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〈一般研究課題〉
カラーステンレスを用いた彫刻作品の制作研究
―進化する都市空間のための新たなアート作品提案のために―
助 成 研 究 者 愛知県立芸術大学 村尾 里奈
カラーステンレスを用いた彫刻作品の制作研究
―進化する都市空間のための新たなアート作品提案のために―
村尾 里奈
(愛知県立芸術大学)
Study of making Colored Stainless Steel Sculpture
- For proposing new art works for emerging city spaces
Rina Murao
(Aichi University of the Arts)
Abstract:
This is an experimental study of making colored stainless steel sculpture for the purpose of
proposing new types of sculptures for public spaces emerging in recent city redevelopment in
Japan. Colored stainless has increasingly been used for industrial products such as mobile phone
cases and thermo cups, as well as interior walls of shops and elevator doors. As for sculptures in
public spaces, there have only been a few made so far which were made by means of bending and
bolting stainless steel sheets that were colored before fabrication. This means working without
adding heat, thus leaving no marks of artist’
s hand. On the contrary, this study explores oxidation
coloring of stainless steel after they are fabricated into objects. Test pieces were made in 1 .5 t
SUS 3042B, SUS 304BA, and SUS 316L 2B to see how formation of color depends on different
materials, surface textures made by electric hand tools, and types of welding mark. Basic forms
suited for coloring stainless steel were designed as proto-types, and actual sculpture work was
made based on the results of tests in this study.
All tests of oxidation coloring treatment and technical advices in this study were made by Nakano
& Co. Labs, a company located in Tsubame City, Niigata, Japan.
- 151 -
1.はじめに
公共の場の金属の彫刻と言えば、鏡面か表面を曇らせたステンレスの抽象彫刻を思い浮かべるの
ではないかと思う。我が国では1960年代から90年代にかけて、公共の場に彫刻を設置する「パブ
リックアート」が盛んに作られたが、バブル崩壊やアートシーンの変化とともに、そのような動き
は沈静化した。しかし、近年、老朽化した建物の建て替えに伴う都市の再開発が各地で進み、建築
分野の技術革新に伴って建てられた大型複合施設には、半屋外のアトリウムなど新たな公共空間が
生まれている。そのように都市が生まれ変わる中、公共の場のアート作品についても、従来のもの
ではないと思わせるアート作品を提案することが求められている。そこで、本研究では、彫刻の分
野では新しく、事例が非常に少ないカラーステンレスを用いた彫刻作品の制作研究を行った。カ
ラーステンレスは扱いが難しく、これまでの事例では、予め発色した板材を曲げるなど、主に熱を
加えない方法によって制作がされてきた。しかしその方法で作られたものは、概して平面的で造形
的に限界を感じさせるものだった。そのため本研究では、立体的に溶接したステンレスを発色させ
る方法を用いた。熱加工した金属の酸化発色を行っている新潟県燕市の(株)中野科学と制作研究を
行い、溶接跡や表面処理がどのように発色に影響するか、発色処理に適した形状や加工法が如何な
るものであるかを実験・検証し、カラーステンレスを用いた新たなアート作品を提案するためのプ
ロトタイプおよび実作品を制作した。
本稿では実験結果に基づき、以下の点について明らかにする。尚、本稿で「発色」という場合は、
いずれも酸化発色を言うものとする。
1. 表面処理と色との関係性について
2. 溶接箇所が発色に及ぼす影響について
3. 発色処理のための基本形状について
2.試料および実験方法について
まず、本研究で用いた実験の材料は、1.5t のSUS304 2B、SUS304 BA、SUS316L 2Bのステ
ンレス板である。これらをシャーリングあるいはレーザ加工にて切断し、穴あけ、開先加工、溶接
加工を目的に応じて行った。表面処理については、電動工具のグラインダー、ランダムサンダー、
ポリッシャーを用いて手動で行った。加工後は酸洗処理を行い、溶接の焼け跡を除去した後、酸化
発色処理を行った。
形状の種類
本研究では、以下の5種類の形状について実験を行った。
1. 立方体(底面開口型)
(100x100x100)
2. プレート(560×560x1.5)
3. 山形形状(560x560x200)
4. 半円柱(450x450x225)
5. 直方体(490x490x307)
※hwd 寸法単位はmmとする。
色について
酸化発色で得られる色は、塗装のように色見本があり、番数によって指定できるものではない。
- 152 -
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色 に つ い て LȟõNȤɄSėƓÌQėK2LÝǖhȬIL2d&ĪÃĊQS\ǨȶɄż7ê4beF&ŒIL%
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色を直接見てコントロールすることはできず、ステンレスの表面状態に対応する酸化皮膜の生成速
