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早稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部
小中学生向け科学実験教室ユニラブ25年間の取り組み
早稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部 技報 No.41
報
(2013)
告
小中学生向け科学実験教室ユニラブ25年間の取り組み
技術企画総務課
柿下
尚哉
(Naoya Kakishita)
技術部
齋藤
泰秀
(Yasuhide Saito)
1988 年の理工学部創立 80 周年記念事業の一環として始まった小中学生向け科学実験教室ユニラブが
2012 年で四半世紀の 25 周年を迎えた.当初は1年限りの予定であったが,参加者からの評判が高く,
問い合わせが急増したこともあり,規模の拡大やコンテンツの改良を進めつつ,毎年継続して開催して
いる.この間,文部省(当時)から委嘱された「科学系博物館活用ネットワーク事業」として,科学系
博物館と連携したり,新規実験テーマを開発するなど,より充実した実験機会を広げる活動を進めたり,
小中学生を対象とした科学実験教室の効果的な実施法についての調査・研究も進めてきた.本報では,
ユニラブの概要のほか,25 年間のユニラブ活動の変遷や教育効果を高めるために取り組んだ活動事例に
ついて紹介する.
1.ユニラブとは
2.ユニラブ概要(2012 年度 第 25 回ユニラブ)
「ユニラブ(University Laboratory の造語)」は
1988 年より 25 年間,運営方法の改善や新しい試み等
1988 年の理工学部創設 80 周年記念行事の一つとして
を実施しているが,ここでは第 25 回ユニラブ(2012 年
始まった小中学生向け科学実験教室であり,2012 年
8 月 7 日(火)実施)を例に概要を紹介する.
で 25 周年を迎えた.大学の施設や実験装置を活用し
2.1
た実験や工作を通じて小中学生が科学・技術に対する
第 25 回ユニラブでは 20 テーマの実験教室を実施した
興味や関心を高める機会を提供すること,そして,広
(表1)
.うち 12 テーマは研究室単位で担当し,教員ま
く大学を社会に公開することを目的としている.
たは助教・助手と研究室所属の大学生・大学院生が主体
当初は新宿区を中心とした近隣の小中学生を対象
となって実施,7 テーマは技術職員が運営する各実験室
としていたが,現在では日本全国から参加者が集まる
単位で対応している.今年度は,技術職員と研究員,学
ほどの大規模なイベントに成長し,参加者数は延べ
生有志が集まったグループでの参加もあった.基本的に
20,000 人に達している(図1).
表1.実験教室一覧(2012 年度 第 25 回ユニラブ)
理工学部創設
100周年記念
1400
保護者を含め約5000人が来場
1000
小1,2
小1,2
定員
实施为体
AM PM
20 20 社会環境工学科 秋山研究审
20 20 化学・生命化学科 寺田研究审
研究审
研究审
とびだす絵をつくろう
おり紙ハウスを建てよう!
身近なもので化学实験
小1,2
小1,2
20
20
20 表現工学科 河合・盛川研究审
20 建築学科 新谷研究审
研究审
研究审
400
第20回
(2007年)
第15回
(2002年)
第10回
(1997年)
第5回
(1992年)
200
第25回
(2012年)
体験コーナー实施により
およその数で集計
600
小1,2
25
25 化学分析实験审
小2,3
20
発泡スチロールを溶かしてみよう!
小3,4
20
「おわんくらげ」 光る! 不思議
液状化について学ぼう
ろうそくの火で動く船 – ポンポン船を作ってみよう
魔法のコンピュータツールを使って楽しく遊ぼう!
人造イクラを作ろう
小3,4
小3,4
小3,4
小3-6
小5,6
20
20
20
20
20
20 電気工学实験审
総合機械工学科
20
中垣・永田研究审
20 忚用化学科 清水研究审
20 土質实験审
20 総合機械工学科 草鹿研究审
20 情報工学科 深澤研究审
20 忚用化学科 桐村研究审
レンズを作ろう!~ゆがみのないレンズ~
工作機械を使ってホイッスルを作ろう!
地球環境にやさしいエンジンを作ろう
小5,6
小5,6
小5,6
20
20
20
太陽の塔 ソーラーチムニーって何?
小5,6
20
体とコンピュータをつなげてみよう!
小5,6
10
アミノ酸の結晶を作って顕微鏡でのぞいてみよう
光に反忚するロボットカーを製作しよう!
君達は お母さん似? お父さん似? ~ 光るD
NAが伝える神秘 ~
図1.参加者数の推移
1
対象
学年
光ファイバーを使って七色に光る花を作ろう!
~色が変わる?!消える?!魔法の溶液で实験してみよう
800
第1回
(1988年)
参加者人数
粘土で鉄道の橋をつくってみよう
しゃぼん玉のふしぎ!!
实験教审 項目名
1200
0
ユニラブの柱である多種多様な実験教室
小5~
中学生
中学生
中学生
20 物理系基礎实験审
20 工作实験审
20 熱工学・流体・制御工学实験审
総合機械工学科
20
永田・中垣研究审
電気・情報生命工学科
10
情報学習システム研究审
20
20 生命医科学科 朝日研究审
30
20
職員
職員
研究审
研究审
職員
研究审
研究审
研究审
職員
職員
職員
研究审
研究审
研究审
技術部職員+研究員+学生有志
20 先端生命医科学センター实験审
職員
小中学生向け科学実験教室ユニラブ25年間の取り組み
早稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部 技報 No.41
は午前・午後の各1回,約2時間の実験教室であるが,
(2013)
3.教員・職員・学生協力者の役割
中学生向けの一部のテーマは午前から午後にかけて実施
ユニラブには,ほぼすべての技術部職員(技術職員+
約 150 人)と多くの教員・学生・事務職員
している.780 人の定員枠があり,インターネットにて
嘱託職員等
申し込み,参加希望者多数の場合は抽選としている.
