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本四3橋時代における中四国の都市拠点性 (上)

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本四3橋時代における中四国の都市拠点性 (上)
岡山大学経済学会雑誌 3
0
(
3
),
1
9
9
9
,2
1
7
-2
4
6
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性♯(
上)
中
日
村
良
平
次
は じめに一背景 と目的
都市の拠点性
1 拠点性の概念
2 都市の階層構造
3
人 口集 中度
交通インフラと拠点性の変化
1 交通インフラ整備 と都市の動向
2 都市拠点度の定量化
(
以下次号)
都市拠点性のアンケー ト調査分析
1 調査要領
2 調査票
3 調査結果 とその解釈
おわ りに一結論 と展望
1.は じめに一背景 と目的
岡山県内では ,1
9
8
8
年 (
昭和6
3
年) 4月の瀬戸大橋の開通後1
0
年間で高速
道路網の整備が大 き く進み,それに ともなって岡山の物流拠点性や営業拠点
性な どが注 目されるようになった。瀬戸大橋の開通前後には,岡山市に営業
拠点を新設 した り,既存の拠点を昇格 (出張所か ら営業所 ,営業所か ら支店
♯本稿は,平成 9年度の学内教育研究特BF
J
経費における成果である。
- 21 7
-
71
4
な ど) させる企業が相次いだ。当時の新聞記事を見 ると,そ うい った企業の
多 くには,高速交通網の結節点に位置す る岡山市におけ る交通の利便性 の良
さを高 く評価 していることが うかがえる。岡山-立地展開 した企業の管轄エ
リアも中四国全域をカバー し,なかには九州を も視野に入れての企業 もあっ
た。
ところが,一方で高速道路や情報通信網 の充実 で広域営業が可能にな り,
地方 の営業拠点が減少す るとい う事態 も生 じてい る。交通 や通信網 が充実
し,一つの拠点で広範囲を担当できるようにな った結果 ,数多 くの営業拠点
を置かな くて も間に合 うようにな ったのであるC これについて,も う少 し詳
しく見てみる。
日本経済新聞社は,一昨年 (
1
9
9
7
年)夏 ,全国窺模の営業網を持つ主要大
手企業3
0
0
社を対象に,全国営業拠点調査を実施 した。1
0
3
社か ら有効回答を
得 , うち ,9
1
年当時の拠点数 と比較可能だ ったのは7
7
社である。それに よる
1
年に比べて拠点数が減 ったのは3
2
都道府県に上 り′地方だけでな く,
と,9
東京 (
4.
0
%減),大阪 (
1.
3
%減)など,大都市圏で も減少 している。最 も減
少 したのは鳥取県で1
1.
1
%の滅少であ った。 中 ・四国地方 において も,山
口,徳島の 2県を除いて営業依拠点が減少 してお り,香川県で8.
1
%の減少 ,
6
%減少 ,岡山県で も6.
4
%減少 しているD
愛媛県で7.
「
全社的な リス トラ」とい う
次に,拠点削減の理 由 (
複数回答)としては ,
理 由が4
9
%で最多であるO ここで注 目すべ きことは,これに次 ぐ 「
新幹線な
ど高速交通網の整備で他拠点か らカバーで きる」 と 「
情報通信の高度化で拠
2
%,1
7
% と大 きい値を示 した ことで
点がな くても取引可能」が ,それぞれ3
あ り,このことが この研究 ・調査 のモチベーシ ョンの 1つ とな っている。
都市の拠点性を高める手段 として,高速道路網の整備 な どを強力に押 し進
めてきた多 くの地方都市 ・地域に とっては,それが拠点性低下 とい う逆効果
を生んで しまった ことになる。再び,日経新聞の調査結果に戻 り,全国の営
業拠点についての今後 の予定 を尋ねた設問を見て も,営業拠点を削減 ・蹄小
一2
1
8-
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性 (
上) 71
5
したい と答えた企業が 1
8
%,逆に増設 ・拡充 したい と答 えた企業 が21
%あ
り,事業所立地におけ る地域の選別は続 くもの と思われ る。
この ように,高速道路をは じめ とす る高速輸送 システ ムの整備 は地域 に
9
8
8
年
とって両刃の剣 とな っているが,筆者の住む瀬戸 内地域において も,1
3
年)に開通 した瀬戸大橋 (
児島∼坂 出ルー 日 に続 き,今春には神
(
昭和 6
9
9
9
年 (
平成11
年) 5月には尾道∼今治ルー トが相次い
戸∼鳴門ルー T
t
カ㍉ 1
で開通 し,いわゆる本四 3橋時代を迎 えるO また,これ らに連結す る陸上の
高速道路網 も徐 々に整備 され ,経済活動の動脈 として機能 し始めている。
この ような状況の中で,今後 ,本四 3橋 の枚 の中核都市である県庁所在市
の拠点性が ,どの ように変化す るのかを探 ることは,地域政策の観点か らも
非常に意義深いことである。そのためには,各都市の拠点性が企業に よって
従来 どの ように評価 されてきて,今後 ,どう評価 され ようとしているのかを
調査す る必要性が生 じて くる。
そ こで本論文 の中では,日本開発銀行岡山事務所 の協力のもと,本四架橋
に直接関係 している中四国地方各県の県庁所在都市に立地す る出先企業を主
な対象に,高速道路網 の整備や高度情報化の進展に伴 う地方中核都市の拠点
性の変化に関す るアンケー ト調査を実施す ることに した0
本研究では,このアンケー ト調査を中心に して ,本四 3橋関連の新聞記事
と統計データの考察を加え,高速交通網 の整備 と企業活動 の関係 を導 き出
す。 さらに,本四 3橋時代に向けて,岡山や高松 とい った地方中核都市が拠
点性を維持 ・向上 させ るための方策を探 ってい くことにす る。
本研究の構成は次の通 りである。まず ,第 2章で都市 の拠点性 の概念に関
す る定義付けを行 う。第 3節では,中四国地方について,交通イ ンフラの整
備 と絡めなが ら都市拠点性の変化を見 る。そ して,都市 の拠点性を統計デー
タを利用 して 「
拠点度」 とい う指標を定義 し,それに よって定量的に都市間
を比較す るO第 4節では ,アンケー ト調査の概要 と結果 ,そ して,それに基
づ く考察を行 う。最後 の第 5節は,今後の都市政策に関す る結論である。
-2
1
9
一
71
6
2.都市 の拠点性
2. 1 拠点性の概念
機能の中枢性を表現する 「
拠点性」 とい う言葉は,しば しば都市の特性を
語 るときに用いられている。この 「
拠点性」と類似 した言葉で ,「
中心性」や
「メッカ」などとい う表現 もある。 これ らの辞書的な定義 としては
メッカ :皆が集 まるところ
集 横 :集まっている状態
中心性 :惹 きつける吸引力
拠
点 :様 々な活動の足場 (
拠 り所) となるところ
ベースキ ャンプ」の ような用語
例えば ,「
拠点性 :そ こをベースに して展開や発展 してい ぐ性質
となる。
(
地域)ポテンシャル」とい う言葉
また,地域の発展可能性の指標 として 「
潜在的発展可能
もしば しば用いられている。 この 「
ポテンシャル」 とは ,「
拠点性」 と比較的近 い概念である。両者の違いは,
性」を意味するもので ,「
拠点性」はそれがアウ
「
ポテンシャル」が発展可能性を示す指標であれば ,「
トプットとして具体化 された状況を示す ものであると考えられ よう.
