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付録(物質別パブリックコメント) - 電子政府の総合窓口e

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付録(物質別パブリックコメント) - 電子政府の総合窓口e
付 録
物質別パブリックコメント
ID1 アクリルアミド
付録1
CAS 79-06-1
化管法政令番号 1-2
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 124mg/kg (EHC 49 (1985))、175mg/kg
(EU-RAR No.24 (2002))、203mg/kg (EU-RAR No.24 (2002))に基づき、計算式を
適用して得られたLD50=129mg/kg から区分3とした。
1 急性毒性(経皮)
区分3
ラットを用いた経皮投与試験のLD50 400mg/kg (EHC 49 (1985))、1,148mg/kg
(EU-RAR No.24 (2002)) のうち低い値 400mg/kgから区分3とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類対象外
分類できない
分類できない
区分3
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
データなし
データなし
ウサギを用いた皮膚刺激性試験のデータ (EU-RAR No.24 (2002))、及びヒトへ
の健康影響のデータ (EU-RARNo.24 (2002)、ACGIH (7th, 2005))から、「軽度
の刺激を有する」と考えられるため、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
ウサギを用いた眼刺激性試験のデータ (EU-RAR No.24 (2002))の記述、「眼に
対する刺激作用が見られ、21日間の観察期間で消失」から、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: モルモットを用いた皮膚感作性試験のデータ(EU-RAR No.24
(2002))の「陽性」結果から「皮膚感作性がある」と考えられ、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
区分1B
6 発がん性
区分1B
7 生殖毒性
区分1B
パブコメ
CERI・NITE有害性評価書 No.35 (2004) の記述から、生殖細胞in vivo経世代変
異原性試験(優性致死試験、特定座位試験)で陽性であることから区分1Bとし
た
IARC(1994)分類が2A、U.S. NTP (2005) の分類がRであることから、総合的に
区分1Bとした。
CERI・NITE有害性評価書 No.35 (2004) の記述から、一般毒性のみられない用
量で、母動物の1腹あたりの胎児数減少、雄の雌を妊娠させる能力の低下、着
床前後の死胚数増加などがみられたことによる。
「区分1B
CERI・NITE有害性評価書 No.35 (2004) の記述から、一般毒性のみられない用量で、母動物の1腹あたりの胎児数
減少、雄の雌を妊娠させる能力の低下、着床前後の死胚数増加などがみられたことによる。」
EUではリスクフレーズR62でクラス3としている。
分類ガイド60ページにはEUのR62は区分2に対応する旨の記載がある。EUのRisk Assessment Report (RAR)Vol24
168PではCERI・NITEの有害性評価書と同じ原報文を引用していると思われるが、「rat、miceを用いた試験は生殖に
対する選択的な毒性発現の証拠とは出来ないと判断している。 アクリルアミドの生殖毒性は「証拠の信頼性がうす
い」ことから、GHS分類ガイドライン59ページの判定基準に従って、区分2とすべきである。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系、精 ヒトについては、「幻覚、低血圧、てんかん発作、末梢神経ニューロパチーがみ
暴露)
巣)
られ末梢神経ニューロパチーは2ヵ月後にもみられた」(EU-RAR No.24 (2002))
等の記述、実験動物については、「振戦、反射亢進、反復性の強直性-間代性
痙攣、後肢協調不全、姿勢及び運動の協調不全、後肢筋肉の機能障害、 精細
胞の核の空胞化」(EU-RAR No.24 (2002))等の記述があることから、主に神経系
(末梢神経系、中枢神経系)のほか精巣が標的臓器であり、神経障害の回復性
は悪いと考えられた。なお、実験動物に対する影響は区分1に相当するガイダン
ス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系、精巣)とした。
付録-1
物質別パブリックコメント
付録1
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(神経系、精 ヒトについては、「歩行障害、記憶障害、幻覚、言語障害、四肢のしびれ感、手
暴露)
巣)
足の異常発汗、味覚異常」(CERI・NITE有害性評価書 No.35 (2004))、「筋力低
下、上肢の協調不全、手の振戦、感覚の障害 (振動感覚, 痛覚, 触覚, 位置覚)、
腱反射や足底反射の減弱、眼震、神経線維のび漫性線維化や消失と脱髄を伴
う軸索の腫大」(EU-RAR No.24 (2002) )等の記述、実験動物については、「平衡
感覚低下、視力低下、後肢虚弱、前肢振戦、末梢神経の軸索変性、視索線維
の軸索変性、脊髄損傷、精巣萎縮、精子細胞及び精母細胞の減少、精子数減
少」(CERI・NITE有害性評価書 No.35 (2004) )等の記述があることから、神経系、
精巣が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は区分1に相当す
るガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系、精巣)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分3
区分外
分類根拠・問題点
藻類(緑藻)の72時間EC50=16.9mg/L(EU-RAR、2002)から、区分3とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:70%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=-0.67(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-2
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID2 アクリル酸
付録1
CAS 79-10-7
化管法政令番号 1-3
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与のLD50=1,350 mg/kg (EHC 191(1997)) に基づき区分
4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分3
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分3
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
区分4
ウサギを用いた経皮投与のLD50=295、640、750、950 mg/kg (EHC
191(1997)) に基づき、計算式を適用して得られたLD50= 430 mg/kg から区分3
とした。
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
ラットを用いた吸入暴露 (蒸気) のLC50 (4時間) = 3.6、>5.100 mg/L(EHC 191
(1997)) に基づいて、小さい方の確定値を採用して区分する。LC50 (4時間) =
3.6 mg/Lは、換算係数 1 mg/L=339 ppmを用いると1,200 ppmと換算された。飽
和蒸気圧 (25℃) 529 Paにおける飽和蒸気圧濃度5,220 ppmから、LC50 (4時
間) 値は飽和蒸気圧濃度の90%より小さく、試験条件下のアクリル酸は「ミストが
ほとんど混在しない蒸気」と考えられ、ppm濃度基準値を適用して、区分3とし
た。
ラットを用いて、ミストとして暴露した吸入暴露 (ミスト) 試験のLC50=11.1
mg/L (1時間)、7.5 mg/L (2時間) (EHC 191 (1997)) に基づき、計算式を適用し
てLC50 (4時間) を算出した。LC50 (4時間: 計算値) = 2.8、3.8 mg/Lのうち、小さ
い方の値 2.8 mg/Lから、区分4とした。
2 皮膚腐食性・刺激性
区分1A
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
EHC 191 (1997)、EU-RAR No.28 (2002) のウサギの試験結果の記述から、原液
の1分間又は3分間の皮膚適用で腐食性反応を示すので、腐食性を有すると考
えられ、区分1Aとした。
EHC 191 (1997)、EU-RAR No.28 (2002) の記述から、原液の点眼後20日でも眼
瞼の瘢痕、角膜混濁が持続し、眼に対する非可逆的作用を示すと考えられ、区
分1とした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: EHC 191 (1997)、EU-RAR No.28 (2002) の記述から、アクリル
酸はモルモットに対して皮膚感作性を示す、あるいは示さないとの報告がある
が、アクリル酸に含まれる不純物や重合阻害剤が感作性を示すものの、精製さ
れたアクリル酸では示さないという結果と、1989年以来アクリル酸の工業製品を
用いた450人以上の労働者に感作性症状が認められていないという報告から、
アクリル酸自体は感作性を示さないと考えられるので、区分外とした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
5 生殖細胞変異原性
区分外
EU-RAR No.28 (2002) の記述 から、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で
陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (染色体
異常試験) で陰性であることから、区分外とした。
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分外
ACGIH (2001) でA4、IARC (1999) で3に分類されていることから、区分外とし
た。この分類はEU (2002) の評価 (Acrylic acid is not suspected to be a
carcinogenic agent. Based on these data carcinogenic effects are not
anticipated to occur.) とも一致する。
EU-RAR No.28 (2002) の記述から、 親動物への毒性影響のみられる用量まで
生殖・発生への影響がみられないことから、区分外とした。
付録-3
パブコメ
多数の公開データの計算値に基づき、LD50を900 mg/kgと推算して区分4としているが
HPVでは140~1400mg/kgのデータを基に、急性毒性ありと判断されているので、区分3が妥当と思われる。区分3
であれば毒劇法の劇物指定とも整合が取れる。
物質別パブリックコメント
付録1
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(呼吸器)、 実験動物について、経口経路で「肝臓実質の変性、肝臓壊死」、吸入経路で「呼
暴露)
区分2(肝臓)
吸器への重度の刺激性、肺の炎症」、経皮経路で「肺水腫」(いずれもEU-RAR
No.28 (2002))等の記述があることから、肝臓、呼吸器が標的臓器と考えられ
た。なお、肝臓への影響は区分2に、呼吸器に対する影響は区分1に相当するガ
イダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)、区分2(肝臓)とした。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(呼吸器) 実験動物について、「上部気道の炎症」(CERIハザードデータ集 96-27
暴露)
(1997))、「嗅上皮の病変」(環境省リスク評価 第3巻 (2004))等の記述があるこ
とから、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、この影響は区分1に相当するガ
イダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分外
分類根拠・問題点
藻類(セネデスムス)の72時間ErC50=0.13mg/L(EHC191、1997)他から、区分1
とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:67.8%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.35(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-4
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID3 アクリロニトリル
付録1
CAS 107-13-1
化管法政令番号 1-7
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のEHC 28 (1983)のLD50の値、93 mg/kg、101
mg/kg、128 mg/kg、82 mg/kg、86 mg/kg、84 mg/kg、72 mg/kg、78 mg/kg、186
mg/kg、186 mg/kgに基づき、計算式を適用して得られた値から区分3とした。
LD50=87mg/kg
1 急性毒性(経皮)
区分2
ラットを用いた経皮投与試験のLD50 148 mg/kg (EHC 28 (1983))、282 mg/kg
(EHC 28 (1983))の2つのデータの低い方の値(148 mg/kg)を用いて区分2とし
た。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHS定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とし
た。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分2
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
区分2
ラットを用いた吸入 (蒸気) 暴露試験のLC50 0.47 mg/L (4時間)、1.03 mg/L (4
時間)、1.21 mg/L (4時間) (EU-PAR No.32 (2004)) に基づき、計算式を適用して
LC50の0.54 mg/L (243 ppm) が得られた。
飽和蒸気圧11 kPa (20℃) (IPCS (2001)) における飽和蒸気圧濃度は110,000
ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度である
ため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分2とし
た。
データなし
適用4時間以内の試験はないが、ウサギの皮膚一次性性劇試験のデータ(EURAR No.32 (2004))で、紅斑、浮腫がみられ、Draize Score平均スコア値 3.6が
得られていることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
複数の試験データ(EU-RAR No.32 2004)の中で、重篤な損傷/眼刺激性の記述
のあるデータ「非洗浄眼では中等度の角膜混濁、中等度の虹彩炎、強度の結
膜刺激性、適用21日後においても血管新生を伴う角膜混濁。洗浄眼では一時
的な軽度の角膜混濁、中等度の虹彩の充血、中等度の結膜刺激性、適用3日
以内に回復。」(DuPont (1975))に基づき、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (CICAD, 39 2002)
で陽性(0.5-1%のアクリロニトリルの暴露で、95%の動物が陽性反応を示した。)
がみられたことから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性
区分2
CERI・NITE有害性評価書 No.64 (2003)、CICADS 39 (2002)、EU-RAR No.32
(2004) の記述から、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、生殖細胞in
vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (ラット脾臓T細胞における
遺伝子突然変異試験) で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験 (ラット精母細胞
におけるUDS試験) で陰性あることから、区分2とした。
6 発がん性
7 生殖毒性
区分2
区分2
NTP (2005) でR、IARC (1999) で2Bに分類されていることから、区分2とした。
CERI・NITE有害性評価書 No.64 (2003) の記述から、ラットの催奇形性試験で母
動物毒性のみられる用量で児動物の内臓と骨格に奇形がみられていることか
ら、区分2とした。
付録-5
パブコメ
「モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (CICAD, 39 2002) で陽性がみられたことから、区分1とした。」
GHSオフィシャルテキストにおいては、「アジュバントを用いる種類の試験方法が用いられる場合、動物の30%以上で
反応があれば陽性であると考えられる」との記載がある(3.4.2.2.4.1,日本語仮訳p.153)。「陽性がみられた」という記
載だけでは、陽性反応を示した動物数がGHS基準を満たすものであるのかどうかが不明であるため、当該試験にお
ける陽性反応率についても明記すべきと考える。
なお、CICADの要約文書(http://www.inchem.org/documents/cicads/cicads/cicad39.htm#1.)においては、
「Acrylonitrile may cause allergic contact dermatitis, but the available data are inadequate to assess its
sensitization potency(アクリロニトリルはアレルギー性接触皮膚炎を引き起こす可能性はあるが、入手されるデータ
はその感作能を評価するのに十分でない)」との記載がある。今回の分類根拠としてはCICAD引用データが根拠とさ
れているが、用いた試験結果が感作能を評価するのに十分であるとする根拠についても記載すべき。
EUのRARには変異原性はin vitroで陽性の結果があるが、in vivoではgluthathionとのconjugateでcyanoethylene
oxide代謝ルートで代謝するため、陰性の結果となると述べられている。変異原性は区分外とすべきである。
「CERI・NITE有害性評価書 No.64 (2003) の記述から、ラットの催奇形性試験で母動物毒性のみられる用量で児動物
の内臓と骨格に奇形がみられていることから、区分2とした。」
EUのRARのページ227に動物試験における毒性の発現の証拠はこれらの試験結果から示されていないとし、R63と
するのは不適当であるとしている。生殖毒性は区分外とすべきである。
物質別パブリックコメント
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系、
暴露)
肝臓)、区分3(気
道刺激性、麻酔
作用)
ヒトについて、「軽い黄疸、痙攣」(CERI・NITE有害性評価書 No.64 (2003))、「中
枢神経系及び肝臓への影響」(CICAD 39 (2002))、「眼、鼻、のどに刺激性、痙
攣、無意識、呼吸停止」(NICNAS (2000))等の記述があることから、神経系、肝
臓が標的臓器と考えられ、気道刺激性を示した。また、神経系への影響につい
ては、一時的なもので回復する場合もある(CERI・NITE有害性評価書 No.64
(2003))ことから、麻酔作用も示している。
以上より、分類は区分1(神経系、肝臓)、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とし
た。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(神経系、 ヒトについては、「不安、頭痛、神経衰弱など中枢神経症状を示す」(CERIハ
暴露)
呼吸器、血液系、 ザードデータ集 96-3 (1997))、「眼、鼻、のど、気道の痛み」(CERI・NITE有害性
精巣、腎臓、肝 評価書 No.64 (2003))、「ヘモグロビン濃度・赤血球数・白血球数減少、免疫抑
臓)
制」(EU-RAR No.32 (2004))等の記述、実験動物については、「精子数減少及
び運動能低下、腎集合管の硝子円柱、亜急性の気管支肺炎、肝臓の限局性壊
死、脳の限局性グリオーシス及び血管周囲の細胞浸潤」(CERI・NITE有害性評
価書 No.64 (2003))等の記述があることから、神経系、呼吸器、血液系、精巣、
腎臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、いずれも区分
1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系、呼吸器、血液系、精巣、腎臓、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
①「区分3(気道刺激性、麻酔作用)」と分類され、「危険有害性情報で呼吸刺激性を起こすおそれ」との表記がありま
すが、実際には気道刺激性(咳、痛み、息詰まり)の症状は見られず、長期暴露による麻酔作用の方に留意が必要
かと考えます。よって、「区分3(麻酔作用)」に異論はございませんが、「気道刺激性」の表記に関しては削除しても
良いのではないでしょうか。
②危険有害性情報として「臓器(神経系、肝臓)の損傷」と記載されていますが、「臓器(神経系、肝臓)の障害」、もし
くは「臓器(神経系、肝臓)の損傷のおそれ」という表現の方がより正確ではないでしょうか。
③影響臓器として「血液系、免疫性、精巣、腎臓」については積極的に異を唱えるものではありませんが、判断しづら
いのが実情ではないかと考えます。よって危険有害性情報としては、「損傷のおそれ」との表記が適当ではないで
しょうか。
④また、「肺」に関しては、データが十分ではなく記載から削除しても良いのではないかと考えます。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分2
区分外
分類根拠・問題点
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50=5.81mg/L(CERI・NITE有害性評価
書、2005)から、区分2とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:96%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.25(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-6
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID4 アクロレイン
付録1
CAS 107-02-8
化管法政令番号 1-8
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分2
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 42mg/kg (DFGOTvol.16 (2001))から、区
分2とした。
1 急性毒性(経皮)
区分3
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 562mg/kg (EU-RAR No.7 (2001))に基づ
き、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分1
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
区分1
ラットを用いた吸入暴露試験 (蒸気) のLC50 0.018mg/L (4時間)(EHC 127
(1991))、0.065 mg/L(1時間) (EU-RAR No.7 (2001))、20.8. mg/L(4時間) (EHC
127 (1991))に基づき、計算式を適用してLC50(4時間換算値)の7.9ppmが得られ
た。
飽和蒸気圧274mmHg(25℃) [換算値 36500Pa(25℃)](HSDB(2005))における飽
和蒸気圧濃度は361000ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の
90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃
度基準値で区分1とした。
データなし
ヒトへの健康影響のデータ (EU-RAR No.7 (2001))「水疱形成を伴う重篤な浮
腫、紅斑、10%液の適用48 時間後の生検においては、全被験者で水疱、壊死、
炎症性細胞浸潤や乳頭層の浮腫がみられた」、及びウサギを用いた皮膚刺激
性試験の結果(CERI・NITE有害性評価書 No.66 (2005)、EU-RAR No.7 (2001)、
CICAD No.43 (2002)) から、「腐食性を有する」と考えられるため、区分1とした。
なお、入手可能なデータからは細区分は困難である。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
ウサギを用いた眼刺激性試験の結果(CERI・NITE有害性評価書 No.66 (2005)、
EU-RAR No.7 (2001))、及び、皮膚腐食/刺激性にて、区分1としていることから、
「眼に対する非可逆的作用を有する」と考えられるため、区分1とした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: モルモットを用いた複数の皮膚感作性試験結果(EU-RAR No.7
(2001))「陰性」から、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
区分外
6 発がん性
7 生殖毒性
区分外
区分外
IARC(1995)で3、ACGIH(2001)でA4に分類されていることから、区分外とした。
CERI・NITE有害性評価書 No.66 (2005)、CERIハザードデータ集 (2000)、環境
省環境リスク評価第3巻 (2004)の記述から、経口投与では影響がないことから
区分外とする。ウサギおよびラットを用いた催奇形性試験において胎児に奇形
が見られているが、それら全ての試験が静脈内投与または羊水中への投与で
あるため、このデータは評価には用いない。
CERI・NITE有害性評価書 No.66 (2005)の記述から、経世代変異原性試験(優
性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原
性試験(染色体異常試験)で陰性であることから、区分外とした。
付録-7
パブコメ
急性毒性の値が多数ある場合には【技術指針】において、統計的な処理の元の平均を算定することが記載されてい
るが、
それ以前にデータの精査を行なうことを要求している。本件は、単なる計算式を適用するばかりではなく、各データの
信頼度を評価した上で、区分をすべき。複数のLD50値を計算式で算出する科学的な根拠を技術指針に明記すべ
き。
① 164、238㎎/KGはミネラルスピリッツに溶解(それぞれ20、10%)したものであり、562mg/kgはニート。335、
皮膚腐食性、刺激性の分類に際しては、GHS評価基準で定めされている暴露時間と観察時間との関係を明確にし
たうえで、細分ができる場合のみ細分をすべき。RARに記載された情報では腐食性であるかどうかは判断できず。
RARにもこれだけの記載ではEUの分類できないとしている。
安全性の観点から1Aとした結果も明白ではない。
物質別パブリックコメント
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(呼吸器、
暴露)
神経系、肝臓)、
区分3(麻酔作
用)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(呼吸器、
暴露)
肝臓、腎臓)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
ヒトについては、「右気管支の狭窄や気管上部の水腫や出血斑、慢性気管支
炎、肺気腫」(CERI・NITE有害性評価書 No.66 (2005))、実験動物については、
「歩行異常、痙攣及び死亡」(CERIハザードデーター集 96-46 (2000))、「呼吸器
刺激性、中等度の麻酔作用、ただし、数時間で回復」(ACGIH (7th, 2001))、「肝
細胞の微小空胞を伴う好酸性変性」(CERI・NITE有害性評価書 No.66 (2005))
等の記述から呼吸器、神経系、肝臓が標的臓器と考えられ、麻酔作用がみられ
た。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみ
られた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、神経系、肝臓)、区分3(麻酔作用)とした。
実験動物について、「慢性肺炎、肺気腫、肺、肝臓及び腎臓の炎症、鼻腔の扁
平上皮化生、喉頭の扁平上皮化生あるいは上皮過形成、気管支、細気管支及
び肺胞の炎症」(CERI・NITE有害性評価書 No.66 (2005))等の記述があることか
ら、呼吸器、肝臓、腎臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響
は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、肝臓、腎臓)とした。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=14μg/L(環境省リスク評価第2巻、
2003)他から、区分1とした。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=-0.01
(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(TOCによる分解度:0%(既
存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。
付録-8
パブコメ
生物蓄積性がないことから、「区分外」が適切と考える。
物質別パブリックコメント
ID5 アジポニトリル
付録1
CAS 111-69-3
化管法政令番号 1-10
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 300 mg/kg (SIDS (1998))に基づき、区分3
とした。
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 2000 mg/kg以上 (SIDS (1998))より、区
分5とした。
1 急性毒性(経皮)
区分5
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類できない
区分2
2 皮膚腐食性・刺激性
区分外
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の試験結果 (CERIハザードデータ集 2001-17
(2002)、ACGIH (7th, 2001)) で、「刺激性を示さない」及び「no irritation」と記載
されているため、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
性
ウサギを用いた眼刺激性試験結果は、SIDS (1998) ,HSDB (2001)、IUCLID
(2000) において各々「irritating」、「Slight irritation」、「slightly irritating」であっ
たため、Mildと判断し、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: モルモットを用いた皮膚感作性試験 (CERIハザードデータ集
2001-17 (2002)、ACGIH (7th, 2001), IUCLID (2000))は、いずれも感作性を示さ
ないことが報告されているが、試験報告数も少なく詳細不明であり、また疫学に
関するデータもないため、分類するためにはデータ不足であり、分類できないと
した。
5 生殖細胞変異原性
区分外
CERIハザードデータ集 2001-17 (2002) 、SIDS (1998) の記述から、経世代変異
原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験
(染色体異常試験) で陰性であることから、区分外とした。
6 発がん性
区分外
EPA (1991) でD (not classifiable as to human carcinogenicity) に分類されてい
ることから、区分外とした。
7 生殖毒性
区分外
CERIハザードデータ集2001-17 (2002)、ACGIH (7th, 2001) の記述から、ラット
における生殖毒性試験及び催奇形性試験で生殖及び発生への影響がみられ
ていないことから、区分外とした。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系)
暴露)
パブコメ
同じPRIORITY1であってもデータの信頼度の高さも選定根拠に記載すべき。そうではないと単純に数値が小さいもの
を採用すべきと誤解される。
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
データなし
ラットを用いた吸入暴露試験 (粉塵・ミスト) LC50 1.71 mg/L (SIDS (1998))から
区分2とした。
ヒトについては、「胸部締付感、頭痛、かろうじて立っていられる程度の脱力感、
チアノ-ゼ、頻脈、頻呼吸、低血圧、散瞳、断続的な手足及び顔面の緊張性収
縮」(環境省リスク評価 第3巻 (2004))、実験動物については、「痙攣、嗜眠、流
涎、喘鳴」(CERIハザードデータ集 2001-17 (2002))等の記述があることから、
神経系が標的臓器と考えられた。なお、その影響は、区分1に相当するガイダン
ス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系)とした。
付録-9
動物実験が信頼がおけるものであれば、その結果を分類に採用すべき。感作性に関しては、一般的に疫学調査は
ほとんど実施されていないことを申し添える。
一般的に、動物の副腎皮質には退行性病変および増殖性病変が発生しやすく、自然発生病変の可能性もある。「副
腎の変性」については、当該物質の投与に伴う一次的な影響であるのか、二次的な影響であるのかあるいは自然発
生病変であるのかを精査する必要がある。そのうえで、生じた変化の程度がGHS分類基準に該当するものであるこ
とを示すデータを提示すべきである。
物質別パブリックコメント
付録1
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(副腎、血 ヒトについては、「溶血性貧血、白血球減少」(ACGIH (7th, 2001))、実験動物に
暴露)
液系)
ついては、「平均赤血球ヘモグロビン量の減少、ヘモグロビン濃度の減少、赤血
球数の減少、ヘマトクリット値の減少」、「副腎の変性」(環境省リスク評価 第3巻
(2004))等の記述があることから、副腎、血液系が標的臓器と考えられた。な
お、実験動物の副腎に対する影響は、試験条件をミストと判断し、区分1に相当
するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(血液系、副腎)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分外
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50=445mg/L(SIDS、1998)から、区分外とし
た。
区分外
難水溶性でなく(水溶解度=80000mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性
毒性が低いことから、区分外とした。
付録-10
パブコメ
水溶解性は判定基準には使わない指標である。「分類できない」が適切と考える
物質別パブリックコメント
ID6 アセトニトリル
付録1
CAS 75-05-8
化管法政令番号 1-12
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1 急性毒性(経皮)
分類結果
区分5
区分3
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分外
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
区分外
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50試験データ中、信頼性が高いと考えられる
データは以下の通りであった:1,320、6,740、160、3,070、3,470、4,050 mg/kg
(EHC 154 (1993))これらのデータは何れも信頼性が高いと考えられるため、便
宜上計算式を適用して得られたLD50=3 150 mg/kg から区分5とした
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 3,940、980、 390mg/kg (EHC 154
(1993))に基づき、計算式を適用して得られたLD50=390 mg/kg から区分3とし
た。
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
ラットを用いた吸入暴露試験 (蒸気) のLC50 26.8 mg/L (4時間)(EHC 154
(1993))に基づき、計算式を適用してLC50(4時間換算値)の16000 ppmが得られ
た。
飽和蒸気圧88.8mmHg(25℃) [換算値 11800Pa(25℃)](HSDB (2005))における
飽和蒸気圧濃度は117000ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度
の90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm
濃度基準値で区分外とした。
パブコメ
直ちに計算式で平均するのではなく、各データの信頼度を評価した上で、区分をすべき。複数のLD50値を計算式で
平均する科学的な根拠を技術指針に記載すべき。
急性毒性(経口)と同じく各データの信頼性を評価することが最初ではないか。
データなし
EU-RAR No.18 (2002) 記載中のウサギを用いたEPA/OECD Guidlineに従った
皮膚刺激性試験におけるDraize scoreはすべての観察時間、すべての動物で「
0」のため、皮膚刺激性はなかったと判断し、「区分外」とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2
性
EU-RAR No.18 (2002) 記載のウサギを用いた眼刺激性試験で平均スコアーが
角膜混濁1,45、結膜発赤3であるため区分2とした。入手可能なデータからは、細
区分は困難であった。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
5 生殖細胞変異原性
区分2
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: EU-RAR No.18 (2002) 記載のモルモットによる皮膚感作性試験
は、OECDテストガイドラインに基づいたGLP試験で、信頼性の高い「陰性」であ
るが1試験結果のみであり、また、ヒトへの事例についてPriority 1の文献中にな
んらの記載もないため、分類するにはデータ不足であり、「分類できない」とし
た。
EU-RAR No.18 (2002)、DFGOT vol.19 (2003) の記述から、経世代変異原性試
験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核
試験) で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分2とした。
6 発がん性
7 生殖毒性
区分外
分類できない
ACGIH(2002)でA4、EPA(1999)でDに分類されていることから区分外とした。
データ不足 (親動物の生殖機能、受精能力に関するデータなし) のため分類で
きない。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(中枢神経 ヒトについて、「胸の痛み、胸部狭窄感、はきけ、嘔吐、頻脈、低血圧、頻呼吸、
暴露)
系、呼吸器)
頭痛、不眠、意識混濁、発作」(CERIハザードデータ集 96-17 (1997))、「顔の紅
潮、胸部狭窄感、肺水腫、痙攣、意識喪失」(環境省リスク評価 第2巻 (2003))等
の記載があることから中枢神経系、呼吸器が標的臓器と考えられた。
以上より、分類は区分1(中枢神経系、呼吸器)とした。
付録-11
細分できない場合は、区分2のみとすべき。安全性の観点というのは、科学的な分類方法をする上で関連がない。
物質別パブリックコメント
付録1
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分2(中枢神経 実験動物については、「過伸展反射、興奮性、協調不全、慢性肺炎、肺気腫、
暴露)
系、呼吸器、腎 無気肺、胸水、肺胞内の組織球の凝集、肺胞中隔の細胞浸潤、気管支炎、腎
臓、血液系、肝 臓の近位および曲尿細管の限局性混濁腫脹、脳の限局性硬膜あるいは硬膜下
臓)
出血」(EU-RAR No.18 (2002))、「赤血球数、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度
の有意な減少、肝細胞の空胞化及び肥大、気管支炎」(環境省リスク評価 第2
巻 (2003))等の記述から、中枢神経系、呼吸器、腎臓、血液系、肝臓が標的臓
器と考えられた。実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範
囲でみられた。
以上より、分類は区分2(中枢神経系、呼吸器、腎臓、血液系、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分外
区分外
分類根拠・問題点
魚類(ヒメダカ)の96時間LC50>100mg/L(環境省生態影響試験、1995)他から、
区分外とした。
難水溶性でなく(水溶解度=1.00×106mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急
性毒性が低いことから、区分外とした。
付録-12
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID7 アニリン
付録1
CAS 62-53-3
化管法政令番号 1-15
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経皮投与試験のLD50 440mg/kg (環境省リスク評価第1巻
(2002))、440mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、780mg/kg、930mg/kg (EU-RAR No.50
(2004)) に基づき、計算式と適用して得られたLD50=444mg/kgから区分4とし
た。
1 急性毒性(経皮)
区分3
ラットを用いた経皮投与試験のLD50 442mg/kg (EU-RAR No.50 (2004)) から区
分3とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分2
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
ラットを用いた吸入暴露試験 (蒸気) のLC50 1mg/L (4時間)(EU-RAR No.50
(2004))に基づき、計算式を適用しLC50(4時間換算値)の300ppmが得られた。
飽和蒸気圧0.04kPa(20℃)(ICSC(2004))における飽和蒸気圧濃度は400ppmであ
る。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度であるため、「ミ
ストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分2とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
区分4
ラットを用いた吸入暴露試験 (蒸気) のLC50 5.1mg/L (4時間)(CaPSAR
(1994))、3.3 mg/L(4時間) (EU-RAR No.50 (2004))、3.19 mg/L(4時間) (EU-RAR
No.50 (2004))、1.82 mg/L(4時間) (EU-RAR No.50 (2004))に基づき、計算式を適
用しLC50(4時間換算値)の2.3mg/Lが得られた。
飽和蒸気圧0.04kPa(20℃)(ICSC(2004))における飽和蒸気圧濃度は
400ppm(2mg/L)である。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧以上の濃度であるた
め、「ミスト」として、区分4とした。
2 皮膚腐食性・刺激性
区分2
ウサギを用いた皮膚刺激性試験のデータ (CERI・NITE有害性評価書 No.63
(2004)、EU-RAR No.50 (2004)) から、「中等度の皮膚刺激性がある」と考えられ
るため、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
ウサギを用いた眼刺激性試験のデータ (CERI・NITE有害性評価書 No.63
(2004)、EU-RAR No.50 (2004))から、「強度の眼刺激がある」と考えられ、区分
2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: EU-RAR No.50 (2004)のモルモットを用いた皮膚感作性試験の
データ、ヒトへの健康影響のデータ (CERI・NITE有害性評価書 No.63 (2004)、
EU-RAR No.50 (2004))から、「皮膚感作性がある」と考えられるため、区分1とし
た。
CERI・NITE有害性評価書 No.63 (2004)、EU-RAR No.50 (2004)の記述から、
経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo 変異原性試験なし、体細胞in vivo
変異原性試験(小核試験)で陽性、生殖細胞 in vivo 遺伝毒性試験なしである
ため、区分2に分類した。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
5 生殖細胞変異原性
区分2
6 発がん性
区分2
EU (2004)で3、IRIS (2005)でB2、ACGIH (2005)でA3に分類していることから、区
分2とした。
7 生殖毒性
区分2
生殖毒性データがない。またラット、マウスの発生毒性試験で、親に影響がみら
れる用量で児に体重減少、肝臓相対重量増加、血液への影響がみられている
ことから、区分2とした。
付録-13
パブコメ
この場合も直ちに計算式で平均するのではなく、各データの信頼度を評価した上で、区分をすべき。複数のLD50値
を計算式で平均する科学的な根拠を技術指針に記載すべき。
物質別パブリックコメント
付録1
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(血液系、 ヒトについては、「めまい、昏睡、瞳孔収縮、錯乱、蒼白、チアノーゼ」、「メトヘモ
暴露)
心臓、肝臓、腎 グロビンの形成、心筋、肝臓及び腎臓の変性、肺及び脳の浮腫、延髄の出血」
臓、呼吸器、神経 (CERI・NITE有害性評価書 No.63 (2004))の記述があることから、血液系、心
系)
臓、肝臓、腎臓、呼吸器、神経系が標的臓器と考えられた。
以上より、分類は区分1(血液系、心臓、肝臓、腎臓、呼吸器、神経系)とした。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(血液系、 ヒトについては、「チアノーゼ、頭痛、めまい、嚥下困難、悪心、嘔吐、胸部及び
暴露)
神経系、呼吸器) 腹部の痛み又は痙れん、脱力、動悸、不整呼吸、瞳孔収縮(光に対する反応性
あり)、体温異常、呼気及び汗のアニリン臭、暗色尿。重症時には肺浮腫、尿及
び便の失禁」(CERI・NITE有害性評価書 No.63 (2004))、実験動物については、
「脾臓の腫大、黒色化、髄外造血亢進、メトヘモグロビン、ハインツ小体、網状赤
血球数の増加、脾臓及び肝臓の腫大、脾臓及び腎臓の退色、副腎及び肝臓の
ヘモジデリン沈着、平均赤血球容積の増加、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘ
マトクリット値、平均赤血球ヘモグロビン濃度、赤芽球系骨髄細胞の減少」
(CERI・NITE有害性評価書 No.63 (2004))等の記述があり、メトヘモグロビン血
症に起因すると考えられる重篤な影響が神経系、呼吸器系にみられていること
から、標的臓器は血液系、神経系、呼吸器系とした。なお、実験動物に対する
影響は、区分1のガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、区分1(血液系、神経系、呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
TOST(反復)では物質曝露に伴う一次影響を分類対象としている。メトヘモグロビン血症に随伴して生じる変化につ
いては、分類根拠とするのは不適切と考える。
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分外
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=80μg/L(環境省リスク評価第1巻、2002)
から、区分1とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:85%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.9(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-14
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID8 2-アミノエタノール
付録1
CAS 141-43-5
化管法政令番号 1-16
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 3,320mg/kg (ACGIH (7th, 2001))から、区
分5とした。
1 急性毒性(経皮)
区分3
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 1000mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) から、
区分3とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分1A
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
データなし
データ不足のため分類できない
動物を用いた皮膚刺激性試験結果の記述にて「24 時間後の観察では、1、5 分
間適用群に出血、紅斑、組織壊死(8 日後に鱗屑形成)」 (CERIハザードデータ
集 2001-41 (2002))がみられたことから、3分間以内の暴露で、かつ1時間以上
の観察期間において、組織壊死が見られていることから区分1Aとした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
ウサギを用いた眼刺激性試験のデータ (CERIハザードデータ集 2001-41
(2002)、ACGIH (7th, 2001)) の記述「角膜混濁、虹彩・結膜浮腫等の非常に強い
刺激性」等から、「眼に対して強度の刺激性を有し、また皮膚が腐食性を示すの
で、目も腐食性を有する」と考えられるため、区分1とした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:CERIハザードデータ集 2001-41 (2002)のヒトに対する健康影響
のデータの記述「極めて低い濃度の本物質を含むエアロゾル吸入誘発試験で
は、14 人全員が陽性応答(咳、鼻水、鼻詰まり、喘息様呼吸)を示した」から、「呼
吸器感作性を有する」と考えられるため、区分1とした。
皮膚感作性: CERIハザードデータ集 2001-41 (2002)のヒトに対する健康影響
のデータにて、本物質に弱い皮膚感作性があると判断していることから、「皮膚
感作性を有する」と考えられるため、区分1とした。
呼吸器感作性:
区分1
皮膚感作性:区
分1
付録-15
パブコメ
《コメント1》
「腐食性を有する」の判断根拠となった具体的な試験データ(適用濃度、適用方法、皮膚反応状態等)を示すべきで
ある。また、区分1Aとする以上は根拠となる反応を生じた曝露時間、観察期間についても明記する必要がある。その
ような情報が十分に得られない場合は、細区分すべきでない。
---------------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
1.皮膚腐食性/刺激性
コメント対象箇所 :動物を用いた皮膚刺激性試験結果の記述 (CERIハザードデータ集 2001-41 (2002)、ACGIH (7th,
2001)) 「腐食性を示す」「刺激性、壊死」から、「腐食性を有する」と考えられるため、区分1Aとした。
コメント : 区分1A(3分間以内の暴露で腐食性の反応が見られる)と分類していますが、区分1Aという分類結果は、
暴露時間が考慮されおらず根拠がないものと考えられます。
さらに、EUの規制では当該物質をR34(3分間を越え4時間までの暴露で腐食性の反応が見られる、R34はGHSの分
類では区分1B-1Cに相当)としています。
暴露時間と症状の関係を確認いただき、再検討をお願いいたします。
なお、分類結果の国際的整合性の観点も無視できないものと考えます。
皮膚刺激性の情報は、眼刺激性に関する既存の情報がなく新たに眼刺激性試験を実施しなければならないという場
合に利用すべきであり、すでに利用可能な眼刺激性試験の結果が得られている場合には当該眼刺激性データに基
づいて分類すべきである。この場合、「角膜混濁、虹彩・結膜浮腫等の非常に強い刺激性」について、平均スコア計
算値および回復期間などをGHS分類基準と対比したうえで、どの区分に該当するのかを明示する必要がある。
《コメント1》
呼吸器感作性:
GHSオフィシャルテキストには「人での証拠を考える場合、分類の決定には事例から得られる証拠に加えて、さらに
下記のことに考慮する必要がある」として、「曝露された集団の大きさ」「曝露の程度」などが挙げられている
(3.4.2.1.2.2)。用いた情報が分類根拠として適切であることを明示するためには、これらの点についての詳細な記載
が必要。
皮膚感作性:
ヒトの知見をもとに分類する場合には、当該の結果が管理されたヒト試験によるなど、交絡要因が除外できるもので
あることを明示する必要がある。一般的に、患者を対象とする診断パッチテスト結果は、個人の体質・他の物質への
感作状況などによって反応が大きく左右されるため、GHS分類根拠として用いることが適切でない場合が多い
---------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
2.皮膚腐食性/刺激性(→呼吸器感作性又は皮膚感作性?)
コメント対象箇所 :呼吸器感作性について、“CERIハザードデータ集 2001-41 (2002)のヒトに対する健康影響のデー
タの記述「極めて低い濃度の本物質を含むエアロゾル吸入誘発試験では、14人全員が陽性応答(咳、鼻水、鼻詰ま
り、喘息様呼吸)を示した」から、「呼吸器感作性を有する」と考えられるため、区分1とした。“
皮膚感作性について“CERIハザードデータ集 2001-41 (2002)のヒトに対する健康影響のデータにて、本物質に弱い
皮膚感作性があると判断していることから、「皮膚感作性を有する」と考えられるため、区分1とした。“
コメント : CERIハザードデータ集 2001-41 (2002)に記載されているヒト事例は、当該物質を含む切削油などの内容
組成の不明な混合物への暴露があった事例であり、一般的に、混合物への暴露の場合に真の原因物質を特定する
ことは困難で、根拠としている記載だけでは当
該物質が原因物質でありなおかつ分類に値するポテンシャルを有すると断定するには不十分と考えられます。
皮膚感作性の根拠としているCERIハザードデータ集 2001-41 (2002)における記載は、正確には”著者は本物質に弱
い皮膚感作性が有ると結論している。“であり、この記述は、引用文献の著者の結論を記載しているにすぎなものと
考えられます。さらに、ハザードデータ集の総合評価に記載されている結論は”疑われている“というものです。
上記の点から、公表された分類結果は科学的な説得性に欠けると考えますので、再検討をお願いいたします。
物質別パブリックコメント
5 生殖細胞変異原性
区分外
CERIハザードデータ集 2001-41 (2002)の記述から、生殖細胞in vivo経世代変
異原性/変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性で
あることから区分外とした。
6 発がん性
7 生殖毒性
分類できない
区分2
データなし
CERIハザードデータ集 2001-41 (2002)の記述から、ラットの催奇形性試験で
母毒性のみられる用量で、胎児に腎盂拡張がみられていることから区分2とし
た。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系、
暴露)
肝臓)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(肝臓、腎
暴露)
臓、呼吸器)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
ヒトについては、「頭痛、吐き気、脱力、めまい、指先のしびれ、胸の痛み」、「肝
臓の腫大、血清中のALT レベル及びアルカリホスファターゼの活性の増加、6
か月後に慢性肝炎」(CERIハザードデータ集 2001-41 (2002))、実験動物につい
ては、「運動失調、痙攣」、「肝細胞の脂肪変性」(CERIハザードデータ集 200141 (2002))から、神経系、肝臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物の神経
系、肝臓に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系、肝臓)とした。
実験動物については、「自発運動の抑制、嗜眠、皮膚への刺激、不整呼吸、死
亡が観察され、げっ歯類では、肝臓に肝細胞の脂肪変性、肺の間質におけるリ
ンパ様組織の増加がみられている。」、「イヌの生存例で、肝臓にうっ血、肝細胞
の空胞化と混濁腫脹、クッパー細胞中の褐色色素の増加、脾臓で白脾髄にお
けるリンパ球の減少、赤脾髄における褐色色素貪食マクロファージの増加と赤
血球の減少、腎臓で尿細管上皮に硝子顆粒の増加、曲尿細管上皮細胞の混濁
腫脹、肺にうっ血と小出血巣がみられている。」(CERIハザードデータ集 200141 (2002))等の記述があることから、肝臓、腎臓、呼吸器が標的臓器と考えられ
た。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲で
みられた。
以上より、分類は区分1(肝臓、腎臓、呼吸器)とした。
付録1
《コメント1》
母動物に毒性を生じる用量では、非特異的要因によって胎児に影響を生じることもある。このようなケースでは、胎
児における影響(腎盂拡張)が当該物質の特異的影響であることを示す必要がある。なお、「母毒性」という表現は一
般的ではない。
--------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
3.生殖毒性
コメント対象箇所 : CERIハザードデータ集 2001-41 (2002)の記述から、ラットの催奇形性試験で母毒性のみられ
る用量で、胎児に腎盂拡張がみられていることから区分2とした。
コメント : 母毒性の見られる用量での胎児の影響を評価する場合、母動物に対する毒性の二次的影響でないことを
確認する必要があり、この点についてはGHSテキストでも次のように明記されています。”3.7.2.2.2 発生中の子に対
する毒性作用の評価では、母体に対する毒性が影響を及ぼしている可能性についても考慮することが重要である”
(GHSテキスト関省庁連絡会議仮訳177ページ)。
この観点から、示されている内容だけでは分類根拠の説明として不十分と考えます。
原報を詳細に確認し、使用動物に一般的に認められる範囲を越えた影響であるかどうかの確認等も含めて、GHS分
類の原則および動物で認められた影響をヒトに外挿することの科学的妥当性についても充分に考慮した上で、再検
討をお願いいたします。
曝露条件、試験条件が記載されておらず、単回曝露の影響とする根拠が不明瞭である。また、認められた所見が区
分1に相当する強さであるという根拠が明示されていない。TOST(単回)については、単に当該区分のガイダンス値
の範囲において所見が認められたというだけでは分類の根拠とはならない。ガイダンス値の範囲において区分1に
相当する程度の毒性影響を生じたという証拠が必要である。神経系および肝臓の変化については「罹患」あるいは
「重大な機能変化」とした判断根拠も明示するべきである。
TOST(反復)の目的は、「反復曝露によって起こる特異的な“非致死性”の特定標的臓器/全身毒性を生ずる物質の
分類」である(オフィシャルテキスト 3.9.1.1)。死亡例において認められた病理所見等を、分類の根拠とすべきではな
い。
また、区分に該当する重篤な所見、機能障害等が認められた場合には、その際の曝露条件(または試験条件)につ
いても明記する必要がある。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分2
区分外
分類根拠・問題点
藻類(セレナストラム)の72時間ErC50=2.5mg/L(環境省生態影響試験、1996)
から、区分2とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:83%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=-1.31(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-16
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID13 1,1'-エチレン-2,2'-ビピリジニウム=ジブロミド CAS 85-00-7
化管法政令番号 1-51
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類結果
区分3
区分外
分類対象外
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラット経口投与LD50=214mg/kg(農薬抄録(1993))に基づき、区分3とした。
ラット経皮投与試験で2000mg/kgで死亡が認められていない(農薬抄録(1993))
ことから、区分外とした。
GHS定義による固体であり、分類対象外である。
データなし。
データ不足。
ラットによる皮膚一次刺激性試験において、第一回目塗布後、紅斑が見られ、
第二回目塗布後における塗布部皮膚上皮の落屑、痂皮形成が見られた。第三
回目塗布10日後には回復し、塗布部の皮膚に新しい組織の再生が見られた。
ジクワットはラットの皮膚に対して経度の刺激性を有するものと考えられる(農薬
抄録(1985))ことから、区分2とした。
ウサギによる眼一次刺激性試験におけるドレイズスコアが2日目で8であった
が、7日後には2になり、その後はほぼ回復している(農薬抄録(1985))ことから、
区分2Aとした。
呼吸器感作性: データなし
皮膚感作性:モルモットを用いた皮膚感作性試験において、陽性結果(陽性率
31%)が得られた(農薬抄録(2004))ことから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
区分外
6 発がん性
区分外
ACGIHでA4に分類されていることから、区分外とした。ラット、マウスによる発が
ん性試験結果(農薬抄録(1985))も、この分類を支持している。
7 生殖毒性
区分外
ラット3世代繁殖試験において性機能または繁殖能に対する影響は認められず
(農薬抄録(1977))、ラット催奇形性試験(農薬抄録(1989))において、またウサ
ギを用いた催奇形性試験(農薬抄録(1985))においても同様に仔の発生に対す
る悪影響は認められないことから、区分外とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
パブコメ
① 第6回公表ID13ジクワット眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性についてのコメント
データ公開前の最終案では、ドレイズスコアが7日後に2になり、その後はほぼ回復していることに基づき「区分2B(軽
度の眼刺激性)」と判定されていました。
しかし公開時には、全く同一理由で「区分2A(眼に対する刺激性作用)」に変更されています。変更理由をお聞かせ
下さい
マウス体細胞を用いたin vivo小核試験で陰性(農薬抄録(2004))、およびラット
体細胞を用いたin vivo染色体異常試験で陰性(農薬抄録(1989))であったことに
基づき、区分外とした。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(全身毒性) ラットによる急性神経毒性試験で、神経毒性は認められなかったものの、
暴露)
150mg/kg(ガイダンス値の区分1相当)投与の雌に下痢、立毛、尿失禁、脊椎の
上方への湾曲、爪先歩行、弓なり姿勢および行動抑制が観察された(農薬抄録
(2004))ことに基づき、区分1(全身毒性)とした。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分2(眼)
暴露)
付録1
② 第6回公表ID13ジクワット標的臓器/全身毒性(単回暴露)についてのコメント
データ公開前の最終案では、専門家の判断に従い「分類できない(データ不足)」と判定されていました。
公開時には「区分1(全身毒性)」に変更されています。変更理由をお聞かせ下さい。
ラット90日間経口反復投与毒性試験において、400ppm(雄:32.4、雌:
38.5mg/kg/day;区分2のガイダンス値に該当)で白内障がみられた(農薬抄録
(2004))ことから、区分2(眼)とした。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
藻類(緑藻)の96時間ErC50=19μg ジクワットイオン/L(農薬登録申請資料、2003)
から、区分1とした。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=1.4(既存化学物質安全性
点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全
性点検データ))ことから、区分1とした。
付録-17
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID18 o-クレゾール
CAS 95-48-7
化管法政令番号 1-67
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分3
1 急性毒性(経皮)
区分3
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分1A-1C
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
区分外
6 発がん性
7 生殖毒性
区分外
区分2
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50=121 mg/kg (EHC 168 (1995)) より、区分3
とした。
動物を用いた経皮投与試験のLD50=620 mg/kg、890 mg/kg (EHC 168 (1995))
の低い方の値を適用し、区分3とした。
GHS定義による固体であるため、ガスの吸入は想定されず、分類対象外とし
た。
データ不足のため、分類できない
データ不足のため、分類できない
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果「非可逆性の組織破壊」 (EHC 168
(1995)) がみられたことから、区分1A-1Cとしたが、安全性の観点から1Aとする
方が望ましい。
動物を用いた眼刺激性試験の結果「刺激性~強度の刺激性」「永久的な角膜混
濁と血管新生」 (IUCLID (2000)) がみられたことから、区分1とした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: モルモットを用いたMaximization法を行った結果、陰性である
(IUCLID(2002))ことから、区分外とした。
SIDS (1998)によりin vitroで染色体異常を誘導するが、「経世代変異原性試験
(1)」、「生殖細胞 in vivo変異原性試験(2)」、「体細胞 in vivo変異原性試験
(3)」、「生殖細胞 in vivo遺伝毒性試験(4,5)」では陽性結果が無く、ATSDR
(1992)により生殖細胞 in vivo経世代 変異原性試験(優性致死試験で陰性の結
果があることによる。
EPA (1991)でCと分類されていることから、区分外とした。
親動物において一般毒性影響のみられる用量で、性周期異常や、次世代に側
脳室拡張などがみられたことによる
パブコメ
オフィシャルテキストで規定された試験法であるならば区分外にすべき。
親動物において毒性影響が認められる用量での次世代の変化については、その変化が物質特異的な影響であるこ
とを確認・提示すべきである。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分3(気道刺激 ヒトについては、「喉と鼻の刺激、鼻の狭窄感、乾き」(環境省リスク評価 第1巻
暴露)
性)
(2002))等の記述があることから、気道刺激性をもつと考えられた。
以上より、分類は区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(中枢神経 実験動物については、「自発運動の低下、体重増加の抑制、肺の水腫及び出
暴露)
系、心臓、肝臓、 血、心筋、肝臓、腎臓、中枢神経系(神経細胞、グリア細胞)の変性、上部気道
腎臓、呼吸器)
の炎症、肺の水腫、血管周囲の線維化」(CERIハザードデータ集 97-9①
(1998))等の記述があることから、中枢神経系、心臓、肝臓、腎臓、気道、肺が
標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイ
ダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(中枢神経系、心臓、肝臓、腎臓、呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分2
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=5mg/L(EHC168、1995)他から、区分2とし
た。
区分外
急速分解性があり(20日間の分解度:86%(SIDS、1998))、かつ生物蓄積性が低
いBCF=10.7(SIDS、1998))ことから、区分外とした。
付録-18
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID28 シアン化ナトリウム
CAS 143-33-9
化管法政令番号 1-108
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分2
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50=0.117 mmol/kgは、およそNaCN 5.733
mg/kgに相当することから、区分2とした。
1 急性毒性(経皮)
区分1
1
1
1
2
分類対象外
分類できない
分類できない
区分3
ウサギを用いた経皮投与試験の LD50=14.602 mg/kg (CICAD 61 (2004))から、
区分1とした。
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外と
データなし
データなし
シアン化ナトリウムのデータはないが、「Cyanide is slightly irritating to the skin
and eye」 (CICAD (2004)) という記述があることから、区分3とした。
急性毒性(吸入:ガス)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
皮膚腐食性/刺激性
なお、本物質は弱酸と強塩基の塩であるため、その水溶液はpH 11.5を超えると
予想されるが、調査範囲内に明確なpHの記述がないため、pHに基づいた区分
は行わなかった。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2A-2B
シアン化ナトリウムのデータはないが、シアン化物としてのデータに
「conjunctival hyperaemia with mild chemosis, lacrimation, photophobia, and
tingling sensation」(CICAD (2004))という記述があることから、区分2A-2Bとした
が、安全性の観点から区分2Aとする方が望ましい。
なお、本物質は弱酸と強塩基の塩であるため、その水溶液はpH 11.5を超えると
予想されるが、調査範囲内に明確なpHの記述がないため、pHに基づいた区分
は行わなかった。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
5 生殖細胞変異原性
分類できない
6 発がん性
7 生殖毒性
分類できない
区分2
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分2(神経系)、
区分3(気道刺激
性)
区分1(中枢神経
系、精巣、腎臓、
副腎、脾臓)
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
パブコメ
弱酸と強塩基の塩であり、溶解後のpHは12超と思われるため皮膚腐食性を持つ。従って公表された「データなし」
は誤りである。区分1が妥当である。
これもpH12以上であるため、不可逆的な損傷を与えるものと推定される。従って公表された「区分2A」ではなく区分1
が妥当である。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
in vivoデータがなく、in vitroの復帰突然変異試験で陰性のデータが一件あるの
みであり、指針に従い、分類できないとした
データなし
CICAD 61(2004)の記述から、ゴールデンシリアンハムスターの催奇形性試験
で胎児に奇形がみられているが、親動物への影響の記載が無いので区分2とし
た
ICSCの記載より、「眼、皮膚、気道を重度に刺激する。細胞呼吸に影響を与え、
痙攣を生じたり、意識を喪失することがある。」を引用して、区分2(神経系)と区
分3(気道刺激性)に分類する。
ヒトについては「頭痛、衰弱、味覚及び嗅覚変調、目眩、咽頭過敏、嘔吐、労作
性呼吸困難、流涙、前胸部痛」(CICAD 61 (2004))の記述、実験動物では「精子
運動能減少、精巣上体頭重量減」、「腎症、副腎肥大、膵臓壊死及び繊維化、
精巣胚細胞変性」(CICAD 61 (2004))等の記述があることから、中枢神経系、精
巣、腎臓、副腎、膵臓が標的臓器と考えられた。なお実験動物に対する影響
は、区分1に相当するガイダンス値の範囲で見られた。
以上より分類は区分1(中枢神経系、精巣、腎臓、副腎、脾臓)とした。
MSDSではLD50が6.4mg/kgであり、区分1相当である。公表ではデータなしとされるが急性中毒では歩行困難やヘ
モグロビンとの結合による体内酸欠から中枢神経に対する影響ありと判断できる。
ご検討をお願いします。
データなし
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
パブコメ
魚類(ニジマス)の96時間LC50=0.05-0.075mg/L(IUCLID、2000)から、区分1とした。
急性毒性が区分1、水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。
付録-19
物質別パブリックコメント
ID32 ジチオりん酸O,O-ジエチル-S-(2-エチルチオエチル) CAS 298-04-4
化管法政令番号 1-151
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
分類結果
区分1
区分1
分類対象外
分類対象外
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
区分1
2 皮膚腐食性・刺激性
区分外
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分外
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
農薬登録申請資料(1987)の雌ラットのLD50=4.2mg/kgに従って、区分1とした。
農薬登録申請資料(1987)の雌ラットのLD50=7.3mg/kgに従って、区分1とした。
GHSの定義における液体。
本物質は蒸気圧が極めて低く(20℃で7.2mPa)、蒸気暴露は困難と考えられ、分
類対象外とした。
農薬登録申請資料(1987)の雌ラットのLC50=約0.015mg/Lに従って、区分1とし
た。
農薬登録申請資料(1987)のウサギの皮膚一次刺激性試験において、貼付除去
後1時間に非常に軽度の刺激性(平均スコア:0.4)が認められたが、貼付除去後
24時間には影響がみられなかったため、区分外とした。
農薬登録申請資料(1987)のウサギの皮膚一次刺激性試験において、適用後1
時間に非常に軽度の刺激性(結膜での平均スコア:発赤0.6~1、浮腫0.7~0.8)
が認められたが、適用後24時間には影響がみられなかったため、区分外とし
た。
呼吸器感作性:データなし。
皮膚感作性:農薬登録申請資料(1987)のモルモットの皮膚感作性試験
(maximization法)では皮膚感作性は認められず、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
区分外
6 発がん性
区分外
農薬登録申請資料(1987)のラットおよびマウスの発がん性試験では本物質に関
連する腫瘍性病変は認められなかったことから、区分外とした。なお、ACGIHTLV(2005)ではA4(区分外に相当)に分類されている。
7 生殖毒性
区分1B
農薬登録申請資料(1987)およびEU農薬登録申請資料(年記載なし)のラットの二
世代試験で、親の一般毒性が出ている用量で軽度ではあるが生殖毒性(農薬登
録申請資料(1987)では交尾雌数と出産雌数の低下、出生時生存仔数の低下、
出生時死亡数の低下、EU農薬登録申請資料では着床数減少、同腹仔数減少)
がみられたため、区分2とした。なお、農薬登録申請資料(1987)のラットおよびウ
サギの試験では催奇形性は認められなかった。
農薬登録申請資料(1987)のin vivoの優性致死試験および小核試験の結果は陰
性であり、区分外とした。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系)
暴露)
農薬登録申請資料(1987)のラットの急性毒性試験(経口、経皮、吸入)では、い
ずれの暴露経路でもコリンエステラーゼ阻害による神経毒性(振戦、流涎、呼吸
困難など)がみられた。経口および経皮投与の最大無作用量とガイダンス値と
