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農山漁村の新しいカタチ

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農山漁村の新しいカタチ
農山漁村の新しいカタチ
ひょうごの
6次産業化
10
豊岡市
コウノトリ育むお米生産部会
09
豊岡市
農業生産法人株式会社 Teams
CONTENTS
01
地と知で磨くオンリーワン、新・都市型酪農開拓史
02
都市と地域が通い合う 新・ふるさとの創造
03
クリエイティブな視点で地域の価値を再構築
04
古民家再生で甦る集落、隠れた名所に
05
周年体制とカフェ併設で安定経営、さらなる飛躍へ
06
観光 × 漁業で描き出すはじまりの物語
07
農家と消費者の笑顔をつなぐ「バスの八百屋」
、奮闘中
08
香寺から地域へ、世界へ ハーブの力が香り立つ
09
地元で、そして都市との間で、つながり広がる農業ビジネス
10
交流田での米作り体験は、実物大の説明書
神戸市
04
篠山市
08
姫路市
株式会社
香寺ハーブ・ガーデン
多可町八千代区
NPO 法人集落丸山
03
篠山市
一般社団法人
NOTE
篠山市
篠山市
淡路市
南あわじ市
姫路市
姫路市
豊岡市
神姫バス株式会社
株式会社淡路島フルーツ農園
01
07
神戸市
姫路市
05
02
多可町八千代区
弓削牧場
多可町八千代区
HYOGO
ROKUJISANGYOKA
MAP
淡路市
06
南あわじ市
南あわじ市沼島地区
「地域おこし協力隊」
姫路市
豊岡市
弓削牧場 有限会社 レチェール・ユゲ
多可町八千代区
一般社団法人 NOTE
NPO 法人集落丸山
株式会社 淡路島フルーツ農園
南あわじ市沼島地区
「地域おこし協力隊」
神姫バス 株式会社
株式会社 香寺ハーブ・ガーデン
農業生産法人株式会社 Teams
コウノトリ育むお米生産部会
兵庫県内における総合化事業計画認定一覧 MAP
REPORT
そうした夫妻の努力は、自然に牧
ことが重要なんです」
と忠生さん。
うな 生 産 者は下 請けにとどまってし
さんが父親から牧場を受け継ぎ、妻の
場を磨くことにもつながった。牧 場そ
年間約3万人の来場者が訪れ、テ
和子さんとともに旧来の酪農を営ん
1 次から3次 産 業まですべて行える
でいた。
しかし 年前、大きな転機が
まいます。
この牧 場 を 守 るためには、
神戸市北区、六甲山の北側に位置する弓削牧場。酪農をベースに、
レビや雑 誌 などの取 材が絶えない弓
地と知で磨くオンリーワン、
新・都市型酪農開拓史
削牧場。
もともとは、場長の弓削忠生
神戸市
訪 れた。そ れは、忠 生 さんが下 した
を中心に、新郎新婦のためのオリジナ
ディングへのニーズにも対応。和子さん
のものの魅 力が注 目され、牧 場ウエ
ルにこだわり抜いたセレモニーをプロ
の波や、生乳の生産調整といった逆境
から牧 場を守るための切り札と考え
同時に
〝循環〞
も、弓削牧場の大き
デュースしている。
チーズ作りへの決 断。折からの宅 地 化
たのだ。夫 妻は、当 時 日 本では珍し
消費、再生まで資源の循環が出来上
なテーマ。
すでに場 内では、生 産から
かったナチュラルチーズ作りにゼロから
挑み、試行錯誤の末に成功。製造過程
やデパートからの引き合いも多く、生
いオンリーワンの存在。有名レストラン
そうして生まれる製品は、他にはな
いった。
楽ですよ」
と微笑んだ。
んは自作の装置を前に「命懸けの道
近 隣への電 力 供 給 も 可 能だ。忠 生さ
ば牧場のエネルギー自給はもちろん、
生させる実 験にも 着 手。実 用 化 すれ
尿や排 水で発 電 用のバイオガスを発
がっているが、さらに牧場から出る糞
で生じるホエイを料理や石鹸、化粧品
産から販売までの一貫体制が確立して
に活かすなど、
さらに可能性を広げて
いる。「連携やマッチングでは、うちのよ
手製のバイオガス発生装置。実用 自家製チーズで、ここだけの味わ 面積は 9 ヘクタール、ホルスタイン 40
化に向けて改良を重ねている。
いが自慢。商品開発に余念がない。 頭余りを放牧飼育している。
お料理でもウエディングでも、弓削牧場でなければな
らない意味が何よりも大事。それがなければ絶対にや
らない、という姿勢を徹底しています。
神戸市北区山田町下谷上西丸山5-2
078-581-3220
酪農をベースに、チーズの製造販売、農
家レストランの運営を行うなど、6 次
産業化が注目されるはるか以前から、
多様な事業を先駆的に展開。
㈲レチェール・ユゲ 代表取締役 弓削和子さん
弓削牧場
㈲レチェール・ユゲ
(農産加工やレストラン、カフェ、ブライダル担当)
INFO
地域の方々やお客様に、弓削牧場があることで暮らし
が豊かになっている。そう思っていただけるような存
在を目指したいですね。
場は今、資源を活かす循環型農業にも取り組む。
㈲箕谷酪農場 代表取締役 弓削忠生さん
30
の酪農スタイルを構築している。常に新たなステージを目指す同牧
Point of View
01
搾乳ロボットを導入した牛舎。作業負担の軽
減と効率化を実現した。
ストラン・カフェ、さらにはブライダルまで、多角的に展開する独自
チーズをはじめとする農産加工、自家製野菜やハーブを提供するレ
REPORT
名物の天船巻き寿司。
店では行列ができ、
有名百貨店からも販売の依頼がやって来る。
電話予約をしないと売り切れてしまうことも。
など、入 居 者と地 域 住 民が一体となる
の宿路の会 」を結成し、蛍の生息研究
催しを月2回程度実施。ここならでは
多 可 町八千 代 区が町 ぐるみで取り
文化を体験するという旅行形態だ。計
のやりがいと楽しみが定着した。
祭りや文化祭 、収穫祭 、里山の手入れ
画では
〝本物〞
を追求し、
その発祥であ
取り組みの中で、とびきり元気なの
や蛍の鑑 賞 会を開 催 。その他 、れんげ
るドイツ風のデザインをモチーフに、町
が「マイスター工房 八千 代 」だ。農 協
組んだのは、
グリーン・ツーリズム。都市
内に多様な交流が生まれるよう、各種
コープと保育園の建物跡を利用した、
住民が農山村に滞在し、農作業体験や
施設が複合的に作られた。
地元の主婦たちで、持ち前の
「もったい
その中 核 を 担うのが「フロイデン八
ない精神」
で、食材すべてを捨てること
60
特産品の加工販売と喫茶店。働くのは
棟、
それぞれ菜園を備えた別荘のよう
