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鍛造-日産自動車2 100114.indd

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鍛造-日産自動車2 100114.indd
鍛 造
日産自動車株式会社 パワートレイン技術開発試作部
鍛造クランクシャフト自動形状検査システム
最新のリバースエンジニアリング技術による素形材の革新
1.開発の目的
弊社は、自動車用エンジンのクランクシャフトの鍛
造品を 80 % 内製で生産している。クランクシャフトの
品質保証として、形状の精度、バランス、機械的性質
初工程の旋盤加工のセンターを持ってきたら良いかの
計算を行う(図 2)。これにより粗材段階で機械加工後
のバランスを保証することができるようになった。
最後に図 3 に示すような検査報告書を出力する。
などを検査しているが、重量物で複雑形状ということ
があり、従来の接触式形状検査と罫書き作業の併用の
検査には時間がかかり、かつその精度も充分なもので
はなかった。
そこで弊社では、接触式の三次元測定器と、非接触
のレーザ形状測定器のシステムを合体し、必要なすべ
ての形状検査と機械加工後のバランス予測を全自動で
図 2 動バランスの分布図
測定し、検査報告書も自動化する全く新しいシステム
を開発した。
2.開発の内容
(1)全自動測定
写真 1 のようにプローブ式の三次元測定器のプロー
ブ部分に非接触式レーザ測定装置を持ちかえられるよ
うに改造し、クランクシャフトの部品種類ごとに最適
な計測経路を求め、これをデータベースとしてコン
図 3 検査報告書
ピュータに格納した。
3.開発の成果
本システムはいままで述べたように、接触式の三次
元計測器と非接触レーザ測定器を統合し、計測から、
データ処理、報告書作成までを全自動化するオリジナ
ルシステムとして設計製作したものである。
写真 1 レーザ測定器をセットした
三次元測定器 (2)データ処理
コンピュータに取りこまれた測定データは点郡デー
タと呼ばれるが、これを STL データ(三角形の集合体)
に変換する。この STL データを各機械加工工場で計測
した加工証のデータに合わせて位置決めを行う(図 1)。
位置決めされたデータについてピン径、ジャーナル
径など検査規格で定められた寸法の計測をコンピュー
タ内で自動で行う。
次にこの粗材データについて、所定の加工用カッ
この設備を導入後、内製している 10 数部品の異形
状クランクシャフトすべての部品に適用し、検査の自
動化を図ることができた。
作業者の工数としては一部品あたり、4 時間かかっ
ていたものをワークのセッティングなどの 15 分の工
数に短縮することができた。またリードタイムも、4
時間を約 50 分に短縮することができ生産品への早期
のフィードバックが可能となっている。
また、バランス量の予測精度も、マニュアル作業時
のものより向上し、結果として従来 0.8 % 程度発生し
ていたバランス不良も 0 % に改善することができた。
(文責:藤川真一郎)
ターパーツによりバーチャルで機械加工を行い、得ら
れた機械加工後の部品形状
日産自動車 株式会社 パワートレイン技術開発試作部 データから、クランクシャ
フトの動バランスを計算す
る。この計算により、フロ
ント、リヤ別にどの位置に
22
SOKEIZAI
Vol.51(2010)No.1
〒 230 - 0053 神奈川県横浜市鶴見区大黒町 6 - 1
TEL. 045 - 505 - 8471 FAX. 045 - 505 - 8504
図 1 点郡から生成された
STL データ わ が 社 の 素 形 材 技 術 最 前 線
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