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ジェンダー研究と親イメージの変容

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ジェンダー研究と親イメージの変容
Nara Women's University Digital Information Repository
Title
ジェンダー研究と親イメージの変容
Author(s)
宮坂, 靖子
Citation
家族社会学研究, Japanese Journal of Family Sociology, No.11, pp.37-47
Issue Date
1999-07
Description
URL
http://hdl.handle.net/10935/939
Textversion
publisher
This document is downloaded at: 2017-03-29T09:35:52Z
http://nwudir.lib.nara-w.ac.jp/dspace
『家族社会学研究』
No.
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9
9
93
7-4
7
■ 特集 子 どもと家族
ジ ェンダー研究 と親 イメージの変容 (
1
)
宮
要
坂 靖
子
約
近代家族論 を経 由し、またフ ェミニズムの影響を受けた後の我が国の家族社会学研究は、大人中心の
家族論 になった とて言われるが、果た してそ うであろうか。戦後の親子関係研究は 「しつけ」をキーター
ム としていたが、内容的には丁貫 して大人の視点か らなされて きた。「
情緒的な専業母」の規範化が子
0
年間の研究成果 を鑑みれば、む しろ父親排他的な専業
ども中心 と理解 されてきたに過 ぎない。 ここ約 1
母 による育児が、子 ども、母親、父親の三者に とって望ましい ものでないことが明 らかになって きてお
▼
り、親子研究は、ポス ト近代家族の模索の中にあって、両親 による共同育児 とい う方向性を明示 して き
ている。 しかし同時 に、研究者はその言説の持つイデオロギー的側面 に留意する必要がある。家族社会
学は 自己の発 した言説 を相対化す る視点 も同時に把持する必要がある0
キーワー ド:ジ ェンダー、共同育児、家族社会学の相対化
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9
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7-4
7
3
7
1.「
子 ども中心の家族論」 と 「
大人中心の家族論」
(1) 問題関心
本シンポジウムのコーデ ィネーター、牧野カツコ氏 よりいただいキ 「開催趣 旨と問題提起」の中で、
近年家族社会学で取 り上げ られて きている家族変動やパ ラダイム転換の議論が、大人の視点か らなされ
る傾向があることが指摘 された。
近年の家族社会学のパ ラダイム転換を導いた根源的な議論が、我が国で1
9
8
0
年代の半ばに生 じた近代
家族論 と、それを生起 させた原動力で もあるフェミニズム論 にあると考える筆者に とって、前出の問題
提起の意図はよ く汲み取れた。 しかも、青少年期の子 どもの問題行動や不適応行動が多発 している今 日
の社会的状況を鑑みれば、「
大人中心の家族論」か らは欠落 した 「
子 ども」の視点か らの家族研究 こそ
が今必要であるという方向性を含み うるものであることは想像に難 くない。
フェミニズムにも多大な影響を及ぼ した近代家族論は、まず、母性中心主義批判へ
と向かい、専業主
▼
婦、 もしくは 「
情緒的専業母」 という女性の役割を相対化することに専念 した。それ と同時並行的に成
立 した我が国の女性学のスローガンが、性別役割分業の流動化 と女性の経済的 自立であった こともまだ
記憶 に新 しい。 これ らは女性における母性の比重を軽減 し、母親でも妻でもない一人の人間 としての女
性 とい う側面 を浮上 させたりであった (2)。 この ような女性学の影響下 において、家族社会学はまさに
「
大人中心」への視点を獲得 した と位置づけ られるに違いない (3)0
ここで整理 してお くと、「
大人中心」 とい うい う場合 には、家族変動 とかかわる生活の実態の側面 と
パ ラダイム転換の議論 にみ られる研究の理論側面 とい う二つの異なったレベルがあることを区別 してお
く必要がある。
まず、実態の レベル として、既婚女性の雇用労働者化が促進 されたにもかかわ らず (4)、性別役割分
業か ら新 ・役割役割分業への修正に とどまったため、父親の不在が不問に付 されたまま、母親の就労が
家庭の教育機能の低下を招 き、その結果 として近年の青少年の凶悪犯罪の増加を招来 した とみる言説が