千 代 」だ。バンガロー風のコテージが
な 趣 。全 国 初の滞 在 型 市 民 農 園とし
なく利用する。
一番の人気商品は天船
巻き寿司。地元でとれた農産物をたっ
区画の募集に
ぷり巻きこんで作った巻き寿 司だ。1
て注目を浴び、第1期
しかし、〝本物〞
であるためには、地域
日で1700本 を 売り上 げる 名 物 と
1000件もの応募があった。
に定 着 する施 設でなくては。そこで、
年 余り。滞 在 型 市
民 農 園では世 代 交 代が進みつつあり、
事 業 開 始から
町には新たな 特 産 品 も 誕 生 。都 市 と
なっている。
でも気軽に立ち寄れる喫茶コーナーを
農村の交流は、確かな実を結んでいる。
地域住民との交流策が練られ、次々に
設 置し、集いの場に。さらに、すぐ裏の
実 行に移された。まず、農 作 業の途 中
川に蛍が多 く 生 息することから、「 蛍
20
25
02
「マイスター工房八千代」施設長の藤原たか
子さん。
「素材も人材も建物も、すべてを活かし
て作る、
最高のおもてなしです」
と胸を張る。
多可町八千代区
都市と地域が通い合う
新・ふるさとの創造
兵庫県中央部にある山間の街、多可町八千代区。
バブル期頃までは伝統
産業の播州織が盛んだったが、町の将来を見据え、都市農村交流をテー
マとした観光の産業化に着手。以来 20 年余り、取り組みの柱である滞
在型市民農園は常に登録待機者が絶えず、加工販売施設からは名物が
生まれるなど、農を基本とした新たな地域の魅力づくりに成功している。
Point of View
地域再生研究所 所長 細尾勝博さん
「フロイデン八千代」の大きな特徴は、二地域住居が得られること
です。地域性に応じた特色あるイベントを実施することで、暮ら
しの実感が生まれる。それは、都市生活の中で求めている「心の
ふるさと」といえるでしょう。退居後も、イベントには訪れると
いう方が少なくないのは、そんな魅力があるからだと思います。
「エーデルささゆり」のチャペルでの結婚式。
宴会場や宿泊施設、レストランも備える。
INFO
マイスター工房 八千代
兵庫県多可郡多可町八千代区中村 46-1
●加工・直売所 10:00-16:00
0795-30-5516
※商品がなくなり次第閉店
●喫茶マイスター 10:00-16:00
0795-30-5515
平成15年度 農林水産大臣賞受賞店
「フロイデン八千代」のコテージ内 「フロイデン八千代」入居者の皆さ 同じく滞在型市民農園「ブライベンオ
部。
生活設備はすべて揃い、
リゾー ん。口々に「ここで過ごす時間は楽 オヤ」。棚田を利用して開発。太陽光
トの別荘のような感覚。
しくて仕方がないです」。
発電や風力発電で街灯の電力を補う。
REPORT
03
気軽に集える
「ベジワンフーズ」
店内。
竹田城跡の城下町に 2013 年秋に誕生した「EN」もノオトが手掛けた事業。
旧木
ここでの交流から、
多様なネットワークが生まれている。 村酒造
(朝来市所有)
をリノベートし、ホテル、レストラン、カフェなどを備える複合商
業施設に生まれ変わった。
年 間で
人が利 用した。高 齢 化が進
就農シェアハウス
「小多田の家」もそ
のひとつ。就農希望者を受け入れるた
む周 辺 地 域では、若 者が入ってきたこ
山間へ行けば
「 集落丸山 」
のように、
古 民 家 を 活かした宿 泊 施 設やギャラ
ながらの建 物 を 活かした雑 貨 店やカ
を活用。2013年のオープンから1
フェなどが軒を連ねる。篠山では、
いろ
とで活気が出てきたと喜ばれている。
めの滞 在 施 設で 、集 落 内の空き 農 家
んな 所でそんな 元 気に出 会 うことが
また、河 原 町 妻 入 商 家 群にあるカ
フェ兼 食 品 店「ベジワンフーズ」は古 民
址につながる古い町 並みを歩けば、昔
できる。その仕掛け人ともいえるのが、
13
リー、
レストランが点 在する。また、城
「ノオト」
だ。
10
家 を 改 装したもので 、周 辺の新 規 就
を集め、都市の小売店へ卸すビジネス
農者を中心とする農家から有機野菜
償 で 借り 上 げ 、事 業 者 にサ ブリース
の拠点としている。店には新規就農者
基 本 的 な 手 法は、古 民 家 活 用によ
る地 域 再 生だ。所 有 者から 年 間 無
( 又 貸し)
し、 年 間の家 賃 収 入で資
的な役割を果たしている。
や移 住 者が多 く 訪れ、地 域の案 内 所
設立から5年、
これまでに約 棟の
空き家・古 民 家を改 修してきた「ノオ
金回収するというもの。所有者は管理
ト」。ミッションに掲 げる「 地 域の課 題
に悩まされず 、固 定 資 産 税 を 払 う 必
修 費が抑えられ、家 賃 を 安 く 設 定で
要もない。〝あるものを活かす〞
から改
きるため入居のハードルも下がるのだ。
実 践 され 、その 効 果 が確かに現 れて
に対 する創 造 的 な 解 決 策の提 供 」が
いる。
古民家そのものの価値にスポットを
当てた施設や店舗とともに、活動の拠
点としての再生事例も多い。
50
10
篠山市
築 270 年の茅葺き民家を再生した里山セミナーハウス
「天空農園」
クリエイティブな視点で
地域の価値を再構築
篠山市の地域おこしの強力なプロデューサー的存在である「一般
社団法人 ノオト」。古民家再生事業、スローフード事業、ツーリズム
事業を 3 本柱に、市民社会の創造に貢献する自主事業、地域団体
や NPO への支援事業などを独自に展開。丸山集落のまちづくり
支援をはじめ、数多くの成功事例を生み出している。
Point of View
INFO
一般社団法人 NOTE 理事 藤原岳史さん
一般社団法人 NOTE(ノオト)
古民家とコミュニティを中心に、本来その地域がもっている資源(農
産物・暮らし文化)に対し、日本伝統技術と近代のクリエイティブや
ICT 技術を融合させる事によって再生しています。一つの集落に機能
を集中させるのではなく、戦略的に他の地域に点在させていく事で、
その間にある地域も活気づいてきます。古民家の宿を全国ネットワー
クチェーンにするなど、いろんな可能性に挑戦していきたいですね。
地域団体への支援をベースに、農商工連携に
よる新産業の創造、クリエーティブツーリズ
ムの振興などを推進。その一環として、古き
良き日本人の生活文化にもう一度光を当て、
集落の再生や復興に取り組む。
篠山市黒岡 191 番地 篠山市民センター内