しか し,拠点性に対 してもそれに関わる様 々な修飾語に よって,その意味
生産拠点」であれば,その指標 とし
するところは異なって くる。た とえば ,「
物
て出荷額や生産額を用いた工業生産力を意味するものが考 え られ る し,「
流拠点」であれば,その指標 として倉庫面若や貨物 自動車保有台数などを用
いたものが考えられ よう。他にも,小売店販売額や飲食店売上高な どで計 る
「
消費拠点上 情報発信力で計 る 「
情報拠点」,観光客数や観光消費額で計 る
「
観光拠点」などが考えられる。その中でも 「
都市の拠点性」 といった場合
には,上の複数の拠点性が備わ ってい くことは必要であろ う。
このように具体的な拠点性については,それぞれ指標が考えられるが,都
-2
2
0-
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性 (
上) 71
7
市のもつ拠点性の原点を何で測ればいいのだろ うかO都市には,政令指定都
市や中核市 ,県庁所在都市な ど,行政的な面か らい くつかの格付けがな され
ているが,これ らは基本的にはその都市 の人 口規模 に よって規定 され てい
る。 また ,人 口は,都市 の生産活動や消費活動な どの経済活動のみならず行
政施策を考える際に も,そのベースとな っている変数 である。 したが って,
都市拠点性の原点を考 える場合には,その基本 とな っている人 口規模にまず
着 目す ることが適当であると思われ るo
た とえば,岡山市 と広島市を比べてみ よう。広 島市 は人 口108万7,
000人
(
1
996
年 3月),事業所数66,
606(
同年 1
0
月)である。一方 ,岡山市は,人 口
60万4,
00
0人 ,事業所数34,
035とな ってい る。広 島市 と岡山市 の人 口比が
1.
80:1.
0
0であるのに対 して,事業所数 の比率は1.
96:1.
00と,人 口に比べ
て事業所数が相対的に広島市 の方が集黄 していることがわかる。政令指定都
市である広 島市は,国の出先機関が多 く,地場 ・出先を問わず企業 も多数立
地 してお り,人 口集積以上に中国地方の中枢都市 としての機能を果た してい
ると言え よう。
次に,高松市 と松 山市を比べてみる。高松市 の人 口が33万人であるのに対
し,松 山市は46
万1,
000人 と,松山市の方が上回 ってお り,人 口集積度 が高
いo ところれ
消費の拠点性 を計 る変数候補 の小売業 の販売額 (
1
994
年)杏
見てみると,高松市は7,
09
2
億 円であるのに対 し,松山市は5,
68
5
億 円 とな っ
てお り,逆に高松市の方が大 きい。高松市 と松 山市 の人 口比が0.
7
2:1.
00で
あるのに対 して,小売業 の販売額 の比では1.
25:1.
00と逆転 している。 さら
に,人 口を基準に した相対比較 (
人 口当た り販売額)だ と,消費 の拠点性を
み る拠点度の格差はさらに広がる。
この ように人 口集積を基準に とって都市 の拠点性を比較す ると,機能面で
都市間の拠点性 の違いが よ り鮮 明になって くる。
- 221-
71
8
2.2 都市の階層構造
各都市は,その人 口規模に応 じて果たす機能が異なっている。それは,し
ば しば中心地理論を用いて説明がなされる。
まず ,最大規模の都市である東京 (
都市圏)は,日本全体の中心都市 (
首
戟) として位置づけ られ,今 日,行政棟能 と経済機能の両面において,日本
の中心都市 としての役割を果た している。
東京の次に位置づけられるのが,大阪 (
都市圏) と名古屋 (
都市圏)であ
「
広域中枢都市」と呼ぶ ことができよう。大阪 と名古屋は,東京 と並んで
り,
我が国の三大都市圏の中心都市 として機能 してお り,行政 ・経済横能 とも高
水準にある。 しか し,東京に比べると,それ らの機能は相対的に弱い と言え
よう。
その次にランクされるのが ,「
地方中枢都市」 と呼ばれ る札幌 ,仙台 ,広
島,福岡な どの都市である。 これ らの都市は,北海道 ,東北 ,中国,九州と
いった広域ブロックの中心都市であ り,国の出先機関 (
局)や広域営業拠点
を有する全国展開の企業などが数多 く集積 している。
横浜,京都 ,神戸は都市規模か らいえば,広域中枢都市 と地方中枢都市の
間に位置づけられる。 これ らの都市は,業務機能の中枢性 とい うよりは,東
京や大阪 といった広域中枢都市の近 くに存在す るために,都市の立地酔 性に
基づいた基盤産業 と歴史的な資源 ,特に観光資源に よって発展 してきた都市
であると言えよう。
そ して,その次にランクされ るのが,地方の政令指定都市を除 く県庁所在
都市である。福島市 ,静岡市 ,津市 ,山口市の 4都市を除いて ,1つの県内
地方中核都市」 と呼ばれている。
では,最 も人 口規模の大 きい都市であ り,「
地方中核都市は,通常 ,県内での業務機能 ・商業機能の中心都市 としての役
割や機能を持 ってお り,全国企業が県内に支店を構える場合は,これ らの都
市に立地することが多い。
この ように見てい くと,日本の都市は都市規模による階層構造を形成 して
-
222-
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性 (
上) 719
いることが分かる。上位に ランクされ る都市ほ ど,より多 くの行政機能 ,経
済機能を掌握 し,住民生活において もより多 くのサービスが享受できるよう
になるoそ してその ような都市には ビジネスチ ャンスを求めてます ます多 く
の企業が立地 し,労働需要に応える人 々が流入 し,サービスを享受す るため
住民の移動が生 じるo結果 として,そ こには人 口集中が生 じる。そ して,こ
の人 口集中の程度は ,都市 の拠点性を測 る上で重要な基本指標 となる。
2.3 人 口集中度
人 口の集中度を測 るにはい くつかの指標が用い られ る。人 口についても,
DI
D)人 口な どがあるが ,ここでは,常
常住人 口,昼間人 口,人 口集中地区 (
住人 口と昼間人 口の 2つの人 口変数を使 って集中度を考察す る。
昭和3
0
年代か らの 4度にわた る全国総合 開発計 画 におけ る 目標 ,す なわ
ち ,過度の人 口集中の抑制 と過疎過密の是正 といった 目標に もかかわ らず ,
大都市中心部-の人 口集中,大都市圏域-の人 口集中,県庁所在都市への人
口集中 といった正に都市の階層構造そのままの人 口分布パターンが進展 して
きた。
9
9
5
年における国勢調査
ちなみに,中四国の県庁所在都市 の人 口集中度を1
で見てみると,義 - 1の ようになるo
四国 4県の県庁所在都市は,いずれ も人 口シェアが3
0
%を越 えてお り,そ
9.
4% と県内において最 も高い人 口集中度を示 しているこ
の中で も高知市が3
とがわか るO中国地方では ,広島市が3
8.
4% と最 も高 い集 中度 とな ってい
る。 これに対 して,鳥取県 ,島根県 ,山口県の各県庁所在都市では人 口集中
度の割合が低い。鳥取県では,米子市 と鳥取市の人 口規模が 1万人程度 とほ
とん ど変わ らず ,東西に長い県において東 と西に中心都市が形成 されて きた
結果の反映 とな っている。島根県の県庁所在都市である松江市は,さらに人
口集中割合が低 く,2
0
%を下回 っている。鳥取県に比べて,県人 口は1
5
万人
- 223-
720
秦- 1 県 と県庁所在市の人 口一中四国県
名
県 の常住
人口 (
人)
県庁所在市
県庁都市の
常住 人口
県の人 口に
占める割合
県内におけ
る市 の 数
鳥取 県
61
4,
9
2
9
鳥取 市
1
4
6,
3
3
0
2
3.
8
%
4
島根 県
7
71,
4
41
松江市
1
4
7,
41
6
1
9.
1
%
8
岡 山県
I,
9
5
0
.
,
7
5
0
岡 山市
61
5,
7
5
7
31.
6
%
1
0
広 島県
2,
8
8
1,
7
4
8
広 島市
1,
1
0
8,
8
8
8
3
8.
4
%
1
2
山 口県
1,
5
5
5,
5
4
3
山 口市
1
3
5,
5
7
9
8.
7%
1
4
徳 島県
8
3
2,
4
2
7
徳 島市
2
6
8,
7
0
6
3
2.
3%
4
香川県
1,
0
2
7,
0
0
6
高松市
3
31,
0
0
4
3
2.
2
%
5
愛媛県
1,
5
0
6,
7
0
0
松 山市
4
6
0,
9
6
8
3
0.
