...

R F ・ベ-スバンド統合信号処理によるOFDM受信機の低消費電力化

by user

on
Category: Documents
8

views

Report

Comments

Transcript

R F ・ベ-スバンド統合信号処理によるOFDM受信機の低消費電力化
R F ・ベ-スバンド統合信号処理によるOFDM受信機の低消費電力化
(課題番号17360181)
平成1 7年度-平成1 8年度
科学研究費補助金(基盤(B) (2))
研究成果報告書
平成1 9年3月
研究代表者岡田実
(奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授)
RF ・ベ-スバンド統合信号処理によるOFDM受信機の低消費電力化
(課題番号17360181)
平成1 7年度-平成1 8年度
科学研究費補助金(基盤(B) (2))
研究成果報告書
平成19年3月
研究代表者岡田実
(奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授)
はしがき
2003年4月からサ-ビスが開始された地上デジタルテレビ放送では,無線LAN(Local Area Network)
やUWB(Ultra Wide Band)と同様にOFDM(Ortbogoan Frequency Division Mutilpex)方式が用いられ
ている. OFDMは,特に移動や携帯環境において問題となるマルチパス伝搬路における伝搬特性を効果
的に改善する技術である.しかし, OFDM信号を復調するためには/!チュ-ナおよびアナログデジタル
変換部に大きいダイナミックレンジと高い線形性が要求される.また,アナログデジタル変換部に続く信
号処理部でも高精度の演算が要求されるため,受信機規模が大きくなる.このため,受信機各部の低消費
電力化が困難となる.特に2006年に開始された携帯向け地上デジタルテレビ放送(いわゆるワンセグ放
送)では,消費電力に対する要求は極めて厳しくなることから特に問題となる.本研究の目的は,アンテ
ナおよび/!チュ-ナ部ならびにベ-スバンド信号処理を統合して制御することで,総合的な性能を落と
さずに従来よりも小型,低消費電力である新しい地上波デジタル放送の携帯移動受信機を実現することに
ある.
研究代表者の岡田らは,平成1 5-1 6年度の科学研究費補助金基盤研究「リアクタンスドメイン信
号処理を用いたOFDMのダイバ-シチ受信機」において,従来のOFDMダイバ-シチ受信機で必要で
あった複数のRFチュ-ナ部,アナログデジタル変換部を-つだけにすることができ,また,べ-スバン
ド処理部の演算規模を削減することが可能となることを明らかにした.
しかし,受信機を構成する各部の低消費電力化は携帯受信を行うには十分ではない.そこで,本研究
では,伝送モ-ドや伝搬路の状況に応じてリアクタンスドメインアンテナ, RFチュ-ナ部,およびベスバンド信号処理部を統合的に制御することにより受信機の低消費電力化を図ることを検討した.
基本性能を明らかにするため, C/Nが低い状況では消費電力は大きいが雑音の小さいRFチュ-ナを
用い, -方, C/Nが高い環境では省電カモ-ドのRFチュ-ナを選択して用いることで,全体的な性能を
低下させること無く平均消費電力を下げる適応チュ-ナの性能について検討を行った.計算機シミュレションの結果,消費電力を大幅に改善できることを明らかにした.
次に,受信信号晶質の推定手法について検討をおこなった.通常,地上デジタルテレビ放送受信機に
おいて測定している伝搬路情報は,受信信号電界強度およびマルチパス伝搬路の周波数応答特性である.
この情報にあわせて,復調器出力から得られる判定シンボルの信頼性情報や変調信号べクトル誤差情報を
合わせて測定することで隣接周波数干渉の影響を測定する手法の開発を行った.その結果,ベクトル誤差
情報を用いることでより正確な適応制御を行うことができることを明らかにした.この変調信号べクトル
誤差情報から,サブチヤネル毎の受信信号対雑音電力比(SNR: Signal to Noise Power Ratio)を推定し,
さらに,推定SNRから,サブチャネル毎のビット誤り率を導出することで,受信信号品質の推定精度の
向上が可能となることを明らかにした.
次に,この誤り率推定値情報を用いて, RFチュ-ナの制御を行い,消費電力を削減する方法を提案し
た.提案方式では,各サブチヤネル毎のビット誤り率の推定値から,誤り訂正後のビット誤り率の推定値
を導出する.訂正後のビット誤り率が良好な範囲では, RFチュ-ナのモ-ドを低消費電カモ-ドに切り
替え, -方,ビット誤り率が低下した状況になると, RFチュ-ナのモ-ドをよりNF(NoiseFigure)が小
さく,受信感度が高くなるが消費電力の大きいモ-ドに切り替える.この制御を行うことで,受信品質を
ほとんど劣化させること無く消費電力の削減が可能となることを明らかにした.
-方,受信性能を改善するため,携帯機向けダイバ-シチアンテナの検討を行った.物理サイズの影
響を避けるため,携帯機器につけられるストラップやイヤホンなどを線状アンテナとして用いる新しい形
2
式のダイバ-シチアンテナを検討した.検討を行った線状アンテナを用いたリアクタンスドメイン信号処
理ダイバ-シチアンテナは, 1/2波長毎に位相制御を行う可変リアクタンス素子が挿入されている.受信
