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第4章( PDFファイル/ 1721KB )
第4章 プロジェクトの展開
序
序章 プログラム策定の趣旨
第1章 転機に立つ
現状認識
第2章 これまでの取り組みと
兵庫経済
今後の課題
政策フレーム
第3章 兵庫経済の進路と政策の基本方向
アクション
第4章 プロジェクトの展開
第5章 再生加速に向けた
参画と協働
第6章 プログラムの効果的
県の役割と各主体への期待
付属資料
な推進に向けて
第4章 プロジェクトの展開
①ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
第4章
プロジェクトの展開
兵庫の「強み」を生かし、活力をもたらすために
① ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
めざす姿
ものづくりの基盤を支える厚みのある中小製造業、本県の基幹産業である重厚長大
産業、先端技術を牽引する大学・研究機関、多彩な産業支援機関の有機的な結合を図
りながら、ナノ(超微細)、次世代ロボット(IT活用型メカトロニクス)、健康、エ
コ(環境・エネルギー)の4分野をターゲットに 21 世紀の兵庫を担う成長産業クラス
ター(自律発展型産業群)を育成する。
これまでの取り組みと課題
本県では、成長産業分野の育成のため、7分野(医療・福祉、生活文化、環境・エネ
ルギー、情報通信、輸送・物流、ナノテクノロジー・新材料、ビジネス支援)を掲げ、
研究開発を重点支援するとともに、(財)新産業創造研究機構と連携した「産学官連携イ
ノベーションセンター」等の整備、産業集積条例による特定地区への成長産業の立地な
ど、大学・研究機関等の知的資源を活かした新技術の開発や成長産業の誘致を図ってきた。
さらに、播磨科学公園都市や神戸医療産業都市における知的クラスター創成事業、地域
結集型共同研究事業など、
ナショナル・プロジェクトを国・県・市・産・学共同で展開すると
ともに、構造改革特区を活用した外国人研究員の誘致やリサイクル関連等の産業集積に
も取り組んでいる。
こうした取り組みを通じ、付加価値の高い技術・製品開発が徐々に進展してきたもの
の、鉄鋼・化学といった基礎素材から機械等の加工組立まで、さらに大手から中小までの
厚みのあるものづくり集積や、知
県内企業の今後の主力事業分野
的機関の最先端のポテンシャルを十
分に生かしているとは言えず、知の
順
順
大 企 業
中 小 企 業
位
位
産業化の力強さを欠く状況にある。
1 環境(21%)
1 環境(34%)
その意味で次代の成長分野の創出・
2 医療・健康(16%)
2 生活・文化関連(15%)
育成はこれからが正念場となる。自
基盤的技術
3
3 医療・健康(14%)
(加工・切削等)(14%)
動車・エレクトロニクスなど現在の
4 生活文化関連(12%)
4 住関連(13%)
リーディング産業への内発的なシフ
5 バイオ・生命科学(11%) 4 情報通信・IT(13%)
トや集積化に遅れた本県が同じ轍を
6 情報通信・IT(10%)
6 新材料(10%)
6 輸送・物流(10%)
7 ファッション(9%)
踏むことがあってはならない。
8 デジタル家電(8%)
8 エネルギー(8%)
海外では、こうした成長産業の育
9 新材料(7%)
9 教育・人材(7%)
成に関し、特定産業分野・特定地域に
9 ファッション(7%)
9 バイオ・生命科学(7%)
<兵庫県「県内企業活動アンケート調査」
(平成 16 年 6 月)>
おいて、産・学・支援機関等が密に連
40
第4章 プロジェクトの展開
①ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
携し、競争と連携(分業)を巧みに調和させながら、イノベーション(革新)を生み出
すクラスターが成果をあげている。
先端的な知の産業化やクラスター形成については、世界規模で地域間競争が熾烈であ
るが、兵庫の中核産業であるものづくりの再生を図るためにも、ターゲットを絞った兵
庫独自のクラスター戦略を展開していくことが喫緊の課題である。いまや「世界の工場」
となった中国の隆盛も、安い人件費を武器に、受託生産を含め、ものづくりの組立部分
の受け皿になった面が大きい。しかし、製造業において、全製造コストに占める組立工
程の比率は 10%に満たない。兵庫の知と厚みのある多様なものづくり集積を生かし、先
端分野におけるトータルなものづくりに付加価値の源泉を求めることにより、メイド・
イン・ひょうごに新しい夜明けをもたらすことが、いま何よりも必要である。
県内企業も今後の主力事業として、付加価値の高い分野をめざし、また、産学官連携
にも意欲を示しており、これに呼応した積極的なクラスター戦略が必要になっている。
<クラスター(自律発展型産業群)とは> 特定の産業分野に属する企業、大学・研究機関、コ
ーディネート機関等が地理的近接性を生かして密なネットワークを構築し、連携と競争を繰り広
げながら新たな事業を生み出す地域を指す。
クラスターが注目される背景には、他企業・大学等様々な主体との創造的な連携、レベルアッ
プに繋がる建設的な競争、すなわちミクロの事業環境としての地域が企業において重要になって
きたことがあげられ、海外でも政府以上に地域・自治体の主導的な役割の発揮がみられる。
プロジェクトの概要
1 中小企業と大学・研究機関・大手企業の結合による兵庫独自のクラスター(自律発展
型産業群)づくり
新素材や最先端の技術で作られた製品は、それ自体で相当の競争力を持つが、さら
にそこに、簡単にはまねのできない熟練の勘、職人技が加わることにより、容易に追
随を許さない技術・製品となる。長年の経験で培った技と感覚、手作業を交えて初め
て実現する先端技術や製品は想像以上に多い。華やかな先端産業も、地味ではあるが、
練達の技工を駆使する中小製造業が支えている。
このように、海外の激しい追い上げにあう中で、今後、兵庫のものづくり産業が中
長期にわたって活力を維持していくためには、中小企業の持つ熟練技能と多彩な技
術・知の蓄積をもつ基幹産業、大学とを結びつけ、兵庫のものづくり産業の総合力を
糾合し、中小製造業のフロンティア開拓、重厚長大産業の構造改革、知的機関の活力
向上など、相互の発展関係を構築していくことが不可欠である。
こうした観点から、本県のクラスター形成においては、製造品出荷額等で9割強が
集中する神戸・阪神・播磨地域を中心に、ものづくりの基盤を担う中小製造業、先端
技術・シーズの統合・製品化を担う基幹産業、知の開拓・創造を牽引する大学、これ
らを支える関連産業が、支援機関を触媒として結合することにより、産学官による要
素技術の深堀り、中小企業による試作・実用化、産業横断の横串のビジネスモデル構
築を進め、高い付加価値と競争力を持った「技術の産業化」をめざす。
41
第4章 プロジェクトの展開
①ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
兵庫のクラスター(自律発展型産業群)イメージ
知の開拓・創造
大学・研究機関
先端技術の試作・実用化
中小ものづくり企業
技術の産業化の触媒
クラスター支援機関
先端技術・シーズの
統合・製品化
基幹産業(重厚長大産業等)
関連産業・支援産業
中小ものづくり産業の基盤強化、基幹産業(重厚長大産業等)の構造改革、
知的機関の活力向上等の実現
2 ナノ・次世代ロボット・健康・エコの4技術分野への戦略的な重点化
クラスターの推進にあたっては、供給面からみた産業集積や知的資源の蓄積・強み、
需要面からみた市場・雇用の成長性や県民生活のニーズ、国のプロジェクトや関西圏
の主要プロジェクトの相乗効果の3つの観点から絞り込みを行い、全国有数の産業・
知的ポテンシャルを有し、成長性も高いナノ(超微細)、次世代ロボット(IT活用
型メカトロニクス)
、健康、エコ(環境・エネルギー)の4技術分野に戦略的な重点化
を図る。
なお、この4分野は互いに関連を有し、各クラスターの連携により相乗的な成長が
期待されることから、クラスター形成の進展度合いをみつつ、一体的推進を図るよう
意を用いる。また、特にナノテクノロジーは、産業全体への高い波及性を持っており、
その振興と他のクラスターとの融合に向けた積極的な取り組みを行うほか、あらゆる
産業分野の基盤技術であるIT(情報通信技術)については、各クラスターの取り組
みにおいても積極的な活用や革新を推進する。
いずれにせよ次代の産業は、統計上の産業分類では捉えられず、様々な分野の企業
が強みを統合しながら、業種融合的に展開し、思いもよらないチームから新たな知が
生まれる。こうした新産業の特性をふまえ、各クラスターや関連産業・技術の有機的
結合を図っていく。
クラスター(自律発展型産業群)相互の関連
<兵庫の産業集積>
サービス産業
IT、環境等成長産業
製造業
その他産業
強みを生かす
先端医療・医薬、医療・健康機器、健康
食品、福祉機器等の健康テクノロジー
ナノ材料、ナノバイオ、
リサイクル、環境適合型
生活・介護・医療・
ナノ加工等のナノテクノロジー
商品、触媒等の
災害支援、産業用等の
クリーン技術、新エネルギー
次世代ロボットテクノロジー
等のエコテクノロジー
IT(情報通信技術)の活用
42
第4章 プロジェクトの展開
①ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
3 取り組みの概要
多彩な中小製造業や重厚長大型産業といった産業
集積はもとより、大型放射光施設SPring−8や
神戸医療産業都市に代表される知的資源、活発な事業
を展開する産業支援機関など、兵庫の持つ強みを最大
限に生かしながら、ナノ、次世代ロボット、健康、エ
コの4分野において、共通の考え方のもとでクラスタ
ーの特性に応じて展開する施策とクラスター毎の個別
施策を複合的に実施する。
<大型放射光施設(SPring−8)>
クラスター(自律発展型産業群)の特性と施策の概要
ナノテクノロジー
(超微細技術)
次世代ロボット
テクノロジー
(IT 活用型メカトロニクス技術)
阪神∼播磨間の材料、加
工、組立等の、大手から
産業ポテ
中小までの全国有数の
ンシャル
ものづくり集積等
生活支援や産業用ロボッ
ト開発の最先端を走る大
手企業、技術開発に取り
組む中堅中小企業群 等
世界最大の放射光施設
SPring−8、日本
原子力研究所関西研究
知的ポテ
所、理化学研究所播磨研
ンシャル
究所、兵庫県立大学 等
(財)新産業創造研究機
構神戸ロボット研究所、
国際レスキューシステム
研究機構、神戸大学 等
ねらい
主たる地域
重点企業
誘致地区
中核推進・
支援機関
ものづくり
支援センター
クラスター
コア(核)の
形成
クラスター
の成長促進
ナノレベルの素材、加
工、計測等をターゲット
とし、広範な産業の革新
を支える微細技術を創
出
播磨科学公園都市
・尼崎
(財)ひょうご科学
技術協会
健康テクノロジー
先端医療系のベンチ
ャー、医療機器を手掛
ける機械金属集積、工
業出荷額の 15%を占
める食品産業 等
理化学研究所発生・再
生科学総合研究セン
ター等医療産業都市
関連機関、県立福祉の
まちづくり工学研究
所 等
人口減少・少子高齢化を 先端医療・医薬、 医
視野に入れた生活支援、 療・健康機器、健康食
産業高度化支援、防災等 品、福祉機器等安心需
の次世代ロボット技術を 要に応え、豊かな生活
育成
を支える産業を創出
神 戸 ・ 阪 神 ・ 播 磨
エコテクノロジー
(環境・エネルギー技術)
環境主要業種出荷額で
全国約 1 割のシェアを
占める関連企業集積、全
国有数の太陽光発電生
産 等
(財)新産業創造研究機
構、兵庫県立大学、(財)
兵庫県環境クリエイト
センター 等
重厚長大産業と中小企
業の力を糾合しながら、
先導的な環境技術・新エ
ネルギー技術の開発を
推進
神戸・尼崎
神戸
尼崎・姫路
(財)新産業創造
研究機構
(財)新産業創造
研究機構
(財)新産業創造
研究機構
神戸、阪神、播磨における3ものづくり支援センター(県立工業技術センター)
Ⅰ 中核的な推進・支援体制の整備
1 クラスターの核となるマネージャー等支援人材の配置
2 中核推進・支援機関における「ものづくり支援センター」の整備(県内3拠点体制)
Ⅱ クラスターの核となる産学官コミュニティとネットワークの形成
3 産学官の幅広い参画促進と連携グループへの支援
4 クラスター創生に向けた先端技術開発支援
Ⅲ クラスターにおけるイノベーション(革新)の促進
5 重点地区への関連企業・研究所誘致
6 海外頭脳人材等のプロジェクトへの参画支援
7 クラスターを担う技術・技能人材の育成
8 開発成果のPR・取引拡大
Ⅳ クラスターの特性に応じた成長促進
9 放射光産業利用の推進を通じたナノテクノロジー開発の戦略的強化
10 クラスター別のきめ細かい施策展開
43
第4章 プロジェクトの展開
①ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
プロジェクト指標
■目標:クラスターのコア(核)の形成
成果指標①:クラスター関連推進組織・研究会・コンソーシアム等のクラスタープロジェクト
参画企業数(社)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 16 年度)
目標水準(時点)
―
700
850
1,050
測定時期
―
3月末
3月末
3月末
成果指標②:ものづくり支援センターの利用(技術相談・技術指導)数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
3,500
3,800
4,000
測定時期
―
3月末
3月末
3月末
成果指標③:中核推進・支援機関のコーディネートによる共同開発数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
20
25
測定時期
―
3月末
3月末
■目標:クラスターの成長促進
成果指標①:クラスター地域内における国等のプロジェクト獲得数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 16 年度)
目標水準(累計)
―
4
5
測定時期
―
3月末
3月末
成果指標②:クラスター地域内の重点地区への企業・研究所誘致件数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
15
15
測定時期
―
3月末
3月末
成果指標③:クラスター創生先端技術開発推進事業における実用化数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 16 年度)
目標水準(累計)
―
0
2
測定時期
―
3月末
3月末
平成 19 年度
30
3月末
平成 19 年度
5
3月末
平成 19 年度
15
3月末
平成 19 年度
6
3月末
施策プログラム
Ⅰ 中核的な推進・支援体制の整備
産学官、産産等の連携を促進するため、ナノテクノロジークラスターについては、
拠点となる播磨に所在し、SPring-8 の兵庫県ビームラインを運営する(財)ひょう
ご科学技術協会を、次世代ロボットテクノロジー、健康テクノロジー、エコテクノロ
ジーの3つのクラスターについては、これまでに豊富な支援実績を有する(財)新産
業創造研究機構を、それぞれ中核となる推進・支援機関に定めるとともに、地域の産
業特性に応じた「ものづくり支援センター」を3箇所において整備するなど、ソフト・
ハードの両面からクラスターの形成を支援する。
44
第4章 プロジェクトの展開
①ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
1 クラスター(自律発展型産業群)の核となるマネージャー等支援人材の配置
クラスターの推進にあたっては、クラスター内でのビジネスプロデュースや産学官
連携のマッチング等を行うキーとなる人材の存在が重要な要素となることから、クラ
スター毎に当該分野に精通した外部の優れた人材を公募等で広く募りながら、中核推
進・支援機関に各クラスターの顔としてマネージャーを置くとともに、各クラスター
の連携を図り、相乗的な成果を発揮させるために、総括マネージャーを設置する。
また、各クラスターの具体の技術分野に応じて技術支援スタッフや研究スタッフを
配置し、技術相談や共同研究を行う。
2 中核推進・支援機関における「ものづくり支援センター」の整備
県立工業技術センターにおいて、各々の地域の産業特性やクラスターのターゲット
分野等の属性に応じた共同利用機器設備を備える開放型の「ものづくり支援センタ
ー」を神戸、阪神及び播磨地域の3箇所で中核推進・支援機関等に整備し、クラスタ
ーの核となる基盤技術の確立を支援する。
(1)技術支援の実施
各ものづくり支援センターにおいて、クラスター毎の具体の技術課題に即した企
業等からの技術相談や技術指導等に応じる。
(2)共同研究の実施
クラスターにおける産学官連携による共同研究や共同実験を実施することによ
り、新たな技術・製品の開発等を行う。
(3)共同利用機器の整備と開放
各クラスターの対象分野に応じた汎用性の高い開放型の機器を整備し、クラスタ
ー内の産学官の研究者による共同実験や分析、加工に供する。
ものづくり支援センターの概要
設置場所
神戸地域
阪神地域
播磨地域
神戸市内
尼崎市内
播磨科学公園都市(上郡町)内
支援対象の
ナノ、ロボット、健康、エコ
ナノ、ロボット
ナノ
クラスター
支援する具体 精密加工、有機・無機材料、食品 金型、鋳造、鍛造等 汎用性の高い微細加工技術等
の技術分野 加工等の県下の先端加工技術
の先端加工技術
の先端加工技術
Ⅱ クラスター(自律発展型産業群)の核となる産学官コミュニティとネットワークの
形成
各クラスターにおいて、中核推進・支援機関を中心に、知的創造の要となる大学や
研究機関、大手企業と、製品の試作や実用化を担う中小・ベンチャー企業等との密接
な連携によるネットワークを形成し、先導的な技術開発や新事業の創出の促進を図る。
3 産学官の幅広い参画促進と連携グループへの支援
各クラスターにおける産学官のネットワーク形成を支援するため、クラスター毎に
産学官により構成される推進組織を整備するとともに、シンポジウムやセミナー等を
積極的に開催し、クラスター参画企業等の裾野を拡大する。
また、中核推進・支援機関におけるコーディネート等により、産学官や産産などの
45
第4章 プロジェクトの展開
①ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
柔軟な連携グループで組織される多種多様な研究会やコンソーシアム等の立ち上げ
や基礎的な研究調査などの活動を支援する。
4 クラスター(自律発展型産業群)創生に向けた先端技術開発支援
クラスター内において産学官や産産の連携により組織される研究会やコンソーシ
アム等を対象に、実用化をめざした新規性・独創性を有する技術開発や国の大型研究
開発への発展を視野に入れた先端的な研究開発に対して支援を行う。
Ⅲ クラスター(自律発展型産業群)におけるイノベーション(革新)の促進
クラスターにおけるイノベーション(革新)を促進するため、さらなる産業基盤や
知的基盤の集積を図るとともに、中堅中小企業におけるクラスターに直結した技術者
の育成や成果の販路開拓・PR等を実施し、クラスターの成長を促進する総合的な取
り組みを展開する。
5 重点地区への関連企業・研究所誘致
クラスターの形成を促進するため、各クラスターの地域特性や産業集積の状況に合
わせ、新たな産業集積条例で、クラスター毎の重点誘致地区を新たに設定し、不動産
取得税の減免や設備投資等への助成、融資に加え、オフィス賃料等の助成を行うなど、
研究開発型企業・研究所のクラスター内への立地を促進する。
6 海外頭脳人材等のプロジェクトへの参画支援
産学官連携による先端的な研究開発を推進するにあたり、優れた研究実績を有する
海外の研究者との共同研究に対して支援を行う。
また、クラスター対象分野に係るテーマについて、国際的に著名な研究者を招聘
し、講演会やセミナーを開催することによりクラスターの知名度向上や啓発を図る。
7 クラスター(自律発展型産業群)を担う技術・技能人材の育成
各クラスターを支える企業の技術者や技能者に対し、ものづくり人材大学校事業に
おいて、事業主等委託訓練などの企業内訓練や(社)兵庫工業会等での技術研修を実施
することにより、クラスターの成長を担う人材の育成を行う。
8 開発成果のPR・取引拡大
クラスターにおける共同研究等により開発された技術や成果について、中小企業等
では新たな取引の機会が得にくい県内外の大企業等に対し、交流会や商談会を通じて
の集中的なマッチング支援や、県内・首都圏での見本市への出展サポート、毎年、神
戸市内で開催している「国際フロンティア産業メッセ」におけるPR等により、販路
の拡大を図る。
Ⅳ クラスター(自律発展型産業群)の特性に応じた成長促進
各クラスターの成長を促進するため、それぞれの特性に応じたクラスター毎のきめ
細かい施策を展開する。特にナノテクノロジーは、材料や計測、加工技術にかかる分
野横断的な技術の集合体であり、ナノサイズレベルで物質を操作・加工・制御するこ
46
第4章 プロジェクトの展開
①ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
とにより、物質の機能や特性を大幅に向上し、ライフサイエンスや医療、ロボット、
環境などの分野にも飛躍的な革新をもたらすものであることを踏まえ、重点的な施策
を展開する。
9 放射光産業利用の推進を通じたナノテクノロジー開発の戦略的強化
兵庫県ビームラインにおけるナノテクノロジー分野の産学官共同研究を推進すると
ともに、国内の放射光研究者・グループの活動に対する支援を実施することにより、
他のクラスター及び全産業へ波及し、革新を促す性格を持つナノ領域における物質・
材料等の研究開発を加速する。
さらに県内企業の放射光利用を促進するため、兵庫県ビームラインにおける研究成
果の発表会や利用説明会をはじめ研修会・講習等を開催するとともに、県内企業がビ
ームラインを試行的に利用する際の負担を軽減するための補助・支援等を行い、本格
的な利用につなげる。
兵庫県ビームラインの概要
区 分
現行
ビーム
ライン
(供 用 中 )
新規
ビーム
ライン
( H17 秋 供 用 )
特
徴
ア ン ジ ュ レ ー タ 光 源( 水 平・垂
直の両直線偏光のX線が広い
波 長 領 域 で 利 用 で き 、局 所 構 造
解析等に最適)
偏 向 電 磁 石 光 源( 赤 外 線 か ら X
線までの連続した波長の光で、
複合材料評価に対して使いや
すいX線ビームを提供)
<SPring−8内の実験ホール>
測定方法
蛋白質・低分子結晶構
造 解 析 、蛍 光 X 線 分 析 、
マイクロビーム局所構
造改正
小角散乱、XAFS、
イメージング(屈折イ
メージング、トポグラ
フィ)等
主な 対 象 分 野 (例 )
ゲ ノ ム 創 薬 、金
属・半導体材
料、食品等
燃料電池、触
媒、ゴム・繊
維・高 分 子 材 料
等
<兵庫県ビームライン>
10 クラスター(自律発展型産業群)別のきめ細かい施策展開
(1)次世代ロボットテクノロジークラスター
■「ロボット×レスキュー2005」への支援
ロボットテクノロジーを重点テーマとして開催する「国際フロンティア産業メ
ッセ2005」と同時開催されるコンテスト「ロボット×レスキュー2005」
を支援し、ロボットテクノロジーへの取り組みを広くPRするとともに、次世代
ロボット産業の振興を図る。
(2)健康テクノロジークラスター
■先端医療機器開発に取り組む企業グループ
の支援
先端医療機器開発に取り組む(社)神戸市
機械金属工業会や(協)尼崎工業会等の企業
グループが行う新技術・新製品開発、新分野
進出等に対し、助成措置を講じる。
<神戸医療産業都市・中核施設群>
47
第4章 プロジェクトの展開
①ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
(3)エコテクノロジークラスター
■環境関連産業の集積促進
ひょうごエコタウン構想の中核施設を有する姫路市広畑地区等を重点地区とし、
環境関連産業の集積を促進するため、立地セミナー等の開催や全国規模の見本市
への出展による普及啓発・誘致活動を実施する。
実施工程表
1
平成 17 年度
○中核推進・支援機関
へのマネージャー等
の配置
クラスターの核
となるマネージャ
ー等支援人材の配
置
2 中核推進・支援機 ○ものづくり支援セン
関における「ものづ
ターの整備と事業展
くり支援センター」
開
の整備
3 産 学 官 の 幅 広 い ○産学官推進組織の発
足
参画促進と連携グ
○クラスター内研究会
ループへの支援
等の組成支援
○クラスター別シンポ
ジウム等の開催
4 ク ラ ス タ ー 創 生 ○クラスター内研究会
先端技術開発支援
等への助成の実施
5 重 点 地 区 へ の 関 ○新たな産業集積条例
連企業・研究所誘致
の施行、誘致促進
6 海 外 頭 脳 人 材 等 ○海外研究員の招聘
のプロジェクトへ
の参画支援
7 ク ラ ス タ ー を 担 ○技術者・技能者の育
成支援
う技術・技能人材の
育成
8
開 発 成 果 の P ○成果等の販路拡大
R・取引拡大
○メッセ等への出展
・国際フロンティア産
業メッセにおけるP
R「ロボット」
・東京メッセへの出展
9 放 射 光 産 業 利 用 ○新兵庫県ビームライ
の推進を通じたナ
ンの供用開始
ノ テ ク ノ ロ ジ ー 開 ・県内企業に対する利
発の戦略的強化
用促進支援
10 ク ラ ス タ ー 別 の ○次世代ロボットテク
きめ細かい施策展
ノロジークラスター
開
・レスキューロボット
コンテストの開催
○健康テクノロジーク
ラスター
・先端医療機器開発グ
ループへの支援
○エコテクノロジーク
ラスター
・環境関連産業の集積
促進
平成 18 年度
平成 19 年度
・共同利用機器等の追
加整備
・国際フロンティア産
業メッセにおけるP
R「ナノテク」
48
・国際フロンティア産
業メッセにおけるP
R「エコテク」
第4章 プロジェクトの展開
①ひょうごクラスター(自律発展型産業群)プロジェクト
プロジェクトイメージ
健康テクノロジークラスター
ナノ(超微細)テクノロジークラスター
次世代ロボット IT活用型
メカトロニクス)テクノロジークラスター
エコ 環境・エネルギー)
テクノロジークラスター
IT 情報通信技術)の活用
クラスター別のきめ細かい施策展開とクラスター融合の同時展開
クラスターコア(核)の形成
クラスターの成長促進
中核推進・支援機関を中心に、
知的創造の要となる大学・研究
機関・大手企業と、試作・実用化
を担う中小・ベンチャー企業と
の密なネットワークを形成
重点地区への関連企業・研究
所の誘致、海外研究者招聘、
中堅中小企業における技術者
育成、成果の販路開拓やPR
等総合的な取り組みを展開
Ⅲ クラスターのイノベーション(革新)促進
Ⅰ 中核的な推進・支援体制の整備
中核推進・支援機関にクラスターの核とな
るマネージャー等の人材を配置
重点地区へのクラスター関連企業(研究開
発型企業)・研究所の誘致強化
神戸・阪神・播磨の3箇所に、クラスターの
技術支援の核となる「ものづくり支援センタ
ー」を整備
世界レベルの海外研究者招聘による研究
プロジェクトへの参画支援
クラスターを支える技術者・技能者を、産業
技術大学校、企業内訓練で育成
Ⅱ クラスターの核となる産学官コミュニティ
とネットワークの形成
Ⅳ クラスターの特性に応じた成長促進
産学官推進組織の整備と産学官、産産等
による多種多様な研究会・コンソーシアム等
の立ち上げ、基礎的研究調査等の支援や
クラスター別シンポジウム等の開催
開発技術・成果の関連企業・商社等へのマ
ッチング支援や、県内・首都圏での見本市
への出展サポート
産学官の研究開発プロジェクトへの支援や
国の競争的資金の獲得推進
兵庫県ビームラインにおけるナノテク分野の
産学官共同研究の推進など各クラスターの
特性に応じた施策の展開
県立工業技術センターにおける技術力向上に向けたきめ細かな支援
(財)新産業創造研究機構における知的財産・産学官連携に対する支援
大学発ベンチャー等への支援、情報通信・新製造技術・物流等21世紀産業の戦略的創出
49
第4章 プロジェクトの展開
②知的財産・技術力強化プロジェクト
② 知的財産・技術力強化プロジェクト
めざす姿
急速に重要性を増しつつある知的財産や開発力・技術力といった無形資産の中小企
業における創造・蓄積・活用を支援しながら、クラスター(自律発展型産業群)の基盤
を支え、あるいは、クラスターと共に成長する多様な成長産業の創出を促すことによ
り、21 世紀の知識社会・成熟社会を先導する付加価値の高いものづくり産業への変革
を進める。
これまでの取り組みと課題
80 年代にわが国産業の台頭を許した米国では、基本特許や知的財産権を重視する、い
わゆる「プロパテント政策」を取り、無形資産を競争力向上に積極的に活用する戦略を
展開してきた。さらに、技術、知識、デザインといった無形資産が価値を増す知識社会
化の流れの中で、世界的にも企業経営の基盤が有形資源から知的資源へと移ってきてお
り、建物や機械、設備等の物的資産に依拠していたビジネスモデルから、技術力、知的
財産権、ブランド等のソフト資産への軸足のシフトが顕著になりつつある。
こうした情勢をふまえ、再活性化プログラムでは、研究開発を行うための資金や人材
等の資源が乏しい中小企業に対し、県立工業技術センターにおける技術相談や産学官共
同研究、県下各地での移動工業技術センターの実施等により、県内企業の技術力の向上
に向けた取り組みを支援してきた。
さらに、知的財産に着目した技術の事業化・産業化を図るため、(財)新産業創造研究
機構に、大学での研究成果の発掘、権利化等を行う「TLOひょうご」や中小企業のニ
ーズを把握し、その実現に必要な大手企業等の技術、特許等を探し出し、移転すること
によって新製品の開発等を支援する「技術移転センター(TTC)
」を一体的に整備する
とともに、
「ひょうご 21 世紀産業創造戦略」として、産学連携による応用・実用技術開発
や、より川上の基礎研究分野における産学共同研究に対して助成を行い、知的財産の活
用や技術力強化を応援している。
今後、国内外で技術・知的資産を巡る競走が激化する様相をみせる中で、品質だけで
なく、アピール力・機
特許の保有状況及び活用状況(企業規模別)
能・納期・価格を含め、
<特許保有状況>
高度化するニーズに対
件数
応できる総合的な技術
1∼10
10∼50
50∼100
100 以上
無回答
規模
力の向上がますます重
大 企 業
13%
22%
13%
28%
25%
要になる。
中小企業
32%
5%
1%
2%
60%
また、そうした技術
<保有特許活用状況>
力を支える知的財産の
件数
1∼10
10∼50
50∼100
100 以上
無回答
保全と活用についても、
規模
大 企 業
13%
19%
13%
16%
41%
大手ばかりでなく、中
小企業においても、自
中小企業
41%
3%
1%
2%
47%
社で開発した技術・製
<兵庫県「県内企業活動アンケート調査」
(平成 16 年 6 月)>
50
第4章 プロジェクトの展開
②知的財産・技術力強化プロジェクト
品に関する特許の効果的な活用・非活用の使い分けのほか、わが国全体で約 30 万件に上
ると推定される休眠特許等の利用や技術開発の優れた成果が事業に結びつかず、経営を
苦境に陥れる「デスバレー(死の谷)
」の回避など、知的財産の広範な活用を視座に入れ
た戦略的行動が必要となってきている。
プロジェクトの概要
需要側のニーズが多様化し、しかもその変化のスピードが速くなるなかで、差別化さ
れた製品をいかに迅速に生み出していくかが重要になっている。しかし、機械や設備の
面では、もはや大きな差異は生じにくくなった。例えば、国内はもとより、海外の企業
でさえ、わが国などの優れた工作機械は即座に購入が可能であり、比較的容易に一定の
品質・機能を持った高付加価値品の生産を可能にしている。
こうした状況の中では、絶えず新技術の導入や潜在的な市場の開拓によって、意識的
に差異を創り出していくことが必要であり、その必然的な帰結として、差異そのものと
しての開発力・技術力や特許権といった無形資産の重要性が急速に高まりつつある。
こうした観点から、今後のものづくりの成長を左右するこうしたソフトな資産の充実
に向けて、クラスタープロジェクトと連携しながら、中核的技術支援機関である県立工
業技術センターの技術支援機能を一層強化していく。
また、知的財産に関する学習や実務経験の機会が少なく、関心や認識が未だ低い中小
企業の実情に鑑み、
自らの持つ知的財産を適切に保全・活用するための人材育成や知的財
産戦略策定への支援を行う。
さらに、大学・大手企業の知的財産を中小企業等へ移転・活用する(財)新産業創造研究
機構の事業や、
「ひょうご 21 世紀産業創造戦略」による成長産業分野横断の研究開発や
新事業展開への支援を引き続き積極的に推進する。
施策の体系
成長産業の創出に向けた知的財産・技術力の強化
ものづくりの技術支援強化
ものづくり支援センターの整備
県立工業技術センターの
ブランチ機能等の強化
(財)新産業創造研究機構を核
とした中小企業の知的財産戦
略への支援等
知的財産戦略支援機能の強化
知的財産に係る経営者の意識改革
・企業内実務者の養成
MOT(技術経営)人材の育成
産学官連携イノベーションシステムの拡充
成長分野における
新事業の創出支援
ひょうご21世紀産業創造戦略の推進
51
第4章 プロジェクトの展開
②知的財産・技術力強化プロジェクト
プロジェクト指標
■目標:県内企業の技術力向上
成果指標:県立工業技術センターにおける共同開発数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
87
90
90
測定時期
平成 16 年 3 月
3月末
3月末
■目標:中小企業における知的財産戦略の推進
成果指標:知的財産に係る総合窓口への相談件数(件)
直近実績
平成 17 年度
(平成 16 年度)
目標水準(累計)
―
1,800
測定時期
―
3月末
平成 19 年度
90
3月末
平成 18 年度
平成 19 年度
1,900
3月末
2,000
3月末
■目標:産学官連携による新事業の創出
成果指標①:(財)新産業創造研究機構における大学等保有特許の中小企業等への移転数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
67
70
75
80
測定時期
平成 16 年 3 月
3月末
3月末
3月末
成果指標②:兵庫県COEプログラム助成事業活用後、本格的な研究へ移行した企業数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 15 年度)
目標水準(累計)
3
7
16
25
測定時期
平成 16 年 9 月末 平成 18 年9月末 平成 19 年9月末 平成 20 年9月末
成果指標③:産学連携新産業創出支援事業における支援先の売上高増加企業、又は雇用増加企
業の割合(%)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 16 年度)
目標水準(時点)
―
―
20.0
40.0
測定時期
―
―
平成 19 年9月末 平成 20 年9月末
施策プログラム
Ⅰ ものづくりの技術支援強化
神戸市内の本部、及び県内3箇所に機械金属・繊維工業・皮革工業の各技術支援セン
ターを有し、中小企業への中核的な技術支援機関の役割を果たしている県立工業技術
センターにおいて、ものづくり支援センターの整備やブランチ機能の充実等さらなる
機能強化を行い、企業ニ−ズに基づいた技術の高度化と市場性のあるものづくりを積
極的に支援する。
1 ものづくり支援センターの整備(再掲)
神戸、阪神及び播磨地域に、各々の地域の産業特性に応じ、またこれら地域で展開
するクラスタープロジェクトの核となる技術的な支援機関として、現場の技術が分か
52
第4章 プロジェクトの展開
②知的財産・技術力強化プロジェクト
る人材と技術汎用性の高い共同開発、共同実験、共同利用設備を備えた開放型のもの
づくり支援センターを整備する。
2 県立工業技術センターのブランチ機能等の強化
県立工業技術センターのブランチ機能を担う
技術コーディネーターを県下各地域に引き続き
配置するとともに、イベント等に合わせて県立
工業技術センターの活動紹介や成果発表、技術
相談を行う「移動工業技術センター」を拡充す
る。
また、県下の潜在的な元気企業を発掘するた
めに企業訪問を行い、有望企業の課題解決や製
品化を支援する新たな取り組みに着手するほか、
大学との連携強化など、産学官連携の充実にも引
き続き取り組む。
<移動工業技術センター>
県立工業技術センターの機能強化
中小企業の技術相談
・指導、機器利用
新技術開発の
試作研究
産学官連携による
共同研究・共同実験
新産業創造に向けた
インキュベーション
本部・3技術支援センター
ものづくり支援センター
①ブランチ機能の強化
・各地域への技術コーディネータ
ーの重点配備
・移動工業技術センターの拡充
・有望企業への重点支援 等
②産学官連携の強化
・大学と技術支援ネット・交流機
能の強化
・ものづくり交流会の充実 等
神戸地域
阪神地域
播磨地域
・全クラスタ
ー関連分野
に係る技術
開 発 ・ 相
談・指導
・産学官連携
による共同
研究
・共同利用機
器整備、利
用指導
・ナノテクノ
ロジークラ
スター、次
世代ロボッ
トクラスタ
ー関連分野
に係る技術
開 発 ・ 相
談・指導
・共同利用機
器整備、利
用指導
・ナノテクノ
ロジークラ
スター関連
分野に係る
技術開発・
相談・指導
・産学官連携
による共同
研究
・共同利用機
器整備、利
用指導
クラスターを形成する企業群の
基礎技術確立
県下中小企業の技術力強化
53
第4章 プロジェクトの展開
②知的財産・技術力強化プロジェクト
Ⅱ (財)新産業創造研究機構を核とした中小企業への知的財産戦略の支援等
現在のものづくり企業には、顧客志向で特徴ある商品の市場投入をスピードアップ
する一方、並行して自社の事業基盤を形成している技術等の知的財産を保全・強化し、
さらに、競合先の知的財産の強みを分析しながら、他社との技術連携・共同開発等を
含め、次の基盤となる知的財産を探索・開発・保全するなど、戦略的・実戦的な知的財
産の創出・保護・活用が必要となっている。
