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遠征報告書

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遠征報告書
シニアマスターズ韓国親善試合報告書
2013年9月22日
本事業は文部科学省の国庫補助事業の対象である日韓スポーツ交流事業・地域交流推進事
業の一部としてとして大阪体育協会、大阪ホッケー協会のご支援のもとに実施された。本
事業は都市間交流という趣旨もふくまれるので大阪を中心とするマスターズ年齢の選手を
対象としてチーム編成を行った。
日
時
2013年9月14日(土)-16日(月)
試合会場
韓国京畿道城南市城南ホッケー場
参加メンバー
別表の通り
対戦相手
韓国シニアマスターズ(50歳―59歳)選抜チーム
試合結果
選手18名
役員1名
第1試合
9月14日
日本3-3韓国
第2試合
9月15日
日本2-2韓国
合計19名
第2試合終了後ペナルテイシュートアウト戦が行われ日本が2-0で
勝利した。その結果日本が今回の交流戦シリーズの勝者となった。
なお試合経過の詳細報告は別紙の通り。
また15日試合終了後日韓ミックスチーム(女性選手も参加)同士による親睦試
合が行われた。
試合終了後親善パーテイが行われ親睦を深めることができた。席上韓国選手団長の
Baek
Jong-Soo韓国社会人・ジュニアホッケー協会長の挨拶の中で「現在日
韓には種々の政治的問題があるがわれわれスポーツマンはそれに捉われることなく相互
に親睦を重ねてゆきたい」といわれたことは印象的であった。
次回の親善試合は来春桜の季節に日本で行うことが韓国側より提案され日本として原則
受け入れを表明した。
チーム編成の経過
本年5月初めに本事業の実施が下村JGMA会長のご尽力により日本側で本決まりとなり、
開催時期9月中旬、開催場所ソウルとして韓国側の受け入れ意向打診作業に入った。
これと並行して参加希望者の募集が始まったが本件は都市間交流の趣旨もあるので関西
ホッケー交流会の50歳以上のメンバーを中心としてチーム編成することとなった。その
結果選手18名、役員1名が決定しチーム強化作業に入ることになった。
チーム編成
7月6日チームとして第1回の練習会をおこなった。
練習試合に先立ちミーテイングを行い監督より以下の基本戦術を発表した。
① 基本Formationを前から3-3-3-1-1とする。
② 前からFWユニット(定員3人)、HFユニット(3人)、BKユニット(4人)、GK(1人)
とし各員をユニットに配分する。
③ 試合中の選手交代は原則としてユニット内で行い、ユニットをまたぐ交代は極力おこな
わない。
④ フィールドを4つに区分しFWユニットは第1、第2ゾーン、HFユニットは第2、第
3ゾーン、BKユニットは第3、第4ゾーンを最低責任ゾーンとして責任を持ってカバ
ーする。
⑤ チーム全体として「連動」を基本コンセプトとする。ユニット内、ユニット間でつねに
連繋、連動することを最重視する。その為具体的にどのように動くべきか、選手同士で
話し合いすることを重視する。チーム全体としての連動の中心はCHでありべきでCH
の位置を他の選手は常に意識して位置取りをすべきである。CHは常にチームの中心で
あることを意識して自分の位置を考えるべきであり。
それ以降8月18日(合同練習)、8月25日、9月1日、9月8日と合計5回練習と試合
を行い、またミーテイングを行い戦術の徹底を図った。その結果当初と比較し急速にチー
ムとしての熟成度が上がってきた。ただ練習試合で大学女子、GMチームを相手にして勝
ち続けることができたが韓国を相手にした場合スピード、スタミナ面でどこまで通用する
のか不安があった。9月8日には社会人若手・阪大混成チームを相手に試合をした結果、
スピードの面では十分対抗できることが分かったがスタミナ面では不安が残った。最初の
うちは互角ないしそれ以上であったが時間の経過とともに接点での競り負けが見られ始め
