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中・高校生の部(PDF形式:216KB)

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中・高校生の部(PDF形式:216KB)
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中・高校生の部
最優秀賞
大阪府
埜辺 綾香 さん 高校1年生
「やさしい眼差しに包まれて」
夕方、道端の花壇を手入れしているおじさんに「こんにちは」
と挨拶すると
「お帰り、朝早くからクラブ大変だね。毎朝頑張っていくところを見ているよ。がんばっている姿を見て元気
貰っているから」そう言って笑顔で見送ってくれた。
毎日見守ってくれていたことがうれしかった。
花の手入れや散歩などを通学時間に合わせているのだろう。
毎日学校に行くことやクラブで頑張ることが偉いとも、褒められることだとも思わない。
でも家族以外にも見ていてくれる人がいること、がんばっていると思ってくれる人がいることは励みになる。
少しだけ背中を押してくれる力を感じる。
私から元気を与えられるように毎日がんばろう。
そうすればまたあの笑顔で元気を返してくれる。
元気のリサイクルになっているようだ。
がんばっていることを見ていてくれる人がいると思うと青空もいつもより澄んだ青い空に見えた。
少し冷たい朝の風をいっぱい吸い込んで今日も自転車を漕ぎ出した。
審査員のコメント ●道端のおじさんとの、ちょっとしたことばのやりとりや、やさしい眼差しが、
こんな素晴らしい笑顔や元気のリサイクル、そして空の
青さまで変えてくれるんですよね!本当に!
(橋本先生) ●地域の人とのつながりが、それがちょっとしたことであっても、意義深いことが感じられる。ま
た、若干散文的な表現が印象的である。
( 坂元先生) ●いつもの風景、変わりない日常の中で、誰かのまなざしが温かいってこと、勇気づけられます
ね。
「 元気のリサイクル」、素敵です。
( 松田先生)
優秀賞
岐阜県
宮本 果南 さん 高校1年生
「柴田 優子先生へ」
先生、元気にしていますか?先生が亡くなってからもう6年経ちました。
当時小学3年生だった私も、もう高校生になりました。今でも先生の結婚式で撮った写真や先生からも
らった手紙は大切に残してありますよ。今回、私が先生に手紙を書こうと思ったのは、家庭科の授業で「妊
娠高血圧症」
という言葉を聞いたからです。私の頭にはすぐ先生のことが浮かびました。出産前なのに運
動会に来て下さり、
「 男の子だよ」
と大きなお腹を見せながら嬉しそうに話してくださった先生。なのに先
生は新しい命を残して天国へ行ってしまいましたね。もう息子さんも今年小学1年生。お母さんがいなく
て辛いかもしれないけれど、でもきっと息子さんは優子先生を選んで生まれてきたのだと思います。そし
て、そのことを誇りに思うはずです。だって先生はいつも笑顔をたやさない人だったから。新しい命のため
に自分の命をかけて戦ったのだから。そんな人のもとに生まれてこれたお子さんはきっと幸せです。私も
そんな先生のお子さんを遠くで応援すると共に、自分自身も命を大切にしたいです。先生が生きられな
かった分も精一杯先生にいつ見られてもはずかしくない生き方で生活します。お元気で。
審査員のコメント ●教師と教え子の暖かい結びつきが上手く表現されています。小学校時代の先生の記憶がどれだけ心に残っているか、理解できま
す。
( 明石先生) ●教員の生き様が生徒の心の中に長く残り、生徒の成長に寄与していくことを示唆する作品となっている。
( 坂元先生)
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中・高校生の部
優秀賞
群馬県
関根 美世娘 さん 高校1年生
「16年間ありがとう」
お母さん、ありがとう。16年間、健康で元気に生きてこれたのは、お母さんがいたからだと思う。時には
厳しく叱り、嬉しい時は自分のことのようによろこんでくれた。そんな、お母さんに感謝している。
でも、
「うざったい」
と思ってしまうこともある。夜遊びにいくことが多くなったときがあった。その時、お
母さんに何回も毎日のように怒られるようになった。
「うざい」
としかあの時は思わなかった。でも、ある日
にお兄ちゃんから
「母さん、お前が夜遊びしてるとき、ずっと夜中起きて心配してるよ。」
と言われた。
お母さんに怒られる幸せを改めて感じることができた。ありがとう。
「自分の子供だから、心配になって、怒ったり、するのが親なんだ。」
とその時思った。
それから、夜遊びをすることもなくなった。だから、今こうして、楽しくて充実した高校生を送っている。大
嫌いで、
うざったいとしか思わなかったお母さんのことを私は、今大切な人と思っている。
私が、親になったときには、お母さんのように、時には厳しく叱り、子どもの健康を1番に考えられるよう
な、母親になりたいと思う。
お母さん。私のような、わがままで大変で迷惑ばっか、かける子どもを大切に自分の命のように大切に育
ててくれて、本当にありがとう。私の今、お母さんにできることは、高校を卒業して、
しっかりと就職をするこ
とだと思うから頑張る。