こうした観点から、(財)新産業創造研究機構の知的財
産支援拠点としての機能を高め、中小企業の戦略的な知
的財産活用を促進するとともに、知的財産戦略や技術経
営に関するセミナー等を開催して、中小企業の知的財
産・技術マネジメント水準の向上を図る。
また、大学等における「知の創造」を産業界の「知の活
用、事業化」に結びつけ、さらには「新たな知の創造」
へとつなげる、(財)新産業創造研究機構を核とした産学
官の連携システムの充実を図り、新事業の創出やさらな
る技術革新を促進し、県内産業の技術的競争力の向上を
<(財)新産業創造研究機構>
図る。
3 知的財産戦略支援機能の強化
(財)新産業創造研究機構の既存の知的財産支援機能を生かし、また、(社)発明協会
兵庫県支部等と連携しつつ、同機構に県内の中小企業が技術を特許化する際の課題や
他社の特許を活用する際の問題等を相談する知的財産に関する総合窓口を設け、アド
バイザーによる相談支援を行うほか、中小企業における知的財産戦略(競合他社との
比較検討による研究開発計画、知的財産の保護・活用方針)の策定、これに付随した
特許分析、特許を生かした事業計画(ビジネスプラン)づくりなどへの支援を行う。
○
○
○
○
○
○
<(財)新産業創造研究機構における知的財産戦略支援機能の強化>
特許取得・活用の総合相談窓口
中小企業における知的財産戦略の策定・実行支援
新たに付加
意識啓発、知的財産実務者・MOT(技術経営)人材の養成
大学等研究成果の特許化、企業へのライセンシング[TLOひょうご]
大企業等から中小企業への技術移転[技術移転センター]
既存機能
研究成果の特許化[イノベーションセンター]
4 知的財産に係る経営者の意識改革・企業内実務者の養成
中小企業における知的財産への戦略的な視点を養うため、知的財産を戦略的に保
護・活用する実務者の養成や経営者等の意識啓発のためのセミナーを開催する。
5 MOT(技術経営)人材の育成
技術革新の加速や競争の激化が進む中で重要性が高まっている、技術の産業化や事
業化を担う人材を育成するため、MOT(Management of Technology 技術経営)に
関するセミナーを開催する。
6 産学官連携イノベーションシステムの拡充
大学等研究機関の知を活用した企業におけるビジネスの立ち上げを促進するため
54
第4章 プロジェクトの展開
②知的財産・技術力強化プロジェクト
(財)新産業創造研究機構に整備した「兵庫県産学官連携イノベーションセンター」
の総合窓口における相談・斡旋等を引き続き実施する。
また、ナノテク、次世代ロボット、健康、エコの各クラスターをはじめ、先端分野
の研究成果の特許化等に重点的に取り組むため、「TLOひょうご」の体制の強化を
図るとともに、「技術移転センター」での大学や大企業等から中小企業への特許・技
術等の移転等を一体的に実施する。
(財)新産業創造研究機構
知的財産戦略の
支援機能強化
■特許取得・活用の総
合相談窓口
■知的財産戦略策定
支援
■意識啓発、知的財産
専門教育
■MOTセミナー
連携
発明協会
・特許検索
・特許情報提供
等
大 学
イノベーションセンター
○産学官連携総合窓口
○産学官ビジネスインキュベート事業
○研究成果の特許化
相談等
研究所
小
○共同研究の実施
○研究成果の特許化
技術移転
TLOひょうご
技術移転センター
○大学等の研究成果の
特許化(機能強化)
○企業へのライセンシング
○大企業から中小企
業への技術移転
発明・研究成果
大手企業等
中
企
業
特許・技術
Ⅲ 成長分野における新事業の創出支援
21世紀の兵庫経済を支える新産業の創出を目指して、研究の立ち上がり期から実
用化開発、事業化に至るまでの各段階に応じて、補助、投融資、技術・経営支援など
を効果的に実施する「ひょうご21世紀産業創造戦略」を引き続き推進する。
7 ひょうご21世紀産業創造戦略の推進
本県では従来から、次代の兵庫経済を担う医療・福祉、生活文化、情報通信、環境・
エネルギー、新製造技術・ナノテク、輸送・物流、ビジネスサポート、防災・安全等
の成長産業分野の育成を支援してきた。最近、その中から福祉分野において株式の公
開を行う企業も出るなど成果が現れつつあり、今後、クラスタープロジェクトや実大
三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)などの新しい知的資源と連携しながら、
引き続き新産業の創造に向けた研究開発や大学発ベンチャー等を積極的に推進する。
【助 成】
<知的機関の成果活用>
(1)兵庫県COEプログラム推進事業
産学官連携による立ち上がり期の予備的、準備的な研究プロジェクトに対する補
助を行うことにより、新産業・新事業の創出に向けた本格的な研究につなげ、知の
創造と活用による本県経済の活性化を目指す。
55
第4章 プロジェクトの展開
②知的財産・技術力強化プロジェクト
(2)産学連携新産業創出支援事業
独創的な技術シーズ等を活用した産学連携や事業連携による事業化プロジェク
トを支援し、県内に有する知的資産を活用した新産業創出への取り組みを促進する。
<中小企業の技術活用>
(3)地域循環型ビジネスモデル創出支援事業
地域中小企業のコンソーシアムが取り組む循環型社会構築のためのビジネスモデ
ル創出に対して支援する。
(4)第二創業・新分野進出支援事業
ものづくり産業における第二創業・新分野進出やITを活用した新事業開発を支
援し、中小企業の活性化を促進する。
(5)生活・サービス産業創出支援事業
(6)コミュニティ・ビジネス創出・企業化支援事業
【投融資】
(7)新産業創造キャピタル
優れた技術力やアイデアをもって新たな事業を展開し
ようとするベンチャー企業や起業家等の創出を促進する
ため、株式投資等を中心とした円滑な資金供給を行うこ
とにより、企業の創業・新事業展開等を支援する。
なお、これまで(財)ひょうご中小企業活性化センター
が直接に投資事業を行ってきたが、今後は、投資事業組
合などの活用による効果的な事業展開を検討する。
<株式を公開したキャピタル投資先
企業が製造する車いす>
(8)新事業創出貸付
産学連携新産業創出支援事業、
第二創業・新分野進出支援事業等の認定を受けた者
に対し、企業化、商品化のための設備・運転資金について低利での融資を行う。
ひょうご 21 世紀産業創造戦略
兵庫県COEプログラム推進事業
実 用 化 開 発
国等の
国等の
競争的
競争的
資金
資金
企業の
企業の
本格研
本格研
究
究
事 業 化
産学連携新産業創出支援事業
○新産業創造キャピタル
兵庫県立大学「産学連携センター」
(財)ひょうご科学技術協会
神戸大学「イノベーション支援本部」等
県立工業技術センター
(財)新産業創造研究機構
○新事業創出貸付
(財)ひょうご中小企業活性化センター
中小企業の技術活 用
地域循環型ビジネスモデル創出支援事業
第二創業・新分野進出支援事業
中小企業の持つ製造技
中小企業の持つ製造技
術・ビジネスアイデア
術・ビジネスアイデア
生活・サービス産業創出支援事業
コミュニティ・ビジネス創出・企業化支援事業
※ 注釈
補助金
ソフト支援
投融資
56
情報通信、生活 文化、物流、防災 安全等、成長分野での活 発な新規事業の創出
研究機関の成果活 用
大学、
大学、
企業等
企業等
の研究
の研究
による
による
技術
技術
シーズ
シーズ
基 盤 的 技 術 研 究
・
基 礎 研 究
第4章 プロジェクトの展開
②知的財産・技術力強化プロジェクト
実施工程表
施策プログラム
1 ものづくり支援
センターの整備
(再掲)
2 県立工業技術セ
ンターのブランチ
機能等の強化
3
知的財産戦略支
援機能の強化
4 知的財産に係る
経営者の意識改
革・企業内実務者の
養成
5 MOT(技術経
営)人材の育成
6
産学官連携イノ
ベーションシステ
ムの拡充
7 ひょうご 21 世紀
産業創造戦略の推
進
平成 17 年度
平成 18 年度
○ものづくり支援セン ・共同利用機器等の追
ターの整備と事業展
加整備
開
○県立工業技術センタ
ーの機能強化
・技術コーディネータ
ーの配置
・移動工業技術センタ
ーの開催
等
○総合窓口の設置等
平成 19 年度
○知的財産セミナーの
開催
○MOTセミナーの開
催
○TLOひょうごの体
制強化
○兵庫県COEプログ
ラム推進事業による
助成
等
プロジェクトイメージ
ものづくりの技術支援強化
― 県立工業技術センター ―
ものづくり支援センターの整備
■神戸、阪神及び播磨地域に技術支援の核となる
「ものづくり支援センター」を整備(再掲)
県立工業技術センターのブランチ機能の強化
■技術コーディネーターの配置
■イベント等に合わせ技術相談等を行う「移動工業
技術センター」の拡充 等
中小企業への知的財産戦略の支援等
―(財)新産業創造研究機構 ―
知的財産戦略支援機能の強化
■総合窓口設置、アドバイザーによる相談
■中小企業の知的財産戦略策定等の支援
知的財産等に係る人材の養成
■知的財産の戦略的活用を担う実務者養
成、経営者等の意識啓発
■MOT(技術経営)人材養成
産学官連携イノベーションシステムの拡充
■先端分野の研究成果の特許化等に取り
組む「TLOひょうご」の体制強化
成長分野における新事業の創出支援
― ひょうご21世紀産業創造戦略の推進 ―
■次代の兵庫経済を担う成長産業分野の育
成のため、研究の立ち上がり期から実用
開発、事業化に至るまで各段階に応じた
一気通貫支援(補助、投融資)の展開
・兵庫県 COE プログラム推進事業
・産学連携新産業創出支援事業 等
連携・支援
ひょうごクラスタープロジェクト
57
第4章 プロジェクトの展開
③売れるものづくりプロジェクト
③ 売れるものづくりプロジェクト
めざす姿
受注加工、受託製造、下請賃加工等の受け身型ものづくりから、マーケティング力、
企画提案力、デザイン力、さらにこうした要素と技術力・品質を総合したブランド力
の向上による攻めのものづくりへの転換を通じ、国際的な競争にも打ち勝つ、ものづ
くり兵庫の基盤を支える中小製造企業を輩出する。
これまでの取り組みと課題
本県の地場産業は、地域に根ざしたものづくりの長い歴史と実績を有し、集積内の効
率的分業、学習、企業や人材の派生的創出を強みとして、地域の経済・雇用を支えながら
成長してきた。しかし、国際的なコスト競争力に起因する低迷、これに伴う産地全体を
方向づけてきた問屋機能の低下等に直面し、長期的に規模を縮小させている。
また、中小製造業集積をみても、従来の垂直的な取引関係、あるいは固定的な連携関
係の流動化・多様化が進み、しかも集積の外へ拡大する傾向にある。
こうした中小ものづくり
垂直型取引関係の変化(中小企業・最近 10 年)
産業を取り巻く情勢に対応
(%)
し、県では、再活性化プロ
5
16
11
32
4
25
6
グラムに基づき、産地全体
0
の底上げから、意欲的な企
ほとんど消滅した
縮小している
より柔軟化・緩やかになっている
従前どおり、あまり変わらない
業の挑戦に対する支援に重
より強固になっている
もともと無い
点を移し、技術・ノウハウ等
その他
無回答
の蓄積を生かした新商品開
<兵庫県「県内企業活動アンケート調査」
(平成 16 年 6 月)>
発への総合支援を行うとと
もに、多様性を帯びた生活文化産業への変化を促すため、産地外の異分野のアドバイザ
ーが新たな発想で新分野進出等を提言する事業を実施した。さらに、ものづくりの基盤
を担う中小製造業に対し、技術相談、共同研究、技術移転、技術開発助成など技術力強
化と、取引斡旋等の販路確保の両面から支援策を展開した。
こうした取り組みを通じ、消費者に優れた国産品を提供する大手小売店のプロジェク
トと兵庫の地場産業製品との連携が実現し、消費者の支持を受けて大きく売上を伸ばし
たほか、基盤技術等を担う中小製造業全体をみても、全体として、より付加価値の高い
商品・分野へのシフトが徐々にではあるが進んでいる。
いずれにせよ、国内外の競合相手との際限のない価格競争は、体力をすり減らすのみ
であり、技術力を生かしながら、市場の声を見極めていくことが競争やデフレに打ち勝
つ商品の育成につながる。今後のものづくりにおいては、消費者、あるいは、取引先企
業との様々な接点で、品質・機能・デザイン・価格・納期・提案力などがバランスした「付加
価値」や「魅力」が不可欠であり、そうしたものづくりの総合力を身につけていくこと
が、本県のものづくり企業の新たな成長戦略の鍵となる。
58
第4章 プロジェクトの展開
③売れるものづくりプロジェクト
プロジェクトの概要
従来の産地集積の強みが失われつつある一方で、独自のブランド力によって自ら市場
を拡げる元気な企業が少なからず存在している。神戸ファッションも、新たな人と企業
が受け継がれてきた伝統のブランドに磨きをかけ、神戸ファッション都市宣言から 30
年余りを経て再び光を取り戻しつつある。
ブランドとは、無形ではあるが企業・地域と消費者とのイメージの共通認識であり、
消費者にアピールする伝統や物語性を有し、高い技術力・品質、優れたデザイン・機能等
に裏打ちされた商品の信頼性をさす。厳しい状況に直面している地場産業をはじめとし
た中小ものづくり産業であるが、代々蓄積されてきた貴重な知恵と経験という拠って立
つべき資源があり、それらはブランドに不可欠な作り手のDNAが凝縮したモノを創り
出す上で何ものにも代え難い財産となる。
今後、ますます激しくなる国内外との競争に晒されるものづくりでは、こうした持て
る資源を十分に生かし、供給側のみの論理を乗り越え、消費者・取引先との様々な接点に
おいて、ブランド化など本来あるべき価値の追及を通じた「売れるものづくり」が求め
られる。
こうした観点から、産地の個性や蓄積を生かしたブランド創出を支援していくととも
に、中小製造業全体に対しても、ユニバーサルデザインの活用のほか、取引関係の流動
化・多様化を好機として生かし、
販路重視の開発等を通じた取引の拡大を積極的に応援す
るなど、顧客・市場志向の「売れるものづくり」を推進する。
施策の体系
顧客・市場志向の売れるものづくり
ものづくりブランド戦略の推進
ブランド化への地場産業の気運醸成
新たな産地ブランドの創出支援
兵庫のものづくりの情報発信と
体験学習機能の強化
ひょうごファッションの
発信強化
神戸ファッションコンテストの拡充
「ドラフト!」の充実によるクリエーターの
育成と産地企業とのマッチングの促進
皮革産業の新たな市場開拓支援
人にやさしいものづくり
ユニバーサルデザインを活用したものづくり
販路と取引の多様化推進
「まずは販路」のものづくり
マーケティングナビゲートシステムの
構築による販売力の強化
投資家等とのマッチングの拡充
ものづくり見本市等の活用
59
第4章 プロジェクトの展開
③売れるものづくりプロジェクト
プロジェクト指標
■目標:新たなブランドの創出支援
成果指標:新規デザイン等創出数(件)
直近実績
平成 17 年度
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
3
測定時期
―
3月末
平成 18 年度
平成 19 年度
4
3月末
5
3月末
■目標:地場産業の新分野進出・新製品開発の促進
成果指標:地場産業新分野進出・新製品開発支援事業における支援先の売上増加企業、又は
雇用増加企業の割合(%)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 16 年度)
目標水準(時点)
―
50.0
60.0
70.0
測定時期
―
3月末
3月末
3月末
■目標:ファッションクリエーターの育成と地場産業の活性化
成果指標:地場産業とクリエーター・デザイナーとのマッチング件数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
13
18
測定時期
―
3月末
3月末
平成 19 年度
■目標:販売代理人等による販路開拓
成果指標:販路開拓支援件数(件)
直近実績
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
測定時期
―
22
3月末
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
50
3月末
50
3月末
50
3月末
施策プログラム
Ⅰ ものづくりブランド戦略の推進
ブランドは、ヒト、モノ、カネ、情報に次いで、企業価値を創造する第五の重要な
経営資源として位置づけられ、ものづくり企業のコア技術と消費者の真の声の二つが
うまく共鳴できたところに物語性を持った強いブランドが生まれる。既に県内の産地
でも、豊岡鞄などが安価な輸入品への対抗策として、OEM(相手先ブランドによる
生産)から産地ブランド、独自ブランドの構築に向けて動き始めた。
兵庫のものづくり企業が長年培ってきた技術や品質の強みを生かしながら、デザイ
ン、情報発信の充実等を通じた競争力のある高付加価値産業へと進化を遂げるよう、
ブランドの重要性を理解し、地場産地・産品を魅力あるブランドとしてプロデュース
できる人材の派遣や内発的な育成、デザイン力の強化など、多彩な産地の個性を生か
したブランド構築を積極的に支援するとともに、兵庫のものづくりを広く県内外へP
Rすることにより、知名度やイメージの向上を図り、新たな需要の創出や販路の開拓
を促進する。
60
第4章 プロジェクトの展開
③売れるものづくりプロジェクト
1 ブランド化への地場産業の気運醸成
ブランドの重要性への認識を深め、戦略的な取り組みの契機とするため、外部専門
家によるブランド戦略に関するセミナーや講座を開設するとともに、経営コンサルタ
ント等のブランドアドバイザーなど、ブランド構築の専門家を産地企業等に派遣する。
2 新たな産地ブランドの創出支援
(1)産地企業等のブランド力強化
意欲ある企業や企業グループ等が行う魅力ある新ブランド創出のため、経営コン
サルタントやデザイナー等による戦略立案やマーケティング、デザイン管理等に対
する支援を行う。
(2)大型小売店とのマッチングによる製品開発
地場産品の良さが改めて認識され、大きく売上を伸ばすなど、産地ブランドの創
出に成果があった産地企業と大型小売店とのマッチングによる製品開発・販売を引
き続き推進し、顧客の視点に立った品質・デザインに優れたものづくりを応援する。
(3)地場産業の新製品・新技術開発等に対する支援
産地の意欲ある企業やグループ等が、国内外の市場における競争力を高めるため
に行う製品の企画立案から新製品・新技術開発、販路開拓に至るまでの取り組みに
ついて、引き続き支援する。
(4)海外研修機関への人材派遣
輸入品との競合激化等の経営環境の変化に対応するとともに、デザイン力の強化
や高度な製品技術を身につけるため、産地企業従事者を海外の研修機関に派遣する。
3 兵庫のものづくりの情報発信と体験学習機能の強化
地場産業の宝庫といわれる本県の 50 を超える多彩な地場産業やものづくりの情報
発信や体験学習、ものづくり人材育成の機能を備えた拠点の整備について検討を進め
るとともに、インターネット上での県内のものづくり産業・地場産業に関する総合的
な情報サイトの開設や、地場産業に関する展示コーナーの県内主要スポットへの設置
等により、広く情報を発信し、産地のイメージアップを図る。
さらに県内外の消費者が地場産業やものづくりの現場を直に見学する産業ツーリ
ズムを推進するなど、身近な地場産業やものづくりに対する関心と理解の増進を図る。
Ⅱ ひょうごファッションの発信強化
神戸コレクションの活況に示されるように、若者をはじめ幅広い層に人気のある神
戸アパレルのほか、神戸ケミカルシューズや播州織等の「ひょうごファッション」を
担う地場産業に関する情報をファッションイベント等の開催により、広く内外に発信
するとともに、次代のクリエーターの育成支援を行う。
また外国からの皮革産品の増加等、厳しい環境に直面している皮革産業の新規市場
開拓に向け、総合見本市への出展等を通じたファッション業界へのPRを支援する。
4 神戸ファッションコンテストの拡充
ファッションビジネスに貢献できる人材の育成をめざし、優秀者には留学の機会が
提供される神戸ファッションコンテストに、新たにアジア人材枠を設け、海外からの
61
第4章 プロジェクトの展開
③売れるものづくりプロジェクト
留学生を受け入れや産地企業へのインターンを実施する。
また、県内外のファッション関連企業のサポ
ートにより、国内から海外、海外から本県の双
方の留学修了者の成果報告として、ファッショ
ンショーを開催するとともに、優秀な地場産業
素材活用者への特別賞を設けることにより、デ
ザイナーと産地企業との連携を促進し、兵庫の
ファッションや地場産業に関する情報を広く内
外に発信する。
<神戸ファッションコンテスト>
5 「ドラフト!」の充実によるクリエーターの育成と産地企業とのマッチングの促進
次世代のファッション産
ドラフト!
業を担うクリエーターを
若手クリエーター
応 募
全国から神戸に誘引し、育
書類審査
クリエーター志望学生等
ノミネート
成するため、クリエーター
セレクトショップ、
素材としての
商
談
インテリアショップ
が企画したデザインを、セ
最終審査
地場産品情報の提供等
レクトショップ等がコン
産地企業
売り場デビュー
情報発信
ペ方式で審査し、買取条件
作品展等
付きで売り場デビューさ
せる「ドラフト!」について、情報発信のためのイベントを開催するとともに、デザ
インコンペ募集の際、地場産品の素材や技術についての情報をコンペ参加者に伝える
とともに産地見学会を実施することにより、産地企業とクリエーターとのマッチング
を促進する。
6 皮革産業の新たな市場開拓支援
アジア諸国からの安価な皮革製品の増加等の厳しい経営環境の下、皮革製品の新た
な市場開拓に向け、従来の皮革二次製造業者、流通業者を対象とした展示会に加え、
ファッション関連産業との取引が行われる日本最大の繊維関係の総合見本市への出
展を支援するとともに、高付加価値製品である「エコレザー」のファッション業界等
への普及啓発を積極的に進める。
Ⅲ 人にやさしいものづくり
品質・機能に加え、製品価値を高める要素として重要なデザインには、いわゆる「意
匠」としてのデザインと、人間工学・感性工学など人間が心地よいと感ずる色・形・
使い勝手をデザインする「技術」がある。最近、後者に関し、高齢者・障害者はもち
ろん、誰にでも使いやすい形状・特性をもった人にやさしい製品づくりのためのユニ
バーサルデザインが注目されており、県内企業におけるユニバーサルデザインを活用
した取り組みを支援する。
7 ユニバーサルデザインを活用したものづくり
ユニバーサルデザインによる製品開発への技術的支援や研修等を実施するととも
に、優れたユニバーサルデザインに対し顕彰を行うことにより、県内企業が製造する
62
第4章 プロジェクトの展開
③売れるものづくりプロジェクト
製品の信用力やアピール力の向上を図る。
(1)ユニバーサルデザイン製品の開発支援
多くの機器に共通するスイッチやパネル等について、県立工業技術センターにお
いて、指標となるモデルの製作や評価法の開発等を実施することにより、県内企業
におけるユニバーサルデザインによる製品開発を支援する。
(2)ユニバーサルデザイン人材の養成
ユニバーサルデザインの導入を検討している中小企業は多いものの、製品開発が
出来る人材が未だ少ないのが現状であることから、中小企業人材を対象としたユニ
バーサルデザイン研修を実施する。
(3)ユニバーサルデザイン賞の創設
「グッドデザインひょうご」による顕彰を拡充し、新たにユニバーサルデザイン
賞を創設することにより、ユニバーサルデザインによる製品開発を促進するととも
に、兵庫発の製品を広くPRする。
Ⅳ 販路と取引の多様化推進
従来の大企業と中小企業との固定的な下請分業構造が弱体化し、系列の枠を超えた
多様な取引の拡大や企業間の新たな連携が促進されるなかで、新たな販路開拓、販売
システムの導入等を進めることにより、企業間取引関係の多角化、取引ルートの拡大、
首都圏等の市場攻略を応援する。
8「まずは販路」のものづくり
(1)販路先行型の商品・技術開発
研究開発前のアイデア段階または開発初期段階において専門家による製品評価、
マーケティング等を行うとともに、販路マッチング会等による販路開拓を通じ、顧
客のニーズに即した徹底した顧客志向のものづくりを支援する。
(2)取引開拓による売り込み強化
中小企業の製品や技術の新たな取引を開拓するため、関西圏・首都圏等の企業訪
問等を行うことにより、顧客ニーズ把握による県内企業への受注につなげるほか、
展示会や専門商社等を活用した商談会において本県企業の製品や技術のPRを支
援する。
9 マーケティングナビゲートシステムの構築による販売力の強化
「中小企業支援ネットひょうご」が
マーケティングナビゲートシステム
支援する企業のうち、製品の販路開拓
<(財)ひょうご中小企業活性化センター>
を希望する企業に対し、その評価や売
マーケティングナビゲーターバンク
(商社・銀行・大手企業OB等)
れる製品への助言等を行うとともに、
営業・販売の実績を有する企業OBや
ナビゲートコーディネーター
相談・申込
専門家等のマーケティングナビゲータ
ナビゲーター
派遣決定
中
の紹介
ーとのマッチングを行い、企業とナビ
小
マーケティングナビゲーター
企
販売委託契約
企業訪問等
ゲーター間で成功報酬を含む販売委託
販路開拓、
業
成功報酬
情報収集
契約に基づく販路の開拓を行う。
63
顧 客
第4章 プロジェクトの展開
③売れるものづくりプロジェクト
また、ナビゲーターの掘り起こしや企業とのマッチング等を行うため、(財)ひょ
うご中小企業活性化センターにナビゲートコーディネーターを配置する。
10 投資家等とのマッチングの拡充
ベンチャー企業と投資家・提携企業との出会いの場を提供するベンチャーマーケッ
トを拡充し、企業と企業とのマッチングをより重視した運営により販路の拡大を図る。
11 ものづくり見本市等の活用
競争力を有する中小企業や地場産地の優れた製品・技術を広くPRするため、
全国で
開催される各種見本市、商談会等への積極的な出展参加や産地組合等が実施する地場
産品の展示会の開催等を支援し、新規取引等の開拓を図る。
実施工程表
1
ブランド化への地場
産業の気運醸成
2 新たな産地ブランド
の創出支援
3
兵庫のものづくりの
情報発信と体験学習機
能の強化
4
神戸ファッションコ
ンテストの拡充
5
「ドラフト!」の充
実によるクリエーター
の育成と産地企業との
マッチングの促進
6 皮革産業の新たな市
場開拓支援
7 ユニバーサルデザイ
ンを活用したものづく
り
8
「まずは販路」のも
のづくり
9 マーケティングナビ
ゲートシステムの構築
による販売力の強化
10 投資家等とのマッチ
ングの拡充
11 ものづくり見本市等
の活用
平成 17 年度
○専門家の登録・派遣
○ブランドセミナー等の開催
○ものづくりブランド
戦略の推進
○大手小売店との連携
○地場産業の新製品開
発等への助成
○海外研修機関への人
材派遣
等
○地場産業を含めたホ
ームページの製作
○地場産業展示コーナ
ーの設置
等
○アジア人材枠の設置
○留学修了者によるフ
ァッションショーの
開催
等
○デザインコンペ等、
「ドラフト!」の推進
○デザイナーと産地企
業とのマッチング
○繊維関係総合見本市
への出展支援
○ユニバーサルデザイ
ンの開発支援
○ユニバーサルデザイ
ン賞の創設
等
○販路マッチング会の
活用
等
○マーケティングナビ
ゲーターによる販路
開拓
○ベンチャーマーケッ
トの開催
○見本市参加希望者へ
の助成
64
平成 18 年度
平成 19 年度
第4章 プロジェクトの展開
③売れるものづくりプロジェクト
プロジェクトイメージ
ブランドイメージの向上・新ブランドの創造
ブランド戦略セミナーの開催(気づき、人づくり)
ブランド戦略の推進(戦略策定、マーケティング等のサポート)
1 大型小売店とのマッチングによる製品開発(産地イメージアップ)
地場産業の新製品・新技術開発等に対する支援
海外研修機関への人材派遣(デザイン力の強化)
ひょうごファッションの活性化
神戸ファッションコンテストの拡充
「ドラフト!」の開催等によるクリエーター育成
皮革製品の新たな市場開拓・総合見本市への出展
人にやさしいものづくり
ユニバーサルデザインを活用したものづくり
県
地場産業・
産地企業
内
関西圏
中小製造業
中部圏
首都圏
情報発信
海
外
情報発信
ものづくり産業
等のインターネ
ットホームペー
ジ
ものづくり体験
機能を備えた情
報発信拠点
しごとツーリズ
ムの受入
地場産業
展示コーナー
多様な新規販路開拓
販路先行型の商品・技術開発
各種見本市・展
示会等への積極
的な出展
取引開拓による売り込み強化
マーケティングナビゲートシステムの構
築による販売力強化
海外を視野に入
れたファッショ
ンコンテスト
ベンチャーマーケットの開催
顧客・市場志向の売れるものづくり
65
第4章 プロジェクトの展開
④ものづくりのための人づくりプロジェクト
④ ものづくりのための人づくりプロジェクト
めざす姿
青少年段階からのものづくりとの出会い・体験を通じ、未来のものづくりを担う人
材を育成するとともに、企業内人材や匠の職人の育成、その技術・技能の向上、技術の
産業化を担うプロ経営者の育成等に向けた訓練・学習プログラムの充実を図り、もの
づくり兵庫の鍵を握る人材面での可能性を高める。
これまでの取り組みと課題
ものづくりの現場における熟練技術者、技能者の高齢化の進展や若年層のものづくり
離れが顕著になる一方で、
競争の激化を背景に独創的な技術力・開発力を支える人材の果
たす役割が高まっている。
これまで、次代を担う青少年に対し
製造業における新規学卒入職者数の推移(全国)
ては、基盤技術の継承や技能人材育成
(千人)
400
のため、優れた熟練技能を有する「ひ
300人以上
ょうごの匠」の学校派遣や中・高生を
5人∼299人
300
対象とした技能インターンシップ等の
221.8
200
事業を展開してきた。また、県内全域
105.3
の研究機関や企業を学習の場として捉
77.3
100
え、生きた科学・技術を子ども達が学
118.5
113.5
85.0
ぶ科学技術体験学習に着手するととも
0
平成4年
平成9年
平成14年
に、教育面からは、
「理科好き」の児童
<厚生労働省「雇用動向調査」>
生徒を育成する観点から、観察・実験
プログラムの開発等を行う「理科教育推進事業(いきいきサイエンス推進プラン)
」の実
施など、児童生徒の理科への興味・関心を高める施策を推進している。
さらに、青少年だけでなく、既にものづくり現場に身を置く人材のスキルアップに向
け、第二創業塾、産業技術大学校等の講座を開設するなど、中核人材の育成や技術者の
スキルアップに取り組んできた。
今後、ものづくりを取り巻く激しい競争環境等をふまえ、青少年から現場人材まで、
課題やニーズに応じた「ものづくりのための人づくり」を産学官の連携により体系的・
総合的に展開し、人的なポテンシャルの向上を強化していくことが必要である。
とりわけ、ものづくり離れが著しい青少年、若者に対しては、消費や出来上がったモ
ノばかりに目がいき、その背景にある生産が見えない社会は、子どもたちにとって不幸
な社会であることを踏まえ、現場での体験学習を通じたものづくりとの「出会い」が求
められる。
本来モノを創り出す作業は、極めて独創的な喜びを伴うものであるにもかかわらず、
画一的な工場作業の一面ばかりが強調され、開発からデザイン、設計、調達、生産、サ
ービスに至るまでの多様な共同作業が生み出す達成感を正面から取り上げず、
あるいは、
地味で孤独な職人の姿のみを捉え、技と自己の双方を磨き、道を極める創造的な職人の
66
第4章 プロジェクトの展開
④ものづくりのための人づくりプロジェクト
世界が等閑にされてきたことは否めない。
豊かになり、モノが溢れるようになるにつれ、逆に日本人はものづくりの価値を見失
いつつあり、工業県である本県も例外ではない。地域の責務としても、ものづくりと青
少年との出会いに取り組んでいくことが課題である。
また、ものづくりの現場では、現場人材の削減等による現場教育の機能が低下するな
か、2007 年以降、順次、ベテラン人材がリタイアしていくことも踏まえ、匠の職人や企
業内人材の育成が喫緊の課題となっており、中核となる人づくりのための産学公一体と
なった対応や様々な技術・技能を有する企業OB人材の活力を生かすような取り組みが
求められている。
。
プロジェクトの概要
兵庫には、伝統の地場産業、匠の技を持つ職人、練達の技能を駆使する町工場、さら
に今日のものづくりのパワーを体感できる鉄鋼・造船・プラント等の大規模事業所やハイ
テク工場まで、多彩なものづくり現場がある。こうしたものづくり企業や匠の技を持つ
技能人材に協力を要請し、また、そうした兵庫のものづくりの情報を総合的に発信する
仕組みを構築し、青少年段階からのものづくり体験学習を推進し、ものづくりの創造的
な喜び、それを支える技術、技能、科学への関心を呼び覚ます取り組みを推進する。
青少年期からのものづくりとの出会いが、将来的なものづくり人材の確保につながる
かどうかは定かではない。しかし、ものづくりの現場で子どもらが見、触れ、聞き、感
じることは、ものづくりからさらに普遍化し、やがてあらゆる仕事の場で職業人として
自らが担うべき生産的な営みが凝縮されたものであり、兵庫の子どもたちは、ものづく
りの体験から、職業観・社会観の形成に繋がる多くのことを学ぶと考えられる。
さらに、兵庫のものづくりの強みを生かすため、ものづくり人材の中核的な育成機関
の設立を検討・推進するとともに、先行的に中小製造業や匠の世界における中核的な技
術・技能人材の育成、職業能力開発を総合したものづくり人材大学校事業を実施し、優れ
た技術・技能を持つ匠や企業内人材の育成に取り組む。
また、技術の産業化等を担うプロ経営者・プロ人材の育成、ものづくりに関する体験
学習や情報の発信等の機能を併せもった拠点の整備についての検討など、ものづくりを
支える世代を超えた技術・技能・科学人材の厚みと資質の向上を図る。
67
第4章 プロジェクトの展開
④ものづくりのための人づくりプロジェクト
施策の体系
ものづくりを担う技術・技能人材の厚みと資質の向上
青少年の
ものづくりへの理解増進
ものづくり現場等での体験学習の推進
ものづくり現場人材の育成
ものづくり人材育成機関構想の推進
ものづくり人材大学校事業の推進
プロ経営者等の養成
MOT(技術経営)セミナー等の開催
企業OB人材の活用による
中小企業のものづくり力強化
ものづくり体験学習・PR
推進拠点構想の推進
ものづくりの体験学習・PR
推進拠点の整備検討
プロジェクト指標
■目標:青少年のものづくりへの理解増進
成果指標①:青少年のものづくり体験学習への参加者数(人)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
5,000
7,000
測定時期
―
平成 18 年6月末 平成 19 年6月末
平成 19 年度
8,000
平成 20 年6月末
成果指標②:青少年のものづくり体験学習を通じてものづくりに興味をもった者の割合(%)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
70.0
75.0
80.0
測定時期
―
平成 18 年6月末 平成 19 年6月末 平成 20 年6月末
■目標:ものづくりに携わる人材の育成
成果指標①:ものづくり分野での実務・教育連結型人材育成システム等受講者数(人)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
190
280
350
測定時期
―
平成 18 年6月末 平成 19 年6月末 平成 20 年6月末
成果指標②:企業内ものづくり人材の養成数〔技術技能向上講座等、在職者向け研修〕(人)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
4,143
4,380
4,390
4,410
測定時期
平成 16 年6月 平成 18 年6月末 平成 19 年6月末 平成 20 年6月末
■目標:プロ経営者等の養成
成果指標:MOT(技術経営)人材及び知的財産専門家の養成数(人)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
180
180
測定時期
―
3月末
3月末
68
平成 19 年度
180
3月末
第4章 プロジェクトの展開
④ものづくりのための人づくりプロジェクト
施策プログラム
Ⅰ 青少年のものづくりへの理解増進
青少年の技術・技能・科学への関心を高めるとともに、将来のものづくり人材へと
つないでいくため、県・国・学校・産業界が連携し、「しごと体験ネットワーク」を
形成しながら、ものづくりの現場における体験学習やインターンシップ等を実施する。
1 ものづくり現場等での体験学習の推進
青少年を対象に地場産業やものづくりに対する関心の喚起、理解の増進を図るため、
ものづくりの現場等において技術者等の技に直接触れることが出来る体験学習を推
進する。
(1)ものづくり産業の情報発信(再掲)
ものづくりへの関心を高めるため、地場産業や地場産品、匠の技等を紹介し、バ
ーチャルなものづくり体験も可能な総合情報サイトをインターネット上に開設す
るとともに、若者しごと倶楽部において、ものづくり産業のPRのためのイベント
を開催するなど、広くものづくり産業の情報発信を行う。
(2)ワーク・デーの推進
ものづくり産業などの企業現場を地域社会の子供、生徒・学生に開放するワー
ク・デーを実施し、地域ぐるみでの職業意識形成を推進する。
(3)しごとツーリズムの推進
伝統産業から先端産業まで県内に豊富に存在する産業・技術に関連した施設を、
ものづくり体験のツーリズム資源として捉えて広くPRし、小・中学生が、これら
施設をものづくり体験のために訪れる際の借上バス経費の一部を助成する。
(4)「ひょうごの匠」キャラバン隊の推進と小学生への拡充
県内の優れた技能者である「ひょうごの匠」を中学
校に派遣し、技能の素晴らしさ、楽しさ、難しさを中
学生が体験することにより、技能の伝承や技能尊重気
運の醸成を図る「ひょうごの匠」キャラバン隊を引き
続き推進するとともに、派遣中学校の近隣の小学生に
対しても体験学習の機会を提供する。
<ひょうごの匠キャラバン隊による学校訪問>
(5)ものづくりインターンシップの推進
中・高生が、夏休み期間中に県内のものづくりの現場である工場や地場産地企業、
「ひょうごの匠」の職場等において技術・技能者が実際に仕事に向かう姿に触れ、
また実際に仕事を体験することにより、ものづくりの楽しさ、難しさ等を味わうも
