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メディア流通システム

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メディア流通システム
放送と通信
固定・携帯連携TV視聴を実現するメディア流通システム
ユビキタス
メディアミックス
メディア流通システム
NTTサイバーソリューション研究所では,放送と通信および固定と移動体
の異なるメディアと環境の連携により,コンテンツ流通およびポータル事業
サービスを高度化するメディア流通システムを開発しています.本稿ではメ
かわぞえ
は や ま
さとし
ディア流通システムの機能と主要技術の果たす役割を説明します.本システ
川添 雄彦 /端山
聡
かつひこ
ムは各メディアの特性を生かした連携によって,従来,それぞれ単独で展開
NTTサイバーソリューション研究所
していた市場を拡大へ導くビジネスシナリオを提供します.
異種メディア間連携の課題
今日,通信事業において放送事業
との連携が大きな課題となっています.
て連携するかがコンテンツ流通サービ
信と固定−移動を2軸とすると,固定
スの大きな課題となります.
放送,移動体放送,移動体通信,固
定通信の4種のサービスが位置づけら
メディア流通システム
れ,連携の組み合わせは次の6種類と
番組コンテンツに責任を持つ放送事業
これまでNT Tサイバーソリューショ
は,コンテンツの希少価値でメディア
ン研究所で取り組んできた放送通信連
なります.
① 固定放送−固定通信
(1)
の価値を高め,収入を上げるというビ
携システム では,放送と通信の2つ
② 固定放送−移動体放送
ジネスモデルです.一方,コンテンツ
のサービスがプラットフォーム上で共存
③ 移動体放送−移動体通信
の配信に対して,責任を持つ通信事業
することを目指し,研究開発を進めて
④ 移動体通信−固定通信
は,ネットワークの利用価値を高める
きました.今回,紹介するメディア流
⑤ 固定放送−移動体通信
ことで収益を上げるというビジネスモ
通システムでは,さらに利用する環境
⑥ 移動体放送−固定通信
デルです.したがって,インターネット
を家庭内から屋外・ユビキタス環境に
6種の連携により,メディアを横断
が放送番組の視聴者にとって便利で自
広げた場合の連携も考慮します.
したコンテンツ流通サービスが実現さ
由なメディアであっても番組コンテン
■サービス間連携
れます.例えば,①の固定放送と固定
ツの価値が下がり,これらのビジネス
コンテンツ流通にかかわる4種類の
通信が連携することにより,家庭で視
モデルが崩れるリスクがある場合,こ
サービスを図1に示します.放送−通
聴者が見たい番組をいつでも見ること
れを超えるメリットが見い出されない
限り,放送と通信の異種メディア間の
連携は進みません.
一方,音楽ダウンロードサービスな
放送
携帯端末
1セグ放送
デジタルラジオ
ネスに精力的に乗り出すのは,TV視
CS・BSデジタル
地上波デジタル
②
移動
③
⑥
⑤
①
聴と携帯電話の利用が棲み分けできる
との思惑から今のビジネスモデルを変
えずに新たな収益を上げる可能性が高
いと判断した結果です.
このように,放送サービスと通信
サービス(IT),固定環境と移動環境
のそれぞれ異なるメディア間でいかにし
8
NTT技術ジャーナル 2005.6
②:放送視聴エリアの拡大
・視聴の継続(屋内→屋外)
・視聴の継続(屋外→屋内)
固定放送
移動体放送
ど放送事業者が携帯電話を用いたビジ
①:サーバ型放送サービス
・見逃し番組視聴
・オンラインショッピング
・インターネットEPG
・番組検索
・TVポータル
TV・HDレコーダ
移動体通信
固定通信
3G WiFi
HSDPA,WiMAX
FTTH
ADSL FWA
④
携帯電話・PDA
PC・STB
通信
固定
③④⑤:モバイルサーバ型放送
・ダイジェスト視聴
・TVリモコンiアプリ
・TV連動iアプリ
・個人向けリコメンデーション
・音楽ダウンロード
⑥:インターネットラジオ
・エリア拡大
・音楽ダウンロード
HSDPA:High Speed Downlink Packet Access
WiMAX:Worldwide Interoperability for Microwave Access
FWA:Fixed Wireless Access
EPG:Electronic Program Guide
1セグ放送:地上デジタル放送の電波を利用した
携帯端末向けの簡易動画放送.