輩出してい草.つま り女性の 自立を促す、いわば大人の視点が重視 されてきたために、子 どもの問題が
多発 して きている という認識である。 しかし、 ここでの大人 として想定 されているのは母親である。他
方、近年は父親不在が問題化 され、父性復権 ・父権復権な どが唱え られているが、その正否は別 として、
これ も従来の産業主義 にか らめ取 られた会社人 間であった男性 (
父親)の生活の見直 しという点におい
て も、それまでの大人中心主義が見直されている といえよう。
理論のレベル としては、ポス ト近代家族を模索する議論の中で浮上 してきた 「
家族単位か らシングル
単位社会へ」 という提唱 (
伊 田,1
9
9
8
)か ら学会 レベルの 「集団論パラダイムか ら個人論パ ラダイム」
への転換論争 をあげることがで きる (5)。社会の単位 を家族ではな く個人 とするとい う議論は、成長 プ
ロセスにある子 どもの位置づげに対する疑問を呈 した。
確かに、近年の状況 として 「
大人中心」 ともいえる家族論 に拍車がかかってきてはいるが、はた して
それは 「
子 ども中心の家族論」か ら 「
大人中心の家族論」への移行 といえるのだろうか。フ ェミニズム
や近代家族論の視点を獲得する以前の親子研究の流れを、 ここで改めて把握 しておこう。
3
8
ジェンダー研究 と親像の変容
(2)
家族研究のなかの未嬉子 と親 との関係
1
9
7
0
)
、牧野 (
1
9
7
3
)
、木下 (
1
9
9
6
)
、山根 (
1
9
9
9
)に詳 しい
親子研究のレビューについては、増 田 (
ので参照いただきたい。
9
6
0
年までの親子関係研究は、主に、相続 ・扶養 ・嫁姑関係な
日本の戦後の家族研究を見てみると、 1
9
6
0
年代
ど、家制度 との関連において主を
羊成人子 と親 との関係を考察することが中心的テーマであ り、1
に入ってから、ようや く家族の内部過程への着 目が始まった。その際、親子関係研究のキーワー ドとなっ
9
7
0
)
、それ以降 も1
9
8
0
年 に至 るまで、家族社会学は親子研究を
たのが、「しつけ」であったが (
増田,1
「しつけ」「
社会化」研究に限定 してきたことが既に明 らかにされている (
木下,1
9
9
6
)
0
0
年代以降の 「
育
木下栄二によれば、親子関係研究において 「
劇的な視点の変化」がみ られたのは、8
社会化』 という研究の焦点が子供の側にあるのに
児」 とい うタームの登場 によるとい う。 「『しつけ』『
対 して、親の側に焦点を当てた研究 と位置づけ られる」(
木下,1
9
9
6:1
4
4
)という彼の指摘に準 じれば、
「
子 ども中心」の しつけ研究か ら 「
大人 (
母親)中心」の育児研究へ と推移 した と言えるのかもしれな
いが、果たして 「しつけ」研究は子 ども中心の家族論であったのであろうか。
増田光吉によれば、 しつけ研究の主な内容は、 しつけの役割分担 ・しつけ方針の一致 ・不一致、 しつ
けの内容 (
領域)等であ り、 しつけを行 う親や場合には祖父母を含めた担い手の問題に視点をすえたも
9
7
0
)(6)。また、木下によれば、7
0
年代り しつけ研究はほ とん どその前提 として
のであった (
増 田,1
青少年の非行などの問題をおいてお り、それ ら青少年問題の原因を、母親の就労においていたのであ り
9
9
6
)
、家族社会学 自体が、「
母性強調」(
後述)の時代の中に埋没 していた。
(
木下,1
ここに発達心理学における母子研究の影響があったことは言 うまで もない (
後述)
。ボウルビィのマ
0
年代のケネル とクラウスの母 と子の
ターナル ・デ ィプ リヴ ェ-シ ョソ (
母性剥奪)理論にはじま り、8
0
年代は、子 どもの成長、発達にとって、人生初期の母子関係が決定的な重要性をもつ とい
粋論まで、7
う発達心理学の理論的成果が社会的に受容された時代であった (
7
)
0
これ らの母子相互作用研究は一見、子 どもの視点に立 った研究 という印象を与 えやすいが、果たして
そ ういえるのであろうか。「父親を排除 して母親だけが育児を行 うことが望ましい」 ということも実は
全 く実証 されて きていない。母子相互作用研究の大儀名分は子 どもの成長 。発達 にとって望ましい とい
うことであるが、それ らを 「
子 どもの視点」 であると位置 づける認識 自体に、アプ リオ リに専業母に価
値をお く研究者の価値前提が内在 しているのである。 このような視点はこいうなれば近代社会の論理で
あ り、当時研究者の大多数を占めていた大人の男性の論理である。
このような枠組みか ら親子研究を転換 したのが、牧野カツコの一連の育児不安研究である。そこには
既に、従来の母性イデオローギー相対化 というフェミニズムの成果が基本的に受容されている。
2.ジェンダー研究 と親イメージ
(1) 母親 イメージの変遷
.
