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中国第11次5ヵ年計画の研究

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中国第11次5ヵ年計画の研究
韓俊
国務院発展研究センター農村部部長
蔡
中国社会科学院人口・労働経済研究所所長
樊綱
中国改革基金会国民経済研究所所長
樊傑
中国科学院地理研究所研究員
4.中国共産党中央委員会第5回全体会議における党中央建議
2005 年 10 月 8 日から開催された中国共産党第 16 期中央委員会第 5 回全体会議は、11
日「第 11 次 5 ヵ年計画(原文では「規画」)制定に関する中国共産党中央建議」
(以下「建
議」)を採択し、閉幕した。この全文は 10 月 18 日に公表され、翌 19 日には温家宝総理が
8 日に行った「第 11 次 5 ヵ年計画制定に関する建議の説明」
(以下「説明」)も公表されて
いる。また、馬凱国家発展・改革委員会主任が人民日報 2005 年 10 月 21 日に、王夢奎国務
院発展研究センター主任が中国経済時報同 10 月 24 日に、曾培炎副総理が人民日報同 10 月
31 日にそれぞれ解説論文(以下「馬論文」「王論文」「曾論文」)を発表している。
「建議」が政策の羅列であるのに対し、
「説明」は新 5 ヵ年計画の特色を要領よく説明し
ているので、本章では「説明」を軸に解説し、必要に応じ「建議」「馬論文」「曾論文」そ
の他の資料を補っていくこととしたい。
4.1 第 10 次 5 ヵ年計画期間における経済社会の発展状況と直面する情勢について
4.1.1 第 10 次 5 ヵ年計画の成果
国家統計局の当時の推計では、2005 年の GDP は 15 兆元を超え、5 年間の平均成長率は
8.8%になると予想されていた。第 10 次 5 ヵ年計画における年平均成長率目標は 7%であり、
これによれば 2005 年時点の GDP 目標は 12.5 兆元、1 人平均 GDP は 9400 元であった。
これに対し、2004 年の GDP は 13.69 兆元(のちに 15.98 兆元に改定)、1 人平均 GDP は 1
万元を突破しており、第 10 次 5 ヵ年計画の GDP 目標は前倒しで達成されたことは明白で
あった(新華社北京電 2005 年 10 月 19 日)。
「説明」は、この 5 年間の成果として、特に重要なことは「わが党の経済社会発展に対
する規律の認識が新たに飛躍し、人間本位で、全面的で調和のとれた、持続可能な科学的
発展観と社会主義の調和のとれた社会の建設という重大思想が提起されたことである」と
し、「これは、小康社会の全面的建設と現代化事業全体に対し全局的・長期的な指導の役割
を担うものである」とする。第 10 次 5 ヵ年計画期間(2001−2005)は、江沢民−朱鎔基
指導部時代(2001−2002)と胡錦涛−温家宝指導部時代(2003−2005)に大まかに 2 分さ
れるが、温総理は計画の最大の成果を 2003 年以降新指導部が打ち出した「科学的発展観」
と「社会主義の調和のとれた社会」であるとしているのである(「馬論文」はこれを「重大
戦略思想」と、「王論文」は「第 16 回党大会以降提起された二大戦略思想」と表現してい
34
る)。これは、党が既にポスト江沢民時代に入っていることを明らかにしたものといえよう。
4.1.2 直面する問題
国際面では、石油価格の高止まり、国際競争の激化、保護貿易主義の高まりを挙げるが、
国内面では「わが国は現在なお、かつ長期にわたり社会主義初級段階にある」とし、具体
的に次の問題点を指摘している。
(1)生産力が未発達で、都市・農村・地域の発展が不均衡である。
(2)自主革新能力が強くなく、経済構造の不合理と粗放型の成長方式が未だ根本的に改
められておらず、資源・環境・就業のプレッシャーが強まっている。
「王論文」は、
「土地・淡水・エネルギー・鉱産資源・環境がわが国経済の発展にとって、
既に厳重な制約を構成している」と指摘する。
(3)所得分配における矛盾が際立っており、大衆の切実な利益に関わる少なからぬ問題
が未解決となっている。
(4)特に、経済社会の発展を制約する体制メカニズムの問題がなお比較的多い。
なお「王論文」は、中国が直面する社会問題として、次の諸点を指摘する。
(1)経済体制改革が社会利益の関係に重大な変化をもたらした。
(2)各種の所有制経済の発展と市場競争が、所得格差を拡大し、社会分化をもたらした。
(3)二元経済構造への変化が大規模な人口流動をもたらした。
(4)社会保障、医療衛生、科学技術、教育、文化、環境保護等の社会事業の発展と社会
建設が経済発展に落伍している。
(5)基本的な衣食の問題を解決した後、大衆の社会需要が高度・多様化している。
