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2008年版
第 2 部 国・地域別編
フィンランド
Republic of Finland
①人口:530 万人(2007 年末)
④実質 GDP 成長率(%)
②面積:30 万 3,901km2
⑤貿易収支(ユーロ)
③ 1 人当たり GDP:4 万 6,602 ドル
(2007 年)
⑥経常収支(ユーロ)
⑦外貨準備高(米ドル)
⑧為替レート(1 米ドルにつき,
2005 年
2006 年
2.8
4.9
2007 年
4.4
76 億 9,800 万
91 億 3,300 万
86 億 6,200 万
56 億 6,100 万
76 億 700 万
82 億 2,200 万
105 億 5,210 万
64 億 9,400 万
70 億 6,300 万
0.8041
0.7971
0.7306
ユーロ,期中平均)
〔出所〕①②:フィンランド統計局,③⑦⑧:IMF,④:フィンランド財務省,⑤⑥:フィンランド中央銀行
2007 年のフィンランド経済は,好調な内需と堅調な輸出に支えられ実質 GDP 成長率が 4.4%と前年に引き続き高い成長を記
録した。輸出入ともに過去最高額を記録したが,輸入が輸出の伸びを上回り,貿易黒字幅は縮小した。対内直接投資では金融
分野で大型案件が,対外直接投資では通信機器,エネルギー分野で活発な動きがみられた。
は,ほとんどが中継貿易によるもので,フィンランド関
■内外需ともに好調だった経済
税局は,ロシアにはこのほかに 67 万 9,000 台が通関なし
フィンランド経済は 2004 年来,好況が持続している
で中継輸出されたと推定している。フィンランドはロシ
が,2007 年も実質 GDP 成長率 4.4%の高成長を達成した。
ア,バルト三国への輸出の“ハブ”的役割を担ってい
前年の成長率 4.9%には及ばないものの,EU27 平均の
る。サンクトペテルブルグ経済圏の拡大に伴い,その物
2.8%をはるかに上回る高い成長率だった。個人消費
流拠点としての重要性は今後も維持されよう。
3.7%増,民間設備投資 8.1%増など内需が好調だったこ
なお,従来,最重要輸出品目であった携帯電話端末
とに加え,輸出も 4.8%増(実質,財・サービス)と堅
は,ノキアが国外への生産移管を進めた結果,2007 年
調で外需も寄与したことによる。
も 2.5%減となり,構成比は 2005 年の 19.0%から 14.4%
2008 年については,米国の景気低迷による輸出鈍化,
に低下している。これまでハンガリーからフィンランド
インフレによる個人消費の低下,先行き不透明感による
での最終工程を経て輸出されていたロシア向けが,ハン
民間設備投資の手控えなどを織り込んで,財務省(3 月
ガリーからロシアへの直接輸出に切り替えられた影響が
発表)が 2.8%,大手銀行ノルディアも 2.3%(4 月発表)
大きい。ノキアは 2007 年第 4 四半期に世界の携帯電話市
と成長の鈍化を予測している。
場で占有率 4 割を達成したが,フィンランドの輸出全体
に占める割合は低下している。
■特殊機械,輸送用機器の輸出が好調
同じく従来からの重要輸出品目である製紙・パルプ類
2007 年の輸出は前年比 6.5%増の 654 億 8,400 万ユーロ,
も 1.9%減と伸び悩んだが,これは 2007 年 7 月 1 日から
輸入が 7.7%増の 594 億 9,300 万ユーロとなり,ともに過
製紙原料となる白樺などの丸太への輸出関税率をロシア
去最高額を記録した。輸入の伸びが輸出を上回った結
が段階的に引き上げ,原料費が上昇した影響が大きいと
果,貿易黒字は前年比 2 億 4,500 万ユーロ減の 59 億 9,100
みられる。EU とフィンランド政府による撤回要請にも