9
5
0
年までの 「
指導され啓蒙 される母親の時代」、1
9
6
0
年代の 「
教
天野正子は戦後の母親イメージを、1
9
7
0
年代の 「
母性強調の時代」、そ して1
9
8
0
年代の 「
等身大の母親の時代」の 4つ
育するママの時代」、1
に区分 している (
宇野,1
9
9
4
)
。各時代の特徴は以下の通 りである。
3
9
戦後か ら1
9
5
0
年代は科学的育児法の推奨期であ り、アメリカの育児法を参考に、正 しい育児知識の必
要性 と医師な どの専門家のサポー トの必要性が強調 され、それまで主要な情報源 と見なされていた 「い
9
8
6
)
0
わゆる物知 りおばさん」の情報 に頼 ることの誤 りが喧伝 された (
横山,1
1
9
6
0
年代 については、「
少ない子 どもをよりよ く育てる」 ことを 目標 とし、子 どもへの心理的関心の
9
8
6
)
、天野は、そ うであ りつつも多様な育児思想
比重が増 した ことが既 に指摘 されているが (
横山,1
9
9
4
)
0
や育児法が登場 した時代であると位置づけている (
天野, 1
1
9
7
0
年代は一転、母性強調の時代 となる。 1
9
7
5
年前後 に近代家族の理念、換言すれば専業母の理念 と
現実が最 も一致 したことはしば しば指摘 される通 りである。 この時代のキーワー ドは 「スキンシ ップ」
9
7
9
)のベス
と「
母原病」であった。後者は医師である久徳重盛の著書 『
母原病』 (
サンマーク出版,1
トセラー化によるものであるが、久徳は 「
母親が原因で増 える子 どもの異常」をこう命名 し、子 どもが
幸せな一生を送 りうるかは三歳までのスキンシ ップによって決定づけ られると明言 した.まさに 「
三歳
児神話」の隆盛期であった (8)0
1
9
8
0
年代の特徴は、等身大の育児論 と育児ネ ットワーキングの模索にあると、天野は位置づけている。
これまでの育児の情報は、男性専門家からの教育 ・啓蒙的な内容であったが、 この時期 になると、育児
を担 う女性たちが 自らの経験 をもとに した情報交換 を主体的に行い、横のつなが りを重視 したネ ッ ト
ワーク形成をめざした。中には、その動 きが家庭 内での父親の育児参加を触発 し、「
協力者か ら共 同の
主体者」 として育児にかかわる男性たちが 自らのネ ッ トワーク形成へ向かうケースも現れた。
(2) 親子研究の変遷
。 ここで
上記の ような母親 イメージの変遷は、親子研究の流れ と密接 に連動 している (
表 - 1参照)
は、親 イメージの変化 と家族社会学およびその隣接諸科学その関連性を考察 してみたい。
日本の近代は、育児か ら父親を排除 し、
母親のみに育児の役割を配当した点において特異な時代であっ
た。明治末か ら大正期の新中間層における近代家族の誕生は、子 ども中心主義 とともに母性愛に満ちあ
9
7
0
年
ふれた 「
教育する」母親像を創出した。その後戦後の高度経済成長期にこの母親像が大衆化 し、 1
代に母性神話の隆盛期を迎え、父親の家庭か らの疎外が徹底 した。
このような親像のあ り方に甚大な影響を与 えた発達心理学の役割を強調 してもしすぎることはあるま
い。フロイ ドの精神分析学 とボウルビィのマ一夕-ナル ・デ ィプ リヴ-シ ョン (
母性剥奪)理論、およ
びロー レンツの刻印付け研究が三つ巴で、初期母子関係の永続的決定性 ・非可逆性を指摘 し、母子関係
9
9
3
)
、それが学問を超 え、一般的に最 も流布 さ
の排他的重要性を強調 したのであったが (
柏木編著, 1
0
年代であった。
れ、浸透 したのが7
母子関係重視の発達心理学、換言すれば父親不在の発達心理学か ら、父一母 一子の文字通 り親子の発
達心理学に変容するには、フ ェミニズムの影響を得たねばな らなかった という柏木恵子の指摘は非常に
興味深い。
父親不在の母子心理学が 「
母原病」 という言説が支持 される土壌 を生み出し、上帯の ように、子 ども
の非行が母親の就労によるしつけの衰退 という視点か らなされる家族研究を輩出したが、それを打開す
る試みが、女性研究者 による就労の有無 と育児に関する研究であった0