(6)対外開放が様々な影響を及ぼし、各種の社会思潮が激動している。
そして「王論文」は、「もし社会・経済の発展が不均衡であれば、社会の矛盾は激化し、
発展は挫折し、甚だしきは動乱・後退が生じる」と警告している。
4.2 第 11 次 5 ヵ年計画に関する指導思想・発展目標
4.2.1 科学的発展観
の「発展は絶対の道理」を引用しつつも、
「発展は科学的な発展でなければならず、
人間本位を堅持し、発展の観念を転換し、発展モデルを刷新し、発展の質を高め、『5つの
統一的企画』
(都市と農村の発展、各地域の発展、経済と社会の発展、人と自然の調和ある
発展、国内の発展と対外開放を統一的に企画する)を実施し、経済社会の発展を全面的に
協調した持続可能な発展軌道に乗せていかなければならない」とする。
「説明」で温総理は「科学的発展観により経済社会の発展の全局を統率することを堅持
することは、今回の『建議』の最も鮮明な特色である」とし、科学的発展観は「社会主義
現代化建設に対する指導思想の重大発展」であるとする(「曾論文」は、「科学的発展観は
発展を指導する世界観・方法論の集中体現である」と述べている)。この時点で既に科学的
35
発展観は
理論・「3 つの代表」重要思想と並ぶ重要指導思想となりつつあった。
また第 11 次 5 ヵ年計画期間は「6 つの必須」を堅持しなければならないとする。具体的
には、
(1)経済の平穏で速い発展を保持すること
これは重大原則であるとする。「説明」は経済成長の質・効率を高めることと、資源の節
約と環境保護を重視しなければならないとしているが、その理由として「もし成長の質と
効率を軽視し、資源の浪費と環境破壊を惜しまず、一時的な高成長を片面的に追及し、固
定資産投資規模を盲目的に拡大するならば、このような経済発展は持続不可能であり、大
幅な上昇・下降を引き起こすことは必至である」とする。「曾論文」も、「マクロ経済の管
理水準を高め、経済の大きな上下動の出現をしっかり防止し、快速で良好な発展の実現に
努めなければならない」とする。
これまでの5ヵ年計画では、マクロ経済政策について引き締め、積極(拡張)といった
一定方向が示されることが多かったが、現実には計画期間中に経済が反転してしまうこと
が多く(例えば第 9 次 5 ヵ年計画期間はインフレからデフレへ、第 10 次 5 ヵ年計画期間は
デフレから過熱に経済動向が変化した)、5 ヵ年計画でマクロ経済政策を一定方向にしばる
ことにより、むしろ経済の振幅を増幅させてしまう傾向があった。
しかし今回の計画では、経済の安定的発展に重点が置かれている。これは当時中国経済
の先行きについて、インフレに向かうのかデフレに向かうのか内部でも論争があり、5 年間
のマクロ経済政策を拘束する危険を避けたとも考えられる。
また、経済構造の戦略的調整はしっかり把握すべき主線であるとし、「産業構造のレベル
が低く、都市・農村・各地域の発展が調和を欠き、投資・消費の関係がアンバランスであ
ることが、経済全体の素質・効率が高くなく、経済社会の発展に多くの矛盾が存在するこ
との重要原因である」と指摘する。
(2)経済成長方式の転換を加速すること
これはカギとなる問題であるとする。「説明」は「長期以来、わが国の経済発展は過度に
投資規模の拡大と物質投入の増加に依存してきた。このような粗放型の経済成長方式は、
資源・環境との矛盾を益々先鋭化し、既にこれ以上継続できなくなっている。経済成長方
式を根本的に転換しなければならず、これについては強烈な緊迫感を持たなければならな
い」と強調している。このため、資源利用効率を高め、物質の消耗を減らし、生態環境を
保護することに力を入れ、節約型でクリーン・安全な発展を堅持し、持続可能な発展を実
現しなければならないとされるのである。
(3)自主的な創造・革新能力を高めること
(4)都市・農村・地域の協調発展を促進すること
(5)調和のとれた社会の建設を強化すること
(6)改革開放を不断に深化させること
であるが、これは「科学発展観を全面的に貫徹実施するという基本要求を体現したもので
36
あり、相互に関連し、相互に促進するもの」であるとする。
4.2.2 人民生活の向上
「全国人民の生活水準を不断に向上させることは、実現を堅持しなければならない根本
目的であり、人間本位で民のために執政を行うのがわが党の宗旨の本質的要求である」と
する。このため、都市・農村住民の収入を不断に増加させ、消費領域を拡張し、消費構造
を高度化し、消費水準と生活の質を高め、人民大衆の切実な利益に関わる際立った問題の
解決に力を入れることにより、全人民に改革発展の成果を享受させ、更にゆとりのある小
康生活を送らせることが強調されている。現指導部の「親民政策」がここで再確認されて
いる。
4.2.3 経済社会発展の主要目標
「説明」は2つの重要目標を掲げている。
(1)構造の高度化、効率の向上、消耗の減少を基礎としたうえで、2010 年の 1 人平均