079-552-7373
ノオトが事業主体となった篠山
市の「集落丸山」。限界集落の
150年の古民家を改修・改築
し、
新しく宿として再生した。
「ベジワンフーズ」店主の中原大輔さ
ん。篠山で毎年開催され、昨年は7
万人が訪れたイベント
「ササヤマル
シェ」
を取り仕切る。
「小多田の家」管理人の神谷圭治さ
ん。
「 近所のお年寄りの話し相手に
なるなど、地域に溶け込むことが大
切です」。
REPORT
10
過疎化が進み、消滅寸前だった丸山集落。美しい里山風景の中に、築後
150 年以上の重厚な農村民家が空き家となっていた。
この貴重な集
設だ。
田純子さんだけで、あとは地元の人たち
りするのは住 民だ。常 勤は女 将の佐 古
接客から管理まで、実際に宿を切り盛
運営は地域住民で構成する「NPO
法人集落丸山」
と、地域コミュニティへの
ランチやディナーはフレンチのカリスマ
シェフが腕を振るう珠玉の味わいや、ミ
それが宿の大きな魅力、自然体のもて
が空き時間を融通し合って来てくれる。
中間支援を行う「一般社団法人ノオト」。
シュランガイドで星1つを獲得した名店
人集落丸山」代表理事の佐古田直實さ
んは言う。「みんなのやりがいが、お客様へ
なしにつながっているようだ。
「NPO法
くれる。客は篠山の里山を散策し、城下
たちもさらに元気になるんです」。
のおもてなしに表れ、喜ばれることで私
元のおばあちゃんが宿まで来て、地元野
町を歩き、自然の息吹と歴史にとっぷり
節ごとに開催され、宿泊客や地元の人
「
集落丸山」では、伝統的な暮らしや
文 化 をテーマとしたワークショップが季
民家を中心に、農村の暮らしを肌で感
なかなか経 験できない古 きよき 住 まい
じられる
「人、もの、こと」
がすべて揃って
たち、一般の観光客が参加。
ここには、古
じっくりと3 連 泊もして帰 途に着いた。
いるのだ。
家 を 泊 まり 歩いている という 夫 婦 は、
表わし切れない、時 間を超えた日 本の
と暮らしを味わった。
また、全国の古民
子どもを連れた家族連れは、現代では
と浸ってまた宿に戻って来る。ある幼い
菜をふんだんに使った家庭料理を作って
で蕎麦と旬料理が堪能でき、朝食は地
棟貸しの古民家で、まるでこの集落に住
原風景に包み込まれる喜びがあるのだ。
古民家再生で
甦る集落、隠れた名所に
まうかのような体 験が味わえる宿 泊 施
篠山城址のある市中心部から車で
分足らずの山間に「集落丸山」がある。
一
篠山市
ここには、スローライフという 言 葉では
NPO 法人集落丸山
NPO 法人集落丸山 代表理事 佐古田直實さん
篠山市丸山 30
079-552-5770
女将の佐古田純子さん。
この集落 玄関から通り土間が続く伝統的な バスルームは近代的なホテル形式を
に生まれ育っただけに、地元への愛 農村スタイル。台所奥には懐かし 採用。大窓で里山の眺めを満喫。
情も格別だ。
いおくどさん
(かまど)
もある。
空き家となっていた古民家をオーベル
ジュに再生し、消滅に瀕していた丸山集
落を周辺の里山とともに日本の伝統的な
暮らしが体験できる観光施設として復
興、活性化に成功。
過疎が進み、空き家が増え、私たちも気力が失せてしまってい
たとき、このお話を聞かされました。最初は半信半疑でしたが、
われわれが古来持っているものを活かすという考えを自然に受
け入れることができました、今では以前から考えられない気概
が湧き出てくるようです。
INFO
Point of View
04
里山を背後に、
ひっそりとたたずむ
「集落丸山」
。
この景色すべてが、
おもてなしになる。
落を地域資源として再生、活用しようという取り組みが 2007 年にス
タート。
2年後に蕎麦やフレンチの名店と連携したオーベルジュスタイ
ルの宿「集落丸山」
として甦った。
REPORT
冬から初夏はいちご、初夏から盛夏は
和牛、ハウスみかんとぶどうの栽培とい
就農した中谷さん。当初は、稲作、繁殖
牛 舎が倒 壊するなどの大 打 撃をうけ、
併設し、年間来場者は5万人、150台の観光バスが訪れる。2015年に
体では 品種を栽培し、園内での販売
う複合経営をしていた。
しかし、就農か
園内で採れたフルーツを使ったスイーツやジュースが味わえるカフェも
ぶどう、夏から晩夏はブルーベリー、秋は
四季を通して収穫体験ができる
「淡路島フルーツ農園」。
ら7年後、阪神淡路大震災でハウスや
周年体制とカフェ併設で
安定経営、さらなる飛躍へ
の1 年 間の収 穫 体 験のサイクルだ。全
「農の雇用事業」
を活用し、
新規就農者を積極的に雇用。
地元はもちろん、
全国からも募集している。
サツマイモとハウスみかん。
これが同農園
淡路市
さ ら に 付 加 価 値 を 与 え た の は、
魅力に加え、食べ放題も来園者に喜ば
も 行 う。季 節 を 問わず 楽しめるという
年間を通じた収益を安定させ、従業員
に転 換。多 品 種 生 産による周 年 体 制で
して抜本的な改革を決意し、観光農園
それをきっかけに経 営の安 定 化を目 指
の年間雇用で生産性も安定、天候リス
れ、評判は口コミで広がっている。
2011年にオープンした農園カフェ。
八ヶ岳 での 新 た な 農 園 運 営 は、 経
近年は増収が続いているという。
クも分 散させる。
この改 革が功を奏し、
代の女性や若い家族連れが
営 拡 大へのさら な る一手 。気 候 の 異 な
代から
食べ放 題の収 穫 体 験を求める客 層は、
多い。園 内で採れた新 鮮なフルーツをふ
いう 大 き なメリットが生 まれる。淡 路
る 2 拠 点 な らではの 産 地 間 リレーと
応 えた。同 時に市 場には出せない規 格
材 を 相 互 に 派 遣 す る ということが可
と八ヶ岳で産 品 を 供 給し合ったり、人
提供するカフェは、そのニーズに見事に
外の作物の有効活用もできる。「売り上
ツ農園」
の舞台は、全国へと広がった。
安定経営から商機へ。「淡路島フルー
能となるのだ。
げは予想を大きく上まわり、農園全体
の2割に達しています」
と、代表の中谷
年に父親の跡を継ぎ、脱サラして
学さん。
株式会社淡路島フルーツ農園
淡路市上河合 173
0799-85-2696
スイーツ作りでは、専門学校から先 就農したばかりの森万里子さん。
「語 近づくと目に入るこの看板が目印。
生を招いてコンテストを開き、スタッ 学力を活かして、外国人客を増やし 伝わりやすいデザインも工夫の1つ
