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平成25年7月30日~8月1日

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平成25年7月30日~8月1日
平成 25 年度
1.
健康づくり特別委員会行政視察報告書
視察日程
平成25年7月30日(火)~ 8月1日(木)
2.
視察先及び視察内容
(1) 大分県由布市
健康立市を目指した取り組みについて
・健康マイレージ事業について
・温浴施設の利用促進による健康増進・医療費抑制について
(2) 福岡県宗像市
・
「健康むなかた 21」と「健康むなかた食育プラン」における健康づくりの取り組
みについて
・宗像ユリックス(アクアドーム)の施設概要について
(3) 福岡県糸島市
・健康づくり推進条例について
・健康増進計画「健康いとしま 21」について
3.
参 加 者
委 員 長
平良
清忠
副委員長
荒木
博
委
飯島
照明
一山 貴志
足立満智子
石渡 孝春
員
秋山
忍
※荒木博副委員長、石渡孝春委員は、由布市・宗像市のみ参加
4.
視察内容
(1)大分県由布市 7 月 30 日(火)
【健康立市を目指した取り組みについて(健康マイレージ事業、温浴施設の利用促進による
健康増進・医療費抑制)
】
《健康立市 由布市》
平成 25 年第 1 回由布市議会定例会のおける市長の施政方針
「健康立市事業について、すべての市民が住み慣れた地域で、いきいきと暮らしてい
けるように「健康長寿」と「生活の質の向上」に向けて、市民と行政、地域社会が一
体となって「健康立市 由布市」の実現を目指す」と発言。
↓
平成 25 年 3 月 24 日 由布市健康立市宣言大会を開催
由布市健康立市宣言文
「私たち今を生きる者は、次の世代が輝かしい時代であることを念じ、健康で安心
して暮らせるまちにするための責務を負っている。
由布市は、「由布市総合計画」
の基本理念をもとに、市民一人ひとりがいのちの循環を大切にし、こぞって「健康
立市」構築にむけた健康施策を積極的に推進することを誓い、ここに健康立市とす
ることを宣言する」
↓
1.健康に対する意識の高揚
○各種健康行事や健康施設利用者に対して健康マイレージ事業の実施
・国保特定健診やがん検診の受信者などに高いポイント・・・受診率の向上を図
る
・健康温泉館利用者に対してもポイントを交付し利用の促進
・優秀団体にも高いポイント
2.元気に生まれ育った地域で生活
○ラジオ体操の実施
・ラジオ体操などの運動を継続して実施、老人クラブ、事業所等での普及促進
・児童等が行うラジオ体操への地域住民の参加
○地域で取り組む健康づくり
・モデル地区での「すこやか健康サロン」事業、運動機能・認知機能向上をめざ
して理学療法士・作業療法士による出前講座を実施(年 10 回程度)
・ヘルスアップリーダー、食推協等の既存組織との協働
・保健師等による健康相談、健康教室を実施
○健康の「見える化」事業
~出前始めました~
・医療費等データの「見える化」を進め、市民の健康状態をお知らせ
3.既存健康施設等の活用促進
○湯布院健康温泉館
・年に 12 回 65 歳以上の高齢者に対して、無料開放・水中運動の体験
○はさま未来館トレーニング室
・
「はさま未来館」トレーニング室設備事業、インストラクターの定期配置
(月:午前、水:夜、土:午後の各日 4 時間)、トレーニング機器の整備充実
4.心身ともに健康な「ゆふっ子」づくり事業
○「早寝・早起き・朝ご飯」事業の拡充
・対象を 3~5 歳までに拡充、3 歳児健診において朝ごはん摂取の必要性を呼びか
け
○親子ふれあい絵本事業
・乳児家庭全戸訪問事業に併せて、ブックスタート事業を実施、絵本を通じた親
子の触れ合いにより、乳児期からの心の健康づくりを推進
○みんなであいさつ「ニコニコ運動」
2
・家族であいさつすることからはじめ、地域、学校、職場等でのあいさつ運動の
拡充
《健康マイレージ事業》
健康づくりにやる気をプラス
対象者:由布市に住所を有する 20 以上(平成 25 年 4 月 2 日現在)の方
期
間:平成 25 年 4 月 1 日~平成 26 年 2 月 28 日
ステップ①:健康づくり事業やイベントに参加するとポイントゲット!
項目
獲得ポイント
健康立市宣言大会参加
100 ポイント
地域で健康!ラジオ体操等&ウォーキング
登録時 300 ポイント
特定健診・健康診査
2000 ポイント
がん検診(大腸・胃がん)
各 2000 ポイント
女性のためのがん検診(子宮・乳)
各 1000 ポイント
健康教室に参加
300 ポイント
ヘルスアップリーダー養成講座認定時
1000 ポイント
※その他健康づくり事業で必要なものは事務局でポイントを決定
ステップ②:健康マイレージシートに記載・押印!
マイレージシートは、各イベントもしくは健康増進課にて配布
ステップ③:事業期間終了後平成 26 年 3 月 14 日までに応募!
ステップ④:獲得ポイントが1万ポイント以上の方の中から抽選で 100 人に 1 万円相
当の商品券をプレゼント!