4
0
ジェンダー研究 と親像の変容
9
8
5
-8
6
年 に行 った、母親の就労の有無 と子育て ・子育ちの関連性を追求 した大規模な
原ひろ子 らが1
調査報告書のなかで、編者の原は次のような問題意識 を鮮明にしている。
「・- 家庭生活 に何か支障が起 こった り、子 どもに何 らかの問題行動が見 られると、それは、『
母
親が家庭の外に出て働いているか らだ』 といった説 明を与 え られることになる。 ・- はたして、現代
日本の家庭が抱 えている問題や、子 どもの成長 をめ ぐる問題は、母親が 『
家庭の外に出てお金を稼 ぎた
●●●
」(
原編,1
9
8
7:2-3、傍点筆者)
かるが ら』 とい う理 由のみに帰せ られるべ きなのであろうか。
8
0
年代半ばにして、原にこの ように言わ しめたほど、専業母の規範が強固であった とい うことの証左
である。今か ら思えば、子 どもの問題行動の原因が働 く母親のみ求め られた ことは信 じがたいことであ
るが、当の働 く女性たちの異議 申し立てがなければ、母子心理学を根拠 としてこ専業母が正当化 され続
けたのかもしれない。フ ェミニズム (
女性学)における実践的問題提起は、その後ジェンダー概念を用
いて理論化 されていった (9)0
他方、発達心理学の領域において も、フェミニズム (
女性学)は研究の視点を転換する影響を及ぼ し
た
。
アメリカでは、 1
9
7
0
年代後半か ら8
0
年代が、そ して 日本では1
9
9
0
年代が 「父親再発見の時代」 と位置
づけ られている。母子偏重の研究に対する批判が高ま り、父親の役割や、単に父親のみにかかわ らず、
きょうだい、祖父母な ど多様な人 々とのネ ットワークのなかで子 どもが成長するという視点での研究が
増大 した。また生涯発達 とい う概念は、初期経験の永続的効果や非可逆性に対すして疑問を投げかけ、
人間の発達は本能や母親 との関わ りな どの環境要因のみに規定 されるのではな く、自己形成を続ける点
9
9
3
)
0
も明確 にした (
柏木編著,1
図- 1に示 した とお り、発達心理学やフ ェミニズム (
女性学)、家族社会学は社会における親 イメー
ジの形成に大 きな影響を及ぼ している。が、穿 った ことをい うようであるが、「
育児か ら父親を排除 し
て母親だけが行 った方が子 どもの成長発達 に とって望 ましい」とい う点は、
実は明らかにされていなかっ
たのではないだろうか。 ここれまでの議論は、父親の排除 とい うジ ェンダーの問題 と、複数の親 (
的存
荏)によって育て らる複数養育を排除 して、排他的な専業母を理想 とする二重の暗黙の前提の上 に立脚
していたりである。
EU) における家族
他方近年、家族社会学 を含む社会科学の領域において、北欧や ヨーロッパ連合 (
政策の内容が紹介され、 日本における政策転換に対 してさまざまな提言がなされてきている。 この よう
な政策研究の 日本への紹介が、我が国の親 イメージに与 える影響にも大 きなものがある。特に「ケアラー
me
na
sc
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e
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s
)
」 という新 しい父親 イメージの導入が、単に手段的役割を担 う父親か ら、
としての男性 (
手段的役割 と表 出的役割を男女で ともに担 うとい う新 たなパー トナーシ ップ 。イメージ、新たな親 イ
メージへ とい う規範の変容に貢献 している (10)0
41
表 -1 母親 ・父親 イメージの変遷 と研究動向
時期
理念 としての母親 イメージ .父親 イメージ
江戸時代
(
父親が子 どもを教育 した時代)
明治期後半∼大正、昭和前期
「
教育する」母親像の登場 (
都市新中間層)
戦後高度経済成長期
「
教育する」母親像の大衆化
1
9
7
0
年代
母性強調、母性抑圧の時代
研究動向な ど
西欧の科学的育児法による啓蒙
母性強調の心理学 .教育学 .
