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H21年度 知床エコツーリズム総合推進業務 報告書

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H21年度 知床エコツーリズム総合推進業務 報告書
平成 21 年度
環境省請負業務
平成 21 年度
知床エコツーリズム総合推進業務
報告書
平成 22 年 2 月
財団法人 知床財団
概要
1.
調査(事業)名(英名)
平成21年度知床エコツーリズム総合推進業務
Shiretoko Eco-tourism Promotion Project 2009
2.
調査(事業)の背景・目的
環境省では、知床におけるエコツーリズムの推進を目的として、平成 16 年度から 18 年
度までの3カ年、「知床エコツーリズム推進モデル事業」を実施し、その結果、行政機関、
関連団体を構成員とする「知床エコツーリズム推進協議会」が発足するとともに、平成 19
年3月には「知床エコツーリズム推進実施計画」及び「知床エコツーリズムガイドライン」
が策定され、知床におけるエコツーリズムの普及・定着に一定の成果が見られた。
本事業では、これらの成果を踏まえ、知床におけるエコツーリズムをより着実なものと
するため、地域関係者が知床エコツーリズムを推進するに当たり、自主的に運営できる仕
組みを作り上げることを目的に、平成 19 年度、平成 20 年度に引き続き、知床エコツーリ
ズム推進協議会関係者と協力し、以下の事業を実施する。
3.調査(事業)実施体制
本調査は、環境省からの請負事業として知床財団が実施したものである。
4.調査(事業)の手法・概要
(1)知床五湖におけるエコツーリズムの推進
ヒグマ活動期間における知床五湖地上歩道コントロールに係る実験の企画・実施・取り
まとめを行う。また、実験に必要となるガイドに対する説明会及び講習の実施と、ガイド
の認定を行う。これらを踏まえ、平成 22 年度以降の実施内容について提案を行う。
(2)羅臼町における地域産業連携型エコツアーの実施等
漁業・農業等の地域産業を取入れたエコツアーを企画・実施するとともに、有識者等か
らの聞き取り等を実施し、平成 22 年度以降のあり方についての提案を行う。
(3)事業の総括と今後の展望
「知床エコツーリズム推進モデル事業」及び「知床エコツーリズム総合推進業務」等に
おいて行われた、平成 16 年度から平成 21 年度までの事業を整理するとともに、
「知床エコ
ツーリズム推進実施計画」の達成状況について評価を行う。また、地域関係者が知床エコ
ツーリズムを推進するに当たり自主的に運営できる仕組み作りの達成状況の評価を行う。
(1)並びに(2)の結果及びこれらの評価をもとに、地域住民や有識者等の意見を聞い
た上で、知床におけるエコツーリズムの推進のための今後のロードマップを作成する。ロ
ードマップ作成に当たっては、エコツーリズム推進法の趣旨に配慮を行う。
5.調査(事業)結果
(1) 知床五湖におけるエコツーリズムの推進
2009/6/23~25 の 3 日間(23 日は悪天で中止、実質 2 日間)にわたりに知床五湖遊歩道の一
部をガイドツアー限定で利用する実験を実施。ヒグマが活発に活動する時期であるため、
ツアー引率に当たったガイドは、それぞれ 3 日間の研修及び検定を受けて、ヒグマ対処法
について認定を受けた。これらの研修及びモニターツアーの結果からヒグマ対処の基本ル
ール、研修内容、運用事項(予約状況参照、申込受付、現地での受付など)についても具
体的な改良点が上げられ、利用コントロールの導入に向けて検討に貢献した。
(2) 羅臼町における地域産業連携型エコツアーの実施等
羅臼町における地域産業と連携したエコツアーとして、ウニ採りを体験するプログラム
と、「第 7 回/全国ほんもの体験フォーラム in 北海道」のプレツアーとして羅臼の自然資
源を広く紹介するプログラムを実施した。また、昨年度まで独立した形で実施していた秋
サケを題材としたツアーは、今年度は漁期に受け入れた様々なツアーのなかで、一構成要
素として組み入れる形で実施した。
有識者等からの聞き取りを行うため、株式会社風の旅行社代表取締役の原優二氏を招聘
し様々なプログラム等へのご意見をいただくとともに、平成 22 年度以降のあり方について
の提案を行った。
(3) 事業の総括と今後の展望
エコツーリズム総合推進業務は、環境省によって平成 19 年度から平成 21 年度までの 3
年間実施された。これらの事業について、平成 18 年度に作成した推進実施計画についての
現段階での達成状況について検証を行い、それぞれの項目ごとに評価を行った。その上で、
斜里・羅臼双方の事業について、今後の展望を記した上で、ロードマップを作成した。
6.今後の予定
当事業は今年度にて終了予定。
はじめに
知床におけるエコツーリズム推進の取り組みは、平成 16 年度のモデル地区選定時から本
格的に始まり、今年度で 6 年目となる。平成 17 年の世界自然遺産登録以後、利用者を正し
い利用へと誘導すべく知床でエコツーリズムの果たす役割はますます大きくなってきてお
り、ガイドラインの適正な運用や、一部の利用集中地域からの分散を図るための取組み、
戦略的な情報発信などを通して、観光利用の適正化を進めることは今後に渡って求められ
る。エコツーリズム推進協議会は、今後も斜里町と羅臼町とがエコツーリズムに対する独
自のスタンスを持ちながらも、「知床」というブランドを活かしながら共同で事業を進める
形態を維持・定着させ、適正な利用に基づいたエコツーリズム、地域に根ざしたエコツー
リズムの実現と、その運営を自主的に行うことのできる地域体制作りを目指す必要がある。
このためには今後も地域と行政が共に協力しあい、自然環境の保全、利用者の高い満足
度、地域への経済効果が相乗効果を呼び、質の高い観光地として持続的な経営が可能とな
る「世界に誇る豊かな自然とコントロールされた利用」の実現に向けて、継続的な取組み
を実施していかなければならない。
本報告書は、環境省による 3 ヵ年の知床エコツーリズム総合推進業務の最終年度、平成
21 年度に実施した事業について、知床財団が作成した報告書である。
平成 22 年 2 月
目次
1.エコツーリズム推進協議会の概要 .................................................................................. 1
2.エコツーリズム推進協議会の運営・活動の広報 ............................................................. 3
2-1
知床エコツーリズム推進協議会の運営................................................................... 3
2-2 知床インフォメーションスタッフ交流会 ................................................................. 4
2-3 国際シンポジウム「順天湾および韓国南西部海岸干潟の世界遺産登録を目指して」
.......................................................................................................................................... 6
2-4 「世界旅行博 2009」への出展 .................................................................................. 7
2-5 知床エコツーリズム推進協議会
WEB サイトの運用 ................................................ 8
3.知床五湖におけるエコツーリズムの推進 ...................................................................... 10
3-1 知床五湖における利用コントロールの検討について ............................................. 10
3-2 知床五湖利用コントロール導入実験 ...................................................................... 11
3-3 知床五湖方面冬季利用試行事業 ............................................................................. 30
4.羅臼町における地域産業連携型エコツアーの実施等 .................................................... 32
4-1
地域産業連携型エコツアーの実施 ........................................................................ 32
4-2 有識者からの聞き取り等 ........................................................................................ 39
5.3 年間の事業の総括 ....................................................................................................... 46
5-1
これまでの取り組みの概要 .................................................................................. 46
5-2 知床エコツーリズム推進実施計画の達成状況 ........................................................ 46
6.まとめと今後の展望 ...................................................................................................... 58
6-1
事業の総括 ........................................................................................................... 58
6-2 今後の展望 ............................................................................................................. 59
6-3 ロードマップ .......................................................................................................... 63
7.資料編 ........................................................................................................................... 67
1.エコツーリズム推進協議会の概要
知床では、原生的な自然地域などにおけるガイドツアーのあり方、適切なルールのもと
でのエコツーリズムの推進を目指す「豊かな自然の中での取り組み」のモデル地区として
環境省の選定を受け、平成 16 年度より環境省、北海道、斜里町、羅臼町の連携による「知
床エコツーリズム推進モデル事業」がスタートした。
平成 16 年に発足した知床エコツーリズム推進協議会は、斜里町・羅臼町内の幅広い地
域関係団体により構成され、事務局を地元斜里町、羅臼町と北海道、また支援機関でもあ
る知床財団の四者が担った。環境省や林野庁を関係行政機関とした知床エコツーリズム推
進協議会は、この年からエコツーリズムの普及へ向けての具体的な検討を開始した。
平成 19 年度からは、これらのモデル事業の成果を受け、地域による自立したエコツー
リズム事業の運営へ向けてさらなる取組みを進めるべく、組織と事務局体制の改編を行っ
た。推進協議会の構成機関は、コアメンバーとワーキングメンバーに分かれ、エコツーリ
ズムの推進に関して地域の核となる7組織をコアメンバーとし、推進協議会の意志決定を
行うメンバーとした。また、事務局はこれまでの行政中心の体制から今後の実働部隊とな
る両町観光協会及び知床財団が担う形となり、羅臼町では地域産業である漁業と連携した
エコツアーの企画を進めるなど地域の中での身の丈にあったエコツーリズムについての検
討を進め、斜里町では知床五湖を中心とした適正なエコツアーの運用システムの構築を模
索している。
また同じく平成 19 年度から、環境省や斜里町、羅臼町をはじめとする行政機関の関わ
りは、事務局としてではなく、支援という形となった。モデル事業終了後は行政主導型の
組織ではなく、地域による自立したエコツーリズムの展開をはかるべく、実際の事業実施
機関を中心とした民間中心の推進協議会として、役割分担の明確化と機動性の向上を目指
し、活動を行っている。
1
知床エコツーリズム推進協議会(平成 19 年度以降の体制)
ワーキングメンバー
コアメンバー(意思決定)
斜里町商工会
知床斜里町観光協会
羅臼町商工会
知床羅臼町観光協会
斜里第一漁業協同組合
知床温泉旅館協同組合
羅臼町旅館組合
ウトロ漁業協同組合
助言・協力
知床民宿協会
羅臼漁業協同組合
羅臼遊漁船組合
知床ガイド協議会
斜里町農業協同組合
(財)知床財団
羅臼町酪農振興協議会
斜里バス株式会社
阿寒バス株式会社
斜里ハイヤー株式会社
事務局
羅臼ハイヤー株式会社
知床斜里町観光協会
道東観光開発株式会社
知床羅臼町観光協会
斜里山岳会
(財)知床財団
羅臼山岳会
知床自然保護協会
羅臼町・知床世界自然遺産協議会
(社)北海道ウタリ協会斜里支部
(社)北海道ウタリ協会羅臼支部
支援
関係行政機関
斜里町・羅臼町・北海道・環境省・林野庁
2
2.エコツーリズム推進協議会の運営・活動の広報
2-1
知床エコツーリズム推進協議会の運営
今年度は推進協議会を 2 回開催した。平成 19 年度からモデル事業期間中(平成 16~18
年度)とは事務局の体制を変更し、行政の各機関が事務局として参加することはなく、両
町観光協会と知床財団の三者が事務局となる体制となっている。具体的には、協議会の会
議運営・議事進行については両町観光協会の持ち回り制とし、案件ごとに資料は各機関が
作成の上持ち寄ることとした。実施事業に関しても、両町観光協会などが実施する事業の
うち、エコツーリズムに関するものを知床エコツーリズム推進協議会事業と位置づけて、
関連する各団体が協力のもと実施する体制をとった。実質的に協議会運営及び事業実施に
ついても両町観光協会が主役を担いつつある。
また、平成 21 年度より、斜里町、羅臼町に加えて、清里町、標津町の 4 町村による広域
観光振興を目的とした知床観光圏整備事業が本格的に開始されており、関連事業との連携
を模索している。
今年度の推進協議会の活動状況は表 2-1 のとおり。
表 2-1 平成 21 年度
年月
知床エコツーリズム推進協議会の活動
知床エコツーリズム推進協議会の活動
2009 年 4 月
5月
知床五湖の利用コントロール導入実験・参加ガイド募集(5/1∼10)
*1
6月
第 1 回知床インフォメーションスタッフ交流会(6/11 羅臼受入)
第 1 回推進協議会(6/18 知床第一ホテル)
知床五湖の利用コントロール導入実験(6/23,24,25)
*1
7月
8月
9月
「世界旅行博 2009」への出展(9/18∼20 東京ビッグサイト)
10 月
韓国「順天湾および韓国南西海岸干潟の世界遺産登録を目指して」
(10/17~19)
第 2 回知床インフォメーションスタッフ交流会(10/29 斜里受入)
11 月
専門家による現地視察(11/5~8)
12 月
2009 年 1 月
知床五湖方面冬季利用試行事業(1/30~3/22
2月
第 2 回推進協議会(2/19 羅臼町商工会)
知床五湖)
*1:主催は「知床五湖の利用のあり方協議会」
3
2-2 知床インフォメーションスタッフ交流会
知床におけるエコツーリズム推進において「滞在型観光の推進」
「統一窓口によるインフ
ォメーション機能の強化」が、かねてよりテーマの一つとなっており、各ホテルでのツア
ーデスク設置などの取り組みが進んでいる。一方、斜里、羅臼両町の観光に携わる現場ス
タッフが交流し直接意見交換を行う機会は極めて少ない点が指摘されていた。知床を訪れ
るビジターに両町の情報を一元的に提供できることを目指して、日々現場で対応を行って
いるスタッフが参集して研修を行い、意見交換することで、今後のエコツーリズムプログ
ラムの参考にしていくことを目的として、今年度は下記 2 回の交流会を実施した。
交流会参加者の評価は非常に高く、既に両観光案内所での観光船情報の紹介など、具体
的な成果が出ており、来年以降も継続される見込みである。
○第 1 回知床インフォメーションスタッフ交流会
(羅臼側受入れ)
実施日:2009 年(平成 21 年)6 月 11 日(木)
参加者数:26 名
内容:
11:00 ウトロ道の駅・観光案内所集合、借上バスに乗車して羅臼へ
11:40 羅臼ビジターセンター見学
12:30-13:20
自己紹介&昼食交流会
14:00-14:20
ルサフィールドハウス館内見学
14:25-15:25
羅臼港見学施設にて情報・意見交換会
17:00 ウトロ道の駅
解散
○第 2 回知床インフォメーションスタッフ交流会
(斜里側受入れ)
実施日:2009 年(平成 21 年)10 月 29 日(木)
参加者数:10 名
内容:
10:30 道の駅「知床・らうす」集合、借上バスに乗車しウトロへ
11:10
知床自然センター館内見学後、フレぺの滝ガイドウォーク
12:30-13:15
自己紹介&昼食交流会
13:30-15:00
知床五湖ガイドウォーク(高架木道)
15:20-16:20
知床世界遺産センター見学∼情報交換会
17:00 道の駅「知床・らうす」駐車場
帰着
○実施準備について
主催は知床エコツーリズム推進協議会として、当初より年に複数回の実施を目指した。
斜里・羅臼が受け入れ担当を交替する形で、第1回は主に斜里側のスタッフが羅臼を訪問
し、第 2 回はその反対の形態をとった。参加対象者を両町観光案内所・ホテルフロント・
4
関連施設のインフォメーションスタッフ他として両町観光協会が関係者への周知募集を行
った。斜里側では昨年、一昨年と、
「知床の自慢の仕方教えます?!」と題したウトロの観
光関係スタッフ向けレクチャー(知床財団主催)を 5 月∼6 月に実施しており、これを今回
の交流会へ発展させたいということで関係者の理解を得た。
写真2-1
知床インフォメーションスタッフ交流会
(羅臼ビジターセンターにて)
5
2-3 国際シンポジウム「順天湾および韓国南西部海岸干潟の世界遺産登録を目指して」
韓国・順天市にて行われた国際シンポジウムに、環境省を通じて依頼を受け、知床財団
スタッフが参加した。世界遺産登録地である知床の魅力と登録理由、エコツーリズム推進
に関する取り組みについて、事例報告およびパネルディスカッションのパネラーとして発
表を行った。
会場となった順天湾は 2006 年(平成 18 年)にラムサール条約登録地となり、地元自治
体である順天市が政策としてエコツーリズムの推進をおこなっている。今後の世界自然遺
産登録も視野に入れ、ドイツ、カナダ、タイ、中国などの遺産登録地での取り組みについ
て事例発表などが行われた。
日程
:
2009 年(平成 21 年)10 月 17 日(土)∼19 日(月)
場所
:
韓国
主催
:
順天市、Korea Federation for Environment Movement (KFEM)
順天市(Suncheon City)
発表者:
寺山
内容
世界自然遺産地域の持続可能な開発及び、
:
3 日間
元(知床財団、知床エコツーリズム推進協議会事務局)
エコツーリズムについて各国の事例報告など。
写真 2-2
順天湾の遠望。エコをテーマに観光地開発に取り組んでいる。
6
2-4 「世界旅行博 2009」への出展
2009(平成 21)年 9 月 18 日(金)∼20 日(日) 於:東京ビッグサイト(江東区有明)
9 月 18 日から 20 日までの 3 日間、東京ビッグサイトで開催された「世界旅行博 2009」
(日本旅行業協会(JATA)主催)に知床ブースを出展し、その運営に当たった。これは、
環境省がエコツーリズム推進を目的としてエコツーリズム紹介のための一画を確保したも
ので、そこに、知床のほか小笠原(東京都)、飯能(埼玉県)、屋久島(鹿児島県)、琵琶湖
高島(滋賀県)が、それぞれの特色を生かしたブースを設置し、観光商品等をアピールし
た。また、ブースに立ち寄ってくれた来場者に対し、開催期間中に環境省が実施したアン
ケートへの協力を呼びかけ、回収等にも当たった。
<知床ブースの運営要領など>
9
知床におけるエコツーリズム関係のリーフレット・パンフレット等の設置と配布
9
知床の自然に関する映像(DVD)の上映
9
ヒグマの毛皮と頭骨、エゾシカの角など、実物を用いた知床の自然に関する解説
9
業界関係者、一般来場者からの質問等への対応のほか、営業・商談等への対応
9
主にエコツアーやエコツーリズムを研究テーマとしている学生などへの対応
なお、知床ブースの運営に当たって、以下の 3 名が、斜里町・羅臼町の両エコツーリズ
ム推進協議会を代表する形で参加した。
青木憲一
:
特定非営利活動法人
下山
誠
:
斜里バス株式会社
新藤
薫
:
財団法人
知床斜里町観光協会
専務
知床財団
常務取締役
羅臼地区事業係長
写真 2-3 ブースにおける来場者への解説
7
2-5 知床エコツーリズム推進協議会 WEB サイトの運用
2008 年(平成 20 年)に知床エコツーリズム推進協議会は公式 WEB サイトをリニュー
アルし、協議会の活動内容、知床エコツーリズムガイドラインの周知など、協議会の広報
媒体としての役割を担っている。今年度も WEB サーバーの管理、ドメイン管理などを行
うとともに、主に以下の情報の更新を行った。
・旬の情報一覧コーナー
地元から知床に関する情報を発信しているブログの記事タイトルを自動取得し、新着順
に 15 タイトルを一覧表示し、クリックすると各ブログへリンクした。なお、頻繁に記事
を更新している特定のブログの記事のみに偏らないように、各ブログのタイトル表示は 2
タイトルとした(図 2-1)。
図 2-1 知床の旬の情報一覧掲載イメージ
・知床五湖利用コントロール実験参加申込システム
平成 21 年 6 月に行われた知床五湖利用コントロール実験(3 章参照)の一般参加申込用
の予約システムを公開した。利用者は WEB 上で参加者情報を入力して申込みをできるよ
うにした。
8
・マイカー規制
知床国立公園マイカー規制のオフィシャルサイトとして、マイカー規制全般に関する事
項の周知(図 2-2)、シャトルバス運行時刻表の掲載を行った。また、マイカー規制の案内
パンフレットを PDF 形式で配布した。
図 2-2 マイカー規制お知らせ掲載画面
その他にも、下記情報について WEB 上で公開している。
・最新ニュース
・知床エコツーリズムガイドラインについて
・知床半島先端部地区利用の心得
・知床エコツーリズム推進協議会の取り組み(過去の報告書など)
9
3.知床五湖におけるエコツーリズムの推進
3-1 知床五湖における利用コントロールの検討について
知床五湖は、森と湖からなる自然を楽しむ場として、多くの人々に利用されている。し
かしその一方で、夏季を中心に利用者が集中することから、地上歩道周辺の植生への悪影
響が懸念されている。また、多くの観光客がヒグマ高密度生息地に無防備に立ち入る現状
は大変危険であり、ヒグマ出没時には地上歩道が閉鎖されるという状況が頻発している。
知床エコツーリズム推進協議会では、知床五湖を安全で安定的な、より良い自然体験を
提供する場とすることを目指して、継続的な協議を行ってきた。平成18年度に制定された
知床エコツーリズムガイドラインでは、ガイドツアーを実施する際のルールとして、混雑
状況を緩和する、ヒグマとの突発的な遭遇を回避するなどの配慮を行うことが示された。
平成19年度に実施された、地上歩道等の環境負荷モニタリング調査においては、地上歩道
の状況が記録され、利用負荷による歩道侵食などの影響を、今後継続的にモニタリングす
るための基礎データが採取された。知床五湖の利用のあり方についても、地域関係者が継
続的な協議を行っており、平成21年度からは、「知床五湖の利用のあり方協議会」が包括
的な協議の場となっている。
様々な対策が検討される中で、安全で多数の利用者を受け入れられる高架木道と、一定
のコントロールの下でより深い自然体験ができる地上歩道という2つの利用方法へ、目的
に合わせて利用者を振り分ける方向性が示されている。地上歩道の利用に関しては、ヒグ
マの出没状況、植生の状況、および利用者数を勘案して利用期間を3つに区分し、利用の
調整を行うこととなった。
このうち、ヒグマが頻繁に活動する時期(ヒグマ活動期)には、認定を受けたガイドが
引率するグループのみが地上歩道を利用できる制度が検討されている。平成20年11月には、
一般参加者の募集・予約申込からツアーを実施するまでの、運用上の課題を検証すること
を目的としたモニターツアー実験が実施された。これを受けて平成21年度には、新制度運
用時を想定した、より現実的な実験が行われることとなった。3-2章において、この実験
の詳細を報告する。
また、冬季に関しても、冬期閉鎖された道道知床公園線岩尾別ゲート以奥にある知床
五湖周辺地域を、エコツーリズムの理念に基づくルールの下で徒歩利用(歩くスキー・
スノーシュー等)する事業が試行されている。これについては 3-3 章において報告する。
10
3-2 知床五湖利用コントロール導入実験
(1) 実験概要
平成20年度の実験を受け、今年度は実際のヒグマ活動期に新制度を運用することを想定
した、より現実的な実験を実施した。まず、環境への影響に配慮するとともに、ヒグマに
対する高度な危機回避技術をもつガイドを認定するため、3回の研修と1回の実地検定を行
った。研修は、事前に策定された「知床五湖利用コントロール導入実験に関する基本的ル
ール」に基づいて行われ(資料3-1)、平常時およびヒグマ遭遇時にガイドが守るべきルー
ルなどについて、講義および現地実習を行った。検定は、基本的ルールを守った引率がで
きているか、ヒグマの生態について正しい知識を持っているか、などについて評価した。
この検定に合格して認定を受けたガイドが、実際のヒグマ活動期に一般参加者を引率し
て地上歩道を利用するモニターツアーを実施した。平成21年度行われた一連の実験は、認
定のあり方やヒグマ出没時の管理体制、新制度運用上の問題点を検証することを目的とし、
実験終了後に意見交換会を行い検証した。
②
スケジュール
実験参加ガイドの募集 (5/1∼10)
・予め策定された募集・認定要綱をWEB上に公開し、実験参加ガイドを募集
↓
応募条件を満たしたガイドが受講
研修・検定
◆ 研修(1) (5/12, 13)
・ヒグマの生態や行動特性、危機回避のための対処法を習得するための講義・現地
実習
◆ 研修(2)および 現地検定 (5/20, 21, 27, 28)
・複数グループが地上歩道を利用している際の運用方法などについて現地実習
・危険な遭遇を回避するための対処法、およびヒグマ遭遇時の対処法などについて
現地検定
◆ 事務局による合否判定
(5/28)
・検定が全て終了後に、合否判定を実施
↓
合格者
◆ 登録研修
(6/3, 4)
・検定合格者を対象に、ヒグマ出没時の対応パターンをシミュレーションするため
の講義・現地実習
↓
事務局による実験実施の決定
・6/4の登録研修後に、認定ガイドによるモニターツアー実験の実施を決定
↓
11
モニターツアーの実施 (6/23, 24, 25)
・一般利用者を引率する有料のモニターツアーを、実際のヒグマ活動期に実施
↓
意見交換会 (7/2)
・実験参加ガイドと協議会事務局の意見交換会を実施
③
モニターツアーの概要
平成21年度実施されたモニターツアーの概要について、平成20年度との比較を以下に示
す。
実施日
平成 20 年度
平成 21 年度
08 年 11 月 2 日
09 年 6 月 24, 25 日
ツアーの概要
*23 日は悪天候により終日中止
目的
一般参加者の募集・予約申込から
より現実に即した形でツアーを実
ツアーを実施するまでの運用上の
施し、ヒグマ出没時の安全管理体制
課題を検証
も含めた、制度運営上の問題点を検
証
形態
ガイドが一般参加者を引率して地上歩道を利用するモニターツアー
ツアー参加
無料
有料
料金
事業所ごとにツアー参加料を設定
し、営業活動を行って顧客を獲得
参加ガイド
無審査でツアー引率
事前の研修・検定を経て、認定され
の審査
(事前に無線連絡に関するシミュ
たガイドのみがツアー引率
レーションを実施)
④
主催者
本事業の主催者は知床五湖の利用のあり方協議会であり、環境省からの委託を受けて、
知床財団が実験の計画・実施を行った。知床五湖の利用のあり方協議会の、構成員および
事務局は以下のとおりである。
構成員 : ウトロ地域協議会、ウトロ自治会、(財)自然公園財団知床支部、知床エ
コツーリズム推進協議会、知床温泉旅館組合、NPO法人 知床斜里町観光協会、
知床ガイド協議会、しれとこ・ウトロフォーラム21、知床民宿協会、(財)
知床財団、斜里バス(株)、北海道、環境省、斜里町
事務局 : 環境省ウトロ自然保護官事務所、北海道網走支庁環境生活課、斜里町環境保
全課
12
(2)ヒグマ対処法に関する研修および認定
①
実験参加ガイドの募集
知床五湖での十分なツアー経験を持つ職業ガイドを募集するため、応募条件は以下のと
おりに設定した。①昨年1年間で有償でのガイド活動を100日以上経験していること、②昨
年1年間で知床五湖における有償でのガイド活動が30日以上あること、③事故発生時の責
任対応のために、1事故について3億円以上の賠償責任保険に加入していること(知床エコ
ツーリズムガイドラインより慣用)。実験参加ガイドの募集期間は5/1∼10であった。
「知床五湖利用コントロール導入実験
参加ガイド募集・認定要綱」を、知床データセ
ンターおよび知床エコツーリズム推進協議会のHP内に公開し、実験参加ガイドを公募した
(資料3-2)。地元ガイド事業者には、知床五湖の利用のあり方協議会において、実験実
施要綱の説明を行った。本実験における研修・検定の受講料は無料とした。
最終的に、12事業所から27名の応募があり、全員が以下の研修・検定を受講できるよ
うな日程が組まれた。
②
研修(1)
基本的なヒグマ対処法スキルの習得を目的とした、ある程度大人数での研修として設
定した。定員を14名とし、5/12, 13日の2日間設定した上で、受講者はいずれか1日に参
加するものとした。午前中は、室内で講義を行い、午後は地上歩道およびその周辺を利
用して、講義内容の解説と現地実習を行った。主な研修内容は以下のとおりであり、詳
細を資料3-3に表す。
講義
・ヒグマの生態、行動特性について
・知床五湖におけるヒグマの行動特性について
・ヒグマ生息地を多くの人が利用している知床五湖の課題について
・五湖実験における基本的ルールについて
講義および現地実習
・ヒグマの痕跡の見方について
・ヒグマとの危険な遭遇を回避するための対処法(見通しの悪い場所の対応確認)
について
・ヒグマ遭遇時の危機回避法について
・持ち物・装備について
現地実習
・無線連絡法について
13
③
研修(2)
ヒグマ遭遇時の危機回避のチームでの対処能力を習得することを目的とした、少人数
の研修および現地検定として設定した。定員を7名とし、5/20, 21, 27, 28日の4日間設
定した上で受講者はいずれか1日に参加するものとした。午前中は、複数グループが地上
歩道を利用している状況を想定し、運用方法を習得するための現地実習を行い、午後か
らは現地検定とヒグマ撃退スプレー試射研修を行った。現地検定については(4)現地検
定に詳細を記す。主な研修内容は以下のとおりであった。(詳細は資料3-3参照)
現地実習
・各受講者に1名ずつ補助員がつき、地上歩道上に展開した
・遊歩道入口には、本部要員が待機した
・互いの位置関係などを、他のグループや本部と無線連絡する訓練を実施した
・本部からの指示に基づいて、補助員が様々なヒグマ遭遇状況を演出した。受講者
は、基本的ルールに従って対応した
ヒグマ撃退スプレー試射研修
・一般利用者が立ち入るエリアから十分離れた草原を利用した
・ヒグマ撃退スプレーの使用法を説明した
・自分に向かって突進してくるソリをヒグマに見立て、実際にスプレーを試射した
④
現地検定
検定員他数名をガイドツアー参加者と想定し、受講者が地上歩道の引率を行う形式で、
現地検定が行われた。現地検定では、基本的ルールを守った引率ができているか、ヒグマ
の生態について正しい解説がなされたかなどについて、2名の検定員が各々300点満点で評
価した。知床五湖地上歩道の概略および利用区域を図3-1に表す。
図3-1 知床五湖地上歩道の概略および利用区域
※太青線部が実験に利用した区域、矢印が進行方向を表す
14