の比較から、区分1(神経系)とした。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(神経系)
暴露)
農薬登録申請資料(1987)のラットおよびマウスの長期暴露試験(混餌投与)で
は、区分1のガイダンス値内においてコリンエステラーゼ活性の低下がみられた
だけであったが、ラットの二世代繁殖性試験(混餌投与)において、P世代の9ppm
投与群(推定摂取量:0.45mg/kg/day)の雌で妊娠・哺育期間中に振戦やコリン作
動性の中毒症状がみられたことから、ガイダンス値との比較により、区分1(神経
系)とした。
データなし。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
パブコメ
7.生殖毒性
7. 繁殖毒性の分類根拠・問題点及び分類結果について
GHSの評価は以下のとおりでした。
「農薬登録申請資料(1987)およびEPA農薬登録申請資料(年記載なし)のラットの二世代試験で、親の一般毒性が出
ている用量で軽度ではあるが生殖毒性(農薬登録申請資料(1987)では交尾雌数と出産雌数の低下、出生時生存仔
数の低下、出生時死亡数の低下、EPA農薬登録申請資料では着床数減少、同腹仔数減少がみられたため、区分2と
した。なお、農薬登録申請資料(1987)のラットおよびウサギの試験では催奇形性は認められなかった。」
区分2の判断基準のひとつに、動物実験で親動物での一般毒性が発現する用量で明確な生殖毒性(精液の測定項
目、胎児の偶発的異常の発生率、変異・化骨遅延、胎児/生後児の体重、生後の発生指標のわずかな変化等を除く)
が発現すると記載されている物質とあります。しかし、生殖機能、生殖能力または発生に対する悪影響が報告されて
いるものの、他の毒性作用による非特異的な二次的影響として誘発されたと考えられる物質は「区分外」とするとの
判定基準もまたあります。
分類評価にあたり、申請者は以下の2試験の成績を分類の設定根拠として提示いたしました。
1.Effect of Disulfoton (Di-syston) on reproduction in rats (1986)[日本農薬申請資料]
2.A Two Generation Reproductive Toxicity Study with Disulfoton Technical (DISYSTON) in the Sprague-Dawley
Rat (1997) [US-EPA申請資料]
この両試験ともに、高用量群でコリンエステラーゼ阻害に起因した特異的な中毒症状(振せんなど)が認められ、更
に非特異的な影響である一般状態の悪化、増体重抑制、摂餌量の減少が認められております。
このような試験成績において、「区分2」に分類されたということは、提出した繁殖性試験で認められた生殖に対する
影響を、申請者はコリンエステラーゼの阻害によって起こった母動物の全身状態の悪化による影響と考えますが、
「非特異的な二次的影響」とは考えられないというご評価になったものと理解いたします。
しかし、本剤については、2000年にUS-EPAで評価されています(RED)。繁殖性については日本の登録申請では使
用されていないより新しい1997年に作成されたNo.2の報告書について評価されています。この評価において、注意が
また、「California EPA’s List of Chemicals known to the state to cause cancer or reproductive toxicity of June 9, 20
更に、「Hazard Assessment of the Organophosphates, Report of the Hazard Assessment of the Organophosphates R
このように、今回繁殖能パラメータ、胎児に対する影響が認められた用量では、コリンエステラーゼ阻害作用に起因し
これらのことから、繁殖性試験でみられた影響は母体の毒性に帰すべき二次的な影響と考えられ、「区分外」と考えま
この評価は、諸外国の評価においても本剤に対して繁殖性に関連する何らの注意喚起がないことからも支持されるも
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
分類結果
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.033mg/L(農薬登録申請資料、2004)か
ら、区分1とした。
付録-20
パブコメ
物質別パブリックコメント
11 水生環境慢性有害性
区分1
急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され(BIOWIN)、生物蓄積性があ
ると推定される(log Kow=4.02(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分1と
した。
付録1
項目11. 水生環境慢性有害性について
分類根拠欄に「急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され(BIOWIN)、生物蓄積性があると推定される(log
Kow=4.02(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分1とした。」と言う記載になっていますが、以下の点の再検討
をお願いいたします。
・ log Kowは農薬登録申請書中では3.98となっており、分類基準のlog Kow>=4に該当しないと考えられます。
・ 農薬申請書類として提出している水中光分解試験(EPAガイドラインに準拠し、GLP準拠)の結果では半減期が1日~
4日となっており、「現実的な水環境中で28 日間における分解度が70%を超える場合」に該当すると考えられます。
以上2点のことから、急性毒性値は区分1に該当するものの、急性分解性であることから「区分外」の分類結果と考え
付録-21
物質別パブリックコメント
ID41 チオりん酸O,O-ジメチル-O-(3-メチル-チオフェニル) CAS 55-38-9
化管法政令番号 1-193
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1
1
1
1
2
急性毒性(経皮)
急性毒性(吸入:気体)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
皮膚腐食性・刺激性
分類結果
区分4
区分4
分類対象外
分類できない
区分3
区分外
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分外
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性: 区
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分2
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(神経系)
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットLD50=320, 509mg/kg(農薬抄録)のデータは共に区分4の範囲であること
に基づき区分4に分類した。
ラットLD50=2000, 2000mg/kg(農薬抄録)に基づき区分4に分類した。
GHS定義による液体
データなし
ラットLC50=1.2, 0.8mg/L(農薬抄録)のうち低い値に基づき区分3に分類した。
ウサギの試験で、「ほとんど刺激性がない(Draze score 0.4)」(農薬抄録)に基
づき区分外に分類した。
ウサギの試験において「刺激性なし」との結果(農薬抄録)に基づき区分外に分
類した。
呼吸器感作性: データなし
皮膚感作性: モルモットを用いたMaximization法により感作性が認められなかっ
たこと(農薬抄録)に基づき区分外に分類した。
生殖細胞を用いるin vivo経世代変異原性試験(マウスの優性致死試験)および
体細胞を用いるin vivo変異原性試験(マウスの骨髄細胞を用いる染色体異常試
験、マウスの小核試験)で陰性の結果(農薬抄録)そしてそれ以外に陽性結果を
示す試験がないことに基づき区分外に分類した。
ACGIHでA4に分類されていること(ACGIH(1996))に基づき区分外に分類した。
なお、マウスの発がん試験でも発がん性を示す所見はなかった(農薬抄録)。
ウサギの妊娠期投与により親動物で影響がある用量で後期吸収胚の増加が認
められたこと、またラットの二世代試験において親動物に影響がある用量で受
胎率、出生率,生存率,哺育率の低下, 平均着床数および平均同腹児数の低
下、死産児数の増加が認められたこと(農薬抄録)に基づき区分2に分類した。
ヒトで神経系への影響(コリンエステラーゼ阻害による影響、かすみ目、ふらつ
き、昏睡、刺激に対する反応なし、呼吸困難)が見られたこと(ACGIH (2001)、
JMPR (1980))に基づき区分1(神経系)に分類した。
なお、ラットの試験においてもコリン作動性の影響や振戦、痙攣、自発運動の低
下、流涎等の神経系への影響(農薬抄録、JMPR (1997))が見られている。
ラットでの3ヶ月間の反復経口投与試験で、コリンエステラーゼ阻害とコリン作動
性の症状(振戦、痙攣等)が認められ、その用量は区分1のガイダンス値の範囲
であること(農薬抄録)に基づき区分1(神経系)に分類した。
データなし
パブコメ
7.生殖毒性
項目7. 繁殖毒性の分類根拠・問題点及び分類結果について
以下のとおりの評価となっております。
分類結果:区分2
分類根拠・問題点:
ウサギの妊娠期投与により親動物で影響がみられる用量で後期吸収胚の増加が認められたこと、またラットの二世
代試験において親動物に影響がある用量で受胎率、出生率,生存率,哺育率の低下, 平均着床数および平均同腹
児数の低下、死産児数の増加が認められたこと(農薬抄録)に基づき区分2に分類した。
以下のとおり、繁殖性に関しましては区分外と考えますので、その理由を説明させていただきます。
二世代繁殖性試験
親動物における血球及び脳のコリンエステラーゼ(ChE)活性の有意な阻害に加え、増体重抑制が認められた用量
で、繁殖能、児動物に対する影響が認められました。このように、繁殖能、児動物に対する影響は、本物質の投与に
より母動物のChEが著明に阻害され、それによって母動物の増体重の抑制など全身的な影響が見られたために認
められたものと考えられます。
催奇形性(ウサギ)
農薬登録時の評価において提出した試験では、母体の外観に特に顕著な影響が観察されなかった用量で軽微な胎
芽毒性(後期吸収胚の増加)が認められております。しかし、この用量の平均生存胎児数は対照群に比べ多く、また
胎児平均体重は対照群に比べ同等です。従いまして後期吸収胚のわずかな増加は、毒性学的に重要な意味あいは
ないものと考えます。
また、1995年にJMPR、2001年にUS-EPA(RED)、2004年にAVPMA(The Australian Pesticides and Veterinary
Medicines Authority)で本物質が評価されております。ウサギに対する催奇形性については、日本の農薬登録申請
資料として提出した試験のあとに実施された試験での評価ではありますが、この試験ではコリンエステラーゼ(ChE)
が測定されており、今回母体の外観に特に顕著な影響が観察されなかった用量より下の用量においても明らかな
ChE阻害が認められております。これらのJMPR、US-EPAおよびAVPMAでは繁殖毒性について警告を発するような
評価はなされておりません。
更に、「California EPA’s List of Chemicals known to the state to cause cancer or reproductive toxicity of June 9,
2006」においても本物質は繁殖毒性物質としてリストアップされておりません。また、「Hazard Assessment of the Organ
このように、ラット二世代繁殖性試験においては、繁殖能パラメータ、胎児に対する影響が認められた用量では、コリン
以上のことから、諸外国の評価においても本物質に対して繁殖性に関連する何らの注意喚起がないことも考え合わせ
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.00087mg/L(農薬登録申請資料、2004)
から、区分1とした。
急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され(BIOWIN)、生物蓄積性があ
る(BCF≧500(農薬登録申請資料))ことから、区分1とした。
パブコメ
項目11. 水生環境慢性有害性について
急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され(BIOWIN)、生物蓄積性がある(BCF≧500(農薬登録申請資料))
ことから、区分1と分類されていますが、以下のとおり、再検討をお願いいたします。
生物蓄積について、BCF≧500(農薬登録申請資料)とされていますが、報告書を精査した所、報告書のBCFは代謝
物を含んだ値により算出されていることが判明しました。一方、親化合物の濃度のみからBCFが算出されている別の
試験ではBCFは500未満でありました。そのため、本物質には生物濃縮性がないと考えられます。なお、いずれの報
告書も農薬登録には用いられておりません。
また、急速分解性がないと推定され(BIOWIN)と記載されておりますが、農薬申請資料として用いられている光分解
あるいは加水分解試験において、その半減期はそれぞれ28.8分(緩衝液中)、5.9日(pH7)であり、易分解性と考えられ
ます。
以上より、本物質については、以下の分類が適当と考えます。
急性毒性が区分1ではありますが、急速分解性であることまた生物蓄積性がない(BCF<500)ことから、区分外が妥
付録-22
物質別パブリックコメント
ID45 トルエン
CAS 108-88-3
化管法政令番号 1-227
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:ガス)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
分類対象外
区分4
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2B
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分1A
分類根拠・問題点
ラットに対する経口投与のLD50=2,600、5,500、5,580、5,900、6,400、7,000、7,530
mg/kg (EU-RAR No.30 (2003)) に基づき、計算式を適用して区分した。LD50 (計
算値) =4,800 mg/kgから、区分5とした。
ラットに対する経皮投与のLD50=12,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、ウサギに
対するLD50=14,100 mg/kg (EHC 52 (1985)) に基づき、小さい値を採用して、区
分外とした。
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
ラットに対する吸入暴露のLC50 (4時間) =12.5、28.1、28.8、33 mg/L (EU-RAR
No.30 (2003)) に基づき、計算式を適用して区分する。LC50 (計算値)=18 mg/L
は換算係数 (25℃) 1 mg/m3=0.265 ppmを用いると4,800 ppmと算出される。飽
和蒸気圧 (25℃)=3.3 kPaにおける飽和蒸気圧濃度 (25℃)=33,000 ppmであ
る。したがって、LC50=4,800 ppmは飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度である
ので、「ミストがほとんど混在しない蒸気」と考えられ、ppm濃度基準値で分類し
データなし
EU-RAR No.30 (2003) のウサギを用いた皮膚一次刺激性 (4時間適用) 試験結
果の記述から、トルエンは中等度 (moderate) の皮膚刺激性を示し、区分2とし
EU-RAR No.30 (2003) のウサギを用いたOECD test guidelineに準拠した眼刺
激性試験結果の記述から、7日間で回復するので、トルエンは軽度の眼刺激性
を示すと考えられ、区分2Bとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: EU-RAR No.30 (2003) のモルモットを用いたマキシマイゼーショ
ン法試験結果の記述から、トルエンは皮膚感作性を有しないと考えられ、区分
外とした。
EHC 52 (1986)、EU-RAR No.30 (2003)、IARC 71(1999)、ATSDR (2000)の記
述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原
性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験、染色体異常試験)で陽
性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであるが、in vivoでの陽性結果ははっき
りとした陽性結果はなく、結果表に「+」と記載されている評価書もあるが、いず
れも総合判断としては陰性としており(EUでは結果表でもすべて陰性としてい
る)、また1970年代に旧ソ連で行われた実験ではベンゼンの混入が疑われ、
Priority1の評価書では総じて陰性と判断している。したがって、他に陰性結果の
試験が6試験あることも考慮し総合的に判断してin vivo変異原性試験は陰性と
IARC(1999)でグループ3、ACGIH(2001)でA4、EPA(2005)でDに分類されてい
ることから区分外とした。
IRIS Toxiological review(2005)、EU-RAR No.30(2003)、IARC 71(1999)、IARC
47(1989)、EHC 52(1986)、ATSDR(2000)の記述から、ヒト疫学研究でトルエン
暴露による自然流産の増加、妊婦のトルエン乱用による新生児の発育異常・奇
形、トルエン暴露による血漿中の黄体形成ホルモン、テストステロン濃度の減少
が示唆されており、EU RAR30(2003)ではNg et al.,1992の報告から"the study
suggests an increased risk of late spontaneous abortions associated with
exposure to toluene at levels around 88 ppm (range 50-150 ppm). The results
of this study are used as a basis for the risk characterisation of
developmental toxicity in humans."と結論していることから区分1Aとした。動物
試験では、ラット及びマウスの催奇形性試験において母動物に一般毒性のみら
れない用量で、死亡胎児・骨化遅延の増加、胸骨分節の減少・未骨化、肋骨の
奇形(shift in rib profile)、過剰肋骨、骨格の発達遅延、反射反応の遅延、学習
障害、膣開口日齢及びtime of testes descentの早期化がみられている。なお、
Da-Silva et al.(1991)によると、授乳を介した発生毒性への影響はみられなかっ
付録-23
パブコメ
物質別パブリックコメント
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分1(中枢神経
系)、区分3(気道
刺激性、麻酔作
用)
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
区分1(中枢神経 ヒトについては、「トルエンには薬物依存性があり、トルエンの嗜好的吸入により
系、腎臓、肝臓) 視野狭窄または眼振や難聴を伴う頭痛、振戦、運動失調、記憶喪失といった慢
性的中枢神経障害が報告されている。CT 検査により脳萎縮が観察され、血尿
やタンパク尿など腎機能障害も報告されている。」(CERIハザードデータ集 96-4
(1997))、「難聴、脳幹聴性誘発電位の変化」(ATSDR (2000))、「SGOTの上昇、
肝細胞の脂肪変性やリンパ球浸潤を伴う肝毒性」(EU-RAR No.30 (2003))等の
記述があることから、中枢神経系(脳、内耳への影響を含む)、腎臓、肝臓が標
的臓器と考えられた。
区分1
炭化水素であり、動粘性率は0.65 mm2/s (25℃) (計算値)である。
よって区分1とした。
10 吸引性呼吸器有害性
付録1
ヒトについては、「トルエンは、主に吸入によって速やかに吸収され中枢神経系
に作用する。50-100 ppm で疲労感、眠気、めまい、軽度の呼吸器系への刺激
をもたらす。200-400 ppm では興奮状態となり、錯感覚や吐き気を伴う。500800 ppm になると中枢神経系の抑制が現れ、酩酊、精神錯乱、歩行異常などが
みられる。」(CERIハザードデータ集 96-4 (1997))、「眼、鼻、喉へに対する刺
激」(EU-RAR No.30 (2003))等の記述、実験動物については、「麻酔」(EU-RAR
No.30 (2003))等の記述があることから、中枢神経系が標的臓器と考えられ、気
道刺激性、麻酔作用を示した。
以上より、分類は区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分2
区分外
分類根拠・問題点
甲殻類(ブラウンシュリンプ)の96時間EC50=3.5mg/L(EU-RAR(2003)他)から、区分2と
した。
急速分解性があり(BODによる分解度:123%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ
生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2.73(PHYSPROP Database))ことから、区分
付録-24
パブコメ
エビ類は、96時間LC50値が基本で、ない場合は24、48時間LC50値を採用すると
なっているが、96時間EC50値が採用されている。
物質別パブリックコメント
ID52 ピクリン酸
CAS 88-89-1
化管法政令番号 1-244
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 492 mg/kg(厚労省報告 (2001))、283
mg/kg(厚労省報告 (2001))、200mg/kg(DFGOT vol.17 (2002))、
290mg/kg(DFGOT vol.17 (2002))に基づき、計算式を適用して得られた
LD50=214mg/kg から区分3とした。
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類できない
分類対象外
1
1
2
3
分類できない
分類できない
分類できない
区分2B
データなし
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した
データなし
データなし
データ不足のため、分類できない。
ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.17 (2002)のウサギを用いた眼刺激性試験結果
「刺激性は24時間以内に消退」という記述から、区分2Bとした。
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
皮膚腐食性/刺激性
眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
パブコメ
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
5
6
7
8
生殖細胞変異原性
発がん性
生殖毒性
標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: CERIハザードデータ集 98-30 (1999)、DFGOT vol.17 (2002)のモ
ルモットを用いた皮膚感作性試験結果の「皮膚感作性あり」という記述及び、
CERIハザードデータ集 98-30 (1999)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.17 (2002)
のヒトへの皮膚感作性に関する記述から、皮膚感作性を有すると考えられ、区
分1とした
分類できない
データ不足のため、分類できない。
分類できない
データなし
分類できない
データなし
区分1(中枢神経 ヒトについては、「ピクリン酸を摂取した場合、頭痛、めまいを呈し、暗色尿及び
系、血液系、腎 タンパク尿を伴うことがある。大量に摂取された場合には赤血球の破壊、胃腸
臓、肝臓)、区分 炎、出血性腎炎、急性肝炎を呈する。」(CERIハザードデータ集 98-30 (1999))、
3(気道刺激性) 「眼、鼻粘膜を刺激」(環境省リスク評価第3巻 (2004))等の記述、実験動物につ
いては、「振戦から強直性/間代性痙攣」(CERIハザードデータ集 98-30
(1999))、「自発運動の低下、歩行異常、間代性けいれん、着色尿(濃黄色)、皮
膚の着色(黄色)、腹臥位、側臥位」(厚労省報告 (2001))等の記述があることか
ら、中枢神経系、血液系、腎臓、肝臓を標的臓器とし、気道刺激性をもつと考え
られた。なお、実験動物に対する影響は区分1に相当するガイダンス値の範囲
でみられた。
以上より、分類は区分1(中枢神経系、血液系、腎臓、肝臓)、区分3(気道刺激
性)とした。
区分1(血液系)、 実験動物については、「溶血に起因するものと思われる貧血、さらに精細管萎
区分2(精巣)
縮」(厚労省報告 (2001))等の記述があることから、血液系、精巣が標的臓器と
考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の
範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(血液系)、区分2(精巣)とした。
分類できない
データなし
9.標的臓器/全身毒性(反復暴露)
①通常、GHS分類では、最も強く発現した有害性影響に基づいて区分を決定すべきと考える。また、1つの有害性項
目について複数の区分を設けることは、GHSにおける「危険有害性に関する適切な情報伝達」を妨げる恐れがある。
分類区分を標的臓器ごとに分けるのであれば、分けることが科学的見地からも情報伝達の観点からも妥当であると
言う点について理由を明記すべきと考える。
②なお、「貧血は溶血に起因するものと思われる、精細管萎縮」(厚労省報告 (2001))という文章は、解釈が困難であ
る。
「貧血(また)は溶血に起因する精細管萎縮」という意図であれば、精巣に対する影響は、造血系への影響に伴う二
次的影響であると解釈するのが妥当である。GHSオフィシャルテキストにおいては「そのデータを注意深く評価し、で
きる限り二次的影響を含めないようにすべきである。」との記載がある(図3.9.1 注記,日本語仮訳p.200)。したがっ
て、精巣に対する影響について、独立して区分決定する必然性は低いものと考える。
また、「貧血は溶血に起因するものと思われるが、(造血系への影響とは独立して)精細管の萎縮が認められた」とい
う主旨であるのならば、その意図が明確に伝わる表現とすべきである。
③GHSオフィシャルテキストにおいては標的臓器/全身毒性(反復曝露)について実験動物試験結果に基づく分類を
実施する場合、「分類に当たっては、実験動物を使った90日間の反復投与試験において表3.9.1(または表3.9.2)に示
すガイダンス値(案)またはこれを下回る値で観察された重大な毒性影響が、分類を正当化するものとなる」との記載
がある(3.9.2.9.6および3.9.2.9.7,日本語仮訳p.202~203)。
採用した所見が分類根拠として妥当であることを示すために、当該試験の概略(動物種、投与期間、投与用量、所見
が認められた用量等)についても併記すべき。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分3
区分外
分類根拠・問題点
パブコメ
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50=19.7mg/L(CERIハザードデータ集、1999)か
ら、区分3とした。
急性毒性が区分3であるものの、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC=5mg/L
(ECETOC TR91、2003)から判断して、区分外とした。
付録-25
物質別パブリックコメント
ID57 ヒドラジン一水和物
CAS 7803-57-8
化管法政令番号 該当なし
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1
1
1
1
2
急性毒性(経皮)
急性毒性(吸入:気体)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
皮膚腐食性・刺激性
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 262 mg/kg、169 mg/kg、220 mg/kg(厚労
省報告 (2003))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 172 mg/kgから、区
分3とした。
分類できない
分類対象外
分類できない
分類できない
区分1A-1C
データなし
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
データなし
データなし
NITE初期リスク評価書 No.73 (2005)のウサギを用いた4時間適用試験結果にお
いて「55%溶液を適用したところ、7/11 匹にて皮膚適用部位に腐食がみられた」
との報告が得られたことから、区分1A-1Cとした。細区分の必要がある場合は、
安全性の観点から、1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
有害性情報「2.皮膚腐食/刺激性」において、区分1A-1Cと判断していることか
ら、技術指針に従い、区分1とした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: NITE初期リスク評価書 No.73 (2005)のヒトへの健康影響の記述
にて、「感作性については、ヒドラジンとその塩はヒトに接触アレルギーを発症す
る」という報告が得られていること。また、日本産業衛生学会では、皮膚感作性
「第2群」注)と分類していることから、区分1とした。
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
パブコメ
注)ヒドラジン自体ないしその化合物を示すが、感作性に関与するすべての物質
が同定されているわけではない。
5 生殖細胞変異原性
区分2
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
CERI・NITE有害性評価書 No.73 (2004)、EHC 68(1987)の記述から、経世代変
異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試
験(マウススポット試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、であること
から「区分2」とした。
健康有害性については、【ID56、ヒドラジン、CAS:302-01-2】も参照のこと。
毒性情報はあるが 既存分類がないため、専門家の判断に従い、分類できない
とした。なお、本物質の発がん性については、【ID56、ヒドラジン、CAS:302-012】も参照のこと。
データ不足により、分類できない。
健康有害性については、【ID56、ヒドラジン、CAS:302-01-2】も参照のこと。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(中枢神経 ヒトについては、「急性暴露によって中枢神経系、肝臓、腎臓に影響を及ぼすこ
暴露)
系、肝臓、腎臓) とが知られている。」(環境省リスク評価第1巻 (2002))の記述があることから、中
枢神経系、肝臓、腎臓が標的器官と考えられた。
以上より、分類は区分1(中枢神経系、肝臓、腎臓)とした。
本物質の分類に際しては、評価書にヒドラジン水和物で試験を行ったとする明
確な記述がある報告に限定し、それを分類の資料として採用した。しかし、本物
質はヒドラジン(ID: 0056、CAS No.302-01-2)と水が反応して容易に形成される。
そのため動物を用いた試験等でヒドラジンを水に溶解して暴露する場合はヒドラ
ジン(一)水和物の状態であると考えられる。よって、ヒドラジン(ID: 0056、CAS
No.302-01-2)の分類結果も合わせて参照し、評価すること。
付録-26
健康に対する有害性
2.ヒドラジンー水和物の健康に和する有害性について
ヒドラジンー水和物の分類結果の健康に対する有害性は、単にヒドラジンー水和物液体についての有害性が記載さ
れています。現伝わが国では、ヒドラジンー水和物の用途のーつに、ボイラ水の水処理薬品として多量に使用されて
います。
特に火カ発電所のボイラをはじめとして、市町村のごみ焼却施設の排熱ボイラ、事業所における大型発電ボイラや
中小型ポイラなどでは、水中の溶存酸素を除去する目的で、脱気装置の脱気器以前にヒドラジンー水和物を連続添
加しています。
そのため、脱気器の排気弁から蒸気と共に水中の溶存酸素を排出していますが、同時に、ヒドラジンー水和物も蒸
気と共に微量ですが大気に排出しています。脱気器の排気弁からのヒドラジンー水和物の量は微量だと考えられま
すが、排出が連続していることから、大気中のヒドラジンー水和物の有害性を考慮した分類が必要だと考えます。
ちなみに、私自身、永年ボイラ水処理薬品としてヒドラジンー水和物を販売しました者ですから、ヒドラジンー水和物
の有害性について特別に憂慮しています。
物質別パブリックコメント
付録1
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(肝臓、神 ヒトについては、「肝毒性、神経症状、心臓症状」、「黄疸、死後の剖検で重度腎
暴露)
経系、消化管、腎 炎、尿細管壊死、糸球体腎炎、限局性肝細胞壊死がみられた。」(CERI・NITE有
臓)
害性評価書 No.78 (2004))、「胃炎、振戦, 嗜眠, 言動の一貫性喪失, 黄疸, 肝臓
の肥大で易触診, 血中ビリルビン量の上昇, 血中クレアチニン量の上昇, 蛋白
尿、剖検所見:重度の尿細管壊死」(IARC (1987))等の記述があることから、肝
臓、神経系、消化管、腎臓が標的臓器と考えられた。なお、消化管への影響に
ついては、経皮暴露試験での影響のため、標的臓器として採用した。
以上より、分類は区分1(肝臓、神経系、消化管、腎臓)とした。
本物質の分類に際しては、評価書にヒドラジン水和物で試験を行ったとする明
確な記述がある報告に限定し、それを分類の資料として採用した。しかし、本物
質はヒドラジン(ID: 0056、CAS No.302-01-2)と水が反応して容易に形成される。
そのため動物を用いた試験等でヒドラジンを水に溶解して暴露する場合はヒドラ
ジン(一)水和物の状態であると考えられる。よって、ヒドラジン(ID: 0056、CAS
No.302-01-2)の分類結果も合わせて参照し、評価すること。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
藻類(セレナストラム)の72時間ErC50=0.19mg/L(環境省生態影響試験、2001)
から、区分1とした。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=-2.07
(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(ヒドラジンのBODによる分
解度:2%(既存化学物質安全性点検データ)から類推)ことから、区分1とした。
付録-27
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID63 フッ化水素(フッ化水素酸)
CAS 7664-39-3
化管法政令番号 1-283
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類実施日
分類実施機関
分類結果
分類できない
分類根拠・問題点
データなし
健康有害性については、フッ化ナトリウム、CAS No.7681-49-4も参照のこと。
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類できない
分類対象外
データ不足のため、分類できない。
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分3
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
区分1A-1C
ラットを用いた吸入暴露試験(蒸気)のLC50(1時間) 0.79mg/L(CERIハザードデー
タ集 2001-46 (2002))、1.915mg/L(CERIハザードデータ集 2001-46 (2002))、
1.828mg/L(EU-RAR No.8 (2001))、1.909mg/L(EU-RAR No.8 (2001))、
1.069mg/L(EU-RAR No.8 (2001))、0.792mg/L(EU-RAR No.8 (2001))、
1.136mg/L(EU-RAR No.8 (2001))、1.317mg/L(ATSDR (2003))、
1.069mg/L(PATTY (4th, 2000))、1.14mg/L(PATTY (4th, 2000))に基づき、計算
式を適用してLC50(4時間換算値)の650ppmが得られた。飽和蒸気圧
122kPa(25℃)(フッ化水素)(ICSC(2004))における飽和蒸気圧濃度は
1210000ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃
度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区
分3とした。
データなし
CERIハザードデータ集 2001-46 (2002)、EURAR No.8 (2001)、ATSDR (2003)、
PATTY (4th, 2000)の動物を用いた眼刺激性試験結果、およびヒトへの健康影
響の記述から、「皮膚腐食性がある」と考えられる、またウサギを用いた5%水溶
液の4時間適用試験結果から14日間観察でescharが認められたことから、区分
1A-1Cとしたが、安全性の観点から、1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分1
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
CERIハザードデータ集 2001-46 (2002)、EURAR No.8 (2001)、ATSDR (2003)の
動物を用いた眼刺激性試験結果、及びATSDR (2003)の高濃度全身吸入暴露
の事故報告の記述から、非可逆的作用を示し、腐食性を有すると考えられるた
め、区分1とした。
呼吸器感作性:データ不足のため、分類できない。
皮膚感作性: CERIハザードデータ集 2001-46 (2002)のヒトへの健康影響の記
述「職業的に暴露されたヒトにおいて、アレルギー性皮膚炎がみられている」か
ら、皮膚感作性があると考えられ、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性
区分2
EU-RAR No.8 (2001)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞 in vivo
変異原性試験なし、体細胞 in vivo 変異原性試験(染色体異常試験)で陽性で
あり、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分2とした。
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
発がんに関するデータはあるが、既存分類を行なっている機関がない。「骨肉腫
増加の証拠はない」とされているが、分類するに十分でないため、分類できな
い。
健康有害性については、CAS No.7681-49-4 フッ化ナトリウムも参照のこと。
データ不足のため、分類できない。
健康有害性については、CAS No.7681-49-4 フッ化ナトリウムも参照のこと。
付録-28
パブコメ
4.呼吸器感作性又は皮膚感作性
区分1 ⇒ 分類できない
【根拠】
CERIのハザードデータ集には、「職業的に暴露されたヒトにおいてアレルギー性皮膚炎がみられている」と記載は確
認しました。
引用文献
S. Gangolli, The Dictionary of Substances and their Effects, 2nd. Ed., The Royal Society of Chemistry(1999).
一方で、OECD Screening Information Data Set for High Volume Chemicalsには、「HFの感作性試験の入手できな
かった。HFとF-はたんぱく質と反応しないと思われ、したがって本物質は感作性を持たないと推定される。」と記載が
あります。
また、ACGIH(2005年)のHFのTLV設定根拠には、ヒトでの報告がありますが、アレルギー性皮膚炎の記述はありま
せんでした。
弊社でも長年HF扱ってきましたが、アレルギー性皮膚炎は聞いたことがありません。
CERIのハザードデータ集が引用しているS. Gangolliのアレルギー性皮膚炎はまれなケースではないかと推察するか
らです。
物質別パブリックコメント
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分1(呼吸器、 ヒトについては、「気道や肺の損傷、鼻粘膜への刺激性、眼結膜や気道への刺
膵臓)
激性」(EU-RAR No.8 (2001))、「肺水腫、肺の出血性水腫、気管支炎、膵臓の
出血及び壊死」(CERIハザードデータ集2001-46 (2002))等の記述、実験動物に
ついては、「呼吸器の炎症、肺のうっ血、肺胞の水腫」、「鼻腔粘膜の損傷(上皮
及び粘膜下組織の壊死、炎症細胞浸潤、滲出液、出血)」((CERIハザードデー
タ集 2001-46 (2002))等の記述があることから、呼吸器、膵臓が標的臓器と考え
られた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範
囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、膵臓)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
区分1(骨、歯、
下垂体、甲状腺、
腎臓、神経系、肝
臓、精巣、気管
支)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
ヒトについては、「骨へのフッ素沈着症(骨密度の増加、骨の形態的変化、外骨
(腫)症)、斑状歯、記憶の喪失、下垂体から甲状腺の機能異常」(CERIハザード
データ集2001-46 (2002))等の記述、実験動物については、「腎臓の尿細管の変
性及び壊死、中枢神経系の機能不全(条件反射の低下、刺激後、運動神経反
射が起こるまでの潜時の延長)、神経細胞シナプスの変化、肝臓の散在性の巣
状壊死、肝実質の脂肪変性、門脈周囲の線維化、陰嚢上皮の炎症、陰嚢の潰
瘍、精巣の退行性変化」(CERIハザードデータ集2001-46 (2002))、「気管支粘
膜の萎縮や浮腫、気管支周囲の肥厚化」(EU-RAR No.8 (2001))等の記述があ
ることから、骨、歯、下垂体、甲状腺、腎臓、神経系、肝臓、精巣、気管支が標
的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダ
ンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(骨、歯、下垂体、甲状腺、腎臓、神経系、肝臓、精巣、
気管支)とした。
データなし
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
分類根拠・問題点
パブコメ
区分3
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間EC50=10.5mg/L(EU-RAR、2002)他から、区分3とし
た。
区分外
急性毒性が区分3であるものの、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC=14.1mg/L(EURAR、2002)から判断して、区分外とした。
付録-29
物質別パブリックコメント
ID65 6,7,8,9,10,10-ヘキサクロロ-1,5,5a,6,9,9a-ヘキサヒドロ-6,9-メタノ-2,4,3-ベンゾジオキサチエピン=3-オキシド
CAS 115-29-7
健康に対する有害性
化管法政令番号 1-291
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分2
分類根拠・問題点
ラットのLD50値14個(9.6-355mg/kg)(EHC 40(1984)、JMPR(1965, 1998)、PIM
576(2000))から統計計算により求めたLD50=37.4mg/kgに基づき区分2とした。
1 急性毒性(経皮)
区分3
ラットLD50値2個(1000, 681mg/kg)(農薬抄録)は共に区分3の範囲であることに
基づき区分3に分類した。
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
区分1
GHSの定義における固体
データなし
ラット雄LC50=0.0346mg/L、雌LC50=0.0126mg/L(農薬抄録)は共に区分1の範
囲であることに基づき区分1に分類した。
2 皮膚腐食性・刺激性
区分外
ウサギを用いた皮膚刺激性試験においてDraze scoreが0のデータ
(JMPR(1998))から、「刺激性はない」と考えられるため、区分外に分類した。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分外
性
ウサギを用いた眼刺激性試験による「not irritayting to eyes」の結果
(JMPR(1998))から、区分外に分類した。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし、
皮膚感作性;モルモットを用いた皮膚感作性試験(Maximization法、GLP)による
「陰性」結果(農薬抄録)から区分外に分類した。
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない、皮
膚感作性:区分
外
区分外
6 発がん性
区分外
ACGIHにてA4に分類されていること(ACGIH(2001))に基づき区分外に分類し
た。
なお、ラットの慢毒・発がん性併合試験(1989年)およびマウスの発がん性試験
(1988年)(農薬抄録)で投与に関連した腫瘍の発生頻度の増加は認められてい
ラットの二世代繁殖毒性試験において、母動物に最高用量で体重抑制が見ら
れた以外は、繁殖および子供に対する影響はなかった(農薬抄録)。また、ウサ
ギおよびラットにおいて妊娠期に投与しても催奇形性は認められていないこと
(農薬抄録)から、区分外に分類した。
7 生殖毒性
区分外
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系)
暴露)
付録1
分類実施日
分類実施機関
パブコメ
マウスのin vivo小核試験で陰性であること(農薬抄録)から、区分外に分類し
た。
ヒトで痙攣、意識障害、呼吸困難等の神経系への影響の報告(ATSDR(2000)、
JMPR(1998))と、ラット急性経口(40、50, 100mg/kg)およびラット吸入毒性試験
(0.0123、0.0036mg/L)により区分1のガイダンス値以下で、自発運動の低下、痙
攣、流涎、振戦、呼吸困難等の神経系への影響が報告されていることに基づき
(EHC40(1984)、ATSDR(2000)、JMPR報告書)区分1(神経系)とした。
付録-30
9.標的臓器/全身毒性(反復暴露)
腎臓
認められた所見は、臓器重量の増加と近位尿細管の変性ですが、以下の理由によって、評価基準の区分1の「実験
動物での試験の証拠に基づいて反復暴露によって人に重大な毒性を示す可能性があると考えられる物質」に該当し
ないと考えます。
①当該試験および【注記】に記載されている追加試験において、どちらも休薬期間を設けて回復試験を実施している
が、所見の程度や動物数において回復が見られている。
②追加試験の結果から、リソソームに検体(代謝物)が貯蔵され、ある程度遅れて排泄されると推定された。
③注記に記載されているようにラットを用いた104週間の慢性毒性試験ではこれらの所見および腎臓に関連すると考
えられる所見は認められていない。
④より長期間投与(104週間)したラットの慢性毒性試験ではこれらの所見は認められていない。
⑤3.9.2.7 分類を支持すると考えられる影響(GHS 2004年4月仮訳、199頁)に記載されているような、腎臓の重大な
臓器損傷や、明白な細胞死の証拠は、当該試験および追加試験における病理組織学的検査では認められていな
い。また、血液、臨床生化学および尿検査において、一貫した重大で有害な変化は認められていない。したがって、
分類を支持すると考えられる影響には該当しないと考える。
肝臓
物質別パブリックコメント
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
ラットの90日反復経口投与試験において、区分1のガイダンス値の範囲内
(3.85mg/kg)で近位尿細管の変性と、区分2のガイダンス値の範囲内
(23.41mg/kg)で肝細胞の変性が認められていること(農薬抄録)に基づき区分1
(腎臓)、区分2(肝臓)に分類した。
【注記】追加試験として、90日反復経口投与試験の約3倍の用量で30日間雄ラッ
トに投与した試験で「腎臓の近位曲細管細胞にリソソームの大きさおよび数の
増加が認められたが、可逆的変化であり、腎臓細胞への障害は認められなかっ
た。肝臓の検査では、肝実質およびクップファー細胞に異常が認められず、肝
重量の増加は、異物代謝機構に関連する適応反応の結果と考えられた。」との
結論を得ている。また、ラットの慢性毒性試験(最高用量3.8mg/kgで104週間投
与)で影響が認められていない。(農薬抄録)
以上の結果を総合的に判断して、分類に使用できる明確なデータが得られてい
ないため、分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
肝臓
認められた所見は、臓器重量の増加と肝細胞肥大および肝細胞顆粒色素沈着ですが、以下の理由によって、評価
基準の区分2の「動物実験の証拠に基づき反復暴露によって人の健康に有害である可能性があると考えられる物
質」に該当しないと考えます。
①当該試験の休薬期間後の回復試験では、認められた所見は回復している。
②追加試験では肝実質およびクッパー細胞に異常は認められていない。
③血液生化学的検査等において肝機能に関連する変化は認められていない。
④より長期間投与(104週間)したラットの慢性毒性試験ではこれらの所見は認められていない。
⑤3.9.2.7 分類を支持すると考えられる影響(GHS 2004年4月仮訳、199頁)に記載されているような、肝臓に多発性
またはびまん性壊死、線維症または肉芽腫形成や著しい機能障害の明確な証拠を提供する形態学的変化等は、当
該試験および追加試験における病理組織学的検査では認められていない。また、血液、臨床生化学および尿検査に
おいて、一貫した重大で有害な変化は認められていない。したがって、認められた所見は異物代謝機構に関連する
適応反応の結果と考え、分類を支持すると考えられる影響には該当しないと考える。
以上のことから、また、海外のMSDSにはR39およびR48は記載されていないことも併せて考えて、腎臓および肝臓とも
「区分外」に分類するのが妥当と考えております。これらの点についてご検討をよろしくお願いします。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(ブラウンシュリンプ)の96時間LC50=0.2μg/L(EHC40、1984)から、区分
1とした。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=3.83
(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)こと
から、区分1とした。
付録-31
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID70 メタクリル酸
CAS 79-41-4
化管法政令番号 1-314
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験の LD50=1,060 mg/kg (環境省リスク評価書第2巻
(2003))、1,320 mg/kg、2,260 mg/kg、2,224 mg/kg (EU-RAR No.25 (2002)) か
ら、計算式を適用して得られた 1,210 mg/kg に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分3
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50=500-1,000 mg/kg (EU-RAR No.25
(2002))、2,000 mg/kg (CERI ハザードデータ集 96-34 (1997)) に基づき、低い方
の値 500-1,000 mg/kg から区分3とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類できない
区分外
GHSの定義における液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外
とした。
データなし
ラットを用いた吸入暴露試験の LC50(4時間)=7.1 mg/L (2,000 ppmに相当)
(EU-RAR No.25 (2002)) は、飽和蒸気圧 0.09kPa (20℃) における飽和蒸気圧
濃度 900 ppm よりも高い値であるため、ミスト暴露であると考えられ、区分外と
した。
2 皮膚腐食性・刺激性
区分1A
CERI・NITE 有害性評価書 No.92 (2005) の1匹のウサギを用いた皮膚刺激性
試験の結果の記述に「3分間の開放適用で腐食性がみられた」、とあることか
ら、細区分の基準に基づき、区分1Aとした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
CERI・NITE有害性評価書 No.92 (2005) のウサギを用いたOECDテストガイドラ
イン405 に準拠した眼刺激性試験の結果の記述に「24 時間後、全てのウサギ
に角膜混濁、虹彩刺激、結膜充血、結膜浮腫がみられた。」「7 日目でも角膜混
濁、虹彩刺激、結膜刺激は回復せず、化学火傷、角膜上皮の壊死脱落、前眼房
の蓄膿がみられた」とあることから、腐食性を有すると考えられ、また、皮膚刺激
性が区分1Aであるため、区分1とした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: CERI・NITE有害性評価書 No.92 (2005)のモルモットを用いた
ビューラー法による試験結果で感作性はみられず、Polak adjuvant法の試験結
果でも陽性の反応はみられず、ヒトへの疫学事例でも皮膚感作性を示す結果が
得られておらず、EU-RAR No.25 (2002) で「ヒト症例及び動物試験からメタクリ
ル酸は感作性物質ではない」と結論づけていることから、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性
6 発がん性
7 生殖毒性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
分類できない
分類できない
分類できない
パブコメ
データ不足 (in vivo変異原性/遺伝毒性試験データなし) のため分類できない。
なお、メタクリル酸の生殖細胞変異原性については、ID204、メタクリル酸メチ
ル、CAS:80-62-6も参照のこと。
疫学データはあるが、既存分類がないため、専門家の判断に従い、分類できな
いとした。なお、メタクリル酸の発がん性については、ID204、メタクリル酸メチ
ル、CAS:80-62-6も参照のこと。
データ不足のため分類できない。
なお、メタクリル酸の生殖・発生毒性については、ID204、メタクリル酸メチル、
CAS:80-62-6も参照のこと。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分3(気道刺激 実験動物については、「呼吸器経路の刺激」(EU-RAR No.25 (2002))等の記述
暴露)
性)
があることから、気道刺激性を有すると考えられる。
以上より、分類は区分3(気道刺激性)とした。
9.標的臓器/全身毒性(反復暴露)
Comments on the proposed classification of Methacrylic acid (CAS No: 79-41-4) under GHS by NITE.
We agree with the classification proposal except for sections 9 where we agree to the Division 2 (respiratory
system) but disagree with the proposal for Division 1 (nervous system, liver, kidney and adrenal gland) and
respectfully submit the following comments:
9. 区分1 (Division 1), (神経系、肝臓、腎臓、副腎) (nervous system, liver, kidney and adrenal gland)
We disagree with this proposal.
In the only valid inhalation study available there were no significant effects on the nervous system, liver, kidney and
adrenal glands.
The key study is a valid 90-day inhalation study (CIIT, 1984) Sprague-Dawley rats, Fischer-344 rats and B6C3F1mice.
Liver effects:
In both rat strains reduced absolute liver weights were found in high-dose males, as well as in both sexes of highdose B6C3F1-mice. The liver/body weight ratio was comparable to that of the controls, only after adjustment to
the brain weight a significant decrease of relative liver weight was obvious. In mice, the liver/body weight ratio was
lower in high-dose mice of both sexes (significant only in males), the liver/brain weight ratio was significantly higher
and significantly lower in high-dose female mice. The decrease of absolute liver weights was not considered to repre
of the lack of corresponding findings (clinical pathology and histopathology). For explanation, reduction of the absolut
weights may be related to lower final body weight as liver/body weight ratio was normal in rats and not conclusive in
Nervous system, kidney or adrenal glands:
No significant effect was observed on the nervous system, kidneys or adrenal glands (EU-RAR No.25 (2002)).
In any event the NOAEC for systemic toxic effects was identified to be 100 ppm (0.357mg/l) in mice and 300 ppm
付録-32
物質別パブリックコメント
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(神経系、
暴露)
肝臓、腎臓、副
腎)、区分2(呼吸
器)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
ヒトについては、「頻脈、低血圧、ニトログリセリンとの過度の反応、低体温、加
熱・紫外線暴露に対する弱い反応、Ashner反射の病理学的変化、肢端チアノー
ゼ 、手の指の振戦などが見られた」(EU-RAR No.25 (2002))等の記述、実験動
物については、「肝臓中の酵素の変化、電解質の変化、肝臓、副腎の重量減
少、肝臓、腎臓・副腎の萎縮、鼻腔嗅上皮変性」(CERI・NITE有害性評価書
No.92 (2005))等の記述があることから、神経系、肝臓、腎臓、副腎、呼吸器が
標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、肝臓、腎臓、副腎へ
の影響が区分1、呼吸器への影響が区分2に相当するガイダンス値の範囲でみ
られた。
以上より、分類は区分1(神経系、肝臓、腎臓、副腎)、区分2(呼吸器)とした。
付録1
y
y
pp (
g )
pp
(1.071 mg/l) in rats which is above the 0.2mg/litre/6h/d leading to division 2.
Quote GHS guidance “Reliable evidence on the substance or mixture (including bridging) of an adverse effect on spe
organ/systems or systemic toxicity in humans or animals. May use guidance values in Table 3.9.1 as part of weight o
evidence evaluation. May be named for specific organ/system. Mixture that lacks sufficient data, but contains Categ
ingredient: ≥ 1 to ≤ 10% for some authorities; and ≥ 10% for all authorities. Inhalation (rat)vapour:0.2mg/litre/6h/d.”
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分3
区分外
分類根拠・問題点
藻類(セレナストラム)の72時間ErC50=14mg/L(CERI・NITE有害性評価書、
2005)から、区分3とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:91%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.93(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-33
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID73 N-メチルカルバミン酸1-ナフチル
CAS 63-25-2
化管法政令番号 1-329
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
分類対象として23個のラットLD50値(JMPR (1965)、EHC153 (1994))が該当し、
各値の間に明らかな雌雄差も見られないので、統計計算により得られた425
mg/kgに基づき区分4とした。
ラットLD50 >5,000 mg/kg(農薬登録申請資料(2001))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
区分4
GHSの定義による固体。
ラットLC50 > 0.792 mg/L(EHC 153(1994))。それ以上の情報なく、分類できな
ラット吸入毒性試験におけるLC50=2.43mg/L(農薬登録申請資料(2001))に基
づき、区分4とした。
2 皮膚腐食性・刺激性
区分3
ウサギを用いた試験で一過性の紅斑を生じ(EHC 153(1994))、ヒトへの曝露で
は皮膚に軽度の刺激と熱感が現われたが数時間で回復したと報告されている
(PIM 147(1997)、ACGIH (2001))ので区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
性
ウサギを用いた試験で、スポット的角膜壊死や虹彩炎も記述されているが、大
方の症状としては結膜に刺激性が認められ2~3日で回復していること(EHC
153(1994))に基づき区分2Bとした。なお、ヒトでも軽度の眼瞼浮腫と角膜刺激
が見られたが回復は速やかであったと報告されている(PIM 147(1997))。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
[呼吸器感作性] データなし。[皮膚感作性] モルモットを用いた複数の皮膚感作
性試験においていずれも全くあるいはほとんど感作性反応が認められていない
(EHC 153(1994))ことに基づき区分外とした。
ラットの骨髄細胞を用いたin vivo染色体異常試験およびマウスの骨髄細胞を用
いたin vivo小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)(農薬抄録)、さらにマウスを
用いた優性致死試験(経世代変異原性試験)(EHC 153(1994))においていずれ
も陰性結果が得られているので区分外とした。
ACGIHによる評価でA4(1996年)、IARCによる評価ではグループ3(1987年)に
それぞれ区分されている。これらの分類結果に基づき区分外とした。
ラットを用いた2世代繁殖試験、ラットおよびウサギを用いた器官形成期投与に
よる催奇形性試験が行われている(農薬抄録)。いずれの試験においても、性
機能、生殖能などの生殖に関する指標、および催奇形性を含む胎児の発生に
悪影響が認められていないことから区分外とした。
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない。皮
膚感作性:区分
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分外
付録1
付録-34
パブコメ
「EU農薬登録提出資料」としてEU当局に提出した資料の写しをバイエルクロップサイエンス(株)
からGSH分類評価ご担当者へ提供させていただいております。本資料は、直近のガイドラインに
基づき、GLP下で実施した試験成績であり、プライオリティーが高いものと考えており、諸外国に
おける評価からの乖離をさけるためにも今回の分類の評価資料の一つとして用いることが妥当
と考えます。急性経皮毒性については2001年の試験成績を提出しており、LD50>5000mg/kgでし
た。この結果に基づく分類は、「区分外」となると考えます。
「EU農薬登録提出資料」としてEU当局に提出した資料の写しをバイエルクロップサイエンス(株)
からGSH分類評価ご担当者へ提供させていただいております。本資料は、直近のガイドラインに
基づき、GLP下で実施した試験成績であり、プライオリティーが高いものと考えており、諸外国に
おける評価からの乖離をさけるためにも今回の分類の評価資料として用いることが妥当と考えま
す。急性吸入毒性の結果はLC50=2.43mg/Lであり「区分4」に相当すると考えております。
「EU農薬登録提出資料」としてEU当局に提出した資料の写しをバイエルクロップサイエンス(株)
からGSH分類評価ご担当者へ提供させていただいております。本資料は、直近のガイドラインに
基づき、GLP下で実施した試験成績であり、プライオリティーが高いものと考えており、諸外国に
おける評価からの乖離をさけるためにも今回の分類の評価資料の一つとして用いることが妥当
と考えます。
また、分類根拠とされたEHC 153(1994)では1983年の試験成績で一過性の紅斑が報告されてい
ますが、これは43.4%の製剤を用いた試験成績です。製剤においては溶媒や助剤の影響が刺激
性に強く関与するため原体または有効成分の有害性判断の基準として使用することは不適当と
「EU農薬登録提出資料」としてEU当局に提出した資料の写しをバイエルクロップサイエンス(株)
からGSH分類評価ご担当者へ提供させていただいております。本資料は、直近のガイドラインに
基づき、GLP下で実施した試
験成績であり、プライオリティーが高いものと考えており、諸外国における評価からの乖離をさけ
るためにも今回の分類の評価資料の一つとして用いることが妥当と考えます。
また、分類根拠とされたEHC 153(1994)のうち1983年試験成績については43.4%の製剤の試験成
績です。製剤においては溶媒や助剤の影響が刺激性に強く関与するため原体または有効成分
の有害性判断の基準として使用することは不適当と考えます。
EU農薬登録提出資料(2001年)の結果ではDraizのスコアで1以上の反応は認められず、「区分
外」に相当すると考えます。
物質別パブリックコメント
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系)
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分2(神経系)
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
ヒトで摂取によりコリンエステラーゼ阻害とともに、時にムスカリン様症状、ニコチ
ン様症状を伴う重度の神経症状を起こした症例報告(EHC 153(1994)、PIM
147(1997))がある。また、羊に300-1000 mg/kg 経口投与した試験では死亡とコ
リンエステラーゼ阻害との間に強い相関が見られた(EHC 153(1994))と報告さ
れている。これらの結果に基づき区分1(神経系)とした。
ラットに反復投与によりコリンエステラーゼ活性の低下に伴う自立性、震顫およ
び神経筋への影響など、運動行動への影響が30 mg/kg/日投与群で認められ
ている(農薬抄録)ことに基づき、ガイダンス値と比較して区分2(神経系)とし
データなし。
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.9.20)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=5.6μg/L(EHC153、1994)から、区分1とし
た。
区分外
急速分解性があり(BODによる分解度:71%(既存化学物質安全性点検デー
タ ) ) 、 か つ 生 物 蓄 積 性 が 低 い と 推 定 さ れ る ( log Kow=2.36 ( PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-35
パブコメ
分類根拠とされたEHC153(1994)ではRawash et al.(1975)でオオミジンコに対しEC50=0.26μg/L
の結果となっていますが、検体および試験条件の情報が記載されておらず、ECH153(1994)に記
載されている他のデータと比較しても特異的に低値を示していることから、分類根拠としては不
適当と考えます。最新のガイドラインに即してGLP下で実施した農薬登録申請提出資料では
EC50=0.016mg/Lであり、これを根拠として記載することについてご検討をお願い致します。な
お 分類区分は変更ありません
物質別パブリックコメント
ID80 アクリル酸エチル
CAS 140-88-5
化管法政令番号 1-4
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 1,000 mg/kg (ECETOC JACC28 (1994))、
550 mg/kg (ECETOC JACC28 (1994))、1,020 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、
1,799 mg/kg (環境省リスク評価第2巻 (2003)) に基づき、計算式を適用して得ら
れたLD50=667 mg/kgから区分4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分4
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 1,790 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、1,800
mg/kg (ECETOC JACC28 (1994))のうち低い値1,790 mg/kg から区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類対象外
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分3
ラットを用いた吸入暴露試験 (蒸気) のLC50 (4時間) 8.92mg/L (ECETOC
JACC28 (1994)) 及び5.78mg/L(環境省リスク評価第2巻 (2003))のうち低い値
1,410 ppmが得られた。飽和蒸気圧38.6mmHg(25℃) [換算値
5140Pa(25℃)](HSDB (2005))における飽和蒸気圧濃度は50900ppmである。今
回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度であるため、「ミストが
ほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
区分1C
データなし
ウサギを用いた皮膚一次刺激性試験 (CERI・NITE有害性評価書 No. 59
(2004)) 4時間の適用で、痂皮、壊死塊、瘢痕を伴う強度の紅斑と浮腫がみら
れ、腐食性とされているため区分1Cとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分1
ウサギ眼粘膜一次刺激性試験結果 (CERI・NITE有害性評価書 No. 59 (2004))
で、0.1 mL投与で壊死及び0.5 mL投与で強度の壊死がみられたことから、区分1
とした
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: モルモットを用いた皮膚感作性試験結果 (CERI・NITE有害性評
価書 No.59 (2004)) の陽性結果及びEUリスク警句 (参考) から、区分1とした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
7 生殖毒性
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
試験データを再検討した結果、「区分2」の根拠とした試験データの信頼性は低
いことが判明した。その結果、in vivo変異原性試験については、信頼できる小核
試験の陰性結果のみとなることから、「区分外」に修正するのが妥当と判断し
た。【CERI・NITE有害性評価書は問題のデータをECETOCから孫引きしている。
区分2
IARC(1999)で2Bに分類されていることから、区分2とした。
分類できない
データ不足 (親動物の生殖機能、受精能力に関するデータなし) のため分類で
きない。
区分1(神経系)、 実験動物については、「嗜眠、耳介血管の拡張、振戦、横隔膜の痙攣、呼吸困
区分3(麻酔作
難、チアノーゼ、体温低下」(CERI・NITE有害性評価書 No.59 (2004))、「呼吸困
用、気道刺激性) 難を引き起こす呼吸器刺激性」(CERIハザード評価シート 97-14 (1997))等の記
述があることから、神経系が標的臓器であり、気道刺激性をもつと考えられた。
また、神経系への影響と並行して、「嗜眠」がみられていることから麻酔作用をも
つと考えられた。なお、実験動物での影響については区分1に相当するガイダン
ス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系)、区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。
区分1 (神経系、 ヒトについては、「自律神経失調症」(CERI・NITE有害性評価書 No.59 (2004))、
呼吸器)
実験動物については、「鼻粘膜の炎症、嗅上皮の変性」(CERI・NITE有害性評
価書 No.59 (2004))等の記述があることから神経系、呼吸器が標的臓器と考え
られた。なお、実験動物に対する影響は区分1に相当するガイダンス値の範囲
でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系、呼吸器)とした。
分類できない
データなし
付録-36
パブコメ
ハザードデータ集に小核試験で陽性との記述があることを理由に区分2としているが、HPVでは得られるデータから
変異原性はないと結論している。国際的に多くの関係者により評価された結果に基づき、区分外の分類が妥当であ
る
物質別パブリックコメント
付録1
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分2
区分外
分類根拠・問題点
魚類(ヒメダカ)の96時間LC50=1.16mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2004)か
ら、区分2とした。
急速分解性があり(TOCによる分解度:92.6%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=1.32(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-37
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID81 アクリル酸メチル
CAS 96-33-3
化管法政令番号 1-6
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 277、300、765 mg/kg (ECETOC JACC
37 (1998))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 277 mg/kg から区分3と
した。
1 急性毒性(経皮)
区分4
ラットを用いた経皮投与試験のLD50 1,250 mg/kg (ECETOC JACC 37 (1998))
より区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
分類対象外
区分3
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
ラットを用いた吸入暴露試験 (蒸気) のLC50 (4時間) 3.58、5.7、6.5、4.83 mg/L
(ECETOC JACC 37 (1998))に基づき、計算式を適用してLC50(4時間換算値)の
1,200 ppmが得られた。
飽和蒸気圧86.6mmHg(25℃) [換算値 11500Pa(25℃)](HSDB (2005))における
飽和蒸気圧濃度は114000ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度
の90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm
濃度基準値で区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
区分1A-1C
データなし
ウサギを用いた皮膚一次刺激性試験 (CERIハザードデータ集 98-10 (1999))で
壊死がみられ、区分1であり、細区分できるデータはないため、1A-1Cとするが、
安全性の観点から、1Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分1
ウサギの眼刺激性試験結果 (CERIハザードデータ集 98-10 (1999)) の「強い刺
激性」及びECETOC JACC No. 37 (1998) の「severely irritating to the eyes.]
