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特 許 公 報 特許第5785947号

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特 許 公 報 特許第5785947号
特 許 公 報(B2)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
〔実 28 頁〕
(11)特許番号
特許第5785947号
(45)発行日
(P5785947)
(24)登録日 平成27年7月31日(2015.7.31)
平成27年9月30日(2015.9.30)
(51)Int.Cl.
FI
C12P
1/04
(2006.01)
C12P
1/04
Z
C12Q
1/02
(2006.01)
C12Q
1/02
C07G 99/00
(2009.01)
C07G
99/00
C
A01K 67/027
(2006.01)
A01K
67/027
A61K 39/02
(2006.01)
A61K
39/02
請求項の数9
(全40頁) 最終頁に続く
(21)出願番号
特願2012-527815(P2012-527815)
(73)特許権者 515088902
(86)(22)出願日
平成22年8月26日(2010.8.26)
ユンジン
(65)公表番号
特表2013-503858(P2013-503858A)
ッド
(43)公表日
平成25年2月4日(2013.2.4)
大韓民国
(86)国際出願番号
PCT/KR2010/005721
ドン‐ク、チョンホ‐デロ、1057
(87)国際公開番号
WO2011/027990
(87)国際公開日
平成23年3月10日(2011.3.10)
審査請求日
平成24年6月14日(2012.6.14)
ファーム.カンパニー、リミテ
ソウル
134‐721、カン
(74)代理人 110000729
特許業務法人
ユニアス国際特許事務所
(72)発明者 コ、ヨン‐スン
(31)優先権主張番号
10-2009-0083621
大韓民国
(32)優先日
平成21年9月4日(2009.9.4)
751、ポハン‐シ、ナム‐グ、ジゴク‐
ギョンサンブク‐ド
790‐
(33)優先権主張国
韓国(KR)
ドン、プロフェッサーアパートメント、1
(31)優先権主張番号
PCT/KR2010/001787
003ホ
(32)優先日
平成22年3月23日(2010.3.23)
(33)優先権主張国
韓国(KR)
4‐ドン
前置審査
最終頁に続く
(54)【発明の名称】グラム陽性細菌由来細胞外ベシクル及びその用途
1
2
(57)【特許請求の範囲】
2に記載の疾病動物モデル。
【請求項1】
【請求項4】
細胞壁を有するグラム陽性細菌由来の細胞外ベシクルで
細胞壁を有するグラム陽性細菌由来の細胞外ベシクルを
あって、
動物に投与することを含む疾病動物モデル(ただし、ヒ
前記グラム陽性細菌はスタフィロコッカスであり、
トを除く)の製造方法であって、
前記細胞外ベシクルは、動物の体内分泌物又はグラム陽
前記グラム陽性細菌はスタフィロコッカスであり、
性細菌培養液から分離される細胞外ベシクル。
前記投与は皮膚投与、鼻腔投与、気道吸入、口腔投与、
【請求項2】
皮下投与、腹腔投与、血管投与、及び肛門投与よりなる
細胞壁を有するグラム陽性細菌由来の細胞外ベシクルを
群から選ばれるものである疾病動物モデルの製造方法。
投与することによって得られた疾病動物モデル(ただし 10
【請求項5】
、ヒトを除く)であって、
細胞壁を有するグラム陽性細菌由来の細胞外ベシクルに
前記グラム陽性細菌はスタフィロコッカスであり、
起因する疾病の予防又は治療候補薬物探索方法であって
前記投与は皮膚投与、鼻腔投与、気道吸入、口腔投与、
、
皮下投与、腹腔投与、血管投与、及び肛門投与よりなる
前記グラム陽性細菌はスタフィロコッカスであり、
群から選ばれるものである疾病動物モデル。
前記方法は、in vitroで候補薬物の存在下又は
【請求項3】
非存在下で細胞に前記細胞外ベシクルを処理する段階と
前記疾病は皮膚疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、生殖器
、
疾患、血管疾患、代謝疾患、肺疾患、骨関節疾患、及び
前記ベシクルによって誘導された炎症性サイトカインの
脳神経疾患よりなる群から選ばれるものである、請求項
水準を測定する段階とを含む前記疾病の予防又は治療候
( 2 )
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補薬物探索方法。
れる細胞外ベシクルは細胞外膜(outer
【請求項6】
ら分泌するものと知られているが、グラム陽性細菌の場
グラム陽性細菌感染に対する予防又は治療用ワクチンで
合には細胞外膜がなく、細胞膜が細胞壁に取り囲まれて
あって、
おり、現在まで細胞外ベシクルを分泌し或いはグラム陽
細胞壁を有するグラム陽性細菌由来の細胞外ベシクルを
性細菌に由来する細胞外ベシクルが疾病を引き起こすと
含み、前記グラム陽性細菌はスタフィロコッカスである
いうことは知られていない。
、予防又は治療用ワクチン。
【先行技術文献】
【請求項7】
【非特許文献】
前記ワクチンは細菌を形質転換して使用するもの或いは
【0005】
前記の細菌に化学物質を処理して使用するものである、 10
【非特許文献1】Kuehn, M. J., Kesty, N. C., Bacter
請求項6に記載のワクチン。
ial outer membrane vesicles and the host-pathogen
【請求項8】
interaction. Genes Dev. 2005, 19, 2645-2655
前記ワクチンは前記細胞外ベシクルに化学物質を処理し
【発明の概要】
て使用するものである、請求項6に記載のワクチン。
【発明が解決しようとする課題】
【請求項9】
【0006】
前記ワクチンは効能を増加させるか副作用を減少させる
本発明の目的は、グラム陽性細菌由来細胞外ベシクルを
目的で薬物を併用投与して使用するものである、請求項
提供することにある。
6∼8のいずれかに記載のワクチン。
また、本発明の他の目的は、グラム陽性細から細胞外ベ
【発明の詳細な説明】
シクルを分離して製造する方法を提供することにある。
【技術分野】
20
membrane)か
また、本発明の別の目的は、グラム陽性細菌由来細胞外
【0001】
ベシクルを実験動物に投与して疾病動物モデルを提供す
本発明は、グラム陽性細菌に由来する細胞外ベシクル(
ることにある。
extracellular vesicle、EV)、及びこれを用いた疾
また、本発明の別の目的は、疾病動物モデル又は体外ス
病モデル、候補薬物探索方法、ワクチン、疾病の原因因
クリーニングシステムを介して疾病を予防又は治療する
子診断方法などに関する。
効果的な候補物質を選別する方法を提供することにある
【背景技術】
。
【0002】
また、本発明の別の目的は、グラム陽性細菌由来細胞外
グラム陽性細菌は、グラム染色の際に紫色に染色される
ベシクルを用いてグラム陽性細菌由来細胞外ベシクルに
特徴を有し、グラム陰性細菌と比較して細胞外膜(outer
よる疾病を予防又は治療することが可能なワクチンを提
membrane)のない特徴を有する細菌であって、系統分類 30
供することにある。
学的にファーミキューテス(Firmicutes)門(phylum)、
また、本発明の別の目的は、グラム陽性細菌由来細胞外
アクチノバクテリア(Actinobacteria)門、テネリクテス
ベシクルを用いてグラム陽性細菌に対する感染を予防又
(Tenericutes)門がこれに該当する。ファーミキューテ
は治療することが可能なワクチンを提供することにある
ス門とアクチノバクテリア門は、両方とも細胞壁にペプ
。
チドグリカンが豊富であるが、前者は遺伝物質にG+C
また、本発明の別の目的は、分離された細胞外ベシクル
量が少なく、後者はG+C量が多いことを特徴とする。
を用いてグラム陽性細菌が引き起こす疾病の原因因子を
テネリクテス門は細胞壁がないことを特徴とする。
診断する方法を提供することにある。
【0003】
本発明が解決しようとする技術的な課題は上述した課題
ヒトに疾病を引き起こす病原菌の大部分はグラム陽性細
に限定されず、上述していない別の課題は以下の記載か
菌と知られており、中でも、球状の細菌としてはストレ 40
ら当業者に明確に理解できるであろう。
プトコッカス(Streptococcus)とスタフィロコッカス(St
【課題を解決するための手段】
aphylococcus)が代表的な病原菌であり、棒状の細菌と
【0007】
しては胞子(spore)を形成しないコリネバクテリウム(Co
本発明の第1側面は、グラム陽性細菌由来細胞外ベシク
rynebacterium)とリステリア(Listeria)、胞子を形成す
ルを提供する。
るバシラス (Bacillus)とクロストリジウム(Clostridiu
前記本発明の一具現例において、前記グラム陽性細菌は
m)などが代表的な病原菌である。
ファーミキューテス(Firmicutes)門(phylum)をなす細
【0004】
菌であるが、これに限定されるものではない。
一方、グラム陰性細菌が分泌する細胞外ベシクルとグラ
前記ファーミキューテス門は、スタフィロコッカス(Sta
ム陰性細菌が引き起こす疾病との関連性が最近注目を浴
phylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、
びている(非特許文献1)。グラム陰性細菌から分泌さ 50
エンテロコッカス(Enterococcus)、バシラス(Bacillus)
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、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、ノカルジア(
本発明の第3側面は、グラム陽性細菌由来細胞外ベシク
Norcarida)、クロストリジウム(Clostridium)、ラクト
ルを用いた疾病動物モデルを提供する。
バシラス(Lactobacillus)、及びリステリア(Listeria)
前記本発明のグラム陽性細菌及び細胞外ベシクルは前述
を含むが、これに限定されるものではない。
と同じである。
前記本発明の他の具現例において、前記グラム陽性細菌
前記本発明の疾病は、局所疾患であって、アトピー皮膚
は、モリクテス(Mollicutes)綱(class)をなす細菌であ
炎などの皮膚疾患、鼻炎、副鼻腔炎、鼻咽頭癌、気管支
るが、これに限定されるものではない。
炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症、肺炎、肺
前記モリクテス綱は、マイコプラズマ(Mycoplasma)を含
癌などの呼吸器疾患、口腔炎、口腔癌、食道炎、食道癌
むが、これに限定されるものではない。
、胃炎、胃癌、炎症性腸炎、大腸癌などの消化器疾患、
前記本発明の別の具現例において、前記グラム陽性細菌 10
膣炎、子宮頚部炎、子宮頚部癌などの生殖器疾患を含む
は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブド
が、これに限定されるものではない。
ウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、枯草菌(Bacillu
また、前記本発明の疾病は、全身疾患であって、敗血症
s subtilis)などを含む。
、血栓/塞栓症、動脈硬化症、脳卒中、急性冠状動脈症
前記本発明の別の具現例において、前記グラム陽性細菌
候群、虚血性血管疾患などの血管疾患、糖尿病、肥満な
由来細胞外ベシクルは、動物の体内に生息するグラム陽
どの代謝疾患、肺気腫、急性呼吸不全症候群などの肺疾
性細菌が分泌するものを含むが、これに限定されるもの
患、関節炎、骨粗しょう症などの骨関節疾患、痴呆、退
ではない。
行性脳疾患、うつ症などの脳神経疾患などを含むが、こ
前記細胞外ベシクルは動物の体内分泌物から分離するこ
れに限定されるものではない。
とができ、前記動物の体内分泌物は皮膚洗浄液、鼻水、
前記本発明の一具現例において、前記動物はマウスであ
喀痰、大便、血液、小便、関節液、脳脊髄液、胸水、及 20
りうるが、これに限定されるものではない。
び腹水などを含む。
【0010】
前記本発明の別の具現例において、前記グラム陽性細菌
本発明の第4側面は、グラム陽性細菌由来細胞外ベシク
由来細胞外ベシクルは周辺環境に生息するグラム陽性細
ルを動物に投与することを特徴とする、疾病動物モデル
菌が分泌するものを含み、前記周辺環境は室内空気、室
の製造方法を提供する。
外空気、土壌、及び海などを含む。
前記本発明のグラム陽性細菌、細胞外ベシクル、及び疾
前記本発明の別の具現例において、前記グラム陽性細菌
病は前述と同じである。
由来細胞外ベシクルは、グラム陽性細菌培養液から分泌
前記本発明の投与は、皮膚投与、鼻腔投与、気道吸入、
されるものを含むが、これに限定されるものではない。
口腔投与、皮下投与、腹腔投与、血管投与、肛門投与な
前記本発明の別の具現例において、前記細胞外ベシクル
どを含む。
は自然的に分泌されるもの、及び人工的に分泌されるも 30
【0011】
のを含む。
本発明の第5側面は、グラム陽性細菌由来細胞外ベシク
【0008】
ルによる疾病動物モデルを用いてバイオマーカーを発掘
本発明の第2側面は、グラム陽性細菌由来細胞外ベシク
する方法を提供する。
ルの製造方法を提供する。
【0012】
前記本発明の一具現例において、前記製造方法は、グラ
本発明の第6側面は、グラム陽性細菌由来細胞外ベシク
ム陽性細菌培養液を遠心分離して上澄液を収得する段階
ルを用いた、疾病の予防又は治療に対する候補薬物の探
と、前記収得された上澄液を濾過する段階とを含む。
索方法を提供する。
前記本発明の他の具現例において、前記製造方法は、グ
前記本発明のグラム陽性細菌、細胞外ベシクル、及び疾
ラム陽性細菌培養液を遠心分離して上澄液を収得する段
病は前述と同じである。
階と、前記収得された上澄液を第1フィルターで濾過す 40
前記本発明の一具現例において、前記探索方法は、グラ
る段階と、前記濾過物を第2フィルターで濾過する段階
ム陽性細菌由来細胞外ベシクルを細胞に処理する段階を
と、収得された前記濾過物を超遠心分離して沈殿物を収
含むことができる。前記細胞は炎症細胞、上皮細胞、血
得する段階とを含む。
管内皮細胞、線維芽細胞、幹細胞などを含む。また、前
前記本発明の別の具現例において、第1フィルターで濾
記炎症細胞は単核球、好中球、好酸球、好塩球、及び単
過した後、その濾過物を濃縮する段階をさらに含むこと
核球が組織から分化した細胞などを含み、前記幹細胞は
ができる。
骨髄組織又は脂肪組織に由来する細胞でありうるが、こ
前記本発明の別の具現例において、前記沈殿物を収得す
れに限定されるものではない。