が一丸となって取り組んでおり,第 25 回ユニラブでは
実施場所の約半分は大学生が実験科目で使用する専門
全体で約 300 人の教職員・学生が関わった.中でも技術
実験室などの施設にて実施している.このように小中学
職員にとっては組織力・技術力を活かして社会貢献がで
生があまり見る機会の無い環境で実験できることも好評
きるよい機会であるとともに,効果的な指導方法・プロ
であり,ユニラブの特徴の一つとなっている.
グラムを考えるプロセス 1)~8)は実験科目や研究支援で大
学生に指導する際に参考となるところも多く,業務の一
2.2
自由に参加できる実験体験コーナー
つに位置づけて取り組んでいる(参考:Appendix 技術
事前の申し込みが無くても自由に参加できる実験体験
部組織紹介)
.教職員・学生協力者の役割は大きく「事務
コーナーを 10 テーマ実施した(表2)
.短時間(5~20
局」
「実験教室・実験体験コーナー企画担当」
「運営担当」
分程度)でできる簡単な工作や実験などを通して,先端
に分類される.次にこれらの役割を紹介する.
技術や様々な不思議に触れる多くの機会を創出すること
3.1
を狙いとしている.また,実験教室での抽選に外れた子
どもたちへ尐しでも機会を与えたいという目的も大きい.
参加者数は,液体窒素の不思議
/スライムを作ってみよう
1175 人(保護者含む)
担当している(表4)
.当初は技術職員の属する各職場か
ら選出されたメンバーで構成されるユニラブ実行委員会
300 人が参加した.
が中心となり事務局運営をしてきたが,事務局の役割も
表2.実験体験コーナー一覧(2012 年度 第 25 回ユニラブ)
实験体験コーナー 項目名
粉じん爆発
競争だ!DNAの模型を組み立ててみよう!
身の回りの放射線を調べる。
不思議な目のマジック!
ペットボトルで空気砲!?
スライムを作ってみよう!
液体窒素の不思議
歩いて距離を測ろう
化石のレプリカを作って古生物と友達になろう
自分だけのオリジナルキーホルダーを作ろう
ユニラブに関する大きな方向性は,理工学術院長室を
始めとする教員や技術職員で構成される実験教育センタ
ー運営委員会にて協議され,事務局は技術企画総務課が
566 人/ペットボトルで空
370 人であり,その他ブースへはそれぞれ 100~
気砲
事務局の役割
ほぼ固定してきたことから,数年前から技術企画総務課
の一つの業務として担当している.
实施为体
環境資源工学科 名古屋研究审
生命医科学科 朝日研究审
技術部
早稲田实業学校科学部
理工展連絡会
理工展連絡会
理工展連絡会
測量实習审
早稲田大学高等学院理科部地学班
理工センター事務部・技術部
研究审
研究审
職員
高校生
学生
学生
学生
職員
高校生
職員
表4.事務局の主な役割
全体企画
運営方針案の検討・会議体への提案
広報
プレスリリース,近隣小中学校・児童館へ
のポスター配布,web サイト管理(*1) 等
コンテンツ募集
実験教室企画募集,実験体験コーナー企画
募集,講演会企画募集 等
参加者募集
募集,抽選,事務連絡,名札・修了証・名
簿の準備 等
運営統括
実験教室担当者説明会,当日運営担当者説
明会,予算管理 等
で過ごしている場合が多々見られる.そこで,待ち時間
会場調整
実験場所の配当・調整,案内掲示物の作成
を有意義に過ごしていただけるよう,保護者向け講演会
貸出物品調整
安全メガネ,白衣,工具,文具類 等
2.3
保護者向け講演会
低学年の保護者は実験場所で参観しているケースが多
いが,高学年生の保護者は保護者控室やラウンジ,食堂
(*1)早稲田大学ユニラブ web ページ
を開催した(表3)
.約 40 人の保護者が参加し,大変興
味深かったとの声が多く寄せられた.
等
http://www.waseda.jp/unilab/
実験教室担当者説明会では,物品購入や支払請求方法
等の事務連絡に加えて,「より良いユニラブにするため
表3.保護者向け講演会(2012 年度 第 25 回ユニラブ)
に」と題し,小中学生の理解が深まる工夫の実例や学年
保護者向け講演会「脳と言語:ことばの力 再発見」
講演者:理工学術院英語教育センター 片田 房 教授
時間: 13:30~14:30
ごとの学習内容をまとめた「小中学生カリキュラムマッ
ことばを話す能力は,いつ,どうやって身につけたのでし
ょうか.皆さまは,ことばを構成する音素の発見が遺伝子
の解読にも大きなヒントを与えたということをご存知で
すか.本講演では,ことばを獲得する力を備えた人間の脳
と身体の特徴についてお話をし,普段意識もしない母語を
話せる力の凄さを実感していただきます.
実験内容やプレゼンとなるよう促している.これらは,
プ」,「漢字チェックツール」を紹介し,習熟度にあった
後述(5.2項)する「小中学生を対象とした科学実験
教室の効果的な実施法についての調査・研究」による成
果を適用したものである.
参加者募集案内は web サイトの他,近隣小中学校・児
童館へのポスター配布や近隣区の広報誌への掲載,プレ
2
小中学生向け科学実験教室ユニラブ25年間の取り組み
早稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部 技報 No.41
スリリースにて広報している.全国版の新聞で紹介され
4.1
(2013)
ユニラブのはじまり
たこともある.これらの広報活動の他,兄弟・友人の紹
ユニラブは 1988 年の理工学部創立 80 周年記念事業の
介や毎年継続して参加している小中学生も多く,抽選を
一環として,機械工学科(当時)の永田勝也教授からの
せざるを得ないケースが増えている.そのため,理工学
提案がきかっけで始まった.当初は小中学生からやって
部創設 100 周年記念 第 21 回ユニラブ等では2日間にわ
みたい実験課題を募集し,その中の優秀なものを理工学
たって実施し,機会を増やした例もある.