のづくりインターンシップを拡大実施する。
(6)技能一日塾の開催
小・中・高校生を対象に、県の公共職業能力開発施設の訓練科目を生かしたもの
づくり体験を実施し、ものづくりの楽しさや達成感などを体感する機会を提供する
技能一日塾を開催する。
(7)小・中・高校生を対象とした科学技術体験学習の本格展開
先端科学技術分野の企業や産官の研究機関において、科学実験や研究者との意見
69
第4章 プロジェクトの展開
④ものづくりのための人づくりプロジェクト
交換などにより、子ども達が直接科学技術にふれ、学ぶ、体験学習事業を実験的に
行ってきた成果を生かし、通年にわたり県下全域で本格的に推進するとともに、青
少年の理科や科学技術への興味・関心をより一層高めるため、小・中・高校生を対
象とした科学アイデアコンテスト(顕彰制度)を創設する。
(8)高校教員のための体験研修の実施
企業がものづくりの人材の輩出源として期待する工業系学校の教員に対し、現場
体験学習を実施することにより、ものづくり現場のニーズや動態に即した人材の育
成を推進する。また、工業系学校以外の教員についても、しごと体験協力企業バン
クを活用し、教員の研修におけるものづくり現場での体験を呼び掛ける。
Ⅱ ものづくり現場人材の育成
兵庫のものづくりの強みを生かし、より伸ばすため、ものづくり人材の中核的な育
成機関の設立を検討・推進するとともに、その先行事業として、これまでの取り組み
を総合した「ものづくり人材大学校」事業を実施し、匠の技を持つ技能人材や製造業
の競争力を支える熟練技術、高度技術をもつ人づくりに取り組む。
2 ものづくり人材育成機関構想の推進
21世紀の兵庫のものづくりを支える現場人材を育成するため、県内の大学や公共
職業能力開発施設のポテンシャルを糾合しながら、個人技能を駆使する匠から工場系
の技術者・熟練工までを対象に、求職者の即戦力トレーニング、企業在職者の技術・技
能向上などの機能を持つ中核的なものづくり人材の育成機関のあり方を検討し、その
具体化を図る。
3 ものづくり人材大学校事業の推進
ものづくり人材育成機関構想の検討と並行し、その先行事業として「兵庫しごとカ
レッジシステム」や既存の公共職業能力開発施設の事業等を総合し、県民の選択性を
高め、訓練内容の充実を図る「ものづくり人材大学校」をソフト事業として実施する。
ものづくり人材大学校におけるプログラム例
職
種
在
職
者 向
け
求
職
者 向
け
匠コース
大 工 、 左 ■匠の技向上講座
官、建具、 ・事業主が行う認定職業訓練
畳、造園等
技術・企業
系コース
技術者、加 ■技術技能向上講座
■即戦力人材養成講座
工・溶接・ ・事業主等が行う認定職業訓練
・オーダーメイド型の事業
板金・プレ ・(社)兵庫工業会等の技術研修
主委託訓練
ス、塗装等 ・公共職業能力開発施設での在職者訓練
・公共職業能力開発施設で
の技能者
■皮革講座、酒造講座
の実務・教育併用訓練
■先端技術講座
・クラスターに関連した事業主等委託訓練
・クラスターに関連した兵庫工業会の技術研修
・産学連携による製造業中核人材の育成 等
70
■未来の匠養成講座
・オーダーメイド型の事業
主委託訓練
・公共職業能力開発施設で
の実務・教育併用訓練
第4章 プロジェクトの展開
④ものづくりのための人づくりプロジェクト
<匠コース>
(1)匠の技向上講座
■事業主等が行う認定職業訓練(在職者)
大工、左官、建具等の技能職の職業能力の開発のため、事業主等が実施する職
業訓練で知事が認定したものについてについてその経費を補助し、技能の向上を
促進する。
(2)未来の匠養成講座(求職者)
■オーダーメイド型の事業主委託訓練
事業主委託訓練を活用し、オーダーメイド型の実践的な現場訓練により、匠の
技をもつ人材の育成を行う。
■公共職業能力開発施設での実務・教育併用訓練
兵庫しごとカレッジシステム運営協議会を構成する関係機関・団体等の密接な
連携の下、公共職業能力開発施設の訓練科目に短期間のインターンシップを導入
する短期企業実習システムにより、匠の技能人材を育成する。
<技術・企業系コース>
(3)技術技能向上講座(在職者)
■事業主等が行う認定職業訓練
企業における技術・技能者の職業能力の開発
のため、中小企業などの事業主が実施する職業
訓練で知事が認定したものについてについてそ
の経費を補助し、技術・の向上を促進する。
■(社)兵庫工業会等の技術研修
<事業内職業訓練>
(社)兵庫工業会等において県内の中小企業の
従業員に対する専門的な技術力を育成するための実践的な研修を実施すること
により、ものづくり現場における産業の高度化、高付加価値化に対応できる技
術・技能人材を養成する。
■公共職業能力開発施設での在職者訓練
企業における技術・技能者を対象として、技術革新等に対応できる技術・技能
を習得するための短期の職業訓練を土日、夜間などに公共職業能力開発施設にお
いて実施する。
(4)皮革講座(在職者)
県立工業技術センターにおいて、皮革製造に関する基礎知識、生産技術及び経営
管理等について、現場に即した研修を実施する。
(5)酒造講座(在職者)
酒造関係団体との連携により、清酒技術の基礎的・専門的知識及び技能の習得を
支援し、近代的生産体制に対応できる技能者を養成する。
(6)先端技術講座(在職者)
■クラスターに関連した事業主等委託訓練
クラスターの成長を支援するため、関連の先端技術と熟練技術の融合を図る人
材を、事業主等委託訓練など企業内訓練の活用により育成する。
■クラスターに関連した(社)兵庫工業会等の技術研修
(社)兵庫工業会等において、クラスター関連の成長産業分野を支える先端技術
71
第4章 プロジェクトの展開
④ものづくりのための人づくりプロジェクト
と熟練技術の融合を図る人材育成のための技術研修を実施する。
■産学連携による製造業中核人材の育成
産業技術の高精度・高信頼・ハイスピード化・短
サイクル化や 2007 年問題によるベテラン人材のリ
タイヤ等に対応し、製造現場における技術者等、中
核的な人材を育成するため、(社)兵庫工業会や県立
工業技術センター等が産学との連携を強め、本県の
ものづくり産業の特性に応じた問題解決能力を持
<(社)兵庫工業会における技術研修>
つ人づくりに取り組む。
(7)即戦力人材養成講座(求職者)
■オーダーメイド型の事業主委託訓練
事業主委託訓練を活用し、オーダーメイド型の実践的な現場訓練により、技
術・企業系人材づくりに取り組む。
■公共職業能力開発施設での実務教育併用訓練
兵庫しごとカレッジシステム運営協議会を構成する関係機関・団体等の密接な
連携の下、企業における実習訓練と教育訓練機関における座学とを組み合わせた
実務・教育連結型人材育成システム(デュアルシステム)を拡充するとともに、
公共職業能力開発施設の訓練科目に短期間のインターンシップを導入する短期
企業実習システムにより、ものづくり現場に即した技術人材を育成する。
Ⅲ プロ経営者等の養成
ものづくり企業の経営者・実務者にとって企業戦略的にも重要な技術経営や知的財
産についてのセミナー等を実施することにより、意識啓発やスキルの向上等を図る。
さらに、団塊世代等の企業OB人材の活躍と中小企業における技術・技能の向上を
ともに実現するために、両者のマッチングに取り組む。
4 MOT(技術経営)セミナー等の開催(再掲)
技術革新の加速や競争の激化が進むなか、
技術の産業化・事業化を担う人材として、
その重要性が高まっているMOT(技術経営)に関するセミナーや知的財産を戦略的
に保護・活用できる経営者・実務者を養成するセミナー等を開催し、県内企業におけ
る技術・知的財産重視の経営戦略を支援する。
5 企業OB人材の活用による中小企業のものづくり力強化
シニアしごと倶楽部(仮称)において、ものづくり現場における経験に基づいた技
術・技能を有する企業退職者と、こうした人材を求める中小企業等とを、面接会の開
催や職業紹介等によりマッチングし、中小企業等における技術・技能人材の確保、も
のづくり力の強化を図る。
Ⅳ ものづくり体験学習・PR推進拠点構想の推進
ものづくり体験の効果的な推進と、兵庫の地場産業や匠の技術の紹介機能等を併せ
持つ、ものづくりに関する体験学習・情報発信拠点施設の整備について検討を行う。
72
第4章 プロジェクトの展開
④ものづくりのための人づくりプロジェクト
6 ものづくりの体験学習・PR推進拠点の整備検討(再掲)
青少年のものづくりへの関心を高めるため、ものづくり現場での体験学習を円滑・
効果的に推進する機能と、兵庫の地場産業や匠の技のものづくりの実演、来場者のも
のづくりの直接体験等、施設内での体験学習機能を中心に、地場産業等に関する情報
発信機能等をも併せ持った拠点施設について、ものづくり人材育成機関との一体的な
整備も視野に入れながら検討を行う。
ものづくりの体験学習・PR推進拠点のイメージ
機能・内容
整備の視点
施設の概要
・ものづくり体験の円滑・効果的な推進による若年者の社会観、
職業意識の高揚
・地場産業等、兵庫のものづくりを幅広くPRすることにより、
地産地消を推進
・観光資源のPR、集客機能も有した観光の拠点
・ものづくり現場における体験学習の企画・推進
・体験学習
常設コーナー(匠の技・機械加工等)
■常設コーナー(匠の技・機械加工等)
設置場所:神戸
新製品のアンテナショ
ップとしても活用
体験コーナー、イベントコーナー
■体験コーナー、イベントコーナー
■ものづくりの実演
■体験実習の相談
・相談・情報提供
■ものづくり現場の情報提供
■学習プログラム作成支援
学習プログラム作成支援
■国の体験型職業意識啓発施設「私のしご
と館」とのネットワーク化
・展示・即売
ものづくりの実演
■地場産業製品、伝統工芸品、ものづくり
工芸製品、匠製作品
■特産品
等
実施工程表
施策プログラム
平成 17 年度
平成 18 年度
ものづくり現場 ○総合情報サイト等による
等での体験学習の
情報発信
推進
○ワーク・デーの実施
○しごとツーリズムの実施
○ひょうごの匠キャラバン
隊の拡充
○ものづくりインターンシ
ップの実施
○技能一日塾の開催
○青少年科学技術体験学習
の実施
○高校教員のための体験研
修の実施
等
2 ものづくり人材 ○ものづくり人材育成機関 ・具体化
育成機関構想の推
のあり方検討
進
1
73
平成 19 年度
第4章 プロジェクトの展開
④ものづくりのための人づくりプロジェクト
3
ものづくり人材 ○事業主委託訓練の実施
大学校事業の推進 ○(社)兵庫工業会等の技術
研修
○皮革講座、酒造講座の開設
○実務・教育連結型人材育成
システムの拡充
○公共職業能力開発施設で ・公共職業能力開発 ・公共職業能力開
の短期企業実習システム
施設における短
発施設におけ
のモデル実施
等
期企業実習シス
る短期企業実
テムの複数校で
習システム本
の導入
格導入
4 MOT(技術経 ○MOT等に関するセミナ
営)セミナー等の
ーの開催
開催
5
企業OB人材の ○企業退職者と中小企業と
活用による中小企
のマッチングの実施
業のものづくり力
強化
6 ものづくりの体 ○検討体制の整備、基本計画 ・具体化
験学習・PR推進
の策定
拠点の整備検討
74
第4章 プロジェクトの展開
④ものづくりのための人づくりプロジェクト
プロジェクトイメージ
ものづくりを担う技術・技能人材の厚みと資質の向上
小
も
の
づ
く
り
と
の
出
会
い
学
生
企業現場を地域の生徒・学生に開放する「ワーク・デー」の
推進
体験学習のため、ものづくりの現場を訪問する「しごとツ
ーリズム」の推進
優れた熟練技能を有する匠の「ひょうごの匠キャラバン隊」
による小・中学校を対象とした技能体験
中
学
生
中・高生を対象とした夏休み期間中の工場や地場産業での
「ものづくりインターンシップ」の実施
公共職業能力開発施設の訓練科目等を生かした「技能一日
塾」によるものづくり体験
企業や研究機関等において、直接科学技術にふれ、学ぶ、「青
少年科学技術体験学習」の実施、科学コンテストの開催
高
校
ものづくりの総合
的な情報発信
・地場産業や匠の
技等を紹介する
情報サイトの開
設等によるもの
づくり情報の発
信
ものづくり
現場人材
生
高校教員に対するものづくり現場体験学習の実施
ものづくりの体験学習・PR推進
ものづくり現場
拠点の整備検討
・ものづくり現場での体験学習の
円滑・効果的な推進
・ものづくりの実演、直接体験等
を通じた施設内での体験学習
の実施
・地場産業等のひょうごのものづ
くりに関するPR
等
ものづくり人材育成機関構想の推進(設立検討・具体化)
ものづくり人材育成機関構想の先行事業としての「ものづくり
人材大学校」事業の推進
就
業
能
力
の
向
上
在 職 者 向 け
プ
匠コース
ロ
グ
ラ 技術・企業系
ム コース
例
ものづくり
経営者等
求 職 者 向 け
■匠の技向上講座
■未来の匠養成講座
■技術技能向上講座
■皮革講座、酒造講座
■先端技術講座
■即戦力人材養成講座
MOT(技術経営)セミナーや知的財産セミナーの開催
企業OB人材の活用による中小企業のものづくり力強化
75
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
兵庫の「やる気」を伸ばし、しごとと暮らしを豊かにするために
⑤ 挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
めざす姿
経営革新を志すプロ経営者や起業家の育成、地域金融機関と連携した金融システム
の充実等を通じ、中小企業の強みである機動性・創造性・スピードを最大限に生かし
た活発な挑戦や自立を促すとともに、経済・雇用の担い手である中小企業を育む地域
環境を形成する。
これまでの取り組みと課題
経済・社会環境の構造的変化の中で、中小企業が抱える課題は複雑化してきており、
顧客志向の商品・サービスづくり、高品質・短納期・低コストの実現、市場の成熟化に伴う
新たな事業開拓、経営・財務体質の強化など、変化に対した柔軟かつ持続的な攻めの経
営革新に取り組んでいくことが課題となっている。
再活性化プログラムでは、こうした経営課題の複雑化に対応し、産業支援機関の連携
体制を構築した上で、やる気を持った中小企業の第二創業・新分野進出への経営・技術両
面からの支援、
ITを活用した経営の効率化等を推進し、
地域経済の活力の源泉として、
また雇用の担い手としての自立した中小企業の輩出を目指してきた。
また、中小企業を支える資金面については、民間金融の補完する政策金融としての融
資・信用保証制度により、厳しい金融環境に対応したつなぎ資金の調達を支援したほか、
売掛債権担保融資保証や経営活性化資金の創設等担保軽減への取組みを展開してきた。
今後、兵庫経済の根幹を担う中小企業や起業家が、環境変化を味方につけて大きな飛
躍を遂げ、あるいは、着実に経営基盤を確かなものとしていくよう、行政も産学の資源
を生かしつつ、経営革新等の経営行動をより効果的に支援していくことが必要である。
中小企業において常に大きな課題である資金面については、リレーションシップバン
キング(地域密着型金融)に取り組む地域金融機関と連携しながら、担保軽減のための
施策をさらに進化させることが求められる。知
企業における無形資産割合(平成 14 年)
識社会の進展、デフレなど様々な要因が重なる
100%
中で、企業経営における土地、機械、設備とい
無形資産,
無形資産,
った有形資産の割合は下がり、逆に技術力、特
37.8%
59.9%
許、人材などの無形資産の割合が高まる傾向に
50%
有形資産,
ある。平成 14 年時点において、わが国企業では
有形資産,
62.2%
40.1%
無形資産割合が4割弱にもなり、製造業だけを
0%
みると実に6割に達している。
全業種
製造業
<平成16年版通商白書>
こうしたことからも、従来の不動産を中心と
※株式時価総額、社債、転換社債及び長期借入金から
した担保主義は曲がり角を迎えつつあり、事業 有形固定資産を差引いた部分を無形資産として計算。
76
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
収益の源泉となる債権や動産、競争力・成長性を大きく左右する技術力など、ソフトな価
値を含む多様な資産に着目した中小企業の金融システムづくりが重要になってきている。
プロジェクトの概要
兵庫には、瞠目すべき先端技術、培われた練達の技、優れた品質・コストなどの生産
力、顧客との強い絆、他に見られない技術・商品・サービスなど、光る個性を持った多種
多様な中小企業が存在する。なかには世界市場で飛躍を遂げる中小企業もある。こうし
た中小企業の役割において特筆すべきは、地域にしっかりと根を張り、地域経済の担い
手になっていることであろう。しかし他方で、景気低迷、国際化する経済活動など中小
企業を巡る情勢は厳しく、それを象徴するかのように、本県の開業率は平成元年以降、
廃業率を下回り、中小企業の量的拡大は頭打ちとなっている。
今後の中小企業施策の展開にあたっては、新しい事業を切り拓き、県民に身近な雇用
の場を創出する中小企業が経済の本格再生において果たす役割、
あるいは多様性・多元性
を特徴とし、抱える課題もまた広範に亘る中小企業への共感と洞察を深めることがまず
何よりも求められている。その上で、中小企業の自立、ひいては地域経済の自立に資す
るよう、中小企業が抱える多様な課題への実効的な解決機能を高めていくことが必要で
ある。
こうした認識の下、(財)ひょうご中小企業活性化センターを核とした「中小企業支援
ネットひょうご」の支援体制を生かしながら、経営系学部を持つ大学と新たに連携し、
中小企業経営者らの経営革新に対する気づきの機会の提供から、課題抽出、戦略の具体
化など段階的なサポートを行うとともに、成功経営者や第一線の研究者による個別の相
談・助言を行うなど、課題に応じた経営の高度化や新たなチャレンジを応援する。
また、新たな活力として期待される起業家に対しては、「起業家育成システム」の充
実を通じ、その離陸や事業の円滑化を積極的に支援していく。
中小企業の金融面においては、地域金融機関との連携を強めながら、技術力・成長性
の評価制度や新たな信用保証の仕組みを創設するなど、脱物的担保・脱第三者保証人の
流れを加速する政策金融を展開し、資金調達が、やる気と可能性を有する中小企業の事
業展開を妨げることがないよう、民間金融システムの効果的な補完に努める。
なお、県内に甚大な被害をもたらした台風第 23 号など一連の風水害に係る対策とし
て、平成 16 年度に、被災地域の地場産業・商店街・観光等への様々な支援策を速やかに
実施したところであるが、平成 17 年度以降も災害復旧貸付に係る利子補給を行うなど、
甚大な被害をもたらした平成 16 年の風水害に伴う被災産業の復旧・復興に万全を期す。
77
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
施策の体系
中小企業と起業家の自立支援
中小企業の創造的革新支援
産学の連携による経営戦略支援
支援ネット社外相談役による経営指南
支援ネットによる総合的支援の推進
起業家育成システムの充実
中小企業を支える
政策金融の新たな展開
兵庫独自の技術力・成長性評価システムの
構築(脱担保・脱第三者保証人金融の推進)
リレーションシップバンキング支援保証制度
の創設(脱担保・脱第三者保証人金融の推進)
資金調達の多様化・円滑化に向けた取り組み
中小企業融資制度の改善
台風災害からの
復旧・復興の推進
地域産業の復旧・復興支援
プロジェクト指標
■目標:経営革新による元気企業の創出
成果指標①:第二創業・新分野進出支援事業における支援先の売上高増加企業、又は雇用増加
企業の割合(%)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 16 年度)
目標水準(時点)
ー
20.0
30.0
50.0
測定時期
ー
平成 18 年9月末 平成 19 年9月末 平成 20 年9月末
成果指標②:経営革新計画終了企業における付加価値増加企業の割合(%)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 15 年度)
目標水準(時点)
61.0
62.0
63.0
測定時期
平成 16 年 3 月末
3月末
3月末
平成 19 年度
64.0
3月末
■目標:競争力のあるベンチャービジネスの育成
成果指標:ベンチャーマーケットにおける投資・提携のマッチング数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
42
25
25
測定時期
平成 16 年 3 月末
3月末
3月末
平成 19 年度
■目標:多様な資金ニーズへの対応
成果指標:中小企業融資制度に係る融資実績(億円)
直近実績
平成 17 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
2,252
2,300
測定時期
平成 16 年 3 月末
3月末
平成 18 年度
平成 19 年度
2,300
3月末
2,400
3月末
78
25
3月末
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
施策プログラム
Ⅰ 中小企業の創造的革新支援
県内 27 の中小企業等支援機関をネットワーク化した「中小企業支援ネットひょう
ご」(平成 15 年4月発足)を生かしながら、引き続き第二創業・新分野進出に向けた
総合的な支援を推進するとともに、新たに、中小企業支援機関と経営系学部を持つ県
内の大学、成功企業の経営者らが協働し、中小企業が抱える課題に応じた経営の高度
化や新たなチャレンジを応援する。
また、新たな活力として期待される起業家に対しては、「起業家育成システム」の
充実を通じ、その事業の円滑な離陸を応援していく。
1 産学の連携による経営戦略支援
(財)ひょうご中小企業活性化センターを核とする「中小企業支援ネットひょうご」
を通じ、県立大学等の経済・経営分野における研究等と中小企業との連携を仲介しな
がら、経営戦略を考える意識啓発セミナーや産学の出会いの場としての「儲かる経営」
産学交流会、経営戦略のブラッシュアップを行う経営戦略実践塾とその後のフォロー
アップ等、気づきから戦略具体化までの段階に応じた支援を実施し、第二創業等の実
現を応援する。
2 支援ネット社外相談役による経営指南
中小企業が抱える個別課題に応じた経営の高度化や新たなチャレンジを応援する
ため、新たに大学教授陣や成功企業の経営者等を(財)ひょうご中小企業活性化センタ
ーにおいて「マイプロフェッサー」、「シニア・パートナー」として委嘱し、課題解決
に取り組もうとする中小企業者や起業家の求めに応じて経営指南を行う。
中小企業・起業家のための経営戦略支援・経営指南
中小企業支援ネットひょうご
(県内27の産業等支援機関が参画)
連携
県内大学
元気企業経営者
産学連携の経営支援
気付き、きっかけづくり
経営課題の認識
戦略の具体化
実行&チェック
経営戦略セミナー
経営戦略セミナー
「儲かる経営」産学交流会
「儲かる経営」産学交流会
経営戦略実践塾
経営戦略実践塾
実践フォローアップ
実践フォローアップ
マイプロフェッサー(大学教授陣)、シニア・パートナー(成功企
マイプロフェッサー(大学教授陣)、シニア・パートナー(成功企
業経営者)等によるパーソン・ツー・パーソンの指南・助言
業経営者)等によるパーソン・ツー・パーソンの指南・助言
取引・提携支援、経済界が設立した投資ファンド「魁」と連携し
た公的投資、第二創業・新分野進出助成 等
79
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
3 中小企業支援ネットひょうご等による総合的支援の推進
関連三法を整理統合し、制定される「中小企業新事業活動促進法(仮称)」に基づき、
国が新たに取り組むこととしている中小企業間等の新連携対策と、「中小企業支援ネ
ットひょうご」の取り組みとの相乗的な効果を期しつつ、(財)ひょうご中小企業活性
化センターを中心として、引き続き、第二創業・新分野進出などの経営革新に挑戦し、
経済と雇用の再生を担う中小企業の発掘・育成を力強く推進する。
(1)第二創業・新分野進出への支援(再掲)
成長分野等における新規性、独創性の高い先進的なものづくり産業の創出、IT
を活用したビジネス創出等の新事業開発を支援する。
(2)経営革新支援
「中小企業新事業活動促進法(仮称)
」に基づき、経営革新計画の承認を受けた中
小企業者・組合等が行う新商品・新技術・新サービス開発等を引き続き支援する。
(3)市場戦略構築支援
支援ネットの元気企業発掘・育成委員会において選定された成長期待企業の新商
品・新サービス等の市場・経営戦略構築を支援する。
(4)ひょうご経営革新賞の推進による経営品質の向上促進
県では、日本経営品質賞を範としながら、平成 13 年度に「ひょうご経営革新賞」
を創設し、顧客への理解と対応、リーダーシップ、社会的責任の遂行、人材育成や
従業員満足度、労働関連法規をはじめとした法令遵守等中小企業の経営全体の品質
向上に関する研修会の開催と顕彰を通じ、他のモデルとなる中小企業の顕在化と広
範な普及を図っているところであり、経済・雇用両面で地域に活力をもたらしなが
ら発展する革新的な中小企業の拡大を推進する。
4 起業家育成システムの充実
創業希望者等を対象としてベンチャービジネスの育成を総合的に支援する「起業家
育成システム」を拡充し、「中小企業支援ネットひょうご」等における支援策と連携
して、より効果的な実施を図る新しい起業家育成システムを構築する。
(1)キックオフセミナーの開催
新たに起業をめざす者を対象に、成功を収めた起業家の講演やパネルディスカッ
ション等を通じて、創業におけるポイントや課題に関する知識習得を支援。
(2)地域ベンチャースクールの開催
県内の商工会議所、商工会において、経営、労務、税務、資金計画、事業計画等
の基本的な経営ノウハウ習得をめざすカリキュラムにより開催。
(3)支援ネット社外相談役による経営指南(再掲)
「マイプロフェッサー」等の設置により、起業家
に対し、今後のビジネス展開に関する助言支援を実
施。
(4)投資・融資・業務提携等への支援
震災からの産業復興をめざし、平成 12 年度から、
中小企業・起業家と投資家との出会いの場として開
<ベンチャーマーケット“フェニックス”>
80
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
催してきた「ベンチャーマーケット」について、投資・支援側、中小企業・起業家側
双方の参加者を拡大し、効果的に投資・融資・業務提携等のマッチングを図ってい
く。
(5)新産業創造キャピタルの充実(再掲)
これまで、新産業創造キャピタルとして、(財)ひょうご中小企業活性化センタ
ーが直接に投資事業を行ってきたが、今後は投資事業組合などの活用による効果的
な投資の仕組みを構築するとともに、県内の経済人が中心となって設立した「ひょ
うごエンジェルファンド「魁」」等と連携し、株式投資等を中心とした円滑な資金
供給を行うことにより、成長性の高いベンチャー企業や中小企業の新事業展開等を
支援する。
起業家育成システム
キックオフセミナー
地域ベンチャースクール
(基礎的経営スキルの習得)
事業の離陸へ
投資・融資・業務提携等
への支援
支援ネット社外相談役
による経営指南
(マイプロフェッサー、シ
ニア・パートナー)
Ⅱ 中小企業を支える政策金融の新たな展開
中小企業金融は、これまで不動産と個人保証へ過度に依存してきた面があり、リス
クの回避にはつながるものの、金融機関や保証機関による中小企業経営への継続的な
チェック機能を弱体化させてきたことは否めない。他方で、中小企業は、債権や動産、
さらには技術力、成長性など多様な資産を資金調達に生かしたいとのニーズが強い。
こうしたなか、本県でも、全国と同様、金融機関貸出は減少傾向が続いているもの
の、最近、リレーションシップバンキング(地域密着型金融)の機能強化に向けて、
地域金融機関において、無担保・無保証人貸出の拡大や目利き機能の強化など、資金
供給の質の改善と量的な拡大に向けた新たな動きが出てきている。
県及び兵庫県信用保証協会では、こうした情勢を見定めつつ、これまで、債権を活
用した「売掛債権担保融資保証」の積極的な推進、中小企業の成長性を重視した「成
長期待企業貸付」や担保・第三者保証人を不要とした「経営活性化資金」の創設など、
不動産担保・個人保証の軽減を基軸とした中小企業の資金調達の多様化に取り組んで
きた。
今後、これまでの取り組みを生かしながら地域金融機関との連携をより強め、中小
企業の技術力・成長性に関する的確な評価システムや新たな信用保証システムを創設
するとともに、既存の無担保等融資の拡充を図るなど、地域経済を担う中小企業の資
金調達の円滑化に向けた政策金融の積極的な展開を図る。
5 兵庫独自の技術力・成長性評価システムの構築(脱担保・脱第三者保証人金融の推
進)
不動産など有形資産を担保とした金融が経済・社会の環境変化に対応し切れなくな
りつつある中で、中小企業の持つ無形資産、なかでも技術力や組織的な熟練技能、そ
81
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
れらの市場性に着目し、これを専門機関・専門家のネットワークにより適切に評価す
ることによって、無担保かつ第三者保証人なしで融資につないでいく新たな仕組みを
地域金融機関等との連携により創設し、成長力と意欲に富む中小企業の新たな事業展
開等を資金面から積極的に応援していく。
技術力・成長性評価のスキーム
技術力・成長性の評価が期待できる中小企業者
①融資申込
⑥マーケティ
ング等の経
営、技術支
援
⑤融資実行(無担保・
第三者保証人なし)
金融機関・信用保証協会
②評価依頼
③評価
④評価結果
中小企業活性化センター
評価組織:(財)新産業創造研究機構、県立工業技術センター等
中小企業支援ネットひょうご構成機関
評価支援ネットワーク:中小企業診断協会兵庫県支部、
県立大学、技術等評価専門会社等
6 リレーションシップバンキング支援保証制度の創設(脱担保・脱第三者保証人金融
の推進)
リレーションシップバンキング(地域密着型金融)に取り組む地域金融機関と県、
政府系中小企業金融機関が連携し、中小企業信用リスク情報データベース(CRD)
を活用した部分保証・リスク対応型保証料率で、担保・第三者保証人不要の新たな融
資保証制度(政府系中小企業金融機関が信用保証の主体となり、県と地域金融機関を
合わせた三者でリスクを負担する仕組み)を創設することにより、信用保証協会の保
証付き融資の対象とならないミドルリスク層の中小企業者に対する資金供給を円滑
化する。
7 資金調達の多様化・円滑化に向けた取り組み
中小企業の資金調達を多様化するため、無担保等融資や債権を活用した信用保証な
どについて、制度の拡充を通じた一層の利用促進を図るとともに、国の動向を見定め
つつ、機動的に新たな対応を図る。
(1)経営活性化資金の拡充
過去の中小企業経営実績のデータを活用することにより、担保・第三者保証人を不
要とし、かつ審査期間を大幅に短縮した「経営活性化資金」について、融資実績や
資金ニーズを踏まえつつ、融資条件(融資限度額、融資期間等)の充実を行う。
82
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
(2)売掛債権担保融資保証の利用促進
全国トップの信用保証実績をあげている本県の売掛債権担保融資保証制度の一
層の利用促進を図るため、県内大手企業等に対し、債権譲渡禁止特約の解除要請に
努める。
(3)地場産業等振興資金貸付金の拡充
小規模な地場産業等の設備投資に係る資金を支援する「地場産業等振興資金貸付
金」の対象業種・企業を拡大するとともに、貸付割合を高めるなど、制度の充実を
図る。
(4)資金調達の一層の多様化・円滑化
中小企業の資金調達をより多様化し、脱不動産担保・脱個人保証を推進するため、
動産譲渡の公示制度創設、債権譲渡の公示制度拡充、個人保証における包括根保証
の廃止、決算書類の信用力強化策、市場機構等を活用した売掛債権に関する取引信
用保険の普及対策等に関する国の動向を見定めながら、本県においても、柔軟かつ
機動的に新たな対応を図っていく。
8 中小企業融資制度の改善
地域経済を支える中小企業の資金需要に的確に対応した融資制度づくりのため、利
用促進につながる改善に積極的に取り組む。
(1)既存融資制度の拡充や制度の利用促進
中小企業融資制度が、中小企業により身近で役立つものとなるよう、制度の改善
や一層の普及・浸透に取り組むとともに、中小企業と金融機関の情報の非対称性を
解消するための支援を行う。
■融資制度の改善・充実
金融機関や信用保証協会との連携のもと、中小企業者等の資金ニーズを的確に
捉え、融資条件の拡充、新たな資金の創設を行うとともに、利用しやすい資金体
系となるよう努める。
■融資制度の普及・浸透
説明会や研修会を通じ、中小企業融資制度を取り扱う金融機関、商工団体の制
度理解を徹底し、融資の効果的な活用を促すとともに、市町・関係団体とも連携
し、中小企業者へのPRに努める。
■中小企業と金融機関の情報共有
第二創業、経営革新等に取り組む意欲的な中小企業に対する支援ネット構成機
関の助言・指導等の支援実績情報を地域金融機関等に提供するとともに、「ひょ
うご経営革新賞」の研修会等を通じ、中小企業における経営品質の確立のための
経営・財務情報の整備の重要性に加え、経営戦略実現のためのそうした情報の金
融機関等との共有の必要性への理解を深める。
(2)融資制度等の弾力的運用
これまで、BSE(牛海綿状脳症)、SARS(重症急性呼吸器症候群)
、鳥イン
フルエンザなど、緊急・突発的な資金需要に機敏に対応してきたが、引き続き、中
小企業を取り巻く新たなリスクに迅速に対応し、融資制度等の弾力的な運用を行う。
83
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
Ⅲ 台風災害からの復旧・復興の推進
地域産業に甚大な被害をもたらした台風第 23 号など一連の風水害からの復旧・復
興に向け、平成 16 年度に実施した緊急対策に加え、平成 17 年度以降も、災害復旧貸
付に係る利子補給を実施するなど、被災産業の復旧・復興を支援する。
9 地域産業の復旧・復興支援
台風第 23 号をはじめ、平成 16 年に本県の地域産業に甚大な被害をもたらした風水
害からの復旧・復興に向け、同年速やかに、災害復旧貸付の適用や地場産業の販路開
拓、商店街や観光地のイベント支援などの緊急対策を実施した。
しかしながら、地場産業をはじめ、地域経済を担う中小企業の被害は深刻であり、
平成 17 年度も、県及び政府系中小企業金融機関の災害復旧貸付に係る利子補給を実
施するとともに、特に大きな被害を受けた地場産業に対しては、一定の要件を設けた
上で、長期的な利子補給を行う。
(1)県制度融資及び政府系中小企業金融機関の災害復旧貸付に対する利子補給
被災中小企業が災害復旧のために借り入れた資金に対し、3年間の利子全額を補
給する。
(2)地場産業等災害復旧の支援(長期利子補給)
特に、甚大な被害を受けた地場産業の復旧・復興の円滑化に向け、一定の要件を
満たす被災産地企業に対して、10 年または 20 年の長期利子補給を実施する。
(参考)平成16年度に緊急的に実施した支援
■経営円滑化貸付(災害復旧枠)の融資期間の延長、信用保証料の引き下げ
■地場産業等振興資金貸付金に係る災害復旧貸付制度の創設
■被災地場産業イメージアップの支援
■被災商店街・小売市場施設復旧の支援
■にぎわい復活商店街・小売市場元気アップの支援
■被災観光地の誘客キャンペーンの支援
等
84
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
今後の中小企業金融の展開
従来の政策金融
原則的に担保・第三者保証人を徴求して融資⇒中小
企業は不動産担保や保証人の確保が難しく、資金繰りや
設備投資に支障。
中小企業の多様な資産に着目した
脱不動産担保・第三者保証へ
改革第1弾(H13年度)
売掛債権保証
改革第2弾(H15年度)
成長期待企業貸付
改革第3弾(H16年度)
経営活性化資金
売掛債権担保融資保証を導入・積極的に活用(これまで
全国トップの保証実績を実現)
中小企業支援ネットにおける個別企業支援の一環として、
担保・第三者保証人よりも成長性を重視する融資を創設。
担保・第三者保証人不要かつ迅速に審査する融資制度
を創設(過去の中小企業経営実績のデータベースを基に
融資判断、融資審査は1ヶ月前後⇒1週間へ)
新プログラムによる更なる改革
地域金融機関との連携強化によりさらに資金調達を多様化・円滑化
経営活性化資金、売掛債権
担保融資保証等の一層の
利用促進 等
技術力の専門的評価
に基づく融資・保証の推進
高
民間金融機関
(原則担保・第三者保証人要)
↑
金
政府系金融機関
(原則担保・第三
者保証人要)
利
↓
低
リレーションシップバンキング
支援保証(担保・第三者保証人不要)
技術力評価融資・保証
(担保・第三者保証人不要)
経営活性化資金・売掛債権担保
融資保証(第三者保証人不要)
県中小企業融資制度
(原則担保・第三者保証人要)
低
←
成長期待企業貸付
(成長性重視)
リスク
→
高
実施工程表
1 産学の連携による経営戦略支
援
2 支援ネット社外相談役による
経営指南
3 支援ネットによる総合的支援
の推進
平成 17 年度
○産学交流会の開催
○経営戦略実践塾の開催 等
○マイプロフェッサー等によ
る指南・助言
○第二創業・新分野進出への
支援 等
85
平成 18 年度
平成 19 年度
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
4 起業家育成システムの充実
5 兵庫独自の技術力・成長性評
価システムの構築(脱担保・脱
第三者保証人金融の推進)
6 リレーションシップバンキン
グ支援保証制度の創設(脱担
保・脱第三者保証人金融の推
進)
7 資金調達の多様化・円滑化に
向けた取り組み
8 中小企業融資制度の改善
9 地域産業の復旧・復興支援
○地域ベンチャースクールの
開催
○投資・融資・業務提携等へ
の支援 等
○技術力・成長性評価システ
ムの構築と運用
○制度の創設と運用
○経営活性化資金
・制度の企画・予算化
○売掛債権担保融資保証制度
等
・PRの継続実施
○地場産業等振興資金貸付金
の拡充 等
○融資制度の改善・充実
○融資制度の普及・浸透
○突発リスクへの迅速な対応
等
○県及び政府系中小企業金融
機関の災害復旧貸付に対す
る利子補給