現地検定の概要を列記する。
・検定は地上歩道を利用したツアー形式で行われた
・グループ構成は、受講者(ガイド役)1名、参加者役数名(検定員2名を含む)とした
・検定を受けていない受講者は30m程離れて検定グループに随伴し、順次交替して検定
を受けた
・ヒグマ対策装備、出発時のレクチャー内容、地上歩道歩行時の注意、ヒグマ遭遇時
の対応、無線運用方法、ヒグマの生態などに関する解説に関して、予め策定されたチ
ェックリスト(資料3-4参照)に基づいて、検定員が5段階で評価した
・ヒグマ遭遇時の対応については、検定員がヒグマを目撃したことを宣言し、口頭でヒ
グマの状況を説明した。受講者は伝えられた状況に対して、ツアー参加者を掌握しな
がら危機回避を行った後、本部および他のツアーへの無線連絡を行った。本部および
他のツアーの役は、30m程離れて随伴している検定補助員が行った
・受検者一人あたりの検定時間は30分程度とした
⑤
事務局による合否判定
全ての検定が終了した5/28に協議会事務局が合否判定を行い、60%以上の得点があった
27名を合格とした。評価項目や各個人の点数等については、各受検者に別途連絡・説明さ
れた。合格者は、6/3,4日に開催される登録研修に参加するものとした。
⑥
登録研修
モニターツアーの実施に際して、十分な危機回避の体制がとれるか確認することを目的
とした大人数の研修として設定した。14名を定員とし、6/3, 4の2日間設定した上で、受
講者はいずれか1日に参加するものとした。午前中、過去の危険なヒグマ遭遇事例に関す
るケーススタディを講義形式で行い、危険回避のために取るべき対応・判断について解説
した。 午後からは、地上歩道における安全管理システムの運用について、現地実習を行
った。
現地実習は、受講者が2人1組となって地上歩道上に展開し、同時に8組のツアーが実施
されている設定の下で、ヒグマ役の職員が地上歩道周辺に出没、これを確認した受講者は
状況を判断して危機回避を行った後、前後のグループや本部に無線連絡する内容であった。
現地実習終了後に全受講者が集合して、対応の反省と検証が行われた。研修内容の詳細を
資料3-3に表す。
15
研修(1)、研修(2)、現地検定および登録研修の状況を写真3-1から3-8に示す。
写真3-1
研修(1) 講義風景
写真3-2
研修(1) 地上歩道での現地実習
写真3-3
研修(1) 地上歩道周辺のヒグマ痕跡確認
写真3-4
研修(2) 地上歩道でのヒグマ遭遇訓練
写真3-5
現地検定 ヒグマ対策装備の検定
写真3-6
現地検定 地上歩道での引率検定
16
写真3-7
研修(3)
写真3-8
研修(3) シミュレーション後の検証
ヒグマとの危険遭遇について講義
⑦
実験実施の決定
登録研修において確認された危機回避体制を踏まえて、事務局がモニターツアー実施の
可否を協議した。その結果、下記の前提であれば、ヒグマによる事故発生の危険性は十分
回避可能と判断され、6/23, 24,25の3日間にモニターツアーを実施することが決定した。
・平成22年度の新制度導入時に想定されている本部体制よりも、手厚いバックアップ体
制で6月のモニターツアーを実施する
・今回の認定は、6月実施予定のモニターツアーに参加するための認定であり、平成22
年以降の新制度導入時には、今回の認定者に対して追加講習などを実施するものとす
る
⑧
実験参加ガイドへのアンケート調査
北海道大学農学部森林政策学研究室が主体となり、実験参加ガイドを対象に、研修・検
定の内容や満足度についてのアンケート調査が実施された(資料3-5-1)。アンケート調
査の主な結果は以下のとおりで、ヒグマ遭遇時の基本的ルールおよび、検定方法について
も検討の必要が示唆された(詳細は資料3-5-2を参照)。
・応募条件について、ガイド日数に関しては「適当」とする意見がほぼ半数を占めた
・「応募条件を作るのであれば、それは守る必要がある。場合によっては検証も必要で
ある」との意見や、「今の条件だと五湖を中心にガイド活動している人に限られるの
で、来年度以降は間口を広げるべき」などの意見が出された
・研修内容について、全体に「満足」と答える人が多かったが、ヒグマ遭遇時の危機回
避法については、「不満」と答える人も多く見られた
・無線使用に関して、もっと簡素化してほしいなどの意見が出された
・現地検定は公正に行われていたとする参加者が多かったが、検定のやり方については
様々な意見が出された
17
(3)モニターツアー
①
平成20年度との比較
平成20年度に実施されたモニターツアーは基本的なツアー運営体制を検証し、それを受
けて平成21年度はヒグマ出没時の安全管理体制を含めた実際の制度運営時に近い形でツ
アーが実施され、制度運営上の問題点を検証した。平成20年度との大きな変更点について
以下に述べる。
平成21年度のモニターツアーには、事前の研修・検定を経て、ヒグマに対する高度な危
機回避の技術を有すると認定されたガイドのみが参加した。ツアー引率中にヒグマと遭遇
した際には、ツアー参加者を掌握して危機回避するものとされた。平成20年度のモニター
ツアーは無料で実施されたが、平成21年度は実際の運用を見据えて有料で実施され、料金
は各ガイド事業者が自由に設定できるものとした。
昨年度実施されたモニターツアーと本年度の相違点を対比表として以下に示す。
平成 20 年度
ツアー内容
定員
平成 21 年度
同時に地上歩道でツアー実施しているグループ数は、最大で 8 グループ
とし、各ツアーの定員は 10 名とする
ツアー間隔
20, 10 分間隔を設定
20, 15, 10 分間隔を設定し、日替
わりで実施
遊歩道利用
入口→2 湖→3 湖→4 湖→5 湖→出
入口→5 湖→4 湖→3 湖→2 湖→出口
状況
口を利用(現行の順路)
を利用(現行と逆順)
1-2 湖周回路は一般も利用
ツアー時間
2 時間 30 分
2 時間 45 分
(地上歩道での滞在時間のみ)
(地上歩道での滞在時間に加え、事
ツアー時間の 15 分前に集合して、 前レクチャー・当日受付の時間も含
事前レクチャー・当日受付を行う
む)
全ての時間枠について、知床ガイ
同じ時間枠に複数のツアー実施希
ド協議会が調整
望があった場合に限り、知床斜里町
観光協会が調整
ツアー時間枠の決定
↓
ツアー実施希望がなかった時間枠
については、ツアー参加者を確保で
一般参加者の募集初日には全ツア
きたガイドが、順次、申込予約シス
ーの引率者が確定
テムに登録
↓
一般参加者の募集が始まった後も
ツアー引率者が徐々に確定
参加者がいない時間枠では、ツアー
が実施されず
18
参加者の申込
事前申込
WEB 上申込予約システムから直接登録
電話等でガイド事業者へ直接申込し、ガイドが同システムに情報を登録
(ツアーの申込情報は、申込予約システム上で一元管理)
一般参加者が希望する時間枠にツ
アーが設定されていない場合、ツア
ー参加者は各ガイド事業者もしく
は知床斜里町観光協会に問い合わ
せをして、ツアー実施可能なガイド
を選択・確定
予約を受けたガイド事業者は申込
予約システムに登録
当日申込
ツアーに空きがあれば、当日参加
ツアーに空きがあった場合も、ガイ
可能
ド事業者との直接契約が必要
ツアー出発
・受付にツアー参加者の最終リストを提出
前の手続き
・担当ガイドがツアー参加者をまとめて事前レクチャーを実施
当
・受付担当者が参加者の本人確認を行い、参加者に仮認定証を手渡す
日
・担当ガイドは受付で無線機を受け取り、ツアーへ出発
の
ツアー運用
・ツアー実施中は参加者の安全を第一に考える
運
上のルール
・前のツアーの追い越しはしない
用
・前後のツアーの進行を妨げない
・大きな音を出して、他のツアーの解説の妨げにならないようにする
・歩道を踏み外さない
・ヒグマを目撃した場合は、参加者の安全を確保し、目撃情報を速やか
に本部へ連絡する
・ヒグマの写真撮影を目的にしない
無線連絡
ヒグマ目撃時は、参加者の安全確保後、本部に無線連絡
定点通過時にヒグマ痕跡の有無な
どを本部に無線報告
ヒグマ遭遇
ヒグマ遭遇時は利用中止
時の対応
基本ルールに従い、危機回避可能な
場合はツアー継続
・エコツーリズム推進協議会 HP において、ガイド事業者およびツアー
広報
参加ガイドの情報、モニターツアーの予約状況を公開
・知床データベースおよび知床斜里町観光協会 HP にツアー情報を公開
・斜里町・羅臼町を中心に、チラシおよびポスターを配布
19
②
ツアー時間枠の決定、予約方法について
実際の制度運営時には、観光協会やガイド協議会などが一括してツアー参加者の募集を
行うものではなく、各ガイド事業者は独自に営業努力して集客を行い、ツアー参加者を確保
して、ツアー実施が可能となる。従って、当実験では事前にツアー枠の配分は行わず、ツア
ー参加者を獲得したガイドが、順次ツアー登録することを基本とし、エコツーリズム推進協
議会HP上に開設された申込予約システムで、モニターツアーに参加するガイド事業者、ツア
ー引率ガイドの情報、およびモニターツアーの予約状況が公開された(図3-2)。但し、同
じ時間枠に複数のガイドからツアー実施希望があった場合の調整は、
知床斜里町観光協会が
以下の要領で行った。まず一般参加者の募集の公開に先立って、各ガイド事業者が知床斜里
町観光協会へ、ツアー実施を希望する時間枠を申請した。この申請は、実際に参加者の申込
を受けたガイドのみができるものとし、同じ時間枠に複数のツアー実施希望があった場合は、
参加者の多い事業所を優先して時間枠を確定した。 申込のある時間枠については、ガイド
事業者を確定した状態でインターネットでの一般参加者の募集が公開された(6/9公開)。
図3-2 申込予約システムにおけるトップページ
一般参加者が希望する時間枠に定員に空きのあるツアーが設定されていた場合、参加者
は同システムを通じて直接申し込みをするか、該当ツアーのガイド事業者に申し込みを行
う。一般参加者が希望する時間枠にツアーが設定されていない場合、参加者は各ガイド事
業者もしくは知床斜里町観光協会に問い合わせをして、ツアー実施可能なガイドを探すこ
とになる。観光協会では、問い合わせを受けた際、ツアー料金が安い順にガイド事業者の
紹介を行った。
予約を受けたガイドは、WEB上の申込予約システムに予約を登録してツアーを確定し、
全ての申込予約状況は同システム上で一元管理された。
ツアー数を確定するため、新規ツアーの登録はツアー前日の19:30までとした。また、
既存のツアーに登録する場合にも、一般参加者がWEB上申込予約システムを通じて登録を
行う場合は、ツアー実施前日の19:30までとした。一方、ガイド事業者を通じて申込予約
を行う場合は、ツアー実施の直前まで可能とした。
20
③
広報
ガイド事業者および観光関係者に、一般参加者のツアー申込・参加に関する案内文書を
配布し(資料3-6および3-7)、ツアーの予約申込方法を周知した。モニターツアー実施の
広報は、知床データベースおよび知床斜里町観光協会のHPに、案内を掲載するとともに、
斜里町および羅臼町内に新聞折込でチラシ(資料3-8)を配布した。ウトロ・羅臼の宿泊
施設、飲食施設、自然系施設では、ポスターによる広報も行った。
④
当日の実施状況
a)6/23のツアー中止判断
本年度は、実際のヒグマ活動期である6/23, 24, 25の3日間に、モニターツアーが予定
されていたが、6/23は悪天候により全てのツアーが中止となった。6/23に予定されていた
ツアー数は9組、参加申込者は45名であった。ツアー中止に至る詳細な経緯は以下のとお
りである。
五湖周辺においては、6/22夜半より暴風雨が発生していた。6/23早朝より、午前のツア
ーは実施できないものと判断し、午前のツアーを午後に組み変えるなどの調整を行ってい
た。同日9:20には、歩道管理者の判断で、一般利用者に対しても地上遊歩道および高架木
道の全面閉鎖措置がとられた。暴風雨は午後には収まることが予想されたものの、天候回
復後に遊歩道の状況を確認し、通行可能な状態にするまで時間がかかることが予想された
ため、同日正午頃、環境省・北海道・斜里町の判断により、23日のモニターツアーは午後
も含めて中止されることになった。
知床五湖においては、レストハウスの屋根が一部破損、
水道の不通によりトイレの閉鎖、倒木により地上歩道が一部通行不可などの被害が生じて
おり(写真3-9)、高架木道および1∼2湖周回路は14時頃より利用再開したが、3∼5湖周
回路及びトイレの復旧作業完了は17時頃となった。結果として、午後のツアー実施を期待
して待機させたツアー参加予定者やガイド事業者などに不満を抱かせることになった。
写真3-9
地上歩道上における倒木の様子(6/23 撮影)
21
b)6/24, 25のツアー実施状況
モニターツアーの実施状況を表3-1および写真3-10から3-13に表す。地上歩道上でツア
ーを行えるグループ数は最大で8組とされていたため、15分間隔でツアー実施された6/24、
および10分間隔でツアー実施された6/25の両日において、
ツアーが設定されなかった時間
帯が生じた。6/24は12組のツアーが実施され、参加者は78名であった。6/25は8組のツア
ーが実施され、参加者は52名であった。
3日間を通じて、11:00頃から13:30頃まで、および15:00以降を開始時間とするツアーに
は、申し込みがされなかった。一方で、8:00頃から9:30頃まで、および13:30頃から14:30
頃までを開始時間とするツアーには、申し込みが集中した。
ツアー当日に、モニターツアーへの参加を希望する問い合わせがあり、そのうち実際に
ツアー参加した人は、24日は2人、25日は3人であった。
22
表3-1 モニターツアーの実施状況
6/23 †
6/24
6/25
7:45
3
10
8:45
6※
10
10
8
7
9
3
7
3
4
8
6
写真3-10
参加者への事前レクチャー
写真3-11
受付における仮認定証の発行
写真3-12
ガイドの引率風景(6/24撮影)
写真3-13
ガイドの引率風景(6/25撮影)
10
9:45
1
5
10:45
2
2
ー
ツ
ア 11:45
開
始
時
間
帯 12:45
13:45
3
7
3
6
14:45
10
4
7
10
10
1
15:45
ツアー数
9
12
8
参加人数
45
78
52
†
: 悪天候によりツアー実施されず
: 数字はツアーの参加人数を表す
※
23
c)ツアー間隔の設定と受付の混乱状況
各グループが接近して間隔が無くなることよる、ヒグマ出没時のリスク増加や自然体
験の質の低下を避けるため、平成20年度のモニターツアーでは、ツアー間隔を10分および
20分に設定して実験がなされた。平成21年度も24日は15分、25日は10分のツアー間隔を設
定して実験を行い、受付の混乱状況やツアーの追い越し・接近状況を検証した。当日受付
での作業は昨年同様以下のとおりであった。
・ツアー引率ガイドは、集合時間にツアー参加者を受付付近に集め、事前レクチャーを
実施する
・引率ガイドが受付にツアー参加者の氏名・年齢・性別を記した参加者受付リストを提
出する
・受付にて、参加者の本人確認および仮認定証の発行を行う
・担当ガイドは、受付で地上歩道における最新のヒグマ情報を聞き取るとともに、業務
無線機を受け取ってツアーへ出発する
平成21年度は10分のツアー間隔であっても当日受付に問題は生じなかった。前回のモニ
ターツアーを経験した職員・ガイドにより、受付がより円滑に行われたことによると思わ
れる。遊歩道内の間隔については、一部のガイドより、グループ同士の間隔が狭くなった
ケースの報告があった。
d)地上歩道の利用状況
地上歩道の周回方向については、知床五湖の利用のあり方協議会で議論がなされてお
り、植生保護期に1周で全ての湖を回ることができる反時計回りを採用することが決定さ
れている。平成21年度のモニターツアーにおいても、3-5湖周回路を反時計回りで利用す
るものとし、モニターツアーの参加者で限定利用した。1-2湖周回路は一般に開放されて
いた。
e)ヒグマ出没状況の確認
モニターツアー実施時には、平成22年度の新制度導入時に想定されている本部体制よ
りも手厚いバックアップ体制で臨むものとされた。ヒグマ出没状況は、下記の通り調査さ
れ、6/24, 25の両日ともに、地上歩道周辺でヒグマの姿は確認されなかった。
・ツアー実施直前に知床財団職員が地上歩道をパトロールして、ヒグマの姿や新しい痕
跡の有無を確認した
24
・ツアー実施中も、環境省および北海道の職員が地上歩道のパトロールを行った
・知床財団職員が、随時標識付きヒグマのモニターを行った
・ツアー実施中のガイドがヒグマの姿や痕跡を確認した場合、受付に帰着した後、所定
の用紙に状況を報告するものとした
f)連絡体制
当日受付時、業務無線機を引率ガイドに配布した。引率ガイドは地上歩道進入時・退
出時に、本部および前後のグループに無線連絡するものとした。また、ヒグマの姿を確認
した際も、無線を使って本部および他のグループに連絡するものとした。
g)渋滞対策
平成21年度は知床五湖の利用者が比較的多い6月下旬にモニターツアーを実施するこ
と、およびモニターツアー参加者は長時間知床五湖に滞在することから、ツアー参加者の
車両により渋滞が発生することが予想された。これを緩和する目的で、知床自然センター
と知床五湖駐車場間を、1時間に1回往復するシャトルバスの運行を計画し、シャトルバス
の利用希望者がいた場合、受け付けたガイド事業者は、前日19:30までに知床財団へ連絡
するものとした。
23日19:30までに受けたシャトルバス利用申込みは3件に留まった。各ガイド事業者に聞
き取りを行ったところ、24日以降もツアー参加者がシャトルバスを利用する見込みは低い
ことを確認できたため、シャトルバス運行による渋滞解消効果は低いものと判断し、24,
25日のシャトルバス運行を中止した。
h)仮設工作物申請
実験実施のため、受付場所として仮設テントの設営や実験実施中の誘導看板等を設置す
るための仮設工作物申請を行った。
設置された仮設テントおよび誘導看板を写真3-14およ
び3-15に示す。
25
写真3-15 設置された誘導看板
写真3-14 設置された仮設テント
④
ツアー参加者へのアンケート調査
北海道大学農学部森林政策学研究室が主体となり、2種類のアンケート調査が実施され
た。モニターツアー参加者にツアーの満足度などを尋ねる調査では、24日に実施されたア
ンケートにおいて、回答に時間がかかり過ぎた、一部設問に失礼な内容が含まれていた、
お客様軽視のアンケートであった、などの指摘がガイド事業者からあり、25日は問題の設
問を除いたアンケート調査が実施された(資料3-9-1)。
また、モニターツアーの非参加者に対しても、モニターツアーの周知度やヒグマ活動期
の利用のあり方などについて尋ねるアンケート調査が実施された(資料3-10-1)。主な結
果は以下のとおりであった。
a)モニターツアー参加者に対するアンケート結果(資料3-9-2参照)
・受付時の手続きやレクチャーの内容、ツアー中のガイドの解説、ヒグマに対する安心
感について質問したところ、肯定的な意見が大半を占め、参加者のツアー全体の印象
は好意的であったことが示された。
・平成20年度実験時に比べ、ヒグマ活動期における地上歩道の利用制限について、肯定
的な回答をする人の割合が増加した(平成20年度:80%, 平成21年度:94%)。
・ツアー前後でツアー料金の支払意思額を尋ねたところ、80%の人がツアー前と同等も
しくはそれ以上の料金を支払っても良いと回答した。実際に参加料金を支払った人で
あっても、ツアーの満足度は高かったものと思われた。
b)モニターツアー非参加者に対するアンケート結果(資料3-10-2参照)
・モニターツアーを実施していることを知らなかったとする回答は、70%程度であった。
このうち、知っていたら参加したと答えた人は25%程度であった。
・ヒグマ活動期に検討されている制度については、68%の人が好意的な意見を持ってい
26
ることが示された。
平成21年度は有料でモニターツアーが実施されたが、ツアー参加者の満足度は高く、
ヒグマ活動期における利用のあり方も、好意的に受け止められていることが示唆された。
一方で、ツアー非参加者の多くは、ツアーが実施されていることを知らなかったと回答し
ており、新制度導入の際には、幅広い広報が必要になることが考察された。
(4)次年度以降の準備
①
モニターツアー後の意見交換会の実施
全日程終了後の7/2に、平成21年度行われた知床五湖利用コントロール導入実験につい
て、意見交換会を実施した。出席者は、実験参加ガイド、知床五湖の利用のあり方協議会
事務局、知床斜里町観光協会、自然公園財団、北海道大学(アンケート調査実施者)、お
よび知床財団であった。交換会での主な議論内容は以下のとおりであった。これら意見を
まとめて、ヒグマ活動期における課題抽出を行った。抽出された課題を整理したものを資
料3-11に表す。
a)ガイド募集要項について
・ガイド経験100日、五湖ガイド30日という応募条件が厳しすぎる(反対に緩すぎると
いう意見もあった)
・応募条件を満たしていない応募者がいた
・応募条件を満たしているかどうかの検証のために、推薦制度を取り入れてはどうか?
→
ガイドの応募条件や推薦制度などについて、今後検討する旨返答がなされた
b)ヒグマ対処法の基本的ルールおよび研修内容について
・基本ルールでは50mをヒグマとの安全な距離と定義しているが、実態にそぐわないケ
ースがある
・出没したヒグマが見えない位置に去った場合の対応について、前進するか後退するか
の判断基準、待機の仕方、他グループとの合流など、ルールを明文化する必要がある
・ガイドが引き返す判断をする場合、引き返しの基準を明確にして、お客さんに説得し
やすいルールを加味するべき
・安全面に目を向けるあまり、お客様にとって楽しいガイドを実践できるような基本的
ルール、研修内容ではなかった
・無線連絡の簡略化、ポイント名の工夫が必要
27
・無線の使用法を現地実習したが、無線のみで本部が現場の状況を十分理解するのは難
しい。本部が指示するところ、システムによって自動的に決まるところ、ガイドの判
断に任せるところの線引きが必要ではないか?
→
平成21年度実験で試用した基本ルール、運用体制、研修制度はたたき台であり、
抽出された課題について改定を検討していくことが確認された
c)集客システムについて
・当日参加を希望するお客様が多く、当日受付は必要だろう
・平成21年度試用した申込予約システムでは、時間枠の選択およびガイド事業者の選択
を求めており、お客様にとって利用しづらい(分かりづらい)システムであった。お
客様が希望の条件を入力していけば、ガイド事業者に辿りつくシステムが必要ではな
いか?
・本実験の申込予約システムでは参加者の個人名と住所の登録が必要であった。旅行会
社のツアーを受け入れづらいので、団体名と人数のみで登録できないか?
・申込予約システムも外国語標記が必要になる
→
知床五湖においても、インターネットによる予約状況の把握・管理を行なう必要
性が確認された。
d)ツアー間隔の設定について
・ツアー中に後ろのガイドが迫ってきた状況が発生した。間隔を調整しながら進むのは、
ガイドの資質であり、ガイドが求められる資質についても検証が必要
・混んでいる時間帯と空いている時間帯とで、ツアー間隔を変えてもよいのでは?
e)駐車場渋滞対策について
・1時間に1回、知床五湖と知床自然センターを往復するシャトルバスの利便性は低く、
使いづらいと感じていた
・送迎は自社でやっているので、シャトルバスの利用は考えていなかった。現地集合し
たいというお客様にも、自社車での送迎をお願いしている
・送迎に使う自社車の定員は10名(運転者含む)なので、ツアーの定員を10名と固定す
るのではなく、事業者ごとに設定できないか?
f)23日のツアー中止判断について
・中止の判断を行政が行うのであれば、事故発生時の責任をガイドが全て負うのはおか
しい
28
・天候悪化時やヒグマ出没時に閉鎖する際、ガイドの判断を尊重する仕組みが必要では
ないか?
→
歩道管理者から、一定の安全性が確保されない状況でツアーの実施を認めること
は難しいことが説明された。今後、ツアー中止の判断や連絡方法などの整理が必
要であることが確認された
g)ツアー参加者に実施したアンケート調査について
・ツアー参加者は各ガイド事業所の顧客であり、24日に実施された不適切なアンケート
調査など、サービス商品としての品質を満たしているかどうかをチェックする体制が
必要との指摘がされた
h)今後の予定に対する意見
・平成22年度から新制度を導入するには、集客面で既に手遅れの状態
・植生保護期についての検証作業も全くされていない
・ヒグマ活動期について、平成21年度の実験を通じて課題も見えてきたが、まだ課題が
出尽くされてはいない
→
7月に第2回知床五湖の利用のあり方協議会を開催し、平成21年度の実験を通じて
見えてきたヒグマ活動期の課題点を修正すること、植生保護期の利用のあり方に
ついても検討することが確認された
②
平成22年度へ向けて
実験後の知床五湖の利用のあり方協議会において、知床五湖地上歩道の自然環境を維持
しつつ、適正な公園利用を図るために、同地区を利用調整地区とすることが、環境省から
提案され了承された。また、新制度導入にあたって、利用者への周知、新施設の検討、安
全管理体制の確立などの課題が山積みであることから、制度導入時期を1年間延長して平
成23年度からとし、準備に十分時間をかけることも決定された。
また、今回の利用コントロール導入実験で明らかになった、研修・検定のあり方や基本
ルールなど、ヒグマ活動期の運用に関する様々な課題は、知床五湖の利用のあり方協議会
の下に検討部会を設けて協議することとなった。検討部会においては、平成20年度および
平成21年度において使われた認定ガイドという表現は、誤解を生むとの指摘から、同部会
においてヒグマ対処法引率者など、新たな呼称を検討することとなった。
平成22年度には、検討部会・協議会での議論を踏まえ、もう一度、ヒグマ活動期の運用
について実験することが望ましい。
今回の実験ではモニターツアー実施時にヒグマとの遭
遇は発生しなかったため、遭遇時の対処法については検討の域を出ていない。次回はモニ
29
ターツアーを、10日間∼数週間程度と比較的長期間に渡って運用することで、ヒグマ遭遇
時の適切な対応について、引率者、本部それぞれが経験を積み、さらなる研修・検定のあ
り方を検討するための具体的なデータを積み上げることが必要だと考えられる。
3-3 知床五湖方面冬季利用試行事業
(1) 実施概要
冬期閉鎖された道道および知床五湖周辺地域をルールの下で徒歩利用する本事業は、
知床における冬季の新たな利用のあり方の検討やエコツーリズムの普及啓発をめざして、
平成 19 年度より開始され、本年は 3 年間の予定で行う試行事業の最終年である。主な事
業の実施は、NPO 知床斜里町観光協会が主体となって実施し、エコツーリズム推進を目
指す取組みとして、知床エコツーリズム推進協議会の事業としても位置づけられている。
知床エコツーリズムガイドラインが基本ルールとして採用され、ガイドラインの遵守
が、優先権を持つ引率指導者の認証基準の一つである。非常に簡易ではあるが、条件を
満たした者を認証ガイドとして定義する仕組みと、認証ガイドが特定の利用において優
先権を付与される仕組みを連結し、実質的に認定ガイドシステムが稼動している。
・実施形態:認定された引率者が同行するグループにのみ、冬季閉鎖中の道路利用を
許可。認定には、講習会の受講、知床エコツーリズムガイドラインの遵
守などが条件
・実施主体: 知床斜里町観光協会、知床エコツーリズム推進協議会
(事務局:観光協会内エコツーリズム推進委員会)
(道路使用申請事務:斜里町役場商工観光課)
・実施期間:平成 22 年 1 月 30 日(土)∼3 月 22 日(月) 52 日間
(自然状況によっては、期間中であっても利用できない場合がある)
・利用範囲:道道知床公園線・しれとこ 100 平方メートル運動地・町道知床五湖道路・
知床五湖周辺
*詳細は
資料 3-12「知床五湖方面冬季利用試行事業
実施概要」
参照
② 平成 20 年度からの変更点
・しれとこ 100 平方メートル運動地の利用
昨年度、利用可能だったしれとこ 100 平方メートル運動地内の旧道 2 本のうち、
岩尾別川側の 1 本については、今年度は利用不可となった。その理由として、昨
年度の利用実績があまり無かったこと、環境(旧道上に生育している稚樹)への
影響が懸念されることが挙げられた。昨年同様、100 平方メートル運動地内を利用
30
する際の、ルール徹底および 100 平方メートル運動の周知のため、現地講習会が
実施された。
・参加者一人あたりの利用料徴収
各ガイド事業者は、利用料として参加者一人あたり 400 円を徴収し、知床斜里
町観光協会に支払うこととなった(400 円のうち 100 円を「100 平方メートル運動
の森・トラスト」に寄付する予定)。
(2)利用者アンケートの実施
冬季利用は、自然環境への負荷や安全上のリスクを検証しつつ行う必要がある。利用
範囲、自然環境への配慮、安全性の向上のための利用のルール、利用システムのあり方
(引率指導者の要件、受付方法、緊急時の体制など)について検討を行うために、利用
者からのアンケート調査を実施した。ガイドツアーが安全管理と自然保護に配慮して実
施されているかを評価し、運用システムの改良や、ルール策定へ活用することとする。
調査期間: 平成 22 年 1 月 30 日∼3 月 22 日
(知床五湖方面冬季利用試行事業の実施期間に準じる)
調査対象:
冬季知床五湖ガイドツアーの参加者
調査票配布方法:
ツアー終了後に引率者が、参加者に調査趣旨を説明の上で、調査票を手
渡す(調査票は帰着報告を行う岩尾別ユースホステルに準備されている)。
記入してもらった調査票(資料 3-13「知床におけるガイドツアー評価ア
ンケート」)は、添付した返信用封筒により郵送回収とする。
*昨年度(平成 20 年度)に実施した同様なアンケート調査の集計結果については
資料 3-14「平成 20 年度知床五湖冬季利用 参加者アンケート集計結果」参照
*回答された調査票の集計・分析は次年度の取り組みとなるが、5 月ごろにはとりま
とめ、来年度の試行事業および、知床五湖方面冬季利用におけるガイドライン策定
に反映される予定である。
31
4.羅臼町における地域産業連携型エコツアーの実施等
羅臼町における地域産業と連携したエコツアーとして、ウニ採りを体験するプログラム
と、「第 7 回/全国ほんもの体験フォーラム in 北海道」のプレツアーとして羅臼の自然資
源を広く紹介するプログラムを実施した。
昨年度まで独立した形で実施していた秋サケを題材としたツアー(大きく荷揚げ見学と
遡上見学で構成)は、今年度は漁期(遡上期とほぼ一致)に受け入れた様々なツアーのな
かで、一構成要素として組み入れる形で実施した。
4-1
地域産業連携型エコツアーの実施
羅臼町における地域産業連携型エコツアーは、羅臼町の基幹産業である漁業が取り組む
資源の利活用、食の安全性確保などを紹介し、
「羅臼ファン」を増やすことを目的としてい
る。羅臼の自然資源・漁業資源をより深く正確に、楽しみながら学べる機会を提供し、以
て羅臼の豊かさを実感してもらうとともに、既に一定の成功を収めている「羅臼ブランド」
の価値を広く普及・定着させることをも、長期的な目的として設定している。
(1)春のウニプロ「最高級羅臼産エゾバフンウニを探して磯遊び」
春のウニプロ「最高級羅臼産エゾバフンウニを探して磯遊び」(以下、ウニプロ)は、平
成 19 年度に開始、今年度で 3 年目のプログラムである。19 年度は 3 回、20 年度は 5 回、
21 年度は 1 回のみ開催した。
①実施要領
実施日時:平成 21 年 6 月 20 日(土)7:00∼9:30
参加料金:大人 10,000 円
子供(小学生以下)5,000 円
3 名以上 5 名以下の家族 20,000 円
(保険料、ガイド料、ウニ料金、胴付長靴(以下、胴付)などの備品貸出料を含む)
行程と内容:以下の通り
時
間
内
容
06:45∼07:00
受付(於・道の駅)、胴付など装着
07:00∼07:45
開会式、ウニ採り場所へ移動
07:45∼09:00
ガイドによる注意事項など説明、ウニ採り
09:00∼09:20
撤収・身支度の後、全天候型二階建て漁港へ移動
09:20∼09:50
全天候型二階建て漁港内のウニの畜養施設等見学(解説つき)
09:50∼10:10
記念撮影、ウニ発送、アンケート記載などを経て順次解散
32
※途中、羅臼産昆布茶を提供
②実施結果
参加者は 15 名。(ほか、取材 1 名)
構成はすべて大人、家族割適用はなし。
※決算については巻末に資料添付した。
(資料 4-1)
写真 4-1 採ったウニをその場で食べる参加者
③アンケート結果
プログラム終了後にアンケートを実施し、11 名分を回収、アンケート結果は以下の通り。
1.今回ご参加になった催しを何でお知りになりましたか?
・インターネット
・その他
×5
×2
・ダイレクトメール
×2
・知人から
×2
…「その他」の内容としては以下(記述式)
9
3 年前に道新で
9
テレビ・ニュース・新聞
9
昨年参加して(×2)
9
昨年新聞記事を見て
2.今日のウニ採りプログラムを終えた時点で、参加費についてのご意見を伺います。
お 1 人 10,000 円(小学生以下 5000 円、家族割引 20,000 円)は…
・とても高い
×0
・やや高い
×3
・適当
×8
・安い
×0
3.今日のウニ採りプログラムに参加したのは、何回目ですか?
・初めて
×5
・2 回目
×5
・3 回目以上
×1
4.何かお気づきのことがありましたら遠慮なくご記入ください。辛口歓迎です!