る段階に続いて、前記沈殿物を懸濁する段階をさらに含
前記本発明の他の具現例において、前記探索方法は、グ
むことができる。
ラム陽性細菌由来細胞外ベシクルと共に候補物質を投与
【0009】
50
した後、炎症関連媒介体の水準を測定し或いは炎症関連
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シグナル伝達過程を評価する段階を含むことができる。
前記本発明のグラム陽性細菌及びグラム陽性細菌由来細
【0013】
胞外ベシクルは前述と同じである。
本発明の第7側面は、グラム陽性細菌による感染を予防
前記本発明の一具現例によれば、前記疾病はグラム陽性
又は治療するために、グラム陽性細菌由来細胞外ベシク
細菌由来細胞外ベシクルにより発生又は悪化する疾病を
ルを含むワクチンを提供する。
含む。
前記本発明のグラム陽性細菌及びグラム陽性細菌由来細
前記本発明のグラム陽性細菌由来細胞外ベシクルにより
胞外ベシクルは前述と同じである。
発生又は悪化する疾病は、アトピー皮膚炎などの皮膚疾
前記本発明の一具現例によれば、前記グラム陽性細菌に
患、鼻炎、副鼻腔炎、鼻咽頭癌、気管支炎、喘息、慢性
よる感染は皮膚感染、呼吸器感染、泌尿生殖器感染、骨
閉塞性肺疾患、気管支拡張症、肺炎、肺癌などの呼吸器
関節感染、中枢神経系感染、及び敗血症などでありうる 10
疾患、口腔炎、口腔癌、食道炎、食道癌、胃炎、胃癌、
が、これに限定されるものではない。
炎症性腸炎、大腸癌などの消化器疾患、膣炎、子宮頚部
前記本発明の他の具現例によれば、前記ワクチンは効能
炎、子宮頚部癌などの生殖器疾患を含む局所疾患である
を増加させるか副作用を減少させる目的で変形して使用
が、これに限定されるものではない。
することができる。前記変形は細菌を形質転換すること
本発明のグラム陽性細菌由来細胞外ベシクルにより発生
、細胞に化学物質を処理することなどを含み、前記化学
又は悪化する疾病は、敗血症、血栓/塞栓症、動脈硬化
物質は薬物を含む。
症、脳卒中、急性冠状動脈症候群、虚血性血管疾患など
前記本発明の別の具現例によれば、前記細胞外ベシクル
の血管疾患、糖尿病、肥満などの代謝疾患、肺気腫、急
は効能を増加させるか副作用を減少させる目的で変形し
性呼吸不全症候群などの肺疾患、関節炎、骨粗しょう症
て使用することができ、前記変形は細胞外ベシクルに化
などの骨関節疾患、痴呆、退行性脳疾患、うつ症などの
学物質を処理することを含み、前記化学物質は薬物を含 20
脳神経疾患などを含む全身疾患であるが、これに限定さ
む。
れるものではない。
前記本発明の別の具現例によれば、前記ワクチンは効能
前記本発明の他の具現例によれば、前記疾病はグラム陽
を増加させるか副作用を減少させる目的で薬物を併用投
性細菌による感染を含む。
与して使用し、或いは免疫補強剤を併用投与して使用す
前記本発明のグラム陽性細菌による感染は、皮膚感染、
ることができるが、これに限定されるものではない。
呼吸器感染、泌尿生殖器感染、骨関節感染、中枢神経系
【0014】
感染、及び敗血症などでありうるが、これに限定される
本発明の第8側面は、グラム陽性細菌由来細胞外ベシク
ものではない。
ルにより発生する疾病を予防又は治療するために、グラ
前記本発明の別の具現例によれば、前記投与は皮下注射
ム陽性細菌由来細胞外ベシクルを含むワクチンを提供す
、皮膚塗抹、静脈注射、鼻腔投与、舌下投与、気道吸入
る。
30
、経口服用、肛門投与などを含む。
前記本発明のグラム陽性細菌、細胞外ベシクル、疾病な
前記本発明の別の具現例によれば、前記細胞外ベシクル
どは前述と同じである。
は効能を増加させるか副作用を減少させる目的で変形し
前記本発明の一具現例によれば、前記ワクチンは効能を
て使用することができる。前記変形は細菌を形質転換す
増加させるか副作用を減少させる目的で変形して使用す
ること、細菌に化学物質を処理すること、細胞外ベシク
ることができる。前記変形は細菌を形質転換すること、
ルに化学物質を処理することなどを含み、前記化学物質
細菌に化学物質を処理することなどを含み、前記化学物
は薬物を含む。
質は薬物を含む。
前記本発明の別の具現例によれば、前記投与は、効能を
前記本発明の他の具現例によれば、前記細胞外ベシクル
増加させるか副作用を減少させる目的で、薬物を併用投
は効能を増加させるか副作用を減少させる目的で変形し
与し或いは免疫補強剤を併用投与することができるが、
て使用することができ、前記変形は細胞外ベシクルに化 40
これに限定されるものではない。
合物質を処理することを含み、前記化合物質は薬物を含
【0016】
む。
本発明の第10側面は、グラム陽性細菌由来細胞外ベシ
前記本発明の別の具現例によれば、前記ワクチンは、効
クルを応用して疾病の原因因子を診断する方法を提供す
能を増加させるか副作用を減少させる目的で、薬物を併
る。
用投与して使用し或いは免疫補強剤を併用投与して使用
前記本発明のグラム陽性細菌及び細胞外ベシクルは前述
することができるが、これに限定されるものではない。
と同じである。
【0015】
前記本発明の一具現例によれば、前記疾病はグラム陽性
本発明の第9側面は、グラム陽性細菌由来細胞外ベシク
細菌由来細胞外ベシクルにより発生又は悪化する疾病を
ルを致死量未満で哺乳動物に投与する段階を含む、疾病
含む。グラム陽性細菌由来細胞外ベシクルにより発生又
に対する予防又は治療方法を提供する。
50
は悪化する疾病は前述と同じである。
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前記本発明の他の具現例によれば、前記疾病はグラム陽
クチンの開発に応用可能である。また、グラム陽性細菌
性細菌による感染を含む。前記本発明のグラム陽性細菌
由来細胞外ベシクルを応用して、グラム陽性細菌の感染
による感染は、皮膚感染、呼吸器感染、泌尿生殖器感染
、又はグラム陽性細菌由来細胞外ベシクルにより発生す
、骨関節感染、中枢神経系感染、及び敗血症などであり
る疾病の原因因子を診断する技術の開発が可能である。
うるが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
前記本発明の別の具現例において、前記応用はグラム陽
【0019】
性細菌由来細胞外ベシクルに含まれた遺伝物質の塩基配
【図1】黄色ブドウ球菌で細胞外ベシクルが形成され、
列を分析することであり、前記遺伝物質は16S rR
分泌されることを示す透過電子顕微鏡イメージである。
NAでありうるが、これに限定されるものではない。
【図2】黄色ブドウ球菌で細胞外ベシクルが形成され、
前記本発明の別の具現例によれば、前記応用は、グラム 10
分泌されることを示す走査電子顕微鏡イメージである。
陽性細菌由来細胞外ベシクルに含まれたタンパク質を測
【図3】黄色ブドウ球菌で精製された細胞外ベシクルの
定し、或いはグラム陽性細菌由来細胞外ベシクルに対す
透過電子顕微鏡イメージ(a)と走査電子顕微鏡イメー
る免疫反応を測定することでありうるが、これに限定さ
ジ(b)である。
れるものではない。前記免疫反応の測定は、グラム陽性
【図4】黄色ブドウ球菌で精製された細胞外ベシクルの
細菌由来細胞外ベシクルに対する抗体を測定することで
粒度分析分布図である。
ありうるが、これに限定されるものではない。
【図5】ブドウ球菌の全体細胞タンパク質(WC)、細
前記本発明の別の具現例によれば、前記診断は、血液、
胞壁タンパク質(CW)、膜タンパク質(MP)、細胞
喀痰、 鼻水、皮膚洗浄液、大便、小便、脳脊髄液、関
質タンパク質(CY)及び細胞外ベシクル(EV)タン
節液、胸水、又は腹水などに由来する試料を用いること
パク質のクマシー染色SDS−PAGE結果を示す写真
ができるが、これに限定されるものではない。
20
である。
【発明の効果】
【図6】表皮ブドウ球菌で細胞外ベシクルが形成され、
【0017】
分泌されることを示す透過電子顕微鏡イメージである。
本発明は、体内で生息し或いは周辺環境に存在するグラ
【図7】表皮ブドウ球菌で細胞外ベシクルが形成され、
ム陽性細菌としてのブドウ球菌(Staphylococcus aureus
分泌されることを示す走査電子顕微鏡イメージである。
)が細胞外ベシクルを分泌し、ブドウ球菌由来細胞外ベ
【図8】表皮ブドウ球菌で精製された細胞外ベシクルの
シクルが、皮膚及び粘膜の炎症を特徴とする局所疾患だ
透過電子顕微鏡イメージ(a)と走査電子顕微鏡イメー
けでなく、 血液に吸収されて全身的な炎症反応を特徴
ジ(b)である。
とする敗血症、血液凝固による血栓/塞栓症などの全身
【図9】表皮ブドウ球菌で精製された細胞外ベシクルの
疾患を誘発するという発見により、グラム陽性細菌由来
粒度分析分布図を示す結果である。
細胞外ベシクルを用いた疾病モデル、疾病を予防又は治 30
【図10】枯草菌で細胞外ベシクルが形成され、分泌さ
療する候補薬物の探索技術、細胞外ベシクルを応用した
れることを示す透過電子顕微鏡イメージである。
疾病の予防或いは治療用ワクチン技術、及び疾病の原因
【図11】枯草菌で細胞外ベシクルが形成され、分泌さ
因子を診断する方法などを提供する。
れることを示す走査電子顕微鏡イメージである。
【0018】
【図12】枯草菌で精製された細胞外ベシクルの透過電
具体的にグラム陽性細菌に由来する細胞外ベシクルを分
子顕微鏡イメージ(a)と走査電子顕微鏡イメージ(b
離し、これを細胞に投与したときには炎症媒介体が分泌
)である。
され、局所的に投与したときには皮膚又は粘膜に炎症が
【図13】枯草菌で精製された細胞外ベシクルの粒度分
発生し、腹腔に投与したときには細胞外ベシクルが血管
析分布図を示す結果である。
に流入して全身的な炎症反応を特徴とする敗血症と共に
【図14】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルのプロテ
血液凝固による血栓/塞栓症などの疾病が発生するとい 40
オーム分析結果であって、イン−ゲル分解方法で41個
う事実を用いて、疾病動物モデル及び候補薬物を効率よ
、イン−ソリューション分解方法で84個、中でも34
く選別する探索方法を提供することができる。また、腸
個が2つの方法のいずれでも観察され、合計90個のタ
内共生細菌由来細胞外ベシクルを用いた疾病モデル又は
ンパク質を同定したことを示すベンダイアグラムである
体外スクリーニングシステムを介して、グラム陽性細菌
。
由来細胞外ベシクルにより発生する疾患を予防又は治療
【図15】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルをマウス
することが可能な薬物を効率よく発掘することができる
マクロファージに処理したときに炎症性サイトカインと
。また、腸内共生細菌由来細胞外ベシクル自体或いはこ
してのTNF−αとIL−6の分泌量が増加することを
れを変形して投与して免疫反応を調節することにより、
示す結果である。
グラム陽性細菌による感染又はグラム陽性細菌由来細胞
【図16】マウスの皮膚から得た線維芽細胞に黄色ブド
外ベシクルによる疾病を効率よく予防或いは治療するワ 50
ウ球菌由来細胞外ベシクルを処理したとき、様々なサイ
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トカインを含む炎症性媒介体を生産する結果である。
コルである。
【図17】マウスに黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル
【図31】図30で黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル
を処理し、アトピー性皮膚炎に類似した症状を引き起こ
を処理した後、摘出した肺組織のH&E染色結果である
すようにする方法で週3回4週間処理し、48時間後に
。
様々な指標を確認した。
【図32】図30で黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル
【図18】図17によってマウスに黄色ブドウ球菌由来
を処理した後、血漿内D−dimerの増加を測定した
細胞外ベシクルを処理し、皮膚組織において表皮層の増
結果である。
殖(赤い円で表示された部分)と好酸球の浸潤(矢印の
【図33】図30で黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル
ヘッド)など、アトピー性皮膚炎に類似する症状が起こ
ったことを示す結果である。
を処理した後、血漿内血小板数の減少を測定した結果で
10
ある。
【図19】図18に示した皮膚組織の症状を数値化した
【図34】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルを用いて
結果であって、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルによ
薬物候補物質を発掘する方法に対する模式図である。
って表皮の厚さや、浸潤した肥満細胞、好酸球の数など
【図35】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルとプロド
が増加することを示す。
ラッグを同時にマウスマクロファージに処理し、培養液
【図20】図17によってマウスに黄色ブドウ球菌由来
に存在するIL−6の量を細胞外ベシクルのみ単独で処
細胞外ベシクルを処理した後、処理した皮膚組織に存在
理した陽性対照群の測定値を基準として百分率で示すグ
する炎症性サイトカインの量を測定した結果であって、
ラフである。
黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルを処理するにつれて
【図36】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルをマウス
増加することを示す。
の鼻腔に注入し、プロドラッグとしてのドキセピン(Dox
【図21】患者の患部洗浄液を濃縮させた後、ELIS 20
epin)とハロペリドール(Haloperidol)を腹腔注入したと
A法で黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルに存在する抗
きに気管支肺胞洗浄液内IL−6の分泌を測定した結果
原が存在することを示す結果である。
である。
【図22】アトピー性皮膚炎を有する患者の血清におい
【図37】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルがマウス
て、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルに対するIgE
の樹枝状細胞内にアップテイク(uptake)される蛍光顕微
の量が正常対照群に比べて非常に増加していることを示
鏡イメージである。
す結果である。
【図38】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルをマウス
