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年代 - World Bank
メキシコを訪問中のA・W・クローセン世銀総裁。
バーバー・B・コナブル
世銀総裁
1986–1991年
オールデン・W・クローセン
世銀総裁
1981–1986年
1980年、経済復興と
構造調整の実行資金として、
トルコに2億ドルの
融資を承認。
1980
ティモシー・タハネが
アフリカ出身者として
初めて、世銀の副総裁に
任命される。
IDA第6次増資により、
120億ドルを調達。
アン・クルーガーが
世銀初の女性副総裁に
任命される
(経済・調査担当)
。
1983
中華人民共和国を中国を
代表する政府と認定。
以降、同国は世銀最大の
借入国の一つとなる。
1982
初の構造調整融資を承認
(トルコへ2億ドル)
。
A・W・クローセン(1981–1986)
1981
1980
年代
ロバート・S・マクナマラ(1968–1981)
小規模なグラントプログラム
を設置し、NGO、政府、学術
関係者、およびマスコミの
連携を促進。
2004年度の活動概要
1984年、産業融資プロジェクトを実施し、中国の
軽工業を振興(写真は金属工場の様子)。
1985年、ボゴタの給水設備を拡大する費用として、
コロンビアに1億2900万ドルを融資。写真は契約書に
署名するベリサリオ・ベタンクール大統領(中央)
と、
世銀のA・W・クローセン総裁(右端)。
トルコ南部の都市
メルシンの市場。
この市場は1981年に
青果プロジェクトの
一環として建設された
もの。
多数国間投資保証機関
(MIGA)
を設立。
MIGAは最も新しい
世銀グループ機関。
設立当時の加盟国数は29。
1989
大規模な機構改革を実行。
国別の部局が設置された
ほか、初の環境局が誕生。
1988
1987
シビルソサエティと
開発問題についての
グローバルな対話を
目指して、NGOワーキング
グループを設立。
1986
1984
バーバー・B・コナブル(1986–1991)
世銀理事会が
情報公開政策を
承認。
5
第5章
2004年度の活動概要
途上国全体としてみると、2003年の成長率は先進
国をはるかに上回るものでしたが、国によって状況は
上昇したことが、地域全体の成長率を押し上げる結
果となりました。
大きく異なりました。2003年の一人当たり国内総生産
ラテンアメリカ・カリブ海地域では、国によって成長
(GDP)の伸びは、高所得国の平均が1.6%だったのに
率にばらつきが見られたこともあって、回復は小幅な
対し、低・中所得国はその2倍以上に当たる3.5%とな
ものにとどまりました。2002年のGDP成長率は0.6%
りました。これは諸外国から途上国への投資が回復
のマイナス成長となりましたが、2003年は1.3%に上昇
し、設備投資が前年比2倍以上に当たる10.8%で増加
し、2004年は3.8%に達する見込みです(図5.1は
したためです。
1993–2003年の一人当たりGDPの推移を地域別に示
2003年のヨーロッパ・中央アジア地域は、前年の
したものです)。
4.6%を上回る5.5%の経済成長を達成しました。同地
途上国全体のGDP成長率は、2004年に過去20年間
域は2004年以降も大幅な成長を維持する見込みで
で最も高い5.4%に達し、2005–2006年はやや下がっ
す。南アジア地域では国内需要が成長のはずみとな
て、5%程度に落ち着くと見られています。以上をふ
り、2003年のGDP成長率は前年の4.3%を上回る
まえ、世銀は引き続き、各国の個別のニーズに合わ
6.5%となりました。同地域のGDP成長率は2004年に
せた融資・助言サービスを提供しています。
7.2%に達した後やや減速し、中程度の成長率を維持
すると予測されています。世界的な投資回復の中で
も、好転の度合いが最も顕著だったのは東アジア・
知識共有と分析・助言サービス
大洋州地域の途上国です。急成長を続ける中国に牽
世銀が蓄積している豊富な開発関連知識は、世銀
引されて、この地域の2004年のGDP成長率は7.4%に
の援助活動において、常に重要な役割を果たしてき
達すると見込まれています。
ました。経済・セクター調査、技術援助、リサーチ・
このように、多くの開発途上地域が加速度的な成長
サービスなどの分析・助言サービス、借入国の情報
を遂げているのに対し、アフリカ地域のGDP成長率
アクセスを強化する能力拡大プロジェクトなどはその
は2002年の3.3%から、2003年には2.4%に減速しまし
一例です。
た。向こう2年間の成長率は4%前後まで伸びるとみ
られていますが、そのためには良好な気候、政情の
98
研究
安定、そして抜本的な構造改革が不可欠です。この
国別研究は世銀の知識基盤の中核を成すもので
地域では引き続き、疾病とインフラの未整備が大きな
す。研究の成果は政策研究報告書、開発データ、開
課題となっています。
発見通し分析など、さまざまな開発関連文書にまとめ
中東・北アフリカ地域では、主にイラク紛争に起因
られています。中でも
「世界開発報告」は世銀が毎年
する深刻な混乱にもかかわらず、2003年のGDP成長
発表している主要報告書の1つであり、世銀の研究を
率は2002年の3.3%を大幅に上回る5.1%となりまし
総括するものです。研究の成果は世銀の活動の基盤
た。これは1991年以来最も高い数字です。域内の石
となると同時に、さらなる研究を促すものとなってい
油輸出国のGDP成長率が前年の3.6%から5.7%に急
ます。
世界銀行 年次報告 2004
ニカラグアのサン・ファン・デル・スル
図5.1
一人当たり国内総生産(GDP)指標 1993–2003年度
アフリカ地域
東アジア・大洋州地域
200
200
150
150
100
50
100
1993
108
174
2003
100
50
ヨーロッパ・中央アジア地域
100
100
1993
2003
1993
中東・北アフリカ地域
150
100
100
2003
50
2003
200
150
122
1993
50
ラテンアメリカ・カリブ海地域
200
150
50
145
150
100
200
100
南アジア地域
200
100
107
1993
2003
100
50
122
100
1993
2003
出典:世銀「世界経済・社会統計データベース」
第5章
2004年度の活動概要
99
他国の参考にもなるものでした。
世銀の研究部門は2004年度に複数のインパクト評
価を実施しました。評価の対象となったのは、特定の
人口集団を対象とするプログレサ型の所得移転プロ
グラム
(アルゼンチン、ブラジル、エクアドル、中国)、
地域社会主導の参加型開発(グルジア、インドネシア、
パキスタン、フィリピン)、農村道路投資(ベトナム)、
衛生プログラム
(バングラデシュ、インド)、教師・保
健業務従事者へのインセンティブ(アフリカ、アジア地
域の国々)、および新聞等を利用した広報活動(ウガ
ンダ)です。
「世界開発報告2005:よりよい投資環境の構築(仮
題)」は、世銀戦略のもう1つの柱である「投資環境の
構築」
に焦点を当てたもので、投資環境は国によって、
また同じ国でも地域によって大きく異なるとしていま
す。この報告書では、膨大なデータと各国の事例研
究をもとに、成長と貧困削減を促進する投資環境を
構築・運用するための施策が提案されています。本
報告書は政府が企業の意思決定に影響を与える4つ
の分野として、事業コスト、機会の追求に伴うリスク、
機会の獲得を阻む直接的な障壁、および競争圧力を
