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海外における 建設業の安全衛生管理

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海外における 建設業の安全衛生管理
海外におけ
海外における
建設業の安全衛生管
建設業の安全衛生管理
ベ ト ナ ム
シンガポール
インドネシア
建設業労働災害防止協会
はじめに
我が国の建設業界は、近年、国内の建設投資の縮小傾向が続く中、製造業関係の生
産拠点が日本国内から海外に変換される傾向が強まり、急激なグローバル化が進み、
海外での工事施工が増加してきているところである。
これに伴い、海外進出を図る企業も多く、海外において事業活動を円滑に遂行する
ためには、労働災害の防止対策の徹底を図ることはもとより、万一労働災害が発生し
た場合には適切な対応を行うことも重要なことである。
当協会では、
「建設業における労働災害防止活動を一層推進するための特別委員会
(推進特別委員会)」において、調査研究のテーマの一つとして「海外における安全衛
生管理」が取り上げられ、平成22年度から取り組みを始め、平成23年は約30ヵ国の労
働安全衛生等に関する情報を取りまとめたところである。
一方、海外進出を図る会員企業から、諸外国における安全衛生管理体制、元請と下
請の責任範囲、労災補償対応、安全経費の負担区分等の労働・安全情報等を入手した
いなどの要望も寄せられようになった。
このような状況から、「海外における安全衛生管理等に関する調査研究」として、
建設労務安全研究会の協力を得て、今後、海外進出が多くなる可能性の高い地域・国
に絞り込み、優先順位の高い数ヶ国について、さらに詳細な情報収集を行い、その結
果を取りまとめたところである。
本冊子が海外において事業展開をするにあたり、活用されることを期待する次第で
ある。
平成25年5月
建設業労働災害防止協会
ベ ト ナ ム
1.国の概要
1) 一般事情
1 正式な国名
ベトナム社会主義共和国
2 面積および人口
① 面積…331,
689平方キロメートル(日本の0.
88倍)
② 人口…8,
784万人(2011年、出所:ベトナム統計総局)
3 首都およびその緯度・経度
首都:ハノイ 緯度:21.
01 経度:105.
50
4 年間の気象・最高気温・最低気温
① 最高気温:33度 最低気温:14度
② 年間の気象:南部 熱帯性気候(サバナ気候)、
北部 温帯性気候(温暖冬季少雨気候)
5 宗教および言語
① 宗教…仏教(約80%)その他カトリック、カオダイ教、ホアアオ教等
② 言語…ベトナム語(公用語)ほかに少数民族語
6 通貨
ドン
7 労働者数(全産業・建設業)
① 全産業:47,
744千人 ② 建設:2,
693千人(約5.
6%)
③ 農林水産業:24,
789(約52%) (2009年のデータ)
8 GDP
① 名目GDP:1,
236億米ドル〔2011年〕
② 一人当たり名目GDP:1,
374米ドル〔2011年〕
③ 実質GDP成長率:5.
9%〔2011年〕
9 財政状況
財政収支のGDP比:▲6.
2%(2010年度)
⑽ 投資状況
① 外国からの投資実績(認可額):147億米ドル(2011年)
011年 越外国投資庁)
② 日本からの直接投資(認可額):24.
4億米ドル(2
③ 日本企業の投資件数:114件、投資額:20.
4億米ドル(2010年)
進出企業数:940社
⑾ インフラの整備状況(電力、通信、道路、鉄道、港湾)
① アジア各国のインフラ整備状況をみると、ベトナムは遅れている。
-1-
② 電力及び道路等のインフラ整備率が低い。
ⅰ 一人当たり発電量517kwh/人(シンガポールは7,
697kwh/人)
ⅱ 道路舗装率58%(シンガポールは100%)
(*2010年上半期 世界経済報告より)
⑿ 日本の援助(ODA)の状況
① 1992年11月以降経済協力再開。日本はベトナムにとって最大の援助国。
② 2010年度の日本の援助実績
ⅰ 円 借 款:865.
68億円 ⅱ 無償資金協力:35.
46億円
ⅲ 技術協力:71.
52億円
③ 2012年度の無償資金協力:第二次中部地方橋梁改修計画(3/3期)7.
49億円
⒀ 在日大使館の所在地、電話番号およびWebアドレス
〒151-0062 東京都渋谷区元代々木町50-11
℡ 03-3466-3311,03-3466-3313
特命全権大使 ドアン・スアン・フン閣下
2.安全衛生の行政組織
1)日本の厚生労働省・労働基準監督署に相当する行政組織
1 組織名・組織図等 ……………………………………………………… 別添資料№1及び№2
① 労働傷病兵社会省(MOLI
SA)
② 保健省(MOH)
③ 科学技術環境省(MOSTE)
④ ベトナム労働総連合(VGCL)
⑤ 建設省(MOC)
2 組織の概要
① 労働傷病兵社会省(MOLI
SA)
労働行政全般を担当、安全監督を含む安全にかかる政策、一般労働監督、労働災害調査・
安全装置の性能証明・災害統計の取りまとめ、クレーン・リフト・ボイラー等の特定機械に
関する安全検査等を担当
② 保健省(MOH)
労働衛生の監督及び衛生にかかる政策、労働災害等による障害の程度の判定、職業性疾病
統計の取りまとめ等を担当
③ 科学技術環境省(MOSTE)
労働安全衛生にかかる技術基準(国家基準等)の制定
④ ベトナム労働総連合(VGCL)
労働安全衛生の政策面での各省庁との連携・関与、技術基準の制定への技術的協力、労働
安全衛生分野の研究及び工学的対策の開発・推進、労働安全衛生教育・啓発活動の推進
⑤ 建設省(MOC)
「技術的安全」及び「労働安全衛生並びに技術的安全の双方を含む建設工事全般に共通す
る品質管理・安全管理」を所管する行政機関
中でも、建設品質検査局(SBCQI
)が建設工事の品質管理・安全管理を担当
-2-
2)行政による作業所への臨検
1 臨検の概要
① 労働法第1
6章「国による労働検査、労働法違反の行政処分」の中で、労働監督官の任務、
権限等を定めている。
② 臨検内容等記述した文書で事前に通知して実施する。
③ 労働者の福利厚生、安全衛生管理体制、各種保険金の支払い状況、賃金の適正な支払い状
況などで検査を受けたことがある。
2 臨検の実施者
労働傷病兵社会省(MOLI
SA)の地方機関(DOLI
SA)が実施。
3 指摘事項への対応(措置報告・過料の程度等)
臨検での主要な確認項目は、①現場における安全状況の確認、②建機の免許/証明書等の確
認、③有資格安全担当者の現場配置の有無の確認等。臨検後は、文書により指示があれば是正