○地場産業等災害復旧の支援
(長期利子補給)
86
第4章 プロジェクトの展開
⑤挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト
プロジェクトイメージ
中小企業の創造的革新支援
∼中小企業支援ネットひょうごの充実と推進∼
■産学の連携による経営戦略支援
■支援ネット社外相談役による経営指南
・経営戦略セミナー
産学連携 ・学識者によるマイプロフェッサー
・「儲かる経営」産学交流会
・元気企業経営者によるシニア・パートナー
・経営戦略実践塾 等
■起業家育成システムの充実
・キックオフセミナーの開催
・地域ベンチャースクールの開催
・支援ネット社外相談役による経営指南
・投資・融資・業務提携等への支援
・新産業創造キャピタルの充実
■支援ネットによる総合的支援の推進
・第二創業・新分野進出支援
・経営革新支援
・市場戦略構築支援
・ひょうご経営革新賞の推進による経
営品質の向上促進
第ニ創業・創業加速のための場、
人、情報の視点からのサポート
中小企業・起業家の自立と地域の経済・雇用の活性化
中小企業の創造的革新を支える
多様な資金調達環境
中小企業を支える政策金融の新たな展開
∼中小企業の多様な資産を資金調達に活用∼
■兵庫独自の技術力・成長性評価システムの構築
とリレーションシップバンキング支援保証制度の創
設による脱担保・脱第三者保証人金融の推進
■資金調達の多様化・円滑化に向けた取り組み
■中小企業融資制度の改善
87
台風災害からの復旧・復興の推進
■県及び政府系中小企業金融機関の
災害復旧貸付に対する利子補給
■地場産業等災害復旧の支援(長期利
子補給)
第4章 プロジェクトの展開
⑥がんばる商店街応援プロジェクト
⑥ がんばる商店街応援プロジェクト
めざす姿
「まちなかの賑わいある商店街」が地域コミュニティとともに次第に衰退するなか
で、商店街を核としてコミュニティや生活空間の回復に地域ぐるみで取り組む意欲的
な活動や、商店街の原点へ回帰した魅力ある商いの創出等を応援し、地域とともに成
長する商店街づくりを推進する。
これまでの取り組みと課題
経済の国際化の流れの中で、中小小売業者への影響の観点から大型店の出店を規制し
てきた旧大店法が海外から閉鎖的なシステムとして批判を受け、
平成 10 年に生活環境へ
の影響のみを考慮する現行の大店立地法に代わって以来、地域の中小商業活動は、
「保護
される時代」から「競争する時代」へと大きく舵を切った。
こうした規制改革の流れや、長引く景気の低迷・デフレ、生活者のニーズやライフス
タイルの変化、後継者の不足など、内外に様々な課題を抱え、県内の8百余りの商店街
では、その5割が「衰退」
、4割が「停滞・横ばい」
(県「商店街等実態調査」(平成 14
年度))と、大きな危機を迎えている。他方で、高齢化が急速に進み、また、セーフティ
ネットとしてのコミュニティ機能が弱体化する地域にあって、地域社会の核としての商
店街への期待や潜在的ニーズは、逆に高まりつつある。さらに、こうしたニーズをしっ
かりと受け止め、再生への道程を歩み始めた商店街も少なくない。
再活性化プログラムでは、こうした状況をふまえ、意欲のある商店街による空き店舗
の活用など魅力づくりやコミュニティ活性化等への柔軟な支援を展開してきたほか、商
店街対大型店の対立関係を乗り越え、住民の支持を受ける集客核としての大型店に着目
し、中心市街地からの大型店撤退後の新たな店舗誘致を地域と連携して推進してきた。
景気が回復する中でも個人消費が勢いを欠くなど、商店街を巡る情勢は依然厳しく、
その衰退という大きな流れも続いている。し
かし、あたかも危機に瀕した森が、内部で環
商店街等活性化の方向
(%)
境への適応力を持った新たな芽を育むかのよ
高齢者等住民の身近な買
46.7
うに、立ち上がり、ネットワークを組んで活
物の場
専門性・個性を生かした
性化に奔走する若手商業者、学生やNPOと
43.5
商業集積
の協働で生活者のニーズに応える商店街など、
地域の中心的な買物の場
34.4
自律的な再生の動きは着実に拡がりつつある。
地域住民の交流・コミュニ
30.4
今後も商店街を取り巻く情勢は厳しいもの
ティ機能の強化
ワンストップショッピング機能等
と予想されるが、環境変化と地域のニーズを
10.9
利便性強化
的確に捉え、地域社会の柱石となる意欲を持
0 10 20 30 40 50
った商店街を応援し、その環を拡げていくこ
<兵庫県「商店街等実態調査」(平成 14 年度)>
とが必要である。
88
第4章 プロジェクトの展開
⑥がんばる商店街応援プロジェクト
プロジェクトの概要
商店街はかつて、日々の暮らしに必要な、あるいは、非日常的な夢につながる商品や
サービスを提供するとともに、まちの賑わいを創り出し、コミュニティの核の役割を果
たしてきた。しかし、現在は、生活者の選択肢と行動範囲が拡がり、求めるものや魅力
がなければ人が寄りつかない時代になっている。逆に人を引きつけるものがあり、魅力
があれば、その情報は瞬く間に伝播し、近隣はもとより、どこからでも人は集まる、そ
ういう厳しさとチャンスが隣り合わせの時代を迎えている。
こうした中にあって、これからの商店街が地域の核としての役割を発揮し、再生して
いくためには、商店街とその構成員である個店、さらに商店街を取り巻く地域・市町が方
向性を共有しながら、人口減少・少子高齢化、環境保全など時代環境がもたらす課題解
決に地域・商店街連携で取り組んでいくとともに、安心・安全や個性といった成熟した豊
かさを求める生活者のニーズに的確に応え、地域社会に対する商店街の磁力を回復して
いくことが必要である。
こうした観点から、商業者のみならず、NPOなど様々な主体による商店街を活用し
た地域の活力、コミュニティ機能の再生を図る取り組みをサポートするほか、魅力ある
オンリーワンの個店づくり、手作りのイベントを通じたやる気や行動力を持った人材の
育成など、地域の顔、地域の誇りとなるような商店街づくりを応援する。
施策の体系
地域と共創する元気な商店街づくり
地域ぐるみの商店街活性化
地域を再生し、地域に
求められる商店街づくり
まちづくりと連携した商店街活性化
いきいき個店の創出
魅力と活力を高める
商店街づくり
商店街を担う人づくり・魅力づくり
商店街再生への基盤づくり
プロジェクト指標
■目標:地域ぐるみの商店街活性化
成果指標:支援商店街等における新規開業店舗及び新たに設置された交流施設(介護支援施設、
子育て支援施設等)数(箇所)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
13
20
20
20
測定時期
平成 16 年 3 月末
3月末
3月末
3月末
89
第4章 プロジェクトの展開
⑥がんばる商店街応援プロジェクト
■目標:まちづくりと連携した商店街活性化
成果指標:市町のまちづくりへの支援事業の対象商店街等における来街者数増加率(%)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
目標水準(単年度)
―
前年度比2%増 前年度比2%増 前年度比2%増
測定時期
―
事業実施後1年
事業実施後1年
事業実施後1年
■目標:商店街を担う人づくり・魅力づくり
成果指標:地域連携イベント等支援事業の対象商店街等における来街者数増加率(%)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
目標水準(単年度)
―
前年度比2%増 前年度比2%増 前年度比2%増
測定時期
―
事業実施後1年
事業実施後1年
事業実施後1年
■目標:商店街再生への基盤づくり
成果指標:商店街・商業集積活性化事業の対象商店街等における来街者数増加率(%)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
目標水準(単年度)
―
前年度比2%増 前年度比2%増 前年度比2%増
測定時期
―
事業実施後1年
事業実施後1年
事業実施後1年
施策プログラム
Ⅰ 地域を再生し、地域に求められる商店街づくり
商業者、NPOなどによる商店街を活用した地域の活力、コミュニティ機能の再生
を図る取り組みをソフト・ハードの両面からサポートするほか、商店街・市町など地域
主導のまちづくり・商店街活性化への動きが加速するよう、商店街・市町等の主体的
な取り組みを顕彰・応援していく。
1 地域ぐるみの商店街活性化
近年、経済環境の変化等による商店街等の衰退
に伴い、低下している商店街等の社会的機能を再
生するために商店街空間を活用して行う、障害者
の製作による商品の展示販売(福祉指向)、高齢者
向け給食配達サービスの提供(高齢者対応)、託児
所の設置・運営(子育て支援) 、空き缶回収機の設
置(環境指向)といった事業や商業機能の強化に向
けた新規開業者向け店舗の提供等の取り組み、厳
しい経営環境や経営者の高齢化、後継者の不在等に伴う事業継承の取り組みに対して、
幅広く支援することにより商店街の求心力を高め、商店街等の活性化を図る。
(1)商店街・個店訪問御意見隊の派遣
商業コンサルティングの専門家に加え、先進的商業者、主婦、学生、NPO職員
等幅広い分野の人材からなる御意見隊を派遣し、複数の目によりチェックした上で、
商店街空間の効果的な活用をはじめ、広く商店街等の活性化について踏み込んだ提
言を行うなど、商店街の活性化やまちづくりのプロデューサー的な役割を持った外
部からの提案活動を推進する。
90
第4章 プロジェクトの展開
⑥がんばる商店街応援プロジェクト
御意見隊派遣
活用
事業例
提
言
活性化事業の展開
魅力店舗の新規出店等「地域と商店街
の元気創出支援」(ソフト支援)
安全・安心・魅力の創出支援
(ハード助成)
市町のまちづくりへの支援
地域一体のイベント支援、
商店街スクラムアップ支援
(2)地域と商店街の元気創出支援(ソフト支援)
■魅力店舗の新規出店支援
商店街等が、不足業種・業態を解消するために実施するテナントミックス(個
店の誘致・業種転換)計画の策定を支援する。また、商店街等のテナントミック
ス計画に基づき出店する、必要な業種・業態の新規出店促進のための取り組みに
対して支援する。
■商店街事業継承の支援
○廃業見込商業者と新規開業者とのマッチングの支援
後継者不在店舗の設備・ノウハウ・顧客などを生かし、新規開業希望者のマ
ッチングを図る取り組みに対し、支援を行う。
○事業承継の支援
商店街等のマッチングにより、後継者不在店舗の設備等を活用して出店する
新規開業者に対し、支援を行う。
■元気商店街への継続支援
これまでに支援を受けて、空き店舗の活用事業を実施したケースで、活性化に
対する成果が評価でき、フォローアップにより効果が得られると認められるもの
について、1年間フォローアップ(支援)を行う。
■ミニチャレンジショップの新規開業支援
空き店舗等を活用した、新規開業者向け貸店舗を運営する事業に対して支援を
行う。
■コミュニティ施設の活用による活性化支援 等
空き店舗等を活用した、
コミュニティ形成に寄与する事業に対して支援を行う。
(3)安全・安心・魅力の創出支援(施設等整備の支援)
商店街、まちづくり団体等がまちづくりの観点から取り組む商店街等の活性化に
資する多彩な施設・設備の整備に対して支援する。
2 まちづくりと連携した商店街活性化
まちづくりと一体となった先導的な取り組みや特色ある優れた事業を実施する商
店街等の団体を顕彰し、その取組事例を広く紹介することにより、県下全体の商店街
等のまちづくり活動のレベルアップを図るとともに、地域の実情に精通し、まちづく
りに関するコーディネート能力を発揮できる立場にある市町の主体的な取り組みを
促すなど、地域と商店街の変革力を引き出し、まちづくりと一体となった商店街等の
活性化を図る。
91
第4章 プロジェクトの展開
⑥がんばる商店街応援プロジェクト
(1)まちづくりシンポジウムの開催
まちづくりと一体となった先導的な事例や特色ある優れた取り組みを広く紹介
し、商業者や地域活動家等の意識啓発を図る場として、商業者のほか、市町、TM
O(タウンマネジメント機関)、商工会議所等の職員、まちづくりに携わる市民、N
PO等の参加によるシンポジウムを新たに開催する。
(2)商店街等のまちづくり活動の顕彰
まちづくりにおける様々な分野で特色ある事業を展開する商店街等を新たに募
集し、特に優れたものを選定のうえ、まちづくりシンポジウムの場で顕彰を行う。
(3)市町のまちづくりへの支援
明確なコンセプトのもと、まちづくりの観点から商店街等の活性化に取り組む市
町に対して、ハード・ソフトの両面からの複合支援を新たに行う。
【支援事業例】○起業家支援・人材養成 ○地域資源活用 ○産学連携・地域連携
○集客核整備 等
Ⅱ 魅力と活力を高める商店街づくり
魅力あるオンリーワンの個店づくり、手作りのイベントを通じたやる気や行動力を
持った人材の育成、大型空き店舗の活用や商業基盤施設の整備支援など、地域の顔、
地域の誇りとなるような商店街づくりを応援する。
3 いきいき個店の創出
個性やこだわりを発揮する「オンリーワン商店」の創出、ユニーク店舗の出店など、
個店の魅力づくりや商店街等での新規開業を支援することにより、商店街等の新陳代
謝を促し、賑わいのある空間づくりを促進する。
(1)商店街・個店訪問御意見隊の派遣(再掲)
同一商店街等の5人以上の商業者グループの要望により、商業コンサルティング
の専門家に加え、先進的商業者、主婦、学生、NPO職員等幅広い分野の人材から
なる御意見隊を派遣し、複数の目によりチェックした上で、課題の抽出とアドバイ
スを行い、個店の魅力向上につなげていく。
(2)オンリーワン商品の開発支援
商店街等の構成店舗5店以上が取り組む「オンリーワン商品」開発(試作品づく
り、PR、アンケート調査、試食会開催等)を新たに支援する。
(3)「いきいき個店」の経営支援
小売商業活性化セミナーの開催、専門家による無料活性化相談の実施、各種の情
報提供などにより個店の経営支援を行う。
(提案・実践)
オンリーワン商品の開発支援
御意見隊の派遣
(魅力づくり)
(提案・実践)
「いきいき個店」の経営支援
(活用)
■コミュニティ・ビジネス関連の支援
■生活・サービス産業の創出支援 等の施策も活用
92
第4章 プロジェクトの展開
⑥がんばる商店街応援プロジェクト
4 商店街を担う人づくり・魅力づくり
商店街等が取り組む地域と一体となったイベント
事業、地域資源を活用した「オンリーワン商店街づ
くり」への取り組み等を支援することにより、地域
の賑わい創出のほか、商店街等の活性化に不可欠な
まちづくりリーダーの創出・育成、商店街等のまと
まりの醸成、地域コミュニティ機能の強化等を図る。
(1)地域と一体となって実施するイベントの支援
商店街等が、地元市町と連携して実施するイベントについて支援を行う。
(2)商店街スクラムアップの支援
商店街等が「地産地消」、「商と農の交流」などを進めるため、地元生産者団体等
と一体となって取り組む特産品の開発、販売ルートの開設、地域資源を活用して、
商業者が連携して取り組む商店街等の名物づくり、こだわりサービスの展開など、
「オンリーワン商店街づくり」への取り組み等を支援する。
5 商店街再生への基盤づくり
(1)集客核の再生支援(大型空き店舗の活用等の支援)
大型店舗が閉鎖され、後継店舗が決まらないために顧客離れが危惧される同居の
専門店集積や隣接する商店街の集客力を維持するため、集客イベントへの支援や新
規出店の促進支援を引き続き行う。
(2)中心市街地商業活性化の支援(ソフト事業の支援)
中心市街地活性化計画に基づき、TMO(タウンマネジメン
ト機関)等が実施する中心市街地の中小商業の活性化のための
ソフト事業(魅力を高めるために必要な業種・業態のテナント
が空き店舗に入居する際の家賃補助、地域住民等の同意形成の
ための委員会・説明会の開催・調査等)を支援する。
(3)商店街・商業集積の活性化支援(商業基盤施設の整備支援)
中心市街地活性化法、中小小売商業振興法の認定を受けた
計画等に基づき、商店街振興組合等が行う商業基盤施設(カ
ラー舗装等)の整備に対して引き続き積極的な支援を行う。
実施工程表
1 地域ぐるみの商店街活
性化
平成 17 年度
○商店街・個店訪問御
意見隊
・3地域でモデル事業
実施
○地域と商店街の元気
創出支援
○安全・安心・魅力の
創出支援 等
93
平成 18 年度
・派遣希望団体の把
握、全県で実施
平成 19 年度
第4章 プロジェクトの展開
⑥がんばる商店街応援プロジェクト
2 まちづくりと連携した
商店街活性化
3 いきいき個店の創出
4 商店街を担う人づく
り・魅力づくり
5 商店街再生への基盤づ
くり
○シンポジウム、まち
づくり活動の顕彰、
市町のまちづくりへ
の支援の実施 等
○商店街・個店訪問御
意見隊
・3地域でモデル事業
実施
○オンリーワン商品の
開発支援
○個店の経営支援 等
○地域連携イベントの
開催 等
○集客核再生支援
○中心市街地商業活性
化支援 等
・派遣希望団体の把
握、全県で実施
プロジェクトイメージ
地域コミュニティの核となる元気な商店街づくり
Ⅱ 魅力と活力を高める商店街づくり
Ⅰ 地域を再生し、地域に求められる商店街
づくり
3 いきいき個店の創出
■御意見隊の派遣
■「オンリーワン商品」の開発支援
■小売商業活性化セミナーの開催
等
4 商店街を担う人づくり・魅力づくり
■商店街等が取り組む地域と一体とな
ったイベント事業の支援
■「地産池消」、
「商と農の交流」等を進
める取り組み、地域資源を活用した
「オンリーワン商店街づくり」への取
り組み等の支援
5 商店街再生への基盤づくり
■大型空き店舗の活用等の支援
■商業基盤施設(カラー舗装等)の整備支
援
等
1 地域ぐるみの商店街活性化
■広く商店街等の活性化について提言
を行う御意見隊の派遣
■個店の誘致・業種転換の支援
■商店街事業継承の支援
■コミュニティ施設の活用等の支援
■安全・安心・魅力の創出(施設等整
備)支援
等
2 まちづくりと連携した商店街活性化
■まちづくりシンポジウムの開催
■まちづくりの観点から商店街等の活
性化に取り組む市町に対する複合支
援
等
県
市町
地域・コミュニティ
NPO
住民
活用
交流、子育て・・・
住民団体
地域の核
としての
商店街
活用
活用
買物、学習・・・
活用
94
学校・
学生
コミュニティ
・ビジネス
住民
第4章 プロジェクトの展開
⑦生活を豊かにするしごと創出プロジェクト
⑦ 生活を豊かにするしごと創出プロジェクト
めざす姿
需要と供給の両面で地域のあらゆる資源を活用しながら、県民に豊かなライフスタ
イルや働く場を提供し、そこから成長の糧を得るような地域立脚型の多様なサービス
産業の創出を推進し、地域を支え、地域に支えられるしごとを軸とした新たな地域経
済の発展モデルを形成する。
これまでの取り組みと課題
派
遣
ビ
ス
介
報
・人
サ
材
ー
福
人
職
業
紹
情
等
所
育
老
童
児
療
医
保
95
祉
祉
福
険
・保
連
レ
ジ
ャ
ー
関
関
活
生
サ
ー
ビ
ス
業
全
連
体
再活性化プログラムでは、県民生活を豊かにするとともに、雇用機会を提供する成熟
社会に相応しい産業を育成するため、成長産業分野の振興策等の中で、環境、生活文化、
福祉、企業支援、地域の資源を生かしたビジネスなど、多様なサービス産業の創出支援
を展開している。
また、地域レベルで住民・事業者自らが公共性・非営利性の高い社会サービスや商品
を提供するコミュニティ・ビジネスについても、NPO自体の中間支援組織としての参
画を促しながら、震災以降被災地で芽生えたNPO活動の発展形を含め、数多くの事業
の立ち上がりを応援してきた。
本県では近年、経済のサービス化の流れの中で、サービス産業が成長の度合いを強め
ており、コミュニティ・ビジネスについても、先進的な地域を形成している。
今後も、少子・高齢化をはじめ、様々な構造変化が進む中で、個人・家庭向け、住、
環境、芸術文化、教育、娯楽(エンターテイメント)
・余暇、スポーツ・健康、子育て、
高齢者ケア、情報、ビジネス支援など、多彩なサービス産業が成長する可能性を秘めて
おり、生活やビジネスを革新する原動力として、経済活力の担い手として、大きな雇用
吸収の場として、そして、職住
サービス業の従業者数増加率(H8→H13)
近接など多様な働き方を実現
(%)
119.0
120
するしごととして、ものづく
100
全国 兵庫県
80.5
りと並ぶ兵庫の中核産業とな
72.3
80
63.1
ることが期待されている。
60
42.3
32.3
しかし、サービス産業は、
40
17.9 20.0 25.5
13.2
20
6.9 5.3 4.5 4.6
大規模な設備投資を要さず、
0
比較的創業や参入が容易な反
-9.6
-20
-20.4
面、計画性や事業の継続性が
弱い事業も多く、生産性が二
極化するといった問題を抱え
ており、こうしたサービス産
<総務省「事業所・企業調査」>
業の課題に応じた育成策が必
要となっている。
第4章 プロジェクトの展開
⑦生活を豊かにするしごと創出プロジェクト
プロジェクトの概要
サービス産業はそれ自体単独で、あるいは、産業の中間投入に占める割合が拡大し、
他産業と融合する形でと二面から拡大が続いており、今後もその成長可能性は高い。例
えば、本県の65歳以上人口は、平成12年の約94万人が10年後の22年には120万人を超え、
人口構造や世帯構成も大きく変化する。これにより、医療・福祉関連や豊かな老後を彩る
教養・娯楽関連、あるいは、いまはまだ形になっていないサービス産業が生まれ、伸びる
など、今後の環境変化は様々な新規サービスの市場を創造していく。
いずれにせよ、今後、生活の豊かさや働く場の創出に顔の見える形で貢献しながら、
地域を支え、地域に支えられるサービス分野の発展可能性は大きい。県内で成長するサ
ービス産業に共通するのは、そのサービスに創り手の日常が深く関わっていることであ
り、自らのライフスタイルや実践の中からシード(種)を見出し、消費者の意識にあが
っていないニード(需要)に形を与え、事業へと結びつけている。
今後、兵庫において、成熟社会を先導するような生活支援型のサービス、あるいは兵
庫が強みとするものづくりと一体化し、双方の価値を高めるような企業支援型のサービ
スなど、先見性やアイデアを有する新たなサービス産業の担い手を掘り起こし、その離
陸をサポートしていくとともに、生産性や付加価値の向上に資するようなIT化、人的
ポテンシャルの向上などを支援していく。
また、地域課題の解決や就業機会の創出だけでなく、生きがいづくりやコミュニティ
の再生にも貢献する社会的起業としてのコミュニティ・ビジネスについては、裾野の拡
大と併せ、事業の継続性確保等に向け、行政依存の体質にならないよう留意しながら、
成長段階に応じた適切な応援を行っていく。
また、サービス産業の中でもとりわけ大きな成長が期待されるソフトなIT分野につ
いては、本県のポテンシャルに即したコンテンツ産業の育成を図るとともに、中小企業
のIT化と一体化した情報サービス産業の活性化を推進する。
施策の体系
生活を豊かにするしごと創出の推進
多様なサービス産業の育成
生活・サービス産業の創出支援
コミュニティ・ビジネスの育成
ITを活用した産業の活性化
知的コンテンツ産業の育成
IT人材の育成
ITビジネスの育成とIT化の推進
96
第4章 プロジェクトの展開
⑦生活を豊かにするしごと創出プロジェクト
プロジェクト指標
■目標:生活・サービス産業の育成
成果指標:生活・サービス産業創出支援事業における支援先の売上高増加企業、又は雇用増加
企業割合(%)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
目標水準(時点)
―
20.0
30.0
50.0
測定時期
―
平成 18 年9月末 平成 19 年9月末 平成 20 年9月末
■目標:コミュニティ・ビジネスの育成
成果指標:コミュニティ・ビジネス創出・企業化支援事業(離陸応援・企業化支援)に係る雇
用創出数(人)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
117
160
160
160
測定時期
平成 16 年 3 月末
3月末
3月末
3月末
■目標:ITを活用した産業の活性化
成果指標①:知的コンテンツ制作人材養成数(人材育成プログラムによる研修受講者数)(人)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
目標水準(単年度)
―
160
210
260
測定時期
―
3月末
3月末
3月末
成果指標②:地域中小企業とIT企業とのマッチング件数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
目標水準(単年度)
―
100
130
測定時期
―
3月末
3月末
平成 19 年度
160
3月末
施策プログラム
Ⅰ 多様なサービス産業の育成
高齢者の生きがい、文化、教育、娯楽、スポーツ・健康、子育てなど生活支援、ビ
ジネスの革新を担う企業支援、地域の資源を生かした事業など、これからの成熟した
経済社会を支える新規サービス産業の育成に向け、先見性やアイデアを有する新たな
サービス産業の担い手を掘り起こし、その離陸をサポートしていく。
また、震災以降、被災地で芽生えたNPO活動を起点に、多様なコミュニティ・ビ
ジネスを育んできたポテンシャルを生かしながら、地域密着の多様なサービスを提供
するコミュニティ・ビジネスに対し、成長段階に応じた育成支援を行っていく。
1 生活・サービス産業の創出支援
今後、大きな成長が期待され、豊かな県民生活に不可欠な生活産業・サービス産業
を育成していくため、生活・サービス産業創出セミナーを開催するとともに、地域ビ
ジネス創出支援スクールを開設し、生活・サービス分野における地域ニーズに即した
新たなしごとの担い手を発掘・育成するほか、新たな事業分野の開拓を目指す事業計
画を公募し、新事業展開を支援する。
97
第4章 プロジェクトの展開
⑦生活を豊かにするしごと創出プロジェクト
(1)生活・サービス産業創出セミナーの開催
社会の高齢化・成熟化に伴い、今後成長が見込
まれ、雇用の拡大が期待できる生活・サービス産
業の創出を図るため、生活・サービス産業創出セ
ミナーを開催する。
(2)地域ビジネス創出支援スクールの開設
地域資源を活用した地域ビジネスの創出に意欲
<生活・サービス産業創出セミナー>
のあるNPO、中高年求職者等を対象としたスク
ールを開設し、地域ビジネス創出に向けた実践的な知識の習得を目指すとともに、
具体的なビジネスプランの策定等を支援する。
(3)新分野進出・新事業展開に係る支援
生活・サービス分野における新たな事業分野の開拓等を目指す優れたプランを公
募し、新事業の展開に係るサービス実証事業、ビジネスモデル開発、販路開拓を支
援する。
2 コミュニティ・ビジネスの育成
地域のシーズ・ニーズを生かし、まちの活性化、コミュニティの維持、文化の保存
などを図ろうとする市民の熱意・主体性を生かしたコミュニティ・ビジネスを輩出す
るため、その立ち上がり期の相談・情報提供・初期経費から本格的なビジネス参入、
生活・サービス分野での新分野進出まで、成長段階に合わせた総合的な支援を行う。
(1)離陸応援
■離陸に対する支援
任意のグループ等が実施する、コミュニティ・
ビジネスの活動開始にあたり、立ち上がり期の開
業経費や運営経費等を支援する。
■生きがいしごとサポートセンターの拡大設置
中間支援組織としてのNPOと連携しながら、
コミュニティ・ビジネスでの就業・起業を目指す <リサイクル活動に取り組むコミュニティ・ビジネス
西宮市)>
者を開拓するための情報提供や、これらを希望す
る者に対し、情報提供、相談、ゼミナール・講習会の開催等、各種支援を効果的
に行う「生きがいしごとサポートセンター」を県内4ヶ所からさらに拡大設置し、
コミュニティ・ビジネスの支援体制を充実する。
(2)本格展開のための企業化支援
■企業化に対する支援
生きがい創造活動からビジネス活動へ転換を図り、企業化をめざすコミュニテ
ィ・ビジネスに対し、市場可能性調査、専門家の活用等を新たに支援する。
■中小企業支援ネットひょうごによる経営支援
(財)ひょうご中小企業活性化センターを核とした「中小企業支援ネットひょう
ご」による経営相談、マーケティング支援等により、コミュニティ・ビジネスの
本格展開をサポートする。
98
第4章 プロジェクトの展開
⑦生活を豊かにするしごと創出プロジェクト
コミュニティ・ビジネスの成長段階に応じた支援
資金助成
起業・離陸
離陸応援
(開業支援・運営支援)
本格展開
企業化支援
(本格的ビジネス参入への支援)
相談等の支援
+
生きがいしごと
サポートセンター
中小企業支援ネット
+ (中小企業活性化センター)
新分野進出
生活・サービス産業
創出支援
地域経済の活性化
Ⅱ ITを活用した産業の活性化
サービス産業の中でもとりわけ大きな成長が期待されるIT・コンテンツに関連し
たサービス産業の振興のため、本県のポテンシャルに即した事業の育成を図るなど重
点的な支援を行う。
また、情報産業の育成のため、次代を担う青少年・若年に対し、成長段階にあわせ
たプログラムを実施し、IT人材の育成を促進する。さらに、県内IT企業の需要創
出及び地域産業のIT化促進を図るため、県内自治体のIT業務発注情報等を提供す
るとともに、産業の情報化を推進するため、県内IT企業等に対する総合的な相談・
支援体制を構築するほか、中小企業における情報化戦略の中核人材の育成を応援する。
3 知的コンテンツ産業の育成
情報通信技術の発展により、今後ますます需要が高まるコンテンツ産業の育成を図
るため、高等教育機関・研究機関等の集積という本県の強みが生かせる教育や科学な
どの「知的創造分野」におけるコンテンツ企業の育成と集積を推進していく。
(1)知的コンテンツ制作・流通の推進
現在、学習指導要領に基づく教育用コンテンツは首都圏の教科書制作出版社に集
中しているとともに、科学分野等のコンテンツを制作する企業も県内には十分育っ
ていない状況にある。
このため、教育現場からのニーズ調査等を踏まえ、県・県教育委員会が制作テー
マを大学・専門学校に提示、意欲のある大学、専門学校が県内企業等と共同して教
育・科学分野のコンテンツを制作し、これらを Hyogo 未来教室プロジェクト指定校
等の学校において利用するとともに、学識者、行政等で構成する「知的コンテンツ
制作・流通促進委員会」において評価・検証を行い、その結果を県内コンテンツ企
業へ公表することにより、知的コンテンツの制作・流通を支援する。
(2)デジタル工房の機能強化(ワンストップサービス拠点の整備)
知的コンテンツ制作機能や制作指導機能を具備した施設として、サンパルビル
(神戸市中央区)に整備したデジタル工房を拡充し、①青少年から企業までの一貫
99
第4章 プロジェクトの展開
⑦生活を豊かにするしごと創出プロジェクト
したデジタルコンテンツ人材の育成、②ハイビジョン編集に対応したデジタル映像
編集等の整備、③デジタルコンテンツ制作に係る相談・支援など、コンテンツ産業
育成機能を高め、ワンストップサービス拠点としてリニューアルを行う。
4 IT人材の育成
情報産業の育成のため、次代を担う青少年・若年に対し、成長段階にあわせたプロ
グラムを実施し、高度なIT人材の育成を促進する。
(1)知的コンテンツ人材育成の推進
青少年層(小・中・高校生)、若年層(大学・大学院・専門学校生、若年者)ごと
に必要とされるスキルを身につけさせることにより、高度なIT人材を養成する。
■青少年層の人材養成
学校と連携し、コンテンツづくりのおもしろさを体験させ、興味を持たせるこ
とによって、より高度なコンテンツ制作をめざす。
・デジタル工房でのデジタルコンテンツ制作研修の実施
・デジタル工房での教員向け研修の実施
・トライやる・ウィークにおけるコンテンツ制作体験
・デジタル工房でのデジタルコンテンツ制作相談の実施
・「しごと体験ネットワーク」によるIT・コンテンツ企業での体験学習の実施
■若年層の人材養成
コンテンツ制作スキルのさらなる向上を図ることに軸足をおき、商業ベースの
コンテンツ制作ができる技能を身につけることにより、コンテンツ関連企業への
就業促進をめざす。
・デジタル工房でのデジタルコンテンツ制作研修の実施
・兵庫しごとカレッジシステムによるIT人材の育成
・実務・教育連結型人材育成システム(デュアルシステム)によるIT人材の育成
・「しごと体験ネットワーク」によるIT・コンテンツ企業での体験学習の実施
(2)ひょうごe−フェスティバルの開催
優れたIT人材を発掘・育成するため、小・中・高校、大学、大学院、専門学校
に加え、若手ITクリエーターやIT企業を対象とした顕彰制度を設けるとともに、
地域産業とIT企業とのマッチングを促進するなど、兵庫のITポテンシャルを高
めるイベントを開催する。
100
第4章 プロジェクトの展開
⑦生活を豊かにするしごと創出プロジェクト
IT人材の育成
青少年層人材養成
プログラム
若年層人材養 成
プログラム
基礎的スキル養成
スキルアップ
○デジタル工房での
教員向け研修
○トライやる・ウィー
クにおけるコンテ
ンツ制作体験 等
○ デ ジ タ ル工 房 で の デ
ジタルコンテンツ制
作相談 等
○デジタル工房での
デジタルコンテン
ツ制作研修 等
○兵庫しごとカレッジ
システム、実務・教育
連結型人材育成シス
テムによる実践的な
スキルアップ
○「しごと体験ネットワ
ーク」によるIT企業
等での体験学習 等
スキルチェック
○ひょうごe―フェ
スティバル
5 ITビジネスの育成とIT化の推進
県内IT企業の需要創出及び地域産業のIT化促進を図るため、県内自治体のIT
業務発注情報等を提供するほか、県内IT企業、SOHO事業者、IT分野での創業
希望者、IT活用を希望する中小企業等への総合的な相談・支援体制を構築するとと
もに、中小企業の情報化推進人材育成のための研修を実施する。
(1)兵庫県域ITポータルサイトの構築
県内IT企業の受注機会の拡充及び地域産業のIT化促進を図るため、①県をは
じめとする県内自治体のIT業務発注情報、②県内IT企業と地域産業とのビジネ
スマッチング情報を一元的に発信、閲覧、入手できるポータルサイトを整備する。
(2)ITサポートシステムの構築
地域中小企業のIT化ニーズの発掘・助言、情報系企業とのマッチング支援に加
え、SOHO事業者や創業希望者、在宅ワーカー等への相談業務等を行う「産業情
報化推進員」を配置する。
「産業情報化推進員」については、ITポータルサイトにおけるマッチングを含
め、発注側の地域中小企業の効率的・効果的なITの活用を支援するとともに、受
注側のIT企業に対しても、ISOを活用した品質向上等を促すなど、産業の情報
化と情報産業の育成につながる取り組みを展開する。
(3)情報化戦略推進人材の養成
中小企業における情報技術活用による経営の革新を促すため、経営の様々な分野
でのITの活用に関する高度なスキルを持った情報化戦略推進人材の育成研修を
実施する。
101
第4章 プロジェクトの展開
⑦生活を豊かにするしごと創出プロジェクト
実施工程表
平成 17 年度
○生活・サービス産業創出
セミナーの開催
○地域ビジネス創出支援
スクールの開設
○新分野進出・新事業展開
に係る支援 等
2 コミュニティ・ビジ ○離陸応援
ネスの育成
○企業化支援 等
3 知 的コン テン ツ 産 ○知的コンテンツ制作・流
業の育成
通の推進
・教育・科学分野のコンテ
ンツ制作、県内教育機関
での評価・検証、県内コ
ンテンツ企業への情報
提供
○デジタル工房の機能強
化
・デジタル工房の拡充(交
流・研修施設の整備、映
像機器等導入、指導員配
置) 等
4 IT人材の育成
○知的コンテンツの人材
育成
・青少年層・若年層人材養
成プログラムの実施
○ひょうごe−フェステ
ィバルの開催 等
5 I Tビジ ネス の 育 ○県域ITポータルサイ
成とIT化の推進
トの構築
・自治体のIT業務発注情
報の整備
・自治体IT業務の入札等
への参加
・IT企業と地域産業との
マッチング情報の整備
○ITサポートシステム
の構築
・産業情報化推進員の配置
○情報化戦略推進人材の
養成 等
平成 18 年度
平成 19 年度
1 生活・サービス産業
の創出支援
102
・同(映像機器等導
入、指導員配置)
・配置拡大
・配置拡大
第4章 プロジェクトの展開
⑦生活を豊かにするしごと創出プロジェクト
プロジェクトイメージ
多様な生き方・ビジネスを支えるサービス産業の育成
県民の豊かな生活を支える産業・就業分野:個人(50+向け)・家庭向けサービス、住宅関連サービス、環境サービス、社会
人向け教育サービス、芸術文化関連サービス、教育関連サービス、娯楽(エンターテイメント)・余暇関連サービス、医療・
医療情報サービス、スポーツ・健康関連サービス、子育て関連サービス、高齢者ケアサービス、専門職種サービス 等
企業活動の革新に資する産業・就業分野:IT・コンテンツサービス、労働者派遣サービス、物流サービス 等
IT&コンテンツサービスの育成
地域ビジネス創
出支援スクール
生活・サービス産
業創出セミナー
知的コンテンツ産業の育成
■教育・科学分野のコンテンツ制作、県内
教育機関での利用・評価・検証→県内コ
ンテンツ企業への情報提供
■デジタル映像編集機能を備えた実践的
なITクリエーターの育成・交流拠点の整
備 等
起業家や進出意欲のある企業
の発掘・育成
生きがいしごと
サポートセンター
コミュニティ・
ビジネス
■離陸応援
立ち上がり期
の経費助成
中小企業支援
ネット
■企業化応援
市場可能性調
査、専門家活用
等の支援
生活・サービス
産業
■サービス実証
事業、ビジネス
モデル開発、販
路開拓を支援
新分野進出
103
IT人材の育成
■知的コンテンツの人材育成に係る青少
年・若年層人材養成プログラムの実施
■青少年・若年を対象としたクリエーター育
成、人材発掘・顕彰イベント 等
ITビジネスの育成・IT化推進
■ITのマッチングを行うポータルサイト構築
■情報系企業とのマッチング支援、助言・相
談等を行う産業情報化推進員の配置
■中小企業の情報化戦略推進人材の養成
等
第4章 プロジェクトの展開
⑧大地の恵みを生かすしごとプロジェクト
⑧ 大地の恵みを生かすしごとプロジェクト
めざす姿
優れた農林水産物を育む兵庫の恵まれた条件を生かし、県民の健康を支える安全で
愛される兵庫の「食」づくりや楽農生活による「農」とのふれあいなど、消費者・生
活者の視点に立った21世紀の新たな農林水産業の構築を進める。
これまでの取り組みと課題
農山漁村の過疎化が進行し、担い手が減少する一方で、牛肉のBSE(牛海綿状脳症)
