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第2回場の言語学研究会

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第2回場の言語学研究会
第2回場の言語学研究会
早稲田大学8号館9階919号室
PDCAサイクルは
イノベーションを起こさない
~モダリティ表現に着目した共鳴場のメカニズム~
Ver. 1.7 2010年1月22日(金)
[email protected]
明治大学法学部教授 阪井和男
学研教育出版 栗山健
略歴
明治大学法学部教授(理学博士)
阪井和男 Kazuo Sakai
[email protected]
プロフィール:
http://rwdb2.mind.meiji.ac.jp/Profiles/0011/00006
57/profile.html
<略歴>
1952年
1977年
1985年
1987年
1990年
1998年
和歌山県生まれ
東京理科大学卒業
同大学院博士課程退学
理学博士取得
明治大学法学部専任講師
明治大法学部教授
<公職・役職・所属>
情報コミュニケーション学会会長
明治大学死生学研究所副代表
明治大学社会イノベーション・デザイン研究所事務局長
CSサイエンス研究所所長
一般社団法人CSスペシャリスト検定協会理事
NPO実務能力認定機構理事
NPOオンデマンド授業流通フォーラム理事
DPCマネジメント研究会理事
次世代大学教育研究会事務局長
Japrico Club ユーザ会会長
Ja Sakai Community運営委員(設立発起人)
日本語プログラミング研究会会長
2010年1月22日
明治大学
明治大学
阪井和男・栗山健
阪井和男
2
目次
PDCAサイクルへの疑問
2. 改善・改革の定義
3. PDCAサイクルの起源
4. PDCAサイクルの特徴と限界
5. 創造的な推論能力
6. 創造的なプロセス
7. サービスを創発する
8. 談話分析:絵カードでストーリーづくり
9. 談話分析:なぜミシンは縫えるか
10. まとめ
1.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
3
PDCAサイクルへの疑問
新大学認証評価システム

内部質保証システムの輪郭
「自己点検・評価はそれ自体が目的ではなく、その結果を改革
・改善へつなげることが重要です。経営学で言われてきたP
DCAサイクルとは、目標・計画を立て(Plan)、実行し(Do)、
結果を点検・評価し(Check)、改善・見直しを行う(Action)と
いったプロセスを意味しています。つまり、自己点検・評価
は、実行した結果が目標や計画に沿ったものになっている
か、沿っていないとすれば何が問題なのか、大学の経営戦
略が不明確なのか、目標や計画が不適切だからなのか、実
行上の問題なのか、などを根拠をもとに冷静に検証し、ポジ
ティブなアクションと結びつくには、どうすればよいかを考え
ることなのです。」
大学基準協会,「新大学認証評価システム ガイドブック―平成23年以降の大学認証評価システムの概要」,p. 3,2009年10月
5
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
「大学の内部質保証システムを評価する」概念図
大学基準協会,「新大学認証評価システム ガイドブック―平成23年以降の大学認証評価システムの概要」,p. 4,2009年10月
6
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
内部質保証システム
「内部質保証システムを有効に機能させるということは、
すなわち、各評価の視点ごとに、大学・学部等自身
が、前述のPDCAサイクルをきちんと回転させ続け
るということです。その際、同サイクルは、1回転す
るごとに位相を改善・改革の方向に上昇させ、結果
としてスパイラルを描くことになります。」
大学基準協会,「新大学認証評価システム ガイドブック―平成23年以降の大学認証評価システムの概要」,p. 4,2009年10月

「PDCAサイクル」と「改善・改革」との関係とは?
1.
2.
2010年1月22日
改善・改革の定義とは?
PDCAサイクルの起源とは?
明治大学 阪井和男・栗山健
7
改善・改革の定義
改善と改革
英辞郎でreformを引くと・・・
 reform
 【名】〔悪い状態からの〕改良、改善、革新、改革、変革、改
正、改編
7つの熟語を引くと・・・
 改良、改善、革新、改革、変革、改正、改編
 改革,改正,改編
refom
 改良,改善
improvement, reform
 革新
innovation, reform
 変革
innovative changes, reform
2010年1月22日
英辞郎 on the WEB,http://www.alc.co.jp/ (2009年12月17日アクセス)
9
明治大学 阪井和男・栗山健
循環参照
improvement reform innovation
改良
○
○
改善
○
○
革新
○
○
改革
○
変革
○
○
改正
○
改編
○
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
10
改善と改革,革新
循環参照がない独創的な新明解国語辞典によると・・・
 改善
 悪い所を直して,よりよい方向に持って行くこと

改革
 古くなった(不都合な)制度や機構を,新しい時代に適応す
るものに改めること

革新
 因習的な(古い)体制をやめて,新しいものに変えること
新明解国語辞典 第六版,三省堂,2007年11月20日.
『新大学認証評価システム ガイドブック』には
なぜ「革新(innovation)」がないのか?
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
11
PDCAサイクルの起源
アートとしての製造
販売
製造
設計
・すべてを技術者が担当
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
13
産業革命
知
の
具
現
化
販売
製造
設計
・役割の分担と分化
・工場での大量生産
・都市での大量消費
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
14
テイラー・システム

知
の
具
現
化
テーラーが提唱した科学的管理法
フレデリック・ウィンズロー・テイラー
販売
(Frederick Winslow Taylor, 1856年3月20日
- 1915年3月21日)

製造
設計


・各部門を区分し,各々で科学
的に唯一の正しい道を決め部
分最適化をはかる*
・官僚制*
科学的管理法によって、個別的な経
験や勘にたよる成り行き管理から脱却
し、生産現場に近代化をもたらし、生
産現場に「管理」の概念を確立
現代の経営学、経営管理論や生産管
理論の源流に
産業の近代化に寄与



内部請負制度・徒弟制度を解体し「労働力の
使用権」を経営者に移行させて
「計画と執行の分離」を行った
学校教育における効率主義の根拠(佐
藤学,1990年,p. 15, 78)
フレデリック・テイラー,『科学的管理法の原理』,1911年.
フレデリック W. テイラー,『新訳 科学的管理法(マネジメント
の原点)』,有賀裕子訳,ダイヤモンド社,2009年11月27日.
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』, 佐藤学,『米国カリキュラム改造史研究(単元学習の創造)』/
東洋経済新報社,第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
東京大学出版会,1990年12月10日.
15
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
PDSAサイクル(デミングサイクル)

Plan
原型:シューハート・サイクル
製品や工程を検討し改善するためのフ
ローダイヤグラム(デミング,1996年,p.
150)
Act
Do
Study
Plan:改善を目的とした変更、試験を計
画する
Do:変更、テストを(出来れば小規模で)
実施する
Study:結果を検討する。何が分かった
か。何が悪かったか(顧客の反応)
Act:変更を受け入れるか、変更を中止
するか、サイクルをもう1度回す

PDSAのサイクルは私が1950年に日
デミング,W・エドワーズ,『デミング博士の新経営システ
本で教えた時に出来上がったもので
ム論』,NTTデータ通信品質管理研究会訳,NTT出版,
1996年3月21日.原著:W. Edwards Deming, "The new
ある。 『統計的品質管理の基本的原理』(日
economics for industry, government, education", Second
科技連,1950年,絶版)。 (デミング,1996年,
Edition, Massachusetts Inst Technology, April 1994.
p.173)
16
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
W・エドワーズ・デミング

ウィリアム・エドワーズ・デミング
 William Edwards
Deming
 1900年10月14日 - 1993年12月20日
 アメリカ合衆国の統計学者、大学教授、著述家、講演者、コ
ンサルタント
「戦後の日本の経済復興をもたらしたのはデミング、ジュラン、
そして自分の3人のアメリカ人だった」

武田修三郎(2002年,p.4)によるDrucker(1993)の引用
P. E. Drucker, “The Ecological Vision”, Transaction Pub., 1993.
武田修三郎,「デミングの組織論(「関係知時代の幕開け」)」,東洋経済新報社,2002年12月5日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
17
PDCAサイクル
Plan
Action
Do
Check
Plan:業務標準や業務ルー
ルにもとづいて
Do:仕事を実行し
Check:その仕事の結果を
検証し
Action:よりよい仕事のやり
方に改善する
(遠藤,2004年,p. 103, pp.175-176)
遠藤功,『現場力を鍛える』,東京経済新報社,2004年.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
18
PDCAサイクル
顧客からの情報*
知
の
具
現
化
凡例
C
知識
D
A
能力
P
・各部門を相互に関係あるシステムとして
扱い,プロセス全体の最適化をはかる*
・民主制*
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』,東洋経
済新報社,第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
19
PDCAサイクルの
特徴と限界
デミングのフローダイアグラム

消費者
流通
消費者調査
ゼロ段階:
アイデア
の産出
検査
組立
設計および
再設計
製造
工程、機械、
方法、コスト
の試験
(デミング,1996年,pp.68-69)
 品質の改善は,入ってくる原材料から顧
客まで,また,将来へ向けての製品サー
ビスの再設計を含めて全生産ラインにわ
たっている
 この図は,日本で1950年8月に使用された
 サービス組織においては,生産の原資と
なるA,B,Cなどは,データソースであっ
たり,前工程の作業であったりする

原材料の受け取り
および試験
原材料、
設備の供給業者
A
1つのシステムとしてみた生産
B
C
2010年1月22日
D
例えば,デパートにおける代金,代金の計算,預
金,払い戻し,在庫の入出,転記,出荷指示など
のようなものである
デミング,W・エドワーズ,『デミング博士の新経営システム論(産業・行政・教育のため
に)』,NTTデータ通信品質管理研究会訳,NTT出版,1996年3月21日.
原著:W. Edwards Deming, "The New Economics: For Industry, Government, Education
(Second Edition)", Massachusetts Institute of Technology, Center for Advanced
Educational Services, Cambridge, Massachusetts, 1994.
21
明治大学 阪井和男・栗山健
デミングのフローダイアグラム

1つのシステムとしてみた生産
 この図が1950年以降,日本の方向を変えさせるきっかけと
なった(デミング,1996年,pp.68-69)

日本人は,優れた知識を持っていたが,それは断片的であり,互い
に組み合わされていなかった。

このフローダイヤグラムによって,彼らの知識と努力は生産のシス
テムへと方向付けられ,マーケットに合わせ,顧客のニーズを的確
に予測するようになった。
この最高経営者の会議には,日本の資本総額の80%を占める企業
からの出席があった。

デミング,W・エドワーズ,『デミング博士の新経営システム論(産業・行政・教育のために)』,NTTデータ通信品質管理研究会訳,NTT出版,
1996年3月21日. 原著:W. Edwards Deming, "The New Economics: For Industry, Government, Education (Second Edition)", Massachusetts
Institute of Technology, Center for Advanced Educational Services, Cambridge, Massachusetts, 1994.
22
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
日本初のデミング思想