平成 25 年 7 月末現在、12 団体と 214 名から応
募があった。
当初は、ラジオ体操のCDを 150 の自治区に配
布した。また、必要に応じて、CDとCDラジカ
セの貸出を行っている。
《温浴施設の利用促進による健康増進・医療費抑制》
湯布院健康温泉館
クアージュゆふいん
○ドイツの温泉治療の技術を取りいれ、健康のために生まれた新しいカタチの入浴施
設で、健康づくりとリラックス&リフレッシュが同時にできる施設である。
○健康・体力づくりについての 3 つのサポート
・水中運動サポート:ボランティア指導員の動きに合わせて、健康・体力づくりを
楽しめる。
・無料健康相談:健康チェックから食事のバランスまで、健康・体力づくりのアド
3
バスを行う。
・館内バリアフリー:スペシャルルームは、車いす利用の方などご家族、お友達と
一緒に利用できる。
○2003 年に、住民を対象に水中運動事業についてのアンケート調査を行った。
・症状が少しはよくなっていますか。
よくなってきた
92 人
まあまあよくなってきた
51 人
変化なし
13 人
・水中運動を開始してから、治療の回数や薬の量は減りましたか。
減った
82 人
減らない
29 人
治療中止となった
10 人
主に、以上のアンケート結果となり、また水中運動の実施によって糖尿病や高血圧
などの生活習慣病の症状が改善された。
水中運動実施の前後で、35 名の国民健康被保険者の医療費を比較したところ、
48.52%減となった。また、関節に障がいのある人などは、安全度が高く関節に負荷が
かかりにくい水中運動が適していることもわかった。
水中運動を 3 カ月継続できた 8 人のうち 6 人に体重減少が見られ、水中運動開始前
の体重を 100%としたときの体重減少率の平均はマイナス 2.08%であった。
モニター期間開始前には 8 人中 4 人の血圧の値が高血圧治療ガイドラインにおける
高血圧の分類に入る値を示していたが、終了時にはその 4 人中 3 人の値が正常値に改
善し、残りの 1 人の血圧もモニター開始前と比較して改善が見られた。
《主な質疑》
問:獲得ポイントが1万ポイント以上の方の中から抽選で 100 人に 1 万円相当の商品券をプ
レゼントするとのことだが、今後はさらに人数を増やす考えはないか。
答:由布市の人口規模であれば、100 万円(100 人×1 万円)で事業効果はあると考えている。
また、この商品券のプレゼントは、2 年間の限定事業なので、この 2 年間で検証し、今
後について考えていく。
問:由布市の特定健診受診率が高い理由は。
答:特定健診が始まる平成 20 年の段階で、市内のどの内
科においても健診を受診できる態勢が整備されてい
たことと、健診を受けるよう電話かけを行ってきたこ
とによる。
問:国保における特定健診の対象者数は。
答:約 6,600 人である。
4
問:健康温泉館クアージュゆふいんの特徴は。
答:水深は浅く、高齢者でも歩ける施設となっていて、水温は 35 度位で高く、その中で水中
運動をした後、血圧を測定すると 10~20 は下がるが、体には負担がかかりにくい。
【委員所感】
(委員)
今回、由布市の健康増進施策を視察し、まさにオール由布による啓発・取り組みによる健
康増進が図られていることが強く印象に残った。由布市は「健康立市」を宣言していること
もあり、役所はもちろん市民の方の「健康」に対する意識が非常に高い。
例えば市内 150 ある自治区にそれぞれラジオ体操のCDを配布(ラジカセは貸出)し、ラ
ジオ体操を普及させるとともに、一方市では「みんなで健康!ラジオ体操等&ウォーキング」
という施策で参加者を募集し、参加者には健康マイレージの付与はもちろん、実施日数が 40
日を超えたグループには抽選で賞品を贈呈するなど、地域、職場、学校、各事業所などで実
践による普及・習慣化を図っている。また検診受診率では市の職員が電話での受信促進はも
ちろんのこと、自宅訪問してまで受診するように働きかけるなど、熱心に取り組んでいるこ
とがわかる。その結果が平成 23 年度の受診率 62.4%(全国平均 32.7%、成田市は 30.2%)
という数字に現れている。
市内での様々な健康に関する取り組みに参加することで「健康マイレージ」というポイン
トを得ることができる。これは 1 万ポイント以上を集めると応募することができ、抽選で 100
名に 1 万円相当の商品券をプレゼントするという何とも大胆な取り組みである。そのポイン
トも約 6 割は各種検診を受けることで獲得できるように設定されている。
また、今回視察させていただいた温浴施設「クアージュゆふいん」ではドイツの温浴技術
を取り入れた入浴施設で温水プルーはもちろん、浴室・露天風呂、トレーニングルームやマ
ッサージ室、健康相談室等を備え、プールの水温設定や効果的なトレーニング方法など、細
かなところにまで健康に対するこだわりが感じられた。
以上のように市民の健康増進を図るためにはまずは意識の啓発が大事であること、またそ
れにはそれぞれの立場の人が目標を持って取り組むように仕向けること、そのような施策を
実施していく必要があると強く感じた。
(委員)
大分県由布市では平成 25 年 3 月に健康立市宣言をし、「健康マイレージ事業」をスタート
