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情報流通プラットフォーム技術
著作権管理・決済・配信などの電子商取引やコンテンツ流通
ビジネスに不可欠な共通機能を実現するための技術
128ビットブロック暗号(Camellia) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
常時接続時代のコンテンツダウンロード用プロトコルセット
(CDPS) ・・・・・・・・・ 11
● ICカー
ド情報流通プラットフォーム(NiNa) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
●
●
コンテンツ統合管理アプリケーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
● 電子公証システム
(Trust-CYNOS@APPF) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
● コンビ型超多目的ICカー
ド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
●
柔構造情報交換場(eCo-Field) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
●イ
ンターネット時刻配送システム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
● 映像に索引を付けて管理する映像アーカイビングシステム
(SceneCabinet) ・・・・・・・・ 15
●
ハミングによる楽曲検索システム(SoundCompass) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
●イ
ンテリジェント・パーキング・システム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
● IP-VPN用
トラヒック管理システム(SFS) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
●
データセンターでの分散アプリケーション管理ツール(eASSIST) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
● 市民参加型環境情報ネ
ットワーク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
●
情報流通プラットフォーム技術
128ビットブロック暗号(Camellia)
常時接続時代のコンテンツダウンロード用
プロトコルセット
(CDPS)
暗号とは安全な通信環境を確保し、高度情報化社会を支える基盤技
近年、フレッツ・オフィスなどの常時接続型ネットワークが利用でき
術です。しかし、米国政府標準暗号として長期にわたって事実上の世界
るようになり、ネットワークの利用方法やネットワークライフが様変わ
標準暗号であったDES* 1の安全性低下が深刻な問題となってきたた
りすることが予想されています。特に、マスメディアに代表される多く
め、DESに代わる高い安全性と優れた実装性能を備えた新しい共通
のコンテンツプロバイダが通信を使ってコンテンツを流通(ダウンロー
鍵暗号の開発が必須の状況にあります。さらに最近では、経済のグ
ド)
させるコンテンツ流通時代が予見されます。
ローバル化に伴って、暗号通信における国際的な相互接続性も重要に
このようなコンテンツ流通時代では、映像、画像、音楽、雑誌、本、新
なってきています。このため、電子政府において利用可能な暗号技術
聞、ゲームなど多種多様なコンテンツが、各家庭、オフィス、SOHO*1
の評価や新米国政府標準暗号AES* 2の制定、ISO* 3国際標準化など、
にネットワーク経由でダウンロードされます。例えば、会社に居ながら
国内外の政府および標準化機関が、21世紀に利用する暗号の標準化
にして、家庭のパソコンに映像を送ったり、大きなファイルを一括して、
を推進しています。
会社や家庭に送ったりすることができるようになります。このような、
研究所では、AESと並ぶ世界標準暗号を目指して、当社が保有する
一括ダウンロードや予約ダウンロードなどを簡単かつ安全に実現する
高速ソフトウェア実装に適した暗号設計ノウハウと、三菱電機株式会社
のが、コンテンツ・ダウンロード・プロトコルセット(CDPS* 2)です。
様が保有する小型・高速ハードウェア実装に適した暗号設計ノウハウ、
CDPSでは、コンテンツサーバと端末がお互いコミュニケーションを
ならびに両社が持つ世界最高水準の安全性評価技術を結集して、128
取りながら協力して、ダウンロードを実行します。一般のダウンロード
ビットブロック暗号Camelliaを開発しました。
