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博士(医 学) 山 下 陽一郎

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博士(医 学) 山 下 陽一郎
博 士 ( 医 学 ) 山下 陽 一郎
学位論文題名
BRCAI mutation testing for Japanese patients
●
●
with ovarian cancer in breast cancer screenlng
( 乳 癌 検 診 で の 日 本 人 の 卵 巣 癌 患者 に対 する 鰡C4J変 異の 検索)
学 位 論 文 内 容 の 要旨
緒言
卵巣癌(表層上皮性・問質性腫瘍)全体の約5N10
0/oは,浸透率の異なる常染色体優性遺伝
形式を示す家族性卵巣癌とされている.家族性卵巣癌は最近では,乳癌卵巣癌症候群と遺
伝 性非ポ リポ ーシ ス大 腸癌 (HNPCC)と 関連 した 卵巣 癌と に大 別さ れる .家 系内 に乳癌・
卵 巣癌が 多発 する 乳癌 卵巣 癌症 候群 は家 族性 卵巣 癌全体の約85∼90%を占め,その約90%
に BRCAI,一 部に BRCA2のgermline mutationが関与している.BRCA1変異の860/0は蛋白中
断 型のナ ンセ ンス また はフ レー ムシ フト 変異 であ り, 一般 的には BRCA1遺 伝子 上に広く
分 布する .ま た, BRCA1変 異の キャリ アー が70歳ま でに 乳癌 ・卵 巣癌 にな る累 積危険率
は各々,87%・44%との報告がある.
教室の乳房外来には比較的多くの卵巣癌患者(受診者全体の約4%)
が受診しており,我々
は 乳 癌 検 診 時 に 卵 巣 癌 患 者 に BRCAI変 異 の 検 索 を 行 うこ との 利点 につ いて 検討 した .
対象と方法
患 者 と 検 査 材 料 1996年 2月 か ら 1998年 4月 ま でに 教 室 の 乳 房 外 来 で 乳 癌 検 診 を 受 け た
116例の卵巣癌(表層上皮性・問質性腫瘍)患者に,同意を得た後,BR
CAIのexo
n 11の変異
の検 索を行 った .末 梢血 リン バ球 から 抽出 した ゲノ ムDNAを変 異検 出の ため の検 査材料
と した . な お , 患 者 の 変 異 が 確認 された 場合 には ,未 成年 者を 除く 患者 の血 縁者 にも
B
RCA1
変異の検索を勧めた.
SC(stop codon)ア ッ セ イ ゲ ノ ム DNAと プ ラ イマ ー を 用 い て 増 幅 し た BRCA1の exon 11
を含 むPCR断片 に対 して ,SCアッ セイに より BRCA1の exon 11の 変異 をス クリ ーニ ングし
た.P
CR産物とgapvect
or(
pC
IBR
lb
g)
によるYP
H49
9(S
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at
ag
en
e)
の形質転換はI
sh
io
kae
ta
l.
の方法で行い,口イシンを含まない培地で形質転換細胞を選択した後,ロイシンとウラシ
ルを含まない培地での形質転換細胞の発育により,U
ra゛の頻度を算出した.Ura
゛が>
80%の
検 体 を ホ モ 接 合 性 野 生 型 , Ura゛ が く 70%の 検体 を へ テ ロ 接 合 性 中 断 型 変 異 と し た .
DNAシ ー ク エ ン ス 分 析 ヘ テ 口 接 合性 中 断 型 変 異 が 検 出 さ れ た検 体に は, 変異 を同 定す
るた めにDNAシ ーク エン ス分 析を 行った ,4組の プラ イマ ー対 を設定 して PCR産物 を部分
的に 重複さ せ, exon 11を完 全に 分析で きる よう にし た, PCR産物は ALFオー トシ ークエ
ンサー(Ph
arma
ciaBiote
ch)で分析した.