万ユーロとなった。
かかわらず,ロシアは 2008 年 4 月に税率を引き上げ,
輸出を品目別にみると,最大の品目である機械・輸送
2009 年 1 月にも再度引き上げるとしており,採算割れか
用機器類(構成比 42.2%)が 7.0%増と好調を維持した。
ら紙・パルプ製品の国内生産の存続が危ぶまれている。
特に製紙機械(前年比 48.9%増)などの特殊機械(26.1%
国・地域別では輸出全体の 56.7%を占める EU27 は
増)や船舶(33.8%増)の伸びが著しい。前年に 60.1%
5.6%増だった。最大の輸出先ドイツは 3.0%増にとど
増と急増した乗用車は 8.6%減と金額ベースでは減少し
まったが,スウェーデンは 8.8%増と好調だった。EU 域
たが,数量ベースでは前年比 8,700 台増の 10 万 9,700 台
外では,第 3 位の輸出先ロシアが市場拡大を続け 7.9%
を輸出した。主な仕向け先はロシア(6 万 4,000 台)
,ド
増と好調だった。中国向けも引き続き順調に伸び,9.4%
イツ(2 万 4,000 台),バルト三国(1 万 8,000 台)だった。
増となった。中国向け輸出の 66.7%が機械類で,そのう
ドイツ向け輸出のほとんどがヴァルメットによるポル
ち携帯電話・同部品が 22.4%を占めている。中国で携帯
シェの委託生産車とみられる。ロシア,バルト三国向け
電話を生産するノキアにとって,中国は最大の販売市場
304
■ フィンランド ■
表 1 フィンランドの主要品目別輸出入 <通関ベース>
食
料
品
飲 料 ・ た ば こ
原料品類(食用,燃料除く)
鉱
物
性
燃
料
動 植 物 性 油 脂
化
学
品
原
料
別
製
品
機 械 ・ 輸 送 用 機 器 類
家具・衣料品ほか工業製品
合
計
2006 年
金 額
952
112
3,903
3,192
73
4,569
19,228
25,826
3,046
61,489
(単位:100 万ユーロ,%)
輸 出(FOB)
2007 年
金 額
構成比
1,133
1.7
127
0.2
3,851
5.9
3,509
5.4
32
0.0
4,965
7.6
20,169
30.8
27,633
42.2
3,246
5.0
65,484
100.0
伸び率
19.0
13.4
△ 1.3
9.9
△ 56.2
8.7
4.9
7.0
6.6
6.5
2006 年
金 額
2,096
441
5,317
8,473
48
5,975
6,581
20,226
4,846
55,253
輸 入(CIF)
2007 年
金 額
構成比
2,333
3.9
486
0.8
6,360
10.7
8,175
13.7
69
0.1
6,026
10.1
7,694
12.9
21,606
36.3
5,117
8.6
59,493
100.0
2006 年
金 額
30,818
27,227
7,668
5,422
2,654
1,811
3,472
1,270
119
347
7,768
2,079
8,866
4,109
1,591
55,253
輸 入(CIF)
2007 年
金 額
構成比
33,331
56.0
29,525
49.6
8,402
14.1
5,925
10.0
2,899
4.9
2,114
3.6
3,695
6.2
1,249
2.1
111
0.2
397
0.7
8,408
14.1
2,011
3.4
9,563
16.1
4,458
7.5
1,616
2.7
59,493
100.0
伸び率
11.3
10.2
19.6
△ 3.5
43.8
0.9
16.9
6.8
5.6
7.7
〔注〕2007 年は暫定値。
〔出所〕表 2 とも,フィンランド税関。
表 2 フィンランドの主要国・地域別輸出入 <通関ベース>