GDP を 2000 年の 2 倍にする。
「これは中央が以前に提起した 10 年で GDP を倍にするという要求よりもやや高い」こ
とは「説明」も認めているが、第 10 次 5 ヵ年計画期間の経済発展状況と今後 5 年の発展に
ついての各方面の条件から提起したものであり、この目標は積極かつ妥当である、とする。
「馬論文」によれば、第 10 次 5 ヵ年計画で年平均 8.8%の成長率が達成される見込みの
ため、2010 年の GDP を 2000 年の倍にするためには第 11 次 5 ヵ年計画期間の年平均成長
は 5.7%前後でよいことになる。しかしこの目標は低すぎ、わが国の経済発展の実際にも合
っていないので、建議では 1 人当たり GDP 倍増という更に高い目標を提起したと説明して
いる。
また馬主任は、人口増の要素も考慮すると、年平均 7.5%前後の成長をすればこの目標は
達成でき、実現可能なものであり、また単純に成長速度を追求する傾向を回避することが
できるとしている。ちなみに、人口資源環境委員会の李偉雄副主任は、現在中国は毎年人
口が 800 万人純増しているが、短期間内に人口の急増問題を根本的に解決することは困難
だとしている(人民網 2005 年 10 月 18 日)。
(2)第 11 次 5 ヵ年計画末時点において、GDP 単位当たりのエネルギー消費を第 10 次 5
ヵ年計画末時点よりも 20%前後引き下げる。
これは、資源節約型・環境友好型社会を建設し、持続可能な発展を実現するという要求
を際立たせて体現したものであるとし、各方面にエネルギー節約と資源利用効率向上の大
きな余地があるので、努力によりこの目標は実現可能であるとする。「馬論文」は、「これ
は第 11 次 5 ヵ年計画期間の年平均エネルギー節約率が 4.4%前後でなければならないこと
を意味する」としている。そして、投入方面で拘束性の強いエネルギー目標を提起したこ
とは、「党中央が歴代制定してきた国民経済・社会発展計画建議中初めてのことである」と
37
強調する。
なお、国家発展・改革委のエネルギー研究所の戴彦徳副所長は、第 11 次 5 ヵ年計画期間
に 2.4 億トン標準炭相当のエネルギー節約を実現することを表明している(中国財経報 2005
年 10 月 25 日)。
4.3 第 11 次 5 ヵ年計画期間の重要任務に関して
4.3.1 社会主義新農村の建設
第 11 次 5 ヵ年計画期間において、
「三農」
(農業・農村・農民)問題をうまく解決するこ
とは、依然全党活動の重点中の重点であるとする。この「社会主義新農村の建設」は今回
始めて提起された新しいスローガンであるが、これを提起するに当たり「説明」は次の 2
点を考慮したとする。
(a)小康の全面建設という目標の難点とカギは農村にある。
(b)わが国の農村の発展・改革は既に新しい段階に入った。
「都市・農村の発展を統一的に企画するという要求に基づき、工業が農業の恩に報い、
都市が農村を支援するという方針を貫徹し、各方面の農村発展に対する支援を強化しなけ
ればならない」とする。
「説明」は社会主義新農村建設は困難で長期の任務であると指摘したうえで、重点施策
として、次の 4 点を挙げている。
(1)現代農業建設を推進する
農業の総合生産力を向上させる。
(2)農村の税・費用改革を重点とした総合改革を全面的に深化させる
郷鎮機構、農村義務教育、県郷の財政体制、農村金融、土地徴用制度等の改革推進を加
速する。
(3)農村公共事業の発展に力を入れる
農村の 9 年義務教育を普及・強化し、農村公共衛生・基本医療サービスの体系建設を強
化する。
(4)あらゆる手段を尽くして農民の収入を増加させる
農民の増収ルートを広げ、県域経済の発展に力を入れ、余剰労働力の非農業・都市への
秩序だった移転を誘導する。
なお、社会科学院農村研究所の党国英研究員は、「社会主義新農村建設は、今回の会議の
新表現である」としたうえで、「しかし、農村を都市のクロ―ン版にするという政策の誤解
を防止しなければならない。我々は都市化により農村を発展させなければならない」と指
摘する。農業部農村経済研究センターの宋洪遠副主任も「ただ農村の発展を考慮するので
はなく、都市・農村を結合させ、農村の発展を都市・農村の協調発展という高みにおいて
考慮しなければならない」としている(新京報 2005 年 10 月 19 日)。
38
4.3.2 経済構造調整と経済成長方式の転換の推進
重点としては、次の 3 項目を挙げている。
(1)新しい工業化の道を進み、産業構造の高度化を加速する
情報化促進、ハイテク産業・先進製造業・現代サービス業の発展、基礎産業・インフラ
建設強化に力点が置かれている。
(2)規模の経済を発展させ、規模の利益を実現する
業種・地域・所有制の限界を打破するとともに、低水準の重複生産・建設を避ける。