臨 床・ 病 理 組 織 学 的 デ ー 夕 乳 癌検 診を行 う前 に, 癌に 関す る家 族歴 を面 接に より 調査
し,1)第1度・第2度近親者に患者を含めて2例以上の卵巣癌がいる患者,2
)第1度・第2度
近親 者に3例以 上の 乳癌 または卵巣癌がいる患者を乳癌卵巣癌症候群と診断した.卵巣癌
の組織標本を鏡検し,組織型と組織分化度を判定した.組織分化度はSh
imiz
u et
al.の分化
度診断法により決定した.進行期(FIGO,1988),重複癌,診断時年齢,生存月数などは診
療記録から調ぺた.
統計解析F
is
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tを使用し,pく0
.0
5を統計学的有意とした,
結果
患 者・ 血縁 者に おけ る B
RCA1
の ex
on 1
1の 変異
11例 (9.5% , 11/116)の 患 者 が SCア ッ セ イ で ヘ テ 口 接 合 性 中 断 型 変 異 と 判 定 さ れ , 7例
(6.0% , 7/116)が DNAシ ー ク エ ン ス 分 析 で 蛋 白 中 断型 のBRCA
Iの 変異 をも つこ とが 判明 した .
変 異 が 検 出 さ れ た 乳 癌卵 巣癌 症候 群の 家系 は4家 系(A,B,C, D
) で あっ た. 家系 A
, B,Cの
患 者 は , 血 縁 者 の BRCA1の 変 異 の 検 索 に 協 力 的 で あ っ た , 変 異 型 対 立 遺 伝 子 (2508deIGA:
家 系A, L
eu12
16te
rニ 家系 B,127
5ins
T:家系 C)と 野生 型対 立遺 伝子 のへ テロ 接 合体 が,これら
の 3家 系 で 5例 の 患 者 を 含 む 14例 で 確 認 さ れ た . 乳 癌 卵 巣 癌 症 候 群 の 1例 の 患 者 (2508deIGA:
家 系 D) は , 血 縁 者 に キ ャ リ ア ー が 見 っ か っ た 場 合 の 精 神 的 シ ョ ッ ク と 罪 悪 感に 耐え られ な
い と い う 理 由 で , 血 縁 者 の BRCA1変 異 の 検 索 を 拒 否 し た . 1例 の 散 発 性 卵 巣 癌 患 者
(2508deIGA)は , 結 果 の 判 明 前 に 卵 巣 癌 の た め に 腫 瘍 死 し た た め , 血 縁 者 の 検 索 は 遂 行 で
き なか った .
B1でCA1のexo
n 11
の 変 異を もつ 患者 の臨 床・ 病理 組織 学的 特徴
ni期 +rv期 の 進 行 例 , 漿 液 性 腺 癌 , G2+G3の 組 織 分 化 度 , 乳 癌 卵 巣 癌 症 候 群 , 重 複 癌 と
し ての 乳癌 を有 して いた 症例 が, 変異の ない 群と 比べ て変 異の ある 群で有意に多かった
(p:ニ0.0
02,p=0.
0006,p=0
.01,pく0
.0
00
1,p
=0
.0
03
).変異のある群とない群における卵巣癌の
平 均 診 断 時 年 齢 は 51.0歳 と 51.2歳 で あ り , 両 群 間 で 差 を 認 め な か っ た . ま た , ni期 +IV期
の 症例 の予 後に 関し て も両 群間 で有 意差 はな かっ た( p‘0.55).
BRCA
1の e
xon 11の変 異 をも つ患 者・ 血縁 者の 管理
今 回 の 検 討 で , 7例 の 患 者 を 含 む 16例 が BRCA1の exon 11の 変 異 の キ ャ リ ア ー で あ る こ と
が 確 認 さ れ た . 卵 巣 癌 で 死 亡 し た 4例 の 患 者 と 3例 の 男 性 の キ ャ リ ア ー を 除 い た 9例 の 女 性
の キャ リア ーに は, 監 視の 強化 (
inc
re
as
ed s
ur
ve
il
la
nce
)と予防的手術(乳房切除術,卵巣摘出
術 )に つい て説明したところ,全員が前者を選択した.我々は,これらの女性のキャリア
ー に 対 し , 1998年 4月 以 来 6ケ 月 毎 に 乳 癌 検 診 ( 視 診 ・ 触 診 , 超 音 波 断 層 法 , マ ン モ グ ラ フ
イ ー ) と 卵 巣 癌 検 診 ( 内診 ,経 腟超 音波 断層 法, CA
125など の腫 瘍マ ーカ ー検 査) を行 って い
る が, 現時 点では新たな乳癌・卵巣癌は発見されていない.なお,今回の検索の結果が陰
性 で あ っ た 患 者 に は , 癌 の 発 生 に お け る 遺 伝 的 素 因の 関与 は否 定で きな いこ とを 説明 した .