との記述からは、区分2であるが、指針に 1.信頼できる既存の暴露経験によ
る判定において:ヒトあるいは動物で皮膚腐食性とするデータがある場合は眼に
重篤な損傷性物質(区分1)に分類するとあるため、区分1とした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
5 生殖細胞変異原性
区分外
パブコメ
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 日本産業衛生学会及び日本職業・環境アレルギー学会特設委
員会で「皮膚感作性物質」と分類されているため区分1とした。
ECETOC JACC No.28 (1994)、CERI・NITE有害性評価書 No.59 (2004)、CERIハ
ザードデータ集 98-10 (1999) の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細
胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性であ
り、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分外とした。
IARC(1999)で3、ACGIH(2005)でA4、EPA(1990)でDであることから、区分外とし
た。
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
分類できない
区分1(中枢神経
系)、区分3(気道
刺激性)
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
区分1(呼吸器)、 実験動物について、「嗅上皮の萎縮、重層基底細胞過形成を伴った円柱細胞層
区分2(腎臓)
の欠落」、「腎臓の相対重量増加、腎疾患の増加」(環境省リスク評価 第2巻
(2003))の記述があることから、呼吸器、腎臓が標的器官と考えられた。呼吸器
では区分1、腎臓では区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)、区分2(腎臓)とした。
データなし
ヒトについては、「昏睡や痙攣」(CERIハザードデータ集 98-10 (1999))の記述が
あり、標的器官は中枢神経系と考えられる。また「催涙性を有し、蒸気は眼、気
道、皮膚を刺激する」(環境省リスク評価 第2巻 (2003)) の記載があるため気道
刺激性を示すと考えられ、区分1、及び区分3に分類される。分類は区分1(中枢
神経系)、区分3(気道刺激性)とした。
付録-38
ハザードデータ集に腹腔内投与による小核試験で陽性との記述があることを理由に区分2としているが、HPVではin
vitroではCH細胞では染色体異常の結果があるが、in vitroでは染色体異常を誘発するとの信頼できるデータはない
と結論している。国際的に多くの関係者により評価された結果に基づき、区分外の分類が妥当である。
物質別パブリックコメント
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
分類結果
区分2
分類根拠・問題点
魚類(シープスヘッドミノー)の96時間LC50=1.1mg/L(CERI・NITE有害性評価書
(暫定版)、2006)から、区分2とした。
急速分解性があり(TOCによる分解度:100%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.8(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録1
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
区分外
付録-39
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID82 アセトアルデヒド
CAS 75-07-0
化管法政令番号 1-11
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50=660 mg/kg (EHC167 (1995)) に基づき、区
分4とした。
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
分類できない
分類対象外
区分外
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
区分2
データなし
GHS定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とし
ラットを用いた吸入 (蒸気) 暴露試験より、LC50 24 mg/L (13,000 ppm) (4時間)
(EHC 167 (1995)) が得られた。
飽和蒸気圧100.6 kPa (20℃) (IUCLID (2000)) における飽和蒸気圧濃度は
993,000 ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃
度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区
分外とした。
データなし
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果(ACGIH (7th, 2001))の記述から、「中等
度の刺激性を有する」と考えられるので、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2
ウサギを用いた眼刺激性試験の結果、「強度の刺激性」がみられ、非可逆的な
影響と報告されていない(ACGIH (7th, 2001)) ため、区分2とした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データ不足のため分類できない
5 生殖細胞変異原性
区分2
CERI・NITE有害性評価書 No.61(2004)の記述から、生殖細胞in vivo経世代変異
原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験(マウスの精母細胞を用いた小核
試験)で陰性、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験、染色体異常試験)で陽
性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、であることから区分2とした。
6 発がん性
区分2
NTP(2005)でR、IARC(1999)で2B、IRIS(2005)でB2に分類されていることから区
分2とした。
7 生殖毒性
分類できない
CERI・NITE有害性評価書 No.61(2004)の記述から、雌CFラットの妊娠10、11又
は12日目に単回又は10~12日目にアセトアルデヒド0、50、75、100 mg/kg/日を
腹腔内投与した実験で、50 mg/kg以上で吸収胚、奇形(浮腫、合指、小頭、小
顎、外脳症、水頭症)、発育遅延、白内障、体重、胎盤重量減少がみられた(す
べての用量で親への影響はなし)という報告と、雌SDラットの妊娠6~18日目に
アセトアルデヒド200 mg/kg/日(3 %水溶液) を経口投与した実験で、胎児骨格に
影響(具体的記載なし、親への影響の記載なし)がみられたという報告がある
が、前述の試験は腹腔内投与であること、後述の試験は影響の具体的な記載
がないことから、分類に使用するには不十分なデータであることから分類できな
いとした。
付録-40
パブコメ
5.生殖細胞変異原性
《コメント1》
・「分類マニュアル」では、以下の記載があります。
「EU-AnnexⅠの変異原性物質のカテゴリー1,2,3とGHSの生殖細胞変異原性区分の分類の考え方は基本
的には一致している。」
ところが、アセトアルデヒドは現時点では、リスクフレーズとして、R46やR68などは付いておらず、また、変異原性
のカテゴリーも付与されておりません。したがって、世界的な調和を取るためには「区分2」とするのは明らかに過剰
な安全サイドの分類かと思われ、今一度本分類の見直しをお願いしたいと考えております。
------------------------------------------------------------------《コメント2》
CERI・NITE有害性評価書 No.61(2004)の記述から、生殖細胞in vivo経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異
原性試験(マウスの精母細胞を用いた小核試験)で陰性、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験、染色体異常試
験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、であることから区分2とした。
【コメント】「体細胞in vivo変異原性試験(小核試験、染色体異常試験)で陽性」に基づいて区分2としているが、通常、
「経世代生殖細胞in vivo変異原性試験(マウスの精母細胞を用いた小核試験)で陰性」の方が、生殖細胞変異原性
の証拠としての重み付けは高い。この点を考慮して試験結果の「証拠としての確からしさ」を判断すべきである。な
お、CERI・NITE有害性評価書 No.61(2004)で引用されているデータの中には陰性結果、陽性結果が混在している。ど
のような理由に基づいて、どのデータを「確かな証拠」として採用したのかという点を明記すべきである(データの信頼
性評価を明示すべき)。また、そのような記載が困難な場合には「分類できない」と結論するのが適当と考える。
物質別パブリックコメント
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分1(呼吸器、 ヒトについては、「咳や、鼻、喉、目に灼熱痛を引き起こす」、「アセトアルデヒド
神経系)、区分3 の偶発的な暴露により、頭痛、昏睡、目、皮膚、呼吸器、喉の刺激、気管支炎、
(麻酔作用)
肺水腫、運動麻痺、死亡がみられている。」(CERI・NITE有害性評価書 No.61
(2004))、「全身的には麻酔作用及び意識混濁、気管支炎、肺浮腫等を起こす」
(環境省リスク評価 第1巻 (2002))等の記述から、呼吸器、神経系が標的臓器
で、麻酔作用をもつと考えられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、神経系)、区分3(麻酔作用)とした。
付録1
「ヒトについては、「咳や、鼻、喉、目に灼熱痛を引き起こす」、「アセトアルデヒドの偶発的な暴露により、頭痛、昏睡、
目、皮膚、呼吸器、喉の刺激、気管支炎、肺水腫、運動麻痺、死亡がみられている。」(CERI・NITE有害性評価書
No.61 (2004))、「全身的には麻酔作用及び意識混濁、気管支炎、肺浮腫等を起こす」(環境省リスク評価 第1巻
(2002))等の記述から、呼吸器、神経系が標的臓器で、麻酔作用をもつと考えられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、神経系)、区分3(麻酔作用)とした。」
【コメント】GHSオフィシャルテキストでは“標的臓器/全身毒性(単回暴露)”における区分3の判定基準において次
のように記載されている。
「物質または混合物が上記に示された区分1または2に分類される基準に合致しない特定臓器への影響がある。こ
れらは、曝露の後、短期間だけ、人の機能に悪影響を及ぼし、構造または機能に重大な変化を残すことなく合理的な
期間において回復する影響である」(GHSオフィシャルテキスト 図3.8.1)
「昏睡、運動麻痺」等はいずれも当該物質の神経系に対する作用が原因と考えられる。原因を一にする所見につい
ては、その重篤度(持続性か一過性か)に応じて1つの区分に分類すべきと考える。すなわち、区分1の分類基準に
合致するのであれば、区分3には分類すべきではない。なお、GHSオフィシャルテキスト上には次のような記載もあ
る。「動物試験において観察される麻酔作用は、不活発、協調正向反射の欠如、立ち直り反射、昏睡、運動失調を含
む。これらの影響が本質的に一時的なものでないならば、区分1また2に分類されると考えるべきである」(GHSオ
フィシャルテキスト日本語仮訳 3.8.2.2.2(b)」。「適切な情報伝達」の実施という観点からも、1つの有害性項目につい
て複数の区分を設けることは回避すべきである。
また、当該の所見が一時的か否か判断できない場合には「分類できない」とするのが適当と考える。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
区分1 (呼吸器、 ヒトについては、「紅斑、肺水腫、麻酔作用」(ACGIH (7th, 2001))、「麻酔作用、
神経系)
麻痺、呼吸器への刺激性、気管支炎、肺水腫」(CaPSAR (2000))等の記述よ
り、呼吸器、神経系が標的臓器と考えられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、神経系)とした。
分類できない
動粘性率は0.314 mm2/S (15℃)であるが、沸点が20.2℃ (ICSC (2004))である
ため、40℃での動粘性率は存在しない。よって、分類できないとした。
分類結果
区分2
分類根拠・問題点
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=2.1mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2004)
から、区分2とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:80%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=-0.34(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
ヒトについては、「紅斑、咳、肺水腫、麻酔作用」(ACGIH (7th, 2001))、「頭痛、麻酔作用、麻痺、呼吸数の減少、呼吸
器への刺激性、気管支炎、肺水腫」(CaPSAR (2000))等の記述より、呼吸器、神経系が標的臓器と考えられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、神経系)とした。
【コメント】出典は異なるものの、引用されている所見が標的臓器/全身毒性(単回曝露)の項の記載と類似してお
り、急性影響に伴う所見と慢性影響に伴う所見の鑑別ならびにその根拠が明確ではない。また、「紅斑、咳、肺水腫、
麻酔作用、頭痛、麻痺、呼吸数の減少、呼吸器への刺激性、気管支炎等」の各所見中には、当該物質による一次的
影響と、随伴して生じる二次的影響とが混在して記載されているように思われる。
同一の所見を複数の項目の分類根拠としているという誤解を避けるために、分類根拠とする所見については曝露期
間、一次的影響と判断した根拠、重篤度等を併記し、反復曝露に伴う影響であることを明示すべきである。
また、可能な限り一次文献の出典を記載し、第三者が検証できるような内容とすべきである。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
区分外
付録-41
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID91 2-イミダゾリジンチオン
CAS 96-45-7
化管法政令番号 1-32
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1
1
1
1
2
急性毒性(経皮)
急性毒性(吸入:ガス)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
皮膚腐食性/刺激性
分類結果
区分4
分類できない
分類対象外
分類できない
分類できない
分類できない
3 眼に対する重篤な損傷性/眼 区分3
刺激性
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない;
皮膚感作性:区
分1
5 生殖細胞変異原性
区分外
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットLD50の4試験結果(545, 900, 940, 1832 mg/kg) (DFGOT vol.11 (1998)およ
びCERIハザードデータ集(2002))に計算式を適用して得たラットLD50=604.8
mg/kgに基づき,区分4とした。
パブコメ
この場合もデータの信頼性を検討し、その上で平均する必要がある。
データ不足のため分類できない。
GHSの定義による固体。
データなし。
データなし。
1試験例の報告があるが,刺激の強さなどの記載がなくデータ不足のため分類
できない。
軽度の刺激性(CERIハザードデータ集 (2002))の記載に基づき,区分3とした。
呼吸器感作性:データなし。; 皮膚感作性:複数のヒトでのパッチ試験およびモ
ルモットを用いたMaximization試験で陽性の結果がある(DFGOT vol.11 (1998))
ので,区分1とした。
マウスを用いた優性致死試験は陰性(CERIハザードデータ集 (2002))であり,体
細胞を用いたin vivo変異原性試験(マウスあるいはラットを用いた複数のin vivo
小核試験)も陰性(IARC 79 (2001))であることから,技術指針に従い区分外とし
た
IARC
(2001)の分類:3に基づき,区分外とした。
6 発がん性
7 生殖毒性
区分外
区分1B
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
分類できない
区分1(甲状腺,
腎臓),区分2(下
垂体)
データなし。
甲状腺は主要な標的臓器との記述(DFGOT vol.11 (1998)がある。ラットにおい
て10 mg/kg/day未満の投与量で甲状腺の過形成やホルモンの異常,腎尿細管
上皮細胞の空胞化や水腫がみられており,吸入暴露でも0.013mg/L (90日間換
算)で甲状腺細胞の空胞化をともなった過形成がみられている(DFGOT vol.11
(1998)およびCERIハザードデータ集 (2002))ので,区分1(甲状腺,腎臓)とし
た。また,16 mg/kg/day以上で下垂体細胞の空胞化がみられている(DFGOT
vol.11 (1998))ので,区分2(下垂体)とした。
分類できない
データなし。
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=13.3mg/L(CERIハザードデータ集、2002)
から、区分3とした。
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いものの(BCF=0.3(既存化学物質安全性
点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全
性点検データ))ことから、区分3とした。
10 吸引性呼吸器有害性
付録1
親動物に対する影響の記述がない中で胎児毒性および脳や骨格系に催奇形
性がみられるたとの報告が多いが,ウサギを用いた妊娠時投与の試験では母
動物に影響がない用量で吸収胚の増加,胎児の脳重量減少,尿細管の変性が
みられており(DFGOT vol.11 (1998)),また,ハムスターでも母動物に影響がな
い用量で用量依存的な胎児の死亡や重量減少,骨格系,中枢神経系および肺
などの奇形がみられている(DFGOT vol.11 (1998))ので,区分1Bとした。 EU
Annex 1: Repr. Cat. 2; R61の既存分類がある。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
区分3
付録-42
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID94 エチレングリコール
CAS 107-21-1
化管法政令番号 1-43
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 4,000-10,200 mg/kg (CICAD 45 (2002))か
ら区分5とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
分類できない
区分3
ラットを用いた経皮投与試験のLD50 10,600 mg/kg (CICAD 45 (2002)) から区
分外とした。
GHS定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とし
た。
データ不足のため分類できない。
データなし
CICAD 45 (2002) 記載のウサギ、モルモットを用いた皮膚刺激性試験結果「
mild dermal irritation in rabbits and guinea-pigs 」のため区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
5 生殖細胞変異原性
区分1B
ウサギを用いた眼刺激性試験結果の「エチレングリコール (液体又は蒸気) の
ウサギの眼への短時間暴露はの角膜の永久傷害を伴わない結膜への刺激を
もたらす」(CICAD 45 (2002)) から区分2とした。なお、入手可能なデータからは、
再区分は困難である。
パブコメ
1.急性毒性(経口)
コメント対象箇所 : ラットを用いた経口投与試験のLD50 4,000-10,200 mg/kg (CICAD 45 (2002))から区分5と した。
コメント : OECD SIDS INITIAL ASSESSMENT REPORTでは、“Acute oral toxicity in rats(measured as LD50 in
mg/kg) ranged from 5890 in EG to over 16000 in pentaEG.”とされており、この情報からは区分外と判断されます。
適切なデータを再調査いただき、再検討をお願いいたします。
「 mild dermal irritation in rabbits and guinea-pigs 」がどのような基準に基づく判定であるのか不明。分類根拠として
「mild dermal irritation」だけではなく、刺激性の程度をDraize平均スコア、回復期間等の客観的データに基づいて示
す必要がある。
「エチレングリコール (液体又は蒸気) のウサギの眼への短時間暴露はの角膜の永久傷害を伴わない結膜への刺激
をもたらす」にをもとに細区分を行なっているが、当該の情報には細区分に必要な反応回復時間に関する情報が含
まれていない。反応回復時間に関する情報を明記するか、細区分せずに区分2とするか、いずれかの対応とすること
が望ましい。
「物質または混合物が上記に示された区分1または2に分類される基準に合致しない特定臓器への影響がある。こ
れらは、曝露の後、短期間だけ、人の機能に悪影響を及ぼし、構造または機能に重大な変化を残すことなく合理的な
期間において回復する影響である」(GHSオフィシャルテキスト 図3.8.1)
2.呼吸器感作性又は皮膚感作性
コメント対象箇所 : 皮膚感作性: データ不足のため分類できない。
コメント : OECD SIDS INITIAL ASSESSMENT REPORTでは、“EG, DEG, TEG and tetraEG have not induced skin
sensitization.”と結論付けています。
データを再調査いただき、適切なデータを根拠として再検討をお願いいたします。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データ不足のため分類できない。
ACGIH (7th, 2001)の記述から、生殖細胞in vivo経世代変異原性試験(優性致
死試験)で陽性であることから区分1Bとした。
6 発がん性
区分外
ACGIH(2001)でA4に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性
区分1B
CICAD 45 (2002)の記述から、マウスの連続交配試験、ラットの催奇形性試験
において、母毒性のない用量で児動物への影響(奇形、骨化遅延、未骨化)が
みられていることから区分1Bとした。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分1(中枢神経 ヒトについて、「誤飲後34日以降に意識障害、痙攣、昏迷状態がみられ、血液科
系、腎臓、心臓、 学的検査では尿素窒素、クレアチニン及び尿酸が増加、尿検査で蛋白尿及び
呼吸器)
血尿がみられ、腎障害が認められている。腎生検で尿細管に組織学的変化が
みられている。また、肺の軽度なうっ血がみられた」「急性影響は4 段階に分け
られる。まず暴露後30分から12時間後に起こる中枢神経系への作用、次に暴露
12-36 時間後に起こる心肺系への影響、さらに第1 及び第2 段階で死亡(エチレ
ングリコール)を免れた者にみられる腎臓障害、そして中枢神経系の変性であ
る。」(CERIハザードデータ集 97-24 (1998))との記載があることから、標的臓器
は中枢神経系、腎臓、心臓、呼吸器と考えられた。
以上より、分類は区分1(中枢神経系、腎臓、心臓、呼吸器)とした。
付録-43
当該物質の一次影響と二次影響の精査が行なわれていない。心肺への影響は循環障害に起因する二次的影響とも
考えられる。この点について、原文献に立ち返った所見の精査が必要である。
なお、急性毒性分類基準範囲の用量で死亡例が認められる場合には、急性毒性として分類すべきである。
物質別パブリックコメント
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
区分1(中枢神経 ヒトについて、「意識消失、眼球振とう」「軽い頭痛と腰痛、上気道の刺激」(環境
系、呼吸器、心 省リスク評価書 第3巻 (2004))との記載があり、実験動物については「肺及び心
臓)
臓に炎症性の変化」(環境省リスク評価書 第3巻 (2004))との記載があることか
ら、標的臓器は中枢神経系、呼吸器、心臓と考えた。なお、実験動物に対する
影響は区分1のガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(中枢神経系、呼吸器、心臓)とした。
分類できない
データなし
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
魚類(ニジマス)の96時間LC50=47000μg/L(環境省リスク評価第3巻、2004)か
ら、区分3とした。
区分外
急速分解性があり(BODによる分解度:90%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=-1.36(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録1
単回と同様、一次影響と二次影響の判別が不十分である。また、曝露期間についての記載がないため、TOST反復
の根拠としての適切性を判断することができない。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
付録-44
パブコメ
3.水生環境有害性(急性)
コメント対象箇所 : 魚類(ニジマス)の96時間LC50=47000μg/L(環境省リスク評価第3巻、2004)から、区分3とした。
コメント : 環境省リスク評価第3巻、2004を確認すると、分類の根拠としているデータの信頼性はC(毒性値の信頼性
は低いあるいは不明)とされており、当該評価書のリスク評価においては平成13 年度 生態影響試験実施事業報告
の値(LC50>100mg/kg)を用いています。
さらに、OECD SIDS INITIAL ASSESSMENT REPORTでは、魚(LC50=22800mg/L)、ミジンコ(LC50>20000mg/L)、藻
類(100mg/L以下で毒性なし)のいずれにおいても毒性は低いとされています。
これらの情報に基づくと、区分外と分類することが妥当と考えます。適切なデータを再度調査いただき、国際整合性
にも配慮いただき再検討をお願いたします。
物質別パブリックコメント
ID99 1,2-エポキシプロパン
CAS 75-56-9
化管法政令番号 1-56
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分2
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
区分1
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分1
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験結果のLD50、1,140 mg/kg(EHC 56 (1985))、520
mg/kg(EHC 56 (1985))に基づき、区分4とした。
データなし
GHS定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とし
た。
ラットを用いた吸入暴露試験 (蒸気) のLC50 0.948 mg/L(4時間)(EHC 56
(1985))、4.1 mg/L(4時間) (EHC 56 (1985))のうち、低い値399 ppm(4時間換
算)を採用した。
飽和蒸気圧59kPa(20℃)(ICSC(1999))における飽和蒸気圧濃度は、580000
ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%よりも低い濃度であ
るため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分2とし
た。
データなし
CERI・NITE有害性評価書 No.47 (2004) のウサギを用いた皮膚刺激性試験結
果「腐食性を示した」という記述より、区分1とした。
皮膚腐食/刺激性にて、区分1 腐食性物質としていることから、重篤な眼の損
傷を与える物質「区分1」とした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
5 生殖細胞変異原性
区分2
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: ACGIH(2001)にて、皮膚感作性に分類されていることから、区分
1とした。
6 発がん性
区分2
NTP (2005)でR、IARC (1994)でGroup 2B、ACGIH (2001)でA3、EPA (1994)で
B2に分類されていることから区分2とした。
7 生殖毒性
区分2
CERI・NITE有害性評価書 No.47(2004)の記述から、ラットの生殖毒性試験で、
一般毒性に関する記述は無いが生殖能力への影響(雄性不妊)がみられてお
り、また一般毒性が見られる範囲で黄体数の減少がみられていることから、区
分2とした。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分3(気道刺激 ヒトについては、「肺、眼の刺激、頭痛、脱力、下痢、チアノーゼ」(CERI・NITE有
性)
害性評価書 No.47 (2004))、実験動物については、「呼吸困難と鼻の出血」等の
記述があることから、気道刺激性をもつと考えられた。また、頭痛、脱力などの
症状はチアノーゼによる二次的影響と判断した。
以上より、分類は区分3(気道刺激性)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
分類できない
毒性症状がみられた用量は区分外であるが、吸入試験のみからの結果である
ため、分類できないとした。
分類できない
データなし
10 吸引性呼吸器有害性
パブコメ
EU-RAR (2002)、CERI・NITE有害性評価書 No.47 (2004) から、経世代変異原
性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞 in vivo変異原性試験なし、体細胞
in vivo変異原性試験(小核試験、染色体異常試験)で陽性、生殖細胞 in vivo遺
伝毒性試験なしであることから、区分2とした
環境に対する有害性
付録-45
CERI・NITE有害性評価書 No.47 (2004) から、体細胞 in vivo変異原性試験(小核試験、染色体異常試験)で陽性、
生殖細胞 in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分2とした。
【コメント】「体細胞 in vivo変異原性試験(小核試験、染色体異常試験)で陽性」をもって、区分2にしている。しかし、
一般的には「経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞 in vivo変異原性試験なし」の方が、生殖細胞
変異原性の証拠としての重み付けは高い。この点を考慮して試験結果の「証拠としての確からしさ」を判断すべきで
ある。なお、引用データの中には検体の骨髄への到達性なども確認したうえでデータの採否を判断すべき試験結果
も含まれている。単に結果の「陰性」「陽性」のみに基づいて分類するのではなく、試験の成立性等も確認したうえで
分類根拠としての適否を判断すべきである。また、分類のポイントとなる試験の成立性について明確に判断できない
場合には、「分類できない」と結論付けるのが適当と考える。
物質別パブリックコメント
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分3
区分外
分類根拠・問題点
魚類(ニジマス)の96時間LC50=52mg/L(EU-RAR、2002)他から、区分3とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:96%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.03(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-46
付録1
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID102 ε-カプロラクタム
CAS 105-60-2
化管法政令番号 1-61
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50の値、1,475、1,876mg/kg(SIDS(2003))、
1,210 mg/kg(環境省リスク評価第2巻(2003))のデータから、何れのデータを採
用してもGHS区分4に相当することから、区分4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分5
ラットを用いた経口投与試験のLD50の値、>2,000 mg/kg (SIDS (1987))に基づ
き、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による固体であるため、ガスの吸入は想定されず、分類対象外とし
た。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類できない
区分外
データなし
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(4時間)=8.16 mg/L(SIDS (2003) ) に基づ
き、区分外とした。
2 皮膚腐食性・刺激性
区分3
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果(CERIハザードデータ集 98-1 (1999))
の記述から、4時間適用試験はないが「軽度の刺激性を有する」と考えられるの
で、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
ウサギを用いた眼刺激性試験結果(CERIハザードデータ集 98-1 (1999))の記
述から、「中等度 (moderate) の刺激を有する」と考えられるので、区分2Aとし
た。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 2つのモルモットを用いた皮膚感作性試験の結果(SIDS (2003))
の記述に「not sensitizing」とあることから、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
区分外
6 発がん性
区分外
ACGIH (2003)でA5、IARC (1999) で4に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性
区分外
SIDS (2003)、ACGIH (7th, 2001)、IARC 71 (1999)の記述から、一般毒性を示す
用量で非特異的な二次的影響または毒性学的に重要度が低いか最小限の影
響しかみられていないことから、区分外とした。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系、
暴露)
循環器系)、区分
3(気道刺激性、
麻酔作用)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(呼吸器)
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
パブコメ
IUCLID 09-Feb-2004には2種のデータが記載されている。
① LD50=1,438 mg/kg(1969年、GLP不明)
② LD50>2,000 mg/kg(1987年、GLP)
SIARでも②がキースタディとして採用されている。
分類マニュアル、技術上の指針からしても、②を採用すべきであり、区分5相当とすべきである。
IARC 71 (1999)、SIDS (2003)、DFGOT vol.4 (1992)、NTP DB (Access on
September 2005) の記述から、生殖細胞in vivo経世代変異原性試験なし、生
殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試
験、小核試験)で陰性であることから、区分外とした。
ヒトについては、「神経過敏、傾眠、上気道カタル、鼻と口唇の亀裂」(CERIハ
ザードデータ集 98-1(1999))、「神経系、循環器系の障害」(CERIハザードデー
タ集 98-1(1999))等の記述があることから、神経系、循環器系が標的臓器と考
えられ、気道刺激性、麻酔作用を持つと考えられた。
以上より、分類は区分1(神経系、循環器系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用)と
した。
ヒトについては、「鼻、上気道の刺激の後に、気管支の反応亢進、喘息反応、肺
機能の低下の症状を含む呼吸器障害」(環境省リスク評価 第3巻 (2004))等の
記述、実験動物については、「努力性呼吸や鼻汁、湿性ラ音、鼻甲介呼吸粘膜
の杯細胞で中程度の肥大及び過形成、嗅粘膜上皮細胞内のエオジン好性物質
の蓄積」(環境省リスク評価 第3巻 (2004))等の記述があることから、呼吸器が
標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイ
ダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。
データなし
環境に対する有害性
付録-47
区分1に該当する所見がある場合、区分3に同時に分類することはできない。
また、根拠として記載されている所見の中には「鼻血」など、TOST(単回)の分類には直接関係のない所見も含まれ
ている。分類根拠を明示するためにも、直接関係のある所見の記載のみに限定したほうが良い。
物質別パブリックコメント
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分外
区分外
分類根拠・問題点
魚類(ヒメダカ)の96時間LC50>100mg/L(環境省生態影響試験、2001)他から、
区分外とした。
難水溶性でなく(水溶解度=7.72×105mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急
性毒性が低いことから、区分外とした。
付録-48
付録1
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID103 o-キシレン
CAS 95-47-6
化管法政令番号 1-63
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分外
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
5 生殖細胞変異原性
6 発がん性
7 生殖毒性
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50=3,608 mg/kg(EHC 190 (1997))に基づき、
区分5とした。
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50=14,100 mg/kg (CERIハザードデータ集
96-30① (1997)) に基づき、区分外とした。
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(6時間)=4,330 ppm (EHC 190 (1997)) から
計算式を適用して得られたLC50(4時間)=23.36 mg/L (5,303 ppm) は、蒸気圧
0.80 kPa (20℃) における飽和蒸気圧濃度7,900 ppm の90% より低い濃度である
ため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」としてppm基準値で分類し、区分外とし
た。
データなし
キシレン混合物 (Cas1330-20-7) では皮膚に対して中等度の刺激性がみられ、
また、ヒトへの影響に「混合体による急性影響と本質的な差はないと考えられて
いる」(CERIハザードデータ集 96-30① (1997)) とあることから、本物質は皮膚に
対して中等度の刺激性を示すことを推定し、区分2とした。
キシレン混合物(Cas1330-20-7)は眼に対して中等度の刺激性を示し、また、ヒト
への影響に「混合体による急性影響と本質的な差はないと考えられる」(CERI ハ
ザードデータ集 96-30① (1997)) とあることから、本物質は眼に対して中等度
の刺激性を示すと推定し、区分2Aとした。
パブコメ
CERIの有害性評価で、「o-キシレンの毒性は混合物や他の異性体による毒性と本質的な差異はないと考えられてい
る」とある記述から、o-キシレンに混合キシレンのデータを使用している。しかし、混合物のデータに基づいて純物質の刺
激性を同等と推定する場合には、混合物を構成する他の成分が純物質の刺激性を増強も減弱もしないという証左が
必要である。また、“ヒトへの影響に「混合体による急性影響と本質的な差はないと考えられている」”と記載されてい
ることを判断根拠としてあげているが、この「急性影響」が局所刺激性も含むものであるのか、何をもって「本質的な
差」とするのかという点も、確認・明示すべきである。混合キシレンはエチルベンゼンを含有するケースが通常であり
(各社のMSDS参照のこと)、キシレン混合物はキシレン異性体のみの混合物であるとは限らないことから、例範となる今
回の分類ではo-キシレンに混合キシレンのデータを使用することは避けるべきではないだろうか。
もし、o-キシレンの試験結果が無いのであれば「分類できない」とすべきと考える。
o-キシレン、p-キシレンの眼に対する重篤な損傷・眼刺激性についても同様と考える。
呼吸器感作性: 呼吸器感作性:データなし
分類できない
皮膚感作性: データなし
皮膚感作性:分類
できない
区分外
CERI・NITE有害性評価書 No.62 (2004)、NTP DB (Access on October 2005)、
IARC 71 (1999)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原
性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性であることから、区
分外とした。
区分外
ACGIH (2001)でA4、IARC (1999)でGroup 3に分類されていることから、区分外と
した。
区分2
CERIハザードデータ集 96-30① (1997)、CERI・NITE有害性評価書 No.62
(2004)の記述から、マウスの催奇形性試験で母動物毒性が発現する用量にお
いて、または母動物毒性に関する記述がない試験報告において、胎児に口蓋
裂の増加がみられていることから区分2とした。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分3(麻酔作
暴露)
用)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
実験動物については、「低血圧、嗜眠、低濃度では中枢神経系の興奮、高濃度
では中枢神経系の抑制」(EHC 190 (1997))等の記述があることから、麻酔作
用をもつと考えられた。また、二相性の中枢神経作用も、麻酔作用に含まれると
判断した。
以上より、分類は区分3(麻酔作用)とした。
o-キシレンのみのデータは限られており、試験の全ての用量がガイダンス値を
超えた値であるため、分類できないとした。
付録-49
ガイダンス値を超えた用量試験が実施され、影響が認められない場合は、「区分外」が適切と考える。
物質別パブリックコメント
10 吸引性呼吸器有害性
区分1
「この液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起こす危険がある。」(ICSC
(J) (2002))との記載がある。また炭化水素であり、動粘性率は0.86 mm2/s
(25℃) (CERI計算値)である。
よって区分1と分類した。
分類結果
区分1
分類根拠・問題点
藻類(セレナストラム)の72時間ErC50=0.8mg/L(環境省生態影響試験、1996)
他から、区分1とした。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=3.12
(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性が不明であることから、区分1とし
付録1
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
区分1
付録-50
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID107 グルタルアルデヒド
CAS 111-30-8
化管法政令番号 1-66
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
分類結果
分類できない
分類できない
分類対象外
区分1
分類根拠・問題点
データ不足のため、分類できない。
データ不足のため、分類できない。
GHSの定義により液体。
2つのLC50の低い方の値 23.5 ppm に基づき、区分1とした。
LC50が飽和蒸気圧濃度の90%以下であるので、気体(ppm)の区分を用いた。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
区分2
区分1A-1C
2つのLC50の低い方の値 0.48 mg/Lに基づき、区分2とした。
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、10%以上の濃度では6匹全例に紅
斑・浮腫のみならず壊死を認め(NICNAS (1994))、さらに別の試験で1時間曝露
で”highly irritating”、4時間曝露後に”corrosive”と記述されている(DFGOT
vol.8(1997))ことから、区分1A-1Cとした。なお、ヒトでは特に病院関係者の職業
曝露による皮膚の刺激あるいは皮膚炎の報告が多数ある(NICNAS (1994))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分1
ウサギの眼刺激性試験において、結膜に対し壊死を伴う重度で持続的な刺激
を認め、、かつ半数の動物では2週間持続した(NICNAS (1994))。また、別の試
験では角膜混濁が3日後に悪化した(NICNAS (1994))。これらの記述に基づき
区分1とした。なお、ヒトでは結膜炎症、眼瞼浮腫、羞明などを認めた事故による
曝露例が報告されている(ACGIH (2001))。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 [呼吸器感作性]: [呼吸器感作性] 本物質曝露により鼻炎や呼吸困難を伴う喘息あるいは喘息様
区分1、[皮膚感 症状を呈したヒトの報告が複数あり(NICNAS (1994))、気道過敏症試験に基づ
作性] 区分1
き本物質に因る職業喘息と結論付けている報告もある(ACGIH (2001))。また、
日本産業衛生学会(産衛学会勧告(2005))、日本職業・環境アレルギー学会
(ALGY学会(感)物質リスト(案)p95)ではそれぞれ気道感作性物質、感作性化
学物質としてリストアップされているので区分1とした。なお、動物試験での陽性
結果は確認できていない(NICNAS (1994))。
[皮膚感作性] 特に病院等の医療従事者で接触性皮膚炎を起こし、パッチテスト
により陽性反応が確認されている複数の報告があり(NICNAS (1994)、DFGOT
vol.8(1997))、いずれもアレルギー反応と見られている。また、モルモットを用
い、"Maximization test"、"modified Magnusson-Kligman test"および"Buehler
test"の各種の方法による皮膚感作性試験の結果は全て陽性であった
(NICNAS (1994)、ECETOCTR77 (1999))。以上の情報に基づき皮膚感作性は
区分1に分類した。
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分外
マウス優性致死試験(in vivo経世代変異原性試験)、マウス末梢血細胞の小核
試験およびラット骨髄細胞の染色体異常試験(体細胞を用いるin vivo変異原性
試験)が実施されており、いずれも陰性結果が得られている(NICNAS (1994))の
で区分外とした。
ACGIHよる分類A4(1997年)に基づき区分外とした。その他の評価機関による分
類の記載はない。
ラット、ウサギおよびマウスを用い器官形成期に経口投与の結果、催奇形性を
含む胎児の発生に対する悪影響は見出されていない(NICNAS (1994)、DFGOT
vol.8(1997))。さらにラットの2世代にわたる投与により母動物と出生児に体重減
少を認めたものの、生殖に及ぼす悪影響は観察されていない(NTP
TR490(1999))ことから区分外とした。
付録-51
パブコメ
計算式ではなく、各データの信頼度を評価した上で、区分をすべき。
計算式ではなく、各データの信頼度を評価した上で、区分をすべき。
5.生殖細胞変異原性
GHS_3 revにおいてグルタルアルデヒドの生殖細胞変異原性が区分外となってますが、安衛法では変異原性物質に
なっています。
http://www.jaish.gr.jp/horei/hor1-39/hor1-39-26-1-4.htmlによれば、
表1 NTPにおけるグルタルアルデヒドに係る変異原性試験の要約
変異原性試験の種類 試験結果
微生物(ネズミチフス菌)を用いる復帰突然変異試験(in vitro) TA100,TA102,TA104の菌株にお
いて代謝活性化の有無によらず陽性
マウスリンパ球を用いる遺伝子突然変異試験 (in vitro) 代謝活性化しない場合に陽性
チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いる姉妹染色分体交換試験(in vitro) 代謝活性化の有無によらず陽
性
チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いる染色体異常試験(in vitro) 代謝活性化しない場合に弱い
陽性
マウスの骨髄細胞を用いる染色体異常試験(in vivo) 陽性
ショウジョウバエを用いる伴性劣性致死試験 (in vivo)
陰性
マウス骨髄の赤血球を用いる小核試験(in vivo)
疑陽性(1回投与) 陰性(3回投与)
マウス末梢血の赤血球を用いる小核試験(in vivo)
陰性
表2 労働省におけるグルタルアルデヒドに係る変異原性試験の要約
変異原性試験の種類 試験結果
微生物(ネズミチフス菌及び大腸菌)を用いる復帰突然変異試験(in vitro) TA98の菌株において代謝活性
化しない場合に陽性 (比活性8.21×102revertants/mg)
チャイニーズハムスターの肺由来繊維芽細胞を用いる染色体異常試験(in vitro) 代謝活性化しない場合に陽性
(D20値0.00058 mg/ml)
注1)比活性とは、被験物質単位用量当たりについて、微生物のDNA(デオキシリボ核酸)に対し突然変異を誘発する程
注2)D20値とは、細胞の20%に染色体異常を誘発する被験物質の濃度を表したものである。
になってますが、法の指定では変異原性物質、通知物質としては生殖細胞変異原性でないとなり矛盾します。
いかがでしょうか。
物質別パブリックコメント
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
付録1
区分1(中枢神
単回曝露後のラットで不活発、正向反射遅延、運動能低下などの中枢症状が
経)、区分3(気道 経口投与で50~200 mg/kg、吸入曝露(蒸気)で10.6~42.7 ppmの用量で認めら
刺激性)
れている(NICNAS (1994)、)ので区分1(中枢神経)とした。
ヒトで上気道の刺激と職場(病院)環境濃度との間の明らかな関連性を示す疫
学調査の報告があり(DFGOT vol.8(1997))、ラットおよびマウスの吸入試験の結
果として呼吸数減少、扁平上皮凝固など気道刺激に伴う症状が記述されている
(NICNAS (1994)、ACGIH (2001)、DFGOT vol.8(1997))ことから、区分3(気道刺
激性)とした。
区分1(気道)
ラットおよびマウスに13週間吸入曝露した試験において、気道(鼻、喉頭、気
管)に壊死、炎症などの病変が観察されている(NTP TR490(1999))。また別の
同様の試験では前庭の好中性浸潤、鼻甲介の破壊、融合など上気道の変化が
観察されているが、気道以外の部位に組織学的変化は認められていない
(ACGIH (2001))。これらの変化は0.5~1 ppmで認められ、死亡例もあることから
重大な毒性変化と考え、ガイダンス値と比較して区分1(気道)とした。なお、経
口投与ではこのような気道への影響は認められていない(NICNAS (1994))。
分類できない
データなし。
分類結果
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=0.35mg/L(SIDS、1998)他から、区分1とし
た。
区分外
急速分解性があり(TOCによる分解度:86%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=-0.18(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
付録-52
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID112 2-クロロ-4-エチルアミノ-6-イソプロピルアミノ-1,3,5-トリアジン CAS 1912-24-9
化管法政令番号 1-75
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類実施日
分類実施機関
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験の雄LD50=3520 mg/kgおよび雌3000 mg/kg(農薬
登録申請資料、2002)のうち、毒性の強い方(雌3000mg/kg)を採用し区分4とし
た。
1 急性毒性(経皮)
区分外
ラットを用いた経皮投与試験のLD50>2000 mg/kg(農薬登録申請資料, 2002)
および>5000 mg/kg(農薬登録申請資料, 1987)において、5000mg/kgにおいて
も死亡例がみられなかったことから、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
区分5
GHSの定義における固体。
データなし。
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50>5.82 mg/L(農薬登録申請資料, 2002)お
よび>5.148 mg/L(農薬登録申請資料, 1991)において、いずれも死亡例が認め
られなかったものの、区分4の経口急性毒性を示していることから、区分5とし
た。なお、本物質の飽和濃度は3.81x10^(-4)ppm(換算値3.36x10^(-6) mg/L)で
あり、吸入試験はすべて粉塵・ミストの状態で行われていると推定される。
2 皮膚腐食性・刺激性
区分外
GLPにて実施した50%水和剤によるウサギ皮膚一次刺激性試験において、刺
激性が認められなかった(農薬登録申請資料, 1989)ことから、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分外
付録1
GLPにて実施した50%水和剤によるウサギ眼粘膜一次刺激性試験において、
軽度の刺激性が認められた(農薬登録申請資料, 1989)ことから、区分2Bとし
た。
呼吸器感作性:データなし。
皮膚感作性:OECDガイドラインに沿った、モルモットによる皮膚感作性試験(マ
キシマイゼーション法)において陽性結果が得られた(農薬登録申請資料,
1997)ことから、区分1とした。なお、50%水和剤の、モルモットを用いたBuehler法
による皮膚感作性試験では陰性であった(農薬登録申請資料, 1997)。
マウス精母細胞染色体異常試験、チャイニーズハムスター骨髄小核試験(農薬
登録申請資料, 1981)およびマウス骨髄細胞を用いたin vivo小核試験(農薬登
録申請資料, 2005)で陰性であること、ならびに細菌を用いたin vitro復帰変異試
験で陰性(農薬登録申請資料, 2005,1981)であることから、指針に従い区分外と
した。
IARCでGroup 3に分類されている(IARC 73, 1999)ことから区分外とした。なお、
日本の農薬登録における試験では、ラットを用いた発がん性試験において70~
1000ppmを投与した雌で乳腺腫瘍の発生数が増加した(農薬登録申請資料,
1987)が、後年実施されたラットを用いた試験では最高400ppmの投与量でも投
与に関連した腫瘍の発生は見られなかった(農薬登録申請資料, 1995)。また、
マウスを用いた発がん性試験でも最高3000ppmの投与量で投与に関連した腫
瘍の発生はなく(農薬登録申請資料、1989)、残留農薬安全性評価委員会にお
いて評価された結果、ヒトに対する発がん性の恐れはないと結論されている。
ラットを用いた2世代繁殖試験では生殖毒性は認められなかった(農薬登録申
請資料, 1989)が、催奇形性試験においては、母動物に軽度の毒性影響が見ら
れた最高用量群で、胎仔の不完全化骨の増加が見られた(農薬登録申請資料,
1989)。また、ウサギにおける催奇形性試験においても、母動物に毒性影響が
見られた最高用量群で、胎仔の化骨遅延率の増加が認められた(農薬登録申
請資料, 1987)が、これらはいずれも軽微な影響であるため、指針に従い区分外
とした。なお、残留農薬安全性評価委員会において評価された結果、ヒトに対す
る生殖毒性の恐れはないと結論されている。
付録-53
パブコメ
物質別パブリックコメント
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分外
暴露)
ラットに対する経口投与試験において、活動低下、運動失調、削痩、流涙、鼻
汁、多尿、眼瞼下垂、流涎等の症状がみられ(農薬登録申請資料, 2002)、また
吸入暴露試験でも、活動低下、流涙、鼻汁、多尿、眼瞼下垂、流涎、湾曲姿勢、
呼吸困難、自発運動の低下等の症状がみられ(農薬登録申請資料, 1991,2002)
ているものの、いずれも投与量はガイダンス値の範囲を超えているため、区分
外とした。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分2(心臓、脾 イヌを用いた亜急性毒性試験(52週投与)において、1000ppm(約34mg/kg/day)
暴露)
臓)
で心電図異常と心房拡張、心房筋変性が認められた(農薬登録申請資料,
1991)。これは区分2のガイダンス値範囲内であるため、区分2(心臓)とした。ま
た、ラットを用いた亜急性毒性試験(13週投与)において、500ppm(換算値:34.0
mg/kg(雄)、35.3 mg/kg(雌))の投与で脾臓のヘモジデリン沈着がみられた(農
薬登録申請資料, 2005)。この用量は、ガイダンス値で区分2の範囲内であるた
め、区分2(脾臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
① 第6回公表ID112アトラジン標的臓器/全身毒性(反復暴露)についてのコメント
イヌの亜急性試験における投与量が13週換算で8.5mg/kg/dayと記載されていますが、34mg/kg/dayではないでしょう
か。従って、分類結果は「区分2」に該当すると考えます。
データなし。
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
藻類(緑藻)の72時間EbC50=0.043mg/L(農薬登録申請資料、2005)から、区分
1とした。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=2.61
(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:1%(既
存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。
付録-54
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID113 クロロエチレン
CAS 75-01-4
化管法政令番号 1-77
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類結果
分類できない
分類できない
区分外
分類根拠・問題点
データ不足のため分類できない
データなし
ラットを用いた吸入暴露試験 (ガス) のLC50 108102ppm (SIDS (2001))に基づ
き、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
分類対象外
GHSの定義によるガスであるため、蒸気での吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
GHSの定義によるガスであるため、粉塵・ミストでの吸入は想定されず、分類対
象外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性
区分2
ヒトへの健康影響のデータ (EHC 215 (1999))の記述「erythema and some
second-degree burns which healed without complication.」から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2B
ヒトへの健康影響のデータ (EHC 215 (1999))の記述から、「眼に対して軽度の
可逆的刺激性を有する」と考えられるため、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
5 生殖細胞変異原性
区分2
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
6 発がん性
区分1A
ACGIH(2001)でA1、IARC(1987)でGroup1、EPA(2000)でA、NTP(2005)でK、日
本産業衛生学会で1に分類されていることから、区分1Aとした。
7 生殖毒性
区分2
CERI・NITE有害性評価書 No.75 (2004)の記述から、雄ラットにクロロエチレンを
吸入暴露した試験で、精巣の形態学的変化、精巣の相対重量の低値がみられ
ているが、一般毒性についての記述がないことから区分2とした。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分1(中枢神経 ヒトについては、「錯乱、頭痛、めまい、多幸感、酩酊、麻酔作用、職場を離れた
系)
後での傾眠や過眠症」(CERIハザードデータ集 96-10 (1997))の記述から標的臓
器は中枢神経系と考えらた。
以上より、分類は区分1(中枢神経系)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
区分1(肝臓、神経 ヒトについては、「肝臓腫大、肝線維症、門脈性高血圧、脾臓腫大、めまい、不
系、呼吸器、精 明瞭な視界、手足のひりひり感、四肢の冷感、知覚-運動性の多発神経病を含
巣)
む神経障害、三叉神経知覚性神経症、軽度の錐体路症候、大脳、錐体外路性
運動神経障害、神経衰弱、うつ症状、EEGの変化、肺気腫、肺線維症、レイノー
現象、四肢先端の骨端融解、強皮症」(CERI・NITE有害性評価書 No.75 (2004) )
等の記述、実験動物については、「肝細胞の多形性の有意な増加、肝のう胞の
増加、肝細胞壊死、クッパー細胞の増殖、精巣の精細管障害、精巣における精
上皮の壊死、巨大多核の合胞体細胞を伴う精子形成の乱れ」(CERI・NITE有害
性評価書 No.75 (2004) の)等の記述があることから、肝臓、神経系、呼吸器、精
巣が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当す
るガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は、区分1(肝臓、神経系、呼吸器、精巣)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類対象外
パブコメ
CERI・NITE有害性評価書No.75 (2004)、ATSDR (2004) の記述から、生殖細胞
in vivo経世代変異原性試験で陰性(優性致死試験)、生殖細胞in vivo変異原性
試験なし、体細胞in vivo変異原性試験で陽性(染色体異常試験、小核試験)、
生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、であることから区分2とした。
分類対象外
付録-55
8.標的臓器/全身毒性(単回暴露)
「ヒトについては、「錯乱、頭痛、めまい、多幸感、酩酊、麻酔作用、職場を離れた後での傾眠や過眠症」(CERIハザー
ドデータ集 96-10 (1997))の記述から標的臓器は中枢神経系と考えられ、麻酔作用もみられている。
以上より、分類は区分1(中枢神経系)、区分3(麻酔作用)とした。」
GHSオフィシャルテキストでは“標的臓器/全身毒性(単回暴露)”における区分3の判定基準において次のように記
載されている。
「物質または混合物が上記に示された区分1または2に分類される基準に合致しない特定臓器への影響がある。こ
れらは、曝露の後、短期間だけ、人の機能に悪影響を及ぼし、構造または機能に重大な変化を残すことなく合理的な
期間において回復する影響である」(GHSオフィシャルテキスト 図3.8.1, 日本語仮訳p.188)
①「錯乱、頭痛、めまい、多幸感、酩酊、麻酔作用、職場を離れた後での傾眠や過眠症」はいずれも当該物質の中枢
神経系に対する作用が原因と考えられる。原因を一にする所見については、その重篤度(持続性か一過性か)に応
じて1つの区分に分類すべきと考える。すなわち、区分1の分類基準に合致するのであれば、区分3には分類すべき
ではない。
②また、GHSにおける「危険有害性に関する適切な情報伝達」の実施という観点からも、1つの有害性項目について
複数の区分を設けることは回避することが好ましいと考える。
物質別パブリックコメント
付録1
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分3
区分3
分類根拠・問題点
パブコメ
甲殻類(オオミジンコ)の24時間LC50=80.7mg/L(EHC215、1999)から、区分3とした。
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.46(既存化学物質
安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:3%(既存化学物質安全性
点検データ))ことから、区分3とした。
付録-56
物質別パブリックコメント
ID114 クロロジフルオロメタン
CAS 75-45-6
化管法政令番号 1-85
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類結果
分類できない
分類できない
区分外
分類根拠・問題点
データなし
データなし
ラット吸入 LC50 = 220000 ppm (4hr) (PATTY (5th, 2001) vol.5) に基づき、区分
外とした。
分類対象外
分類対象外
区分3
GHS の定義による気体
GHS の定義による気体
ウサギの試験において、閉塞条件下で液体状で投与した場合にのみ刺激性が
あること (EHC 126 (1991)) 、及び、ラットの繰り返しばく露でも紅斑とわずかな浮
腫 (EHC 126 (1991)、CERI ハザードデータ集 (1996))が見られたことから、区分
3 とした。
【注記】 冷媒効果による凍傷という報告 (ICSC(J) (2002)) もある。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
性
ウサギの試験で、slightly irritating to the eyes (PATTY (5th, 2001) vol.5) とさ
れているので、区分2B とした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
呼吸器感作性 : データなし
皮膚感作性 : モルモットでのマキシマイゼーション法の変法による試験におい
て感作性がないとの記載 (CERI ハザードデータ集 (1996)、EHC 126 (1991)、
PATTY (5th, 2001) vol.5) に基づき、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性
区分外
in vivo 試験 (ラット、マウスを用いる優性致死試験、ラット、マウス骨髄細胞を用
いる染色体異常試験) で陰性 (PATTY (5th, 2001) vol.5, IARC 41 (1988), EHC
126 (1991)) のため、区分外とした。
6 発がん性
区分外
IARC 分類が3、ACGIH 評価がA4 であることから、区分外とした。
7 生殖毒性
区分2B
ラットで親動物に一般毒性が認められた用量で、無眼球症と小眼球症の僅かだ
が有意な増加が報告されている ( DFGOT vol.3 (1991), IRIS (1993))ことから、区
分2とした。
パブコメ
7.生殖毒性
ID114クロロジフルオロメタンの生殖毒性に関するGHS分類を区分1Bと発表されましたが、以下の点で区分判定「1B」
は基準に準拠しておらず、また、区分2にも分類できないと考えます。
1.EFCTCの”Comments on the Developmental Toxicity of Chlorodifluoromethane”(注記)にラットの生殖毒性の発
現状況が次のように記載されています。
・ラットの小眼球症や無眼球症が発現している曝露濃度50,000ppmでは、母獣の体重増加の抑制が認められる。
・ラットの子供の眼の発達は、6日から10日であり、特にこの時期に母獣の体重増加の著しい抑制が認められてい
る。
また、判定基準は以下の通りです。
GHS分類の区分1B:動物実験により得られたデータは、他の毒性作用のない状況で性機能および生殖能または発
生に対する悪影響の明確な証拠があるか、または他の毒性作用も同時に生じている場合には、その生殖に対する
悪影響が、他の毒性作用の原因となった2次的な非特異的影響ではないと見なされるべきである。但し、人に対する
影響の妥当性について疑いが生じるようなメカニズムに関する情報がある場合には、区分2に分類する方がより適切
である。
GHS分類の区分2:できれば他の補足情報もあることが望ましいが、人または実験動物から、他の毒性作用のない状
況で性機能および生殖能あるいは発生に対する悪影響についてある程度の証拠が得られている物質、または、他
の毒性作用も同時に生じている場合には、他の毒性作用が原因となった2次的な非特異的影響ではないと見なされ
るが、当該物質を区分1に分類するにはまだ証拠が充分でないような物質。例えば、試験に欠陥があり、証拠の信頼
性が低いため、区分2とした方がより適切な分類であると思われる場合がある。
EFCTC記載のように、曝露濃度50,000ppmで、母獣への影響が認められているため、GHS分類の区分2の「または」
以降が適用も考えられますが、眼の発達時期に、母獣への影響が認められているため、特異的影響と考えられ、判
定基準により、HCFC-22は、区分1B及び区分2には分類できないと考えられます。重ねて、ラット、ラビット間で発現
結果に相違がありそのメカニズムが充分解明されていないことは、区分1Bの「人に対する影響の妥当性について疑
いが生じるようなメカニズムに関する情報がある場合」に相当し、人への影響ありとは言い難いと考えられます。
2.その他の考察
GHSはハザードで分類されます。EFCTCにも記載されているように濃度50,000ppmのHCFC-22に作業者が長時間曝露
ACGIHのTLV-TWA設定ではNITEが根拠とした1978年の文献が考慮されておらず、判定に用いていないことは、この文
EUの理事会指令の危険な物質のリストにHCFC-22は入っていません。 HCFC-22の生産・消費量が大きいことを考え
NITEの分類根拠にDFGOT Vol.3(1991)が挙げられているが同文献のpp69-70 “7 Manifesto (MAV value, classificatio
以上
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分3 (麻酔作
暴露)
用)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類対象外
動物実験 (ラット、モルモット、サル) で、麻酔作用 (ACGIH (2001), PATTY (5th,
2001) vol.5) が報告されているため、区分3 (麻酔作用) とした。
データ不足のため、分類できないとした。
注記:EFCTCの”Comments on the Developmental Toxicity of Chlorodifluoromethane”は欧州リスク評価に提出された
リスク評価の結論は生殖毒性カテゴリー3とされている。
EFCTC(European Fluorocarbons Technical Committee)は欧州他のフルオロカーボン
製造会社によって欧州化学工業連盟(CEFIC)傘下に組織された。
GHS の定義による気体である。
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
分類できない
分類できない
分類根拠・問題点
データ不足のため分類できない。
データ不足のため分類できない。
パブコメ
付録-57
物質別パブリックコメント
ID116 3-クロロプロペン
CAS 107-05-1
化管法政令番号 1-91
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50=450 mg/kg (SIDS (2003)) に基づき、 区
分4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分5
ラットを用いた経皮投与試験の LC50=2026 mg/kg (SIDS (2003)) に基づき、区
分5とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による液体のため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外とし
た。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分3
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50(2時間)=11 mg/L(環境省リスク評価第2巻
(2003)) (3,500 ppm に相当) より、計算式を適用して LC50 (4時間)=7.8 mg/L
(2,500 ppm に相当) が得られた。この値は、飽和蒸気圧39.3 kPa (20℃) におけ
る飽和蒸気圧濃度 389,000 ppm の 90% よりも低い濃度であることから、ppmの
濃度基準値にしたがって分類し、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
区分1
データなし
SIDS (2003)、CERIハザードデータ集 98-26 (1999) の動物を用いた皮膚刺激性
試験結果の記述「軽度の刺激性を有する」「皮膚に損傷を与える」及び、
CERIハザードデータ集 98-26 (1999) のヒトへの影響の記述「重度の火傷や痛
みを示す」から、刺激の強度は不明だが腐食性があると判断して区分1とした。
なお、入手可能なデータからは細区分は困難である。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
CERIハザードデータ集 98-26 (1999)、SIDS (2003)の動物を用いた眼刺激性試
験結果の記述「軽度の刺激性」及び、ACGIH (7th, 2001) のヒトへの影響の記述
「痛みと角膜の損傷を伴う重度の刺激性を示し、失明の可能性もある」から、本
物質が眼に対して非可逆性の刺激を与える可能性もあると考え、区分1とした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
区分外
6 発がん性
区分2
ACGIH (2001)でA3に分類されていることから、区分2とした。
7 生殖毒性
区分2
CERIハザードデータ集 98-26 (1999) などの記述から、母動物に一般毒性のみ
られる用量で次世代に臍帯ヘルニアなどの奇形がみられ、親動物の一般毒性
についての記述がないが、精子に異常がみられていることによる。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(呼吸器、
暴露)
神経系、腎臓、肝
臓、心臓)、区分3
(麻酔作用)
SIDS (2003)、NTP DB (Access on February 2006)、IARC 71 (1999)の記述か
ら、経世代変異原性試験で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in
vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陰性、であることから区分外とした。
ヒトについては、「肺水腫」(CERIハザードデータ集 98-26 (1999))等の記述、実
験動物については、「活動性の低下、嗜眠、呼吸困難、後肢の麻痺、振戦、痙
攣などの神経症状と、腎臓、肝臓の組織学的障害、心筋及び肝細胞の変性、粘
膜への刺激性、麻酔作用、肺でのうっ血、出血、水腫」(CERIハザードデータ集
98-26 (1999))等の記述があることから、呼吸器、神経系、腎臓、肝臓、心臓を
標的臓器とし、麻酔作用をもつと考えられた。なお、実験動物に対する影響は、
区分1の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、神経系、腎臓、肝臓、心臓)、区分3(麻酔作
用)とした。
付録-58
パブコメ
分類根拠として記載されている内容からは、腐食性とは考えにくい。なお、「痛み」はGHS判定には用いない。また、
腐食性細区分は暴露時間に応じて分類されるべきであり、これが不明なときは区分1だけにとどめるのが適切と考え
る。
他の物質に関しても同様の記載が散見される<第二回公表分に対するコメントでも申し上げた事項>
物質別パブリックコメント
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(神経系、
暴露)
腎臓、心臓、肝
臓)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
ヒトについては、「衰弱、感覚異常、末端の麻痺」(環境省リスク評価第2巻
(2003))、「慢性的な暴露により腎臓毒性(糸球体の膜透過性の変化、尿細管の
変性、乏尿、排尿時の痛み、夜間頻尿)、神経障害 (手、瞼のふるえ、腱や骨膜
反射の増加、多汗、低体温、チアノーゼ、睡眠障害、四肢の感覚異常)、心血管
系への影響 (心筋の収縮の減少と心音の低下及び心雑音、痛み)、肝機能の変
化」(CERIハザードデータ集 98-26 (1999))等の記述、実験動物については、
「肝臓の類洞拡張、肝細胞の腫大、巣状壊死、腎臓の糸球体の変化、尿細管上
皮の壊死、間質の増生、末梢神経線維の変性」(CERIハザードデータ集 98-26
(1999))等の記述があることから、神経系、腎臓、心臓、肝臓が標的臓器と考え
られた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲
でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系、腎臓、心臓、肝臓)とした。
データなし
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分3
区分外
分類根拠・問題点
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間TLm=19780μg/L(環境省リスク評価第3巻、
2004)から、区分3とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:62%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低い(BCF=5.6(既存化学物質安全性点検データ))こと
から、区分外とした。
付録-59
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID121 酢酸ビニル
CAS 108-05-4
化管法政令番号 1-102
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験の LD50=2,900 mg/kg (環境省リスク評価第2巻
(2003)) に基づき、区分5とした。
1 急性毒性(経皮)
区分5
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50=2,335 mg/kg (CERI・NITE有害性評価書
No.60 (2004)) に基づき、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による液体のため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外とし
た。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分4
ラットを用いた吸入暴露試験の LC50(4時間)=11.4mg/L (環境省リスク評価第2
巻 (2003)) (3,184 ppm に相当) に基づくと、3,184 ppm は飽和蒸気圧 11 kPa
(20℃) における飽和蒸気圧濃度 110,000 ppm の90 % より低い濃度であるた
め、ppm の濃度基準値で分類し、区分4とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
区分3
データなし
CERI・NITE有害性評価書 No.60 (2004) のウサギを用いた皮膚刺激性試験の結
果、「軽度の刺激がみられた」から、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
CERI・NITE有害性評価書 No.60 (2004) のウサギを用いた眼刺激性試験結果の
記述「強度の刺激性がみられた」から、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: モルモットを用いたBuehlar法による皮膚感作性試験の結果、
「6/20匹に陽性の反応が得られた」 (CERI・NITE有害性評価書 No.60 (2004)) こ
とから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性
区分2
CERI・NITE有害性評価書 No.60 (2004)、DFGOTvol.21 (2005)、IARC 63
(1995)、ATSDR (1992)、NTP DB (Access on February 2006)の記述から、経世
代変異原性試験なし、生殖細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性、体細
胞in vivo変異原性試験(小核試験、染色体異常試験)で陽性、生殖細胞in vivo
遺伝毒性試験なし、であることから区分2とした。
6 発がん性
区分2
ACGIH (2001)でA3、IARC (1995)でGroup 2Bに分類されていることから、区分
2とした。
7 生殖毒性
区分外
CERI・NITE有害性評価書 No.60 (2004)、IARC 63(1995)、ATSDR (1992)の記述
から、ラット及びマウスの生殖毒性試験、催奇形性試験において、生殖毒性が
ないか、毒性学的な意義が少ない、または最小限な影響のみ誘発する結果が
得られていることによる。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分3(気道刺激 ヒトについては、「呼吸器に対する刺激性が認められた」(CERI・NITE有害性評
暴露)
性)
価書 No.60 (2004))との記載があることから、気道刺激性を有するものと考えら
れた。
したがって、分類は区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分2(呼吸器) ヒトについて、「上気道の炎症」(環境省リスク評価書第2巻 (2003))との記載、実
暴露)
験動物について、「肺炎と鼻炎、鼻腔嗅上皮の萎縮、粘液分泌腺の萎縮、鼻腔
嗅上皮の扁平上皮化生と萎縮、基底細胞の過形成」(CERI・NITE有害性評価書
No60 (2004))との記載があることから、上気道を中心とした呼吸器が標的臓器と
考えられる。なお、実験動物に対する影響は区分2のガイダンス値の範囲でみら
れた。
以上より、分類は区分2(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
付録-60
パブコメ
標的臓器(単回暴露)区分3(「気道刺激性」)の分類基準としては、次のような留意事項が記載されている。「「刺激
性」という単なる漠然とした報告については、この用語は、この分類のエンドポイントの範囲外にある臭い、不愉快な
味、くすぐったい感じや乾燥といった感覚を含む広範な感覚を表現するために一般に使用されるので除外すべきであ
る」(GHSオフィシャルテキスト 3.8.2.2.1(c))。したがって、根拠となる情報が「刺激性」のみの記載に留まる場合、区
分3とするのではなく「分類できない」と結論付けるのが妥当と考える。
物質別パブリックコメント
付録1
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分2
区分外
分類根拠・問題点
魚類(ヒメダカ)の96時間LC50=2.39mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2005)か
ら、区分2とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:90%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.73(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-61
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID128 1,2-ジクロロエチレン
CAS 540-59-0
化管法政令番号 1-118
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
1,2-ジクロロエチレン(混合物)のデータはないが、trans-1, 2-ジクロロエチレン
を用いたラットにおける経口投与試験の LD50=1,275 mg/kg (ACGIH (7th,
2001)), 7,900 mg/kg , 10,000 mg/kg (ATSDR (2001)) より計算式を適用して求め
た LD50=2080 mg/kg に基づき、区分5とした。
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分外
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
区分2
データなし
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外と
した。
1,2-ジクロロエチレン(混合物)のデータはないが、trans-1, 2-ジクロロエチレン
を用いたマウスにおける吸入暴露試験の LC50 (6時間) =86.24 mg/L(ACGIH
(7th, 2001)) より、計算式を適用して LC50 (4時間)=26,610 ppm が得られた。飽
和蒸気圧濃度(20℃) 180 Torr (ACGIH (7th, 2001)) であるとき、計算式より、飽
和蒸気圧濃度は238,000 ppm である。今回用いたLC50は飽和蒸気濃度の90%
より低い濃度なので「ミストがほとんど混在しない蒸気」としてppm濃度基準値で
分類し、「区分外」とした。
データなし
1,2-ジクロロエチレン(混合物)のデータはないが、trans-1, 2-ジクロロエチレン
を用いたウサギの皮膚刺激性試験の結果に「中等度の刺激性を示した」(CERI
ハザードデータ集 2000-46 (2001))
という記述があることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2A
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
5 生殖細胞変異原性
区分外
1,2-ジクロロエチレンのデータはないが、trans-1, 2-ジクロロエチレンを用いたウ
サギの眼刺激性試験の結果の記述に「中等度の刺激性を示した。」(CERI ハ
ザードデータ集 2000-46 (2001))
という記述があることから、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
NTP TOX55 (2002)の記述から、経世代/生殖細胞in vivo変異原性試験で陽性
の結果がなく、体細胞in vivo変異原性試験で陰性の結果があることによる。
区分2(理由:IARCで2B)となっておりますが、私どもの調べた限りでは、当該物質はIARCでランク付けされていな
いと思います。
IARCで2Bの根拠を再確認され、IARCでランク付けされていないようであれば、
「分類できない」としていただきたい。
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
分類できない
データなし
区分1 (中枢神経 ヒトについては、「吐き気、嘔吐、ふるえ、上腹部の圧迫、中枢神経の抑制」
系)
(CERIハザードデータ集 2000-46 (2001))等の記述、実験動物については、
「Swimming testにおいて行動能の45% 喪失」(ATSDR (1996))等の記述があるこ
とから、標的臓器を中枢神経系とした。なお、実験動物への影響は、区分 1に相
当するガイダンス値の範囲であった。
以上より、分類は区分1(中枢神経系)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
区分2(血液系)
実験動物については、「全血球算定、赤血球、ヘモグロビンおよびヘマトクリット
の顕著な減少」(ATSDR (1996))等の記述があることから、標的臓器を血液系と
した。なお、実験動物への影響は区分 2に相当するガイダンス値の範囲であっ
た。
以上より、分類は区分 2(血液系)とした
分類できない
データなし
10 吸引性呼吸器有害性
パブコメ
データなし
付録-62
物質別パブリックコメント
付録1
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
区分2
分類結果
11 水生環境有害性(慢性)
区分2
分類根拠・問題点
パブコメ
甲殻類(ブラインシュリンプ)の24時間LC50=0.07mmol/L(AQUIRE、2003)(mg/L換算値:
6.79mg/L)から、区分2とした。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2(PHYSPROP Database、
2005))ものの、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(HSDB、2004))ことから、区分
2とした。
付録-63
物質別パブリックコメント
ID134 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸 CAS 94-75-7
化管法政令番号 1-131
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類実施日
分類実施機関
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットLD50値(420mg/kg:農薬登録申請資料、1992)より区分4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分5
本物質のデータはないが、本物質のナトリウム塩のラットLD50値(>2000mg/kg:
農薬登録申請資料、1992)より、区分5とした。なお、区分5の範囲は2000<区分
5=<5000mg/kgであり、LD50値が特定されていないため、区分外とせず安全
サイドをとった。
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
区分4
GHSの定義における固体。
データなし。
本物質のデータはないが、ナトリウム塩およびジメチルアミン塩のラットLC50値
はそれぞれ>0.64mg/Lおよび>3.7mg/L(2.7mg/Lで死亡例なし)であったこと
(0.89mg/L/4h:農薬登録申請資料、1992)より、区分4とした。
2 皮膚腐食性・刺激性
区分3
本物質のナトリウム塩を用いたウサギ皮膚刺激性試験において軽度の刺激性
がみられた(農薬登録申請資料、1985)ことから、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
性
本物質のナトリウム塩を用いたウサギ眼刺激性試験において軽度の刺激性が
みられた(農薬登録申請資料、1985)ことから区分2Bとした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし。
皮膚感作性:本物質のナトリウム塩を用いたモルモットMaximization試験におい
て陰性(農薬登録申請資料、1990)であったことから区分外とした。
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
区分外
6 発がん性
区分外
マウスおよびラットにおいて発がん性は認められなかった(農薬登録申請資料、
1998)ことから、区分外とした。
7 生殖毒性
区分2
ラット2世代繁殖性試験において、母動物に影響が認められる用量で子動物の
生存率の減少が認められた(農薬登録申請資料、1998)ことから、区分2とした。
なお、ラットおよびウサギにおいて催奇形性は認められなかった(農薬登録申請
資料、1998)。
データ不足のため。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分2(肝)
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
マウス骨髄小核試験において陰性(農薬登録申請資料、1995)であったことから
区分外とした。なお、in vitro変異原性試験(Ames試験および染色体異常試験)
においても陰性(農薬登録申請資料、1992)であった。
ラット90日間混餌投与試験において100mg/kg以上で肝(肝細胞肥大)、
300mg/kgで眼(白内障)への影響がみられ、また、イヌ90日間混餌投与試験に
おいて、7.5mg/kg/dayで肝(慢性活動性炎症)への影響がみられた(農薬登録
申請資料、1998)。肝への影響はラットでは区分2のガイダンス値範囲上限で、
イヌでは区分1のガイダンス値内で認められたが、ラットを用いた2年間慢性毒
性・発癌性併合試験において150mg/kgで眼球(網膜変性)、肝(肝細胞肥大、好
酸性増加)、肺(炎症)への影響がみられたものの(農薬登録申請資料、1998)、
いずれも区分2のガイダンスの範囲外であったこと、イヌでの肝臓の所見は、雌
雄とも各4例中1例に認められたもので、その程度も中等度であったことから、区
分1への分類を支持する重大な毒性影響とは判断されず、区分2(肝)とした。
データなし。
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
付録-64
パブコメ
分類結果:区分3となっていますが、ラットLD50値 420mg/kgであれば、300mg/kg以上であることから、区分4にすべき
である。
分類結果:区分3となっているが、分類根拠・問題点では区分4となっているので、分類結果は区分4とすべきである。
物質別パブリックコメント
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
魚類(マスノスケ)の96時間LC50=0.373mg/L(EHC84、1989)から、区分1とした。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF<10.1(既存化学物質安全性
点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全
性点検データ))ことから、区分1とした。
付録-65
付録1
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID149 N,N-ジメチルホルムアミド CAS 68-12-2
化管法政令番号 1-172
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験の LD50=4,200 mg/kg (環境省リスク評価第1巻
(2002)), 3,040 mg/kg (SIDS (2004)), 3,000 mg/kg, 3,920 mg/kg, 4,000 mg/kg,
4,320 mg/kg, 3,200 mg/kg, 7,170 mg/kg (EHC 114 (1991)) より、 3,370 mg/kg
と算出された。この値から、区分5とした。
1 急性毒性(経皮)
区分5
ラットを用いた経皮投与試験の LD50=5,000 mg/kg, 11,140 mg/kg, 11,000
mg/kg (EHC 114 (1991)), 3,500 mg/kg (環境省リスク評価第1巻 (2002))より、
4,390 mg/kg と算出された。この値から、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類対象外
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は推定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
分類できない
区分外
データ不足のため分類できない。
データ不足のため分類できない。
動物を用いた皮膚刺激性試験結果の記述に「刺激性はみられなかった」(CERI・
NITE有害性評価書 No.8 (2005) ) とあり、区分外とした。ただし、ヒトの事故で皮
膚の刺激性が報告されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分1
ウサギを用いた眼刺激性試験により、「75-100%の水溶液ではより強度の刺激
性を示した」、「14日目までに、軽度の結膜の発赤、中等度の角膜傷害が、重度
の損傷、軽微な表面の変形、角膜下血管新生の領域と共にみられた」(EHC 114
(1991)) という記述から、眼に重篤な損傷性を有すると考えられ、区分1とした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: モルモットを用いたMaximization法による試験の結果、「反応が
なかった」 (EHC 114 (1991)) という記述があるが、陰性のデータが1つしかない
ため、分類できない とした。
5 生殖細胞変異原性
区分2
CERI・NITE有害性評価書 No.8 (2005)の記述から、経世代変異原性試験で陰
性、生殖細胞in vivo変異原性試験がなく、体細胞in vivo変異原性試験で陽性の
結果があり、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験がないことによる。
6 発がん性
7 生殖毒性
分類できない
区分1B
IARC 71(1999)がグループ3、ACGIH-TLV(2005)がA4に分類されているが、平成
17年の厚労省通達では動物実験によりがん原性を示すと報告されている
動物
CERI・NITE有害性評価書
No.8 (2005)から、親動物に一般毒性影響のみられな
い濃度で、次世代に奇形 (口蓋裂、外脳症、水頭症、蝶形骨欠損、癒合肋骨、
尾欠損)などがみられていることによる。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分1(肝臓)、区 ヒトについては「摂食障害、嘔吐、腹部、腰部、大腿部の痛みがみられ、症状が
分2(呼吸器)
消えた後でも肝臓で線維化、組織球の集簇」(CERI・NITE有害性評価書No.8
(2005)) の記述があり、実験動物では「肺胞壁の肥厚」(CERI・NITE有害性評価
書No.8 (2005))等の記述があることから、肝臓、呼吸器が標的臓器と考えられ
た。なお実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲で見
られた。
以上より分類は区分1(肝臓) 区分2(呼吸器)とした
付録-66
パブコメ
6.発がん性
<コメント>
平成17年6月14日厚労省通達(基発第0614001号)において、参考1のDMFのデータで、『がん原性を示す明らかな証
拠が示された』ので、『N,N-ジメチルホルムアミドによる健康障害を防止するための指針』を出している。
公表検討している母体である省庁の通達データが生かされずに結果が出たのか、通達データに信頼性が無いと判
断したので考慮外になったのか、それともどこかで既に修正されているのか。公表データの信頼性は本当にあるの
か。
このままラベル作成を行なうと、至近でラベル改訂が多発する事態になり、企業側に多大な負担を招くことになる。
早急に区分外とした理由を公開し、齟齬の無いようにして欲しい。
<公表内容>
発がん性分類結果:区分外
発表根拠:IARC 71(1999)がグループ3、ACGIH-TLV(2005)がA4に分類されていることによる。
<厚労省通達>
平成17年6月14日発
厚生労働省労働基準局長通達:基発第0614001号(添付)
『N,N-ジメチルホルムアミドによる健康障害を防止するための指針、アントラセンによる健康障害を防止するための
指針の一部を改正する指針等の閲覧及び周知について』
(参考1)
日本バイオアッセイ研究センターにおける厚生労働省委託のN,N-ジメチルホルムアミドのラット及びマウスを用
いた吸入投与によるがん原性試験結果の概要(抄)
・雌雄ともに200ppm以上で肝臓の肝細胞腺腫や肝細胞癌の発生増加が認められ、N,N-ジメチルホルムアミド
のラットの雌雄に対するがん原性を示す明らかな証拠が示された。
・また、マウスでは、雌雄ともに200ppm以上で肝臓の肝細胞腺腫や肝細胞癌及び肝芽腫の発生増加が認めら
れN,N-ジメチルホルムアミドのマウスの雌雄に対するがん原性を示す明らかな証拠が示された。
物質別パブリックコメント
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
区分1(肝臓)
分類できない
付録1
ヒトについては「肝機能障害」、「アルコール不耐性の兆候が見られた.」(IRIS
(1990))、「肝障害の増加ASTまたはALTの上昇」、「限局性肝細胞壊死、滑面小
胞体の微小胞の脂肪変性」の記述があり、実験動物では「小葉中心性の肝細
胞肥大」(NTP TOX22 (1992))、「急性肝細胞傷害を示唆する」、「SGPT 及び
SGOT 活性の上昇、幼若動物の肝臓に病理組織学的な変化」(IRIS (1990))、
「100 ppm 以上: ALP 活性上昇200 ppm 以上: ALT 活性上昇」、「200 ppm 以上:
肝臓の単細胞壊死」(CERI・NITE有害性評価書No.8 (2005))等の記述がある。な
お実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲で見られ
た。
以上より分類は区分1(肝臓)とした。
データなし
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
区分外
分類結果
魚類(ヒメダカ)の96時間LC50>100mg/L(環境省生態影響試験、1995)他から、区分外と
した。
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(慢性)
区分外
難水溶性でなく(水溶解度=1.00×106mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性
が低いことから、区分外とした。
パブコメ
付録-67
物質別パブリックコメント
ID151 スチレン
CAS 100-42-5
化管法政令番号 1-177
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
ラットの経口投与試験のLD50 5,000 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書No.52
(2004))に基づき、区分5とした。
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類できない
分類対象外
データなし
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分4
ラットを用いた吸入暴露試験(蒸気)LC50 11.7mg/L(4時間)、11.9mg/L (4時間)
((CERI・NITE有害性評価書No.52(2004))に基づき、計算式を適用し、LC50(4時
間換算値)の2770 ppmが得られた。飽和蒸気圧0.67kPa(CERIハザードデータ集
96-46(1998)における飽和蒸気圧濃度は6600 ppmである。今回得られたLC50
は、飽和蒸気圧濃度の90%よりも低い濃度なので「ミストがほとんど混在しない
蒸気」として、ppm濃度基準値で区分4とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
区分2
データなし
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、「中等度の刺激性を有する」としてい
ることから区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2A
CERI・NITE有害性評価書 No.52(2004)の、ヒト疫学事例及びウサギを用いた眼
刺激性試験の結果、「中等度の刺激(7日間持続)」から、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
5 生殖細胞変異原性
区分2
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
6 発がん性
7 生殖毒性
IARC(2002)で2Bに分類されていることから、区分2とした。
「CERI/NITE有害性評価書No52(2004)においてラット三世代繁殖試験におい
て、FOに影響しない用量で、F1,F2に新生児期生存率低下が見られる」との記述
があることを理由としている。 しかし、原著の著者はスチレン投与に関与した生
殖毒性は見られなかった(Beliles et al.,1985)と有害性評価書No52に記述があ
り、さらに生殖毒性、発生毒性のまとめには「ラットを用いた経口(飲水)投与に
よる三世代繁殖試験で、FO,F1,F2,F3のいずれの世代においてもスチレン投与
に関連した生殖毒性はみられず」と記述されている。また、OECD SIDSの評価
では、全体としてヒトの生殖に対するスチレン影響の証拠は存在しないと結論づ
けられている。これらの結果を総合的に判断して、区分外とした。
区分2
区分外
ACGIH (7th, 2001)、CERI・NITE有害性評価書 No.52 (2004)の記述から、生殖
細胞in vivo経世代変異原性/変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験
(染色体異常試験、小核試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし(マウ
スの脳、肝臓、腎臓、肺、精巣の細胞を用いたDNA一本鎖切断試験(No.36)で
の陽性結果に関しては生殖細胞(germ cell)に限定して調べたかが明確でない
ため分類には使用しない(専門家判断済))であることから区分2とした。
付録-68
パブコメ
RTECSのラットのLD50値を基準に分類されているが、Primary 資料であるCERI/NITE
有害性評価書No52(2004)では5,000 mg/kgとなっている。この値を基準値として使用すべきで
はないか。
RTECSのラットのLC50値を用いた計算値を根拠に分類されているが、Primary 資料である
CERI/NITE有害性評価書No52(2004)では2770-2800 ppmとなっている。この値を基準値と
して評価すれば区分4が妥当である。
CERI/NITE有害性評価書No52(2004)に「体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験、
小核試験)で陽性」との記述があることを根拠としているが、これらの試験については陽性・
陰性の両方の結果があり、遺伝毒性の可能性があると判定をすることに疑義があります。
OECDのSIDSでは以下のように記述されています。
① スチレンではin vivoの染色体異常について網羅的に調べられている。ラット、マウス及びChinese hamsterの骨髄
の試験で陰性の結果が得られている。11週間繰り返し投与の9~11週で染色体異常が増加したという報告があ
る。この報告の結果は2-8週の結果が報告されてこと、他の幾つかの染色体異常試験で陰性となっていることから
信頼できない。
② 幾つかの小核試験で陰性であることが報告されている。わずかに小核が増加したとされる報告には動物が死ぬ
ような高用量で曝露した後であることが記載されている。この結果はスチレンが変異原性とする証拠とは考えられな
い。
③ SCE試験では一般的に陽性である。しかし、殆どの場合同時に評価した染色体異常や小核試験で陰性の結果が
得られている。従ってSCEの知見と遺伝毒性の関連は不明確である。
④ 結論として、最近のin vivo小核試験と細胞遺伝的評価からスチレンは骨髄に遺伝毒性はないとの証拠がある。
全体的な結論として実験動物やヒトの研究結果からスチレンはin vitroでは遺伝毒性を
示すが、in vivoでは示さない。
生殖細胞変異原性については非該当に分類するのが妥当であると考えます。
枠外参照
物質別パブリックコメント
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分1(中枢神経 ヒトについての「眼、鼻に対する刺激性、中枢神経系に対する影響」(EHC 26
系)、区分3(気道 (1983)、CERIハザードデータ集 96-46 (1998))等の記述から、中枢神経系が標
刺激性)
的臓器と考えられ、鼻部への刺激影響が示されている。
以上より、分類は区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
区分1(呼吸器、 ヒトについて、CERI・NITE有害性評価書 No.52 (2004)で「ヒトでの事例や疫学調
神経系、血液系、 査では、暴露量が明確でないことや他の物質との複合暴露の可能性もあるた
肝臓)
め、明確に結論づけることは困難である。」としながらも、「スチレンは、眼、皮
膚、鼻、咽喉に刺激性を示し、呼吸器への影響として閉塞性肺障害、慢性気管
支炎等を引き起こす。また、めまい、頭痛、疲労感、錯乱、不眠などの中枢神経
系への作用、反応時間、言語性記憶の低下などの精神神経機能への影響、視
覚・聴覚への影響、リンパ球数増加、血小板数の減少などの血液系への影響、
AST、GGT、ALT 活性上昇などの肝臓への影響もみられている。」との記述が
あり、呼吸器、神経系、血液系、肝臓が標的臓器と考えられた。なお、CERI・
NITE有害性評価書 No.52 (2004)では実験動物についても「鼻腔粘膜、気管粘
膜の上皮細胞空胞化及び細胞の剥脱、核濃縮」、「尾部末梢神経伝達速度
SCV(sensory nerve conduction velocity)の低値」、「肝細胞壊死」等の記載があ
る。
区分1
炭化水素であり、動粘性率は0.772mm2/s (25℃) (CERI計算値)である。
よって、区分1とした。
10 吸引性呼吸器有害性
付録1
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分2
区分外
分類根拠・問題点
パブコメ
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=4.02mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2004)他
から、区分2とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:100%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ
生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2.95(PHYSPROP Database、2005))ことから、
区分外とした。
7.生殖毒性
(1)「CERI/NITE有害性評価書No52(2004)においてラット三世代繁殖試験において、FOに影響しない用量で、F1,F2に新生児期生存率低下が見られる」との記述があることを理由としている。
しかし、原著の著者はスチレン投与に関与した生殖毒性は見られなかった(Beliles et al.,1985)と有害性評価書No52に記述があり、さらに生殖毒性、発生毒性のまとめには「ラットを用いた経口(飲水)投与による三世代繁殖試験で、
FO,F1,F2,F3のいずれの世代においてもスチレン投与に関連した生殖毒性はみられず」と記述されている。有害性評価書の記述の一部のみを取り出し根拠とするのは全体の結論と整合性を欠くことになり、不適切である。
(2) もう一つの理由として、Kishiらの文献が引用されている。引用文献の一つ1992bは講演要旨で、具体的なデータは記載されていない。又、脳の神経伝達物質の濃度に差があったこと(1992a)を根拠としている。1992aの報告は試験群あた
りのリッター数が大きく異なる(対照群14、50ppm群3、300ppm群7)、神経伝達物質の評価に使用した仔をどのようにして選択したか不明である。妊娠中曝露試験の場合、統計処理はリッターを単位として行うべきであるが、仔を単位に行わ
れている。
根拠とされた影響は試験の設計やデータの処理に不適切な点があり、証拠の重みとして弱い。
(3) OECD SIDSの評価では、全体としてヒトの生殖に対するスチレン影響の証拠は存在しないと結論づけられている。
(4) 2005年に生殖毒性と発達神経毒性試験をコンバインドしたラット2世代吸入試験の結果が公表された。濃度は,0, 50,150,500 ppm。試験動物数は25匹/性/投与群。曝露期間はF0及びFIの雌は妊娠期間及び授乳期間続けられた。
150ppmと500ppmで親動物の体重増加のわずかの減少が認められたが、F0, F1とも繁殖に関係する項目には影響が認められなった。(*)
F1とF2について発達神経毒性に関する評価(機能観察バッテリー、自発運動量、驚愕応答、学習記憶、脳組織)がなされた。(**) F2で若干の生育の遅れが認められた以外はスチレンの投与起因する影響は認められなかった。F2の
生育の遅れは母動物の体重減少の影響と考えられる。発達神経毒性に関するNOAELは500 ppmである。
(*)Crusan et al.; Two generation reproductive study of styrene by inhalaton in Crl-CD rats. Birth Defects Res B Dev Reprod Toxicol. 2005 Jun; 74(3) p211-20
(**)C
t l D l
t l
t i it t d f t
b i h l t i C l CD t Bi th D f t R B D R
d T i l 2005 J
74(3) 221 32
付録-69
物質別パブリックコメント
(**)Crusan et al.; Developmental neurotoxicity study of styrene by inhalaton in Crl-CD rats. Birth Defects Res B Dev Reprod Toxicol. 2005 Jun; 74(3) p221-32
(5) NTPのCERHRは2005年6月にスチレンの生殖毒性と発生毒性に関する評価を実施し、
以下の結論を出している。*
① ヒトのデータはスチレンに発生毒性があると結論するには不十分である。実験動物では
スチレンが発生毒性である可能性は殆どないか、ないことを示唆している。
② ヒトのデータはスチレンに生殖毒性があると結論するには不十分である。実験動物のデ
ータはスチレンが生殖毒性物質でないと結論するに十分である。
* NTP-CERHR Expert Panel Report on the Reproductive and Developmental Toxicity
of Styrene; June 205
上記より、スチレンを生殖毒性1Bに分類するのは妥当でなく、生殖毒性物質
には該当しないと分類するのが適切と考えます。
付録-70
付録1
物質別パブリックコメント
ID151 スチレン
CAS 100-42-5
化管法政令番号 1-177
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
ラットの経口投与試験のLD50 5,000 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書No.52
(2004))に基づき、区分5とした。
データなし
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分4
ラットを用いた吸入暴露試験(蒸気)LC50 11.7mg/L(4時間)、11.9mg/L (4時間)
((CERI・NITE有害性評価書No.52(2004))に基づき、計算式を適用し、LC50(4時
間換算値)の2770 ppmが得られた。飽和蒸気圧0.67kPa(CERIハザードデータ集
96-46(1998)における飽和蒸気圧濃度は6600 ppmである。今回得られたLC50
は、飽和蒸気圧濃度の90%よりも低い濃度なので「ミストがほとんど混在しない
蒸気」として、ppm濃度基準値で区分4とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
区分2
データなし
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、「中等度の刺激性を有する」としてい
ることから区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2A
CERI・NITE有害性評価書 No.52(2004)の、ヒト疫学事例及びウサギを用いた眼
刺激性試験の結果、「中等度の刺激(7日間持続)」から、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
5 生殖細胞変異原性
区分2
6 発がん性
7 生殖毒性
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
パブコメ
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
ACGIH (7th, 2001)、CERI・NITE有害性評価書 No.52 (2004)の記述から、生殖
細胞in vivo経世代変異原性/変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験
(染色体異常試験、小核試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし(マウ
スの脳、肝臓、腎臓、肺、精巣の細胞を用いたDNA一本鎖切断試験(No.36)で
の陽性結果に関しては生殖細胞(germ cell)に限定して調べたかが明確でない
ため分類には使用しない(専門家判断済))であることから区分2とした。
区分2
IARC(2002)で2Bに分類されていることから、区分2とした。
区分1B
CERI・NITE有害性評価書 No.52 (2004)の記述から、ラットの三世代繁殖試験
において、F0に影響のない用量で、F1 、F 2に新生児期生存率低下がみられて
いること、さらに、ラットの発生毒性試験及び授乳期投与試験で母毒性のみられ
ない用量で児動物に大脳セロトニンの減少、立ち直り反射及び聴覚反射の遅延
など多くの行動的検査に異常がみられていることから区分1Bとした。
区分1(中枢神経 ヒトについての「眼、鼻に対する刺激性、中枢神経系に対する影響」(EHC 26
系)、区分3(気道 (1983)、CERIハザードデータ集 96-46 (1998))等の記述から、中枢神経系が標
刺激性)
的臓器と考えられ、鼻部への刺激影響が示されている。
以上より、分類は区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性)とした。
区分1(呼吸器、 ヒトについて、CERI・NITE有害性評価書 No.52 (2004)で「ヒトでの事例や疫学調
神経系、血液系、 査では、暴露量が明確でないことや他の物質との複合暴露の可能性もあるた
肝臓)
め、明確に結論づけることは困難である。」としながらも、「スチレンは、眼、皮
膚、鼻、咽喉に刺激性を示し、呼吸器への影響として閉塞性肺障害、慢性気管
支炎等を引き起こす。また、めまい、頭痛、疲労感、錯乱、不眠などの中枢神経
系への作用、反応時間、言語性記憶の低下などの精神神経機能への影響、視
覚・聴覚への影響、リンパ球数増加、血小板数の減少などの血液系への
区分1
炭化水素であり、動粘性率は0.772mm2/s (25℃) (CERI計算値)である。
よって、区分1とした。
付録-71
枠外参照
枠外参照
枠外参照
物質別パブリックコメント
付録1
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分2
区分外
分類根拠・問題点
パブコメ
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=4.02mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2004)他
から、区分2とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:100%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ
生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2.95(PHYSPROP Database、2005))ことから、
区分外とした。
5.生殖毒性変異原性
カテゴリー2の分類基準
“ 哺乳類を用いるin vivo体細胞変異原性試験;又はin vitro変異原性試験の陽性結果により裏付けられたその他のin vivo体細胞試験”
GHSの他の基準は“用いられた曝露経路との関連性...ヒトの曝露経路と比較して、当該化学物質の試験に用いられた曝露経路が妥当かも考慮されるべきである
試験研究
異なるエンドポイントをカバーする多くの試験があるが、 in vivo体細胞試験(染色体異常、小核試験)については、検証された試験に基づく結果は全て陰性である。加えて、最近の試験は全て吸入曝露による試験である。
DNA付加、遺伝子ストランド破断やSCEのような指標試験において影響が報告されている。
変異原性試験に関する国際的なガイドライン(Speit and Henderson,2005)によれば,指標試験よりも検証されたin vivo試験の方に重きを置くべきであるとしている。
ヒト及び実験動物の遺伝子毒性/変異原性に関して、EUリスクアセスメントレポー(EAR; ドラフト、2000年1月)では以下のように要約し、結論づけている。
ヒト:種々の指標的エンドポイントについて
“極めて低いレベルのDNA付加物....(しかし)...これらは注意深して見なければらない”
“幾つかのDNA損傷の証拠”がある
“これらのエンドポイントは曝露の指標であり、遺伝的な影響と関連付けるべきでない”
“実験動物ではSCEが誘導されているが、(ヒトでは)陽性応答の証拠を提供していない”
他のタイプの試験についてRERは以下のようにまとめている。
“遺伝子変異を評価する研究の数は限られており、結論を導き出すことは困難である...” “5つの研究はスチレンが弱い染色体異常誘発性を持つかもしれない
証拠を示している...(しかし)11の確固とした試験では陰性である。...”“小核の誘導については陰性である...”
“ ヒトにおけるin vivoの染色体異常に関して明確な結論は導き出せない”
in vitro 試験: “少なくとも幾つかの系でスチレンはin vitroでは弱い遺伝子毒性の可能性を持っている”
実験動物: “ 実験動物でスチレンが染色体異常を引き起こすとのしっかりした証拠はない...(そして)まとめとして、in vivoの染色体異常試験と小核試験では陰性である。...”
“SCE試験の一般的パターンは陽性であるが...しかし、...殆どの場合同時に試験した染色体異常及び/又は小核は陰性である”
“ DNAへの結合は非常に弱く、標的組織への特異性を示さない”
“ アルカリ不安定性の一本鎖切断の誘導...その意味は明確でない”
“ 指標的な試験において弱い陽性の知見がある一方で...in vivoのUDS試験では遺伝子毒性を示さない”
リスクアセスメントレポートの結論は
“ 全体的な結論、...in vivoでは変異原性/染色体異常誘発性のしっかりした証拠はない”そして“スチレンがヒトで変異原性をしめすとのしっかりした証拠もない”
CERI/NITE(2004)及びACGIH(2001)の評価に関して、最近のUDS試験および小核試験は考慮されていない。
脚注:1978以降、陽性を示した単独の染色体異常試験には大きな欠点がある;小核試験で陽性とされているものは明確な陽性影響があるとは言えない。例をあげるならば、Vodickaら(2001)の陽性の試験はこの著者及び他の科学者により再
結論:
証拠全体の重みに準拠すれば、生殖細胞変異原性に対するGHS分類基準を満たしていない。
付録-72
物質別パブリックコメント
付録1
6.発がん性
関連する発がん性試験:マウスの吸入試験において肺の腫瘍が観察された
GHSの判断基準
GHSでは“ヒトに対する懸念レベルを低下させる要因”を指定している。言い換えればこれらの重要な要因を満たさなければ、当該の分類に至らないということである。
分類する際に考慮される重要な要因に含まれるもの:
“腫瘍の種類およびバックグラウンド発生率”:スチレンで認められる腫瘍の種類は肺の一般的な腺腫である、即ち良性;投与量に対して統計的有意性がない。
“複数部位における反応”;腫瘍は肺でしか認められない
“病変から悪性腫瘍への進行”:オスでは悪性腫瘍の発生率は増加していない。メスでは40 ppmと160 ppmの群だけに悪性腫瘍が認められ、160 ppmだけが参照群にくらべて統計的に有意である。
“腫瘍発生までの潜伏期間の短縮”:腫瘍は12ケ月と18ケ月では認められない。即ち晩年に発生している。
“反応は単一種のみか、それとも幾つかの種にも認められるか”:腫瘍はマウスでのみ認められる。ラットでは吸入を含む試験においてネガティブである(8件の長期試験)。
“ 実験動物とヒトの代謝の比較 ”そして最も重要な
“ 変異原性、成長刺激を伴った細胞毒性、有糸分裂生起などの作用機序およびヒトとの関連性”
スチレンはin vivoで変異原性でないし、以下によればマウスの腫瘍発生は非遺伝子毒性的であるとの証拠がある。ラットでは何故腫瘍が発生しないのかを説明し、マウスにおける腫瘍形成の機序を解明するための多くの研究がされてい
る。そしてマウスの特異的な作用機序はヒトには関連がないとの結論が得られている。IPCS(2005)によればスチレンの肺腫瘍に関連する鍵となる作用は
“ 成長刺激を伴う肺細胞毒性では、クララ細胞が標的細胞である”
・増殖;ラットやヒトに比べてクララ細胞の数が多いマウスの生理的な差
・マウスのクララ細胞は、スチレンオキサイドや4-ビニルフェノーロへの代謝活性がラットやヒトの肺よりもと高いいう細胞レベル薬理動態の差。
・げっ歯類のミクロゾームのエポキシ水素化酵素と細胞内グルタチオンS転化酵素の両方によりおこるスチレンオキサイドの無毒化。ヒトでは、後者はわずか0.1%と見積 もられ、スチレンの無毒化は殆どエポキシ水素化酵素によるものであ
る。これらの無毒化の経路の種差はおそらくマウスの感受性が、ラットやヒトに比べて、高いことに起因する
・グルタチオン抑制のような薬理作用の差 (すなわちマウスではラットよりもグルタチオン抑制が支配的である)、そしておそらく、この差がマウスの細胞レベルにおいてクララ細胞を損傷に対して高感受性にしている。一方、ヒトではグルタチ
IPCSの結論
“ マウスの発がんに関連する全てのキーとなる事象はヒトでは機能していないので、最終的に腫瘍に至る初期の解剖学的、生化学的変化はヒトに起こるとは思われない。”
EUリスクアセスメントレポートも同様に結論している:
“ 広範な疫学調査からはスチレンの長期曝露がヒトの肺損傷や肺がんを引き起こすとの証拠はない。”
“ マウスの肺でスチレンの長期曝露の結果としておこる現象はヒトの場合再現されない。この仮定された作用機序にはいくらか不確実な点もあるが、このリスクアセスメントで検討されたもののように証拠づけされた他の代替モデルはない。
そして、最終的に“マウスで認められた肺腫瘍が、ヒトの健康に何らかの関連性がありそうにないと結論することは合理的である”
従って、このEUの評価の結論は:発がん性に分類されない。
EUとIPCSの結論に加えて、ハーバードリスク分析センターは“ヒトの疫学的データはスチレンに曝露されたヒトの肺がん有害影響を支持しない”と結論している。
IARCのグループ2Bの評価に関してはいくつかの重要な観点が考慮されるべきである。
+2002年のIARCの評価以降、マウスの腫瘍がヒトとの関連性がないことを示唆する作用機序を支持するさらなる研究と同様に、変異原性/遺伝子毒性に関する重要な新しい知見が得られている。
+GHSでは、評価は“証拠全体の重み”又は“他の情報を考慮した証拠の強さ” に基づくことを強調している。他方、IARCのアプローチは主に“証拠の強さ”によっている。
+IARCの基準と比べてGHSは作用機序/メカニズムを重要視している。
結論:
証拠全体の重みとGHSの基準に基づく:発がん性に分類しない。
付録-73
物質別パブリックコメント
付録1
7.生殖毒性
GHSの基準:
“実験動物により得られたデータは、他の毒性作用のない状態で悪影響の明確な証拠がある(区分1B)か、又は他の毒性作用も同時に生じている場合その生殖に対する悪影響が他の毒性作用が原因となった2次的な非特異的影響ではな
いとみなされるべきである”...“...又は他の毒性作用のない状況で実験動物において有る程度の証拠がある(区分2)
これは母体毒性に関してもっと詳しく記載されている。
さらに“証拠全体の重み”について、“作用の特徴および重篤度、...影響を受けるエンドポイントの数...”その物質が生殖毒性に分類されるかどうかの決定に重要な役割を果たす。
ヒト、実験動物(2005年の2世代試験を含む)に関する全ての試験をもとに、米国のNTPとEUリスクアセスメントレポート(ドラフト;2006年1月)は以下のように結論している。
NTP:“ ヒトにおいて、スチレン曝露による発生と生殖への有害な影響に関する懸念は無視できるレベルである。” “実験動物による新たなデータはヒトの曝露レベルをはるかに超える濃度でも生殖や発生に有害な影響を与えないことを示
している。”
EU: “入手可能なデータ(最新の2世代試験(2005)を含む)を総括すると実験動物で、スチレンは妊娠や生殖能に影響を与えない”
“ まとめると、スチレンは実験動物において、骨格的なエンドポイントに基づく評価では、吸入曝露で600 ppm, 経口曝露で250 mg/kg/dayの濃度でも、発生毒性を起こさない。また、神経学的はエンドポイントでは500 ppmでも発生毒性はな
い。しかし、出生後一時的に、母体毒性に関係する成長や発達の遅れが300-500 ppmで観察される。よく管理された2世代試験においては、仔の体重のわずかの現象(最大10%)を除いて、150 ppmでも発達影響は認められなかった。
従って、高い蒸気濃度に曝露されたラットでわずかに発達の遅れはあるものの、これらの影響は神経発達の選択的毒性影響を示唆するものではない。
EUレポートの結論:分類基準にあてはまらない。
CERI/NITEによる評価(2004)に関しては、最近の2世代試験が含まれていない。また生存率の低下があるとした3世代試験には欠点がある;CERI/NITEの評価書に記載されている“異常行動現象 ”についてはこの新しい2世代試験
で発生神経毒性は認められなかったと記されている。
結論:
証拠全体の重みとGHSの基準に基づく:生殖毒性に分類しない。
5.全体の結論
GHS分類基準と規制当局および科学的フォーラムによる評価に基づき、CMRについては分類しないが適切である。
6.参考資料
・EU Risk Assessment Report; Draft, January 2006
・GHS; First revised edition; United Nations
・IPCS; WHO/UNO/ILO,2005
・NTP; Center for the Evaluation of Risks to Human Reproduction(CERHR); NIH No. 06-4475
・G.Speit and L.Henderson, Review of the in vivo genotoxicity tests performed with styrene;
Mutation Reseach 2005
付録-74
物質別パブリックコメント
ID163 1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン CAS 2451-62-9
化管法政令番号 1-218
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラット経口LD50=950mg/kg, 255mg/kg(CERIハザードデータ集(2002)記載の上
下限値)および715mg/kg(CICAD 8(1998))に基づき、計算式を適応して得られ
たLD50=350mg/kgから区分4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
ラット経皮LD50 >3100mg/kg(CERIハザードデータ集(2002))、>2000mg/kg
(CICAD 8(1998)とのデータおよび区分5を示唆する毒性症状が報告されてい
ないことから、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
区分4
GHS定義による個体。
データなし
ラット吸入(粉塵)LC50>4,160mg/m3(US-Challenge (2006))に基づき、区分4とし
た。
2 皮膚腐食性/刺激性
区分2
付録1
分類実施日
分類実施機関
パブコメ
分類結果:区分3 について
Priority 1情報源は、一次資料に遡ることができ、必要な場合に情報の確からしさを確認できる評価文書や成書であ
るとある。分類根拠の1デ-タとしているCICAD8(1998)経口ラットLD50 188mg/kgについては、一次資料の情報の確
からしさに疑義があるので、遡って精査をお願いしたい(添付資料①)。また本試験結果について、科学的信頼性が
欠如している事を示すExpert Review Reportを添付するので精査をお願いしたい(添付資料②)。
経口ラットLD50 188mg/kg を評価から除外した場合、技術上の指針に記載される計算式からLD50 305 mg/kgと判断
される。
以上のことから、急性毒性(経口)については区分4に分類すべきである。
【添付資料】
3) http://www.nihs.go.jp/cicad/full/no8/no8.pdfCICAD 8(1998) APPENDIX 1に、Source DocumentであるNICNAS
(1994)について以下のコメントが記されている。NICNAS(1994)のAssessment(急性毒性、変異原性)に対して、試
験を実施したCIBA-GEIGY自身が数度の修正を要請したが、NICNASは拒否した経緯がある。後に行政訴訟に持ち
込まれている。
②“TGIC : Expert review of acute oral toxicity study reports” (添付PDFファイル名「TGIC-LD50-Rep」)(See
1.急性毒性(吸入:粉塵)
分類結果:区分3 について
NICNAS(1994)によると、ラット吸入試験(nose only)メスLC50 650mg/m3/4h、オスLC50>650mg/m3/4h(死亡無
し)、及び?ラット吸入試験(nose only、liquid aerosol)オスLC50>300mg/m3/4hの一次資料がある。また種差は異な
るが、?マウス吸入試験(whole-body exposure)LC50 2000mg/m3/4hがある。
試験?、?は、OECDやEPAのガイドラインに沿ったものではなく、またnon-GLP試験である。試験?は、EPA OPPTS
Method 870.1300、GLPで実施されている。
参考までに、?OECD 403、GLPで実施したラット吸入試験(whole-body exposure)では、オスLC50>4160mg/m3/4h
である。試験結果?~?に関しては、添付資料①を参照されたい。
ラット雌雄、または種差によってLC50は大きく異なり、以下の理由により評価の対象とすべきではない異常値が含ま
れている可能性がある。
吸入試験に関しては、OECD試験ガイドラインにおいても粉塵発生、維持、濃度測定に技術的限界があることが知ら
れている。さらにnose only吸入試験の場合はストレス死の問題があり、一方whole-body exposure吸入試験の場合
は意図しない経口摂取による過剰投与の問題がある。
以上のことから、急性毒性(吸入:粉塵)については、ガイドライン、GLPを満たす試験結果(?、?)から判断して区分4
と分類するか、または現時点では「分類できない」と判定すべきである。
【添付資料】
急性毒性(吸入:粉塵)
ID163は、現在US HPV Challenge Programにて評価中の化学物質である。EPAのサイトにて以下の資料が参照可能
であり、Priority 1情報源に引用されている一次資料、並びに最近の試験結果も網羅されているので参照頂きたい。
急性毒性(吸入:粉塵)については、Robust Summaries 13.2 Acute Inhalation
ページ50~59を参照頂きたい。
・Test Plan
分類結果:区分2 について
NICNAS(1994)は、ウサギで皮膚刺激性はないと結論している(10.1.4 Skin irritation)。また、CICAD 8
(1.EXECUTIVE SUMMARY)でも皮膚刺激性は無いと結論している。
NICNAS(1994)には、ヒトでの症例が記載されているが、これは民間事業者からの報告内容であり、参考に留めるべ
き情報である。記述の一部のみを取り出して区分2の分類根拠とすることは、評価書全体の結論との整合性を欠くこ
ととなり不適切である。
ID 163は、EU 第7次修正指令AnnexⅠの皮膚刺激性に関するR-Phrase:R38は付与されていない。
以上のことから、皮膚刺激性については、「区分外」に分類すべきである。
付録-75
物質別パブリックコメント
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2A
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器:区分1
皮膚:区分1
NICNAS(1994)のヒトでのTGIC取り扱い作業者に眼刺激性があるとの記述、お
よび CERIハザードデータ集 (2002)、NICNAS(1994)、ACGIH(7th, 2001)のウサ
ギの眼に重度の刺激性を示す旨の記述があるが、非可逆的影響がヒト、ウサギ
ともに報告されていないため、区分2Aとした。
呼吸器:CERIハザードデータ集 (2001)の本物質を4%含む塗料をスプレーとして
使用していた作業者に、作業開始の4年後に喘息を発症し、本物質が原因であ
ると結論されるとの記述から、区分1とした。
皮膚:(CERIハザードデータ集(2001))、ACGIH (7th, 2001)、NICNAS(1994)の職
業暴露により接触皮膚炎を発症した患者のパッチテストで本物質に対して陽性
を示すことから、いずれの症状も本物質が原因と判断されるとの記述、および
CERIハザードデータ集(2001)のモルモットを用いた複数の実験で感作性を示す
という記述、CICAD 8(1998)のモルモットでの2つのMagnusson and Kligman変法
で25%および60%の陽性率であったこと.から、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性
区分1B
CICAD 8(1998)、ACGIH(7th, 2001)およびCERIハザードデータ集(2001)のマウス
を用いる優性致死試験では経口投与、吸入暴露のいずれも陰性であるが、
CICAD 8(1998)およびCERIハザードデータ集(2001)のマウス精祖細胞を用いた
in vivo染色体異常試験で複数の陽性結果があることから、区分1Bとした。
6 発がん性
7 生殖毒性
分類できない
分類できない
データなし。
CICAD 8(1998)の雄マウスへの13週間経口投与(最高100ppmの混餌)試験
で、用量に相関して軽度の精子数の減少が認められたが、正常雌との交配で
は繁殖性および胎児・出生仔への影響はなかったとの記述があるが、得られた
情報は限られており、データ不足のため分類できない。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
分類できない
分類できない
データ不足のため分類できない。
人への反復暴露に伴い中毒症状を誘発する証拠および動物での14日以上に及
ぶ反復暴露実験のデータがないため、分類できない。
分類できない
データなし。
分類結果
区分外
分類根拠・問題点
魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50>77mg/L(NICNAS、2001)から、区分外と
した。
難水溶性でなく(水溶解度=1190mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒
性が低いことから、区分外とした。
10 吸引性呼吸器有害性
付録1
分類結果:区分1
呼吸器感作に関しては、Priority 1情報源に引用されている添付資料①の文献一報告があるのみである。
この文献によれば、作業者(1人)が4年後に喘息を発症とあるが、この作業者は、
3) 明らかにallergyの素質を持っていた。
3) 皮膚感作によるカブレが進行し、環境からの隔離が必要にもかかわらず、その措置が取られなかったため、重篤
な症状までに進行した。
この症例は非常に特殊なケースである。
区分1の評価基準は、「人に対し当該物質が特異的な呼吸過敏症を誘発しうる証拠がある場合」であり、また「証拠
の重みで判定される」とある。また、指針の判定基準では、「Priority 1情報源にて明らかに陽性であると明言している
もの」とある。上記文献はPriority 1情報源に引用されているが、何れの評価書でも症例として記載しているのみで、
“明らかに陽性である”とは明言していない。
ID 163に関しては、EU-AnnexⅠ:R42 : May cause sensitization by inhalation. は付与されていない。R42を付与す
る場合は、ヒトに対しての「frequencyの増加」が要求される。この1件の症例が「証拠の重み」に相当すると
は考えられない。
以上のことから、呼吸器感作性については、区分1の評価基準に該当せず、「危険有害性区分非該当」、または、
「データ不足のため分類できない」とすべきである。
【添付資料】
3) Piirila et al, 1997, Occupational asthma caused by triglycidyl isocyanurate (TGIC)
(添付PDFファイル名「Piirila」)(See attached file: PIIRILA.pdf)
分類結果:区分1B について
GHS分類結果には、「CICAD 8(1998)、ACGIH(7th, 2001)およびCERIハザードデータ集(2001)のマウスを用いる優性
致死試験では経口投与、吸入暴露のいずれも陰性であるが、CICAD 8(1998)およびCERIハザードデータ集(2001)の
マウス精祖細胞を用いたin vivo染色体異常試験で複数の陽性結果があることから、区分1Bとした。」とあるが、一方
で、CERIハザードデータ集(2001)のマウス精祖細胞を用いたin vivo染色体異常試験で複数の陰性結果がある。
CICAD 8資料では、マウスを用いる優性致死試験では経口、吸入ともに陰性である。またマウス精原細胞を用いる染
色体異常試験では、経口投与で陽性であるが、吸入暴露(nose only)では陰性である。
CICAD 8資料(8.5遺伝毒性及び関連試験)では、DNA付加試験において、生殖細胞の遺伝物質と相互作用する機能
(DNA アルキル化)について、共有結合指数によって測定されている。最高濃度では、曝露3時間目で、胃、肝臓お
よび精巣で、それぞれ約30:7:1 の割合の共有結合指数を示した。最高の共有結合指数は、胃袋で、8.9 であり、比
例計算すると精巣では0.3と極めて低い値となり、生殖細胞との相互作用は実証されていない。
以上のことから、生殖細胞変異原性については、区分1B(ヒト生殖細胞に遺伝的突然変異を誘発すると見なされる
化学物質)の判定基準には該当しない。従って、区分2(ヒト生殖細胞に遺伝的突然変異を誘発する可能性がある物
質)と判定すべきである
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
区分外
付録-76
パブコメ
物質別パブリックコメント
付録1
その他のコメント
一次資料の科学的信頼性(Scientific Robustness)について
ID163について公表されたGHS分類結果は、分類根拠として主に以下のPriority 1情報源が参照されています。
CERIハザードデータ集2002、2001
CICAD 8(1998)
NICNAS(1994)、(2001)
ACGIH(7th, 2001)
評価書NICNAS(1994)は、その他の評価書すべてに引用されベースとなっています。NICNASの評価書作成手順は、優先既存化学品(PEC ; Priority Existing Chemicals)を選定し、その物質を製造、輸入している事業者に対し、評価の申請
および情報提供を要求し、集められた情報等をもとにNICNASが中心となって評価報告書を作成します。NICNASの毒性資料・情報収集システムの性格上、一次資料は主として民間企業からのデータであります。例えばID 163では、提出され
た毒性試験結果の一部は、CIBA-GEIGY(当時)が自社内で実施した試験結果であります。
CICAD 8(1998) APPENDIX 1に、Source DocumentであるNICNAS(1994)について以下のコメントが記されています。NICNAS(1994)のAssessment(急性毒性、変異原性)に対して、試験を実施したCIBA-GEIGY自身が数度の修正を要請し
たが、NICNASはこの要請を拒否した経緯があります。後に行政訴訟にまで発展しています。
また、中立GLP試験機関のレビューによると、NICNAS(1994)に引用されている急性毒性(経口)試験結果について、科学的信頼性(Scientific Robustness)が欠如したレポートが含まれ、評価の対象から除外すべきと報告されています。評
価書NICNAS(1994)は、以上の経過を経て作成された評価書であります。
Priority 1情報源は、一次資料に遡ることができ、必要な場合に情報の確からしさを確認できる評価文書や成書であるとされています。GHS分類は、Priority 1情報源を根拠とするとありますが、ID163に関しては、上記状況から判断して一次
資料の科学的信頼性(Scientific Robustness)を遡って精査する必要があるものと考えます。
OECD HPV ProgramとGHSとの関連について
ID163は、現在OECD HPV Programに基づくUS HPV Challenge Programにて評価進行中の化学物質であります。EPAのサイトにて以下の資料が参照可能であり、Priority 1情報源に引用されている一次資料、並びに最近の新たな試験結果
も網羅されております。
3) Test Plan
http://www.epa.gov/chemrtk/triglyis/c15759tp.pdf
3) Robust Summaries
http://www.epa.gov/chemrtk/triglyis/c15759rs.pdf
HPV Programでは新たに取得された試験結果も含めて、一次資料の科学的信頼性
(Scientific Robustness)を考慮しますが、一方でGHS分類では、情報源として既存の評価書に留まり、分類基準には簡易マニュアルを使用しています。評価システムが異なるプログラムでは、整合性の取れる結果が得られるとは考えら
れず、異なるプログラムが並行して同時進行している状況は混乱を招くと考えられます。
整合性を得るためには、HPV Programにて評価進行中
付録-77
物質別パブリックコメント
ID166 1,3,5-トリメチルベンゼン
CAS 108-67-8
化管法政令番号 1-224
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2
3
4
5
6
7
8
9
10
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類結果
分類できない
分類できない
分類対象外
分類できない
区分外
分類根拠・問題点
データ不足のため分類できない
データなし
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
データなし
ラットを用いた吸入暴露試験 (ミスト) のLC50 24 mg/L (4時間)(CERIハザード
データ集 2001-51(2002))から、計算式を適用してLC50(4時間換算値)の4,900
ppmが得られた。飽和蒸気圧330 Pa(25℃)(CERIハザードデータ集 2001-51
(2002))における飽和蒸気圧濃度は3,300 ppmである。今回得られたLC50は、飽
和蒸気圧濃度以上であるため、「ミスト」と考えられ、mg/L濃度基準値に従って
皮膚腐食性・刺激性
区分2
CERIハザードデータ集 2001-51 (2002)のウサギを用いた皮膚刺激性試験の記
述「紅斑と浮腫が認められ、EEC 分類で皮膚刺激性ありと報告」「中等度の刺激
性」から、4時間適用試験ではないが、中等度の刺激性があると考えられ、区分
眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
CERIハザードデータ集 2001-51 (2002)のウサギを用いた眼刺激性試験(適用
性
時間不明)の記述「軽度の刺激性」から、区分2Bとした。
呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性: 呼吸器感作性:CERIハザードデータ集 2001-51 (2002)のヒトへの健康影響の記
分類できない
述「30%の本物質と50%の1,2,4-トリメチルベンゼンを含む製品の生産に数年間
皮膚感作性:分 従事し、暴露(蒸気の炭化水素濃度は10-60 ppm の範囲)された27 人が、神経
類できない
過敏、緊張、不安、気管支喘息の症状を訴えている。」とあるが、他の異性体が
混合しており、本物質に特定することができず、データ不足のため分類できない
とした。
生殖細胞変異原性
区分外
CERIハザードデータ集2001-51 (2002) の記述から、経世代変異原性試験なし、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験) で
陰性であることから、区分外とした。
発がん性
分類できない
データなし
生殖毒性
分類できない
データなし
特定標的臓器・全身毒性(単回 区分3(麻酔作用) 実験動物については、「5,075-7,105 ppmでは鎮静作用が観察され、7,105-9,135
暴露)
ppmでは反射の消失、中枢神経系の障害」(CERIハザードデータ集 2001-51
(2002))との記述があることから、本物質には麻酔作用があると考えられた。
以上より、分類は区分3(麻酔作用)とした。
特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
データ不足のため分類できない。
暴露)
吸引性呼吸器有害性
区分1
炭化水素で動粘性率が1.336mm2/s(20℃)であることから、区分1に分類した。
パブコメ
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分2
区分2
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=6000μg/L(環境省リスク評価第2巻、
2002)他から、区分2とした。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=342(既存化学物質安全性
点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全
性点検データ))ことから、区分2とした。
付録-78
パブコメ
ミジンゴ類は、48時間EC50値が基本で、ない場合は24時間EC50値を採用すると
なっているが、48時間LC50値が採用されている。
物質別パブリックコメント
ID172 ニトログリコール
CAS 628-96-6
化管法政令番号 1-235
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
区分外
1
1
1
2
急性毒性(吸入:ガス)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
皮膚腐食性/刺激性
分類できない
分類できない
分類できない
分類できない
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
分類できない
分類根拠・問題点
ラット経口LD50値=616mg/kg(CERIハザードデータ集, 2001)に基づき、区分4と
した。
ラット経皮LD50値=16000mg/kg(産衛学会勧告, 1986)に基づき、区分外とし
た。
GHSの定義による液体。
データなし
データなし
皮膚刺激性の可能性を示唆する記述(HSFS, 1999)はあるが、他に情報がなく
データ不足のため分類できない。
ヒトでごく軽度の刺激性を示す(slightly irritating to the eyes)との記述(PATTY,
1994)はあるが、具体的な症例報告など、他に情報がなく、データ不足のため分
類できない。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器:分類でき 呼吸器:データなし
ない、
皮膚:データなし
皮膚:分類できな
い
5 生殖細胞変異原性
分類できない
データなし
6 発がん性
分類できない
データなし
7 生殖毒性
分類できない
データなし
8 標的臓器/全身毒性(単回暴 区分1(心血管
ヒトへの暴露では不整脈、血圧低下、メトヘモグロビン血症、ハインツ小体形成
露)
系、血液)
