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Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression

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Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
Oracle Database 12cのOracle Advanced
Compression
Oracleホワイト・ペーパー | 2015年1月
目次
はじめに ...................................................................................................................................................... 1
Oracle Advanced Compression .............................................................................................................. 2
ヒートマップ .............................................................................................................................................. 2
自動データ最適化 ...................................................................................................................................... 3
データ圧縮 .................................................................................................................................................. 4
高度な行圧縮 .............................................................................................................................................. 4
高度な行圧縮の移行とベスト・プラクティス ..................................................................................... 7
非構造化データの圧縮 .............................................................................................................................. 9
バックアップ・データの圧縮................................................................................................................ 10
Advanced Index Compression(高度な索引圧縮) ........................................................................ 12
Advanced Network Compression(高度なネットワーク圧縮) .................................................. 12
Data Guard REDO転送の圧縮 ................................................................................................................ 13
Flashback Data Archive履歴表の最適化 ............................................................................................. 13
ストレージ・スナップショット最適化 ............................................................................................... 13
Hybrid Columnar Compressionの行レベル・ロック ...................................................................... 14
Exadata Flash Cache Compression ..................................................................................................... 14
オンライン・パーティション移行(任意の圧縮形式へ) ............................................................... 15
標準搭載の圧縮機能 ................................................................................................................................ 15
結論 ............................................................................................................................................................ 16
Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
はじめに
企業が保存し管理しているデータ量は急増しています。業界の概算では、データ量は2、3年ごとに倍増している
と指摘されています。
このデータ量の急激な増加によって、ITは困難な課題に直面しています。第1の課題は、ストレージ・コストです。
各ストレージのコストは激減しているにも関わらず、データ量が急増していることにより、ストレージは大部分の
IT予算における最大のコスト要因の1つになっています。さらに、データベースがますます拡大していることから、
予算内に収めながらパフォーマンスに対する要件に応え続けることが難しくなっています。
Oracle Database 12cでは、Oracle Databaseのストレージ管理機能を強化するOracle Advanced Compressionの新機
能がいくつか追加されました。ヒートマップは、変更および問合せのタイムスタンプを自動的に追跡します。その
ため、データがどのようにアクセスされているかについて詳細に把握できます。自動データ最適化(ADO)は、
ヒートマップによって収集された情報に基づいて、データの移動と圧縮を自動的に行います。これらの機能を組み
合わせて、情報ライフ・サイクル管理(ILM)戦略の実施に役立てることができます。
ヒートマップとADOによって、Oracle Databaseの各種圧縮テクノロジーにすでに存在する革新技術を容易に使用
できるようになるため、大量のデータにかかる管理コストの削減や、アプリケーションとデータベースのパフォー
マンスの向上に役立ちます。Oracle Advanced Compressionオプションには、コスト削減とパフォーマンス向上を
目的とした、包括的な一連の圧縮機能が含まれています。これらの機能では、構造化データ、非構造化データおよ
びデータベース・バックアップ用の圧縮や、Data Guard REDOネットワーク・トラフィックの圧縮を実現できます。
ヒートマップやADOの他にも、Oracle Advanced Compressionオプションには、高度なネットワーク圧縮、高度な
索引圧縮、Flashback Data Archive履歴表の最適化、ストレージ・スナップショット最適化、各種圧縮形式へのオ
ンライン・パーティション移行などの新機能があります。
本書では、これらのOracle Advanced Compressionの機能について、それぞれ説明します。
1 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
Oracle Advanced Compression
Oracle Advanced Compressionオプション(Oracle ACO)には、パフォーマンスの改善やストレージ・コストの軽
減に有効な、包括的な圧縮機能があります。これにより、リレーショナル・データ(表)、非構造化データ(ファ
イル)、索引、ネットワーク・データ、バックアップ・データなどのあらゆるタイプのデータの圧縮が可能になり、
IT管理者は、データベース記憶域全体のフットプリントを大幅に削減できます。
多くの場合、サーバー(本番、開発、QA、テスト、バックアップなど)のストレージ・コストの削減や最適化が
もっとも具体的な利益をもたらす方法として見られていますが、Advanced Compressionオプションの全機能は、
メモリ、ネットワーク帯域幅、ストレージなどのITインフラストラクチャのあらゆるコンポーネントのパフォーマ
ンスを向上させるように設計されています。
ヒートマップ
データベース内のすべてのデータのビジネス要件が同じというわけではありません。データはライフ・サイクルの
さまざまな段階をたどります。データはまず、アクティブ・データとして始まります。アクティブ・データは初回
の挿入後、頻繁に問合せや変更が行われるデータです。このようなデータは、高度な行圧縮の候補として適してい
ます。ある程度の期間が過ぎたデータは通常、以前よりもアクティブ度が低下します。これは、レポート生成など
の目的で、ある期間は頻繁に問合せが行われますが、変更はほとんど発生しないデータです。このようなデータは、
Hybrid Columnar Compressionのウェアハウス圧縮の候補として適しています。最終段階のデータはほぼ休止状態
になります。これは、更新されなくなり、問合せが行われるとしても頻度が非常に低くなりますが、規制遵守の目
的で保管する必要のあるデータです。このようなデータは、Hybrid Columnar
Compressionのアーカイブ圧縮を
使用して圧縮できます。
ヒートマップは、利用情報をブロック・レベルおよびセグメント・レベルで収集するためのOracle Databaseの新
機能です。ヒートマップを自動データ最適化(以下の自動データ最適化の項を参照)と併せて使用することで、
Oracle Database 12cではデータの使用状況に基づいて圧縮ポリシーや保管ポリシーを自動化できるため、スト
レージ・コストの削減、パフォーマンスの向上、ストレージの最適化を実現できます。
セグメント・レベルのヒートマップは、データベース内の各表および各パーティションに対する最新の変更や問合
せのタイムスタンプを追跡します。ブロック・レベルのヒートマップは、最新の変更のタイムスタンプを追跡しま
す。これらのタイムスタンプは、自動データ最適化により、データのライフ・サイクル全体を通じて自動的に維持
される圧縮ポリシーと保管ポリシーを定義するために使用されます。ヒートマップでは、システム・タスクに対し
て実行された内部的な操作はスキップされ、統計情報収集、DDL、表再定義などの操作は自動的に除外されます。
さらに、ヒートマップはセッション・レベルで無効化することも可能です。そのため、手作業によるメンテナンス
をDBAが除外して、ヒートマップ・データの汚染を防止できます。
Oracle Databaseは、ヒートマップにより収集されたデータを使用して、ヒートマップ・データに基づいて、個別
に表の各パーティションを自動的に圧縮できます。これにより、圧縮階層化が実現されます。この圧縮階層化では、
すべてのOracle表圧縮形式(高度な行圧縮、および基盤のストレージでHybrid Columnar Compression(HCC)を
サポートしている場合にHCCの全レベル)を使用できます。また、Oracle Databaseでは、ヒートマップ・データ
に基づいた高度な行圧縮を使用して、個々のデータベース・ブロックを圧縮することもできます。
2 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
自動データ最適化
自動データ最適化(ADO)では、データ圧縮(スマート圧縮)およびストレージ階層化を自動化するポリシーを
作成できます。スマート圧縮とは、ヒートマップ情報を利用して、圧縮ポリシーおよび圧縮レベルを実際のデータ
使用状況に関連付ける機能を指します。
Oracle Database 12cは、ヒートマップによって維持される情報を利用して、リクエストされたオブジェクトの登
録済みアクションを実行し、オブジェクトを目的の状態へと透過的かつ自動的に移行します。