(3)資源節約型・環境友好型の社会建設を加速する
ここでは、
「中国の工業化・都市化の推進に伴い、資源・環境の制約が大きくなり、人民
大衆の生活・環境の質への要求も更に高まる。資源・環境の保護は難度が大きいが解決し
なければならない重大課題である」と強調している。「建議」では資源節約については、エ
ネルギー・水を節約した産品、環境保全型自動車、エネルギー・土地を節約した建築の生
産・使用を奨励し、また環境については、特に飲用の水源の保護の重要性について言及し
ている。
4.3.3 地域の協調発展の促進
次の 3 方面に重点を置き、地域発展戦略を実施するとしている。
(1)地域が協調し、相互に連動するメカニズムを健全化する
国家は引き続き経済政策・資金投入・産業発展等の方面で、中西部を支援し、革命旧地
区、民族地域、辺境地域、貧困地域の経済社会発展を加速する。「建議」では「海洋資源の
開発・保護、海洋経済の積極的発展」にも言及している。
(2)異なる地域の機能を明確に定める
各地域の人口・資源・環境の受容能力・発展潜在力に基づき、優先開発・重点開発・開
発制限・開発禁止を実行する。
(3)都市化の健全な発展を促進する
順序立てて漸進的に、土地を節約し、集約的に発展させ、合理的に配置するという原則
に基づき、積極かつ穏当に都市化を推進する。メガロポリスの集積効果の発揮を重視する。
この点につき「建議」は、具体的に珠江デルタ・長江デルタ・環渤海地域を挙げ、地域
内の都市の分業・協同と優位性を互いに補うことにより、メガロポリスの全体としての競
争力を増強すべきとしている。「曾論文」も、建議は「異なる地域の機能を定め」「地域間
の相互に影響して動くメカニズムを確立する」という2つの重点を際立って強調している、
と指摘する。
また建議では、戸籍・流動人口の管理方法の整備、地域計画・都市計画・土地利用計画
の統一的企画の必要性にも言及している。
4.3.4 自主的な創造・革新能力を増強し、科学技術教育の発展を加速する
39
「最も重要なことは自主的な創造・革新(イノベーション)能力を高めることである」
とする。「曾論文」も「わが国は自主的な・創造革新に頼らなければ高成長ができない新た
な段階に既に入っている。真の核心技術は買うことはできない」と指摘する。このため、
説明では5つの重点施策を挙げている。
(1)企業を主体とし、市場に導かれた産学研が相結合する技術革新メカニズムを早急に
確立する。
(2)技術革新の市場環境(創業リスク投資、技術移転等仲介サービス)を改善する。
(3)自主的な・創造革新を支援する財政・税制・金融・政府購入等の政策を実行する。
(4)グローバルな科学技術資源をうまく利用し、引き続き国外の先進技術を引き入れる。
(5)知的所有権の保護を強化する。これは特に強調すべき問題である。
また、「自主的な創造・革新能力を増強するには、科学教育による興国戦略と人材強国戦
略を深く実施しなければならない」としている。人材強国戦略について「建議」では、幹
部人事制度改革の深化にも言及している。
4.3.5 体制改革を深化させ、対外開放水準を高める
「改革開放は、中国の命運を決定する重大政策決定である」とする。この時期、改革を
批判する論調が高まっており、党中央としての方針を明確にする必要があったのであろう。
「説明」では、特に4点を強調している。
(1)政府の行政管理体制改革の推進に力を入れる
「これは、改革を全面的に深化させ、対外開放水準を高めるカギである。重点は、政府
の機能の転換をさらに進めることである」とする。具体的には、政府と企業の分化、行政
許認可の減少・規範化、投資体制改革の深化(市場参入許可制度確立と厳格な実施、全社
会の投資活動のコントロール・監督強化)、政府機構の改革、法治政府建設、腐敗の処罰・
予防が挙げられている。また「建議」には、「各クラスの政府は企業の経営活動に直接関与
してはならない」という 1 文も見られる。
(2)基本経済制度の堅持・整備
国有大型企業の株式制改革、独占業種改革、健全な国有資産監督管理制度の確立、集団
企業改革、非公有制経済発展の支援・誘導が挙げられている。
(3)財政・税制・金融体制改革の推進
(a)権限に相ふさわしい財政・税制体制の確立、中央と省クラス政府の財政移転支出制度の
完備
「曾論文」は、「政府機能を転換し、政府行為を規範化し、各クラス政府間の利益関係を
うまく処理し、上下左右の利益調整メカニズムを形成するカギは、財政税制体制の完備に
ある」と指摘している。
(b)増値税の転換の実現、資源税の調整・整備、各種企業税制の統一
「建議」では、このほか総合と分類の相結合した個人所得税制度の実施が記されている
40
が、遺産税への言及はなかった。
(c)©国有金融企業の株式制改造、政策性銀行改革、多様な所有制の中小金融企業の発展、資
本市場の健全な発展、金融リスクの防止・解決