図1 メディア間インタフェース
特
集
もにメタデータも伝送する,および端
コンテンツ生成管理
コンテンツ配信管理
衛星・地上波デジタル
末での処理の軽減が必要となります.
放送番組のセグメント単位の情報を含
放送番組
番組供給会社
番組コンテンツ
番組配信制御
んだメタデータは数メガ規模になるた
データ
ベース
め,軽量な処理が可能な圧縮伸張技
術が必要となります.またスポーツ番
配信制御情報 最適化配信機能
組の実況中継をリアルタイムで視聴す
光
ファイバ
コンテンツ権利保護
インターネット
広告コンテンツ
権利情報
るためには,それにかかわるメタデータ
RF配信
IPマルチキャスト
IPユニキャスト
データ
ベース
世帯対応
サービス
メディア横断機能
情報
認識
をリアルタイムで生成し伝送する必要
TV連動
機能
個人対応
サービス
本特集では放送通信連携にかかわ
番組情報管理
メタデータ生成管理 番組情報
データ
ベース
地上波(1セグ)
番組情報
交換機能
視聴制御機能
広告情報管理
データ
ベース
ターゲティング機能
リアルタイムメタデータ生成技術
ダイナミック広告配信技術
る基盤技術に加え,新たなサービス要
件を満たす代表的な3つのメディア流
通システムの基盤技術として,『ダイ
ナミック広告配信技術』『ライブ番組
3G・WiFi
自動生成機能
広告情報
があります.
向けダイジェスト視聴サービスのため
モバイル端末向け
コンテンツ視聴制御技術
RF:Radio Frequency
コンテンツの流れ
メタデータの流れ
のリアルタイムメタデータ生成技術』
『メタデータを利用したモバイル端末向
けコンテンツ視聴制御技術』を紹介し
ます.
図2 メディア流通システム
■参考文献
ができるサーバ型放送サービス(2) が実
データは次の4つです.
現されます.また②の固定放送と移動
① 配信制御情報
(配信形式,
日時)
体放送が連携し,番組を屋内外どこ
② 権利情報(コンテンツ利用条件)
でも見ることができる番組の連続視聴
③ 番組情報(ジャンル,詳細情報)
サービスが実現されます.
④ 広告情報(販売促進情報)
前述の6種の連携インタフェースに
これらのメタデータは標準的であり,
おいて,コンテンツ,サービス,権利
かつ拡張性のある形式であることが求
が流通することになります.この3つ
められます.①,②についてもXML形
の要素を流通させるにあたり,各要素
式のメタデータを提案しています (1) .
自体とともにその内容を示す情報(メ
また③ のメタデータについてはT V (3)
タデータ)を流通させることにより,メ
An yt im e Fo r u m
タデータが誘導役となり,コンテンツ
仕様を採用しています.今回,紹介
の流通が促進されると想定しています.
するメディア流通システムではさらに,
またメタデータは誘導役としての役
④の広告についてもその内容を示す
割のほかに,メディア間の連携の度合
タグを定義しさまざまな利用シーンに
いを制御することを可能とします.例
対応します.
えば,著作権上制約の多い放送番組
(1) 川添・端山:“新しいT Vの見方を実現する
放送通信連携システム,”NT T技術ジャーナ
ル,Vol.16, No.5, pp.8-9, 2004.
(2) http://www.arib.or.jp/
(3) http://www.tv-anytime.org/
準拠の国際標準
またコンテンツの利用環境が屋外に
の利用の範囲などです.
広がることにより,2つの要求条件が
■システム構成
加わります.メタデータ伝送の効率化
図2にメディア流通システムの構成
とリアルタイム性です.移動環境では
を示します.放送番組の場合のメタ
限られた伝送帯域で主コンテンツとと
(左から)端山
聡/ 川添 雄彦
今後,次世代デジタルTV,PVR
(Personal Video Recorder)など家電放
送機器にブロードバンドおよび携帯との連
携機能が標準的に実装され,新たな放送と
通信の連携技術により,コンテンツ提供者,
サービス事業者,視聴者の利益が向上する
ことを目指し研究開発を推進していきます.
◆問い合わせ先
NTTサイバーソリューション研究所
第一推進プロジェクト
TEL 046-859-2501
FAX 046-855-3495
E-mail [email protected]
NTT技術ジャーナル 2005.6
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