*
「
父親」の家庭か らの疎外の徹底化
三歳児神話の隆盛期
社会学
1
9
8
0
年代
専莱母
女轡 こよる
.母性神話への懐疑
「
子 どもも仕事も
と抵抗の時代
」(
女性 の孤軍奮闘) 女性学の成立
1
9
9
0
年代
父親の再発見の時代
父親 と母親、両親 による共同育児の時代
男性学の登場
ジ エソダー研究の進展
3.親子研究の課題
(1) 育児のジェンダー化 (ll)
この 「
情緒的専業母」規範か らの脱却は、現在、「男女の共同育児化」 と 「
育児の社会化」の二点か
ら新たな地平を拓 こうと動 き始めていると言 える。拙稿では前者 に視点を据 えるが、後者の観点か らの
議論は、本誌所収の船橋論文をご覧いただきたい。
ここでの基本的な問は、果た して、性別役割分業 に基づ く近代家族の育児のあ り方、換言すれば情緒
的専業母一人による育児が、本当に子 どもの成長発達 に望ましいのか という問題である.更に拡大 して
言 うな らば、その ようなジェンダー配当的な育児が、子 どもに とって、そして母親に とって、さらには
父親に とって望ましいことなのであろうか。
9
7
0
年代の母性強調期 に、母親 による子捨て ・子
最 も早い段階の回答が、母親か らの視点であった。 1
.この ような矛盾の
殺 し、母子心中な どの事件や育児のノイローゼの問題が増大が社会問題化 した (12)0
所在 を家族社会学 において最初 に明確 にしたのが、牧野カツコの一連の育児不安研究であ り (
牧野,
1
9
8
1
,1
9
8
2
,1
9
8
3
,1
9
8
4
,1
9
8
5
,1
9
8
7,1
9
8
8
)(
牧野他,1
9
8
6
)
、 これにより、「
情緒的専業母」的あ り
方が育児不安を増大 させ、
翻 って子 どもの成長発達 にもマイナスの影響を及ぼす ことが明 らか となった。
そ して同時並行的に子 どもの視点か らの問題提起 も始 まった。典型的には、愛着理論 において、愛着
形成の対象が、母親だけか ら、養育者一人だけへ と変化 したものが、さらに、多様なネ ットワークへ と
拡大 された ように、愛着理論が母子関係中心、母親偏重のために批判 されてきた発達心理学の展開のな
9
9
3
)
0
かによ く表れている (
柏木編著,1
そ して先 に触れた ように、近年父子研究がまず発達心理学でにおいて、そしてさらにその影響を受け
て家族社会学 において着手 されるようにな り、父親の子 どもの発達への影響 と、育児が父親の生涯発達
9
9
3;牧野他編,1
9
9
6
)
。 日本 より蓄積の
に与 える影響 とい う双方向か ら考察 さ/
れている (
柏木編著,1
多いアメリカにおけ る父親研究の成果は、石井 クソツにより紹介されているが、父親の育児参加が子 ど
4
2
ジ ェンダー研究 と親像の変容
もに与 える影響については 「かな り肯定的な結果がでている」 とい う (
石井 クソツ,1
9
9
8:1
3
9
)
oまた、
男性学においては子育ての もつ父親の人間性回復の機能が重要視 され、父親の育児権の確立が主張され
9
9
6
)
0
ている (
伊藤,1
(2) 家族社会学における親子研究の課題
1
98
0
年代には、新 ・性別役割分業の もとで、「
女性 も、育児 も仕事 も」 と女性が孤軍奮闘していたの
9
90
年代 には、「男性 も女性 も、仕事 も育児 も」 と男女の共同育児化 に一層の拍車がかかって
に対 し、 1
きた。国際社会を背景にして推進 されている 「男女共同参画社会 」の流れの中での、共同育児のための
施策が明確に打ち出されている (
1
3
).
家族社会学 もこれ らの政策決定に大 きを影響力を及ぼすようになっ
てきている。
筆者は家族社会学の もつ社会への貢献の意義を否定するものではないが、同時に、研究は社会を一定
の方向へを導 くイデオロギー的側面を持つことに対 して も自覚的であ らねばな らない と考 えているo
これ ら男女共同参画社会に向けての言説形成を、ポス ト近代家族論 と括+
るとすれば、 この議論には、
牟 田,1
9
98:11
7
)が内包されているoポス ト近代家族論を
牟 田和恵の言 う 「ポス ト近代家族の神話」(
生み出した近代家族論の大 きな貢献は、家族 に対する認識を相対化することの必要性であったo家族社
会学は、あるべ き社会の形成にむけて、その学問的根拠を提示する必要があると同時に、 自らの行 う言
説形成を常に相対化 してい く必要があるo柏木恵子は、発達心理学研究における母子関係 ・母子相互作
用研究の背後仮説 を明 らかにした うえで、発達心理学の持つイデオロギー的側面への自戒を促 している
9
93
)、発達心理学の成果に対 し、非常にセソシ イテ イヴな家族社会学 にも同様の点で
が (
柏木編著,1
の相対化の視点が必要不可欠であることはい うまでもないo
また、小稿における議論は基本的に、家庭における男女 による共同育児を論 じている意味において、
「
育児の家庭化」の側面を強調 しているが、子 どもをいかにして社会全体で養育するか とい う 「
育児の