部の設備を使ってやってみようというアイデアで,近隣
3.2
の小中学校に訪問し,アイデアを募集した(図2).多額
実験教室・実験体験コーナー企画担当の役割
の費用が掛かるものや危険性が高すぎるもの等の極端な
実験教室,実験体験コーナーは研究室単位(指導教員
もの,逆に現実的すぎるものが多く,第1回ユニラブで
+学生・大学院生等),もしくは,技術職員管轄の実験室
は最終的には技術職員でテーマを考え実施したが,第2
単位,学生有志のグループ(サークル等)で担当する.
回・第3回とアイデア募集をする中で「真空中の液体の
担当する研究室は部科主任会(主に学科主任の教員で構
沸騰」「磁石が浮く超電導実験」「いろいろな機械を分解
成される会議体)で公募している.毎年継続的に担当す
してみたい」などいくつかの実験が実現した.今となっ
る研究室のほか,学科によっては持ち回りで担当してい
ては実験教室が主な柱であるが,このように当初は「小
るケースもある.学生有志はサークル活動の一環として
中学生による独創的実験公募」が出発点であった 9) 10).
位置づけ,毎年恒例行事として参加しているグループも
1988 年当時は「理科離れ」という話はあまり聞かれず,
ある.
近隣の小中学校の校長に参加者募集の案内を依頼しても
これらグループは実験教室および実験体験コーナー企
断られることが多かったが,理科離れが話題となるのと
画の検討・申請から準備,予備実験,当日指導など,責
ほぼ同時期の 1995 年頃には小中学校長会でユニラブが
任を持って遂行している.実験教室担当者説明会にて紹
紹介されるなど,各学校で参加を推進するほど社会環境
介しているプログラムチェックシート(5.2項)で確
が変化したようである 9).
認しながら,理解が深まる工夫なども反映している.
3.3
運営担当の役割
ユニラブ当日は,
「ユニラブ本部」
,
「会場案内」
,
「実験
教室受付」等の運営スタッフが必要であり,理工センタ
ー職員(事務職員・技術職員・嘱託職員等
約 70 人)
が担当している.
「ユニラブ本部」は総合案内や忘れ物対
応等を担当している.実験教室参加者は,実施場所に直
接集合するため,多くの「会場案内」を配置し,迷って
いる参加者をサポートしている.
「実験教室受付」は各実
図2.おもしろ実験のアイデア例
施場所にて,出欠確認や名札の配布,連絡事項等の説明
を行う.
4.2
拡大する教員・学生・学外組織の関わり
数年前までは,参加者全員を一か所に集め,全体挨拶
当初は技術職員が組織力を活かして,主体的に実験テ
や出欠確認等を実施し,その後引率担当者により,各実
ーマの企画・実施や運営を進めてきた.継続的に活動を
験場所へ案内していたが,尐しでも長く実験教室への割
進める中で,より充実したイベントにするには教員と職
り当て時間を確保できるよう,実験場所へ直接集合する
員が連携して実施していく必要があるという機運が高ま
よう変更した.これに伴い,実験教室毎に受付担当要員
り,第4回では「剣道ロボットと遊ぼう(機械工学科 井
を配置し対応することとなったが,30 分程度長く,実験
口研究室」「身の回りの科学(応用物理学科 小林寛研究
教室に割り当てられる時間を確保でき,現在では2時間
室)」「これが省エネ自動車(1リットルカー)だ(機械
を割り当てている.
工学科 永田研究室)」の3テーマが実施され,その後も
テーマ数が増加し,第 25 回では14の研究室が実験教
4.25 年間のユニラブ活動の変遷
室や実験体験コーナーを担当している(図3)
.
本項では,ユニラブの始まりからの変遷をまとめる.
第 11~13 回では,当時取り組んでいた「科学系博物
まとめるに当たり 25 年前からの担当者がファイリング
館活用ネットワーク事業」の一環として(5.1項参照)
,
している資料等を参考にした.
帯広市児童館,富山市科学文化センターがユニラブにて
3
小中学生向け科学実験教室ユニラブ25年間の取り組み
早稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部 技報 No.41
(2013)
実験教室やサイエンスショーを行っている.
第 21 回のユニラブは理工学部創設 100 周年事業の一
環であり,大規模に実施した.その際に協力のあった理
工展連絡会(学生サークル)(*2)や早稲田大学の付属・
系属校(早稲田実業学校や早稲田大学高等学院等の教
諭・高校生)はその後,継続的に参画している.小中学
生と年齢の近い,高校生や大学1~2年生が担当となっ
て直接指導しており,参加者からの評判も高い.
このように,一部の技術職員からなる実行委員会主体
から始まり,ほぼすべての技術職員,そして,教員とそ
の研究室所属学生に広がり,現在では学生サークル等も
主体的に関わるほど,規模と分野が拡大している.
(*2)理工展連絡会
理工系学部の集まる西早稲田キャンパスにおける学園祭の名称が
「理工展」であり,この理工展の企画・運営を行う学生サークル.
