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平成26年度自然環境調査(全市域)(PDF 9540KB)

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平成26年度自然環境調査(全市域)(PDF 9540KB)
平成26年度掛川市自然環境調査
(タンポポ・希少動物生息状況・アユ・帰化植物)報告書
平成27年3月
静岡県掛川市
1
第Ⅰ章 タンポポの分布調査
1 調査の概要
(1)調査の目的
人里に生育するタンポポは人の活動による影響を受けやすい植物ですが、定期的に草刈
りが行われている農村環境では、昔から日本に定着している在来タンポポが広く生育して
います。
しかし戦後は、明治時代に日本に定着した外来タンポポが、全国各地で増加しています。
外来タンポポは、土木工事などで地表の土が掘り起こされた土地に勢力を広げているこ
とが、これまで全国で行われてきた様々な調査で分かってきました。
このため、在来タンポポと外来タンポポの分布を調べることにより、その土地に対する
人の関わりの程度=自然環境の質を知ることができます。
掛川市では、自然環境調査事業として、掛川区域では平成 16 年度と平成 21 年度に、大
東、大須賀区域では平成 21 年度に、タンポポの分布調査が行われています。そのためこれ
までと同様に市内の在来タンポポと外来タンポポの分布状態を調べることで、掛川市内の
自然環境の現状とどのように変化したかを知るために行いました。
さらに、市民の中から募ったボランティアの皆さんに調査に参加していただくことで、
身近な自然環境への関心をもつ機会を提供することも調査の目的の一つです。
2
(2)調査種の概要
タンポポは、早春に咲く植物の代表として多くの人に親しまれています。タンポポの
仲間は世界では約 400 種類あり、特に北半球に多く、日本には在来種と外来種を含めて
約 20 種類が自生しています。
タンポポの仲間は、葉がすべて根元から出ていて地面にへばり付くように広がって(ロ
ゼット)います。花は葉のわきから花茎(かけい=花だけをつける茎)をのばし、花茎
は分かれることがなく、先に花を一個だけつけるのが特徴です。
花は、日が当たると開き、曇ったり暗くなると閉じる開閉運動を毎日します。
種子は、そう果とよばれる果実で、果実には冠毛(かんもう)があります。一本一本
の冠毛にはさらに細かな毛があり、風で遠くまで種を飛ばすようになっています。
花茎は、花のときも種子を飛ばすときも立っていますが、花が終わった後はいったん
倒れ、種子ができる頃にまた起き上がります。
この運動は、未熟な果実が強い雨に打たれたり、強風で飛ばされたりするのを防ぐた
めだと考えられています。
また、結実期の花茎の長さは、開花期に比べてはるかに伸びています。これは、種子
が風に乗って飛ぶとき、高い位置にあった方が便利なためだと考えられています。
日本では、大きく分けて北海道から東北に掛けてはエゾタンポポ、関東から東海地方
にはカントウタンポポ、関西地方から四国・九州・沖縄にはカンサイタンポポとシロバ
ナタンポポ、高山にはミヤマタンポポというように、在来種が住み分けていました。
ところが、1960 年代になると、明治時代に札幌に持ち込まれた外来種のセイヨウタン
ポポが各地に広がり、1970 年になると北海道の平地全域や、本州以南の都市部やその周
辺では、在来種のタンポポより生育地が多くなってきました。
外来タンポポはどうして急にその分布を広げてきたのでしょう。外来タンポポは表Ⅰ
‐1 に示すように種の数や繁殖の仕方で在来タンポポと比べ、旺盛な繁殖力を持っている
からです。そのため、在来タンポポが根を張ることができないような、土の養分が少な