挙げ、この4つは相関関係にあると指摘しています。
輸出用の食物とトルコの農民。
「世界開発報告2006:社会的平等と開発(仮題)」で
は、途上国で生じている不均衡の実態と、それが経
「世界開発報告2004:貧困層向けにサービスを機能
済発展と貧困削減に与える影響が分析される予定で
させる」は、世銀の開発戦略の1つの柱である「貧しい
す。深刻な不均衡は貧困削減をさまざまな側面から
人々への投資とエンパワーメント」に焦点を当てたも
妨害し、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成をさらに
ので、複数のインパクト評価の結果をもとに、保健・
困難なものとします。本報告書では国内および国家間
医療、教育、およびインフラサービスを効果的に提供
の不均衡の現状と最新の動向を明らかにすると共に、
するための方法を考察しています。こうした体系的な
こうした不均衡がもたらす影響の範囲と、不均衡を是
評価は、途上国の政策決定者がプログラムや政策の
正し、成長と経済効率を促進するための施策を考察
継続、変更、あるいは廃止を的確に判断し、希少な
する予定です。
資源を有効に配分するための一助となっています。
「世界開発報告2004」にはメキシコのプログレサ・
プログラムの評価結果も掲載されました。プログレサ
経済・セクター調査
世銀の融資活動を補完し、開発の有効性を高める
は子供の就学や保健プログラムへの参加を条件に、 一助となっているのが、世銀の経済・セクター調査
貧困世帯に毎月現金を支給するプログラムです。メキ (ESW)です。ESWの報告書としては、国別援助戦略
シコ政府は世銀による厳正な独立評価の結果に基づ (CAS)や政策対話全般の基礎となる主要現状分析報
いて、プログレサの拡大を決定しました。現在はメキ
告書、特定のテーマに焦点を当てた国別・地域別助
シコ国民の20%がこのプログラムの恩恵に浴してい
言報告書などがあります。報告書以外の成果物とし
ます。このインパクト評価によって得られた知識は、 ては、政策ノート、ワークショップ、および会議があり
メキシコはもとより、同様のプログラムを実施している
100
世界銀行 年次報告 2004
ます。近年のESWでは、借入国の主体性、参加プロ
セス、パートナーシップ、およびキャパシティ・ビル
ディングに重点が置かれるようになっています。
2004年度は金融・民間セクター開発と公共セク
ター・ガバナンスに関するESW報告書が最も多く作成
されました。人的開発、社会的保護、および農村開発
の分野でもさまざまな調査が実施され、プロジェクト
設計や国別計画策定の一助となりました。たとえば、
世銀がポーランドで実施した「投資環境調査」は、生
産性(特に貧困層の生産性)
に最も影響を与える投資
環境の特徴を分析し、改革の優先分野を明らかにす
るものでした。インドに対する政策ノートは、同国の
財政スタンスを改善するための緊急措置を当局に提
言するものでした。ジブチ、ウガンダといった国々で
は、
「国別財務管理評価」を実施し、公共セクターの財
務管理制度の長短を分析することによって、財務管理
能力を強化するための施策を提案しました。また、国
別報告書を補完するものとして、貿易、保健・医療、
所得分配などに焦点を当てた地域別報告書が作成さ
れました。
世銀の環境ネットワークは、開発を促進し、貧困を削減するための
行動が、環境破壊につながることのないよう万全を期しています
2004年度は借入国全体で 734件のESW成果物が作
成されました(表5.1参照)。このうち122件は主要現状
分析報告書でした。これらの報告書は国別援助戦略、
貧困削減支援融資、およびその他の構造調整融資の
表5.1
経済・セクター調査(ESW)の成果物
2003–2004年度
基礎となるだけでなく、借入国との政策対話にも役立
成果物の数
てられました。ESWの成果は報告書以外の形でも提
供されました。これは、世銀がキャパシティ・ビルディ
ングを重視するようになったこと、借入国が短期間で
開発成果を出せるよう、分析データを「ジャスト・イ
ン・タイム」で提供するようになったことの表れです。
2004年度に作成されたESW成果物を地域別に見
報告書のタイプ
2003
2004
報告書
主要現状分析報告書
報告書以外の成果物
443
119
283
487
122
247
ESW成果物の合計
726
734
ると、アフリカ地域に関するものが約30%、ヨーロッ
パ・中央アジア地域に関するものが21%でした。東ア
注:地域局、ネットワークが作成したものをすべて含む。
ジア・大洋州地域と中東・北アフリカ地域では、プロ
グラム的ESWの利用がさらに進みました。中東・北ア
のニーズに合わせたプログラムに重点を置くようにな
フリカ地域では引き続き、償還可能な技術協力プロ
りました。また、昨年度に引き続き、遠隔学習システ
グラムに重点が置かれました(世銀と二国間・多国間
ムを利用したグローバル学習や、各国の意思決定者
ドナーの連携についてはwww.countryanalyticwork.
が共通の開発課題について話し合う非公式コミュニ
net参照)
。
ティの構築も推進されました。こうした「実践コミュニ
ティ」は関係者の学習の場となるだけでなく、開発効
能力の拡大
2004年度より、世界銀行研究所(WBI)は新たな方
針として、長期的な制度能力構築と、途上国の個別
果を高める一助となっています。また、実践コミュニ
ティはメンバーが日々の業務で直面する問題や疑問を
解決する上でも役立っています。
第5章
2004年度の活動概要
101
囲み5.1
国別ニーズへの対応
世界銀行研究所(WBI)の「開発のための知識プログ
ラム」は、中国の生涯学習プロジェクトの一環として、
同国のさまざまな省庁の高官による視察研修を実施し
ました。視察団はメキシコと米国の主立った教育機関
や民間企業を訪れ、品質管理・認定システム、遠隔教
育、および大規模な再教育の現場を視察しました。
マダガスカルでは同国大統領の要請を受けて、新政
府の上級政治・行政官僚を対象とした研修を準備・実
施し、国家開発戦略の策定に貢献しました。また、各国
ワシントンDCの世銀本部にあるGDLNのスタジオ。アフガニスタン
女性とテレビ会議が行われている様子。
の指導者と政策担当者からなる緊密な南南コミュニ
ティを組織し、開発関係者が国境を越えて、投資環境や
グローバル・ディベロップメント・ラーニング・ネット
ガバナンスの改善について意見を交換できるようにし
ワーク
(GDLN)の北京、コロンボ、デリー、ハノイ、お
ました。
よびパリの拠点を結んで開催されたテレビ会議はそ
ナイジェリアでは「能力拡大ニーズ評価」を実施しま
の1つです。この会議では、貧困削減プロジェクトの
した。主要な利害関係者と密接に連携し、それぞれの
拡大に地域社会主導の開発を利用する方法が、約3
能力拡大ニーズを分析したほか、キャパシティ・ビルディ
時間にわたって議論されました。
ングの内容や手法について意見を求めました。また、す
WBIは世銀の国別チームと緊密に連携することで、
べての利害集団がナイジェリアの将来と行動計画に対
能力拡大プロジェクトがすべての国別援助戦略に盛
して共通のビジョンを持つことができるよう支援しまし
り込まれるよう配慮しています。これまでに、WBIは
た。WBIの能力拡大ニーズ評価では、講座やセミナーと
ブラジル、インド、ケニアなど19カ国の国別援助戦略
いった伝統的な手段と並んで、インターネット、実践コ
に貢献しました。また、WBIは世銀の結果アジェンダ
ミュニティ、利害関係者との対話、相互学習、マスコミ
