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2009年度のアンチドーピング勉強会の資料を掲載しました。

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2009年度のアンチドーピング勉強会の資料を掲載しました。
アンチ・ドーピングを徹底しよう
昨年度兵庫県登録の西村義人選手、8月の世界サブジュニア選手権で2.5kg差
の2位でしたが1位選手がドーピング陽性の為、繰り上がり優勝を果たしました。
出来ればその時に金メダルがほしかったでしょうが、ともかく金メダルは凄い!
これからのパワーリフティング界を引っ張ってほしいものです。
日本パワーリフティング協会
医学委員会・委員長
古城 資久
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JPA医学委員会
なぜドーピングは良くないのか
ドーピングとはなにか
「競技力の向上を図るために、本来摂取して
いる物質以外の物を外部より取り入れること、
日常生活に於いて常識的に行われている手段
以外の方法を用いること」
・ 薬物
・ 血液ドーピング
・ 酸素ドーピング ・ 中絶ドーピング
・遺伝子操作
(・クローン人間)
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JPA医学委員会
・選手の「健康を損なう」事がある
選手の身体、精神の健康を損なう
・競技の「公正性を失う」
・後進、若年層に「悪い影響」を与える
知識、自覚の乏しい者の判断を狂わせる
・「反社会的勢力」と繋がる場合がある
医師の処方箋が必要な薬物を、処方箋なく
入手する事は非合法
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JPA医学委員会
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死亡したプロ・スポーツ選手(享年)
マイク・メンツァー(49)、レイ・メンツァー(47)
アンドレアス・ミュンザー(30)、ドン・ロス(55)
モハメッド・ベナジザ(28)、ポール・デマヨ(37)
ドン・ヤングブラッド(51)、カート・ヘニング(44)
デイビー・B・スミス(39)、チャールズ・ダー(44)
ホーク・ウォリアー(45)、サニー・シュミット(50)
ジョンポール・シグマソン(33)、エド・カワック(47)
アンソニー・クラーク(38)、O.D.ウィルソン(37)
北村 克己(39)、橋本 真也(40)
大病をしたプロ・スポーツ選手
ボイヤー・コー (心臓発作、手術で救命)
ダニー・パディラ (心臓発作、手術で救命)
マイケル・フランソワ (潰瘍で大腸全摘除)
マイク・マタラゾ (心臓発作、手術で救命)
トム・プリンス (腎不全、手術で救命)
ドン・ロング (腎不全、手術で救命)
フレックス・ウィラー (腎不全、腎臓移植で救命)
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JPA医学委員会
JPA医学委員会
健康を損なう事は承知の上で使う?
犯罪を行ったプロ・スポーツ選手
・この試合に勝てば将来が保障
将来が保障される
バーティル・フォックス(2名殺人、終身刑)
(○○○万円の収入がある、年金が出る)
クレイグ・タイトス(第一級殺人、公判中)
・たとえ将来体を壊しても、この試合に勝ちたい
体を壊しても、この試合に勝ちたい
ケリー・ライアン(第一級殺人、公判中)
(体を壊さないように注意して使えば大丈夫)
岩間 勧(殺人、懲役20年)
(体を壊す前に中止すれば良い)
(この薬は短期使用なら安全だろう)
・相手も使っている
相手も使っているのだから仕方が無い
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JPA医学委員会
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ドーピングは・・・
オリンピック選手への質問
“あなたは金メダルが必ずとれる薬があれば
『5年後に死ぬ』と判っていても使いますか”
Yes!
“社会的成功のため”だけでは説明できない
“死と引き換えでもドーピングを行う”
・勝利=絶対神 とする宗教がある
① 7%
② 18%
③ 34%
④ 52%
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・「勝利至上主義教」は邪教か?
・一部の信者が「教義」を読み間違い、社会的常識
を見失っているのでは?
・一部の「邪悪な勝利至上主義教」の信者を、
「健全な勝利至上主義教」に引き戻さなければ
「健全な勝利至上主義教」も邪教と断罪される10
JPA医学委員会
スポーツに於いて「勝つ」とは
・スポーツの前提条件「公正性」をどう捉えるか
「汚い手」を使って勝つ?
社会的に許される事があり得ない「汚い手」とは?