【図23】マウスの気道に黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
の樹枝状細胞に処理したときにIL−12p40サイト
シクルを吸入させて先天免疫反応の様相を見るための方
カインの分泌が増加することを示す結果である。
法を図式化したものである。
【図39】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルをマウス
【図24】図23の方法で黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ 30
の樹枝状細胞に処理したときに樹枝状細胞の表面のCD
シクルを吸入させたマウスの肺胞洗浄液に存在する炎症
40とMHCIIの発現が増加することを示す結果であ
細胞の数と炎症性サイトカインIL−6の量が対照群に
る。
比べて増加したことを示す結果である。
【図40】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルが誘導す
【図25】マウスの気道に黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
る免疫反応の指標としての抗体を測定するプロトコルで
シクルを吸入させて後天免疫反応の様相を見るための方
ある。
法を図式化したものである。
【図41】図40の方法で得たマウス血清で細胞外ベシ
【図26】図25の方法で黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
クル特異IgG抗体が増加した結果を示す図である。
シクルを吸入させたマウスの肺胞洗浄液に存在する炎症
【図42】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルを予防ワ
細胞の数とIL−17の量が対照群に比べて増加するこ
クチンとしてマウスに投与した後、免疫学的指標を測定
とにより、気道粘膜にTh17の後天免疫反応が誘導さ 40
するプロトコルである。
れたことを示す結果である。
【図43】図42の方法で得たマウス脾臓細胞でIFN
【図27】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルによるマ
−γとIL−17のサイトカインが増加することを示す
ウスの死亡誘導を確認する実験プロトコルである。
グラフである。
【図28】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルをマウス
【図44】マウスの皮膚をテープストリッピングした後
に処理した後の生存率を示す結果である。
、週3回ずつ4週間パッチの方法で黄色ブドウ球菌由来
【図29】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルにより誘
細胞外ベシクルを投与する方法を示す図である。
導される全身性炎症反応の指標の一つである低体温症を
【図45】図42の方法でベシクルを処理した後、抗体
示す図である。
の量を比較したとき、マウス血清内黄色ブドウ球菌由来
【図30】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルによる播
細胞外ベシクルに対するIgG抗体(antibody)の量が対
種性血管内凝固症の動物モデルを確立するためのプロト 50
照群に比べて増加したことを示す。
( 7 )
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【図46】図42の方法でベシクルを処理した後、脾臓
気管、気管支、細気管支、肺胞などの内腔及び表面を意
細胞を黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルで刺激したと
味し、「泌尿生殖器」とは腎臓、尿管、膀胱、尿道、膣
き、細胞外ベシクル特異的にTh1とTh17のサイト
、子宮頚部、子宮などの内腔及び表面を意味するが、こ
カインが増加したことを示す結果である。
れに限定されるものではない。
【図47】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルとpol
【0022】
yI:Cを複合投与した後、ブドウ球菌細胞をチャレン
本発明において、「周辺環境」とは、前記の体内を除い
ジし、免疫反応指標を評価するプロトコルである。
た自然界を意味し、例えば、動物の体内を除いた室内空
【図48】図47の方法で得たマウス血清で細胞外ベシ
気、室外空気、土壌、海などを含むが、これに限定され
クル特異IgG抗体が増加した結果を示す図である。
るものではない。
【図49】図47の方法で得たマウス脾臓細胞でIFN 10
【0023】
−γとIL−17のサイトカインが増加することを示す
本発明において、「グラム陽性細菌由来細胞外ベシクル
グラフである。
」とは、体内又は周辺環境に生息するグラム陽性細菌が
【図50】マウスの咽喉に2つの用量の黄色ブドウ球菌
自然的又は人工的に分泌するベシクルを含み、サイズが
を投与した後の生存率を示す。
元来の細胞より小さいことを特徴とするが、これに限定
【図51】黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルとpol
されるものではない。
yI:Cとが組み合わせられたワクチンによって、ブド
【0024】
ウ球菌由来肺炎モデルでマウスの生存率が増加すること
グラム陽性細菌は、一般にグラム染色で紫色に染色され
を示す。
る細菌であって、グラム陰性細菌と比較して細胞外膜が
【図52】マウスに腸球菌由来細胞外ベシクルを投与し
なく、細胞壁にペプチドグリカンの量が多いことを特徴
た後で得た血清でベシクル特異IgG抗体が増加したこ 20
とする。
とを示すグラフである。
【0025】
【図53】マウスに腸球菌由来細胞外ベシクルを処理し
系統分類上、厚い細胞壁と遺伝物質にG+C量が低いこ
た後で得た脾臓細胞でIFN−γサイトカインが増加す
とを特徴とするファーミキューテス門をなすグラム陽性
ることを示すグラフである。
細菌としては、球状(cocci)のスタフィロコッカス、ス
【図54】細胞外ベシクル内の16S rRNAをRT
トレプトコッカス及びエンテロコッカスなどが代表的で
−PCRで分析し、DNAをPCRで分析した結果であ
あり、棒状(rod)のバシラス(Bacillus)、コリネバクテ
る。
リウム、ノカルジア、クロストリジウム、ラクトバシラ
【発明を実施するための形態】
ス及びリステリアなどが代表的である。
【0020】
【0026】
本発明において、「グラム陽性細菌」とは、細胞に外膜 30
細胞壁がないが、進化的にファーミキューテスに由来す
がない且つ細胞壁が厚い特徴を有するファーミキューテ
るモリクテス綱もグラム陽性細菌に含まれるが、中でも
ス門(Phylum
マイコプラズマが代表的な細菌である。
Phylum
Firmicutes)とアクチノバクテリア門(
Actinobacteria)、細胞壁がないが、進化的に
【0027】
ファーミキューテス門由来のモリクテス綱(Class Moll
ヒトで感染を引き起こす病原菌は、大部分がグラム陽性
icutes)を含む意味であり、細胞壁のある細菌としてス
細菌であるが、例えばストレプトコッカス(Streptococc
タフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカ
us)、スタフィロコッカス、コリネバクテリウム、リス
ス(Streptococcus)、エンテロコッカス(Enterococcus)
テリア、バシラス、クロストリジウムなどが代表的な病
、バシラス(Bacillus)、コリネバクテリウム(Corynebac
原菌である。
terium)、ノカルジア(Norcarida)、クロストリジウム(C
【0028】
lostridium)、ラクトバシラス(Lactobacillus)、アクチ 40
1960年代に、電子顕微鏡を介してグラム陰性細菌が
ノバクテリア(Actinobacteria)、及びリステリア(Liste
細胞外ベシクルを分泌するという事実が報告された。グ
ria)などを含み、細胞壁がない細菌としてはマイコプラ
ラム陰性細菌由来細胞外ベシクルは、球状をし、リン脂
ズマ(Mycoplasma)などを含む。
質二重層からなっており、略20∼200nmのサイズ
【0021】
を有する。グラム陰性細菌由来細胞外ベシクルは、LP
本発明において、「体内」とは動物皮膚の表面、動物粘
Sだけでなく、様々な外膜タンパク質(outer membrane
膜の内腔及び表面を含む意味であり、ここで、「粘膜」
protein)を持っている。最近、本発明者らは、腸内共生
とは消化器、呼吸器、泌尿生殖器を含む意味であり、例
細菌としての大腸菌由来細胞外ベシクルが全身的に吸収
えば、「消化器」とは口腔、食道、胃、小腸、大腸、直
されたとき、敗血症、血液凝固、肺気腫などの全身疾患
腸、肛門、胆道、胆嚢、膵臓管などの内
を起こすという事実を解明した。
腔及び表面を
意味し、「呼吸器」とは結膜、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、 50
【0029】
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グラム陰性細菌が分泌する細胞外ベシクルが主に細胞外
脈の血栓(thrombosis)形成による急性冠状動脈症候群
膜に由来するという偏見に基づいて、グラム陽性細菌は
(acute coronary syndrome)、脳卒中(stroke)、静脈の
、細胞外膜がなく、細胞膜が厚い細胞壁で取り囲まれて
血栓形成による深部静脈血栓症(deep-vein thrombosis)
いるということから、グラム陽性細菌が細胞外ベシクル
、血栓が剥離しながら生ずる塞栓(thrombosis)により
を分泌するという事実は知られていない。
発生する肺動脈塞栓症(pulmonary embolism)などの疾病
【0030】
の病因に関与するタンパク質である。また、SbI(S.a
本発明者らは、球状のグラム陽性細菌である黄色ブドウ
ureus IgG-binding protein)も存在したが、これは宿主
球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphy
免疫細胞の食作用(phagocytosis)を抑制して細菌の免疫
lococcus epidermidis)が細胞外ベシクルを分泌するこ
回避機能を維持するうえ、上皮細胞(epidermal cell)に
とを見出し、電子顕微鏡上で略球状の形状をし、動的光 10
おけるIL−18の発現を誘導し、血清(serum)内の
散乱法で略10∼100nMのサイズを有することが分
I
かった。
こすことに関与することができる。
【0031】
【0034】
また、本発明者らは、棒状のグラム陽性細菌としての枯
プロテオーム分析によって黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
草菌(Bacillus subtilis)が細胞外ベシクルを分泌する
シクルに多様な疾病を引き起こすタンパク質が含まれて
ことを発見し、電子顕微鏡上で略球状の形状を有し、動
いるという事実に基づいて、体外で黄色ブドウ球菌由来
的光散乱法で略10∼100nMのサイズを有すること
細胞外ベシクルをマウスマクロファージに投与して炎症
が分かった。
媒介体の分泌を評価した。その結果、黄色ブドウ球菌由
【0032】
来細胞外ベシクルの濃度に比例して炎症媒介体としての
本発明者らは、イン−ゲル(in-gel)トリプシンタンパク 20
TNF−αとインターロイキン−6(IL−6)の分泌
質分解(tryptic digestion)方法とイン−ソリューショ
が誘導された。
ン(in-solution)トリプシンタンパク質分解方法によっ
【0035】
て黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルのプロテオーム分
また、体外で黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルをマウ
析を行ったが、イン−ゲル分解方法で41個のタンパク
スの線維芽細胞に投与して炎症媒体体の分泌を評価した
質が、イン−ソリューション分解方法で84個のタンパ
とき、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルによって炎症
ク質が同定された。イン−ゲル方法の結果のうち、35
媒介体としてのTNF(tumor necrosis factor)−α、
個のタンパク質がイン−ソリューション方法で同定した
IL−6だけでなく、TSLP(thymic stromal lympho
タンパク質と重なり合って合計90個の黄色ブドウ球菌
poietin)、エオタキシン(eotaxin)、MIP(macrophage
由来細胞外ベシクルのタンパク質を見つけ出した。
【0033】
gE抗体を増加させて皮膚にアトピー皮膚炎を引き起
inflammatory protein)−1αなどの分泌が誘導された
30
。
前記の方法で同定された黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシ
【0036】
クルには、疾病に関連した様々なタンパク質が存在した
黄色ブドウ球菌は、皮膚に生息するが、特にアトピー皮
。病原性(virulence)タンパク質として敗血症又は毒素
膚炎患者の皮膚にはほぼ100%生息すると知られてい
ショック症候群(toxic shock syndrome)を起こすスーパ
る。前記の体外実験結果に基づいて、黄色ブドウ球菌由
ー抗原(superantigen)としてのブドウ球菌エンテロトキ
来細胞外ベシクルを皮膚に投与したとき、アトピー皮膚
シンQ(staphylococcus enterotoxin Q)、ブドウ球菌分
炎などの局所炎症を誘導することができるかを評価した
泌抗原(staphylococcus secretory antigen)(ssaA
。テープストリッピング(tape stripping)の後、黄色ブ
1、ssaA2)などが存在した。また、赤血球を破壊
ドウ球菌由来細胞外ベシクルを週3回4週間投与したと
し且つヘモグロビンを溶かすα−溶血素(alpha-hemolys
き、アトピー患者から見られる炎症所見が観察された。
in)とγ−溶血素(gamma-hemolysin)などの毒素も含まれ 40
また、アトピー皮膚炎患者の皮膚洗浄液から細胞外ベシ
ていた。また、宿主組織内への細菌の浸潤と潜入に直接
クルを分離した後、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル
関与するプロテアーゼとしてのスタホパインA(staphop