を尊重し、プロジェクトの途中経過に重点を置いたモ
なども知識共有の有効な手段と見なされています。
ニタリング・評価を実施しています。2004年度には12
件の結果・インパクト評価が実施され、現在13件が進
行中です。
WBIは講座やセミナーを実施する傍ら、インター
2004年5月に上海で開催された国際貧困撲滅会議
ネット、実践コミュニティ、利害関係者との対話、相互
では、WBIの協力により、事前に約半年間にわたって、 学習、マスコミといった新しい知識共有手段も活用し
102
各国の開発関係者が共に学習し、知識を共有する機
ています。また、途上国が自国のガバナンス体制やグ
会が設けられました。上海会議には1200人を超える
ローバル知識経済への対応状況を測定するための診
人々が出席し、約100件の事例研究をもとに、成功し
断・分析ツールも開発しました。
たプログラム、政策、およびプロジェクトの規模を拡
WBIは新しい国別アプローチの一環として、地域
大する方法を話し合い、貧困削減の成功モデルを模
の固有の知識を利用し、現地のドナーや学習組織と
索しました。会議には多数の途上国・先進国から主
の連携を強化するために、プログラムの分権化を進
要な意思決定者が出席し、経済・社会・組織体制の
めています。最近では、中東・北アフリカ地域と共同
違いを越えて、成功例、失敗例、およびその理由につ
でフランスのマルセイユに中東・北アフリカ地域のた
いて意見を交換しました。
めの知識センターを開設しました。これは小規模の事
事例研究の発表者が発表内容に対するフィードバッ
務所ですが、域内外の専門家の交流を促し、都市開
クを事前に得ることができるように、WBIは会期前に
発、ガバナンス、教育等に関するプログラムの設計を
約20回の国際テレビ会議を催しました。2004年2月に
支援する場となる予定です。WBIの事務所はアルマ
世界銀行 年次報告 2004
トゥイ、北京、カイロ、モスクワ、パリ、および東京に
図5.2
も設置されています(囲み5.1参照)。
2004年度、WBIは各国の研修施設と協力したり、
IBRDとIDAの地域別融資 2004年度
合計201億ドルに占める割合
南アジア 17%
アフリカ 20%
グローバル・ディベロップメント・ラーニング・ネット
ワーク
(GDLN)の遠隔学習システムを利用したりする
ことによって、約124カ国で7万8500人を対象に、
中東・
北アフリカ
5%
東アジア・
大洋州 13%
1016件のトレーニングを実施しました(第1章の囲み
1.1参照)。
ラテンアメリカ・
カリブ海 27%
ヨーロッパ・
中央アジア 18%
2004年度における世銀の融資
世銀は国際資本市場から資金を調達するIBRDと、
富裕な加盟国から直接拠出金を得るIDAで構成され
ています。世銀はIBRDとIDAの資金を借入国の貧し
い人々のために役立てています。
世銀の国別融資には、ミレニアム開発目標(MDGs)
の達成という世銀の目標が反映されています。融資
図5.3
IBRDとIDAのテーマ別融資 2004年度
合計201億ドルに占める割合
都市開発 7%
経済管理 2%
は借入国の個別のニーズに基づいて行われ、その手
段はますます柔軟なものとなっています。
一般に、IBRDの融資対象となるのは中所得国です
が、IDAの原資には制約があるため、比較的規模が
大きく、信用力がある国については、低所得国であっ
てもIBRDの融資適格国と見なされます。IBRDの融
資は償還期間が長めで、融資条件も市場の条件に比
貿易・統合 6%
環境・
天然資源管理 6%
社会的保護・
リスク管理
8%
金融・
民間セクター開発
20%
社会開発・
ジェンダー・
参加 8%
人的開発
15%
農村開発
8%
べるとやや有利となっています。2004年度は33カ国
の87件のプロジェクトに対し、110億ドルの融資が行
公共セクター運営
17%
法規 3%
われました。
一方、IDAの融資対象となるのは特に貧しい国々
です。こうした国々は通常、市場ベースの条件では資
金を調達することができません。IDAはこうした国々
に対し、10年間の据置期間を設け、35年から40年と
いう長い償還期間で無利子の譲許的融資を提供して
います(「開発融資」
と呼ばれます)。2004年度は62の
低所得国の158件のプロジェクトに対し、90億ドルの
図5.4
IBRDとIDAのセクター別融資 2004年度
合計201億ドルに占める割合
給水・衛生・治水 8%
農業・漁業・林業 7%
融資が行われました。
IBRDとIDAはどちらも貧困削減を最重要目標に掲
教育 8%
エネルギー・
鉱業 5%
運輸 19%
げ、成長を促進し、基本的な公共サービスを改善す
金融 9%
るプロジェクトに融資を行っています。世銀は他機関
とのパートナーシップを通して資金を提供することも
あります。図5.2、5.3、および5.4はIBRDとIDAの2004
法律・司法・
行政 25%
保健・その他の
社会サービス 15%
年度の融資を地域、テーマ、およびセクター別で分類
したものです。また、表5.2はテーマ別、セクター別融
産業・貿易 4%
情報・通信 <1%
第5章
2004年度の活動概要
103
表5.2
世界銀行によるテーマ別、セクター別の融資 1995–2004年度(単位:100万ドル)
1995–97 1998–99
年度
年度
(年平均) (年平均)
テーマ
経済管理
環境・天然資源管理
金融・民間セクター開発
人的開発
公共セクター運営
法規
農村開発
社会開発・ジェンダー・参加
社会的保護・リスク管理
貿易・統合
都市開発
テーマ総額
セクター
農業・漁業・林業
教育
エネルギー・鉱業
金融
保健・その他の社会サービス
産業・貿易
情報・通信
法律・司法・行政
運輸
給水・衛生・治水
セクター総額
うち、IBRD融資額
IDA融資額
2000
2001
2002
2003
2004
1,129.2
2,616.5
5,876.9
1,888.7
1,646.0
274.4
2,418.4
1,102.7
1,288.9
674.7
2,090.4
1,952.7
2,018.6
9,486.0
2,486.5
2,550.7
362.9
2,746.4
1,320.5
2,653.9
813.2
2,403.3
799.6
1,829.4
3,368.4
1,190.3
2,142.5
373.6
1,413.7
800.8
1,895.0
426.4
1,036.6
895.3
1,354.6
3,940.9
1,134.7
2,053.7
410.0
1,822.3
1,469.7
1,651.0
1,059.9
1,458.6
1,408.0
924.0
5,055.4
1,756.1
4,247.2
273.2
1,600.0
1,385.7
1,086.4
300.9
1,482.4
777.7
1,102.6
2,882.9
3,374.0
2,464.1
530.9
1,910.9
1,003.1
2,324.5
566.3
1,576.3
428.6
1,304.6
4,176.6
3,079.5
3,374.0
503.4
1,507.8
1,557.8
1,577.0
1,212.7
1,358.1
21,006.8
28,794.8
15,276.2
17,250.6
19,519.4
18,513.2
20,080.1
1,395.0
1,633.2
3,459.9
2,069.6
2,053.2
1,661.3
152.0
3,543.2
3,186.0
1,853.5
2,097.1
2,154.3
2,311.0