問題や鳥インフルエンザの発生等により安全・安心な食に対する県民の関心がますます
高まるなか、本県では、新たな担い手の確保に向けた新規就農への支援や食の安全・安
心につながり、県産食品の付加価値を高める食のブランド化等を推進するとともに、農
山漁村と都市部との対流を促し、県民が農にふれ、体験することによって農林水産業と
地域の活性化を図るため、市民農園の倍増や都市と農村の交流人口を 1,000 万人に増大
させるなどの目標を掲げた「楽農生活推進大作戦」を展開してきた。
こうした取り組みを通じ、日本
県内農林水産業及び食品関連産業の生産額
の縮図ともいわれる多様な気候・
実 数 構成比
風土の中でブランド力を有する多
項
目
(億円) (%)
彩な産品が産出されるとともに、
農林漁業・食関連産業
52,859
13.3
農林水産業
3,214
0.8
生産・管理技術のレベルアップな
農業
2,332
0.6
どの安全・安心に向けた食環境づ
林業
231
0.1
くりへの取り組みの充実等によっ
水産業
651
0.1
農林水産加工業
22,214
5.6
て、ブランド力の更なる向上が図
資材供給産業
891
0.2
られている。
関連投資
1,285
0.3
飲食店
10,191
2.6
さらに、「楽農生活」の推進によ
関連流通業
15,065
3.8
り、身近な農作業体験の場として
全
産
業
396,261
100
人気の高い市民農園の面積も着実
(平成9年度産業連関表に基づく試算)
に増加するとともに、都市住民が
農林漁業体験のため農山漁村を訪れる機会も増大している。
しかしながら、本県の食品製造業は、県内製造業全体のうち事業所数で 16.7%、製造
品出荷額で 14.9%(平成 14 年)と高い割合を占め、兵庫を支える重要な産業であるが、
従業員が 30 人未満の小規模事業所が約8割を占め、新製品の開発や高度な品質管理の改
善、循環型社会の構築に向けた取り組み等が進んでいないのが実情である。
今後、国際化の進展による国内外の産地との競争など農業を巡る環境は厳しさを増す
なかで、農林水産資源と食品産業の集積という兵庫県の強みを生かし、食の安心や彩り
を求める県民の生活ニーズに応えた商品開発など魅力と効率性を備えた農林水産業が、
ますます重要になる。
また、県民が多彩な兵庫の農や食に身近に触れる機会を確保するため、多様な主体の
創意工夫のもとで、第一次産業から第三次産業までが横断的に連携していくことも必要
104
第4章 プロジェクトの展開
⑧大地の恵みを生かすしごとプロジェクト
である。
さらに、着実に成果をあげている楽農生活をさらに推進するため、都市と農山漁村と
の交流を促進する指導者の育成や活動機会の充実を図るとともに、県内の交流体験施設
の整備や県民に対する農山漁村情報の提供を積極的に推進しながら、自然の摂理に従い、
土地を耕し、森を育て、海の恵みを分かち合う営みを「農」として捉え、県民全体でそ
れを支えていく視点も求められる。
プロジェクトの概要
安全・安心な食への関心の高まりや消費者のニーズの多様化、従事者の高齢化や担い
手の不足など、農林水産業を取り巻く情勢を踏まえつつ、都市と農山漁村との交流の促
進により農林水産業と県民生活との関わりをさらに深め、暮らしの基本を支える地域に
根ざした産業としての推進を図る必要がある。
こうした観点から、ひょうごの強みを生かし、可能性、発展性の高い先端技術分野を
戦略的に重点化して新事業創出をめざすクラスタープロジェクトと連携し、農林水産資
源を生かした健康食品、持続する農林水産業を支える環境技術等の分野において、産学
官の連携による共同研究開発や事業化に向けた取り組みを推進する。
また、商店街等との連携による農産物の多様な販路拡大に向けた取り組みを促すとと
もに、地域における農業者グループによる活発な活動がなされているアグリビジネスの
振興のため、その立ち上がり期から本格的な展開までの一体的な支援を行うなど、生活
者・消費者に身近な新たな農林水産業への展開を推進する。
さらに、新たな担い手の確保のため、若年者の雇用支援機関との連携による新規雇用
就農の入り口の拡大を図るほか、農林水産業・農山漁村への理解が県民生活の豊かさの
向上につながることから、農林水産業・農山漁村に関する様々な情報の発信、農林漁業
体験、都市と農山漁村との交流を通じ、地域の魅力を再発見する「楽農生活」を推進す
る。
施策の体系
県民の食と暮らしを担う元気な農林水産業への新展開
生活者・社会のニーズに応え、
持続する兵庫の「農」づくり
医食同源の新たな「食」の開発推進
「農」のゼロエミッションの推進
1・2・3次産業の連携による
身近な兵庫の「農」づくり
商店街等における兵庫の農林水産資源を
生かした県産食品の販売
農林水産加工グループの
コミュニティ・ビジネス化支援
交流・参画による開かれた
兵庫の「農」づくり
農林水産業と食品産業の連携強化
「楽農生活」の推進
雇用支援機関と連携した
新規就農等促進と人材育成
105
第4章 プロジェクトの展開
⑧大地の恵みを生かすしごとプロジェクト
プロジェクト指標
■目標:生活者・社会のニーズに応え、持続する兵庫の「農」づくり
成果指標:クラスターにおける健康食品及び環境に関する研究グループへの参画企業数(社)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 16 年度)
目標水準(時点)
―
90
110
135
測定時期
―
3月末
3月末
3月末
■目標:1・2・3次産業の連携による身近な兵庫の「農」づくり
成果指標:フードコーディネーターによる食品製造業と農林水産業とのマッチング数(件)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 16 年度)
目標水準(単年度)
―
3
5
7
測定時期
―
3月末
3月末
3月末
■目標:交流・参画による開かれた兵庫の「農」づくり
成果指標①:楽農生活交流人口(都市と農山漁村との交流人口)(万人)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
(平成 14 年度)
目標水準(単年度)
890
936
1,000
測定時期
平成 15 年 9 月末 平成 18 年 9 月末 平成 19 年 9 月末
成果指標②:新規就農者数(人)
直近実績
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
33
測定時期
平成16年3月
平成 19 年度
1,000
平成 20 年 9 月末
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
50
3月末
50
3月末
50
3月末
施策プログラム
Ⅰ 生活者・社会のニーズに応え、持続する兵庫の「農」づくり
県内各地の多様な気候や風土に根ざして営まれる多様な農林水産業からは、全国的
にも生産量が多い農産物や有名な特産品などが生み出されている。
このような本県の農林水産業と食品産業等の集積の強みを活かし、健康テクノロジ
ークラスタープロジェクトと連携しながら、市場のニーズを踏まえた研究開発等を支
援し、県民の安心・健康の願いに応え、豊かな生活に貢献する食関連産業の育成を図
る。
また、現在、本県では、持続的な循環型社会の構築に向け、農林水産関連の廃棄等
を有機性資源として捉えて多様な利活用を進める「農」のゼロエミッションを推進し
ているが、こうした環境ビジネスは高い成長が認められる一方で、技術開発やその後
の事業展開等においての課題も多く、中小企業等が参入する際の障壁となっている。
さらに地球の温暖化に影響の少ない、動植物から生まれる再生可能有機資源(バイオ
マス)は、収集量や組成の不安定さ等から、広く普及には至っていないのが現状であ
る。
そのため、環境・エネルギー分野で高いポテンシャルをもつ重厚長大産業と中小企
業、大学、公的研究機関等との連携により先導的な環境技術・新エネルギー技術の開
106
第4章 プロジェクトの展開
⑧大地の恵みを生かすしごとプロジェクト
発をめざすエコテクノロジークラスタープロジェクトと連携し、「農」のゼロエミッ
ションのための技術開発や事業化をハード・ソフト両面から積極的に支援する。
1 医食同源の新たな「食」の開発推進
県内の多彩な農林水産資源と健康テクノロジークラスター内における食品産業の
集積等のポテンシャル、さらに健康食品への急速なニーズの高まりを生かし、大学、
県立農林水産技術総合センター、県立工業技術センター、食品製造業等からなる産学
官、産産等の連携による研究グループにおいて実施される「健康食品」や「機能性食
品」等に関する共同研究開発を積極的に支援する。
大学、研究機関等
県立工業技術センター
県立農林水産技術総合センター
食品関連企業、生産団体等
・研究グループの組成
・健康食品等の開発
利活用
コーディネート、
研究開発経費助成等
県産農林水産物
クラスター中核推進・支援機関
2 「農」のゼロエミッションの推進
食品廃棄物や家畜排せつ物、木質廃棄物等を含めた
農林水産関連の廃棄物等を資源として利用する「農」
のゼロエミッションを推進するため、エコテクノロジ
ークラスターの中核推進・支援機関のコーディネート
等により、企業、大学、公設試験研究機関等の連携に
よる研究グループを組成し、バイオマスの利活用やリ
<木質バイオマスガス化発電施設
サイクル技術の研究開発等を実施するとともに、バイ
(宍粟郡一宮町)>
オマス利用のためのハード施設の整備を支援する。
さらに、県内を拠点に事業化を図ろうとする企業グループ等に対し、事業可能性の
検討や事業計画策定への支援を行うとともに、先導的な取り組みについて普及啓発の
ためのPRを行う。
「農」のゼロエミッションの推進
リサイクル処理技術の開発
バイオマス変換システムの確立
<バイオマス資源>
農産物残さ、家畜排
泄物、食品廃棄物等
等
<製品化>飼料、肥料、新素材 等
<エネルギー化>熱、電気 等
事業化計画策定
研究開発、ハード整備等支援
クラスター中核推進・支援機関
107
PR、普及啓発等
第4章 プロジェクトの展開
⑧大地の恵みを生かすしごとプロジェクト
Ⅱ 1・2・3次産業の連携による身近な兵庫の「農」づくり
兵庫県認証食品を広く県民に供給するため、商店街や小売店等と連携し、イベント
の実施や空き店舗等を利用した農産物直売所の開設に対する支援等、多様な流通形態
による販路の拡大を積極的に推進するとともに、農業者と商店街等との連携による食
品の共同開発について支援を行う。
また、近年、農産物の価格低迷が続くなか、地域の農産物を利用し、加工すること
により付加価値を高め、地域の特産品として商品化をめざす加工グループが、県内各
地で数多く結成されており、地域の活性化に大きく寄与している。
これらグループに対し、商品開発に向けた研修会の開催等に加え、本格的なビジネ
ス展開に向けた支援を行う。
さらに、県内の食品製造業者と農林水産業との連携による県産食材を利用した新た
な商品開発等を支援するため、コーディネーターを設置して業者と生産地とのマッチ
ングを進め、県産食材の利用拡大を図る。
3 商店街等における兵庫の農林水産資源を生かし
た県産食品の販売
安全・安心な「食」への関心の高まりや消費者
ニーズに対応し、生産者の顔が見える新鮮で安心
な農・畜・水産物を県民の身近に届けるため、商
店街等における兵庫県認証食品等のPRや農協等
の生産者団体と商店街が共同で行う農産品フェア
等に加え、空き店舗等への直売所の開設に対する
<小売店における兵庫県産食品の販売>
支援を実施することにより、地域のにぎわい創出
と県産食品の販路の拡大を図る。
また、生産者と商店街等との連携により、商店街の構成店舗が共同で取り組む兵庫
県認証食品等を利用した加工食品等の商品開発を支援する。
4 農林水産加工グループのコミュニティ・ビジネス化支援
県内各地で芽生えつつある地域特産品を利用した農林水産加工グループ等に対し、
新たな商品の開発に向けた技術指導や研修会等の開催に加え、コミュニティ・ビジネ
スに関する情報提供や立ち上がりへの支援、さらに本格的なビジネス展開へのサポー
トまで、コミュニティ・ビジネスの発展段階に応じた育成を一体的に行うとともに、
経営に対する相談や専門家の派遣等のコンサルティングを行う。
5 農林水産業と食品産業の連携強化
食品製造業者のニーズと産地の食材情報の把握による両者のマッチングを進めるた
め、フードコーディネーターを設置するとともに、県内の産地と連携した食品製造業
者による新商品の開発を支援し、安全・安心、地産地消、味わいなど、様々な価値を
もった食づくりを推進する。
Ⅲ 交流・参画による開かれた兵庫の「農」づくり
森や緑が有する保水機能、県民生活への潤い、農山村の環境維持など、森林の多面
108
第4章 プロジェクトの展開
⑧大地の恵みを生かすしごとプロジェクト
的機能の重要性が認識されるなか、兵庫の地域特性を生かした森の回復、再生を目指
した県民総参加型の森づくりを推進するとともに、地域住民と交流しながら農山漁村
の保全活動を行うボランティアが活発に行われるなど、都市と農山漁村との交流が進
むなか、農林水産業の作業を体験することにより、県民が気軽に「農」の役割を学び
理解を深めることができる「楽農生活」を引き続き推進する。
なお、こうした取り組みなどの推進に当たっては、また、近年、農業が職業の選択
肢の一つとして注目されるようになり、Uターンによる就農希望者や農業以外からの
新規の参入者が増加しており、幅広い層からの農業参入が進みつつある。このため、
新規学卒就農者に加え、これまで農業に縁のなかった者に対しても農業への入り口を
広げるため、雇用支援機関等における求人情報の提供や斡旋を行うとともに、農業大
学校等における技術修得研修等、新規就農に対する各種支援により、多様な担い手の
確保・育成を図る。
6 「楽農生活」の推進
県民誰もがどこででも実践できる楽農生活の実現に
向け、県民が気軽に「農」の役割を学び、体験できる
中核拠点である「楽農生活センター(仮称)
」の整備を
進めるほか、都市と農山漁村双方の交流を促進し、市
民農園の整備や農作業体験等を指導する楽農生活リー
ダーの育成、都市農村交流バスの運行支援等、
「楽農生
活推進大作戦」を引き続き展開する。
<滞在型市民農園(八千代町)>
楽農生活推進大作戦の展開
農
山
漁
村
市民農園面積倍増作戦
楽農生活リーダー2000 人育成作戦
都
市
部
楽農生活交流人口 1000 万人作戦
7 雇用支援機関と連携した新規就農等促進と人材育成
農家出身以外の新規就農者は、近年、新規就農者全体の約 20%で推移しているが、
就農インターンシップに対し若者の応募が殺到するなど、農業に対する関心の高まり
から、今後農家出身以外の若者の就農希望者が増えることが予想される。
こうした情勢も踏まえ、県民への雇用支援機関である「Hyogo しごと情報広
場」や「若者しごと倶楽部」と新規就農相談センター(農業会議)との求人・求職情
報の提供・活用等、相互の連携を強化するとともに、農業大学校等の研修施設におい
て技術修得研修や就農準備講座を実施することにより、若年者等の新規雇用就農の拡
大を図る。
109
第4章 プロジェクトの展開
⑧大地の恵みを生かすしごとプロジェクト
また、長引く木材価格の低迷等により、年々後継者が減少する林業労働者は、近い
将来必要な人員を割り込むことが懸念されることから、実務研修の実施等による支援
とあわせ、森林組合等への就職情報の斡旋を行う。
実施工程表
施策プログラム
医食同源の新た
な「食」の開発推進
1
2 「農」のゼロエミ
ッションの推進
3
商店街等におけ
る兵庫の農林水産
資源を生かした県
産食品の販売
4
農林水産加工グ
ループのコミュニ
ティ・ビジネス化支
援
5
農林水産業と食
品産業の連携強化
6 「楽農生活」の推
進
7
雇用支援機関と
連携した新規就農
等促進と人材育成
平成 17 年度
○産学官連携による研
究会の組成
○研究開発への支援
○産学官連携による研
究会の組成
○研究開発の実施、事
業化検討
○バイオマス利用施設
等のハード整備支援
○商店街におけるイベ
ントの開催
○商店街での直売所の
設置
○店舗共同による加工
食品等の開発
○加工食品開発の技術
指導・研修の実施
○コミュニティ・ビジ
ネス立ち上げ及び本
格展開への支援
○フードコーディネー
ターの設置
○産地と食品産業のマ
ッチング
○楽農生活センター
(仮称)の整備
○楽農生活大作戦の推
進
・市民農園整備支援
・楽農生活リーダーの
養成
・都市農村交流バスの
運行支援
等
○若者しごと倶楽部等
と新規就農相談セン
ターとの連携
○県立農業大学校等に
おける技術修得研修
の実施
等
110
平成 18 年度
平成 19 年度
第4章 プロジェクトの展開
⑧大地の恵みを生かすしごとプロジェクト
プロジェクトイメージ
生活者・社会ニーズに応え、
持続する兵庫の「農」づくり
1・2・3次産業の連携による
身近な兵庫の「農」づくり
商店街等における兵庫の農林水産資源を
生かした県産食品の販売
健康・安心の「食」の開発
健
康
安
心
「農」のゼロエミッションの推進
持
続
県民の食と暮らしを担う
元気な農林水産業への新展開
交
流
しごと
農林水産業と食品産業
の連携
食
農林水産加工グループ
のコミュニティ・ビジ
ネス化
新規就農等促進と人材育成
「楽農生活」の推進
交流・参画による
開かれた兵庫の「農」づくり
111
彩
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
⑨ 多参画就業推進プロジェクト
めざす姿
高齢化・人口の減少も視野に入れながら、若年者、家庭を持つ者、高齢者、障害者
等の就業支援を通じ、県民誰もが意欲と能力に応じて伸び伸びと働き、その喜びを実
感できる成熟社会にふさわしい多参画型の雇用就業環境の構築など、個の活力を最大
限に引き出すシステムづくりを推進する。
これまでの取り組みと課題
再活性化プログラムでは、深刻な雇用情勢に対応し、失業者の短期的な受け皿や生活
資金支援などセーフティネットに重点を置きつつ、中高年離職者へのキャリアカウンセ
リング、障害者就業のためのジョブコーチの養成や支援拠点づくり、仕事と家庭の両立
に向けた意識啓発や地域ぐるみの子育て・介護システムの構築、さらには、多様な働き方
を促すワークシェアリングなどきめ細かい就業支援を展開してきた。
また、若年問題がクローズアップされてきた平成 15 年度には、その就業支援拠点と
して、いち早く「若者しごと倶楽部」を開設し、さらに本年度から地域産業のニーズに
応じたマッチングを行う無料職業紹介を導入するなど順次就業支援対策を充実してきた。
折からの景気回復を受け、また、こうした各般の施策の下支え効果もあり、本県の有
効求人倍率は、平成 14 年を底に好転し、企業の雇用過剰感が緩和するなど、雇用情勢は
近年にない改善傾向を示している。
しかし、高止まりする失業率など一部課題を抱えているほか、今後、急速に進展する
人口減少・少子高齢化等の環境変化が、県民生活の豊かさや経済の発展の制約要因とな
らないよう、産業活動の生産性を高める一方で、年齢・性別・障害の有無にかかわりな
く、より多くの県民が、自らの選択でしごとを担う多参画で多様な就業構造へと確実に
移行していくことが課題である。
フリーター数・ニート数
(%)
フリーターとは:年齢 15∼34 歳、卒業者であって、女性
については未婚の者とし、さらに①現在就業している
者については勤め先における呼称が「アルバイト」又は
「パート」
、②現在無業の者については家事も通学もし
ておらず、「アルバイト・パート」の仕事を希望する者
ニートとは:Not in Education, Employment or Training
の略。非労働力人口のうち 15∼34 歳で卒業者かつ未婚
であり、通学・家事を行っていない者
全 国
兵庫県推計
フリーター
217万人
9.5万人
ニート
52万人
2.3万人
県
68
66
64
(注2)兵庫県の数値は、全国数値を人口比率で単純按分した参考値
112
全国
67.1
64.2
64.0
63.6
65.0
63.1
63.6
61.1
62
61.6
60
(注1)総務省「労働力調査」を厚生労働省で集計(平成 15 年平均)>
労働力率の推移
70
60.9 60.4
59.9
60.7
58.2
58
S45
S55
H2
H12
<総務省「国勢調査」>
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
プロジェクトの概要
自立を志しながらもきっかけをつかめず、フリーターから抜け切れない若者、社会で
さらに活躍したい中高年齢者、身体等にハンディキャップのある者、さらに潜在資源と
して残されている女性など、多様な人材が意欲と能力を生かし、社会で活躍することが
可能になれば、県民が実感する「豊かさ」は飛躍的に高まり、兵庫の人材面での活力を
向上させることにもつながる。
こうした成熟社会にふさわしい、包容力を持った多参画型の就業システムを構築して
いくため、県民各層の特性に応じた就業基盤づくりを推進する。
青少年・若年については、就学中の早い段階からの体系的な職業意識の形成など事前
的・予防的な取り組みと、
現に社会に出ている若者に対するキャリアマネジメントなどを
合わせた総合的な自立支援、中高年については、賃金・職種に関する本人の希望と求人条
件のミスマッチを解消し、早期の再就職の図ることなどを通じた雇用の安定、障害者に
ついては、
障害があることによって障害者が自らの生き方・働き方を変える必要のないユ
ニバーサル社会に相応しい就業環境をめざし、その就業支援を積極的に拡充推進する。
さらに、女性やリタイア後の団塊世代等の高齢者についても、それぞれが自身の能力
を発揮して伸び伸びと働けるような就業環境づくりを行う。
加えて、働き方の多様化、就業の円滑化につながる横断的な取り組みとして、個人の
ワークスタイルに対応した柔軟な就業形態の普及のため、ワークシェアリングを推進す
るほか、やりがい・生きがい重視の働き方を支えるコミュニティ・ビジネスの育成を図
る。また、関係機関との連携強化を図りながら、
「Hyogoしごと情報広場」を中心と
した求人・求職の適切なマッチングを推進する。
施策の体系
多参画・多様就業システムの構築
多参画就業の推進
青少年・若年の自立支援
中高年の雇用安定
障害者の就業支援
高齢者の就業支援
女性の就業支援
多様就業の推進
ワークシェアリングの導入促進
生きがい就業支援
人材マッチング等の推進
Hyogoしごと情報広場の運営
113
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
プロジェクト指標
■目標:青少年・若年の自立促進
成果指標①:県内の就職希望高校生の就職率(%)
直近実績
平成 17 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
94.5
96.0
測定時期
平成 16 年 6 月末 平成 18 年6月末
平成 18 年度
平成 19 年度
96.5
平成 19 年6月末
97.0
平成 20 年6月末
成果指標②:若者しごと倶楽部利用者の就職率(%)
直近実績
平成 17 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
14.2
25.0
測定時期
平成 16 年 9 月末 平成 18 年9月末
平成 18 年度
平成 19 年度
30.0
平成 19 年9月末
35.0
平成 20 年9月末
■目標:中高年の雇用安定
成果指標:シニアチャレンジ相談会参加者の就職率(%)
直近実績
平成 17 年度
目標水準(単年度)
―
25.0
測定時期
―
3月末
平成 18 年度
33.0
3月末
平成 19 年度
40.0
3月末
■目標:障害者の就業促進
成果指標:障害者専門無料職業紹介による就職者数(人)
直近実績
平成 17 年度
(平成 16 年 4∼10 月)
目標水準(単年度)
15
25
測定時期
平成 16 年 10 月末
3月末
平成 18 年度
平成 19 年度
27
3月末
30
3月末
■目標:多様就業の推進
成果指標:ワークシェアリング導入企業数(社)
直近実績
平成 17 年度
(平成 15 年度)
目標水準(累計)
10
26
測定時期
平成 16 年 3 月末
3月末
平成 18 年度
平成 19 年度
41
3月末
61
3月末
■目標:求人求職のマッチングの推進
成果指標:県の職業紹介数(件)
直近実績
(平成 16 年 4∼10 月)
目標水準(単年度)
114
測定時期
平成 16 年 10 月末
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
160
3月末
170
3月末
180
3月末
施策プログラム
Ⅰ 多参画就業の推進
成熟社会にふさわしい多参画型の就業システムを構築するため、青少年・若年に対
するキャリア教育等による自立支援を行うとともに、中高年の賃金・能力面でのミス
マッチの解消により雇用の安定を図るほか、障害者・高齢者・女性に対する就業支援
を積極的に行うことにより、年齢・性別・障害の有無にかかわりなく、県民誰もが伸
び伸びと働ける就業構造の形成を推進する。
114
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
1 青少年・若年の自立支援
若年の高失業率、フリーター等の不安定就労、ニート(無業者)の増加等が大きな
社会問題となっており、その背景として、長期にわたる景気低迷に起因する採用の手
控えや企業の即戦力志向が挙げられるが、若年者自身についても職業意識の低さや社
会人として備えるべき能力・マナーの欠如、生活の豊かさに基づく切迫感の不足など
種々の問題を抱えている。
少子高齢化が進み、しかも人口減少が不可避となりつつあるわが国にとって、未来
を担う若者の活力が失われることは大きなマイナスであり、早急に、就学中の青少年
に働くことへの基本姿勢を身につけさせるとともに、既に社会に出ながら、フリータ
ー等として就業の意義を見出せずにいる若年者に対し、自らのキャリア生活の設計を
応援していくことが必要である。
小学、中学、高校、大学など、それぞれの時期でしか身につけられない職業観があ
り、また、発達段階を追っての積み重ねがないと理解できない職業がある。このよう
に、青少年から若年期は、長い職業生活の中で必要な「働くこと」への基礎的な視点、
考え方を養う重要な時期である。
こうした観点から、関係機関の連携により、青少年を対象に就学中の早い段階から
職業意識の形成に係る支援を組織的・体系的に実施し、「職」について考える機会を
創出していくほか、若年に対し、相談からマッチングまで、自立と挑戦を喚起するよ
うな就業サポートを行っていく。
(1)「しごと体験ネットワーク」の構築と体験型職業教育等の総合的推進
フリーターやニートと呼ばれる働く意欲のない若年の増加や、いわゆる「ものづ
くり離れ」、
「科学技術離れ」を踏まえ、産業、教育、行政等各界の連携・協力のも
と、小・中学校、高校、大学、学校教育修了後の各段階において、ものづくりや科
学技術をはじめ、しごとに対する理解、勤労意欲の喚起等の職業意識の形成を支援
する事業を新たに組織的・体系的に実施する。
■しごと体験支援連絡協議会の設置
■スタートアップフォーラムの開催
■産業人バンク、しごと体験協力企業バンク等の創設・運営
県、労働局等が実施しているしごと体験支援策に加え、各学校が独自に実施す
る職業に関する授業・セミナー、教員自らの産業・職業についての学習等県民が
各々のニーズに応じてしごと体験等を効果的に実施できるよう、産業人バンク、
しごと体験協力企業バンクを創設し、斡旋を行う。
■しごと体験支援ガイドブック、活用マニュアルの作成・配布
■ものづくり総合情報の発信(再掲)
○県内地場産業に関する総合情報サイトの開設
○若者向けのものづくりPRイベント等の開催
(2)小・中学生を対象とした職業意識の形成支援
■ワーク・デーの推進(再掲)
地域社会の子供、生徒・学生に企業の現場を開放するワーク・デーの実施によ
り、地域ぐるみでの職業意識形成を推進する。
115
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
■しごとツーリズムの推進(再掲)
伝統産業から先端産業まで県内に豊富に存在する産業・技術に関連した施設を、
ものづくり体験のツーリズム資源として捉えて広くPRし、小・中学生がこれら
施設をものづくり体験のために訪れる際の借上バス経費の一部を助成する。
■「ひょうごの匠」キャラバン隊の推進と小学生への拡充(再掲)
県内の優れた技能者である「ひょうごの匠」
を中学校に派遣し、
技能の素晴らしさ、
楽しさ、
難しさを中学生が体験することにより、技能の
伝承や技能尊重気運の醸成を図る「ひょうごの
匠」キャラバン隊を引き続き推進するとともに、
派遣中学校の近隣の小学生に対しても体験学習
の機会を提供する。
<「ひょうごの匠」キャラバン隊の中学校派遣>
■トライやる・ウィークの実施
県下の公立中学校等の2年生全員を対象に、企業等における就業体験をはじめ
とする社会活動を体験させ、
「生きる力」の育成を図る。
(3)高校生の就職支援
高校生を対象に、職業選択・職業人生設計に関する支援、インターンシップによ
る職業意識や職業人としての基礎的能力の形成に向けた支援を行うとともに、教員
の職業や企業現場に対する理解を促す。
■職業選択・職業人生設計に関する支援
○早期個別キャリアカウンセリングの実施
就職を希望する高校生に対し、民間専門家(キャリアカウンセラー)を派遣
し、個々人の課題に応じた個別カウンセリングを実施する。
○キャリアデザイン講座の実施
高校単位で、民間人材ビジネス等の専門家を派遣し、キャリアデザイン(職
業人生設計)の必要性、目的、方法等の理解を深めるセミナーを実施する。
■インターンシップによる職業意識・基礎的能力の形成支援
○ものづくりインターンシップの推進(再掲)
中・高生が、夏休み期間中に県内のものづくりの現場である工場や地場産地
企業、「ひょうごの匠」の職場等において技術・技能者が実際に仕事に向かう
姿に触れ、また実際に仕事を体験することにより、ものづくりの楽しさ、難し
さ等を味わうものづくりインターンシップを拡大実施する。
○クリエイティブ21でのインターンシップの実施
県立高校の生徒が、民間企業において、自らの専攻、将来のキャリアに関連
した就業体験を行うインターンシップを実施する。
■専門高校教員のための体験研修の実施(再掲)
企業がものづくりの人材の輩出源として期待する工業系学校の教員に対し、現
場体験学習を実施することにより、ものづくり現場のニーズや動態に即した人材
の育成を推進する。
■高校教員のための体験研修の実施(再掲)
しごと体験協力企業バンクを活用し、高等学校教員の研修における企業現場で
の体験を呼びかける。
116
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
(4)小・中・高校生を対象とした技能一日塾の開催(再掲)
小・中・高校生を対象に、県の公共職業能力開発施設の訓練科目を生かしたもの
づくり体験を実施し、ものづくりの楽しさや達成感などを体感する機会を提供する
技能一日塾を開催する。
(5)小・中・高校生を対象とした科学技術体験学習の本格展開(再掲)
企業や産官の研究機関において、子ども達が直接科学技術にふれ、学ぶ、体験学
習事業に実験的に取り組んできた成果を生かし、通年にわたり県下全域で本格的に
推進するとともに、青少年の理科や科学技術への興味・関心をより一層高めるため、
小・中・高校生を対象とした科学アイデアコンテスト(顕彰制度)を創設する。
(6)若年向け雇用就業支援
若者しごと倶楽部において、学生・若年者等を対象
とした一貫した就職支援を行うとともに、就職支援セ
ミナーと併せて、フリーターを対象とした面接・相談
会を実施するほか、キャリアカウンセリングの充実な
どにより、より多くの若年者の利用を促す。
また、兵庫しごとカレッジシステムにおいて取り組
<若者しごと倶楽部>
む若年者を対象とした能力開発への誘導、訓練終了後
のマッチングなど新たな連携・支援を行うことにより、
サービスの充実を図るとともに、利用促進のため、若者しごと倶楽部のPRを強化
する。
■相談援助、職業紹介、キャリアマネジメントによる就職活動プランづくり
■若年者・フリーターの就職挑戦の支援
活躍する先輩(フリーター経験者)等による講演・講話等の就職支援セミナー
を開催し、若年者等の職業に対する理解を深めたうえで、若年者採用を希望する
企業と若年者・フリーターの面接・相談会を開催し、求人・求職のマッチングを
図る。
■能力開発への誘導、訓練終了後のマッチングなど、兵庫しごとカレッジシステム
との密接な連携
■若者しごと倶楽部のPRの強化
(7)ものづくりの体験学習・PR推進拠点の整備検討(再掲)
青少年のものづくりへの関心を高めるため、ものづくり現場での体験学習を円滑・効果
的に推進する機能と、兵庫の地場産業や匠の技のものづくりの実演、来場者のものづくり
の直接体験等、施設内での体験学習機能を中心に、地場産業等に関する情報発信機能
等をも併せ持った拠点施設について、ものづくり人材育成機関との一体的な整備も視野に
入れながら検討を行う。
117
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
しごと体験ネットワークによる体験型職業教育等の総合的推進
学校
しごと体験支援連絡協議会(仮称)
(教育委員会)
経営者団体
[構成:産業、教育、行政等]
○スタートアップフォーラムの開催
○産業人バンク・しごと体験協力企
業バンクの創設・運営
○しごと体験支援ガイドブック、活
用マニュアルの作成・配布
○ものづくり総合情報の発信
大学等
国
県内産業
(ハローワーク)
職業意識の
発達段階
学齢等
ねらい
取り組みの
内容
労働団体
基盤形成期
探索期
自立期
小・中学段階
高校等段階
大学等・就学修了後
基礎的な社会観・勤労観の 自己の職業観の涵養、職 自律的なキャリア設計、
醸成
業の探索
キャリア開発
○ワーク・デーの推進
○しごとツーリズムの実
施
○「ひょうごの匠」キャラ
バン隊の派遣
○トライやる・ウィークの
実施
○技能一日塾の開催
○科学技術体験学習の実
施 等
○早期個別キャリアカウ ○若者しごと倶楽部にお
ンセリング・キャリア
ける相談援助・職業紹
デザイン講座の実施
介・キャリアマネジメン
○ものづくりインターン
トによる就職活動プラ
シップの実施
ンづくり
○高校教員体験研修の実 ○若年者・フリーターの就
施
職挑戦の支援
○技能一日塾の開催
○能力開発への誘導等、兵
○科学技術体験学習の実
庫しごとカレッジシス
施
テムとの連携
ものづくりの体験学習・PR推進拠点の整備(検討)
2 中高年の雇用安定
雇用情勢全体は改善傾向にあるものの、中高年、特に家計の担い手である 50 歳代の
雇用環境は厳しい状況にある。こうした年代の再就職を阻んでいる要因に希望職種と
求人職種のギャップや希望賃金と求人賃金のギャップがあるため、賃金・職種に関す
る本人の希望と求人条件のミスマッチを解消し、早期再就職を促進する。
(1)シニアチャレンジ相談会の開催
能力開発機関、ハローワーク等との連携の下、「兵庫しごとカレッジシステム」
においてモデルカリキュラムを策定した職種の中から特定の職種を選定のうえ、職
務内容や賃金についての求人企業と中高年求職者の相談・交渉により、相互の歩み
寄りを促すため、選定職種に係る「シニアチャレンジ相談会」を新たに開催する。
(2)「中高年試行雇用奨励金」及び「中高年モデル雇用奨励金」の支給
シニアチャレンジ相談会において、マッチングの可能性のある求人企業と中高年
118
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
求職者については、ハローワークで支給する「中高年試行雇用奨励金」を積極的に
活用する。
また、非自発的理由による中高年離職者であって、選定職種に係る訓練修了者を
一定水準(前職の賃金の 75%)以上で雇い入れる事業主に対しては、
「中高年モデ
ル雇用奨励金」(トライアル雇用期間中の賃金と平均的中途採用賃金の差額を基準
とした奨励金)を支給する制度を創設する。
中高年の賃金ミスマッチ解消のための支援
通常の場合
賃金ギャップ
前職
48万円
再就職
24万円(平均)
失業給付受給(最高 330 日)
トライアル雇用による再就職支援
(前職賃金の 75%以上を支給するケースを支援)
前職
48万円
賃金が36万円(75%)の
場合の負担割合例
県が創設するモデル雇用奨励金(7 万×3 月)
(職業訓練)
ハローワークの試行雇用奨励金(5 万×3 月)
常用雇用
再就職の平均的賃金(企業負担)
(24 万×3 月)
トライアル雇用3ヶ月
(3)賃金ミスマッチ解消モデルの普及
「中高年モデル雇用奨励金」を支給した事業主で、賃金水準を維持したまま常用
雇用に移行したものの事例を分析し、一定水準以上の賃金で雇用するうえでの職務
能力等の要件を明確化し、モデル事例として普及啓発に新たに取り組む。
3 障害者の就業支援
全国の身体・知的障害者約 363 万人のうち、雇用されているのは約 46 万人、13%に
過ぎない。現在、従業員 56 人以上の企業に対し、全従業員の 1.8%以上の障害者を雇
用することが障害者雇用促進法によって義務付けられているものの、民間企業の障害
者雇用率は平成 15 年で 1.48%と法定率を下回り、全体の約6割の企業が法定率に達
していない状況にある。
本県の障害者雇用率は 1.70%(平成 15 年)と全国平均を上回り、10 年間の長期ス
パンでも全国以上の上昇傾向を示すなど、障害者の就業拡大に向けた県内企業の真摯
な取り組みがなされているが、全国的傾向と同様に未だ法定雇用率に達していないな
ど、今後に課題を残している。
こうした状況をふまえつつ、企業の社会的責任(CSR)の発揚を促すモデル的な
取り組みによる雇用拡大を推進するほか、障害者専門の無料職業紹介の実施等による
119
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
マッチング支援、障害者雇用を行う事業主に対する採用準備・職場改善等に係る助成・
融資など、障害者の雇用就業の円滑化に向けて積極的な取り組みを行う。
(1)障害者雇用の促進と就業機会の確保
障害者雇用促進シンポジウム、多参画型社会にふ
さわしい実践モデル普及啓発事業及び改正除外率制