する。違反があれば工事停止命令あるいは過料が科せられる。労働法違反行為の処分について
は、「労働法第1
6章」及び「労働衛生分野の規定違反に対する処罰を定めた政令第4
6/CP号」
で規定している。
3.安全衛生に関する法律・規則等
1)日本の労働安全衛生法、規則、条例等に相当するものの名称と概要・内容等
1 「労働法」
(1994年6月23日公布、1995年5月施行)の第9章(第95条~第108条)に労働安全
衛生関係の規制を定めている。また、「労働法の労働安全衛生に関する詳細規定(1995年1月
20日付政令第6号)」等の政令並びに「各種通達」で詳細を規制している。
2 建設工事の安全管理の基準となる基本法令は、労働法及び建設法であり、労働法は、
「労働安
全衛生」について、建設法は「技術的安全」及び「労働安全衛生と技術的安全の双方を含む総
合的な工事現場の安全」について規制している。
2)元請と下請の責任範囲について、法律等で定める元請の責任
1 上記の法令には明確な規定なし。
2 施工業者の責任は1
995年政令第6号第13条に労働者の雇用主の責任として規定している。施
工業者が労働者の雇用主であり、人、機械・器具、建造物の安全の保証の主責任を負う。
3 労働法上の安全衛生措置義務は「雇用主は労働者に対し、労働保険、労働安全・衛生のため
の設備・手段を十分に提供し、労働条件の改善を保証する責任を負う。労働者は、労働安全・
衛生に関する規定と就業規則を遵守しなければならない。労働及び生産に関係する全ての組織、
個人は、労働安全・衛生、環境保護に関する法律を遵守しなければならない」と規制している。
4.安全衛生関係書類の行政への提出
1)安衛法第88条の計画届に相当する計画書類等の提出義務の有無
「建設プロジェクトの品質管理に関する政令」(200
4年政令第209号)で建設法に規定される建
設プロジェクトの品質管理について請負会社等の責務についてガイドラインを示している。
-3-
2)届出の期日等
<不明(記述資料なし)>
3)書類等の書式等
<不明(記述資料なし)>
5.労働災害・事故が発生した場合の義務等
1)労働災害・事故が発生した場合の行政への報告義務
1 報告の有無および対象
〔報告義務あり〕
① 労働法第108条(労働災害の報告・調査・記録)及び「労働法の労働安全衛生に関する詳
細規定(1995年1月20日付政令第6号)」並びに「労働災害の届け出及び調査を指導する通
達第3号(1998年3月2
6日付)」で報告義務等を定めている。報告義務の対象は下記のとおり。
ⅰ 労 働 災 害……休業3日以上及び死亡災害
ⅱ 職業性疾病……じん肺、騒音性聴力障害、鉛中毒、ベンゼン中毒等職業性疾病として認
められている2
1の疾病
2 報告の期日
① 「死亡労働災害もしくは数名の重傷者を伴う労働災害は、災害現場を保存し、直ちに報告」
(労働傷病社会省、警察署)と規定〔1995年政令第6号第9条〕。 報告書の提出期日は24時
間以内〔2004年政令第209号第35条〕。
3 報告先
① 労 働 災 害:労働傷病兵社会省 労働安全監督局、地方機関
② 職業性疾病:保健省 労働衛生監督局、地方機関
③ 上記のほかに警察署、発注者(ODAではコンサル及びJ
I
CA)にも報告
4 報告義務者
① 報告義務者:雇用主(事業者)
② 報告様式:あり
(報告書様式は2004年政令第209号の付録8~9で定められているようであるが掲載資料
なきため添付できず。)
③ 「報告書には、災害の過程、死傷者、被害、原因、災害を引き起こした過失及び責任を詳
述する」と規定〔1995年政令第6号第12条〕
2)労働災害・事故が発生した場合の行政による調査
1 調査の対象
「労働災害調査」は労働傷病兵社会省の担当業務。労働法第108条で「全ての労働災害は法律
の定めるところにより調査し、報告する」と規定されており、詳細は「労働災害の届出及び調
査を指導するMOLI
SA、MOH及び(VGCL)通達第0
3/1998」で規定しているようであるが掲
載資料なきため記述不能。
-4-
2 調査者等
① 労働傷病兵社会省(MOLI
SA)の担当官
② 報告様式はある
6.労働災害・事故が発生した場合の被災者への補償等
1)被災者の死傷病等に適用される保険
1 保険への加入義務の有無
① 加入義務あり〔労働法第12章(第140条~152条)参照〕
② 「事業者は労働法第107条3項の規定に従い、労働災害の死傷者及び業務上疾病の罹病者に
補償を支払う責任を有する」と規定〔1995年政令第6号第11条〕。ベトナムの社会保険制度
には強制社会保険、任意社会保険、失業保険の3種類があり、強制社会保険では、労働災害・
職業病手当等を支給する。強制保険は3ヵ月以上の有期労働契約と無期労働契約により労働
者を雇用する企業、団体、組織に適用する。
2 保険の名称
強制社会保険(労災保険法に基づく政府管掌の強制付保の保険ではない)
3 保険の概要
強制社会保険では疾病手当、出産手当、退職手当、死亡手当、労働災害・職業病手当を支給
する。補償給付内容は労働法第107条第3項で規定(労働能力喪失率81%以上又は死亡で最低
30ヶ月分の賃金補償等)
4 保険契約者、被保険者
① 保険契約者:雇用者
② 被 保 険 者:労働者
5 保険料の負担(強制社会保険の場合)
① 雇用者:給与の15% 労働者:5%(2009年まで)
16% 6%(2010年~2011年)
17% 7%(2012年~2013年)
18% 8%(2014年~
② 国の補助金
2)労働災害・事故が発生した場合の被災者との示談・和解
「労働法107条」では、労働能力喪失率81%以上を損傷した場合又は死亡した場合には、雇用者
は賃金及び手当の最低30ヵ月分を補償する必要があると規定しており、それ以上が示談の目安と
なるが、その金額の決定における協議が難航する。また、示談金等に対しては、警察及び労働傷
病兵社会省地方機関(DOLI
SA)の承認が必要となる。(現地企業の経験情報)
7.店社、作業所における安全管理体制(責任)と各種資格
1)店社の安全衛生管理体制(体制図・図解)
「ベトナム現地法人の安全衛生管理組織図」参照 ……………………………… 別添資料№3
-5-
2)作業所における安全衛生管理体制(体制図・図解)
「ODA工事現場の安全衛生管理体制図」参照 ………………………………… 別添資料№4
3)各種資格
1 資格の名称
① 建設関係に従事する個人・法人の資格については、「建設法」第7条で基本事項が規定さ
れており、それを受けて「建設工事の管理に関する政令(2009年政令第12号)」等でその詳