になる。
フの腕を磨いている。
たい」
と意欲的。
温暖で日照時間の長い淡路島の気候を生か
し、年間を通じて 22 種の果物を生産。収穫
体験(ハウスみかん 10a、巨峰 40a、いちご
30a)をメインに、フルーツやスイーツ類を
販売。
当農園の社是は「考・心・汗」。その中で現在の課題は「考」、
つまり研究開発。そのための人材確保にも注力しています。
私は大学卒業後 1 年間、アメリカで大規模農業で研修を受け
ましたが、日本の農業が世界で戦うには知恵を絞らなければ。
リスクのさらなる低減も含め、国内に第3の拠点、そして海
外での拠点づくりも視野に入れています。
INFO
淡路島フルーツ農園 代表 中谷 学さん
22
30
んだんに使ったケーキやパイ、ジュースを
20
87
05
カフェとともに販売所を設けており、
1 年中、
新鮮なフルーツを提供。
害リスクをいかに低減し利益を生み出すか、考え抜かれた経営戦略だ。
収穫される多彩なフルーツを活かした、
持ち帰り用のスイーツも用意。
は山梨県八ヶ岳山麓での農園運営も開始。日本の農業にありがちな災
Point of View
REPORT
た。
いずれも 他 府 県の都 市からの移
そして新たに若い夫 婦 2 人 も 加わっ
うぎょしゃ)」開 催 日。参 加 者が自 由
島を巡る「おのころクルーズ」の企画
住者で、拠点は島の観光案内所「吉
運営など、島本来の魅力を掘り起こ
甚(よしじん)」。本物の漁師と漁船で
特設会場に並ぶ魚介類は、地元漁師
し、観 光 化していくことにも積 極 的
の幸と物々交換しようという催しだ。
の。参加客が用意したのは、島の人た
だ。
また、吉甚の建物もそうだが、空
ればいいかわからなくなったんです。
そ
言う。
「島にしがらみが多く、何をす
単ではないとか。隊員の大原浩さんは
目指している。
しかし、現実はそう簡
価 値 をつけて産 業 化していくことを
を提げた乗客が口々に島の一日を語っ
がる。帰りの船内では、大きな魚の箱
に会 話が弾み、会 場に交 流の輪が広
るからね」…。参 加 者 とスタッフの間
品をありがとうございます」「また来
「初めて来たけどいい島やね」
「素敵な
この日の手魚舎もまずまずの盛況
ぶり。「どこから 来 られたんですか」
計画も進んでいる。
き 家 を 観 光 用 施 設 として 再 生 する
こで、
一度お金の価値を捨てて、心でつ
ていた。
ながることから始めようと」。そうし
主 催 す るのは「地 域 おこし 協 力
隊」。観光客を呼び込んで、漁に付加
品々だ。
ちの暮らしや気 持ちを考えて選んだ
からの寄付や安価で譲ってもらったも
に品を持ち寄って、沼 島の新 鮮な海
協力隊のメンバーは、大原さんの他
に森 本 真 理 子さんと安 藤 美 祐さん、
兵庫県の最南端にある離島、沼島(ぬしま)。国生み神話の舞台「オノ
淡路本島から到着する船から、荷
物 を 携 え た 乗 客 が 次々に 降 りて 来
観光 × 漁業で描き出す
はじまりの物語
る。
その日は月に一度の「手魚舎(ちょ
南あわじ市
て手魚舎がスタートしたのだった。
沼島 地域おこし協力隊
南あわじ市沼島地区「地域おこし協力隊」 大原 浩さん
南あわじ市沼島 2400
0799-57-0777
「八十八箇所巡りで人のやさしさに この島で子供たちの社会的養護 沼島総合観光案内所「吉甚」。建物
救われ、この道を志しました」
と、隊 の実現を目指す、隊員の安藤美祐 は空き家を再生したもので、「ちょこっ
とカフェ」も営業中。
員の森本真理子さん。
さん。
沼島に活気を呼び込むために発足した観
光ボランティアガイド「ぬぼこの会」を前
身に、自治体の公募によって選ばれた隊
員 5 人が、他府県から移住して島おこし
に取り組む。
手魚舎でうれしかったのは、あるご夫婦に漁師の安全祈願のお守
りをいただいたこと。漁師さんもとても喜んで、つながった気が
しました。観光客の方はもっと島の人たちとのふれあいを求めて
います。私たちがそのつなぎ役になることで、交流を広げ、深め
ていければと思います。
INFO
Point of View
06
「手魚舎」
で物々交換される鯛、
スズキ、
コチ、
舌平目、
ホウボウなど、
獲れたての魚たち。
コロ島」と伝えられる漁業の島だ。
かつては 3000 人を超える島民が
いたが、高度成長期の頃から減り始め、現在は 500 人を下回る。今、
この島の活性化を目指して「地域おこし協力隊」が奔走中。観光と漁業
を掛け合わせ、島の古くて新しい魅力発信に取り組む。
REPORT
07
販
売
す
る
か
自
ら
直
接
販
売
す
る
か
を
と
い
う
も
の
で
、
野
菜
は
神
姫
バ
ス
に
期
路
線
﹂
に
な
り
つ
つ
あ
る
。
て
都
市
生
活
者
と
を
つ
な
ぐ
﹁
食
の
定
路
線
バ
ス
を
用
い
る
と
こ
ろ
。
生
産
者
農
家
と
バ
ス
利
用
者
、
地
域
住
民
、
そ
し
業
も
開
始
。
﹁
バ
ス
の
八
百
屋
﹂
は
地
元
部
の
消
費
者
へ
新
鮮
野
菜
を
届
け
る
事
売
す
る
と
い
う
新
し
い
地
産
地
消
モ
デ
い も
く に
。 、
並
べ
る
端
か
ら
品
物
が
売
れ
て
﹁
今
日
は
水
菜
が
安
い
ね
﹂
﹁
こ
れ
ど
う
始
ま
る
。
﹁
お
い
し
そ
う
な
大
根
や
ね
﹂
り
が
で
き
は
じ
め
、
に
わ
か
に
売
買
が
ら
れ
て
い
く
。
そ
の
ま
わ
り
に
人
だ
か
次
々
に
運
び
込
ま
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、
手
際
よ
く
並
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バ
ス
が
平
成
24
年
に
始
め
た
事
業
で
、
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業
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、 姫 。 に こ を い 規 る た
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5 何 生 意 意 ら 薬