図5.実験体験コーナー配置図 (第 21 回ユニラブ,2008 年)
理工学部創設
100周年記念
25
研究审
(教員・学生)
20
15
技術職員
10
第25回
(2012年)
第20回
(2007年)
第15回
(2002年)
第10回
(1997年)
付属・系属校等
第5回
(1992年)
0
学生有志
(サークル含む)
企業連携
5
第1回
(1988年)
实施項目数 (实験教审・体験・演示・实験ツアー)
30
図3.所属別実施テーマ数の推移
4.3
図6.実験体験コーナーの様子 (第 21 回ユニラブ,2008 年)
企画分類ごとのテーマ数の推移
第1回ユニラブでは7テーマの実験教室と3テーマの
展示・演示実験を実施した.その後,実験教室は年々増
加し,早稲田大学創立 125 周年記念企画である第 20 回
(2007 年)では 32 テーマを実施した(図4)
.体験・
演示等は毎年,数テーマ実施していたが,理工学部創設
早稲田大学創立
125周年記念
35
理工学部創設
100周年記念
30
实験教审
20
図7.実験ツアー内容 (第 21 回ユニラブ,2008 年)
15
体験・演示等
10
表5.先端研究のおはなし(講演会)(第 21 回ユニラブ)
实験教审とツアー
の2本柱の試み
講演
講演題目
おしっこは何から作られますか?
深海ってどんなところ?
心臓をつくる
人間型ロボットってどうやって作るの?
音をみる
右と左のサイエンス
~ようこそ、キラルワールドへ!~
宇宙に関するテーマ
第25回
(2012年)
第20回
(2007年)
保護者向け
講演
第15回
(2002年)
0
第10回
(1997年)
实験ツアー
第5回
(1992年)
5
第1回
(1988年)
实施項目数
25
図4.企画分類ごとのテーマ数の推移
4
講演者
忚用化学科 酒井清孝先生
海洋研究開発機構(招待講演)
総合機械工学科 梅津先生
総合機械工学科 高西先生
表現工学科 及川先生
生命医科学科 朝日先生
宇宙航空研究開発機構(招待講演)
小中学生向け科学実験教室ユニラブ25年間の取り組み
早稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部 技報 No.41
(2013)
100 周年記念の第 21 回(2008 年)では 21 テーマの実
うようなコメントもあったが,多くの参加者が学ぶこと
験体験コーナーを実施し(図5,図6)
,これまでにない
に苦手意識を持たず,学ぶ楽しみを感じてもらえること
多数の小中学生と保護者が来場した(図1)
.第 21 回ユ
が,我々の最大のモチベーションでもある.
ニラブでは実験ツアーと講演会も大規模に実施した.実
5.教育効果を高めるために取り組んだ活動事例
験ツアーとは大型の実験装置や特殊な実験機器等を使っ
イベントとしてのユニラブを実施するだけでなく,ユ
た実験を見学しながらキャンパスを巡る60分程度のツ
ニラブを介し,広く青尐年が科学に触れる機会を提供す
アー企画であり,3つのコースを用意し,2日間で計1
る活動や科学実験教室をより効果的に実施するための調
6回開催した(図7)
.参加定員は小中学生20名/回と
査・研究を進めてきた.ここでは教育効果を高めるため
その保護者であったが,多くの参加希望があり抽選をせ
に取り組んだ活動事例についての概要とユニラブへの関
ざるを得ないほど好評だった.講演会は「先端研究のお
わりを紹介する.
はなし」と題し,教員や企業担当者が講演した(表5).
5.1
講演時間は 1 回 30 分で複数回実施する講演もあり,2
科学系博物館活用ネットワーク推進事業 12) 13)
(1997-1999)
日で全9回実施した.
4.4
1997 年より 3 年間,文部省生涯学習局社会教育課から
ユニラブ参加者の費用負担
「科学系博物館活用ネットワーク推進事業(正式名称:
ユニラブは学内施設や装置機器を使用して行うが,実
青尐年科学系博物館・早稲田大学ネットワーク推進協議
験教室などで使用する消耗品やポスター・パンフレット
会)
」として委嘱され,釧路市青尐年科学館,帯広市児童
等の印刷費用,子ども用の安全メガネや白衣などの備品
会館,富山市科学文化センターと連携して事業を進めた.
購入費,参加者への傷害保険料等が必要となる.しかし,
これは全国にある科学系博物館とユニラブを通じて培っ
社会貢献・地域貢献として,大学の理解も得られ,予算
た科学実験の企画・運営のノウハウを持つ本学が相互に
化されており,実施当初より参加費は徴収していない.
連携し合い,進捗の著しい科学技術分野において常に新
また,これまで日本化学会,日本機械学会,応用物理
しい科学実験モデルを開発し,青尐年が科学実験に触れ
学会等の学会から金銭的なサポートを,多くの企業から
る機会をより広く提供することが目的である.
物品の支援 9)をいただている.
4.5
本事業は「調査活動」
「実験開発」
「ネットワーク構築」
参加者の声にみるユニラブの効果
「科学実験教室開催」の4つの柱で構成されており,前
参加者へのアンケートを見ていると「普段できないよ
述したように,
第 11~13 回ユニラブでは帯広市児童館,
うな実験・体験ができること」
「大学生や研究者と直接触
富山市科学文化センターが実験教室やサイエンスショー
れあうことができること」が貴重な機会となっており,
を実施した.また,29 の実験テーマを開発し(表6)
,
科学技術への興味や関心につながっているようである.
実験指導者育成講座の実施やインターネットを利用した
実際,ユニラブで学んだことをベースにさらに調査・
情報提供システムの整備,実験モデルのデジタルコンテ
検討を重ね,「東京都港区 中学生の環境に関する自主研
ンツ化などを実施した.ここで開発した実験テーマはそ
究 特別賞」を受賞した例もある
11)
.その他,学校での
の後のユニラブにおいても実施されている.
表彰を受けたとの感謝の手紙も多数いただいている.
