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における専門用語集(PDF)82KB

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における専門用語集(PDF)82KB
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SCB
SHINKIN
SHINKIN
CENTRAL
CENTRAL
BANK
BANK
金融調査情報
海外経済調査レポート
15−2
No.11
総合研究所
〒104-0031 東京都中央区京橋 3-8-1
TEL.03-3563-7541 FAX.03-3563-7551
URL http://www.scbri.jp
(2003.6.4)
2000.10
う
「リレーションシップバンキングの機能強化に関する
アクションプログラム」における専門用語集
(キーワード)リレーションシップバンキング、アクションプログラム、
プリパッケージ型事業再生、DIPファイナンス、財務制限条項
(要
旨)
アクションプログラムに登場した専門用語を個別に解説
2003 年3月 28 日に金融庁は、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクシ
ョンプログラム」を発表した。これは、2004 年度までの2年間の地域金融に関する「集中改善
期間」に、各地域金融機関及び行政が、リレーションシップバンキングの機能強化、中小企業
の再生と地域経済の活性化を図るために取り組むべき課題を取りまとめたものである。このア
クションプログラムにはなじみの薄い専門用語等が含まれるため、今号ではそれらについて個
別に解説する。
p1・・・・日本政策投資銀行、産業クラスター計画、中小企業支援センター
p2・・・・ビジネス・マッチング情報、銀行法等における付随業務
p3・・・・地域金融人材育成システム開発プログラム、
プリパッケージ型事業再生(民事再生法等の活用)
p4・・・・私的整理ガイドライン、早期事業再生ガイドライン
p5・・・・企業再生ファンド
p6・・・・デット・エクイティ・スワップ(DES)、DIPファイナンス
p7・・・・中小企業再生型信託スキーム
p8・・・・中小企業再生支援協議会、ターンアラウンド・スペシャリスト、ローンレビュー
p9・・・・財務制限条項、スコアリングモデル
p10・・・擬似エクイティ部分の優先株式への転換、証券化
p11・・・中小企業の会計に関する研究会報告書
p12・・・財務諸表の精度が相対的に高い中小企業に対する融資プログラム、地域集中リスク、
特別支援
©信金中央金庫 総合研究所
○日本政策投資銀行
日本政策投資銀行法に基づき、1999 年 10 月1日に日本開発銀行と北海道東北開発公
庫の一切の権利・義務を継承して設立された。また、地域振興整備公団および環境事業
団の融資業務を引き継いでいる。プロジェクト・ファイナンスへの積極的な参加を通じ、
地方自治体の関係するPFIに積極的に取り組むとともに、事業再生事業への取組みと
して、DIPファイナンス(後述)も積極的に行っている。信金中央金庫とも業務協力
を行っている。
(日本政策投資銀行ホームページ http://www.dbj.go.jp/japanese/about/index.
html)
○産業クラスター計画
わが国のクラスター政策には、経済産業局の「地域再生産業集積計画」と文部科学省
の「知的クラスター創成事業」があり、「産業クラスター計画」といった場合は、前者
を指す。産業クラスター計画は、公共事業や企業誘致に依存することのない空洞化対策
として、世界に通用する新事業を創出する産業の集積を各地で形成しようとするもので
あり、地域の経済産業・雇用対策の目玉と言われている。具体的には、各地区の経済産
業局が管内の有望産業・企業を発掘し、これらを含む産学官の広域的なネットワークを
形成するとともに、経済産業省の支援施策を適宜投入することによって、新たな事業の
創出を効率的、効果的に図ろうとするものである。現在、全国に 19 プロジェクトが展
開されている。
なお、産業クラスターとは、米ハーバード大学のマイケル・E・ポーター教授が提示
した概念で「特定分野における関連企業、専門性の高い供給業者、サービス提供者、関
連機関(大学、規格団体、業界団体など)が地理的に集中し、競争しつつ同時に協力し
ている状態」をいう。米スタンフォード大学を中心として自然発生的に形成されたシリ
コン・バレーをはじめ、テキサス州オースチンの情報産業、ペンシルバニア州フィラデ
ルフィアの情報・バイオ分野の企業群などが成功例である。
(経済産業省ホームページ、http://www.meti.go.jp/policy/local_economy/
index.html)
(信金中金月報 2002 年 10 月増刊号 「地域における新産業の創出・産学官連携・クラ
スター政策の実際」。なお、同論文は、信金中金総合研究所ホームページ、
http://www.scbri.jp/PDFgeppou/2002/scb79h14s10-2.pdf でも参照可能。)
○中小企業支援センター
中小企業支援法第3条に基づき定められた「地域中小企業支援センター」のことを指
す。全国の商工会議所、商工会に 261 箇所設置されている。支援業務として、中小企業
に対して法律、会計、税務の相談、企業情報の提供等(具体的には、金融、マーケティ
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ング等の相談、専門家の派遣、情報提供、経営支援講座等の開催)を実施している。同
センターは中小企業支援におけるさまざまな成功例(ベストプラクティス)を取りまと