されました。この事業は、健康づくり事業やイベントへの参加でポイントがたまり、1 万ポ
イントを 1 口として応募すれば抽選で 100 人に 1 万円相当の商品券が当たるという事業です。
市は市民のやる気を引き出し、市民の健康増進につなげたいと参加を呼び掛けています。
対象者は 20 歳以上の市民でポイントの対象は主に市の健康づくり事業(2014 年 2 月末まで)
で、特定健診・健康診査やがん検診が 2 千ポイント、女性のための各種がん検診は千ポイン
トが加算されます。
その他、市のウォーキング大会や健康教室、講演などで認定されたものも対象となり、5
5
人以上で月 1 回以上、所定の場所で運動をするグループの参加登録も募っていました。仲間
同士で励まし合い、継続的に健康づくりをしてもらうのが目的で、登録時に 300 ポイント、
優秀団体に選ばれると 2 千ポイントがメンバーそれぞれに加算されます。
この「健康マイレージ事業」は市民の健診受診率を上げ、健康づくりに励むことで医療費
や介護費の抑制につなげるほか、地域コミュニティや地域経済の活性化など、まちづくりや
人づくりに繋げていくことが期待できるユニークな施策であり、成田市でも取り組むべきと
思いました。
(2)福岡県宗像市 7 月 31 日(水)
【「健康むなかた 21」と「健康むなかた食育プラン」における健康づくりの取り組み、宗像
ユリックス(アクアドーム)の施設概要について】
《健康福祉部の方針・目標(平成 25 年度)》
○計画
宗像市総合計画(計画年度:平成 26 年度まで)
・市民活動の推進 ・子育て環境の充実 ・都市基盤の整備・産業の振興
・快適生活環境の充実
・市民の健康づくり・福祉の向上
↓
宗像市保健福祉計画(計画年度:平成 22 年度~平成 26 年度)
↓
健康むなかた 21(宗像市健康増進計画)
(計画年度:平成 17 年度~26 年度)
健康むなかた食育プラン(宗像市食育基本計画)(計画年度:平成 19 年度~26 年度)
○健康福祉部の方針
「住み慣れた地域で、互いに支えあい、いきいきと安心して暮らせるまち」を基本理念
念に、
・市民が健康で安心して生活が送れるよう、市民の健康づくりを進め医療サービスの確
保と充実を図る。
・地域で支えあう保健福祉の基盤づくりを進め、高齢者福祉や障害者福祉など、福祉サ
ービスの充実を図る。
・国民健康保険や介護保険など、社会保障制度の健全運営を図る。
○健康福祉部の重点課題
予防重視の健康づくりと介護予防の推進:市民の健康づくりを進めるうえで、運動や食
生活等の生活習慣の改善、感染症予防など、予防対策を中心に施策を進めるとともに、
高齢者に対しては、介護予防に重点を置いた施策を進める。
6
《「健康むなかた 21」および「健康むなかた食育プラン」中間見直し》
宗像市では、市の健康づくりの基本となる計画である「健康むなかた 21」と、市の食育
推進計画である「健康むなかた食育プラン」を策定し、計画の基本理念を「人が活き生き
地域が元気 みんな笑顔で健康づくり」と定めて、市民の皆さんの健康づくりと食育の推
進に取り組んでいる。
1.「健康むなかた 21」と基本的な取り組み
国の健康増進法(第 8 条)に基づく宗像市の健康づくりの基本となる計画で、計画の
期間は平成 17 年度から平成 26 年度までの10カ年である。計画の基本方針は、
(1)
「自
分の健康は自分で守り、つくる」意識の啓発、
(2)地域を主体とした健康づくりの推進、
であり、この基本方針に基づき計画を推進している。
ライフステージ毎の健康づくりの目標(めざす姿)
年代(ライフステージ)ごとの健康目標を「めざす姿」とし、各期の健康課題解決
のために、市民・関係団体・市それぞれの役割を示し、取り組みを行っている。
健康づくりの取り組み分野は、主に「食事」
「運動」
「生活」
「心」の分野であり、年
代に応じて「出産・子育て」
「生・性」「喫煙・飲酒・薬物」がある。
○妊娠期・乳幼児期(0~5 歳)
:「愛情いっぱい みんなで子育て」
○学童期・中高生期(6~18 歳):
「夢を目指して心も体も成長期」
○青年期・壮年前期(19~39 歳)
:「もっと健康・心も充実」
○壮年後期(40~64 歳)
:
「自分のため・家族のため心と体を見直そう」
○老年期(65 歳以上)
:
「活き・生き・楽しく第二の青春」
2.「健康むなかた 21」の中間見直し(今後の取り組み)
中間見直しは、ライフステージ毎の各分野に設定した目標指標のうち最終目標の達成
に向かっていない項目がどれかを確認し、その分野における健康づくりの推進の強化を
図るための取り組み内容を追加した。
ライフステージ
健康づくり推進の強化を図る項目
妊娠期・乳幼児期
「食事」 「運動・遊び」
学童期・中高生期
「運動・遊び」
青年期・壮年前期
「運動」
「心・ストレス」
壮年後期
「運動」
「心・ストレス」
老年期
「心」
「心・生きがい」
「健康むなかた 21」の取り組みの追加内容
(1)食事
7
1.乳幼児とその保護者が集まる機会等を活用した食生活支援
2.父母だけでなく祖父母を対象に、子どもの健康と食生活を考える機会をつくる。
(2)運動や遊び
1.乳幼児の場などで、遊びの体験や運動の体験の場をつくる。
2.親子で参加できるイベントや事業を継続する。
3.コミュニティ・センターに行くと体を動かして楽しむことができるという環境