がみられたとの記述(CERIハザードデータ集(2001)、また、ヒトへの暴露で血圧
低下がみられたとの記述(ACGIH(2001)、PATTY(1994))から、標的臓器は心血
管系と血液と考えられ、区分1とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
区分1(心血管
系)、
区分2(血液)
パブコメ
分類できない
ヒト暴露例で狭心症様発作、血圧低下または不整脈がみられたとの記述(CERI
ハザードデータ集(2001)、ACGIH(2001)、PATTY(1994)、産衛学会勧告(1986))、
また、暴露例で心臓疾患による死亡率が高いとの記述(ACGIH(2001)、
PATTY(1994)から、標的臓器は心血管系と考えられ、区分1とした。さらに、ラッ
トおよびモルモットの6ヶ月間吸入試験で中等度暴露によりハインツ小体が観察
されたとの記述(CERIハザードデータ集(2001))から、血液も標的臓器と考えら
れ、区分2とした。
データなし
分類結果
分類できない
分類できない
データがなく分類できない。
データがなく分類できない。
「ヒトへの暴露では不整脈、血圧低下、メトヘモグロビン血症、ハインツ小体形成がみられたとの記述(CERIハザード
データ集(2001)、また、ヒトへの暴露で血圧低下がみられたとの記述(ACGIH(2001)、PATTY(1994))から、標的臓器
は心血管系と血液と考えられ、区分1とした。」
【コメント】「区分2」ではなく「区分1」とするための、証拠の重み付けに関する記載が不十分である。当該の所見が認
められた用量をGHSオフィシャルテキスト上のガイダンス値(オフィシャルテキスト 表3.8.1)と比較するなど、「区分1」
に相当すると判断した根拠を明示すべきである。
「ヒト暴露例で狭心症様発作、血圧低下または不整脈がみられたとの記述(CERIハザードデータ集(2001)、
ACGIH(2001)、PATTY(1994)、産衛学会勧告(1986))、また、暴露例で心臓疾患による死亡率が高いとの記述
(ACGIH(2001)、PATTY(1994)から、標的臓器は心血管系と考えられ、区分1とした。さらに、ラットおよびモルモットの
6ヶ月間吸入試験で中等度暴露によりハインツ小体が観察されたとの記述(CERIハザードデータ集(2001))から、血液
も標的臓器と考えられ、区分2とした。」
【コメント】分類の際の証拠の重み付けに関する記載が不十分である。当該の所見が認められた用量をGHSオフィ
シャルテキスト上のガイダンス値(オフィシャルテキスト 表3.8.1)と比較するなど、「区分1」あるいは「区分2」に相当
すると判断した根拠を明示すべきである。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類根拠・問題点
パブコメ
付録-79
物質別パブリックコメント
ID173 ニトログリセリン
CAS 55-63-0
化管法政令番号 1-236
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
ラット経口LD50値=100mg/kg(CERIハザードデータ集(2001))、120mg/kg(CERI
ハザードデータ集(2001))、822mg/kg(PATTY(1994))に基づき計算式を適用した
が、計算値がこれらのデータの最低値よりも小さいため最低値の100mg/kgを採
用し、区分3とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
1
1
1
2
分類対象外
分類できない
分類できない
区分2
ラット経皮LD50値>29200mg/kg(CERIハザードデータ集(2001))に基づき、区分
外とした。
GHSの定義による液体
データなし
データなし
産衛学会勧告(1986)のヒトへの経皮暴露で、症状の詳細は不明だが、焼けつく
ような感じを示すとする記述から、ヒトに対して刺激性があると考えられ、区分2
と判定した。
急性毒性(吸入:ガス)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
皮膚腐食性/刺激性
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2A-2B
パブコメ
「産衛学会勧告(1986)のヒトへの経皮暴露で焼けつくような感じを示すとする記述から、ヒトに対して刺激性があると
考えられ、区分2と判定した」
【コメント】「焼けつくような感じ」は、感覚刺激のburningと解釈できる表現でもあり、皮膚刺激性の分類根拠としての明
確さを欠く。曝露に伴って生じる皮膚の肉眼的変化がGHSオフィシャルテキスト上で規定する「皮膚刺激性」に該当す
ることを確認したうえで、当該の皮膚刺激反応が「区分2」に該当する理由を記載すべきである。
PATTY(1994)には、ウサギへの濃度7.29%溶液の適用で眼刺激性なし(No eye
irritation)との記述はあるが、ICSC(J)(1995)、HSFS(2001)、SITTIG(2002)に、ヒ
トでは眼を刺激するとの記述から、区分2A-2Bとした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器:分類でき 呼吸器:データなし。
ない、
皮膚:PATTY(1994)のモルモットを用いたMaximization testで動物の40%が反応
皮膚:区分1
したとの記述から、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性
区分外
ラットを用いた優性致死試験で陰性(PATTY(1994))の記述から、区分外とした。
6 発がん性
7 生殖毒性
分類できない
区分2
データ不足のため分類できない。
HSDB(2005)のラット3世代繁殖試験でF0の生殖能力等には影響がなかったが、
次世代の雄では高用量群に精巣間質細胞の増加、精子低形成による不妊が認
められるとの記述から、区分2と判定される。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分1(心血管
系、血液)
CERIハザードデータ集(2001)、産衛学会勧告(1986)の急性中毒症状として血圧
低下、メトヘモグロビン血症が報告されているとの記述、ACGIH(2001)、産衛学
会勧告(1986)のニトログリセリンとEGDNの混合物吸入暴露例に血圧低下がみ
られたとの記述、また、CERIハザードデータ集(2001)の狭心症が起きているとの
記述から、標的臓器は心血管系と血液と考えられ、いずれも区分1とした。職業
暴露でみられる強い頭痛は脳血管の拡張による二次的影響と考えられた。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
区分1(心血管
系)
CERIハザードデータ集(2001)、ACGIH(2001)、PATTY(1994)、産衛学会勧告
(1986)の職業暴露例の疫学調査で心・脳血管疾患による死亡率が高いことが報
告されているとの記述から、標的臓器は心血管系と考えられ、区分1とした。職
業暴露でみられる頭痛は脳血管の拡張による二次的影響と考えられた。
分類できない
データなし
10 吸引性呼吸器有害性
付録-80
「HSDB(2005)のラット3世代繁殖試験でF0の生殖能力等には影響がなかったが、次世代の雄では高用量群に精巣
間質細胞の増加、精子低形成による不妊が認められるとの記述から、区分2と判定される。」
【コメント】分類の根拠としているHSDB上の引用文献は[Medical Economics Co; Physicians Desk Reference 56th ed
p.2659 (2002)]と思われる。当該の文献の要約中には、「高用量群に精巣間質細胞の増加、精子低形成による不妊
が認められる」との記載のあとに、「高用量群では両性において摂餌量の減少と体重増加抑制が認められた」と記載
されている。また、HSDB上で引用されている[Bingham, E.; Cohrssen, B.; Powell, C.H.; Patty's Toxicology Volumes 19 5th ed. John Wiley & Sons. New York, N.Y. (2001)., p. 606]においても、「363mg/kg/day以上において受精能に影
響が認められたが、それは低栄養状態と精巣腫瘍による二次的影響であった」との記載がある。このような場合には
一次文献の記載を参照し、認められた生殖・発達毒性が他の毒性による二次的影響でないことを確認したうえで分
類根拠に用いるべきである。
物質別パブリックコメント
付録1
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分2
区分2
分類根拠・問題点
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=1.38mg/L(CERIハザードデータ集、2002)か
ら、区分2とした。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.62
(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)こと
から、区分2とした。
付録-81
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID176 ヒドロキノン
CAS 123-31-9
化管法政令番号 1-254
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 1,300 mg/kg(CERIハザードデータ集 99-19
(2000))、302 mg/kg(環境省リスク評価第3巻 (2004))、390 mg/kg(SIDS (2002))、
320 mg/kg、1,005 mg/kg、1,295 mg/kg、1,050 mg/kg、1,090 mg/kg、1,182
mg/kg、1,081 mg/kg731 mg/kg、323 mg/kg、298 mg/kg、310 mg/kg、743
mg/kg、627 mg/kg(EHC 157 (1994))に基づき、計算式を適用して得られたLD50
593 mg/kgから、区分4とした。
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 74,800 mg/kg(CERIハザードデータ集
99-19 (2000))から、区分外とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
データなし
データなし
4時間適用試験ではないが、CERIハザードデータ集 99-19 (2000)、EHC 157
(1994)のモルモットを用いた皮膚刺激性試験において、「10%水溶液を適用した
ところ、皮膚刺激性がある」との報告が得られ、CERIハザードデータ集 99-19
(2000)、EHC 157 (1994)、DFGOT vol.10 (1998)のヒト疫学事例においても、「皮
膚刺激性あり」との報告が得られていることから、程度については不明だが、刺
激があると考えられ、区分2あるいは3と考えられるが、安全性の観点から、区分
2とした。
CERIハザードデータ集 99-19 (2000)、EHC 157 (1994)、DFGOT vol.10 (1998)、
SIDS (2002)のモルモット、ウサギを用いた眼刺激性試験において「軽度から中
等度の刺激性」がみられたことから、区分2A-2Bとした。細区分の必要がある場
合は、安全性の観点から、2Aとした方が望ましい。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A-2B
性
パブコメ
標題に関するコメントを国際コンソーシアム・ヒドロキノングループとして作成致しました。国内代表として、弊社よりご
送付申し上げます。
よろしくお収めの上、ご高配のほどよろしくお願い申し上げます。
---以下--以下のコメントは、ヒドロキノンに対するGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)分類に関する提
案にコメントを提供する機会を歓迎する、ヒドロキノン・グループ メンバー各社を代表して提出するものであります。
過去数年間において、ヒドロキノンの化学的及び毒物学的性質に関連して多くの情報が収集・発表されています。
GHS分類において優先度1の情報源とされる国際的機関または政府機関の一部は、既にこの情報を検討し、それぞ
れの評価を示す情報源文書を公表しています。しかしながら、利用可能な情報量が余りにも多く、時に重要な情報を
特定するのが困難となります。以下のコメントは、最終的なGHS分類を、強固で且つ入手できる最も完全なデータに
基づくものとするため、その情報がどこで得られるかについて指摘することを意図したものです。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: CERIハザードデータ集 99-19 (2000)、EHC 157 (1994)のモル
モットを用いた皮膚感作性試験結果において、「陽性」との報告が多数得られ、
CERIハザードデータ集 99-19 (2000)、EHC 157 (1994)、DFGOT vol.10 (1998)の
ヒト疫学事例においても、皮膚感作性があるとの報告が得られていることから、
皮膚感作性を有すると考えられ、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性
区分1B
EHC 157(1994)、SIDS (2002)、CERIハザードデータ集 99-19 (2000)、NTP DB
(Access on March 2006)の記述から、経世代変異原性試験で陰性、生殖細胞in
vivo変異原性試験で陽性、であることから「区分1B」とした。
GHS分類は、職場の保健計画や環境衛生プログラムにおける信頼できる文書として使用される事が多いため、ヒドロ
キノンの分類についての決定の基礎となる科学的根拠を出来るだけ正確に反映することが重要です。そのため、同
封したコメントは、ヒドロキノンに関するデータベースにおいて情報を特定するうえで当グループのメンバー各社がこ
れまでに得た経験の一部を提供しています。同封の情報が、ヒドロキノンについてのGHS分類文書の作成作業を改
善・明確化する手助けとなることを確信しております。
6 発がん性
7 生殖毒性
区分2
区分1B
ACGIH (2001)でA3に分類されていることから、「区分2」とした。
EHC 157 (1994)の記述から、母動物に一般毒性がみられずに、胚吸収率が増
加したことによる。
これらのコメントまたはヒドロキノン全般についてご質問のある場合は以下にご連絡下さい。ご検討宜しくお願いいた
します。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(中枢神経 ヒトについては、「ヒドロキノンの主な毒性症状は振戦、嘔吐、腹痛、頭痛、頻
暴露)
系、腎臓)
脈、反射低下、暗色尿、呼吸困難、チアノーゼ、昏睡」(EHC 157 (1994))の記
述、実験動物については、「酵素尿、グルコース尿、尿中上皮細胞の増加が見
られた」(EHC 157 (1994))、「神経及び筋収縮、振戦が見られた」 (IUCLID
(2000))等の記述があることから、中枢神経系、腎臓が標的臓器と考えられた。
なお、実験動物に対する影響は、区分1及び区分2に相当するガイダンス値の範
囲でみられた。
以上より、分類は区分1(中枢神経系、腎臓)とした。
付録-82
翻訳文にて多少口調が不自然な部分はご容赦下さい。
物質別パブリックコメント
付録1
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(呼吸器、血 ヒトについては、「暴露群では肺機能値の著しい低下」(EHC 157 (1994))の記
暴露)
液系)、区分2(中 述、実験動物については、「振戦、活性低下」、「合胞体細胞と巨細胞を含む肝
枢神経系、肝臓、 の病変が見られた」(EHC 157 (1994))、「振戦、痙攣」、「ヘマトクリット値、ヘモグ
腎臓)
ロビン濃度、赤血球数の減少。投与量に依存する腎障害度の増加」(NTP
TR366 (1989))、「赤血球の大小不同症、多染性、好酸性赤芽球等の血液学的
変化がみられている」(CERIハザードデータ集 99-19 (2000))等の記述があるこ
とから、呼吸器、中枢神経系、肝臓、血液系、腎臓 が標的臓器と考えられた。な
お、実験動物に対する影響は、区分1及び区分2に相当するガイダンス値の範囲
でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、血液系)、区分2(中枢神経系、肝臓、腎臓)とし
た。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分外
分類根拠・問題点
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=44μg/L(環境省リスク評価第2巻、
2003)他から、区分1とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:70%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.59(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
付録-83
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID182 フタル酸ジ-n-ブチル
CAS 84-74-2
化管法政令番号 1-270
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類できない
区分外
2 皮膚腐食性/刺激性
区分外
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分外
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性: 区
分1
分類根拠・問題点
ラットに対する経口投与のLD50 = 6,300 mg/kg、8,000 mg/kg (以上、EU-RAR
No.29, 2003)、>20,000 mg/kg (EHC 189, 1997) に基づき、最小値は6,300
mg/kgではあるが、23歳の男性労働者がおよそ10 gを誤飲したヒト事例から急
性毒性が認められるので (EU-RAR No.29, 2003)、区分5とした。
パブコメ
《コメント1》
急性毒性(経口)は、致死性の毒性の程度を根拠としている。動物実験の結果ではいずれもラットLD50値6300mg/kg
以上(EU-RAR(2004))であることから区分外とすべきである。
また、ヒトの誤飲例(10gを23歳男性が誤飲)(EU-PARNo.29(2003)を引用して、ヒトの症例があることから区分5として
いるが、ACGIH(2001)によれば、この症例は、吐き気、めまいを生じさせ、光痛症、流涙、結膜炎を引き起こした後に
完全回復しており、非致死性であるので、区分5には該当しない。
以上より、分類結果は「区分外」が適切である。
--------------------------------------------------------------《コメント2》
人の誤飲事例を根拠に区分5としているが、以下に示すとおりEU-RAR addendum2004によると14日以内に回復して
おり、急性毒性の区分を判定する材料には不足と考える。したがって、動物実験のLD50値から、区分外とすべき。
RPRには以下の記載がある。4.1.2.2.2 Studies in humans
One study concerning accidental ingestion of DBP (10 g) by a 23-yr old man has been reported.Nausea, vomiting
and dizziness were noticed and a few hrs later lacrimation, photophobia and pain in the eyes. Finally the cornea
was severely damaged (keratitis erosiva). Urinalysis showed microhaematuria, oxalate crystals and pathological
leucocyte counts. Recovery occurred within14 days after treatment with mydriatics and antibiotics (Cagianut,
1954).
ウサギに対する経皮投与のLD50 =>20,000 mg/kg (EU-RAR No.29 (2003)) に
基づいて、区分外とした。
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
データなし
ラットにおけるLC50 (ミスト) =>15.68 mg/L (EU-RAR No.29 (2003)) に基づい
て、区分外とした。
EU-RAR No.29(2003)の補遺EU-RAR(2004)(addendum to the Environmental
section)にて、OECD TG404に準拠した試験で刺激性となしの結果が記載され、
補遺EU-RAR(2004)の結論として刺激性なしとしていることから、区分外とした。
EU-RAR No.29(2003)の補遺EU-RAR(2004)(addendum to the Environmental
section)にて、OECD TG405に準拠した試験で刺激性となしの結果が記載され、
補遺EU-RAR(2004)の結論として刺激性なしとしていることから、区分外に修正。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: EU-RAR No.29 (2003)、EHC 189 (1997) の記述から、動物実験
ではフタル酸ジブチルは皮膚感作性を示していないが、ヒトの事例研究から陽
性を示唆する結果があり、産衛学会勧告 (2005) は皮膚感作性を第2群に、日
本職業・環境アレルギー学会 (2004) は皮膚感作性有りに分類しているので、区
分1とした。
5 生殖細胞変異原性
区分外
CERI・NITE有害性評価書 No.11(2004)の記述から、経世代変異原性試験、生殖
細胞in vivo変異原性試験で陽性結果がなく、体細胞in vivo変異原性試験で陰
性であることから区分外とした。
6 発がん性
7 生殖毒性
区分外
区分2
EPA(1993)でDに分類されていることから区分外とした。
CERI・NITE有害性評価書No.11(2004)の記述から、ラット及びマウスの生殖毒性
試験でF0の生殖能低下、精巣の萎縮、精子生産能の低下、妊娠中期の流産、
生産児数(率)の低下がみられ、また、ラット及びマウスの複数の催奇形性試験
で児動物に奇形(外表奇形、骨格奇形)がみられ、さらにラットでは次世代雄の
精巣及び副生殖腺の発生異常がみられているが、親動物にも一般毒性が見ら
れている、または親動物への影響の記載なしであることから、区分2とした。
付録-84
EU-PAR No.29(2003)の補遺EU-RAR(2004)(addendum to the Environmental section)の記述に、刺激性なしとあるこ
と
から「区分外」が適切である、と判断される。
EU-PAR No.29(2003)の補遺EU-RAR(2004)(addendum to the Environmental section)の記述に、刺激性なしとあるこ
と
から「区分外」が適切である、と判断される。
枠外参照
物質別パブリックコメント
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分1(腎臓、神 ヒトについては、「尿沈渣中には多量の赤血球と白血球が確認された」(CERI・
経系)、区分3(気 NITE有害性評価書 No.11 (2004))との記述、実験動物については、「努力性呼
道刺激性)
吸、運動失調、局所の麻痺、痙攣、昏睡の症状、一部の動物で呼吸器系の麻
痺による死亡例」(CERI・NITE有害性評価書 No.11 (2004))、「上部気道粘膜へ
の明らかな刺激性」(EU-RAR No.29 (2004))等の記述から腎臓、神経系が標的
臓器と考えられ、気道刺激性が示された。なお、実験動物に対する神経系へ影
響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(腎臓、神経系)、区分3(気道刺激性)とした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
区分1(呼吸器)、 実験動物について、「精細管の変性、間質の水腫」(CERI・NITE有害性評価書
区分2(精巣、肝 No.11 (2004))、「肝臓の萎縮及び帯状壊死」(EHC 189 (1997))、「用量依存性の
臓)
ある鼻腔粘膜の表皮肥厚」(EU-RAR No.29 (2004))等の記述があることから、
精巣、肝臓、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物の呼吸器に対す
る影響は区分1、精巣、肝臓に対する影響は区分2のガイダンス値に相当する範
囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)、区分2(精巣、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
分類結果
区分1
分類根拠・問題点
魚類(アメリカナマズ)の96時間LC50=0.46mg/L(EU-RAR、2004)他から、区分1
とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:69%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低い(BCF=176(既存化学物質安全性点検データ))こ
とから、区分外とした。
付録1
枠外参照
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
区分外
パブコメ
4.呼吸器感作性又は皮膚感作性
《コメント1》
分類の根拠を産衛学会勧告および日本職業・環境アレルギー学会の評価としているが、GHS分類マニュアルのPriority1に属する評価書であるSIDS及びEUのRAR、CERI有害性評価書には次のように記載されている。
1)SIDS Initial Assessment (2001)
The dermal LD50 is 20,000mg/kg bw for the rabbit.
DBP is not irritating to the skin or eye and is not a skin sensitizer.
2)EUのRAR Summary risk assessment report (2004)
Irritation:With respect to skin and eye-irritation, studies performed according to current standards were available. DBP appeared to be not irritating for the skin and the eye.
Sensitisation:Concerning sensitization one study in animals performed according to current standards and a study performed under GLP conditions were available. DBP did not reveal skin sensitizing properties in these animal studies.
The available case studies in man are not appropriate for definite conclusion with respect to the possible induction of sensitization by DBP.
その結論として
4.1.2.5.3 Conclusion on sensitisation
Dibutyl phthalate did not show skin sensitising properties in two maximization tests in guineapigs. According to EC criteria the substance does not need to be classified on the basis of the available tests.
The results of the available case studies with respect to the possible induction of sensitisation in human by DBP are not appropriate for a definite conclusion due to the limited documentation of the studies and additionally sometimes confli
the studies.
すなわち、EUの結論は、DBPは動物実験で皮膚感作性が認められず、ヒトの事例研究でもそれが矛盾する結果と限定された資料のため、ヒトの感作性とするには適切ではない、としている。
3)CERI有害性評価書(2006年4月)
7.2疫学調査及び事例
フタル酸ジ-n-ブチルを含む制汗剤あるいは消臭スプレーを使用した女性に皮膚炎がみられ、パッチテストでフタル酸ジ-n-ブチルに対して陽性を示したと報告されている(IPCS,1997)。フタル酸ジ-n-ブチルを含む時計のベルトを使用
されている(IPCS,1997)。フタル酸エステル類の生産に従事し、フタル酸ジ-n-ブチルに暴露された労働者で、作業時間の増加に伴って四肢の感覚異常が多く報告されて、さらに手足の異常発汗、自立神経系障害による血管のれん縮がみ
少ないため、フタル酸ジ-n-ブチルによる影響と結論できない(IPCS,1997)。
7.3.3感作性
5%フタル酸ジ-n-ブチル(オリーブ油溶液)とフロイントのアジュバンドの肩部皮内に投与及び6日後の75%フタル酸ジ-n-ブチル肩部皮下投与で感作したモルモット20匹に、初回投与の20及び27日後に腹側部皮内に75%フタル酸ジ
マキシマイゼイション試験(OECD TG406)では フタル酸ジ-n-ブチルは感作性を示さなかった(BASF 1990c)
付録-85
物質別パブリックコメント
付録1
マキシマイゼイション試験(OECD TG406)では、フタル酸ジ-n-ブチルは感作性を示さなかった(BASF,1990c)。
従って、皮膚感作性の区分1は妥当ではなく、「区分外」に修正いただきたい。
-----------------------------------------------------------------《コメント2》
EU-RARによると、人の症例報告は記載が乏しくまた、報告間で矛盾があり適切な証拠ではないと、判断されている。人の症例報告に関しては、証拠の重みを検証して用いるべきと考える。EUではその点を考慮して、区分外とされている。
RPRには以下の記載がある。4.1.2.5.3 Conclusion on sensitization
Dibutyl phthalate did not show skin sensitising properties in two maximization tests in guineapigs. According to EC criteria the substance does not need to be classified on the basis of theavailable tests.The results of the available case stud
the possible induction of sensitisation in human by DBP are not appropriate for a definite conclusion due to the limited documentation of the studies and additionally sometimes conflicting results of the studies.
9.標的臓器/全身毒性(反復暴露)
生殖器に対する毒性は生殖毒性で分類しているため精巣を標的臓器で取り上ることは間違いである。従って、標的臓器/全身毒性(反復暴露)の区分1(呼吸器)、区分2(精巣、肝臓)は妥当ではなく、対象臓器から精巣を除いた「区分1
(呼吸器)、区分2(肝臓)」に修正いただきたい。
付録-86
物質別パブリックコメント
ID183 フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) CAS 117-81-7
化管法政令番号 1-272
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類実施日
分類実施機関
分類結果
区分外
分類根拠・問題点
ラットに対する経口投与のLD50=>20,000 、>40,000 mg/kg (以上: EU-RAR
No.42 (2003))、30,600 mg/kg (ATSDR (2002))、33,800 mg/kg (ACGIH (7th,
2001)) はすべて区分外に相当するので、総じて区分外とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類対象外
ラットに関するデータがないので、ウサギのデータを用いて区分した。ウサギに
対する経皮投与のLD50 =24,500 mg/kg (EU-RAR No.42 (2003))、25,000
mg/kg (EHC131 (1992))、24,750 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) に基づき、計算式
を適用してLD50を算出した。LD50 (計算値)=24,700 mg/kgに基づいて、区分外
とした
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類できない
区分外
データなし
ラットに対する吸入暴露 (ミスト) のLC50 (4時間)=>10.62 mg/L (EU-RAR
No.42 (2003)) に基づいて、区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性
区分3
ATSDR (2002)、EU-RAR No.42 (2003) の記述から、フタル酸ビス(2-エチルヘ
キシル)は皮膚刺激性なし又は軽微な皮膚刺激性を有すると考えられ、軽微な
皮膚刺激性を示した4時間適用試験結果に基づいて、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2B
ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2002)、EHC 131 (1992)、EU-RAR No.42 (2003) の
記述から、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) は眼刺激性なし又は軽微な眼刺激
性を有すると考えられ、軽微な眼刺激性があるという試験結果に基づいて、区
分2Bとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: EU-RAR No.42 (2003) の記述「モルモットを用いたマキシマイ
ゼーション法及びビューラー (Buehler) 法で調べた限り、フタル酸ジエチルヘキ
シルは皮膚感作性を示さなかった。」から、皮膚感作性なしと考えられ、区分外
とした。
CERI・NITE有害性評価書No.7(2004)、ATSDR (2002)の記述から、経世代変異
原性試験(優性致死試験)で陽性であるが、陽性の試験は投与経路が適切でな
いこと、他の優性致死試験や小核試験で陰性であることから区分外とした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性: 区
分外
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
区分2
7 生殖毒性
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
分類できない
分類できない
分類できない
付録1
IARCではグループ3であるが、NTP(2005)でR、EPA (2002)でB2、ACGIH (2001)
でA3、日本産業衛生学会で第2群Bに分類されていることから、区分2とした。
CERI・NITE有害性評価書No.7(2004)から、U.S.NTP-CERHR 2000の報告にお
いて親に影響のない用量で、次世代に影響がみられたことによる。
一方、ラット/マーモセットのデータからげっ歯類と霊長類とでは大きな種差があ
データ不足のため、分類できない
実験動物については「精巣にセルトリ細胞の空胞化がみられる」(CERI・NITE有
害性評価書 No.7 (2004))、「肝細胞の腫大、門脈周囲の脂肪沈着、リソゾーム
での脂質の充満、グリコーゲンの枯渇、胆管構造の変化、ペルオキシゾーム酵
素及びチトクロームP-450 の誘導」(CERIハザードデータ集 96-17 (1997))の記
載があるが、一方でげっ歯類とヒトでの感受性の違いも指摘されている。このた
め、ここでは結論を導くことが困難であり、分類できないとした。
パブコメ
枠外参照
枠外参照
1)精巣毒性:生殖毒性の項で述べたように、これまでに実施したラット/マーモセットのデータからげっ歯類と霊長類
ではDEHPの体内動態が異なることが判明し、霊長類では精巣毒性が発現しないことが示されている。
2)肝臓毒性:発ガン性の項で述べたように肝臓でのDEHP挙動に種差があり、霊長類では肝臓毒性を示さない。
この項目も区分2から「区分外」に変更を要請する。
データなし
環境に対する有害性
危険・有害性項目
分類結果
分類根拠・問題点
パブコメ
付録-87
物質別パブリックコメント
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
区分1
区分外
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.133mg/L(EU-RAR、2001)他から、区分
1とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:69%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低い(BCF=29.7(既存化学物質安全性点検データ))こ
とから、区分外とした。
付録-88
付録1
枠外参照
物質別パブリックコメント
付録1
6.発がん性
1)IARCはラット肝細胞で生じるペルオキシソーム増生に関連した反応がヒトの細胞で生じないことからグループ3「ヒトに対する発ガン性については分類できない物質」とした。(2000年、Vol.77)
2)NITEの初期リスク評価書(Priority1)には次のように記載されている。
DEHPの肝臓におけるペルオキシソームの増生作用に関しては、動物種によって著しく異なることが知られている。フタル酸モノ(2-エチルヘキシル)及び代謝物のフタル酸2-エチル-5-オキソヘキシルはラット培養肝細胞では非常に高
いペルオキシソーム増生作用を示すが、ヒトやカニクイザル、マーモセット、モルモットの肝細胞では殆どペルオキシソーム増生作用を示さない(WHO,1992)。更にIARCはグループ2Bからグループ3に変更した、としている。(化学物質の初
期リスク評価書 No.7 フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)p.36)
3)NEDO/産総研の詳細リスク評価書には、ヒト発ガン性物質の可能性は低いと考えられ、ヒト健康リスクのエンドポイントには採用していない、と記載されている。(p.213~214:詳細リスク評価書シリーズ1-フタル酸エステルDEHP、2005年
1月)
4)Priority1の環境省(環境リスク評価室)「化学物質の環境リスクアセスメント 第1巻 29 DEHP」では「作用機構の検討により、本物質によるガンは霊長類では発生しないことが示唆され、げっ歯類特有の発がんと考えられる」としている。
(2002年3月、p.367)
5)CERIの有害性評価書でも上記2)と同様に結論付けている。(平成18年3月、p.18、20)
今回の評価では区分2の根拠としてU.S.NTPやEPAの評価を採っているが、前者は評価継続中のままで結論ではなく、
また、後者は1993年以来改訂されておらず、上記IARCなどの評価がまだ反映されていないものである。
なお、GHS分類マニュアル(H18.2.10版:GHS関係省庁連絡会議編)において、以下の記載がある。
第3部 GHS健康有害性分類マニュアル
(3-2-6)発がん性
C)複数データが存在する場合の優先順位
IARCとEUの情報は多くの専門家によって検討された結果であり、この評価がある場合には優先する。
D)従来の分類システムとの比較
IARCの発がん性グループ分類、及びEU-Annexの発がん性カテゴリー分類とGHSの発がん性区分の分類の考え方は一致している。
従って、区分2の評価は最新の情報から考えて妥当な結論とは言えず、ヒトの発がん物質としては「区分外」と変更す
7.生殖毒性
DEHPの生殖毒性(精巣毒性を含む)は、これまでに実施したラット/マーモセットのデータからげっ歯類と霊長類とで
は大きな種差があることが示されており、げっ歯類で得られたデータをヒトに適用できるとは考えにくい。これまでの
EUのCSTEEでのアセスメント、米国のCERHRのアセスメント、また日本の産総研のアセスメント文書でも種差のあるこ
とが認められている。許容量計算の根拠としては、げっ歯類のデータに基づいた数値が記載されているが、種差につい
て十分に考察した記載としてヒトへの生殖毒性の可能性ありとの結論には至っていない。
したがって、今回のGHS分類マニュアルから考えると、種差についての評価が不十分なまま、ヒトに対する評価を行う
ことはDEHPのような膨大な研究データがあるものについては不適当と考える。また、安易な分類は、誤解を与える可
能性が高いことからも、現時点で分類すべきではないと判断される。
なお、GHSの生殖毒性に関する分類基準(「化学品の分類および表示に関する世界調和システム改訂初版」、経済産業省
製造産業局化学物質管理課、2006.3.24)には、以下のような内容が記載されている。
3.7.2.3.2:: もし、作用メカニズム又は作用機序が明らかに特定され、それが人には関係がないことが最終的に実証されるならば、またはトキシコキネティクスの違いが著しく異なるため人ではこの有害性が発現されないことを明確にしめすこ
とができるならば、実験動物で生殖に有害影響を及ぼす物質であっても分類すべきでない。
3.7.2.3.3: 実験動物を用いた生殖試験で、記録された作用が、毒性学的な重要性が低いかまたは最小限なものしかないと見なされるならば、必ずしも結果的に分類されるとは限らない。
3.7.2.5.5: 動物実験は、人での暴露がありうる経路に関連した適切な投与経路により実施することが望ましい。(中略)ただし、明確な作用メカニズムまたは作用機序が特定されたが人には該当しないこと、またはトキシコキネティクスの違い
が著しく異なるため人ではこの有害性が発現されないことが結論として実証できるならば、実験動物の生殖に有害影響を生じるような物質でも分類すべきでない。
3.7.2.5.8: 原則として、動物実験で極めて高い用量段階でのみ認められる生殖に対する有害影響は、例えば人の感受性のほうが動物より高いことを示すトキシコキネティクスの情報のようなその他の情報が入手されて、その分類が適切で
あることを裏付けることがない限り、通常は分類の根拠とはならない。
以上の分類基準に従えば、DEHPのヒト生殖毒性については分類できないと結論づけられるので、区分1Bから「区分外」に変更を要請する。
付録-89
物質別パブリックコメント
付録1
11.水生環境有害性(急性)
1)GHS国連文書の和訳に以下の記載がある。
4.1.2.8.2 水生毒性試験はその性格上、試験対象物質を、使用している水媒体に溶かし、生物学的利用性のある暴露濃度を試験期間中に安定して維持することを必要とする。
物質によっては標準手順で試験することが困難であり、したがってそうした物質に関するデータの解釈に関して、および分類基準に適用する際にどのようなデータを利用すべきかについて、特別の指針が策定されるであろう。
付属書9
A9.1.10(a) 難溶性の物質:これらの物質は、溶液の調整、濃度の維持および水生毒性試験中の濃度の維持と確認に問題を生じるため試験が困難である。その上、こうした物質について入手されるデータの多くは、水に対する溶解度を
超える濃度の「溶液」を用いて作成されてきており、その結果、分類のための真のL(E)C50を決定する際に解釈上の大きな問題となる。水に対する溶解度は測定が難しく、また単に検出限界より小さいと記録されていることも多く、水生毒性と
生物蓄積性のいずれの試験でも解釈上の問題を起こす。
A9.3.5.7 難溶性の物質
A9.3.5.7.1: 難溶性の物質は、一般に水に対する溶解度が1mg/l未満の物質であるとされているが、これらの物質は試験媒体に難溶であることが多く、予測される低い濃度では、しばしば溶解濃度は測定困難であることが示される。多くの
物質では試験媒体中の真の溶解度は知られず、純水中で検出限界以下であるとして記録されることが多い。
表A9.3.1 試験困難な物質の分類
特性:水に対する溶解度が低い
困難さの内容:求められる暴露濃度の達成/維持。暴露濃度の分析。
分類のための妥当性:見かけ上の溶解度より上の濃度で毒性反応が認められている場合には、影響が化学物質の毒性によるものか、または物理的影響によるものかを確認するのに専門家の判断が求められる。影響は認められない場合
には、完全に飽和溶解度が達成されていることを示す必要がある。
2)NEDO/産総研の詳細リスク評価書の記載:区分1の根拠に採用した「EC50=0.133mg/L」は詳細な説明がないため、この値が非溶解DEHPによる物理的な影響によるものか、本来の毒性によるものかどうか判断することはできない。
ミジンコ類に対する急性毒性値は非常に大きな幅を持っており、明確な急性影響濃度を決定することは現時点では困難であると考えられる。
環境中に存在するDEHPの水経由暴露による水生無脊椎動物に対するDEHPの急性暴露による影響は大きくないと考えられる。よって水生無脊椎動物に対するDEHPの急性毒性を対象としたNOECは特定しないこととした。(p.228)
3)CERIの有害性評価書の記載:区分1の根拠に採用した「EC50=0.133mg/L」に対し、これまでのデータは文献によって著しく異なった値であるため、毒性の強さを評価するのは困難である。変動する要因として、DEHPの水への溶解度が低い
4)DEHPの溶解度(NEDO/産総研のDEHP詳細リスク評価書 p.21~25)
DEHPのように比重が水と殆ど変わらない場合、コロイド粒子は安定した状態で水中に存在するため、コロイド溶液と真の溶液をはっきり区別することは難しい。最近の研究では0.003mg/LがDEHPの水溶解度として最適としている。
上記理由からDEHPの水生環境有害性(急性)を区分1とした結果(EC50=0.133mg/L)はDEHPの物理的特性から考え
て溶解度を遙かに超えた条件での試験であることが明白である。
従って、この評価結果は化学的ではなく物理的な影響によるものであることが容易に示唆され、区分1と分類すること
は妥当でなく、「分類できない」に修正すべきと考える。
付録-90
物質別パブリックコメント
ID188 1,4,5,6,7,7-ヘキサクロロビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸 CAS 115-28-6
化管法政令番号 1-290
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1
1
1
1
急性毒性(経皮)
急性毒性(吸入:気体)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットLD50値:1770mg/kg(CERIハザードデータ集, 2002、EHC 185, 1996、NTP
TR304, 1987)に基づき、区分4とした。
分類できない
分類対象外
分類できない
分類できない
データなし
GHSの定義による固体である。
データなし
CERIハザードデータ集(2002)の4時間暴露でのラットLC50値が>47.4ppm(換
算値0.754mg/L)であるとの記述、EHC 185 (1996)の0.79mg/Lまでの4時間暴露
でラットに死亡が認められなかったとの記述から、区分1ではないが、他にデー
タがなく区分が特定できないことから、データ不足のため分類できないとした。
区分2
CERIハザードデータ集(2002)のウサギの皮膚に適用した試験において中等度
の刺激性が認められたとの記述から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
CERIハザードデータ集(2002)のウサギの眼に適用した試験において重度の刺
激性が認められたとの記述から、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器:分類でき
ない
皮膚:分類できな
い
呼吸器:データなし
皮膚:EHC 185 (1996)にモルモットを用いた皮膚感作性試験で陰性であったと
の記述があるが、試験方法が不明であることから、区分外とするにはデータ不
足のため分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
in vitro試験のデータしかないため分類できない。
付録1
分類実施日
分類実施機関
パブコメ
GHSオフィシャルテキストの記載に従えば、in vitro試験のデータのみであっても生殖細胞変異原性について分類す
ることは可能である(オフィシャルテキスト3.5.2.2,図3.5.1注釈など)。分類できないとするのであれば、単に「in vitro
試験のデータのみであるから」というだけでなく、当該試験のデータをなぜ分類根拠として適さないと判断したのか、
理由を示すべき。
6 発がん性
区分2
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分外
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
IARCでグループ2B(IARC 48, 1990)、日本産業衛生学会で2B(産衛学会勧告,
2005)、NTPでR(NTP RoC 11th, 2005)に分類されていることから、区分2とし
た。
データなし
EHC 185 (1996)にラットを用いた吸入暴露試験において毒性が認められなかっ
たとの記述があるが、区分2のガイダンス値範囲よりも低い濃度での試験であ
り、他には動物実験での適切な試験データがないことから、データ不足のため
分類できないとした。
CERIハザードデータ集(2002)、EHC 185 (1996)、IARC 48 (1990)およびNTP
TR304 (1987)のラットおよびマウスを用いた13週間混餌経口投与試験において
区分2のガイダンス値範囲で毒性作用は認められなかったとの記述から、区分
外とした。
分類できない
データなし
分類結果
区分外
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=110.7mg/L(CERIハザードデータ集、
2002)から、区分外とした。
難水溶性でなく(水溶解度=3500mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒
性が低いことから、区分外とした。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
区分外
付録-91
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID195 1,2,4-ベンゼントリカルボン酸1,2-無水物 CAS 552-30-7
化管法政令番号 1-300
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類実施日
分類実施機関
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50=2,030 mg/kg、3,340 mg/kg (SIDS (2003))
から低い方の値を適用し、「区分5の範囲内にあることを示す信頼できる証拠」に
もとづいて、区分5とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
ウサギを用いた経皮投与試験の LD50=5,600 mg/kg (SIDS (2003)) に基づき、
区分外とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分3
データなし
データ不足のため分類できない。
ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間) の結果の記述に「mild irritation was
observed (軽度の刺激性がみられた)」(SIDS (2003)) 、
また、「軽度の刺激性を有する」(CERI ハザードデータ集 2001-33 (2002)) とある
ことから、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
5 生殖細胞変異原性
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(呼吸器)
暴露)
パブコメ
ウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に、「強い刺激性を有する」(CERI
ハザードデータ集 2001-33 (2002)) 、「the material should be considered severe
eye irritants」(SIDS (2003))、および「TWAN into rabbit eye produced irritation
scores of 105.6/110.0 on day 2 and 97.0/110.0 on day 7, a positive indicator
that TWAN can produce ocular burns.」(ACGIH (7th, 2001))から、非常に強い刺
激性を有すると考えられ、区分1とした。
呼吸器感作性: 呼吸器感作性:CERI ハザードデータ集 2001-33 (2002)のヒトへの健康影響の
区分1 皮膚 記述「本物質を扱う労働者の29%にアレルギー性呼吸器系疾患がみられた」等
感作性:区分1
から、呼吸器感作性を有すると考えられ、区分1とした。
皮膚感作性: モルモットを用いた Mazimization 法、Murine lymph node assay
による試験結果の記述に「陽性」(CERI ハザードデータ集 2001-33 (2002)) 等か
ら、皮膚感作性を有すると考えられ、区分1とした。
分類できない
付録1
SIDS (2003)、NTP DB (Access on Feb., 2006) の記述から、in vivo変異原性/遺
伝毒性試験がなく、in vitro変異原性試験 (染色体異常試験、突然変異試験) で
陰性であるため、分類できない。
データなし
データ不足 (生殖影響に関するデータなし) のため分類できない。
ヒトについては、「本物質に暴露された作業者で上部気道への刺激性が報告さ
れている」(CERIハザードデータ集 2001-33 (2002))等の記述、実験動物につい
ては、「肺深部迷走神経末端への直接刺激によるものと考えられる不整呼吸及
び一時的な呼吸停止」(CERIハザードデータ集 2001-33 (2002))、「肺に赤色病
巣、斑点、液体貯留」(SIDS (2003))等の記述があることから、呼吸器を標的臓
器と判断した。なお、実験動物に対する影響は区分1に相当するガイダンス値の
範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。
付録-92
オフィシャルテキスト 1.4.10.5.3.1(c)には「呼吸器感作性に関する健康有害性シンボルを使用する場合、皮膚感作
性または皮膚/眼刺激性を表す感嘆符を使用すべきではない」との記述がある。
物質別パブリックコメント
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(呼吸器、
暴露)
血液系)
10 吸引性呼吸器有害性
付録1
ヒトについては、「アレルギー性の喘息、鼻炎、過敏性呼吸器系症候群、肺疾
患、貧血症候群、遅発性喘息、刺激性によるくしゃみ、鼻出血、咳、呼吸困難」
(CERIハザードデータ集 2001-33 (2002))、「TMA関連性肺機能障害、免疫系応
答」(SIDS (2003))等の記述、実験動物については、「肺の出血、気管支肺炎」
(CERIハザードデータ集 2001-33 (2002))等の記述があることから、肺を含む呼
吸器、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1
に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、血液系)とした。
分類できない
データなし
分類結果
区分外
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50>792mg/L(CERI・NITE有害性評価書(暫定
版)、2006)から、区分外とした。
難水溶性でなく(水溶解度=1036mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒
性が低いことから、区分外とした。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
区分外
付録-93
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID197 四ホウ酸ナトリウム
CAS 1330-43-4
化管法政令番号 1-304
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 1,200 mg/kg(RTECS (2005))、2,660
mg/kg(HSDB (2005))のうち、低い方のLD50 1,200 mg/kgから、区分4とした。
1 急性毒性(経皮)
分類できない
データ不足のため、分類できない
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
分類できない
データなし
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類できない
データ不足のため、分類できない
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
データなし
有害情報については、ID:0198、CASNo.:1303-96-4、物質名:四ホウ酸ナトリウ
ム(10水和物) を参照のこと。
パブコメ
4.急性毒性(経口)の評価に関して
四ほう酸ナトリウムの急性毒性を区分4とし、その根拠を「ラットを用いた経口投与試験のLD50 1,200 mg/kg(RTECS
(2005))、2,660 mg/kg(HSDB (2005))のうち、低い方のLD50 1,200 mg/kgから、区分4とした。」とされています。
しかしながらGHS健康有害性分類マニュアルでは、最も優先付ける文献(Priority1)として(財)化学物質評価研究機構
の「化学物質安全性データ集」等をあげられ、そこではLD50=2,660-5,140 mg/kg(ラット)と記載されています。
今回引用されたRTECSは、優先順位2 (Priority2)に挙げられたものであり、ルールではPriority1で必要な情報が得ら
れなかった場合に調査するとなっており、Priority1にデータがあるにも関らずPriority2のRTECSのデータを採用する
のはルール違反と考えられます。もともとRTECSは、あらゆる実験結果を評価無しに記載したものであり、直接GHS
のランク付けのために引用すべきではありません。GLPのデータであることの確認が必要です。
従いまして、急性毒性は区分5とすべきだと判断されます。
なお EUの専門家によるコメントでも、当該物質のLD50は>2500mg/kgであることが世界的に規制当局で認められて
いるとのことです。
We do not accept this because we have good laboratory studies that indicate the LD50 is >2500 mg/kg. This is the
data that is used by all regulatory authorities around the world. We have searched for the original reference and it
is incorrect in RTECS therefore RTECS is not quoting a credible source.
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A-2B
性
ECETOC TR63 (1995)のヒトへの健康影響の記述「四ホウ酸ナトリウム粉塵暴
露による眼刺激あり」という報告から、程度は不明だが、刺激があると考えら
れ、区分2A-2Bとした。細区分の必要がある場合は、安全性の観点から、2Aとし
た方が望ましい。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
呼吸器感作性:データなし
有害情報については、ID:0198、CASNo.:1303-96-4、物質名:四ホウ酸ナトリウ
ム(10水和物) を参照のこと。
皮膚感作性: データなし
有害情報については、ID:0198、CASNo.:1303-96-4、物質名:四ホウ酸ナトリウ
ム(10水和物) を参照のこと。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
データなし
健康有害性については、【ID198、四ホウ酸ナトリウム(10水和物)、CAS:130396-4】、【ID491、ホウ酸、CAS:10043-35-3】も参照のこと。
6 発がん性
区分外
ACGIH (2005)でA4(Borates compounds, Inorganic [1330-43-4; 1303-96-4;
10043-35-3; 12179-04-3])に分類されていることから、「区分外」とした。
7 生殖毒性
分類できない
データなし
健康有害性については、【ID198、四ホウ酸ナトリウム(10水和物)、CAS:130396-4】、【ID491、ホウ酸、CAS:10043-35-3】も参照のこと。
付録-94
5. 四ほう酸ナトリウム10水和物皮膚腐食性/刺激性
EUの専門家からのコメントです。
文献では、ルール3.2.2.5 刺激性に記載されているような条件を満足していることが確認できません。単に「軽度から
中等度の皮膚刺激性」の表現では判定できないと思います。
原本に当たりますと、区分はゼロとすべきと思います。
6. 四ほう酸ナトリウムと四ほう酸ナトリウム10水和物の眼に対する重篤な損傷性/眼刺激
EUの専門家からのコメントです。
四ほう酸ナトリウムと四ほう酸ナトリウム10水和物の眼刺激性については、試薬の物理的な要因です。結晶性が関
係しており、試薬を微粉末にした場合、刺激性は出てきません。また大きな結晶であれば、眼に入るようなことはあり
ません。このような場合、ここでの分類に入れるべきか疑問です。
物質別パブリックコメント
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
データなし
※:「生理的pHでの希釈水溶液においては、無機ホウ酸塩はホウ酸として存在
する」(PATTY (4th, 2000))より、四ホウ酸ナトリウム(10水和物)(ID: 0198)、ホ
ウ酸(ID: 0491)の分類結果を参照のこと。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(呼吸器)
暴露)
ヒトについては、「鼻腔刺激性、眼刺激性、咽頭への刺激性、咳、息切れ」(EHC
204 (1998))等の記述があることから、呼吸器が標的臓器と考えられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。
※:「生理的pHでの希釈水溶液においては、無機ホウ酸塩はホウ酸として存在
する」(PATTY (4th, 2000))より、四ホウ酸ナトリウム(10水和物)(ID: 0198)、ホ
ウ酸(ID: 0491)の分類結果を参照のこと。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
1. 四ほう酸ナトリウムと四ほう酸ナトリウム10水和物の特定標的臓器の反復暴露の評価に関して(呼吸器)
特定標的臓器の反復暴露の評価を区分1とされています。またその根拠を
13) IPCS, Environmental Health Criteria, 204, 1-179(1998).から求められています。
しかしながら、上記文献には
急性影響
ホウ酸ナトリウムのダストに暴露された採鉱所及び加工工場の従事者に対して、暴露と
急性的な刺激作用との因果関係を調べた疫学研究で、暴露群では非暴露群に比して鼻粘膜、
眼及び喉の刺激性、咳、息切れの諸症状の発生率が有意に高く、暴露による影響とみられ
ている13)。
慢性影響
ホウ酸ナトリウムの慢性職業暴露を受けている303 人において、強制呼気量とホウ酸ナ
トリウムの累積暴露量との間に相関はなく、吸入暴露後に喘息など呼吸器系過敏症状を呈
した人はみられないと報告されている13)。
(出典http://qsar.cerij.or.jp/SHEET/F2001_30.pdf)
となっており、矛盾した記載がみられます。このことは、区分1の定義である「人の症例または疫学的研究からの信頼
でき、かつ質の良い証拠」に該当しないものと判断されます。
またこれらの症状は刺激性であり、本分類のルールにおける、低暴露濃度での重篤な健康影響とは判断されないと
考えられます。刺激性については、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性などの評価で既に述べられていることであ
り、ここで重複して同様の評価をすることは正しくないと考えます。
またEUの専門家から下記のコメントが寄せられています。
The data required to put a substance into Cat is significant and/or severe toxic effects on human health produced
at generally low exposure concentrations with borates
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分3
区分3
分類根拠・問題点
藻類(セネデスムス)の72時間EC50=34mg/L(CERIハザードデータ集、2002)か
ら、区分3とした。
急性毒性が区分3、水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分3
とした。
パブコメ
9.環境に対する有害性の評価に関して
四ほう酸ナトリウム、四ほう酸ナトリウム10水和物および三酸化二ほう素の水生生物に関する評価は、四ほう酸ナト
リウムのみが区分3となり、他は区分外とされています。ほう素の濃度換算を行っても、この差異が理解できません。
理解できるよう説明をお願いします。
その他のコメント
7.四ほう酸ナトリウムと四ほう酸ナトリウム10水和物の整合性
四ほう酸ナトリウムおよび四ほう酸ナトリウム10水和物は、結晶形態が異なるのみで、水に溶解した場合同じ化合物であるにもかかわらず健康影響に関して異なる判定がなされています。このこともこれらの物質の判定の正確性を疑うべき
ものと判断されます。
8. ID743 三酸化二ほう素(CAS番号 1303-86-2)との整合性
表記物質について、既に評価されていますが、特定標的臓器(単回暴露)では区分3であり反復暴露では、分類できないとされています。引用されている文献は四ほう酸ナトリウム10水和物と同様ですが評価結果が違う理由はなぜでしょう
か。
付録-95
物質別パブリックコメント
ID204 メタクリル酸メチル
CAS 80-62-6
化管法政令番号 1-320
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分外
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 7900mg/kg(ECETOC JACC30 (1995))、
8500mg/kg(ECETOC JACC30 (1995))の低い方の値を用いて区分外とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:ガス)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
分類対象外
区分5
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 5,000 mg/kg以上(RTECS (2004)) より、
区分外とした。
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した
ラットを用いた吸入暴露試験 (蒸気) のLC50 7,093 ppm (ECETOC JACC30
(1995))が得られた。
飽和蒸気圧5.3kPa(26℃)(Verschueren(2001))における飽和蒸気圧濃度は
52000 ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気圧濃度の90%より低い濃度
であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値では区
分外だが、ECETOC JACC30 (1995)の記述「ボランティアによるより低濃度の
吸入暴露試験で呼吸気道の刺激、脱力、発熱,めまい等の症状が報告されてい
る」より、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
区分2
データなし
ECETOC JACC30 (1995)のウサギ皮膚刺激性試験結果 (24時間後の観察で、
強度の紅班と中心にくぼみを持った中程度から強度の浮腫、0.2 g/kg適用は3
日後で刺激は消失、2、5g/kgは14日後でも刺激性) の記述、及び参考としてEU
リスク警句 Xi ;R37/38から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分外
EU-RAR No.22(2002)では、Rohm and Haas, 1982、Röhm, 1978のデータをのみ
を信頼性のあるデータとして評価しており、「The observation of transient
redness (score 2) at 24 hrs in the screening study could be taken to indicate
reversible "very" mild irritation which might justify category 2B, however, no
irritation was observed in a reliable guideline study in 6 animals. 」と報告され、
「In contact with eyes methyl methaclate has shown to produce only weak
irritation of the conjunctivae not to be labelled according to EU regulations.」と
結論付けていた。したがって、Rohm and Haas, 1982、Röhm, 1978のデータを採
用し、区分外とした。
付録-96
パブコメ
We agree the LD50 of the key study is 29.5 mg/l = 7093 ppm (acute inhalation toxicity study by Tansy et al., 1980).
We also agree that test substance is probably true vapour, i.e. vapour: the gaseous form of a substance or mixture
released from its liquid or solid state. Therefore it is correct to use ppm values for gases.
“Criteria for Category 5 are intended to enable the identification of substances which are of relatively low acute
toxicity hazard but which under certain circumstances may present a danger to vulnerable populations.” There is
no evidence that MMA presents a danger to vulnerable populations.
Also, according to the criteria in 3.1.2 to 3.1.3.4, MMA does not have an:
- Oral LD50 >2000 but ≤ 5000 mg/kg bodyweight, or
- Dermal LD50 >2000 but ≤ 5000 mg/kg bodyweight, or
- Inhalation (gas, vapour and/or dust/mist) LC50 in the equivalent range of the oral and dermal LD50 (i.e., 20005000 mg/kg body weight).
Furthermore, there is no reliable information available indicating significant toxicity effects in humans; or was any
mortality observed when tested up to Category 4 values by the oral, inhalation or dermal routes; or was there expert
confirms significant clinical signs of toxicity, when tested up to Category 4 values, except for diarrhoea, piloerection
ungroomed appearance other than transient irritation and narcosis (Respiratory irritation and Narcosis is specifically
addressed under specific target organ systemic toxicity (single exposure)); or and no expert judgement confirms relia
information indicating the potential for significant acute effects from other animals.
Eye irritation was investigated in two studies. In a screening study using 2 rabbits a dose of 0.1 ml of undiluted
methyl methacrylate produced a Grade 2 conjuctival redness response only at 24 hours and no effects on the iris
and cornea at any timepoint (Rohm and Haas, 1982). In a guideline study using 6 rabbits a dose of 0.1 ml of
undiluted methyl methacrylate produced no effects were observed on the conjuctiva, iris or cornea in any animal, at
any time point (Röhm, 1978). Neither study indicates responses that satisfy the criteria for category 2A i.e. no
effects on iritis, cornea or conjunctival chemosis. The observation of transient redness (score 2) at 24 hrs in the
screening study could be taken to indicate reversible "very" mild irritation which might justify category 2B,
however, no irritation was observed in a reliable guideline study in 6 animals. Hence, the only reliable study supports
a conclusion of Not Classified according to this endpoint.
物質別パブリックコメント
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
区分1
皮膚感作性:区
分1
呼吸器感作性:日本産業衛生学会の既存分類 (気道感作性 第2群) から、区
分1とした。
皮膚感作性: EU-RAR No.22(2002)の記述「アレルギー性皮膚炎が発生」、日
本産業衛生学会の皮膚感作性物質及び参考としてEUリスク警句 R43(皮膚接
触により感作を引き起こす可能性がある) から、皮膚感作性と考えられ、区分1
とした。
付録1
Disagree, (呼吸器感作性)危険 (Danger), (呼吸器感作性)吸入するとアレルギー, 喘息または呼吸困難を起こすおそ
れ (May cause allergy or asthma symptoms or breathing difficulties if inhaled) is not required.
