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「ビールの町ミュンヘンでの学生生活」

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「ビールの町ミュンヘンでの学生生活」
「ビールの町ミュンヘンでの学生生活」
ルートヴィッヒ・マクシミリアンズ・ミュンヘン大学
ドイツで三番目に大きい都市ミュンヘンはビールと白ソーセージで有名です。古い町並み
が多く残り、緑も多いこのミュンヘンの地に私は1年間留学しました。これからミュンヘ
ンの生活事情に触れながら私の留学生活を報告します。
私は九州大学で免疫調節機能を有する食品成分について研究していますが、免疫調節に
関連する遺伝子にも興味があったためミュンヘン大学では生物学の人間遺伝子学を専攻し
リュウマチの関連遺伝子について研究を行っていました。ドイツの大学は日本のように2
学期制で夏学期と冬学期に分けることができ、学期間には実験演習やフィールドでの実習
が2週間ほど集中して開催されます。ミュンヘン大学では主専攻のほかに副専攻も必要で、
私は生物学部の講義他にも医学部の講義を受けに行きました。こうすることで、専門以外
の幅広い知識を増やすことができたと思います。講義はスライドを用いたプレゼンテーシ
ョン方式が多く、図解などを見ながら行うので非常にわかりやすかったです。講義の内容
も最新の情報が多く、知らないことだらけで当初は内容を理解することで精一杯でしたが、
だんだんと内容を理解し考えることができるようになっていったので講義の内容はとても
興味深いものばかりとなりました。私の場合、単位交換を申請したかったためドイツで単
位を取って帰ることを前提に講義や実習を受けていました。私が受けた講義の筆記試験で
はすべて記述式で専門知識に加え、専門用語のドイツ語を覚えなくてはいけなかったので
大変苦労した記憶があります。しかし、この苦労を経験したからこそ実際に単位がとれた
喜びは大きく、同時にドイツ語の語彙力を増やすことができた良い機会だったと思います。
また、修士で留学したこともあり、留学先で研究を行うことも
留学の目的のひとつでした。私の場合ミュンヘン大学の教授を全
く知らなかったため、自分で教授に連絡をして会いに行き、研究
室に入れてくれるよう頼みました。私の熱意が伝わったのか、無
事に研究室で実験を行うことができ、1年間の留学中は自分のテ
ーマを持って研究に励んでいました。自分で積極的に行動する大
切さを身にしみた瞬間でした。私が通っていた研究室は1人の教
授に学生が8名ほど、技術派遣社員が2名いる小さな研究室でし
た。人数が少ないながら、研究の機械はきちんとそろっていたた
め自分のやりたい実験を自由にすることができました。研究室で
は毎日実験をしていたのですが、実験のほかに週に1回実験報告会と文献紹介のゼミがあ
り、担当者は皆の前で発表することになっています。研究室では、確かに忙しく実験をこ
なしていかなければならないのですが、午後になると、コーヒー&ティータイムの時間を
設けては皆でおしゃべりしながら休憩をしていました。研究室のメンバーと話をすること
で、ドイツの学生の意見を直接聞けるいい機会になり、ドイツ人は日本人より趣味の時間
や余暇の時間を大切にしていることがわかりました。
ミュンヘンはドイツ国内でも特に外国人が多い場所で、語学学校をはじめとして市内の
いたるところで様々な国から来た人と出会うことができます。私は、冬学期にミュンヘン
大学の留学生課がサポートする週2日間の語学学校に、そして夏学期には、ミュンヘン市
が市民の教育のためにサポートしている語学学校に通いました。内容は基本的なドイツ語
の文法を学びながらドイツ語を聴いて返事をするというドイ
ツ語コミュニケーション能力を向上させることを目的とした
授業でした。自分のドイツ語のレベルに応じてクラス分けがさ
れるので、自分のドイツ語のレベルに応じた授業が受けられま
す。語学学校に行くことで、日本ではほとんどめぐり合えない
国の人々とも友達になれますし、同じ異国の地に来たもの同士
なので日常で困ったことなどを相談できる良きパートナーを
見つける場所ともなりました。
今まで、主に大学や語学学校のことについて述べてきましたが、これから実際にミュン
ヘンでの食生活はどのようなものなのかお伝えしたいと思います。ミュンヘンはドイツの
南に位置していることから、海に接してなく海水魚を食べる機会がほとんどありません。
また、日本のように海産物を食べる習慣がないため、ミュンヘン住人の食生活には重大な
欠点があります。海産物などに含まれるヨードが欠乏するのです。ヨードが欠乏すると、
甲状腺腫などの疾患を引き起こすことから、ヨードを添加した塩がドイツのいたるところ
で売られています。この塩を使ってヨード不足を解決している家庭が多く、海産物の豊富
な日本で生まれ育った私としてはドイツに来るまでヨード不足のことなど全く考えたこと
もありませんでした。魚をほとんど食べないドイツ人ですが、普段はジャガイモ料理・パ
ン・肉料理を食べます。ドイツ人の食事はレストランに行かない限り、夕食はパン数切れ
とソーセージまたは料理を一、二品だけと日本に比べるとかなり質素なものとなっていま
す。食事が質素なせいか間食する人が多く、ドイツ人の食生活はもう一度見直す必要があ
ると感じました。さらに、ドイツで売られている飲料は過剰に甘いものがほとんどで、糖
分の摂りすぎで糖尿病などの生活習慣病にかかっている人が非常に多いのが現状です。日
本人が飲んでいるものを良く考えてみると、日本ではお茶などの砂糖を含まないものを買
うことができます。ドイツではビール・水以外の無糖の飲料をスーパーで入手することは
難しく、このことが糖尿病疾患者数の増加につながっているのではないかと思います。ド
イツで留学することによって日本料理には健康の維持に役立つものが多く含まれていると
いうことを改めて実感することができました。
ドイツでの留学経験を通して、新しい知識を増やすことができたと同時に日本の文化・
習慣について客観的に見ることができるようになったと思います。日本人にはドイツ人の
ゆとりのある生活スタイルを見てほしいですし、ドイツ人には日本の食文化を参考にして
ほしいと思います。留学で大切だと思ったことは、何事も自分で積極的に行動することで、
新しいことにチャレンジすることで勉強面・生活面の両面において今まで気づかなかった
新たな発見をすることができると思います。将来は、ドイツでヒントを得た健康食品のあ
り方を参考にしながら健康食品を開発する研究者になり、留学経験で得た語学力を活かし
て健康に良い食文化を世界に広めたいと思います。
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