をつくる。
4.普段の生活の場に運動と消費カロリーの情報を表示する。
5.何かをしながらできる運動の情報提供をする。
6.草刈や清掃活動の消費カロリーの情報提供をする。
7.体を動かすことは、健康づくりという意識を伝える。
(3)心・ストレス・生きがい
1.学校や地域活動をとおした人間関係づくりを促す。
2.宗像に住んでよかったと思える体験ができる機会をつくる。
3.心の健康に関する正しい知識を普及啓発する。
4.既存の活動の活動内容を充実させるなどの工夫をする。
3.「健康むなかた食育プラン」と 5 つの施策について
「健康むなかた 21」
(宗像市健康増進計画)の中の食事分野の課題解決に向けた行動
計画で、計画期間は平成 19 年度から平成 26 年度までの8カ年である。また、国の食育
基本法(第 18 条)に基づく「市町村食育基本計画」にあたる計画でもある。
計画では、5 つの施策をたて、目指す姿を設定した。その実現のための取り組み内容
を「一人ひとり」
「関係機関・団体」「宗像市」の 3 つにわけ、それぞれが役割をもって
実行している。
5 つの施策
「育て!自らの食を選び楽しむ子どもたち」
「食で防ごう!生活習慣病」
「活かそう!むなかた育ちのいきいき食材」
「食で守ろう!次世代に受け継ぐわたしたちの環境」
「広げよう!食育活動の輪」
4.「健康むなかた食育プラン」の中間見直し(今後取り組むべき課題)
国や県等でとられたアンケートの数値を参考に、現在の課題を明らかにし、今後 5 年
間で取り組むべき課題を追加した。
食育活動:気軽な取り組みの啓発、活動参加の呼びかけの工夫など。
「環境」
:各種事業での啓発、楽しく実践している個人や団体の紹介など
8
「郷土料理の普及」
:郷土料理の掘り起こし、紹介方法の工夫など
「地産地消」
:水産加工施設の活用、食材の生産過程を知るための環境整備など。
《主な質疑》
問:宗像市健康づくり推進協議会の構成団体である「宗像子育てネットワークこねっと」と
は。
答:メイトム宗像(市民活動交流館内)に事務所を構え、子育てサロンを行う活動団体の統
括や、市から子育て支援センター「ふらこっこ」の事業委託を受けている。また、就学
前の子供達が自由に集まり、そこで母親たちが悩みを相談できる拠点となっている。
こねっとは、社会情勢を考えて、また、子育てに対する視点も必要と考え、途中からこ
の協議会に入ってもらった。
問:健康診断時に、心・ストレスについては具体的にはどのように行っているのか。
答:65 歳未満の方については、心の健康チェック表を健診の問診票と一緒に郵送し、健診時
に持参してもらい、保健師が面談したり、フォローをしている。65 歳以上の方について
は、介護予防事業で使用しているチェックリストの中に、心の項目があるので、そこで
確認をし、必要に応じて訪問している。
問:乳幼児や小学生の外遊びをする時間が減少しているとのことだが、対策は。
答:外遊びをする場所については整理できており、乳幼児を持つ親に対して、いかに外遊び
をすることが重要かということについて、イベント等を通して伝えている。
問:市が直営している農産物直売所はあるか。
答:市が公設で造った「道の駅むなかた」と「かのこの里」があり、運営を指定管理として
いる。よって、食育の関係で連携をとりやすい。
問:市でコーディネートを行っているか。
答:健康づくり推進協議会の中の食育に関係する団体で、食育研修会を開催するなどしてい
る。また、ウォーキングマップ作成にあたって、保健師とアクアドームの職員と協力し
たことで、不定期に開催していた健康教室を定期的に開催することができた。
《宗像ユリックス(アクアドーム)の施設概要》
1.温水プール
25 メートル×7 コースの本プールと 50 ㎡の子供用プールがある。さらにバイブラバ
ス(泡風呂)とうたせ湯を完備している。またプールの水質管理には、塩素の使用を
極力抑えるためにオゾン滅菌システムと最新のオーバーフロー循環を採用している。
プールサイドは滑りにくいタイルと床暖房を採用し、安全面にも充分に配慮している。
2.トレーニングジム
183 ㎡のスペースに、約 20 種類 40 台のトレーニング機器を導入している。また、
全身持久力機器を主として、筋力、疲労回復用の機器も設置している。
3.ダンススタジオA(168 ㎡)
、スタジオB(188 ㎡)
フロアより心地よいサウンドバイブレーションを体感できるボディソニック床(ス
9
タジオA)を使用している。
4.ロッカールーム
サウナ室、個室のシャワー室及びパウダーコーナーを男女それぞれに完備している。
5.その他
宗像ユリックスの南ゾーンは、ゾーン全体を一周する約 1kmのジョギングコース
や 200m全天候型トラックを備えたサーキットトレーニングコースがある。また、夏
期限定レジャープールの「ゆ~ゆ~プール」、3on3 バスケットが行えるコートを付
設した 30,000 ㎡の芝生広場、運動会やサッカーなどが行える 8,000 ㎡の多目的広場、
人工芝の全 18 ホールがあるパットゴルフ場、遊具施設などがあるわんぱく広場がある。
6.ウエルネスクラブ
アクアドームには、
「治療より運動による健康づくり」
「身体に投資を」をモットー
に、会員制の健康づくりクラブ「ユリックス ウエ