めたベストプラクティス集を作成し、提供している。
(平成 15 年5月1日付 全信協発第 69 号「『地域中小企業支援センター ベストプラク
ティス集 2001-2002』のご送付について」)
○ビジネス・マッチング情報
金融機関の顧客同士のビジネスをつなぐ情報のこと。顧客間の潜在的なビジネス・チ
ャンスを、顧客の事業内容や得意な技術分野などから金融機関が見抜き、顧客同士を結
び付けることが、顧客ばかりでなく、金融機関自身のビジネス・チャンスを広げること
から重要である。また、そうでなくとも、顧客同士が情報交換を行ってビジネス・チャ
ンスを発見できるような場を提供することも、金融機関には可能であり、重要である。
既存の業種に対する先入観を取り払い、これまで交流のなかった異業種の経営者や技術
者と交流することで、これまでは気づかなかったビジネス・チャンスやイノベーション
のヒントを発見することもあろう。それが新製品や新サービスの共同開発につながって
いくこともある。その点では、いくつかの信用金庫でも取り組んでいる異業種交流会や
ビジネスフェアなども、ビジネス・マッチング情報の収集機会を提供するものである。
現在、全信協は「しんきんふれ愛ネット」による情報提供を実施中である。
(全信協のホームページ、http://www.fureainet.shinkin.co.jp/index.htm)
(信金中金月報 2002 年7月号 「『ビジネスフェア』による中小企業・地域振興支援」。
なお、同論文は、信金中金総合研究所ホームページ http://www.scbri.jp/PDFgeppou/
2002/scb79h14s07.pdf でも参照可能。)
○銀行法等における付随業務
銀行は、銀行法第 10 条第1項に定める銀行業の固有業務のほか、第2項に掲げられ
た業務その他の銀行業に付随する業務を営むことができるとされている。そのうち、第
2項に列挙された業務以外の「その他の銀行業に付随する業務」については、金融庁の
事務ガイドラインに判断基準が示されている。事務ガイドラインの「1 共通事項」、
「1−6 金融機関の健全性に関し報告を求める場合及び業務改善を求める場合の着眼
点」の「1−6−4 その他」によれば、当該業務が「その他の銀行業に付随する業務」
にあたるかどうかは、次の4つの観点から判断されることになっている。
①当該業務が銀行法第 10 条第1項各号及び第2号各号に掲げる業務に準ずるか。
②当該業務の規模が、その業務が付随する固有業務の規模に比して過大なものと
なっていないか。
③当該業務について、銀行業務との機能的な親近性やリスクの同質性が認められ
るか。
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④銀行が固有業務を遂行する中で正当に生じた余剰能力の活用に資するか。
今回のアクションプログラムでは、企業再生支援の一環として、取引先企業に対する
コンサルティングやM&A関連業務が重視されている。そのため、これら付随業務につ
いて、個々の金融機関が取扱いの可否を判断しやすいように、2003 年6月末までに個
別具体的に認められる業務が公表される見通しだ。
なお、信用金庫は、業務方法書において「企業等の合併・買収及び営業譲渡等に関す
る仲介ならびに助言・指導」、「企業等の財務に関する相談ならびに助言・指導」を手
当てすることによりM&A業務、コンサルティング業務は取り扱えるが、コンサルティ
ング業務と言っても、税務相談、経営コンサルティングのように多岐にわたるため、税
理士法などとの関連においても整理される予定とのことである。
(金融庁のホームページ、http://www.fsa.go.jp/guide/guide.html)
○地域金融人材育成システム開発プログラム
経済産業省が 2003 年2月に立ちあげたプロジェクト。中堅企業・中小企業において、
事業継続・拡大のための戦略立案や事業計画等の策定を行い、金融機関に対して的確に
交渉・説明できる人材を育成するための研修プログラムを開発するもの。現在、九州大
学とブラクストン(旧デロイト トーマツ コンサルティング)が共同でプログラム開発
に取り組んでいる。
(図表1)プリパッケージ型事業再生の流れ
○プリパッケージ型事業再生と民事再生法
プリパッケージ型事業再生とは、主要な債
主要債権者らが、友好的な経営
陣を擁立し再建計画を用意する
権者から債権放棄の合意を得ていながら、一
部債権者の反対のために私的整理(後述)の
私的整理に入るための全対象
成立が難しい場合に、法的整理による倒産手
債権者の合意が得られない
続きに移行し、事前に作成した再建計画を関
係者間の多数決原理のもとで迅速に成立さ
せることにより、企業価値の毀損を必要最低
限に抑える方法。民事再生手続きでは原則と
会社更生法に移行
民事再生法に移行
再建計画
を認めな
いおそれ
して、倒産会社の経営陣が、手続き申立後も
債権者の多数決で
成・提出する。そのため、主要な債権者たち
再建計画を迅速に
管財人
が、自分たちに友好的な経営陣を擁立し、手
任命・監督
会社経営を継続しつつ、自ら再生計画を作
続きを申し立てる前に再建計画を作成させ
企業価値の著しい毀損
ておいて、再生手続きの中でその計画を実行
なく企業を再生する
することが可能だ。つまり、法的倒産手続き
プリパッケージ型
を申し立てる前に、あらかじめ経営陣と再建
裁判所
(備考)信金中金総合研究所作成
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計画がパッケージされている事業再生を行えるのである。なお、同じ法的手続きでも、
会社更生法の場合、プリパッケージ型の事業再生を行おうとしても、倒産会社の旧経営
陣から、裁判所が任命・監督する管財人に、経営権が移るため、申立前に作成されてい