A.リチャード・シーバスの言葉(コロラド大学工学部長) (デミング,1996年
,pp.72-73)
デミング博士が産業における品質について援助して欲しいと日本から要請を受
けて,1950年に訪日した時にも,アメリカから日本へと知識が広まったのではな
い
 デミング博士が日本で教えたことは,アメリカには存在していなかった。したがっ
て博士はアメリカの方法を日本へ輸入したのではなく,システムの原理を教えた
 日本の経営者と技術者は,教わったことを聞き,学び,実行に移した。博士は,
人びとや企業同士が協力すると信じていた。日本では,協力は常に生活様式で
あった
 デミング博士は彼らにシステムの境界は日本全体であると教えた。諸企業は協
力し合って動かねばならない。自分が学ぶように他人にも教えよ。日本における
変革は,国全体を焼き払う燎原の火とならなければならない,と

デミング,W・エドワーズ,『デミング博士の新経営システム論(産業・行政・教育のために)』,NTTデータ通信品質管理研究会訳,NTT出版,
1996年3月21日. 原著:W. Edwards Deming, "The New Economics: For Industry, Government, Education (Second Edition)", Massachusetts
Institute of Technology, Center for Advanced Educational Services, Cambridge, Massachusetts, 1994.
23
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
PDCAサイクル(デミングとの比較)
改善を前提に
していない
Plan
小規模の実行を前
提にしていない
Action
Do
顧客の外部評価を前
提にしていない
Check
Plan:業務標準や業務ルー
ルにもとづいて
Do:仕事を実行し
Check:その仕事の結果を
検証し
Action:よりよい仕事のやり
方に改善する
(遠藤,2004年,p. 103, pp.175-176)
サイクルを回すことが
前提になっている
遠藤功,『現場力を鍛える』,東京経済新報社,2004年.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
24
PDCAサイクル
顧客からの情報*
知
の
具
現
化
C
D
A
P
・各部門を相互に関係あるシステムとして
扱い,プロセス全体の最適化をはかる*
・民主制*
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』,東洋経
済新報社,第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
25
PDCAサイクルを回す
C2
知
の
具
現
化
C
D
A
P
・各部門を相互に関係あるシステムとして
扱い,プロセス全体の最適化をはかる*
・民主制*
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』,東洋経
済新報社,第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
26
PDCAサイクルを回す
知
の
具
現
化
C2

具現化軸に沿って,
1. 全体最適により
効率化が進む
2. より質の高い方向へ進む
C
A2
D
A
P
・各部門を相互に関係ある
システムとして扱い,プロセ
ス全体の最適化をはかる*
・民主制*
特徴

有効である条件
1.
2.
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』,東洋経済新報社,
第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
**クレイトン・クリステンセン,『イノベーションのジレンマ(技術革新が巨大企業を滅
ぼすとき)』,玉田俊平太監訳,伊豆原弓訳,翔泳社,2001年7月。原著:”The
innovator’s dilemma (When new technologies cause great firms to fail)”, Clayton M.
明治大学
阪井和男
2010年1月22日
Christensen,
Harvard Business School Press, Boston, 明治大学
1997,
2000 阪井和男・栗山健
顧客の評価軸が
具現化方向に沿う
顧客の事前期待が高い
もし低ければ、
クリステンセンの破壊的イ
ノベーション**の危険あり
27
PDCAサイクルの日本社会への効果
社会人の標準代謝率
(人口一人当たりの社会のエネルギー消費量)
40
本川達雄( 2006年,
p.125, 145)
倍
35
30
25
20
15
10
5
0
1950
デミング
サイクル
2010年1月22日
1960
1970
1980
1990
西暦
明治大学 阪井和男・栗山健
2000
本川達雄,『「長生き」が地球を滅ぼす
(現代人の時間とエネルギー)』,阪急
コミュニケーションズ,2006年1月23日.
28
PDCAサイクルの変種

現代社会における変化
 改善サイクルを早く回す?

PDCAA

PDCAサイクルに「結果(効果)の検証(Achievement)」を加えた
PDCAAサイクルを高速にまわす(遠藤功,2004年)
遠藤功,『現場力を鍛える(「強い現場」をつくる7つの条件)』,東洋経済新報社,2004年2月13日.

Analyze(分析)
清水剛士,http://shimizu.more-com.co.jp/article/120324334.html (2009年12月11日アクセス)

Accounting(監査)
安井悦子,http://eco.goo.ne.jp/business/csr/offer/csr/csr01_1.html (2009年12月11日アクセス)
 サイクルを回すことが目的にすりかわっている!
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
29
日本社会のスピード変化
社会人の代謝時間
(ヒトの代謝時間を100%とした相対値)
20%
18%
16%
ス
ピ
ー
ド
が
7
倍
14%
12%
10%
8%
6%
4%
心周期(TC)や呼吸周
期(TR),寿命(TL)な
どの時間は,比代
謝率(Esp,ワット)と
逆比例する(本川達
雄,2006年, p.145 )
1
TC 
ESP
2%
0%
1950
デミング
サイクル
2010年1月22日
1960
1970
1980
1990
西暦
明治大学 阪井和男・栗山健
2000
本川達雄,『「長生き」が地球を滅ぼす
(現代人の時間とエネルギー)』,阪急
コミュニケーションズ,2006年1月23日.
30
大学のスピード変化

事務システム開発(2年半~3年)

システム開発プロセス
1.
教学の要望を収集
「セメスター制への対応は?」
「検討していない」
2.
要求仕様にまとめる
学年制を前提とする
3.
4.
5.
6.
2010年1月22日
予算案を機関決定
開発ベンダーの選定
開発作業
検収作業
明治大学 阪井和男・栗山健
31
大学のスピード変化

教学方針の変更(1~2年)

セメスター制への移行を教授会決定!


追従するには

教学方針の変更時間よりも短く,半年以内に?


(2年半/半年)~(3年/半年)
=5~6倍以上スピードアップすべし!
しかし,システム開発を7倍も速くできるか!?


完成時には,要求仕様の大前提が覆っている
速く回せない業務もある!
結論

顧客の要望を後追い的に具現化しても無駄!


サイクルを1度回す前に状況が変化することがある
もっと知恵を使って創造性を発揮せよ!
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
32
リコール件数の推移
リコール件数の推移
リコール件数の推移
1000
250
約11%/年の増分
y = 2E-218e0.2524x
R² = 0.9067
194
200
108
89
108
100
158
リ 150
コ
ー
ル
件
数 100
158
リ
コ
ー
ル
件
数
47
21
49
194
89
62
39
17
10
62
47
50
21
49
39
17
1
0
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
西暦
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
西暦
2008年(平成19年度)版ものづくり白書,2009年(平成20年)6月,経済産業省・厚生労働省・文部科学省,p.46 (図131-1「リコール件数の推
移」) http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g80610a04j.pdf (2010年1月22日アクセス)
33
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
ロバスト設計

作って直す設計方式(立林和夫,2009年,pp.16-19)
 品質改良サイクル
0.目標決定
1.設計→2.試作→3.試験→4.改良→1.設計→2.・・・
 サイクルを速く回しても追いつかない!
 最大の欠陥

試験で見つけ出せなかった品質問題が市場に流出!
作って直す設計方式に問題あり!


2010年1月22日
どんな品質問題が発生するかがわからなくても品質を作り込め
る方法を使えばよい
立林和夫,『タグチメソッド入門』,日経
ロバスト設計(パラメータ設計)
明治大学 阪井和男・栗山健
文庫 1197/B101,日本経済新聞出版
社,2009年3月13日.
34
ロバスト設計

タグチメソッドによるロバスト設計(立林和夫,2009
年,p.27)
 設計作業そのものの効率が飛躍的に向上

開発の初期段階で品質を作り込むことが可能
 サイクルを回す回数が減り、開発効率が劇的に向
上
立林和夫,『タグチメソッド入門』,日経
文庫 1197/B101,日本経済新聞出版
社,2009年3月13日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
35
紙ヘリコプター

設計課題
 高さ10mから〇〇
秒で落下し、落下
時間のばらつきが
小さいものを設計
せよ
(立林和夫,2009年,p.53)
2010年1月22日
「タグチメソッド第2回」,日経ものづくり2006年1月号,日経BP社.
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20051227/11197
6/ (2010年1月22日アクセス)
立林和夫,『タグチメソッド入門』,日経文庫 1197/B101,日本経
済新聞出版社,2009年3月13日.
36
明治大学 阪井和男・栗山健
紙ヘリコプター
水準(パラメータの値)
第1水準 第2水準 第3水準
A 胴体の抵抗羽の有無 あり
なし
--
B 羽の長さ(cm)
15.0
10.0
5.0
C 胴体の長さ(cm)
15.0
10.0
5.0
D 足の長さ(%)
30
60
90
E 胴体の幅(cm)
2.0
4.0
6.0
F 足の幅(cm)
4.0
2.7
1.3
G 胴体の抵抗羽
形状1 形状2 形状3
H 錘の付け方
形状1 形状2 形状3

作って直す設計方式
 パラメータの組合せ数
2*3^7=4,374
(立林和夫,2009年,p.64)
立林和夫,『タグチメソッド入門』,日経文庫 1197/B101,日本経
済新聞出版社,2009年3月13日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
37
紙ヘリコプター

タグチメソッドによる実験
計画法(立林和夫,2009年,
p.67)
 直交表L18
行の数のパラメータの組
合せ18通りだけ試せばよ
い
4,374/18=243
18/4,374=0.4%

∴試行回数が4/1000に激
変!
立林和夫,『タグチメソッド入門』,日経文庫 1197/B101,日本経
済新聞出版社,2009年3月13日.
2010年1月22日
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
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明治大学 阪井和男・栗山健
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2
3
1
38
社会のスピード化
社会人の標準代謝率
本川達雄( 2006年
,p.125, 145)の
図をもとに縦軸
を対数に変換
(人口一人当たりの社会のエネルギー消費量)
倍
100
1972年
10
1
1950
1960
1970
1980
1990
西暦
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
2000
本川達雄,『「長生き」が地球を滅ぼす
(現代人の時間とエネルギー)』,阪急
コミュニケーションズ,2006年1月23日.
39
社会的背景の変化
死亡の場所別にみた構成割合の年次推移
100%
90%
80%
死亡割合
70%
1975年
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
1940
1950
1960
1970
病院・診療所
2010年1月22日
1980
1990
自宅・施設
2000
2010
2020
西暦
他
厚生労働省,「平成20年 人口動態統計」,2009年9月3日.
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei08/index.html (2009年12月11日アクセス)
40
明治大学 阪井和男・栗山健
心の世界の主役が自分から他者へ

メランコ人間(うつ病型)