細を規定しているが、技術資格のみで、日本の労働安全衛生法に基づく資格名称、要件等に
ついては記述資料なきため不明。
2 資格の内容(就業制限業務の種類:日本での免許・技能講習等に匹敵する資格の種類、名称、講
習時間等)
① 資格制度については上記①を参照。
② 技術資格の要件、研修の状況、政府認定研修実施機関、研修プログラムの内容等が別途示
されている。
8.安全経費
1)公共工事における安全経費
入札指示内容による
2)民間工事における安全経費(請負契約金額に含む、率計上、別枠計上等)
工事規模、工事内容、発注者の指示、あるいは入札の場合、指示内容による。
9.事故・労働災害発生後の行政処分・社会的制裁等
1)元請が受ける行政処分
① 労働法第16章で「国による労働検査、労働法違反の行政処分」及び「労働衛生分野の規定違
反に対する処罰を定めた政令第46号(1996年8月6日付)」にて定めているが詳細は不明。
② カントー橋の事故後、交通運輸省(MOT)の橋梁案件の入札には、1年間応札が出来ないと
の処分があった。
2)下請が受ける行政処分
労働法第16章で「国による労働検査、労働法違反の行政処分」及び「労働衛生分野の規定違反
に対する処罰を定めた政令第46号(1996年8月6日付)」にて定めているが詳細は不明。
3)その他社会的な制裁
重大事故は日本同様に国内でマスコミ報道される。
10.労働災害防止団体の状況
1)日本の建災防に相当する団体
1 団体の名称
① 国立労働保護研究所(NI
LP)
② 国立労働・環境衛生研究所(NI
OEH)
-6-
2 団体の概要
① 国立労働保護研究所(NI
LP)は、労働安全衛生分野の研究と安全衛生対策の推進を図るた
めの施設として1971年に旧ソ連の支援によって設置された。活動内容は以下のとおり。
ⅰ 労働安全衛生に関する研究と調査
ⅱ 安全衛生の技術的基準制定のための支援
ⅲ 安全衛生面の工学的対策の推進(個人用保護具の開発や作業場の換気システムの開発等)
ⅳ 労働安全衛生教育・啓発活動の推進
② 国立労働・環境衛生研究所(NI
OEH)の役割
ⅰ 労働衛生及び環境衛生についての科学的研究(補償リストへの職業性疾病の追加記載な
どに関する研究等)
ⅱ 大学院、専門課程の教育を基本的に重視する専門家向けの研修及び研修への助成措置
ⅲ 労働・環境衛生、健康診断と疾病の特定、職業性疾病の治療と予防、労働条件の改善と
環境衛生の質的向上に関する技法と規制の実施に向けた情報、サービス、専門家との協議、
検査、監視、監督、再検討、承認、専門的知識の提供
ⅳ 労働・環境衛生に取り組むネットワーク向けの活動調整、専門的、技術的問題解決に関
するガイダンス(研修・教育・情報及び調整を目的とする文書の編集等)
ⅴ 科学的文献、研究、研修及び設備面での交流という観点から、発展に向けた条件を創出
するための国際的な共同活動の拡大
11.国内と比較し、苦慮している点
1 当地のODA工事においては、J
I
CA及び日系コンサルの強力な指導のもとに安全意識の向上を
図ってはいるものの、現地の職員や現地の建設会社の安全意識はまだまだ低い。
2 法律はあっても運用が正しく行われていない(政府が労働者を本気で保護しようとする気が見
られない)。
3 行政の目が日系業者に厳しく、ローカル業者には甘い、というダブルスタンダードがある。
4 ODA工事では、ベトナム政府が行うべき用地買収が完了せずに着工させることが多々あり、日
系業者が苦労している。
5 発注者の承認・決定が遅い。また、提出書類が多い。
6 設計変更、数量変更、工期延長等お金と時間に関わるクレームでは、業者の請求が正しくても
承認されない案件が多々あり、何年も解決されないで解決する意思がベトナム側に見られない。
-7-
医学的検査、職業性疾病・労働災害に関する
専門技術と治療
州・地区
レベル
リハビリ
テーション・
センター
中央
レベル
地区病院
州病院
中央病院
の
保
局
予防医学局
険
衛生学・
疫学局
地区医療センター
州医学専門
委員会
州
労働・環境
国立医療 衛生研究所
専門研究所 N.I.O.E.H.
労働衛生、
職業性疾病の報告
地
州
区
の
労
労
働
働
労働安全
監督
州
技
部
環境局
労働保護
検査
州の労働組合総連合
国立労働保護研究所
NILP
労働保護 科学・技術
監督
研究
地 区 労 働 組 合 連 合・
企 業 別 労 働 組 合
労働保護指導監督
の
科
学 ・
術・環 境 局
環境管理局
労 働 安 全 監 督
局
リハビリ
テーション・ 労働保護局
センター
企業(理事会−使用者−企業別労働組合委員会)
品質管理
センター
産業別
労働組合
産業衛生
サービス
地 方 の
労 働 部
労働保護
管理
その他の省庁
州の産業別労働組合
労働組合大学
労働保護学部
ベトナム労働総連合
医療局−労働保護局−労働安全衛生代表者のネットワーク
労働衛生
監督
労働衛生
監督
科学技術環境省
環境管理と監督
労働傷病兵社会省
事故報告
省
労働条件に
関する報告
-8-
労働保護に関する労働組合活動の報告
健
疾病、健康、職業性疾病の報告(中央に属する企業)
保
別添資料№1
別添資料№2
建設省(MOC)の組織図
大 副
大
臣
副
大
臣
副
臣
大
臣
組 織 ・ 人 事 局
副
大
臣
大
臣
建築計画管理局
計 画 ・ 財 政 局
大 臣 官 房 室
都 市 整 備 局
建設工事管理局
建 設 工 事
品 質 検 査 局
住 宅 管 理 局
建 設 経 済 局
科学技術・環境局
建 設 資 材 局
法
制
技術インフラ局
副
国 際 協 力 局
局
建設工事検査官
別添資料№3
ベトナム現地法人安全組織図
ベトナム現地法人
社 長 (日 本 人)
施工・安全担当部
部 長 (日 本 人)
施 工 担 当
安 全 担 当
(ベ ト ナ ム 人) (ベ ト ナ ム 人)
作
業
所
所 長(日 本 人)
作
業
所
所 長(日 本 人)
作
業
所
所 長(日 本 人)
施 工 担 当
安 全 担 当
施 工 担 当
安 全 担 当
施 工 担 当
安 全 担 当
(ベ ト ナ ム 人) (ベ ト ナ ム 人) (ベ ト ナ ム 人) (ベ ト ナ ム 人) (ベ ト ナ ム 人) (ベ ト ナ ム 人)
協 力 会 社
協 力 会 社
-9-
協 力 会 社
別添資料№4
-10-
シ ン ガ ポ ー ル
1.国の概要
1)一般事情
1 正式な国名
シンガポール共和国
2 面積および人口
① 面積…710平方キロメートル(東京23区とほぼ同じ)
② 人口…518万人(2011年6月末)
3 首都およびその緯度・経度
首都:シンガポール 緯度:01.