ADOポリシーは、表またはパーティションに対してセグメント・レベルで指定できます。または、表に対
して行レベルで指定できます。

セグメント・レベルのADOポリシーは、メンテナンス期間にバックグラウンドで自動的に評価および実行
されます。または、オンデマンドで実行することもできます。

ストレージ階層化はセグメント・レベルでのみ指定でき、セグメントが現在存在する表領域内の領域の圧
縮によってのみトリガーできます。DBAは管理プロシージャを使用して、領域の圧縮しきい値を設定また
は変更できます。

行レベルのADOポリシーは、メンテナンス期間にバックグラウンドで自動的に評価および実行されます。
または、オンデマンドで実行することもできます。
ADOポリシーには、以下の仕様が含まれます。

圧縮を起動する条件 -- アクセスなし、変更なしなど

ポリシーが適用されるタイミング -- 変更なしの状態が30日(あるいは数カ月、数年)続いた後、行また
はパーティションの作成の7日後、オブジェクトを含む表領域が事前定義済みの表領域使用率のしきい値
を満たしたときなど
ADOポリシーの例:
以下の最初の例では、高度な行圧縮を使用して、30日以上変更されていない表全体を自動的に圧縮するためのセ
グメント・レベルのADOポリシーを作成します。
ALTER TABLE employee ILM ADD POLICY ROW STORE COMPRESS
ADVANCED SEGMENT AFTER 30 DAYS OF NO MODIFICATION;
次の例では、高度な行圧縮を使用して、ブロック内のどの行も3日以上変更されていない場合に、表内のブロック
を自動的に圧縮するための行レベルのADOポリシーを作成します。
ALTER TABLE employee ILM ADD POLICY ROW STORE COMPRESS
ADVANCED ROW AFTER 3 DAYS OF NO MODIFICATION;
スマート圧縮に加え、その他のADOポリシーのアクションには、低コストのストレージ層やHybrid Columnar
Compression(HCC)などの他の圧縮機能を使用するストレージ層など、別のストレージ層へのデータ移動もあり
ます。ALTER TABLE ...MOVE PARTITION ONLINEにより、移行中のパーティションに対してDML操作を中断せずに
実行し続けることができます。グローバル索引はパーティション移行操作中に維持されるため、手動による索引の
再作成が不要になります。一部のオンライン・パーティション移行の利用方法では、Advanced Compressionが必
要になります。特に、ユーザーがこの機能を使用してパーティションを圧縮形式(基本圧縮、高度な行圧縮、HCC
3 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
を含むあらゆる圧縮形式)に移行する場合に、Oracle Advanced Compressionオプションのライセンスが必要にな
ります。
次の例では、表領域レベルのADOポリシーにより、現在オブジェクトを含む表領域が事前定義済みの表領域使用
率のしきい値を満たす場合に、表を別の表領域に自動的に移動します。
ALTER TABLE employee ILM ADD POLICY tier to ilmtbs;
セグメントを別の表領域に移動する場合に、オブジェクトの移動後にターゲットの表領域をREAD ONLYに設定す
るオプションもあります。このオプションは、データベース・バックアップ中に履歴データに対して使用すると便
利です。その後のデータベースのフル・バックアップでは、READ ONLYの表領域はスキップされます。
データ圧縮
オラクルは、データベース圧縮技術において先駆的な存在です。10年以上も前、Oracle9i Database Release 2に、
バルク・ロード操作を使用してロードされたデータを圧縮する、基本表圧縮が導入されました。
2007年に、Oracle Database 11g Release 1でOLTP表圧縮(現在の高度な行圧縮)が導入されました。この機能を使
用することで、INSERTやUPDATEなどの従来のDMLを含むあらゆるタイプのデータ操作中に、データを圧縮できま
す。さらに、高度な行圧縮では、圧縮データに対する書込み操作のオーバーヘッドが最小限に抑えられます。その
ため、トランザクション環境やOLTP環境に加え、データウェアハウスにも適しており、圧縮の利点がすべてのア
プリケーションのワークロードへと拡張されます。
基本表圧縮は、Oracle Database 12c Enterprise Editionの機能です。高度な行圧縮は、Oracle Advanced Compression
オプションの一部です。
高度な行圧縮
高度な行圧縮では、OLTPアプリケーションで動作するために特別に設計された、独自の圧縮アルゴリズムが使用
されます。このアルゴリズムは、データベース・ブロック内や複数の列間の重複値を排除することによって動作し
ます。圧縮されたブロックには、圧縮メタデータを維持する記号表と呼ばれる構造体が含まれます。ブロックが圧
縮されると、最初に重複値のコピーが記号表に1つ追加されることにより、重複値が排除されます。そして、各重
複値が、記号表内の適切なエントリへの短い参照に置き換えられます。
この革新的な設計では、圧縮されたデータを元の状態へ変換するために使用されるメタデータがブロック・ヘッ
ダー内に保存されるため、圧縮されたデータはデータベース・ブロック内で自己完結します。グローバルなデータ
ベースの記号表を維持する競合他社の圧縮アルゴリズムと比較すると、圧縮されたデータにアクセスする際、追加
のI/Oが発生しないオラクル独自のアプローチでは、大幅なパフォーマンス上の利点が得られます。
4 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
図1:圧縮ブロックと非圧縮ブロックの比較
高度な行圧縮の利点
ある特定の環境で得られる圧縮率は、圧縮されたデータ、特にデータのカーディナリティによって異なります。通
常、高度な行圧縮を使用することにより、ストレージ領域の消費の2~4倍の削減が期待できます。つまり、非圧
縮データ量が消費する領域量は、圧縮されたデータ量が消費する領域量の2~4倍になるということです。
高度な行圧縮の利点は、ディスク上のストレージ節約の域のみにとどまりません。重要な利点の1つは、ブロック
を解凍することなく、圧縮されたブロックを直接メモリ内で読み取れることです。そのため、I/Oが削減され、I/O
操作に関連するシステム・コール数が削減されるため、パフォーマンスが向上します。さらに、メモリの追加を必
要とせずにより多くのデータを保存することにより、バッファ・キャッシュの効率が向上します。
最小限のパフォーマンス・オーバーヘッド
すでに説明したように、高度な行圧縮には、読取り操作に対する悪影響はありません。データの書込み中には作業
が追加で実行されるため、書込み操作のパフォーマンス・オーバーヘッドを完全に排除することは不可能です。こ
のような高度な行圧縮のオーバーヘッドを最小限に抑えるための最適化がいくつかあります。Oracle Databaseで
は、書込み操作が発生するたびにデータを圧縮するのではなく、バッチ・モードでブロックを圧縮します。新しく
初期化されたブロックは、ブロック内のデータが内部で制御されるしきい値に達するまで、圧縮されずに維持され
ます。トランザクションによってブロック内のデータがこのしきい値に達すると、ブロックのすべてのコンテンツ
が圧縮されます。さらに、より多くのデータがブロックに追加されて再びしきい値に達すると、ブロック全体が再
圧縮されて、圧縮の最高レベルに到達します。
このプロセスは、圧縮を続けてもそれ以上ブロックに利点が得られないとOracleが判断するまで繰り返されます。
ブロックの圧縮を実行するトランザクションのみ、圧縮のオーバーヘッドはわずかで済みます。したがって、圧縮
されたブロック上のDMLトランザクションのほとんどのパフォーマンスは、非圧縮ブロックの場合のパフォーマ
ンスと同様になります。
5 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
図2:高度な行圧縮のプロセス
パフォーマンスの例:表スキャン/DMLパフォーマンス結果:
ERPデータベース・サイズ上位10個の表(出典:オラクル)
6 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
高度な行圧縮の移行とベスト・プラクティス
新しい表やパーティションに対して、高度な行圧縮を有効化する方法は簡単です。単純に表またはパーティション
をCREATE構文で作成し、“COMPRESS FOR ADVANCED ROW”と指定します。たとえば、次のような文を使用します。
CREATE TABLE emp (emp_id NUMBER, first_name VARCHAR2(128), last_name VARCHAR2(128))
COMPRESS FOR ADVANCED ROW;
既存の表やパーティションに対して高度な行圧縮を有効化するための推奨される方法は、次の3つです。
1.
ALTER TABLE … ROW STORE COMPRESS ADVANCED