表6.推進事業で開発した実験テーマ(抜粋)
さらには,ユニラブでの体験を忘れられず,本学理工
学部・大学院に入学し,研究の道を歩んでいる卒業生も
いる.この卒業生へのインタビュー記事によると,ユニ
ラブで本物のエンジンの解体と組み立てに夢中で取り組
んだことや大学生のお兄さんやお姉さんが研究者の卵み
たいに扱ってくれ,嬉しく誇らしい気持ちになったこと
非球面レンズの作成
電子回路工作
不思議なプロペラ
さかだちコマ
香りに挑戦
液晶温度計を作ろう
不思議なステンドグラス
インクを分けてみよう
ビー玉エンジンを作ろう
ピンホールカメラ
光ファイバーでイルミネーションフラワーを作ろう
等が現在につながったと記されている.
子どもの頃に見て,聞いて,触って,楽しみながら学
5.2
んだ体験は科学への興味や関心,知的探究心を自然と育
実施法についての調査・研究 14)(2006)
むものと考えて取り組んでいるが,これらは将来どの分
科学技術離れを食い止めるために科学実験教室を開催
野に進んでも共通して重要となる力である.アンケート
にて「たのしかったよ
小中学生を対象とした科学実験教室の効果的な
するなど全国的に様々な活動がなされている.しかし,
にっきでかくね(小1女)」とい
5
小中学生向け科学実験教室ユニラブ25年間の取り組み
早稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部 技報 No.41
(2013)
参加者の様子を見ていると感覚的には面白いと感じてい
手法のみならず,
「親の理科離れ」が子供たちに与える影
るものの,内容の理解につながらず貴重な機会を十分に
響についても着目し,保護者とともに参加する科学実験
活かしきれていない場面もみられる(表7)
.そこで,実
教室のあり方についても検討するなど,小中学生向け科
態を調査するとともに,科学実験教室を効果的に実施す
学イベント運営に対する提言も盛り込んだ.
る方法を調査・検討し(表8,表9)
,一般化した手法と
この活動の中で制作した小中学生カリキュラムマップ
して体系化し提言した.個々の実験プログラムに対する
(図8)や漢字チェックツール(図9)
,プログラムチェ
ックシートを始め,小中学生の理解が深まる工夫や提言
表7.現状の科学実験教室の問題点
実験の進め方
・情報が多すぎる
・一方的な講義
・実験のまとめを
していない
・試行錯誤をさせ
ていない
・受け身の実験に
なっている
内容は3.2項で紹介したように,定常的にユニラブの
実験環境
・説明者の手元が
見えにくい
・説明者の声が聞
きづらい
運営に取り込んで活用している.
小中学生カリキュラムマップ
生活科(1~2年生) ・ 理 科(3~6年生、中学)
算 数 ・ 数 学
長さをくらべる
個数・順番
集団や社会の一員として自分の役割や行動
身近な動物や植物などの自然との関わり
個数をくらべる
形の特徴を捉える
たし算・ひき算
(1桁)
(前後・左右・上下)
小2
表8.教育効果が高く一般的に広く活用できる方法
小3
日なたと日陰
日光:集めたり、反射させる
(明るくなる・暖かくなる)
悪安暗医委意育員院飲運泳駅央横屋温化荷界開階寒感漢
館岸起期実究急級宮球去橋業曲局銀区苦具君係軽血決研
県庫湖向幸港号根祭皿仕死使始指歯詩次事持式实写者为
守取酒受州拾終習集住重宿所暑助昭消商章勝乗植申身神
真深進世整昔全相送想息速族他打対待代第題炭短談着注
柱丁帳調追定庭笛鉄転都度投豆島湯登等動童農波配倍箱
畑発反坂板皮悲美鼻筆氷表秒病品負部服福物平返勉放味
箱の観察・作成 直角
命面問役薬由油有遊予羊洋葉陽様落流旅両緑礼列練路和
正方形・長方形・直角三角形 (200字)
(km・L・g)
10倍、100倍、10で割り
大きさ・表し方を知る
加法・減法(3桁)
磁石につくもの、
働きを調べる
乾電池に豆電球をつなぐ
あまりのある割り算
日・時・分・秒を知る
段落
億・兆の位を知る
二等辺三角形・正三角形
円・球・直径・半径
小4
概数・四捨五入
乾電池のつなぎ方を変えると明るさが変わる。
除数が2桁、被除数が3桁の除法
光電池をつかって、モーターを回す。
月や星の位置や明るさ、色をしらべる。
小数(1/10の位)の加減法
分数の表し方を知る
植物を育て、発芽・成長・結实の条件について考える。
天気の変化
偶数・奇数
平行四辺形・台形・ひし形
(おしべ・めしべ・種子)
小数の乗法・除法
流れる水の働き 魚の卵の変化の様子をしらべ、発生や成長を考える。 同分母の分数の加減法
水の温度や量による溶け方の違いを調べる。 てこ の仕組みや働き
物の動きの規則性を調べる(振り子、重さ、糸の長さ)
人の誕生
折れ線グラフ
括弧を使った四則演算
水が水蒸気や氷になる様子を観察
小5
漢字のへん、つくりを知る
3桁×1桁、2桁×2桁の掛け算
閉じ込めた空気や水に力を加え、かさや圧しかえす力の変化を調べる。
金属・水・空気は温度によってかさが変わる。
平行・垂直
面積計算(三角形・平行四辺形・円)
円周率
円グラフ・帯グラフ
パーセント
植物は日光を浴びてでん ぷんを作る
水溶液には酸性・中性・アルカリ性がある
地層 ← 地震・火山の噴火
理科(生活科)
電磁石
◆身近な物理現象
光の反射・屈折
実験内容の理解
が深まる
科学に触れる機
会が増える
中3
表9.効果的な科学実験教室を目指した施策の実施
おうちでやってみよう ステップアップ実験
実験教室で課題を提示し,帰宅後に実験を行い,結果や分か
ったことなどをレポートにまとめ返信してもらう「ステップ
アップ実験」を試行.それぞれが工夫をしながら,家族とと
もに実験し,理解を深めている様子が伺えた.
