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小学校教育課程学生ハンドブック(平成28年度版)

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小学校教育課程学生ハンドブック(平成28年度版)
はじめに
東京都教育委員会は、大学の教員養成課程と教育委員会の採用選考、採用後の
育成を一体のものとして捉え、計画的に小学校教師の資質・能力を高めることを
目的として、平成22年10月に「小学校教諭教職課程カリキュラムについて」
を策定しました。
このカリキュラムには、教師を志す皆さんに、学生段階で身に付けてほしい資
質・能力をまとめています。また、実践的な指導力を身に付けるための教育実習
の在り方や、教職実践演習への取組状況を、皆さん自身が確認できるチェックシ
ートなどを示しています。
東京都教育委員会は、本カリキュラムの内容を参考に、各大学が教員養成課程
の改善・充実に取り組んでいただけることを期待するとともに、何よりも実際に
教師になることを志す皆さん一人一人に、教師として必要な資質・能力を確実に
身に付けてほしいと願っています。
そこで、
「小学校教諭教職課程カリキュラムについて」の内容を基に、様々な角
度から皆さんの大学での学びを支援するための「小学校教職課程学生ハンドブッ
ク」を作成しました。
このハンドブックには、皆さんが、教師として必要な最小限の資質・能力を身
に付けるために、大学の養成課程で学ぶべきことを具体的に示すとともに、東京
都公立小学校に勤務する際に役立つ内容や、経験と実績豊かな教師や若手教師か
らの具体的なアドバイス等を掲載しています。現職の教師がこれまでの実践を通
して身に付けたことや感じたこと、悩みながら工夫してきたことなどを中心に、
具体的に示すことで、皆さんが教師になって児童の前に立ったとき、すぐに参考
になる内容となっています。
また、
小学校の内容に加え、
東京都の公立中学校のデータ等も掲載しています。
ぜひ、いつも皆さんの身近に置き、大学の授業やボランティア活動などはもち
ろん、日々の様々な学びの場で、活用していただきたいと思います。
東京都教育委員会
平成29年度版ハンドブック 目次
○ はじめに
Ⅰ 東京都の教師として~現職教員からのメッセージ~ ・・・・・・・・2
1 教師の魅力とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2 教師の使命とは何ですか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
Ⅱ 学校の生活 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
1 学校の1日 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2 学校の1年 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
Ⅲ 講義を通して ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
領域① 教師の在り方に関する領域 ・・・・・・・・・・・・・・13
領域② 各教科等における実践的な指導力に関する領域・・・・・・17
領域③ 学級経営に関する領域 ・・・・・・・・・・・・・・・・23
Ⅳ 教育実習に向けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
1 教育実習までに身に付けておくこと・・・・・・・・・・・・・28
2 教育実習生の1日・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
Ⅴ 学生生活を通して ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
Ⅵ 採用選考に向けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
・東京都の採用選考スケジュール・・・・・・・・・・・・・・・・40
・東京都公立学校時間講師について ・・・・・・・・・・・・・・41
・採用試験の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
・過去採用試験問題の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
・平成28年7月に出題された教職教養の問題から・・・・・・・・44
Ⅶ 採用前実践的指導力養成講座・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
1 学級経営等に関する講座・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
2 教科等に関する講座・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
Ⅷ 東京都の子供たち ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54
1 東京都の子供の学力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54
2 東京都の子供の体力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
3 東京都の子供の健全育成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・62
4 東京都の子供の活躍 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64
Ⅸ 教育課題・教育キーワード・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65
○資 料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71
1 教師の魅力とは何ですか
子供から「将来は、先生みたいな
先生になりたい。
」と言われたとき、
一生懸命頑張ってきてよかったと
教師としての喜びを感じました。
子供たちの「未来」をつくるのは
「今」です。子供たちの「今」に、少
しでもよい影響を与えることができ
たら、教師として本望だと思います。
授業中、子供の表情が「?」から
「!」に変わります。そんな瞬間に、
苦労して、授業づくりをしたかいが
あったなあと、教師としてのやりが
いを感じます。
努力して跳び箱が跳べた瞬間、逆上
がりができた瞬間、この感動を子供た
ちと共有できること、これこそ、教師
としてのだいご味です。
卒業後、何年かして教え子と会った
とき、自分が何気なく発した言葉を支
えにして努力していると聞き、とても
感動しました。
学芸会や運動会に向けて、
泣いたり笑っ
たりしながら、
クラスが一丸となって取り
組んだことは、
子供たちにとって一生の思
い出になります。
それは、教師としての自分にとっても、
かけがえのない思い出となります。
諦めずに指導を重ねていくことが、子供
たちの将来につながります。夢と誇りをも
って仕事ができることこそ、教師の魅力だ
と感じています。
-2-
2 教師の使命とは何ですか
2 教師の使命とは何ですか
多くを気付かせること。そのために
は、自分が豊かであること。
子供たちがもつ無限の可能性を
見付け、引き出すこと。
妥協しないこと。逃げないこと。ダメなものは
ダメと、はっきりと言えること。
つまり、子供たちに真摯に向き合い、愛情を
もって育てるということ。
教室で出会った、多くの子供たちに、
自分の力で自分の将来を切り拓く力を
身に付けさせること。
ひ ら
常に学び続け、自分を磨き、指導力
を高め、子供たちの学力・体力を伸ば
し、豊かな心を育てること。
子供の一生に一度しかない、
一瞬一瞬の「学び」を保障すること。
子供たちに、将来の夢を
もたせること。
そして夢をかなえるた
めの学力と体力、粘り強さ
を身に付けさせること。
子供たちに、学ぶことの楽しさ、命の大切さを教えること。
-3-
1 学校の1日
教師には様々な仕事があります。授業はもとより、校務分掌や行事の準備、けがの
対応などの緊急対応もあります。何より、児童とともに過ごす時間を確保することが
大切です。登校前や下校後の時間を活用して、少し工夫をすることで、限られた時間
を有効に使うことができます。
ある小学校の例
児童にとって、登校したときに教師や友達と交わす明
るい挨拶が、その日の元気の源となります。子供たちの
反応からは、その日の体調や気分、登校前の様子が見え
てきます。
登校指導
8:30
8:45
朝の会
教室では、一人一人、顔を見ながら、名前を呼んで
出席確認をします。健康観察を行い、必要に応じて養
護教諭や学年の教員に連絡します。連絡がないまま登
授 業
校を確認できない児童がいた場合は、すぐに保護者へ
連絡します。連絡が取れない場合は、速やかに管理職
や学年の教員に報告し、情報を共有します。
10:20
中休み
中休み(20 分)には、校庭で児童と一緒に遊ぶ
10:40
ようにしましょう。時には、教室の窓から校庭の児
童の様子を観察して、友人関係を確認することも大
授 業
切です。
12:15
年間指導計画を踏まえて作成した週ごと
学習指導の出発点は、児童の実態を
の指導計画に沿って授業を展開していきま
知ることから始まります。学力や体力
す。学習指導要領に基づき、児童に身に付け
のほか、友人関係も把握しておくこと
させたい力を明確にした学習指導案を作成
が大切です。
することが大切です。
-4-
食育の観点を踏まえた給食指導を行いましょ
12:15
う。教卓で全体を見渡しながら食べることも大切
給食指導
ですが、生活班を回って、児童と一緒に食事をす
ると、その会話の中から、多くの情報を得ること
12:50
昼休み
ができます。また、授業では見せない児童の様子
から、友人関係の変化を知ることもできます。
13:05
(清掃指導)
13:20
授 業
清掃指導では、児童と一緒に清掃をしながら、
当番活動の役割と働くことの意義を理解させるこ
とが大切です。清掃の様子からも、児童の心の状
態や友人関係を知ることができます。教室にゴミ
14:55
帰りの会
が落ちている、黒板に落書きがあるといったよう
な状況を放置すると、学級経営が難しくなる可能
15:10
性があります。また、教室・トイレ・廊下・特別
教室・黒板・壁などの破損箇所は、気が付いたら
放課後
すぐに修繕します。
16:45
帰りの会では、一日を振り返り、明日の学習や生活の見
通しをもたせるとともに、下校の際に気を付けることにつ
いて、一声掛けましょう。
児童が下校しても、校務分掌や学級事務、学年会等、様々な校務があります。
優先順位を付けて、一つ一つ確実に実践していくことが大切です。分からない
ことは上司や同僚にアドバイスを求めましょう。
東京都の学校には、校長、副校長、主幹教諭、
指導教諭、主任教諭、教諭といった職があり、そ
れぞれに果たすべき職責があります。一人一人が
その職責を果たすことで、組織的な学校運営が可
能となります。
-5-
現職教師の経験に基づくアドバイスをまとめました。
仕事の要点
教師の一日をイメージしてください。
教師の職務は多岐にわたりますが、それぞれ、仕事を円滑に進めるためのポイント
があります。仕事の要点を知り、的確に押さえておくことが大切です。
登校時
・ 児童が登校する前に、教室環境を確認します。掲示物の画びょうが外れていな
いか、ゴミは落ちていないか、黒板や机に落書きがないかなど、あらかじめチェ
ックポイントを決めておくとよいでしょう。窓を開けるなど換気も行います。
・ 教室や校門で、登校する児童を笑顔で迎えます。子供は、教室に先生がいると
安心します。
・ 朝の挨拶は、自分のクラスだけではなく、学校の全ての児童とコミュニケーシ
ョンをとるチャンスです。積極的に声を掛けましょう。
・ 全校朝会があるときは、集合場所での整列を促します。朝会開始時刻より早く
整列できたときは必ず褒めましょう。
朝の会
・ 児童の健康観察はとても大切です。朝食は食べているか、服装や髪形はどうか、
ということなどから、家庭での生活状況も把握することができます。
・ 一日の予定を簡単に知らせることで、児童が見通しをもって行動することや、
自ら考えて行動する力を身に付けることにつながります。
・ 「土日は何をしていましたか。
」と、月曜日の朝、児童に、休日の様子を尋ねる
ことは、家族や友達との関係等、様々な情報を集めるのに有効です。教師自身も
自分のことを話すと、児童の担任に対する親近感が増します。
授 業
・ 授業の開始時刻、終了時刻は必ず守ります。児童にルールを教える教師自身が
ルールを守り、模範となるようにしましょう。
・ 前の黒板に提示するものは、授業内容以外の情報はなるべく少なくしましょう。
授業中の児童の集中力を妨げることがあります。
・ 教師との空間的な距離が近いほど、児童は授業への集中力を高めます。45分
間の中で、どの位置に座っている児童も集中できるようにするためには、机間指
導が有効です。
・ 児童の発言をいつも教師が復唱していると、
「先生が繰り返してくれるから。
」
と話し方や聞き方が不十分になることもあります。
・ 「考える時間」を設けて児童の思考を促すことが、主体的で深い学びにつなが
ります。
・ 教師が沈黙を恐れて話し過ぎたり説明し過ぎたりすると、かえって児童の思考
を邪魔してしまうことがあります。
-6-
休み時間
・ 児童は、休み時間に一緒に遊んでくれる教師をとても身近な存在に感じます。
次の授業の準備等があり、児童と一緒に遊ぶことはなかなか難しい場合であって
も、休み時間の始めや終わりの5分間だけでも一緒に遊ぶようにします。
・ 休み時間の様子から見える児童の人間関係は、学級経営上とても貴重な情報で
す。急に遊ぶ仲間が変わったときは、友達関係の変化などを、注意深く継続的に
観察するようにします。
給食指導
・ 配膳にかかる時間を少しでも短くできるように、みんなで目標をもって協力し
て準備すると、効率よく給食の時間が使えるようになります。
・ 4校時(給食前の時間)が図工や家庭科、体育等、教室を移動して行う授業の
ときは、準備が遅くなる可能性があるので、先に教室へ行き、児童を待ちます。
給食当番はもとより、教室に早く戻ってきた児童と一緒に配膳を始め、手伝った
ことを褒めると、児童の勤労意欲が高まります。
・ それぞれの食材のもつ栄養がどのように成長や健康維持に役立つかを説明する
ことは、児童の偏食を防ぐ有効な手だてになります。
・ 食材の名前は会話のきっかけになります。イワシとアジの違いやキャベツとレ
タスの違いなど、話題を提供しながら、食材への理解や食への興味・関心を高め
ます。
・ 食物アレルギーなどについては、必ず当該児童の保護者に詳しく確認するとと
もに、校内の食物アレルギー緊急時対応マニュアル等の内容を十分に理解し、救
急時に組織的に対応できるようにします。
清掃指導
・ 毎日20分程度の清掃時間ですが、年間でトータルすると50時間を超えます。
清掃をする意義を考えさせ、理解させた上で取り組ませるように心掛けます。当
然、教師も一緒に清掃を行います。なぜなら、清掃の仕方を教えるとともに、児
童の安全を十分に確認する必要があるからです。
・ 低学年では、
「ゴミを見ながら掃いてごらん。
」という一言で、清掃の仕方が上
手になります。中学年以上は、自分たちの教室以外の割当てがあるので、責任を
もって取り組ませることで、上級生としての自覚を高めることができます。
・ 床の雑巾がけは、安全面の注意が必要です。正面衝突すると大きな事故となり
ます。雑巾がけは一方通行で行うなどのルールを、児童とともに作っていくこと
が大切です。
放課後
・ 児童会活動等を行う場合には、担当する委員会等の指導を行います。
・ 放課後には様々な会議があります。課題意識をもって参加し、建設的な提案を
心掛けましょう。
・ 宿題の点検等の学級事務が滞ることがないよう、計画的に取り組みます。
-7-
2 学校の1年間
学校の1年は、変化に富んでいます。例えば、始業式は学期ごとにありますが、
それぞれの始業式のねらいには違いがあります。また、運動会や学芸会は担当する
学年によって取り組み方が違います。児童はもちろん、教師にとっても毎年わくわ
くするような1年を過ごすことができることが、学校の魅力です。
ここでは、学校の1年間の教育活動を大きく「学級経営」
「学習指導」
「生活指導」
「学校行事」
「保護者・地域」の五つの視点で、そのポイントや配慮事項、工夫でき
る点などを紹介します。
学級経営
<4月~5月>
○ いじめや不登校等の状況はもちろん、虐待や食物アレルギーの対応など、児童
の生命や安全に関わる重要な引継事項を確認し、担任として受けもつ児童の情報
を確実に把握しておくことが大切です。一方で、一つの情報だけで判断すること
は、誤った固定観念をもってしまい、適切な児童理解につながらないことがあり
ます。児童の特性に関わる情報は一つの側面であるとの認識が必要です。
○ 小学校では、ドッジボールやサッカーなど、みんなで取り組めるゲーム等から、
児童の人間関係や集団の特徴を把握できることがあります。場合によっては、い
じめの「芽」を見付けることもあります。
○ 「学校はどの子にとっても楽しいところであるべきだ。
」という理念を学級全
体で共有し、そのことを実現させるためのリーダーシップは、担任が取らなけれ
ばなりません。いじめ等は、厳しく指導する姿勢を示すことが大切です。
○ 4月当初から学級のルールを明確にしていきましょう。ルール作りは、学級経
営の基本ともいえます。そして、担任が児童を褒めるときや説諭するときは、常
にそのルールにのっとっていることが、児童が安心して学級の中で生活を送るこ
とにつながります。
○ 黒板に落書きをしない、ロッカーを整理する、机を整頓する、落ちているゴミ
は拾う等々、教室環境の美化は最初が肝心です。間違っても教卓に物が散らかっ
ていたり、担任用の戸棚が整頓されていなかったりすることのないようにしまし
ょう。見た目に雑然とした教室環境は、学級経営を難しくする一因となります。
○ 児童のよい面を積極的に評価するとともに、課題については、指導の課題とし
て捉え、解決に向けて保護者の理解と協力を得られるようにしましょう。
-8-
○ 学級通信は学級経営の様子を保護者等に伝える大切な手段になります。児童の
様子のほか、ちょっとした出来事に関わる担任の考えを丁寧に書くことで、担任
の考え方が保護者に伝わり、そこから協力関係が生まれることがあります。
○ 学級通信をはじめ外部に発出する文書は、内容が正しく伝わるよう、必ず事前
に管理職や学年主任等に指導してもらいます。
○ 担任の言葉遣いは、授業中と休み時間では上手に使い分けをしましょう。言葉
の使い分けで「けじめ」を付けることができます。
<6月~7月・夏休み>
○ 児童の友達関係が固定し始める時期です。仲間外れやグループ同士のトラブル
に注意が必要です。休み時間の過ごし方や給食準備中の様子を観察し、一人ぼっ
ちでいたり、遊び相手が変わったりしていないかを見取り、気になるときは言葉
掛けをしましょう。
○ 4月のスタート時と同様、夏休みまでの期間は学級のルールを固める大切な期