6
%
1
2
強多い ものの,東西に長 い県において市 の数 も倍多 く,分散型にな っている
と言え ようO山 口市は,県内の下関市 ,宇部市に次いで 3番 目の人 口規模の
都市であ り,人 口集中割創 _
i最 も低 くなっている. また ,瀬戸 内側に多 くの
工業都市が形成 されてきた結果 も分散型の理 由とな っているO
県 内に市の多い ところが必ず しも県庁所在都市の人 口割合が小 さい とは限
らず ,また,都市に よって可住地面積 も異なって くる。そ こで,特化係数 と
同様 の考え方で,ある都市の可住地面積 当た りの人 口密度を分子に して,分
母をその都市がある県の可住地人 口密度で割 った ものを考 え,これを 「
県内
の人 口集中度係数」 と定義す る。県全体 と同 じ可住地人 口密度な らば この値
は 1にな り,より人 口が集中 していれば 1よ り大 きい値になる。 この定義に
基づいて,全国の県庁所在都市 (
東京都については区部)について,それぞ
9
9
0
年
れ変化を示 したのが表-2である.ただ し,ここでの可住地面積は ,1
の値で統一 している。
年前 も現在 も札幌市である。そ して,
まず ,最 も集中度係数が高いのが40
札幌市は,戦後 ,北海道 の中で人 口集 中度 を大 き く高 めて きた ことがわか
年間で,
集中度係数が1
2.
3ポイ ン トも上昇 してお り,
群を抜いている.
る040
-2
2
4-
本 四 3橋時代 におけ る中四国の都市拠点性 (
上) 7
21
義-2 人 口集中度係数の推移一県庁所在都市1
9
5
5
年
札 幌 市
6.
1
1
0
青 森
1
9
6
5
年
1
9
7
5
年
1
9
8
5
年
1
9
9
5
年
9.
5
01
1
3.
9
0
4
1
6.
2
5
4
1
8.
41
6
1
9
5
5
9
5
年
1
2.
3
0
6
市
2.
2
8
6
2.
5
3
2
2.
8
7
5
3.
0
8
2
3.
1
6
6
0.
8
7
9
盛
岡 市
2.
8
0
5
3.
4
6
2
4.
3
6
8
4.
8
4
4
5.
1
3
7
2.
3
3
2
仙
台 市
2.
2
3
9
2.
7
6
5
3.
3
8
2
3.
6
7
2
3.
8
8
2
1.
6
4
4
秋
田 市
2.
4
4
5
2.
9
3
5
3.
6
7
5
4.
0
9
8
4.
4
5
年
2.
01
0
市
2.
2
4
4
2.
5
3
5
2.
9
7
7
3.
21
2
3.
3
4
3
1.
0
9
9
島 市
1.
5
6
3
1.
7
5
0
2.
0
3
5
2.
1
1
7
2.
1
7
8
0.
61
5
市
1.
7
5
8
2.
0
9
6
2.
3
2
0
2.
3
0
0
2.
1
7
8
0.
4
2
0
宇都宮市
1.
7
0
8
2.
0
2
9
2.
3
5
6
2.
5
2
3
2.
5
4
2
0.
8
3
4
山 形
福
水 戸
市
1.
8
8
5
2.
0
81
2.
2
2
7
2.
2
5
6
2.
2
21
0.
3
3
6
浦 和 市
1.
61
2
1.
7
81
1.
6
6
6
1.
5
6
0
1.
6
2
5
0.
01
3
子 葉 市
1.
5
6
0
2.
0
0
9
2.
5
3
7
2.
4
4
6
2.
3
5
8
0.
7
9
8
特別 区部
1.
9
4
9
1.
8
3
9
1.
6
6
5
1.
5
8
8
1.
51
5
-0.
4
3
3
横
浜 市
1.
4
5
7
1.
5
0
1
1.
5
2
4
1.
4
9
8
1.
4
9
0
0.
0
3
3
新
潟
市
2.
7
9
9
3.
41
6
4.
0
6
9
4.
41
4
4.
5
6
8
1.
7
6
9
富
山 市
2.
0
2
5
2.
2
8
6
2.
4
81
2.
5
7
2
2.
6
5
2
0.
6
2
7
金
沢 市
2、
2
51
2.
4
8
4
2.
6
7
9
2.
7
0
9
2.
7
8
9
0.
5
3
8
福
井 市
1.
4
7
2
1.
6
5
6
1.
8
0
9
1.
8
51
1.
8
6
9
0.
3
9
6
前 橋
市
2.
7
8
0
3.
2
81
3.
5
9
5
3.
5
2
9
3.
31
0
0.
5
3
0
野 市
1.
9
2
8
2.
1
1
3
2.
3
3
6
2.
4
2
4
2.
5
0
9
0.
5
81
岐 阜 市
2.
7
2
0
3.
2
7
7
3.
4
0
3
3.
1
5
7
3.
01
5
0.
2
9
4
静
岡 市
1.
6
2
5
1.
7
8
9
1.
8
3
8
1.
7
8
3
1.
7
2
6
0.
1
01
名古屋市
3.
5
0
7
3.
75
3
3.
2
6
7
3.
0
51
2.
90
6
0.
6
0
2
津
市
1.
7
7
8
1.
8
9
6
2.
0
1
1
2.
0
21
2.
0
7
6
0.
2
9
8
夫 津
市
2.
1
3
6
2.
4
0
7
2.
5
3
0
2.
6
4
3
2.
7
9
5
0.
6
5
9
京
都 市
3.
5
2
9
3.
6
3
4
3.
3
7
3
3.
2
01
3.
0
9
6
-0.
4
3
3
大
阪 市
3.
2
2
3
2.
7
71
1.
9
6
2
1.
7
7
7
1.
7
2
5
-1.
4
9
8
2.
3
9
7
2.
4
8
5
2.
4
0
0
2.
3
5
4
2.
31
9
0.
0
7
9
甲 府
長
神 戸
市
-
2 2 5 -
7
2
2
良 市
1.
2
01
1.
4
4
3
1.
7
7
3
1.
8
6
3
1.
8
6
0
0.
6
5
8
和歌 山市
2.
0
2
3
2.
4
5
7
2.
7
91
2.
8
3
4
2.
7
9
9
0.
7
7
6
祭
鳥 取 市
1.
6
2
0
1.
7
3
8
1.
9
4
9
2.
0
6
0
2.
2
0
2
9.
5
8
2
松
江 市
1.
7
9
3
2.
1
6
0
2.
6
61
2.
8
2
9
3.
0
6
7
1.
2
7
4
岡 山 市
1.
3
8
3
1.
6
2
7
1.
81
2
1.
91
2
2.
01
9
0.
6
3
6
広
島 市
2.
0
3
5
2.
60
7
2.
9
91
3.
1
9
5
3.
31
3
1.
2
7
9
山
口 市
0.
8
5
3
0.
8
8
4
0.
9
4
0
1.
0
6
9
1.
2
01
0.
3
4
8
徳
島 市
1.
61
5
1.
9
2
6
2.
1
8
7
2.
2
7
4
2.
3
7
3
0.
7
5
8
高 松 市
1.
5
61
1.
8
3
7
1.
9
9
7
2.
0
5
3
2.
0
6
9
0.
5
0
8
松
1.
5
3
5
1.
9
7
2
2.
4
6
0
2.
7
3
6
3.
0
0
2
1.
4
6
7
市
2.
7
3
3
3.
5
8
0
4.
5
3
9
4.
8
5
6
5.
1
3
8
2.
4
0
5
山 市
高 知
岡 市
1.
8
6
3
2.
3
5
7
2.
8
3
6
2.
9
8
8
3.
1
5
3
1.
2
9
0
佐 賀 市
1.
8
4
2
2.
1
8
9
2.
5
7
8
2.
71
2
2.
7
4
6
0.
9
0
5
長
崎 市
2.
8
5
2
3.
5
8
2
4.
0
8
9
4.
0
2
5
4.
0
51
1.
1
9
8
熊 本 市
0.
9
7
9
1.
2
7
9
1.
6
3
5
1.
7
51
4.
1
21
3.
1
4
2
大
分 市
1.
3
4
4
1.
6
3
5
2.
3
0
6
2.
6
7
5
2.
9
71
1.
6
2
7
宮
崎 市
1.
6
6
3
2.
0
4
4
2.