自分にまつわる不安で心がいっ
ぱい
シゾフレ人間(統合失調症型)

周囲の世界にまつわる不安で心が
いっぱい
メランコ人間・シゾフレ人間世代別
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
89%
1975年
72%
15%
13%
9%
2%
1955年以前生まれ
メランコ人間
1965年以降生まれ
中間型
シゾフレ人間
(アンケート対象者全235名)
和田秀樹(2009年,p. 48)をもとに集計しなおして作図。 和田秀樹,『「人を動かす」心理学』,毎日新聞社,2009年2月25日,p. 48.
41
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
自己不安型から周囲不安型へ

1975年ころを境に転換
メランコ人間
シゾフレ人間
心の世界の主役
自分
他者(周囲)
対人関係
特定他者への献身
不特定他者への同調
自己・アイデンティティ 堅固なアイデンティティ
自分がない
常識・価値観
内在
外在
時間軸
過去へのこだわり
首尾一貫
周囲との同調
過去への不連続
局在(日本)
1955年以前生まれに多い
1965年以降生まれに多い
(和田秀樹,2009年,p. 50)
和田秀樹,『「人を動かす」心理学』,毎日新聞社,2009年2月25日,p. 48.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
42
PDCAの前提条件
演繹法としての前提条件
Plan:目標を設定して計画を立てることができる
チェスだと思っていたら,実はポーカーだった
 状況変化の激しい即興劇,即興演奏,真剣勝負*だった

Do:仕事を実行しても致命的な失敗にならない

失敗の許されない計画だった
帰納法としての前提条件
Check:妥当な検証方法が存在する


実は検証方法がなかった
検証方法でアフォードされて思考の罠に陥った**
Action:改善によって確実に目標へ向かう

修正すれば目標へ近づくと思っていたら,大混乱に陥った
*清水博,『生命知としての場の論理(柳生新陰流に見る共創の理)』,中公新書 1333,中央公論新社,1996年11月25日.
**栗木 契,「マーケティングにおけるデザインの罠」,『流通研究』,日本商業学会,Vol. 9 No. 1,pp. 17-39,2006.
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003kernel_90000549 (2009年10月21日アクセス)
43
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
PDCAの問題点
1.
安易にトップダウンで押し付ける

2.
小手先のループを繰り返す


3.
『右のものを左に動かす』のカイゼン後、『左に動かしたものを右に動
かす』のカイゼンを行う
何の改善にもならず失敗に終わる
カイゼンのためのカイゼンが本末転倒な事態を生む


4.
現場従事者にとって改悪例が続出、トラブルの温床と化す
カイゼンの深度が高まるにつれ限界効果は逓減
労働時間の増加による過労死や労働災害の増加
新しい方法を生む『改革』や『変革』の芽を摘む

現状に立脚した一部変更に留まるため
http://ja.wikipedia.org/wiki/カイゼン (2009年11月23日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
44
創造的な推論能力
PDCAサイクルにおける推論
知
の
具
現
化
顧客からの情報*

C
帰
納
D
A
演
繹
P
「演繹」と「帰納」の
フィードバックループ
 改善のためのサイクル
○具現化軸に沿った
持続的で漸進的な変化
 革新は起こらない!
×飛躍を伴なう
急進的な変化
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
46
演繹推論(deduction)

(仮説)
機械的推論
赤い玉だけが入った箱がある
仮説が真ならば、論理
の飛躍はなく、結果は必 (事例)
その箱の中から玉を取り出した
ず正しい
(結果)
特徴



一般から特殊へ
1.
2.
3.
「仮説」を大前提にし
個々の「事例」に当てはめ
「結果」を導く
その玉の色は、当然赤色である
[問題点]



(宮原諄二,2001年)
2010年1月22日
現実には、大前提そのものが真で
あるかどうか明確でない場合も
ごくわずかの青い玉が入っている
かも知れない
その場合は誤った結論に!
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
47
明治大学 阪井和男・栗山健
帰納推論(induction)

(事例)
科学的推論
机の上に玉が入った箱がある
結果から仮説形成のプ
ロセスには必ず思考の (結果)
玉を取り出したらいずれも赤色
飛躍がともなう
(仮説)
特徴



特殊から一般へ
1.
2.
3.
個々の「事例」を出発点
「結果」の考察を経る
「仮説」の形成へ進む
箱には赤い玉だけが入っている
[問題点]



(宮原諄二,2001年)
2010年1月22日
事例が多いほど仮説が真であ
る可能性が高い
最後に青い玉が出るかも
青い玉が出るまで仮説は正しい
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
48
明治大学 阪井和男・栗山健
アブダクション(abduction)



(結果)
直観的推論
仮説形成の飛躍は、帰
納的推論よりも著しく大
きい不安定な推論
特徴
1.
2.
3.
「結果」を出発点
いきなり「仮説」を導く
仮説が正しければ「事例」
は納得できる
(宮原諄二,2001年)
2010年1月22日
机の上に箱と赤い玉がある
(仮説)
箱にはすべて赤い玉が入っていて、
赤い玉がそこから取り出された
(事例)
赤い玉の存在は納得できる
[問題点]

箱の中が赤い玉だけか?

別の場所から赤い玉をもって
きただけかも
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
明治大学 阪井和男・栗山健
49
【例】大陸移動説

大陸は
地球表面上を移動して
その位置や形状を変える
 ドイツの気象学者アルフ
レート・ヴェーゲナー提唱
A map from “Die Entstehung der Kontinente und Ozeane”
(The movements of the Continents and the Oceans) (1929),
http://caliban.mpiz-koeln.mpg.de/~stueber/wegener/
(2008年4月9日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
50
目次
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Pangea_animation_03.gif (2008年4月11日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
51
大陸移動説

1912年
『大陸と海洋の起源』(アルフレート・ヴェーゲナー著)
 太古の時代には大西洋の一方の大陸が別々に漂流


大西洋をはさみ北米・南米とヨーロッパ・アフリカの海岸線が相似
両岸で発掘された古生物の化石も一致
アルフレッド・ウエゲナー,『大陸と海洋の起源』,竹内均訳,講談社学術文庫,講談社,1990年1月.
ヴェーゲナー,『大陸と海洋の起源(上)―大陸移動説』,都城秋穂・紫藤文子訳,岩波文庫 青 907-1,岩波書店,1981年10月.
ヴェーゲナー,『大陸と海洋の起源(下)―大陸移動説』,都城秋穂・紫藤文子訳,岩波文庫 青 907-2,岩波書店,1981年11月.
原著:Alfred Lothar Wegener, "Die Entstehung der Kontinente und Ozeane", 1929.(第四版,初版は1915年)
http://de.wikisource.org/wiki/Die_Entstehung_der_Kontinente_und_Ozeane (2009年12月18日アクセス)

1915年
かつて「パンゲア」という巨大な陸塊(超大陸)が存在
約2億年前に分裂して別々に漂流
現在の位置・形状に至ったと発表
1.
2.
3.

多くの地質学者は、この説には科学的根拠が薄いとして認めず
http://ja.wikipedia.org/wiki/大陸移動説 (2008年4月9日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
52
大陸移動説の評価
多くの地球物理学者、地質学者から批判

地球物理学者からの強固な反対


陸橋説


巨大な大陸を動かす原動力について説明できない
古生代までアフリカ大陸と南アメリカ大陸との間に狭い陸地が存在
1920年代
大陸移動説に関するシンポジウム
 ヴェーゲナーの著書が各国で出版


1930年
ヴェーゲナーの死後
 大陸移動説をまじめに取り上げなくなった
 数年後にナチス政権が誕生しドイツ科学界も変貌
http://ja.wikipedia.org/wiki/大陸移動説 (2008年4月9日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
53
大陸移動説の評価

理由
大陸を動かす原動力の説明ができなかった
 大陸が動くということを直接的に証明できなかった


状況証拠


地形、地質、古生物、古気候の数々の資料をヴェーゲナーは証拠として提示
当時の一般概念を覆すほどの証拠には成り得なかった
「現在の大陸の位置変化を実測する定量的証明こそ大部分の研究者が最も
厳密で信頼できる大陸移動説の検証である」
(ヴェーゲナー、『大陸と海洋の起源』、 「測地学的議論」の章)

1950年代
ヴェーゲナー死後
 古地磁気・海底などの研究によって大陸移動説は再評価・実証
 プレートテクトニクス理論へと発展
http://ja.wikipedia.org/wiki/大陸移動説 (2008年4月9日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
54
大陸移動説の推論構造

事実(C)


仮説(A)


アメリカ大陸の東海岸線とアフリカ大陸の西海岸線のかた
ちとはジグソーパズルのようなぴったりと一致する
太古の地球にはパンゲアというひとつの大きな大陸があっ
て、それが分裂し、地球表面を移動した
推論
仮説(A)が真であるならば、
2. 事実(C)は起きるべくしておきた事実である
3. したがって、
仮説(A)は真であると考える理由がある、と推論する
1.
(宮原諄二,2001年)
2010年1月22日
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
55
明治大学 阪井和男・栗山健
アブダクション

推論構造
1.
2.
3.
4.
驚くべき事実Cが観測される
しかし、もし仮説Aが真であるとするならば、
事実Cは起きるべくして起きる事実である
したがって、仮説Aは真であると考える理由がある
演繹推論でも、帰納推論でもない!