た再建計画を、管財人が認める保証がなく、事前に用意された再建計画の実行は難しい
と考えられる。その点、早期事業再生ガイドライン(後述)は、2003 年4月から施行
された改正会社更生法により、倒産会社の取締役であっても、経営責任がなければ管財
人になりうるため、会社更生法であってもプリパッケージ型が実現可能だとしている。
しかし、裁判所が紛争の一方の当事者に肩入れするような手続き進行を行えるはずがな
い、という否定的な見方もある。(週刊金融財政事情 2003.4.7)
○私的整理ガイドライン
法的手段に依らず、債権放棄などの手法を用いて私的に会社を整理する際の指針。全
国銀行協会や経団連が中心となって 2001 年9月にまとめられた。対象となる企業は、
①自力再建が困難で、②重要な事業部門で営業黒字となっており、③法的整理を行うと
事業価値が著しく低下し、④法的整理をするより債権者の回収額が大きくなる企業であ
る。私的整理に入るためには、対象となる債権者の全員一致の賛成が必要であり、機動
的な利用上のネックとなる場合がある。債権放棄の要件としては、①3年以内の債務超
過解消と経常黒字化、②減資による株主責任の明確化、③経営陣の退任による責任の明
確化などがあり、厳しい内容となっている。特に、①と③がネックとなって、中小企業
では使いにくいという問題がある。中小企業の経営者の多くが実質的オーナーであるた
め、③は実情にそぐわない。そこで、東京商工会議所は、2003 年4月 10 日に中小企業
に適した私的整理のあり方に関する検討結果を報告し、その考え方が中小企業の再生支
援業務に反映されるように要望していくこととしている。
○早期事業再生ガイドライン
企業が早期に事業再生に着手し、過剰債務に陥ることを未然に防止するとともに、過
剰債務を抱える企業が迅速な事業再生に取り組むことを促すため、経済産業省が「企
業・産業再生に関する基本方針」(2002 年 12 月 19 日産業再生・雇用対策戦略本部決
定)に基づき定めたガイドライン。事業再生の早期着手を促進するために、キャッシュ
フローをベースとした融資慣行の定着、貸出債権市場や企業再生ファンドの制度整備、
事業再編規制の緩和、企業結合審査の迅速化とその手続きの透明化などに取り組み、過
度な個人保証の典型である包括根保証に依存しない融資慣行を確立することをうたっ
ている。また、過剰債務構造を解消するための迅速再生のために、プリパッケージ型事
業再生の促進や、金融検査における債務者区分の明確化、少額債権弁済制度の活用など
をうたっている。
(経済産業省のホームページ、http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/
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g30226bj.pdf)
○企業再生ファンド
過剰債務に陥った企業の建て直しを目的として、投資家から集めた資金をそのような
企業に投資するファンドのこと。もともと、企業の経営権を取得して企業を再建した後、
短期間で売却益を得ることを目的とした外資系のファンドが主導していた。その後、企
業再生ファンドを日本で促進することが政府の方針となり、日本政策投資銀行が積極的
に取り組んでいる。2002 年2月にNTTデータなど6社と官民共同ファンドの設立を
決めたのを皮切りに、複数のファンドを設立してきた。銀行による企業再生ファンドの
活用も本格化してきた。経営再建の必要がある取引先企業向けの不良債権を単純に売却
するのでなく、その企業を再生させて企業価値を高めれば、新規融資などの将来の収益
機会につながる可能性があるからだ。主な企業再生ファンドには、外資系のリップルウ
ッド、ローンスター、サーベラスや日系のMKSパートナーズ、日本政策投資銀行や東
京三菱銀行などが出資するジャパン・リカバリー・ファンドなどがある。ただ、企業再
生ファンドが広く投資家から資金を呼び込み、効率よくオペレーションを行うためには、
再生される企業も、ディスクロージャーが充実しており、知名度も高く、ロットも大き
い大企業案件に偏りがちであり、中小零細企業についてはそのままでは難しい。再生の
対象企業も、投資する金融機関も特定地域に集中することで、投資家への被再生企業情
報の透明性の高さを確保する、中規模の地場企業再生ファンドの設立が検討されるべき
との意見もある。
(図表2)主な企業再生ファンドと投資先
ファンド名
投資先
リップルウッド
日本長期信用銀行、フェニックスリゾート、日本コロンビア、
ナイルス部品(日産系)、旭テック(日本ガイシ系)
ローンスター
東京相和銀行、ファーストクレジット、東京シティファイナ
ンス、ビクトリア、大宝塚ゴルフ場
サーベラス
ダイア建設、木下工務店
MKSパートナーズ
マルコー、ギャガ・コミュニケーションズ、サザビー、オリ
エント信販、ウエザーニューズなど
ゴールドマン・サックス
日東興業などゴルフ場
ジャパン・リカバリー・ファンド
市田
(備考)1.MKSパートナーズは旧シュローダーベンチャーズ
(備考)2.日本経済新聞社ホームページに信金中金総合研究所が加筆
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○デット・エクイティ・スワップ(DES)
デット・エクイティ・スワップ(DES)とは債務(Debt)を株式(Equity)に交換
(Swap)することをいう。銀行が債務者企業の再建支援のために、貸出債権の一部を普
通株や優先株に転換することによって、債務者企業の過剰債務を圧縮し、自己資本比率
を改善させることができる。債権者である銀行側にとっても、債権放棄と比べれば、株
式を受け取れ、債務者企業が再建されればその株式のキャピタル・ゲインを享受するこ