6
0
9
2.
8
6
8
3.
0
8
3
1.
41
9
鹿児 島市
3.
2
71
4.
2
6
3
5,
6
4
2
6.
2
0
8
6.
4
8
2
3.
21
1
福
札幌市の他に,人 口集中度係数が4.
0を1995年で上回 ってい るのは ,高 い
6.
99),鹿児島市 (
6.
48),高知市 (
5.
14),盛岡市 (
5.
1
4),
順に,那覇市 (
新潟市 (
4.
57),秋 田市 (
4.
45),熊本市 (
4.
12),長崎市 (
4.
05) の 8都市で
あるO この うち,熊本市は ,40年間で集中度係数が3.14ポイ ン トも上昇 し,
県内での一極集中化が進んだ都市であると言え よう。
戦後の40年間で集中度係数がマイナス とな っているのは,東京都区部 ,名
古屋市 ,京都市 ,大阪市 ,神戸市である。いずれ も大都市圏の中心都市であ
り,郊外都市地域への人 口分散が進行 してきた結果を表 している。中で も,
大阪市 の集中度係数の低下は著 しく,40年間で半減近い状況である。
-226-
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性 (
上) 7
2
3
この集中度係数を表一 1の人 口シェアの値 と比べてみると,広 島市 と高知
市は,県 内の人 口シェアがほぼ等 しいのに対 して,人 口集中度係数では高知
.
8ポイ ン トも上回 ってお り,可住地面積を考慮 した場 合 に , よ り
市 の方が 1
高知市の人 口集中度の高 さが鮮明にな っている。 また,高松市 と松山市にお
いては,県内の人 口シェアは,高松市の方が1.
6ポイ ン ト高いのに対 して,人
l
上回 る結果 となっている
口集中度係数では,反対に松山市の方が 1ボイ ン T
ことがわか る。可住地面積 で人 口集中度を調整す ると,松 山市の方が高松市
よりも県内での人 口集中度が高い ことが示 されている。
もう 1つの人 口の集中度を測 る指標に,昼間人 口がある。通常 ,人 口とい
うと常住人 口 (
夜間人 口) の ことを意味 してい る。 これに対 して,昼間人 口
は,地域活動 の大 きさを示す指標 とな り,昼間人 口が夜間人 口を上回れば,
その地域の中心性は大 きい とい うことにな るQ
昼間人 口の算定方法 としては,近似的には,常住人 口に通勤 ・通学に よる
縄流入人 口を加えた ものである。 これを具体的な状況に即 して考えると,昼
夜間人 口比率 として見 る方法がある。 この割合が高いほ ど,その都市の経済
活動が活発だ とい うことにな る。 しか しこれは同時に定住人 口の空洞化 も意
味 している。
さて,この昼夜間人 口比率を示 したのが表 - 3であるO これを見 ると,先
の人 口集中度 とは逆に,大阪市や東京都 区部 では極 め て高 い値 にな ってお
り,また県庁所在都市ではあって も大都市圏周辺では,浦和市 ,千葉市 ,横
浜市 ,夫津市 ,奈良市な どにおいて夜間人 口の方が多い ことが分か る。 この
5都市 の中で,浦和市 と大津市は近年 の昼夜 間人 口率 の低下傾 向が見 られ
る。特に,浦和市では,昼夜間人 口比率が8
5.
5と全国最低の水準 となってお
り,県庁所在都市ではあるものの東京のベ ッドタウンとしての性格が顕著に
表れていると言え よう。
大阪や東京ほ どではないが周辺地域か らの通勤 ・通学 の多 きを示 してい る
都市 としては,水戸市 (
1
1
8.
7
),名古屋市 (
1
1
8.
6
),甲府市 (
1
1
7.
3
),佐賀
-2
2
7
-
7
2
4
市 (116.
4),福岡市 (
11
5.
5),津市 (
11
5.
4),高松市 (11
3.
0
) な どが挙げ ら
れ る。
表-3 昼夜人 口比率 の変化
都 市 名
札 幌 市
青 森
市
1
9
6
5
年 1
9
7
5
年 1
9
8
5
年 1
9
9
5
年 都 市 名 1
9
6
5
年 1
9
7
5
年 1
9
8
5
年 1
9
9
5
年
9
9.
4 1
0
2.
5 1
0
2.
0 1
0
2.
0津
市
1
0
3.
3 1
1
5.
6 1
1
5.
6 1
1
5.
4
1
0
1.
8 1
0
2.
11
0
1
.
8 1
0
2.
2夫 津 市
8
0,
4 9
9.
5 9
8.
4 9
4.
9
盛
岡 市
9
7.
5 1
0
4.
4 1
0
5.
11
0
6.
4京 都 市 1
0
3.
5 1
0
7.
7 1
0
9.
4 1
1
0.
1
仙
台 市
1
0
1.
5 1
0
9.
11
0
7.
9 1
0
9.
3大 阪 市 1
2
2.
4 1
3
5.
8 1
4
0.
9 1
4
6.
5
秋
田 市
1
0
6.
4 1
0
7.
3 1
0
6.
2 1
0
6.
6神 戸 市 1
0
1
.
5 1
0
3.
4 1
0
3.
8 1
0
5.
0
山 形
市
1
0
7.
5 1
0
9.
11
0
7.
4 1
0
8.
4奈 良 市
9
7.
1 91
.
5 8
9.
3 9
0.
7
島 市
8
7.
5 1
0
4.
9 1
0
4.
9 1
0
5.
1和 歌 山 市 1
0
3.
4 1
0
3.
0 1
0
3.
4 1
0
3.
3
水 戸 市
1
0
9.
0 1
1
4.
11
1
4.
2 1
1
8.
7鳥 取 市 1
1
0.
2 1
1
4.
2 1
1
3.
2 1
1
2.
5
宇都宮市
1
0
5.
4 1
0
7.
9 1
0
7.
6 l
l
P.
2松 江 市 1
1
0.
11
1
0.
9 1
1
2.
0 1
1
2.
5
福
前 橋 市
9
8.
3 1
0
7.
5 1
0
7.
5 1
1
0.
4岡 山 市
9
0.
8 1
0
6.
6 1
0
7.
11
0
8.
5
浦 和
8
8.
4 8
7.
8 8
9.
6 8
5.
5広 島 市
8
1
_
9 1
0
4.
51
0
3_
81
0
4.
0
9
7.
5 9
5.
7 9
3.
9 9
6.
9山
口 市
9
7.
4 9
8.
6 9
8.
8 1
0
0.
2
特別 区部 1
1
2.
9 1
2
4.
0 1
31
.
2 1
41
.
0徳
島 市
9
9.
5 1
1
0.
3 1
1
0.
9 1
1
1
.
8
千
市
葉 市
横 浜 市
9
3.
7 9
0.
6 8
9.
6 8
9.
7高 松 市 1
0
5.
6 ユ1
3.
3 1
1
2.
5 1
1
3.
0
新
鞄 市
1
0
6.
7 1
0
9.
4 1
0
9.
8 1
1
1
.
0松 山 市 1
0
2.
7 1
0
5.
8 1
0
4.
4 1
0
4.
0
富
山 市
1
0
5.
0 1
1
2.
11
1
2,
2 1
1
1
.
6高 知 市 1
0
5.
2 1
0
7.
3 1
0
6.
4 1
0
6.
2
金 沢
市
1
0
6.
5 1
0
7.
0 1
0
8.
11
0
9.
9福 岡 市 1
0
8.
8 1
1
2.
9 1
1
3.
0 1
1
5.
5
福 井 市
9
4.
9 1
1
2.
9 1
1
1.
7 1
1
2.
7佐 賀 市 1
1
5.
11
1
4.
3 1
1
4.
3 1
1
6.
4
甲 府 市
1
1
1.
2 1
1
3.
0 1
1
3.
7 1
1
7.
3長 崎 市 1
0
1.
2 1
0
3.
0 1
0
3.
7 1
0
4.
4
長 野 市
1
0
4.
0 1
0
5.
9 1
0
6.
2 1
0
7.
1熊 本 市
岐 阜 市
1
0
4.
2 1
0
5.
0 1
0
5.