い造成地や公園、グラウンドなどでも普通に見かけるようになってきました。
在来タンポポ
外来タンポポ
開花時期は短く3月~4月。
生活史
夏から秋に他の植物が伸長すると葉
を落として休眠し、晩秋から冬に新し
い葉を広げる。
段々畑や川の土手など植物の種類が
生育場所
多く、少し湿って軟らかく、栄養分が
多い土の所。
開花時期は長く3月~10 月。
夏でも休眠せず、一年中光合成をす
る。
土地改変が行われ、乾燥し硬くて栄養
分が少ない土壌でも生育できる。
自家受粉ができないため、昆虫が他の
受粉しなくても種ができるので、付近
株の花粉を媒介して結実する。そのた
に同種のタンポポがなく、昆虫がいな
め付近に同種のタンポポが必要。
くても結実できる。
種の数
60~120 個くらい。
200 個くらい。
種の重さ
重いため、種の長距離移動は困難。
軽いため、種の長距離移動が容易。
増殖方法
表Ⅰ‐1 在来タンポポと外来タンポポの違い
3
『平成 12 年度環境基本計画自然環境調査』によると、掛川市内で見られる在来タンポ
ポはカントウタンポポ、ヒロハタンポポ、シロバナタンポポの3種類があります。
カントウタンポポとヒロハタンポポの花の色は黄色ですが、シロバナタンポポはその
名の通り白です。
また、外来タンポポの花は黄色い花ですが、種の色の違うセイヨウタンポポとアカミ
タンポポが記録されています(表Ⅰ-2・図Ⅰ-1)
。
在来
タンポポ
外来
タンポポ
表Ⅰ-2 掛川市で記録されたタンポポの種類
種 類 名
学
名
カントウタンポポ
Taraxacum platycarpum
ヒロハタンポポ
Taraxacum longeappendiculatum Nakai
シロバナタンポポ
Taraxacum albidum
セイヨウタンポポ
Taraxacum officinale
アカミタンポポ
Taraxacum laevigatum
在来タンポポ
カントウタンポポ
シロバナタンポポ
外来タンポポ
セイヨウタンポポ
アカミタンポポ
図Ⅰ-1 掛川市で記録されたタンポポの種類
4
ヒロハタンポポは、カントウタンポポの変種 DNA 分類体系にもづいた増補改訂新版『野
に咲く花』
・2013 山と渓谷社)といわれており、カントウタンポポとヒロハタンポポは形態
的によく似ており、小学生やボランティアの皆さんに、この二種類を分けて記録していた
だくには難しいので、本調査では、黄色の頭花をつけ総苞片が反り返っていないカントウ
タンポポとヒロハタンポポを合わせて在来タンポポとし、総苞片が反り返っているタンポ
ポは外来タンポポとし、ボランティアの方には種子の色から、セイヨウタンポポとアカミ
タンポポに分けて調査をしていただきました(図Ⅰ-2)。
図Ⅰ-2 タンポポの分類
(3)調査の方法
ア ボランティアによる調査
掛川市のホームページや広報を通じて、小中学生の親子や成人のボランティア調査
員を募りました。
応募者には、調査方法とタンポポの見分け方を解説した「調査の手引き」
(添付資料)
を渡し、自宅の周辺やこれまで調査を行った調査地を各自選んで、実施していただく
ようにお願いしました。
イ
小学生調査
市内の小学校の協力を得て、小学校の4年生 1,160 人を対象に、平成 26 年3月にし
おりと調査用紙を配付し、3月中旬から4月上旬にかけて、児童の自宅周辺のタンポ
ポの生育状況の調査を依頼しました。
5
2 調査結果
(1)ボランティア調査
ア 調査員数と調査地点
調査には 44 組 84 人の方が応募し、調査を行って下さいました。
調査は市内の 243 地点で行われました。区域別にみると掛川区域が最も多く、調査
した地点の 81.9%の 199 地点でした(表Ⅰ‐3・図Ⅰ‐3)
。
表Ⅰ‐3 調査した地点
区
域
調査地点数
割 合
掛川区域
199
81.9%
大東区域
25
10.3%
