血漿中濃度のばらつきは全用量群で大きかった。50 mg 投与群の幾何変
動係数は 53~67%であった。なお,30 mg 投与群の幾何変動係数は 40~56%,40 mg 投与群で
は 79~91%であったが,これらの減量用量群での薬物動態データは限られていた。
50 mg 投与群のデータでは,アファチニブ血漿中濃度は Day 15(Visit 2/第 1 コース)までに
定常状態に到達した(Cpre,ss 値を視覚的に評価して導き出した)。定常状態にはさらに早く達し
ていた可能性もあるが,Day 1~Day 15 の間に薬物動態用の採血は行わなかった。全般的に,
50 mg 投与群の血漿中トラフ濃度は薬物動態観察期間(56 日間)を通じて一定であり(図 6.2: 15),
これらの所見は 40 mg 投与群のデータで裏付けられた(図 6.2: 16)。アファチニブの投与期間
中,血漿中トラフ濃度の上昇や低下といった一定の傾向は認められなかった。
図 6.2: 15
NSCLC 患者にアファチニブ 50 mg を 1 日 1 回反復経口投与した後のアファ
チニブ Cpre,ss 値の個体内比較
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.5.2: 1
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図 6.2: 16
NSCLC 患者にアファチニブ 40 mg を 1 日 1 回反復経口投与した後のアファ
チニブ Cpre,ss 値の個体内比較
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Figure 11.5.2: 2
安全性評価
ランダム化割付けされたすべての患者が治験薬を少なくとも 1 回服薬し,安全性の解析対象と
なった。(TS 585 名:プラセボ群 195 名,アファチニブ群 390 名)。
曝露状況
本報告書のデータカットオフ(20
年
月
日)時点で,アファチニブ群の平均総投与期間(治
験薬の投与開始から永続的中止までの期間)(4.1 カ月)はプラセボ群(1.9 カ月)より長かっ
た。また,総投与日数(総投与期間-非投与日数)はアファチニブ群の 3.9 カ月に対してプラ
セボ群では 1.8 カ月であった。以上のことから,有害事象の発現率を評価する際には,アファ
チニブ群はプラセボ群より投与期間が長いことを考慮する必要がある。
全般的な治験薬の曝露状況(用量を問わない)を表 6.2: 19 に示す。治験薬の投与期間が 9 カ月
間を超えた患者はアファチニブ群で 37 名,プラセボ群では 3 名であった。
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表 6.2: 19
治験薬の曝露状況の要約 – TS
Placebo
Total treated[N(%)]
Afatinib
Total
1
195 (100.0)
389 (100.0)
584 (100.0)
1.9 (2.3)
4.1 (3.6)
3.4 (3.4)
107 (54.9)
42 (21.5)
25 (12.8)
12 (6.2)
6 (3.1)
1 (0.5)
0 (0.0)
1 (0.5)
1 (0.5)
0 (0.0)
70 (18.0)
75 (19.3)
81 (20.8)
71 (18.3)
55 (14.1)
24 (6.2)
6 (1.5)
4 (1.0)
0 (0.0)
3 (0.8)
177 (30.3)
117 (20.0)
106 (18.2)
83 (14.2)
61 (10.4)
25 (4.3)
6 (1.0)
5 (0.9)
1 (0.2)
3 (0.5)
1.8 (2.3)
3.9 (3.5)
3.2 (3.3)
48.9 (4.5)
43.7 (8.4)
45.4 (7.7)
Total treatment time[months]2
Mean(SD3)
Total treatment time[N(%)]4
≤ 1 month
>1 to ≤ 2 months
>2 to ≤ 4 months
>4 to ≤ 6 months
>6 to ≤ 9 months
>9 to ≤ 12 months
>12 to ≤ 15 months
>15 to ≤ 18 months
>18 to ≤ 21 months
>21 to ≤ 24 months
Total on-treatment time[months] 5
Mean(SD3)
Average daily dosage[mg] 6
Mean(SD3)
1)アファチニブ群に割付けられた患者 31102 は,治験期間中に誤って治験薬を切り替えられため本表から除
外した。
2)総投与期間は治験薬の開始から永続的な中止までの全期間
3)SD:標準偏差
4)投与中の患者については,総投与期間は治験薬の開始からデータカットオフ(20 年 月 日)まで。
5)総投与日数 = 総投与期間 − 総治験薬非投与日
6)平均 1 日投与量 = 総投与量/総投与期間(日)。月数 =(日数/365.25)×12
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Table 12.1: 1
投与量の減量
治験実施計画書の規定に従って治験薬を減量した患者は,アファチニブ群の方が多かった。
40 mg(プラセボ群ではアファチニブ 40 mg に相当するプラセボ)に減量した患者はプラセボ
群 1.0%(2/195 名),アファチニブ群 38.8%(151/389 名)であった。さらに減量した患者は,
プラセボ群ではいなかったが,アファチニブ群では 10.8%(42/389 名)の患者が 30 mg に減
量した(表 6.2: 20)。
開始用量である 50 mg の平均投与期間はアファチニブ群(84 日間)の方がプラセボ群(56 日
間)より長かった。40 mg の平均投与期間はアファチニブ群(151 名)80 日間,プラセボ群(2
名)94 日間であった。アファチニブ 30 mg の平均投与期間は 93 日間であった。
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表 6.2: 20
減量を含む曝露状況の要約 – TS
Placebo
Afatinib1
Total
195 (100.0)
389 (100.0)
584 (100.0)
56 (67.9)
84 (81.4)
75 (78.3)
Reduced to 40mg
2 (1.0)
151 (38.8)
153 (26.2)
Reduced to 30mg
0 (0.0)
42 (10.8)
42 (7.2)
Total treated [N (%)]
Treatment time on 50mg starting dose [days]
Mean (SD2)
Patients with dose reduction [N (%)]
Time to first dose reduction [N (%)]
<=14 days
0 (0.0)
2 (0.5)
2 (0.3)
>14 to <=28 days
1 (0.5)
41 (10.5)
42 (7.2)
>28 to <=56 days
0 (0.0)
53 (13.6)
53 (9.1)
>56 days
1 (0.5)
55 (14.1)
56 (9.6)
2
151
153
94 (103.9)
80 (80.7)
80 (80.7)
<=14 days
0 (0.0)
1 (0.3)
1 (0.2)
>14 to <=28 days
0 (0.0)
6 (1.5)
6 (1.0)
>28 to <=56 days
0 (0.0)
18 (4.6)
18 (3.1)
>56 days
0 (0.0)
17 (4.4)
17 (2.9)
0
42
42
93 (89.2)
93 (89.2)
Treatment time on 40 mg[days]
N
2
Mean (SD )
Time to second dose reduction [N (%)]
Treatment time on 30 mg[days]
N
2
Mean (SD )
1)患者 31102 は治験期間中に誤って治験薬を切り替えられたため本表から除外。
2)SD:標準偏差
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.1: 2
投与開始から 1 年後までの 4 週ごとの各時点で,アファチニブの投与量を検討したところ,ア
ファチニブ 50 mg を投与している患者は,アファチニブ投与中の患者の 40~89%だった。
有害事象の要約
両投与群の大半の患者で有害事象が認められた(プラセボ群 86.2%,アファチニブ群 98.5%)。
事象経過中のいずれかの時点で CTCAE grade 3 以上と判断された有害事象はプラセボ群で
24.6%,アファチニブ群で 56.7%に発現した(表 6.2: 21)。
減量に至った有害事象はプラセボ群 1.0%,アファチニブ群 38.5%の患者に認められた。治験薬
の投与中止に至った有害事象はプラセボ群 6.2%,アファチニブ群 17.9%の患者に認められた。
これらにはその他の有害事象と同様に疾患進行(PD)により投与を中止した患者患者が含まれ
た。PD を示唆する徴候および症状があった場合は,これらの徴候および症状を投与中止に至
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
った有害事象として記録することとしていた。その他,疾患進行(悪性新生物進行など)は治
験薬の中止に至った有害事象として頻繁に認められた。
重篤な有害事象はプラセボ群 18.5%,アファチニブ群 33.6%の患者で認められた。死亡に至っ
た有害事象はプラセボ群 7.2%,アファチニブ群 11.0%の患者で認められた。
表 6.2: 21
有害事象の要約 – TS
Placebo
N(%)1
Afatinib
N(%)1
Disability/incapacitating
195 (100.0)
168 (86.2)
74 (37.9)
12 (6.2)
2 (1.0)
36 (18.5)
14 (7.2)
3 (1.5)
1 (0.5)
390 (100.0)
384 (98.5)
372 (95.4)
70 (17.9)
150 (38.5)
131 (33.6)
43 (11.0)
12 (3.1)
4 (1.0)
Required hospitalisation
Prolonged hospitalusation
Other
31 (15.9)
2 (1.0)
0 (0.0)
114 (29.2)
17 (4.4)
4 (1.0)
48 (24.6)
221 (56.7)
61 (31.3)
59 (30.3)
32 (16.4)
2 (1.0)
14 (7.2)
28 (7.2)
135 (34.6)
159 (40.8)
19 (4.9)
43 (11.0)
Total treated
Patients with any AE 2
Patients with investigator-defined drug-related AEs
Patients with AEs leading to discontinuation of trial medication
Patients with any AE leading to dose reduction
Patients with serious AEs3
Fatal
Immediately life threatening
Patients with CTCAE Grade 3 or higher AEs
Patients with maximum CTCAE grade
Grade 1
Grade 2
Grade 3
Grade 4
Grade 5
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
を使用。
3)同じ患者を複数の重篤度基準でカウントした場合がある。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.2.1: 1
有害事象(グループ用語および基本語別)
有害事象(投与群を問わず 5.0%を超える患者に発現)の発現率をグループ用語およびそれ以外
は基本語別に表 6.2: 22 に要約する。アファチニブ群で発現率の高かった有害事象は,下痢(プ
ラセボ群 9.2%,アファチニブ群 86.9%,以下同様),発疹/ざ瘡 +(15.9%,78.5%),口内炎 +
(4.6%,62.3%),爪の異常+(1.0%,39.2%)の 4 種類であり,すべて EGFR 阻害の作用機序と
関連していた。
疲労+は癌患者でよく認められる有害事象であり,プラセボ群 22.1%,アファチニブ群 29.5%で
認められた。爪の異常+は EGFR 阻害作用と関連する有害事象であるがプラセボ群の 1.0%に対
してアファチニブ群では 39.2%で認められた。爪の異常+としてグループ化された事象のうち最
も高頻度に報告された基本語は爪囲炎であり,プラセボ群 0.5%,アファチニブ群 33.8%で認め
られた。口唇障害+も EGFR 阻害作用と関連する有害事象であり,プラセボ群 0.5%,アファチ
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
ニブ群 5.9%で認められた。口唇障害+としてグループ化された事象のうち最も高頻度に報告さ
れた有害事象は口唇炎であり,アファチニブ群では 3.3%で認められたが,プラセボ群では認め
られなかった。
表 6.2: 22
有害事象の発現率[5%超,投与群別および基本語別(グループ用語およびそ
の他の MedDRA 基本語を使用)]– TS
症例数
有害事象総数
2
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
Stomatitis(口内炎)
+
Placebo
N(%) 1
Afatinib
N(%) 1
195 (100.0)
390 (100.0)
168 (86.2)
384 (98.5)
18 (9.2)
339 (86.9)
31 (15.9)
306 (78.5)
9 (4.6)
243 (62.3)
2 (1.0)
153 (39.2)
+
Nail effect(爪の異常) +
22 (11.3)
119 (30.5)
43 (22.1)
115 (29.5)
Nausea(悪心)
39 (20.0)
91 (23.3)
Vomiting(嘔吐)
26 (13.3)
78 (20.0)
Epistaxis(鼻出血)
1 (0.5)
73 (18.7)
Pruritus(そう痒症)
11 (5.6)
71 (18.2)
Dry skin(皮膚乾燥)
14 (7.2)
61 (15.6)
Dyspnoea(呼吸困難)
26 (13.3)
58 (14.9)
Cough(咳嗽)
37 (19.0)
51 (13.1)
Constipation(便秘)
23 (11.8)
40 (10.3)
Rhinorrhoea(鼻漏)
2 (1.0)
40 (10.3)
Pyrexia(発熱)
7 (3.6)
39 (10.0)
Weight decreased(体重減少)
2 (1.0)
36 (9.2)
Hypokalaemia(低カリウム血症)
4 (2.1)
34 (8.7)
Decreased appetite(食欲減退)
Fatigue(疲労)
+
+
4 (2.1)
31 (7.9)
0 (0.0)
29 (7.4)
22 (11.3)
28 (7.2)
Pain in extremity(四肢痛)
4 (2.1)
27 (6.9)
Ocular effect(眼の障害)
Palmar-plantar erythrodysaesthesia syndrome
(手掌・足底発赤知覚不全症候群)
Back pain(背部痛)
Chest pain(胸痛)
13 (6.7)
26 (6.7)
Abdominal pain upper(上腹部痛)
8 (4.1)
25 (6.4)
Lip effect(口唇障害) +
1 (0.5)
23 (5.9)
Anaemia(貧血)
3 (1.5)
22 (5.6)
Dysgeusia(味覚異常)
1 (0.5)
22 (5.6)
Headache(頭痛)
9 (4.6)
20 (5.1)
Muscle spasms(筋痙縮)
3 (1.5)
20 (5.1)
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
を使用。有害事象名の右側の+印はグループ用語。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.2.2.1: 1
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有害事象(器官別大分類および基本語別)
アファチニブ群の有害事象の発現率は生殖系および乳房障害を除くすべての器官別大分類でプ
ラセボ群より高かった。発現率が高かった有害事象の器官別大分類(アファチニブ群で 50.0%
を超えたもの)は,胃腸障害,皮膚および皮下組織障害,一般・全身障害および投与部位の状
態,呼吸器,胸郭および縦隔障害,感染症および寄生虫症の 5 種類であった。
器官別大分類の胃腸障害で高頻度に報告された有害事象は下痢(プラセボ群 9.2%,アファチニ
ブ群 86.9%,以下同様),悪心(20.0%,23.3%),口内炎(1.0%,21.8%),嘔吐(13.3%,20.0%),
口腔内潰瘍形成(0.0%,13.1%),便秘(11.8%,10.3%)であった。
器官別大分類の皮膚および皮下組織障害で高頻度に報告された有害事象は発疹(11.8%,64.1%),
そう痒症(5.6%,18.2%),皮膚乾燥(7.2%,15.6%)であった。
器官別大分類の一般・全身障害および投与部位の状態で高頻度に報告された有害事象は粘膜の
炎症(1.0%,24.4%),疲労(11.8%,19.0%),発熱(3.6%,10.0%)であった。
器官別大分類の呼吸器,胸郭および縦隔障害で高頻度に報告された有害事象は鼻出血(0.5%,
18.7%),呼吸困難(13.3%,14.9%),咳嗽(19.0%,13.1%),鼻漏(1.0%,10.3%)であった。
器官別大分類の感染症および寄生虫症で高頻度に報告された有害事象は爪囲炎であり,プラセ
ボ群 0.5%,アファチニブ群 33.8%であった。
特に注目すべき有害事象
事前に規定した特に注目すべき有害事象は,EGFR 阻害作用と関連する有害事象(下痢,発疹
/ざ瘡 +,口内炎 +,眼の障害 +),悪心/嘔吐,肝障害および腎機能不全と関連する有害事象,
間質性肺疾患様事象,心不全であった。
下痢
発現した下痢の要約を表 6.2: 23 に要約する。アファチニブ群では大半の患者(86.9%)で下痢
が認められ,そのうち 16.9%が CTCAE grade 3 であり,grade 4 または 5 の下痢は認められなか
った。重篤な有害事象として報告された下痢は 4.6%の患者に発現した。アファチニブ群の 20.5%
が下痢により治験薬を減量したが,投与を中止した患者は 3.6%のみであった。プラセボ群では
重篤な有害事象として下痢を発現した患者はいなかった。
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 23
下痢を発現した患者の要約 – TS
Placebo
No. of Patients (%)
Afatinib
No. of Patients (%)
195 (100.0)
18 (9.2)
12 (6.2)
0 (0.0)
390 (100.0)
339 (86.9)
330 (84.6)
18 (4.6)
18 (9.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
148 (37.9)
125 (32.1)
66 (16.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
6 (3.1)
14 (3.6)
80 (20.5)
289 (74.1)
Day 1~7
10 (5.1)
201 (51.6)
Day 8~14
2 (6.2)
76 (71.1)
Day 15~28
5 (8.8)
41 (81.7)
Day 29~56
1 (9.3)
18 (86.7)
Day 57~84
0 (9.3)
3 (87.8)
>Day 84
0 (9.3)
0 (87.8)
Total treated
Patients with diarrhoea
Patients with drug-related diarrhoea
Patients with serious diarrhoea
Maximum CTCAE grade
CTCAE grade 1
CTCAE grade 2
CTCAE grade 3
CTCAE grade 4
CTCAE grade 5
Action taken on trial medication
Permanently discontinued
Dose reduced
Required therapy for diarrhoea
Patients with initial onset of diarrhea within interval (K-M at interval
end)1
Time to initial onset(afatinib vs. placebo)
2
Hazard ratio
19.71
(95% CI)
(12.22~31.80)
1)初発までの期間に関して,括弧内の割合(%)は Kaplan-Meier 曲線で推定した各期間の終了時までに発現
した事象の累積発現率。
2)事象判定例に関して,初発までの期間は初発日から投与開始日を引いて 1 日を足した値である。事象非発
現例は,治験薬の投与中止日+28 日間,死亡日,データカットオフ(20 年 月 日)のいずれか最も早
い日に打ち切った。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.2.2.3.1: 1
発疹/ざ瘡+
発疹/ざ瘡+は,プラセボ群 15.9%,アファチニブ群 78.2%で認められた(表 6.2: 24)。治験責
任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した発疹/ざ瘡+は,プラセボ群 13.3%,ア
ファチニブ群 76.7%の患者で認められた。発疹/ざ瘡+の重篤な有害事象は,アファチニブ群で
は 2 名(0.5%)で認められたが,プラセボ群では認められなかった。これらの 2 名(患者 82120
および 82503)は重篤な有害事象として発疹を発現した。また,特記事項として,別の 1 名(患
者 88707)がスティーブンス・ジョンソン症候群と診断された。これらの 3 名の事象はいずれ
も回復した。
アファチニブ群では,CTCAE grade 3 の発疹/ざ瘡 +が 14.4%の患者で認められたが,grade 4 お
よび 5 の発疹/ざ瘡+は認められなかった。また,15.1%の患者が発疹/ざ瘡+により治験薬を減
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
量し,1.8%が永続的に中止した。プラセボ群では,発疹/ざ瘡+により治験薬を減量または中止
した患者はいなかった。
発疹/ざ瘡+としてグループ化された有害事象の中で最も高頻度に報告された有害事象(基本語)
は発疹(プラセボ群 11.8%,アファチニブ群 64.1%)であり,ざ瘡および皮膚亀裂が続いた(い
ずれもプラセボ群では認められず,アファチニブ群ではそれぞれ 7.2%)。
表 6.2: 24
発疹/ざ瘡+を発現した患者の要約 – TS
Placebo
No. of Patients (%)
Afatinib
No. of Patients (%)
195 (100.0)
390 (100.0)
Patients with rash/acne
31 (15.9)
305 (78.2)
Patients with drug-related rash/acne
26 (13.3)
299 (76.7)
0 (0.0)
2 (0.5)
CTC Grade 1
25 (12.8)
120 (30.8)
CTC Grade 2
6 (3.1)
129 (33.1)
CTC Grade 3
0 (0.0)
56 (14.4)
CTC Grade 4
0 (0.0)
0 (0.0)
CTC Grade 5
0 (0.0)
0 (0.0)
Permanently discontinued
0 (0.0)
7 (1.8)
Dose reduced
0 (0.0)
59 (15.1)
Required therapy for rash/acne
10 (5.1)
201 (51.5)
Day 1-7
9 (4.6)
87 (22.3)
Day 8-14
5 (7.2)
88 (45.0)
Day 15-28
5 (9.8)
78 (65.1)
Day 29-56
9 (14.7)
36 (75.1)
Day 57-84
1 (16.3)
9 (79.4)
2 (23.2)
8 (86.9)
Total treated
Patients with serious rash/acne
Maximum CTC Grade
Action taken on trial medication
Patients with initial onset of rash/acne within interval
(K-M at interval end)1
> Day 84
Time to initial onset (afatinib vs. placebo)
2
Hazard ratio
8.38
(95% CI)
(5.78~12.16)
1)初発までの期間に関して,括弧内の割合(%)は Kaplan-Meier 曲線で推定した各期間の終了時までに発現
した事象の累積発現率である。
2)事象判定例に関して,初発までの期間は初発日から投与開始日を引いて 1 日を足した値である。事象非発
現例は,治験薬の投与中止日+28 日間,死亡日,データカットオフ(20 年 月 日)のいずれか最も早
い日に打ち切った。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U
-3048),Table 12.2.2.3.1: 2
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試験 1200.23
口内炎+
口内炎+はプラセボ群 2.6%,アファチニブ群 60.8%で認められた。口内炎+の重篤な有害事象は
アファチニブ群の 3 名(0.8%)で認められたが,プラセボ群では認められなかった。
アファチニブ群では,CTCAE grade 3 の口内炎+が 3.1%の患者で認められたが,grade 4 および 5
の口内炎 +は認められなかった。また,4.4%の患者が口内炎+により治験薬を減量し,0.3%の患
者が永続的に中止した。プラセボ群では,口内炎+により治験薬を減量または中止した患者はい
なかった。治療を要する口内炎+を発現した患者はプラセボ群 1.0%,アファチニブ群 36.2%で
あった。
眼の障害+
眼の障害+はプラセボ群 2.1%,アファチニブ群 13.3%で認められた。眼の障害+としてグループ
化された有害事象の大半は充血および眼瞼刺激を伴い,アファチニブ群の 1 名で,治験薬との
因果関係が否定できないと判断された grade 2 の角膜びらんが認められた。本患者は回復し治験
薬の投与を継続した。眼の障害+としてグループ化された有害事象の中で最も高頻度に報告され
た有害事象は結膜炎であり,プラセボ群 1.0%,アファチニブ群 4.6%の患者で認められた。ア
ファチニブ群の 3.3%で認められた眼乾燥を除いて,眼の障害+に含まれるその他の有害事象(基
本語)は両投与群とも 2.0%未満であった。
眼の障害+のうち,治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した事象は,プラ
セボ群で 1.0%,アファチニブ群で 9.2%だった。これらの事象はいずれも重篤な有害事象と判
断されなかった。アファチニブ群では,最も重い CTCAE grade が grade 3 の眼の障害+が 0.5%
の患者で認められた。1.0%の患者が本事象により治験薬を減量したが,永続的に中止した患者
はいなかった。プラセボ群では,眼の障害+により治験薬を減量または中止した患者はいなかっ
た。
その他の特に注目すべき有害事象
悪心/嘔吐
悪心/嘔吐の発現率は 2 投与群で同程度であり,プラセボ群 25.6%,アファチニブ群 31.3%で
あった(これらの有害事象を発現するまでの期間のハザード比は 1.00)。悪心/嘔吐としてグ
ループ化された有害事象の中で最も高頻度に報告された有害事象は悪心であり,プラセボ群
20.0%,アファチニブ群 23.3%で認められた。嘔吐はプラセボ群 13.3%,アファチニブ群 20.0%
で認められた。
悪心/嘔吐で報告された最も重い CTCAE grade は grade 3 であり,アファチニブ群 3.3%,プラ
セボ群 0.5%で認められた。アファチニブ群では,悪心/嘔吐を発現した患者の 2.6%が悪心/
嘔吐により治験薬を減量し,1.8%が永続的に中止した。プラセボ群では,悪心/嘔吐により治
験薬を減量または中止した患者はいなかった。
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試験 1200.23
腎機能不全
腎機能不全はプラセボ群 1.5%,アファチニブ群 5.4%で認められた(ハザード比 2.66,95% CI:
1.12~6.30)。腎機能不全としてグループ化された有害事象の中で,基本語で最も高頻度に報告
された有害事象は血中クレアチニン増加であり,プラセボ群 1.0%,アファチニブ群 2.8%で認
められた。また,次に発現率の高い有害事象は急性腎不全であり,プラセボ群では認められな
かったが,アファチニブ群では 1.8%の患者で認められた。その他の有害事象は両投与群とも
2.0%未満であった。アファチニブ群では,腎不全が 0.8%,急性腎前性腎不全,腎機能障害,血
中尿素増加,糸球体濾過率減少がそれぞれ 0.3%で認められた。
腎機能不全の事象のうち,治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した有害
事象は,プラセボ群では認められなかったが,アファチニブ群では 3.6%の患者で認められた。
重篤な有害事象は,アファチニブ群では 13 名(3.3%)で認められ,13 名中 12 名が下痢を合併
していた。残りの 1 名(患者 88615)は敗血症を合併し,腎機能不全はアファチニブとの因果
関係はないと判断された。重篤な有害事象である腎機能不全を発現した 13 名中 10 名が回復し
た。残りの 3 名は死亡時に腎機能不全が継続していた。これらの 3 名では重篤な有害事象であ
る腎機能不全の他にそれぞれ,急性左心不全および肺感染(患者 86904),肝不全(患者 86505),
敗血症(患者 88615)が認められた。なお,プラセボ群では腎機能不全の重篤な有害事象は認
められなかった。
アファチニブ群の 1 名(患者 86505)に grade 5 の急性腎不全(および急性肝不全)が発現した。
アファチニブ群では,CTCAE grade 3 以上の腎機能不全が 2.1%の患者で認められた。腎機能不
全の経過中,最も重い CTCAE grade で,grade 1 がプラセボ群 1.5%およびアファチニブ群 1.5%,
grade 2 がプラセボ群 0.0%およびアファチニブ群 1.8%で認められた。アファチニブ群では,腎
機能不全を発現した患者の 2.1%が腎機能不全により治験薬を減量し,0.8%が永続的に中止した。
プラセボ群では腎機能不全により治験薬を減量または中止した患者はいなかった。
肝障害
ベースライン時にアファチニブ群の 21.4%が肝転移を有していた。
全体で,広義の肝障害(SMQ)がアファチニブ群 30 名(7.7%),プラセボ群 7 名(3.6%)で確
認された(ハザード比 1.52,95% CI:0.66~3.53)。これらの有害事象のうち,重篤な有害事象
はアファチニブ群の 1 名(患者 86505)で認められた急性肝不全であった。CTCAE grade 3 以上
の事象はプラセボ群 1 名,アファチニブ群 5 名で認められた。
肝障害が確認されたアファチニブ群 30 名のうち大半の有害事象が肝酵素上昇/肝機能検査異
常を伴う有害事象であった[ALT 増加(3.6%),AST 増加(2.8%),低アルブミン血症(1.5%),
高ビリルビン血症(1.0%),血中アルカリホスファターゼ増加(0.8%),血中ビリルビン増加(1 名,
0.3%),GGT 増加(1 名,0.3%)]。
アファチニブ群の 2 名は肝酵素上昇/肝機能検査異常に分類されない有害事象を発現した。
1 名(患者 49080)は CTCAE grade 2 の肝臓痛を発現したが,治験責任医師は本事象を治験薬
との因果関係はないと判断した。残りの 1 名(患者 86505)は重篤な有害事象である grade 5 の
急性肝不全を発現した。
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試験 1200.23
肝障害(可能性)を発現したアファチニブ群 30 名のうち 5 名が grade 3 以上の事象を発現した
[ALT 増加 3 名(患者 66109,88618,88202),低アルブミン血症 1 名(患者 86703),急性肝
不全 1 名(患者 86505)]。このうち,治験責任医師は 2 名の ALT 増加および 1 名の急性肝不全
(上述)を治験薬との因果関係が否定できないと判断した。Grade 3 以上の事象を発現した 5
名のうち,死亡に至った急性肝不全を発現した 1 名(上述の急性腎不全合併)を除く全例がア
ファチニブの投与を継続した。また,有害事象の高ビリルビン血症を発現したすべての患者が
アファチニブの投与を継続した。
肝酵素
上述した肝障害関連の有害事象に加えて,定期検査で肝機能検査値異常を示した患者も確認し
た。ALT 値が施設基準値上限の 3 倍を超え,かつアルカリホスファターゼ値が施設基準値上限
の 2 倍未満であった患者はアファチニブ群で 8 名,プラセボ群で 1 名であった。これらの患者
のうち 3 名は grade 3 の ALT 増加,残りの 5 名が grade 1 または 2 の ALT 増加を示した。いず
れも重篤な有害事象とは判断されず,すべての患者が回復した。肝障害関連の有害事象により
治験薬を中止した患者はいなかったが,1 名で減量を行った。Hy’s law(ALT が基準値上限の 3
倍超,アルカリホスファターゼが基準値上限の 2 倍未満,総ビリルビンが基準値上限の 2 倍以
上を同時に満たすこと)に合致した患者はいなかった。
ALT が施設基準値上限の 3 倍超(grade 3 以上)かつアルカリホスファターゼが施設基準値上限
の 2 倍を示した患者はアファチニブ群の 3 名(患者 31204,66109,88202)であった。これら
の患者のうち 2 名は,臨床検査値異常は有害事象として報告され,治験薬との因果関係が否定
できないと判断された。これらの患者ではアファチニブの投与を継続したが事象は回復した。
残りの 1 名(患者 31204)は grade 3 以上の ALT 増加を示した患者であり(有害事象としては
未報告),スクリーニング時に既に ALT 増加を示していた。ALT 値は第 2 コースの Visit 1 で最
高値を示し(基準値上限の約 6 倍),その後,治験期間中に徐々に低下した。Hy’s law に合致す
る臨床検査値パターンを示した患者はいなかった。
アファチニブ群の 1 名(患者 88202)で基準値上限の 10 倍超の ALT 値(723 U/L)が報告され
た。本患者は,アファチニブ投与開始の約 3 週間後に肺炎による呼吸不全で 2 週間の気管内挿
管が必要となった。抜管後 4 日目の ALT 値は基準値上限の 3 倍を上回った。アファチニブを 3
日後に再開したが,投与 1 週間後に下痢により投与中止した。アファチニブ投与中止約 1 週間
後の ALT 値が 723 U/L であった。その 1 週間後の追跡検査で ALT 値の低下(323 U/L)を確認
した。
間質性肺疾患/間質性肺疾患様事象
間質性肺疾患/間質性肺疾患様事象を発現した患者は 4 名(1.0%)で,すべてがアファチニブ
群であり肺臓炎を発症していた。アファチニブとの因果関係が否定できないと判断された事象
はなく,それぞれ,ウイルス性肺炎(患者 11500),既存の肺臓炎の増悪(患者 86407),疾患進
行(患者 88233),右肺下葉肺臓炎の限局性 X 線所見(患者 88618)と判断された。3 名(患者
11500,88233,88618)は肺臓炎の発症時に治験薬の投与を中止した。
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肺臓炎が認められた 4 名の臨床経緯を示す。
•
患者 11500(77 歳,女性)は 20
年 8 月 25 日にアファチニブ群に割付けられ,治験薬投
与を開始した。下痢により治験薬の用量を 40 mg に減量した。同年*
象の下痢により治験薬の投与を永続的に中止した。同年*
10 月 9 日に有害事
10 月 12 日に死に至る grade 5
の肺臓炎が発現した。胸部 X 線検査で中等度の両側性気腔疾患(右側の方が重症)が示さ
れ,肺水腫または多発性肺炎の懸念が持たれた。同日の X 線検査(2 回目)で両側性びま
ん性気腔陰影が示された。また,胸部血管造影コンピュータ断層撮影法では,肺塞栓症の
徴候は認められず,肺動脈高血圧症,安定期の肺線維症,モザイク灌流パターンの軽度増
強が認められた。治験責任医師は死因をウイルス性肺炎と診断し,疾患進行との因果関係
はないと確定した。
•
患者 86407(53 歳,女性)は,20
年 3 月 18 日に,最終的に grade 5 と評価される肺臓炎
と診断されアファチニブの投与を中止した(同日までにアファチニブを 15 日間投与してい
た)。治験責任医師によると,患者は既に肺臓炎を増悪させていた。患者は 同年*
2 月 27
日から肺臓炎を併発しており,治験実施計画書変更 1 の適用前(適用後であれば本患者は
除外となる)に登録された。本事象は重篤化し,抗生物質を投与したが症状は改善しなか
った。同年*
3 月 28 日に患者は死亡した。死因は肺臓炎の増悪であり,解剖は実施しな
かった。治験責任医師は本事象とアファチニブとの因果関係はないと判断した。
•
患者 88233(79 歳,男性)は 20
した。同年*
年 5 月 13 日にアファチニブ群に割付けられ投与を開始
7 月 30 日に疾患進行により治験薬を永続的に中止した。同年*
8 月 20 日に
有害事象が発現した。本事象は,当初は肺臓炎(grade 1)および閉塞性肺疾患と診断され
たが,その後,治験責任医師は疾患進行に起因する可能性のある重篤な有害事象の呼吸困
難と報告した。同年*
9 月 18 日に呼吸困難は回復した。治験責任医師は本事象をアファ
チニブと因果関係なしと判断した。
•
患者 88618(49 歳,女性)は 20
年 1 月 19 日にアファチニブ群に割付けられ,投与を開
始した。治験薬の用量は粘膜炎および鼻潰瘍により 40 mg に減量,さらに 30 mg に減量し
た。減量日である 同年*
6 月 17 日に疾患進行により治験薬を中止した。同年*
6 月 18
日,患者は非重篤な有害事象である呼吸困難および胸痛(grade 3)により救急治療室に入
院した。胸部 CT 所見で心嚢液貯留を伴う肺癌が示された。治験責任医師は,心嚢液貯留
に起因する胸痛と判断したが,その他の原因も除外しなかった。心膜シードリングおよび
右肺下葉肺臓炎を疑い,CT 所見に基づき右肺下葉肺臓炎と確定診断した。肺臓炎は grade 2
と判断された。治験責任医師は本事象を重篤な有害事象と判断しなかった。治験責任医師
はいずれの事象もアファチニブと因果関係なしと判断した。患者は回復した。
心不全
SMQ で心不全(可能性)をアファチニブ群で 4 名(1.0%),プラセボ群で 1 名(0.5%)を確認
した(表 6.2: 25)。プラセボ群の 1 名(患者 39207)は死亡に至った心不全と診断された。アフ
ァチニブ群で認められた事象は,grade 3 が 1 名(患者 86202),grade 4 が 1 名(患者 86905),
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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grade 5 が 2 名(患者 31203 および 86904)であった。いずれの事象も重篤な有害事象と判断さ
れた。
治験責任医師は 1 名(患者 86904)の事象を治験薬との因果関係が否定できないと判断した。
この患者は 60 歳の女性であり,アファチニブ投与開始 4 週間後に肺感染で入院となった。患者
は入院中に急に呼吸困難を発症した。喀痰培養で Candida albicans が示され,白血球数は顕著
に増加,脳性ナトリウム利尿ペプチド値も上昇していた。患者は急性左心不全と臨床診断され
て,最終的に死亡した。患者は心疾患の既往歴および危険因子を有していなかった。
残りの 3 名で確認した心不全はいずれも治験薬と因果関係なしと判断された。心不全の発症は,
併発した事象によるとも考えられた。患者 86202 の症例は高血圧クリーゼに続発して心不全を
発症し,患者 86905 は心不全発症時に肺感染を合併していた。患者 31203 は心不全の発症と同
時期に肺塞栓症および肺炎を発症していた。また,本症例は心不全の発症と同時期に致死性の
疾患進行も示していた。
表 6.2: 25
心不全に対する MedDRA 標準検索式(SMQ)で確認した有害事象(浮腫お
よび末梢性浮腫を除く)を発現した患者 – TS
Age
/Gender
Actual Trearmen at
onset of AE
AE1
65/F
Off-drug
Heart Failure
31203
59/ F
Off-drug
86202
74/M
Afatinib 40 mg
86904
60/ F
Afatinib 40 mg
86905
54/ F
Off-drug
Patinet No.
Placebo group
39207
CTCAE
grade/Rel.
Drug Action
taken2
Outcome
5
No
NA
Fatal
5
No
NA
Fatal
3
No
Dec
Recovered
5
Yes
Disc
Fatal
4
No
NA
Unknown
Afatinib group
Cardiac
Failure
Acute Left
Ventricular
Failure
Acute Left
Ventricular
Failure
Heart Failure
1)報告に使用した MedDRA バージョン:
2)治験薬に対して取った処置,Dec:減量,Disc:治験薬の投与中止,NA:該当せず
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.2.2.3.2: 1
左室駆出率(LVEF)
治験期間中,LVEF の低下を心エコーまたは MUGA スキャンで定期的に測定した。臨床的に重
要な LVEF 低下は,ベースラインから 20%以上の低下および基準値下限未満(基準値下限を設
定しない場合は 50%未満の LVEF 測定値)と定義した。ベースラインからの投与期間中の最小
値の LVEF の平均変化量はプラセボ群で-0.9%,アファチニブ群で-2.4%であった。
投与期間中に LVEF の低下が認められた患者はアファチニブ群 4 名(1.0%)
(患者 33203,66201,
82119,88233),プラセボ群 2 名(1.0%)(患者 86212 および 49101)であった。
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試験 1200.23
有害事象(CTCAE grade 別)
有害事象を CTCAE grade 別に解析した結果,最も重い CTCAE grade が grade 3 以上の有害事象
はアファチニブ群 56.7%およびプラセボ群 24.6%で認められた。
アファチニブ群では,事象の経過中に grade 3 に達した基本語レベル別有害事象のうち多かった
ものは下痢(16.9%)および発疹(9.0%)であった。プラセボ群では,これらの有害事象はい
ずれも事象の経過中に grade 3 に達しなかった。
アファチニブ群では,CTCAE grade 4(事象経過中の最も重い grade)の有害事象が 19 名(4.9%)
で認められた。2 名以上の患者で認められた grade 4 の有害事象は,肺炎,低カリウム血症,肺
塞栓症(各 3 名,0.8%),低血圧,呼吸困難,肺感染,低ナトリウム血症(各 2 名,0.5%)で
あった。
アファチニブ群では,CTCAE grade 5 の有害事象が 43 名(11.0%)で認められた。2 例以上の
患者で認められた grade 5 の有害事象は,悪性新生物進行 13 名(3.3%),呼吸不全 6 名(1.5%),
敗血症性ショック 3 名(0.8%),中枢神経系転移,肺臓炎,肺炎の各 2 名(0.5%)であった。
また,3 名で grade 5 の有害事象として死亡が報告された。その他の grade 5 の有害事象は各 1 名
に報告された(表 6.2: 31 参照)。Grade 5 の有害事象のうち左室不全(患者 86904)と急性肝不
全および急性腎不全(患者 86505)については,治験責任医師が治験薬との因果関係が否定で
きないと判断した。その他の grade 5 の有害事象は治験薬との因果関係がないと判断された。
プラセボ群では,CTCAE grade 4 の有害事象が 2 名で認められた(低ナトリウム血症 1 名,好
中球減少症 1 名)。事象経過中に CTCAE grade 5 と判断された有害事象は 14 名(7.2%)で認め
られた[悪性新生物進行 7 名(3.6%),呼吸不全および中枢神経系転移各 2 名(1.0%),その他
各 1 名(表 6.2: 31 参照)]。治験薬との因果関係が否定できないと判断された grade 5 の有害事
象はなかった。
投与群を問わず 5.0%を超える患者に認められた有害事象について,グループ用語およびその他
の基本語を事象経過中の最も重い CTCAE grade 別に表 6.2: 26,表 6.2: 27 に要約する。
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試験 1200.23
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表 6.2: 26
有害事象の発現率(5.0%超,投与群および最も重い CTCAE grade 別,グループ用語および基本語別)– TS(プラセボ群)
(1/2)
Placebo
基本語
症例数
N (%)1
195 (100.0)
grade 1
N (%)1
195 (100.0)
grade 2
N (%)1
195 (100.0)
grade 3
N (%)1
195 (100.0)
grade 4
N (%)1
195 (100.0)
grade 5
N (%)1
195 (100.0)
有害事象(合計)2
168 (86.2)
61 (31.3)
59 (30.3)
32 (16.4)
2 (1.0)
14 (7.2)
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
Stomatitis(口内炎) +
Nail effect(爪の異常) +
Decreased appetite(食欲減退)
Fatigue(疲労) +
Nausea(悪心)
Vomiting(嘔吐)
Cough(咳嗽)
Epistaxis(鼻出血)
Pruritus(そう痒症)
Dry skin(皮膚乾燥)
Dyspnoea(呼吸困難)
Constipation(便秘)
Back pain(背部痛)
Rhinorrhoea(鼻漏)
Pyrexia(発熱)
Weight decreased(体重減少)
Hypokalaemia(低カリウム血症)
Ocular effect(眼の障害) +
Palmar-plantar erythrodysaesthesia syndrome(手掌・足底発
赤知覚不全症候群)
Pain in extremity(四肢痛)
18 (9.2)
31 (15.9)
9 (4.6)
2 (1.0)
22 (11.3)
43 (22.1)
39 (20.0)
26 (13.3)
37 (19.0)
1 (0.5)
11 (5.6)
14 (7.2)
26 (13.3)
23 (11.8)
22 (11.3)
2 (1.0)
7 (3.6)
2 (1.0)
4 (2.1)
4 (2.1)
0 (0.0)
18 (9.2)
25 (12.8)
9 (4.6)
1 (0.5)
11 (5.6)
23 (11.8)
30 (15.4)
21 (10.8)
23 (11.8)
1 (0.5)
10 (5.1)
14 (7.2)
7 (3.6)
14 (7.2)
11 (5.6)
2 (1.0)
7 (3.6)
1 (0.5)
3 (1.5)
4 (2.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
6 (3.1)
0 (0.0)
1 (0.5)
10 (5.1)
17 (8.7)
9 (4.6)
4 (2.1)
9 (4.6)
0 (0.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
9 (4.6)
9 (4.6)
7 (3.6)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
3 (1.5)
0 (0.0)
1 (0.5)
5 (2.6)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
9 (4.6)
0 (0.0)
4 (2.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
4 (2.1)
2 (1.0)
1 (0.5)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
All Grades
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 26
有害事象の発現率(5.0%超,投与群および最も重い CTCAE grade 別,グループ用語および基本語別) – TS(プラセボ
群)(2/2)
Placebo
grade 2
grade 3
N (%)1
N (%)1
195 (100.0)
195 (100.0)
All Grades
基本語
症例数
N (%)1
195 (100.0)
grade 1
N (%)1
195 (100.0)
有害事象(合計)2
168 (86.2)
61 (31.3)
59 (30.3)
Chest pain(胸痛)
13 (6.7)
8 (4.1)
Productive cough(湿性咳嗽)
13 (6.7)
11 (5.6)
grade 4
N (%)1
195 (100.0)
grade 5
N (%)1
195 (100.0)
32 (16.4)
2 (1.0)
14 (7.2)
3 (1.5)
2 (1.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (1.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Abdominal pain upper(上腹部痛)
8 (4.1)
5 (2.6)
3 (1.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Lip effect(口唇障害) +
1 (0.5)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Anaemia(貧血)
3 (1.5)
0 (0.0)
2 (1.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dysgeusia(味覚異常)
1 (0.5)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Headache(頭痛)
9 (4.6)
8 (4.1)
0 (0.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
Insomnia(不眠症)
10 (5.1)
7 (3.6)
3 (1.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
。有害事象名の右側の+印はグループ用語。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.2.2.4: 1
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試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 27
有害事象の発現率(5.0%超,投与群および最も重い CTCAE grade 別,グループ用語および基本語別) – TS(アファチ
ニブ群)(1/2)
Afatinib
基本語
N (%)1
grade 1
N (%)1
grade 2
N (%)1
grade 3
N (%)1
grade 4
N (%)1
grade 5
N (%)1
症例数
390 (100.0)
390 (100.0)
390 (100.0)
390 (100.0)
390 (100.0)
390 (100.0)
有害事象(合計)2
384 (98.5)
28 (7.2)
135 (34.6)
159 (40.8)
19 (4.9)
43 (11.0)
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
Stomatitis(口内炎) +
Nail effect(爪の異常) +
Decreased appetite(食欲減退)
Fatigue(疲労) +
Nausea(悪心)
Vomiting(嘔吐)
Cough(咳嗽)
Epistaxis(鼻出血)
Pruritus(そう痒症)
Dry skin(皮膚乾燥)
Dyspnoea(呼吸困難)
Constipation(便秘)
Back pain(背部痛)
Rhinorrhoea(鼻漏)
Pyrexia(発熱)
Weight decreased(体重減少)
Hypokalaemia(低カリウム血症)
Ocular effect(眼の障害) +
Palmar-plantar erythrodysaesthesia syndrome
(手掌・足底発赤知覚不全症候群)
339 (86.9)
306 (78.5)
243 (62.3)
153 (39.2)
119 (30.5)
115 (29.5)
91 (23.3)
78 (20.0)
51 (13.1)
73 (18.7)
71 (18.2)
61 (15.6)
58 (14.9)
40 (10.3)
28 (7.2)
40 (10.3)
39 (10.0)
36 (9.2)
34 (8.7)
31 (7.9)
148 (37.9)
121 (31.0)
149 (38.2)
82 (21.0)
72 (18.5)
61 (15.6)
64 (16.4)
48 (12.3)
36 (9.2)
68 (17.4)
52 (13.3)
44 (11.3)
19 (4.9)
27 (6.9)
14 (3.6)
35 (9.0)
29 (7.4)
22 (5.6)
20 (5.1)
21 (5.4)
125 (32.1)
129 (33.1)
82 (21.0)
51 (13.1)
33 (8.5)
31 (7.9)
19 (4.9)
21 (5.4)
12 (3.1)
5 (1.3)
18 (4.6)
16 (4.1)
21 (5.4)
12 (3.1)
13 (3.3)
5 (1.3)
8 (2.1)
13 (3.3)
3 (0.8)
8 (2.1)
66 (16.9)
56 (14.4)
12 (3.1)
20 (5.1)
14 (3.6)
23 (5.9)
8 (2.1)
9 (2.3)
3 (0.8)
0 (0.0)
1 (0.3)
1 (0.3)
15 (3.8)
1 (0.3)
1 (0.3)
0 (0.0)
1 (0.3)
1 (0.3)
8 (2.1)
2 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (0.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
29 (7.4)
17 (4.4)
7 (1.8)
5 (1.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
All Grades
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試験 1200.23
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 6.2: 27
有害事象の発現率(5.0%超,投与群および最も重い CTCAE grade 別,グループ用語および基本語別) – TS(アファチ
ニブ群)(2/2)
Afatinib
基本語
All Grades
N (%)1
grade 1
N (%)1
grade 2
N (%)1
grade 3
N (%)1
grade 4
N (%)1
grade 5
N (%)1
症例数
390 (100.0)
390 (100.0)
390 (100.0)
390 (100.0)
390 (100.0)
390 (100.0)
有害事象(合計)2
384 (98.5)
28 (7.2)
135 (34.6)
159 (40.8)
19 (4.9)
43 (11.0)
Pain in extremity(四肢痛)
27 (6.9)
15 (3.8)
11 (2.8)
1 (0.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
Chest pain(胸痛)
26 (6.7)
14 (3.6)
12 (3.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Productive cough(湿性咳嗽)
8 (2.1)
8 (2.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Abdominal pain upper(上腹部痛)
25 (6.4)
14 (3.6)
11 (2.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Lip effect(口唇障害) +
23 (5.9)
14 (3.6)
8 (2.1)
1 (0.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
Anaemia(貧血)
22 (5.6)
4 (1.0)
9 (2.3)
8 (2.1)
1 (0.3)
0 (0.0)
Dysgeusia(味覚異常)
22 (5.6)
18 (4.6)
4 (1.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Headache(頭痛)
20 (5.1)
15 (3.8)
3 (0.8)
2 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
Insomnia(不眠症)
17 (4.4)
11 (2.8)
6 (1.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
。有害事象名の右側の+印はグループ用語。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.2.2.4: 1
Page 402
試験 1200.23
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した有害事象
治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した有害事象はプラセボ群 37.9%,
アファチニブ群 95.4%で認められた。治験薬との因果関係が否定できないと判断された発現率
が高かった有害事象(患者の 5.0%超)のうち,特に発現率の高かった有害事象は下痢(プラセ
ボ群 6.2%,アファチニブ群 84.6%,以下同様),発疹/ざ瘡 +(13.3%,76.9%),口内炎+(2.6%,
59.5%)であった。
いずれかの投与群で 2.0%を超える患者に認められた,治験責任医師が治験薬との因果関係が否
定できないと判断した有害事象の発現率を表 6.2: 28 に示す。
表 6.2: 28
治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した有害事象の
発現率(2.0%超,投与群別,グループ用語およびその他の基本語別) – TS
基本語
症例数
治験薬との因果関係が否定できない有害事象(合計)2
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
Placebo
N (%)1
195 (100.0)
74 (37.9)
12 (6.2)
Afatinib
N (%)1
390 (100.0)
372 (95.4)
330 (84.6)
26 (13.3)
300 (76.9)
Stomatitis(口内炎) +
5 (2.6)
232 (59.5)
Nail effect(爪の異常) +
2 (1.0)
149 (38.2)
6 (3.1)
81 (20.8)
21 (10.8)
72 (18.5)
Decreased appetite(食欲減退)
Nausea(悪心)
Pruritus(そう痒症)
8 (4.1)
69 (17.7)
Epistaxis(鼻出血)
0 (0.0)
57 (14.6)
Dry skin(皮膚乾燥)
12 (6.2)
56 (14.4)
Fatigue(疲労) +
13 (6.7)
56 (14.4)
Vomiting(嘔吐)
Palmar-plantar erythrodysaesthesia syndrome(手掌・足底発赤知覚不全症候群)
Weight decreased(体重減少)
12 (6.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
52 (13.3)
29 (7.4)
26 (6.7)
Lip effect(口唇障害) +
0 (0.0)
22 (5.6)
Ocular effect(眼の障害) +
2 (1.0)
21 (5.4)
Rhinorrhoea(鼻漏)
0 (0.0)
20 (5.1)
Dysgeusia(味覚異常)
1 (0.5)
18 (4.6)
Hypokalaemia(低カリウム血症)
0 (0.0)
14 (3.6)
Alopecia(脱毛症)
1 (0.5)
11 (2.8)
11 (2.8)
Dehydration(脱水)
0 (0.0)
Dry eye(眼乾燥)
0 (0.0)
11 (2.8)
Proteinuria(蛋白尿)
1 (0.5)
10 (2.6)
Abdominal pain(腹痛)
1 (0.5)
9 (2.3)
Nasal dryness(鼻乾燥)
1 (0.5)
9 (2.3)
Nasal inflammation(鼻の炎症)
0 (0.0)
2 (1.0)
0 (0.0)
9 (2.3)
8 (2.1)
8 (2.1)
Alanine aminotransferase increased(アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加)
Blood creatinine increased(血中クレアチニン増加)
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
。有害事象名の右側の+印はグループ用語。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.2.2.5: 1
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 403
試験 1200.23
重篤な有害事象
投与群を問わず 2 名以上に認められた,治療下で発現した重篤な有害事象(死亡に至った重篤
な有害事象を含む)をグループ用語およびその他の基本語別に表 6.2: 29 に要約する。アファチ
ニブ群(33.6%)の重篤な有害事象の発現率はプラセボ群(18.5%)より高かった。アファチニ
ブ群で最も発現率が高かった重篤な有害事象は下痢(プラセボ群 0.0%,アファチニブ群 4.6%,
以下同様)であり,次いで悪性新生物進行(3.6%,3.8%),胸水(3.6%,3.6%),中枢神経系転
移(1.5%,2.6%),肺炎(2.1%,2.6%)であった(表 6.2: 29)。
大半の有害事象は,入院を要したために重篤と判断された(プラセボ群 15.9%,アファチニブ
群 29.2%)
(表 6.2: 21 参照)。治験責任医師がその他の理由で重篤と判断した有害事象はアファ
チニブ群の 4 名で認められた[末梢性浮腫,乏尿,吐血および嘔吐(すべて患者 86504 で発現),
腎結石症(患者 86503),肺塞栓症(患者 11290),脱水(患者 10096)]。
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表 6.2: 29
投与期間中に投与群を問わず 2 名以上に認められた重篤な有害事象の発現率
(投与群別,グループ用語およびその他の基本語別) – TS
グループ用語/
基本語
症例数
重篤な有害事象(合計)2
Diarrhoea(下痢)
Malignant neoplasm progression(悪性新生物進行)
Pleural effusion(胸水)
Metastases to central nervous system(中枢神経系転移)
Pneumonia(肺炎)
Dyspnoea(呼吸困難)
Respiratory failure(呼吸不全)
Dehydration(脱水)
Pyrexia(発熱)
Renal failure acute(急性腎不全)
Deep vein thrombosis(深部静脈血栓症)
Fatigue(疲労) +
Hypokalaemia(低カリウム血症)
Pulmonary embolism(肺塞栓症)
Septic shock(敗血症性ショック)
Vomiting(嘔吐)
Blood creatinine increased(血中クレアチニン増加)
Lung infection(肺感染)
Nausea(悪心)
Brain oedema(脳浮腫)
Death(死亡)
Decreased appetite(食欲減退)
Pancreatitis acute(急性膵炎)
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
Stomatitis(口内炎) +
Abdominal pain(腹痛)
Acute left ventricular failure(急性左室不全)
Bone pain(骨痛)
Cardiac failure(心不全)
Cerebrovascular accident(脳血管発作)
Dizziness(浮動性めまい)
Febrile neutropenia(発熱性好中球減少症)
General physical health deterioration(全身健康状態低下)
Haemoptysis(喀血)
Hypocalcaemia(低カルシウム血症)
Intestinal obstruction(腸閉塞)
Intracranial pressure increased(頭蓋内圧上昇)
Muscular weakness(筋力低下)
Oedema peripheral(末梢性浮腫)
Pain(疼痛)
Pathological fracture(病的骨折)
Pericardial effusion(心嚢液貯留)
Pneumonitis(肺臓炎)
Pneumothorax(気胸)
Rectal haemorrhage(直腸出血)
Spinal cord compression(脊髄圧迫)
Thrombosis(血栓症)
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
。有害事象名の右側の+印はグループ用語。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.3.1: 1
Placebo
N (%)1
195 (100.0)
36 (18.5)
0 (0.0)
7 (3.6)
7 (3.6)
3 (1.5)
4 (2.1)
4 (2.1)
2 (1.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
1 (0.5)
0 (0.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Afatinib
N (%)1
390 (100.0)
131 (33.6)
18 (4.6)
15 (3.8)
14 (3.6)
10 (2.6)
10 (2.6)
9 (2.3)
9 (2.3)
8 (2.1)
7 (1.8)
7 (1.8)
5 (1.3)
5 (1.3)
5 (1.3)
5 (1.3)
5 (1.3)
5 (1.3)
4 (1.0)
4 (1.0)
4 (1.0)
3 (0.8)
3 (0.8)
3 (0.8)
3 (0.8)
3 (0.8)
3 (0.8)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
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重篤な有害事象(主な器官別大分類および基本語別)
重篤な有害事象が最も多く報告された器官別大分類は呼吸器,胸郭および縦隔障害であった(プ
ラセボ群 7.7%,アファチニブ群 9.2%,以下同様)。うち最も発現率の高かった重篤な有害事象
の基本語は胸水(3.6%,3.6%)であり,呼吸困難(2.1%,2.3%),呼吸不全(1.0%,2.3%)が
続いた。
器官別大分類の胃腸障害では,プラセボ群 2.1%,アファチニブ群 8.2%に重篤な有害事象が認
められた。うち最も発現率の高かった重篤な有害事象は下痢(プラセボ群 0.0%,アファチニブ
群 4.6%,以下同様)であった。
器官別大分類の良性,悪性および詳細不明の新生物では,プラセボ群 5.1%,アファチニブ群
8.2%に重篤な有害事象が認められた。うち最も発現率の高かった重篤な有害事象は悪性新生物
進行(3.6%,3.8%)であり,中枢神経系転移(1.5%,2.6%)が続いた。
器官別大分類の感染症および寄生虫症では,プラセボ群 2.1%,アファチニブ群 7.2%に重篤な
有害事象が認められた。うち最も発現率の高かった重篤な有害事象は肺炎(2.1%,2.6%)であ
った。
器官別大分類の代謝および栄養障害では,プラセボ群 0.5%,アファチニブ群 3.6%に重篤な有
害事象が認められた。うち最も発現率の高かった重篤な有害事象は脱水(0.0%,2.1%)であっ
た。
その他の器官別大分類の重篤な有害事象の基本語別発現率は両投与群とも 2.0%未満であった。
治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した重篤な有害事象
治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した重篤な有害事象は,プラセボ群
1 名(0.5%),アファチニブ群 39 名(10.0%)で認められた(表 6.2: 30)。プラセボ群では肺塞
栓症が認められた。アファチニブ群で最も発現率が高かったのは下痢であった[17 名(4.4%)]。
また,低カリウム血症が 5 名(1.3%),血中クレアチニン増加および脱水が各 4 名(各 1.0%)
で認められた。その他の治験薬との因果関係が否定できない重篤な有害事象(グループ用語ま
たはその他の基本語)はいずれも 1.0%未満の患者で認められた。
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表 6.2: 30
治験薬との因果関係が否定できない重篤な有害事象の発現率(投与群別,グ
ループ用語およびその他の基本語別)– TS
Placebo
N (%)1
195 (100.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
Afatinib
N (%)1
390 (100.0)
39 (10.0)
17 (4.4)
Hypokalaemia(低カリウム血症)
0 (0.0)
5 (1.3)
Blood creatinine increased(血中クレアチニン増加)
0 (0.0)
4 (1.0)
Dehydration(脱水)
0 (0.0)
4 (1.0)
Fatigue(疲労) +
0 (0.0)
3 (0.8)
Renal failure acute(急性腎不全)
0 (0.0)
3 (0.8)
基本語
症例数
治験薬との因果関係が否定できない重篤な有害事象(合計)2
Diarrhoea(下痢)
Stomatitis(口内炎) +
0 (0.0)
3 (0.8)
Vomiting(嘔吐)
0 (0.0)
3 (0.8)
Decreased appetite(食欲減退)
0 (0.0)
2 (0.5)
Hypocalcaemia(低カルシウム血症)
0 (0.0)
2 (0.5)
Nausea(悪心)
0 (0.0)
2 (0.5)
Pancreatitis acute(急性膵炎)
0 (0.0)
2 (0.5)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
+
0 (0.0)
2 (0.5)
Rectal haemorrhage(直腸出血)
0 (0.0)
2 (0.5)
Abdominal pain(腹痛)
0 (0.0)
1 (0.3)
Acute hepatic failure(急性肝不全)
0 (0.0)
1 (0.3)
Acute left ventricular failure(急性左室不全)
0 (0.0)
1 (0.3)
Acute prerenal failure(急性腎前性腎不全)
0 (0.0)
1 (0.3)
Chest discomfort(胸部不快感)
0 (0.0)
1 (0.3)
Deep vein thrombosis(深部静脈血栓症)
0 (0.0)
1 (0.3)
Dyspnoea(呼吸困難)
0 (0.0)
1 (0.3)
Nail effect(爪の異常) +
0 (0.0)
1 (0.3)
Oliguria(乏尿)
0 (0.0)
1 (0.3)
Pneumonia(肺炎)
0 (0.0)
1 (0.3)
Proctalgia(肛門周囲痛)
0 (0.0)
1 (0.3)
Pulmonary embolism(肺塞栓症)
1 (0.5)
1 (0.3)
Renal failure(腎不全)
0 (0.0)
1 (0.3)
Renal impairment(腎機能障害)
0 (0.0)
1 (0.3)
Stevens-Johnson syndrome(スティーブンス・ジョンソン症候群)
0 (0.0)
1 (0.3)
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
。有害事象名の右側の+印はグループ用語。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.3.1: 2
アファチニブ群の 1 名(患者 88707)でスティーブンス・ジョンソン症候群が認められた。本
患者は 60 歳の女性であり,ベースライン時に脳転移を有しており,併用薬はエスタゾラム,デ
キサルチン®口腔用軟膏,プレドニゾロン,プリンペラン®,トラマドール,Depakin®,Parmason
含嗽薬,Dulcolax®であった。患者はアファチニブの投与を開始し,Day 2 に非重篤な粘膜炎,
Day 6 に非重篤な皮疹を発症した。これらの有害事象は 3 週間後に悪化した。この時点で患者
は上気道感染のためクリニックを受診し,セチリジンを 3 日間服薬した。4 日後に皮疹および
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粘膜炎の悪化により入院となった。スティーブンス・ジョンソン症候群との診断を受け,対症
療法を目的に熱傷治療センターに搬送された。入院時に発熱,関節痛,頭痛,咳嗽などの全身
症状は認められなかったが,全身紅斑,小水疱,皮膚水疱,胸部の皮膚潰瘍を発症していた。
患者は眼部および生殖器ににも症状が認められ,皮膚の脱落範囲は 60~70%に及んだ(体幹,
上腕,前腕,大腿)。皮膚科医が診察した結果,水疱および皮膚潰瘍形成から臨床的にスティー
ブンス・ジョンソン症候群が疑われた。患者は皮膚生検を拒否したが,コルチコステロイドの
投与により回復した。本事象は治験責任医師によりアファチニブとの因果関係が否定できない
と判断された。
死亡に至った有害事象
死亡に至った有害事象を表 6.2: 31 に要約する。本試験の主要評価項目が OS であるため,本項
には投与期間中に死亡に至った有害事象のみを示す。
投与期間中に死亡に至った有害事象はプラセボ群 14 名(7.2%)およびアファチニブ群 43 名
(11.0%)で認められた。両投与群で最も発現率が高く,死亡に至った有害事象は悪性新生物
進行であった(プラセボ群 3.6%,アファチニブ群 3.3%)。
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表 6.2: 31
投与期間中に死亡に至った有害事象の発現率(投与群別,グループ用語およ
びその他の基本語別) – TS
Placebo
N (%)1
195 (100.0)
14 (7.2)
7 (3.6)
Afatinib
N (%)1
390 (100.0)
43 (11.0)
13 (3.3)
Respiratory failure(呼吸不全)
2 (1.0)
6 (1.5)
Death(死亡)
1 (0.5)
3 (0.8)
Septic shock(敗血症性ショック)
0 (0.0)
3 (0.8)
Metastases to central nervous system(中枢神経系転移)
2 (1.0)
2 (0.5)
Pneumonia(肺炎)
0 (0.0)
2 (0.5)
Pneumonitis(肺臓炎)
0 (0.0)
2 (0.5)
Acute hepatic failure(急性肝不全)
0 (0.0)
1 (0.3)
Acute left ventricular failure(急性左室不全)
0 (0.0)
1 (0.3)
Cardiac failure(心不全)
1 (0.5)
1 (0.3)
Cardiac tamponade(心タンポナーデ)
0 (0.0)
1 (0.3)
Cardio-respiratory arrest(心肺停止)
0 (0.0)
1 (0.3)
Cerebrovascular accident(脳血管発作)
0 (0.0)
1 (0.3)
基本語
症例数
死亡に至った有害事象(合計)2
Malignant neoplasm progression(悪性新生物進行)
Dyspnoea(呼吸困難)
1 (0.5)
1 (0.3)
General physical health deterioration(全身健康状態低下)
0 (0.0)
1 (0.3)
Haemoptysis(喀血)
0 (0.0)
1 (0.3)
Lung infection(肺感染)
0 (0.0)
1 (0.3)
Multi-organ failure(多臓器不全)
0 (0.0)
1 (0.3)
Pericardial effusion(心嚢液貯留)
0 (0.0)
1 (0.3)
Pulmonary embolism(肺塞栓症)
0 (0.0)
1 (0.3)
Renal failure acute(急性腎不全)
0 (0.0)
1 (0.3)
Sick sinus syndrome(洞不全症候群)
0 (0.0)
1 (0.3)
Sudden cardiac death(心突然死)
0 (0.0)
1 (0.3)
Sudden death(突然死)
0 (0.0)
1 (0.3)
Non-small cell lung cancer(非小細胞肺癌)
0 (0.0)
1 (0.3)
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
を使用した。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.3.2: 1
死亡に至った有害事象のうち,疾患進行により治験薬を中止していた患者で認められた事象は,
プラセボ群では呼吸不全(患者 39202),心不全(患者 39207),呼吸困難(患者 66306)であり,
アファチニブ群では呼吸不全(患者 88714),敗血症性ショック(患者 88603,88608,88615,
すべて同じ実施施設の患者),心肺停止(患者 39401),脳血管発作(患者 33405),喀血(患者
86607),多臓器不全(患者 34030)であった。これらの患者は疾患進行により治験薬を中止し
た後に死亡したため,本項では詳述しない。
死亡に至った有害事象(基本語で悪性新生物進行,中枢神経系転移,全身健康状態低下,NSCLC
の有害事象を除く)のうち,疾患進行により治験薬を中止していなかった患者で認められた治
験薬との因果関係が否定できないと判断された事象について以下に記載する。
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患者 86505 は 55 歳の男性であり,20
が投与された。同年*
回復した。同年*
年 3 月 31 日~同年*
4 月 11 日にアファチニブ 50 mg
4 月 1 日に下痢が認められたが,非重篤と判断され 同年*
4 月 8 日に発熱し,褐色物を嘔吐した。同年*
4 月 6 日に
4 月 9 日に嘔吐により治験薬
を投与中止した。地域病院での輸液後,患者の状態が改善したため治験薬を再投与した。同年*
4 月 11 日に 5~6 回嘔吐した 同年*
4 月 12 日に乏尿により地域病院に入院となった 同年*
4 月 14 日に急性腎不全および急性肝不全と診断され,同年*
5 月 11 日に患者は死亡した。
死亡に至った事象である急性肝不全および急性腎不全は,治験責任医師が治験薬との因果関係
が否定できないと判断した。
患者 86904 は 60 歳の女性であり,20
年 7 月 31 日~同年*
8 月 31 日にアファチニブが投与
された。アファチニブ 50 mg の投与中に,有害事象のしゃっくりおよび口内炎(同年*
下痢(同年*
8 月 3 日),
8 月 7 日,同年* 年 8 月 10 日)が認められ,下痢により用量を 40 mg に減量した。
アファチニブ 40 mg の投与中に,下痢,血中クレアチニン増加(同年*
膿瘍および発熱(同年*
8 月 17 日),カンジダ症および肺感染(同年*
8 月 22 日),皮下組織
8 月 30 日)が認めら
れた。肺感染による入院中,患者は呼吸困難を発症して急性左室不全と診断された。腎不全お
よび白血球数増加(同年*
8 月 31 日),高血糖,血中重炭酸塩減少,血中カルシウム減少,血
中ナトリウム増加,血中尿素増加,白血球数増加(同年*
9 月 1 日)も認められた。カンジダ
症,肺感染,急性左室不全,腎機能不全により治験薬を投与中止した。同年*
9 月 4 日,患者
は急性左室不全により死亡した。治験責任医師は,腎機能不全および急性左室不全を治験薬と
の因果関係が否定できないと判断した。
減量に至った有害事象
投与群を問わず 2 名以上に認められた,治験薬の減量に至った有害事象をグループ用語および
その他の基本語別に表 6.2: 32 に要約する。
減量に至った有害事象はプラセボ群 2 名(1.0%),アファチニブ群 150 名(38.5%)で認められ
た。最も多く認められた減量に至った有害事象は下痢であり,プラセボ群では認められなかっ
たが,アファチニブ群では 20.5%で認められた。グループ用語の発疹/ざ瘡 +,爪の異常 +,口
内炎+に関しては,減量に至った患者の割合はそれぞれ 15.4%,4.9%,4.4%であった。減量に至
った脱水はアファチニブ群の 2.1%で認められた。アファチニブ群において,その他のグループ
用語/基本語で減量に至った患者の割合は 2.0%未満であった。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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表 6.2: 32
治験薬の減量に至った有害事象の発現率(2 名以上,投与群別,グループ用
語およびその他の基本語別) – TS
基本語
症例数
減量に至った有害事象(合計)2
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
Nail effect(爪の異常)
+
Placebo
N (%)1
195 (100.0)
2 (1.0)
0 (0.0)
Afatinib
N (%)1
390 (100.0)
150 (38.5)
80 (20.5)
0 (0.0)
60 (15.4)
0 (0.0)
19 (4.9)
Stomatitis(口内炎) +
0 (0.0)
17 (4.4)
Dehydration(脱水)
0 (0.0)
8 (2.1)
Decreased appetite(食欲減退)
0 (0.0)
7 (1.8)
Nausea(悪心)
0 (0.0)
7 (1.8)
Vomiting(嘔吐)
0 (0.0)
7 (1.8)
Fatigue(疲労) +
0 (0.0)
6 (1.5)
Proteinuria(蛋白尿)
0 (0.0)
6 (1.5)
Blood creatinine increased(血中クレアチニン増加)
0 (0.0)
4 (1.0)
Palmar-plantar erythrodysaesthesia syndrome(手掌・足底発赤知覚不全症候群)
Hypokalaemia(低カリウム血症)
0 (0.0)
4 (1.0)
0 (0.0)
3 (0.8)
Ocular effect(眼の障害)
+
0 (0.0)
3 (0.8)
Renal failure acute(急性腎不全)
0 (0.0)
3 (0.8)
Agitation(激越)
0 (0.0)
2 (0.5)
Dyspnoea(呼吸困難)
1 (0.5)
2 (0.5)
Epistaxis(鼻出血)
0 (0.0)
2 (0.5)
Hyperuricaemia(高尿酸血症)
0 (0.0)
2 (0.5)
Hypocalcaemia(低カルシウム血症)
0 (0.0)
2 (0.5)
Lip effect(口唇障害)
+
0 (0.0)
2 (0.5)
Pancreatitis acute(急性膵炎)
0 (0.0)
2 (0.5)
Weight decreased(体重減少)
0 (0.0)
2 (0.5)
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
。有害事象名の右側の+印はグループ用語。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.3.3: 1
アファチニブ群では全般的に,1 回目の減量後に高い発現率を示した有害事象は,1 回目の減量
に至った高い発現率を示した有害事象と種類が類似していた。しかし,1 回目の減量後の有害
事象の発現率は,1 回目の減量に至った有害事象よりはるかに高かった。たとえば,1 回目の減
量に至った下痢が 20.5%,1 回目の減量後の下痢は 46.7%の患者で認められた。グループ用語で
ある発疹/ざ瘡 +も同様で,1 回目の減量に至った発疹/ざ瘡+が 15.4%,減量後の発疹/ざ瘡+
は 52.0%の患者で認められた。また,1 回目の減量に至った口内炎+が 4.4%,減量後の口内炎+
は 24.3%の患者で認められた。さらに,1 回目の減量に至った爪の異常+が 4.9%,減量後の爪の
異常+は 21.1%の患者で認められた。
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試験 1200.23
1 回目の減量後の有害事象(最も重い CTCAE grade 別)
アファチニブ群では,1 回目の減量後に最も重い grade 別の有害事象を発現した患者の割合(治
験薬との因果関係がない有害事象および疾患進行との因果関係が否定できない有害事象を含む)
は,grade 3 が 33.6%,grade 4 が 4.6%,grade 5 が 9.9%であった。1 回目の減量後の grade 3 の有
害事象として,発疹/ざ瘡+が 13.2%,疲労+が 5.3%,下痢が 7.2%の患者で認められた。
治験薬の投与中止に至った,1 回目の減量後の有害事象
投与量を減量して投与したプラセボ群の 2 名は,いずれも有害事象によって治験薬を中止しな
かった。アファチニブ群では,1 回目の減量後に治験薬の投与中止に至った最も発現率の高か
った有害事象は下痢[6 名(3.9%)]であり,呼吸不全[4 名(2.6%)]が続いた。発疹/ざ瘡 +
により 3 名(2.0%),肺感染,胸水,肺炎,嘔吐により各 2 名(1.3%)で治験薬を中止した。1
回目の減量後に治験薬の中止至ったその他の有害事象は各 1 名のみでの発現であった。
さらなる減量に至った有害事象
プラセボ群では,40 mg への 1 回目の減量後に,さらなる減量に至った有害事象は認められな
かった。アファチニブ群では,152 名に減量した 40 mg を投与し,うち 52 名(34.2%)でさら
なる減量に至った有害事象が認められた。さらなる減量に至った最も発現率の高かった有害事
象(グループ用語)は発疹/ざ瘡 +[22 名(14.5%)]であり,爪の異常+[8 名(5.3%)]が続い
た。さらなる減量に至った下痢は 17 名(11.2%)で認められた。さらなる減量に至ったその他
の有害事象は 2 名以下での発現であった。
投与中止に至った有害事象
治験薬の投与中止に至った有害事象はプラセボ群 12 名(6.2%),アファチニブ群 70 名(17.9%)
で認められた(表 6.2: 33)。投与中止に至った最も発現率の高かった有害事象は,アファチニ
ブ群では下痢(3.6%),プラセボ群では悪性新生物進行(1.5%)であった。その他の中止に至
った有害事象の発現率はいずれの投与群も 2%未満であった。
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表 6.2: 33
治験薬の投与中止に至った有害事象の発現率(投与群別,グループ用語およ
びその他の基本語別) – TS(1/2)
基本語
症例数
治験薬の投与中止に至った有害事象(合計)2
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
Malignant neoplasm progression(悪性新生物進行)
Nausea(悪心)
Respiratory failure(呼吸不全)
Vomiting(嘔吐)
Decreased appetite(食欲減退)
Lung infection(肺感染)
Fatigue(疲労) +
Pleural effusion(胸水)
Pneumonia(肺炎)
Dyspnoea(呼吸困難)
General physical health deterioration(全身健康状態低下)
Metastases to central nervous system(中枢神経系転移)
Renal failure acute(急性腎不全)
Abdominal pain(腹痛)
Acute left ventricular failure(急性左室不全)
Brain oedema(脳浮腫)
Candidiasis(カンジダ症)
Cardiac tamponade(心タンポナーデ)
Condition aggravated(状態悪化)
Constipation(便秘)
Convulsion(痙攣)
Deep vein thrombosis(深部静脈血栓症)
Dehydration(脱水)
Disease progression(疾患進行)
Drug hypersensitivity(薬物過敏症)
Dysarthria(構語障害)
Dysphagia(嚥下障害)
Gingivitis(歯肉炎)
Haemoptysis(喀血)
Intestinal obstruction(腸閉塞)
Ischaemic stroke(虚血性脳卒中)
Localised infection(限局性感染)
Lower respiratory tract infection fungal(真菌性下気道感染)
Muscle spasms(筋痙縮)
Myocardial infarction(心筋梗塞)
Neuralgia(神経痛)
Oedema peripheral(末梢性浮腫)
Pain(疼痛)
Pancreatitis acute(急性膵炎)
Pericardial effusion(心嚢液貯留)
Pneumonitis(肺臓炎)
Pneumothorax(気胸)
Renal failure(腎不全)
Stevens-Johnson syndrome(スティーブンス・ジョンソン症候群)
Placebo
N (%)1
195 (100.0)
12 (6.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (1.5)
0 (0.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
2 (1.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Afatinib
N (%)1
390 (100.0)
70 (17.9)
14 (3.6)
7 (1.8)
6 (1.5)
5 (1.3)
5 (1.3)
5 (1.3)
4 (1.0)
4 (1.0)
3 (0.8)
3 (0.8)
3 (0.8)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
2 (0.5)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
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表 6.2: 33
治験薬の投与中止に至った有害事象の発現率(投与群別,グループ用語およ
びその他の基本語別) – TS(2/2)
基本語
Stomatitis(口内炎) +
Sudden cardiac death(心突然死)
Wheezing(喘鳴)
Atrial fibrillation(心房細動)
Eye movement disorder(眼運動障害)
Facial palsy(顔面神経麻痺)
Memory impairment(記憶障害)
Pulmonary embolism(肺塞栓症)
Tremor(振戦)
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
。有害事象名の右側の+印はグループ用語。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.3.4: 1
Placebo
N (%)1
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.5)
1 (0.5)
1 (0.5)
1 (0.5)
1 (0.5)
1 (0.5)
Afatinib
N (%)1
1 (0.3)
1 (0.3)
1 (0.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した,治験薬の投与中止に至った有
害事象
プラセボ群では,1 名が治験薬との因果関係が否定できないと判断された有害事象(肺塞栓症)
により治験薬の投与が中止された。アファチニブ群では,治験薬の投与中止に至った,治験薬
との因果関係が否定できないと判断された有害事象は 30 名(7.7%)で認められた(表 6.2: 34)。
治験薬と因果関係のある発現率の高かった有害事象は下痢(3.6%),発疹/ざ瘡 +(1.8%),嘔
吐(1.0%)であった。アファチニブ群で治験薬の中止に至った治験薬との因果関係が否定でき
ないと判断されたその他の有害事象の発現率は 1.0%未満(3 名以下)であった。
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表 6.2: 34
治験薬の投与中止に至った,治験薬との因果関係が否定できない有害事象の
発現率(投与群別,グループ用語およびその他の基本語別) – TS
Placebo
N (%)1
195 (100.0)
Afatinib
N (%)1
390 (100.0)
治験薬の投与中止に至った治験薬との因果関係が否定できない有害事象
(合計)2
1 (0.5)
30 (7.7)
Diarrhoea(下痢)
0 (0.0)
14 (3.6)
0 (0.0)
7 (1.8)
基本語
症例数
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
+
Vomiting(嘔吐)
0 (0.0)
4 (1.0)
Decreased appetite(食欲減退)
0 (0.0)
3 (0.8)
Nausea(悪心)
0 (0.0)
3 (0.8)
Fatigue(疲労) +
0 (0.0)
2 (0.5)
Abdominal pain(腹痛)
0 (0.0)
1 (0.3)
Acute left ventricular failure(急性左室不全)
0 (0.0)
1 (0.3)
Drug hypersensitivity(薬物過敏症)
0 (0.0)
1 (0.3)
Dysphagia(嚥下障害)
0 (0.0)
1 (0.3)
Gingivitis(歯肉炎)
0 (0.0)
1 (0.3)
Localised infection(限局性感染)
0 (0.0)
1 (0.3)
Neuralgia(神経痛)
0 (0.0)
1 (0.3)
Oedema peripheral(末梢性浮腫)
0 (0.0)
1 (0.3)
Pancreatitis acute(急性膵炎)
0 (0.0)
1 (0.3)
Renal failure(腎不全)
0 (0.0)
1 (0.3)
Stevens-Johnson syndrome(スティーブンス・ジョンソン症候群)
0 (0.0)
1 (0.3)
Stomatitis(口内炎) +
0 (0.0)
1 (0.3)
Pulmonary embolism(肺塞栓症)
1 (0.5)
0 (0.0)
1)割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
2)MedDRA Version
を使用。有害事象名の右側の+印はグループ用語。
引用元:CTD 5.3.5.1-2(U -3048),Table 12.3.4: 2
臨床検査値の評価
臨床検査値パラメータ(ベースライン値,投与期間中の最終測定値,ベースラインとの差)の
記述統計量に基づくと,両投与群のパラメータの平均値はベースラインから経時的にわずかに
変化したが,これらは臨床的に重要な変化ではなかった。
CTCAE grade の変動
臨床検査値パラメータの CTCAE grade の変動は,ほとんどの患者で認められなかった。アファ
チニブ群では,CTCAE grade 3 の白血球数減少が 1 名,grade 3 のヘモグロビン減少が 6 名(5
名はベースライン時に grade 1 または grade 2 の貧血あり),grade 3 の血小板数減少が 2 名(2
名ともベースライン時に grade 1 の血小板減少症あり),grade 3 の好中球数減少が 2 名,grade 4
の好中球数減少が 1 名,grade 3 のリンパ球数減少が 21 名,grade 4 のリンパ球数減少が 1 名で
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認められた。アファチニブ群でのこのような CTCAE grade の変動は,特にプラセボ群との曝露
量の差を考慮すると,いずれも両投与群で意味のある差はなかった。
血液凝固検査に関して,grade 3 のプロトロンビン時間 – INR の増加がアファチニブ群の 1 名で
認められた。本患者のベースラインでのプロトロンビン時間 – INR は CTCAE grade 1 であった。
また,grade 3 の部分トロンボプラスチン時間延長がアファチニブ群の 4 名で認められた(2 名
はベースライン値異常)。
アファチニブ群では,grade 3 および grade 4 のナトリウム減少がそれぞれ 17 名および 1 名,
grade 3 および grade 4 のカリウム減少がそれぞれ 20 名および 3 名で認められた。これらの結果
はプラセボ群より高頻度に認められ,アファチニブの胃腸に対する作用(下痢)と一貫性があ
った。また,アファチニブ群では,grade 3 および grade 4 のカルシウム減少がそれぞれ 3 名お
よび 2 名で認められた。
アファチニブ群では,grade 3 の AST 増加が 2 名(2 名ともベースライン AST 値異常),grade 3
の ALT 増加が 4 名(うち 3 名はベースライン ALT 値異常),grade 3 のアルカリホスファターゼ
増加が 1 名で認められた。
アファチニブ群では,grade 4 の尿酸増加が 8 名,grade 3 のブドウ糖増加が 8 名で認められた。
これらの結果はプラセボ群での結果と類似しており,grade 3 のクレアチニン増加が 2 名,grade
4 のクレアチニン増加が 1 名,grade 3 のクレアチンホスホキナーゼ増加が 1 名で認められた。
grade 3 および 4 のビリルビン増加および糸球体濾過率減少は認められなかった。
肝酵素
臨床的に意味のある肝酵素値上昇を示した患者については,
「その他の特に注目すべき有害事象
肝酵素」の項に示している。
バイタルサイン,身体所見,その他の安全性に関する所見
血圧,脈拍数,呼吸数は,各コースの Day 1 および Day 15,ならびに必要に応じて治験終了時
に 2 分間の仰臥位安静後に測定した。収縮期および拡張期血圧には,ベースラインから最終来
院時までの変動に臨床的に問題となる所見は認められなかった。ECOG パフォーマンス・スコ
アは大半の患者(プラセボ群 66.2%,アファチニブ群 62.6%)でベースラインから変化しなか
った。ECOG パフォーマンス・スコアがベースラインから改善した患者は,プラセボ群 5.6%,
アファチニブ群 7.2%であり,悪化した患者はプラセボ群 25.6%,アファチニブ群 29.5%であっ
た。平均体重は,プラセボ群ではベースラインより 1.0%減少し,アファチニブ群では 4.0%減
少した。
LVEF のモニタリング結果「その他の特に注目すべき有害事象 左室駆出率(LVEF)」の項に示
している。
心電図の評価(QTcF など)から,臨床的に問題となる心臓の安全性に関する所見は認められ
なかった。QTcF は,ベースラインから Day 56 にプラセボ群では平均 1 msec 短縮し,アファチ
ニブ群では平均 2 msec 延長した。
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結論
有効性
本試験の患者は,未治療では急速に進行する疾患を有していたが,OS が予測よりはるかに長
かった。OS の中央値は約 1 年間であり,両投与群で類似していた(ハザード比 1.077,95% CI:
0.862~1.346)。プラセボ群での長い OS,および本試験後に後治療の抗癌治療を受けた患者数
が他の薬剤の 1 次療法での臨床試験で認められた割合よりも高かったことは,本試験の計画時
の仮定に反していた。後治療(治験薬の終了後に実施した抗癌治療)の数,プラセボ群に有利
な不均衡(後治療の早期開始など)は,アファチニブの意味のあるベネフィットが PFS ではみ
られたが,OS ではみられなかった一因と考えられる。
アファチニブはプラセボと比較すると,PFS について統計学的に有意なベネフィットが認めら
れた。独立判定委員会の評価の結果,アファチニブ群の PFS の中央値はプラセボ群より 3 倍長
かった(3.3 カ月対 1.1 カ月,ハザード比 0.38,p<0.0001)。この結果は主治医の評価と一貫性
があり(2.8 カ月対 0.95 カ月,ハザード比 0.37,p<0.0001),一連の感度分析でも一貫性を示し
た。アファチニブは,EGFR 遺伝子変異を保有する患者または臨床的にその可能性が高い患者
で,PFS に対するべネフィットが高く,EGFR 遺伝子変異を保有しない患者では低かった。
アファチニブの客観的奏効率は,独立判定委員会の評価では 7.4%,主治医の評価では 10.8%で
あったが,プラセボ群の客観的奏効例は 1 名のみであった。アファチニブの病勢コントロール
率はプラセボ群より統計学的に有意に高かった(アファチニブ群 58.2%対プラセボ群 18.5%,
独立判定委員会の評価,p<0.0001)。
アファチニブの投与期間中,疾患進行までの期間の延長と並行し,疾患関連症状(咳嗽,呼吸
困難,疼痛)の改善および悪化までの期間の延長が示された。アファチニブで得られたベネフ
ィットは,エルロチニブまたはゲフィチニブに対する耐性を獲得していると想定される患者と
全患者集団とで類似していた。
アファチニブの有効性については,疾患進行までの期間を顕著に延長したことから,臨床的な
意味が示された。すなわち,アファチニブにより PFS の中央値(3.3 カ月対 1.1 カ月)は 3 倍延
長し,症状も改善した。これらの結果を評価するに当たり,エルロチニブまたはゲフィチニブ
に耐性がある患者には既承認の全身治療薬がない,という医学上の問題が存在することを考慮
する必要がある。アファチニブの EGFR 遺伝子変異陽性 NSCLC 患者に対するベネフィットは
さらに大きく,PFS の中央値は 4 カ月を上回った。
耐性を獲得した患者に存在する医学上の問題
Jackman らが最近発表した医学文献で,エルロチニブまたはゲフィチニブの長期投与に抵抗性
となった後に新規治療が緊急に必要となる患者の存在が明らかになった。本治験では,214 名
(37%)が耐性獲得基準である Jackman 基準を満たした。これらの患者で認められるアファチ
ニブの PFS に対する効果(4.5 カ月対 0.9 カ月,ハザード比 0.37,p<0.001)は全ランダム化割
付け症例で認められる効果とほぼ同じであった。
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健康関連 QOL
健康関連 QOL の解析結果からアファチニブのベネフィットが示された。事前に規定した健康
関連 QOL の評価項目である疾患関連症状(咳嗽,呼吸困難,疼痛)に関しては,これらの 3 症
状が 10 点以上改善した患者の割合から判断すると,アファチニブは,一貫して有意にプラセボ
より優れていた。また,アファチニブは咳嗽の悪化までの期間を有意に延長し,呼吸困難およ
び疼痛の悪化までの期間を延長させる傾向も示唆していた。
薬物動態
アファチニブの測定に用いた生体試料測定は,真度および精度の許容基準を満たした。
アファチニブの各患者の血漿中濃度は,投与量の減量(50 mg から 40 mg,さらに 30 mg への
減量)と共に低下した。全般的に,アファチニブの投与前血漿中濃度は薬物動態の観察期間を
通じて一定であった。アファチニブの投与期間中,血漿中トラフ濃度の上昇や低下といった一
定の傾向は認められなかった。血漿中濃度の変動は大きく,40 mg 投与群の幾何変動係数は 79
~91%,50 mg 投与群の幾何変動係数は 53~67%であった。
安全性
全ランダム化割付け症例 585 名が治験薬の少なくとも 1 回の投与を受け,安全性解析に組入れ
られた。平均総投与期間はアファチニブ群(4.1 カ月)の方がプラセボ群(1.9 カ月)より長か
った。アファチニブ群で発現率の高かった 4 種類の有害事象(下痢,発疹/ざ瘡+,口内炎+,
爪の異常+)は EGFR 阻害作用機序と関連し,その発現率はプラセボ群よりはるかに高かった。
アファチニブ群で最も発現率の高かった減量に至った有害事象は下痢(20.5%),発疹/ざ瘡 +
(15.4%),爪の異常+(4.9%),口内炎+(4.4%)であった。アファチニブ群で発現率の高かった
grade 3 の有害事象は下痢(16.9%)および発疹/ざ瘡+(14.4%)であり,その他の grade 3 の有
害事象の発現率はいずれも 5%以下であった。下痢および発疹/ざ瘡 + の治験薬の投与中止率
(4%未満)が低かったことは,治験実施計画書の減量基準および推奨する支持療法が有効であ
り,臨床的ベネフィットが得られた患者が投与を継続できたことを示唆している。
特に注目すべき有害事象は,その他の EGFR 阻害薬または HER2 阻害薬でまれに認められた事
象に基づいて治験開始前に特定した。特に注目すべき有害事象については以下に注意する必要
がある。
1.
重篤な腎機能不全は,発現率が低く,多くの場合は下痢,脱水を伴い,治療が奏効するこ
とから,病因は腎前性と考えられる。
2.
有害事象の肝障害(可能性)は大半がトランスアミナーゼ上昇であったが,1 名で急性肝
不全が認められた。肝機能検査値を定期的に測定したが,Hy’s law case に該当する患者は
確認されなかった。
3.
間質性肺疾患様事象の可能性例を調査した結果,アファチニブ群 4 名で肺臓炎が認められ
た。うち 3 名は治験薬との因果関係がない原因または病巣感染の肺臓炎であった。残りの
1 名は治験薬投与開始前に肺臓炎を有した患者(このような患者を除外するように治験実
施計画書の変更を適用する前に登録した患者)で認められた肺臓炎の増悪であった。
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4.
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試験 1200.23
MedDRA 標準検索式(SMQ)で心不全事象はほとんど確認されなかった。アファチニブと
の因果関係が否定できない心不全が 1 名で認められた。この有害事象は肺感染による入院
後に発現し,死亡に至った。
全患者で LVEF の測定を実施した結果,臨床的に重要な変化は認められなかった。全患者の臨
床検査値を精査した結果,既知の毒性(重篤な有害事象と関連せず Hy’s law を満たさないトラ
ンスアミナーゼ上昇)や有害事象プロファイルから予測される毒性(胃腸系の副作用と関連す
る電解質異常)以外に,新たに重大な毒性は示されなかった。
結論として,本試験でのアファチニブの安全性データおよび副作用プロファイルは,アファチ
ニブ 50 mg/日を投与した先行試験と一貫性があった。
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7.