17 経度103.
51
4 年間の気象・最高気温・最低気温
① 最高気温:32度 最低気温:23度
② 年間を通じて高温多湿な気候
5 宗教および言語
① 宗教…仏教、イスラム教、キリスト教、道教、ヒンズー教
② 言語…(国語)マレー語、(公用語)マレー語・英語・中国語・タミー語
6 通貨
シンガポール・ドル(Sドル)
7 労働者数(全産業・建設業)
① 全産業:2,
952,
400人(2008年度)
② 建設業:360,
000人(2008年度)
8 GDP
① 名目GDP:2,
598億米ドル(2011年)
② 一人当たり名目GDP:50,
123米ドル(2011年)
③ 実質GDP成長率:4.
9% (2011年)(出典シンガポール統計局)
9 財政状況
財政収支のGDP比:▲1.
1%(2010年度)
⑽ 投資状況
① 直接投資受入額:43.
21億米ドル(2010年)
② 日本企業の投資額:38.
45億米ドル
0月現在)
③ 進出企業数:734社(2011年1
⑾ インフラの整備状況(電力、通信、道路、鉄道、港湾)
道路、電力のインフラ整備率は高い
① 道路舗装率 100%
② 一人当たり発電量7,
697kwh/人(*2010年上半期 世界経済報告より)
-11-
⑿ 日本の援助(ODA)の状況
① ODA卒業国(経済発展を遂げ、被援助国から援助国へ移行)
② 日本の援助 ⅰ 有償資金協力 127.
4億円(1972年度まで)
ⅱ 無償資金協力 31.
17億円(1987年度まで)
ⅲ 技術協力実績 239.
88億円(1998年度まで)
⒀ 在日大使館の所在地、電話番号およびWebアドレス
〒106-0032 東京都港区六本木5丁目12-3
℡ 03-3586-9111~9112
特命全権大使 チン・シアットユーン閣下
2.安全衛生の行政組織
1)日本の厚生労働省・労働基準監督署に相当する行政組織
1 組織名・組織図等
労働安全衛生行政は、人材開発省(MOM)の中の労働安全衛生局(OSHD)が担当
*人材開発省(MOM)の使命:すべてのシンガポール国民のために、結束した社会と確実
な経済的未来を実現するために、国際競争力のある労働力と卓越した労働環境を達成する
こと
*人材開発省(MOM)は、国際的な競争力のある労働力と良好な労働環境を確保するため、
労働力育成のための広報活動計画の策定、賃金補償及び終身雇用の確保、外国人労働者の
管理、労使関係の調整、法律の遵守、人材育成、労働市場についての情報提供、労働安全
衛生の推進、外国人の雇用促進、労働環境の基準の強化などを行う。
2 組織の概要
労働安全衛生局(OSHD)は、①政策・情報・法人サービス部、②労働安全衛生監督部、③
労働安全衛生専門部、④労働災害補償部で構成されている。
2)行政による作業所への臨検
1 臨検の概要
① 監督官には、労働安全確保のためいつでも職場への立ち入り、監督、検査を行える権限が
与えられている。(労働安全衛生法)
② 労働安全衛生長官は職場での災害・事故の調査を命ずることができる。調査の過程で監督
官は、災害、事故に関する聞き取り調査等することができる。
③ 長官は必要な場合には、許可書の効力を一時的に停止することができる。また、職場のリ
スクの除去、安全な作業環境の遵守を義務付ける是正命令や作業の安全な遂行を確実にする
ための措置が講じられるまで、特定の作業の停止を義務付ける業務停止命令を出すことがで
きる。
④ 法令違反に対しては、長官の裁量で示談罰金が提示される(5千Sドル以下)
。また、長
官は労働安全衛生法違反を理由に違反者を告発することができる。
2 臨検の実施者
監督官
-12-
3 指摘事項への対応(措置報告・過料の程度等)
高所作業、クレーンの点検、騒音・振動、ダスト、蚊などについて臨検あり、指摘事項に対
しては、指導に沿った対応を行っている。<現地情報>
3.安全衛生に関する法律・規則等
1)日本の労働安全衛生法、規則、条例等に相当するものの名称と概要・内容等
1 労働安全衛生法(2
006年3月1日に従来の工場法に代わって施行)
労働安全衛生を推進するため、雇用主・労働者等の義務、災害・職業病等発生時の調査及び
報告、安全衛生管理体制、安全衛生審議会、監督官の権利、違反・罰則・訴訟などについて定
めている。
2 労働安全衛生規則
この規則には建設工事安全規則のほか、事故報告書、リスクマネジメント、爆発物の取扱い、
マンホール・ピットなどの閉鎖空間における作業、吹き付け作業、騒音、健康診断、クレーン
操作、足場などに関する規則がある。
2)元請と下請の責任範囲について、法律等で定める元請の責任
事故は基本的には元請責任。下請作業員個人の不安全行為に起因する場合には下請責任。リス
クアセスは下請が作成し、安全管理者が元請として承認するが、これに違反して事故が発生した
場合には下請責任。安全に関する管理義務は当然元請にある。(前回調査時及び日建連調査時の
現地情報)法的根拠等は不明
4.安全衛生関係書類の行政への提出
1)安衛法第88条の計画届に相当する計画書類等の提出義務の有無
〔提出義務あり〕
1 人材開発省(MOM)に対し、労働安全衛生規則に基づき、工事登録書を提出する。2m以
上の足場、解体、トンネル、直径1.