5 1
0
6.
6大 分- 市 1
0
4.
8 1
0
6.
4 1
0
4.
7 1
0
4.
5
静
岡 市
1
0
1.
11
0
6.
0 1
0
7.
5 1
0
8.
8宮 崎 市 1
0
4.
7 1
0
5.
11
0
3.
9 1
0
5.
4
名古屋市
1
1
0.
8 1
1
4.
3 1
1
5.
2 1
1
8.
6鹿 児 島 市 1
0
4.
2 1
0
4.
8 1
0
3.
8 1
0
3.
5
-228-
9
5,
5 1
0
6.
3 1
0
6.
3 1
0
6.
7
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性 (
上) 725
3.交通イ ンフラ整備 と拠点性の変化
1
9
8
8
年 (
昭和6
3
年)の瀬戸大橋開通以来 ,中四国地方では高速道路網の整
備が着 々と進められてきた。1
9
91
年 (
平成 3年) 1
2
月に浜田自動車道 (
中国
9
9
2
年 (
平成 4年) 1
2
横断 自動車道 :広島 ・浜田線)が開通 したのに続 き,1
月には米子 自動車道が開通 した。 さらに1
9
9
7
年 (
平成 9年) 3月に岡山自動
車道が開通 した ことに より,中国横断 自動車道 :岡山 ・米子線が全通 し,鳥
取県 (
米子荷)か ら高知県 (
南国市) までが一本の高速道路 (
正確には,自
動車専用道路)で結ばれた。同 じく1
9
9
7
年1
2
月には山陽 自動車道 も全線開通
し,関西方面-のネ ッT
tワークも一応の形が登 った. この ような交通インフ
ラ整備が進むなか,中四国地方に点在する各都市の拠点性には どのような変
化が生 じたのだろ うかO本章では,まず交通インフラの整備 とそれに伴 う都
市の経済活動の動 きをまとめ,各種統計データを用いて都市拠点性に関す る
分析を試みることにす る。
3.1 交通インフラ整備 と都市の動向(
1
)
3.1.1 瀬戸大橋
瀬戸大橋は ,1
9
9
8
年 (
平成 1
0
年) 4月1
0日に開通 1
0周年を迎えた。瀬戸大
橋は,本州 ・四国間の行動パターンの広が りを大 きくし,市民生活において
も経済活動においても欠かせない存在 とな っている。
しか し,架橋の道路部分である瀬戸中央 自動車道の通行台数の現状は厳 し
い。非常に高い通行料金がネ ックとな り, 1日当た りの通行台数は当初計画
9
0
0台を大幅に下回るスター トとなった。その後 ,中四国の高速道路
の 2万 4
9
9
6
年度 (
平成 8年度)は開通以来最高の 1
網の整備 とともに増加を続け ,1
万5,
21
1
台/日を記録 した。 しか しこれでも,当初計画か らす ると 6割にとど
9
9
8
年 2月末における現状に基づいたものである。
(1)以下での記述は,1
-2
2
91
7
2
6
まっている。これに対 し,JR瀬戸大橋線の利用は好調で,毎年ほぼ1
,
0
0
0
万
人が利用 してお り,昨年11
月には 1億人を突破 した。JR瀬戸大橋線は,過
勤 ・通学をは じめ,ショッピングなど生活の足 として広 く定着 していること
が伺える。
さて,瀬戸大橋が もた らした拠点性の変化 とい う点では,香川県の宇多津
地区や岡山県の早島地区に見 られる物流拠点 としての拠点性向上が挙げ られ
る。特に,高速道路の結節点 となった岡山県においてこの傾向が 目立つ。中
1
8
0
h
a,2
90
億 円) で
四国最大の流通団地である岡山県総合流通 セ ンター (
9
9
3
年の分譲開始以来 ,県内外の1
1
4
社が物流拠点を設け,拡大整備地区
は ,1
を含めてはぼ完売状態である。例えば,壁紙や カーペ ッ トの大手専門商社で
9
91
年 に物流 セ ンターを ここに新設
あるサンゲツ (
本社 :名古屋市)は,1
し,営業や配送を中四国全域 と兵庫県西部をカバーしている。
香川県においても,坂出市か ら宇多津町にかけての 「
香川県瀬戸大橋流通
センター」では, トラックター ミナル計画の挫折など貯余曲折 もあったが,
1
9
9
6
年に用地が完売 した。物流施設面では,両県 ともにある程度の成長を見
せ,瀬戸大橋効果に よる拠点性のアップが図れた と言え よう。
では,支店や営業所の立地状況はどうであろ うか。その概要は初めに述べ
た 日本経済新聞の調査でも見たように,岡山,香川においても営業拠点の減
少 とい う結果が出ているが,各企業の立地状況について詳 しく見てみると,
瀬戸大橋をは じめとする高速道路網整備の影響が うかがえる。東京都武蔵野
9
8
8
年4
市に本社がある 「
横河電機」では,大阪支社管轄下の水島営業所を1
月,岡山の交通利便性の高ま りを理由に一気に支社に昇格 させた。岡山支社
は,広島,伊予三島な ど 6支店 ・営業所を傘下におさめ,予算 ・人事権 も掌
撞 し,文字通 り中四国地区のかなめになっている。一方 ,東京都に本社を置
くテルモでは,架橋 と同時に高松支店を廃止 して ,それ まで神戸支店が カ
バーしていた岡山に岡山支店を新設 した。 この岡山支店 の管轄 は岡山 ,島
梶 ,鳥取 ,香川 ,徳島,高知の 6県で,同社支店の中では一番広いエ リアを
-2
3
0-
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性 (
上) 727
持つ。
この ように,岡山市への新規立地 も相次いでいる反面 ,営業拠点の削減 も
実際に起 こってお り,岡山の事業拠点 としての評価は企業の間で分かれてい
るもの と思われ る。交通網 の発達に よ り岡山市が通過都市になって しま うの
ではないか とい う指摘は以前か らあるが ,本四三橋時代を直前に控える今 ,
施策の方向性を誤ればその懸念は一層強 まるだろ う。
3.1.2 中国横断道路 (岡山 ・米子凍)
9
9
7
年 3月に岡山自動車道 (
岡山∼北房間)が開通
中国横断 自動車道は ,1
した ことに よ り,米子 自動車道を経 由す る岡山∼米子間が全線開通 した。 こ
れに よ り,日本海か ら太平洋に至 る南北軸ルー トが完成 し,従来 8時間要 し
f
fと比べ
ていた米子∼高知間は約 3時間半で結ばれ ることにな った。山陽地:
道路整備が遅れていた山陰地方であるが ,い よい よ高速交通時代が幕を開け
る。 これに対応すべ く,物流面では鳥取県米子市を中心に動 きが活発化 して
いる。米子市は,中国横断道米子イ ンターチ ェンジ付近に 「
米子流通業務団
地」の建設を計画 し,島根県松江市で も新 流通 団地 の建設 が進 め られ てい
9
9
9
年 ,松江市の新流通団地では,文
る。ただ ,米子流通団地の分譲開始が 1
9
9
8
年度になる見込みであ り,ともに中国
化財調査 のため とはいえ,売却は1
9
9
7
年には間に合わなか った ことになる。岡山県が整
横断道が全線開通 した 1
9
8
6
年 (
昭
備 した県総合流通セ ンターの場合 ,瀬戸大橋開通の 2年前である1
和6
1
年) までには完成 していた ことか ら考えると,山陰側の対応の遅 さが気
にかか るところである。
これに対 し,民間企業では,すばやい対応を取 っているところもあるO中
国横断道 とのアクセスを考 え,物流部門を米子イ ンターチ ェンジ付近に移転
させ る企業 も相次 ぎ,日本銀行松江支店の調査 に よると,埼玉市に本社を置