不可解な事実が観察された場合、これをその結論として説明しうる
ような仮説を構想し提起する推論
「創造的な思考とは、事実を機械的に集めて理論を帰納するのでは
なく、他の分野からの直観や偏見、洞察などが関わり合うひとつ
の複雑な過程」(グールド、1995年)
(宮原諄二,2001年)
2010年1月22日
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
56
明治大学 阪井和男・栗山健
3つの推論

出発点が違う




演繹的推論(deduction): 仮説事例結果
帰納的推論(induction): 事例結果仮説
アブダクション(abduction): 結果仮説事例
推論の形式の違い

同じ課題を3つの異なる推論で説明できる
(宮原諄二,2001年)
2010年1月22日
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
57
明治大学 阪井和男・栗山健
推論のトライアングル
仮説
rule
事例
case



結果
result
演繹的推論(deduction): 仮説事例結果
帰納的推論(induction): 事例結果仮説
アブダクション(abduction): 結果仮説事例
(宮原諄二,2001年)
2010年1月22日
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
58
明治大学 阪井和男・栗山健
創造プロセスの3つのステップ
C
第1ステップ:アブダクションによる仮説の形成
結果仮説事例
P
第2ステップ:演繹的推論による仮説の一般化
仮説事例結果
A
第3ステップ:帰納的推論による仮説の検証
事例結果仮説
創造へ
C.S.パースの「発見における探求の三段階」(宮原諄二、2001年)
2010年1月22日
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
59
明治大学 阪井和男・栗山健
創造的なプロセス
具現化の達成を目指す
具体化
how
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
61
具現化の評価軸が設定される
知
の
具
現
化
具体化
how
具現化の評価軸は,
暗黙のうちに設定される
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
62
具現化を達成させる
知
の
具
現
化
2010年1月22日
実現!
自己効力観の高揚
喜
具体化
how
・スーパーマン症候群
凡例
知識
能力
明治大学 阪井和男・栗山健
63
具現化が行き詰まる
知
の
具
現
化
2010年1月22日
行き詰まり
苦
喜
具体化
how
明治大学 阪井和男・栗山健
64
なぜ行き詰るのか?
知
の
具
現
化
視野狭窄
目標
具体的思考
具体化
how
・視点を硬化させる
・詳細を重視し自由に発想でき
ない
Smith, P. K. et al., “Abstract thinking
increases one’s sense of power”,
Journal of Experimental Social
Psychology (2007),
doi:10.1016/j.jesp.2006.12.005
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
65
目指した方向ではなかった!
知
の
具
現
化
2010年1月22日
具体化
how
×
明治大学 阪井和男・栗山健
目標
66
どうやって見つけるか?
知
の
具
現
化
2010年1月22日
唯一の
方法は?
目標
具体化
how
明治大学 阪井和男・栗山健
67
失敗を認めて理由を考える
対象への棲み込み
行動観察
知
の
具
現
化
(エスノグラフィ)
具体化
how
抽象化
why?
苦
目標
抽象的思考
・具体的思考を抑える
・自由で柔軟に思考できる
Smith, P. K. et al., “Abstract thinking
increases one’s sense of power”,
Journal of Experimental Social
Psychology (2007),
doi:10.1016/j.jesp.2006.12.005
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
68
知の土壌へもぐる
目標
知
の
具
現
化
具体化
how
抽象化
why?
矛盾
1. 技術的矛盾
2. 物理的矛盾
3. 社会的矛盾
(TRIZ,5つの壁®)
知の土壌
IT知識
ビジネス知識
人間系知識
美学,哲学,芸術
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
69
新しい知と出会う
目標
知
の
具
現
化
具体化
how
抽象化
why?
矛盾
1. 技術的矛盾
2. 物理的矛盾
3. 社会的矛盾
(TRIZ,5つの壁®)
知の土壌
IT知識
ビジネス知識
人間系知識
美学,哲学,芸術
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
70
新結合で意味が創発される
目標
知
の
具
現
化
抽象化
why?
具体化
how
矛盾
1. 技術的矛盾
2. 物理的矛盾
3. 社会的矛盾
(TRIZ,5つの壁®)
知の土壌
IT知識
ビジネス知識
人間系知識
美学,哲学,芸術
共
鳴
場
喜
創発 what!
(アブダクション)
喜
知の創造
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
71
革新が実現される
革新
改善
知
の
具
現
化
抽象化
why?
具体化
how
(演繹)
(帰納)
矛盾
1. 技術的矛盾
2. 物理的矛盾
3. 社会的矛盾
(TRIZ,5つの壁®)
具体化
how
(演繹)
知の土壌
IT知識
ビジネス知識
人間系知識
美学,哲学,芸術
共
鳴
場
創発 what!
(アブダクション)
イノベーション・ダイアグラム(山口栄一,2006年)
山口栄一,『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日.
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
共
鳴
場
知の創造
72
創造プロセスの戦略



PDCAサイクルを回すことを目的にするな!
目先の目標達成だけを目指すな!
閉塞状況から脱出する知恵を出せ
 現場から出発せよ
 行動観察(エスノグラフィ)
 “why”を問い続けよ
 なぜ教育をするのか?
 なぜ単位制なのか?
 なぜ学年学級制なのか?
 なぜ面接授業なのか?
 ・・・
 道はおのずと開ける
 仕切り直しはするな。行き詰りこそ創造への出発点!
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
73
サービスを創発する
はじめに

高い満足感を生むには
 顧客の顕在的な欲求を満足させることではない
 潜在的な欲求を実現する道へ導きともに歩むこと
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
75
顧客の琴線に触れるには?

「琴線」とは?
 顧客の情動に訴える
 顧客が満たされたい欲求!
⇅欲求のコミュニケーション
 従業員が満たしたい欲求?
欲求を満たすプロセス
=学びのプロセス

何のために私たちは生きるのか?
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
76
何のために私たちは生きるのか










もっとおいしいものを食べたい
もっと快適な生活がしたい
もっとたくさんの快楽を求めたい
富を得たい
他者の優位に立ちたい
他者に対して誠実,寛容,率直でありたい
会社の役に立ちたい。会社に評価され誉められたい
創造したい
他者を愛したい
自己を高めたい
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
77
何のために私たちは生きるのか

原初的な欲求








もっとおいしいものを食べたい
もっと快適な生活がしたい
もっとたくさんの快楽を求めたい
富を得たい
他者の優位に立ちたい
他者に対して誠実,寛容,率直でありたい
会社の役に立ちたい。会社に評価され誉められたい
実存的な欲求



創造したい
他者を愛したい
自己を高めたい
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
78
原初的な欲求

生理的な欲求




社会的な欲求



もっとおいしいものを食べたい
もっと快適な生活がしたい
もっとたくさんの快楽を求めたい
富を得たい
他者の優位に立ちたい
道徳的な欲求

他者に対して誠実,寛容,率直でありたい
従順・礼節・忠勇への欲求
 他者がそうあってほしいとする欲求の内面的反映


会社の役に立ちたい。会社に評価され誉められたい
山口栄一(2006年,pp. 268-270)による真木悠介(1971年)の引用
2010年1月22日
山口栄一,『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日.
真木悠介,『人間解放の理論のために』,筑摩書房,1971年.
79
明治大学 阪井和男・栗山健
実存的な欲求
よりよい生への欲求
自分自身がこの世界の中で
どのような内なる価値をもっているかを問う



創造する欲求
他者を愛する欲求
自己を高めたいとする欲求
山口栄一(2006年,pp. 268-270)による真木悠介(1971年)の引用
山口栄一,『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日.
真木悠介,『人間解放の理論のために』,筑摩書房,1971年.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
80
欲求の実現法
欲求の種類
生理的
欲求の内容
欲求の実現法
もっとおいしいものを食べたい
How おいしいものを食べられるか?
もっと快適な生活がしたい
How 快適な生活ができるか?
もっとたくさんの快楽を求めたい How 快楽を求められるか?
原
初
的
社会的
道徳的
富を得たい
How 富を得られるか?
他者の優位に立ちたい
How 優位に立てるか?
他者に対して誠実,寛容,率直
でありたい
How 誠実,寛容,率直であれるか?
会社の役に立ちたい。会社に評 How 会社に評価されるか?
価され誉められたい
創造したい
実
存 よりよき生 他者を愛したい
的
自己を高めたい
2010年1月22日
What 創造するか? … and how 実現?
Who 愛するか? … and how 実現?
Why 自己を高めたいか? … and how ?
山口栄一(2006年,pp. 268-270)をもとに加筆。
山口栄一,『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日.
81
明治大学 阪井和男・栗山健
欲求の特徴と行動様式

原初的な欲求
目的優先志向
 対象が明確である
 実現法を追求しやすい
顧客の顕在的な欲求

実存的な欲求
楽しみ優先志向
 対象が明確でない
 まず対象や理由を見つけなければならない
顧客の潜在的な欲求
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
82
欲求の特徴と行動様式

原初的な欲求
目的優先志向
 対象が明確である
 実現法を追求しやすい
顧客の顕在的な欲求

顧客への対応
実存的な欲求
楽しみ優先志向
 対象が明確でない
 まず対象や理由を見つけなければならない
顧客の潜在的な欲求
顧客の高い満足
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
83
原初的な欲求を実現させる
具体化
how
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
84
原初的な欲求を実現させる
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
2010年1月22日
具体化
how
具現化の評価軸は,
暗黙のうちに設定される
明治大学 阪井和男・栗山健
85
原初的な欲求を実現させる
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
2010年1月22日
実現!
喜
具体化
how
明治大学 阪井和男・栗山健
86
サービスへの不満
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
2010年1月22日
不満
苦
喜
具体化
how
明治大学 阪井和男・栗山健
87
顧客の心理状態
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
リバーサル理論
心地よさ
リラックスした気分
具体化
how
クレーム
覚醒が高い
不快感
不安
低
い
安全ゾーン
M.J.アプター,『デンジャラス・エッジ(「危険」の心理学)』,山岸俊男監
訳,渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.原著:Michael J. Apter, "The
dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992.
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
穏
や
か
高
い
危険ゾーン
覚醒
外傷ゾーン
88
真のサービスは?
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
2010年1月22日
真の到達
点は?
目標
具体化
how
明治大学 阪井和男・栗山健
89
真のサービスは?
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
2010年1月22日
具体化
how
×
明治大学 阪井和男・栗山健
目標
90
なぜ到達できないのか?
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
2010年1月22日
クレーム
目標
具体化
how
明治大学 阪井和男・栗山健
91
なぜ到達できないのか?
視野狭窄
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
2010年1月22日
目標
具体的思考
具体化
how
・視点を硬化させる
・詳細を重視し自由に発想で
きない
Smith, P. K. et al., “Abstract thinking
increases one’s sense of power”,
Journal of Experimental Social
Psychology (2007),
doi:10.1016/j.jesp.2006.12.005
明治大学 阪井和男・栗山健
92
常識の壁は破れない
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
2010年1月22日
具体化
how
×
明治大学 阪井和男・栗山健
目標
93
顧客の心理状態
イノベーションダイアグラム
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
苦
リバーサル理論
心地よさ
リラックスした気分
クレーム
覚醒が高い
具体化
how
クレーム
覚醒が高い
不快感
不安
低
い
安全ゾーン
M.J.アプター,『デンジャラス・エッジ(「危険」の心理学)』,山岸俊男監
訳,渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.原著:Michael J. Apter, "The
dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992.
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
穏
や
か
高
い
危険ゾーン
覚醒
外傷ゾーン
94
自己の卵モデル

二重生命(Dual Mode Thinking)
A: 場所的領域(Domain of place)
場所的領域

遍在的自己(情動脳+反射脳)
B: 自己的領域(Domain of self-centered ego)