特異抗体と反応させたとき、患者の洗浄液から分離した
ain A)と細胞外ECM及び血漿結合タンパク質(extrace
細胞外ベシクルに黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルが
llular ECM and plasma binding protein)が存在した。
存在することを確認した。また、アトピー皮膚炎患者の
また、血液凝固関連タンパク質としてはスタフィロコア
血清を分離した後、血清内黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
グラーゼ(staphylocoagulase)やフォン・ヴィレブラン
シクル特異IgE抗体を測定したとき、正常人に比べて
ド因子−結合タンパク質(von Willebrand factor-bindi
IgE抗体が有意に増加していた。前記結果より、黄色
ng proteins)などが存在したが、このようなタンパク質
ブドウ球菌由来細胞外ベシクルがアトピー皮膚炎の発生
は、血管内凝固を特徴とする敗血症、毒素ショック症候
又は悪化に重要な原因因子であることが自明である。
群(toxic shocks syndrome)などの発生だけでなく、動
50
【0037】
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黄色ブドウ球菌は、上気道粘膜などの体内だけでなく、
、前記の探索方法で102種のプロドラッグのうち、1
空気中に生息するものと知られている。本発明者らは、
9種の候補薬物を発掘し、上述の疾病動物モデルで効能
黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルが呼吸器粘膜に作用
を検証した。これは、本発明で開発した候補薬物探索方
して局所炎症を誘導するかを評価した。黄色ブドウ球菌
法を用いてグラム陽性細菌由来細胞外ベシクルにより発
由来細胞外ベシクルを1回鼻腔投与したとき、濃度に比
生する疾病を予防又は治療するための薬物を非常に効果
例して気管支肺胞洗浄液に炎症細胞の数が増加し、Th
的に発掘することができることを意味する。
17(17型ヘルパーT、type 17
【0041】
helper
T)細
胞の分化に重要なIL−6の分泌も増加した。また、黄
黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルは、多様なタンパク
色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルを週2回3週間鼻腔投
質と毒素(ブドウ球菌エンテロトキシンQ、K(Staphy
与したとき、気管支肺胞洗浄液における炎症細胞の総数 10
lococcal enterotoxin
だけでなく、好中球の数が顕著に増加し、Th17細胞
TA(lipoteichoic acid)とペプチドグリカンなどの免
から分泌されるIL−17も有意に増加した。前記結果
疫アジュバント(immune adjuvant)を含んでいる。本発
は、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルが粘膜に作用し
明者らは、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルが細菌感
、IL−17を媒介とする好中球性炎症の発生に重要な
染予防及び治療のためのワクチンとして応用可能なのか
原因因子であることを意味する。
を確認するためにマウス内の免疫学的指標を評価したと
【0038】
ともに、細胞外ベシクルの効能を増加させるか副作用を
敗血症は、局所細菌感染の際に病原菌由来物質が血管に
減少させることが可能な方法を考案した。その結果、黄
流入して全身的な炎症反応を引き起こす特徴を有する疾
色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルと合成dsRNAとし
患である。本発明者らは、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
てのpolyI:C(polyinosinic-polycytidylic acid
シクルを静脈注射して敗血症が誘導されるかを評価した 20
)を共に皮下注射したとき、マウス血清内の抗体(Ig
。高用量の細胞外ベシクルを静脈注射したとき、約40
G)が増加し、脾臓細胞が分泌するサイトカインとして
%のマウスが死亡した。また、敗血症の指標である低体
のIFN(interferon)−γとIL−17が増加した。こ
温症が、細胞外ベシクルを投与した場合に観察された。
れは、ブドウ球菌由来細胞外ベシクルを皮下注射したと
これは、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルが血管に流
きに抗体反応を誘導するうえ、Th1(1型ヘルパーT
入すると敗血症が発生することを意味する。
細胞、type 1
【0039】
反応を効率よく誘導することができることを意味する。
上述したプロテオーム分析において、黄色ブドウ球菌由
【0042】
来細胞外ベシクルに、血液凝固関連タンパク質が含まれ
黄色ブドウ球菌による肺炎の発生に黄色ブドウ球菌由来
ていた。本発明者らは黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシク
細胞外ベシクルワクチンの効能を評価した。その結果、
ルが血液凝固及びその結果として血栓が形成されるかを 30
ベシクルワクチンを投与していない場合には肺炎で60
評価した。その結果、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシク
%のマウスが死亡したが、ベシクルワクチンを投与した
ルを静脈注射、皮下注射、又は鼻腔投与した場合、血管
場合には肺炎による死亡が観察されなかった。これは、
内血液凝固の指標であるD−dimerの濃度が血清内
ベシクルワクチンを予め投与した場合に効率よく細菌感
で増加しており、他の指標である血小板の数が抹消血液
染を予防することができることを意味する。
内で減少していた。ベシクルによる血栓形成に関連し、
【0043】
黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルを静脈注射、皮下注
本発明によればブドウ球菌由来細胞外ベシクルにより各
射、又は鼻腔投与した場合、肺血管に血栓(thrombus)が
種疾病の発生が可能であることを前述した。これは、細
観察された。前記結果は、ブドウ球菌由来細胞外ベシク
胞外ベシクルが疾病の発生に重要な原因因子であること
ルが血管に流入したとき、血管に血液凝固による血栓又
は塞栓を誘導することができることを意味する。
Q,K))などのタンパク質とL
helper
T
cell)及びTh17免疫
を意味する。疾病の原因因子を診断する方法を提供する
40
ために、細菌由来細胞外ベシクルに遺伝物質が存在する
【0040】
かを確認した結果、16S rRNA及びDNAが存在
疾病を予防又は治療する薬物を開発するため、正確な原
することをPCR技法で確認した。これは、感染部位又
因物質を把握することは非常に重要である。たとえば、
は患者の血液などから採取した細胞外ベシクルの遺伝物
原因物質を体外から細胞に投与する過程で候補薬物を処
質の分析によって疾病の原因因子を効率よく診断するこ
理して効能を検証することができ、上述した動物モデル
とが可能な方法を提供する。
に候補薬物を投与して効能を検証することができる。本
【0044】
発明者らは、グラム陽性細菌由来細胞外ベシクルによる
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示
疾病を予防又は治療する薬物を開発するために、黄色ブ
する。ところが、下記の実施例は、本発明をより容易に
ドウ球菌細胞外ベシクルを用いた候補薬物を選別する探
理解するために提供されるもので、本発明の内容を限定
索方法を確立し、これにより薬物を発掘した。すなわち 50
するものではない。
( 10 )
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【実施例】
た上澄液を、孔径0.45μmのメンブレインフィルタ
【0045】
ー(membrane filter)を1回通過させた後、分子量10
実施例1.黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)細
0kDa以下のタンパク質を除去することが可能なメン
胞の電子顕微鏡観察
ブレインを装着したQuixstand system
黄色ブドウ球菌(ATCC14458)をニュートリエ
を用いて25倍濃縮した。濃縮液を孔径0.22μmの
ントブロス(nutrient broth)で培養して吸光度(600
メンブレインフィルターを1回通過させた後、容量70
nm)値が1.0となるようにした後、培養液を10,
mLの超遠心分離チューブ(ultracentrifuge tube)に入
000×gで20分間遠心分離した。沈殿した黄色ブド
れて4℃で150,000×gで3時間超遠心分離(ul
ウ球菌細胞を2.5%グルタルアルデヒド(glutaraldeh
tracetrifugation)した。沈殿物をPBS(phosphate b
yde)で2時間固定(fix)させ、1%四酸化オスミウム(os 10
uffered saline)で懸濁(resuspension)した後、黄色
mium tetroxide)で1時間後固定(post-fix)させた後、
ブドウ球菌由来細胞外ベシクルを得た。
エタノール(ethanol)で段階的脱水過程を経てエポキ
【0049】
シ樹脂ブロック(epoxy
resin)を作り、70nmの厚
[プロテオーム分析のための細胞外ベシクル分離方法]
さに超薄切片を作った。細胞切片をグロー放電炭素コー
前記一般的な細胞外ベシクル分離方法と同様の方法で得
ト銅グリッド(glow-discharged carbon-coated copper
られた濃縮液を、孔径0.22μmのメンブレインフィ
grid)に3分間吸着させた後、2%酢酸ウラニル(urany
ルターを1回通過させた後、容量70mLの超遠心分離
lacetate)とクエン酸鉛で染色(staining)した。JE
チューブに入れて4℃で150,000×gにて3時間
M101(Jeol、Japan)透過電子顕微鏡(tr
超遠心分離した。沈殿物を50%Optiprep2.
ansmission electron microscope、TEM)で観察した
2mLで懸濁した後、容量5mLの超遠心分離チューブ
。図1の透過電子顕微鏡イメージに示すように、黄色ブ 20
の底部に入れ、40%Optiprep2mLと10%
ドウ球菌細胞の表面外にサイズ20∼100nmの細胞
Optiprep0.8mLを順次入れた。その後、2
外ベシクルが分泌されることを分かる。
00,000×gで2時間超遠心分離を行った。40%
【0046】
Optiprepと10%Optiprepとの間の層
走査電子顕微鏡(scanning electron microscope、SE
から細胞外ベシクルを得た。
M)観察のために、上記と同様に培養した黄色ブドウ球
【0050】
菌を10,000×gで20分間遠心分離して沈澱させ
実施例3.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルの特性
た後、2.5%グルタルアルデヒドロで1時間固定させ
実施例2の方法によって黄色ブドウ球菌から分離した細
、1%四酸化オスミウムで1時間後固定させた後、エタ
胞外ベシクルをグロー放電炭素コート銅グリッドに3分
ノールで段階的脱水過程を経て、CO2 システム(HC
間吸着させた。グリッドを蒸留水で洗浄した後、2%酢
P−2臨界点乾燥器(HCP−2
酸ウラニルで染色した。JEM101透過電子顕微鏡で
critical
point
d 30
ryer)、HITACH、Japan)を用いて臨界点乾
観察した。
燥(critical point drying)を行った。細菌サンプルを
【0051】
試料台(stub)にのせて白金(Pt)でコートした後、J
図3aの透過電子顕微鏡イメージに示すように、黄色ブ
SM−7401F(Jeol、Japan)走査電子顕
ドウ球菌由来細胞外ベシクルは閉じた球状をしており、
微鏡で観察した。
20∼100nmのサイズを有することが分かる。分離
【0047】
した細胞外ベシクルをカバーガラス(cover glass)に付
図2の走査電子顕微鏡イメージに示すように、黄色ブド
けた後、2.5%グルタルアルデヒドで1時間固定させ
ウ球菌細胞の表面外に細胞外ベシクルが分泌されること
、1%四酸化オスミウムで1時間後固定させた後、エタ
が分かる。
【0048】
ノールで段階的脱水過程を経て、CO2 システムを用い
40
て臨界点乾燥を行った。細胞外ベシクルの付いたカバー
実施例2.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルの製造
グラスを試料台にのせて白金でコートした後、JSM−
[一般的な細胞外ベシクル分離方法]
7401F走査電子顕微鏡で観察した。
黄色ブドウ球菌を、3mLのニュートリエントブロスが
【0052】
入っている試験管に接種し、37℃で6時間培養した後
図3bの走査電子顕微鏡イメージに示すように、比較的
、その5mLを500mLのニュートリエントブロスが
均一なサイズ(20∼100nm)の円形の細胞外ベシ
入っている2Lの三角フラスコに移して37℃で4時間
クルが観察された。
培養し、吸光度(600nm)値が1.0となるように
【0053】
した。培養液を容量500mLの高速遠心分離チューブ
実施例2の方法によって黄色ブドウ球菌から分離した細
(high speed centrifuge tube)に入れた後、4℃で10
胞外ベシクルを1μg/mLの濃度でPBS1mLに希
,000×gで2分間遠心分離を行った。細菌を除去し 50
釈した。細胞外ベシクルが入っているPBS1mLをキ
( 11 )
JP
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ュベット(cuvette)に入れて動的光散乱粒度分析器で分
【0057】
析し、その結果を図4に示した。
実施例4.表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermis)
【0054】
細胞の電子顕微鏡観察
図4に示すように、細胞外ベシクルは、サイズが20∼
表皮ブドウ球菌(ATCC12228)をニュートリエ
100nmであり、平均サイズは28.3nmであった
ントブロスで培養して吸光度(600nm)値が1.0
。
となるようにした後、培養液を10,000×gで20
【0055】
分間遠心分離した。沈澱した表皮ブドウ球菌細胞を2.