ルネスクラブ」がある。
一般のフィットネスクラブのように感じられる
が、医学的、運動生理学的に裏付けされたクラブで、
行政と医師会、地域住民が三位一体となって取り組
んでいる全国でも数少ないクラブである。
地元の宗像医師会(循環器専門医)の協力を得て、
クラブ会員各個人のトレーニングプログラムを作成するために安静時健康診断(メデ
ィカルチェック)と運動負荷テスト(自転車エルゴメーター:漸増負荷方式)を実施
している。
《主な質疑》
問:ウエルネスクラブクの会員数は。
答:約 250 人である。
問:障がい者も受け入れているのか。
答:プールのプログラムで、水中ハビリというコースがあり、リハビリを終え、ドクターか
ら身体を動かすように指示があった障がい者を対象にしている。また、ペアペアチャレ
ンジというコースでは、知的障がい者を対象にしている。
問:年間の利用者数は。
答:プール、ジム、スタジオ等の利用で最大 21 万人を想定しているが、平成 24・23 年は年
間約 20 万人の利用があった。
問:健康維持のために必要な運動量は。
答:人それぞれだが、週 3 回程度で、120 分位の運動を基本にしている。
問:プログラムに関して、長く続けられるような指導はしているのか。
答:プログラムは 1 年サイクルとなっていて、負荷テストが入会時と半年後にあり、半年後
に体力面等がどのように変わったのかなどをチェックし、アドバイスをしながらモチベ
ーションをあげる取り組みをしている。
10
【委員所感】
(委員)
市民一人ひとりが健康で生きがいを持ち長生きできる暮らしを実現するためには、各種健診
率の向上や、健康意識の啓発が必要である事から、今年 6 月に健康づくり特別委員会が設置
され、健康づくりに関する先進地へ訪問いたしました。テーマは、
(1)健康マイレージ事業、
(2)健康づくり推進条例、(3)健康づくり推進計画等についてであります。
宗像市の取り組みについては、平成 17 年に健康むなかた 21 という健康づくりに関する基
本計画を策定し、自分の健康は自分で作り、守るという意識を市民に徹底するとともに、各
ライフステージや年代ごとに具体的な目標等を立て、また健康づくりは食からと、郷土料理
のレシピを作るなどして食育プランを策定し、健康づくりに取り組んでおり、住民検診率も
非常に高い地域であります。
だれもが健康で長生きができるよう、本人はもとより、市の担当職員の積極的な様々な行
動で、やる気があると感じました。是非、成田市にも今後取り組んでいけるよう、共に協議
して参りたいと思います。
(委員)
福岡県宗像市を視察した。宗像市は北九州日本海に面し、古くから、対馬を経て、朝鮮半
島からシルクロードを通り西アジアにと通じるルートにあった為、貴重な歴史的遺産が数多
くある。また、大都市福岡と北九州とに近接し、良好な住宅地も形成している人口 95,000
人の都市である。3 つの大学があり教育環境に恵まれており、宗像ユリックスを中心に市民
活動が盛んであり、特に、市民の健康づくりには早くから積極的に取り組んでいる。
「健康むなかた 21」は、平成 15 年に、
「宗像市健康づくり推進協議会」を設置し、市民ア
ンケートを元に、協議会を 9 回開催し、グループワークなど、市民の関わりにより平成 17
年 6 月に策定された。
「健康むなかた食育プラン」は、同協議会を 6 回開催し、平成 19 年 12 月に策定された。
「健康むなかた 21」健康づくりの基本となる計画である。平成 26 年度までの 10 ヶ年計画
で、基本方針は①「自分の健康は自分で守り、つくる」という意識の啓発、②「地域を主体
とした健康づくりの推進」であり、これに基づいて計画されている。
「健康むなかた食育プラン」は、平成 19 年度スタートで、平成 26 年度までの 8 ヶ年の食
事分野での行事計画で、国の食育基本法に基づく計画である。
それぞれの計画とも、中間点である平成 21 年に中間状況を検討し、今後の更なる推進を図
るため、計画の強化項目を追加し、計画の見直しを行った。
その取り組みは、年代(ライフステージ)ごとに、健康目標を目指す姿として、各期の課
題解決のために、市民、関係団体、行政それぞれの役割を示した。たいへんわかりやすく、
取り組みやすく、検診率 90%以上との事である。又、中間見直しでは、乳幼児期、学童期の
取り組みでは、父母だけでなく祖父母にまで、子供の健康と食生活を考えるよう訴え、外遊
びの推進などを加え、チラシ等を活用した広報活動により、積極的な推進を図った。又、心、
ストレス、生きがいに対する取り組みも追加し、心の健康に関する正しい知識の普及啓発に
11
努めた。
「食育プラン」では、郷土料理の普及、地産地消を特に盛り込んだ取り組みを追加した。
宗像の郷土料理を知ってもらい、さらに地場産の食材との組み合わせで普及する事により、
農産物直売所や小売店での販売促進につなげている。加えて、生産者との交流の場も持つこ
とができ、安全性も含めて、地場産物への関心を高める事に友好な方法となっている。
大変わかりやすい郷土料理のレシピ集が作成されており、それは昔から地域でなじんだ名
前の料理と、現代的に工夫された料理とで、一度は作ってみたいと思うような出来栄えであ
った。市民向けの健康づくりの出版物もさまざまなタイプでたくさん出され、その取り組み