今後のすべてのDMLについて高度な行圧縮を有効化しますが、表の既存のデータについては非圧
縮のままにします。
2.
オンライン再定義(DBMS_REDEFINITION)

今 後 の DML に つ い て 高 度 な 行 圧 縮 を 有 効 化 し 、 さ ら に 既 存 の デ ー タ も 圧 縮 し ま す 。
DBMS_REDEFINITIONを使用すると、移行中に、読取り/書込みの両方のアクティビティに対して、
表がオンライン状態で維持されます。最適なパフォーマンスを得るには、DBMS_REDEFINITION
をパラレルで実行します。

オンライン再定義では、操作の実行中に索引が仮表にクローンされます。クローンされたすべて
の索引の増分が同期(リフレッシュ)操作中に維持されるため、オンライン再定義の実行中も実
行後も、索引の利用が中断されることはありません。ただし、オンライン再定義をパーティショ
ンの再定義に使用する場合に限り、索引の利用は中断されます。この場合、グローバル索引がす
べて無効化され、オンライン再定義の実行後にそのグローバル索引を再作成する必要があります。
3.
ALTER TABLE … MOVE COMPRESS FOR ADVANCED ROW

今後のDMLについて高度な行圧縮を有効化し、さらに既存のデータも圧縮します。表の移行中、
読取りアクティビティに対しては表がオンライン状態で維持されますが、排他(X)ロックがか
かるため、移行コマンドが完了するまですべてのDMLがブロックされます。最適なパフォーマン
スを得るには、ALTER TABLE … MOVEをパラレルで実行します。

ALTER TABLE … MOVEにより、パーティションまたは表にある索引がすべて無効化されます。
ALTER TABLE …
MOVEの実行後、これらの索引を再作成する必要があります。パーティション
の移行の場合、ALTER TABLE … MOVE PARTITIONをUPDATE INDEXES句とともに使用すると、索
引が維持されます(排他(X)ロックがかかるため、移行コマンドが完了するまで、すべてのDML
がブロックされます)。パーティション化されていない表に対しては、この句は使用できません。

ALTER TABLE... MOVE文を使用すると、パーティション化されていない表のデータやパーティ
ション化された表のパーティションのデータを新しいセグメントに再配置したり、オプションと
して異なる表領域に再配置したりできます。ALTER TABLE…MOVE ROW STORE COMPRESS
ADVANCEDにより、圧縮データ用の新しいエクステントが移行先の表領域内に作成され、データ
が圧縮されます。ここで、新しいセグメントは、データファイルの末尾や先頭に配置されるとは
限らず、あらゆる場所に配置される可能性がある点に注意が必要です。
7 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression

ALTER TABLE ... MOVE文を使用すると、パーティション化されていない表のデータやパーティ
ション化された表のパーティションのデータを新しいセグメントに再配置したり、オプションと
して異なる表領域に再配置したりできます。ALTER TABLE…MOVE COMPRESSにより、圧縮デー
タ用の新しいエクステントが移行先の表領域内に作成され、データが圧縮されます。ここで、新
しいセグメントは、データファイルの末尾や先頭に配置されるとは限らず、あらゆる場所に配置
される可能性がある点に注意が必要です。そのため、元のセグメントが解放されるとき、エクス
テントの位置によっては、データファイルが縮小されない場合もあります。
Advanced Compressionオプションに含まれる機能に関するベスト・プラクティスと考慮事項の一部について、以
下に説明します。

一般的には、データベース内のすべての表を圧縮することが推奨されますが、例外が1つあります。表が
キューとして使用される(つまり、行が表に挿入された後、大部分またはすべての行が削除され、その後
さらに多くの行が挿入され、後で削除される)場合は、表を圧縮しないでください。

Advanced Compressionの各機能の最適なテスト環境は、本番環境に合わせて再現した環境です。この環
境で、もっとも現実的な(圧縮前および圧縮後の)パフォーマンス比較と機能比較を行うことができます。

保存されるデータの重複度が高い(カーディナリティが低い)場合に、高度な行圧縮による領域使用の削
減効果がもっとも高くなります。これは、特にバックアップに当てはまります。圧縮率が高いほどバック
アップされるデータ量が少なくなり、そのためリカバリ時間も短くなります。バルク・ロードの前に(重
複度のもっとも高い列の)データをソートすると、圧縮率が高くなる場合があります。

表領域レベルで圧縮すべきかについて:カスタム・アプリケーションについては、表領域レベルでの圧縮
を推奨しますが、トラフィック量の非常に多い表や非常に小さな表(キューとして使用する表など)に対
しては、圧縮をオフにすることを検討してください。一般的にオブジェクト数の非常に多い商用パッケー
ジ・アプリケーションについては、オブジェクトを除外するのではなく選択することが推奨されます。多
くの場合、サイズ上位100個の表や索引がデータベース領域の大部分を消費します。これらのオブジェク
トを圧縮し、一方でキューとして使用する表のようなトラフィック量の多いオブジェクトは除外すること
で、大部分の圧縮効果を得ることができます。その他のオブジェクトは、必要に応じて、経時的に圧縮で
きます。

プリフィックス圧縮(索引)機能は、Oracle Database Enterprise Editionに無償で含まれており、Advanced
Compressionオプションのライセンスは必要ありません。

CPUオーバーヘッドは通常は最小限で済みますが、Advanced Compressionは、CPUサイクルが空いてい
るシステムに対して導入することが適しています。圧縮により、一部のDML操作では非常に小さなもので
はありますが、追加のオーバーヘッドが発生するためです。

PL/SQLパッケージであるCompression Advisorは、データ・サンプルの分析に基づいて、高度な行圧縮に
よるストレージ削減効果を見積もるために使用します。このパッケージにより、高度な行圧縮の導入後に
得られる実際の圧縮率を適切に見積もることができます。Oracle9i Database Release 2からOracle
Database 11g Release 1までをサポートするCompression Advisorのバージョンは、Oracle Technology
Network Webサイトより無償で入手できます。Oracle Database 11g Release 2以降では、Compression
Advisor(DBMS_COMPRESSION)は、標準で組み込まれています。

LONGデータ型を含む表での高度な行圧縮の使用は、サポートされていません。
8 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression

ブロック・サイズが大きいほど、高度な行圧縮の圧縮率が高くなるとは限りません。ブロック・サイズの
増減が高度な行圧縮の圧縮率に影響を及ぼすかを確認したい場合は、独自のデータを使用してテストする
ことを推奨します。

Data Pump圧縮は、高度な行圧縮とは関係ありません。Data Pumpのダンプ・ファイルはインポート・プ
ロセス中にインラインで圧縮されないため、そのデータは、表の圧縮特性に基づいてターゲット表にイン
ポートされます。Data Pump圧縮のライセンスは、エクスポート側でのみ提供されます。つまり、圧縮さ
れたデータ・ポンプ・エクスポートのダンプは、圧縮のライセンスがないデータベースにインポートでき
ます。Data Pump圧縮を使用してエクスポートすることで、ダンプ・ファイルのサイズを減らすことがで
きるようになり、圧縮のライセンスがないデータベースにある圧縮されていない表にインポートできます。

ADOポリシーをより柔軟にカスタマイズする必要がある場合は、カスタムADOポリシーを使用できます。
カスタムADOポリシーでは、ユーザーが指定した関数を使用して、該当する各セグメントを評価します。