5,029.9
3,114.1
2,922.7
179.4
6,264.7
3,511.3
1,210.2
837.5
728.1
1,572.4
1,571.6
1,491.7
1,036.7
273.8
4,534.6
1,717.2
1,512.6
695.5
1,094.7
1,530.7
2,246.3
2,521.2
718.3
216.9
3,850.2
3,105.2
1,271.7
1,247.9
1,384.6
1,974.6
2,710.8
2,366.1
1,394.5
153.2
5,351.2
2,390.5
546.0
1,213.2
2,348.7
1,088.4
1,446.3
3,442.6
796.7
115.3
3,956.5
2,727.3
1,378.3
1,386.1
1,684.5
966.5
1,808.9
2,997.1
797.9
90.9
4,978.7
3,777.8
1,591.6
21,006.8
28,794.8
15,276.2
17,250.6
19,519.4
18,513.2
20,080.1
15,288.5
5,718.3
21,634.3
7,160.5
10,918.6
4,357.6
10,487.0
6,763.6
11,451.8
8,067.6
11,230.7
7,282.5
11,045.4
9,034.6
注:プロジェクトの分類が変更されたことに伴い、2003年度の年次報告に記載されたテーマ別融資の数字を一部変更した。具体的には、法律・司法・行政セクターの下
に公共医療金融サブセクターを新設し、一部のプロジェクトを遡及的にこのサブセクターに分類したことにより、法律・司法・行政セクターと金融セクターの数字に変更
が生じた。端数を四捨五入したため、合計が合わないことがある。
資の一覧です。世銀融資に関する詳細は本報告書の
格があっても、信用力が低い場合はIBRDから融資を
第2巻に記載されています。
受けることはできません。また、信用力に関わらず、
一国に対するIBRDの融資残高が135億ドルを超える
IBRDの役割
2004年度は、一人当たり国民所得が5115ドルに満
ことは認められていません。
1日1ドル未満で生活している人々の75%は、IBRD
たない国々のうち、国際開発協会(IDA)からのみ融
の融資を受けている国で暮らしています。一般に、
資を受けている国を除いた国々がIBRDの融資適格
IBRD借入国は多少なりとも民間資本市場にアクセス
国でした。国民一人当たり所得が上記の金額を超え
することのできる中所得国です。一人当たり国民所得
ている場合も、特定の条件下で、あるいは「卒業」戦
が低いためにIDA融資適格国となっている国でも、あ
略の一環としてIBRDの融資を受けることができます。 る程度の信用力があれば、IBRDからの融資が限定
104
ただし、IBRDが融資を行う金額は各国の信用力に
的に認められる場合があります。これらの国は「ブレ
よって異なることに留意する必要があります。借入資
ンド借入国」と呼ばれています。ブレンド借入国に対
世界銀行 年次報告 2004
する融資を除いても、1日1ドル未満で生活している
図5.5
人々のうち25%が、IBRDの融資を受けている国で暮
IBRDの地域別融資 2004年度
合計110億ドルに占める割合
らしています。IBRDは、市場の平均よりも償還期間が
南アジア 4%
長く、緩やかな条件かつ持続可能な形で多額の融資
中東・
北アフリカ 9%
東アジア・大洋州
15%
を行うことにより、世界の貧困削減に大きく貢献して
います。
IBRDはトリプルA(AAA)の格付けを得ている国際
金融機関であり、他の金融機関にはないいくつかの
特徴を備えています。たとえば、IBRDの株主は各国
ヨーロッパ・
中央アジア
27%
ラテンアメリカ・
カリブ海 45%
政府です。IBRDの加盟国(借入国)は、IBRDの方針
に対する発言権を有しています。IBRD融資(および
IDA融資)では通常、融資と平行して、融資の効果を
高めるための助言サービスが提供されます。また商
業銀行と異なり、IBRDの目的は利益の最大化ではな
く、開発効果の最大化に置かれています。
IBRDの融資
図5.6
IBRDのテーマ別融資 2004年度
合計110億ドルに占める割合
都市開発 8%
経済管理 3%
2004年度のIBRDの新規融資承認額は、前年度の
水準に迫る110億ドルとなりました。融資全体に占め
る構造調整融資の割合は、前年度よりもやや高くなり
ました。
融資承認額が最も多かったのはラテンアメリカ・カ
リブ海地域で、全体の45%に相当する50億ドルの融
資が行われました。次いで、ヨーロッパ・中央アジア
環境・天然資源管理
7%
貿易・統合 7%
社会的保護・
リスク管理
10%
金融・
民間セクター開発
22%
社会開発・
ジェンダー・
参加 4%
人的開発
14%
農村開発 6%
地域が30億ドル、東アジア・大洋州地域が17億ドルで
した。2003年度に比べると、融資の対象国はやや絞
法規 4%
公共セクター運営 15%
られました。2003年度は5カ国で融資承認総額の約
49%を占めていたのに対し、2004年度はアルゼンチ
ン、トルコ、ブラジル、および中国の4カ国だけで51%
を占めました。
2003年度のIBRD融資をセクター別にみると、融資
承認額が最も多かったのは法律・司法・行政(27億ド
ル)、次いで運輸(25億ドル)、保健・社会サービス
図5.7
IBRDのセクター別融資 2004年度
合計110億ドルに占める割合
給水・衛生・治水 6%
農業・漁業・林業 6%
(18億ドル)でした。
教育 5%
テーマ別にみると、融資承認額が最も多かったの
エネルギー・
鉱業 3%
は金融・民間セクター開発で、第2位が公共セクター
運営、第3位が人的開発でした。図5.5、5.6、および
運輸 23%
金融 11%
5.7はIBRDの融資を地域、テーマ、およびセクター別
で分類したものです。表5.3は2001–2004年度の世銀
の構造調整融資承認額の一覧です。
法律・司法・
行政 24%
保健・その他の
社会サービス
16%
情報・通信 <1%
産業・貿易 6%
第5章
2004年度の活動概要
105
表5.3
世界銀行による構造調整融資承認額 2001–2004年度
2001年度
2002年度
2003年度
2004年度
(百万ドル) (%) (百万ドル) (%) (百万ドル) (%) (百万ドル) (%)
地域別構造調整融資承認額
アフリカ
東アジア・大洋州
ヨーロッパ・中央アジア
ラテンアメリカ・カリブ海
中東・北アフリカ
南アジア
908
250
1,132
2,788
185
500
16
4
20
48
3
9
1,437
17
4,743
2,517
263
850
15
0
48
26
3
9
789
100
710
3,639
165
615
13
2
12
60
3
10
925
104
1,620
3,022
0
480
15
2
26
49
0
8
IBRDとIDAの構造調整融資
承認額
IBRD
IDA
構造調整融資合計
3,937
1,826
5,763
68
32
100
7,383
2,443
9,826
75
25
100
4,187
1,831
6,018
70
30
100
4,453
1,698
6,151
72
28
100
世銀の融資承認総額
IBRD
IDA
IBRDとIDAの合計
融資総額に占める
構造調整融資の割合
10,487
6,764
17,251
11,452
8,068
19,519
11,231