非対照試験報告書
7.1
非対照試験 1200.33(第 II 相試験)
Page 419
試験 1200.33
LUX-Lung 4: A Phase I/II open label trial of continuous once daily oral treatment with BIBW 2992 –
Phase I trial in advanced non small cell lung cancer patients & Phase II trial in non small cell lung
cancer patients failing erlotinib or gefitinib - for Phase II(資料番号 5.3.5.2-1)
試験方法
試験方法の概略を表 7.1: 1 に示す。
表 7.1: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
第 I 相で決定されたアファチニブ(BIBW 2992)の推奨用量(50 mg)での,第 1 世代 EGFR
TKI 耐性進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対するアファチニブ単独投与の有効性の推定
試験の種類
非盲検,非対照試験
対象
対象疾患
NSCLC(腺癌)と診断され,1~2 レジメンの化学療法(細胞障害性抗癌剤,ただし少なく
とも 1 レジメンはプラチナ製剤を含む)を受け無効または治療後再発もしくは抵抗性を示
し,さらに治験参加直近の化学療法としてエルロチニブまたはゲフィチニブのいずれかに
よる少なくとも 12 週間以上の治療により一度病勢がコントロールされたものの疾患進行
した患者
選択基準
本治験に組入れられる患者は以下のすべての基準を満たさなければならない。
1
組織診または細胞診で NSCLC と診断され,かつ局所進行性(または転移性)で手術
または放射線療法では治療できない病期 IIIb 期または IV 期の腺癌の患者
2
再発性または転移性 NSCLC の治療のため,前治療として以下の化学療法を受けた患
者
‐ 1~2 レジメンの化学療法を受けた患者(この場合の化学療法とは,標準化学療法に
準拠する第 1 選択薬(プラチナ製剤を含む 2 剤併用療法)および第 2 選択薬(プラ
チナ製剤以外の単剤療法)としての細胞障害性抗癌剤のみをさす。エルロチニブ(タ
ルセバ®)およびゲフィチニブ(イレッサ ®)は除く。ただし少なくとも 1 レジメン
はプラチナ製剤ベースであること。プラチナ製剤を含む術後補助化学療法を受けて
いる場合,再発または転移後の化学療法は,第 1 選択薬の 1 レジメンのみとする。
細胞障害性抗癌剤の 3 レジメン以上の前治療は不可。)
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試験 1200.33
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.1: 1
試験方法の概略(2/4)
‐ 上記の化学療法施行後,治験参加直近の化学療法としてエルロチニブ(タルセバ®)
対象(続き)
またはゲフィチニブ(イレッサ®)のいずれかによる少なくとも 12 週間以上の治療
により,一旦病勢がコントロールされたものの疾患進行した患者(この場合の「病
勢コントロール」および「疾患進行」は,CT または MRI で確認されたものとする。
また,「12 週間以上の治療期間」は,有害事象などによる休薬期間を除いた実際の
服薬期間が 9 週間以上であることとする)。なお,エルロチニブ単剤またはゲフィ
チニブ単剤による治療である限り,1~2 レジメンの化学療法施行後のエルロチニブ
単剤またはゲフィチニブ単剤のレジメン回数および投薬順は問わない。ただし,そ
のいずれかのレジメンで 12 週間以上の治療が行われており,一度病勢がコントロ
ールされたものの疾患進行したことが確認されていること。
例)①シスプラチン + 塩酸イリノテカン → ドセタキセル → ゲフィチニブ
②シスプラチン + パクリタキセル → エルロチニブ
③カルボプラチン + ペメトレキセド → ゲフィチニブ → ゲフィチニブ
④カルボプラチン + ゲムシタビン → ゲフィチニブ → エルロチニブ
→ ゲフィチニブ
3
登録時に年齢が 20 歳以上の男女
4
本治験の治験薬投与開始から少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
5
ECOG パフォーマンス・スコアが 0 または 1 の患者
6
CT または MRI において少なくとも一次元で正確に測定できる腫瘍病変(最長径が,
スライス幅の 2 倍以上でかつ 10 mm 以上の病変)を少なくとも 1 つ有する患者
7
本治験について説明を受け,その内容を十分に理解した上で,GCP に従い本人から自
由意思による文書同意が得られた患者
除外基準
以下の基準のいずれかに該当する患者は治験から除外する。
1
®
本治験の治験薬投与開始前 2 週間以内にエルロチニブ(タルセバ )またはゲフィチニ
®
ブ(イレッサ )の投与を行っていた患者
2
根治的胸部放射線治療を行った患者。登録の 4 週間以内に,放射線療法を受けた,ま
たは他の治験薬(非腫瘍学的)を投与された患者
3
登録時に,クローン病,吸収不良,CTCAE grade 2 を超える下痢など,下痢を主症状
とする胃腸管障害が著しい患者
4
胸部 X 線所見において明らかな肺線維症または間質性肺炎を有する患者,疑われる患
者,または既往のある患者
5
登録時に症状を有するあるいは治療を必要とする脳腫瘍および脳転移を有する患者
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表 7.1: 1
対象(続き)
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試験 1200.33
試験方法の概略(3/4)
6
過去 5 年以内にその他の悪性腫瘍の診断を受けた患者(ただし,胃癌,大腸癌,子宮
頸部癌の上皮内癌,および非黒色腫皮膚癌を除く)
7
登録時の 6 カ月以内の狭心症または心筋梗塞,うっ血性心不全(ニューヨーク心臓協
会[NYHA(New York Heart Association)]の機能分類 3*を含む)または治療を要する
不整脈など,管理不能な心疾患歴を有する患者
*身体活動に高度制限のある心疾患患者。安静時には症状がない。日常生活以下の身
体活動で疲労・動悸・呼吸困難や狭心痛が起きる。
8
治療を要する体腔液貯留(胸水,腹水,心嚢水など)を有する患者
9
コントロール不良の合併症を有する患者(糖尿病,高血圧など)
10 重篤な薬剤アレルギーを有する患者
11 主要臓器機能が十分保たれておらず,登録時に下記の検査成績を満たさない患者
•
ヘモグロビン:9.0 g/dL 以上
•
好中球絶対数:1500/ mm3 以上
•
血小板数:100000/ mm3 以上
•
血清クレアチニン:1.5 mg/dL 以下
•
総ビリルビン:1.5 mg/dL 以下
•
AST(GOT)および ALT(GPT)
:施設基準値上限の 2.5 倍以下(肝臓への転移があ
る場合も同じ)
•
動脈血酸素分圧(PaO2)または動脈血酸素飽和度(SpO2)
:60 torr 以上または 92%
以上
•
LVEF(心エコー/MUGA スキャン):50%以上
• QTc 間隔:0.47 秒未満
12 治験薬の投与期間中および治験薬の投与終了後少なくとも 6 カ月,医学的に許容され
る避妊法を使用することに同意しない患者
13 妊娠中,授乳中,妊娠している可能性のある患者
14 HBs 抗原,HCV 抗体または HIV 抗体が陽性であることが知られている患者
15 薬物乱用もしくはアルコール依存症の患者または疑われる患者
16 上記の他,治験責任(分担)医師が,本治験への組入れに不適格であると判断した患
者
17 併用禁止薬の併用が必要な患者
試験薬剤
アファチニブ錠(50 mg,40 mg,30 mg フィルムコート錠)
目標症例数
目標症例数:
I 相で決定された推奨用量(50 mg/日)での評価可能症例数 60 名
実施症例数:
同意取得例数 69 名,登録症例数 62 名,投与症例 62 名,解析症例(主要評価項目)61 名
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表 7.1: 1
投与方法
投与期間
試験方法の概略(4/4)
投与方法:
50 mg 1 日 1 回経口投与
投与期間:
1 コースは 28 日間とする。疾患進行または毒性が認められない限り継続投与可能。
観察項目
観察時期
スケジュールの項を参照
評価項目
有効性:
評価基準
主要評価項目
•
RECIST に基づく客観的腫瘍縮小効果(完全奏効[CR],部分奏効[PR])
副次評価項目
•
RECIST に基づく病勢コントロール(CR,PR,安定[SD])率
•
奏効までの時間
•
奏効期間
•
病勢コントロール期間
•
無増悪生存期間(PFS)
•
全生存期間(OS)
•
EGFR および K-ras 遺伝子変異の検索的解析
薬物動態:
•
アファチニブの血漿中濃度
安全性:
•
CTCAE 第 3.0 版により分類された有害事象の発現率および重症度,臨床検査値,ECOG
パフォーマンス・スコア,心電図,左室機能およびバイタルサイン
解析方法
有効性の解析:
RECIST に 基 づ く 客 観 的 腫 瘍 縮 小 効 果 が 確 定 し た 患 者 の 割 合 と そ の 95% 信 頼 区 間
(Clopper-Pearson の方法による)を求める。また,病勢コントロールが認められた患者の
割合を求める。奏効までの期間,奏効期間および病勢コントロール期間について記述統計
量を求める。無増悪生存期間(PFS),全生存期間(OS)について生存分布の 25 パーセン
ト点,中央値および 75 パーセント点の Kaplan-Meier 推定量とその 95%信頼区間(標準誤
差の推定には Greenwood の公式を利用)を求める。
安全性の解析:
有害事象について CTCAE 第 3.0 版の分類に基づき発現頻度を集計する。臨床検査値につい
てベースラインからの変動の記述統計量を求める。
薬物動態の解析:
血漿中濃度について全患者の全時点における記述統計量を算出し,図表を作成する。薬物
動態パラメータについて記述統計量を求める。
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(日本,20施設)
治験実施期間
20
年
月~進行中(データカットオフ:20
年
月)
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表 7.1: 2
フローチャート
Study period
スクリー
ニング 1)
治療コース
登
録
日
3)
観察終
了日 4)
追跡
調査 5)
EOT
FU
X
X
X
X
X
X
2)
第 1 コース
来院(Visits)
Day
同意取得
患者背景
第 2 コース
SCR
V1
V2
2R1
2R2
第3コ
ース
以降
nR1
登録日よ
り 14 日
前以内
X
X
1
15 ± 3
1±3
15 ± 3
1±3
既往歴・合併症
X
選択基準/除外基準
X
6)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
身体所見
バイタルサイン
7)
X
体重
心電図
9)
11)
凝固パラメータ
腫瘍評価
X
X
X
15)
妊娠検査
16)
動脈血酸素分圧
(PaO2)または動脈血
酸素飽和度(SpO2)
薬物動態 17)
併用療法
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
14)
X
12)
X
X
13)
X
13)
X
X
胸部 X 線検査
眼科検査
X
X
X
ECOG パ フ ォ ー マ ン
ス・スコア(PS)
左室機能 10)
臨床検査
8)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
12)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
D/C
アファチニブ服薬状
況確認 18)
有害事象
X
治験薬の処方
X
アファチニブ投与
X
X 22)
連日投与
19)
EGFR / K-ras 遺 伝 子
X
X 20)
変異解析
EGFR 遺伝子変異解析
X
-血清 DNA 21)
治験薬投薬中止/終
X
了
n:第 n コース,SCR:スクリーニング,R:反復コースの来院,EOT:観察終了日,FU:追跡調査(フォロー
アップ),D/C:中止/終了
1) 登録に用いる観察・検査項目については,腫瘍評価を除き,登録日より 14 日前以内に実施。
2) 登録時の適格性の判断は,登録日を基準とした。登録日から投与開始日までの日数は 14 日間以内とした。
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3) 治療コースは 28 日間で,画像診断で確認された腫瘍の進行(RECIST 規準に従えば疾患進行(PD)まで
反復。
4) 観察終了日:治験薬の投与中止/終了を決めた場合に,投与後の検査を行った。
5) 追跡調査:最初の追跡調査は観察終了日の 1 カ月後(28 ± 7 日)。その後 12 週ごと(適切であれば 12 週
より早く)に,死亡または追跡不能になるまで実施。患者が来院できない場合,電話による聞き取りも
可能とした。
5) 医師による診察。
6) 血圧・脈拍(臥位安静状態 2 分後)および体温。
7) 身長を含めた。
8) 安静時 12 誘導心電図はスクリーニング時と観察終了日に実施。また,第 3 コースの Visit 3R1,その後は
8 週間ごとに実施(第 5,7,9 コースなどの奇数コースの Visit nR1)。
9) 左室駆出率(MUGA スキャンまたは心エコーを用いる)は,スクリーニング時,第 3 コースの Visit 3R1
の来院に先立ち 7 日以内,それ以降は 12 週ごと(第 6 コースの Visit 6R1,第 9 コースの Visit 9R1 など)
に実施。
10) 血液学的検査,生化学的検査および尿検査。
11) 血液学・生化学的検査項目,動脈血酸素分圧については,登録日の 1 週間以内のデータがあれば使用可
能。
12) 臨床検査および凝固パラメータについては,アファチニブ投与開始前 1 週間以内のデータがあれば使用
可能。
13) プロトロンビン時間,国際標準化プロトロンビン比および活性化部分トロンボプラスチン時間。
14) スクリーニング時の腫瘍評価は登録日前 28 日以内に実施した胸部,腹部および骨盤の CT スキャンまた
は MRI を用いる(既にデータがある場合には新たに実施する必要はなかった)。再評価は 4 週後(第 2
コースの Visit 2R1 の前),8 週後(第 3 コースの Visit 3R1 の前),12 週後(第 4 コースの Visit 4R1 の
前),およびその後は 8 週間隔(すなわち第 6,8,10,12 コースの Day 1(Visit nR1)前)および観察
終了日(EOT)に実施。臨床的に必要であれば,治験薬投与開始後の早い時点で腫瘍測定を実施しても良
いこととした。初回および第 2 回目の評価は 4 週および 8 週目に可能な限り近い時点で行い,投与開始
後 3 週および 7 週目よりも早期に行わないこととした。試験中はベースラインを含めて同一の画像診断
を用いることとした。縮小効果がみられた場合(CR または PR),効果が RECIST による判定基準に合致
した 4 週間以降に再評価を行った。
15) 眼底検査および細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ検査)。
16) 第 3 コース以降は薬物動態用の採血は実施しなかった。
17) 第 1 コース Day 15 より開始。
18) 可能であれば,スクリーニング時の上皮成長因子受容体(EGFR)および K-ras の遺伝子変異解析のため
に,生検材料を採取,または既存の検体の入手を依頼した。生検検体の取扱い説明書および遺伝子解析
の仕様書は investigator site file(ISF)中にファイルされていた。
19) EGFR 遺伝子変異解析のための任意の腫瘍組織検体の提供。生検検体の取扱い説明書および遺伝子解析の
仕様書は ISF 中にファイルされていた。
20) 任意。全血 2 mL を採取。
21) 観察終了日で回復していない場合,または治験薬との因果関係が否定できない有害事象が発現した場合,
または死亡に至った場合に記録することとした。
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U -2226),Table 9.5: 1
試験結果
患者の内訳
患者の内訳を表 7.1: 3 に示した。
本治験では,合計 69 名の患者から同意を取得し,うち 62 名がアファチニブを服薬した。
20
年
月
日時点で,投与患者のうち 58 名(93.5%)がアファチニブ投与を中止し,4 名
(6.5%)は投与継続中であった。アファチニブ投与を中止した患者 58 名のうち,疾患進行(PD)
による中止は 40 名(64.5%),その他の有害事象による中止は 16 名(25.8%)であった。
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表 7.1: 3
全患者の内訳 - 全登録症例数(%)
Afatinib
N(%)
Screened
Not treated
Treated
Treatment discontinued
Reason for treatment discontinuation
Progressive disease
Other adverse event
Non-compliance with protocol
Lost to follow-up
Refused to continue medication
Other
Continuing on treatment at database lock
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U
69
7
62 (100.0)
58 ( 93.5)
40 ( 64.5)
16 ( 25.8)
0 ( 0.0)
0 ( 0.0)
2 ( 3.2)
0 ( 0.0)
4 ( 6.5)
-2226),Table 10.1: 1
患者の取扱い
本治験では,投与症例解析対象集団(TS)および最大の解析対象集団(FAS)を設定した。FAS
は治験薬投与後の画像評価ができなかった 1 名を除いた 61 名の患者とした。また,TS は治験
薬を少なくとも 1 回投与された 62 名すべての患者とした。有効性の解析は FAS を,安全性の
解析は TS を対象として行った。
62 名中 2 名で治験実施計画書からの重大な逸脱が 2 件あった。1 件は治験参加前に治験実施計
画書で許容されていない化学療法剤による前治療を受けていた。もう 1 件は,治験薬投与開始
14 日前まで前治療薬であるゲフィチニブを投与されていた。これらの患者は治験総括報告書作
成のための Report Planning Meeting で検討され,最終的に有効性および安全性の解析に含める
ことが決定された。
患者背景
TS の患者背景を表 7.1: 4 に示す。62 名中,48 名(77.4%)が女性であった。患者の喫煙状況は,
43 名(69.4%)が非喫煙者,7 名(11.3%)が 1 年間の喫煙量が 15 パック未満かつ NSCLC と診
断される 1 年より前までに喫煙をやめた者,それ以外の過去に喫煙歴がある者が 11 名(17.7%),
現喫煙者は 1 名(1.6%)のみであった。
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表 7.1: 4
人口統計学的特性の概要 - TS
Afatinib
N(%)
Number of patient
62 (100.0)
Sex [N (%)]
Male
Female
Age [years]
Mean (SD)
<65 years
≥65 years
≥75 years
Baseline ECOG score [N (%)]
0
1
Smoking status [N (%)]
Never smoked
<15 pack years + stopped >1 year before diagnosis
Current or other ex-smokers
Alcohol status [N (%)]
Non-drinker
Drinks – no interference
Body surface area [m2]
Mean (SD)
<1.5 m2
≥1.5 m2
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U
14 ( 22.6)
48 ( 77.4)
63.7 (10.3)
29 ( 46.8)
33 ( 53.2)
6 ( 9.7)
29 ( 46.8)
33 ( 53.2)
43 ( 69.4)
7 ( 11.3)
12 ( 19.4)
34 ( 54.8)
28 ( 45.2)
1.512 (0.187)
35 ( 56.5)
27 ( 43.5)
-2226),Table 11.2: 1
ベースラインの疾患特性と前治療薬を表 7.1: 5 に示す。62 名中,57 名(91.9%)が IV 期,5 名
(8.1%)が IIIB 期であった。ほとんどの患者(93.5%)が転移部位を有しており,転移部位数
の平均は 2.1 であった。また,3 以上の転移部位を有する患者は 20 名(32.3%)であった。最
も多かった転移部位は骨と脳であった。
本治験では,治験参加前に患者の EGFR 遺伝子変異の有無を確認することは必須ではなかった。
しかし,適切な組織検体が得られた場合,各施設または中央検査機関にて,保管されていた検
体または血清を用いて変異検査を実施し,その結果を記録した。
62 名中 56 名(90.3%)の患者で EGFR 遺伝子変異解析を実施した。45 名(72.6%)の患者が
EGFR 遺伝子変異陽性を示し,主な遺伝子変異は Del 19(35.5%)および L858R(24.2%)であ
った。11 名(17.7%)は EGFR 遺伝子変異が陰性であった。
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表 7.1: 5
ベースラインの疾患特性の概要 - TS
Number of patients
Clinical stage at screening[N(%)]
IIIB
IV
Number of metastatic sites[N(%)]
Mean
0
1
2
>2
Metastatic site1[N(%)]
Adrenal glands
Bone
Brain
Liver
Other
Baseline sum of longest diameters (SLD) of target lesions2 [mm]
Mean (SD)
Min-Max
EGFR Mutation test done in either a local or the central laboratory [N (%)]
Positive
Del19
Del19+L858R
Del19+T790M
Del19+other
L858R
L858R+T790M
L858R+other
L861Q
Negative
Number of previous chemotherapy regimens [N (%)]
1
2
Best response to previous EGFR-TKI [N (%)]
Complete response
Partial response
Stable disease
Other previous anticancer therapies [N (%)]
Surgery
Radiotherapy
Other
Previous EGFR-TKI [N (%)]
Erlotinib only
Gefitinib only
Erlotinib and Gefitinib
Duration of previous EGFR-TKI [N (%)]
12 to <24 weeks
24 to <36 weeks
36 to <48 weeks
≥48 weeks
Duration of previous EGFR-TKI [weeks]
Mean (SD)
Min-Max
Time interval between the end of EGFR-TKI treatment and drug start date [N (%)]
<4 weeks
4 to <8 weeks
8 to <12 weeks
≥12 weeks
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試験 1200.33
Afatinib
62 (100.0)
5 ( 8.1)
57 ( 91.9)
2.1
4 ( 6.5)
16 ( 25.8)
22 ( 35.5)
20 ( 32.3)
5 ( 8.1)
21 ( 33.9)
20 ( 32.3)
7 ( 11.3)
48 ( 77.4)
51.08 (35.05)
10.4-216.9
56 ( 90.3)
45 ( 72.6)
22 ( 35.5)
1 ( 1.6)
1 ( 1.6)
1 ( 1.6)
15 ( 24.2)
1 ( 1.6)
3 ( 4.8)
1 ( 1.6)
11 ( 17.7)
52 ( 83.9)
10 ( 16.1)
2 ( 3.2)
38 ( 61.3)
22 ( 35.5)
15 ( 24.2)
21 ( 33.9)
1 ( 1.6)
7 ( 11.3)
49 ( 79.0)
6 ( 9.7)
3 ( 4.8)
10 ( 16.1)
13 ( 21.0)
36 ( 58.1)
72.5 ( 57.4)
22-292
52 ( 83.9)
7 ( 11.3)
2 ( 3.2)
1 ( 1.6)
1 多数の転移病変のある部位を有する患者については,転移病変が存在する部位の数でカウントした。
2 ベースライン腫瘍径はベースラインにおける全標的病変の最長径(合計)を意味する(独立判定委員会で評価された)。
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U -2226),Table 11.2: 2
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有効性
主要評価項目
腫瘍縮小効果
有効性の主要評価項目は RECIST 第 1.0 版に基づく客観的な腫瘍縮小効果であった。独立判定
委員会の評価で確定した客観的な腫瘍縮小効果がみられた患者の割合は,61 名中 5 名(8.2%)
で,6 週間以上安定がみられた患者は 35 名(57.4%),病勢コントロール率は 65.6%(40/61 名)
であった。主治医の評価では,確定した客観的な腫瘍縮小効果がみられた患者の割合は,61 名
中 8 名(13.1%)と独立判定委員会の評価より約 5%高く,病勢コントロール率も 72.1%と高か
った。独立判定委員会および主治医の評価ともに最良効果は PR のみで,CR はみられなかった
(表 7.1: 6)。
表 7.1: 6 最良効果 - FAS
Independent review
Investigator assessment
Total patients [N (%)]
61 (100.0)
61 (100.0)
Disease control (CR, PR or SD)
40 ( 65.6)
44 ( 72.1)
Objective response
5 ( 8.2)
8 ( 13.1)
Complete response (CR)
0 ( 0.0)
0 ( 0.0)
Partial response (PR)
5 ( 8.2)
8 ( 13.1)
Stable disease (SD)
35 ( 57.4)
36 ( 59.0)
Progressive disease (PD)
17 ( 27.9)
12 ( 19.7)
4 ( 6.6)
5 ( 8.2)
Not evaluable (NEV)
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U
-2226),Table 11.4.1.1: 1
図 7.1: 1 および図 7.1: 2 に Waterfall プロットを示した。独立判定委員会の評価では,治験薬投
与期間中に 61 名中 48 名(79%)で標的病変の縮小が確認され,30%以上の縮小を示した患者
は 10 名(16%)であった。主治医の評価では 61 名中 49 名(80%)で標的病変の縮小が確認さ
れ,30%以上の縮小を示した患者は 13 名(21%)であった。
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引用元:CTD 5.3.5.2-1(U
図 7.1: 1
Page 429
試験 1200.33
-2226),Figure 11.4.1.1: 1
独立判定委員会の評価に基づく,標的病変の最長径(合計)のベースライン
からの最大縮小率(%)- Waterfall プロット - FAS
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U
図 7.1: 2
-2226),Figure 11.4.1.1: 2
主治医の評価に基づく,標的病変の最長径(合計)のベースラインからの最
大縮小率(%)- Waterfall プロット - FAS
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
奏効までの期間および奏効期間
ほとんどの腫瘍縮小効果は治験実施計画書に規定された最初の 2 回(アファチニブの投与開始
から最初の 8 週間)の腫瘍評価までに確認された。独立判定委員会の評価では奏効期間の中央
値は 19.9 週,主治医の評価では 16.1 週であった(表 7.1: 7)。
表 7.1: 7
奏効までの期間および奏効期間の要約 - FAS
Total patients [N (%)]
Number of patients with objective response [N (%)]
Time to first response [N (%)]
Week 4
[Week 1 (Day 1)-Week 7 (Day 42)]
Week 8
[Week 7 (Day 43)-Week 10 (Day 70)]
Week 12
[Week 11 (Day 71)-Week 16 (Day 112)]
Duration of objective response [weeks]
Mean (SD)
Median (Min-Max)
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U
Independent review
Investigator assessment
61(100.0)
61(100.0)
5( 8.2)
8( 13.1)
4( 6.6)
5( 8.2)
1( 1.6)
2( 3.3)
0( 0.0)
1( 1.6)
24.4(18.7)
19.9(6.9-56.1)
18.9(6.5)
16.1(12.1-28.4)
-2226),Table 11.4.1.1: 2
副次評価項目
無増悪生存期間(PFS)
主な打ち切り規定により,独立判定委員会の評価では,61 名中 44 名(72.1%)の患者で PFS
のイベントを確認することができた。Kaplan-Meier 曲線から PFS の中央値は 4.4 カ月と推定さ
れ,約 25%の患者は治験薬投与開始から 6 カ月後まで疾患進行もなく生存していたことが確
認された。主治医の評価では,同様の打ち切り規定により,独立判定委員会とほぼ同数の患
者(61 名中 43 名)で PFS のイベントを確認することができ,PFS の中央値は 4.6 カ月と,わ
ずかに 0.2 カ月長かった。PFS の概要を表 7.1: 8 に,Kaplan-Meier 曲線を図 7.1: 3 および図 7.1:
4 に示す。
Page 431
試験 1200.33
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表 7.1: 8
PFS の要約 - FAS
Independent review
Investigator assessment
Total patients [N (%)]
61(100.0)
61(100.0)
Patient progressed or died [N (%)]
44( 72.1)
43( 70.5)
PFS time [months]
25th percentile (95% CI)
median (95% CI)
75th percentile (95% CI)
1.9(1.0-2.8)
4.4(2.8-4.6)
5.9(4.6-7.6)
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U
-2226),Table 11.4.1.2: 1
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U
-2226),Figure 11.4.1.2: 1
図 7.1: 3
2.8
4.6
7.4
(1.8-4.4)
(4.4-6.0)
(5.9-12.0)
独立判定委員会の評価に基づく無増悪生存期間(PFS)の Kaplan-Meier 曲線
- FAS
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U
図 7.1: 4
Page 432
試験 1200.33
-2226),Figure 11.4.1.2: 2
主治医評価に基づく無増悪生存期間(PFS)の Kaplan-Meier 曲線 - FAS
全生存期間
20
年
月
日のデータカットオフ時に 61 名中 21 名(34.4%)の患者が死亡していた。21
名中,20 名(32.8%)は治験終了後に死亡したと報告された。1 名(1.6%)の患者は治験薬投
与終了後に発現した有害事象が原因で死亡したが,治験責任医師は,本有害事象と治験薬と
の因果関係はないと判断した。Kaplan-Meier 曲線から OS の中央値は 19.0 カ月,25 パーセン
タイルは 12.0 カ月と推定された。12 カ月時点での全生存率は 73.0%と推定された。ただし,
これらの数値は今後イベント数(死亡)が増加することにより変わる可能性がある。
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引用元:CTD 5.3.5.2-1(U
図 7.1: 5
Page 433
試験 1200.33
-2226),Figure 11.4.1.2: 3
全生存期間の Kaplan-Meier 曲線 - FAS
治験責任医師は,患者が疾患進行と診断された場合および許容できない有害事象が発現した
場合に治験薬投与を中止した。患者は,治験薬投与中止後の追跡調査期間中に他の抗癌剤治
療を受けることができたため OS の解析は治験薬以外の抗癌治療の影響を受けた可能性があ
る。治験薬を中止した患者 57 名のうち 45 名(73.8%)が,他の抗癌剤治療を受けており,そ
のほとんどは細胞障害性抗癌剤のような全身化学療法であった。最も多く使用された化学療
法はペメトレキセドであり,29 名(47.5%)の患者がペメトレキセドの後治療を受けた。なお,
同意撤回により追跡調査ができず,生存状況が不明な患者も数名いた。
Page 434
試験 1200.33
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薬物動態
アファチニブの血漿中濃度の評価のために,第 1 コースおよび第 2 コースの Day 1(投与前の
ブランク)および Day 15(投与前および投与から 30 分以上経過した後の任意の時点)で各患
者から 6 ポイントで薬物動態用サンプルを採取した。ブランクサンプルあるいは投与から 30
分以上経過した任意の時点のポイントについての記述統計量は算出せず,トラフ濃度(第 2
コースの Day 1 および第 1 と第 2 コースの Day 15)の記述統計量のみ算出した。直前の投与
から 16~32 時間後に採血された値をトラフ血漿中濃度の記述統計量の算出に用いた。
個人間変動(gCV [%])は大きかった(>47%,N=10 以上のグループ)。患者内でのアファチニブ
のトラフ濃度は,薬物動態観察期間を通して一定であった。有害事象を発現して減量した患者の
トラフ濃度は,減量後の用量群の記述統計に含められている。このことは,投与コースが多くな
るにつれて,50 mg 群では経時的にトラフ血漿中濃度が減少したことに反映されていると考えられ
る。第 2 コースの 15 日目には,トラフ濃度の幾何平均値は各用量で同様の値であった(表 7.1: 9)。
表 7.1: 9
アファチニブ 50 mg から順次 40 mg,30 mg と減量して連日経口投与した時
のアファチニブのトラフ血漿中濃度の幾何平均値(ng/mL)
Afatinib
Treatment
course
30 mg
Day
40 mg
50 mg
N
gMean
gCV (%)
N
gMean
gCV (%)
N
gMean
gCV (%)
1
15
0
---
---
5
28.6
(33.2)
49
44.0
(60.0)
2
1
2
27.2
(0.259)
14
29.8
(47.8)
26
38.3
(71.2)
15
5
30.1
(24.8)
18
32.1
(52.5)
16
28.6
(138)
---:算出せず
gMean:幾何平均値,gCV:幾何変動係数
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U -2226),Table 11.5.2: 1
安全性
曝露状況
本治験ではすべての患者がアファチニブ 50 mg を開始用量として服薬を開始した。アファチニ
ブの平均総投与期間は 4.59 カ月(標準偏差 3.79)であり,中央値は 3.94 カ月(範囲:0.2~16.3)
であった(表 7.1: 10)。
62 名の患者のうち,43 名(69.4%)が 40 mg に減量し,さらに 22 名(35.5%)が 30 mg に減量
した。
投与日数 168 日目では,62 名中 16 名の患者がアファチニブの服薬を継続しており,そのうち 4
名が 50 mg で継続していた。
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表 7.1: 10
曝露状況 - TS
Afatinib (any dose)
N (%)
Number of patients
62 (
100.0)
Total duration of treatment [month]
Mean
SD
Min
Median
Max
4.59
3.79
0.2
3.94
16.3
Total duration of treatment [N (%)]
≤1 month
>1 to ≤2 months
>2 to ≤4 months
>4 to ≤6 months
>6 to ≤9 months
>9 to ≤12 months
>12 to ≤15 months
>15 to ≤18 months
注:総投与期間には未服薬期間も含む
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U -2226),Table 12.1: 1
8(
10 (
14 (
14 (
7(
4(
3(
2(
12.9)
16.1)
22.6)
22.6)
11.3)
6.5)
4.8)
3.2)
有害事象の概要
アファチニブを少なくとも 1 回以上服薬した患者に発現した有害事象のうち,治験薬投与終
了 28 日後までに発現した有害事象を治験薬投与中の有害事象とした。有害事象の重症度は
CTCAE 第 3.0 版に従って grade 別に評価した。
なお,有害事象の解析は,BI であらかじめ規定した MedDRA 基本語をグループ化した用語に
基づいて行った([CTD 5.3.5.2-1(U
-2226),Table 9.7.1.3.3: 1]参照)。なお,グループ用語
は+(上付き)で表記した。
本治験に参加した患者 62 名のうちすべての患者(100%)で有害事象が発現した。アファチニ
ブとの因果関係が否定できないと判断された有害事象もすべての患者(100%)で発現した。減
量に至った有害事象は 69.4%の患者に認められ,治験薬の投与中止に至った有害事象は 30.6%
の患者に認められた。減量の原因となった有害事象のうち主なものは下痢(41.9%)であった。
CTCAE grade 3 の有害事象は 49 名(79.0%),grade 4 および 5 の有害事象がそれぞれ 1 名(1.6%)
であった(表 7.1: 11)。
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表 7.1: 11
有害事象の概要 - TS
Afatinib
N (%)
Total treated
62 (
100.0)
Patients with any AE
62 (
100.0)
Patients with investigator defined drug-related AEs
62 (
100.0)
Patients with any AE leading to dose reduction
43 (
69.4)
Patients with AEs leading to discontinuation of trial drug
19 (
30.6)
Patients with SAEs
16 (
25.8)
Fatal
1(
1.6)
Immediate life-threatening
1(
1.6)
Disability/incapability
0(
0.0)
Required hospitalisation
13 (
21.0)
Prolonged hospitalisation
4(
6.5)
Congenital anomaly
0(
0.0)
Other
1(
1.6)
51 (
82.3)
Grade 1
0(
0.0)
Grade 2
11 (
17.7)
Grade 3
49 (
79.0)
Grade 4
1(
1.6)
Grade 5
1(
1.6)
Patients with CTCAE Grade 3 or higher
Patients with maximum CTCAE grade
注:同じ患者を複数の重篤度基準でカウントした場合がある。
割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
報告に使用した MedDRA Version
。
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U -2226),Table 12.2.1: 1
発現した有害事象は,他の EGFR TKI でみられる有害事象と類似しており,最も発現率の高
い有害事象は下痢(100%),発疹/ざ瘡+(91.9%),口内炎+(85.5%),爪の異常+(69.4%)お
よび食欲減退(61.3%)であった。
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表 7.1: 12
全症例の 10%以上で報告された有害事象の発現例数および発現率(%)- TS
All Grades
N (%)
62 ( 100.0)
62 ( 100.0)
62 ( 100.0)
57 ( 91.9)
53 ( 85.5)
43 ( 69.4)
38 ( 61.3)
Grade 1
N (%)
62 ( 100.0)
0(
0.0)
12 ( 19.4)
8 ( 12.9)
26 ( 41.9)
6(
9.7)
23 ( 37.1)
Afatinib
Grade 2
Grade 3
N (%)
N (%)
62 ( 100.0)
62 ( 100.0)
11 ( 17.7) 49 ( 79.0)
27 ( 43.5) 23 ( 37.1)
32 ( 51.6) 17 ( 27.4)
21 ( 33.9) 6 (
9.7)
30 ( 48.4) 7 ( 11.3)
12 ( 19.4) 3 (
4.8)
Grade 4
N (%)
62 ( 100.0)
1(
1.6)
0(
0.0)
0(
0.0)
0(
0.0)
0(
0.0)
0(
0.0)
Number of patients
Total with adverse events
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
Stomatitis(口内炎) +
Nail effects(爪の異常) +
Decreased appetite
(食欲減退)
Fatigue(疲労) +
25 ( 40.3) 13 ( 21.0) 7 ( 11.3)
5(
8.1)
0
Nausea(悪心)
23 ( 37.1) 16 ( 25.8) 6 (
9.7)
1(
1.6)
0
Vomiting(嘔吐)
17 ( 27.4) 13 ( 21.0) 3 (
4.8)
1(
1.6)
0
Weight decreased(体重減少) 17 ( 27.4) 13 ( 21.0) 4 (
6.5)
0(
0.0)
0
Epistaxis(鼻出血)
16 ( 25.8) 16 ( 25.8) 0 (
0.0)
0(
0.0)
0
Lip effects(口唇障害) +
16 ( 25.8) 13 ( 21.0) 3 (
4.8)
0(
0.0)
0
Ocular effects(眼の障害) +
15 ( 24.2) 10 ( 16.1) 4 (
6.5)
1(
1.6)
0
Dry skin(皮膚乾燥)
14 ( 22.6) 8 ( 12.9)
6(
9.7)
0(
0.0)
0
Dysgeusia(味覚異常)
11 ( 17.7) 9 ( 14.5)
2(
3.2)
0(
0.0)
0
Dehydration(脱水)
9 ( 14.5)
0(
0.0)
4(
6.5)
5(
8.1)
0
Nasal inflammation
8 ( 12.9)
7 ( 11.3)
1(
1.6)
0(
0.0)
0
(鼻の炎症)
Nasopharyngitis(鼻咽頭炎) 7 ( 11.3)
6(
9.7)
1(
1.6)
0(
0.0)
0
有害事象を発現した各患者の全有害事象の中で最も重い CTCAE grade でカウントした。
報告に使用した MedDRA Version
+ グループ用語
引用元:CTD 5.3.5.2-1(U -2226),Table 12.2.2.2: 1
Grade 5
N (%)
62 ( 100.0)
1(
1.6)
0(
0.0)
0(
0.0)
0(
0.0)
0(
0.0)
0(
0.0)
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
0.0)
(
0.0)
0(
0.0)
特に注目すべき有害事象
下痢
62 名すべての患者に下痢が発現した。また,すべてがアファチニブとの因果関係が否定でき
ないと判断された。CTCAE grade 別にみると,39 名(62.9%)が grade 1 または 2 で,23 名(37.1%)
が grade 3 であった。重篤な下痢は 4 名(6.5%)に発現した。26 名(41.9%)の患者が,下痢
が原因で治験薬の用量を減量した。しかし,下痢が原因で治験薬の投与を中止した患者は 2
名(3.2%)のみであった。62 名のうち 59 名(95.2%)は下痢に対してロペラミド,ビオフェ
ルミンなど止瀉薬による処置を受けた。下痢の発現時期は,82.3%の患者が治験薬投与開始後
7 日以内,残りの患者も含めてすべての患者が 14 日以内であった。
発疹/ざ瘡+
62 名のうち 57 名(91.9%)の患者に発疹/ざ瘡+が発現した。また,それらすべてがアファチ
ニブとの因果関係が否定できないと判断された。Grade 別にみると,40 名(64.5%)が grade 1
または 2 で,17 名(27.4%)が grade 3 であった。重篤な発疹/ざ瘡 +を発現した患者はいなか
った。11 名(17.7%)の患者が発疹/ざ瘡+が原因で,用量を減量した。また,発疹/ざ瘡+が
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原因で治験薬の投与を中止した患者は 7 名(11.3%)であった。62 名のうち 56 名(90.3%)は
発疹/ざ瘡 +に対して局所ステロイド剤,抗ヒスタミン薬,抗アレルギー薬および抗生剤など
の処置を受けた。発疹/ざ瘡+の発現時期は,33.9%の患者が治験薬投与開始後 7 日以内,59.7%
の患者が 14 日以内,79.0%の患者が 28 日以内であった。
口内炎+
62 名のうち 53 名(85.5%)の患者に口内炎+が発現した。また,1 名を除いてすべての有害事象
がアファチニブとの因果関係が否定できないと判断された。CTCAE grade 別にみると,47 名
(75.8%)が grade 1 または 2 で,6 名(9.7%)が grade 3 であった。重篤な口内炎+を発現した
患者はいなかった。4 名(6.5%)の患者が口内炎 +が原因で,用量を減量した。また,口内炎 +
が原因で治験薬の投与を中止した患者は 2 名(3.2%)であった。62 名のうち 48 名(77.4%)は
口内炎 +に対してハチアズレおよびアズノールなどによる処置を受けた。口内炎+の発現時期は,
40.3%の患者が治験薬投与開始後 7 日以内,74.2%の患者が 14 日以内であった。
腎機能不全(可能性)
腎機能不全に関連するすべての有害事象を特定するために,MedDRA 標準検索式(Standardised
MedDRA Queries[SMQ])を利用した。その結果,62 名のうち 7 名(11.3%)で腎機能不全に
関連する有害事象が特定された。その内訳は,腎機能に関する臨床検査値異常(血中クレアチ
ニン増加,血中尿酸増加および蛋白尿)が 6 名(9.7%),腎不全が 1 名(1.6%)であった。
CTCAE grade 別にみると,1 名(1.6%,grade 3[患者 21101],以下参照)以外は grade 1 およ
び 2 であった。治験責任医師は,7 名すべてでアファチニブとの因果関係が否定できないと判
断した。
重篤な有害事象は以下の 2 名であった。
•
患者 21304:女性,70 歳,CTCAE grade 2 の血中クレアチニン増加を発現し,入院期間が
延長した。治験責任医師は,治験薬との因果関係が否定できないと判断した。患者は血中
クレアチニン増加を発現する前に grade 3 の下痢を発現していた。輸液投与により患者は回
復し,用量を減量して再開した。
•
患者 21101:女性,62 歳,CTCAE grade 3 の急性腎不全を発現し,入院した。治験責任医
師は,治験薬との因果関係が否定できないと判断した。患者は急性腎不全を発現する前に
grade 3 の下痢を発現していた。輸液投与により患者は回復し,用量を減量して再開した。
腎機能不全に関連する有害事象が原因で治験薬の投与を中止した患者はいなかった。
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Page 439
試験 1200.33
間質性肺疾患様事象(可能性)
間質性肺疾患に関連するすべての有害事象を特定するために,SMQ を利用した。本治験では,
治験実施計画書で間質性肺疾患を有する患者,または既往歴のある患者を除外し,さらに間質
性肺疾患が発現した場合には,治験を中止するように規定した。
SMQ 検索の結果,3 名(4.8%)の患者が特定された。1 名(1.6%)は grade 3 の間質性肺疾患,
その他の 2 名(3.4%)は grade 1 の間質性肺疾患および grade 1 のアレルギー性肺胞炎と診断さ
れた。2 名(3.4%)は,治験薬との因果関係が否定できないと判断され,有害事象が原因で治
験薬の投与を中止した。
•
患者 20403:女性,59 歳,治験薬投与開始 31 日後に持続する呼吸困難のために緊急入院し
た。また,胸部レントゲン検査で肺炎の徴候を示した。同日,治験薬の投与を中止した。
緊急の画像検査(CT)を実施し,左上下葉,右下葉優位の多発性の脳所上昇(浸潤影およ
びスリガラス影)および網状影増強を確認した。ステロイドパルス療法を実施し,治験薬
投与中止から約 1 カ月後に間質性肺疾患から回復した。当該間質性肺疾患は重篤,CTCAE
grade 3 であり,治験責任医師は治験薬との因果関係は否定できないと判断した。
•
患者 20405:男性,52 歳,アファチニブ投与開始 80 日後にアレルギー性肺胞炎を発現した。
同時期に患者の顔にアレルギー性皮膚炎が発現したこと,間質性肺疾患に関連する臨床検
査値の異常が認められなかったことから,治験責任医師は,何らかの抗原に対するアレル
ギー反応と診断し,治験薬との因果関係はないと判断した。治験薬の投与を一時中断した
後に再開したが,同有害事象は再発しなかった。また,当該事象は非重篤であった。
•
患者 21805:男性,56 歳,アファチニブ投与開始 197 日後の胸部レントゲン検査にて,ス
リガラス陰影が認められ,間質性肺疾患が疑われた。CTCAE grade は 1 であった。治験薬
の投与は中止されたが,当該有害事象に対する処置は特に行われず,データカットオフ時
点では当該有害事象は回復していなかった。しかしながら,約 7 週間後に陰影が消失した
ことを確認している。当該有害事象は非重篤であった。治験責任医師は治験薬との因果関
係は否定できないと判断した。
爪の異常 +
62 名のうち 43 名(69.4%)の患者に爪の異常+が発現した。また,それらすべてがアファチニ
ブとの因果関係が否定できないと判断された。CTCAE grade 別にみると,36 名(58.1%)が grade
1 または 2 で,7 名(11.3%)が grade 3(すべて爪囲炎)であった。重篤と報告された事象はな
かった。6 名(9.7%)の患者が爪の異常 +が原因で,用量を減量した。また,爪の異常 +が原因
で治験薬の投与を中止した患者は 1 名(1.6%)であった。
62 名のうち 39 名(62.9%)は爪の異常+に対して局所ステロイド剤および抗生剤などの処置を
受けた。爪の異常+の発現時期は,16.1%の患者が治験薬投与開始後 14 日以内,その他の患者は
治験薬投与開始から 15 日以降であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 440
試験 1200.33
眼の障害+
62 名のうち 15 名(24.2%)の患者に眼の障害 +が発現した。また,そのうち 12 名(19.4%)が
アファチニブとの因果関係が否定できないと判断された。CTCAE grade 別にみると,ほとんど
が grade 1 または 2 で,1 名(1.6%)のみが grade 3(眼瞼炎)であった。眼の障害+を発現した
患者のうち,10 名(16.1%)に結膜炎が発現した。
重篤と報告された有害事象はなかった。1 名(1.6%)の患者が眼の障害+が原因で,用量を減量
した。また,眼の障害+が原因で治験薬の投与を中止した患者はいなかった。62 名のうち 14 名
(22.6%)は眼の障害+に対して処置を受けた。眼の障害+の発現時期は患者により様々であった。
死亡
治験薬投与期間中に発現した有害事象のために 1 名が死亡した。詳細を以下に記述する。
•
患者 21601:男性,42 歳,PD のため,治験薬投与開始から 143 日後に治験薬の投与を中止
した。治験薬の投与中止 5 日後に低酸素症と診断された。2 日後に低酸素症が悪化し,本
有害事象は重篤で grade 4 と判断された。患者はその 4 日後に死亡した。治験責任医師は,
治験薬との因果関係はないと判断した。
その他の重篤な有害事象
15 名(24.2%)の患者がその他の重篤な有害事象を発現した。そのうち 7 名(11.3%)では,治
験責任医師が,治験薬との因果関係が否定できないと判断した。重篤な有害事象のうち最も発
現頻度が高かったのは下痢 4 名(6.5%)であった。
治験薬との因果関係が否定できないと判断された重篤な有害事象は,下痢,脱水,食欲減退,
間質性肺疾患,急性腎不全,血中クレアチニン増加および敗血症であった。
その他の重要な有害事象
ICH E3 で定義されたように,治験薬の投与中止または減量に至った有害事象をその他の重要な
有害事象とした。治験薬の投与中止に至った有害事象は 62 名中 19 名(30.6%)に報告された。
治験責任医師は,咳嗽を除いたすべての有害事象と治験薬との因果関係が否定できないと判断
した。治験薬の投与中止に至った有害事象のうち,最も多かったのは発疹/ざ瘡+で,7 名(11.3%)
であった。このうち 2 名は,発疹により減量した後に,再度発疹を発現し,治験薬の投与を中
止した。
また,患者ができる限り長期に有益な治療を継続できるようにするため,予測される有害事象
に対する減量基準が治験実施計画書に定められた。62 名の患者のうち,43 名(69.4%)が減量
した。減量に至った有害事象のうち最も多かったのは下痢(26 名,41.9%)で,続いて,発疹
+
/ざ瘡(11
名,17.7%)であった。しかし,下痢の発現により投与中止に至った患者は 2 名(3.2%)
のみであり,下痢の予防的管理と減量によりアファチニブの投与を継続できることが示された。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 441
試験 1200.33
臨床検査,心電図,左室機能,バイタルサイン,身体所見
心電図,左室駆出率,バイタルサインおよびその他の安全性評価項目で臨床的に問題となる変
動は認められなかった。臨床検査では,下痢に関連するパラメータ以外で臨床的に問題となる
変動は認められなかった。
結論
より多くの臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高く,第 1 世代の EGFR TKI(エルロ
チニブまたはゲフィチニブ)による治療に一度奏効したものの,治療不応となった患者を治験
に組入れるために,EGFR TKI による 12 週間以上の前治療がある患者を治験参加の選択基準と
して設定した。治験薬を投与された患者の 85%で,ホルマリン固定パラフィン包埋組織または
胸水標本による検査結果から EGFR 遺伝子変異陽性が認められたことから,本試験の臨床的に
EGFR 遺伝子変異の可能性を高める方法の妥当性が明確に確認された。
すべての主要評価項目および副次評価項目から有効性の根拠となる結果が得られた。確定した
客観的な腫瘍縮小効果がみられた患者の割合は,独立判定委員会の評価で 8.2%,主治医の評価
で 13.1%であった。病勢コントロール率は,独立判定委員会の評価で 65.6%,主治医評価で 72.1%
であり,奏効期間も長かった(中央値 19.9 週)。独立判定委員会の評価および主治医の評価と
もに約 70%という高い病勢コントロール率を示した。また,PFS の中央値は主治医の評価(4.6
カ月),独立判定委員会の評価(4.4 カ月)ともに良好な結果を示した。OS の中央値は 19.0 カ
月と推定され,NSCLC の 3 次治療/4 次治療の患者で見込まれる OS に比べて長かった。
アファチニブのトラフ血漿中濃度が安定していたため,アファチニブの薬物動態は反復投与時
に変化しなかったことが示唆された。
アファチニブは EGFR TKI で予測された安全性プロファイルを有し,また,先行するアファチ
ニブの臨床試験で得られた安全性プロファイルと同様であることが確認された。CTCAE grade 3
の有害事象が高い頻度で認められたが,最も発現頻度が高かった下痢,発疹/ざ瘡+などの有害
事象のほとんどは grade 1 または 2 であった。よくみられる有害事象を管理するために用量の減
量が頻繁に行われたが,この減量基準と推奨された有害事象の支持療法によって,ほとんどの
患者が臨床的有用性を得ながら長期にわたり治療を続けることができた。
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7.2
Page 442
試験 1200.22
非対照試験 1200.22
LUX Lung 2: A Phase II single-arm trial of BIBW 2992 in non-small cell lung cancer patients with
EGFR activating mutations(CTD 5.3.5.2-2)
試験方法
試験方法の概略を表 7.2: 1 に示す。
表 7.2: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
主要目的:腫瘍細胞の EGFR 遺伝子のエクソン 18~21 に活性化遺伝子変異を有する病期 IIIB
期または IV 期の進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象とし,固形癌の治療効果判定基準
(RECIST 第 1.0 版)に基づいて判定した客観的奏効率(完全奏効,部分奏効)でアファチ
ニブ(BIBW 2992)の有効性を評価する。
副次目的:EGFR 活性化遺伝子変異を有し,かつ細胞傷害性化学療法 1 レジメンに治療不応
となった患者(ステージ 1 またはステージ 2)または 1 次治療の細胞傷害性化学療法の前治
療がない患者(ステージ 2 のみ)を対象としたアファチニブの安全性および薬物動態を評
価する。
試験の種類
非ランダム化,探索的試験
対象
対象疾患
腫瘍細胞の EGFR 遺伝子のエクソン 18~21 に活性化変異を有し,かつ細胞傷害性化学療法
1 レジメンに治療不応となった,または 1 次治療の細胞傷害性化学療法の前治療がない病期
IIIB 期もしくは IV 期の肺腺癌患者。すべての患者はアファチニブ投与開始前に生検検体を
採取し,EGFR 遺伝子変異が特定されていることとした。
選択基準
1.
病理学的に病期 IIIB 期(胸水を伴う)または IV 期の NSCLC で腺癌と確定診断され
た患者
2.
EGFR 遺伝子のエクソン 18~21 に, NSCLC 腫瘍組織の直接 DNA シークエンシング
により確認された活性化遺伝子変異の存在が認められる患者
3.
1 次治療の細胞傷害性化学療法投与後の疾患進行,または術前もしくは術後補助化学
療法後の再発が認められる患者。本治験のステージ 2 では,1 次治療の細胞傷害性化
学療法の前治療がない患者でも,ステージ 2 の選択基準を満たせば本治験に登録可能
とした。
4.
コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴画像(MRI)により少なくとも 1 次元で
正確に測定可能な,最長径が従来型の撮影方法で 20 mm 以上またはヘリカル CT で最
長径 10 mm 以上の腫瘍病変を 1 つ以上有する患者
5.
性別を問わず,年齢が 18 歳以上の患者
6.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
7.
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
8.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0,1,2 の患者
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表 7.2: 1
対象(続き)
Page 443
試験 1200.22
試験方法の概略(2/4)
除外基準
1.
再発性または転移性 NSCLC 治療のために 2 レジメン以上の細胞傷害性化学療法の前
治療がある患者
2.
治験薬投与開始前 4 週間以内または前治療薬の半減期の 4 倍未満の期間に,化学療法,
ホルモン療法(Megace®を除く),免疫療法の前治療がある患者,および/または臨床
的に問題があると考えられる抗癌剤の前治療の毒性が持続している患者
3.
エルロチニブ(タルセバ ®),ゲフィチニブ(イレッサ ®)または他の EGFR 阻害作用を
有する低分子化合物または抗体による前治療のある患者
4.
症候性の脳転移のある患者。治療を受けた無症候性の脳転移の患者で,脳疾患の状態
が 4 週間以上安定し,ステロイド療法または抗てんかん薬療法を必要としなかった場
合は適格とした。
5.
クローン病,吸収不良,原因を問わず grade 2 以上の下痢など,主症状として下痢を伴
う重大な胃腸障害が認められる患者か,または急性胃腸障害が最近認められた患者
6.
その他の致死的疾患または臓器系障害を有する患者で,治験責任医師が患者の安全性
に悪影響を及ぼす,または治験薬の安全性の評価を妨げると判断した患者
7.
過去 5 年以内に他の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌および子宮頚部上皮内癌を除く)と診
断された患者
8.
治験薬投与開始前 2 週間以内に放射線療法を受けた患者
9.
重篤な活動性の感染症(静注用抗生物質,抗真菌薬,抗ウイルス薬の投与を必要とす
る)を有する患者
10.
HIV 感染,活動性の B 型肝炎,活動性の C 型肝炎が確認されている患者
11.
薬物乱用またはアルコール依存症の患者,または疑われる患者
12.
本治験期間中,医学的に適切な避妊法を使用する意思のない,妊娠の可能性のある女
性またはパートナーを妊娠させる可能性のある男性
13.
妊娠中または授乳中の女性
14.
治験実施計画書を遵守できない患者
15.
NYHA 機能分類 3 を含む,うっ血性心不全,狭心症,心筋梗塞,不整脈などの臨床的
に重要なまたはコントロール不良の心疾患の既往歴を有する,または合併している患
者
16.
マルチゲート心血液プールイメージング(MUGA スキャン)または心エコーにより測
定した安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満の左室機能を持つ患者
17.
QTc 間隔が 0.47 秒を超える患者
18.
累積投与量が 400 mg/m2 を超えるドキソルビシン(または相当量)などのアントラサ
イクリン系抗癌剤による前治療のある患者
19.
好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
20.
血小板数が 100000/mm3 未満の患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 1
対象(続き)
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試験 1200.22
試験方法の概略(3/4)
21.
ビリルビンが 1.5 mg/dL(26 µmol/L,SI 単位相当)を超える患者
22.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニン・アミノトランス
フェラーゼ(ALT)が施設基準値上限の 3 倍を超える(肝転移が関連する場合は,施
設基準値上限の 5 倍を超える)患者
23.
血清クレアチニンが施設基準値上限の 1.5 倍を超えるか,クレアチニンクリアランス
の計算値/測定値が 45 mL/min 以下の患者
24.
基礎疾患として間質性肺疾患が確認されている患者
25.
治験実施計画書の併用制限の章に記載されている併用禁止療法が必要な患者
試験薬剤
アファチニブ錠(5 mg,20 mg,30 mg,40 mg,50 mg フィルムコート錠)
目標症例数
目標症例数:
登録例 120 名
実施症例数:
スクリーニング登録症例 461 名
登録症例 129 名
投与症例 129 名
アファチニブ 40 mg 開始用量:登録症例 30 名,投与症例 30 名,解析症例(主要評価項目
のおよび安全性の解析)30 名(1 次治療 23 名,2 次治療 7 名)
アファチニブ 50 mg 開始用量:登録症例 99 名,投与症例 99 名,解析症例(主要評価項目
および安全性の解析)99 名(1 次治療:38 名,2 次治療:61 名)
投与方法
投与方法:
投与期間
50 mg 開始用量/日(治験実施計画書初版に基づく)または 40 mg/日,1 日 1 回,経口連日投
与
投与期間:
疾患進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続し,各投与コースの期間は 4
週間(28 日)とした。
観察項目
観察時期
スケジュールの項を参照
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試験 1200.22
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 1
試験方法の概略(4/4)
評価項目
有効性の主要評価項目:
評価基準
固形がんの治療効果判定基準(RECIST 第 1.0 版)に基づく客観的な腫瘍縮小効果
有効性の副次評価項目:
RECIST により判定された病勢コントロール率(完全奏効,部分奏効,安定),奏効までの
期間,奏効期間,無増悪生存期間(PFS),全生存期間(OS)
薬物動態の評価項目:
アファチニブの血漿中濃度の評価
安全性の評価項目:
有害事象の発現率,CTCAE 第 3 版に基づく grade,皮膚反応および胃腸イベントなど特に
注目すべき有害事象,臨床検査値,ECOG パフォーマンス・スコア(PS),左室機能,心電
図,バイタルサイン
解析方法
客観的奏効率およびその正確な 95%信頼区間,PFS および OS に対する Kaplan-Meier 推定量,
ならびに他のすべての評価項目に対する記述統計量を算出した。
治験責任医師
治験実施施設
多施設共同試験(台湾 7 施設および米国 23 施設)
治験実施期間
20
年
月~進行中(データカットオフ日:20
年
月
日)
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試験 1200.22
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 7.2: 2
検査・観察スケジュール
スクリーニ
Study Period
投与コース
ング
第 1 コース
Visit(V)
Day
-28~-1
文書取得
4
X
患者背景
X
選択基準/除外基準
完全な身体所見
7
特定の身体所見
8
バイタルサイン
9
6
ECOG パ フ ォ ー マ ン
ス・スコア(PS)
10
心 エ コ ー ま た は MUGA
11
臨床検査
12
第 2 コース
第 3 コース
以降
V1
V2
V1
V2
V1
Day 1*
Day 15*
Day 1*
Day 15*
Day 1*
FU3**
X6
X6
X
X
X
X
X18
X
X
X
X
X
X
X
X
X18
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X10
X
X
X11
X
X
X
X
X
X
X
X
妊娠検査(尿または血清)
X
血液凝固検査
X
X
X
X
X
X
X13
X13
X13
X13
X14
X14
腫瘍評価
13
骨スキャン(該当者) 14
薬物動態
X
併用療法
X15
X15
X15
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
16
有害事象
X
アファチニブの処方
X
アファチニブの投与
治験薬投与終了
D/C:中止
*) ± 1~3 日
**) ± 7 日
X
X
X14
15
服薬状況確認
FU3
X
既往歴・合併症
スキャン
EOT2
X
EGFR 遺伝子変異の有無 5
心電図
1
X
連日投与
X15
X
D/C
X
X17
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試験 1200.22
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
10)
11)
12)
13)
14)
15)
16)
17)
18)
各投与コースは 28 日からなり,腫瘍の画像検査により腫瘍の進行(RECIST 第 1.0 版に基づく疾患進行)
が確認されるまで継続。
治験終了時。
FU(V)
:追跡調査(来院)
;最初の追跡調査来院(FUV)は EOT 来院の 28 ± 7 日後に実施することとし,
追加の FUV は最初の FUV から 12 週間隔で実施することとしたが,必要に応じて短い間隔で実施可。
何らかのスクリーニング評価を実施する前に文書同意を取得。
EGFR 遺伝子変異を解析するためにスクリーニング段階で生検検体(凍結標本またはパラフィン包埋標
本)を取得または要求した。本治験への登録に対する適格性の判定のために必要。
アファチニブ投与開始前に適格性を確認するため。患者はその後の各コースの開始時に引き続き適格性
を評価(進行が認められないこと,同意を撤回していないこと)。
身長(スクリーニング時のみ)および体重測定を含む。
心肺機能,腹部およびリンパ節の詳細な診査,精神状態および神経学的状態の評価を含む。
体重,呼吸数,脈拍数,血圧および体温測定を含む。
安静時 12 誘導デジタル心電図検査をスクリーニング時および EOT 時に実施。心電図検査は第 3,5,7
コースの Visit 1/Day 1 に,その後は 8 週ごとに反復実施。
LVEF(心エコーまたは MUGA スキャン)は最初にスクリーニング来院時に評価し,次に第 3 コースの
Day 1 の前 7 日以内に再度実施し,その後は 12 週ごと(第 6,9,…コース)に反復評価。
臨床検査:全血球数(CBC),白血球分画および血小板数を含む血液学的検査,血清生化学検査項目を含
む生化学的検査,試験紙法による尿検査。
ベースラインでの腫瘍評価には,胸部,腹部,骨盤の X 線検査,CT スキャン,MRI を含む。治験薬投
与開始前 4 週間以内に実施された腫瘍評価は第 1 コースの Day 1 の評価として使用可
腫瘍評価は Week 4 の終了時(第 1 コース終了後),Week 8 の終了時(第 2 コース終了後),Week 12 の終
了時(第 3 コース終了後),その後は 8 週ごと,すなわち第 5,7,9,11 コースの終了後に反復実施
治験期間を通じて同じ画像検査を使用。腫瘍縮小効果の記録または疾患進行の診断/確定のために治験
責任医師が必要と判断した場合,規定より短い間隔での評価可能。
該当する場合,12,24,48 週目に骨スキャンを反復実施。
スケジュールの詳細は[CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Appendices 16.1.1.1]参照。
第 1 コースの Day 15 に開始。
EOT に回復していない有害事象,または新規に発現した治験薬との因果関係が否定できない有害事象ま
たは死亡について評価。
任意。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
-3644),Table 9.5: 1
試験結果
患者の内訳
すべての安全性および有効性データのカットオフ日は 20
員会による腫瘍評価の結果は 20
年
月
年
月
日であったが,独立判定委
日までに収集された。
表 7.2: 3 に全患者の内訳を示す。同意書に署名した 461 名のうち,適格性基準を満たした計 129
名を試験に登録し,治験薬を投与した。この 129 名中 20 名(15.5%)がデータカットオフ時点
で治験薬の投与を継続していた。投与中止の主な理由は,疾患進行(89 名,登録患者数の 69.0%)
であった。
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試験 1200.22
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 3
全患者の内訳 − 登録患者数中の該当患者数(%)
First-line
Second-line
Afatinib
40 mg
Afatinib
50 mg
Afatinib
40 mg
Afatinib
50 mg
Total
Screened
—
—
—
—
461
Not treated
—
—
—
—
332
23 (100.0)
38 (100.0)
7 (100.0)
61 (100.0)
129 (100.0)
19 (82.6)
29 (76.3)
6 (85.7)
55 (90.2)
109 (84.5)
Progressive disease
16 (69.6)
24 (63.2)
5 (71.4)
44 (72.1)
89 (69.0)
Other adverse event
3 (13.0)
4 (10.5)
1 (14.3)
7 (11.5)
15 (11.6)
Refused continuation of study
medication
0 (0.0)
1 (2.6)
0 (0.0)
1 (1.6)
2 (1.6)
Other
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (4.9)
3 (2.3)
4 (17.4)
9 (23.7)
1 (14.3)
6 (9.8)
20 (15.5)
Treated
Treatment discontinued
Reason for discontinuation
Continuing on treatment at data cutoff
(i.e.,
20 )
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
-3644),Table 10.1: 1
治験実施計画書からの逸脱
治験薬投与患者 129 名中 34 名(26.4%)で,統計解析計画書に規定された,治験実施計画書か
らの重大な逸脱が 1 件以上データベース上に確認された。
その他の治験実施計画書からの重大な逸脱は,施設モニタリング報告書の確認および施設から
治験依頼者への通知で明らかにされた。モニタリング報告書および施設からの通知で特定され
た主な逸脱は,RECIST に基づく疾患進行後の投与継続であった。ほとんどの場合,治験責任
医師は,患者が臨床的ベネフィットを得ていると判断していた。
登録症例 129 名全員が Treated set(TS)に含まれ,有効性および安全性解析の対象となった。
治験実施計画書からの逸脱例のうち安全性および有効性解析から除外された患者はいなかった。
有効性
解析対象集団
アファチニブの投与を受けた 129 名(TS)全員の安全性および有効性データを解析した。
人口統計学的および他のベースライン特性
TS の人口統計学的および疾患のベースラインの特性は,患者コホート間でほぼ類似していた
(表 7.2: 4)。投与患者の大半はアジア人で,非喫煙者であり,ECOG パフォーマンス・スコア
(PS)は多くの患者で 0 であった。
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試験 1200.22
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 4
人口統計学的特性 − TS
First-line
Afatinib
Afatinib
40 mg
50 mg
23 (100.0)
38 (100.0)
Second-line
Afatinib
Afatinib
40 mg
50 mg
7 (100.0)
61 (100.0)
Male
10 (43.5)
11 (28.9)
4 (57.1)
29 (47.5)
54 (41.9)
Female
13 (56.5)
27 (71.1)
3 (42.9)
32 (52.5)
75 (58.1)
Total treated [N (%)]
Total
129 (100.0)
Gender [N (%)]
Age at entry (years)
Mean (Std)
64 (11.0)
62 (9.6)
57 (14.5)
61 (11.5)
62 (11.1)
Age < 65 years
11 (47.8)
22 (57.9)
5 (71.4)
35 (57.4)
73 (56.6)
Age >= 65 years
12 (52.2)
16 (42.1)
2 (28.6)
26 (42.6)
56 (43.4)
Asian
18 (78.3)
30 (78.9)
6 (85.7)
58 (95.1)
112 (86.8)
Black
1 (4.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.8)
Caucasian
4 (17.4)
8 (21.1)
1 (14.3)
3 (4.9)
16 (12.4)
0
16 (69.6)
28 (73.7)
3 (42.9)
36 (59.0)
83 (64.3)
1
6 (26.1)
10 (26.3)
4 (57.1)
22 (36.1)
42 (32.6)
2
1 (4.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (4.9)
4 (3.1)
Race [N (%)]
Baseline ECOG performance score
[N (%)]
Smoking history [N (%)]
Never smoked
15 (65.2)
26 (68.4)
3 (42.9)
38 (62.3)
82 (63.6)
Ex−smokers with <15 pack years
2 (8.7)
2 (5.3)
2 (28.6)
6 (9.8)
12 (9.3)
Current or other ex-smokers
6 (26.1)
10 (26.3)
2 (28.6)
17 (27.9)
35 (27.1)
Alcohol history [N (%)]
Non drinker
19 (82.6)
22 (57.9)
4 (57.1)
44 (72.1)
89 (69.0)
Drinks, but does not interfere with
4 (17.4)
16 (42.1)
3 (42.9)
16 (26.2)
39 (30.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (1.6)
1 (0.8)
study medication
Drinks, could interfere with study
medication
引用元:CTD5.3.5.2-2(U
-3644),Table 11.2: 1
ベースラインでの疾患特性(表 7.2: 5)については,ほぼすべての患者が病期 IV 期の NSCLC
患者で,1~2 カ所の転移部位を有した。主な転移部位は肺,骨,脳であった。多く認められた
EGFR 遺伝子変異はエクソン 19 欠損(Del 19)およびエクソン 21 の点突然変異(L858R)であ
り,それぞれ 40.3%(52/129 名)および 41.9%(54/129 名)であった。残りの変異(その他
の変異)は 17.8%(23/129 名)であった。
化学療法の前治療のない患者,またはアファチニブ投与開始の 12 カ月より前に終了した術前補
助化学療法もしくは術後補助化学療法を受けた患者を含む計 61 名(47.3%)が 1 次治療患者と
みなされた(表 7.2: 5)。アファチニブの開始用量が 50 mg であった患者のうち,8 名が術前補
助化学療法または術後補助化学療法による前治療がある 1 次治療患者であった。2 次治療患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
の大半で,ベバシズマブ併用または非併用の違いはあるものの,プラチナ製剤ベースの 2 剤併
用療法による前治療が行われた。
表 7.2: 5
ベースラインの疾患特性および抗癌剤による前治療 − TS(1/2)
First-line
Total treated [N (%)]
Afatinib
40 mg
23 (100.0)
Second-line
Afatinib
50 mg
38 (100.0)
Afatinib
40 mg
7 (100.0)
Afatinib
50 mg
61 (100.0)
Total
129 (100.0)
Clinical stage at screening [N (%)]
IIIB
2 (8.7)
3 (7.9)
0 (0.0)
3 (4.9)
8 (6.2)
21 (91.3)
35 (92.1)
7 (100.0)
58 (95.1)
121 (93.8)
Deletion 19
12 (52.2)
17 (44.7)
0 (0.0)
23 (37.7)
52 (40.3)
L858R
7 (30.4)
15 (39.5)
7 (100.0)
25 (41.0)
54 (41.9)
Other
4 (17.4)
6 (15.8)
0 (0.0)
13 (21.3)
23 (17.8)
0
1
0
0
1
IV
EGFR mutation [N (%)]
Exon 18
Exon 19
0
1
0
0
1
Exon 20
3
2
0
6
11
Exon 21
0
0
0
5
5
Exon 18 + Exon 20
0
0
0
1
1
Exon 18 + Exon 21
0
1
0
1
2
Exon 20 + Exon 21
1
1
0
0
2
22
33
7
49
111
71 (38.2)
44 (25.1)
43 (12.2)
57 (41.0)
55 (36.1)
13-162
11-101
29 - 61
11 - 199
11 - 199
23
38
7
61
129
Mean (Std) [mm]
87 (49.3)
64 (42.7)
64 (37.9)
83 (60.3)
77 (53.0)
Min-Max [mm]
19 - 202
10 - 239
22 - 110
11 - 318
10-318
Baseline tumor size
a
Independent review
Patients with target lesions at baseline
Mean (Std) [mm]
Min-Max [mm]
Investigator assessment
Patients with target lesions at baseline
Number of metastatic sites b [N (%)]
Mean
2
2
2
2
2
0
0 (0.0)
6 (15.8)
0 (0.0)
1 (1.6)
7 (5.4)
1
9 (39.1)
19 (50.0)
3 (42.9)
24 (39.3)
55 (42.6)
2
9 (39.1)
5 (13.2)
2 (28.6)
20 (32.8)
36 (27.9)
>2
5 (21.7)
8 (21.1)
2 (28.6)
16 (26.2)
31 (24.0)
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 5
ベースラインの疾患特性および抗癌剤による前治療 − TS(2/2)
First-line
Afatinib
40 mg
Second-line
Afatinib
50 mg
Afatinib
40 mg
Afatinib
50 mg
Total
b
Metastatic site [N (%)]
Brain
6 (26.1)
8 (21.1)
2 (28.6)
15 (24.6)
31 (24.0)
Liver
4 (17.4)
4 (10.5)
0 (0.0)
14 (23.0)
22 (17.1)
Adrenal
2 (8.7)
4 (10.5)
0 (0.0)
6 (9.8)
12 (9.3)
Bone
11 (47.8)
14 (36.8)
4 (57.1)
36 (59.0)
65 (50.4)
Lung
17 (73.9)
17 (44.7)
5 (71.4)
32 (52.5)
71 (55.0)
Pleural
2 (8.7)
9 (23.7)
2 (28.6)
9 (14.8)
22 (17.1)
Other
0 (0.0)
1 (2.6)
0 (0.0)
3 (4.9)
4 (3.1)
0 (0.0)
8 (21.1) d
4 (57.1)
12 (19.7)
24 (18.6)
--
--
3 (42.9)
49 (80.3)
52 (40.3)
Combination chemotherapy
0 (0.0)
8 (21.1) d
4 (57.1)
44 (72.1)
56 (43.4)
Combination chemotherapy plus
bevacizumab
Single-agent chemotherapy
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (42.9)
9 (14.8)
12 (9.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
8 (13.1)
8 (6.2)
3 (13.0)
18 (47.4)
2 (28.6)
19 (31.1)
42 (32.6)
6 (26.1)
4 (10.5)
1 (14.3)
16 (26.2)
27 (20.9)
Prior chemotherapies [N (%)]
Adjuvant/neoadjuvant
Palliative
c
Prior chemotherapy regimens [N (%)]
Other prior anti-cancer therapy [N (%)]
Surgery
Radiotherapy
a) ベースラインの標的病変の最長径(合計)。
b) 複数の転移病変のある患者については,同部位は 1 としてカウント。
c) 併用化学療法はすべてベバシズマブ併用または非併用下でのプラチナ製剤ベースの 2 剤併用療法(39 名が
シスプラチン + ゲムシタビン,9 名がカルボプラチン + パクリタキセル,7 名がカルボプラチン + ゲム
シタビン,6 名がドセタキセル + シスプラチン,3 名がシスプラチン + ビノレルビン,2 名がシスプラチ
ン + ペメトレキセド,1 名がドセタキセル + オキサリプラチン,1 名がシスプラチン + パクリタキセル)。
単独療法は 3 名がナベルビン(ビノレルビン酒石酸塩),3 名がテガフール/ウラシル,1 名がアリムタ(ペ
メトレキセドナトリウム水和物),1 名がジェムザール(ゲムシタビン塩酸塩)。
d) この 8 名の患者は,アファチニブ投与開始の 12 カ月より前に終了した術前補助療法や術後補助療法のみを
受けていたため,1 次治療とみなされた。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 11.2: 2
治療の遵守状況の確認
治療の遵守状況は,未服薬の錠数を基に 4 週ごとに推計した(4 週間の各投与コース終了時)。
全般的に,患者の多くは 1 日 1 回経口連日投与ができており,最長 172 週間の投与を受けた患
者の 69%以上で全投与コースにおいて未服薬はなかった。未服薬の原因の大半は,治験薬との
因果関係が否定できない有害事象からの回復のための用量の調整の一環として,治験実施計画
書に規定された投与中断によるものであった。しかし,これらの未服薬は服薬不履行とはみな
さなかった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
有効性の結果
主要評価項目
独立判定委員会評価では 61.2%(79/129 名)の患者で RECIST 第 1.0 版に基づく確定した客観
的腫瘍縮小効果がみられた。また,独立判定委員会の評価において,患者の 20.2%で 6 週間以
上の安定が認められ,病勢コントロール率は 82.2%(106/129 名)であった。主治医の評価に
よる確定した客観的奏効率および病勢コントロール率(それぞれ 60.5%および 86.0%)も,独
立判定委員会の評価の割合と同程度であった。
表 7.2: 6
最良総合効果 − TS
Independent review
Investigator assessment
BOR
confirmed
BOR regardless of
confirmation
BOR
confirmed
BOR regardless of
confirmation
129 (100.0)
129 (100.0)
129 (100.0)
129 (100.0)
N (%)
106 (82.2)
116 (89.9)
111 (86.0)
121 (93.8)
95% CI
74.5, 88.3
83.4, 94.5
78.8, 91.5
88.1, 97.3
N (%)
79 (61.2)
84 (65.1)
78 (60.5)
87 (67.4)
95% CI
52.3, 69.7
56.2, 73.3
51.5, 69.0
58.6, 75.4
2 (1.6)
2 (1.6)
0 (0.0)
0 (0.0)
77 (59.7)
82 (63.6)
78 (60.5)
87 (67.4)
26 (20.2)
30 (23.3)
33 (25.6)
34 (26.4)
2 (1.6)
--
7 (5.4)
--
1 (0.8)
2 (1.6)
--
--
18 (14.0)
11 (8.5)
9 (7.0)
4 (3.1)
7 (5.4)
--
5 (3.9)
--
5 (3.9)
2 (1.6)
9 (7.0)
4 (3.1)
Total treated
Disease control (CR, PR, SD)
Objective response
Complete response [N (%)]
Partial response [N (%)]
Stable disease [N (%)]
Unconfirmed objective response
No disease a [N (%)]
Progressive disease [N (%)]
SD or OR for less than 6 weeks
Not evaluable [N (%)]
a)ベースライン時に標的または非標的病変が認められず,新たな病変が治験中に発現しなかった患者。8 カ月
以上疾患なしが継続した 1 名(患者 2868)は病勢コントロール例とみなされた。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 11.4.1.1: 1
図 7.2: 1 は,独立判定委員会の評価による各患者の腫瘍の最大縮小率を示す。アファチニブ投
与中に 98.2%(107/109 名)の患者で標的病変の縮小が認められ,81.7%(89/109 名)の患者
で 30%超の腫瘍縮小率,および 54.1%(59/109 名)の患者で 50%超の腫瘍縮小率を示した。
主治医の評価でも,腫瘍の最大縮小率の Waterfall プロットは同様であった(図 7.2: 2)。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
図 7.2: 1
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試験 1200.22
標的病変の最長径(合計)のベースラインからの最大縮小率の Waterfall プロ
ット(独立判定委員会の評価による)− 標的病変を評価した全投与症例
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
図 7.2: 2
-3644),Figure 11.4.1.1: 1
標的病変の最長径(合計)のベースラインからの最大縮小率の Waterfall プロ
ット(主治医の評価による)− 標的病変を評価した全投与症例
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
-3644),Figure 11.4.1.1: 2
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
奏効までの期間および奏効期間
奏効例の大半(独立判定委員会の評価では 87.3%,69/79 名,主治医の評価では 78.2%,61/
78 名)で,投与開始から 8 週以内に奏効が認められた。28 週以降に奏効が認められた患者は数
名であった。
確定された奏効期間の平均は独立判定委員会の評価で 57.7 週間,主治医の評価で 65.9 週間で
あった。
副次評価項目
無増悪生存期間(PFS)
アファチニブ投与の PFS の中央値は,独立判定委員会および主治医の評価ともに 10 カ月超と
長かった。主要な打ち切りルールを適用したところ,独立判定委員会の評価では,129 名中 91
名(70.5%)で PFS のイベント(疾患進行または死亡)が認められた(表 7.2: 7)。Kaplan-Meier
曲線から推定された PFS の中央値は 10.1 カ月(95%信頼区間:8.1~13.8)で,無増悪生存率は
投与開始 12 カ月時点で約 45%であった(表 7.2: 8)。
主治医の評価では,同じ打ち切りルールを適用した結果,PFS のイベントが認められた患者数
は独立判定委員会の評価よりも多く(96 名),PFS の中央値は長く(13.7 カ月),無増悪生存率
は 12 カ月時点で約 54%であった。主治医の評価では,データカットオフ時点(20
年
月
日)で,20 名(15.5%)で疾患進行は認められず(表 7.2: 3),22~42 カ月間,アファチニブの
投与を継続していた。
表 7.2: 7
主要打ち切りルールを適用した PFS の概要 − TS
Independent review
Investigator assessment
129 (100.0)
129 (100.0)
91 (70.5)
96 (74.4)
4.5 (2.7, 6.3)
6.3 (3.3, 8.1)
Median (95% CI)
10.1 (8.1, 13.8)
13.7 (10.9, 16.1)
75th percentile (95% CI)
20.1 (15.6, NA)
25.9 (20.7, 28.6)
Total treated
Patients who had disease
progression or who died
PFS time (months)
25th percentile (95% CI)
NA:Kaplan-Meier 曲線からは推定不能。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 11.4.1.2.1: 1
Page 455
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 8
Time point since
treatment start
3 months
各時点での無増悪生存率の概要 − TS
N at risk
Independent review
Estimate
95% CI
Investigator assessment
N at risk
Estimate
95% CI
96
0.792
0.72-0.86
104
0.854
0.79-0.92
6 months
82
0.676
0.59-0.76
91
0.762
0.69-0.84
9 months
63
0.542
0.45-0.63
75
0.636
0.55-0.72
12 months
51
0.446
0.36-0.54
64
0.543
0.45-0.63
15 months
41
0.374
0.29-0.46
54
0.458
0.37-0.55
18 months
30
0.291
0.21-0.37
45
0.382
0.29-0.47
21 months
17
0.246
0.16-0.33
34
0.330
0.24-0.41
24 months
11
0.227
0.14-0.31
22
0.276
0.19-0.36
27 months
6
0.181
0.09-0.27
11
0.175
0.09-0.25
30 months
3
0.181
0.09-0.27
7
0.155
0.08-0.24
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
-3644),Table 11.4.1.2.1: 2
全生存期間(OS)
治験薬の投与を受けた 129 名中 65 名(50.4%)が死亡した。Kaplan-Meier 曲線から OS の中央
値は 24.8 カ月(95%信頼区間:22.0~38.7)と推定された(図 7.2: 3)。全生存率は 12 カ月時点
で 79%,24 カ月時点で 52%と推定された。
注)グラフ中の+字は当該患者のデータ打ち切りを示す。
図 7.2: 3
患者コホート別の OS の Kaplan-Meier 曲線 − TS
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
-3644),Figure 11.4.1.2.2: 1
Page 456
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割当てられた投与コホート−サブグループ解析
表 7.2: 9 に,独立判定委員会の評価による投与コホート別の有効性の結果を要約する。確定し
た客観的奏効率および病勢コントロール率は高かった。1 次治療では 40 mg 開始用量群(以下,
40 mg 群)と 50 mg 開始用量群(以下,50 mg 群)での確定した客観的奏効率はそれぞれ 60.9%
および 68.4%と,コホート間で同程度であった。PFS の中央値は,例数が多かった 3 つのコホ
ートのうち 1 次治療 40 mg 群と 50 mg 群で約 12 カ月以上であったが,2 次治療の 50 mg 群では
8.3 カ月であった。
表 7.2: 9
独立判定委員会の評価による投与コホート別の有効性の結果概要 − TS
First-line
Second-line
Afatinib
Afatinib
Afatinib
Afatinib
40 mg
50 mg
40 mg
50 mg
23 (100.0)
38 (100.0)
7 (100.0)
61 (100.0)
Disease control [N (%)]
18 (78.3)
35 (92.1)
5 (71.4)
48 (78.7)
Objective response [N (%)]
14 (60.9)
26 (68.4)
4 (57.1)
35 (57.4)
Disease control [N (%)]
20 (87.0)
37 (97.4)
6 (85.7)
53 (86.9)
Objective response [N (%)]
15 (65.2)
28 (73.7)
4 (57.1)
37 (60.7)
>30%-50% decrease
5 (21.7)
9 (23.7)
1 (14.3)
15 (24.6)
>50% decrease
12 (52.2)
19 (50.0)
4 (57.1)
24 (39.3)
25th percentile
3.4
6.5
2.1
2.7
median
11.9
13.8
4.5
8.3
75th percentile
NA
NA
18.4
15.7
25th percentile
9.6
18.3
10.0
11.5
median
23.1
NA
14.6
24.0
Total treated [N (%)]
Confirmed BOR
BOR regardless of confirmation
Decrease in target lesion size [N (%)]
PFS
(months)
Overall survival (months)
注)2 次治療の 40 mg 群の患者数は非常に少なく,7 名であった。
病勢コントロール率および客観的奏効率は独立判定委員会の評価による確定した奏効率から算出。
PFS は主要な打ち切りルールを使用して独立判定委員会の評価に基づき算出。
NA:Kaplan-Meier 曲線からは推定不可。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 11.4.1.3.1: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
EGFR 変異型−サブグループ解析
Del 19 + L858R 変異型対その他の変異型
Del 19 または L858R 変異型の腫瘍患者(表 7.2: 10 の Del 19 + L858R)は,他の EGFR 変異型の
腫瘍患者より病勢コントロール率および客観的奏効率が高かった。同様に,Del 19 または L858R
変異型の腫瘍患者は他の変異型の腫瘍患者よりも PFS が長かった(独立判定委員会の評価で
13.7 カ月対 3.7 カ月)。その他の変異型を有する 1 次治療患者の PFS の中央値は 6.0 カ月であっ
た。
表 7.2: 10
EGFR 変異型別の有効性の結果概要 − TS
Total treated
40 mg first line
50 mg first line
40 mg second line
50 mg second line
Confirmed BOR
Disease controla [N (%)]
Objective responsea [N (%)]
Odds ratio for objective
response (95% CI)c
BOR regardless of confirmation
Disease controla [N (%)]
Objective responsea [N (%)]
Odds ratio for objective
response (95% CI)c
PFS per independent reviewb
Median [months]
Del 19
N (%)
52 (100.0)
12
17
0
23
L858R
N (%)
54 (100.0)
7
15
7
25
Del 19+L858R
N (%)
106 (100.0)
19
32
7
48
Other
N (%)
23 (100.0)
4
6
0
13
47 (90.4)
36 (69.2)
46 (85.2)
34 (63.0)
93 (87.7)
70 (66.0)
13 (56.5)
9 (39.1)
0.33
(0.131, 0.837)
49 (94.2)
38 (73.1)
50 (92.6)
36 (66.7)
99 (93.4)
74 (69.8)
17 (73.9)
10 (43.5)
0.33
(0.132, 0.837)
13.7
13.7
13.7
3.7
2.58
(1.56, 4.26)
Hazard ratio (95% CI)c
PFS per investigator assessmentb
Median [months]
15.5
15.8
15.6
4.6
2.36
(1.44, 3.86)
Hazard ratio (95% CI)
Overall survival
25th percentile [months]
Median [months]
Hazard ratio (95% CI)c
Other vs.