ある層から別の層へ可能な限り迅速にデータを移動する必要があり、次のメンテナンス期間まで待てない
ような場合があります。ADOポリシーを実行することで、既存のポリシーの内容を問わず、データの移動
や圧縮をオンデマンドで実行できます。
非構造化データの圧縮
SecureFilesは、ドキュメント、イメージ、スプレッドシート、XMLファイルなどの非構造化コンテンツを保存する
ための、‘両方の長所を備えた’アーキテクチャを提供します。特にOracle Databaseの利点を維持しながら、従来の
ファイル・システムと同等かそれを上回る高いパフォーマンスをファイル・データにもたらすように設計されてい
ます。
SecureFilesは、ANSI規格のLOBデータ型のスーパーセットとして設計されており、SecureFilesの前段階である既存
のBasicFiles LOBからの移行を容易にします。SecureFilesによって、組織は、単一のセキュリティ/監査モデルや統
合されたバックアップおよびリカバリ・プロセスを使用して、すべてのリレーショナル・データおよび関連するファ
イル・データをOracle Databaseで管理でき、全情報にわたってシームレスな検索を実行できるようになります。
Advanced Compressionオプションには、SecureFilesデータのストレージのフットプリントを大幅に削減し、パ
フォーマンスも向上させる、高度なLOB圧縮および高度なLOB重複排除機能が搭載されています。
高度なLOB重複排除
アプリケーションにおいて、ファイルの完全なレプリカを保存することは極めて一般的です。その例とし
て、複数のユーザーが同一の添付ファイルを受信する電子メールのアプリケーションがあります。高度な
LOB重複排除は、SecureFilesデータの重複したコピーを排除します。Oracle Databaseでは、SecureFilesデー
タのイメージを1つ保存し、重複したコピーをそのイメージへの参照に置き換えます。
図3:高度なLOB重複排除
9 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
たとえば、1MBの同一のファイルが添付されている電子メールを10人のユーザーが受信する、電子メール・
アプリケーションがあるとします。高度なLOB重複排除がない場合、システムは10人のユーザーそれぞれに
対してファイルのコピーを1つずつ保存するため、10MBのストレージが必要になります。この例の電子メー
ル・アプリケーションで高度なLOB重複排除を使用した場合、1MBの添付ファイルを一度保存するだけで済
みます。これは、ストレージ要件の90%の節約になります。
ストレージの節約に加え、高度なLOB重複排除によってアプリケーションのパフォーマンスも向上します。
特に、SecureFilesデータへの参照のみが書き込まれるため、書込み操作およびコピー操作の効率が向上し
ます。さらに、重複したSecureFilesデータがすでにバッファ・キャッシュにある場合、読取り操作が改善
されます。
高度なLOB圧縮
Advanced Compressionには、SecureFilesデータのサイズを抑制する別のメカニズムもあります。高度なLOB
圧縮は、業界標準の圧縮アルゴリズムを使用して、SecureFilesデータに必要となるストレージをさらに削
減します。
高度なLOB圧縮を使用すると、ドキュメントやXMLファイルなどの一般的なファイルの圧縮では、サイズが
2~3倍削減されます。高度なLOB圧縮は、圧縮しても利点のないデータの圧縮を自動的に回避します。たと
えば、SecureFilesファイルとしてデータベースに挿入される前に、サード・パーティのツールを用いて圧
縮されたドキュメントです。圧縮データはデータの小さなチャンクに内部的に分類されるため、アプリケー
ションは圧縮されたSecureFilesデータ上でもランダム読取りおよびランダム書込みを実行できます。これ
により、データベースへの挿入前にファイル全体を圧縮する場合と比較して、パフォーマンスが大幅に向
上します。
高度なLOB圧縮には、LOW、MEDIUM、HIGHの3つのレベルがあります。デフォルトでは、高度なLOB圧縮
ではMEDIUMレベルが使用されます。MEDIUMレベルでは通常、3~5%という少ないCPUオーバーヘッドで
適度な圧縮が実行されます。高度なLOB圧縮のLOWは、高パフォーマンス向けに最適化されています。高
度なLOB圧縮のLOWでは、3分の1のCPU使用量で、MEDIUMによって達成される圧縮の約80%が維持されま
す。高度なLOB圧縮のHIGHでは、ストレージの節約が最大になりますが、CPUオーバーヘッドも最大にな
ります。
SecureFilesとLOBのストレージの詳細は、『Oracle® Database SecureFilesおよびラージ・オブジェクト開発
者ガイド』を参照してください。
バックアップ・データの圧縮
Advanced Compressionには、データベース内に保存されたデータの圧縮に加えて、バックアップされたデータを
圧縮する機能も含まれています。Oracle Recovery Manager(Oracle RMAN)とData Pumpは、Oracle Database内
に保存されたデータのバックアップにもっとも一般的に使用されるツールです。
Oracle RMANは、データベース・データのブロックごとのバックアップを実行します。このバックアップは“物理バッ
クアップ”とも呼ばれ、データベース、表領域、またはブロック・レベルのリカバリを行うために使用できます。Data
Pumpは、1つ以上の表からフラット・ファイルへデータをオフロードすることによって、“論理”バックアップを実行
するために使用されます。Advanced Compressionには、これら2つのツールによって作成されたバックアップ・デー
タを圧縮する機能が含まれています。
Oracle Recovery Manager(Oracle RMAN)による圧縮
エンタープライズ・データベースが増大し続けることにより、データベース管理者にとって重大な問題が
10 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
生じています。データベース・バックアップを維持するためのストレージ要件およびバックアップ・プロ
シージャのパフォーマンスは、データベースのサイズに直接影響を受けます。Advanced Compressionには、
バックアップ・データのストレージ要件を大幅に削減できるRMAN圧縮テクノロジーが含まれます。
Oracle RMANがOracle Databaseと密接に統合されていることにより、バックアップ・データはディスクま
たはテープに書き込まれる前に圧縮され、リカバリ前に解凍する必要がありません。そのため、ストレー
ジ・コストが大幅に削減されます。また、バックアップとリストアにかかる時間も大幅に短縮される可能
性があります。
Oracle RMANによる圧縮には、LOW、MEDIUM、HIGHの3つのレベルがあります。ストレージが節約される
量は、LOWからHIGHに向かって増加しますが、CPUリソースの消費量が増加する可能性があります。
Data Pumpによる圧縮
Data Pumpジョブに関連するメタデータの圧縮機能が最初に導入されたのは、Oracle Database 10g Release
2でした。Oracle Database 11gでは、この圧縮機能は、表データをエクスポートで圧縮できるように拡張さ
れています。この拡張機能は、Advanced Compressionオプションに含まれています。
Data Pumpによる圧縮は、インライン・オペレーションであるため、ダンプ・ファイル・サイズが削減さ
れることにより、ディスク領域が大幅に節約されます。オペレーティング・システムまたはファイル・シ
ステムの圧縮ユーティリティとは異なり、Data Pump圧縮は、インポート側でも完全にインラインである
ため、ダンプ・ファイルをインポートする前に解凍する必要がありません。圧縮されたダンプ・ファイル・
セットは、データベース管理者が手順を追加することなく、インポート中に自動的に解凍されます。
Data Pumpの機能は、圧縮ファイルを使用することによって、完全に利用できます。通常のファイルで使
用されるコマンドは、圧縮ファイル上でも動作します。以下のオプションを使用して、ダンプ・ファイル・
セットのどの部分を圧縮するかを指定します。