ソフトの場合、サーバ側に処理が集中し負担がかかるため、ダウンロー
Camelliaは、
AESと同じインタフェースであるブロック長128ビット、
ドができなかったり、ダウンロードの途中で止まってしまって再度やり
鍵長128、192、256ビットの3種類をサポートしていています。安全
直すなど不便な点がありました。CDPSには、コンテンツサーバ側に
性の面では、AES(Rijndael)
よりも向上しています。また、低コスト型
ダウンロードをコントロールするプロトコルを実装しているので、コン
4
IC* カードからパソコン、サーバ系まで多様な環境に応じた高速なソフ
テンツサーバ側に負担をかけることなくダウンロードできます。また、
トウェア実装ができるとともに、世界最小かつ最高クラスの処理効率
途中からダウンロードを再開することもできます。
を持つハードウェア実装も可能な、より優れた実装性能を兼ね備えてい
端末とコンテンツサーバ間のメッセージ通信には、特殊なポーリング
ます。例えば、Pentium Ⅲ(1GHz)では400Mbit/s超の処理速度、
を利用します。ダウンロードは、コンテンツサーバ
プロトコル(TPP*3)
ハードウェア
(0.35μm CMOS*5 ASIC*6)
では9.66Kgatesの最小
側から直接端末に送られているように見えますが、実際は端末側から自
回路規模で22Mbits/(s・Kgates)の処理効率を実現しています。
動的にファイルを取りに行くという疑似的なプッシュ配信を実現してい
研究所では、現在Camelliaを、暗号技術評価委員会、IETF*7、ISO、
ます。そのため、ファイアウォールなどを通しても利用することが可能で
NESSIE*8などの標準化活動に提案しています。さらに、電子認証シス
(ポート)
を開ける必要がなく、
す。そのため、HTTP*4アクセス以外の口
テムや電子決済システムをはじめとする暗号アプリケーションシステム
非常に安全なプロトコルとなっています。
の開発に利用するとともに、世の中で広く活用されるように、基本特許
の無償化を実施しています。
今後は、CDPSを情報家電端末、携帯端末、パソコンなどの各種端
末に普及させ、快適なコンテンツ流通時代の実現を目指していきます。
(情報流通プラットフォーム研究所)
*1
*2
*3
*4
*5
*6
*7
*8
DES: Data Encryption Standard
AES: Advanced Encryption Standard
ISO: International Organization for Standardization
IC: Integrated Circuit
CMOS: Complementary Metal Oxide Semiconductor
ASIC: Application Specific Integrated Circuit
IETF: Internet Engineering Task Force
NESSIE: New European Schemes for Signatures, Integrity, and
Encryption
F
Rotation & Choice
Bytewise Linear
Transformation
S4
S3
F
副変換部
F
主変換部
F
S2
S4
S3
配送トラッキング
コンテンツ各社の
サーバやネット
経費削減
配送受託
S2
電子広告
予約ダウンロード、
一括ダウンロード
インターネット・テレドーム 光
S1
F
電子ブック
ワイヤレス
副変換部
電子本ダウンロード
主変換部
拡大鍵
鍵スケジュール部
配信予約
コンテンツサーバ
S1
F
中
間
鍵
生
成
部
●コンテンツ・ダウンロード・プロトコルセット
(CDPS)のサービス概要
配送委託
拡大鍵
平文(128-bit)
主変換部
SOHO: Small Office Home Office
CDPS: Contents Download Protocol Set
TPP: Tele Polling Protocol
HTTP: HyperText Transfer Protocol
コンテンツプロバイダ
●Camelliaの構成(128ビット鍵)
秘密鍵(128-bit)
(サイバーソリューション研究所)
*1
*2
*3
*4
FL
FL-1
拡大鍵
暗号化部
暗号文(128-bit)
*192、256ビット鍵のときは、副変換部と 主変換部がもう1回追加される
街頭ダウンロード
i/Lモード
音楽ダウンロード インターネットテレビ
ホーム
ゲートウェイ
各種端末
11
ICカード情報流通プラットフォーム(NiNa)
コンテンツ統合管理アプリケーション
1枚のICカードで複数のサービスを提供できるマルチアプリケー
インターネットにおけるディジタルコンテンツ流通は、今後の情報流
ションICカード技術の開発が期待されていますが、サービス提供者に
通の主流としてその発展が期待されています。一方、コンテンツの完全