E
U
E
U
ド
イ
ス ウ ェ ー デ
英
フ
ラ
ン
E U 04 年 加 盟
エ ス ト ニ
E U 07 年 加 盟
E U 加 盟 候 補
ロ
シ
米
ア
ジ
中
日
合
27
15
ツ
ン
国
ス
国
ア
国
国
ア
国
ア
国
本
計
2006 年
金 額
35,169
30,088
6,946
6,457
4,000
2,065
4,891
1,773
190
760
6,220
4,012
5,634
1,974
1,012
61,489
(単位:100 万ユーロ,%)
輸 出(FOB)
2007 年
金 額
構成比
37,127
56.7
31,714
48.4
7,151
10.9
7,022
10.7
3,828
5.8
2,202
3.4
5,165
7.9
1,753
2.7
249
0.4
725
1.1
6,711
10.2
4,186
6.4
6,436
9.8
2,160
3.3
1,174
1.8
65,484
100.0
伸び率
5.6
5.4
3.0
8.8
△ 4.3
6.6
5.6
△ 1.1
31.1
△ 4.6
7.9
4.3
14.2
9.4
16.0
6.5
表 3 フィンランドの業種別直接投資
<国際収支ベース,ネット,フロー>
でもあり,生産量を拡大していることがみてとれる。
輸入を品目別にみると,機械・輸送用機器類が全体の
36.3%を占めているが 6.8%増と全体の伸び(7.7%)を
下回った。主要品目である携帯電話・同部品が 4.3%増
製
たことによる。フィンランドで販売される乗用車のほと
んどは輸入車であり,新車市場の縮小が輸入の伸びの鈍
化につながった。乗用車は 2008 年 1 月 1 日から自動車税
がグリーン課税制度に変更され,排ガス量の少ない乗用
車の価格低下を期待して年末に買い控える消費者が多
かったことから,2007 年の新車登録台数(乗用車のみ)
は 2006 年 の 14 万 5,700 台 に 比 べ て 2 万 100 台 減 の 12 万
業
産
機 械
学
他
ス 業
貿 易
保 険
他
計
(単位:100 万ユーロ)
対外直接投資
2006 年
2007 年
1,362
3,597
△ 921
△ 2,274
1,420
5,452
860
△ 98
3
517
47
1,121
3
1,198
△ 521
△ 635
565
558
2,520
6,300
〔出所〕表 4 とも,フィンランド中央銀行。
5,600 台となった。
9.6%増と大きく伸びた。2006 年以降,最大の輸入元で
鉱物性燃料(輸入全体の 13.7%)は,原油価格の高騰
と暖冬による消費量減少から 3.5%減となった。
あるロシアは 8.2%増と増勢が続いている。同国からの
国・地域別にみると,EU27 が輸入全体の 56.0%を占
輸入は,原油など鉱物性燃料が全体の 67.9%,鉄・非鉄
め て い る。EU 内 で 最 大 の ド イ ツ( 構 成 比 14.1%) は
金属が 8.8%,丸太など木材が 6.8%など,8 割以上を資
305
欧
州
造
林
金 属 ・
化
そ
の
サ ー ビ
商 業 ・
金 融 ・
そ
の
合
にとどまったことに加え,乗用車も 6.5%増にとどまっ
対内直接投資
2006 年
2007 年
198
3,052
−
−
140
2,563
619
390
△ 561
99
4,387
3,552
1,118
420
1,367
2,037
1,902
1,095
4,369
6,193
伸び率
8.2
8.4
9.6
9.3
9.2
16.7
6.4
△ 1.7
△ 6.7
14.4
8.2
△ 3.3
7.9
8.5
1.6
7.7
第 2 部 国・地域別編
表 4 フィンランドの国・地域別直接投資
<国際収支ベース,ネット,フロー>
