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1 実験の日付けと目的及び使用器具

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1 実験の日付けと目的及び使用器具
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1 実験の日付けと目的及び使用器具
1.1 実験日
実験日 : 2007 年 9 月 21 日
天候
: 晴天
1.2 実験の目的
パーソナルコンピュータの組立て・セットアップを行うことにより、コンピュータの仕組みの理解を深め、実用
的な基礎的知識を身につける。
1.3 使用器具
PC ケース
: TSUKUMO ST463J
CPU
: Intel Pentium D 915
マザーボード
: Intel BOXDG965RYCK
メモリ
: DDR2 SDRAM PC533 512MB 240pin(2 枚)
ハードディスクドライブ
: Seagate ST3801811AS(Serial ATA、80GB)
光学ドライブ
: LG 電子 GSAH42NWH スーパーマルチ
フロッピィディスクドライブ : Mitsumi D353M3
CPU クーラー
: CPU 付属品
マウス
: Microsoft Comfort Optical Mouse 3000(USB)
キーボード
: 106 日本語キーボード
ケーブル類
: SATA ケーブル、IDE ケーブル、FDD ケーブル、電源ケーブル
2
2 実験内容と結果
2.1 組立てと OS のインストール
2.1.1 実験前準備
実験を開始する前に静電気防止用のリストストラップを着用する。
2.1.2 ハードウェアの組立てと確認
次の手順で行った。
1. システムメモリ 2 枚をマザーボードに装着
2. マザーボードを筐体にネジで固定
3. マニュアルを参照してピンヘッダの位置を確認し、LED 及びスイッチケーブルの配線
4. 各種ドライブの取付とケーブルの接続
5. モニター、キーボード、マウスの取付け
6. 電源を投入し、正しく起動することを確認
作業中、トラブルが 1 つ発生した。
フロッピィディスクのケーブルを接続した際、取付け向きが逆さになっており、指摘を受けてこれが発覚した。
マニュアルとマザーボードを再度確認して、取付け向きを修正した。
2.1.3 BIOS の設定と OS のインストール
BIOS の設定画面を表示させ CPU、メモリ容量、HDD 容量の確認を行った。それぞれ以下のような表示を
得た。
CPU : Intel Pentium D CPU 2.80GHz
メモリ : 1024 MB
HDD : ST3801811AS - 80.0 GB
正しく認識していることを確認した。
続いて起動用デバイス(Boot Device)の優先順位(Boot Device Priority)を変更した。DVD ドライブを最
上位に、第 2 位に HDD を設定した。
最後に Windows XP のインストールディスクを DVD ドライブに入れて、パソコンを再起動した。起動したイ
ンストーラの対話型インターフェイスに従って操作を行い、OS のインストールを完了した。
なお OS のインストールは、NTFS ファイルシステムによる 10GB のパーティションを作成し、そのパーティ
ションに対して行った。
3
2.2 ベンチマーク
組立てと OS のインストールを完了したパソコンに対して、ベンチマークを行った。
ベンチマークテストには、PC Wizard 2007 の第 1.72 版を使用した。
2.2.1 結果
ベンチマークのスコア表示を表 2.1 に示す。
表 2.1
ベンチマークのスコア
項目
Processor Global Performance
Cache Global Performance
Memory Global Performance
16461
3295
42
Hard Disk Global Performance
90
続いて、併せて表示されたシステムの情報を示す。
Processor
: Intel Pentium D 915
Frequency
: 2397.67 MHz
L1 Cache
: 2 x 16 KB
L2 Cache
: 2 x 2048 KB
Chipset
: Intel G965
Physical Memory : DDR2-SDRAM PC2-4300 (266 MHz)
: G965 Integrated Graphics Controller
Dirext X Version : 9.0c
Hard Disk
8047
Video Global Performance
PC Wizard Rating
Video Card
スコア
: ST380811AS (80 GB)
2793.50
4
2.3 ベンチマーク結果の比較
同時に実験を行った他グループとは、ベンチマークのスコアに違いが生じている。
他グループのうち 1 つと我がグループの、ハードウェア及びスコアを比較し、スコアに違いが生じた理由及びそ
の優劣の理由について考察する。
2.3.1 比較対象の整理
両グループのベンチマークのスコアを表 2.3.2 に示す。
表 2.2
項目
スコアの比較
比較対象グループのスコア
我がグループのスコア
4059
8047
19472
16461
3007
3295
Video Global Performance
27
42
Hard Disk Global Performance
88
90
2665.30
2793.50
Processor Global Performance
Cache Global Performance
Memory Global Performance
PC Wizard Rating
また両グループの結果について、システム情報の差違を表 2.3 に示す。
表 2.3 システム情報の比較
項目
比較対象グループ
我がグループ
Intel Celeron D 336
Intel Pentium D 915
2797.12
2397.67
L1 Cache [kB]
16
2×16
L2 Cache [kB]
256
2×2048
Processor
Frequency [MHz]
ところで Intel 社のウェブサイトでは、双方の CPU の仕様を閲覧することができる.これを比較形式で引用し
て表 2.4 に示す.