考察
BRCA1変 異 の 検 索 に 伴 う 問 題 点 と し て , プ ラ イ パ シ ー の 侵 害 , 雇 用 ・ 保 険 ・ 結 婚 に お
ける 遺伝 的差 別の危険性,自分の遺伝情報を知ることによる心理的悪影響などが従来より
指 摘 さ れ て い る が , こ れ ら の ほ と ん ど が 本 研 究 で も 観 察 さ れ た . ま た , BRCA1変 異 の キ
ヤリ アー は一 般の 米 国婦 人で は200
∼ 40
0人 に1人 ,日 本人 女性 では 2
, 00
0 --2, 5
00人に 1
人と
低頻 度で ある ことも検索上の問題とされている.しかし,我々は卵巣癌患者に対して選択
的 に 検 索 を 行 っ た た め , 比 較 的 高 率 (6.00/0)に BRCA1変 異 の キ ャ リ ア ー を 検 出す るこ とが 可
能で あっ た.
本 研 究 で 認 め ら れ た BRCA1変 異 と 関 連 し た 卵 巣 癌 の 臨 床 ・ 病 理 組 織 学 的 特 徴 の 把 握 は ,
卵 巣 癌 患 者 に BRCA1変 異 の 検 索 を 行 う か ど う か を 判 断 す る 際 の 参 考 に な る と 考 え ら れ る .
欧 米 で は 若 年 発 症 が , BRCAI変 異 と 関 連 し た 卵 巣 癌 の も う ー つ の 特 徴 と さ れ て い る . し
か し , 本 研 究 で は BRCAI変 異 の 有 無 に よ る 卵 巣 癌 の 診 断 時 年 齢 に は 差 は み ら れ ず , ま た
Ma
tsus
hima eta
l. ,Aida eta
lIも診 断時 年齢 に 差は なか った と報告していることから,若年発
症 は BRCA1変 異 と 関 連 し た 日 本 人 の 卵 巣 癌 の 特 徴 で は な い の か も 知 れ な い .
BRCA1変 異 の キ ャ リ ア ー に は , 最 近 で は 説 明 と 同 意 の も と に , 監 視 の 強 化 ま た は 予 防
的手 術の いず れかが行われている.本研究では予防的手術を選択したキャリアーはいなか
った .
B
urke etal
Iも キャ リア ーに 対し て早 期か らの 監視 の強 化を 勧め て いる が, 実際に予
後 が 改 善 さ れ る か に つ い て は 現 在 の と こ ろ 不 明 で あり ,今 後の デー タの 蓄積 が必 要で ある .
キャリア ーに対す るカウンセ リングは,乳房外来で乳癌・卵巣癌検診を行う際に我々自身
が行って いる.キ ャリアーの 悩みを聞き,アドパイスをすることはもちろん大切であるが
乳癌・卵 巣癌検診 などのフオ 口ーアップに責任をもち,信頼関係を築くことに勝るカウン
セリング はないと 考えている .
