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MDK 留学支援制度 留学報告書 2014年 11月 金沢大学 野村結 ロシア

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MDK 留学支援制度 留学報告書 2014年 11月 金沢大学 野村結 ロシア
MDK
留学支援制度
留学報告書
2014年
11月
金沢大学
野村結
ロシアに来て三ヶ月が経とうとしています。今月も留学の報告をさせて頂き
ます。今回もかなり長くなってしまったのですが、このように自分の留学を一
ヶ月ごとに振り返させていただく機会を頂けていることに感謝しています。
【ロシアでの生活について】
今回は、私のロシアでの失敗から学んだ経験から書かせていただきます。11
月末日、どうしても夜に一人でタクシーに乗らなければならない状況におかれ
ました。そこで、普段皆が使うタクシーが路上に停まっているのを見つけたの
で乗ることにしました。タクシードライバーは気の良さそうな男性でした。無
事に目的地につき安心していたところ、スマートフォンを車の中に置いてきた
ことにきがつきました。とても焦っていたところ、留学生の友達や、ロシア人
の友達がいろいろなところに電話をしてくれましたが、全く手がかりはつかめ
ませんでした。すると私の電話番号から友達に電話がかかってきて、なんと、
お金を払えば返すが、払わないのなら売ってしまうという内容でした。とても
ショックを受けました。日本ではほぼ起こり得ないことでしょう。しかもその
後かけ直すといったまま連絡が返ってくることはありませんでした。ロシアで
初めて警察に行き、紛失届は出してきたのですが、可能性はほぼない状況です。
かなり精神的なダメージを受けましたが、ここでたくさんのことに気がつきま
した。それは、三ヶ月たちかなり気が緩んでいたということ。日本のように安
全な国はないと言われていますが、まさにその通りなのです。日本でも財布を
忘れたことがありましたが、交番で受け取ることができました。私自身も何度
も交番に届けたことがあります。これが当たり前だと思っていました。しかし、
日本の常識は世界の非常識であるということに気がつきました。これは誇る部
分でもあり、日本人の私たちの平和ボケを痛感させられることでもありました。
それと同時に必死で取り戻そうとしてくれたロシア人の友人たちに感謝してい
ます。この経験はまだ後味も苦く少し一人で行動することへのトラウマを感じ
ていますが、ここから学ぶことができなければ、意味がないと思うので、しっ
かり反省し世界の常識に考え方をシフトさせていくきっかけにしようと思いま
す。みなさんも海外に行った際には、充分すぎるほど気をつけてください。
次にカザンで行われた「第五回カザン日本語弁論大会」について述べたいと
思います。11月8日にカザン大学で日本語弁論大会が開催されました。私は
日本人として質問員をさせていただきました。弁論者は7人で、発表が終わる
ごとにその内容について質問をする役です。7人とも、しっかりと発表をして
いました。その中でもかなり印象に残った弁論がありました。題名が、
「心を聴
くこと」というものでした。内容もかなり濃く、私の生活や考え方を省みたく
なるものでした。そしてなによりも彼女の話し方に心を動かされました。それ
は、
「伝える」だけではなく「伝わる」話し方でした。きっと会場にいた誰もが
そう思っていたはずです。弁論が終わった後、日本語を勉強していない仲のい
いロシア人の学生が私のところに来て「僕は彼女が言いたいことがわかった」
と言っていました。ここで私は、言葉は伝える「媒介手段」であり、伝わるか
どうかはその人の伝え方次第なのだということを体感しました。そのような話
を聞いたことは何度かありましたが、自分の身をもって実感したのは初めてで
した。わたしもロシア語という道具をうまく使いこなしていろんな人に自分の
気持ちを伝えることのできる人間になりたいと思うようになりました。
写真は弁論大会のものです。
そして、今月生まれて初めて誕生日を海外で、ロシアで迎えました。世界中
の人におめでとうと言われたくさんお祝いをしてもらえました。欧米諸国やト
ルコ、中東などの国の留学生の中に一人だけのアジア人、日本人としてなかよ
くしてもらうことができ、とても嬉しいですが、それと同時に日本人としての
責任を感じています。しっかりと日本の良さを伝えることができるように日本
人としての誇りを忘れずにいたいと思っています。写真は誕生日会の様子です。
【ロシアでの学習について】
今回はみなさんにとって未知であると思われるロシア語の紹介をさせていた
だきたいと思います。ロシア語はスラブ語系の言語です。私の名前はロシア語
で ЮиНомура と書きます。ロシア語のアルファベットの読み方をしらなければ
どう頑張ってものむらは「ほみぱ」にしか読めないでしょう。しかし、ロシア
語では Н を「エヌ」У を「ウー」Р を「エル」と読みます。このようにローマ
字読みを覆される読み方がかなりたくさん存在するので、
「読む」ということが
とても難しい言語です。そして、今月から新たに音声学の授業が始まりました。
ヨーロッパからきた留学生たちの中に一人の日本人の私は一人ずつ大きな声で
発音する授業でずっと赤面していました。やはり私の発音はラテン語系やスラ
ブ語系の発音とはかけ離れているのです。そして、日本語の特徴にも気づかさ
れました。日本語はやはり柔らかく滑らかな言葉だと思います。それに比べて
ロシア語はかなり力強い言語です。巻き舌や喉の奥を鳴らす音声がたくさん存
在します。ロシア語をもっとロシア語らしく話すためには、日本語の喋り方と
は全く違う方法で喋る必要があると感じています。ここにきて感じることは、
どのような場面でも日本だとこれくらいでいいかなと思っていたものの何十倍
のものを求められるということです。幸い、ルームメイトのフランス人がかな
り発音に厳しいので部屋で特訓を受けることができています。かなり恵まれて
いると思います。しっかり自分の発音に向き合って少しずつでもロシア語を向
上させていきたいです。
そして、先月から触れているロシアと日本の外交についてですが、また教授
から興味深い話を聞くことができました。
「北方領土問題」についてです。私は
韓国人や中国人の友人と領土問題について当事者国どうしで話すということに
いつも緊張していました。それは、私はその土地が日本のものだと主張し、韓
国人や中国人も自分たちの土地だと主張するからでした。しかし、教授とその
話をした時、教授ははっきりと「北方領土が日本の土地であることをロシア人
はみんな知っている」と言ったのです。私は本当に驚きました。ロシア人はみ
なその事実を知っているが、北方領土問題はプーチン大統領の日本外交におけ
る大事なキーであるということだそうです。この国のプーチン支持率が高いの
は肌で感じていますが、彼の外交はかなり国民の支持を受けるだけではなくと
ても戦略的です。今、ロシアは国際的にかなり難しい状況にたたされています
が、それをどのように克服していくのかとても興味深いと思います。もっと深
い話をすることができるようになりたいと思うようになりました。
来月は期末テストがあり、かなり大変な時期になりそうですが、冬休みには
ヨーロッパとロシアを旅行する予定なので、それを楽しみに頑張りたいと思い
ます。
長文になりましたが、今月の報告を終わらせていただきます。
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