E
U
27
E
U
15
スウェーデン
ド
イ
ツ
英
国
オ ラ ン ダ
フ ラ ン ス
デ ン マ ー ク
E U 04 年 加 盟 国
エ ス ト ニ ア
E U 07 年 加 盟 国
ル ー マ ニ ア
EU 加 盟 候 補 国
ノ ル ウ ェ ー
ロ
シ
ア
米
国
日
本
中
国
イ
ン
ド
合
計
ル・ブルダラス投資銀行に 2 億 6,000 万ユーロで買収さ
(単位:100 万ユーロ)
対内直接投資
2006 年
2007 年
4,028
5,434
4,143
5,527
1,550
△ 1,058
451
3
539
334
646
1,496
108
79
322
4,088
△ 115
△ 93
△ 34
△ 57
−
−
−
−
−
−
△ 166
146
8
△ 12
111
△ 34
62
△ 16
△8
△ 20
−
−
4,369
6,193
対外直接投資
2006 年
2007 年
2,582
5,626
2,970
5,964
△ 2,250
142
478
△ 327
△ 149
△ 339
938
1,855
△ 123
△ 304
70
125
△ 407
△ 361
159
△ 303
19
23
19
23
165
58
△ 393
144
377
69
△1
△ 641
△ 28
△ 17
42
△ 51
119
107
2,520
6,300
れた。通信機器関連では携帯電話部品製造のペルロスが
8 月に台湾のライト・オン・テクノロジーに 2 億 7,700 万
ユーロで買収された。ノルウェーのヤラ・インターナ
ショナルは,5 月にフィンランド政府からケミラ・グ
ローハウ(化学大手ケミラ本社から 2004 年に独立)の
株式 30.05%を 6 億 7,200 万ユーロで購入し,経営権を
握った。ヤラ・インターナショナルは窒素,ケミラ・グ
ローハウはリン酸塩を得意とする肥料会社だが,両者の
統合で総合肥料会社として生まれ変わる。
国別の対内投資額をみると,デンマークの約 40 億ユー
ロが際立っているが,これは前述のダンスケ銀行による
サンポ銀行買収の規模が大きいことによる。
■通信・エネルギー分野が話題を呼んだ対外投資
2007 年の対外直接投資額は 63 億ユーロで,前年比約
38 億ユーロ増となった。
対外投資で目立ったのはノキアのルーマニア・クルジ
工業団地への進出だ。ルーマニア側の雇用創出への期待
が大きいこともあって,特に注目された。同社は 2007
源や原材料が占めており,近年の資源・原材料価格の高
年 3 月に,6,000 万ユーロを投資し工場を建設,2008 年 2
騰が増加の理由である。
月から新興国のエントリーユーザーを対象とした携帯電
中国からの輸入はここ 2〜3 年の間に急激に伸び,国
話を生産している。同社は生産コストの低い国への生産
別ではロシア,ドイツ,スウェーデンに次いで第 4 位に
移管を徐々に進め,メキシコ,中国,インドの工場を拡
入っている。輸入額の 4 割は携帯電話関連で,完成品と
張する一方で,2008 年 1 月には生産効率を理由にドイ
部品の比率はほぼ半々となっている。
ツ・ボーフム工場の廃止を発表している。ソフトやシス
テム開発強化に向けても大規模な投資を行っており,
■金融分野の対内投資で大型案件
2007 年 10 月に米ナブテックの買収を発表したが,ナブ
2007 年の対内直接投資額(国際収支ベース,ネット,
テックが得意とする位置情報・ナビゲーション分野の成
フロー)は 61 億 9,300 万ユーロとなり前年より約 18 億
長性に加え,ノキアの携帯電話との融合効果を期待す
ユーロ増加した。
る。さらに 12 月にはインターネット・サービスの米ア
2007 年の最大の対内投資案件は,デンマークのダン
ベニューを買収した。これは携帯電話から遠隔地にある