は、たいへん積極的だと感じた。
次に視察した宗像ユリックスとは、図書館やプラネタリウム、さまざまなイベントやコン
サートのできる本館、テニスコート、芝生広場、サーキットトレーニングコース、パットゴ
ルフ場、わんぱく広場、屋外プール、そして、温水プールをはじめとするトレーニングジム
やダンススタジオのあるアクアドームなどが一ヶ所に集積された健康づくり施設である。
屋外のゆーゆープールは、夏季限定のレジャープールであるが、アクアドームは、特に中
高年がそれぞれに合ったトレーニングのできるジムと、水中エクササイズを中心とした健康
づくりが目的の温水プールとなっている。当日も多くの中高年の方々が、プールでスイミン
グのレッスンを受けたり、水中ウォーキングに励んだりしていた。
このアクアドームは、市が出資し、公益財団法人宗像ユリックスに委託し、運営されてい
る。特に、水質管理には留意されており、オーバーフロー循環と塩素の使用をできるだけ抑
えるため、オゾン殺菌システムを採用していると説明を受けた。実際プールの透明度はたい
へん良かった。
自分の健康は自分でつくるをモットーとした「健康増進施設」として、その役割を十分果
たしていると感じた。健康先進市としての宗像市の取組みは学ぶべき点がたいへん多く、他
にも時間をかけて見てみたい施設が数多くあった。
(3)福岡県糸島市 8 月 1 日(木)
【健康づくり推進条例、健康増進計画「健康いとしま 21」について】
糸島市は、健康づくり推進条例を平成 23 年 12 月に制定した。そして、この条例の規定に
基づき、糸島市の健康増進計画「健康いとしま 21」を策定し、この計画に沿って糸島市民の
健康づくりに取り組んでいる。
《糸島市健康づくり推進条例》
○目的:健康づくりに関する基本理念並びに市民、事業者、行政区等、関係団体及び市の
責務等を定めることにより、市民の健康の維持及び増進を図り、もって市民の福祉向上
に寄与することを目的としている。
○基本理念:市民の健康は市民自らが守ることを基本とし、市民、事業者、行政区等、関
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係団体及び市がそれぞれの責務を十分に認識したうえで、一体となって市民の健康づく
りを進める。
○市民の責務:市民は、自らの健康を守るため、健康に関する知識及び技術を身に付ける
とともに、定期的な健康診査の受診、必要な生活習慣の改善に努めなければならない。
また、身に付けた知識及び技術を他の市民の健康づくりにも広く生かすよう努める。
○事業者、行政区等、関係団体の責務:事業者は、従業員の健康づくりに、行政区等は、
当該地域の住民の健康づくりに、関係団体は活動の充実と団体間の連携に努めなければ
ならない。また、事業者、行政区等、関係団体は、市の健康づくりに関する施策及び事
業の推進に積極的に協力する。
○市の責務:市は、市民の健康に関する現状、要望等を調査及び分析し、健康づくりの基
本方針及び施策を明らかにしなければならない。また、市民、事業者、行政区等及び関
係団体に対し、健康づくりに関する情報を提供し、健康づくりの意識の向上、健康づく
りを推進するために必要な支援及び環境の整備に努めなければならない。
○健康増進計画:市長は、健康増進法第 8 条第 2 項に規定する市町村健康増進計画を定め、
市民の健康づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進しなければならない。
○国等との連携:市は、健康づくりを推進するために、国、県、他の市町村等と連携を図
るよう努める。
《健康増進計画「健康いとしま 21」》
○計画の位置づけ:
「健康いとしま 21」は、健康増進法第 8 条第 2 項に規定された市町村
健康増進計画で、糸島市健康づくり推進条例第 9 条第 1 項に規定する「施策等を総合的
かつ効率的に進めるための基本的な計画 (健康増進計画) 」である。
策定に当たっては、平成 23 年 3 月に策定された「第 1 次糸島市長期総合計画」にお
ける「基本目標 1
みんなが健康で元気なまちづくり」を基本とし、「糸島市高齢者保
健福祉計画」 や「糸島市特定健診等実施計画」 などと調和・整合を図っている。
○計画推進のための組織:市では、組織の横断的な連携・協力はもちろんのこと、市民代
表、健康づくり関係団体代表、学識経験者などで構成する「健康いとしま 21 推進委員会」
を活用し、効果的かつ効率的に計画を実施する。
○医療の現状:高齢化率の上昇に伴い、医療給付を受ける人が増えるため、全国的に総医
療費は増大する見込みである。糸島市の 1 人当たり後期高齢者医療費は、全国一高い福
岡県とほぼ同じレベルで推移していて、全国平均との格差は数年間広がり続けている。
糸島市においては、今後 10 年間で急速に高齢化が進むことが予測されており、1 人当
たり後期高齢者医療費が全国平均より高い現状から、急速に総医療費が増大すると考え
られる。
後期高齢者医療費の増大は、入院による医療費が大きな原因となっており、現在の入
院医療費の上位 33 疾病は、脳梗塞、血管性及び詳細不明認知症、肺炎で、特に、脳梗塞
は、要介護認定に至る原因疾患の第 1 位にもなっている。