信号品質が改善するように可変リアクタンス素子の制御を行うことでダイバ-シチ効果を得る.
本線状アンテナの効果を明らかにするため,電磁界シミュレ-タおよびフェ-ジングシミュレ-タを
用いて特性解析を行った.その結果,フェ-ジング環境においても有効であることを明らかにした.
さらに,本誤り率推定値情報を用いた携帯機向けリアクタンスドメイン制御ダイバ-シチアンテナの
検討を行った.その結果,従来受信機で大きな間題となっていた低速フェ-ジング環境において特に大き
な改善効果がえられており,また,高速フェ-ジング環境においても有効であることを明らかにした.
研究組織
研究代表者:岡田実(奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授)
研究分担者:山本平- (奈良先端科学技術大学院大学副学長)
研究分担者:河合栄治(奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授)
研究分担者:賓藤将人(奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助手)
交付決定額(配分額)
(金額単位:千円)
3
研究発表
(1)学会誌等
[1]長井則和,高柳英晃,碧藤将人,岡田実,山本平一,アレ-アンテナにより移動体の移動速度
を推定しドップラ-スプレッドを補償する地上波ディジタル放送受信機,電子情報通信学会和文
論文誌B, Vol.J88-B, No.4, pp. 741-750, 2005年4月
[2] Tomotaka Wada, Minoru Okada, and Heiichi Yamamoto, Novel Array Antenna Assisted Adaptive
Modulation Scheme for Fast Fading Channel・ IEICE Transactions on Communications, E88-B18,
pp. 3333-3392, 2005年8月.
[3]駒井知央,岡田実,山本平-,リアウインドウ貼付型高感度ダイバ-シチアンテナ,映像メデ
イア学会誌vol. 59, No. 9, pp. 1305-1312, 2005年9月.
[4] Masato Saito, Akihiro Okuda, Minoru Okada and Heiichi Yamamoto, Peak-to-Average Power Ratio
Reduction of Multi-Carrier CDMA Signals with lnterleaver-based Selected Mapping, European
Transactions on Telecommunications, Vol, 117, No. 6, pp. 695-701, 2006年6月.
[5]岡田実, (共著) , "地上ディジタル放送,"ァンテナ・無線ハンドブック, pp635-642, 2006
年10月.
[6]コイル-アンワル,原孝雄,岡田実,山本平-, oFDM地上波ディジタルテレビ放送信号の
FM変調による衛星伝送,電子情報通信学会和文論文誌B, J891B-11, pp. 2117-2126, 2006年11
月.
[7] Young-CheoI Yu, Minoru Okada, and =eiichi Yamamoto, Dipole Array Antenna Assisted Doppler
Spread Compensator with MRC Diversity for ISDB-T Receiver, IEICE Transactions on
Communications, (To be published).
(2)口頭発表
[1]金守桓・岡田実・山本平-・ "地上デジタルテレビ携帯受信機におけるRFのフロントエン
ト部の適応制御にする底消費電力化, "電子情報通信学会ソサイエテイ大会, no.B15-125, 2005
年9月.
[2]劉永哲,岡田実,山本平-, "地上デジタル放送の高速移動受信におけるアレ-アンテナ
を用いたドップラ-補償機のダミ-素子による相互結合軽減効果,"電子情報通信学会ソサイエ
テイ大会, no.B-5-127, 2005年9月.
[3] soo-hwan Kim, Minoru Okada, andHeiichi Yamamoto, "Adaptive control of digital terrestrial
television broadcasting receiver for reduction of RF-front end power consumption, "電
子情報通信学会技術研究報告モバイルマルチメディア通信研究会, vol・ 105, no.264, pp17-19,
2005年9月.
[4]劉永哲,岡田実,山本平-, "地上デジタル放送のためのドップラ-分散補償ダイバ-シチ
におけるアレ-アンテナ素子形状に関する検討, "電子情報通信学会技術研究報告モバイルマル
チメディア通信研究会, 2005年9月.
[5] Young-CheoI Yu, Minoru Okada, and Heiichi Yamamoto, "Effect of Durnmy elements on
Monopole-Array assisted Doppler Spread Compensator for Digital Terrestrial Television
