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(平成23年11月24日(日)報告書 - trico 〜越後妻有のたからもの

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(平成23年11月24日(日)報告書 - trico 〜越後妻有のたからもの
一般社団法人
源流地域資源再生ネットワーク
はじめに
雪国新潟・越後妻有地方の風土が生んだ魚沼産コシヒカリ。その美味しさの秘密は、深い雪とブナの森が育む豊
かな水と土の力にあります。春、雪解け水が山の腐葉土の栄養を代掻きの田んぼに運び、早苗を育てるお乳の
役割を果たします。夏でも山に残る雪、強い保水力を持つブナの森が、稲作になくてはならない豊かな水資源を
支えています。水の力、土壌の力、夏は暑く秋に昼夜の寒暖の差が大きくなる気候風土の力が極上の美味しさの
越後妻有の棚田米を育ててきました。しかし、このトップブランド米の生産地である当地でもお米の消費は減少し
ています。食が多様化し、日本食の基本であるご飯、味噌汁が食卓にあがることが減り、伝統料理を食べる機会
も年々少なくなってきています。
とんぼ project が2006年から続けている日本再発見熟 in 十日町では、松之山中尾地区の棚田で雪国体験、
田植え、草取り、稲刈りやブナの森の植樹育成活動を中心に里山、雪里の地域資源を肌で感じながら都会と地
域を繋ぐ活動を行ってきてきました。毎年11月には、お世話になった松之山の皆さんを逆に都市部にお招きして
収穫の喜びを共に味わってきました。そして今年は、日本再発見塾の呼びかけ人のおひとりでもある「分とく山」
の野崎洋光総料理長をお迎えし、建築デザイナーのカール・ベンクスさんが古民家を再建したカールベンクスハ
ウスをお借りし「越後妻有の収穫祭」として素晴らしい食のイベントを開催することができました。
図らずも「越後妻有の収穫祭」の2週間後、「和食:日本人の伝統的な食文化」のユネスコ無形文化遺産への
登録が決まりました。我が国の「お・も・て・な・し」の心、多様で豊富な旬の食材や食品、栄養バランスの取れた食
事構成、器、膳、箸等の道具、年中行事や人生儀礼との密接な結びつきなどの特徴を持つ食文化として「和食」
が世界から高く評価されました。今回の収穫祭では都会に住む人と田舎に住む人、生産者と消費者、料理人とそ
れを頂く人といった一見対峙する関係の人たちが同じ時間と場を共有することで、実は同じステークホルダーであ
ることに気づくことができたのではないかいと思っています。日本食文化、地域の風土が生む郷土の料理を色々
な方からの立場らから見つめ直す良いきっかけをご提供できたのではないかと感じております。
最後になりましたが、長崎県波佐見焼振興会様、松之山温泉合同会社まんま様、岡山県西粟倉・森の学校様、
山梨県 NPO スペースふう様、東京財団の皆様、日本再発見熟事務局の皆様を始め多くの方々のお力添えによ
って「越後妻有の収穫祭」が開催することができたことに心から御礼申し上げます。
越後妻有の収穫祭 スタッフ一同
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1.日時・プログラム
2013年11月24日(日)
開
場
10:00
開
演
10:30
第一部 西麻布「分とく山」野崎洋光総料理長による講演
「お米からの日本再発見」
第二部
野崎総料理長とカール・ベンクスさん対談
「風土が育む「食」と「住」
コンペランチ 12:15
閉会
14:00
2. 場所
カール・ベンクスハウス
〒942-1526 新潟県十日町市松代 2074-1
3.講演会
●第一部 分とく山総料理長 野崎洋光さん
「お米からの日本再発見」
世界の長寿食と認められた日本食。その根源となるお米から広がる豊かな食文化。しかし、効率化が優先さ
れる時代の流れの中で、日本人自身が大切なことを忘れかけています。「和食」の歴史は、フランス料理よりも
古く、ご飯と味噌汁と惣菜三品の一汁三菜の料理を基本に、旬食材と発酵食材、箸・器・お膳などの道具、お