全体細胞(whole cell)、細胞壁(cell wall)、膜(membra
5%グルタルアルデヒドで2時間固定させ、1%四酸化
ne)、細胞質(cytosol)のタンパク質は次の方法で得た。
オスミウムで1時間後固定させた後、エタノールで段階
黄色ブドウ球菌を3mLのニュートリエントブロスで培 10
的脱水過程を経てエポキシ樹脂ブロックを作り、70n
養して吸光度(600nm)値が1.0となるようにし
mの厚さに超薄切片を作った。細胞切片をグロー放電炭
た後、10,000×gで20分間遠心分離して細胞沈
素コート銅グリッドに3分間吸着させた後、2%酢酸ウ
殿物を得た。前記沈殿物に20μg/mLのリソスタフ
ラニルとクエン酸鉛で染色した。
ィンバッファ (lysostaphin)(Tris−EDTA)を
JEM101透過電子顕微鏡で観察した。図6の透過電
入れて37℃で15分間処理した。超音波分解(sonicat
子顕微鏡イメージから、表皮ブドウ球菌細胞の表面外に
ion)方法で細胞を完全に粉砕させた後、8000×gで
サイズ20∼100nmの細胞外ベシクルが分泌される
10分間遠心分離して不溶性物質(insoluble material)
ことが分かる。
を除去し、上澄液を全体細胞タンパク質として使用した
【0058】
。プロトプラスト(protoplast)を形成するように黄色ブ
走査電子顕微鏡観察のために、上記と同様に培養した表
ドウ球菌細胞沈殿物に20μg/mLのリソスタフィン 20
皮ブドウ球菌を10,000×gで20分間遠心分離し
バッファ(Tris−EDTA)と1.1Mのスクロー
て沈澱させた後、2.5%グルタルアルデヒドで1時間
ス(sucrose)を入れて37℃で15分間処理した。1
固定させ、1%四酸化オスミウムで1時間後固定させた
0,000×gで20分間遠心分離した後、上澄液を細
後、エタノールで段階的脱水過程を経て、CO2 システ
胞壁タンパク質として使用し、沈殿物は低張膨張液(hyp
ムを用いて臨界点乾燥を行った。サンプルを試料台にの
otonic buffer)に溶かした後、さらに40,000×g
せて白金でコートした後、JSM−7401F走査顕微
で1時間超高速遠心分離した。上澄液から細胞質タンパ
鏡で観察した。図7の走査電子顕微鏡イメージから、表
ク質を得、沈殿物はトリスバッファ(10mM Tri
皮ブドウ球菌細胞の表面外に細胞外ベシクルが分泌され
s−HCl、pH8.0)に懸濁して膜タンパク質とし
ることが分かる。
て使用した。分離された全体細胞、細胞壁、膜、細胞質
【0059】
タンパク質と実施例2で分離された細胞外ベシクルタン 30
実施例5.表皮ブドウ球菌由来細胞外ベシクルの製造
パク質をそれぞれ7μgずつ用意した後、5×ローディ
表皮ブドウ球菌を3mLのニュートリエントブロスが入
ング染色剤(loading dye)(250mM Tris−HC
っている試験管に接種し、37℃で6時間培養した後、
l、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー(
その中で5mLを500mLのニュートリエントブロス
bromophenol
が入っている2Lの三角フラスコに移して37℃で4時
blue)、50%グリセロール(glycerol
))を1×となるように入れ、100℃で10分間高温
間培養し、吸光度(600nm)値が1.0となるよう
処理した。10%ポリアクリルアミドゲル(polyacryla
にした。培養液を容量500mLの高速遠心分離チュー
mide
gel)を用意し、サンプルをロードした。80V
ブに入れた後、4℃、10,000×gで20分間遠心
で2時間電気泳動した後、ゲル(gel)をクマシー(0
分離した。細菌を除去した上澄液を、孔径0.45μm
.25%クマシーブリリアントブルー(Coomassie
のメンブレインフィルターを1回通過させた後、分子量
lliant
Bri
Blue))で2時間染色する。染色済みのゲルを 40
100kDa以下のタンパク質を除去することが可能な
脱染(destaining)溶液(メタノール:DDW:酢酸=
メンブレインを装着したQuixstand syst
5:4:1)で6時間反応させた。
emを用いて25倍濃縮した。濃縮液を孔径0.22μ
【0056】
mのメンブレインフィルターを1回通過させた後、容量
図5は黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルのタンパク質
70mLの超遠心分離チューブに入れて4℃、150,
パターンをクマシー染色法(Coomassie staining)によ
000×gで3時間超遠心分離した。沈殿物をPBSで
って全体細胞タンパク質(WC)、細胞壁タンパク質(
懸濁した後、表皮ブドウ球菌由来細胞外ベシクルを得た
CW)、膜タンパク質(MP)、細胞質タンパク質(C
。
Y)のパターンと比較した結果であって、特定タンパク
【0060】
質が細胞外ベシクル(EV)内に選別(sorting)される
実施例6.表皮ブドウ球菌由来細胞外ベシクルの特性
ことが分かる。
50
実施例5の方法によって表皮ブドウ球菌から分離した細
( 12 )
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胞外ベシクルをグロー放電炭素コート銅グリッドに3分
1%四酸化オスミニウムで1時間後固定させた後、エタ
間吸着させた。グリッドを蒸留水で洗浄した後、2%酢
ノールで段階的脱水過程を経て、CO2 システムを用い
酸ウラニルで染色し、JEM101透過電子顕微鏡で観
て臨界点乾燥を行った。サンプルを試料台にのせて白金
察した。
でコートした後、JSM−7401F走査電子顕微鏡で
【0061】
観察した。図11の走査電子顕微鏡イメージに示すよう
図8aの透過電子顕微鏡イメージに示すように、表皮ブ
に、枯草菌細胞の表面外に細胞外ベシクルが分泌される
ドウ球菌由来細胞外ベシクルは閉じた球状をしており、
ことが分かる。
20∼100nmのサイズを有することが分かる。
【0069】
【0062】
実施例8.枯草菌由来細胞外ベシクルの製造
表皮ブドウ球菌から分離した細胞外ベシクルをカバーガ 10
枯草菌を3mLのニュートリエントブロスが入っている
ラスに付けた後、2.5%グルタルアルデヒドで1時間
試験管に接種し、37℃で6時間培養した後、その中で
固定させ、1%四酸化オスミウムで1時間後固定させた
5mLを500mLのニュートリエントブロスが入って
後、エタノールで段階的脱水過程を経て、CO2 システ
いる2Lの三角フラスコに移して37℃で4時間培養し
ムを用いて臨界点乾燥を行った。細胞外ベシクルの付い
て吸光度(600nm)値が1.0となるようにした。
たカバーガラスを試料台にのせて白金でコートした後、
培養液を容量500mLの高速遠心分離チューブに入れ
JSM−7401F走査電子顕微鏡で観察した。
た後、4℃で6000×gにて20分間遠心分離を行っ
【0063】
た。細菌を除去した上澄液を、孔径0.45μmのメン
図8bの走査電子顕微鏡イメージに示すように、比較的
ブレインフィルターを1回通過させた後、分子量100
均一なサイズ(20∼100nm)の円形の細胞外ベシ
kDa以下のタンパク質を除去することが可能なメンブ
クルが観察された。
20
レインを装着したQuixstand systemを
【0064】
用いて25倍濃縮した。濃縮液を孔径0.22μmのメ
実施例5の方法によって表皮ブドウ球菌から分離した細
ンブレインフィルターを通過させた後、容量70mLの
胞外ベシクルを1μg/mLの濃度でPBS1mLに希
超遠心分離チューブに入れて4℃で150,000×g
釈した。細胞外ベシクルが入っているPBS1mLをキ
にて3時間超遠心分離した。沈殿物をPBSで懸濁した
ュベットに入れて動的光散乱粒度分析器で分析し、その
後、枯草菌由来細胞外ベシクルを得た。
結果を図9に示した。
【0070】
【0065】
実施例9.枯草菌由来細胞外ベシクルの特性
図9に示すように、細胞外ベシクルはサイズが20∼1
実施例8の方法によって枯草菌から分離した細胞外ベシ
00nmであり、平均サイズは34nmであった。
クルをグロー放電炭素コート銅グリッドに3分間吸着さ
【0066】
30
せた。グリッドを蒸留水で洗浄した後、2%酢酸ウラニ
実施例7.枯草菌(Bacillus subtilis)細胞の電子顕微
ルで染色し、JEM101透過電子顕微鏡で観察した。
鏡観察
【0071】
枯草菌(KCTC3729)をニュートリエントブロス
図12aの透過電子顕微鏡イメージに示すように、枯草
で培養して吸光度(600nm)値が1.0となるよう
菌由来細胞外ベシクルは閉じた球状をしており、20∼
にした後、培養液を6000×gで15分間遠心分離し
200nmのサイズを有することが分かる。
た。沈澱した枯草菌細胞を2.5%グルタルアルデヒド
【0072】
で2時間固定させ、1%四酸化オスミウムで1時間固定
枯草菌から分離した細胞外ベシクルをカバーガラスに付
させた後、エタノールで段階的脱水過程を経てエポキシ
けた後、2.5%グルタルアルデヒドで1時間固定させ
樹脂ブロックを作り、70nmの厚さに超薄切片を作っ
、1%四酸化オスミウムで1時間後固定させた後、エタ
た。細胞切片をグロー放電炭素コート銅グリッドに3分 40
ノールで段階的脱水過程を経て、CO2 システムを用い
間吸着させた後、2%酢酸ウラニルとクエン酸鉛で染色
て臨界点乾燥を行った。細胞外ベシクルの付いたカバー
し、JEM101透過電子顕微鏡で観察した。
ガラスを試料台にのせて白金でコートした後、JSM−
【0067】
7401F走査電子顕微鏡で観察した。
図10の透過電子顕微鏡イメージに示すように、枯草菌
【0073】
細胞の表面外にサイズ20∼100nmの細胞外ベシク
図12bの走査電子顕微鏡イメージに示すように、比較
ルが分泌されることが分かる。
的均一なサイズ(20∼200nm)の円形の細胞外ベ
【0068】
シクルが観察された。
走査電子顕微鏡観察のために、上記と同様に培養した枯
【0074】
草菌を6,000×gで15分間遠心分離して沈澱させ
実施例8の方法によって枯草菌から分離した細胞外ベシ
た後、2.5%グルタルアルデヒドで1時間固定させ、 50
クルを1μg/mLの濃度でPBS1mLに希釈した。
( 13 )
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細胞外ベシクルが入っているPBS1mLをキュベット
ウム(ammonium
に入れて動的光散乱粒度分析器で分析し、その結果を図
Mのトリス(tris、2−カルボキシエチル(2-carbocye
13に示した。
thyl))ホスフィンヒドロクロライド(phosphine
【0075】
rochloride)と常温で1時間還元させた。その後、サン
図13に示すように、細胞外ベシクルはサイズが20∼
プルに25mMのヨードアセトアミド(iodoacetamide
100nmであり、平均サイズは30nmであった。
)を入れて光を遮断した状態で常温で30分間反応し、
【0076】
タンパク質をアルキル化(alkylation)させた。最後に
前記例らは、グラム陽性細菌の代表的な菌株としての黄
、5ng/μLのトリプシンを処理した後、37℃で1
色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、枯草菌などが生長過程
6時間反応させた。分解されたペプチドはオフゲル分離
で自然的に細胞外ベシクルを分泌することを最初に解明 10
システム(OFFGEL fractionators system、Agile
したものであり、細胞外ベシクルを分離製造して多様な
nt)を用いて分離した。まず、24cmのIPGスト
特性を明らかにした実施例である。ところが、グラム陽
リップ(IPG
性細菌に由来する細胞外ベシクルは、前記例で提示した
水和(IPG-rehydration)バッファで再水和反応(rehydrat
細菌にのみ限定されるのではなく、全てのガラム陽性細
e)させた。分解されたペプチドを2.8mLのオフゲル
菌に該当する。分離された細胞外ベシクルを用いた疾病
(off-gel)バッファに溶かし、その中で150μLを
動物モデルは、ヒトの疾病を引き起こす主要病原菌株と
1レーン(lane)にロードした後、50μA、8000V
しての黄色ブドウ球菌に焦点を合わせたが、これに限定
で47時間電流を流してペプチドをそれぞれの等電点(
されるものではない。
pI)によって分離した。分離の後に得たサンプルはC
【0077】
18 ZipTip(Millipore)を用いて脱
実施例10.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルのプロ 20
塩(desalting)した。
テオーム分析
【0079】
[イン−ゲル(in-gel)トリプシンタンパク質分解(trypt
[ナノイオン化質量分析(Nano−LC−ESI−M
ic digestion)方法]
S/MS)
黄色ブドウ球菌から実施例2のプロテオーム分析のため
イン−ゲル分解方法又はイン−ソリューション分解方法
の方法で分離した細胞外ベシクル50μgに5×ローデ
で、用意した黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルの分解
ィング染色剤を1×となるように仕込み、100℃で1
ペプチドを、C18レジン(resin)が充填された微細毛
0分間高温処理した。4∼20%ノベックストリス−グ
細管カラム(microcapillary column)(75μm×12
リシンゲル(Novex Tris-glycine gel)(Invitro
cm)にロードして次の方法で分離した:3∼30%バ
gen)を準備し、サンプルをロードした。90Vで2
ッファB70分;30∼40%バッファB5分;40∼
時間電気泳動した後、ゲルコード染色剤(GelCod 30
90%バッファB20分;血流速度0.2μL/min
e Blue Stain Reagent、Pierc
(バッファA組成:0.1%ギ酸(formic
e)で染色した。ゲルを11個の同一サイズに切った後
bicarbonate))で懸濁した後、5m
strip、
hyd
pH3∼10)をIPG再
acid)in
H2 O、バッファB組成:0.1%ギ酸(formic
aci
、13ng/μLのトリプシン(trypsin、Prome
d)in ACN)。溶離した(eluted)ペプチドはLTQ
ga)を37℃で16時間処理してタンパク質を分解さ
−イオン−トラップ(LTQ-ion-trap)質量分析器((
せた。
Thermo Finnigan)を用いて分析した。
【0078】
イオン化電気スプレイ(electrospray)の電圧は2.0k
[イン−ソリューション(in-solution)トリプシンタン
Vとし、35%の規格化衝突エネルギー(normalized co
パク質分解方法]
llision energy)条件で質量分析(MS/MS)を行っ
黄色ブドウ球菌から実施例2のプロテオーム分析のため
た。全てのスペクトル(spectra)はデータ依存性スキ
の方法で分離した細胞外ベシクル100μgにメタノー 40
ャン(data-dependent scan)で獲得した。LTQの媒介
ル(methanol)をサンプルの4倍体積で入れて混ぜた後
変数(parameter)はフルマススキャン(full MS scan)に
、9000×gで10秒間遠心分離した。その後、クロ
おける5個の最大ピーク(most intense peak)を断片化(
ロホルム(chloroform)を同量の体積で入れて混ぜた後
fragmentation)し、動的排除(dynamic exclusion)の繰
、さらに9000×gで10秒間遠心分離した。HPL
り返し回数(repeat count)を1で、繰り返し時間(repea
C用の水をサンプルの3倍体積で入れて混ぜた後、16