カード発行コストがかかる、またはカード利用者がカード発行後に自由
な複製が極めて簡単にできることから、流通機構の著作権保護技術と
にアプリケーションを追加できないといった問題がありました。そこで
の連携が不可欠となります。研究所では、ディジタル流通の分野で、現
研究所では、ICカードの分野で世界最大のシェアを誇るフランス
在まず最初に立ち上がろうとしているテレビ番組、映画などの映像系
Gemplus社様と共同で、サービス提供者やカード利用者が、ビジネス
コンテンツ流通を主なターゲットとして、さらには今後の展開が期待さ
スキームに応じて柔軟かつ安全に、そして安くICカードサービスを提
れるほかの多様なメディアにも柔軟に対応できるような、BtoB*流通
供・利用することが可能なサービス・ユーザ指向のオープンICカードプ
モデル対応のコンテンツ統合管理アプリケーションを開発しました。
ラットフォーム
(NiNa*1)のプロトタイプ版を完成させました。
このようなコンテンツ流通に共通している特徴的な課題として、①製
NiNaでは、サービス提供者とカード発行者を分離することで、オー
作者の流通条件に対する発言権が強く、これを反映できるような流通
プンなビジネスモデルが構築できます。例えば、サービス提供者は
条件設定が実現できるようにする必要があること、②コンテンツ自体
カード発行者が発行したICカード内の領域をビルのテナントのように
の容量が大きいので、流通時の設備容量に見合った多様な通信方式、
借りることで、カードを発行することなく安く簡単にICカードサービス
サーバ配置方策に対応できるようにする必要があること、の2点があり
を提供することができます。また、カード利用者はネットワークを介し
ます。
て、いつでも、どこでも、ICカードへの多様なサービスアプリケー
今回開発されたシステムでは、このような要求にこたえるため、従来
ションの追加が可能となります。プロトタイプ版では、このようなテ
の著作権管理プラットフォームの基本機能に加えて、権利許諾条件を設
ナント貸しのためのライセンスの発行・検証のほかに、カードとサービ
定、登録できる機能、およびその許諾条件範囲内のみの流通を制御で
ス提供者間の認証・暗号化、アプリケーションダウンロードの信頼性保
きる機能を実現しました。これは、コンテンツフォルダより示された
証などの仕組みを実現しています。さらに、当社が開発した世界最大容
コンテンツ流通のための必須条件を、実際の流通機構に反映できるよ
量1MBのICカード「ELWISE」/世界最速のJavaCard「Sapphire」へ
うにするものです。
の対応も実現し、海外での国際展示会などを通じて、世界的に注目さ
れています。
また、著作物に関する権利情報を蓄積するデータベース、電子透か
し、暗号化などの各種コンテンツ保護処理モジュール、さらにそれらを
現在研究所では、このアーキテクチャに基づく商用版「NICE*2」の開
統合的に管理して必要な処理を逐次遂行する管理モジュールなどでシ
発を進めており、2001年度には、横須賀市などへの導入実験を行う
ステムを構成し、各機能の独立性を高めながら組み合わせて使用でき
予定です。今後は、多様なタイプのカードや携帯電話への搭載も含め
るようにしています。これにより、さまざまなサーバ構成、サイト配置構
たマルチネットワークへの対応を進めていきます。
成を用いる多様な事業モデル、システムインテグレーション案件に柔
(情報流通プラットフォーム研究所)
軟に対応できるようになりました。それと同時に、システムのコンテン
ツメディア、ファイル形式との独立性も高めています。
*1 NiNa: Nomadic Information Sharing Network Architecture
*2 NICE: Network-based IC Card Environment
権利情報を蓄積するデータベースでは、このインタフェースを用い
ることで、主にエンドユーザサイドで用いられるようなクライアントア
プリケーションと結合することもできます。そのため、センターでIDを
発行し、利用者側で電子透かしを入れることにも対応可能です。
(サイバーソリューション研究所)
●NiNaにおけるICカードアプリケーションダウンロード例
サービス提供者
(病院)
カード発行者
(自治体)
診察券AP
電子カルテAP
電子ポイントAP
処方箋AP
* BtoB: Business to Business
●コンテンツ統合管理アプリケーションの機能構成
著作権者
(コンテンツフォルダ)
③ テナント料支払い
クライアント
AP
④ テナントライセンス
登録
暗号路
ネットワーク
・ロイヤリティ分配情報管理
テナント料による
収益の獲得が可能
① カード発行
卸流通
許諾など
電子透かし
埋め込み
卸流通
シーケンス
管理
⑤ 安全に
APダウンロード
② ダウンロード要求
卸要求
権利/流通 ・権利/流通情報管理
・卸流通許諾条件管理
情報管理
発行ID
カード発行不要!