く衣料品専門店が中国横断道 の全通を機 に ,岡山県倉敷市 に あ る配送 セ ン
ターを利用 し,山陰地区での店舗展開を計画 している0
-
23 1 -
7
2
8
この ように経済活動での動 きが見え始めているものの,中国横断道の利用
状況を見 ると,普通車が中心 で平 日よ りも休 日の通行台数の方が多 くなって
お り,観光面での利用が強いのが現状である。山陽 と山陰を結ぶ経済的動脈
としての利用は これか らといった ところであるが,山陰経済を取 り巻 く環境
は決 して楽観視できない。高速道路網の整備に より,岡山県北部な どへの商
圏拡大が期待 でき,山陰資本の企業が 山陽側へ進 出す る契機 には な る もの
の,逆に山陰側-進 出す る有力企業 も増えて くるもの と思われ る`
。山陰地方
の経済規模が元来弱いことか ら,少ない ビジネスチ ャンスを巡 ってのパイの
奪い合いが予想 され ,特に山陰の地元企業に とってほ厳 しい生存競争を強い
られ る可能性がある。
イ ンターのある町での取 り観みほ どの よ うな もので あろ うか。有漢町 で
は,石の風車が造 られ ,多 くの観光客を呼び込んだ。北房町では ,1
9
7
6
年に
中国 自動車道路が開通 し,関西経済圏 と 3時間で結ばれ ることにな った。地
の利を生か したイ ンターチ ェンジの近 くには大手企業 の物流基地の建設が進
衣,倉庫中心に 5社が立地 した。 しか し,北房町には,大 きな河川がない こ
とか ら工業用水が不足 してお り,それ が製造業 関連企業 の立地 に は大 きな
ネ ックとな った。飛躍 のチ ャンスでもあった高速道路の開通ではあったが,
地元の雇用増加につなげ られなか った。結局 ,若者 の転出に歯止めがかけ ら
れず ,人 口でも1
9
7
5
年には7,
681
人であったのが1
9
9
7
年 には6,
8
5
3人に減少 し
た。
そ こで北房町は,中国横断道路の開通に当た っては方針転換 し,町内にあ
5
0
の古墳の存在を生かす 「
西の明日香村構想」を掲げ,古代史 ファンの集
る2
0
0
0
万円をかけた宿泊施設が完
う町づ くりを 目指 している。今年には ,1億5
成予定である。
3. 1.3 明石海峡大橋
今年 (
1
9
9
8
年) 4月 5日に開通 した明石海峡大橋については,開通前では
- 232 -
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性 (
上) 7
2
9
民間の対応はこれか らといったところであるが,自治体を中心に して基盤整
備がい くつか見 られる。全国的に注 目を集めているのが,神戸市酉区に造成
されている 「
神戸複合産業団地」である。 ここは,流通 ,工業 ,研究機関の
機能を併せ持つ産業団地 として整備 されてお り,敷地内に山陽 自動車道 と明
石海峡大橋を結ぶ西神 自動車道のインターチ ェンジが置かれることが特徴的
である。まさに高速交通網 と直結 した産業団地である。ただ ,分譲価格を見
2
万円程度である。中四国地
てみると,神戸市内とい うこともあ り坪単価は5
方で最近分譲が始まった流通団地の分譲価格 と比べ る と最高値 にな ってお
り,1
99
8
年度に分譲が始 まる津山総合流通センターの分譲価格 (
1
0
万円/秤)
と比べても,割高感は否めない。
さて,関心があるのは第二の本四ルー トである神戸∼鳴門ルー トが どれ く
らい利用されるか とい うことである。 日本開発銀行は ,3架橋後の神戸市∼
高松市間のルー ト別 コス t時間を比較調査 した (
義 -4)
0
これに よると,大型車の場合 ,瀬戸中央 自動車道経由では,通行時間 2時
表-4 3架橋後の神戸市∼高松市間のルー ト別 コス ト時間比較
ル ー ト名
瀬戸中央 自動車道経 由
神戸鉄路鳴門自動車道経 由
J山陽 自動車道 1
4
7
血
岡山市 (
早島 ⅠC)
」山陽 自動車道2
5
血
神戸北 ⅠC
瀬戸中央
自動車道
) 3
7
1
m 神戸市 」
(
神戸鳴門
西宮北 ⅠC
自動車道
)
9
0
bl
ル ー ト 想 定 神戸市 J
(
西宮北 ⅠC
通行料金 (円)
坂出市 (
坂出 JCT)
鳴門市
6
1
皿
1高松 自動車道 1
高松市 (
高松西 ⅠC)
高松市
↓一般道 (
国道 11
号7
0
一
皿
(うち架橋通行料 ;当初 5年間)
中 型 車
1
2,
1
0
0
(
6,
4
4
0
)
9,
1
7
0
(
8,
1
2
0
)
大 型 車
1
5,
2
8
0
(
7,
5
2
0
)
l
l
,
0
0
0
(
9,
6
0
0
)
通行距離 (
k
m
)
2
0
0
1
8
5
(
注) 架橋通行料は1
9
9
8
年 4月以降の新料金ベースo当初 5年間 2割引。
0
血/
時,一般道は 「
道路時刻表」 (
平 日昼間)ベース。
通行時間は高速道8
出所 :日本開発銀行
- 233-
730
間30
分,通行料金は1
5,
280円となるO一方 ,神戸鳴門自動車道経 由では,過
行時間 3時間,通行料金は11,
00
0円である。通行時間で30分の差 が出たの
は,瀬戸中央 自動車道経由の場合は神戸市か ら高松市 まですべて高速道路が
利用できるのに対 し,神戸鳴門自動車道経由では,鳴門市か ら高松市までは
高速道路の整備が遅れている関係で一般道を利用するためである。
2
80円安 くな っている。
通行料金の方は,神戸鳴門自動車道経 由の方が4,
各企業は現在 ,少 しでもコス トを下げ ようと懸命であ り,時間差が30
分で収
まることを考えれば,神戸鳴門自動車道にシフ トする効果は十分にあると考
えられ るoちなみに高知市に本社を置 く四国運輸では,大阪,名古屋 の市場
への輸送に瀬戸大橋を使 っているが,明石海峡の開通以降は 「
明石海峡利用
の方が輸送 コス トを軽減できるため ,7対 3か ,8対 2ぐらいの割合で物流
は明石海峡大橋にシフ トさせる」そ うである(2)0
それでは,橋の対岸に位置す る県庁所在地 間の交流 は ど うな るであろ う
か。 まず,瀬戸大橋 と比べ決定的に違 うのは鉄道の存在である。瀬戸大橋 の
場合は,道路部の通行台数が伸び悩んだ ものの ,JR瀬戸大橋線の利用者は
順調に増加 し,岡山市∼高松市の人の流れは開通前に比べ非常に活発になっ
た。そ こで,岡山 ・高松間 と,神戸 ・徳島間についてコス ト時間を比較 して
み よう。まず ,神戸 ・徳島間については明石海峡大橋の開通に合わせて開設
され る高速バス(3)を利用 し,徳島駅か ら神戸三宮駅-向か うとしようQ この
4
)
。一方 ,岡山 ・高松間
場合 ,所要時間は 1時間5
7分,料金は3,
200円となる(
)ンライナーを使い,
の場合は どうだろ うかC こちらは JR瀬戸大橋線のマ l
岡山駅か ら高松駅に向か うとしようo この場合は,所要時間 1時間,料金は
1,
280円である。岡山 ・高松間の方が,所要時間で57分短 く,料金で1,
9
20円
(2)1
9
9
7
年1
1
月1
8日付 ,読売新聞朝刊 より。
(3)バ ス路線開設 に関 しては 1
9
9
7
年1
2
月2
6日,近畿運輸局が免許 申請認可済みQ
(4)徳島新聞社 ホームページ (
ht
t
p:
//www.
t
o
p
i
c
so
T
.