た。
一方戦術面では急速に進歩を示し連動の意識がミーテイングと選手相互間の話し合いを通
じチーム全体に浸透し始めたが、一方ユニット間の連携は依然不十分で、特にBKからH
Fへのボールのつながりが順調でないという懸念が残った。
日韓チームの長所と短所――今後のチーム力向上に向けて
2試合とも前半(第1、第2QTR)は日本が先行し、後半(第3、第4QTR)韓国が追い
上げるという展開で2試合とも引き分けに終わった。この経過は決して偶然ではなく理由
があってのことと思われる。
立ち上がりの時間帯では日本チームの動きは実にスムーズでありボールは面白いように回
ってサークルに迫ってくる。そこからきれいなフィールドゴール、PCからのゴールが決
まり2試合で前半の得点4点を挙げた。後半は1点で合計5点だがそれも第3QTR開始
早々に得点したもの。
一方失点は前半2点、後半3点、合計5点。2試合を合計すると前半は日本の4-2、後
半は1-3である。
試合経過としては得点経過以上に前半の優位、後半の守勢という印象が強い。
この後半のスタミナ切れ現象の原因として考えられることとその対策を考えてみたい。
① 平均年齢
今回50歳以上のチームの対戦であるが日本チームの総平均は約54歳で下限の50
歳を4歳以上上回っていた。韓国チームは最後まで年齢を公表しなかったが話の過程で
「40代もいるが極力50代を使うようにする」と発言していたのでアンダーエイジは
数名入っていた模様。親善試合の性質上追及はできないが日本がかなり平均年齢で上回
っていたようである。このことと日本チームのスタミナ切れとどの程度関連があるのか
一概にはいえないが国際試合で競合チームは常に年齢ゾーンの下限の選手が多いこと
は事実でこの面で不利を避けるためにはゾーン下限の選手編成に務めるほかない。
なおマスターズ国際大会では40歳以上、45歳以上、50歳以上、55歳以上の4カ
テゴリーがある。
② 交代ポリシー
選手交替は予め立てた方針に従い原則QTRごとに交代する方針を立てた。
これはQTR途中の交代がスムーズにいくか不安があったこと、出来るだけ平等な出場
時間の確保という要素を考慮したものであった。
しかしながら選手によってスタミナの消耗は必ずしも平均ではなく、むしろ10分程度
の交代の方が結果がよいということもあった。このような各員の持久力について事前の
把握が十分であったとは言い難く、試行錯誤的な面もあった。このことが結果的に後半
の持久力低下、ひいてはチーム力の低下につながったことは否めない。今後ベンチとし
て個人の能力の正確な把握、それを考慮した交代ポリシーの確立が必要である。ただし
これはチームごとに異なり、画一的なポリシーは通用しない。編成チームごとに最適交
代ポリシーを樹立することが必要であろう。
③ 基本戦術観の問題
事前に予測したことだがやはり日本の試合運びは縦中心の早い試合運びが特徴である。
BK,HFからどんどん縦にボールを繋いでゆき相手デフェンスが戻りきれないうちに
サイドからのセンタリング、HFからの縦パスで得点していった。ところが問題はこの
ような早い攻めは時間とともに消耗が激しくなり、勢いを失ってゆくことである。これ
に対し韓国はサイドにボールを散らしつつ最後はHFに戻しそこから縦パスを入れる、
中盤は速攻よりも確実なボールつなぎで徐々に攻め上がることを原則にしているよう
である。このやり方は比較的消耗を防ぎやすく、時間が経過するにつれ日本とのスタミ
ナの差が目立ち始めた。これは勿論適切な交代ポリシーである程度防げるが総合的には
後半どうしても持久力の差が出てくることが防ぎきれない。
こういう差が出始めると現象的には日本の守りのボールが前につながらずボールを拾
っては縦パスを入れるという単純だが効果的な攻めを続けられ、ついに耐え切れず失点
するという現象になって表れてきた。
このことは必ずしも韓国に限らず外国の強チームは同じような戦術をとっているはず