⇒低コストでサービス
提供可能
流通業者(ISP)
権利管理サーバ
著作ID
流通
情報など
発行ID
流通管理サーバ
・処理シーケンス管理
・処理分散処理
いつでもどこでも
サービス追加が可能
蓄積
マルチアプリケーション
ICカード
テナント
カード利用者
アーカイブ
12
透かし要求
暗号化
要求
透かしサーバ
暗号化サーバ
透かし
暗号化
情報流通プラットフォーム技術
電子公証システム(Trust-CYNOS@APPF)
コンビ型超多目的ICカード
ネットワーク社会において、電子化した契約書などを用いて取引を
ICカードには、電気的な接点のある接触型ICカードと非接触ICカー
行う場合、盗聴、改ざん、なりすまし、事実否認という問題が発生する
ドの2種類があります。非接触ICカードは、使い勝手や保守性の観点で
危険性があります。電子文書のセキュアな通信を支えるのは暗号/署
は優れていますが、リーダライターから無線で電力を供給して動作さ
名技術ですが、これらは通信時のセキュリティ確保の技術であって、電
せるため、高機能な処理が難しいという問題がありました。研究所で
子文書の永続的な有効性を保証するものではありません。例えば、電
は従来より、接触型のICカードでの大容量、複数暗号・認証アルゴリズ
子署名に用いた鍵が無効化されると、
電子署名の正当性が確認できず、
ムに対応したコプロセッサを搭載した超多目的ICカードの開発を行い、
電子文書の有効性が失われてしまう可能性があります。そこで、安心し
ICカード上に多数のアプリケーションを搭載して多目的に応用させる
て電子的なやりとりを行うためには、信頼できる第三者機関が文書の
ことや、カード発行・配布後にダウンロードによるアプリケーションの
有効性や事実の証明を行う仕組みが必要となります。
追加が有効であることを確認してきました。
Trust-CYNOS@APPFは、第三者機関として事後の紛争などを未
そして今回、非接触のインタフェースでも動作するコンビ型の超多目
然に防ぐための機能を提供する基盤システムです。このシステムでは、
的スマートカードを開発しました。このカードは、1MBという大容量の
電子文書の存在を証明する存在証明サービス、利用者間のデータ送信
不揮発性メモリを持ち、データだけでなくOSやアプリケーションの書
を仲介しその送達を証明する到達証明サービス、電子文書の内容の正
き換えが可能です。また、専用の暗号・認証コプロセッサを搭載し、ア
当性を特定の第三者や合意者を介して確認し、証明する内容保証サー
プリケーションごとに異なる暗号方式の選択が可能で、高いセキュリ
ビスなどを提供することができます。そして証拠が必要なときには、電
ティを確保することができます。通信インタフェースは、国際標準
子証書という形で公証済みのデータを提示します。また、利用者が文
ISO7816、ISO14443タイプBのインタフェースに準拠した接触・非
書として扱いやすいように、公証データ間の関連付けやバージョン番
接触両方の通信で、
同じメモリエリアにアクセスが可能であるとともに、
号の付与などを行うことができます。このシステムでは、これらのサー
大容量のデータ入出力のために接触では76kbit/s、非接触では
ビスを提供するために、電子認証システムと連携したリアルタイムな本
424kbit/sまでの高速な伝送速度もサポートしています。また、カー
人確認、保管データへの厳密なアクセス制御、署名鍵の安全な管理な
ド内部のデータを不正に読み出そうとする行為に対しては、電気的・物
どを実現し、文書を安全に証拠能力を高めた状態で保管します。
理的・ソフト的な対策をとって、セキュリティを高めています。
研究所では、電子公証システムに求められる機能が、今後もますます
多様化していくものと考え、それに向けた拡充を行っていく予定です。
(情報流通プラットフォーム研究所)
今後は、他社カードやリーダライターとの相互運用性の評価・改良を
行うとともに、利用シーンを拡大させるために周辺機器の研究・開発
も進めていきます。
(生活環境研究所)
●コンビ型超多目的ICカードの特長
●電子公証システムの概要と利用イメージ
電子入札サービス
行政機関
企業
電子申請サービス
行政機関
大容量不揮発性メモリ
(フラッシュメモリ)
耐タンパ技術
・多目的アプリケーション
・大容量データ
・OS、暗号などライブラリ
・電気的不正解析への対策
・物理的不正解析への対策
・アプリケーション間ファイア
ウォール
アプリケーション、
OSの書き換え可能
コンビ型
超多目的IC カード
入札文書
申請受理
結果
到達証明
複数の暗号方式に対応
存在証明
申請書
電子認証
システム
(CA)
リアルタイムな
本人確認の
ための連携
データ
保管庫
高速署名装置
電子公証システム
(Trust-CYNOS@APPF)
高セキュリティ
利用者
高速IOによる
データ通信 ネットワーク
を介しての書き換え実現
・RSA*
・楕円曲線暗号
・ESIGN*
・
(DES*,T-DES)
・ISO 7816 準拠 9.6-76kbit/s