ALL:エクスポート操作全体に対して、圧縮が有効化されます。

DATA-ONLY:圧縮された形式で、すべてのデータがダンプ・ファイルに書き込まれます。

METADATA-ONLY:圧縮された形式で、すべてのメタデータがダンプ・ファイルに書き込まれます。
これはデフォルトです。

NONE:エクスポート操作全体に対して、圧縮が無効化されます。
Oracle Data Pumpエクスポートのexpdpコマンドライン・オプションを使用して、Oracle Data Pumpダン
プ・ファイルに対して使用する圧縮の度合い(BASIC、LOW、MEDIUM、またはHIGH)を制御できます。
–
PL/SQL DBMS_DATAPUMPパッケージにも同じオプションを指定できます。
圧縮の度合いが強いほど、待機時間も長くなりますが、圧縮率が高くなります。つまり、HIGHオプション
では、より多くのオーバーヘッドが生じますが、データの圧縮率が高くなります。DBAは、これらのオプ
ションを使用して、データの圧縮にかかる時間とOracle Data Pumpダンプ・ファイルのサイズとのバラン
ス を 図 る こ とが で き ま す 。LOW、 MEDIUM 、 HIGHのオプションを使用するには、Oracle Advanced
Compressionが必要です。
ダンプ・ファイルの削減サイズは、データ型や他の要素によって異なります。Data Pumpを使用してイン
ポートする際には、CREATE TABLE文に、エクスポート・ファイル内の定義と一致する圧縮関連の句を含め
る点に注意してください。圧縮関連の句を指定していない場合、その表では、表が保存されている表領域
のCOMPRESSION属性が継承されます。
11 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
Oracle Data Pumpについて詳しくは、
http://www.oracle.com/technetwork/jp/database/index-099492-ja.htmlを参照してください。
Advanced Index Compression(高度な索引圧縮)
索引は、リレーショナル表に格納されたデータへのさまざまなアクセス・パスを効率的にサポートできるため、
OLTPデータベース内で幅広く使用されています。OLTPアプリケーションの多数のアクセス・パスをサポートする
ために、大量の索引が単一表に作成されています。これは非常に一般的なことで、これらの索引によって、データ
ベース単体のサイズと比較して、データベースの全体的なストレージのサイズをより拡大することができます。
高度な索引圧縮は、索引インデックス圧縮の新しい形式です。高度な索引圧縮を使用して索引を作成すると、イン
デックスへの効率的なアクセスを提供しつつ、サポートされているすべての一意索引と非一意索引のサイズを縮小
できます。高度な索引圧縮は、サポート対象のすべての索引に対して機能します。既存の索引のプリフィックス圧
縮機能で適切な候補にならない索引(索引の主要な列に重複値がほとんど、またはまったくない索引)に対しても
有効です(以下参照)。
高度な索引圧縮は、ブロック・レベルで行われるため、各ブロックに対して最適な圧縮が行われます。高度な索引
圧縮によってブロックごとに適切な圧縮が自動で選択されるため、データの特性に関する知識は必要ありません。
高度な索引圧縮を使用するには、Oracle Advanced Compressionオプションが必要となります。
以下は、hr.emp_mndp_ixインデックスの作成時にOracle Advanced Compressionを有効化する例となります。
CREATE INDEX hr.emp_mndp_ix ON hr.employees(manager_id, department_id) COMPRESS
ADVANCED LOW;
Advanced Network Compression(高度なネットワーク圧縮)
高度なネットワーク圧縮は、SQLネットワーク・データ圧縮とも呼ばれ、送信するネットワーク・データを送信側
で圧縮し、その後受信側で解凍して、ネットワーク・トラフィック量を削減する目的で使用できます。高度なネッ
トワーク圧縮により、データ接続経由で送信されるセッション・データ・ユニット(SDU)のサイズが削減されま
す。データのサイズが削減されることで、SDUの送信にかかる時間が短縮されます。
高度なネットワーク圧縮の利点は、以下のとおりです。

有効ネットワーク・スループットの向上:圧縮により、大きなデータの送信にかかる時間を短縮できま
す。送信時間が短縮されるため、SQL問合せの応答が速くなります。帯域幅が限られた環境では、この点
を利用して、問合せの応答時間を短縮できます。