○健康に関する課題:糸島市の現状を踏まえ、今後 10 年間で急速に少子高齢化が進むこと
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が予測される中、全世代を通じた健康に関する主な課題は 8 点あり、特に次の 2 点が大
きな課題である。
・特定健康診査の受診結果が「病院受診が必要な状態」と判定される人が多いことから、
治療が必要な状態になって健康診査を受診していることが分かる。そのため、市民の
健康管理に関する意識を高め、生活改善を図ることが必要である。
・医療、介護、福祉に関する状況を見ると、脳血管疾患に代表される生活習慣病の重症
化や合併症による事例が多いことから、それらが後期高齢者医療費や介護給付費を押
し上げているため、脳血管疾患をいかに予防するかが大きな課題である。
○基本方針と基本施策
1.基本方針(目標)
「健康寿命」を延ばし、いきいき元気な健康市民を増やす。
2.基本理念
市民の健康は、市民自らが守ることを基本とし、市民、事業者、行政区等、関係団
体及び市がそれぞれの責務を十分に認識したうえで、一体となって健康づくりを進め
る。
3.基本施策
・施策 1:市民の健康管理を支援する。
・施策 2:市民参加型の健康づくり事業を推進する。
・施策 3:食を通した健康づくりを推進する。
・施策 4:健康・生きがい・仲間づくりを支援する。
・施策 5:健康づくりの拠点施設を有効活用する。
・施策 6:救急医療を充実させる。
4.すべての施策を通した重点施策
「生涯にわたる生活習慣病予防・重症化予防を推進する」
現在、すべての世代に共通する健康課題は、生活習慣病である。若年層の生活習
慣の乱れは、生活習慣病予備群となり、40 歳代から表面化し、60 歳以降に重症化に
陥り、健康寿命が短縮するという構図なっている。
そのため、6 つの基本施策に取り組み、生涯にわたる生活習慣病予防・重症化予
防に重点を置き、取り組みを展開していく。
○糸島市の健康課題からの事業化例
1.生活習慣病重症化予防対策として
・心電図検査対象者拡充
・心電図検査結果、健診時の問診内容を活用した重症化予防のための保健指導の実施
2.生活習慣病予防対策として
・働く世代からの健康づくりの推進を目的とした福岡市との連携による「めじゃ~リ
ーグ事業」
個人戦と団体戦があり、専用の歩数計を使い、ウェブ上で自分の記録やランキング
を確認したり、チーム糸島として他の市町村チームと対戦する。
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《主な質疑》
問:めじゃ~リーグ事業は、どこから発案されたのか。
答:福岡市と糸島市との連携事業から始まり、福岡市と糸島市で競い合うこととなった。
問:健康いとしま 21 推進委員会の機能は。また、市民公募委員の任期は。
答:年 3 回委員会を開催し、委員から活動報告や、市の事業とその成果を報告し、年度末に
は、年度の取りまとめを行い、次年度の変更点について話し合っている。また、市民公
募委員の任期は、他の委員と同じく 2 年である。
問:健康づくりアンケートは委託で行ったのか。
答:委託ではなく自前でアンケート調査を行い、また、質問についても自前で考えた。
問:特定健診の受診率の低さが問題であったとのことだが、健診の受診場所は。
答:公民館等で健診を行っても受診率は上がらなかったため、漁協や小さい行政区でも健診
を受けられるようにし、個別健診を勧め、健診未受診者には個別訪問し健診受診を勧め
た。また受診料金を無料にしたことにより、個別健診者が 2.5 倍に増加した。
【委員所感】
(委員)
糸島市の健康づくり事業の柱となるのは、健康増進計画である「健康糸島 21」と「糸島
市健康づくり推進条例」である。
糸島市健康増進計画は、
「健康増進法」が施行され、一次予防を重視した施策、事業の推
進がはじまり、それに基づいての計画である。健康に関する課題としては、1、糸島市の国
民健康保険被保険者は、60 才以上が 40%を占めており、少子高齢化が進む中で、高齢者を
支える世代の減少は、国民健康保険運営に大きな影響を与えている。適正な保険運営のため
に 60 歳代の健康を維持する取り組みが必要である。2、高齢者の社会的孤や孤独感、ストレ
ス、認知症などが社会問題となっており、そのため生涯
にわたる生きがいづくりや、地域でともに支えあう仕組
みを作るとともに、拠点施設や地域の既存施設を充分に
活用することが必要である。3、特定健康診査の受診結
果が「病院受診が必要な状態」と判定される人が多いこ
とから、治療が必要な状態になって受診していることが
分かる。そのため、市民の健康管理に関する意識を高め、
生活改善を図ることが必要である。4、医療、介護、福祉に関する状況を見ると、脳血管疾
患に代表される生活習慣病の重症化や合併症による事例が多いことから、脳血管疾患をいか
に予防するかが大きな課題である。5、救急医療体制を、充実させることは、市民の命を守
る重要課題である。特に心臓や脳血管疾患による急患は、初期対応が重要となる。救急救命
に関する市民の知識や技術の向上、救急医療に対する啓発、体制整備が必要である。6、食
に関する価値観の変化は、食生活に大きな影響を与え、生活習慣病増大の要因になっている。