とができる。ただし、債務者企業の再建
が失敗すれば、銀行の受け取った株式が (図表3)デット・エクイティ・スワップ
値下がりし、損失が生じる可能性もある
(スワップ前) (スワップ後)
ため、結果として債権放棄に比べ、損失
処理の先送りとなる場合もある。私的整
理ガイドラインにおいて、再建計画に盛
資
負
負
産
債
債
り込まれる自己資本増強策の選択肢の
貸付金
1つとして提案されており、最近では債
銀行は交換部分
に新たに値上が
り益のチャンス
と値下がり損の
おそれ
資
本
権放棄とセットで採用されるケースが
主流となっている。帝国データバンクの
資
調べによると、2002 年にDESが合意
本
普通株や優先株
に至ったのはダイエー、長谷工コーポレ (備考)信金中金総合研究所作成
ーション、いすゞ自動車、大京など 20 社(株式化総額 7,070 億円)で、うち 10 社につ
いては債権放棄もセットで行われた。
(全銀協のホームページ、http://www.morebank.gr.jp/yogo/yogo020325_03.html)
○DIPファイナンス
DIPファイナンスとはそもそも、米国における再建型倒産手続きである、連邦倒産
法第 11 章(Chapter11)の手続きに入った企業(このような企業を Debtor In Possession
=占有継続債務者と呼ぶ。)に対する融資のことを指す。翻って、日本では再建型倒産
手続きである民事再生法、会社更正法等の手続申立て後、再建計画の認可決定までの融
資のことを指す。倒産企業は、法的整理の申立て直後から再建計画の認可決定までの間、
運転資金を調達できずに事業の継続が困難になることがある。DIPファイナンスとは、
このような場合に一時的な運転資金を速やかに融資して、その間の事業価値の著しい劣
化を防ぐための手段であり、融資の可否、再建の可能性を迅速に判断することが求めら
れる。
DIPファイナンスは、通常、裁判所の許可等を受けた共益債権として扱われること
になる。2003 年2月の金融検査マニュアルの改正では、DIPファイナンスが共益債
権であれば、回収の危険性の度合いを踏まえ、原則として、非分類ないしⅡ分類に分類
されることになり、金融機関がDIPファイナンスを提供しやすくなった。また、一般
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的に信用リスクの割に高金利が期待できるとされている。日本政策投資銀行や、中小企
業金融公庫、商工中金、みずほコーポレート銀行などが取り組んでいる。商工中金の場
合、1999 年7月の取扱い開始以来、最近まで 30 件程度の実績がある。
(日本政策投資銀行のホームページ、http://www.dbj.go.jp/japanese/revitalise/
kaisetu.htm)
○中小企業再生型信託スキーム
整理回収機構(RCC)の信託機能等を活用し、再生可能性のある中小企業等の不良
債権をRCCに信託、または集約し、その中小企業等の再生をサポートするスキームの
こと。対象は主要行1 の再生可能性のある(キャッシュフローのある)破綻懸念先中小
企業等向け不良債権。RCCチェック型とRCC関与型の2つのタイプがある。RCC
チェック型は、規模の小さい中小企業や個人向けの不良債権を想定している。個々の主
要行が単独で不良債権をRCCに信託し、その持込銀行がRCCから債権の管理の一部
を委託され、日常的なメインテナンスを行う。RCCは持込銀行が作成に携わった再建
計画の検証や、計画の進捗状況の確認を行い、必要に応じて持込銀行に助言を行う。一
方、RCC関与型の場合は、RCCが複数の非メイン主要行から、同一の比較的規模の
大きい中小企業等向けの債権の信託を受け、または買い取って集約化し、(メイン行が
引き続き債権を保有する場合はメイン行と協力して)再建計画の策定を行い、計画実行
についても進捗管理を行う。両タイプとも信託期間は3年程度最大5年で、その中小企
業等が再生すれば信託は終了し、再生できなかった場合はRCCへの売却等により最終
処理を行う。金融機関は、債権をRCCに時価でいったん信託譲渡して損失を実現でき、
(図表4)中小企業再生型信託スキーム(RCCチェック型)の仕組み
所要の措置を講じた上で銀行が取引を継続
>>>債権区分のランクアップ
中小企業等
(キャッシュフ
ローのある破綻
懸念先)
貸出
債権を信託する
RCC
主要行
再建計画の策定・実行
再生可能
(再生可能性
の追求)
再生不可
信託受益権
債権管理の委託
銀行への助言
RCCへの売却
計画の検証
進捗状況の確認
(備考)RCCホームページに一部加筆して信金中金総合研究所作成
1
以下、主要行とは都市銀行・長期信用銀行・信託銀行(除く新生銀行、あおぞら銀行)のこと
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実際の債権管理はその金融機関が行うが、受託者となったRCCの助言、または関与を
通じて、RCCの再生ノウハウを活用することができる。2003 年3月末までに、RC
Cは主要行から 175 先、約 3,500 億円の再生可能性のある債権を受託して、再生に向け
た施策の検討を開始している。RCCはこのスキームの地域金融機関版の検討を開始し
た。
(中小企業庁のホームページ、http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/021122RCC_
katuyou.htm)
(RCCのホームページ、http://www.kaisyukikou.co.jp/announce/announce_
128_1.html)
○中小企業再生支援協議会
過剰債務の切離しや販路拡大など、中小企業の再生の取組みを支援することを目的と