社会化」の問題は触れなかぅた.前者の視点は同時に、家族集団主義 とも言 うべき、近代家族の 「父母 一子」のエデ ィプスの三角形を支持する議論へ も通 じるoシングルマザー、シングルファーザーな ど
9
9
9
)
、「
両親 と子 ども」 という関
家族 ライフスタイルの多様化が進行する現代社会にあって (
野 々山,1
係を社会の基本に据 えるマ- ドック的な核家族観が、個人に抑圧的に働 く危険性にも当然注意が払われ
ねばなるまい (14) 0
男女共同参画社会形成のための言説形成に貢献するとともに、その言説形成に対 して 自らを相対化す
る視点を持ち続けるか、 きわめて価値 中立的なジ ェンダー ・スタデ ィーズ (
1
5
)となるかo おそ らく両者
のアプローチが併存 してよいものだ と筆者は考 えているo価値前提ではな く、研究の方法、分析の方法
が問題なのであ り、綿密な実証研究か ら得 られた確たる知見は、単なるファインデ ィソグスであるに と
どま らず、学会を超 えて社会的な影響力を持ち うるであろうと考 えるか らであるo
最後 に、小稿は 「
子 ども中・
む」の家族論 と、「
大人中心」の家族論の二項対立を超 えるために、家族
社会学は何がで きる かを考 えることを一つの 目的 と・
して きたが、「
子 ども中心」 とは何 か とい う点に関
したに と
しては、情緒的専業母のあ り方が 「
子 ども中心」 とす り替 えられやすい懐向にあることを指摘
ノ
どまった。 しかし、それ もきわめて近代主義的ないわば大人の、更に言えば男性の視点であ ったのであ
43
り、まさにこの ような二項対立図式 こそが、近代的発想であるとはいえないだろうか。親子関係の分析
は、「
子 ども中心」の視点か、「
大人中心」の視点か という議論 を超 えて、関係性の分析へ と発展 させる
ことが緊要な課題 となるであろう。
注
(
1
) 小稿は、拙稿 「
親 イメージの変遷 と親子関係のゆ くえ」(
藤崎宏子編 『
親 と子 ・交錯するライフコー
シ リーズ ・現代の家族], 2,ミネルヴ ァ書房,1
9
9
9
近刊予定)を、本シンポジウムの主 旨に則
ス』[
して加筆、修正 した ものである。
(
2
) 山根真理は、戦後 日本でなされた親子関係研究を、戦後民主化視角にたつ親子関係研究、子 どもの
社会化 ・老親子関係にたつ親子関係研究、「
近代家族論」 ・ジ ェンダー視角研究を経た親子関係研究
山根,1
9
99)が、 この分類で言えば、「大人中心主義」の家族論批
の 3つにカテゴ リー化 している (
判が、第三番 目の親子関係研究を問題化 していることは言 うまで もない。
(
3
) 例 えば、家族社会学のメジ ャーなテキス ト (
1
983
年刊)の中で、森 岡清美は、「他の分野に比べて
▲
特筆に値することは、優秀な女子研究者が家族 と家族問題に関心をもち、男子による従来の家族研究
森岡,1
9
8
3:i
)と
では見落 としがちな現代家族の実態を、女性の眼によってあ らわにしつつある」 (
述べ、家族社会学を変容 させた女性学の影響を評価 している。
(
4
) 有配偶女性の労働力率は、戦後 1
9
7
5
年 をボ トムに (
45.
2
%)上昇に転 じ、1
9
8
3
年 (
5
0.
0
%)を磯 に、
99
4
年 か ら再び徴減債向にある) (
労働省女
有職主婦が専業主婦 を少 しな りとも上回った (
ただ し、 1
9
9
8:付 1
0
)
0
性局編,1
(
5
) これは、 1
9
9
7
年 に開催 された 日本家族社会学会大会わシンポジウム 「
家族社会学の回顧 と展望」に
おいて、家族の集団論パラダイムか ら個人論パ ラダイムへの以降が議論 されたことに、象徴的に示 さ
998)。 この点 に関 して、筆者は既 に別稿で触れている (
宮坂 ,
れている (日本家族社会学会編, 1
1
9
9
9
)
0
(
6
) また増 田によれば、 しつけの観点か ら親子のコミュニケーシ ョン構造を研究 した もの も皆無であっ
9
7
0:1
5
)
0
た という (
増 田,1
(
7
) 当時の母子関係心理学 とそ こに内在する研究者の暗黙の前提 については、 (
柏木編著,1
9
93
) に詳
しい。
(
8
) 三歳児神話の定着過程 については、 (
小沢,1
9
8
9
-1
9
95
) に詳 しい。
(
9
) 船橋恵子 も女性学が家族研究に与えた視点を五つ指摘 し、その中で 「
母性 イデオロギー」の相対化
9
9
5:25
0-251
)
0
と父親役割の見直 しを挙げている (
船橋,1
(
1
0
) 北欧諸国における男性の役割変化 と家族政策については、 (
船橋,1
99
8
)参照.また、新 ・性別役
割分業後の、新たな役割分担のあ り方 を、内藤和美は 「
状況対応的分担」 と名づけている (
内藤 ,
1
9
9
8:7)
0
) 大沢真理の用法に準 じた。大沢によれば、近年 "
ge
nde
r'
'は、その領域の研究 にジ ェンダーの視
(
l
l
点を組み込む とい う動詞 として使われるようにな った とい う (
大沢, 1
99
5:85
)
0`
g̀e
nde
r"概念の
Sc
o
t
t
,1
9
8
8:訳書 1
6