Del 19+L858Rc
18.9
38.7
10.9
31.5
16.1
31.5
5.4
16.3
2.64
(1.50, 4.66)
a)病勢コントロール率および客観的奏効率は独立判定委員会の評価により算出。
b)主要な打ち切りルールを適用。
c)客観的奏効率のオッズ比およびその 95%信頼区間はロジスティック回帰分析で算出し,PFS および OS のハ
ザード比およびその 95%信頼区間は Cox 回帰で算出。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 11.4.1.3.2: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.22
Del 19 対 L858R 変異型
Del 19 変異型の腫瘍患者と L858R 変異型の腫瘍患者との客観的奏効率および病勢コントロール
率は同程度であり,独立判定委員会の評価による PFS の中央値は両投与群とも 13.7 カ月であっ
た(表 7.2: 10)。主治医の評価による PFS の中央値も,この 2 つの一般的な変異型でほぼ同じ
であった(Del 19 変異型が 15.5 カ月,L858R 変異型が 15.8 カ月)。
治療ライン別 − サブグループ解析
1 次治療および 2 次治療の患者の両方で高い有効性が認められた。1 次治療群では,独立判定委
員会の評価による確定した客観的奏効率は 66%,2 次治療群では 57%であった。病勢コントロ
ール率は 1 次治療群の 87%に対し,2 次治療群では 78%であった。独立判定委員会の評価によ
る PFS の中央値は 1 次治療群の 12.0 カ月に対し,2 次治療群では 8.0 カ月であった(図 7.2: 4)。
主治医の評価による PFS の中央値は 1 次治療群の 15.6 カ月に対し,2 次治療群では 10.5 カ月で
あった(図 7.2: 5)。
注)グラフ中の+字は当該患者のデータ打ち切りを示す。
図 7.2: 4
主要な打ち切りルールを適用した治療ライン別の PFS の Kaplan-Meier 曲線
(独立判定委員会の評価による)
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
-3644),Figure 11.4.1.3.3: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.22
注)グラフ中の+字は当該患者のデータ打ち切りを示す。
図 7.2: 5
主要な打ち切りルールを適用した治療ライン別の PFS の Kaplan-Meier 曲線
(主治医の評価による)
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
-3644),Figure 11.4.1.3.3: 2
臨床薬理試験成績
臨床薬物動態の結果
アファチニブの血漿中濃度
Day 15(Visit 2/第 1 コース)の治験薬投与前,Day 29(Visit 1/第 2 コース)ならびに Day 57
(Visit 1/第 3 コース)の治験薬投与前と吸収相に採取した検体のアファチニブ血漿中濃度を
表 7.2: 11 に要約する。
Page 460
試験 1200.22
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 11
アファチニブ 30,40,50 mg 1 日 1 回反復投与後のアファチニブ血漿中濃
度の幾何平均値の概要(N,幾何平均(gMean),幾何変動係数(gCV)%)
Afatinib plasma concentrations (ng/mL)
Day 15
Day 29
Day 57
(Visit 2/Course 1)
(Visit 1/Course 2)
(Visit 1/Course 3)
Predose
Predose
1h
3h
Predose
2h
N
-
3
-
4
6
7
gMean
-
54.1
-
57.5
20.1
28.5
gCV (%)
-
78.5
-
84.2
62.6
59.3
19
38
40
39
41
45
gMean
31.7
27.9
39.9
45.2
26.3
39.6
gCV (%)
45.9
63.1
65.2
81.0
62.0
59.1
79
60
59
62
50
49
gMean
40.6
33.7
49.7
60.8
27.8
50.6
gCV (%)
60.8
64.1
81.4
76.8
75.0
80.3
30 mg Afatinib qd
40 mg Afatinib qd
N
50 mg Afatinib qd
N
引用元:CTD 5.3.5.2-4(U
-3047),Table 11.5.2.1: 1
利用可能な薬物動態データが少なかったため,Day 29( Visit 1/第 2 コース)および Day 57( Visit
1/第 3 コース)の投与後 6 時間時点の幾何平均値は全投与群で算出できなかった。これらの薬
物動態測定用検体採取は任意であった。同じ理由で,Day 29(Visit 1/第 2 コース)の 30 mg
群での投与後 1 時間で採取された検体の幾何平均値は算出できなかった。
アファチニブ 30 mg の投与を受けた患者数はわずかであった。3 名中 2 名は Day 29(Visit 1/
第 2 コース)の記述統計量に含めたが,Day 57(Visit 1/第 3 コース)の検体採取前に治験を
中止した。
全般的に,30,40,50 mg のアファチニブの 1 日 1 回投与後の患者ごとのアファチニブ血漿中
濃度は投与量増加に伴い増加した。Day 29(Visit 1/第 2 コース)の幾何平均値より,投与 3 時
間後の血漿中濃度が投与 1 時間後よりも高いことが判明した。Day 57(Visit 1/第 3 コース)
における投与 2 時間後の血漿中濃度の幾何平均値は,Day 29(Visit 1/第 2 コース)の投与 1 時
間後の血漿中濃度の幾何平均値と同程度であった。各時点でのアファチニブの血漿中濃度は,
全投与量で個体間変動が大きかった。幾何変動係数は 46%~84%であった。
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試験 1200.22
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
アファチニブ薬物動態パラメータ
Day 15(Visit 2/第 1 コース),Day 29(Visit 1/第 2 コース),Day 57(Visit 1/第 3 コース)
の定常状態におけるアファチニブの実際の投与前血漿中濃度および用量補正後の投与前血漿中
濃度の要約を,表 7.2: 12 に示す。
表 7.2: 12
アファチニブ 30 mg,40 mg,50 mg 1 日 1 回投与群の Day 15(Visit 2/第
1 コース),Day 29(Visit 1/第 2 コース),Day 57(Visit 1/第 3 コース)
での実際および用量補正後におけるアファチニブの投与前血漿中濃度
(Cpre,ss)の比較
Afatinib
30 mg qd
40 mg qd
50 mg qd
N
gMean
gCV[%]
N
gMean
gCV[%]
N
gMean
gCV[%]
Cpre, ss, 15 (ng/mL)
-
-
-
19
31.7
45.9
79
40.6
60.8
Cpre, ss, 15, norm ([ng/mL]/mg)
-
-
-
19
0.793
45.9
79
0.812
60.8
Cpre, ss, 29 (ng/mL)
3
54.1
78.5
38
27.9
63.1
60
33.7
64.1
Cpre, ss, 29, norm ([ng/mL]/mg)
3
1.80
78.5
38
0.698
63.1
60
0.674
64.1
Cpre, ss, 57 (ng/mL)
6
20.1
62.6
41
26.3
62.0
50
27.8
75.0
Cpre, ss, 57, norm ([ng/mL]/mg)
6
0.671
62.6
41
0.658
62.0
50
0.556
75.0
引用元:CTD 5.3.5.2-4(U
-3047),Table 11.5.2.2: 1
30 mg 群では,Day 29(Visit 1/第 2 コース)では 3 名,Day 57(Visit 1/第 3 コース)では 6
名の検体しか得られなかったため,この用量群に関する結論は出せなかった(表 7.2: 12)。40 mg
および 50 mg 群では,アファチニブ血漿中濃度は遅くとも Day 15(Visit 2/第 1 コース)には
定常状態に到達した(データの視覚的な評価に基づく)。定常状態にはより早く到達していた可
能性もあるが,Day 1~Day 15 の間に薬物動態用の検体は採取されなかった。全般的に,40 mg
および 50 mg 群のアファチニブの投与前血漿中濃度は,図 7.2: 6 および図 7.2: 7 にそれぞれ示
すように薬物動態の観察期間(56 日間)をとおして安定していた。アファチニブのトラフ濃度
の増加または減少といった一定の傾向は示されなかった。Cpre,ss 値の個体間変動は中程度~高度
で,40 mg 群で 46%~63%,50 mg 群で 61%~75%であった。アファチニブの投与前血漿中濃度
の幾何平均は 40 mg 群よりも 50 mg 群で高かった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
図 7.2: 6
Page 462
試験 1200.22
アファチニブ 40 mg の 1 日 1 回反復投与後のアファチニブの Cpre,ss 値の個体
間比較
引用元:CTD 5.3.5.2-4(U
図 7.2: 7
-3047),Figure 11.5.2.2: 1
アファチニブ 50 mg の 1 日 1 回反復投与後のアファチニブの Cpre,ss 値の個体
間比較
引用元:CTD 5.3.5.2-4(U
-3047),Figure 11.5.2.2: 2
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 463
試験 1200.22
30 mg,40 mg,50 mg 群のアファチニブの投与前血漿中濃度の比較を図 7.2: 8 に示す。全群で
用量比例から乖離するようなアファチニブの Cpre,ss 値は認められなかった(表 7.2: 12 および図
7.2: 8)。しかし,50 mg 群の Day 57(Visit 1/第 3 コース)の Cpre,ss の用量補正した幾何平均値
は,他の投与量群よりやや低かった。
図 7.2: 8
Day 15(Visit 2/第 1 コース),Day 29(Visit 1/第 2 コース),Day 57(Visit
1/第 3 コース)での 30 mg,40 mg,50 mg 群のアファチニブ投与前血漿中
濃度(Cpre,ss )の比較(用量補正後の値,点線:全体の幾何平均値 0.702
ng/mL/mg)
引用元:CTD 5.3.5.2-4(U
-3047),Figure 11.5.2.2: 3
薬物動態—薬力学的評価
治験実施計画書に規定された最初の腫瘍評価[Week 8(Day 28)前後]で認められた抗腫瘍効
果と,Day 15 のアファチニブの投与前血漿中濃度とを比較した。Day 28 に奏効,安定,疾患進
行が認められた患者の投与前血漿中濃度の中央値を算出した。50 mg 群で部分奏効を示した患
者よりも安定を示した患者のトラフ濃度の中央値が低かった点以外は,投与前血漿中濃度と客
観的奏効率の間に明らかな傾向は認められなかった。しかし,アファチニブの投与前血漿中濃
度の中央値は疾患進行を示した患者で最も高かった。疾患進行例が比較的少ないことを考慮す
ると(Day 28 に 40 mg で 1 名,50 mg で 5 名),この結果を全般的な傾向と捉えるべきではない
と考えられた。
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全般的に,Day 15 または Day 29 の血漿中トラフ濃度と PFS または OS との間に明らかな傾向
は認められなかった。
安全性評価
曝露状況
治験薬を投与された 129 名の投与期間の合計(服用しなかった日も含む)は,平均 14.0 カ月,
最長 41.7 カ月であった(表 7.2: 13)。データカットオフ時点で計 20 名の患者が治験薬の投与を
継続していた(表 7.2: 3)。データカットオフ時点での総投与期間の平均は,40 mg 開始用量群
(以下,40 mg 群)の方が 50 mg 開始用量群(以下,50 mg 群)よりも短かった(11.3 カ月対
14.8 カ月)。この投与期間の差は,試験開始後の治験実施計画書変更 2 で開始用量が 40 mg に
変更されたためで,データカットオフ時点で予測されていた。
表 7.2: 13
アファチニブの曝露状況の概要 − TS
Afatinib
40 mg
Afatinib
50 mg
Total
30 (100.0)
99 (100.0)
129 (100.0)
Mean
11.3
14.8
14.0
Standard deviation
8.2
10.8
10.3
Minimum
0.5
0.0
0.0
Median
11.1
13.7
12.0
Maximum
23.3
41.7
41.7
Parameter
Total treated [N (%)]
Total treatment time (months)
注)総投与期間は服用しなかった日を含む。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
-3644),Table 12.1: 1 改変
表 7.2: 14 に示すように,59.7%(77/129 名)の患者がアファチニブの投与量を減量した。減
量した患者の割合は,50 mg 群の方が 40 mg 群より高かった。50 mg 群の 66.7%(66/99 名)
が 40 mg に減量し,さらに,36.4%(36/99 名)が 2 回目の減量(30 mg に減量)を行った。
40 mg 群の 36.7%(11/30 名)が 30 mg に減量した。20 mg に減量した患者はいなかった。
1 回目の減量時期を評価したところ,開始用量に関わらず全患者(129 名)での平均投与期間は
6 カ月で,開始用量群別では 40 mg 群(281 日)が 50 mg 群(158 日)より長かった。
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表 7.2: 14
アファチニブの減量の概要 − TS
Parameter
Total treated [N (%)]
Patients with any dose reduction
Patients with dose reduction [N (%)]
Reduced to 40 mg
Reduced to 30 mg
Reduced to 20 mg
Total treatment time on starting dose (days)
Mean
Standard deviation
Minimum
Median
Maximum
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
Afatinib
40 mg
30 (100.0)
11 (36.7)
Afatinib
50 mg
99 (100.0)
66 (66.7)
Total
129 (100.0)
77 (59.7)
NA
11 (36.7)
0 (0.0)
66 (66.7)
36 (36.4)
NA
66 (51.2)
47 (36.4)
0 (0.0)
281
274.1
6
144
708
158
195.6
1
71
813
187
221.4
1
82
813
-3644),Table 12.1: 2
40 mg 群では,1 年間投与を継続していた患者の 2/3 超が 40 mg での投与を継続していた。50
mg 群では,1 年間投与を継続していた患者の約 2/3 が 40 mg または 50 mg での投与を継続し
ており,約 1/4 の患者が 50 mg での投与を継続していた(表 7.2: 15)。
表 7.2: 15
Study day
Day 1
Day 28
Day 56
Day 84
Day 168
Day 196
Day 280
Day 364
Day 448
Day 532
Day 616
Day 700
試験日および投与群別の投与症例数 − TS
Patients on
treatment
30 (100.0)
29 (100.0)
25 (100.0)
23 (100.0)
19 (100.0)
19 (100.0)
17 (100.0)
15 (100.0)
12 (100.0)
8 (100.0)
7 (100.0)
2 (100.0)
40 mg starting dose
Patients
receiving
40 mg
30 (100.0)
24 ( 82.8)
21 ( 84.0)
17 ( 73.9)
14 ( 73.7)
14 ( 73.7)
12 ( 70.6)
11 ( 73.3)
11 ( 91.7)
8 (100.0)
7 (100.0)
2 (100.0)
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U
Patients
receiving
30 mg
0 ( 0.0)
5 ( 17.2)
4 ( 16.0)
6 ( 26.1)
5 ( 26.3)
5 ( 26.3)
5 ( 29.4)
4 ( 26.7)
1 ( 8.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Patients on
treatment
99 (100.0)
96 (100.0)
93 (100.0)
88 (100.0)
73 (100.0)
70 (100.0)
59 (100.0)
52 (100.0)
44 (100.0)
41 (100.0)
34 (100.0)
29 (100.0)
50 mg starting dose
Patients
Patients
receiving
receiving
40 mg
50 mg
99 (100.0)
0 (0.0)
72 (75.0)
23 (24.0)
57 (61.3)
31 (33.3)
46 (52.3)
33 (37.5)
33 (45.2)
23 (31.5)
28 (40.0)
25 (35.7)
18 (30.5)
22 (37.3)
14 (26.9)
18 (34.6)
8 (18.2)
17 (38.6)
6 (14.6)
16 (39.0)
5 (14.7)
11 (32.4)
5 (17.2)
10 (34.5)
Patients
receiving
30 mg
0 (0.0)
1 (1.0)
5 (5.4)
9 (10.2)
17 (23.3)
17 (24.3)
19 (32.2)
20 (38.5)
19 (43.2)
19 (46.3)
18 (52.9)
14 (48.3)
-3644),Table 12.1: 3
有害事象
有害事象の概要
治験薬投与期間中に認められた有害事象を投与群別に表 7.2: 16 に要約した。
治験薬の投与を受けた 129 名のうち 1 名を除く全患者(99.2%)で有害事象ならびに治験薬と
の因果関係が否定できない有害事象が認められた。CTCAE grade 3 以上の治験薬との因果関係
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試験 1200.22
が否定できない有害事象は全体の 53.5%(69/129 名)の患者で発現し,40 mg 群(30.0%[9
/30 名])の方が,50 mg 群(60.6%%[60/99 名])よりも発現率が低かった。
減量に至った有害事象は全体の 59.7%(77/129 名),40 mg 群の 36.7%(11/30 名),50 mg 群
の 66.7%(66/99 名)で発現した。
50 mg 群では,40 mg 群と比較してより重症度が高い有害事象が発現しているが,中止例はむ
しろ少なかった。全体で 19.4%(25/129 名)が有害事象によりアファチニブ投与を永続的に
中止した。
重篤な有害事象は患者全体の 38.8%,40 mg 群の 26.7%(8/30 名),50 mg 群の 42.4%(42/99
名)で報告された。ただし,開始用量が高い群の方が投与期間は長かったことに留意する必要
がある。
全体で 12 名が投与期間中に発現した有害事象により死亡し,そのうち 6 名の死因は疾患進行,
他の 1 名は疾患進行により死亡した可能性があると報告された。死亡に至った有害事象の大半
は疾患進行に関連しており,治験責任医師はいずれの有害事象もアファチニブとの因果関係は
ないと判断した。死亡に至った有害事象の発現率は 40 mg 群(6.7%)と 50 mg 群(10.1%)で
同程度であった。さらに,50 mg 群の 1 名は,治験薬投与終了 45 日後に発現した間質性肺疾患
により死亡した。治験責任医師はこの有害事象はアファチニブとの因果関係が否定できないと
判断した。
表 7.2: 16
投与期間中に発現した有害事象の全体的な概要 − TS
Afatinib
Afatinib
Parameter
40 mg
50 mg
Total
Total treated
30 (100.0)
99 (100.0)
129 (100.0)
Any AE
30 (100.0)
98 ( 99.0)
128 ( 99.2)
Investigator defined drug-related AEs
30 (100.0)
98 ( 99.0)
128 ( 99.2)
Any AE leading to dose reduction
11 ( 36.7)
66 ( 66.7)
77 ( 59.7)
AE leading to discontinuation of trial drug
8 ( 26.7)
17 ( 17.2)
25 ( 19.4)
Serious AEs
8 ( 26.7)
42 ( 42.4)
50 ( 38.8)
Fatala
2 ( 6.7)
10 ( 10.1)
12 ( 9.3)
Required hospitalization
7 ( 23.3)
36 ( 36.4)
43 ( 33.3)
Prolonged hospitalization
0 ( 0.0)
1 ( 1.0)
1 ( 0.8)
Other
2 ( 6.7)
6 ( 6.1)
8 ( 6.2)
Immediately life-threatening
0 ( 0.0)
1 ( 1.0)
1 ( 0.8)
CTCAE Grade 3 or higher
16 ( 53.3)
72 ( 72.7)
88 ( 68.2)
Maximum CTCAE grade
Grade 1
1 ( 3.3)
2 ( 2.0)
3 ( 2.3)
Grade 2
13 ( 43.3)
24 ( 24.2)
37 ( 28.7)
Grade 3
13 ( 43.3)
58 ( 58.6)
71 ( 55.0)
Grade 4
1 ( 3.3)
4 ( 4.0)
5 ( 3.9)
Grade 5
2 ( 6.7)
10 ( 10.1)
12 ( 9.3)
a) 転帰が「死亡」と報告された,治験期間中の重篤な有害事象。これには,すべての死亡例(原因を問わな
い投与終了後の死亡例は生存期間解析に含む)を含まない点に注意。本表に記載された死亡に至った有害
事象を発現した 6 名の死因は疾患進行であった。
同じ患者を複数の重篤度分類でカウントする場合がある。
割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
報告に使用した MedDRA Version
。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.2.1: 1
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.22
有害事象
治験薬投与患者全体で,高頻度(10%以上)に認められた投与期間中に発現した有害事象のグ
ループ用語または MedDRA 基本語別の集計結果を表 7.2: 17 に示す。なお,グループ用語は「+」
で表記する。
治験薬を投与された 129 名うち 1 名を除く全患者(99.2%)で有害事象が認められた。多く報
告された有害事象は他の EGFR チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR TKI)と同様で,下痢および皮
膚関連事象であった。発現率の高い有害事象(患者全体の 50%以上で報告)は下痢(94.6%),
発疹/ざ瘡+(93.8%),爪の異常+(85.3%),口内炎+(81.4%),そう痒症(57.4%)であった。
これら 5 つの有害事象のうち,口内炎+は 50 mg 群(90.9%,90/99 名)の方が 40 mg 群(50.0%,
15/30 名)よりも高頻度であったが,残り 4 つの有害事象の発現率は両群で同程度であった。
また,その他の有害事象についても,50 mg 群の方が 40 mg 群より発現率が高かった。ただし,
50 mg 群の方が投与期間が長かったことに留意する必要がある。
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試験 1200.22
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 17
全患者の 10%以上で認められた有害事象の発現患者数および発現率(%)−
TS
Afatinib 40 mg
Afatinib 50 mg
Total
症例数
30 (100.0)
99 (100.0)
129 (100.0)
発現例数
30 (100.0)
98 (99.0)
128 (99.2)
29 (96.7)
93 (93.9)
122 (94.6)
27 (90.0)
94 (94.9)
121 (93.8)
24 (80.0)
86 (86.9)
110 (85.3)
15 (50.0)
90 (90.9)
105 (81.4)
Pruritus(そう痒症)
15 (50.0)
59 (59.6)
74 (57.4)
Rhinorrhoea(鼻漏)
10 (33.3)
44 (44.4)
54 (41.9)
Decreased appetite(食欲減退)
10 (33.3)
39 (39.4)
49 (38.0)
Cough(咳嗽)
9 (30.0)
39 (39.4)
48 (37.2)
7 (23.3)
34 (34.3)
41 (31.8)
10 (33.3)
29 (29.3)
39 (30.2)
6 (20.0)
32 (32.3)
38 (29.5)
Epistaxis(鼻出血)
9 (30.0)
26 (26.3)
35 (27.1)
Dizziness(浮動性めまい)
8 (26.7)
21 (21.2)
29 (22.5)
Insomnia(不眠症)
3 (10.0)
24 (24.2)
27 (20.9)
Vomiting(嘔吐)
8 (26.7)
17 (17.2)
25 (19.4)
Dyspnoea(呼吸困難)
3 (10.0)
20 (20.2)
23 (17.8)
Nausea(悪心)
5 (16.7)
18 (18.2)
23 (17.8)
Oropharyngeal pain(口腔咽頭痛)
2 (6.7)
21 (21.2)
23 (17.8)
Constipation(便秘)
3 (10.0)
19 (19.2)
22 (17.1)
Upper respiratory tract infection(上気道感染)
6 (20.0)
16 (16.2)
22 (17.1)
Urinary tract infection(尿路感染)
4 (13.3)
18 (18.2)
22 (17.1)
Weight decreased(体重減少)
3 (10.0)
19 (19.2)
22 (17.1)
Headache(頭痛)
6 (20.0)
15 (15.2)
21 (16.3)
Back pain(背部痛)
3 (10.0)
17 (17.2)
20 (15.5)
Abdominal pain upper(上腹部痛)
2 (6.7)
15 (15.2)
17 (13.2)
Oedema peripheral(末梢性浮腫)
7 (23.3)
10 (10.1)
17 (13.2)
有害事象グループ用語 +/基本語
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
Nail effect(爪の異常)
Stomatitis(口内炎)
+
+
+
Dry skin(皮膚乾燥)
Fatigue(疲労)
+
Ocular effect(眼の障害)
Lip effect(口唇障害)
+
+
2 (6.7)
14 (14.1)
16 (12.4)
Alopecia(脱毛症)
5 (16.7)
10 (10.1)
15 (11.6)
Muscle spasms(筋痙縮)
1 (3.3)
14 (14.1)
15 (11.6)
Hypokalaemia(低カリウム血漿)
2 (6.7)
12 (12.1)
14 (10.9)
Pyrexia(発熱)
3 (10.0)
10 (10.1)
13 (10.1)
+)グループ用語に含まれる有害事象基本語は,本表の MedDRA 基本語から除外。
割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
報告に使用した MedDRA Version
。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.2.2.1: 1
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.22
CTCAE grade 別の有害事象
最高 CTCAE grade 別の有害事象を 40 mg 群については表 7.2: 18,50 mg 群については表 7.2: 19
に示す。
Grade 3 の有害事象の発現率は,40 mg 群(43.3%)の方が 50 mg 群(58.6%)より低かった。
Grade 3 に達した有害事象で発現率が高かったものは,発疹/ざ瘡+および下痢であり,40 mg
群と 50 mg 群の grade 3 の有害事象発現率の差は,これらの有害事象によるものであった。続
いて発現率が高かった grade 3 の有害事象は,爪の異常+,口内炎+,疲労+,低カリウム血症,
食欲減退,悪心,嘔吐などであった。このうち,低カリウム血症のみが grade 4 であった。
Grade 4 および grade 5 に達した有害事象の発現率は両投与群で同程度であった。Grade 4 に達し
た有害事象は全体の 3.9%(5/129 名)で認められ,内訳は,低カリウム血症(40 mg 群で 1 名,
50 mg 群で 2 名),高尿酸血症(50 mg 群で 2 名),蜂巣炎および低カルシウム血症(50 mg 群で
それぞれ 1 名),低ナトリウム血症(40 mg 群で 1 名,50 mg 群で 1 名),気胸(40 mg 群で 1 名)
だった。Grade 5 に達した有害事象は全体の 9.3%で,40 mg 群で 6.7%(2/30 名),50 mg 群で
10.1%(10/99 名)で認められた。治験責任医師は,これらの grade 5 の有害事象はすべて治験
薬との因果関係はないと判断した。
Page 470
試験 1200.22
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 18
10%以上の患者で認められた全 grade の有害事象の CTCAE grade 別の発現
患者数および発現率(%)− 40 mg 群
40 mg Afatinib starting dose group
+
All
Grades
Grade 1
Grade 2
Grade 3
Grade 4
Grade 5
症例数
30 (100.0)
30 (100.0)
30 (100.0)
30 (100.0)
30 (100.0)
30 (100.0)
発現例数
30 (100.0)
1 (3.3)
13 (43.3)
13 (43.3)
1 (3.3)
2 (6.7)
Diarrhoea(下痢)
29 (96.7)
19 (63.3)
8 (26.7)
2 (6.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
27 (90.0)
13 (43.3)
12 (40.0)
2 (6.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
有害事象グループ用語 /基本
語
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
+
24 (80.0)
8 (26.7)
14 (46.7)
2 (6.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
Stomatitis(口内炎) +
15 (50.0)
10 (33.3)
5 (16.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Pruritus(そう痒症)
15 (50.0)
12 (40.0)
3 (10.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Rhinorrhoea(鼻漏)
10 (33.3)
9 (30.0)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Decreased appetite(食欲減退)
10 (33.3)
3 (10.0)
5 (16.7)
2 (6.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
Nail effect(爪の異常)
+
10 (33.3)
5 (16.7)
2 (6.7)
3 (10.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Cough(咳嗽)
9 (30.0)
7 (23.3)
2 (6.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Epistaxis(鼻出血)
9 (30.0)
9 (30.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Fatigue(疲労)
Dizziness(浮動性めまい)
8 (26.7)
6 (20.0)
2 (6.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Vomiting(嘔吐)
8 (26.7)
7 (23.3)
0 (0.0)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dry skin(皮膚乾燥)
7 (23.3)
6 (20.0)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Oedema peripheral(末梢性浮腫)
7 (23.3)
4 (13.3)
3 (10.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Ocular effect(眼の障害) +
6 (20.0)
6 (20.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Headache(頭痛)
6 (20.0)
5 (16.7)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Upper respiratory tract infection
(上気道感染)
6 (20.0)
4 (13.3)
2 (6.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Nausea(悪心)
5 (16.7)
4 (13.3)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Alopecia(脱毛症)
5 (16.7)
4 (13.3)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Aspartate aminotransferase
increased(アスパラギン酸アミ
ノトランスフェラーゼ増加)
5 (16.7)
3 (10.0)
1 (3.3)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
Xerosis(乾燥症)
5 (16.7)
1 (3.3)
4 (13.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Urinary tract infection(尿路感染)
4 (13.3)
0 (0.0)
3 (10.0)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
Insomnia(不眠症)
3 (10.0)
3 (10.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dyspnoea(呼吸困難)
3 (10.0)
1 (3.3)
2 (6.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Constipation(便秘)
3 (10.0)
3 (10.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Weight decreased(体重減少)
3 (10.0)
2 (6.7)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Back pain(背部痛)
3 (10.0)
3 (10.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Pyrexia(発熱)
3 (10.0)
2 (6.7)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Alanine aminotransferase
increased(アラニン・アミノト
ランスフェラーゼ増加)
3 (10.0)
1 (3.3)
1 (3.3)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
Chest pain(胸痛)
3 (10.0)
0 (0.0)
1 (3.3)
2 (6.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
Oral pain(口腔内痛)
3 (10.0)
3 (10.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
+)グループ用語に含まれる有害事象基本語は,この表の MedDRA 基本語から除外。
有害事象を発現した各患者の全有害事象の中で最高 CTCAE grade を提示。
報告に使用した MedDRA Version
。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.2.2.2: 1
Page 471
試験 1200.22
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 19
10%以上の患者で認められた全 grade の有害事象の CTCAE grade 別の発現
患者数および発現率(%)− 50 mg 群
50 mg Afatinib starting dose group
+
All
Grades
Grade 1
Grade 2
Grade 3
Grade 4
Grade 5
症例数
99 (100.0)
99 (100.0)
99 (100.0)
99 (100.0)
99 (100.0)
99 (100.0)
発現例数
98 (99.0)
2 (2.0)
24 (24.2)
58 (58.6)
4 (4.0)
10 (10.1)
有害事象グループ用語 /基本
語
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
+
Stomatitis(口内炎) +
+
93 (93.9)
35 (35.4)
34 (34.3)
24 (24.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
94 (94.9)
18 (18.2)
48 (48.5)
28 (28.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
90 (90.9)
46 (46.5)
36 (36.4)
8 (8.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
86 (86.9)
31 (31.3)
47 (47.5)
8 (8.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
Pruritus(そう痒症)
59 (59.6)
32 (32.3)
26 (26.3)
1 (1.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Rhinorrhoea(鼻漏)
44 (44.4)
37 (37.4)
7 (7.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Nail effect(爪の異常)
Cough(咳嗽)
39 (39.4)
26 (26.3)
13 (13.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Decreased appetite(食欲減退)
39 (39.4)
20 (20.2)
16 (16.2)
3 (3.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dry skin(皮膚乾燥)
34 (34.3)
28 (28.3)
6 (6.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
29 (29.3)
14 (14.1)
12 (12.1)
3 (3.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
32 (32.3)
20 (20.2)
12 (12.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Fatigue(疲労)
+
Ocular effect(眼の障害) +
Epistaxis(鼻出血)
26 (26.3)
24 (24.2)
2 (2.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dizziness(浮動性めまい)
21 (21.2)
13 (13.1)
7 (7.1)
1 (1.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Vomiting(嘔吐)
17 (17.2)
11 (11.1)
3 (3.0)
3 (3.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Insomnia(不眠症)
24 (24.2)
16 (16.2)
8 (8.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Oedema peripheral(末梢性浮腫)
10 (10.1)
8 (8.1)
2 (2.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Oropharyngeal pain(口腔咽頭痛) 21 (21.2)
16 (16.2)
5 (5.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dyspnoea(呼吸困難)
20 (20.2)
8 (8.1)
9 (9.1)
1 (1.0)
0 (0.0)
2 (2.0)
Headache(頭痛)
15 (15.2)
8 (8.1)
6 (6.1)
1 (1.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Upper respiratory tract infection
(上気道感染)
16 (16.2)
10 (10.1)
6 (6.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Constipation(便秘)
19 (19.2)
13 (13.1)
6 (6.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Weight decreased(体重減少)
19 (19.2)
10 (10.1)
8 (8.1)
1 (1.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Nausea(悪心)
18 (18.2)
10 (10.1)
5 (5.1)
3 (3.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Urinary tract infection(尿路感染)
18 (18.2)
5 (5.1)
13 (13.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Back pain(背部痛)
17 (17.2)
10 (10.1)
7 (7.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Alopecia(脱毛症)
10 (10.1)
7 (7.1)
3 (3.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Abdominal pain upper( 上腹部痛)
15 (15.2)
9 (9.1)
6 (6.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Lip effect(口唇障害) +
14 (14.1)
12 (12.1)
2 (2.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Muscle spasms(筋痙縮)
14 (14.1)
10 (10.1)
4 (4.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Hypokalaemia(低カリウム血症)
12 (12.1)
4 (4.0)
2 (2.0)
4 (4.0)
2 (2.0)
0 (0.0)
Abdominal distension(腹部膨満) 10 (10.1)
5 (5.1)
5 (5.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
10 (10.1)
8 (8.1)
2 (2.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Pyrexia(発熱)
+)グループ用語に含まれる有害事象基本語は,この表の MedDRA 基本語から除外。
有害事象を発現した各患者の全有害事象の中で最高 CTCAE grade を提示。
報告に使用した MedDRA Version
。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.2.2.2: 2
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試験 1200.22
特に注目すべき有害事象
下痢
下痢は最も多く認められ,高頻度に grade 3 との報告があった有害事象の 1 つであるが(表 7.2:
18 および表 7.2: 19),重篤な有害事象として報告されることはまれで,投与中止に至った患者
はなかった。
悪心または嘔吐
悪心または嘔吐は患者全体の 27.9%で認められ,両投与群の発現率は同程度であり,症例の大
半は軽度~中等度であった(最も重い CTCAE grade は grade 1 または grade 2)。重篤な有害事
象の悪心または嘔吐,および治験中止に至った悪心または嘔吐の発現はまれであった。
発疹/ざ瘡
発疹/ざ瘡+は下痢の次に多く認められ,最も多く grade 3 との報告があった有害事象であった
(表 7.2: 18 および表 7.2: 19)。重篤な有害事象の発疹/ざ瘡+,および治験薬投与の永続的な中
止に至った発疹/ざ瘡 +の発現はまれであった。発疹/ざ瘡 +の発現率は両投与群で同程度であ
り,用量と本有害事象の発現率に関連性は認められなかった。
口内炎
口内炎+は患者全体の 81.4%で認められ,大半の症例の最も重い CTCAE grade は grade 1 または
2 であった。口内炎+は 1 名で重篤な有害事象として報告されたが,治験薬の永続的な中止に至
った患者はなかった。
眼の障害
眼の障害+は,患者全体の 29.5%で認められ,主なものは結膜炎であった。最も重い CTCAE grade
は全症例で grade 1 または 2 で,重篤な有害事象および投与の永続的な中止に至った有害事象は
なかった。
肝障害
肝臓に関する有害事象は,大半が肝酵素の軽度~中等度の上昇であり,Hy’s law に該当した患
者はなかった。これらの有害事象は概して治療を必要とせず回復した。症候性の肝臓関連事象
を発現したのは 4 名のみで,このうち 2 名は既に肝転移があり,治験責任医師は本有害事象の
根本的原因は疾患進行であると判断した。全般的に肝臓関連事象が重篤となることはまれであ
り,アファチニブ投与の永続的な中止に至ったのは 1 名のみであった。治験薬との因果関係が
否定できないと判断された有害事象は少なかったが,そのうち grade 1 の肝機能検査値上昇が 1
名およびアラニン・アミノトランスフェラーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラー
ゼの grade 1~3 の上昇が 3 名で認められた。これらの治験薬との因果関係が否定できないと判
断された肝臓関連事象に治療は必要なかった。
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試験 1200.22
腎機能不全
5 名(3.9%)が MedDRA 標準検索式で腎機能不全と特定された。3 名が腎不全(1 名は血中ク
レアチニン増加を含む),2 名が血中クレアチニン増加であった。50 mg 群で grade 3 の急性腎
不全を発現した 1 名を除いて最も重い CTCAE grade は grade 1 または 2 であった。5 名中 4 名の
腎機能不全については,治験責任医師は治験薬との因果関係が否定できないと判断し,概して,
下痢の結果によると考えられた。
間質性肺疾患
6 名(4.7%)が MedDRA 標準検索式で間質性肺疾患と特定された。これらの有害事象の詳細を
以下に記載し,表 7.2: 20 にまとめる。肺臓炎の 2 件以外すべての有害事象が,治験薬との因果
関係が否定できないと判断された。
患者 2213:68 歳女性,Day 57 に grade 1 の重篤ではない間質性肺疾患を発症し,本有害事象に
より治験薬投与を中止した。第 2 コースの後に実施した病期再診断のための胸部 CT スキャン
の結果,胸膜下に粗い網状陰影およびスリガラス状陰影が増加しており,薬物毒性による肺線
維症の悪化と認められた。3 日後に実施された経過観察のための CT スキャンでは,網状陰影,
スリガラス状陰影は認められなかった。また,散在する固形または半固形の両側性肺結節が認
められた(外観は過去の CT スキャンより安定していた)。Day 62 に実施した CT スキャンでは
陰影が消失しており,患者はセファレキシンおよびプレドニゾンによる治療後 Day 90 に間質性
肺疾患から回復した。治験責任医師はこの有害事象を治験薬との因果関係が否定できないと判
断した。しかし,CT スキャンで確認された肝臓領域は疾患進行を示したため,疾患進行が交
絡している可能性もある。
患者 2983:80 歳男性,Day 31 に grade 1 の重篤ではない間質性肺疾患を発症し,本有害事象に
より治験薬投与を中止した。本患者はこの有害事象の治療薬としてフロセミドの投与を受けた
が,データカットオフ時点では経過観察中であったため,有害事象は継続中と報告された。治
験責任医師はこの有害事象を治験薬との因果関係が否定できないと判断した。
患者 2131:77 歳男性,grade 1 の肺浸潤を Day 254 に発症し,Day 258 に grade 3 の間質性肺線
維症を発症した(どちらも重篤な有害事象)。経気管支肺生検および気管支鏡検査の結果,右肺
浸潤が報告され,感染か化学療法に対する反応が疑われた。右肺上葉の気管支擦過法では悪性
細胞は認められず,右肺上葉の気管支肺胞洗浄でも悪性細胞は認められなかった。グラム染色
の結果,Pneumocystis carinii,真菌,酵母は陰性であった。右肺上葉生検の結果,蜂巣肺および,
気管支壁における単体の弛緩性肉芽腫,軽度の間質性線維症,軽度の慢性間質性炎症が認めら
れ,悪性腫瘍は陰性,グラム染色では真菌陰性,抗酸菌染色陰性であった。本有害事象により
アファチニブ投与は中止となり,患者はアモキシシリンおよびプレドニゾンによる治療を受け,
Day 280 に回復した。治験責任医師はこれらの有害事象を治験薬との因果関係が否定できない
と判断した。
患者 2579:82 歳男性,Day 24 に重篤な有害事象である grade 3 の閉塞性肺臓炎を発症し,Day 28
に本有害事象により治験薬投与を中止した。救急診療部にて,急性気道感染との所見が得られ,
症状は改善したがそのまま入院した。本患者はこの有害事象に対する治療として,ピペラシリ
ン/タゾバクタム,テイコプラニン,イミペネム/シラスタチン,レボフロキサシン,気管支
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試験 1200.22
拡張薬の投与を受けた。Day 28 に患者は多臓器不全を伴う敗血症性ショックを発現し,死亡し
た。死因は多臓器不全を伴う敗血症性ショックと報告された。治験責任医師はこれらの有害事
象を治験薬との因果関係はないと判断した。治験責任医師の見解では,本患者は閉塞性肺臓炎
を伴う疾患進行を示し,および播種性血管内凝固を伴う重度の敗血症を呈していた。肺臓炎の
転帰は不明とされた。治験責任医師は,臨床評価は疾患進行であるが,患者の死亡により標的
および非標的病変は評価不能となったと記録した。スクリーニング時以外に画像検査は実施さ
れなかった。治験責任医師は当該有害事象を治験薬との因果関係はないと判断した。
患者 2811:68 歳男性,Day 101 に重篤な有害事象である grade 2 の間質性肺疾患を発症し,本
有害事象により治験薬投与を中止した。患者はこの有害事象に対する治療としてデキサメタゾ
ン投与を受けた。本有害事象は Day 119~148 までは grade 1,Day 148~151 に grade 2 と報告さ
れた。胸部 CT スキャンの結果,両肺に肺実質の線維性変化を伴う不規則な陰影が示された。
Day 151~163 に,grade 3 の間質性肺疾患を発症し,ステロイドおよび酸素療法を受けた。さら
に発熱もみられたため,Day 146 から肺炎を併発したと診断された。胸部 X 線検査の結果,左
肺下葉に胸水を伴う硬化影が示された。喀痰培養で Klebsiella pneumoniae 陽性であったため,
本患者は肺炎と診断された。間質性肺疾患の管理のため抗生物質,ステロイド,酸素療法を行
ったが,間質性肺疾患は進行し患者は死亡した。死因は間質性肺疾患であった。Day 163 に患
者は grade 5 の間質性肺疾患により死亡し,治験責任医師はこの有害事象を治験薬との因果関係
が否定できないと判断した。この死亡に至った間質性肺疾患は投与中止から 45 日後に発症した
ため,
「治験薬投与期間中」ではなく「治験薬投与終了後」の有害事象とみなされた。最後に発
症した 2 件(Day 151 に発症した grade 3 および Day 163 に発症した grade 5)の有害事象の発現
日は,投与中止から 33 および 45 日後であり,治験薬投与中止から 28 日より長く経過していた
ため投与期間中の有害事象とはみなされなかった。社内の標準的なデータ処理の手順では,2
つの有害事象の発現日の間に投与方法の変更があった場合や,続発事象の方が先発事象より重
度である場合は,新たに有害事象が発現したとみなす。この場合,両方の条件が該当するため,
最後の 2 件は投与終了後に発現したとみなされた。
患者 2858:56 歳男性,Day 58 に疾患進行により治験薬投与を中止した。その後 Day 60 に重篤
な有害事象である grade 3 の肺臓炎を発症した。患者は呼吸困難を呈し,症状悪化のため入院し
た。酸素飽和度は 48%で,患者は肺臓炎と診断された。呼吸困難の治療として吸入療法(albuterol
sulfate およびイプラトロピウム)を受け,肺臓炎の治療としてアモキシシリン,ピペラシリン
/タゾバクタム投与を受けた。約 1 週間後も呼吸困難は持続し,患者は低酸素症を呈した。治
験責任医師は,治療の甲斐なく患者の状態が悪化していると判断した。患者は Day 72 に重篤な
有害事象である呼吸不全を発現し,死亡した。肺臓炎の転帰は不明,死因は呼吸不全と報告さ
れた。治験責任医師はこれらの有害事象を治験薬との因果関係はないと判断した。
その他に別の患者 1 名が間質性肺疾患様の有害事象を呈したが,データカットオフ日の 20
年
月
日時点で,臨床データベース上でコーディングされていなかったため,MedDRA 標準
検索式ではこの有害事象は特定されず,カットオフ時点で確認されなかった。以下に記載する
データは,医薬品安全性データベースに報告されたものである。
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試験 1200.22
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患者 2852:開始用量 50 mg 群の 39 歳女性,Day 609 に grade 2 の黄疸を発症し,治験責任医師
は本有害事象をアファチニブとの因果関係はないと判断した。本患者は治療なしで Day 613 に
本有害事象から回復し,20
年 3 月 13 日に治験を中止した。同年*
3 月 13 日時点で患者の呼
吸数に問題はなかった(約 14~20 回/分)。同年*
3 月 23 日,気管内チューブが取り外され,
患者は発熱,呼吸困難,喘鳴から回復した。同年*
3 月 27 日,患者は喀血から回復した。患
者の状態は改善し,同年*
3 月 27 日に退院した。退院時,患者はびらん性胃炎,胃潰瘍,十
二指腸潰瘍,咳嗽,上室性頻脈から未回復であった。同年*
4 月 8 日,患者は息切れ(呼吸数:
22 回/分)および発熱を呈したため,救急治療室に入院した。胸部 X 線検査および血液検査を
行った結果,白血球数 30330/µL および HsCRP 25.67 mg/dL であった。同年*
4 月 8 日,患者
は閉塞性肺臓炎と診断された。発熱の治療に pisutam およびチエナム(イミペネム水和物,シ
ラスタチンナトリウム)が処方され,息切れの治療薬としてイプラトロピウムが処方された。
息切れは悪化し(呼吸数:32 回/分),急性呼吸不全と診断された。気管内チューブ挿管は家族
が拒否した。患者は肺癌悪化により 同年*
4 月 9 日に死亡した。剖検は実施されなかった。
以上,間質性肺疾患,肺浸潤,肺臓炎,間質性肺線維症と報告された間質性肺疾患様の有害事
象が 6 名の患者で報告され,うち 1 名は死亡した。治験責任医師はこれらの有害事象の大半を
治験薬との因果関係が否定できないと判断したが重症度は低く,死亡に至った 1 名を除き治験
実施計画書に規定された投与中止後に回復した。MedDRA 標準検索式で間質性肺疾患と特定さ
れた 6 名のうち,3 名(患者 2213,2983,2811)は投与期間中に grade 1 または 2 の有害事象を
発現した。1 名(患者 2131)はアファチニブ投与中に grade 2 の有害事象を発現したが,治験薬
投与を永続的に中止した後 50 日以内に grade 3 に悪化することはなかった。残りの 2 名(患者
2579 および 2858)は治験薬との因果関係がない grade 3 の有害事象を発現し,抗生物質および
/または気管支拡張剤による治療を受けた。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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表 7.2: 20
Patient no.
Age/Gender
MedDRA 標準検索式で間質性肺疾患と特定された有害事象を発現した患者−TS,投与期間中
Actual
treatment
at AE onset
Adverse event
Day of AE
start/ stop
Duration
CTC
grade
Related to
study drug
Action
taken
Therapy
required
Outcome
Other
significant
event
Serious
Starting dose group: 1st-line 40 mg
2213
68/F
2983 a
80/M
Afatinib
40 mg
Afatinib
30 mg
ILD
57/90
34
1
Yes
D/C
Yes
Recovered
Yes
No
ILD
31/182 b
152 b
1
Yes
D/C
No
Not
recovered
Yes
No
Starting dose group: 2nd-line 50 mg
2131
77/M
2579
82/M
2811 e
68/M
Off drug
Afatinib
50 mg
Afatinib
50 mg
Pulmonary
infiltration c
Pulmonary
infiltrates
Interstitial
lung fibrosis d
254/280
27
1
Yes
D/C
Yes
Recovered
No
Yes
254/280
27
1
Yes
D/C
Yes
Recovered
No
Yes
258/280
23
3
Yes
D/C
Yes
Recovered
No
Yes
Pneumonitis
24/29 b
6b
3
No
D/C
Yes
Unknown
No
Yes
ILD
101/151
51
2
Yes
D/C
Yes
No
Yes
ILD
101/119
19
2
Yes
D/C
Yes
No
Yes
ILD
119/148
30
1
Yes
D/C
Yes
No
Yes
ILD
148/151
4
2
Yes
-f
Yes
No
Yes
No
Yes
Not
recovered
Not
recovered
Not
recovered
Not
recovered
2858
Yes
Unknown
Off drug
Pneumonitis
60/72
13
3
No
-f
56/M
a)データカットオフ時点で間質性肺疾患は未回復で,患者は追跡調査期間中で,有害事象の追跡を継続中。
b)打ち切り例
c)気管支鏡検査を実施。
d)抗生物質投与中。治験薬を中断し再検査を実施。
e)治験薬投与終了後の Day 151 に grade 3 の間質性肺疾患および Day 163 に grade 5 の間質性肺疾患の有害事象を発現。
f)有害事象発症時に治験薬投与を受けていなかった。
Cont:データカットオフ時点で継続中,D/C:投与中止
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.2.2.3.8: 1
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試験 1200.22
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心不全および左室駆出率(LVEF)低下
LVEF の顕著な低下の報告はなく,MedDRA 標準検索式での心不全(可能性)と特定された患
者は 1 名のみであった。当該患者では,心拍出量は低かったがうっ血性心不全は認められなか
った。治験責任医師は,本有害事象は肺癌の進行に起因しており,治験薬との因果関係はない
と判断した。
治験薬との因果関係が否定できない有害事象
1 名を除くすべての患者(99.2%,表 7.2: 21)で,治験責任医師がアファチニブとの因果関係が
否定できないと判断した少なくとも 1 件の有害事象が発現した。治験薬との因果関係が否定で
きない有害事象で報告の多かったもの(患者全体の 50%以上)は,下痢(94.6%),発疹/ざ瘡 +
(93.0%),爪の異常+(84.5%),口内炎+(80.6%),そう痒症(56.6%)であった。口内炎+の発
現率は 50 mg 群(89.9%,89/99 名)の方が 40 mg 群(50.0%,15/30 名)より高かったが,
それ以外の報告の多かった治験薬との因果関係が否定できない有害事象の発現率は両群で同程
度であった。
表 7.2: 21
患者全体の 10%以上で認められた治験薬との因果関係のある有害事象の発
現例数および発現率(%)− TS,投与期間中
Afatinib
40 mg
Afatinib
50 mg
Total
症例数
30 (100.0)
99 (100.0)
129 (100.0)
治験薬との因果関係が否定できない有害事象の発現
例数
30 (100.0)
98 (99.0)
128 (99.2)
Diarrhoea(下痢)
29 (96.7)
93 (93.9)
122 (94.6)
27 (90.0)
93 (93.9)
120 (93.0)
有害事象グループ用語 +/基本語
Rash / acne(発疹/ざ瘡)
+
+
24 (80.0)
85 (85.9)
109 (84.5)
Stomatitis(口内炎) +
15 (50.0)
89 (89.9)
104 (80.6)
Pruritus(そう痒症)
14 (46.7)
59 (59.6)
73 (56.6)
Dry skin(皮膚乾燥)
7 (23.3)
33 (33.3)
40 (31.0)
Rhinorrhoea(鼻漏)
8 (26.7)
31 (31.3)
39 (30.2)
Nail effect(爪の異常)
Decreased appetite(食欲減退)
Ocular effect(眼の障害)
+
Epistaxis(鼻出血)
+
9 (30.0)
27 (27.3)
36 (27.9)
6 (20.0)
30 (30.3)
36 (27.9)
9 (30.0)
25 (25.3)
34 (26.4)
8 (26.7)
23 (23.2)
31 (24.0)
Weight decreased(体重減少)
3 (10.0)
15 (15.2)
18 (14.0)
Nausea(悪心)
5 (16.7)
12 (12.1)
17 (13.2)
2 (6.7)
14 (14.1)
16 (12.4)
5 (16.7)
9 (9.1)
14 (10.9)
Fatigue(疲労)
Lip effect(口唇障害)
Vomiting(嘔吐)
+
+)有害事象のグループ用語。グループ用語に含まれる有害事象基本語は,この表の MedDRA 基本語から除外
報告に使用した MedDRA Version
。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.2.2.4: 1
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死亡
データカットオフ時点で 12 名が投与期間中の有害事象により死亡した。内訳は 40 mg 群で 2
名(6.7%),50 mg 群で 10 名(10.1%)であった(表 7.2: 22)。さらに,1 名(患者 2811)は治
験薬投与終了後の有害事象(間質性肺疾患)により死亡に至り,治験責任医師はこの事象を治
験薬との因果関係が否定できないと判断した。全体として 2 名以上の患者が死亡に至った有害
事象は敗血症ショックおよび呼吸不全のみであった(それぞれ 3 名および 2 名)。
表 7.2: 22 に示された,治験薬投与期間中の死亡に至った有害事象のうち,治験責任医師が治験
薬との因果関係が否定できないと判断した事象はなかった。6 名の患者の死因が疾患進行であ
った。
表 7.2: 22
Starting dose
Patient
40 mg
2319
死亡に至った有害事象の発現例 − TS,投与期間中
Age/
Gender
86/F
2913
56/F
50 mg
2177
65/M
2515
2536
41/M
72/F
2579
82/M
2757
66/F
2759
73/M
2760a
53/M
Adverse event preferred
term
Actual treatment
at AE onset
Metastases to central
nervous system
(中枢神経系転移)
Septic shock
(敗血症性ショック)
Respiratory failure
(呼吸不全)
Dyspnoea(呼吸困難)
Pneumonia(肺炎)
Septic shock
(敗血症性ショック)
Multi-organ failure
(多臓器不全)
Septic shock
(敗血症性ショック)
Malignant neoplasm
progression
(悪性新生物進行)
Hepatic failure(肝不全)
Day of AE
start / stop
Duration of AE
(days)
Off drug
(D/C as of Day 114)
114/136
23
Off drug
(D/C as of Day 27)
43/51
9
486/486
1
4/162
67/70
159
4
28/29
2
Off drug
(D/C as of Day 170)
Afatinib 40 mg
180/193
14
80/123
44
Off drug
(D/C as of Day 86)
Off drug
85b/92
8b
Afatinib 30 mg
Afatinib 50 mg
Off drug
(D/C as of Day 57)
Off drug
(D/C as of Day 28)
655/656
2
Malignant neoplasm
progression
(悪性新生物進行)
2858
56/M
Respiratory failure
Off drug
72/72
1
(呼吸不全)
(D/C as of Day 58)
2839
60/M
Dyspnoea(呼吸困難)
Afatinib 50 mg
83/379c
143c
a)詳細情報は[CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Section 12.2.2.3]参照。肝障害の記載も参照。
b)部分日付または日付/時間データが欠損しているため。
c)2 件の呼吸困難を含み,1 件は Day 83 に発症し Day 221 に回復(持続期間 139 日),1 件は Day 376 に発症
し持続期間 4 日間。
D/C :投与中止,F:女性,M:男性
報告に使用した MedDRA Version
。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.3.1: 1
2852
39/F
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試験 1200.22
その他の重篤な有害事象
両投与群で発現したすべての重篤な有害事象(死亡に至った重篤な有害事象を含む)を基本語
別に表 7.2: 23 に要約した。
重篤な有害事象の発現率は,50 mg 群の方が 40 mg 群より高かった。開始用量が高い群の方が
投与期間が長かったことに留意する必要がある。重篤な有害事象は患者全体の 38.8%(50/129
名),40 mg 群の 26.7%(8/30 名),50 mg 群の 42.4%(42/99 名)で報告された。治験責任医
師は,患者全体の 12.4%,40 mg 群の 6.7%(2/30 名),50 mg 群の 14.1%(14/99 名)の重篤
な有害事象を治験薬との因果関係が否定できないと判断した。
報告のあった多くの重篤な有害事象は,器官別大分類(SOC)別で感染症および寄生虫症,良
性,悪性および詳細不明の新生物(嚢胞およびポリープを含む),呼吸器,胸郭および縦隔障害
であった。全体で高頻度に報告された重篤な有害事象は,呼吸困難(4.7%,6/129 名),およ
び発疹/ざ瘡+(3.9%,5/129 名)であり,いずれも 50 mg 群でのみ報告された。その他の重
篤な有害事象の報告患者数は,全体をとおしてすべて 3 名以下であった。概して,患者は重篤
な有害事象から回復した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.2: 23
全体で 2 名以上報告された重篤な有害事象の発現例数および発現率(%)
− TS,投与期間中
Afatinib
40 mg
Afatinib
50 mg
Total
30 (100.0)
99 (100.0)
129 (100.0)
Total with serious adverse events
8 (26.7)
42 (42.4)
50 (38.8)
Dyspnoea(呼吸困難)
0 (0.0)
6 (6.1)
6 (4.7)
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
0 (0.0)
5 (5.1)
5 (3.9)
有害事象グループ用語 +/基本語
Number of patients
Intracranial pressure increased(頭蓋内圧上昇)
0 (0.0)
3 (3.0)
3 (2.3)
Malignant neoplasm progression(悪性新生物進行)
1 (3.3)
2 (2.0)
3 (2.3)
3 (2.3)
Nausea(悪心)
1 (3.3)
2 (2.0)
Pyrexia(発熱)
1 (3.3)
2 (2.0)
3 (2.3)
Septic shock(敗血性ショック)
1 (3.3)
2 (2.0)
3 (2.3)
Cellulitis(蜂巣炎)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Convulsion(痙攣)
1 (3.3)
1 (1.0)
2 (1.6)
Dehydration(脱水)
1 (3.3)
1 (1.0)
2 (1.6)
Diarrhoea(下痢)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Dizziness(浮動性めまい)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Duodenal ulcer(十二指腸潰瘍)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Fatigue(疲労) +
1 (3.3)
1 (1.0)
2 (1.6)
Gastric ulcer(胃潰瘍)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Headache(頭痛)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Interstitial lung disease(間質性肺疾患)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Metastases to central nervous system(中枢神経系転移)
1 (3.3)
1 (1.0)
2 (1.6)
Nephrolithiasis(腎結石症)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Obstructive airways disorder(閉塞性気道障害)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Pathological fracture(病的骨折)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Pneumonia(肺炎)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Pneumonitis(肺臓炎)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Pneumothorax(気胸)
2 (6.7)
0 (0.0)
2 (1.6)
Prostate cancer(前立腺癌)
1 (3.3)
1 (1.0)
2 (1.6)
Renal failure(腎不全)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Respiratory failure(呼吸不全)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
Vomiting(嘔吐)
1 (3.3)
1 (1.0)
2 (1.6)
+)有害事象のグループ用語。グループ用語に含まれる有害事象基本語は,この表の MedDRA 基本語から除外。
割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
報告に使用した MedDRA Version
。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.3.2: 1
投与中止に至った有害事象
合計で 19.4%(25/129 名)の患者が有害事象により治験薬投与を中止した(表 7.2: 24)。この
中には中枢神経系転移など,新生物に分類される有害事象 4.7%(6/129 名)が含まれた。治
験薬との因果関係が否定できないと判断された有害事象により,9.3%(12/129 名)の患者が
治験を中止した(表 7.2: 25)。
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表 7.2: 24
投与中止に至った有害事象の発現例数および発現率(%)− TS,投与期間中
Afatinib
40 mg
Afatinib
50 mg
Total
30 (100.0)
99 (100.0)
129 (100.0)
Total with adverse events leading to discontinuation
8 ( 26.7)
17 (17.2)
25 (19.4)
Interstitial lung disease(間質性肺疾患)
2 ( 6.7)
2 ( 2.0)
4 ( 3.1)
Dyspnoea(呼吸困難)
0 (0.0)
2 ( 2.0)
2 (1.6)
1 ( 3.3)
1 (1.0)
2 (1.6)
0 (0.0)
2 ( 2.0)
2 (1.6)
有害事象グループ用語 +/基本語
Number of patients
Metastases to central nervous system(中枢神経系転移)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
+
Vomiting(嘔吐)
0 (0.0)
2 ( 2.0)
2 (1.6)
Abscess(膿瘍)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Cardiac tamponade(心タンポナーデ)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Cerebral infarction(脳梗塞)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Chest discomfort(胸部不快感)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Cyst rupture(嚢胞破裂)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Gastritis erosive(びらん性胃炎)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Hepatic congestion(肝臓うっ血)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Intracranial pressure increased(頭蓋内圧上昇)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Lung infiltration(肺浸潤)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Malignant neoplasm progression(悪性新生物進行)
1 ( 3.3)
0 (0.0)
1 (0.8)
Metastases to meninges(髄膜転移)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Multiple myeloma(多発性骨髄腫)
1 ( 3.3)
0 (0.0)
1 (0.8)
Musculoskeletal pain(筋骨格痛)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Nail effect(爪の異常) +
1 ( 3.3)
0 (0.0)
1 (0.8)
Non-small cell lung cancer(非小細胞肺癌)
1 ( 3.3)
0 (0.0)
1 (0.8)
Obstructive airways disorder(閉塞性気道障害)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Pneumonitis(肺臓炎)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Pneumothorax(気胸)
1 ( 3.3)
0 (0.0)
1 (0.8)
Proteinuria(蛋白尿)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
Wheezing(喘鳴)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
+)有害事象のグループ用語。グループ用語に含まれる有害事象基本語は,この表の MedDRA 基本語から除外。
割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
報告に使用した MedDRA Version
。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.3.3: 1
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表 7.2: 25
投与中止に至った治験薬との因果関係が否定できないと判断された有害事
象の発現例 − TS,投与期間中
Starting dose
Patient
40 mg
2213
2311
2913
2983
50 mg
2124
2131
2178
2559
2794
Age/
Gender
68/F
75/M
56/F
80/M
81/F
77/M
Actual treatment
at AE onset
Day of AE
start / stop
Duration of AE
(days)
Interstitial lung disease
(間質性肺疾患)
Nail bed infection(爪床感染)
Pneumothorax(気胸)
Interstitial lung disease
(間質性肺疾患)
Afatinib 40 mg
57/90
34
Afatinib 30 mg
Afatinib 30 mg
Afatinib 30 mg
113/197
27/51
31/182
85
25
152
Dermatitis acneiform
(ざ瘡様皮膚炎)
Interstitial lung disease
(間質性肺疾患)
Lung infiltration(肺浸潤)
Afatinib 30 mg
821/—a
—a
Off drug
(D/C as of Day 253)
Off drug
(D/C as of Day 253)
Afatinib 50 mg
Afatinib 50 mg
Afatinib 50 mg
Afatinib 50 mg
Afatinib 50 mg
Afatinib 50 mg
258/280
23
254/280
27
11/28
12/16
422/540
422/534
27/635
101/151
7
5
119
113
609
51
113/147
35
Adverse event preferred term
66/F
79/F
77/F
Vomiting(嘔吐)
Vomiting(嘔吐)
Abscess(膿瘍)
Cyst rupture(嚢胞破裂)
2800
71/F
Folliculitis(毛包炎)
2811
68/M
Interstitial lung disease
(間質性肺疾患)
2859
66/F
Proteinuria(蛋白尿)
Afatinib 25 mg
a)この有害事象はデータベーススナップショット時に継続中。
D/C :永続的な投与中止。
報告に使用した MedDRA Version
版。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.3.3: 2
減量に至った有害事象
減量に至った有害事象を,基本語別に表 7.2: 26 に示した。
全体として,減量に至った有害事象の発現率は 50 mg 群の方が 40 mg 群よりも高かった。減量
に至った有害事象は患者全体の 59.7%(77/129 名),40 mg 群の 36.7%(11/30 名),50 mg 群
の 66.7%(66/99 名)で認められた。1 名のみが減量後に同一の有害事象により投与を中止し
た(悪心により減量し,嘔吐により中止)。
減量に至った有害事象が最も多く分類される SOC は胃腸障害(34.1%)であった。全体で多く
認められた有害事象は,発疹/ざ瘡+(26.4%,34/129 名),下痢(24.8%,32/129 名),爪の
異常+(11.6%,15/129 名),口内炎+(8.5%,11/129 名),食欲減退(5.4%,7/129 名)であ
った。これらの事象の発現率はすべて 50 mg 群の方が 40 mg 群よりも高かった。その他すべて
の減量に至った有害事象の報告はいずれの投与群も 2 名以下で,ほとんどは 50 mg 群であった。
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表 7.2: 26
減量に至った有害事象の発現例数および発現率(%)− TS,投与期間中
Adverse event grouped term+/preferred term
Number of patients
Total with adverse events leading to dose reduction
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
Diarrhoea(下痢)
Nail effect(爪の異常) +
Stomatitis(口内炎) +
Decreased appetite(食欲減退)
Hyperuricaemia(高尿酸血症)
Alanine aminotransferase increased
(アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加)
Aspartate aminotransferase increased
(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加)
Dehydration(脱水)
Fatigue(疲労) +
Renal failure(腎不全)
Vomiting(嘔吐)
Weight decreased(体重減少)
Blood alkaline phosphatase increased
(血中アルカリホスファターゼ増加)
Bronchopneumonia(気管支肺炎)
Cough(咳嗽)
Dizziness(浮動性めまい)
Drug hypersensitivity(薬物過敏症)
Duodenal ulcer(十二指腸潰瘍)
Dyspnoea(呼吸困難)
Gastric ulcer(胃潰瘍)
Gastric ulcer haemorrhage(出血性胃潰瘍)
Gastritis(胃炎)
Gastrointestinal haemorrhage(胃腸出血)
Hypokalaemia(低カリウム血症)
Hypotension(低血圧)
Leukopenia(白血球減少症)
Malignant melanoma(悪性黒色腫)
Malnutrition(栄養障害)
Nausea(悪心)
Oral pain(口腔内痛)
Pain of skin(皮膚疼痛)
Proctitis(直腸炎)
Pruritus(そう痒症)
Pulmonary embolism(肺塞栓症)
Pyrexia(発熱)
Renal failure acute(急性腎不全)
Skin infection(皮膚感染)
Somnolence(傾眠)
Tooth extraction(抜歯)
Upper respiratory tract infection(上気道感染)
Afatinib 40 mg
Afatinib 50 mg
Total
30 (100.0)
11 (36.7)
2 (6.7)
4 (13.3)
2 (6.7)
0 (0.0)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
99 (100.0)
66 (66.7)
32 (32.3)
28 (28.3)
13 (13.1)
11 (11.1)
6 (6.1)
3 (3.0)
2 (2.0)
129 (100.0)
77 (59.7)
34 (26.4)
32 (24.8)
15 (11.6)
11 (8.5)
7 (5.4)
3 (2.3)
2 (1.6)
0 (0.0)
2 (2.0)
2 (1.6)
1 (3.3)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
2 (2.0)
2 (2.0)
2 (2.0)
1 (1.0)
2 (1.6)
2 (1.6)
2 (1.6)
2 (1.6)
2 (1.6)
1 (0.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (3.3)
0 (0.0)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (3.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
0 (0.0)
1 (1.0)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
0 (0.0)
1 (1.0)
1 (1.0)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
1 (0.8)
+)有害事象のグループ用語。グループ用語に含まれる有害事象基本語は,この表の MedDRA 基本語から除外。
割合(%)は各投与群の総症例数を分母として算出。
報告に使用した MedDRA Version
。
引用元:CTD 5.3.5.2-2(U -3644),Table 12.3.4: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.22
臨床検査値の評価
臨床パラメータの評価の結果,ベースラインからの経時的変化はわずかで,ヘモグロビンのわ
ずかな減少以外は臨床的に問題ではないと考えられた。
40 mg 群の 7 名および 50 mg 群の 27 名でヘモグロビンの減少がみられ,臨床的に問題となる可
能性があった。このヘモグロビンの減少は,50 mg 群の 1 名が CTCAE grade 3 であったが,他
はすべて grade 2 であった。この grade 3 のヘモグロビン減少を呈した患者は,治験責任医師が
治験薬との因果関係が否定できないと判断した胃腸出血および胃十二指腸潰瘍,ならびに治験
薬との因果関係はないと判断した貧血も併発した。ヘモグロビン値の平均値は試験期間を通じ
て概して安定していた。
臨床上特に重要な CTCAE grade 4 の異常がみられた臨床パラメータはごく少数であり,血小板
(40 mg 群で 1 名),好中球絶対数(50 mg 群で 1 名),好中球百分率数(50 mg 群で 2 名,40 mg
群で 1 名),カリウム(40 mg 群で 1 名,50 mg 群で 3 名),カルシウム(50 mg 群で 1 名),ア
ラニン・アミノトランスフェラーゼ(50 mg 群で 1 名),クレアチニン(50 mg 群で 1 名),尿
酸(40 mg 群で 1 名,50 mg 群で 8 名)の異常であった。低カリウム血症の 4 名は,同時期に
下痢の有害事象を併発しており,これが低カリウム血症の原因と考えられた。
バイタルサイン,身体所見,その他の安全性に関する所見
収縮期および拡張期血圧,ECOG パフォーマンス・スコア(PS),体重は,ベースライン時か
ら最終来院時まで臨床的に問題となる変動を認めなかった。
心電図の評価(QTcF など)から,心臓の安全性に関する臨床上問題となる所見は認められな
かった。QTcF のベースライン時から Day 56 までの平均変化は-0 msec であり,40 mg 群での変
化は 1 msec,50 mg 群での変化は-1 msec であった。
LVEF の著明な減少がみられた患者はいなかった。
結論
有効性
本試験は,EGFR 遺伝子の変異を有し,かつ EGFR TKI による前治療のない,進行性または転
移性 NSCLC 患者 129 名を対象とした第 II 相試験であった。1 次治療(61 名)および 2 次治療
(68 名)の両方を組入れた。治験薬を投与された患者の平均年齢は 62 歳(範囲:35~86 歳)
であり,過半数が女性(58%),ほぼ全員の病期が IV 期(94%)であり,64%が非喫煙者,9%
が過去に喫煙歴あり,27%が喫煙者であった。投与患者の 104 名が台湾人で 25 名が米国人であ
った。
129 名の投与症例を対象とした確定した最良総合効果に基づく客観的奏効率は,独立判定委員
会の評価(61.2%)および主治医の評価(60.5%)で高く,病勢コントロール率も高かった(独
立判定委員会の評価で 82.2%,主治医の評価で 86.0%)。確定の有無を問わない場合も,同様に
高い割合が示された(独立判定委員会の評価で客観的奏効率 65.1%および病勢コントロール率
89.9%,主治医の評価で客観的奏効率 67.4%および病勢コントロール率 93.8%)。
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試験 1200.22
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
独立判定委員会の評価では,1 次治療対 2 次治療,アファチニブの開始用量 40 mg 対 50 mg,
一般的な EGFR 遺伝子変異である Del 19 対 L858R 変異のいずれのサブグループ解析でも,客
観的奏効率は 57%~69%と高かった。
治験責任医師によるとデータカットオフ時点(20
年
月
日)では,20 名(15.5%)で疾患
進行は認められず,アファチニブによる治療が 22~42 カ月間継続中であった。
奏効期間の中央値,PFS の中央値,OS の中央値など,治験薬を投与された患者全体の臨床的ベ
ネフィットの期間を検討する副次有効性パラメータは,特に化学療法の公表データという観点
から注目に値した。全般的にアファチニブの奏効期間は長く,奏効期間の中央値は,独立判定
委員会の評価では 54.4 週間(範囲:4.1~164.9 週間),治験責任医師の評価では 60.6 週間(範
囲:8.1~152.1 週間)であった。1 次治療患者の PFS の中央値は,独立判定委員会の評価では
12 カ月間,治験責任医師の評価では 15.6 カ月間であった。アファチニブ投与を受けた患者の
本試験での OS の中央値は,65 イベントに基づき 24.8 カ月間と推定されたが,1 次治療患者で
はまだ OS の中央値に達していない。
薬物動態
アファチニブの生体試料測定は許容基準を満たしており,優れた測定法であった。
アファチニブの 40 mg 投与例および 50 mg 投与例で,アファチニブ血漿中濃度は Day 15(Visit
2/第 1 コース)までには定常状態に到達していた(データの視覚的評価による)。より早く定
常状態に到達していた可能性もあるが,Day 1~Day 15 の間に薬物動態用の検体採取は行わな
かった。全般的に,40 mg および 50 mg 群のアファチニブの投与前血漿中濃度は薬物動態の観
察期間をとおして安定していた。アファチニブのトラフ濃度の増加または減少といった一定の
傾向はなかった。Cpre,ss 値の個体間変動は中程度~高度で,40 mg 投与例で 46%~63%,50 mg
投与例で 61%~75%であった。アファチニブの投与前血漿中濃度の幾何平均は 40 mg 投与例よ
り 50 mg 投与例で高かった。
全投与量で,用量比例から乖離するアファチニブの Cpre,ss 値は認められなかった。しかし 30 mg
投与例は,Day 28(Visit 1/第 2 コース)で 3 名,Day 56(Visit 1/第 3 コース)で 6 名の検体
しか得られなかったため,この投与量に関する結論は出せなかった。
安全性
大半の患者は,かなりの長期(投与期間は平均 14 カ月間,最長 41.7 カ月)にわたりアファチ
ニブの投与を受け,データカットオフ日時点でも投与を継続中の患者がいた。発現率が高かっ
た有害事象は下痢および発疹/ざ瘡+であり,ほとんどが grade 1 または 2 であった。発現率の
高い有害事象を管理するために用量を減量しなければならないことが多かったが,発現率の高
い有害事象に対する減量基準および推奨された支持療法により,大多数の患者は臨床的ベネフ
ィットがある限り治験薬の投与を継続することができた。40 mg 群では 50 mg 群の有害事象よ
り重症度が低いものが多く,EGFR TKI 未治療の患者集団に限っては,40 mg 群の方が忍容性が
高いことが示唆された。
129 名中 1 名を除き全例(99.2%)が,治験薬との因果関係が否定できない有害事象を発現した。
高頻度に発現した治験薬との因果関係が否定できない有害事象(患者全体の 50%以上で報告)
+
+
+
は,下痢(94.6%),発疹/ざ瘡(93.8%)
,爪の異常(85.3%)
,口内炎(81.4%)
,そう痒症(57.4%)
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 486
試験 1200.22
であった。口内炎+(50 mg 群で 90.9%,40 mg 群で 50.0%)を除き,これらの有害事象の発現
率は両群で同程度であった。これらの有害事象のほとんどは grade 1 または 2 であり,grade 4
以上の有害事象はなかった。
grade 3 の有害事象の発現率は 40 mg 群の方が 50 mg 群より低かった(43.3%対 58.6%)。投与期
間中に発現した grade 3 の有害事象で多かったものは,発疹/ざ瘡+および下痢で,40 mg 群と
50 mg 群の grade 3 の有害事象の発現率の差は,ほとんどがこれらの有害事象によるものであっ
た。
投与期間中に 12 名の有害事象による死亡例[40 mg 群で 2 名(6.7%),50 mg 群で 10 名(10.1%)]
が認められたが,治験責任医師はいずれの有害事象もアファチニブとの因果関係はないと判断
した。
重篤な有害事象は患者全体の 38.8%で認められ,50 mg 群(42.4%)の方が,40 mg 群(26.7%)
より発現率は高かった。全体で多く認められた重篤な有害事象は,呼吸困難(4.7%,6/129 名),
発疹/ざ瘡+(3.9%,5/129 名),頭蓋内圧亢進,悪性新生物進行,悪心,発熱,敗血性ショッ
ク(各 2.3%,3/129 名)であった。
全体で 59.7%の患者が投与期間中に減量を要する有害事象を発現した。減量に至った有害事象
の発現率は 50 mg 群(66.7%)の方が 40 mg 群(36.7%)よりも高かった。報告頻度の高かった
上位 5 つの減量に至った有害事象は,発疹/ざ瘡+(26.4%,34/129 名),下痢(24.8%,32/
129 名),爪の異常+(11.6%,15/129 名),口内炎+(8.5%,11/129 名),食欲減退(5.4%,7
/129 名)であった。
合計で 19.4%(25/129 名)の患者が有害事象により治験薬投与を中止した[新生物(転移な
ど)に分類される 6 名(4.7%)の有害事象発現例を含む]。治験薬との因果関係が否定できな
い有害事象により,9.3%(12/129 名)の患者が治験薬投与を中止した。下痢による投与中止
例はなく,発疹/ざ瘡+による中止率は低かった(1.6%,2/129 名)ため,本試験の減量方法
に従うことで患者の試験継続が可能であった。
下痢,発疹/ざ瘡 +,口内炎+,および口唇障害 +,爪の異常 +,眼の障害 +は,アファチニブによ
る EGFR 阻害の作用機序によるものであり,そのため,下痢および発疹/ざ瘡+が多く報告され
た有害事象となった。患者のほぼ全員が投与 1 週目に下痢を発現し,投与 2 週目までには発疹
/ざ瘡 +を発現した。下痢および発疹/ざ瘡 +の大半は,治験実施計画書に推奨されたとおり,
投与中断,減量または支持療法(下痢にはロペラミド,発疹には局所抗生物質)により適切に
管理された。発疹/ざ瘡+による中止例が 2 名のみで,下痢による中止例はなかったことから,
管理ガイドラインの有用性が裏付けられた。口内炎 +,眼の障害 +,口唇障害 +,爪の異常 +は頻
繁に認められた。これらの有害事象は,ほとんどが grade 1 または 2 で,重篤な有害事象ではな
く,爪の異常+を除きこれらの有害事象による中止例はなかった。
事前に定義した特に注目すべき有害事象(肝障害,腎障害,間質性肺疾患様事象,心不全)に
ついて検討した。間質性肺疾患以外は,治験責任医師が特に注目すべき有害事象がアファチニ
ブとの因果関係が否定できないと判断するのはまれであった。腎障害および肝障害は大半が非
重篤であり,重大な LVEF 低下は認められなかった。特に注目すべき有害事象による中止例は,
間質性肺疾患様症状を報告した患者以外はほとんどなかった。
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試験 1200.22
臨床パラメータ,QTcF,LVEF,バイタルサイン,その他の安全性評価項目[収縮期および拡
張期血圧,一般状態(ECOG パフォーマンス・スコア[PS],体重)でアファチニブの有害事
象を示唆する変化は認められなかった。
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試験 1200.42
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7.3
非対照試験 1200.42
(資料番号 5.3.5.2-3[中間解析])
試験方法
試験方法の概略を表 7.3: 1 に示す。
表 7.3: 1
目的
試験方法の概略(1/5)
本試験の Part A においてアファチニブ単独療法で 12 週間以上の効果が得られた非小細胞肺
癌(NSCLC)患者(1 レジメン以上の細胞傷害性化学療法,および EGFR TKI の前治療を
受けた患者,または EGFR 変異が認められる患者)で,Part B においてアファチニブにパ
クリタキセルを追加投与した場合または別の化学療法に切替えた場合にさらなる効果が得
られるかどうかを判定する。
主要目的は,NSCLC 病期 IIIB または IV の患者を対象とし,本試験の Part A においてアフ
ァチニブ単独療法で効果が得られた後に疾患進行を来たした患者に,Part B でアファチニ
ブにパクリタキセルを週 1 回追加投与した場合の効果を治験責任医師の選択による化学療
法(The investigator’s choice of chemotherapy[ICC])と比較検討することである。
本中間治験報告書では現在進行中の試験の Part A の結果を示す。中間解析の目的は,EGFR
遺伝子変異陽性を有する可能性が高いが,エルロチニブまたはゲフィチニブに治療不応と
なった患者におけるアファチニブ単独投与の安全性および臨床的ベネフィットを再確認す
ることであり,さらに,NSCLC の患者を対象としたアファチニブによる治療の薬事申請を
サポートすることである。Part A の中間解析は治験実施計画書変更書 (20
年
月
日
付)で追加された。
試験の種類
非盲検,2 段階,ランダム化(Part B)試験
対象
対象疾患
NSCLC 病期 IIIB または IV 期と病理学的に確定診断され,進行性または転移性疾患に対す
る 1 レジメン以上の細胞傷害性化学療法を受け,かつ,エルロチニブまたはゲフィチニブ
の前治療に治療不応となった患者。
選択基準
本治験に登録できる患者は以下のすべての基準を満たすこととした。
1
病理学的に病期 IIIB(細胞診により胸水または心外膜液が確定された患者)または病
期 IV 期の NSCLC と確定診断された患者で,エルロチニブ(タルセバ®)またはゲフィ
チニブ(イレッサ®)に治療不応となった患者
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表 7.3: 1
対象(続き)
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試験 1200.42
試験方法の概略(2/5)
2
進行性または転移性疾患に対する 1 レジメン以上の化学療法(プラチナ製剤ベースの
化学療法が適格な患者ではプラチナ製剤ベース療法を,ペメトレキセドが適格な患者
ではペメトレキセド療法を含む[ただし,試験実施国でペメトレキセドが規制上また
は臨床上,標準薬とみなされていない場合,たとえば添付文書表示の適応症ではない,
非売,医療保険適応外などの場合を除く])を受けて治療不応となった患者で,エルロ
チニブまたはゲフィチニブによる 12 週間以上の治療後に疾患進行が認められた患者
3
進行性または転移性疾患に対してタキサン系化学療法による前治療を受けた場合は,
安定もしくは部分奏効または完全奏効が最良効果として認められた患者
4
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0,1,2 の患者
5
磁気共鳴画像(MRI)またはコンピュータ断層撮影(CT)により少なくとも一次元で
正確に測定でき,測定された最長径が 10 mm 以上かつ固形癌の効果判定基準(RECIST:
Response Evaluation Criteria in Solid Tumours)第 1.1 版によるスライス厚の 2 倍以上の腫
瘍病変を 1 つ以上有する患者
6
性別を問わず,年齢が 18 歳以上の患者
7
少なくとも 12 週間の生存が見込まれる患者
8
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
除外基準
以下の基準のいずれかに該当する患者は治験から除外した。
1
過去にアファチニブによる前治療を受けた患者
2
過去 4 週間以内に化学療法,ホルモン療法(癌以外の維持療法に必要とされる,また
は化学療法の前処置としての副腎皮質ステロイドを除く),免疫療法を受けた者,また
は過去 2 週間以内に EGFR TKI(エルロチニブ[タルセバ®]またはゲフィチニブ[イ
レッサ®])による前治療を受けた患者
3
活動性または症候性の,軟膜・髄膜疾患を含む脳転移が認められる患者。治療を受け
た脳転移患者では,スクリーニング時の脳の MRI/CT スキャンが安定または正常で
あり,脳転移の放射治療または手術から 4 週間以上経過していること。デキサメタゾ
ン治療はランダム化割付け前 1 カ月以上にわたって安定した投与量で投与されていれ
ば許容した。
4
クローン病,吸収不良,原因を問わず grade 2 を超える下痢など,主症状として下痢を
伴う重大な胃腸障害が認められる患者,または急性胃腸障害が最近認められた患者
5
その他の致死的疾患または臓器系障害を有する患者で,治験責任医師が患者の安全性
に悪影響を及ぼす,または治験薬の安全性の評価を妨げると判断した患者
6
治療を必要とするその他の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌および子宮頚部上皮内癌を除く)
と診断された患者
7
治験薬投与開始前 2 週間以内に放射線療法を受けた患者
8
ランダム化割付け前 6 カ月以内にコントロール不良の高血圧,NYHA 機能分類 3 のう
っ血性心不全,不安定狭心症,コントロール不良の不整脈,または心筋梗塞などの臨
床的に問題となる心血管異常の既往歴を有する,または合併している患者
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表 7.3: 1
対象(続き)
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試験 1200.42
試験方法の概略(3/5)
9
MUGA スキャンまたは心エコー測定による安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満の
心左室機能を有する患者
10 累積投与量が 400 mg/m2 以上のドキソルビシン(または相当量)などのアントラサイ
クリン系抗癌剤による前治療のある患者
11 好中球絶対数が 1500/mm3 以下の患者
12 血小板数が 100000/mm3 以下の患者
13 総ビリルビンが 1.5 mg/dL(26 µmol/L)以上の患者
14 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニン・アミノトランス
フェラーゼ(ALT)が施設基準値上限の 3 倍(肝転移が関連する場合は施設基準値上
限の 5 倍)以上の患者
15 血清クレアチニンが基準値上限の 1.5 倍以上,またはクレアチニンクリアランスの計
算値/測定値が 45 mL/min 以下の患者
16 妊娠の可能性のある女性または妊娠させる可能性のある男性で,治験中に医学的に適
切な避妊法を使用する意思のない患者
17 妊娠中または授乳中の女性患者
18 治験実施計画書を遵守できない患者
19 既知のヒト免疫不全ウイルス,活動性の B 型肝炎,活動性の C 型肝炎を含む,重篤な
活動性の感染症を有する患者
20 薬物乱用またはアルコール依存症の患者,または疑われる患者
21 間質性肺疾患(ILD)が確認されているまたは既往症を有する患者
22 CTCAE grade 3 以上の多発性ニュロパチーを有する患者
23 治験実施計画書に記載されている禁止併用療法の実施が必要な患者
試験薬剤
アファチニブ錠(50 mg,40 mg,30 mg,20 mg フィルムコート錠)
目標症例数
目標症例数:
Part A 登録例約 1100 名
Part B ランダム化割付け例 351 名
アファチニブ + パクリタキセル(A+P)群:234 名,ICC 群:117 名
実施症例数:
Part A スクリーニング登録例 1299 名,投与例/解析対象例(主要評価項目)1154 名
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表 7.3: 1
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試験 1200.42
試験方法の概略(4/5)
投与方法
投与方法:
投与期間
Part A:アファチニブ 50 mg 1 日 1 回経口投与(食事の 1 時間以上前あるいは食事の 3 時
間以上後の毎日ほぼ同じ時刻)。事前に規定した治験薬との因果関係が否定できな
い有害事象が発現した場合は第 1 段階で 40 mg/日へ,第 2 段階で 30 mg/日へ減量
Part B: 下記のいずれかに 2 対 1 でランダム化割付け:
- アファチニブ 40 mg 1 日 1 回経口投与 + パクリタキセル 80 mg/m2 を週 1 回投与
- 治験責任医師により選択された化学療法
投与期間:
Part A:12 週間以上の安定またはそれ以上の最良効果が得られた後に疾患進行が認められ
た場合,Part B に移行
Part B:疾患進行(RECIST 第 1.1 版に基づく)または過度の毒性が認められるまで投与を
継続
A = Afatinib,P = Paclitaxel
観察項目
観察時期
スケジュールの項を参照
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試験 1200.42
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.3: 1
試験方法の概略(5/5)
評価項目
Part A の有効性
評価基準
主要評価項目:
無増悪生存期間(PFS),治療開始から疾患の進行(RECIST 第 1.1 版に基づき評価)また
は死亡のいずれか早い方までの期間に基づき治験責任医師が評価。
副次評価項目:
客観的な腫瘍縮小効果(OR)。完全奏効(CR)または部分奏効(PR)と定義(RECIST 第
1.1 版に基づき評価)
その他の評価項目:
奏効までの期間,奏効期間,全生存期間(OS),腫瘍縮小,病勢コントロール率および病
勢コントロール期間
Part A の安全性
有害事象,臨床検査値,左室駆出率(LVEF)
解析方法
記述統計量,PFS および OS の Kaplan-Meier 推定量および Greenwood の標準誤差推定によ
る信頼区間の算出,OR および病勢コントロール率の Clopper-Pearson 法による正確な信頼
区間による推定。
治験調整医師
治験実施施設
国際多施設共同試験(ドイツ,米国を含む 23 カ国,115 施設)
治験実施期間
20
年
月~進行中(データカットオフ日:20
年
月
日)
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試験 1200.42
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スケジュール
表 7.3: 2
検査・観察スケジュール(フローチャート)
Visits
Days
同意取得 5
既往歴・合併症
患者背景
選択基準/除外基準
EGFR 遺伝子変異解析(血清)6
EGFR 遺伝子変異解析 7
DNA バンキング用採血 8
生活の質および介護士らによる支援
身体所見(詳細)10
身体所見(限定的)
バイタルサイン
ECOG パフォーマンス・スコア( PS)
心電図 11
左室機能検査 12
臨床検査 13
妊娠検査
腫瘍評価 14
併用療法
服薬状況確認
有害事象および医療資源利用
治験薬の処方(アファチニブ)16
アファチニブ投与
治験薬投与終了
治験終了
治療コース 1
スクリー
ニング
Course 1
Course 2
Course 3 onwards
Screening visit A-Visit 1-1 A-Visit 2-1 A-Visit 1-2 A-Visit 2-2
A-Visit 1-x2
Up to -28
Day1 (±3)
Day 15 (±3) Day 1 (±3) Day 15 (±3)
Day 1 (±3)
x
x
x
x
x
x
治験薬投与終了
EOT
A-EOT3
治験薬の投与終了 0
~14 日後
追跡調査
FU
A-FU-y4
EOT 後 28 日
(±7)ごと
x
x
x9
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x11
x
スケジュールに従う 14
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
1 日 1 回連日投与
1) 各コースは 28 日間。治験中止基準に合致するまで無制限にコースを継続可。
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x15
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.42
2) x はコース番号を示す。
3) 来院日にアファチニブの投与中止が決定された場合,当該来院日の検査項目の代わりに投与終了時(EOT)来院の検査項目を実施,もしくは EOT 来院を最
終投与から 0~14 日以内に実施。
Part A での疾患進行後に Part B への移行が適格となった患者には,予定された来院の検査項目の代わりに Part B のスクリーニングを実施(Part A の EOT 来院
の項目は実施不要)。Part B への移行適格例には Part B のランダム化割付けまで Part A での投与量でアファチニブによる治療を継続。
4) Part B への移行非適格例には EOT 来院の 28(±7)日後に追跡調査来院を実施。治験薬との因果関係が否定できない有害事象が回復しなかった場合は,有害
事象の回復まで,または治験責任医師および治験依頼者によって来院中止が決定されるまで,その後も 28(±7)日間隔,または適切な場合にはより短い間
隔で来院を実施。y はフォローアップ来院数を示す。
5) スクリーニング評価を実施する前に文書同意を取得(EGFR 遺伝子変異検査用採血[可能な限り実施],DNA 保管用採血[任意],腫瘍生検用検体[任意]の
ための 2 回目の文書同意を含む)。
6) EGFR 遺伝子変異検査用採血(1 回)は可能な限り実施することとし,コース 1 の Visit 1 で実施。
7) 腫瘍検体は EGFR 遺伝子変異分析のためコース 1 の Visit 1 で採取。
8) DNA 保管用採血(任意)はコース 1 の Visit 1 で実施。
9) 健康に関する生活の質(HRQOL)の評価は初回のフォローアップ来院時にのみ実施。
10) 体重,身長(スクリーニング時のみ)および ECOG パフォーマンス・スコアを含む。
11) 12-誘導安静時デジタル心電図はスクリーニング時および EOT 来院時に実施。心電図はコース 1 の Day 15,コース 3 の Day 1,その後は 8 週ごとまたは臨床
上必要に応じて測定。
12) ドイツの実施施設では心エコーのみ実施。
13) 各治療コース開始時の血液学的検査および血清生化学的検査を含む。治験参加前 1 週間以内に実施した臨床検査結果があればそれをスクリーニング時に代用
可。
14) 腫瘍評価には胸部および腹部 CT スキャンおよび臨床的に示唆された場合は既知の,または疑いのある疾患病変(骨盤や脳など)の画像診断を適切な方法(X
線撮影,MRI,CT スキャン)で実施。試験期間中を通じて,同じ放射線画像検査を適用。スクリーニング時に骨転移が疑われた場合にはスクリーニング時
の腫瘍評価に骨スキャンを含めた。スクリーニング時に骨病変が既知または確認された場合は,従来の撮像方法による画像検査(X 線撮影または CT スキャ
ン)を実施し,その後の各腫瘍評価時にも実施。ドイツの実施施設の患者で EGFR 遺伝子変異陽性で 1 次治療が EGFR TKI の場合は各実施施設の標準に従っ
て腫瘍評価を実施。
腫瘍評価はスクリーニング時,およびその後は疾患進行,または後治療(抗癌剤治療)開始まで,もしくは初回追跡調査来院まで 6 週ごとに実施。治験薬投
与前 28 日以内に腫瘍評価を実施した場合はスクリーニング時の腫瘍評価は不要。早期に治験中止した場合,もしくは治療の中断や遅延があった場合にも腫
瘍評価のスケジュールは変えないこととした。
15) 有害事象が EOT 来院時までに回復しなかった場合,または治験薬との因果関係が否定できない新たな有害事象または死亡が発現した場合。
16) 各投与コースの開始時に新しいアファチニブのボトルを配布。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U
-1167),Table 9.5.8: 1
Page 495
試験 1200.42
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試験結果
患者の内訳
本治験の患者の内訳を表 7.3: 3 に示す。合計 1299 名が 23 カ国 115 施設から本治験にスクリー
ニング登録された。約半数(52.5%)が欧州またはオーストラリア,43.0%が東アジア(中国,
韓国,台湾)の患者であった。
1299 名のうち 1154 名が試験の Part A に登録され治験薬が投与された。中間解析のデータベー
スロック時点(20
年
月
日)で,Part A で治験薬を投与された患者のうち 77.6%が投与
中止し,Part B へランダム化割付けされなかった。投与中止の主な原因は,RECIST に基づく疾
患進行(46.7%)であった。有害事象による中止例は約 20%で,その内訳は疾患進行の徴候お
よび症状(4.7%),その他の有害事象,すなわち癌関連以外の有害事象(15.9%)であった。Part A
で治験薬を投与中止し,Part B に移行した患者は 160 名(13.9%)で,中間解析のデータベース
ロック時に Part A で治療継続中の患者は 99 名(8.6%)であった。
表 7.3: 3
患者の内訳
Afatinib
Patients
n (%)
Enrolled
1299
Not treated
145
Treated
1154 (100.0)
Discontinued treatment in Part A and not randomised into Part B
895
(77.6)
539
(46.7)
54
(4.7)
183
(15.9)
Non-compliance with study protocol
4
(0.3)
Lost to follow-up
2
(0.2)
Refusal to continue taking trial medication
60
(5.2)
Other
53
(4.6)
160
(13.9)
99
(8.6)
Progressive disease according to RECIST
Clinical signs and symptoms of progression
Other adverse event
Discontinued treatment in Part A and randomised into Part B
Currently on treatment in Part A
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U
-1167),Table 10.1: 2
治験実施計画書からの逸脱
治験実施計画書からの重大な逸脱例を表 7.3: 4 に示す。中間解析において,治験実施計画書か
らの重大な逸脱があった患者の割合は 4.5%で,ほとんどが禁止併用療法の使用(1.7%)または
その他の選択基準または除外基準からの逸脱(1.6%)であった。
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表 7.3: 4
Page 496
試験 1200.42
治験実施計画書からの重大な逸脱例 – TS(Part A)
Afatinib
n (%)
1154 (100.0)
Patients
Patients with at least one important protocol violation
52
(4.5)
Diagnosis of NSCLC questionable (or incorrect disease stage)
1
(0.1)
No measureable disease
0
(0.0)
Prior use of erlotinib / gefitinib did not meet entrance criteria (for patients entered before
Protocol Amendment 4)
Prior erlotinib / gefitinib usage did not meet entrance criteria (for patients entered after
Protocol Amendment 4)
Prior anti-cancer treatment usage (other than gefitinib or erlotinib) did not meet entrance
criteria before Protocol Amendment 4
Prior anti-cancer treatment usage (other than gefitinib or erlotinib) did not meet entrance
criteria after Protocol Amendment 4
Prior anti-cancer treatment (chemo-, hormone- or immunotherapy) did not meet entrance
criteria
Laboratory values did not meet entrance criteria
0
(0.0)
3
(0.3)
0
(0.0)
1
(0.1)
0
(0.0)
1
(0.1)
Baseline LVEF did not meet entrance criteria
4
(0.3)
Baseline cardiac history did not meet entrance criteria
1
(0.1)
Entrance criteria not met
Chronic diarrhoea or other pre-existing event that could exacerbate a potential AEs
1
(0.1)
18
(1.6)
Patient's written informed consent not available
0
(0.0)
Patient's written informed consent not available for EGFR mutation testing in optional
tumour biopsy
Patient’s written informed consent too late
0
(0.0)
0
(0.0)
Incorrect administration of study medication
1
(0.1)
Non-compliance
2
(0.2)
20
(1.7)
Unable to determine time to progression or death
0
(0.0)
Non-evaluable by RECIST criteria during the entire trial
4
(0.3)
0
(0.0)
Other deviation from entrance criteria
Informed consent
Trial medication
Concomitant medication
Prohibited medication use
Missing primary endpoint data
Trial specific
Non-adherence to safety-related withdrawal criteria
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U
-1167),Table 10.2: 1
解析対象集団
本試験の Part A の解析対象集団はすべて,Part A でアファチニブ 50 mg を 1 回以上服薬した
Treated set(TS)の 1154 名とした。
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Page 497
試験 1200.42
人口統計学的特性と他のベースラインの特性
全患者の人口統計学的特性と他のベースラインの特性
TS の全患者の人口統計学的特性と他のベースラインの特性を表 7.3: 5 に示す。
TS のうち,56.7%が女性であった。平均年齢は 60.1 歳で,患者の約 2/3 が 65 歳未満であった。
人種は東アジア人(42.5%)と白人(39.4%)の割合がほぼ同じで,登録地域別では 43.0%が東
アジア,52.5%が欧州またはオーストラリアであった。ベースラインの ECOG パフォーマンス・
スコア(PS)は大半の患者が 0(29.5%)または 1(59.9%)で,10.6%の患者が 2 であった。患
者の約半数(53.6%)が非喫煙者で,11.0%が過去に年間 15 箱未満の喫煙歴があったが本試験
の対象疾患が診断される 1 年超前に禁煙していた。35.4%が後者に分類されない元喫煙者もし
くは現在喫煙者であった。
表 7.3: 5
人口統計学的特性と他のベースラインの特性 – TS(Part A)
Parameter
Afatinib
Patients, n (%)
1154 (100.0)
Sex, n (%)
Male
500
(43.3)
Female
654
(56.7)
Age, mean (StD) [years]
60.1
(10.9)
Age, in categories
<65 years
741
(64.2)
≥65 years
413
(35.8)
Race, n (%)
Eastern Asian1
490
(42.5)
Caucasian
455
(39.4)
Other
29
(2.5)
Unknown2
180
(15.6)
Geographical region, n (%)
Eastern Asia3
496
(43.0)
Europe and Australia4
606
(52.5)
Other5
52
(4.5)
Baseline ECOG, n (%)
0
341
(29.5)
1
691
(59.9)
2
122
(10.6)
Smoking status, n (%)
Never smoked
618
(53.6)
Smoked <15 pack years and stopped >1 year before diagnosis of the
127
(11.0)
trial disease
Current and other ex-smoker
409
(35.4)
1) 中国,韓国,台湾出身で人種を「東アジア人」とした患者(症例報告書[CRF]の記録による)。
2) 人種は法律で禁止されていない国でのみ CRF に記録した。
3) 中国,韓国,台湾で登録された患者。
4) 欧州(オーストリア,ベルギー,フィンランド,フランス,ドイツ,ハンガリー,イタリア,ポーランド,
ロシア,スペイン,オランダ,ウクライナ,イギリス)およびオーストラリアで登録された患者。
5) アルゼンチン,ブラジル,インド,イスラエル,メキシコ,ペルーで登録された患者。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.2.1: 1
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試験 1200.42
EGFR 遺伝子変異状況および臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高さ別の人口統計学
的特性と他のベースラインの特性
本試験では,EGFR TKI 前治療期間が長期(48 週以上),または EGFR TKI の最良効果が CR ま
たは PR の患者を,臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者(Highly clinically
enriched for EGFR mutations)と定義した。中央検査機関の測定で,EGFR 遺伝子変異陽性の患
者は 49 名,陰性の患者は 35 名であり,臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者
は 598 名,可能性が低い患者は 556 名であった。
EGFR 遺伝子変異陽性および臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高い患者の人口統計
学的特性は類似していた。,また,EGFR 遺伝子変異陰性および臨床的に EGFR 遺伝子変異を有
する可能性が低い患者の人口統計学的特性は類似していた。EGFR 遺伝子変異陰性および臨床
的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が低い患者の人口統計学的特性をみると女性患者および
東アジア人の割合が低く,喫煙者または元喫煙者の割合が高いことが特徴的だった。
腫瘍組織型別の人口統計学的特性と他のベースラインの特性
腫瘍組織を性別でみると,扁平上皮癌(91 名)では男性(71.4%)に比べ女性(28.6%)の割合
が低く,腺癌(985 名)では男性(40.0%)に比べ女性(60.0%)の割合が高かった。一方,白
人の割合は腺癌患者(37.1%)と比べて扁平上皮癌患者(58.2%)で高かった。平均年齢は腺癌
患者(59.8 歳)と比べて扁平上皮癌患者でやや高く(63.3 歳),この差は年齢区分別の患者数
にもみられた。また,喫煙者および元喫煙者(過去に年間 15 箱以上の喫煙歴があった,または
本試験の対象疾患が診断される 1 年超前に禁煙していない)の割合は扁平上皮癌患者(70.3%)
で腺癌患者(31.9%)の 2 倍以上であった。
腫瘍歴
全患者の腫瘍の病歴
全患者の腫瘍の病歴を表 7.3: 6 に示す。ほとんどの患者(98.6%)がスクリーニング時に NSCLC
病期 IV 期で,15 名(1.3%)のみが IIIB 期であった。
最も多い腫瘍組織型は腺癌(85.4%)で,扁平上皮癌患者は全体の 7.9%であった。スクリーニ
ング時には 17 名(1.5%)を除く全患者が転移を有していた。最も多かった転移部位は骨(38.6%)
で,次いで胸水(32.1%),肝臓(22.4%)および脳(22.1%)であった。
NSCLC の最初の診断から本試験への登録までの期間の中央値は 2.20 年であった。
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表 7.3: 6
Page 499
試験 1200.42
腫瘍病歴 – TS(Part A)
Parameter
Afatinib
Patients, n (%)
1154 (100.0)
Clinical stage at screening, n (%)
IIIB1
15
(1.3)
IV
1138 (98.6)
Missing
1
(0.1)
Histological classification, n (%)
Adenocarcinoma
985 (85.4)
Squamous cell carcinoma
91
(7.9)
Other2
77
(6.7)
Missing
1
(0.1)
Metastatic sites, n (%)
0
17
(1.5)
1
492 (42.6)
2
358 (31.0)
≥3
287 (24.9)
Metastatic sites3, n (%)
Bone
445 (38.6)
Pleural effusion
370 (32.1)
Liver
258 (22.4)
Brain
255 (22.1)
Other
838 (72.6)
Time since first diagnosis4, median [years]
2.20
Range5 (min-max)
0.1-22.3
「Missing」は CRF に記載なし。
1) 病期 IIIB は細胞診により確定診断された胸水または心外膜液を伴う疾患。
2) CRF のチェックボックス記載による大細胞癌,複合した腫瘍型,または他の組織型を有する患者を含む。
3) 転移病変が 2 つ以上の患者では重複あり。
4) 最初の診断からの期間の記録が得られた患者数は 1154 名中 1149 名。
5) 試験開始時または試験開始後に NSCLC と診断された 4 名については,最初の診断からの期間の情報は不明
とした。試験開始時に最初の診断から 10 年超は 5 名いた。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.2.2: 1
EGFR 遺伝子変異状況および臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高さ別の腫瘍病歴
EGFR 遺伝子変異状況および臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高さ別の腫瘍病歴を
表 7.3: 7 に示す。EGFR 遺伝子変異陽性の患者(中央検査機関の検査に基づく)のうち 91.8%
が腺癌であった。EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者においても同様に高い割合
(89.3%)で腺癌がみられた。EGFR 遺伝子変異陰性の患者および臨床的に EGFR 遺伝子変異を
有する可能性が低い患者の腺癌の割合はそれぞれ 68.6%および 81.1%であった。EGFR 遺伝子変
異陽性および EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者では骨転移の頻度が高く(患者の 40
~50%),EGFR 遺伝子変異陰性および臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が低い患者で
は骨転移の比率は 20~35%であった。
Page 500
試験 1200.42
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表 7.3: 7
EGFR 遺伝子変異状況および臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高
さ別の腫瘍歴 – TS(Part A)
EGFR mutation
positive
(central testing)
Highly clinically
enriched for
EGFR mutations4
EGFR mutation
negative
(central testing)
Not highly
clinically enriched
for EGFR
mutations
49 (100.0)
598 (100.0)
35 (100.0)
556 (100.0)
0 (0.0)
4 (0.7)
1 (2.9)
11 (2.0)
49 (100.0)
593 (99.2)
34 (97.1)
545 (98.0)
0 (0.0)
1 (0.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
45 (91.8)
534 (89.3)
24 (68.6)
451 (81.1)
1 (2.0)
28 (4.7)
7 (20.0)
63 (11.3)
3 (6.1)
35 (5.9)
4 (11.4)
42 (7.6)
0 (0.0)
1 (0.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
0
0 (0.0)
8 (1.3)
1 (2.9)
9 (1.6)
1
16 (32.7)
241 (40.3)
14 (40.0)
251 (45.1)
2
20 (40.8)
187 (31.3)
12 (34.3)
171 (30.8)
≥3
13 (26.5)
162 (27.1)
8 (22.9)
125 (22.5)
Bone
25 (51.0)
254 (42.5)
8 (22.9)
191 (34.4)
Pleural effusion
16 (32.7)
193 (32.3)
11 (31.4)
177 (31.8)
Liver
7 (14.3)
129 (21.6)
10 (28.6)
129 (23.2)
Brain
12 (24.5)
155 (25.9)
7 (20.0)
100 (18.0)
39 (79.6)
423 (70.7)
29 (82.9)
415 (74.6)
Patients, n (%)
Clinical stage at screening for Part
A, n (%)
IIIB1
IV
Missing
Histological classification, n (%)
Adenocarcinoma
Squamous cell carcinoma
Other
2
Missing
Metastatic sites, n (%)
Metastatic sites3, n (%)
Other
5
Time since first diagnosis , median
[years]
Range (min-max)
2.40
2.60
2.20
1.80
0.5-11.4
0.1-11.4
0.2-6.5
0.1-22.3
「Missing」は CRF に記載なし。
1) 病期 IIIB は細胞診により確定診断された胸水または心外膜液を伴う疾患。
2) CRF のチェックボックス記載による大細胞癌,複合した腫瘍,または他の組織型を有する患者を含む
3) 転移病変が 2 つ以上の患者では重複あり。
4) EGFR TKI の前治療期間が 48 週以上,もしくは EGFR TKI の最良効果が完全奏効または部分奏効の患者と
定義。
5) 最初の診断からの期間が不明の患者数は 556 名中 5 名。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.2.2: 2
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Page 501
試験 1200.42
腫瘍組織型別の腫瘍病歴
腺癌の 985 名のうち,54.2%が臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者で,45.8%
が臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が低い患者であった。扁平上皮癌の患者(91 名)
では,臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者の割合は 30.8%で,臨床的に EGFR
遺伝子変異を有する可能性が低い患者の割合は 69.2%であった。他の腫瘍病歴の因子では 2 つ
の腫瘍組織型の間に臨床的に問題となる不均衡はみられなかった。
EGFR 遺伝子変異検査
全患者の EGFR 遺伝子変異検査
本試験では EGFR 遺伝子変異検査は任意であった。中間解析では,中央検査機関による腫瘍組
織検査用の検体が 110 名から得られ,このうち,26 名では組織量が検査には不十分,または検
査は実施されたが結論が得られなかったため,評価可能例は 84 名であった。84 名のうち,49
名(評価可能例の 58.3%)が EGFR 遺伝子変異陽性で,35 名(評価可能例の 41.7%)が EGFR
遺伝子変異陰性であった。EGFR 遺伝子変異検査対象例数は限られていたものの,陽性率が高
かったことから,全治療患者においても陽性率が高いことが示唆された。実施施設による検査
結果では,119 名が EGFR 遺伝子変異陽性であった。中央検査機関および実施施設の検査結果
を合わせると計 209 名のデータが得られ,このうち 150 名が EGFR 遺伝子変異陽性であった。
EGFR 遺伝子変異検査結果を表 7.3: 8 に示す。
中央検査機関による検査結果で多かった変異型は 49 名の陽性患者のうち 27 名(EGFR 遺伝子
変異陽性患者の 55.1%)にみられた Del 19,および 20 名(EGFR 遺伝子変異陽性患者の 40.8%)
にみられた L858R であった。これらの患者には Del 19 または L858R と他の複数の変異型を有
する患者もいた。また,1 名は Del 19 および L858R の両方を有し,1 名は「その他」の変異型
(G719X)を有した。変異型 T790M,G719X,L861Q,および S768I は各 1 名にみられ,変異
型 insEx20 はいずれの患者にもみられなかった。患者 6100401 は変異型 Del 19 および T790M の
両方を有し,その他の変異型については不明/特定不能であった。
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表 7.3: 8
中央検査機関および実施施設による腫瘍生体の EGFR 遺伝子変異検査 – TS
(Part A)
Parameter
Afatinib
Patients, n
1154
EGFR mutation status by central testing
Patients with tumour biopsies centrally tested for EGFR mutation status, n
110
1
EGFR mutation status unknown/undetermined by central testing , n
Patients with evaluable samples by central testing, n (%)
26
84
(100.0)
Positive (%)
49
(58.3)
Negative (%)
35
(41.7)
EGFR mutation status by local testing
EGFR mutation status, local testing2, n
Positive
119
EGFR mutation status by combined central and local testing
EGFR mutation status, considering central and local testing, n
Positive3
150
1)腫瘍組織または DNA の量が検査の必要量に不十分,または検査結果から結論が得られず。
2)実施施設での EGFR 遺伝子変異検査の有無は CRF にチェックボックス(任意:「はい」または「いいえ」)
で記載することとなっていた。
「いいえ」にチェックがあった患者は,実施施設で検査されていない,また
は検査を実施したが EGFR 遺伝子変異が陰性であった場合の両方の可能性があった。
実施施設での検査による評価対象患者数が不確実だったため,実施施設での検査による EGFR 遺伝子変異
陽性患者の比率は算出しなかった。
3) 中央検査機関また実施施設での検査による EGFR 遺伝子変異陽性,かつ中央検査機関での検査による EGFR
遺伝子変異陰性でない患者を含む。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.2.3: 1
EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者と低い患者の EGFR 遺伝子変異状況
臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高い患者および低い患者の EGFR 遺伝子変異状況
を表 7.3: 9 に示す。臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高い患者では,中央検査機関
で検査された 52 名のうち 35 名が EGFR 遺伝子変異陽性,7 名が陰性,10 名が解析不能で,EGFR
遺伝子陽性率の推定値は 83.3%であった。臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が低い患
者では,中央検査機関で検査された 58 名のうち 14 名が EGFR 遺伝子変異陽性,28 名が陰性,
16 名が解析不能で,EGFR 遺伝子陽性率の推定値は 33.3%であった。
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表 7.3: 9
臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者および低い患者の
EGFR 遺伝子変異状況(中央検査機関の検査に基づく)– TS(Part A)
Patients in the
subgroup
(n)
Patients with
samples
(n)
Patients with
evaluable
samples1
Parameter
Patients
Patients with
Estimated
EGFR mutation EGFR mutation
positive results positivity rate2
(n)
(n)
(%)
1154
110
84
49
58.3
Yes
598
52
42
35
83.3
No
556
58
42
14
33.3
Highly clinically enriched for
EGFR mutations3
1)検査結果が陽性および陰性の患者を含み,腫瘍組織または DNA の量が検査の必要量に不十分,または検査
結果から結論が得られなかった患者を含まない。
2)評価可能な検体のあった患者数を母数とした EGFR 遺伝子変異陽性の患者数の比率。
3)EGFR TKI の前治療期間が 48 週以上,もしくは EGFR TKI の最良効果が完全奏効または部分奏効の患者と
定義。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.2.3: 2
化学療法およびその他の療法による NSCLC の前治療
本試験の Part A の全患者が 1 つ以上の化学療法による前治療を受けていた。多くの患者(64.6%)
が 3 レジメン以上の化学療法を,27.4%が 2 レジメンの化学療法を,8.1%が 1 レジメンの化学
療法を受けていた。大半の患者(89.6%)が 1 レジメン以上のプラチナ製剤ベースの化学療法
を受けていた。120 名(10.4%)がプラチナ製剤ベースでない化学療法のみを受けていた。ペメ
トレキセドによる前治療を受けた患者は全体の 58.5%,タキサン系抗癌剤による前治療を受け
た患者は全体の 50.4%であった。
EGFR TKI による前治療
本試験の患者のエルロチニブまたはゲフィチニブによる前治療の内容を表 7.3: 10 に示す。
EGFR TKI の治験薬である icotinib の投与を受けた 1 名を除いて,いずれの患者もエルロチニブ
および/またはゲフィチニブの投与を受けていた。
患者の約 3/4 がエルロチニブのみによる治療(68.0%)またはエルロチニブおよびゲフィチニブ
の両方による治療(6.4%)を受けており,25.5%の患者がゲフィチニブのみによる治療を受け
ていた。エルロチニブまたはゲフィチニブによる最長の治療期間が 12 週以下の患者の割合は
15.6%であった。EGFR TKI による前治療の最良効果(主治医の評価による)は CR/PR が患者
の 32.1%,SD が 41.6%であった。
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表 7.3: 10
エルロチニブまたはゲフィチニブによる前治療 – TS(Part A)
Therapy
Afatinib
Patients, n (%)
1154 (100.0)
Prior therapy with erlotinib or gefitinib, n (%)
Erlotinib only
785 (68.0)
Gefitinib only
294 (25.5)
Erlotinib and gefitinib
None
74 (6.4)
1
1 (0.1)
2
Duration of treatment with erlotinib or gefitinib , n (%)
0 to 12 weeks
180 (15.6)
>12 to 24 weeks
204 (17.7)
>24 to 48 weeks
334 (28.9)
>48 weeks
430 (37.3)
Missing
5 (0.4)
3,4
Best response to erlotinib or gefitinib , n (%)
CR
17 (1.5)
PR
353 (30.6)
SD
480 (41.6)
PD
232 (20.1)
Unknown
43 (3.7)
Not applicable
28 (2.4)
1)患者 8600211 は EGFR TKI の治験薬である icotinib を服薬し,エルロチニブおよびゲフィチニブは服薬して
いない。詳細は CTD 5.3.5.2-3,Appendices 16.2.4,Listing 5 を参照。
2)エルロチニブまたはゲフィチニブを 2 レジメン以上投与された場合は,最長期間に基づく。
3)エルロチニブまたはゲフィチニブを 2 レジメン以上投与された場合は,最良効果に基づく。
4)チェックボックスにより CRF に記載。患者データがなく最良効果が不明などの場合に治験責任医師は「不
明」を選択し,緩和化学療法が投与された場合(効果が期待されなかった場合)または術後補助化学療法
/術前補助化学療法の場合(効果が評価不能の場合)などに治験責任医師は「該当せず」を選択したと推
測された。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.2.5: 1
有効性
主要評価項目
PFS の主要解析
PFS の要約を表 7.3: 11 に,PFS の Kaplan-Meier 曲線を図 7.3: 1 に示す。中間解析の実施時点で
は,872 名(75.6%)で PFS のイベント(疾患の進行または死亡)が発現していた。PFS の中央
値は 3.25 カ月(95%信頼区間:2.85~3.81)であった。無増悪生存率は,6 カ月時点で 0.245,
12 カ月時点で 0.075 であった。
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表 7.3: 11
PFS の要約 – TS(Part A)
Afatinib
Patients, n (%)
Patients with PFS event, n (%)
1154
(100.0)
872
(75.6)
1.44
(1.41, 1.51)
3.25
(2.85, 3.81)
5.68
(5.55, 6.83)
Progression-free survival [months]
P25 (95% CI)1
Median (95% CI)
P75 (95% CI)
1
1
Probability to be alive and event-free at key timepoints
2
3 months
0.518
6 months
0.245
9 months
0.136
12 months
0.075
15 months
0.054
PFS の解析は主治医の評価に基づく。
1) Kaplan-Meier 曲線から算出した 25 パーセンタイル(P25),中央値,75 パーセンタイル(P75),および
Greenwood の標準誤差推定による 95%信頼区間。
2)Kaplan-Meier 推定量
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.4.1.1.1: 1
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PFS の解析は主治医の評価に基づく。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U
図 7.3: 1
-1167),Figure 11.4.1.1.1: 1
PFS の Kaplan-Meier 曲線 – TS(Part A)
・患者のデータの打ち切り
PFS の主要解析に際しての打ち切り例は 282 名(24.4%)であった。打ち切りの最も多かった理
由(15.3%)は,最終画像診断時に疾患進行しておらず生存していたことによる。
PFS のサブグループ解析
PFS のサブグループ解析を表 7.3: 12 に示す。EGFR 遺伝子変異状況別および臨床的に EGFR 遺
伝子変異を有する可能性の高さ別にみた PFS の中央値の差は顕著であった。また,すべての腫
瘍組織型において一貫性のある治療効果が認められた。人種では,白人よりも東アジア人で PFS
が長かった。地域でも PFS の中央値に差がみられた。非喫煙者および過去に年間 15 箱未満の
喫煙歴があったが,NSCLC の 1 年超前に禁煙した患者と比べて,喫煙者または他の元喫煙者の
PFS が短かった。EGFR TKI の前治療では,エルロチニブのみの前治療を受けた患者よりもゲ
フィチニブのみまたはゲフィチニブとエルロチニブの両方による前治療を受けた患者で PFS が
長かった。また,EGFR TKI による前治療で患者が得られた最良効果に比例して PFS は増加し
た。ペメトレキセドによる前治療を受けた患者に比べ,ペメトレキセドによる前治療を受けて
いない患者で PFS が長かった。さらに,ECOG PS の低い患者および腫瘍の最長径が短い患者で
PFS が長く,これは NSCLC の既知の予後因子と一致していた。
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表 7.3: 12
Subgroup
サブグループ別の PFS – TS(Part A)
Patients
with event
treated
[n]
[n]
23
35
38
49
21
27
16
20
446
556
PFS [months]
Median
95%CI
EGFR mutation negative1*
2.62
EGFR mutation positive1
4.17
4.17
Mutation type del 191*
Mutation type L858R1
3.49
Highly clinically enriched for EGFR
2.75
mutations2: no*
426
598
4.17
Highly clinically enriched for EGFR
mutations2: yes
Male*
405
500
2.95
Female
467
654
3.51
*
Age <65 years
579
741
3.02
Age ≥65 years
293
413
3.74
353
490
4.10
Race: Eastern Asian*
Race: Caucasian
355
455
2.95
359
496
4.10
Region: Eastern Asia*
Region: Europe and Australia
479
606
2.85
ECOG PS score 0*
253
341
4.10
ECOG PS score 1
523
691
3.12
ECOG PS score 2
96
122
1.47
Never smoker*
443
618
4.07
<15 pack years and stopped >1 year before
102
127
3.84
diagnosis
Current or other ex-smoker
327
409
2.79
Prior EGFR TKI: erlotinib only*
609
785
2.98
Prior EGFR TKI: gefitinib only
211
294
4.07
Prior EGFR TKI: erlotinib+gefitinib
51
74
4.17
142
165
1.83
<12 weeks EGFR TKI3*
12 to <24 weeks EGFR TKI3
146
194
2.69
268
337
3.02
24 to <48 weeks EGFR TKI3
≥48 weeks EGFR TKI3
310
452
4.27
316
405
3.48
<4 weeks since EGFR TKI4*
549
742
3.28
≥4 weeks since EGFR TKI4
5*
208
285
4.17
Baseline SLD: ≥0 to Q1
Baseline SLD: ≥Q1 to median5
186
267
4.17
237
307
3.02
Baseline SLD: ≥median to Q35
Baseline SLD: ≥Q3 to Q45
236
288
2.59
76
93
2.82
1 previous line of chemotherapy*
2 previous lines of chemotherapy
231
316
4.07
>2 previous lines of chemotherapy
565
745
3.02
189
232
2.39
PD under prior EGFR TKI6*
356
480
3.51
SD under prior EGFR TKI6
CR/PR under prior EGFR TKI6
270
370
4.13
738
985
3.31
Adenocarcinoma*
Squamous cell carcinoma
72
91
3.71
350
479
4.10
No prior treatment with pemetrexed*
Prior treatment with pemetrexed
522
675
2.82
No prior treatment with taxanes*
431
572
3.74
Prior treatment with taxanes
441
582
2.95
546
715
3.15
No chemotherapy between EGFR TKI and
study treatment*
Chemotherapy between EGFR TKI and
326
439
3.44
study treatment
PFS の解析は主治医の評価に基づく。
*)ハザード比および 95%信頼区間の推定値を算出する際に対照群として設定。
1.41, 4.07
2.72, 5.51
2.66, 5.55
1.41, 6.89
2.62, 2.79
HR (95% CI) vs.