帯域幅利用率の軽減:圧縮によって、送信するデータ量が削減され、帯域幅が節約されるため、解放され
た帯域幅を他のアプリケーションで利用できます。また、ネットワーク帯域幅にかかるコストの削減にも
つながります。
高度なネットワーク圧縮は、SQL問合せの応答を速くするだけではなく、帯域幅も節約します。狭帯域幅の接続で
CPU速度を上げることで、パフォーマンスを大幅に向上できます。圧縮処理は、クライアント・アプリケーション
に対して透過的に実行されます。
12 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
Data Guard REDO転送の圧縮
Oracle Data Guardは、管理、監視、自動化のためのソフトウェア・インフラストラクチャで、企業のデータを故
障、障害、エラー、破損から保護するために、1つまたは複数のスタンバイ・データベースを作成、保守、および
監視します。Data Guardは、REDOデータ(トランザクションのリカバリに必要な情報)を使用して、プライマリ・
データベースおよびスタンバイ・データベースの同期を維持します。プライマリ・データベースでトランザクショ
ンが発生すると、REDOデータが生成され、ローカルREDOログ・ファイルに書き込まれます。
このREDOデータは、Data Guard REDO転送サービスを使用して、スタンバイ・サイトに転送されます。Advanced
Compressionを使用すると、REDOデータは圧縮された形式で送信されて、ネットワーク帯域幅の消費が減少しま
す。REDOデータの送信時間が減少する場合もあります。Oracle Data Guard構成で、同期REDO転送(SYNC)また
は非同期REDO転送(ASYNC)のいずれかが使用される場合、REDOデータは圧縮された形式で送信できます。
Oracle Data Guardの詳細は、次の文書を参照してください。
http://www.oracle.com/technetwork/jp/database/options/active-data-guard/overview/index.html
Flashback Data Archive履歴表の最適化
Flashback Data Archive(FDA)はOracle Database 11g Release 1で導入されました。FDAは、指定した表への変更
を行レベルで自動的に追跡し、行レベルの履歴を作成する機能です。また、指定した表へのスキーマ変更について
も、自動的に追跡します。FDAのおもな機能は、一時的なSQL問合せのトランザクションを実行することです。こ
の際に、データベースが持つ単純で強力なフラッシュバック問合せ機能を使用して、履歴データに対して問合せを
実行します。
FDAが履歴として生成するデータ量が膨大になることもあります。このデータの記憶域とパフォーマンスを最適化
するため、Advanced Compressionにより、高度な行圧縮、高度なLOB圧縮、高度なLOB重複排除、圧縮階層化を
FDAで利用できます。これらの機能は、FDA履歴表に対してデフォルトでは利用できません。
Advanced Compressionにより、FDAでフラッシュバック・アーカイブ・レベルでのデータの最適化を有効または
無効にできます。FDAは、CREATE FLASHBACK ARCHIVEとALTER FLASHBACK ARCHIVEの両方で利用できます。
ストレージ・スナップショット最適化
Recovery Managerでは、Oracle Databaseバックアップを実行するためのもっとも一般的な方法が残されています
が、データベース・バックアップを行うための方法は他にもあります。それは、データベース内のすべてのファイ
ル(データファイル、制御ファイル、オンラインREDOログ)について、ストレージ・スナップショットを作成し、
そのスナップショットを別のシステム(本番データベースが稼働するシステム以外)にマウントし、データをその
2次システムから、テープなどの3次ストレージにコピーするというものです。
ストレージ製品が、Oracleドキュメントで説明している固有のガイドラインに従っているとすると、この方法で取
得したスナップショットには“クラッシュ一貫性”があります。そのようなスナップショットをリストアした場合、
Oracleでは、そのスナップショットと、スナップショットが取得された時点でクラッシュしたデータベースとを区
別できません。クラッシュ一貫性のあるバックアップは、オープンして、標準的なクラッシュ(インスタンス)リ
カバリを実施した後に使用できます。ただし、クラッシュ一貫性のあるバックアップは、ポイント・イン・タイム・
リカバリに使用するものとしては信頼できません。データファイルの非一貫性の除去を行うためのメディア・リカ
バリに必要となる情報が、REDOログに含まれていないためです(スナップショットの取得時に、データベースが
書込み用にオープンされていたため)。ポイント・イン・タイム・リカバリを実行するには、要件に従い、さらに、
13 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
Support Note 604683.1で説明している手動の手順に厳格に従う必要があります。
または、バックアップ・モードで取得したスナップショット(ALTER DATABASE [BEGIN | END] BACKUP)では、そ
のようなポイント・イン・タイム・リカバリの制約はなくなります。リカバリの実行時にデータファイルの非一貫
性を除去するための追加情報が、REDOログに書き込まれるためです。スナップショットを取得する前にそれぞれ
のデータベースをこのモードに設定し、スナップショットの完了時にこのモードを終了する必要があります。数十、
数百、あるいは数千ものデータベースに対してこの手順を実行しなければならない場合には、この複雑性が増しま
す。また、このモードの実行中、ブロック・イメージが変更されると、ブロック・イメージ全体がREDOログに書
き込まれ、追加のI/Oアクティビティが発生します。同じアレイで多数のデータベースが稼働している場合に、こ
のオーバーヘッドが増加します。
Oracle Database 12cのRECOVER.. SNAPSHOT TIMEコマンド(Advanced Compressionで利用可能)によって、バッ
クアップ・モードのデータベースなしに取得したストレージ・スナップショットを、1つの手順でリカバリできま
す。この機能は、現時点へのリカバリにも、スナップショット取得後の特定の時点へのリカバリにも対応しており、
追加の手順は必要ありません。この最適化では、これらのスナップショットを使用するあらゆるタイプのリカバリ
操作をサポートすることで、バックアップ・モードやそれに関連する複雑性とオーバーヘッドは事実上なくなり、
DBAは、より重要な本番タスクに時間を費やせるようになります。
Hybrid Columnar Compressionの行レベル・ロック
Hybrid Columnar Compression(HCC)テクノロジーは、一連のデータベース・ブロック内にデータを構成するた
めの手法です。HCCでは、行を使用した手法と列を使用した手法を組み合わせてデータを格納します。圧縮単位(CU)
と呼ばれる論理的な構成体を使用して、HCCで圧縮された一連のデータが格納されます。データがロードされると、
行グループが列形式で保存され、特定の列の値が一緒に格納されて圧縮されます。行セットの列データは圧縮され
てから圧縮単位に格納されます。
Hybrid Columnar Compressionは1CUにつき1ロック使用します。オプションで、圧縮単位の行レベル・ロックを
有効化することもできます。HCCの行レベル・ロックを使用するには、Oracle Advanced Compressionオプション
が必要となります。また、Exadataストレージでのみ使用できます。HCCでのデフォルト設定は、NO ROW LEVEL
LOCKINGで、ROW LEVEL LOCKINGは、CREATE TABLEまたはALTER TABLE MOVE操作時に明示的に指定します。
以下は、HCCの行レベル・ロックを有効化する例となります。
… COMPRESS FOR [compression_type] [ROW LEVEL LOCKING | NO ROW LEVEL LOCKING]
HCCについて詳しくは、