大須賀区域
19
7.8%
合
計
243
100.0%
大須賀区域,
19, 8%
大東区域,
25, 10%
掛川区域, 199,
82%
図Ⅰ‐3 調査した地点
6
イ 調査期間
調査は、平成 26 年 3 月 20 日から 5 月 31 日にかけて行われました。最も調査回数が
多かったのは、4 月下旬でした。
在来タンポポの開花時期は、掛川市ではおおむね3月から4月中旬までとなります。
一方外来タンポポは、これ以外の時期でも花を着けるので、4月下旬以降の調査では、
花をつけているのは外来タンポポが多くなり、外来タンポポと在来タンポポの区別が
できなかったり、外来タンポポの比率が高くなり生育状況が調査結果に正確に反映で
きなくなることもあり、両種の開花時期に調査が行われることが大切です。
今回の調査では、243 地点のうち在来タンポポの開花時期にあたる3月から4月中旬
に行われたのは、45.3%にあたる 110 地点で、やや調査時期が遅れました(表Ⅰ‐4・
図Ⅰ‐4)
。
表Ⅰ‐4 調査を行った旬別回数と割合
調査期間
回 数
割 合
3/20~3/31
2
0.8%
4/ 1~4/10
27
11.1%
4/11~4/20
81
33.3%
4/21~4/30
86
35.4%
5/ 1~5/10
39
16.0%
5/11~5/20
6
2.5%
5/21~5/31
2
0.8%
合 計
243
100.0%
100
90
120.0%
在来タンポポの調査適期
86
81
100.0%
80
70
80.0%
60
50
60.0%
39
40
40.0%
27
30
20
10
20.0%
6
2
2
0
0.0%
3/20~3/31 4/1~4/10 4/11~4/20 4/21~4/30 5/1~5/10 5/11~5/20 5/21~5/31
図Ⅰ‐4 調査を行った旬別回数と割合(折れ線グラフは累積割合)
7
ウ
調査を行った環境
調査を行った環境は、道路の脇が最も多く、次いで空き地や土でできている川の
土手などでした(表Ⅰ‐5・図Ⅰ‐5)
。
表Ⅰ‐5 調査を行った環境の地点数
調査環境
数
調査環境
家の庭
16 ス 畑(耕作)
児童公園
4 セ 畑(耕作放棄)
小さな公園
12 ソ 果樹園
大きな公園
13 タ 山 林
境 内
7 チ 牧草地
墓 地
0 ツ 線路脇
川の土手(土)
34 テ 駐車場
川の土手(コンクリート)
10 ト 湿 地
道路脇
107 ナ 埋立地
校 庭
1 ニ 川 原
運動場
1 ヌ その他
空き地
35
合
計
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
キ
ク
ケ
コ
サ
シ
数
26
16
3
9
1
1
16
1
1
4
14
334
※ 合計は同一地点で複数の環境があった地点があるため、調査地数と一致しません。
120
107
100
80
60
20
0
35
34
40
16
4
12 13
7
10
0
16
1
3
1
9
16
1
図Ⅰ‐5 調査を行った環境の地点数
8
1
14
1
1
4
畑 果 山 牧 線 駐 湿 埋 川 そ
樹 林 草 路 車
立
の
耕 園
地 脇 場 地 地 原 他
作
放
棄
)
(
道 校 運 空 畑
路
動 き
の 庭 場 地 耕
作
脇
)
(
(
(
家 児 小 大 境 墓 土 土
手 手
の 童 さ き
庭 公 な な 内 地
土 コ
園 公 公
) ン
園 園
ク
リ
ー
ト
)
26
エ
タンポポの確認地点
調査では、241 地点でタンポポの生育を確認しました。これは調査を行った 243 地点
の 99.2%にあたります(表Ⅰ‐6・図Ⅰ‐6)。
表Ⅰ‐6 タンポポの確認地点
タンポポの有無
確認地点数
割合
あった。
241
99.2%
なかった
合
計
2
243
0.8%