t duration)を30秒、動的排除時間(dynamic exclusio
,000×gで1分30秒間遠心分離した。上澄液が2
n duration)を180秒、排除質量(exclusion mass)を
個の層からなると、上層のみを捨てた後、サンプル体積
±1.5Da、動的排除のリストサイズ(list size)を
3倍のメタノールを入れて混ぜ、しかる後に、16,0
50に設定した。
00×gで3分間遠心分離して沈殿物を得た。沈殿物を
【0080】
分解溶液(6M尿素(urea)、40mM重炭酸アンモニ 50
[データ分析]
( 14 )
JP
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既存にアミノ酸塩基配列が構築された9個の黄色ブドウ
疫回避機能を維持するうえ、上皮細胞(epidermal
球菌データベースをtarget(フォワード、forwar
l)におけるIL−18の発現を誘導し、血清(serum)
d)とdecoy(リバースド、reversed)の塩基配列
内のIgE抗体を増加させてアトピー皮膚炎を引き起こ
組み合わせで一つのNCBIのデータベースを作った。
すことに関与することができる。
質量分析から出た全てのスペクトル(MS/MSスペク
【0083】
トル)を前記データベース及びSEQUESTエンジン
(表1)
ツール(SEQUEST
黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルのプロテオーム
engine
tool)を用いて探索
した。同定したペプチドの仮陽性率(false-positive ra
te)は1%以下にし、最小唯一(unique)ペプチドが2つ
以上マッチ(match)されたタンパク質のみを選別した
10
。
【0081】
[結果]
プロテオーム分析の結果、図14に示すように、イン−
ゲル分解方法で41個のタンパク質が、イン−ソリュー
ション分解方法で84個のタンパクシツが同定された。
イン−ゲル方法の結果のうち、35個のタンパク質がイ
ン−ソリューション方法で同定したタンパク質と重なり
合って合計90個の黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル
のタンパク質を見つけ出した。同定された90個のタン 20
パク質は表1に示した。
【0082】
同定された細胞外ベシクルタンパク質の中には、疾病に
関連した多様なタンパク質が存在した。病原性(virulen
ce)タンパク質として、敗血症又は毒素ショック症候群(
toxic shock syndrome)を起こすスーパー抗原(superant
igen)であるブドウ球菌エンテロトキシンQ(staphyloco
ccus enterotoxin Q)、ブドウ球菌分泌抗原(staphyloco
ccus secretory antigen)ssaA1とssaA2が存
在した。また、赤血球を破壊し且つヘモグロビンを溶か 30
すα−溶血素(alpha-hemolysin)とγ−溶血素(gamma-he
molysin)などの毒素が観察された。また、宿主組織内へ
の細菌の浸潤と潜入に直接関与するプロテアーゼ(prote
ase)としてのスタホパインA(staphopain A)と細胞外E
CM及び血漿結合タンパク質(extracellularECM and pl
asma binding protein)が存在した。また、血液凝固関
連タンパク質としてはスタフィロコアグラーゼ(staphyl
ocoagulase)やフォン・ヴィレブランド因子−結合タン
パク質(von Willebrand factor-binding proteins)など
が存在したが、このようなタンパク質は、播種性血管内 40
凝固を特徴とする敗血症、毒素ショック症候群(toxic
shock
syndrome)などの発生だけでなく、動脈の血栓
(thrombosis)形成による急性冠状動脈症候群(acute c
oronary syndrome)、脳卒中(stroke)、静脈の血栓形成
による深部静脈血栓症(deep-vein thrombosis)、血栓が
剥離しながら生ずる塞栓(embolism)により発生する肺
動脈塞栓症(pulmonary embolism)などの様々な血管の塞
栓症の病因に関与する。また、IgG−結合タンパク質
(IgG-binding protein)の一つであるSbIの場合、宿
主免疫細胞の食作用(phagocytosis)を抑制して細菌の免 50
cel
( 15 )
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【0084】
実施例11.体外における黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
シクルによるマクロファージの先天免疫反応
マウスマクロファージ(RAW 264.7)を1×1
10
5
0 となるように24ウェルプレートに接種した後、2
4時間培養した。PBSで1回洗浄した後、10% F
BS/RPMI培地500μLを仕込み、それぞれ1、
10、100、1000、10000ng/mLの濃度
で実施例2の方法によって分離した黄色ブドウ球菌由来
細胞外ベシクルを処理した後、15時間培養した。培養
液を集めて4℃で500×gにて10分間遠心分離し、
上澄液を取った後、さらに3000×gで20分間遠心
分離し、上澄液を取った。分離された上澄液に入ってい
るサイトカインの量をELISA(enzyme linked immun
20
osorbant assay)法によって測定した。
【0085】
図15はサイトカインの量を示す結果であって、細胞外
ベシクルの量に比例して炎症性サイトカインとしてのT
NF−αとIL−6が増加することが分かる。これは黄
色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルがマクロファージに作
用して先天免疫反応によって宿主内で炎症を誘発するこ
とができることを意味する。
【0086】
実施例12.体外における黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
30
シクルによる皮膚線維芽細胞の先天免疫反応
マウスの皮膚組織を採取して表皮を剥がした後、真皮部
分を細かく切り、ここにトリプシンを処理してそれぞれ
の細胞に分離して皮膚線維芽細胞を得た。こうして得た
線維芽細胞を24ウェルプレートに1×10
4
個の細胞
を接種した後、24時間培養した。培養された細胞のD
MEM培地に1、10μg/mLの黄色ブドウ球菌由来
細胞外ベシクルを処理した後、24時間培養した。24
時間の後、培養液を集めて細胞を遠心分離した後、上澄
液を得、ELISA法で、上澄液に存在する炎症性サイ
40
トカイン(TNF−α、IL−6)と後天免疫の分化に
影響を与えるサイトカイン(TSLP)、ケモカイン(
MIP−1α、エオタキシン(Eotaxin))の量を測定
して図16に示した。
【0087】
図16は免疫及び炎症関連サイトカインの量が黄色ブド
ウ球菌由来細胞外ベシクルによって増加することを示す
。これは、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルが皮膚の
線維芽細胞に作用して炎症性サイトカインを発生させ、
免疫反応に作用する様々な免疫細胞を取り入れて炎症を
50
引き起こすことができることを意味する。
( 16 )
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【0088】
レートにコートした後、1%BSA(Bovine Serum Albu
実施例13.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルを用い
min)でブロッキング(blocking)し、得られた部分を2
たアトピー皮膚炎(atopic dermatitis)の動物モデル
時間反応させた。2時間の後、Tween20が含有さ
マウス(SKH−HR1種、雌)の背にDurapor
れたPBSを用いてウェルをよく洗浄し、ビオチン基を
e(3M)テープを4∼6回取り付けたり取り外したり
持っている黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル抗原に特
することを繰り返し行った。その後、2cm×2cm程
異的な抗体を2時間処理した。その後、ストレプトアビ
度のガーゼをマウスの背にのせた後、100μLのPB
ジンに連結されたHRP(Horseradish peroxidase)を処
Sに溶けている0.1μg、5μg、10μgの黄色ブ
理し、HRPと反応して光を発生させる基質(substrate
ドウ球菌由来細胞外ベシクルをガーゼに処理した後、T
)としてのBM−PODを処理した後、発生する光の量
egaderm(3M)を用いてガーゼが離れないよう 10
を測定してRLU値で表示した。
にマウスの背に固定した。これを週3回4週間繰り返し
【0090】
行った。最終処理24時間後にマウスを安楽死させ、皮
図21は患者から得たlavage fluidにおけ
膚組織を摘出した(図17参照)。組織学的分析の結果
る黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルに存在する抗原が
、テープストリッピングの後に黄色ブドウ球菌由来細胞
存在することを示す。また、lavage fluid
外ベシクルを投与した場合、アトピー皮膚炎患者の皮膚
から別にEV fractionのみを分離した結果よ
組織から見られる特徴としての表皮層が厚くなっており
り、アトピー皮膚炎患者の患部に黄色ブドウ球菌由来細
、真皮層に浸潤した炎症細胞の中で好酸球と肥満細胞の
胞外ベシクルに存在する抗原が存在することを再び確認
浸潤を定量化したとき、生理食塩水を投与した場合に比
することができる。
べて細胞外ベシクルを投与した場合に上皮細胞層の肥厚
【0091】
(epidermal thickness)と好酸球(eosinophils)と肥満細 20
実施例15.アトピー皮膚炎患者の血清内における黄色
胞(mast cells)の浸潤が確然に増加した(図18及び図
ブドウ球菌由来細胞外ベシクルに対する特異抗体(Ig
19参照)。また、皮膚組織におけるアトピー皮膚炎の
E)の増加
特徴的な免疫学的異常所見である2型ヘルパーT細胞(
0∼10才のアトピー皮膚炎患者群20名と多様な同年
type 2 helper T cell、Th2細胞)免疫反応の発現様
齢帯の正常対照群20名から血液を採取し、4℃で35
相を評価したとき、Th2細胞から分泌されるサイトカ
00×gにて10分間遠心分離した後、上澄液としての
インとしてのIL−4とIL−5の濃度が細胞外ベシク
血清を取った。
ルを投与した場合に増加し、これらのサイトカインによ
【0092】
って誘導されるケモカイン(chemokine)としてのエオ
図22は細胞外ベシクルに対するIgG1とIgE抗体
タキシン(eotaxin)の濃度も細胞外ベシクルを投与し
をELISA法で測定した結果であって、正常対照群に
た場合に増加していた(図20参照)。
30
比べてアトピー皮膚炎患者群において、黄色ブドウ球菌
【0089】
由来細胞外ベシクルに特異的なIgE抗体が血清内に確
実施例14.アトピー皮膚炎患者の皮膚洗浄液における
然に増加していた。
黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルの測定
【0093】
アトピー皮膚炎患者の患部を滅菌食塩水で多数回洗浄し
実施例16.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルによる
、40mLの洗浄液を集めた。洗浄液に存在する異物と
気道粘膜のTh17炎症
細菌を除去するために、5000g、10,000gで
マウスをケタミンとランプン(Rampun)の投与によって麻
遠心分離した後、上澄液を集めて0.45μm、0.2
酔した後、1μg、10μgの黄色ブドウ球菌由来細胞
2μmのフィルターで濾過した。濾過した洗浄液を10
外ベシクルを30μLの生理食塩水に混ぜてマウスの鼻
0kDサイズの物質のみ濾過する道具(centrip
を介して吸入させた。先天免疫反応に対する黄色ブドウ
rep)を用いて1mLに濃縮させた。濃縮液(lav 40
球菌由来細胞外ベシクルの影響を調べるために、24時
age fluid)の一部を保管し、残りは同体積の
間後に1mLの生理食塩水を用いてマウスの気管支肺胞
滅菌食塩水を添加して150,000gで超遠心分離し
洗浄液を収得し、炎症の度合いを確認した(図23参照
て細胞外ベシクル(EV fraction)を得た。
)。炎症細胞の数とTh17の分化を誘導する炎症性サ
得られたlavage fluidとEV fracti
イトカインとしてのIL−6の量を測定した結果、黄色
onに黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル(SA_EV
ブドウ球菌由来細胞外ベシクルの量に比例して、気管支
)が存在するかを確認するために、黄色ブドウ球菌由来
肺胞洗浄液に存在する炎症細胞(特に、好中球)の数と
細胞外ベシクルに特異的な抗体を用いてELISA法で
IL−6の量が増加した(図24参照)。これは黄色ブ
黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル特異タンパク質が存
ドウ球菌細胞外ベシクルが気道粘膜にTh17関連炎症
在するかを評価した。具体的に、まず黄色ブドウ球菌由
を誘導することができることを意味する。
来細胞外ベシクルの抗原に特異的な抗体を96ウェルプ 50
【0094】
( 17 )
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黄色ブドウ球菌細胞外ベシクルによる後天免疫反応を調
水(PBS)をマウスの尾に血管注射(Intravenous、
べるために、週2回3週間マウスの鼻を介して1μgの
I.V.)して陰性対照群として使用した。摘出した肺
黄色ブドウ球菌細胞外ベシクルを吸入させ、最終吸入2
は細胞の核をヘマトキシリン(hematoxylin)で染色し(
4時間後に気管支肺胞洗浄液を得て炎症反応を確認した
青色)、細胞質をエオシン(eosin)で染色する(赤色)
(図25参照)。
H&E(Hematoxylin-Eosin)方法で染色した。
【0095】
【0101】
図26から分かるように、気管支肺胞洗浄液に存在する
図31はH&E染色結果を示すもので、細胞外ベシクル
炎症細胞が黄色ブドウ球菌細胞外ベシクルを吸入させた
をマウスの尾に血管注射(intravenous、I.V.)した
グループで大きく増加し、主に好中球が浸潤することを
場合には静脈に血栓が生じ、皮下注射(subcutatneous
確認した(図26a参照)。また、気管支肺胞洗浄液に 10
、S.C.)した場合には血管周辺に炎症細胞の浸潤が
存在するサイトカインの量から気道粘膜の免疫反応を確
観察され、鼻腔投与(intranasal、I.N.)した場合
認した結果、Th17細胞から分泌されるサイトカイン
には肺血管に血栓が観察された。
としてのIL−17の量が黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
【0102】
シクルを吸入させたグループで大きく増加したことを確
マウス血液内の播種性血管内凝固症の指標を測定するた
認した(図26b参照)。
めに、マウスの心臓から採取した血液を抗凝固剤として
【0096】
のクエン酸ナトリウム(sodium
前記結果は、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルが反復
比率となるように混ぜて血漿(plasma)にした。図32