reference
category
0.48 (0.27, 0.84)
0.97 (0.49, 1.88)
-
4.07, 4.23
0.64 (0.56, 0.73)
2.79, 3.71
2.95, 4.07
2.79, 3.58
2.92, 4.13
3.41, 4.17
2.75, 3.38
3.41, 4.17
2.79, 3.28
3.74, 4.17
2.79, 4.00
1.37, 1.93
3.05, 4.13
2.75, 4.27
0.83 (0.72, 0.94)
0.88 (0.76, 1.01)
1.25 (1.07, 1.44)
1.24 (1.08, 1.42)
1.22 (1.05, 1.42)
2.27 (1.79, 2.88)
1.11 (0.89, 1.38)
2.72, 3.02
2.79, 3.44
2.85, 4.17
2.89, 5.58
1.51, 2.66
2.36, 2.79
2.79, 4.07
4.13, 5.32
2.79, 4.10
2.82, 4.00
4.07, 4.66
3.51, 4.89
2.79, 3.84
1.87, 2.72
2.72, 4.07
2.89, 4.20
2.79, 3.71
1.60, 2.72
2.95, 4.10
4.04, 4.20
2.92, 4.00
2.62, 4.66
3.44, 4.17
2.79, 3.15
2.95, 4.10
2.79, 3.61
2.79, 3.84
1.39 (1.20, 1.61)
0.82 (0.70, 0.96)
0.73 (0.55, 0.98)
0.85 (0.68, 1.08)
0.68 (0.56, 0.84)
0.47 (0.39, 0.58)
1.00 (0.87, 1.15)
0.98 (0.81, 1.20)
1.36 (1.12, 1.64)
1.91 (1.58, 2.31)
0.75 (0.58, 0.97)
0.88 (0.69, 1.11)
0.66 (0.55, 0.79)
0.57 (0.47, 0.69)
1.12 (0.88, 1.43)
1.21 (1.05, 1.38)
1.09 (0.96, 1.25)
-
2.82, 4.07
0.94 (0.82, 1.08)
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1)中央検査機関の結果に基づく。
2)EGFR TKI の前治療期間が 48 週以上,もしくは EGFR TKI の最良効果が完全奏効または部分奏効の患者と
定義。
3)EGFR TKI の前治療の最長期間。
4)EGFR TKI の前治療の終了時から本治験の治験薬投与開始までの期間。
5)ベースラインの腫瘍長径の合計の四分位は,Q1:35 mm,Q2/中央値:55 mm,Q3:85 mm,最大:298 mm。
6)EGFR TKI の最良効果。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.4.1.1.3: 1
・EGFR 遺伝子変異状況および臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高さ別の PFS
EGFR 遺伝子変異状況および臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高さ別の PFS を表
7.3: 13 に,Kaplan-Meier 曲線を図 7.3: 2 に示す。中央検査機関の検査による EGFR 遺伝子変異
陽性患者の PFS の中央値は 4.17 カ月で,EGFR 遺伝子変異陰性患者の PFS の中央値は 2.62 カ
月であった。陽性患者と陰性患者の PFS のハザード比は 0.48(95%信頼区間:0.27~0.84)で
あった。臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高さ別でみた PFS の中央値は中央検査機
関の検査による EGFR 遺伝子変異状況とほぼ同じで,臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能
性が高い患者では 4.17 カ月,低い患者では 2.75 カ月で,ハザード比は 0.64(95%信頼区間:0.56
~0.73)であった。
表 7.3: 13
EGFR 遺伝子変異状況および臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高
さ別の PFS – TS(Part A)
Patients
n (%)
Patients with
PFS event
n (%)
PFS [months]
Median (95% CI)
HR (95% CI) vs.
reference category
Negative*
35 (100.0)
23 (65.7)
2.62 (1.41, 4.07)
-
Positive
49 (100.0)
38 (77.6)
4.17 (2.72, 5.51)
0.48 (0.27, 0.84)
No*
556 (100.0)
446 (80.2)
2.75 (2.62, 2.79)
-
Yes
598 (100.0)
426 (71.2)
4.17 (4.07, 4.23)
0.64 (0.56, 0.73)
EGFR mutation
testing
Highly clinically
EGFR mutations1
status,
central
enriched
for
PFS の解析は主治医の評価に基づく
*)ハザード比および 95%信頼区間の推定値を算出する際に対照群として設定。
1)EGFR TKI の前治療期間が 48 週以上,もしくは EGFR TKI の最良効果が完全奏効または部分奏効の患者と
定義。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.4.1.1.3: 2
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PFS の解析は治主治医の評価に基づく。
臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高い患者:EGFR TKI の前治療期間が 48 週以上,もしくは EGFR
TKI の最良効果が完全奏効または部分奏効の患者と定義。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Figure 11.4.1.1.3: 1
図 7.3: 2
中央検査機関の検査に基づく EGFR 遺伝子変異状況による PFS(上図)およ
び臨床的に EGFR 遺伝子変異を有する可能性の高さ別の PFS(下図)の
Kaplan-Meier 曲線– TS(Part A)
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・腫瘍組織型別の PFS
腫瘍組織型別の PFS を表 7.3: 14 に,Kaplan-Meier 曲線を図 7.3: 3 に示す。扁平上皮癌と腺癌の
ハザード比は 1.12(95%信頼区間:0.88~1.43)で,いずれの組織型に対しても同程度の治療効
果がみられた。
表 7.3: 14
腫瘍組織型別の PFS – TS(Part A)
Patients
n (%)
Patients with
PFS event
n (%)
PFS [months]
Median (95% CI)
Tumour histology
Adenocarcinoma*
985 (100.0)
738 (74.9)
3.31 (2.92, 4.00)
Squamous cell carcinoma
91 (100.0)
72 (79.1)
3.71 (2.62, 4.66)
PFS の解析は主治医の評価に基づく。
*)ハザード比および 95%信頼区間の推定値を算出する際に対照群として設定。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.4.1.1.3: 3
HR (95% CI) vs.
reference category
1.12 (0.88, 1.43)
PFS の解析は主治医の評価に基づく
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Figure 11.4.1.1.3: 2
図 7.3: 3
腫瘍組織型別の PFS の Kaplan-Meier 曲線 – TS(Part A)
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副次評価項目
RECIST 第 1.1 版に基づいた腫瘍縮小効果の確定が Part A では必要であったことから,主治医の
評価により確定をした腫瘍縮小効果(OR)を副次評価項目として分析した。また,確定の有無
に関わらずすべての OR での分析も実施した。
全患者の確定をした OR
確定をした OR および病勢コントロール率を表 7.3: 15 に示す。確定をした OR の得られた患者
は 7.6%(95%信頼区間:6.16~9.31)であった。このうち,1 名(0.1%)が CR で,87 名(7.5%)
が PR であった。確定の有無を問わない OR は計 135 名(11.7%)にみられた。
表 7.3: 15
確定をした OR および病勢コントロール率 – TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Patients
1154 (100.0)
Disease control
735
(63.7)
88
(7.6)
CR
1
(0.1)
PR
87
(7.5)
647
(56.1)
47
(4.1)
278
(24.1)
1
(0.1)
10
(0.9)
131
(11.4)
Objective response
Stable disease
Unconfirmed CR or PR
Progressive disease
SD or objective response for <6 weeks
Not evaluable
Missing
客観的な腫瘍縮小効果の解析は主治医の評価に基づく。
治療例数と最良効果の情報のある例数の差は腫瘍画像のない患者による。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 11.4.1.2: 1
確定をした OR が得られた患者の奏効期間の平均値は 5.15 カ月,中央値は 4.18 カ月であった。
確定の有無を問わない OR が得られた患者の奏効期間の平均値は 5.15 カ月(標準偏差 2.76 カ月),
中央値は 4.18 カ月,最大値は 15 カ月強であった。
その他の評価項目
OS
OS の Kaplan-Meier 曲線を図 7.3: 4 に示す。中間解析で OS のイベントを有する患者数は 301 名
(26.1%)であった。OS の中央値は 13.70 カ月(95%信頼区間:12.61~14.88)で,全生存率は
6 カ月時点で 0.724,12 カ月時点で 0.559,18 カ月時点で 0.383 であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U
図 7.3: 4
Page 512
試験 1200.42
-1167),Figure 11.4.1.3.1: 1
OS の Kaplan-Meier 曲線 – TS(Part A)
腫瘍の縮小
・全患者
Part A における標的病変のベースラインからの最大縮小率を図 7.3: 5 に示す。全体で 44.6%の患
者に腫瘍量の減少がみられた。標的病変の縮小は客観的奏効率を反映し,患者の 12.7%で 30%
以上の縮小,3.9%で 50%以上の縮小がみられた。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U
図 7.3: 5
Page 513
試験 1200.42
-1167),Figure 11.4.1.3.2: 1
標的病変のベースラインからの最大縮小率 – TS(Part A)
病勢コントロール率
63.7%の患者に病勢コントロールが認められた。病勢コントロール期間の平均値は 5.13 カ月,
中央値は 4.21 カ月であった(最小値 1.18 カ月,最大値 17.97 カ月)。OR の確定の有無を問わな
い病勢コントロール率は 65.0%,病勢コントロール期間の平均値は 5.07 カ月,中央値は 4.17 カ
月であった(最小値 0.72 カ月,最大値 17.97 カ月)。
安全性
曝露状況
本試験の Part A の治験薬の曝露状況を表 7.3: 16 に示す。投与期間の平均値は 123.8 日で,中央
値は 87 日であった。投与期間は,患者の約 70%で 6 カ月以下,6.6%で 6 カ月超から 12 カ月以
下,22.2%で 1 年超であった。投与中止までの期間の中央値は 2.82 カ月であった。
治験薬との因果関係が否定できない有害事象が発現した場合には,治験実施計画書に定められ
た減量基準に従って,アファチニブの用量を減量することが可能だった。474 名(41.1%)が少
なくとも 1 回治験薬を減量し,そのうち 141 名(12.2%)は 2 回減量した。少数の患者(2.4%)
では 1 回目の減量が治験薬の投与開始後 2 週間以内に行われたが,大部分の患者では治験薬の
投与開始後 2 週間以降に行われた。アファチニブ投与 126 日目(投与継続中患者 454 名)の
50 mg/ 日投与患者の割合は 51.1%であった。
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表 7.3: 16
治験薬への曝露および治験薬の減量 – TS(Part A)
Afatinib
Patients, n (%)
1154
(100.0)
123.8
(105.8)
87
(1, 582)
1
Duration of treatment [days]
Mean (StD)
Median (min, max)
1
Duration of treatment , in categories, n (%)
≤1 month
168
(14.6)
>1 to ≤2 months
268
(23.2)
>2 to ≤3 months
166
(14.4)
>3 to ≤4 months
94
(8.1)
>4 to ≤6 months
126
(10.9)
<6 to ≤12 months
76
(6.6)
256
(22.2)
Reduced to 40 mg
474
(41.1)
Reduced to 30 mg
141
(12.2)
28
(2.4)
>14 to ≤28 days
163
(14.1)
>28 to ≤56 days
139
(12.0)
>56 days
144
(12.5)
>12 months
2
Patients with dose reductions , n (%)
Time to first dose reduction, in categories, n (%)
≤14 days
1)投与期間は投与 1 日目から最終投与日までとした。休薬期間は考慮しなかった。
2)30 mg に減量した患者は,まず 40 mg へ減量したため,30 mg への減量例数は 40 mg への減量例数と重複し
ている。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.1: 1
有害事象(MedDRA Version
を使用)
本試験の Part A の治験薬投与期は,Part B に移行しなかった患者では治験薬の投与開始から最
終投与 28 日後まで,Part B に移行した患者では Part B の化学療法開始の前日までとし,治験薬
投与期に発現した好ましくない事象を有害事象として集計した。Part B に移行した患者で化学
療法開始日が不明の 10 名の患者では Part B でのランダム化割付け日 +5 日までを Part A の治験
薬投与期とした。その他の重要な有害事象は,ICH E3 に基づき,血液学的および他の臨床検査
値異常(重篤な有害事象に定義されるもの以外),および投与中止/減量/併用療法(重篤な有
害事象と報告されたもの以外)などの対応を必要とした事象とした。
原疾患の予測される変動や悪化は有害事象としなかったが,癌が進行したり,進行に伴う徴候
や症状が発現したり,重篤の基準に該当する場合は,その徴候および症状を有害事象または重
篤な有害事象として報告したため,本試験で報告された有害事象の多くが疾患進行に伴う徴候
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および症状を含んだ。疾患進行が原因となる死亡で徴候や症状の詳細がない場合は,例外的に
疾患進行自体を重篤な有害事象とした。
また,本試験の安全性の解析では,通常の器官別大分類および基本語による分析に追加して,
EGFR TKI で発現することが既知である有害事象にも注目した。EGFR TKI は特に,皮膚および
皮膚付属器,胃腸の粘膜,眼瞼および結膜に影響し,発疹/ざ瘡や下痢などの有害事象を発現
することが知られるが,これらの有害事象については,基本語をグループ化した有害事象(グ
ループ用語)で検討した。EGFR TKI と直接関連はしないが,癌患者でよくみられる悪心/嘔
吐,疲労もグループ化した。グループ用語は「+」で表記する。
さらに,肝障害,腎機能不全,ILD および心不全を特に注目すべき有害事象として規定した。
有害事象の要約
本試験の Part A での有害事象の要約を表 7.3: 17 に示す。ほとんどの患者(99.0%)が有害事象
を発現し,大部分(94.1%)が治験責任医師に治験薬との因果関係が否定できないと判断され
た有害事象を 1 つ以上発現した。減量に至った有害事象の発現率は 41.9%であった。投与中止
に至った有害事象は 274 名(23.7%)で発現し,このうち 93 名(8.1%)の中止理由が「RECIST
に基づく疾患進行」または「疾患進行の臨床的徴候または症状」であった。
重篤な有害事象は 38.9%の患者で発現し,ほとんどが入院によるもの(34.5%)であった。致死
的な有害事象の発現率は 16.0%であった。有害事象の CTCAE grade は,3 以下の患者がほとん
どで,grade 1 が 9.9%,grade 2 が 28.2%,grade 3 が 39.9%の患者にみられた。また,grade 5 が
15.9%の患者にみられた。致死的な有害事象の発現例および CTCAE grade 5 の有害事象の発現
例との不一致は,致死的な有害事象を発現した 2 名の有害事象の CTCAE grade が 4 であったこ
とによる。
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表 7.3: 17
治験薬投与期における有害事象の要約 – TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Patients
1154 (100.0)
Patients with at least one AE
Drug-related AEs
1
1142 (99.0)
1086 (94.1)
AEs leading to dose reduction
483 (41.9)
AEs leading to discontinuation
274 (23.7)
Discontinued due to PD
2
Patients with SAEs
Fatal
3
Immediately life-threatening
Disability/incapacity
93 (8.1)
449 (38.9)
185 (16.0)
24 (2.1)
3 (0.3)
Requiring hospitalisation
398 (34.5)
Prolonging hospitalisation
70 (6.1)
Congenital anomaly
0 (0.0)
Other
4 (0.3)
By highest CTCAE grade
Grade 1
114 (9.9)
Grade 2
325 (28.2)
Grade 3
460 (39.9)
Grade 4
60 (5.2)
Grade 5
183 (15.9)
1)治験薬との因果関係は治験責任医師の判断による
2)CRF に記録された治験薬投与の中止理由が,「RECIST に基づく疾患進行」または「疾患進行の臨床的徴候
または症状」と記録された患者。
3)致死的な有害事象を発現したが有害事象の grade が 4 と記録された患者が 2 名あった。患者 4901307 は肺
炎を発現したが,grade 4 で「致死的」と記録され,患者 8860915 は治験責任医師の報告による用語で「意
識障害(NSCLC の悪化)[悪性新生物]」を発現し,grade 4 で「致死的」と記録された。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.1: 1
高頻度に発現した有害事象
・全患者
患者の 10%超で発現した有害事象を表 7.3: 18 に示す。グループ化された有害事象の分析結果は,
治験薬の既知の副作用および EGFR TKI の作用機序に基づく作用に一貫性がみられた。最もよ
くみられた有害事象は患者の 85.2%に発現した下痢で,次いで発疹/ざ瘡+(69.5%)および口
+
+
+
内炎(50.8%)
であった。発現率が 10%超の他の有害事象は,爪の異常(33.0%)
,疲労(28.7%)
,
食欲減退(26.5%),悪心(21.3%),呼吸困難(20.4%),嘔吐(18.3%),咳嗽(15.7%),そう痒
症(15.3%),皮膚乾燥(13.7%),鼻出血(12.9%),および眼の障害 +(11.2%)であった。大半
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の有害事象は CTCAE grade 1 または 2 であった。10%超の患者にみられた grade 3 の有害事象は,
下痢(16.8%)および発疹/ざ瘡+(10.5%)であった。
表 7.3: 18
治験薬投与期にみられた発現率 10%超の有害事象(最も重い CTCAE grade
による基本語およびグループ用語別)– TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Grouped or preferred term
All grades
Grade 3
Grade 4
Grade 5
Patients
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
Patients with at least one AE
1142 (99.0)
460 (39.9)
60 (5.2)
183 (15.9)
983 (85.2)
194 (16.8)
4 (0.3)
0 (0.0)
802 (69.5)
121 (10.5)
1 (0.1)
0 (0.0)
586 (50.8)
57 (4.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
381 (33.0)
49 (4.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
331 (28.7)
63 (5.5)
3 (0.3)
1 (0.1)
Decreased appetite(食欲減退)
306 (26.5)
41 (3.6)
1 (0.1)
0 (0.0)
Nausea(悪心)
246 (21.3)
13 (1.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dyspnoea(呼吸困難)
235 (20.4)
57 (4.9)
9 (0.8)
22 (1.9)
Vomiting(嘔吐)
211 (18.3)
23 (2.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Cough(咳嗽)
181 (15.7)
11 (1.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Pruritus(そう痒症)
176 (15.3)
8 (0.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dry skin(皮膚乾燥)
158 (13.7)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
149 (12.9)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
129 (11.2)
6 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
Stomatitis(口内炎)
+
Nail effects(爪の異常)
Fatigue(疲労)
+
+
Epistaxis(鼻出血)
Ocular effects(眼の障害)
+
グループ用語および基本語は発現率の高い順に記載。
+)グループ用語に含まれる基本語については CTD 5.3.5.2-3(U
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.1.1: 1
-1167),Table 15.3.2.3: 3 を参照。
高頻度に発現した器官別大分類および基本語による有害事象
・全患者
発現率が 10%超の有害事象(器官別大分類および基本語)を表 7.3: 19 に示す。大半の患者(91.2%)
が胃腸障害を発現し,そのうち最もよくみられた基本語での有害事象は下痢であった(85.2%)。
胃腸障害の中で発現率が 10%超のその他の有害事象(基本語)は,口内炎(26.1%),悪心(21.3%),
および嘔吐(18.3%)であった。胃腸障害の有害事象の大半は grade 1 または 2 で,患者の 22.2%
が grade 3 を,0.4%(5 名)が grade 4 を,0.3%(3 名)が grade 5 の胃腸障害の有害事象を発現
した。
皮膚および皮下組織障害の発現率は 75.7%であった。基本語で最もよくみられた有害事象は発
疹(53.7%)であった。そう痒症(15.3%)および皮膚乾燥(13.7%)も 10%超の患者で発現し
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.42
たが,発現率は発疹と比べてかなり低かった。皮膚および皮下組織障害の有害事象の大半は
grade 1 または 2 で,grade 5 はなかった。
一般・全身障害および投与部位の状態の発現率は 54.8%で,基本語では粘膜の炎症(17.5%),
無力症(17.4%)および疲労(10.8%)が 10%超の患者で発現した。grade 3 および 4 の有害事象
を発現した患者の割合はそれぞれ 10.2%および 1.1%であった。38 名(3.3%)が grade 5 の有害
事象を発現し,このうち 25 名が全身健康状態低下を発現した。
呼吸器,胸郭および縦郭障害の発現率は 52.3%で,基本語では呼吸困難(20.4%),咳嗽(15.7%)
および鼻出血(12.9%)がよくみられた。Grade 3 の有害事象を発現した患者の割合は 8.8%,
grade 4 は 1.9%,grade 5 は 4.9%であった。Grade 5 で最もよくみられた有害事象は呼吸困難(1.9%)
で,次いで呼吸不全(0.7%)であった。
感染症および寄生虫症は 50.3%の患者にみられた。Grade 3,4 および 5 の有害事象はそれぞれ
9.9%,0.8%および 1.7%の患者で報告された。その他の 10%超で発現した器官別大分類の有害
事象は代謝および栄養障害,筋骨格系および結合組織障害,神経系障害,臨床検査,および眼
障害であった。
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試験 1200.42
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表 7.3: 19
治験薬投与期にみられた発現率 10%超の有害事象(最も重い CTCAE grade
による器官別大分類および基本語別)– TS(Part A)
System organ class/preferred term
All grades
Patients
1154 (100.0)
Patients with at least one AE
1142
(99.0)
Afatinib
n (%)
Grade 3
Grade 4
1154 (100.0)
460
(39.9)
Grade 5
1154 (100.0) 1154 (100.0)
60
Gastrointestinal disorders(胃腸障害)
1053 (91.2)
256 (22.2)
5
Diarrhoea(下痢)
983 (85.2)
194 (16.8)
4
Stomatitis(口内炎)
301 (26.1)
23
(2.0)
0
Nausea(悪心)
246 (21.3)
13
(1.1)
0
Vomiting(嘔吐)
211 (18.3)
23
(2.0)
0
Skin and subcutaneous tissue disorders
874 (75.7)
132 (11.4)
1
(皮膚および皮下組織障害)
Rash(発疹)
620 (53.7)
81
(7.0)
0
Pruritus(そう痒症)
176 (15.3)
8
(0.7)
0
Dry skin(皮膚乾燥)
158 (13.7)
1
(0.1)
0
General disorders and administration site
632 (54.8)
118 (10.2)
13
conditions
(一般・全身障害および投与部位の状態)
Mucosal inflammation(粘膜の炎症)
202 (17.5)
26
(2.3)
0
Asthenia(無力症)
201 (17.4)
36
(3.1)
2
Fatigue(疲労)
125 (10.8)
27
(2.3)
1
Respiratory, thoracic, and mediastinal disorders
604 (52.3)
101
(8.8)
22
(呼吸器,胸郭および縦隔障害)
Dyspnoea(呼吸困難)
235 (20.4)
57
(4.9)
9
Cough(咳嗽)
181 (15.7)
11
(1.0)
0
Epistaxis(鼻出血)
149 (12.9)
1
(0.1)
0
Infections and infestions(感染症および寄生虫
581 (50.3)
114
(9.9)
9
症)
Paronychia(爪囲炎)
336 (29.1)
43
(3.7)
0
Metabolism and nutrition disorders
377 (32.7)
77
(6.7)
6
(代謝および栄養障害)
Decreased appetite(食欲減退)
306 (26.5)
41
(3.6)
1
Musculoskeletal and connective tissue disorders
301 (26.1)
39
(3.4)
4
(筋骨格系および結合組織障害)
Nervous system disorders(神経系障害)
214 (18.5)
31
(2.7)
7
Investigations(臨床検査)
201 (17.4)
31
(2.7)
1
Eye disorders(眼障害)
165 (14.3)
9
(0.8)
1
器官別大分類は発現率の高い順,基本語は器官別大分類内での発現率の高い順に記載。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.1.2: 1
(5.2)
183
(15.9)
(0.4)
(0.3)
(0.0)
(0.0)
(0.0)
(0.1)
3
0
0
0
0
0
(0.3)
(0.0)
(0.0)
(0.0)
(0.0)
(0.0)
(0.0)
(0.0)
(0.0)
(1.1)
0
0
0
38
(0.0)
(0.0)
(0.0)
(3.3)
(0.0)
(0.2)
(0.1)
(1.9)
0
1
0
56
(0.0)
(0.1)
(0.0)
(4.9)
(0.8)
(0.0)
(0.0)
(0.8)
22
0
0
20
(1.9)
(0.0)
(0.0)
(1.7)
(0.0)
(0.5)
0
1
(0.0)
(0.1)
(0.1)
(0.3)
0
0
(0.0)
(0.0)
(0.6)
(0.1)
(0.1)
3
0
0
(0.3)
(0.0)
(0.0)
治験薬との因果関係が否定できない有害事象
治験責任医師により治験薬との因果関係が否定できないと判断された有害事象は,患者の
94.1%に発現した(表 7.3: 20)。このうち,最もよくみられた基本語またはグループ用語は下痢
(83.4%),次いで発疹/ざ瘡+(67.9%)および口内炎+(47.9%)であった。
治験薬との因果関係が否定できない grade 3 の有害事象は 38.1%の患者に発現した。5%超の患
者でみられた grade 3 の有害事象は,下痢(16.6%)および発疹/ざ瘡+(10.2%)であった。CTCAE
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grade 4 の有害事象は合計で 12 名(1.0%)にみられた。計 11 名が治験薬との因果関係が否定で
きない致死的な有害事象を発現した。
表 7.3: 20
治験薬と の 因果関係 が 否定でき な い発現率 5%超の有 害 事象(最 も 重い
CTCAE grade によるグループ用語および基本語別)– TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Grouped or preferred term
All grades
Grade 3
Grade 4
Grade 5
Patients
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
Patients with at least one drug-related AE
1086 (94.1)
440 (38.1)
12 (1.0)
11 (1.0)
963 (83.4)
191 (16.6)
3 (0.3)
0 (0.0)
784 (67.9)
118 (10.2)
1 (0.1)
0 (0.0)
553 (47.9)
57 (4.9)
0 (0.0)
0 (0.0)
Nail effects(爪の異常) +
373 (32.3)
49 (4.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
Decreased appetite(食欲減退)
200 (17.3)
27 (2.3)
1 (0.1)
0 (0.0)
193 (16.7)
35 (3.0)
1 (0.1)
0 (0.0)
Nausea(悪心)
180 (15.6)
9 (0.8)
0 (0.0)
0 (0.0)
Pruritus(そう痒症)
163 (14.1)
8 (0.7)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dry skin(皮膚乾燥)
146 (12.7)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
Vomiting(嘔吐)
140 (12.1)
19 (1.6)
0 (0.0)
0 (0.0)
113 (9.8)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
94 (8.1)
5 (0.4)
0 (0.0)
0 (0.0)
68 (5.9)
2 (0.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
59 (5.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
Stomatitis(口内炎)
Fatigue(疲労)
+
+
+
Epistaxis(鼻出血)
Ocular effects(眼の障害)
+
Palmar-plantar erythrodysaesthesia syndrome
(手掌・足底発赤知覚不全症候群)
Weight decreased(体重減少)
+)定義については CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 9.7.1.3.3: 1 および 9.7.1.3.3: 2 を参照。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.2: 1
減量に至った有害事象
治験薬の減量に至った有害事象は患者の 41.9%にみられた。このうち最も多かった基本語また
はグループ用語は下痢(21.9%)であった。その他の 1%超の患者で発現した減量に至った有害
事象は,発疹/ざ瘡+,口内炎+,爪の異常+,疲労+,嘔吐および悪心であった。発現率が 1%超
の減量に至った grade 3 の有害事象は,下痢(10.6%),発疹/ざ瘡+(7.4%),口内炎+(3.7%),
爪の異常+(2.8%)および疲労+(1.3%)であった。減量に至った grade 4 の有害事象は 1 名にみ
られた(下痢)。
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表 7.3: 21
減量に至った発現率 1%超の有害事象(最も重い CTCAE grade によるグルー
プ用語および基本語別)– TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Grouped or preferred term
Patients
Patients with at least one AE leading to dose
reduction
All grades
Grade 3
Grade 4
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
Grade 5
1154 (100.0)
483
(41.9)
305
(26.4)
1
(0.1)
0
(0.0)
253
(21.9)
122
(10.6)
1
(0.1)
0
(0.0)
131
(11.4)
85
(7.4)
0
(0.0)
0
(0.0)
61
(5.3)
43
(3.7)
0
(0.0)
0
(0.0)
47
(4.1)
32
(2.8)
0
(0.0)
0
(0.0)
22
(1.9)
15
(1.3)
0
(0.0)
0
(0.0)
Vomiting(嘔吐)
20
(1.7)
9
(0.8)
0
(0.0)
0
(0.0)
Nausea(悪心)
14
(1.2)
6
(0.5)
0
(0.0)
0
(0.0)
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
Stomatitis(口内炎)
+
Nail effects(爪の異常)
Fatigue(疲労)
+
+
+
+)定義については CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 9.7.1.3.3: 1 および 9.7.1.3.3: 2 を参照。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.3: 1
投与中止に至った有害事象
治験薬の投与中止に至った有害事象を表 7.3: 22 に示す。全体で 23.7%の患者で治験薬の投与中
止に至った有害事象がみられた。このうち 93 名(8.1%)の中止理由が「RECIST に基づく疾患
進行」または「疾患進行の臨床的徴候または症状」であった。投与中止に至った有害事象で最
も多かったのは 4.3%の患者に発現した下痢であった。投与中止に至ったその他の有害事象(1%
超)は,呼吸困難,全身健康状態低下,発疹/ざ瘡+および疲労+であった。
投与中止に至った有害事象のうち grade 3 の有害事象を発現した患者の割合は 12.7%で,grade 4
が 4.5%,grade 5 が 0.8%であった。Grade 3 の投与中止に至った有害事象で最も多かったのは下
痢(2.5%)で,次いで呼吸困難(1.3%)であった。Grade 5 の投与中止に至った有害事象は,
各 2 名に発現した悪性新生物および呼吸不全および各 1 名に発現した全身健康状態低下,脳血
管発作,急性左室不全,ショックおよび突然死であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.3: 22
発現率 1%超の投与中止に至った有害事象(最も重い CTCAE grade によるグ
ループ用語および基本語別)– TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Grouped or preferred term
All grades
Patients
1154 (100.0)
Patients with at least one AE leading to
discontinuation
Grade 3
1154 (100.0)
Grade 4
1154 (100.0)
Grade 5
1154 (100.0)
274
(23.7)
147
(12.7)
52
(4.5)
9
(0.8)
Diarrhoea(下痢)
50
(4.3)
29
(2.5)
1
(0.1)
0
(0.0)
Dyspnoea(呼吸困難)
31
(2.7)
15
(1.3)
12
(1.0)
0
(0.0)
General physical health deterioration
(全身健康状態低下)
21
(1.8)
12
(1.0)
8
(0.7)
1
(0.1)
Rash/acne(発疹/ざ瘡) +
17
(1.5)
11
(1.0)
1
(0.1)
0
(0.0)
16
(1.4)
10
(0.9)
1
(0.1)
0
(0.0)
Fatigue(疲労)
+
+)定義については CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 9.7.1.3.3: 1 および 9.7.1.3.3: 2 を参照。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.4: 1
投与中止に至った治験薬との因果関係が否定できない有害事象
投与中止に至った治験薬との因果関係が否定できない主な有害事象を表 7.3: 23 に示す。患者の
11.7%に治験薬との因果関係が否定できないと判断された投与中止に至った有害事象がみられ
た。最も多かったものは下痢(4.3%)で,次いで発疹/ざ瘡 +(1.5%)であった。治験薬と因
果関係が否定できないと判断された投与中止に至った有害事象で,grade 3 の有害事象は 6.9%
の患者に,grade 4 の有害事象は 1.0%の患者に,grade 5 の有害事象は 1 名に(急性左室不全)
発現した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 7.3: 23
2 名以上で発現した治験薬との因果関係が否定できない投与中止に至った有
害事象(最も重い CTCAE grade によるグループ用語および基本語別)– TS
(Part A)
Afatinib
n (%)
Grouped or preferred term
Patients
Patients with at least one AE leading to
All grades
Grade 3
Grade 4
Grade 5
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
135
(11.7)
80
(6.9)
12
(1.0)
1
(0.1)
50
(4.3)
29
(2.5)
1
(0.1)
0
(0.0)
17
(1.5)
11
(1.0)
1
(0.1)
0
(0.0)
10
(0.9)
7
(0.6)
0
(0.0)
0
(0.0)
9
(0.8)
5
(0.4)
0
(0.0)
0
(0.0)
9
(0.8)
5
(0.4)
1
(0.1)
0
(0.0)
9
(0.8)
6
(0.5)
0
(0.0)
0
(0.0)
7
(0.6)
1
(0.1)
5
(0.4)
0
(0.0)
5
(0.4)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
Dyspnoea(呼吸困難)
3
(0.3)
2
(0.2)
0
(0.0)
0
(0.0)
General physical health deterioration
3
(0.3)
3
(0.3)
0
(0.0)
0
(0.0)
Nausea(悪心)
4
(0.3)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
Renal failure acute(急性腎不全)
3
(0.3)
2
(0.2)
1
(0.1)
0
(0.0)
Abdominal pain upper(上腹部痛)
2
(0.2)
2
(0.2)
0
(0.0)
0
(0.0)
Dry skin(皮膚乾燥)
2
(0.2)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
Local swelling(局所腫脹)
2
(0.2)
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
Ocular effect(眼の障害) +
2
(0.2)
2
(0.2)
0
(0.0)
0
(0.0)
Quality of life decreased(QOL 低下)
2
(0.2)
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
discontinuation
Diarrhoea(下痢)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
Stomatitis(口内炎)
+
+
Decreased appetite(食欲減退)
Fatigue(疲労)
+
Vomiting(嘔吐)
Interstitial lung disease(間質性肺疾患)
Nail effects(爪の異常)
+
(全身健康状態低下)
+)定義については CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 9.7.1.3.3: 1 および 9.7.1.3.3: 2 を参照。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.4: 2
特に注目すべき有害事象
・下痢
下痢は大半の患者(85.2%)で発現し,ほとんどの患者(83.4%)で治験薬との因果関係が否定
できないと判断された(表 7.3: 24)。多くの患者(65.5%)で下痢は回復した。下痢の CTCAE grade
が 3 以上だった患者の割合は 17.1%であった(grade 3:16.8%,grade 4:0.3%,grade 5:なし)。
下痢による治験薬の投与中止は少なく(4.3%),本治験の治験実施計画書で規定した減量基準
および推奨された支持療法が効果的であり治験薬の継続投与を可能にしたことが示された。患
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
者の 21.9%で下痢により治験薬が減量された。大部分の患者(73.9%)が下痢のための治療を受
けた。
表 7.3: 24
治験薬投与期に発現した下痢,その処置,転帰および発現までの期間
– TS(Part A)
Afatinib
Patients, n (%)
1154 (100.0)
Mean total time at risk (days)1
146.7
Patients with at least one episode of diarrhoea, n (%)
983 (85.2)
95% CI (%)
Drug-related diarrhoea, n (%)
SAE of diarrhoea, n (%)
83.0, 87.2
963 (83.4)
60 (5.2)
Outcome of diarrhoea AEs, n (%)
Recovered
756 (65.5)
Not yet recovered
166 (14.4)
Recovered with sequelae
1 (0.1)
Fatal
0 (0.0)
Unknown
60 (5.2)
Clinical consequences of diarrhoea, n (%)
Dose reduced
Discontinued study treatment
Therapy required
253 (21.9)
50 (4.3)
853 (73.9)
Highest CTCAE grade of diarrhoea, n (%)
Grade 1
442 (38.3)
Grade 2
343 (29.7)
Grade 3
194 (16.8)
Grade 4
4 (0.3)
Grade 5
0 (0.0)
Patients, n (%)
1154 (100.0)
Time to first onset of diarrhoea within the interval2, n (%)
Day 1 to 14
737 (64.1)
Day 15 to 28
157 (78.2)
Day 29 to 84
76 (86.2)
>Day 84
13 (89.3)
1)リスク期間は,Part B でランダム化割付けされなかった患者では Part A の投与開始から投与終了 + 28 日と
し Part B でランダム化割付けされた患者では Part A の投与開始から Part B の化学療法開始の前日までとし
た。
2)期間中に初回発現をした患者数,期間終了までの有害事象の累積発現割合の Kaplan-Meier 推定量る。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.5.1: 1
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・発疹/ざ瘡+
発疹/ざ瘡+は 69.5%の患者で発現し,そのほとんどの患者(67.9%)で治験薬との因果関係が
否定できないと判定された(表 7.3: 25)。患者の 46.0%が発疹/ざ瘡+のための治療を受け,多
くの患者(42.7%)は回復した。11.4%の患者が発疹/ざ瘡+により治験薬の投与量を減量した。
発疹/ざ瘡+による投与中止例は 17 名(1.5%)と少なく,下痢と同様に,治験実施計画書で規
定された減量方法および推奨された支持療法の効果が示された。発疹/ざ瘡 +の CTCAE grade
はほとんどの患者で低く(grade 1:33.6%,grade 2:25.3%),grade 4 は 1 名であり,grade 5 は
なかった。
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治験薬投与期に発現した発疹/ざ瘡+,その処置,転帰および発現までの期間
表 7.3: 25
– TS(Part A)
Afatinib
1154 (100.0)
Patients, n (%)
Mean total time at risk (days)
1
146.7
Patients with at least one episode of rash/acne, n (%)
802 (69.5)
95% CI (%)
66.8, 72.1
Drug-related rash/acne, n (%)
784 (67.9)
4
SAE of rash/acne, n (%)
(0.3)
Outcome of rash/acne AEs, n (%)
Recovered
493 (42.7)
Not yet recovered
240 (20.8)
Recovered with sequelae
0
(0.0)
Fatal
0
(0.0)
69
(6.0)
Unknown
Clinical consequences of rash/acne, n (%)
131 (11.4)
Dose reduced
17
Discontinued study treatment
(1.5)
531 (46.0)
Therapy required
Highest CTCAE grade of rash/acne, n (%)
Grade 1
388 (33.6)
Grade 2
292 (25.3)
Grade 3
121 (10.5)
Grade 4
Grade 5
1
(0.1)
0
(0.0)
2
Time to first onset of rash/acne within the interval , n (%)
Day 1 to 14
410 (35.7)
Day 15 to 28
198 (53.4)
Day 29 to 84
176 (71.5)
18 (76.9)
>Day 84
1)リスク期間は,Part B でランダム化されなかった患者では Part A の投与開始から投与終了 +28 日とし Part B
でランダム化された患者では Part A の投与開始から Part B の化学療法開始の前日までとした。
2)期間中に初回発現をした患者数,期間終了までの有害事象の累積発現割合の Kaplan-Meier 推定量。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.5.2: 1
・肝障害の有害事象(修正 MedDRA 標準検索式[SMQ]に基づく)
治験薬投与期に発現した SMQ での特定の肝障害の有害事象を表 7.3: 26 に示す。修正 SMQ
[CTD
5.3.5.2-3(U
-1167),Table 9.7.1.3.3: 2 参照]で特定された肝障害の有害事象は患者の 5.1%(59
名)にみられた。このうちのほとんどが臨床検査値(ALT,AST,アルカリホスファターゼま
たは総ビリルビンなど)の変動であった。Potential Hy’s law の基準に該当する患者はなかった。
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臨床検査値の変動以外の有害事象は,胆汁うっ滞,肝臓痛,肝細胞融解性肝炎(各 2 名),肝損
傷,黄疸,および肝不全(各 1 名)であった。
CTCAE grade 3 以上の肝障害の有害事象は 25 名に発現し,grade 3 が 20 名(1.7%),grade 4 が
2 名,grade 5 が 3 名にみられた。Grade 5 の患者 3 名の詳細は下記に記載している。Grade 3 ま
たは 4 の肝障害の有害事象を発現した 22 名の患者のうち 3 名が治験薬の投与を中止(いずれも
治験薬との因果関係はなし)したが,19 名が投与を継続した(うち 16 名が投与量維持,3 名が
減量)。
治験薬との因果関係が否定できないと判断された肝障害の有害事象は 25 名にみられ,grade 5
の 2 名以外はすべて肝酵素または肝機能検査値の異常であった。21 名は投与を継続し(うち 3 名
が減量),4 名が投与を中止した。
重篤な肝障害は 7 名みられ,このうち 5 名の有害事象は治験薬との因果関係はないと判断され
た。
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表 7.3: 26
治験薬投与期に発現した SMQ での特定による肝障害の有害事象
– TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Preferred term
All grades
Patients
Patients with AEs classified as hepatic impairment
Alanine aminotransferase increased
(アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加)
Aspartate aminotransferase increased
(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増
加)
Blood alkaline phosphatase increased
(血中アルカリホスファターゼ増加)
Blood bilirubin increased(血中ビリルビン増加)
1154 (100.0)
Grade 3
Grade 4
Grade 5
1154 (100.0) 1154 (100.0) 1154 (100.0)
59
(5.1)
20
(1.7)
2
(0.2)
3
(0.3)
24
(2.1)
5
(0.4)
0
(0.0)
0
(0.0)
18
(1.6)
2
(0.2)
0
(0.0)
0
(0.0)
10
(0.9)
3
(0.3)
0
(0.0)
0
(0.0)
9
(0.8)
2
(0.2)
1
(0.1)
0
(0.0)
Hypoalbuminaemia(低アルブミン血症)
8
(0.7)
2
(0.2)
0
(0.0)
0
(0.0)
Hyperbilirubinaemia(高ビリルビン血症)
3
(0.3)
2
(0.2)
0
(0.0)
0
(0.0)
Cholestasis(胆汁うっ滞)
2
(0.2)
0
(0.0)
1
(0.1)
0
(0.0)
Cytolytic hepatitis(肝細胞融解性肝炎)
2
(0.2)
0
(0.0)
0
(0.0)
1
(0.1)
Gamma-glutamyltransferase increased
(γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加)
Hepatic pain(肝臓痛)
2
(0.2)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
2
(0.2)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
Transaminase increased(トランスアミナーゼ上昇)
2
(0.2)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
Hepatic enzyme increased(肝酵素上昇)
1
(0.1)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
Hepatic failure(肝不全)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
1
(0.1)
Jaundice(黄疸)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
1
(0.1)
Liver function test abnormal(肝機能検査異常)
1
(0.1)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
Liver injury(肝損傷)
1
(0.1)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
MedDRA 標準検索式については CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 9.7.1.3.3: 2 を参照。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.5.3: 1
肝障害の有害事象を発現した患者のうち,grade 5 であった 3 名,胆汁うっ滞(grade 4)の 1 名,
および肝損傷(grade 3)の 1 名の詳細を記載する。
患者 3300709(34 歳,女性,フランス):20
年 6 月 1 日に治験薬を投与開始し,7 月 27 日に
皮疹のため 1 回目の減量を行った。8 月 18 日に呼吸困難のため入院し,同日,胸水と診断され
た。さらに,同日,肝機能不全を伴う肝細胞融解性肝炎(「ショック肝」)とも診断され,治験
責任医師により治験薬との因果関係が否定できないと判断された。治験薬は 8 月 17 日に中止さ
れた(中止理由:その他の有害事象)。8 月 19 日に疾患の進行によると考えられる急性呼吸不
全のため死亡した。死後所見は,
「癌細胞の多い胸水,既知の癌性増殖による肺実質浸潤,ショ
ックによる肺実質の肝病変包囲,腫瘍状増殖なし」であった。治験参加時の合併症は肥満およ
びてんかんであった。スクリーニング時には肝転移はみられなかった。AST,ALT,アルカリ
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ホスファターゼ,総ビリルビンおよびプロトロンビン時間(PT)-国際標準化比(INR)はすべ
ての来院時検査で基準値内であった。活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)はベースラ
イン(48 S,:範囲 27~43 S)およびその後の検査(範囲:58~79 S)で上昇しており,投与中
の最終測定値(7 月 27 日)は 39 S であった。
患者 3600424(51 歳,男性,白人,ハンガリー)
:20
年 12 月 20 日に治験薬を投与開始した。
12 月 29 日に入院し肝不全と診断された。治験薬との因果関係が否定できないと判断され,同
日,治験薬は中止された(中止理由:その他の有害事象)。翌 12 月 30 日に腎不全を発現し,同
日,死亡した。検死所見により原発巣は右肺の腫瘍で,両側肺,縦隔および肺門リンパ節,お
よび心膜への多数の転移が認められた。肝転移はみられなかった。当初,直接の死因はうっ血
性心不全と判定されたが,その後の病理学的組織学的検査で明確な肝損傷が認められ(「切除部
の目視エリアの全域において小葉中心性壊死,大きな脂肪球,目視エリアをとおした胆汁うっ
滞の徴候およびわずかな炎症」),これらの形成は原疾患および薬物治療に起因した可能性が考
えられ,異常の程度(高度)から判断して直接の死因は肝機能不全と判定された。ベースライ
ン(12 月 16 日)では,AST,アルカリホスファターゼ,総ビリルビンは正常,ALT は異常(45
U/L,基準値:0~40 U/L)であった。11 月 30 日(アルカリホスファターゼ:600 U/L[基準値:
38~275 U/L],AST:77 U/L[10.0~35.0 U/L],ALT:249 U/L[10~40 U/L],乳酸脱水素酵素:
502 U/L[300~400 U/L],γ-グルタミルトランスフェラーゼ:532 U/L[7~47 U/L])および 12
月 30 日(AST:880 U/L,ALT:1850 U/L,ビリルビン:162 µmol/L,LDH:1530 U/L)の肝機
能検査値はすべて増加していた。この患者は 前年*
6 月 23 日から 同年*
ロチニブおよびシスプラチンを投与されていた。エルロチニブは 同年*
4 月 7 日まで,エル
11 月 5 日に再開され
たが,11 月 30 日の X 線診断で心膜液および胸膜液がみられ,肝機能検査値の上昇も認められ
たため,エルロチニブは中止された。他の併用薬は,高血圧のために 5年前*
より服用していた
Lacipil,Lokren,Zenitec,フロセミド,Hypothiazid および Kalium であった。
患者 4400406(48 歳,白人,女性,イギリス)
:20
年 1 月 11 日に治験薬を投与開始した。1 月
25 日より排尿困難および尿路感染を発現し,2 月 4 日にこれらの有害事象のため入院した。2 月
4 日に黄疸も発現した。胆管閉塞と診断され,内視鏡的逆行性胆道膵管造影を実施し,閉塞し
た総胆管にカニューレ挿入しステントを留置した。黄疸は治験薬と因果関係なしと判断された。
治験責任医師によると,病院のスタッフは当該有害事象を疾患進行の徴候と考えた。治験薬は
2 月 6 日に中止された(中止理由:その他)。患者は 2 月 22 日に死亡した。スクリーニング時
に肝転移がみられた。アルカリホスファターゼ(ベースライン:299 U/L,初回治療コース:269
U/L[基準値:24~110 U/L])以外は,ベースラインおよび初回治療コースにおける肝機能検査
値はすべて正常であった。
患者 3580204(56 歳,男性,フィンランド)
:20
年 7 月 15 日に治験薬を投与開始した。疾患
進行により,8 月 16 日に治験薬を中止した。8 月 24 日に予定どおり実施された CT スキャンに
よる評価で疾患進行が確認された。また,偶然に肺塞栓が発見された。8 月 30 日に退院したが,
9 月 1 日に肺塞栓および疾患進行による呼吸困難のため再び入院した。9 月 7 日に退院したが,
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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9 月 12 日に状態の悪化のため,再度入院した。患者は肝臓の腫瘍の進行により胆汁うっ滞を発
現し,痛みの増加を訴えた。状態は悪化し続け,9 月 15 日に死亡した。死因は「胆汁うっ滞」
と報告された。剖検は実施されなかった。胆汁うっ滞および肺塞栓は治験薬との因果関係はな
いと判断された。スクリーニング時および治療中の ALT,AST,および総ビリルビンは正常だ
ったが,アルカリホスファターゼはスクリーニング時(213 U/L)および治療コースの 1 回目お
よび 2 回目に増加(それぞれ 170 U/L および 186 U/L[基準値:30~120 U/L])していた。
患者 8600608(49 歳,東アジア人,男性,中国):20
放射線肺臓炎のため 同年*
年 5 月 6 日に治験薬を投与開始した。
9 月 23 日よりメドロールが投与されていた。9 月 18 日に肝機能検
査値の増加がみられたため(ALT:511 U/L,AST:155 U/L,総ビリルビン:29.3 µmol/L,直接
ビリルビン:7.4 µmol/L),治験薬の投与が中止された。10 月 21 日に肝損傷を発現し,入院し
た。11 月 25 日のフォローアップで肝機能の悪化が確認された(ALT:795 U/L,AST:285 U/L,
総ビリルビン:48.9 µmol/L,直接ビリルビン:15.9 µmol/L)。INR は 1.11 であった。11 月 26
日の臨床検査値は,アルカリホスファターゼ 91/µL,アルブミン 29.9 µ/L,HBV DNA 906749360
IU/mL,HbcAb 0.008 COI,HbeAb 0.003 COI,HbeAg 0.093 COI,HBSAb 2 IU/L,および HBSAg
284.9 COI であった。11 月 30 日の臨床検査値は,ALT 396 U/L,AST 188 U/L および直接ビリル
ビン 30.1 µmol/L であった。治験責任医師はウイルス性肝炎の再発を肝障害の主因と報告した
が,抗ウイルス治療後も直接ビリルビンおよび総ビリルビンともに増加しており,他の原因も
除外できなかった。患者は 12 月 8 日に退院し,定期的なフォローアップが推奨された。12 月
30 日の臨床検査値は,ALT 33 U/L,AST 32 U/L,ビリルビン grade 3,総ビリルビン 45.4 µmol/L,
および直接ビリルビン 13.4 µmol/L であった。翌年*
1 月 12 日には,ビリルビン grade 1,総
ビリルビン 24.9 µmol/L および直接ビリルビン 6.6 µmol/L であった。患者は 同年*
4 月 19 日
からウイルス肝炎の病歴を有していた。治験責任医師は有害事象と治験薬との因果関係はなく,
メドロールとの因果関係が否定できないと判断し,肝損傷はウイルス性肝炎に起因するとした。
関連治験のデータベースでは,肝損傷は grade 3,非重篤で,治験薬との因果関係が否定できな
いと記録されている。
・急性腎不全の有害事象(修正 MedDRA 標準検索式[SMQ]に基づく)
修正 SMQ[CTD 5.3.5.2-3(U
-1167),Table 9.7.1.3.3: 2 参照]で特定された腎機能不全の有害
事象は患者の 4.9%(56 名)にみられた(表 7.3: 27)。このうち 17 名が grade 3 以上(grade 3:
12 名,grade 4:4 名,grade 5:1 名)であった。これらの有害事象は不十分な経口摂取,悪心,
嘔吐,下痢を伴い,感染症または疾患進行に起因していた。16 名で治験薬との因果関係が否定
できないと判断された。このうち重篤例が 11 名で,死亡例が 1 名(腎不全)であった。
腎機能不全を発現した 56 名中 51 名は治験薬の投与を継続し,そのうち 8 名で用量を減量した。
4 名が治験薬の投与を中止し,他の 1 名(患者 4400302)は死亡した。腎機能不全により治験薬
を中止した 4 名のうち 3 名(患者 4900115,6100204 および 8200335)が静脈内水分補給後に回
復した。他の 1 名(8860902)は有害事象(GFR 減少)が回復しなかった。本有害事象は,ベ
ースラインから合併していた高カルシウム血症に起因すると考えられた。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
腎不全は患者の 1.6%に,急性腎不全は 1.2%に発現した。腎機能障害は 3 名(0.3%)に発現し
たがいずれも grade 1 または grade 2 であった。有害事象として報告されたクレアチニン,糸球
体濾過率および尿素の変動はそれぞれ 1.3%,0.8%および 0.7%の患者でみられた。
表 7.3: 27
治験薬投与期に発現した SMQ での特定による急性腎不全の有害事象– TS
(Part A)
Afatinib
n (%)
Preferred term
All grades
Patients
1154 (100.0)
Patients with AEs classified as renal
insufficiency
Renal failure(腎不全)
Grade 3
Grade 4
1154 (100.0)
1154 (100.0)
Grade 5
1154 (100.0)
56
(4.9)
12
(1.0)
4
(0.3)
1
(0.1)
18
(1.6)
1
(0.1)
2
(0.2)
1
(0.1)
Blood creatinine increased(血中クレ
アチニン増加)
Renal failure acute(急性腎不全)
15
(1.3)
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
14
(1.2)
7
(0.6)
2
(0.2)
0
(0.0)
Glomerular filtration rate decreased
(糸球体濾過率減少)
Blood urea increased(血中尿素増加)
9
(0.8)
3
(0.3)
0
(0.0)
0
(0.0)
8
(0.7)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
Renal impairment(腎機能障害)
3
(0.3)
0
(0.0)
0
(0.0)
0
(0.0)
MedDRA 標準検索式については CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 9.7.1.3.3: 2 を参照。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.5.4: 1
Grade 5 の腎機能不全を発現した 1 名の詳細を下記に記載する。
患者 4400302(74 歳,白人,男性,イギリス):20
翌年*
年 12 月 13 日に治験薬を投与開始した。
1 月 6 日に発熱を伴う感染を発現し,大腸菌性敗血症に伴う敗血症性ショックによる虚
脱状態で入院した。発現時の好中球絶対数は正常であり同日,grade 2 の下痢を発現し,これは
治験薬との因果関係が否定できないと判断された。下痢は 1 月 12 日に回復した。治験薬は 1
月 6 日に中止された(中止理由:その他の有害事象)。1 月 16 日に腎不全を発現し,死亡した。
CIOMS では死因は敗血症性ショックを伴う敗血症とされ,感染および腎不全は転帰が死亡の有
害事象と報告された。臨床データベースでは,腎不全のみが致死的/grade 5 の有害事象と報告
された。腎不全および感染は治験薬との因果関係はないと判断された。
・間質性肺疾患の有害事象(修正 MedDRA 標準検索式[SMQ]に基づく)
修正 SMQ[CTD 5.3.5.2-3(U
-1167),Table 9.7.1.3.3: 2 参照]で特定された間質性肺疾患(ILD)
様有害事象は患者の 2.1%(24 名)にみられ(表 7.3: 28),うち重篤な有害事象は 17 名に発現
した。このうち 7 名での有害事象が致死的であった(急性呼吸窮迫症候群 4 名,ILD 2 名,肺
臓炎 1 名)。
10 名で治験薬との因果関係が否定できないと治験責任医師に判断され,このうち 7 名が ILD,
3 名が肺臓炎であった。急性呼吸窮迫症候群および肺浸潤で治験薬との因果関係が否定できな
いと判断された有害事象はなかった。肺浸潤を発現した患者では,有害事象は感染症や疾患進
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行などの他の原因に起因すると考えられた。肺臓炎の多く(9 名中 6 名)は治験薬との因果関
係がなく,また多く(9 名中 6 名)は治験薬の投与を継続した。
表 7.3: 28
治験薬投与期に発現した SMQ での特定による間質性肺疾患の有害事象
– TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Preferred term
All grades
Patients
1154 (100.0)
Patients with AEs classified as interstitial lung
disease
Pneumonitis(肺臓炎)
Grade 3
1154 (100.0)
Grade 4
Grade 5
1154 (100.0)
1154 (100.0)
24
(2.1)
7
(0.6)
4
(0.3)
7
(0.6)
9
(0.8)
3
(0.3)
0
(0.0)
1
(0.1)
Acute respiratory distress syndrome
(急性呼吸窮迫症候群)
Interstitial lung disease(間質性肺疾患)
7
(0.6)
2
(0.2)
1
(0.1)
4
(0.3)
7
(0.6)
1
(0.1)
3
(0.3)
2
(0.2)
Lung infiltration(肺浸潤)
1
(0.1)
1
(0.1)
0
(0.0)
0
(0.0)
MedDRA 標準検索式については CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 9.7.1.3.3: 2 を参照。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.5.5: 1
Grade 5 の ILD 様有害事象を発現した 7 名の詳細を下記に記載する。
患者 8860124(71 歳,東アジア人,男性,台湾)
:20
目の減量を行った(同年*
年 8 月 23 日に治験薬を投与開始し,1 回
9 月 2 日)。Grade 3 の食欲不振により 9 月 21 日から 10 月 15 日ま
で入院した。肺炎も発現していた(9 月 21 日~10 月 8 日)。10 月 6 日に治験薬を中止した(中
止理由:同意の撤回)。10 月 22 日に閉塞性肺臓炎(報告用語:胸痛 grade 2 および閉塞性気道
障害 grade 3,発現日 10 月 22 日。肺臓炎 grade 5,発現日 10 月 25 日。いずれも治験薬と因果関
係なし)を発現した。患者は左のビデオ補助下胸部手術後の創傷疼痛を感じ,10 月 22 日に救
急室に来院,胸部 X 線診断により左肺浸潤が,胸部穿刺により滲出液がみられた。10 月 23 日
に入院し,10 月 25 日に死亡した。患者は元喫煙者で,呼吸困難を合併していた。
患者 3300609(63 歳,男性,フランス):20
年 6 月 22 日に治験薬を投与開始した。8 月 6 日
に腫瘍画像診断により疾患進行が確認された。8 月 17 日に全身健康状態変化および grade 3 の
下痢(8 月 6 日から 19 日に発現)により入院した。治験薬は 8 月 17 日に投与中止された(中
止理由:RECIST に基づく疾患進行)。8 月 20 日に急性呼吸窮迫症候群を発現した。治験責任医
師は,当該有害事象は治験薬との因果関係はないと判断し,8 月 6 日の腫瘍画像診断結果より
疾患進行に関連した有害事象と判断した。また,8 月 22 日に実施された画像検査により新たな
肺病変および胸水の増加もみられた。8 月 28 日に呼吸窮迫症候群のため死亡した。患者は元喫
煙者で,投与前に咳嗽および呼吸困難がみられた。4年前*
に肺の放射線療法を受けていた(総
照射量:66 Gy)。
患者 3300634(59 歳,女性,フランス):20
年 1 月 4 日に治験薬を投与開始した。1 月 13 日
に投与前からみられた呼吸困難の悪化により入院し,1 月 17 日に回復した。1 月 31 日に急性呼
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吸窮迫症候群を発現し,再度入院し,治験薬の投与を中止した。本有害事象は治験薬との因果
関係はないと判断された。2 月 4 日に死亡した。患者は元喫煙者で,投与前に咳嗽および呼吸
困難を有していた。3年前*
に肺の放射線療法(部位不明)および 1年前*
に寛骨臼への放射線
を受けていた。
患者 3400108(78 歳,白人,女性,スペイン):20
年 2 月 2 日に治験薬を投与開始し,減量
を 1 回行った(4 月 2 日)。4 月 27 日に急性呼吸窮迫症候群を発現し,5 月 3 日に入院した。本
有害事象は治験薬との因果関係はないと判断された。治験薬の投与は 5 月 3 日に中止された(中
止理由:その他)。放射線画像により両側肺浸潤および肺塞栓が認められた。部分的脾動脈塞栓
術による感染の徴候や薬物毒性はみられなかった。5 月 11 日に死亡した。肺の検死解剖所見は,
「肺動脈,特に遠位で顕著な肺動脈内の多数の血栓像,しばしば一部組織化された像を伴う浸
出期のびまん性肺胞障害(少し前に発現)。化学放射線療法と因果関係があるかもしれない軽度
から中等度の中隔線維症。低分化型腺癌。末梢性肺梗塞。感染因子は認めず。」患者には喫煙歴
はなかった。投与前に呼吸困難を有していた。1年前*
に肺の放射線療法を受けていた(総照射
量:46 Gy)。
患者 3400203(72 歳,白人,女性,スペイン)
:20
は 2 回行った(10 月 11 日および 11 月 15
日)。翌年*
年 8 月 30 日に治験薬を投与開始し,減量
1 月 10 日に治験薬を投与中止した(中
止理由:その他の有害事象)。1 月 12 日に急性呼吸窮迫症候群を発現し,入院した。胸部 X 線
所見で両側浸潤および両側胸水が認められた。有害事象は疾患進行によるもので,胸水および
浸潤は疾患進行の徴候であり,治験薬との因果関係はないと判断された。患者は 翌年*
15 日に死亡した。患者は元喫煙者で,2年前*
1 月
に放射線治療を受けていた(部位不明,総照射量:
60 Gy)
患者 3300706(64 歳,男性,フランス):20
年 5 月 19 日に治験薬を投与開始した。7 月 22
日に呼吸困難を伴う間質性肺疾患を発現し,入院した。CT スキャンで間質性肺疾患が認めら
れた(気管支鏡検査は未実施)。間質性肺疾患は治験薬との因果関係が否定できないと判断され
た。治験薬は有害事象のため 7 月 21 日に中止された。患者は 7 月 30 日に間質性肺疾患のため
死亡した。患者は喫煙者であった。
患者 3300725(52 歳,女性,フランス):20
年 1 月 25 日に治験薬を投与開始した。2 月 4 日
に発熱および低酸素症を伴う呼吸困難の悪化により入院した。2 月 7 日の CT スキャンで両側
間質性肺症候群および縦隔アデノパシーの悪化が認められた。2 月 6 日に治験薬は投与中止さ
れた(中止理由:その他の有害事象)。治療後の回復に伴い,2 月 9 日に一旦退院したが,2 月
10 日に再度入院した。胸部 X 線を実施したが,間質性肺疾患の確認のための気管支鏡検査は患
者の拒否により実施しなかった。治験責任医師は感染または癌性リンパ管症の疑いはないと考
え,血液培養は実施しなかった。2 月 17 日に間質性肺疾患のため死亡した。治験薬との因果関
係が否定できないと判断された。患者は元喫煙者で,1年前*
に左腋窩リンパ節に放射線を受け
ていた(総照射量:36 Gy)。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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・心不全の有害事象(修正 MedDRA 標準検索式[SMQ]に基づく)
修正 SMQ[CTD 5.3.5.2-3(U
-1167),Table 9.7.1.3.3: 2 参照]で特定された心不全の有害事象
は患者の 1.0%(12 名)にみられた(表 7.3: 29)。Grade 3 以上の有害事象は 7 名に発現し,こ
のうち心不全の 2 名,および基本語で急性肺水腫,心肺不全,急性左室不全の各 1 名の計 5 名
が重篤で,心肺不全および急性左室不全(各 1 名)は致死的であった。心不全の有害事象を発
現した患者の 4 名で有害事象は治験薬との因果関係が否定できないと判断された。
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表 7.3: 29
治験薬投与期に発現した SMQ での特定による心不全の有害事象 – TS
(Part A)
Afatinib
n (%)
Preferred term
All grades
Grade 3
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
12 (1.0)
4 (0.3)
1 (0.1)
2 (0.2)
Cardiac failure(心不全)
4 (0.3)
2 (0.2)
1 (0.1)
0 (0.0)
Pulmonary oedema(肺水腫)
3 (0.3)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
Ejection fraction decreased(駆出率減少)
2 (0.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Acute left ventricular failure(急性左室不全)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.1)
Acute pulmonary oedema(急性肺水腫)
1 (0.1)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
Cardiopulmonary failure(心肺不全)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
1 (0.1)
Patients
Patients with AEs classified as heart failure
Grade 4
Grade 5
MedDRA 標準検索式については CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 9.7.1.3.3: 2 を参照。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.2.2.5.6: 1
Grade 5 の心不全の有害事象を発現した 2 名の詳細を下記に記載する。
患者 4900304(87 歳,白人,女性,ドイツ):20
年 12 月 22 日に治験薬を投与開始した。患
者は,呼吸困難,下肢浮腫および間欠性殿部痛のため 12 月 17 日より入院していた。12 月 23
日に心肺不全を発現したため入院期間が延長された。本有害事象は「NSCLC に関連し臨床的な
腫瘍の進行の症状」と考えられ,治験薬との因果関係はないと判断された。12 月 23 日に治験
薬は当該有害事象のため中止された。患者は 12 月 27 日に死亡した。スクリーニング時に患者
は病期 IV であり,胸水がみられた。ベースラインに心不全,慢性閉塞性肺疾患および肺結核
がみられた。
患者 8600302(68 歳,東アジア人,男性,中国)
:20
年 5 月 11 日に治験薬の投与を開始した。
減量を 1 回行った(5 月 26 日)。5 月 14 日に治験薬の過量投与(100 mg)があったため,5 月
17 日に治験薬の投与は中断され,5 月 26 日に再開された。6 月 7 日に急性左心不全を発現した。
治験薬との因果関係が否定できないと判断され,治験薬は 6 月 8 日に中止された(中止理由:
疾患進行の臨床徴候および症状)。患者は 6 月 18 日に急性左心不全のため死亡した。ベースラ
インの病態は心房細動および高血圧であった。ECG では洞調律で,右心室肥大がみられた。ベ
ースラインの心エコーでは心臓構造および血流は正常で,駆出率は 62%であった。スクリーニ
ング時に病期 IV であり,胸水もみられた。
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死亡,その他の重篤な有害事象
死亡
治験薬投与期間中の致死的な有害事象のうち 2 名以上に発現したものを表 7.3: 30 に示す。致死
的な有害事象は計 16.0%の患者に発現した。最も多かったものは悪性新生物(4.2%)で,次い
で全身健康状態低下(2.2%),呼吸困難(1.9%)および肺炎(1.4%)であった。11 名の患者で
治験薬との因果関係が否定できないと判断された。
特別に注目すべき grade 5 の有害事象が 13 名で発現し,内訳は肝機能障害 3 名,腎不全 1 名,
ILD7 名,心不全 2 名であった。
表 7.3: 30
治験薬投与期中に 2 名以上で発現した致死的有害事象(グループ用語および
基本語)– TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Grouped or preferred term
1154
(100.0)
185
(16.0)
Neoplasm malignant(悪性新生物)
48
(4.2)
General physical health deterioration(全身健康状態低下)
25
(2.2)
Dyspnoea(呼吸困難)
22
(1.9)
Pneumonia(肺炎)
16
(1.4)
Respiratory failure(呼吸不全)
8
(0.7)
Death(死亡)
5
(0.4)
Acute respiratory distress syndrome(急性呼吸窮迫症候群)
4
(0.3)
Disease progression(疾患の進行)
3
(0.3)
Haemoptysis(喀血)
3
(0.3)
Pleural effusion(胸水)
4
(0.3)
Pulmonary embolism(肺塞栓症)
4
(0.3)
Sudden death(突然死)
4
(0.3)
Acute respiratory failure(急性呼吸不全)
2
(0.2)
Cerebrovascular accident(脳血管発作)
2
(0.2)
Interstitial lung disease(間質性肺疾患)
2
(0.2)
Myocardial infarction(心筋梗塞)
2
(0.2)
Pulmonary haemorrhage(肺出血)
2
(0.2)
Patients
Patients with at least one AE leading to death
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U
-1167),Table 12.3.1: 1
治験薬との因果関係が否定できないと判断された致死的有害事象を発現した 11 名のうち 6 名の
詳細を下記に記載する(他の 5 名[患者 3300706,3300725,3300709,3600424,8600302]は
特に注目すべき有害事象の項に記載している)。
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患者 4901402(65 歳,白人,女性,ドイツ)
:20
年 5 月 5 日に治験薬の投与を開始し,2 回減
量を行った(5 月 27 日および 6 月 29 日)。治験薬は 7 月 9 日に中止された(中止理由:その他
の有害事象)。7 月 10 日に左側運動障害のため入院した。同日,心内膜炎(grade 5,因果関係
が否定できない)および尿路感染(grade 2,因果関係なし)を発現した。7 月 14 日に脳血管発
作(grade 4)と診断された。患者は 8 月 2 日に病院で死亡した。ベースラインで肺塞栓,深部
静脈血栓症,下痢および腎不全を有していた。
患者 3301104(60 歳,女性,フランス):20
年 6 月 24 日に治験薬の投与を開始した。9 月 5
日に入院し,大葉性肺炎(grade 5,因果関係が否定できない)が認められた。その他の有害事
象として低血圧および下痢がみられた。患者は 9 月 11 日に大葉性肺炎のため死亡した。入院時
には好中球減少症はみられなかった。治験薬は 9 月 6 日に投与中止された(中止理由:RECIST
に基づく疾患進行)。ベースラインで喘息を有していた。以前に肺葉切除術を受けていた。
患者 8860506(46 歳,東アジア人,女性,台湾)
:20
年 8 月 25 日に治験薬の投与を開始した。
8 月 29 日に下痢を発現したため入院した。その他の有害事象として便失禁,尿失禁,口腔内潰
瘍形成および末梢性浮腫がみられた。治験薬は 9 月 6 日に投与中止された(中止理由:疾患進
行の徴候および症状)。入院中の 9 月 7 日に肺炎(grade 5,因果関係が否定できない)と診断さ
れ,入院期間を延長した。9 月 9 日に肺炎のため死亡した。ベースラインで胸痛および咳嗽が
みられた。
患者 3600405(71 歳,白人,女性,ハンガリー)
:20
年 10 月 7 日に治験薬の投与を開始した。
10 月 8 日に grade 2 の下痢を発現し,治験薬との因果関係が否定できないと判断された。治験
薬は 10 月 31 日に中止された(中止理由:その他の有害事象)。11 月 3 に下痢による脱水(grade 5,
因果関係が否定できない)のため入院した。治療後 11 月 10 日に下痢が回復したが,11 月 13
日に死亡した。死因は脱水と報告された。ベースラインで問題のある病態はみられなかった。
患者 3800301(68 歳,白人,男性,ウクライナ):20
年 11 月 24 日に治験薬の投与を開始し
た。12 月 27 日に心房細動(grade 5,因果関係が否定できない)を発現し,入院した。治験薬
は 12 月 29 日に中止された(中止理由:その他の有害事象)。その他の有害事象として期外収縮
および浮動性めまい(いずれも grade 2 で,因果関係なし),悪性新生物(grade 5,因果関係な
し)がみられた。翌年*
1 月 7 日に死亡した。ベースラインで冠動脈硬化症,心筋虚血,洞性
不整脈,高血圧,糖尿病および前立腺腺腫がみられた。
患者 8200502(42 歳,東アジア人,女性,韓国):20
年 5 月 24 日に治験薬を投与開始した。
患者は,胸水のドレナージおよび支持療法のため 5 月 1 日より入院していた。6 月 5 日に呼吸
困難(grade 5,因果関係が否定できない)を発現し,胸部 X 線で右肺葉に肺癌,血行性リンパ
管性転移,両側肺にスリガラス状陰影および両側の胸水(転移性腺癌と一貫性がある悪性細胞
陽性)が認められた。その他の有害事象として,洞性頻脈,悪心,嘔吐,口内炎,ざ瘡,そう
痒症および発熱がみられた。6 月 6 日に治験薬は投与中止された(中止理由:その他の有害事
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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象)。6 月 9 日に呼吸困難のため死亡した。喫煙歴はなく,スクリーニング時は病期 IV 期で,
両側肺および複数のリンパ節への転移がみられた。ベースライン時に咳嗽および呼吸困難がみ
られた。
また,grade 5 の疲労+を発現した下記の 1 名(基本語:無力症)は医学的に考えにくい症例の
ため,記載する。
患者 3600101(59 歳,白人,女性,ハンガリー):20
年 2 月 16 日に治験薬を投与開始し,3
月 31 日に投与中止した(中止理由:RECIST に基づく疾患進行)。4 月 7 日に脱力(基本語:無
力症)を発現し,入院した。4 月 8 日に「肺癌の進行による本有害事象のため」,死亡した(CIOMS
報告による)。治験薬との因果関係はないと判断された。ベースラインで糖尿病および筋緊張亢
進がみられた。
重篤な有害事象
因果関係に関わらず 1%超の患者で発現した重篤な有害事象を表 7.3: 31 に示す。患者の 38.9%
が重篤な有害事象を発現した。最も多かったのは呼吸困難(5.5%)で,次いで下痢(5.2%)お
よび悪性新生物(4.7%)であった。CTCAE grade は grade 3 が 13.0%,grade 4 が 3.9%,grade 5
が 15.9%の患者でみられた。1%超の患者で発現した grade 5 の重篤な有害事象は,悪性新生物
(4.2%),全身健康状態低下(2.2%),呼吸困難(1.9%)および肺炎(1.3%)であった。
表 7.3: 31
治験薬投与期中に患者の 1%超で発現した重篤な有害事象(最も重い CTCAE
grade によるグループ用語および基本語別)– TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Grouped or preferred term
Patients
Patients with at least one SAE
All grades
Grade 3
1154 (100.0)
1154 (100.0)
Grade 4
1154 (100.0)
Grade 5
1154 (100.0)
449
(38.9)
150
(13.0)
45
(3.9)
183
(15.9)
Dyspnoea(呼吸困難)
63
(5.5)
23
(2.0)
8
(0.7)
22
(1.9)
Diarrhoea(下痢)
60
(5.2)
39
(3.4)
4
(0.3)
0
(0.0)
Neoplasm malignant(悪性新生物)
54
(4.7)
3
(0.3)
2
(0.2)
48
(4.2)
Pleural effusion(胸水)
48
(4.2)
27
(2.3)
2
(0.2)
4
(0.3)
General physical health deterioration
(全身健康状態低下)
46
(4.0)
10
(0.9)
7
(0.6)
25
(2.2)
Pneumonia(肺炎)
38
(3.3)
15
(1.3)
5
(0.4)
15
(1.3)
Dehydration(脱水)
17
(1.5)
8
(0.7)
0
(0.0)
1
(0.1)
Vomiting(嘔吐)
17
(1.5)
6
(0.5)
0
(0.0)
0
(0.0)
Pulmonary embolism(肺塞栓症)
16
(1.4)
2
(0.2)
6
(0.5)
4
(0.3)
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U
-1167),Table 12.3.2: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 539
試験 1200.42
治験薬との因果関係が否定できないと判断された重篤な有害事象のうち 2 名以上(0.2%以上)
の患者で発現したものを表 7.3: 32 に示す。治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できない
と判断した重篤な有害事象は患者の 10.4%に発現した。最も多かったのは下痢(5.0%)で,次
いで嘔吐(1.2%)および脱水(1.0%)であった。Grade 3 の治験薬との因果関係が否定できな
い重篤な有害事象は患者の 6.1%に,grade 4 は 0.7%に発現した。grade 3 で 1%超の患者にみら
れたものは下痢のみであった。Grade 5 の治験薬との因果関係が否定できない重篤な有害事象は
1.0%(11 名)に発現し,これらは治験薬との因果関係が否定できない致死的な有害事象と同じ
である。
Page 540
試験 1200.42
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表 7.3: 32
治験薬投与期中に 2 名以上に発現した,治験薬との因果関係が否定できない
重篤な有害事象(最も重い CTCAE grade によるグループ用語および基本語
別)– TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Grouped or preferred term
All grades
Grade 3
Grade 4
Grade 5
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
1154 (100.0)
120 (10.4)
70 (6.1)
8 (0.7)
11 (1.0)
Diarrhoea(下痢)
58 (5.0)
38 (3.3)
3 (0.3)
0 (0.0)
Vomiting(嘔吐)
14 (1.2)
6 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
Dehydration(脱水)
12 (1.0)
8 (0.7)
0 (0.0)
1 (0.1)
Decreased appetite(食欲減退)
7 (0.6)
6 (0.5)
0 (0.0)
0 (0.0)
Renal failure acute(急性腎不全)
7 (0.6)
3 (0.3)
1 (0.1)
0 (0.0)
Dyspnoea(呼吸困難)
6 (0.5)
3 (0.3)
0 (0.0)
1 (0.1)
Interstitial lung disease(間質性肺疾患)
6 (0.5)
1 (0.1)
3 (0.3)
2 (0.2)
5 (0.4)
3 (0.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (0.3)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
3 (0.3)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
4 (0.3)
2 (0.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
2 (0.2)
2 (0.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
Hypokalaemia(低カリウム血症)
2 (0.2)
2 (0.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
Pneumonia(肺炎)
2 (0.2)
1 (0.1)
0 (0.0)
1 (0.1)
Pyrexia(発熱)
2 (0.2)
1 (0.1)
0 (0.0)
0 (0.0)
Patients
Patients with at least one drug-related SAE
Stomatitis(口内炎)
Fatigue(疲労)
+
+
Nausea(悪心)
Rash/acne(発疹/ざ瘡)
+
General physical health deterioration
(全身健康状態低下)
+)定義については CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 9.7.1.3.3: 1 および 9.7.1.3.3: 2 を参照。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.3.2: 2
臨床検査値
Part A の臨床検査値については,一部の血液学的検査および血液生化学検査項目(ヘモグロビ
ン,カリウムおよびナトリウムの低値,およびカリウム,ナトリウム,PT-INR,aPTT,クレア
チニン,AST,ALT,総ビリルビンおよびアルカリホスファターゼの高値)について評価・検
討した。なお,低ナトリウム血症と高ナトリウム血症および低カリウム血症と高カリウム血症
は,別々に集計しなかった。たとえば,grade 2 の高ナトリウム血症が 1 名に発現し,grade 2
の低ナトリウム血症が 1 名に発現した場合,grade 2 のナトリウム変動 2 名として集計した。
ベースラインからの CTCAE grade の変動
治験薬投与期間中の最も重い CTCAE grade 別の臨床検査値を表 7.3: 33 に示す。
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Page 541
試験 1200.42
ベースラインのヘモグロビンは,grade 3 であった 2 名を除く全患者で grade 0 または 1 であっ
た。治験薬投与期間中に grade 3 への変動が患者の 1.6%にみられ,grade 0 および 1 から grade 4
への変動は 2 名にみられた。
ベースラインの aPTT は grade 2 が 2 名および grade 3 が 10 名の計 12 名を除く全例で grade 0 ま
たは 1 であった。治験薬投与期間中に grade 3 が 25 名(2.6%)の患者にみられ,これらの患者
のベースライン値は,14 名が正常または CTCAE grade 1,2 名が grade 2,9 名が既に grade 3 で
あった。ベースラインの PT-INR は grade 2 の 5 名および grade 3 の 8 名の計 13 名を除く全例で
grade 0 または 1 であった。治験薬投与期間中に grade 3 を示した 18 名(1.9%)のベースライン
値は,7 名が正常または grade 1,4 名が grade 2,7 名が既に grade 3 であった。
ベースラインのナトリウムは grade 3 の 13 名および grade 4 の 1 名の計 14 名を除く全例が grade 0
または 1 であった。治験薬投与期間中に grade 3 を示した 47 名(4.3%)のうち,43 名がベース
ラインで grade 0 または 1,4 名が既に grade 3 であった。治験薬投与期間中に grade 4 を示した
4 名のうち,2 名はベースラインで正常,各 1 名が grade 3 および grade 4 であった。ベースライ
ンのカリウムは,grade 2 の 6 名および grade 3 の 3 名の計 9 名を除く全例で grade 0 または 1 で
あった。治験薬投与期間中に grade 3 を示した 43 名(3.9%)のうち 41 名はベースラインで grade
0 または 1,2 名が grade 2 であった。治験薬投与期間中に grade 4 を示した 10 名は,1 名がベー
スラインで grade 3,残りの 7 名は正常または grade 1 であった。
AST,ALT および総ビリルビンで治験薬投与期間中に grade 4 を示した患者はいなかった。ベー
スラインの AST は全例で grade 0,1 または 2 であった。治験薬投与期間中に grade 3 を示した
8 名(0.7%)のうち,7 名がベースラインで grade 0 または 1,1 名が grade 2 であった。ベース
ラインの ALT は grade 2 の 14 名および grade3 の 1 名を除く全例で grade 0 または 1 であった。
治験薬投与期間中に grade 3 を示した患者は 7 名(0.6%)で,6 名がベースラインで grade 0 ま
たは 1,1 名が grade 2 であった。
ベースラインのクレアチニンは全例で grade 0,1 または 2 であった。治験薬投与期間中に grade 3
を示したのは 1 名のみであった(ベースラインの grade は 1)。ベースラインのビリルビンは grade
3 の 1 名を除く全例で grade 0,1 または 2 であった。治験薬投与期間中に grade 3 を示した 10
名(0.9%)のうち,8 名がベースラインで grade 0 または 1,1 名が grade 2,1 名が grade 3 であ
った。
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表 7.3: 33
臨床検査値(治験薬投与期中の最も重い CTCAE grade 別)– TS(Part A)
Patients1
Parameter
n (%)
Worst CTCAE grade on treatment
Grade 0
n (%)
Grade 1
n (%)
Grade 2
n (%)
Grade 3
n (%)
Grade 4
n (%)
1108 (100.0)
372 (33.6)
529 (47.7)
187 (16.9)
18 (1.6)
aPTT
944 (100.0)
801 (84.9)
100 (10.6)
18 (1.9)
25 (2.6)
-2
PT-INR
939 (100.0)
788 (83.9)
122 (13.0)
11 (1.2)
18 (1.9)
-2
Sodium
1099 (100.0)
728 (66.2)
317 (28.8)
3 (0.3)
47 (4.3)
4 (0.4)
Potassium
1103 (100.0)
760 (68.9)
269 (24.4)
21 (1.9)
43 (3.9)
10 (0.9)
AST
1100 (100.0)
810 (73.6)
258 (23.5)
24 (2.2)
8 (0.7)
0 (0.0)
ALT
1105 (100.0)
812 (73.5)
233 (21.1)
53 (4.8)
7 (0.6)
0 (0.0)
ALKP
1082 (100.0)
638 (59.0)
367 (33.9)
58 (5.4)
17 (1.6)
2 (0.2)
Creatinine
1101 (100.0)
859 (78.0)
198 (18.0)
43 (3.9)
1 (0.1)
0 (0.0)
Total bilirubin
1100 (100.0)
991 (90.1)
18 (1.6)
10 (0.9)
0 (0.0)
Haematology
Haemoglobin
2 (0.2)
Coagulation
Electrolytes
Enzymes
Substrates
81
(7.4)
1)ベースライン後データが 1 つ以上ある患者。
2)定義なし。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.4: 1
臨床的に重要な変動(PCSA)
CTCAE grade が 2 以上で,grade がベースラインから 1 以上増加と定義した PCSA(CTCAE の
定義のない検査値はベーリンガーインゲルハイム社の基準に基づいた)の発現率の要約を表
7.3: 34 に示す。
PCSA はヘモグロビンで最もよくみられ,19.4%の患者で臨床的に重要な低値への変動がみられ
た。この発現率は医学的に予測されたものであった。
肝機能検査値における PCSA の頻度は AST で 2.6%,ALT で 5.0%および総ビリルビンで 2.3%
であった。
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表 7.3: 34
臨床的に重要な変動 – TS(Part A)
Patients1
n
Patients with possibly
clinically significant
decrease
n (%)
Patients with possibly
clinically significant
increase
n (%)
989
192 (19.4)
1 (0.1)
aPTT
980
-2
34 (3.5)
PT-INR
986
-2
27 (2.7)
Sodium
1090
44 (4.0)
4 (0.4)
Potassium
1107
47 (4.2)
24 (2.2)
1101
-2
29 (2.6)
1103
-
2
55 (5.0)
1046
-
2
79 (7.6)
1099
-2
60 (5.5)
1104
2
25 (2.3)
Parameter
Haematology
Haemoglobin
Coagulation
Electrolytes
Enzymes
AST
ALT
ALKP
Substrates
Creatinine
Total bilirubin
-
臨床的に重要な変動は,CTCAE grade 2 以上でベースラインから 1 grade 以上増加したものと定義した。
1)ベースラインに臨床的に重要な変動のなかった患者。
2)評価なし。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.4: 2
Potential Hy's law 該当例
治験薬と因果関係が否定できない肝損傷の発現を検討した。AST または ALT が基準値上限の 3
倍超およびアルカリホスファターゼが基準値上限の 2 倍未満,かつ総ビリルビンが基準値上限
の 2 倍超の患者はなく,Potential Hy's law の基準に該当する患者はいなかった(表 7.3: 35)。
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表 7.3: 35
ALT または AST が基準値上限の 3 倍超かつアルカリホスファターゼが基準値
上限の 2 倍未満の患者 – TS(Part A)
Afatinib
n (%)
Patients evaluable
1
1029
Mean time at risk period (days)
(100.0)
143.8
Patients ALT or AST >3 ULN simultaneous with ALKP <2 ULN
30
(2.9)
26
(2.5)
≥ULN and <2 ULN
3
(0.3)
≥2 ULN3
0
(0.0)
>3 ULN and ≤5 ULN
22
(2.1)
>5 ULN and ≤10 ULN
4
(0.4)
>10 ULN
0
(0.0)
>3 ULN and ≤5 ULN
6
(0.6)
>5 ULN and ≤10 ULN
3
(0.3)
>10 ULN
0
(0.0)
Maximum total bilirubin
2
<ULN
Maximum ALT
Maximum AST
1)ALT,AST およびアルカリホスファターゼの欠測値がない患者,または ALT または AST の欠測値があるが
ALT/AST が基準値上限の 3 倍超かつアルカリホスファターゼが基準値上限の 2 倍未満の基準に合致する
患者。
2)患者 4901306 は治験薬投与期間中の総ビリルビンの測定値なし。
3)Potential Hy's law の基準は,ALT または AST が基準値上限の 3 倍超に増加の前後 30 日以内に総ビリルビン
が増加し,ALT または AST の増加が測定された日にアルカリホスファターゼが基準値上限の 2 倍未満と測
定された患者。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.4: 3
AST/ALT が基準値上限の 3 倍超かつ同時にアルカリホスファターゼが基準値上限の 2 倍未満
の患者で,ALT が基準値上限の 10 倍超の患者はなく,5 倍超から 10 倍未満の患者が 4 名であ
った。この 4 名の詳細を下記に記載する。
患者 8860314 は治験登録時に肝転移を有していた。治験薬は 20
月 26 日まで投与され,減量は 2 回行われた(同年*
年 11 月 3 日から 翌年*
12 月 23 日および 翌年*
2
2 月 8 日)。治
験薬投与期間中のほとんどの測定において,ALT,AST およびアルカリホスファターゼが増加
していた。ALT はベースラインで既に高値であった。ビリルビンは治験薬投与期間中,正常値
であった。AST および ALT の増加は有害事象としても報告され,治験薬との因果関係が否定で
きないと判断された。ALT 増加のために治験薬を減量したが,治験薬の投与は継続された。患
者は 翌年*
2 月 26 日に窒息(食物窒息)を発現し,そのため 3 月 6 日に死亡した。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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患者 8860322 は治験薬を 20
年 12 月 29 日から 翌年*
1 月 12 日に 1 回行われた。翌年*
3 月 22 日まで投与され,減量は 翌年*
2 月 23 日に C 型肝炎を発現し,最終報告の 6 月 16 日の
時点では「未回復」であった。同日の 2 月 23 日に AST および ALT の増加がみられ,治験薬と
の因果関係が否定できない有害事象として報告された。前述したように,2 月 23 日に ALT の
増加(基準値上限の 2 倍),3 月 23 日(投与中止の翌日)には AST および ALT の増加(基準値
上限の約 10 倍)がみられた。4 月 13 日の EOT 来院では ALT は基準値上限の 2 倍未満であっ
た。アルカリホスファターゼおよびビリルビンはすべての測定時に正常値であった。
患者 8200342 は治験薬を 20
年 10 月 21 日から同年 12 月 23 日まで投与され,減量(下痢のた
め)は 12 月 6 日に 1 回行われた。アルカリホスファターゼおよびビリルビンはすべての測定時
に正常値であった。AST および ALT は EOT 来院時(12 月 23 日)の測定で増加がみられるま
では正常値であった。aPTT および INR はベースラインおよびほとんどすべての測定時に増加
していた。同年*
11 月 30 日に深部静脈血栓症を,同年*
ずれも致死的で 12 月 24
日に死亡した。患者は 1年前*
12 月 20 日に呼吸困難を発現し,い
に深部静脈血栓症および肺塞栓症の病歴
を有していた。
患者 8861002 は治験薬を 20
年 8 月 4 日から 27 日まで投与された。投与中止の理由は,疾患
進行であった。肝機能検査値はベースラインおよび初回の治療コースでは正常であったが,EOT
来院時(同年*
9 月 8 日)に ALT および AST の増加がみられた。疾患進行に起因する心肺不
全のため 同年*
9 月 21 日に死亡した。
バイタルサイン,身体所見および安全性に関連する他の観察項目
左室駆出率(LVEF)
MUGA スキャンまたは心エコー検査により求められたベースラインおよび治験薬投与期間中
の最終の LVEF の要約を表 7.3: 36 に示す。ベースラインの平均値は 64.4%(中央値 64.0%)で
あった。EOT における平均値は 64.2%(中央値 65.0%)で,問題となる変動はみられなかった。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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表 7.3: 36
左室駆出率の要約 – TS(Part A)
Value
Change from baseline
Patients1, n
1140
-
Mean (StD)
64.4 (7.1)
-
Median
64.0
-
Q1-Q3
60.0-69.0
-
45-92
-
Patients1, n
493
485
Mean (StD)
64.2 (7.7)
-0.2 (11.3)
Median
65.0
0.00
Q1-Q3
60.0-70.0
-6.35-6.35
35-83
-43.7-40.7
Baseline LVEF [%]
Range (min-max)
Last LVEF value on treatment [%]
Range (min-max)
Part A の治験薬投与期は,Part B に移行しなかった患者では治験薬の投与開始から最終投与 28 日後まで,Part B
に移行した患者では Part B の化学療法開始の前日までとした。
1)測定値のある患者。
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.5: 1
LVEF の重要な減少(ベースラインからの 20%以上の減少で,当該実施施設の基準値下限未満)
がみられた 10 名を表 7.3: 37 に示す。10 名のうち 3 名が心不全を示唆する有害事象を発現し,
治験薬との因果関係が否定できないと判断された(grade 1 の心不全を発現した患者 3600420,
駆出率減少の患者 4400605 および 4401101)。
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表 7.3: 37
LVEF の重要な減少がみられた患者 – TS(Part A)
Patient
number
Age /
sex
LVEF at
baseline
(%)
3300502
3600413
3600420
74/M
67/F
62/M
64
71
62
Last LVEF on
treatment
(%)
Change from
baseline (%)
50
-21.9
40
-43.7
45
-27.4
LLN of
LVEF of
the site
(%)
60.0
50.0
50.0
8200453
8200309
8860604
54/M
61/M
71/F
64
52
57
48
40
45
-25.0
-23.1
-21.1
50.0
55.0
53.0
8860607
3800108
4400605
34/M
62/M
72/M
63
68
55
42
53
35
-33.3
-22.1
-36.4
53.0
55.0
50.0
Cardiac or other
relevant conditions
reported as
baseline condition
Hypertension
Pericardial
effusion, pleural
effusion,
hypertension
Myocardial
ischaemia
Relevant AEs1
Cardiac failure
(drug-related)
Pleural effusion
Bifascicular block,
ejection fraction decreased
(drug-related)
4401101 56/M
63
43
-31.7
50.0
Ejection fraction
decreased (drug-related)
LVEF の重要な減少は,ベースラインからの 20%以上の減少で,当該実施施設の基準値下限未満と定義。
1)有害事象が治験薬との因果関係が否定できない場合は基本語の後に括弧内に記載
引用元:CTD 5.3.5.2-3(U -1167),Table 12.5: 2
結論
本治験の Part A の中間解析では,化学療法およびエルロチニブまたはゲフィチニブによる前治
療後に疾患進行を示した病期 IIIB/IV の NSCLC の患者において,不可逆的な ErbB ファミリ
ー阻害剤であるアファチニブの単独投与の臨床的ベネフィットが確認された。PFS,腫瘍縮小
効果,および OS の臨床的ベネフィットは,本治験(Part A)と同様の患者を対象に実施された
プラセボ対照の試験 1200.23 の結果と一貫性があった。どちらの試験も,選択基準を従来の化
学療法および第一世代の可逆的 EGFR TKI に奏効し,その後抵抗性を示した患者とすることで,
より EGFR 遺伝子変異を有する可能性が高い患者を対象としたと言える。本治験ではさらに
EGFR 遺伝子変異を有する可能性を臨床的に高める選択基準(EGFR TKI の治療期間が 48 週以
上または前 EGFR TKI の効果が CR/PR)を採用することで,EGFR 遺伝子変異陽性を有する
可能性が高い患者集団を特定できるという試験 1200.23 の所見を裏付けた。本治験で EGFR 遺
伝子変異を有する可能性が臨床的に高い患者は,他の患者集団に比べて長い PFS にみられるよ
うに,より大きな治療効果を得られ,この結果は EGFR 遺伝子変異陽性の患者における結果と
類似していた。PFS に対する治療効果は腺癌および扁平上皮癌を含む腫瘍組織型に関わらず一
貫性があった。
アファチニブの安全性データおよび有害事象のプロファイルはアファチニブの 50 mg 開始用量
を検討した先行試験の結果と一貫性があった。下痢および発疹/ざ瘡+により投与中止した患者
の割合が同有害事象の grade 3 の発現率と比較して低かったことから,治験実施計画書で規定し
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 548
試験 1200.42
た減量基準および推奨された支持療法が効果的であり,アファチニブの継続投与を可能にした
と示唆された。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.