間です。最も良くないことは、
「最初に言っていたことと話が違う。
」という状況
です。決めたルールは一貫性をもって指導していきましょう。
○ 「これをすると先生は褒めてくれる。
」
「これをすると先生に注意される。
」と
いうことを、児童が理解できれば、行動の目標が明確になります。そして、児童
の成長に合わせながら指導する規準を明確にしていきましょう。
○ 通知表を渡すときは、学習面を褒めたり励ましたりすることも大切ですが、生
活面の努力についても、ぜひ褒めましょう。
○ 夏期休業日中の宿題は、ねらいに応じた適切な課題を与えることが大切です。
1学期の学習面や生活面の課題を振り返り、改善に役立つ課題を設定しましょう。
○ 夏期休業日中の水泳指導や補習などの学校行事には、できるだけ参加するよう
に声を掛けましょう。
<9月~12月>
○ 夏休みが終わると、夏休み前までに定着させた学級のルールや、担任との約束
ごとが忘れられてしまうこともあります。決められたルールや約束ごとを児童と
も再確認し、常に一貫性をもって指導を続けることが大切です。
○ 運動会や学芸会など大きな学校行事が続きますが、どの行事も、児童が大きく
成長するチャンスです。一つ一つの行事への取組を通して、担任として身に付け
させたい力を明確にし、児童だけではなく保護者にも伝えましょう。
○ この時期は、日没の時刻が早くなります。児童が事故や事件に巻き込まれない
ように、具体的な事例を挙げて話すなど、常に注意を促す必要があります。
-9-
<1月~3月>
○ インフルエンザや風邪の予防など、児童の体調管理は担任の大切な仕事です。
定期的に教室の換気をしたり、衣服の調整を促したり、手洗いやうがいをさせた
りと、こまめに指導し、児童が病気にかからないように配慮をしましょう。
○ 特に、インフルエンザなどの感染症については、学校の感染状況に注意を払い、
校内の感染症対策マニュアル等に沿って、管理職や学年主任、養護教諭等への報
告や保護者との連絡を綿密に行いましょう。感染症の予防には、衛生的な環境を
せき
維持するとともに、手洗いの徹底やいわゆる咳エチケット等の衛生的な習慣を身
に付けさせることが大切です。
○ 担任は基本的に1年間の仕事です。次年度に、担任が替わろうとクラス替えが
あろうと、1年間の学びの成果が、次年度以降にも生かされていくよう、新たな
目標をもたせるようにしましょう。
学習指導
○ 文部科学省が定めている学習指導要領を基準として、各学校では教育課程を編
成しています。学習指導要領を常に身近に置き、様々な機会に内容を確認してく
ださい。
○ どの教科のどの単元も、児童の実態をしっかりと把握することが大切です。そ
のためには、日頃から、児童の学力や体力の状況、人間関係、休み時間の過ごし
方など、実態を把握するための資料を集めておくとよいでしょう。
○ 新しい単元に取り組む際は、関心・意欲を高めるための導入の工夫が必要です。
多様な情報などから、最もよい材料を選んで導入の工夫に生かしましょう。
○ 授業の「ねらい」を明らかにしましょう。児童がそのねらいを達成できたこと
を認識できなければ、
「ねらい」が明らかな授業とはいえません。先輩教師の授
業観察ができる機会には、その授業でどのように「ねらい」に迫ろうとしている
かという視点から授業を観察すると参考になります。
○ 授業の「ねらい」と学習の「めあて」が適合していることが大切です。そのた
めには、学習資料や学習カードなどが役立ちます。
○ 1単位時間の学習の中で、場面に合った言葉遣い、声の大きさ、身体の動きな
ど様々な工夫が必要です。そのような工夫により、児童の集中力が高まります。
○ 学習内容と生活体験とが関連付けられると、児童の理解が大いに深まります。
○ 「どう教えればいいのだろう。
」と悩んだときは、児童を個別指導する中で、
つまずきやすいポイントを明確にしながら、指導方法を改善していきましょう。
○ 児童に学習による「達成感」を味わわせるためには、授業の中で思考し、発信
する場面を、適切に設定することが必要です。
- 10 -
生活指導
○ 生活指導の基本は公平・公正であることです。学級で担任の言うことが日によ
って違っていたり、同学年の担任間で言っていることが違っていたりすると、児
童は、教師を信頼することができなくなります。学校全体の指導方針を確認して
おくことはもちろん、学年間で指導の統一を図っておくことが大切です。
○ 「学校のきまり」を自分一人で拡大解釈しないようにしましょう。細かいルー
ルは必ず、学年や学校全体で確認しましょう。
○ 月ごとの生活目標を大事にしましょう。月ごとの生活目標は年間指導計画に基
づいた意図的な生活指導を実現する上で大切な取組です。朝の会や帰りの会な
ど、様々な機会に児童に声を掛け、意識させましょう。
○ 「いじめは人間として絶対に許されない。
」という認識を徹底しましょう。い
じめられた側にも課題があるといった視点は、絶対にもってはいけません。
○ 問題が発生したときは、すぐに学年主任や管理職に報告・相談をしましょう。
迅速な報告・相談が組織的な問題解決につながります。
学校行事
<儀式的行事>
○ 儀式的行事は、全校の児童及び教職員が一堂に会して行う教育活動であり、
入学式、卒業式はもちろん、始業式、終業式のほか、朝会などが考えられます。
児童にその場にふさわしい態度を身に付けさせる機会として重視しましょう。
場にふさわしい言動の在り方は、各発達段階でしっかり身に付けさせていきま
しょう。
<文化的行事、健康安全・体育的行事>
○ 学芸会や展覧会、運動会などの行事は、児童一人一人に明確な「めあて」をも
たせることが大切です。何のために取り組む行事であるかを、担任がしっかり示
しましょう。
○ 学芸会や運動会等の当日は、学習の成果を発表する場
として大切です。しかし、そこに至るまでの工夫や努力
など、行事に取り組む過程で児童は多くのことを学びま
す。それぞれの行事のねらいを達成できるよう指導して
いくことが大切です。
- 11 -
<遠足・集団宿泊的行事>
○ 遠足・集団宿泊的行事には、遠足、修学旅行、野外活動、集団宿泊活動など
があります。見学の仕方、公共施設や公共交通機関を利用する際のマナーなど、
日常の教育活動を通して十分に指導しておくことが大切です。
○ 事故防止のための万全な配慮をしましょう。特に、安全への配慮から、小学
校の段階では、活動する現地において集合や解散をすることは望ましくありま
せん。また、自然災害などの不測の事態に対しても、自校との連絡体制を整え
るなど適切な対応を迅速に取ることができるようにします。
<勤労生産・奉仕的行事>
○ 学校や地域社会に奉仕し、公共のために役立つことや働くことの意義を理解
するなど、あらかじめ、児童が十分にその行事の教育的意義を理解し、すすん
で活動できるように指導します。
保護者・地域
○ PTA活動には積極的に参加する姿勢をもちましょう。教師が活動を共にす
ることで、PTA活動に関わってくださっている保護者との信頼関係を築いて
いくことが大切です。
○ 保護者や地域の方々は様々な考えをもっています。自分の尺度だけで判断し
た言動は避けましょう。例えば、保護者との対応の中で「大したけがではあり
ません。
」
「大きな問題ではありません。
」などといった安易な言葉を発するこ
とは、判断規準が曖昧なため誤解を生む可能性があります。
○ 保護者は家庭での児童の様子を中心に見ているため、他の児童の様子と比べ
ることは難しいものです。学校の中で自分の子供がどう評価されているかは保
護者にとって大きな関心事です。保護者会や個人面談、学級通信等で児童の情
報を積極的に伝えていきましょう。
○ 教師の仕事の中心は、児童の長所を認め、伸ばすことです。児童の長所を一
つでも多く保護者に伝え、家庭と連携していきましょう。
○ 保護者からの要望のうち、率直に受け入れることが困難な内容も、その要望
の根本は、学校への期待の高さであり、子供への愛情であると捉え、まずは共
感的に受け止め、相手の立場に立って対応策を考えることが大切です。また、
自分の責任を問われるような要望を受けた場合は、すぐに学年主任や管理職等
に報告・相談をすることで問題を共有し、組織として対応することが大切です。
○ 地域の方々の地域に対する愛着は、とても深いものがあります。その意味で、
学校を支える地域の方々には最大の敬意をもって接することが基本です。
- 12 -
教師になりたいと考えている皆さんは、大学で「教育職員免許法」に基づいた講義を
受け、日々夢に向かって努力されていることでしょう。
今、皆さんが大学で学んでいることは、教師になったときに、どのような場面で役立
てることができるでしょうか。大学で学んだことを実践で役立てるためには、まず、教
師としてどのような資質・能力が必要とされているのかを、理解することが大切です。
東京都教育委員会は、大学で皆さんに身に付けてほしい資質・能力を、大きく3領域
17項目にまとめました。皆さんが大学で受ける講義の中で、自分自身にどんな力が身
に付いているのかを確認する意味で、ぜひ参考にしてください。
領域① 教師の在り方に関する領域
(1) 教師の仕事に対する使命感と豊かな人間性
到達目標
児童に対する深い愛情と教育者としての自覚と責任をもち、児童のよさや可能
性を引き出し伸ばすことができる力を身に付けている。
★到達目標を目指して
○ 「児童に対する愛情」とは、児童にしっかりと向き合い、児童の喜びや悲しみ
を共に分かち合い、児童とともに学び、遊び、考えられるよう努力をすることです。
そして、そのための研究と修養が常に求められます。
○ 児童や保護者を含め、社会全体が「教育者」と呼ばれる人たちに対する信頼や
期待をもっています。そして、その信頼と期待に応えるためには、あなた自身が
「教育者としての誇り」をもつことが大切です。
○ 児童のよさや可能性を伸ばすためには、児童の実態や状況を的確に把握する力
を身に付けることが必要です。
POINT
「教師の使命感」
、
「豊かな人間性」は、一朝一夕で身に付くものではありません。大切
なことは、身に付けようと努力し続けるあなたの姿勢です。児童や保護者、都民から信頼
される教師の大前提として、子供に対する深い愛情、教育に対する熱意と使命感、豊かな
人間性や人権感覚をもっていることが極めて重要です。
- 13 -
(2)教師として必要な教養
到達目標
教師として必要となる社会人としての常識や教養を身に付けるとともに、生涯
を通じて学び続ける学習者としての態度を身に付けている。
★到達目標を目指して
○ 児童には教育が必要だから、学校があるのです。児童に範を示すべき教師に、
社会人としての常識が必要なことは言うまでもありません。
○ 小学校では多くの教科を担任が教えます。例えば担任が「算数は苦手」と言っ
て、算数の指導をおろそかにすることは許されません。学習指導要領に基づいて、
各教科の基礎的・基本的な知識を身に付けさせなければなりません。
○ 教育者だからこそ、自分自身を磨き続けることが大切です。国内外の政治経済
や社会の動向、文化など常に新しい情報に触れながら、学び続ける教師でありた
いものです。
POINT
教科書の内容だけを教えることが教師の仕事ではありません。児童が興味・関心を高め
ながら、自ら学ぼうとする姿勢を育成するためには、教師の豊かな知識や教養を根底とし
た創意工夫あふれる授業を展開していく必要があります。
(3)コミュニケーション能力と対人関係力
到達目標
教師に必要なコミュニケーション能力を身に付け、児童、保護者、地域住民、
同僚等との間に適切な人間関係を築くことができる。
★到達目標を目指して
○ コミュニケーションをとるための技術は様々あります。大学での全ての講義等
で身に付ける努力をしましょう。最も大切なことは、あなた自身がすすんで様々
な立場の人々と積極的にコミュニケーションをとろうとする高い意欲をもつこ
とです。
○ 教師がコミュニケーションをとる相手は児童だけではなく、保護者、地域住民、
同僚と様々です。相手によって対応の仕方が異なることを理解していなければな
りません。
○ 自らすすんで、上司への報告・連絡・相談をしたり、保護者からの相談に対応
したりすることが、コミュニケーションのきっかけづくりとして有効です。
POINT
相手を理解しようとしない人は、コミュニケーションスキルが高まりません。教師の仕
事はコミュニケーションそのものです。コミュニケーションが苦手な人は、意識して相手
の話をよく聞くようにして、必要な力を高めるようにしましょう。
- 14 -
(4)学校教育に関する法令等と学校教育の役割
到達目標
学校教育に関する法令等や教育委員会の教育目標等から学校教育の役割を理
解している。
★到達目標を目指して
○ 教育基本法、学校教育法のほか、地方公務員法など押さえておくべき法令はい
くつかありますが、学校教育そのものが法令根拠に基づいて行われていることを
具体的に理解しておくことが大切です。
○ 教育基本法や学校教育法を根拠に、都道府県教育委員会や区市町村教育委員会
の教育目標があり、各学校の教育目標へつながります。様々な教育目標を構造的
に理解しましょう。
○ 授業等の教育活動において、新しいことに取り組むときや現状を改善するため
の方策等で困ったときなどは、よりどころを学習指導要領に求めることを習慣付
けましょう。
POINT
例えば教員定数、教科書採択や教員の研修など、学校の日常的な場面で、どのような根
拠に基づいて学校教育が行われているかを確認しておきましょう。
【補 足】
◎東京都教育委員会の教育目標
○互いの人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間
○社会の一員として、社会に貢献しようとする人間
○自ら学び考え行動する、個性と創造力豊かな人間
◎東京都教育委員会の基本方針
基本方針1
「人権尊重の精神」と「社会貢献の精神」の育成
基本方針2
「豊かな個性」と「創造力」の伸長
基本方針3
「総合的な教育力」と「生涯学習」の充実
基本方針4
「都民の教育参加」と「学級経営の改革」の推進
- 15 -
(5)学校組織及び服務の厳正
到達目標
教師は学校組織の一員であることを理解するとともに、教師の服務の在り方に
ついて法令や事例等に基づいて理解し、法令を遵守する態度を身に付けている。
★到達目標を目指して
○ 東京都の学校では、校長、副校長、主幹教諭・指導教諭、主任教諭、教諭と教
師の職層が分かれ、各職層に求められる職責を果たすことで組織的な学校運営を
行っています。したがって、組織の一員としての自己の役割を考え、理解する必
要があります。
○ 学校における校務分掌は非常に重要です。教師一人一人が組織の一員として校
務分掌に責任をもって取り組むからこそ、学校教育が成り立つことを理解する必
要があります。
○ 学校が保護者や地域の方々から信頼を得るための営みは、実は大変な苦労や努
力・工夫を要します。しかし、たった一つの失敗で信頼は簡単に失われます。あ
なたがその中の一員になるということへの強い自覚と、法令遵守の態度を身に付
けることが必要です。
POINT
教育基本法第9条には、教育公務員について「法律に定める学校の教員は、自己の崇高
な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならな
い。
」と規定されています。
この「崇高な使命を深く自覚」しなければならない教師が、法令を犯し、服務事故を起
こすことは言語道断です。毎年何人もの教師が服務事故を起こし、教師そのものへの信頼
を損なっていることは大変残念なことです。いやしくも教師という仕事に就く人は、法に
触れるようなことは絶対にしてはならないのです。
【補 足】
◎地方公務員法第30条
「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職
務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
」
◎地方公務員法第33条
「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような
行為をしてはならない。
」
* その他「秘密を守る義務」
、
「職務に専念する義務」など、公務員として守
るべき義務があります。
* 公務員は勤務時間中であるかないかにかかわらず、全体の奉仕者たるにふ
さわしくない行為をしてはなりません。
- 16 -
領域② 各教科等における実践的な指導力に関する領域
(1)学習指導要領
到達目標
学習指導要領の位置付けや基準性、各教科等の目標・内容等について理解して
いる。
★到達目標を目指して
○ 学習指導要領は学校教育法施行規則第52条に定められた、教育課程の基準と
なるもので、法的拘束力をもちます。公教育を担う教師を目指す人は、その内容
を十分理解しておかなければなりません。
○ 発達段階が大きく異なる小学校においては、学習指導要領に示された各学年の
目標と内容の関連性を理解しておく必要があります。
○ 学習指導案を作成する際には、学校の教育目標を具現化するための教育課程や
年間指導計画と関連していること、その基準は学習指導要領にあることを認識し
ておくことが大切です。
POINT
「学習指導要領」は常に身近に置き、様々な機会にその内容を確認してください。ただ
し、大事そうに思えるところを暗記するだけでは実践にはあまり役立ちません。全体を通
して、学校教育が目指す姿や指導の在り方を、具体的にイメージしながら読めるようにな
ることが大切です。そうすることで、教育課程や年間指導計画、学習指導案との関連が明
確になります。
【補 足】
◎教育課程の基準(学校教育法施行規則第52条)
「小学校の教育課程については、この節に定める
もののほか、教育課程の基準として文部科学大臣
が別に公示する小学校学習指導要領によるものと
する。
」
(中学校 同第74条、高等学校 同第84条)
- 17 -
(2)教材研究・教材解釈と授業づくり
到達目標
各教科等の指導内容に関わる教材研究・教材解釈の意義を理解し、指導方法等
を工夫した授業づくりをすることができる。
★到達目標を目指して
○ 各教科等に関わる基礎的・基本的な知識を、実際に教科等を指導する場面での
教材研究を通じて身に付ける努力をしましょう。
○ 教材とは、教科書だけではなく、資料集やワークシート、実験・実習の材料等
を授業で活用することで、児童・生徒の学びを深めようとする素材の全てをいい
ます。身の周りにある様々な「素材」を「教材」にするために必要な条件や要素、
手順等について理解しておく必要があります。
○ よい授業をするためには、各教科等の特性と児童・生徒の発達段階及び実態を
踏まえた十分な教材研究が欠かせません。
POINT
「何を」
「どのように」教えるかというときに、児童・生徒の実態を踏まえ、教材を十分
吟味して学習指導案を作成し、資料等を準備することになります。この一連の作業に深ま
りや広がりをもたせるのが、何といっても教師自身の知識と創造力です。
 指導方法の検証のため、演習として模擬授業の実践が効果的です。教材が適切か、指導
過程が児童・生徒の発達段階や実態に合っているかを検証してみるとよいでしょう。
 大学の講義等で学んだことをポートフォリオとして積み重ねておくと、教材研究を行う
際に役立ちます。
(3)単元指導計画の作成及び改善
到達目標
単元指導計画を作成するために必要な要素を理解するとともに、その方法等を