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度をモニターしてデータで処理される。本研究の実験で行った酸化発色処理は、全て膜厚と色調の
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基本値に基づいてデータとして処理が行われた。実作品にのみ目視調整が加えられた。従って、本
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,‰¨ƒN?LDSȤSÞdÌMÝǖhȬIF-N23
3稿の表中に色名が記載されている場合は、データとしてその色の出る値で処理を行ったという意味
. 表 面 処 理 と 色 と の 関 係 性 に つ い て şćM1d&=SȤS=Nh%ǒ2ȤN23&
である。この色のことを、狙い色という。
3.表面処理と色との関係性について
3 . 表 面 処 理 と 色 と の 関 係 性 に つ い て 上段左から立方体(1)∼(4)、下段左から
(5)∼(8)
ÜǬ ǠȤæ ÜǬ ǠȤő
ªƬļ6bǿƂÀ0%«Ƭļ6b0
[写真 1 ] 発色前
[写真 2 ] 発色後
ÜǬ
ÜǬ ǠȤæ
ǠȤæ ÜǬ
ÜǬ ǠȤő
ǠȤő
実験1
実 験 1 ªƬļ6bǿƂÀ0%«Ƭļ6b0
ªƬļ6bǿƂÀ0%«Ƭļ6b0
[BĤ^Q%
ÊSǿƂÀņɼɮýĔ
ʉ!!ʊ
hÃţ?%ɥƹőQǠȤ>CF&
まず始めに、8個の立方体[底面開口型
(100x100x100)
SUS3042B]を作成し、酸洗後に発色処理
ǒ2ȤNȮɼêĻSµƦT¹«SəcM1d&
を行った。狙い色と表面加工の仕様は以下の通りである。
実 験 1 ˜¦ƒ
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ǝ[MNɹƟhÄǙ
˜¦ƒ Ț%v l¦„¨ʋ ‰k~u ǝhÄǙ
y¨¢‹ Ț%v l¦„¨ʋ ‰k~u ǝhÄǙ
発色後に得られた色について考察する。全体的に暗い色調が現れた。これは光の反射が均一でな
y¨¢‹ Ț%v l¦„¨ʋ ‰k~u ǝhÄǙ
ǠȤőQœbeFȤQJ2LȘĬAd&ÔÀǣQƋ2ȤɄ7ǕeF&=eTÒSúİ7ē©MP
“¢¨
—¡†|œ¨ʋ~¨¨ƒ†u ǝ[MNɹƟhÄǙ
いことに起因する。実験結果で色が最もはっきりと出たのは鏡面の
(8)であったが、これは予想ど
2=NQɌčAd&
ĪʃȏƛMƐ_Ȥ7TI8cNÞFSTɬɼSM1IF7%
=eT±ŞO5
おりであった。
(2)と
(7)については、マットで鮮やかな色が得られたが、これはステンレスの素
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ǠȤőQœbeFȤQJ2LȘĬAd&ÔÀǣQƋ2ȤɄ7ǕeF&=eTÒSúİ7ē©MP
地の2Bを酸洗した状態のもの
(以下「2B肌」
という。
)が、2Bそのものよりも均質になったためと考
hɥƹ?FǑŢS_Sʉ¹«,
Ț-N23&
ʊ7%
ƕDS_Sac_ēɊQPIFF^NȘ4
2=NQɌčAd&ĪʃȏƛMƐ_Ȥ7TI8cNÞFSTɬɼSM1IF7%=eT±ŞO5
えられる。(2)には、2B肌に鮮やかなグリーンが得られ、(7)にはマゼンタの混じったオレンジ系
bed&T%ĒSȤQʅ`6Pv¡¨¦7ȵbe%T˜¦ƒSǁ@IFp£¦}ȆSy¨
cM1IF&NQJ2LT%˜†ŠMʅ`6PȤ7œbeF7%=eT~ˆ¦£~SĒS のゴールドが得られた。グラインダーで削った箇所は暗い色で、黒っぽく見えるが、よく見ると濃
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hɥƹ?FǑŢS_Sʉ¹«, Ț-N23&ʊ7% ƕDS_Sac_ēɊQPIFF^NȘ4
いマゼンタやシルバーが混在していた。
bed&T%ĒSȤQʅ`6Pv¡¨¦7ȵbe%T˜¦ƒSǁ@IFp£¦}ȆSy¨
鏡面は、鮮やかな色が出る表面処理だが、現存の屋外彫刻では普及率が高いこともあり、真新し
4
¢‹7ȵbeF&v l¦„¨MåIFȃŦTƋ2ȤMʈIZ9ȵ4d7%a9ȵdNdž2˜¦
さが感じられなかった。そのため本研究では2B肌のマットな色調を主な研究の対象とした。立方
体
(7)
[写真4]では、手作業の痕跡であるグラインダーの跡と2B肌とのぼやけた境界線が、硬質な金
4
属にソフトな印象を与えていて、これに新しさが感じられた。このぼやけた境界線は、マーク・ロ
スコの絵画の境界線を想起させるもので、彫刻の要素として可能性があると考えた。
- 153 -
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Ɓ?>7š@beF&=SY`;FĚǜȓT%˜¨u§¤~xSȐǛSĚǜȓhŞɌ>Cd_SM%
ŎäSȴȊN?LþȜŝ71dNȘ4F&
ÜǬ ”£¨Š ÜǬ ǿƂÀ ÜǬ ǿƂÀ
ÜǬ ”£¨Š ÜǬ ǿƂÀ ÜǬ ǿƂÀ
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SY`;FĚǜȓhacğ8PɼMDzɁAdF^%
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S”£¨ŠhÃţ?%ǠȤ>CF&ÜǬ [F
ȚSȤhŅ2ɼǺMDzɁAdF^%
[写真 3 ] プレート
(14)
[写真 4 ] 立方体(7)
[写真 5 ] 立方体(2)
ÜǬ ”£¨Š
ÜǬ ǿƂÀ
ÜǬ ǿƂÀ
S”£¨ŠhÃţ?%ǠȤ>CF&ÜǬ
"!
(7)
実SY`;FĚǜȓhacğ8PɼMDzɁAdF^%
験 2に見られたぼやけた境界線をより大きな面で確認するため、また2B肌の色を広い面積で確認
[F ȚSȤhŅ2ɼǺMDzɁAdF^%
するため、560×560x1.5のプレートを作成し、発色させた。[写真3,6]
実験 2
"! S”£¨ŠhÃţ?%ǠȤ>CF&ÜǬ 実験2
実 験 2
ÜǬ ”£¨Šʉ"!ʊļ6b0
[写真 6 ] プレート
(560×560 x 1 . 5)左から
(12)∼(23)
ÜǬ ”£¨Šʉ"!ʊļ6b0
“¢¨
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ÜǬ
”£¨Šʉ"!ʊļ6b0
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˜¦ƒ
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実験2では、12枚の560×560x1.5のプレートを発色させ、広い面積での色の見え方を検証した。
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˜¦ƒ
Īʃ
MT% ƚSy¨¢‹
"! S”£¨ŠhǠȤ>C%
Ņ2ɼǺMSȤSȵ4ƂhƠȿ?F&
Īʃ MT% ƚS "! S”£¨ŠhǠȤ>C%Ņ2ɼǺMSȤSȵ4ƂhƠȿ?F&
˜¦ƒ