表 2.4
仕様の比較
Intel Celeron D 336
Intel Pentium D 915
2.80
2.80
バスの動作周波数 [MHz]
533
800
2 次キャッシュ容量 [kB]
256
4096
2 次キャッシュの動作周波数 [GHz]
2.8
2.8
90
65
1
2
非搭載
搭載
項目
動作周波数 [GHz]
製造プロセス [nm]
コアの数 [個]
省電力技術
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2.3.2 比較結果の考察
はじめに,双方のハードウェア面の差違は CPU にあることを述べておく.表 2.3 のシステム情報の差違は、す
べて CPU の性能に関するものである。
したがってスコアの差違は CPU の違いと、CPU に深く関連するメモリに主な原因があるとみて、以下にその
理由を考察する。
動作周波数
仕様上、双方の CPU の動作周波数は同じである。しかし表の Frequency の値は、Celeron D 336 が仕様通り
の約 2.8GHz であるのに対して、Pentium D 915 は約 2.4GHz となっている。
これは Pentium D 915 が搭載している省電力技術「Enhanced Intel Speedstep Technology(EIST)」による
ものと思われる。これは CPU の利用状態によって動作周波数や駆動電圧を自動調整するものである。したがって
この機能によって、Pentium D 915 の Frequency の値が仕様とは違ったものになったと思われる.
しかしベンチマーク中は、明らかに負荷時である。このことから、ベンチマーク中負荷の高いテストを行ってい
る時、Pentium D 915 は 2.8GHz で動作していたと判断し、以降の考察もこれに依って行う。
Processor Global Performance
PC Wizard 2007 は、ベンチマークを行う際に、マルチコアを「承知して(aware)」いるという。ここではこれ
を、マルチコア CPU の性能の優位が正しく反映されると解釈した。
Processor Global Performance のスコアを比較すると、およそ 2 倍の関係になっている。双方の動作周波数が
同等であることから、このスコアの違いは、CPU のコアの数に原因があると思われる。
すなわち、同じ動作周波数で処理をするなら、並列処理を行う Pentium D 915 は、コアが 1 つの Celeron D
336 の 2 倍の性能を持つと解釈した。
しかしコアの数が 2 倍であるから、スコアも 2 倍であると述べるには不十分である。そのためには Pentium D
915 の 1 つのコアと、Celeron D 336 が 1 つのクロックで同等の処理をする前提が必要である。
一方 2 次キャッシュの容量を見ると、Pentium D 915 は Celeron D 336 の 16 倍の容量を持っている。2 次
キャッシュの容量が大きければ、低速なメインメモリにアクセスする回数が減少する。したがってスコアの上昇に
貢献していると思われる。
Cache Global Performance
仕様によれば Pentium D 915 と Celeron D 336 の、2 次キャッシュの動作周波数は同等である。またその他の
性能については、同等か Pentium D 915 が優位にある。しかし Cache Global Performance のスコアは、Celeron
D 336 を搭載した比較対象グループの PC が上回っている。
この原因は、キャッシュのテストの負荷量と省電力技術にあるのではないか。つまり我がグループの PC は、
キャッシュのテストが、CPU を最高速度で駆動する必要のある処理ではないと判断した。そして動作速度を低下
させた状態でテストを行い、結果低いスコアになったと思われる。
Memory Global Performance
メモリのデータ転送速度には、バスの動作周波数が大きく関わる。Pentium D 915 はバスの動作周波数に関し
て Celeron D 336 の 1.5 倍、800MHz に対応している。だが Memory Global Performance のスコアを比較する
と、その差は小さい。
差が縮まった原因は、どちらも DDR2-533 メモリを使用したことにある。つまり Pentium D 915 のバスの動
作周波数が如何に高速であっても、533MHz で動作するメモリが足を引っ張ってしまう。したがって、この点に
ついて我がグループの PC は、Pentium D 915 による優位を失う。
しかしコンピュータは、メモリだけで処理を行っているわけではない。Processor Global Performance に現れ
た CPU の優位が、わずかに上回った結果をもたらしたと思われる。
6
Video Global Performance
グラフィクス機能は双方同等であり、これはチップセットが統合している。また処理したデータは、バスを通し
