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日本語版 [PDF : 536KB]
アドバイザリノート
ニッケルと携帯電話
ニッケル スチュワードシップ
ニッケルは、携帯電話を効果的に操作するために必要不可欠です。ニッケルは、マイ
クの振動板、電気配線、
コンデンサの中で使用され、携帯電話に使用される電池の
化学的性質の大小の要素となります。
また、携帯電話の利用者を電磁波から保護し
たり、電波障害から機器を保護したりするためにも使用できます。
ニッケルは、その美しさを利用したり、流行や多くのスタイルから選びたいという要
望に応えたりするために、携帯電話の表面に使用されることがあります。
元々ニッケルの皮膚アレルギーを持っている人の(頬、耳、手等の)皮膚に、ニッケルで
めっき加工された携帯電話の表面が長時間触れるとアレルギーが再発すると時折報
告されています。
このアドバイザリノートは、携帯電話のメーカーと消費者に対し、ニッケル接触皮膚炎
のリスクを最小化する方法についてのアドバイスを提供することを目的としています。
リスク評価
ニッケルアレルギーを元々持っている人には、ニッケ
ルアレルギー性接触皮膚炎のリスクがあります。
ニッケ
ルでめっき加工された携帯電話の表面が長時間皮膚
に触れると、
このリスクが生じます。
なお、EUニッケル指
令[94/27/EC改訂]には、
「長時間」の定義はありませ
ん。実際にアレルギー反応を引き起こすのに要する時
間は、個人のアレルギーに対する感受性によって異な
るため、5分~10分で反応が出たり、
あるいは全く反応
が出なかったりします。
ニッケルアレルギー性接触皮膚炎に関するリスクの評
価と管理にあたり、考慮すべき重要な要素が2つありま
す。1つは、物質の表面が汗と触れたときにニッケルを
溶出させる能力と速度、
もう1つは、皮膚とどのように接
触しているかです。
そのためリスクの大きさは、製品の
使用パターン、(高温多湿等の)携帯電話の使用環境、
ニッケル皮膚炎に対する個人の感受性など様々な要
因で変わってきます。
www.nickelinstitute.org
2009年6月改訂
このため、ニッケル含有製品の使用は、ニッケルの量
ではなくニッケルの溶出レベルや暴露時間と特性の
評価に基づいて制限する必要があります。
携帯電話の部品にニッケルが含まれていても、携帯電
話の操作中に直接皮膚に触れないものであれば、そ
れによってリスクが生じることはありません。
推奨事項
設計者及びメーカーの方へ:
携帯電話を設計または製造する際は、
「長時間直接
皮膚に接触することになる (EUニッケル指令[94/27/
EC]からの抜粋)」用途に使用される場合のニッケルア
レルギーの可能性についてご留意ください。
様々なデザインや、ニッケルの使用を長時間直接皮
膚に触れることのない外装部分に限るよう表面材の
選択を検討してください。磨耗に対し十分耐性を持つ
生物由来の物質でできた透明のコーティングの使用
も可能です。
アドバイザリノート
ニッケルと携帯電話
(つづき)
消費者の方へ:
ニッケルアレルギーがある方で、
アレルギー反応の経
験がある場合は、原因と考えられる表面をバリアで覆
ってください。
これには、透明のマニキュアが一般的に
使われています。
この方法で上手くいかない場合は、
携帯電話の変更を考える必要があるかもしれません。
業界との協力のもと、ニッケルアレルギー性接触皮膚
炎について様々な研究や専門家による評価が多数
行われました。最近では、ニッケルの美観をそのまま
に、EUニッケル指令のニッケル溶出基準を満たすよう
な新たなニッケルの表面配合組成についての研究等
があります。
ニッケルアレルギーの方が携帯電話を購入する場合
は、皮膚と接触する携帯電話の表面にニッケルが使
用されているかどうか確認してください。携帯電話に
起因するアレルギー反応は一般的ではないため、問
題が生じる可能性は低いと考えられます。
アレルギー
の不安がある、
あるいはニッケルに強いアレルギーが
あることがわかっている場合は、別の携帯電話の購入
を検討したほうがよいかもしれません。
ニッケル 協 会は、ニッケル 指 令を履 行するための
CEN(欧州標準化委員会)の標準化作業に参加してい
ます。Nickel Dermal Advisory Panel (NDAP)は、皮膚
の研究や臨床に関してニッケル協会にアドバイスを
行う皮膚科専門医の国際団体です。
メーカー及び消
費者の方々は、
これらの活動結果をニッケル協会から
直接入手するか、
あるいは専門家によって評価された
文献から入手できます。
ニッケルアレルギーのない方で携帯電話を購入する ニッケル協会は、あらゆる個人、産業界、皮膚科学会、
あるい
場合は、携帯電話との接触によってニッケルアレルギ 政府機関と連携し、知識の向上や業務の改善、
ーとなるような報告はありません。それでもニッケル は消費者への周知に努めます。ニッケル協会は、一般
に暴露することに不安がある場合は、別の携帯電話 製品から多量のニッケルが溶出して長時間直接皮膚
と接触しないように、EUの規制に類似する規制の使
の購入を検討したほうがよいかもしれません。
用を後押ししています。
この件等に関する消費者の方への注意点は、当協会
のウェブサイト(www.nickelinstitute.org)でもご覧い
ただけます。
ニッケル協会の行動指針
ニッケル協会は、ニッケル スチュワードシップ プ
ログラムの一環として、Mobile Manufacturers Forum
(無線通信機器製造業者フォーラム)等の関連団体と
共に、ニッケルアレルギー性接触皮膚炎に関する情
報の周知に積極的に取り組んでいます。
役立つ参考情報
(ニッケル協会が後援した)包括的な医学評価につい
ては、“Nickel and the Skin: Absorption, Immunology,
Epidemiology, and Metallurgy (ニッケルと皮膚:吸収
作用、免疫学、疫学、冶金学)”, Hotynek & Maibach, CRC
Press, 2002, ISBN 0-8493-1072-5をご参照ください。
接触性皮膚炎に関する詳細情報は、当協会ウェブサイト
(www.nickelinstitute.org)に掲載される"Nickel Allergic
Contact Dermatitis - Statement of Position of the
Member Companies of the Nickel Institute(ニッケル
アレルギー性接触皮膚炎-ニッケル協会加入企業の意
見書)"及び "Nickel Allergic Contact Dermatitis – Basic
Science Paper(ニッケルアレルギー性接触皮膚炎-基
礎科学論文)"でご覧いただけます。
ニッケルめっき加工され
た携帯電話によって、元々
の皮膚アレルギーが再発
したという報告が時折あ
ります
www.nickelinstitute.org
2009年6月改訂
携帯電話を製造する際のニッケル使用に関するご質問
やお問い合せは、Peter Cutler (pcutler@nickelinstitute.
org)に直接お送りください。
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