そのため、市民が食生活を見直し、生活の中で実践しながら健康につなげる取り組みを展開
していくことが必要である。
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それらをふまえてこの計画の基本方針は、
「健康寿命」を延ばし、いきいき元気な健康市
民を増やす。そのための基本施策は、1市民の健康管理を支援する。2、市民参加型の健康
づくり事業を推進する。3、食を通した健康づくりを推進する。4、健康・生きがい・仲間づ
くりを支援する。5、健康づくりの拠点施設を有効活用する。6、救急医療を充実させる。と
している。実施している特徴ある事業としては、歩数計を使い、歩いた歩数を、個人戦や他
の市町村と競う「めじゃーリーグ糸島」や、モデル地区を指定し、検診の受診率を上げるな
ど地域の特性をとらえた「モデル地区健康づくり事業」などがある。
(委員)
糸島市は 2010 年の合併により健康づくりが新市の重点目標に定められ、翌 11 年を健康づ
くり元年として「健康いとしま 21」を策定、同 12 年に条例が施行されてセカンドステージ
に入ったという。
条例の特徴としては、市長に健康づくりの計画策定を義務付け(条例 9 条)、国・県にと
どまらず、他の市町村との連携に努める(同 10 条)などがあり、理念にとどまらない意気
込みが感じられる。
「健康いとしま 21」は、市内の各種団体代表や公募市民、市・県職員、学識経験者から
なる健康いとしま 21 推進委員会によって策定されたものである。策定にあたりこの種の作
業をコンサルまかせにしなかったことに敬服した。職員自らの手で市民健康診断から得られ
た各種データを分析して現状と課題を抽出したことは、地域の特性をふまえた実効性のある
施策につながっていると思う。
例えば自前のデータ分析から生活習慣病とその重症化予防を重点施策と定めたこと、それ
が医療費抑制にもつながることもデータ示して説得力がある。また、地域の健康課題にそっ
た小学校区単位の地域密着型健康づくりのモデル事業も始まっている。
各種事業の中でも、ユニークなのはイベントに参加できない勤労者を対象に始まったとい
う福岡市との歩数競争(めじゃ~リーグ糸島)がある。さらに、健康づくりは歩くことから
と、
「駅まで歩こう、駅から歩こう」運動や、市内 11 コースの健康ウォーキングマップで積
極的な啓発を行っている。
健康寿命を延ばすためには市民一人ひとりが日頃の健康管理・健康づくり・そして定期的
な健康診断が基本。特に健康診断の受診率向上への努力はいずこも同じだが、糸島市は顕著。
担当課を訪れたら職員みんなが「受けちゃんしゃい健診!」のポロシャツを着ていた。のぼ
り旗もある。職員があらゆる機会をとらえて市民に見えるように健診をアピールしていると
いう。取り組みの熱意を感じた。
(4) 委員長所感
健康づくり特別委員会では、大分県由布市、福岡県宗像市、福岡県糸島市の3地区へ、健
康づくりの取り組みについての視察に行ってきました。
まず、由布市では、温泉の温水を活用した水中ウォーキングに取り組んでいて、高齢者の
健康づくりに成果を上げていました。水中ウォーキングの効果は国保会計にも顕著に表れて
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いて、医療費の歳出が軽減されているとのことでした。また、健康マイレージという活動も
今年からスタートさせていて、市内の 20 歳以上の方を対象に、各種の事業や健康講座の受講、
特定健診の受診などにポイントをつけて、1 万ポイントごとに 1 万円相当の商品券が当たる
抽選の権利を付与している事業です。目標は検診をすることによって、自らの健康チェック
を行い、自身が健康管理すること。そのため、健診を勧める電話をしたり、訪問したりと事
細かに行っているようです。
次に、宗像市を訪れ、健康むなかた 21 と健康むなかた食育プランについて伺いました。宗
像市ではウォーキングマップを 4 種類作成し、運動の勧めを行い市民の健康づくりを進めて
いるようです。宗像市は特定健診の受診率が比較的高い方にありました。これについても担
当者が対象者の細かい情報把握をし、受診を勧めていることも効果を上げている理由のよう
でした。
最後の糸島市では、健康づくり推進条例の制定について伺ってきました。糸島市健康づく
り推進条例は、平成 23 年 12 月に制定されています。条例の基本理念は、市民の健康は市民
自らが守ること基本としていて、市内のあらゆる関係者・団体も一緒になって健康づくりに
取り組むとしています。全般にわたって感じたことは、市では国保の保険者である一面で、
国保加入者に対する事業展開が主になっていること。一般市民すべてにわたって健康づくり
に関心を持ってもらうには、特定健診から自主的な健康メディカルチェックを受けることの
大事さを啓蒙することであり、合わせて運動習慣をつけることと、健康に良いバランスのと
れた食育を進めて行くことであると強く感じました。
健康づくり特別委員長
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平良 清忠
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