(接触)
・ISO14443準拠 106-424kbit/s
(非接触タイプB)
高性能暗号・認証
コプロセッサ
高速入出力インタフェース
* RSA: Rivest-Shamir-Adleman Scheme
* ESIGN: Efficient Digital Signature
* DES: Data Encryption Standard
13
柔構造情報交換場(eCo-Field)
インターネット時刻配送システム
従来の企業間の情報流通では、大企業によるEDI*1などの専用シス
認証ビジネスや電子商取引の普及とともに、インターネット上で簡
テムの構築が必要でした。インターネットの普及により、
Web-EDIなど、
単に利用できる正確で信頼性のある時刻が必要になっています。日本
中小企業も参入しやすくなりましたが、依然として取引相手先ごとに情
では、独立行政法人通信総合研究所様(CRL*1)が日本標準時を通報し
報の形式を変換するため大きなコストがかかっています。柔構造情報
ていますが、従来は、日本標準時をインターネット上に直接通報するこ
交換場eCo-Fieldは、文書情報流通の大部分を占めると思われる帳票
とは行っていませんでした。CRL様、株式会社インターネットイニシア
などの構造化文書に着目し、文書変換の自動化を図ります。
、インターネットマルチフィード株式会社様(MFEED*3)
ティブ様(IIJ*2)
帳票を電子化して情報流通を実現する場合、帳票データを構造化文
2
および当社の4社は、日本標準時をインターネット上に配送することを
書のデータ形式であるXML* で表現することが可能ですが、変換規則
目的に共同研究を行い、2001年4月10日より、日本標準時のイン
の作成には多大なコストがかかります。例えば、XML文書の変換定義
ターネット上への試行提供を開始しています。
として一般的なXSLT*3のような言語による変換規則の定義は、プログ
日本標準時のインターネット時刻配送システムは、原子時計に時刻
ラムの知識のないエンドユーザにとっては困難といえます。なぜなら、
サーバをじかに接続し、時刻配送プロトコルNTP*4を用いて時刻配送
帳票などの文書の流通では、元の帳票の値を新しい帳票に転記したり、
を行うStratum 1サーバと、Stratum 1サーバから時刻を受け取って
元の帳票のある項目の値ごとに帳票を分割して新しい帳票、例えば部
インターネット上の不特定多数のパソコンに時刻配送を行うStratum
品ごとの発注書を作成するなど、特有の変換が行われているからです。
2サーバ({ntp1, ntp2, ntp3}.jst.mfeed.ad.jp)
から構成されていま
eCo-Fieldでは、帳票などの構造化文書(XML)間の変換において、構
す。また、故障に対する信頼性および精度の向上のため、Stratum 1
成要素の対応関係に基づいて自動化することにより、エンドユーザで
サーバとして、CRL様の開発した時刻配信システムと当社の開発した
も簡単に変換規則を定義できるようにしました。この変換の自動化に
ISDN広域時計同期システムの2種類2台ずつのサーバを用意していま
より、2社間の電子帳票の流通を容易にするだけでなく、業界内、異業
す。さらに、Stratum 2サーバが配信する時刻の精度を監視するのに
種間の情報流通も可能な、電子帳票ベースのBtoB情報変換プラット
もISDN広域時計同期システムを利用しています。ISDN広域時計同期
フォームの構築を実現します。
システムにはサーバとクライアントの種類があり、サーバは原子時計に
eCo-Fieldは、NTTコミュニケーションズの繊維・アパレル業界向け
EC*4プラットフォームサービスApparelArcで利用されています。
(情報流通プラットフォーム研究所)
時刻を合わせ、クライアントはサーバに時刻を合わせる機能を持って
いて、どちらもISDN回線により供給される周波数を利用して時計の維
持を行います。測定した精度情報は、世界で初めてリアルタイムに
WWW(http://www.jst.mfeed.ne.jp/)
により公開しています。
*1
*2
*3
*4
EDI: Electronic Data Interchange
XML: eXtensible Markup Language
XSLT: XSL (eXtensible Stylesheet Language) Transformations
EC: Electronic Commerce
今後は、2002年3月まで日本標準時の提供実験を行い、時刻情報
配信・配送網の検証、運用・管理技術の評価、時刻情報の監視方法の確
立を行い、将来的には本格サービスとして提供していく予定です。
(情報流通プラットフォーム研究所)
*1
*2
*3
*4
CRL: Communications Research Laboratory
IIJ: Internet Initiative Japan Inc.
MFEED: Internet Multifeed Co.