して、4月施行の改正産業再生法に基づき、各都道府県単位で設置される。現在、商工
会議所などが中心となり、全国 36 カ所で発足している。協議会は、地元経済界と自治
体の代表者がメンバーとなる「全体会議」と、再生計画の策定など実務を担当する「支
援業務部門」からなる。さまざまな経営上の問題点を抱えている中小企業に対して、中
小企業信用リスク情報データベース(CRD=Credit Risk Database)の自己診断シス
テムを活用したり、商工会、商工会議所やその他関係機関と連携して、具体的な課題を
抽出した上で、経営改善計画の実施や、経営革新・事業再構築のための支援を行う。設
置から2カ月あまりの間に寄せられた相談件数は 573 件に及び、過剰債務等の問題を抱
えて悩んでいる中小企業が多いことがわかる。なお、協議会そのものには中小企業向け
債権の買取り機能がないため、産業再生機構などの買取り先候補と連携する必要がある
とみられている。
○ターンアラウンド・スペシャリスト
事業再生を実際に行う経営者になるような人材。事業再生に要する法律、税務、会計、
経営等の幅広い知識と、具体的な事案をもとにした実務的、実践的経験を兼ね備えてい
る人。アメリカではこのような事業再生の専門家がいて、ターンアラウンド・スペシャ
リストと呼ばれている。業種ごとに得意分野を持ち、いくつもの企業を再建しながら渡
り歩いている。日本では、長い間、終身雇用制が定着していたため、このような人材が
不足しているといわれる。
○ローンレビュー
貸出先について、定期的に信用状態等を監視し、貸出債権の保全を図っていくことを
いう。具体例として、三井住友銀行の場合、一定の基準に該当する与信先について、通
常の審議を通じた与信管理に加え、与信先の信用状態、与信の保全状況、今後の与信方
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針について、定期的に所管部門から経営陣に対し報告を行うことを指して、こう呼んで
いる。同行では、対象は、与信金額の大きさ、自己査定の分類状況、与信の保全状況等
の基準により選ばれた与信先とされている。
○財務制限条項
ローン契約に際し設定される多様なコベナンツ(遵守条項)のことを指す。債務者企
業の財務内容が著しく悪化するのを防いで、金融機関を保護するのが目的。おもにコミ
ットメントライン、シンジケートローンなど複数の金融機関が、同条件、同契約に基づ
き行うローンに設定される場合が多い。これらローンのコベナンツの内容と抵触時のペ
ナルティは、契約ごとにまちまちで、ペナルティは、金融機関へのコベナンツに抵触し
た旨の報告から、新規貸出実行の停止などまで、軽重さまざまである。ただし、金融機
関側としても、コベナンツへの抵触によって債務者企業が破綻すれば、かえって被害が
大きくなる場合もあり、実際には、債務者企業がコベナンツに抵触した時点で、金融機
関が債務者企業と協議することになると考えられる。近年、コベナンツを設定したロー
ン契約が増えている。2002 年6月に格付投資情報センターが上場企業 240 社に対して
行ったアンケート結果(回答 203 社)では、回答企業の8割強のローン契約に純資産額
維持条項が、また、7割強に格付け維持条項が設定されている。他に利益維持条項(経
常損益を数期連続では損失にしないという約束)や、有利子負債比率(有利子負債の総
資本に対する比率)や残高の上限を定めるもの、支払利息に対するキャッシュフローの
割合の最低水準を決めるものなどが複数企業のローン契約についてみられた。コベナン
ツは、金融機関のクレジット管理のみならず、企業サイドにおける内部管理上の1つの
メルクマールになりうるものである。しかし、もともと中小企業の業績や財務状況は、
景気変動によるブレが大きく、一定規模以下の中小企業に設定する場合、コベナンツの
設定や運用を誤れば、企業経営の自由度を奪ったり、企業経営を保守的なものにしてし
まう恐れもある。
(格付投資情報センターホームページ、http://www.r-i.co.jp/jpn/release/200207/
j02-a-029.pdf)
○スコアリングモデル
クレジット・スコアリングを行うための統計モデルである。クレジット・スコアリン
グとは、多数の顧客の財務、非財務のデータとデフォルト率から、統計的モデルを作成
して、顧客の信用度を点数化(スコアリング)して評価し、融資可否の判断を迅速かつ
公正で中立的に行うための手法である。主に、個人ローン等定量的要素が中心となる貸
出審査に用いられている。与信審査スピードの向上、審査品質の均一化、与信先の信用
リスク(定量要素)に見合った貸出金利の設定などの効果がある。いわゆる「担保主義」
から、与信先の信用度に見合った貸出金利を設定する「信用リスクプレミアム主義」へ
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の転換が求められており、スコアリングモデルの導入がそれを促すと考えられている。
金融機関にスコアリングモデルによる格付け結果などを提供するサービスもあり、しん
きん情報システムセンター(SSC)が提供する企業信用格付システムや、中小企業庁
のイニシアチブでスタートした、中小企業信用リスク情報データベース(CRD=
Credit Risk Database)などがそれにあたる。
(SSCのホームページ、http://www.shinkin.co.jp/ssc/business/sys/kaku.html)
○擬似エクイティ部分の優先株式への転換
貸付期日に恒常的にロールオーバーされるなど、長期間返済されない貸付資金は「資
本(エクイティ)」に近いものとなっているという意味で、「擬似エクイティ」と呼ば
れる。したがって、この資金は本来、できれば株式、そうでなくても社債や長期借入金