「建議」では、「金融機関の市場退出メカニズムを規範化し、相応の預金保険、投資者保
護、保険保障制度を確立する」ことと、「金利市場化改革の着実な推進、管理された変動レ
ート制度の整備、人民元の資本項目の兌換の着実な実現」が言及されている。
(4)国内発展と対外開放を統一的に企画し、対外開放水準を不断に高める
(a)対外貿易の伸びのパターンの転換を加速する
(b)外資を引き続き積極的に有効利用する
外資の質の向上に力を入れ、外資の産業・地域への投資ガイドラインを強化する。
「曾論文」では、「外資の投資動向を積極的に誘導し、先進技術・管理経験・高素質の人
材の導入を外資利用の重点としなければならない」と指摘する。
(c)条件の整った企業の「海外進出戦略」を支援する
(d)対外開放の拡大のなかで、国家の経済安全をしっかり擁護する
この(b)、(d)の記述には 2004 年に盛んに議論された「外資批判」19が影を落としている。
4.3.6 調和のとれた社会の建設を強化する
「社会主義の調和のとれた社会の構築は、我々が経済社会の発展を推進する重要目標で
あり、経済社会の発展の重要な保障である」とする。特に、人民大衆の最関心事である就
業、社会保障、貧困扶助、教育、医療、環境保全、安全問題をうまく解決しなければなら
ない、と強調する。
特に、所得分配領域における矛盾が比較的際立っている点につき、
「建議」は所得分配問
題の合理的調節を高度に重視しているとし、「低所得者の所得水準を引き上げ、中等所得者
の比重を徐々に拡大し、高すぎる所得を有効に調節し、個人所得分配秩序を規範化し、地
域間と一部の社会構成員の所得分配格差が拡大する傾向の改善に努める」としている。さ
らに、「社会の公平を重視し、特に就業機会と分配過程の公平を重視し、所得分配の調節を
強め、分配の結果に対する監督管理を強化しなければならない」とする。
その他、社会保障については、出稼ぎ労働者の社会保障問題、農村の最低生活保障制度
の確立、教育については、農村義務教育の強化、都市低所得者群の子女の就学困難問題の
解決、健康については、公共衛生・医療サービス体系の整備等が挙げられている。また「建
2004 年 3 月から 9 月にかけて外資導入の是非をめぐる激しい論争が展開された。外資
批判派は、外資導入の問題点として(1)外資は税が優遇されている、(2)外資が貿易摩擦を激
化させている、(3)外資が市場独占を生み出している、(4)外資頼みは自主創造・革新能力を
喪失させる、(5)外資は環境を破壊しているとし、外資はもはや十分であり、外資総量を圧
縮すべきだとした。これに対し商務部系エコノミストが反論し激論が展開されたが。最終
的に薄 来商務部長が 9 月に「中国の外資による投資を奨励する政策は不変である」と表明
したことで一応の終息をみた。
19
41
議」では、就業について、「就業容量の大きい労働集約型産業・サービス業・各種所有制の
中小企業を積極的に発展させる」、社会保障については、「人口高齢化に対応する政策措置
を真剣に研究する」、健康については「大衆が病気になったときに医者にかかれない、医療
費が高いという問題について真剣に研究し着実に解決する」、安全については、重大特大事
故の有効抑制・交通事故の減少・食品・薬品・レストランの衛生の監督管理強化、につき
言及がある。
なお「曾論文」では、「健全な社会保障は改革発展の『振動減少器』であり、社会公平の
『調節器』であり、社会安定の『安定器』である」とされ、「税収制度の改革、公共支出の
増加、移転支出の増加等の措置を通じ、都市・農村の特殊な生活困難大衆の社会救助体系
を早急に構築しなければならない」とされている。
また建議には「出生人口の性別がかなり偏っている問題を有効に管理する」という記述
がある。人口資源環境委員会の李偉雄副主任は、現在出生人口の男女比が 120:100 となっ
ており、2020 年には 20−45 歳の男女比で男性が女性より 300 万多くなるだろうと予測し
ている。また高齢者についても、現在 60 歳以上は総人口の 13.7%であるが、2040 年には
25.3%にまで高まるとしている(人民網 2005 年 10 月 18 日)。
4.4
第 11 次 5 ヵ年計画期間においては、いくつかの重大関係をうまく処理しなければ
ならない
具体的には、次の 5 点が指摘されている。
(1)内需と外需の関係の正確な処理
「内需に立脚することは、我々が長期に堅持しなければならない重大な戦略方針である」
とする。このため、「消費需要の拡大を重視し、消費の経済成長に対する牽引作用を更に発
揮させなければならない」と述べている。
最近の貿易摩擦の激化は、中国に内需中心の成長を迫っている。しかし、中国の場合投
資は既に過剰気味であるので、内需拡大は消費拡大によらなければならない。これは中国
の置かれた特殊事情である。
(2)市場メカニズムとマクロ・コントロールの関係の正確な処理