5m以上のトンネル等。
2 建設省(建築建設庁)
(BCA)に対し、計画届を提出:掘削工事、トンネル工事、杭工事、
足場組立等
2)届出の期日等
期限:特になし。工事開始前までに届出を行う。ただし、許可が下りるまでに、MOM関係は
14日間、BCAの掘削等は3ヵ月、杭は2週間程を要する。
3)書類等の書式等
オンラインにて申請
5.労働災害・事故が発生した場合の義務等
1)労働災害・事故が発生した場合の行政への報告義務
1 報告の有無および対象
① 人材開発省に対する事故報告基準に基づき、雇用関係での全ての事故は発生の日から10日
以内に労働長官に報告する。
-13-
② 労働安全部に報告すべき事故の種類
ⅰ:死亡事故、ⅱ:休業4日以上の負傷を起こした事故、ⅲ:24時間以上の入院を要する
負傷を労働者に与えた事故
*四肢の切断又は死亡等の重大事故は警察及び主任工場監督官に通報しなければならない。
③ 負傷者や死亡者を出さなかった重大事故(危険事態に分類される事故)についても報告義
務がある。(①動力で駆動される回転容器等の破損、②クレーン、デリック等の倒壊、③爆発
または火災、④その他)
④ 保険会社にも事故を通知する。
2 報告の期日
発生の日から10日以内
3 報告先
人材開発省(MOM)
4 報告義務者
① 報告義務者:事業者又は工場の占有者
② 報告様式:人材開発省に対する事故報告基準で定めた様式
(書式は、人材開発省労働災害補償部で入手)
③ 事故報告を怠った場合は労働者災害補償法第12条違反となり、事業者が有罪になった場合
には1千Sドル以下の罰金に処せられる。
2)労働災害・事故が発生した場合の行政による調査
1 調査の対象
人材開発省は、以下の責任を負うため事故報告等に基づき調査する。
① さらに重大な事故に至る原因や状況を発見する。
② 事故を分析し、それによって危険な領域を指摘し、同様の事故が発生するのを防止するた
めの予防措置及び是正措置をとる。
③ 死傷した労働者や死亡者の遺族に対する補償金を迅速に算定する。
2 調査者等
① 調査者:人材開発省担当官
② 報告様式:非公開であり開示されず不明。<実事例は現状なし>
6.労働災害・事故が発生した場合の被災者への補償等
1)被災者の死傷病等に適用される保険
1 保険への加入義務の有無
① 労働者補償法第23節第1項で義務付けられている強制保険
すべての使用者は、本法律に基づいて自らが雇用する労働者に対して発生する責任につい
て、保険法(第142章)で認定された保険会社と一つ以上の保険契約を締結し、それを継続
しなければならない。
② 未加入者に対する罰則〔労働者補償法第23節第3項〕
使用者が、第1項に定められた保険に加入しないことは違法行為であり、そのため有罪と
-14-
なった場合には1万Sドルを超えない罰金、あるいは12ヶ月を超えない禁固刑、もしくはそ
の両方を科されるものとする。
2 保険の名称
労働者補償法に基づく労働者補償保険
3 保険の概要
① 死 亡 補 償:40才以下(月収×108)~66才以上(月収×48)
② 全労働能力:40才以下(月収×144)~66才以上(月収×72)
*支払補償額はコミッショナーが査定する
4 保険契約者、被保険者
① 保険契約者:使用者
② 被 保 険 者:労働者
5 保険料の負担
使用者
2)労働災害・事故が発生した場合の被災者との示談・和解
保険にてカバー、元請として示談の事例なし(下請が対応する)
7.店社、作業所における安全管理体制(責任)と各種資格
1)店社の安全衛生管理体制(体制図・図解)
1 法律で定められたものはなし。
2 N社の現地営業所の組織を以下に示す。
営
業
所
所
長
管
理
執
行
部
安全・品質・環境部門
各
作
業
-15-
所
2)作業所における安全衛生管理体制(体制図・図解)
1 請負金額1千万Sドル以上の工事:Wo
r
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2 請負金額1千万Sドル未満の工事:Wo
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na
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3 N社の現地地下鉄工事における安全管理組織図を以下に示す。
現
場
代
理
人
安全監督員×2名
安全担当員×4名
*これとは別に作業所内には、災害防止協議会があり、会長を現
場代理人、副会長を安全監督員が務める。
3)各種資格
1 資格の名称
① 現場代理人:現場代理人のための安全講習(試験合格者には証明書発行)
② 安全監督員:安全講習(試験合格者は人材開発省に登録)
③ 指定産業医:特殊作業(圧気作業など)がある場合のみ産業医を指定する。
作業内容により適正な専門医を指定する。
2 資格の内容(就業制限業務の種類:日本での免許・技能講習等に匹敵する資格の種類、名称、
講習時間)
① 現場代理人のための安全講習は、主要な工事(トンネル、掘削、密閉空間での作業、圧気
作業など)のリスクアセスメントやケーススタディ、安全に関する法規等を勉強し、試験合
格者には証明書が発行される。講習は3日間。
② 安全監督員の安全講習は、週10時間×6ヶ月間コースとなる。
*資格・受講内容等は別途一覧表で示されている。
8.安全経費
1)公共工事における安全経費
1 必要経費を見積もりに反映する。
2 元請負担とするのが一般的であるが、安全経費を込みで下請発注することもできる。なお、
法律での規制はない。
2)民間工事における安全経費(請負契約金額に含む、率計上、別枠計上等)
1 必要経費を見積もりに反映する。
2 元請負担とするのが一般的であるが、安全経費を込みで下請発注することもできる。なお、
法律での規制はない。
-16-
9.事故・労働災害発生後の行政処分・社会的制裁等
1)元請が受ける行政処分
1 入札時の評価点が減点、海外労働者の雇用枠の減数、指名停止処分(有期)
(日建連調査時情報及び前回調査時情報)
2 職場安全法の法令違反に対しては、長官の裁量で示談罰金が提示される(5千Sドル以下)。
また、長官は労働安全衛生法違反を理由に違反者を告発することができる。
2)下請が受ける行政処分
職場安全法の法令違反に対しては、長官の裁量で示談罰金が提示される(5千Sドル以下)。ま
た、長官は労働安全衛生法違反を理由に違反者を告発することができる。
3)その他社会的な制裁
特になし(マスコミ報道の影響)
10.労働災害防止団体の状況
1)日本の建災防に相当する団体
1 団体の名称
シンガポール全国安全評議会(NSCS)
2 団体の概要
① 設 立:1966年7月に国民によって営まれる人間活動の全ての分野で安全意識を高める
ことを目的に組織された自主団体
② 主な活動:産業安全、交通安全、家庭の安全、水域安全等について、政府の規則に定めら
れたものではなく、政府機関を補完する教育活動(企業、学校等に対して実施)
③ 組 織:産業界に属する人を構成メンバーとし、正規会員と準会員から成っている。両
会員とも年会費を支払う。政府から年間補助金として2万5千Sドル受けてい
る。
11.国内と比較し、苦慮している点
<特になし>
-17-
イ ン ド ネ シ ア
1.国の概要
1)一般事情
1 正式な国名
インドネシア共和国
2 面積および人口
① 面積…192万平方キロメートル(日本の約5.
