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インターネットコラボレーションによる製品設計の実践教育

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インターネットコラボレーションによる製品設計の実践教育
平成17年度 全国大学IT活用教育方法研究発表会 C-7
インターネットコラボレーションによる製品設計の実践教育
発表者・所属:坂本東男、高知工科大学
連絡先:〒782-8502 高知県土佐山田町宮の口 185
TEL:0887-57-2317、FAX:0887-57-2320
Email: [email protected]
1.
緒言
本報告内容の目的は web ベースで画像、映像、音
声のマルチメディアを用いた交信で、製品開発を促進
するツールを構築することとその教育である。企業お
よび学校での教育に利用する教材を提供できることを
念頭に置いている。内容としては大容量 3D モデルの圧
縮技術(XVL)1)、コラボレーションソフト(三井造船シ
ステムズ(株)の協力)などを使って大学、官庁関連
及び企業(企業間、メーカーとユーザ間)での技術者
が共同(collaborate)で製品開発を遠隔同士で実施す
ることが可能となる基礎を築くことである。これによ
り、全国の IT 利用設計技術者による製品開発のツール
確立および普及教育の先駆けとなることを期待した
い。
2.過去の製品開発と設計教育の例
報告者は 25 年間の企業勤務で多くの製品開発に参
加した。最後の8年間は設計の管理者であり、最後の
製品は浮上式鉄道車両用台車および、ブレーキ装置の
開発であった。1997 年に高知工科大学が開設されると
共に工学教育に参加することとなった。製品設計と工
学教育を結びつけるものとして、1998 年度より高知県
の企業とローカルクリーンエネルギーの研究を開始し
た。企業時代に開発したトラックバス用の渦電流ブレ
ーキ装置の技術が適用出来ると考え、希土類永久磁石
をつかって、コイル内に鉄心のない発電機 2)を開発し
た。設計は高知の企業と研究室の学生が共同で実施し
た。共同の内容は、図1左の真ん中にあるコイル部分
と車軸(これらがステーター)を企業が担当し、残り
のハウジング、バックヨーク、磁石(これらがロータ
ー)を学生が担当した。設計相談は画像を電子メール
に添付する方法で実施したが、4MB 容量のハウジング
図2 特定サーバーによる発電機ハウジング
応力解析の企業との IT コラボレーション相談
図3 設計講義の手巻きウインチ
3D-CAD アセンブリ(37 部品)
も含め伝送することが出来た。企業では画像を開き、
コメントや修正点をネットで送って進めた。さらに図
2に示す CAE の学習としてハウジングに加わる電磁力
による応力を解析した。解析には ProEngineer に付随
されて ProMechanica のソフトを使用している。
また、3 年生の前期には設計の講義を担当してい
る。図3は ProEngineer で描いた手巻きウインチ3)の
3D-CAD アッセンブリ図である。37 部品の図が必要で学
生は講義時間の平均約2倍の時間を要求される。
図1 発電機の 3D-CAD(左)と発機を
使用したハイブリッド街路灯(右)
社団法人 私立大学情報教育協会
3.インターネットコラボレーションによる製品設計
教育事例
我々の学科では 2001 年度より文部科学省のハイ
テクリサーチ研究の一環として、マルチメディアイン
ターネット設計製造の研究を実施している。また 2003
年度には経済産業省/三菱総合研究所から委託を受け、
MOT 事業(インターネット製品開発教育プログラム)
を実施した。その中で設計の関係者がインターネット
で共同(コラボレーション)あるいは連携により設計
や開発を進める事ができるソフトを開発した。図4の
は発電機の例であり、更なる効率向上が期待されてい
る。このため、学生同士が共同で設計因子を変え、よ
り効率の高い設計を目標に設計を実施している。
図 5,6 の例は 2004 年度に実施した3輪電動アシス
ト自転車の例である。高齢者対応で高知のような地方
地域でも使用出来る乗り物として前2輪の電動アシス
ト自転車を開発中である。高知県より補助金を戴き、
高知県の企業とともに学生3名が担当した。設計、解
析、制御をそれぞれで担当して、コラボレーションソ
フトも使用して共同で進めた。
り、そこと共同で実施している。GPS やカメラを搭載
するため、胴体の設計が必要であり、コラボレーショ
ンソフトを利用して遠隔地同士で設計を進めている。
4.今後の教育予定と課題
以上、設計教育に関連した過去の事例と最近の内
容を報告した。ハイテクリサーチでは製造も研究範囲
であり、今後はインターネットコラボレーションによ
る製品製造の事例研究と実践を行っていきたい。図7
は未だ途中であるが、プロペラーの型製作を狙った設
計製造である。今後は 3D-CAD を CAM に落とし、製
造を遠隔で実施する予定である。
またコラボレーションソフトを用いて、ウインチ
の 3D-CAD、アセンブリを講義室内で演習が出来るこ
とも検討したい。現在のコラボレーションソフトでは
5ステーションを同時に使用できるので研究室での検
討など少人数教育では対応が可能である。しかしなが
ら、現在の設計講義では 100 名程度が参加しており、
このような場合には実施方法の検討が必要である。
図4発電機の IT コラボレーション設計(学生間)
図7IT プロペラーのコラボレーション製造の準備
図5
3輪電動アシスト自転車の後輪部分の IT コラ
ボレーション設計例(学生と企業)
図8
ウインチ設計の IT コラボレーション教育
結言および文献:略
謝辞:経済産業省/三菱総合研究所、文部科学省、他お
世話になった企業に篤くお礼を申しあげたい。
図6 設計製造された3輪電動アシスト自転車
他の例では同じく 2004 年度より災害情報システ
ム用模型飛行機の設計製造がある。高知県で全国ラジ
コン模型協会の会長がモデルショップを経営されてお
社団法人 私立大学情報教育協会
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