市場の資源配分における基礎的な役割を更に発揮させるとともに、マクロ・コントロー
ルを強化し、経済の平穏で健全な運営を誘導・保証しなければならない、としている。
(3)中央と地方の関係の正確な処理
中央が方針・政策を制定する際には、異なる地域の特色・利益を考慮して区別して対応
しなければならず、地方は各自の積極性・創造性を十分に発揮し、その土地の事情に適し
た活動をしなければならない、と原則を示しつつも、「ただし、(地方は)中央の統一的指
導を擁護し、これに服従しなければならず、全大局を自覚的に顧慮しなければならない。
これは、全国が全体として1つにまとまるという要求を貫徹するものである。命令はあっ
ても行われない、禁止しても止めないという現象を断固として克服しなければならない」
42
と釘をさしている。これは、2004 年の経済引き締めに当たって、地方政府が当初中央の指
示を黙殺し、中央が統制を強化すると陳良宇上海市党委書記が公然とこれに反抗したこと
を念頭に置いたものと考えられる。
(4)経済発展と社会発展の関係の正確な処理
経済を発展させると同時に、社会の全面的な進歩を一層重視しなければならない、とす
る。これは、2003 年の SARS 流行の教訓といえよう。
(5)改革、発展、安定の関係の正確な処理
速い発展を持続することによってこそ前進中の矛盾・問題を解決することができ、改革
は経済社会発展の強大な動力であり、安定は発展・改革の前提である、という従来の言い
回しが繰り返されている。そして「改革の力の入れ方と発展の速度を社会の受容可能な程
度に統一させ、社会の安定のなかで改革・発展を推進し、改革・発展を通じて社会の安定
を促進しなければならない」としている。
4.5 その他「建議」指摘事項
ここでは、
「説明」に触れられていない「建議」の項目につき、特に言及の必要のあるも
のにつき、簡単に紹介する。
(1)党の指導の強化・改善
「第 11 次 5 ヵ年計画の勝利実現のカギは、党の指導にある」とする。このため「『立党
は公のため、執政は民のため』を堅持し、党の執政能力建設と先進性建設を強化しなけれ
ばならない」としている。
(2)社会主義民主政治の建設強化
「政治体制改革を積極かつ穏当に継続する」とし、具体的には政務の公開、基層民主の
発展、人民大衆が法に基づいて選挙権・情報を知る権利・参政権・監督権を行使すること
を保証するとしている。
(3)国防・軍隊建設の強化
「国防建設と経済建設を協調発展させるという方針を堅持し、国防建設と経済建設が相
互に促進し合う良好な局面を更に形成する」とする。ここでは、毛沢東軍事思想・
新
時期軍隊建設思想と並び、江沢民国防・軍隊建設思想も指導思想として掲げられている。
また党の軍隊に対する絶対的指導を堅持すること、厳格に軍を統治し、正規化建設を強化
する旨も述べられている。
(4)台湾
「『台湾独立』に反対し、両岸関係の発展を主張する台湾各党派との対話・交流を強化す
る」という表現がある。最近の台湾野党との交流を踏まえたものであろう。
(5)外交
「和平発展の道を歩むことを堅持する」としており、「平和台頭」の表現は復活していな
い。また、冒頭の国際環境の解説において米国を指す「覇権主義・強権政治」の表現が見
43
当たらないが、現指導部の米国への気配りが窺える。
4.6 まとめ
新華社北京電 2005 年 10 月 28 日は、第 11 次 5 ヵ年計画の精神を 24 字に要約している。
即ち「科学的発展観に立脚し、自主革新に力を入れ、体制メカニズムを完備し、社会の調
和を促進する」というものである。後の政府要綱の解説と重複することになるが、ここで
はキイ・ワードと建議の特徴に分けて簡単に解説しておく。
4.6.1 キイ・ワード
今回の説明・建議では、胡錦涛−温家宝指導部の政策指導方針を示すいくつかのキイ・
ワードが用いられている。
(1)「科学的発展観」:人間本位の全面的で調和のとれた持続可能な発展観
この発展観では経済成長至上主義は修正され、社会の全面的発展、省エネ・省資源・節水・
土地節約・環境生態保護が併せて重視される。「5つの統一的企画」(都市と農村の発展、
各地域の発展、経済と社会の発展、人と自然の調和ある発展、国内の発展と対外開放を統
一的に企画する)がこの思想の中心であり、「成長方式の転換」「節約型社会」「環境友好型
社会」「循環経済」「新型工業化」といった言葉は、この科学的発展観の一環をなす概念で
ある。
(2)「社会主義の調和のとれた社会」:民主的法治を進める、公平と正義のある、信義誠
実と友愛を旨とし、活力にあふれ、安定的で秩序立った、人と自然が仲良く共存する社
会
全面的な小康社会との関係では、社会主義の調和のとれた社会の建設は小康社会の全面
的建設の前提とされている。また科学的発展観は、社会主義の調和のとれた社会を建設す