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年 よ 産 見 義 に 野
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物 と
ち
の 午
前 前
に 11
新 時
鮮 過
な ぎ
野 、
菜 バ
や ス
果 を
物 待
な つ
ど 人
が た
姫路市
農家と消費者の笑顔をつなぐ
「バスの八百屋」
、奮闘中
姫路市中心部から放射状に伸びる神姫バスの路線。
これを使えば近郊
農家でとれた新鮮野菜を都市部へ直送、直売できるのでは。そんな発
想から生まれたのが、神姫バスの
「バスの八百屋」
。
農家と消費者、生
産地と消費地をダイレクトに結ぶ取り組みは、お互いのよろこびの声
Point of View
神姫バス株式会社 企画部企画課 課長 井上啓明さん
「バスの八百屋」は現在、約 15 軒 の農家さんが固定して参加されて
おり、ようやくカタチが見え始めたところ。事業の一番の目的は地
元農家の活性化ですが、貢献し続けるには原資となる収益も大切で
す。そのためには加工や流通など、多方面の皆さんとの連携が重要。
一緒に取り組んでいただける方、ぜひ、お声をかけていただきたい
ですね。
※ターミナルでの直売は、平成26年4月より売店に移動し常設営業。また、駅前再開発に
ともなって 12 月末で一時休止予定。平成 26 年 5 月末より、
神戸市内でも直売店を開設予定。
とともに、
ますますその輪を広げようとしている。
INFO
神姫バス株式会社
姫路市西駅前町 1 番地
079-223-1241(代表)
姫路市を本拠に路線バスの運営を行
うとともに、自社でも農業に参入。市
の課題であった、近郊農家の活性化
を図るため、バス路線を活かした施
策として「バスの八百屋」をスタート。
移動販売車が目的地に到着。
すぐにお客さん 野菜から加工品まで、バラエティに富ん 何よりも鮮度が自慢。地元
が集まって、
今日のお買い得を品定め。
だ品 え。
大勢のお客さんで賑わいます。 産の安心も人気の理由。
REPORT
入った。それが、
「香寺ハーブ・ガー
な興味からハーブの世界へと歩み
行をしていた福岡譲一さんは、そん
るべく、レストラン開業に向けて修
か。かつて病床の父親の夢をかなえ
洋食になぜパセリが添えられるの
一 方、枝 や 葉 も 大 き く 成 長 を 始
所への計画が進む。
の 融 合 し た、世 界 に 通 用 す る 保 養
物 有 機 生 産 協 議 会」で、医 療 と 農
と も に 立 ち 上 げ た「播 磨 機 能 性 植
る。推 進 母 体 は 同 社 が 地 域 住 民 と
さ ら に は 移 植 医 療 な ど、様 々 な 分
めた。関西大学の協力を得て、ハー
野 へ の 応 用 が 期 待 さ れ、す で に 大
ブ の 抽 出 技 術 を 応 用 し、大 根 葉 か
葉を広げている。
手企業との連携により実用化が進
デン」の始まり。以来、ハーブの生
そ の 根 の ひ と つ が、姫 路 市 夢 前
んでいる。
ら の 不 凍 ペ プ チ ド 抽 出 に 成 功。食
町 の 山 間 に あ る 山 之 内 小 学 校 跡。
平成 年7月には、小学校の2階
産販売、レストランオープン、大学
同社が廃校後の校舎を市に借り受
での研究と連携、企業との協働と、
け た も の で、教 室 で は、地 元 住 民
品はもちろん、建材や凍結防止剤、
フレッシュ&ドライハーブの生産販売から、地元農家との連携によるス
地元に根を伸ばしながら世界へと枝
香寺から地域へ、世界へ
ハーブの力が香り立つ
さ ら に こ の 地 域 で は、現 在、再 生
とが第一の目的です」と、
福岡さん。
り組む。
「元気を生む場所を作るこ
を配合した化粧品などの生産に取
とUターン組の若者たちがハーブ
な躍動が芽吹いた。
たどっていたこの地域に、また新た
極的に行うという。過疎化の一途を
目的で、地域のお年寄りの参画も積
国産の高品質な生薬の研究開発が
に「夢咲機能性植物研究所」を設立。
香寺ハーブ・ガーデン
株式会社 香寺ハーブ・ガーデン 代表取締役社長 福岡譲一さん
・姫路市香寺町矢田部 689-1
・姫路市夢前町山之内甲 619 夢前工場
079-232-7316
生産拠点として市から借り受けた
旧山之内小学校。
めた、香寺発のイノベーターだ。
厳しく品質チェックをするスタッフ。衛生 桑の葉を使ったお茶な 本店内には、食品や飲料、化粧品など、
面にも細心の注意が払われる。
ど、開発中の新商品。
有機ハーブを使った製品が並ぶ。
ドイツの 規 格 であるコミッション Eに適
合 す る ハ ー ブ 品 種 を 選 定し 、ハ ー ブ
ティーやハーブを使った自然化粧品、機
能性ドリンクの開発・加工販売を行う。
「霜に当たった野菜はおいしい」というお年寄りの言い伝え。私はそ
こに可能性を感じて不凍ペプチドの抽出を志しました。大切なのは、
古来の食を守り伝えること。農を中心に産学官が集積する欧州のフー
ドバレイのように、この地域に脈々と受け継がれる食文化を支え、
発信する“フードビレッジ”の形成が私の理想です。
INFO
Point of View
姫路市
から発展への未来図が描かれてい
26
08
店内では、ハーブに関する説明やアドバイスなど、きめこまかに対応。
旧山之内小学校内の生産施設。教室は廃校
時のまま活用。
ガーデン」。不凍ペプチドの抽出成功により、関わる分野は食、住、医、
イーツ、ハーブティー、化粧品などの製造販売を行う「香寺ハーブ・
そしてバイオにまで及ぶ。
ハーブを媒体に“人と自然”
“人と人”を見つ
REPORT
の栽 培に使 う 。また、地 元の畜 産 農
用し、 環 境 を 守るエコサイクルを 基
日 高 町の農 場で、鮮やかなオレン
本 と する 農 業 だ 。
家に飼 料 野 菜 を 提 供 し 、 畜 産 農 家
また、Teamsでは
「地産都消」
ジ 色 の 集 団 を 見 た ら、 そ れ は
現している。す なわち、 企 業 として
ム姿は、かっこいい農 業への革 新を表
を提 唱し、都 市との交 流に注 力して
用 し 野 菜 を 作 る。資 源 を 有 効 に 活
社 会への 貢 献 と 利 潤 の 追 求 を 旨 と
いる。
「 地 産 地 消 」よりも大きな循 環
そ の 取 り 組 みのひとつで、
PR効 果
で 成 長 を 目 指 す のだ。農 業 体 験 も