j
p
) よ り0
-23
4-
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性 (
上) 731
安い計算にな り,対岸交流については 2ルー トで コス ト時間の差が表れそ う
である。明石海峡大橋 の高速バス開設に関 して徳 島経済研究所では ,1日の
,
0
0
0
人 と予測 している。 しか し,マ リンライナーの運行本数 が3
0
利用客を3
分に 1本 ,1日3
4
往復であるのに対 し,高速バスの運行本数は 1日1
4
往復に
設定 されてお り,利便性に関 して不満の声 もあが っている。少な くとも市民
生活の レベルでは,神戸市 ・徳 島市間の交流が岡山市 ・高松市並に活性化す
るためには,コス ト面な ど乗 り越 えるべ き壁があると思われ る。そ して同時
に,鉄道な ど低価格 の都市間交通の重要性 も指摘できる0
3.1.4 広島 と岡山の営業拠点性比較
中 ・四国地方で人 口親模第 1位の都市は広島市であ り,第 2位の都市は岡
山市である。政令指定都市 である広島市 は ,国の ブ ロ ック中枢機能 が集 中
し,行政機能においても経済機能においても中国地方の中心都市 として これ
まで機能を果た してきた。俗 に,広島市 は 「
支店経 済」 と呼ばれ るのに対
し,岡山市は 「
営業所経済」 といった ところである。 ところが,瀬戸大橋の
開通をは じめ高速道路網が整備 されて くるにつれ ,交通 のクロスポイ ン トと
なった岡山の拠点性に注 目し立地展開を再編成す る動 きが見 られ る よ うに
なった。 ここでは,岡山 と広島における最近 の企業動 向について見てみるO
まず ,経済界において話題 とな ったのは,倉庫業界において営業倉庫の う
1
3
類)の面積が ,1
9
9
5
年度に岡山県で6
6
万8
,
0
0
0
平方 メー トルに
ち普通倉庫 (
達 し,広島県の6
4
万6,
0
0
0
平方 メー トルを上回 った ことである。岡山県では,
ここ1
0
年間に約 2倍に増加 した ことになる。 この背景には,高速道路網の整
備に よ り岡山に立地 した場合の時間短縮効果が大 きい こと,大都市圏に比べ
地価が安 いことが挙げ られ る。
一方 ,営業拠点の方は どうだろ うか。大阪市に本社を置 く日本-ムの子会
9
9
6
年 9月 ,本社を広 島市か ら岡山市に移
社である 「日本 フー ド中四国」 は1
「
岡山の方が新親顧客を開拓 しやすい」とい う理
転 した。また ,山種証券 は ,
-
235 1
7
3
2
由で,広島支店を1
9
9
7
年 5月で閉鎖 ,岡山支店に統合 した。 さらに,キ リン
9
9
7
年 9月に広島工場の閉鎖を発表 した.新聞記事に よると,撤
ビールでも1
退の理 由の一つに交通網の発達を挙げてお り,岡山工場-の統合で新鮮 さの
保持 とコス トダウンの両方が図れると判断 したらしい。 このように,交通の
結節点 とい う地理的条件の良さか ら,営業拠点を広島か ら岡山にシフ トす る
9
9
2
年5
動 きが見 られる一方 ,逆に岡山か ら広島-拠点を移す企業 もある。1
月には J
TB (日本交通公社)が ,1
9
7
3
年か ら岡山市にあった中国四国営業本
9
9
7
年 4月には,ジャパ ンエナジー (
本社 ,東京)
部を広島市に移転 した。1
が,岡山販売支店など中四国の三拠点を廃止 し,広島支店を中四国支店に改
称 し統合 した。
このように,交通網や情報網の発達は企業の営業拠点展開に様 々な動 きを
生んでいるが,様 々な条件を総合的に評価す ると,岡山と広島の間で都市機
能の格差は縮小の方向に向か っているのではないだろ うか。そ して,どちら
の都市に立地 しても事業活動に支障はないとい う企業 も以前 と比べて増えた
のではないだろ うか。ただ しそれは,今後 より一層都市の個性が求め られる
ようになるとい うことも意味 している。他の都市 と何が違い,それがそ こに
立地す る者にどんなメ リットをもたらすのか。それが明確にできなければ,
人はそ こにとどまることを しな くなるだろ う。
3.2 都市拠点度の定量化
3.2. 1 事業所数の状況
9
7
8
年か ら1
9
9
6
年までの事業所数の変化を示 している。全国
表- 5では ,1
9
7
8
年 (
昭和5
3
年)以降,増加数が徐 々に低下 し,最近の 5
の事業所数は ,1
年間では減少 している。
9
8
6
91
年に事業所数が減少 してい る
まず中国地方では,岡山市において1
ことが 目につ く。瀬戸大橋開通を間に挟んでお り意外な気 もするが,その前
9
8ト8
6
年で ,1
0
%を越える増加を記録 してお り,
対象 とした1
0
都
期に当たる1
-2
3
61
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性 (
上) 733
義一 5 事業所数の変化
事業所数 の増減
事 業所 数 の変 化 率
1
9
7
8
81 1
9
8
1
8
6 1
9
8
6
9
11
9
9ト9
6 1
9
7
8
81 1
9
81
8
6 1
9
8
6
91 1
9
9
ト9
6
全
国
4
2
8,
1
4
62
2
0,
4
3
0 4
5,
0
9
93
6,
8
3
3
7.
1
%
3.
4
%
0.
7
%
0.
5
%
6.
8
%
3.
5
%
3.
6
% -l
l
.
3
%
神戸市
5,
0
8
9
2,
8
0
6
鳥取市
7
1
7
3
6
3
2
1
2
5
0
9.
3
%
4.
3
%
2.
4
%
0.
6
%
松江市
4
7
7
6
3
7
4
21
6
0
6.
0
7.
5
%
4.
60
6
0.
6
%
9
6
2
2,
9
6
7 9,
6
9
5
岡山市
1
,
6
6
8
3,
4
5
9
5
9
2
5.
8
%
l
l.
5
%
広 島市
5,
1
4
5
3,
1
3
3
1
,
8
3
4
1,
0
3
5 1
0.
4
%
5.
7
%
3.
20
0
1
.
7
%
山 口市
61
0
3
8
3
2
6
2
1
1
5 1
2.
1
%
6.
8
%
4.
4
%
1
.
8
%
徳 島市
2,
1
8
3
1,
3
5
6
3
9
7
1
2
5 1
4.
9
%
8.
1
%
2.
2
%
0.
7
%
高松市
2,
0
4
2
1
,
21
2
2
7
4
松 山市
1.
3
1
9
1,
6
8
4
1,
1
7
4
-1
.
8
%
2.
9
%
-1
3
9 1
0.
2
%
5.
5
%
1.
2
%
0.
6
%
4
3
4
7.
7
%
6.
0
%
-1.
8
%
6.
4
%
市 の中では最 も多い事業所数 の増加 とな ってい る。その反動 の可能性 も否定
できない。1991-96年では ,全国数では事業所が減少 しているのに対 し,中国
地方では どの都市 も一応増加 してお り,事業所動 向の点か らいえば ,90年代
前半の中国地方は比較的安定 した成長 を見 せ てい る とい え る。特 に ,岡山
市 ,広 島市 ,山 口市で増加率が高いが ,この時期に山陽 自動車道が順次開通
してお り,交通網 の整備が事業所数増加の一因にな っていると推察できる。
次に,四国地方について見 ると,松 山市において1986-91年 に事業所 数 が
大 き く伸びていることが分か るO増加率 は中四国で最大 とな ってい るO方 ,高知市においては,ここ10年間事業所の減少が続いてお り,拠点性の低
下が懸念 され る。最近 の1991-96年では,高松市 と松山市 の事業所数 の減 少
が 目立 っている。本四 3橋時代を前に して,企業 の支店の統廃合が進み ,両
都市の拠点性が低下 していることの兆候が現れている。
以降では ,中四国の県庁所在都市に加えて神戸市の 10市を対象に都市の拠
点性を考察す る。そ こでは拠点性を表す拠点度を定義 し,それを中心に考察
- 237一
7
3
4
してい くoなお,ここで定義す る拠点性項 目 iの都市 jの拠点度 (
A,
,
)と
紘,拠点性指標
(
X,
)に対 して人 口 (
N,
・
)を基準指標 とした
XI
,
/∑X
り
A.
,-
)
〃ノ∑
∫凡
である。すなわち,都市 jの対全国人 口シェアを基準拠点度 として,当該拠
点性指標の対全国シェアを比較 したものである。 これが 1を上 回 っておれ
ば,都市の基準拠点度である人 口割合を上回る集積を意味 し,当該拠点性項
目の拠点度は高いと判断できる。
3.2.2 製造拠点度
製造拠点度 としては,工業生産力か ら指標 として工業出荷額 と付加価値額
を採用 した。工業出荷額でみると,従業員が30
0人を越える鳥取三洋電機㈱
0をかな り下回 っている。 し
の工場を擁する鳥取市を除L
1
て製造拠点度は1.