7,283
18,513
33
11,045
9,035
20,080
50
33
31
注:端数を四捨五入したため、合計が合わないことがある。
IBRDの原資
ドル、重債務貧困国(HIPC)信託基金に2億4000万ド
2004年度、IBRDは通常の資金調達の一環として、 ル、IDAからのみ融資を受けている国の債務削減
国際資本市場から130億ドルの中長期資金を調達し
ファシリティに5000万ドルが移転されました。IBRDは
ました。この額は2003年度の190億ドルを下回るもの
2004年度も流動性を適切な水準に保ち、その業務を
でした。また、2004年度には多様な償還期間とストラ
遂行しました。2004年6月30日現在の流動資産は約
クチャーを持つ世銀債が10種類の通貨で発行されま
310億ドルとなっています。
した。世銀債の商品性が多様化したことにより、投資
家基盤が拡大し、途上国に融資を行う際の金利を引
き下げることが可能となりました。IBRDの健全な財
務体質は、株主国の支援と、国際金融市場で高い信
図5.8
資産利益率(ROA)推移(%)
2.5
2.06
用力を維持するためにIBRDが採用している財務方針
とその運用によって支えられています。
1.34
1.29
健全な財務体質
1.18
0.78
2004年度のIBRDの営業利益は16億9600万ドル、純
利益は16億7500万ドルでした(純利益の一部は準備
金や開発活動に配分されます)。健全な財務体質を
長期にわたって維持し、その他の開発ニーズにも対
応するという方針に従い、IBRDは純利益のうち6億
8000万ドルを別途積立金に、4億500万ドルを余剰金
勘定に繰り入れました。また、2004年度はIDAに3億
106
世界銀行 年次報告 2004
0
00年度
01年度
a
02年度
a
03年度
a
04年度
a. IBRDは2001年度に米国財務会計基準書No.133および国際会計基準書No.39を
使用した。その結果、デリバティブを時価で計上する必要性が生じた。2001∼04年の各
年度の資産利益率は過年度の数値と比較できるように、これらの基準書を使用しない場
合の数値で示されている。これらの基準書を使用した場合、2001年度は0.87、2002年
度は1.87、2003年度は3.64、2004年度は–1.67となる。
図5.9
資本/貸出比率 2004年6月30日現在(%)
30
は、世銀の財務・リスク見通しに基づいて厳格に管理
26.6
21.3
力の基本指標となる総資本に対する貸付残高の比率
29.4
22.9
21.5
されています。図5.9は2004年6月30日現在の資本/貸
出比率を示したものです。
優れた金融仲介能力
IBRDは、株主である各国政府から資金拠出を受
けていること、また借入国から優先債権者と見なされ
ていることなどから、資本市場できわめて高い評価を
0
00年度
01年度
02年度
03年度
04年度
得ています。IBRDはトリプルA(AAA)
という高い格
付けを得ているため、長期資金を有利な条件で調達
することができます。このため、新規借入コストは相
健全な財務体質の維持
対的に低く、多額の資金を低コストで調達することが
IBRDは協同組織として、利益の最大化ではなく、 可能です。2004年度の借入コストはロンドン銀行間取
健全な財務体質を維持し、開発活動を継続するだけ
引金利(LIBOR)
を平均で約38ベーシス・ポイント
(1
の資産利益率(ROA)
を確保することを重視していま
ベーシス・ポイント=0.01%)下回るものでした。
す。IBRDは毎年、約1%の資産利益率を達成してい
2004年度の資本市場からの借入金残高(スワップ
ます。2003年度は貸倒引当金が減少した結果、資産
後)は1030億ドルを超え、融資実行額と未実行残高の
利益率が2%を上回りましたが、2004年度は再び1%
合計は約1100億ドルとなりました。この借入額は世銀
となりました。図5.8は2000年度から2004年度にかけ
の自己資本の約3倍にあたります。図5.10は2004年6
ての資産利益率の推移を示したものです。
月30日現在の世銀の借入と投資の状況を示したもの
リスク管理
開発機関であるIBRDにとって、最大のリスクは途
表5.4
IBRDの財務データの概要(単位:100万ドル)
上国に融資や保証を提供することによるカントリーリス
クです。金利や為替レートの変動リスクは最小限に抑
2004
年度
2003
年度
4,403
304
(2,789)
(934)
712
5,742
418
(3,594)
(882)
1,337
1,696
1,675
3,021
3,050
11,045
10,109
11,231
11,921
31,126
109,610
103,295
35,463
26,620
116,240
103,017
37,918
えられています。世銀は途上国のニーズに合った融
資を、できる限り有利な条件で行うために、国際金融
市場で活発に活動しています。世銀のリスク負担能
図5.10 借入金および投資額 2004年6月30日現在
(単位:10億ドル)
114.0
24.3
00年度
111.5
24.4
01年度
111.2
25.1
02年度
103.0
26.6
03年度
現金および流動性投資
スワップ後借入金残高
103.3
31.1
04年度
会計年度a
融資収益
投資収益
借入費用
管理費
その他
営業利益b
配分可能な純利益
融資承認額
融資実行額
年度末a
現金および流動性投資
融資金残高
借入金残高c
自己資本
a. 本年次報告の第2巻に示されている監査済み財務諸表からの抜粋
b. 米国財務会計基準書No.133の調整を除く
c. スワップ後の借入金残高
第5章
2004年度の活動概要
107
図5.11 2004年度の純営業利益16億7500万ドルの配分案
(単位:100万ドル)
手数料を減免したり、一部の適格国については融資
別途積立金 680
も利益の一部を定期的に還元しています。
重債務貧困国 240
の約定利子を免除したりすることによって、借入国に
健 全 な 財 務 基 盤と市 場 からの 高 い 信 用 により、
IBRDは世界の債券市場で自己資本の4倍の起債を行
IDA 300
うことが可能となっています。開発プロジェクトに対
するIBRDの融資能力は、こうした高い資金調達能力
IDAからのみ
融資を受けている
国の債務削減 50
によって支えられています。図5.11は世銀が理事会に
提出した純営業利益の配分案です。
剰余金 405
注:理事会に対する提案
IDAの役割
IDAは最貧国に譲許的融資を行う世界最大の機関
です。表5.4は2003年度と2004年度におけるIBRDの
です。IDAは経済・人的開発分野の基礎的なプロ
財務データの概要です。
ジェクトに投資を行っています。
IDA融資の適格国となるためには、相対的に貧困
IBRD純利益の獲得と配分
融資を得るだけの信用力を持たないことの2つの基
もの)、投資収益、および払込資本から収入を得てい
準を満たす必要があります。IDA融資適格国の基準
ます。予期せぬ信用危機が発生しない限り、ここから
となる一人当たり国民所得の上限は、2004年度は865
貸倒準備金と一般管理費(職員退職金への引当金な
ドルでした(ただし、IDAは経済規模の小さい諸島国
ど)
を差し引いたものが純利益となります。
のように、IDA融資適格国の基準となる一人当たり国
IBRDの純利益は世銀業務に関わるさまざまな目的
民所得の上限は越えているが、IBRDから融資を受け
に利用されています。純利益の一部は財務の健全性