(自由記述部分)
A) 初めてなのでそんなに取れないと思っていたが、(町民ガイドなど運営側に)サポー
トしてもらってとても楽しく過ごさせていただきました。ありがとうございました。
口に入るまでに 4∼5 年もかかっているのですね。ウニの話もよかったです。
B) 羅臼へ来て宿泊するだけでも、結構費用がかかるため、高いと感じる。
(設問 2 で「や
や高い」を選択した方の回答)。ウニプロだけの費用としては、10,000 円は安いかも
しれない。
33
C) 発送伝票は先に書いたほうが寒くなくてよかったかもしれない。小さいウニを持っ
て帰るのがもったいないので、できたら普通サイズと交換してほしい。
D) ウニ採り以外の行程も楽しかったです。
E) 参加費は振込の方が簡単で便利だと思います。施設(二階建て漁港)の説明の時は、
何か簡単な資料があると判りやすいと思います。
F) 最後にセリ会場を見ることができれば、さらにお得感があったかとも思います。1 時
間半があっという間に過ぎました。うち 30 分間は撮影タイムに充当しました。
G) できれば昨年のように数回開催してほしい。
H) 寒い中、大変でしたが、楽しかったです。ありがとうございます。
I) 毎年楽しみにしています。ありがとうございます。
J) 来年度も企画してください。
④まとめと考察
春のウニプロ「最高級羅臼産エゾバフンウニを探して磯遊び」は、今年度が 3 年目の実
施であるが、その内容は少しずつ変化してきている。昨年度までと今年度の大きな違いは、
次の点である。
昨年度までその内容は、ウニ採りというアクティビティのみと言っても過言ではなく、
解説はウニ採り開始直前に磯で町民ガイドからごく簡単なウニの生態を聞くのみだった。
今年度からは、学習的な要素をより多く盛り込むことを主たる目的として、ウニ採り終了
後に胴付を脱ぎ全天候型二階建て漁港に移動、畜養施設において様々な成長段階にあるウ
ニを前にしながらの解説を聞く時間を設けた。解説は、羅臼漁業協同組合のウニ部会職員
が担当した。
この解説の効果は、アンケートに確実に反映されている。例えば A)にあるような「ウニ
の話もよかった」や、D)の「ウニ採り以外の行程も楽
しかった」という直截なものから、同じく A)の「口に
入るまでに 4∼5 年もかかっている」ことへの驚きが表
れた意見(に加え、ひょっとすると C)の「小さいウニ
をもって帰る」のが「損をした気分」ではなく「もっ
たいない」と記されていること)は、解説を聞かなけ
れば記載されなかったと思われるし、B)の「(羅臼訪問
に係る宿泊費用などを除き、ウニプロ単独でみれば)
10,000 円は安いのかもしれない」という意見も、解説
を聞いたからこその意見とも受け取れる。
また、リピート率と次年度以降の開催を望む声にも
注目したい。ウニプロを「何で知ったか」という問い
写真 4-2 漁協職員によるウニの解説
に対し、「ダイレクトメール」や「昨年参加して」という回答者について考えてみると、前
34
者は間違いなく過去に何らかのプログラムに参加し、主催者からのダイレクトメールを受
け取れる環境を構築していたはずであり、後者は過去に参加した経験を踏まえ、自ら今年
度の開催要領を問い合わせたなどのケースが考えられる。こうした根強いファンを少しず
つでも増やし、羅臼の地域産業連携型エコツーリズムの支援者となってもらうことが次な
るステップではないだろうか。
課題としては、初めての参加者には「ウニ生産者自身による解説」は喜ばれるであろう
が、リピーターには「去年も同じ話を聞いた」という指摘を受ける可能性があり、今後も
ウニプロを継続していく場合、両者の差異化が求められることになろう。
建設的な要望、例えば E)「(二階建て漁港での)解説の際は何か資料を」や、C)「発送伝
票は先に記入したほうが…」などは大いに頷けるものであり、応じることはさほど難しい
ことではない。しかしながら、「羅臼に来て宿泊するだけでそれなりの費用がかかる」につ
いては、容易には解決しがたい。直接旅館などに働き掛けて、宿泊とセット販売にして価
格を落とすか、「それなりの費用」をかけてでも来る価値が羅臼にある、と思ってもらえる
観光資源を開発あるいは掘り起こし、紹介していく努力が求められる。
また、当該プログラムのガイドについては、「羅臼町シルバーいきがいセンター」から選
抜した 3 名の「町民ガイド」が担当している。定量的な比較ではないものの、毎回プログ
ラムに同行して彼らの解説を聞いている限り、その解説技術は回を重ねるごとに確実に上
達している。
(2)第 7 回
全国ほんもの体験フォーラム in 北海道 プレイベントツアー(羅臼)
全国ほんもの体験フォーラムとは、地域振興を目的とした体験型観光振興について、各
地の同様の事業の実務担当者などが一堂に会し、コーディネートシステム、官民連携、人
材育成などに関する課題を議論する催しである。先駆的に体験型観光に着手し、既に一定
の成果を挙げている「全国ほんもの体験ネットワーク」のメンバーを中心に、過去に福井、
沖縄、長野などで開催されている。
今年度のフォーラムは北海道標津町で 11 月 8 日に開催された。フォーラムに先駆けたプ
レイベントツアー(以下、プレツアー)を、羅臼町のほか、標津町、中標津町、別海町、
根室市で受け入れることとし、羅臼町においては、知床羅臼町観光協会(以下、観光協会)
が中心となって、羅臼の漁業や自然を軸とした観光資源をふんだんに盛り込んだツアーを
提供した。ツアー名は、
「世界自然遺産
知床羅臼ブランド
観光船ホエール&バードウォ
ッチングと漁師飯」とした。
以下に、羅臼町でのプレツアー・プログラムについて記す。
35
①プレツアーおよび外部評価実施要領
実施日時:平成 21 年 11 月 6 日(金)∼7 日(土)
参加料金:25,000 円/人(但し、プレツアーに続くフォーラム参加に係る費用も含む)
※宿泊費、傷害保険、最寄り空港からの交通費、体験費用等を含む。宿泊は指定宿に相部屋。
行程と内容:以下の通り
11 月 6 日(金)
内
容
08:30∼09:00
A)道の駅集合・行動予定確認と変更点(※欄外参照)の伝達・港へ移動
09:00∼11:30
B)ホエール&バードウォッチング(観光船遊覧)
12:00∼13:00
C)昼食(羅臼の海の幸)
13:00∼14:00
D)知床峠における周辺眺望観賞
14:00∼15:00
E)熊越えの滝散策
15:00∼15:15
F)買い物(道の駅内・羅臼漁業協同組合直営店「海鮮工房」にて)
15:15∼15:45
G)イカ釣り漁船出港風景見学
15:45∼16:15
H)羅臼の自然(画像を用いた解説)
於・羅臼ビジターセンター
16:15∼16:45
I)羅臼の自然(展示を通した解説)
於・羅臼ビジターセンター
16:45∼17:30
※当初予定は郷土芸能鑑賞
各々観光協会手配の宿へ移動
※予定していた郷土芸能「知床いぶき樽」
(和太鼓実演)鑑賞が、演者のインフルエンザ罹患の影響で中止
を余儀なくされ、急遽代替プログラムとしてイカ釣り漁船出港の様子の見学を充てた。
11 月 7 日(土)
内
容
04:30∼04:45
参加者ピックアップ(宿→道の駅)
04:45∼05:00
道の駅集合・全天候型二階建て漁港へ移動
05:00∼06:30
J)全天候型二階建て漁港での秋サケ荷揚げと施設見学
06:30∼07:00
参加者、各々の宿へ移動(朝食など)
10:30∼
第 7 回全国ほんもの体験フォーラム会場(標津町)へ移動
②実施内容詳細
当日の天候は快晴、11 月の道東地区とは思えぬ暖かさに恵まれた。また、この時期とし
ては珍しく無風で根室海峡の海況も良好であるなど、好条件がそろった。以下にそれぞれ
のプログラムの概要を、先に示したスケジュール表の記号にそって記す。
A)集合直後の行動予定確認と変更点伝達
参加者が全員そろったところで、観光協会から当日の行動予定の確認と簡単な説明を行
った。一部、郷土芸能「知床いぶき樽」という和太鼓の実演観賞が、演者のインフルエン
36
ザ罹患により欠員が生じ実施不可能となった点についても説明し、予定の変更について合
意を得てプログラムをスタートさせた。
B)ホエールウォッチング
行動予定確認の後、羅臼港へ移動、乗船する。乗船に際し、防寒のためのウェア(ポン
チョ型レインウェア)と双眼鏡が貸与された。出港後しばらくは、同乗した観光協会職員
および地元在住の鯨類研究者から、通常どのような生物が見られるか、主な鯨類の生態な
どについてのごく簡単な解説があっ
た。沖に出るにつれ、フルマカモメ、
トウゾクカモメなどが観察され、続い
てイシイルカの群れを発見し緩やか
に追尾するなどした。その後、浮上し
ているマッコウクジラを発見し接近
したが、ほどなく潜水、20 分ほどして
同じ個体が再浮上したため、15 分ほど
停船して観察をした後、撤収した。
写真 4-3 マッコウクジラ発見時の様子
C)昼食
下船後、地元の飲食店に移動し、昼食をとった。観光協会の要請で、羅臼産の海産物(秋
鮭、昆布、ホッケ、ホタテなど)をふんだんに使った弁当スタイルのものに、ご飯とみそ
汁が別途ついたものを用意した。観光協会および羅臼町役場水産商工観光課など主催およ
び引率の担当者らは、午後の行程に係る打合せなどのために、参加者とは別の部屋で昼食
をとった。
D)知床峠における周辺眺望観賞
当初は組み込まれていなかったスケジュールである。この上ない好天に恵まれたこと、
翌 7 日には知床峠に続く知床横断道路(国道 334 号線)が冬季閉鎖に入ることなどから、
急遽参加者に「熊越えの滝散策といずれがよいか」と問いかけ、全員から峠行きの希望が
出され、赴いたもの。予想通り、羅臼岳をはじめとする知床連山、根室海峡とその向こう
に横たわる国後島などが一望でき、参加者には大変喜ばれた。
E)熊越えの滝散策
熊越えの滝までは、国道沿いの入口から片道 15 分ほどで滝に到達するコースが整備され
ている。上述 D)を急遽組み入れたため、本来であればこの行程は割愛するはずであったが、
37
参加者から「是非とも両方を」との要望が挙がったため、やや急ぎ足での散策となること
を前提で実施したもの。羅臼周辺の遊歩道や登山道はぬかるみがちであるが、この日も木
道が敷設されたところ以外はあまり歩道の状態はよくなく、長靴等を着用していたわけで
はない参加者たちにとっては、足元を気にしながらの散策となった。滝に到着したところ
で、観光協会事務局長から「知床が自然遺産に登録された理由」などについて、クイズ形
式での簡単な解説がなされた。
F)買い物(道の駅内・羅臼漁業協同組合直営店「海鮮工房」にて)
道の駅内にある店舗「海鮮工房」で、羅臼の物品を対象とした買い物のための時間を取
った。買い物の合間に、観光協会から羅臼特産の昆布茶がふるまわれ、また同店舗内の一
画で上映されている、羅臼昆布ができる工程を紹介する映像などを観賞しながら、しばし
の休憩を兼ねる時間とした。
G)イカ釣り漁船出港風景見学
郷土芸能「いぶき樽」がインフルエンザで演者に欠員が生じ、急遽代替的に組み入れた
プログラムである。
羅臼におけるイカ漁は、出港時刻が 15:30 と決められており、港内に整然と集結したイ
カ釣り漁船が定刻を待って一斉に出港する様は勇壮かつ圧巻である。これ以上ない好天の
もと、高台から眺めた当該プログラムは、参加者には大変好評を博した。
H)羅臼の自然(画像を用いた解説)
羅臼ビジターセンターのレクチャールームにおいて、羅臼の四季折々の自然のうつろい
や海・山・川・空の野生生物について、画像をふんだんに用いたレクチャーを受けた。講
師は地元羅臼在住の自然カメラマン倉沢栄一氏にお願いした。
I)羅臼の自然(展示を通した解説)
同ビジターセンターの、主に剥製などの展示物を用いた解説を実施した。具体的にはシ
ャチの骨格標本、トドの剥製などを見ながらの生態等の説明や、それぞれが展示されるに
いたった経緯・背景などを概説した。
J)全天候型二階建て漁港での秋サケ荷揚げと施設見学
未明に集合し、最盛期の秋サケ定置網漁から戻った漁船の荷揚げ作業見学を行った。町
民ガイド(ウニプロの項参照)および羅臼漁業協同組合定置部会の職員による解説を受け
ながら、羅臼漁業協同組合においては雌雄や大小にとどまらない細かな等級区分を設けて
いること、それらが堅実に守られることで羅臼ブランドが成り立っていること、サケは海
洋深層水を利用して一連の荷揚げ作業が行われ、衛生面における質も担保されていること
38
などの説明がなされた。その後、施設内 2 階に移動し、定置網漁の仕組みなどについて模
型を前に説明した。
③実施結果
参加者は 10 名。構成は、滋賀県(2 名)、高知県(2 名)、福井県(2 名)、徳島県(3 名)
からの各観光協会関係者など 9 名および後述する外部評価者 1 名となっている。
※決算については、プレツアー分相当分の抽出は不可能であったことから、掲載せず。
④アンケート結果
アンケートは実施しなかった。
⑤まとめと考察
一見した限りでは、参加者には極めて好評だった。その理由として、主催者側は各プロ
グラムを過去に一度はなんらかの形で実施しており、運営・引率に慣れていたことが挙げ
られる。また、これ以上ないほどの好天に恵まれたことも好評を博する大きな要因となっ
た。さらに、参加者各人の経験値と情報収集意欲が極めて高かったことにより、随所で活
発な意見交換が展開されたことも、これにより参加者の精神的な満足度を補完したと分析
できる。
本年度事業では「外部有識者による評価」を経ることとし、本ツアーをその対象とした
ことから、詳細は当該有識者による評価・聞き取り等を踏まえ、次章で詳述することとす
る。
4-2 有識者からの聞き取り等
本年度事業では、「地域産業を取入れたエコツアーを企画・実施するとともに、有識者等
からの聞き取り等を実施し、平成 22 年度以降のあり方についての提案を行う」こととして
いる。そのため、聞き取りについては、企画・実施するエコツアーに一参加者として同行
したうえでコメント等を頂戴する方法を採用した。併せ、事前・事後に知床財団職員との
意見交換や聞き取りの時間を設けた。
(1)有識者による評価の実施要領について
外部有識者による評価(以下、外部評価)の実施要領は以下の通り。
①有識者の詳細など
39
外部評価については、以下の方に依頼した。
原 優二(はら ゆうじ): 1956 年、長野県生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒業。株
式会社風の旅行社代表取締役。小学校教員等を経て、1990 年、海外格安航空券販売専門の
旅行会社に勤務。1991 年独立し、風の旅行社を設立、代表取締役に就任。海外・旅の専門
店連合会会長、日本旅行業協会(JATA)運営役員、旅行産業経営塾 OB 会会長などを歴任。過
去の「ほんもの体験フォーラム」に参加経験を有する。
株式会社風の旅行社の概要:ネパール、モンゴル、チベット、ブータン、中南米、シル
クロードなど、辺境地域を主として、自然や地域固有の文化などをテーマとする募集型企
画旅行を手掛ける旅行会社。日本国内を主とした体験型エコツアーブランド「風カルチャ
ークラブ」を持つ。
②事前に有識者に提供した情報について
外部評価に先駆け、以下のような情報を事前に提供し、評価の参考としていただいた。
9
知床半島におけるエコツアー導入の経緯
9
知床エコツーリズム推進協議会の概要(設立の経緯・現状を含む)
9
主に羅臼町における自然資源・観光資源の概要とエコツアーの実績
9
羅臼町と斜里町の概要(観光業の現状を含む)
9
知床羅臼町観光協会と財団法人知床財団のエコツアーにおける役割
③外部評価の実施要領について
全国ほんもの体験フォーラム in 北海道のうち、1 泊 2 日のプレイベントツアー(以下、
プレツアー)に、有識者にご参加いただく形で実施した。参加に当たっては、集合から解
散までのすべてにつき他の参加者と同じ行程をたどることとしたが、移動については知床
財団職員の運転する車両で対応した。従って、移動の時間を参加者との意見交換などに充
てることはできなかったが、これは、他の参加者についても羅臼町役場および観光協会が
手配した複数台の車両に分乗する形を採用しており、原氏については知床財団が手配した
車両で移動したということで、条件は他の参加者と同様と捉えて差し支えないと考える。
なお、一連の外部評価は以下のスケジュールで実施した。
9
基礎情報の確認:平成 21 年 11 月 5 日(木) ※主に空港からの移動車中に実施。
9
プレツアー参加:平成 21 年 11 月 6 日(金)∼7 日(土)
9
聞き取り等実施:平成 21 年 11 月 8 日(日) 羅臼ビジターセンターにて
対応:財団法人知床財団
40
羅臼地区事業係
新藤薫・坂部皆子
(2)外部評価の結果
既に述べたように、今回の外部評価は「ほんもの体験フォーラム」の一環として実施さ
れたプレツアーに、有識者のご参加をお願いする形を採った。1 泊 2 日のプレツアーの行程
の後、3 時間近くのヒアリングを行い、忌憚のないご意見をいただいた上で、後日それをま
とめていただいたものをもとに、本項を記していく。
結果をまとめるにあたり、この項では主にマイナスの評価とそれに対する個別具体の提
案について記すこととし、プラスの評価や、提言・提案、現在を踏まえた建設的な意見等
については、別途項目を設けて記すこととする。
①プレツアーに係る総括的な評価
エコツアーに限らず、良質なツアーを構成する要素は、見る、食べる、買う、体験する、
学ぶ、の 5 つである。今回のツアーは、一連の「ほんもの体験フォーラム」のプレツアー
であるから、小集団の付加価値型のツアーであるという認識をもって臨んだ。しかしなが
ら、参加者に何を理解し、何に感動し、何を楽しんでもらうのか、といったツアー全体を
包含する主催者側の意図が欠けているように感じた。そのため、個々のプログラムをただ
組み合わせただけの「ぶつ切りのツアー」となり、大型観光バスツアーとあまり変わらな
い組み立てになっていると感じた。
エコツアーには通常、主催もしくは運営する側に目的がある。それは、参加者に「見て
もらう」「体験してもらう」ことではなく、ホエールウォッチングや熊越えの滝散策などを
通じて、知床羅臼の自然を五感すべてで理解してもらい、知床羅臼の自然を永続的に利用
することが大切なのだという思いを抱いてもらうことである。これを踏まえれば、ホエー
ルウォッチングや熊越えの滝散策は、目的を達成するための手段という位置づけになる。
鯨類を見ること、熊越えの滝まで歩くことは、手段であって目的ではない。こうした手段
を通じて、参加者に上述したような知床羅臼の自然の価値を知ってもらい、保全や共存へ
向けた取り組みに理解を得ることが重要なのである。だからこその「エコツアー」という
名称であり、この点が明確になっていないと、ただの観光になってしまう。
②プログラムごとの個別評価
全体を構成する個々のプログラムに対する有識者の評価は、概ね以下のようなものであ
る。
A) 道の駅集合・行動予定確認と変更点の伝達
特に評価等なし。
B)ホエール&バードウォッチング(観光船遊覧)
41
同行スタッフの紹介は組み入れた方がいい。特に、地元在住で鯨類の調査研究に当たっ
ている佐藤晴子氏については、専門性の高い人物だと紹介することで、参加者とのやり取
りのレベルをより上質なものにできた可能性は高く、ホエール&バードウォッチングとい
うツアーの付加価値を格段に増大させられたはずである。
船長や観光協会事務局長、乗船員など、佐藤氏以外の同行スタッフも説明に当たってい
たが、生態学的・生物学的な説明やデータの紹介などはほとんどなく、「観光船」という名
称が象徴しているように、「見せる」ことを目的としたツアーにとどまっていると感じた。
「見せる」ことを目的に据えている場合、鯨類が見られた時はよいものの、見られなかっ
たときは「残念でした」あるいは「すみません」ということになる。しかしながら、①羅
臼在住の、②現場を熟知する鯨類研究者が付き添った、③科学的な解説付きのホエールウ
ォッチング・バードウォッチング…と、3 つの好条件がそろったツアーだという点は、大き
くアピールしてしかるべきだろう。新たな知識や情報を獲得する驚きや感動が加味されれ
ば、参加者はたとえ目的の生物が見られずとも、一定の満足をもって下船するはずである。
なお、乗船時の安全確認や安全確保・万一の際の保障などに係る措置が、少々おぼつか
ないと感じた。
C)昼食(羅臼の海の幸)
弁当スタイルにしたのであれば、屋外で食べるという発想が欲しい。特に今回は、せ
っかくの好天に恵まれた点を生かし切れていない点をもったいなく思った。また、「地元で
とれた食材をふんだんに使った弁当である」というところまで紹介しながら、個別の食材
や料理の紹介がなかったのも惜しい。
さらに、打ち合わせや午後の準備などがあるとはいえ、主催者側が参加者と別に昼食を
とるのは好ましくない。食事は、リラックスした雰囲気で意見や情報の交換ができる絶好
のチャンスである。こういう時間をこそ、有効に活用すべきである。
D)知床峠における周辺眺望観賞
昼食中の参加者に「知床峠(新規提案)と熊越えの滝(予定されていたプログラム)の
どちらがいいか」という問いかけをし、ほぼ全員一致で「両方」ということに決定したも
ので、恐らくは予想外の好天を満喫してもらうためのサービス精神から急遽このプログラ
ムを組み入れることとしたのだと思う。
しかしながら、知床訪問が初めての人であれば、内容が判らぬだけに「両方行きたい」
という回答になるのは当然である。プレツアーは「ほんもの体験フォーラム」の一部であ
り、付加価値型のツアーだという点を主催者がきちんと意図してしっかり作り込んだ旅行
商品であるなら、自信を持って当初の予定通り提供すべきである。また、峠においても特
段の解説などはなく、普通の観光ツアーという印象だった。さらに、これを組み入れたた
めに、本来予定されていた熊越えの滝散策の時間が圧迫され、自然資源のよさを生かしき
42
れない結果に終わった点も残念である。
E)熊越えの滝散策
知床の植生や生物相の説明をツアー内に盛り込む絶好のチャンスであるにもかかわらず、
歩くだけになってしまったという印象が強い。滝の前まで到着したところで、観光協会か
ら「自然遺産の地、知床」に関するクイズ形式での情報提供があったが、それはこの局面
でしか提供できぬ、というものではない。熊越えの滝というフィールドを生かした情報提
供手法に、改善の余地があると考える。
F)買い物(道の駅内・羅臼漁業協同組合直営店「海鮮工房」にて)
既に供用されている施設の問題なので、プログラムの問題ではないとは理解してはいる
ものの、道の駅での買い物は、基本的にスーパーマーケットでの買い物と同程度の感動し
か味わえない。潤沢な水揚げを誇る漁港を間近に見ながら店舗で買う、というのでは、さ
ほど楽しいとは言えないように思う。
G)イカ釣り漁船出港風景見学・J)全天候型二階建て漁港での秋サケ荷揚げと施設見学
見学自体は迫力もあり大変よいプログラムと感じた。欲を言えば、施設見学などで質疑
応答や意見交換が活性化するよう、町民ガイドのプロフィールが判るような紹介をしたり、
提供された情報を確認したり参照できるような、簡単なリーフレットを作成・配布するな
どの工夫をしたらよいと思う。それらは旅の思い出としてお土産代りにもなる。
H)羅臼の自然(画像を用いた解説)および I)羅臼の自然(展示を通した解説)
特に評価等なし。
(3)有識者によるまとめと提言
ここでは、有識者からの聞き取りのうち、プラスの評価を得たものとともに、それにさ
らに磨きをかけるための提言などについて記すこととする。
①総論
一般論として、観光協会がエコツーリズムを担うことは容易ではない。観光協会はその
多くが任意団体であり、自治体の観光政策推進の一翼を担うという公的な性格を有してい
る。また、自治体からの補助金を主な運営の基礎としている場合が多い。それゆえ、協会
の会員からは公平性を求められ、特定の会員に利益を誘導するようなことはできず、観光
客への総合案内窓口、外部へのプロモーションが主な活動とならざるを得ない。具体的な
プログラムを実施すればするほど、公益性・中立性との矛盾は大きくなる可能性がある。
43
羅臼町においては、観光協会にとってのツアー実施は何を目的とするのかが判然として
いないのではないかと思われる。プロモーションの中でのイベント的な位置づけであるな
らば、年間 10 本程度の実施にとどめ、必ずしも黒字にする必要はないだろう。しかし、業
としての定着を志向するなら、民間で実施できるところを育成していくしかないと考える。
具体的には、町民ガイドを含むガイドの方々や、ビジネスの軌道に一応は乗っている観光
船などに実施主体となってもらい、観光協会はあくまで暫定的な担い手と位置付けたらよ
いのではないか。
羅臼町において、観光協会がエコツアーの実施主体として適切か否か、今一度その関与
の仕方などを含め、検討すべきであるように思う。
②各論
・漁業体験について
昨今、農業体験をテーマにしたツアーは人気が高い。対するに漁業体験は、安全の確保
や法律による規制、実施が海況に大きく左右されること、素人がすぐに体験できる作業が
農業に比して少ないことなどから、実施には様々な困難が伴う。そのため、どうしても見
学という手法に頼ることになる。が、それはそれでよい。普通では見られないものを、現
場により近い形で臨場感豊かに見せることは、無理をして体験型に仕上げるより安全且つ
効果的であると考える。鮭の荷揚げなどの現場を見せ、適切な解説で情報を提供すれば、
参加者の五感による理解や想像力の刺激につながる。その点で、今回参加したイカ釣り漁
船の迫力ある出港風景見学や、サケの荷揚げ風景見学などは、インパクトも強く良質なプ
ログラムであると評価できる。
また、二階建て漁港施設内の見学それ自体もよいし、町民ガイドの育成と、そのための
舞台として漁港を活用している点は、優れた着眼であると評価できる。
・漁港について
見る・食べる・買う・体験する・学ぶがエコツアーを構成する要素であることは先に述
べた。今回のプレツアーに参加して残念に感じたのは、せっかくの漁港を前に、また、荷
揚げなどを間近に見せながら、食べる・買うの二要素が漁港と離れた場所でなされた点で
ある。質の高い見学とそれに付随する解説は、体験に勝るとも劣らぬ満足を与えてくれる
のであるから、できることなら食べる・買うも漁港内で提供できたら素晴らしいプログラ
ムになっただろう。今さら施設の構造を変えるわけにはいかないと思うが、漁港の敷地内
に露天ないしはそれに近い市場のような空間があれば、今まさにこの海で取れたという臨
場感を演出できる。また、港近くに、例えばウッドデッキのオープンテラスのような空間
を作り、テーブルをいくつか並べ、とれたての魚をその場で選ばせ、加熱して提供するよ
うな工夫はできないか。連日とは言わぬまでも、天候・気候の許す範囲で、また、運営側
44
の可能な範囲で随時イベント的にでも開催し、定着して羅臼名物に発展させていくなどの
工夫の余地はあると考える。
重要なのは、漁港で直接買ったという満足感であり、擬似的にでもそれを味わうことが
「旅という日常から離れた場において、期待していた通りの非日常の体験をすることがで
きた」という喜びにつながり、「今回の旅行先をここにしてよかった」という満足感につな
がる。ひいては「また来よう」という思いや「あそこはよかった」という口コミ情報にも
つながる。
・漁業以外の観光資源について
知床全体に言えることだが、国立公園であり世界自然遺産であるがゆえに、またヒグマ
の存在ゆえに、法律上のみならず精神的にも、その利活用にはおのずと制限がかかる。そ
のため、観光を推進する側にとっては、自然を看板に掲げながらも十分活用できないとい
うジレンマが生じる。これは受け入れ側のみならず訪れる側も同じで、せっかくの自然を
目の前にしながら、思う存分満喫できないというフラストレーションを感じながら知床を
去るパターンは少なくない。事前にインターネットやガイドブックなどで収集した情報と、
実際に訪れて体験できることとのギャップに戸惑い、結果として口コミ効果が軽減してい
ると分析できる。
陸域においては、ヒグマは大自然を象徴する魅力であると同時に、障害ともなりうる。
また、特に羅臼の場合は、平坦な土地が少なく急峻な山がそのまま海に落ち込んでいるた
め、陸域をエコツアーに活用しづらいのは大いに理解するところである。
しかしながら、海域においてはマッコウクジラやシャチが、上述したような障害を伴う
ことなく利活用可能で、実際に上手く活用していると評価する。シャチのシーズンは主に
初夏から夏とのことだが、年間を通じて見ることは可能だそうだし、シャチより遭遇頻度
は低いもののマッコウクジラは十分なスター性を備えている。従って、そのどちらも、ま
たそれ以外の生物も、生態やなぜこれほど根室海峡周辺で見られるのかなどの情報を潤沢
に提供しつつ、ウォッチングツアーを充実させていくことが望まれる。シャチは、追いか
けまわさなくても、持ち前の好奇心の強さで船に寄ってくるので、それをうまく利用して
ヒューマンインパクトを軽減すべきだし、マッコウクジラについては、見られなくても見
たかのような満足感を得てもらうべく情報提供に配慮し、ツアー参加者の五感と想像力に
働きかけることが肝要である。
また、流氷も観光資源として重要である。ウトロ側で流氷が接近すれば、砕氷機能のあ
る船しか運航できないのに対し、羅臼ではほぼ一年中船が使える。それと共に、オジロワ
シ・オオワシなどの海ワシ類やトド・アザラシなどの海獣類もウォッチングツアーの資源
として大いに利活用するべきだろう。情報提供や見られなかった際の備えについては、マ
ッコウクジラなどと同様である。
45
5.3 年間の事業の総括
5-1
これまでの取り組みの概要
知床は平成 16 年度に、原生的な自然地域などにおけるガイドツアーのあり方や適切なル
ールのもとでのエコツーリズムの推進を目指す「豊かな自然の中での取り組み」のモデル
地区として環境省の選定を受けた。また、この年より 3 カ年にわたる、
「知床エコツーリズ
ム推進モデル事業」が環境省、北海道、斜里町、羅臼町の連携によりスタートした。
知床エコツーリズム推進モデル事業の開始当時は、知床エコツーリズム推進協議会の立
ち上げと地域の中でのエコツーリズムへの理解を求めることから始まり、知床型エコツー
リズムのあり方検討やガイド技術講習会、地域産業と連携したエコツーリズムの展開など、
様々な事業に取り組んだ。平成 18 年度まで続いたこの事業の中では、自然ガイドが守るべ
き地域共通のルールであり、知床におけるエコツアーの質の向上を目的に自然環境の保全
や安全管理などについての指針を定めた「知床エコツーリズムガイドライン」を策定した
他、これまでの事業の取りまとめとして「知床エコツーリズムフォーラム」を開催して地
域の内外に向けてモデル事業の成果、及び今後の方向性について情報発信を行い、地域と
してエコツーリズム推進の必要性を再確認した。また、あわせて次年度以降に実施すべき
施策について検討を行い「知床エコツーリズム推進実施計画」(資料 5-1)としてとりまと
めた。
3 年間のモデル事業は平成 18 年度で一つの区切りを迎え、平成 19 年度からは、新たな
体制の下での「知床エコツーリズム総合推進業務」が開始された。この中では、推進モデ
ル事業の取り組みを引き継ぐ形で、ガイドラインの普及や羅臼における地域産業と連携し
たエコツアーの企画・開発、また統一窓口によるインフォメーション機能の構築として、
推進協議会のホームページのリニューアルを行うなど、身の丈にあった事業を実施した。
また、知床五湖遊歩道において、自然への負荷の軽減と利用者の満足度を満たす知床にふ
さわしい利用形態の構築のため、夏期の利用については、新たな利用制度のための導入実
験を行うと共に、遊歩道の利用状況調査や利用者の意識調査なども併せて行った。
上記の平成 18 年度に作成した知床エコツーリズム推進実施計画の中で作成した中長期の
ビジョンとその後の 3 年間の事業における達成状況について、次の 5-2 においてそれぞれ
詳しく述べることとする。
5-2 知床エコツーリズム推進実施計画の達成状況
平成 18 年度末に策定した知床エコツーリズム推進実施計画では、課題となる以下の 10
項目について、それぞれ将来目標、5 年後までの段階的なの到達イメージを整理していた。
(資料 5-1 参照)
46
(1)
知床エコツーリズムガイドラインの運用
(2)
滞在型観光の推進
(3)
統一窓口によるインフォメーション機能の構築
(4)
"地域発信型ツアーの企画・開発"
(5)
自然ガイドのスキルアップ
(6)
知床の自然保護活動の実施
(7)
既存観光地の利用のあり方に関する検討
(8)
観光収入を環境保全に還元するシステム構築の検討
(9)
実施体制・組織の整備
(10)
エコツーリズム推進に関わる独自財源の確保
今年度で実施計画策定から 3 年が経過し、現段階での達成状況について検証する。項目
ごとに、推進実施計画でのイメージと平成 21 年度段階での状況を対比し、達成状況の評価
についてコメントする。
47
(1) 知床エコツーリズムガイドラインの運用
【達成度:○】
ガイドラインの周知は成功していないが、別の形で認定ガイド制が、実現しつつある。
H21 年度段階での状況
推進実施計画(H8 作成)における想定
・ガイドの質の維持・向上
目 的 ・ ・ツアーの安全管理の向上
将 来 目 ・知床エコツアーのブランド化
標
・適正な利用への誘導
・優先的な紹介など地域のバックアップ
体制の構築
H19
・旅行会社等への周知
・ペンディングになっていたアクティビ
ティ別ガイドラインの検討
←五湖冬季利用にて、ガイドラインを
・ガイドラインの改訂
3 年後
(H21)
・利用適正化検討会議における利用のル 基本ルールとしてガイドを認定
ールと一体化した運用
・ガイドラインを発展させた認証基準に
よるガイド認証制度の検討
5 年 後 ・ガイド認証制度運用スタート
←夏季の知床五湖において実質実現
(H23)
見込み
5 年後
の主体
(H23 より利用調整地区の予
定)
観光協会+ガイド協議会+知床財団
平成 18 年までに作成した知床エコツーリズムガイドラインへの新規の追加、修正はおこ
なわれず、一般利用者への周知も十分とは言えない。しかし、ガイドラインを遵守するガ
イドを認定し、特定の利用ルートに関して利用許可が出る運用制度が知床五湖冬季利用に
おいて稼動した。
また、ガイドラインの運用とは連動しないが、知床五湖において平成 23 年から導入され
る利用のコントロール制度において、別途実質的なガイド認証制度が開始される見込みで
ある。質の高いガイドツアーを認証し、運用する仕組みが、知床のエコツアーの代表的な
例として、進展しつつある。
48
(2)
滞在型観光の推進
【達成度:△】
滞在型の市場ニーズはあるが、対応する構造は未完成。
H21 年度段階での状況
推進実施計画(H18 作成)における想定
目 的 ・ ・地域への経済効果の向上
将 来 目 ・利用の集中を分散
標
・自然環境の保全
・連泊者の拡大に向けて、地域での取り
H19
組みを検討
・新たな魅力スポットの提案による利用
の分散への誘導
3 年後
(H21)
・ツアーデスクの設置などにより、連泊 ←各ホテルにツアーデスク設置、ガイ
者への情報提供の充実
ド事業者によるプログラム開発など、
・プログラムの多角化
事業所により対応
5 年 後 ・滞在型の観光地としての受け入れ態勢
(H23) が整備され、連泊者の割合が向上
5 年後
の主体
観光協会
観光ニーズの変遷から、滞在型観光への転換は、地域の観光産業全体の大きな命題とな
っている。実施計画で示した、ツアーデスクの設置、プログラムの充実などは、ウトロの
主要ホテルにツアーデスクが設置されるなど、各事業所の努力によって進行しつつある。
これら個別の取り組みが連携して情報共有・発信を目指すなど、地域全体の滞在推進体制
は未整備であり、地域として効果を挙げるには至っていない。
49
(3)
統一窓口によるインフォメーション機能の構築
【達成度:△】
窓口統一は困難だが、各窓口の情報共有でステップアップを試行。
推進実施計画(平成 18 作成)における想定
平成 21 年度段階での状況