1倍)
② 人口…2億4100万人(2011年 政府推計)
3 首都およびその緯度・経度
首都:ジャカルタ 緯度:-06.
07 経度:106.
44
4 年間の気象・最高気温・最低気温
① 最高気温:33度 最低気温:24度
② 年間の気象:高温多湿 熱帯雨林(雨期と乾期の二つの熱帯性季節)
5 宗教および言語
① 宗教…イスラム教(約88%)キリスト教、ヒンズー教、仏教等
② 言語…インドネシア語
6 通貨
ルピア
7 労働者数(全産業・建設業)
① 全産業:1億449万人・建設業:461万人(4.
4%)(2009年2月)
② 全産業:1億2041万人・建設業:610万人(5.
1%)(2012年2月)
<現地情報>
8 GDP
① 名目GDP:8,
466億米ドル(2011年インドネシア政府統計)
② 一人当り名目GDP:3,
542.
9米ドル(2011年インドネシア政府統計)
③ 実質GDP成長率:6.
5%(2011年インドネシア政府統計)
9 財政状況
財政収支のGDP比:▲1.
6%(2010年度)
⑽ 投資状況
① 直接投資受入額:194.
75億米ドル(2011年)
② 日本からの直接投資額:15.
2億米ドル)(2011年)
③ 日本企業の投資件数:468件 投資額:15億1,
610万米ドル(2011年実行ベース)
進出企業数:1,
007社(2010年時点)
-19-
⑾ インフラの整備状況(電力、通信、道路、鉄道、港湾)
電力及び道路のインフラ整備率が低い。
① 一人当たり発電量517kwh/人(シンガポールは7,
697kwh/人)
② 道路舗装率58%(シンガポールは100%)
(*2010年上半期 世界経済報告より)
⑿ 日本の援助(ODA)の状況
① 無償資金協力 37.
3億円(2010年度)
*2011年度実施案件 ブルイット排水機場緊急改修計画19.
85億円
② 有償資金協力 438.
8億円(2010年度)
③ 技術協力 85.
9億円(2010年度)
④ 2011年度 有償資金協力 739.
4億円
地熱開発促進、バンドン市内有料道路他 <現地情報>
⒀ 在日大使館の所在地、電話番号およびWebアドレス
〒141-0022 東京都品川区東五反田5丁目2-9
℡ 03-3441-4201
特命全権大使 ムハマド・ルトフィ閣下
2.安全衛生の行政組織
1)日本の厚生労働省・労働基準監督署に相当する行政組織
1 組織名・組織図等
労働・移住省(DMT)労働監督総局(労働監督総局に労働安全監督局と労働衛生監督局があ
り、労働安全衛生を担当している)………………………………… 別添資料№1,№2,№3
2 組織の概要
労働・移住省は生産力及び競争力のある労働力と移住社会の実現を目指し、雇用機会の拡大
(海外での雇用を含む)、職業斡旋業務の改善、労働市場情報の強化、雇用機会の均等、労働者
の技能・生産力等の向上、労使関係の発展、労働者の社会保障の促進、労働監査の改善、雇用
条件の整備、労働安全衛生の監督などを行っている。
2)行政による作業所への臨検
1 臨検の概要
労働安全衛生監督官及び労働安全衛生専門家の職権及び責務に関する1978年労働移住協同組
合大臣規則第3号第4条で労働安全衛生監督官の権限と責務を規定している。
① 労働安全衛生監督官の権限
ⅰ すべての作業場に立ち入ること
ⅱ 労働安全衛生に関する諸条件について事業者、管理者、労働者から書面あるいは口頭に
よる説明を得ること
ⅲ 当該作業場において労働安全衛生の条件を満たすよう、事業者、管理者、労働者に対し
命令すること
ⅳ 機械・装置・機器・原料・その他の状態、作業環境、労働の状況、労働の方法、生産工
-20-
程等についての労働安全衛生法及び規則の遵守状況を直接監督すること
ⅴ 労働安全衛生の条件について、不足、誤りがあった場合には、これを改善、変更、取り
替えを命令すること
ⅵ 危険な装置、機器、生産工程を禁止すること
ⅶ 1951年法律第3号に基づき、労働安全衛生に関する法令の違反を捜査する権限を有する
② 労働安全衛生監督官の責務
ⅰ すべての作業場において臨検を行うこと
ⅱ 労働安全衛生保護装置についてこれを検査すること
ⅲ 事業者、管理者、労働者に対し労働安全衛生に関するすべての条件について指示、説明
をあたえること
ⅳ 職務の結果を職階に従い局長に報告する、職務で得た企業秘密を守る
2 臨検の実施者
労働安全衛生監督官
3 指摘事項への対応(措置報告・過料の程度等)
① クレーン機械(6ヵ月ごと)、粉じん(4ヵ月ごと)などの検査
② 指摘事項、不具合など是正 ③ 土木作業所で新規作業所への訪問
④ 建築作業所でタワークレーン設置報告後に監督官の臨検
⑤ いずれもその後定期的な臨検は実施されていない <現地情報>
3.安全衛生に関する法律・規則等
1)日本の労働安全衛生法、規則、条例等に相当するものの名称と概要・内容等
1 労働者に係る基本的事項に関する法律(1969年法律第14号)
この法律は労働者保護に関する基本的な法律であり、第9条、第10条で「政府は労働安全衛
生基準、労働基準及び労働者の災害の補償、医療、リハビリテーション等の労働者保護を推進
するものとし、労働者は保護を受ける権利を有する」と規定している。
2 労働安全衛生に関する法律(1970年法律第1号)
労働安全衛生の確保に関する基本的な法律であり、労働安全衛生の適用範囲、要件、使用者・
管理者の責務、労働者の責務と権利、罰則等について定めている。事業者対する罰則:3ヵ月
以下の禁固又は10万ルピア以下の罰金。
3 労働者社会補償法(1992年労働者法律第3号)
労働者の補償に関する事項を定めている。
4 建設業における労働安全衛生に関する労働大臣規則第1号(1980年)
職場環境・設備、足場、はしご・階段、吊り上げ装置、ロープ・チェーン、機械、建設設備、
地下工事、掘削、杭打ち、コンクリート工、その他建設工事、解体、安全設備・保護具の使用、
罰則等定めている。
2)元請と下請の責任範囲について、法律等で定める元請の責任
定められていない <現地情報>
-21-
4.安全衛生関係書類の行政への提出