自己的
領域
AとBが同時に働いている


顧客とクレーム対応者の双方に適用
顧客の自我状態

クレーム

2010年1月22日
局在的自己(理性脳)
高い覚醒で、不安
清水博,『場の思想』,東京大学出版会,pp.44-50,2003年7月17日.
井出祥子,「日本語には何故敬語が必要なのか?(日本語と場の論理)」,
信学技報 IEICE Technical Report , 電子情報通信学会, TL2009-29, pp.1-5.
95
明治大学 阪井和男・栗山健
脳の構成と機能
伊藤正男, 『脳の不思議』,
岩波 科学ライブラリー 58,
岩波書店,1998年
前頭前連合野
(司令部)
思考
(内部ループ)
頭頂側頭連合野
理性脳
(内部世界)
新皮質
(250万年前)
視覚
視覚野
注
意
・抑
止
感覚運動野
味覚
情動脳
嗅覚
反
応
が
速
い
大脳辺縁系等
(2億年前)
反射脳
(5億年前)
脳幹・脊髄
刺激
伊藤正男(1998年,第2章)を参考に作図
(外部世界)
明治大学
2010年1月22日
行動・反応
(外部世界)
阪井和男・栗山健
96
脳の構成と機能
伊藤正男, 『脳の不思議』,
岩波 科学ライブラリー 58,
岩波書店,1998年
自己的領域
前頭前連合野
(司令部)
思考
(内部ループ)
頭頂側頭連合野
理性脳
(内部世界)
新皮質
(250万年前)
視覚
視覚野
感覚運動野
場所的領域
味覚
情動脳
嗅覚
注
意
・抑
止
大脳辺縁系等
(2億年前)
反射脳
(5億年前)
脳幹・脊髄
刺激
伊藤正男(1998年,第2章)を参考に作図
(外部世界)
明治大学
2010年1月22日
行動・反応
(外部世界)
阪井和男・栗山健
97
顧客との出会い
クレーム対応者
顧客

場所的領域が未融
↓

相互誘導合致(Induced Fit)
まずコンテクスト(鍵穴)があ
る
 それに合うように発話(鍵)
がある
 コンテクストと発話は、鍵穴
と鍵のように相互に誘導して
合致する関係

2010年1月22日
清水博,『場の思想』,東京大学出版会,pp.44-50,2003年7月17日.
井出祥子,「日本語には何故敬語が必要なのか?(日本語と場の
論理)」,信学技報 IEICE Technical Report , 電子情報通信学会,
TL2009-29, pp.1-5.
98
明治大学 阪井和男・栗山健
場所的領域の相互誘導合致
自己の卵モデル
危険
ゾーン
リバーサル理論
心地よさ
リラックスした気分
安全ゾーン
クレーム
覚醒が高い
不快感
不安
低
い
安全ゾーン
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
穏
や
か
高
い
危険ゾーン
覚醒
外傷ゾーン
99
場所的領域の相互誘導合致
自己の卵モデル
危険
ゾーン
安全ゾーン
リバーサル理論
心地よさ
リラックスした気分
興奮
反
転
クレーム
覚醒が高い
不快感
プロテクティブ・フレーム
里山的領域*
2010年1月22日
退屈
低
い
不安
穏
や
か
高
い
覚醒
プ
ロ
安全ゾーン
安心ゾーン テ
外傷ゾーン
ク
興奮
テ
ィ
↑
ブ
・フ
不安
危険ゾーン レ
ー
ム
*清水博,「場の設計原理と日本のこころ」、公開シンポジウム「地球時代の未来を
設計する:場の論理の展開」、早稲田大学総合研究機構情報教育研究所、、2009年12月26日.
100
明治大学 阪井和男・栗山健
里山的領域*
自己の卵モデル
危険
ゾーン
リバーサル理論
場所的領域B
A
外傷ゾーン
B
プロテクティブ・フレーム
里山的領域*
2010年1月22日
場所的領域A
プ
ロ
テ 安心ゾーン
ク
興奮
テ
ィ
↑
ブ
・フ
不安
レ 危険ゾーン
ー
ム
安全ゾーン
プ
ロ
安全ゾーン
安心ゾーン テ
外傷ゾーン
ク
興奮
テ
ィ
↑
ブ
・フ
不安
危険ゾーン レ
ー
ム
*清水博,「場の設計原理と日本のこころ」、公開シンポジウム「地球時代の未来を
設計する:場の論理の展開」、早稲田大学総合研究機構情報教育研究所、、2009年12月26日.
101
明治大学 阪井和男・栗山健
里山的領域*
自己の卵モデル
危険
ゾーン
リバーサル理論
場所的領域B
A
外傷ゾーン
B
プロテクティブ・フレーム
里山的領域*
安心ゾーン
2010年1月22日
場所的領域A
里山的領域*
プ
ロ
テ
ク
テ
ィ
ブ
・フ
レ
ー
ム
安心ゾーン
興奮
↑
不安
危険ゾーン
安全ゾーン
プ
ロ
安全ゾーン
安心ゾーン テ
外傷ゾーン
ク
興奮
テ
ィ
↑
ブ
・フ
不安
危険ゾーン レ
ー
ム
*清水博,「場の設計原理と日本のこころ」、公開シンポジウム「地球時代の未来を
設計する:場の論理の展開」、早稲田大学総合研究機構情報教育研究所、、2009年12月26日.
102
明治大学 阪井和男・栗山健
場の共有

相互誘導合致(Induced Fit)
まずコンテクスト(鍵穴)が
ある
 それに合うように発話(鍵)
がある
 コンテクストと発話は、鍵
穴と鍵のように相互に誘
導して合致する関係

2010年1月22日
清水博,『場の思想』,東京大学出版会,pp.44-50,2003年7月17日.
井出祥子,「日本語には何故敬語が必要なのか?(日本語と場の論理)」,
信学技報 IEICE Technical Report , 電子情報通信学会, TL2009-29, pp.1-5.
103
明治大学 阪井和男・栗山健
跳躍への道
目標
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
2010年1月22日
具体化
how
抽象化
why?
苦
覚醒が高い
明治大学 阪井和男・栗山健
抽象的思考
・具体的思考を抑える
・自由で柔軟に思考できる
Smith, P. K. et al., “Abstract thinking
increases one’s sense of power”,
Journal of Experimental Social
Psychology (2007),
doi:10.1016/j.jesp.2006.12.005
104
跳躍への道
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
場所的領域
リラックスした気分
心地よさ
抽象化
why?
具体化
how
抽象化
覚醒が高い
苦
覚醒が高い
不快感
不安
低
い
安全ゾーン
M.J.アプター,『デンジャラス・エッジ(「危険」の心理学)』,山岸俊男監
訳,渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.原著:Michael J. Apter, "The
dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992.
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
穏
や
か
高
い
危険ゾーン
覚醒
外傷ゾーン
105
場所的領域の共鳴

初対面の学生と先生による共同タスク(絵カードでストーリーづくり)
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
先生:えーっと、歩いていって、えーっと、ですね
学生:あ、なんか
先生:うん
学生:ちょっと思いついたんですけど
先生:うん
学生:最初、棒を見つけて
先生:うん
学生:なんだこれ、使えないなあ、って思ってたら
先生:うんうん
学生:こう、崖にさしかかって
先生:うん
学生:あ、あの棒使える、ってひらめいたとか
先生:ああ、そうですね
学生:そういうのはどうですか
井出祥子,「日本語には何故敬語が必要なのか?(日本語と場の論理)」,信学技報 IEICE Technical Report , 電子情報通信学会, TL2009-29,
pp.1-5.
106
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
場所的領域の共鳴

会話に見る丁寧語の使い分け

初対面の学生と先生による共同タスク中の談話
(絵カードでストーリーづくり)
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
先生:えーっと、歩いていって、えーっと、ですね

学生:あ、なんか
先生:うん
学生:ちょっと思いついたんですけど
先生:うん
学生:最初、棒を見つけて
先生:うん
学生:なんだこれ、使えないなあ、って思ってたら
先生:うんうん
学生:こう、崖にさしかかって
先生:うん
学生:あ、あの棒使える、ってひらめいたとか
先生:ああ、そうですね
学生:そういうのはどうですか
1~4:丁寧語(です・ます)の指標
が義務的(わきまえ)
 自己的領域が顕在
5~12:丁寧語なし→逸脱の談話
 場所的領域が顕在

井出祥子,「日本語には何故敬語が必要なのか?(日本語と場の論理)」,
信学技報 IEICE Technical Report , 電子情報通信学会, TL2009-29, pp.1-5.
井出祥子,private communication,第2回場の言語学研究会,早稲田大学
8号館9階919号室,2010年1月22日.
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日

わきまえ→創造への切り替わり

対話者がわきまえを逸脱することで場
所的な配慮(年齢差、初対面)せずに
共同作業に集中、エキサイティングな
雰囲気を隠喩的にクリエイト
相互誘導合致

場所的領域を意識するとき、自己的領
域を意識するとき、鍵穴の雰囲気に自
動的に鍵を合わせて合致させる
107
場所的領域の共鳴

会話に見る丁寧語の使い分け
自己的領域による
場をわきまえた発言
初対面の学生と先生による共同タスク中の談話
(絵カードでストーリーづくり)
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
先生:えーっと、歩いていって、えーっと、ですね
学生:あ、なんか
先生:うん
学生:ちょっと思いついたんですけど
先生:うん
学生:最初、棒を見つけて
先生:うん
学生:なんだこれ、使えないなあ、って思ってたら
先生:うんうん
学生:こう、崖にさしかかって
先生:うん
学生:あ、あの棒使える、ってひらめいたとか
先生:ああ、そうですね
学生:そういうのはどうですか
井出祥子,「日本語には何故敬語が必要なのか?(日本語と場の論理)」,
信学技報 IEICE Technical Report , 電子情報通信学会, TL2009-29, pp.1-5.