身に付け、模擬授業等の実践を通じて見直し、改善することができる。
★到達目標を目指して
○ 単元指導計画を作成するためには、各単元の相互関連や系統性を押さえるとと
もに、単元の目標と指導内容との関連、評価規準等を学習指導要領や学習状況か
ら設定していくことが求められます。実際の単元指導計画の作成を通じて、理解
していくことが必要です。
○ あらかじめ設定した、単元全体の指導計画に沿って模擬授業等を実践し、指導
目標の達成度について第三者からの評価を受けることが大切です。
○ 自分自身の課題を理解するとともに、単元指導計画を見直し、よりよい授業に
向けて改善を図りましょう。そのために、大学では模擬授業等に取り組むことが
有効な手段となります。
- 18 -
POINT
大学では、模擬授業を経験する機会があると思います。積極的に取り組み、たくさん
の試行錯誤を経験してください。優れた教師は、よい授業をするためにいつも悩みなが
ら、様々な努力や工夫をしているものです。
学生のうちに様々な経験をすることは、自分の課題を認識したり、更なる努力の必要
性を実感したりすることができるという意味で、貴重な経験といえます。
 グループで一つの単元について学習指導案を作成し、模擬授業を行いましょう。参
観者は児童役となり、児童がどのように反応するのかを想像することが大切です。
 模擬授業後は、授業の展開、教師の発問と児童の反応、板書、資料提示のタイミン
グ等、様々な視点で協議を行いましょう。
(4)指導方法・指導技術
到達目標
各教科等の特性に応じた指導方法・指導技術等を身に付け、模擬授業や教育実
習等で実践することができる。
★到達目標を目指して
○ 各教科等の特性に応じた指導方法や指導技術を踏まえた授業展開を考えてい
くことが大切です。指導技術には、板書の仕方や話し方、資料の扱い方等、様々
な技術があります。大学での模擬授業の実践を通じて実際に身に付けていきま
しょう。
○ 大学での模擬授業や、教育実習中に行う授業は、自分の資質・能力の向上を
図る上で貴重な経験となります。学習資料の工夫や、視聴覚機器の活用等、様々
な手法を用いながら、授業の工夫を図るとよいでしょう。
○ ICTをはじめとした情報機器の活用は、児童が学習内容をより的確に理解
する上で効果的です。また、写真や動画等を活用して適切な情報資料を作成し、
児童の興味・関心を高める工夫をし、自分の指導技術の向上に役立てましょう。
*写真や動画を撮った場合は、個人情報の取扱いに注意しましょう。
POINT
教科等にはそれぞれの目標があるので、児童に身に付けさせたい力には違いがありま
す。このため、教科等の目標を効果的に達成するためには、どのような指導方法・指導技
術が必要なのかをよく理解しておかないと、ねらいを達成する授業にはなりません。
小学校の教師は複数の教科を指導するので、できるだけ多くの模擬授業等を経験し、各
教科等の特性を理解することが大切です。
- 19 -
(5)児童の学習状況の把握と評価
到達目標
児童の学習状況を把握し、指導に生かす方法について理解し、模擬授業等で評
価結果を生かした指導を実践することができる。
★到達目標を目指して
○ 学習指導における評価には、診断的評価、形成的評価、観点別評価等がありま
す。
「評価と指導の一体化」といわれるように、学習指導には評価が欠かせませ
ん。それぞれの評価の特徴や意義について理解しておく必要があります。
○ 授業中の児童の学習活動における様子から「学習のつまずき」を把握し、授業
改善に生かすことが求められます。学習の成果をこまめに把握し、適時に褒める
など評価の方法を身に付け、教育実習等で実践するとよいでしょう。
○ 授業中の児童の反応(意見やつぶやき、表情等)を記録することは、授業評価
や授業改善に大変役立ちます。
POINT
東京都立高等学校では、平成16年度から「生徒による授業評価」を行っています。
また、小学校でも同様の取組が行われている学校があります。小学生が実際に教師の授
業を客観的に評価することは難しいことですが、児童が「できた。
」
「分かった。
」と感じる
瞬間は、そのまま表情に表れるものです。児童の表情から、その瞬間を実感することがで
きたとき、教師の喜びは何ものにも代えがたいものとなります。そのためにも、教師は絶
えず授業改善に取り組まなければなりません。
なお、授業中に児童の学習状況を把握するためには、様々な方法がありますが、発言や
つぶやきを記録することも大切です。記録を積み重ねることで、児童のつまずきや成長等
も把握することができます。
(6)授業力向上と授業改善
到達目標
授業力を構成する要素や、授業力向上のためのPDCAサイクルを理解し、自
己の授業実践を改善できる方法を身に付けている。
★到達目標を目指して
○ 東京都教育委員会では、授業力を六つの構成要素で定義しています。この六つ
の構成要素を授業分析や授業観察の視点として身に付けておくと、授業改善に役
立ちます。
○ 授業力向上のためのPDCAサイクルについて理解し、模擬授業や教育実習の
授業研究等で実践的に指導力を身に付けることが必要です。授業をビデオに撮っ
たり、授業中のメモやワークシート等の記録を残したりして、授業研究時の資料
として活用するとよいでしょう。
- 20 -
○ 授業改善の方法はいろいろあります。大学の模擬授業で意見交換したり、教
材・教具や学習資料などポイントをしぼって意見交換したりすることも、授業改
善につながります。
POINT
東京都の学校ではOJT(on the job training)を通して教師の資質・能力の向上に取
せっさたくま
り組むことを大切にしています。特に、教師が互いに授業を見合い、切磋琢磨することは、
資質・能力の向上に有効な手段として定着しています。大学においても意図的に授業改善
に取り組む機会を設け、積極的に意見を求め、自らの資質・能力の向上に努めましょう。
【補 足】
◎授業力の構成要素
東京都教育委員会は、教師の資質・能力のうち、特に授業の場面で発揮され
るものを授業力とし、その構成要素を六つに整理しています。
構成要素のうち、
「使命感、熱意、感性」
・
「児童・生徒理解」
・
「統率力」の
三つを授業力の基盤とし、その上で更に授業を通して「指導技術(授業展開)
」
・
「教材解釈、教材開発」
・
「
『指導と評価の計画』の作成・改善」の三つの要素
を高めることで、教師一人一人の授業力が向上していくと考えています。
(7)特別支援教育
到達目標
特別支援教育について、基礎的な知識や支援を要する児童への具体的な指導方
法を身に付けるとともに、関係機関との連携について理解している。
★到達目標を目指して
○ 発達障害に関する基礎的な知識をもち、具体的な対応方法・指導方法等を理解
することは、学級経営に不可欠です。
○ 学校でのボランティアや教育実習等を通して、少しでも多くの児童と接する機
会をもち、特別な支援を要する児童への支援の在り方を、具体的に学んでおくこ
とが大切です。
○ 特別支援教育に関わる国の動向や東京都の施策等に触れ、特別支援教育の考え
方の基礎を理解しておく必要があります。
POINT
東京都教育委員会の基本方針2には、
「
『豊かな個性』と『創造力の伸長』
」の中で、
「子
供たち一人一人の思考力、判断力、表現力などの資質・能力を育成することが求められる。
」
とあります。つまり、教師は、自分が指導している全ての児童「一人一人」に必要な力を
身に付けさせなければならないわけです。そのため、学級に40人の児童がいれば、40
とおりの関わり方が必要です。その際、特別支援教育に関わる基礎的な知識をもっていれ
ば、一人一人への関わり方に生かしていくことができます。
- 21 -
(8)キャリア教育
到達目標
児童一人一人のよさや可能性を伸ばすキャリア教育の視点に立った進路指導に
ついて、その意義を理解し指導方法を身に付けている。
★到達目標を目指して
○ 将来に夢をもち、夢を語り合える学校生活は、児童にとってかけがえのない時
間になります。前向きに自己の将来を考え、自らの意志と責任でよりよい選択が
できるよう、児童と語り合うことで生きることの大切さを伝えていくことは、教
師の大事な仕事です。
○ キャリア教育は、将来にわたって児童の望ましい勤労観や職業観を育む基礎と
なることを理解しましょう。
○ 道徳の時間や総合的な学習の時間、特別活動等において、児童一人一人に、自
分の将来について考えさせたり、自己の可能性に気付かせたりする指導の方法に
ついて理解しておくことが大切です。
POINT
キャリア教育が、児童の望ましい勤労観や職業観の基礎を育むという意味では、教師自
身の姿は、正にその教科書といえるのではないでしょうか。教師という以前に、児童にと
って身近な大人の一人として、真摯に職務に取り組む姿勢などの模範的な行動を示したい
ものです。

キャリア教育について、各教科等の授業を通して取り組むことも大切ですが、日常の
生活の中でも児童たちに将来を見据えた指導を行うことができます。
児童の発達段階を踏
まえて、計画的な指導を行っていきます。
【補 足】
◎東京都特別支援教育推進計画(第二期)
・第一次実施計画
東京都教育委員会は、平成29年2月に「東京都特別支援教育推進計画(第
二期)
・第一次実施計画」を策定し公表しました。
○ 計画の基本理念
共生社会の実現に向け、障害のある幼児・児童・生徒の自立を目指し、一人
一人の能力を最大限に伸長して、社会に参加・貢献できる人間を育成
- 22 -
領域③ 学級経営に関する領域
(1)学級経営の意義と学級づくり
到達目標
学級経営の意義や、学級集団づくりの方法等を理解し、学級経営計画案の作成
方法を身に付けている。
★到達目標を目指して
○ 児童にとって自分が所属する学級は、学校生活の基盤です。この基盤が揺らぐ
ようでは、児童は安心して学校生活を送ることができません。その意味で、学級
経営とは、児童の生活を支えるという大きな意義をもっています。
○ 清掃指導、給食指導といった日常的な指導の中に、児童の規範意識を高めるポ
イントがあります。この積み重ねが学級全体のルールづくりにつながることを認
識しておくことが大切です。
○ 学級経営は校長の学校経営計画につながるものであり、よりよい学級経営にし
ていくためには、児童の発達段階や実態に応じた学級経営計画を作成しなければ
なりません。教育実習や学校ボランティアなどで、具体的な事例を通して学ぶこ
とが大切です。
POINT
小学校の最大の特徴は、採用直後の4月から学級担任となることです。学級担任の責任
は重いのですが、その分やりがいも大きいものです。学級担任として任された児童が、安
心して学校生活を送れるようにすることはもちろん、学力や体力の向上を図っていくとい
うことの責任の重さを自覚し、大きな気概をもって児童と向き合っていきましょう。
先輩の先生から、よりよい学級づくり
を目指した学級経営の工夫を学ぶことは
大変効果的です。例えば、掲示物の工夫、
学級通信の作成等、具体的に学ぶことが
大切です。
- 23 -
(2)集団の把握と生活指導
到達目標
一人一人の人格を尊重し、個性の伸長を図るなどの生活指導の意義を理解し、
集団を把握して生活指導をすることができる。
★到達目標を目指して
○ 生活指導は、学校が組織として教育目標を達成しようとするときの重要な柱
の一つです。そして、その機能を働かせるために教師は、児童一人一人の実態
を把握するなどして、集団指導と個別指導を適切に行っていくことが大切です。
○ 集団を把握することと、児童一人一人の実態を把握することは、常に同時に
行う必要があり、そのためには児童とのコミュニケーションが大切です。
○ 児童を褒めるときや説諭するときは、教師としての力量が表れる瞬間です。
いずれの場合も、意図的・計画的な言葉掛けが大切です。特に説諭するときに
き
ついては、感情的になることなく毅然とした態度をとることが必要です。
POINT
生活指導は、場面に応じて臨機応変に対応することが必要ですが、基本は学校全体の共
通した生活指導目標に沿ったものでなければなりません。ここを踏み外すと場当たり的な
対応となり、児童にとっては何をどうすればよいか分からなくなる状況をつくってしまい
ますし、教師に対する不信感にもつながります。
【補 足】
◎生活指導の機能
生活指導は、児童の「自己指導能力」の育成を目指して行われます。
「自己
指導能力」には、自己をありのままに認める「自己受容」
、自己に対する洞察
を深める「自己理解」
、そして、この二つを基盤にして、目標の達成のために
自発的・自律的に自らの行動を決断し実行することが含まれています。
「自己指導能力」を育成することは、日頃の教科
指導の中での指導も大切です。そのためには、
「自己
存在感を与えること」
、
「共感的人間関係を育成する
こと」
、
「自己決定の場を与え、自己の可能性の開発
を援助すること」の三つの留意点を押さえておく必
要があります。
- 24 -
(3)児童理解と教育相談
到達目標
教育相談の意義を理解し、基本的な教育相談の技法を学び、児童理解に生かすこ
とができる。
★到達目標を目指して
○ 大学の講義の中では、実際の児童を対象とした教育相談そのものを経験するこ
とは容易ではありませんが、その仕組みや組織的な対応の仕方などを知識として
理解しておくことが大切です。
○ カウンセリングマインドや教育相談の技法等について、ロールプレイや役割演
技等を通して実践的に理解しておく必要があります。
○ 知識や技能として身に付けた教育相談の技法等を、学級経営等に生かす方
法について考えておくとともに、教育実習等で積極的に実践していくことが
大切です。
POINT
相談活動の基本として、まずは児童との人間関係をつくることです。人間関係をつくる
上では「教育相談的姿勢」を大切にした関わりが有効です。例えば、児童の発言の内容が
不完全な場合に、発言のよい部分を取り上げながら、内容の足りない部分を補助すること
で、児童が伸び伸びと発言しやすい雰囲気づくりができます。
【補 足】
◎カウンセリングにおける基本姿勢と関わり方
カウンセリングの際には、次のような姿勢で臨み、児童と関わることが大
切です。
・ 人は誰でも、自分らしさを求めて、よりよく成長したいと思っている。
よって、児童自身が自信をもてるような関わり方をしていく。
・ 児童をありのまま偏見をもたずに受け入れ、話をよく聴く。
・ 児童の考えを児童の立場に立って理解しようとする。
・ 自分なりに捉えた児童への理解を、分かりやすく児童に伝える。
・ 沈黙を無駄な時間と考えず、解決を急ぐような問い掛けをしない。
- 25 -
(4)保護者・地域との連携
到達目標
学校と保護者・地域住民との関係について理解を深め、意見や要望等を適切に受
け止め対応することの重要性を理解している。
★到達目標を目指して
○ 学校教育は教育基本法、学校教育法等に基づいて行われるものですが、地域の
実態や保護者の声に耳を傾けていかなければ成り立たないことを理解しておく
必要があります。
○ 教育活動の様々な場面では、
保護者・地域の理解や協力が必要になります。
その理解や協力を得るための方法について、具体的に理解しておくことが
大切です。
○ 保護者や地域の方との対応の仕方について、ロ-ルプレイなどの演習を通して
実践力を身に付けておく必要があります。
POINT
教師は集団の一員として児童を捉え、保護者は自分の子供を通して学級や教師を見ま
す。この視点の違いが、教師と保護者の認識の違いを生むことがあります。保護者と関
わるときは、できるだけ保護者の立場に立って相手の気持ちを思いやりながら対応する
ことが大切です。
また、学校に協力してくださる地域の方は、学校教育への関心が高いだけではなく、
地域や学校への強い愛着をもたれています。その意味で、最大の敬意をもって接するこ
とが大事です。
【補 足】
◎保護者・地域の方々との会話のヒント
・ 話を聴くときは、相手の表情を見ながら、適度に相づちを入れる。
・ 話すときは、相手の気持ちを思いやり、様子を見ながら要点を簡潔に話す。
・ 丁寧で、分かりやすい言葉を使う。
◎電話をするときのヒント
保護者と電話で話す機会が多くあります。そのようなとき、次のようなこ
とも付け加えると信頼関係の構築に役立ちます。
・ 児童の頑張っていること、善行
・ 児童への励ましや、保護者へのねぎらい
・ 協力していただいたことへの感謝
- 26 -
ちょっと考えてみましょう!
■ 最近、学校を休みがちになっているB君の父親が来校し、職員室で、
「担任を
出せ!」と大声を上げました。
担任が出ていくと、
「お前のせいで、うちの子は苦しんでいるんだ。
」
「うちの
子はちゃんとやっているのに、なんでいちいち注意されなきゃならないんだ。
」
「他の子だって、同じことをやっているのだろう。
」などと、担任につかみかか
らんばかりの勢いで、声を荒げ続けました。
さらに、父親は、
「子供に謝れ。
」
「毎朝、家まで迎えに来い。
」と強い口調で繰
り返し言いました。
質問
1 このときの保護者の気持ちについて考えてみましょう。
2 このような場合に、どのような対応を取るべきだと思いますか。
★ 威圧的にならざるを得ない保護者の背景にある事情や心理状態を想像し、まず
は、話をしっかり聴き、相手の思いを受け止めることが大切です。
1 保護者の気持ちは・・・
・ 子供が学校に行けないのは担任のせいだ。
・ 私はわざわざ仕事を休んで、学校に来ているんだ。話をきちんと聞いてくれ。
・ 子供のことを必死で訴えているのに、何で分かってもらえないのか。
・ どうやって子供に接したらよいか、毎日、悩んでいるのに、なぜ、担任は、親
身に相談に乗ってくれないのか。
・ 子供が学校に早く行けるように、さっさと片を付けたいんだ。 等
2 考えられる対応
・ 管理職に必ず報告し、環境(別室等)を変えて対応する。
・ 担任が一人で対応するのではなく、管理職も含め、複数で話を聴く。
・ 保護者の気持ちを受け止めながら、学校は、子供のことを考えているというス
タンスを明確に伝える。
・ 譲れないところは明確に伝える必要があるが、相手が理解できるように、その
伝え方を工夫する。
東京都教育委員会「学校問題解決のための手引」から作成
- 27 -
教育実習は、皆さんが大学で学んだ教師になるための理論や知識を、実際の学校現
場で実践できるようにするための貴重な機会です。
この機会に体験する一つ一つの出来事が、教師を目指す皆さんの資質・能力を向上
させることでしょう。
教育実習の前に・・・
学校では日々刻々と教育活動が営まれ、児童は「生きる力」を身に付ける
ために、学習に取り組んでいます。皆さんは、その教育活動の中で教育実習
を行うわけですから、
「実習生だから仕方がない。
」という言葉で片付けられ
る活動は、一つもありません。そのため、指導教員は、皆さんを一生懸命に
指導します。
また、学校は、教育実習を受ける皆さんを、学校教育を担う人材として全
力で支えます。このことを真摯に受け止め、目的意識をしっかりともって実
習に臨みましょう。
1 教育実習までに身に付けておくこと
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
先輩からのアドバイス
教師になるという確固たる決意
早寝早起き、体調管理などの基本的な生活習慣
言葉遣い、挨拶、身だしなみ、礼儀等の社会的な常識やマナー
様々な立場や考え方の人と円滑にコミュニケーションをとることができる能力
重要な内容を聞いた際にメモを取ったり、復唱して確認したりする習慣