である。特に強チームはそのような遅攻と一瞬の隙を突く縦パスからの速攻をまじえて
くることで、スタミナを消耗した状態ではそれへの対応は一層難しくなる。韓国は速攻
をあまり仕掛けなかった。これは日本のFWマークが確りしていたという面もあるがも
し快足のウィングを配し効果的な速攻をまじえてくると一層防禦は難しくなる。
対策として考えられることは、
a)早目に交代ポリシー、特にHFユニット、を行いHFの消耗を防ぐ。
b)中盤をゆっくり攻め上がる遅効を交え消耗を防ぐ。
c)Wingに出したボールは全てを速攻に掛けず一旦HFに折り返しサークルトップ
からキラーパスを出すパスコースを意図して設定する。
などの戦術があり、どの戦術を採用するかは指揮官の方針、選手の能力などを考慮し
決定することだがこれらの戦術を時期に応じ複数採用することも考えうる。いずれに
せよ指揮官とプレーヤーがよく意思疎通して戦術思想を徹底することが重要である。
④ 技術上の問題
韓国の犯したPCは2試合を通じ3回に過ぎない。このうち日本は3回すべてを得点に
結びつけたがこれは韓国の基礎技術の優秀さと共に日本のSC得点能力の高さを同時
に証明していると言えるだろう。
日本の攻撃力の優秀さはヒッター高森の技術の高さを証明するもので、それはGKとポ
ストの間ぎりぎりの間隔を狙い打ち出来る技術である。一般的にPCから得点するには
ヒッターがDragging
Flickする、強烈なヒットでGKを無力化するなど
の技術のほか、サインプレーで左右にボールを散らしsecond
hitterに打
たせる、ポストの外ぎりぎりに打ってタッチさせる、などのサインプレーが必要である。
一般的にGKは正面から来るボールには強いものでほとんどは跳ね返される。従ってサ
ークルトップからのヒットで得点するにはGKの足が届かない両サイドぎりぎりに打
ち込む技術が必要である。今回は幸い高森という優秀なシューターがいたので2試合で
PCから同じパターンで2点をとることができた。これを見るとPCからの得点は強打
よりもコースであることを痛感した次第である。特に韓国のGKが88オリンピックに
も出場した大柄なプレーヤでシュートを防ぎまくっていただけにこのことを痛感する。
PCの少なさは反面韓国デフェンス陣のトラッピングのうまさ、ボールを容易にキック
しないテクニックの優秀さを示すものでもある。
このことは日本とはっきりした差がある。これは若い時からの基礎訓練の差かもしれな
いが日本のプレーヤーは今からでもこの基礎技術を再度磨きなおすことが必要であ
り、また可能でもあると思う。近距離から強パスを出しキックすることなく確実にスト
ップするという基礎練習を反復して行えば若い時代持っていた基礎技術、反射神経は容
易に回復すると信じる。兎に角サークル内で容易にキックし相手にPCを与えるよう
では強国相手に勝つことはほとんど不可能である。
またサークル内に限らずトラッピング技術は韓国の方が上のようで、日本としても基本
に立ち戻り考えるべき問題点である。後半の失点のきっかけはいずれもちょっとしたパ
スやトラップミスから始まったもので韓国のきれいなパス回しからどうにもならない
形で失点したとは言い難い。韓国はむしろ日本のミスを狙ってサークル内に打ち込んで
きたという印象が強い。いかにこの縦パスをフリーにいれさせないか、これが次の課題
である。
なお第1試合でPCから2点失点したがいずれもサークルトップから左右に振られた
ボールをフリーに強打され失点したもの。試合後の討論で左右を固めるデフェンダーが
下がり過ぎで左右に振られたボールに対し有効なタックルができていないことが田村
から指摘されすぐ修正が入った。その結果第2試合ではそのような欠陥がなくなった。
このことは戦術上の合意がいかに重要であるかを示すものである。
以上
附
派遣団団長兼チーム監督
派遣選手名簿
試合経過報告
会計報告
浜中謙治
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