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パルプの光による変色

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パルプの光による変色
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パルプの光による変色
安田, 征市; 長岡, 宗男; 半澤, 道郎
北海道大學農學部 演習林研究報告 = RESEARCH
BULLETINS OF THE COLLEGE EXPERIMENT FORESTS
HOKKAIDO UNIVERSITY, 31(1): 1-7
1974-07
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/20930
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
31(1)_P1-7.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
パルプの光による変色*
安田征市判長岡宗男榊半津道郎附
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. 実験方法・…...・ ・
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3
. 結果および考察…...・ ・
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5
. 要約….,.・ ・
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女献…...・ ・
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Summary .
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5
6
6
1
. 序 言
パルプや木材を紫外線または日光照射すると変色することはよく知られており,その原因
となる構成成分として,
リグニシ,へミセルロースおよび抽出成分が関与しているものと考え
られている。リグユンおよびリグニンモデル化合物の光化学反応についていくつかの報告がみ
られるが,中でも
2
) はリグユン中のどのような官能基が光エネル
GIERER1)および KRINGST
AD
ギーを吸収して励起状態になるかについてモデル化合物を用いて研究した。その結果,芳香環
に対するアルファー・カルボユル基がまず第一に励起し,
次いでそれがフェメール性水酸基の
水素を引き絞いてプエノキシ・ヲジカルを形成することが明らかになった。他の位置に存在す
るカルボニル基や,フェノール性水酸基のみでは光エネルギーに対して不活性であった。他方
LEARy3) は変色の初期速度と GPの脱メトキシ化速度との聞に直線的関係があることを見い
だしている。従ってリグニ γ の光照射による変色はアルファー・カルボニル基が基底状態から
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北海道大学農学部演習林研究報告第 3
1巻 第 1号
2
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-が遷移で励起高エネルギー準位にあがり,その失活の方向として水素の転位によるフエノキ
シ・ラジカルの形成,脱メトキ、ン化を伴って生成するキノン類に由来するものと思われ,
それ
ら材や GP等のリグニン含量の多いパノレプの光による変色現象を支配する。
抽出成分の光化学感応は有名な酸化反応を利用したアスカリドールの合成をはじめとして
主に天然有機化合物の合成手段と反応機構の解明のために研究されている。材の変色に関する
報告は数少なく
4
) は縮合型タンニンの光または熱による赤色化現象についてモデル化
Roux
合物を用いて検討している。その結果,フラボンやフラボノノール類のアルコール性水酸基の
立体配置が関与しており,
ジアクシァル・トランス脱離が出来る立体配置が必要であることを
明らかにした。
本研究ではへミセルロースを中心とした GPの紫外線照射による変色について考察した。
2
. 実験方法
2.1 I
式料の調製
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フリーネス (CSF)360-380c
cの GPを作り,次いで順次脱脂,漂白をおこない 4樹種のノミ/レ
1
:2
)混液
プシートを調製し試料とした。 脱脂は風乾 GP30gを1Oのアルコール・ベンゼン (
0
, 40-450Cで 2回,更にアセトン・水 (
9
:1
)混液を用い 40-45
Cで 2回
を用いて室温で 3回
抽出することによりおこなった。漂白は亜塩素酸ナトリウムと氷酢酸で常法に従ってまずホロ
セルロースを調製し,更にアルカリ抽出 (2%水酸化ナトリウム,温度 45-550Cで 1時間加熱)
と亜塩素酸ナトリウムー氷酢酸処理を 2度ずつ繰り返すことによりおこなった。
晒バノレプのク
ラーソン・リグニンは 0.1%以下で、あった。
2
.
2 パルプの紫外線照射
∞
幼 OP型,波長 2
,
印0-4
,
0 A) を用い温度 25-28C, R H65紫外線ランプ(東芝 H0
70%, 距 離 25cmの条件で 6時間照射した。 なお日西バルプの紫外線照射による変色はほぼ1.5
時間で終るので着色物質を分離するときは照射時聞を1.5時間とした。
2.3 錆色物質の抽出方法
4樹種の晒バノレプシート(厚さ 0.06-0.1mm) 5-7gを表裏1.5時間づっ紫外線照射した
後
MCPHERSON5)の方法に準じて室温で 120me
.の 10.9%水酸化リチウム水溶液を用い 1時
るりん酸水溶液で
聞かくはん抽出をおこなった。漉液および洗液(残ったノミノレプは白色)を 109
pH6に達するまで中和し,生じた白色沈灘物を濃渦してから 40-45Cで 4-5me
.まで減圧濃
0
縮した。次いでかくはんしながら褐色沈澱物が生じない程度に濃縮液にメタノールを滴下す
る。白色沈澱物が生じるのでこれを濃過し,褐色濃液を減圧下に乾固し更にデシケーター中,
a
バノレプの光による褒色 (安田・長岡・半湾)
五酸化リン上で完全に減圧乾燥する。
2
.
4 単槍類の紫外線照射
木材の構成糖であるグルコ{ス,キシロース,アラビノース,ガラクトース,マンノース
およびグルクロン酸を漉紙に対して 10-12%含浸させ上記の処理条件で、照射した。
2
.