学位論文審査の要旨
主 査 教 授 吉 木
敬
副 査 教 授 長 嶋
郎
副 査 教 授 藤 本 和 一 郎
征
学位論文題名
正 ) ’ RCAl mutation testing for Japanese patients
●
●
with ovarian cancer in breast cancer screenlng
( 乳 癌 検診 での 日本人 の卵 巣癌 患者 に対 する B々〇 u変 異の 検索 )
家系内に乳癌・卵巣癌が多発する乳癌卵巣癌症候群は家族性卵巣癌全体の約8
5∼9
0t70
を
占 め , そ の 約 90c70に BRCA1のgermline mutationが関与 して いる .BRCA1変異 の86% は
蛋 白中 断型 のナ ンセ ンスま たは フレ ーム シフ ト変 異で あり ,一 般的 には BRCA1遺伝 子上
に 広く 分布 する .BRCA1変 異の キャ リア ーが 70歳 までに 乳癌 ・卵 巣癌 にな る累 積危 険率
は各々,87%.440
/0とされている,
教室 の乳 房外 来に は卵巣 癌患者(受診者全体の約4%)が受診しており,申請者は乳癌検
診 時に 卵巣 癌患 者に おいて BRCA1変異の検索を行うことの臨床的意義について検討した.
乳癌 検診 を受 けた 116例 の卵巣癌(表層上皮性・問質性腫瘍)患者に,同意を得た後,
BRCA1の exon 11の 変 異 の 検 索を 行っ た. 変異 が確 認さ れた 場合 には ,未 成年 者を除 く
患者の血縁者にもBRCA
1変異の検索を勧めた.
ゲ ノ ム DNAと プ ラ イ マ ー を 用 い て 増 幅 し た BRCA1の exon 11を 含 む PCR断 片 に 対 し
て ,SC(stop codon)アッセ イに より BRCA1の exon 11の 変異 をス クリ ーニ ング した. PCR
産物とga
p ve
ctor(pC
トBR
lbg)
によるYPH
499(St
ra
ta
gen
e)
の形質転換はIs
hi
ok
aeta
l.の方法
で行い,口イシンを含まない培地で形質転換細胞を選択した後,ロイシンとウラシルを合
まない培地での形質転換細胞の発育により,U
ra゛の頻度を算出した.Ura
゛が>8
0c7
0の検体を
ホ モ 接 合 性 野 生 型 , Ura゛ が く 70% の 検 体 を へ テ 口 接 合 性 中 断 型 変 異 と し た ・
ヘテ 口接 合性 中断 型変異 が検 出さ れた 検体 には ,変 異を 同定 する ため にDNAシー クエ
ン ス分 析を 行っ た. 4組の プライマ一対を設定してPCR産物を部分的に重複させ,exon 11
を 分 析 し た . PCR産 物 は ALFオ ー ト シ ー クェ ン サ ー (Pharmacia BioLech)で分 析した .
乳 癌 検 診 前 に , 癌 の 家 族 歴を 面接 調査 し, 1) 第1度 ・第 2度近 親者 に患 者を 含め て2
例 以 上 の 卵 巣 癌 が い る 患 者 ,2)第 1度・ 第2度近 親者に 3例 以上 の乳 癌ま たは 卵巣癌 が
いる患者を乳癌卵巣癌症候群と診断した.卵巣癌の組織標本を鏡検し,組織型と組織分化
度を判定した.進行期(FIGO,1988),重複癌,診断時年齢,生存月数などは診療記録から
調べた.
統計解析には,Fish
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stを使用した.
11例 (9.5% , 11/116)が SCア ッ セ イ で へ テ 口 接 合 性 中 断 型 変 異 と 判 定 さ れ , DNAシ ー ク
エ ン ス 分 析 で 7例 (6.Oc'/o, 7/116)が 蛋 白 中 断 型 の BRCA1の 変 異 を も つ こ と が 判 明 し た .
