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製品の不具合・新サービスに関する事業者対応(PDF

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製品の不具合・新サービスに関する事業者対応(PDF
記者説明会資料
平成 17 年 5 月 10 日
独立行政法人 国民生活センター
製品の不具合・新サービスに関する事業者対応
国民生活センターでは、消費者被害の実態をリアルタイムで把握し、消費者被害の防止に役立てる
ため、平成 14 年 4 月 8 日よりインターネットを利用した情報収集システム(「消費者トラブルメー
ル箱」)を開設した。消費者からの情報提供の内容の傾向は、有料サイトなどインターネットに関係
する情報提供が多く見受けられるが、昨今、新製品や新サービスに係る情報が多く寄せられるように
なった。当センターは、それらの情報を基にして事実確認等の追跡調査を行い、事業者に対して消費
者への対応の改善を随時要望してきた。
しかし、事業者の対応は様々で、製品の不具合に関する情報をホームページに掲載するなど積極的
に消費者に情報提供を行う事業者もあったが、対応に改善がみられない場合もあった。
ここでは、直近半年の間に追跡調査を行った事案の中から、製品の不具合や新しい通信サービスに
関する情報をまとめることとした。
1.製品の不具合関連
(1)デスクトップパソコンの液晶ディスプレイの横線
寄せられた情報:
突然液晶ディスプレイに黒い横線が 1 本常時表示されるようになった。その後、徐々に横線が
増え始めた。現在は、画面のいたるところに 20 本ほど横線が表示される。Web 上の掲示板の
書き込みを見ると、メーカーは無償で修理していたが、平成 17 年 1 月からは突然有償に切り
替えたようだ。修理には約 6 万円必要であり高価である。
同種情報の受信件数:19 件(平成 17 年 2 月~3 月)
【国民生活センター及び当該事業者の対応の概要】
・ 当センターより事業者に確認したところ、「通常 1 年のメーカー保証を延長して無償対応して
きたが、問い合わせ件数が減少傾向にあったので平成 16 年 12 月 1 日より有償修理に切り替え、
その後の経過を見てきた。しかし、その後問い合わせ件数が予想よりも減少しなかった。再度
検討した結果、当社に責任がある場合、4 月1日より無償修理で対応することとした」との回
答を得た。
・ 4 月には、「平成 16 年 12 月から平成 17 年 3 月までの期間に有償修理で対応したユーザーに対
して、負担した修理費用を返金する旨の通知を行う」とのこと。
・ 無償修理で対応するというお知らせは、4 月下旬に同社のホームページに掲載された。
【国民生活センターの見解】
製品に不具合(瑕疵)があった場合は、修理や交換により対応するのが原則である。耐用年数
との関係もあろうが、同じ症状の不具合が出ているにもかかわらず有償修理に切り替えたのは問
題である。消費者対応の公平性の観点からも、既に有償修理をした者も含め、消費者への周知と
消費者対応の改善が望まれる。
<関連情報>
寄せられた情報の内容によると、他社製のパソコンの液晶ディスプレイにも黒い横線が表示され
るという同様の不具合が発生しているとのことであった。そこで、当センターは他社にも事実確認
を行った。
【国民生活センター及び当該事業者の対応の概要】
当センターが当該事業者に確認したところ、「申し出者に対しては、商品を修理工場で引き取り、
無償で修理している。原因は分かる範囲で調査をするが、当社に責任がある場合、当社の責任にお
いて保証期間の延長というかたちで無償で対応している」とのことであった。
当センターからは、消費者へ何らかの情報提供をするように口頭で要望したが、同社は「公的基
準に抵触しない、安全性に関する不具合ではない、ユーザーのデータを壊すといった拡大損害を与
える不具合ではない、修理は専門的技術を必要とするため相談窓口で十分把握できる」といったこ
とから外部への公表は行わなかった。
【国民生活センターの見解】
当該事業者は無償修理の対応をしていたが、消費者への情報提供は必ずしも十分に行われていな
かった。今後、ホームページ等を通じた迅速な情報提供が望まれる。
(2)DVDレコーダーの音飛び
寄せられた情報:
平成 16 年に発売された2番組同時録画可能 DVD レコーダーを購入したが、録画したものを再
生すると音飛び(音声が途切れる)が頻繁に発生する。Web 上の掲示板に同様の不具合報告が
多数掲載されていたため、メーカーに問い合わせた。しかし、「不具合は確認されていない」
との回答で、正式に修理・回収等の対応をしていない。
同種情報の受信件数:2 件(平成 16 年 11 月)
【国民生活センター及び当該事業者の対応の概要】