GHS guidance states under the section on Human evidence (3.4.2.1.2.1) that “Evidence that a substance can
induce specific respiratory hypersensitivity will normally be based on human experience. In this context,
hypersensitivity is normally seen as asthma, but other hypersensitivity reactions such as rhinitis/conjunctivitis and
alveolitis are also considered. The condition will have the clinical character of an allergic reaction. However,
immunological mechanisms
do not have to be demonstrated.” However, Page 152, footnote3 states: “The mechanisms by which substances
induce symptoms of asthma are not yet fully known. For preventative measures, these substances are considered
respiratory sensitizers. However, if on the basis of the evidence, it can be demonstrated that these substances
induce symptoms of asthma by irritation only in people with bronchial hyperreactivity, they should not be
considered as respiratory sensitizers”.
In the case of MMA the weight of evidence supports the conclusion that the asthma like symptoms reported are
induced by irritation and therefore MMA should not be regarded as a respiratory sensitizer. A comprehensive review
of the clinical reports on MMA has been made in the EU risk assessment for MMA. This stated on page 101 “A smal
number of case studies have attempted to link MMA exposure with occupational asthma. Authors reported only
immediate responses which are most likely due to an airways irritation. While an immunological mechanism may be
deduced in a few cases, the majority of cases do not seem to indicate a mechanism resulting in respiratory
sensitization, but due to irritative reactions. It was concluded that there is no convincing evidence that methyl
methacrylate is a respiratory sensitizer in humans. Thus, the R-phrase R 42 (May cause sensitisation by inhalation)
is not warranted, however, possible non-specific asthmatic responses due to respiratory tract irritation cannot be
excluded and labelling with R 37(Irritating to respiratory system) is sufficient for the protection of humans. This is
reinforced in the OECD SIAR for MMA in which it states “There is no convincing evidence that MMA is a
respiratory sensitizer in humans”. Hence, the available data does not support classification into category 1.
This conclusion has been supported by other agencies around the world including the EU (European Union
Risk Assessment Report), 2002, OECD (Organization for Economic Co-operation and Development) Screening
Inventory Dataset (SIDS) Initial Assessment Report (SIAR), 2002, Canada Health Canada (WHIMIS), 2002, US
EPA California (DOSH), 2006, EU SCOEL (cientific Committee on Occupational Exposure Limits), draft 2006.
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
区分外
EU-RAR No.22 (2002)、ECETOC JACC30 (1995)の記述から、生殖細胞in vivo
経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験な
し。体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験、小核試験)では、ラットの染
色体異常試験でギャップタイプの異常出現率の僅かな増加がみられているが、
いずれの試験も「信頼性に問題ある」「陽性と判断するには証拠が不十分」等の
EU、ECETOC及びCICADの判断が妥当と考えられるため、体細胞in vivo変異原
性試験は陰性と判断し区分外とした。
IARC(1994)でGroup3、ACGIH(2001)でA4、EPA(1998)でEに分類されているこ
とから区分外とした。
付録-97
物質別パブリックコメント
7 生殖毒性
区分外
EU-RAR No.22 (2002)の記述から、ラットの催奇形性試験で、胎児毒性(早期胎
児死亡、頭尻長の減少、血腫の発生)がみられたが、この影響は親動物への母
体毒性(死亡、体重減少等)に起因する2次的影響と結論付けられることから、
区分外とした。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分3(気道刺激 ヒトについて、「気道刺激性、脱力、発熱、めまい、吐き気、頭痛、眠気」(EU性、麻酔作用)
RAR No.22 (2002))の記載があることから、気道と中枢神経系が標的と考えら
れ、気道刺激性と麻酔作用がみられている。したがって、分類は区分3(気道刺
激性、麻酔作用)とした。
付録-98
付録1
The teratogenic and fetotoxic effects reported in the literature were only observed in the presence of maternal
toxicity or
when the intraperitoneal route of administration was used and hence do not qualify for classification according to
the GHS
criteria.
Quote EU Risk Assessment: As for developmental toxicity investigations, from a series of studies following
inhalation exposure the most definitive study is that of Solomon et al. (1993), conducted to a rigorous protocol in
accordance with current OECD guideline and under GLP conditions. No teratogenicity, embryotoxicity or
fetotoxicity has been observed at exposure levels up to and including 2,028 ppm (8,425 mg/m3). The studies using
the intraperitoneal route of administration that produced some inconsistent results, are of questionable
significance, also since this route of administration is not considered to be an appropriate or relevant route of
exposure.In a study with inhalation exposure to doses slightly less than acute lethal doses (Nicholas et al., 1979).
Groups of 22 to 27
pregnant Sprague-Dawley rats were exposed to 110 mg/l [26,800 ppm] methyl methacrylate vapor (head only), for 1
min per day (about 25 and 75% of the time to death of 50% of animals after a single exposure of 72.2 min), respective
days 6 to 15 of gestation. The fetuses were examined for gross and skeletal malformations only. Both doses were to
dams, as shown by maternal death, loss of body weight during the first few days of treatment and decreased food int
throughout. The highest dose caused a small but significant increase in early fetal deaths and both doses reduced fe
body weight and crow-rump length. The highest dose induced increased incidences of hematomas and retarded ossif
These effects
were only observed in the presence of overt maternal toxicity.
Methyl methacrylate was administered as a liquid by intraperitoneal injection within the investigation of a series of
methacrylate esters to groups of 5 female Sprague-Dawley rats at doses of 0, 0.133, 0.266, and 0.443 ml/kg bw (1/1
and 1/3 of the acute LD50 value of 1.33 ml/kg bw) on day 5, 10, and 15 of gestation (Singh et al., 1972). Maternal tox
the dams was not examined in this study. The following parameters of adverse effects were investigated: embryonicas evidenced by resorptions and stillbirths; gross (external) malformations of fetuses; skeletal malformations and feta
treatment related effects in comparison to sham treated controls (distilled water or normal saline) had been revealed
termination on g.d. 20 with respect to resorptions, numbers of live or dead fetuses or mean fetal body weight. A dose
increase of gross abnormalities (haemangiomas) was found in the fetuses, but there were no skeletal malformations.
intraperitoneal route of administration is not considered to be an appropriate or relevant route of exposure.
物質別パブリックコメント
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
区分1(呼吸器、中 ヒトについて、「萎縮性鼻炎、喉頭炎、自律神経障害、神経衰弱、頭痛、眩暈、
枢神経系)
神経過敏、集中力散漫、記憶力の低下」(環境省リスク評価書 第2巻 (2003))等
の記述があることから、標的臓器は呼吸器、中枢神経系と考えられた。したがっ
て、分類は区分1(呼吸器、中枢神経系)とした。
付録1
The primary target for MMA is degeneration of the nasal tissues following inhalation exposure. There are no
indications of damage to other systemic target organs through prolonged or repeated exposure at these doses.
The nasal degeneration observed during long term (2 year) inhalation exposure is essentially the same as observed
during acute exposure (6 hrs). Hence, this endpoint is adequately addressed (warned for) under "specific target
organ toxicity (single exposure)". The relevant section from EU Risk Assessment states: "No adverse effect was
observed at 25 ppm (equivalent to 0.1 mg/l) (NOAEC). Slight degenerative and regenerative lesions of the olfactory
epithelium were obvious at 110 ppm independent whether the exposure duration was 1, 2, 5, or 28 days in the
CEFIC study (1997) and 100 ppm in the 2-year study conducted by Rohm and Haas (1992). In both studies, the
severity of the lesions observed at 100 ppm was in the same range of gradation, described to be minimal to slight
with respect to the degeneration of olfactory epithelium. In addition, the 2-year study revealed inflammatory lesions
of the olfactory epithelium at concentrations of 100 ppm and higher,
whereas inflammatory lesions were only found at 400 ppm in the subacute study of CEFIC (1997). Whereas induced
lesions were confined to the olfactory epithelium after subacute exposure up to 28 days, irritative effects were also
seen at 400 ppm of methyl methacrylate for 2 years inducing hyperplasia of submucosal glands and/or goblet cell
hyperplasia and inflammation of the mucosa and/or submucosa in the anterior regions of the nasal cavities lined by
the respiratory epithelium. This means that the LOAEC from rat data was constant in short and long-term studies,
however the long-term inhalation led to an exacerbation with an increase of the multiplicity of lesions and the
locations affected."
Regarding effects on the nervous system, headache, hyperesthesia, reduced concentration and decreased memory p
There are indications of narcotic effects following acute inhalation exposure to very high concentrations of MMA but
appear to be reversible and could not be confirmed in repeat exposure studies using concentrations that are relevan
likely worker exposure levels. Relevant section from EU Risk Assessment: "There are a number of findings which ma
ndicate an effect on the nervous system. In an oral subacute rat study, effects on behaviour (listlessness, locomotor
activity, learning ability, gait and rear leg function), and changes in brain chemistry and peripheral nervous system we
observed. Malacia and gliosis of the brain occurred at doses >4.2 mg/l (equivalent to >1,000 ppm) in rats which inhale
methyl methacrylate vapour for 14 weeks. These neurotoxic effects could not be confirmed in chronic inhalation stud
up to concentrations of 400 ppm." There is no indication that there was any Specific target organ systemic toxicity
beyond general signs of toxicity occurring at the onset of lethality in this study.
Furthermore, in the long-term inhalation studies of NTP, where concentrations up to 5000 ppm MMA were tested in
range finding studies, there was no indication of a preferential involvement of the nervous system in the chronic toxi
of MMA, even at concentrations which were partially lethal to the animals.
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=69mg/L(EU-RAR、2002)他から、区分3と
した。
急速分解性があり(BODによる分解度:94.3%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=1.38(PHYSPROP
Database、2005))ことから、区分外とした。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
区分外
付録-99
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID208 メチル-1,3-フェニレン=ジイソシアネート CAS 26471-62-5
化管法政令番号 1-338
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 7500 mg/kg(CERIハザードデータ集 97-20
(1998))、5800 mg/kg(NTP TR251 (1986))、3060mg/kg(EHC 75 (1987))に基づ
き、計算式を適用して得られたLD50 3332mg/kgから区分5とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 10210 mg/kg(CERIハザードデータ集
97-20 (1998))、19360 mg/kg(CERIハザードデータ集 97-20 (1998))、
10000mg/kg(EHC 75 (1987))に基づき、計算式を適用して得られたLD50
10000mg/kgから区分外とした。
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分1
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
区分1
ラットを用いた吸入暴露試験 (粉塵・ミスト) のLC50(4時間) 0.099mg/L(CERIハ
ザードデータ集 97-20 (1998))、0.355mg/L(CERIハザードデータ集 97-20
(1998))、0.34mg/L(EHC 75 (1987))、0.355mg/L(EHC 75 (1987))に基づき、計算
式を適用し、LC50(4時間換算値)の26ppmが得られた。
飽和蒸気圧飽和蒸気圧67Pa(25度)(CERIハザードデータ集 97-20(1998))にお
ける飽和蒸気濃度は660ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気濃度の
90%よりも低い濃度なので「ミストがほとんど混在しない蒸気」としてppm濃度基
準値で区分1とした。
データなし
DFGOT vol.20 (2005)のウサギを用いた24時間適用皮膚刺激性試験結果「on
the surface of the skin as well as necrosis and the formation of granulomas」、
また1時間ないし4時間皮膚刺激性試験結果「undiluted TDI 80/20 was
evaluated as caustic. The skin was visibly healing, but the changes were not
completely reversible within the follow-up period of 8 and 28days. 」から、非可
逆的作用を有すると考えられるため、区分1とした。入手可能なデータからは細
区分は困難である。
パブコメ
①NITE分類:区分1A-1C
DFGOT vol.20 (2005)のウサギを用いた24時間適用皮膚刺激性試験結果「on the surface of the skin as well as
necrosis and the formation of granulomas」、また1時間ないし4時間皮膚刺激性試験結果「undiluted TDI 80/20 was
evaluated as caustic. The skin was visibly healing, but the changes were not completely reversiblewithin the followup period of 8 and 28days. 」から、非可逆的作用を有すると考えられるため、区分1A-1Cとしたが、安全性の観点か
ら、1Aとした方が望ましい。
②ウレタン原料工業会見解:区分2
・EU Risk PhrasesではR36/37/38 なっており、GHS分類マニュアルより 区分2が妥当と判断した。
・NITEの2,4-TDI は区分2、2,6-TDIも区分2。従って、これらの混合物であるm-TDIは、区分2が妥当と判断した。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A-2B
性
CERIハザードデータ集 97-20 (1998)のウサギを用いた眼刺激性試験のデータ
「刺激性を有し、角膜上皮に弱い障害を生じる」、EHC 75 (1987)の「immediate
reaction suggestive of pain, lachrymation, swelling of the eyelids, a
conjunctival reaction, and mild damage to the cornea .」及び、CERIハザード
データ集 97-20 (1998)、NTP TR251(1986)、EHC 75 (1987)、DFGOT vol.20
(2005)、ACGIH (7th, 2004) のヒト健康影響の記述より、回復時間は不明だが、
刺激性を有すると考えられるため、区分2A-2Bとしたが、安全性の観点から、2A
とした方が望ましい。
付録-100
①NITE分類:区分2A-2B
CERIハザードデータ集 97-20 (1998)のウサギを用いた眼刺激性試験のデータ「刺激性を有し、角膜上皮に弱い障害
を生じる」、EHC 75 (1987)の「immediate reaction suggestive of pain, lachrymation, swelling of the eyelids, a
conjunctival reaction, and mild damage to the cornea .」及び、CERIハザードデータ集 97-20 (1998)、NTP
TR251(1986)、EHC 75(1987)、DFGOTvol.20 (2005)、ACGIH (7th, 2004) のヒト健康影響の記述より、回復時間は不明
だが、刺激性を有すると考えられるため、区分2A-2Bとしたが、安全性の観点から、2Aとした方が望ましい。
②ウレタン原料工業会見解:区分2A
RTECSのデータでは「(ウサギ)重度の刺激性(SEV)[500mg/open]」であり、NITEのコメント「区分2A-2Bとしたが、安全
性の観点から、2Aとした方が望ましい。」を採用し、安全性を重視した「2A」が妥当と判断した。
物質別パブリックコメント
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
区分1
皮膚感作性:区
分1
呼吸器感作性:CERIハザードデータ集 97-20 (1998)、EHC 75 (1987)、DFGOT
vol.20 (2005)、ACGIH (7th, 2004) のヒト健康影響の記述、及び日本職業・環境
アレルギー学会特設委員会「呼吸器感作性物質」、産衛学会勧告 (2005)「気道
第1群」という既存分類より、区分1とした。
皮膚感作性: CERIハザードデータ集 97-20 (1998)、EHC 75 (1987)、DFGOT
vol.20 (2005) の動物を用いた皮膚感作性試験結果「陽性」、EHC 75 (1987)、
DFGOT vol.20 (2005)、ACGIH (7th, 2004) のヒト健康影響の記述、及び産衛学
会勧告 (2005)「皮膚第2群」、ACGIH-TLV (2005)「SEN」という既存分類より、区
分1とした。
5 生殖細胞変異原性
区分外
経世代変異原性試験/生殖細胞in vivo変異原性試験/体細胞あるいは生殖細
胞in vivo遺伝毒性試験データが無く、体細胞 in vivo変異原性試験(小核試験)
で陰性結果があることによる。
6 発がん性
区分2
ACGIH (2001)の分類がA4であるが、IARC71(1999)で2B、産衛学会勧告(2004)
で2Bに分類しており、指針に従いIARCの分類を優先して区分2とした。
7 生殖毒性
分類できない
IRIS (1995)の記述から、親世代で影響のみられない濃度で、児世代に鼻炎とそ
れに関連する咽頭や気管での変化及び体重減少がみられているが、親世代と
同様の影響であること、かつ分類に使用できるデータが少ないことによる。
付録1
①NITE分類:区分外
経世代変異原性試験/生殖細胞in vivo変異原性試験/体細胞あるいは生殖細胞invivo遺伝毒性試験データが無く、
体細胞 in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性結果があることによる。
②ウレタン原料工業会見解:分類できない
m-TDI(2,4-TDIと2,6-TDIの混合物)のデータだけから判断すると「区分外」となる。しかし、m-TDIの構成成分である
2,4-TDI及び2,6-TDIそれぞれの分類では、2,4-TDIは in vivoのデータが無く、in vitroのデータは陰性と陽性があり
「分類できない」となる。一方、2,6-TDIは、invivoのデータが無く、in vitroのデータは陽性であり、陰性のデータがなく、
GHS分類マニュアル記載の「・・invitro変異原性試験での陽性結果だけで区分2に分類されることは、通常ない。・・」
から「分類できない」となる。分類が「分類できない」である2,4-TDI及び2,6-TDIから構成されるm-TDIは、m-TDI自体
のデータからだけでなくその構成成分のデータも含め総合的に判断すべきと考え、現時点では「分類できない」が妥
当と判断した。又、2,6-TDIは厚生労働省基発で「変異原性物質」になっており、この点から「区分外」とするには問題
があると考える。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(呼吸器、 ヒトについては、「眼、気道、皮膚に対する刺激性、激しい乾性の咳、喀痰、胸部
暴露)
中枢神経系)
絞扼感、呼吸困難、悪心、嘔吐、重篤な気管支痙攣を伴った気管支炎、肺水
腫、肺炎、長期に亘って頭痛、健忘、集中力欠如、錯乱、人格の変化、易刺激
性、鬱のような中枢神経系に対する影響」(CERIハザードデータ集 97-20
(1998))、「高揚感、運動失調、断続的な四肢の痙攣、めまい、意識消失、頭痛、
集中力欠如、記憶障害、混乱、被刺激性、抑うつ」(EHC 75 (1987))等の記述が
あることから、呼吸器、中枢神経系が標的臓器と考えられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器、中枢神経系)とした。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(呼吸器)、 ヒトについては、「喉への刺激性、呼吸困難」(EHC 75 (1987))等の記述、実験
暴露)
区分2(肝臓)
動物については、「鼻腔の炎症、間質性肺炎、カタル性気管支炎、気管炎、気管
支炎、肺炎に伴って細気管支壁における線維組織の増生」(CERIハザードデー
タ集 97-20 (1998))、「肺、気管、肝臓で被験物質投与によると考えられる変化
が観察された、気管支肺炎、肺の気管支上皮の再生像および線毛消失、肝臓
の脂肪化」(厚労省報告 (2001))等の記述があることから、呼吸器、肝臓が標的
臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、呼吸器への影響が区分
1、肝臓への影響が区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)、区分2(肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
分類結果
分類根拠・問題点
パブコメ
付録-101
物質別パブリックコメント
11 水生環境急性有害性
区分1
加水分解物であるトルエンジアミンの毒性を示すと考えられ、トルエンジアミン測
定濃度から算出した魚類(マダイ)の96時間LC50=0.153mg/L(CERI・NITE有害
性評価書(暫定版)、2006)から、区分1とした。
付録1
①NITE分類:区分1
加水分解物であるトルエンジアミンの毒性を示すと考えられ、トルエンジアミン測定濃度から算出した魚類(マダイ)の
96時間LC50=0.153mg/L(CERI・NITE有害性評価書(暫定版)、2006)から、区分1とした。
②ウレタン原料工業会見解:区分3
・IUCLIDのデータ〔魚類:ヒラメ LC50=46mg/L(96H)、藻類:クロレラEC50=4,300mg/L(96H)、甲殻類:ミシッドシュリン
プ LC50=18.3mg/L(96H)〕および化学物質評価研究機構「化学物質安全(ハザード)評価シート」のデータ〔甲殻類:オ
オミジンコ EC50=12.5mg/L/48hrs]のデータから、区分3が妥当と判断した。
・NITE分類では、m-TDIは区分1であるが、2,4-TDI及び2,6-TDIは区分外に分類されている。従って、2,4-TDIと2,6TDIの混合物であるm-TDIも区分外と判断でき、NITEの区分1とは大きく食い違う。
・EU Risk Phrasesでは、m-TDIはR52/53 になっており、GHS分類マニュアルより区分3が妥当と考える。
11 水生環境慢性有害性
区分1
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=380(CERI・NITE有害性評価
書(暫定版)、2006))、急速分解性がない(分解物のBODによる分解度:0%
(CERIハザードデータ集、1997))ことから、区分1とした。
①NITE分類:区分1
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=3.74(PHYSPROPDatabase、2005))、急速分解
性がない(分解物のBODによる分解度:0%(CERIハザードデータ集、1997))ことから、区分1とした。
②ウレタン原料工業会見解:分類できない
・NITE分類では、m-TDIは区分1であるが、2,4-TDI及び2,6-TDIは区分外に分類されている。従って、2,4-TDIと2,6TDIの混合物であるm-TDIも区分外と判断でき、NITEの区分1とは大きく食い違う。
・環境省環境保健部環境リスク評価室が作成した「化学物質の環境リスク評価 第1巻」に記載されている急性毒性
については、甲殻類ではPalaemonetes pugioに対する96時間半致死濃度(LC50)が500,000μg/L以上、魚類では
Pimephales promelasに対する96時間半致死濃度(LC50)が164,500μg/L以上とあるが、慢性毒性値については、信
頼できるデータは得られなかったとあり、分類できないが妥当であると判断した。
付録-102
物質別パブリックコメント
ID236 テルル
CAS 13494-80-9
化管法政令番号 該当なし
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1
1
1
1
急性毒性(経皮)
急性毒性(吸入:気体)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類結果
区分3
分類できない
分類対象外
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A-2B
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器:分類でき
ない
皮膚:分類できな
い
5 生殖細胞変異原性
分類できない
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
区分2
分類根拠・問題点
ラットLD50値:83mg/kg(RTECS, 2005およびHSDB, 2005)に基づき、区分3とし
た。
データなし
GHSの定義による固体である。
データなし
RTECS (2005)にラットLC50(4時間)値:>2.42mg/Lとの記述があるのみで、
データ不足のため分類できない。
HSFS(1999)およびSITTIG(4th, 2002)の皮膚を刺激するとの記述から、区分2と
した。
HSFS (1999)およびSITTIG(4th, 2002)の眼を刺激するとの記述から、区分2A2Bとした。
呼吸器:データなし
皮膚:データなし
データなし
データなし
HSDB (2005)のラットを用いた妊娠6-15日混餌経口投与試験において親動物に
一般毒性が認められる用量で子に奇形(水頭症)が認められたとの記述から、
区分2とした。なお、PATTY (4th, 1994)にはラットを用いた試験で母乳を介した
暴露により子の神経系に影響(坐骨神経のシュワン細胞とミエリンの変性、視神
経の髄鞘低形成)が認められたとの記述がある。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分2(末梢神経 PATTY (4th, 1994)の幼若ラットを用いた混餌経口投与試験で末梢神経系への
暴露)
系)
影響が区分2のガイダンス値範囲の暴露で認められたとの記述から、区分2(末
区分3(気道刺激 梢神経系)とした。また、ICSC(J) (2000)、HSDB (2005)、HSFS (1999)および
性)
SITTIG(4th, 2002)の気道を刺激するとの記述から、区分3(気道刺激性)とし
た。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
パブコメ
区分2に相当する所見がある場合、区分3に同時に分類することはできない。
GHSの規定に従う限り、1つの毒性クラスについて2種類以上の絵表示が適用されることはない。
ACGIH (7th, 2001)およびPATTY (4th, 1994)の製鉄所での22か月間の職業暴
露例では、呼気のにんにく臭、金属味、口渇、発汗、眠気および吐き気など、い
ずれも障害を残さない一過性の軽微な症状のみが認められたことから、分類で
きないとした。
分類できない
データなし
分類結果
分類できない
分類できない
データがなく分類できない。
データがなく分類できない。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類根拠・問題点
パブコメ
付録-103
物質別パブリックコメント
ID250 三酸化ニアンチモン
CAS 1309-64-4
化管法政令番号 1-25
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
ヒトの疫学事例で、死亡がみられており(CERIハザードデータ集 2001-7
(2002))、ヒト健康に対する急性的な懸念が示唆され、ある状況下ではヒトの死
亡がみられたため、区分5とした。
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類できない
分類対象外
データなし
GHSの定義による固体であるため、ガスの吸入は想定されず、分類対象外とし
た。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
分類できない
分類できない
データなし
データなし
EUリスク警句 (2005)では刺激性ありとしているが、根拠となるデータが不明の
ため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2B
CERIハザードデータ集( 2001-7 (2002) )のウサギ眼刺激性試験の結果より、軽
度の刺激性から区分2Bとした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
5 生殖細胞変異原性
区分外
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
6 発がん性
区分2
7 生殖毒性
分類できない
IARC (1989)で2B、日本産業衛生学会で2Bに分類されていることから、区分2と
した
IARC 47 (1989)の記述から、ラットで生殖毒性 (妊娠の不成立、母毒性のない用
量で着床前後の吸収胚の増加) がみられたとの報告があるが、これら報告は信
頼性が低く採用困難であることから、「分類できない」とした。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
区分1(心臓)、区 ヒトについては「56人が入院し胃の灼熱痛、疝痛、悪心、嘔吐」(IRIS 6 (1987))等
分2(呼吸器)
の記述があるが障害は接触性のものと考えられる。また「検死により心筋壊死
が観察されている」(CERIハザードデータ集 2001-7 (2002))の記述があり、実験
動物では「肺の軽度の限局性変色、隆起した白色巣がみられた」(CERIハザード
データ集 2001-7 (2002))の記述があることから、心臓、呼吸器が標的臓器と考
えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範
囲でみられた。
以上より、分類は区分1(心臓)、区分2(呼吸器)とした。
本事業で同様にGHS分類を実施している三塩化アンチモン(CAS_10025-91-9)
の分類結果を参照すること。
パブコメ
「2003年WHO第3版ガイドライン」の人の経口暴露影響記述には、環境由来(大気、土壌)及び食物/飲料水からの総
暴露は職場での暴露と比較して極めて少ない(Gebel,1999)とあり、「実験動物及びin vitro試験系に及ぼす影響」につ
いて、三酸化アンチモンは水への溶解性が極めて低いことから、実質的に無毒(LD50>20,000mg/kg bw)である。
(Gebel,1999) 従って、区分なし、注意喚起用語及び危険有害性情報も必要ない。
三酸化アンチモンに関するEUリスクアセスメントの中間結果では。急性毒性(刺激性、感作性、吸入毒性)なしであり、
本年12月の最終評価結果もそのようになる見込みである。従って、区分必要ない。
PATTY(4th, 2000)、CERIハザードデータ集 2001-7 (2002)、IARC 47(1989)の
記述から、生殖細胞in vivo経世代変異原性試験なし、生殖細胞 in vivo変異原
性試験(染色体異常試験)陰性であり、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異
常試験)については結果(1回投与で陰性、21日めまでの投与で骨髄の染色体
が変化する度合が増加)を陰性と判断し区分外とした。
付録-104
ACGIH(2001)におけるA2分類については、Antimony Trioxide productionの製造プロセスのみであり、使用・取り扱い
については分類なく、IARC分類グループ2Bに従って区分2とすべきである。
「2003年WHO第3版ガイドライン」の「変異原性及び関連する指標」に関する記述には、三酸化アンチモンは多くの古
い細菌突然変異試験では遺伝毒性を示したが、比較的最近のものでは遺伝毒性が認められていない(Lantzsch and
Gebel, 1997; Elliott et al.,1998)、また、三酸化アンチモンの水への溶解性が低いことから、Elliott et al.(1998)は三酸
化アンチモンにはin vivo の遺伝毒性はないと結論づけた また、九州大学大学院医学研究院でのラット及びマウス
の生殖毒性・経世代影響試験においては毒性影響が見られず、さらに、EUリスクアセスメントの中間経過では生殖
毒性リスクなしとの結果であり、生殖毒性区分には該当しない。
特に心臓毒性については、1954年のBriegerらの報告等非常に古い文献引用と思われるが、その影響化学物質につ
いて三酸化アンチモンそのものと断定することは出来ず、アンチモン鉱石、アンチモン金属ヒュームあるいはその当
時の精製技術からしてもヒ素、鉛などの不純物も相当量高濃度と推察され、それらの影響も無視出来ないと考えま
す。
現在進められているEUリスクアセスメントの中間結果では、結論(1)データ不十分として暴露データなどのギャップ
データ収集・提出が進められており、それらの結果・結論を待って判断したい。
物質別パブリックコメント
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
10 吸引性呼吸器有害性
区分1(呼吸器)
ヒトについては「胸部レントゲン検査で肺炎が確認された」、「 アンチモン塵肺症
が見られさら塵肺症が疑われた」、「胸部レントゲン像異常とアンチモンの肺内
残留と曝露期間の関係を報告した」、「浸潤状に広がった直径1mm未満の斑状
陰影 の存在とそれの肺中葉部への集積」(IRIS (2002))等の記述があり、実験動
物では「剖検では肺の色調変化が見られた。粒子含有食細胞、変性食細胞、肺
胞壁内の細胞屑が観察された」、「間質性線維化、肺胞上皮細胞の肥大及び過
形成」、「肉芽腫様炎症および肉芽腫」(IRIS (2002))、「体重減少、肺の間質性線
維化、肺胞上皮細胞の肥大及び過形成、立方及び円柱上皮化生、コレステロー
ル裂」(CERIハザードデータ集 2001-7 (2002)) 等の記述があることから、呼吸器
及び消化器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1
に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。
分類できない
データなし
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
魚類(マダイ)の96時間LC50=12.4mg/L(CERIハザードデータ集、2002)から、区
分3とした。
区分3
急性毒性が区分3、金属化合物であり水中での挙動および生物蓄積性が不明
であるため、区分3とした。
付録1
上記記述同様、三酸化アンチモンそのものの影響毒性と判断するには多くの問題点があると思われ、EUリスクアセ
スメントの結果結論を待って判断したい。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
パブコメ
分類根拠として用いているCERIハザードデータ集のデータは三塩化アンチモンのデータであり、三酸化アンチモンと
しては、分類基準外のデータである。分類設定において異なる化学種のデータを用いるべきではない。また、EUリス
クアセスメントの分類/ラベリング委員会の結論として、三酸化アンチモンは環境影響として分類の必要なしとの結
論になっている。これらのことから、水生環境有害性の区分に該当しない。
慢性有害性については、急性有害性の区分結果から導かれているため、この項目についても、区分に該当しない。
その他のコメント
標記GHS分類作業結論は、CERIハザードデータ集2001-7(2002)等から引用分類されていますが、毒性影響評価全般に関して、GHSが予防原則、ハザードベースの考え方に立つとしても、非常に古い文献からの引用情報かつ最悪の影響
ケースの引用過多と思われます。
現在、三酸化アンチモンあるいはアンチモン及びアンチモン化合物に関する最新の科学定量的な検証は、2003年のWHO飲料水ガイドライン見直し、並びにEUリスクアセスメントであり、それらの三酸化アンチモン固有の毒性影響評価に基づ
く分類にすべきと考えます。
個々の危険有害性項目に対するコメントは、下記添付文書のNITEのGHS分類一覧表の右側に記述しましたのでご査収下さい。(下記)尚、具体的な危険有害性項目分類のシンボル対象としては、IARCグループ2B分類から、発癌性項目に
関してGHS区分 2警告のみ該当すると考え、他項目については非該当と考えます。
そのことは欧米のラベル・警句との整合性が図られると考えます。
付録-105
物質別パブリックコメント
ID280 N-ジブチルアミノチオ-N-メチルカルバミン酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾ[b]フラニル
CAS 55285-14-8
化管法政令番号 1-161
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分3
1 急性毒性(経皮)
区分5
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
区分2
2 皮膚腐食性・刺激性
区分外
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分外
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系、
暴露)
消化管)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分2(血液系)
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験の LD50 101 mg/kg (農薬登録申請資料 (1981))に
基づき、区分3とした。
ラットを用いた経皮投与試験の LD50 =4012 mg/kg(農薬登録申請資料 (1981))
に基づき、区分5とした。
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
データなし
ラットを用いた吸入暴露試験のLC50 0.15mg/L(4時間換算)(農薬登録申請資料
(1981))に基づき、区分2とした。
ウサギによる刺激性試験で、極軽度の刺激性が認められたが、Draize scoreの
評点の最高が1.2であり、6日以内に全て消失していることから(農薬登録申請資
料(1981))、区分外とした。
ウサギでの試験において、結膜のみに刺激性が認められたが、3日目までに完
全に消失していることから(農薬登録申請資料(1981))、眼に軽度の刺激性を
有すると考えられ、区分2Bとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:モルモットでの試験において、軽度の皮膚感作性の誘発があると
の報告があることから(農薬登録申請資料(1981))、区分1とした。
複数のin vitro復帰変異試験(農薬登録申請資料(1981))、in vivoマウス体細胞
小核試験(農薬登録申請資料(1982))、in vivoラット染色体異常試験(農薬登録
申請資料(1981))で全て陰性であることから、区分外とした。
ラット24ヶ月(農薬登録申請資料(1982))、マウス18ヶ月(農薬登録申請資料
(1982))の発がん性試験において、試験物質投与による腫瘍発生の増加が見
られなかったとの報告から、区分外とした。
ラット3世代生殖毒性試験(農薬登録申請資料(1982))、ラットおよびウサギでの
催奇形性試験(農薬登録申請資料(1981))において、親動物の生殖能や仔動
物への影響がなかったとの報告があることから、区分外とした。
ラットによる試験において、自発運動の低下、振せん、背部筋の攣縮、流涎、流
涙。胃底部の線状出血との報告がある(農薬登録申請資料(1981))ことから、
神経系、消化管が標的と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に
相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系、消化管)とした。
ラットでの試験において、ヘマトクリット値の低下、リンパ球の低値、分葉球の高
値が認められた(農薬登録申請資料(1981))ことから、血液系が標的と考えら
れた。これらの影響は、区分2に相当するガイダンス値で認められたことから、
区分2(血液系)とした。
データなし
付録1
分類実施日
分類実施機関
パブコメ
9.標的臓器/全身毒性(反復暴露)
N-ジブチルアミノチオ-N-メチルカルバミン酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾ[b]フラニル(ID 280:カルボスル
ファン)のGHS区分案における特定標的臓器・全身毒性(反復暴露)の分類に関しては、ラット90日亜急性毒性試験
(農薬登録申請資料(1981))を元に「ヘマトクリット値の低下、リンパ球の低値、分葉球の高値が認められた(農薬登
録申請資料(1981))ことから、血液系が標的と考えられた。これらの影響は、区分2に相当するガイダンス値で認めら
れたことから、区分2(血液系)とした。」との分類案が設定されております。
しかしながら、区分設定根拠とされている結果は下記に挙げる文献から正常動物に見られる範囲内である事であり
ます。
ヘマトクリット値に関してはラットにおいて系統間、とりわけSprague-DawleyとFischer344系ラット間に差異がない事が
知られております(参考文献1)。参考文献1において、Sprague-Dawley系ラットにおけるヘマトクリット値の正常範囲
は41.1-51.1%と報告されております。90日亜急性毒性試験(農薬登録申請資料(1981))において報告された
1000ppm投与雌ラットのヘマトクリット値は42.8%(対照群:45.1%)であり、これは参考文献1で示されている正常範囲に
収まる値であります。
同様にリンパ球に関しても、1000ppm投与雌ラット(回復期)においては71.17%(対照群:78.67%)である事に対して、正
常範囲は53.7-88.5%となっております(参考文献1)。
分葉球に関して参考文献1では、好中球(桿状球と分葉球の合計)の正常範囲として8.5-40%と記載されております。
90日亜急性毒性試験での分葉球値は1000ppm投与雌ラット(回復期)において25.33%(対照群:17.17%)であり、同群に
おいて桿状球が認められていない(0.0%, 対照群では0.17%)事からこれも正常の範囲内と考えられます。成熟雌ラット
における、白血球に占める桿状球の割合は非常に小さな(1%以下)ものであり(参考文献3)、分葉球に関し参考文献
3でFischer 344系雌ラットにおける正常範囲が25-61%と記されております。
従いまして、今回の特定標的臓器・全身毒性(反復暴露)案の設定根拠となっております、ラット90日亜急性毒性試
験において血液学的検査で認められた対照群との差は、確かに統計上の有意差ではありましたが、値そのものは正常
これらの事から、血液系をN-ジブチルアミノチオ-N-メチルカルバミン酸2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ベンゾ[b]フラニ
(参考文献)
1. Mitruka, B.M., 1981. Clinical Biochemical and Hematological Reference Values in Normal Experimental Animals and
2. ラットにおける90日間亜急性毒性試験. FMC Corpporation.(農薬登録申請資料(1979))
3. Charles River Laboratories. 1984 Baseline Hematology and Clinical Chemistry Values for Charles River Fischer344
(F-344)CrlBR as a Function of Sex and Age. website.
http://www.criver.com/research_models_and_services/research_models/RM_TD_BASELINEHEMATOLOGYF344RATW
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.00103mg/L(農薬登録申請資料、2004)
から、区分1とした。
急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され(BIOWIN)、生物蓄積性があ
ると推定される(log Kow=5.57(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分1と
付録-106
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID334 アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル) CAS 103-23-1
化管法政令番号 1-9
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分外
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験LD50 9,100 mg/kg (環境省リスク評価第2巻
(2003))、25,000 mg/kg (IARC 77 (2000))のうち低い値LD50=9,100 mg/kgから
区分外とした。
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 14,752 mg/kg (環境省リスク評価第2巻
(2003)) から区分外とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類対象外
GHSの定義による液体のため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とし
た。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
分類できない
区分3
データなし
データなし
CERIハザードデータ集97-12 (1998) のウサギを用いた皮膚一次刺激性試験結
果、「わずかな紅斑と72時間後の消失」から、区分3であり、環境省リスク評価第
2巻 (2003) では「動物試験で、皮膚に刺戟性なし」で区分対象外であるが、安全
サイドから区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
分類できない
環境省リスク評価第2巻 (2003)本文にて、「動物実験では眼や皮膚への刺激性
はない。」という記述があるが、区分外とするにはデータ不足のため、分類でき
ないとした
呼吸器感作性:データーなし
皮膚感作性: CERIハザードデータ集 97-12 (1998)、環境省リスク評価第2巻
(2003) のモルモットを用いた皮膚感作性試験結果結果では、皮膚感作性が認
められなかったが試験数が少なく詳細条件不明であり、また疫学結果も無いた
め、分類できないとした。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分外
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
分類できない
分類できない
付録1
IARC 29 (1982)、IARC 77 (2000)の記述から、生殖細胞in vivo経世代試験(優
性致死試験)で弱い陽性であるが、9,220 mg/kgという現在のガイドラインの限
界用量を超える用量で、且つ腹腔内投与による結果であり、仮に弱い反応性が
あるとしても、生物学的意義は無視しうる程度のものであると考えられることか
ら陰性と判断、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験
で陰性であることから区分外とした。
IARC 77 (2000)で3、EPA (1994)でCに分類されていることから区分外とした。
パブコメ
7.生殖毒性
OECD/SIDS,化学物質の環境リスク初期評価(環境庁2003)、環境化学物質の代謝とその周辺(日本衛生協会2003)、
IARCのいずれの報告も問題にしているのはICI/CTLの報告書(1988b)によるものです。このとき同研究所では、まっ
たく同じdoseで併行して雄15頭雌30頭の繁殖性試験も行っています(1988a)。
原報告書の著者は、28 mg/kg(餌中300 ppm)をNOELとしているが、US EPAは170 mg/kg (餌中に1800 ppm)をNOEL
と判断し、OECDのSIAMでもこれを採用している。その理由は170 mg/kg (餌中に1800 ppm)で見られた変化が異常
(anomaly)ではなく、化骨遅延、尿管の拡張、尿管のねじれでありいずれも軽度で出産後正常になる性質の変異
(variant)であり、通常これは発生毒性と考えないので、それに基づく判断と考えられる。この判定の基準はGHSにも
採用されており以下のように記されている。
“GHSの生殖毒性に関する分類基準(「化学品の分類および表示に関する世界調和システム改訂初版」、経済産業
省製造産業局化学物質管理課、2006.3.24)には、以下の内容が示されている。
3.7.2.3.3: 実験動物を用いた生殖試験で、記録された作用が毒性学的な重要性が低いかまたは最小限なものしか
ないと見なされるならば、必ずしも結果的に分類されるとは限らない。
3.7.2.5.8: 動物試験で極めて高い用量段階でのみ認められる生殖に対する有害影響は、例えば人の感受性のほう
が動物より高いことを示すトキシコキネティクスの情報のようなその他の情報が入手されて、その分類が適切である
ことを裏付けることが無い限り、通常は分類の根拠とはならない。
今回原報を取り寄せ検討したが、これによると、さらに上の用量(1.08g/kg餌中12000ppm)での変化も170mg/kgのと
きと同様であり、母動物で経度の影響が見られているにもかかわらず胎児への影響は同様である。IARCは1.08g/kg
を採用している。
さらに、同じ研究所で同じ動物と投与量で行った、雄15頭雌30頭の繁殖製試験 (1988a)でも、170 mg/kgで影響が
認められないことからも支持される。
以上の分類基準に従えば、DEHAのNOAELは1.08g/kgと判断され、従って、DEHAの生殖毒性に関する分類は「区分
外」が妥当である、と考えられます。
環境省リスク評価第2巻 (2003)、IARC 77 (2000)の記述から、ラットの一世代試
験で親動物に影響のある用量で胎仔の体重及び体長の低下がみられ、また、
ラットの催奇形性試験では胎仔に用量に依存した尿管奇形(拡張、ねじれ)がみ
られているが、これらの影響は全て軽度で回復可能であった。また、生殖毒性
におけるNOAELが1.08g/kgと報告されていることから、総合的に判断して区分
データなし
データ不足のため、分類できない
データなし
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=660μg/L(環境省リスク評価第2巻、
2003)から、区分1とした。
急性毒性が区分1、急速分解性があるものの(BODによる分解度:71%(既存化
学物質安全性点検データ))、生物蓄積性があると推定される(log Kow=6.11
(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分1とした。
付録-107
パブコメ
枠外参照
物質別パブリックコメント
付録1
11.水生環境有害性(急性)
1)分類区分1の根拠としているデータは環境省リスク評価書第2巻で評価されたオオミジンコのEC50=660μg/L、及び溶解度 0.78mg/Lを採用して分類されたものである。
このオオミジンコデータ、及び溶解度の元データは Felderら(1986), Assessment of the Safty of Dioctyl adipate in FreshawaterEnvironment, Environ, Toxicol. Chem.5(8) 777-784 による。
2)ところで、水生環境有害性試験データ情報源のPriority 1の一つであるOECDのSIDSレポート(SIDS Inittial Assessment Report)のDEHA(CAS NO:103-23-1)では溶解度としてGLP対応である0.0032mg/Lのデータを採用し、水生有害性
評価にたいしてもFedlerらのデータ
にたいしては溶解度以上のデータであり、採用しておりません。尚、FedlerのデータはGLPに関して確認がとれておりません。
以上により、GLPデータである溶解度 0.0032mg/Lの値を採用しますと今回の水生環境有害性に関しては溶解度以上のデータとなりDEHPの水生環境有害性の項で述べた理由によってDEHAの水生環境有害性は「分類できない」が妥当と
考えられます。
尚、下記にOECD SIDS中の溶解度に関するデータを示します。
①Value = 0.0032 mg/l at 22 degree C
Year 1999
Remark Aqueous solubility measured using slow-stir method for low soluble compounds
GLP yes
Reference Parkerton, TF.1999. Submitted to J. Chemical Engineering Data.
②Value = <0.0005 mg/l at 22 degree C
Year 1986
GLP no data
Reference Felder, J.D., Adams, W.J., and Saeger, V.W.(1986).Assessment of the Safety of Dioctyl Adipate in Freshwater Environments, Environ. Toxicol. Chem. 5: 777-784
③Value = 0.78 mg/l at 22 degree C
Year 1986
Remark Measured using rapid stir, shake flask method that results in emulsions of low soluble liquid compounds
GLP no data
Reference Felder, J.D., Adams, W.J., and Saeger, V.W.(1986). Assessment of the
Safety of Dioctyl Adipate in Freshwater Environments, Environ. Toxicol. Chem. 5: 777-784
尚EPIの計算によると水溶解度の理論値は、0.0013 mg/Lあるいは0.00094 mg/L(計算方式による)である。
付録-108
物質別パブリックコメント
ID339 デシルベンゼンスルホン
化管法政令番号 該当なし
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
本物質のデータはないが、LAS混合物 (アルキル鎖の炭素数10~14)のデータ:
ラットを用いた経口投与試験のLD50=404 mg/kg (雄)、409 mg/kg (雌)、659
mg/kg (雄)、670 mg/kg (雌)、760 mg/kg (雌)、873 mg/kg (雄) (CERI・NITE 有
害性評価書 No.5 (2005)) 、に基づき、計算式を適用して得られた 502 mg/kg か
データなし
GHSの定義による液体または固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分
類対象外とした。
データなし
データなし
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タ として、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のヒト疫学事例に、原体ではな
いが「1%LAS水溶液の24時間適用で中等度の刺激がみられた」という記述があ
ることから、中等度の刺激性を有すると考えられ、区分2とした。
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のウサギを用いた眼刺激性試
験の結果の記述に、「濃度0.5%以上 の適用で、 浮腫を伴った強度の充血、流
涙、 (24時間持続)がみられたが、3日以内に回復した」とあり、軽度の刺激性を
有すると考えられるため、区分2Bとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
-------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが、LASについ
試験データ(陰性)を含む、複数のデータが存在する。GHS分類の原則(ヒト経験情報を優先、証拠の重み付け)に沿っ
データを総合的に評価すべきであり、その結果「区分外」が適切であると考える。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
付録-109
物質別パブリックコメント
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
本物質としてのデータはないため、分類できない。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
分類できない
分類できない
分類根拠・問題点
データ不足のため分類できない。
データ不足のため分類できない。
パブコメ
付録-110
物質別パブリックコメント
ID340 デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C10) CAS 1322-98-1
化管法政令番号 1-24
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 分類できない
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
本物質のデータはないが、LAS-Na 混合物 (アルキル鎖の炭素数10~14)を用
いたデータ:ラットを用いた経口投与試験の LD50=1,460 mg/kg (雄)、1,470
mg/kg (雌) (CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)) に基づき、小さい方の値で
ある 1,460 mg/kg から区分4とした。
データなし
GHSの定義による液体または固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分
類対象外とした。
データなし
データなし
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タ として、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のヒト疫学事例に、原体ではな
いが「1%LAS水溶液の24時間適用で中等度の刺激がみられた」という記述があ
ることから、中等度の刺激性を有すると考えられ、区分2とした。
RTECS (2006) のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に、デシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウムの純度は不明であるが、450 mgを投与し、「重度
(severe) の刺激を示した」との記述があることから、重度の刺激性を有すると考
えられるが、データ不足のため分類できないとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが、LASについ
試験データ(陰性)を含む、複数のデータが存在する。GHS分類の原則(ヒト経験情報を優先、証拠の重み付け)に沿っ
データを総合的に評価すべきであり、その結果「区分外」が適切であると考える。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
付録-111
物質別パブリックコメント
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
本物質としてのデータはないため、分類できない。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分2
区分外
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=9.55mg/L(EHC169、1996)から、区分2と
した。
急速分解性があり(p-n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのBODによる分
解度:73%(既存化学物質安全性点検データ)から類推)、かつ生物蓄積性が低
いと推定される(log Kow=2.02(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外
付録-112
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID341 ウンデシルベンゼンスルホン酸(C11) CAS 50854-94-9
化管法政令番号 1-24
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
本物質のデータはないが、LAS混合物 (アルキル鎖の炭素数10~14)のデータ:
ラットを用いた経口投与試験のLD50=404 mg/kg (雄)、409 mg/kg (雌)、659
mg/kg (雄)、670 mg/kg (雌)、760 mg/kg (雌)、873 mg/kg (雄) (CERI・NITE 有
害性評価書 No.5 (2005)) 、に基づき、計算式を適用して得られた 502 mg/kg か
データなし
GHSの定義による液体または固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分
類対象外とした。
データなし
データなし
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のヒト疫学事例に、「1%LAS水
溶液の24時間適用で中等度の刺激がみられた」という記述があり、中等度の刺
激性を有すると考えられ、区分2とした。
本物質のデータはないが、LAS (C11~13)混合物のデータとして、CERI・NITE
有害性評価書 No.5 (2005) のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に
「5%溶液の適用で強度の充血や強度の浮腫が観察された」とあり、強度の刺激
性を有すると考えられ、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
--------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが、LASについ
5 生殖細胞変異原性
分類できない
6 発がん性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
付録-113
物質別パブリックコメント
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
本物質としてのデータはないため、分類できない。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分外
分類根拠・問題点
魚類(コイ)の96時間LC50=4.4mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2005)から、本
物質の水溶解度(0.0064mg/L(PHYSPROP Database、2005))において当該毒
性が発現した可能性が否定できないため、区分1とした。
急速分解性があり(p-n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのBODによる分
解度:73%(既存化学物質安全性点検データ)から類推)、かつ生物蓄積性が低
い(BCF=260(EHC169、1996))ことから、区分外とした。
付録-114
パブコメ
《コメント1》
上記物質の水生環境有害性(急性)について、ID341:「魚類(コイ)の96時間LC50=4.4mg/L(CERI・NITE有害性評価
書、2005)から、本物質の水溶解度(0.0064mg/L(PHYSPROP Database、2005))において当該毒性が発現した可能
性が否定できないため、(急性)区分1とした。」、ID344:「甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=3.4mg/L(環境省生態
影響試験、1999)から、本物質の水溶解度(0.7032mg/L(PHYSPROP Database、2005))において当該毒性が発現し
た可能性が否定できないため、(急性)区分1とした。」としています。
しかし、これらの化合物は、試験データに基づいて(急性)区分2に分類するか、あるいは試験溶液の状態など各試
験データの詳細を確認し、慎重に分類することが適当と考えます。
これらの化合物は強酸性の解離性官能基であるスルホン酸基を有するために、水生生物毒性試験の条件下では解
離型として存在したものと考えられ、魚毒性試験やミジンコ毒性試験では溶解状態で存在していた可能性が高いと
思われます。一方、PHYSPROP Databaseに収載の水溶解度は、非解離型(酸型)の推定値であり、試験条件下での
水溶解度を適切に表しているとは考えにくく、またID341については「PHYSPROP Database」で検索してもその水溶解
度(0.0064mg/L)を確認することができませんでした。
---------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
急性試験(いずれもLC/EC50が1mg/L超)から、1mg/Lを下回る水溶解度において毒性が発現した可能性が否定で
きないため「区分1」としているが、溶解度を毒性値とみなすことは不適切であり、これらを根拠に「区分1」とすること
は不適当と考える。
物質別パブリックコメント
ID342 ウンデシルベンゼンスル
化管法政令番号 1-24
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
本物質のデータはないが、LAS-Na 混合物 (アルキル鎖の炭素数10~14)の
データ:ラットを用いた経口投与試験の LD50=1,460 mg/kg (雄)、1,470 mg/kg
(雌) (CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)) に基づき、小さい方の値 1,460
mg/kg から区分4とした。
データなし
GHSの定義による液体または固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分
類対象外とした。
データなし
データなし
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のヒト疫学事例に、「1%LAS水
溶液の24時間適用で中等度の刺激がみられた」という記述があり、中等度の刺
激性を有すると考えられ、区分2とした。
本物質のデータはないが、LAS (C11~13)混合物のデータとして、CERI・NITE
有害性評価書 No.5 (2005) のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に
「5%溶液の適用で強度の充血や強度の浮腫が観察された」とあり、強度の刺激
性を有すると考えられ、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
--------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
5 生殖細胞変異原性
分類できない
6 発がん性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
付録-115
物質別パブリックコメント
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
本物質としてのデータはないため、分類できない。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分2
区分外
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=1.15mg/L(EHC169、1996)から、区分2と
した。
急速分解性があり(p-n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのBODによる分
解度:73%(既存化学物質安全性点検データ)から類推)、かつ生物蓄積性が低
いと推定される(log Kow=2.51(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外
付録-116
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID343 ウンデシルベンゼンスル
化管法政令番号 該当なし
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
5 生殖細胞変異原性
分類できない
6 発がん性
分類できない
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
本物質のデータはないが、LAS混合物 (アルキル鎖の炭素数10~14)のデータ:
ラットを用いた経口投与試験のLD50=404 mg/kg (雄)、409 mg/kg (雌)、659
mg/kg (雄)、670 mg/kg (雌)、760 mg/kg (雌)、873 mg/kg (雄) (CERI・NITE 有
害性評価書 No.5 (2005)) 、に基づき、計算式を適用して得られた 502 mg/kg か
データなし
GHSの定義による液体または固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分
類対象外とした。
データなし
データなし
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のヒト疫学事例に、「1%LAS水
溶液の24時間適用で中等度の刺激がみられた」という記述があり、中等度の刺
激性を有すると考えられ、区分2とした。
本物質のデータはないが、LAS (C11~13)混合物のデータとして、CERI・NITE
有害性評価書 No.5 (2005) のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に
「5%溶液の適用で強度の充血や強度の浮腫が観察された」とあり、強度の刺激
性を有すると考えられ、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
付録-117
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
-----------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが LASについ
物質別パブリックコメント
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
本物質としてのデータはないため、分類できない。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
分類できない
分類できない
分類根拠・問題点
パブコメ
データがなく分類できない。
データがなく分類できない。
付録-118
物質別パブリックコメント
ID344 ドデシルベンゼンスルホン酸(C12) CAS 27176-87-0
化管法政令番号 1-24
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50=650 mg/kg (RTECS (2006))、1,260 mg/kg
(IUCLID (2000)) に基づき、低い方の値の LD50=650 mg/kg から、区分4とした。
データなし
GHSの定義による液体または固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分
類対象外とした。
データなし
データなし
ICSC (2002) のヒトへの影響の記述に、「発赤、痛み、皮膚の火傷、水疱」とあ
り、刺激の程度は不明のため区分2とした。
ICSC (2002) のヒトへの影響の記述に、「発赤、赤み、重度の深い火傷、失明」と
あることから、区分1とした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
-----------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが、LASについ
5 生殖細胞変異原性
分類できない
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
付録-119
物質別パブリックコメント
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分2(呼吸器)
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
ICSC (J)に「気道に対して腐食性を示す。経口摂取すると、腐食性を示す」
(2002)との記載があることから、呼吸器が標的臓器と考えられた。なおICSC (J)
はPriority2に属する評価書であることから分類は区分2と分類した。
以上より、分類は区分2(呼吸器)とした。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし。
付録1
上記物質の標的臓器/全身毒性(単回暴露)について、ICSCの記述にしたがって、ID344 ドデシルベンゼンスルホ
ン酸(C12)の場合は区分2(呼吸器)また、ID345 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C12)の場合は区分3(気道
刺激性)にそれぞれ分類されています。しかし、ICSCはその記述根拠を示していないため、当該有害性に関してGHS
の分類基準に該当するかどうかの判断はできないと考えます。
ICSCの記述根拠になった情報を確認した上で分類するべきであると考えます。
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=3.4mg/L(環境省生態影響試験、1999)か
ら、本物質の水溶解度(0.7032mg/L(PHYSPROP Database、2005))において当
該毒性が発現した可能性が否定できないため、区分1とした。
急性毒性が区分1、急速分解性があるものの(p-n-ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウムのBODによる分解度:73%(既存化学物質安全性点検データ)から類
推)、生物蓄積性があると推定される(log Kow=4.78(PHYSPROP Database、
2005))ことから、区分1とした。
付録-120
パブコメ
《コメント1》
上記物質の水生環境有害性(急性)について、ID341:「魚類(コイ)の96時間LC50=4.4mg/L(CERI・NITE有害性評価
書、2005)から、本物質の水溶解度(0.0064mg/L(PHYSPROP Database、2005))において当該毒性が発現した可能
性が否定できないため、(急性)区分1とした。」、ID344:「甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=3.4mg/L(環境省生態
影響試験、1999)から、本物質の水溶解度(0.7032mg/L(PHYSPROP Database、2005))において当該毒性が発現し
た可能性が否定できないため、(急性)区分1とした。」としています。
しかし、これらの化合物は、試験データに基づいて(急性)区分2に分類するか、あるいは試験溶液の状態など各試
験データの詳細を確認し、慎重に分類することが適当と考えます。
これらの化合物は強酸性の解離性官能基であるスルホン酸基を有するために、水生生物毒性試験の条件下では解
離型として存在したものと考えられ、魚毒性試験やミジンコ毒性試験では溶解状態で存在していた可能性が高いと
思われます。一方、PHYSPROP Databaseに収載の水溶解度は、非解離型(酸型)の推定値であり、試験条件下での
水溶解度を適切に表しているとは考えにくく、またID341については「PHYSPROP Database」で検索してもその水溶解
度(0.0064mg/L)を確認することができませんでした。
------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
急性試験(いずれもLC/EC50が1mg/L超)から、1mg/Lを下回る水溶解度において毒性が発現した可能性が否定で
きないため「区分1」としているが、溶解度を毒性値とみなすことは不適切であり、これらを根拠に「区分1」とすること
は不適当と考える。
《コメント1》
上記物質の水生環境有害性(慢性)について、急速分解性があるもののLogKowが4.78(ID344)または4.51(ID347)と
の推定値(PHYSPROP Database,2005)に基づいて、(慢性)区分1としています。
しかし、強酸性の解離性官能基であるスルホン酸基を有するLAS(酸型)は水中に溶解した場合はほとんどが解離状
態であり、酸型の推定LogKowはこの化合物の正確な値を表していないと考えられます。従って、非解離型(酸型)の
推定値を根拠として用いることは適切ではないと考えられます。
--------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
推定log Kowの値(ID344: 4.78、ID347: 4.51; HYSPROP Database 2005)をもとに「区分1」としているが、以下の理由
で「区分1」とする根拠は不十分であると考える。LASのような界面活性を有する物質のlog Kowの実測はできないた
め、log Kowが推定されているが、正確性には限界があり概略の値として扱うべきである。また、OECD SIAMでは平
均アルキル鎖長11.6のLASの推定log Kow=3.32(Leo et.al., 1979)、平均アルキル鎖長11.6のLAS(市販品に相当)の
推定BCF=87、平均アルキル鎖長10.8のLAS(環境サンプルに相当)の推定BCF=22が報告されている。
物質別パブリックコメント
ID345 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C12) CAS 25155-30-0
化管法政令番号 1-24
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1
1
1
1
2
急性毒性(経皮)
急性毒性(吸入:気体)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
皮膚腐食性・刺激性
分類結果
区分4
分類できない
分類対象外
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 438 mg/kg (RTECS (2006))、500 mg/kg、
2,000 mg/kg(IUCLID(2000)) に基づき、計算式を適用して得られた 438 mg/kg
から、区分4とした。
データなし
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
データなし
データなし
RTECS (2006)のウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果の記述に、24時間適
用で「中等度(moderate) の刺激がみられた」、及びIUCLID (2000) のウサギを用
いたOECD TG 404に準拠した皮膚刺激性試験の結果の記述に「刺激性を示し
た」とあることから、4時間適用試験結果ではないが中等度の刺激性を有するも
のと判断し、区分2とした。
RTECS (2006) のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に、「250 μg 24
時間の適用で重度(severe)の刺激がみられた」「1%溶液の適用で重度(severe)
の刺激がみられた」、及びIUCLID (2000) のウサギを用いた OECD TG 405に準
拠した眼刺激性試験の結果の記述に「刺激性を示した」とあることから、強い刺
激性を有すると判断し、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
-------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが、LASについ
5 生殖細胞変異原性
分類できない
6 発がん性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
付録-121
物質別パブリックコメント
7 生殖毒性
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分3(気道刺激 ICSC (J) (1997)に「気道を刺激する」との記載があることから、気道刺激性を有
暴露)
性)
すると判断した。
以上より、分類は区分3(気道刺激性)とした。
付録1
分類できない
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
上記物質の標的臓器/全身毒性(単回暴露)について、ICSCの記述にしたがって、ID344 ドデシルベンゼンスルホ
ン酸(C12)の場合は区分2(呼吸器)また、ID345 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C12)の場合は区分3(気道
刺激性)にそれぞれ分類されています。しかし、ICSCはその記述根拠を示していないため、当該有害性に関してGHS
の分類基準に該当するかどうかの判断はできないと考えます。
ICSCの記述根拠になった情報を確認した上で分類するべきであると考えます。
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分外
分類根拠・問題点
藍藻類(ミクロシスティス)の96時間EC50=0.9mg/L(EHC169、1996)他から、区
分1とした。
急速分解性があり(p-n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのBODによる分
解度:73%(既存化学物質安全性点検データ)から類推)、かつ生物蓄積性が低
いと推定される(log Kow=1.96(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外
付録-122
パブコメ
《コメント1》
上記物質の水生環境有害性(急性)について、「藍藻類(ミクロシスティス)の96時間EC50=0.9mg/L(EHC169,1996)
他から区分1とした。」としています。しかし、OECD SIDS Initial Assessment Reportの36ページにあるTable8では、ド
デシルベンゼンスルホン酸塩の魚類とミジンコに対するLC50値が4.7mg/Lと3.5mg/Lという値を示しており、さらに、
同じく36ページの記載では藻類に対するEC50値は48mg/Lとしています。公表された分類の根拠としている値は低す
ぎるように思われ、OECD SIDS Initial Assessment Reportで採用されている値に基づき(急性)区分2に分類すること
が妥当と考えます。さらに、ミクロシスティスは水生生物毒性試験に一般的に使用される生物種ではありません。
-------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
藍藻類(ミクロシスティス)の96時間EC50=0.9mg/L他から「区分1」としているが、OECD SIAMのデータ(魚類 LD50 =
4.7 mg/L, ミジンコ LC50 3.5 mg/L, 藻類 E50=48mg/L)にもとづき、「区分2」が適当であると考える。
物質別パブリックコメント
ID346 ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム(C12) CAS 1331-61-9
化管法政令番号 1-24
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
本物質のデータはないが、LAS混合物 (アルキル鎖の炭素数10~14)のデータ:
ラットを用いた経口投与試験のLD50=404 mg/kg (雄)、409 mg/kg (雌)、659
mg/kg (雄)、670 mg/kg (雌)、760 mg/kg (雌)、873 mg/kg (雄) (CERI・NITE 有
害性評価書 No.5 (2005)) に基づき、計算式を適用して得られた 502 mg/kg か
ら分類すると、区分4とした。
データなし
GHSの定義による液体または固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分
類対象外とした。
データなし
データなし
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のヒト疫学事例に、「1%LAS水
溶液の24時間適用で中等度の刺激がみられた」という記述があり、中等度の刺
激性を有すると考えられるため、区分2とした。
本物質のデータはないが、LAS (C11~13)混合物のデータとして、CERI・NITE
有害性評価書 No.5 (2005) のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に
「5%溶液の適用で強度の充血や強度の浮腫が観察された」とあり、強度の刺激
性を有すると考えられ、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
----------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが、LASについ
試験データ(陰性)を含む、複数のデータが存在する。GHS分類の原則(ヒト経験情報を優先、証拠の重み付け)に沿っ
データを総合的に評価すべきであり、その結果「区分外」が適切であると考える。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
付録-123
物質別パブリックコメント
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
本物質としてのデータはないため、分類できない。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
分類できない
分類できない
分類根拠・問題点
パブコメ
データがなく分類できない。
データがなく分類できない。
付録-124
物質別パブリックコメント
ID347 トリデシルベンゼンスルホン酸(C13) CAS 25496-01-9
化管法政令番号 1-24
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
本物質のデータはないが、LAS混合物 (アルキル鎖の炭素数10~14)のデータ:
ラットを用いた経口投与試験のLD50=404 mg/kg (雄)、409 mg/kg (雌)、659
mg/kg (雄)、670 mg/kg (雌)、760 mg/kg (雌)、873 mg/kg (雄) (CERI・NITE 有
害性評価書 No.5 (2005)) に基づき、計算式を適用して得られた 502 mg/kg か
データなし
GHSの定義による液体または固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分
類対象外とした。
データなし
データなし
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のヒト疫学事例に、「1%LAS水
溶液の24時間適用で中等度の刺激がみられた」という記述があり、中等度の刺
激性を有すると考えられ、区分2とした。
本物質のデータはないが、LAS (C11~13)混合物のデータとして、CERI・NITE
有害性評価書 No.5 (2005) のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に
「5%溶液の適用で強度の充血や強度の浮腫が観察された」とあり、強度の刺激
性を有すると考えられ、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、本物質のデータはないが、CERIハ
ザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述
に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場
合、モルモットを用いた皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区
分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
-------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが、LASについ
試験データ(陰性)を含む、複数のデータが存在する。GHS分類の原則(ヒト経験情報を優先、証拠の重み付け)に沿っ
データを総合的に評価すべきであり、その結果「区分外」が適切であると考える。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
付録-125
物質別パブリックコメント
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
本物質としてのデータはないため、分類できない。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
分類根拠・問題点
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=0.86mg/L(CERI・NITE有害性評価書、
2005)から、区分1とした。
区分1
急性毒性が区分1、急速分解性があるものの(p-n-ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウムのBODによる分解度:73%(既存化学物質安全性点検データ)から類
推)、生物蓄積性があると推定される(log Kow=4.51(PHYSPROP Database、
2005))ことから、区分1とした。
付録-126
パブコメ
上記物質の水生環境有害性(急性)について、「魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=0.86mg/L(CERI・NITE有
害性評価書2005)から区分1とした。」としています。しかし、その根拠としているデータ(Holmanら,Trans. Am. Fish.