スケ銀行によるフィンランドを代表する銀行,サンポ銀
パソコンのファイルを共有する技術を自社サービスに取
行の買収(買収額 40 億 5,000 万ユーロ)だ。金融分野で
り入れることが目的である。
は投資サービスのフィムが 2 月,アイスランドのグリト
活発な投資が目立った業種としては,エネルギー部門
ニール銀行に 3 億 4,100 万ユーロで買収され,大手投資
も挙げられる。国営企業フォルタムのエストニア現地法
会社イーキューも 5 月にアイスランドのストラウムー
人は 2007 年 1 月,タルトに熱供給と発電の設備を持つプ
表 5 フィンランドの主な対内直接投資案件(2007 年)
業 種
金 融
金 融
金 融
金 融
化 学
I
T
その他
非買収企業名(業種)
サンポ銀行(銀行・保険)
フィム(投資信託)
イーキュー(投資信託)
DNA(投資信託)
ケミラ・グローハウ(肥料)
ハントロ・プロダクツ(半導体 IP 製造)
アメア・スポーツ(スポーツ用品)
買収企業の国籍
デンマーク
アイスランド
アイスランド
英国
ノルウェー
米国
英国
(単位:100 万ユーロ)
買収企業名
金 額 実施時期
概 要
ダンスケ銀行
4,050
2月
グリトニール銀行
341
10 月
株式の 98.28%を取得
ストラウムール・ブルダラス投資銀行
260
5月
株式 81%取得
3i(投資信託)
140
6月
株式 25%取得
ヤラ・インターナショナル(化学)
672
5月
株式 30%取得
On2 テクノロジーズ(IT)
58
5月
スポーツダイレクト(スポーツ用品) 120
11 月
株式 10%取得
〔出所〕表 6 とも,証券取引所発表および新聞報道などから作成。
306
■ フィンランド ■
表 6 フィンランドの主な対外直接投資案件(2007 年)
業 種
ゴ
ム
ゴ
ム
通信機器
通信機器
鉄
鋼
建
設
製
材
製
紙
製
紙
製
紙
石
油
繊
維
通
信
通
信
通
信
電
力
電
力
舶用機械
輸送機器
輸送機器
百 貨 店
企業名
ノキアンタイヤ
ノキアンタイヤ
ノキア
ノキア
オウトクンプ
YIT
ルーッキ
ストゥーラエンソ
UPM-キュンメネ
メッツァボツニア
ネステ・オイル
アールストローム
テリア・ソネラ
テリア・ソネラ
テリア・ソネラ
フォルタム
フォルタム
バルチラ
カルゴテック
カルゴテック
ストックマン
(単位:100 万ユーロ)
投資対象国 金 額 時 期
概 要
ロシア
195
2 月 ロシア工場拡張のための追加投資
カザフスタン
160
10 月 カザフスタン・アスタナ地区にタイヤ工場建設予定。2009 年稼働予定
ルーマニア
60
3 月 ルーマニア・クルジ工業団地に工場建設,2008 年稼働予定
米国
5,700
10 月 ナブテック(デジタル地図)を買収
スウェーデン
550
9 月 アヴェスタ・ワークスのステンレス・スチールを買収
ロシア
100
5 月 Evilとサンクトペテルブルグ,ゴレロボにオフイスビル,物流センター建設予定
ロシア
1,100
5 月 ロシア・コストロマにパルプ工場建設,2008 年開業予定
ベルギー,
ドイツ
260
11 月 ベルギーとドイツの製紙工場に投資予定
ポーランド
90
4 月 ポーランドにラベル工場建設,2007 年着工 2008 年開業予定
ウルグアイ
n.a.
11 月 工場稼働認可
シンガポール
550
11 月 バイオディーゼル油生産工場を建設。2010 年完成予定
ブラジル
80
5 月 ボトランティム・セルローシ・エ・パネルと合弁会社設立,株式 60%取得
デンマーク
143
4 月 デビテル・デンマーク(通信)A/S を買収
エストニア
n.a.
5 月 エースティ・テレコムの株式追加取得,合計 58.3%取得
米国
n.a.