で調達されるべきだと考えられる。しかし現実には、証券市場にアクセスしにくい中小
企業の場合、やむをえず短期借入金の継続的な借換えによって調達しているという場合
が少なくない。このような擬似エクイティ部分を優先株式へ転換するのは、必ずしも金
融機関が経営への関与を直接の目的としているのではない。ここでは、債務を優先株式
へ転換することで、この擬似エクイティを企業の資本に組み入れ、安定的な調達と、企
業の財務内容の改善を図るためである。
○中小企業向け貸出債権の証券化
アクションプログラムのいう証券化の1種。中小企業に対する貸出債権が、随時、証
券化されて内外の機関投資家に販売されていけば、金融機関は現金を回収でき、中小企
業に対して新規の融資を行う余力が生じる。それにより、最終的な中小企業に対する資
金供給者の裾野が広がれば、自身では証券市場での資金調達が難しい中小企業に対する
資金供給も、より潤沢になると期待されている。多数の中小企業向け貸出債権がプール
され、証券化されることで、個別企業リスクの分散も促される。東京都が行ったCLO
(Collateralized Loan Obligation:ローン担保証券)のスキームも貸出債権の証券化
に当たる。信用金庫業界について考えると、預貸率は 60%前後の歴史的低水準にあり、
優良貸出先に対する貸出債権は信用金庫にとり貴重な資産である中で、自らの貸出債権
を証券化して売却するニーズは、不良債権処理や自己資本比率の改善に関連したものに
限られよう。日銀は、金融機関の中小企業向け貸出債権を裏打ちとした資産担保証券を、
早ければ6月から購入できるよう、その買取基準などの検討を始めた。これにより、流
通市場での流動性が高まれば、市場拡大につながろう。多数の貸出債権をプールして、
発行規模を確保することと、適切な審査による公正な値付けが課題となろう。
○中小企業が保有する売掛債権の証券化
中小企業が保有する受取手形等の売掛債権を担保として、コマーシャル・ペーパー(C
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P)を発行し、資金調達すること。このようなCPを資産担保CP(ABCP)という。
中小企業の中には、不動産担保や経営者の個人保証を使い果たし、担保不足のために新
規の融資を受けることが出来ずに、資金繰りに苦しんでいるところも少なくない。こう
した中小企業にとって、売掛債権を担保としたABCPは新たな資金調達手段の1つと
なりうる。さらに、日銀は市中への資金供給手段として、売掛債権担保CPを買い取る
ことを打ち出した。売掛債権担保CPの流動性を高めることで、この市場規模の拡大と、
それによる中小企業の資金状況の一層の改善を促すねらいだ。
なお、日銀の買取対象は信用リスクが少ないものでなければならないので、売掛債権
のプールからの元利金の返済が優先される優先部分の証券と、劣後部分の証券に分けて
発行される場合が多くなると考えられる。その場合、劣後部分も投資家が投資しやすく
し、合わせて優先部分の信用力を高めるため、政府は、劣後部分に対し、政府系金融機
関が信用保証を行えるようにすることも検討している
(日本銀行のホームページ、http://www.boj.or.jp/seisaku/03/data/moo0304a.pdf)
(日本銀行マーケット・レビュー 2002 年4月「ABCP市場拡大に向けた取組み−中
小企業金融の円滑化と証券化ビジネスの拡大−」、http://www.boj.or.jp/ronbun/
ronbun_f.htm)
(図表5)売掛債権担保CP発行の仕組み
売掛債権担保CP市場
売掛債権
中小企業1
中小企業2
売掛先親企業3
中小企業3
発行
投資家A
流通
投資家B
劣後部分
売掛先親企業2
S
P
C
優先部分
売掛先親企業1
債権譲渡
買いオペの
対象とする
ことを検討
日
本
銀
行
投資家C
信用保証
(備考)1.SPCとはここでは特定目的会社のこと
政府系金融機関
2.信金中央金庫総合研究所作成
○中小企業の会計に関する研究会報告書
中小企業庁事業環境部長主催の研究会が 2002 年6月に公表した報告書。中小企業を
めぐる金融環境や取引構造の変化の中で、中小企業の会計情報の開示による信頼獲得が
重要性を増すなか、中小企業にとって望ましい会計のあり方をまとめたもの。ここでの
対象は、公認会計士による会計監査を義務づけられていない商法特例法上の小会社(資
本金1億円以下の株式会社)で、当面は株式公開を目指していない中小企業とされてい
る。会社の過重負担にならないように、実務にも配慮して、減価償却や引当金などの個
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別項目についての検討がなされている。税効果会計は必要に応じて採用、有価証券の評
価に関しては、売買目的有価証券のみに時価評価を求める、としている。キャッシュフ
ロー計算書の作成や注記の充実は、「望ましい」にとどめている。報告書が立ち入って
いない会計実務、運用に関する事項については、日本税理士会連合会が 2002 年 12 月に
中小会社会計基準を公表した。
(中小企業庁のホームページ、http://www.chusho.meti.go.jp/chu_top.html)
(日本税理士会連合会のホームページ、http://www.nichizeiren.or.jp/01whats/
tp01.asp)
○財務諸表の精度が相対的に高い中小企業に対する融資プログラム
財務諸表の精度に関して、一定の条件を満たす中小企業に対して、審査手続きの簡素
化、担保条件や金利面での優遇を行う融資プログラム。1例と考えられる商品に、東京
三菱銀行が投入する「戦略経営者ローン」がある。これは中小企業向けの無担保ローン