1)安衛法第88条の計画届に相当する計画書類等の提出義務の有無
〔提出義務あり〕
1 法的根拠:1
981年法律第7号第6条の2にて新規事業場(作業所)の雇用状況の報告(事業
者名、業種、住所、男女別年齢層別等の雇用者内訳、雇用形態、賃金、教育訓練等について記
載)について定めている。
2 また、労働安全衛生に関する労働大臣規則第1号(1
980年)第2条にて、建設工事計画の報
告について定めている。(工事名称、工事場所、発注者、事業者、下請業者、雇用者数、工期、
工種工法、建設機械の使用、安全衛生対策等について記載) <現地情報>
2)届出の期日等
上記報告はいずれも着工後30日以内 <現地情報>
3)書類等の書式等
雇用状況報告書、建設工事計画届などの書式が定められている。
5.労働災害・事故が発生した場合の義務等
1)労働災害・事故が発生した場合の行政への報告義務
1 報告の有無および対象
① 報告義務あり:
労働安全に関する1970年法律第1号第11条、事故の調査と報告の方法に関する1998年労働
大臣規則第3号
② 報告対象:
ⅰ労働災害、ⅱ火災・爆発あるいは廃棄物処理の危険、ⅲその他の危険な事故(業務上の
死傷あるいは職業性疾病の原因となり得る可能性のある事故)
2 報告の期日
事故発生後48時間以内(事故の調査と報告の方法に関する1998年労働大臣規則第3号第4条)
報告義務違反は営業許可停止処分
3 報告先
① 現地の労働・移住省事務所長
② 労災厚生保険事業団〔労働者社会保険会社(国営)J
AMSOSTEK〕
*J
AMSOSTEKへの報告には、1労働・移住省からの書類、2病院からの書類、3警察か
らの書類が必要
4 報告義務者
管理者あるいは使用者
(事故の調査と報告の方法に関する1998年労働大臣規則第3号第2条:管理者あるいは使用
者は、指揮をとる職場で発生したすべての事故を報告しなければならない)
2)労働災害・事故が発生した場合の行政による調査
1 調査の対象
上記1)で報告を受けたすべての事故
-22-
2 調査者等
① 調 査 者:労働・移住省現地事務所長が命じた監督官
② 調査様式:労働災害事故調査・研究報告書等
6.労働災害・事故が発生した場合の被災者への補償等
1)被災者の死傷病等に適用される保険
1 保険への加入義務の有無
労働者社会補償法(1992年労働者法律第3号)に基づく強制保険
2 保険の名称
労災補償保険(J
AMSOSTEK)
3 保険の概要
労働者社会保険会社(国営)が運営
(労災補償保険、老齢給付保険、死亡給付保険、医療保険から成り立っており、医療保険
以外は強制加入)
4 保険契約者、被保険者
① 保険契約者:雇用主
② 被保険者:労働者
5 保険料の負担
① 雇用主が全額負担
② 保険料率:業種によって0.
24%~1.
74%(固定給比例定率性)
2)労働災害・事故が発生した場合の被災者との示談・和解
① 事故により骨折した被災者について、完治するのが工事終了後になるため、工事終了後も引
き続き、保険適用外となる医療費や病院までの交通費・宿泊費を補償してほしいとの要求等が
ある。
② 元請としては今回調査時までに労災事故はないが、地場建設業者の死亡事故2件の例では、
1~3千万ルピアを補償した事例あり。
③ 入札図書に規定されているスペックの労災補償保険の最低保険額の範囲内でカバーできる。
7千万ルピア(60万円)/死亡又は傷害(A社事例) <現地情報>
7.店社、作業所における安全管理体制(責任)と各種資格
1)店社の安全衛生管理体制(体制図・図解)
B社現地法人の管理体制図を参照 ………………………………………………… 別添資料№4
2)作業所における安全衛生管理体制(体制図・図解)
労働安全に関する1970年法律第1号で100人以上(危険有害業務は50人以上)の事業場には、
労使のメンバーにより構成する労働安全衛生委員会の設置義務あり。この委員会の事務局は労働
安全衛生専門家が務める。……………………………………………………………… 別添資料№5
-23-
3)各種資格
1 資格の名称
労働安全に関する1
970年法律第1号で定める「管理者」
「労働安全衛生専門家」の配置義務
あり。
① 管理者とは、作業場所あるいは独立したその一部を直接管理することを職務とする者(労
働者に対し安全指導等の責務を有する者)。
② 労働安全衛生専門家とは、この法律の遵守を確保するために労働大臣より任命された専門
家で、労働省職員以外の者。企業に所属して業務を行っているが、局長(公務員)の指示で
監督官と同じような権限を持って、他の事業場に立ち入ったり、自分の所属する事業場や立
ち入った他の事業場の管理者に指示を与えることができる。ただし、送検する権限はない。
*労働安全衛生専門家は、Ahi
l
iK3
Umun(労働安全全般)の講習を1
0日間(約9
0時間)
受講し、労働・移住省より資格を取得する。<現地情報>
2 資格の内容(就業制限業務の種類:日本での免許・技能講習等に匹敵する資格の種類、名称、講
習時間等)
クレーン車作業、バックホー作業、クレーンオペレーター、溶接作業、ベルト滑車作業、電
気工事、避雷針設置作業等の資格は、労働・移住省の地域事務所やその委託を受けた民間の業
者が主催する2日間~5日間の技能講習を受けて取得する。<現地情報>
8.安全経費
1)公共工事における安全経費
請負業者が負担 <現地情報>
2)民間工事における安全経費(請負契約金額に含む、率計上、別枠計上等)
請負業者が負担 <現地情報>
9.事故・労働災害発生後の行政処分・社会的制裁等
1)元請が受ける行政処分
1 労働安全衛生に関する法律(1
970年法律第1号)で定める事業者に対する罰則:3ヵ月以下
の禁固又は10万ルピア以下の罰金(日本でいう建設業法上の処分は不明)
2 事故発生後4
8時間以内(事故の調査と報告の方法に関する1998年労働大臣規則第3号第4条)
の報告義務違反は営業許可停止処分
2)下請が受ける行政処分
1 労働安全衛生に関する法律(1970年法律第1号)で定める事業者に対する罰則:3ヵ月以下
の禁固又は10万ルピア以下の罰金(日本でいう建設業法上の処分は不明)
2 事故発生後4