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v¡¨¦
今回は、3種類の異なるステンレス材料を発色させ、色の違いを検証した。
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ǸʁSǞPd~ˆ¦£~ƕžhǠȤ>C%ȤSɠ2hƠȿ?F&
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実験の結果、316Lと3042Bとは明らかに異なる色調になった。316Lには、より突出した鮮やか
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T
NTƆb6QǞPdȤɄQPIF&
Q%acǾÞ?Fʅ`6P
ĪʃȏƛMT%
T NTƆb6QǞPdȤɄQPIF&
Q%acǾÞ?Fʅ`6P
Ȥ7œbeF&ǐQv¡¨¦N˜¦ƒQDSǐŖ7ȵbeF&v¡¨¦QJ2LT%ȵdȹŇQ
な色が見られた。特にグリーンとマゼンタにその特徴が見られた。グリーンについては、見る角度
Īʃ MT% ƚS "! S”£¨ŠhǠȤ>C%Ņ2ɼǺMSȤSȵ4ƂhƠȿ?F&
aIL%ʇȒQɓ2Ȥ6bǀ2“¢¨[M%ȤɄQŀ71d=N7ß6IF&ÜǬ
によって、黄緑に近い色から深いブルーまで色調に幅があることが分かった。[写真7,8]
5
5
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ǸʁSǞPd~ˆ¦£~ƕžhǠȤ>C%ȤSɠ2hƠȿ?F&
ĪʃȏƛMT%
T NTƆb6QǞPdȤɄQPIF&
Q%acǾÞ?Fʅ`6P
5
7 ] プレート
(15) 黄緑に近いグリーン
[写真 8 ] 傾けたプレート
(15) ブルーに近いグリーン
ÜǬ[写真
”£¨Š
ʇȒQɓ2v¡¨¦ ÜǬ
Ï;F”£¨Š
“¢¨Qɓ2v¡¨¦
- 154 - TI8cN?F8e2PȤ7œbeF&
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また、304BA
(鏡面)については、カラーセロハンのような、はっきりとした鮮やかな色が得ら
aILȤ7ğ89ǞPILȵ4dŝɊ71d=NQJ2LT%ğ8P”£¨ŠMĪʃ?Lá^Lß
れた。
(19)のグリーンは、正面からはブルーに見えたが、傾けるとマゼンタに見えた。このよう
6IF&”£¨ŠQJ2LT%öč¬ƆSɹȋȤSŽ7ÞL?[2%ē©P“¢¨TœbeP
に見る角度によって色が大きく異なって見える性質があることについては、大きなプレートで実験
6IF&ÜǬ して初めて分かった。プレート
(12)については、原因不明の青紫色の斑が出てしまい、均一なブ
ルーは得られなかった。[写真9]
実 験 3 実験3
[写真
9 ] プレート
(12) ÜǬ
[写真”£¨Š
10 ] プレート
(23)
ÜǬ
”£¨Š
実験3では、プレート
(12)の斑の原因が、酸洗処理に起因するかどうかを確かめるため、酸洗前
Īʃ
MT%”£¨ŠSŽSöč7%ɥƹÝǖQɌčAd6O36hDz6^dF^%ɥƹæ
の脱脂の有無と、酸洗時間の長短が発色にどう影響するかを実験した。
(16)から(24)のプレート
については、それぞれ以下の2つの異なる処理を行った。
SȞȝSƑLjN%ɥƹƇɯSɭǯ7ǠȤQŏɾAd6O36hĪʃ?F&6bS”£¨Š
a. トリクロールエチレンで脱脂し、酸洗時間が30分:プレート
(16)
(19)
,
(21)
,
(24)
,
QJ2LT%DeEe¹«S
JSǞPdÝǖhȬIF&
b. 脱脂なしで、酸洗時間が60分:プレート(17)
(18)
, (22)
,
(23)
,
Š¡u¤¨¢o…£¦MȞȝ?%ɥƹƇɯ7
ßʎ”£¨Š
ȞȝP?M%ɥƹƇɯ7 ßʎ”£¨Š
つまり、304BAと3042Bの板をそれぞれマゼンタとグリーンに発色させるための板を2セット作
成し、a.とb.の方法を適用した。色については、a.とb.では異なる結果が得られた。3042Bグリーン
J[c%
N SƙhDeEe˜¦ƒNv¡¨¦QǠȤ>CdF^Sƙh €†ŠÃ
の
(23)と
(24)では、酸洗時間の長い
(23)のほうが黄緑色に近い緑で、酸洗時間の短い(24)のほう
ţ?%N SƂƷhɡǙ?F&ȤQJ2LT%N MTǞPdȏƛ7œbeF&
v¡¨
が深緑色になった。マゼンタの
(21)
(22)については、酸洗時間の短い(21)のほうが、グレーに近
い色となり、
(22)にマゼンタが得られた。304BAに関しては、マゼンタの(16)と(17)は、ほぼ同
6
じ色だったが、グリーンの
(18)
(19)については大きく異なり、酸洗時間の短い
(19)は、正面から
見た状態で深いブルーが得られ、
(18)についてはマゼンタが得られた。(18)(19)ともにグリーン
を狙っているが、グリーンが見えたのは(18)のプレートを水平にしたときだけだった。
本実験は、斑と酸洗処理方法に関係性が有るか否かを見極めることを目的としていた。結果、
(23)
のプレートにのみ原因不明の斑が大きく出た[写真10]。従って、実験2のプレート
(12)
にも見ら
れたこの種の斑は、酸洗処理の時間や脱脂の有無には拠らないことが分かった。考えられる斑の原
因としては、加工過程において付着した汚れによるものである可能性が大きい。プレートが制作さ
れた工房は半屋外で、風雨や埃が制作中にかかりやすい環境にある。板を重ねて置いていたため
に、一番上の板に汚れが付着したのではないかと考えている。その他に手袋の痕跡もあった。2Bで
は付着した汚れを拭いても、表面に物質レベルで痕跡が残る可能性が高く、一見きれいに見えても
発色を行うと汚れが浮き出てしまうことがある。2Bに斑が生じないようにすることは難しいが、扱
い方に気をつけることで、ある程度は汚れの定着を回避できる。実験4で制作した半円柱について
- 155 -
T·ǭ?FƲehů2L_%ȮɼQǏɊ£•¢Mǟɍ7ƫdþȜŝ7ʄ9%©ȵ8e2Qȵ4L_
ǠȤhȬ3NƲe7ƽ8ÞL?[3=N71d& QŽ7ǘ@P2a3QAd=NTɶ?2a3G
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ˆ¦£~ƙ7ȈĊ>eLA:QȉMïiMÈȄ?%êĻh ƅSÙQȍgbCFF^%Ũ2Ƈɯ7
は、ステンレス板が納品されてすぐに紙に包んで保管した上に、加工を1日の内に終わらせたため、
ğĝǯ6IF&DSF^6%ŽTÔ9ÞB%ŧɍ_Ô9P6IF& MēɊPȤhœd=NTɶ?
扱い時間が大変短かった。そのためか斑は全く出ず、手跡も全くなかった。それでも2Bで均質な色
2a3G7% S˜†ŠPȮɼÝǖQ¸gd_SN?LT% ƕh‘¨“ ~Š?LɸȺǰdzA
を確実に得ることは難しく、2Bのマットな表面処理に代わるものとしては、BA材をビーズブラス
dN23ƂƷ71d=N7ß6IF&=eQJ2LT´őSǰǼɃʀN?F2&
トして電解研磨するという方法があることが分かった。これについては今後の研究課題としたい。
溶接箇所が発色に及ぼす影響について
4 .4.