もてなしの心と作法等々日本の「食」は繊細であり、どこにも負けない最も優れた食文化といえます。「和食」が
ユネスコから世界無形文化遺産として登録されることの意味を考えながら、お米の文化を守り続ける十日町の
誇りを改めて感じ、日本食を通して本当の幸せについて問いかけて頂き、お米の産地から参加者の皆さんと一
緒なって考える素晴らしいご公演となりました。
●第二部 野崎総料理長×カール・ベンクスさんとのトークショー
「風土が育む「食」と「住」
建築も料理も素材を大切にし、伝統を守りつつも常に新しいものを創造することにおいて共通の感性をお持
ちお二人の対談。雪、地震に耐える十日町の伝統的な木造建造物は宝石のような宝ものです。しかしこのよう
な素晴らしい建物はどんどん壊されてゆき、その技術も共に消えようとしています。「古い家のない街は思い出
のない人と同じ」という東山魁夷の言葉がとても印象的でした。自然とともに暮らす里山、農業と一体となった建
物、景観の中でお米を中心に地元の食材を使った料理を食べて暮すことの贅沢さになかなか気づけないでい
ます。豊かな風土に根ざした暮らし方を誇りにしてほしいという強いメッセージを頂きました。
-2-
講師プリフィール
分とく山 総料理長
野崎洋光(のざきひろみつ)さん
福島県石川郡古殿町に生まれる。学校法人石川高等学校卒。武蔵野栄養専門学校を卒業後、東京グランドホテ
ル(和食部)に入社。5 年の修業を経て、八芳園へ。1980 年に東京都港区西麻布のふぐ料理店「とく山」の料理長
に就任。1989 年、西麻布に日本料理店「分とく山」(わけとくやま)を開店し、総料理長となる。2004 年、「分とく山」
が南麻布に移転。本店の他、ホテルインターコンチネンタル東京ベイ店、伊勢丹新宿店などを展開している。
2004 年のアテネオリンピックでは、長嶋茂雄監督の依頼により野球日本代表チームの総料理長を務めた。
著書
「分とく山」野崎洋光が教える 和風肉料理(世界文化社)、相田みつをの心 野崎洋光の味、酒肴-美・職・技(グ
ラフィック社)、野崎洋光 和のおかず決定版: 「分とく山」の永久保存レシピ (世界文化社)、つなげていきたい
野崎洋光の二十四節気の食 等々多数
主な出演番組
今日の料理ビギナーズ、まいにちスクスク、新・男の食彩
建築デザイナー カール・ベンクスさん
カールベンクスアンドアソシエイト有限会社 代表取締役
1942 年、ドイツベルリン生まれ。
Fresco(フレスコ)・家具職人の父の影響を受け、日本文化に関心を持つ。
ベルリン・パリで建築デザインオフィスに勤務しながら、建造物・家具の復元修復を学ぶ。
1966 年、空手を学ぶために日本大学に留学。以降建築デザイナーとしてヨーロッパや日本で活動。
特に日本の民家に強く惹かれ、ドイツに移築する仕事に携わる。
1993 年、新潟県十日町市竹所(旧松代町室野)で現在の自宅(双鶴庵)となる古民家を購入、再生に着手する。
著作
Japan Style (英語表記) 、 よみがえる古民家
AWARDS
2001 年 新潟 木の住まいコンクール 入賞(2001 Wooden house competition Niigata)
2007 年 第 2 回安吾賞 新潟市特別賞 受賞(2007 Ango awards, special award of Niigata city)
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4.コンペランチ
地域で頑張っている5人の料理人にお声かけし、参加料理人の個性を表現した料理を各2品用意して頂き、参加
者の皆さんをもてなしました。食後は参加者に①味 ②見た目 ③地域食材のアピール度④環境や健康への配
慮の4つの観点で投票してもらい、その内容は今後の料理の参考と各料理人に開示し、当事業としても今後の商
品開発のためのマーケティング資料として生かしたいと考えています。
① 料理人と料理の紹介
●藤木
藤木 智恵さん
智恵さん(
さん(Mannma and café ユキマツリ)
ユキマツリ)〒948-0003 十日町市本町 6(道の駅クロステン 1F)