的に気道を介して吸入されたとき、気道粘膜にTh17
は播種性血管内凝固症の指標であるD−dimerをD
免疫反応による好中球性炎症が発生することを意味する
−dimer診断用キットを用いて測定した結果であっ
。
20
citrate)と9:1の
て、全ての投与経路において対照群に比べて血漿内D−
【0097】
dimerの量が増加し、特に血管注射(I.V.)と
実施例17.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルによる
皮下注射(S.C.)の際に血漿内D−dimerの増
敗血症
加量が高いことが分かった。また、播種性血管内凝固症
実施例2の方法で分離した黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
の別の指標である血小板の減少を測定するために、血漿
シクルを15、25、50μgの量でそれぞれマウス(
1μLを199μLの1%シュウ酸アンモニウム(ammo
C57B6種、雄)3匹に血管注射(intervenous)して
nium
12時間ごとに死亡マウスの数を確認した(図27参照
た後、血球計算器(hemacytometer)に10μLを入れ、
)。
血小板(platelet)の個数を測定してその結果を図33
【0098】
に示した。
その結果、図28の生存(survival)グラフから分かる 30
【0103】
ように、25μgと50μgの細胞外ベシクルをマウス
図33に示すように、全ての投与経路において、細胞外
に注入したときに生存率が66.6%に減少し、一定量
ベシクルを処理した群は対照群に比べて血小板の数が減
以上の細胞外ベシクルによってマウスの死亡が誘導され
少する血小板減少症(thrombocytopenia)現象が観察され
ることが分かる。
た。
【0099】
【0104】
図29はマウス(C57B6種、雄)に黄色ブドウ球菌
実施例19.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルによる
細胞外ベシクルを注射した後、12時間マウスの体温を
疾病に対する予防又は治療候補薬物in vitroス
測定した結果である。体温測定のために直腸体温計をマ
クリーニングシステムの確立
ウスの肛門に注入して体温計のデジタル画面に表示され
前記実施例らに基づいて黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシ
た数値を2時間ごとに記録した。その結果、15、25 40
クルにより誘導される炎症性サトカインが各種疾病に大
、50μgの細胞外ベシクルによって全身性炎症反応(
きく関与することを確認した。これに基づいて炎症性サ
systemic inflammatory response syndrome、SIRS
イトカインの分泌を抑制する物質を発掘することが可能
)の指標である体温が減少する低体温症が観察された。
なin vitroスクリーニングシステムを開発した
【0100】
。図34は黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルによる炎
実施例18.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルによる
症性サイトカインの分泌を抑制する物質を発掘するため
血管内血液凝固及び血栓形成
の模式図であって、実施例2の方法で製造した黄色ブド
マウス(C57B6種、雄)に実施例2の方法で分離し
ウ球菌由来細胞外ベシクル(1μg/mL)を単独で或
た黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル5μgを多様な経
いは薬物候補物質(10μM)と共に実施例11の方法
路を介して8時間間隔で3回投与し、6時間後にマウス
で準備したマウスマクロファージ(RAW264.7)
を安楽させ、肺を摘出した(図30参照)。
に処理した後、37℃のインキュベータで15時間培養
生理食塩 50
oxalate)で希釈し、湿潤板で10分間反応させ
( 18 )
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した。15時間後に上澄液を取った後、4℃、500×
ロフェン(Ketoprofen)、ケトロラックトリス塩(Ketorol
gで10分間遠心分離し、しかる後に、4℃で3000
ac tris salt)、塩酸マプロチリン(Maprotiline HCl)、
×gにて20分間遠心分離を行った。分離された上澄液
メクロフェナム酸(Meclofenamic acid)、メラトニン(Me
に入っている炎症性サイトカインとしてのIL−6の量
latonin)、メトホルミン(Metformin)、塩酸メタピリレ
をELISA法によって測定した。これはin vit
ン(Methapyrilene HCl)、メチマゾール(Methimazole)、
roで黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルにより誘導さ
メトカルバモール(Methocarbamol)、塩酸メトクロプラ
れるIL−6の分泌を抑制する候補物質をスクリーニン
ミド(Metoclopramide HCl)、メトロニダゾール(Metroni
グする方法を確立したもので、これにより黄色ブドウ球
dazole)、ナブメトン(Nabumetone)、ナプロキセン(Napr
菌由来細胞外ベシクルによる疾病に対する予防又は治療
候補薬物を提供することができる。
oxen)、臭化ネオスチグミン(Neostigmine Br)、ナイア
10
シン(Niacin)、塩酸ニカルジピン(Nicardipine HCl)、
【0105】
ニフェジピン(Nifedipine)、ニトロフラントイン (Nitr
実施例20.In vitroスクリーニングシステム
ofurantoin)、ニザチジン(Nizatidine)、ノルエチンド
で発掘したプロドラッグの体内効能検証
ロン(Norethindrone)、ノルトリプチリン(Nortriptylin
図35は実施例19の方法で102種のプロドラッグ[
e)、塩酸オルフェナドリン(Orphenadrine HCl)、オキシ
アセトアミノフェン(Acetaminophen)、アセチルシステ
プチニン(Oxybutynin)、塩酸フェンフォルミン(Phenfor
イン(Acetylcysteine)、アロプリノール(Allopurinol)
min HCl)、フェニルブダゾン(Phenylbutazone)、フェニ
、塩酸アルプレノロール(Alprenolol HCl)、塩酸アミト
トイン(Phenytoin)、ピロキシカム(Piroxicam)、プレド
リプチリン(Amitriptyline HCl)、アトロピン(Atropine
ニゾン(Prednisone)、プロベネシド(Probenecid)、塩酸
)、ブレチリウムトシレート(Bretylium tosylate)、ブ
プロプラノロール(Propranolol HCl)、臭化ピリドスチ
ロモフェニラミン(Bromopheniramine)、ブデソニド(Bud 20
グミン(Pyridostigmine Br)、塩酸ラニチジン(Ranitidi
esonide)、塩酸ブスピロン(Buspirone HCl)、セフロキ
ne HCl)、スピロノラクトン(Spironolactone)、スルフ
シム(Cefuroxime)、 抱水クロラール(Chloral hydrate)
ァメト(Sulfameth)、スルピリド(Sulpiride)、テノキシ
、塩酸クロルプロマジン(Chlorpromazine HCl)、シメチ
カム(Tenoxicam)、テルフェナジン(Terfenadine)、テオ
ジン(Cimetidine)、塩酸クロミプラミン(Clomipramine
フィリン(Theophylline)、塩酸チクロピジン(Ticlopidi
HCl)、 クロトリマゾール(Clotrimazole)、シクロベン
ne HCl)、トラザミド(Tolazamide)、トラゾリン(Tolazo
ザプリン(Cyclobenzaprine)、塩酸デシプラミン(Desipr
line)、トルブタミド(Tolbutamide)、トルフェナム酸
amine HCl)、ジクロフェナク(Diclofenac)、ジフルニサ
(Tolfenamic acid)、塩酸トラマドール(Tramadol HCl)
ル(Diflunisal)、ジルチアゼム(Diltiazem)、塩酸ジフ
、トラニルシプロミン(Tranylcypromine)、塩酸トラゾ
ェンヒドラミン(Diphenhydramine HCl)、ジソピラミド(
ドン(Trazodone HCl)、トリアムテレン(Triamterene)、
Disopyramide)、ジスルフィラム(Disulfiram)、D−マ
30
トリクロルメチアジド(Trichlormethiazide)、塩酸トリ
ンニトール(D-Mannitol)、ドキセピン(Doxepin)、ドキ
ペレナミン(Tripelennamine HCl)、ベラパミル(Verapam
シサイクリン水和物(Doxycycline hydrate)、コハク酸
il)、ワルファリン(Warfarin)]を処理してIL−6の
ドキシラミン(Doxylamine succinate)、塩化エドロホニ
量を陽性対照群に対して50%未満に減少させる薬物候
ウム(Edrophonium chloride)、マレイン酸エナラプリル
補物質19種[アセトアミノフェン(Acetaminophen)、
(Enalapril maleate)、ファモチジン(Famotidine)、フ
塩酸アミトリプチリン(Amitriptyline HCl)、アトロピ
ェンブフェン(Fenbufen)、フェノフィブラート(Fenofib
ン(Atropine)、ブレチリウムトシレート(Bretylium tos
rate)、フェノプロフェンカルシウム塩水和物(Fenoprof
ylate)、ブロモフェニラミン(Bromopheniramine)、塩酸
en calcium salt hydrate)、フルナリジン二塩酸塩(Flu
クロルプロマジン(Chlorpromazine HCl)、塩酸クロミプ
narizine dihydrochloride)、フルフェナジン二塩化物(
ラミン(Clomipramine HCl)、シクロベンザプリン(Cyclo
Fluphenazine dichloride)、フルルビプロフェン(Flurb 40
benzaprine)、塩酸デシプラミン(Desipramine HCl)、ジ
iprofen)、フロセミド(Furosemide)、ゲムフィブロジル
スルフィラム(Disulfiram)、ドキセピン(Doxepin)、ド
(Gemfibrozil)、グリクラジド(Gliclazide)、グリピジ
キシサイクリン水和物(Doxycycline hydrate)、コハク
ド(Glipizide)、ハロペリドール(Haloperidol)、ヒドロ
酸ドキシラミン(Doxylamine succinate)、ハロペリドー
クロロチアジド(Hydrochlorothiazide)、ヒドロフルメ
ル(Haloperidol)、塩酸イミプラミン(Imipramine HCl)
チアジド(Hydroflumethiazide)、塩酸ヒドロキシジン(H
、塩酸ニカルジピン(Nicardipine HCl)、ノルトリプチ
ydroxyzine HCl)、イブプロフェン(Ibuprofen)、塩酸イ
リン(Nortriptyline)、塩酸プロプラノロール(Proprano
ミプラミン(Imipramine HCl)
lol HCl)、テノキシカム(Tenoxicam)]を発掘した結果
、インダパミド(Indapamide)、インドール−2カルボン
である。
酸(Indole-2-carboxylic acid)、インドメタジン(Indom
【0106】
ethacin)、イプラトロピウム(Ipratropium)、ケトプ
50
図36は黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルをC57B
( 19 )
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L/6マウス(雄、6週、グループ当たり4匹)に鼻腔
外ベシクル1、5、20μgを1週間隔で3回皮下注射
で1μg注射して免疫反応を誘導したマウスモデルから
によって投与し、1週目、2週目、3週目にマウスの目
、前記発掘したプロドラッグ(10mg/kg)を共に
の血管から血液を一部採取した(図40参照)。採取し
腹腔注射して12時間後に気管支肺胞洗浄液を得、気管
た血液を常温で30分間凝固させ、4℃、3,500×
支肺胞洗浄液内でIL−6の量をELISA法によって
gで10分間遠心分離した後、上澄液としての血清を取
定量した結果である。
った。
In vitroスクリーニングシステムを介して発掘
【0111】
したドキセピン(Doxepin)がブドウ球菌由来細胞外ベ
図41は血清における細胞外ベシクルに対する免疫反応
シクルによる気管支肺胞洗浄液IL−6の増加を抑制す
る効果があることを確認した。また、これをin vi
の指標としてのIgG抗体をELISA法で測定した結
10
果であって、2回投与後から用量に依存的にベシクルタ
troスクリーニングを介して発掘した他の薬物候補物
ンパク質に対する特異抗体形成が増加することを示す。
質としてのハロペリドール(Haloperidol)と共に注射
これは細胞外ベシクルを2回以上皮下注射したとき、黄
したとき、IL−6を減少させる効果が増大することを
色ブドウ球菌又は菌由来の細胞外ベシクルに含有された
確認した。
タンパク質に対する特異抗体が形成されることを意味す
【0107】
る。
これにより実施例19で記述した黄色ブドウ球菌由来細
【0112】
胞外ベシクルを用いたin vitro薬物スクリーニ
ブドウ球菌由来ベシクルの3回投与によってベシクル特
ングシステムが有効であることを確認し、細胞外ベシク
異T細胞免疫反応を評価するために、マウス(C57B
ルにより誘導される各種疾病に有効な薬物を提示した。
6種、雄)に黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル2、5
【0108】
20
、10μgを5日間隔で3回皮下注射によって投与し、
実施例21.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルによる
最終接種24時間後、脾臓細胞から免疫反応を測定した
in vitro免疫反応
(図42参照)。
実施例11で黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルをマウ
【0113】
スマクロファージ(RAW264.7)に処理したとき
図43は細胞外ベシクルの投与によるT細胞免疫反応を
、Th17細胞への分化を誘導するIL−6の分泌が誘
測定するために、脾臓から免疫細胞を分離し、72時間
導されることにより、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシク
体外で培養した後、培養上澄液におけるサイトカインを
ルが炎症細胞と作用して宿主内で免疫反応を誘発するこ
測定した結果であって、Th1細胞から分泌されるIF
とができることが分かった。マウスの骨髄由来樹枝状細
N−γとTh17細胞から分泌されるIL−17の分泌
胞(Bone marrow-derived dendritic cell、BMDC)
が細胞外ベシクル(10μg)を投与した群で有意に増
にDiI(1,1'-dioctadecyl-3,3,3',3'-tetramethylind 30
加した。
ocarbocyanine perchlorate)染色剤で標識した黄色ブド