Soc., 109 (1980)) は、トリデシルベンゼンスルホン酸のものではなく平均炭素数13.3のNa塩のものであり、本物質の
分類根拠として用いることは適切でないと考えます。
《コメント1》
上記物質の水生環境有害性(慢性)について、急速分解性があるもののLogKowが4.78(ID344)または4.51(ID347)と
の推定値(PHYSPROP Database,2005)に基づいて、(慢性)区分1としています。
しかし、強酸性の解離性官能基であるスルホン酸基を有するLAS(酸型)は水中に溶解した場合はほとんどが解離状
態であり、酸型の推定LogKowはこの化合物の正確な値を表していないと考えられます。従って、非解離型(酸型)の
推定値を根拠として用いることは適切ではないと考えられます。
《コメント2》
推定log Kowの値(ID344: 4.78、ID347: 4.51; HYSPROP Database 2005)をもとに「区分1」としているが、以下の理由
で「区分1」とする根拠は不十分であると考える。LASのような界面活性を有する物質のlog Kowの実測はできないた
め、log Kowが推定されているが、正確性には限界があり概略の値として扱うべきである。また、OECD SIAMでは平
均アルキル鎖長11.6のLASの推定log Kow=3.32(Leo et.al., 1979)、平均アルキル鎖長11.6のLAS(市販品に相当)の
推定BCF=87、平均アルキル鎖長10.8のLAS(環境サンプルに相当)の推定BCF=22が報告されている。
物質別パブリックコメント
ID348 トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C13) CAS 26248-24-8
化管法政令番号 1-24
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
本物質のデータはないが、LAS-Na 混合物 (アルキル鎖の炭素数10~14)の
データ:ラットを用いた経口投与試験の LD50=1,460 mg/kg (雄)、1,470 mg/kg
(雌) (CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)) に基づき、低い方の値 1,460
mg/kg から、区分4とした。
データなし
GHSの定義による固体のため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とし
た。
【注記】ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム (C12) が固体であることから、本
データなし
データなし
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のヒト疫学事例に、「1%LAS水
溶液の24時間適用で中等度の刺激がみられた」という記述があり、中等度の刺
激性を有すると考えられ、区分2とした。
本物質のデータはないが、LAS (C11~13)混合物のデータとして、CERI・NITE
有害性評価書 No.5 (2005) のウサギを用いた眼刺激性試験の結果の記述に
「5%溶液の適用で強度の充血や強度の浮腫が観察された」とあり、強度の刺激
性を有すると考えられ、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
-------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが、LASについ
試験データ(陰性)を含む、複数のデータが存在する。GHS分類の原則(ヒト経験情報を優先、証拠の重み付け)に沿っ
データを総合的に評価すべきであり、その結果「区分外」が適切であると考える。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
付録-127
物質別パブリックコメント
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
本物質としてのデータはないため、分類できない。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
分類根拠・問題点
魚類(キンギョ)の96時間LC50=0.72mg/L(EHC169、1996)から、区分1とした。
区分外
急速分解性があり(p-n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのBODによる分
解度:73%(既存化学物質安全性点検データ)から類推)、かつ生物蓄積性が低
いと推定される(log Kow=2.52(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外
付録-128
パブコメ
結論の「区分1」は適切であると考えるが、分類根拠としてはOECD SIAMにもとづき下記を用いるべきであると考え
る。
ID348: 魚類LC50=0.4 mg/L, ミジンコLC50=2.0 mg/L, 藻類EC50=30 mg/L
物質別パブリックコメント
ID349 テトラデシルベンゼンスルホン酸(C14) CAS 30776-59-1
化管法政令番号 1-24
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
本物質のデータはないが、LAS混合物 (アルキル鎖の炭素数10~14)のデータ:
ラットを用いた経口投与試験のLD50=404 mg/kg (雄)、409 mg/kg (雌)、659
mg/kg (雄)、670 mg/kg (雌)、760 mg/kg (雌)、873 mg/kg (雄) (CERI・NITE 有
害性評価書 No.5 (2005)) に基づき、計算式を適用して得られた 502 mg/kg か
データなし
GHSの定義による液体または固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分
類対象外とした。
データなし
データなし
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のヒト疫学事例に、「1%LAS水
溶液の24時間適用で中等度の刺激がみられた」という記述があり、中等度の刺
激性を有すると考えられ、区分2とした。
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のウサギを用いた眼刺激性試
験の結果の記述に、「濃度0.5%以上 の適用で、 浮腫を伴った強度の充血、流
涙、 (24時間持続)がみられたが、3日以内に回復した」とあり、軽度の刺激性を
有すると考えられるため、区分2Bとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
------------------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが、LASについ
試験データ(陰性)を含む、複数のデータが存在する。GHS分類の原則(ヒト経験情報を優先、証拠の重み付け)に沿っ
データを総合的に評価すべきであり、その結果「区分外」が適切であると考える。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
付録-129
物質別パブリックコメント
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
本物質としてのデータはないため、分類できない。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
分類できない
分類できない
分類根拠・問題点
データ不足のため分類できない。
データ不足のため分類できない。
パブコメ
付録-130
物質別パブリックコメント
ID350 テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(C14) CAS 28348-61-0
化管法政令番号 1-24
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
本物質のデータはないが、LAS-Na 混合物 (アルキル鎖の炭素数10~14)の
データ:ラットを用いた経口投与試験の LD50=1,460 mg/kg (雄)、1,470 mg/kg
(雌) (CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)) に基づき、低い方の値 1,460
mg/kg から、区分4とした。
データなし
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
【注記】ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム (C12) が固体であることから、本
データなし
データなし
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のヒト疫学事例に、「1%LAS水
溶液の24時間適用で中等度の刺激がみられた」という記述があり、中等度の刺
激性を有すると考えられ、区分2とした。
本物質のデータはないが、LAS混合物(アルキル基の炭素数が10~14)のデー
タとして、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) のウサギを用いた眼刺激性試
験の結果の記述に、「濃度0.5%以上 の適用で、 浮腫を伴った強度の充血、流
涙、 (24時間持続)がみられたが、3日以内に回復した」とあり、軽度の刺激性を
有すると考えられるため、区分2Bとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: 本物質のデータはないが、CERIハザードデータ集2001-20
(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の記述に、Cの数は不明である
が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた
皮膚感作性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
上記物質の皮膚感作性について「CERIハザードデータ集2001-20(2002)、CERI・NITE 有害性評価書 No.5 (2004)の
記述に、Cの数は不明であるが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の場合、モルモットを用いた皮膚感作
性試験結果、「皮膚感作性がある」ことから、区分1とした。」とされておりますが、この点につきましては、下記の理由
から区分外とすることが適切であると考えます。
1)OECD SIDS Initial Assessment Reportでは、動物試験およびヒト試験データに基づき、LASは有意な皮膚感作性
を有さないと結論づけています。下記に、OECD SIDS Initial Assessment Reportの26ページにある記載を示します。
“Conclusions
Skin sensitization studies with guinea pigs showed no sensitization at either lower (6.7%) or higher
(50%) concentrations. Results of animal studies, human exposure studies and actual use support the
conclusion that LAS does not have significant skin sensitization properties.”
2)NITE評価書(2004)にて引用されているRobinsonらの文献(1990)を精査いたしますと、当該文献中ではLASは動
物を用いた試験においては皮膚感作性が認められているものの、ヒト試験および経験において感作性が陰性である
ことが報告されています。GHS分類では、基本的に動物試験データよりもヒト試験/経験データが優先されますの
で、当該文献中の記載どおりヒト試験および経験に基づいて感作性はないと判断されるべきであると考えます。下記
に、Robinsonらの文献(1990)の記載を示します。
“LAS was negative in more than 20000 HRIPT panelists when tested as the raw material or in product formulation
at concentration of 0.02%-0.14%, conditions and concentrations that still represent exaggeration over in use
exposure to LAS. With regard to consumer follow-up, diagnostic patch testing of consumers reporting laundry deterg
------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Maximization法(感作性を過大評価しうることが知られている)によるデータを根拠に「区分1」としているが、LASについ
試験データ(陰性)を含む、複数のデータが存在する。GHS分類の原則(ヒト経験情報を優先、証拠の重み付け)に沿っ
データを総合的に評価すべきであり、その結果「区分外」が適切であると考える。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、NTP DB (Access on June, 2006)、CERI・NITE有害性評価書 No.5
(2005)、EHC 169 (1996) に記述されている直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合
物に限る]に関するデータでは、経世代変異原性試験 (優性致死試験) で陰性、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験、染
色体異常試験) で陰性、Ames試験陰性とされている。
付録-131
物質別パブリックコメント
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
既存分類がなく、本物質自身の明確なデータもないため、専門家判断に従い、
分類できないとした。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005) には、直鎖アルキルベンゼンスル
ホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びそ
の混合物に限る]の発がん性試験データが記述されている。
本物質自身の明確なデータがなく、データ不足により分類できない。
なお、CERI・NITE有害性評価書 No.5 (2005)、EHC 169 (1996) に記述されてい
る直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)及びその塩 [アルキル基の炭素数
が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]に関するデータによれば、経口
経路では親動物および次世代に影響はみられていないが、経皮経路で、親動
物に一般毒性影響 のみられる用量で、受胎率の低下や次世代に奇形がみら
本物質としてのデータはないため、分類できない。
【注記】
なお、本物質としての情報はないが、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びそ
の塩[アルキル基の炭素数が10 から14 までのもの及びその混合物に限る]の
情報では「症状として、錯乱、嘔吐、咽頭および口腔内疼痛、血圧低下の傾向
が認められた。」(NITE初期リスク評価書 No.5 (2005))という報告がある。
データは全てアルキル基の鎖長が10-14のものの混合物であることから、分類
できない。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分外
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=0.59mg/L(EHC169、1996)他から、区分1
とした。
急速分解性があり(p-n-ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのBODによる分
解度:73%(既存化学物質安全性点検データ)から類推)、かつ生物蓄積性が低
いと推定される(log Kow=3.98(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外
付録-132
パブコメ
結論の「区分1」は適切であると考えるが、分類根拠としてはOECD SIAMにもとづき下記を用いるべきであると考え
る。
ID350: 魚類LC50=0 4 mg/L ミジンコLC50=0 7 mg/L 藻類EC50=18 mg/L
物質別パブリックコメント
ID361 エチレンジアミン四酢酸
CAS 60-00-4
化管法政令番号 1-47
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50の最小値 2,580 mg/kg (BUA 168 (1995))に
より区分5とした。
データなし
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:ガス)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性/刺激性
分類できない
分類できない
区分外
データなし
データ不足のため、分類できない
CERI・NITE有害性評価書 No.14 (2004) 記載のウサギを用いたDraize皮膚刺激
性試験で「皮膚刺激性なし」により、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼
刺激性
区分2B
CERI・NITE有害性評価書 No.14 (2004) 記載のウサギを用いた眼刺激性試験
で、「浮腫、発赤、角膜混濁が認められるが8日以内に回復した」ため、区分2Bと
した。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性: 区
分外
5 生殖細胞変異原性
区分外
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: OECD SIAM18のSIAPに次のように記載されている。
“Based on the fact that EDTA is being used in industry and consumer
products for many decades in high quantities the substance is considered as
non-sensitising to humans. ”ことから、「区分外」とした。
OECD SIAM18のSIAPに次のように記載されている。
“On the basis of the various negative findings and the assumption of a
threshold mode-of action for aneugens, it can be concluded that EDTA and it
sodium salts are no mutagens for man.”ことから、区分外と判断した。
6 発がん性
分類できない
データなし
7 生殖毒性
区分2
CERI・NITE有害性評価書 No.14 (2004)の記述から、マウス及びラットの催奇形
性試験で母毒性ありまたは母毒性についての記載なしの用量で、児に奇形(口
蓋裂、小顎、大頭蓋、欠指、多指発生)がみられていることから、区分2とした。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
分類できない
実験動物について、区分外を示すデータはあるものの、「静脈内投与された場
合は速やかに体液中に分散されるため、そのLD50は注入速度に大きく影響さ
れる。例えば、注入速度が速いと血清中のCaが急速にキレート除去され、急激
なCaイオンの濃度の低下により、テタニー症状をきたし四肢遠位筋、咽頭筋、呼
吸器筋等に拘縮が起こり死亡する。このため、LD50を単純に比較することはで
きない。」(NITE初期リスク評価書 No.14 (2005))等の記述により、一概に毒性が
ないと評価することはできない。よって、分類できないとした。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
露)
区分1(腎臓)
ヒトについては、「尿細管障害」(NITE初期リスク評価書 No.14 (2005))等の記述
があることから、腎臓が標的臓器と考えられた。
以上より、分類は区分1(腎臓)とした。
分類できない
データなし
10 吸引性呼吸器有害性
付録1
パブコメ
OECD SIAM18のSIAPに次のように記載されている。
“Based on the fact that EDTA is being used in industry and consumer products for many decades in high quantities
the substance is considered as non-sensitising to humans.”したがって「区分外」とすべきである。
OECD SIAM18のSIAPに次のように記載されている。
“On the basis of the various negative findings and the assumption of a threshold mode-of action for aneugens, it
can be concluded that EDTA and it sodium salts are no mutagens for man.”したがって「区分外」とすべきである
OECD SIAM18のSIAPにおいては、F344ラットおよびB6C3F1マウスを用いて行なったNa3EDTAの発がん性試験の
陰性結果、EDTAの変異原性試験の結果を総合的に考察して“Taking into account the negative results of the cell
transformation assays and the low mutagenic potential expressed only at extremely high dose levels it can be
concludet that there is no concern on carcinogenic properties of EDTA.”としている。したがって「区分外」とすべき
である。
欧州RAR(最終版)においては、EDTA投与により発現する次世代への影響が、亜鉛欠乏症によるものであること、
ZnEDTA投与群においては、母体に影響の認められる用量において催奇形性を示さなかったと記載され、
Na4EDTA/EDTAのいずれについても「生殖毒性物質に分類すべきでない」と結論付けている。 GHS分類基準に照
らしても、EDTA投与群で認められた胎児の影響は非特異的影響と考えられることから、「区分外」とすべきである。
GHSは、物質取扱者の曝露を念頭に作られたシステムであり、分類時に考慮する曝露経路は経口、経皮、吸入を主
としている。通常、物質または製品が取扱者の血中に直接入り込む可能性は低いと考えられることから、静脈内投
与のデータを分類に用いる場合には、当該データを分類根拠として考慮することの適切性についても明記すべきで
ある。なお、欧州RAR(最終版)において、急性経口限度試験(2000mg/kg)の結果、なんらの臨床症状・肉眼所見も
示さなかったとの記載がある。
区分1に分類する場合、症状の程度と発現用量がGHSの分類要件に該当することを明示すべきである。
なお、OECD SIAM18のSIAPにおいて、次のように結論付けられている。“From repeated dose toxicity experiments
(90 day feed male rats, 2 year bioassay both sexes rats and mice) a NOAEL of 500 mg/kg/d for Na2EDTA and
Na3EDTA could be derived.”したがって、「区分外」とすべきである。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
分類結果
分類根拠・問題点
パブコメ
付録-133
物質別パブリックコメント
11 水生環境有害性(急性)
区分2
11 水生環境有害性(慢性)
区分2
藻類(セレナストラム)の72時間ErC50=6mg/L(環境省生態影響試験、2002)他
から、区分2とした。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=123(既存化学物質安全性
点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全
性点検データ))ことから、区分2とした。
付録-134
付録1
物質別パブリックコメント
ID367 1-オクタノール
CAS 111-87-5
化管法政令番号 1-58
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1
1
1
1
2
急性毒性(経皮)
急性毒性(吸入:ガス)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
皮膚腐食性/刺激性
分類結果
区分外
分類できない
分類対象外
分類できない
分類できない
区分3
3 眼に対する重篤な損傷性/眼 区分2A
刺激性
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
5 生殖細胞変異原性
区分2
6 発がん性
7 生殖毒性
8 標的臓器/全身毒性(単回暴
露)
9 標的臓器/全身毒性(反復暴
10 吸引性呼吸器有害性
分類根拠・問題点
Priority 1のデータであるラットを用いた経口投与試験 (DFGOT vol.20 (2001))
のLD50値、>5,000 mg/kgより区分外とした。
データ不足のため分類できない
GHS定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とし
データなし
データなし
DFGOTvol.20 (2005) にてウサギを用い、スクアレンを媒体とした閉塞試験で、
OECD TG 404に準拠したインデックス値 4.3/8が認められたこと、ウサギを用
いたDraize testで「slightly irritation」との報告から、区分3とした。
パブコメ
1.皮膚腐食性/刺激性
コメント対象箇所 : DFGOTvol.20 (2005) にて原液を適用したウサギを用いた皮膚刺激性試験(Opdyke,
1973; Iwata et al., 1987)で、軽度の刺激性が認められたことから、区分3とした。
コメント : 当該試験の詳細が明らかにされておらず、分類判断の根拠に科学的な説得性に乏しい。
原著に基づき、試験条件、観察されたスコア等確認し、再検討をお願いいたします。
また、分類根拠も明確に示して頂きたくお願いいたします。
DFGOTvol.20 (2005) にて、回復に要した期間が不明であるが、原液を適用した
ウサギを用いた眼刺激性試験(Jacobs, 1992)のスコアから、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データ不足のため分類できない。
CERIハザードデータ集2001-43 (2002) の記述から、経世代変異原性試験なし、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性 (小核試験、染色体
異常試験) で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なしであることから、区分2と
分類できない
既存分類がないため、分類できない。
分類できない
データ不足 (親動物の生殖機能、受精能力に関するデータなし) のため分類で
きない。
区分3(気道刺激 実験動物については、「上気道への刺激性」(DFGOTvol.20 (2004))等の記述が
性)
あることから、気道刺激性をもつと考えられた。
以上より、分類は区分3(気道刺激性)とした。
分類できない
データなし
区分2
ICSC (J) (2002)に「この液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起こす危
険がある。」との記載があるため、区分2と分類した。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境有害性(急性)
11 水生環境有害性(慢性)
分類結果
区分2
区分外
分類根拠・問題点
甲殻類(ネコゼミジンコ属)の48時間EC50=4200μg/L(環境省リスク評価第2
巻、2003)から、区分2とした。
急速分解性があり(BODによる分解度:89%(既存化学物質安全性点検デー
タ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=3(PHYSPROP Database、
2005))ことから、区分外とした。
付録-135
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID373 水酸化クロム水和物
CAS 1308-14-1
化管法政令番号 1-68
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類結果
分類できない
分類できない
分類対象外
分類根拠・問題点
データなし
データなし
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
分類できない
分類できない
分類できない
データなし
データなし
データ不足のため分類できない。
なお、本物質を特定した試験は行われていないが、三価クロムを暴露した疫
学、試験結果の多くでは、「陰性」という結果(EHC 61 (1988)、ATSDR (2000)、
PATTY (4th, 2000))がある。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 分類できない
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
区分1
皮膚感作性:区
分1
パブコメ
データなし
呼吸器感作性:既存分類情報に基づくと、日本職業・環境アレルギー学会特設
委員会はクロムを呼吸器感作性がある物質、日本産業衛生学会はクロム(注)
を気道感作性物質「第2群」に分類している。これらの既存分類は本物質を明示
していないものの、クロム化合物をも含むと考えられる。したがって、クロム化合
物である本物質も呼吸器感作性を有すると考えられ、区分1とした。
皮膚感作性: 既存分類情報に基づくと、日本職業・環境アレルギー学会特設
委員会はクロムを皮膚感作性がある物質、日本産業衛生学会はクロム(注) を
皮膚感作性物質「第1群」に分類している。これらの既存分類は本物質を明示し
ていないものの、クロム化合物をも含むと考えられる。したがって、クロム化合
物である本物質も皮膚感作性を有すると考えられ、区分1とした。
「呼吸器感作性に関する健康有害性シンボルを使用する場合、皮膚感作性または皮膚/眼刺激性を表す感嘆符を
使用すべきではない(オフィシャルテキスト 1.4.10.5.3.1(c))」
絵表示の適用方法が正しくない。
(注) 「当該物質自体ないしその化合物を示すが、感作性に関与するすべての物
質が同定されているわけではない。」という但し書きがある。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
データなし。
なお、クロム (III) の生殖細胞変異原性については、酸化クロム (III)、CAS:
1308-38-9及びID372、塩化第二クロム、CAS:10025-73-7も参照のこと。
6 発がん性
区分外
ACGIH (2001) でA4 (Metal and CrIII compoundsとして)、EPA (1998) でD
(Chromium(III), insoluble saltsとして)、IARC (1990)でGroup 3(Chromium(III) と
して)に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性
分類できない
データなし。
なお、クロム (III) の生殖毒性については、酸化クロム (III)、CAS:1308-38-9及
びID372、塩化第二クロム、CAS:10025-73-7も参照のこと。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
データなし
データなし
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
分類できない
分類できない
分類根拠・問題点
パブコメ
データがなく分類できない。
データがなく分類できない。
付録-136
物質別パブリックコメント
ID374 炭酸クロム
CAS 6449-00-9
化管法政令番号 1-68
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類結果
分類できない
分類できない
分類対象外
分類根拠・問題点
データなし
データなし
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
分類できない
分類できない
分類できない
データなし
データなし
データ不足のため分類できない。
なお、本物質を特定した試験は行われていないが、三価クロムを暴露した疫
学、試験結果の多くでは、「陰性」という結果(EHC 61 (1988)、ATSDR (2000)、
PATTY (4th, 2000))がある。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 分類できない
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
区分1
皮膚感作性:区
分1
パブコメ
データなし
呼吸器感作性:既存分類情報に基づくと、日本職業・環境アレルギー学会特設
委員会はクロムを呼吸器感作性がある物質、日本産業衛生学会はクロム(注)
を気道感作性物質「第2群」に分類している。これらの既存分類は本物質を明示
していないものの、クロム化合物をも含むと考えられる。したがって、クロム化合
物である本物質も呼吸器感作性を有すると考えられ、区分1とした。
皮膚感作性: 既存分類情報に基づくと、日本職業・環境アレルギー学会特設
委員会はクロムを皮膚感作性がある物質、日本産業衛生学会はクロム(注) を
皮膚感作性物質「第1群」に分類している。これらの既存分類は本物質を明示し
ていないものの、クロム化合物をも含むと考えられる。したがって、クロム化合
物である本物質も皮膚感作性を有すると考えられ、区分1とした。
絵表示の適用方法が正しくない。
「呼吸器感作性に関する健康有害性シンボルを使用する場合、皮膚感作性または皮膚/眼刺激性を表す感嘆符を
使用すべきではない(オフィシャルテキスト 1.4.10.5.3.1(c))」
(注) 「当該物質自体ないしその化合物を示すが、感作性に関与するすべての物
質が同定されているわけではない。」という但し書きがある。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
データなし
なお、クロム (III) の生殖細胞変異原性については、酸化クロム (III)、CAS:
1308-38-9及びID372、塩化第二クロム、CAS:10025-73-7も参照のこと。
6 発がん性
区分外
ACGIH (2001) でA4 (Metal and CrIII compoundsとして)、EPA (1998) でD
(Chromium(III), insoluble saltsとして)、IARC (1990) で3 (Chromium(III) として)に
分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性
分類できない
データなし
なお、クロム (III) の生殖毒性については、酸化クロム (III)、CAS:1308-38-9及
びID372、塩化第二クロム、CAS:10025-73-7も参照のこと。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
データなし
データなし
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
分類できない
分類できない
分類根拠・問題点
パブコメ
データがなく分類できない。
データがなく分類できない。
付録-137
物質別パブリックコメント
ID391 サリチルアルデヒド
CAS 90-02-8
化管法政令番号 1-104
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 520mg/kg(CERIハザードデータ集 200150 (2002))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分3
ラットを用いた経皮適用試験のLD50 600 mg/kg(CERIハザードデータ集 200150 (2002))、ウサギを用いた経皮適用試験のLD50 3,000 mg/kg(CERIハザード
データ集 2001-50 (2002))に基づき、低い方のLD50 600mg/kgから、区分3とし
た。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
データなし
データなし
CERIハザードデータ集 2001-50 (2002) にて、4時間適用試験ではないが、ウ
サギを用いた皮膚刺激性試験結果において、「中等度の刺激性」がみられたと
の報告が得られたことから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 分類できない
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
データなし
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: CERIハザードデータ集 2001-50 (2002)の記述「ボランティア33
人に本物質の2%ワセリン基剤を適用したMaximization テストで感作性はみら
れていない。」ことから、皮膚感作性は無いと判断され、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性
分類できない
CERIハザードデータ集 2001-50 (2002) の記述から、in vivo変異原性/遺伝毒
性試験データがなく、in vitro変異原性試験で複数指標の(強)陽性結果なし、で
あることから分類できないとした。
6 発がん性
7 生殖毒性
8 特定標的臓器・全身毒性(単回
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復
暴露)
分類できない
分類できない
分類できない
データなし
データ不足のため分類できない。
データなし
区分2(肝臓)
実験動物については、「肝細胞の細胞質が腫大淡明化」(厚労省報告 (1996))
等の記述があることから、肝臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対
する影響は、区分2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分2(肝臓)とした。
分類できない
データなし
分類結果
区分2
分類根拠・問題点
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=2200μg/L(環境省リスク評価第3巻、
2004)から、区分2とした。
区分2
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.81
(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:2%(既
存化学物質安全性点検データ))ことから、区分2とした。
10 吸引性呼吸器有害性
パブコメ
皮膚感作性について、試験結果陰性の結果が一つだけであることを理由に、分類できないとしている。GHSオフィ
シャルテキストには、試験結果が複数ない場合には分類できないとするという記載はみあたらならず、陰性報告一つ
では判断できないとした根拠は、合理的ではない。
現在入手可能なデータ・情報を基にGHS分類を行うべきであり、本物質の皮膚感作性は「区分外」とすべき。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
付録-138
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID404 1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン CAS 1717-00-6
化管法政令番号 1-132
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
1 急性毒性(経皮)
分類結果
区分外
区分外
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50=>5,000mg/kg (SIDS (2003)) に基づき、区
分外とした。
ラット、ウサギを用いた経皮投与試験のLD50=>2000mg/kg (ラット)、
>2000mg/kg (ウサギ) (ともに(SIDS (2003))であり、毒性症状が見られていない
ことから、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHS定義による液体であることから、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外
とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
区分外
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
区分外
ラットを用いた吸入暴露試験 (蒸気) のLC50 297.6mg/L (4時間)(SIDS
(2003))、295 mg/L(4時間) (EHC 139 (1992))、300.7mg/L(4時間) (ECETOC
JACC 15 (1990))に基づき、計算式を適用してLC50(4時間換算値)の62,100ppm
が得られた。飽和蒸気圧76.3kPa(25℃)(SIDS (2003))における飽和蒸気濃度は
763,000ppmである。今回得られたLC50は、飽和蒸気濃度の90%より低い濃度
であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm濃度基準値で区分
外とした。
データなし
ウサギを用いた皮膚刺激性試験結果から、SIDS (2003)では「It is not irritating
to the skin.」と結論付けていることから、皮膚刺激性を示さないと考えられ、区
分外とした。
SIDS (2003)のウサギを用いた眼刺激性試験結果にて、「mild irritation
(conjunctivitis, chemosis, and moderate blood-tinged discharge) with no
corneal involvement.All treated eyes of all rabbits were normal by 72-hours
after treatment」「陰性」両方の試験結果がともに1つづつあるが、SIDS (2003)
では「It is only mildly irritating to the eye.」 と結論付けていることから、軽度の
刺激性を有すると考えられ、区分2Bとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: SIDS (2003)のモルモットを用いた皮膚感作性試験にて、「It is
not a skin sensitizer in the Guinea pig.」と結論付けていることから、区分外とし
た。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
付録1
5 生殖細胞変異原性
区分外
SIDS (2003)、EHC 139 (1992) の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖細
胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験) で陰性で
あることから、区分外とした。
6 発がん性
7 生殖毒性
分類できない
区分2
データ不足のため分類できない。
SIDS (2003)、EHC 139 (1992) の記述から、親動物に一般毒性のみられる用量
で生殖及び発生への影響 (受胎能力低下、着床胚損失率低下など) がみられ
ることから、区分2とした。
パブコメ
区分5⇒区分外
SIDS (2003)の経皮毒性の項には、
Dermal exposure of male and female rats and rabbits to 2,000 mg/kg for 24 hrs followed by a 14 day observation
period, caused no mortality and no signs of toxicity (Brock et al., 1995).
となっていることから、2000mg/kgで全動物に死亡や影響がないので、LD50は5000mg/kg以上とみて区分外がよいと
思います。
区分2B⇒区分外
Brockらの文献では、結膜浮腫を伴った発赤は、Slight からmildと記載されています。
従いましてドレイズスコア2未満ですので、区分外がよいと思います。
参考文献
Brock, R.J., Farr, C., Kawano, T. and Rusch, G.M. Acute and Subacute Toxicity of 1,1-Dichloro-1-fluoroethane
(HCFC 141b) Food and Chemical Toxicology, 33 (6) 483-490 (1995).
モルモット皮膚感作性試験はOECDテストガイドランに収載されている方法であり、この試験結果があるにもかかわ
らず「分類できない」と判定するのは、おかしい。現在入手可能なデータ・情報を基にGHS分類を行うべきであり、本
物質の皮膚感作性は「区分外」とすべき。
区分2⇒区分外
うさぎでは、生殖毒性が認められなかった。
ラットでは、20000ppm(2%)という高濃度のみ受胎能力低下、着床胚損失率低下が認めらています。
中用量8000ppmでは、それはありません。
NOELが2000ppmです。
参考文献
Rusch, G.M., Millischer, R-J., de Rooij, C and Hughes, E. Inhalation Teratology and 2-Generation Reproduction
Studies With 1,1-Dichloro-1-fluoroethane. Food and Chemical Toxicology, 33(4) 285-300, (1995).
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分3(麻酔作
暴露)
用)
実験動物については、「実験動物の50%に麻酔状態とする濃度 = 62 g/m3」
(EHC 139 (1992))等の記述があることから、麻酔作用を有すると考えられた。な
お、実験動物に対する影響は、区分3(麻酔作用)に相当するガイダンス値の範
囲で見られた。
以上より、分類は区分3(麻酔作用)とした。
付録-139
物質別パブリックコメント
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
データ不足のため、分類できない
データなし
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分3
区分3
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=31mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区
分3とした。
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=2.37
(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:2-10%
(EHC139、1992))ことから、区分3とした。
付録-140
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID422 N,N-ジメチルドデシルアミン=N-オキシド CAS 1643-20-5
化管法政令番号 1-166
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類実施日
分類実施機関
分類結果
区分外
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験の LD50>7,450 mg/kg (CERI ハザードデータ集
2001-26 (2002)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
データなし
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定できず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
データなし
データなし
CERI ハザードデータ集 2001-26 (2002) のウサギを用いた皮膚刺激性試験の
結果の記述に、24時間適用で「強度の刺激性がみられた」とあることから、皮膚
に強度の刺激性を与えるものと考え、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
CERI ハザードデータ集 2001-26 (2002) のウサギを用いた眼刺激性試験の結
果の記述に、「強度の刺激性を示した」とあることから、眼に対して強度の刺激
性を有すると考え、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
5 生殖細胞変異原性
6 発がん性
7 生殖毒性
8 特定標的臓器・全身毒性(単回
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
分類できない
付録1
パブコメ
CERI ハザードデータ集 2001-26 (2002)の記述から、経世代変異原性試験な
し、生殖細胞/体細胞in vivo変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo遺伝
毒性試験なし、in vitro変異原性試験で複数指標の(強)陽性結果なし、であるこ
とから分類できないとした。
分類できない
分類できない
分類できない
データ不足のため分類できない。
データなし
データなし
分類できない
データなし
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
分類結果
分類根拠・問題点
パブコメ
付録-141
物質別パブリックコメント
11 水生環境急性有害性
区分1
藻類(セレナストラム)の24-72時間ErC50=0.081mg/L(CERI・NITE有害性評価書
(暫定版)、2006)から、区分1とした。
付録1
《コメント1》
今般公表されたGHS分類結果データベース(第5回公表分、H18.6.30)におきまして、当該物質の水生環境有害性
(慢性)について、「生物蓄積性があると推定される(logKow = 4.67 (PHYSPROP Database、2005))ことから、区分1と
した。」とされておりますが、OECD-SIAR(SIAM 22 April 18-21, 2006)では、下記に示すように、当該物質の生物蓄
積性は低いと結論されています。OECD-SIARはGHS関係省庁連絡会議作成の分類マニュアルにおいてPriority1の
文書であり、その結論を優先し、当該物質は「区分外」とすることが適当と考えます。
SIARでは、EPIWINによる計算値に基づいて生物蓄積性を判断していません。また、界面活性剤は実測にてlogKowを
求めることが困難です。そのため、臨界ミセル濃度(界面活性剤がミセルという分子集合体を形成し始める濃度)とオ
クタノールへの溶解度の比較からlogKow値を算出しアルキル鎖長14以下のアミンオキシドのlogKow値を<2.7とさらに
BCFを<87と推定した上で生物濃縮性が低いと結論しています。
以下に、SIARの記載を示します。
11 水生環境慢性有害性
区分1
急性毒性が区分1、急速分解性があるものの(BODによる分解度:63%(既存化
学物質安全性点検データ))、生物蓄積性があると推定される(log Kow=4.67
(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分1とした。
付録-142
1.3 Physico-Chemical properties
Partition coefficients: Although a measured logKow value exists for C10-16 AO, with a result of –1.08 (The
Procter &
Gamble Co, 2002C), the accurate measurement of Kow is difficult if not impossible for surface active substances,
because
they tend to accumulate at the octanol/water interface, forming octanol-water emulsions. LogKow values between
0.95-2.7 have also been predicted by comparing published Critical Micellar Concentration (CMC) values of C10 to
C14 AOs, in water, with measured octanol solubility values; CMC’s can be considered as a conservative measure of
surface active substances (published CMC values were obtained from Mukerjee & Mysels, 1971). Thus, AOs with alky
length less than C14 can be considered as having LogKow < 2.7.
2.2.6 Bioaccumulation
BCFWIN predictions using the calculated logKow value of < 2.7 as input parameters (derived for C10-16 AO), calcula
bioconcentration factor < 87 for C12-14 AO (The Procter & Gamble Company, 2002C). Thus the potential for
bioaccumulation of AOs in aquatic organisms is considered to be low.
尚、アミンオキサイドのコンソシーアムでは、EPWINを使用して分配係数も求めてありますが、(界面活性剤ゆえ)計算
とかなり異なることが判明しておりましたので、SIARでは信用しにくいデータとしてカットした経緯があります。
-------------------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
Log Kow=4.67(PHYSPROP Database, 2005)を根拠に生物蓄積性があると推定し「区分1」としているが、このデータに基
は適切ではなく、OECD SIARの評価に基づき「区分外」が妥当と考える。EPIWIN等のQ SARプログラムによる界面活性
logPow推定の正確性には限界がある。OECD SIDS Initial Assessment Report (SIAM22)では、アルキル鎖長10から1
アミンオキシドの公表CMC(臨界ミセル濃度: 界面活性剤の控えめな水溶解度予測値とみなされる)とオクタノール溶解
測定値との比較から推定したlog Kowが0.95~2.7であることから、「アルキル鎖長14以下のアミンオキシドのlog Kowは
小さいと考えられる」としている。
物質別パブリックコメント
ID424 3,5-ジヨード-4-オクタノイルオキシベンゾニトリル CAS 3861-47-0
化管法政令番号 1-174
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
分類できない
2 皮膚腐食性・刺激性
区分外
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分外
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分外
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験でのLD50=385mg/kg(農薬登録申請資料(1990))
に基づき、区分4とした。
ラットを用いた経皮投与試験でのLD50>2,000mg/kgであり、死亡例が見られて
いない(農薬登録申請資料(2001))事から、区分外とした。
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は考えられず、分類対象外と
データなし
ラットを用いた経皮投与試験でのLC50>2.4mg/Lとのデータはあるが(農薬登
録申請資料(1990))区分を特定できないため、分類できないとした。
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、Draize scoreが最大で1.0程度の軽
微な影響は見られたが、4日以内に回復している(農薬登録申請資料(2001))こ
とから、刺激性無しと判断され、区分外とした。
ウサギを用いた眼刺激性試験において、1時間後にDraize scoreが最大で1.0の
軽微な影響は見られたが、24時間で消失している(農薬登録申請資料(1990))
ことから、刺激性無しと判断され、区分外とした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:モルモットを用いたMaximization法での感作性試験が陽性であっ
た(農薬登録申請資料(2004))ことから、区分1とした。
パブコメ
in vitroでの復帰変異試験、マウスリンフォーマ試験、マウスを用いたin vivo小
核試験で全て陰性であった(農薬登録申請資料(1990、2003))ことから、区分外
ラット24ヶ月およびマウス18ヶ月の発がん性試験において、試験物質の投与に
関連した腫瘍の発生がなかった(農薬登録申請資料(1992))ことから、区分外と
マウス2世代繁殖性試験、ウサギでの催奇形性試験において、親動物の繁殖性
や仔動物への影響が見られていない(農薬登録申請資料(1990))ことから、区
分外とした。
動物試験において、「鎮静」、「呼吸粗大」、「立毛」、「眼球の貧血」、「流涎」、
「鼻汁」が見られた(農薬登録申請資料(1990))が、これらの症状からは標的臓
器を特定できなかった。さらに、これらの影響がみられた用量が特定できなかっ
たため、「分類できない」とした。
データ不足のため、分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
分類結果
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=11ppb(農薬登録申請資料、2003)から、
区分1とした。
付録-143
パブコメ
物質別パブリックコメント
11 水生環境慢性有害性
区分1
急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され(BIOWIN)、生物蓄積性があ
ると推定される(log Kow=6.42(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分1と
した。
付録1
項目11. 水生環境慢性有害性について
急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され(BIOWIN)、生物蓄積性があると推定される(log Kow=6.42
(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分1とした。
上記の分類について、以下のとおり再検討をお願いいたします。
生物蓄積について、(log Kow=6.42(PHYSPROP Database、2005))ことから、生物蓄積性があると推定されるとされ
ていますが、OECDガイドライン305に準拠した試験報告書によれば、BCFは以下の通り71~399と500以下であり、本
物質には生物濃縮性がないと考えられます。
試験実施機関:Inveresk research (英国)
実施年:2000年 GLP基準に準拠し実施。
標題:Bioaccumulation and metabolism of [14C]-Ioxynil octanoate in rainbow trout
結果:
試料の種類 試験液濃度:25ng/L 試験液濃度:250ng/L
試料中濃度ng当量/g BCF 試料中濃度ng当量/g BCF
可食部 2.33 83 18.92 71
非可食部 8.63 399 71.82 298
魚体全体 5.18 212 43.74 163
以上より、本物質については、以下の分類が適当と考えます。
急性毒性が区分1ではありますが、生物蓄積性がない(BCF<500)ことから、区分外が妥当と考えます。
付録-144
物質別パブリックコメント
ID427 ジブチルスズオキサイド
CAS 818-08-6
化管法政令番号 1-176
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分3
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分3
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
5 生殖細胞変異原性
6 発がん性
7 生殖毒性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
分類できない
分類できない
区分2
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(肝臓、腎
暴露)
臓)
10 吸引性呼吸器有害性
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
IUCLIDに記載されている LD50 rat Males: 176mg/kg, Females :172mg/kg,
Both Sexes:172mg/kg 及び 260mg/kg,はOECD TG401に準拠しており、これら
のデータより、区分3とした。
データなし
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
データなし
データなし
CERIハザードデータ集 2001-67 (2002)のウサギを用いた皮膚刺激性試験にお
いて4時間適用試験ではないが、「軽度の刺激性」という記述、及びヒトへの健
康影響についての記述「一般にジブチルスズ化合物は皮膚及び眼に刺激性を
示す。」「ボランティア5 人の手の甲に単回適用した実験では、本物質では刺激
性はみられていない。」「製造過程で本物質及び金属スズ、ジブチルスズヨウ
素、ジブチルスズジクロリドに暴露される2つのジブチルスズラウリン酸製造工場
(A、B)の労働者(それぞれ25人、56人)に行われた調査で、皮膚刺激性、皮膚の
発疹、水疱形成等の皮膚障害が報告されている。」(ともにCERIハザードデータ
集 2001-67 (2002))という記述から、刺激性なしから軽度の刺激性を有すると考
えられ、安全性の観点から区分3とした。
CERIハザードデータ集 2001-67 (2002)のウサギを用いた眼刺激性試験におい
て回復期間についての記載は無いが「重度の刺激性」という記述及び、ヒトへの
健康影響について「一般にジブチルスズ化合物は皮膚及び眼に刺激性を示
す。」という記述から、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
データ不足のため分類できない。
データなし
CERIハザードデータ集2001-67 (2002) の記述から、母動物での一般毒性に関
する記述はないが、ラット胎児に奇形がみられることから、区分2とした。
データなし
実験動物については、「肝臓の軽微な変化と腎臓の尿細管への影響がみられ
ている」(CERIハザードデータ集 2001-67(2002))、「肝臓に影響を与え、肝障害
を生じることがある」(ICSC、1994)等の記述があることから、肝臓、腎臓が標的
臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は区分1(肝臓、腎臓)に相当
するガイダンス値の範囲で見られた。
以上より、分類は区分1(肝臓、腎臓)とした。
分類できない
データなし
分類結果
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50=0.94mg/L(CERIハザードデータ集、2002)
から、区分1とした。
パブコメ
1.急性毒性
(区分2 → 区分3)
理由
GHS公表で参考にしたCERIの毒性データとその出典は以下の通りである。
44.9mg/kg 出典 US NIOSH Priority 2 区分2
520mg/kg 出典 IPCS Priority 1 区分4
これらはPriority1及び2のデータであり、本評価書にはPriority2のデータを採用している。
これらCERIデータの出典の毒性値は両者で大きく異なっており、10倍以上の差がありどちらが正しいか評価できな
い。このような場合、他の出典のデータも考慮すべきである。
例えば IUCLID(Date of last update 27.06.2005 )には以下のデータがあり、IUCLIDはPriority 2のデータであ
るので、GHSに採用されたデータの出典と同レベルの信頼性のある資料である。これらのデータにより、GHS
分類マニュアルに従って分類すると区分としてはむしろ区分3のデータが多く見られる。
またCERIのデータ:IPCS(Priority 1)を採用すれば区分4となる。
以下に上記IUCLID(Date of last update 27.06.2005)のデータの数例を紹介いたします。
A. ACUTE ORAL TOXICITY
(1). Type
:
LD50
Species :
rat
Method :
OECD Guide-line 401 “Acute Oral Toxicity”
GLP
:
no data
Result : LD50 rat Males: 176mg/kg, Females :172mg/kg, Both Sexes:172mg/kg
区分 3
Source :
Crompton GmbH
Reliability : valid without restriction
(2). Type
:
LD50
Species :
rat
Method :
other, similar to OECD Guide-line 401
GLP
:
no
Result :
LD50 260mg/kg, 区分 3
Source :
ATOFINA Chemicals,Inc.
Reliability : valid with restriction
B. ACUTE DERMAL TOXICITY
(1) . Type
: LD50
Value :
>2000mg/kg bw 区分 5
Species :
rat
Method :
OECD Guide-line 402 “ Acute Dermal Toxicity”
GLP
:
yes
Source :
ATOFINA Chemicals, Inc.