当センターより事業者に確認したところ、「音声が途切れるという苦情が当社にも寄せられてい
るため、製品上の不具合(音飛び)を検証している。対応策は検討中」とのことであった。
後日、当該事業者は、不具合のある該当機種の出荷停止と在庫の引き上げを行い、ホームページ
に音質を改善するソフトウェアについての案内を掲載した。
【国民生活センターの見解】
情報が寄せられた時点での同社の個別対応に問題がなくはなかったが、その後の消費者対応は
迅速であった。ホームページからのダウンロードとインストールによるソフトウェア改善が可能
だったこともあり、比較的短期間に対応できたものと思われる。
(3)携帯用ゲーム機の不具合
寄せられた情報:
・ □ボタンの不具合(押しても入力されない、押したまま元に戻らない場合がある)
・ 液晶画面に傷がある、ドット欠けがある。
・ 液晶パネルと保護カバーの間にゴミが入っている。
・ ディスクを入れるふたが曲がって半開きになっている。
・ お客様相談窓口の電話が混雑していてつながらない。
同種情報の受信件数:33 件(平成 16 年 12 月~平成 17 年 4 月)
【国民生活センター及び当該事業者の対応の概要】
当センターより事業者に確認したところ、「支障なく使用できる範囲内の不具合が多いが、使用
上支障がある場合は交換等に応じている。現在は品質改善している」との回答であった。当初は、
ホームページには不具合とその後の対応について特に情報提供は見られなかった。
その後、当センターで、ボタンの不具合に関して商品テストを行った結果、製品によっては、ボ
タンの中心からずれた場所を押した場合、反応しない場合があることが判明した。
当センターは、事業者に対し、消費者へ情報提供するよう口頭で要望したところ、ホームページ
の Q&A コーナーに、ボタンが元に戻らなくなる不具合とボタンの入力方法についての情報が掲載さ
れた。
【国民生活センターの見解】
当初から「不具合がある場合には修理・交換に応じている」とのことであったが、ホームページ
等による情報提供が不十分なうえサポートセンターへの電話がつながりにくくなっていたため、同
種情報が多数寄せられたものと思われる。センターの要望によりホームページの Q&A コーナーに情
報が掲載されたが、今後は積極的に対応し、多くの消費者に迅速に情報提供をすることが望まれる。
2.新しい通信サービス関連
(1)直収型固定電話サービスの強引な勧誘
寄せられた情報:
・勧誘の電話があり、資料送付を了承したところ、後日、通信会社から契約したことになっ
ている通知が届いた。勧誘方法に問題があるのではないか。
・契約をした覚えがないのに通信会社から契約したことになっている通知が届いた。通信会
社に問い合わせて契約に至った経緯をたずねたが、「代理店がやったことなので当社とは
関係ない」と回答された。対応に不満である。
・電話勧誘でお得なキャンペーン内容を伝えられ契約したが、その後自分で通信会社のホー
ムページを見て契約内容を確認したところ、基本料金や工事費用等が発生することが分か
った。勧誘時に諸費用が必要になるという説明は一切なかった。問題ではないか。
同種情報の受信件数:44 件(平成 16 年 11 月~平成 17 年 4 月)
補足:直収型固定電話サービスとは、従来必要であったいわゆる電話加入権は必要なく、利用
者が事業者に加入する形の固定電話サービスのこと。
【国民生活センター及び当該事業者の対応の概要】
当センターで、特に情報が多く寄せられたサービス提供事業者に事情を聴いたところ、「代理店
が電話勧誘する際、強引な勧誘を行わないように指導を強化する。問題のある代理店に関しては調
査や代理店契約の取消し等の厳しい処分も行う」との回答があった。
その後も同種情報が寄せられたため、平成 17 年 3 月、当センターは総務省に情報提供し、総務
省は改善策を講じるよう事業者を指導した。
【国民生活センターの見解】
直収型固定電話サービスは新しい通信サービスであり、他の通信会社の代理店についても同様の
苦情が報告されている。勧誘にあたっては消費者に十分な説明を行うことが必要である。今後も、
強引な勧誘等が行われることのないよう、厳しい代理店管理・指導が望まれる。
(2)オンラインゲーム運営業者の管理責任
主な情報内容:
・規約違反行為をする利用者が多く、公平性が阻害されゲームに支障がある。
・ゲームの運営業者に規約違反行為をしている利用者を報告しても利用停止などの対処をせ
ず、管理していない。
・ゲームの運営業者にメールで報告しても、定型の返信メールでしか対応しない。
・運営業者に突然 ID を削除され、強制的に退会させられ、ゲームができなくなったしまっ
た。利用規約に定められている違反行為を行ったというのが理由のようだが、身に覚えは
ない。