か し,付加価値額で製造拠点度を見ると神戸市 ,松江市 ,徳島市 ,高知市な
どほ拠点度が出荷額で計 った拠点度に比べて高 くなっている。特に,徳島市
では上昇率が高 く,他の 9都市に比べて相対的に高付加価値型の製造拠点度
が高いと言えよう。
下の 「
製造拠点度 :3」のグラフは,出荷額に占める付加価値額の割合で
定義 した付加価値率をその全国集計値で比較 したものであるOそ こにおいて
も,徳島市の付加価値率の高 さが示 されている。
3,2.3 事業拠点度
万円以上の法人申告所得額
事業拠点度を示す変数 としては,各都市の4000
を採用 した。 これを見 ると,高松市が他都市の倍以上の事業拠点度を示 して
いることがわかる。特に,四国の拠点都市を競 う松山市を大 きく上回 ってい
る。常住人 口をベースとした場合に比べて,その 2倍以上の拠点性を示 して
-2
3
8-
本 四 3橋時代 におけ る中四国の都市拠点性 (
上)
l
f
-2
39-
7
3
5
736
各都市の事業拠点度 :1
神戸市
松江市
鳥取市
広島市
岡山市
徳島市
山口市
松山市
高松市
高知市
4
00
0
万円以上の法人所得頼金額 (
平成 8年度)
各都市の事業拠点度 :2
I
.
:
.
I
,
:
.
i
,
i
.
.
:
.
:
神戸市
鳥取市
松江市
岡山市
広島市
山口市
徳島市
.
.
A
t
I
.
∼
t
z
.
∼
,
.
:
I
.
:
.
,
I
,
高松市
松山市
高知市
着
増
ユ
項0
2
1
.
,
0
5
皮)
いるo神戸市 ,広島市 ,岡山市 といった ところは平均的である。
金額ではな く,4
0
0
0
万円以上の申告所得を行 った企業数を指標 として,辛
業拠点度を比較 したものが下のグラフであるO企業数で見た事業拠点度でも
.
0
近
高松市は最 も商いが,他都市 との格差は縮小 している。山口市以外は ,1
くかそれを上回ってお り,中四国の県庁所在都市の事業拠点度は決 して低 く
ないと言えよう。
-2
4
0-
本 四 3橋 時代 におけ る中 四国 の都 市拠 点性 (
上)
7
3
7
3.2.4 営業拠点度
営業拠点度を測る指標 としてほ,銀行 と証券会社の本支店数 と金融保険業
の従業者数を採用 した。
まず ,本支店数で見た営業拠点度は,徳島市が最 も高 く,次いで高知市 ,
.
5を上回っている。
鳥取市 ,松江市 ,高松市の順になってお り,ここまでが1
神戸市が意外に低いのは,大阪市の本支店で営業機能がカバーできることを
意味 していると思われる。
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そ こで,金融保険業の従業者数で営業拠点度を計 ったのが下のグラフであ
.
0
を下回っているのほ山口市 だけ とな り,神戸市 も1
.
Oを上
る。す ると,1
回っている。また,松江市が徳島市を上回 り,高松市が徳島市 とほぼ同 じ程
度 となる。それぞれ ,山陰 と四国の営業拠点規模を反映 している結果 と言え
よう。
3.2.5 消費拠点度
各都市の消費拠点度 :1
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松 山市
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飲食店販売額 (
平成 4年)
-2
4
2-
本四 3橋時代における中四国の都市拠点性 (
上) 7
3
9
ここでは,小売業の販売額 と飲食店の販売額 とを消費拠点性を示す指標 と
し,それぞれについて拠点度を求めてグラフ化 した。
ここでも山口市以外は,拠点度が1.
0
を上回ってお り,小売業販売額 でみ
た消費拠点度は,それな りに県庁所在都市の存在機能を反映 した結果 となっ
ていると言えよう。その中でも高松市の拠点度の高さが際だっている0
飲食店の販売額を指標 としてみた消費拠点度では,神戸市が群を抜いてい
る。神戸市の食文化の魅力が高い拠点度 となっていると考えられ よう0
3.2.6 流通 ・物流拠点度
流通拠点度を測る指標には,卸売 り販売額を採用 した。 また,物流拠点度
に関 しては,陸路 ,空路 ,海路でさまざまな変数を用いた指標が考えられる
が,都市 レベルで利用可能なものは限 られている。 また,空路や海路に関係
した指標は都市 レベル とい うよりも広域的な県 レベルでとらえた方が望 まし
いと考えられる。そ こで,ここでは貨物 自動車保有台数のみを物流拠点度を
測る指標 として採用 した。
卸売 り販売額で見た流通拠点度では,高松市が最 も高 く,次いで広島市 と
なっている。いわゆる中国地方 と四国地方のそれぞれの流通拠点都市 として
の性格が現れた結果 と言え よう。営業普通倉庫面積では,最近 ,岡山県は広
島県を抜いたが,都市 レベルにおいてほ,その格差は存在 している。
しか し,物流拠点を計 る指標である貨物 自動車保有台数での拠点度では,
岡山市は広島市を大 きく上回 り,高松市に次いで 2番 目の拠点度を示 してい
る。
3.2.7 税収拠点鹿
都市財政の歳入項 目の 1つに地方税があ り,これは重要な自主財源 となっ
ている。地方税は,市民税や固定資産税 ,都市計画税などか ら構成 されてお
り,その内の市民税は,さらに法人市民税 と個人市民税に分け られるo市民
-
243-
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各都市の物流拠点度 :2
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松江市
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広島市
山口市
徳島市
高松市
松山市
高知市
貨物 自動車保有台数 (
平成 8年 3 )
税に占める法人市民税の割合が高い都市ほど,地方税収において企業活動に
依存 した都市であ り,その企業活動が都市財政基盤に重要な役割を果た して
いることになる。
個人市民税で見た税収拠点度は,広島市が最 も高 く,次いで高松市 ,岡山
市 ,神戸市 となっているo Lか し,各都市の間で,それほど大 きなばらつき
は見られない。
これに対 して法人市民税で税収拠点度を見た下のグラフに よると,1
0
都市
-2
4
4
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本 四 3橋 時代 に おけ る中四 国 の都 市拠 点性 (
上) 7
41
各都市の税収拠点度 :1
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の中で高松市の法人市民税 の税収依存度が最 も高い ことがわか る。人 口規模
0
都市の内で 5番 目の都市ではあるが ,支店企業の集積が進み ,支
としては 1
店経済都市 としての性格を よく表 していると言えるだろ う。逆に言えば,そ
れだけ高松市は企業に依存 した財政構造だ とい うことにな り,景気変動や事
業所 の統廃合の動向は,市 の財政運営政に少なか らぬ影響を与えるもの と思
われ る。
-2
4
5
-
742
City Position of Importance in the Age of
Honsyu-Shikoku Three Big Bridges: I
Ryohei Nakamura
More than ten year ago Seto-Ohashi was constructed, last April
Akashi-Kaikyo-Ohashi was completed, and this May Onomichi-Imabari
route is going to be provided as the third road connecting Honsyu with
Shikoku area. At the end of this century, as a result, Seto-uchi area has
three main routes which would improve interregional mobility.
Progress of traffic infrastructure could change city's economic
position. On one side, some cities may grow by improving interregional
accessibility. On the other side, however, some cities may lose their
economic status due to so called 'straw effects'.
This paper consists of two parts; the former part is focussed on
recent regional economic changes and statistical analyses on city position
of importance, the latter part is empirical investigation based on the
results of questionnaire about city positions of importance.
Regional recent changes mean office location and relocation as a
firms' regional evaluations. In statistical analyses I propose a new
indicator of city's relative economic importance.
Questionnaire has been conducted for branch offices of major four
cities in Seto-uchi area. Through questionnaire several evaluations of
individual cities by corporate firms are clarified.
-246-
Fly UP