自分が分からないことは、調べたり質問したりするなどして確実に理解する習慣
児童との適切な関わり方
姿勢や筆記具の持ち方を正しくし、筆順に従って正しく文字を書く習慣
聞き取りやすい声で、要点を分かりやすく伝える話し方
読みやすく理解しやすい板書の仕方
ICT機器の効果的な使い方
学習指導案の基本的な書き方
学習指導要領及び同解説の活用の仕方
教材研究の方法
- 28 -
2 教育実習生の1日
出
勤
職員朝会
全校朝会・集会
朝の教室
○ 出勤簿に押印します。
・校長先生や他の教職員の方々に元気に挨拶をしましょう。
・印鑑は丁寧に鮮明に押しましょう。
○ 教室に行き、児童を迎える準備をします。
・教室の窓を開け、机・椅子を整頓しましょう。
○ 職員朝会がある場合は、開始時刻前に職員室に行き、印刷物の配
布や打合せの準備などを行います(職員朝会への参加の扱いは実習
校により異なります。
)
。
・連絡事項をしっかり聞き、ノートなどに記録しましょう。
・1日の学校の流れを把握しましょう。
○ 朝会や集会がある日は、児童に集合場所での整列を促し、教師が
分担して集会を運営したり、話をしたりします。
・整列のさせ方や話の仕方等、集団行動の際の指導の在り方や集団
の把握の仕方など、様々な指導の方法等を学びましょう。
児童が次のことをできるよ
うに声掛けをしましょう。
① 連絡帳や宿題などの提出
② 学習の準備
③ 係や委員会の朝の活動
④ 外遊び
※ 各学校の決まりや児童の
発達段階により、活動は異
なります。
朝の会(例)
朝 の 会
① 日直や担任からの話
② 朝の歌、読書、1分間ス
ピーチなど
※ 各学校の決まりや時程、
学年により、朝の会の進め
方は異なります。
- 29 -
○ 教室で児童を迎えます。
・明るく、元気よく児童と言葉を
交わす習慣を付けましょう。
・自分から先に、児童に元気に挨
拶をしましょう。笑顔で話し掛
け、気持ちのよい一日をスター
トしましょう。
○ 朝会や朝読書の準備を支援し
ます。
○ 児童の名前と顔を覚えます。
・名前は敬称を付け、正しく呼び
ましょう。
・出席の返事や表情から児童の心
身の状態を観察しましょう。
・欠席している児童への対応は重要
です。担任の先生が、どのように
対応しているかを学びます。
○ 朝の会の進め方を学びましょう。
授
業
○ 様々な授業を参観します。
・校長先生や副校長先生、指導教員の先生の許可をいただいて、他
学級や他学年の授業も見せていただきましょう。
・授業を見せていただく場合には、授業の前と後に、担当の先生に
きちんと挨拶をしましょう。
・実習の初期には、指導教員の先生の補助として、授業中に個別指
導等をする場合もあります。
・体育の授業のときには、必ず運動ができる服装に着替えましょう。
○ 授業の様子をありのままに記録します。
・大学の様式に基づいて授業記録の用紙を作成し、教師と児童の様
子を記録しましょう。
○ 授業観察や記録を通して、学んだことをまとめます。
・授業観察等で学んだことは、その要点をまとめて、その日のうち
に必ず「実習日誌」に記録しましょう。
・分からないことや疑問に思ったことは、そのままにせず指導教員
の先生に尋ねてみましょう。
休み時間
○ 児童と一緒に遊び、児童の
児童が次のことをできるよう
に言葉掛けをしましょう。
様々な面を見付けます。
① 次時の授業の準備をしてか
・運動ができる服装で、元気
に遊びましょう。遊びを通
ら校庭に出る。
して、児童の様々な姿を発
② チャイムが鳴ったら遊びを
見しましょう。
やめる。
○ 児童の遊びに十分注意し、
③ 手洗い、うがいの励行、トイ
危険を感じる行為が見られた
レ等は休み時間に済ませる。
ら、すぐにやめさせます。
※ 小学校では、2時間目と3時
間目の間に中休みがあります。
給食時間
・安全確保が最優先です。
○ 児童と一緒に配膳し、楽しく食べます。
ちゃわん
わん
※ 正しく箸を持つ、茶碗やお椀を持って食べる、肘を付かないといっ
たマナーや、好き嫌いをしない、同じものばかりを食べないなどの習慣
を、教師自身も身に付けていることが大切です。
- 30 -
清掃の時間
○ 配属学級の清掃場所、清掃の仕方を確認します。
・安全面に気を配りましょう。また、教室以外の清掃場所にも出向
き、率先して清掃を始めましょう。
・清掃の手順や清掃道具の使い方を児童に指導できるようになりま
しょう。
①窓を開ける。②机を後方に下げる。③ほうきで掃く(ほうきの
持ち方、掃き方)
。④机を元に戻す。⑤机を拭く(雑巾の洗い方、
絞り方)
。⑥ごみを捨てる。⑦窓を閉める。
※学校や清掃場所によって清掃方法は異なります。
授 業
○ 授業を行う際には、必ず学習指導案を作成します。
・学習指導案の検討等の事前指導及び授業実践後の指導は、指導教
員のほかに、適宜、学年単位や各教科等の専門性をもつ教員から
受けましょう。
・大学の担当者が実習校を訪問する際には、学習指導案をあらかじ
め大学に送付しておきましょう。授業後の協議会では、担当者と
ともに、校長や、授業を観察した校内の教員等からの事後指導も
帰りの会
積極的に受けるようにしましょう。
○ 1日の学校生活を振り返らせます。
・児童と活動して楽しかったことやうれしかったこと、褒めたいこ
となどを伝えましょう。児童が明日も登校したいという気持ちで
下校できるようにしましょう。
○ 帰りの会の進め方を学びます。
放課後
退 勤
○ 参加させていただける諸会議や打合せには、開始時刻前に出向き、
準備の仕方を学びます。
○ 学級の事務処理や明日の授業の準備をします。
・実習の打合せをして、分からないことがあったら指導教員に尋ね
ましょう。
○ 「実習日誌」をまとめ、指導教員に提出します。
○ 挨拶をして退勤します。
・校長、副校長、教職員の方々へ「お先に失礼します。
」
「ありがと
うございました。
」等の挨拶を必ずしましょう。
- 31 -
先輩からのアドバイス
教育実習でぶつかった壁とその対応策
・ 授業が思うように進まないので指導教員に相談したら、他の多くの先生方が授
業を参観し、助言してくださいました。
・ 担任ではないからと、児童に受け入れてもらえず苦労しました。めげずに積極
的に話し掛け続けました。
・ 児童を説諭することができずに悩みました。児童の立場に立って考えるように
したら、どう対応すればよいかが見えてきました。
・ 先生方とのコミュニケーションがうまくとれませんでした。指導教員に相談し、
たくさんアドバイスをもらいました。
・ 教材研究をする中で、自分の知識の足りなさを痛感しました。そこで、関連す
る本を積極的に読むようにしました。
・ 授業がうまくいかなかったので、授業をビデオに撮って客観的に自分の指導を
振り返るようにしました。
・ 児童との関係がうまくいかなかったので、とにかく一緒に遊び、できるだけ多
くの時間を児童と過ごすようにしました。
・ 褒めることの大切さは分かっていても、いざ児童の前に立つとなかなか難しい
ものです。
「できた」ときだけではなく、
「頑張っている」ときも褒めるようにす
ると、少しずつできるようになりました。
・ 教師からの一方的な授業から抜け出すために、児童の意見を生かしながら授業
のまとめをするようにしました。
・ 授業がうまくいかないと思ったときに、実習校の先生方の指導法を参考にしな
がら工夫を重ねたところ、改善の手掛かりを得ることができました。
・ 児童が友達のように接してくるので、けじめを付けるのに苦労しました。
「今
き
は休み時間じゃないよ。
」と声を掛けたり、ときには毅然とした態度をとったり
することが大切です。
・ うまくいかないことの方が多いけれど、全てが経験であり、勉強になると前向
きに思うことが大切です。
- 32 -
教育実習中に気を付けるとよいこと
・ 指導教員などに相談するときは、事前に聞きたいことをまとめてポイントをし
ぼって質問しましょう。
・ 体育の時間の集団行動は、指導がとても難しいです。他の教師のやり方をよく
見ておきましょう。
・ 運動会の準備など、全教職員で作業するようなときは、周囲の状況を見ながら、
「何かできることはありませんか。
」などと積極的に声を掛けて動きましょう。
・ 貴重な実習期間です。体調を崩さないよう、体調管理には万全を期しましょう。
教育実習後に行ったこと
・ 本当に自分は教師になりたいのか。教師になって何をしたいのか。改めて自分自
身に問い直し、決意を新たにしました。
・ 大学の講義を、
「学級経営にどのように役立つか。
」という視点で受講しました。
・ 教科指導の幅を広げるためには、様々な知識が必要なことを痛感したので、旅行
に行ったときも、授業の材料を探しました。
・ 学校ボランティアを通して、児童と関わる時間を増やしました。
・ 学級担任になったときのことを想定して、学級経営案を作りました。
・ 教育に関わる書物や教養を高めるための書物を読みました。
・ 学習指導要領と各教科等の解説を、印を付けながら熟読しました。
・ 歌遊びや簡単にできるゲームの手法を身に付けました。
・ 特別支援教育について学び直しました。
・ 学校のホームページ等から情報を集め、学校公開や研究発表会に行きました。
・ 漢字を正しい書き順で書けるように練習しました。
・ 体力向上に取り組みました。
・ 教師をしている大学の先輩に連絡を取り、
「教育」について話し合いました。教
育実習を終えてから話をすると、内容が具体的になり、学びが深まりました。
・ 教育実習を終えた友人との情報交換や、これから実習をする友人へのアドバイス
等、実習から学んだことや感じたことを言葉にすることで、成果を自覚できました。
- 33 -
東京都教育委員会では、平成23年度から都内公立小学校で実施される教育実習
の評価を、東京都の統一様式で行っています。
(様式 1)
教育実習成績評価票
平成
大学
フリガナ
実習生名
学部
学科
専攻
学籍番号 (
出席すべき
日数
実習期間
平成
平成
1 評
年 月 日
年
年
月
月
日 から
日 まで
出席日数
病 欠
事故欠
その他
日
日
)
欠席日数(理由)
遅刻・早退
日 (
)
日 (
)
日 (
)
遅刻 回
早退 回
定
各評価項目及び総合評定について、いずれかの評語を記入してください。
評 語 5(非常に優れた資質・能力を有している) 4(優れた資質・能力を有している) 3(資質・能力を有している)
2(資質・能力が不足している)
1(教員としての資質・能力がない)
評 価 項 目
【
領
域
①
】
教
師
の
在
り
方
【
領
域
②
】
実
践
的
な
指
導
力
【
領
域
③
】
学
級
経
営
評 価 の 観 点
(1)
使命感と豊かな人間性
と
教師として必要な教養
①子供一人一人の実態や状況を把握し、子供のよさや可能性を引き出し伸ばすために、子供と
積極的にかかわっている。
②小学校教師に求められる常識を身に付けている。
(2)
コミュニケーション能
力と対人関係力
①管理職をはじめとする、教職員とコミュニケーションを積極的に図ることができる能力を身
に付けている。
②児童と適切な言葉遣いや話しやすい態度で接することができる。
(3)
学校組織の一員として
の役割と服務の厳正
①学級担任の職務内容や校務分掌について理解し、管理職等に必要な報告、連絡等を適切に行
うことができる。
②法令を遵守する態度を身に付けている。
(4)
学習指導要領の理解と
授業づくり
①学習指導要領の各教科等の目標や内容を踏まえて学習指導案を工夫している。
②授業準備のための教材研究・教材解釈ができ、児童の実態に即した授業づくりを実践してい
る。
(5)
単元指導計画の作成と
指導方法・指導技術
①単元指導計画に基づき、実践する授業の指導目標や指導内容、評価規準、指導観等を踏まえ
た学習指導案を作成することができる。
②授業の場面において児童の実態と教科の特性に応じた指導方法や指導技術(発問、板書、説
明等)を身に付けている。
(6)
児童の学習状況の把握
と授業改善
(7)
特別支援教育とキャリ
ア教育
①学習指導における評価の意義について理解し、授業中の児童の学習状況の把握や個別指導等
を工夫することができる。
②授業研究後に授業を振り返り、課題を整理し授業改善を進んで実践している。
①通常の学級に在籍する、支援を要する児童へ積極的にかかわり、指導している。
②児童に将来を考えさせたり、自己の可能性を見出させるために授業を工夫したり児童に積極
的にかかわっている。
(8)
学級経営と集団の把
握・生活指導
①学級の規範づくりや教室の環境構成、清掃指導、給食指導等を積極的に行っている。
②状況に応じて適時に的確な判断を行い、
教師として毅然とした態度をとり、
適切にほめたり、
叱ったりすることができる。
(9)
児童理解と教育相談・保
護者との連携
①カウンセリングマインドや教育相談の基本的な技法を踏まえて児童に接している。
②保護者や地域住民等と連携して、学校の教育力を高めていることを理解している。
総
合
評
評
定
定
2 校長所見
教育実習全体を通しての所見を具体的に記入してください。
(観点別又は総合で「2」以下の評定を行った場合には、必ずその理由を記入してください。
)
学 校 名
校 長 名
印
- 34 -
指導教員名
印
気付いたことをメモしましょう
- 35 -
大学の4年間で皆さんは、講義やゼミ、サークル活動(部活動)などの大学生活
だけではなく、小学校や中学校でのボランティア活動、インターンシップといった
社会体験など様々な場面を通して、多くのことを学ぶ機会をもつことができます。
その中には、教師を目指す人間として身に付けるべき資質・能力を高める場面もた
くさんあります。
ここでは、大学を卒業して間もない若手教員からの、自身の経験に基づくアドバ
イスを中心に、学生生活の様々な場面を通して身に付けてほしい力を取り上げます。
大学生活
・研究や様々な活動等を通して身に付けた専門的
な知識や技能、体力、集中力等
・多様な立場や考え方の人と交流しながら、研究
や活動等をすすめていくコミュニケーション
能力、折衝力、対応力
・仲間との友情やチームワークの大切さ
・新たなことに取り組もうとするチャレンジ精神
・より高い目標を達成しようと努力する姿勢
・コミュニケーション能力
学
・統率力
校
・組織貢献力
ボ
・課題解決力
ラ
ン ・子供との遊び方
・広い知識
テ ・子供との関わり方
・気配りや心配りの仕方
ィ
ア ・子供の興味・関心の高め方
・場面に応じた態度
・子供の発達段階の理解や実態の捉え方
・授業の組立て方や教材研究の仕方
社
会
体
験
等
・積極性や客観性
・感謝の心
・服装、身だしなみ、礼儀、挨拶
☆ 「大学生活」や「学校ボランティア」
、
「社会体験等」などの経験を通して、様々
な力を身に付けている人が多い中で、特に「コミュニケーション能力」
「統率力」
「組織貢献力」
「課題解決力」等が身に付いたという人が多いようです。
- 36 -
コミュニケーション能力
○ 大学生活、学校ボランティアや社会体験等の多くは、人との関わりの中で行わ
れるものです。そこでこれらの経験を通して、多くの人が「コミュニケーション
能力」を身に付けることができているようです。新しい人との出会いの中で多様
な価値観に触れ、相互理解を深めていくような体験はとても有意義です。
○ 様々な活動は、多様な立場や考えをもつ人たちが統一の目標を共有し、その達
成を目指して力を合わせます。この過程は、地域や保護者等、様々な方々と連携
しながら学校の教育目標を達成していく過程と共通しているといえます。
統率力
○ 「統率力」は、東京都教育委員会が示す、授業力の六つの構成要素としても取
り上げられているように、教師として身に付けるべき大切な力です。この「統率
力」もコミュニケーション能力と同じように、人との関わりの中で身に付くもの
といえます。
○ 「コミュニケーション能力」と違って「統率力」には「まとめる」
「率いる」
といった、リーダーシップを発揮するという要素があります。学級担任は児童に
とっては、大きな意味でリーダーといえます。児童の信頼を得るためには「統率
力」を身に付けた教師でなければなりません。
○ 様々な活動等で、組織として共通の目標を達成するためには、様々な立場や考
え方の人と意思疎通を図りながら、互いの主張などを調整していく必要がありま
す。このような経験が「統率力」の源になります。
組織貢献力
○ 「組織貢献力」は、東京都教育委員会が「教員に求められる基本的な力」とし
て示した力の一つです。様々な活動等にすすんで参加し、組織の一員として貢献
することに取り組んでみましょう。
○ 組織に貢献しようとする気持ちは、組織の一員として「自分が役に立った。
」
というような成功体験が基になって高まります。自分の努力が、組織に貢献して
いることを実感できたときに、その後の行動の原動力になります。
課題解決力
○ 大学生活、学校ボランティアや社会体験等では、自分の取組や所属する組織等
の課題や問題点を発見し、その解決に向けて自らの取組を工夫したり努力を積み
重ねたりする場面があるはずです。多くの人が、このような経験を積み重ねるこ
とで課題解決力を身に付けているようです。
○ より高い目標に挑戦しようとすることで、現状の課題を発見することができま
す。例えば、
「スポーツの大会等で優勝する。
」
「昨年度よりも大きなイベントを
成功させる。
」などという高い目標に挑戦する過程で、現在の取組の課題が明ら
かになります。このような挑戦の意欲をもち、目標の達成に向けて試行錯誤する
ことが自分の課題解決力を向上させることになります。
- 37 -
先輩からのアドバイス
―こんな経験が教師の仕事に役立っています―
大学生活
○ 多様な仲間が集まる組織の中で、目標を定め、困難を乗り越えながら活動す
ることで、多くのことを学びました。目標が達成されれば喜びがあり、更なる
高い目標を目指しますが、たとえ達成されなくても、そこで感じる悔しさや挫
折も、とても貴重な経験となっています。
○ 合宿の企画や宿泊先との折衝、他団体との交渉等、様々な調整事項があり、
その対象者も必ずしも同世代ではないので、実践的に折衝力を高めることがで
きました。
○ 何か一つ「自分はこれができる。
」
「負けない。
」という知識や技能をもつこと
で、自信をもつことができます。また、他の人の優れた点やそのために積み重
ねてきた努力を認める姿勢をもつこともできます。その結果、初対面の人にも
自信をもって自分の考えを伝えたり、相手のよさを認めたりすることができ、
人間関係を広げることができます。
学校ボランティア
○ 教育実習とは違った視点で、じっくり子供に関わり、客観的に学校の様子を見
ることができます。
○ いろいろな学年の子供たちと関わることができるので、学年の発達段階の特徴
や児童理解の仕方を学ぶことができます。
○ 多くの先生方の授業参観ができるので、授業づくりの参考になりました。
社会体験等
○ 言われたことだけをするのではなく、自ら行動しようとする積極性や、相手
の立場や事情を察して冷静に行動しようとする客観性が身に付きます。
○ アルバイトでサービス業やものづくりなどを経験すると、様々な知識が身に
付き、児童や保護者、地域の方々などと話すときの話題が増えました。また、
報酬を受けることで、働くことの価値や仕事に対する責任を感じることができ
ました。
○ 挨拶、言葉遣いや礼儀など、人と関わりをもつ上で基本となる社会常識を身
に付けることができました。
- 38 -
先輩からのアドバイス
―若手教員に聞きました―
教師になる前に、学んでおくべきことは何ですか?
