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共通重点事項 説明力を育てるために 1 「伝えよう、大切にしたい名言」の

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共通重点事項 説明力を育てるために 1 「伝えよう、大切にしたい名言」の
共通重点事項
1
説明力を育てるために
「伝えよう、大切にしたい名言」の学習
(1)名言の力
6年生の課題として、自分の考えを話すことに抵抗を感じている子どもが多いこと
が挙げられる。アンケート調査の結果から国語科の学習
が 好 き な 子 ど も は 多 い が 、「 話 す こ と 」「 聞 く こ と 」 へ の
関心は低いことが分かった。そこで、名言がもつ言葉の
力 を 活 用 し て 「 話 し た い 」「 伝 え た い 」 と い う 意 欲 を 高
めたいと考えた。そこで、友達との交流活動の場を設け
る こ と で 「 話 す こ と 」「 聞 く こ と 」 へ の 抵 抗 を 軽 減 し 、
自分の考えを分かりやすく話す力を付けたいと考え、こ
の単元を設定した。
(2)グループでの交流
話すことへの抵抗を少なくするために、全体でのスピ
ーチ発表の前に3人のグループでの交流の時間を設け
た。自分の発表内容について友達からアドバイスをもら
うことで、安心して次の活動に取り組むことができた。交流の仕方についても「もっ
と 共 感 し て も ら う た め に は 。」「 自 分 の
選 ん だ 経 験 は 分 か り や す い か 。」「 構 成
は ど う か 。」「 詳 し く し た ら よ い と こ ろ
は 。」「 名 言 を 言 っ た 人 に つ い て も っ と
知 り た い こ と は な い か 。」 な ど 、 ア ド バ
イスしてほしいことを聞き手に伝えてか
ら自分の考えを発表するようにした。こ
のような手立てを講じることにより、聞
き手も聞く観点が明確になり、真剣に友
達の発表をより良くする方法を考えてア
ドバイスする姿が見られた。また、友達のスピーチを聞くことで、自分と共通点があ
ることも知り、交流の後で、アドバイスを生かすだけでなく、自分のスピーチ内容を
しっかりと見直しもっと良くしようとする姿も見られた。
(3)構成の工夫
自分の考えをより分かりやすく伝える方法として、スピーチの構成を工夫するよう
に し た 。 本 単 元 で は 、 ス ピ ー チ の 内 容 と し て 「 選 ん だ 名 言 」「 意 味 」「 選 ん だ 理 由 や
心 に 残 っ た 所 」「 名 言 と つ な が り の あ る 経 験 」「 ま と め 」 を シ ー ト に 書 い た 後 、 そ れ
ぞれの話す順番を自分で考えることを構成の工夫とした。聞き手に、同じような経験
を話してより強く共感してもらうために、経験を先に話して名言の意味を説明するパ
ターン、名言の意味を説明してから経験で説得力を増すパターンなどを例に示し、話
- 26 -
す順番によって伝わり方が違うことを知らせた。自
分の選んだ名言の詳しい意味の説明が必要か必要で
ないかによっても構成の仕方に工夫が見られた。
(4)名言カレンダーの作成
単元を貫く言語活動として、学習のまとめに名言
カレンダーの作成を位置付けた。集めた名言の中か
らカレンダーに載せるものを選び、一人6枚のカレ
ンダーを作成した。名言を選ぶ際には、季節感や来
年の自分の生活などを想像しながら楽しそうに活動
する姿が見られた。そして、どのカレンダーも自分
を見つめたり、勇気をもらえたりする内容の名言で
仕上げることができた。新年を迎え、カレンダーを
家の中に飾ることで、継続して学習したことが有効
に活用されると思われる。
学年重点事項
1
自分の考えを明確に伝える子どもの育成
「学級討論会をしよう」の学習
(1)役割分担と準備
自分たちにとって身近な話題をもとに、計3回の討論会を行った。話題は「朝食は
ご 飯 よ り も パ ン が よ い 。」
「 物 語 は テ レ ビ や 映 画 で 楽 し む よ り も 本 で 楽 し む 方 が よ い 。」
「 動 物 園 に い る 動 物 は 幸 せ で あ る 。」 の 3 つ を 用 意 し 、 肯 定 側 で も 否 定 側 で も 考 え や
すいものにして、学級の6班の全員がどれかの話題を担当するようにした。肯定グル
ー プ と 否 定 グ ル ー プ は 「 初 め の 主 張 を す る 人 」「 相 手 側 か ら の 質 問 に 答 え る 人 」「 最
後の主張をする人」の役割を班のメンバーで分担し一人一人が討論で話す機会を設け
るようにした。討論の準備の時間では、それぞれの主張の理由やどんな質問が出るか
想定した答え方などを班のみんなで一緒に考えシートに書いて用意したので、討論会
ではメモを見ながら自信をもって自分たちの主張を話す姿が見られた。
(2)討論の進め方
討論会では、肯定グループ、否定グループ、討論を聞くグループ、司会進行グルー
プに分かれ、一つの話題について各班でそれぞれの役割を担当して進めた。また、聞
くグループも各班の主張を聞いてから質問をする場を設け、討論に参加するようにし
た。そして、討論の終了後、それぞれの意見の対立点を明確にし、互いの意見の中で
よりよい解決策をグループでまとめて最後に提示した。どの班にも役割や発表する場
があることで、みんなで緊張感をもって討論会を進めることができた。
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2
「ガイドブックを作ろう」の学習
(1)修学旅行の体験を生かして
6年生にとって修学旅行は一番の思い出である。そ
こで、その体験や思い出をガイドブック作りに生かす
ことにした。事前におおよその構成や形式を知らせ、
実際の旅行ガイドブックやインターネットで資料を集
めた。旅行後には思い出の写真や見学先でもらった資
料なども活用し、ガイドブック作りを行った。
(2)思い出に残るガイドブック
それぞれのページには、必ず自分の考えや気持ちを
書くようにした。各自たくさんの思い出をもっている
ので、みんな意欲的に作成に取り組んでいた。完成し
たら5年生にも見てもらうという目的もあり、来年の
修学旅行の参考になるように内容を工夫していた。修
学旅行の思い出を分かりやすくまとめることができ、完成してからも、友達のガイド
ブックを見合う姿が見られた
成果と課題
1
成果
・自分の考えをみんなの前で話すことへの抵抗感が大きかったが、話す内容を焦点化
させたり、グループでアドバイスをし合う交流の時間を設けたりすることで、自信
をもって話す子どもの姿が多く見られるようになった。
・聞き手がアドバイスをする交流活動を設けることで、話し手だけでなく聞き手も真
剣に友達の話したいことを聞き取ろうとしていて、聞くことの大切さを感じること
ができた。
・子どもたちは本やインターネットなどから、たくさんの偉人の名言やことわざなど
を調べ、これからの生き方の参考になる考え方を知ることができた。言葉の力に魅
力を感じたことで、国語科の学習への意欲も高まった。卒業を控え、総合的な学習
の時間で未来を見つめている6年生にとって、有効な学習となった。
2
課題
・体験したことや調べたことが充実していると、自分の考えも伝えたいという意欲も
高まると思う。単元を構成するにあたっては、これからも魅力的な学習材作りが必
要と思われる。また、毎年の単元開発で有効な資料は蓄積し、次年度へも生かすこ
とができるようにしたい。
・語彙を増やす、場に応じた言葉遣いができるようにする、経験を豊かにする、読書
量を増やすなど、説明力を高めるための力も付けていきたい。また、説得力のある
説明の仕方などの技術的なことを身に付ける時間も計画的に取り入れたい。
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