100.0%
なかった, 2,
1%
あった, 241,
99%
図Ⅰ‐6 タンポポの確認地点
9
オ
タンポポの花の色と生育地点数
確認したタンポポは、黄色の花のタンポポが咲く地点(黄色+白色と黄色の花)が
最も多く、タンポポの生育を確認した地点の 97.1%にあたる 234 地点でした。
白色の花の咲くシロバナタンポポのみの生育地は7地点で、黄色の花の咲くタンポ
ポとの混生地を含めても、タンポポ確認地点の 10.8%にあたる 26 地点での確認でした
(表Ⅰ‐7・図Ⅰ‐7)
。
表Ⅰ‐7 確認したタンポポの色別生育地点
花の色
生育地点数
割 合
黄色い花
215
89.2%
黄色と白色の花
19
7.9%
白色の花
7
2.9%
合
計
241
100.0%
黄色と白色
19
8%
白色の花
7
3%
黄色の花
215
89%
図Ⅰ‐7 確認したタンポポの色別生育地点数
10
カ 在来タンポポと外来タンポポの生育地数
黄色い花の咲くタンポポが生育していた 234 の調査地(黄色の花のみと黄色と白色)
のタンポポを総苞片の反り具合により在来タンポポと外来タンポポに分けると、在来
タンポポのみが生育していた生育地は 69 地点(29.5%)でした。
一方、外来タンポポのみが生育していた地点は、在来タンポポのみの生育地の 1.75
倍にあたる 121 地点(51.7%)でした。
在来タンポポと外来タンポポが混じって生育していた生育地(混生地)は、黄色い
タンポポの生育地の 18.8%にあたる 44 地点で、これを在来タンポポのみと外来タンポ
ポのみのそれぞれの生育地に加えると、外来タンポポの生育地(外来+在来と外来)は、
165 地点(70.5%)で、在来タンポポの生育地 113(48.3%)の約 1.5 倍でした(表Ⅰ
‐8・図Ⅰ‐8)。
表Ⅰ-8 在来タンポポと外来タンポポの生育地点数
生育状況
生育地点数
割
合
29.5% 在 来 タ ン ポ ポ
在来タンポポのみ
69
18.8% 113(48.3%) 外来タンポポ 165
在来と外来
44
(70.5%)
51.7%
外来タンポポのみ
121
100.0%
合
計
234
在来タンポポ 113 地点
在来
69
在来と外来
44
外来
121
外来タンポポ 165 地点
0%
20%
40%
60%
80%
図Ⅰ-8 在来タンポポと外来タンポポの生育地点数
11
100%
キ
混生地での在来タンポポと外来タンポポの生育割合
黄色い花の在来タンポポと外来タンポポが一緒に生育している混生地(黄色い花の
みとシロバナタンポポとの混生地・44 地点)について、在来タンポポと外来タンポポ
の生育数の割合を比較すると、外来タンポポの生育数が在来タンポポより多い調査地
が、混生地の 40.9%を占め、在来タンポポの多い生育地の割合(29.5%)を上回り混
生地でも、外来タンポポが優勢であることが分かりました(表Ⅰ‐9・図Ⅰ‐9)。
表Ⅰ-9 混生地での在来タンポポと外来タンポポの生育割合
生育割合
生育地数
割 合
在来がすごく多い
8
18.2%
在来が少し多い
5
11.4%
同じくらい
12
27.3%
外来が少し多い
8
18.2%
外来がすごく多い
10
22.7%
不
合
明
計
1
44
2.3%
100.0%
在来が多い。13・29.6%
在来すごく
多い, 8
在来少し多い,
5
同じくらい,
12
外来少し多い,
8
外来すごく多い,
10
不明, 1
外来が多い。18・40.9%
0%
20%
40%
60%
80%
図Ⅰ-9 混生地での在来タンポポと外来タンポポの生育割合
12
100%
ク
外来タンポポの種類
外来タンポポの種類は、種の色で薄茶色のセイヨウタンポポと赤色のアカミタンポ
ポに分類することができます(図Ⅰ‐10)
。