井出祥子,private communication,第2回場の言語学研究会,早稲田大学
8号館9階919号室,2010年1月22日.
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
場所的領域による
わきまえを超越した発言
図地反転
108
プロテクティブ・フレームの生成
イノベーションダイアグラム
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
リバーサル理論
リラックスした気分
心地よさ
抽象化
why?
場所的領域
具体化
how
抽象化
覚醒が高い
苦
覚醒が高い
共鳴場
不快感
不安
低
い
安全ゾーン
M.J.アプター,『デンジャラス・エッジ(「危険」の心理学)』,山岸俊男監
訳,渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.原著:Michael J. Apter, "The
dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992.
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
穏
や
か
高
い
プ
ロ
危険ゾーン テ
ク
テ
ィ
ブ
・フ
レ
ー
ム
覚醒
外傷ゾーン
109
危険ゾーンから安心ゾーンへ
イノベーションダイアグラム
リバーサル理論
心地よさ
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
リラックスした気分
抽象化
why?
反
転
具体化
how
クレーム
覚醒が高い
苦
クレーム
覚醒が高い
退屈
不快感
低
い
共鳴場
サービスの創造
共鳴場がプロテクティ
ブ・フレームの役割
安全ゾーン
雨宮俊彦・生田好重、「動機づけのダイナミズム : リバーサル理論の概要」、
関西大学社会学部紀要、関西大学、第39巻第3号、pp.123-165 (2008).
M.J.アプター,『デンジャラス・エッジ(「危険」の心理学)』,山岸俊男監訳,
渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.原著:Michael J. Apter, "The
dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992.
2010年1月22日
興奮
明治大学 阪井和男・栗山健
不安
穏
や
か
高
い
プ
ロ
安心ゾーン テ
ク
興奮
テ
ィ
↑
ブ
・フ
不安
危険ゾーン レ
ー
ム
覚醒
外傷ゾーン
110
危険ゾーンから安心ゾーンへ
イノベーションダイアグラム
リバーサル理論
心地よさ
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
興奮
抽象化
why?
具体化
how
苦
クレーム
覚醒が高い
退屈
不快感
低
い
クレーム対応者
サービスの創造
雨宮俊彦・生田好重、「動機づけのダイナミズム : リバーサル理論の概要」、
関西大学社会学部紀要、関西大学、第39巻第3号、pp.123-165 (2008).
M.J.アプター,『デンジャラス・エッジ(「危険」の心理学)』,山岸俊男監訳,
渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.原著:Michael J. Apter, "The
dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
穏
や
か
高
い
プ
ロ
安全ゾーン
安心ゾーン テ
ク
テ
ィ
ブ
・フ
レ
安全と安心の
ー
領域が異なる
ム
覚醒
外傷ゾーン
111
実存的欲求の実現
原初的欲求
サ
ー
ビ
ス
の
具
現
化
実存的欲求
抽象化
why?
具体化
how
(演繹)
(帰納)
矛盾
具体化
how
1. 技術的矛盾
2. 物理的矛盾
3. 社会的矛盾
(TRIZ,5つの壁®)
(演繹)
知の土壌
IT知識
ビジネス知識
人間系知識
美学,哲学,芸術
共
鳴
場
創発 what!
(アブダクション)
共
鳴
場
サービスの創造
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
112
実存的欲求の実現
外にオープン1
近所づきあい**
原初的欲求
サ
ー
ビ 内にオープン
具体化
how
ス 創発的分業*
(演繹)
の
具
現
化 知の土壌
IT知識
ビジネス知識
外にオープン2
人間系知識
遠距離交際**
美学,哲学,芸術
共
鳴
場
スモールワー
ルド**の実現
実存的欲求
抽象化
why?
(帰納)
矛盾
具体化
how
1. 技術的矛盾
2. 物理的矛盾
3. 社会的矛盾
(TRIZ,5つの壁®)
(演繹)
創発 what!
(アブダクション)
共
鳴
場
サービスの創造
*加藤浩,「協調学習環境における創発的分業の分析とデザイン」,ヒューマンインタフェース学会論文誌、Vol.6, No.2, pp. 161-168, 2004.
**西口敏宏,『遠距離交際と近所づきあい(成功する組織ネットワーク戦略)』,NTT出版,2007年1月25日.
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
113
即興性スペクトル
(ゆらぎのない組織)
(ゆらぎが本質的な組織)
0 ← 創発的分業* →
硬直性
機
能
不
全
組
織
(ゆらぎを許す組織)
硬
直
化
し
た
官
僚
組
織
官
僚
組
織
健
全
な
官
僚
組
織
ア
メ
リ
カ
ン
フ
ッ
ト
ボ
ー
ル
即興性
サ
ッ
カ
ー
即
興
劇
・即
興
演
奏
真
剣
勝
負
*加藤浩,「協調学習環境における創発的分業の分析とデザイン」,ヒューマンインタフェース学会論文誌、Vol.6, No.2, pp. 161-168, 2004.
114
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
まとめ

高い満足感を生むには

顕在的な欲求から潜在的な欲求へ


顕在的な原初的欲求から、潜在的な実存的欲求への跳躍が、顧客の高い
満足を生む
クレームへの対応
顧客の相談やクレームは、顧客の不快な不安状態にあり、高い覚醒状
態にある
 双方の場の共有からはじめて、共鳴場を形成する



共鳴場でプロテクティブ・フレームを生成できれば、不安は心地よい興
奮へと一気に反転する
高い満足の実現

原初的欲求を跳躍して、実存的欲求への道を開ければ、双方の自己効
力感と達成感が高揚する
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
115
談話分析:絵カードで
ストーリーづくり
帰納的推論
談話分析:絵カードでストーリーづくり
順 役割
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
プロトコル
えーっと、歩いていって、えーっと、ですね
あ、なんか
うん
ちょっと思いついたんですけど
うん
最初、棒を見つけて
うん
なんだこれ、使えないなあ、って思ってたら
うんうん
こう、崖にさしかかって
うん
あ、あの棒使える、ってひらめいたとか
ああ、そうですね
そういうのはどうですか
井出祥子,「日本語には何故敬語が必要なのか?(日本語と場の論理)」,信学技報 IEICE Technical Report , 電子情報通信学会, TL2009-29,
pp.1-5.
117
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
帰納的推論
談話分析:絵カードでストーリーづくり
順 役割
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
プロトコル
えーっと、歩いていって、えーっと、ですね
あ、なんか
うん
ちょっと思いついたんですけど
うん
最初、棒を見つけて
うん
なんだこれ、使えないなあ、って思ってたら
うんうん
こう、崖にさしかかって
うん
あ、あの棒使える、ってひらめいたとか
ああ、そうですね
そういうのはどうですか
モダリティ モダリ
役割別
累積
表現 ティ度
累積
ですね
ですけど
ですね
ですか
1
-1
-1
1
-1
-1
-1
-1
-1
-1
-1
-1
1
1
1
0
-1
0
-1
-2
-3
-4
-5
-6
-7
-8
-7
-6
1
0
-1
0
-1
-2
-3
-4
-5
-6
-7
-8
-7
-6
井出祥子,「日本語には何故敬語が必要なのか?(日本語と場の論理)」,信学技報 IEICE Technical Report , 電子情報通信学会, TL2009-29,
pp.1-5.
118
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
帰納的推論
談話分析:絵カードでストーリーづくり
順 役割
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
先生
学生
プロトコル
えーっと、歩いていって、えーっと、ですね
あ、なんか<Aha!>
うん
ちょっと思いついたんですけど
うん
最初、棒を見つけて
うん
なんだこれ、使えないなあ、って思ってたら
うんうん
こう、崖にさしかかって
うん
あ、あの棒使える、ってひらめいたとか
ああ、そうですね
そういうのはどうですか
モダリティ モダリ
役割別
累積
表現
ティ度
累積
ですね
1
1
-1
0
-1
-1
ですけど
1
0
-1
-1
-1
-2
-1
-3
-1
-4
帰納的推論
-1
-5
-1
-6
-1
-7
-1
-8
←アブダクション
ですね
1
-7
ですか
1
-6
1
0
-1
0
-1
-2
-3
-4
-5
-6
-7
-8
-7
-6
井出祥子,「日本語には何故敬語が必要なのか?(日本語と場の論理)」,信学技報 IEICE Technical Report , 電子情報通信学会, TL2009-29,
pp.1-5.
119
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
累積モダリティ度
累積モダリティ度
2
1
0
-1
で
す
ね
-2
で
す
ね
で
す
け
ど
で
す
か
-3
-4
-5
-6
帰納的推論
-7
-8
アブダクション
-9
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
120
納得型共鳴
共鳴場
学
生
先
生
ファシリテーター
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
121
談話分析:なぜミシン
は縫えるか
針の動き
「流れのアニメーション(1)」,JUKI Webミシン博物館
http://www.juki.co.jp/jp/muse/sew/anime01.html (2009年7月20日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
123
ミシンの縫い目
『ミシンのひみつ』,学研マンガでよくわかるシリーズ38,学習研究社,p. 40.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
124
ミシン問題の定式化
三宅なほみ,「理解におけるインターラ
クションとは何か」,佐伯胖編,『理解と
は何か』,認知科学選書 4,東京大学出
版会,第3章,p. 72,1985年11月10日.
縫い目
1
2
針に
よって上
糸の輪
ができ
る
2010年1月22日
糸1が上
から来
る
糸1と糸
2がか
らみ合
う
糸2が下
から来
る
針が輪
をおしさ
げる
下糸が
輪の中
を通る
下糸が
下から
来る
明治大学 阪井和男・栗山健
針が輪
を引き
上げる
125
トポロジー的に不可能な問題

ミシンは2本の糸を使っている
 上糸
片一方の端は,縫っている布につながっている
 もう片一方の端は,糸巻きにつながっている

 下糸
片一方の端は,縫っている布につながっている
 もう片一方の端は,ボビンの中にある糸巻きにつながっ
ている

∴ 2本の端がない糸!
2010年1月22日
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,佐伯胖編,『理解
とは何か』,認知科学選書 4,東京大学出版会,第3章,1985年11月10日.
126
明治大学 阪井和男・栗山健
プロトコル分析(1)

三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,
佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学
出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
モニター
 で,どうなってかくちゃなんないかというと,この下のところに
糸の輪をつくるでしょ/そいでその中にボビンの糸を通す・・
・/・・・/だけどそれムリだよね/つまり,上からはとじた輪
が来ているわけでしょ/でここにはずっとつながった糸があ
る/で,だから,困るのは,このボビンの糸はこの輪の中を
通れないわけ

課題遂行係
 実際何が起きているかっていうと君のいう通りなんだけど/
もうちょっと複雑かな/ボビン,だけど,ボビンについてる糸
がこの輪の中通ってるんだよ
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
127
プロトコル分析(2)

三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,
佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学
出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
モニター
 この下にはこの糸ずっとつながってんだろ/それとも端があ
んの?

課題遂行係
 あー,端があるんだよ/あるんだけどすごくびっくりするよう
な端でねェ/ボビンの端が切れてるんだ/どうなっている
かっていうとボビンが小さなカゴの中に入ってて/この輪が
つっこまれてくるだろ/そうするとそのカゴがその輪をつか
まえてさ/ボビンの上にかぶせちゃう
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
128
ミシンの縫い目
『ミシンのひみつ』,学研マンガでよくわかるシリーズ38,学習研究社,p. 40.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
129
三宅なほみ,「理解におけるインターラ
クションとは何か」,佐伯胖編,『理解と
は何か』,認知科学選書 4,東京大学出
版会,第3章,p. 72,1985年11月10日.
縫い目
糸1が上
から来
る
糸1と糸
2がか
らみ合
う
糸2が下
から来
る
2
針に
よって上
糸の輪
ができ
る
針が輪
をおしさ
げる
下糸が
輪の中
を通る
下糸が
下から
来る
3
フックが
輪をとら
える
フックが
輪を引
き下げ
る
輪がボ
ビンの周
りを回る
輪がフッ
クから
離れる
1
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
針が輪
を引き
上げる
130
プロトコル分析(3)

三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,
佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学
出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
モニター
 オーケイ,あー,それで,それだとすごくいいんだけど,ボビ
ンがどう動いているのかわかればそれでいいんだけど/ボ
ビンはどうくっついてるの?