@審判の買収
@八百長(相手選手の買収など)
@競技外での相手選手への妨害
@スパイ行為
JPA医学委員会
“勝つ”の定義が社会常識と異なる人は
・倫理の感覚が大きくズレている
・勝利の定義が社会的常識と相容れない
・喜びを感じるスイッチがまるで違う所にある
モンスター・スポーツマン
・我々の友人・仲間にはなれない
・競技から排除するほか無い
@ドーピング
・なにをもって選手は「勝った」と言えるのか
スポーツの前提条件「公正性」をスポイルして得た
勝利は本当の勝利か?
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JPA医学委員会
・しかし・・・置かれた状況により、モンスターに
変身する可能性は誰にでもある・・・ JPA医学委員会
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パワーリフティングで「勝つ」とどうなる
・パワーワールドニュース、月刊ボディビル、アイアンマン
に名前が載る事がある
・田舎なら(売り込めば)新聞の地方版に小さく出る事も
・ジムの仲間に「おめでとう」と1回だけ言われる
・海外の試合に出られる
(ただし費用は自腹、更に職場の理解があれば)
・世俗的な成功(金銭、昇進など)には無関係
これでは勝ったって、
どうって事無いの?
でも・・・パワーリフティングの試合に勝つと
メチャ嬉しい !!
なぜ嬉しいのだろう???
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JPA医学委員会
JPA医学委員会
パワーの試合に勝った最大の報酬は
・私の愛する世界最高の競技でトップに立った
・○○○でNo.1のパワーリフターは私だ
・私は目標を達成した
・この記録は誰の物でもない、私自信の物だ
・私のやり遂げた事の価値を一番良く知るのは私自身だ
最大の報酬は
「あなたの心の中に生まれる」
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最大の報酬を受け取るために
・スポーツの前提条件、「公正性」を失う事はやめよう
・社会的普遍性をもって排除される「汚い手」を使うこと
はやめよう
心の中に最大の報酬を受け取る
ための準備を整えよう
・
アンチ・ドーピング !!
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“祝福される勝利”を得るために
・勝つことに懸命となる事は正しい
・同時に勝利を得る過程に社会的妥当性が必要
ドーピング・コントロール
・WADA(世界アンチ・ドーピング機構)
・JADA (日本アンチ・ドーピング機構)
・社会的妥当性は選手個人の判断ではない
・JPA(日本パワーリフティング協会)の
ドーピング・コントロール委員会
・社会的妥当性を担保するものが、
※ ドーピング・テストはJPAが行うのではなく、
JADAが行っている
JPA、IPF、JADA、WADAの判断である
※ ドーピングに抵触した場合の処分は、JPA
・指導者には、選手個人の価値観と社会的
ではなく、IPF(世界パワーリフティング協会)
が決定する
妥当性が乖離しないよう導く責任がある
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JPA医学委員会
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JPA医学委員会
うっかりドーピングを防ぐために
ドーピングの種類
・意図的ドーピング
確信犯、論外
・うっかりドーピング
選手はこれに最大の注意を
・パラ・ドーピング
ライバル選手を陥れるために、禁止薬物を
飲ませる(パワーリフティングでは現実性は
薄いが、念のため注意)
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JPA医学委員会
・経口薬物、注射、塗り薬、吸入薬、サプルメント
全てに危険がある事を知る
・「漢方薬なら大丈夫だろう」
葛根湯など麻黄の含まれるものは興奮剤として検出さ
れる。胃腸薬ホミカには興奮剤ストリキニーネが含まれる。
・「塗り薬、座薬、吸入薬なら大丈夫だろう」
禁止薬物を含有するものも多い。血中濃度が上がれば
尿中から排泄され検出される事もある
・「サプルメントなら大丈夫だろう」
IOC調査にて市販サプリの14.8%に禁止薬物が混入
米国乳牛は成長促進のため蛋白同化ステロイドが投与
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されている場合がある
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うっかりドーピングを防ぐために
JADA認定サプリメント
・「市販薬なら大丈夫だろう」
風邪薬、胃腸薬、便秘薬などに禁止薬物が含有され
たものが少なくない
・「ドリンク剤は大丈夫だろう」
成分によってドーピングに抵触するドリンクが沢山ある
同じブランドでも抵触するものとしないものが混在する
・「病気の治療に使用するのだから許されるだろう」
病気の治療でも禁止薬物を使用する場合は、
手続き(TUE:治療目的使用の適用措置)が必要
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・大塚製薬(ポカリ、アミノバリュー、ネイチャーメイド等)
・味の素(アミノバイタル等)
・森永製菓(ウィダー等)
・明治乳業(ヴァーム等)
・明治製菓(ザバス等)
・ネスレ日本(PowerBar等)
・兼松ウェルネス(kappa等)
・ドーム(DNS等)
・花王(ヘルシア等)
・日本コカコーラ(アクエリアス等)
・日清食品(日清スポーツヌードル等)
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JPA医学委員会
JPA医学委員会
薬を使う場合は
ところが・・・
・医師、薬剤師にドーピングテストを受ける可能性が
・WADAより「中立性が損なわれる」として
JADA認定業務中止勧告
・JADA認定そのものの継続も不透明?