度対応支援事業を新たに実施することにより、19 年
度中の障害者法定雇用率 1.8%の達成を目指すとと
もに、多参画型社会にふさわしい障害者雇用の取り
組みを新たに推進する。
<障害者雇用促進街頭キャンペーン>
■障害者雇用促進シンポジウムの開催
障害者雇用に係る企業の社会的責任を啓発するため、新たにシンポジウムを開
催する。
■多参画型社会にふさわしい実践モデルの普及啓発
障害者多数雇用、複数企業の共同による障害者の雇用、ワークシェアリングや
コミュニティ・ビジネスにおける精神障害者の雇用、IT在宅勤務の導入等の多
参画型社会にふさわしいモデル的取り組みを行う企業、NPO法人等を公募し、
モデル事例集を作成するなど、企業の社会的責任(CSR)を踏まえた普及啓発
を新たに行う。
■改正除外率制度対応への支援
平成 16 年4月1日から、障害者雇用率における除外率制度が段階的に縮小・廃
止され、障害者雇用率の低下・伸び悩みが懸念されるため、除外率適用業種に係
る業界に対して支援を行う。
・障害者雇用推進会議の開催
・支援機関による経営・技術面等でのアドバイス 等
(2)障害者雇用等のための融資制度の創設
障害者、高齢者を雇用するための職場改善等や仕事と家庭の両立を図るための託
児施設の設置等を行う事業主に対する融資制度を創設する。
(3)障害者の就業支援
障害者専門無料職業紹介の実施、養成ジョブコーチのネットワーク化、障害者就
業・生活支援センターの増設等により障害者雇用の促進と就業機会の確保を図る。
■障害者専門無料職業紹介の実施
障害者就業・生活支援センター等において、障害者専門の無料職業紹介事業を
行う。
■養成ジョブコーチのネットワーク化
県で養成したジョブコーチを組織化し、障害者・事業主の必要に応じた支援を
行う。
(4)障害者の職業能力開発
■障害者職業能力開発校の科目再編
IT化の進展、技術の高度化、障害の重度化等、障害者を取り巻く環境変化に
対応するため、オフィスワーク事務科、総合デザイン科、インテリアCAD科を
新設するなど、企業及び障害者のニーズにあった科目の再編整備を行う。
120
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
■障害者を対象にした委託訓練の充実
障害者の雇用促進に資するため、民間教育訓練機関等を活用した委託訓練を拡
充して、障害者の職業能力開発機会を充実する。
4 高齢者の就業支援
わが国における平均寿命の伸びは著しく、明治期(1899 年−1903 年)の調査では、
女性約 45 歳、男性約 44 歳といわば人生 40 年時代であったものが、2003 年には、女
性約 85 歳、男性約 78 歳と世界一の長寿国となった。こうした平均寿命の伸びと少子
化が相俟って、本県でも 2015 年には4人に 1 人が 65 歳以上の高齢者となる時代が到
来するとともに、2007 年には、団塊の世代の大量のリタイアも始まる。
今後、少子化が進む中にあって、シニア層の経済・産業との関わりを拡大していく
ことは、労働力確保の観点から社会的に大きな課題である。また、高齢化社会におい
て、高齢者の多様な生き方・働き方を実現することは、個人生活の充実といった点か
らも求められている。培われた経験と豊富な知識を生かし、高齢者が生きがいをもっ
て働けるよう、就業を希望する高齢者の意欲を多様な形で受け止める就業形態・環境
の実現に向けた取り組みを行う。
(1)シニアしごと倶楽部(仮称)における就業支援
団塊世代の退職、いわゆる 2007 年問題を踏まえ、企業退職者等が、職業生活で
培ってきた能力や経験を生かした中小企業等への再就職等の支援を総合的に行う
拠点「シニアしごと倶楽部(仮称)」を創設し、シニア世代が有する技術・技能や
経験が生かされる社会づくりに取り組む。
■企業退職者等に対するワンストップの情報提供・相談の実施
■シニア相互の交流の場の提供
■企業退職者等と中小企業のマッチングの実施
団塊世代等のシニア層のしごとサポート体制
るワンストップの情
報提供・相談の実施
○シニア相互の交流の
場の提供
登録
情報提供・相談
あっせん・紹介
個人企業主
○企業退職者等に対す
中小企業
企業・経済団体・労働団体
増大する企業退職者等
登録
求人
シニアしごと倶楽部
(仮称)
中小企業活性化
情報提供
シルバー人材
仲介等
○企業退職者等と中小
企業のマッチングの
実施
センター等
センター
生きがいしごと
サポートセンター
コミュニティサポート
121
創 業
臨時・短期
コミュニティ・
ビジネス
ボランティア等
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
(2)エージフリーの啓発と推進
「高年齢者雇用安定法」の改正を受け、65 歳までの定年延長や継続雇用、求人の
際の年齢制限の緩和についての取り組みを促すため、民間企業を対象とした研修会
や啓発・広報を行う。また併せて、世代間ワークシェアリングを活用した高齢者雇
用の促進を図る。
(3)シルバー人材センター事業の推進による高齢者の就業促進
県内で約4万人(平成 15 年度)の会員を有するシルバー人材センターの事業を
推進するため、(社)兵庫県シルバー人材センター協会が行う普及啓発、就業開拓、
交流研修等に対する支援を行う。
5 女性の就業支援
国連開発計画の調査では、わが国の女性の社会進出度は世界で 38 位と、先進国の
中でも非常に低い状況にある。本県の労働力率をみても、男性 73.8%に対し、女性は
44.0%(平成 12 年)に過ぎない。バブル期には、労働市場が売り手市場となり、女
性の社会進出が進んだものの、経済の低迷から労働力の過剰感が出てくると低下する
など、子育てや女性の就業に関する社会的な意識・基盤の不備もあって、なかなか女
性が意欲と能力に見合った仕事に就けないでいる。
こうした現状を見据えながら、女性が能力を発揮できるよう、自己のライフスタイ
ルに合わせ、仕事と家庭生活との両立を図れる働きやすい環境づくり等を推進してい
く。
(1)ファミリーサポートセンターの設置促進
仕事と家庭生活の両立や子育てを支援するファミリーサポートセンターの設置を
拡大するため、市町への設置促進等を積極的に行う。
(2)職場におけるパートナーシップの啓発
性別や家族の状況、雇用形態などにより、労働者が職場で差別的待遇を受けるこ
となく、職場の構成員が互いにパートナーとして能力が発揮できる職場づくりに資
するため、事業主、労務担当者、労働者等の意識啓発を行うセミナー等を実施する。
(3)育児休業・介護休業に係る生活資金の融資
労働者の生活の安定と育児・介護休業制度の利用促進を図るため、育児休業や介
護休業を取得した男女労働者に、休業期間中に必要な生活資金を融資する。
(4)再就労・在宅ワーク支援
女性の就労拡大を図るため、興味のある分野で働きたい者や育児・介護によりい
ったん職場を離れた者を対象に再就労に向けたセミナーを開催するとともに、起業
家や在宅ワーカーとしての自立に向けた支援を行う。
■再就労支援セミナーの開催
長期離職者を対象に、ベーシックOA、法律知識、自己理解や多様な働き方の
ための情報を提供することにより、円滑な再就労を支援する。
■起業準備セミナーの開催
事業計画書の作成、資金計画・調達方法などの実践研修を通じ、女性起業家を
育成する。
122
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
■在宅ワーカー就労支援セミナーの開催
在宅ワーカーとしてのIT技術や法律・経理の一般知識を提供することにより、
在宅ワーカーを育成する。
Ⅱ 多様就業の推進
人口減少・少子高齢化や多様化する個人のワークスタイル等に柔軟に対応できる就
業形態の普及のため、多様就業型ワークシェアリングの推進、生きがいをもって働け
るコミュニティ・ビジネスの育成に取り組み、県民誰もが意欲と能力に応じて伸び伸
びと働ける成熟社会にふさわしい多様な働き方を創出する。
6 ワークシェアリングの導入促進
これまで、
本県では、
労使行政が協働してワークシェアリングをモデル的に導入し、
その成果を検討・分析のうえ、幅広い企業等で活用できるモデルの普及を行ってきた。
今後、これまでの取り組みを生かし、地域の産業・就業など実情にマッチし、人口
減少・少子高齢化の下での女性・高齢者等の就業促進、多様化する就業スタイルに対
応した選択肢の拡大等に柔軟に対応できる就業システムとして、正規雇用としての短
時間勤務形態等の普及を図る多様就業型ワークシェアリングの推進をめざし、地域ご
とに労使等による「ワークシェアリング地域協議会」を立ち上げ、PR、セミナー、ア
ドバイザー派遣等の普及・導入支援を行うとともに、平成 19 年度にその総括検証を
行う。
兵庫のワークシェアリング WS)の取組み
H11.12 月:兵庫型ワークシェアリングについて合意(労使行政)
H12. 5 月:ワークシェアリングガイドラインを策定(労使)
H14 年度:ワークシェアリング導入モデル事業(公募)
H15 年度:ワークシェアリング導入モデル事業(労使推進)
H16 年度:世代間ワークシェアリング導入モデル(労使推進)
雇用維持のための緊急避難タイプ、就業の多様性を実
現するタイプなど、わが国への移入段階において、先
駆的・試行的な取り組みを展開。
人口減少・少子高齢化や就業意識の変化の進展
今後の取り組み
単なる仕事のシェアではなく、就業がもたら
す様々な価値を分かちあう
多様就業型ワークシェアリング
の重視へ。その普及を図る中で、就業を巡る
課題解決を図るとともに、短時間雇用の正規
化(処遇改善)も推進。
<多様就業型WSがめざすもの>
○2007 年問題に対応した技能・知識継承
○人口減少化での働き手の確保(高齢者の雇
用継続、女性の仕事と家庭の両立)
○若年層等の就業意識の多様化への対応等
7 生きがい就業支援
地域のシーズ・ニーズを生かし、まちの活性化、コミュニティの維持などを図ろう
とする市民の熱意・主体性を生かしたコミュニティ・ビジネスの育成や生きがい就業
への支援を行う。
(1)コミュニティ・ビジネスに対する支援(再掲)
任意のグループ等が実施する、コミュニティ・ビジネスの活動開始にあたり、立
ち上がり期の開業経費や運営経費等を支援するとともに、生きがい創造活動からビ
ジネス活動へ転換を図り、企業化をめざすコミュニティ・ビジネスに対し、市場可
能性調査、専門家の活用等を支援する。
123
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
(2)生きがいしごとサポートセンターの拡大設置(再掲)
中間支援組織としてのNPOと連携しながら、コミュニティ・ビジネスでの就
業・起業を目指す者を開拓するための情報提供や、これらを希望する者に対し、情
報提供、相談、ゼミナール・講習会の開催等、各種支援を効果的に行う「生きがい
しごとサポートセンター」を県内4ヶ所からさらに拡大設置し、コミュニティ・ビ
ジネスの支援体制を充実する。
(3)公共職業訓練によるコミュニティ・ビジネス人材の育成
公共職業訓練において、兵庫しごとカレッジシステムとも連携し、NPOの設
立・運営やコミュニティ・ビジネスの事業計画策定等に関する基礎知識修得を行い、
コミュニティ・ビジネスにかかる人材を育成する。
Ⅲ 人材マッチング等の推進
就業の円滑化、働き方の多様化につながる横断的な取り組みとして、県、国、商工
会議所、経営者団体、民間職業紹介事業者等の連携強化を図りながら、「Hyogo
しごと情報広場」を中心とした求人・求職の適切なマッチングを推進する。
8 Hyogoしごと情報広場の運営
雇用の安定を図るため、
「Hyogoし
ごと情報広場」において、就職や能力開
発等に関する相談事業及び産業施策連携
無料職業紹介事業を推進する。特に無料
職業紹介事業については、ハローワーク
や神戸人材銀行、兵庫しごとカレッジシ
ステムとの連携を図ることにより企業ニ
ーズに応じた適切な人材のマッチングを行う。
<Hyogoしごと情報広場>
実施工程表
1 青少年・若年の
自立支援
平成 17 年度
○しごと体験ネットワーク
・連絡協議会の設置
・スタートアップフォーラムの開催
・産業人バンク等の創設
・しごと体験支援ガイドブック等の作
成・配布
・ものづくり総合情報の発信
○小・中学生
・ワーク・デーの実施
・しごとツーリズムの実施
・ひょうごの匠キャラバン隊派遣
・技能一日塾の開催 等
○高校生
・キャリアカウンセリング、キャリア
デザイン講座の実施
・インターンシップの実施
・高校教員体験研修の実施
124
平成 18 年度
・産業人バンク等
の運営
平成 19 年度
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
・技能一日塾の開催 等
○学生・若年
・若者しごと倶楽部における支援
・兵庫しごとカレッジシステムの活用
等
2 中高年の雇用 ○シニアチャレンジ相談会の開催
安定
○モデル雇用奨励金
・職種選定実施
○ミスマッチ解消モデルの普及 等
3 障害者の就業 ○モデル事業の公募、実施
支援
○雇用推進会議の開催
○職場改善等融資
○障害者専門無料職業紹介の実施
○ジョブコーチのネットワーク化
・登録実施
○障害者職業能力開発校の科目再編
等
4 高齢者の就業 ○シニアしごと倶楽部(仮称)の設
支援
置・運営
○エージフリー啓発・推進
・シンポジウム、啓発・広報事業、研
修会の実施
○シルバー人材センター事業の推進
による高齢者の就業促進
等
5 女性の就業支 ○ファミリーサポートセンターの設
援
置
○再就労・在宅ワーク支援の実施 等
6 ワークシェア ○地域協議会
リングの導入促 ・地域協議会設置・開催(地域特性、
進
現況把握)
・地域ごとの導入企業発掘
○ シ ン ポ ジウ ム
の開催
・開催(課題整理、
導入方策検討)
・新規導入企業の
発掘
○普及啓発
・セミナー開催・アドバイザー派遣・
PR活動 等
・総括検証・シン
ポジウム開催
7 生きがい就業
支援
8 Hyogo し ご と
情報広場の運営
○コミュニティ・ビジネスへの支援
○生きがいしごとサポートセンター
の拡大設置
○公共職業訓練によるコミュニテ
ィ・ビジネス人材の育成
○Hyogoしごと情報広場の運営
・職業紹介の推進 等
125
第4章 プロジェクトの展開
⑨多参画就業推進プロジェクト
プロジェクトイメージ
誰もが生き生きと働ける多参画・多様就業システム
多参画型の就業システムづくり
青少年・
若年者
中高年者
障害者
高齢者
女 性
−しごと体験ネットワークによる体験型職業教育等の推進―
ワーク・デーの推進、「ひょうごの匠」キャラバン隊の派遣、
しごとツーリズム、ものづくりインターンシップ、技能一日
塾の実施、若者しごと倶楽部における就職支援 等
シニアチャレンジ相談会の開催、「中高年モデル雇用奨励金」
の創設、賃金ミスマッチ解消モデルの普及 等
実践モデルの普及啓発、職場改善等融資、障害者専門無料職
業紹介の実施、養成ジョブコーチのネットワーク化
等
シニアしごと倶楽部(仮称)における就業支援、エージフリー
の啓発・推進、シルバー人材センター事業の推進による就業
促進
ファミリーサポートセンターの設置、育児休業等に係る生活
資金の融資、再就労支援セミナー等の開催 等
職業紹介
人材マッチング
多様で柔軟な就業形態の創出
◆ワークシェアリング ◆コミュニティ・ビジネス ◆在宅ワーク・SOHO 等
126
第4章 プロジェクトの展開
⑩就業力向上プロジェクト
⑩ 就業力向上プロジェクト
めざす姿
製造業における人材ニーズの高度化、サービス分野における広範な人材需要など、
経済・社会構造の変化をふまえ、若年者の自立や県民のキャリア形成につながる実効
的な能力開発プログラムを提供し、人材が支える産業の発展、産業が拓く多様な就業
機会の好循環を形成する。
これまでの取り組みと課題
︻
新規求人倍率 倍( ︼)
再活性化プログラムでは、新たな能力開発システムとして、産労学公が連携し、企業
の人材ニーズを的確に把握するとともに、ニーズに合致した能力開発カリキュラムの編
成や求職者の目的意識の明確化を図るなど、能力開発の側面から雇用のミスマッチを解
消する「兵庫しごとカレッジシステム」を推進してきた。
加えて、民間教育訓練機関等を活用した短期間のIT訓練をはじめとする多様な職業
訓練の実施、若年者を対象とした座学と企業での実習訓練を組み合わせた実務・教育連
結型人材育成システム(デュアルシステム)の導入、
「Hyogo しごと情報広場」における
職業能力開発の相談・援助、公共
県内の職種別新規求人倍率・充足率(平成 15 年)
職業能力開発施設における訓練等、
1.8
← サービスの 職 業 (1.67倍 ・16.8%)
多様化する人材・就業ニーズに対
1.6
応したスキルアップの機会を求職
1.4
← 専 門 的 ・技 術 的 職 業 (1.38倍・18.0%)
1.2
← 販 売 の 職 業 (1.14倍 ・17.8%)
者に対し提供してきた。
← 運 輸 ・通 信 の
1
職 業 (0.99倍 ・33.0%)
本県の雇用情勢は、有効求人倍
↑
0.8
生 産 工 程 ・労 務 の 職 業
↑
0.6
大
率の改善など、漸く明るさがみら
(0.95倍 ・30.0%)
管理的職業
(0.78倍 ・23.7%)
0.4
れるようになってきたとは言え、
↑
ミス マ ッ チ
小
0.2
事 務 的 職 業 (0.39倍 ・39.2%)
完全失業率が高止まりの傾向を示
0
15
20
25
30
35
40
し、失業の要因が需要不足から職
【充 足 率 (% )】
<兵庫労働局>
業能力や職種など求人・求職のミ
スマッチに起因する構造的・摩擦的要因へとシフトしつつある。
今後、労働需給のマッチングを円滑化し、失業、あるいは失業期間の長期化を防ぐ予
防的・積極的雇用政策としての県民の就業力向上対策の充実が課題となっている。
求人活動における問題点
56
応募はあるが必要な能力が不足
34
応募はあるが必要な経験が不足
17
募集しても人が集まらない
17
募集すればほぼ希望どおりの人材が採用できる
13
応募はあるが年齢が合わない
12
応募はあるが賃金が合わない
5
その他
0
10
(%)
20
30
40
50
60
<兵庫県「県内求職者アンケート調査」
(平成 16 年 6 月)>
127
第4章 プロジェクトの展開
⑩就業力向上プロジェクト
プロジェクトの概要
世界もうらやむ低失業国であったわが国であったが、90 年代以降の経済低迷の中で失
業率が急速に上昇し、高止まりするという就業構造の大きな変化が生じた。こうした変
化に対応し、事後的・受動的な雇用政策から、就業能力を高める積極的な雇用政策へとシ
フトし、失業の予防、離職期間の短期化を図っていくことが必要である。
高失業率に悩んだ英国では、
「ニューディール政策」と呼ばれる失業者対策が、若年失
業者の4割を就職させるなど大きな成果をあげた。
この政策には幾つかの特徴があるが、
キャリア・カウンセリングの重視、民間部門の積極的な活用を通じた就職に直結しやすい
現場での実地訓練の展開など、
今後、地域レベルでの取り組みにも生かせるものがある。
いずれにせよ、就業力の向上対策は、産業の発展のみならず、県民一人ひとりのキャ
リアアップや豊かな生き方に不可欠な施策として重要性を増しており、兵庫の実情や強
みを生かした実効的な仕組みを構築していくことが求められている。
こうした認識の下、現在産労学公連携で取り組んでいる「兵庫しごとカレッジシステ
ム」をその試金石と位置づけ、企業のニーズ、求職者のニーズの双方に応える就業力向
上の中核事業として、中高年に加え、フリーターや労働市場にすら登場しない若年無業
者を対象とし、柔軟で高質な訓練プログラムの提供等積極的にシステムの充実を図る。
また、職業能力開発において重要な役割を担う公共職業能力開発施設における訓練に
ついても、県民が県政に期待する雇用政策の上位に「公的な訓練プログラム」が位置す
るなど(「県内求職者アンケート調査」
(平成 16 年 6 月)
)、県民の期待に応えるため、
「兵
庫しごとカレッジシステム」と連携しながら、時代環境に対応した柔軟で機動力のある
訓練の展開を図る。
そのほか、ものづくり人材大学校事業などを通じ、技術・技能人材の育成やスキルの
向上、多彩な技術・技能人材を育てる地域づくりなど、ものづくり兵庫を牽引する人材面
の可能性の向上に取り組む。
施策の体系
就業力の向上
兵庫しごとカレッジシステム
の充実
兵庫しごとカレッジシステムの本格展開
地域における能力開発拠点としての
公共職業能力開発施設の充実
技術・技能の振興と
承継への支援
技術・技能人材の育成と
技能尊重の気運醸成
128
第4章 プロジェクトの展開
⑩就業力向上プロジェクト
プロジェクト指標
■目標:能力開発支援の軸となる「兵庫しごとカレッジシステム」による就業促進
成果指標①: 兵庫しごとカレッジシステムにおける受講者数(人)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
915
2,300
2,300
2,400
測定時期
平成 16 年 4 月末 平成 18 年4月末 平成 19 年4月末 平成 20 年4月末
成果指標②: 兵庫しごとカレッジシステムにおける公共訓練による就職率<就職者数>(%・人)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
52.9<118>
60.0<750>
65.0<840>
70.0<940>
測定時期
平成 16 年 8 月末 平成 18 年8月末 平成 19 年8月末 平成 20 年8月末
■目標:公共職業能力開発施設による就業促進
成果指標:公共職業能力開発施設における就職率(%)
直近実績
平成 17 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
73.3
75.0
測定時期
平成 16 年 8 月末 平成 18 年8月末
■目標:技術・技能の振興
成果指標:技能検定受験者数(人)
直近実績
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
6,187
測定時期
平成 16 年 4 月末
平成 18 年度
平成 19 年度
80.0
平成 19 年8月末
85.0
平成 20 年8月末
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
6,300
平成 18 年4月末
6,500
平成 19 年4月末
6,800
平成 20 年4月末
施策プログラム
Ⅰ 兵庫しごとカレッジシステムの充実
激しい経済・社会環境の変化の中で、県民が適切に自己の就業能力を高め、就業を
果たすには、まず、自らの希望する仕事、人生や仕事に対する価値観、過去・現在を
通しての自己の強み・弱み・適性等をキャリアカウンセリングを通じて見極め、自ら
の選択した方向に沿って能力開発を行うとともに、多様化する産業ニーズ・就業ニー
ズに対応できる柔軟で機動性のある能力開発プログラムが必要となる。
こうした認識の下、産労学公が連携した「兵庫しごとカレッジシステム」の機能を
強化し、公共職業能力開発施設やものづくり人材大学校事業との連携を軸として、キ
ャリアカウンセリングと能力開発の一体化、柔軟で機動的な教育訓練機会の提供など、
県民一人ひとりの可能性を最大限に生かした実効的な就業力向上の仕組みを実現し
ていく。
129
第4章 プロジェクトの展開
⑩就業力向上プロジェクト
<兵庫しごとカレッジシステムの本格展開>
①カウンセリング
は今後の充実点
や職業紹介との
企業・事業主
①人材ニーズ
の把握
連結を強化
兵庫しごとカレッジシステム
運営協議会(産労学公)
求 職 者
②若年者に対するコミュニケーション能力や
ビジネスマナー等企業ニーズを反映した
モデルカリキュラムの充実
企業への普及
セミナー開催
支援
人材ニーズの
普及セミナー開催
モデルカリキュラムの提示
訓練の実施支援
④教育訓練の実施
【公共職業能力開発施設】
【民間主体の訓練】
・認定能力開発プログラム ・オーダーメイド型訓練
・就職直結型能力開発への ・コミュニティ・ビジネス等地域
ニーズに対応した訓練
支援
・ユニット型訓練
・実務・教育連結型人材育成シス
若年者向け訓練
の充実
テム(デュアルシステム)
・短期企業実習システム
等
②キャリアカウンセリング
⑤求人求職
のマッチング
③求人、求職、訓練機関
三者への啓発と訓練支援強化
①就業・能力開発相談
(若者しごと倶楽部等と
新たに連携)
しごと情報広場
若者しごと倶楽部
シニアしごと倶楽部(仮称)
生きがいしごと
サポートセンター
ものづくり人材大学校
1 兵庫しごとカレッジシステムの本格展開
兵庫しごとカレッジシステムにおいて、実効性の高い能力開発を推進するため、就
業に関する情報提供や相談を総合的に行う「Hyogo しごと情報広場」等の就職支援機
関と連携しつつ、キャリアカウンセリング・訓練・求人求職のマッチングの連結化、現
在の中高年者だけでなく若年者も対象化した上で、変動する訓練ニーズに対応した柔
軟な能力開発プログラムの提供、兵庫しごとカレッジシステムの浸透・普及など、大
幅な機能強化を行う。
(1)キャリアカウンセリング・訓練・職業紹介の連結・システム化を通じた県民へのき
め細かいサービスの提供
就職や職業能力開発に関する総合的な情報提供や相談等を行っている「Hyogo し
ごと情報広場」、若年者への求人情報の提供や相談、キャリアマネジメント等を行
っている「若者しごと倶楽部」
、高齢者の就業支援を行う「シニアしごと倶楽部(仮
称)」、コミュニティ・ビジネスを支援する「生きがいしごとサポートセンター」、
さらにはハローワーク等の就職支援機関と兵庫しごとカレッジシステムの連携体
制を強化し、県民一人ひとりの特性・就業希望に応じて、相談、キャリアカウンセ
リング、能力開発プログラムへの参加、職業紹介までの一連のプロセスを展開する
など、一気通貫のシステムを構築する。
(2)モデルカリキュラムの充実
事業主委託訓練などの実績や若年者に対するコミ
ュニケーション能力・ビジネスマナーなど企業ニー
ズを反映したモデルカリキュラムの充実を図る。
(3)民間主体の訓練への支援
兵庫しごとカレッジシステムの円滑な推進のため、民間機関等が主体となって行
う訓練に対して助成を行う。
<モデルカリキュラム(介護)に基づく能力開発実習>
130
第4章 プロジェクトの展開
⑩就業力向上プロジェクト
■就職直結型能力開発への支援
求人企業が採用見込みの求職者に対し、不足する能力を補うため、能力開発プ
ログラムを受講させ、採用した企業に対し、当該企業が負担した経費の一部を助
成する。
■民間機関等の実施する能力開発プログラム修了者への支援
兵庫しごとカレッジシステムが産業界の人材ニーズに即して策定したモデル
カリキュラムに合致するとして認定された能力開発プログラムの修了者に対し、
受講費用の一部を助成する。
(4)兵庫しごとカレッジシステムの普及・浸透
兵庫しごとカレッジシステムが把握した企業ニ
ーズを求職者へ、企業ニーズに対応して策定した
モデルカリキュラムを民間能力開発機関へ、さら
に兵庫しごとカレッジシステムの実効性や意義を
産業界へ、それぞれセミナーなどあらゆる機会を
捉えて普及・浸透し、システムに参画、又は利用
する求職者・能力開発機関・企業の環を拡げ、そ
<兵庫しごとカレッジシステム成果発表会>
れがシステムの充実につながり、さらなる普及・
浸透を果たす好循環の形成を図る。
併せて、兵庫しごとカレッジシステムの能力開発プログラムの修了者に対して訓
練修了証を発行するとともに、修了者の能力を評価するシステムの将来的な導入を
検討し、兵庫しごとカレッジシステムの認知度を高める。
2 地域における能力開発拠点としての公共職業能力開発施設の充実
県の運営する公共職業能力開発施設について、兵庫しごとカレッジシステムや民間
との連携強化による弾力的で機動的な訓練の提供、若年の自立支援など、地域に開か
れた公共職業能力開発拠点として多様な訓練ニーズに応えていく。
(1)産業・県民ニーズに対応した柔軟な公共職業訓練の実施
兵庫しごとカレッジシステムが把握した人材ニーズに対応し、県民一人ひとりの
スキルアップにつながる柔軟な公共職業訓練を実施する。
■オーダーメイド型訓練の導入
兵庫しごとカレッジシステムとものづくり人材大学校事業が連携しながら、事
業主委託訓練を拡充し、事業者のニーズに対応したオーダーメイド型の現場訓練
を行い、匠の技を持つ人材や技術・企業系人材など実践的な人づくりに取り組む。
■コミュニティ・ビジネス等地域産業への支援(再掲)
コミュニティ・ビジネス等地域産業にかかる人材を育成するため、NPOの設
立・運営やコミュニティ・ビジネスの事業計画策定等に関する基礎知識修得のた
めの訓練を行う。
■ユニット型訓練の導入
1∼2年の長期訓練について、比較的短期の訓練目標ごとのセルを設定し、訓
練生が必要に応じてこれを追加・変更したりするなど選択可能なものとし、就職
等の目標を達成した時点で修了とするユニット型訓練について、試行導入する。
131
第4章 プロジェクトの展開
⑩就業力向上プロジェクト
ユニット化の例:機械加工1年コース
<第1ステップ>
基礎的な座学(機械製図学、力学、機構学、社会人マナー等1ヶ月)
第 1 ステップ修了者
<第2ステップ>
ユニット1(2ヶ月)
製図コース(初級)
ユニット2(2ヶ月)
機械加工コース
(普通施盤:初級)
第2ステップ
(ユニット 1∼3)修了者
1年で就職
<第3ステップ>
ユニット3(2ヶ月)
機械加工コース
(フライス盤:初級)
□ユニットの選択受講
ユニットを1つ受講⇒3ヶ月で就職
ユニットを2つ受講⇒5ヶ月で就職
ユニットを3つ受講⇒7ヶ月で就職
機械仕上組立:中級(2ヶ月)→課題設計:上級、職場実習(3ヶ月)
■指導員のコーディネーター化
最先端の技術分野など指導員が訓練生を指導することが困難な分野では、外部
講師を積極的に導入し、指導員とともに訓練を実施するなど、短時間での科目の
見直しやカリキュラムの変更が可能な体制について、検討を行った上で早期導入
を図る。
■中高年求職者等のスキルアップへの支援
民間教育訓練機関等を活用し短期間の多様な職業訓練を実施する。
・雇用対策特別訓練
資格取得に結びつく科目や中高年者ホワイトカラー離職者、さらに障害者等
を視野に入れた科目を設定する。
・情報通信関連訓練
情報処理通信関連の訓練コースを設定する。
・民間を活用した実践的能力開発
個別求人企業において、中高年者等求職者に対して実際の職場環境での訓練
を行うなど、企業ニーズに沿った実践的な事業主委託訓を実施するとともに、
訓練終了後はその企業での雇用を目指す。
(2)若年者への支援
若年者については、若年期に修得すべき職業能力・知識を得ることができないと
いうことは、当面の就業困難をもたらすだけではなく、将来にわたっても能力不足
による不安定就労を招くとともに、能力蓄積の差は、経済格差を拡大させ、それが
世代間で繰り返されることにより、社会構造の脆弱化につながる恐れがある。その
ため、若者一人ひとりが能力と意欲を最大限に発揮して就業できる環境・基盤をつ
くり、個々人の生活の安定・豊かさの実現を図れるよう、危機意識を強く持ち、若
年者向けの訓練を充実し、実践的な職業能力開発を行う。
■キャリアカウンセリングの充実
県職業能力開発施設における指導員等のキャリアカウンセリング能力の向上を
図り、施設内訓練においてキャリアカウンセリングを加味した職業能力開発を行
うとともに、
「Hyogo しごと情報広場」と密接に連携し、施設内訓練や事業主委託
132
第4章 プロジェクトの展開
⑩就業力向上プロジェクト
訓練先等への出張カウンセリングを実施する。
キャリアカウンセリング
能力の向上
Hyogo しごと情報広場
求人・求職
情報の共有
技術専門学院
指導員等
出張
カウンセリング
キャリア
カウンセリング
の充実
施設内訓練や委託訓練
における
キャリアカウンセリングを
加味した
職業能力開発
施設内訓練
委託訓練
■若年者向け能力開発プログラムの実施
ビジネスマナー、職業意識、コミュニケーション能力など若年者に求められて
いる基礎的な能力を修得できるよう施設内訓練や就職基礎能力速成講座を実施
する。
■実務・教育連結型人材育成システム(デュアルシステム)の充実(再掲)
開発したモデルカリキュラムを反映させつつ、企
業における実習訓練と教育訓練機関における座学と
を一体的に組み合わせた教育訓練を充実する。
■短期企業実習システムの導入(再掲)
県職業能力開発施設の学卒対象訓練科目で、1ヶ
月程度のインターンシップを試験的に導入し、拡大
を図るなど訓練生の職業意識の向上や実践的な職業 <県立姫路高等技術専門学院における
実務・教育連結型人材育成システム
能力の向上を推進する。
(デュアルシステム)の CAD/CAM の授業>
■情報発信の充実
訓練科目のネーミングや情報発信の方法など、若年者が、職業能力開発施設に
関心が持てるように、若年者への情報発信の充実を図る。
(3)障害者職業能力開発校の科目再編(再掲)
IT化の進展、技術の高度化、障害の重度化等、障害者を取り巻く環境変化に対
応するため、オフィスワーク事務科、総合デザイン科、インテリアCAD科を新設
するなど、企業及び障害者のニーズにあった科目の再編整備を行う。
Ⅱ 技術・技能の振興と承継への支援
急速な経済・社会の環境変化に伴い、社会が企業に、ひいては、企業が労働者に求
める職業能力は、その変化に対応し得る柔軟で高度な技術・技能、知識、創造力等で
ある。こうした能力を身につけるために、ものづくり人材大学校事業などを通じて、
133
第4章 プロジェクトの展開
⑩就業力向上プロジェクト
県民の技術・技能向上を支援していく。
また、卓越した技術・技能は、本県産業の発展基盤になることはもちろん、固有の
文化・伝統といったアイデンティティを形成する役割を果たし得る。そうした幅広い
観点から、技術労働者の社会的地位の向上や青少年のものづくりへの関心を喚起しな
がら、ひょうごの優れた技術・技能を尊重する気運や承継基盤を形成する。
3 技術・技能人材の育成と技能尊重の気運醸成
技術革新の進展、産業構造の変化等に対応するため、ものづくり人材の中核的な育
成機関の設立を検討・推進しつつ、その先行事業として、これまでの取り組みを総合
したものづくり人材大学校事業を実施するとともに、中小企業へ「ひょうごの匠」を
派遣するなど、匠の技を持つ技能人材や製造業の競争力を支える熟練技術、高度技術
を持つ人づくりに取り組む。
併せて、技能労働者の社会的地位の向上や青少年のものづくりへの関心を高めるた
めの取り組みを行う。
(1)ものづくり人材育成機関構想の推進(再掲)
21世紀の兵庫のものづくりを支える現場人材を育成するため、県内の大学や公
共職業能力開発施設のポテンシャルを糾合しながら、個人技能を駆使する匠から工
場系の技術者・熟練工までを対象に、求職者の即戦力トレーニング、企業在職者の
技術・技能向上などの機能を持つ中核的なものづくり人材の育成機関のあり方を検
討し、その具体化を図る。
(2)ものづくり人材大学校事業の推進(再掲)
ものづくり人材育成機関構想の検討と並行し、その先行事業として「兵庫しごと
カレッジシステム」や既存の公共職業能力開発施設の事業等を総合し、県民の選択
性を高め、訓練内容の充実を図るものづくり人材大学校をソフト事業として実施す
る。
(3)「ひょうごの匠」の派遣
後継者不足が著しい業種に対し、
「ひょうごの匠」を要請のあった中小企業に派遣
し、中堅技能者の育成や高度熟練技能の伝承を幅広く支援する。
(4)技能者の顕彰、技能競技大会への派遣
広く技能尊重気運を高め、技能労働者の地位及び技能水準の向上を図るため、優
れた技能者に対し顕彰を行うほか、技能五輪大会等へ技能者を派遣する。
(5)ものづくりの体験学習・PR推進拠点の整備検討(再掲)
青少年のものづくりへの関心を高めるため、ものづくり現場での体験学習を円滑・効果
的に推進する機能と、兵庫の地場産業や匠の技のものづくりの実演、来場者のものづくり
の直接体験等、施設内での体験学習機能を中心に、地場産業等に関する情報発信機能
等をも併せ持った拠点施設について、ものづくり人材育成機関との一体的な整備も視野に
入れながら検討を行う。
134
第4章 プロジェクトの展開
⑩就業力向上プロジェクト
実施工程表
1 兵庫しご
と カ レッ ジ
シ ス テム の
本格展開
2 地域にお
け る 能力 開
発 拠 点と し
て の 公共 職
業 能 力開 発
施設の充実
3 技術・技能
人 材 の育 成
と 技 能尊 重
の気運醸成
平成 17 年度
平成 18 年度
○Hyogo 情報広場との連携システムの構
築・稼働
○モデルカリキュラムの充実
○民間主体の訓練への支援
○システムの普及啓発
○公共職業能力開発施設の強化
・オーダーメイド型訓練の実施
・拡大実施
・コミュニティ・ビジネス等地域ニーズ
に対応した訓練の実施
・ユニット型訓練の試験導入
・本格実施
・指導員のコーディネーター化の検討
・指導員のコーディネーター化
の試験的実施
等
○若年者への支援
・キャリアカウンセリングの充実
・拡大実施
・若年者向け訓練の充実
・実務・教育連結型人材育成システム(デ ・拡大実施
ュアルシステム)
・本格実施
・短期企業実習の試験的導入
・若年者への情報発信(ホームページの
充実、科目名の通称等検討、広報・募 ・科目名の通称等利用、
広報、募集等体制整備
集等体制検討)
等
○ものづくり人材育成機関構想の推進
・ものづくり人材育成機関のあり方検 ・具体化
討
○ものづくり人材大学校事業の推進
○技能者の顕彰、技能競技大会への派遣
○ものづくりの体験学習・PR推進拠
点の整備検討
・検討体制の整備、基本計画の策定 等 ・具体化
135
平成 19 年度
・拡大実施
・本格実施
・拡大実施
・拡大実施
第4章 プロジェクトの展開
⑩就業力向上プロジェクト
プロジェクトイメージ
「Hyogo しごと情報広
場」・「若者しごと倶楽
部」
・
「シニアしごと倶楽
部(仮称)」等の就職支援
機関との連携強化(キャ
リアカウンセリング・訓
練・職業紹介の連結)
職業能力開発支援の中核を担う
「兵庫しごとカレッジシステム」の本格展開
企業、
コミュニティ・
ビジネス
就業の実現
人材ニーズの把握
兵庫しごとカレッジ
システム運営協議会
若年者に対するコミュニケーション能力や
ビジネスマナー等企業ニーズを反映した
モデルカリキュラムのさらなる充実
民間主体の訓練への支援
・就職直結型能力開発への支援
・民間機関等が実施する能力開発プログラム修了者への支援
地域能力開発拠点としての
「公共職業能力開発施設」の充実