Broadcasting Receiver," IEEE Radio and Wireless Symposium (RWS2006), 2006年1月.
[6]大八木啓之,岡田実,山本平-, "地上デジタルテレビ放送1seg受信機のソフトウェアに
よる実装,"電子情報通信学会技術研究報告モバイルマルチメディア通信研究会, vol.105,
no.624, pp37」42, 2006年3月.
[7] Young-CheoI Yu・ Minoru Okada, Kazumichi Andoh, and Heiichi Yamamoto, "Dummy Elements Add
4
on Both Sides of Monopole-array Assisted Doppler Spread Compensator for Digital
Terrestrial Television Broadcasting Receiver, 〃 2006 IEEE International Workshop onAntenna
Technology, pp377-380, 2006年3月.
[8] Young CheoI Yu, Minoru Okada, and Heiichi Yamamoto, "Study for Various Array Antenna
Assisted Doppler Spread Compensator withMRC Diversity of ISDB-T, " 2006 IEEE 63rd 〉echicular
Technology Conference, 2006年5月.
[9] MinoruOkada, "Trend onDigital Terrestrial TelevisionBroadcasting in, " ICCCE 2006, 2006
年5月.
[10]Soo-hwan Kim, Minoru Okada, Masato Saito, and Heiichi Yamamoto, "Adaptive肝front end
for low power consumption digital terrestrial television broadcasting receiver, "電子
情報通信学会技術研究報告モバイルマルチメディア通信研究会, vol. 106, no. 161, pp49-52, 2006
年7月.
[11]Young-CheoI Yu, Minoru Okada, and Heiichi Yamamoto, "Effect of Dummy elements on aMonopole
Array-assisted Doppler, " 12th Asia-Pacific conference on Communications (APCC 2006), 2006
年8月.
[12]soo-hwan Kim, Minoru Okada, Masato Saito, and Heiichi Yamamoto, "Adaptive RF front-end
for
low
power
comsumption
digital
terrestrial
telelvision
broad
casting
receiver,けThe
3rd IEEE VTS Asia Pacific Wireless Communications Symposium (APWCS2006) , 2006年8月.
[13]佐藤俊-,田中誠-,鬼追-雅,磯田浩,中嶋春樹,正城敏博,岡田実, "ワン
セグ用簡易ダイバ-シチアンテナの受信特性,"電子情報通信学会ソサイエテイ大会,
no.B-卜194, 2006年9月.
[14]Young-CheoI Yu, Minoru Okada, and Heiichi Yamamoto, "Reactance-Domain M。dulati。n Scheme
for Reduction Burst errors of ISDB-T receiver in Slow fading Environment, 〃 The 2006
International Symposium on lnformation Theory and its Applications, 2006年10月.
[15]佐藤俊-,田中誠-,鬼追-雅,磯田浩,中嶋春樹,正城敏博,岡田実, "ワン
セグ用簡易ダイバ-シチアンテナの受信特性,"シヤ-プ技報,第95号2007年2月
5
科学研究費補助金研究成果報告書について
・科研費報告書に含まれる雑誌掲載済論文(出版社版)部分については、著作権者
の許諾を得ていないため原則として電子化しておりません。
・報告書に含まれる論文が Digital Object Identifier(デジタルオブジェクト識別子:DOI)
をもつ場合は、
[学内論文詳細情報TOCアイコン]→[目次タイトル]→[論文詳細情報URL]
もしくは
[検索結果一覧論文タイトル]→[論文詳細情報URL]
を順にクリックすることで、出版社の電子ジャーナルのページにとびます。
※ 電子ジャーナルを契約している場合は全文 PDF の閲覧が可能です。
ご不明な点がありましたら、下記までご連絡下さい。
奈良先端科学技術大学院大学学術情報課情報サービス・電子図書館係
E-mail: [email protected]
Fly UP