るという当面の目標を達成するための戦略的指導思想である(なお「曾論文」は、「社会主
義の調和のとれた社会を構築することは、小康社会を全面的に建設するための重要目標で
あり、人間本位の全面的で調和のとれた持続可能な発展を促進するための重要な保障であ
る」という言い方をしている)。
(3)「自主的な・創造革新能力」:イノベーションの能力
2004 年に高まった外資批判のなかで、安易に外資に依存することにより中国自身の自主
開発能力の増強が阻害されているとの見解があった。今回の計画では、自主的な創造・革
新能力を高めることにより、中国を「世界の組み立て工場」から真の「世界の工場」へと
脱却させる指導部の決意が見られる。
なお、国家発展・改革委の馬凱主任は、2005 年 10 月 28 日の新華社インタビューにおい
て、第 11 次 5 ヵ年計画期間の自主的な創造革新能力の増強は、次の 3 点に重点を置くとし
ている(「曾論文」も同趣旨)。
(a)原始的な創造・革新能力の増強:基礎科学、カギとなる領域のハイテク研究、情報・
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バイオ・海洋・宇宙・ナノテク・新材料等の戦略領域への重点化
(b)集積による創造・革新能力の増強:科学技術資源を重大プロジェクト、情報・エネル
ギー・環境・農業等のカギとなる領域に集中投入
(c)導入・消化吸収・再革新能力の増強:引き続き先進技術の消化吸収をうまく行いなが
ら、他方で重大技術・装備の国産化を加速
(4)「社会主義新農村」
:説明では、
「生産が発展し、生活にゆとりがあり、気風が文化的
で、景観が整い、管理が民主的」という漢字 20 字で概括できるとしている。
中国の経済政策が「先富」から「共同富裕」の段階に入った(後述)ことを象徴する表
現。工業が農業を支援し、都市が農村を支援することにより、共同発展を図ろうとするも
のである。これまでの「三農」問題の解決という言い方を積極的な表現に言い換えたとも
いえる。
(5)「城市群」:メガロポリス
従来の全国一律的発想から、地域の特性に応じ広域的な計画を策定し、域内の都市同士
がそれぞれの優位性を生かし、相互補完的に発展させる方向に転換したもの。珠江デルタ・
長江デルタ・環渤海地域が対象となる。
4.6.2 建議の特徴
(1)「計画」から「規画」へ
「現代漢語詞典」によれば、「規画」は比較的長期の発展計画を指すとされる。計画に比
べ、重点はミクロからマクロへ、直接から間接へと移り、より戦略性・指導性・予測性が
強まると考えられている(中国経済週刊 2005 年 10 月 17 日付)。この用語の変更は計画経
済からの最終的決別を意味するものであり、最も訳語として適しているのは、中曽根内閣
時に日本で策定された「展望と指針」かもしれない。
(2)脱江沢民
江沢民前総書記が 2002 年の第 16 回党大会で提起した「3つの代表」
「小康社会の全面的
建設」から、2003 年以降胡錦涛−温家宝指導部が提起した「科学的発展観」
「社会主義の調
和のとれた社会の建設」に重点が移っている。これは、新指導部が独自性を発揮し始めた
という面もあるが、2003 年の SARS 流行と経済過熱の経験により、もはや従来の政策指導
思想のみでは中国経済を運営できなくなっていることを示している。
(3)「先富」から「共同富裕」へ
が 1992 年に「南巡講話」を行った際、彼は「一部の人々や地域が先に豊かになる」
(先富)を許容するとともに、「先に豊かになった人々や地域がその他の人々や地域を先導
し、手助けをして、共に豊かになる」(共同富裕)という手順を考えていた。そして 20 世
紀末に小康水準に達したとき格差問題を解決すればいいとしていたのである。しかし、上
海に政治的基盤を持つ江沢民指導部は「先富」
を 21 世紀になっても推進し、2003 年の SARS
流行により農村の後進性が明白になるまで党は共同富裕に本格的に政策を転換することが
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できなかった。今回の建議では低所得者の所得向上・社会保障の整備とともに、高所得者
の調節をうたっているほか、財政改革では中央と省クラス政府の財政移転制度の完備を打
ち出しており、胡―温指導部は共同富裕の実現に向け、所得再分配を本格化する姿勢を示
している。ただ、これは江沢民時代の受益者の既得権益を剥奪することにもなり、実施の
段階で抵抗が予想される。遺産税導入の言及がないのも、その表れであろう。
(4)成長方式の転換
「科学的発展観」の根本は成長の質の重視である。これは 2003 年の経済過熱を契機に、
効率を無視した経済成長至上主義の反省から生まれたものであるが、実は第 9 次 5 ヵ年計
画(1996−2004)も粗放型成長方式から集約型成長方式への転換を目標としていたのであ