で、大手税理士団体であるTKCの会員税理士が関与している企業であれば、過去に東
京三菱銀行との取引実績がなくとも、無担保融資を受けることができる。
○地域集中リスク
営業活動が特定の地域業種に密着している地域金融機関の業況は、取引先がその地域
に集中するため、特定の地域経済や地場産業の業況に左右されやすい。これを地域集中
リスクと呼ぶ。地域集中リスクを分散させる上では、地域集中リスクを分散させた貸出
債権担保証券があれば、それに投資することも考えられる。また、業界内での貸出債権
流動化市場を整備するのも一考であろう。しかしながら、中小零細企業の貸出債権を証
券化する場合、信用補完を行うなど、クリアすべき点が多い。
○特別支援
2002 年 10 月 30 日に金融庁が発表した、金融再生プログラムの中で示された金融機
関支援の枠組み。個別金融機関が経営難や資本不足もしくはそれに類似した状況に陥っ
た場合に、システミックリスクが発生し、または経済が底割れすることのないよう、政
府と日銀が一体となって即時にこれを適用する。具体的には、①日銀特融による流動性
対策、②預金保険法に基づく公的資金の投入、③特別支援の対象となった金融機関の、
取締役会や経営会議などへの検査官の常駐的派遣の検討である。この特別支援の対象と
なった金融機関は、a.経営責任の明確化、b.管理会計上、新勘定と再生勘定へ分離した
上での管理、c.当該金融機関の新しい経営陣による事業計画に対する、金融庁のチェッ
クとモニタリングが求められる。5月 16 日に公的資金注入の申請をしたりそなグルー
プが特別支援適用の第1号となった。
(金融庁のホームページ、http://www.fsa.go.jp/news/newsj/14/ginkou/
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f20021031-1.pdf)
(日本経済新聞社のホームページ、http://www3.nikkei.co.jp/kensaku/
kekka.cfm?id=2003051700881)
(参考)上記専門用語を含むアクションプログラムの本文
《Ⅰ.中小企業金融の再生に向けた取組み》
1.創業・新事業支援機能等の強化
(3)中小企業の技術開発や新事業の展開を支援するため、各金融機関に対
し、中小企業が有する知的財産権・技術の評価や優良案件の発掘等に関し、
産官学とのネットワークの構築・活用や日本政策投資銀行との連携を図るよ p1
う要請する。
特に、経済産業省の「産業クラスター計画」を支援するため、関係金融機 p1
関に対し、関係者の交流連携の場を提供し、有望な研究開発型企業と優良案
件の発掘に資するよう地域毎に「産業クラスターサポート金融会議」を立ち
上げるよう要請する。
(5)地域の中小企業の創業・経営革新を支援するため、各金融機関に対し、
各地域に設置されている中小企業支援センターの活用について検討するよう p1
要請する。
2.取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化
(1)中小企業に対するコンサルティング機能、情報提供機能の強化を図る
ため、各金融機関及び各業界団体に対し、経営情報やビジネス・マッチング p2
情報を提供する仕組みの整備を要請する。
(2)コンサルティング業務、M&A業務等の取引先企業への業務支援が、
どのような場合に銀行法等における付随業務に該当するかについての具体的 p2
な考え方等を、平成 15 年6月末までに整理のうえ公表する。
(5)各金融機関に対し、中小企業等の財務・経営管理能力向上を支援する
「地域金融人材育成システム開発プログラム」等について協力を要請する。 p3
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3.早期事業再生に向けた積極的取組み
(1)各金融機関に対し、適切な再建計画を前提とし、取引先企業のモラル
ハザードを防止しつつ、プリパッケージ型事業再生(民事再生法等の活用) p3
及び私的整理ガイドラインを積極的に活用する等、中小企業の過剰債務構造 p4
を解消し迅速再生を図るための取組みを要請する。
なお、取引先企業に対し、「早期事業再生ガイドライン」の趣旨を踏まえ、 p4
事業再生への早期着手を期待する。
(2)各金融機関に対し、政府系金融機関、地方公共団体等との連携を図り
つつ、地域の中小企業を対象とした企業再生ファンドの組成について検討す p5
るよう要請する。
(3)各金融機関に対し、企業再生に当たって、デット・エクイティ・スワ p6
ップ(DES)、DIPファイナンス等の手法の積極的な活用を要請する。 p6
(4)中小企業の再生を支援するため、各金融機関に対し、「中小企業再生 p7
型信託スキーム」等RCCの信託機能を積極的に活用するよう要請する。な
お、当該スキーム等の活用については、2.(3)の健全債権化に向けた取
組みの一環として取り扱うものとする。
(6)中小企業の再生に関しては、当該企業と金融機関の作成する再生計画
の内容が合理的であり、関係者の合意が得られるものについて、関係者の再
生支援に向けた積極的な取組みが求められる。こうした観点から、中小企業 p8
再生支援協議会については、広く中小企業専門家の協力を得つつ、政府系金
融機関と民間金融機関の効果的な連携や再生計画作成のための支援人材確保
などを進めることとしており、各金融機関に対し、こうした取組みへの協力
とその機能の積極的な活用を図ることを要請する。
(7)各業界団体に対し、企業再生支援に関する人材(ターンアラウンド・ p8
スペシャリスト)の育成を目的とした研修プログラムを、平成 15 年度及び
16 年度に集中的に実施するよう要請する。
4.新しい中小企業金融への取組みの強化