5 使用した機器
赤外線吸収は目立赤外線分光光度計,白色度はハンター白色度測定器を用いて測定した。
3
. 結果および考察
未処理脱脂および脱脂後漂白したパルプの紫外線照射による変色の結果を Table 1,2,3
に示した。色戻りの程度を表わす方法として P.C.NOと x.NOめがあるが,ここでは 6時間
紫外線照射後の x.NOを用いて表示することにする。
Table1,2 から樹種および抽出成分量
の違いがあるが抽出成分が変色に対して 10%前後寄与していることがわかる。
ただしカラマ
Table1
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北海道大学農学部演習林研究報告第 3
1巻 第 1号
4
ツから調製したパルプの場合脱脂処理することにより白色度が減少し,更に紫外線照射で変色
が大きくなる事は残存する抽出成分が変化した結果によるものと思われる。このような現象は
カラマツのみならず他樹種パルプについてもアルコール・ベンゼンやアセトン・水のような脱脂
処理で抽出されないブェノール性高分子が残存していることは脱脂後のパルプの色を考慮して
確かなように思われ,抽出成分のみの影響を求めることは困難であり,実際にはより大きな割
合で表示されるべきものと思われる。
七ルロース(滅紙)の紫外線照射ではほとんど変色がみられないので Table3の x.NOは
へミセルロースの, Table2 と 3の差のそれはリグニンに由来することになる。本実験でえら
れたへミセルロースの x.NOは KJ>6lのそれに比べると 2倍近くの値を示すが,その理由とし
てヘミセルロース含量差と残存ログニン(リグニンの残存量がパルプに対して 0.05%を越える
場合にはその存在を無視できないといわれている日))によるものと思われる。比較的白色度の
8
.
6であるから,
高いミズナラから調製した晒パルプの x.NOが 1
ヘミセルロース自体のそれ
は更に小さい値を示すであろう。木材およびリグニンに富んだパノレプの光による変色に対する
寄与はりグニン,ヘミセルロース,抽出成分の願に小さくなる。
対
紫外線照射後晒パルプから抽出した着色物質の収率は,いずれの樹種の場合にも 0.2% (
パルプ、ンート)で, Fig.1にカラマツからの着色物質の赤外線吸収スペクトルを示した。他樹
∞
,
6 -2,
必Ocm-1に
種のトドマツ,シラカシバ,ミズナラからのそれも同様の吸収を有する。 3
,
710cm-1附近にカルボン酸のカルボキシル基と水
アルコール性およびカルボン酸の水酸基, 1
酸基の酸化 8) により生じていると思われるカルボエル基(パルプの漂白の光化学反応による酸
化に起因するものと推定される)の吸収がみられ,この着色物質はウロン酸残基を有する酸性
物質と思われる o MCPHERSON5)が晒パルプの熱処理による色戻りで、生じた着色物質を分離し,
測定した赤外線吸収スペクトルと比較してみると共に酸性物質であること以外は混合物である
こともあって明らかでない。
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バルプの光による変色 (安田・長岡・半湾)
5
単糖類の光化学反応では以下のことが知られている。 (
1
)糖の持つ官能基,アセタールが光
エネルギーを吸収して励起9-11) (アセタ{ル・クロモフォア説)しラクトンとェステルを生成す
2
)水酸基のカルボニル基への酸化, (
3
)酸化分解10)等である。一方セルロースの光分解で
る
, (
ク、、ルコースやアラビノースが生成12)することが知られているので,ヘミセルロースの紫外線照
射でまず単糖類ができ,次いで (
1
)
(
3
)を含めた反応の結果着色現象が現われる可能性がある。
加熱法による色戻りの研究 13)ではヘミセルロースが加水分解を受けて単糖類を生成し,それら
が着色物質への中間体と考えられているからでもある。単糖類の紫外線照射の結果を Table4
に示したが,ほとんど変色がみられない。その理由として漂白処理により生じたと思われるカ
ルボニル基生成を含めた酸化反応による影響,ヘミセルロースまたはパルプに含まれている他
の成分の影響とその増感作用,ヘミセルロース自体の三次元構造に起因する事等が考えられる
が,加熱法の場合とは異なって本実験で用いた 5種類の単糖は着色物質への主な中間体となっ
ていないようである。
Table4
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. 結 論
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γ ,ヘミセルロー
}
買にその寄与度が小きくなる。晒パルプから抽出した着色物質はウロ γ酸残基
ス,抽出成分のI
を有する酸性物質で,単糖類の紫外線照射ではほとんど変色がみられないことから,ヘミセル
ロースから生じた単糖類が着色物質への主な中間体とはならないように思われる。
5
. 要 約
木材およびリグニンに富んだパルプの光または紫外線照射による変色ではリグニン,へミ
セルロース,抽出成分が関与していることが知られている。本論文はヘミセルロユースを中心と
したパルプの変色について考察した。
カラマツ,
トドマツ, ミズナラ,シラカンパ(苫小牧産)の GPと,その脱脂および踊パ
ルプを調製し紫外線を照射した。セルロースはほとんど紫外線に対して安定である。リグニヰン
6
北海道大学農学部演習林研究報告第 3
1巻 第 1号
に富んだ高収率パノレプの変色 t
乙対する構成成分の寄与はリグニ γ ,へミセロース,抽出成分の
1
慣に小さくなる。紫外線照射した晒パノレプから
10.9%水酸化リチウムで抽出した着色物質はウ
ロγ 酸基を持つ酸性物質で、あった。単糖類の光化学反応ではラクトンとエステルの生成,水酸
基のカルボニル基への酸化および他の酸化反応がおきており,他方セルロースの光分解で、クツレ
コース,アラピノース,その他の糖が生じる。加熱法による agingの結果を考慮するとへミセ
ルロースから単糖類が生じ,次いでそれが着色物質へ変化することが期待される。しかしなが
ら,グルコース,マンノース,ガラクトース,キシロース,アラピノースの単糖類はほとんど
変色しないことから単糖類は着色物質への主な中間体になっていないように思われる。
文 献
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