)である
最 も基本的な定義は、スコットの 「肉体的差異 に意味を付与する知」 (
4
4
ジェンダー研究と親像の変容
ことは言 うまで もない。 しかし、 この動詞の用法を受け入れるとして も、近年 ジェンダー概念が乱用
される傾向がある。筆者はシンポジウムにおいて、「ジ ェンダー化 された育児」 という言葉を用いた
が、 これは適切な用法でなかった と考える。いわゆる 「男は仕事、女は家事 ・育児」 といういう性別
役割分業下での育児 という意味で用いたが、 これは近代家族に付与されたジェンダー、つま り肉体的
s
e
x)に対する近代社会固有の意味づけに他な らない。 この意味づげを相対化する視点がジェ
差異 (
ンダー概念の意義だ とすれば、先の用法は誤 りである。`
g̀e
nde
r
"の使用についてご教示いただけれ
ば幸いである。
(
1
2
) 子殺 しについては、(
佐 々木編著,1
980
)(
中谷瑛子編,1
982
)な どを、育児ノイローゼについては、
(
佐 々木他,1
98
2
)などを参照。また当時の母親の閉塞感をよく表しているも■
の として (
木村,1
98
0)
がある。
(
1
3
) この父親像の変容は、「ケアラー としての男性」像を基本に据 えるものであ り、例えば、(
林,1
9
96)
などの父親復権論 とは一線を画す ものである。林は、男女共 同育児の理念に対 し、「
働けイデオイギー」
が理想的な専業主婦、専業母のあ り方をゆがめているという批判を行っている (
松原隆一郎、「ウォッ
i
7日付)
0
チ論潮」、『
朝 日新聞』 (
大阪版夕刊)、1
998
年 8月2
(
1
4
) 石井クソツ庵、今後のアメリカの父親研究の課題 として、理論化 と多様な家族のあ り方への対応を
指摘 し、後者について、シングル ・ファーザー、マイノリティ ・ファーザー、ゲイ ・ファーザーな ど
を研究することの必要性を指摘 している (
石井 クソツ,1
99
8)
0
(
1
5
) 瀬地山角は、フェミニズム (
女性学) とジェンダー論 との差異の一つ として、後者は、共有 される
べき理念は持たな くて もいことを挙げ、視点や理念の強調 による陳腐化を打開するためには 「
新たな
世界を切 り開 くような分析」が必要であることを強調 している (
瀬地山,1
9
95:2
38-2
39)
.
参考文献
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99
4,「
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幼
児教育の現在 と未来』 (
講座 「
幼児の生活 と教育」, 5),岩波書店,31
6
8.
船橋恵子,1
996「
家族研舞 の現状 と課題」,井上俊 ・上野千鶴子他編 『
(家族)の社会学』 (
岩波講座現
代社会学1
9),23
725
6.
船橋恵子,1
9
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家族社会学研究』1
0(
2),557
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98
7,『
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堂 .
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0(
2
),1
351
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9
96,『
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柏木恵子編著,1
9
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木村栄,1
98
0,『
母性をひらく一子 どもとともに歩む 自立への道』,汐文社.
木下栄二,1
996,「
親子関係研究の展開 と課題」,野 々山久也 ・袖井孝子 ・篠崎正美編著 『いま家族に何
が起 こっているのか』, ミネルヴ ァ書房,1
3
61
5
8.
4
5
牧野 カツコ, 1
9
7
3
,「
親子関係の研究法 について」,青井和夫 ・増 田光吉編 『
家族変動の社会学』,培風
館,2
7
8
3
0
3
.
牧野 カツコ, 1
9
8
1
,「育児における く
不安) について」,『
家庭教育研究所紀要 』 2,4
ト5
1
.
牧野カツコ, 1
9
8
2
,「
乳幼児を もつ母親の生活 と く育児不安 )」,『
家庭教育研究所紀要』 3,3
4
5
6
.
牧野 カツコ,1
9
8
3
,「
働 く母親 と育児不安」,『
家庭教育研究所紀要 』 4,6
7
7
6
.
牧野カツコ,1
9
8
4
,「中学生の子 どもをもつ母親 の生活 と意識」,『
家庭教育研究所紀要』 5,3
7
4
8
.
牧野 カツコ ・中西雪夫 ,1
9
8
5
,「乳幼児を もつ母親 の育児不安 一父親の生活 お よび意識 との関連」,『
家
庭教育研究所紀要』 6,l
l
2
4
.