溶
接箇所が発色に及ぼす影響について
[写真 11 ] 半円柱 酸洗前
[写真 12 ] 酸洗後
[写真 13 ] 発色後
ÜǬ òÚƜ ɥƹæ ÜǬ ɥƹő ÜǬ ǠȤő 実験4
実 験 4 実験4では、半円柱[(450x450x225)SUS3042B, グリーン]を発色させた。これは、曲面に沿って
Īʃ MT%òÚƜʉ!!ʊ
v¡¨¦hǠȤ>CF&=eT%ƍɼQƶIL
様々な色が見え隠れする色のグラデーションが得られると考えたからだ。結果は、予想以上にきれ
Ʀ'PȤ7ȵ4ɴeAdȤSv ‰¨|ž¦7œbedNȘ4F6bG&ȏƛT%±Ş¹ªQ8e
いな仕上がりとなり、見る角度によってマゼンタの赤系の色と、深みのあるグリーン、そして黄緑
2Pµª7cNPc%ȵdȹŇQaIL˜¦ƒSɋȆSȤN%ǀ\S1dv¡¨¦%D?LʇȒ
色とゴールドが見え隠れする玉虫色のような色が得られた。
ȤNy¨¢‹7ȵ4ɴeAdǔȫȤSa3Pìƛ7œbeF&
この実験のもう一つの目的は、溶接箇所がどのように発色に影響するかを検証することだった。
=SĪʃS_3©JSǨǣT%DŽųȃŦ7OSa3QǠȤQŏɾAd6hƠȿAd=NGIF&
そのため2つの半円柱のうち1つは全溶接し、もう一つは点付けで溶接した。その結果、双方とも
DSF^
JSòÚƜS3HʌJTÔDŽų?%_3©JTLJ·;MDŽų?F&ȏƛ%ùƂN_DŽų
溶接の焼け跡の周りにくっきりとした白い線が生じた。これは発色されなかったステンレスの素地
SNJ;ɍSĆcQ9I8cN?FǢ2ȓ7ǘ@F&=eTǠȤ>eP6IF~ˆ¦£~SȊĒGN
だと考えられる。[写真14]
Ș4bed&ÜǬ
SNJ;ɍSĆcQ9I8cN?FǢ2ȓ7ǘ@F&=eTǠȤ>eP6IF~ˆ¦£~SȊĒGN
7
Ș4bed&ÜǬ 点付け 発色前 LJ·;ǠȤő
点付け 発色後
LJ·;ǠȤæ
LJ·;ǠȤæ LJ·;ǠȤő
ÜǬ ÔDŽųǠȤæ ÔDŽųǠȤő
全溶接 発色前
全溶接 発色後
ÜǬ ÔDŽųǠȤæ
ÔDŽųǠȤő
実 験 5 [写真 14 ]
JSǿƂÀʉ!!ʊ
˜¦ƒQƩSa3PÝǖhƃ?F&
Īʃ
実 験 5MT%
ǝ%ɥƹ
DŽųȎʃSɭ2ãÃș - 156
-
Īʃ ¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u
MT%
JSǿƂÀʉ!!ʊ
˜¦ƒQƩSa3PÝǖhƃ?F&
¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u
ǝ[M%ɥƹ
¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u ǝ%ɥƹ
DŽųȎʃSɭ2ãÃș
DŽųȎʃSɭ2ãÃș ÜǬ ÔDŽųǠȤæ ÔDŽųǠȤő
実ÜǬ
験 5 ÔDŽųǠȤæ ÔDŽųǠȤő
実 験 5 Īʃ MT%
JSǿƂÀʉ!!ʊ
˜¦ƒQƩSa3PÝǖhƃ?F&
実験5
Īʃ MT%
JSǿƂÀʉ!!ʊ
˜¦ƒQƩSa3PÝǖhƃ?F&
ǝ%ɥƹ
DŽųȎʃSɭ2ãÃș 実 験 ¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u
5 ¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u
ǝ%ɥƹ
DŽųȎʃSɭ2ãÃș 実験5では、3つの立方体[
(100x100x100)SUS3042B,マゼンタ]に次のような処理を施した。
Īʃ MT%
JSǿƂÀʉ!!ʊ
˜¦ƒQƩSa3PÝǖhƃ?F&
¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u
ǝ[M%ɥƹ
ǝ[M%ɥƹ DŽųȎʃSɭ2ãÃș
DŽųȎʃSɭ2ãÃș
¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u
¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u ǝ%ɥƹ
DŽųȎʃSɭ2ãÃș ¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u ǝ[M%ɥƹ
DŽųȎʃSƼ2ãÃș ¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u
ǝ[M%ɥƹ
ǝ[M%ɥƹ DŽųȎʃSƼ2ãÃș
DŽųȎʃSƼ2ãÃș
¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u
¦„™z¦„¨ʋ~¨¨ƒ†u ǝ[M%ɥƹ
DŽųȎʃSɭ2ãÃș NNSƮɐT%
¿2ǝŻNʄ2ǝ
NNSƮɐT%
¿2ǝŻNʄ2ǝŻ
(9)と(10)との比較は、低い番数と高
NNSƮɐT%
¿2ǝŻNʄ2ǝŻ
QadȤSɠ2hƠȿAdF^GIF&
QadȤSɠ2hƠȿAdF^GIF&
い番数による色の違いを検証するため
QadȤSɠ2hƠȿAdF^GIF&
ĪʃSȏƛ%TȧŁɋȋīcMT
ĪʃSȏƛ%
TȧŁɋȋīcMTȧ
だった。
ĪʃSȏƛ%
TȧŁɋȋīcMTȧ
実験の結果、
(9)
は若干赤紫寄りで
(10)NSȤ
Łp£¦}īcSȤQPIF&
NSȤ
Łp£¦}īcSȤQPIF&
NS
Łp£¦}īcSȤQPIF&
Sɠ2TÐ6P_SM%9AiGȨȤSa3
は若干オレンジ寄りの色になった。
(9)
Sɠ2TÐ6P_SM%9AiGȨȤSa
Sɠ2TÐ6P_SM%9AiGȨȤSa3
PȤQPIF&
ǝMdz2FTɒ8S
と
(10)
の色の違いは僅かなもので、くす