課題遂行係
 カゴの中に納まってるのさ/・・・カバーがこうあるだろ,上に
かぶせるの/こうぱちんとはまってる感じ/でそこにすき間
がある/だから糸が通って/・・・そこにすき間があってさ/
そこが輪をつかまえる
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
131
ボビンのメカニズム
「ミシンのメカニズム」,JUKI Webミシン博物館
http://www.juki.co.jp/jp/muse/sew/mech01.html (2009年7月20日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
132
ミシン問題の定式化
3
4
フックが
輪をとら
える
フックが
輪を引
き下げ
る
輪がボ
ビンの周
りを回る
輪がフッ
クから
離れる
ボビン
の表側
には何
もない
フックが
輪をおし
ひろげ
る
ボビン
の後ろ
に隙間
がある
輪の片
側1はボ
ビンの
後を通
る
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
三宅なほみ,「理解におけるインターラ
クションとは何か」,佐伯胖編,『理解と
は何か』,認知科学選書 4,東京大学出
版会,第3章,p. 72,1985年11月10日.
輪の片
側2はボ
ビンの
表を通
る
133
プロトコル分析(4)

三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,
佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学
出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
モニター
 針はそこのすき間を通って来るの?

課題遂行係
 こう,どういう具合にだかこの上にカバーがあって/それに
このすき間がある/でそれが輪をつかまえる/ちっちゃなフ
ックがある/・・・このスパイラルが出てきてるとこに/で,そ
れが輪をつかまえる/で,それで輪が下に降りて来る時に
/何かその輪をつかまえて/ここ(ボビンのうしろとミシン本
体の間のすき間)のうしろのとこに押し込んで/で,だからさ
,こんなふうに輪はここにはまっちゃうような形になるんだよ
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
134
プロトコル分析(5)

三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,
佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学
出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
モニター
 だからさ,もし,ボビンがほんとにボビンケースのまん中に
浮いてるような感じなんならさ,その説明でとってもいいよ
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
135
ボビンの動き
「流れのアニメーション(2)」,JUKI Webミシン博物館
http://www.juki.co.jp/jp/muse/sew/anime02.html (2009年7月20日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
136
ボビンの動き
http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Lockstitch.gif (2009年7月20日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
137
ボビンの動き(2)
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Lockstitch_slow.gif (2009年7月20日アクセス)
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
138
ミシン問題の定式化
三宅なほみ,「理解におけるインターラ
クションとは何か」,佐伯胖編,『理解と
は何か』,認知科学選書 4,東京大学出
版会,第3章,p. 72,1985年11月10日.
縫い目
1
2
針に
よって上
糸の輪
ができ
る
2010年1月22日
糸1が上
から来
る
糸1と糸
2がか
らみ合
う
糸2が下
から来
る
針が輪
をおしさ
げる
下糸が
輪の中
を通る
下糸が
下から
来る
明治大学 阪井和男・栗山健
針が輪
を引き
上げる
139
ミシン問題の定式化
3
4
5
三宅なほみ,「理解におけるインターラ
クションとは何か」,佐伯胖編,『理解と
は何か』,認知科学選書 4,東京大学出
版会,第3章,p. 72,1985年11月10日.
フックが
輪をとら
える
フックが
輪を引
き下げ
る
輪がボ
ビンの周
りを回る
輪がフッ
クから
離れる
ボビン
の表側
には何
もない
フックが
輪をおし
ひろげ
る
ボビン
の後ろ
に隙間
がある
輪の片
側1はボ
ビンの
後を通
る
輪の片
側2はボ
ビンの
表を通
る
ボビンは
ケースに
はまって
いる
ケース
はホル
ダーに
はまっ
ている
ホルダー
はカラー
の中に
納まって
いる
カラーは
フック
シャフト
の一部
である
フック
シャフト
はミシン
本体に
固定され
ている
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
140
ミシン問題の定式化
三宅なほみ,「理解におけるインターラ
クションとは何か」,佐伯胖編,『理解と
は何か』,認知科学選書 4,東京大学出
版会,第3章,p. 72,1985年11月10日.
縫い目
演繹推論:具体化
糸1が上
から来
る
1
糸1と糸
2がか
らみ合
う
糸2が下
から来
る
演繹推論:具体化
2
針に
よって上
糸の輪
ができ
る
2010年1月22日
針が輪
をおしさ
げる
下糸が
輪の中
を通る
下糸が
下から
来る
針が輪
を引き
上げる
行き詰まり:
トポロジー的に不可能な問題
明治大学 阪井和男・栗山健
141
プロトコル分析(2)

モニター
行き詰まり:
トポロジー的に不可能な問題
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,
佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学
出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
 この下にはこの糸ずっとつながってんだろ/それとも端があ
んの?

帰納推論:
Why縫い目ができるのか?
課題遂行係
 あー,端があるんだよ/あるんだけどすごくびっくりするよう
な端でねェ/ボビンの端が切れてるんだ/どうなっている
アブダクション:
かっていうとボビンが小さなカゴの中に入ってて/この輪が
トポロジー的に不可能な
問題を解消
つっこまれてくるだろ/そうするとそのカゴがその輪をつか
まえてさ/ボビンの上にかぶせちゃう
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
142
ミシン問題の定式化
3
フックが
輪をとら
える
フックが
輪を引
き下げ
る
輪がボ
ビンの周
りを回る
三宅なほみ,「理解におけるインターラ
クションとは何か」,佐伯胖編,『理解と
は何か』,認知科学選書 4,東京大学出
版会,第3章,p. 72,1985年11月10日.
輪がフッ
クから
離れる
演繹推論:具体化
4
ボビン
の表側
には何
もない
フックが
輪をおし
ひろげ
る
ボビン
の後ろ
に隙間
がある
輪の片
側1はボ
ビンの
後を通
る
輪の片
側2はボ
ビンの
表を通
る
演繹推論:具体化
5
ボビンは
ケースに
はまって
いる
2010年1月22日
ケース
はホル
ダーに
はまっ
ている
ホルダー
はカラー
の中に
納まって
いる
明治大学 阪井和男・栗山健
カラーは
フック
シャフト
の一部
である
フック
シャフト
はミシン
本体に
固定され
ている
143
不可能
2
演
繹
推
論
1
下糸が
輪の中
を通る
糸1と
糸2が
からみ
合う
5
「この下にはこ
の糸ずっとつな
がってんだろ」
4
ボビン
の後ろ
に隙間
がある
3
輪がボ
ビンの
周りを
回る
Why縫い目
ができるか?
帰
納
推
論
ホル
ダーは
カラーの
中に納
まってい
る
演
繹
推
論
「あー,端が
あるんだよ」
縫い目
「それとも端
があんの?」
2010年1月22日
トポロジー的に
不可能な問題
明治大学 阪井和男・栗山健
144
ミシン問題のプロトコル解析
順
役割
プロトコル
で,どうなってかくちゃなんないかというと,この
下のところに糸の輪をつくるでしょ
2 モニター
そいでその中にボビンの糸を通す・・・
3 モニター
・・・
4 モニター
だけどそれムリだよね
5 モニター
つまり,上からはとじた輪が来ているわけでしょ
6 モニター
でここにはずっとつながった糸がある
で,だから,困るのは,このボビンの糸はこの
7 モニター
輪の中を通れないわけ
実際何が起きているかっていうと君のいう通り
8 課題遂行係
なんだけど
9 課題遂行係 もうちょっと複雑かな
ボビン,だけど,ボビンについてる糸がこの輪
10 課題遂行係
の中通ってるんだよ
1 モニター
モダリティ モダリ
累積
表現
ティ度
でしょ
1
1
-1
-1
1
1
-1
0
-1
0
1
0
-1
-1
-1
-2
かな
1
-1
だよ
1
0
よね
でしょ
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
145
ミシン問題のプロトコル解析
順
役割
10 課題遂行係
11
12
13
14
15
モニター
モニター
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
16 課題遂行係
17 課題遂行係
18 課題遂行係
19 課題遂行係
プロトコル
ボビン,だけど,ボビンについてる糸がこの輪
の中通ってるんだよ
この下にはこの糸ずっとつながってんだろ
それとも端があんの?
あー<Aha!>,端があるんだよ
あるんだけどすごくびっくりするような端でねェ
ボビンの端が切れてるんだ
どうなっているかっていうとボビンが小さなカゴ
の中に入ってて
この輪がつっこまれてくるだろ
そうするとそのカゴがその輪をつかまえてさ
ボビンの上にかぶせちゃう
モダリティ モダリ
累積
表現
ティ度
だよ
1
0
だろ
あんの?
だよ
ねェ
んだ
1
1
1
1
1
1
2
3
4
5
-1
4
1
1
1
5
6
7
だろ
さ
ちゃう
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
146
ミシン問題のプロトコル解析
順
役割
20 モニター
21
22
23
24
25
26
27
28
モニター
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
プロトコル
オーケイ,あー,それで,それだとすごくいい
んだけど,ボビンがどう動いているのかわか
ればそれでいいんだけど
ボビンはどうくっついてるの?
カゴの中に納まってるのさ
・・・カバーがこうあるだろ,上にかぶせるの
こうぱちんとはまってる感じ
でそこにすき間がある
だから糸が通って
・・・そこにすき間があってさ
そこが輪をつかまえる
モダリティ モダリ
累積
表現
ティ度
の?
さ
の?
さ
-1
6
1
1
1
-1
-1
-1
1
-1
7
8
9
8
7
6
7
6
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
147
順
ミシン問題のプロトコル解析
役割
29 モニター
30 課題遂行係
31
32
33
34
35
36
37
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
38 課題遂行係
39 課題遂行係
40 モニター
プロトコル
モダリティ モダリ
累積
表現
ティ度
針はそこのすき間を通って来るの?
の?
こう,どういう具合にだかこの上にカバーがあっ
て
それにこのすき間がある
でそれが輪をつかまえる
ちっちゃなフック<Aha!>がある
・・・このスパイラルが出てきてるとこに
で,それが輪をつかまえる
で,それで輪が下に降りて来る時に
何かその輪をつかまえて
ここ(ボビンのうしろとミシン本体の間のすき間)
のうしろのとこに押し込んで
で,だからさ,こんなふうに輪はここにはまっちゃ
だよ
うような形になるんだよ
だからさ,もし,ボビンがほんとにボビンケース
のまん中に浮いてるような感じなんならさ,その よ
説明でとってもいいよ
1
7
-1
6
-1
-1
-1
-1
-1
-1
-1
5
4
3
2
1
0
-1
-1
-2
1
-1
1
0
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
148
累積モダリティ度
ア
ブ
ダ
ク
シ
ョ
ン
8
演
繹
推
論
6
4
演
繹
推
累積モダリティ度
論
帰
納
推
論
2
0
-2
で
し
ょ
よ で
ね し
ょ
か だ だ あ だ ね ん
な よ ろ ん よ ェ だ
の
?
だ さ ち
ろ
ゃ
う
さ
さ
ア
ブ
ダ
ク
シ
ョ
ン
だ よ
よ
-4
-6
-8
帰
納
推
論
-10
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
演
繹
推
論
149
説得型共鳴
順
役割
10 課題遂行係
11
12
13
14
15
モニター
モニター
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
16 課題遂行係
17 課題遂行係
18 課題遂行係
19 課題遂行係
プロトコル
モダリティ モダリ
累積
表現
ティ度
ボビン,だけど,ボビンについてる糸がこの輪
だよ
の中通ってるんだよ
帰納的推論 だろ
この下にはこの糸ずっとつながってんだろ
それとも端があんの?
あんの?
あー<Aha!>,端があるんだよ
←アブダクションだよ
あるんだけどすごくびっくりするような端でねェ ねェ
ボビンの端が切れてるんだ
んだ
どうなっているかっていうとボビンが小さなカゴ
の中に入ってて
演繹的推論 だろ
この輪がつっこまれてくるだろ
そうするとそのカゴがその輪をつかまえてさ
さ
ボビンの上にかぶせちゃう
ちゃう
1
0
1
1
1
1
1
1
2
3
4
5
-1
4
1
1
1
5
6
7
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
150
納得型共鳴
順
役割
29 モニター
30 課題遂行係
31
32
33
34
35
36
37
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
課題遂行係
38 課題遂行係
39 課題遂行係
プロトコル
モダリティ モダリ
累積
表現
ティ度
針はそこのすき間を通って来るの?
の?
こう,どういう具合にだかこの上にカバーがあっ
帰納的推論
て
それにこのすき間がある
でそれが輪をつかまえる
ちっちゃなフック<Aha!>がある
←アブダクション
・・・このスパイラルが出てきてるとこに
で,それが輪をつかまえる
で,それで輪が下に降りて来る時に
何かその輪をつかまえて
演繹的推論
ここ(ボビンのうしろとミシン本体の間のすき間)
のうしろのとこに押し込んで
で,だからさ,こんなふうに輪はここにはまっちゃ
だよ
うような形になるんだよ
1
7
-1
6
-1
-1
-1
-1
-1
-1
-1
5
4
3
2
1
0
-1
-1
-2
1
-1
三宅なほみ,「理解におけるインターラクションとは何か」,佐伯胖編,『理解とは何か』,認知科学選書 4,東京大学出版会,第3章,p. 76,1985年11月10日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
151
まとめ:共鳴メカニズム