その他の臨床試験報告書
8.1
その他の臨床試験 1200.37
Page 549
試験 1200.37
(資料番号 5.3.5.4-1)
試験方法
試験方法の概略を表 8.1: 1 に示す。
表 8.1: 1
目的
試験方法の概略(1/3)
シスプラチン + 5 フルオロウラシル(5-FU)またはシスプラチン+パクリタキセルと併用し
て連日投与した場合のアファチニブ(BIBW 2992)の安全性,最大耐量(MTD),薬物動態
を評価する。
試験の種類
上げ下げ法(up-and-down 法)による非対照,非盲検,用量設定試験
対象
対象疾患
各種進行固形癌患者
選択基準
1.
切除不能および/または転移性の癌と組織診または細胞診により確定診断された患
者。頭頚部,食道,肺,子宮頚部の扁平上皮癌患者が望ましい。
2.
治験責任医師の判断に基づき,標準療法としてシスプラチン+パクリタキセルまたはシ
スプラチン+5-FU のいずれかが適用できる患者
3.
年齢が 18 歳以上の患者
4.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
5.
ICH-GCP ガイドラインに従って,文書による同意が得られた患者
6.
ECOG パフォーマンススコア(PS)が 2 以下の患者
7.
前治療(化学療法,ホルモン療法,免疫療法,放射線療法)に関連する毒性から回復
している患者
8.
過去の手術から回復している患者
除外基準
1.
活動性の感染症を有する患者
2.
治験薬の吸収が低下する可能性のある胃腸障害または慢性の下痢を有する患者
3.
治験責任医師が治験実施計画書に適合しないと判断した重篤な疾患または腫瘍以外の
合併症を有する患者
4.
未治療または症状のある脳転移を有する患者。治療後,無症候性の脳転移の患者で,
脳疾患の状態が 4 週間以上不変,過去 4 週間に脳浮腫または脳出血がない,およびス
テロイドおよび抗てんかん療法による治療を行っていない場合は適格とする。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.1: 1
対象(続き)
Page 550
試験 1200.37
試験方法の概略(2/3)
5.
安静時左室駆出率が 50%未満の患者
6.
好中球絶対数(ANC)が 1500/mm3 未満の患者
7.
血小板数が 100000/mm3 未満の患者
8.
総ビリルビンが施設基準値上限の 1.5 倍を超える患者
9.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニン・アミノトランス
フェラーゼ(ALT)が施設基準値上限の 3 倍を超える患者
10.
血清クレアチニンが施設基準値上限の 1.5 倍を超える患者
11.
性生活がある男女で,医学的に適切な避妊を行う意思のない患者
12.
妊娠中または授乳中の女性
13.
他の治験薬(化学療法,免疫療法,放射線療法)の投与を受けた患者,または投与開
始前 4 週間以内他の抗癌剤の臨床試験に参加した患者または本治験中にに参加予定の
ある患者
14.
治験薬投与開始前 4 週間以内(トラスツズマブの場合は 2 週間)に,EGFR 阻害剤ま
たは HER2 阻害剤による治療を受けた患者または本治験中に受ける予定のある患者
試験薬剤
15.
治験実施計画書を遵守できない患者
16.
アルコール依存患者や薬物乱用患者
17.
基礎疾患として間質性肺疾患が確認されている患者
18.
治験実施計画書に記載されている併用禁止療法による治療が必要な患者
アファチニブ錠(20 mg,30 mg フィルムコート錠)
レジメン A:アファチニブ/シスプラチン+パクリタキセル
レジメン B:アファチニブ/シスプラチン+5-FU
目標症例数
66 名まで(同意取得例数:52 名,登録症例数:47 名)
レジメン A:26 名
レジメン B:21 名
投与方法
投与方法:
投与期間
コホート 1:20 mg 1 日 1 回,コホート 1a:30 mg 1 日 1 回,コホート 2:40 mg 1 日 1 回,
コホート 3:50 mg 1 日 1 回
経口投与
投与期間:
臨床的な疾患進行,過度の毒性,治療中止基準に合致,または患者もしくは治験責任医師
のいずれかによる投与中止の要請が認められるまで継続投与した。
レジメン A:8~666 日間
レジメン B:26~229 日間
観察項目
観察時期
スケジュールの項を参照
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.1: 1
Page 551
試験 1200.37
試験方法の概略(3/3)
評価項目
有効性および臨床薬理学の評価項目:
評価基準
薬物動態パラメータ,薬力学的パラメータ,RECIST 第 1.0 版に基づく腫瘍縮小効果
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価した),臨床検査値,ECOG パフォーマンス・スコ
ア(PS),左室機能
解析方法
記述統計解析
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(ベルギー,3 施設)
治験実施期間
20
年
月~20
年
月
Page 552
試験 1200.37
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.1: 2
検査・観察スケジュール(レジメン A:アファチニブ/シスプラチン+パクリ
タキセル)
治験薬投与期
(Day 1~21)
第 1 コース
スクリー
ニング
Visit
Day(各投与期)
同意取得
患者背景
血清β-HCG
既往歴・合併症
選択基準/除外基
準
心エコー/MUGA
スキャン 4)
身体所見
腫瘍評価
腫瘍マーカー6)
12 誘導デジタル心
電図
ECOG パフォーマ
ンス・スコア(PS)
併用療法
バイタルサイン
臨床検査 8)
聴力検査 10)
尿検査 11)
血液凝固検査
有害事象
服薬状況確認
薬物動態用の採血
13)
アファチニブの処
方
パクリタキセル投
与
シスプラチン投与
14)
アファチニブ投与
15)
-14
~0
X
X
X
X
X
治験薬投与期
(Day 22~42)
第 2 コース
治験薬投与期
第 3 コース以 EOT1)
降
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
1
2
3
10
21
1
2
3
10
21
1
10
21
X3)
X
X3)
X3)
X4)
X4)
X
X5)
X
X
X5)
X
X7)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X5
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X9)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X9)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
FU2)
X
X
X9)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X5)
X
X
X12)
第 1 コースの Visit 3(Day 3)に 1 日 1 回連日経口
投与を開始
X
治験薬投与終了
X
治験終了
1) EOT:治験薬投与終了時。治験薬を永続的に中止する場合は,最終来院時と同様に検査を実施。
2) FU:追跡調査の来院,EOT 来院の 30(±7)日後。
3) 反復投与のために適格性を確認。
4) MUGA スキャンまたは心エコーは,反復投与時は同じ検査方法とし,12 週間ごとおよび EOT 時に実施し
た。
5) ベースライン腫瘍評価は治験薬投与開始前 28 日以内に実施。腫瘍評価/再診断は,投与開始後 2 コース
ごとに実施することとし,EOT の腫瘍評価はその前の 4 週間以内に実施した場合は任意とする。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
6)
7)
8)
9)
10)
11)
12)
Page 553
試験 1200.37
原疾患と関連のある腫瘍マーカーが陽性の患者のみを対象とした。
心電図検査は偶数の投与コースのみ実施。
血液学的検査および血液生化学的検査を含む。
前回の臨床検査から 48 時間以上経過し,次の投与コースの実施に適格な患者のみを対象とした。
聴力検査はベースラインおよび EOT 時に実施。必要と判断される場合は中間の聴力検査を実施した。
尿蛋白陽性の場合,定量検査を実施。
EOT 時に有害事象が継続している場合,治験薬との因果関係が否定できないと判断された新たな有害事
象が発現した場合および重篤な有害事象はすべて評価の対象とした。
13) 第 3 コース以降では薬物動態用の採血は行わない。
14) シスプラチン注入は,3 時間にわたるパクリタキセル注入が終了した後に開始した。
15) アファチニブ投与は第 1 コースの Day 3(48 時間時点における薬物動態用の採血後)に開始し,EOT ま
で 1 日 1 回連日投与する。患者は服用間隔を約 24 時間とするため,毎朝食前の同じ時間にアファチニブ
を服用した。第 1 コースおよび第 2 コースの期間中,服用するよう指示があるまで(すなわち,トラフ
時の薬物動態用の採血を終えるまで)アファチニブを服用してはならなかった。
引用元:CTD 5.3.5.4-1(U -1190),Table 9.5: 1
Page 554
試験 1200.37
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.1: 3
検査・観察スケジュール(レジメン B:アファチニブ/シスプラチン+ 5-FU)
治験薬投与期
(Day 1~21)
第 1 コース
スクリー
ニング
Visit
Day(各投与期)
同意取得
患者背景
血清β-HCG
既往歴・合併症
選択基準/除外基
準
心 エ コ ー / MUGA
スキャン 4)
身体所見
腫瘍評価
腫瘍マーカー6)
12 誘導デジタル心
電図
ECOG パ フ ォ ー マ
ンス・スコア(PS)
併用療法
バイタルサイン
臨床検査 8)
聴力検査 10)
尿検査 11)
血液凝固検査
有害事象
服薬状況確認
薬物動態用の採血
13)
アファチニブの処
方
シスプラチン投与
5-FU 投与 14)
アファチニブ投与 15)
-14
~0
X
X
X
X
X
治験薬投与期
(Day 22~42)
第 2 コース
治験薬投与期
第 3 コース以
降
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
1
2
5
10
21
1
2
5
10
21
1
10
21
X3)
X
X3)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X9)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X9)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
FU2)
X3)
X4)
X4)
X
X5)
X
X
X5)
X
X7)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X5)
X
EOT1)
X
X
X9)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X5)
X
X
X12)
X
X
X
X
X
X
第 1 コースの Visit 3(Day 5)に 1 日 1 回連日経口
投与を開始
X
治験薬投与終了
X
治験終了
1) EOT:治験薬投与終了時。治験薬を永続的に中止する場合は,最終来院時と同様に検査を実施。
2) FU:追跡調査の来院,EOT 来院の 30(±7)日後。
3) 反復投与のために適格性を確認。
4) MUGA スキャンまたは心エコーは,反復投与時は同じ検査方法とし,12 週間ごとおよび EOT 時に実施し
た。
5) ベースライン腫瘍評価は投与開始前 28 日以内に実施。腫瘍評価/再診断は,治験薬投与開始後 2 コース
ごとに実施することとし,EOT の腫瘍評価はその前の 4 週間以内に実施した場合は任意。
6) 原疾患と関連のある腫瘍マーカーが陽性の患者のみを対象とした。
7) 心電図検査は偶数の投与コースのみ実施。
8) 血液学的検査および血液生化学的検査を含む。
9) 前回の臨床検査から 48 時間以上経過し,次の投与コースの実施に適格な患者のみを対象とした。
10) 聴力検査はベースラインおよび EOT 時に実施。必要と判断される場合は中間の聴力検査を実施した。
11) 尿蛋白陽性の場合,定量検査を実施。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 555
試験 1200.37
12) EOT 時に有害事象が継続している場合,治験薬との因果関係が否定できないと判定された新たな有害事
象が発現した場合および重篤な有害事象はすべて評価の対象とした。
13) 第 3 コース以降では薬物動態用の採血は行わない。
14) 5-FU の 96 時間持続注入はシスプラチン注入が終了した後に開始した。
15) アファチニブ投与は第 1 コースの Day 5(98 時間時点における薬物動態用の採血直後)に開始し,EOT
まで 1 日 1 回連日投与する。患者は服用間隔を約 24 時間とするため,毎朝食前の同じ時間にアファチニ
ブを服用した。第 1 コースおよび第 2 コースの期間中,服用するよう指示があるまで(すなわち,トラ
フ時の薬物動態用の採血を終えるまで)アファチニブを服用してはならなかった。
引用元:CTD 5.3.5.4-1(U -1190),Table 9.5: 2
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 556
試験 1200.37
試験結果
試験結果の概略を表 8.1: 4 に示す。
表 8.1: 4
有効性の結果:
試験結果の概略(1/5)
有効性
26 名(男性 15 名,女性 11 名)がレジメン A に参加し,アファチニブ,シス
プラチン,パクリタキセルの投与を受けた。年齢の中央値は 60 歳であった。
また,レジメン B には 21 名(男性 13 名,女性 8 名)が参加し,アファチニ
ブ,シスプラチン,5-FU を投与された。年齢の中央値は 56 歳であった。
大半の患者(47 名中 45 名)が 1 コース以上の投与を完了した。投与期間の
中央値は,レジメン A で 127 日間(範囲 8~666 日間),レジメン B で 57 日
間(範囲 26~229 日間)であった。
腫瘍縮小効果は RECIST 第 1.0 版に基づき評価した。客観的な腫瘍縮小効果と
して部分奏効(PR)および完全奏効(CR)を評価した。治験責任医師による
標的および非標的病変の評価は治験薬投与開始前 28 日以内および投与開始
後 2 コースごとに実施した。
レジメン A では,5 名が客観的な腫瘍縮小効果を示し,CR は扁桃扁平上皮癌
患者 2 名,PR は卵巣腺癌患者,ファーター膨大部の腺癌患者,および食道扁
平上皮癌患者の 3 名で観察された。最良総合効果が安定(SD)だった患者は
9 名で,8 名で最良総合効果が疾患進行(PD)だった。残りの 4 名は評価不
能(NE)であった。全体で, 26 名中 14 名で病勢コントロールが観察された。
レジメン B では,1 名が客観的な腫瘍縮小効果を示し,CR が舌扁平上皮癌患
者 1 名で観察され,PR は観察されなかった。5 名は最良総合効果が SD であ
り,9 名で最良総合効果が PD であった。残りの 6 名は NE であった。全体で,
21 名中 6 名で病勢コントロールが観察された。
本治験は有効性を検証することを目的としてデザインされていないが,結果
から患者に対する医学的な有益性が示唆された。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.1: 4
Page 557
試験 1200.37
試験結果の概略(2/5)
有効性の結果:(続き)
薬物動態
アファチニブ:アファチニブ経口投与後の吸収速度は中程度であった。アフ
ァチニブの連日投与において,レジメン A では 7 日間以内,レジメン B では
5 日間以内に定常状態に到達した。アファチニブの血漿中濃度は投与量の増
加と共に上昇した。いずれのレジメンにおいても,併用薬であるシスプラチ
ンの増量に伴い,アファチニブの曝露の減少傾向が示された。アファチニブ
の全身クリアランスおよび分布容積は比較的大きく,組織分布が広範に及ぶ
ことが示唆された。
シスプラチン,パクリタキセル,および 5-FU は,アファチニブの薬物動態に
顕著な影響を及ぼさないと考えられた。
シスプラチン:シスプラチン静脈内投与後の血漿中濃度-時間推移は,アファ
チニブの非併用時(第 1 コース)とアファチニブの連日投与における併用時
(第 2 コース)で同様であった。シスプラチンの血漿中濃度および曝露は投
与量の増加と共に上昇した。また,シスプラチンの血漿中濃度および曝露量
は第 1 コースと比較して第 2 コースでわずかに上昇した。このことは,シス
プラチンの半減期が長く,第 2 コースのトラフの濃度値が測定可能であった
ことから,シスプラチンの蓄積に起因すると考えられる。
しかし,アファチニブの連日投与がシスプラチンの薬物動態に影響を及ぼす
可能性は否定できない。
パクリタキセル:パクリタキセル静脈内投与後の血漿中濃度-時間推移は,ア
ファチニブの非併用時とアファチニブの連日投与における併用時で同様であ
った。
アファチニブ連日投与はパクリタキセルの薬物動態に影響を及ぼさず,臨床
的に問題となるような薬物相互作用は認められなかった。
5-FU:5-FU 静脈内投与後の血漿中濃度-時間推移は,アファチニブの非併用
時とアファチニブの連日投与における併用時で同様であった。5-FU の消失半
減期は非常に短く,静脈内投与後の血漿中濃度は非常に速やかに低下した。
アファチニブ連日投与は 5-FU の薬物動態に影響を及ぼさず,臨床的に問題と
なるような薬物相互作用は認められなかった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.1: 4
安全性の結果:
Page 558
試験 1200.37
試験結果の概略(3/5)
本治験に参加した患者群は第 I 相癌試験を代表するものであり,ベースライ
ンのバイタルサインに大きなばらつきが認められた。
最大耐量の決定
レジメン A では,最大耐量(MTD)は,パクリタキセル 175 mg/m²およびシ
スプラチン 75 mg/m²と併用した場合,アファチニブ 20 mg であった。
レジメン B では,MTD は,シスプラチン 75 または 100 mg/m²ならびに 5-FU
750 mg/m²と併用した場合,アファチニブ 30 mg であった。
アファチニブの MTD は,第 1 コース中の用量制限毒性(DLT)に基づいて決
定した。全体で 47 名中 9 名に DLT が発現した。第 1 コース中の DLT の発現
率は,レジメン A で 19.2%(26 名中 5 名),レジメン B で 19.0%(21 名中 4
名)であった。発現した DLT は,レジメン A では無力症,発熱性好中球減少
症,粘膜の炎症,腎不全, ALT 増加,AST 増加,γ-グルタミルトランスフェ
ラーゼ増加,および血中乳酸脱水素酵素増加であり,レジメン B では食欲減
退,下痢,疲労,粘膜の炎症,口内炎,および血小板減少症であった。第 1
コース中に発現したた DLT はいずれも致死性でなかった。DLT による治験薬
の永続的な投与中止は,レジメン A の 2 名,レジメン B の 1 名で認められた。
レジメン A では,第 1 コース中の DLT はアファチニブ 30 mg(2 名),40 mg
(2 名),および 50 mg(1 名)の投与で発現した。レジメン B では,第 1 コ
ース中の DLT は 5-FU 1000 mg/m²併用時のアファチニブ 30 mg(2 名),およ
びアファチニブ 40 mg(2 名)で発現した。
有害事象の発現率および重症度
47 名全員に治験薬との因果関係否定できない有害事象が発現した。発現率が
高かった治験薬との因果関係否定できない有害事象は,レジメン A では下痢
(88.5%),悪心(73.1%),疲労(53.8%),貧血(46.2%),好中球減少症(46.2%),
食欲減退(46.2%)および嘔吐(46.2%)であり,レジメン B では悪心(85.7%),
食欲減退(76.2%),下痢(76.2%),疲労(71.4%),嘔吐(61.9%),貧血(42.9%)
および好中球減少症(42.9%)であった。
重篤な有害事象の発現率は高かった(レジメン A で 69.2%およびレジメン B
で 71.4%)。 発 現率が高か った重篤な有 害事象は,レ ジメン A では下 痢
(34.6%),悪心(19.2%),腎不全(19.2%)および脱水(15.4%)であり,レ
ジメン B では食欲減退(47.6%),嘔吐(33.3%),悪心(28.6%)および下痢
(23.8%)であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.1: 4
Page 559
試験 1200.37
試験結果の概略(4/5)
安全性の結果:(続き)
ヘモグロビン濃度減少,好中球数減少,白血球数減少,リンパ球数減少,血
小板数減少および電解質不均衡などの発現率が高かった臨床検査値変動も有
害事象として報告された。
レジメン A では患者の 38.5%が有害事象により治験薬投与を中止し,その割
合はレジメン B(47.6%)の方が大きかった。投与中止の理由で多かったのは,
悪心,嘔吐,下痢,食欲減退および疲労であった。
治験期間中に合計 6 名が死亡した(レジメン A で 11.5%およびレジメン B で
14.3%)。また,レジメン A の 1 名が試験後期間に死亡した。致死的な有害事
象は,レジメン A では心房細動,急性肺水腫,急性呼吸窮迫症候群,全身健
康状態低下および敗血症性ショックであり,レジメン B では全身健康状態低
下および悪性新生物進行であった。レジメン A では治験薬を投与された 2 名
に発現した致死的な有害事象は治験薬のと因果関係が否定できないと判断さ
れた。レジメン B の致死的な有害事象はいずれも治験薬との因果関係がない
と判断された。
本試験で特に注目すべき有害事象は発現率が高く,下痢が 88.5%
(レジメン A)
および 85.7%(レジメン B),悪心が 84.6%および 90.5%,嘔吐が 50.0%およ
び 66.7%,ならびに発疹は 65.4%および 52.4%を示した。患者は特に注目すべ
き有害事象のためしばしば適切な処置を必要とした。
本治験期間中に間質性肺疾患の症例は観察されなかった。シスプラチンとの
因果関係があるかもしれないと判断した聴器毒性が複数の症例で認められ
た。潜在的な心毒性のモニタリングで,複数の患者で心臓障害(頻脈,伝導
障害,心房細動,右脚ブロック,心電図 ST 部分上昇,および駆出率減少)の
発現が確認された。
治験薬の投与量と有害事象の種類または重症度との明確な関連性は確立され
なかった。しかし,アファチニブおよび化学療法剤の投与量の増量に伴い,
有害事象の発現率の全般的な上昇傾向が認められた。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.1: 4
結論:
Page 560
試験 1200.37
試験結果の概略(5/5)
本治験における有効性の探索的および記述的評価の結果から,アファチニブ
および化学療法剤が併用投与された患者における臨床的ベネフィットが示唆
された。客観的な腫瘍縮小効果は,レジメン A の 26 名中 5 名およびレジメン
B の 21 名中 1 名で報告された。
本治験期間中に収集した薬物動態データから,シスプラチン,パクリタキセ
ル,および 5-FU は,アファチニブの薬物動態に顕著な影響を及ぼさないこと
が示唆された。また,アファチニブの連日投与はパクリタキセルおよび 5-FU
の薬物動態に影響を及ぼさなかった。シスプラチンの血漿中濃度は第 2 コー
スのアファチニブ併用時にわずかに上昇した。シスプラチンの半減期が長い
ことから,この上昇は連日投与後のシスプラチンの蓄積に起因すると考えら
れた。
全般的な有害事象プロファイルは,アファチニブおよび化学療法剤の既知の
安全性プロファイルと一致した。予想外の所見は認められなかった。
用量制限毒性の情報に基づき,レジメン A の最大耐量はパクリタキセル
175 mg/m²およびシスプラチン 75 mg/m²と併用した場合,アファチニブ 20 mg
と決定された。レジメン B の最大耐量は,シスプラチン 75 または 100 mg/m²
ならびに 5-FU 750 mg/m²と併用した場合,アファチニブ 30 mg と決定された。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.2
Page 561
試験 1200.68
その他の臨床試験 1200.68
(資料番号 5.3.5.4-2)
試験方法
試験方法の概略を表 8.2: 1 に示す。
表 8.2: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
HER2 陽性の乳癌患者を対象に,トラスツズマブ(ハーセプチン®)週 1 回と併用投与したと
きのアファチニブ(BIBW 2992)連日投与の最大耐量(MTD)を決定する。またトラスツズマ
ブ併用時のアファチニブの安全性,薬物動態,薬力学的パラメータ,および有効性を評価する。
試験の種類
非盲検,用量漸増試験
対象
対象疾患
HER2 を過剰発現した(免疫組織化学検査において 3+,または 2+で FISH 法による遺伝子増幅
の結果が陽性)進行性または転移性乳癌患者。トラスツズマブまたはラパチニブによる前治療
(術後補助療法または転移癌の治療のため)は許容されるが,必要条件ではない。
選択基準
1.
年齢が 18 歳以上の女性患者
2.
HER2 を過剰発現した(免疫組織化学検査において 3+,または 2+で FISH 法による遺伝子
増幅の結果が陽性)進行性または転移性乳癌患者。トラスツズマブまたはラパチニブによ
る前治療(術後補助療法または転移癌の治療のため)は許容されるが,必要条件ではない。
患者カルテに記載された過去の HER2 陽性の記録があれば本選択基準に合致するとして良
い。
3.
コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴画像(MRI)により少なくとも 1 次元で正確
に測定可能な最長径 10 mm 以上の腫瘍病変もしくは臨床的に測定可能な最長径 10 mm 以
上の病変(キャリパーにより測定)が 1 つ以上認められる患者
4.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
5.
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
6.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0,1,または 2 の患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 1
対象(続き)
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試験 1200.68
試験方法の概略(2/4)
除外基準
1.
活動性の感染症を有する患者
2.
未治療または症候性の脳転移のある患者。治療を受けた無症候性の脳転移の患者で,4 週
間以上にわたり脳転移病変に変化がなく,過去 4 週間以内に脳浮腫および脳出血のいずれ
も認められない場合,本治験に適格とする。
3.
治験実施計画書を遵守できない患者
4.
クローン病,吸収不良,原因を問わず grade 2 を超える下痢など,ベースラインにおいて
主症状として下痢を伴う重大な胃腸障害が認められるか,または急性胃腸障害が最近認め
られる患者
5.
その他の生命を脅かす疾患または臓器系機能障害を有する患者で,治験責任医師が患者の
安全性に悪影響を及ぼす,または被験薬の安全性の評価を妨げると判断した患者
6.
治験開始前 28 日以内に他の治験薬の投与を受けた患者
7.
過去の手術から完全に回復していない患者
8.
HIV 感染,活動性 B 型肝炎または活動性 C 型肝炎感染が確認されている患者
9.
薬物乱用またはアルコール依存症が確認されているか,または疑われる患者
10. 治験薬投与開始前 2 週間以内に放射線療法を受けた患者
11. 治験薬投与開始前 4 週間以内に化学療法,ホルモン療法(癌以外の維持療法に必要とした
酢酸メゲストロールまたはデキサメタゾン投与量 4 mg 以下[または相当量]の経口ステ
ロイドを除く)または免疫療法の前治療がある患者
12. 前治療(化学療法,ホルモン療法,免疫療法,放射線療法)に関連する毒性から完全に回
復(grade 1 未満)していない患者。前化学療法は,治験薬投与開始 4 週間以上前(マイト
マイシン C またはニトロソウレアについては 6 週間以上前)に完了し,患者がその治療薬
の急性毒性から回復している場合には可とする。
13. 治験薬投与開始前 4 週間以内ま EGFR 標的治療もしくは EGFR または HER2 阻害剤による
治療を受けた患者または本治験中に参加予定の患者
14. 妊娠中または授乳中の女性。治験期間中,医学的に適切な避妊法を用いる意思のない妊娠
可能な女性
15. ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類 3 のうっ血性心不全,狭心症,心筋梗塞,不
整脈など,臨床的に問題となるまたはコントロール不能な心疾患の既往症または合併症を
有する患者
16. マルチゲート心血液プールイメージング(MUGA スキャン)または心エコーにより測定
した安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満の患者
17. 好中球絶対数が 1500/mL 未満の患者
18. 血小板数が 100000/mL 未満の患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 1
対象(続き)
Page 563
試験 1200.68
試験方法の概略(3/4)
19. ビリルビンが 1.5 mg/dL(26 µmol/L,SI 単位相当)を超えるか,またはアスパラギン酸ア
ミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が基
準値上限(ULN)の 3 倍以上(肝転移が関連している場合は基準値上限の 5 倍以上)であ
る患者
20. 血清クレアチニンが基準値上限(ULN)の 1.5 倍を超えるか,またはクレアチニンクリア
ランス計算値/測定値が 45 mL/min 以下の患者
21. トラスツズマブ,アファチニブ,マウス蛋白質またはそれらの添加物のいずれかに対する
過敏症が確認されている患者
22. 進行性悪性腫瘍の合併症による重度の安静時呼吸困難が認められるか,または酸素補充療
法を必要とする患者
23. 基礎疾患として間質性肺疾患が確認されている患者
24. 治験実施計画書に記載された併用禁止療法のいずれかによる治療が必要な患者
試験薬剤
アファチニブ錠(20 mg,30 mg,40 mg,50 mg フィルムコート錠)
トラスツズマブ 注射剤用凍結乾燥粉末(1 バイアル中にトラスツズマブ粉末 150 mg)
目標症例数
目標症例数:
登録症例 40 名
実施症例数:
スクリーニング登録症例 25 名,登録症例 18 名
アファチニブ 20 mg 投与群:登録症例 16 名,投与症例 16 名,解析症例(主要評価項目)13
名
アファチニブ 30 mg 投与群:登録症例 2 名,投与症例 2 名,解析症例(主要評価項目)2 名
投与方法
投与方法:
投与期間
トラスツズマブとアファチニブの併用投与。
アファチニブ錠:20 mg から開始,1 日 1 回経口投与
トラスツズマブ:週 1 回投与,初回投与時:4 mg/kg,2 回目以降:2 mg/kg,90 分間点滴静脈
内投与
投与期間:
臨床的な疾患進行または過度の毒性が認められるまで投与を継続。
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性および薬物動態の評価項目:
評価基準
RECIST 第 1.1 版に基づき腫瘍評価を行う。主要評価項目はなし。
副次評価項目:客観的な腫瘍縮小効果(完全奏効[CR],部分奏効[PR])
(患者全体および脳
転移を有する患者),最良効果,病勢コントロール(完全奏効,部分奏効,安定[SD]),無増
悪生存期間[PFS],アファチニブおよびトラスツズマブの薬物動態パラメータ
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試験 1200.68
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 1
評価項目
試験方法の概略(4/4)
安全性の評価項目:
評価基準(続き) 主要評価項目:第 1 コースにみられた用量制限毒性(DLT)に基づく MTD の評価
副次評価項目:有害事象(MedDRA Version
に従いコード化し,CTCAE 第 3.0 版に従って
評価した),臨床検査値,バイタルサイン,心電図,左室駆出率
解析方法
記述統計解析
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(英国,5 施設)
治験実施期間
20
年 月~20
年
月(進行中)
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試験 1200.68
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.2: 2
Study Period
検査・観察スケジュール(第 1 コース)
スクリーニ
ング
治験薬投与期 1
EOT1
FU2
第 1 コース
Visit
1
2
3
4
5
6
Day
1
8
15
22
29
-14~-1
X
同意取得/患者情報
X
患者背景
X
既往歴・合併症
X
X
選択基準/除外基準
X
X
X
身体所見
X
身長
ECOG パフォーマンス・スコア
X
X
X
X
X
X
(PS)
X
X
X
X
X
X
X
バイタルサイン(血圧 + 心拍数)
X
X
X
X
X
X
X
体重
X
X
X
X
X
X
X
X
心電図
X
X
X
腫瘍評価 3
X
X
X
左室駆出率 4
X
X
X
X
X
X
X
X
臨床検査 5
X
X
X
X
X
血液凝固検査
6
X
腫瘍マーカー
X7
X
X
X
X
薬物動態
8
X
X
X
X
尿検査
X
X
妊娠検査
X
X
X
X
X
X
X9
有害事象
X
X
X
X
X
X
X
X
併用療法
X
X
腫瘍生検 10
X
X
X
X
X
アファチニブ服薬状況確認
X
トラスツズマブ 4 mg/kg 投与 11
X
X
X
X
トラスツズマブ 2 mg/kg 投与 11
アファチニブ投与 12
Day 1~29,1 日 1 回
X
X13
アファチニブの処方
X
治験薬投与終了
X
患者の治験参加終了
1) EOT:治験薬投与終了時。治験薬投与を永続的に中止する場合は,最終来院時と同様に検査を実施。
2) FU:追跡調査の来院,EOT の来院の 1 カ月後。
3) 腫瘍評価/再診断は,アファチニブの投与開始後 8 週ごとに常に実施し,第 2 コース以降の visit CnV5 に記
録。EOT および FU における腫瘍評価は,その前の 4 週間以内に実施していなければ,臨床的に許容される
場合実施することとした。
4) MUGA スキャンまたは心エコーは,反復投与時も同じ検査方法を用いなければならない。
5) 血液学的検査および生化学的検査を含んだ。
6) 腫瘍マーカーについては,[CTD 5.3.5.4-2(U -1338),Section 9.5.6]参照。
7) 投与前のトラフ時薬物動態用の採血を終えるまではアファチニブの服用またはトラスツズマブの注入を行
ってはならない。アファチニブの服用はトラスツズマブの注入開始時に行うこととし,Day 1 のみトラスツ
ズマブ注入後に服用。
8) 尿検査(試験紙法)。尿蛋白排泄量の半定量検査(4 週以下の間隔で実施)。
9) 有害事象が治験/コース終了時に回復していない場合,および治験薬と因果関係が否定できないと判断され
た新たな有害事象が発現した場合。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 566
試験 1200.68
10) 腫瘍組織パラフィンブロック,未染色病理標本スライドまたは(可能な場合)腫瘍組織から新鮮組織を採取
し,免疫組織化学検査によりレトロスペクティブ解析を実施。患者の登録は HER2 陽性の施設の記録に基づ
いて行った。HER2 陽性の状態に対する過去の記録がない場合のみ,開始時の分析を実施することとした。
臨床的に許容される場合,MTD 用量で最大 6 名から検体採取を実施。
11) トラスツズマブについては,投与量を 4 mg/kg(Visit 2,Day 1)とし,以後はすべて 2 mg/kg で投与。
12) Day 1 から Day 29 までアファチニブを投与。
13) これ以降,患者が次コースに適格と判断される場合のみ投与を継続。
引用元:CTD 5.3.5.4-2(U -1338),Table 9.5.8: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 3
Page 567
試験 1200.68
検査・観察スケジュール(第 2 コース以降)
Study Period
3
治験薬投与期 2 以降
第 2 コース以降
CnV2
CnV3
CnV4
8
15
22
EOT1
FU2
CnV5
CnV1
Course Number Visit(CnV)
Day
1
29
X
選択基準/除外規準
X
X
X
身体所見
X
ECOG パフォーマンス・スコア
X
X
X
(PS)
X
X
X
X
X
X
バイタルサイン(血圧 + 心拍数)
X
X
X
X
X
X
体重
X
X
X
X
X
X
X
心電図
X
X
X
腫瘍評価 4
X
X
左室駆出率 5
X
X
X
X
X
X
X
臨床検査 6
X
X
X
X
X
X
X
血液凝固検査
X
X
X
尿検査 7
X
X
X
X
X
X
X8
有害事象
X
X
X
X
X
X
X
併用療法
X
X
X
X
X
アファチニブ服薬状況確認
X
X
妊娠検査
9
X
アファチニブの処方
X
X
X
X
X
X
トラスツズマブ投与 10
11
アファチニブ投与
Day 1~29,1 日 1 回
X
腫瘍生検 12
X
治験薬投与終了
X
患者の治験参加終了
1) EOT:治験薬投与終了時。治験薬投与を永続的に中止する場合は,最終来院時と同様に検査を実施。
2) FU:追跡調査の来院,EOT の来院の 1 カ月後。
3) 新たなスクリーニング来院は,前の投与コースにおいて DLT のために治験薬投与を中止した患者および次
コースに適格である患者に対して実施しなければならなかった。投与を継続するすべての患者において,こ
の来院日は前のコースの Day 29 と一致する。
4) 腫瘍評価/再診断は,アファチニブの投与開始後 8 週ごとに常に実施し,第 2 コース以降の visit CnV5 に記
録。EOT および FU における腫瘍評価は,その前の 4 週間以内に実施していなければ,臨床的に許容される
場合,腫瘍評価を実施することとした。
5) MUGA スキャンまたは心エコーは,反復投与時も初回と同じ検査方法を用いなければならない。治験薬投与
開始後 8 週ごとに Day 22 から Day 29 の間に実施。
6) 血液学的検査および生化学的検査を含む。
7) 試験紙法。尿蛋白排泄量の半定量検査(4 週以下の間隔で実施)。
8) 治験/コース終了時に回復していない場合,および治験薬と因果関係が否定できないと判断された新たな有
害事象が発現した場合。
9) アファチニブの新たな 28 日間投与コースに適格な患者のみ実施した。
10) 免疫組織化学検査結果が明確でない場合,トラスツズマブは 2 mg/kg 週 1 回投与とした。
11) アファチニブを 29 日間投与。患者は服用間隔を約 24 時間とするため,患者は毎朝食前の同じ時間にアファ
チニブを服用することとした。
12) MTD 投与患者のうち 6 名の患者を対象に実施(任意)。
引用元:CTD 5.3.5.4-2(U -1338),Table 9.5.8: 2
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 568
試験 1200.68
試験結果
試験結果の概略を表 8.2: 4 に示す。
表 8.2: 4
試験結果の概略(1/8)
有効性/臨床薬理試験の結 内訳
果:
全体で患者 18 名が投与を受けた。16 名がアファチニブ 20 mg と週 1 回のトラス
ツズマブ投与を,2 名がアファチニブ 30 mg と週 1 回のトラスツズマブ投与を受
けた。全体で 17 名(94%)が治験総括報告書に記載されている解析のカットオ
フ時点で投与を中止し,1 名(6%)が試験を継続していた。治験中止の最も多
い理由は疾患進行(7 名,39%)であり,続いて DLT(6 名,33%)であった。
人口統計学的および他の基準値の特性
本試験における患者は全員が白人女性であった。全体で平均年齢は 61.2 歳,範
囲は 39~80 歳であった。平均肥満度指数(BMI)は 27.39 kg/m2 であった。
本試験のすべての患者は HER2 陽性乳癌患者で,組織学的診断後の経過時間の中
央値は 4.63 年(範囲:1.0~20.1 年)
(20 mg コホート:4.63 年,30 mg コホート:
6.18 年)であった。すべての患者に 1 つ以上の転移部位(平均転移部位数は 20 mg
コホート:2.1,30 mg コホート:2.5)が認められ,最も多かった転移部位は,肝
臓(9 名,50%)および肺(7 名,39%)だった。1 名(6%)に脳転移が認められ
た。すべての患者が 1 種類以上の抗癌治療を前治療として受けていた。ほとんど
の患者は外科手術(16 名,89%),全身化学療法(15 名,83%)または放射線療
法(14 名,78%)を受けていた。全体で 17 名がトラスツズマブの前治療を受け
ていた。このうちほとんどが 1 レジメンのみ,2 名が 2 レジメン,2 名が 3 レジ
メンを投与されていた。さらに 4 名がラパチニブを,1 名がペルツズマブを投与
されていた。さらに 2 名がまだ盲検下の治験薬(ペルツズマブまたはプラセボ)
を服用していた。
すべての患者において合併症が認められており,認められた疾患は進行性乳癌患
者で予想できるものであった。ほとんどの場合,重症度は最大で軽度または中等
度(CTCAE grade 1 または 2)であった。試験登録時,1 名に grade 3 の末梢浮腫
が認められた。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 4
Page 569
試験 1200.68
試験結果の概略(2/8)
有効性/臨床薬理試験の結 有効性
果:(続き)
奏効率は 11%(2 名)であり,病勢コントロール率は 39%(7 名)であった。RECIST
に基づく最良効果は 2 名(11%)で PR,5 名(28%)で SD であった。本試験に
おいてベースライン時に脳転移が認められた患者 1 名では,RECIST に基づく最
良効果を評価できなかった。奏効した患者 2 名(両者とも PR)については,奏
効までの期間の中央値は 57.5 日(95% CI:57.0~58.0)であった。確定した奏効
は確認されなかった。
奏効した患者 2 名(両者とも PR)について,奏効期間の中央値は 32.0 日間であ
った(95% CI:29.0~35.0)。病勢コントロールが認められた患者 7 名について
は,病勢コントロール期間の中央値は 111.0 日間であった(95% CI:85.0~388.0)。
データカットオフ時点で 1 名が試験を進行中であり,この患者の病勢コントロ
ール期間は 561 日間(データカットオフ前の最終確認日の時点で打ち切られ,
確認日の時点で RECIST 第 1.1 版に基づき増悪していないことが確認された)で
あった。PFS の中央値の Kaplan-Meier 推定量は 111.0 日間であった(95%CI:56.0
~274.0)。
Page 570
試験 1200.68
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 4
試験結果の概略(3/8)
有効性/臨床薬理試験の結 薬物動態
果:(続き)
過去のデータと比べて,トラスツズマブ併用時のアファチニブ 1 日 1 回反復投
与後の薬物動態パラメータの平均値はアファチニブ単剤療法反復投与後の薬物
動態パラメータと大きな違いはなく,ばらつきが大きいことが示された。
PK パラメータ
Cpre,ss,8
Cpre,ss,15
Cmax,ss
tmax,ss1
Cpre,ss,29
単位
[ng/mL]
[ng/mL]
[ng/mL]
[h]
[ng/mL]
N
11
13
10
11
8
アファチニブ 20 mg
1 日 1 回反復経口投与
gMean
gCV%
9.75
69.5
9.94
72.4
17.9
80.9
4.25
0.750-7.02 1
9.15
64.7
1)tmax,ss については中央値および範囲(最高値 - 最低値)を記載。
文献で報告されている母集団薬物動態解析モデルに基づきトラスツズマブの血
清中濃度をシミュレーションしたところ,トラスツズマブ濃度の実測値の中央
値は予想された濃度の範囲内であった(下表参照)。
1
パーセンタイル
実測値
シミュレーション値
Cmax,1 [ng/mL], N = 8
98400
79000 (57000-106000)
50(中央値)
Cpre,8 [ng/mL], N = 8
29800
23700 (15800-34200)
50(中央値)
Cpre,15 [ng/mL], N = 7
30900
26800 (15300-41200)
50(中央値)
Cmax,15 [ng/mL], N = 7
74400
66400 (47100-93500)
50(中央値)
Cpre,29 [ng/mL], N = 5
36300
34500 (19100-56100)
50(中央値)
Cmax,29 [ng/mL], N = 3
83000
75700 (45500-127000)
50(中央値)
1)シミュレートした各試験の 1000 パーセンタイルの中央値。括弧内は 2.5 お
よび 97.5 パーセンタイル(= 95%予測区間)。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 4
安全性の結果:
Page 571
試験 1200.68
試験結果の概略(4/8)
曝露状況
治験薬の平均曝露期間は 88.4 日間であり,両投与群(20 mg 群:88.9 日間,30 mg:
85.0 日間)で同程度であった。全体で 8 名(44%)が 2 コース以上の投与を受け
た。これらの患者では治験薬の平均曝露期間は 161.9 日間で,アファチニブ 20 mg
投与群(187.5 日間)の方が,アファチニブ 30 mg 投与群(85.0 日間)よりも長
かった。
最大耐量(MTD)の決定
最初に 3 名の患者がアファチニブ 20 mg 1 日 1 回投与コホートに登録され,1 名
の患者に第 1 コース中に DLT が認められたため,20 mg 1 日 1 回の用量レベル
の患者を追加登録した。これらの患者のうち 1 名は評価不能だったため,別の
患者と入れ替えた。補充した患者も評価不能だったため,さらに別の患者と入
れ替えた。そのため,DLT については本試験に追加登録した 5 名(アファチニ
ブ 20 mg)のうち 3 名でのみ評価できた。この計 6 名の評価可能患者のうち DLT
が認められたのは 1 名のみであったため,アファチニブの用量を 30 mg 1 日 1
回投与まで増量した。この用量で投与された最初の 2 名に DLT が認められたた
め,治験実施計画書に基づきアファチニブ 30 mg コホートへの患者募集を中止
した。以上のことから,HER2 陽性進行性乳癌患者では,週 1 回のトラスツズマ
ブ併用投与を受けた患者におけるアファチニブの MTD は 20 mg 1 日 1 回(6 名
中 1 名のみに DLT が認められた最高用量)であることが確認された。
治験実施計画書で計画されたとおり,MTD コホートを拡大し,MTD レベルで
最高 18 名まで投与可能となった。さらに 8 名が本試験に登録され,アファチニ
ブ 20 mg 1 日 1 回投与と週 1 回のトラスツズマブ投与を受けた。このうち 3 名で,
第 1 コース中に DLT が認められた。治験実施計画書では,拡大された MTD 用
量の計 18 名のうち 4 名以上に DLT が認められた場合,1 段階下の用量について
検討するものと規定されていた。アファチニブ 20 mg 1 日 1 回投与は本試験で計
画され,利用可能な用量の中で最低用量であったため,これ以下の用量につい
ては検討できず,試験 1200.68 への患者募集を終了した。
第 1 コース中に認められたすべての DLT が CTCAE grade 3 の下痢であったこと
に留意したい。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 4
Page 572
試験 1200.68
試験結果の概略(5/8)
安全性の結果:(続き)
有害事象
すべての患者に 1 件以上の有害事象が認められた。最も高頻度に認められた有
害事象は,MedDRA の器官別大分類別で,胃腸障害(17 名,94%),皮膚およ
び皮下組織障害(14 名,78%),一般・全身障害および投与部位の状態(12 名,
67%),代謝および栄養障害,呼吸器,胸郭および縦隔障害(各 11 名,61%)
であった。その他のすべての器官別大分類別有害事象の発現率は患者全体の
50%未満であった。最も高頻度に認められた有害事象は,MedDRA の基本語別
では,下痢(17 名,94%),発疹(11 名,61%),食欲減退,疲労および悪心
(各 10 名,56%)であった。その他のすべての有害事象の発現率は患者全体の
50%未満であった。
1 名に grade 5 の有害事象(重篤な有害事象として後述)が認められた。最も重
い重症度が grade 3 であった有害事象は 13 名(72%),grade 2 が 3 名(17%),
grade 1 が 1 名(6%)に発現した。grade 3 の有害事象は,器官別大分類別で胃腸
障害 9 名(50%)(すべて下痢),臨床検査 4 名(22%)(駆出率減少,ヘモグ
ロビン減少,アルカリホスファターゼ増加,ビリルビン増加が各 1 名),代謝
および栄養障害 1 名(脱水),腎および尿路障害 1 名(急性腎不全)であった。
治験薬の投与中止に至った有害事象は 7 名(39%)で認められた(このうち 6
名では DLT でもあった)。いずれもアファチニブ 20 mg 1 日 1 回投与を受けて
いた。1 名が後に死に至る肺塞栓症により投与を中止した。投与中止に至ったそ
の他の有害事象は下痢(4 名),駆出率減少(2 名)であった。駆出率減少によ
り投与を中止した患者 1 名は試験登録時の左室駆出率(LVEF)が 49%であり,
施設基準値下限(45%)を上回っていたが,試験の登録基準では LVEF が 50%
未満の患者を除外していたため,この値は治験実施計画書から逸脱していた。
投与終了時(最終)の評価で,LVEF は 38%まで減少していた。もう 1 名の患者
については,スクリーニング時の LVEF が 53%,第 1 コース,Visit 6 時点では
55%であった。投与終了(約 3 週間後)時点では,LVEF は 44%まで低下してい
た。肺塞栓症を除き,投与中止に至った有害事象について治験責任医師は治験
薬との因果関係が否定できないと判断した。
治験薬との因果関係が否定できないと判断された有害事象は 17 名(94%)に認
められた。最も高頻度に発現した治験薬との因果関係が否定できない有害事象
は,器官別大分類別で胃腸障害(17 名,94%),皮膚および皮下組織障害(14
名,78%),一般・全身障害および投与部位の状態(10 名,56%),代謝およ
び栄養障害,呼吸器,胸郭および縦隔障害(各 8 名,44%)であった。その他の
治験薬との因果関係が否定できないすべての有害事象の発現率は,患者全体の
35%未満だった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 4
Page 573
試験 1200.68
試験結果の概略(6/8)
安全性の結果:(続き)
最も高頻度に認められた治験薬との因果関係が否定できない有害事象
(MedDRA の基本語)は下痢(17 名,94%),発疹および疲労(各 10 名,56%),
悪心(9 名,50%),食欲減退および皮膚亀裂(各 8 名,44%)であった。
ICH E3 に基づくその他の重要な有害事象は認められなかった。発現日によらず,
DLT の基準に合致する有害事象はあらかじめ規定した重要な有害事象とみなし
た。試験期間中に全体で 10 名(56%)に重要な有害事象が認められた。ほとん
どすべての患者で発現した重要な有害事象は下痢(8 名,44%)であった。それ
以外は,駆出率減少(2 名,11%,前述)および血中アルカリホスファターゼ増
加(1 名,6%)であった。
特に注目すべき有害事象は下痢,悪心,嘔吐,発疹およびざ瘡であった。本試
験では下痢は 17 名(94%)において認められた。内訳はアファチニブ 30 mg 投
与群で 2 名(100%),アファチニブ 20 mg 投与群で 16 名中 15 名(94%)であ
った。それぞれの患者において,治験責任医師は少なくとも 1 件の下痢につい
て治験薬との因果関係が否定できないと判断した。全体で 9 名(50%)に grade 3
の下痢が認められ,それ以外の患者(8 名,44%)については grade 1 または 2
の下痢が認められた。ほとんどすべての患者において,最初の下痢は,アファ
チニブの投与開始後最初の 7 日間に発現した。4 名で,下痢により治験薬の投与
を中止した。2 名(11%)が,下痢によりアファチニブの用量を 30 mg 1 日 1 回
投与から 20 mg 1 日 1 回投与へ減量した。6 名(33%)について,治験責任医師
は DLT と判断した。
止瀉薬の投与開始日および終了日ならびに 1 日の投与量が記録されていなかっ
たため,推奨された下痢の管理に対する患者の遵守状況は不明であった。数名
の患者で,すべての下痢に対して止瀉薬の投与が報告されておらず,その他の
患者についても下痢のための治療の遵守状況に関する情報は入手できなかっ
た。したがって,本試験では,下痢に対する管理が十分に行われなかったため
に下痢が増悪した可能性があった。
本試験中,全体で 12 名(67%)に悪心および嘔吐が認められた。10 名(56%)
については,治験責任医師は少なくとも 1 件の悪心または嘔吐について治験薬
との因果関係が否定できないと判断した。すべての悪心または嘔吐は軽度また
は中等度(grade 1 または 2)であり,重篤な有害事象の悪心または嘔吐は認め
られなかった。重要な有害事象または DLT と判断された悪心または嘔吐は認め
られなかった。ほとんどの場合,最初の悪心および嘔吐の発現は投与後最初の
14 日間(7 名,39%)にみられたが,3 名(17%)については治験薬投与開始 57
日後以降に発現した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 4
Page 574
試験 1200.68
試験結果の概略(7/8)
安全性の結果:(続き)
本試験中,全体で 13 名(72%)に発疹およびざ瘡が認められた。13 名すべてで
治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した発疹またはざ瘡
が 1 件以上認められた。しかし,発疹またはざ瘡は軽度または中等度(grade 1
または 2)だった。投与開始から 56 日以内に発現しており,重篤な有害事象の
発疹またはざ瘡は認められなかった。
重篤な有害事象
本試験期間中,3 名(17%)に重篤な有害事象が認められた。1 名は Day 8 に肺
塞栓症を発現し,その後,試験期間中の Day 9 に死亡した。治験責任医師は本
有害事象を治験薬との因果関係がないと判断した。さらに 2 名で入院に至る重
篤な有害事象が認められた。1 名は下痢により,もう 1 名は非重篤な下痢に起因
する急性腎不全により入院した。いずれの下痢も,治験薬との因果関係が否定
できないと判断された。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.2: 4
結論:
Page 575
試験 1200.68
試験結果の概略(8/8)
週 1 回のトラスツズマブ併用投与を受けた HER2 陽性進行性乳癌患者における
アファチニブの MTD は 20 mg 1 日 1 回投与であることが確認された。しかし,
MTD コホートを拡大し,さらに 8 名にアファチニブ 20 mg 1 日 1 回と週 1 回の
トラスツズマブが投与され,DLT の全発現率は 13 名中 4 名(31%)となった。
20 mg 1 日 1 回投与は,計画され利用可能なアファチニブの用量の中では最低用
量であったため,本試験ではこれより低い用量では評価できず,さらなる患者
募集は中止となった。下痢の管理において,止瀉薬投与が十分に行われなかっ
たことが試験結果に影響した可能性があると考えられた。併用投与における臨
床的有用性の徴候が認められたため,HER2 陽性乳癌患者の治療におけるアファ
チニブとトラスツズマブの併用については,さらなる検討が必要である。1 日 1
回のアファチニブとトラスツズマブを 3 週間隔で投与したときの MTD を確立す
るため,新たな第 I 相試験が計画されている。
アファチニブと週 1 回のトラスツズマブ併用投与により,患者集団は小さかっ
たが,臨床的抗腫瘍効果が示された。奏効率は 11%(2 名)であり,病勢コント
ロール率は 39%(7 名)であった。2 名(11%)が PR を示し,5 名(28%)が
SD を示した。病勢がコントロールされた患者では,病勢コントロール期間の中
央値は 111.0 日間(95% CI:85.0~388.0)であった。データカットオフ時点で本
試験を進行中であった 1 名については,RECIST に基づく最終評価時点で病勢コ
ントロール期間は 561 日間となり,データカットオフ時点で計 617 日間投与を
受けていた。PFS の中央値(Kaplan-Meier 推定量)は 111.0 日間であった(95% CI:
56.0~274.0)。
アファチニブと週 1 回のトラスツズマブの併用投与を受けた患者全体における
有害事象の発現率は,概して,過去に実施したアファチニブ単剤投与試験と同
程度であった。しかし,下痢,悪心および嘔吐の発現率は,アファチニブ単剤
投与試験と比較して,アファチニブと週 1 回のトラスツズマブ投与の方が有意
に高かった。これは,これらの有害事象がアファチニブ単剤投与および週 1 回
のトラスツズマブ単剤投与のいずれの場合でも発現することが確認されている
ためと考えられる。発疹/ざ瘡の発現率は以前のアファチニブ単剤投与試験の
結果と同程度であったが,重症度は本試験の方が低かった(grade 3 の発疹/ざ
瘡の発現なし)。
薬物動態プロファイルは,これまでに知られているアファチニブおよびトラス
ツズマブの薬物動態特性と同様であった。アファチニブの薬物動態に対し臨床
的に問題となるようなトラスツズマブの影響は認められず,逆にアファチニブ
のトラスツズマブへの影響も認められなかった。
Page 576
試験 1239.1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.3
その他の臨床試験 1239.1
(資料番号 5.3.5.4-3)
試験方法
試験方法の概略を表 8.3: 1 に示す。
表 8.3: 1
目的
試験方法の概略(1/3)
アファチニブ(BIBW 2992)と nintedanib を併用投与したときの用量制限毒性(DLT)およ
び最大耐量(MTD)を決定し,安全性,薬物動態および有効性を評価する。
試験の種類
非盲検,用量漸増試験
対象
対象疾患
標準的治療法に対して抵抗性または標準的治療法が適用できない悪性固形癌と確定診断さ
れた患者
選択基準
1.
性別を問わず,進行性で,切除不能および/または転移性の固形癌と確定診断され,従
来の治療が奏効しなかった患者または有効性が実証された治療法がない患者もしくは
確立された治療法が適用できない患者
2.
年齢が 18 歳以上の患者
3.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
4.
ICH-GCP ガイドラインに従って,文書による同意が得られた患者
5.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0,1 または 2 の患者
6.
前治療(化学療法,ホルモン療法,免疫療法,または放射線療法)と関連する毒性から
回復(grade 1 以下)している患者
7.
過去の手術から回復している患者
MTD コホートに追加で登録する 6 名は,以下の基準も満たすこととした。
1.
RECIST 第 1.0 版に基づく測定可能病変(X 線,CT,MRI のいずれかの方法で測定可能)
を有する患者,または PSA(前立腺癌),CA125(卵巣癌),β-HCG または AFP(胚細
胞腫瘍)などの腫瘍マーカーが認められる患者
Page 577
試験 1239.1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.3: 1
対象(続き)
試験方法の概略(2/3)
除外基準
1.
活動性の感染症を有する患者
2.
治験薬の吸収が低下する可能性のある胃腸障害または慢性の下痢を有する患者
3.
治験責任医師が治験実施計画書に適合しないと判断した重篤な疾患または腫瘍以外
の合併症を有する患者
4.
未治療または症候性の脳転移のある患者。治療後,無症候性の脳転移の患者で,脳疾
患の状態が 4 週間以上不変,過去 4 週間に脳浮腫または脳出血がない,およびステロ
イドおよび抗てんかん療法による治療を行っていない場合は適格とする。
5.
安静時左室駆出率が 50%未満の左室機能の患者
6.
好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
7.
血小板数が 100000/mm3 未満の患者
8.
ビリルビンが 1.5 mg/dL(26 µmol/L,SI 単位相当)を超える患者
9.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニン・アミノトランス
フェラーゼ(ALT)が施設基準値上限の 2.5 倍を超える患者
10.
血清クレアチニンが 1.5 mg/dL(132 µmol/L)を超える患者
11.
性生活がある男女で,医学的に適切な避妊法を使用する意思のない患者
12.
妊娠中または授乳中の女性
13.
他の治験薬(化学療法,免疫療法,放射線療法,ホルモン療法[黄体形成ホルモン放
出ホルモン(LHRH)アゴニスト,酢酸メゲストロール,乳癌または前立腺癌に対す
るその他のホルモン剤を除く])の投与を受けた,または投与開始前 4 週間以内に他
の臨床試験に参加した患者および本治験中に参加する予定の患者。ビスフォスフォネ
ートの投与は許容された。
14.
投与開始前 4 週間以内に EGFR または HER2 阻害剤による治療(トラスツズマブの場
合は 2 週間)を受けた患者または本治験中に受ける予定の患者
15.
治験実施計画書を遵守できない患者
16.
アルコール依存症の患者または薬物乱用患者
17.
抗凝固療法または抗血小板療法(アスピリン[アセチルサリチル酸]の投与は除く)
を必要とする患者
18.