PȤQPIF&
ǝMdz2FTɒ8S
PȤQPIF&
ǝMdz2FTɒ8
1dɼ7ȵ4ɴe?F7%ɥƹQadŽN んだ茶色のような色になった。400番で
ÜǬ ļ6bǿƂÀ
[写真 15 ] 左から 立方体(9),(10),(11)
ÜǬ ļ6bǿƂÀ
ļ6bǿƂÀ
1dɼ7ȵ4ɴe?F7%ɥƹQadŽN 1dɼ7ȵ4ɴe?F7%ɥƹQadŽN
¦„™z¦„¨QadŽ7ɧPc%˜†ŠP
磨いた
(10)
は輝きのある面が見え隠れし
ɼNÒƵɼN7Ócǁ@IFµª7cQPI
¦„™z¦„¨QadŽ7ɧPc%˜†ŠP
¦„™z¦„¨QadŽ7ɧPc%˜†Š
たが、酸洗による斑とランダムサンダー
F&
ɼNÒƵɼN7Ócǁ@IFµª7cQPI
による斑が重なり、マットな面と光沢面
ɼNÒƵɼN7Ócǁ@IFµª7cQP
[FNQJ2LT%ÝǖTă@G
F&
とが入り混じった仕上がりになった。
F&
7%ãÃșhâN?F&TDŽųSȎʃS
また(10)と(11)については、処理は
[FNQJ2LT%ÝǖTă@G
ɭ2șQad_SM%TƼ2ș7ãÃh
[FNQJ2LT%ÝǖTă@
同じだが、制作者を別とした。(10)は
ȬIF&NSȤQJ2LT%ɠ27
7%ãÃșhâN?F&TDŽųSȎʃS
7%ãÃșhâN?F&TDŽųSȎʃ
ɭ2șQad_SM%TƼ2ș7ãÃh
ɭ2șQad_SM%TƼ2ș7ãÃ
溶接の経験の長い者によるもので、
(11)
TI8cNÞF&ªȼMɕWFa3Q%
ÜǬ ǿƂÀSȱÿSȱ
は浅い者が制作を行った。
(10)と(11)
ȬIF&NSȤQJ2LT%ɠ27
8
ÜǬ ǿƂÀSȱÿSȱ
[写真 16 ] 立方体(10)の裏 (右)
(11)の裏
ÜǬ ǿƂÀSȱÿSȱ
ȬIF&NSȤQJ2LT%ɠ2
の色については、違いがはっきりと出
TI8cNÞF&ªȼMɕWFa3Q%
た。上記で述べたように、
(10)はオレ
TI8cNÞF&ªȼMɕWFa3Q%
ンジ寄りのくすんだ茶色だったが、溶接
経験の浅い者による
(11)には赤紫色が見られた。(11)の斑の出方については、先ほど述べた(10)
8
と同様だった。この2つを裏返して見ると、溶接経験の浅い者によるもののほうが、焼け跡が大き
8
く残っていることが分かる[写真16]。これは、溶接時間が長いことに拠る。これにより、制作者の
溶接時間の違いによっても、色の出方が異なってくることが分かった。
大型の彫刻制作では、異なる制作者が同一作品のパーツを制作することがあるため、発色させる
場合には注意が必要であるということが分かった。複数の制作者が制作を行う場合には、1人の制
作者が全ての溶接を行うなど、作業毎に担当を決めるか、溶接する者同士の溶接時間を揃えるかな
どの工夫が必要であることが分かった。
実験6
実験6の山形形状[(560x560x200)
SUS316L,ブルー]については、溶接した箇所は全てグライン
ダーで削った。結果、色についてはグラインダーで削った箇所にブルーが得られ、広い面積の2B
肌については暗い青紫が得られた。しかしグラインダーで削った箇所に、所々白い箇所が残った。
これは、形状を制作してから1週間以上経過した後に、アンダーカットや溶接されなかった箇所に
溶接棒を入れて修復を行った箇所である。この箇所に見られる白はマットな白ではなく、少し輝き
- 157 -
ƇɯSɠ2QaIL_%ȤSÞƂ7ǞPIL9d=N7ß6I
実 験 6 Īʃ SĸōōǑʉ!!ʊ
“¢¨
ș7ă©ÃĊS¨‡hãÃAd=N71d7%ǠȤ>CdĘ
QJ2LT%DŽų?FȃŦTÔLv l¦„¨MåIF&
7ß6IF&ȳŻSãÃș7ãÃhȬ3ĘāQT%
³SãÃ
ȏƛ%ȤQJ2LTv l¦„¨MåIFȃŦQ“¢¨
QŬŌhƳ^d6%DŽųAdșăĜSDŽųƇɯhŴ4d6PO
を帯びたゴールドに近い白だった。この斑である白は、ある意味では美しく、偶然に出たこの痕跡
7œbe%Ņ2ɼǺS ȚQJ2LTƋ2ɹȋ7œbe
&
を活かした作品も考えられるのではないかと思った。[写真17]
F&?6?v l¦„¨MåIFȃŦQ%Ŧ'Ǣ2ȃŦ
7ƫIF&=eT%ōǑhãÃ?L6b ɝɯ¹ªȎɟ
?L6b%j¦„¨q†Š`DŽų>eP6IFȃŦQDŽ
ʊ
“¢¨
ųƟhÓeLÉŕhȬIFȃŦM1d&=SȃŦQȵb
l¦„¨MåIF&
edǢT˜†ŠPǢMTP9%IJ?ɒ8hľVFy¨¢
åIFȃŦQ“¢¨
‹Qɓ2ǢM1d&=SŽM1dǢT%1dşćMTȖ
TƋ2ɹȋ7œbe
ÜǬ ĸōōǑSDŽųɍ
?9%ÎljQÞF=Sǟɍhƺ6?FÃĊ_Ș4bed
ŦQ%Ŧ'Ǣ2ȃŦ
SMTP26NŜIF&ÜǬ 6b ɝɯ¹ªȎɟ
eP6IFȃŦQDŽ
d&=SȃŦQȵb
5 . 発 色 処 理 の た め の 基 本 形 状 に つ い て ɒ8hľVFy¨¢
T%1dşćMTȖ
[写真 17 ] 山形形状の溶接跡
ÜǬ ĸōōǑSDŽųɍ
拡大図(左)発色前(右)発色後
ŮğďļǠȤæÿǠȤő
ƩQ%ªȼĪʃ SòÚƜ`Īʃ SĸōōǑhǠȤ
FÃĊ_Ș4bed
5. 発色処理のための基本形状について
>CdF^QǂF>P;eUPbP2ōǑSƗºQJ2LɕWd&
次に、上記実験4の半円柱や実験6の山形形状を発色させるために満たさなければならなかった
ǠȤT%ĮɇǏhúřƿQƾ;LÝǖhȬ3_SM1dF^%ǿÀǏSğ8>`ōǑT%Řljǣ
形状の条件について述べる。
QưƧSğ8>Sãȇhü;d&D?LúřƿQTĂc×MĂILÓedF^%ĂIFōMǿÀǏ
発色は、対象物を反応液に浸けて処理を行うものであるため、立体物の大きさや形状は、必然的