http://www.oracle.com/technetwork/jp/server-storage/engineered-systems/exadata/index.htmlを参照してくだ
さい。
Exadata Flash Cache Compression
Exadata Flash Cache Compressionは、フラッシュ・キャッシュにロードされるユーザー・データを透過的に圧縮
することによって、フラッシュ・キャッシュの論理容量を動的に増加させます。これにより、フラッシュ内に大量
のデータを保持できるため、ディスク・ドライブ上のデータにアクセスする必要性が減少します。フラッシュ内の
データへのI/Oは、ディスク上のデータへのI/Oと比べて数桁早い実行速度です。圧縮および圧縮解除操作はアプリ
ケーションやデータベースに対して完全に透過的に実行されます。また、1秒あたり数百万I/Oの速度で動作してい
る場合であってもパフォーマンス・オーバーヘッドは発生しません。
ユーザー・データの圧縮率によって異なりますが、Oracle Exadata Storage Server Softwareは、フラッシュ・キャッ
シュを動的に最大で2倍に拡大します。圧縮による効果は、データ内の冗長性によって異なります。圧縮されてい
14 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
ない表と索引では、領域を最大に削減できます。OLTP表圧縮を使用した表と索引では、大幅に領域を削減できま
す。Hybrid Columnar Compressionを使用する表では、領域の削減は最小になります。この機能は、Exadataスト
レージ・プラットフォーム上でのみ利用でき、Exadataストレージ・プラットフォームにアクセスするすべてのデー
タベース・プロセッサは、Oracle Advanced Compressionのライセンスを取得している必要があります。
最小ハードウェアは、Sun Server X4-2L サーバーを使用したOracle Exadata Storage Serverです。最小ソフトウェ
アは、Oracle Exadata Storage Server Softwareリリース11.2.3.3です。
オンライン・パーティション移行(任意の圧縮形式へ)
ALTER TABLE ... MOVE PARTITION ONLINEにより、移行中のパーティションに対してDML操作を中断せずに実行し
続けることができます。グローバル索引は、パーティション移行中に維持されるため、手動による索引の再作成が
不要になります。
一部のオンライン・パーティション移行の利用方法では、Advanced Compressionが必要になります。特に、ユー
ザーがこの機能を使用してパーティションを圧縮形式(基本圧縮、高度な行圧縮、Hybrid Columnar Compression
を含むあらゆる圧縮形式)に移行する場合に、Oracle Advanced Compressionオプションのライセンスが必要にな
ります。
標準搭載の圧縮機能
Oracle Database 12c Enterprise Editionには、個別のライセンスを必要としない、以下のような標準の圧縮機能が
多数搭載されています。
Oracle Storage(Pillar Axiom、ZFSSA)で使用するHybrid Columnar Compression
Hybrid Columnar Compression(HCC)テクノロジーは、一連のデータベース・ブロック内にデータを構成
するための手法です。HCCでは、行を使用した手法と列を使用した手法を組み合わせてデータを格納しま
す。
圧縮単位と呼ばれる論理的な構成体を使用して、HCCで圧縮された一連のデータが格納されます。データ
がロードされると、行グループが列形式で保存され、特定の列の値が一緒に格納されて圧縮されます。行
セットの列データは、圧縮されてから圧縮単位に格納されます。
同じデータ型で類似した特性を持つ列データを一緒に格納することで、圧縮によるストレージ節約量が大
幅に向上します。通常のHCC圧縮率は、使用するHCC圧縮のタイプに応じて、6~15倍程度になります。
Hybrid Columnar Compressionは、最初はExadataでのみ使用できましたが、Oracle Database Enterprise
Edition 11.2.0.3以降とともに使用する場合に、Pillar AxiomおよびSun ZFS Storage Applianceストレージもサ
ポートするように拡張されました。
HCCの詳細については、Oracle Hybrid Columnar Compressionのテクニカル・ホワイト・ペーパー 1を参照
してください。
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http://www.oracle.com/technetwork/middleware/bi-foundation/ehcc-twp-131254-ja.pdf
15 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
基本表圧縮
10年以上も前、Oracle9i Databaseに、バルク・ロード操作を使用してロードされたデータを圧縮する基本
表圧縮が導入されました。基本表圧縮は、Oracle Database Enterprise Editionの機能です。
高度な行圧縮とは異なり、基本圧縮では、最初のバルク・ロード実行後の表に対して実行されるDML操作
(INSERT/UPDATE)には圧縮は適用されません。基本圧縮と高度な行圧縮のディスク上の形式は同一です。
そのため、表/パーティション上のストレージ定義を変更して、基本圧縮から高度な行圧縮に変換すること
は技術的には可能です。
Oracle RMAN基本圧縮
Oracle Recovery Managerには、バックアップ・セットのバイナリ圧縮を実行するための基本圧縮機能が搭
載されています。
Data Pumpメタデータ圧縮
COMPRESSIONパラメータを使用して、Data Pumpエクスポート中に書き込まれるメタデータのサイズを削
減できます。
索引圧縮
索引キー圧縮は、ユーザーが、索引または索引構成表内の主キー列の値の一部を圧縮するためのOracle
Databaseの機能で、繰り返される値の保管オーバーヘッドを削減します。
キー圧縮によって、索引キーがプリフィックス・エントリ(グループ化の部分)とサフィックス・エント
リ(固有の部分)に分割されます。このプリフィックス・エントリを1つの索引ブロック内の複数のサフィッ
クス・エントリで共有することで、圧縮を実現します。
Bツリー索引のリーフ・ブロックにあるキーのみが圧縮されます。キー圧縮は、索引ブロック内部で実行さ
れますが、複数の索引ブロックにまたがって実行されることはありません。索引は、下層の表データが圧
縮されているかどうかに関係なく圧縮できます。
結論
企業は、データ量の急増という重要な問題に直面しています。つまり、収益に影響を与えずに、変化するビジネス
状況に迅速に適応する必要があるということです。ITマネージャーは、既存のインフラストラクチャを効率的に管
理してコストを制御しながら、優れたアプリケーション・パフォーマンスを提供し続けていく必要があります。
Oracle Advanced CompressionとOracle Database 12cはともに、この複雑な環境で、ITマネージャーを成功に導く、
一連の堅牢な圧縮パフォーマンスおよびデータ・ストレージ最適化機能を提供します。
企業は、Oracle Advanced Compressionを利用することにより、データセンターのすべてのコンポーネントを通し
て、増大するデータ要件を効率的に管理でき、最高レベルのアプリケーション・パフォーマンスを実現しながら設
備投資と運用コストを最小限に抑えられます。
16 | Oracle Database 12cのOracle Advanced Compression
Oracle Corporation, World Headquarters
海外からのお問い合わせ窓口
500 Oracle Parkway
電話:+1.650.506.7000
Redwood Shores, CA 94065, USA
ファクシミリ:+1.650.506.7200
著者:Michael Ramchand、Peter Wilson、Martien Ouwens
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