NTP: Network Time Protocol
●インターネット時刻配送システム
CRL
原子時計(日本標準時)
1pps
周波数
●eCo-Field がサポートする変換パターン
【転記】
入力文書中の値を、
要素名(タ
グ名)
や構造の異なる出力
文書にコピーします
【統合・更新】
(複数の)
入力文書中の値を
用いて、出力文書の値を更
新します
転 記
入力
文書
更新元
文書
更新先
文書
【選択】
文書の中から条件を満たす
部分のみを抽出します
入力
文書
統合・更新
14
入力
文書
NTT開発
Stratum 1
サーバ
出力
文書
変 換 ルール
MFEED
64K専用線
出力
文書
選 択
Stratum 2
サーバ
出力
文書
情報公開
サーバ
変 換 ルール
同値分割
変 換 ルール
出力
文書
出力
文書
出力
文書
ISDN通信網
精度監視
パソコン
変 換 ルール
【同値分割】
入力文書に含まれる値の同
値関係に基づいて、複数の
出力文書を作成します
CRL開発
Stratum 1
サーバ
インターネット
情報流通プラットフォーム技術
映像に索引を付けて管理する
映像アーカイビングシステム(SceneCabinet)
ハミングによる楽曲検索システム
(SoundCompass)
ブロードバンド時代を間近に控え、ネットワークでの映像利用が盛ん
当社では、マルチメディア情報をその情報に付与されたタイトルなど
になってきています。映像の量が増えてくると、映像の内容が分からな
のテキスト情報ではなく、マルチメディア情報そのものの特徴で検索す
い、見たい場面がなかなか検索できないという問題が深刻になります。
る内容検索技術の研究開発を進めています。SoundCompassは、音
この問題を解決するために、研究所では映像にインデックス(索引)を
楽情報の内容検索を実現したものであり、曲のタイトルや歌手の名前
付けて、見たい場面を簡単に見つけられるように映像を構造化して管
を思い出せなくても、メロディーの一部さえ印象に残っていれば、その
理する、映像アーカイビングシステムSceneCabinet(シーンキャビ
メロディーをハミングするだけで所望の曲を探し出すことができます。
ネット)
を開発しました。
このシステムでは、楽曲をデータベースに登録する際、スライディン
SceneCabinetは、映像からカット、テロップ、カメラの動き、音楽、
グウィンドウ方式により1つの曲を100∼150の音楽片に自動分割
人の声といった豊富なインデックスを、映像処理技術により高い精度
し、音楽片単位にインデックス情報を生成します。楽曲と利用者のハ
で検出し、映像カタログを自動的に生成します。この映像カタログを
ミングを音楽片単位でマッチングできるようにすることで、利用者が曲
見れば、映像を最初から見ていなくても概要を簡単に把握できます。
のどの部分をハミングしてもきちんと検索できる機能を実現していま
また、カメラを動かしながら撮影したシーンから1枚のパノラマ画像を
す。また、利用者のハミングと元のメロディーの音符列そのものを比
合成する技術を使うことで、1画面に収まりきらない広大な風景を効果
較するのではなく、音楽片に含まれる音の分布などを数値化した特徴
的に再 現できます。パノラマ画 像が入った映 像カタログはScene -
量を比較する方式を採用することで、男声/女声を問わず、ハミングが
Cabinet独自のもので、プロの映像制作者からも高く評価されています。
原曲のメロディーから多少ずれていても、確実に所望の曲を検索でき
さらに大量の映像データを一元管理し、見たいシーンをすばやく検
るようにしました。さらに、同じ曲を違うテンポでハミングした場合に
索する仕組みも実現しています。この仕組みを使うと、ビデオデッキで
も対応できるようにするため、音楽片から抽出する特徴量の時間的な
テープをいちいち再生して見なくても、Webブラウザで映像カタログ
正規化を図っています。多次元空間インデックスを内蔵した検索エン
を閲覧したり、映像資料を気軽にキーワード検索することができます。
ジンを利用して、高速な検索を可能とし、約18,000曲の楽曲データ
映像アーカイブの構築には時間がかかるものですが、SceneCabinet
ベースから利用者のハミングに類似した曲名リストを検索する処理を
では関連情報を付与、一覧、分析するツール群を提供することで効率
1秒以内で実行できます。
化を図っています。東京大学総合研究博物館様および国立歴史民俗博
カラオケで歌いたい曲を探したり、CMで流れた曲をCD販売店で探
物館様との共同実験などを通じて、数百時間もの映像を短期間でアー
すといった楽曲検索サービスへの適用のほか、著作権保護システムに
カイブ化できることを実証しました。
おける登録楽曲との類似性判定などへの広範囲な応用が期待されて
SceneCabinetは、博物館、映像制作会社など大量の映像を保有し
ている機関で使えるだけでなく、企業内の映像共有や、企業内研修と
います。すでに商用のカラオケサービスへ導入されており、歌いたい
曲をハミングで探して予約する機能を実現しています。