・窓口の一本化による利用者の利便性向
目的・ 上
将 来 目 ・ガイドライン・認証制度とリンクさせ、
標
質の高いプログラムは料金が高くても売
れるシステムの構築
・観光協会・ガイド協議会により、知床エ
H19
コツアーの広報、受付など、一元的な情
報提供機能の構築を検討
・推進協議会 HP に情報を集約
←協議会 HP をリニューアル。情報
・推進協議会 HP をポータル化し、集客 の集約は未完。
と情報提供を一元化
3 年後
(H21)
・観光案内所・道の駅・ホテルなどにエ
コツアーデスク設置→ガイド協議会が運 ← ツ ア ー デ ス ク 設 置 は 各 事 業 所 単
用
位。それぞれの情報共有のために、
・知床全体の満足度調査アンケート
「知床インフォメーションスタッフ
→結果の公開、フィードバック
交流会」開催
・エコツアーデスクの受付スタッフ人件
5 年 後 費を確保
→安定運用
(H23) ・顧客ターゲットを絞ったマーケティン
グ展開
5 年後
の主体
観光協会
ガイド
協議会
滞在型観光推進のためにはインフォメーション機能の充実は重要項目として切り出され
ているが、現状は個別の窓口がそれぞれ対応している状態である。
協議会ホームページのリニューアルや、窓口業務を行うインフォメーションスタッフの
交流会を行うなど、個別で実働しているインフォメーション機能を有機的に連携させるこ
とを目指し、地道な取り組みを行っている。
50
(4)
地域発信型ツアーの企画・開発
【達成度:○】
漁業体験ツアーを継続。ツアー商品の流通方法を試行。
H21 年度段階での状況
推進実施計画(H18 作成)における想定
・新たな観光資源を取り入れ、知床を広
目的・
将来目
標
域的に利用→利用の集中を分散
・旅行会社ではなく地元提案の旅
・地域が一体となった受け入れ体制の構
築
・地域の文化・産業の発信・理解
・モデル事業の成果をふまえて、農漁業
者、ガイド事業者などによって新たなプ
H19
ログラムの企画・実施
・推進協議会推奨エコツアーとして実施
し、観光協会によるプロモーション
・滞在型観光スタイルの推進とともに、 ←羅臼での漁業体験プログラムの継
3 年 後 個人観光客へのアピールを強化。
(H21)
続的実施。対象を教育旅行などに絞っ
・漁業・農業プログラムなどの知名度向 たプロモーションを展開中
上。
・エージェントへの依存体質からの脱却。
5 年後
・漁業・農業プログラムなどが知床での
(H23)
定番エコツアーとなる。
5 年後
の主体
観光協会
地域の特性を活かしたエコツアープログラムとして、特に羅臼地区では漁業体験プログ
ラムの様々な試行を行った。プログラムの開発・試行とともに、ツアー商品としてどのよ
うに周知し、流通させ、地域に経済効果をもたらすかを検討し、教育旅行へのプロモーシ
ョンや、集中的なイベント的運営など、発信方法の試行が続いている。
51
(5)
自然ガイドのスキルアップ
【達成度:△】
継続的な講習会開催はできていないが、別制度で実施の見込み有。
H21 年度段階での状況
推進実施計画(H18 作成)における想定
目 的 ・ ・自然ガイドの安全管理技術、自然に対
将 来 目 する知識などの向上
標
H19
3 年後
(H21)
・ガイド技術講習会の実施
・ガイド技術講習会の実施
←知床五湖の利用コントロールにお
・地域産業を伝えるガイド育成の検討
いて、ヒグマ対処法に関する講習が制
度の一部となる見込み
5 年 後 ・ガイド技術講習会の実施
(H23) ・地域産業を伝えるガイド育成
5 年後
の主体
←羅臼町で町民ガイド育成
ガイド協議会
自然ガイドスキルアップのための講習会は、羅臼地区における海難救助講習や町民ガイ
ド育成のみであり、斜里側のプロガイドとのニーズも踏まえた継続的なガイド講習の実施
はできていない。
一方、五湖冬季利用認定のための講習会や、夏季の知床五湖利用のコントロールにおけ
るヒグマ対処法研修など、認証制度の一環として、各々の制度の目的に特化した研修は制
度とともに整備されつつある。
52
(6) 知床の自然保護活動の実施
【達成度:○】
環境負荷モニタリングの実施。
H21 年度段階での状況
推進実施計画(H18 作成)における想定
目 的 ・ 観光資源としての知床の自然環境の保全
将 来 目 による持続的なエコツーリズムの展開
標
H19
・利用状況、環境負荷に関するモニタリ
ング
←知床五湖と羅臼湖の遊歩道におい
3 年 後 ・利用状況、環境負荷に関するモニタリ て、遊歩道の浸食状況調査を実施。今
(H21)
後 5 年程度毎にモニタリングする際の
ング
5 年 後 ・利用状況、環境負荷に関するモニタリ 基礎データを取得
(H23) ング
5 年後
の主体
知床財団
推進協議会事業として積極的な自然保護活動は行われていない。環境保全とのバランス
が取れた観光利用がエコツーリズムの大きな命題であり、継続的に維持できる活動として、
遊歩道の利用による環境負荷を定期的にモニタリングすることを設計し、基礎的な調査を 1
回実施している。
53
(7) 既存観光地の利用のあり方に関する検討
【達成度:○】
知床五湖について新制度が導入見込み。導入後の羅臼湖等への影響に課題
H21 年度段階での状況
推進実施計画(H18 作成)における想定
目 的 ・ 自然への負荷の軽減と利用者の満足度を
将 来 目 満たす知床にふさわしい利用形態の構築
標
・利用状況、環境負荷に関するモニタリ
ング
H19
・利用者アンケートの実施
・検討会の開催
←知床五湖については、別途協議会を
・自主ルール運用
設立して各種検討と新制度導入を実
3 年 後 ・利用適正化検討会議による利用のルー 施見込み。
(H21)
ルと一体化した運用
5 年 後 ・利用状況やモニタリング結果等をフィ ←五湖新制度導入後に、羅臼湖等の他
(H23) ードバックし、ルールの再検討
5 年後
の主体
地域への影響を懸念
観光協会
ガイド協議会
知床財団
知床最大の観光スポットである、知床五湖の利用のあり方の検討は、エコツーリズムの
枠を超えて、地域全体で協議が進んでおり、平成 23 年より新制度が導入される見込みであ
る。
五湖の新制度導入の影響を受けて、知床全体の利用者の流れが変わる可能性が高く、羅
臼湖など他地域の影響調査と、利用のあり方検討が今後の課題になる。
54
(8) 観光収入を環境保全に還元するシステム構築の検討
【達成度:△】
五湖冬季利用において一部試行中。
H21 年度段階での状況
推進実施計画(H18 作成)における想定
目 的 ・ ・観光利用と環境保全の両立
将 来 目 ・持続的な観光地経営
標
・観光収入による基金の運用
H19
・利用者からの協力金等の導入について
他地域の事例研究
←H21 年度の五湖冬季利用にて、利用
・観光収入による基金の運用
3 年後
(H21)
・利用者からの協力金等の導入について するガイド事業者から「しれとこ 100
平米運動トラスト」への寄付実績あ
検討
り。
5 年 後 ・観光収入による基金の運用
(H23) ・利用者からの協力金等の導入・運用
5 年後
の主体
観光協会
ガイド協議会
知床財団
観光収入を環境保全に利用する制度の試行として、知床五湖冬季利用における、「しれ
とこ 100 平方メートル運動の森・トラスト」への寄付が実行されている。これは冬季利用
が、同トラストの森づくり活動地を利用することから、運動への支援を利用の条件として
制度に取り組んだものである。同トラストは知床において 30 年以上森づくり活動に取り組
んでいる実績があり、環境保全の寄付先としても妥当だと考えられる。平成 20 年度は認定
ガイドが運動に参加していることが条件となり、平成 21 年度はガイド事業者が利用者の数
に応じた寄付を行う予定である。
今後これら寄付の取り組みが、他の活動に発展するかどうかは未定であるが、具体的な
例が実現したことは大きな一歩と言える。
55
(9) 実施体制・組織の整備
【達成度:△】
実施主体としての自立は未完。
H21 年度段階での状況
推進実施計画(H18 作成)における想定
目 的 ・ ・地域で自立した実施体制の組織化
将 来 目 ・観光協会、ガイド協議会、知床財団が
標
役割分担をしながら利用と保護を両立
・観光協会の事務局体制強化
H19
・モデル事業中に知床財団が担っていた ←事務局機能、事業実施についても両
事務局機能を段階的に観光協会へ移行
業は、各組織のエコツーリズムに関す
3 年 後 ・観光協会による事務局体制確立
(H21)
る事業を取りまとめて、推進協議会事
・4者の役割整理確立
5 年 後 ・エコツーリズム推進協議会として独自
(H23) 財源の確保
5 年後
の主体
→
町観光協会が主導しつつある。実施事
自立
業としているケースが多く、協議会の
自立的な事業は少ない。
観光協会
ガイド協議会
知床財団
平成 18 年度までのモデル事業では事業の実施主体は行政であった。その結果を受け、平
成 19 年以降、推進協議会を行政を含まない民間主導のメンバー構成に再編成し、協議をす
る場から事業を実施する組織への発展を目指している。事務局機能、事業実施についても
両町観光協会が主導しつつあるが、実施事業は、各組織のエコツーリズムに関する事業を
取りまとめて、推進協議会事業としているケースが多く、協議会会計によって、自立的に
行われている事業規模は極めて小さい。継続的な財源に関する目途は立っておらず、組織
のあり方については、今後もさらなる検討が必要な状態である。
56
(10) エコツーリズム推進に関わる独自財源の確保
【達成度:×】
独自財源の可能性を模索中。
H21 年度段階での状況
推進実施計画(H18 作成)における想定
・観光利用と環境保全の両立
目 的 ・ ・エコツーリズム推進事業費の担保
将 来 目 ・アピールによって知床ブランド力の向
標
H19
上
・推進協議会推奨プログラム収入の積み
立てなどのシステムの検討・構築
3 年 後 ・事務局人件費の確保
(H21)
5 年後
(H23)
5 年後
の主体
観光協会
ガイド
協議会
事業実施を行う組織への発展を目指して、平成 19 年には協議会の口座を開設し、会計が
発生している。しかし、ここでの収入は主に両町などの補助金と観光協会の負担金などで
あり、基本的に行政の補助金に依存している体制を脱却していない。継続的な運営を可能
にするには事業による収益が必要となるが、収益事業の計画はめどが立っていない。
57
6.まとめと今後の展望
6-1
事業の総括
エコツーリズム総合推進業務は、環境省によって平成 19 年度から平成 21 年度までの 3 年
間実施された。平成 18 年度までのモデル事業終了後は行政主導型の組織ではなく、地域に
よる自立したエコツーリズムの展開をはかるべく、実際の事業実施機関を中心とした民間
中心の推進協議会として、役割分担の明確化と機動性の向上を目指し、活動を行うことと
なった。推進協議会の構成機関は、コアメンバーとワーキングメンバーに分かれ、エコツ
ーリズムの推進に関して地域の核となる7組織をコアメンバーとし、推進協議会の意志決
定を行うメンバーとした。また、事務局はこれまでの行政中心の体制から今後の実働部隊
となる両町観光協会及び知床財団が担う形となった。この平成 19 年度からは、環境省によ
る知床エコツーリズム総合推進業務と知床エコツーリズム推進協議会の事務局運営は切り
離され、環境省や斜里町、羅臼町をはじめとする行政機関の関わりは、事務局としてでは
なく、支援という形となった。観光利用と自然環境の保全を両立させるため、地域による
エコツーリズムの推進を行政が支援することを目的として開始されたモデル事業であった
が、この 3 年間の成果を引き継ぎ、次年度以降も地域で自立した活動を継続していくため
には、組織体制の整備、独自財源の確保など、多くの課題が残された形での次体制への引
き継ぎであったといえるだろう。
財源の確保などが十分でない中で、事務局を含む組織体制の改変を行って事業を実施し
ていくことは、容易なことではなかったと言わざるを得ない。エコツーリズムの推進のよ
うに、具体的な調査やイベントの実施のような事業ではなく、地域の中で新たな産業を生
み出し定着させていくという、多くの関係者の合意と行動を必要とし、社会の中での認知
までもが必要とされる事業にとって、3 年間や 6 年間という歳月は、あまりにも短いもので
あったと感じている。はじめの 3 年間で産声を上げることが出来、その後の 3 年間で今後
進むべき道筋が見え始めた、と言っても過言ではない。地域関係者が知床エコツーリズム
を推進するに当たり自主的に運営できる仕組み作りという課題に対しては、プログラムの
実施などにより独自財源を確保する等の点においては達成されていない。しかしながら、
この 3 年間で行ってきた、それぞれの事業における実績とそれらを実施する際に重ねた議
論の過程から得られたものも多かった。この間に取り組んできた多くの事業についても、
それぞれに整理され、今後重点を置いて取り組んでいくべき課題と、そうでないものの区
分けを行う必要があるであろう。今後は、両町観光協会が主たる事業実施の担い手となり、
それぞれのテーマに限定して集中し、予算、人員体制など身の丈に合った規模での取り組
みを行う方針を確認している。
知床のエコツーリズムについて振り返ると、いずれの事業もモデル事業時とあわせると 6
年間という歳月を経て積み上げた実績や検討の中で、エコツーリズムそのものが地域に浸
58
透していったことは間違いない。平成 16 年の推進協議会発足当時は、協議会員であっても
「エコツーリズムって何?」という状況であった中、6 年後の現在では、地域全体の議題と
して、エコツーリズムを議論するという土台を作ることは出来たのではないだろうか。そ
して今後にわたって知床という地域特有の自然や歴史・文化資源を適切に保全し、これら
を効果的かつ持続的に活用するために地域とともにエコツーリズムの推進に努める必要が
ある。
6-2 今後の展望
(1)知床五湖の今後の展望
夏季の利用については、今年度の知床五湖利用コントロール導入実験(3-2 章参照)を受
けて、平成 22 年度には今回よりも長期間にわたる導入実験を実施する見込みである。実験
でのさらなる検証を積み重ね、実施体制の精査やレクチャー施設などのハード整備、利用
者及び関係者への広報を経て、平成 23 年 5 月より、自然公園法の利用調整地区制度を柱と
した知床五湖の利用コントロールが開始される予定である。
知床最大の観光スポットに、有料でのレクチャー受講などの仕組みが導入される他、一
部の期間に関しては認定された引率者同行のグループに限られるなど、利用形態が大きく
変更になる。この制度の実施は、環境省による利用調整地区制度を柱として、関係する行
政機関や地域関係者の多くが総出で取り組むこととなり、エコツーリズムの枠にとどまる
ものではない。しかし、利用の集中対策、ガイドのレベルアップとブランド化など知床の
エコツーリズムの目標となっていたいくつかのテーマに関して、一つの答えを出す試みと
なる。
一方冬季に関しては、従来利用のなかったエリアに、認定ガイドの引率による利用を提
案したものであり、主催は民間の知床斜里町観光協会が主導している。この 2 つの流れは、
認定ガイドによる引率が非常に重要な要素となっている点で共通しており、成功すれば、
ハイレベルなガイド引率に象徴される、知床のエコツーリズムの代表例としてブランドを
形作るものとなるであろう。
また、観光シーズンにおける五湖の利用形態の変更は、その他のエリアに様々な影響を
及ぼすことになる。一例として想定されているものに下記がある。
・五湖での滞在時間が長くなることによる駐車場の渋滞
・他のエリア(羅臼湖、ポンホロ沼、フレペの滝など)への利用者の遷移、集中
・交通網の未整備のため、上記各ポイントへのアクセスの混乱
・利用者への広報不足による、現場での混乱
・制度への誤解による知床イメージの混乱・来訪自体の忌避
59
これらの混乱は最大の観光スポットでの先進的取り組みとしては、ある程度は避けられ
ないとも言える。しかし、これらの状況を把握し、利用者からの問い合わせやクレーム対
応を行い、可能な限り事態を収拾する体制を整えることが必須である。その体制のデザイ
ンのために、また、新制度導入前の状況をデータ化し新制度後の影響を評価するためにも、
なんらかの影響が想定される各地の状況をモニタリングしておく必要がある。平成 22 年は
それらのモニタリングデータの収集と、それに基づいたシミュレーション、そして新制度
導入時の体制確立など非常に重要な時期となる。
知床五湖の新制度には混乱も予想されるが、これらに適切に対処し、本来の趣旨に対し
ての評価を得ることができれば、知床観光全体の方向性をマスツーリズムと共存しつつ、
エコツーリズムへ転換するターニングポイントになる。
第一には、利用者による「選択」という要素である。知床五湖では「安心・安定的な高架
木道」と「より深い自然体験の地上歩道」という 2 つの選択肢を示し、利用者が選択する、
というプロセスを提示することとなる。ミスマッチを防ぎ、利用者の自主性を高めること
は、結局利用者の満足度の向上につながる。
第二点目として「リスク」との関係性がある。知床の観光資源はもちろん原生的な自然で
ある。原生的であるが故に、知床には五湖に限らず全域にわたって、ヒグマ、落石、天候
など、様々なリスクを当然内包している。それら自然体験を提供する観光サービスには、
近年の社会的リスク意識の高まりに対応する説明責任が非常に重要となっている。この点
について、正面から制度化し、リスクの存在を宣言した上で、利用者に選択を提示する仕
組みが、知床最大の観光地である五湖において示される意味は大きい。リスクがあること
を理解した上で「自己責任」で自然と向き合う、大人の遊び場として「知床」の認知が進め
ば、一つにブランドとなり得るであろう。正しい自己責任に基づいて行動した者には最大
限の自由が与えられる、という風土が知床に根付けば、知床五湖のような「規制」はあくま
で象徴にとどまり、その他のバックカントリーは、自然体験フィールドとして無限の可能
性を提示することとなる。
観光産業とは当然経済活動である。故にエコツーリズムの経済効果が明確でなければ、
観光事業所はエコツーリズムという方向に大きく方向転換することは難しい。今回の取り
組みが、自然とヒトの共存の取り組みとして高い評価を受け、来訪者イメージおよび満足
度を高めることになれば、その経済効果は、利用者が多く、注目度が高い知床五湖である
が故に顕著となり得る。いろいろな面において、知床五湖がエコツーリズム推進の試金石
となるであろう。
(2)羅臼における今後の展望
羅臼地区においては推進モデル事業時から、地域の主要産業である漁業と連携したエコ
ツーリズムの企画・実施を行ってきた。当初エコツーリズムなどという言葉すら知らなか
60
った漁業者らと度重なる打ち合せを行うことにより、スケトウダラ見学プログラムやウニ
採りプログラム、そして秋鮭荷揚げ見学プログラムなど、実際にプログラムを企画・実施
し、改良を行いながら数年に渡って継続されているプログラムもある。この数年間はこれ
らプログラムの商品としての流通方法を試行してきたと言える。しかしながら、単独のプ
ログラムとしての販売にかかるコストは膨大であり、今後にわたっての安定的な実施は難
しいと考えられる。そこで、今後はこれまでの試行の結果から、教育旅行へのプロモーシ
ョンなどツアー商品としての周知を強化していく方向で検討が進んでいる。
次に、上記(1)において指摘のあった、知床五湖の利用形態の変更にともなう、羅臼
湖歩道の利用のあり方についても、今後検討が必要である。羅臼湖歩道は湿原と沼を巡り
ながらの散策を楽しむことが出来、手軽に知床国立公園の核心地域へ足を踏み入れること
が可能な遊歩道である。しかしながら、高層湿原など脆弱な自然環境は人間の立ち入りに
よるインパクトも大きく、踏み荒らし等による歩道の複線化や土壌の流出などが認められ
ており、今後も長期にわたっての監視が必要な地域でもある。
エコツーリズム推進協議会では、平成 18 年度に羅臼湖におけるガイドラインを作成してい
るが、今後の利用の状況によって内容の改訂やガイドライン遵守に向けた仕組み作り等を
検討する必要がある。核となるのは、入口に駐車帯を整備するか否かなどと言った議論で
はなく、羅臼湖歩道をどのような形で利用することが望ましいかを調査・提言すると共に、
必要な議論を行うことである。そしてそこで合意形成された利用形態に必要なハードの整
備とルールの策定が求められるはずである。
また、同様に知床半島先端部地区における利用のあり方についても、今後議論を行わな
ければならないであろう。先端部地区は相泊から知床岬までの海岸トレッキングや、知床
岳への登山、また、シーカヤックによる岬周回など様々な利用形態が存在する。昨年 9 月
に知床岬へ徒歩で向かうトレッカーがテントに残置した食料をヒグマに荒らされるという
事件があったが、先端部地区では、他にも釣り人とヒグマの異常な接近の事例が報告され
ている。同地区でのヒグマとの接近事例は、近年増加傾向にあり、今後の対策が急がれて
いる。先端部地区は整備された道などの施設がない上、厳しい自然条件の中での行動がも
とめられる。しかし、同時に知床におけるバックカントリーを満喫できる数少ない地域で
あり、知床らしい地形や景観の数々は人々に大きな感動を与える。このような地域におい
て、動物との軋轢を生まないためにも、利用の心得の遵守をもとめるだけではなく、より
実効力のあるルールの周知と徹底を呼びかける必要がある。一例であるが、ヒグマに食料
を荒らされないためのフードコンテナの携帯を徹底することで、コンテナの貸出し時にレ
クチャーを行い、返却時には最新情報の提供をもとめるなどのシステムも考えられる。
いずれにせよ、羅臼におけるエコツーリズムの推進において、上で述べたような課題を
避けて通ることは出来ないであろう。今後も地域の中での継続的な議論が必要である。
61
(3)全体を通して
上記(1)、(2)で述べた知床五湖や羅臼地区での具体的な展望とは別に、今後も地域
や組織としての体制作り、そして実際にエコツーリズムを実践していくための仕組み作り
を引き続き行う必要がある。
知床エコツーリズム推進協議会では、今後はガイドラインの運用やガイドのスキルアッ
プのための講習会などを軸として、ガイド認証制度を視野に入れ様々な取り組みを行って
いく計画である。(1)でも述べたように知床五湖では今後認定ガイドの活躍が期待される
が、ここでの経験を生かし、他の地域や産業分野などへも波及させることで、知床全体の
ガイドの質を高め、より質の高い体験をすることが出来る地域として知床のエコツーリズ
ムを進めていく必要がある。
また、エコツーリズムの実践にあたっては、観光収入を環境保全に還元するシステム構
築の検討が必要であるが、その一つとして、知床エコツーリズムファンクラブ(仮称)の
検討がなされている。この知床エコツーリズムファンクラブは現在まだ構想段階であるが、
地域の内外から会員を募り、観光収入から得た資金をもとに知床の環境保全活動を地域住
民と地域外の方々が共同で行うことなどが想定されている。このような活動の中で、知床
地域外に住む方々には知床への理解を深め、環境保全への意識を高めていただくとともに、
地域の住民にとってもふるさとの自然の価値を再確認できるような活動となりうる。また
活動の中から、さらなる環境保全活動の提案がなされるようになることが理想である。し
かしながら、このような組織の設立にあたっては、既存の類似組織との調整や連携など課
題も多いと認識されており、実際の立ち上げに関してはまだ未知数であり、今後のさらな
る検討が必要である。
地域の自然や文化を保全しながら、エコツーリズムを適正に行っていくためには、様々
な機関や組織が連携して、取り組みを行っていくことが不可欠である。知床においてはこ
れまで築いてきた土台があり、今後のさらなる発展が期待されるであろう。
62
6-3 ロードマップ
知床エコツーリズム推進におけるロードマップとしては、平成 18 年度策定の推進実施計
画において示された、目的・将来目標から年次ごとの達成目標を記述した表 (資料 5-1)があ
る。3 年間の実績、達成度、社会状況の変化、関連する他事業などの外部要因に対応して、
この表に修正を加えることによって、新たなロードマップとする。
6-1 で述べたとおり、エコツーリズム推進協議会の実施体制は観光振興の一環として、両
町観光協会が事業実施の担い手となり、それぞれのテーマに限定して集中し、予算、人員
体制など身の丈に合った規模での取り組みが現実的である。今後の方向性としては、主な
事業実施は観光協会で行い、その方向性を推進協議会にて確認していくことになる現在の
形態が継続すると思われる。知床全体の共通事業に関しては、人材交流や、情報発信など
に限定される可能性が高いが、より効果的で実現可能な共通事業を目指し推進協議会で検
討・実施していくこととなる。
推進実施計画の重点課題として挙げられた 10 項目についても、これまで 3 年間の実施状
況から、斜里、羅臼それぞれのテーマが絞られつつある。また、知床観光圏事業など、観
光振興を目的とした、広域的な取り組みも新たに始まっており、10 項目のうちいくつかの
項目はそれらの事業と重複している。これらの状況を整理するため、以下 3 カテゴリーに
分類して、今後の取り組みについて加重配分をしていく。
(資料 6-1 知床エコツーリズム
推進実施計画・今後の方針について
参照)
(1) 推進協議会事業として今後重点的に取り組む項目
適正なルールの下での質の高いガイドツアーを知床のエコツアーの代表と捉え、ガイ
ドの育成、認証制やガイドライン運用で質の向上、地域ブランドとして発信していく
ことに重点的に取り組む。
(2) エコツーリズム推進のために、継続して取り組む項目
環境保全への貢献などエコツーリズムとして必須の取り組み、組織の運営など継続的
に取り組むべき項目については、状況に応じて柔軟に目標の見直しをかけつつ、可能
な範囲で進める。
(3) 今後は他の事業と連携、あるいは他の事業において進める項目
観光振興に関する別事業において重複して取り組んできた項目については、主な取り
組みの場を推進協議会事業以外の場に移し、連携を取りながら進める。
63
(1) 推進協議会事業として今後重点的に取り組む項目
適正なルールの下での質の高いガイドツアーを知床のエコツアーの代表と捉え、ガイドの育成、認証制やガイドライン運用で質の向上、地域ブラ
ンドとして発信していくことに重点的に取り組む。
目的・将来目標
a)
知床エコツーリズ
ムガイドラインの
運用
実施計画
平成 22 年度
平成 23 年度
ガイドの質の維持・向上
<五湖冬季利用>試行事業で得られた結果をもとに、本格運用を開始。認証ガイドの条件を緩
ツアーの安全管理の向上
和し、地元ガイド以外にも対称範囲を広げる。事業経費については、利用料などの受益者負担
知床エコツアーのブランド化
を求め、不足分は知床斜里町観光協会が助成する。利用条件の課題などについては、北海道土
適正な利用への誘導
木現業所などの関係機関と、今後も協議を進め、現状に則した利用に導く。利用方法やルール
については、適宜見直しを行いながら事業運営を行う。
自然ガイドの安全管理技術、
知床で活動するガイドを対象に
22 年度の講習会実施結果を
23 年度の講習会実施結果を踏
自然に対する知識などの向上
ガイドの資質向上のための各種
踏まえ、各種講習会を企画検
まえ、各種講習会を企画検討し
講習会(安全管理や知識向上のた
討し実施する。講習会の受講
実施する。講習会の受講を認証
めの)を検討し、実施する。受講
を認証制度及び広報方法と
制度及び広報方法と連動させる
対象は、ガイドだけではなく、町
連動させる運用を検討する。 運用を実施する。
民へも呼びかける。
羅臼ガイドウィーク(仮称)と
羅臼ガイドウィーク(仮称)から
羅臼ガイドウィーク(仮称)と連
連携した町民ガイド育成。
随時受け入れる体制にするため
b)
自然ガイドのスキ
ルアップ
携した町民ガイド育成。
c)
地域発信型ツアー
の企画・開発
平成 24 年度
の町民ガイド育成を目指す。
新たな観光資源を取り入れ、知床
羅臼ガイドウィーク(仮称) 羅臼ガイドウィーク(仮称) 羅臼ガイドウィーク(仮称)が
を広域的に利用→利用の集中を
「基幹産業理解と宿泊者誘致
を年数回実施し、宿泊者への
定着し、ガイド育成に結びつけ
分散
のための体験プログラム」か
「プラスアルファ」のサービ
ながら、多面的に町の魅力を発
旅行会社ではなく地元提案の旅
ら「宿泊者のためのプログラ
スを目指す。また、宿泊者へ
信するために、
「随時受け入れる
地域が一体となった受け入れ体
ム」へ移行する。開催日や催
の告知を通じて、宿泊施設等
ことのできる体験プログラムの
制の構築
行人数を決めず、宿泊者対象
との連携と受け入れ体制を
提供」を目指す。
地域の文化・産業の発信・理解
として一定期間毎日開催す
構築していく。
る。
64
(2) エコツーリズム推進のために、継続して取り組む項目
環境保全への貢献などエコツーリズムとして必須の取り組み、組織の運営など継続的に取り組むべき項目については、状況に応じて柔軟に目標の
見直しをかけつつ、可能な範囲で進める。
目的・将来目標
実施計画
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
d)
観光資源としての知床の自
五年ごとの環境負荷モニタリング調査を実施。平成 24 年には前回調査から 5 年間の環境
知床の自然保護活動の
然環境の保全による持続的
負荷について分析、提言する。
実施
なエコツーリズムの展開
e)
観光利用と環境保全の両立
自然保護を目的とする会員
ファンクラブ(仮称)の設
ファンクラブ(仮称)を設
観光収入を環境保全に
持続的な観光地経営
組織、知床エコツーリズム
立に向けた様々な検証を行
立する。
還元するシステム構築
ファンクラブ(仮称)導入
う。
の検討
を検討する。
f)
実施体制・組織の整備
地域で自立した実施体制の
エコツー協議会のあり方に
エコツー協議会としての専
エコツー協議会組織体制に
組織化
関する協議検討をする。
任事務局設置などの検討を
方向性と適切な結論を出
観光協会、ガイド協議会、知
観光協会の事務局体制と4
する。
す。
床財団が役割分担をしなが
者の役割分担を整理する。
ら利用と保護を両立
観光利用と環境保全の両立
エコツー協議会のあり方に
上記を踏まえて、協議会と
上記を踏まえて、協議会と
g)
エコツーリズム推進事業費
関する協議検討をする上
しての収入を確保する。
しての収入を確保する。
エコツーリズム推進に
の担保
で、協議会としての収入を
関わる独自財源の確保
アピールによって知床ブラ
確保していく。
ンド力の向上
65
(3) 今後は他の事業と連携、あるいは他の事業において進める項目
観光振興に関する別事業において重複して取り組んできた項目については、主な取り組みの場を推進協議会事業以外の場に移し、連携を取りなが
ら進める。
目的・将来目標
実施計画
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
h)
地域への経済効果の向上
観光圏整備事業などと連携して各種取り組みを行う。
滞在型観光の推進
利用の集中を分散
・情報整備(広域情報と英語対応などの連泊者への情報を充実させる)
自然環境の保全
・地域への経済効果を常に検証しながら、滞在型観光を推進する。
窓口の一本化による利用者
観光圏整備事業と連携して各種取り組みを行う。
i)
の利便性向上
統一窓口によるインフ
ガイドライン・認証制度とリ
ォメーション機能の構
ンクさせ、質の高いプログラ
築
ムは料金が高くても売れる
・エコツーリズムプログラム体験会実施(観光案内所、道の駅、観光協会、ホテルな
どのスタッフを対象にした体験会により、情報交換や意見交換を図る)
・各拠点のツアーデスクの充実と連携
システムの構築
j)
既存観光地の利用のあ
り方に関する検討
自然への負荷の軽減と利用
観光圏整備事業などと連携した各種取り組みを行う。
者の満足度を満たす知床に
・新規および既存の観光資源に関する利用のあり方に関する検討
ふさわしい利用形態の構築
知床五湖の利用のコントロールに関連する各種対応
・知床五湖利用のあり方協議会での検討・運営に参加
66
7.資料編
資料3-1)
知床五湖利用コントロール導入実験に関する基本的ルール
資料3-2)
知床五湖利用コントロール導入実験 参加ガイド募集・認定要綱
資料3-3)
知床五湖利用コントロール導入実験(第2回)実施報告
資料3-4)
知床五湖利用コントロール導入実験
ヒグマ対処法認定試験の概要および評価方法について
資料 3-5-1) 知床五湖利用コントロール導入実験のための
研修と認定試験に関するアンケート調査
資料 3-5-2) 知床五湖利用コントロール導入実験のための
研修と認定試験に関するアンケート結果
※
資料 3-6)
ガイド事業者への依頼事項
資料 3-7)
観光関係者への依頼事項
資料 3-8)
知床五湖の利用コントロール導入実験モニターツアー参加者募集のチラシ
資料 3-9-1) 知床五湖の利用コントロールに関するアンケート(ツアー参加者用)
資料 3-9-2) 知床五湖の利用コントロールに関するアンケート結果(ツアー参加者用)※
資料 3-10-1)
知床五湖の利用コントロールに関するアンケート(ツアー非参加者用)
資料 3-10-2) 知床五湖の利用コントロールに関する
アンケート結果(ツアー非参加者用)※
資料 3-11)
知床五湖利用コントロールにおける課題整理表
資料 3-12)
知床五湖方面冬季利用試行事業 実施概要
資料 3-13)
知床におけるガイドツアー評価アンケート
資料 3-14)
H20 年度知床五湖冬季利用
※
;
第3回
参加者アンケート集計結果
※※
知床五湖の利用のあり方協議会(H21 年 7 月 28 日 開催)配布資料
(北海道大学農学部森林政策額研究室作成)
※※
;
第1回
知床エコツーリズム推進協議会(H21 年 7 月 1 日 開催)配布資料
(知床財団作成)
資料4-1)
平成21年度ウニプロ決算書
資料5-1)
知床エコツーリズム推進実施計画
資料6-1)
知床エコツーリズム推進実施計画・今後の方針について
67
資料 3­1 知床五湖利用コントロール導入実験
研修(1)資料
■ 知床五湖利用コントロール導入実験に関する基本的ルール
ヒグマにかかわる安全対策を中心に
【1】
基本的ルール
1)遊歩道など定められたコースから外れて歩いてはならない(ただし、危険回避のためなど
特別な場合を除く)
。
2)木竹、草本、その他の自然物を採取してはならない(その他詳細は、自然公園法特別保護
地区の規定に従う)
。
3)先行するパーティを追い抜いてはならない。先行パーティに負傷者が発生して先行できな
い場合、五湖ヒグマ対策スタッフ(五湖入口に待機していることが想定される専門スタッフ)など
遊歩道管理者サイドから指示があった際など、特別な場合を除く。
4)以下に掲げる【2】以降の事項を厳守し、その他、五湖ヒグマ対策スタッフなど遊歩道管
理者サイドの指示に従うこと。
5)ヒグマを目視した際には、発見時の位置から、それ以上近づくべからず。ただし、安全管
理のために引率者がヒグマの行動を確認する場合を除く。その場合も、ビジターを近づけて
はならず、50m 以上の距離は厳守。
6)当然ではあるが、ヒグマへの餌付けは禁止。その他の野生生物に対する餌付けも同様。
7)ヒグマから距離を稼いで離れるために、ザックその他の人為的なものを置いていくことは
しないこと。
8)ヒグマとの遭遇があった場合、遭遇時から安全が完全に確認されるまでの一連の流れの中
で、五湖ヒグマ対策スタッフやその他のガイドグループへの連絡・報告が義務付けられてい
る事項を厳守すること。
9)ヒグマとの遭遇があった場合、その他、求められた場合には、遊歩道から出た後に所定の
様式の状況報告を五湖ヒグマ対策スタッフへあげること。
【2】平常時に行うべきこと
(入域受付・許可交付後について)
1)入域受付時点で、五湖ヒグマ対策スタッフから最新の情報を入手すること。