るだけの信用力を持たない国についても例外的に融
を維持するために毎年留保されます。こうした留保利
資を行っています)。融資額は借入国の成長促進政
益により、IBRDは緩やかな条件で途上国に融資を行
策や貧困削減政策の質をもとに決定されます。評価
うことに伴う信用リスクを管理することができ、借入
は毎年実施されます。
国もその恩恵を享受することができます。また、留保
IDAから融資を受けている国々はMDGsの達成に
利益は融資の質が低下したり、資金需要が増加した
取り組んでいますが、その前には多くの複雑な問題
りした場合に、財務の健全性を維持する上でも役
が立ちはだかっています。政策面の優先課題として
立っています。
は、HIV/エイズやその他の伝染病の蔓延防止策の強
IDAへの支援は常に優先的に行われています。過
化、民間セクター投資の条件となる健全な投資環境
去5年間で、IBRDの純利益の約17%に当たる15億
の整備、ジェンダーの平等の促進、基礎教育の質の改
2200万ドルがIDAに移転されました。
善、貧しい人々が教育を受ける機会の拡大などがあ
IBRDは重債務貧困国(HIPC)
イニシアティブの支援
ります。
にも力を入れています。過去5年間でHIPC信託基金
IDAはこれまで、きわめて譲許的な融資を通して途
に移転された資金の総額は約10億7000万ドルに上り
上国を支援してきました。2003年度からはグラントの
ます。この額はIBRDの年間純利益の約12%に相当し
適用範囲が拡大され、IDA国の中でも特に債務額の
ます。
大きい最貧国の状況を緩和するためにグラント資金
IBRDの純利益は、その他の開発ニーズに対応する
が提供されるようになりました。現在、IDAのグラント
ためにも適宜利用されています。予期せぬ人道危機
はHIV/エイズ対策、自然災害復興、および紛争後復
に対応したり、有意義な目的に対してグラントやその
興の3分野を対象に提供されています。
他の支援を提供したりすることはその一つです。また、
108
であること
(一人当たり所得で比較)、さらにIBRDの
IBRDは融資収益(利息収入から借入費用を引いた
世界銀行 年次報告 2004
IDAの活動資金は自己資金とドナー国からの拠出
金でまかなわれています。IDAドナーは3年ごとに会
議を開き、今後の融資プログラムへの新規拠出額を
決定すると共に、融資方針と優先分野を議論します。
図5.12 IDAの地域別融資承認額 2004年度
合計90億ドルに占める割合
アフリカ 45%
南アジア 33%
2001年からは借入国の高官もこうした増資協議に参
加するようになりました。
IDAドナーの拠出額は通常、各国の相対的経済力
や貧困国に対する支援方針に基づいて決定されま
す。従って、最大の拠出国は主要先進国となっていま
すが、アルゼンチン、ブラジル、ハンガリー、韓国、ロ
シア連邦、トルコといった途上国および移行経済国も
ドナー国に名を連ねています。この中には現在も
中東・
北アフリカ 2%
ラテンアメリカ・
カリブ海 4%
ヨーロッパ・中央アジア
6%
東アジア・
大洋州 10%
IBRDから融資を受けている国や、IDAから融資を受
けた経験を持つ国も含まれています。IDAはドナー
からの強力で安定した支援と過去の融資に対する返
済金によって健全な財務水準を維持しています(IDA
に関する詳細はwww.worldbank.org参照)。
IDAの融資
2004年度、IDAは158件のプロジェクトに対し、総
額90億ドルの支援を承認しました。このうち73億ドル
は融資、17億ドルはグラントです。IDAはさらに7000
万ドルの保証も提供しました。2004年度のIDA融資承
認額は過去最高額となりました。
図5.13 IDAのテーマ別融資承認額 2004年度
合計90億ドルに占める割合
都市開発 5%
経済管理 1%
貿易・統合 5%
環境・天然資源管理
6%
社会的保護・
リスク管理
5%
金融・
民間セクター開発
18%
社会開発・
ジェンダー・
参加 13%
融資承認額が最も多かったのはアフリカ地域で、
IDA融資承認総額の45%に相当する41億ドルの融資
人的開発
17%
農村開発10%
が行われました。第2位は南アジア(30億ドル)、第3
位は東アジア・大洋州(9億ドル)でした。国単位では
法規 1%
公共セクター運営 19%
バングラデシュ、コンゴ民主共和国、インド、パキスタ
ン、およびベトナムがIDA融資の主要借入国となりま
した。
2004年度は、IDA融資の約19%がグラントとして提
供されました。グラントの内訳は、最貧国に対するも
のが2億6400万ドル、重債務国に対するものが5億
2900万ドル、紛争後諸国に対するものが5億3600万ド
図5.14 IDAのセクター別融資承認額 2004年度
合計90億ドルに占める割合
給水・衛生・治水 10%
農業・漁業・林業 9%
ル、HIV/エイズおよびその関連プロジェクトに対する
ものが3億8100万ドル、自然災害復興プロジェクトに対
運輸 14%
教育 13%
するものが200万ドルでした。
セクター別にみると、融資承認額が最も多かったの
は法律・司法・行政で、IDA融資全体の24%に相当
エネルギー・
鉱業 7%
法律・司法・
行政 24%
金融 6%
する23億ドルの融資が行われました。また、保健・社
保健・その他の
社会サービス 14%
会サービスと運輸セクターでも、全体の14%に相当す
る12億ドルの融資がそれぞれ行われました。
産業・貿易 2%
情報・通信 1%
第5章
2004年度の活動概要
109
図5.15 IDAの資金源(単位:10億ドル)
12.7
(SDR)が供与されます。IDA 13の内訳は、ドナーか
らの新たな拠出金100億SDR(約130億ドル)、IDAの
12.7
11.7
自己資金73億SDR(約90億ドル)
(過去の融資に対す
9.2
8.4
る元本返済金や投資収益など)、IBRD純利益から移
7.9
転される7億SDR(約9億ドル)、および過去の増資か
らの少額の残余資金です。図5.15は過去3回のIDA増
1.2
0.9
0.9
11次増資
97–99年度
12次増資
00–02年度
13次増資
03–05年度
資の内訳を示したものです。
IDA13のもとで、IDAは結果重視アプローチを強化
する大規模なイニシアティブに着手しました。その一
a
IDAの自己資金
IBRDの純利益からの拠出
ドナー拠出金
環として、IDA援助の結果を測定・モニタリングし、
IDAプログラムが借入国の開発結果に及ぼした影響
を分析するシステムが開発されました。図5.16はIDA
a. IDAの自己資金には元本返済金、手数料から一般経費を引いたもの、
および投資利益が含まれている。
が社会セクターへの支援を強化していることを示して
います。
図5.16 社会セクターに対するIDA援助の増大
実施中のプロジェクト:290件(10年前は212件)
2004年2月、ドナーおよび借入国の代表がパリに集
まり、IDA第14次増資に関する初会合を開きました。
実施中の
プロジェクトの件数
会合では債務の持続可能性、融資と開発結果の関連
300
付け、グラント部分の資金調達、借入国主導の開発に
55
59
した。
200
49
122
149
融資の新しい形
81
100
0
関する最新のIDA独立評価の結果などが議論されま
世銀の融資プロジェクトでは、開発効果を高めるた
82
93
81
1994年度
1999年度
2004年度
教育
めの施策として、セクターワイドアプローチ(SWAps)
が採用されるようになっています。こうしたプロジェク