○ 学習指導要領及び同解説をしっかり読み、理解しておきましょう。
○ 各教科等に関する知識を高めてください。何より、教師は専門職です。
○ 教科指導と一見結び付かないような一般教養にも、教師としての幅を広げる上
で、とても大切な内容が多くあります。
○ 特別支援教育について、しっかり勉強しておくことが求められています。
○ これが自分の専門だと、自信をもって言える教科をつくっておいてください。
○ 児童・生徒理解の在り方、学級経営を円滑に行うための様々な手法について、積
極的に学んでおきましょう。
○ ICT活用の技能は高めておいた方がよいと思います。これだけで、仕事の能率
が全く違います。
○ 小学校や中学校でのボランティア活動は、経験しておく必要があります。学校の
雰囲気を知っておくことは、教師になったとき、すぐに役立ちます。
○ 学生時代に、熱中できる趣味を見付けるとともに、何でも相談できる友人を作り
ましょう。
○ 自分なりのストレス解消法をもっていることは、とても大切なことです。
【補 足】
東京都では、
全国に先駆けて高い資質・能力をもった若手教員を育成するため、
採用から3年間で系統的・段階的に教員としての基礎的・基本的な知識・技能を
確実に育成する新しい研修体系を構築し、平成22年度から「東京都若手教員育
成研修」を実施しています。
「東京都若手教員育成研修」では、到達目標を設定し、自己診断システム
を用いて個々の課題を明確にするなど、個に応じたきめ細かな育成を行って
います。
☆1年次(初任者)研修
・校内における研修 180時間
・校外における研修 半日16回
宿泊研修
☆2年次研修
・校内における研修
30時間
・校外における研修 半日3回
☆3年次研修
・校内における研修
30時間
・校外における研修 半日2回
- 39 -
東京都の採用選考スケジュール
東京都公立学校教員採用候補者選考は、
「一般選考」
、
「大学推薦」
、
「特例選考」等、
様々な選考がありますが、ここでは「一般選考」に関する採用選考までの主なスケジ
ュールを紹介します。
選考に関わる実施要綱は必ず東京都公立学校教員採用案内ホー
ムページで確認してください。
☆ 東京都公立学校教員採用候補者選考実施要綱発表
3
<受験申込> 例年3月下旬から約1か月間が受験申込期間となります。
印刷環境が整っているパソコンから、東京都公立学校教員採用案内ホーム
ページ「東京の先生になろう」にアクセスし手順に従い申し込んでください。
4
http://www.kyoinsenko-metro-tokyo.jp/ 郵送による申込みも可能です。
*受験票は6月中旬までにインターネットで申請した人にはメールで、郵送
で申請した人にははがきで送られてきます。
5
6
☆ 採用選考に向けたラストスパートです。
☆ 体調管理に気を付けて頑張りましょう。
<第一次選考> 例年7月中旬の日曜日に実施されています。
①教職教養(60分間)
7
②専門教養(60分間)
③論文(70分間)
*第一次選考の合否発表は例年8月上旬です。
<第一次選考>
8
<第二次選考> 例年8月下旬の土曜日又は日曜日に実施されています。
①集団面接
②個人面接
*第二次選考の合否発表は例年10月中旬です。
<第二次選考>
<採用候補者説明会>
11月初旬に採用までに必要な手続や、教師になるための心構え等の説明会があります。
<採用前実践的指導力養成講座> ※詳細は、P50からP53までを参照
採用前に学級経営等に必要な実践的指導力を身に付けられるよう、12月から1月までの間
に、講義や学校訪問を通じて、児童・生徒理解や指導の仕方について学ぶことができます。
<任用前学校体験>
着任時からスムーズに教育活動を始められるように、3月中に任用予定の学校で1週間程
度、校務の補助作業等を体験することができます。
- 40 -
○過去5年間の受験倍率
小学校
平成24年度
平成25年度
平成26年度
平成27年度
平成28年度
3.2倍
4.1倍
3.7倍
3.3倍
3.0倍
期限付任用教員
☆ 不合格となった人のうち、成績が上位で本人が希望した場合は「期限付任用教
員採用候補者名簿」に登載されます。
○ 期限付任用教員は、年度途中の教員の病気休職や退職、学級増など、欠員が生
じた場合に、最長1年間の任用となります。勤務内容は、正規教員と全く同様で、
授業を行うだけではなく学級担任や校務分掌も担当します。
○ 期限付任用教員として一定期間任用された人は、
次年度の採用選考で期限付
任用教員としての勤務実績を重視した「特例選考」の受験資格を得ることが
できます。
* 採用選考は、毎年改善を図りながら実施しています。選考の詳細は必ず、対
象年度の「東京都公立学校教員採用候補者選考実施要綱」で確認してください。
* 例年3月下旬から4月下旬にかけて、採用選考の説明会を行っています。2
月下旬頃に、開催の案内が東京都公立学校教員採用案内ホームページに掲載さ
れますので確認してください。
* 「東京都公立学校教員採用候補者選考実施要綱」は例年3月下旬に、東京都
公立学校教員採用案内ホームページに公表するとともに、東京都庁舎において
も配布します。
東京都公立学校時間講師について
東京都教育委員会は学校の事情に応じて、時間講師の方に授業を担当していただいています。
<資格>
○ 担当教科の普通免許状をもつ65歳未満の者
<報酬>
○ 1時間の報酬単価1,880~2,860円(平成29年4月1日 現在)
*その他詳細は、東京都教育委員会のホームページで確認してください。
<申込等>
① 東京都教育委員会ホームページの「東京都公立学校時間講師を希望される方へ」
を参照した上で、電子申請してください。
② 申請された情報は、時間講師を必要としている区市町村教育委員会に提供
します。
- 41 -
採用試験の概要
東京都公立学校教員採用候補者選考の第一次選考は、教職教養・専門教養・論文です。
過去2年間の問題を簡単に分析してみました。詳細はホームページを御覧ください。
*東京都教育委員会ホームページ(目的で探す)
「教職員になりたい方」⇒「東京都教
員採用選考の案内」⇒「採用選考情報」⇒「過去の実施状況、試験問題」⇒「過去の試
験問題」
平成27年7月実施
教職教養
○ 全30問のうち、法令問題は11問でした。
○ 学習指導要領に関する問題が2問でした。
○ 東京都の教育施策に関する問題が1問でした。
○ そのほか、教育の基礎理論や教育課題(特別支援教育・キャリア教育など)に関する問
題が出題されました。
専門教養
○ 小学校全科の内容が出題され、そのうち学習指導要領に関する問題が3問でした。
論
文
○ 小学校教育の内容について、自身の考えと担任としての学級経営における実践を合わせ
て1,000字以内で論述するというものでした。
平成28年7月実施
教職教養
○ 全30問のうち、法令問題は10問でした。
○ 学習指導要領に関する問題が2問、校種ごとの教育課題に関する問題が1問でした。
○ 東京都の教育施策に関する問題が2問でした。
○ そのほか、教育の基礎理論や教育課題(特別支援教育・キャリア教育など)に関する問
題が出題されました。
専門教養
○ 小学校全科の内容が出題され、そのうち学習指導要領に関する問題が3問でした。
論
文
○ 事例文を基に、
「学習指導」と「生活指導」について、学級担任としての学級経営におけ
る具体的な方策を理由とともに、30行(1,050字)以内で論述するというものでした。
- 42 -
過去採用試験問題の概要
教職教養
☆ 教職教養は、東京都公立学校の教師として職務を遂行する上で必要な、教育
に関する法令や理論などに関する問題が、マークシートによる択一式で出題さ
れました。
☆ 法令に関する問題については、日本国憲法、教育基本法、学校教育法、教育公務
員特例法、地方公務員法などの基本的な法令が出題されました。
☆ 学習指導要領に関する問題については、総則、特別の教科 道徳、外国語活動、
総合的な学習の時間、特別活動などが出題されました。
☆ 教育原理や教育心理、教育史に関する問題については、学習指導の方法や発達理
論、教育評価など、教職課程で学ぶ基本的な事項が出題されました。
☆ 我が国の教育事情に関する問題については、中央教育審議会答申や文部科学省が
行う調査などが出題されました。
☆ 東京都の教育事情や教育施策に関する問題も出題されています。東京都の教育事
情等については、東京都や東京都教育委員会のホームページやメールマガジンの
「東京の先生になろう!」などで確認することができます。
専門教養
☆ 専門教養は、指導内容など、小学校の教師として授業を行う上で必要な、専門的
教養に関する問題が、マークシートによる択一式等で出題されました。
☆ 学習指導要領は、教科の目標や内容、内容の取扱いなどが出題されました。
☆ 小学校全科(英語コース)では、第二次選考で実技試験を実施しています。なお、
小学校全科及び小学校全科(理科コース)では、実技試験は実施していません。
論
文
☆ 論文は、70分の時間内に30行(1,050字)以内で論述する問題が出題さ
れました。
☆ 小学校の教育に関する問題が出題され、自身の考えと教師としての学級経営の取
組に関する具体的な実践についての論述が求められています。
☆ 課題把握、教師としての実践的指導力、論理的表現力などを評価しました。
- 43 -
平成28年7月に出題された教職教養の問題から
■ 日本国憲法に関する記述として、憲法及び判例に照らして最も適切なものは、次の
1~5 のうちではどれか。
1 学問の自由の保障は、単に学問研究の自由ばかりでなく、その結果を教授する自
由をも含むことを意味しており、小学校、中学校など義務教育において、教師は教
授の自由を完全に認められている。
2 学問の自由の保障の規定には、高等学校において教師に認められるべき裁量を制
限しないことが含まれており、このため、高等学校における教育の具体的内容及び
方法について、学習指導要領は大綱的基準に過ぎないとされている。
3 教育を受ける権利は、子供がその学習要求を充足するための教育を自己に施すこ
とを大人一般に対して要求する権利であり、子供の教育は、子供の学習をする権利
に対応し、その充足を図り得る者の責務に属するものである。
4 子女を就学させる義務は、親の本来有している子女を教育すべき責務を完うさせ
ようとする趣旨から出たものではなく、普通教育が民主国家の存立、繁栄のため必
要であるという国家的要請から出たものである。
5 義務教育の無償は、国が保護者に対し、その子女に普通教育を受けさせるにつき、
その対価を徴収しないことを意味しており、国は保護者に対して授業料、教科書、
学用品その他教育にかかる一切の費用を無償にしなければならない。
☆ この問題は、日本国憲法に関するものです。
このほか、学校教育に関係する基本的な法律として、教育基本法、学校教
育法、教育公務員特例法などが過去に出題されました。
【正答
3】
- 44 -
■ 次の記述ア~エのうち、発達障害のある児童・生徒への指導内容として「生徒指導提要」
(文部科学省 平
成 22 年3月)の「児童生徒の心理と児童生徒理解」の「発達障害の理解」に示された内容に照らして正しい
ものを選んだ組合せとして最も適切なものは、下の 1~5 のうちではどれか。
ア 中学校第1学年の担任であるA教諭は、保護者から「自分の子供は、小学校3年生の時に、アスペルガ
ー症候群であると診断された」と告げられた。A教諭は、この生徒は、経験の中から文脈を理解し、場面
状況を把握することが苦手であると分かっていたが、アスペルガー症候群は、知的発達の遅れや言葉の発
達の遅れを伴うものではないので、自分の力だけで場面状況を把握させ、行動するよう指導を行っていく
こととした。
イ 小学校第5学年の担任であるB教諭の学級には、発表はできるのに簡単な文章が書けないことで、自信や
意欲を失いかけている児童がいる。B教諭は、この児童が苦手なことを無理強いさせられたり、失敗経験を
積み重ねたりすることのないように、得意なことやできていることを認めていき、自尊感情や自己肯定感を
高めることができるような指導を行っていくこととした。
ウ 中学校第3学年の担任であるC教諭の学級には、不注意な誤りや早合点が多く、落ち着いて考えればでき
ることでも、あわてて取り組んでしまうため、なかなか良い結果が出ない生徒がいる。C教諭は、この生徒
には、全体ができていなくても、部分的でも本人が努力していることを認めることができる環境を整備する
ことが大切であると考え、その生徒の「生活ノート」に毎日、その日の良かったことを書いて伝えることと
した。
エ 高等学校第1学年の担任であるD教諭の学級には、突然の予定変更が苦手な生徒がいる。D教諭は、何を
すればよいか具体的に指示をしたり、予定変更の可能性がある場合にあらかじめ伝えたりすることは、社会
における基本的なスキルの習得を妨げることにつながると考え、その生徒に対して、
「常に自分で先の見通
しをもって行動すること、分からないことがあったら自分から質問すること」と指導した。
1 ア・イ
2 ア・エ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ
☆ この問題は、生活指導に関するものです。
このほか、教育課題に関するものとして、人権教育、特別支援教育、キャ
リア教育などに関する問題などが過去に出題されました。
【正答
3】
- 45 -
■ 次の文章は、下の発達の要因についての学説ア・イのいずれかに関する研究例であ
る。この研究例が示す発達の要因についての学説と、それを提唱した人物を下のA~
Cのうちから選んだ組合せとして適切なものは、下の 1~5 のうちのどれか。
一卵性双生児の兄弟X児とY児に階段上りの訓練を実施した。X児には、生後 46
週間目から6週間にわたって階段上りの訓練を実施した。この時点で訓練を受けてい
ないY児は、訓練を受けたX児より階段上りに2倍近くの時間がかかった。しかしY
児は、53 週間目から2週間の訓練で、X児とほとんど変わらない速さで階段を上れる
1
ようになった。
2
3 人間の資質が発現するためには環境の影響が必要であるが、心身の特性の
ア
4 発達に影響する環境条件は心身の特性の種類によって異なり、環境条件が一
5 定の水準を超えた場合には、心身の特性は正常に発達していくとする環境閾
値説
1
イ 2学習を成立させるためには、心身の機能が成熟し、学習を成立させるため
の準備状態が整う必要があり、準備状態が整う以前の学習は効率が悪く、た
3
とえ多くの訓練を行ってもその効果はあまり期待できないとする成熟優位説
4
5
A ゲゼル
B ジェンセン
C シュテルン
1
2
3
4
5
ア―A
ア―B
イ―A
イ―B
イ―C
☆ この問題は、発達心理学に関するものです。
このほか、教育原理や教育心理などに関するものとして、教育史、学習理
論、心理検査に関する問題などが過去に出題されました。
【正答
3】
- 46 -
■ 「東京都長期ビジョン」
(平成 26 年 12 月)に示された教育に関する記述として適
切でないものは、次の 1~5 のうちのどれか。
1 おおむね 10 年後の東京の姿として、海外で通用する高い語学力と豊かな国際感
覚を有し、日本人としての誇りを持って世界を舞台に活躍する人材が育成されてい
るとし、政策目標に「英語村(仮称)」を 2018 年度までに開設し、世界で活躍する
グローバル人材を育成する教育環境を実現することを挙げている。
2 おおむね 10 年後の東京の姿として、児童・生徒の学習意欲を高めるとともに学
びの基礎・基本を徹底することにより、確かな学力の習得・向上が図られていると
し、政策目標に都立高校学力スタンダードに基づく指導を、2015 年度までに全校全
学年にて実施し、全国学力・学習状況調査での下位層を全教科 30%未満まで減少さ
せることを挙げている。
3 おおむね 10 年後の東京の姿として、児童・生徒一人ひとりの基礎体力・運動能
力が向上しているとし、政策目標にスポーツ特別強化校を、2018 年度までに都立高
校における部活動のうち 100 部指定し、2019 年度に、児童・生徒の体力をピーク時
である昭和 50 年代の水準まで向上させることを挙げている。
4 おおむね 10 年後の東京の姿として、豊かな心を育成するための道徳教育が展開
されており、人を思いやる気持ちや規範意識を身に付けた子供たちが育っていると
し、政策目標にいじめに関する授業を 2024 年度まで、毎年都内全ての国公私立学
校で行い、いじめ・ひきこもり等、青少年が抱える問題の解決に向けた良好な環境
を実現することを挙げている。
5 おおむね 10 年後の東京の姿として、成長段階に応じた系統的なキャリア教育の
展開により、自らの力で未来を切り拓く自立した人材を輩出しているとし、政策目
標に小中高を通じた系統的なキャリア教育を、2020 年度までに全公立学校で行い、
2024 年度には、将来について目標を持つ都立高校生を 80%以上にすることを挙げ
ている。
☆ この問題は、東京都の教育施策に関するものです。
東京都教育委員会ホームページにある「重要な政策情報ページ」や
「報道発表資料一覧」などを見ると、東京都の教育施策についての情
報を得ることができます。
【正答
4】
- 47 -
【選択問題(小学校に関する問題)
】
■ 総合的な学習の時間に関する記述として、小学校学習指導要領に照らして最も適
切なものは、次の 1~5 のうちではどれか。
1 A教諭は、年間指導計画の作成に当たって、育てようとする資質や能力及び態
度については、児童の実態や学習内容によって常に変更していくものであると考
え、資質や能力及び態度の視点を踏まえた計画を立てることは行わなかった。
2 B教諭は、年間指導計画の作成に当たって、外国語活動で身に付けた知識や技
能を総合的な学習の時間で生かせるようにしたいと考えたが、総合的な学習の時
間と外国語活動では、目標が異なるので、両者を関連付けるような指導計画は作
成しなかった。
3 C教諭は、問題の解決や探究活動の過程においては、自ら課題を見付け、自ら
考え、主体的に判断することが重要であると考え、グループ学習や異年齢集団に
よる学習は行わず、児童一人一人の個別の学習活動のみを行うこととした。
4 D教諭は、日本と諸外国の関係について学ぶ際、横断的・総合的な課題として
国際理解を取り上げ、問題の解決や探究活動を通して取り組んでいくことは意義
のあることと考え、諸外国の生活や文化などを体験したり調査したりするなどの
学習活動を行うこととした。
5 E教諭は、情報に関する学習を行う際には、問題の解決や探究活動に取り組む
ことを通して、情報が社会に与える影響を考えさせることが重要であると考え、
インターネットなどを活用した情報の発信は行わず、情報の収集に関する学習内
容に留めることとした。
☆ この問題は、小学校学習指導要領の総合的な学習の時間の内容に関するも
のです。
このほか、
小学校学習指導要領に関する内容として、
総則、
特別の教科 道
徳、特別活動などが過去に出題されました。
さらに、小学校の教育課題や教育事情に関する問題も出題されました。
【正答
4】
- 48 -
気付いたことをメモしましょう
- 49 -
東京都教育委員会は、東京都公立学校教員採用候補者名簿に登載された方全員を対
象として、実践的指導力養成講座を実施します。この講座は、採用後に教員としての
職務を円滑にスタートできるように、採用前に学級経営等に必要な実践的指導力を身
に付けることを目的としています。
1 学級経営等に関する講座
<対象>
教員採用候補者名簿登載者全員
実践的に学ぶ学級経営・学習指導
採用後の学級経営・学習指導が円滑に
できるように、講義や学校体験を通して
児童・生徒理解、良好な人間関係を築く
こと、分かりやすい授業づくりのポイン
トについて学びます。
実践的に学ぶ特別支援教育・外部折衝
特別支援教育の意義や発達障害等、
特別な支援を必要とする児童・生徒へ
の指導について講義や演習、学校体験
を通して実践的に学びます。
また、保護者との信頼関係や協力体
制を築くための在り方、学校問題解決
に向けた初期対応の方法等について学
びます。
- 50 -
2 教科等に関する講座
道徳の実践的指導力向上
道徳の時間の指導方法の基礎を、講義・演
習や模擬授業の参観等を通して、道徳の優れ
た実践経験を有し、研究実績のある指導主事
から学びます。
主な取組内容
道徳の授業の流れを、講義、
模擬授業及びビデオ視聴を通
して学びます。例えば、教材
を用いた模擬授業を基に、授
業の進め方、発問や教材提示
の方法を学びます。
<対象>
○原則として教員採用候補者名簿
登載者全員
平成 28 年度は、東京都教職員研修センターを会場として6日間実施
外国語活動の実践的指導力向上
主な取組内容
外国語活動の目標、意義、具
体的な指導法について、講義・
演習を通して学びます。アクテ
ィビティの進め方や、教材の活
用法など、授業で実践できる方
法を学びます。
小学校外国語活動の意義や指導方法の
基礎を、講義・演習を通して、文部科学省
教科調査官や指導主事等から学びます。
<対象>
○原則として小学校教員採用候補者
名簿登載者全員
○「中・高校英語」の名簿登載者のう
ち希望者
平成 28 年度は、東京都教職員研修センターを会場として3日間実施
- 51 -
からだであそぼうウィーク
主な取組内容
休み時間や体育の時間に児童
と楽しく体を動かし、体育の実技
指導の基礎を学びます。学校によ
っては、体育の授業に参加して授
業の進め方や、指示の出し方など
を学びます。
<対象>
○小学校教員採用候補者名簿登載者
のうち希望者
平成 28 年度は、
からだであそぼうウィーク協力校 都内公立小学校 10 校で各校3日間程度実施
楽しく演出する理科実験講座
主な取組内容
小学校理科のエネルギー・
理科の観察・実験に関する基礎的・基本的
な知識・技能を大学教授等から学びます。
粒子・生命・地球の各領域に
おける観察・実験に関する基
本的な技能を学びます。
また、
観察・実験を実施する際の安
全に関する知識や様々な器具
の取り扱い方、観察・実験を
行う際の留意点、子供たちに
エネルギー
粒 子
説明や指示をする際の視点等
多くの事柄を学びます。
<対象>
○小学校教員採用候補者名簿
登載者のうち希望者
生 命
地 球
平成 28 年度は、東京都教職員研修センターを会場として6日間実施
- 52 -
昆虫・動物ウォッチング
多摩動物公園において、生き物の飼育
や観察に関する知識・技能を動物解説員
等から学びます。
昆虫ウォッチング
主な取組内容
昆虫ウォッチングでは、都会ではあ
まり見ることのできない様々な昆虫
についての知識を学んだ後、ナナフシ