8時間以内(事故の調査と報告の方法に関する1
998年労働大臣規則第3号第4条)
の報告義務違反は営業許可停止処分
3)その他社会的な制裁
特になし <現地情報>
-24-
10.労働災害防止団体の状況
1)日本の建災防に相当する団体
1 団体の名称
① 全国労働安全衛生評議会(DK3
N)
② 建設労働安全衛生専門家協会(A2K4
)
2 団体の概要
① 全国労働安全衛生評議会:労働大臣決定に基づき設立された半官半民の組織で政労使から
なる、労働大臣に対する諮問機関的団体で次のことを行う。
ⅰ 国レベル及び関係州レベルでの労働安全衛生に関する諸問題と関連データの収集・加工。
ⅱ 調査、教育、訓練、改善、そして労働安全衛生の観念を社会に広く啓発する努力等の活
動を通じ、地方労働安全衛生評議会、現在の労働安全衛生実施基準委員会の運営に関して、
労働大臣を補佐すること。
② 建設労働安全衛生専門家協会:1998年12月10日に建設労働安全衛生の専門家グループに
よって設立され、内務省や労働・移住省における建設労働安全衛生分野の専門職団体として
登録・認可されている。
協会の使命は、
ⅰ 建設分野において、労働安全衛生に関する法律及び規則の施行、遵守に関する整備及び
統制/監視活動において政府の手助けとなる。
ⅱ 建設労働安全衛生の専門職を開発し、向上させる。
ⅲ インドネシアにおける建設労働安全衛生専門職の効果を増大させる。
ⅳ 完全に建設労働安全衛生の文化に根ざしたインドネシア社会の構築を促進する。
とされている。
協会の資金は、建設労働安全衛生の訓練、セミナー、展示会の実施、労働安全衛生の書籍
や雑誌の出版、建設労働安全衛生の専門的な技術や知識の証明書交付、その他寄付や出資か
らまかなわれている。
11.国内と比較し、苦慮している点
1 現場が僻地の場合、現地住民の雇用優先が慣習となっており、他地域からの熟練工の雇用につ
いて現地住民との調整に時間を要する。
2 上記の調整や契約更新条件(給与)などに不満があるとストライキやデモを強行するので対策
を講じる必要がある。
3 優秀な安全衛生専門家の数が少なく、雇用する事が困難である。
4 安全の知識やレベル・安全設備は日本とはかけ離れて低い。作業員の殆どが出稼ぎのため、安
全知識については作業員新規入場の度に、ゼロからのスタートとなる。
<現地情報>
-25-
広 報 局
局
長
計 画 局
局
長
-26-
総
局
長
局
長
書
係
監
局
督
総
局
長
開
発
局
長
機
関
海外労働力強化局
局
長
用
用
雇
局
女 性 ・ 児 童
労働基準監督局
局
長
労働基準監督局
局
長
働
労使関係機関局
局
長
労
総
保護・訴訟経費
扶
助
局
局
長
局
長
局
長
局
長
労働力供給活用局
局
長
件
総
書
局
環
投
資
境
資
源
調
促
活
和
進
用
局
局
局
地方計画開発局
地方潜在力開発局
秘
移住地方資源強化総局
総
局
長
書
局
住
局
再
移
住
局
社会経済開発局
移
国内移住開発・
都
市
化
局
移住潜在力開発局
秘
社 会 移 動 性 総 局
総
局
長
労 働 力 調 査 移 住 調 査 労働安全衛生 労働力情報 移 住 情 報
開発センター 開発センター セ ン タ ー セ ン タ ー セ ン タ ー
所
長 所
長 所
長 所
長 所
長
製造業・サービス業 海外労働者訓練 労 働 生 産 性 移住社会訓練
訓練開発センター 開 発 セ ン タ ー 向上センター 開発センター
所
長 所
長 所
長 所
長
秘書局
局 長
秘書局
局 長
職員訓練
センター
所
長
訓 練 ・ 生 産 性
向 上 委 員 会
委
員
長
大臣顧問
#雇用開発担当特別顧問
#制度・国際関係担当特別顧問
#移住環境調和担当特別顧問
#移住地域開発担当特別顧問
#経済・人的資源担当特別顧問
労働・移住研究
開発・情報委員会
委
員
長
労働衛生監督局
局
長
条
局
第Ⅳ方面
監 察 局
局
長
秘 書 局
局
長
局
長
賃金・社会保障・
福
祉
局
局
長
働
関
総
第Ⅲ方面
監 察 局
局
長
局
局
長
労
局
秘
局
使
第Ⅱ方面
監 察 局
局
長
第Ⅰ方面
監 察 局
局
長
察
労働安全監督局
局
長
労
総
総 務 局
局
長
人 事 ・
組 織 局
局
長
監
総
労働争議終了局
局
長
雇
局
書
用
労働生産性向上局
局
長
局
昇 級 ・ 雇 用 局
局
長
準
価
秘
局
雇
財 務 局
局
長
職業訓練開発局
局
長
基
評
局
長
外
法 規 局
局
長
長
官)
社会適用・助言局
局
長
練
力
書
海
総
国
際
協 力 局
局
長
次
房
務
・
局
長
訓
能
局
秘
局
訓練・国内雇用総局
総
局
長
中央労働
争議調停
委 員 会
事務局長
官
(事
労 働 ・ 移 住 大 臣
インドネシア労働・移住省組織図
別添資料№1
別添資料№2
インドネシア 労働安全監督局 組織図
労
局
働
安
全
監
督
局
長
総
課
機械、ボイラー・圧力容器課
課
長
務
課
長
建設、電気、及び火災課
課
長
労働安全制度及び技術担当課
課
長
当
長
建設及び建築機械担当
担
当
長
労働安全制度担当
担
当
長
ボイラー・圧力容器担当
担
当
長
電気設備及び火災担当
担
当
長
労働安全専門技術担当
担
当
長
機
担
械
担
当
別添資料№3
インドネシア 労働衛生監督局 組織図
労
局
働
衛
生
監
督
局
長
総
課
労
課
働
衛
生
課
長
労
課
働
環
境
御
課
長
課
長
労働衛生専門制度担当課
課
長
労働衛生検査担当
担
当
長
危険有害化学物質制御担当
担
当
長
労働衛生サービス担当
担
当
長
業務上疾病と傷害評価担当
担
当
長
エルゴノミクス及び労働心理担当
担
当
長
労働衛生専門技術担当
担
当
長
-27-
制
務
別添資料№4
店 社 管 理 体 制 図 (例)
-28-
別添資料№5
作 業 所 安 全 管 理 体 制 図(例)
-29-
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