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コミュニティ通信第3号

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コミュニティ通信第3号
ひえづ・コミュニティ通信・第3号
延藤安弘先生をお迎えして・・・・・・・・・・第3回地域づくりアドバイザー事業
③
(12/1)
発行:
村地域振興課
■第3回アドバイザー事業として、前回に続き、延藤安弘先生(NPOまちの縁側育
くみ隊、愛知産業大学教授・建築学)と、名畑恵さん(大学院学生)をお迎えし、富
吉を中心に、コミュニティ活動にアドバイスいただきました。(10月11日)
=延藤安弘さんによる幻燈会=
10月11日
/富吉・今むらおこしの会
これまでにも、
富吉の家並みに関心を寄せていただいていた延藤先生
による、富吉の魅力発見の幻燈会を開催しました。集まった皆さんは、
見慣れた集落内の道や、庚申さん・愛宕さんなどの民俗信仰の場、古い
農家住宅の養蚕場や土蔵など、いろいろなアングルで撮られた写真が、
見違えるほどに美しくスライドに映し出されことや、先生による解説の
妙に、驚きの声があがっていました。古い富吉集落の魅力に、
一目瞭然、
気づかされる瞬間でした。
▼「かつて、食べ物を近所で分け合ったり、持ち寄りで懇談をしたよ
うな『もやいこ』の精神を取り戻そう。子どもが喜ぶようなことで、地域を元気にしよう。
愛宕さんやとんどさんなど、昔からの慣わしが残っていることに注目しよう。富吉には光
るものがたくさんあるが、それは、先人が汗水流
して築いたものだ。富吉のこの宝を、例えば絵本
などに記録して残したい。集落の(車の通行には
不便な)狭い道こそ、残したいものだ。」などと
お話いただきました。
サイノカミさんのわら馬づくりも次代に伝え
ていきたいものという話しに、
「私がつくって見
せますよ」とある参加者からの声がかかりました。
さらに先生は、「緊密な道路と親密な家並みと
いう富吉の魅力は、現代社会が失くしてしまった大切な宝物。道や水路など、いろいろな
場を子どもが楽しめる場にしていこう。また、例えば子どもの参加による絵本づくりなど
で、富吉の文化の魅力を次世代に伝えよう。
」などと提言をいただきました。
1
ひえづ・コミュニティ通信・第3号
=米子高専名誉教授の坂田友宏先生をお招きして=
富吉の魅力を再発見する会・パート2
/10月 29 日
延藤先生による会に続いて、富吉の魅力をさらに再発見し深めるために、米子高専
名誉教授(民俗学)の坂田友宏先生をお招きし、パート2として行なわれました。
坂田先生は、前日に富吉周辺を回られたものの、「富吉について調査研究したことはない
ので、具体的な話は出来ない、むしろ地元の皆さんからお聞きしたい」と前置きした上で、
「富吉はかつて、今むらと言われ、中世からの歴史があるようだ。文献に『今むら20戸』
と記されている。その頃の一戸の家族は4∼5人と言われている。つまり、概ね100人
くらいの集落。そして、現在120∼130戸程度と聞く。つまり人口は増え、集落は拡
大している。また、一戸あたりの家族は、減っているのが普通なのだが、ここは変わって
ない。そして、お墓が大変立派。これら何を意味しているか。3世代家族も多く、生活基
盤がしっかりしており、心豊かなところだと言える。数々の民俗信仰が残っている。これ
ら一つひとつは、特別なものではないが、地域の安全や幸せをみんなで願って暮らしてき
た証し。古臭いものと軽視せず、みんなで掘り起こしながら、先人たちが愛着を持ってこ
こに生き続けようとしたことを感じとってほしい。」と。
そして、荒神さん、愛宕さん、庚申さん、ひのぼりさん、サイノカミやトンドさんなど
の由来等について、分かりやすく、興味深いお話をいただきました。
=わら馬づくりに挑戦しました=
富吉の魅力を再発見する会・パート3
/11月26日
サイノカミさんは、夫婦円満や子宝などを祈る民俗
信仰、また、屈強な若者がその大石を担いで帰れば、
素敵なお嫁さんが来るのだなどいう言い伝えもありま
す。12月15日には、わらで作った馬にダンゴをつ
めてお供えして、子どもの成長などをお祈りするのが、
慣わしとなっています。
最近は、富吉でも、お供えする家がほとんど無くなったことから、今
のうちに、馬の作り方を伝えていき、地域で子どもたちの健康を祈ろう
と講習会が行なわれました。また、新年の未病息災を
祈り、
集落の辻にお札とともに立てる
「ひのぼりさん」
のサンダワラも作りました。講師は、上場重俊さんと
小乾恒信さん。25名ほどの参加者は、お二人が作ら
れるのを興味深く観察しながら、見よう見真似で、わ
ら馬やサンダワラの製作に挑戦しました。
2
ひえづ・コミュニティ通信・第3号
島根県邑南町の夢づくりプランを視察―11/9自治連合会
■邑南町(おおなんちょう)は、島根県中南部の中山間地、2町1村(石見町・瑞穂町・
羽須美村)が平成16年10月に合併して新設された、人口13,500人程の町です。
「夢響きあう元気の郷づくり」をスローガンに、住民総参加の町づくりが推進されてい
ます。