つ い て 7ĨÔQƿÀQƾda3ōǑSĭƷhȘ4P;eUPbP2&ƎQ%ǿÀǏhĂcª<FN8Q%
に水槽の大きさの制限を受ける。そして反応液には吊り具で吊って入れるため、吊った状態で立体
úřƿ78e2QŪ;da3%ņQǻ7ǽ2L2P;eUPbP2&ǿÀǏhÏ;FǑŢMĂdĘ
ŮğďļǠȤæÿǠȤő
物が完全に液体に浸るよう形状の寸法を考えなければならない。更に、立体物を吊り上げたとき
āQT%©ǝ¿2ŦQǻ7ǽ2L2d=N7ŘȴNPd&[F%ƿ¯Mr~ǃ[c7M8P2a3
SĸōōǑhǠȤ
に、反応液がきれいに抜けるよう、底に穴が空いていなければならない。立体物を傾けた状態で吊
©ǝʄ2ȃŦQǽƯhɗ7AF^Sǻhǽ;d=N_ŘȴM1d&=3?FƗºT%š†shȬ3
2ōǑSƗºQJ2LɕWd&
る場合には、一番低い所に穴が空いていることが必要となる。また、液中でガス溜まりができない
ĘāNă@M1d&
ÝǖhȬ3_SM1dF^%ǿÀǏSğ8>`ōǑT%Řljǣ
よう一番高い箇所に空気を逃がすための穴を空けることも必要である。こうした条件は、メッキを
ƓǰǼMT%ǿÀǏhĂc«<LÏ2FǑŢhDz6^dF^%ǠȤÝǖƇQǙ2bedĂc×Q
?LúřƿQTĂc×MĂILÓedF^%ĂIFōMǿÀǏ
行う場合と同じである。
ËIL%ȥȥ7
NPd JSǍ7·2FĂc×hÃţ?F&Ăc«<dǿÀǏSĂcȃŦQ
hȘ4P;eUPbP2&ƎQ%ǿÀǏhĂcª<FN8Q%
本研究では、立体物を吊り下げて傾いた状態を確かめるため、発色処理時に用いられる吊り具に
ǻ7ǽ2L2P;eUPbP2&ǿÀǏhÏ;FǑŢMĂdĘ
9
倣って、芯︲芯が200mmとなる2つの爪が付いた吊り具を作成した。吊り下げる立体物の吊り箇所
d=N7ŘȴNPd&[F%ƿ¯Mr~ǃ[c7M8P2a3
には10mmの穴をあけた。実験2および3のプレートには直接この穴をあけたが、立体物には穴を空
ǻhǽ;d=N_ŘȴM1d&=3?FƗºT%š†shȬ3
けた細長い板を別に作り、2カ所を点付けで溶接して取り付けた[写真19]。この細長い板はあくま
でも吊り下げのためのもので、発色処理が終わったら削って取り除くものである。細長い板につい
Ï2FǑŢhDz6^dF^%ǠȤÝǖƇQǙ2bedĂc×Q
TÂȲh\L
Sǻh1;F&
Īʃ 5aV S”£¨ŠQT
ては、始めは立体物の外側に取り付けていたが、後に制作した
Ǎ7·2FĂc×hÃţ?F&
Ăc«<dǿÀǏSĂcȃŦQ
直方体では、吊り箇所を内蔵型にする方法を考案した[写真21]。
ǩųǻh1;F7%ǿÀǏQTǻhǽ;FȌɭ2ƙhâQÃc%
9
この方法では、後から板を削って外す手間が省ける他、酸洗後
LJ·;M qŦhDŽų?Lûc·;FÜǬ
&=S”£¨ŠT
の加工も行いやすい。けれども複雑な形状を吊る場合には、傾
19[M_Ăc«<SF^S_SM%ǠȤÝǖ7ȍgIFbåI
きを見ながら吊り位置をずらしていく必要があるため、一概に
Lûcɲ9_SM1d&Ȍɭ2ƙQJ2LT%Ĥ^TǿÀǏSĞ
全てを内蔵型にすればいいというものでもない。
ÍQûc·;L2F7%őQãÃ?FǩƂÀMT%ĂcȃŦhÙ
実験7 プロトタイプ1
ȪĔQAdƂƷhȘƞ?FÜǬ &=SƂƷMT%ő6bƙh
実験7では、上記で述べた反応液に浸けるための条件をクリ
åILĞAŧɯ7Ǫ;d¶%ɥƹőSêĻ_Ȭ2`A2&;eO
アした基本型をいくつか考案した。[写真19] の山形形状は立体
[写真 18 ] 吊り具
ÜǬ Ăc×
_ȳɵPōǑhĂdĘāQT%Ï8hȵP7bĂc¾ȕhBb?
L29Řȴ71dF^%©ƤQÔLhÙȪĔQAeU22N23_SM_P2&
- 158 -
L29Řȴ71dF^%©ƤQÔLhÙȪĔQAeU22N23_SM_P2&
実 験 7 プ ロ ト タ イ プ 1 =3?FúřƿQƾ;dF^SƗºhu¡j?FėƓĔh29J6Șƞ?F&ÜǬ Sĸō
ōǑTǿÀǏSǎÍ7ɮŹĔS_SM%=eh”¤Šƒl” N?F&=Sa3QÏ2FǑŢMĂ
物の片側が開放型のもので、これをプロトタイプ1とした。このように傾いた状態で吊り下げる場
c«<dĘāQT%ǿÀǏSªɼSƙQǽƯhɗ7AF^Sǻhǽ;d=N7ŘȴPSM%ĸōS
合には、立体物の上面の板に空気を逃がすための穴を空けることが必要なので、山形の一番高い所
©ǝʄ2ŦQ Sǻhǽ;F&”¤Šƒl” T%ǠȤő%Ăc«<FǑŢSņɼhªɼQAd
に10mmの穴を空けた。プロトタイプ1は、発色後、吊り下げた状態の底面を上面にすることを目
=NhǨǣN?L2F&Ăc«<FǑŢMSªɼQTǻSǽ2FȌɭ2ƙ7DŽų?L1d7%=e
的としていた。そのため、吊り下げた状態での上面には穴の空いた細長い板を溶接したが、これを
hǠȤőQåILûcɲ9N%ûcɲ2FN8Sv l¦„¨Såcɍ7ƫIL?[3&;eO_
発色後に削って取り除いてもその面は底面になり、削り跡は見えない。そして後に上面になる底面
ª«hɔCUņQPdF^%åcɍTĞ6bTȵ4P2&D?LőQªɼQPdņɼQTǻhǽ;
には穴を空けなくてよいよう、底面を傾斜させて反応液を逃がす方法を考えた。
F9P6IFF^%ņɼhÏſ>CLúřƿhɗ7AƂƷhȘ4F&
結果については、反応液はきれいに抜け、ガス抜きのための穴の位置や大きさについても問題な
ȏƛQJ2LT%úřƿTŪ;%r~Ū8SF^SǻS¾ȕ`ğ8>QJ2L_ċʀP6IF7%
かった。しかし、処理を行った技術者によれば、立体物が上下するときに反応液が片側から大きく
ÝǖhȬIFũȭșQaeU%ǿÀǏ7ª«AdN8Q%úřƿ7ǎÍ6bğ89ƻeÞdF^%