過去 12 カ月間に出血性または血栓性イベント(一過性脳虚血発作を含む)の既往歴
がある患者。出血または血栓症の遺伝的素因が確認されている患者
試験薬剤
アファチニブ錠(5 mg,20 mg フィルムコート錠)
nintedanib カプセル(50 mg,100 mg,150 mg,200 mg ソフトゼラチンカプセル)
目標症例数
目標症例数:
42 名(登録症例数 47 名)
実施症例数:
投与:アファチニブおよび nintedanib(投与量コホート当たり 3~6 名)
登録症例:28 名
投与症例:28 名
解析症例(主要評価項目に対する解析):28 名
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.3: 1
Page 578
試験 1239.1
試験方法の概略(3/3)
投与方法
投与方法:
投与期間
アファチニブ錠:アファチニブ 10 mg 1 日 1 回経口投与から開始し,遂次コホートにおい
て最大 40 mg 1 日 1 回(nintedanib と併用投与)まで用量を 10 mg ずつ漸増した。
nintedanib カプセル:nintedanib 150 mg 1 日 2 回経口投与から開始し,遂次コホートにおい
て最大 250 mg 1 日 2 回(アファチニブと併用投与)まで用量を 50 mg ずつ漸増した。
投与期間:
疾患進行または用量制限毒性(DLT)が認められるまで連日投与
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性/臨床薬理の評価項目:
評価基準
アファチニブおよび nintedanib の薬物動態ならびに客観的腫瘍縮小効果(RECIST 第 1.0 版
[Response Evaluation Criteria in Solid Tumors:固形がんの治療効果判定基準]に基づく)
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3 版[Common Terminology Criteria Adverse Events:有害事象共通用語
規準]に従って評価),臨床検査値,ECOG パフォーマンス・スコア,左室機能
解析方法
記述統計解析
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(米国,4施設)
治験実施期間
20
年
月~20
年
月
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 579
試験 1239.1
スケジュール
表 8.3: 2
検査・観察スケジュール(第 1 コース)
スクリーニン
第 1 コース
1
2
Study Periods
グ
Day 1~Day 28
EOT
FU
Visit
1
2
3
4
5
6
7
8
Day
-14 ~ 0
1
2
8
15
16
22
28
同意取得/患者への説明
X
患者背景
X
既往歴・合併症
X
3
選択基準/除外基準
X
X
X
身体所見
X
X
X
ECOG パフォーマンス・ス
コア(PS)
X
X
X
X
X
X
X
X
バイタルサイン
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
体重
X
X
X
X
X
X
X
X
心電図
X
X
X
X
4
腫瘍評価
X
X
X
5
左室機能
X
X
6
臨床検査
X
X
X
X
X
X
X
X
血液凝固検査
X
X
X
X
X
X
X
7
腫瘍マーカー
X
X
X
8
薬物動態
X
X
X
X
X
X
X
9
尿検査
X
X
X
X
妊娠検査
X
10
有害事象
X
X
X
X
X
X
X
X
X
併用療法
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
治験薬服薬状況確認
X
X
X
X
X
11
治験薬の処方
X
X
12
アファチニブ投与
Day 1~28
12
nintedanib 投与
Day 1~28
治験薬投与終了
X
治験終了フォーム記入
X
1) EOT:治験薬投与終了時の来院。治験薬投与を永続的に中止する場合は最後来院時と同様に EOT の検査
を実施した。
2) FU:追跡調査の来院,EOT の来院の 1 カ月後に実施した
3) 反復投与のために適格性を確認。患者が反復投与を受ける場合は,Day 29 が次コースの Day 1 となた。
4) 腫瘍評価/再診断は,アファチニブ/nintedanib 併用投与開始後 2 投与コースごとに Day 22~Day 28 の間
に定期的に実施し,反復投与コースでは Visit R5 時に実施した。腫瘍評価を EOT の前 4 週間以内に実施
していない場合には EOT 時に実施することとした。
5) MUGA スキャンまたは心エコーは初回スクリーニングの一環として実施し,アファチニブ/nintedanib 併
用投与開始後は 2 投与コースごとに Day 22~Day 28 の間に実施し,反復投与コースの Visit R5 時に実施
した。反復投与時の検査は初回検査と同じ検査方法により実施した。投与を 6 コース終了した後は,左
室駆出率を 3 コースごとに評価した。EOT の前 6 週間以内に左室機能を評価していない場合には EOT 時
に左室機能も評価した。
6) 血液学的検査および生化学的検査のパラメータ。
7) 原疾患と関連のある腫瘍マーカーが陽性の患者のみを対象とした。
8) Day 1 および Day 15 の薬物動態検体採取は 24 時間にわたり実施した。
9) 定性的評価陽性時,尿蛋白量を(4 週以下の間隔で)定量した。
10) 投与コース終了時に有害事象が継続している場合および治験薬との因果関係が否定できないと判断され
た新たな有害事象が発現した場合,ならびにすべての重篤な有害事象および治験依頼者が特定した有害
事象(SIAE:Significant AE)について評価することとした。
11) 次コースの実施に適格な患者のみ。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 580
試験 1239.1
12) Day 1 には,患者は投与前の薬物動態検体採取後に初回投与を行った。また,初回投与コースのみ,薬物
動態測定の理由から,Day 1 および Day 15 には nintedanib の朝の投与のみ行い,夕方の投与は実施しない
こととした。nintedanib の朝の投与はアファチニブと同時に行うことができた。Day 2,8,16,22 および
28 には朝の薬物動態用の採血を終えるまで,アファチニブおよび nintedanib の朝の投与をしてはならな
いこととした。
引用元:CTD 5.3.5.4-3(U -3263),Table 9.5: 1
Page 581
試験 1239.1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.3: 3
検査・観察スケジュール(第 2 コース以降)
第 2 コース以降
Day 1~Day 28
Study Periods
スクリー
ニング
Visit
R1
Day
反復投与の基準
身体所見
ECOG パフォーマンス・スコ
ア(PS)
バイタルサイン
体重
心電図
5
腫瘍評価
6
左室機能
7
3
EOT
1
FU
2
Visit
R2
-14 ~ 0
X4
X
8
X
X
X
X
X
X
*
*
R3
R4
15
22
X
X
X
X
X
X
X
R5
28
X4
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
6
X
X
5
X
5
臨床検査
X
X
X
X
X
X
X
血液凝固検査
X
X
X
X
X
X
X
腫瘍マーカー8
X
X
X
薬物動態 9
X
X
X
X
尿検査 10
X
X
X
X
有害事象
X
X
X
X
X
X
X11
併用療法
X
X
X
X
X
X
X
治験薬服薬状況確認
X
X
X
X
X
X
12
治験薬の処方
X
X
13
アファチニブ投与
Days 1-28
13
nintedanib 投与
Days 1-28
治験薬投与終了
X
*) 第 3 コースから開始,Visit R2 および Visit R4 は任意実施。
1) EOT:治験薬投与終了時の来院。治験薬投与を永続的に中止する場合は最後来院時と同様に EOT の検査
を実施した。
2) FU:追跡調査の来院,EOT の来院の 1 カ月後に実施した。
3) 先行する投与コースにおいて治験薬投与を中止したが,反復投与コースに適格となる患者であり,かつ
先行する投与コースの Visit 8 または R5 の投与を開始することができなかった場合,新たにスクリーニン
グ来院を実施した。
4) 反復投与のために適格性を確認した。
5) 腫瘍評価/再診断は,アファチニブ/nintedanib 併用投与開始後 2 投与コースごとに Day 22~Day 28 の間
に定期的に実施し,反復投与コースでは Visit R5 時に実施した。腫瘍評価を EOT の前 4 週間以内に実施
していない場合には EOT 時に実施することとした。治験薬投与中止後の追跡調査期間中の腫瘍の測定は
任意実施とした。
6) MUGA スキャンまたは心エコーは,反復投与時の検査は初回検査と同じ検査方法により実施した。アフ
ァチニブ/nintedanib 投与開始後は 2 投与コースごとに Day 22~Day 28 の間に実施し,反復投与コースで
は Visit R5 時に実施した。EOT の前 6 週間以内に左室機能を評価していない場合には EOT 時に左室機能
を評価した。投与を 6 コース終了した後は,左室機能を 3 コースごとの Day 28 に実施した。
7) 血液学的検査および生化学的検査のパラメータ。
8) 腫瘍マーカーは,原疾患と関連のあるマーカーが発現している患者のみとした。
9) アファチニブ/nintedanib のトラフ濃度の測定用血漿検体採取は,患者に重篤な有害事象が認められなか
った場合には第 2 コース以降中止することができた。
10) 尿蛋白定性的評価において陽性時,尿蛋白定量評価(4 週以下の間隔で)を実施した。
11) 投与コース終了時に有害事象が継続している場合および治験薬との因果関係が否定できないと判断され
た新たな有害事象が発現した場合,ならびにすべての重篤な有害事象および治験依頼者が特定した有害
事象(SIAE)について評価することとした。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 582
試験 1239.1
12) 次コースの実施に適格な患者のみ。
13) 投与期間中,患者は服用間隔を約 24 時間とするため毎朝食前の同じ時間にアファチニブを服用すること
とし,nintedanib については 1 日 2 回,食後に服用することとした。患者は第 2 コースの Day 8,15,22
および 28 の朝の治験薬は服用せず,トラフ時の薬物動態用の採血後に治験薬を服用するよう指示した。
次コースに適格な患者のみ投与を継続した。
引用元:CTD 5.3.5.4-3(U
-3263),Table 9.5: 2
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 583
試験 1239.1
試験結果
試験結果の概略を表 8.3: 4 に示す。
表 8.3: 4
試験結果の概略(1/5)
有効性/臨床薬理試験
患者背景および患者の内訳:計 28 名の患者を 3 投与コホートに登録した。11
の結果:
名をアファチニブ 10 mg + nintedanib 150 mg コホート(コホート 1)に,13
名をアファチニブ 10 mg + nintedanib 200 mg コホート(コホート 2)に,4 名
をアファチニブ 20 mg + nintedanib 200 mg コホート(コホート 3)に登録した。
投与症例集団(TS)は 28 名,評価可能症例集団は 18 名であった。
有効性:有効性は治験責任医師が RECIST 第 1.0 版に基づいて判定した腫瘍縮
小効果により評価した。全体で TS(28 名)のうち 10 名(35.7%)に最良総
合効果として安定(SD)がみられ,コホート 2( MTD コホート)では 6 名(46.2%)
に最良総合効果として SD がみられた。
大多数の評価可能患者(15/18 名)では,標的病変の最長径の合計のベースラ
インからの最大縮小率が-30%~20%の間にあった。
治験終了時,全体として 17 名に疾患進行が認められ,3 名が死亡した(TS)。
MTD コホートの患者 13 名中 7 名に疾患進行が認められ,1 名が死亡した。全
体での無増悪生存期間(PFS)の中央値は 51 日であった。
薬物動態:
アファチニブ,nintedanib,BIBF 1202 ZW および BIBF 1202 GLUC の測定の生
体試料測定は適切で,許容基準を満たしていた。
アファチニブ:
アファチニブの血漿中濃度は投与 2~6 時間後に最高血漿中濃度に達した後,
少なくとも 2 相性の消失を示した。MTD コホートにおける Cmax の幾何平均値
(gMean)は初回投与後には 5.95 ng/mL(gCV [%]:85.5%)であり,定常状
態では 9.58 ng/mL(gCV [%]:118%)であった。アファチニブ曝露量の幾何
平均値は初回投与後には 128 ng⋅h/mL(AUC0-24,幾何変動係数 77.7%)であ
り,定常状態では 183 ng⋅h/mL(AUCτ,ss,幾何変動係数 97.1%)であった。
AUC(RA,AUC)に基づくアファチニブの累積係数は 2.37,Cmax(RA,Cmax)に基
づく累積係数は 1.68 であった。以上のことから,血漿中濃度および薬物動態
パラメータについてはばらつきが大きく,このばらつきは消失ではなく,吸
収の影響に起因すると考えられた。アファチニブは投与 8 日後に定常状態に
達し(視覚的な評価による),それ以降は観察期間中を通じて一定していた。
アファチニブの血漿中濃度は用量の増加に伴って増加した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.3: 4
Page 584
試験 1239.1
試験結果の概略(2/5)
有効性/臨床薬理試験
nintedanib:
の結果(続き):
nintedanib の血漿中濃度は投与 1~3 時間後に最高血漿中濃度に達した後,少
なくとも 2 相性の消失を示した。MTD コホートにおける Cmax の幾何平均値は
初回投与後には 39.2 ng/mL(幾何変動係数 114%)であり,定常状態では 34.9
ng/mL(gCV [%]:144%)であった。nintedanib 曝露量の幾何平均値は単回投
与後には 298 ng⋅h/mL(AUC0-∞ ,gCV [%]:111%)であり,定常状態では 240
ng⋅h/mL(AUCτ,ss,gCV [%]:104%)であった。いずれの投与量群においても
蓄積はほとんど認められなかった。MTD コホートににおける累積係数は,
AUC(RA,AUC)に基づくと 1.25,Cmax(RA,Cmax)に基づくと 0.918 であった。
以上のことから,血漿中濃度および薬物動態パラメータについてはばらつき
が大きく,このばらつきは消失ではなく吸収の影響に起因すると考えられた。
BIBF 1202 ZW:
BIBF 1202 ZW の血漿中濃度は投与 2~6 時間後に最高血漿中濃度に達した後,
少なくとも 2 相性の消失を示した。MTD コホートにおける Cmax の幾何平均値
は 初 回 投 与 後 には 35.1 ng/mL( gCV [%]:286%)であり,定常状態では
45.3 ng/mL(gCV [%]:195%)であった。BIBF 1202 ZW の曝露量の幾何平均
値は単回投与後には 496 ng⋅h/mL(AUC0-∞,gCV [%]:216%)であり,定常状
態では 328 ng⋅h/mL(AUCτ,ss,gCV [%]:175%)であった。いずれの投与量群
においても蓄積はほとんど認められなかった。MTD コホートにおける累積係
数は AUC(RA,AUC)に基づくと 1.19,Cmax(RA,Cmax)に基づくと 1.24 であっ
た。以上より,血漿中濃度および薬物動態パラメータについてはばらつきが
大きいことが示された。このばらつきは主として,BIBF 1202 ZW の血漿中濃
度が当該投与量群における幾何平均値よりほぼ 20 倍高い 2 名(患者番号 1022
および 1109)に起因するものであった。両患者の nintedanib の血漿中濃度は
当該投与量群の正常範囲内であった。BIBF 1202 ZW の方がわずかに高いもの
の,全体として nintedanib と BIBF 1202 ZW の曝露量はほぼ同程度であった。
BIBF 1202 GLUC:
5 名の患者から有効な血漿中濃度データが得られたにすぎないことから,
BIBF 1202 GLUC に関する詳細な薬物動態評価は実施することができなかっ
た。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.3: 4
安全性の結果:
Page 585
試験 1239.1
試験結果の概略(3/5)
すべての安全性解析は TS を対象として実施した。第 1 コースの投与期間中,
3 投与コホートすべてにおいて合計 4 名に DLT が認められたが,第 1 コース
後には DLT は発現しなかった。
コホート 1 の 1 名に ALT 増加が認められ,コホート 2 の 1 名に DLT として下
痢が認められた。コホート 3 では 2 名に DLT が認められ,うち 1 名では ALT
増加,AST 増加および下痢が認められ,もう 1 名では脱水が認められた。コ
ホート 3 で 2 名に DLT が認められ,治験実施計画書に規定された 1/6 名を超
えたことから,用量漸増を中止し,MTD をアファチニブ 10 mg 1 日 1 回 +
nintedanib 200 mg 1 日 2 回 (コホート 2)と決定した。
TS のうち 28 名すべてに有害事象が報告され,25 名(89.3%)に治験責任医
師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した有害事象が認められた。
最も高頻度に発現した(20%以上)有害事象を基本語別に発現率の高い順に
示すと,悪心(89.3%),下痢(78.6%),疲労(67.9%),食欲不振(64.3%),
嘔吐(50%),腹部膨満(35.7%),脱水(35.7%),頭痛(32.1%),腹痛(28.6%),
AST 増加(28.6%),背部痛(28.6%),便秘(25%),ガンマグルタミルトラン
スフェラーゼ(GGT)増加(25%),体重減少(25%),悪寒(21.4%),末梢
性浮腫(21.4%),ALT 増加(21.4%),低カリウム血症(21.4%),味覚異常(21.4%)
および発疹(21.4%)であった。
有害事象は全体として 2 番目に多くみられた治験薬投与中止の理由であり,
12 例(42.9%)が有害事象のために治験薬の投与を中止した。最も高頻度に
発現した治験薬の投与中止に至った器官別大分類別の有害事象は,胃腸障害
(35%)および臨床検査(29%)の有害事象であった。
本治験薬に関連する特定した有害事象として,下痢,悪心および嘔吐,特定
した皮膚関連有害事象および ALT/AST 増加を別途,詳細に解析した。これ
らの特定した有害事象の発現率は全体として,順に,悪心(89.3%),下痢
(78.6%),嘔吐(50.0%),特定した皮膚関連有害事象(39.3%),AST 増加
(28.6%)および ALT 増加(21.4%)であった。左室機能および腎機能につい
ても詳細に解析したが,これらについては grade 2 以上の有害事象が報告され
た患者はなかった。
全体として,特定した有害事象は大多数が治験薬との因果関係が否定できな
い有害事象であった。下痢の発現率が最も高く(22 名),22 名すべて(100%)
が治験薬との因果関係が否定できない有害事象として報告された。最も発現
率が低かった有害事象は AST 増加(8 名)で,うち 4 名(50%)が治験薬と
の因果関係が否定できない有害事象として報告された。他の特定した有害事
象で治験薬との因果関係が否定できない有害事象として報告された患者の割
合は 80~85.7%であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.3: 4
Page 586
試験 1239.1
試験結果の概略(4/5)
安全性の結果:(続き)
治験薬の投与中止に至った有害事象の多くは特定した有害事象であり,下痢
4/22 名(18.2%)
(DLT 2 件),悪心 4/25 名(16%),嘔吐 2/14 名(14.3%),ALT
増加 4/6 名(66.7%)(DLT 2 件),および AST 増加 4/8 名(50%)(DLT 1 件)
が治験薬の投与を中止したが,特定した皮膚関連有害事象によって治験薬の
投与を中止した患者はなかった。
下痢の発現率に関して用量反応性が認められ,コホート 3 において発現率が
最も高く(100%),コホート 2(84.6%)およびコホート 1(63.6%)ではコホ
ート 3 より発現率が低かった。下痢に比べて,悪心(84.6~100%),特定した
皮膚関連有害事象(36.4~50%),AST 増加(25~30.8%)および ALT 増加(23.1
~25%)は 3 投与コホート間で発現率の差が少なかった。嘔吐に関しては特
定のパターンは観察されなかった。
コホート 3 では,低用量の 2 つのコホートに比べてより重症度が高い有害事
象(75%)および重篤な有害事象(75%)の報告が多かった。コホート 2 では
重篤な有害事象の発現率が最も低かった(7.7%)。重篤な有害事象が報告され
た大多数の患者(62.5%)が治験薬の投与を中止し,重篤な有害事象は大多数
の患者において回復した(14/21 件,66.7%)。重篤な有害事象は大多数(66.7%)
が治験薬との因果関係がないと判断された。重篤な有害事象はすべて第 1 コ
ースの期間中(10 件)または試験終了後(11 件)に報告された。
本試験期間中に死亡が 3 件報告され,いずれも治験薬投与との因果関係はな
いと判断された。コホート 1 およびコホート 2 のそれぞれ 1 名が疾患進行の
ために死亡し,コホート 3 の 1 名が細菌性腹膜炎(peritonitis bacterial infection)
のために死亡した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.3: 4
結論:
Page 587
試験 1239.1
試験結果の概略(5/5)
1 コース 28 日間で投与するアファチニブと nintedanib の併用療法の MTD は,
アファチニブ 10 mg 1 日 1 回 + nintedanib 200 mg 1 日 2 回と決定された。
全体として,10/28 名(35.7%)に最良総合効果として臨床的ベネフィット(安
定)がみられ,MTD コホートでは 6/13 名(46.2%)に安定がみられた。標的
病変の最長径の合計は大多数の評価可能患者においてベースラインからの最
大縮小率が-30%~20%の間にあった。部分奏効(PR)および完全奏効(CR)
はいずれも認められなかった。また,MTD コホートでは患者の QOL(ECOG
パフォーマンス・スコア)に多少の改善がみられ,10 名(76.9%)でベース
ラインから最終観察時までの間に改善(2 名)がみられたかまたは変化なし
(8 名)であった。全体として PFS の中央値は 51 日であった。
アファチニブ,nintedanib およびその代謝物 BIBF 1202 ZW の薬物動態は過去
の試験で得られた結果の範囲内であり,適用した投与スケジュールではアフ
ァチニブと nintedanib の間に薬物間相互作用のないことが示唆された。
12/28 名(42.9%)が有害事象により治験薬投与を中止した。アファチニブお
よび nintedanib に関して確認されている安全性プロファイルと一致して,治
験薬の投与中止に至った有害事象の大多数は器官別大分類別に胃腸障害
(35%)および臨床検査(29%)の有害事象であった。DLT イベント 6 件の
うち 5 件は下痢,ALT 増加または AST 増加によるものであった。MTD コホ
ートでは 8/13 名(61.5%)で疾患進行がみられるまで治験薬の投与を継続す
ることができたが,3/13 名(23.1%)は有害事象(DLT 1 名,その他の有害事
象 2 名)のために治験薬の投与を永続的に中止した。本試験の投与期間中に
死亡が 3 件報告されたが,治験薬との因果関係が否定できないと判断された
ものはなかった。
nintedanib の許容用量である 200 mg 1 日 2 回で MTD に達した。この nintedanib
の用量は他の併用療法において一般に使用されている用量に一致するが,ア
ファチニブの用量 10 mg は治療用量に満たないと考えられる。予測される副
作用である下痢の対処方法に関する情報が不十分であったことがアファチニ
ブの高投与量レベルに達しなかった主たる理由と考えられるため,200 mg 1
日 2 回を固定投与量とした nintedanib の連日投与とアファチニブを 10 mg/日
から 40 mg /日まで用量漸増して連日投与または隔週投与する新たな併用投
与,用量漸増試験を開始した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.4
Page 588
試験 1239.2
その他の臨床試験 1239.2
(資料番号 5.3.5.4-4)
試験方法
試験方法の概略を表 8.4: 1 に示す。
表 8.4: 1
目的
試験方法の概略(1/3)
進行結腸直腸癌患者を対象として nintedanib (BIBF 1120)およびアファチニブ(BIBW 2992)を
交互に逐次投与したときの有効性(腫瘍縮小効果および疾患進行の遅延)を探索する。投与の安
全性を評価する。
試験の種類
非盲検,1 段階,第 II 相試験
対象
対象疾患
進行転移性結腸直腸癌(CRC)患者
選択基準
1. 年齢が 18 歳以上の患者
2. 文書による同意が得られた患者
3. 治験実施計画書の要件を遵守できる患者
4. 組織診により結腸直腸腺癌と確定診断された患者
5. 転移性結腸直腸癌(病期 IV 期)の既往歴がある,または罹患している患者
6. RECIST 基準に基づく測定可能な病変(1 cm 超)または評価可能病変を有する患者
7. 最後に受けた治療で疾患進行の記録を有する患者,または許容できない毒性が認められた患者
8. オキサリプラチンをベースとした化学療法で疾患が進行した患者,またはオキサリプラチンに
より許容できない遺残神経毒性が認められた患者
9. イリノテカンをベースとした化学療法で疾患が進行した患者,またはイリノテカンにより許容
できない毒性が認められた患者
10. セツキシマブまたは他の EGFR 阻害剤の投与歴のある患者は,疾患進行または許容できない毒
性がみられた患者
11. ベバシズマブまたは他の VEGF 阻害剤の投与歴のある患者は,疾患進行または許容できない毒
性がみられた患者
12. 少なくとも 12 週間の生存が見込まれる患者
13. ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 2 以下の患者。ただし,75 歳超の場合は 1 以下の患
者
14. 十分な肝機能を有する患者:総ビリルビンが基準値範囲内にあり,ALT および/または AST
が基準値上限(ULN)の 1.5 倍以下である患者。肝転移の記録を有する患者については,総ビ
リルビンが ULN の 1.5 倍以下で,ALT および/または AST が ULN の 2.5 倍未満の患者も許容
する。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.4: 1
対象(続き)
Page 589
試験 1239.2
試験方法の概略(2/3)
15.
十分な腎機能を有する患者:血清クレアチニンが ULN の 1.5 倍以下の患者
16.
INR が ULN の 2.5 倍未満の患者
17.
好中球絶対数が 1.5 x 109/L 以上,血小板数が 100 x 109/L 以上の患者
除外基準
1.
低分子化合物である EGFR,HER2 または VEGFR チロシンキナーゼ阻害剤による前治療
のある患者
2.
治験薬またはその添加物に対して過敏症が確認されている患者
3.
治験開始前 28 日以内に他の治験薬の投与を受けた患者
4.
最近 14 日以内に標準的な化学療法またはセツキシマブ投与を受けた患者
5.
最近 28 日以内にベバシズマブ投与を受けた患者
6.
最近 5 年以内に,治験実施計画書の遵守または試験結果の解釈に影響を与える可能性の
ある他の悪性腫瘍への既往歴がある患者。適切に治療された基底細胞皮膚癌または有棘
細胞皮膚癌患者は一般的に適格とする。
7.
治験への参加または治験薬投与に関連するリスクを増大させる可能性のある重篤な疾
患,腫瘍以外の合併症(神経学的または精神医学的疾患,感染症,もしくは活動性潰瘍
[消化管,皮膚])または臨床検査値異常を有する患者ならびに治験責任医師が治験への
参加が適切ではないと判断した患者
8.
治験開始前 4 週間以内に大きな損傷および/または手術を受けた患者,または骨折を有
し治験期間中に外科的処置を受ける予定の患者
9.
重大な心血管系疾患(例:コントロール不能の高血圧,不安定狭心症,過去 9 カ月以内
の梗塞の既往歴,NYHA 分類 3 以上のうっ血性心不全)を有する患者
10.
過去 12 カ月間に出血性または血栓性イベント(中心静脈カテーテル血栓症および末梢の
深部静脈血栓症を除く)の既往歴がある患者。出血または血栓症の遺伝的素因が確認さ
れている患者
11.
中枢神経系疾患または脳転移の既往歴がある,もしくは臨床的または放射線医学的にそ
れらの疾患が認められる患者
試験薬剤
12.
治験薬の吸収を阻害する可能性のある胃腸障害または他の異常を有する患者
13.
最大投与量の抗凝固薬の治療を必要とする患者(INR が 2.5 超)
14.
アルコール依存症の患者または薬物乱用患者
15.
性生活がある男女で,医学的に適切な避妊法を使用する意思のない患者
16.
妊娠中または授乳中の女性
nintedanib カプセル(50 mg,200 mg ソフトゼラチンカプセル)
アファチニブ錠(5 mg,20 mg フィルムコート錠)
目標症例数
目標症例数:スクリーニング登録症例:50 名,登録症例:40 名
実施症例数:スクリーニング登録症例:49 名,登録症例:46 名,投与症例:46 名,
解析症例(主要評価項目に対する解析):46 名
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.4: 1
Page 590
試験 1239.2
試験方法の概略(3/3)
投与方法
投与方法:
投与期間
nintedanib 250 mg 1 日 2 回経口投与,Day 1~7 および Day 15~21
アファチニブ 70 mg 1 日 1 回経口投与,Day 8~14 および Day 22~28
なお,アファチニブの投与量は 50 mg/日 1 日 1 回に変更した(治験実施計画書の変更 No. ,
20
年
月
日,患者 2 名を登録後)。
28 日ごとに繰り返し投与した。
投与期間:
疾患進行または減量によって対処できない有害事象が認められるまで投与を継続した。
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性の主要評価項目:
評価基準
1.
RECIST による奏効率
2.
16 週における無増悪生存率
有効性の副次評価項目
1.
無増悪生存期間(PFS)
2.
生存期間(OS)
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価した)の発現頻度および程度,有害事象発現時の減
量ガイドラインの有効性,臨床検査値,一般状態
解析方法
本治験の解析は記述的および探索的に行った。
有効性評価の主要目的は以下の項目を推定することであった。
1.
RECIST による奏効率
2.
16 週における無増悪率
解析には Kaplan-Meier 法による PFS および全生存期間の推定が含まれた。信頼区間は
Greenwood の推定値に基づいて算出した。
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(フランス,5施設)
治験実施期間
20
年 月~20
年
月
Page 591
試験 1239.2
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.4: 2
検査・観察スケジュール
スクリーニング
Visit 番号
1
治験薬投与期
2
コース
Days
Week
同意取得
既往歴・合併症および患者
背景
選択基準/除外基準の調査
完全な身体所見
特定の身体所見
体重および身長 5
バイタルサイン
一般状態(WHO パフォーマ
ンス・ステータス)
12 誘導心電図
臨床検査 7,8
血液凝固検査
血清 CEA
腫瘍評価
薬物動態用の血清検体
併用療法
服薬状況確認
有害事象
治験薬の処方
治験薬投与終了
治験終了
1)
2)
3)
4)
-14~-1
1
1
3
4
5
第 1 コース
8±1 15±1 22±1
2
3
4
6
7
第 2 コース
29±1
43±1
5
7
治験薬投与
終了後
8
第 3 コース
57±1
9
9
第 4 コース
85±1
13
10
第 5 コース
113±1
17
11
第 6 コース
141±1
21
12
第 7 コース以降
169±1
25
X4
X4
X4
X4
X4
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X10
X
X
X
X
X
X
X10
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
EOT1
FU2
X3
X
X
X
X
X6
X
X
X
X
X
X10
X
X4
X4
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X12
X
X
X
X12
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X12
X
X
X
X
X12
X
EOT:治験薬投与終了
FU:追跡調査。EOT の来院の 28 ± 3 日後に実施した。
文書同意はスクリーニング評価の実施前に取得することとした。
試験を開始/反復するため適格性を確認した。
X
X
X
X
X10
X
X
X
X
X
X
X
X
X12
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X9
X11
X
X
X
X
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
5)
6)
7)
8)
9)
10)
Page 592
試験 1239.2
身長は Visit 1 のみ計測した。
体重および身長(スクリーニング時のみ)と同様に,脈拍数,体温および血圧を含んだ。
全血球数(CBC),血清生化学検査および尿試験紙検査を含んだ。
Day 15 のみ。
EOT 時に異常が認められた場合に限り FU 時に実施した。
ベースライン時の腫瘍評価は胸部,腹部および骨盤の CT スキャンまたは MRI を含んだ。試験を通じて同じ検査方法を用いることとした。評価は第 3 コースよ
り開始し,2 コースごとおよび EOT 時に実施した。
11) 腫瘍縮小効果を確認する必要がない限り任意とした。
12) 詳細な採血時間については[CTD 5.3.5.4-4(U -2248),Appendices 16.1.1.1],Appendix 10.1 を参照。
引用元:CTD 5.3.5.4-4(U -2248),Table 9.5: 1
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 593
試験 1239.2
試験結果
試験結果の概略を表 8.4: 3 に示す。
表 8.4: 3
試験結果の概略(1/2)
有効性/臨床薬理試験の結 患者背景および患者の内訳:本試験では 49 名をスクリーニング登録した。その
果:
うち 46 名が登録され,nintedanib およびアファチニブの投与を受けて,安全性
および有効性の評価が可能であった。患者は,コース完了数として中央値で 2
コース(範囲 0~8)の治験薬投与を受けた。
有効性:ベースライン時の患者特性は病期後期の CRC 患者に典型的なものであ
り,多くの前治療を有する患者(56.5%が 3 種超の治療ラインの抗癌治療を受け
ていた)を含んでいた。客観的腫瘍縮小効果は治験薬投与を受けた 46 名のいず
れにも認められず,20 名(43.5%)に安定(SD)が認められた。7 名(15.2%)
では治療開始後 16 週間無増悪が維持され,それらの患者には,前治療に対する
最良効果として PD が認められた 3 名,ベバシズマブ/セツキシマブによる前治
療で疾患進行した 3 名,ならびにオキサリプラチン,ベバシズマブまたはセツ
キシマブによる前治療を受けていない 1 名が含まれた。
治験薬投与を受けた患者における PFS の中央値は 1.87 カ月(95%信頼区間:1.84
~3.21)であり,OS の中央値は 5.48 カ月(95%信頼区間:4.56~7.61)であった。
薬物動態の結果:
nintedanib 250 mg 1 日 2 回連日投与したときの Day 7 における,最終投与 12 時
間後の nintedanib の血漿中濃度の幾何平均値は 21.4 ng/mL であり,そのときの
BIBF 1202 の血漿中濃度の幾何平均値は 35.7 ng/mL であった。全般的に,本試
験の用法・用量での nintedanib および BIBF 1202 の血漿中濃度のばらつきは大き
かった。本治験に参加した唯一の黒人 CRC 患者(# 2132)と同様,アジア人 CRC
患者 2 名(# 2005 および# 2191)においても,当該投与群の他の患者と比較して
nintedanib または BIBF 1202 の血漿中濃度に違いは認められなかった。アファチ
ニブ 50 mg 1 日 1 回連日投与したときの,Day 14 における最終投与 24 時間後の
アファチニブの血漿中濃度の幾何平均値は 29.1 ng/mL であった。本試験の用
法・用量でのアファチニブの血漿中濃度はばらつきが大きかった。本治験に参
加したアジア人 CRC 患者 2 名(# 2005 および# 2191)においても,当該投与群
の他の患者と比較してアファチニブの血漿中濃度に違いは認められなかった。
CRC 患者に nintedanib と併用して週ごとに交互に長期間投与したとき,アファ
チニブのトラフ濃度に増加または減少といった一定の傾向は認められなかっ
た。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.4: 3
安全性の結果:
Page 594
試験 1239.2
試験結果の概略(2/2)
本治験の患者集団において,治験薬の忍容性は良好であった。治験薬との因果
関係が否定できない死亡は認められなかった。治験薬との因果関係が否定でき
ない重篤な有害事象は 11 名(23.9%)に計 15 件報告され,その内訳は嘔吐(3
名),下痢(3 名),無力症(2 名),ならびにガンマグルタミルトランスフェラ
ーゼ(GGT)増加,発熱,関節痛,四肢痛,腎不全および高クレアチニン血症,
直腸出血,鼻出血および紫斑(各 1 名)であった。19 名(41.3%)に治験薬との
因果関係がない重篤な有害事象が 24 件発現した。2 名が治験薬との因果関係が
否定できない有害事象のため治験を中止した(grade 4 の嘔吐,grade 4 の無力症)。
観察された主な毒性は消化管に関するものであり,治験薬との因果関係が否定
できない下痢(80.4%),悪心(43.5%)および嘔吐(32.6%)が認められ,数名
の患者では grade 3 または 4 の有害事象であった。他の発現率の高い治験薬との
因果関係が否定できない有害事象には,無力症(47.8%),発疹(41.3%)および
鼻出血(17.4%)が含まれた。血液学的毒性はまれであり,主として grade 1 の
有害事象に限られた。非血液学的な臨床検査値異常はより多くみられ,特に肝
機能パラメータである ALT および AST の異常がそれぞれ患者の 65.2%および
71.7%に認められた(grade 3 の有害事象が認められた 5 名を含む)。同様に,試
験中に 91.3%の患者に GGT 異常が認められ(56.5%は grade 3 または 4),82.6%
にアルカリホスファターゼ異常が認められた(13.0%は grade 3 または 4)。これ
らの患者の大多数は,ベースラインにおいて高値を示していた。
結論:
結論として,nintedanib およびアファチニブの逐次投与により治験薬投与を受け
た患者の 43.5%に SD が認められ,多くの前治療を有する患者のうち 7 名(15.2%)
において PFS が 16 週超持続した。治験薬の忍容性は良好であり,主な毒性は胃
腸症状および皮膚発疹であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.5
Page 595
試験 1239.3
その他の臨床試験 1239.3
(資料
番号 5.3.5.4-5)
試験方法
試験方法の概略を表 8.5: 1 に示す。
表 8.5: 1
目的
試験方法の概略(1/5)
治験薬投与 12 週後において,前立腺特異抗原(PSA)濃度,骨転移および X 線画像診断基
準に基づいて無増悪率(PFR)を決定し,比較する。各投与群における安全性を評価する。
試験の種類
ランダム化,非盲検,並行群間,2 段階,第 II 相試験
対象
対象疾患
化学療法の前治療を受けていない 18 歳以上のホルモン抵抗性前立腺癌(HRPC)患者で,
疾患進行(PD)が認められる患者
選択基準
1.
年齢が 18 歳以上の患者
2.
文書による同意が得られた患者
3.
治験実施計画書の要件を遵守できる患者
4.
組織診,細胞診,または生化学的診断にて前立腺腺癌と確定診断された患者,精巣摘
出術またはゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRHa)を含むホルモン療法を
1 種類以上受けた後に疾患進行がみられた,ホルモン療法に対して臨床的に抵抗性ま
たは耐性を示す患者
5.
PD が認められた患者,すなわち,治験開始前 3 カ月以内に 7 日間以上の間隔で 3 回
以上連続して測定した血清 PSA 濃度が経時的な上昇を示した患者。測定可能病変の進
行(RECIST に基づく)がみられる患者または骨病変の進行がみられる患者について
も,PSA 進行の基準に適合しなければならないこととした。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.5: 1
対象(続き)
Page 596
試験 1239.3
試験方法の概略(2/5)
6.
抗アンドロゲン剤中止(フルタミドについては 4 週間,ならびにビカルタミドまたは
ニルタミドについては 6 週間)の後,疾患進行(上述のとおり定義)が記録された患
者。本治験への登録前 6 カ月よりも短い期間内に抗アンドロゲン療法を中止した患者
では,次の基準の 1 つが合致する患者:
- 抗アンドロゲン剤の離脱期間が完了した後に測定した PSA 値の 1 つが,離脱期間前
に測定した最終 PSA 値よりも高い患者
または
- 抗アンドロゲン剤の離脱期間が完了した後に PSA 値が減少した場合は,離脱期間後
の PSA 最低値の後,PSA 値に 2 点の増加が認められた患者
7.
PSA が 5 ng/mL を超える患者
8.
少なくとも 12 週間の生存が見込める患者
9.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0~1 の患者
10.
安定した疼痛管理を要する患者
11.
十分な肝機能を有する患者:総ビリルビンが 26 µmol/L 未満,アラニンアミノトラン
スフェラーゼ(ALT)および/またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)
が基準値上限(ULN)の 1.5 倍未満である患者
12.
十分な腎機能を有する患者:血清クレアチニンが ULN の 1.5 倍未満の患者
13.
INR,プロトロンビン時間(PT)および部分トロンボプラスチン時間(PTT)が ULN
の 1.5 倍未満の患者
14.
好中球絶対数が 1.5 x 109/L 以上,血小板数が 100 x 109/L 以上の患者
15.
ヘモグロビンが 9.0 g/dL 以上の患者
16.
マルチゲート収集法(MUGA)スキャンまたは心エコー(ECG)で左室駆出率(LVEF)
が 50%を超える患者
17.
本治験期間中,精 巣 摘 出 術 ま た は 薬 物 投 与 に よ り ,精 巣 を 除 去 し た 場 合 と 同 等 の
テストステロン濃度(20 ng/dL 未満または 0.69 nM[nM/L x 28.8 = ng/dL]未満)を維
持する必要のある患者
18.
ビスフォスフォネートの経口または静脈内投与を受けている患者では,3 カ月以上投
与を受けている場合に限り,治験への登録を許容した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.5: 1
対象(続き)
Page 597
試験 1239.3
試験方法の概略(3/5)
除外基準
1.
EGFR,HER2 および/または VEGFR 阻害剤の前治療のある患者
2.
細胞毒性化学療法の前治療のある患者
3.
治験薬またはその添加物に対して過敏症が確認されている患者
4.
スクリーニング前の 28 日間に全身コルチコステロイドの投与を受けた患者(気管支
痙攣に対して処方された吸入コルチコステロイドは許容した)。併発する疾患に対し
て長期間一定用量のコルチコステロイド投与を継続している患者は除外しなかった。
5.
治験開始前 28 日以内に他の治験薬の投与を受けた患者
6.
過去 5 年以内に,治験実施計画書の遵守または試験結果の解釈に影響を与える可能性
のある他の悪性腫瘍への既往歴がある患者。適切に治療された基底細胞皮膚癌または
有棘細胞皮膚癌患者は一般的に適格とした。
7.
治験への参加または治験薬投与に関連するリスクを増大させる可能性のある重篤な
疾患,腫瘍以外の合併症(神経学的または精神医学的疾患,感染症,もしくは活動性
潰瘍[消化管,皮膚])または臨床検査値異常を有する患者ならびに治験責任医師が
治験への参加を適切でないと判断した患者
8.
治験開始の 4 週間以内に大きな損傷および/または手術を受けた患者,または骨折を
有し治験期間中に外科的処置を受ける予定の患者
9.
重大な心血管系疾患(例:コントロール不能の高血圧,不安定狭心症,過去 9 カ月以
内の梗塞の既往歴,NYHA 分類 III 以上のうっ血性心不全)を有する患者
10.
過去 12 カ月以内に出血性または血栓性イベントの既往歴がある患者。出血または血
栓症の遺伝的素因が確認されている患者。
試験薬剤
11.
中枢神経系疾患または脳転移の既往歴,または臨床的根拠が認められる患者
12.
脊髄圧迫による切迫した症状,または診断が確立した脊髄圧迫を有する患者
13.
治験薬の吸収を妨げる可能性のある胃腸障害またはその他の異常を有する患者
14.
最大投与量の抗凝固薬の治療を必要とする患者
15.
治験薬投与前 4 週間以内に放射線療法または免疫療法を施行された患者
16.
治験実施計画書を遵守できない患者
17.
アルコール依存症の患者または薬物乱用患者
nintedanib(50 mg,200 mg ソフトゼラチンカプセル)
アファチニブ錠(5 mg,20 mg フィルムコート錠)
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.5: 1
目標症例数
Page 598
試験 1239.3
試験方法の概略(4/5)
目標症例数:登録症例:各投与群 35 名まで
実施症例数:スクリーニング登録症例:96 名,登録症例:85 名
nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群:
登録症例:46 名,投与症例:46 名,解析症例(主要評価項目に対する解析):27 名
アファチニブ 40 mg 1 日 1 回投与群:
登録症例:20 名,投与症例:20 名,解析症例(主要評価項目に対する解析):12 名
ComBI 70 投与群(nintedanib 250 mg 1 日 2 回とアファチニブ 70 mg 1 日 1 回の 7 日間交互
連続併用療法群):
登録症例:3 名,投与症例:3 名,解析症例(主要評価項目に対する解析):0 名
ComBI 40 投与群(nintedanib 250 mg 1 日 2 回とアファチニブ 40 mg 1 日 1 回の 7 日間交互
連続併用療法群):
登録症例:16 名,投与症例:16 名,解析症例(主要評価項目に対する解析):10 名
薬物動態(PK)に対する解析:nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群が 43 名,アファチニブ 40 mg
1 日 1 回投与群が 18 名,ComBI 70 投与群が 3 名,ComBI 40 投与群が 16 名
投与方法
nintedanib ソフトゼラチンカプセル:
投与期間
250 mg 1 日 2 回経口投与,総投与量:500 mg/日,1 コース 28 日間
用量制限毒性(DLT)が認められた場合は開始用量を 150 mg 1 日 2 回に減量することとし
た。
アファチニブ錠:
40 mg 1 日 1 回経口投与,1 コース 28 日間
DLT が認められた場合は開始用量を 20 mg 1 日 1 回に減量することとした。
nintedanib ソフトゼラチンカプセル+アファチニブ錠:
以下に示すように,1 コースを 28 日間として,nintedanib とアファチニブを交互に 7 日間投
与する逐次併用療法:
ComBI 70 投与群
nintedanib 250 mg 1 日 2 回を Day 1~7 および Day 15~21 に経口投与
アファチニブ 70 mg 1 日 1 回を Day 8~14 および Day 22~28 に経口投与
DLT が認められた場合,開始用量を nintedanib 150 mg 1 日 2 回(トランスアミナーゼ上昇
が認められた場合)またはアファチニブ 40 mg 1 日 1 回(皮膚毒性が認められた場合)に
減量することとした。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.5: 1
投与方法
Page 599
試験 1239.3
試験方法の概略(5/5)
治験実施計画書の改訂(変更 )によりアファチニブの開始用量を減量した:
投与期間(続き) ComBI 40 投与群
nintedanib 250 mg 1 日 2 回を Day 1~7 および Day 15~21 に経口投与
アファチニブ 40 mg 1 日 1 回を Day 8~14 および Day 22~28 に経口投与
DLT が認められた場合,開始用量を nintedanib 150 mg 1 日 2 回(トランスアミナーゼ上昇
が認められた場合)またはアファチニブ 20 mg 1 日 1 回(皮膚毒性が認められた場合)に
減量することとした。
投与期間:
疾患進行が認められない場合は 48 週間
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
主要評価項目:
評価基準
12 週における PFR とした。PFR は疾患進行の複合エンドポイントであり,次のように定義
した。
PSA 進行(前立腺特異抗原ワーキンググループ[PSAWG]判定基準に従って評価),骨転
移進行(骨スキャンで新規病変の出現,または疾患に関連した骨関連事象[SRE]の出現),
または RECIST 第 1.0 版に基づく疾患進行が認められる。
注)12 週の骨スキャンにおける新規病変は,他の疾患進行の基準を伴う場合は PD とみな
した。
副次評価項目:
24 週および 48 週における主要評価項目に基づく疾患進行,無増悪生存期間(PFS),PSA
進行までの時間,測定可能病変の進行までの時間,死亡までの時間(生存期間),進行また
は死亡までの時間,PSA 奏効および奏効期間,客観的腫瘍縮小に関する総合効果および奏
効期間,nintedanib およびアファチニブの血漿中濃度
安全性の評価項目:
有害事象(米国国立癌研究所有害事象共通用語基準 CTCAE 第 3.0 版に従って評価した),
ECOG パフォーマンス・スコア(PS),臨床検査値,バイタルサイン,体重,胸部 X 線,心
電図(ECG)
解析方法
解析は記述的および探索的に行った。PSA 進行までの時間および死亡までの時間は生存時
間解析法[Kaplan-Meier 推定および Peto 法を用いて推定した信頼区間]を用いて解析した。
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(英国,9 施設)
治験実施期間
20
年
月~20
年
月
Page 600
試験 1239.3
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.5: 2
検査・観察スケジュール
Visit 番号
Visit
1
2
3
4
5
第 1 コース
スクリー
6
7
第 2 コース
8 以降
第 3 コース以降
EOT
FU
ニング
Cycle days
-14~1
同意取得
X
既往歴・合併症
X
1
8
15
22
1
15
1
選択基準/除外基準の調査
X
X
X
身体所見
X
X
X
X
X
X
X
バイタルサイン
X
X
X
X
X
X
X
ECOG パフォーマンス・ス
X
X
X
X
X
X
X
X
X 1, 2
X
胸部 X 線
X
X3
臨床検査
X
X
X
X
血液凝固検査
X
X
X4
X
CD4 陽性リンパ球数
X
X
コア(PS)
12 誘導心電図;左室駆出率
(LVEF)
前立腺特異抗原(PSA)
X
腫瘍評価
X
骨スキャン
X
血清テストステロン,黄体
X
X
X
X
X
X5
X
X
薬物動態用の血清検体
X
9
X
X
9
X
9
X
X
X6
X7
X8
X
X
9
X 10
X
形成ホルモン(LH),卵胞
刺激ホルモン(FSH)
併用薬
X
X
服薬状況確認
有害事象
X
ランダム化
X
治験薬の処方
X
治験薬投与
治験終了
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
EOT)治験薬投与終了時の来院(最終投与コース の Day 1 の 29 ± 1 日後)
FU)追跡調査の来院(EOT の 28 ± 3 日後)
1) ECG の測定は第 4 投与コース のみ。
2) 心エコーまたは MUGA スキャンは第 4 および第 12 コース に実施した。
3) スクリーニング時,第 3 コース の Day 1,その後は 2 コース ごとの Day 1 または臨床的に必要とされた場合
に実施した。
4) Day 15 のみ。
5) 第 4 コース から開始し,3 コース ごとに測定した。
6) ベースラインの腫瘍評価には胸部,腹部および骨盤の CT スキャンまたは MRI を含んだ。試験期間を通
じて同じ検査方法を使用する。評価は 12 週,24 週,36 週,および 48 週に実施した。
7) 疾患進行を診断/確認する必要のない限り任意とした。
8) 骨スキャンは 12 週,24 週,36 週,および 48 週に反復して実施した。
9) 詳細な採血時間については[CTD 5.3.5.4-5(U -1013),Section 9.5]を参照。
10) 第 4 コース から開始し,3 コース ごとに測定した。精巣摘出術を受けた患者については不要とした。
引用元:CTD 5.3.5.4-5(U -1013),Table 9.5.8.1: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 601
試験 1239.3
試験結果
試験結果の概略を表 8.5: 3 に示す。
表 8.5: 3
試験結果の概略(1/6)
有効性/臨床薬理試験の
治験実施計画書において逐次併用療法群におけるアファチニブの用量を
結果:
70 mg 1 日 1 回と規定した。しかしながら,アファチニブ 70 mg 1 日 1 回の投
与を受けた最初の 3 名に予期したよりも高い発現率で重度の有害事象が認め
られたため,治験実施計画書を改訂し,用量を 40 mg 1 日 1 回とした。低用
量の逐次併用療法群(ComBI 40 投与群)は高用量の逐次併用療法群(ComBI
70 投与群)とは別に解析を行った。ComBI 70 投与群のデータは有効性の解析
に含めなかった。
全体として,nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群およびアファチニブ 40 mg 1 日
1 回投与群の患者の約 3 分の 1( それぞれ 33.3%および 36.4%),ならびに ComBI
40 投与群の患者の約 3 分の 2(60.0%)において,治験中に新規骨病変の出現
がみられた。nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群の 1 名では治験中に SRE が報
告された。
有効性の中間解析(上述)の結果,nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群のみが本
治験の第 2 段階へと継続した。
人口統計学的特性には 4 つの投与群間で顕著な差はなかった。平均年齢の範
囲は 67.7~70.4 歳,平均 BMI の範囲は 27.8~28.9 kg/m2,またほとんどすべ
ての患者は白人(97.6%)であった。患者の計 93.0%は非喫煙者であり,うち
51.8%には喫煙歴がなく,41.2%は元喫煙者であった。また,治験評価の妨げ
になるほど飲酒していた患者はなかった。
患者計 42 名(49.4%)が疾患進行のため治験を中止した。さらに 28 名(32.9%)
が有害事象のため治験を中止し,10 名(11.8%)が治験参加への同意を撤回
し,4 名(4.7%)がその他の理由で治験を中止し,1 名(1.2%)がコンプライ
アンス不遵守のため脱落した。
nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群の患者計 7 名(25.9%)が本治験の主要評価
項目を満たし,12 週において無増悪が認められた。一方,アファチニブ 40 mg
1 日 1 回投与群または ComBI 40 投与群に主要評価項目を満たす患者はなかっ
た。nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群と他の投与群との間に統計学的な有意差
は 認 め ら れ な かった(アファチニブ 40 mg 1 日 1 回投与群との比較で
p=0.0577,ComBI 40 投与群との比較で p=0.0863)。
nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群の患者 1 名(3.7%)および ComBI 40 投与群
の患者 1 名(10.0%)で,治験中に PSA 奏効がみられた。PSA 進行までの期
間の中央値は nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群およびアファチニブ 40 mg 1
日 1 回投与群で同様であり(それぞれ 31.0 日および 29.0 日),ComBI 40 投与
群では長かった(57.0 日)。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.5: 3
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試験 1239.3
試験結果の概略(2/6)
有効性/臨床薬理試験の
nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群の患者 1 名で未確定の客観的な腫瘍縮小効果
結果:(続き)
(RECIST 基準の部分奏功[PR])がみられた。腫瘍径の最大縮小率は-32.1%
であり,奏効期間は 116 日であった。一方,アファチニブ 40 mg 1 日 1 回投
与群または ComBI 40 投与群では PR に達した患者はなかった。
大多数の患者(81.6%)では治験中に ECOG パフォーマンス・スコア(PS)
に変化はみられず,患者の 8.2%では改善がみられ,10.2%では悪化がみられ
た。全投与群で PS の改善がみられた患者は,nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与
群の患者 3 名(11.1%),アファチニブ 40 mg 1 日 1 回投与群の患者 0 名(0.0%),
および ComBI 40 投与群の患者 1 名(11.1%)であった。
薬物動態の結果:
測定機関で受領されなかった PK 検体があったことや,保存時間が長く評価
から除外しなければならなかったこと,もしくは採血時刻の記録がなく評価
することができなかったため,PK 評価対象集団および PK 評価は限られた。
nintedanib およびアファチニブの薬物濃度測定は適切であった。
nintedanib 250 mg 1 日 2 回単独療法投与群:
投与 1 時間後および 3 時間後における血漿中濃度の幾何平均値(gMean)は
Day 8 と Day 15 で同程度であった。遅くとも Day 8 には定常状態に到達し,
トラフ値は Day 8 で 10.2 ng/mL,Day 15 で 11.8 ng/mL,Day 29 で 11.8 ng/mL
であり,投与期間中安定していた。しかしながら,大きな個体間変動が認め
られ,幾何変動係数(gCVs)の範囲は 58.8%~110%であった。
アファチニブ 40 mg 1 日 1 回単独療法投与群:
投与 1 時間後および 3 時間後における血漿中濃度の gMean は Day 8 と Day 15
で同程度であった。遅くとも Day 8 には定常状態に到達し,トラフ値は Day 8
で 18.0 ng/mL,Day 15 で 19.1 ng/mL,Day 29 で 18.2 ng/mL であり,投与期間
中安定していた。しかしながら,大きな個体間変動が認められ,gCVs の範囲
は 65.1%~1060%であった。
nintedanib およびアファチニブの逐次併用療法群(ComBI 40):
Day 7 の最終投与 12 時間後における nintedanib の血漿中濃度の gMean は 13.7
ng/mL(範囲 8.22~39.7 ng/mL)であった。Day 14 のアファチニブ 40 mg の
最終投与 24 時間後におけるアファチニブの血漿中濃度の gMean は 11.4 ng/mL
(範囲 0.517~34.4 ng/mL)であった。血漿中濃度の変動は中程度~高度であ
り,gCVs は nintedanib で 40.7~336%,アファチニブで 33.8~216%であった。
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試験 1239.3
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.5: 3
試験結果の概略(3/6)
安全性の結果:(続き)
連日投与が行われ,1 コース(28 日間)ごとに記述した。すべての患者にお
ける平均曝露期間は 126.2 日(標準偏差[SD]は 71.56 日)であった。すべ
ての患者における開始したコース数の平均(28 日 1 コース)は 3.7 コース(SD
は 2.35 コース )であり,完了したコース 数の平均は 3.5 コース (SD は 2.48 コ
ース )であった。平均曝露期間は nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群(143.6 日)
の方が他の投与群(82.7~114.4 日)より長かった。合計で患者の 82.4%が 12
週間以上の投与を受けた。12 週間以上の投与を受けた患者の割合は ComBI
40 投与群で最も高く(98.3%),アファチニブ 40 mg 1 日 1 回投与群では
90.0%,nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群では 78.3%,ComBI 70 投与群では
33.3%であった。
すべての患者に治験中に 1 件以上の有害事象が報告され,各投与群の患者の
90%以上に 1 件以上の治験薬との因果関係が否定できない有害事象が報告さ
れた。有害事象の評価では報告された最も重い重症度を採用したが,CTCAE
grade 4 または 5 の治験薬との因果関係が否定できない有害事象は認められ
なかった。有害事象の全体的要約を投与群ごとおよびカテゴリーごとに以下
の表に示す。
有害事象の全体的要約-投与を受けた患者(treated set):
nintedanib
250 mg
b.i.d
Afatinib
40 mg
q.d.
ComBI 40
ComBI 70
N = 46
N = 20
N = 16
N=3
Any AE
46 (100.0)
20 (100.0)
16 (100.0)
3 (100.0)
Drug-related AEs
42 (91.3)
20 (100.0)
15 (93.8)
3 (100.0)
Other significant AEs
15 (32.6)
5 (25.0)
3 (18.8)
2 (66.7)
19 (41.3)
5 (25.0)
4 (25.0)
2 (66.7)
8 (17.4)
4 (20.0)
2 (12.5)
0 (0.0)
(ICH E3)
AEs leading to
discontinuation
Pre-specified significant
AEs1
Serioud AEs
11 (23.9)
2 (10.0)
4 (25.0)
1 (33.3)
Fatal
0 (0.0)
1 (5.0)
1 (6.3)
0 (0.0)
Iimmediately
1 (2.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Life-threatening
Disability/incapacity
2 (4.3)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
requires hospitalisation
9 (19.6)
2 (10.0)
2 (12.5)
1 (33.3)
Prolongs hospitalisation
1 (2.2)
0 (0.0)
0 (0.0)
0 (0.0)
Other
1 (2.2)
0 (0.0)
1 (6.3)
0 (0.0)
1) CD4 陽性細胞数が 200 個/µL 未満,用量制限毒性である肝酵素上昇,発疹,下痢
,悪心,嘔吐,呼吸困難,視覚障害(例:かすみ目),LVEF の低下,腎機能低
下,治験薬との因果関係が否定できないと判断された DLT,または治験責任医師
により重要と判断された有害事象
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表 8.5: 3
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試験 1239.3
試験結果の概略(4/6)
安全性の結果:(続き)
すべての投与群において最も発現率の高かった有害事象は胃腸障害
(nintedanib 単独療法群で 97.8%,アファチニブ単独療法群で 100%,ComBI 40
投与群で 93.8%,および ComBI 70 投与群で 100%)であり,特に下痢の発現
率が高かった(nintedanib 単独療法群で 76.1%,アファチニブ単独療法群で
100%,ComBI 40 投与群で 93.8%,および ComBI 70 投与群で 66.7%)。
投与群ごとの治験薬との因果関係が否定できない有害事象
nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群:
最も発現率の高かった治験薬との因果関係が否定できない有害事象は胃腸障
害(37 名,80.4%)であり,そのうち発現率の高かった有害事象には下痢
(65.2%),悪心(54.3%),嘔吐(32.6%),および便秘(10.9%)が含まれた。
その他の治験薬との因果関係が否定できない有害事象のうち発現率が 10%を
超えたものは,無気力(19.6%),アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)
増加(17.4%),疲労(13.0%),およびアスパラギン酸アミノトランスフェラ
ーゼ(AST)増加(10.9%)であった。治験薬との因果関係が否定できない有
害事象のうち,2 名以上で最も重い重症度が CTCAE grade 3 と報告されたも
のは,ALT 増加(4 名,8.7%),下痢および AST 増加(各 3 名,6.5%)であ
った。
アファチニブ 40 mg 1 日 1 回投与群:
最も発現率の高かった治験薬との因果関係が否定できない有害事象は胃腸障
害(100%)であった。治験薬との因果関係が否定できない有害事象のうち発
現率が 10%を超えたものは,下痢(100%),鼻出血および発疹(各 40%),疲
労(25%),食欲減退,無気力,口腔痛および嘔吐(各 20%),結膜炎,口内
乾燥,皮膚乾燥,味覚異常,口腔内潰瘍形性および悪心(各 15%)であった。
治験薬との因果関係が否定できない有害事象のうち,2 名以上で最も重い重
症度が CTCAE grade 3 と報告されたものは,下痢(4 名,20%)のみであった。
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表 8.5: 3
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試験 1239.3
試験結果の概略(5/6)
安全性の結果:(続き)
ComBI 40 投与群:
最も発現率の高かった治験薬との因果関係が否定できない有害事象は胃腸障
害(93.8%)であった。治験薬との因果関係が否定できない有害事象のうち発
現率が 10%を超えたものは,下痢(93.8%),無気力(43.8%),悪心(37.5%),
鼻出血,口腔内潰瘍形性および発疹(各 31.3%),嘔吐(25.0%),便秘,皮膚
乾燥,胃炎,ALT 増加,AST 増加,ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)
増加および鼻炎(各 12.5%)であった。治験薬との因果関係が否定できない
有害事象のうち,2 名以上で最も重い重症度が CTCAE grade 3 と報告された
ものは,下痢(2 名,12.5%)のみであった。
ComBI 70 投与群:
3 名すべて(100%)で治験薬との因果関係が否定できない有害事象が報告さ
れた。治験薬との因果関係が否定できない有害事象は,下痢,鼻出血,口腔
内潰瘍形性,悪心,および嘔吐(各 2 名[66.7%]に報告),ならびに腹部膨
満,ざ瘡様皮膚炎,口内乾燥,皮膚乾燥,排便障害,味覚異常,ALT 増加お
よび GGT 増加(各 1 名[33.3%])であった。治験薬との因果関係が否定でき
ない有害事象のうち,最も重い重症度が CTCAE grade 3 と報告されたものは,
1 名(33.3%)で報告された下痢のみであった。
重篤な有害事象(SAE):
2 件の SAE は致命的なものであった。アファチニブ 40 mg 1 日 1 回投与群の
患者 1 名が疾患進行のため死亡し,ComBI 40 投与群の患者 1 名が原因不明の
理由で死亡した。いずれの死亡についても治験薬との因果関係はないと判断
された。1 件の直ちに生命を脅かす SAE が nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群
の患者 1 名で報告された。当該患者では 43 日目に深部静脈血栓症が発現し,
合計で 107 日間治験薬投与を継続した。1 件の治験薬と因果関係があるかも
しれない SAE(ComBI 40 投与群)が認められた(汎血球減少症とコードされ
た,骨髄抑制のエビデンスを伴わない単発の血小板減少症の患者)。治験責任
医師は後に,当該症例は骨髄抑制のエビデンスを伴わない単発の血小板減少
症であり,汎血球減少症には該当しないことを確認した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.5: 3
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試験 1239.3
試験結果の概略(6/6)
安全性の結果:(続き)
その他の安全性:
nintedanib 療法に関連する影響として知られた肝酵素の変化を除き,治験期間
中,臨床検査値に臨床的に重要な変化は認められなかった。nintedanib 250 mg
1 日 2 回投与群において AST および ALT の上昇が認められた(ベースライン
から投与期間中の最終値までの平均変化量は,AST が+26 U/L,ALT が+29 U/L
であった)。一方,他の投与群における同期間の変化量は+4~-1 U/L であった。
同様のパターンが GGT および乳酸脱水素酵素値についてもみられた。いずれ
の投与群においてもビリルビン値に臨床的に重要な変化は認められなかっ
た。臨床的に重要かもしれない肝機能検査値上昇が nintedanib 250 mg 1 日 2
回投与群の患者の半数以下で報告された(GGT 増加が 21 名[46.7%],ALT
増加が 14 名[31.1%],AST 増加が 11 名[24.4%],アルカリホスファターゼ
増加が 2 名[4.4%])。この割合は,アファチニブ 40 mg 1 日 1 回投与群(5.0%
~15.0%)および ComBI 40 投与群(12.5%~37.5%)では nintedanib 250 mg 1
日 2 回投与群と比べて低かった。臨床的に重要な臨床検査値異常はほとんど
すべて,治験薬投与期間中の最終値までには消失していたことから,肝酵素
値の悪化は可逆的かつ一過性であることが示された。
バイタルサイン,ECG,胸部 X 線,または体重に関して,ベースラインから
最終評価時までに臨床的に重要な変化は認められなかった。
結論:
他の抗血管新生療法と同様に,本第 II 相試験の HRPC の適応症において
nintedanib は有望な抗腫瘍活性を示した。nintedanib 250 mg1 日 2 回投与を受
けた患者の 4 分の 1 以上で主要評価項目の達成および 12 週における無増悪が
認められたが,アファチニブ 40 mg1 日 1 回投与群または ComBI 40 投与群で
はこれらが認められた患者はなかった。nintedanib 250 mg 1 日 2 回投与群の患
者 1 名で未確定の客観的な腫瘍縮小効果(RECIST 基準の部分奏功)がみられ
たが,アファチニブ 40 mg 1 日 1 回投与群または ComBI 40 投与群のいずれ
でも PR に達した患者はなかった。nintedanib とアファチニブの併用療法では,
逐次的に交互に治験薬を投与し隔週ごとに nintedanib 投与を中断したためリ
バウンド効果が現れた可能性があり,その結果,nintedanib 単独療法と同等の
効果を示すことができなかった可能性がある。様々な腫瘍タイプに対する
nintedanib とアファチニブの同時併用療法スケジュールについて,現在評価中
である。
nintedanib およびアファチニブ単独療法の安全性プロファイルは許容できる
ものであり,過去の試験結果ならびに nintedanib およびアファチニブについ
て確認されている有害事象と一致した。nintedanib とアファチニブの併用療法
は nintedanib とアファチニブの両者について確認されている有害事象と関連
付けられた。nintedanib 単独療法では可逆性の肝酵素上昇が発現した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.6
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試験 1200.34
その他の臨床試験 1200.34
LUX-Lung 6: A randomized, open-label, phase III study of BIBW 2992 versus chemotherapy as first-line
treatment for patients with Stage IIIB or IV adenocarcinoma of the lung harbouring an EGFR activating
mutation(資料番号 5.3.5.4-6)
試験方法
試験方法の概略を表 8.6: 1 に示す。
表 8.6: 1
目的
試験方法の概略(1/3)
EGFR 遺伝子変異を有する病期 IIIB 期または IV 期の肺腺癌患者に対するアファチニブ(BIBW
2992)の有効性および安全性を標準一次化学療法と比較検討する。
試験の種類
非盲検,ランダム化試験
対象
対象疾患
EGFR 遺伝子変異を有する病期 IIIB 期または IV 期の肺腺癌患者
根治目的の手術または化学放射線療法のいずれも適応とならない患者
局所進行,再発性または転移性の非小細胞肺癌(NSCLC)に対する全身治療歴のない患者
選択基準
1.
病期 IIIB(細胞診により確認された胸水または心嚢液貯留を伴う)または IV 期の肺腺癌
と病理学的に確定診断された患者。混合組織型の患者は,腺癌が主たる組織型である場
合には適格とする。
2.
中央検査機関による腫瘍生検検体の解析により EGFR 遺伝子変異が検出された患者
3.
RECIST 第 1.1 版に基づき測定可能病変を有する患者
4.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0 または 1 の患者
5.
年齢が 18 歳以上の患者
6.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
7.
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
除外基準
1.
再発および/または転移性 NSCLC に対する前化学療法歴のある患者。術前補助/術後補
助化学療法については,化学療法終了からランダム化割付けまで 12 カ月以上経過してい
る場合は許容される。
2.
EGFR を標的とする小分子化合物または抗体による治療歴のある患者
3.
ランダム化割付け前 4 週間以内に放射線療法または手術(生検を除く)を施行した患者
4.
活動性の脳転移(安定している期間が 4 週間未満,および/または症候性,および/ま
たは抗痙攣剤またはステロイドによる治療を必要とする,および/または軟膜・髄膜疾
患がみられる脳転移と定義)を有する患者
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試験 1200.34
表 8.6: 1
試験方法の概略(2/3)
対象(続き) 5.
他の悪性腫瘍が認められるかまたは過去 5 年以内に他の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌および子
宮頚部上皮内癌を除く)と診断された患者
6.
基礎疾患として間質性肺疾患が確認されている患者
7.
クローン病,吸収不良,原因を問わず grade 2 以上の下痢など,主症状として下痢を伴う重
大な胃腸管障害が認められるか,または急性胃腸管障害が最近認められた患者
8.
コントロール不良の高血圧,NYHA 分類 3 のうっ血性心不全,不安定狭心症またはコント
ロール不十分の不整脈など,臨床的に重要な心血管系異常の既往歴があるか,またはそのよ
うな異常が認められる患者。ランダム化前 6 カ月以内に心筋梗塞を発症した患者
9.
安静時左室駆出率(LVEF)が 50%.未満の左心室機能の患者
10.
その他の重篤な疾患または臓器系機能障害を有する患者で,治験責任医師が患者の安全性に
悪影響を及ぼす,または治験薬の安全性の評価を妨げると判断した患者
11.
好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
12.
血小板数が 100000/mm3 未満の患者
13.
クレアチニンクリアランスが 60 mL/min を未満であるか,または血清クレアチニンクリアラ
ンスが基準値上限の 1.5 倍を超える患者
14.
ビリルビンが基準値上限の 1.5 倍を超える患者
15.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニン・アミノトランスフェラ
ーゼ(ALT)が基準値上限(ULN)の 3 倍を超える(肝臓への転移に関連する場合は基準値
上限の 5 倍を超える)患者
16.
本治験期間中,医学的に適切な避妊法を使用する意思のない妊娠の可能性のある女性または
パートナーを妊娠させる可能性のある男性
17.
妊娠中または授乳中の女性
18.
治験実施計画書を遵守できない患者
19.
活動性の B 型肝炎または C 型肝炎患者、または HIV キャリアであることが確認されている
患者
試験薬剤
20.
薬物乱用者またはアルコール依存症であることが確認されているまたは疑われる患者
21.
治験実施計画書に記載した併用禁止薬剤のいずれかの投与を必要とする患者
22.
ゲムシタビン/シスプラチンによる治療に対する禁忌となる患者
23.
アファチニブまたはいずれかの治験薬の添加剤に対する薬物過敏症が確認されている患者
24.
ランダム化割付け前 4 週間以内に何らかの治験薬を使用した患者
アファチニブ錠(20 mg,30 mg,40 mg,50 mg フィルムコート錠)
ゲムシタビン(200 mg,1000 mg バイアル)
シスプラチン(50 mL 溶液[1 mg/mL])
目標症例数
スクリーニング症例:1366 名
ランダム化割付け症例:約 360 名
A 投与群(アファチニブ):220 名
B 投与群(化学療法- ゲムシタビン/シスプラチン):110 名
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表 8.6: 1
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試験 1200.34
試験方法の概略(3/3)
投与方法
投与方法:
投与期間
A 投与群:アファチニブ開始用量 40 mg/日,1 日 1 回連日経口投与
B 投与群:Day 1 および Day 8 にゲムシタビン 1000 mg/m2 を静脈内投与し,Day 1 にシスプラ
チン 75 mg/m2 を静脈内投与,6 コースを実施。
投与期間:
A 投与群:疾患進行または有害事象が認められるまで連日投与。
B 投与群:6 投与コース(各投与コース 3 週間)。
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性の評価項目:
評価基準
無増悪生存期間(PFS)
RECIST 第 1.1 版に基づく完全奏効(CR),部分奏効(PR),安定(SD),疾患進行(PD)
全生存期間(OS)
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価する)
解析方法
統計解析の主要目的は,アファチニブによる PFS の化学療法と比較した延長効果を検証するこ
とにある。ログランク検定を用いてアファチニブの効果を検証する。
疾患進行がみられた後は治療が均一でないことからアファチニブの生存に対する効果が不明
確になると予測される。OS については副次評価項目として評価する。この解析では,死亡ま
での期間について,疾患進行がみられた後の抗癌剤による後治療の程度および影響と併せて記
述する。
治験調整医師
治験実施施設
国際多施設共同試験(アジア[中国,韓国およびタイ],36 施設)
治験実施期間
20
年 月~進行中
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試験 1200.34
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.6: 2
検査・観察スケジュール(A 投与群:アファチニブ)(1/2)
スクリーニング*
SV1
Visit の略号
投与開始前
6 週間以内
Day
SV2**
CxV1a
CxV2a
Day 1
Day 8
投与開始前
28 日以内 (± 2 日) (± 2 日)
第 3 コース以降
治験薬投与終了時
追跡調査
観察期
CxV1a
EOT
FUxb
OP
Day 1
(± 2 日)
アファチニブ投与を
永続的に中止した後
0~14 日****
EOT の来院後 21 最後の FU の来
院後 60 日
日(± 7 日)ごと
*****
(± 15 日)ごと
X1
同意取得 1
X2
同意取得 2
患者背景
X
既往歴・合併症
X
選択基準/除外基準の確認
X
ランダム化
X3
完全な身体所見 4
特定の身体所見
第 1~第 2 コース***
X
4
X
X
X
X
バイタルサイン
X
X
X
X
X
X
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X5
X5
X6
X6
X
X
X
HRQOL および介護者支援の評価
12 誘導デジタル心電図
5
心エコーまたは MUGA スキャン 6
臨床検査
X
7
X
X
X
X
妊娠検査
EGFR 遺伝子変異解析用の腫瘍生検 8
EGFR 遺伝子変異解析用の採血
DNA バンキング用の採血
X8
X
X9
9
12
併用薬
X11
X11
X11
脚注のスケジュール参照 12
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
服薬状況確認
有害事象および医療サービスの利用状況 14
X9
X10
10
薬物動態用の採血 11
腫瘍評価
X5
X
X
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試験 1200.34
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.6: 2
検査・観察スケジュール(A 投与群:アファチニブ)(2/2)
スクリーニング*
Visit の略号
Day
SV1
SV2**
投与開始
前 6 週間以
内
投与開始
前 28 日以
内
第 1~第 2 コース***
CxV1a
CxV2a
Day 1
Day 8
(± 2 日) (± 2 日)
第 3 コース以降
治験薬投与終了時
追跡調査
観察期
CxV1a
EOT
FUxb
OP
Day 1
(± 2 日)
アファチニブ投与を
永続的に中止した後
0~14 日****
EOT の来院後 21
日(± 7 日)ごと
*****
最後の FU の
来院後 60 日(±
15 日)ごと
治験薬の処方
X
X
アファチニブ投与
連日投与
治験薬投与終了
X
治験終了
X
生死の状況に関する情報収集 13
X
*)
スクリーニング来院はすべての患者に対して同様に実施するが,明確を期すために両フローチャート(A 群および B 群)に記載した。
**)
EGFR 遺伝子変異解析はスクリーニング来院 1(SV1)に実施する。EGFR 遺伝子変異検査陽性の患者のみスクリーニング来院 2(SV2)に進む。EGFR 遺伝子変異検査結果を受
領するまでに日常診療の一環として実施する手順は,許容される期間内(投与開始前 28 日以内)であれば SV2 において再度実施する必要はない。
***) 投与コースの期間はすべて 3 週間(21 日間)とする。投与コース数に制限はなく,患者は中止基準に該当するまで投与を継続することができる。
****) 予定来院時にアファチニブ投与を永続的に中止する決定がなされた場合,その予定来院に代えて EOT 来院の検査を実施することとする。
*****) すべての患者に対し,EOT 来院の 21 日後に追跡調査来院を実施する。疾患進行がみられず,かつその後の投与を開始していない患者は,疾患進行がみられるか,またはその後
の投与を開始するまで 21 日ごとに追跡調査来院を実施する。
a) x は投与コースの回数を示す。
b) x は追跡調査来院の回数を示す。
1) 治験実施計画書に関連するスクリーニング評価を実施する前に文書同意を取得しなければならない。同意説明 1 には EGFR 遺伝子変異の有無を確認するための生検検体採取および
生検検体の検査に対する同意を含めなければならない。
2) EGFR 遺伝子変異検査陽性の患者については同意説明 2 を取得し,EGFR 遺伝子変異の有無に関する解析用の採血を含むすべての試験手順に対する同意を含めなければならない。
唯一の例外として,DNA バンキング用の採血に対する同意は任意とする。
3) 治験薬投与はランダム化割付け後できる限り速やかに,遅くとも 2 日以内に開始しなければならない。
4) 身長(スクリーニング時のみ)および体重を含む。
5) 安静時 12 誘導デジタル心電図検査をスクリーニング時および第 1 コースの Day 8 に実施し,その後 3 コースごとの Day 1(第 4,第 7,第 10 コースなどの Day 1)に実施し,EOT
時(過去 8 週間以内に実施していない場合)にも実施する。
6) 心エコーまたは MUGA スキャンをスクリーニング時および第 4 コースの Day 8 に実施し,その後 3 コースごと(第 7,第 10,第 13,第 16 コースなど)の Day 1 に実施し,EOT 時
(過去 8 週間以内に実施していない場合)にも実施する。
7) 血液学的検査,血清生化学検査および尿検査を含む。クレアチニンクリアランスはスクリーニング時にすべての患者において測定する。第 1 コースの Day 1 が SV2 の 2 日以内の場
合,検査を繰り返す必要はない。
8) 腫瘍生検は,EGFR 遺伝子変異の有無に関する解析のために SV1 に実施する。腫瘍生検が日常診療の一環として治験参加前に実施され,生検検体を解析に使用することができる場
合,腫瘍生検を再度実施する必要はない。追跡調査時(疾患進行[PD]の時点)の腫瘍生検が推奨されるが,任意である。
9) 投与開始時の EGFR 遺伝子変異検査用血液検体採取は必須であり,第 1 コースの Day 1 に 1 回採取することとする。追跡調査時の EGFR 遺伝子変異検査用の採血を 1 回実施するこ
とが推奨されるが,任意である。
10) DNA バンキング用血液検体採取は任意である。同意取得を別途必要とする。ランダム化後,いずれの時点に実施しても良いが,第 1 コースの Day1 に実施することが推奨される。
11) 薬物動態用の採血を C2V1,C2V2 および C3V1 に実施する。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 612
試験 1200.34
12) 腫瘍評価には胸部および腹部の CT スキャンを含むこととし,臨床診断において必要とされる場合には,病変の確認されているまたは疑いのある他の部位(骨盤,脳など)に対し
て適切な方法(CT スキャンまたは MRI)を用いて画像検査を実施する。治験期間中を通じて同じ画像検査を使用しなければならない。スクリーニング時に骨転移が疑われる(し
かし確定していない)場合,スクリーニング時の腫瘍評価に骨スキャンを含めることとする。スクリーニング時に,既に骨転移が確認されているかまたは確定している場合,従来
の画像診断法(X 線または CT スキャン)を実施する。その後の各腫瘍評価時にも従来の画像診断法を再度実施する。腫瘍評価は疾患進行が認められるか,または腫瘍病変に対す
るさらなる治療が開始されるまで,以下の時点において実施する。
スクリーニング来院 2
Week 6 の間(ランダム化後 35 日~42 日)
Week 12 の間(ランダム化後 77 日~84 日)
Week 18 の間(ランダム化後 119 日~126 日)
Week 24 の間(ランダム化後 161 日~168 日)
Week 30 の間(ランダム化後 203 日~210 日)
その後は進行が認められるか,または腫瘍病変に対するさらなる治療が開始されるまで 6 週ごとに実施し,Week 48 以降は 12 週ごとに実施する。
早期中止または治験薬投与の中断/遅延が行われた場合でも,腫瘍評価スケジュールは変更しないこと。
13) 疾患進行,後治療および死亡に関する情報を収集する。情報は患者メモまたは患者への電話により収集する。正式な治験来院は必要ない。
14) 有害事象は文書同意取得以降から治験薬投与終了来院時まで評価する。医療サービスの利用状況は第 1 コースの Day 1 から治験薬投与終了まで評価し,スクリーニング時には評価
しない。
引用元:CTD 5.3.5.4-6(U -1625),Flow chart
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試験 1200.34
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表 8.6: 3
検査・観察スケジュール(B 投与群:ゲムシタビン/シスプラチン)
(1/2)
投与コース ***
スクリーニング*
Visit の略号
Day
SV1
SV2**
投与開始
前 6 週間
以内
投与開始前
28 日以内
C1-2V1a
C3-6V1a
治験薬投与終了時
追跡調査
観察期
EOT
FUxb
OP
第 6 コース Day 1 の 21 日(± 7
日)後または患者が第 6 コース
を終了していない場合,治験薬
投与中止の決定から 0~14 日後
EOT の来院
後 21 日(± 7
日)ごと****
最後の FU の
来院後 60 日
(± 15 日)ご
と
C1-6V2a
Day 1
Day 1
Day 8
(± 2 日) (± 2 日) (± 2 日)
X1
同意取得 1
同意取得 2
X2
患者背景
X
既往歴・合併症
X
選択基準/除外基準の確認
X
ランダム化
X3
完全な身体所見 4
X
特定の身体所見 4
X
X
X
X
バイタルサイン
X
X
X
X
X
X
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
HRQOL および介護者支援の評価
12 誘導デジタル心電図 5
X
X5
心エコーまたは MUGA スキャン 6
X
X6
臨床検査
7
X
EGFR 遺伝子変異解析用の腫瘍生検 8
EGFR 遺伝子変異解析用の採血
DNA バンキング用の採血
X
X
X
X
妊娠検査
10
9
X8
X
9
X
10
X
X9
Page 614
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.6: 3
検査・観察スケジュール(B 投与群:ゲムシタビン/シスプラチン)
(2/2)
投与コース ***
スクリーニング*
Visit の略号
Day
SV1
SV2**
投与開始
前 6 週間以
内
投与開始前
28 日以内
C1-2V1a
C3-6V1a
C1-6V2a
Day 1
Day 1
Day 8
(± 2 日) (± 2 日) (± 2 日)
治験薬投与終了時
追跡調査
観察期
EOT
FUxb
OP
第 6 コース Day 1 の 21 日(± 7
日)後または患者が第 6 コース
を終了していない場合,治験薬
投与終了の決定から 0~14 日後
EOT の来院
後 21 日(± 7
日)ごと****
最後の FU の
来院後 60 日
(± 15 日)ご
と
腫瘍評価 11
X
併用薬剤
X
X
X
X
X
X
有害事象および医療サービスの利用状況 14
X
X
X
X
X
X
X
X
X13
X13
治験薬の処方
化学療法
治験薬投与終了
治験終了
脚注のスケジュール参照 11
X13
X
X
生死の状況に関する情報収集 12
X
*)
スクリーニング来院はすべての患者に対して同様に実施するが,明確を期すために両フローチャート(A 群および B 群)に記載した。.
**)
EGFR 遺伝子変異解析はスクリーニング来院 1(SV1)に実施する。EGFR 遺伝子変異検査陽性の患者のみスクリーニング来院 2(SV2)に進む。EGFR 遺伝子変異検査結果を受
領するまでに日常診療の一環として実施する手順は,許容される期間内(投与開始前 28 日以内)であれば SV2 において再度実施する必要はない。
***) 第 1 コースから第 6 コースはそれぞれ 3 週間(21 日間)とする。
****) すべての患者に対し,EOT 来院 21 日後に追跡調査来院を実施する。疾患進行がみられず,かつその後の投与を開始していない患者は,疾患進行がみられるか,またはその後の
投与を開始するまで,21 日ごとにさらなる追跡調査来院を実施する。
a) C1-2:第 1 コースおよび第 2 コース,C3-6:第 3 コースから第 6 コース,C1-6:第 1 コースから第 6 コース
b) x は追跡調査来院の回数を示す。
1) 治験実施計画書に関連するスクリーニング評価を実施する前に文書同意を取得しなければならない。同意説明 1 には EGFR 遺伝子変異の有無を確認するための生検検体採取および
生検検体の検査に対する同意を含めなければならない。
2) EGFR 遺伝子変異検査陽性の患者については同意説明 2 を取得し,EGFR 遺伝子変異の有無に関する解析用の採血を含むすべての試験手順に対する同意を含めなければならない。
唯一の例外として,DNA バンキング用血液検体採取に対する同意は任意とする。
3) 投与はランダム化割付け後できる限り速やかに,遅くとも 2 日以内に開始しなければならない。
4) 身長(スクリーニング時のみ)および体重を含む。
5) 安静時 12 誘導デジタル心電図検査をスクリーニング時に実施し,その後は臨床症状に基づき必要とされる時点で実施する。
6) 心エコーまたは MUGA スキャンはスクリーニング時に実施し,その後は臨床症状に基づき必要とされる時点で実施する。
7) 血液学的検査,血清生化学検査および尿検査を含む。クレアチニンクリアランスはスクリーニング時にすべての患者において測定する。第 1 コースの Day 1 が SV2 の 2 日以内の場
合,検査を繰り返す必要はない。
8) 腫瘍生検は,EGFR 遺伝子変異の有無に関する解析のために SV1 に実施する。腫瘍生検が日常診療の一環として治験参加前に実施され,生検検体を解析に使用することができる場
合,腫瘍生検を再度実施する必要はない。追跡調査時(疾患進行[PD]の時点)の腫瘍生検が推奨されるが,任意である。
9) 投与開始時の EGFR 遺伝子変異検査用血液検体採取は必須であり,第 1 コースの Day 1 に 1 回採取することとする。追跡調査時の EGFR 遺伝子変異検査用の採血を 1 回実施するこ
とが推奨されるが,任意である。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 615
試験 1200.34
10) DNA バンキング用血液検体採取は任意である。同意取得を別途に必要とする。ランダム化後,いずれの時点に実施しても良いが,第 1 コースの Day1 に実施することが推奨される。
11) 腫瘍評価には胸部および腹部の CT スキャンを含むこととし,臨床診断において必要とされる場合には,病変の確認されているまたは疑いのある他の部位(骨盤,脳など)に対し
て適切な方法(CT スキャンまたは MRI)を用いて画像検査を実施する。治験期間中を通じて同じ画像検査を使用しなければならない。スクリーニング時に骨転移が疑われる(し
かし,確定していない)場合,スクリーニング時の腫瘍評価に骨スキャンを含めることとする。スクリーニング時に,既に骨転移が確認されているか,または確定している場合,
従来の画像診断法(X 線または CT スキャン)を実施する。その後の各腫瘍評価時にも従来の画像診断法を再度実施する。腫瘍評価は疾患進行が認められるか,または腫瘍病変に
対するさらなる治療が開始されるまで,以下の時点で実施する。
Screening visit 2 /スクリーニング来院 2
Week 6 の間(ランダム化後 35 日~42 日)
Week 12 の間(ランダム化後 77 日~84 日)
Week 18 の間(ランダム化後 119 日~126 日)
Week 24 の間(ランダム化後 161 日~168 日)
Week 30 の間(ランダム化後 203 日~210 日)
その後は進行が認められるか,または腫瘍病変に対するさらなる治療が開始されるまで 6 週ごとに実施し,Week 48 以降は 12 週ごとに実施する。
12) 疾患進行,後治療および死亡に関する情報を収集する。情報は患者メモまたは患者に電話をして収集する。正式な治験来院は必要ない。
13) Day 1 にゲムシタビン 1000 mg/m2 およびシスプラチン 75 mg/m2 を投与。Day 8 にゲムシタビン 1000 mg/m2 を投与。
14) 有害事象は文書同意取得以降から治験薬投与終了来院時まで評価する。医療サービスの利用状況は第 1 コースの Day 1 から治験薬投与終了まで評価し,スクリーニング時には評価
しない。
引用元:CTD 5.3.5.4-6(U -1625),Flow chart
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.7
Page 616
試験 1200.40
その他の臨床試験 1200.40
(資
料番号 5.3.5.4-7)
試験方法
試験方法の概略を表 8.7: 1 に示す。
表 8.7: 1
目的
試験方法の概略(1/3)
EGFR FISH 検査陽性である病期 IIIB 期または IV 期の進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者におけ
る RECIST に基づき判定した奏効率(CR または PR)により定義されるアファチニブ(BIBW
2992)の有効性を探索的に検討する。
試験の種類
非盲検,単一群試験
対象
対象疾患
局所進行または転移性の肺腺癌または肺扁平上皮癌もしくは細気管支肺胞上皮癌を有し,腫瘍
検体の EGFR FISH 検査陽性が示された患者
選択基準
1.
性別を問わず,年齢が 18 歳以上の患者
2.
組織診,細胞診により,NSCLC(胸水を伴う病期 IIIB 期,または IV 期)と確定診断さ
れ,かつ組織診により腺癌または扁平上皮癌もしくは細気管支肺胞癌に分類される患者
3.
FISH 解析の評価により EGFR 遺伝子コピー数の増加が認められる患者。文書同意の署名
後,被験者が他のスクリーニング手順に進むためには EGFR FISH 検査の結果が陽性と判
定されなければならない。
4.
コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴画像(MRI)により少なくとも 1 次元で正
確に測定可能であり,従来の手技によるで測定した最長径が 20 mm 以上,またはヘリカ
ル CT スキャンで測定した最長径が 10 mm 以上と記録された腫瘍病変が 1 以上認められ
る患者
5.
化学療法の前治療については以下のとおり規定する。
- 1 次治療患者(計 40 名)
:NSCLC 治療のための化学療法の前治療がない患者。補助療法
を受けた患者および最後の投与から 12 カ月以上経過している患者は 1 次治療患者とみな
す。
- 2 次治療患者(計 30 名)
:1 次治療後に再発が認められた患者。補助化学療法を受けた患
者の場合,補助化学療法は 1 種類の治療とみなさなければならないため,最後の投与か
らの経過期間が 12 カ月未満の患者は 2 次治療患者とみなす。
6.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
7.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0,1 または 2 の患者
8.
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.7: 1
対象(続き)
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試験 1200.40
試験方法の概略(2/3)
除外基準
1.
過去 12 カ月以内に再発がみられた場合の補助化学療法を含め,NSCLC 治療のために 2
種類を超える細胞毒性化学療法レジメンの前治療のある患者
2.
エルロチニブ(タルセバ®),ゲフィチニブ(イレッサ®)または他の EGFR 阻害作用を有
する小分子化合物または抗体による前治療のある患者
3.
活動性の脳転移患者(安定期間 4 週間未満,症候性,抗痙攣剤による治療を必要とする,
または軟膜・髄膜転移患者)を有する患者。ランダム化前 1 カ月以上にわたり投与量が
安定して投与されているデキサメタゾンは許容される。
4.
治験薬初回投与の直前 4 週間以内に化学療法,ホルモン療法(癌以外の維持療法に必要
とした酢酸メゲストロールまたはステロイドを除く)または免疫療法を行った患者
5.
クローン病,吸収不良,または原因を問わず grade 2 を超える下痢など,主症状として下
痢を伴う重大な胃腸障害が認められるか,または急性胃腸障害が最近認められた患者
6.
その他の重篤な疾患または臓器系機能障害を有する患者で,治験責任医師が患者の安全
性に悪影響を及ぼす,または治験薬の安全性の評価を妨げると判断した患者
7.
過去 5 年以内に他の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌および子宮頚部上皮内癌を除く)と診断
された患者
8.
治験薬投与前 2 週間以内に放射線療法の前治療のある患者
9.
重大な活動性の感染症(静注用抗生物質,抗真菌薬または抗ウイルス薬を必要とするな
ど)を有する患者
10.
HIV 感染もしくは活動性の B 型肝炎感染または活動性の C 型肝炎感染が確認されている
患者
11.
薬物乱用者またはアルコール依存症であることが確認されているか,または疑われる患
者
12.
本治験期間中,医学的に適切な避妊法を使用する意思のない妊娠の可能性のある女性ま
たはパートナーを妊娠させる可能性のある男性
13.
妊娠中または授乳中の女性
14.
治験実施計画書を遵守できない患者
15.
ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類 3 を含むうっ血性心不全,狭心症,心筋梗
塞,不整脈など,臨床的に重要な,または管理不能な心疾患の既往歴または合併症を有
する患者
16.
マルチゲート心血液プール像(MUGA スキャン)または心エコー法により測定された安
静時左室駆出率が 50%未満の患者
17.
好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
18.
血小板数が 100000/mm3 未満の患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.7: 1
対象(続き)
Page 618
試験 1200.40
試験方法の概略(3/3)
19.
ビリルビンが 1.5 mg/dL(26 µmol/L,SI 単位相当)を超えるか,またはアスパラギン酸
アミノトランスフェラーゼ(AST)もしくはアラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)
が基準値上限の 3 倍(肝転移が関係している場合は基準値上限の 5 倍)を超える患者
20.
血清クレアチニンが基準値上限の 1.5 倍を超える患者
21.
基礎疾患として間質性肺疾患が確認されている患者
22.
治験実施計画書に記載されている併用禁止療法による治療が必要な患者
試験薬剤
アファチニブ錠(20 mg,30 mg フィルムコート錠)
目標症例数
投与症例:70 名
化学療法の前治療のない患者(以後,1 次治療患者と記載):40 名
1 種類のレジメンによる化学療法の前治療のある患者(以後,2 次治療患者と記載):30 名
スクリーニング症例:280 名
各投与群:70 名
投与方法
投与方法:
投与期間
アファチニブ 50 mg/日,1 日 1 回連日経口投与
投与期間:
臨床的な疾患進行または過度の毒性が認められるまで投与を継続。
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性の評価項目:
評価基準
固形がんの治療効果判定基準(RECIST)に基づく客観的な腫瘍縮小効果
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価する),臨床検査値の評価,ECOG パフォーマンス・
スコア,左室機能
解析方法
記述統計量,奏効率および正確法による 95%信頼区間,Kaplan-Meier 推定量および 95%信頼区
間
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(イタリア,約 10 施設)
治験実施期間
20
年 月~進行中
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試験 1200.40
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.7: 2
検査・観察スケジュール
スクリーニ
ング期 1
Study Periods
投与コース
第 1 コース
Visit (V)
Day
- 28~-1
同意取得 5
2
第 2 コース
3
FU
EOTV
FUVs
第 3 コース以降
V1
V2
V1
V1
Day 1*
Day 15*
Day 1*
Day 1*
X
X
X
X16
X
X
1,6
EGFR FISH
患者背景
K-ras および EGFR 遺伝
子変異解析 7
X
既往歴・合併症
X
選択基準/除外基準
X
8
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
身体所見
バイタルサイン
9
ECOG パ フ ォ ー マ ン
ス・スコア(PS)
心電図
10
心エコーまたは MUGA
11
スキャン
臨床検査
12
腫瘍評価
X
X
X
X
X
14
服薬状況確認
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
15
有害事象
X
アファチニブの処方
X
アファチニブの投与
治験薬投与終了
16
X
X16
X
13
併用療法
治験終了
X
X
妊娠検査
薬物動態
4
EOT
連日投与
X
17
X
D/C
X
X18
D/C:中止
*)± 1~3 日
1) 文書同意取得後,最初に EGFR FISH(FISH 検査による EGFR 遺伝子変異の有無)を評価する。その他の検
査は FISH 検査結果の受領後に,陽性である場合にのみ適宜実施する。
2) 投与コースは 28 日間からなり,腫瘍の画像検査により腫瘍の進行(RECIST に基づく PD)が認められるか,
または毒性が認められるまで継続する。
3) 治験終了時。
4) FU(V)
:追跡調査(来院)
。最初の追跡調査来院(FUV)は治験終了後 28 ± 7 日に実施し,それ以降の FUV
は死亡または追跡不能まで 12 週間隔で,必要に応じてより短い間隔で実施する。患者が来院できない場合
は電話での問診により実施することができる。
5) 文書同意は何らかのスクリーニング評価を実施する前に取得しなければならない。
6) EGFR FISH 解析のため,スクリーニングの段階で生検検体(パラフィン包埋標本を薄切してガラススライ
ドを作製したもの)が必要であることを伝えなければならない。すべての患者に対してスクリーニング期に
生検検体を採取しなければならない。検体は解析のために中央検査機関に送付する。この結果は本治験への
登録の適格性の判定のために必要である。被験者の FISH 検査結果が陽性でない場合,それ以降の評価を実
施してはならない。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 620
試験 1200.40
7) K-ras および EGFR 遺伝子変異に関する解析は,EGFR FISH 解析のために必要性を伝えたのと同一の生検検
体に対して実施し,FISH 検査結果が陽性の患者のみ実施する。K-ras および EGFR 遺伝子変異の解析結果は
選択基準にも除外基準にも該当しない。
8) 身長(スクリーニング時のみ)および体重測定ならびに心肺機能,腹部およびリンパ節の詳細な診査,精神
状態および神経学的状態の評価を含む。
9) 呼吸数,脈拍数,体温および血圧を含む。
10) 安静時 12 誘導デジタル心電図検査をスクリーニング時および EOT 時に実施し,第 3 コースの Visit 1 に再度
実施し,その後は 12 週ごと(第 6,第 9 コースなどの Visit 1)に実施する。
11) 左室駆出率(心エコーまたは MUGA スキャン)をスクリーニング時および EOT 時に評価し,第 3 コースの
Visit 1 に再度実施し,その後は 12 週ごと(第 6,第 9 コースなどの Visit 1)に評価する。
12) 臨床検査:全血球数算定,白血球分画および血小板を含む血液学的検査;血清生化学検査および試験紙法に
よる尿検査を含む生化学的検査。血液凝固パラメータ:プロトロンビン時間(PT),INR,部分トロンボプ
ラスチン時間(PTT)。
13) 薬物動態用の採血スケジュールの詳細は[CTD 5.3.5.4-7(U -1091)],Section 5.5 および Appendices 10.1 に
示す。
14) ベースライン腫瘍評価には胸部,腹部および骨盤の CT スキャンまたは MRI を含むこととし,治験薬投与開
始前 28 日以内に実施する。脳の評価は治験責任医師が必要と判断した場合のみ実施することができる。骨
転移が確認されるかまたは疑われる場合,腫瘍評価には骨スキャンおよび/または標準的な画像検査を含め
ることとする。腫瘍評価は Week 8 の終了後(第 2 コース終了から第 3 コースの Visit 1 までの間),Week 16
の終了後(第 4 コース終了から第 5 コースの Visit 1 までの間),それ以降は 8 週ごと(すなわち,第 7,9,
11,13…コースの前)に反復実施する。腫瘍評価は予定来院の前 7 日以内に実施することが許容される。同
じ患者には治験期間を通じて同じ画像検査を用いなければならない。腫瘍縮小効果の記録または進行の診断
/確定のために治験責任医師が必要と判断した場合,早期に腫瘍評価を実施することができる。腫瘍縮小効
果(CR または PR)が認められた場合,奏効に対する RECIST 基準を満たした後 4 週間以上間隔をあけて再
度評価を行い,腫瘍縮小効果の判定を確定する。
15) 第 1 コースの Day 15 に開始する。第 1 コースの Day 15 以降,各来院時に治験薬の出納記録を確認しなけれ
ばならない。
16) 任意。
17) EOT 時点で継続している有害事象,または新規に発現した治験薬との因果関係が否定できない有害事象また
は死亡について評価する。
18) 最後の追跡調査来院を治験の終了とする。
引用元:CTD 5.3.5.4-7(U -1091),Flow chart
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.8
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試験 1200.72
その他の臨床試験 1200.72
(資料番号 5.3.5.4-8)
試験方法
試験方法の概略を表 8.8: 1 に示す。
表 8.8: 1
目的
試験方法の概略(1/3)
野生型 EGFR を有する進行(病期 IIIB/IV 期)肺腺癌患者を対象として RECIST 第 1.1 版に基
づいて判定した客観的奏効率および病勢コントロール率により定義したアファチニブ(BIBW
2992)の有効性を探索する。
試験の種類
非盲検,単一群,2 段階第 II 相試験
対象
対象疾患
野生型 EGFR を有する局所進行または転移性肺腺癌(病期 IIIB/IV 期)患者
選択基準
1.
病期 IIIB(細胞診により確認された胸水または心嚢液貯留を伴う)または IV 期の肺腺癌
と組織診により確定診断された患者。混合組織型の患者は,腺癌が主たる組織型である
場合には適格とする。
2.
2 次治療の細胞傷害性化学療法(少なくとも 1 レジメンはプラチナ製剤を含む化学療法)
による治療後に疾患進行がみられた患者
3.
腫瘍生検組織により,スクリーニング期より前に野生型 EGFR の有無が確認されている
患者
4.
RECIST 第 1.1 版に基づく測定可能病変を有する患者
5.
ECOG パフォーマンス・スコアが 0,1,または 2 の患者
6.
年齢が 18 歳以上の患者
7.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
8.
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
除外基準
1.
再発または転移性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する 3 レジメン以上の細胞傷害性化学療
法レジメンによる前治療のある患者
2.
EGFR を標的とする低分子化合物または抗体による前治療のある患者
3.
治験登録前 4 週間以内に放射線療法または手術(生検を除く)を施行した患者
4.
活動性の脳転移(安定している期間が 4 週間未満,および/または症候性,および/ま
たは抗けいれん剤またはステロイドによる積極的治療が必要,および/または軟髄膜疾
患の場合と定義)を有する患者
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表 8.8: 1
対象(続き)
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試験 1200.72
試験方法の概略(2/3)
5.
他の悪性腫瘍が認められる患者,または過去 5 年以内に他の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌
および子宮頚部上皮内癌を除く)と診断された患者
6.
基礎疾患として間質性肺疾患が確認されている患者
7.
クローン病,吸収不良,原因を問わず grade 2 以上の下痢など,主症状として下痢を伴う
重大な胃腸管障害が認められるか,または急性胃腸管障害が最近認められた患者
8.
コントロール不良の高血圧,NYHA 分類 3 のうっ血性心不全,不安定狭心症またはコン
トロール不良の不整脈などの臨床的に問題となる心血管系異常の既往歴がある患者,ま
たはそのような異常が認められる患者。治験登録前 6 カ月以内に心筋梗塞を発症した患
者
9.
安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満の患者
10.
その他の重篤な疾患または臓器系障害を有する患者で,治験責任医師が患者の安全性に
悪影響を及ぼす,または被験薬の安全性の評価を妨げると判断した者
11.
好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
12.
血小板数が 100000/mm3 未満の患者
13.
クレアチニンクリアランスが 60 mL/min 未満であるか,または血清クレアチニンクリア
ランスが施設基準値上限(ULN)の 1.5 倍を超える患者
14.
ビリルビンが施設基準値上限(ULN)の 1.5 倍を超える患者
15.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェ
ラーゼ(ALT)が施設基準値上限(ULN)の 3 倍を超える(肝臓への転移に関連する場
合は基準値上限の 5 倍を超える)患者
16.