同種情報の受信件数:440 件(平成 16 年 4 月~平成 17 年 4 月)
補足:
・オンラインゲームとはパソコンや家庭用ゲーム機でインターネットを介して不特定多数
の人が同時に参加して行われるコンピュータゲームのことである。
・具体的な規約違反行為として、①BOT 行為(利用者がソフトを用いて自動でゲーム上の
キャラクターを操作する行為)、②RMT(リアル・マネー・トレード:ゲーム内の仮想
通貨やアイテムを現実に現金で取引する行為)等がある。
・多くのオンラインゲームの利用規約には、規約違反行為をした利用者は、運営業者によ
って強制的に利用を停止されることが定められている。
【国民生活センター及び当該事業者の対応の概要】
当センターより、特に情報が多く寄せられた運営業者に対して、運営管理体制を見直し、利用
者に適正なサービスを提供するよう改善を求めたところ、今後、取り締まりを強化するなどの措
置をとるとのことであった。
【国民生活センターの見解】
オンラインゲームは継続的な役務提供契約であるが、現状では個別に規制する法律はない。利
用者のモラルの問題もあるが、運営会社は利用規約を定めてサービスを提供している以上、管理
システムを強化するなどして適正なサービスの提供を行うべきである。
3.まとめ
ここで取り上げた5事案のほとんどは、利用が拡大している製品やサービスである。製造物責任
いつ
法で定められているところの欠陥ではないが、不具合を作出した責任は一にかかって製品の供給者で
ある事業者側にある。生命、身体又は財産に被害を与えるケースでは新聞社告をはじめとする迅速な
回収措置を講じている。しかし、いわゆる不具合(瑕疵)製品に関しては、「公的基準に抵触しない。
安全性に関する不具合ではない。ユーザーに拡大損害を与える瑕疵ではない。修理は専門的技術を要
するタイプの不具合は十分メーカー対応できる」などとして、消費者に対するアナウンスが消極的な
いし怠っている。中には、修理費用を消費者に負わせた事案さえみられた。消費者にとっては、何の
落ち度もないにもかかわらず不具合製品をつかまされ、かつ、その修理費用も負担せられる“ダブル
パンチ”を浴びせられたに等しい。製品特性を顧慮しつつ、CSR(企業の社会的責任)が問われる
現在、従来に増して消費者の視点に立った対応が望まれる。
また、新サービスを提供する事業者は、消費者への説明責任を十分に果たすとともに、消費者か
らの苦情相談には真摯に、迅速に対応することが求められる。
今回の事案から得られた課題は以下のとおりである。
① 新製品等の不具合内容の迅速な解明
新製品等において、事業者の予期していない不具合が発生することが少なくない。
もちろん不具合を発生させないことが基本であるが、消費者からの一定数の苦情が寄せられても、
「消費者の使用方法によるものである」「この程度の発生率では問題はない」などと、事業者は
不具合を認めたくない、あるいは、起こるはずがないという先入観等によって、解決を遅らせが
ちである。苦情を活用して迅速な原因解明に努める必要がある。
② ホームページ等を活用した迅速な公表
苦情者に個別に対応するだけでは、多くの製品購入者に不利益をもたらすことにもなる。不具合
の現象が出現しても、3年使用したから十分役目を果たした、ハードユーザーだから仕方がないな
どとして、他の製品を購入したり、当該製品を廃棄する者も少なくないであろう。
不具合の程度にもよろうが、新聞社告に至らない場合でも、自社のホームページ等を活用して
迅速な対応方法等の公表が必要である。
③ 修理基準の明確化と製品不具合時の無料修理の徹底
同種の不具合について、事業者間で無償修理等について対応が異なることがある。消
費者の視点にたって製品不具合時の無償修理が徹底されるよう、業界団体等において修
理基準の明確化(修理対応ハンドブックの作成など)を図る必要がある。
④ 説明責任と代理店管理
新しいサービス分野等において、消費者に対する説明がきちんと果たされないケース
がよくみられる。事業者にとっては十分な説明を行ったという認識であっても、消費者
には馴染みのない新しいサービスは理解が深まらないものである。さらに、新サービス
の普及に際しては往々にして代理店等が強引な勧誘を行うことがみられる。厳しい代理
店管理が重要である。
⑤ オンラインゲームの運営管理の徹底
オンラインゲームの利用者が急速に増大しているが、利用規約が守られずゲームを楽しめない
という苦情も多い。苦情を真摯に受け止め、サービス提供者として運営管理の徹底が不可欠であ
る。
〈情報提供先〉
(社)電子情報技術産業協会
(社)電気通信事業者協会
(社)コンピュータエンターテインメント協会
<title>製品の不具合・新サービスに関する事業者対応</title>
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