保護者とともに参加する科学実験教室
子どもと一緒に考え実験することで,保護者の科学に対する
理解も深まり,日常生活においても科学に触れ合う機会が増
えることを期待し,保護者とともに参加する実験教室を試行
した.その結果,保護者がアドバイスする様子や,参加者と
保護者が同時に同じ現象を観察している様子も見られ,保護
者とともに参加する科学実験教室の有効性を確認した.
音と振動の関係
力のつりあい条件
◆科学技術と人間
エネルギー資源
◆植物の生活と種類
光合成・呼吸・蒸散
◆大地の変化
地層のでき方
火山と地震
◆動物の生活と種類
感覚器官・神経系・運動器官
消化・呼吸・血液循環
◆天気とその変化
気温・湿度・気圧・風向
前線通過による天気変化
◆生物の細胞と生殖
体細胞分裂
親の性質が子に伝わる
◆地球と宇宙
地球の自転・公転
太陽の高度変化
太陽・恒星・惑星
◆自然と人間
微生物・植物・動物の
栄養摂取の関係
異分母の分数の加減法
体積(立方体・直方体)
体積の単位(cm 3)
分数の乗法・除法
三角柱・四角柱・円柱
最大公約数・最小公倍数
速さの意味・求め方
算数・数学
約分・通分
平面・底面
正の数・負の数
線対称・点対称
角の二等分線
圧力(力と面積の関係)
◆身の回りの物質
固体・液体・気体の性質
融点・沸点
酸・アルカリ(中和・塩)
◆電流とその利用
電流・電圧・電気抵抗
静電気の発生
コイル周りの磁界
磁石を動かし電流を得る
◆化学変化と原子・分子
化合・分解
原子・分子
化学反忚式
原子記号
◆運動の規則性
運動エネルギー
位置エネルギー
エネルギー保存
◆物質と化学反忚の利用
酸化・還元反忚
化学変化で熱や電気を取り出す
垂直二等分線
一元一次方程式
柱体・錐体の表面積・体積
不等号
比例・反比例
絶対値
座標
文字式の四則演算
連立二元一次方程式
一次関数のグラフ
同類項
三角形の合同条件
証明
確率
対頂角
平方根
式の展開・因数分解
二次方程式
三角形の相似条件
三平方の定理
素数・因数
二次関数のグラフ
修飾・被修飾語
圧移因永営衛易益液演忚往桜恩可仮価河過賀快解格確額
刉幹慣眼基寄規技義逆久旧居許境均禁句群経潔件券険検
限現減故個護効厚耕鉱構興講混査再災妻採際在財罪雑酸
賛支志枝師資飼示似識質舎謝授修述術準序招承証条状常
情織職制性政勢精製税責績接設舌絶銭祖素総造像増則測
属率損退貸態団断築張提程適敵統銅導徳独任燃能破犯判
版比肥非備俵評貧布婦富武復複仏編弁保墓報豊防貿暴務
夢迷綿輸余預容略留領(185字)
習字(毛筆)
異遺域宇映延沿我灰拡革閣割株干巻看簡危机揮貴疑吸供
胸郷勤筋系敬警劇激穴絹権憲源厳己呼誤后孝皇紅降鋼刻
穀骨困砂座済裁策冊蚕至私姿視詞誌磁射捨尺若樹収宗就
衆従縦縮熟純処署諸除将傷障城蒸針仁垂推寸盛聖誠宠専
泉洗染善奏窓創装層操蔵臓存尊宅担探誕段暖値宙忠著庁
頂潮賃痛展討党糖届難乳認納脳派拝背肺俳班晩否批秘腹
奮並陛閉片補暮宝訪亡忘棒枚幕密盟模訳郵優幼欲翌乱卵
覧裏律臨朗論(181字)
国語・漢字
( 2画) 又了
(3画) 及勺丈刃凡与 (4画)
井介刈凶斤幻互孔升冗双
丹弔斗屯匹乏匁厄
(5画) 凹且甘丘巨玄巧甲
込囚汁召斥仙占奴凸尼払
(6画) 扱芋汚汗缶企吉朽
叫仰刑江旨芝朱舟充旪巡
匠尽迅壮吐弐如肌伐帄妃
伏忙朴妄吏务
( 7画) 亜壱沖戒肝含岐忌
却狂吟迎呉坑抗攻更克佐
伺寿秀床抄肖伸辛吹杉即
妥択沢但沈呈廷尿妅忍把
(8画) 依炎押欧殴佳怪拐
劾岳奇祈宜拒拠享況屈茎
肩弦拘肯昆刺祉肢侍邪叔
尚昇沼炊枢姓征斉析拙阻
(9画) 哀威為姻疫卸架悔
皆垣括冠軌虐糾峡挟狭契
孤弧枯侯恒洪荒郊香拷恨
砕咲削施狩臭柔俊盾变浄
(10画) 浦悦宴翁華蚊核陥
既飢鬼恐恭脅桑恵倹兼剣
軒娯悟貢剛唆宰栽剤索桟
脂疾酌殊珠准殉徐宵症祥
(11画) 尉逸陰菓涯殻郭掛
喝渇乾勘患貫偽菊脚虚菌
偶掘啓掲渓蛍控婚紺彩斎
崎惨執赦斜蛇釈寂渋淑粛
図8.小中学生カリキュラムマップ
文字を用いた式
丁寧語・敬語
指示語・接続語
ロー マ字
愛案以衣位囲胃印英栄塩億加果貨課芽改械
害街各覚完官管関観願希季紀喜旗器機議求泣救給挙漁共
協鏡競極訓軍郡径型景芸欠結建健験固功好候航康告差菜
最材昨札刷殺察参産散残士氏史司試児治辞失借種周祝順
初松笑唱焼象照賞臣信成省清静席積折節説浅戦選然争倉
巣束側続卒孫帯隊達単置仲貯兆腸低底停的典伝徒努灯堂
働特得毒熱念敗梅博飯飛費必票標不夫付府副粉兵別辺変
便包法望牧末満未脈民無約勇要養浴利陸良料量輪類令
冷例歴連老労録(200字)
辞書を利用して調べる
約数・倍数
呼吸・消化・排出→二酸化炭素
小6
●科学的にアプローチする手法を
適用する
●基本的な現象の確認
●理解度に合わせた説明
●簡略化したものと実物との対比
●比較検討
●レポートを書かせる