(サイバースペース研究所)
いった幅広い用途にも応用できます。
(サイバーソリューション研究所)
●映像アーカイビングシステムSceneCabinetの構成
インデックス
(索引)作成
全景を写し出すパノラマ画像
カット点、
テロップ、
カメラ操作、音楽、
人の声を自動検出
パノラマ画像が入った
映像カタログを自動生成
●SoundCompassのシステム構成
音楽データ
(MIDI形式)
GUI* / MIDI* インターネット
変換部
映像解析
登録
検索
検索・一覧
DBサーバ
曲の特徴で
自動索引
Webブラウザによる
キーワード検索と再生
ハミング
特徴量抽出
Webサーバ
映像
楽曲
DB
曲の特徴で検索
検索サーバ
映像配信サーバ
ストリーミング再生
映像アーカイブの管理
検索エンジン
カラオケ機器
検索エンジン部
* GUI : Graphic User Interface
* MIDI: Musical Instrument Digital Interface
15
インテリジェント・パーキング・システム
IP-VPN用トラヒック管理システム(SFS)
ITS*1は最先端の情報通信技術などを活用して、新しい道路交通運輸
昨今、IP-VPN*1に対する需要が高まってきています。通信事業者と
サービスを実現するシステムです。これは、人・道路・車両を一体のシ
して、IP-VPNをサービスするには、企業ユーザごとにトラヒック状況
ステムとして構築し、安全性、輸送効率、快適性の飛躍的向上を目指す
を管理する必要があります。さらに、
他の通信事業者と差異化するため、
もので、国家レベルでの取り組みが行われています。研究所では、早期
各企業ユーザへの定期的なトラヒック、品質の報告や、各企業のネット
に適用可能な領域として、既存ネットワークを活用した民需主体のITS
ワーク管理者がWebを通じてそれらの情報を見ることができるシステ
ビジネスを提案しています。その一つとして、駐車場ビジネスに適応す
ムが求められており、今後、より重要なものとなっていくと思われます。
る予約管理方式と駐車場予約の認証機構を中心に、インテリジェント・
2
このような要求にこたえるために、研究所ではサービスフロント
を試作し、実証実験を行い、成果提供を
パーキング・システム(IPS* )
を開発しました。SFSでは、ネットワークのさまざまな
サーバ(SFS*2)
行いました。
管理形態を考慮し、管理権限、アクセス権限を細かく設定することが可
IPSはインターネットを用い、パソコンやiモード端末などから駐車場
能です。通信事業者が管理する場合、企業ユーザが自社のネットワーク
予約サーバに予約を行い、ネットワークを通して課金を行います。予約
を管理する場合、企業ユーザが企業グループ全体を管理する場合など、
者は、駐車場で、電波タグによる入庫、入庫装置につけているテンキー
それぞれの状況に応じて、セキュリティ上の問題が生じないような構造
から暗証番号の入力、予約時に用いたICカードなどの認証によって入
になっています。
庫できるようになります。なお、iモード予約時には、発番号を用いて認
証を行っています。
SFSには、ネットワークの状況を毎月報告する自動レポート機能が
あります。①回線ごとに当月、予測月に対してトラヒック量、スループッ
予約マスの確保方法については、予約時から確保する方式と入出庫時
ト、パケット数を総合評価する機能、②それらの平均、最大、最小値を
間それぞれを指定して確保する方式の両方式を採用しています。また、
表示する機能、③要注意回線をリストアップし、異常発生日を表示する
一般車と予約車を共存的に管理しているため、
効率的な運用が可能です。
機能、④異常発生日のトラヒック量の時間変動グラフを表示する機能、
(サービスインテグレーション基盤研究所)
⑤各回線のトラヒック変動と予測、
トレンド成分のグラフを表示する機
能、を備えています。また定期レポートのほかに、逐次レポート機能も
*1 ITS: Intelligent Transport Systems
*2 IPS: Intelligent Parking Systems
あり、
トラヒック量、スループット、パケット数について日別変動、時間
変動、需要予測のグラフ表示がいつでも可能です。
SFSは、
トラヒック管理面以外にも営業用ツールとしての活用も見込
まれ、他社との差異化ツールとしての利用が期待されています。
(サービスインテグレーション基盤研究所)
*1 IP-VPN: Internet Protocol-Virtual Private Network
*2 SFS: Service Front Server
●実証実験風景
●インテリジェント・パーキング・システムの構成
利用者
①予約・予約料支払い
●月次レポート画面イメージ
予約センター
サーバ
インターネット
パソコン
iモード
携帯電話
携帯電話網
店舗
プライベート
ネットワーク
②入庫認証
④決済
入庫装置
出庫装置
駐車場
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③買い物に応じて
割引情報発行