調査の際に種があって種類が分かった 140 地点の外来タンポポの生育地のうち、
86.4%の 121 地点が薄茶色の種がセイヨウタンポポでした(表Ⅰ‐10・図Ⅰ‐11)。
セイヨウタンポポ
アカミタンポポ
図Ⅰ-10 外来タンポポの種類
表 Ⅰ‐10 外来タンポポの種類別生育地数
種の色
生育地点数
薄茶色(セイヨウタンポポ)
108
両方
13
赤色(アカミタンポポ)
19
種がない。
7
不 明
10
合
計
165
種がない, 7,
5%
不明, 10, 6%
アカミタンポ
ポ, 19, 12%
両方, 13,
8%
セイヨウタン
ポポ, 108,
69%
図Ⅰ-11 外来タンポポの種類別生育地数
13
ケ
タンポポの生育状況
タンポポの生育地での生育状況は、調査した場所にぱらぱらある地点がもっとも多
く、次いで調査した場所にたくさんまとまってある地点でした。
生育状況と在来タンポポ、外来タンポポの生育地点数を比較すると、道の横などに
線上につながっている場所以外は、外来タンポポの生育地点が多く見られました(表
Ⅰ‐11・図Ⅰ‐12)
。
表Ⅰ-11 タンポポの生育状況
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
と
て
も
少
な
い
調
査
し
た
あ場
る所
。に
ぱ
ら
ぱ
ら
が
っ
て
い
る
。
道
の
横
な
ど
に
線
上
に
つ
な
て
あ
る
。
一
m
位
の
広
さ
に
ま
と
ま
っ
図Ⅰ-12 タンポポの生育状況
14
ま
と
ま
っ
て
あ
る
。
調
査
し
た
場
所
に
た
く
さ
ん
コ
在来タンポポと外来タンポポの生育地の環境
在来タンポポと外来タンポポの生育地の環境を比較すると在来タンポポが外来タン
ポポより多かったのは、耕作が行われている畑や山林、果樹園などで、外来タンポポ
の確認割合が多かったのは、川の土手や空き地、駐車場などでした(表Ⅰ‐12・図Ⅰ
‐13)
。
表Ⅰ‐12 調査環境とタンポポの種類
70
60
50
40
30
20
在来
10
外来
0
(
(
家児小大境墓川川道校運空畑畑果山牧線駐湿埋川そ
の童さき内地のの路庭動き耕耕樹林草路車地立原の
庭公なな
場地作作園
地脇場
地
他
土土脇
園公公
手手
)放
園園
土コ
棄
)ン
)
ク
…
(
(
図Ⅰ‐13 調査環境とタンポポの種類
15
(2)小学生調査
ア 調査地点
調査には市内の 21 小学校の 760 人の児童が参加して 760 地点で行われました。この
うち掛川市外や校区外で調査が行われたものを除いた 736 地点についての結果を集計
しました(表Ⅰ‐13)
。
小学校名
日坂小
東山口小
西山口小
上内田小
城北小
第一小
第二小
中央小
曽我小
桜木小
和田岡小
原谷小
原田小
西郷小
倉真小
土方小
佐束小
中 小
大坂小
千浜小
横須賀小
大渕小
合 計
表Ⅰ‐13 調査した地点
配布数
参加者数
実施率
11
11
100.0%
26
20
76.9%
79
7
8.9%
16
15
93.8%
119
96
80.7%
95
87
91.6%
75
54
72.0%
115
13
11.3%
35
35
100.0%
127
118
92.9%
36
34
94.4%
27
28
100.0%
9
9
100.0%
58
0
0.0%
16
10
62.5%
29
22
75.9%
34
31
91.2%
19
14
73.7%
87
46
52.9%
41
37
90.2%
76
66
86.8%
31
7
22.6%
1160
760
65.4%
16
集計数
10
19
7
14
93
82
48
13
34
117
32
28
9
0
10
22
31
14
46
36
64
7
736
イ 調査期間
調査は、平成 26 年 3 月1日から6月 27 日にかけて行われました。最も調査回数が