●ワークシートの活用
●ブース型実験,体験展示型実験な
どの実施
三角形・四角形
を書く・作る
引羽雲園遠何科夏家歌画回会海絵外角楽活間丸岩顔汽記
帰弓牛魚京強教近兄形計元言原戸古午後語工公広交光考
行高黄合谷国黒今才細作算止市矢姉思紙寺自時审社弱首
秋週春書尐場色食心新親図数西声星晴切雪船線前組走多
太体台地池知茶昼長鳥朝直通弟店点電刀冬当東答頭同道
読内南肉馬売買麦半番父風分聞米歩母方北毎妹万明鳴毛
門夜野友用曜来里理話(160字)
長さ・かさ・重さの単位
万の位を知る
植物:根・茎・葉で構成/育ち方
中1
●製作のみ観察のみなどに偏らな
い実験プログラム構成
時刻をよむ
筆算
簡単な表とグラフ
昆虫:頭・胸・腹で構成/育ち方
中2
●身近な生活のつながりを示す
●本格的な装置を使う
●学生を指導者にし楽しく実験する
(mm、cm、m)
たし算・ひき算(2桁)
気づいたこと楽しかったことなどを
言葉・絵・動作・劇などにより表現
期待される効果
モチベーション
の向上
科学への興味に
つながる
それぞれの作業
の意味について
の理解が深まる
科学的概念の獲
得に有効
長さの単位
かけ算・九九
遊びや生活の工夫
一右雤円王音下火花貝学気九休玉金空月犬見五口校左三
山子四糸字耳七車手十出女小上森人水正生青夕石赤千川
先早草足村大男竹中虫町天田土二日入年白八百文木本名
目立力林六(180字)
位置を表す
千の位までの大小や順序
実験方法,手法など(実例調査)
国 語 ・ 漢 字
100までの数
身近な人々・地域の様々な場所・公共物
小1
構成・内容
・実験の指導者が参
加者の学習レベ
ルを十分に把握
していない
・プレゼンに図表が
尐ない
・時間配分が不適切
・目的が不明瞭
(12画) 握偉渦詠越援奥喚
堪換敢棺款閑幾棋欺喫距
暁琴遇隅圏堅雇御慌硬絞
項詐傘紫滋軸湿煮循掌晶
(13画) 違煙猿鉛嫁暇禍雅
塊慨該較隔滑褐勧寛頑棄
詰愚虞靴傾携継傑嫌献遣
誇鼓碁溝腰債催歳載搾嗣
(14画) 維稲隠寡箇概駆綱
酵豪酷獄魂漆遮需銃塾緒
彰誓銑漸遭憎駄奪端嫡徴
漬摘滴寧髪罰閥碑漂腐慕
(15画) 慰影鋭謁閲縁稼餓
潟歓監緩輝儀戯窮緊勲慶
撃稿撮暫賜趣潤遵衝嘱審
(16画) 緯憶穏壊懐獲憾還
凝薫憩賢衡墾錯諮儒獣壌
嬢錠薪錘薦濁壇篤曇濃薄
縛繁避壁縫膨謀磨諭融擁
(17画) 嚇轄環擬犠矯謹謙
購懇擦爵醜償礁繊鮮燥霜
濯鍛聴謄頻翼療齢
(18画) 穫騎襟顕鎖瞬繕礎
騒贈懲鎮闘藩覆癖翻繭癒
( 19画) 韻繰鶏鯨璽髄瀬藻
( 20画) 響懸鐘譲醸籍騰欄
( 21画) 艦顧魔躍露
( 22画) 驚襲
中学漢字で習得する内の
いくつかを抜粋
文章を入力
対象学年を選択
学習・未学習を色で区分け
小中学生カリキュラムマップ・漢字チェックツールの作成
参加者の学習レベルを指導者が把握できるよう,学習指導要
領や教科書を元に各学年の学習内容のキーワードをまとめた
カリキュラムマップを作成した.また,未学習漢字がひと目
で判別できる web アプリケーション(漢字チェックツール)
を作成し,より簡便に振り仮名などの対応ができるようにし
た.これらにより,説明用資料やプレゼンテーションの改良
につながることを確認した.
図9.未学習漢字を判別するソフトウェア(*3)
(*3)漢字チェックツール
http://www.mse.waseda.ac.jp/kagaku/kanji-check.php
6
小中学生向け科学実験教室ユニラブ25年間の取り組み
早稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部 技報 No.41
6.まとめ
(2013)
参考文献
1) 松尾優治(1995) 実験センスの育成-小中学生に科学
ユニラブが四半世紀,継続的に実施してこられたのは,
「理科離れ」が注目されるようになったという社会構造
実験のたのしさを,早稲田大学理工学部技報第 23 号
の変化もあるが,なにより子どもたちの「不思議」や「な
2) 近藤文隆 (1999) 土の中の生き物を見てみよう!,早
稲田大学理工学部技報 第 27 号
るほど」に対する興味や関心が普遍的なものであること
3) 羽澤登 (1999) 科学実験教室における治工具の開発,
に尽きると考える.社会はこういった小中学生の知的好
早稲田大学理工学部技報 第 27 号
奇心が自発的に現れるよう五感を刺激する環境を整える
4) 嶋村貴志ほか(2005)科学実験教室用「ライントレイサ
ことが重要であり,本学としては大学の資産「教員の持
ーキットの製作」
,早稲田大学理工学部技報第 33 号
つ知識と経験」「大学生のパワー」「組織力」の活用を進
5) 大山俊行 (2006) 科学実験教室「IC エコラジオ」に
めてきた.
