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ISCSI Bootの仕組み

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ISCSI Bootの仕組み
ISCSI Boot の仕組み
iSCSI Boot の仕組み
iSCSI boot は、iSCSI ストレージをシステムディスクとして利用する形態です。最近当
社の事例でも、iSCSI Boot をトライするケースが増えています。一般的に、iSCSI ストレ
ージは、OS 下で稼動する接続用SW(イニシエーター)で接続されるため、OS が立ち上
がる前の Boot 環境では接続することが出来ません。設定には、HW技術に近い領域の知識
を必要としますので、iSCSI ストレージの利用方法の中では難しい一つとされています。
iSCSI Boot を実現するには、Boot 環境で iSCSI ストレージを接続する仕組みが必要に
なります。その仕組みの一つが、iSCSI HBA カードを使用する方式です。この方式は、
NIC カードに iSCSI 機能を実装した低価格の HBA が入手できるようになったこと、また、
原理を知れば簡単に設定できることから、最近、普及し始めています。
iSCSI Boot の原理は難しいものではありません。OS 導入プロセスを例にとって、その
仕組みを見てみましょう。まず、OS を導入していないシステムがあるとします。このシス
テムのマザーボード(あるいは、システムボード)には、プロセッサー、メモリー、I/O コ
ントロールユニット、PCI カードスロット、LAN、その他多くの HW 機能、機構が実装さ
れています。これらのHW機能、機構を稼動させるために、マザーボード上の ROM に SW
として BIOS(Basic Input Output System)が搭載されています。
電源を投入すると、BIOS が起動し、搭載されている各種機能を実行できるシステム環境
が生成されます。例えば、キーボード、ディスプレーなどが稼動し、BIOS の内容を設定で
きるようになります。同様に、iSCSI HBA も、PCI カードスロットに実装されたカードと
して BIOS に認識されます。
BIOS 設定を変更し、iSCSI Boot を可にすると、BIOS の iSCSI 設定ルーチンが起動し、
パラメーター等の設定が可能になります。指示に従って iSCSI 接続に必要なパラメーター
を設定します。設定したパラメーターは、BIOS 変更を保管する際、iSCSI HBA に搭載さ
れている ROM に記録保管されます。この記録保管された情報を iBT(iSCSI Boot Table)
と呼び、iSCSI Boot を実現する上で必須の情報になります。
次に、iSCSI Boot を第一優先順位に設定し BIOS を再起動すると、BIOS は iSCSI HBA
の ROM から設定パラメーター(iBT)を読み込み、ストレージデバイスへのアクセス経路が
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ISCSI Boot の仕組み
確立されます。この状態で、BIOS はキーボードやディスプレーと同じようにストレージへ
の I/O 処理を実行できる状態になり、OS の導入が可能になります。例えば、OS を CD ド
ライブから導入する場合、CD ドライブにセットした OS がメモリー領域に読み込まれ、導
入作業が進みます。
OS が、iSCSI HBA に接続されたストレージにアクセスするには、OS がそのストレー
ジを SCSI ストレージとして認識する必要があります。OS には、SCSI デバイスドライバ
ーがプリセットされているのが一般的ですが、iSCSI ストレージ関係はプリセットされてい
ないことがあります。その場合は、SCSI デバイスドライバーを導入する必要があります。
OS 導入ステップの途中に、各種デバイスドライバーをセットアップするプロセスがありま
す。SCSI 関連のデバイスドライバーを導入する際、プリセット外の SCSI ドライバーを要
求するステップがありますので、指示に従って事前に用意しておいたデバイスドライバー
を導入します。
SCSI デバイスドライバーの導入が正しく処理できれば、メモリー内の OS が、iBT 情報
を使って、予め設定してあるストレージボリュームを認識します。しかし、まだ、データ
入出力はできません。データ入出力が可能なストレージ領域を設定するため、フォーマト
処理を実行し、その領域に OS を書き込み記録します。再起動すれば、iSCSI ストレージに
導入した OS が読み込まれ、システムが立ち上がります。iSCSI Boot が実現します。
iSCSI Boot の最大の利点は、プロセッサーシステムとシステムディスクを完全に分離で
きることです。プロセッサーシステム部分を SW やデータのない単純な HW 化できれば、
その部分の導入、更新が自由になります。最先端のプロセッサーシステムへの切り替えも
柔軟に行えます。
以上の方法で iSCSI Boot を実現できます。仕組みは難しくありません。オンボードの
LAN ポートでも最近のサーバーに搭載されているチップは、殆どが iSCSI Boot 対応にな
っています。iSCSI Boot 対応でない場合は、対応する NIC カードを搭載することで実現
できます。皆さんも、是非お試しください。
株式会社 RISA ストレージ
技術担当 杉本
Mail [email protected]
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