【0114】
ウ球菌由来細胞外ベシクルを処理し、6時間後に蛍光顕
前記結果は、黄色ブドウ球菌細胞外ベシクルを予防ワク
微鏡で観察したときに樹枝状細胞がベシクルを細胞内に
チンとして投与したとき、体液性免疫反応であるIgG
獲得することを確認した(図37参照)。
抗体の増加だけでなく、細菌に対する防御に重要なT細
【0109】
胞免疫反応からTh1及びTh17免疫反応が誘導され
また、細胞外ベシクルを樹枝状細胞に24時間処理した
、黄色ブドウ球菌による感染と菌由来の細胞外ベシクル
後、樹脂状細胞の培養液を集めてELISA法でサイト
による疾病を効率よく予防することができることを意味
カインを測定した結果、Th1誘導サイトカインとして
する。
のIL−12が増加し(図38参照)、樹枝状細胞の活
【0115】
性化標識であるCD40とMHCIIの発現が増加した 40
実施例23.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル皮膚塗
(図39参照)。以上の結果は、ブドウ球菌由来細胞外
抹(パッチ、patch)投与によるベシクル特異抗体及び
ベシクルが抗原提示細胞に作用して後天免疫反応を増加
T細胞免疫反応
させるうえ、T細胞のTh1及びTh17細胞への分化
実施例13の方法で黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル
を誘導することを示唆する。
5μgを4週間皮膚にパッチ(patch)投与して免疫反
【0110】
応を評価した(図44参照)。図45は黄色ブドウ球菌
実施例22.岐路ブドウ球菌由来細胞外ベシクルの皮下
由来細胞外ベシクルの皮膚塗抹投与によるIgG抗体形
注射によるベシクル特異抗体及びT細胞免疫反応
成を示すもので、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル特
黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルワクチンによる抗体
異IgG抗体が、生理食塩水を投与した場合に比べて細
免疫反応を測定するために、マウス(C57B6種、雄
胞外ベシクルを投与した場合に大きく増加した。
)に実施例2の方法で分離した黄色ブドウ球菌由来細胞 50
【0116】
( 20 )
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40
細胞外ベシクルの投与によるT細胞免疫反応を測定する
【0122】
ために、脾臓から免疫細胞を分離し、24時間黄色ブド
前記結果は、黄色ブドウ球菌細胞外ベシクルをpoly
ウ球菌由来細胞外ベシクル0.1μg/mLで体外で培
I:Cなどの免疫アジュバントと併合投与したとき、ベ
養した後、培養上澄液におけるサイトカインの濃度を測
シクルワクチン単独で投与する場合に比べて、体液性免
定して図46に示した。
疫反応であるIgG抗体生成だけでなく、細菌に対する
【0117】
防御に重要なTh1及びTh17免疫反応を効率よく誘
図46に示すように、Th1細胞から分泌されるIFN
導し、黄色ブドウ球菌による感染と菌由来の細胞外ベシ
−γとTh17細胞から分泌されるIL−17の分泌が
クルによる疾病を効率よく予防することができることを
、生理食塩水を投与した群に比べて黄色ブドウ球菌由来
細胞外ベシクルを投与した群で大きく増加した。
意味する。
10
【0123】
【0118】
実施例25.黄色ブドウ球菌による肺炎モデルにおける
前記結果は、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルの投与
黄色ブドウ球菌由ベシクルワクチンとpolyI:Cの
によって黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル特異的なT
併合投与の効能
h1及びTh17細胞免疫反応が誘導されたものであっ
黄色ブドウ球菌による肺炎モデルを確立するために、4
て、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルを皮膚塗抹投与
×10
したとき、黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル特異タン
の咽喉内に投与し、吸入させた後、生存率を確認した。
パク質に対する抗体形成だけでなく、T細胞免疫反応を
その結果、24時間内に4×10
8
CFUを投与したマ
誘導することにより、黄色ブドウ球菌による感染と菌由
ウスは全て死亡したが、2×10
8
CFUを投与したマ
来の細胞外ベシクルによる疾病を効率よく予防又は治療
ウスの場合は40%の生存率を示した(図50参照)。
することができることを意味する。
20
8
8
、2×10
CFUの黄色ブドウ球菌をマウス
【0124】
【0119】
上述した黄色ブドウ球菌による肺炎モデルにおけるベシ
実施例24.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクルと免疫
クルワクチンの効果を確認するために、実施例23の方
アジュバント(polyI:C)の併合投与によるベシ
法で黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル5μgとpol
クル特異抗体及びT細胞免疫反応
yI:C20μgを腹腔で3回投与した後、2×10
マウス(C57B6種、雄)に実施例2の方法で分離し
CFUの黄色ブドウ球菌を咽喉内に投与して吸入させ、
た黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル5μgを単独で或
生存率を確認した。その結果、ワクチンを投与したグル
いは合成dsRNAとしてのpolyI:C(polyinosi
ープのマウスは24時間が経っても100%の生存率を
ne-polycytidylic acid)20μgと組み合わせて1週間
示したが、ワクチンを投与していないマウスは40%の
隔で3回腹腔注射で投与し、最終ワクチン注射後から7
生存率を示した(図51参照)。
日目と9日目に黄色ブドウ球菌(2.4×10
8
個)を 30
8
【0125】
マウスに腹腔注射して感染させた(図47参照)。採取
前記結果は、黄色ブドウ球菌による肺炎の発生及びこれ
した血液を常温で30分間凝固させ、4℃で3500×
による死亡をベシクルワクチンが非常に効率よく予防す
gにて10分間遠心分離した後、上澄液としての血清を
ることができることを意味する。
取った。
【0126】
【0120】
実施例26.腸球菌(Enterococcus faecalis)由来細胞
図48は血清における細胞外ベシクルに対する免疫反応
外ベシクルの腹腔注射によるベシクル特異抗体及びT細
の指標としてのIgG抗体をELISA法で測定した結
胞免疫反応
果であって、細胞外ベシクルとpolyI:Cを腹腔で
マウス(C57B6種、雄)に実施例2の方法と同様に
注射したとき、黄色ブドウ球菌又は菌由来の細胞外ベシ
腸球菌から細胞外ベシクルを分離した。実施例22のよ
クルに含有されたタンパク質に対する特異抗体が有意に 40
うに黄色ブドウ球菌の代わりに腸球菌由来細胞外ベシク
形成されることを示す。
ルによる体内免疫反応を評価するために、腸球菌由来ベ
【0121】
シクル5、10μgを1週間隔で2回腹腔注射で投与し
また、黄色ブドウ球菌由来ベシクルとpolyI:Cの
、最終投与72時間後に免疫反応を評価した。
投与によってベシクル特異T細胞免疫反応を評価するた
【0127】
めに、マウスの脾臓から免疫細胞を分離した後、72時
抗体を測定するために採取した血液を常温で30分間凝
間体外で培養し、しかる後に、培養上澄液におけるサイ
固させ、4℃で3500×gにて10分間遠心分離した
トカインを測定した。その結果、Th1細胞から分泌さ
後、上澄液としての血清を取った。図52は血清におけ
れるIFN−γとTh17細胞から分泌されるIL−1
る細胞外ベシクルに対する免疫反応の指標としてのIg
7の分泌が細胞外ベシクルとpolyI:Cを投与した
G抗体をELISA法で測定した結果であって、これは
群において顕著に増加した(図49参照)。
50
細胞外ベシクルを2回以上腹腔投与したときに、腸球菌
( 21 )
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41
由来細胞外ベシクルに含有されたタンパク質に対する特
異抗体が形成されることを示す。
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.coli)細胞を対照陰性群として用いた。逆転写(reverse
transcription)PCRとPCRの結果を2%アガロー
【0128】
ス(agarose)ゲルにかけて確認した結果を図54に示
また、腸球菌由来細胞外ベシクルを投与した後、T細胞
した。
免疫反応を測定するために脾臓から免疫細胞を分離し、
【0132】
72時間体外で培養した後、培養上澄液におけるサイト
図54に示すように、120塩基対(base
カインを測定し、その結果を図53に示した。
バンドを確認した。これは黄色ブドウ球菌由来細胞外ベ
【0129】
シクルにRNA及びDNAが存在することを意味する。
図53に示すように、Th1細胞から分泌されるIFN
【0133】
−γの分泌が細胞外ベシクル(10μg)を投与した群 10
前述した本発明の説明は例示のためのものである。本発
で有意に増加した。
明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、
【0130】
本発明の技術的思想又は必須的な特徴を変更することな
前記結果は、腸球菌細胞外ベシクルを予防ワクチンとし
く、他の具体的な形態に容易に変形可能であることを理
て投与したとき、体液性免疫反応であるIgG抗体の増
解することができるであろう。よって、上述した実施例
加だけでなく、細菌に対する防御に重要なT細胞免疫反
は全ての面で例示的なもので、限定的なものではないと
応からTh1免疫反応が誘導され、黄色腸球菌による感
理解すべきである
染と菌由来の細胞外ベシクルによる疾病を効率よく予防
【産業上の利用可能性】
することができることを意味する。
【0134】
【0131】
本発明のグラム陽性細菌由来細胞外ベシクルを用いて疾
実施例27.黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル内の1 20
病動物モデルを構築し、これを用いて、グラム陽性細菌
6S rRNA及びDNAに対する遺伝型の分析
由来細胞外ベシクルにより発生する疾患を予防又は治療
黄色ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌由来細胞外ベシクル
することが可能な薬物を効率よく発掘することができる
(0.2、0.5、1.0μg)に対して黄色ブドウ球
。また、腸内共生細菌由来細胞外ベシクル自体又はこれ
菌特異16S rRNAのプライマー(フォワード(for
を変形して投与して免疫反応を調節することにより、グ
ward):AGCTTGCTTCTCTGATGTTA、
ラム陽性細菌による感染又はグラム陽性細菌由来細胞外
リバース(reverse):TTTCACTTTTGAAC
ベシクルによる疾病を効率よく予防又は治療するワクチ
CATGCG)を用いて遺伝子の存在有無をPCR(Pol
ンの開発が可能であり、ひいてはグラム陽性細菌感染又
ymerase Chain Reaction)技術で確認した[95℃5分
はグラム陽性細菌由来細胞外ベシクルにより発生する疾
−(94℃30秒、46℃30秒、72℃20秒)×3
病の原因因子を診断する技術の開発が可能である。
5サイクル−72℃7分−4℃]。同一条件で大腸菌(E 30
【図1】
【図3】
【図2】
【図4】
pair)から
( 22 )
【図5】
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【図9】
【図10】
【図6】
【図11】
【図12】
【図7】
【図13】
【図8】
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( 23 )
【図14】
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【図18】
【図15】
【図19】
【図16】
【図20】
【図17】
【図21】
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( 24 )
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【図22】
【図29】
【図23】
【図30】
【図24】
【図31】
【図25】
【図32】
【図26】
【図33】
【図27】
【図28】
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( 25 )
【図34】
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【図37】
【図38】
【図39】
【図35】
【図40】
【図41】
【図36】
【図42】
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( 26 )
【図43】
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【図50】
【図44】
【図51】
【図45】
【図52】
【図46】
【図53】
【図47】
【図48】
【図49】
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( 27 )
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【図54】
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FI
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(2006.01)
A61K
39/08
(72)発明者
キム、ユン‐グン
大韓民国
ギョンサンブク‐ド
ジ、ポステック
(72)発明者
ギョンサンブク‐ド
カンウォン‐ド
ト、206ホ
73
ベンジ
217‐753、ソクチョ−シ、キョ‐ドン、デーウ
アパートメン
106‐ドン
ギョンサンブク‐ド
750‐901、ヨンジュ−シ、カフン1−ドン、1381−2
チェ、セン‐ジン
ギョンサンブク‐ド
ジ、ポステック
(56)参考文献
790‐863、ナム‐グ、ヘド2‐ドン、106−6
ベンジ
大韓民国
審査官
センター、208ホ
キム、ジ‐ヒョン
大韓民国
(72)発明者
ベン
ホン、ソン‐ウク
大韓民国
(72)発明者
31
リ、ウン‐ヨン
大韓民国
(72)発明者
バイオテック
790‐784、ナム‐グ、ヒョジャ‐ドン、サン
荒木
バイオテック
790‐784、ナム‐グ、ヒョジャ‐ドン、サン
センター、380ホ
英則
特開平09−163896(JP,A)
31
ベン
( 28 )
JP
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(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
C07G
1/00−99/00
A01K
67/00−67/027
C12P
C12Q
1/00−
1/04
1/00−
1/02
A61K
39/00−39/39
A61P
1/00−43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
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