本治験期間中,医学的に適切な避妊法を使用する意思のない妊娠の可能性のある女性ま
たはパートナーを妊娠させる可能性のある男性
17.
妊娠中または授乳中の女性
18.
治験実施計画書を遵守できない患者
19.
活動性の B 型または C 型肝炎感染,または HIV キャリアであることが確認されている患
者
20.
薬物乱用またはアルコール依存症であることが確認されているまたは疑われる患者
21.
治験実施計画書に記載した併用禁止薬剤のいずれかの投与を必要とする患者
22.
アファチニブまたはいずれかの治験薬の添加剤に対する過敏症が確認されている患者
23.
治験登録前 4 週間以内(各国の要件によりこれより長い期間が必要とされない限り)に
何らかの治験薬を使用した患者
試験薬剤
アファチニブ錠(20 mg,30 mg,40 mg,50 mg,フィルムコート錠)
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試験 1200.72
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表 8.8: 1
目標症例数
試験方法の概略(3/3)
目標症例数:
登録症例 40 名
実施症例数:
スクリーニング登録症例 47 名
登録症例 43 名,治療症例 42 名,解析症例(主要評価項目)38 名
投与方法
投与方法:
投与期間
アファチニブ 40 mg/日(50 mg まで用量を漸増し,30 mg および可能であれば 20 mg まで減量
する)1 日 1 回継続経口投与
投与期間:
臨床的な疾患進行または毒性が認められるまで投与を継続する。
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性の評価項目:
評価基準
主要評価項目:固形がんの治療効果判定基準(RECIST 第 1.1 版)に基づく客観的な腫瘍縮小
効果(CR または PR の確定した最良効果)
副次評価項目:固形がんの治療効果判定基準(RECIST 第 1.1 版)に基づく病勢コントロール
(CR,PR または SD),無増悪生存期間(PFS),探索的なバイオマーカー
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価した)の重症度および発現率,臨床検査値
解析方法
記述統計。客観的奏効率(objective tumour response rate)および正確法による 95%信頼区間を
算出する。ECOG パフォーマンス・スコア,バイタルサイン。
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(韓国,3 施設)
治験実施期間
20
年
月~進行中(データカットオフ:20
年 月)
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試験 1200.72
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スケジュール
表 8.8: 2
検査・観察スケジュール
Study Period
投与コース 1
スクリーニング
第 1 コース
Visit (V)
Day
- 28~-1
同意取得 5
腫瘍組織採取
第 3 コース
以降 2
EOT(V) FU(Vs)
3
4
第 2 コース
V1
V2
V3
V4
V5
Day 1*
Day 15*
Day 1*
Day 15*
Day 1*
FUV**
X
6
X
X
患者背景
X
既往歴・合併症
選択基準/除外基準
完全な身体所見
8
特定の身体所見
9
7
X7
X7
X
X
X
X
X18
X
バイタルサイン 10
X
X
X
X
X
X
X
X
ECOG パ フ ォ ー マ ン
ス・スコア(PS)
X
X
X
X
X
X
X
X
心電図 11
X
X11
X
心エコーまたは MUGA
スキャン 12
X
X12
X
X
X
臨床検査
13
X
妊娠検査(尿または血
清)
X
血液凝固検査
X
X
X
X
X
X
X
X
X
中央検査機関での評価 14
X
X15
併用療法
X
X
服薬状況確認 16
有害事象
X
アファチニブの処方
X
治験薬投与終了
疾患進行に関する情報
収集 19
X
X
X15
X15
X
腫瘍評価 15
アファチニブ投与
X
X15
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
連日投与
X15
X17
X
D/C
X
X
D/C :中止
*)± 1~3 日
**)± 7 日
1) 投与コースの期間は 28 日間。投与コース数に制限はなく,患者は投与中止基準に該当するまで投与を継続
することができる。
2) 第 3 コース以降,各コースの Day 1 に来院が予定される。
3) EOT(V):治験薬投与終了時(来院)
4) FU(V):追跡調査(の来院),初回 FUV は治験薬投与終了時(EOT)の来院の 28 ± 7 日後に行い,さらに
FUV を 12 週間隔で,疾患進行がみられるかまたは追跡調査不能となるまで必要に応じてより短い間隔で実
施する。患者が来院できない場合は電話での問診により実施することができる。
5) 文書同意は何らかのスクリーニング評価を実施する前に取得しなければならない。同意説明にはすべての治
験手順に対する同意を含めなければならない。
6) 生検組織の提供は特に推奨され,スクリーニング段階における文書同意取得後に要請することとした。提供
された生検組織に対して EGFR 遺伝子の状態に関する再解析および他の任意の探索的薬力学的バイオマーカ
ー検査を実施した。
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試験 1200.72
7) アファチニブ投与開始前に適格性を確認するため。
8) 完全な身体所見には,身長(スクリーニング時のみ)および体重の測定ならびに心肺機能,腹部およびリン
パ節の詳細な診査,精神状態および神経学的状態の評価を含めること。
9) 特定の身体所見には心肺機能,腹部およびリンパ節の詳細な診査,精神状態および神経学的状態の評価を含
めること。
10) 体重,呼吸数,脈拍数,体温および血圧を含む。
11) 12 誘導デジタル心電図検査は,スクリーニング時,第 2 コースおよび第 3 コースの Day 1,その後は 2 投与
コースごと(第 5,7,9 コースなど)に Day 1,および EOT 時に実施。
12) 左室駆出率(心エコーまたは MUGA スキャン)の評価をスクリーニング時,第 3 コースの Day 1,その後は
2 投与コースごと(第 5,7,9 コースなど)の Day 1,および EOT 時(EOT の前 8 週間以内に実施していな
い場合)に実施。
13) 血液学的検査,血清生化学検査および尿検査を含む。
14) EGFR 遺伝子の状態に関する再解析および他のバイオマーカーの解析を含む探索的薬力学的バイオマーカー
検査。
15) ベースラインの腫瘍評価には胸部および腹部の CT スキャンまたは MRI を含み(臨床診断において必要とさ
れる場合にのみ骨盤スキャンを含める),治験薬投与開始前 28 日以内に実施。骨転移が確認されているか疑
われる場合,骨スキャンおよび/または従来のイメージング手技を含めることとした。以下の時点で腫瘍評
価を再度実施。Week 4 終了後(第 1 コース終了から第 2 コースの Visit 3 までの間),Week 8 終了後(第 2 コ
ース終了から第 3 コースの Visit 5 までの間),Week 12 終了後(第 3 コース終了から第 4 コース Visit 6 まで
の間),その後,8 週間隔(すなわち第 6,8,10,12 コースなどの前)で実施。Week 44 以降は,進行が認
められるか,またはその他の理由による中止まで 12 週ごとに腫瘍縮小効果(response)の評価を実施。Week
4 を除き,予定される腫瘍評価の前 7 日間に評価を実施することが一般に許容された。同一患者に対し,試
験期間中を通じて,ベースライン評価を含めて同じ放射線画像検査を適用しなければならなかった。腫瘍縮
小効果(response)を確認するために,または診断/進行の確定のために治験責任医師の判断に基づき,よ
り短い間隔で評価を実施することができることとした。腫瘍縮小効果(CR または PR)がみられた場合,
RECIST 第 1.1 版の奏効の基準に適合した後 4 週間以上間隔をあけて再評価を行い,腫瘍縮小効果を確定し
た。これまでに未確認の骨転移(相当なカルシウムおよびアルカリホスファターゼの増加を伴う骨痛または
関節痛など)が臨床的に疑われる場合,スクリーニング時に骨スキャンを実施することとした。骨転移があ
ることが確認されている場合,もしくは骨転移がスクリーニング時または治験薬投与期間中に検出された場
合,検出された各骨転移部位に対して従来の検査方法(X 線または CT スキャン)を実施し,それ以降の各
画像検査時に腫瘍評価と併せて相関イメージングを実施することとした。治験薬投与中,新たな骨転移が疑
われる場合など,医学的に必要とされる場合には骨スキャンを実施することとし,定期的には実施しなかっ
た。
16) 第 1 コースの Day 15 に開始した。
17) EOT において回復していない場合,または治験薬または治験関連手順との因果関係が否定できない新規に発
現した有害事象について評価することとした。
18) 任意。
19) 疾患進行,後治療(抗癌剤治療)および死亡に関する情報を収集する。情報は患者記録または患者に電話を
して収集することとした。
引用元:CTD 5.3.5.4-8(U -1542),Table 9.5.8: 1
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Page 626
試験 1200.72
試験結果
試験結果の概略を表 8.8: 3 に示す。
表 8.8: 3
有効性の結果:
試験結果の概略(1/3)
投与集団のほとんどの患者(79%)は男性であり,年齢の中央値は 58.0 歳,人種は全員ア
ジア人であった。
データカットオフ時点で,治験薬を投与された患者 42 名のうち 33 名(79%)が疾患進行に
より,7 名(17%)が有害事象により治験薬の投与を中止し,2 名(5%)が継続中だった。
投与集団における治験薬服薬状況の平均は 96.72%であった。
主要評価項目
最大の解析対象集団において奏効(確定)を示した患者はいなかった。1 名が部分奏効(未
確定)を示した。
標的病変の最長径(合計)のベースラインからの最大変化率の平均は+15%であり,これは
病変のサイズが増大したことを示している。
副次評価項目
最大の解析対象集団における 9 名(24%)が最良総合効果として確定した安定確定を示した。
これら 9 名の病勢コントロール期間の中央値は 19.29 週間(範囲:11.6~28.0 週間)であっ
た。
サブグループ解析では,ベースライン時の ECOG パフォーマンス・スコアまたは喫煙歴が
病勢コントロール率に及ぼす影響は示されなかった。確定した安定の割合は,男性(6/29
名)よりも女性(3/9 名)の方が大きかった。
データカットオフ時点で,37 名(97%)で PFS のイベントを確認した。PFS の中央値は 4.07
週間であった。ベースラインの ECOG パフォーマンス・スコアまたは喫煙歴が PFS に影響
を及ぼした証拠は認められなかった。女性(8.14 週間)は男性(4.00 週間)よりも PFS の
中央値が長かった(p=0.1016)。
データカットオフ時点で 28 名(74%)が死亡していた。全生存期間の中央値は 31.43 週間
であった。
その他
4 名については,本試験登録後に中央検査機関の分析により EGFR 遺伝子変異陽性であるこ
とが確認されたため,有効性の解析から除外した。これらの患者のうち 2 名が最良総合効果
(確定)として部分奏効を,1 名が安定を,1 名が疾患進行を示した。カットオフ日時点で
はこれらの患者のうち 2 名が死亡し,2 名が生存していた。
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表 8.8: 3
安全性の結果:
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試験 1200.72
試験結果の概略(2/3)
曝露状況
42 名がアファチニブの投与を受け,投与期間の中央値は 4.29 週間(範囲:1.4~54.4 週間)
だった。累積投与時間は 8.0 患者・年であった。
有害事象
治験薬投与期間中(治験薬初回投与~治験薬最終投与の 28 日後まで)に発現した有害事象
について,有害事象の解析を行った。
投与集団のすべての患者に 1 件以上の有害事象が認められた。グループ化用語には「+」を
付けて示した。
38 名(90%)に治験薬との因果関係が否定できない有害事象が 1 件以上認められた。最も
よくみられた有害事象は発疹/ざ瘡+(35 名,83%)であり,続いて下痢および口内炎+(各
24 名,57%),爪の異常+(14 名,33%),食欲減退(12 名,29%),そう痒症(11 名,26%),
皮膚乾燥および悪心(各 6 名,14%),疲労+(4 名,10%)であった。
ほとんどの有害事象は CTCAE grade 1 または grade 2 であった。計 5 名(12%)に grade 3 の
有害事象が認められ,治験薬との因果関係が否定できないと判断された。内訳は発疹/ざ
瘡 +(基本語は発疹およびざ瘡様皮膚炎)2 名(5%),爪の異常+(基本語は爪の障害および
爪囲炎)2 名(5%),口内炎+(基本語は粘膜の炎症,口内炎および舌炎で,グループ用語の
口内炎+にすべての基本語が含まれた)1 名であった。Grade 3 の下痢は認められなかった。
計 17 名(40%)に 1 件以上の重篤な有害事象が認められ,このうち 9 名が有害事象報告期
間中に死亡した。このうち 5 名にアファチニブ投与中に発現した致死性の重篤な有害事象が
認められ,その他 4 名にアファチニブ最終投与後に発現した(ただし,28 日間の報告期間
中)致死性の重篤な有害事象が認められた。治験薬との因果関係が否定できないと判断され
た致死性の重篤な有害事象は認められなかった。致死性の重篤な有害事象に関連して,肺炎
5 名,頭痛および嘔吐 1 名,下痢 1 名,呼吸困難 1 名,喀血 1 名,胃腸管閉塞 1 名が認めら
れた。さらに,アファチニブ最終投与から 28 日以降に,19 名が死亡した。これらの死亡の
情報は解析時点の全生存期間を報告するために収集されたが,重篤な有害事象としては報告
されなかった。
7 名(17%)が有害事象によりアファチニブ投与を中止した。治験薬の投与中止に至った重
篤な有害事象のうち 5 件は grade 5 であり,このうち治験薬との因果関係が否定できない有
害事象は認められなかった。内訳は肺炎(2 件),喀血,胃腸管閉塞および肺塞栓症であっ
た。これらの重篤な有害事象のうちアファチニブとの因果関係が否定できないと判断された
有害事象は認められなかった。治験薬との因果関係が否定できない非重篤な有害事象により
アファチニブ投与を中止した患者は 2 名であった。1 名は食欲減退,発疹および粘膜の炎症
により,1 名は爪囲炎により治験薬の投与を中止した。
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表 8.8: 3
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試験 1200.72
試験結果の概略(3/3)
安全性の結果: 6 名(14%)がアファチニブの用量を減量した。減量の理由は 2 名(5%)が grade 2 の下痢,
(続き)
1 名が grade 3 の発疹,1 名がざ瘡様皮膚炎,1 名が grade 2 の粘膜の炎症,1 名が grade 3 の
粘膜の炎症および口内炎であった。
臨床検査パラメータ
臨床的に問題となるビリルビン増加を伴う肝酵素増加は認められなかった。アファチニブと
の因果関係が否定できない血液学的異常は認められなかった。
その他の安全性パラメータ
バイタルサインまたは体重の臨床的に問題となるベースラインからの変化および ECOG パ
フォーマンス・スコアの予想外の変動は認められなかった。
結論:
野生型 EGFR を有する NSCLC 患者で,過去の細胞傷害性化学療法 2 レジメンに治療不応と
なった患者におけるアファチニブの有効性は,最良総合効果として 9 名(24%)で安定が認
められたことに限定されていた。EGFR 遺伝子変異陰性患者で確定した奏効を示した患者は
認められず,EGFR 遺伝子変異陽性患者 4 名中 2 名が確定した奏効を示した。本試験の患者
集団における PFS の中央値は短かった(4.07 週間)。この結果より,アファチニブ投与開始
前に EGFR 遺伝子変異陽性患者を特定することの重要性が強調された。しかしながら,本試
験における患者集団は小さいものの,3 次治療として若干のメリットが認められた。確立さ
れた 3 次治療薬がない場合,本試験と同様の患者集団におけるアファチニブの役割について
はさらに検討が必要と考えられる。
本試験における有害事象のプロファイルは,過去に報告されたアファチニブの安全性プロフ
ァイルおよび EGFR のチロシンキナーゼ活性を阻害する薬剤のプロファイルと一致してい
た。治療期間中に発現した有害事象で最もよくみられた有害事象は発疹/ざ瘡+,下痢およ
び口内炎+であった。これらは予測範囲内であり,用量の調節により管理することができた。
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8.9
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試験 1200.26
その他の臨床試験 1200.26
(資料番号 5.3.5.4-9)
試験方法
試験方法の概略を表 8.9: 1 に示す。
表 8.9: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
EGFR および/または HER2 遺伝子増幅,または EGFR 感受性変異を有する癌患者に対する
アファチニブ(BIBW 2992)の奏効率を推定する。
試験の種類
非盲検
対象
対象疾患
EGFR および/または HER2 遺伝子増幅,または EGFR 感受性変異を有する癌患者。患者は,
4 種類の腫瘍カテゴリーそれぞれで評価可能症例 12 名が登録されるまで,または総登録症
例数が 60 名に達するまで登録した。
また,進行癌患者であり,他の治療法では奏効しないと考えられ,過去に 1 種類以上の化
学療法による前治療を受けたが腫瘍縮小効果が得られなかった,または疾患進行がみられ
た患者を対象とした。
選択基準
事前スクリーニングに対する選択基準:
事前スクリーニングの対象となる患者は以下のすべての基準を満たさなければならない。
1.
組織診により,以下の 4 種類の腫瘍カテゴリーのいずれかの進行癌であると確定診断
された患者:
-
カテゴリー1:胃癌,食道胃接合部癌,食道癌
-
カテゴリー2:胆道癌または胆嚢癌
-
カテゴリー3:尿路移行上皮癌
-
カテゴリー4:婦人科癌
2.
RECIST に従い測定可能な病変を有する患者
3.
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
4.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
5.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0,1,2 の患者
6.
年齢が 18 歳以上の患者
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.9: 1
対象(続き)
Page 630
試験 1200.26
試験方法の概略(2/4)
登録のための選択基準:
FISH 検査陽性かつ以下のすべての選択基準を満たさなければならない。
1.
組織診により,以下の 4 種類の腫瘍カテゴリーのいずれかの進行癌であると確定診断
された患者:
2.
-
カテゴリー1:胃癌,食道胃接合部癌,食道癌
-
カテゴリー2:胆道癌または胆嚢癌
-
カテゴリー3:尿路移行上皮癌
-
カテゴリー4:婦人科癌
原疾患に対し,過去に 1 種類以上の化学療法による前治療が奏効しなかった患者,ま
たは疾患進行がみられた患者
3.
FISH 検査により EGFR および/または HER2 遺伝子増幅が認められた患者,または
EGFR 感受性変異を有することが認められている癌患者
4.
RECIST に基づき測定可能な病変を有する患者
5.
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
6.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
7.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0,1,2 の患者
8.
年齢が 18 歳以上の患者
除外基準
事前スクリーニングの対象および本治験へ登録されるすべての患者は以下の除外基準のい
ずれにも該当してはならない。
1.
ゲフィチニブ,エルロチニブ,ラパチニブおよび/または他の EGFR チロシンキナー
ゼ阻害剤(EGFR TKI)による治療を受けた患者
2.
治験薬投与開始前 4 週間以内に細胞傷害性抗癌剤または他の治験薬の投与を受けた患
者(非細胞傷害性薬の経口投与を受けた患者については,個別に治験責任医師と治験
依頼者の間で協議の上,この期間を短縮することを考慮する)
3.
アファチニブを経口投与できない患者(アファチニブは砕くことは許容されないが,
胃瘻チューブからの投与は可)
4.
治験薬の吸収が低下する可能性のある慢性の下痢または胃腸障害を有する患者
5.
無病生存期間が 3 年以上である患者を除く,他の腫瘍の既往歴を有する患者(適切に
治療した表在性非黒色腫皮膚癌および根治外科手術を施行した子宮頚部上皮内癌を除
く)
6.
過去または現在,コントロール不良の高血圧,NYHA 分類 3 のうっ血性心不全,不安
定狭心症,コントロール不良の不整脈など臨床的に問題となる心血管系異常を有する
患者。ランダム化割付け前 6 カ月以内に心筋梗塞を発症した患者
7.
MUGA スキャンまたは心エコーによる測定において安静時左室駆出率(LVEF)が 50%
未満または施設基準値下限未満(施設基準値下限が 50%超である場合)の患者
8.
活動性の感染症を有する患者
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.9: 1
対象(続き)
Page 631
試験 1200.26
試験方法の概略(3/4)
9.
治験責任医師が本治験への参加に適合しないと判断した重篤な疾患,腫瘍以外の合併
症,精神障害を有する患者
10. 活動性または症候性の脳転移が認められる患者。治療を受けた脳転移の既往歴がある
患者では,スクリーニング時の脳 MRI スキャンにおいて安定または正常で,脳転移に
対する放射線照射後または手術後 3 カ月以上経過していなければならない。
11. 好中球絶対数が 1000/mm3 未満の患者
12. 血小板数が 100,000/mm3 未満の患者
13. ヘモグロビン値が 9.0 g/dL 未満の患者
14. 総ビリルビンが 1.5 mg/dL を超える患者。ジルベール病が確認されている患者について
はより高い総ビリルビン値が許容される。これには治験責任医師および治験依頼者の
承認が必要である。
15. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニン・アミノトランスフ
ェラーゼ(ALT)が施設基準値上限の 3 倍を超える患者,または施設基準値上限の 5 倍
を超える肝転移を有する患者
16. 血清クレアチニンが施設基準値上限の 1.5 倍を超える患者
17. 性生活があり,医学的に適切な避妊法を同時に 2 種類(うち 1 種類はコンドームなど
のバリア法)使用する意思のない患者
18. 妊娠中または授乳中の女性
19. 治験実施計画書を遵守できない患者
20. アルコール依存者や薬物乱用患者
21. 治験薬初回投与時に,前治療(抗癌剤による化学療法,手術)による CTCAE grade 2
以上の毒性が継続している患者
22. 基礎疾患として間質性肺疾患が確認されている患者
23. 治験実施計画書に記載されている併用禁止療法の実施が必要とされる患者
試験薬剤
アファチニブ錠(20 mg,30 mg,50 mg フィルムコート錠)
目標症例数
評価可能症例が 48 名得られるまで,最大 60 名の患者を登録する。
登録症例:22 名(投与症例:20 名,解析対象症例:20 名)
投与方法
投与方法:
投与期間
50 mg 1 日 1 回
経口投与または胃瘻チューブからの投与
投与期間:疾患進行,死亡,治験薬に対する不耐性が認められるまでアファチニブの投与
を継続する。
観察項目
観察時期
スケジュールの項を参照
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.9: 1
Page 632
試験 1200.26
試験方法の概略(4/4)
評価項目
有効性の評価項目:
評価基準
RECIST 第 1.0 版に基づいて評価した奏効率(RR)および無増悪生存期間(PFS)
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価した)の発現率および重症度
解析方法
本治験の主要解析は,アファチニブを投与した EGFR および/または HER2 遺伝子増幅,
または EGFR 感受性変異を有する癌患者において RECIST に基づく奏効[部分奏効(PR)
または完全奏効(CR)]が達成された患者の割合を推定することである。この点推定値に対
して Clopper-Pearson 法による正確な 90%信頼区間を算出する。
PFS,奏効までの期間,奏効期間を Kaplan-Meier 法により評価する。
選択した患者集団における基準となる奏効率は約 20%であると想定される。症例数は,真
の奏効率が 20%以上であるときに,得られた奏効率の 90%信頼区間の下限値が 10%を上回
るように決定する。4 種類の腫瘍カテゴリーそれぞれに患者 12 名が含まれるように目標症
例数を 48 名とすることが推奨される。
治験調整医師
治験実施施設
国際多施設共同試験(米国 14 施設および台湾 3 施設)
治験実施期間
20
年
月~20
年
月
Page 633
試験 1200.26
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.9: 2
検査・観察スケジュール
試験期間
事前ス
クリー
ニング
スク
リー
ニン
グ
C1
サイクル(C)
Visit(V)
Day
同意取得 1
患者背景
組織診による確定診断
RECIST に 基 づ く 測 定
可能病変
腫瘍組織を FISH 解析
(EGFR および HER2)
のために送付
既往歴・合併症
腫瘍組織を遺伝子変異
解 析 ( EGFR お よ び
KRAS)のために送付 2
選択基準/除外基準
身体所見 3
バイタルサインおよび
体重 4
ECOG パ フ ォ ー マ ン
ス・スコア(PS)
12 誘導心電図 5
心エコーまたは MUGA
スキャン 6
臨床検査 7
血清妊娠検査 8
画像診断による腫瘍評
価9
薬物動態用の採血 10
併用療法
服薬状況確認
有害事象 11
治験薬(アファチニブ)
の処方
アファチニブ投与(自
己投与による 1 日 1 回
経口投与)
治験薬投与終了 13
治験終了 14
患者の治験参加終了 15
事前ス
クリー
ニング
-120~
-1
X
X
X
X
スク
リー
ニン
グ
-28~
-1
X
EOT
投与コース
C2
C3
C4
C5
C6
以降
EOTV
追跡
調査
V1
V2
V1
V2
V1
V1
V1
V1
FUV
Day
1
Day
15
Day
1
Day
15
Day
1
Day
1
Day
1
Day
1
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X9
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
12
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
アファチニブ 1 日 1 回連日投与
X
X
X
EOT(V):治験薬投与終了時(Visit)。最終来院時に検査を実施。
FU(V):追跡調査の来院(Visit)
1) 1 回目の文書同意は事前スクリーニング評価を実施する前に,2 回目の文書同意はスクリーニング評価を
実施する前に取得しなければならない。
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
10)
11)
12)
13)
14)
15)
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試験 1200.26
遺伝子変異解析は MGH Molecular Laboratory において実施。
完全な身体検査はスクリーニング時,各投与コースの Day 1,EOT,最初の追跡調査の来院時に実施する。
体温,呼吸数,脈拍数,血圧(2 分間仰臥位安静後),体重の測定。
12 誘導心電図(ECG)検査はスクリーニング時,その後 12 週ごと,EOTV 時に実施。
LVEF(心エコーまたは MUGA スキャン)はスクリーニング時,その後 12 週ごと,EOT の来院時に実施
することとし,本試験期間中を通じて同じ検査方法を使用すること。
全血球数算定,白血球数/白血球分画,血小板数,好中球絶対数,PT,PTT,INR,血清生化学検査,尿
検査。臨床検査をスクリーニング前 1 週間以内に実施していない場合,スクリーニング時に実施しなけ
ればならない。
妊娠の可能性のある女性は,血清妊娠検査はスクリーニング時に実施する。過去 14 日以内に実施してい
ない場合は第 1 コースの Day 1(C1D1)に実施する。その後の各投与コースの Day 1 に実施しなければな
らない。
ベースライン腫瘍評価には,胸部,腹部,骨盤の CT スキャンまたは MRI スキャンを実施しなければな
らない。本試験期間中を通じて同じ検査方法を使用すること。評価は Week 6,Week 12,それ以降は 8 週
ごと, EOT の来院時に実施する。腫瘍評価が投与の 4 週間以内に実施された場合,スクリーニング時に
その結果を使用することができる。EOT の来院時の腫瘍評価は任意とする。
詳細な薬物動態評価時点については[CTD 5.3.5.4-9(U -3474),Appendices 16.1.1.1],Sectrion 5.5.1 お
よび Appendices 10.1 を参照のこと。
EOT 時に継続している有害事象または治験薬と因果関係のある新たな有害事象または死亡
追跡調査の来院は EOT 後の 28 ± 7 日に 1 回のみ実施する。
治験薬投与終了の日付を eCRF に記録しなければならない。
eCRF の治験終了に関するページに記入しなければならない。
患者の治験参加終了について eCRF に記入しなければならない。
引用元:CTD 5.3.5.4-9(U
-3474),Appendices 16.1.1.1 Flow chart
Page 635
試験 1200.26
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
試験結果
試験結果の概略を表 8.9: 3 に示す。
表 8.9: 3
有効性の結果:
試験結果の概略(1/2)
スクリーニング時の選択基準との不適合率が高く,患者の募集が困難で,目
標症例数の達成が見込めなかったため,20
年
月
日に,ベーリンガー
インゲルハイム社は本治験を中止した。安全性および有効性の結果はこの決
定に影響しなかった。したがって,一部の癌種では完全に結果を示すことは
できなかった。一部の副次評価項目で,客観的奏効が認められた患者または
6 名以上の患者が登録された癌種別に有効性の要約を作成した。すべての安
全性の要約は全体の患者集団のみを対象に作成され,癌種別には作成されな
かった。副次評価項目の特定した有害事象の発現率および重症度に関する結
果については除外した。
事前スクリーニングとして,EGFR および/または HER2 遺伝子増幅または
EGFR 感受性変異を検出するため FISH 検査を行った 385 名中,38 名(9.87%)
が FISH 陽性と判定された。事前スクリーニングの高い不適合率が目標の患者
集積を妨げたため,本治験の早期中止が決定された。
投与患者 20 名中 1 名が完全奏効(CR)を達成し,この 1 名を含む 9 名で臨
床的有用性が得られた。患者数が少ないため,この結果の解釈は困難である。
アファチニブ 50 mg を服薬した患者は,Day 15 に定常状態に到達し,投与前
血漿中濃度は観察した投与期間を通じて一定であった。また,50 mg を服薬
した患者での投与前血漿中濃度の全般的なばらつきは,中程度~高度であり,
幾何変動係数は 65.1~82.3%であった。
安全性の結果:
20 名の投与期間は 9~237 日間であった。全患者で投与期間中(治験薬の初
回投与から最終投与後 28 日目まで)に少なくとも 1 件の有害事象が認められ,
1 名を除く全患者で治験薬と因果関係が否定できない有害事象が少なくとも
1 件発現した。CTCAE grade 3 の有害事象が 10 名に,重篤な有害事象が 6 名
に,3 件の治験薬との因果関係のが否定できない重篤な有害事象(呼吸困難,
下痢,脱水)が 2 名に発現した。死亡に至った有害事象が 3 名,治験薬の投
与中止に至った有害事象が 5 名,減量に至った有害事象が 8 名(投与を中断
した後,低用量で再開した 7 名を含む)で認められた。投与期間中に発現し
た有害事象のうち 50%以上の患者に報告された高い発現率の試験治療下で認
められた有害事象(TEAE)は,下痢(90.0%),発疹(60.0%),食欲減退(55.0%)
であった。
新たな安全性の問題は認められなかった。検討したすべての安全性パラメー
タ(臨床検査値,バイタルサイン,一般状態)のベースラインからの変化量
の平均値で,治験期間中に著しい有害な変化は認められなかった。臨床的に
重要な血液学的および生化学的異常の発現率に有害な傾向は認められず,尿
検査の結果にも臨床的に重要な変化は認められなかった。
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.9: 3
結論:
Page 636
試験 1200.26
試験結果の概略(2/2)
スクリーニング時の選択基準との不適合率が高く,患者の募集が困難で,
目標症例数の達成が見込めなかったため,ベーリンガーインゲルハイム社
は本治験を中止した。安全性および有効性の結果はこの決定に影響しなか
った。投与患者 20 名中 1 名が客観的奏効(完全奏効)を達成し,この 1 名
を含む 9 名で臨床的有用性が得られた。患者数が少なく,複数の癌種を登
録したため,この結果の解釈は困難である。
アファチニブ 50 mg の安全性プロファイルは管理可能なものであり,新た
な安全性の問題は認められなかった。
限定的ではあるが得られた薬物動態データによると,Day 15 には定常状態
に到達すると考えられ,投与前血漿中濃度は観察期間を通じて一定であっ
た。血漿中濃度の全般的なばらつきは中程度~高度であった。
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.10
Page 637
試験 1200.10
その他の臨床試験 1200.10
(資料番号 5.3.5.4-10)
試験方法
試験方法の概略を表 8.10: 1 に示す。
表 8.10: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
HER2 陰性転移性乳癌患者を対象とし,アファチニブ(BIBW 2992)の客観的奏効(完全奏効
[CR],部分奏効[PR])
(コホート B のみ),臨床的有用性(CR,PR,4 カ月以上にわたる安
定[SD])(コホート A のみ),奏効までの期間,奏効期間,増悪まで期間(TTP),無増悪生
存期間(PFS),全生存期間(OS),安全性および薬物動態(PK)を評価する。
試験の種類
非盲検,2 コホート試験
対象
対象疾患
2 種類以下または 3 種類以下の化学療法の前治療が奏効しなかったかまたは再発した病期 IV
期の HER2 陰性転移性乳癌
選択基準
ICH-GCP ガイドラインおよび当該地域の要件に従って,何らかの治験関連の手順を実施する
前にすべての患者から文書による同意を得た。また,化学療法の前治療が奏効しなかった患者
で,他の従来の治療法が適用できない HER2 陰性転移性乳癌患者であったことを確認するため
に追加の選択基準を設けた。
1.
年齢が 18 歳以上の女性患者
2.
組織診により,乳癌と確定診断された患者で,術後補助療法を含む 3 種類以下の化学療
法(コホート A)または術後補助療法を含む 2 種類以下の化学療法(コホート B)の前
治療が奏効しなったかまたは乳癌が再発した患者(治験実施計画書変更 5 により,コホ
ート A に対して 2 種類以下から 3 種類以下の化学療法に変更した)
3.
転移性乳癌(病期 IV 期)の証拠を有する患者
4.
HER2 陰性患者(HER2 1+または陰性,または HER2 2+ かつ FISH 法で陰性)
5.
磁気共鳴画像(MRI),コンピュータ断層撮影(CT)または X 線撮影により少なくとも 1
次元(最長径を記録する)で正確に測定することが可能であり,従来の手技による測定
では最長径 20 mm 超,またはヘリカル CT スキャンでは最長径 10 mm 超と記録される腫
瘍病変が 1 以上認められる患者
6.
検査のために腫瘍検体(新鮮組織およびパラフィン包埋組織)が得られる患者
7.
少なくとも 6 カ月間の生存が見込まれる患者
8.
ICH-GCP ガイドラインおよび当該地域の要件に従い,文書による同意が得られた患者
9.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0~2 の患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.10: 1
対象(続き)
Page 638
試験 1200.10
試験方法の概略(2/4)
コホート A に対する追加の選択基準
10.
HR 陰性患者であること。ER の発現および PgR の発現は免疫組織化学(IHC)検査によ
り評価することとした。IHC の評価には「Allred Score」を用い,カットオフ値を 2/8 と
し,3/8 を陽性スコアとした。
11.
mRNA レベルで EGFR および EGFR リガンドの過剰発現の解析を行う前に,薬理遺伝学
的解析に対する文書による同意が得られた患者。
コホート B に対する追加の選択基準
12.
ER 陽性および/または PgR 陽性患者であること。ER の発現および PgR の発現は IHC
により評価することとした。IHC の評価には「Allred Score」を用い,カットオフ値を 2/8
とし,3/8 を陽性スコアとした。
除外基準
除外基準には,本治験の実施の妨げとなるか,患者のリスク増加をまねくおそれのある一連の
病態を含めた。以下の除外基準についてスクリーニング来院(Visit 1)時に評価した。
1.
活動性の感染症を有する患者
2.
治験薬の吸収の妨げとなる可能性のある胃腸障害,または慢性下痢が認められる患者
3.
治験責任医師が本治験実施計画書に適合しないと判断した重篤な疾患または腫瘍以外の
合併症を有する患者
4.
活動性/症候性の脳転移を有する患者。治療された脳転移の既往歴がある患者では,ス
クリーニング時の MRI スキャンで安定または正常で,脳転移に対する放射線照射後また
は手術後 3 カ月以上経過していなければならない。
5.
安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満(施設基準値上限未満)である左室機能の患者
6.
好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
7.
血小板数が 100000/mm3 未満の患者
8.
ビリルビンが 1.5 mg/dL(26 µmol/L,SI 単位相当)を超える患者
9.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニン・アミノトランスフ
ェラーゼ(ALT)が施設基準値上限の 3 倍を超えるか,または肝転移が確認されている
場合には施設基準値上限の 5 倍を超える患者
10.
血清クレアチニンが 1.5 mg/dL(132 µmol/L,SI 単位相当)を超える患者
11.
性生活があり,医学的に適切な避妊法を使用する意思のない患者
12.
妊娠中または授乳中の患者
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.10: 1
対象(続き)
Page 639
試験 1200.10
試験方法の概略(3/4)
13.
他の治験薬の投与を受けた患者,または本治験における投与と併用して化学療法,免疫
療法,放射線療法,ホルモン療法(乳癌に対する黄体形成ホルモン放出ホルモン[LHRH]
アゴニスト,または他の内分泌療法/ホルモン製剤を含む)など他の抗癌治療を受ける
予定の患者。
治験薬初回投与前の過去 2 週間以内に小照射野の放射線療法および内分泌療法の前治療
のある患者,過去 4 週間以内に骨髄抑制化学療法を受けた患者,および過去 6 週間の期
間にマイトマイシン C の投与を受けた患者。ビスフォスフォネートの併用投与は許容さ
れた。
14.
トラスツズマブ,EGFR 阻害薬または EGFR/HER2 阻害薬による前治療がある患者
15.
治験実施計画書を遵守できない患者
16.
薬物乱用者またはアルコール依存症である患者
17.
過去 5 年以内に他の悪性腫瘍に罹患した患者
18.
治験薬の初回投与時に,前治療(化学療法,ホルモン療法,免疫療法,放射線療法)に
関連する毒性から回復していない患者
19.
基礎疾患として間質性肺疾患(ILD)が確認されている患者
試験薬剤
アファチニブ錠(5 mg,20 mg フィルムコート錠)
目標症例数
目標症例数
スクリーニング登録症例:約 48 名,登録症例:40 名(各コホート)
実施症例数
スクリーニング登録症例:56 名,登録/投与症例:50 名
コホート A:登録/投与症例:29 名,解析症例(主要評価項目の解析):29 名
コホート B:登録/投与症例:21 名,解析症例(主要評価項目の解析):21 名
投与方法
投与方法:
投与期間
開始用量 50 mg で 1 日 1 回連日経口投与
以下の 2 コホートにおいて実施する。
コホート A: ヒト上皮成長因子受容体 2(HER2)陰性,エストロゲン受容体(ER)陰性,プ
ロゲステロン受容体(PgR)陰性腫瘍(トリプルネガティブ腫瘍)患者
コホート B: HER2 陰性,ER 陽性および/または PgR 陽性腫瘍患者
投与期間:
臨床的な疾患進行または投与との因果関係が否定できない治験中止を必要とする毒性,許容で
きない不遵守,または同意の撤回まで投与を継続。
観察項目
観察時期
スケジュールの項を参照
Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.
アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.10: 1
Page 640
試験 1200.10
試験方法の概略(4/4)
評価項目
有効性の評価項目:
評価基準
客観的奏効(CR,PR)(コホート B のみ),臨床的有用性(CR,PR または 4 カ月以上にわた
る安定[SD])
(コホート A のみ),奏効までの期間,奏効期間,増悪までの期間,無増悪生存
期間(PFS),全生存期間(OS)および ECOG パフォーマンス・スコア(PS)。アファチニブ
の血漿中濃度および血清中のバイオマーカーの値も評価した。
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価した),臨床検査値,バイタルサイン,心電図(ECG),
心エコー図,MUGA スキャン(マルチゲート収集法),左室機能
解析方法
有効性の解析:
有効性評価項目には記述統計量を用い,PFS の解析には Kaplan-Meier 推定量および Greenwood
の推定法を用いることとした。
安全性の解析:
記述的に評価した。
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(ドイツ,ベルギー,13 施設)
治験実施期間
20
年
月~20
年 月
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試験 1200.10
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.10: 2
検査・観察スケジュール
Study Periods
Course (C)3
Visit (V)
Day
文書取得
患者背景
既往歴・合併症
HER2/ER/PgR スクリーニング
IHC/FISH 法のための検体採取
任 意 の 新 鮮 腫 瘍 生 検 に お け る
EGFR-mRNA お よ び EGFR リ ガ ン ド
mRNA 評価
選択基準/除外基準/適格性の確認
完全な身体所見
身体所見 7
バイタルサイン
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)
12 誘導心電図
心エコーまたは MUGA スキャン
臨床検査 11
血液凝固検査
妊娠検査
腫瘍マーカー/バイオマーカー
腫瘍評価
薬物動態用の採血
併用療法
服薬状況確認
有害事象
治験薬の処方
投与
患者の治験参加終了
1)
2)
3)
4)
スクリーニング
スクリーニング
-14~- 1
X4
X
X
X5
X6
X18
X
X
9
X
X
X
X
X
X
X
C1/C2
V1
Day 1
投与
C1/C2
V2
Day 14
FU2
C3 以降
V1
Day 1
X
X
X
X
X
X
X
X12
X
X
X
X
X
X
X
EOT1
X15
X
X16
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X10
X10
X
X
X
X
X13
X
X
X
X
X
連日投与
X8
X
X
X
X
X
X
X
X14
X
X
X
X
X
X17
X
治験終了時の来院
FU:追跡調査の来院
1 コースは 28 日間の投与に相当する。
何らかのスクリーニング評価を実施する前に文書同意が得られていなければならない。また,該当する場合,
遺伝薬理学的研究に対する文書同意を取得しなければならない。
5) 原発腫瘍の HER2/ER/PgR 発現に関する検査結果が治験薬投与開始前に得られていなければならない。EGFR
発現は早い段階で評価することとしたが,本治験への選択条件の要件とはしなかった。
6) HER2/ER/PgR/EGFR の発現に関する免疫組織化学(IHC)検査および HER2 および EGFR に関する蛍光 in situ
ハイブリダイゼーション(FISH)に用いるために原発腫瘍のパラフィン包埋組織検体(コホート A/コホー
ト B)を採取することとした。CK 5/6/14 を後向きに検討することとし,コホート B の患者に転移巣が確認
された時点で HER2/ER/PgR/EGFR の発現に関する再評価のために任意の生検を実施することとした。IHC
検査はベーリンガーインゲルハイム社またはその指定を受けた認定中央検査機関において実施することと
した。
7) 該当する場合,心肺機能,腹部およびリンパ節の診査,ならびに詳細な症状の評価を含めた。
8) 任意。
9) 体重,呼吸数,脈拍数,血圧および身長(スクリーニング時のみ)を測定した。
10) 心電図検査は第 3,5 および 7 コースなどに評価し,左室駆出率は第 3 コースの Day 1 の前 7 日以内に評価
し,その後 12 週間ごとに(第 6,9 コースなど)に反復実施した。
11)血液学的検査,血清生化学検査および試験紙法による尿検査を実施した。
12)妊娠可能な女性を対象に,アファチニブ初回投与前に実施し,その後は治験終了時まで月 1 回実施した。
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試験 1200.10
13) ベースラインにおける腫瘍評価には,胸部,腹部および骨盤の X 線検査,CT スキャン,または MRI のうち
適切なものを実施することとした。治験期間中を通じて,同じ画像検査を適用することとし,8 週目,16 週
目,24 週目に実施し,その後 8 週ごとに実施することとした。
14) 診断/進行の確認をする必要がない限り,任意実施とした。
15) 投与前は必ず実施し,C1V1 および Day C2V2 の投与後 1,2,3 時間の時点で実施し,投与後 4 時間~24 時
間の期間は任意実施とした。
16) 第 2 コースに開始した。
17) EOT において継続している有害事象,または新規に発現した治験薬との因果関係が否定できない有害事象ま
たは死亡について評価した。
18) EGFR 阻害作用によりベネフィットが得られるトリプルネガティブ乳癌患者の部分集団の特性をさらに明確
にするために,可能な場合,かつ患者の同意が得られた場合には, EGFR mRNA および EGFR リガンドの
過剰発現に関して新鮮腫瘍生検を実施することとした。
引用元:CTD 5.3.5.4-10(U -1598),Table 9.5: 1
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試験 1200.10
試験結果
試験結果の概略を表 8.10: 3 に示す。
表 8.10: 3
試験結果の概略(1/3)
有効性/臨床薬理試験 有効性が認められない場合,それぞれのコホートにおいて登録を中止することができ
の結果:
るよう,治験実施計画書に中止基準を盛り込んだ。治験実施計画書の中止基準に従い,
コホート A は最初の投与患者 20 名のうち 3 名において 4 カ月以上臨床的有用性(CR
+ PR + SD)が観察された後,目標症例数まで拡大するよう登録が継続された。一方,
コホート B の患者集団では客観的奏効が 1 例も観察されなかったため,コホート B
への登録は 21 名に投与を行った後に早期に中止した(コホート B に対する中止基準
には,客観的奏効が少なくとも 1 名確認される必要があると規定されていた)。コホ
ート A への登録は,登録が順調に進まず,競合する試験も多数実施されていたこと
から,最終的に登録症例数 29 名で中止した。
コホート A では 3 名(10.3%)に主要評価項目である 4 カ月以上の臨床的有用性が達
成された。客観的奏効(CR + PR)が達成された患者はなかった。コホート B では主
要評価項目である客観的奏効が達成された患者はなかったが,1 名(4.8%)に 4 カ月
以上にわたる臨床的有用性が認められた。
コホート A では,すべての患者における PFS の中央値が 52 日(95% CI:39~71 日)
であり,臨床的有用性が得られた 3 名における PFS の中央値は 184 日(範囲:132~
335 日)であった。コホート B ではすべての患者における PFS の中央値が 54 日(95%
CI:50~112 日)であった。コホート A における PFS に影響を及ぼすことが確認され
た予後予測因子はサイトケラチン 5/6 およびサイトケラチン 5/14 だけであり,ベース
ラインで陰性の患者は陽性の患者に比べて平均して PFS が長かった。本治験の患者
数が少ないことを考慮しても注目すべき結果であるが,この差が統計学的に有意では
なかったことに留意する必要がある。
本試験の期間中,コホート A では ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が改善した
患者が 1 名(3.4%),悪化した患者が 15 名(51.7%)であり,コホート B では ECOG
パフォーマンス・スコアが改善した患者はなく,悪化した患者が 13 名(61.9%)であ
った。これ以外の患者ではスコアに変化がなかったか,またはスコア変化が不明であ
った。
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表 8.10: 3
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試験 1200.10
試験結果の概略(2/3)
有効性/臨床薬理試験 コホート A とコホート B(いずれのコホートでも用量 50 mg を投与)ではアファチ
の結果:(続き)
ニブの血漿中濃度に明らかな違いは認められなかった。定常状態での血漿中濃度は単
回投与データに比べて高かったことから,アファチニブの反復投与後の軽微な蓄積が
示唆される。遅くとも Day 14(初回評価時点)までに定常状態に達し,投与前血漿中
濃度は,観察した投与期間中を通じて安定していた。用量 50 mg で投与した患者にお
ける定常状態での投与前血漿中濃度の全般的なばらつきは中等度から高度であり,幾
何変動係数(gCV)は 32%~173%であった。用量 50 mg での幾何平均(gMean)血漿
中濃度と 40 mg に減量した患者と比較して示されるように,投与量の減少に伴いアフ
ァチニブ血漿中濃度が低下した。
安全性の結果:
本治験で認められたアファチニブの安全性プロファイルは管理可能なものであった。
治験期間中,すべての患者に 1 件以上の有害事象が認められ,治験責任医師により大
多数の有害事象(96.0%)は治験薬との因果関係が否定できないと判断された。主な
有害事象は下痢(患者の 92.0%に認められた),悪心および発疹(いずれも患者の 40.0%
に認められた)であった。減量に至った最も発現率の高い有害事象は下痢であり,患
者の 44.0%(コホート A では 44.8%,コホート B では 42.9%)に認められた。
有害事象が認められたすべての患者のうち,認められた有害事象の最も重い CTCAE
grade が grade 1 であった患者は 1 名(2.0%),grade 2 であった患者は 13 名(26.0%),
grade 3 であった患者は 28 名(56.0%),grade 4 であった患者は 3 名(6.0%),grade 5
であった患者は 5 名(10.0%)であった。
20 名(40.0%)に重篤な有害事象が認められ,5 名(コホート A の 4 名,コホート B
の 1 名)では死亡に至った。死亡に至った重篤な有害事象のうち 1 名(患者 304,急
性腎不全)が治験薬との因果関係が否定できないと判断された。患者 271 に全身健康
状態低下(治験薬との因果関係が否定できない下痢に起因する)が報告された。また,
患者 304 では,治験終了から 29 日後に急性腎不全が発現し,本有害事象は治験責任
医師により治験薬との因果関係が否定できないと判断された(急性腎不全発現時ドキ
ソルビシン投与を施行しており,ドキソルビシン注入開始 2 日後に急性腎不全が発現
した)。同患者は本有害事象により死亡した。コホート A の患者 15 名(51.7%)およ
びコホート B の患者 15 名(71.4%)では有害事象のために用量を減量し,全体とし
て 23 名(46.0%)が有害事象のために本治験を永続的に中止した。
臨床検査パラメータ,バイタルサイン,または心電図パラメータのいずれにもアファ
チニブの副作用を示唆する変化は認められなかった。
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表 8.10: 3
結論:
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試験 1200.10
試験結果の概略(3/3)
一部の患者,すなわちトリプルネガティブの患者 3 名(10%)(コホート A)および
HER2 陰性,HR 陽性転移性乳癌患者 1 名(5%)
(コホート B)において 4 カ月以上に
わたる臨床的有用性(CR + PR + SD)
(コホート A における主要評価項目)が認めら
れた。コホート B における主要評価項目である客観的奏効(CR + PR)が認められた
患者はなかった。コホート A における PFS 中央値は 52 日であり,コホート B では
54 日であった。
アファチニブの用量を減量した(治験実施計画書により許容されている方法で)場合,
アファチニブの血漿中濃度は減少した。遅くとも Day 14(初回評価時点)までに定常
状態に達し,投与前血漿中濃度は観察した投与期間中を通じて安定していた。
本治験において最も高い発現率で認められた有害事象は下痢であり,患者の 92.0%に
発現し,ほぼ半数の患者において減量に至り,患者の 24%が下痢のために本治験を永
続的に中止した。下痢による投与中止はあったが,アファチニブの副作用は全体とし
て管理可能であった。治療アルゴリズムを早期実施し,アファチニブとの因果関係が
否定できない有害事象に対する時宜を得た治療を行うことにより,将来の有害事象に
よる投与中止を防止することができるものと思われる。
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8.11
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試験 1200.11
その他の臨床試験 1200.11
(資料番号 5.3.5.4-11)
試験方法
試験方法の概略を表 8.11: 1 に示す。
表 8.11: 1
目的
試験方法の概略(1/3)
トラスツズマブによる治療が奏効しなかった HER2 陽性転移性乳癌患者を対象に,アファチニ
ブ(BIBW 2992)の奏効率(完全奏効[CR],部分奏効[PR])および病勢コントロール率(CR,
PR および安定[SD ]),ならびに奏効までの時間,奏効期間,増悪まで期間,無増悪生存期
間(PFS),全生存期間(OS)および安全性を評価する。
試験の種類
非盲検
対象
対象疾患
HER2 陽性で病期 IIIB 期または IV 期の転移性乳癌と確定診断され,標準的治療(標準用量の
トラスツズマブによる 6 週間以上の治療を含む)を受けた後,疾患進行した患者。登録前 4 週
間以内に化学療法,ホルモン療法または免疫療法を施行されていない患者(トラスツズマブに
ついては登録前 2 週間以内)。過去の抗癌治療から回復している患者。
選択基準
ICH-GCP ガイドラインおよび地域の要件に従って,何らかの治験に関連する手順を実施する
前にすべての患者から文書による同意を得た。患者が HER2 陽性転移性乳癌に罹患し,トラス
ツズマブによる前治療を有し,他の従来の療法が適用できないできないことを確認する目的で
追加の選択基準を設けた。選択基準は以下のとおり:
1.
性別を問わず,病期 IIIB 期または IV 期の HER2 陽性転移性乳癌と確定診断された患者
(HER2 2+および蛍光 in situ ハイブリダイゼーション法[FISH]陽性,または HER2 3+)
2.
過去の標準的なトラスツズマブによる治療またはトラスツズマブを併用した標準的な化
学療法を受けた後,疾患進行した患者。内臓癌または急速進行型の癌を有する患者は,
トラスツズマブに加えて化学療法による前治療がない場合は含めないこととした。トラ
スツズマブ不耐性で適切な化学療法および/またはホルモン療法を受けた患者で疾患進
行がみられる場合は適格とした。
3.
年齢が 18 歳以上の患者
4.
少なくとも 4 カ月間の生存が見込まれる患者
5.
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意が得られた患者
6.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0,1 または 2 の患者
7.
登録前 4 週間以内に化学療法または免疫療法を施行されていない患者(トラスツズマブ
については 2 週間以内)。登録前 2 週間以内にホルモン療法を施行されていない患者
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表 8.11: 1
対象(続き)
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試験 1200.11
試験方法の概略(2/3)
8.
前治療(化学療法,ホルモン療法,免疫療法,または放射線療法)に関連する毒性から
回復(grade 1 以下)している患者
9.
過去の手術から回復している患者
10.
RECIST 基準に基づく測定可能病変を有する患者
除外基準
除外基準には,試験の実施を妨げる,または患者におけるリスクを増大させる可能性のある一
連の健康状態が含まれた。以下の除外基準はスクリーニング来院時(Visit 1)に評価した。
1.
活動性の感染症を有する患者
2.
治験薬の吸収が低下する可能性のある胃腸障害または慢性の下痢を有する患者
3.
治験責任医師が治験実施計画書に適合しないと判断した重篤な疾患または腫瘍以外の合
併症を有する患者
4.
活動性/症候性の脳転移を有する患者。治療された脳転移の既往歴がある患者では,ス
クリーニング時の核磁気共鳴画像法(MRI)スキャンで安定または正常,脳転移に対す
る放射線照射後または手術後 3 カ月以上経過していなければならない。
5.
安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満の左室機能の患者
6.
好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
7.
血小板数が 100000/mm3 未満の患者
8.
ビリルビンが 1.5 mg/dL(26 µmol/L,SI 単位相当)を超える患者
9.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニン・アミノトランスフ
ェラーゼ(ALT)が施設基準値上限の 3 倍を超える患者
10.
血清クレアチニンが 1.5 mg/dL(132 µmol/L, SI 単位相当)を超える患者
11.
性生活がある男女(およびそのパートナー)で,医学的に適切な避妊法を使用する意思
のない患者
12.
妊娠中または授乳中の女性
13.
他の治験薬(化学療法,免疫療法,放射線療法,ホルモン療法[黄体形成ホルモン放出
ホルモン(LHRH)アゴニスト,または乳癌に対する他のホルモン剤を含む])の投与を
受けた患者,または投与開始前 4 週間以内に他の臨床試験に参加した患者または本試験
中に参加を予定している患者。ビスフォスフォネートの投与は許容された。
14.
過去に EGFR または HER2 阻害剤(トラスツズマブを除く)による治療を受けた患者
15.
治験実施計画書を遵守できない患者
16.
アルコール依存症の患者または薬物乱用患者
17.
他の悪性腫瘍(適切に治療された表在型基底細胞皮膚癌および外科的に治療された子宮
頚部上皮内癌を除く)の既往歴を有し,3 年間以上の無病期間が経過していない患者
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表 8.11: 1
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試験 1200.11
試験方法の概略(3/3)
試験薬剤
アファチニブ錠(5 mg,20 mg フィルムコート錠)
目標症例数
目標症例数
スクリーニング登録症例:約 48 名,登録症例:40 名
実施症例数
スクリーニング登録症例:52 名,登録および投与症例:41 名,評価可能症例:34 名
投与方法
投与方法:
投与期間
アファチニブ 50 mg 1 日 1 回連日投与から開始する。
経口投与
投与期間:
臨床的な疾患進行または治験薬との因果関係が否定できない治験薬の投与中止を要する毒性,
もしくは同意撤回が認められるまで連日投与。
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性/臨床薬物動態の評価項目:
評価基準
客観的腫瘍縮小効果(CR,PR),奏効までの時間,奏効期間,無増悪生存期間(PFS),全生存
期間(OS),腫瘍径の和の最大減少率,病勢コントロール(CR,PR,SD),米国東部腫瘍学共
同研究グループ(ECOG)による患者パフォーマンス・スコア,および生活の質(QOL)評価,
アファチニブの血漿中濃度およびバイオマーカーの血清中濃度
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE に従って評価した),臨床検査値,バイタルサイン,左室機能,および心電
図(ECG)評価
解析方法
記述統計,奏効率およびその 95%信頼区間の算出,Kaplan-Meier 推定
治験調整医師
治験実施施設
国際多施設共同試験(米国 6 施設および英国 6 施設)
治験実施期間
20
年
月~20
年 月
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試験 1200.11
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スケジュール
表 8.11: 2
サイクル
検査・観察スケジュール
スクリーニ
ング
Visit
SV1
Day
-28 ~ 1
同意取得
X3
患者背景
X
既往歴・合併症
X
選択基準/除外基準の調査
X
完全な身体所見 5
X
特定の身体所見
バイタルサイン 6
X
ECOG パフォーマンス・ス
X
コア(PS)
QOL 評価
12 誘導心電図 14
X
心エコーまたは MUGA ス
X
キャン
臨床検査 8
X
血清 HCG(女性)
X
血液凝固検査
X
腫瘍マーカー
腫瘍評価
X9
X
骨スキャン(適用可能な場
合)11
薬物動態用の血清検体 12
併用投与
X
服薬状況確認 13
有害事象
治験薬の処方
治験薬投与
治験参加終了
治験終了
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
第 1 および
第 3 コース
第 2 コース
(および奇数コース)
V1*
V2*
V1*
Day 1 Day 15
Day 1
第 4 コース
(および偶数コース)
V1*
Day 1
EOT1
FUV2
EOTV
FUV**
X4
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X9
X
X
X
X
X
X
X
X
X7
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
連日投与
X
X
X
X
X
X
X7
X
X
X
X
X
X
X
X9
X
X
X10
X
X
X10
X
X
X
X
X
X
X
X
X
中止
X
X
EOT (V:治験終了時(来院)。
FUV:追跡調査の来院。
文書同意はスクリーニング評価の実施前に取得することとした。
治験薬投与開始のため適格性を確認した。
身長(スクリーニング時のみ)および体重を含む。
体重を含む。
心エコーまたは MUGA スキャンはスクリーニング時および 3 コースごと(12 週間ごと)に実施した。
全血球数計数(CBC),血清生化学検査,および尿検査を含む
ベースライン時の腫瘍評価は胸部,腹部および骨盤の CT スキャンまたは MRI を含んだ。治験を通じて同じ
検査方法を用いることとした。腫瘍縮小効果の記録または疾患進行の診断/確定のため,評価は 8 週,16
週および 24 週,ならびにそれ以後は治験責任医師の裁量により 8 週ごとに実施した。腫瘍評価は偶数コース
の Day 22~28 の間に実施した。
10) 疾患進行または腫瘍縮小効果を診断/確認する必要がない限り任意とした。
11) 骨スキャンは 12 週,24 週および 48 週に反復して実施した。
12) 詳細な採血時間については[CTD 5.3.5.4-11(U -2463),Appendices 16.1.1.1],Appendices 10.1 を参照。
13) 第 1 コースの Day 15 から開始。
14) 安静時 12 誘導心電図はスクリーニング時(Visit 1)
,第 3,第 5,第 7 コースおよびすべての奇数コースの Day
1(Visit 1),ならびに EOT 時に実施した。デジタル化された心電図は,デジタル記録型の心電図記録器,ま
たはデジタル変換および従来式のトレース解析機能つきの従来型の心電図記録器によって記録した。
*)± 1~3 日
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試験 1200.11
**)± 7 日
MUGA:心臓スキャンマルチゲート収集法,HCG:ヒト絨毛性ゴナドトロピン
引用元:CTD 5.3.5.4-11(U -2463),Table 9.5: 1
試験結果
試験結果の概略を表 8.11: 3 に示す。
表 8.11: 3
試験結果の概略(1/3)
有効性/臨床薬理試験
有効性:Treated set(TS)のうち,4 名(10%)では客観的腫瘍縮小効果に関す
の結果:
る主要評価項目(すべての患者に PR がみられ,いずれの患者にも CR はみられ
なかった)が満たされた。さらに,15 名(37%)では安定(SD)が維持され,
うち 9 名(22%)では PR の閾値である 30%には満たないものの腫瘍径の縮小が
みられた。平均奏効期間は 153.3 日であり,臨床的有用性の平均期間は 156.6 日
であった。PFS の中央値は 106 日であり,OS の中央値は 427 日であった。ほと
んどのベースラインにおけるバイオマーカーとアファチニブ投与後の腫瘍縮小
効果に明らかな関係は認められなかった。ただし例外として,PR がみられた患
者では最良効果が SD または疾患進行(PD)であった患者と比較して,CA 15-3
のベースラインからの平均上昇が小さく,ELISA 法で測定した HER2/neu のベー
スラインからの平均上昇が大きかった。
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)は試験中に 24 名(60.0%)で改善し,15
名(37.5%)では不変であった。悪化したのは 1 名(2.5%)のみであった。全般
的 QOL の評価では,15 名(38.5%)で改善がみられ,18 名(46.2%)では不変
であり,5 名(12.8%)で悪化がみられた。下痢に関しては悪化が示されたもの
の,特に疲労,不眠および疼痛に関してはアファチニブ投与後に改善がみられ
た。より乳癌患者に特定した質問表 BR-23 による QOL 評価では,「全身療法」
のカテゴリーで悪化が示されたものの,将来の展望,腕の症状,および性的機
能で改善がみられた。
薬物動態:アファチニブの血漿中濃度は反復投与後わずかに蓄積した。遅くと
も Day 15 には定常状態に到達し,投与前の血漿中濃度は観察した治験薬投与期
を通じて一定しているようと考えられた。全般的なばらつきは中程度から高度
であり,幾何変動係数(gCV)は 67.9%~138%であった。40 mg および 50 mg
投与群の平均血漿中濃度推移(幾何平均値 [gMean])の比較から示されるよう
に,アファチニブの血漿中濃度は用量の増加に伴って増加した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.11: 3
安全性の結果:
Page 651
試験 1200.11
試験結果の概略(2/3)
本治験におけるアファチニブの安全性プロファイルは許容し得るものであっ
た。すべての患者に試験中少なくとも 1 件の有害事象が発現し,1 名を除くすべ
ての患者に治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した有害
事象が発現した。
主な毒性は,下痢(患者の 90.2%),発疹を主とする皮膚障害(85.4%)であり,
胃腸障害および皮膚発疹に関する他の EGFR 阻害剤の既知の安全性プロファイ
ルを反映していた。口内炎/粘膜の炎症についても 75.6%に報告され,疲労,悪
心および嘔吐も患者の約半数(疲労および悪心でそれぞれ 46.3%)に認められた。
治験薬との因果関係が否定できない有害事象はすべて grade 3 以下であり,grade
4 または 5 の治験薬との因果関係が否定できない有害事象の報告はなかった。患
者 14 名の死亡の詳細が記録された。治験薬投与中に死亡した患者はなく,1 名
の患者は治験薬投与終了後の 28 日間の追跡調査期に死亡した。9 名が疾患進行
により死亡し,他の 5 名の死因は記録されなかった。アファチニブとの因果関
係が否定できない死亡の報告はなかった。8 名(19.5%)に試験中または 28 日間
の追跡調査期中に少なくとも 1 件の重篤な有害事象が発現し,うち 1 名では 28
日間の追跡調査期中に死亡に至った重篤な有害事象(悪性新生物進行と記録さ
れた)が発現した。
最も発現率の高い重篤な有害事象は嘔吐であり,3 名に認められた。5 名(12.2%)
において治験責任医師が治験薬との因果関係が否定できないと判断した重篤な
有害事象が報告された。2 名以上に報告された治験薬との因果関係が否定できな
い重篤な有害事象は,嘔吐(3 名)および脱水(2 名)のみであった。
すべての患者はアファチニブの用量を 50 mg から開始したが,20 名(48.8%)で
は 40 mg に減量し(主に胃腸障害の有害事象のため),6 名(14.6%)ではさらに
40 mg から 30 mg へと減量した。有害事象のため投与を中止した患者は 10 名の
みであったことから,ほとんどの有害事象は減量によって管理可能であること
が示された。2 名以上に発現した中止に至った有害事象は,下痢(4 名)および
発疹(2 名)のみであった。
臨床検査値,バイタルサインまたは ECG パラメータのばらつきは大きかったも
のの,これらの値のいずれにもアファチニブによる有害作用を示唆する変化は
みられなかった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.11: 3
結論:
Page 652
試験 1200.11
試験結果の概略(3/3)
トラスツズマブによる治療が奏効しなかった HER2 陽性転移性乳癌患者を対象
とした本 POC 試験において,アファチニブの有望な効果が示された。全体で患
者の 46%に多少の臨床的有用性が認められ,4 名(10%)に PR が認められた。
QOL についても多少の改善がみられた。
アファチニブの血漿中濃度は用量の増加に伴って増加した。遅くとも Day 15 に
は定常状態に到達し,投与前の血漿中濃度は観察した治験薬投与期を通じて一
定しているように思われた。
他の EGFR 阻害剤で既知の安全性プロファイルと一致して,アファチニブ 50 mg
開始用量では約半数の患者において減量を要する下痢または皮膚障害が発現し
た。しかしながら,ほとんどの患者は減量した用量においてアファチニブを投
与継続可能であり,下痢または皮膚障害のため投与を永続的に中止した患者は 6
名(15%)のみであった。
Page 653
試験 1200.44
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.12
その他の臨床試験 1200.44
(資料番号 5.3.5.4-12)
試験方法
試験方法の概略を表 8.12: 1 に示す。
表 8.12: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
アファチニブ(BIBW 2992)の有効性および安全性をトラスツズマブおよびラパチニブと比較
検討する。
試験の種類
非盲検,ランダム化試験
対象
対象疾患
局所進行,非転移性,HER2 陽性の病期 III 期(IIIa,IIIb および IIIc 期を含む)および炎症性
の乳癌患者
選択基準
1.
年齢が 18 歳以上の女性患者
2.
組織診により乳癌と確定診断されており,前治療のない患者
3.
所属リンパ節を除く遠隔転移を示す証拠がない病期 IIIa 期,IIIb 期,IIIc 期および炎症性
の局所進行乳癌患者
4.
HER2 陽性患者(IHC 法により HER2 3+または HER2 2+ および FISH 法により陽性)
HER2 陽性評価は保存腫瘍組織検体に対する IHC 法および FISH 法により実施。
5.
少なくとも 1 次元(最長径を記録する)で臨床的測定および超音波検査により正確に測
定することが可能な直径 5 cm 以上の病変が 1 以上ある患者
6.
HER2 およびバイオマーカー解析のために,治験登録時,治験薬投与 3 週間後および EOT
時での新鮮腫瘍生検検体(新鮮組織およびパラフィン包埋組織)採取に同意した患者
7.
少なくとも 6 カ月間の生存が見込まれる患者
8.
ICH-GCP ガイドラインおよび各国の要件に従い,文書による同意が得られた患者
9.
ECOG パフォーマンス・スコアが 0 または 1 の患者
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表 8.12: 1
対象(続き)
Page 654
試験 1200.44
試験方法の概略(2/4)
除外基準
1.
好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
2.
血小板数が 100000/mm3 未満の患者
3.
ヘモグロビン値が 9.0 g/dL 未満の患者
4.
ビリルビンが 1.5 mg/dL(26 µmol/L,SI 単位相当)を超える患者
5.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラ
ーゼ(ALT)が施設基準値上限(ULN)の 2 倍を超える患者
6.
血清クレアチニンが施設基準値上限の 1.5 倍を超える患者および/またはクレアチニンク
リアランス計算値/測定値が 45 mL/min 以下の患者
7.
クローン病,吸収不良,原因を問わず grade 2 を超える下痢など,主症状として下痢を伴
う重大な胃腸障害が認められるか,または急性胃腸障害が最近認められた患者
8.
治験責任医師が治験計画書に適合しないと判断した重篤な疾患,腫瘍以外の合併症または
精神障害を有する患者
9.
性生活があり,医学的に適切な避妊法を使用する意思ない患者
10. 妊娠中または授乳中の女性
11. 治験実施計画書を遵守できない患者
12. アルコール依存症の患者または薬物乱用者
13. その他の生命を脅かす疾患または臓器系機能障害を有する患者で,治験責任医師が患者の
安全性に悪影響を及ぼす,または被験薬の安全性の評価を妨げると判断した患者患者
14. 治験薬投与前 4 週間以内に化学療法,免疫療法,放射線療法,ホルモン療法(乳癌に対す
る LHRH アゴニスト,または他の内分泌療法/ホルモン製剤を含む)などの他の抗がん治
療または他の治験薬による治療を含めて局所進行性乳癌に対する前治療を受けた患者お
よび/または本治験中に受ける予定のある患者。ビスフォスフォネートの併用投与は許容
される。
15. トラスツズマブ,EGFR または EGFR/HER2 阻害剤による前治療のある患者
16. 過去 5 年以内に他の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌および子宮頚部上皮内癌を除く)と診断さ
れた患者
17. 重篤な活動性の感染症(静脈内投与用抗生物質,抗真菌薬または抗ウイルス薬を必要とす
る感染症)を有する患者
18. HIV 感染,活動性 B 型肝炎または活動性 C 型肝炎感染が確認されている患者
19. ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類 3 を含むうっ血性心不全,狭心症,心筋梗塞,
不整脈など,臨床的に問題となるまたはコントロール不能の心疾患の既往歴/合併症を有
する患者
20. マルチゲート心血液プールイメージング(MUGA スキャン)または心エコーにより測定し
た安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満である左室機能の患者
21. 基礎疾患として間質性肺疾患(ILD)が確認されている患者
22. 治験実施計画書に記載された併用禁止療法のいずれかによる治療が必要な患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.12: 1
試験薬剤
Page 655
試験 1200.44
試験方法の概略(3/4)
アファチニブ錠(30 mg,40 mg,50 mg,フィルムコート錠)
トラスツズマブ 注射剤用凍結乾燥粉末(1 バイアル中にトラスツズマブ粉末 440 mg)
ラパチニブ錠(250 mg,フィルムコート錠)
目標症例数
目標症例数:
120 名以下(投与症例)
各投与群:40 名以下
実施症例数
スクリーニング登録症例 73 名,ランダム化割付け症例 29 名
アファチニブ群:ランダム化割付け症例/投与症例/解析症例(主要評価項目)10 名
ラパチニブ群:ランダム化割付け症例/投与症例/解析症例(主要評価項目)8 名
トラスツズマブ群:ランダム化割付け症例/投与症例/解析症例(主要評価項目)11 名
投与方法
投与方法:
投与期間
アファチニブ 50 mg 1 日 1 回経口投与,トラスツズマブは 4 mg/kg 週 1 回点滴静脈内投与で開
始し,その後は 2 mg/kg 週 1 回点滴静脈内投与,ラパチニブ 1500 mg 1 日 1 回経口投与。
投与期間:
6 週間
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
主要評価項目:奏効率
評価基準
副次評価項目:
1.
RECIST に基づいて判定した奏効(完全奏効[CR],部分奏効[PR]および安定[SD])
2.
3 週目および 6 週目における標的病変の最長径(合計)
3.
バイオマーカー(生検組織中)
4.
-
リン酸化 MAP キナーゼ(MAPK)
-
MAPK の総発現量
-
EGFR,HER2
-
リン酸化 EGFR およびリン酸化 HER2
-
細胞増殖マーカー(Ki67 および p27)
-
Apoptotic index(AI)(開裂カスパーゼ 3)
-
PTEN(Phosphate and tensin homolog deleted from chromosome 10)遺伝子
-
直接塩基配列決定法による PI3K 変異解析
-
HERmark アッセイによる HER2 ホモ二量体化の評価
薬物動態(PK)
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表 8.12: 1
評価項目
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試験 1200.44
試験方法の概略(4/4)
部分集団解析および可能性のある予後因子として,以下に基づく種々の分類の患者について探
評価基準(続き) 索する。
5.
IHC(免疫組織化学染色法)による HER2/ER/PgR の状態
6.
HER2(HER2 が IHC 2+の場合,FISH 法を実施)
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価した)の重症度および発現率,臨床検査値,ECOG
パフォーマンス・スコア,左室機能
解析方法
RECIST に基づく客観的奏効率(ORR:objective response rate)は各投与レジメンに対して,
Clopper-Pearson 法を用いて算出した 95%信頼区間と併せて推定する。
また,Fisher の正確検定により投与群間(アファチニブとトラスツズマブとの間,アファチニ
ブとラパチニブとの間)で奏効率を比較する。本治験は探索的試験であることから,投与の多
重比較に対して調整は行わない。
症例数(各群 40 名)は,アファチニブの奏効率がトラスツズマブまたはラパチニブよりも高
いことが 90%の確率で観察されるように Sargent と Goldberg の試験デザインに基づいて算定し
た。
治験調整医師
治験実施施設
国際多施設共同試験(ブラジル,コロンビアおよびペルーの15施設,米国1施設)
治験実施期間
20
年 月~20
年
月
Page 657
試験 1200.44
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.12: 2
検査・観察スケジュール
Trial Period
Course(C)2,Visit(V)
Day
同意取得 3
スクリーニ
ング
スクリーニ
ング
-14~- 1
EOT1
第 2 コース
C1/V1
C1/V2
C2/V1
C2/V2
Day 1
±3日
Day 8
±3日
Day 22
±3日
Day 29
±3日
C2V4
手術 4
Day 43
±3日
追跡調査
来院
Day 71
±7日
X
患者背景
X
既往歴・合併症
X
IHC/FISH,バイオマーカ
ーの生検 5
選 択 基 準/ 除外 基 準の
レビュー
第 1 コース
X
X
X
X
完全な身体所見
バイタルサイン
ECOG パフォーマンス・
スコア(PS)
12 誘導デジタル心電図
心エコーまたは MUGA
スキャン
X
X6
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
臨床検査 7
血液凝固検査
妊娠検査 8
骨スキャン 14
胸部 X 線
MRI12
腫 瘍 評 価/ 超音 波 検査
/臨床的測定 9
薬物動態用の採血 10
併用療法
服薬状況確認
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X13
X13
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
有害事象
X
X
X
X
X
X
ランダム化
X
治験薬の処方/投与 11
X
X15
X
投与 11
治験終了
1)
2)
3)
4)
X
X
X
治験薬投与終了時
1 投与コースは 21 日間の投与に相当する。
何らかのスクリーニング評価を実施する前に文書同意を取得しなければならなかった。
アファチニブ,ラパチニブまたはトラスツズマブ投与は手術当日まで継続しなければならなかった。手術が
何らかの理由により遅延する場合,腫瘍組織の生検を Day 43 またはその前後に実施し,生検実施後にアフ
ァチニブ,ラパチニブまたはトラスツズマブ投与を終了しなければならなかった。
5) バイオマーカー(生検組織中)
• リン酸化 MAP キナーゼ(MAPK)
• MAPK の総発現量
• EGFR,HER2
• リン酸化 EGFR およびリン酸化 HER2
• 細胞増殖マーカー(Ki67 および p27)
• Apoptotic index(AI)(開裂カスパーゼ 3)
• PTEN
• 直接塩基配列決定法による PI3K 変異解析
• HERmark アッセイによる HER2 ホモ二量体化の評価
• スクリーニング時に HER2 に関して IHC 法および FISH 法により評価。
• リン酸化 AKT
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 658
試験 1200.44
6) 体重,呼吸数,脈拍数,体温および血圧測定を含む。身長はスクリーニング時のみ測定。
7) CBC,血清生化学検査および尿検査を含む。
8) 妊娠可能な女性を対象として,アファチニブ投与/ラパチニブ投与/トラスツズマブの初回投与の前,およ
びそれ以降 EOT まで,各コースの開始前に尿(血清)妊娠検査を実施。
9) スクリーニング来院,C2V1 および C2V3 における腫瘍評価では乳房超音波検査およびマンモグラフィーを
実施することとする。その後のすべての来院時には治験責任医師が乳房腫瘍サイズの臨床評価を実施。
10) アファチニブ投与群のみ,投与開始前,C1V2,C2V1 および C2V2 に実施。送付手順については治験責任医
師施設ファイル(ISF)に記載。
11) 投与は,アファチニブ 50 mg 1 日 1 回経口投与,ラパチニブ 1500 mg 1 日 1 回経口投与,またはトラスツズ
マブを最初の週は 4 mg/kg,その後の 5 週間は 2 mg/kg で週 1 回投与のいずれかとした。
12) MRI(治験実施施設の設備に基づき任意)はスクリーニング時および治験薬投与終了時のみ実施。
13) 任意実施。
14) 骨スキャンは必須とした(ランダム化前 4 週間以内に実施した骨スキャンはスクリーニング時の評価に用い
ることができた)。
15)治験薬投与終了。
引用元:CTD 5.3.5.4-12(U -3255),Table 9.1: 1
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 659
試験 1200.44
試験結果
試験結果の概略を表 8.12: 3 に示す。
表 8.12: 3
試験結果の概略(1/4)
有効性/臨床薬理試験
ベーリンガーインゲルハイム社(治験依頼者)はスクリーニング脱落例が多く,
の結果:
患者募集が難しいと考え,本試験を終了した。患者数が少なかったため,結果
について慎重に解釈し,以下の所見を得た。
局所進行性乳癌を有するランダム化割付け患者計 29 名(アファチニブ群 10 名,
ラパチニブ群 8 名,トラスツズマブ群 11 名)に治験薬を投与し,主要な有効性
解析,安全性解析,バイオマーカー解析および薬物動態解析を行った。
有効性
試験期間中のいずれかの時点で奏効を示したのは,アファチニブ群 8 名(80.0%)
に対し,ラパチニブ群では 6 名(75.0%),トラスツズマブ群では 4 名(36.4%)
であった。奏効を示した患者全員が最良総合効果として PR を示した。6 週間ま
でに CR を呈した患者は認められなかった。残りすべての患者が最良総合効果と
して SD を示した(アファチニブ群[2 名(20.0%)],ラパチニブ群[2 名(25.0%)],
トラスツズマブ群[7 名(63.6%)])。
試験期間中,すべての患者に最良総合効果として臨床的有用性(CR,PR または
SD)が認められた。
RECIST 第 1.0 版に基づく奏効を Week 3 および Week 6 にも測定し,経時的な腫
瘍評価を行った。Week 3 に PR を示したのは,アファチニブ群 5 名(50.0%)に
対し,ラパチニブ群では 2 名(25%),トラスツズマブ群では 2 名(18.2%)で
あった。Week 6 に PR を示したのはアファチニブ群 7 名(70.0%)に対し,ラパ
チニブ群では 6 名(75.0%),トラスツズマブ群では 4 名(36.4%)であった。
アファチニブ群 1 名は,有害事象により Day 11 に治験薬を永続的に中止したた
め,Week 6 の解析に含めなかった。EOT 時の腫瘍評価では PR が示された。
本試験期間中,アファチニブ群では疾患進行の所見は認められなかった。ラパ
チニブ群 1 名(12.5%)およびトラスツズマブ群 1 名(9.1%)において,Week 6
に疾患進行を示す所見が認められた。Week 3 に SD を示したラパチニブ群の患
者で Week 6 に原発腫瘍のサイズが増大した。Week 3 に SD を示したトラスツズ
マブ群の患者で,EOT 来院時に新病変が出現した。
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表 8.12: 3
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試験 1200.44
試験結果の概略(2/4)
有効性/臨床薬理試験
バイオマーカー
の結果:(続き)
本試験において利用可能なバイオマーカー検体は少なかったため,EGFR 発現と
ErbB 標的薬に対する臨床反応の相関解析は実施できなかった。機能活性化の代
用マーカーとして HER2 二量体化を評価したところ,二量体化がラパチニブ群
では 2~10 倍まで増加し,アファチニブ群では一貫して減少することが示され
た。トラスツズマブ群では傾向は認められなかった。pHER2 の状態と二量体化
の状態に相関は認められず,おそらく標本サイズが小規模であったこと,マー
カーによってはベースライン時の発現レベルに患者間差があったことから,そ
の他のバイオマーカーでは意味のある差は認められなかった。
薬物動態
アファチニブについてのみ薬物動態を検討した。アファチニブ 50 mg 投与患者
では Day 8 に定常状態に到達したと考えられ,投与前の血漿中濃度は,薬物動
態の観察期間を通してして安定していた。50 mg 投与患者の投与前血漿中濃度の
ばらつきは中程度~高度であり,gCV は 35.6%~74.7%であった。
安全性の結果:
曝露状況
1 名(アファチニブ群)を除くすべての患者が治験薬投与を完了した。治験薬へ
の曝露期間の中央値は 45 日間であった。
有害事象
アファチニブおよびラパチニブを投与されたすべての患者において,有害事象
が認められた。トラスツズマブ群患者の 72.7%で有害事象が発現した。治験薬と
の因果関係が否定できないと判断された有害事象は,アファチニブ群では患者
11 名全員で認められたのに対し,ラパチニブ群では 6 名(75.0%),トラスツズ
マブ群では 5 名(45.5%)で認められた。試験中,どの投与群でも重篤な有害事
象および致死的な有害事象は認められなかった。
器官別大分類別有害事象では,アファチニブ群で,胃腸障害(100%),皮膚およ
び皮下組織障害(100%)ならびに感染症および寄生虫症(80%)の発現率が高
かった。アファチニブ群で最も高頻度に発現した有害事象は下痢(100%),ざ瘡
様皮膚炎(60.0%),爪囲炎(50.0%),粘膜の炎症(40.0%)および発疹(30.0%)
であった。ラパチニブ群およびトラスツズマブ群ではこれらの有害事象の発現
率は低かった(下痢:ラパチニブ群 37.5%,トラスツズマブ群 9.1%,以下同順,
ざ瘡様皮膚炎:0%,0%,爪囲炎:0%,0%,粘膜の炎症:0%,9.1%,発疹:12.5%,
0%)。アファチニブ群では,トラスツズマブ群(頭痛 36.4%,悪心 27.3%,関節
痛 36.4%)と比べて頭痛(20.0%),悪心(10.0%)および関節痛(0%)の発現が
少なかった。ラパチニブ群でも,これらの有害事象の発現は少なかった(頭痛
12.5%,悪心 25.0%,関節痛 0%)。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.12: 3
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試験 1200.44
試験結果の概略(3/4)
安全性の結果:(続き)
アファチニブ群で最も高頻度に発現した治験薬との因果関係が否定できない有
害事象は下痢(100%),ざ瘡様皮膚炎(60.0%),爪囲炎(50.0%),粘膜の炎症
(40.0%),発疹(30.0%)および低カルシウム血症(20.0%)であった。治験薬
との因果関係が否定できないこれらの有害事象の発現は,ラパチニブ群の方が
少なかった(下痢[37.5%],ざ瘡様皮膚炎[0%],爪囲炎[0%],粘膜の炎症[0%],
発疹[12.5%]および低カルシウム血症[0%])。トラスツズマブ群で治験薬と
の因果関係が否定できない最も高頻度に発現した有害事象は関節痛(18.2%)お
よび嘔吐(18.2%)であった。
すべての投与群において,大多数の有害事象は grade 1 または grade 2 と判定さ
れた。アファチニブ群の 3 名(30.0%)に grade 3 の有害事象(下痢,ざ瘡様皮
膚炎,粘膜の炎症)が認められ,ラパチニブ群の 2 名(25.0%)に grade 3 の有
害事象(白血球減少症,下痢)が認められた。また,ラパチニブ群の 2 名に grade
4 の好中球減少症が認められた。アファチニブ群およびトラスツズマブ群では
grade 4 および 5 の有害事象は認められなかった。
アファチニブ群の 2 名(20.0%)において,用量の減量に至る有害事象が認めら
れた(下痢および発疹)。アファチニブ群では他に,治験実施計画書で規定され
た減量基準に基づき減量に至った grade 3 の粘膜の炎症が認められた。アファチ
ニブ群患者 1 名において,治験薬の永続的な中止に至る有害事象が認められた
(ざ瘡様皮膚炎)。
臨床検査およびその他の安全性評価
本試験期間中に,5 名に grade 4 の好中球数減少(絶対数)が認められた(アフ
ァチニブ群 1 名,ラパチニブ群 2 名,トラスツズマブ群 2 名)。3 名に grade 4 の
リンパ球減少(絶対数)が認められた(アファチニブ群 1 名,トラスツズマブ
群 2 名)。薬剤性肝損傷は示されず,Hy's low の基準を満たした患者は認められ
なかった。
バイタルサインおよび LVEF の平均値に関しては,ベースラインからの顕著な
変化は認められなかった。心電図の変動または身体的診察に関する有害事象は
認められなかった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.12: 3
結論:
Page 662
試験 1200.44
試験結果の概略(4/4)
全体として,アファチニブはラパチニブと同程度の有効性プロファイルを示し
たが,3 週目および 6 週目の最良総合効果および奏効を比較したところトラスツ
ズマブよりも優れていた。しかし,患者集団が少ないため,この結論は各投与
群内に限定される。
全 3 投与群は概して忍容性が良好であり,治験薬との因果関係が否定できない
grade 3 の有害事象はほとんど認められず,治験薬との因果関係が否定できない
grade 4 および 5 の有害事象は認められなかった。全体でアファチニブ群の方が
有害事象の発現は多く認められた。しかし,どの投与群でも予想外の有害事象
は認められなかった。重篤な有害事象および死亡は報告されなかった。アファ
チニブ群では,有害事象による減量および中止はほとんど認められなかった。
標本数は限られているものの,評価可能なアファチニブの薬物動態データに基
づくと,Day 8 には定常状態に到達していると考えられた。投与前の血漿中濃度
は,薬物動態の観察期間を通してして安定していた。血漿中濃度のばらつきは
中程度~高度であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.13
Page 663
試験 1200.5
その他の臨床試験 1200.5
(資料番号 5.3.5.4-13)
試験方法
試験方法の概略を表 8.13: 1 に示す。
表 8.13: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
エストロゲン受容体(ER)陽性のレトロゾール治療抵抗性転移性乳癌患者における標準的
治療法のアロマターゼ阻害薬レトロゾールとアファチニブ(BIBW 2992)の併用投与開始か
ら 16 週目またはそれ以降における無増悪生存率(progression-free rate)を決定する。
試験の種類
非ランダム化,非盲検,1 段階,単一群試験
対象
対象疾患
ホルモン療法に対する獲得耐性と診断された転移性乳癌患者
選択基準
1.
組織診により確定診断された乳腺癌を有する女性患者
2.
年齢が 18 歳以上の患者
3.
乳腺癌の転移巣が認められる患者
4.
化学療法の前治療のない患者(転移性乳腺癌に対する化学療法の前治療がないこと。
初期乳癌に対するトラスツズマブを含む術後補助化学療法の前治療のある患者は適
格とした)。治験実施計画書変更 1 では,それ以降に登録する患者は転移性乳腺癌に
対する化学療法レジメンの前治療が 2 種類以下であることとし,それにはトラスツズ
マブを含むことができると規定された。
5.
最近実施された腫瘍生検において ER 陽性(免疫組織化学染色法において 10%以上)
が確認された患者
6.
レトロゾールの投与を受け,奏効(部分奏効または 24 週間以上にわたる安定)の後,
レトロゾールの治療中に疾患進行がみられたと定義される獲得耐性を発現した患者
7.
本治験登録前 6 週間以内に,以下の定義による疾患進行と診断された患者
-
骨スキャンまたは MRI による骨病変数の増加,および/または
-
骨転移の存在が確認されている領域での疼痛の増加および 2 回以上連続した CA
15-3 の値の増加がみられ,かつ/または
-
コンピュータ断層撮影(CT),MRI または X 線撮影により RECIST に基づく疾患
進行が認められた患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.13: 1
対象(続き)
Page 664
試験 1200.5
試験方法の概略(2/4)
8.
閉経状態であることが認められ,および 11 pg/mL 未満のエストラジオール濃度が確認
されている患者(黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログによる卵巣機能抑制療法を
受けている患者は除外した)
9.
少なくとも 6 カ月間の生存が見込まれる患者
10.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0 または 1 の患者
11.
治験実施計画書を遵守することができる患者
12.
本治験へのスクリーニング登録前 4 週間以内に化学療法,放射線療法または免疫療法
による治療を受けていない患者
13.
過去の治療における grade 3(CTCAE 第 3.0 版に従う)の有害事象から回復している
患者
14.
文書による同意が得られている患者
除外基準
1.
活動性またはコントロール不能の感染症を有する患者
2.
治験薬の吸収が低下する可能性のある胃腸障害,慢性下痢,または嚥下困難が認めら
れる患者
3.
閉経前の患者
4.
治験責任医師が本治験実施計画書に適合しないと判断した重篤な疾患または腫瘍以
外の合併症を有する患者
5.
過去 5 年以内に治験実施計画書の遵守または結果の解釈に影響を及ぼす可能性のある
悪性腫瘍の既往歴がある患者。適切に治療された皮膚基底細胞癌または皮膚有棘細胞
癌,または子宮頚部上皮内癌を有する患者は一般に適格と考えられた。
6.
主要臓器に転移がみられる急速進行性の転移性乳腺癌(リンパ管性肺転移および/ま
たは大型肝転移病巣)患者
7.
脳転移が認められる患者
8.
過去 12 カ月間に重大な心血管疾患(コントロール不良の高血圧,不安定狭心症,梗
塞の既往歴,ニューヨーク心臓協会[NYHA]心機能分類 2 を超えるうっ血性心不全
の既往歴)が認められた患者
9.
安静時左室駆出率(LVEF)が施設基準値未満である左室機能の患者
10.
好中球絶対数が 1500/mm3mm3 未満の患者
11.
血小板数が 100,000/mm3 未満の患者
12.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)および/またはアラニン・アミノ
トランスフェラーゼ(ALT)が施設基準値上限の 3 倍を超える患者。肝転移が確認さ
れている患者の場合は AST および/または ALT が施設基準値上限の 5 倍を超えては
ならないこととした。
Page 665
試験 1200.5
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.13: 1
対象(続き)
試験方法の概略(3/4)
13.
血清クレアチニンが 1.5 mg/dL(132 µmol/L,SI 単位相当)を超える患者
14.
治験薬投与開始前 4 週間以内に他の治験用医療機器または治験薬,化学療法,免疫療
法,放射線療法による治療を受けたか,または本治験中に受ける予定がある患者,も
しくは治験薬投与開始前 4 週間以内に他の臨床試験に参加したか,または本治験中に
参加する予定がある患者。本治験登録前 3 カ月以上にわたり安定した用量で投与され
ている限り,ビスフォスフォネートの投与は許容された。
15.
EGFR 阻害薬および/または HER2 阻害薬による前治療のある患者。トラスツズマブ
による前治療のある患者は,術後補助療法として施行された場合に限り登録できるこ
ととした。治験実施計画書変更 1 では,それ以降に登録される患者について,トラス
ツズマブと化学療法との併用療法の前治療は許容されるが,レトロゾールとの併用投
与は許容されないと規定された。
16.