やコオロギなどの昆虫の触り方を教
わり、実際に昆虫に触ります。
また、観察を通して、昆虫のからだ
のつくりや育ち方に関する児童への
指導方法について学びます。
主な取組内容
動物ウォッチングでは、象などを題
材にして動物の観察の仕方や動物園
の活用方法などを学びます。
また、観察を通して動物の体のつく
りや動き方に関する児童への指導方
法について学びます。
動物ウォッチング
<対象>
○小学校教員採用候補者名簿登載者
のうち希望者
平成 28 年度は、東京都多摩動物公園を会場として4日間実施
採用前実践的指導力養成講座参加者の声
・ 不安なことは多いが、講座を受けて少し気が楽になった。
(実践的に学ぶ学級経営・
学習指導)
・ 「特別の教科 道徳」で求められている「考え、議論する道徳」について、漠
然としていた指導内容や指導方法のイメージを明確にすることができた。
(道徳
の実践的指導力向上)
・ 体育の授業に規律をもつことにより、学級経営の規律につながる。児童の実態に沿
った授業準備を心掛けていきたい。
(からだであそぼうウィーク)
・ 子供がつまずきやすいポイントや安全面への配慮について理解を深めることができ
た。これからの指導に生かしたい。
(楽しく演出する理科実験講座)
・ 研修を通して昆虫に対する苦手意識がほとんどなくなった。子供たちにも触れるこ
との楽しさと観察による発見の喜びを味わわせたい。
(昆虫・動物ウォッチング)
- 53 -
1 東京都の子供の学力
平成28年度 児童・生徒の学力向上を図るための調査(一部抜粋)
【調査の目的】
(1) 都教育委員会は、学習指導要領に示されている教科の目標や内容の実現状
況及び読み解く力に関する定着状況を把握し、全都における教育行政施策に
生かす。
(2) 区市町村教育委員会は、教育課程や指導方法等に関わる自地区の課題を明確に
し、その充実・改善を図るとともに、自地区の教育行政施策に生かす。
(3) 各学校は、教育課程や指導方法等に関わる自校の課題・解決策を明確にし、
児童・生徒一人一人の学力向上を図る。
(4) 都教育委員会は、都民に対し、東京都の公立小・中学校における児童・生徒の学力
の状況について、広く理解を求める。
【調査の対象学年】
小学校第5学年、中学校第2学年
【調査日】
平成28年7月7日
【調査の方法・内容】
(1) 学力調査
国語、社会、算数・数学、理科、外国語〈英語〉
(中学校のみ)において、
学習指導要領に示されている目標や内容の実現状況及び読み解く力に関する内
容の定着状況を把握する。
〈ペーパーテスト形式〉
(2) 児童・生徒質問紙調査
児童・生徒の学習や生活に関する意識や実態、またその意識や実態と学力の
定着状況との関連を把握する。
〈質問紙形式〉
(3) 学校質問紙調査
学校における指導方法に関する取組や学校における人的・物的な教育条件の
整備状況、またその取組や条件の整備状況と学力の定着状況との関連を把握す
る。
〈質問紙形式〉
- 54 -
「児童・生徒の学力向上を図るための調査」結果の概要
(1) 都全体の平均正答率
[習得目標値未満の児童・生徒の割合・到達目標値達成の児童・生徒の割合](%)
国語
社会
算数・数学
理科
英語
73.8
72.4
62.5
62.7
小学校
1.5 37.8 1.9 52.0 12.0 20.9 1.5 28.7
71.1
57.8
56.7
55.2
55.6
中学校
3.9 49.9 4.6 16.0 21.8 14.6 7.6 15.8 4.4 20.9
*習得目標値:教科書の例題レベルの問題
到達目標値:教科書の練習問題レベルの問題
(2) 小学校における観点別調査結果の平均正答率
① 学習指導要領に関する内容
(%)
観
関心・意
点
欲・態度
教科
思考・判
断・表現
技能
知識・理解
(話す・聞く) (書く)
(読む) (言語についての知識・理解・技能)
82.3
47.4 72.9
78.0
社会
90.7
58.1
81.0
69.1
算数
81.4
61.0
64.5
71.6
理科
93.5
74.0
51.3
58.7
② 読み解く力に関する内容
国語
89.6
観
情報を正確に
点
取り出す力
教科
比較・関連付けて
読み取る力
国語
82.4
73.9
社会
79.8
65.7
算数
69.7
26.3
理科
66.1
60.7
(3) 中学校における観点別調査結果の平均正答率
① 学習指導要領に関する内容
観
関心・意
点
欲・態度
教科
思考・判
断・表現
技能
平均
75.6
72.6
67.2
63.7
(%)
解決する力
平均
35.3
69.8
33.3
51.0
63.9
71.8
43.1
59.2
(%)
知識・理解
平均
(話す・聞く) (書く)
(読む) (言語についての知識・理解・技能)
73.3
82.4
66.2 75.9
67.9
社会
92.2
57.4
60.7
47.1
57.5
数学
89.0
39.9
62.8
61.9
61.6
理科
90.1
57.9
67.1
50.7
57.8
英語
81.9
40.9
63.9
46.8
56.0
② 読み解く力に関する内容
(%)
国語
96.2
観
情報を正確に
点
教科
国語
社会
数学
理科
英語
取り出す力
比較・関連付けて
読み取る力
解決する力
平均
65.8
55.2
38.2
64.8
64.6
61.4
60.9
45.1
30.1
48.2
45.8
60.2
29.8
44.4
50.0
59.7
58.8
37.7
46.4
54.3
- 55 -
学力向上のため東京都教育委員会では・・・
○ 児童・生徒の「確かな学力」の定着と伸長を図るために、
「児童・生徒の学力向上
を図るための調査」を実施し、その分析結果を基に、学力向上施策の充実を図り、
都内公立小・中学校における授業改善を推進しています。
○ 「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果分析を行うことにより、課題
を明らかにし、その解決策としての授業改善のポイントを示した報告書及び授業改
善のポイントを分かりやすく説明した啓発資料(リーフレット)を作成し、都内全
区市町村教育委員会と都内全公立小・中学校に配布し、学校における授業改善の具
体的な取組を支援しています。併せて、学力調査結果の概要についての保護者向け
パンフレットを作成し、小学校第5学年保護者を対象に配布しています。
○ 学力調査の目的、調査問題の趣旨や内容、採点のポイント、調査の分析結果及び
授業改善のポイントに関する説明会を、区市町村教育委員会の指導主事及び都内全
公立小・中学校の教員を対象に開催しています。
○ 東京都の学力向上施策に関する検討を行う委員会(有識者、区市町村教育委員会
の代表、校長会の代表、PTA協議会の代表などから構成)を設置して、東京都教
育委員会と区市町村教育委員会との連携を強化しています。
○ 基礎的・基本的な事項の確実な定着を図るため、基礎的な学習内容を習得するた
めの教材である「東京ベーシック・ドリル」
(小1~中1年の国語・算数・数学、
小3・4年の社会・理科、中1年の英語)を都内全公立小・中学校に配布し、その
活用を推進しています(P57参照)。
※東京都教育委員会HPに各教科のドリルを掲載しています。
「学び応援ページ」→「確かな学力」→「東京ベーシック・ドリル」
○ 習熟の程度に応じた学習指導に関わる指導方法・指導体制及び校内での習熟度別
指導の推進体制等に関するガイドラインを策定し、
「習熟の程度に応じた習熟度別
指導」
「学年を超えて分からない箇所に立ち戻る指導」
「
『できる』
『分かる』まで繰
り返し行う指導」の徹底など児童・生徒の「確かな学力」を育成する取組を推進し
ています(P57参照)。
○ 児童・生徒一人一人の「確かな学力の定着と伸長」を目指して、東京都教育委員
会が有する先進情報等を定期的に配信(メール・マガジン「スクラム」
)して、学
校や教員の教育活動を支援しています。
- 56 -
東京ベーシック・ドリル
特徴
◎その学年で学習する内容に関する問題を、何度も繰り返し行うことにより、完全に
できるようになる。
◎解けなかった問題の解き方が分かり、反復練習ができる。
◎つまずきに遡って、どの内容(単元)
・どの学年からも取り組むことができる。
◎東京都の子供たちに知っておいてほしい基礎的な知識を身に付けることができる。
◎何度も繰り返し行うことで、達成感を味わうことができる。
構成《例:4年算数3わり算》
診断シートA
診断シート B・C
解説・練習シート
4 年算数
1次の数を読みましょう。
35290471856
2計算をしましょう。
786×509
3計算をしましょう。商を
整数で求め、わりきれない
ときはあまりもだしましょう。
808÷259
4 年算数 解説
4 年算数
年算数 解説
解説
34
わり算
3
わり算
3わり算
808÷259
808÷259
808÷259
・だいたいいくつになるか見当を
・だいたいいくつになるか見当を
・だいたいいくつになるか見当を
つける。
つける。
つける。
・約800÷約300
・約800÷約300
・約800÷約300
答えは、2かな…
答えは、2かな…
答えは、2かな…
・計算
あまりが290なので、
・計算
あまりが290なので、
・計算
あまりが290なので、
まだわることができる…
まだわることができる…
まだわることができる…
…
…
4 年算数
1次の数を読みましょう。
4128370495245
2計算をしましょう。
603×124
3計算をしましょう。商を
整数で求め、わりきれない
ときはあまりもだしましょう。
184÷27
習熟度別指導ガイドライン《小学校算数》
特徴
◎習熟度別指導を効果的なものとするためのポイントを明示
・学習集団の特性に応じた課題や教材等の設定
・前学年までの内容に立ち戻る指導の実施
・校内の習熟度別指導の推進体制の確立
・保護者の十分な理解を得る取組
◎具体的な実践例を提示
◎チェックリストを例示「実施、点検・評価」
必須事項
1 指導方法・指導体制について
・児童一人一人の特性を理解するとともに、習熟の程度を的確に把握する。
・児童の理解や習熟の程度等に応じて、
「確かな学力」を育むための効果的な学習集
団を編成する。
・学習に遅れやつまずきのある児童の学習集団においては、必要に応じて、前学年
までの既習事項の学び直しや反復学習などによる「補充的な指導」を行う。
・習熟が早く、更に学習を進めていきたい児童の学習集団においては、発展的な内
容の学習や課題学習などによる「発展的な指導」を行う。
・効果的な学習指導を推進するため、学習集団の特性に応じて教材・教具等を工夫
して活用する。
2 校内の推進体制等について
・校内に習熟度別指導推進のための委員会等の組織を設置する。
・校内推進計画(基本方針、実施計画等)を作成する。
・児童及び保護者へ説明する機会や意見・要望等を聴取する機会を設ける。
3 具体的な目標(達成水準)の設定について
・小学校卒業までに、東京ベーシック・ドリルを全員がクリアする。
・小学校卒業までに、都の学力向上を図るための調査(小5)の目標値を全員がク
リアする。
- 57 -
児童・生徒の学習や生活に関する質問紙調査結果(全国学力・学習状況調査)
【小学校第6学年】
【中学校第3学年】
◇朝食を毎日食べていますか。
◇朝食を毎日食べていますか。
(%)
100
(%)
100
90
90
80
80
70
70
60
都
国
25年度
96.5
96.3
26年度
96.4
96.0
27年度
96.0
95.6
60
28年度
95.9
95.5
都
国
◇今住んでいる地域の行事に参加していま
すか。
(%)
80
60
40.0
50
30.0
都
国
26年度
56.2
68.0
27年度
55.1
66.9
20.0
28年度
56.3
67.9
都
国
◇自分にはよいところがあると思いますか。
(%)
90
80
80
70
70
60
60
都
国
25年度
75.4
75.7
26年度
76.0
76.1
27年度
75.9
76.4
28年度
93.4
93.3
25年度
33.0
41.6
26年度
34.0
43.5
27年度
35.4
44.8
28年度
35.9
45.2
◇自分にはよいところがあると思いますか。
(%)
90
50
27年度
93.4
93.5
(%)
60.0
50.0
25年度
51.2
63.9
26年度
93.5
93.5
◇今住んでいる地域の行事に参加していま
すか。
70
40
25年度
93.7
93.8
50
28年度
76.0
78.5
都
国
- 58 -
25年度
66.6
66.4
26年度
68.0
67.1
27年度
67.8
68.1
28年度
69.2
69.3
2 東京都の子供の体力
平成 28 年度 東京都統一体力テスト(一部抜粋)
体力は、人間のあらゆる活動の源です。病気やけがになりにくいだけではなく、意
欲、気力、忍耐力などの精神面の充実にも深く関わっています。
東京都教育委員会では、東京都の子供たちの体力の状況を明らかにし、体力向上に
向けた施策に結び付けるための学校体育と指導行政の基礎資料として、昭和 41 年から
「東京都児童・生徒体力・運動能力調査」を、平成 23 年度からは、都内公立学校の全
児童・生徒を対象とし、
「東京都統一体力テスト」を実施してきました。
平成 28 年度は、小学校 1,286 校 564,301 人、中学校 620 校 222,485 人、中等教育学
校6校 5,481 人、高等学校全日制課程 173 校 124,043 人、高等学校定時制・通信制課
程 55 校 10,793 人、特別支援学校 44 校 6,685 人、計 933,788 人の体力・運動能力、生
活・運動習慣等調査を行いました。
調査の結果は、学校や児童・生徒に還元し、一人一人が自ら課題をもって、体力向
上に取り組むことができるようにしました。
体力向上のため東京都教育委員会では・・・
○ 平成 22 年7月に「総合的な子供の基礎体力向上方策(第1次推進計画)
」を、平
成 25 年2月に「総合的な子供の基礎体力向上方策(第2次推進計画)
」を、平成
28 年1月に「アクティブプラン to 2020‐総合的な子供の基礎体力向上方策(第
3次推進計画)‐」を策定し、次のように取組を進めています。
<取組例>
・ 「東京都体力向上努力月間」
(10 月)をはじめ、様々な活動を通して体力向上
に向けたムーブメントを起こしています。
・ 都内中学校2年生による、区市町村対抗の中学生「東京駅伝」大会を実施し、
中学生の体力向上への関心・意欲を高めています。
・ 児童・生徒が1日に必要な身体活動のガイドラインを、歩数を指標とした「1
日1万5千歩」と設定しました。
・ 小学生の日常生活や学校における休み時間の運動遊び、体育授業や地域のスポ
ーツクラブ等での運動・スポーツ時間など、1日に必要な活動時間のガイドライ
ンを「1日 60 分運動・スポーツ」と設定しました。
・ 平成 22 年度からは、都内全ての公立学校で学校の特色ある取組としての「一
校一取組」運動を展開しています。また、小学校では学級担任が体育授業を行う
ことが多いことから「一校一取組」運動に加え、各担任が工夫を凝らした「一学
級一実践」運動を全ての学年・学級で実践することを推進しています。
・ 平成 28 年度から、区市町村教育委員会や学校は、体力向
上に向けた具体的な目標を定め取組を計画し、実践・評価・
改善のPDCAサイクルにより体力向上の取組を推進してい
ます。
- 59 -
平成 28 年度東京都統一体力テスト(結果抜粋)
種目別平均
性
別
調査
項目
区分
小
学
男 校
子
中
学
校
小
学
女 校
子
中
学
校
握力
㎏
選択
上体起
こし
長座体
前屈
反復
横とび
持久走
回
㎝
点
20mシャ
トルラン
50m
走
立ち幅
とび
ボール
投げ
秒
回
秒
㎝
m
第1学年
9.1
11.1
25.6
26.7
17.1
11.5
111.7
7.7
第2学年
10.8
13.9
27.2
30.7
26.8
10.6
122.8
11.2
第3学年
12.6
16.1
29.2
34.5
35.4
10.0
133.0
14.8
第4学年
14.5
18.3
31.2
38.5
44.1
9.6
142.2
18.4
第5学年
16.6
20.0
33.4
42.2
51.6
9.2
151.4
21.8
第6学年
19.3
22.0
35.7
45.3
59.1
8.8
161.8
25.4
第1学年
23.3
24.3
37.9
49.2
425.2
69.4
8.5
177.4
17.5
第2学年
28.6
27.3
41.6
52.3
384.8
83.8
7.9
194.0
20.2
第3学年
33.6
29.5
45.1
54.9
373.2
91.7
7.6
208.4
22.8
第1学年
8.4
10.7
28.3
25.7
14.1
11.8
104.2
5.3
第2学年
10.2
13.4
30.4
29.5
20.6
10.9
115.2
7.1
第3学年
11.9
15.6
33.0
32.8
26.4
10.3
125.6
8.9
第4学年
13.8
17.7
35.3
36.8
33.3
9.9
135.5
11.0
第5学年
16.2
19.1
38.1
40.4
40.2
9.5
145.1
13.1
第6学年
19.1
20.4
40.8
42.9
45.9
9.1
153.7
14.8
第1学年
21.4
21.4
42.3
45.6
303.9
51.0
9.1
162.8
11.0
第2学年
23.5
23.6
44.5
46.8
287.8
57.5
8.8
167.2
12.3
第3学年
24.7
24.5
46.3
47.5
290.9
57.1
8.7
170.0
13.2
全国を上回っている
全国との差はない
全国を下回っている
※全国:スポーツ庁「平成26 年度体力・運動能力調査」結果
東京都の子供たちの体力は、取組を強化し始め
た平成 21 年度からは、全般的に向上傾向となって
います。今年度の結果を全国平均値と比較すると、
小学生では、
「上体起こし」
「長座体前屈」
「50m走」
において、同程度又は上回っています。また、中
学生では、ほとんどの項目で下回っています。
- 60 -
平成 28 年度東京都統一体力テスト
《スポーツ庁「平成 26 年度体力・運動能力調査」との比較》
【全国平均値を偏差値 50 とした場合の東京都の現状】
男子
女子
小学校第5学年
小学校第5学年
握力
握力
ソフトボー
ル投げ
ソフトボー
ル投げ
上体起こし
40
立ち幅とび
長座体前屈
50m走
上体起こし
40
立ち幅とび
50m走
反復横とび
反復横とび
20mシャト
ルラン
20mシャト
ルラン
中学校第2学年
中学校第2学年
握力
握力
ハンドボー
ル投げ
ハンドボー
ル投げ
上体起こし
立ち幅とび
長座体前屈
40
反復横とび
20mシャト
ルラン
上体起こし
立ち幅とび
長座体前屈
40
50m走
50m走
反復横とび
20mシャ
トルラン
持久走
高等学校第2学年
ハンド
ボール投
げ
握力
ハンド
ボール投
げ
上体起こ
し
長座体前
屈
40
立ち幅と
び
反復横と
び
50m走
20mシャ
トルラン
持久走
高等学校第2学年
握力
立ち幅と
び
長座体前屈
上体起こ
し
長座体前
屈
40
反復横と
び
50m走
20mシャ
トルラン
持久走
- 61 -
持久走
3 東京都の子供の健全育成
平成 27
26 年度における児童・生徒の問題行動等の状況とその対応策
「いじめ」の状況
*(
項 目
学校数
小学校
中学校
1,292
627
)内は平成 26 年度の数値
認知学校数
認知学校率(%)
認知件数
848 (888)
477 (483)
65.6 (68.5)
76.1 (76.8)
3,557(4,993)
2,697(3,255)
<参考> 児童・生徒 1,000 人当たりのいじめ認知件数(速報値)
東京都 6.6 件(公立学校)
全国 16.4 件(国公私立学校)
※認知件数は、前年度と比較して、小学校、中学校ともに減少しています。
【対応策】
・全ての教職員による「いじめ」の定義の正しい理解
・
「学校いじめ対策委員会」による組織的な対応
・スクールカウンセラー等を含む全ての教職員による相談体制の充実
・子供たちがいじめ問題の解決に向けて、自ら考え、話し合い、行動できるようにするための指導の充実
・
「学校いじめ防止基本方針」の保護者への周知と学校の対応方針等の説明の徹底
・
「いじめ総合対策【第2次】
」の策定及び平成 29 年4月からの取組の開始
小学校、中学校における不登校の状況
*(
)内は平成 26 年度の数値
項 目
学校数
不登校在籍学校数
不登校児童・生徒数
出現率(%) 学校復帰率(%)
小学校
中学校
1,292
627
891(883)
583(583)
2,731 (2,565)
7,887 (7,514)
0.49(0.46)
3.33(3.17)
32.0(33.3)
23.2(25.1)
<参考> 1,000 人当たりの不登校児童・生徒数(国公私立学校)
(速報値)
東京都 小学校 4.7 人(0.47%)
中学校 28.2 人 (2.82%)
不登校の定義:長期欠席者(平成 27 年度間に連続又は断続して 30 日以上欠席した児童・生徒)
のうち、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、
児童・生徒が登校しないあるいはしたくてもできない状況にある者
※出現率は、前年度に比べ、小学校、中学校ともに増加しています。学校復帰率は、
小学校、中学校ともに減少しています。
【対応策】
・スクールカウンセラーの全校配置と学校教育相談体制の充実
・スクールソーシャルワーカーの配置 ・不登校・若者自立支援フォーラムの開催
・不登校加配教員の配置 ・教育支援センター(適応指導教室)等充実方策検討委
員会(有識者会議)の設置
- 62 -
小学校・中学校・高等学校における暴力行為の状況
*(
項目
学校数
区 分
学校の管理下
小学校
1,292
中学校
627
高等学校
192
学校の管理下以外
小学校合計
学校の管理下
学校の管理下以外
中学校合計
学校の管理下
学校の管理下以外
高等学校合計
発生学校数
146 (100)
19 ( 14)
165 (114)
291 (269)
76 ( 96)
367 (365)
18 ( 16)
7 ( 8)
25 ( 24)
)内は平成 26 年度の数値
発生学校率(%)
11.3 ( 7.7)
1.5 ( 1.1)