・当日、または、直近のヒグマに関する情報。
・当日、または、直近の自然保護上留意すべき点に関する情報。
・先行して入域しているパーティの数やおおよその位置などの情報。
2)特別保護地区である知床五湖、そして、ヒグマ生息地に入る心得をビジターに対して解説
すること。
1
知床五湖利用コントロール導入実験
研修(1)資料
*ビジターがあらかじめ掌握しておくべき、基本的な事項について説明を行うこと。
・ここは知床国立公園でも最重要ランクの特別保護地区。遊歩道を踏み外さず、一切のも
のを採取しないこと。
・引率者から離れて、個人行動をしてはならない。やむを得ぬ理由がある時には必ず引率
者の了解を取ること。
・ゴミの投げ捨ては禁止(景観上ばかりでなく、危険なヒグマを作り出すことを強調)。
・食べ物の食べ歩きは禁止。
・知床五湖はヒグマの高密度生息地であり、遭遇する可能性があることを伝え、自分の指
示に従うことを伝える。
・ヒグマを見たら引率者にすみやかに知らせること。
・ヒグマに近づかない、騒がない、走って逃げたりせず、引率者の近くに集結すること。
*五湖ヒグマ対策スタッフなど遊歩道管理者サイドから、特にビジターへ伝えるべきと指示を受
けている事項があれば、それらを説明すること。
*危険回避のために、場合によっては予定のコースをすべて回ることができない場合もあること
を了承するように伝えること。
3)出発時点で行うべきこと。
*五湖ヒグマ対策スタッフに出発を伝え、先発パーティに対しても「○○、○人出発する」と無
線を入れ、先発パーティの確認を得ること。
・各パーティは、自分の前後に誰のパーティーがいるのかを把握する必要がある。自分よ
り先行しているパーティは、出発時に把握できているはず。
4)知床五湖遊歩道歩行時に行うべきこと。
*ヒグマの気配や痕跡に十分に注意を払い、突発的遭遇を避ける努力を欠かさないこと。
*五湖ヒグマ対策スタッフや他のパーティからのシステム運用上や危険回避のための情報連絡
を聞き洩らさぬよう気をつけること。
*出発前に聞いた情報とは異なると思われるヒグマの痕跡、あるいは、自然保護上留意すべ事例
を発見した場合は、すみやかに五湖ヒグマ対策スタッフへ連絡すること。
5)知床五湖遊歩道から出た後に行うべきこと。
*五湖ヒグマ対策スタッフから求められた際には、所定の様式の報告を上げること。
・上記はツアー運営上支障もあると考えられるので、毎回は求めないことにする。ヒグマ
と遭遇した際や特別注意すべき痕跡などを発見した際などに求める。
・また、即提出か、後で提出かなどは報告事項の重要度に応じて柔軟に対応。
2
知床五湖利用コントロール導入実験
研修(1)資料
【3】遭遇時にまず行うべきこと(初動)
1)ビジターに初動指示
*ヒグマがいる(いる可能性がある)ことを伝え・・・
*自分の背後に集結し、動かないこと、静かにすることを指示。
*ヒグマに気付かせる程度に声がけ、大きく腕を振るなどのアピールを行う(大声などで驚かせ
ないこと)
。
*遭遇距離が 50m 未満の「突発的遭遇」の際
・まず、ヒグマとビジターの間に引率者が割って入り、急いで上記の初動指示を与える。
・
「ヒグマとの遭遇回避と遭遇時の対応に関するマニュアル」の「突発的遭遇:距離が 20m
以上 50m以下、距離が 20m 以下」の項に従って行動のこと。
・とにかく、全員が集まって、落ち着いた対応を取ること。複数の人間が集結し、まとま
って行動することが事故防止のために極めて重要。
2)遭遇個体の状態をすばやく確認
*ヒグマの構成(単独か、親子など複数か?など)
*ヒグマの大きさ(大型オスか?、メス成獣クラスか?、特に子グマではないかどうかに留意)
*ストレス下にあり興奮していないか、など、ヒグマの状態を確認。
*シカの死体などがないかどうか、腐肉臭(異臭)がしないかどうか確認。
3)ビジターへの指示・誘導
*初動後のビジターの取るべき行動について指示をだす。
*その内容については、下記の【4】に列挙した様々な状態によって異なる。
4)五湖ヒグマ対策スタッフへの第一報の連絡、併せて、第一発見パーティの前後のパーティ
に警告を発する。
*以下の連絡は、あくまで、まず自分のパーティの一定の安全が確保された後に発することで良
い。
*五湖ヒグマ対策スタッフと先発・後発各パーティにヒグマを目視したことを伝達。
*五湖ヒグマ対策スタッフと第一発見パーティの前後のパーティは無線を傍受し、了解したこと
を第一発見パーティ引率者へ連絡。
<例>
(五湖ヒグマ対策スタッフへ、○○ですが××付近で、今ヒグマを目視しました)
注)知床五湖遊歩道におけるポイント名をあらかじめ把握のこと。
(五湖ヒグマ対策スタッフ□□ですが、了解しました)
3
知床五湖利用コントロール導入実験
研修(1)資料
(先発◇◇さん、後発△▽さんへ、○○ですが××付近で、今ヒグマを目視しました)
(先発、◇◇ですが、了解しました)
(後発、△△ですが、了解しました。前進を中止して待機します)
*先発隊はその後の連絡に注意しつつ、立ち止まらずに前進を続ける。後発隊は前進を中止して
待機する。
*後発隊の後に続く後続隊も、無線を傍受してその場で待機。傍受できていない場合には、後発
隊に追い付いた時点で待機。後発隊引率者は、後続隊引率者に状況を伝えること。
*五湖ヒグマ対策スタッフが了解したことを確認するのは第一発見パーティ引率者。前後のパー
ティの了解連絡がない場合は、第一発見パーティ引率者はビジターの引率・安全管理に専念し、
五湖ヒグマ対策スタッフが折を見てできる限り早い時点で前後のパーティからの確認を取る。
先発・後発パーティが第一報に反応しなかった場合には・・・
<例>
(五湖ヒグマ対策スタッフ□□ですが、△△さん応答願います)
(はい、こちら△△パーティ、感度良好)
(五湖ヒグマ対策スタッフ□□ですが、○○パーティがヒグマ発見、確認願います)
(はい、こちら△△パーティ、○○パーティがヒグマ発見とのこと確認しました。前進を中
止して待機します)
4
知床五湖利用コントロール導入実験
研修(1)資料
【4】遭遇後の対応
注)以下については、ある程度余裕のある距離で遭遇して、ヒグマも落ち着いた状態であった際
の運用方針である。
特に近距離での突発的な遭遇、ヒグマが特に興奮していた場合など特別な状況があった際に
は、初動での対応の後、別途、五湖ヒグマ対策スタッフに連絡を取り、判断を仰がなければな
らない。
【4】-1
発見時から引き続きヒグマの行動の慎重な観察
1)引率者は、初動後も可能であれば、継続的にヒグマの動きを観察し、次の行動の判断に備
えること。
2)ただし、ビジターの安全管理を行うことが優先であり、安全管理を行う上で、継続観察が
不可能である場合は、無理に観察を続ける必要はない。
【4】-2
遊歩道から離れる方向に移動していった場合
1)ヒグマが自分たちからも遊歩道からも 50m以上歩道から離れていったことが確認され、引
き続き遊歩道から離れる方向に移動している場合。
A:ヒグマの姿がまだ見えており、その後も引き続き離れていった場合
1:第一発見パーティ引率者はその旨を五湖ヒグマ対策スタッフに伝え、声を出しな
がら、ヒグマの行動をよく観察しつつ慎重に前進して、その場を通り過ぎる。目視
地点付近に滞留しないこと。
2:五湖ヒグマ対策スタッフは、後発隊以下、後続各隊に上記の状況を詳細に伝え、
慎重に前進することを指示。
3:第一発見パーティ引率者は、通りすぎて十分に目視視点から離れた後に、最後に
ヒグマの姿が見えなくなった時点のヒグマの位置や行動を五湖ヒグマ対策スタッ
フに伝達すること。
4:五湖ヒグマ対策スタッフはヒグマが後方に移動した場合には、後発隊に警告を発
すること。ヒグマの進行方向が、対岸の遊歩道方面であった場合には、その方面を
歩いていると思われるパーティに状況を伝え、警戒を促すこと。
5:その後、第一発見パーティ引率者が再目視した場合は、
【3】に戻って再度行動す
ること。
B:ヒグマが自分たちからも遊歩道からも 50m以上歩道から離れていったことが確認され、引
き続き遊歩道から離れる方向に移動していったが、姿は見えなくなっている場合。
1:第一発見パーティ引率者はその旨を五湖ヒグマ対策スタッフに伝え、最後にヒグ
マの姿が見えなくなった時点のヒグマの位置や行動を五湖ヒグマ対策スタッフに
伝達すること。
2:五湖ヒグマ対策スタッフは、後発隊以下、その後に続く後続各隊に上記の状況を
5
知床五湖利用コントロール導入実験
研修(1)資料
伝え、待機を指示。
3:第一発見パーティは、5~10 分程度待機した上で、五湖ヒグマ対策スタッフへ前進
再開を通知。
4:声を出しながら周囲に十分注意を配りつつ慎重に前進して、その場を通り過ぎる。
目視地点付近に滞留しないこと。
4:第一発見パーティ引率者は、通過終了後、目視地点から十分に離れた後に、無事
通過終了を五湖ヒグマ対策スタッフに伝達すること。
5:五湖ヒグマ対策スタッフは、後発隊以下、後続各隊に上記の状況を詳細に伝え、
慎重に前進することを指示。
6:その後、第一発見パーティ引率者が再目視した場合は、
【3】に戻って再度行動す
ること。
C:親子連れ、又は、その他の複数個体の組み合わせで、それぞれが遊歩道を挟んで左右両方
向へ移動していった場合は、50m以上歩道から離れていったことが確認され、引き続き遊
歩道から離れる方向に移動していっても、そのまま進行するのは不可。
1:第一発見パーティ引率者は、五湖ヒグマ対策スタッフに状況詳細を伝えて待機す
る。
2:五湖ヒグマ対策スタッフは現場に行って状況を確認。遊歩道周辺にヒグマがいな
いことが確認できた場合には、第一発見パーティ以下、後続隊に慎重に前進するこ
とを指示。
注)その間、ツアー運営上時間的に待機が困難なパーティは、五湖ヒグマ対策スタッフに
伝えた上で、引き返して遊歩道から出ること。
3:現場に行った五湖ヒグマ対策スタッフがヒグマを発見し、遊歩道歩行が危険と判
断される場合には、第一発見パーティ以下、後続隊に引き返しを指示。
4:可能と判断される場合には、安全が確認できている区間における往復利用に移行。
【4】-3
遊歩道から 50m以内に留まっているか、あるいは、50m以上離れていっているこ
とが確認できない場合。
1)第一発見パーティ引率者は、ビジターをヒグマから離れる方向に退避させた上で待機。
5~10 分程度様子をみて偵察を行い、遊歩道から 50m以内にヒグマがいない場合、あるいは、
50m以上離れたところにヒグマを発見し、引き続き離れる方向に移動中であることが確認
できた場合には、慎重に前進を開始する。
A:第一発見パーティの引率者が 1 名の場合。
1:第一発見パーティ引率者は、ヒグマは離れてはいったが、遊歩道から 50m以内に
留まっているか、あるいは、50m以上離れていっていることが確認できない旨を五
湖ヒグマ対策スタッフに伝え、ビジターを一旦後発隊まで退避・合流させて待機。
2:五湖ヒグマ対策スタッフは、後発隊以下、後続各隊に上記の状況を伝え、待機を
指示。
注)その間、ツアー運営上時間的に待機が困難なパーティは、五湖ヒグマ対策スタッフに
6
知床五湖利用コントロール導入実験
研修(1)資料
伝えた上で、引き返して遊歩道から出ること。
3:第一発見パーティ引率者は、5~10 分程度様子をみて、五湖ヒグマ対策スタッフに
伝えた上で、偵察のために声を出しつつゆっくり前進。この時、ビジターは後発隊
引率者に預けて待機させる。
4:偵察の結果、遊歩道から 50m以内にヒグマがいないか、あるいは、50m以上離れ
たところにヒグマを発見し、引き続き離れる方向に移動中であることが確認できた
場合には、ビジターと後発隊を呼び寄せ、慎重にその場を通過する。目視地点付近
に滞留しないこと。
5:ヒグマが目視された地点を通過して十分に離れたところまで来たところで、第一
発見パーティ引率者は五湖ヒグマ対策スタッフに状況を伝える。以後、後発隊は別
行動。
6:五湖ヒグマ対策スタッフは、後続各隊に上記の状況を詳細に伝え、慎重に前進す
ることを指示。
5:この間、第一発見パーティ引率者が再目視した場合は、
【3】に戻って再度行動す
ること。
B:第一発見パーティに引率者以外に引率補助員がいる場合。
1:第一発見パーティ引率者は、ビジターをヒグマから離れる方向に退避させる。ヒ
グマは離れてはいったが、遊歩道から 50m以内に留まっているか、あるいは、50
m以上離れていっていることが確認できない旨を五湖ヒグマ対策スタッフに伝え
待機。
2:五湖ヒグマ対策スタッフは、後発隊以下、後続各隊に上記の状況を伝え、待機を
指示。
注)その間、ツアー運営上時間的に待機が困難なパーティは、五湖ヒグマ対策スタッフに
伝えた上で、引き返して遊歩道から出ること。
3:5~10 分程度様子をみて、第一発見パーティ引率者は五湖ヒグマ対策スタッフに伝
えた上で、偵察のために声を出しつつゆっくり前進。この際、補助員はビジター引
率して待機しておく。
4:偵察の結果、遊歩道から 50m以内にヒグマがいないか、あるいは、50m以上離れ
たところにヒグマを発見し、引き続き離れる方向に移動中であることが確認できた
場合には、補助員とビジターを呼び寄せ、慎重にその場を通過する。目視地点付近
に滞留しないこと。
5:ヒグマが目視された地点を通過して十分に離れたところまで来たところで、第一
発見パーティ引率者は五湖ヒグマ対策スタッフに状況を伝える。
6:五湖ヒグマ対策スタッフは、後続各隊に上記の状況を詳細に伝え、慎重に前進す
ることを指示。
5:この間、第一発見パーティ引率者が再目視した場合は、
【3】に戻って再度行動す
ること。
2)第一発見パーティ引率者は、ビジターをヒグマから離れる方向に退避させた上で待機。5~
10 分程度様子をみて偵察を行ったが、遊歩道から 50m以内にヒグマを発見、または、50m
以内にいる可能性が高いと思われる場合は【4】-2-1)‐C と同様の対応に移行。
7
知床五湖利用コントロール導入実験
【4】-4
研修(1)資料
遊歩道上、あるいは、遊歩道の 50m 以内に留まっている場合
1)遠方で気づいていないと思われる時は、再度声を出して気づかせてみる。
A:その結果、50m以上歩道から離れていったことが確認され、引き続き遊歩道から離れる方
向に移動している場合。
【4】-2-1)と同様の対応へ移行。
B:離れてはいったが遊歩道から 50m以内に留まっているか、あるいは、50m以上離れていっ
ていることが確認できない場合。または、遊歩道上から動かない場合。
【4】-3と同様の
対応へ移行。
2)気づいているにも関わらず、その場を動かない場合。
A:安全を確保しつつ後退し、遊歩道利用を中止する。
1:第一発見パーティ引率者はその旨を五湖ヒグマ対策スタッフに伝え、全員を集結
させた状態でゆっくりと後退していく。
2:その際、引率者は最後尾に位置して、後方を確認しつつ後退すること。引率補助
員がいる場合には、補助員を後退するパーティの先頭を歩かせて引率させること。
3:五湖ヒグマ対策スタッフは、後発隊、及び、その他の後続パーティに状況を伝え、
後退しつつ遊歩道入口に戻ることを指示。その他の出発待機パーティにも歩道利用
中止を伝達。遊歩道を閉鎖。
4:第一発見パーティ以下、すべての後続パーティが遊歩道外に出たところで、五湖
ヒグマ対策スタッフは詳細な状況を聞き取りし、現地調査など必要な措置を開始す
る。
4:可能と判断される場合には、安全が確認できている区間における往復利用に移行。
【4】-5
自分たちの方に向かって近づいてきている場合。
1)遠方で気づいていないと思われる時は、再度声を出して気づかせてみる。
A:その結果、50m以上歩道から離れていったことが確認され、引き続き遊歩道から離れる方
向に移動している場合。
【4】-2-1)と同様の対応へ移行。
B:離れてはいったが遊歩道から 50m以内に留まっているか、あるいは、50m以上離れていっ
ていることが確認できない場合。または、遊歩道上から動かない場合。
【4】-3と同様の
対応へ移行。
2)声を出してみたが、引き続き近づいてくる方向に移動を続ける場合
A:前方または側方から近付いている場合:安全を確保しつつ後退し、遊歩道利用を中止する。
1:第一発見パーティ引率者はその旨を五湖ヒグマ対策スタッフに伝え、全員を集結
させた状態でゆっくりと後退。
2:その際、引率者は最後尾に位置して、後方を確認しつつ後退すること。引率補助
員がいる場合には、補助員を後退するパーティの先頭を歩かせて引率させること。
8
知床五湖利用コントロール導入実験
研修(1)資料
3:五湖ヒグマ対策スタッフは、後発隊、及び、その他の後続パーティに状況を伝え、
後退しつつ遊歩道入口に戻ることを指示。その他の出発待機パーティにも歩道利用
中止を伝達。遊歩道を閉鎖。
4:第一発見パーティ以下、すべての後続パーティが遊歩道外に出たところで、五湖
ヒグマ対策スタッフは詳細な状況を聞き取りし、現地調査など必要な措置を開始す
る。
5:可能と判断される場合には、安全が確認できている区間における往復利用に移行。
B:後方から近付いている場合:安全を確保しつつ前進し、遊歩道から出る。
1:第一発見パーティ引率者はその旨を五湖ヒグマ対策スタッフに伝え、全員を集結
させた状態でゆっくりと前進。
2:その際、引率者は最後尾に位置して、後方を確認しつつ前進すること。引率補助
員がいる場合には、補助員を後退するパーティの先頭を歩かせて引率させること。
2:五湖ヒグマ対策スタッフは、先行する各パーティに状況を伝え、すみやかに前進
して遊歩道から出ることを指示。
3:五湖ヒグマ対策スタッフは、第一発見パーティの後続の各パーティには前進を中
止、後退して入口に戻り、遊歩道から出ることを指示。その他の出発待機パーティ
には歩道利用中止を伝達。遊歩道を閉鎖。
4:第一発見パーティ以下、すべてのパーティが遊歩道外に出たところで、五湖ヒグ
マ対策スタッフは詳細な状況を聞き取りし、現地調査など必要な措置を開始する。
5:可能と判断される場合には、安全が確認できている区間における往復利用に移行。
【4】-6
発見したヒグマが興奮しているか、あるいは、その恐れがある場合。あるいは、
シカなどの大型獣の死体があるか、腐肉臭など異臭がする場合。
1)
【4】-5-2)と同様の対応に移行。
2)可能と判断される場合には、安全が確認できている区間における往復利用に移行。
9
資料 3-2
知床五湖利用コントロール導入実験(第 2 回)
参加ガイド募集・認定要綱
□ はじめに
安全で安定的な知床五湖利用のあり方の一つとして、ヒグマが活動する時期については認定ガ
イドが同行するグループのみが地上歩道を利用できる制度が、
H22 年度から実施される予定です。
新制度導入にあたって、環境への影響に配慮するとともに、ヒグマに対する高度な危機回避の技
術を有すると認定され、避難誘導などの訓練を受けたガイド(以下認定ガイド)が一般参加者を
引率するモニター実験を実施します。
本実験においてガイドを実施するためには、下記の研修・審査を経て認定される必要がありま
す。希望される方は本要綱をご確認の上ご応募ください。
□ 主催者
知床五湖の利用のあり方協議会
□ スケジュール
○実験参加ガイドの募集
5 月 1 日 ~ 5 月 10 日
↓
研修(1)
5 月 12 日, 13 日
↓
研修(2)
5 月 20 日, 21 日, 27 日, 28 日
(合否判定)
↓
登録研修
6 月 3 日,4 日
↓
○知床五湖利用コントロール
6 月 23 日~25 日(3 日間)
導入実験実施
□ 応募条件
・ 昨年 1 年間で、有償でのガイド活動を 100 日以上経験していること
・ 昨年 1 年間で、知床五湖における有償でのガイド活動が 30 日以上あること
・ 事故発生時の責任対応のために、1 事故について 3 億円以上の賠償責任保険に加入してい
ること
(知床エコツーリズムガイドラインより慣用)
1
□ 研修内容詳細
研修(1)
(日時)
5/12, 13
上記 2 日の日程のうち、いづれか 1 日に参加してもらいます
(定員)
各回 10 名程度
(概要)
屋内での講義・野外での実習および検定
(場所)
知床自然センター およびその周辺の野外
(内容)
ヒグマ、および、その対処法に関する基本知識・技術
・ ヒグマの生態、行動特性について (講義)
・ ヒグマ対策用具の使い方
(実習)
・ 危険な遭遇を回避するための対処法 (実習)
引率者としての技術
・ 環境配慮のルール・注意事項の周知・徹底について (実習)
・ 通常歩行時のグループの掌握 (実習)
・ ヒグマとの遭遇時のグループの安全誘導
(実習)
環境への負荷を最小限にする利用法・ルールの理解 (講義)
研修(2)
(日時)
5/20, 21, 27, 28
上記 4 日の日程のうち、いづれか 1 日に参加してもらいます
(定員)
各回 5 名程度
(概要)
野外での実習および検定(1 日)
(場所)
知床国立公園内
(課題)
ヒグマ遭遇時の危機回避について(実習)
・ヒグマに出合った時に行うべき行動
・ヒグマに出合った時に注目すべきクマの行動
・見通しが悪いヒグマ生息地での歩き方(踏査)
合否判定
研修を実施中に検定項目について審査を実施し、研修終了後に審査員が合議の
上合否判断を行います。
ある項目に関しては、実習と審査を個別に実施する場合があります。
2
登録研修 (審査に合格したガイドが受講します)
(日時)
6/3, 4
2 日間の研修のうち、どちらか 1 日に参加してもらいます
(定員)
各回 10 名程度
(概要)
屋内での説明および、野外での実習・訓練
(場所)
知床自然センターおよび、知床五湖
(内容)
知床五湖安全管理システムの運用について
・ 運用の熟知 (講義・実習)
・ 各地点の名称、自然環境、地理の把握 (実習)
・ 知床五湖におけるヒグマの行動特性の理解 (講義・実習)
・ 無線運用方法:運用本部や他のガイドとの的確な無線連絡
(実習)
・ ヒグマ出没時対応の複数パターンを机上および現場シミュレーションを
通じて的確な情勢判断と避難誘導について共通認識の確認(実習)
□ 研修に関する費用
・無料
平成 22 年度以降の新体制稼働時には、認定ガイドとなるための研修・登録費用、は有料
になることが想定されています。
□ 応募方法
・ 応募用紙に必要事項をご記入の上、下記まで送付ください
□ 問い合わせ先・応募用紙送付先
〒099­4356
北海道斜里郡斜里町岩宇別 531 番地
(財)知床財団内
知床五湖利用コントロール実験
認定ガイド応募受付(担当:山野・岡本)
Tel : 0152­24­2114, Fax : 0152­24­2115
3
知床五湖利用コントロール導入実験(第 2 回)
参加ガイド応募用紙
平成
年
月
フリガナ
氏 名
印
生年月日
年
明・大・昭・平
血液型
月
〒
勤務先
(満
性別
型
現住所
日
歳)
男 ・ 女
-
Tel:
Fax:
携帯電話:
E­Mail:
名称:
〒
-
Tel:
緊急連絡先
Fax:
氏名:
〒
(本人との続柄)
:
-
Tel:
Fax:
資格 *1
*1 ガイド引率に関連する資格があれば記載ください
研修参加希望日
研修(1)
第一希望 :
月
日
第二希望 :
月
日
研修(2)
第一希望 :
月
日
第二希望 :
月
日
登録研修
第一希望 :
月
日
第二希望 :
月
日
第三希望 :
月
日
賠償責任保険加入状況
保険会社名:
1 事故についての最高賠償額:
保険契約者名義:
備考(保険適用に関する特記事項)
事務局確認欄
申し込み受付
合否
研修参加日の連絡
月
日
月
合
日
4
合否通知
・
否
月
日
日
【昨年一年間のガイド歴】 (※知床五湖でのガイド歴に関しては文頭に☆印をつける)
記入例: ☆知床五湖で 5 人程度を引率したツアーを 10 日実施した
4月
・
・
件
5月
・
・
・
件
6月
・
・
・
件
7月
・
・
・
件
8月
・
・
・
件
9月
・
・
・
件
10 月
・
・
・
件
11 月
・
・
・
件
12 月
・
・
・
件
1月
・
・
・
件
2月
・
・
・
件
3月
・
・
・
件
合計
・
件
5
【ヒグマとの遭遇体験について】
自らのヒグマ遭遇経験のうち、最も危険性が高かったものについて、できるだけ詳細に記載してください
引率時の体験を優先して記載し、無ければ引率時以外の経験でも結構です
(ヒグマに遭遇した際の状況;場所・人数・ヒグマ頭数・ヒグマとの距離など)
(ヒグマに遭遇した後、自らがとった対応とそれに対するヒグマの反応)
(ヒグマとの遭遇およびその後の対応についての反省・評価)
上記を含め、過去の遭遇体験の回数(車に乗車時を除く)
6
回
誓約書
私は、知床五湖利用コントロール導入実験(第 2 回)における研修受講に際して、下記の
条件を理解、了承のうえ、これに従うことをお約束します。
平成
年
月
受験者氏名
現住所
日
印
〒
-
研修受講に際しての条件
1.
行動の安全を最優先と考え、検定員の指示、判断、決定に従うこと。
2.
受験者本人の不注意による事故が起きた場合は、知床五湖の利用のあり方協議会および検定
員に対し責任追及しないこと。
7
資料 3­3
090728 五湖協議会資料 1­1
○研修(1)
目的:
ヒグマの生態や行動特性、危険回避のための対処法の基本の理解
実験における基本ルールの理解
期日: 5 月 12 日(火)
、及び、5 月 13 日(水)
受講者:各日程13~14名
講師:山中(知床財団)
補助員:知床財団 2 名、環境省 1 名、北海道 1~2 名、北大農学部 2 名(13 日のみ)
8:30
~
8:40
8:40
趣旨説明(環境省高橋主席)
鳥獣保護区
~
9:30
管理センタ
オリエンテーション
ー(鳥保)に
ヒグマの生態・行動特性・痕跡について
て講義
知床五湖におけるヒグマの行動特性など
五湖の課題と利用のコントロールの目的について
9:40
~
危険な遭遇を回避するための対処法
遭遇時の危機回避について
10:40
10:50
~
五湖実験に関する基本ルールについて
11:50
13:05
~
五湖
持ち物および装備の確認
~
五湖
遊歩道上で見通しが悪い場所の確認
遊歩道
ヒグマ痕跡の見方(食痕)
13:25
13:25
14:40
ヒグマ出没時の危機回避シミュレーション
14:40
~
16:20
16:40
~
五湖
ヒグマ痕跡の見方(足跡、爪痕)
遊歩道外
ヒグマ出没時の危機回避シミュレーションと無線連絡法
鳥保
一日の振り返り
17:10
1
090728 五湖協議会資料 1­1
○研修(2)
目的: 複数グループが五湖遊歩道に入った状態での運用方法を研修。
研修で行った危機回避について、野外での試験を行う。
期日:
5 月 20 日(水)
、5 月 21 日(木)
、5 月 27 日(水)
、5 月 28 日(木)
受講者:
各日程6~7名
検定員:
山中(知床財団)
、岡田(斜里町)
検定の監督:環境省職員 1 名、北海道職員 1 名
補助員:
6名(知床財団×2~3名、北大農学部2~3名)
8:30
集合
鳥獣保護区管理センター2F 会議室集合
オリエンテーション後、知床財団車両により出発
●ヒグマ対策装備の持参・装着状況試験
9:00
五湖駐車場
研修(1)で確認した装備を持参し、適切な装着方法を取っているか
を点検する。
●五湖における複数パーティ運用講習
複数のパーティが五湖遊歩道内に入っていることを想定した運用
方法の実習を行う。
・各パーティが順次出発し、お互いの位置関係などを他のパーテ
9:15~
実習
12:20
(五湖遊歩道)
ィや駐車場に待機する講師(五湖フィールドハウス要員の想定)
と無線連絡する実習を行う。
・受講者に 1 名ずつの補助員(周波数を変えた無線機持参)など
が客役として張り付き、駐車場待機要員からの指示に基づき、さ
まざまなヒグマ遭遇状況を演出し、
各パーティの動きについて演
習を行う。
12:20~
13:00
休憩
昼食など
午後は 3~4 名ずつの 2 グループに分かれ、五湖遊歩道内で対処法試験と、五湖園地外に移動してクマ
スプレー試射の研修を行う。各グループ終了後、内容を入れ替えて実施する
●五湖における安全な引率方法、ヒグマ遭遇時の行動に関する試験
受講者が検定員他数名をガイドツアー参加者と想定して五湖遊歩
道の引率を行い、その間適切なヒグマ対処法を実行しているかにつ
いて検定を行う。
・検定時のグループ構成は、受講者(ガイド役)1 名、参加者役数名
13:00~
17:00
実地検定
(五湖遊歩道)
(検定員を含む)とする。
・受講者はツアー実施時を想定して、各種説明(ヒグマに関する解
説を行うことを推奨する)、危機回避対応を行う。
・受講者一人毎の検定時間は30分程度とする。
・検定を受けているもの以外の受講者は、30mほど離れて随伴し、
順次先頭を交代する。
・グループ全員の検定が終了した後、クマスプレー試射研修へ。
【検定時のチェックポイント】
2
090728 五湖協議会資料 1­1
・
出発時の説明
・
歩行時に必要な地点で声だし、痕跡確認などをしているか
・
ヒグマの生態などに関する質問に的確にこたえられるか
・
ヒグマ遭遇事態に、基本ルール案に従って避難誘導、無線連
絡が適切に行われたか。
・
13 : 00 ~
17:00
17:30
環境への配慮に関し、利用者への指導を行っていたか。
●ヒグマ撃退スプレー試射研修
(検定に並行
して実施)
五湖園地外に移動して実施。一般利用者が立ち入るエリアから十分離
れた草原を利用する。
研修・試験終了後、財団車両にて鳥獣保護区管理センターへ移動
到着後、解散
3
090728 五湖協議会資料 1­1
○登録研修
研修の目的:
l
複数パーティ間の連携の確認を行う
l
ヒグマ遭遇時の判断が難しい部分について、ケーススタディとシミュレーションを行う。
l
全体の動きを通じて、実験の実施に十分な危機回避の体制が取れたかを確認する
期日:6 月 3 日(水)
、6 月 4 日(木)
受講者:
各日程13~14名(各日程の受講者については、別表参照)
9:00
集合
鳥獣保護センター2F 会議室
~9:15
講義
オリエンテーション
過去の危険な遭遇事例に関するケーススタディ
・ 過去の事例を基に、危険な状態に至った経緯、危険を回避するため
の取るべき対応などについて確認する
~11:15
座学実習
・ ガイドツアー運用中に同様ケースが起こったと想定し、危機回避、
避難誘導方法の判断、判断するべきポイント、判断の理由などを確
認する。関連してツアー参加者、本部、他の引率者への伝達事項、
についても確認する。
・
~11:45
11:30
~12:30
現地実習の内容解説
休憩
昼食後、知床五湖へ移動
五湖遊歩道での現地・確認
12:30
~14:30
14:30
~15:00
15:00
~17:00
17:00
~17:30
現地実習①
想定案①
・2 人 1 グループとなり、遊歩道上に展開(1名は客役)
・午前の座学実習を踏まえ、出没想定案に基づき、実際に歩道上での
状況判断、無線連絡、危機回避、避難誘導方法について確認する。
全員集合したポイントで、本部、クマ役も含め、検証を行う。
反省と検証
時間の許す限り、午前の座学ケーススタディの現地での解説も合わ
せて行う。
現地実習②
想定案②
反省と検証
・ガイド役と客役が交替し、現地実習①とは異なる想定で実習を行う。
現地実習①と同様に現地実習②の反省と検証を行う。
4
資料 3-4
知床五湖利用コントロール導入実験
研修(2)におけるヒグマ対処法認定試験の概要および評価方法について
実施日:5 月 20 日(水)、5 月 21 日(木)、5 月 27 日(水)、5 月 28 日(木)
検定員:山中(知床財団)
、岡田(斜里町役場)
検定の監督:環境省職員 1 名、北海道職員 2 名
補助員:若干名
検定の監督および補助員をガイドツアー参加者と想定し、受講者が参加者を引率するツアー形式
で検定を行った。この間、適切なヒグマ対処法を実行しているかについて、審査がなされた。
・ 検定時のツアーグループは、受講者(ガイド役)1 名、ツアー参加者役 4∼5 名で構成された。
・ 受講者一人あたりの検定時間は 30 分程度とした。
・ 検定は、受講者が参加者にツアー開始前の諸注意を与えるところから開始された。
・ 検定員はツアーの後を歩き、受講者の安全な引率方法やヒグマに関する知識などについて審査
した。
・ 検定中、検定員はヒグマを目撃したことを宣言し、ヒグマの構成や内容、状態を受講者に伝え
た。受講者は基本ルールに則り、ツアー参加者の誘導避難、本部および前後のパーティへの連
絡などを行い、検定員がこれらを評価した。
・ 検定は、予め設定された項目について、すべて 5 段階で評価した。
・ 検定を受けていない受講者は 30m 程離れて随伴し、検定時の様子を伺えないようにした。こ
の随伴グループには知床財団のスタッフが同行し、ヒグマ遭遇時に受講者が行う無線連絡の相
手役を務めた。
・ 検定項目のうち重要度の高いものについては、5 段階の評価に 2 もしくは 4 を乗じて配点を高
くした(表中重要度欄における◎は 4 倍、○は 2 倍を乗じたことを表す)。
【1】ヒグマ対策装備チェック
重要度
項目
ヒグマ対策装備(クマスプレー、双眼鏡、コンベックス)を持参し、適切に装着しているか
注)今回は無線は問わない
1
【2】出発時に行うべき事項
1)ビジターへの出発前の説明は正しく行われたか?
重要度
説明項目
1. ここは知床国立公園でも最重要ランクの特別保護地区である。
2. 緊急避難的な場合を除いて、遊歩道を踏み外さず、一切のものを採取しないこと。
○
3. 知床五湖はヒグマの高密度生息地であり、実際に遭遇する可能性があること。
○
4. ヒグマに遭遇した時は、必ず自分の指示に従うことを伝える。
○
5. ヒグマに近づかない、騒がない、走って逃げたりせず、自分の近くに集結すること。
○
6. 引率者から離れて、個人行動をしてはならない。やむを得ぬ理由がある時には必ず引
率者の了解を取ること。
7. もし、ヒグマを見たら自分にすみやかに知らせること。
8. ゴミの投げ捨ては禁止(景観上ばかりでなく、危険なヒグマを作り出すことを強調)。
9. 食べ物の食べ歩きは禁止。
10. 危険回避のために、
場合によっては予定のコースをすべて回ることができない場合も
あることを了承するように伝えること。
○
11. 上記の説明が適切に行われたか?(きちんと聞こえる範囲に集合させて、聞き洩らす人がいない
状況などを作ったか?)
2)出発時点で行うべき連絡を入れたか?
重要度
「五湖対策スタッフ」は入口の補助員、「先発」は後続隊の補助員
項目
五湖ヒグマ対策スタッフに出発を伝え、先発パーティに対しても「○○、○人出発する」と
無線を入れ、先発パーティの確認を得ること。
【3】歩行時に行うべき事項
重要度
◎
(平時)
項目
1) 遊歩道歩行時に見通しの悪いところ、ヒグマが潜んでいそうなところで、音を出したか?
検定員が音出し必要と判断したいくつかのポイントにおけるガイドの対応を 5 段階で評価し、それ
らの平均値を求めた。
重要度
◎
項目
2) ヒグマの気配や痕跡に十分に注意を払い、突発的遭遇を避ける努力を欠かさなかったか?
2
【4】遭遇時の対応について
1)ビジターへの初動指示は適切か?
重要度
項目
◎
1. まず、すみやかにビジターにヒグマがいることを伝えること。
◎
2. 自分の背後に集結し、動かないこと、静かにすることを指示した後、ゆっくりと集結し
たまま後退することを指示。
◎
◎
3. ヒグマに気付かせる程度に声がけ、大きく腕を振るなどのアピールを行う(大声などで驚
かせないこと)。
4. 五湖ヒグマ対策スタッフへの第一報の連絡、併せて、自分たちの前後のパーティにも警
告を発する
2)初動後の対応について
重要度
○
○
項目
1. ヒグマ 50m 圏外へ移動後、進行開始前に、その旨、五湖ヒグマ対策スタッフに連絡し
たか?
2. ヒグマ 50m 圏外へ移動後、進行開始前に、ビジターに再度注意喚起したか?
(再度出てくるかも知れず、十分注意し、自分の後ろに集結したまま、移動すること、など)
◎
3. ヒグマ目視地点を通り過ぎる間、音出ししながら通過したか?
○
4. 安全だと思われるところまで、通りすぎたところで、五湖ヒグマ対策スタッフに遭遇状
況の詳細連絡をしたか?
○
◎
5. 上記の連絡内容は適切であったか?