る。このように指導部が再三成長方式の転換を叫びながらそれが実現できない原因につい
て、呉敬 氏は「問題は体制にある」と指摘する。彼は、成長方式の転換を阻む旧体制の遺
産として次の 4 点を指摘している(「財経」雑誌 2005 年 10 月 5 日)。
(a)付加価値の高成長が各クラス政府の主要な機能と政治業績の良し悪しを評価する主要な
指標となっている
(b)各クラスの政府の官員が希少な資源とりわけ貸付・土地賃借許可について過剰な権力を
有している。
(c)生産型の増値税を主とした財政税制体制が、各クラスの政府官員に対し、付加価値が大
きく収入の多い簡単な加工業とりわけ重化学工業にできるだけ投資するよう促している。
(d)労働・自然資源・資本等生産要素価格がかなり低く、甚だしきはタダであることが、企
業と各クラス政府に対し、資源の消耗が大きく効率の低い産業を発展させることを促し
ている。
このような傾向を改めるには、政府が自己革命を行い、機能の転換を実現し、自己の専
属する範囲内で十分に有効な政府を形成することであると呉氏は指摘する。
また「王論文」は成長方式の転換が困難な原因として、
(a)市場価格が真実のコストを反映できないことが、水資源とエネルギーのひどい浪費を生
んでいる。
(b)産出量に基づき、可能採掘埋蔵量に基づかない課税が、鉱産資源の回収率が低すぎる直
接原因である。
(c)土地徴用制度に欠陥があり、低価格甚だしきはタダの地価で資本を導入する方法が、耕
地の急激な減少と農民の利益の重大な損害をもたらしている。
(d)投資体制の不合理と政治業績評価方法の欠陥が、盲目的に投資規模の拡張し、速度を片
面的に追求し、成長の質・効率を軽視する傾向を助長している。
と指摘している。
「曾論文」も、「改革の重点は政府機能の転換であり、政府機能の出過ぎた部分、足りな
い部分、誤った部分を解決しなければならない」とし、行政許認可の一層の減少・規範化、
投資体制改革の深化、科学的発展観と正確な政治業績観に基づく経済社会発展の総合評価
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体系と幹部の実績評価体系の確立を要求している。
今回の「建議」では行政管理体制改革が重要項目となっているが、第 11 次 5 ヵ年計画期
間に「科学的発展観」が真に定着し、第 9 次 5 ヵ年計画の失敗の轍を踏まないようにする
ためには、正に政府機能の転換が成功するか否かにかかっているといえよう。
5.2005年中央経済工作会議
2005 年 11 月 29 日から 12 月 1 日にかけて、共産党中央・国務院共催により、2006 年の
経済政策の基本方針を決定する中央経済工作会議(以下「会議」)が北京で開催された。ま
た、12 月 2 日には、人民日報が「経済社会の発展を科学的発展の軌道に適切に切り換えな
ければならない」と題する社説(以下「社説」
)を発表している。5 ヵ年計画開始前年の中
央経済工作会議では、新 5 ヵ年計画を念頭においた議論がなされるのが通例であり、まず
この会議のポイントにつき解説することとしたい。
5.1 この 5 年間の経済政策から得た経験・啓示
会議は、この 5 年間の経済・社会の発展活動とここ 2 年余りのマクロ・コントロールの
強化・改善の過程は、科学的発展観をより深く理解し、全面的に実施する過程であったと
総括するとともに、経済・社会の発展に対し指導的意義を有する次の経験・啓示を得たと
する。
マクロ・コントロールをしっかりと行い、科学的発展を促進するため、次のことを堅持
しなければならないとされる。
(1)根本的な要求:速くかつ良好な発展。
(2)重要な原則:区別して対応し、分類して指導する。
(3)主要な方式:経済・法律手段を重点的に運用する。
(4)重要な力点:構造調整・成長方式の転換を推進し、総量の均衡を実現する。
(5)重要な保障:改革を深化させ、体制メカニズムを整備する。
(6)出発点・スタンス:大衆の利益を擁護し、人民の生活水準を高める。
そして、「実践で証明されたことは、科学的発展観は、経済社会発展の一般的規律・認識
の深化であり、発展を指導する世界観・方法論の集中的な体現であり、社会主義経済建設・
政治建設・文化建設・社会建設を推進する全面的な発展の指導方針であるということであ
り、小康社会の全面的建設と社会主義現代化の全過程において貫徹されなければならない
ということである」とする。また社説は、「科学的発展観は、新世紀新段階における党・国
家の事業発展の全局から出発して提出した重大戦略思想である」としている。前年の会議
に引き続き、ここでも科学的発展観が重要指導思想として全面的に強調されている。
5.2 経済の中長期に累積された問題・矛盾と新たに出現した状況・問題
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