いつか、ちゃんと親孝行できるように、成長するから、それまで待っててね。お母さんのように、自分の考
えや意見をはっきり言えるような大人になるって決めたよ。
これからまだ、お金もいっぱいかかるし迷惑も
いっぱいかけてしまうけど、
よろしくね。私を産んでくれて16年間育ててくれて、本当にありがとう。
審査員のコメント ●親のしつけや注意が自分に対する愛情の表れであったことを、子どもが理解し、成長していく様子が読み取れる。」
( 坂元先生) ●自分の命のように大切に育ててもらっている、
と思ってもらえただけで、お母さんはどんなに幸せか。あなたの存在が、すでに親孝行なんだよ、きっ
と。
( 松田先生)
優秀賞
茨城県
大山 萌 さん 高校2年生
「イクメンな父さんへ」
父さんへ。最近、イクメンという言葉を良く聞くので、
どんな人を言うのだろうと想像していたら、真っ先
に父さんの顔が浮かんできました。思い返してみると、お風呂に入れてくれたり、
ご飯を作って食べさせて
くれたり、それに、洗濯もしていましたね。
妹の面倒をみながら、仕事で疲れているのによく動いていたなぁと思います。母さんが看護師で、夜勤と
かで家にいない時が多かったけれど、そういえば寂しかったという記憶はありません。保育園まで送り迎
えをしてもらい、いつも遅くに迎えに来る父さんに「明日はみんなより早くお迎えに来て」
と、よく困らせて
いましたね。でも、早く迎えに来てくれた時があって、その時はとてもうれしかったことを今でも覚えていま
す。
振り返ると、我が家では当たり前だったのだけれど、まわりはそうでもなかったようです。十六年も前から
育児をこなして、三人の子どもを育ててきた父さんは、
どうやらイクメンの先駆者だったようです。
改めて父さんに感謝です。
どうもありがとう。そしてこれからもよろしくお願いします。
審査員のコメント ●昨年はイクメンに目覚めたお父さんから、育休をすすめてくれた 上司に乾杯! でしたが、今回は、子どもから元祖イクメンパパ
への感謝の乾杯!嬉しいですね。
( 橋本先生) ●イクメンの父親が淡々と描かれています。当たり前の父親の子育てをさわやかにほめています。大上
段に構えない感謝の気持ちがよい。
( 明石先生)
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優秀賞
大分県
塚本 向陽 さん 中学2年生
「お父さん、ありがとう。」
「よし、明日5時に虫とりだ!」
父が夜寝る前に言う。僕はわくわくしてねむれ
ない。頭の中は、明日つかまえるクワガタやカブト
ムシのことでいっぱいになる。
おじいちゃんの山に行く。ひっそりとして怖いけ
ど、父がついているから大丈夫だ。その時、木のし
げみからバサバサという音が聞こえた。怖くなって
力をこめて父にしがみつく。父はしっかりとにぎり
返してくれる。
僕が照らした懐中電灯に大きな目が6つ光る。
いのししだ!
僕はガタガタふるえた。今にも
がむき出しそ
うな黒い影が浮かぶ。大きなイノシシが後ろの2
頭のイノシシの前に立ちはだかっている。
「親子のイノシシだ。
じっとしていよう。」
と父はささやいた。僕は怖くて、早くイノシシが通
り過ぎてくれますように、
とずっと顔を伏せて祈っ
ていた。
ものすごく時間が長く感じられた。
「もう行ったよ。大丈夫だ。」
という父の声に、僕は顔を上げた。
父がいたからがんばれた。
い つも強くて守ってくれるお 父さん 、ありがと
う。
審査員のコメント ●父親と虫取りにでかけてイノシシに遭遇したときの体験を鮮やかに描き出している。2頭のイノシシの黒い影に恐怖心でからだ
が震えるほどなのに、父親がいれば安心だ。
「 いつも強くて守ってくれるお父さん」への感謝の手紙。文章の構成は完成度が高く、語り口がリズミカルで
秀逸の手紙である。
( 内田先生) ●イノシシ親子との、親子対決だ!お父さんの存在が大きく大きく感じられるね。
しっかりお父さんの背中を見つめ
て、向陽くんも大きくなって!
(松田先生)
優秀賞
岐阜県
渡邉 祥太朗 さん 高校1年生
「母へ」
普段の生活の中で見え隠れする愛情に、高校生になってやっと気付き始めました。
雨の日に帰宅すると、玄関にタオルがある。そんな小さなことに大きな愛が込められていること、そして
それだけで心が温かくなるということを感じます。はたして、僕はその愛情にどれだけ応えることができた
のでしょうか。
いま、
ここで息ができるという愛を、片時も忘れることなく前を向いて生きていこうと思います。勝手だと
思うかもしれませんが、それが僕の思う恩返しです。
審査員のコメント ●たった1つの雨の日の玄関のタオルという小さな愛が、
どれだけ人の心をあたため、
どれだけ大きな愛を育くむかを、あらため
て教えられます。それも君の気付きと優しい心があってのものなのですね。
( 橋本先生) ●「雨の日に帰宅すると玄関にタオルが置いてある。」
こんな
ところにも母の愛情を感じ取っている息子。
「 いま、
ここで息ができるという愛を、片時も忘れることなく前を向いて生きていこうと思います」
という祥太
郎くんの感謝は母親の心を幸せで満たしてくれるに違いない。母親への感謝と愛情 れる手紙に感動した。
( 内田先生)
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