と と もに、 地 元 の 活 性 化 や 雇 用 創
産 販 売から、 加 工 品 の 開 発 及 び 製
売まで。また、地 元 酒 造 会 社との提
体 験 活 用の輪が広がっている。
出にも 期 待 を 寄せる。実 際に大 学の
設 立から 5 年のTeams 。人 参
ゼミや 地 元 小 中 学 校 、一般のバスツ
「〝 楽 農や〞農 村 塾 」を開 校し、 人 材
が学 校 給 食に採 用され、吊るし柿の
携による 純 米 酒 の 販 売 も 予 定 して
育 成 、情 報 発 信にも取り組む。
生 産 販 売 に 取 り 組 むこ と も 決 まっ
アーにも取り入れられるなど、 農 業
そ れら 事 業 の 中 心 にあ るのは 循
た。Teamsの農 業スタイルがじわ
験 イベント、セ ミ ナー な ど を 行 う
環 型 農 業 。例 え ば、 都 市 部 の 飲 食
りと浸 透し始めた。
いる。
一方では、就 農 支 援 、研 修 、体
造 販 売 、 有 機 由 来の 液 体 肥 料の 販
事 業 内 容は幅 広 く 、 農 作 物の生
Teams。生産、加工、販売を一貫して行う 6 次産業化を積極的に進める
する農 業ビジネスだ。
から排 出される堆 肥(たいひ)を 利
循 環 型 農 業 を 事 業 の 核 に据 え、新 た な 農 業 スタイ ル を 追 求 する
Teamsのメンバーだ。主 力 商 品の
地元で、そして都市との間で、
つながり広がる農業ビジネス
人 参の色 をモチーフにしたユニフォー
大学のゼミで農業体験をする学生たち。
就農希望者はもちろん、
企業研修や小中学校の校外学習にも利用される。
店 やスーパーで 廃 棄 さ れ る 食 物 残
農業生産法人 株式会社 Teams
農業生産法人 株式会社 Teams 営業部部長 由良 大さん
豊岡市日高町岩中 208
0796-42-2244
企画・広報部門を組織に持ち、マーケティングや
情報発信にも力を入れる。
自社の畑で採れた野菜。スタッフは「おいしさではどこに
も負けない」と自負する。
地元建設業者を母体に 2009 年に設立され、
循環型農業をベースに地域経済の活性化、食
の安心・安全、地域雇用の創出などを目指し
て事業を展開。就農支援や農業体験などの人
材育成や都市住民との交流に尽力。
当社の農村塾では、生徒の皆さんに農業の新3K“かっこいい・
稼げる・感動する”を目指そうと呼びかけています。農業はこ
れまでのように「しんどいばかりで儲からない」というもので
はなく、本当はやりがいのあるビジネスだということ。私たちは、
そんな農業を実践し、伝えていこうと行動しています。
INFO
Point of View
豊岡市
渣( ざんさ)から作った液 肥 を 野 菜
09
福島県から震災後に自主避難し、農村塾へ。
現在は雇用就農中で将来は独立を計画する古迫稔和さん。
とともに、都市との交流を成長の軸に、多様な取り組みを展開している。
アグリカルチャーからアグリビジネスへ。それが次 世 代を見 据えた
Teams の農の流儀だ。
REPORT
10
栽培期間中農薬や化学肥料は一切使用しない製品。
安全・安心が消費者に喜ばれている。
物を多く生息させるとともに、農薬
を工夫し、エサとなる田んぼの生き
5 月のある日、コウノトリが子 育
てをする人工巣塔近くの水田に、家
肥 料を使わずに稲を育てるというも
年 の 実 施 当 初 の 作 付 け は、
これは、産地、流通、小売、行政
協 働による「コウノトリ育 むお米 推
んぼに笑顔が咲き誇る。
あちこちで歓 声や奇 声が上がり、田
り前に見られるようになった。
コウノトリがいる田んぼの風景も当た
ノトリ育むお米」が占めるまでになり、
年で約 3 0 0ヘクタールに増 加。豊
0・7ヘクタールだったが、その後
の。
進協議会」が、2012年から開催
数 派。これだけ手 間をかけて育てて
しかし、この米の購 入 者でも、そ
んな背景や現実を知る人ははまだ少
岡 市で収 穫される米の1 割を「コウ
交流田を会場に春は田植え、秋には
ここで行われるのは「コウノトリ育
む農法」。日本では絶滅してしまった
も大いに弾む。
ずつ確実に広げていく。交流イベント
市の人を呼び込んで、その輪を少し
ら、体 感して 知ってもらわねば。都
に浸 透 させなければ 持 続 は 難 しい。
いることの価値を、しっかりと消費者
コウノトリを、再び野生に帰そうとい
は、いわば実物大の説明書なのだ。
それは言 葉では伝わらないことだか
期に水を張ることや栽培中の水管理
う 取り組みから始まった。冬 季や早
き物調べ」も実施され、親子の会話
稲刈り体験が行われる。同時に「生
都市部に住む人たちが参加し、産地
する恒 例イベント。主に阪 神 地 域の
慣れない手つきで苗を植え始めると、
の不 使 用もしくは減 農 薬、かつ化 学
「コウノトリ育むお米」とは、豊岡の安全で安心なお米のブラン
族 連れを中 心にたくさんの人が集ま
交流田での米作り体験は、
実物大の説明書
る。そして、泥だらけになりながら
ド。天然記念物のコウノトリとの共生を目指した環境づくりの中
で生まれたもので、農薬や化学肥料に頼らず、エサとなる生き
10
コウノトリ育むお米生産部会
豊岡市八社宮 490(事務局 JA たじま)
0796-24-2205
稲刈り交流会では、手刈りの他、コンバインによる刈 田植え交流会には、一般消費者とともに、地元生
り取りも体験。収穫の楽しさを味わった。
産者、行政関係者、
JAたじま職員なども参加。
平成 18 年、「コウノトリ育むお米」の生産
者で組織する部会として設立。
「コウノトリ
育む農法」で米作りを行いながら、産地交流
田を設置し、都市の消費者を招いて交流を
図るなど、消費者への啓蒙に努めている。
お米の消費量が落ちる中、他の業者や業界との連携も必要
です。例えば、大阪の老舗製パン会社さんには、米と麹の
天然酵母で作るパンに「コウノトリ育むお米」を使ってい
ただき製品化されました。お米そのものの売り方にしても、
もっと工夫して、売り場で買う楽しさや、わかりやすさも
考えていきたいです。 03
INFO
たじま農業協同組合 直販事業部米穀課 堀田和則さん
豊岡市
て、官民一体となって都市住民との交流が進められている。
物が豊富に生息する田んぼで栽培した米だ。その認知に向け
Point of View
兵庫県内における総合化事業計画認定一覧
(H26.
2月末現在
)
(H 25.