試験薬剤
アルコール依存症の患者または薬物乱用患者
アファチニブ錠(5 mg,20 mg フィルムコート錠)
レトロゾール錠(2.5 mg 錠)
目標症例数
目標症例数
登録症例:30~40 名
実施症例数
スクリーニング登録症例:30 例
登録症例:28 例,投与症例:28 名,解析症例(主要評価項目の解析):28 名
投与方法
投与方法: 経口投与
投与期間
アファチニブ開始用量:50 mg/日とし,40 mg/日および 30 mg/日への減量を選択することが
できる。開始用量を 40 mg/日とし,30 mg/日および 20 mg/日への減量を選択することがで
きる(治験実施計画書変更 )。開始用量を 30 mg/日とし,20 mg/日への減量を選択するこ
とができる(治験実施計画書変更
および安全性に関する中間報告)。
レトロゾール:2.5 mg/日
当初,患者にはアファチニブを 50 mg 開始用量で 1 日 1 回,1 コースを 28 日間として,レ
トロゾール 2.5 mg 1 日 1 回投与と連日併用投与したが,最初の患者数名で忍容性不良が示
された。その結果,治験実施計画書を変更し,アファチニブの開始用量を 40 mg に減量,
さらに 30 mg に減量することを規定した。また,アファチニブの各開始用量において,適
切な支持療法を施行しても治験薬との因果関係が否定できない grade 3 以上の有害事象が発
現した患者に対する忍容性に基づく減量基準が治験実施計画書で規定された。
投与期間:アファチニブとレトロゾールの 1 日 1 回併用連日投与を,さらなる疾患進行が
認められるまで,1 コースを 28 日間として継続した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.13: 1
観察項目
Page 666
試験 1200.5
試験方法の概略(4/4)
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性の評価項目:
評価基準
有効性は,治験薬投与開始から 16 週目またはそれ以降の評価における無増悪生存率に基づ
いて評価した。主要評価項目における進行とは,以下の骨病変のいずれかの発現と定義し
た。新規骨病変,固形がんの治療効果判定基準(RECIST)に基づく進行または新規病変,
ベースラインからの 20%を超える CA 15-3 の増加,癌に関連する骨イベント,または治験
責任医師の判断に基づく進行に相当する臨床的悪化による治験参加の中止と定義した。
アファチニブおよびレトロゾールについて標準的な薬物動態(PK)パラメータを求めた。
探索的解析により,アファチニブおよびレトロゾールのパラメータ間の関係および特定の
有害事象について評価することとした。
安全性の評価項目:
安全性は,有害事象の発現率および重症度,臨床検査値,バイタルサイン,心機能ならび
に患者の一般状態に基づいて評価した
解析方法
安全性の解析:
解析には,記述統計量と共に Kaplan-Meier 曲線および Greenwood の推定法を用いた。
薬物動態の解析:
定常状態における薬物動態プロファイルおよび薬物動態パラメータを評価した。
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(フランス,5 施設)
治験実施期間
20
年
月~20
年
月
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試験 1200.5
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.13: 2
検査・観察スケジュール
1
第 1 コース
第 3 コース 第 4 コース
および第 2 コース
および 以降の偶数
5 以降の奇
コース
数コース
Visit
スクリーニング Visit 1
Visit 2
Visit 1
Visit 1
来院
パラメータ
Day
-14 ± 5 -7 ± 2 Day 1 ± 2 Day 1 ± 2 Day 1 ± 2 Day 1 ± 2
同意取得 4
X
既往歴・合併症および患者背景
X
選択基準/除外基準
X
X5
6
身体所見
X
X
X
X
バイタルサイン
X
X
X
X
X
ECOG パフォーマンス・スコア
X
X
X
X
X
(PS)
12 誘導心電図
X
X
X
X
左室駆出率
X
X7
X7
臨床検査用検体採取 8
X
X
X
X
X
血液凝固検査
X
腫瘍生検(任意) 9
X
β-エストラジオール血中濃度
X
腫瘍マーカー CA 15-3
X
X
X
X
腫瘍評価 10
X
X
薬物動態用検体採取 11
X
X
X
X
X
併用薬
X
X
X
X
有害事象
X
X
X
服薬状況確認
X
X
X
アファチニブおよびレトロゾー X12
X
X
X
ルの処方
投与
連日投与
治験薬投与終了
治験の終了
投与コース
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
10)
11)
12)
スクリーニング
EOT2
FU3
EOT
FU ± 7 日
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
各投与コースの期間は 28 ± 2 日とした。
患者が治験薬投与を完了するか,または永続的に中止した場合に実施した項目。
EOT の 1 カ月後。
文書同意は何らかのスクリーニング評価を実施する前に取得することとした。
治験薬投与開始に対する適格性を確認するため。
身長(スクリーニング時のみ)および体重測定を含めた。
左室駆出率の評価(心臓超音波または心エコー)は第 4 コースの Day 1 の前 7 日以内に実施し,それ以
降は 12 週ごと(第 7,10,13 コースなど)に実施した。
全血球数測定,血清生化学検査および尿検査を実施した。
進行の診断日に生検検体が得られていない場合,同意が得られている患者に対して第 1 コース Day1の
前 14 日以内に腫瘍生検を実施することとした。
腫瘍評価には胸部,腹部および骨盤の CT または MRI スキャンを含めることとした。評価はスクリーニ
ング時,臨床的進行がみられる場合は第 3 コースの Day 1,第 5 コースの Day 1,第 7 コースの Day 1,
臨床的進行がみられる場合は 2 カ月ごと(第 9 コースの Day 1,第 11 コースの Day 1 など),および治験
終了時に実施することとした。客観的な腫瘍縮小効果が認められた場合,RECIST に基づいて確定のため
の画像検査による評価を 4 週間後に実施することとした。骨病変の評価には,スクリーニング時,骨イ
ベントが発現した場合は第 3 コースの Day 1,第 5 コースの Day 1,第 7 コースの Day 1,骨イベントが
発現した場合は 2 カ月ごと(第 9 コースの Day 1,第 11 コースの Day 1 など),および治験終了時に放射
性同位体を用いた骨スキャンまたは MRI 検査を実施することとした。治験期間中を通じて同じ画像検査
を適用することとした。
[CTD 5.3.5.4-13(U -2018),Section 9.5.5.1]に詳細を示す。
継続投与を可能にするため,レトロゾールはスクリーニング時に処方した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
引用元:CTD 5.3.5.4-13(U
-2018),Table 9.5: 1
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試験 1200.5
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試験 1200.5
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
試験結果
試験結果の概略を表 8.13: 3 に示す。
表 8.13: 3
投与状況:
試験結果の概略(1/5)
全体として患者 28 名にアファチニブおよびレトロゾールを投与した。うち 7 名に
はアファチニブを 50 mg 開始用量で投与し,13 名には 40 mg 開始用量で投与し,8
名には 30 mg 開始用量で投与した。50 mg 開始用量でアファチニブを投与した 7 名
中 6 名(85.7%)では治験実施計画書の規定に従い 40 mg への減量が行われ,2 名
ではさらに 30 mg への減量が行われた。40 mg 開始用量でアファチニブを投与した
13 名では 8 名(61.5%)において 30 mg への減量が行われた。30 mg 開始用量でア
ファチニブを投与した患者 8 名では減量を必要とした患者はなかった。
この結果,28 名中 15 名が投与量 40 mg でアファチニブの投与を継続し,28 名中 13
名は投与量 30 mg でアファチニブの投与を継続した。
有効性の結果:
全患者 28 名を Treated set(TS)とした。15 名(53.6%)が疾患進行のため,11 名
(39.3%)は有害事象のため,2 名(7.1%)はその他の理由により治験を中止した。
本治験に登録したすべての患者(100.0%)が白人であり,年齢の中央値は 64.0 歳
(範囲:40~82 歳)であった。治験登録時にすべての患者(100.0%)に転移(範
囲:1~4 部位)が認められた。計 27 名(96.4%)において ER 陽性が確認され,20
名(71.4%)はプロゲステロン受容体(PgR)陽性であり,3 名(10.7%)はヒト上
皮成長因子受容体 2(HER2)陽性であった。
主要評価項目は治験薬投与開始から 16 週目またはそれ以降における無増悪生存率
とした。8 名が 16 週間の投与を完了し,うち 4 名は治験実施計画書に規定された定
義により増悪していないと判断された。16 週間の投与を受けた他の 4 名は増悪して
いないとは判断されず,うち 2 名は 16 週間の投与を完了したが 16 週目の評価にお
いて疾患進行が認められた。1 名では 16 週目以前に RECIST に基づく疾患進行が疑
われたがコンピュータ断層撮影(CT)において確認することができなかったため正
式には記録されず,1 名では 20%を超える CA 15-3 の増加がみられたが RECIST に
基づき増悪していないと判断された。治験実施計画書に定義された基準に基づく無
増悪生存率を下表に要約する。
Afatinib
50 mg
Afatinib
40 mg
Afatinib
30 mg
All
Afatinib
doses
Number of patients N (%)
7 (100.0)
13 (100.0)
8 (100.0)
28 (100.0)
Progression-free rate N
2 (28.57)
0 (0.00)
2 (25.00)
4 (14.29)
[3.67, 70.96]
[0.00, 24.71]
[3.19, 65.09]
[4.03, 32.67]
(%) [95% CI]
Page 670
試験 1200.5
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.13: 3
試験結果の概略(2/5)
有 効 性 の 結 果 ( 続 RECIST 基準のみに基づいて決定された 16 週目またはそれ以降における無増悪生
き):
存患者は 5 名(17.9%)であった。追加された 1 名では 20%を超える CA 15-3 の増
加がみられたが,この患者は治験実施計画書の定義により増悪していないとはみな
されなかった。
RECIST に基づく奏効がみられた患者はなく(28 名中 0 名),最良総合効果は 15
名(53.6%)に認められた安定(SD)であった。全体として,16 週目の時点では 6
名(21.4%)に病勢コントロール(RECIST に基づく完全奏効[CR],部分奏効[PR]
または安定[SD])が認められた。このうち 4 名は主要評価項目の疾患進行の定義
に従って増悪していないと判断され,他の 1 名は RECIST に基づき増悪していない
と判断されたが CA 15-3 の増加が認められ,別の 1 名は 16 週目の時点で SD と判断
されたが治験薬投与を中止していた。患者 4 名(14.3%)では 24 週目の時点で病勢
コントロールが認められた。
アファチニブとレトロゾールの併用投与において,第 1 コース中の初期に腫瘍マー
カーCA 15-3 の減少(-4.35%[範囲:-28.4%~41.8%])がみられた。本治験期間中,
4 名(14.3%)において ECOG パフォーマンス・スコア(PS)のベースラインから
の最大の改善が認められ,6 名(21.4%)では ECOG パフォーマンス・スコア(PS)
の悪化がみられた。
薬物動態の結果:
アファチニブの薬物動態パラメータの幾何平均値(gMean)を下表に示す。50 mg
開始用量群についてはデータが特に少ないため要約しなかった。アファチニブの定
常状態における最高濃度(Cmax,ss)および定常状態における血漿中濃度-時間曲線下
面積(AUCtau,ss)は,利用可能な少ないデータに基づき,アファチニブの用量が低
下すると減少する傾向がみられ,Day 57 および Day 85 の投与前値についても同様
の傾向が観察された。いずれのパラメータにも用量比例性からの乖離は認められな
かった。Cmax,ss および AUCtau,ss の個体間変動は 40 mg 群では中程度であり,30 mg
群では高かった。アファチニブの薬物動態パラメータはアファチニブによる単剤療
法試験で観察された値の範囲内にあり,レトロゾール 2.5 mg との連日併用投与によ
りアファチニブの薬物動態が影響を受けないことが示唆された。
Afatinib
40 mg Afatinib
30 mg Afatinib
N
gMean
gCV[%]
N
gMean
gCV[%]
AUCtau,ss (ng·h/mL)
4
660
41.3
5
579
62.8
Cmax,ss (ng/ml)
4
43.8
42.0
5
33.9
79.4
Cpre,ss, 57 (ng/mL)
5
21.4
42.3
8
15.8
42.1
Cpre,ss, 85 (ng/mL)
4
16.9
55.7
5
17.3
46.5
tmax,ss (hours)
4
2.00
2.00-4.00
5
4.00
0.917-7.67
Page 671
試験 1200.5
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.13: 3
試験結果の概略(3/5)
薬物動態の結果:(続 レトロゾールの薬物動態パラメータの幾何平均値を下表に示す。アファチニブの用
き)
量に伴う曝露の増加または減少といった傾向は示されなかった。この結果,個々の
患者データを併合し,すべてのアファチニブ投与量群の患者をまとめて評価した。
個体間変動は高かった。観察されたレトロゾールの薬物動態パラメータは文献に報
告されている範囲にあることから,アファチニブ投与はレトロゾールの薬物動態パ
ラメータに対して問題となる影響を及ぼさないことが示唆された。本治験において
利用可能なレトロゾールの薬物動態データも極めて少なかった。
All Afatinib dose levels
Letrozole
安全性の結果:
N
gMean
gCV[%]
AUCtau,ss (ng·h/mL)
10
2420
76.2
Cmax,ss (ng/ml)
10
135
70.0
tmax,ss (hours)
10
1.00
0.917-23.8
治験薬を 1 回以上投与した 28 名すべてを安全性解析に含めた。8 名(28.6%)が 4
コースを完了したが,うち 3 名は 16 週目の評価時またはそれ以前に疾患進行が認
められた。この結果,5 名(17.9%)が 16 週目以降も投与を継続したが,うち 4 名
は主要評価項目の定義に基づき増悪していないと判断され,20%を超える CA 15-3
の増加がみられた患者 1 名は治験実施計画書の定義に基づき増悪していないとはみ
なされなかった。
治験薬投与期間中に最も高い発現率で報告された有害事象は,下痢(27 名,96.4%),
無力症(17 名,60.7%),発疹(16 名,57.1%),悪心(12 名,42.9%),粘膜の
炎症および鼻出血(各 11 名,39.3%)であった。最も高頻度に発現した治験薬との
因果関係が否定できない有害事象は,下痢(26 名,92.9%),無力症および発疹(各
16 名,57.1%),粘膜の炎症(11 名,39.3%)であった。治験薬投与期間中の最も
高頻度に発現した grade 3 の有害事象は,下痢,無力症および発疹(各 5 名,17.9%),
粘膜の炎症およびざ瘡(各 4 名,14.3%)であった。治験薬投与期間中の最も高頻
度に発現した grade 4 の有害事象は下痢,うつ病および気分変化(各 1 名,3.6%)
であったが,このうち治験薬との因果関係が否定できないと判断されたのは grade 4
の下痢のみであった。また,治験薬投与期間中の最も高頻度に発現した grade 5 の
有害事象は播種性血管内凝固,悪性新生物進行および新生物進行(各 1 名,3.6%)
であったが,治験薬との因果関係が否定できないと判断されたものはなかった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.13: 3
Page 672
試験 1200.5
試験結果の概略(4/5)
安全性の結果:(続き) アファチニブおよび他の EGFR チロシンキナーゼ阻害薬の投与に伴う有害事象とし
て下痢および皮膚毒性が高い発現率でみられるため,これらの有害事象については
より詳細な探索的解析の対象とした。この解析により,治験薬との因果関係が否定
できない下痢の初回発現は,通常,アファチニブ投与開始後 7 日以内にみられるこ
とが明らかにされた。大多数の患者が止瀉薬の投与を必要とし,各用量群の 10~
40%の患者が下痢の結果として治験薬投与を中止した。
発疹に関連する有害事象には種々の基本語が適用されることから,発疹を示唆する
有害事象が認められた患者を併合した。解析結果から,発疹は 80%を超える患者に
発現し,治験薬投与下で発現した発疹はすべて治験薬との因果関係が否定できない
と判断された。高い開始用量で投与を受けた患者ほど grade 3 の発疹が発現する確
率が高かった。治験楽との因果関係が否定できない発疹の初回発現は,アファチニ
ブ 50 mg 開始用量群および 40 mg 開始用量群の患者では通常,投与開始後 7 日以内
にみられたが,30 mg 開始用量群の患者における初回発現までの期間は通常,8~14
日であった。大多数の患者が発疹に対する治療を必要とした。アファチニブの開始
用量が高い患者ほど,発疹の結果として減量を必要とするか,または治験薬投与を
永続的に中止する確率が高かった。
14 名(50.0%)に治験の中止に至った治験薬投与期間中の有害事象が発現した。最
も高頻度に発現した治験薬投与期間中の投与中止を必要とした有害事象には,下痢
(8 名,28.6%),無力症(4 名,14.3%),粘膜の炎症および発疹(各 3 名,10.7%)
があった。
患者 3 名(10.7%)に死亡に至った治験薬投与期間中の有害事象が発現したが,治
験薬との因果関係が否定できないと判断されたものはなかった。患者 9 名(32.1%)
に重篤な治験薬投与期間中の有害事象が発現し,そのうち最も高い発現率でみられ
たのは嘔吐および脱水(各 2 名,7.1%)であった。胃腸の重篤な有害事象,脱水,
腎不全,粘膜の炎症,無力症,細菌性関節炎および肺炎球菌性敗血症は治験薬との
因果関係が否定できないと判断された。試験後期間に 2 名に発現した重篤な有害事
象として,全身健康状態低下を伴う有熱性骨髄無形成および呼吸困難を伴う乳癌が
認められた。いずれの有害事象も治験薬と因果関係なしと判断されたが,全身健康
状態低下および乳癌はいずれも死亡に至った。
その他の重要な治験薬投与期間中の有害事象が患者 12 名(42.9%)に発現し,それ
らはいずれも治験薬の投与中止または減量に至った。最も高い発現率で認められた
その他の重要な有害事象は,下痢(8 名,28.6%),無力症(4 名,14.3%)および
発疹(3 名,10.7%)であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.13: 3
Page 673
試験 1200.5
試験結果の概略(5/5)
安全性の結果:(続き) 臨床検査値の grade 3 または 4 の変化は,アファチニブ 50 mg 開始用量および/ま
たは 40 mg 開始用量群におけるカリウムとナトリウムの変化のみに認められた。臨
床検査値の評価では,一部の患者において臨床的に重要な臨床検査値の変化が示さ
れ,最も高い発現率でみられた変化はヘマトクリット値および赤血球数の減少(各
24 名中 4 名),血中尿素窒素増加およびカリウム減少(各 24 名中 3 名),および
ヘモグロビン減少(24 名中 2 名)であった。治験期間中,バイタルサインまたは左
室機能には臨床的に問題となる変化はみられなかった。
結論:
過去にレトロゾールによる単独療法の期間中に疾患進行が認められた ER 陽性の転
移性乳癌患者に対し,アファチニブとレトロゾールとを併用投与することにより,
疾患の安定を得ることができる可能性が示された。16 週目またはそれ以降までの投
与により,14.29%の患者が増悪せずに生存していた。アファチニブとレトロゾール
の間には,薬物間相互作用を示す兆候(文献データとの比較による)は認められな
かった。レトロゾールとの併用投与におけるアファチニブの薬物動態パラメータに
は用量比例性が示され,アファチニブ単剤投与中にみられた値と大きな違いはなか
った。レトロゾールと併用投与したアファチニブの安全性プロファイルは,アファ
チニブ単剤療法に関する第 I 相試験でみられたものと一貫していた。観察された毒
性は主として下痢および皮膚の有害事象であるが,アファチニブとレトロゾールの
併用投与中に認められた皮膚の有害事象は重症度が高い傾向があった。アファチニ
ブ 30 mg 1 日 1 回投与とレトロゾール 1 日 1 回投与との併用投与により皮膚の有害
事象の影響が最小限に抑えられ,患者は臨床的有用性が認められる限り治療を継続
することが可能になった。
Page 674
試験 1200.28
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.14
その他の臨床試験 1200.28
(資料番号 5.3.5.4-14)
試験方法
試験方法の概略を表 8.14: 1 に示す。
表 8.14: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
プラチナ製剤を含む治療に治療不応を示した転移性または再発性の頭頸部扁平上皮癌患者を
®
対象にアファチニブ(BIBW 2992)の有効性および安全性をセツキシマブ(アービタックス )
と比較して評価する。また,投与群ごとに腫瘍縮小効果における EGFR 遺伝子型の影響を明確
にする。
試験の種類
非盲検,ランダム化,クロスオーバー試験
対象
対象疾患
転移性または再発性頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を有する患者
組織診または細胞診により,頭頸部の扁平上皮癌,高分化型(角化型)上咽頭癌,または頭頸
部の部位不明の原発巣から頸部に転移した扁平上皮癌と確定診断された,ECOG パフォーマン
ス・スコア(PS)が 0 または 1 である 18 歳以上の患者を本治験に適格とする。
限局性または局所進行癌に対する根治的療法から 3 カ月以内に進行が認められた患者および
アファチニブの初回投与前 4 週間以内に他の抗癌剤または治験薬の投与を受けた患者は除外
する。再発性/転移性の癌に対して 2 種類を超える化学療法(異なる化学療法剤のレジメン)
を受けた患者は本治験への参加が認められない。再発性/転移性癌に対する EGFR または
ErbB2 阻害剤の前治療がある患者も除外する。
選択基準
1.
転移性(病期 IVc 期)または再発性の頭頸部扁平上皮癌を有する患者
2.
組織診または細胞診により頭頸部扁平上皮癌と確定診断された患者。高分化型(角化型)
上咽頭癌を有する患者および頭頸部の部位不明の原発巣から頸部に転移した扁平上皮癌
を有する患者を本治験に適格とする。
3.
術前補助化学療法,術後補助化学療法,放射線療法との併用または再発性/進行癌に対
する治療のいずれかとして,プラチナ製剤ベース療法を受けた後の疾患進行を示す記録
がある患者
4.
RECIST に基づく測定可能病変を有する患者
5.
前治療(化学療法,免疫療法または放射線療法)に関連する毒性から回復(grade 1 以下)
している患者
6.
過去の手術から回復している患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.14: 1
対象(続き)
Page 675
試験 1200.28
試験方法の概略(2/4)
7.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
8.
ECOG パフォーマンス・スコアが 0 または 1 の患者
9.
年齢が 18 歳以上の患者
10.
ICH-GCP ガイドラインに従い,文書による同意を行う意思および能力のある患者
除外基準
1.
限局性または局所進行癌に対する根治目的の治療完了後 3 カ月以内に疾患進行が認めら
れた患者
2.
再発性/転移性の癌に対する EGFR または ErbB2 阻害剤の前治療がある患者(放射線療
法または放射線化学療法施行中のセツキシマブ[アービタックス®]または他の EGFR 阻
害剤の使用は許容される)
3.
4.
再発性/転移性の癌に対して 2 種類を超える化学療法レジメンによる前治療がある患者
治験薬投与開始 4 週間以内に他の治験薬投与または他の抗がん治療(化学療法,免疫療
法,放射線療法など)を受けた患者および/または本治験における治療と併用して受け
る予定の患者
5.
他の悪性腫瘍(適切に治療された表在型皮膚基底細胞癌および根治手術を施行された子
宮頚部上皮内癌を除く)の既往歴があり,かつ無病期間が 3 年未満である患者
6.
非代償性心不全の既往歴がある患者
7.
MUGA スキャンまたは心エコーによる安静時左室駆出率が 50%未満または施設基準値下
限未満である患者
8.
活動性の感染症を有する患者
9.
治験薬の吸収が低下する可能性のある胃腸障害または慢性の下痢を有する患者
10.
治験責任医師が治験計画書に適合しないと判断した重篤な疾患,腫瘍以外の合併症また
は精神障害を有する患者
11.
治験責任医師が本治験への参加に適合しないと判断したアルコール依存症の患者または
薬物乱用患者
12.
治験実施計画書を遵守できない患者
13.
活動性または症候性の脳転移が認められる患者。治療を受けた脳転移の既往歴がある患
者では,スクリーニング時の脳 MRI スキャンで安定または正常で,かつ脳転移に対する
放射線照射後または手術後 3 カ月以上経過していなければならない。
14.
好中球絶対数が 1000/mm3 未満の患者
15.
血小板数が 75000/mm3 未満の患者
16.
総ビリルビンが 1.5 mg/dL を超える患者。ジルベール症候群(ジルベール病)が確認され
ている患者についてはより高いビリルビン値が許容される。これには治験責任医師およ
び治験依頼者の承認が必要である。
17.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェ
ラーゼ(ALT)が施設基準値上限(ULN)の 3 倍を超える患者
18.
血清クレアチニンが施設基準値上限(ULN)の 1.5 倍を超える患者
19.
性生活があり,医学的に適切な避妊法を使用する意思のない患者
20.
妊娠中または授乳中の患者
21.
基礎疾患として間質性肺疾患(ILD)が確認されている患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.14: 1
試験薬剤
Page 676
試験 1200.28
試験方法の概略(3/4)
アファチニブ錠(5 mg,20 mg,30 mg,50 mg,フィルムコート錠)
®
セツキシマブ(アービタックス )点滴静注用注射液(2 mg/mL,5 mg/mL)
目標症例数
目標症例数
80 名(各投与群 40 名)
実施症例数
スクリーニング登録症例数:146 名
登録症例数:124 名
アファチニブ群(Stage 1):ランダム化割付け症例数 62 名,投与症例数 61 名
アファチニブ群(Stage 2):セツキシマブへのクロスオーバー症例 32 名
セツキシマブ群(Stage 1):ランダム化割付け症例数 62 名,投与症例数 60 名
セツキシマブ群(Stage 2):アファチニブへのクロスオーバー症例数 36 名
投与方法
投与方法:
投与期間
アファチニブ:50 mg 1 日 1 回連日経口投与または胃経管栄養チューブから投与
セツキシマブ:負荷用量 400 mg/m2 で 1 回 120 分の点滴静脈内投与後,250 mg/m2 週 1 回,60
分の点滴静脈内投与
投与期間:
RECIST 第 1.0 版に基づき臨床的および/または放射線画像診断により疾患進行が認められる
まで継続投与。本治験の Stage 1 でセツキシマブ投与中に進行が認められた患者には本治験の
Stage 2 でアファチニブを投与する。本治験の Stage 1 でアファチニブ投与中に進行が認められ
た患者には本治験の Stage 2 でセツキシマブを投与する。
本治験の Stage 1 でアファチニブまたはセツキシマブのいずれかに不耐容な患者は,治験責任
医師の判断に基づきもう一方の投与群においてクロスオーバーした投与を受けることができ
る。減量基準に合致した患者および Stage 2 を開始した患者は,RECIST に基づき臨床的およ
び/または画像診断により疾患進行または治験薬投与との因果関係が否定できない毒性が認
められるまで投与を受ける。
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性の評価項目:
評価基準
主要評価項目:
本治験のクロスオーバー前(Stage 1)における腫瘍縮小量(RECIST に基づくベースラインと
比較した標的病変の最長径(合計)の最大縮小量)。
ベースラインは投与開始前に測定した標的病変の最長径(合計)と定義する。
副次評価項目:
1. クロスオーバー後の腫瘍縮小量(Stage 2)
2. RECIST に基づく最良効果
3. 無増悪生存期間(PFS)
4. 全生存期間(OS)
5. QOL
6. 薬物動態解析
7. バイオマーカー解析
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.14: 1
評価項目
Page 677
試験 1200.28
試験方法の概略(4/4)
安全性の評価項目:
1. 以下の有害事象の発現率および重症度
評価基準(続き)
a. 下痢および発疹
b. 減量または治験薬の投与中止に至った有害事象
c. CTCAE 第 3.0 版に基づくその他の有害事象
d. 左室機能低下
2. すべての臨床検査値のベースラインからの変化量
解析方法
本探索的試験におけるアファチニブの効果の推定は,正式な仮説検定によるのではなく,観察
された腫瘍縮小効果の差の大きさおよび時間的推移,ならびにすべての評価項目および予後予
測因子に基づいて行う。症例数が比較的少ないため,標準的な水準で統計的有意が得られるこ
とは期待されない。
アファチニブとセツキシマブとの腫瘍縮小効果の比較には以下を用いる。
•
ベースラインでの標的病変の最長径(合計)を共変量とする共分散分析(ANCOVA)
•
奏効(確定および確定を必要としない完全奏効または部分奏効)および病勢コントロール
(確定および確定を必要としない完全奏効,部分奏効または安定)に対する Cochran Mantel
Haenszel 法による検定
•
再発性/転移性別で化学療法の前治療の有無別の無増悪生存期間,全生存期間および
(QOL データの)悪化がみられるまでの期間(time to deterioration)に対する Kaplan-Meier
曲線および Cox 回帰分析
•
QOL スコア,有害事象データ,およびすべての臨床検査値のベースラインからの変化に対
する記述的解析
治験調整医師
治験実施施設
国際多施設共同試験(ベルギー3 施設,フランス 8 施設,スペイン 7 施設,米国 25 施設)
治験実施期間
20
年
月~20
年
月
Page 678
試験 1200.28
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
スケジュール
表 8.14: 2
検査・観察スケジュール(Stage 1:セツキシマブまたはアファチニブ)
スクリー
ニング
Study Period
治験薬投与期
Stage (S)
EOT
FU
EOTV
FUV
Stage 1 = S1(クロスオーバー前)
コース* (C)
C1
Visits (V)
Day
スクリー
ニング
V1
-28~-1
Day 1
同意取得 1
X
患者背景
X
既往歴・合併症
X
IHC,PCR 用の検体採取 12
X
選択基準/除外基準
X
2
C2
C3 以降
V2
V1
V1
Day 15
Day 1
Day 1
X
X
X
X
X
バイタルサイン 3
X
X
X
X
X
X
X
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)
X
X
X
X
X
X
X
X
身体所見
QOL 評価
13
X
12 誘導心電図 4
心エコーまたは MUGA スキャン
臨床検査
5
6
X
X
X
X
X
X
X
X
5
X
X
X
X
X
X
X
X9
X9
X
X
血清妊娠検査 7
X
X 線検査による腫瘍評価
X
薬物動態用の採血 11
X
X
X8
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
併用薬・併用療法
X
X
X
X
服薬状況確認
治験薬(アファチニブ)の処方
投与
アファチニブ(自己投
与による 1 日 1 回経口
投与)
セツキシマブ週 1 回静
脈内投与
第 3 コースの
Day 1 のみ
第 3 コースの
Day 1 のみ
X
EGFR,ECD および血清/白血球検
体採取のための採血
有害事象
X
X
X10
1 日 1 回連日投与 X14
X14
(負荷用量)
週 1 回反復投与
治験終了フォーム
X
患者の治験参加終了
X
EOT (V):治験薬投与終了時:最終来院時に検査を実施。
FU (V):追跡調査(来院)。
*)Day 28 は各コースの最終日を示し,予定された来院はない。
1) 文書同意は何らかのスクリーニング検査を実施する前に取得しなければならなかった。
2) 心肺機能,腹部およびリンパ節の評価を含み,該当する場合は追加の症状の評価を含む。
3) 体重,呼吸数,脈拍数,血圧および身長(スクリーニング時のみ)を含んだ。
4) 12 誘導心電図は奇数コースのみ。デジタル心電図はデジタル心電計または従来の心電図をデジタル変換して
記録し,従来の心電図波形を解析した。心電図検査は治験責任医師向け心電図ガイド(ECG Investigator Guide)
に従って実施。詳細な情報は治験責任医師施設ファイル(ISF)に示した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 679
試験 1200.28
5) 左室駆出率(心エコー/MUGA スキャン)はすべての患者でスクリーニング時に評価。その後,左室駆出率
(心エコー/MUGA スキャン)はアファチニブ投与患者のみ,第 3 コース以降の 12 週ごと(第 6,9,12 コ
ース…)に,Day 22~Day 28 の間に評価。治験期間中を通じて同じ検査方法を使用しなければならない。治
験終了時にアファチニブの投与を受けていた患者のみ EOT において左室駆出率(心エコー/MUGA スキャ
ン)を評価。
6) CBC,血清生化学検査,および試験紙法による尿検査を含んだ。臨床検査は,投与開始前 7 日以内に実施し
ていなければ,C1V1 において実施しなければならなかった。
7) アファチニブの初回投与前および EOT までの月 1 回,妊娠可能な女性に対して実施。セツキシマブ投与中
には妊娠検査は必要とされなかった。最初にセツキシマブに割付けられた患者は,クロスオーバー時のアフ
ァチニブ投与開始前に妊娠検査を実施しなければならなかった。血清妊娠検査または尿妊娠検査のいずれで
も良かった。
8) ベースラインでの腫瘍評価には,頚部基部,胸部,副腎を含む腹部の CT スキャンまたは MRI スキャンを含
めること。治験期間中を通じて画像検査に関するガイドラインに従わなければならなかった。また,治験期
間中を通じて同じ放射線画像診断を使用しなければならなかった。Stage 1 における評価は 8 週目に完了し,
その後 8 週ごとに実施。Stage 1 の間に進行が認められ,治験実施計画書の Stage 2 に進んだ患者の場合,最
後の評価が Stage 2 の投与開始前 28 日以内に完了していれば,その結果を Stage 2 のベースラインとして用
いることができた。
9) 進行の有無を診断または確定することが必要とされる場合のみ実施。
10) EOT 時点で回復していなかった有害事象,新たに報告された治験薬との因果関係が否定できない有害事象,
または死亡について評価。
11) 薬物動態用の採血はアファチニブ投与中のみ,第 3 コースの Day 1 まで実施。
12) 文書同意の署名後,可能であればパラフィン切片を作製すること。詳細は治験責任医師施設ファイル(ISF)
の検査マニュアルに示した。
13) EORTC QLQ-C30 および EORTC H&N35。
14) Stage 1 におけるアファチニブまたはセツキシマブの投与は,音声自動応答システム(IVRS)によるランダ
ム化後 3 就業日以内に開始しなければならなかった。
引用元:CTD 5.3.5.4-14(U -3254),Table 9.5: 1
Page 680
試験 1200.28
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.14: 3
検査・観察スケジュール(Stage 2:セツキシマブまたはアファチニブ)
Study Period
治験薬投与期
Stage (S)
FU
EOTV
FUV
Stage 2 = S2(クロスオーバー後)
コース* (C)
C1
Visits (V)
Day
身体所見 2
C2
C3 以降
V1
V2
V1
V1
Day 1
Day 15
Day 1
Day 1
X
X
X
X
X
X
X
3
X
X
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)
X
X
QOL 評価 12
X
バイタルサイン
心エコーまたは MUGA スキャン
臨床検査 6
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
5
X
X
X
X
X
X
X
X
8
X
X9
X9
X
X
5
X
X
血清妊娠検査
7
X
放射線手技による腫瘍評価
X
薬物動態用の採血 11
X
X
X
第 3 コースの
Day 1 のみ
併用薬・併用療法
X
X
X
X
服薬状況確認
X
13
X
有害事象
治験薬(アファチニブ)の処方
X
X
12 誘導心電図 4
投与
EOT
X
アファチニブ(自己投与
による 1 日 1 回経口投与)
セツキシマブ週 1 回静脈
X
内投与
(負荷用量)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X10
1 日 1 回連日投与
週 1 回反復投与
治験終了フォーム
X
患者の治験参加終了
X
EOT (V):治験薬投与終了時:最終来院時に検査を実施。
FU (V):追跡調査(来院)。
*)Day 28 は各コースの最終日を示し,予定された来院はなかった。
2) 心肺機能,腹部およびリンパ節の評価を含み,該当する場合は追加の症状の評価を含んだ。
3) 体重,呼吸数,脈拍数,血圧および身長(スクリーニング時のみ)を含んだ。
4) 12 誘導心電図は奇数コースのみ。デジタル心電図はデジタル心電計または従来の心電図をデジタル変換して
記録し,従来の心電図波形を解析した。心電図検査は治験責任医師向け心電図検査ガイド(ECG Investigator
Guide)に従って実施。詳細な情報は治験責任医師施設ファイル(ISF)に示した。
5) Stage 2 における左室駆出率は,Stage 2 においてアファチニブの投与を受ける患者に対してセツキシマブ休
薬期間中の投与開始前およびフローチャートに従って規定した時点(すなわち,第 3 コース以降の 12 週ごと
[第 6,9,12 コース…]に,Day 22~Day 28 の間),ならびに EOT 時に評価。本治験期間中を通じて同じ検
査方法を用いることとした。
6) CBC,血清生化学検査,および試験紙法による尿検査を含んだ。
7) アファチニブの初回投与前および EOT までの月 1 回,妊娠可能な女性に対して実施。セツキシマブ投与中
には妊娠検査は必要とされなかった。最初にセツキシマブに割付けられた患者は,クロスオーバー時のアフ
ァチニブ投与開始前に妊娠検査を実施しなければならなかった。血清妊娠検査または尿妊娠検査のいずれで
も良かった。
8) ベースラインでの腫瘍評価には,頚部基部,胸部,副腎を含む腹部の CT スキャンまたは MRI スキャンを含
めること。治験期間中を通じて画像検査に関するガイドラインに従わなければならなかった。また,治験期
間中を通じて同じ放射線画像診断を使用しなければならなかった。疾患進行または毒性のため Stage 2 に進
んだ患者の場合,S2C1D1 の画像検査が Stage 2 の投与開始前 28 日以内に完了していれば,再度行う必要は
なかった。Stage 2 における腫瘍評価は S2C1D1 および S2C2D1 に実施し,その後は 2 コースごと(S2C4D1,
S2C6D1,S2C8D1…)に実施。
9) 進行に関する診断/確定が必要とされる場合のみ実施。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 681
試験 1200.28
10) EOT 時点で回復していなかった有害事象,新たに報告された治験薬との因果関係が否定できない有害事象,
または死亡について評価。
11) 薬物動態用の採血はアファチニブ投与中のみ,第 3 コースの Day 1 まで実施。
12) EORTC QLQ-C30 および EORTC H&N35
13) 服薬状況確認は,Stage 1 のアファチニブから Stage 2 のセツキシマブ投与にクロスオーバーする患者のみ行
った。
引用元:CTD 5.3.5.4-14(U -3254),Table 9.5: 2
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
Page 682
試験 1200.28
試験結果
試験結果の概略を表 8.14: 4 に示す。
表 8.14: 4
試験結果の概略(1/6)
有効性/臨床薬理試験
人口統計学的特性:
の結果:
ランダム化割付けされた患者は主に白人(86 名,69.4%),欧州人(74 名,59.7%),
男性(107 名,86.3%)であり,ベースラインの ECOG パフォーマンス・スコア
(PS)は 1(86 名,69.4%)であった。登録時の平均年齢は 58.3 歳で,患者の
73.4%が 65 歳未満であった。全体的に,疾患特性および前治療を含む人口統計
学的および他の基準値の特性は,アファチニブ群とセツキシマブ群の両投与群
でバランスが取れていた。しかし,セツキシマブ群と比較すると,アファチニ
ブ群では ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が「0」の患者が多く,
「1」の患
者が少なかった。また,アファチニブ群の方で元喫煙者が多く,喫煙者は少な
かった(非喫煙者数は各群で同様)。さらに,アファチニブ群の方で中咽頭癌が
多く,喉頭の原発部位のある患者は少なかった。初回診断時の病期は,アファ
チニブ群の方が病期 IVc 期の患者が多く,III 期の患者が少なかった。
有効性:
すべての評価項目において,アファチニブの有効性は,主治医の評価および独
立判定委員会の評価のいずれにおいても,セツキシマブと同程度であった。Stage
1 でアファチニブを投与した患者は,セツキシマブを投与した患者よりも腫瘍径
の減少が数値的に大きかったが,この差は統計学的に有意ではなかった。病勢
コントロールに至った患者の割合は,いずれの投与群においても約 50%であっ
た。主治医の評価により確定した奏効率は,アファチニブで 16.1%,セツキシマ
ブで 6.5%であった。独立判定委員会の評価により確定した奏効率は,アファチ
ニブで 8.1%,セツキシマブで 9.7%であり,セツキシマブの結果は,Vermorken
らが実施したセツキシマブの第 II 相単群試験について独立判定委員会の評価が
報告した 12%という奏効率に類似していた。すべての場合において,主治医の
評価評価と独立判定委員会の評価評価での数値の差は,評価した患者数が少な
いことによるものであった。薬剤が奏効した患者の腫瘍の特性に差異はなかっ
た。セツキシマブ群で,本治験への登録前に再発性/転移性の癌に対する化学
療法を受けていない患者は,無増悪生存期間が長い傾向にあった。これに対し,
アファチニブ群では,過去に化学療法を受けていた患者で無増悪生存期間が長
かった。奏効例のサブグループ解析は,本治験に登録された患者数が少なかっ
たため結論には至らなかった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.14: 4
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試験 1200.28
試験結果の概略(2/6)
有効性/臨床薬理試験
独立判定委員会の評価によるアファチニブ群とセツキシマブ群の無増悪生存期
の結果:(続き)
間の中央値は同程度であり(それぞれ 13 週間および 15 週間),ここでもセツキ
シマブの数値は Vermorken の試験で報告されたものと類似していた。
Stage 1 では,アファチニブ群で,過去に再発性/転移性の癌に対する化学療法
を受けており,ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が「0」で,喉頭に腫瘍の
原発部位があり,p16 および EGFRvIII が陰性で,欧州で投与を受けた患者で無
増悪生存期間の中央値が長かった。これに対し,セツキシマブ群では,過去に
化学療法を受けておらず,ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が「1」で,腫
瘍の原発部位が喉頭以外であり,米国で投与を受けた患者で PFS の中央値が長
かった。
Stage 2 では,クロスオーバーでアファチニブを投与していた患者の 52%がセツ
キシマブ投与を受け,セツキシマブを投与していた患者の 58%がアファチニブ
投与を受けた。
結果として,観察されたイベントの数は Stage 1 よりも少なく,本治験にはクロ
スオーバー後の投与群間の有意差を検出する検出力はなかった。この限界があ
るが,アファチニブとセツキシマブの有効性は,主治医の評価および独立判定
委員会の評価のいずれにおいても同程度であると考えられる。
病勢コントロールに至った患者は,Stage 2 でアファチニブを投与した患者の方
が,セツキシマブを投与した患者よりも,主治医の評価(38.9%対 18.8%)およ
び独立判定委員会の評価(33.3%対 18.8%)のいずれにておいても多かったが,
Stage 2 の独立判定委員会の評価による病勢コントロール期間の平均値は,投与
群間で同程度であった(アファチニブ 21.8 週間,セツキシマブ 21.5 週間)。
OS の中央値は,アファチニブ群よりもセツキシマブ群の方が長かったが[35.86
週間対 47.14 週間(9 カ月対 11.75 カ月)],この差は統計学的に有意ではなかっ
た。本クロスオーバー試験における OS のデータの解釈は,後治療(抗癌療法)
の影響を考慮して慎重に行わなければならない。発表された他の薬剤の結果と
比較したところ,OS の中央値は,ゲフィチニブ(6.0 カ月)および zalutumumab
(6.7 カ月)を投与した患者の方が短かった。
健康関連 QOL
Stage 1 では,事前に規定した健康関連 QOL の評価項目である全般的健康状態,
疼痛,嚥下の悪化に,投与群間における統計学的有意差は認められなかった。
悪化が報告された患者の割合は同程度であったが,アファチニブを投与した患
者よりもセツキシマブを投与した患者の方が,各評価項目が悪化するまでの期
間の中央値が長かった(それぞれ 2.83 カ月対 3.94 カ月,2.73 カ月対 4.63 カ月,
5.59 カ月対 6.60 カ月)。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.14: 4
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試験 1200.28
試験結果の概略(3/6)
有効性/臨床薬理試験
薬物動態
の結果:(続き)
50 mg 投与群のデータから,アファチニブの血漿中濃度は遅くとも Day 15 まで
に定常状態に達した。本治験の患者で認められたアファチニブの血漿中濃度は,
他の癌種の患者を対象とした試験(試験 1200.23,試験 1200.10,試験 1200.11,
試験 1200.22)で認められた血漿中濃度と同程度であり,このことからアファチ
ニブの曝露量は癌の種類には依存しないことが示唆される。アファチニブを錠
剤で経口投与した場合と胃経管栄養チューブから投与した場合で,アファチニ
ブの血漿中濃度に明らかな違いはなく,アファチニブのバイオアベイラビリテ
ィは同程度であり,投与経路には依存しないことが示唆される。アファチニブ
を懸濁液で経口投与した患者における曝露量については,アファチニブの錠剤
を懸濁液として投与した患者が 4 名しかいなかったため,結論を得ることがで
きなかった。
バイオマーカー
p16 の結果を有する患者 124 名中 65 名(52.4%)から,バイオマーカー分析用の
検体を採取した。p16 はヒトパピローマウイルス発現に関する代替マーカーであ
る。評価した患者の中に,EGFRvIII 変異陽性の患者は認められなかった。免疫
組織化学法(IHC)および Nanostring(または RT-PCR)から得られた結果は,
EGFRvIII の状態を確認するものとして認められているが,これらの結果からは,
文献で報告されている EGFRvIII の陽性率(約 42%)を裏付けることができなか
った。試験集団の約半分について,p16 の状態を IHC で評価した。両投与群の
約 26%が p16 陽性であり,Vermorken らが同様の患者集団を対象に実施した
SPECTRUM 試験(ESMO 2011)から得られた最近の所見と同様であった。
p16 陰性患者では合計 7 名(アファチニブ群 5 名およびセツキシマブ群 2 名)に
本 ErbB 標的薬が奏効したのに対し,p16 陽性患者でアファチニブによる客観的
奏効が認められたのは 1 名のみであった。SPECTRUM 試験におけるサブグルー
プ解析から,p16 陽性患者には ErbB 標的薬であるパニツムマブが奏効しないこ
とが示された。示唆は認められるものの,客観的奏効が確定した患者数が少な
かったため,アファチニブでは同様の結論を出すことができない。
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試験 1200.28
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.14: 4
安全性の結果:
試験結果の概略(4/6)
本治験における治験薬の曝露量は,アファチニブとセツキシマブで,同程度で
あった。治験実施計画書を遵守していると判断された患者は,Stage 1 のアファ
チニブ群の患者 61 名中 60 名(98.4%)および Stage 2 の患者合計 33 名(91.7%)
であった。
Stage 1 のランダム化割付け患者 124 名のうち,アファチニブ群の 61 名とセツキ
シマブ群の 60 名に治験薬を 1 回以上投与し,安全性解析の対象とした。総投与
期間の平均値は,アファチニブ群(3.6 カ月)の方がセツキシマブ群(4.0 カ月)
よりわずかに短かった。アファチニブ群で多く報告された 5 つの有害事象は,
下痢,発疹/ざ瘡+,疲労+,口内炎+,悪心であった。これらのうち,悪心を除
くすべての有害事象が EGFR 阻害の作用機序によるものであった(EGFRTKI と
関連する有害事象をグループ化しグループ用語として評価した。
「+」を付けて表
記した)。これに対し,Stage 1 においてセツキシマブ群で多く報告された 5 つの
有害事象は,発疹/ざ瘡+,疲労+,口内炎+,悪心,便秘であった。
クロスオーバー前に,アファチニブ群の 29.5%の患者が有害事象により用量を減
量した。アファチニブ群で最も多く報告された減量に至った有害事象は,下痢
および発疹(各 8.2%)であり,セツキシマブ群では,皮膚および皮下組織障害
(器官別大分類)で 3.3%の患者が用量を減量した。疾患進行以外で投与中止に
至った有害事象の割合は,アファチニブ群(26.2%)の方がセツキシマブ群(8.3%)
よりも高く,アファチニブ群の 9.8%の患者が下痢により投与を中止しており,
下痢は投与中止に至った有害事象で最も多く報告された唯一の有害事象であっ
た。データカットオフ時点(20
年
月
日)で,セツキシマブ群の患者 1 名
(患者 5001)がセツキシマブの投与を継続中であった(Stage 1)。
クロスオーバー後に,アファチニブ群の 36 名およびセツキシマブ群の 32 名を
対象に安全性解析を実施した。投与期間の平均は,アファチニブ群で 2.8 カ月,
セツキシマブ群で 1.8 カ月であった。データカットオフ時点で,アファチニブ
50 mg 群の患者 1 名(患者 6201)がアファチニブの投与を継続中であった。有
害事象の評価法として有害事象をグループ化して評価したが,クロスオーバー
後においても,グループ化した有害事象および EGFR 阻害に関連する有害事象
の発現率には同様の傾向が認められた。Stage 1 と同様に,Stage 2 のアファチニ
ブ群で多く報告された 3 つの有害事象は,下痢,発疹/ざ瘡+,口内炎+であった。
これらの有害事象は EGFR 阻害の作用機序によるものであり,セツキシマブ群
よりも発現率が高かった。アファチニブ群で 2 名以上の患者で減量に至った有
害事象は,下痢,ざ瘡様皮膚炎,皮膚毒性であり,セツキシマブ群では減量に
至った有害事象を発現した患者はいなかった。
治験開始前に,アファチニブなどの EGFR および/または HER2 阻害剤でまれ
に認められる事象に基づき,特に注目すべき有害事象を特定した。これらの特
に注目すべき有害事象として,以下の項目を観察した。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.14: 4
Page 686
試験 1200.28
試験結果の概略(5/6)
安全性の結果:(続き)
腎機能不全:
本治験の Stage 1 で,腎機能不全(可能性)が示唆される有害事象が発現した患
者は,アファチニブ群で 9 名(14.8%),セツキシマブ群で 0 名(0.0%)であっ
た。これら 9 名中 8 名の腎機能不全は,下痢および/または経口摂取不良に続
発したものであり,これらはそれぞれ,アファチニブの作用機序および頭頸部
癌患者集団であることに関連するものであると考えられる。大多数の患者は補
液投与により,回復が認められた。
肝障害(可能性):
本治験の Stage 1 で,肝障害(可能性)と考えられる有害事象が発現した患者は,
アファチニブ群で 2 名,セツキシマブ群で 1 名であった。アファチニブを投与
した患者で報告された有害事象は,治験薬との因果関係が否定できないと判断
された。注意すべき点は,これらのアファチニブ群の患者がベースライン時に
胆嚢炎と C 型肝炎感染の診断を受けていたことである。いずれの症例も Hy’s law
の基準には合致していなかった。
Stage 2 では,
アファチニブ群の患者 1 名に grade
1 のトランスアミナイティスが認められたが,治験薬との因果関係はないと判断
された。
間質性肺疾患様有害事象:
クロスオーバー前に,各投与群の患者 1 名に間質性肺疾患(可能性)または間
質性肺疾患様事象と考えられる有害事象が発現した。アファチニブ群で認めら
れたのは grade 3 の肺疾患であり,治験薬との因果関係が否定できないと判断さ
れた。セツキシマブ群では重篤な有害事象として急性呼吸窮迫症候群が認めら
れたが,セツキシマブとの因果関係はないと判断された。クロスオーバー後に
間質性肺疾患様有害事象の報告はなかった。
心疾患関連有害事象:
本治験の Stage 1 で,浮腫および末梢性浮腫以外で心不全を示唆する有害事象が
患者 3 名に発現した。アファチニブ群の患者 2 名およびセツキシマブ群の患者 1
名が心肺不全で死亡した。クロスオーバー後に,アファチニブ群の患者 1 名に
重篤ではない肺うっ血が発現し,治験薬との因果関係はないと判断された。
すべての患者において,LVEF のモニタリングで重要な変化は認められなかっ
た。
有害事象による投与中止:
本治験の Stage 1 で治験薬の投与を中止した患者は,アファチニブ群(23 名
[37.7%])の方がセツキシマブ群(10 名[16.7%])より多かった。Stage 2 でも
同様の傾向が認められ,治験薬の投与中止に至った有害事象は,アファチニブ
群で 8 名(22.2%),セツキシマブ群で 6 名(18.8%)であった。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.14: 4
結論:
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試験 1200.28
試験結果の概略(6/6)
アファチニブは,プラチナ製剤ベース療法に抵抗性の頭頸部扁平上皮癌患者に
おいて,セツキシマブと同等の抗腫瘍活性を示した初めての EGFR チロシンキ
ナーゼ阻害剤である。評価されたサブグループごと効果に差は認められなかっ
たが,これは,各サブグループの症例数が少なかったことによる可能性がある。
アファチニブの臨床的意義がクロスオーバー前後に示されたが,これらの結果
は健康関連 QOL の改善を伴わなかった。これは,有害事象(主に全身健康状態
低下)の CTCAE grade が高かったためと考えられる。評価した患者の中に
EGFRvIII 変異陽性の患者はおらず,これらの結果からは,文献で報告されてい
る EGFRvIII 陽性率(約 42%)を裏付けることができなかった。
試験 1200.28 におけるアファチニブの安全性データおよび副作用プロファイル
は,開始用量を 50 mg としたアファチニブの過去の試験結果と一致していた。
本治験の Stage 1 でアファチニブの投与を中止した患者の割合は 37.7%(23 名)
であり,最も高頻度に発現した有害事象は,下痢(6 名),嚥下障害(6 名),粘
膜の炎症(3 名)であった。これらの有害事象は,アファチニブの作用機序およ
び頭頸部扁平上皮癌患者集団であることに関連していると考えられる。患者が
治療効果を得られるまでアファチニブの投与を継続するために,これらの有害
事象の十分かつ積極的な管理を行うことが重要である。
クロスオーバー後の病勢コントロール率は,特にアファチニブで顕著であり,
主治医の評価および独立判定委員会の評価により臨床的に意味のある病勢コン
トロールの所見が報告されたことから,EGFR 標的モノクローナル抗体製剤投与
中の疾患進行は,アファチニブに対する抵抗性を必ずしも誘発せず,また,ア
ファチニブ投与中の疾患進行は,EGFR 標的モノクローナル抗体製剤に対する抵
抗性を必ずしも誘発しないことが示された。この患者集団における医学的ニー
ズが満たされていないことを鑑みると,この所見は重要である。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
8.15
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試験 1200.36
その他の臨床試験 1200.36(第 II 相試験)
(資料番号 5.3.3.2-10)
試験方法
試験方法の概略を表 8.15: 1 に示す。
表 8.15: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
再発性多形性神経膠芽細胞腫患者を対象としてアファチニブ(BIBW 2992)単独療法およびア
ファチニブ/テモゾロミド(TMZ)併用療法の TMZ 単独療法(3 治療群)に対する有効性お
よび安全性を評価する。アファチニブの腫瘍縮小効果の分子的な決定因子を評価する。
試験の種類
非盲検,ランダム化試験
対象
対象疾患
WHO grade IV の悪性神経膠腫患者
選択基準
1.
組織診により,化学放射線療法による前治療実施後に初回再発した WHO grade IV の悪性
神経膠腫と確定診断された患者。悪性度の低い神経膠腫の診断を受けていた患者は,組織
学的評価により WHO grade IV の悪性神経膠腫への悪性転化が確認され,前治療で TMZ
を含む化学放射線療法を受けていれば登録可能とする。
2.
初回投与(Day 1)前 14 日以内に実施した Gd MRI で,2 方向で測定可能な病変を有し,1
方向の径が 1 cm(10 mm)以上の患者
3.
登録時の年齢が 18 歳以上の患者
4.
一般状態(カルノフスキー尺度)が 70%以上の患者
5.
過去の手術および化学療法から回復している患者
6.
ICH-GCP ガイドラインおよび各国の要件に従い,文書による同意が得られた患者
7.
治験薬投与開始の少なくとも 14 日前には投薬中のステロイドの投与量が安定している,
または漸減している患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.15: 1
対象(続き)
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試験 1200.36
試験方法の概略(2/4)
除外基準
1.
照射部位外に新たな造影病変が出現した患者,4 週間以上間隔をあけて 2 回連続して実施
した MRI で進行が確認された患者,または生検で再発が確認された患者を除く,治験薬
投与開始前 12 週間未満に放射線療法を行った患者
2.
2 週間未満(定位生検の場合は 1 週間未満)に外科的切除術または大手術を受けた患者
3.
2 週間未満に化学療法(ニトロソウレア類の場合は 6 週間未満)による前治療を受けた患
者
4.
4 週間未満にベバシズマブによる前治療を受けた患者
5.
他の治験薬の投与を受けた患者,本治験薬の投与開始前 2 週間以内に他の臨床試験に参加
した患者または本治験中に本治験中に受ける予定のある患者
6.
TMZ の持続投与(28 日間コースの 5 日間を超える TMZ 投与と定義)により疾患進行また
は CTCAE 第 3.0 版に基づく grade 3 以上の毒性が認められる患者
7.
静脈内投与による抗生物質を必要とする活動性の感染症を有する患者
8.
ヒト免疫不全ウイルス感染,または慢性 B 型もしくは C 型肝炎が確認されている患者
9.
治験薬が低下する可能性のある胃腸障害または慢性の下痢を有する患者
10. 治験責任医師が治験実施計画書に適合しないと判断した重篤な疾患または腫瘍以外の合
併症を有する患者
11. 過去 3 年未満に他の原発性悪性疾患に罹患していた患者。ただし,現時点で臨床的に問題
でなく,または積極的な介入を必要としない原発性悪性疾患(基底細胞皮膚癌,子宮頚部
上皮内癌など)を除く。それ以外の悪性疾患が存在する場合は許容されない。
12. 安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満である左室機能の患者
13. 好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
14. 血小板数が 100000/mm3 未満の患者
15. ビリルビンが施設基準値上限の 1.5 倍を超える患者
16. アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が施設準値上限の 3 倍を超える患者
17. 血清クレアチニンが施設基準値上限の 1.5 倍を超える患者
18. 性生活があり,医学的に適切な避妊法を使用する意思のない患者
19. 妊娠中または授乳中の女性
20. 治験実施計画書を遵守できない患者
21. EGFR を標的とした療法の前治療がある患者
22. ベバシズマブの前治療がある患者
23. 2 回目以上の再発エピソードが認められる患者
24. 基礎疾患として間質性肺疾患が確認されている患者
25. 治験実施計画書に記載されている併用禁止療法による治療が必要な患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.15: 1
試験薬剤
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試験 1200.36
試験方法の概略(3/4)
アファチニブ錠 (20 mg,30 mg,40 mg,フィルムコート錠)
テモゾロミド(TMZ)(5 mg,20 mg,100 mg,140 mg,250 mg,ハードゼラチンカプセル)
目標症例数
目標症例数
120 名
実施症例数
スクリーニング登録症例数:131 名
登録症例数:119 名
-
アファチニブ単独療法:投与症例数 41 名,解析症例数(主要評価項目)41 名
-
アファチニブ/TMZ 併用療法:投与症例数 39 名,解析症例数(主要評価項目)39 名
-
TMZ 単独療法:投与症例数 39 名,解析症例数(主要評価項目)39 名
投与方法
アファチニブ単独療法群:アファチニブ 40 mg 1 日 1 回経口投与
投与期間
アファチニブ/TMZ 併用療法群:アファチニブ 40 mg 1 日 1 回経口投与と TMZ 75 mg/m2 1 日
1 回経口投与を併用投与する。TMZ は 21 日間投与後 7 日間休薬
TMZ 単独療法群:TMZ 75 mg/m2 1 日 1 回 21 日間経口投与,その後 7 日間休薬(28 日間を 1
コースとする)
投与期間:
疾患進行,許容できない有害事象または治験実施計画書の不遵守が認められるまで投与を継続
した。
観察項目
スケジュールの項を参照
観察時期
評価項目
有効性の評価項目:
評価基準
主要評価項目:
6 カ月無増悪生存率
副次評価項目:
改訂 Macdonald 基準(RANO)に基づく客観的腫瘍縮小効果,無増悪生存期間(PFS),アファ
チニブ単独療法およびアファチニブ/TMZ の併用療法の薬物動態パラメータ,アファチニブ
の腫瘍縮小効果の分子的な決定因子
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価した),臨床検査値,一般状態(カルノフスキー尺度),
心電図,左室機能
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試験 1200.36
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.15: 1
解析方法
試験方法の概略(4/4)
アファチニブの単独投与,または TMZ との併用投与の有効性を,6 カ月無増悪生存率を指標
として,z 検定を用いて TMZ 単独投与を対照として比較した。検定統計量は各投与群での 6
カ月無増悪生存率の Kaplan-Meier 推定量を用いて得た。また Greenwood の公式による標準誤
差を求めた。さらに,ログランク検定を用いて無増悪生存率を比較し,フィッシャーの正確検
定で奏効率を比較した。解析は探索的に行い,多重性の調整は実施しなかった。
治験調整医師
治験実施施設
国際多施設共同試験(米国およびカナダ,約 30 施設)
治験実施期間
20
年 月~進行中(20
年 月
日データカットオフ)
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試験 1200.36
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.15: 2
検査・観察スケジュール
スクリー
ニング
Study Period*
Visit
Day
-14~-1
第1コ
ース
第 2,3
コース
第 4 コー
ス以降
1
1
1
1
1±2
1±2
試験
終了時
EOT1
選択基準/除外基準
X
12
X
患者のランダム化
患者背景
X
既往歴・合併症
X
IHC および FISH 検査用の腫瘍検体
X
13
X
血清 β-HCG
X
X
X
心エコーまたは MUGA スキャン
X
X7
X
4
一般状態(カルノフスキー尺度)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
9
X
9
X
9
9
X
併用薬・併用療法
臨床検査
FU-B14
X
6
12 誘導デジタル心電図
脳 MRI
FU-A2
X3
同意取得
身体所見
追跡調査
8
薬物動態用の採血
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
5
X
服薬状況確認
X
X
X
X
有害事象
X
X
X
X
治験薬の処方
X
X
X
第 1 群: テモゾロミド(TMZ)単独
療法
第 2 群: アファチニブ単独療法
第 3 群: アファチニブ/TMZ 併用
療法
治験薬投与終了
X
10
X11
TMZ 75 mg/m2 1 日 1 回,21 日間
連日投与後に 7 日間休薬
アファチニブ
40 mg 1 日 1 回連日投与
アファチニブ 40 mg 1 日 1 回連日
投与と TMZ 75 mg/m2 1 日 1 回,
21 日間連日投与後に 7 日間休薬と
を併用
X
X
生存状況
患者の治験参加終了
X
*)1 コースは 28 日間と定義した。
1) EOT:治験終了時の来院,治験薬投与を永続的に中止した後 5 暦日以内に実施。治験薬投与を永続的に中止
する場合は,予定来院時に代えて EOT の検査を実施。治験薬投与を永続的に中止する日が予定来院と一致
する場合,当該予定来院時に実施する検査ではなく EOT の来院に規定された検査を実施することとした。
2) FU-A :追跡調査来院 A,最初の追跡調査来院,EOT の来院の 28(± 4)日後。
3) 文書同意は何らかの治験特有のスクリーニング評価を実施する前に得られていなければならなかった。
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試験 1200.36
4) 身長(スクリーニング時のみ)および体重の測定を含む。スクリーニング実施日の 3 暦日以内に身体検査結
果があり,患者は安定していると治験責任医師が判断すれば,第 1 コースの Day 1 の臨床検査は繰り返す必
要はなかった。
5) アファチニブを含むレジメン(アファチニブ単独療法またはアファチニブ + TMZ 併用療法)のみ。
6) 心電図検査は第 3,5,7 コースなどの Day 1 に実施。
7) 心エコーまたは MUGA スキャンは第 3 コースの Day 1 に,それ以降は 12 週ごと(第 6,9 コースなどの Day
1)に実施。
8) 全血球数算定,血清生化学検査,および尿検査を含む。スクリーニング実施日の 3 暦日以内に臨床検査値が
あり,患者は安定していると治験責任医師が判断すれば,第 1 コースの Day 1 の臨床検査は繰り返す必要は
なかった。
9) MRI は,ベースライン(スクリーニング期間),第 2,3,5,7,9 コースの Day1(C2D1,C3D1,C5D1,
C7D1,C9D1)などに実施。治験薬投与開始(第 1 コースの Day 1)の前 14 日以内に MRI を実施していれ
ば,ベースラインの結果として使用することができた。
10) 診断/進行または奏効を確定する必要のない限り任意実施。患者が進行または死亡以外の理由により治験を
中止した場合,10 日以内に脳 MRI を実施していない限り,脳 MRI を再度実施しなければならなかった。
11) 治療コース終了時に回復していない有害事象および新規に発現した治験薬との因果関係が否定できない有
害事象について評価。
12) 重要:治験薬投与は,ランダム化から 2 就業日以内に開始しなければならなかった(IVRS:音声自動応答シ
ステム)。
13) 妊娠の可能性のある女性のみ。
14) FU-B :追跡調査来院 B,生存状況を確認するための 2 回目以降の追跡調査来院であり,死亡または追跡不
能になるまで隔月に実施。患者が来院できない場合,FU-B は電話での問診により実施することができた。
引用元:CTD 5.3.3.2-10(U -2804),Table 9.5.8: 2
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試験 1200.36
試験結果
試験結果の概略を表 8.15: 3 に示す。
表 8.15: 3
試験結果の概略(1/4)
有効性/臨床薬理試験
ランダム化割付けされたすべての患者の平均年齢は 56.3 歳(範囲:22~81 歳)で
の結果:
あり,患者の約 75%が 50 歳超であった。過半数(61.3%)が男性であり,患者集団
の約 94%が白人であった。ベースライン時のカルノフスキー尺度は,患者の約半数
(全体で 46.2%)で 90 または 100 であり,28.6%の患者が 80,25.2%の患者が 70 で
あった。すべての患者が,スクリーニング時に grade IV の神経膠腫を有していた。
有効性
主要評価項目
独立評価委員会による 6 カ月無増悪生存率の評価結果は,アファチニブ 40 mg+テモ
ゾロミド 75 mg/m2(A40+TMZ75)併用投与群(10%)は TMZ 75 mg/m2(TMZ75)
投与群(23%)よりも低いが統計学的な有意差はみられないのに対し,アファチニ
ブ 40 mg (A40)投与群(3%)は TMZ75 群(23%)より有意に低いことが示され
た。治験責任医師の評価データでも,独立評価委員会の評価と同様の結果が示され
た。
独立評価委員会の評価では,進行または死亡例は,TMZ75 群で 82.1%(32/39 名),
A40 群で 95.1%(39/41 名),A40+TMZ75 群で 87.2%(34/39 名)であった。無増悪
生存期間の中央値は TMZ75 群,A40 群,A40+TMZ75 群でそれぞれ 1.87,0.99,1.53
カ月であった。TMZ75 群に対するハザード比は A40 群で 1.78(統計学的に有意),
A40+TMZ75 群で 1.39(有意差なし)であった。
サブグループ解析では,投与群間の無増悪生存期間に明らかな差が認められたの
は,EGFRvIII 陽性のみであった。EGFRvIII 陽性度が高い(2+/3+)ことが TMZ75
単独投与と同様にアファチニブ投与患者の無増悪生存期間に寄与すると考えられ,
TMZ75 群に対するハザード比は A40 群で 1.19,A40+TMZ75 群で 0.90 であった(独
立評価委員会の評価)。EGFRvIII 陰性は,無増悪生存期間に悪影響を及ぼすと考え
られる。FISH EGFR 増幅グループおよび IHC PTEN 欠損グループで,TMZ75 群を
上回る A40+TMZ75 群のベネフィットが認められた。FISH EGFR 増幅グループの無
増悪生存期間の中央値は A40+TMZ75 群で 2.73 カ月,TMZ75 群で 1.02 カ月であっ
た。IHC PTEN 欠損グループの無増悪生存期間の中央値は A40+TMZ75 群で 2.73 カ
月,TMZ75 群で 1.87 カ月であった。
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表 8.15: 3
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試験 1200.36
試験結果の概略(2/4)
有効性/臨床薬理試験
副次評価項目
の結果:(続き)
独立判定委員会の評価の解析では,TMZ75 群の病勢コントロール率は A40 群より
も統計学的に有意に高かったが,TMZ75 群と A40+TMZ75 群の間には有意差は認め
られなかった。A40+TMZ75 群の 1 名(2.6%)が完全奏効を達成したが,他の 2 群
では完全奏効例は認められなかった。部分奏効例は TMZ75 群,A40 群,A40+TMZ75
群でそれぞれ 4 名(10.3%),1 名(2.6%),2 名(5.1%)であった。安定が認められ
たのは TMZ75 群で 21 名(53.8%),A40 群で 14 名(34.1%),A40+TMZ75 群で 14
名(35.9%)であった。最良総合効果が進行であったのは,TMZ75 群,A40 群,
A40+TMZ75 群でそれぞれ 13 名(33.3%),23 名(56.1%),17 名(43.6%)であった。
概して治験責任医師の評価でも同様の結果が示された。治験責任医師の評価では,
独立判定委員会の評価よりも A40 群および A40+TMZ75 群の病勢コントロール率が
高かった。治験責任医師の評価の解析では,病勢コントロール率に関して投与群間
の統計学的な有意差は示されなかった。
全生存期間の中央値は,TMZ75 群,A40 群,A40+TMZ75 群でそれぞれ 10.6,9.8,
8.0 カ月であった。ログランク検定およびハザード比による全生存期間の差は統計
学的に有意ではなかった。
薬物動態
第 2 コースの Visit 1 および第 3 コースの Visit 1 でのアファチニブの血漿中トラフ濃
度の幾何平均値は,A40 群ではそれぞれ 19.8 ng/mL および 19.6 ng/mL,A40+TMZ75
群では 29.7 ng/mL および 20.2 ng/mL であった。全体的に血漿中濃度の変動は中程度
から高度であり,幾何変動係数の範囲は 29.1%~79.1%であった。本試験の投与方法
では,アファチニブと TMZ の間に薬物相互作用は認められなかった。
安全性の結果:
治験薬の平均投与期間は,TMZ75 群が最長であり(105.9 日間),次いで,A40+TMZ75
群(98.5 日間)で,最短は A40 群(68.6 日間)であった。
投与群別の全般的な有害事象の発現率は TMZ75 群(94.9%),A40 群(100.0%),
A40+TMZ75 群(97.4%)で同様であった。事前に定義した有害事象分類別でみると,
A40 群では下痢(70.7%)および発疹/ざ瘡(70.7%)が多く,TMZ75 群では疲労
(30.8%),頭痛(25.6%),嘔吐(20.5%)が多くみられた。また,A40+TMZ75 群で
多くみられた有害事象は下痢(82.1%),発疹/ざ瘡(69.2%),疲労(43.6%),悪心
(33.3%)であった。これらのことから,併用投与により,疲労および悪心などの
毒性が相加的に加わる可能性が示唆された。
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表 8.15: 3
Page 696
試験 1200.36
試験結果の概略(3/4)
安全性の結果:(続き)
治験薬との因果関係が否定できない有害事象の発現率は,A40 群および A40+TMZ75
群(それぞれ 85.4%および 92.3%)が TMZ75 群(56.4%)よりも高かった。投与群
ごとの最も多く認められた治験薬との因果関係が否定できない有害事象は,A40 群
では下痢(63.4%),発疹/ざ瘡(65.9%),疲労(14.6%)
,口内炎(19.5%),TMZ75
群では疲労(17.9%),悪心(10.3%),嘔吐(12.8%),頭痛(10.3%),リンパ球減少
症(10.3%)であった。A40+TMZ75 群のプロファイルは 2 つの単独投与群の毒性プ
ロファイルを反映しており,報告が多かったのは下痢(79.5%),発疹/ざ瘡(64.1%),
疲労(30.8%)
,悪心(28.2%)であった。
CTCAE grade 3 以上の有害事象は,A40+TMZ75 群の約 67%で認められたのに対し,
TMZ75 群では 51.3%,A40 群では 43.9%であった。全 3 群で報告された有害事象の
大半は grade 2 または grade 3 であった。Grade 3 以上の治験薬との因果関係が否定で
きない有害事象の発現率は,単独投与群間では同程度(TMZ75 群 20.0%,A40 群
22.0%)で,A40+TMZ75 群で最も高かった(35.9%)。
Grade 3 以上の発疹/ざ瘡および下痢の発現率は,A40 群および A40+TMZ75 群で
5%超,リンパ球減少症は TMZ 単独投与群で 10%超であった。
重篤な有害事象は TMZ75 群,A40 群,A40+TMZ75 群でそれぞれ 6 名(15.4%),10
名(24.4%),13 名(33.3%)の計 29 名で発現した。重篤な有害事象は全般的に基礎
疾患である神経膠腫の経過を反映していた。最も多く認められた有害事象(基本語)
は痙攣(計 6 名)で,次いで,悪性新生物(計 5 名)であった。A40+TMZ75 群で
は治験薬との因果関係が否定できない重篤な有害事象は 2 名(5.1%)で,報告され
た有害事象は,下痢(5.1%),嘔吐(5.1%),急性腎前性腎不全(2.4%),脳出血(2.4%),
脱水(2.4%)だった。A40 群では治験薬との因果関係が否定できない重篤な有害事
象は 1 名(2.4%)で報告された(発疹/ざ瘡)。TMZ75 群では治験薬との因果関係
が否定できない重篤な有害事象は報告されなかった。
死亡例は計 5 名で,TMZ75 群で 2 名(5.1%),A40 群で 1 名(2.4%),A40+TMZ75
群で 2 名(5.1%)であった。死亡例はいずれも治験薬との因果関係はないと判断さ
れ,5 件中 4 件は疾患進行が死因とされた。
全体で計 31 名が投与期間中に投与中止に至った有害事象を発現し,発現率が最も
高かったのは A40+TMZ75 群(35.9%),次いで TMZ75 群(23.1%)および A40 群
(19.5%)であった。投与中止に至った治験薬との因果関係が否定できない有害事
象は,TMZ75 群,A40 群,A40+TMZ75 群でそれぞれ 10.3%,4.9%,28.2%で認め
られた。TMZ75 群の患者は,血小板減少症(5.1%)およびリンパ球減少症(5.1%)
などの治験薬との因果関係が否定できない血液学的事象により投与を中止した。
A40 群の患者は,治験薬との因果関係が否定できない発疹/ざ瘡(2.4%)および下
痢(2.4%)により投与を中止した。
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表 8.15: 3
Page 697
試験 1200.36
試験結果の概略(4/4)
安全性の結果:(続き)
A40+TMZ75 群で認められた,投与中止に至った治験薬との因果関係が否定できな
い事象は,2 つの単独投与群で認められた有害事象と一致していた(下痢[10.3%],
発疹/ざ瘡[5.1%],血小板減少症[5.1%],さらに脳出血,味覚異常,疲労,過敏
症,悪心,浮腫,蕁麻疹および嘔吐を発現した 1 名[2.6%])。
治験薬の減量に至った有害事象の発現率も,A40+TMZ75 群(17.9%)が TMZ75 群
(5.1%)および A40 群(9.8%)よりも多かった。投与中止に至った治験薬との因果
関係が否定できない有害事象と同様に,減量に至った治験薬との因果関係が否定で
きない有害事象は,TMZ75 群では疲労(2.6%)であった。
アファチニブ,テモゾロミドおよびそれらの併用による,LVEF,体重,QTcF 間隔
に関連する有害な作用を示唆する変動は認められなかった。全 3 群の患者の大半で,
治験期間中のカルノフスキー尺度は低下または変化なしであった。
要約すると,有害事象の発現率が最も高かったのは A40 群(100%)であった。治
験薬との因果関係が否定できない有害事象,減量に至った有害事象,投与中止に至
った有害事象の発現率が最も高かったのは A40+TMZ75 群であった。A40+TMZ75
群で報告された有害事象は,各薬剤の安全性プロファイルおよび基礎疾患の経過を
反映していた。疲労は併用によって相加的に発現したと考えられた。
結論:
任意抽出の再発性神経膠腫患者に対して,アファチニブの単独投与では効果が限ら
れている。TMZ をアファチニブと併用しても,任意抽出の再発性神経膠腫患者での
6 カ月無増悪生存率は改善しなかった。EGFRvIII の免疫活性レベルの高い再発性神
経膠腫患者の方が治験薬の奏効率は高く,PFS は長かった。FISH EGFR 増幅および
IHC PTEN 欠損を有するサブグループの患者数は少なかったが,これらの患者では
奏効率および PFS の点でアファチニブ + TMZ の併用によるベネフィットを得られ
る可能性が示された。バイオマーカーで選別した患者での活性の可能性については
さらなる評価が必要である。
薬物動態解析から,今回の投与スケジュールではアファチニブと TMZ の間に臨床
的に問題となる相互作用は認められなかった。
アファチニブの安全性プロファイルは,EGFR チロシンキナーゼ阻害薬として予想
されるものであり,過去の試験で報告された安全性プロファイルと一致していた。
アファチニブ単独またはアファチニブ + TMZ のレジメンで,頻繁にみられた有害
事象は下痢および皮膚障害であった。これらの有害事象は減量または投与中断する
ことで効果的に管理できた。本試験の結果は過去の TMZ の安全性経験を裏付ける
ものであった。
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8.16
Page 698
試験 1200.74
その他の臨床試験 1200.74
(資料番号
5.3.5.4-15)
試験方法
試験方法の概略を表 8.16: 1 に示す。
表 8.16: 1
目的
試験方法の概略(1/4)
本治験対象集団における奏効率,KRAS 野生型腫瘍の部分集団における奏効率,および KRAS
突然変異を有する部分集団における病勢コントロール率,無増悪生存期間,全生存期間および
アファチニブ(BIBW 2992)の安全性を評価し,バイオマーカーの探索的解析を実施する。
試験の種類
KRAS 突然変異を有する腫瘍患者群では,非盲検,非ランダム化試験。KRAS 野生型腫瘍患者
群では,非盲検,ランダム化,第 II 相試験
対象
対象疾患
オキサリプラチンを基本とするレジメンおよびイリノテカンを基本とするレジメンのいずれ
も無効となった,あらかじめ選択した KRAS 野生型および KRAS 突然変異を有する転移性結
腸直腸癌患者
抗 EGFR 治療歴のない患者
選択基準
1.
組織診または細胞診により結腸直腸腺癌であると確定診断された患者
2.
根治的な治療が適用できない転移性癌患者
3.
KRAS 変異検査におよび他のバイオマーカー解析に用いる腫瘍検体が得られる患者。別
の試験または日常診療の一環として KRAS 変異検査に関する腫瘍検査を過去に受けた患
者は,その検査を実施した検査機関が適切な資格証明を有する場合には再検査の必要は
ない。患者の治験登録に対する適格性の判定のため,この検査結果の写しが入手可能で
なければならない。また,治験実施計画書に規定した他のバイオマーカー解析のため,
十分な腫瘍検体が残っていなければならない。
4.
同意取得前 12 週間以内に先に実施した前治療を完了していなければならない。患者は先
に実施した前治療の治療中または後に疾患進行していなければならない(選択基準 5 で
示す末梢性ニューロパチーを有する患者を除く)。
5.
術後補助化学療法または緩和療法のいずれかで投与したオキサリプラチンベースレジメ
ンおよびイリノテカンベースレジメンがいずれも無効となった患者。前治療のオキサプ
ラチンに起因する末梢性ニューロパチーが持続して,オキサプラチンの治療をさらに継
続することが適切ではないと判断された患者では,オキサリプラチンベースレジメンで
進行が認められていなくとも本治験に適格とする。
6.
RECIST 第 1.1 版に基づく測定可能病変を 1 病変以上有する患者
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.16: 1
対象(続き)
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試験 1200.74
試験方法の概略(2/4)
7.
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)が 0 または 1 の患者
8.
年齢が 18 歳以上の患者
9.
少なくとも 3 カ月間の生存が見込まれる患者
10.
前治療ラインの抗がん治療による毒性から完全に回復している患者。ただし,末梢性ニ
ューロパチーは,grade 2 以下に改善していれば適格とする。
11.
ICH-GCP ガイドラインおよび各国の要件に従い,治験登録前に文書による同意が得られ
た者
除外基準
1.
EGFR を標的とする低分子化合物または抗体による前治療のある患者
2.
治験薬投与開始前 4 週間以内に放射線療法,手術または何らかの重要な処置(生検を除
く)を施行した患者。緩和的放射線療法(短期治療コース,非標的病変に対する照射)
は許容される。実験的な抗がん治療,化学療法,免疫療法,ホルモン療法(酢酸メゲス
トロールを除く)は治験投与開始 4 週間以上前に終了していなければならない。
3.
本治験期間中,生物学的製剤(ベバシズマブまたは他の血管新生阻害剤を含む)投与は
許容されない。これらの薬剤による前治療は許容されるが,治験薬投与開始 4 週間以上
前に終了していなければならない。
4.
本治験期間中に大手術を予定している患者
5.
未治療または症候性の脳転移のある患者。治療されたかまたは無症候性の脳転移の患者
は,脳疾患の状態に 4 週間以上変化がみられないか,治験薬投与開始前 4 週間以内に脳
浮腫または脳出血が認められない場合には適格となる。抗てんかん療法は,治験薬投与
開前始 4 週間以内に抗てんかん薬の用量が変更されていない場合は許容される。
6.
他の悪性腫瘍が認められるかまたは過去 5 年以内に他の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌およ
び子宮頚部上皮内癌を除く)と診断された患者または再発した患者
7.
基礎疾患として間質性肺疾患が確認されている患者
8.
クローン病,吸収不良,原因を問わず grade 2 以上の下痢など,主症状として下痢を伴う
重大な胃腸管障害が認められるか,または急性胃腸管障害が最近認められた患者
9.
コントロール不良の高血圧,NYHA 分類 3 のうっ血性心不全,不安定狭心症またはコン
トロール不十分の不整脈など,臨床的に重要な心血管系異常の既往歴があるか,または
そのような異常が認められる患者。治験薬投与開始前 6 カ月以内に心筋梗塞を発症した
患者
10.
安静時左室駆出率(LVEF)が 50%未満の左心室機能の患者
11.
その他の重篤な疾患または臓器系機能障害を有する患者で,治験責任医師が患者の安全
性に悪影響を及ぼす,または被験薬の安全性の評価を妨げると判断した患者
12.
好中球絶対数が 1500/mm3 未満の患者
13.
血小板数が 100000/mm3 未満の患者
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表 8.16: 1
対象(続き)
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試験 1200.74
試験方法の概略(3/4)
14.
クレアチニンクリアランスが 60 mL / min 未満(Cr51-EDTA または Cockcroft-Gault 式を用
いて算出)の患者
15.
ビリルビンが施設基準値上限(ULN)の 1.5 倍を超える患者
16.
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)またはアラニンアミノトランスフェラ
ーゼ(ALT)が施設基準値上限(ULN)の 3 倍(肝転移を有する場合は 5 倍)を超える患
者
17.
妊娠の可能性のある女性および妊娠させる可能性のある男性患者で,治験期間中,委託
的に適切な避妊法を使用する意思がない患者
試験薬剤
18.
妊娠中または授乳中の患者
19.
治験実施計画書を遵守できない患者
20.
活動性の B 型肝炎感染,C 型肝炎感染,HIV 感染が確認されている患者
21.
薬物乱用またはアルコール依存症の患者または疑われる患者
22.
セツキシマブが投与禁忌である患者
23.
アファチニブまたは他の治験薬の添加物に対する過敏症が確認されている患者
24.
治験薬投与開始前 4 週間以内に何らか治験薬を使用した患者
25.
治験実施計画書に記載されている併用禁止療法による治療が必要な患者
26.
血清クレアチニンクリアランスが施設基準値上限(ULN)の 1.5 倍を超える患者
アファチニブ錠(20 mg,30 mg,40 mg,50 mg,フィルムコート錠)
セツキシマブ点滴静注用注射液(50 mg/10 mL,100 mg/20 mL,250 mg/50 mL,500 mg/100 mL)
目標症例数
スクリーニング登録症例数:100 名,登録症例数 88 名
KRAS 野生型転移性結腸直腸癌のランダム化割付け症例数:48 名,アファチニブ投与群 32 名,
セツキシマブ投与群 16 名
KRAS 突然変異を有する転移性結腸直腸癌のランダム化割付け症例数: 40 名,アファチニブ
単独投与群 40 名(2 段階デザイン)
投与方法
投与方法:
投与期間
アファチニブ:50 mg 1 日 1 回(開始用量:40 mg 1 日 1 回),経口投与
セツキシマブ:Day 1 に 400 mg/m2 静脈内投与し,それ以降は毎週 250 mg/m2 を静脈内投与
投与期間:
疾患の進行または治験薬に対する不耐容が認められないか,または根治的な治療選択が得られ
ない限り,患者は継続投与に適格となる。
投与期間の中央値は約 8 週間になるものと推定される。
観察項目
観察時期
スケジュールの項を参照
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表 8.16: 1
Page 701
試験 1200.74
試験方法の概略(4/4)
評価項目
有効性の評価項目:
評価基準
RECIST 第 1.1 版に基づく奏効率,無増悪生存期間(PFS),全生存期間(OS)およびバイオマ
ーカー解析
薬物動態の評価項目:
アファチニブの薬物動態パラメータ
安全性の評価項目:
有害事象(CTCAE 第 3.0 版に従って評価する)の発現率および重症度,臨床検査パラメータ
解析方法
探索的データ解析
治験調整医師
治験実施施設
多施設共同試験(英国,13 施設)
治験実施期間
20
年 月~20
年 月
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試験 1200.74
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スケジュール
表 8.16: 2
検査・観察スケジュール(1/2)
Trial Period
1
Visit
Week
Day 1,2
同意取得 3
患者背景
既往歴・合併症
腫瘍組織検体の送付 4
身体所見
体重
身長
バイタルサイン
ECOG パフォーマンス・スコア(PS)
選択基準/除外基準のレビュー
ランダム化 5
腫瘍評価 6
12 誘導心電図
心エコーまたは MUGA スキャン 9
併用薬・併用療法
服薬状況確認
有害事象および医療サービスの利用
状況
スクリー
ニング
1
-28~-1
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x7
x9
x
x
EOT17
治験薬投与期
FU
OP
EOT の
来院後
28 ± 7 日
FU の
来院後
28 ± 7 日
1
2
1
1
3
2
8
4
3
15
5
4
22
6
5
29
7
7
43
8
10
64
9
13
85
10
16
106
11
19
127
12
22
148
13
25
169
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x17
x17
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x17
x17
x
x
x
x
x
x
x
x6
x8
x9
x17
x17
x17
x19
x120
x21
x
x
x
x6
x8
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x6
x6
8
x
x
x
x
x9
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x
x22
x22
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試験 1200.74
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
表 8.16: 2
Trial Period
1
Visit
Week
Day 1,2
検査・観察スケジュール(2/2)
スクリー
ニング
1
-28~-1
EOT17
治験薬投与期
2
1
1
3
2
8
4
3
15
5
4
22
6
5
29
7
7
43
8
10
64
9
13
85
10
16
106
11
19
127
12
22
148
FU
OP
EOT の
来院後
28 ± 7 日
x
FU の
来院後
28 ± 7 日
1
13
25
169
臨床検査
x10
x10
x10
x10
x10
x10
x10
x10
x10
x10
x10
x
11
CEA 検査用の採血
x
x
x
x
x
x
12
12
12
12
12
12
12
12
12
12
治験薬の処方
x
x
x
x
x
x
x
x
x
薬物動態用の採血 13
x
x
x
バイオマーカー用の採血
x14
PCX 検査用の採血
x15
16
妊娠検査
x
他の抗がん治療
x
x
生存状況
x
EOT 治験薬投与終了時:毒性,疾患の進行,または他の理由(同意の撤回など)により治験薬投与を終了した患者。
FU 追跡調査:EOT の後,治験全体の終了時まで 28 日± 7 日ごとに実施。
OP 観察期:最後の FU 追跡調査の後,28 日± 7 日に実施(疾患進行または後治療(抗がん療法)の開始)。進行,後治療(抗がん療法)および生存状況に関する情報
を収集する。情報は患者記録または患者との電話連絡または来院で収集する。
1) 来院は Visit 13 以降も 21 日± 7 日ごとに治験薬投与終了まで実施する。
2) 来院は予定投与日+/- 1 日の期間内に実施すること。
3) 文書同意は何らかのスクリーニング評価を実施する前に取得しなければならない。KRAS 検査の中央検査機関に組織保存検体を送付するために,文書同意は Day
-28 以前に取得すると良いが,スクリーニング来院時の他の検査は Day -28(投与開始 28 日前)以前に行う必要はなく,治験実施計画書のスケジュールに従い実
施する。
4) 詳細は[CTD 5.3.5.4-15(U -2359),Section 5.6],バイオマーカーの項に示す。
5) 投与の割付は IVRS/IWRS システムにより行い(KRAS 野生型腫瘍患者については割付比 2:1 とする),投与開始の 5 日前に行うべきである。
6) ベースライン腫瘍評価には胸部および腹部の CT スキャンまたは MRI を含むこととし,治験薬投与開始前 28 日以内に実施された画像は腫瘍評価に用いること
ができる。本治験の期間を通じて同じ放射線画像検査を使用しなければならない。以降の画像検査は,治験薬投与の遅延があった場合でも 6 週ごと(すなわち,
Week 6,12,18,24,30 などの週内)に実施する。
7) 前回の心電図検査が治験薬投与開始前 14 日以内に実施されている場合,その心電図を評価に用いることができる。
8) A 群および C 群では心電図検査は Day 43(Week 7)に実施し,次に Day 106(Week 16)から 9 週ごと(Week 25,34 など)に実施する。
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アファチニブ CTD 2.7.6 個々の試験のまとめ
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試験 1200.74
9) 心エコーまたは MUGA スキャンをベースラインで実施し,その後,A 群および C 群では Week 13 から 12 週ごと(Week25,37 など)に実施し,B 群では臨床診
断に基づき必要な場合にのみ 12 週ごとに実施することとする。治験薬投与開始前 28 日以内に実施された心エコーまたは MUGA スキャンはベースライン評価と
して許容される。
10) スクリーニング来院前 1 週間以内に臨床検査を実施していれば,スクリーニング時にその検査結果を使用することができる。最初の 6 週間は 2 週ごとに臨床検
査を行い,Day 43(Week 7)以降は 3 週ごとに臨床検査を実施する。スクリーニング後のすべての臨床検査は,Day 1(Week 1)の来院を含めて各来院前 3 日以
内に実施しても良い。
11) CEA 濃度はスクリーニング時に異常値を示した患者でのみ再検査を行う。CEA 濃度の再検査は治験薬投与の遅延があった場合でも 6 週ごと(Week 6,12,18,
24,30 などの週内)に実施する。
12) Day 1,Day 29 および Day 43 に処方し,それ以降は 3 週ごとに処方する。処方は予定来院日の 1 日前に行うことができる。
13) 薬物動態用の採血は,アファチニブ投与患者を対象に腫瘍細胞の KRAS 遺伝子の状態(A 群および C 群)とは関係なく Day 8,15 および 29 に実施する。治験
薬投与前に PK 用採血を行うために,PK 採血日の治験薬投与は治験実施医療機関で実施する。
14) バイオマーカー用の採血は任意である。
15) 遺伝薬理学的検査の採血は任意であり,検体は Day 1 に採取することができる。Day 1 で採取できなかった場合,Day 29 およびその前に検体を採取する。
16) 妊娠可能な女性のみを対象に血清または尿中 βhCG 妊娠検査を実施する。
17) 3 週ごとに実施。
18) A 群および C 群(アファチニブ投与群)ではアファチニブ投与を完全に終了する日から 14 日以内に EOT 来院を実施することとし,アファチニブ投与終了の決
定が予定来院時に行われた場合は,予定来院に代えて EOT 来院の検査を実施すること。B 群(セツキシマブ投与群)ではセツキシマブの最終投与から 21 日(± 7
日)以内に EOT の来院を実施すること。
19) 画像検査が EOT 来院の前 2 週間以内に実施されている場合は必要とされない。
20) A 群および C 群のみ:EOT 来院の前 8 週間以内に実施されている場合は必要とされない。
21) A 群および C 群のみ:EOT 来院の前 12 週間以内に実施されている場合は必要とされない。
22) 有害事象が重篤であり,かつ治験薬投与との因果関係が否定できない場合のみ。
引用元:CTD 5.3.5.4-15(U -2359),Flow chart
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