対話型共鳴
 コミュニケーションの素朴モデル

観測されない(三宅なほみ)

説得型共鳴

納得型共鳴
2010年1月22日
共鳴場
共鳴場
明治大学 阪井和男・栗山健
152
推論のトライアングル
仮説
rule
事例
case



結果
result
演繹的推論(deduction): 仮説事例結果
帰納的推論(induction): 事例結果仮説
アブダクション(abduction): 結果仮説事例
(宮原諄二,2001年)
2010年1月22日
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
153
明治大学 阪井和男・栗山健
創造プロセスの3つのステップ
P
第1ステップ:アブダクションによる仮説の形成
仮説事例結果
A
第2ステップ:演繹的推論による仮説の一般化
事例結果仮説
C
第3ステップ:帰納的推論による仮説の検証
結果仮説事例
創造へ
C.S.パースの「発見における探求の三段階」(宮原諄二、2001年)
2010年1月22日
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
154
明治大学 阪井和男・栗山健
まとめ:モダリティ表現の連続と欠落

丁寧語の連続(場をわきまえる)
自己的領域による場をわきまえたコミュニケーション

丁寧語の欠落(場所的領域の共鳴)
納得型共鳴

親密表現の連続
説得型共鳴

親密表現の欠落
納得型共鳴
2010年1月22日
モダリティ
表現
丁寧語
親密表現
連続
欠落
自己的領域の
相互誘導合致 場所的領域の
場所的領域の 納得型共鳴
説得型共鳴
明治大学 阪井和男・栗山健
155
まとめ
産業革命
知
の
具
現
化
販売
製造
設計
・役割の分担と分化
・工場での大量生産
・都市での大量消費
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
157
テイラー・システム

知
の
具
現
化
テーラーが提唱した科学的管理法
フレデリック・ウィンズロー・テイラー
販売
(Frederick Winslow Taylor, 1856年3月20日
- 1915年3月21日)

製造
設計


・各部門を区分し,各々で科学
的に唯一の正しい道を決め部
分最適化をはかる*
・官僚制*
科学的管理法によって、個別的な経
験や勘にたよる成り行き管理から脱却
し、生産現場に近代化をもたらし、生
産現場に「管理」の概念を確立
現代の経営学、経営管理論や生産管
理論の源流に
産業の近代化に寄与



内部請負制度・徒弟制度を解体し「労働力の
使用権」を経営者に移行させて
「計画と執行の分離」を行った
学校教育における効率主義の根拠(佐
藤学,1990年,p. 15, 78)
フレデリック・テイラー,『科学的管理法の原理』,1911年.
フレデリック W. テイラー,『新訳 科学的管理法(マネジメント
の原点)』,有賀裕子訳,ダイヤモンド社,2009年11月27日.
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』, 佐藤学,『米国カリキュラム改造史研究(単元学習の創造)』/
東洋経済新報社,第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
東京大学出版会,1990年12月10日.
158
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
PDCAサイクル
顧客からの情報*
知
の
具
現
化
C
D
A
P
・各部門を相互に関係あるシステムとして
扱い,プロセス全体の最適化をはかる*
・民主制*
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』,東洋経
済新報社,第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
159
PDCAサイクルにおける推論
顧客からの情報*
知
の
具
現
化

C
帰
納
D
「演繹」と「帰納」の
フィードバックループ
 改善のためのサイクル
A
○具現化軸に沿った
持続的で漸進的な変化
演
繹
P
 革新は起こらない!
・各部門を相互に関係あるシステムとして
扱い,プロセス全体の最適化をはかる*
・民主制*
×飛躍を伴なう
急進的な変化
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』,東洋経
済新報社,第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
160
PDCAサイクルを回す
知
の
具
現
化
C2

具現化軸に沿って,
1. 全体最適により
効率化が進む
2. より質の高い方向へ進む
C
A2
D
A
P
・各部門を相互に関係ある
システムとして扱い,プロセ
ス全体の最適化をはかる*
・民主制*
特徴

有効である条件
1.
2.
*武田修三郎,『デミングの組織論(「関係知」時代の幕開け)』,東洋経済新報社,
第10章,pp. 282-283,2002年12月5日.
**クレイトン・クリステンセン,『イノベーションのジレンマ(技術革新が巨大企業を滅
ぼすとき)』,玉田俊平太監訳,伊豆原弓訳,翔泳社,2001年7月。原著:”The
innovator’s dilemma (When new technologies cause great firms to fail)”, Clayton M.
明治大学
阪井和男
2010年1月22日
Christensen,
Harvard Business School Press, Boston, 明治大学
1997,
2000 阪井和男・栗山健
顧客の評価軸が
具現化方向に沿う
顧客の事前期待が高い
もし低ければ、
クリステンセンの破壊的イ
ノベーション**の危険あり
161
革新が実現される
革新
改善
知
の
具
現
化
抽象化
why?
具体化
how
(演繹)
(帰納)
矛盾
1. 技術的矛盾
2. 物理的矛盾
3. 社会的矛盾
(TRIZ,5つの壁®)
具体化
how
(演繹)
知の土壌
IT知識
ビジネス知識
人間系知識
美学,哲学,芸術
共
鳴
場
創発 what!
(アブダクション)
イノベーション・ダイアグラム(山口栄一,2006年)
山口栄一,『イノベーション 破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,2006年3月3日.
明治大学 阪井和男・栗山健
2010年1月22日
共
鳴
場
知の創造
162
創造プロセスの3つのステップ
C
第1ステップ:アブダクションによる仮説の形成
結果仮説事例
P
第2ステップ:演繹的推論による仮説の一般化
仮説事例結果
A
第3ステップ:帰納的推論による仮説の検証
事例結果仮説
創造へ
C.S.パースの「発見における探求の三段階」(宮原諄二、2001年)
2010年1月22日
宮原諄二、「創造的技術者の論理とパーソナリティ」、『イノベーション・マネジメント入門』、一橋
大学イノベーション研究センター編、日本経済新聞社、第8章、pp. 218-244、2001年12月21日.
163
明治大学 阪井和男・栗山健
創造プロセスの戦略



PDCAサイクルを回すことを目的にするな!
目先の目標達成だけを目指すな!
閉塞状況から脱出する知恵を出せ
 現場から出発せよ
 行動観察(エスノグラフィ)
 “why”を問い続けよ
 なぜ教育をするのか?
 なぜ単位制なのか?
 なぜ学年学級制なのか?
 なぜ面接授業なのか?
 ・・・
 道はおのずと開ける
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
164
まとめ

高い満足感を生むには

顕在的な欲求から潜在的な欲求へ


顕在的な原初的欲求から、潜在的な実存的欲求への跳躍が、顧客の高い
満足を生む
クレームへの対応
顧客の相談やクレームは、顧客の不快な不安状態にあり、高い覚醒状
態にある
 双方の場の共有からはじめて、共鳴場を形成する



共鳴場でプロテクティブ・フレームを生成できれば、不安は心地よい興
奮へと一気に反転する
高い満足の実現

原初的欲求を跳躍して、実存的欲求への道を開ければ、双方の自己効
力感と達成感が高揚する
2010年1月22日
明治大学 阪井和男・栗山健
165
まとめ:共鳴メカニズム

対話型共鳴
 コミュニケーションの素朴モデル

観測されない(三宅なほみ)

説得型共鳴

納得型共鳴
2010年1月22日
共鳴場
共鳴場
明治大学 阪井和男・栗山健
166
まとめ:モダリティ表現の連続と欠落

丁寧語の連続(場をわきまえる)
自己的領域による場をわきまえたコミュニケーション

丁寧語の欠落(場所的領域の共鳴)
納得型共鳴

親密表現の連続
説得型共鳴

親密表現の欠落
納得型共鳴
2010年1月22日
モダリティ
表現
丁寧語
親密表現
連続
欠落
自己的領域の
相互誘導合致 場所的領域の
場所的領域の 納得型共鳴
説得型共鳴
明治大学 阪井和男・栗山健
167
おわり
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