7 月 MCT を 3 億ドルで買収
ロシア
243
9 月 準州電力会社(TGC-1)の株式購入,現行保有 25%以上の確保
スウェーデン
110
4 月 ストックホルム郊外に発電所建設
パキスタン
100
7 月 発電所を建設予定
エストニア
n.a.
5 月 バルティES(鉄鋼製品製造)を買収
オーストラリア
n.a.
1 月 BG クレーン(運搬機械製造)を買収
スウェーデン
870
10 月 リンデックス(衣類)を買収
ラントを建設すると発表した。2008 年末の完成予定で
対日輸出では木材・木材製品が最大の輸出品目(構成
投資額は約 6,000 万ユーロである。増大する電力需要に
比 26.1%)で,次に非鉄金属(16.9%)が続く。2007 年
対応し,熱源を従来のガスからバイオ燃料などに切り替
は特殊機械が前年の 4,000 万ユーロから 1 億 6,600 万ユー
えるのが特徴だ。ネステ・オイルも 2007 年 11 月,シン
ロへと約 4 倍に伸び,全体の 14.2%を占めたことが注目
ガポールに 5 億 5,000 万ユーロをかけてバイオディーゼ
される。これは,日本の製紙業界が大規模な設備投資を
ル油生産工場を建設すると発表した。再生可能な原料
進めているためで,日本製紙,王子製紙,北越製紙の 3
(パームオイル)から同社が特許を有する NExBTL(第
社が製紙機械大手メッツォに大規模な発注をしたことに
二世代バイオディーゼル油抽出技術)を用いての燃料生
よる。
産(目標年間生産量:80 万トン)に着手することで,
対日輸入の最大品目は自動車(構成比 29.7%)で,電
需要拡大中のバイオ燃料市場で主導権を握るのが狙いと
気電子機器・同部品(19.0%)
,通信・映像・音響機器
みられる。
(18.1%)が続き,この 3 品目で約 67%を占める。
2007 年は自動車が前年比 9.0%増と伸びたが,電気電
マンが 2007 年 10 月にスウェーデン衣料小売大手,リン
子 機 器・ 同 部 品 が 3.6% 減, 通 信・ 映 像・ 音 響 機 器 が
デックスを 8 億 7,000 万ユーロで買収した。ロシアや中・
10.3%減と振るわなかった。日本車の人気は極めて高く,
東欧での市場拡大を目指す。また鉄鋼大手のオウトクン
フィンランドで 2007 年に新車登録された 12 万 5,600 台の
プはスウェーデンのステンレス鋼メーカー,アヴェス
うち,日本メーカー7 社は 3 万 8,108 台,30.3%を占めた。
タ・ワークスを 5 億 5,000 万ユーロで買収した。両社の
2007 年のフィンランドの対日直接投資額(ネット,
技術を統合し,タンク,圧力容器,パイプ,輸送用,工
フロー)は 1,700 万ユーロの引き揚げ超過,日本からの
場設備向けに,ニッケル分が少なく腐食に強いステンレ
対フィンランド直接投資も 1,600 万ユーロの引き揚げ超
ス・スチールを製造する。
過となりともに低調だった。近年の対日投資事例で注目
されるのは,製紙機械大手メッツォによる対日ビジネス
■特殊機械の対日輸出が健闘
強化である。同社は 2006 年 12 月末に住友重機械工業か
2007 年の対日貿易は,輸出が前年比 16.0%増の 11 億
ら株式 35%を取得して日本法人を完全子会社化し,
7,400 万ユーロ,輸入が 1.6%増の 16 億 1,600 万ユーロと
2008 年 3 月には三菱重工業の製紙機械事業も買収してい
なった。対日貿易収支は近年赤字が続いているが,赤字
る。4 月には東京,岡山に加え,尾道事業所を開設し,
幅は前年の 5 億 7,900 万ユーロから 4 億 4,200 万ユーロに
日本での販売・サービス体制の確立を図った。
縮小した。
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欧
州
通信・エネルギー分野以外では,デパートのストック
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