(最終的な状況、ヒグマの構成・状態など)
6. 初動から上記の間、ビジターへの指示・誘導が適切に行われたか?(きちんと聞こえる範囲
に集合させて、聞き洩らす人がいない状況などを作ったか?
ビジターを掌握して行動していたか?)
【5】無線運用は適切だったか
重要度
項目
検定中を通じて、無線運用方法は適切であったか?
【6】ヒグマの生態などに関する質問
重要度
項目
ヒグマの生態に関して複数の質問を行い、全ての質問について各々5 段階で評価した
後、それらの平均値を求めた。
3
4
資料 3-5-1 知床五湖利用コントロール導入実験のための研修と認定試験に関するアンケート調査
北海道大学農学部
計3日間にもわたり、研修と認定試験お疲れ様でした。
大変お疲れのこととは存じますが、6 月末の五湖での実験そして来年度からの本格的な
導入にむけて、よりよい仕組みを考えるためにアンケートのご協力の程よろしくお願い致
します。回答結果は集計されたもののみを用いますので、個人が特定される形で公表され
ることはございません。(解答用紙は A4 で5ページございます。)
連絡先 〒060-8589 札幌市北区北九条西 9 丁目 北海道大学農学部
森林政策学研究室 担当 久保雄広 電話 011-706-3342
問1 今回の応募条件についてお聞きします。皆様が参加されるための以下の条件は適当で
したか?それぞれ1つに○をつけてください。また、その理由をお書きください
今回の応募条件
もっと厳し
←
くてよい
適当
→
もっと緩
くてよい
有償でのガイド活動 100 日以上
1 ――― 2 ――― 3 ――― 4 ――― 5
五湖でのガイド活動が 30 日以上
1 ――― 2 ――― 3 ――― 4 ――― 5
1 事故3億円以上の賠償責任保険
1 ――― 2 ――― 3 ――― 4 ――― 5
(応募条件に対する評価の理由と意見)
問2 今回の研修についてお聞きします。今回の研修に含まれていた以下の項目は安全にガ
イド事業を行うために十分満足な内容でしたか?それぞれ1つに○をつけてください。
また、その理由をお書きください。
とても
不満
研修内容
研修
(1)
(座学)ヒグマの生態
五湖新制度の解説
←
どちらとも
いえない
→
とても
満足
1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
(座学)ヒグマ対処法の解説
5 月 12 日
13 日
(座学)基本ルールの解説
<午前>
1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
1/5 <午後>
五湖のヒグマの特性
痕跡の確認現地実習
1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
遭遇回避法
遭遇時の危機回避について現地実習
1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
研修(1)に関する評価の理由と意見
研修
(2)
複数パーティによる
無線での交信と連携の確認
1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
クマスプレーの試射実習
5 月 20 日
21 日 研修(2)に関する評価の理由と意見
27 日
28 日
<午前>
登録
研修
6月3日
4日
<午前>
<午後>
(座学)危険な遭遇例ケーススタディ
複数パーティによる
遭遇時の判断と連携の確認
登録研修に関する評価の理由と意見
2/5 1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
問3 5 月 20,21,27,28 日の研修(2)の午後に行われた、ヒグマ対処法の検定試験について
お伺いします。検定試験は皆様からみて、いかがでしたか?それぞれ1つに○をつけ
てください。また、その理由をお書きください
そう
←
思わない
どちらとも
いえない
→
そう
思う
ヒグマ対処法検定として
妥当な内容であった
1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
試験は公正に行われていた
1 ―― 2 ―― 3 ―― 4 ―― 5
検定試験に関する評価の理由と意見
問4 研修および実験に向けて設定された基本的ルール(ヒグマに対する安全対策に関する)
についてお伺いします。基本的ルールは皆様からみて、いかがでしたか?
ご意見・提言などあれば下記にお願いします。
3/5 問5 今回の仕組みが正式に運用された際の責任についてどのようにお考えでしょうか(ガ
イドの責任が重くなる、行政の責任が重くなる、自己責任での利用という流れが強ま
る等)?また、それを踏まえて、万が一、ヒグマに遭遇して事故が発生してしまった
場合のために、今後新たに自分達で何か対策を講じられるつもりはありますか?あり
ましたら、以下の空欄に具体的にお書きください。
問6 今後、ガイドの皆様に安全にガイドを行っていただくために、知床五湖の利用のあり
方協議会は何をおこなえばよいと思いますか?(たとえば、~研修を追加で実施する。
~に対する話し合いの場を設ける など) 以下の空欄にお書きください。
問7 昨年、11 月 2 日に行われた知床五湖利用コントロール導入実験に参加した観光客に
対して行ったアンケートでは、五湖の認定ガイドが行うツアーに対し、4017 円支払
っても良いとの結果が出ました。実際に運営しておられるガイドの皆様はヒグマ活動
期にいくらであればこのガイド制ツアーを行えますか?システムの管理費等も含めて、
以下のうち、1つに○をつけてください。
a.3000 円未満 b.3000 円 c.3500 円 e.4000 円 f.4500 円
g.5000 円 h.5500 円 i.6000 円 j.6500 円 k.7000 円以上
4/5 問8 今回の仕組みを導入することで、特にヒグマ活動期において、知床全体の観光動向は
どのように変化すると予想されますか? (たとえば、五湖ガイド制のツアーに集中する。
高架木道の人気が高まる。五湖の利用が減り、ウトロでの観光船に集中するなど) 以下
の空欄にお書きください。
問9 今回の仕組みの導入や問 8 で答えていただいた観光客の動向の予想をふまえて、ガイ
ドの皆様はヒグマ活動期に主にどのようなツアーをされるつもりですか?(たとえば、
五湖ガイド制のツアーを行う。フレペの滝散策ツアーなど) 以下の空欄にお書きくださ
い。
問10 もしよろしければ、以下の空欄にお名前をお書きください。
(実験後にも、継続して皆様のご意見を伺うことを考えています。お名前は調査者:久保の
みが把握し、他の方にお知らせすることはございません。)
以上で終了です。ご協力ありがとうございました。以上で終了です。ご協力ありがとうご
ざいました。最後に今回検討されているこの仕組み自体についてご意見などお書き下さい。
5/5 資料 3-5-2
知床五湖利用コントロール導入実験のための研修と認定試験に関するアンケート調査­報告
北海道大学農学部
久保
皆様に回答していただいたアンケートについて、簡単に御報告させていただきます。今回は残念ながら、ま
とめる上で省略させていただいた面も多々ありますが、今回の反省会の議論の際に参考にしていただければ幸いです。
問 1 今回の応募条件について
ガイド日数と五湖ガイド日数に関しては「適当」との意見がほぼ半数を占めたが、賠償責
任保険に関しては少し厳しくてよいとの意見が半数を占めた。
(応募条件に対する評価の理由と意見)
l 応募条件をつくるのであれば、そこはしっかりと守る必要がある。場合によって
は検証も必要ではないか(8 名)
l 今の条件だと五湖中心にガイドをしている人に限られる。来年度以降に関しては
もう少し間口を広げるべき(4 名)
l 事業者が賠償責任に入ることなど常識なので応募条件とするのはいいが、外部に
アナウンスする話ではない(1 名)
問 2 今回の研修について
研修(1)
1
基本的には満足が多かったが、基本ルールと遭遇回避法・遭遇時の危機回避に関しては不
満の声が聞かれた。ルールの不確定具合やマニュアルの実戦面が課題となったのだろうか。
研修(1)に関する評価の理由と意見
l
座学は復習にもなりよかった。基本的なことをガイド間で共通認識として得
られたのはよかった(4 名)
l
マニュアル通りに対応することの難しさと限界を感じた(4 名)
l
ヒグマの出没箇所や痕跡、標識の付いている個体の情報などもっと聞きたか
った。それを踏まえて五湖の避難マニュアルなどを作ったらよいと思う(4 名)
l
ガイドの方のノウハウを反映する場が必要だった(1 名)
l
現地実習は何をしたかったのか、不明瞭だった(1 名)
研修(2)
複数での無線に関してはどちらともいえないが多かった。慣れの必要性も感じたが邪魔に
感じることも多かったためだろうか。クマスプレーの試射に関しては概ね好評だった。
研修(2)に関する評価の理由と意見
l 無線の意義を明確にし、もう少し使用回数を減らすなり、簡素化してほしい。雛
型などがあるとよい(5 名)
l 無線に関してはもっと時間や回数をかけて慣れていく必要がある(3 名)
l スプレー試射は普通はやらないのでよかった。年一回ぐらいは必要(2 名)
l 無線で使う地点名は日本語にするべき(1 名)
l スプレー試射は経験していたのでもっと早く抜くコツなどを知りたかった(1 名)
l 無線交信のやり方など、研修を行う側でも決まっていないようで不安だった(1 名)
2
研修(3)
危険遭遇ケーススタディに関してはかなり否定的な意見が目立った。情報の不足、情報の
共有の仕方が課題だろうか。
研修(3)に関する評価の理由と意見
l 過去の事例についてもう少ししっかりと調べてほしい。もっと過去のことを(ガ
イドが答えた物も含め)発表してほしい(6 名)
l もっとガイドも査定側もマニュアルを把握(検討)する必要がある(4 名)
l 研修での練習・意思疎通がグループによっては不足していた(3 名)
l 五湖のみならず広域で無線の連携が取れるように考えてほしい(1 名)
問 3 ヒグマ対処法の検定試験について
妥当性としてはいま現在ではどちらともいえないとの意見が目立った。公正さに関しては
大きな問題はない様だった。
3
検定試験に関する評価の理由と意見
l 客役やクマ対応など現実的ではないところがあった。せめてクマ役は必要(4 名)
l (検定ではなく)グループ討議や実戦練習、連携の強化、実際に事故が起きた時
の対処法などの研修も行い技術を高めるべき(3 名)
l お手本があればよかった。ガイド側のノウハウも考慮する必要がある(2 名)
l 自分の行動を数字で評価してもらいよかった。直後に悪かった所は教えてもらう
方がよかった(2 名)
l 検定者の中で意思疎通が不足していたのではないか疑問を持った(1 名)
問 4 基本ルールについて
l 管理者(本部)が状況を理解するためのルールのように感じた。実際にお客を連
れて歩いているガイドや外部の意見を収集してほしい(5 名)
l もっと実験を行って現地に即したルールに改善していくべきだ。今回のものはベ
ースにはなるだろう(5 名)
l このままでは結局はガイドにお任せとなって、ガイド同士の連携は難しくなるの
ではないかと心配(2 名)
問 5 責任について
l ガイドの責任が重くなる。ガイドはレンジャー的な役割まで求められている(7 名)
l 今までと同じだけ責任が生じる(2 名)
l ガイド・行政とともに重くなる。マニュアル通りで事故は行政、マニュアルを守
らなければガイド(3 名)
l ※対策は基本的には検討中だったが、定期的な訓練などの継続や行動記録の徹底、
最終的な賠償責任に対する備えなどの回答がみられた。
問 6 知床五湖の利用のあり方協議会に求めること
l 情報交換会(特にガイドの持つ)や研修、勉強会の開催。時間が限られているの
で Web 上での掲示板なども必要(6 名)
l 対外的な周知(観光客などへの案内)が早急に必要(2 名)
l ヒグマや植生への配慮は五湖だけではなく国立公園全体で考えるべき(1 名)
問7 ヒグマ活動期ツアー予定金額
4000 円から 6000 円の間で分かれた。現状と変わらないという方もいたが、なかには今よ
りも受付等で時間がかかることを考慮している方もいた。
4
問8
知床全体の観光動向の変化
l 五湖の利用者数が減る(9 名)
l 高架木道利用者が増える(3 名)
l 団体客が減る(3 名)
l それ以外の場所(フレペなど)が増える(2 名)
l 知床全体の観光客が(このまま)減少する。しばらく混乱が生じる(2 名)
問 9 ヒグマ活動期にどのようなツアーをされるつもりですか?
l 今まで通り五湖ツアーを行う。
(2 名)
l 五湖と他の場所を併用してツアーを行う(5 名)
l 五湖以外の場所でツアーを行う(5 名)
自由回答
l
観光面に関してももう少し考えてほしい(4 名)
Ø 団体客を今のままだと受け入れられない。ガイド2名で連携するのは慣れている
ので、その場合 2 グループ入れて対応してはどうか。
Ø 旅行会社の対応などが気になる。
Ø 繁忙期に予約がとれなくてクレームなどなければ良いが。
Ø お客に PR する方法も考える必要がある。
Ø 今回の実験では人数が多い方がツアーを持つということだったが現実ではありえ
ない。
l
他の場所も含めてもっと考えてほしい(2 名)
Ø ヒグマに対してのガイド制の導入なら、他の場所(フレペなど)は必要ないのか。
Ø 今回のシステムでお客からレクチャー費をとるなら、国立公園全体で考えてほし
い。そうしなければ、エサやり、交通事故、などは減らない。
l
事故が発生した時の対応訓練もしっかりやってほしい(2 名)
Ø 何かあった時の責任は、ガイドにまるなげ状態と感じる。
l
ガイドの教育、勉強にうまく活かしてほしい(2 名)
Ø オフシーズンに話し合いや研修、報告会などを開き、全員のレベルを上げられる
ようにしていって欲しい。
Ø 認定ガイドを厳しくしてくれればガイドの教育に役立つ。ガイド教育は知床なら
ば五湖でなくてもできる。
l
観光にはマイナスの影響の方があると思うが、ある程度の規制も必要だと思う。
(1 名)
l
もっと早い段階から実験などの予定を立ててほしい(1 名)
l
財団や行政機関のさじ加減で制度が施行されないように、協議会がチェックする機能
を持つべき(1 名)
5
資料 3­6
加参のへ験実
ガイド事業者への依頼事項
・実験を通じてより多くの検証を行うため、参加者の募集をお願いいたします。
・観光協会を通じて配分されるツアー時間枠およびフリーの時間枠を出来る限り埋めるよ
うご協力ください。
・実験自体の広報についてもご協力のほど、宜しくお願いいたします。
【申込予約システムの使用法】
・五湖実験 申込予約システム(http://shiretoko­eco.net/goko­rsv/)が、6 月 9 日より稼
動しております。
・同システムにおいては、既にお送りしたログイン ID とパスワードでログインしていた
だき、予約を受けたお客様情報の確認・新規お客様情報の入力、およびガイド紹介ペー
ジの修正が可能です(添付の「五湖実験予約システム利用方法」マニュアル参照)。
【マニュアルへの追加事項
※ガイドが未定となっている時間枠への予約方法】
・ http://shiretoko­eco.net/goko­rsv/user/においてガイド未定と記されている時間枠は、
付受込申
お客様の予約を受けたガイドが先着順で登録し、ツアーを実施することが出来ます。
・マニュアルに従って、http://shiretoko­eco.net/goko­rsv/guide/からログインし、新規予
約をクリックして、お客様の情報を登録してください(以下はマニュアル通り)。
【予約状況の一元管理】
・一般のお客様も同じ Web を参照しております。入力が遅れることで空席ありと判断さ
れ、混乱が生じる恐れがありますので、電話等で直接申込があった場合も予約情報は速
やかに同システムに登録するようお願いいたします。
1
【事前の諸注意】
・担当するツアーの申込状況を常に確認し、申込者の情報を把握してください。
・ツアー参加者には、事前に服装・持ち物・集合時間など、諸注意を行ってください。
【シャトルバス利用の案内】
・五湖駐車場の渋滞緩和のため、実験期間中はシャトルバスが運行されます。
内案のへ者加参ーアツ
・ツアーに参加されるお客様に対して、マイカーは自然センター駐車場に停め、シャトル
バスをご利用いただくよう、ご案内ください。
〈路線〉 知床自然センター駐車場 ⇔ 知床五湖駐車場間
〈料金〉 無料
〈運行スケジュール〉
・自然センター駐車場発
・五湖駐車場発
※
…
毎時 30 分に出発予定(7:30, 8:30, 9:30 … 始発は 7:30)
… 毎時 00 分に出発予定(11:00, 12:00, 13:00 … 最終は 18:30)
利用者がいない場合は運行を停止する場合があります。
〈シャトルバスの申込〉
・前日の 18:00 までに知床財団(担当:山野、岡本、寺山)へ、利用するバス
の時間と人数をお知らせください。
Tel:0152­24­2114,
Fax:0152­24­2115
Email:[email protected]
・ツアー開始時間に、知床五湖遊歩道入口付近の受付本部にご集合ください。
・事前レクチャーを実施してください(今回の実験では、事前レクチャー・受付からツア
ー終了後の受付までをツアー時間とし、2 時間 45 分でこれを完結してください)。
ドイガの日当
・お客様の氏名・年齢・性別などがわかる参加者受付リスト(申込予約システムにより印
刷可能です)を用意し、出発前に受付に提出してください。
・受付にて参加者の本人確認、および、仮認定証の発行を受けてください。
・五湖遊歩道における最新のヒグマ情報を、受付の際に確認してください。
・受付で無線機を受け取って、ツアーに出発してください。
・ツアー終了後、受付にツアーの無事帰着とヒグマ情報について伝達してください。ツア
ー参加者にアンケートを配布し、協力を呼び掛けてください。
・登録していたツアーを当日急遽キャンセルする場合は、出発時間の 1 時間前までに、受
付へご連絡ください。
2
資料 3­7
観光関係者への依頼事項
(主催:知床五湖の利用のあり方協議会)
より良い知床五湖の利用を目指して、平成 22 年度より遊歩道の利用コントロール導入が
報 広
検討されています。そのための実証実験として、6/23, 24, 25 の 3 日間は、ヒグマの対処
法の技術を有するガイドが引率する、モニターツアー(有料)が実施されます。
・案内デスク等に、知床五湖ツアーの案内チラシを設置してください。
・参加希望するお客様に、下記の通り申込方法を案内してください。
予約受付システム(http://shiretoko­eco.net/goko­rsv/user/)を閲覧し、ツアースケジュー
ルの空き状況を調べて、お客様の参加可能なツアーを案内してください。
【ツアーガイド名が標記されている場合】
◆予約受付システムを通じて、直接登録することができます。
・予約受付システムに参加者の情報を入力し、申込を行ってください。
◆担当ガイドに連絡して、登録を任せることが出来ます
・予約受付システム内のツアー申込状況を閲覧し、お客様に参加可能なツアーを決定
してもらいます。
・その後、該当ガイド事業者の連絡先を案内し、ガイド事業者にお客様から必要情報
法方込申
の聞き取り、更に予約受付システムへの申込を任せてください。
【ツアーガイドが未定となっていた場合】
・下記 URL のガイド空き情報目安を閲覧して、お客様にツアー可能なガイド事業者
を紹介してください。
http://chosuke.rumix.jp/main.aspx?g=8604f309eb862da74
(パスワード:jikken)
・お客様とガイド事業者との間でツアー実施の可否が話し合われ、ツアー実施可能と
なれば、ガイド事業者からツアーおよびお客様情報の登録がなされます。
【その他】
・お客様がパソコンなどでインターネットを見られ、E メールを受け取れる環境にあ
れば、パソコンから申込を行うことも可能です。予約受付システムの URL をお知
らせください。こちらの URL は「知床エコツーリズム推進協議会」ホームページ
に、
「知床五湖モニターツアーWeb 申込」としてリンクが貼ってあります。
1
※ 留意事項
・ツアーは有料で行われ、料金はガイド事業者によって異なります。
・ツアーの定員は 10 名です。
・五湖でのツアー所要時間は、2 時間 45 分です。
・ツアー当日、お客様には自然センター ⇔ 知床五湖を往復するシャトルバスを利用して
もらいます。その旨、お客様に案内ください。
【シャトルバス利用の案内】
・五湖駐車場の渋滞緩和のため、実験期間中はシャトルバスが運行されます。
・ツアーに参加されるお客様に対して、マイカーは自然センター駐車場に停め、シャトル
バスをご利用いただくよう、ご案内ください。
〈路線〉
知床自然センター駐車場 ⇔ 知床五湖駐車場間
〈料金〉
無料
〈運行スケジュール〉
・自然センター駐車場発
・五湖駐車場発
※
…
毎時 30 分に出発予定(7:30, 8:30, 9:30 … 始発は 7:30)
… 毎時 00 分に出発予定(11:00, 12:00, 13:00 … 最終は 18:30)
利用者がいない場合は運行を停止する場合があります。
・ツアー参加者の服装・持ち物などについては、ガイド事業者の指示に従うよう案内して
ください。
予約方法に関するお問い合わせは
知床斜里町観光協会 0152­22­2125
(8:30 ~ 17:30)
ツアー実施内容についてのお問い合わせは
(財)知床財団
普及研修係
0152­24­2114
までお願いいたします。
2
知床五湖の利用コントロール導入実験
知床五湖地上遊歩道モニターツアー の参加者を
募集しています
世界自然遺産知床の魅力を凝縮した知床五湖。
ここで、新しい利用のあり方が検討されています。
一足先に新しい知床五湖を体験してみませんか?
6月23日(火)
24日(水)
25日(木)
photo:知床五湖遊歩道から見る知床連山
より良い知床五湖の利用を目指して、平成22年度より遊歩道の
利用コントロール導入が検討されています。
そのための実証実験として、6/23・24・25の3日間は、ヒグマの対
処法の技術を有するガイドが引率する、モニターツアー(有料) が
実施されます。皆様のご参加を是非よろしくお願いします。
詳細は裏面をご覧ください
されました
延長
高架木道が
ガイドに
よるツア
ー
ツアー申込・受付
コースマップ
◆WEBサイトからツアーを申込めます!
(知床エコツーリズム推進協議会のWEBサイトからリンクしています。)
すべての時間帯の担当ガイド、料金
についてはホームページでご覧にな
れます。各ガイドへの仮予約もホーム
ページから可能です。
三湖
四湖
◆ツアーへの参加には通常のガイド料金がかかります。料金は各事業者によって異なります。
(3,500円~5,000円)
モニターツアー受付ガイド事業者
①NPO SHINRA(知床ナチュラリスト協会)
②オホーツク自然堂
③株式会社 知床ツーリスト
④株式会社 知床ネイチャーオフィス
⑤トレイル知床
⑥斜里バス株式会社 知床アルパ
⑦Shiretoko English Guided Eco-Tours
0152-22-5522
0152-48-3556
0152-25-2642
0152-22-5041
090-8636-2493
0152-24-2230
090-3773-9863
(英語ツアー)
◎予約方法に関するお問合せは
二湖
⑧知床アウトドアガイドセンター
⑨知床オプショナルツアーズ SOT!
⑩知床の森のガイド ゆらり
⑪知床未知案内
⑫星の時間
0152-24-2311
0152-24-3467
0152-23-6180
080-3941-4016
0152-24-3315
五湖
遊歩道のうち緑の部分は
一般の方の利用を制限し
モニターツアーのみで利
用します。
一湖
五湖レストハウス
◆直接ガイド事業者にお電話で
お申込いただけます。
五湖駐車場
遊歩道入口
受付場所
知床斜里町観光協会 0152-22-2125(8:30~17:30)
ツアー実施内容
実施日 2009年6月23日(火)、24日(水)、25(木)
◆一人のガイドが引率するツアー客は10名までです。
◆定員になり次第締め切ります。
◆第5湖から4湖、3湖という順路で、第2湖までを巡る遊歩道を歩きます。
何の実験をするの?
知床五湖が抱える問題
ヒグマの出没に
よる遊歩道の長
期全面閉鎖
◆各ツアー時間は各2時間45分を予定しています。
◆各ガイドは一定の間隔を置いてツアーに出発します。
※実験期間中、2湖~5湖間の遊歩道はツアー参加者のみ利用可能となります。
※知床五湖の駐車場は有料です。(乗用車410円)
利用者の増加に
よる地上歩道の
一部が荒廃
※ヒグマの出没により実験を中止する場合もあります。
※雨天でも決行しますので、当日は野外で行動しやすい服装でお越しください。
*その他諸注意は、申し込み先ガイド事業者にご確認ください。
主催:知床五湖の利用のあり方協議会
お問い合わせ先:(財)知床財団 普及研修係 TEL 0152-24-2114
適正な利用を目指して
解決したい!
これらの問題を改善するた
めに・・・
A いつでも誰でも利用できる高架木道の整備
B 静かに、そして豊かな自然を肌で体験できる地上
遊歩道のより安定的な利用システムの構築(開園
時期を ①ヒグマ活動期、②植生保護期、③自由
利用期の 3つに分けて運営予定)。
という2つの形態の併用による新しい五湖の利用のあ
り方が検討されています。
ヒグマが頻繁に活動する時期には、認定ガイドが引率
するグループのみが地上歩道を利用できる制度が検討
されており(Bの①)平成22年度より実施が予定されて
います。今回はその具体的な方法を実験します。
資料 3-9-1
調査員記入欄(日付
日
ツアー開始時間
時
分
参加者数
名
知床五湖の利用コントロールに関するアンケート
北海道大学
農学部
最後にアンケートへのご協力をお願い致します。回答用紙は 4 ページございます。回答
結果は集計されたもののみを用いますので、個別の回答内容が公表されることはございま
せん(ご案内したガイドにもこの用紙をお見せすることはございません)。大変にお忙しい
こととは存じますが、どうぞよろしくお願い致します。
連絡先
〒060-8589 札幌市北区北九条西 9 丁目 北海道大学農学部
森林政策学研究室 担当 庄子康 電話 011-706-3342
問1 これまで、あなたは知床五湖に何回訪問されたことがありますか?
に 1 つ○をつけて下さい。
1. 初めて
2. 二回目
3. 三回目
4. 四回目
当てはまる番号
5. 五回目以上(具体的に
回目)
問2 今回のご旅行には個人旅行で来られましたか? それともパックツアーで来られまし
たか? 当てはまる番号に 1 つ○をつけて下さい。
1. 個人旅行
2. パックツアー
3. わからない
4. その他(
)
問3 今回、あなたが知床五湖(あるいは知床)を訪れようと考えられたきっかけは何です
か? 上位 3 つの理由を選び、番号を順番に回答欄にご記入下さい(理由が 2 つ以上
ない方は、2 番目と 3 番目の欄は空欄のままで構いません)。
1 番目
1.
3.
5.
7.
9.
11.
2 番目
3 番目
野生動物を見ることができる
写真の撮影スポットがある
温泉がある
雑誌や本などに紹介されていた
友人に訪問をすすめられた
何となく
2.
4.
6.
8.
10.
手つかずの自然環境が残されている
散策やハイキング・登山を楽しめる
テレビやラジオなどで紹介されていた
たまたまツアーに組み込まれていた
目的地選びには関わっていなかった
次に続きます
1
問4 今回の知床五湖のツアーを体験して、以下の項目についてどのように思いましたか?
当てはまる 1~6 の番号に 1 つずつ○をつけて下さい。
とても
どちらでも
全くそう 分から
←
→
そう思う
ない
思わない ない
受付時の手続きやレクチャー
が面倒に感じた
1.
2.
3.
4.
5.
6.
受付時のレクチャーの内容が
わかりにくいと感じた
1.
2.
3.
4.
5.
6.
ガイドの案内や解説が上手では
ないと感じた
1.
2.
3.
4.
5.
6.
ガイドの歩くスピードが
早すぎると感じた
1.
2.
3.
4.
5.
6.
ヒグマ出没時にガイドが守って
くれるか不安を感じた
1.
2.
3.
4.
5.
6.
問5 将来、もう一度知床五湖に来られることがあった場合、あなたは再度費用を支払って、
知床五湖を一周しますか? 番号に 1 つ○をつけて下さい。
1. もう一度費用を支払って、知床五湖を一周する
2. 高架木道(売店横から続く無料で利用できる木の歩道)だけを利用する
3. 知床五湖も高架木道も利用しない(駐車場で待っている)
問6 今回のような、ガイド同伴のみで知床五湖の歩行を認める仕組みについてどう思いま
すか? 当てはまる番号に 1 つ○をつけて下さい(今回の仕組みの長所と短所は灰色
の部分にまとめています)。
1. とても望ましい 2. 望ましい 3. どちらでもない
5. 全く望ましくない 6. その他(
4. 望ましくない
)
長所:今まではヒグマが出没すると今回歩いた歩道は通行止となっていたが、ガイ
ドとのツアーに申し込んでいれば歩道を利用できる(ガイドがヒグマへの対応
を心得ている)。またガイドによる説明も受けることができる。
短所:ガイドとのツアーには予約が必要であり、予約が取れなければ歩道は利用で
きない。またツアーには参加費用がかかり、出発前にヒグマ対応のためのレク
チャー(5 分程度)も受けなければならない。
問7 皆さんには知床五湖のツアーを体験する前に、ツアーに支払っても構わない金額をお
聞きしました。今度は実際に支払った金額と、ツアー体験後の現在、支払っても構わ
ないと思っている金額をそれぞれご記入下さい。
実際に支払った金額
円
ツアー体験後の金額
円
次に続きます
2
●最後に皆様ご自身に関してお聞かせ下さい。
問8 あなたの性別・年齢について、当てはまる番号に 1 つずつ○をつけて下さい。
1. 男性
2. 女性
1. 10 代 2. 20 代 3. 30 代 4. 40 代 5. 50 代 6. 60 代 7. 70 代以上
問9 あなたのご職業について、当てはまる番号 1 つに○をつけて下さい。
1. 会社員 2. 公務員 3. 自営業
7. 年金生活 8. その他(
4. 学生
5. パート
6. 主婦
)
問10 あなたは北海道内に在住していますか、それとも北海道外に在住していますか?
てはまる番号 1 つに○をつけて、お住まいの場所をご記入下さい。
1. 道内在住(
市町村) 2. 北海道外在住(
都府県
当
市町村)
問11 あなたは山岳会や野鳥の会、自然保護団体など、自然環境に関わる団体に所属してい
ますか? 当てはまる番号すべてに○をつけて下さい。
1. 所属していない 2. 山岳会(山岳団体)に所属 3. 自然保護団体に所属
4. その他自然環境に関わる団体に所属(具体的に
)
問12 あなたはふだん外出するとき、天気予報の降水確率が何%以上であれば傘を持って出
かけますか。 0 から 100%までの数字をご記入下さい(この項目は社会経済的な
統計分析を行うためのものです)。
降水確率が
%以上ならば傘を持っていく
長い間ご協力ありがとうございました。ご意見・ご感想をお聞かせ下さい。
3
資料 3-9-2
モニターツアーでのアンケート結果
(2009 年 6 月 25-26 日実施 北海道大学農学部 愛甲哲也・庄子康)
ツアー参加者に対するアンケート調査(昨年秋の結果と比較)
●ツアーの印象
以下の 5 つの項目について印象をたずねたところ、昨年秋の結果と同様に、ほとんどの回答
者が否定的な意見を持たれていなかった。
140
120
100
80
60
2008 年 11 月 2 日(153 名)
●受付時の手続きやレクチャーが面倒に感じた
●受付時のレクチャーの内容がわかりにくいと感じた
●ガイドの案内や解説が上手ではないと感じた
●ガイドの歩くスピードが早すぎると感じた
●ヒグマ出没時にガイドが守ってくれるか不安を感じた
40
20
0
とてもそう思う
どちらでもない
全くそう思わない
ややそう思う
あまりそう思わない
分からない
2009 年 6 月 25-26 日(66 名)
●受付時の手続きやレクチャーが面倒に感じた
●受付時のレクチャーの内容がわかりにくいと感じた
●ガイドの案内や解説が上手ではないと感じた
●ガイドの歩くスピードが早すぎると感じた
●ヒグマ出没時にガイドが守ってくれるか不安を感じた
とてもそう思う
どちらでもない
全くそう思わない
ややそう思う
あまりそう思わない
分からない
●歩道の利用制限について
ヒグマが頻繁に出没する時期には、歩道の一般利用を制限し、今回のような認定ガイドによ
るツアーのみの利用とすることの是非をたずねたところ、2008 年 11 月 2 日の結果では、153
名中大変に望ましいと回答されたのが 38 名(24.8%・欠損値は除く、以下同じ)、望ましいと
回答されたのが 84 名(54.9%)であったが、2008 年 6 月 25-26 日は、66 名中大変に望まし
1
いと回答されたのが 37 名(56.1%)、望ましいと回答されたのが 25 名(37.9%)であった。肯定
的な回答の率は前回よりも若干高くなっている。
●認定ガイドツアーに対する支払意志額について
支払意志額を直接たずねたところ、2008 年 11 月 2 日の結果では、153 名のツアー体験前の
平均値は 2,886 円、ツアー体験後の平均値は 4,017 円であった。支払意志額が体験後に下
がった人は 6 人、変わらなかった人が 43 人であり、多くの回答者は予想以上の満足、もしく
は想定した通りの満足を得られていると考えられた。
しかしながら、2008 年 6 月 25-26 日の結果では、66 名のツアー体験前の平均値は 4,169
円、ツアー体験後の平均値は 4,187 円であり、支払意志額が体験後に下がった人は 13 人、
変わらなかった人が 26 人であった。多くの方は期待通りか予想を上回る評価をしているが、
回答された方の多くは、すでにガイドツアー代金を支払らわれているので、体験前の平均値
が高く、期待まで達しなかったと感じられる回答者は増えた。
●認定ガイド制に対する意見(自由解答欄より)
ツアー10 名は多すぎる
ツアーには一湖も含めて欲しかった
英語の標識は今後設置されないのでしょうか?
事前のレクチャーをもっと多く。事前にポイントを教えて欲しい。
ガイドツアー代に 500-1,000 円の自然保護のための寄付金を含めるべき
2
資料 3-10-1
調査員記入欄(日付
日
ツアー開始時間
時
分
参加者数
名)
知床五湖の利用コントロールに関するアンケート
北海道大学
農学部
最後にアンケートへのご協力をお願い致します。回答用紙は3ページございます。回答
結果は集計されたもののみを用いますので、個別の回答内容が公表されることはございま
せん(ご案内したガイドにもこの用紙をお見せすることはございません)。大変にお忙しい
こととは存じますが、どうぞよろしくお願い致します。
連絡先
〒060-8589 札幌市北区北九条西 9 丁目 北海道大学農学部
森林政策学研究室 担当 庄子康 電話 011-706-3342
問1 これまで、あなたは知床五湖に何回訪問されたことがありますか?
に 1 つ○をつけて下さい。
1. 初めて
2. 二回目
3. 三回目
4. 四回目
当てはまる番号
5. 五回目以上(具体的に
回目)
問2 今回のご旅行には個人旅行で来られましたか? それともパックツアーで来られまし
たか? 当てはまる番号に 1 つ○をつけて下さい。
1. 個人旅行
2. パックツアー
3. わからない
4. その他(
)
問3 今回、あなたが知床五湖(あるいは知床)を訪れようと考えられたきっかけは何です
か? 上位 3 つの理由を選び、番号を順番に回答欄にご記入下さい(理由が 2 つ以上
ない方は、2 番目と 3 番目の欄は空欄のままで構いません)。
1 番目
1.