特に、地域毎の「夢づくりプラン」は、その主旨において、本村の「コミュニティ計
画づくり」と同じことから、自治連合会で視察されました。
(地域振興課からも同行しま
したので)今回の視察でうかがった「夢づくりプラン」の概要について、ご紹介します。
邑南町の夢づくりプランは、合併後の昨
年3月から、一部の地域・
自治会をモデル
指定して、取り組まれているものです。
モデル地域では、概ね1年間、あらゆるテー
島根県邑南町
マについて、現状を点検し、課題の解決策や今
後の振興策について話し合い、それらを必要度や実
現性、(町・自治会・集落・家庭などの)役割分担や、実施時
期を明記した計画書を作成されています。
そして、2年目からは、そのプランの実施のための補助金制度(1/2補助・3年間)
があり、1戸当たり年3千円程度の負担と、町の補助金をもとに、取り組まれつつあります。
▼町役場(担当:教育委員会)の説明の後、モデル地域の一つ「日和地区」
にご案内いただき、実際に取り組まれている様子をお伺いしました。
日和(ひわ)地区は、邑南町の北西の端に位置する、現在人口537人、180戸の地域。
かつては、酪農が盛んで日和高原牛乳発祥の地。少子高齢化・
過疎化が進み、小学校
1校(児童数20名)は存続しているが、保育所は今年4月に他の地区に統合、JAの事務
所もなくなったとのこと。
◎平成17年5月に「夢プラン策定実行委員会」を結成(総務部・産業部・
生活福祉部の3部構
成)。 交通・情報・
産業・環境・防犯・防災・文化・コミュニティなどのテーマごとに「課題・
要
*
望」「対策等」をまとめ、役割分担と実施時期を一覧表にまとめられました。手作りのマップ も
加えて、プラン「夢いっぱい 明日を拓く日和の里」を策定されました。
◎今年度から、実践に入り、すでにいくつかの新しいプランが実行されている。
例1:町営バスの運行継続のために、地元で3人の運転手(必要に応じて勤務)を確保し、
バスの停留所を集落からの協力によって新設した。
例2:携帯電話の不感地域の調査を行い、NTTドコモに要望書を提出した。
例3:各集落の道路沿いに花のプランターを設置。(まず各家庭でプランターの花を育
て、それを決められた箇所に持ち寄って、交替で水遣りを行なう。)
例4:集落に入るトンネルの清掃。(2,485mに及ぶ手すりの雑巾がけ)
例5:毎日の子どもの下校時の見守り活動(ベスト着用)
3
ひえづ・コミュニティ通信・第3号
○今後、実施を目指しているプラン。
日和地区の手作りマップ
例:素晴らしい自然景観や高原の米・野
菜、神楽や田植え行事などの伝統を活
かして都市との交流を進めたい。(体験
農園で広島県との交流が行なわれてい
る。)/有害鳥獣対策/集落のゴミ箱周
りの整備整頓/高齢者世帯などの町道
から自宅までの除雪隊の編成/農業高
校などとの連携による花いっぱい運動の
推進/子どもの行事の見直しなど。
○これまでの活動の課題や問題点。
・活動に対する住民の意識に温度差。(こんな取組みは行政がやるもの、という認識も。)
・主旨は理解できても、そのために金銭的負担も増えることへの抵抗感もあった。
・若者にいかに参加してもらうか、課題となっている。
・限られた人数で取組むために、自治会や公民館活動の役目との重複で多忙に。
・委員会で決めたことを、いかに各家庭まで浸透させて、実行していくか。
○活動を持続させるために、以下のように考え、工夫している。
・委員会だけの活動でなく、住民みんなが汗を流し参加できる活動に努めた。
(住民みんなに、目に見える活動でなければ、協力は得にくい。)
・小さな活動の積み重ねが、子どもたちが大人になった時にも、ふるさとの思い出として
その心に残るだろうと考え、取り組んでいる。
・各種団体や行政とも綿密な連携を欠かさない。
・飲み会など、団欒の場をつくり、本音の話し合いや意欲を高める機会としている。
◇お話いただいた代表の名原さんは、「役員の皆さん、住民の皆さんに大きな負担をかけている
が、地域の将来についてみんなで考え作ったプランなので、無理にならないよう、長続きさせ
て、その実現を目指していきたい」とお話いただきました。
雑感: 過疎化する中山間地において熱心に取り組まれている地域の実践には、素晴らし
いものがあります。ただ、時に本村では「地域の環境が厳しいから、行政も住民も、将来の
不安から、危機感が生まれ実践できるのだろう。本村では皆、恵まれているから、真似が
できない。」という感想を聞きます。果たしてそうでしょうか。広大な地域に農地や里山、子
どもが減り、高齢者世帯も増えた地域で、住民が共同して、新しい取組みに踏み出すこと
は、容易なことではありません。将来への不安も飲み込んで、みんなの参加を得て、元気
な地域づくりにつなげていくには、いろいろな工夫やや粘り強さが必要だろうと思います。
生活環境には恵まれた本村ですが、であるからこそ、今こそ、みんなで地域をよく見直
し、持続可能な地域づくりに取りくみたい、そのためには、頑張っている他の地域や、リー
ダーの皆さんと交流しながら、学んでいくべきだろう、と感じました。
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