10月末現在
)
播磨地域
農山漁村の6次産業化について
HARIMA
播磨
農山漁村は、有形無形の豊富な「地域資源」
(農林水産物、バイオマス、自然エネルギー、
風景・伝統文化など)が存在する宝の山です。
これらの「地域資源」を有効活用し、農林漁業者(1次産業)が自ら加工(2次産業)、
流通・販売(3次産業)まで業務展開し、新たな付加価値を生み出すことによって、農
山漁村の雇用確保と所得向上を目指します。
また、これによって農林漁業の健全な発展を可能にするとともに、農山漁村の活性化に
つながることが期待されています。
(1次産業×2次産業×3次産業=6次産業化)
宍粟市
神河町
⓽
自家栽培の野菜を利用した漬物類の加工、販売事業
⓾
自家栽培の果樹を利用したジャム・菓子類の加工・販売事業
⓫
キクイモとノビルを原料とする菓子の商品化と加工販売
⓬
自社生産の野菜及び果実を利用した加工商品の開発・販売事業
⓭
いなみの漬物と餅の製造・販売事業
⓮
園芸栽培を行い身障者とシルバーを活かした花の栽培・加工・販売事業
⓯
自家生産の米を使った加工食品(もち)の製造販売事業
⓰
イチゴと夢前メロン(地域ブランド化)のもぎ取り体験&スイーツカフェのある直売所
⓱
世界基準のハーブ生産と商品開発の確立
♳
地域の特産品であるキャベツとタマネギを主に利用した商品の加工・販売事業
⓲
安心安全な姫路のふるさと野菜の栽培と販売事業
♴
地域の特産品であるイカナゴを利用した新商品の加工・販売
⓳
水耕栽培で収穫した野菜をカッ ト野菜に加工及びサラダセットと して販売
♵
漁業者が海苔・魚を加工し、インターネット販売する事業
⓴
姫路市産の米と野菜を使用したイタリア伝統食品の加工品製造及び販売事業
♶
温室栽培で生産したイチゴを原材料とするイチゴ加工食品の製造、販売事業
㉑
古代米で新しい米の食べ方を提案 ~食べて守ろう日本の農業~
♷
特A地区の高級酒米、山田錦を用いた「特A山田錦の黄金酢」(仮称)の開発・製造・販売
㉒
揖保川の地下水を利用した、水耕栽培による小ねぎのブランド化事業
♸
野菜果実の加工・販売施設の設置による生産物の利用拡大と販売促進
㉓
特産品である桑の実及びバジルを中心とした野菜の商品開発・加工の販売事業
♹
ハーブの栽培とハーブ加工製品の開発・販売
㉔
乳酸菌を散布して栽培した、季節野菜の高付加価値販売
⓼
自社牧場の牛乳を利用した菓子類の加工・販売事業
㉕
ハウス野菜の惣菜等商品の加工販売及び米穀の契約販売事業
多可町
市川町
佐用町
㉕
西脇市
福崎町
たつの市
上郡町
相生市
赤穂市
㉑
㉒
㉓
㉔
太子町
加東市
⓼⓽
加西市
姫路市
⓯
⓰⓱⓲
⓳⓴
小野市
⓾⓫
加古川市
高砂市
稲美町
⓬
播磨町
家島町
⓮
三木市
♶♷
♸♹
⓭
明石市
♳♴♵
播 磨
有限会社 かんらん / 明石市
株式会社 現金屋 / 明石市
中谷正男、井上雅夫、井上晃良 / 明石市
農業生産法人 株式会社 実里 / 三木市
フォーSKグループ 代表 将積 浩 / 三木市
谷井啓人 / 三木市
三木ハーブ産業推進協議会 / 三木市
有限会社 ブリランテ / 加東市
竹内八夫 / 加東市
岩本文男 / 小野市
株式会社 のーびる本舗 / 小野市
株式会社 ダイツウ / 加古川市
松井義輝 / 加古郡稲美町
さくら合同会社 / 加古郡播磨町
有限会社 丸井農場 / 加西市
有限会社 夢前夢工房 / 姫路市
株式会社 香寺ハーブ・ガーデン / 姫路市
株式会社 ジャパンファーマーズヤード / 姫路市
AIUEO 合同会社 / 姫路市
小川農園株式会社 / 姫路市
松田光司 / 赤穂市
有限会社 農興 / たつの市
株式会社 ささ営農 / たつの市
株式会社 博農 / たつの市
有限会社 環境微生物研究所 / 神崎郡市川町
兵庫県内における総合化事業計画認定一覧
(H26. 2月末現在 )
阪神・丹波・但馬地域
新温泉町
♹⓼
豊岡市
♳♴
香美町
♶♷♸
養父市
朝来市
♵
阪 神
HANSHIN
TAMBA
TAJIMA
丹波市
♹⓼
⓽⓾
篠山市
♳♴♵
♶♷♸
三田市
⓬
但馬
猪名川町
川西市
宝塚市
丹波
⓫
阪神
神戸市
♳♴♵♶♷
♸♹⓼⓽⓾
芦屋市
伊丹市
♳
ノンホモ低温殺菌牛乳による農から発信する新たな食文化の交流
有限会社 レチェール・ユゲ / 神戸市
♴ 「真空パックの『神戸米』(商標登録第 5339970 号)」を新商品開発・販売する事業
株式会社 小池農園こめハウス / 神戸市
♵
キャルファームのトマトとニンジ ンを利用した、加工品販売事業
♶
自社栽培のトマトを原料としたドライトマトの加工・販売
♷
自家栽培小麦 100%の粉を使用したパンの製造販売および食育を取り入れた見学施設運営
♸
神戸産フルーツを活用した果樹農家ならではの加工品づくり・販売事業
♹
イタリアン野菜をペースト加工し、冷凍スープにして販売する事業
⓼
神戸牛牧場で育った安全でおいしい牛肉と加工品の製造・販売事業
⓽
有機唐辛子の有機一味唐辛子と有機ミニトマトの有機ドライミニトマト事業
⓾
自家栽培ゴーヤを天日に干し、それを利用した商品の加工・販売事業
⓫
地域特産品原材料としての 「宝 塚バジル」 の栽培と一次加工商 品の製造・販売
⓬
自社の資源再利用した有機肥料を施し、一般より農薬使用を半減して栽培した大豆を原料とした全粒利用豆腐の加工販売
農業生産法人 株式会社 キャルファーム神戸 / 神戸市
有限会社 ドリームズ・ファーム / 神戸市
合同会社 小麦生活 / 神戸市
松下勇人 / 神戸市
株式会社 RingUp / 神戸市
株式会社 神戸牛牧場 / 神戸市
株式会社 ナチュラリズム / 神戸市
ピカリなごみの会 / 神戸市
株式会社 バジリーニ / 宝塚市
松本造園土木 株式会社 / 三田市
尼崎市
西宮市
丹 波
♳
地域農産物を使ったお菓子の加工販売
♴
地域休耕地活用「なた豆・ヤーコン」のお茶加工販売・販路開拓および一次加工販売拡張事業
♳
地域の農産物ニンジンを活用した加工品(野菜ドレッシング)の開発と販売事業
♵
地域の魅力を活かす観光集客を軸とした直販事業化・農家レストラン経営による多角経営化