変 異 が 検 出 さ れ た 乳 癌 卵 巣 癌 症 候 群 の 家系 は 4家 系(A, B
, C, D
)で あ った . 家 系A, B,C
の 3家 系 で は , 血 縁 者 の BRCA1の 変 異 の 検 索 に 協 力 的 で , 変 異 型 対 立 遺 伝 子 (
2508
deIG
A:家
系 A, Leu1216ter:家 系 B, 1275insT:家 系 C) と 野 生 型 対 立 遺 伝 子 の へ テ 口 接 合 体 が , 5例
の 患 者 を 含 む 14例 で 確 認 さ れ た . 1例 の 患 者 (2508delGA:家 系 D)は , 血 縁 者 の BRCAJ
変 異 の 検 索 を 拒 否 し た . 1例 の 散 発 性 卵 巣 癌患 者 (25
08de
lGA)
は , 結 果判 明 前 に腫 瘍 死 した
ため, 血縁者 の検索を 遂行で きなかっ た・
BRCA1の exon 11の 変 異 を も つ 患 者 の 臨 床 ・ 病 理 組 織 学 的 特 徴 と し て は , III期 +IV期
の 進 行 例 , 漿 液 性 腺 癌 , G2+G3の 組 織 分 化 度 , 乳 癌 卵 巣 癌 症 候 群 , 重 複 癌 と し て の 乳 癌
を 有 し て い た 症 例 が , 変 異 の な い 群 と 比 べ て 変 異 の あ る 群 で 有 意 に 多 か っ た (p=0.002,
p
=0
.0
006
,p=
0.
01
,p
く0
.0
00
1,p
二 ニ0.
0
03
)
.
変異のある群とない群における卵巣癌の平均診断時
年 齢 な ら び に III期 +IV期 の 症 例 の 予 後 に 関 し て は 両 群 間 で 差 は な か っ た .
卵 巣 癌 で 死 亡 し た 4例 の 患 者 と 3例 の 男 性 キ ャ リ ア ー を 除 い た 9例 の 女 性 キ ャリ ア ー に,
監 視の 強 化 と予 防 的 手術 ( 乳 房 切除 術 , 卵巣 摘 出 術) に つ いて 説 明 した と ころ ,全員 が前者
を選択 した・
公 開 発 表 に 際 し , 副 査 の 長 嶋 教 授 か ら , BRCA1の exonの 選 択 に つ い て , SCア ッ セ イ
で の point mutationの 検 出 の 可 能 性 , 日 本 人 に お け る BRCA1変 異 頻 度 が低 い 理 由, 変 異 陽
性 の 卵 巣 癌 の 組 織 型 , な ど に つ い て の 質 問 と乳 癌 と 卵 巣癌 の 発 症年 齢 の 相違 か ら 乳癌 検 診
で の 変 異 検 査 の 意 義 に つ い て の 確 認 が あ っ た. 副 査 の 藤本 教 授 から は , 進行 卵 巣 癌に お け
る 変 異 の 有 無 と 予 後 と の 関 係 , 男 性 キ ャ リ アー に 対 す る監 視 の 強化 の 内 容, 女 性 キャ リ ア
ー に 対 す る 予 防 的 手術 の 意 義, な ど につ い て 質問 が あ っ た. 主 査 の吉 木 教 授か ら は ,BRCA
1
が コー ド し てい る タ ンバ ク の 機 能, 遺 伝 子発 現 の 臓器特異 性,ep
ig
en
et
icfa
ct
or
を含 む変異
頻 度 の 人 種 的 差 異 , 変 異 陽 性 の 卵 巣 癌 の 組 織型 が 漿 液 性腺 癌 で ある こ と の理 由 , 変異 陽 性
の 場 合 の 乳 癌 の 組 織 型 の 特 徴 , 予 防 的 手 術 以外 の 治 療 法, 遺 伝 子治 療 の 可能 性 , など に つ
い て 質 問 が あ っ た . い ず れ の 質 問 に 対 し て も, 申 請 者 は自 身 の 解析 結 果 と文 献 的 情報 を も
とに概 ね妥当 な回答を なしえ た・
審 査 員 一 同 は , 乳 癌 検 診 で の 日 本 人 卵 巣 癌 患 者 に お け る BR CA1変 異 の 検 索 の 臨 床 的 意
義 を 初 め て 示 唆 し た 本 研 究 の 成 果 を 評 価 し ,申 請 者 が 博士 ( 医 学) の 学 位を 受 け るの に 資
格を有 するも のと判定 した.
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