-秋野菜のテリーヌ、さけかすディップを添えて地元の秋野菜を使用したテリーヌです。オリジナルの酒粕のさかすけを用いたディップと一緒にお召し上
がりください。テリーヌは紅葉をイメージして作りました。食べておいしく、見てたのしく。酒粕を食べること
によって発酵の力により健康的になれます。
-越ノ鶏、塩麹ロースト まいたけソース今注目されている調味料、塩麹と新潟県産の越ノ鶏を低温でじっくりとローストしました。やわらかな鶏肉
とまいたけの濃厚な味をお楽しみください。添えてある野菜は十日町でもユキマツリにしかない水耕栽培
で育てたレタスを使用し、環境と健康に配慮したお料理となっております。
●佐藤 勝之さん
勝之さん(
さん(Kitchen あぐぅ)
あぐぅ)〒942-1524 十日町市千年 461-7 TEL.025-597-2747
-妻有豚のローストポーク しょうゆの実ソース十日町の妻有ポークを使ったローストポークです。ソースは十日町の高長みそのしょうゆの実をベースに
使いました。旬のきのこをふんだんに使い、彩と味のアクセントにパプリカを入れて仕上げました。妻有ポ
ークは脂身が美しい豚なので下味は塩こしょうのみです。しょうゆの実は白御飯にのせて昔から食べられ
ているごはんのお供です。塩味はしょうゆの実の塩分のみです。
-米粉のクレープ かぼちゃのチーズクリーム松代産の米粉を使ったデザート、クレープです。かぼちゃも松代産のものを使っています。米粉をのば
す際に津南牛乳を使用しています。やはり松代といえばお米が美味しいということが頭に浮かびます。
そこで松代産の米粉を使ったクレープと作りました。
-4-
●津南町のおかあさん
津南町のおかあさん方
のおかあさん方(ごっつぉ市
ごっつぉ市) 〒949-8311 中魚沼郡津南町中深見甲 5518-1
-平(煮 物)お平は、正月料理で、手作りこんにゃく、昆布、焼豆腐、干しわらびなど地元の野菜、山菜を昆布とにぼしの
だしで丁寧に煮て平椀に盛りお膳に並べます。体にやさしく栄養バランスもよく、冠婚葬祭(ごったく)の席に
は、大鍋で作り大勢で頂く越後妻有地方の伝統料理です。
-しょう煮いも小さいじゃがいもだけを芯まで味がしみ込むよう大鍋で繰温め温めじっくり煮込みました。小さいいもまで無
駄にせず食べ尽くす昔からの知恵と心が詰まった伝統料理です。醤油が貴重な時代、塩で煮たのが名前の
由来ですが、最近は醤油や味噌で味付けることが多くなりました。
●塚田 美奈子さん
美奈子さん(
さん(山ノ家) 〒942-1526 十日町市松代 3467-5
-季節の地場野菜と赤米の薬膳カレー煎った地場の赤米をベースに、オリジナルブレンドのスパイス、たまねぎなどがたっぷりとけこんだ滋味深くや
さしい味わいのルーに、季節の野菜がごろごろ入った薬膳カレーです。晩秋である今回は、かぼちゃとしめ
じを使用しています。カリカリに素揚げした人参チップスを添えました。トッピングはクコの実です。地場の野
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菜をフル活用した、体の調子を整えてくれるヘルシーメニューです。創作エスニック料理に薬膳や和のエッ
センスを掛け合わせたオリジナルレシピです。
-蕎麦粉と胡桃のパウンドケーキ、大豆バターと山葡萄のソース添えどっしりとした蕎麦粉の風合いと、胡桃と荏胡麻の歯ごたえや味わいの出会いが香ばしい焼き菓子になりま
した。地場豆で作ったまろやかでこっくりした味わいの大豆バターと、自分たちの手で摘み取ってコトコト煮込
んだ山葡萄のソースを添えて。こちらも地場産の豆や野生の果実をフル活動したヘルシーでやさしい味わい
のオリジナルメニューです。山葡萄は松代の休耕地に自生の枝を挿し木し、育った樹木から収穫したもので
す。
●川西地区のおかあさん
川西地区のおかあさん方
のおかあさん方(千年の
千年の市 じろばた)
じろばた)〒949-8558 十日町市水口沢 76-20
-そばいなり十日町はそば処。繋ぎにふのりを使った腰ある生そばと地元産のねぎを薬味とし、甘じょっぱい油揚げで包
んだいなりです。手間なくどこでも手つかみで食べられる「じろばた」オリジナルの人気料理で、一見不思議
な組み合わせですが、食感も一緒にどうぞお味わいください。