・今後はメーカーの自主検査に期待 !!
【TSPサプリメント品質保証プログラム】
あることを告げ、禁止薬物で無い事を確認してもらう
・・・難しい、ほとんど無理
・WADA最新リスト(JADAのホームページより日本語
で閲覧できる)で禁止薬物で無い事を確認する
・・・たいてい判らない、間違う
WADA認定検査機関にて定期的に
品質検査を受け、「アンチ・ドーピング
検査証明書」が交付される国際プログラム
・薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック
(HPAのホームページより閲覧できる)で確認する
日本でTSPに参加しているメーカー
HALEO、BULK SPORTS
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・・・売れ筋なら医療用、市販薬何れも判る
販売量の少ない薬、後発品は判らない24
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薬を使う場合は
薬を使う場合は
・日本薬剤師会に所定のフォームで問い合わせ
・・・「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイド
ブック」参照
・E‐mail(kojoh@pearl.ocn.ne.jp)で古城資久に
問い合わせ
・・・医療用医薬品(病院、医院で使う薬)で、
先発品であれば判る事が多い
・・・判らない場合はJPAを通じてJADAに調査を
依頼(JADAはNFを通さないと受付てくれない)
※ どちらもドリンク剤やサプルメントは判定不可能
・ドーピングに抵触するか否か判らない場合
使用しない事が原則
使用しない
・ドーピングに抵触するが、医学上必要な場合
TUE申請を行う
①医療行為は、特定の疾病または傷害を治療するために必要なものでなけれ
ばならない
②その状況下で、ドーピングの定義に該当しない治療が他にないこと
③その医療行為が選手の能力を高めない事
④その医療行為に先立って、選手の医学的診断がなされている事
⑤その医療行為が資格のある医療担当者により、適切な医療環境に於いてき
ちんと実施されること
※ 最終的責任は選手にある事を確認する
⑥その医療行為にかかわる適切な記録が保持されており、閲覧できること
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JPA医学委員会
JPA医学委員会
2008年より静脈内注入は禁止
まとめ
・緊急の医療状況により静脈注射を行なった場合
・・・遡及的TUEが必要、正当性を審査
・TUE申請の対象者
a)JADA登録検査対象者
静脈注射の度に、申請が必要
b)その他の競技者
競技会へのエントリーを行った日以降は、
その度に申請が必要
・自分を守り、競技を守り、パワーから最大の
報酬を得る為、アンチ・ドーピングを徹底しよう
・経口剤、注射、吸入剤、外用剤、サプリメント
の何れにもドーピングの危険が潜んでいる事
を知ろう
・薬を使用する場合は、必ずドーピングに抵触
しないことを確かめてから
・治療のため禁止薬物等を使用しなければなら
ない場合はTUEの手続きを忘れない
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※遡及的申請は、標準TUE申請書を用い、速やかに行う
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JPA医学委員会
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第9回 世界マスターズベンチプレス選手権 M-Ⅱ
M-Ⅱ男子125kg級
優勝 記録 237.5kg(アジア新記録)
2009年4月15日~18日
ニュージーランド タウポ市
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- Medical Co. Hakuhokai -
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付録:これからのアンチ・ドーピング
付録:これからのドーピング
・ドーピング技術はドーピング検出技術の常に先を行く
・検尿だけでは既に対応不可能で、血液検査でも対応
不可能なドーピング手段がある
・ドーピングを行っていない選手に金メダルを授与する
のではなく、ドーピングが発覚しなかった選手に金メ
ダルが授与される時代になる(なっている?)
・オリンピックに“プロ”の参加が容認された様に
この動物の名前を当ててください
“ドーピング”が容認される時代が来るのか?
・今後のアンチ・ドーピング活動は、せめて自己責任の
年齢まで薬物から遠ざける事が目標になるのでは
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JPA医学委員会
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