て CPU とやりとりする。
先にも述べたが、Pentium D 915 はバスの動作周波数に関して Celeron D 336 の 1.5 倍である。これはそのま
ま、バスの転送速度の違いに反映する。
スコアを比較すると、その差は約 1.55 倍である。したがってスコアの差は、バスの動作周波数の違いによるも
のと思われる。
Hard Disk Global Performance
スコアにはほとんど差がない。
この原因は、HDD の速度にとっては 1 に HDD 自体の性能が,第 2 に接続するインタフェースの性能が重要で
あること。そしてそのどちらも、双方のグループが同じ条件であったことにあると思われる。
わずかに我がグループのスコアが高いのは、CPU およびバスの動作周波数の違いであろう。
7
3 課題
3.1 テーマ
テーマ
低価格パーツを用いた特化 PC の製作
極めて安価なジャンク品のパーツを用いた、PC の製作をテーマにした。
ジャンク品は、その性質から数世代前の性能である。そのため汎用のデスクトップ PC として使うには性能が
不足したり、十分なパーツを準備しきれない可能性がある。
高い性能や部品点数を要求しないものとして、用途をブロードバンドルータに限定し、PC の製作を行った。
3.2 パーツ
3.2.1 パーツ一覧
使用したパーツの一覧を表 3.1 に示す。
表 3.1
パーツ名
パーツ一覧
価格 [円]
メーカ・品番
CPU
Intel Pentium III 800MHz
マザーボード
Dell OptiPlex GX150 搭載品
800
メモリ
SDR SDRAM PC133 64MB 168pin
500
NIC1
Intel PRO/100+
300
NIC2
Intel PRO/100+
300
PC ケース
ダンボール箱
電源ユニット
Dell NPS-100BBA 100W
500
フロッピィディスクドライブ
TEAC FD-235HG
200
CPU クーラー
不明
FDD ケーブル
ジャンク品
100
電源ケーブル
Yoko D-18A 1.8m
240
電源スイッチ、電源 LED
Ainex KM-01 実験用スイッチ・LED セット
880
OS
SeSame IPnuts 4.0r3 Mosquito
合計額
0(マザーボード搭載済)
0
0(マザーボード搭載済)
3820 [円]
3.2.2 パーツ説明
主要なパーツは皆ジャンク品であるため、詳細な性能・規格等は推測に頼る箇所がある。
0
8
CPU
Intel 社によるチップ判別用刻印は「SL4CD」である。動作周波数は 800MHz、バスの動作周波数は 133MHz
で、256KB の 2 次キャッシュを備えている。
TDP(設計上の想定最大放熱量)は 20.8W で、これは最新の CPU の 3 分の 1 から 5 分の 1 程度である。低発
熱・低消費電力という特徴は、ルータのような常時起動のハードウェアに適しており、したがって本テーマにも適
している。例として、本実験で使用した CPU の TDP を表 3.2 に示す。
表 3.2
CPU の TDP 比較
CPU
TDP [W]
Intel Celeron D 336
84
Intel Pentium D 915
95
Intel Core 2 Duo E6300
65
Intel Pentium III 800MHz
20.8
マザーボード
チップセットに Intel 815E を搭載しており、内蔵グラフィックス機能を備えているため、グラフィックアクセ
ラレータ等の映像出力用パーツは不要である。
また Ethernet ポートを 1 つ備えている。しかし OS のデバイスドライバに、コントローラチップの 3Com
920-ST03 に対応したものが無いため、今回は使用しなかった。
ジャンク品であるため、詳細な品番等は不明。BIOS の起動画面から、Dell 社の企業向け PC OptiPlex 150GX
に搭載されていたものと思われる。またいくつかの部品に「FOXCONN」の刻印があることから、製造者は鴻海
精密工業であると思われる。
規格については、大きさが Micro ATX に近い。しかし固定の方法は特殊で、専用のプレートにひっかける様に
なっている。またそのため、固定に使うネジは一本であるが、その一方で使用しないネジ穴も存在する。未使用の
ネジ穴のひとつが ATX 規格のマザーボードと重なるため、Micro ATX を元にした独自規格の形状と思われる。
メモリ
貼り付けてあるシールに「PC133U-333-542」とあることから、動作周波数 133MHz、レジスタメモリ無し
(Unbuffered)、CAS レイテンシは 3 クロックと思われる。
上記シールにはエルピーダメモリ社のロゴがあるが、メモリチップには NEC 社のロゴが印刷してある。した
がってメモリモジュールは NEC 社製で、エルピーダメモリ社統合後にシールを貼り替えたものと思われる。
NIC
品番の PRO/100+ はラベルに印刷された番号と、コントローラチップに Intel 82558B を搭載していること等
の情報からの推定である。