情報流通プラットフォーム技術
データセンターでの
分散アプリケーション管理ツール(eASSIST)
市民参加型環境情報ネットワーク
電子商取引に代表されるeビジネス分野のサービスをお客さまに快
社会という集団の中では、個人の利益の追求が社会全体の利益に反
適にご利用いただくためには、魅力的かつ便利なサービスメニューを
してしまうという
「社会的ジレンマ」が発生することがあります。近年の
タイムリーに提供することに加え、応答時間などのサービス品質を良
環境問題は、産業公害という局所的なものから、地球規模の空間的広
好に保つことが重要です。
がりと、長期にわたり継続する時間的広がりを持つものに変化してい
研究所では、eビジネスアプリケーションを支える中核技術である
ます。その多くが、個人の日常生活のあり方に起因する社会的ジレン
WWW、Servlet、EJB*1などを用いて構築されたアプリケーションに
マの状態となっています。このジレンマを解決するためには、人々が相
おいて、そのアプリケーションを構成する個々の構成要素(コンポー
互理解を深め、ときには個人の利益追求を抑えてでも、社会利益のた
ネント)の品質を測定評価して、品質のボトルネックとなっている部分
めの相互協力を行うことが必要です。しかし、現在の環境問題は、時間
を特定したり、異常発生時にあらかじめ指定された対処手続きを自動
的にも空間的にも広範な問題であるため、個人の貢献を実感すること
実行したりするための、アプリケーション試験・運用管理システムを
は非常に困難でした。
開発しました。
情報通信技術は、このような問題を解決するための有効な手段です。
このシステムを用いることで、企業システムやデータセンターにお
研究所では、市民一人ひとりの生活環境分野に対する関心を高め、具
いて、今までの監視方法の中心であったCPU*2やメモリなどのハード
体的な行動に結び付けるための市民参加型環境情報ネットワークの研
ウェアリソース使用率監視や、実行中のプログラムであるプロセスの
究を、滋賀県様との共同プロジェクトの中で開始しました。
状態監視などの機能はもちろんのこと、アプリケーションレベルでの
このネットワークでは、
現状を把握し、
それを基に施策の立案を行い、
コンポーネントまで含めた品質評価をリアルタイムで行うことができ
行動を実践するというループを作ることを基本とし、ここに、市民、行
ます。そのため、サービス品質が劣化したときに迅速かつ正確にボト
政、企業、専門家などが積極的に関与する仕組みを作ります。そのため
ルネック部分を特定し、復旧のための対処手段をとることが可能とな
に、地理情報システムなどを中心として、情報の収集、共有、発信など
ります。このシステムを活用したビジネス展開の例として、アプリ
を行うためのネットワークを構築していきます。
ケーション品質監視・運用管理アウトソーシングやアプリケーション
開発(システムインテグレーション業務)支援などが挙げられます。
現在、市民による環境情報収集のための電子野帳システムや、市民
活動の情報交流を目的としたボランティアコーディネーションシステム
今後は、監視対象技術の拡大を図るとともに、レポーティングや自
など、市民参加のためのシステムを構築し、運用を開始しています。ま
動運用制御などの機能を強化し、開発時(試験時)から運用時まで
た、これらのシステムを利用し、生き物マップ作りなどの環境教育支援
シームレスに適用できる品質評価システムを実現する予定です。
や、市民活動における環境調査支援などの社会実験を行っています。
(情報流通プラットフォーム研究所)
(生活環境研究所)
*1 EJB: Enterprise JavaBeans
*2 CPU: Central Processing Unit
●市民参加型環境情報ネットワークの概要
現状把握
GIS-DB
●分散アプリケーション試験・運用管理ツール
データセンター
市民参加型環境情報
収集ネットワーク
住民の収集情報
運用管理者
施策立案
議論
・意見の出し方
・意見の記録
・意見の集約
・シミュレーションによる評価
・議論結果の体系的表示
環境専門家ネットワーク
分散アプリケーション試験・運用管理ツール
活動目標の共有化
GUI部/補助ツール部
試験実行部 運用管理部
復旧
リサイクル情報ネットワーク
ゴミ対策ネットワーク
監視部/品質データ取得部
〈行動〉
コンポーネント監視
(監視GUIの一例)
監視/品質データ収集
環境教育ネットワーク
教育者ネットワーク
具体的な対策、
市民活動に反映
コンポーネント
B
A
アプリケーション
WWWサーバ
プロセス
F
D
C
E
APサーバ
プロセス
APサーバ
プロセス
しきい値
測定値
環境診断ネットワーク
地域連携形情報ネットワーク
DBサーバ
プロセス
異
常
発
生
頻
度
ボトルネック
A B C D E
品質ボトルネック特定
環境センシングネットワーク
ボランティアコーディネーション
ネットワーク
市民双方向コミュニケーション
ネットワーク
NPO連携ネットワーク
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