多かったのは、3月下旬でした。
在来タンポポの開花時期は掛川市ではおおむね3月から4月中旬までとなります。
一方外来タンポポは、これ以外の時期でも花を着けるので、4月下旬以降の調査では、
花をつけているのは外来タンポポが多くなり、外来タンポポと在来タンポポの区別が
できなかったり、外来タンポポの比率が高くなり、生育状況が調査結果に正確に反映
できなくなることもあり、両種の開花時期に調査が行われることが大切です。
今回の調査では、調査時期が不明の 55 地点を除いた 681 地点のうち 97.5%にあたる
664 地点が在来タンポポの開花時期に行われており、適切な時期に調査が行われました
(表Ⅰ‐14・図Ⅰ‐14)
。
表Ⅰ‐14 調査を行った旬別回数と割合
調査期間
回 数
割 合
3/1~3/10
4
0.5%
3/11~3/20
23
3.1%
3/21~3/31
243
33.0%
4/1~4/10
230
31.2%
4/11~4/20
164
22.3%
4/21~4/30
14
1.9%
2
0.3%
5/1~5/10
1
0.1%
6/21~6/30
不明
合 計
300
55
736
7.5%
100.0%
120.0%
タンポポの調査適期
243
250
200
230
100.0%
80.0%
164
150
60.0%
100
40.0%
55
50
23
14
4
0
20.0%
2
1
0.0%
図Ⅰ‐14 調査を行った旬別回数と割合(折れ線グラフは累積割合)
17
ウ
調査を行った環境
調査を行った環境は、当初児童の自宅の庭での調査をお願いしたことから、家の
庭が最も多く、次いで公園など児童が通学などに使っている道路の脇や遊び場所な
どで多くの調査が行われました(表Ⅰ‐15・図Ⅰ‐15)
。
ア
イ
ウ
エ
オ
カ
キ
ク
ケ
コ
サ
シ
ス
表Ⅰ‐15 調査を行った環境の地点数
調査環境
地点数
家の庭
301
公園
122
川の土手(土)
43
川の土手(コンクリート)
8
道の脇
142
学校の庭
9
運動場
6
空き地
81
畑(横も含む)
67
果樹園
2
山や林
6
駐車場
18
その他
17
合
350
300
計
822
301
250
200
150
142
122
81
100
43
50
8
9
6
学
校
の
庭
運
動
場
67
2
6
18
17
果
樹
園
山
や
林
駐
車
場
そ
の
他
0
家
の
庭
公
園
川
の
土
手
(
土
)
川
の
土
手
ト(
)コ
ン
ク
リ
ー
道
の
脇
空
き
地
畑
図Ⅰ‐15 調査を行った環境の地点数
※合計は同じ調査地内でも複数の環境があった地点があるため、調査地数と異なります。
18
エ タンポポの確認地点
調査では、調査地の 89.9%にあたる 662 地点でタンポポの生育を確認しました(表Ⅰ
-16・図Ⅰ‐16)。
小学校別の確認状況は、表Ⅰ-17 に示す通りです。
表Ⅰ-16 タンポポの確認状況
タンポポの有無
確認地点数
割合
あった
なかった
不明
合
計
662
89.9%
68
9.2%
6
0.8%
736
100.0%
不明, 6, 1%
なかった, 68,
9%
あった, 662,
90%
図Ⅰ-16 タンポポの確認状況
19
20
タンポポの確認状況
表Ⅰ‐17 タンポポの確認状況
17
オ
タンポポの花の色と生育地点数
確認したタンポポの花の色は、黄色い花のタンポポが咲く地点(黄色+白色と黄色
の花)が最も多く、生育を確認した地点の 98.5%の 652 地点で確認しました(表Ⅰ-
18・図Ⅰ‐17)
。
一方、シロバナタンポポの生育(白色のみと黄色の花+白色の花)は、市内の北東
部や海岸沿いの小学校区を除いた 14 の小学校区(図Ⅰ-18)で確認されました。