流れ出て、立体物が左右に大きく揺れて怖いほどだったという。発色処理では、かなりの速さで立
ǿÀǏ7ļÿQğ89ŷeL%ś2XOGIFN23&ǠȤÝǖMT%6PcSɚ>MǿÀǏhª
体物を上下させるようで、立体物を揺らさずに反応液を逃がすには、底面にも穴が空いている必要
«>Cda3M%úřƿ7ēȂQŪ;dF^QT%ņɼQ_ǻ7ǽ2L2dŘȴ71dN23&
があるということが分かった。
実
実験
験 88 プ
プロ
ロト
トタ
タイ
イプ
プ 22 Īʃ
ĪʃSȏƛhɎ[4LȘƞ?FS7%ª«ɼQğ8PǻSǽ2F”¤Šƒl”
SȏƛhɎ[4LȘƞ?FS7%ª«ɼQğ8PǻSǽ2F”¤Šƒl”
ǿÀǏTưłQŰHª7c%
ǿÀǏTưłQŰHª7c%
ƿÀhŪ;`A9AdF^Q%
ƿÀhŪ;`A9AdF^Q%
¯ġQğ8PǻN
¯ġQğ8PǻNɳQ
ɳ
;L1dÜǬ
;L1dÜǬ&ȏƛ%8e2Qúřƿ7Ū;F&ƎQ%ĂcȃŦSȌɭ2ƙQ
&ȏƛ%8e2Qúřƿ7Ū;F&ƎQ%ĂcȃŦSȌɭ2ƙQ
TǿÀǏSĞÍQûc·;L2F7%Ũ2`A9AdF^%ÙQûc·;da3Q
TǿÀǏSĞÍQûc·;L2F7%Ũ2`A9AdF^%ÙQûc·;da3Q
TDSÙȪĔM1d&
TDSÙȪĔM1d&
[写真 19 ] 山形形状(側面、裏面、正面)
ÜǬ ĸōōǑʉÍɼ%ȱɼ%ƪɼʊ
実験8 プロトタイプ2
実験7の結果を踏まえて考案したのが、上下面に大きな穴の空いたプロトタイプ2である。この
立体物は水平に持ち上がり、液体を抜けやすくするために、中央に大きな穴と4隅に10mmの穴が
実実
験験8 8 ププ
ロロ
トト
タタ
イイ
ププ2 2 空いている[写真22]。発色処理を行った結果、きれいに反応液が抜けた。吊り箇所の細長い板につ
Īʃ
Īʃ SȏƛhɎ[4LȘƞ?FS7%ª«ɼQğ8PǻSǽ2F”¤Šƒl”
SȏƛhɎ[4LȘƞ?FS7%ª«ɼQğ8PǻSǽ2F”¤Šƒl”
M1d&=S
M1d&=S
10
ǿÀǏTưłQŰHª7c%
ǿÀǏTưłQŰHª7c%
ƿÀhŪ;`A9AdF^Q%
ƿÀhŪ;`A9AdF^Q%
¯ġQğ8PǻN
¯ġQğ8PǻN ɳQ
ɳQ
Sǻ7ǽ
Sǻ7ǽ
いては、立体物の外側に取り付けたものをプロトタイプ2-1とし、内蔵型のものをプロトタイプ
;L1dÜǬ
;L1dÜǬ&ȏƛ%8e2Qúřƿ7Ū;F&ƎQ%ĂcȃŦSȌɭ2ƙQJ2LT%Ĥ^
&ȏƛ%8e2Qúřƿ7Ū;F&ƎQ%ĂcȃŦSȌɭ2ƙQJ2LT%Ĥ^
TǿÀǏSĞÍQûc·;L2F7%Ũ2`A9AdF^%ÙQûc·;da3Q?F&ÜǬ
TǿÀǏSĞÍQûc·;L2F7%Ũ2`A9AdF^%ÙQûc·;da3Q?F&ÜǬ
ÜǬ
ÜǬ”¤Šƒl”
”¤Šƒl”
ÜǬ
ÜǬ”¤Šƒl”
”¤Šƒl”
2-2とした。[写真20,21]
TDSÙȪĔM1d&
TDSÙȪĔM1d&
[写真 20 ] プロトタイプ2 - 1
[写真 21 ] プロトタイプ2 - 2
[写真 22 ] 底面の穴
ÜǬ
ÜǬ”¤Šƒl”
”¤Šƒl”
ÜǬ
ÜǬ”¤Šƒl”
”¤Šƒl”
ÜǬ
ÜǬņɼSǻ
ņɼSǻ ªɼSǻ
ªɼSǻ
- 159 -
上面の穴
11
11
6 . 実 作 品 の 制 作 6 . 実 作 品 の 制 作 =e[MSĪʃȏƛhɎ[4%ĪÃĊSãÃhȬIF&”¤Šƒl” h JSó¾N?L%
ÔLă@ĭƷSǿÀǏhɜȏAd=NQaILŎäÃĊhãÃ?F&ɜȏSF^SǻT%úřƿh
6. 実作品の制作
=e[MSĪʃȏƛhɎ[4%ĪÃĊSãÃhȬIF&”¤Šƒl” h JSó¾N?L%
ɗ7AF^SǻhØǙ?F&ǿÀǏSÍɼQŊdF^SƙT%âQÃILǠȤ>CFÜǬ
&
これまでの実験結果を踏まえ、実作品の制作を行った。プロトタイプ2-2を1つの単位として、
ÔLă@ĭƷSǿÀǏhɜȏAd=NQaILŎäÃĊhãÃ?F&ɜȏSF^SǻT%úřƿh
ȤQJ2LT%Ɛ_ʅ`6PȤM1I
全て同じ寸法の立体物を連結して彫刻作品を制作した。連結のための穴は、反応液を逃がすための
ɗ7AF^SǻhØǙ?F&ǿÀǏSÍɼQŊdF^SƙT%âQÃILǠȤ>CFÜǬ &
穴を兼用した。立体物の側面に張るための板は、別に作って発色させた[写真23]。
F Sv¡¨¦hǙ2F&Ž7Þd¡
ȤQJ2LT%Ɛ_ʅ`6PȤM1I
色については、最も鮮やかな色であった
~u_1IF7%Ž7ǨǿFP2a3Q
F Sv¡¨¦hǙ2F&Ž7Þd¡
316Lのグリーンを用いた。斑が出るリスク
AdF^%v l¦„¨Mt{t{Sƨ
~u_1IF7%Ž7ǨǿFP2a3Q
もあったが、斑が目立たないようにするた
ƦhJ;%ȵdȹŇQaILɫȶ7ǘ@
AdF^%v l¦„¨Mt{t{Sƨ
め、グラインダーでギザギザの模様をつ
da3Q?F&ÜǬ T%ǩİƅÒ
け、見る角度によって錯視が生じるように
ƦhJ;%ȵdȹŇQaILɫȶ7ǘ@
S«M%ȵdȹŇQaILǘ@dɫȶS
した。[写真24]
は、直射日光の下で、見る
da3Q?F&ÜǬ
T%ǩİƅÒ
ƦĥhȮ?L2d&?6?%v l¦„
角度によって生じる錯視の様子を表してい
S«M%ȵdȹŇQaILǘ@dɫȶS
¨SɍQaILɫȶhǘ@>CdƂƷT%
る。
ƦĥhȮ?L2d&?6?%v l¦„
`cǩ?786P2F^ğĝɶ?6IF&
¨SɍQaILɫȶhǘ@>CdƂƷT%
ÜǬ ãÃɘ¯ ÍɼQȩh?L2P2ǑŢ
`cǩ?786P2F^ğĝɶ?6IF&
[写真 23 ] 制作途中 側面に蓋をしていない状態
ÜǬ ãÃɘ¯ ÍɼQȩh?L2P2ǑŢ
ÜǬ ɫȶSȵ4Ƃ
[写真 24 ] 錯視の見え方
実作品の内容について
ÜǬ ɫȶSȵ4Ƃ