-あ ん ぶうるち米の粉ともち米の粉によもぎを混ぜて皮にしたものに、大根菜や野沢菜の塩漬けの具(かて)を入れて
蒸した栄養価の高い郷土料理です。携帯でき、さながら昔から受け継がれた越後妻有版「バランス栄養食
品」といえます。昔、規格品でない米や大根の葉まで余すことなく使い美味しく見事に変身させた智恵のぎゅ
っと詰まった逸品です。
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●ご飯
中尾集落の棚田米を羽釜に薪で炊き上げました。日本再発見塾 in 十日町として田植え、草取り、手刈りハゼ掛け
の作業を都市部の皆さんと協働し、樋口一次さんのご指導のもとに丹精込めて作った有機無農薬天日乾燥の魚
沼産コシヒカリ。安心安全な棚田米です。(料理:松之山温泉合同会社 まんま の皆さん)
●味噌汁
十日町市産の茶豆と茨城県産大麦を使った麦麹、瀬戸内の藻塩だけを使用し、雑司ヶ谷スローライフ倶楽部の
レシピをもとに松之山の風土で熟成させた麦麹味噌「まめだかね」に松之山の山の達人しんちゃんこと小堺真一
さんが、当日の朝摘んできたナメコなどの天然きのこを贅沢に使ってきのこ汁を用意しました。
(料理:松之山温泉合同会社 まんま の皆さん)
●飲み物
・日本酒
津南醸造さんから昨年「LONDON 酒 challenge」にて金賞を受賞した吟醸酒「ユキグニモノガタリ」他を美味しい
日本酒をご用意い頂きました。地元の棚田で栽培される酒米「五百万石」にこだわった淡麗辛口のお酒は地元
食材を使った料理と大変相性がいいです。
・そば茶
そば処十日町ならではの暖かいそば茶をご用意しました。
・竹水(chikusui)
カール・ベンクスさんが移り住んだ竹所集落に沸く天然水を汲んできました。
そば茶
竹水(chikusui)
日本酒(津南醸造)
●食器
・メインディッシュプレート
:波佐見焼 野崎プレート(野崎総料理長監修の波佐見焼プレート)
・カップ
:波佐見焼
・杯
:Ge-N ネーム入り波佐見焼(参加者へのお土産)
・箸
:「つかえばつかうほど森が再生するワリバシ」
・お茶碗、汁椀
:リユース食器(山梨県NPOスペースふう)
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波佐見焼
ニシアワー森林認証間伐材の無漂白ワリバシ「つかえばつかうほど森が再生するワリバシ」
(使用後の割り箸は、割り箸を炭にする割り箸炭を作っている NPO 法人 地域循環ネットワークへ持ち込みます。)
5.お土産(お福分け)
●波佐見焼 杯
●越後妻有の棚田米 「はれゆき」 魚沼産コシヒカリ 三合
●雑司が谷スローライフ倶楽部監修 麦麹味噌「まめだかね」 450g
●trico エコバッグ
ご協力
「越後妻有の収穫祭」は多くの皆さんのお力添えによって開催することができました。
スタッフ一同、心から御礼申し上げます。
●お借りしたもの
野崎プレート
85枚
波佐見焼振興会様
陶器カップ
85客
波佐見焼振興会様
85客
波佐見焼振興会様
●ご寄贈いただいたもの
杯 (Ge-Nネーム入り)
●料理食材
ご飯、味噌汁、天然きのこ
松之山温泉合同会社 まんま様
お米提供
松之山中尾集落 樋口一次様
●企画運営
公益財団法人 東京財団様
株式会社 とく山様
有限会社 カメガイアートデザイン様
高橋樹男様(写真提供)
カールベンクスアンドアソシエイト有限会社
日本再発見塾事務局
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6.フォトギャラリー
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http://trioc-gen.jp/
一般社団法人 源流地域資源再生ネットワーク
)
源流地域資源再生ネットワーク(
ネットワーク(Ge-N)
〒948-0006
新潟県十日町市四日町 1426-6
E-mail:[email protected]/
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