3.
5.
7.
9.
11.
2 番目
3 番目
野生動物を見ることができる
写真の撮影スポットがある
温泉がある
雑誌や本などに紹介されていた
友人に訪問をすすめられた
何となく
2.
4.
6.
8.
10.
手つかずの自然環境が残されている
散策やハイキング・登山を楽しめる
テレビやラジオなどで紹介されていた
たまたまツアーに組み込まれていた
目的地選びには関わっていなかった
次に続きます
1
問4 今回の知床五湖のツアーを体験して、以下の項目についてどのように思いましたか?
当てはまる 1~6 の番号に 1 つずつ○をつけて下さい。
とても
どちらでも
全くそう 分から
←
→
そう思う
ない
思わない ない
受付時の手続きやレクチャー
が面倒に感じた
1.
2.
3.
4.
5.
6.
受付時のレクチャーの内容が
わかりにくいと感じた
1.
2.
3.
4.
5.
6.
ガイドの案内や解説が上手では
ないと感じた
1.
2.
3.
4.
5.
6.
ガイドの歩くスピードが
早すぎると感じた
1.
2.
3.
4.
5.
6.
ヒグマ出没時にガイドが守って
くれるか不安を感じた
1.
2.
3.
4.
5.
6.
問5 将来、もう一度知床五湖に来られることがあった場合、あなたは再度費用を支払って、
知床五湖を一周しますか? 番号に 1 つ○をつけて下さい。
1. もう一度費用を支払って、知床五湖を一周する
2. 高架木道(売店横から続く無料で利用できる木の歩道)だけを利用する
3. 知床五湖も高架木道も利用しない(駐車場で待っている)
問6 今回のような、ガイド同伴のみで知床五湖の歩行を認める仕組みについてどう思いま
すか? 当てはまる番号に 1 つ○をつけて下さい(今回の仕組みの長所と短所は灰色
の部分にまとめています)。
1. とても望ましい 2. 望ましい 3. どちらでもない
5. 全く望ましくない 6. その他(
4. 望ましくない
)
長所:今まではヒグマが出没すると今回歩いた歩道は通行止となっていたが、ガイ
ドとのツアーに申し込んでいれば歩道を利用できる(ガイドがヒグマへの対応
を心得ている)。またガイドによる説明も受けることができる。
短所:ガイドとのツアーには予約が必要であり、予約が取れなければ歩道は利用で
きない。またツアーには参加費用がかかり、出発前にヒグマ対応のためのレク
チャー(5 分程度)も受けなければならない。
問7 皆さんには知床五湖のツアーを体験する前に、ツアーに支払っても構わない金額をお
聞きしました。その支払っても構わない金額と実際に支払った金額、ツアー体験後の
現在、支払っても構わないと思っている金額をそれぞれご記入下さい。
ツアー体験前の金額
実際に支払った金額
ツアー体験後の金額
円
円
円
次に続きます
2
●最後に皆様ご自身に関してお聞かせ下さい。
問8 あなたの性別・年齢について、当てはまる番号に 1 つずつ○をつけて下さい。
1. 男性
2. 女性
1. 10 代 2. 20 代 3. 30 代 4. 40 代 5. 50 代 6. 60 代 7. 70 代以上
問9 あなたのご職業について、当てはまる番号 1 つに○をつけて下さい。
1. 会社員 2. 公務員 3. 自営業
7. 年金生活 8. その他(
4. 学生
5. パート
6. 主婦
)
問10 あなたは北海道内に在住していますか、それとも北海道外に在住していますか?
てはまる番号 1 つに○をつけて、お住まいの場所をご記入下さい。
1. 道内在住(
市町村) 2. 北海道外在住(
都府県
当
市町村)
問11 あなたは山岳会や野鳥の会、自然保護団体など、自然環境に関わる団体に所属してい
ますか? 当てはまる番号すべてに○をつけて下さい。
1. 所属していない 2. 山岳会(山岳団体)に所属 3. 自然保護団体に所属
4. その他自然環境に関わる団体に所属(具体的に
)
問12 あなたはふだん外出するとき、天気予報の降水確率が何%以上であれば傘を持って出
かけますか。 0 から 100%までの数字をご記入下さい(この項目は社会経済的な
統計分析を行うためのものです)。
降水確率が
%以上ならば傘を持っていく
長い間ご協力ありがとうございました。ご意見・ご感想をお聞かせ下さい。
3
資料 3-10-2
結果速報値
2009 年 7 月 27 日
知床五湖の利用に関するアンケート(モニターツアー非参加者)
(177 通回収、6 月 24 日 96 人(54.2%)25 日 81 人 45.8%)
北海道大学農学部
知床五湖の今後の利用のあり方を検討するために、アンケートへのご協力をお願い致します。回答結果
は集計されたもののみを用いますので、個別の回答内容が公表されることはございません。どうぞよろ
しくお願い致します。
連絡先 〒060-8589 札幌市北区北九条西 9 丁目 北海道大学農学部
花卉・緑地計画学研究室 愛甲哲也 電話 011-706-2452
問 1 これまで、あなたは知床五湖に何回訪問されたことがありますか?当てはまる番号に 1 つ○をつけて下さ
い。
1. 初めて(71.2%) 2. 二回目(16.4%) 3. 三回目(5.6%) 4. 四回目(4.0%) 5. 五回目以上(2.8%)
問2 今回のご旅行には個人旅行で来られましたか?それともパックツアーで来られましたか?当てはまる番
号に 1 つに○をつけて下さい。
1. 個人旅行(49.7%) 2. パックツアー(42.9%) 3. わからない(0%) 4. その他(7.3%)
問3 今回、あなたが知床五湖(あるいは知床)を訪れようと考えられたきっかけは何ですか?上位 3 つの理由
を選び、番号を順番に回答欄にご記入下さい(理由が二つ以上無い方は、2 番目と 3 番目の欄は空欄のままで
構いません)。(多重回答、177 人中)
1 番目:
2 番目:
3 番目:
1. 野生動物を見ることができる(30.1%)
2. 原生的な自然環境が残されている(62.7%)
3. 写真の撮影スポットがある(21.1%)
4. 散策やハイキング・登山を楽しめる(18.7%)
5. 温泉がある(11.4%)
6. テレビやラジオなどで紹介されていた(10.8%)
7. 雑誌や本などに紹介されていた(12.0%)
8. たまたまツアーに組み込まれていた(20.5%)
9. 友人に訪問をすすめられた(6.0%)
10. 目的地選びには関わっていなかった(1.8%)
11. 何となく(11.4%)
問5 知床五湖では、ヒグマの出没による閉鎖が多いため、ヒグマの活動が活発な時期に、認定ガイドの案内
でのみ、歩道を利用するという対策が検討されています。本日は、その実証実験として、三湖から五湖までの
間を、認定ガイドが同伴するモニターツアーに限定しています。この取り組みのことを知っていましたか?当て
はまる番号に 1 つ○をつけて下さい。
1. 知らなかった(70.1%)
2. 知床に来てから知った(18.1%) 3. 旅行の出発前に知っていた(11.9%)
問6 「1.知らなかった」と答えた方にうかがいます。事前に知っていたら、認定ガイド同伴のモニターツアーに
申し込みましたか?当てはまる番号に 1 つ○をつけて下さい。(124 人中)
1. 申し込んだ(25.4%)
2. 申し込まなかった(32.2%)
3. わからない(12.4%)
問7 認定ガイド同伴のモニターツアーに申し込まなかった理由について教えてください。当てはまるすべての
番号に○をつけてください。(多重回答、177 人中)
1. 知らなかった(50.3%)
2.予約が面倒だと感じた(2.8%)
4.一湖と二湖を歩ければ良かったから(12.4%)
5.高架木道だけを歩ければ良かったから(1.7%)
6.認定ガイドに同伴されてもヒグマに出会いたくないから(4.5%)
8.その他(19.8%)
1
3.有料だったから(6.2%)
7.自由に歩きたいから(7.3%)
問8 この検討されている対策についてどう思いますか?それぞれ当てはまる番号に 1 つ○をつけて下さい(長
所と短所を灰色の部分にまとめています)。
ヒグマの活動が活発な 5 月から 7 月に、認定ガイドの案内でのみ歩道を利用できる)
1. とても望ましい(23.7%)
2. 望ましい(44.6%)
3. どちらでもない(14.7%)
4. 望ましくない(7.3%)
5. 全く望ましくない(6.2%)
6. その他(3.4%)
長所:今まではヒグマが出没すると通行止となっていたが、ヒグマへの対応を心得ている認定ガイドの
ツアーに申し込めば歩道を利用できる。ガイドによる説明も受けることができる。
短所:認定ガイドのツアーには予約が必要であり、予約が取れなければ歩道は利用できない。ツアーに
は参加費用がかかり、出発前にヒグマ対応のためのレクチャー(5 分程度)も受けなければならな
い。
問9 将来、知床に来られることがあった場合、知床五湖では、どんな利用をしてみたいですか?当てはまる番
号に 1 つ○をつけて下さい。
1.認定ガイドの同伴で知床五湖を一周する(51.4%)
2.自分で一湖と二湖だけを歩く(14.1%)
3.自分で高架木道だけを歩く(7.3%)
4.歩道も高架木道も利用しない(1.7%)
5.その時期には、知床五湖には立ち寄らない(2.8%)
6.時期をかえて知床を訪れる(13.6%)
7.その他(7.9%)
問4 本日、知床五湖を利用して、どの程度の混雑を感じましたか?
場所ごとに当てはまるもの一つに○をつけてください。(1:少なすぎる~5:多すぎる)
高架木道(平均 2.88)
少なす
ぎる
一湖の歩道と周辺の
少なす
展望台(平均 3.12)
ぎる
二 湖の 歩道 と周 辺の
展望台(平均 3.08)
少なす
ぎる
少ない
少ない
少ない
ちょう
ど良い
ちょう
ど良い
ちょう
ど良い
多い
多い
多い
多すぎ
る
多すぎ
る
多すぎ
る
●最後に皆様ご自身に関してお聞かせ下さい。
問10 あなたの性別・年齢について、当てはまる番号に 1 つずつ○をつけて下さい。
1. 男性(58.2%) 2. 女性(39.5%)
1. 10 代
2. 20 代
3. 30 代
4. 40 代
5. 50 代
6. 60 代
7. 70 代 以 上
(4.0%)
(8.5%)
(11.9%)
(6.8%)
(10.7%)
(33.9%)
(22.6%)
問11 あなたのご職業について、当てはまる番号 1 つに○をつけて下さい。
1. 会社員(19.8%)
2. 公務員(4.5%)
6. 主婦(20.3%) 7. 年金生活(29.4%)
3. 自営業(12.4%)
4. 学生(5.1%)
5. パート(1.7%)
8. その他(4.5%)
問12 あなたは北海道内に在住していますか、それとも北海道外に在住していますか?当てはまる番号 1 つに
○をつけて、お住まいの場所をご記入下さい。
1. 道内在住(11.9%)
2. 北海道外在住(88.1%)
以上で終了です。ご協力ありがとうございました。
2
090728五湖協議会 資料1-2
知床五湖利用コントロールにおける課題整理表
● 課題: 知床五湖コンロトール導入に向けて、課題となっている項目を列挙した。
● 対策のアイデア:
各課題項目に関する対策として、各種検討会などで事務局に寄せられたアイデアについて、そ
の概要を記述した。対策として決定されたものではなく、これまでに出たアイデアであり、今
後の検討事項である。
● アイデアに関する検討事項:
対策のアイデアを実施する際に留意すべきポイントなどについて記述
課題
対策のアイデア
業界向け説明会
アイデアに関する検討事項
実施タイミングと期限
(ア)旅行業界向け広報
広
(イ)地域向け広報
報
知らずに現地に来る利用者は必ずいる。
(ウ)一般旅行者向け広報
(ア)レクチャー施設
施 (イ)高架木道と地上歩道の接続部
設
(ウ)その他の園地整備
(ア) 法的担保
(イ) 主催者
利用調整地区制度など
資料3-11
(ウ) 認定ガイド認定者
制
度 (エ) 費用負担
環境省にて検討
・現地の受付・ヒグマ対策体制
・予約・集客体制
・認定ガイド制運営体制
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090728五湖協議会 資料1-2
課題
対策のアイデア
アイデアに関する検討事項
(ア) 管理側とサービス側のギャップ → *受益者負担を謳う仕組みでありながら、利用者へのサービス意識が低い
① サービス商品としてのチェック機能
協議会メンバー全員への周知をチェック機
能として、情報提供を徹底する?
周知のみで十分か?
メールでの連絡体制の構築要
観光協会・ガイド協会などの特定の担当者
が事務局に加わる?
誰が担当者となる?
② 中止判断の仕組みと責任の所在
判断にガイドなども加わる?
判断者の責任を明確化
*制度確定により、実質的に決定か?
(イ) ヒグマ活動期の基本ルール → 実験で使用したたたき台の改訂。ガイドなど利用者側と、管理側が一緒に作り上げる仕組が必要
運
営
体
制
① 50m(安全圏基準)の見直し
数値はそのままで柔軟運用
形骸化の不安
より明確な別基準を検討
② 誰が何を判断するかの線引き
ヒグマ遭遇したガイドが、前進・後退を判
断?
ガイドという立場上、後退判断はしにく
い。
全体の引き返し等は、本部が判断?
本部において無線交信だけで現場の詳細
を把握するのは難しい
③ 上記判断基準の明確化
お客様、他のガイドに引き返しを納得さ
せるためにも、極めて明確な基準にする
④ ヒグマ目視→わからなくなった→その後の対応
⑤ 引き返し→利用再開の復旧方法
⑥ その他:無線交信の簡略化
ポイント名の改良
現地をパトロール後、利用再開(現行?)
運用コストが大きい、時間がかかる
利用中止後、一定時間経過後に自動的に利
用再開
利用再開までの予約は自動キャンセル?
出発時の申告は本部のみ等、できるだけ簡
略化
日本語にする、五湖側からA,B,C…に改定な
ど
無線スキルが上がらないのでは?
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090728五湖協議会 資料1-2
課題
対策のアイデア
アイデアに関する検討事項
(ウ) ヒグマ活動期のガイド認定制度 → 実験を基に、認定制度を再検討する
① 応募要件(有償100日、五湖30日)は適当か
② 応募者の要件チェックを厳格化
③ 研修回数と内容
より緩やかにする
より厳しくする
管理作業を担う、毎月研修に参加などの条
件で、実質現時点同様のハードルを設ける
ガイドに管理上何を求めるか要整理
複数の推薦者を要件とする?
認定主体による厳格なチェックを行う?
チェック可能な基準は何か?
5・6月に実習と認定試験、11月、4月に
訓練
5・6月実習、ガイドシーズンにも確認、
11月に認定試験、4月に訓練
研修の費用負担は?
ガイド事業者直接契約なら、現地に来た参
加希望者と契約可?
本部受付はできない。事業者ごとに対応
が異なる?
ネット上の一般向け予約は前日締め切り
ガイドは当日の出発まで予約入力可能?
五湖でのインターネット開通すれば、
ネット上の最終リストを基に受付可
あらかじめ時間枠を配分する
⇒ ③
受付窓口の強化、条件検索機能などの付加
どこが窓口となる?
9時台に何ツアーといった大きな時間枠にす
る
混雑時間帯と閑散時間帯で予約方法を変え
る
観光協会などで調整?
安全上のマイナスとならないか?
調整役はどこ?
希望する時間枠を入札する?
制度上可能か?
公開の上先着順?
仮押さえにより、予約を埋めてしまう可
能性あり
④ 合否判定の方法
⑤ 住民は入れないのか
(エ) ヒグマ活動期の予約・集客システム
(エ) ヒグマ活動期の予約・集客システム
① 当日受付、現地受付→
② 時間枠&事業者を選ぶ仕組みで複雑
③ 時間枠の配分はどう調整する
3 / 4 ページ
複雑にならないか?
090728五湖協議会 資料1-2
課題
対策のアイデア
アイデアに関する検討事項
④ 旅行社のツアーを受け入れづらい
団体名と人数だけの予約をOKとする?
⑤ ガイド毎の予約管理が煩雑
ガイドの変更ができない
ガイドごとではなく、事業者ごとの予約管
理?
⑥ 顧客情報の詳細入力が煩雑
*法制度の決定により、どの情報が必要か
精査
⑦ 外国語対応が必要
HPなどの多言語化
予算
遊歩道上の最大数8グループを前提に、20
分、15分、10分から選択
受付は可能。予約の利便性、遭遇時の待
機時間、体験の質などの要素で決定可能
遊歩道上の最大数グループ数も含めて再検
討
安全上の検証が無いまま、前提を変える
のは安全度が下がらないか?
現地にヒグマ対策系スタッフが1名常駐
パトロールなどの対応が必要な場合は、
別途対策スタッフの応援が必要で、時間
がかかる
パトロールなどの対応は迅速に行える
が、スタッフ増のコストがかかる
仮押さえにより、予約を埋めてしまう可
能性あり
法制度上、個人名なしの予約は可能?
法制度と主催者の判断次第?
ガイドの数以上に予約を作成できないよ
うな仕組みを検討
(オ) ヒグマ活動期の現地運用体制
① ツアーの時間間隔
② 現地受付のヒグマ対策体制
現地にヒグマ対策系スタッフが複数常駐
③ 受付~出発までの手続き時間
実験では受付~出発までを15分としたが、
10分程度が適当
④ 駐車場渋滞対策
ガイド事業者による送迎
バンは9人まで、ツアー定員は10人
シャトルバス
1時間に1本程度では、利便性上、マイ
カーを選択される傾向がある
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資料 3­12
2009 年度
知床五湖冬季利用実施
1.
期間:2010 年 1 月 30 日~3 月 22 日(状況により変更)
2.
利用ルール
○利用時間:8:30~16:30
○利用条件:認定を受けた引率者が同行する。
○引率人数:1 人の引率者につき 10 名まで。
○利用範囲:1 湖、2 湖、5 湖は湖岸付近のみの利用とする。
○利用中止:風雪、大雪、雪崩注意報・警報の場合。
○利用届け:事前に利用届けを観光協会、岩尾別ユースホステルに提出。
3.認定要件
○知床エコツーリズムガイドラインを理解し、遵守する者。
○損害賠償保険 1 事故 3 億円以上に加入している事業社。
○知床五湖冬季利用に関する事故対応マニュアルの作成。
○知床 100 平米の森・トラスト運動に賛同している事業社。
○ガイド暦 1 年以上(生業として有償のガイド)の者。
○救急救命(終日以上)の講習を 2 年以内に受講した者。
○指定された講習会を受講した者。
4.利用料
参加者 1 人あたり 400 円
6.ヒグマに関しての注意及び利用中止等の判断
知床斜里町観光協会が調査を行い行政、専門家等の意見をもとに利用の中止、一時中止等を決
定する。
○ヒグマに遭遇した場合は、後退及び適切な回避を行う。特に、ヒグマが進行方向にいる場合。
は、無理な前進は行わず、救助を待つ。
○ヒグマが利用範囲に定着していると判断された場合。
○ヒグマが利用範囲内に頻繁に目撃された場合。
○人に対して問題のある行動をするヒグマが確認された場合。
7.緊急(未帰着時)の対応
○晴天時:当日は利用範囲のみ捜索。発見されない場合は翌日に捜索範囲を拡大。
○悪天時:当日は知床五湖までの予定ルートのみ捜索。二次遭難が考えられる場合は捜索中止。
1
資料 3-13
H21 年度 五湖冬季利用
回答には 5~10 分ほどかかります。よろしくお願いいたします。
知床におけるガイドツアー評価アンケート
知床エコツーリズム推進協議会
NPO 知床斜里町観光協会
ご返送いただくのは、この回答用紙だけで結構で
す。お礼としてポストカードを同封しております
ので、ご自由にお使いください。
知床では環境保全と観光利用を両立させつつ地域が発展する「エコツーリズム」の普及
を目指しております。このアンケートは、知床で実施されているガイドツアーが、参加者
の安全管理や、自然保護に配慮して実施されているかどうかをツアー参加者の皆様からの
ご意見を基に評価することを目的としたものです。アンケートの結果は、ガイドツアーの
質の改善、ルールの策定等に活かして参ります。
お忙しいところ恐縮ですが、ご回答の上、返送用封筒にてお送り頂ければ幸いです。ご
協力よろしくお願いいたします。
問1 今回は何回目の知床訪問ですか?当てはまる番号 1 つに○をつけて下さい。
1. はじめての訪問
2. 2回目の訪問
3. 3回目以上の訪問(具体的に
回目)
問2 今回のご旅行では,知床に何日間滞在されましたか(されるご予定ですか)?
当てはまる番号 1 つに○をつけて下さい。
1. 日帰り 2. 1 泊 2 日
6. 5 泊以上(具体的に
3. 2 泊 3 日
泊
日)
4. 3 泊 4 日
5. 4 泊 5 日
問3 今回のご旅行には旅行会社の団体ツアーで来られましたか?それとも個人旅行で来
られましたか?当てはまる番号 1 つに○をつけて下さい。
1. 団体ツアー
2. 個人旅行
3. その他(
)
※団体ツアー・・・旅行会社が募集したツアーに参加した場合。旅行中は観光バスで移動。
※個人旅行 ・・・個人で移動手段や宿泊を手配した場合。旅行会社によるホテル・レンタカー付き
のフリープラン等もこちらに含まれる。
1
次のページがあります
H21 年度 五湖冬季利用
問4 今回はどのようなグループで,またあなたを含めて何名で来られましたか?
当てはまる番号すべてに○をつけて,人数をご記入下さい。
1. 個人
全員で
2. 家族
3. 友人・知人
4. その他(
)
名
問5 今回参加されたガイドツアーの参加者は何人でしたか?
ツアー参加者
名、自然ガイド
名
自然ガイド一人当たりの適正な参加者数は何人だと思いますか?当てはまる番号
1つに○をつけて下さい。
5 人以下
8人
10 人
12 人
15 人
20 人
25 人
知床エコツーリズムガイドラインに従ったツアー運営について
知床エコツーリズム推進協議会では,知床におけるエコツアーの質の向上のため,地域で
活動する自然ガイドが守るべき共通のルールや方向性などを定めた指針である「知床エコ
ツーリズムガイドライン」を策定致しました。自然ガイドがこのガイドラインを遵守する
ことにより,エコツアーの安全管理の徹底と環境負荷の軽減を図り,またエコツアー参加
者の満足度をより高めることを目指しています。
皆様には,資料として知床エコツーリズムガイドライン(一部抜粋)をお配りしていま
す。このガイドラインに目を通された上で,以下のご質問にお答えください。
問6
今回参加された自然ガイド付きツアーについてお尋ねします。以下の各項目について,そ
れぞれ当てはまる番号 1 つに○をつけてください。その上で,「ツアーの満足度」,
「知床にもう一度来たいか」,「また同じガイドに頼みたいか」を 10 点満点でお答えく
ださい。
①
自然ガイ
ドの説明
②
③
自然ガイドは,自然環境に悪影響を及ぼさない利用方法(散策時の注意事項
や野生動物との接し方など)を,あなたに詳しく説明しましたか?
1. とてもそう思う
4. 全くそう思わない
2. ややそう思う
5. わからない
3. あまりそう思わない
自然ガイドは,知床が世界的に貴重な生態系を残す地域であることを,あな
たに詳しく説明しましたか?
1. とてもそう思う
4. 全くそう思わない
2. ややそう思う
5. わからない
3. あまりそう思わない
自然ガイドは,知床の地域文化や歴史(開拓の歴史や地域の産業・文化な
ど)について,あなたに詳しく説明しましたか?
1. とてもそう思う
4. 全くそう思わない
2. ややそう思う
5. わからない
2
3. あまりそう思わない
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H21 年度 五湖冬季利用
自然環境の保全
①
自然ガイドは、ツアー参加者や一般利用者が決まったルート上を歩くように
配慮・指導していましたか?
1. とてもそう思う
4. 全くそう思わない
②
3. あまりそう思わない
遊歩道に入る前にヒグマとの遭遇を避けるために配慮する点や出没時の対処
法をレクチャーしましたか?
1. とてもそう思う
4. 全くそう思わない
安全管理
2. ややそう思う
5. わからない
2. ややそう思う
5. わからない
3. あまりそう思わない
自然ガイドは,あなたの体力や能力に配慮してツアーを提供してくれました
か?
1. とてもそう思う
4. 全くそう思わない
2. ややそう思う
5. わからない
3. あまりそう思わない
ガイド会社はツアーの広告・募集時には、参加者にとって的確かつ十分な情
報の提供を行っていましたか?
1. とてもそう思う
4. 全くそう思わない
2. ややそう思う
5. わからない
3. あまりそう思わない
事前に知らせて欲しい情報がありましたら、ご自由にお書きください。
情報提供
ガイドへの
満足度
知床にもう一
度来たいです
か?
また同じガイ
ドの方に頼み
たいですか?
10―9―8―7―6―5―4―3―2―1
(非常に満足)
(非常に不満)
10―9―8―7―6―5―4―3―2―1
(ぜひ来たい)
(来たくない)
10―9―8―7―6―5―4―3―2―1
(ぜひ頼みたい)
3
(頼まない)
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H21 年度 五湖冬季利用
問7 今回のツアーを担当したガイドに対してご意見・ご感想・改善点などがありました
らご自由にお書きください。
問8 今回のツアーを担当したガイドに限らず、知床で活動するガイドに対して望むこと
などがありましたら、ご自由にお書きください。
問9 ツアーの目的地や内容が同じで、ガイドラインに従っているツアーと従っていない
ツアーがあった場合、あなたはどちらを選びますか?
1.従っているツアー
2. どちらでもよい
3. 従っていないツアー 4.わからない
問10 前の質問(問9)で「1.従っているツアー」か「2.どちらでもよい」を選んだ方
にお聞きします。ガイド一人あたりの引率人数の制限や、保険への加入などのルー
ルを守ることにより、ツアーへの参加料金が高くなる場合があります。目的地や内
容が同じでガイドラインに従っていないツアーと従っているツアーがあり、ガイド
ラインに従っていないツアーが 3,000 円、ガイドラインに従っているツアーがこれ
より高い料金だとします。いくらまでなら参加しますか?
1. 3,000 円
2. 3,500 円
3. 4,000 円
4
4. 5,000 円
次のページがあります
H21 年度 五湖冬季利用
冬季利用に関するガイドライン策定について
知床エコツーリズム推進協議会では,冬季における知床五湖でのガイドプログラムについ
ても、ガイドラインの策定を検討しております。
問11 ガイドラインに定めた方が良いと思われる項目・ルールなどがありましたら、ご自
由にお書きください。
しれとこ 100 平方メートル運動について
問12 「しれとこ 100 平方メートル運動」を知っていましたか?
1. 知っていて寄付(参加)
したことがある
2. 知っていたが、寄付
(参加)したことはない
3. 知らなかった
問13 問い 12 で、2 もしくは 3 とお答えになった方に伺います。今回のツアーに参加
して「しれとこ 100 平方メートル運動」について関心を持ちましたか?
1. 関心を持って、参加しようと思っ
た
2.
3. 関心を持たなかった
4. どちらでもない
5
関心を持ったが、すぐに参加しよ
うとは思わなかった
次のページがあります
H21 年度 五湖冬季利用
最後にあなたご自身に関してご質問いたします
問14 あなたの性別・年齢について,当てはまる番号に 1 つずつ○をつけて下さい。
1. 男性 2. 女性
1. 10 代
5. 50 代
2. 20 代
6. 60 代
3. 30 代
7. 70 代
4. 40 代
8. 80 代
問15 あなたのご職業について,当てはまる番号 1 つに○をつけて下さい。
1. 会社員
2. 公務員 3. 自営業 4. パート
6. 年金生活 7. 学生
8. その他(
5. 主婦
)
以上で終了です。長い間ご協力ありがとうございました。よろしければ知床やエコツ
アーに関するご意見・ご感想などお書き下さい。
6
これで終わりです
資料 3-14
平成 20 年度知床五湖冬季利用
参加者アンケート集計結果
平成 21 年 1 月 31 日~3 月 31 日の期間において、ガイド引率による知床五湖園地の利用
が認められた。五湖の冬季利用が自然環境に与える影響を把握すること、および冬季五湖
ツアーの実施に関して今後の検討に役立てることを目的とし、実際のガイドツアー参加者
にアンケート調査を実施した。
(1) 環境負荷について
・ツアー参加人数について「1~3 人」が 72%、
「4~10 人」が 28%であり、少人数に
よるツアーが行われていた。
・ツアー中にガイドが、自然環境に悪影響を及ぼさない利用方法を詳しく説明したか?
との問いに対して、
「とてもそう思う」が 62%、
「ややそう思う」が 30%であった。
また、ガイドがツアー参加者や一般利用者に遊歩道を外れて歩かないよう配慮・指
導していたか?との問いに対しては、「とてもそう思う」が 66%、
「ややそう思う」
が 24%であった。
以上のことから、ツアーは概ね少人数で実施され、ガイドがツアー参加者の行動をコ
ントロールし易い状況であったことから、五湖園地の冬季ガイドツアーが自然環境へ
与える環境負荷は小さいものであると考えられる。
(2)
ガイドラインに従ったツアーの利用について
・ツアーの目的や内容が同じだとしたら、ガイドラインに従っていないツアーよりも
従っているツアーを選ぶとした参加者は全体の 82%であり、その際 1,000 円~2,000
円高い料金でも構わないとする参加者が 72%を占めた。
以上のことから、ガイドラインに従ったツアーは、多くの参加者に許容されることが
示された。
(3)
ツアーに対する満足度について
・ガイドへの満足度、知床にもう一度来たいか? また同じガイドに頼みたいか?につ
いて 10 段階(非常に満足を 10、非常に不満を 1 とした)で尋ねたところ、平均値
は各々9.1、9.9、9.2 であり、ツアー参加者の満足度は高いことが示された。
・参加者の知床への訪問回数は「2 回目以上」が 66%を占めた。また全ての参加者が
団体ツアーではなく個人の旅行で知床を訪問しており、知床での滞在日数は 2 泊以
上が 84%を占めた。参加者の多くが知床をじっくり楽しみたいと願うリピーターで
あることが示された。
以上のことから、冬季の五湖ツアーは知床のリピーターに対しても十分な満足を与え
られる価値の高いものであると考えられる。
1
問1
今回は何回目の知床訪問ですか?
問2
今回のご旅行では、知床に何日間滞
在されましたか(される予定ですか)?
2% 2%
16%
14%
34%
初めての訪問
2回目の訪問
3回目以上
46%
日帰り
1泊2日
2泊3日
3泊4日
4泊5日
5泊以上
16%
50%
20%
問3
今回のご旅行には旅行会社の団体ツアーで来られましたか?それとも個人旅行で来
られましたか?
0
0
団体ツアー
個人旅行
その他 100%
問4
今回はどのようなグループで、またあなたを含めて何名で来られましたか?
0
4.4%
16%
48%
個人
家族
友人・知人
その他
44.4%
36%
問5
自然ガイドが同行した際、参加者は何人でしたか?
0
0
28%
1~3人
4~10人
11~20人
20人以上
72%
2
51.1%
1人
2人
3人
問6
今回参加された自然ガイド付きツアーについてお尋ねします
・ツアーの目的地(複数回答可)
9.2%
12.3%
12.3%
知床五湖(二湖まで)
知床五湖(全て)
フレペの滝
その他
66.2%
・自然ガイドの説明
①
自然ガイドは自然環境に悪影響を及ぼさな
い利用方法をあなたに詳しく説明しましたか?
②
自然ガイドは知床が世界的に貴重な生態
系を残す地域であることをあなたに詳しく説
明しましたか?
8%
2%
0
10%
30%
62%
③
とてもそう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
全くそう思わない
わからない
回答なし
0
0
26%
62%
とてもそう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
全くそう思わない
わからない
回答なし
自然ガイドは知床の地域文化や歴史についてあなたに詳しく説明しましたか?
2%
4%
0
0
30%
64%
とてもそう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
全くそう思わない
わからない
回答なし
・スムーズな遊歩道利用
自然ガイドはツアー参加者が遊歩道の幅いっぱいに広がり他の利用者の通行の妨げとなる
ことがないように配慮していましたか?
3
0
16%
0
4%
12%
68%
とてもそう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
全くそう思わない
わからない
回答なし
4
・自然環境の保全
自然ガイドはツアー参加者や一般利用者が遊歩道を外れて歩かないように配慮・指導して
いましたか?
0
4%
2%
4%
24%
66%
とてもそう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
全くそう思わない
わからない
回答なし
・安全管理
①
遊歩道に入る前にヒグマとの遭遇を避け
るために配慮する点や出没時の対処法をレク
②
自然ガイドはあなたの体力や能力に配
慮してツアーを提供してくれましたか?
チャーしましたか?
4%
6%
2% 0
6%
10%
46%
とてもそう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
全くそう思わない
わからない
回答なし
32%
66%
とてもそう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
全くそう思わない
わからない
回答なし
28%
・人数
①
自然ガイド一人が一度に案内する参加者
の人数は適正でしたか?
8%
②
自然ガイド一人当たりの適正な参加者
数は何人だと思いますか?
0
0
2%
2%
4%
10%
0
5人以下
8人
10人
12人
15人
20人
25人
とてもそう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
全くそう思わない
わからない
回答なし
86%
88%
・情報提供
ガイド会社はツアーの広告・募集時には、参加者にとって的確かつ十分な情報の提供を行
っていましたか?
5
2%
0
4%
10%
とてもそう思う
ややそう思う
あまりそう思わない
全くそう思わない
わからない
回答なし
48%
36%
以下 3 つの項目については、10. 非常に満足 ~ 1. 非常に不満までの 10 段階で回答して下
さい
ガイドへの満足度
50
40
回 30
答
数 20
10
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
満足度
知床にもう一度来たいか?
50
40
回 30
答
数 20
10
0
1
2
3
4
5
6
満足度
6
7
8
9
10
また同じガイドに頼みたいか?
50
40
回 30
答
数 20
10
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
満足度
問9
ツアーの目的地や内容が同じで、ガイ 問10
ガイドラインに従っていないツア
ドラインにしたがっているツアーと従って ーが 3,000 円とします。ガイドラインに従っ
いないツアーが合った場合、あなたはどちら ているツアーがこれより高い料金だとして
を選びますか?
いくらまでなら参加しますか?
2%
0%
6%
8%
10%
8%
従っているツアー
どちらでもよい
従っていないツアー
わからない
回答なし
3,000円
3,500円
4,000円
5,000円
回答なし
36%
36%
82%
問12
12%
「しれとこ 100 平方メートル運動」 問13
を知っていましたか?
今回のツアーに参加して「しれとこ
100 平方メートル運動」について関心を持ち
ましたか?