♴
コウノトリ育む農法に準じた稲作と生姜・ニンニク等を活用する生産・加工・販売
♶
集落丸山の里山特産品の開発製造販売事業
♵
但馬産ジャージー牛乳を利用したスイーツ、パン等の加工食品の製造・販売、ブランド化
♷
地域特産品である野菜類や米穀類を利用した和食総菜、野菜ジュース、スイーツ類、土産品等の加工・販売事業
♶
繁殖肥育一貫経営による但馬牛の精肉加工と直売
♸
丹波地方特産の黒大豆の規格外品を活用したそばの製造販売、調理販売
♷
但馬牛の繁殖肥育一貫経営による但馬牛の精肉加工と直売
♹
丹波の健康な鶏の美味しい卵でつくるスイーツと惣菜の加工・販売事業
♸
山陰沖で漁獲される鮮魚の高鮮度化商品の加工・販売事業
⓼
農薬・化学肥料不使用栽培の野菜や穀類の加工・販売事業
♹
合鴨肉とアイガモ米を利用した商品開発・製造販売事業
⓽
丹波の農産物を活用した加工商品の開発・製造・販売
⓼
新冷凍技術により鮮度を保持したほたるいか等の海産物加工・販売事業
⓾
丹波市産の農薬不使用野菜を活用した新商品の開発・製造・販売事業
但 馬
農業生産法人 株式会社 Teams / 豊岡市
こうのとり夢ファーム 株式会社 / 豊岡市
吉井英之 / 朝来市
株式会社 上田畜産 / 美方郡香美町
美方ファーム 株式会社 / 美方郡香美町
しばやま美味魚会 / 美方郡香美町
農事組合法人 アイガモの谷口 / 美方郡新温泉町
浜坂漁業協同組合 / 美方郡新温泉町
株式会社 アグレッサンス / 篠山市
株式会社 丹波篠山かまい農場、岸本一朗 / 篠山市
株式会社 丹波篠山大内農場 / 篠山市
集落丸山 代表 佐古田直實、株式会社めぶき農房 佐古田浩治 / 篠山市
農業 H・B・L クラブ 代表 川崎計弘 / 篠山市
株式会社 馬場農園 / 篠山市
株式会社 芦田ポートリー / 丹波市
株式会社 ジェイ農園 / 丹波市
丹波ブリッジファーム / 丹波市
丹地人 / 丹波市
兵庫県内における総合化事業計画認定一覧
(H26.
2月末現在
)
(H 25.
10月末現在
)
淡路地域
淡路市
⓰⓱⓲
⓳⓴㉑
㉒㉓㉔
淡路島
洲本市
⓽ 淡路島周辺で漁獲・水揚げされた水産物を利用した新商品の加工・販売事業
♳♴
♵♶
アサヒシーフード 株式会社 / 南あわじ市
⓾ 自社生産の米と玉葱を活用した新商品の開発・販売及び観光事業
有限会社 光輝 / 南あわじ市
⓫ 南あわじ市福良で水揚げされた水産物を利用した新商品の加工・販売事業
南あわじ市
♷♸♹⓼
⓽⓾⓫⓬
⓭⓮⓯
前拓水産 株式会社 / 南あわじ市
⓬ 淡路の竹資源を活用した新商品の製造・販売
杉本林業 株式会社 / 南あわじ市
AWAJI
⓭ 自社農産物を活用した淡路島産オリジナル商品の開発・販売事業
株式会社 善太 / 南あわじ市
⓮ 地域特産物であるたまねぎ、レタス、白菜、キャベツ、ブロッコリーの加工用野菜を利用した新商品の開発と販売事業
あわじ島農業協同組合 / 南あわじ市
⓯ マダイ・ハマチなどの養殖魚を活用したレストランメニュー・土産物の開発・提供・販売
山形屋水産株式会社 / 南あわじ市
淡 路
⓰ 地域の特産品であるみかん類、ぶどう、いちご等を活用した商品の加工・販売事業
農業生産法人 株式会社 淡路島フルーツ農園 / 淡路市
♳ 鮎原米を利用した加工・販売事業
⓱ “北坂たまご”のブランド化を目指した直売所の整備、加工商品の開発・販売事業
♴ 淡路島産の野菜、果物を使った加工品の製造と通信販売の事業化・農園カフェの経営
⓲ 玉葱を主とした淡路産野菜の生産規模の拡大と一次加工野菜の販売事業
♵ 淡路島の国産レモンを利用した商品の加工・販売事業
⓳ 玉葱を主とした淡路産野菜の生産・販売と一次加工野菜の販売
♶ 有機野菜の規格外品及び合鴨を活用した加工品の開発及び販売事業
⓴ 減農薬による安心・安全な淡路米の生産及び加工・販売事業
♷ 淡路玉葱のブランドを用いた特産品となるオニオンスパイスの生産・販売及び乾燥・カット野菜の加工販売
㉑ 自社栽培の淡路島たまねぎを原料としたむき淡路島たまねぎ真空パック等の加工販売事業
♸ 淡路いのぶたの生産向上(安心・安全)と新製品の開発・販路開拓・販売事業展開
㉒ 淡路産小麦を活用した洋菓子・スイーツの開発と販路開拓
♹ イタリア原産種のオリーヴの栽培とオリーヴ加工製品の開発・販売、直営店等の販売拠点の整備
㉓ 自社農園で栽培した淡路島産果実を利用した加工品の開発と観光農園・農家カフェによる提供・販売
⓼ 都市緑化用植物苗及び緑化商品の開発・生産・加工・販売事業
㉔ 自社で特別栽培方法によるビワ及びイチジクの栽培の導入と、それらの果実を活用した新商品の開発と販路開拓
岩見ライスセンター 岩見倍夫 / 洲本市
株式会社 チュー リップハウス農園 / 洲本市
平岡農園 平岡龍麿 / 洲本市
花岡農恵園 / 洲本市
株式会社 淡路フィール / 南あわじ市
株式会社 嶋本食品 / 南あわじ市
株式会社 南あわじオリーヴ園 / 南あわじ市
エコリカル 代表 菊川健一、湯原ナーセリー 代表 湯原健一 / 南あわじ市
北坂養鶏 代表 北坂勝 / 淡路市
有限会社 イザナギ開発 / 淡路市
株式会社 ショーゼンファーム / 淡路市
里稲作研究グループ 代表 野添幹生 / 淡路市
株式会社 池上 / 淡路市
有限会社 たかた / 淡路市
山田屋農園 山田修平 / 淡路市
有限会社 くろだ / 淡路市
農林水産省 近畿農政局
神戸地域センター
〒 650-0024 神戸市中央区海岸通 29 神戸地方合同庁舎
電話:078-331-9946(6 次産業化チーム)、FAX:078-331-2550
姫路地域センター
〒 670-0940 姫路市三左衛門堀西の町 18
電話:079-281-3697(6 次産業化チーム)、FAX:079-281-3693
豊岡地域センター
〒 668-0023 豊岡市加広町 5 - 10
電話:0796-22-2179(6 次産業化チーム)、FAX:0796-22-2172
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