牧野カツコ,1
9
8
7
,「乳幼児を もつ母親の学習活動への参加 と育児不安」,『
家庭教育研究所紀要 』 9,1
-
1
3
.
牧野カツコ,1
9
8
8
,「
く育児不安)の概念 とその影響要因についての再検討」,『
家庭教育研究所紀要 』 1
0
,
2
3
3
1
.
牧野 カツコ ・中野 由美子 ・柏木恵子編, 1
9
9
6
,『
子 どもの発達 と父親の役割』, ミネルヴ ァ書房 .
増 田光書,1
9
7
0
,「
親子関係 -しつけの問題 -」,山室周平 ・姫 岡勤共編 『
現代家族の社会学 一成果 と課
題』,培風館,ト1
8
.
,
宮坂靖子, 1
9
9
9
,「
家族研究 とジ ェンダー」,野 々山久也 ・渡辺秀樹編 『
家族社会学入門一家族研究の理
論 と技法』,文化書房博文社,6
9
9
1
.
宮坂靖子, 1
9
9
9
近刊予定,「
親 イメージの変遷 と親子関 係のゆ くえ」,藤崎宏子編 『
親 と子 一交錯す るラ
9
9
1
.
イフコース』, ミネルヴ ァ書房,6
森岡清美,1
9
8
3
,「は しが き」,森 岡清美 ・望月嵩編 『
新 しい家族社会学』,培風館.
牟 田和恵, 1
9
9
8
,「家族制度 ・変動論 の家族社会学 における意味 と意義」,『家族社会学研究 』 1
0(
1
)
,
1
1
ト1
3
8
.
丁
内藤和美, 1
9
9
8
, 『男女平等の本』 によせて」,男女平等の本 を出版する会訳 『男女平等の本教師指導
(
上), ノル ウェー男女平等の本を出版する会, 5- 9.
中谷瑛子編 , 1
9
8
2
,『
子殺 し .親殺 しの背景』,有斐閣.
9
9
8
,「
特集
日本家族社会学会編, 1
家族社会学の回顧 と展望」,『
家族社会学研究』 1
0(
1
)
,5
1
5
0
。
野 々山久也 , 1
9
9
9
,「家族研究 における理論展開 一総括 と展望 -」,野 々山久也 ・渡辺秀樹編 『
家族社会
学入門一家族研究の理論 と技法』、文化書房博文社 , 1
3-4
1
.
大沢真理 ,1
9
9
5
,「労働 のジ ェンダー化」,井上俊 ・上野千鶴子他編 『ジ ェンダーの社会学 』 (
岩波講座
1
)
,8
5
1
0
6
.
現代社会学 1
小沢牧子, 1
9
8
9
,「乳幼児政策 と母子関係心理学 -つ くられ る母性意識の点検 を軸 に」,『臨床心理学研
究』 2
6(
3
)(
後 に、井上輝子 ・上野千鶴子 ・江原 由美子編 『
母性』 [日本のフ ェミニズム, 5,
1
9
9
5
]
に抄録).
労働省女性局編,
1
9
9
8
,『
働 く女性の実状 (
平成 9年)
』,財団法人2
1
世紀職業財団.
I
9
8
0
,『日本の子殺 しの研究』,高文堂 出版社 .
佐 々木保行編著,1
佐 々木保行他,1
9
8
2
,『育児 ノイローゼ』,有斐閣.
4
6
ジェンダー研究と親像の変容
Sc
o
t
t
,J
.
N.
,1
988,Ge
nde
ra
ndPo
l
i
t
i
c
so
fHi
s
t
o
r
y,Co
l
umbi
aUni
ve
r
c
i
t
yPr
e
s
s,(
荻野美穂訳,1
9
9
2,I
『ジェンダー と歴史学』,平凡社).
9
9
5,「ジェンダー研究の現状 と課題」,井上俊 ・上野千鶴子他編 『ジェンダーの社会学』 (
岩
瀬地山角,1
波講座 現代社会学
1
1
),2
2
72
4
3.
山根真理,1
9
9
9,「
親子関係研究の展開 と課題」,野 々山久也 ・渡辺秀樹編 『
家族社会学入門一家族研究
の理論 と技法』,文化書房博文社,2
2
62
5
4.
横山浩司,1
9
8
6,『
子育ての社会史』,勃草書房.
(
付記)本稿脱稿後、寺岡聖豪,「父親論の現在」、島直子,「日米における夫婦の育児役割の変化」 (と
もに 『
比較家族史研究』第 1
3
号,1
9
9
8
)が発表 された。現在の父親論、父親研究についてはあ
わせて参照願いたい。
(
みやさか やす こ ・奈良女子大学)
4
7
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