(1)事業からのキャッシュフローを重視し、担保・保証に過度に依存しな
い融資の促進を図る観点から、各金融機関に対し、ローンレビューの徹底、 p8
財務制限条項やスコアリングモデルの活用等の取組みを要請する。
p9
また、各金融機関に対し、第三者保証の利用に当たっては過度なものとな p9
らないよう要請する。
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(2)金融庁に専門家からなる研究会を設け、担保・保証に過度に依存しな
い新たな中小企業金融に向けて、財務制限条項の活用及び技術力、競争力の
ある地域に密着した中小企業に関する「擬似エクイティ部分の優先株式への p10
転換」等に関し、法制上、会計上の視点等から具体的に検討する。
モデル取引事例に関する基本的考え方を平成 15 年8月を目途に作成・公表
し、そのうえで各業界団体に対し、その具体化に向けた実務レベルの検討を
要請する。
(3)中小企業の資金調達の多様化を図るため、各金融機関及び政府系金融
機関等に対し、証券化等に関する積極的な取組みを要請する。
p10
(4)中小企業庁において「中小企業の会計に関する研究会報告書」(平成 p11
14 年6月)が取りまとめられていること等を踏まえ、各金融機関に対し、財
務諸表の精度が相対的に高い中小企業に対する融資プログラムの整備に向け p12
た取組みを期待する。
(6)地域集中リスクの軽減を図る観点から、協同組織中央機関に対し、個 p12
別金融機関のリスクを調整・吸収するための仕組みの検討を要請する。
《Ⅱ.各金融機関の健全性の確保、収益性の向上等に向けた取組み》
6.地域の金融システムの安定性確保
(1)システミックリスクが発生するおそれが生じた場合には、金融再
生プログラムにおける「特別支援」の枠組みを即時適用し、金融システ p12
ムの安定性に万全を期す。
以
上
(間下 聡)
本レポートは、情報提供のみを目的とした標記時点における当研究所の意見です。施策実施等に関する最終決
定は、ご自身の判断でなさるようにお願いします。また当研究所が信頼できると考える情報源から得た各種デ
ータなどに基づいてこの資料は作成されておりますが、その情報の正確性および完全性について当研究所が保
証するものではありません。
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【バックナンバーのご案内:金融調査情報(旧信金統計レポート)】
号
数
題
名
発行年月
No.14−1 2001 年度中の全国信用金庫主要勘定増減状況(速報)
−定期性預金のペイオフ凍結解除で要求払預金へ大幅シフト−
No.14−2 業態別預金動向:都市銀行の一般法人預金が大幅に増加
−ペイオフ凍結解除の影響に加え、MMFから一時的に資金が流入−
No.14−3 ペイオフ一部解禁後の預金変動について
−ペイオフ解禁は全面延期が妥当−
No.14−4
ペイオフ全面解禁延期決定後、落ち着きを取り戻した預金動向
−信用金庫預金は、早ければ 3 月末にも前年同月比プラスに−
No.14−5 地方銀行の「地元回帰現象」と、信用金庫への影響
−各地の主要都市に展開する金庫が、厳しい競争にさらされている可
能性も−
No.14−6 最近の信用金庫の合併効果
No.14−7 不良債権の動向とその処理について
−信用金庫を中心とした業態間比較より−
2002 年 4 月
2002 年6月
2002 年9月
2003 年2月
2003 年3月
2003 年3月
2003 年3月
【バックナンバーのご案内:金融調査情報(旧金融制度情報)】
号
数
No.1
No.2
No.3
No.4
No.5
No.6
No.7
題
名
発行年月
「最近の投信市場動向」
−MMF元本割れを受けて運用ルールを明確化−
「規制緩和が進む銀行等の保険窓販」
−10 月から個人年金保険などの取扱いが可能に−
「注目集める不良債権の流動化」
−実際の活用にはクリアすべき問題も−
「売掛債権担保融資保証制度の利用状況」
−制度変更と債権譲渡禁止特約解除の動きにより利用が増加−
米国におけるディスカウント・キャッシュフロー(DCF)方式に
よる貸付査定手法の実務について
「家計の金融資産選択をめぐる最近の動き」
−決済性預金への傾斜が強まるなか、外貨資産への投資も増加−
「政府による資産査定の厳格化の動向」
−主要行に要請される要管理先大口債務者へのDCF法適用−
2002 年5月
2002 年5月
2002 年7月
2002 年 10 月
2002 年 12 月
2003 年1月
2003 年3月
【バックナンバーのご案内:金融調査情報】
号
数
題
名
発行年月
15−1
2002 年度中の全国信用金庫主要勘定増減状況(速報)
− 預金は微増、貸出の減少幅は縮小 −
*バックナンバーの請求は信金中央金庫営業店にお申しつけください。
2003 年5月
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信金中央金庫 総合研究所
行
今回の金融調査情報(15−2号)について
今後、金融調査情報で取り上げてもらいたいテーマ
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信用金庫
月
日
部署名
役職名
氏名
ありがとうございました。信金中央金庫営業店の担当者にお渡しいただくか、総合研究所
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(〒104−0031
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(FAX:03‐3563‐7551)
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