トのほとんどは特定のセクター
(例:教育)、または大
保健・栄養・人口
きなサブセクター
(例:初等教育)
を対象としたもので
給水・衛生・治水
す。SWApsは1990年代半ばから、アフリカ地域の低
注:IDA融資のみ適格国とブレンド国の両方のプロジェクトを含む。実施中の社会セク
ター・プロジェクトに対するIDA融資承認額は1994年度が117億ドル、1999年度が144
億ドル、2004年度が154億ドル。端数を四捨五入したため、合計が合わないことがある。
所得国を中心に、プロジェクトを単体ではなく、包括
的な計画の一部として、借入国主導で進めるための
手段として採用されるようになりました。
テーマ別にみると、融資承認額が最も多かったのは
この10年で、SWApsを採用した世銀プロジェクトは
公共セクター運営と金融・民間セクター開発で、それ
30件を超えました。その大半はアフリカ地域と南アジ
ぞれ約19%でした。次いで人的開発が17%、社会開
ア地域の社会セクターを対象としたプロジェクトです。
発・ジェンダーが13%、農村開発が10%でした。図5.12、 世銀は他の開発パートナーと共に、共通の政策フ
5.13、および5.14 は2004年度におけるIDAの融資を地
レームワークと包括的なセクター計画(または投資計
域、テーマ、およびセクター別で分類したものです。
画)
に沿って融資を提供する方法を模索してきました。
そうした活動の中心となったのが、開発機関の計画、
IDAの原資
110
モニタリング・評価、報告、監査、融資、および調達
IDA第13次増資(IDA 13)は、2003年度から2005年
システムの調和化です。政府と開発機関の資金を一
度に承認される融資の原資となるもので、IDA融資適
元管理するプロジェクトも増えました。低所得国は
格国に合計180億SDR(約230億ドル)の特別引出権
SWApsを採用することによって、ドナーの援助資金を
世界銀行 年次報告 2004
効率的に利用できるようになっています。中所得国で
は、世銀の援助を自国の戦略や制度と一致した形で
受け入れ、プロジェクトを単独で実施した場合に発生
する取引コストを低減する手段として、SWApsが注目
されるようになっています。
この数年で、世銀は積極的にSWApsを採用するよ
うになりました。これは開発援助において、借入国の
主体性、調和化、開発結果、そして途上国の制度や
手続との整合性が重んじられるようになったためで
す。世銀の政策と手続きの簡素化・近代化がさらに
進めば、開発パートナーとより柔軟に連携できるように
なり、SWApsをさらに効果的に導入できるようになり
ます。現在、世銀が進めている監査方針、融資対象、
および調達ガイドラインの変更と、結果ベースの合理
的な融資への移行は、いずれも開発効果の向上と
SWApsの促進を目的としたものです。
債務の救済と持続可能性
2004年度においても、世銀は重債務貧困国の債務
救済に取り組みました。また、低所得国がミレニアム
開発目標を達成できるように、債務の持続可能性の改
インドにおける幼児治療の現場。
善(長期的な債務管理)
に努めました。
重債務貧困国(HIPC)イニシアティブは、包括的な
http://www.worldbank.org/hipc参照)。現在、27カ国
開発戦略の一環として行われているもので、HIPCの (HIPC適格国の3分の2)が債務救済の適用を受けて
対外債務を管理可能な水準まで引き下げることによ
おり、債権国による債務救済総額は520億ドルを超え
り、HIPCに開発のスタートラインに立つ機会を与える
ると予測されています。このうちの14カ国がすでに完
ことを目的 として いま す( H I P C に 関 する 詳 細 は
了時点(債権国が決定時点で約束した債務救済がす
図5.17 重債務貧困国(HIPC)に対する債務救済:
債務額の削減と債務返済比率の改善
図5.18 重債務貧困国イニシアティブの実施前と実施後の
貧困削減支出の推移
(10億ドル)
(%)
30
60
15
支援前
(1999年)
30
14.6%
9.8%
21.8%
$28
14.5%
(%)
10,000
$9,104
輸出に占める
債務返済の割合
(左軸)
$69
0
(100万ドル)
90
支援後
(2003年)
歳入に占める
債務返済の割合
(左軸)
$6,067
注:2004年4月末時点で決定時点に達していた27カ国の加重平均。
出典:重債務貧困国(HIPC)イニシアティブの実施状況(世界銀行、ワシントンDC、
2002年9月)
;重債務貧困国(HIPC)イニシアティブ最新統計値(世界銀行、ワシントン
DC、2004年4月)
9
貧困削減支出額
(左軸)
8
貧困削減支出の
対GDP比率
8%
5,000
決定時点での
債務額
(右軸)
0
10
7
6.4%
(右軸)
6
0
5
支援前
(1999年)
支援後
(2003年)
注:2004年4月末時点で決定時点に達していた27カ国の加重平均。
出典:世界銀行、2004年4月、重債務貧困国(HIPC)イニシアティブ最新統計値
(世界銀行、ワシントンDC、2004年4月)
第5章
2004年度の活動概要
111
HIPCイニシアティブの結果、対象国の債務残高は
大幅に減少し(図5.17参照)、政府の社会支出が増加
しました(図5.18参照)。
世銀は貧困国の債務削減を進めるために、HIPCイ
ニシアティブにとどまらず、債務の持続可能性という、
より長期的な課題にも取り組んでいます。低所得国に
とって、債務を返済可能な範囲に収めつつ、ミレニア
ム開発目標の達成に必要な資金を確保することは至
難の業です。
現在、世銀と国際通貨基金(IMF)は、HIPCイニシ
アティブの適用を受けていない低所得国が返済を続
けることのできる債務額について、その算出方法を開
発しているところです。この方法を利用すれば、債務
国の個別の状況や、資金需要と債務返済能力のバラ
ンスをふまえた上で、適切な融資判断を下すことがで
きます。この方法には各国の政府高官、多国間・二国
間ドナー、学術関係者、およびシビルソサエティ組織
との広範な協議の結果が反映されています。
綿を紡ぐバングラデシュの女性。
信託基金
信託基金とは、世銀が外部ドナーと締結する財
べて完了した段階)
に到達しています。2004年度に完
務・管理面での協定です。信託基金はプロジェクト
了時点に到達したのはエチオピア、ガーナ、ガイアナ、 の立案、技術支援、助言サービス、債務救済、紛争
ニカラグア、ニジェール、およびセネガルでした。そ
後復興、協調融資といった幅広い開発ニーズに対し
の他の8カ国(ベナン、ボリビア、ブルキナファソ、マ
てグラントを供与します。信託基金は革新的なプロ
リ、モーリタニア、モザンビーク、タンザニア、ウガンダ) ジェクト・アプローチを推進したり、開発協力の範囲
は2004年度以前に完了時点に到達しています。現在、 を拡大したりすることによって、世銀の使命である貧
13カ国が決定時点に到達し、債務救済の適用を受け
困の削減に貢献しています。信託基金には多数の先
ています。
進国、一部の大きな途上国、民間セクター、および財
しかし、HIPCイニシアティブは依然として深刻な課
団が参加しており、複数ドナーによる援助プログラム
題を抱えています。主な課題としては、イニシアティ
に利用されています。こうしたプログラムは世銀の
ブの適用を受けていない重債務国(その多くは紛争
パートナーシップの中心となるものです。また、単独
の影響を受けている国)
に、適用期限となる2004年末
のドナーが提供するプログラム的な信託基金(日本の