以上の推定から 10BASE-T と 100BASE-TX に対応していると思われる。しかしパーツ選択の基準は性能では
なく、OS がデバイスドライバを持っているということである。
電源ユニット
WWW から得た情報によると、Dell OptiPlex GX シリーズに搭載されていた電源であるようなので、最適な
選択であった。
選択の理由は、Dell 社製 PC のマザーボードは電源コネクタのピン配列が特殊だ、という予備知識があったた
め、Dell 社のロゴの入った電源を選別したことによる。ドライブや拡張ボードを多数増設するわけではないので、
電源容量は考慮しなかった。
9
大きさについては、高さが 43mm で Flex ATX 規格と同じである。しかし幅と奥行きは符合せず、独自規格で
あると思われる。
OS
Linux ディストリビューションのひとつだが、インストールした PC をブロードバンドルータとして機能させる
ことを目的とした、特殊なものである。
操作はネットワーク経由で、Web ブラウザを使って行う。そのため、市販のブロードバンドルータと同じ感覚
での操作が可能である。
フロッピィディスクから起動する版(Mosquito)が無料で入手可能なので、今回はそれを選択した。
3.3 動作確認
課題への指示はテーマに併せたパーツの選定までである。しかしジャンク品の性質上、パーツの故障などによっ
て動作しない場合もある。そこで最低限の動作確認を行った。
まず、正常に起動することを確認した。以下に手順を示す。
1. 一時的にディスプレイとキーボードを PC に接続
2. IPnuts Mosquito のフロッピィディスクをドライブに挿入して、PC を起動
3. 起動完了後 ifconfig コマンドで、NIC を正しく認識していることを確認
4. LAN 側の NIC に、クロスケーブルを使って別の PC(以下、LAN 側 PC と呼ぶ)を接続
5. 接続した PC から、Web による操作ページが利用できることを確認
続いて、ブロードバンドルータとして機能することを、簡単に確認した。以下に手順を示す。
1. WAN 側の NIC を家庭内の LAN に接続(接続状態を図 3.1 に示す)
2. LAN 側 PC で、ブロードバンドルータとして機能するよう設定
3. LAN 側 PC が WWW 上の Web ページを閲覧できることを確認
以上の動作確認を行った結果、正常に動作することがわかった。
正常に起動することがわかったので、ディスプレイとキーボードも常時の接続は不要である。
図 3.1 ネットワーク機器同士の接続
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3.4 考察
3.4.1 必然性はあるか
低予算で PC を製作し、家庭用のブロードバンドルータとして機能させることをテーマにした。このテーマが
活きるためには、製作した PC が、市販の家庭用ブロードバンドルータ専用コンピュータ(所謂「ブロードバンド
ルータ」
)に対して、価格性能が同等かそれ以上でなければならない。
製作した PC は機能と処理能力だけで見れば、同等の価格帯のブロードバンドルータに比べても劣らない性能
である。しかし市販のそれは一般に L2 スイッチを内蔵しているし、筐体の小ささや消費電力の低さの点でも勝っ
ている。OS の IPnuts にしても、より高度な機能を利用するにはライセンスの購入が必要であり、費用が嵩むこ
とになる。
ジャンク品とはいえハードウェアへの投資額が大きくなると、価格性能は下がってしまう。新規の投資額の低さ
を重点に置くならば、使い道のない PC が余っているなど、既にハードウェアの調達がほぼ完了している状態こそ
が最適である。
利用する機能が限定されれば、さらに価格性能は下がる。もっとも低価格なブロードバンドルータは、販売価格
が 2000 円を下回っているからである。
したがって、わざわざジャンク品による PC でブロードバンドルータを製作したことに、必然性は見出せない。
「趣味的」「学習的」な域を出ないのではないか。
3.4.2 代替案
数点のパーツ増設で実現可能な案としては、キオスク端末がある。CD から起動可能な OS(LiveCD)に無料
のものが存在するため、以下のパーツがあれば実現可能である。
• CD-ROM の読み込みができるディスクドライブ
• 256MB 程度のメモリ
• IDE ケーブル
• ディスプレイ
• マウス
HDD などの書き換え可能な補助記憶装置が無いため、システムの破壊が困難であり、キオスク端末に最適で
ある。
利用形態としては、たとえば Web ブラウズを挙げることができる。単に Web ブラウズが可能な PC というだ
けでは、必然性が無い。しかしキオスク端末として特化することで必然性が生じる。つまり、
• システムの改変が困難で、不特定多数が利用することに適している
• ハードウェアを低価格で調達可能であることから、複数台を準備できる
といった点である。
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