6%
8%
18%
20%
56%
問14
知っていて寄付(参加)
したことがある
知っていたが寄付(参
加)したことはない
知らなかった
24%
回答なし
2%
あなたの性別・年齢について教えてください
7
関心を持った
関心を持たない
どちらでもない
回答なし
66%
0 2% 0
6%
2
16%
10%
38
60
男性
女性
回答なし
12%
36%
18%
問15
あなたのご職業について教えてください
2%
0 4%
6%
6%
2%
10%
58%
12%
会社員
公務員
自営業
パート
主婦
年金生活者
学生
その他
回答なし
8
10代
20代
30代
40代
50代
60代
70代
80代
回答なし
資料4-1
平成21年度 ウニプロ 決算書
収入の部
項 目
参加料
◆大人10,000円
小学生以下5,000円
家族割引20,000円◆
合 計
金 額
備 考
150,000 2009/6/20 参加者15名(大人15名)
150,000
支出の部
項 目
ウニ部会ガイド料他
町民ガイド料
金 額
備 考
90,000 参加料の60%
10,000 5,000×2名
会議費
5,000 打ち合わせ研修費
役務費
6,330 損害・賠償責任保険
昆布茶798、発送用発泡1,806、ウニ瓶16,500、ケント紙
315、トラロープ1,300
準備品
20,719
バス代
26,250 26,250円×1回借上げ
合 計
158,299
収入150,000-支出158,299=△8,299
資料 5-1
知床エコツーリズム推進実施計画
平成 19 年 3 月
知床エコツーリズム推進協議会
1
目
はじめに
次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【1】知床型エコツーリズムの理念
1
・・・・・・・・・・・・・・・・
2
【2】現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2-1 自然環境への配慮と保全
2-2 エコツアープログラム
2-3 エコツアーガイド
2-4 情報提供機能
2-5 観光収入の環境保全への還元
3
【3】実施計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3-1 知床エコツーリズムガイドラインの運用
3-2 滞在型観光の推進
3-3 統一窓口によるインフォメーション機能
3-4 地域発信型ツアーの企画・開発
3-5 ガイドのスキルアップ
3-6 知床の自然保護活動の実施
3-7 既存観光地の利用のあり方に関する検討
3-8 観光収入を環境保全に還元するシステム構築の検討
5
【4】実施体制・組織
9
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【5】エコツーリズム推進に関わる独自財源の確保
付表
参考資料
知床エコツーリズム推進実施計画
・・・・・・・・・
中期イメージ整理表
知床が目指すエコツーリズムの将来ビジョン
2
11
はじめに
知床は海域と陸域が密接に関連した豊かな複合生態系と、シマフクロウやオジロワシな
どの世界的な希少種の生息地域であることが評価され、平成 17 年 7 月に世界自然遺産に登
録された。しかし遺産登録後には観光利用者が急増し、利用の集中による交通渋滞やオー
バーユースによる遊歩道付近の植生破壊など、負の影響も現れてきている。
世界遺産登録後の観光客増に地域としてどう対応していくかは、登録に際して国際自然
保護連合(IUCN)からも指摘されているところであり、今後この豊かな自然環境を守りつ
つ、観光利用の受入れも行っていくために、知床におけるエコツーリズムの普及・定着は
急務である。
史前、豊潤な海を舞台にした漁労活動によって形成された狩猟文化から、近代の農地開
拓とその後の森林再生への取組みまで、知床は古来人々が自然への畏怖・敬意と共に生き
てきた歴史を持つ地域である。道内屈指の観光地となり、世界自然遺産となった今日でも、
先人から受け継いだこの豊かな自然を未来へと引き継ぐため、自然環境の保全と観光利用
を両立させた先進的な観光地として世界のモデルとならなければならない。
知床は平成 16 年度からの 3 ヵ年、環境省によるエコツーリズム推進モデル地区に選定さ
れ、滞在型観光の推進、漁業など地域の産業を取り入れたプログラムの開発・試行、エコ
ツーリズムを担う自然ガイドが守るべき共通のルールの検討など、様々な取組みを行って
きた。
しかし 3 ヵ年のモデル事業は、地域がエコツーリズムの必要性を実感し、ルール作りや
新たな企画に取り組むことで、エコツーリズム推進への第一歩を踏み出したに過ぎない。
今後も引き続き知床でエコツーリズムの普及を進めていくため、モデル事業の成果を引き
継ぎ、さらに地域が一丸となって事業を進める必要がある。
この推進実施計画は、知床で今後取り組むべきエコツーリズムの推進のための施策につ
いて、具体的な目標とビジョンを明確にし、そこに至るまでの道筋を示したものである。
1
【1】知床型エコツーリズムの理念
豊かで多様な自然環境と、その自然によって育まれた地域の産業・文化を活かした「知
床型エコツーリズム」を地域住民、来訪者、事業者が共に築き上げていくことができるよ
う、エコツーリズム推進のための基礎となる施策の実施、仕組みの整備等を以下の理念に
従って進めていくものとする。
「知床型エコツーリズム」の理念のイメージ
地域とのふれあい
自然とのふれあい
自然との共生
「自然環境」・「観光」・「地域」が繋がりをもって「しれと
こ」の価値を高め、誇りあるふるさとを創造していく。こ
の取り組みが
「知床型エコツーリズム」
1.自然とのふれあい(自然環境-観光)
来訪者が豊かな知床の自然環境にふれあい、感動することによって、自然保護の精神が
育まれ、自然環境に配慮した利用につながる。
2.地域とのふれあい(地域-観光)
来訪者と地域住民とが交流する機会を提供することにより、来訪者は知床の産業や歴
史・文化を学ぶことができ、それが正しく評価されることによって、地域住民が誇りと自
信を持つことにつながる。
3.自然との共生(自然環境-地域)
漁業・農業など自然の恵みを享受する産業に従事する地域住民が、知床の豊かな自然環
境の価値を理解するようになり、また、外部からの正しい評価によって、その保全への行
動につながる。
これら「自然環境」、「観光」、「地域」がエコツーリズムを通して深い関わりを持つ
ことで、地域の自然環境や歴史・文化を尊重し、経済的にも自立した社会が知床において
確立する。それは経済と環境の好循環を生み出し、知床の価値を高めていく。
2
【2】現状と課題
2-1
自然環境への配慮と保全
世界自然遺産登録後、知床五湖などの利用が集中する一部観光地ではオーバーユースに
よる植生破壊などが顕著となり、観光利用と環境保全を両立させる実効的な解決策の導入
が急がれている。
知床五湖では平成 18 年度より展望台までの新たな高架式木道が供用開始となり、ヒグマ
出没時の安全対策と植生の保護が可能となった。今後は、このようなハード整備による対
策、そして利用者に対してルール・マナーを普及・啓発するなどのソフト面からの対策を
同時に進めていくことにより、観光利用が自然環境に与えるインパクトをできる限り抑え
ていく必要がある。
また、現在一部観光地に集中している利用を分散させる取り組みも必要である。国立公
園外、知床半島基部、道東地域など、周辺地域の魅力を提案していくことで、より広域的
に滞在型観光を推進していく必要がある。
2-2
ガイドツアープログラム
知床では、専門の自然ガイドが有料で利用者を案内するガイド付きツアーが導入されて
十年以上が経過し、近年では知床の楽しみ方としてこのような「ガイド付きツアー」の存
在が確立したと言ってよい。平成 17 年の世界遺産登録後はさらにその需要が増え、現在で
は十数社のガイド事業所が海から山まで知床の様々な環境をフィールドに多くのプログラ
ムを展開するまでに至った。
それでも、知床五湖やフレペの滝などの遊歩道の全利用者に対する自然ガイド付きツア
ーの割合は現在 1 割程度に過ぎない。
自然ガイドはツアー参加者に対して自然との接し方のルールやマナーを直接伝えること
が可能であり、安全管理も徹底できる。また、自然についての詳しい解説により、利用者
の満足度を高めることができ、このようなガイド付きツアーが知床の環境保全と観光振興
に果たす役割は大きい。
しかし、ガイド付きツアーの多くは利用の集中するエリアで実施されているため、一般
利用者と比較して周回ペースの遅いこれらのツアーが増えるに従って、遊歩道の渋滞が助
長されるなど新たな問題も生じてきている。
エコツーリズム推進モデル事業では知床における新たな観光資源として、漁業や農業な
ど地域の産業を取り入れたプログラムの企画・開発を行い、羅臼でのスケソウダラ漁見学
プログラムなど、今後の知床におけるエコツアーとしての可能性を見出すことができた。
2-3
エコツアーガイド
世界遺産登録後エコツアーの需要が急増した結果、自然ガイドの需要も増加し、現在知
床では 50 名以上のガイドが活動していると考えられるが、これらのガイドの質の維持・向
上が課題となっている。知床エコツーリズム協議会では、自然環境への配慮や安全管理の
徹底など、エコツアーガイドが守るべき最低限のルールとして「知床エコツーリズムガイ
ドライン」を策定した。今後はこのガイドラインを地域共通のルールとして、地域全体で
バックアップしていく体制やシステム作りが必要である。
3
また、3 ヵ年のモデル事業中にはガイドのスキルアップのための技術講習会を定期的に
開催し、さらに知床ガイド協議会による自主的な研修会も実施されている。今後もこのよ
うな取り組みを継続していくことが必要である。
2-4
情報提供機能
地域のインフォメーション・ツアーオペレーション機能が分散しているため、情報提供
の効率が悪く利用者にとっての便宜が図られていない。また、地域の内外に向けて知床の
価値を高めるための統一的かつ効果的な情報発信を行うこともできておらず、ルール・マ
ナーの普及や地域のブランド力向上のための戦略的な情報提供を担う機能の構築が必要で
ある。
2-5
観光収入の環境保全への還元
エコツーリズムが地域で持続可能であるためには、観光資源である自然環境の価値を
損なわないよう、ガイド・宿泊施設などが観光収入を環境保全にかかる費用に還元する
システムの存在が不可欠であるが、知床では未だ未整備である。
また、利用者のマナー・意識の向上を図るためにも、利用者が遊歩道などを利用する
際に直接利用料、環境保護協力金などを支払うような制度の導入についても検討するべ
きである。
4
【3】実施計画
3-1
知床エコツーリズムガイドラインの運用
平成 18 年度に策定したエコツアーガイドが守るべき地域共通のルールである「知床エコ
ツーリズムガイドライン」を適正に機能させるためのシステム、地域のバックアップ体制
の構築を行う。また、知床国立公園利用適正化検討会議による利用ルールの策定や、実際
の利用状況の変化などにあわせて、適宜ガイドラインの改訂を行う。
強制力のないガイドラインに実効性を持たせるためには、地域で共有されたルールであ
るという認識を高め、また地域外に向けても広くアピールし、少なくとも安全管理と環境
負荷の軽減については、観光地としての知床の「価値」を維持するためにも、「知床でガ
イド活動を行う際にはガイドラインを守らなければならない」という意識の共有が必要で
ある。
その上で、自然ガイド付きでない団体ツアーや個人客に対しても本ガイドラインを普及
していくことで、知床全体の利用マナーの改善を進め、環境保全を推進する。
将来的には、ガイドラインを発展させた認証基準によるガイド認証制度の構築について
も検討を行う。
1. ガイドライン遵守の表記による差別化
ガイドラインを遵守しているガイド事業所には、ホームページやパンフレット
などで「知床エコツーリズム推進協議会推奨エコツアー」と表記することを認め、
「知床エコツーリズムガイドラインを遵守している」旨の標記を行うことで、差
別化を図る。
2. 優先的な紹介
観光協会などは、観光客からの問い合わせの際に、ガイドラインを遵守してい
るガイド事業所を優先的に紹介する。
3. エージェント各社への周知
エージェント各社に対してガイドラインの存在をアピールし、知床で実施され
る「エコツアー」共通のルールであることを周知する。団体ツアーの行程の一部
に知床でのガイドプログラムを含める場合は、ガイドラインを遵守する(遵守し
ているガイド事業者を選ぶ)よう協力を呼びかける。
4. 利用者アンケートによるチェック
定期的にツアー参加者に対してアンケートをとり、アンケート結果を公表して
チェック機能を持たせる。
5. ガイドラインの改訂
利用状況の変化、利用適正化検討会議での利用ルールの策定などを考慮して、
適宜ガイドラインの改訂を行う。また、保留となっているアクティビティ別ガイ
ドラインについて、必要性を吟味しつつ検討を行う。
5
3-2
滞在型観光の推進
現在主流の 1 泊通過型観光から、知床に 2 泊 3 泊するような滞在型観光へと転換し、地
域への経済効果を高めながら利用の分散と自然環境の保全を図る。
現在知床国立公園の来訪者数は年間 230 万人に及ぶが、その 9 割は知床に 1 泊しかしな
い通過型利用である。宿泊施設のキャパシティには限りがあり、またすでに一部地域でオ
ーバーユースが顕著な現状を打開するには、連泊者の割合を増やし、その分来訪者数を減
らす思い切った転換が必要である。滞在型観光が定着すれば、利用の分散によって自然環
境へのインパクトは減り、また滞在中の消費活動によって地域への経済効果は高まる。
連泊者を増やし、滞在型観光を推進するためには、利用者が知床滞在中に選択できるア
クティビティや観光施設の幅を広げ、質を向上し、新たな魅力を提案する必要がある。新
たな観光資源の発掘や地域との連携を進めると共に、利用者が滞在したいと感じるような
街づくりも含めて観光地としてのトータルデザインを行い、受け入れ態勢を整える。
1.連泊者への優遇措置、サービスの向上
宿泊施設や飲食店での連泊者への割引制度、地域内での湯めぐりパスなど、滞在
者へのサービスを充実させ、連泊者の満足度を向上させる取り組みを行う。
2. 新たなプログラム、スポットの提案
1日かけて実施する長時間で魅力的なツアープログラムの拡充や、宿泊施設での
語り部・レクチャー的なプログラムなど、夜間のプログラムのラインナップを増や
すことで、滞在者の選択肢を広げる。
また、既存の観光地でない魅力あるスポットを発掘、提案していくことで利用の
分散を誘導する。
3.市街地内の散策を促す仕掛けづくり
歩道の整備、統一感のある街づくり、市街地近辺の魅力的なスポットの情報提供
などを通して、利用者による市街地内の散策を促す仕組みづくりを検討する。
4.ツアーデスクなど、現地での情報提供機能の充実
ホテルロビーなどにエコツアーデスクを設置し、滞在者がその場で翌日のプログ
ラム等に申し込めるような受け入れ態勢を整備する。エコツアーデスクには自然ガ
イドが常駐し、エコツアーの予約受付のほか、知床の自然についての情報提供や利
用者へのルール・マナーの普及活動を行い、環境保全を推進する。
5.周辺地域との連携による広域的な滞在型観光の推進
知床周辺地域との連携を図り、知床と周辺の観光地間における利用者の対流・循
環を促進する。観光地間の情報共有や利用者への情報提供システムの整備を進め、
道東圏が一体となった利用者の受け入れ態勢を整備する。
3-3
統一窓口によるインフォメーション機能の構築
知床におけるエコツアーの広報、受付など、一元的な情報提供機能の構築を行い、観光
協会が運用する。知床エコツーリズムホームページのポータル化、ツアーデスクの設置な
どを行い、利用者の便宜を図ると共に、ガイドラインなどをより効果的に機能させ、ルー
ル・マナーの普及や環境保全につながるような情報提供を行う。
6
また、知床全体のマーケティング機能も担うことで顧客のニーズ分析を行い、満足度の
向上とリピーターの獲得につなげる。知床全体の満足度調査アンケートを行い、結果を公
表、フィードバックし、各事業所をエコツーリズム推進へと誘導する。マーケティングに
関しては学識経験者等とも連携し、社会のニーズや情勢などもふまえて知床にふさわしい
戦略的な集客を行っていく。
3-4
地域発信型ツアーの企画・開発
地域から提案・発信する独自のプログラムを拡充させ、地域の魅力を直接利用者へ伝え
る。豊かな自然の中で営まれる漁業・農業の体験プログラムなど、地域の産業を観光資源
として見直し、世界遺産を擁する知床の文化・歴史を学ぶ機会を提供する。
1.地域の魅力のプログラム化
利用の分散や滞在型観光を推進していくために、地域の魅力を新たな観光資源
として見直し、漁業や農業、開拓の歴史、森林再生への取り組みなどを取り入れ
たプログラムを企画・開発する。
2.推進協議会認定ツアーの企画・実施
上記で企画したプログラム等を知床エコツーリズム推進協議会認定エコツアー
としてパッケージプランを作成し、エコツーリズムガイドラインの遵守などを条
件として推進協議会が推奨したガイドがツアーを実施する。観光協会をはじめ各
機関が優先的に斡旋、広報、プロモーションを行い、ツアー料金の一部にエコツ
ーリズム推進事業費を上乗せして経費を捻出する。
3-5
自然ガイドのスキルアップ
自然ガイドの安全管理技術、救命救護法、自然に対する知識などの向上を図るため、知
床ガイド協議会が主体となって定期的に講習会・研修会を実施する。
また、ガイド事業の下地が整っていない羅臼においては、漁業など地域の産業との連携
も視野に、地域を主体にしたガイドの育成方法・システムの検討を行う。
3-6
知床の自然保護活動の実施
知床エコツーリズム推進協議会として、観光資源である知床の自然環境を保全するため
の独自事業を実施、もしくは他機関が実施する環境保全事業への支援を行う。エコツアー
がフィールドとして利用する海域、陸域の生態系の保全を目的とした、野生動植物・海洋
資源の調査・保護管理、外来種の駆除、環境整備など、内容については今後検討する。
また、各観光地における適切な環境収容力(キャリングキャパシティ)を推定するため
の利用状況調査や植生への影響に関する調査を実施し、オーバーユースによる自然破壊を
防ぐための適正な利用に関する検討に反映させる。
これらの調査・モニタリングに関しては、知床世界自然遺産地域科学委員会と綿密な連
携をとりながら実施することとする。
7
3-7
既存観光地の利用のあり方に関する検討
知床の観光地の中でも特に利用が集中することによるオーバーユースと、ヒグマと観光
客との軋轢が問題となっている知床五湖、及び、近年の利用者の増加によって高山帯の植
生破壊が問題となっている羅臼湖等について、自然への負荷の軽減と利用者の満足度を満
たす、世界自然遺産・知床にふさわしい利用のあり方についての検討を行う。また、それ
らを踏まえて以下の項目等について地域の自主ルールの策定、適用の可能性についてもあ
わせて検討する。
・遊歩道・歩道の利用方法
・自然ガイド付きツアーと自然ガイドが付かないツアーの差別化
・アクセス方法(現地までの交通手段・シャトルバスの利用など)
・利用者の装備
なお、本事業は環境省の知床国立公園利用適正化検討会議と綿密な連携をとりながら実
施することとする。
3-8
観光収入を環境保全に還元するシステム構築の検討
知床国立公園利用適正化検討会議などとも連携し、観光利用によって発生する環境保全
のための負担を利用者に対して求めていく受益者負担システムの構築について検討を行う。
8
【4】実施体制・組織
平成 16 年度から開始された「知床エコツーリズム推進モデル事業」においては、斜里
町・羅臼町内のエコツーリズムに関連する幅広い業種からなる「知床エコツーリズム推進
協議会」を発足させ、業務全体の調整・検討を行ってきた。
モデル事業終了後の平成 19 年度以降は、引き続き本協議会を存続させ、年 1 回程度の
総会を開催して、地域からの意見を汲み上げながら業務全体の調整、方向性の確認を行う
こととする。
個別の検討課題については、以下のコアメンバーが中心となり、関連するワーキングメ
ンバーの助言・協力を得ながら随時検討会を開催して意思決定を行う。
知床エコツーリズム推進協議会
ワーキングメンバー
斜里町商工会
羅臼町商工会
斜里第一漁業協同組合
ウトロ漁業協同組合
羅臼漁業協同組合
羅臼遊漁船組合
斜里町農業協同組合
羅臼町酪農振興協議会
斜里バス株式会社
阿寒バス株式会社
斜里ハイヤー株式会社
羅臼ハイヤー株式会社
道東観光開発株式会社
斜里山岳会
羅臼山岳会
知床自然保護協会
羅臼町・知床世界自然遺産協議会
(社)北海道ウタリ協会斜里支部
(社)北海道ウタリ協会羅臼支部
コアメンバー(意思決定)
知床斜里町観光協会
知床羅臼町観光協会
知床温泉旅館協同組合
羅臼町旅館組合
知床民宿協会
知床ガイド協議会
(財)知床財団
助言・協力
事務局
知床斜里町観光協会
知床羅臼町観光協会
(財)知床財団
支援
関係行政機関
斜里町・羅臼町・北海道・環境省・林野庁
9
<中心的に事業を担う機関の役割>
今後、知床エコツーリズム推進協議会の独自財源の確保を進めて、事務局人件費を捻出
し、モデル事業中に知床財団が担っていた推進協議会の事務局機能を観光協会へと移行す
ることを目指す。同時に両町観光協会の人的体制を整え、事務局機能を強化する。
中心的にエコツーリズム推進事業を担う以下の4機関については、3年後を目処に以下
のように役割を整理する。各機関が連携してガイドラインの策定・運用、エコツーリズム
に関する広報、利用のあり方に関する検討等を行い、利用と保護のバランスが取れたエコ
ツーリズム推進のための事業を実施する。
■知床斜里町観光協会・知床羅臼町観光協会
知床エコツーリズム推進協議会の事務局として、エコツーリズムに関する地域全体のイ
ンフォメーション、マーケティングをはじめ、各事業の調整を担当する。情報提供から斡
旋、クレーム受付までを一手に担うことで、各事業所をエコツーリズム推進へと誘導する。
■知床ガイド協議会
エコツアーを中心的に担う自然ガイドのクオリティ管理を担当する。ガイド利用に関す
る自主ルールの検討、運用を行う他、定期的にガイド向けの研修会・講習会を実施し、安
全管理技術、自然に対する知識などの向上を図る。
■(財)知床財団
自然保護の観点から適正な観光利用に関するルールの策定を行うためのチェック機能を
担当する。利用状況、環境負荷に関するモニタリングを行い、ガイドライン・ルールの改
訂へフィードバックを行う。
10
【5】エコツーリズム推進に関わる独自財源の確保
5 年後(平成 23 年)には、観光収入からの還元や利用者からの受益者負担システムを確
立し、エコツーリズム推進事業費を独自財源で確保できるよう準備を進める。それまでの
移行期間は行政からの予算・補助金なども活用しつつ、以下のような方法によって事業予
算を確保し、各事業を行うこととする。
<独自財源について>
1.平成 19 年度以降、知床斜里町観光協会が運用を予定している環境保全基金(※)の一
部をエコツーリズム推進事業費に充てる。
2.知床エコツーリズム推進協議会で企画したエコツアープログラムを両町観光協会で認
定、プロモーション、販売する制度を構築し、プログラム代金の一部にエコツーリズ
ム推進事業費を上乗せする形で経費を捻出する。
3.知床の環境保全に貢献できるようなオリジナル商品の企画・開発を行い、価格の一部
にエコツーリズム推進事業費を上乗せする形で経費を捻出する。
4.その他、5 年後の自立を目指して独自財源確保の方法について引き続き検討を行う。
(※)知床斜里町観光協会が平成 19 年度からの運用を予定している基金。観光協会加
盟団体が毎年の売り上げの一部を拠出する形で創設し、知床の環境保全活動のために
運用する。
11
(付表)
知床エコツーリズム推進実施計画
中期イメージ整理表
目的・将来目標
知床エコツーリズムガイドラ
インの運用
滞在型観光の推進
統一窓口によるインフォメー
ション機能の構築
地域発信型ツアー
の企画・開発
平成 19 年度
3 年後(平成 21 年度)
・ガイドの質の維持・向上
・ツアーの安全管理の向上
・知床エコツアーのブランド化
・適正な利用への誘導
・優先的な紹介など地域のバック
アップ体制の構築
・旅行会社等への周知
・ペンディングになっていたアクテ
ィビティ別ガイドラインの検討
・ガイドラインの改訂
・利用適正化検討会議における利
用のルールと一体化した運用
・ガイドラインを発展させた認証基
準によるガイド認証制度の検討
・ガイド認証制度運用スタート
・地域への経済効果の向上
・利用の集中を分散
・自然環境の保全
・連泊者の拡大に向けて、地域で
の取り組みを検討
・新たな魅力スポットの提案によ
る利用の分散への誘導
・ツアーデスクの設置などにより、
連泊者への情報提供の充実
・プログラムの多角化
・滞在型の観光地としての受け入
れ態勢が整備され、連泊者の割
合が向上
・窓口の一本化による利用者の利
便性向上
・ガイドライン・認証制度とリンクさ
せ、質の高いプログラムは料金が高
くても売れるシステムの構築
・観光協会・ガイド協議会により、
知床エコツアーの広報、受付な
ど、一元的な情報提供機能の構
築を検討
・推進協議会 HP に情報を集約
・推進協議会 HP をポータル化し、
集客と情報提供を一元化
・観光案内所・道の駅・ホテルなど
にエコツアーデスク設置→ガイド協
議会が運用
・知床全体の満足度調査アンケー
ト→結果の公開、フィードバック
・エコツアーデスクの受付スタッフ
人件費を確保 →安定運用
・顧客ターゲットを絞ったマーケテ
ィング展開
・新たな観光資源を取り入れ、知床
を広域的に利用→利用の集中を分
散
・旅行会社ではなく地元提案の旅
・地域が一体となった受け入れ体制
の構築
・地域の文化・産業の発信・理解
・モデル事業の成果をふまえて、
農漁業者、ガイド事業者などによ
って新たなプログラムの企画・実
施
・推進協議会推奨エコツアーとし
て実施し、観光協会によるプロモ
ーション
・滞在型観光スタイルの推進ととも
に、個人観光客へのアピールを強
化。
・漁業・農業プログラムなどの知名
度向上。
・エージェントへの依存体質からの
脱却。
・漁業・農業プログラムなどが知床
での定番エコツアーとなる。
・自然ガイドの安全管理技術、自然
に対する知識などの向上
・ガイド技術講習会の実施
・ガイド技術講習会の実施
・地域産業を伝えるガイド育成の
検討
・ガイド技術講習会の実施
・地域産業を伝えるガイド育成
自然ガイドのスキルアップ
1
5 年後(平成 23 年度)
5 年後の主
体
観光協会
+
ガイド
協議会
+
知床財団
観光協会
観光協会
+
ガイド
協議会
観光協会
ガイド協議
会
知床の自然保護活動の実
施
既存観光地の利用のあり方
に関する検討
平成 19 年度
観光資源としての知床の自然環境
の保全による持続的なエコツーリズ
ムの展開
・利用状況、環境負荷に関するモ
ニタリング
自然への負荷の軽減と利用者の満
足度を満たす知床にふさわしい利
用形態の構築
・利用状況、環境負荷に関するモ
ニタリング
・利用者アンケートの実施
・検討会の開催
・自主ルール運用
・利用適正化検討会議による利用
のルールと一体化した運用
・利用状況やモニタリング結果等
をフィードバックし、ルールの再検
討
観光協会
+
ガイド協議
会
+
知床財団
・観光利用と環境保全の両立
・持続的な観光地経営
・観光収入による基金の運用
・利用者からの協力金等の導入
について他地域の事例研究
・観光収入による基金の運用
・利用者からの協力金等の導入に
ついて検討
・観光収入による基金の運用
・利用者からの協力金等の導入・
運用
・地域で自立した実施体制の組織化
・観光協会、ガイド協議会、知床財
団が役割分担をしながら利用と保護
を両立
・観光協会の事務局体制強化
・モデル事業中に知床財団が担っ
ていた事務局機能を段階的に観
光協会へ移行
・観光協会による事務局体制確立
・4者の役割整理確立
観光協会
+
ガイド協議
会
+
知床財団
観光協会
+
ガイド協議
会
+
知床財団
観光収入を環境保全に還元
するシステム構築の検討
実施体制・組織の整備
エコツーリズム推進に関わ
る独自財源の確保
・観光利用と環境保全の両立
・エコツーリズム推進事業費の担保
・アピールによって知床ブランド力の
向上
3 年後(平成 21 年度)
・利用状況、環境負荷に関するモ
ニタリング
5 年後(平成 23 年度)
5 年後の主
体
目的・将来目標
・利用状況、環境負荷に関するモ
ニタリング
知床財団
・推進協議会推奨プログラム収入
の積み立てなどのシステムの検
討・構築
2
・事務局人件費の確保
・エコツーリズム推進協議会として
独自財源の確保 → 自立
観光協会
+
ガイド
協議会
知床が目指すエコツーリズムの
将来ビジョン
自然環境の保全、利用者の高い満足度、地域への経済効果が相
乗効果を呼び、質の高い観光地として持続的な経営が可能となる。
⇒ 「世界に誇る豊かな自然とコントロールされた利用」の実現
観光地としての知床の現在の課題
• 世界遺産登録後顕著になった特定の観光地への利用の集中による諸問題
遊歩道の混雑、駐車場の渋滞、踏み付けによる植生破壊
実施体制・財源
• 両町観光協会を中心に統一的な窓口を整備し、戦略的な情報提供、マー
ケティングを行う。
• 自然ガイドの急激な需要増加に伴うガイドの質の維持・管理
• 知床ガイド協議会はガイド利用に関するルールの運用などを通してガイド
のクオリティ管理を行う。
• 地域のインフォメーション・ツアーオペレーションが統一されていないため情報提
供の効率が悪く利用者にとっての便宜が図られていない
• 知床財団は利用状況、環境負荷に関するモニタリングなどを通して保全
の立場からのチェック機関としての役割を担う。
• 通過型マスツーリズムの受入れが主体であることによる不安定な集客、少ない
地域への経済効果
• 環境保全のための受益者負担システムの欠如
• これらの機関が連携をとりながら利用と保護のバランスがとれたエコツー
リズム推進のための事業を実施する。
• 観光収入からの還元や利用者からの受益者負担システムを確立し、エコ
ツーリズム推進のための独自財源を確保する。
半島中央部地区の既存観光地
(知床五湖・羅臼湖など)
• エコツーリズムガイドラインや利用適正
化検討によって策定された利用のルール
、システムに基づき、自然環境への影響
を極力抑えつつ、それぞれのニーズにあ
わせて利用者が知床の自然を楽しむこと
ができる場を提供する。
• シャトルバスシステムなど利用者の満足
度と環境保全を両立させる交通システム
の導入。
実施すべき施策
• ルール、ガイドラインの運用によるコントロールされた利用システムの構築とガ
イドプログラムの質の向上
• インフォメーション窓口の統一による利用者の便宜の向上と戦略的な情報提供
• 滞在型観光への転換と利用の分散
半島先端部地区
• 利用適正化検討によって策定されたルール・シス
テムに基づき、原生のままに残る知床の自然の中
でしか体験できない高付加価値なエコツアーを展
開する。
新たな魅力の提案、地域の産業との連携
• 自然環境を損なうことないよう、利用による環境負荷をモニタリング
するシステムの確立
• 公園管理、環境保全に関する受益者負担システムの構築
• これらの施策を自立的に実行できる実施体制の整備
ガイドツアー
• 「エコツーリズムガイドライン」など適正なルー
ルに基づき、環境への配慮と安全管理が徹底
された質の高いエコツアーが展開される。
地域の産業との連携
• 豊かな自然の中で営まれる漁業や農業を活かした体
験プログラムなどがエコツアーとして定着し、自然
だけではなく知床の産業・文化・歴史も観光資源と
して活用される。
• 観光産業だけではなく、地域全体が利用者の受け皿
となることで、地域が活性化する。
• 利用者はこれらのエコツアーに参加することで、
知床の自然と文化を学び、体感し、知床でしか
味わえない感動体験を得ることができる。
観光収入の環境保全への還元
• 利用者から利用料を徴収するシステム、または
観光業者が収入の一部を拠出するシステムによ
り、環境保全のための原資とエコツーリズム推進
のための事業費が確保され、経済的にも環境保
全的にも持続的な循環が成立している。
利用の分散
• 国立公園外、半島基部、道東圏へ広域的に
展開し、利用の分散が図られる。
滞在型観光の定着
• 知床に2泊3泊する利用者が増え、じっくりと知床の魅力を楽し
む観光スタイルが定着する。
• 観光地としての質が高まり、客単価が上がることで地域への経
済効果が高まる。
• 全体の入り込み数減少と利用の分散によって自然への負荷が
減る。
※このビジョンは、観光地としての知床が目指すべき理想の姿を「エコツーリズム」の視点から整理したものです。(平成19年3月 知床エコツーリズム推進協議会ガイドラインワーキング作成)
知床エコツーリズム推進実施計画・今後の方針について(H22.2月)
知床エコツーリズム推進実施計画
(H18年度作成)
1.ガイドラインの運用
2.滞在型観光の推進
3.統一窓口機能の構築
4.地域発信型ツアー
推進協議会事業として今後重点的に取り組む項目
適正なルールの下での質の高いガイドツアーを知床エコツアー
の代表と捉え、ガイドの育成、認証制やガイドライン運用で質の
向上、地域ブランドとして発信していくことに重点的に取り組む。
a.ガイドラインの運用
b.自然ガイドのスキルアップ
7.既存観光地の検討
8.観光収入を環境保全に還元
するシステム構築の検討
9.実施体制・組織の整備
10.独自財源の確保
五湖冬季利用
ガイド講習
c.地域発信型ツアー
ガイドウィーク開催
5.自然ガイドのスキルアップ
6.自然保護活動の実施
H22年度以降の
具体的な事業
エコツーリズム推進のために、継続して取り組む項目
環境保全への貢献などエコツーリズムとして必須の取り組み、組
織の運営など継続的に取り組むべき項目については、状況に応
じて目標を調整しつつ、可能な範囲で進める。
d.自然保護活動の実施
e.観光収入を環境保全に還元
するシステム構築の検討
知床ファンクラブ
検討
f.実施体制・組織の整備
g.独自財源の確保
H19~H21年度の実施状況、
外部要因(知床五湖利用コン
トロール導入検討、観光圏)等
に対応し、
今後の計画を加重配分
今後は他の事業と連携、あるいは他の事業において進める項目
観光振興に関する別事業において重複して取り組んできた項目
については、主な取り組みの場を推進協議会事業以外の場に移
し、連携を取りながら進める。
インフォメーションス
タッフ交流会など
(観光圏事業)
h.既存観光地の検討
j.統一窓口機能の構築
資料6-1
i.滞在型観光の推進
リサイクル適正の表示:紙へリサイクル可
本冊子は、グリーン購入法に基づく基本方針における「印刷」に係る判断の基準にした
がい、印刷用の紙へのリサイクルに適した材料[Aランク]のみを用いて作製しています。
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