までに「決定時点(国際社会がHIPCの債務を管理可 「開発政策・人材育成基金」など)
も引き続き、開発
能な水準まで引き下げるための債務削減額に合意
活動を支える重要な存在となっています(詳細は
し、救済プロセスが始まる時点)」に到達するよう奨
www.worldbank.org参照)。
励すること、決定時点に到達した国に、完了時点到達
に必要な条件を早期に満たすよう促すこと、非パリク
112
拠出金
ラブ債権国、民間債権者、および小規模国際機関の
2004年度、世銀の信託基金プログラムはさらに拡
参加を促すこと、HIPC諸国が貧困層に配慮した成長
大しました。ドナー拠出金は2003年度よりも10%(4億
戦略を遂行できるよう支援することなどがあります。
6000万ドル)増加し、49億ドルとなりました。信託基金
世界銀行 年次報告 2004
の総資産は68億9000万ドルから25%増え、86億ドル
表5.5
となりました。ここには重債務貧困国(HIPC)、地球環
信託基金ドナーの上位10カ国・機関
(単位:100万ドル)
境ファシリティ
(GEF)、および世界エイズ・結核・マラ
03年度
04年度
欧州共同体(EC)
米国
英国
日本
世銀グループ
オランダ
ドイツ
カナダ
イタリア
ノルウェー
その他のドナー
241
1,085
252
500
329
269
194
151
132
142
1,148
880
594
585
508
466
400
226
198
187
174
686
拠出金総額
4,443
4,904
リア対策基金(GFATM)
を除くすべての信託基金に
現金で払い込まれた金額が反映されています。上記
の3基金については、拠出金は発生ベースで計上され
ます。表5.5に記載された2004年度の上位10ドナーで
拠出総額の86%を占めました。
実行状況
2004年の融資実行額は、2003年度よりも28%(7億
2000万ドル)増加し、32億8000万ドルとなりました。融
資実行額が最も多かったプログラムは、上位からHIPC
(9億4100万ドル)、GFATM(4億2900万ドル)、GEF(3
億9800万ドル)
、アフガニスタン復興信託基金(2億1800
注:2004年度の各ドナー拠出額に基づいたランキング。
万ドル)
、およびヨルダン川西岸・ガザ地区信託基金(1
億7000万ドル)でした。この5つで融資実行総額の66%
(21億6000万ドル)
を占めました。信託基金の融資実行
額はいずれも現金ベースのものです。図5.19は信託基
金への拠出額とその実行額を示したものです。
図5.19 信託基金に対する拠出額と融資実行額 2000–04年度(単位:100万ドル)
5,000
4,904
4,443
4,500
4,000
収支と投資
総資産額は着実に増え続け、2004年度は86億ドル
に達しました。これは2000年度の倍以上にあたります。
資産総額が増えた大きな理由としては、複数のドナー
が参加する大規模でプログラム的な信託基金がいくつ
か創設されたことが挙げられます。
主な新規プログラム
3,500
3,000
2,719
2,613
2,500
2,000
1,769
1,500
1,000
500
0
2000
2001
2002
2003
2004
世銀グループによる拠出
新たな開発課題に対処するために、ドナー・コミュ
その他のドナーによる拠出
ニティは2004年度に複数の大規模な信託基金および
融資実行額
プログラムを創設し、世銀に管理を委託しました。主
な新規プログラムとしては、複数のドナーが参加する
イラク復興信託基金(復興資金としてドナーが約4億ド
ルの拠出を承認)、
「万人のための教育」ファースト・ト
ラック・イニシアティブ信託基金(2004–2007年度の間
信託基金に関する最新情報
下記は2004年度に世銀が管理を担当した信託基金
の一例です。
に2億5000万ドルを調達予定)、
「ヨルダン川西岸・ガ
ザ地区財政改革信託基金」
(世銀が運営するパレスチ
ポリオ撲滅のための投資パートナーシップ
ナ自治政府のための構造調整プログラムの協調融資
この信託基金は2003年度に世銀、ゲイツ財団、国
支援窓口:複数のドナーが最高1億8500万ドルの拠出
際ロータリー、および国連財団が設立したもので、世
を承認)
などがあります。
銀が管理を担当しています。本信託基金の目的は、
2005年までにポリオを撲滅することです。この目的を
第5章
2004年度の活動概要
113
達成するために、本信託基金は目標の達成度に応じ
基金ファシリティ」の設立を批准しました。この基金は
てインセンティブを供与するという斬新な資金調達メ
世銀と国連開発グループが管理する2つの信託基金
カニズムを採用しました。IDAの資金を使ってポリオ
からなり、両基金は緊密な連携のもとで運営されてい
の撲滅に取り組み、既定の目標が達成された場合は、 ます。2004年1月、世銀理事会は世銀がITFの管理機
IDA融資を信託基金で償却する―つまり、目標が達成
関となることを承認しました。2004年度末現在、世銀
された場合はIDA融資がグラントに転換されることに
信託基金への拠出金額は約4億ドルに上っています。
なります。2004年度末現在、この信託基金に対するド
当面は組織能力の構築と復興および経済移行の緊急
ナーの出資額は合計3900万ドルに上っています。本
ニーズへの対応が最優先課題となる予定です。ITFが
プロジェクトは2003年12月に、他の2つのプロジェクト
支援したプロジェクトとしては、14のセクターを対象と
と共に世銀総裁賞を受賞しました。
したプロジェクト管理訓練(360万ドル)があります。
緊急教科書配布プロジェクト
(4000万ドル)は、2004年
気候変動のための後発開発途上国(LDC)基金
度にイラク国内の小中学校に教科書を配布することを
この信託基金は固有の経済的・物理的特徴により、 目指すもので、この他に学校再建プロジェクト、民間
地球温暖化や気候変動の影響を受けやすい後発開発
セクター開発、インフラ整備、公衆衛生サービスの充
途上国(LDC)のニーズに対応することを目的に2002
実があります。
年9月に設置されました。当面は、国家適応行動計画
の策定支援が最優先課題となる予定です。基金の管
協調融資
理は地球環境ファシリティが担当し、世銀は受託機関
協調融資とは、世銀が支援する特定のプロジェクト
となっています。2004年度末時点で、12のドナー国が
に対して、二国間・多国間パートナー、輸出信用機関、
合計3300万ドルの拠出を約束しており、既に1700万
および民間投資家が共同で行う追加的な融資のこと
ドルが支払われました。すでに43件の国別プロジェ
です。協調融資を活用することにより、世銀は借入国
クトと2件の国際支援プロジェクトに対し、約900万ド
にさらなる融資を、多くの場合緩やかな条件で提供
ルが拠出されており、その大半が実施段階に入って
することができます。2004年度の主なパートナーは米
います。
州開発銀行
(37億ドル)、欧州委員会
(6億4000万ドル)、
および英国国際開発省(6億1200万ドル)でした。協調
イラク信託基金(ITF)
2003年10月にマドリッドで開催されたドナー会議に
おいて、国際ドナー・コミュニティは「イラク復興信託
114
世界銀行 年次報告 2004
融資の対象地域は上位からラテンアメリカ・カリブ海
地域(40億ドル)、アフリカ地域(30ドル)、南アジア地
域(13ドル)でした。
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