-
46.4 (42.8)
12.1 (15.3)
-
9.4 ( 8.2)
3.6 ( 4.1)
-
発生件数
418 ( 307)
29 ( 20)
447 ( 327)
1,659(1,444)
128 ( 175)
1,787(1,619)
19 ( 23)
7 ( 10)
26 ( 33)
<参考> 児童・生徒 1,000 人当たりの暴力行為発生件数(国公私立学校)
(速報値)
東京都 2.1 件
全国 4.2 件
※発生件数は、前年度と比較して小学校、中学校は増加しています。高等学校は発
生件数が減少しています。
【対応策】
・暴力傾向のある児童・生徒への、保護者や関係機関と連携した個別指導や支援の実施
・児童・生徒が自分の感情をコントロールする力を育成するため、教員に対する校内研修の実施
・スクールカウンセラーの資質の向上を図るための連絡会等の開催
健全育成のため東京都教育委員会では・・・
○授業や校内研修に活用できる学習資料やリーフレットの作成・配布
・
「東京都教育委員会 いじめ総合対策【第2次】上巻[学校の取組編]」
・
「東京都教育委員会 いじめ総合対策【第2次】下巻[実践プログラム編]」
・「学校いじめ対策委員会の効果的な活用~学校が組織的に対応できるようにするために~」
・「いじめを許さない、見逃さない~東京都公立学校のための『いじめ総合対策』の徹底に向けて」
・
「STOP!それは犯罪だと気付いていますか」
(DVD)
・
「STOP!いじめ あなたは大丈夫?」
(DVD)
・
「STOP!いじめⅡ 見つめよう 考えよう -いじめをなくすために-」
(DVD)
○健全育成を図るための支援の充実
・専門家アドバイザリースタッフ等の派遣
・
「東京都いじめ相談ホットライン(24 時間電話相談)
」のフリーダイヤル化
・いじめ問題への対応の充実を図るための研修会(年1回 全公立学校生活指導主任対象)の実施
○関係機関との連携を図るための取組
・学校と警察との連絡協議会の開催
・家庭裁判所との連絡会の開催
・東京都いじめ問題対策連絡協議会の開催
・東京都教育委員会いじめ問題対策委員会の開催
- 63 -
児童・生徒等の善行や優れた活動事例
4 東京都の子供の活躍
東京都教育委員会は昭和 59 年から、児童・生徒の善行や優れた
活動に対して「児童・生徒等表彰」を行っています。
平成 28 年度は、幼稚園3件、小学校 71 件、中学校 59 件、高等
学校 65 件、特別支援学校・学級 13 件の計 211 件を表彰しました。
これまでに表彰した児童・生徒等の善行や優れた活動
事例
◇ 地道な活動を継続的に行い、他の児童・生徒等の範となる者
・ 自宅近くの新入生と手をつなぎ、毎日の登校補助を行っていました。交通量が多い中、
下級生を安全に送り届けていることが、他の児童の範となりました。 <小学校>
・ 地域行事等や地域清掃に自発的に参加し地域に貢献していることが、他の生徒の
範となりました。
<中学校>
◇ 他の児童・生徒等の具体的な行動や取組に良い影響を与えた者
・ 音楽交流会や市の事業への参加、保育園・高齢者施設への訪問など、音楽を通し
た地域への貢献が他の児童へも良い影響として波及しました。
<小学校>
・ 校内外での挨拶の励行、降雪時の雪かきの実施、校庭の側溝や雨水枡に溜まった
泥の定期的な清掃が、他の生徒の清掃活動に波及しました。
<中学校>
◇ 地域における活動を継続的に実践した者
・ 地域に伝承されている伝統芸能の継承活動を継続的に行うことにより、伝統文化
の継承者として地域に貢献しました。
<小学校>
・ 地域にある池の清掃をはじめ、年間を通じて環境美化、ボランティア活動を継続
することで、地域に貢献しました。
<中学校>
◇ スポーツ・文化活動等において著しい成果を挙げた者
・ 第 40 回全国学生書写書道展 席書 文部科学大臣賞
<小学校>
・ 第 4 回全国選抜中学生テニス大会 男子団体優勝
<中学校>
◇ 人命救助又はこれに類する行為を行った者
・ 公園で遊具から煙と炎が出ていることに気付き、自宅にいる母親 を通じて消防
署へ通報するとともに、ペットボトルに水を入れ初期消火活動を実施しました。
<小学校><中学校>
・ 登校途中の公道で高齢者が転倒した現場を目撃し、往来する自動車に配慮しつつ
介抱するとともに、通行人から携帯電話を借用し、消防署へ通報して救急隊による
搬送時に消防隊員に経緯を説明しました。
<中学
校>
- 64 -
新しい学習指導要領が目指す姿
1 社会に開かれた教育課程
これからの教育課程には、社会の変化に目を向け、教育が普遍的に目指す根幹を堅
持しつつ、社会の変化を柔軟に受け止めていく「社会に開かれた教育課程」としての
役割が期待されています。
このような「社会に開かれた教育課程」としては、次の点が重要になります。
① 社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会
を創るという目標を持ち、教育課程を介してその目標を社会と共有していくこと。
② これからの社会を創り出していく子供たちが、
社会や世界に向き合い関わり合い、
ひら
自らの人生を切り拓いていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程に
おいて明確化し育んでいくこと。
③ 教育課程の実施に当たって、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後や土曜
日等を活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教育を学校内に閉じずに、そ
の目指すところを社会と共有・連携しながら実現させること。
2 育成すべき資質・能力の三つの柱
これまで改訂の中心であった「何を学ぶか」という指導内容の見直しに加えて、
「ど
う学ぶか」という教育手法、
「何ができるか」という社会とのつながり、人間力や活用
力の視点から学習指導要領を改善しようとしています。
① 何を学ぶか
育成すべき資質・能力を踏まえた教科・科目等の新設や目標・内容の見直し
② どのように学ぶか
「主体的・対話的で深い学び」に向けた授業改善
③ 何ができるようになるか
ⅰ)何を知っているか、何ができるか … 各教科等に関する個別の知識や技能な
ど。身体的技能や芸術表現のための技能等も含む。
ⅱ)知っていること・できることをどう使うか … 主体的・協働的に問題を発見
し解決していくために必要な思考力・判断力・表現力等
ⅲ)どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか … ⅰ)やⅱ)の力
が働く方向性を決定付ける情意や態度等に関わるもの
- 65 -
3 カリキュラム・マネジメントの推進
カリキュラム・マネジメントとは、学校教育目標の実現を目指し、教育課程を編成・
実施・評価・改善していく営みです。
カリキュラム・マネジメントについては、これまで、教育課程の在り方を不断に見
直すという下記②の側面から重視されてきているところですが、
「社会に開かれた教育
課程」の実現を通じて子供たちに必要な資質・能力を育成するという新しい学習指導
要領等の理念を踏まえ、これからのカリキュラム・マネジメントについては、以下の
三つの側面から捉えられています。
① 各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科横断的
な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。
② 教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種
データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDC
Aサイクルを確立すること。
③ 教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含め
て活用しながら効果的に組み合わせること。
4 「主体的・対話的で深い学び」の実現
次期学習指導要領が目指す育成すべき資質・能力を育むためには、各教科等におけ
る習得・活用・探究の学習過程全体を見渡しながら、
「深い学び」
「対話的な学び」
「主
体的な学び」といったいわゆる「アクティブ・ラーニング」の三つの視点に立ち、子
供たちの学び全体を改善することが大切です。
課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学びへの改善が図られることにより、
子供たちは各教科等の学習内容の理解を深めながら、育成すべき資質・能力を身に付
けていくことができます。
「主体的な学び」… 学ぶことに興味や関心をもち、自己のキャリア形成の方向性と
関連付けながら、 見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習
活動を振り返って次につなげる。
「対話的な学び」… 子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を
手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深めていく。
「 深 い 学 び 」… 各教科等で習得した概念(知識)や考え方を活用した「見方・
考え方」を働かせ、問いを見いだして解決したり、自己の考えを
形成し表したり、思いを基に構想、創造したりすることに向かう。
- 66 -
5 特別の教科 道徳
学校教育法施行規則及び学習指導要領の一部改正により、小学校は平成30年度か
ら、中学校は平成31年度から、
「特別の教科 道徳」が全面実施となります。
【指導内容等はどう変わるか】
① 指導内容の改善 … 小学校から中学校までの内容の発達段階を踏まえた体系的
な内容に、構成やねらいが分かりやすく示されました。また、いじめ問題への対
応の充実を図る観点等から、内容項目及び内容が追加・整理されました。
② 指導方法の改善 … 発達の段階に応じ、答えが一つではない課題を、一人一人
の児童・生徒が道徳的な問題と捉え向き合う「考える道徳」
「議論する道徳」の推
進が求められています。
【どのように授業づくりに取り組めばよいか】
児童・生徒が自らの成長を実感したり、これからの課題を見付けたりするなど、自
ら考え理解し、主体的に道徳性を育む指導が求められます。そのためには、問題解決
的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習の導入、特別活動等の体験活動の活用な
どの工夫が必要です。
6 小学校英語の教科化
小学校の次期学習指導要領(平成32年度全面実施)では、小学校第3・4学年に
外国語活動を位置付け、第5・6学年から外国語(英語)を実施する予定です。
それに伴い、平成29年度から小学校第3学年に外国語活動を導入し、その子供た
ちが第5学年になる平成31年度から外国語(英語)を実施できるよう、適切に先行
実施していくことが求められています。
小学校第3・4学年から聞くこと、話すことを中心とした外国語活動を通じて外国
語の音声等に慣れ親しませながらコミュニケーション能力の素地を養った上で、第
5・6学年から発達段階に応じて段階的に読むこと、書くことを加え、総合的・系統
的に外国語教育を実施していきます。
○ 中学年(35時間)
: 外国語に慣れ親しみ、
「聞く」
「話す」の2技能を中心に外
国語活動への動機付けを高めるための外国語活動を展開
○ 高学年(70時間)
: 「聞く」
「話す」
「読む」
「書く」の4技能を扱う知識・技
能を学び、語彙や表現などを活用した言語活動から自分の考
えや気持ちなどを伝えようとするコミュニケーション活動ま
での総合的な活動を展開
- 67 -
7 オリンピック・パラリンピック教育
東京都教育委員会は、
「東京都オリンピック・パラリンピック教育」実施方針に基づ
き、都内全公立学校でオリンピック・パラリンピック教育を展開しています。
基本的な枠組みとして、4つのテーマ「オリンピック・パラリンピックの精神」
「ス
ポーツ」
「文化」
「環境」と、4つのアクション「学ぶ(知る)
」
「観る」
「する(体験・
交流)
」
「支える」を組み合わせて、多彩な4×4の取組を行っています。
とりわけ、グローバル化が進み、共生社会の実現を目指す現代において、次の五つ
を重点的に育成すべき資質としています。
「ボランティアマインド」 ・社会貢献への意欲 ・他者を思いやる心
・自尊感情
「障害者理解」
・多様性の尊重 ・心のバリアフリー
・共に助け合い、支え合って生きていく力
「スポーツ志向」 ・スポーツへの興味関心 ・フェアプレーやチームワークの精神
・心身ともに健全な人間に成長
「日本人としての自覚と誇り」・公共の精神等 ・日本の伝統や最新の文化への理解
・世界に発信する力 ・日本人の規範意識
「豊かな国際感覚」・コミュニケーションを図ろうとする意欲
・世界で通用する英語力 ・世界の多様性を受け入れる力
8 通常の学級と特別支援教室との連携
東京都においては、全ての小学校において、平成28年度から平成30年度までに
「特別支援教室」が設置され、一人でも多くの子供が在籍校で特別な指導を受けられ
るよう、
子供が通級する方式から巡回指導教員が巡回して指導する方式に変わります。
今後、全教員が発達障害への理解を一層深めるとともに、発達障害のある子供への
指導の効果が通常の学級で十分発揮されるよう、巡回指導教員は、指導内容や指導方
法の不断の見直しが必要となります。
また通常の学級においても、学級担任等は、巡回指導教員と協働して、特別な指導
が必要な子供への指導及び発達障害の有無にかかわらず全ての子供を対象とした指導
に、特別支援教育の視点を取り入れることが必要です。
【特別支援教室とは】 発達障害のある子供のために各小学校に設置される教室です。
子供が抱える困難さの改善、子供の学習能力や集団適応能力の伸長を図ります。
【巡回指導員とは】 拠点校から各小学校に巡回し、各学校の特別支援教室で児童の
障害の状態に応じた指導を行う教員です。
- 68 -
喫緊の教育課題
1 いじめの防止と解決
いじめは絶対に許されるものではありません。平成25年6月に、いじめ防止対策
推進法が制定され、平成26年8月には、東京都いじめ防止対策推進条例が施行され
ました。東京都教育委員会では平成26年7月に、いじめ総合対策を示しました。
いじめ問題に対応する際に、留意しなければならないのは、いじめに対して継続的・
組織的に対応していくということです。そのためには、学校・家庭・地域、そして関
係諸機関を含め、互いに子供の様子について情報交換を行うなど、連携を密にしてい
く必要があり、その組織づくりは早急に進めていかなければなりません。
東京都教育委員会では、各学校において、いじめ防止基本方針を定め、年間3回以
上のいじめ防止に関する研修を実施することと示しています。
2 不登校の防止と解決
不登校になった児童・生徒は、自らに自信を失い、社会から孤立しがちになるとと
もに、生活の乱れを招いたり、学力の習得の機会を失い、将来の進路選択が困難にな
ったりするなど、深刻な課題を抱える場合が多くあります。
不登校の要因・背景は、多様かつ複合的です。いじめや家庭の貧困などが背景にあ
る場合も少なくありません。こうした課題に対して、学校の取組の改善・充実を図る
ことはもとより、学校の取組だけでは限界があることから、様々な支援の主体が連携・
協力して、社会全体で課題の解決に当たる必要があります。
小・中学校等の各学校段階の継続性といった「縦の流れ」と、学校を起点とした関
係機関との連携といった「横の流れ」を念頭に置くことが大切です。
3 ネット・携帯電話
【解決の視点】SNS(ウェブサイトやネットサービス)等を利用する際のルールを、
子供たちが主体的に決め、ルールの中で情報機器を使用していくことが大切です。
① 身に付けさせたい力の共通理解を図る
子供が情報社会を生き抜くためには、子供に身に付けさせたい力を学校と家庭が
共通理解し、子供同士や家庭で主体的にルールを作っていくことが求められます。
② 子供主体のルールを作成する
東京都では、SNS利用に必要なルール(SNS東京ルール)を策定しました。
東京ルールを踏まえて、
「学校ルール」を定め、
「家庭ルール」作成の啓発を行いま
しょう。
- 69 -
4 学校における合理的配慮
平成28年4月1日に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行
されました。法律では、障害を理由とした不当な差別的扱いを禁止するとともに、障
害のある人が直面する具体的な障壁について、本人の求めに応じて、合理的な配慮(合
理的配慮)を行うことを義務付けています。
学校では、当該の子供や保護者等から意思の表明(申出)があった際は、その実施
に伴う負担が過重でないときには、
障害者の権利利益を侵害することとならないよう、
その障害の特性や必要性に応じて、合理的配慮を行わなければなりません。
【合理的配慮とは】 「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的
自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であ
って、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の
負担を課さないものをいう。
」
(
「障害者の権利に関する条約」第2条)
5 児童虐待の対応
児童虐待は、子供の穏やかな発育・発達を損ない、子供の心身に大変深刻な影響を
及ぼします。子供の人権を守り、虐待を防止していくために、この問題への理解をさ
らに深め、様々な機関との連携を強化していかなくてはなりません。
特に、
学校及び学校の教職員は、
児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、
児童虐待の早期発見に努めなければならないことが、児童虐待防止等に関する法律第
5条に規定されています。
6 体罰の根絶
教員は、法令(学校教育法第11条)で体罰を行うことを禁止されています。しか
し、教員による児童・生徒への体罰は根絶されていません。
体罰は、児童・生徒の人権を侵害するものです。人が人に対して、肉体的、精神的
に苦痛を与えることは、いかなる理由があっても認められるものではありません。
体罰は、児童・生徒に恐怖感や屈辱感を与えるだけでなく、児童・生徒の劣等感や
無力感を増大させることになります。そして、教員に対する反抗心や憎悪の感情を植
えつけるだけでなく、暴力を容認する態度を育てることにもなります。また、体罰が
いじめを助長することにもなりかねません。
さらに、体罰は、児童・生徒や保護者と教員との信頼関係を失わせるものです。一
度築き上げられた信頼関係は一瞬のうちに崩れ、不信感は心に深く残り、児童・生徒
や保護者の信頼を取り戻すのに多大な時間がかかることになります。
「保護者が認めた
から」とか、
「愛のむちだから」と許される問題ではありません。
- 70 -
本文中で参考資料として示したデータのほか、皆さんが東京都の教師となることを
目指す上で、より参考となる追加資料を集めました。
東京都の教育に求められる教師像
◎東京都の教育に求められる教師像(
「東京都教員人材育成基本方針」から)
(1)教育に対する熱意と使命感をもつ教師
・子供に対する深い愛情
・教育者としての責任感と誇り
・高い倫理観と社会的常識
(2)豊かな人間性と思いやりのある教師
・温かい心、柔軟な発想や思考
・幅広いコミュニケーション能力
(3)子供のよさや可能性を引き出し伸ばすことができる教師
・一人一人のよさや可能性を見抜く力
・教科等に関する高い指導力
・自己研さんに励む力
(4)組織人としての責任感、協調性を有し、互いに高め合う教師
・より高い目標にチャレンジする意欲
・若手教員を育てる力
・経営参加への意欲
- 71 -
東京都公立小・中学校教員の給与等について
○初任給(平成29年4月1日適用)
(地域手当、義務特手当含む。
)
大学卒 約247,500円
短大卒 約226,100円
* 改定により、変更になることもあります。
○前歴加算
高等学校卒業以降に有用な経験がある場合には、一定の基準により初任給が加算
されます(前歴加算には限度があります。
)
。
○各種手当
扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当などが条例に基づき支給されま
す。また、特別支援学校、へき地(島しょ等)の学校等に勤務する者などには、条
例に基づき別途手当等が支給されます。
○勤務時間
1週間について38時間45分
○休日等
土曜日、日曜日、休日、年末年始(12月29日から1月3日まで)
○休暇等
年次有給休暇(4月1日採用の場合、年間20日)
、病気休暇、妊娠出産休暇(16
週間)
、慶弔休暇、生理休暇、介護休暇(無給)
、育児休業(3歳未満の子を養育す
る者、無給)等
【期限付任用教員】
○ 任用期間中は、地方公務員法の適用を受け、任用期間に定めがあること以外は全
て正規教員と同じ扱いとなります。給料・各種手当、勤務時間、休暇など給与・勤
務条件についても、一部を除き正規教員と同じであり、6か月以上勤務すると退職
手当の支給対象となります。
- 72 -
関係法令
☆ 東京都の教師として職務を遂行していく上で、常に認識しておくべき法令の代
表的なものを紹介します。
【日本国憲法】
〔学問の自由〕
第二十三条 学問の自由は、これを保障する。
〔教育を受ける権利、教育を受けさせる義務、義務教育の無償〕
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひと
しく教育を受ける権利を有する。
② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受
けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
【教育基本法】
(教育の目的)
第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者とし
て必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければなら
ない。
(教育の目標)
第二条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる
目標を達成するよう行われるものとする。