ついて,早稲田大学理工学部技報 第 34 号
この活動は社会貢献の一環ではあるが,一方,職員が
教員と一体となって取り組むよい機会であったり,経験
6) 三野峻ほか (2010) 中学生を対象とした科学実験教
や知識の尐ない小中学生に教えるための工夫は,大学生
育プログラム「金属を使って重さをはかろう」の開発,
を指導する際にも役立つものであったりと,主催者側で
早稲田大学理工学術院技術部技報 第 38 号
ある我々にとっても大きな利点もある.さらには,学生
7) 星賢一 (2011) 科学実験教室プログラム「地球環境に
を巻き込むことで教員・職員との相乗効果でより多くの
やさしいポンプを作ろう」
(小学生対象)の中学生を対
子どもたちの興味や関心,学ぶ喜びを生み出すと同時に,
象としたものへの検討,早稲田大学理工学術院技術部
大学生・大学院生にとっても貴重な経験にもなっている.
技報 第 39 号
今後もユニラブを通じて一つでも多くの楽しい「なる
8) 田中淳 (2012) 空気流量増幅器の原理を説明するた
ほど体験」を与え,社会の発展に寄与できるよう今後も
めの PowerPoint の試作(小中学生向け)
,早稲田大学
理工学術院技術部技報 第 40 号
推進していきたい.
9) 松尾優治 (1999) あらためてユニラブをふりかえる,
早稲田大学理工学部技報 第 27 号
7.謝辞
今回,ユニラブ 25 年間の取り組みをまとめるに当た
10) 早稲田大学総務部 (1995) 理工学部ユニラブ,カ
り,1998 年の理工学部創立 80 周年記念ユニラブの計画
レント第 17 号
段階からの資料を参考にさせていただきました(図10)
.
11) 港区で特別賞を受賞した庄井早緑さんのインタビュ
25 年前からの担当者の方々が整理した資料が無ければ,
ー,早稲田大学ユニラブ web ページ
今回のユニラブ活動のまとめはできませんでした.この
http://www.sci.waseda.ac.jp/unilab/past/2009interview
ような歴史的経緯を整理整頓の上,保存をしていただい
12) 青尐年科学系博物館・早稲田大学ネットワーク推進
たこれまでの担当者の方々に心より御礼申し上げます.
協議会報告書(2000)
また,この 25 年は多くの教員,職員,学生の多大な
13) 羽田野新平 (1999) 技術系職員と科学系博物館ネッ
ご協力により支えられてきました.この場をお借りして,
トワーク推進事業,早稲田大学理工学部技報第 27 号
14) 柿下尚哉ほか (2008) 小中学生を対象とした科学実
御礼申し上げます.
験教室の効果的な実施法についての調査・研究,早稲
田大学理工学術院技術部技報 第 36 号
図10.約 25 年前にまとめられたユニラブ資料
7
小中学生向け科学実験教室ユニラブ25年間の取り組み
早稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部 技報 No.41
Appendix:技術部組織紹介
(2013)
教育研究支援課および技術企画総務課の業務内容は『早
技術部は教育研究支援課と技術企画総務課で組織され,
約 100 名の専門技術を有した職員が属している.これら
稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部』の
web ページ(下記 URL)で紹介している.
の技術系職員は学科や研究室に属するのではなく,学部
◇早稲田大学理工学術院統合事務・技術センター技術部
の機構として組織化され,実験科目での指導,研究活動
http://www.sci.waseda.ac.jp/tech/gg/index.html
の支援,安全な環境の確保などの役割を担っている.
理工学術院統合事務・技術センター
事務部
技術部
教育研究支援課(一系) 【専任職員11人,嘱託職員(専門)2人,嘱託職員(一般)8人】
理工学基礎実験室(物理系)
理工学基礎実験室(化学系)
理工学基礎実験室(生命科学系)
理工学基礎実験室(工学系)
教育研究支援課(二系) 【専任職員15人,TE(*)2人,嘱託職員(専門)20人,嘱託職員(一般)11人,派遣社員3人】
材料实験审
工作实験审
製図・CAD审
熱・流体・制御实験审
測量实習审
温熱環境实験审/人間系实験审/都市系实験审
経営システム工学科实験审
土質实験审
環境資源工学科实験审
WASEDAものづくり工房
教育研究支援課(三系) 【専任職員10人,TE(*)2人,嘱託職員(専門)2人,嘱託職員(一般)4人】
電気工学实験审
マイクロテクノロジーラボ
教育研究支援課(四系) 【専任職員16人,TE(*)2人,嘱託職員(専門)7人,嘱託職員(一般)9人,派遣社員2人】
化学分析实験审
有機化学实験审
物理化学实験审
化学工学实験审
工業化学实験审
物性計測センターラボ
生命科学实験审:先端生命医科学センターTWIns共用实験审
技術企画総務課
【専任職員9人,嘱託職員(専門)5人,嘱託職員(一般)6人,派遣社員1人】
施設管理・安全管理
理工メディアセンター
映像情報ラボ
(*)TE(テクニカルエキスパート):企業からの出向で,専門実験支援,研究支援を担っている.
(2012.12.1現在)
8
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