Reliability : valid without restriction
従って、急性毒性の区分は3が妥当であると考えます。
環境に対する有害性
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
付録-145
パブコメ
物質別パブリックコメント
11 水生環境慢性有害性
区分1
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=69(既存化学物質安全性
点検データ))、金属化合物であり水中での挙動が不明であるため、区分1とし
た。
付録1
枠外参照
11.水生環境有害性
(区分1 → 区分2)
水生環境急性有害性: 区分 1 出典 AQUIRE Priority 2
水生環境慢性有害性: 区分 1 出典 AQUIRE Priority 2
これについても IUCLID(Date of last update 27.06.2005)には下記データがあり、急性、慢性両方とも区分2が妥当とする結果であり、さらに「金属化合物であり水中での挙動が不明であるため区分1とする」と言うようなあいまいな判断基準
での区分はおかしい。
IUCLID(Date of last update 27.06.2005)記載データ
A. ACUTE/PROLONGED TOXICITY TO FISH
Type
: static
Species : Brachydanio rerio ( Fish,fresh water )
Exposure period : 96 hour(s)
NOEC
: =3.1 mg/l
LC50
: >3.1mg/kg
急性、慢性 ともに区分 2
Method : other : OECD Guideline 203; OECD ENV/JM/MONO(2000)6-Guideance
Document on Aquatic Toxicity Testing of Difficult Substances and Mixtures
(26 June 2000)
GLP
: yes
Source
: Schering AG
Reliability : (2) Valid with restrictions
B . ACUTE TOXICITY TO AQUATIC INVERTEBRATES
Type
: static
Species : Daphania Magna ( Crustacea )
Exposure period : 48 hour(s)
NOEC : =0.81 mg/l
LC50 : =1.5mg/kg
急性、慢性 ともに区分 2
GLP : yes
Method : Method : other : OECD Guideline 202(1); Directive 92/69/EEC(2);
OECD ENV/JM/MONO(2000)6-Guideance
Document on Aquatic Toxicity Testing of Difficult Substances and Mixtures
(26 June 2000)
Source : Schering AG
Reliability : (2) Valid with restrictions
C . TOXICITY TO AQUATIC PLANTS E.G.ALGAE
Species : Scendesmus subspicatus(Algae)
Endpoint : other : growth rate and biomass
Exposure period : 72 hour(s)
EC50
: >1.6mg/l
急性、慢性 ともに区分 2
Method : other : OECD Guideline 201(1); Directive 92/69/EEC(2);
OECD ENV/JM/MONO(2000)6 - Guideance Document on Aquatic Toxicity Testing of Difficult Substances and Mixtures (26 June 2000)
GLP
: yes
Source
: Schering AG
Reliability : (1) Valid without restrictions
従って環境に対する有害性の水生環境有害性は急性、慢性両方とも区分2が妥当と思います。
付録-146
物質別パブリックコメント
ID445 (3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル)オキシ酢酸 CAS 55335-06-3
化管法政令番号 1-216
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
区分外
2 皮膚腐食性・刺激性
区分3
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分外
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分2(神経系)
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分2(腎臓)
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験でのLD50=2140mg/kg(農薬登録申請資料(1996))
に基づき、区分5とした。
ラットを用いた経皮投与試験でのLD50>3980mg/kgであり、死亡例が見られて
いない(農薬登録申請資料(1996))ことから、区分外とした。
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は考えられず、分類対象外と
データなし
ラットを用いた吸入暴露試験でのLC50>5.43mg/L(4時間換算)(農薬登録申請
資料(1996))に基づき、区分外とした。
ウサギでの皮膚刺激性試験において、軽度の刺激性が見られた(農薬登録申
請資料(1996))ことから、区分3とした。
ウサギでの眼刺激性試験において、7日目まで継続する中~軽度の刺激性が
見られた(農薬登録申請資料(1996))ことから、区分2Aとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:モルモットを用いた感作性試験で陰性であった(農薬登録申請資
料(1996))ことから、区分外とした。
in vitro復帰変異試験で陰性、ラットでのin vivo小核試験で陰性(農薬登録申請
資料(1996))であることから、区分外とした。
ラットおよびマウス発がん性試験において、試験物質の投与に関連した腫瘍の
発生がなかった(農薬登録申請資料(1996))ことから、区分外とした。
ラット繁殖性試験、ラットおよびウサギでの催奇形性試験において、繁殖性や仔
動物への影響がない(農薬登録申請資料(1996))ことから、区分外とした。
動物試験において、「起毛」、「振戦」、「痙攣」等が見られている(農薬登録申請
資料(1996))ことから、神経系が標的と考えられた。これらの影響は区分2に相
当するガイダンス値の範囲でみられたことから、区分2(神経系)とした。
動物試験において、区分2に相当するガイダンス値の範囲の用量において、「腎
尿細管上皮の変化」が見られた(農薬登録申請資料(1996))ことから、区分2
(腎臓)とした。
データなし
パブコメ
健康に対する有害性の項目8について分類案では区分2(神経系)としていますが、本化合物は
神経毒性を有する物質ではなく、ラットにおける急性経口毒性試験(農薬抄録資料No.6, 1974
年)での振戦及び痙攣は2000mg/kg及び3980mg/kg投与群の死亡(死亡は♀2/5匹、5/5匹)した
雌それぞれ1匹のみに認められた症状であり、生き残った動物はこのような症状は示さず、全例
投与後2週間体重増加を示している。同試験でのLD50は雄2830mg/kg、雌2140mg/kgである。
従って、区分2(神経系)に分類するのは適切ではなく、「分類できない」と分類するべきと思いま
す。
尚、分類の判断資料とされた資料No 6についての試験報告書を添付いたします。
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分2
区分2
分類根拠・問題点
魚類(カラフトマス)の96時間LC50=1.2mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分2
とした。
急 性 毒 性 が 区 分 2 、 生 物 蓄積 性が 低い と推 定さ れる も の の( log Kow=2.53
(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)こと
から、区分2とした。
付録-147
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID448 3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール CAS 3452-97-9
化管法政令番号 1-223
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
分類できない
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
OECD実験指針とGLPに準拠した最新のデータであるラットを用いた経口投与試
験のLD50>2,000 mg/kg (CERIハザードデータ集 2001-61 (2002))に基くと、区
分5または区分外と考えられるが、確定値ではないため、現時点では「分類でき
ない」とした。
1 急性毒性(経皮)
区分5
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 2,990 mg/kg(PATTY (4th, 1999))から、
区分5とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
データ不足のため分類できない
データ不足のため分類できない
SIDS (2003)のウサギを用いた4時間適用試験においてDraize_score 「scores
for 24, 48, and 72 hours: Erythema = 1.83、Edema = 0.22、PII = 2.08」「Moderate
Irritation」との報告が得られていることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
SIDS (2003)のウサギを用いた眼刺激性試験の記述「中等度の刺激性」から、本
物質は強い刺激性を有すると考えられ、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
5 生殖細胞変異原性
6 発がん性
7 生殖毒性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
分類できない
分類できない
区分2
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分2(肝臓、腎
暴露)
臓)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
データ不足 (in vivo変異原性/遺伝毒性試験データなし) のため分類できない。
データなし
SIDS (2003)、環境省リスク評価第4巻 (2005)、厚労省報告 (1997) の記述から、
親動物に一般毒性を示す用量で生殖・発生への影響 (着床率の減少、出生仔
数の減少) がみられることから、区分2とした。
パブコメ
枠外参照
枠外参照
データ不足のため分類できない。
ヒトについては、「肝臓、腎臓に影響を与えることがある」(ICSC (J) (1997))との
記述、実験動物については、「尿細管上皮の再生と顆粒円柱形成が見られ、門
脈周囲に軽度の脂肪変性が見られた」(SIDS (2002))の記述があることから、肝
臓、腎臓が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相
当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分2(肝臓、腎臓)とした。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分2
分類根拠・問題点
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=5.7mg/L(SIDS、2003)他から、区分2
とした。
区分2
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=8.1(既存化学物質安全性
点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:4%(既存化学物質安全
性点検データ))ことから、区分2とした。
付録-148
パブコメ
物質別パブリックコメント
付録1
1.急性毒性
「急性毒性(経口)」についてのコメント
(「区分4」→「区分5」または「区分外」への変更を要望)
・本項目の分類結果は「区分4」、危険有害性情報は「飲み込むと有害」であり、その分類根拠・問題点は下記と記載されています。
「ラットを用いた経口投与試験のLD50 2,980 mg/kg、6,400 mg/kg(CERIハザードデータ集 2001-61 (2002))、1,160 mg/kg、1,450 mg/kg(PATTY (4th, 1999))に基づき、計算式を適用して得られたLD50 1,160 mg/kgから、区分4とした。」
・しかしながら、上記にご提示いただきました文献を確認した結果、以下の点が明らかになってまいりました。
a)Patty(4th, 1999);本結果は1963年のPatty(第2版)からの出典である事が確認されました。
この当時の試験はおそらく非GLP試験での結果であり、また、この当時、本物質の純度としてはかなり低かったと予想され、本物質の正しい急性毒性値を示していない可能性が高いと推測されました。
b)CERIハザードデータ集(2002);本結果は、IUCLID(2000)のデータですが、その実施年度も不明で、おそらく非GLP施設で、また、OECDの試験法に則っていない方法で、かつ他のノナノール異性体も含む試験での結果であることが分かり
ました。詳細は添付資料をご参照願います。
(資料添付) ア)CERIハザードデータ集からの抜粋(3ページ目と7ページ目)
<<CERIハザードデータ集(抜粋).pdf>>
イ)IUCLID(2000)からの抜粋(10ページ目)
<<IUCLID(ノナノール、抜粋).pdf>>
→どちらのデータも「データの信頼性が低い」結果であることが確認できました。
これに対し、下記のデータは、厚生労働省のGLP施設で、また、本物質の純度も(90%以上)ある物質を使用した
での試験結果であり、また、試験年度も1997年とより新しい
データです。また、その上、本データはOECD-SIDS(2003)でも評価され、本データが採用、記載されております。
(結果) LD50 >2,000 mg/kg(male)、>2,000 mg/kg(female)
(出典) ①厚生省試験報告:「化学物質毒性試験報告」化学物質点検推進連絡協議会
(詳細URL)
http://wwwdb.mhlw.go.jp/ginc/cgi-bin/view.pl?html=/ginc/dbfile1/paper/paper3452-97-9a.html
②OECD-SIDS(2003)、11ページ
(詳細URL)
http://www.chem.unep.ch/irptc/sids/OECDSIDS/TRIMETHYLHEXA.pdf
→より新しいデータでの判断結果、およびより信頼性の高いデータがあることが確認できました。
また、「分類マニュアル(H18.2.10.版)」46ページには以下の記載がございます。
「②報告書のデータに信頼性があると判断できるもの(GLP試験機関による測定であること、あるいは判断の根拠となるデータが明記されて評価されていること等)④同じ優先順位のデータが複数存在する場合には、できるだけ最新のデ
これらの事から、本物質の「分類結果」を「区分4」とする事に対して、ぜひ見直していただき、「区分5」としていただきますようよろしくお願いいたします。
7.生殖毒性
「生殖毒性」についてのコメント
(「区分2」→「分類できない」への変更を要望)
・本「危険・有害性」項目における「分類根拠・問題点」では、以下の記載となっております。
「SIDS (2003)、環境省リスク評価第4巻 (2005)、厚労省報告 (1997) の記述から、親動物に一般毒性を示す用量で生殖・発生への影響 (着床率の減少、出生仔数の減少) がみられることから、区分2とした。」
しかしながら、上記に提示された文献を詳細に確認すると、以下に示す理由から本記載および分類結果にはいくつかの疑問点があるかと思っております。
以下の「理由・根拠」により、その生殖毒性の項目を「分類できない」に訂正いただきますよう、ご再考の程、宜しくお願い申し上げます。
危険・有害性項目 分類結果 修正希望
7 生殖毒性 区分2 「分類できない」
付録-149
物質別パブリックコメント
付録1
(理由・根拠)
・政府の関係の機関が出した分類の根拠は、上記とされておりますが、すべては、ひとつの研究とその報告書“厚労省報告 (1997)”に基づくものと思われます。
この研究はOECDのテストガイドライン422 反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験に基づいて行われています。
国による「化学品の分類および表示に関する世界調和システム改訂初版(以下、「GHS分類基準」と略)の3.7.2.5.2によれば、このガイドラインに基づく試験はスクリーニング試験であり、その結果、「OECDのテストガイドライン414、415および
416に比して信頼性に劣ることは認識されている。」ことが記されています。
さらに、「GHS分類基準」3.7.2.2では、特にその中の3.7.2.2.1において「生殖毒性物質としての分類は、生殖に対して、固有かつ特異的な性質の有害影響をもたらす物質に適用されることを目的としており、もしそのような影響が単に他の毒性
作用の非特異的な二次的影響、として誘発されたに過ぎない
ならば、化学物質をそのように分類すべきではない」と記し、安易な分類を戒めています。
分類は、「GHS分類基準」の図3.7.1(a)、および「分類マニュアル(H18.2.10版)の中の「区分1B」または「区分2」の文書によると、「他の毒性作用も同時に生じている場合には他の毒性作用が原因となった2次的な非特異的影響でない(特異的
影響である)とみなされる」場合においては、確かに、証拠の信頼性についても言及しておりますが、今回の対象物質の「3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール」に関しては、スクリーニング試験法によるものとはいえ、むしろ下記に示すような項目で
今回の判定の基準になった“厚労省報告 (1997)”の実験で見られた、被験物質の親動物への影響は、「GHS分類基準」の3.7.2.4.4に母体に対する毒性評価にあげられた影響のいくつかとして例示された項目の内の、臨床評価(臨床症状、マー
このような理由から、(独)NITEのGHSによる「3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール」の生殖毒性の評価は、妥当ではなく、「分類できない」とすべきかと考えられます。
なお、この物質に限らず、生殖毒性の分類に関しては、「GHS分類基準」の3.7.2.2に則した厳密な考察が必要かと考えます
付録-150
物質別パブリックコメント
ID465 ビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウム=クロリド CAS 61789-80-8
化管法政令番号 1-251
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分外
1 急性毒性(経皮)
分類できない
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験から、LD50=11,300 mg/kg (CERI・NITE有害性評価
書 No.78 (2005)) に基づき、区分外とした。
ラットを用いた経皮投与試験のLD50>2,000 mg/kg (CERI・NITE有害性評価書
No.78 (2005)) に基くと、区分5または区分外に分類されるが、確定値ではない
ので、現時点では「分類できない」とした。
パブコメ
検体が直接体内に取り込まれる急性経口毒性においてLD50=11,300 mg/kgという値が確認されていること、ビス(水
素化牛脂)ジメチルアンモニウム=クロリドの構成成分の一つであるDimethyldicotadecylammonium chlorideの経皮吸
収性がごくわずかであること* などを考慮すると、当該物質の経皮LD50の値は経口LD50の値を上回ると考えられ
る。したがって、区分外という結論は適切と思われるが、根拠として示されているデータが経皮LD50>2,000 mg/kgの
みであり、区分5ではないかとの誤解を生じる懸念がある。分類根拠として上記のような補足情報も追記願いたい。
* CIR Ingredient Status Report JACT-1(2)1982
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分外
データなし
データなし
CERI・NITE有害性評価書 No.78 (2005) のウサギを用いたOECD TG404に準拠
した試験の結果の記述に、含有量97%の本物質を72時間適用した場合に「刺激
性を示さなかった」とあるため、刺激性なしと考え、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
7 生殖毒性
分類できない
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
CERI・NITE有害性評価書 No.78 (2005) の、OECD TG405に準拠したウサギを
用いた試験の結果の記述に、「強い刺激性を示した」とあり、非可逆的な刺激性
を示すか不明であるため区分1-2Aとした。安全性の観点から区分1とする方が
望ましい。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: CERI・NITE有害性評価書 No.78 (2005) のヒト疫学事例に、皮膚
感作性が示されなかった報告が3例あり、モルモットを用いたマキシマイゼーショ
ン法に準拠した試験の結果の記述に「感作性は認められなかった」とあることか
ら、区分外とした。
CERI・NITE有害性評価書 No.78 (2005) で引用されている遺伝毒性のデータは
いずれも「陰性」の結果である。また、EUのリスクアセスメント報告書(2002) で
はビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウム=クロリドの構成成分の一つである
Dimethyldicotadecylammonium chlorideについて「遺伝毒性を示唆する証拠は
なく、変異原性を示すとは思われない」と結論付けられている。これらを総合的
に考慮し、区分外とした。
データなし
CERI・NITE有害性評価書 No.78 (2005)の記述から、ラットの生殖毒性試験、マ
ウスの催奇形性試験において、親動物における一般毒性についての記述がな
い、または親動物での一般毒性が発現する用量で、親動物に妊娠率の低下、
次世代に生存率の低下などが報告されてるが、用量設定等の情報が入手でき
ないことから、分類できないとした。
データ不足のため分類できない
データ不足のため分類できない
データなし
付録-151
GHS国連文書では、生殖細胞変異原性の分類基準として「in vitro試験で判定された変異原性または遺伝毒性作用
もまた考慮されて良い(3.5.2.2)」と記載されている。CERI・NITE有害性評価書 No.78 (2005) で引用されている遺伝毒
性のデータはいずれも「陰性」の結果である。また、EUのリスクアセスメント報告書(2002)* ではビス(水素化牛脂)ジ
メチルアンモニウム=クロリドの構成成分の一つであるDimethyldicotadecylammonium chlorideについて「遺伝毒性を
示唆する証拠はなく、変異原性を示すとは思われない」と結論付けられている。
これらを総合的に考慮し、「分類できない」ではなく「区分外」とすべきである。
*http:// ecb.jrc.it/DOCUMENTS/Existing-Chemicals/RISK_ASSESSMENT/
REPORT/dodmacreport036.pdf
枠外参照
物質別パブリックコメント
付録1
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=0.16mg/L(CERI・NITE有害性評価書(暫
定版)、2006)から、区分1とした。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=13(CERI・NITE有害性評価
書(暫定版)、2006))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物
質安全性点検データ))ことから、区分1とした。
パブコメ
7.生殖毒性
《コメント1》
<内容>
本物質の生殖毒性を「区分2」に分類し、その根拠として「CERI・NITE有害性評価書 No.78 (2005)の記述から、ラットの生殖毒性試験、マウスの催奇形性試験において、親動物における一般毒性についての記述がない、または親動物での一
般毒性が発現する用量で、親動物に妊娠率の低下、次世代に生存率の低下などがみられていることから、「区分2」とした。」と記述されている。
しかしながら、本物質は「区分外」とすることが適当と考えますので、以下にその理由を述べる。
・本物質は、EU第7次修正指令AnnexⅠにて、生殖毒性物質として分類されていない。このEU指令は、GHS関係省庁連絡会議が作成した分類マニュアル(P42)にて、参照すべき情報源のPriority2に該当する。
(補足:EU指令の判断根拠の一つと思われる本物質のEUリスク評価書(最終版、2002)には、当該試験データ(RBM,1999)が収載されている)
・当該試験データのRBM(1999)は一般に入手できないものであるため、EUリスク評価書(2002)およびCERI・NITE有害性評価書 No.78 (2005)に記述されている内容を検討した。両評価書ともに生殖毒性が親動物に対する毒性の2次的作用か
どうかについての言及はないが、生殖発生毒性スクリーニング試験において、生殖影響の認められる用量500mg/kgは、親動物(雌雄各10個体)のうち各1個体の死亡などが認められる用量であり、妊娠率の低下などは親動物に対する毒
性との因果関係が疑われる。また、次世代の生存率の低下については、EU評価書には対照群や低用量群で見られる範囲内であると記述されている。以上より、本物質の500mg/kg投与群に認められた生殖影響は、親動物に対する毒性の
2次的作用によるものと考えることが妥当と思われる。
GHS関係省庁連絡会議によって作成された分類マニュアル(P60)には、「生殖毒性の報文データ引用は多く入手できるが、専門家が元の文献に当ってクライテリアに該当するかどうかを判断しなければならない。」とされている。もし、わが国
において、本物質を生殖毒性物質「区分2」と分類するのであれば、親動物の妊娠率の低下や次世代の生存率の低下が
本物質の親動物に対する毒性の2次的作用ではないことを専門的見地から示す責任があると考える。
---------------------------------------------------------------《コメント2》
CERI・NITE有害性評価書 No.78 (2005)で引用されているEUのリスクアセスメント報告書(2002)* では、RBMの試験(検体はビス(水素化牛脂)ジメチルアンモニウム=クロリドの構成成分の一つであるDimethyldicotadecylammonium chloride)に
当該の試験については、125 mg/kg/day投与群において親動物・児動物ともに著変が認められなかった事実を踏まえ、適切な用量範囲においては生殖毒性が認められないと判断してすべきである。したがって、構成成分Dimethyldicotadecy
* http:// ecb.jrc.it/DOCUMENTS/Existing-Chemicals/RISK_ASSESSMENT/
REPORT/dodmacreport036.pdf
付録-152
物質別パブリックコメント
ID468 1-(4-ビフェニリルオキシ
CAS 55179-31-2
化管法政令番号 1-257
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分外
1 急性毒性(経皮)
区分外
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
分類できない
2 皮膚腐食性・刺激性
区分外
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分外
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分2
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験でのLD50>5,000mg/kg(農薬登録申請資料
(1984))に基づき、区分外とした。
ラットを用いた経皮投与試験でのLD50>5,000mg/kg(農薬登録申請資料
(1984))に基づき、区分外とした。
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は考えられず、分類対象外と
データなし
ラットを用いた吸入暴露試験でのLC50>0.55mg/L(4時間換算)(農薬登録申請
資料(1984))のデータはあるが、区分を特定できないため、分類できないとし
ウサギでの皮膚刺激性試験において、刺激性なしであった(農薬登録申請資料
(1984))ことから、区分外とした。
ウサギでの眼刺激性試験において、Draize scoreが1以下の軽度の刺激性が見
られたが、72時間目で回復している(農薬登録申請資料(1984))ことから、区分
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:モルモットを用いた感作性試験で陰性であった(農薬登録申請資
料(1984))ことから、区分外とした。
in vitro復帰変異試験および染色体異常試験で陰性(農薬登録申請資料
(1984))、マウス骨髄細胞でのin vivo小核試験で陰性(農薬登録申請資料
(1984))であることから、区分外とした。
ラット及びマウスを用いた発がん性試験において、試験物質の投与に関連した
腫瘍の発生がなかった(農薬登録申請資料(1984))ことから、区分外とした。
ラットおよびウサギでの催奇形性試験において、親動物に体重増加抑制等の影
響が見られる用量において、仔動物の骨化遅延、妊娠率の減少、吸収胚数の
増加、奇形胎児の増加が見られている(農薬登録申請資料(1984))ことから、
データ不足により分類できない
パブコメ
7.生殖毒性
健康に対する有害性
危険・有害性項目 分類結果
7 生殖毒性 区分2
分類根拠:ラット及びウサギでの催奇形性試験において、親動物に体重増加抑制等の影響が見られる用量におい
て、児動物の骨化遅延、妊娠率の減少、吸収胚数の増加、奇形胎児の増加が見られている(農薬登録申請資料
(1984))ことから、区分2とした。
この区分について、以下のように検討しましたので、見直しをお願いします。
ラットの催奇形性試験において、最高投与群である100mg/kgでは妊娠期間を通し体重増加抑制が認められ、母動
物における毒性影響が認められた。
100mg/kg群では違う同腹児から3匹の胎児に口蓋裂が認められた。本剤においてこのような奇形が認められたこと
は予想外であった。口蓋裂、尾の奇形などはKhera et.al. (1982,1987) の文献によると通常の母体毒性で認められる
胎児の奇形とは考えにくいと報告されている。しかしながら、100mg/kg群において体重増加抑制が強く認められた母
動物に矮小児及び奇形の増加がみられていることは注目に値し、これらの奇形発生が母体毒性による原因ではな
いということを否定出来ないと考える。
ウサギの催奇形性試験において、最高投与群である100mg/kgでは期間中体重増加抑制が認められた。2匹に膣か
らの出血がみられ、この2匹は特に摂餌量が減少した。その他の1匹に流産、6匹は重度の体重増加抑制がみられ、
この6匹は剖検で生存胎児は認められなかった。また、100mg/kg群では吸収胚の見られた母動物数が増加し、胎児
体重の減少が認められ、母体毒性が顕著に認められた。100mg/kg群では3匹の胎児に口蓋裂が認められた。本剤
においてこのような奇形が認められたことは予想外であった。口蓋裂、尾の奇形などはKhera et.al. (1982,1987) の文
献によると通常の母体毒性で認められる胎児の奇形とは考えにくいと報告されている。しかしながら、100mg/kg群に
おいて体重増加抑制が強く認められた母動物に矮小児及び奇形の増加がみられていることは注目に値し、これらの
奇形発生が母体毒性による原因ではないということを否定出来ないと考える。
以上の点から、催奇形性試験において認められた親動物への影響が見られる用量で児動物及び胎児に認められた
変化は、いずれも母動物の栄養失調または衰弱等の母体毒性に誘発された二次的結果であることを否定できるも
のではない。
1992及び1998年のJMPRにおいてラット、ウサギの催奇形性については障害の恐れの根拠とはならないと明記されて
EU A
Iにおける i k h
の設定はないことから 区分外が妥当と考える
データ不足により分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分2
区分2
分類根拠・問題点
魚類(コイ)の96時間LC50=3.5mg/L(農薬登録申請資料、2004)から、区分2とし
た。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=203(農薬登録申請資料、
1979))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)ことから、区分2とした。
付録-153
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID469 ピペラジン
CAS 110-85-0
化管法政令番号 1-258
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 600 mg/kg、11,200 mg/kg(CERIハザード
データ集 2001-13 (2002))、2,830 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書 No.19
(2005))、2,600 mg/kg(EU-RAR No.56 (2005))、2,050 mg/kg、3,000
mg/kg(PATTY (4th, 2000))、1,900 mg/kg(DFGOT vol.9 (1998))に基づき、計算
式を適用して得られたLD50 1280 mg/kgから、区分4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分4
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 4,000 mg/kg(CERIハザードデータ集
2001-13 (2002))、1,590 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書 No.19 (2005))のうち低
い方のLD50 1,590 mg/kgから、区分4とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分1A-1C
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
区分1
皮膚感作性:区
分1
5 生殖細胞変異原性
分類できない
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
分類できない
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分2(神経系、
暴露)
呼吸器)
データなし
データなし
CERI・NITE有害性評価書 No.19 (2005)、EU-RAR No.56 (2005)、DFGOT vol.9
(1998)のウサギを用いた皮膚4時間適用試験結果の記述から、重度の刺激さら
には、非可逆的影響報告が得られていることから、腐食性を有すると考えられる
ため、区分1A-1Cとした。細区分の必要がある場合は、安全性の観点から、1A
とした方が望ましい。
CERIハザードデータ集 2001-13 (2002)、CERI・NITE有害性評価書 No.19
(2005)、PATTY (4th, 2000)、DFGOT vol.9 (1998)のウサギを用いた眼刺激性試
験結果の記述において、「強度の刺激性」「重度の角膜混濁」「治癒の見込みの
無い重い眼傷害」等が見られたことから、腐食性を有すると考えられ、区分1とし
た。
呼吸器感作性:CERIハザードデータ集 2001-13 (2002)、EU-RAR No.56
(2005)、PATTY (4th, 2000)のヒトへの健康影響の記述にて、喘息などの呼吸器
感作性による症状がピペラジンによって引き起こされたとの報告がある。また、
既存分類としては、日本職業・環境アレルギー学会特設委員会が、気道感作性
物質にリストアップしていることから、区分1とした。
皮膚感作性: CERIハザードデータ集 2001-13 (2002)、EU-RAR No.56
(2005)、CERI・NITE有害性評価書 No.19 (2005)、PATTY (4th, 2000)のヒトへの
健康影響の記述において、パッチテストの結果「陽性」との報告が得られたこ
と。また、既存分類としては、日本職業・環境アレルギー学会特設委員会が、皮
膚感作性物質にリストアップしていることなどから、区分1とした。
CERI・NITE有害性評価書 No.19 (2005)、NITE初期リスク評価書 No.19 (2005)、
NTP DB (Access on March 2006)の記述から、経世代変異原性試験なし、生殖
細胞/体細胞in vivo変異原性試験なし、生殖細胞/体細胞in vivo遺伝毒性試験
なし、in vitro変異原性試験で複数指標の(強)陽性結果なし、であることから「分
類できない」とした。
毒性情報はあるが 既存分類がないため、専門家の判断に従い、分類できない
とした。
データ不足により分類できない。
ヒトについては、「睡眠、吐き気または嘔吐」(RTECS (2004))、「眼、皮膚、気道
に対して腐食性を示す。神経系に影響を与え、多量を経口摂取すると機能障害
を生じることがあり、意識を喪失することがある」(ICSC (J) (2003))等の記述か
ら、標的臓器は神経系、呼吸器と考えられた。
以上より、分類は区分2(神経系、呼吸器)とした。
付録-154
パブコメ
7.生殖毒性
ピペラジンの生殖毒性が、「分類できない」とされていますが、EUレポート(EU-RARNo.56(2005))では、別紙添付ファイ
ルに概略を記載しましたように、生殖毒性の危険性が有るとしています。
「分類できない」という結論で、よろしいのでしょうか。
-------------------------------以下参照------------------------------ピペラジン 2006-09-13
NITEの見解 (GHS分類の結果)
EUレポート ( EU-RAR No.56(2005) )
NITEはEUレポートを参照している。
(1)急性毒性(経口)、(2)皮膚腐食性、(3)呼吸器感作性又は皮膚感作性で、参照している。
それにもかかわらず、生殖毒性では「分類できない」としている。
この理由が、明らかにされていない。
EUレポートの結論と生データ
1. 結論
P.Ⅶ
作業者は0.5~3.4mg/kg/dayの暴露可能性。
ラット試験でNOAEL(No Observed Adverse Effect Level; 無毒性量)は、125mg/kg/day。
MOS(Margin of Safety; 安全係数)は60(後述の生データで数字が出てくる)と見積もられ、125/60=2.1(mg/kg/day)と
なる。
作業者、特に製造最終ハンドリングと仕込み作業で、生殖毒性の危険性が有る。
2. 生データ
(1)作業者の暴露可能性
P.78~79
Total Internal exposureは0.4~3.4mg/kg/day。
(2)生殖毒性試験
P.110~114
Multigeneration studies
Sprague-Dawley CD rats
0, 125, 300, 625mg/kg/day piperazine base
32 males and 32 females per dose
At 125mg/kg/day no effects, in the pregnancy index in combination with the number of implantation sites and
litter size in F2
(3)安全係数
P.122~123
10×3×2=60
物質別パブリックコメント
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(神経系、
暴露)
呼吸器)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
付録1
ヒトについては、「頭痛、嘔気、嘔吐、下痢、嗜眠、振戦、協調不能、筋衰弱」
(CERIハザードデータ集 2001-13 (2002))、「慢性気管支炎」(CERI・NITE有害
性評価書 No.19 (2005))等の記述から、標的臓器は、神経系、呼吸器と考えら
れた。
以上より、分類は区分1(神経系、呼吸器)とした。
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=21mg/L(EU-RAR、2004)から、区分3とし
た。
区分外
急性毒性が区分3であるものの、甲殻類(オオミジンコ)の21日間
NOEC=12.5mg/L(EU-RAR、2004)から判断して、区分外とした。
付録-155
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID481 N,N'-プロピレンビス(ジチオカルバミン酸)と亜鉛の重合物 CAS 12071-83-9
化管法政令番号 1-284
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分外
1 急性毒性(経皮)
分類できない
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
分類できない
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 分類できない
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分1
5 生殖細胞変異原性
区分外
6 発がん性
区分外
7 生殖毒性
区分2
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験でのLD50>2500mg/kgであり、死亡例が見られて
いない(農薬登録申請資料(1968))ことから、区分外とした。
ラットを用いた経皮投与試験でのLD50>1,000mg/kgのデータはあるが(農薬登
録申請資料(1968))区分を確定できないため、分類できないとした。
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は考えられず、分類対象外と
データなし
ラットを用いた吸入暴露試験でのLC50>0.557mg/L(4時間換算)(農薬登録申
請資料(1968))のデータはあるが、区分を特定できないため分類できないとし
IUCLID (2000)のウサギを用いた皮膚刺激性試験(暴露時間不明)において「not
irritating」との記述があるが詳細不明であり、分類できないとした。
IUCLID (2000)のウサギを用いた眼刺激性試験において「not irritating」との記
述があるが詳細不明であり、分類できないとした。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性:モルモットを用いたDraize法での感作性試験で陽性であった(農薬
登録申請資料(1989))ことから、区分1とした。
in vitro染色体異常試験では陽性であったが、復帰変異試験で陰性、マウス骨
髄細胞でのin vivo小核試験およびマウスでの優性致死試験で陰性(農薬登録
申請資料(1989))であることから、区分外とした。
ラット及びマウスを用いた発がん性試験において、試験物質の投与に関連した
腫瘍の発生がなかった(農薬登録申請資料(1978、1989))ことから、区分外とし
ラット3世代繁殖試験で、親動物に影響が見られる用量で同腹児数の減少が見
られた。ラットおよびウサギでの催奇形性試験において、親動物への影響が見
られる用量で矮小児、四肢の長骨異形性、着床後死胚の増加、生存胎児数の
減少等が認められた(農薬登録申請資料(1978、1989))ことから、区分2とした。
パブコメ
7.生殖毒性
分類根拠:ラット3世代繁殖試験で、親動物に影響が見られる用量で同腹児数の減少が見られた。ラット及びウサギ
での催奇形性試験において、親動物への影響が見られる用量で矮小児、四肢の長骨異形性、着床後死胚の増加、
生存胎児数の減少等が認められた(農薬登録申請資料)ことから、区分2とした。
この区分について、以下のように検討しましたので、見直しをお願いします。
ラット3世代繁殖試験における600ppm群では各世代とも母動物において死亡例がみられている。F0世代で4例、F1世
代で9-10例及びF2世代で4-5例の動物が死亡した。また600ppm群では体重増加抑制が認められ、各交配時とも妊
娠率の低下が認められた。これらは明らかな母体毒性によるものであることを示している。200ppm群以下の投与群
では投与の影響はみられていない。
各世代における妊娠率を下表に示した。
F0、F1、F2世代における妊娠率
投与群(ppm) 0 20 60 200 600
妊娠率 F1a 100 95 95 95 50
F1b 100 100 95 95 46.1
F2a 100 100 100 80 50
F2b 95 94.7 95 75 64.7
F3a 95 100 95 90 43.75
F3b 89.5 90.0 100 85.0 86.7
次に各世代における同腹児数を次表に示した。
F1aの600ppm群の同腹児数に有意な減少がみられたが、この同腹児数の有意な減少は高投与量を投与された母動
物に対する毒性影響によるものと考えられる。その理由として、他の世代においては600ppm群を含むいずれの群に
も同腹児数の減少はみられず投与の影響は認められない。従って、F1a600ppm群にみられた同腹児数の減少は明
らかな母胎毒性による非特異的な二次的メカニズムによって発生に影響を及ぼしたものと考える。
各世代における同腹児数
投与群(ppm) 0 20 60 200 600
F0 F1a 0日 10.6 11.3 10.8 10.5 6.1*
5日 10.2 10.0 9.9 10.1 4.9*
F1b 0日 11.2 11.7 10.8 10.7 12.0
5日 10.8 10.7 10.1 10.3 11.8
F1 F2a 0日 12.3 13.2 10.3 11.6 12.0
5日 11.6 11.2 9.6 10.8 10.8
F2b 0日 12.6 12.8 9.8 11.1 10.8
5日 12.0 10.7 9.1 10.4 9.7
F2 F3a 0日 12.7 12.0 10.5 9.5* 8.9*
5日 11.6 11.0 9.6 9.2 8.9
F3b 0日 13.8 12.8 10.3 11.7 12.2
5日 12.4 11.7 9.6 11.6 11.3
さらに、EU-AnnexIではR60、R61、R62、R63、R64のいずれにも相当した評価なく、生殖毒性物質として分類されていな
本試験では200ppm群以下で親動物・児動物ともに著変が認められなかったことを踏まえ、適切な用量範囲において生
以上のことから、区分外とすることが妥当と思われる。
ラットの催奇形性試験において、最高投与群である100mg/kgでは母動物17匹中14匹に四肢無力症、運動失調、呼吸
この100mg/kg群において認められた矮小児は、母動物の栄養状態が悪く母体おける強い毒性影響による非特異的な
ウサギの催奇形性試験において、最高投与群である100mg/kgでは体重増加抑制、摂餌量の減少、死亡例が1匹認め
区分の根拠として挙げられた着床後死胚の増加、生存胎児数の減少は全吸収胚の見られた母動物も含めたデータか
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データ不足により分類できない
以上の点から、繁殖・催奇形性試験において認められた親動物への影響が見られる用量で児動物及び胎児に認めら
また、EU-AnnexIにおけるrisk phraseの設定はないことから、区分外が妥当と考える。
データ不足により分類できない
データなし
付録-156
物質別パブリックコメント
付録1
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
藻類(緑藻)の72時間ErC50=0.022mg/L(農薬登録申請資料、2004)から、区分1
とした。
急 性 毒 性 が 区 分 1 、 生 物 蓄積 性が 低い と推 定さ れる も の の( log Kow=2.06
(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がないと推定される(BIOWIN)こと
から、区分1とした。
付録-157
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID491 ホウ酸
CAS 10043-35-3
化管法政令番号 1-304
付録1
分類実施日
分類実施機関
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分5
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 2,660 mg/kg、5,140 mg/kg、3,160 mg/kg、
3,450 mg/kg、4,080 mg/kg、5,000 mg/kg(DFGOT vol.5 (1993))に基づき、計算式
を適用して得られたLD50 3,241 mg/kgから、区分5とした。
1 急性毒性(経皮)
1 急性毒性(吸入:気体)
分類できない
分類対象外
データ不足のため分類できない。
GHSの定義による固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
した。
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
2 皮膚腐食性・刺激性
分類できない
分類できない
区分2
データ不足のため分類できない。
データ不足のため分類できない。
4時間適用試験かは、不明だがCERIハザードデータ集 2001-30 (2002)のモル
モットを用いた皮膚刺激性試験において「24及び72時間後に中等度の刺激性」
がみられていることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A-2B
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
ATSDR (1992)、ACGIH (7th, 2005)のヒトへの健康影響の記述において、その程
度、回復期間については不明だが、刺激性があるとの報告が得られていること
から、区分2A-2Bとした。細区分の必要がある場合は、安全性の観点から、2A
とした方が望ましい。
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: データなし
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
区分外
6 発がん性
区分外
ACGIH (2005) でA4 (無機ほう酸化合物として) に分類されていることから、区分
外とした。
7 生殖毒性
区分1B
NTP DB (Access on May, 2006)、CERIハザードデータ集 2001-30 (2002) の記
述から、親動物に一般毒性影響が出ていない用量で、親動物の生殖能や児動
物の発生に対して影響がみられることから、区分1Bとした。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系、
暴露)
消化管)、区分3
(気道刺激性)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(腎臓)
暴露)
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
パブコメ
GLP試験により皮膚刺激性なしという結果を保有している。必要であれば、このデータを提出できる。
GLP試験により皮膚刺激性なしという結果を保有している。必要であれば、このデータを提出できる。
NTP DB (Access on Apr., 2006)、ECETOC TR63 (1995)、CERIハザードデータ
集2001-42 (2002)、ACGIH (7th, 2005) の記述から、経世代変異原性試験なし、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験 (小核試験) で
陰性であることから、区分外とした。
ヒトについては、「悪心、嘔吐、腹痛、下痢等の消化管症状、嗜眠、頭痛、発熱、
被刺激性の亢進、筋肉痙攣等の中枢神経症状」(CERIハザードデータ集 200130 (2002))、「上気道への刺激性」(ATSDR (1992))等の記述、実験動物につい
ては、「チアノーゼ、四肢の硬直、痙攣、ショック様症状」(CERIハザードデータ集
2001-30 (2002))等の記述があることから、神経系、消化管を標的臓器とし、気
道刺激性をもつと考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当す
るガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系、消化管)、区分3(気道刺激性)とした。
ヒトについては、「乏尿、無尿及び尿細管の壊死を含む腎障害」(CERIハザード
データ集 2001-30 (2002))等の記述があることから、腎臓が標的臓器と考えら
れた。
以上より、分類は区分1(腎臓)とした。
データなし
付録-158
7.生殖毒性
8.標的臓器/全身毒性(単回暴露)
9.標的臓器/全身毒性(反復暴露)
他のほう素化合物との整合性が取られていない。また標的臓器の判定方法がGHSの判定ルールに従っていない。
区分1などにする場合の付帯条件について考慮されていない。
標的臓器の判定に関して、海外との整合性を含めもう少し調整が必要ではないか。
ほう素化合物の有害性は、多くはほう素イオンに起因するものと考えられる。しかるに今回の分類の結果は、ほう素
換算しても四ほう酸ナトリウムおよび四ほう酸ナトリウム10水和物との整合性が取れておらず、ほう素化合物全般に
見直しが必要と考える。
またデカボランやペンタボランなどのほう素イオンに起因しないで有害性が発現される物質と混同して議論するのは
誤りである。
物質別パブリックコメント
付録1
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50=14.2mg/L(CERIハザードデータ集、
2002)から、区分3とした。
区分3
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いものの(BCF<33(既存化学物質安全性
点検データ))、水中での挙動が不明であるため、区分3とした。
付録-159
パブコメ
boric acid and boric oxideについて下記のようなコメントが、米国専門家から来ています。再度検討をお願いします。
ポイント
1.急性毒性
データの信頼性を考慮することなく、最小の値を採用していることに問題がある。
信頼できるデータとして、96-hour LC50 of 125 mg-B/Lを採用すべき。
boric acid and boric oxideについて下記のようなコメントが、米国専門家から来ています。再度検討をお願いします。
ポイント
2.慢性毒性
慢性毒性、移動、濃縮性のデータが考慮されていない。ルールでは、慢性水生毒性NOEC>1mg/Lを除くとなってい
るのにこのルールが無視されている。
” The lowest NOEC was 5.6 mg-B/L, based on mortality, growth as length, and fish condition during the 34 day
study period (LOEC of 18 mg-B/L).
物質別パブリックコメント
ID492 ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(アルキル基の炭素数が12から15までのもの及びその混合物
化管法政令番号
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 544mg/kg(アルキル基の炭素数14~15、
エチレンオキシドの付加モル数11) 、9,800mg/kg(アルキル基の炭素数
10,12,14、エチレンオキシドの付加モル数2~7) (CERI・NITE有害性評価書
No.89 (2005))のうち低い値 544 mg/kgから区分4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分4
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 2,000mg/kg(アルキル基の炭素数12~
13、エチレンオキシドの付加モル数6)、5,000 mg/kg(アルキル基の炭素数14~
15、エチレンオキシドの付加モル数13) (CERI・NITE有害性評価書 No.89
(2005))のうち低い値 2,000 mg/kgから区分4とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
1 急性毒性(吸入:蒸気)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
分類対象外
分類できない
区分4
2 皮膚腐食性・刺激性
区分2
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
データなし
ラットを用いた吸入暴露試験 のLC50 1.5 mg/L(アルキル基の炭素数12~13、
エチレンオキシドの付加モル数6)(4時間)から区分4とした
CERI・NITE有害性評価書 No.89 (2005)の、ウサギを用いた皮膚刺激性試験の
記述に、「アルキル基の炭素数12~13、エチレンオキシドの付加モル数不明及
びアルキル基の炭素数12~15、エチレンオキシドの付加モル数不明の原液の
場合、24時間適用で中等度から重度の刺激性がみられた」とあることから、4時
間適用ではないが、区分2とした
CERI・NITE有害性評価書 No.89 (2005)のウサギを用いた眼刺激性試験の記述
に、で、「アルキル基の炭素数12~13、エチレンオキシドの付加モル数6、アルキ
ル基の炭素数14~15、エチレンオキシドの付加モル数7:原液は強度の刺激性
を示し、35日にいたっても正常に戻らなかった」とあることから、「非常に強い刺
激性を有し、21間以内に回復しない」ことから、非可逆的であると考えるため、区
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: CERI・NITE有害性評価書 No.89 (2005)で、モルモットのマキシマ
イゼーション法及びビューラー法で陰性との結果から、「皮膚感作性を有しない」
と結論付けていることから、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分1
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:区
分外
区分外
CERI・NITE有害性評価書 No.89 (2005)の記述から、経世代変異原性試験なし、
生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常
試験、小核試験)で陰性、であることから「区分外」とした。
付録-160
付録1
分類実施日
分類実施機関
パブコメ
《コメント1》
コメント対象箇所;
ラットを用いた経口投与試験のLD50 544mg/kg(アルキル基の炭素数14~15、エチレンオキシドの付加モル数11) 、
9,800mg/kg(アルキル基の炭素数10,12,14、エチレンオキシドの付加モル数2~7) (CERI・NITE有害性評価書 No.89
(2005))のうち低い値 544 mg/kgから区分4とした。
コメント;
当該物質の経口急性毒性は、EOの鎖長により異なることが知られており、CERI・NITE有害性評価書 No.89 (2005)で
も”LD50 値は、アルキル鎖長よりEO 鎖長の影響を受け、EO の鎖長が長くなるほど小さくなる傾向がみられた。”と
述べている。
AEの急性毒性分類においては、構造の違いによる毒性の違いを考慮する必要があり、一律に区分4とすることは不
適切と考える。
-----------------------------------------------------------------------《コメント2》
NITEのAE初期リスク評価書(No.89, 2005年)に掲載されている急性毒性値の引用元資料であるEnvironmental and
Human Safety of Major Surfactants(Sylvia S. Talmage, 1994)では、ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(AE)
の急性毒性値(経口)が複数検討されており、EO鎖の違いにより毒性が異なることが確認されている(例:C12AE5の
ラット雄LD50値=8,600mg/kg、C14-15AE11のラット雌LD50値=544mg/kgなど)。したがって適切な有害性情報提供と
分類根拠となっている2000mg/kgは、NITEのAE初期リスク評価書(No.89, 2005年)に掲載されている急性毒性値の
引用元資料であるEnvironmental and Human Safety of Major Surfactants(Sylvia S. Talmage, 1994)から、ウサギを
用いた急性経皮毒性試験の結果と推察する。このウサギの急性経皮毒性試験で死亡例については、「嚥下障害に
伴う飼料誤嚥に起因する」とされており、制限給餌した場合にはこのような死亡例が生じないことも確認されている。
またウサギは与えられた飼料を食べつくしてしまう性質を有する*ため、上述のような二次的影響に伴う死亡を生じる
可能性があるが、このような食性を有さないラットでは飼料誤嚥による死亡例は観察されておらず、LD50値(経皮)が
2000mg/kgを上回ることが確認されている。したがって、ウサギの急性経皮毒性試験で報告されているLD50値(経
皮)=2000mg/kgはAEの直接的な毒性作用による致死性を示す数値ではないため、この値は分類根拠から除外すべ
きである。
当該物質群については、ラットで確認されているLD50値(経皮)2000mg/kg超(Environmental and Human Safety of
Major Surfactants(Sylvia S. Talmage, 1994))に基づき、区分5とするのが適切であると考える。
コメント対象箇所;
皮膚感作性: データ不足のため分類できない
コメント;
GHS分類事業において頻繁に引用されているCERI・NITE有害性評価書において、“皮膚感作性を有しないと”結論さ
れている。(CERI・NITE有害性評価書 No.89 (2005)、43ページ)
上記の記載を採用ない理由を明らかにされると共に、分類を再検討されたい。
物質別パブリックコメント
6 発がん性
分類できない
CERI・NITE有害性評価書 No.89 (2005)に毒性試験データの記載があるが既存
分類がないため、専門家の判断に従い、分類できないとした。
付録1
Environmental and Human Safety of Major Surfactants(Sylvia S. Talmage, 1994)には、C12-13AE6.5およびC1415AE7を用いた2年間慢性毒性試験において、投与に関連する腫瘍性病変は認められなかったとの報告が記載され
ている。また、AEのラットを用いた経皮発がん性試験およびAE配合洗剤のマウスを用いた経皮発がん試験および発
がん補助試験において、AE塗布によるがん原性ならびにプロモーター作用は認められていない(「洗剤の毒性とその
評価」厚生省環境衛生局食品化学課・編*,1983)。したがって、発がん性については区分外とするのが妥当と考え
る。
* 原文献は下記の2報
・ 福西亮(1981)ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)の慢性毒性、合成洗剤用界面活性剤の安全性に関す
る研究、厚生省環境衛生局食品化学課
・ 山本博昭(1977)洗剤(アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、カリ石鹸)の経皮発癌試
験および発癌補助試験、奈良医誌、28、307~327
7 生殖毒性
区分外
CERI・NITE有害性評価書 No.89 (2005)の記述から、ラットの生殖毒性試験、催
奇形性試験において、生殖毒性影響がみられていないことから「区分外」とし
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分3(麻酔作用) 実験動物については、「傾眠、運動性亢進」、「運動失調」(RTECS 2006)との記
暴露)
述があることから、麻酔作用を有すると考えられた。
以上より、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 分類できない
暴露)
データ不足のため、分類できない。
コメント対象箇所;
実験動物については、「傾眠、運動性亢進」、「運動失調」(RTECS 2006)との記述があることから、麻酔作用を有する
と考えられた。以上より、区分3(麻酔作用)とした。
コメント;
一般的な認識としてRTECSの記載からは症状の詳細や一時的なものかどうかの判断は出来ないと考えられることか
ら、RTECSの記載のみを根拠とすることは科学的な説得性を欠く。適切なデータを再調査し、分類を再検討された
い。
C12-13AE6.5のラットを用いた104週間混餌投与試験において、1%投与群(500mg/kg/day相当)の雄雌および0.5%投
与群(250mg/kg/day相当)の雌動物で体重増加抑制が認められたものの、これらは飼料の味の変化に起因するもの
と考察され、投与検体による直接的な影響ではないとされている。また、臓器の相対重量の増加等のその他の変化
についても対照群と比較して有意な変化ではないことが確認されている。C14-15AE7のラットを用いた2年間混餌投
与試験においても、同様の報告がなされている(「洗剤の毒性とその評価」厚生省環境衛生局食品化学課・編*,
1983)。
さらに、アルキル鎖長は異なるが、C16,18AE9およびC16,18AE20の91日間反復投与毒性試験において、最高用量
の500mg/kg/dayにおいても、検体に起因する何らの影響も認められなかったとの報告がある(Environmental and
Human Safety of Major Surfactants(Sylvia S. Talmage, 1994))。
GHSオフィシャルテキストに記載されたガイダンス値(オフィシャルテキスト表3.9.1および表3.9.2)の範囲で「人の健康
に関連のある重大な毒性影響」が認められていないことから、標的臓器/全身毒性(反復暴露)については「区分
外」とすべきである。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
分類結果
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(ミジンコ)の48時間EC50=0.1mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2005)か
ら、区分1とした。
パブコメ
《コメント1》
アルキル鎖長およびEO付加モル数の違いにより影響が異なることが報告されている。
すなわちC12-15AEのうち、EO付加モル数が2~10の場合、水生生物に対する毒性(LC/EC/IC50: mg/L)は1mg/L
を下回るが、EO付加モル数が10超のAEの水生生物に対する急性毒性は1mg/Lを上回ることが示されている
(CESIO RECOMMENDATION FOR THE CLASSIFICATION AND LABELLING OF SURFACTANTS AS
“DANGEROUS FOR THE ENVIRONMENT”, APRIL 2003)。
したがって適切な有害性情報提供という観点から、AEとして一律に区分を決定するのではなくEO付加モル数の範囲
に応じて分類することが妥当と考える。
-----------------------------------------------------------------------------------《コメント2》
ミジンコ48 hr LC50=0.83 mg/L Maki and Bishop (1979)に基づいて分類しているが、このデータは単一の同族体
C14AE1に関するデータであり、同族体分布を有する本物質の分類の根拠データとすることは適切性を欠くと考える。
なお、Morrall et al (2003)* はアルキル鎖長とEOモル数分布を持つ、複数の市販品相当の試料を用いた最新のデー
タをとりまとめているので、分類にあたって参照すべきである。
*Morrall, D.D. et al (2003) Ecotoxicology and Environmental Safety vol. 56 pages 381-389.
付録-161
物質別パブリックコメント
11 水生環境慢性有害性
区分1
急性毒性が区分1、急速分解性があるものの(BODによる分解度:74%(CERI・
NITE有害性評価書、2005))、生物蓄積性がある(BCF=800(CERI・NITE有害性
評価書、2005))ことから、区分1とした。
付録1
《コメント1》
コメント対象箇所;
急性毒性が区分1、急速分解性があるものの(BODによる分解度:74%(CERI・NITE有害性評価書、2005))、生物蓄
積性がある(BCF=800(CERI・NITE有害性評価書、2005))ことから、区分1とした。
コメント;
CERI・NITE有害性評価書 No.89 (2005)、7ページには”、AE の生物濃縮性は、アルキル基が長くEO 鎖が短い同族
体において大きくなると考えられる”と述べられており、濃縮性のデータとして”C12AE4、C12AE8 及びC12AE16 につ
いて、コイを用いた72 時間の濃縮性試験が行われており、生物濃縮係数 (BCF) はそれぞれ310、220 及び4.3”およ
び”C14AE7 についてブルーギルを用いた濃縮性試験が被験物質濃度0.02 又は0.2mg/L で行われており、全身に対
するBCF は700~800 であった”と記載されている。
この記載にもあるように、全てのAEについて一律に生物蓄積性があると結論することは不適切と考える。
--------------------------------------------------------------------《コメント2》
アルキル鎖長およびEO付加モル数の違いにより影響が異なることが報告されている。
例えばEnvironmental and Human Safety of Major Surfactants(Sylvia S. Talmage, 1994)では、EO付加モル数の異な
るC12AE4、C12AE8、C12AE16、について、コイを用いた72時間の濃縮性試験に基づき、BCFとしてそれぞれ310、
220および4.3という数値が確認されている。
したがって適切な有害性情報提供という観点から、AEとして一律に区分を決定するのではなくEO付加モル数の範囲
に応じて分類することが妥当と考える。
--------------------------------------------------------------------《コメント3》
C14AE7 についてのブルーギルでの試験によるBCF値 800(Bishop and Maki 1980)を根拠に「区分1」としているが、
AEについては種々のアルキル鎖長、EOモル数の試料について生物濃縮性データが存在するので、これらを総合的
に検討して対象物質の生物濃縮性を評価すべきである。なお、今回分類の根拠とされたBishop and Maki 1980は放射
り、親化合物のBCF値ではない。
付録-162
物質別パブリックコメント
ID494 ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル CAS 9016-45-9
化管法政令番号 1-309
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
分類結果
分類できない
1 急性毒性(経皮)
分類できない
1
1
1
2
分類対象外
分類できない
分類できない
区分2
急性毒性(吸入:気体)
急性毒性(吸入:蒸気)
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)
皮膚腐食性・刺激性
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2A
性
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
5 生殖細胞変異原性
呼吸器感作性:
分類できない
皮膚感作性:分
類できない
区分外
6 発がん性
分類できない
7 生殖毒性
区分2
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類根拠・問題点
エチレンオキシドの付加モル数により、毒性値が著しく異なる(1,300 mg/kg(エチ
レンオキシドの付加モル数10の場合)、> 15,900 mg/kg(エチレンオキシドの付加
モル数20の場合) (CERI・NITE有害性評価書 No.96 (2004))ため、分類できない
エチレンオキシドの付加モル数により、毒性値が著しくことなる(1,800 mg/kg(エ
チレンオキシドの付加モル数7の場合)、> 10,000 mg/kg(エチレンオキシドの付
加モル数40の場合) (CERI・NITE有害性評価書 No.96 (2004))ため、分類できな
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
データなし
データなし
CERI・NITE有害性評価書 No.96 (2004)のウサギを用いた皮膚刺激性試験の記
述に、エチレンオキシドの付加モル数2~9の場合の原液が、「中等度から強度
の刺激性を示した」とあることから、適用時間は不明であるが、区分2とした。
CERI・NITE有害性評価書 No.96 (2004)の記述に、ウサギを用いた眼刺激性試
験 のエチレンオキシドの付加モル数2~15の場合の原液が「中等度から強度の
刺激性を示した」とあることから、「強い刺激性を有する」と考え、区分2Aとした
呼吸器感作性:データなし
皮膚感作性: CERI・NITE有害性評価書 No.96 (2004)のモルモットを用いたエ
チレンオキシドの付加モル数6の場合の感作性試験の記述に「感作性を示さな
かった」とあるが、この報告1例だけであるので、、データ不足のため、分類でき
CERI・NITE有害性評価書 No.96 (2004)、NITE初期リスク評価書 No.96 (2005)
の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)で陰性、生殖細胞in vivo変
異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(小核試験)で陰性、であることか
ら「区分外」とした。
CERI・NITE有害性評価書 No.96 (2004)、NITE初期リスク評価書 No.96 (2005)
に毒性試験データの記載があるが既存分類がないため、専門家の判断に従
い、分類できないとした。
CERI・NITE有害性評価書 No.96 (2004)、NITE初期リスク評価書 No.96 (2005)
の記述から、親動物の一般毒性に関する記述はないが、妊娠率や胚数の減少
がみられていることから、区分2とした。
データ不足のため、分類できない。
パブコメ
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 分類できない
暴露)
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分2(肝臓、心血 実験動物については、「雌の肝臓の相対重量増加、病理組織学的検査で、雌雄
暴露)
管系)
の肝細胞の脂肪変化」、「顕微鏡観察で心筋の巣状壊死」(NITE初期リスク評価
書 No.96 (2005))等の記述があることから、肝臓、心血管系を標的臓器とすると
考えられた。なお、実験動物に対する影響は区分2に相当するガイダンス値の
範囲でみられた。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
11 水生環境慢性有害性
分類結果
区分1
区分1
分類根拠・問題点
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=0.148mg/L(CERI・NITE有害性評価書、
2005)から、区分1とした。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF<1.4(既存化学物質安全性
点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全
性点検データ))ことから、区分1とした。
付録-163
パブコメ
物質別パブリックコメント
ID512 りん酸トリス(2-クロロエチル) CAS 115-96-8
化管法政令番号 1-352
健康に対する有害性
危険・有害性項目
1 急性毒性(経口)
付録1
分類実施日
分類実施機関
分類結果
区分4
分類根拠・問題点
ラットを用いた経口投与試験のLD50 200 mg/kg(CERIハザードデータ集 98-22
(1999))、501 mg/kg、430 mg/kg、794 mg/kg、1,230 mg/kg、1,410 mg/kg、1,150
mg/kg、3,600 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004))に基づき、計算
式を適用して得られたLD50 542 mg/kgから、区分4とした。
1 急性毒性(経皮)
区分外
ウサギを用いた経皮投与試験のLD50 > 28,500 mg/kg(CERIハザードデータ集
98-22 (1999))から、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:気体)
分類対象外
GHSの定義による液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外と
1 急性毒性(吸入:蒸気)
分類できない
データなし
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
データ不足のため分類できない
2 皮膚腐食性・刺激性
区分3
CERIハザードデータ集 98-22 (1999)、CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004)
のウサギを用いた皮膚刺激性試験において「軽度の刺激性」「軽度の紅斑」が
みられたとの報告が得られたことから、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷・眼刺激 区分2B
CERIハザードデータ集 98-22 (1999)のウサギを用いた眼刺激性試験において
性
「軽度の刺激性」がみられたとの報告が得られたことから、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性と皮膚感作性
呼吸器感作性: 呼吸器感作性:データなし
分類できない
皮膚感作性: CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004)に、モルモットを用いた
皮膚感作性:分 ビューラー (Buehler) 法にて「感作性は示さなかった」との報告がえられている
類できない
が、報告が1つだけであったことから、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性
区分1B
IARC 71 (1999)、CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004)、NTP DB (Access on
May 2006)、EHC 209 (1998)の記述から、経世代変異原性試験(優性致死試験)
で陽性、であることから「区分1B」とした。
6 発がん性
区分外
IARC (1999)でGroup 3に分類されていることから、「区分外」とした。
7 生殖毒性
区分2
環境省リスク評価第1巻 (2002)、EHC 209 (1998)の記述から、ラットの催奇形
性試験や連続交配試験において、親動物での一般毒性のみられる用量や、一
般毒性の記載はないが、一腹あたりの胎児数の減少や精巣などへの影響がみ
られていることから、「区分2」とした。
8 特定標的臓器・全身毒性(単回 区分1(神経系)、 実験動物については、「立毛及び流涎、全例に円背姿勢、異常歩行、嗜眠、努
暴露)
区分3(麻酔作用) 力性呼吸、眼瞼下垂及び四肢末端の蒼白がみられた」、「立ち上がり行動
(rearing) 及び振戦 (wet dog shakes) 頻度の用量依存的な増加がみられた」
(CERI・NITE有害性評価書 No.205 (2004))、「60~90以内に痙攣を起こし、投与
後7日目でCA1海馬錐体細胞の著しい消失が観察された。脳機能の一部に長期
間の障害が残ることを示唆する」(EHC 209 (1998))等の記述があることから、麻
酔作用を有し、神経系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響
は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、分類は区分1(神経系)、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器・全身毒性(反復 区分1(神経系)、 ヒトについては、「上肢筋および腹筋の脱力、心電図試験および神経伝達速度
暴露)
区分2(腎臓)
異常等の臨床所見が見られた」(NICNAS (2001))の記述、実験動物について
は、「尿細管上皮(腎皮質の曲尿細管)の過形成発現率が用量依存的に増加。
脳幹及び大脳に、神経細胞の変性、壊死、反応性グリオーシス、出血、鉱質沈
着、色素沈着あるいはヘモジデリン沈着、大脳及び視床に局所的病変」(CERI・
NITE有害性評価書 No.205 (2004))等の記述があることから、神経系、腎臓が標
的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分2に相当するガイダ
ンス値の範囲でみられた。
10 吸引性呼吸器有害性
分類できない
データなし
パブコメ
環境に対する有害性(環境に対する有害性についてはH18.3.31)
危険・有害性項目
11 水生環境急性有害性
分類結果
区分3
分類根拠・問題点
魚類(キンギョ)の96時間LC50=90mg/L(CERI・NITE有害性評価書、2004)から、
区分3とした。
付録-164
パブコメ
物質別パブリックコメント
11 水生環境慢性有害性
区分3
急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いものの(BCF=5.1(既存化学物質安全性
点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:4%(既存化学物質安全
性点検データ))ことから、区分3とした。
付録1
枠外参照
11.水生環境有害性(慢性)
水生環境有害性(慢性)についてのコメント
(「区分3」→「区分外」への変更を要望)
(CAS番号 115-96-8、詳細な公表結果の「一覧表」は下段のURLを参照願います)
・本「危険・有害性」項目における「分類根拠・問題点」では、以下の記載となっております。
「急性毒性が区分3、生物蓄積性が低いものの(BCF=5.1(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:4%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分3とした。」
しかしながら、上記に提示された文献を詳細に確認すると、以下に示す理由から本記載および分類結果にはいくつかの疑問点があるかと思っております。
以下の「理由・根拠」により、その「水生環境有害性(慢性)」の項目を「区分外」にご訂正いただきますよう、ご再考の程、宜しくお願い申し上げます。
(理由・根拠)
・本「水生環境有害性(慢性)」は「区分3」へ分類されておりますが、(財)CERI・(独)NITEで作成された「有害性評価書」(下段に添付しておきます)では、「GHS分類マニュアル[H18.2.10版]」に記載のある、「慢性水生毒性の収集するデータの
条件」に挙げられている「慢性水生毒性」に関して下記にお示したデータがあることが確認できました。
「慢性水生毒性のデータ」
①(財)CERI・(独)NITE作成の「有害性評価書」
メダカ NOEC(14day) 30.9mg/L(GLP、OECD TG204)
藻類(セレナストラム) NOEC(72hr) 72mg/L(バイオマス)
藻類(セネデスムス) NOEC(72hr) 100mg/L(成長阻害、OECD TG 201)
オオミジンコ NOEC(21day) 10mg/L (繁殖、OECD TG 211)
②(財)CERI作成の「ハザードデータ集」
オオミジンコ NOEC(21day) 30mg/L(繁殖)
(参考)
・「慢性水生毒性で収集するデータの条件」(「GHS分類マニュアル[H18.2.10版]」の第4部 環境に対する有害性の72ページより)
・魚類:28日間以上、NOEC(孵化成功率、成長(体長及び体重変化)、産卵成功率、及び生存率)
・甲殻類:7日間以上、NOEC(最初の産卵までの期間、雌1匹あたりの出生個体数、成長及び生存率)
・藻類(または他の水生植物):藻類:72時間又は96時間、NOEC(成長阻害)
・他の水生植物:長期慢性毒性試験(分類に利用できると公認された試験法)は現在のところ存在しない。
本物質は、確かに急速分解性は低い(分解度: 4%)物質かと思いますが、慢性水生毒性が NOEC > 1 mg/Lですので、「区分3」へは該当しないものと思われます(下記の「GHS分類マニュアル」の分類基準の記載を参照願います)。
また、同様に、判定基準「区分4」でも慢性水生毒性 NOEC > 1 mg/Lの場合は除かれますので、水生環境慢性有害性は「区分外」が適当かと思われます(下記の「GHS分類マニュアル」の分類基準の記載を参照願います)。
・「水生慢性毒性の分類基準」(GHS分類マニュアル[H18.2.10版]の67ページより)。
a) 区分;慢性 3の判定基準
「急性水生毒性が区分3であって、易分解性ではないか、又はlogKow≧4(実験的に求められたBCF < 500でない場合に限る)である。ただし、慢性水生毒性 NOEC > 1mg/Lの場合を除く。」
b) 区分;慢性 4の判定基準
「難水溶性で、水溶解度までの濃度で急性水生毒性が報告されていないものであって、易分解性ではなく、かつlogKow>4であるもの。ただし、実験的に求められたBCF < 500、または慢性水生毒性 NOEC > 1mg/Lの場合を除く。」
(参考資料)
・(財)CERI・(独)NITEによる本物質の「有害性評価書」
http://www.safe.nite.go.jp/pdf/No-205.pdf
・(財)CERI作成の本物質のハザードデータ集
http://qsar.cerij.or.jp/SHEET/F98_22.pdf
((独)NITEでの「りん酸トリス(2-クロロエチル)」の分類結果)
http://www.safe.nite.go.jp/ghs/0512.html
付録-165
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