一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳
心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の
精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を
養うこと。
三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精
神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこ
と。
四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するととも
に、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
(教育の機会均等)
第四条 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられ
なければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、
教育上差別されない。
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育
を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学
が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
- 73 -
(学校教育)
第六条 法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体
及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身
の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合に
おいて、
教育を受ける者が、
学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、
自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならな
い。
(教員)
第九条 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究
と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
2 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重
され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければな
らない。
(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)
第十三条 学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役
割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。
(教育行政)
第十六条 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定める
ところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切
な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関す
る施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
3 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた
教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
4 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政
上の措置を講じなければならない。
【学校教育法】
(学校の範囲)
第一条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学
校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
(児童・生徒等の懲戒)
第十一条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定
めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、
体罰を加えることはできない。
(小学校の目的)
第二十九条 小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育の
うち基礎的なものを施すことを目的とする。
- 74 -
〔職員〕
第三十七条 小学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければ
ならない。
② 小学校には、前項に規定するもののほか、副校長、主幹教諭、指導教諭、栄養
教諭その他必要な職員を置くことができる。
④ 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
⑪ 教諭は、児童の教育をつかさどる。
【教育公務員特例法】
(研修)
第二十一条 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努め
なければならない。
(研修の機会)
第二十二条 教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研
修を行うことができる。
3 教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる
研修を受けることができる。
【地方公務員法】
(服務の根本基準)
第三十条 すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、
職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間
及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体が
なすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
- 75 -
【参考資料】* 東京都教育委員会のホームページにおいて資料名のサイト内検索
をかけると詳しい内容を確認することができます。
資料名
概要
東京都教育委員会の基本方針
東京都教育委員会の基本方針
東京都教育ビジョン(第3次)
東京都が目指すこれからの教育の方向性
小学校教諭教職課程カリキュラム
東京都が求める、小学校の教師として最
について
小限必要な資質・能力と到達目標、教育実
習の改善を図るための指導内容等、カリキ
ュラム編成モデルの例示
東京都教員人材育成基本方針
東京都の教育に求められる教師像や経
験や職層に応じて身に付けるべき力等
人権教育プログラム
人権教育についての考え方、人権教育に
関する実践・指導事例、人権教育の効果的
な推進のための参考資料等
安全教育プログラム
危険を予測し回避する能力や他者や社
会の安全に貢献できる資質・能力を身に付
けさせる安全教育の指導資料
東京都特別支援教育推進計画(第二
これからの都における特別支援教育の
期)
・第一次実施計画
方向性について、全都的な視点に立って展
望を明らかにする総合的な計画
児童・生徒の学習のつまずきを防ぐ
小・中学校で学習する内容を確実に身に
指導基準(東京ミニマム)
付けるために必要な知識・技能や考え方及
びその指導方法
道徳授業地区公開講座
学校、家庭及び地域社会が連携して道徳
教育の充実を図るために都内公立小・中学
校等で公開している道徳の授業等
服務の厳正について
「個人情報」の適切な取扱いを含めた服務
の厳正
入学式、卒業式等における国旗掲揚
卒業式、入学式等の儀式的行事は、学習
及び国歌斉唱の実施について(通達) 指導要領の趣旨を踏まえ、適正に実施する
ことの重要性
学校問題解決のための手引
学校問題の未然防止や解決に向けた学
校の組織対応力の重要性
- 76 -
東京都公立小学校の基礎資料(平成28年度)
○学校数
○児童数
○教員数
○教員の男女の割合
○教員の平均年齢
○1校当たりの学級数
○1校当たりの児童数
○1学級当たりの児童数
1,280 校(全国:20,313 校)
[6.3%]
565,145 人(全国:6,483,515 人)[8.7%]
31,795 人(全国:416,973 人)[7.6%]
男性37.8% 女性62.2%(全国:男性37.7% 女性62.3%)
39.6 歳(全国:44.0 歳(平成25年度)
)
15.4 学級
441.5 人
28.8 人
東京都公立中学校の基礎資料(平成28年度)
○学校数
○生徒数
○教員数
○教員の男女の割合
○教員の平均年齢
○1校当たりの学級数
○1校当たりの生徒数
○1学級当たりの生徒数
614 校(全国:10,404 校)
[5.9%]
230,151 人(全国:3,406,029 人)[6.8%]
15,144 人(全国:251,978 人)[6.0%]
男性55.8% 女性44.2%(全国:男性57.0% 女性43.0%)
42.7 歳(全国:43.9 歳(平成25年度)
)
12.3 学級
374.8 人
30.4 人
- 77 -
平成28年度 全国学力・学習状況調査 都道府県別平均正答率(小学校)
小学校
国語A
国語B
算数A
算数B
都道府県
%
都道府県
%
都道府県
%
都道府県
%
全国(公立)
73
全国(公立)
58
全国(公立)
78
全国(公立)
47
1
北海道
71
1
北海道
56
1
北海道
75
1
北海道
45
2
青森県
77
2
青森県
60
2
青森県
80
2
青森県
48
3
岩手県
73
3
岩手県
60
3
岩手県
78
3
岩手県
47
4
宮城県
72
4
宮城県
56
4
宮城県
77
4
宮城県
46
5
秋田県
77
5
秋田県
64
5
秋田県
82
5
秋田県
52
6
山形県
72
6
山形県
58
6
山形県
76
6
山形県
46
7
福島県
73
7
福島県
57
7
福島県
77
7
福島県
46
8
茨城県
74
8
茨城県
59
8
茨城県
78
8
茨城県
48
9
栃木県
71
9
栃木県
56
9
栃木県
75
9
栃木県
45
10
群馬県
72
10
群馬県
57
10
群馬県
78
10
群馬県
46
11
埼玉県
72
11
埼玉県
57
11
埼玉県
76
11
埼玉県
46
12
千葉県
73
12
千葉県
58
12
千葉県
77
12
千葉県
47
13
東京都
74
13
東京都
60
13
東京都
79
13
東京都
50
14
神奈川県
70
14
神奈川県
58
14
神奈川県
77
14
神奈川県
47
15
新潟県
77
15
新潟県
60
15
新潟県
80
15
新潟県
48
16
富山県
75
16
富山県
61
16
富山県
81
16
富山県
51
17
石川県
76
17
石川県
63
17
石川県
82
17
石川県
54
18
福井県
77
18
福井県
63
18
福井県
82
18
福井県
52
19
山梨県
71
19
山梨県
58
19
山梨県
77
19
山梨県
47
20
長野県
74
20
長野県
59
20
長野県
77
20
長野県
47
21
岐阜県
73
21
岐阜県
59
21
岐阜県
77
21
岐阜県
47
22
静岡県
77
22
静岡県
59
22
静岡県
79
22
静岡県
47
23
愛知県
71
23
愛知県
56
23
愛知県
76
23
愛知県
46
24
三重県
72
24
三重県
58
24
三重県
78
24
三重県
47
25
滋賀県
73
25
滋賀県
57
25
滋賀県
76
25
滋賀県
46
26
京都府
74
26
京都府
59
26
京都府
80
26
京都府
49
27
大阪府
71
27
大阪府
55
27
大阪府
77
27
大阪府
45
28
兵庫県
73
28
兵庫県
58
28
兵庫県
78
28
兵庫県
47
29
奈良県
72
29
奈良県
57
29
奈良県
77
29
奈良県
45
30
和歌山県
70
30
和歌山県
56
30
和歌山県
77
30
和歌山県
46
31
鳥取県
75
31
鳥取県
58
31
鳥取県
77
31
鳥取県
47
32
島根県
75
32
島根県
57
32
島根県
77
32
島根県
46
33
岡山県
73
33
岡山県
58
33
岡山県
77
33
岡山県
47
34
広島県
78
34
広島県
61
34
広島県
80
34
広島県
50
35
山口県
75
35
山口県
59
35
山口県
78
35
山口県
48
36
徳島県
76
36
徳島県
57
36
徳島県
77
36
徳島県
45
37
香川県
75
37
香川県
60
37
香川県
78
37
香川県
47
38
愛媛県
74
38
愛媛県
61
38
愛媛県
81
38
愛媛県
49
39
高知県
77
39
高知県
58
39
高知県
80
39
高知県
47
40
福岡県
72
40
福岡県
58
40
福岡県
78
40
福岡県
47
41
佐賀県
73
41
佐賀県
57
41
佐賀県
78
41
佐賀県
46
42
長崎県
72
42
長崎県
57
42
長崎県
78
42
長崎県
47
43
熊本県
-
43
熊本県
-
43
熊本県
-
43
熊本県
-
44
大分県
73
44
大分県
58
44
大分県
78
44
大分県
47
45
宮崎県
75
45
宮崎県
56
45
宮崎県
77
45
宮崎県
46
46
鹿児島県
72
46
鹿児島県
57
46
鹿児島県
79
46
鹿児島県
45
47
沖縄県
73
47
沖縄県
58
47
沖縄県
81
47
沖縄県
48
- 78 -
平成28年度 全国学力・学習状況調査 都道府県別平均正答率(中学校)
中学校
国語A
国語B
数学A
数学B
都道府県
%
都道府県
%
都道府県
%
都道府県
%
全国(公立)
76
全国(公立)
67
全国(公立)
62
全国(公立)
44
1
北海道
75
1
北海道
65
1
北海道
62
1
北海道
43
2
青森県
76
2
青森県
66
2
青森県
64
2
青森県
45
3
岩手県
76
3
岩手県
66
3
岩手県
58
3
岩手県
41
4
宮城県
77
4
宮城県
68
4
宮城県
60
4
宮城県
44
5
秋田県
79
5
秋田県
72
5
秋田県
67
5
秋田県
48
6
山形県
77
6
山形県
67
6
山形県
61
6
山形県
43
7
福島県
76
7
福島県
65
7
福島県
59
7
福島県
41
8
茨城県
77
8
茨城県
69
8
茨城県
61
8
茨城県
45
9
栃木県
76
9
栃木県
67
9
栃木県
61
9
栃木県
43
10
群馬県
77
10
群馬県
69
10
群馬県
63
10
群馬県
46
11
埼玉県
75
11
埼玉県
66
11
埼玉県
60
11
埼玉県
43
12
千葉県
76
12
千葉県
67
12
千葉県
60
12
千葉県
43
13
東京都
77
13
東京都
69
13
東京都
64
13
東京都
46
14
神奈川県
75
14
神奈川県
67
14
神奈川県
62
14
神奈川県
44
15
新潟県
77
15
新潟県
67
15
新潟県
62
15
新潟県
44
16
富山県
78
16
富山県
71
16
富山県
65
16
富山県
49
17
石川県
78
17
石川県
71
17
石川県
66
17
石川県
49
18
福井県
78
18
福井県
70
18
福井県
69
18
福井県
51
19
山梨県
75
19
山梨県
68
19
山梨県
61
19
山梨県
44
20
長野県
76
20
長野県
66
20
長野県
61
20
長野県
44
21
岐阜県
76
21
岐阜県
69
21
岐阜県
64
21
岐阜県
46
22
静岡県
77
22
静岡県
70
22
静岡県
64
22
静岡県
47
23
愛知県
76
23
愛知県
66
23
愛知県
65
23
愛知県
47
24
三重県
74
24
三重県
64
24
三重県
62
24
三重県
43
25
滋賀県
74
25
滋賀県
63
25
滋賀県
61
25
滋賀県
42
26
京都府
76
26
京都府
67
26
京都府
63
26
京都府
45
27
大阪府
74
27
大阪府
63
27
大阪府
62
27
大阪府
43
28
兵庫県
76
28
兵庫県
66
28
兵庫県
66
28
兵庫県
46
29
奈良県
76
29
奈良県
66
29
奈良県
64
29
奈良県
44
30
和歌山県
74
30
和歌山県
63
30
和歌山県
62
30
和歌山県
43
31
鳥取県
77
31
鳥取県
67
31
鳥取県
63
31
鳥取県
44
32
島根県
76
32
島根県
68
32
島根県
60
32
島根県
42
33
岡山県
75
33
岡山県
64
33
岡山県
60
33
岡山県
41
34
広島県
77
34
広島県
68
34
広島県
62
34
広島県
45
35
山口県
77
35
山口県
68
35
山口県
64
35
山口県
45
36
徳島県
76
36
徳島県
64
36
徳島県
65
36
徳島県
44
37
香川県
77
37
香川県
68
37
香川県
64
37
香川県
45
38
愛媛県
77
38
愛媛県
69
38
愛媛県
64
38
愛媛県
47
39
高知県
75
39
高知県
65
39
高知県
59
39
高知県
40
40
福岡県
75
40
福岡県
66
40
福岡県
60
40
福岡県
42
41
佐賀県
75
41
佐賀県
65
41
佐賀県
59
41
佐賀県
41
42
長崎県
75
42
長崎県
67
42
長崎県
62
42
長崎県
43
43
熊本県
-
43
熊本県
-
43
熊本県
-
43
熊本県
-
44
大分県
75
44
大分県
66
44
大分県
61
44
大分県
42
45
宮崎県
75
45
宮崎県
65
45
宮崎県
62
45
宮崎県
43
46
鹿児島県
74
46
鹿児島県
64
46
鹿児島県
60
46
鹿児島県
41
47
沖縄県
71
47
沖縄県
63
47
沖縄県
54
47
沖縄県
37
- 79 -
平成 28 年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査 都道府県別体力合計点平均値
都道府県
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
全国平均値
小学校第5学年
男子
女子
53.01
54.04
53.72
56.15
54.29
56.73
53.06
55.01
56.40
59.04
53.46
55.79
53.42
56.22
56.48
59.24
53.08
55.41
52.83
54.74
55.84
58.28
55.04
57.01
54.19
55.80
52.92
53.69
56.23
58.73
54.63
56.83
56.27
57.64
57.54
59.45
52.71
54.52
54.20
55.29
53.88
55.64
53.69
56.08
52.16
53.91
53.52
54.87
53.41
53.84
53.21
54.09
52.49
53.58
52.90
53.87
53.57
55.00
54.56
56.56
54.13
55.77
54.83
55.91
54.55
55.78
56.29
57.99
53.30
55.10
53.24
54.94
53.15
54.96
53.87
55.66
53.56
55.19
54.73
55.51
54.17
55.08
53.69
55.28
54.04
55.72
56.17
57.82
54.91
56.21
53.06
54.93
52.81
53.92
53.93
55.54
- 80 -
中学校第2学年
男子
女子
40.49
45.72
42.08
48.61
43.82
51.08
42.08
48.01
44.03
51.12
42.50
49.71
41.20
48.40
45.60
53.38
41.40
49.49
42.05
50.39
44.43
53.27
44.35
52.42
40.67
48.32
40.14
46.89
44.93
51.79
42.21
49.36
44.54
51.83
45.11
53.94
42.54
50.08
42.39
48.65
42.84
50.50
42.79
51.48
40.59
48.73
42.11
50.02
43.18
49.69
41.64
49.27
40.63
48.18
40.76
48.48
43.11
49.51
42.47
49.84
42.40
50.02
41.43
48.03
43.86
50.85
43.66
51.44
41.49
49.57
41.96
49.12
42.23
48.50
41.34
49.19
41.74
48.46
42.65
49.00
43.23
50.09
41.61
49.61
41.47
49.08
43.96
50.34
43.50
50.50
40.93
48.12
41.51
48.38
42.00
49.41
小学校教職課程学生ハンドブック
(平成29年度版)
東京都教育委員会印刷物登録
平成28年度第133号
平成29年3月
編集・発行
東京都教育庁指導部指導企画課
所 在 地
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
電話番号
(03)5320-6849
印刷会社
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- 82 -
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