産業・県民ニーズに対応した柔軟なプログラム
■オーダーメイド型訓練
■コミュニティ・ビジネス等の人材育成
■ユニット型訓練の導入
■外部講師の導入による指導員のコーディネーター化
■雇用対策特別訓練
■情報通信関連訓練
■民間を活用した実践的能力開発
若年者への支援
■キャリアカウンセリングの充実
■コミュニケーション能力、ビジネスマナー等ニーズの高いカリキュラムの実施
■実務・教育型連結人材育成システム(デュアルシステム)の充実
■短期企業実習システムの導入
■情報発信の充実
障害者への支援
■障害者職業能力開発校の科目再編
普及啓発
■求職者、企業、民間訓練機関へのシステムの普及・浸透
■能力開発プログラム修了者への訓練修了証授与及び修了者の能力評価システム
の検討など、兵庫しごとカレッジシステムの認知度の向上
多様な能力開発機会
の提供
県
民
の
就
業
力
の
向
上
兵庫しごとカレッ
ジシステム、公共職
業能力開発施設、も
のづくり人材大学
校事業等の連携
技術技能人材の育成と
技能尊重の気運醸成
□ものづくり人材育成機関構想の推進□ものづくり人材大学校事業の推進
□技能者の顕彰、競技大会への派遣 □ものづくりの体験学習・PR推進拠点の整備検討 等
136
第4章 プロジェクトの展開
⑪賑わいひょうご創出プロジェクト
新たな交流を進め、世界と兵庫の飛躍をもたらすために
⑪ 賑わいひょうご創出プロジェクト
めざす姿
国内外から人が訪れ、ひょうごを体験し、人と交流するツーリズムの活性化に向け、
地域主導の魅力づくりへの支援や国内外への情報発信等に取り組み、ひょうごの多彩
な資源と住む人の誇り、もてなしの心が結びついた賑わいひょうごを創出する。
これまでの取り組みと課題
平成 15 年、観光関連産業は、世界の国内総生産の 10.2%、約3兆5千億ドルの規模
に達した。観光関連産業は、直接的に旅行に関わる分野だけでなく、波及的な消費行動
を生じさせる特性を持ち、経済効果が極めて大きい。今世紀、輸送・移動技術の発展にも
後押しされながら、世界の多くの国で観光が基幹産業になると見込まれている。
県では、こうした情勢も見据えながら、「交流」を基調としたツーリズム振興を図る
ため、地域の多様で特色ある資源を活かし、産業ツーリズム、グリーン・ツーリズム、
温泉ツーリズムをはじめ様々なツーリズムの推進に取り組んできた。また、
「ひょうごツ
ーリストインフォメーションデスク」による海外旅行者等への総合的な情報提供や訪日
旅行に関心の高いアジアに的を絞った見本市への出展、国際教育旅行の誘致活動など、
海外からの誘客促進にも注力している。
現在、政府では、観光振興への世界的な関心の高まりもふまえ、観光を今世紀の重要
戦略と位置付け、訪日外国人を 2010 年に倍増させる目標を掲げて、行動計画に基づく積
極政策を展開している。しかし、競争が激しくなるこれからの観光振興では、国レベル
の総合的な戦略もさることながら、人、モノ、空間、情報といった具体のツーリズム資
源を担う地域での取り組みが重要性を増す。
今後、国内外からの本県の入込客数をさらに伸ばし、多様な交流を繰り広げる「賑わ
いひょうご」を創出するため、成熟した時代にふさわしいソフト面でも行き届いた魅力
を高めるとともに、地域・民間の主体性や意欲を重視した、中長期にわたって持続可能な
ツーリズム振興を図ることが必要となっている。
(百万人)
130
120
110
100
90
80
県内の観光入込客数の推移
127
113 109
123 124
119
県内の外国人旅行者数の推移
(千人)
350
300
250
200
150
100
124 122
105 106
89
232
184
200 207
230
271 266 262
304
157
H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14
H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15
<県「観光客動態調査」>
137
<国際観光振興会「訪日外国人旅行者調査>
第4章 プロジェクトの展開
⑪賑わいひょうご創出プロジェクト
プロジェクトの概要
平成 16 年、中国における日本への団体観光向け査証(ビザ)の発給対象地域が大き
く拡大され、対象地域の人口が1億1千万人から3億7千万人に拡大したことに象徴さ
れるように、今後、国内ばかりか世界的に観光交流人口の増加が見込まれ、それだけ、
国内外における観光を巡る地域間競争はますます激化する。
観光の基盤として、観光資源、インフラ、人材、安全・治安など様々な要素があるが、
魅力ある素材は、資金や技術によって簡単に創られるものではない。持続的・自立的な
観光の活性化に成功している地域では、歴史や伝統、暮らしの豊かさ、産業など、住む
人が誇りと愛着を持つ地域の生活・文化を基本に観光の魅力を創り出し、人を誘引して
いる。いわば、
地域のこだわりがそのままツーリズムに生かされていると言ってもよい。
これからのツーリズムを担うのは、こうした「地域固有の魅力」と、それを誇りに思
い、ツーリストと共に分かちあうオープンな志向を持った「人」であり、このような優
れたツーリズム資源やもてなしの心は、国内のみならず、国や文化の違いをも乗り越え
て浸透し、人を引きつける磁力を持つ。
こうした観点から、兵庫の持つ個性や強みを総動員しながら、地域・民間の主体性を
生かした持続的なツーリズム振興につながる魅力を創出するとともに、訪れる人を温か
く受け入れるホスピタリティ(もてなしの心)を地域に根付かせる取り組みを展開し、
“魅力あふれるひょうご”を内外に力強く発信していく。
施策の体系
賑わいひょうごの創出
地域の魅力創出
地域のツーリズム優位性の強化
地域の賑わい創出
ホスピタリティ(もてなしの心)の向上
国際ツーリズムの推進
効果的なプロモーションの実施
県外におけるPRの強化
広域ツーリズムの推進
ツーリズム推進体制の強化
ツーリズムひょうごの顔となる「インフォメーションセンター」の設置検討
ひょうごツーリズムの着実な推進
<姫路城>
<メリケンパーク>
138
<城崎温泉>
第4章 プロジェクトの展開
⑪賑わいひょうご創出プロジェクト
プロジェクト指標
■目標:県内への誘客促進
成果指標:観光入込客数(万人)
直近実績
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
12,186
測定時期
平成 16 年 11 月
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
15,000
平成 18 年 11 月
15,000
平成 19 年 11 月
15,000
平成 20 年 11 月
平成 18 年度
平成 19 年度
237
3月末
240
3月末
平成 18 年度
1,000
3月末
平成 19 年度
1,000
3月末
平成 18 年度
平成 19 年度
42
3月末
45
3月末
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
600
平成 19 年3月末
600
平成 20 年3月末
600
平成 21 年3月末
■目標:地域の優位性の強化
成果指標:産業ツーリズム施設数(箇所)
直近実績
平成 17 年度
(平成 15 年度)
目標水準(時点)
228
234
測定時期
平成 16 年 3 月末
3月末
■目標:ホスピタリティの向上
成果指標①:ツーリズム関連業界接遇研修参加者数(人)
直近実績
平成 17 年度
目標水準(単年度)
−
1,000
測定時期
−
3月末
成果指標②:ボランティアガイドグループ数(グループ)
直近実績
平成 17 年度
(平成 15 年度)
目標水準(単年度)
37
39
測定時期
平成 16 年 3 月末
3月末
■目標:国際ツーリズムの推進
成果指標:外国人旅行者数(千人)
直近実績
(平成 14 年度)
目標水準(単年度)
304
測定時期
平成 16 年 3 月末
施策プログラム
Ⅰ 地域の魅力創出
地域性や歴史・文化・自然・景観等は、オンリーワンのツーリズム資源であり、こ
うした地域固有の資源の魅力を高め、内外のツーリストに発信していくことが重要で
ある。
こうした地域の多彩なシーズを最大限に生かしたツーリズム資源の開発・創出など、
人を引きつける地域力の強化を地域主導で進めるため、地域住民やツーリズム業界の
ホスピタリティの向上、国際ツーリスト受け入れの基盤づくりなど、地域あげての魅
力創出を総合的に支援する。
139
第4章 プロジェクトの展開
⑪賑わいひょうご創出プロジェクト
1 地域のツーリズム優位性の強化
人を引きつける魅力的な地域を創造するには、地域の資源を最大限に活かした個性
が必要である。そのためには、地域固有の街並み、自然環境、特産品、時には人材と
いったシーズ・強みを伸ばすことが求められる。魅力あるツーリズム資源は、他者へ
の強力なブランドであり、地域の持てるシーズを総動員し、地域の優位性を強化して
いく。
(1)複数の市町等の共同による地域ツーリズム資源の開発・再発見
複数の市町等が連携してツーリズム資源の個性を活かした商品化を行うため、旅
行エージェント等と共同で行う「まちづくり」や「商品企画」、流通チャネル等の
開拓支援を行う。
「まちづくり」
「商品企画」等の共同開発
市町域
を超えて
連携
(例)全国有数のファッションイベントやハイセンスなショップ、
グルメ等をつないだアーバンツーリズム 等
TMO、NPO、商店街グループ、
体験型宿泊施設、市町、観光協会 等
旅行エージェント・
コンサルタント
集客向上
様々な
販路開拓
(2)ツーリズム人材バンクの設置
地域における様々なツーリズム資源の活用、連携、PR等の戦略に関する専門家
のアドバイスを求める声に応えるため、観光カリスマ、旅行エージェント、有識者
等の専門家を「人材バンク」として登録し、地域からの要請に応じ、適切なアドバ
イスを行う。
(3)産業ツーリズムの推進
製造業や地場産業をはじめ、県下の豊かな産業・技術施設を国内外のツーリスト
に紹介する「産業ツーリズム」をより一層推進するため、コーディネート機能を設
ける。さらに、産業施設等の意欲を高めるため、優良施設表彰制度を創設する。
また、国際ツーリストに対する産業ツーリズムの普及を図るため、海外からの団
体旅行が利用するバス借り上げ経費への助成を行う。
140
第4章 プロジェクトの展開
⑪賑わいひょうご創出プロジェクト
産業ツーリズム施設登録件数(平成 16 年 10 月末現在)
神戸地区
阪神地区
播磨地区
但馬地区
丹波地区
淡路地区
63
47
82
17
11
11
合
計
231
2 地域の賑わい創出
集客産業は多様な業種や職種を包括し、地域の雇用に大きな比重を占める産業であ
り、集客の低迷は、地域経済に大きな影響を及ぼしかねない。景気回復という追い風
を生かし、元気な兵庫を取り戻すため、地域の集客向上への取り組みを応援し、地域
の賑わいや活性化を促進する。
(1)地域の活性化、賑わいづくりへの支援
地域のツーリズム関連団体や商店街、地場産業振興
組合等が実施する賑わいを創出するための集客・交流
イベントを支援する。
(2)ひょうごツーリズムバスの実施
県内のツーリズム資源である施設や催事の見学、体
験、学習、研修などを目的とした借上げバスによる県
外からの団体旅行を支援する。
<赤穂義士祭>
3 ホスピタリティ(もてなしの心)の向上
“居心地の良さ”は、旅行者をその地に向かわせる、他には代えがたい強力な力を
秘めている。本県でも、漸く、ツーリズム関連団体・企業を中心として、ホスピタリ
ティの向上に取り組みはじめたところであるが、これらの動きを地域全体まで広げ、
訪れる人を温かく受け入れるもてなしの空間をつくることが喫緊の課題となってい
る。そのため、ツーリズム業界や地域住民の意欲、創意工夫を喚起しながら、「おも
てなしのまちづくり」への地域協働の取り組みを展開する。
(1)ホスピタリティの向上の取り組みに係るキャンペーン展開
全国主要駅においてポスター掲示を行うなど、
「ひょうごの
おもてなし」の普及を図る。特に、10月の「ひょうご・おも
てなし月間」を中心に、重点的なPR事業を展開する。また、
ツーリズム業界とも連携を図りながら、ツーリスト向けの特典
を検討する。
<平成16年度キャンペーンポスター>
(2)サービス産業向けの接遇研修の実施
現在行っているサービス業従業員向け研修に加え、タクシー乗務員への高度な接
客マナー研修を実施するとともに、専門的な知識やマナーの習得を目的とした経営
者やマネージャー向けのセミナーを業種の実態に合わせて実施し、ひょうごのおも
てなしを担う業界の人材育成を図る。
(3)地域住民の参画と協働によるおもてなしのまちづくりの推進
一般市民、観光ボランティア等を対象に、地域の歴史や外国人の習慣等について
141
第4章 プロジェクトの展開
⑪賑わいひょうご創出プロジェクト
学習する市民講座を開設するほか、内外からの旅行者が安心して旅行を楽しむため
の手助けをするボランティアガイドグループの育成、地域のおもてなし向上に貢献
した個人、団体への顕彰など、地域全体でのホスピタリティの向上を推進する。
(4)ホスピタリティ・マネージャーの設置
ホスピタリティ向上のための研修、地域の取り組みやボランティアグループの育
成を図るため、総合的に調整・管理を行うホスピタリティ・マネージャーを設置す
る。
4 国際ツーリズムの推進
海外からの国際ツーリストの誘客促進は、地域経済の活性化に資することはもちろ
ん、国際相互理解を促進する一面も併せ持つ。
こうした国際ツーリズムの多面的価値や世界的な大交流時代の到来をふまえ、明治
の開港以来、様々な外国人を受け入れる中で育んできた優れた国際環境という強みを
生かし、また、国の「ビジット・ジャパン・キャンペーン」や海外各国との交流年、
各種コンベンションとも連携しながら、外国人を引きつけるグローバルな魅力の向上
に努めるなど、本県における国際ツーリズムへの取り組みを強化する。
(1)県内在住外国人、留学生との連携による多言語化の推進
県内在住外国人や留学生等をツーリズムアドバイザーとして登録し、多言語化に
取り組む市町等への助言や協力を実施する。また、各地域のボランティア通訳ガイ
ドグループとの交流を促進し、ボランティアグループの活性化を図る。
(2)国際教育旅行の推進
修学旅行生等の査証(ビザ)免除や緩和措置が実
施されているアジア地域からの訪日教育旅行の誘致
を促進する。
(3)海外国際旅行見本市への出展
海外からの観光客の誘引を促進するため、訪日旅
行の人気が高い地域における国際旅行見本市に参加
する。
<中国・広州における国際旅行見本市
への出展(平成16年1月)>
(4)友好省である広東省からの誘客促進
友好省である広東省からの誘客を促進するため、教育旅行向け資源や産業ツーリ
ズム施設を活用した商品化を進め、積極的なプロモーションを行う。
Ⅱ 効果的なプロモーションの実施
高速交通網の発展に伴い、旅行者の行動範囲は拡大しており、遠方に在住している
旅行者も、本県への訪問者となり得る可能性を有している。そのため、例えば、大河
ドラマをはじめ、本県を題材にとりあげたメディアの効果を活用するなど、県外に向
けての効果的、かつ戦略的なプロモーション活動の必要性が一層高まっている。
こうした観点から、全国的なPRを強化するとともに、来県者の多い地域において
は、重点的なプロモーションや誘致キャンペーンを実施し、新たなツーリストを開拓
する。
142
第4章 プロジェクトの展開
⑪賑わいひょうご創出プロジェクト
5 県外におけるPRの強化
都市部におけるアーバンツーリズムや中山間部におけるグリーンツーリズムなど、
県内の多彩なツーリズム資源を生かしながら、平成17年度の神戸空港の開港、18
年度開催ののじぎく兵庫国体、大河ドラマ等の放映などにより本県に関心が集まる機
会を捉え、効果的で戦略的プロモーションを展開する。
(1)大都市圏でのPR
来県者の多い大都市圏において、ターゲットを明確にした上で、モデルルートや
おすすめスポットを紹介する新聞折込を配布する。
(2)女性をターゲットとした情報誌とのタイアップやフリーペーパーの活用
女性をターゲットにした情報誌とのタイアップ記事による効果的なイメージ戦略
を展開するとともにフリーペーパー等を活用するなど、「ひょうご」から新たな旅
のトレンドを提案する。
(3)IT技術を活用した情報発信能力の充実
多彩なツーリズム資源をアピールする動画配信や携帯電話インターネットサー
ビスを活用した情報提供など、IT技術を活用した観光情報の発信強化を図る。
(4)神戸空港開港、のじぎく兵庫国体開催に伴うPRの展開
神戸空港利用者向けのモデルルートを作成するほか、のじぎく兵庫国体の前年度
に国体が開催される岡山県と連携したプロモーションを展開する。
(5)キャラバン隊の派遣
全国主要都市へキャラバン隊を派遣し、震災学習を取り込んだ教育旅行の誘致や
モデルルートの旅行商品化を目的に、旅行エージェントを対象とした商談会を実施
するとともに、街頭宣伝活動を展開する。
(6)県内特産品の振興
ツーリストに人気のある“食”をテーマに開催される「
‘05食博覧会・大阪」に
出展するなど、県内各種特産品の振興を図り、観光客を誘致する。
<出石そば>
<丹波黒豆>
<明石のたこ>
6 広域ツーリズムの推進
関西広域連携協議会や関西国際観光推進センター等を中心とした、関西府県におけ
る広域事業に取り組むほか、中国・四国地域おいても、観光プロモーションや広域観
光ルートの開発など、府県を越えた広域ツーリズムを推進する。
Ⅲ ツーリズム推進体制の強化
戦略的なツーリズム振興を展開するため、民間の活力・地域の主体性を最大限に活
かしたツーリズム振興の中核的組織である㈳ひょうごツーリズム協会のインフォメ
143
第4章 プロジェクトの展開
⑪賑わいひょうご創出プロジェクト
ーションセンターの設置検討などツーリズム推進体制の強化を図る。
7 ツーリズムひょうごの顔となる「インフォメーションセンター」の設置検討
兵庫を訪れるツーリストへのサービス機能を向上し、ツーリズムひょうごのイメー
ジアップを図るため、ツーリストが利用しやすい場所へのインフォメーションセンタ
ーの設置を検討する。
8 ひょうごツーリズムの着実な推進
㈳ひょうごツーリズム協会の推進体制を強化するとともにツーリズム動向の適切
な把握に努めるなど、旅行者のニーズに応じたひょうごツーリズムを推進する。
(1)㈳ひょうごツーリズム協会の推進体制の強化
ツーリズム振興を演出する企画機能を強化するとともに、旅行エージェント、広
告エージェント出身のスタッフを強化するなど、㈳ひょうごツーリズム協会におけ
る公民連携の推進体制を強化する。
(2)ツーリズム動向の適切な把握推進
施策の立案や地域の主体的な取り組みに資するよう、観光客の入込動向をより適
切に把握する統計等の手法を検討、具体化する。
実施工程表
平成 17 年度
○市町連携の商品化の
支援
○ツーリズム人材の発掘
○産業ツーリズムの推進
・産業ツーリズムのコー
ディネート機能強化
・優良施設の表彰
・国際ツーリストに対
する産業ツーリズム
バスの推進
2 地域の賑わい創出
○賑わい創出事業実施
等
3 ホスピタリティ(も ○おもてなしキャンペ
てなしの心)の向上
ーンの実施
○おもてなし研修実施
○ホスピタリティ・マ
ネージャーの設置
○地域住民・ボランテ
ィアへのおもてなし
講座開催
4 国際ツーリズムの ○ツーリズムアドバイザ
推進
ー募集・登録・運営
○国際教育旅行の誘致
○広東省からの誘客促
進
等
平成 18 年度
1 地域のツーリズム
優位性の強化
○ツーリズム人材バン
クの稼動
○ボランティアガイド
グループの創出
○ツーリズムアドバイ
ザー運営
144
平成 19 年度
第4章 プロジェクトの展開
⑪賑わいひょうご創出プロジェクト
5 県外におけるPR
の強化
6広域ツーリズムの推
進
7 ツーリズムひょう
ごの顔となる「イン
フォメーションセン
ター」の設置検討
8 ひょうごツーリズ
ムの着実な推進
○県外PRの強化
・大都市圏でのPR
・女性雑誌等へのPR
・動画配信や携帯電話
インターネットサ
ービスなどによる
観光情報の発信強
化
等
○中国・四国連携協議
会の設立検討
○インフォメーション
センターの設置検討
○連携事業の本格実施
○㈳ひょうごツーリズ
ム協会の推進体制の
強化
○ツーリズム動向の適
切な把握推進
145
第4章 プロジェクトの展開
⑪賑わいひょうご創出プロジェクト
プロジェクトイメージ
地域の魅力創出
地域のツーリズム優位性の強化
■市町等の共同による地域ツーリズム資源
の開発・再発見
■ツーリズム人材バンクの設置
■コーディネート機能の設置をはじめとす
る産業ツーリズムの充実
地域の賑わい創出
■地域が実施する集客・交流イベントの支援
■ツーリズム施設や催事の見学・体験などを
目的とした、県外からのバス旅行の支援
ホスピタリティの向上
■「ひょうご・おもてなし月間」の推進
■タクシーの乗務員、サービス業の経営
者や従業員等を対象とした、ホスピタ
リティ向上のための研修の実施
■地域住民の参画と協働によるおもて
なしのまちづくりの推進
■ホスピタリティ・マネージャーの設置
国際ツーリズムの推進
■県内在住外国人や留学生等をツーリズムアドバイザーとし、市町等が取り組む多言語
化へ支援
ビジット・ジャパン・
■アジア地域からの訪日教育旅行の誘致推進
キャンペーン等と連携
■訪日旅行の人気が高い地域における国際旅行見本市への参加
■友好省である広東省からの誘客促進
のじぎく兵庫国体、大河
効果的なプロモーションの実施
ドラマ等を生かしたPR
県外PRの強化
■大都市圏での新聞折込の配布
■キャラバン隊の派遣
■女性をターゲットとした情報誌とのタイアップやフリーペーパーの活用
■動画配信や携帯電話インターネットサービスなどによる観光情報の発信強化
■神戸空港開港、のじぎく兵庫国体開催に伴うPRの展開 等
広域ツーリズムの推進
■中国・四国地域との観光ルートの開発 等
ツーリズム推進体制の強化
■ツーリストが利用しやすい場所へのインフォメーションセンターの設置
■㈳ひょうごツーリズム協会の推進体制の強化等ひょうごツーリズムの着実な推進
146
等
第4章 プロジェクトの展開
⑫産業立地促進プロジェクト
⑫ 産業立地促進プロジェクト
めざす姿
企業サイドに立った立地や海外進出支援の展開により、国内外の優れた企業・研究
所を兵庫へ、兵庫の優れたモノやサービスを海外へと導き、産業集積の革新や雇用創
出、さらに、企業と企業、人と人の新たな連携・交流によるビジネスの活性化を図る。
これまでの取り組みと課題
本県では、平成14年度に施行した産業集積条例を産業立地戦略の要として、地域の
特性に応じた戦略の展開を図りながら、多彩な立地優遇策を実施し、新規成長産業等の
集積を推進してきた。
また、外資系企業の誘致については、
「ひょうご投資サポートセンター」における、ワ
ンストップでの支援に加え、県内に拠点を構える大手外資系企業の協力を得て、そのマ
ーケティング手法を取り入れた誘致対策を実行してきた。
その結果、条例による産業
工場立地件数の推移
(件)
全国4位
集積促進地区等5種類の拠点
60
兵庫
50
地区での国内外企業の立地は、
40
大阪
堅調な状況を示している他、
30
20
県内への工場立地件数も徐々
10
京都
に増加し、平成15年には全
0
H11年
H12年
H13年
H14年
H15年
国第 4 位の実績となるなど、
<経済産業省「工場立地動向調査」>
これまでの立地対策は、概ね
奏功している。さらに、ものづくり分野における最近の国内生産回帰の動きの中で、本
県でも、平成16年5月、尼崎に大規模プラズマパネル工場の立地が決まった。
このような状況のもと、本県の企業立地を促進してきた産業集積条例が、平成16年
度末には失効すること、他府県において本県以上の手厚い立地支援策が増え始めてきた
ことなどから、新たな企業誘致戦略の枠組みと立地支援策の強化を行うとともに、クラ
スタープロジェクト等に対応し、先端技術産業や研究開発型ベンチャー、さらには革新
的なビジネスモデルを持った外国企業等の更なる誘致を行っていくことが必要となって
いる。
また、こうした産業立地に加え、県内企業の貿易活性化、海外市場進出、海外企業と
の提携など、企業の国際化支援を友好・姉妹州省等を中心に展開してきた。県内企業が
国際的なネットワークの中で競争力を身につけ、世界的に活躍することは、グローバル
化が進む中にあって、本県経済の活性化のために重要な課題であり、成長著しい中国を
はじめ、アジア等との国際経済交流をさらに拡大していく必要がある。
147
第4章 プロジェクトの展開
⑫産業立地促進プロジェクト
プロジェクトの概要
知的財産戦略を背景に高付加価値分野の海外生産シフトを抑え、国内生産へ回帰しつ
つある国内企業、
今日のグローバル化に適応した経済・社会システムへの変革を誘発する
とともに、わが国企業の経営・技術との融合により、和魂洋才や洋魂和才の経営・技術を
生み出す外国外資系企業は、今後、兵庫経済の活性化につながる企業立地の展開を図る
上で極めて重要なターゲットとなる。こうした地域への波及効果の高い企業を誘致して
いくことを基本としつつ、
成長性の高い新技術・新産業を生み出す兵庫独自のクラスター
形成を産業立地の面から促進し、また、県土の多様性を生かした国内外の成長産業の誘
致を加速するため、新たな産業集積条例を制定し、ポテンシャルに優れた特定地区への
企業・研究所の立地への重点支援を展開する。
併せて、企業立地の実効性を高めるためには、企業の投資情報の収集から、立地に必
要な情報提供、誘致活動、立地に伴う各種手続きに至るまで、行政機関や産業界等が連
携し、一元的に推進することが必要であり、市町や外国外資系企業誘致に取り組み始め
た商工会議所等と連携しながら、企業立地の一元的推進機能を拡充整備する。
また、今後、ますます進展する経済のグローバル化と人口減少に直面する国内市場の
先行きから、海外のマーケットがいま以上に大きな意味を持ってくる。折しも、経済成
長が著しい中国、新興市場として注目されるロシア、あるいは、FTA(自由貿易協定)
交渉が成立し、又は現在積極的に交渉が進められているアジア各国等、兵庫の企業がア
クセスし易い東アジア圏の海外市場が拡がりをみせている。しかし、一方で、相手方だ
けでなく、わが国の市場開放も伴うFTAに象徴されるように、グローバル化は常に好
機と脅威が対をなしている。
こうした国際経済の現状や課題もふまえ、今後、海外の多様な市場拡大をできる限り
チャンスとして生かす戦略的な視点で、県内企業の海外市場進出や海外企業との連携、
地域間の貿易促進などに取り組んでいく。
施策の体系
国内外企業の立地促進と国際経済交流の推進
新たな産業集積条例による国
内外企業・研究所誘致の推進
研究開発型企業・研究所の誘致を通じた
産業クラスター(自律発展型産業群)の核の形成
地域特性を生かした産業集積拠点の形成
企業誘致体制の整備と
誘致活動の強化
「ひょうご・神戸投資サポートセンター(仮称)」の設置
「ひょうご・神戸投資サポートセンター(仮称)」を中心
とした企業誘致活動と双方向型の国際経済交流の推進
国際的な経済交流の推進
中国との経済交流の推進
ロシアとの経済交流の推進
欧米等との経済交流の推進
148
第4章 プロジェクトの展開
⑫産業立地促進プロジェクト
プロジェクト指標
■目標:企業誘致の促進
成果指標①:国内外の企業・研究所誘致件数(件)
直近実績
平成 17 年度
新たな産業集積条例に
−
30
基づく拠点地区計
うち国内
−
23
目標水準
(単年度)
うち外国外資系
−
7
その他の地域計
−
36
計
−
66
測定時期
−
3月末
成果指標②:企業・研究所誘致に伴う雇用創出数(人)
直近実績
平成 17 年度
目標水準(単年度)
−
1,000
測定時期
−
3月末
平成 18 年度
平成 19 年度
30
30
23
7
37
67
3月末
23
7
37
67
3月末
平成 18 年度
1,000
3月末
平成 19 年度
1,000
3月末
施策プログラム
Ⅰ 新たな産業集積条例による国内外企業・研究所誘致の推進
企業誘致を巡る地域間競争が激化するなか、
地域のポテンシャルを結集させながら、
地域特性に応じた産業クラスターの形成や成長産業の誘致を促進するため、新産業集
積条例を制定し、市町の優遇施策と連携を図りながら、戦略的な企業・研究所誘致を
展開する。
1 研究開発型企業・研究所の誘致を通じた産業クラスター(自律発展型産業群)の核
の形成(再掲)
不動産取得税の不均一課税や設備投資等への補助、
融資などの立地支援策を投入し、多様な産業が集積
する拠点地区を形成する産業集積条例の成果を生か
しつつ、新たな産業集積条例を制定する。この条例
に基づき、成長性の高い新技術・新産業を生み出す
兵庫独自のクラスター形成を産業立地の面から促進
するため、クラスター
<播磨科学公園都市>
地域内の播磨科学公園
都市などの重点地区のほか、今後、本県において、クラ
スターに成長することが期待されるIT分野で、情報セ
キュリティ等高度の情報通信基盤・技術を活用する産
業・研究・教育機能の集積をめざすひょうご情報公園都
市を対象に、先端分野の研究開発型企業・研究所の立地
<ひょうご情報公園都市>
に対して支援策を重点的に投入する。
149
第4章 プロジェクトの展開
⑫産業立地促進プロジェクト
2 地域特性を生かした産業集積拠点の形成
県土の多様性を生かした国内外の成長産業の誘致をより一層加速するため、新たな
産業集積条例により、産業団地の用地を活用する地区や国際経済交流を促進する地区
など、ポテンシャルに優れた特定地区への企業の立地支援を展開する。
新たな産業集積条例を制定し、地域
の特性に応じた企業立地を支援
研究開発型企業・研究所の誘致を通じた産業
クラスター(自律発展型産業群)の核の形成
ひょうごクラスター
産業団地等の用地
プロジェクトの重点地区等
を活用する地区
支援策を
重点的に
投入
地域特性を生かした産業集積拠点の
形成
国の規制緩和(構造改革特別地区)を
活用して地域の活性化を図る地区
国際経済交流を
促進する地区
市町と連携した優遇施策の実施
□設備投資・不動産取得税・オフィス入居等への支援
・設備投資助成
・不動産取得税の不均一課税
・低利融資
・オフィス賃料助成 等
□雇用創出への支援
・雇用者数に対応した助成
Ⅱ 企業誘致体制の整備と誘致活動の強化
他府県においても誘致活動の強化や立地優遇策の充実が進むなど、企業立地を巡る
地域間競争は激化しているが、企業の立地先の決定については、自治体の誘致活動、
その前提となる企業の動向把握が重要な役割を果たすことが少なくない。
こうした観点から、兵庫の立地基盤を最大限に生かした立地支援、立地サービスを
一元的に展開し、国内外の企業立地を推進するため、行政・産業界等公民をネットワ
ークした誘致・サービス体制を整備し、効果的な企業誘致活動を展開していく。
この新たな体制の下においては、国内企業だけでなく、立地による直接的な経済効
果はもちろん、グローバル市場では必要不可欠な洗練された経営技術の導入や国内市
場での建設的な競争の喚起など、既存企業の活性化・高度化につながる利点をも併せ
もつ優れた外国外資系企業の誘致にも取り組む。
3 「ひょうご・神戸投資サポートセンター(仮称)
」の設置
産業復興を目指し、国・県・市連携で外国外資系企業誘致のために取り組んできた
投資サポートセンター事業を拡充し、国内企業、外国外資系企業を問わず本県への立
150
第4章 プロジェクトの展開
⑫産業立地促進プロジェクト
地を促進するため、企業に対しきめ細かい企業誘致活動を一元的に推進する「ひょう
ご・神戸投資サポートセンター(仮称)
」を設置する。
併せて、首都圏の企業誘致を強化するため、外国・外資系企業誘致を促進するため
に設置していた「兵庫県ビジネスサポートセンター・東京」に国内企業誘致機能を付
加し、「ひょうご・神戸投資サポートセンター(仮称)
」の東京センターとして再編整
備する。
4 「ひょうご・神戸投資サポートセンター(仮称)
」を中心とした企業誘致活動と双方
向型の国際経済交流の推進
国内外企業の誘致を促進するため、
「ひょうご・神戸投資サポートセンター(仮称)
」
を中心に市町、国、経済界をはじめとする広範なチャネルと連携し、きめ細かい誘致
活動や立地支援サービスの提供を行うとともに、県内企業の海外市場進出や海外企業
との連携等を応援し、双方向型の国際経済交流を推進する。
(1)きめ細かい企業誘致活動の展開
「ひょうご・神戸投資サポートセンター(仮称)」を中心に、民間企業等とも連
携した企業誘致のためのネットワーク形成や、首都圏・近畿圏等への誘致専門員の
配置・活用を行いながら、きめ細かい誘致活動を展開する。
(2)外国・外資系企業誘致活動の展開
県内に拠点を構えるP&G社のマーケティング手法を活用した「外資系企業誘致
プロジェクト」の推進や県ゆかりの世界企業の代表者によるトップマネジメントセ
ミナーの開催など、積極的な誘致プロモーション活動を展開する。
(3)国内外企業への情報提供
本県へ進出を検討している企業はもちろん、進出に関心を持っている企業など広
範囲にわたり、用地、関連企業、経済や生活環境、諸手続き等の立地に関する総合
的な情報を提供し、本県への立地可能性を高める。
(4)ワンストップでの立地支援サービスの提供と国際経済交流の推進
「ひょうご・神戸投資サポートセンター(仮称)」を国内外企業の進出にかかる
総合的な支援サービス窓口として、各種行政手続きや進出候補地への案内、優遇措
置の紹介等の支援を一元的に提供するとともに、県内企業の海外での販路開拓、海
外市場への進出や地域間貿易を促進するなど、双方向型の国際経済交流を支援する。
Ⅲ 国際的な経済交流の推進
本県と友好・姉妹提携の関係にある広東省、海南省(華南)との交流の積み重ねを
基礎としながら、上海・長江地域(華東)との交流を進めることにより、中国臨海部
全体を視野に入れた貿易の促進や企業の相互進出等を促進するほか、新たに、県内若
手企業人を新興市場として注目されるロシアに派遣するなど、経済成長が著しい中
国・ロシアを中心に、グローバルな視点での国際経済交流を促進する。
5 中国との経済交流の推進
急速に都市化が進展している中国の華東地区において、県内企業・産品を紹介し、
今後の貿易拡大、相互の投資促進につなげるほか、広東省・海南省を中心に経済交流
151
第4章 プロジェクトの展開
⑫産業立地促進プロジェクト
セミナーや経済交流の進め方及び具体的な経済案件について協議する経済交流委員
会を開催するなど、双方向型の経済交流を展開する。
6 ロシアとの経済交流の推進
県内若手企業人を、姉妹州のロシア・ハバロフスク地方に派遣し、同地方の経済状
況・商習慣の研究及び生活文化の体験の機会を提供することにより、経済交流を推進
する。
7 欧米等との経済交流の推進
米ワシントン州と共同でビジネスコンテストを開催し、優秀
者の本県への招聘と県内企業等とのビジネスマッチングを通じ
て、県内での起業を促進するほか、海外ビジネス代表団の受け
入れや欧米での市場開拓支援など、グローバル化を好機とした
県内企業の成長を支援する。
<独・キールでの
兵庫県ビジネスセミナー>
実施工程表
1 研究開発型企業・研
究所の誘致を通じた
産業クラスター(自
律発展型産業群)の
核の形成
2 地域特性を生かし
た産業集積拠点の形
成
3 「ひょうご・神戸投
資サポートセンター
(仮称)」の設置
4 「ひょうご・神戸投
資サポートセンター
(仮称)」を中心とし
た企業誘致活動と双
方向型の国際経済交
流の推進
5 中国との経済交流
の推進
6 ロシアとの経済交
流の推進
7 欧米等との経済交
流の推進
平成 17 年度
○新たな産業集積条例
の施行と優遇施策の
投入
平成 18 年度
○新たな産業集積条例
の施行と優遇施策の
投入
○「ひょうご・神戸投
資サポートセンター
(仮称)」の設置
○東京センターの再編
整備
○きめ細かい誘致活動
の展開
○国内外企業への情報
提供
○センターにおけるワ
ンストップでの支援
サービスの提供 等
○ 華 東 地 区 で の 展 示 ○商談会開催後のフォ
会・見本市への出展、
ロー
商談会の開催
等
○ハバロフスク地方へ
の企業人材の派遣
○米ワシントン州での
ビジネスコンテスト
開催
○海外ビジネス団の受
入
等
152
平成 19 年度
第4章 プロジェクトの展開
⑫産業立地促進プロジェクト
プロジェクトイメージ
新たな産業集積条例による国内外企業・研究所誘致の推進
支援策を
重点的に
投入
■研究開発型企業・研究所の誘致を通じた産業 ■地域特性を生かした産業集積拠点の
クラスター(自律発展型産業群)の核の形成
形成
ひょうごクラスター
産業団地等の用地
プロジェクトの重点地区等
を活用する地区
国の規制緩和(構造改革特別地区)を
活用して地域の活性化を図る地区
国際経済交流を
促進する地区
<主な支援策>
・設備投資助成
・不動産取得税の不均一課税
・低利子融資
・オフィス賃料助成 ・雇用創出者数に対応した助成
市町と連携
国際的な
経済交流の推進
情報収集
誘致活動
国内企業の誘致
外国・外資系企業の誘致
海外市場進出・
提携、貿易促進
県内企業
企業誘致専門員
企業誘致体制の整備と誘致活動の強化
■「ひょうご・神戸投資サポートセンター(仮称)
」の設置
■センターを中心とした誘致活動の強化と双方向型の国際経済交流の推進
・民間とのネットワークや誘致専門員も活用したきめ細かい企業誘致活動の展開
・ワンストップでの立地支援サービスの提供 等
誘致のための
ネットワーク強化
市町
商工会議所
産業団地事業主体
153
県海外事務所
ジェトロ対日投資ビジネ
スサポートセンター神戸
等関係機関
民間企業
等
第4章 プロジェクトの展開
⑬知的交流プロジェクト
⑬ 知的交流プロジェクト
めざす姿
海外の留学生や研究者等知的人材が住み、学び、働きやすい環境づくりや世界の各
地域との交流を通じ、多様な知恵と意欲を兵庫にもたらすと同時に、創造性あふれる
世界人材の成長を応援し、人を基軸とした世界と兵庫の相互発展を推進する。
これまでの取り組みと課題
本県は、明治の開港以来、外交官、貿易商、文化人など様々な外国人を受け入れ、国
際都市として独特の文化、環境を築いてきた。こうした歴史的背景と蓄積をもとに、こ
れまで、国際交流の推進や多様な文化等
県内外国人留学生の推移
を持つ在住外国人との共生を目指し、地
(人)
4,000
域の国際化に積極的に取り組んできた。
また、平成 15 年度には「兵庫国際新戦
3,500
3,643
3,301
略」を策定し、兵庫ゆかりの人材との国
3,000
境を越えたネットワークづくりに着手す
2,732