実 作 品 の 内 容 に つ い て
作品名《あなたはペツェッティーノですか》の「ペツェッティーノ」とは、幼少期に読んだレオ・
レオニの絵本に登場する主人公のことである。この絵本の話は、ブロック体の形をした部分品であ
ÃĊĄ*1PFT–‡n†ˆk¨MA6+S,–‡n†ˆk¨-NT%ńIJƒQɂiG£p§
実 作 品 の 内 容 に つ い て
るペツェッティーノが、様々な部分品で構成される動物たちと出会い、「ぼくはあなたの部分品で
£pŒSȐƓQǡĘAd°³ÕS=NM1d&=SȐƓSɀT%“¤†uÀSōh?FɣßĊM1
ÃĊĄ*1PFT–‡n†ˆk¨MA6+S,–‡n†ˆk¨-NT%ńIJƒQɂiG£p§
すか」と訪ねて旅をする話である。作品名で「あなたはペツェッティーノですか」と問いかけること
d–‡n†ˆk¨7%
Ʀ'PɣßĊMƥţ>edíǏFHNÞ¼2%
,Y9T1PFSɣßĊMA
£pŒSȐƓQǡĘAd°³ÕS=NM1d&=SȐƓSɀT%“¤†uÀSōh?FɣßĊM1
により、作品を目の前にしている人自身がペツェッティーノであるかもしれないことを示唆させ、
6-NȽRLƄhAdɀM1d&ÃĊĄM,1PFT–‡n†ˆk¨MA6-Nċ26;d=N
d–‡n†ˆk¨7%
Ʀ'PɣßĊMƥţ>edíǏFHNÞ¼2%
,Y9T1PFSɣßĊMA
作品の一部になったように感じさせる場を作ることを意図している。
Qac%ÃĊhǨSæQ?L2d³Ƞɏ7–‡n†ˆk¨QPc%ÃĊS©ɣQPIFa3Qš
6-NȽRLƄhAdɀM1d&ÃĊĄM,1PFT–‡n†ˆk¨MA6-Nċ26;d=N
『ペツェッティーノ』は、子供が読む絵本であることから、クレヨンによる筆跡のようなものと
@>Cd=Nhşď?L2d&ȸɉș7–‡n†ˆk¨QPIL%“¤†uÀSǘ8ǏQÞ¼I
Qac%ÃĊhǨSæQ?L2d³Ƞɏ7–‡n†ˆk¨QPc%ÃĊS©ɣQPIFa3Qš
して、グラインダーの痕跡を考えた。また、このグラインダーによるギザギザの模様は、身体に共
L¼ɀhAda3P%ƣ?2ĘhÃcÞA=NhȘ4F&
.–‡n†ˆk¨/T%ĥÆ7ɂ]ȐƓ
@>Cd=Nhşď?L2d&ȸɉș7–‡n†ˆk¨QPIL%“¤†uÀSǘ8ǏQÞ¼I
鳴する振動の表現でもある。
『ペツェッティーノ』では、クレヨンで描かれたブロック体の生き物た
M1d=N6b%u£Ÿ¦QadȁɍSa3P_SN?Lv l¦„¨SǟɍhȘ4F&=S’¡
ちは、小刻みに動く動画のように描かれているためである。このフリーハンドによるグラインダー
L¼ɀhAda3P%ƣ?2ĘhÃcÞA=NhȘ4F&
.–‡n†ˆk¨/T%ĥÆ7ɂ]ȐƓ
¨Ž¦‹SǟɍQaIL%ōÀ`ȊƕSDZɊšhĉb<d=N7M8dNȘ4F&[F%=St{
の痕跡によって、形体や素材の硬質感を和らげることができた。また、マットな質感のグリーンを
M1d=N6b%u£Ÿ¦QadȁɍSa3P_SN?Lv l¦„¨SǟɍhȘ4F&=S’¡
背景に、光が見え隠れする不思議な効果を生み出すことができた。
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色については、全てのパーツが完全に同じ色にはならなかったが、同系色の色にはなった。元々
各パーツが異なる色になってもよいことを念頭にテーマを設定している。
『ペツェッティーノ』に登
場するブロック体の生き物たちは、異なる色の部分品で構成されているのである。発色やプロトタ
イプの特色を活かすことを考え、「ペツェッティーノ」という主題を選んだ。
7. まとめ
本研究では、カラーステンレスを用いた彫刻作品の制作研究として、立体的に溶接したステンレ
スを発色させた。異なるステンレス材料の種類、溶接跡、表面処理がどのように発色に影響するか
を実験・検証し、発色処理に適した形状の基本型をプロトタイプ1〜2としてデザインした。最終的
には実験結果を踏まえて、プロトタイプ2-2を使用した実作品を制作した。色の実験結果からは、
予想通りだった鮮やかな鏡面の見え方の他、2B肌によるマットな色調や、見る角度によって異な
る見え方をする発色の性質について確認できた。本研究によって得られた様々な実験結果により、
彫刻制作の可能性は大いに広がった。執筆者には、銀色のステンレスの色は、もはや下地の色にし
か見えなくなった。これは革新的なことである。そして、色と光の反射を彫刻の要素として考える
ことができるようになった。本研究で制作した実作品は、カラーステンレスを使った実験的な第一
作目である。今後も更に研究を続け、より良い作品を作り、公共の場に新鮮さをもたらす新たな
アート作品を提案していきたいと考えている。
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完成作品
完 成 作 品 [写真 25 ] 作品名
《あなたはペツェッティ
ーノですか》
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謝辞
謝 辞 本研究の遂行にあたっては、株式会社中野科学の技術者の方に惜しみないご協力をいただきまし
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た。この場を借りて感謝申し上げます。また、本研究助成について教えてくださった愛知県立芸術
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大学名誉教授の細川修先生に心より感謝、御礼申し上げます。
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