2,500
るとともに、外国人県民安全安心ネット
2,260
2,000
の構築、留学生の居住・生活支援の強化
1,873
1,727
1,500
など、人と人の交流等を通じた国際戦略
1,000
を展開してきた。
H10
H11
H12
H13
H14
H15
<法務省「在留外国人統計>
幸い、これらの取り組みも奏功し、本
県には、3,643 人の外国人留学生数(平
成 15 年 12 月)をはじめ、在留資格でみると、
「研究」、
「技術」、
「教授」など知的分野の
外国人が一定規模集積し、さらには、WHO(世界保健機関)健康開発総合研究センタ
ー等の国際機関等の立地も進んでいる。
しかしながら、グローバル化や知識社会の進展に伴って、価値創造の鍵を握る頭脳人
材の重要性は一層高まり、国家・地域間の人材獲得競争もさらに激しくなっている。
今後、本県がこれまでに築いてきた魅力やポテンシャルを高めながら、留学生や研究
者をはじめ、多様な知恵や文化を積極的に呼び込み、融合させながら、21世紀の国際
社会にふさわしい世界人材を兵庫から生み出すなど、世界の中の兵庫としての人材誘引
と活用を進める必要がある。
プロジェクトの概要
国際化や人口減少など様々な環境変化を見据えながら、中長期的に本県の活力を持
続・向上させるためには、経済・ビジネス・文化といった広範な分野で海外との交流チ
ャネルを増やし、兵庫から「世界に臨む」環境を創り出すことが必要である。その鍵を
154
第4章 プロジェクトの展開
⑬知的交流プロジェクト
握るのが人材、とりわけ、経済・社会に大きなインパクトをもたらす知的人材である。
海外では、世界レベルの頭脳人材の多寡が競争力の差となって現れるとの認識のもと
に、国をあげて人材誘致を展開する時代が到来している。わが国でも先駆的に、できる
ことをやり始めた地域が出てきた。
幸い兵庫・神戸には、教育・医療・生活等の面で全国有数の国際的な都市基盤やインフ
ラが整っており、世界に開かれた知的創造環境のポテンシャルは高い。
こうした強みを生かしながら、東アジアをはじめ、多彩な国からの外国人留学生の受
け入れと定着の促進に向けた体制や生活・居住等の支援の仕組みづくり、本県の科学・産
業振興プロジェクトへの海外頭脳人材の誘致のほか、こうした海外の知的人材の誘引を
支える基盤ともなる、兵庫ゆかりの多様な海外人材とのネットワークづくり、外国人が
安心して暮らせる環境の向上、友好・姉妹州省を中心とする世界の各地域との双方の課
題解決に向けた交流、分野・国境を越えた知的交流をめざす「コレージュ・ド・ひょう
ご」構想の具体化など、世界の中の兵庫としての人材交流を推進する。
施策の体系
知的人材の誘引と国際交流の推進
知的人材の誘致
外国人留学生の受け入れ・定着の促進
海外知的人材の誘致
国際交流の推進
兵庫海外人材ネットワークの強化
外国人が安全で安心して生活できる
多文化共生社会の実現
友好・姉妹提携先を中心とした
国際交流の推進
「コレージュ・ド・ひょうご」構想の推進
プロジェクト指標
■目標:外国人留学生の受け入れ・定着促進
成果指標:外国人留学生数(人)
直近実績
平成 17 年
(平成 15 年)
目標水準(時点)
3,643
3,700
測定時期
平成 16 年 8 月末 平成 18 年8月末
平成 18 年
平成 19 年
4,100
平成 19 年8月末
4,500
平成 20 年8月末
■目標:海外頭脳人材等のクラスタープロジェクト等への参画支援
成果指標:海外研究者招聘数(人)
直近実績
平成 17 年度
平成 18 年度
目標水準(単年度)
−
5
5
測定時期
−
3月末
3月末
155
平成 19 年度
5
3月末
第4章 プロジェクトの展開
⑬知的交流プロジェクト
■目標:知的人材の集積拡大
成果指標:知的分野(「研究」「教授」「教育」「投資・経営」「法律・会計業務」「医療」「技術」「人文知識・国際業務」)の外国人県民登録者数(人)
直近実績
平成 17 年
平成 18 年
平成 19 年
(平成 15 年)
目標水準(時点)
3,321
3,400
3,500
3,600
測定時期
平成 16 年 8 月末 平成 18 年8月末 平成 19 年8月末 平成 20 年8月末
■目標:兵庫海外人材ネットワークの形成
成果指標:「The HYOGO CLUB」(仮称)会員数(人)
直近実績
平成 17 年度
目標水準(時点)
−
360
測定時期
−
3月末
平成 18 年度
540
3月末
平成 19 年度
720
3月末
施策プログラム
Ⅰ 知的人材の誘致
経済のグローバル化に伴い、世界的な人材獲得競争はますます激しくなっており、
企業における高度な専門性を有する人材確保の国境を越えたニーズも高まっている。
こうした情勢をふまえ、地域経済や企業の活力に大きなインパクトを与える外国人
留学生や海外研究者等の知的人材の誘引に取り組む。
1 外国人留学生の受け入れ・定着の促進
留学生の受入数は順調に増加しており、奨学金の支給や日本語学習の支援などを行
っているところであるが、生活の基盤となる住宅の確保の面での支援には漸く取り組
みはじめたばかりで、日本での就職支援など課題も残されている。
優秀な留学生の本県への受入れと定着の促進は、地域産業活性化につながる兵庫の
未来の財産に他ならず、留学生を一元的に支援する体制を整備し、交流、住宅・就職
支援など外国人留学生のニーズに応じた施策の展開を図る。
(1)留学生支援機関の創設
兵庫には、中国、韓国、台湾など世界72か国・地域から3,643人(平成
15年12月1日現在)の留学生が学び、暮らしている。兵庫に知的活力をもたら
し、海外とのネットワークの鍵となるこうした留学生の受け入れを拡大するため、
県内大学、県、国機関の連携により、留学生のニーズに応じた支援を展開する留学
生支援機関を創設し、留学生に対する兵庫の求心力を高める。
156
第4章 プロジェクトの展開
⑬知的交流プロジェクト
現
在
A大学
留学生
A大学
B大学
留学生
(財)兵庫県国際交流協会
B大学
支援機関を創設し、
留学生を一元的に支援
留学生支援機関
日本学生支援機構神戸支部
神戸大学、兵庫県立大学
㈶日本国際教育支援協会 等
一元的支援
・住宅確保
・就職支援
・地域交流 等
A大学
(財)兵庫県国際交流協会
留
支 援
学
住 宅
・住宅確保
・住宅情報提供
・住宅入居機関保証の推進
A大学
留学生
B大学
留学生
B大学
生 支 援 機 関 の 事 業 例
就 職 支 援
交 流 支 援
・就職情報提供
・交流情報の提供 等
・就職ガイダンス
・インターンシップ制度
・合同面接会 等
(2)留学生への住宅支援
住居確保に困難が伴いがちな留学生の民間住宅への円滑な入居を進めるため、留
学生支援機関が中心となり、大学等が住宅の賃貸借契約の保証人となる機関保証を
支えるための「留学生住宅機関保証推進システム」を実施する。
留学生住宅機関保証推進システム
家
賃貸借契約締結
主
機関連帯保証
立替資金提供
大
学
立替資金償還
留学生
住宅総合保険締結
補償金給付
日本国際教育支援協会
157
留学生
支援機関
第4章 プロジェクトの展開
⑬知的交流プロジェクト
(3)優れた留学生の受け入れ拡大のための魅力づくりと海外人材ネットワークの活用
留学生支援機関が中心となり、就業や地域との交流をはじめとする留学生のニー
ズに応じたきめ細かな支援を展開し、留学生への魅力を高めるとともに、優れた留
学生の本県への誘引を促進するため、県内の大学とアジア・太平洋地域等の大学間
の連携協力関係を深め、両地域を中心とした学生交流を促進するHUMAP(兵
庫・アジア太平洋大学間交流ネットワーク)構想を推進するほか、「The HYOGO
CLUB」(仮称)のネットワークも活用して人材を発掘し、優秀な学生の本県への留
学を拡大する。
<留学生日本語講座>
<留学生との交流>
2 海外知的人材の誘致
本県研究者と海外研究者の交流を促進するため、海外の第一線の研究者・技術者等
の知的人材を誘致する。
(1)海外頭脳人材等のクラスター(自律発展型産業群)プロジェクトへの参画支援(再掲)
産学官連携による先端的な研究開発を推進するにあたり、優れた研究実績を有す
る海外の研究者との共同研究に対して支援を行う。
また、クラスター対象分野に係るテーマについて、国際的に著名な研究者を招聘
し、講演会やセミナーを開催することによりクラスターの知名度向上や啓発を図る。
(2)海外の学術研究者の招聘
研究、研修、講演などを通じて、自然科学分野における学術研究交流等を促進す
るため、県内の大学等研究機関等が行う海外研究者の招聘に対して助成を行う。
Ⅱ 国際交流の促進
研究機関や民間企業等において、高度な技術の習得のために受け入れた海外技術研
修員や本県に配属された語学指導等を行う外国青年、友好・姉妹州省を中心とした海
外交流事業で受け入れた人材などから任命する「ひょうご友好親善大使」の設置、海
外事務所における県人会の設立をはじめ、これまで、海外における様々なチャネルを
活用して世界と兵庫をつなぐ人材ネットワークを構築してきた。
また、平成 16 年には、かつて兵庫で就職、留学、生活していた外国人に対して、
新たな産業施策などの情報を提供する「ひょうご・神戸アラムナイネットワーク」も
構築し、兵庫、神戸へのビジネス展開や投資を促進している。
しかし、これら従来のネットワークは、情報提供が一方通行になりがちな傾向があ
るため、既存ネットワークの課題をふまえつつ、双方向型の交流を推進する。
加えて、外国人県民が安全で安心して生活できる環境づくりや友好・姉妹州省等を
中心とした国際交流のほか、分野、国境を越えた知的交流のネットワークづくり等を
158
第4章 プロジェクトの展開
⑬知的交流プロジェクト
めざす「コレージュ・ド・ひょうご」構想を推進し、国際ネットワークの強化に取り
組む。
3 兵庫海外人材ネットワークの強化
かつて兵庫で働き、暮らした外国人など、兵庫ゆかりの人材と、県海外事務所も活
用しながら有機的なネットワークを構築し、双方向型の情報受発信を通じて、海外か
らの兵庫の「応援団」を育て、兵庫と世界の連結を強化する。
(1)本県ゆかりの人材ネットワークの構築
ひょうご友好親善大使、留学生OB、本県での勤務経験を有する企業関係者や兵
庫県出身者など海外に居住する兵庫県ゆかりの人材との連携を深めるゆるやかな
ネットワーク組織「The HYOGO CLUB」(仮称)を構築し、メンバーに対して、メ
ールアドレスを付与することにより、本県からは、企業誘致や観光等の情報を提供
し、メンバーからは本県への企業進出等の情報提供を受けるなど、双方向での情報
ネットワークを構築する。さらに、このネットワークも活用し、留学生・研究者を
はじめとする海外の優秀な人材の積極的な発掘・誘引を図る。
また、本県経済の活性化への力強いサポートが期待されるエグゼクティブ・クラ
スの外国人を大使として任命し、講演会や交流行事への参画を通じたネットワーク
の強化を図る。
The
HYOGO
CLUB(仮称)のイメージ
友好親善大使
(仏セーヌ・エ・マルヌ県研修生、
海外技術研修員等から任命)
海外事務所
兵庫大使(仮称)
(帰国した在関西総領
事等から任命)
県
留学生OB
人
会
研究者OB
企業関係者OB
(2)県海外事務所の機能強化
米ワシントン州、豪西オーストラリア州、仏パリ、香港、ブラジルの5つの海外
事務所の「県人会」等の「The HYOGO CLUB(仮称)」のメンバーを対象に、現地
でフェイス・ツー・フェイスによる緊密な情報提供と情報収集を行う。
159
第4章 プロジェクトの展開
⑬知的交流プロジェクト
4 外国人が安全で安心して生活できる多文化共生社会の実現
外国人県民が日本人県民と同様に住みやすく活動しやすい環境整備に努めるととも
に、すべての県民が異なる生活習慣等を受け入れ、ともに生きる国際性豊かな地域社
会づくりを目指す。そのため、外国人県民の日常生活等の相談に多言語で対応できる
「外国人インフォメーションセンター」の運営、外国人の子どものための母語教育な
ど、外国人県民安全・安心ネットの整備に取り組む。
(1)外国人県民安全・安心ネットの整備
外国人県民に対して、外国語による相談、様々な生活情報の提供を行う外国人県
民インフォメーションセンターの運営のほかFM「CO・CO・LO」による外国
語情報番組の提供や日本語学習の支援などを実施する。
(2)外国人の子どもに対するサポート体制の充実
外国人の子どもに対する施策の総合調整を行うサポート体制の充実を図り、市町
やNGO等との連携を一層強化する。また、自尊感情やアイデンティティを確立す
るために有効とされている母語(出生国の言語)教育についても新たに取り組む。
5 友好・姉妹提携先を中心とした国際交流の推進
これまで、世界7つの地方自治体等(米ワシントン州、露ハバロフスク地方、ブラ
ジルパラナ州、豪西オーストラリア州、中国広東省・海南省、パラオ共和国)との友
好・姉妹提携を結んでいるが、周年(記念)事業を実施することにより、今後の姉妹・
友好交流における方向性の確認等を行うとともに、準姉妹提携関係にある欧州の4自
治体(仏セーヌ・エ・マルヌ県、アヴェロン県、アンドル・エ・ロワール県、独シュ
レスヴィヒ・ホルシュタイン州)との交流を推進する。
<米ワシントン州・シアトル>
<豪西オーストリア州・パース>
<中国・広東省との交流>
6 「コレージュ・ド・ひょうご」構想の推進
県内に集積する国際的な諸機関や大学などの高等教育・研究機能を生かし、内外の
研究機関との連携により新たな知的創造のネットワークを形成しながら、
「研究」「交
流」「知的成果の還元」「人材育成」の4つの機能を展開する「コレージュ・ド・ひょ
うご」構想を推進する。
なお、本年度に基本構想を策定し、平成17年度には推進体制及び事業内容を検討、
18年度から事業を展開する。
160
第4章 プロジェクトの展開
⑬知的交流プロジェクト
研究機能
交流機能
知的成果の
還元機能
人材育成機
能
展 開 す る 機 能
神戸東部新都心等に集積する国際機関や(財)阪神・淡路大震災記念協会等の研究
機関、さらに既存大学等の連携を通じ、学際的研究を総合的に推進。
既存の知的交流ネットワークを拡充・発展させ、研究や人材育成の基盤として活
用するとともに、分野横断的な研究をコーディネートできる人材を確保し、活用。
最新、最先端の研究成果、多種多様な分野の学術的知識・情報を公開し、地域社
会のために様々な形で還元していくため、公開講座、講演会等を定期的に開催。
防災・環境等の兵庫が強さを発揮する分野でトップリーダーとなるような人材を
育成。
実施工程表
1 外国人留学生の受
け入れ・定着の促進
2 海外知的人材の誘
致
3 兵庫海外人材ネッ
トワークの強化
平成 17 年度
○支援団体設立
○留学生住宅機関保証推
進システムの先行実施
○HUMAP等の推進
による優れた留学生
の誘引
○招聘事業実施
平成 18 年度
○就職・交流等支援実
施
平成 19 年度
○人材ネットワークの
構築
・The HYOGO CLUB の構
築・運用
・兵庫大使の設置・任
命
○海外事務所の機能強
化
4 外国人が安全で安 ○外国人の子どもに対
心して生活できる多
するサポート体制の
文化共生社会の実現
充実
等
5 友好・姉妹提携先 ○周年(記念)事業の
を 中 心 と し た 国 際 実施
交流の推進
・ブラジルパラナ州、 ・西オーストラリア州 ・中国広東省との周年
中 国 海 南 省 と の 周 との周年事業実施
事業実施
年事業実施
6 「コレージュ・ド・ ○推進 体制 及び事 業 ○事業の実施
ひょうご」構想の推 内容の検討
進
161
第4章 プロジェクトの展開
⑬知的交流プロジェクト
プロジェクトイメージ
知的人材の誘致
■外国人留学生の受入・定着促進
・留学生支援機関の設立
・住宅・就業支援等の実施
・HUMAP等の推進による優れた留学
生の誘引
■海外知的人材の誘致
・海外研究者のクラスター関連研究への
参画支援
・自然科学分野における学術研究交流促
進のための海外研究者の招聘支援
世界の人材に
世界と兵庫を
結ぶ
ネットワーク
づくり
開かれた
兵庫づくり
国際交流の促進
■兵庫海外人材ネットワークの強化
・
「The HYOGO CLUB」
(仮称)の構築
・県海外事務所の機能強化
■外国人が安全で安心して生活できる多文化共生社会の実現
・
「外国人県民インフォメーションセンター」の運営など、安全・安心ネットの整備
・母語教育の推進など、外国人の子どもに対するサポート体制の充実
■友好・姉妹提携先を中心とした国際交流の推進
■研究、交流、知的成果の還元、人材育成の4つの機能を展開する「コレージュ・ド・
ひょうご」構想の推進
162
第4章 プロジェクトの展開
⑭地域創発・活力再生プロジェクト
地域から兵庫の明日を創るために
⑭ 地域創発・活力再生プロジェクト
めざす姿
県内 10 地域の多彩な特性や潜在的可能性を生かし、兵庫全体を見据えた取り組みと
の相乗効果を期しつつ、地域主導の創発的な経済活性化を推進し、兵庫経済の再生を
先導・体現する活力の結晶体としての地域を形成する。
プロジェクトの概要
神戸港開港以来、海外との結節点として、鉄鋼・造船・商社などわが国の近代化を先導
する産業を育み、また、独特のハイカラ文化を形成してきた神戸・阪神、戦後の復興か
ら高度成長を牽引してきたものづくり産業が集積する播磨臨海部、豊かな自然と歴史的
資源を有し、地場産業や観光などで強みを発揮する中央部や但馬・丹波・淡路など、兵庫
には多様な県土とそれに応じた個性豊かな産業がある。
しかしながら、兵庫全体として景気回復が進展しつつあるものの、地域による回復度
合いに差が生じてきており、また、長らく続いた低迷の中で、産業の疲弊が目立つ地域
も存在している。
兵庫経済の全体としての再生と、地域の経済活性化とは、
互いに不可分の関係にあり、
いずれもがそれぞれのレベルでの課題に対処し、また、フロンティアを切り拓くことに
よって、初めて兵庫の力強い経済再生が現実のものとなり、その成果を広く県民が享受
することも可能になる。
こうした観点から、全県的な取り組みとの連携や相乗効果の発揮に配慮しつつ、県内
10地域に設置された県民局を核に、地域の企業・県民・団体等との協働により、地域の潜
在的な可能性や新たな活力の萌芽を生かした地域主導の経済活性化プロジェクトを展開
していくこととする。
地域別プロジェクトの概要
地 域
神 戸
神戸市
阪神南
尼崎市、西宮市、芦屋市
阪神北
伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、
○地域資源を生かした産業振興戦略
猪名川町
明石市、加古川市、高砂市、
○ものづくり産業の活性化
稲美町、播磨町
東播磨
域 内 市 町
取り組みの方向
○神戸ブランドの強みを生かした産業振興
○ライフスタイルに即した地域商業やコミュニテ
ィ・ビジネスの充実
○次世代戦略産業構造の構築
○小売商業・地域の活性化
163
第4章 プロジェクトの展開
⑭地域創発・活力再生プロジェクト
北播磨 西脇市、三木市、小野市、加西市、
吉川町、社町,滝野町、東条町、
中町、加美町、八千代町、
黒田庄町
中播磨 姫路市、家島町、夢前町、神崎町、
市川町、福崎町、香寺町、
大河内町
西播磨 相生市、龍野市、赤穂市、新宮町、
揖保川町、御津町、太子町、
上郡町、佐用町、上月町、南光町、
三日月町、山崎町、安富町、
一宮町、波賀町、千種町
但 馬 豊岡市、養父市、城崎町、竹野町、
香住町、日高町、出石町、但東町、
村岡町、浜坂町、美方町、温泉町、
生野町、和田山町、朝来町、山東町
丹 波 篠山市、丹波市
○北播磨地場産業元気創出戦略の推進
○まちづくりと連携した中心市街地の活性化
○創造的ものづくり産業の育成・創出
○西播磨「広域産業活性化支援プログラム」の展開
○但馬ブランドの創出
○観光振興による地域の活性化
淡 路 洲本市、津名町、淡路町、北淡町、
一宮町、五色町、東浦町、緑町、 ○くにうみツーリズム戦略の推進
西淡町、三原町、南淡町
市町合併の予定 (総務大臣告示済、または県への廃置分合申請済の案件)
■緑町、西淡町、三原町、南淡町は、「南あわじ市」として平成 17 年1月合併予定
■山崎町、宍粟郡一宮町、波賀町、千種町は、「宍粟市」として平成 17 年 4 月合併予定(*)
■豊岡市、城崎町、竹野町、日高町、出石町、但東町は、
「豊岡市」として平成 17 年 4 月合併予定
■香住町、村岡町、美方町は、
「香美町」として平成 17 年 4 月合併予定(*)
■生野町、和田山町、朝来町、山東町は、
「朝来市」として平成 17 年 4 月合併予定
■津名町、淡路町、北淡町、津名郡一宮町、東浦町は、「淡路市」として平成 17 年 4 月合併予定
(*:県への廃置分合申請済)
地域別の取り組み
神戸地域
1 神戸ブランドの強みを生かした産業振興
(1)目的
神戸地域は、国際貿易都市として、また重厚長大型産業の集積地として大きく発
展してきたが、国際競争の激化、大震災の痛手、長期経済不況の影響等の中で、特
に中小企業や地場産業は、依然厳しい状況におかれており、こうした中小企業等の
産業構造の変化に対応する経営革新や新分野進出等を促進し、神戸経済の活力の再
生を図る。
また、全国有数の観光地としても栄えてきた神戸の特性
を生かし、新しい神戸の玄関口となる神戸空港の開港を機
に、多様化する観光客の幅広い期待に応える、神戸観光、
神戸ツーリズムのさらなる魅力アップにより「神戸ファン」
の増大を図る。
(2)取り組みの方向
神戸医療産業都市やロボット技術等、今後、産学官の連
<神戸ルミナリエ>
携と産業の集積化が大いに期待できる分野を牽引役として、これまで神戸が培って
164
第4章 プロジェクトの展開
⑭地域創発・活力再生プロジェクト
きた神戸ブランドの強みを生かしながら、産学官連携や異業種交流等を活用し、中
小企業や地場産業の競争力のある製品開発、市場開拓等に取り組んでいく。
併せて、神戸の各観光スポットの魅力アップやホスピタリティの向上により、全
国に通用する「神戸ブランド」の強化を図るとともに、明るく楽しい街「神戸」を
広く全国に発信していく。
1
中小企業の販路開拓能力の向上、セールスレップの活用等による「中小企業
の活力強化」
2 ライフスタイルをリードする神戸らしい製品・商品の開発促進やユニバーサ
ルデザイン商品の開発支援等による「神戸ブランド商品の強化」
3 神戸ルミナリエの開催支援や神戸の街のイメージアップキャンペーン等によ
る「神戸のブランド・イメージのアップ」
4 観光ガイドボランティア等への活動支援による「ホスピタリティの向上」
2 ライフスタイルに即した地域商業やコミュニティ・ビジネスの充実
(1)目的
神戸地域においても、多くの地域商店街や小売市場は、大型量販店やコンビニ等
の進出、消費者の商店街離れが進み、また、経営者の高齢化や後継者不足が深刻化
し、活力を失いつつある。
そこで、まちの活力のアップ、暮らしやすい地域社会づくりも視野に入れながら、
地域商店街等の活性化を図るとともに、地域ニーズに合った新たなサービスの提供
主体として、震災を契機に芽生えたコミュニティ・ビジネスの定着とさらなる発展
を図る。
(2)取り組みの方向
地域住民のライフスタイルやニーズに的確に応え、買い物しやすい環境等魅力的
な商店街・小売市場づくりを進めるとともに、自治会等地域団体と連携したコミュ
ニティ事業を展開するなど、コミュニティの拠り所としての商店街等の機能を向上
させていく。
また、コミュニティ・ビジネスの振興を図るため、起業、定着を支援するととも
に、様々な分野の事業者や県民との交流を進め、県民への浸透、一層の起業の促進、
他地域への発信を行う。
1
地域団体と商店街との協働によるコミュニティ活動や先導的に活動する商業
者グループへの支援による「地域の核となる商店街づくり」
2 商店街の魅力創出に向けた商店街改革やリーダーの育成等による「商店街改
革の推進」
3 商店街における学生や主婦、NPO、地域団体等によるイベントの実施や新
規店舗開店等による「外部エネルギー導入による商店街の活性化」
4 コミュニティ・ビジネスに携わる事業者と地域住民との交流、新たなコミュ
ニティ・サービスの創出等による「コミュニティ・ビジネスの活発化」
165
第4章 プロジェクトの展開
⑭地域創発・活力再生プロジェクト
阪神南地域
1 次世代戦略産業構造の構築
(1)目的
製造業の牽引役として全国をリードしてきた阪神南地域では、近年、その製造業
の低迷が続いている。こうした状況を踏まえ、大手電気メーカーのプラズマディス
プレイ工場の立地決定を飛躍への足掛かりとして生かし、地域製造業のネットワー
クによるクラスターを形成し、製造業の復活を図る。
(2)取り組みの方向
地域の技術力を向上させるため、地域の製造業者等で構成する研究会の設置によ
るネットワークを形成するとともに、ものづくりに対する関心を高め、地域のもの
づくりの底上げに寄与するため、青少年を対象としたものづくり体験等を実施する。
1
産業活性化のためのプラットフォームとなる「地域産業戦略研究会」を地域
の製造業者等の参画により設置し、研究会を核として環境やデジタル家電、ロ
ボット、バイオ等、今後取り組むべきテーマを定め研究ネットワークを形成
2 小・中学生に対するものづくり体験スクールの開催や見学施設の充実支援等
による「ものづくりファンの育成」
2 小売商業・地域の活性化
(1)目的
景気の低迷や阪神地域における大型小売店の出店ラッシュ等による影響も踏まえ、
商店街、小売市場の改革に向けた取り組みを喚起し、地域に根付いた商店街、小売
市場の形成を図る。
(2)取り組みの方向
マーケティング力の強化を重点目標とした商店街の活性化策を検討・推進すると
ともに、やる気のある若手商店業者を積極的に支援するほか、地域の魅力を高める
ことにより集客力アップを図り、商店街の活性化を推進する。
1 学識者、経済団体、商業者等からなる「阪神南商業研究会」を設置し、
「商店
街におけるマーケティング力の強化」を目標とする商店街活性化策を推進
2 やる気のある若手商業者や商業者をめざす学生等を対象とした育成スクール
の開設による「若手商業者の育成」
3 集客イベントの開催や魅力発掘ツアーの創出、歴史再発見のパンフレット作
成等、ツーリズム等の推進による「集客力の強化」
阪神北地域
1 地域資源を生かした産業振興戦略
(1)目的
大阪国際空港に隣接し、鉄道・道路等の交通基盤インフラも充実しているほか、
ボランティアやコミュニティ・ビジネス等の地域活動も活発な地域の特性を生かし、
166
第4章 プロジェクトの展開
⑭地域創発・活力再生プロジェクト
阪神北地域独自の産業振興策として、臨空産業の創出やコミュニティ・ビジネスの
推進のための支援を展開する。
(2)取り組みの方向
空港の地理的優位性を生かした産業振興策を検討・推進するとともに、
個々の活動
が主体のコミュニティ・ビジネスについて、活動の支援と合わせ、情報発信の拠点
開設に向けた検討やネットワークの構築を図る。
1
有識者や地元自治体関係者等で構成する「大阪国際空港を活用した産業活性
化調査研究会」における 21 世紀型臨空産業の創出に向けた支援策の検討と推進
2 ネットワークの構築や新規事業展開への支援を行うとともにインキュベーシ
ョンルームの運営や情報発信拠点の整備検討等、
「コミュニティ・ビジネスの推
進」
東播磨地域
1 ものづくり産業の活性化
(1)目的
製造業の割合が高い東播磨地域の産業を発展させるため、中小企業と研究機関と
の共同研究等による連携を促進するとともに、販売力が脆弱な中小企業の販路開拓
を支援することにより、ものづくり産業の活性化を図る。
(2)取り組みの方向
研究機関と中小企業との連携の仕組みを構築し、新製品、新技術の開発を促進す
るとともに、地域の企業が一堂に会する展示・商談会の開催による販路開拓への支
援を行う。
1
研究開発等に意欲的な地元企業等の参画による「東播磨新産業技術交流研究
会」の活動を支援するとともに、産学の共同研究開発等への助成による「新製
品、新技術開発の促進」
2 県内大学等の産学連携センター、県立工業技術センター、地元経済界等によ
り構成される「東播磨ものづくりネット(仮称)
」を通じた産学交流会、研究開
発支援等による「ものづくり産業の活性化」
3 東播磨地域のものづくり産業の展示・商談のための「東播磨産業フェア」の
開催
北播磨地域
1 北播磨地場産業元気創出戦略の推進
(1)目的
輸入品の増大や個人消費の低迷により厳しい状況にある北播磨地域の地場産業に
ついて、長年培ってきた技術力を更に高め、他産地との差別化や高付加価値商品等
の開発を推進することにより活性化を図る。
167
第4章 プロジェクトの展開
⑭地域創発・活力再生プロジェクト
(2)取り組みの方向
公的研究機関等と幅広く連携しつつ、人的ネットワークの形成を図り、産地ブラ
ンド構築に向けた新商品の開発を推進するとともに、異業種間の連携や新たな販路
開拓に向けた支援を行う。
1
他産地等との差別化を図るためのブランドマークの設定や品質保持体制の確
立等への支援による「新たな産地ブランドの構築」
2 自然災害を念頭においた製品やユニバーサルデザイン商品の開発への支援を
通じた「成長分野における新分野進出・新商品の創造」
3 「産地の需要拡大・新市場の開拓」に向けた国内外の展示会への出展、じば
さん元気市の開催等に対する支援
4 商工会議所等における産地別活性化方策の検討や具体の取り組みに対する支
援
中播磨地域
1 まちづくりと連携した中心市街地の活性化
(1)目的
衰退傾向に歯止めがかからない姫路市の中心市街地商店街において、まちづくり
や都市基盤整備と連携しながら、若者や女性、NPO等による斬新なアイデアと行
動力を商店街に注入し、商店街の一層の魅力アップやにぎわいの創出に結びつけて
集客力の向上を図るとともに、将来ビジョン等の策定を支援することにより、商店
街の活性化を促す。
(2)取り組みの方向
商店街の魅力アップや賑わい創出の取り組みに対
して引き続き支援するほか、商店街等において新規
開業をめざす者に対し、空き店舗等を活用した出店
機会や運営ノウハウの提供などの支援を行う。
また、JR姫路駅前再開発を見据えた商店街活性
化のための調査研究やプラン策定に対する取り組み
への支援を行う。
<中心市街地商店街(姫路市)>
1
商店街における集客イベントの実施等による「商店街の魅力アップ、賑わい
等の創出」
2 若者や女性、NPO等による商店街の空き店舗等を活用した実験店舗出店に
対する支援を通じた「商店街への新規出店・起業の促進」
3 商店街の活性化のために、まちづくり支援機関等が行う調査研究や再生プラ
ンの策定に対する支援
2 創造的ものづくり産業の育成・創出
(1)目的
兵庫県立大学工学部等の大学・研究機関の集積や既存企業の地域のポテンシャル
等を生かし、産学官連携によりモノづくり産業の活性化を支援するとともに、播磨
168
第4章 プロジェクトの展開
⑭地域創発・活力再生プロジェクト
科学公園都市にある放射光施設など先端研究施設と既存産業の融合等により、競争
力のある新産業の育成・創出を図る。
(2)取り組みの方向
地域の製造業者等で構成する研究会活動の推進と、これを核としたネットワーク
の形成等により技術開発力の向上、高付加価値化をめざす創造的な「ものづくり力」
の強化をめざす。
また、放射光施設をはじめ播磨科学公園都市にある先端研究施設の利活用の促進
や、
「環境・リサイクル経済特区」の推進等により、環境・IT・デジタル関連など
新たな産業の育成・創出を図る。
1
県立大学、姫路市、姫路商工会議所、県民局で構成する産学連携のプラット
ホーム(「姫路産学官連絡会議」
)を軸にした研究会活動やネットワークづくり、
フォーラムやビジネスマッチングの実施等を通じた地域製造業の「ものづくり
力」の強化と、放射光施設の利活用の促進による新産業育成の育成・創出
2 「環境・リサイクル経済特区」の認定された姫路市広畑地区における、
「広畑
臨海産業団地環境ビジネス推進会議」による調査活動、誘致セミナー等を通じ
た環境産業集積拠点の形成
西播磨地域
1 西播磨「広域産業活性化支援プログラム」の展開
(1)目的
地域内に存する大型放射光施設や兵庫県立大学理学部等の最先端研究施設と地域
産業との融合を図るとともに、ものづくりグループを育て、新技術を用いた新製品
の開発等を強化することにより、地域産業の活性化を図る。
また、商店街の衰退に歯止めをかけるため、魅力ある個店づくりや人材の育成等
により商店街の活性化を図るほか、市町合併に伴う商工会合併の気運を醸成する。
(2)取り組みの方向
播磨科学公園都市に集積する産業支援機関等と連携し、中小企業への支援を実施
するほか、西播磨の各地に、ものづくりグループを組成して技術開発力の向上をめ
ざす。
また、商店街の再生を促進するため、次代を担う若手商業者の育成等を図るとと
もに、市町合併に伴う商工会合併の気運醸成のため、商店街の連携を支援する。
1
(財)ひょうご科学技術協会における放射光産業利用のための普及啓発事業
等との連携による「地元企業の放射光利用の促進」
2 クラスタープロジェクトを推進する「播磨ものづくり支援センター」と連携
した地元企業等に対するセミナーや研修会の実施による「企業の技術力の向上」
3 機械・金属加工企業による「西はりま材料・加工研究会」における新技術を活
用した新製品の開発と見本市への出展に対する支援や西播磨地域における「も
のづくりグループ」の育成等を通じた「新技術・新製品開発力の向上」
4 商店街の課題等を研究する若手経営者グループによる「西播磨若手商業者未
来塾」を立ち上げるとともに、店舗魅力アップセミナーの開催や商業科の高校
生による実験店舗の開設等による「若手商業者の育成」
169
第4章 プロジェクトの展開
⑭地域創発・活力再生プロジェクト
5
行政合併に伴う商工会の合併に向けた気運を高めるともに、合併後の地域の
商業者が一体となった取り組みへの支援による「西播磨地域の商業再生の促進」
但馬地域
1 但馬ブランドの創出
(1)目的
全国有数の鞄産地である但馬地域は、他の地場産地と同様、輸入品との競合や消
費低迷等により厳しい状況にあるが、長年培ってきた高い技術等を積極的にPRす
ることによりブランドの確立をめざす。また、平成 17 年度のコウノトリの試験放
鳥を契機とし、但馬地域で推進されている環境創造型の農林水産業をPRするとと
もに、但馬産の松葉ガニをアピールすることにより、但馬地域の農林水産物のブラ
ンド化をめざす。
(2)取り組みの方向
豊岡かばんの新たな市場を開拓するため、
国内外での見本市や展示会への出展による産
地、産品等の情報発信を支援する。
また「ひょうご安心ブランド農産物」の推
進体制の確立、環境にやさしい生産技術の普
<豊岡かばんの見本市での展示>
及等を行うとともに、特に産地間競争が激化する松葉ガニのブランド強化に向けた
取り組みを行う。
1
国の「ジャパンブランド育成支援事業」による新製品の試作等とも連携し、
国内外の見本市や展示会への出展等に対する支援による「豊岡かばんの新たな
市場の開拓」
2 ひょうご安心ブランド農産物の生産拡大に向けた推進体制の確立や生産技術
の普及等の各種支援、松葉ガニのブランド力の強化に向けた取り組みの実施等、
「但馬の農のブランド化」
丹波地域
1 観光振興による地域の活性化
(1)目的
観光が「観る観光」から体験農業などの「ツーリズム」へと変化するたな、都市
住民にとって魅力的な丹波の自然等の観光資源を有機的に活用し、京阪神からの誘
客を促進することにより観光の活性化を図る。
(2)取り組みの方向
阪神間の旅行業者へのPR、交流農業のネットワーク化、地場産品を使った加工
品フェア、観光情報発信の一元化等により丹波地域からの観光情報発信を強化する。
1
2
3
4
「丹波地域の魅力PR」のための阪神間の旅行業者の丹波地域への招聘
。交流農業施設の受入体制整備支援によるネットワーク化
丹波産農産品の加工品フェア開催による「丹波文化の発信」
観光パンフレット等を一元的に作成することによる「観光情報発信力の強化」
170
第4章 プロジェクトの展開
⑭地域創発・活力再生プロジェクト
淡路地域
1 くにうみツーリズム戦略の推進
(1)目的
明石海峡大橋開通時をピークとした淡路地域の観光客の減少傾向、地域の地場産
業をはじめとする中小企業の厳しい状況などを踏まえ、地域の活性化を図るため、
ツーリズムを中核とした産業振興を推進する。
(2)取り組みの方向
従来型の観光に加え、製造業や農林水産業、
地域住民などを巻き込んだ参加・体験型の
ツーリズムを戦略的に推進し、人材育成な
どとともに、淡路地域のタイムリーな観光
情報の発信やツーリズム推進体制の強化を
<修学旅行での漁業体験>
行う。
1 観光関連従事者や市町担当者等に対する「くにうみツーリズム塾」の開設によ
る「人材の育成・ホスピタリティの向上」
2 多様化する観光客のニーズに沿ったホームページやパンフレットの発行等に
よる「くにうみツーリズム情報の発信」
3 観光活性化に向けて積極的に取り組む地域団体等に対する支援を通じた「地域
ツーリズム活動の活性化」
4 市町合併に伴う観光連盟の整備強化や農林漁業を含む体験型ツーリズムの推
進体制の検討など「ツーリズム推進体制の整備」
5 意欲ある企業が行う新商品開発や新分野進出に対し、開発から販路開拓までの
一体的な支援による「地域産業の競争力強化」や、ものづくり産業の体験参加型
ツーリズムを通じた「地場産業の活性化」
地域創発・活力再生プロジェクト
丹波
但馬
■観光振興による地域の活性化
■観光振興による地域の活性化
■但馬ブランドの創出
■但馬ブランドの創出
西播磨
■西播磨「広域産業活性化支援
■西播磨「広域産業活性化支援
プログラム」の展開
プログラム」の展開
阪神北
■地域資源を生かした産業振興戦略
■地域資源を生かした産業振興戦略
中播磨
阪神南
■まちづくりと連携した中心市街地の
■まちづくりと連携した中心市街地の
活性化
活性化
■創造的ものづくり産業の育成・創出
■創造的ものづくり産業の育成・創出
■次世代戦略産業構造の構築
■次世代戦略産業構造の構築
■小売商業・地域の活性化
■小売商業・地域の活性化
北播磨
■北播磨地場産業元気創出戦略の推進
■北播磨地場産業元気創出戦略の推進
神戸
東播磨
■神戸ブランドの強みを生かした産業振興
■神戸ブランドの強みを生かした産業振興
■ライフスタイルに即した地域商業やコミュ
■ライフスタイルに即した地域商業やコミュ
ニティ・ビジネスの充実
ニティ・ビジネスの充実
■ものづくり産業の活性化
■ものづくり産業の活性化
淡路
■くにうみツーリズム戦略の推進
■くにうみツーリズム戦略の推進
171
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