分布地域は市内に広くありましたが、確認された生育地点数はタンポポの生育を確
認した地点の 8.3%の 55 地点で多くはありませんでした。
表Ⅰ‐18 確認したタンポポの色別生育地点
花の色
生育地点数
割合
黄色の花
607
91.7%
黄色と白色の花
45
6.8%
白色の花
10
1.5%
合
計
662
100.0%
白い花, 10 ,
1%
黄色と白色,
45 , 7%
黄色の花, 607 ,
92%
図Ⅰ‐17 確認したタンポポの色別生育地点数
21
図Ⅰ‐18
シロバナタンポポの生育を確認した小学校区
22
カ
在来タンポポと外来タンポポの生育地数
黄色い花の咲くタンポポが生育していた調査地について(黄色の花のみと黄色と白
色)タンポポの種類を分類すると、在来タンポポのみが生育していた生育地は、172 地
点(26.2%)で外来タンポポのみが生育していた地点は、在来タンポポのみの生育地
の 1.5 倍の 258 地点(39.3%)でした。
在来タンポポと外来タンポポが混じって生育していた生育地(混生地)は、黄色い
タンポポの生育地の 1/4 にあたる 171 地点(26.0%)で、これを在来タンポポのみと
外来タンポポのみのそれぞれの生育地に加えると、外来タンポポの生育地(外来+在来
と外来)は、429 地点(65.8%)で、在来タンポポの生育地 343(52.9%)の 1.25 倍で
した(表Ⅰ-19・図Ⅰ‐19)
。
表Ⅰ-19 在来タンポポと外来タンポポの生育地数と割合
確認状況
生育地点数
割
合
在来タンポポのみ
172
26.2% 在来タンポポ
在来と外来
171
26.0% 343(52.6%) 外来タンポポ
429(65.8%)
外来タンポポのみ
258
39.3%
分からない
56
8.5%
合
計
657
100.0%
在来タンポポ 343 52.6%
在来, 172
分からない,
56
在来と外来, 171
外来, 258
外来タンポポ 429 65.8%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
図Ⅰ-19 在来タンポポと外来タンポポの生育地数と割合
23
90%
100%
キ
混生地での在来タンポポと外来タンポポの生育割合
在来タンポポと外来タンポポが一緒に生育している混生地(171)の在来タンポポと
外来タンポポの生育数の割合を比較すると、外来タンポポの生育数が在来タンポポよ
り多い調査地が、89 地点で混生地の 52.0%を占め、在来タンポポの方が多い生育地の
49 地点、28.7%を大きく上回りました(表Ⅰ-20・図Ⅰ‐20)
。
表Ⅰ-20 混生地での在来タンポポと外来タンポポの生育状況
生育状況
生育地点数
割 合
在来がすごく多い
23
13.5%
在来が少し多い
26
15.2%
同じくらい
29
17.0%
外来が少し多い
37
21.6%
外来がすごく多い
52
30.4%
不
合
明
計
3
171
1.8%
100.0%
在来が多い
49 ,28.7%
在来が
すごく
多い, 23
在来が少 同じくらい, 29 外来が少し多い,
37
し多い, 26
外来がすごく多
い, 52
不明, 3
外来が多い
89・52.0%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
図Ⅰ-20 混生地での在来タンポポと外来タンポポの生育状況
24
100%
ク
小学校別の在来タンポポの生育地割合
小学校区別に黄色い花の在来タンポポとシロバナタンポポの生育地をタンポポの生
育が認められた地点数で割った在来種率は、55.7%でした。
さらに、これを『生物による環境調査事典』を参考に表Ⅰ-22 により小学校区別の土
地の改変状況の進行度を求めました。
土地改変進行度が高く在来種率が低い小学校区は、東山口小学校区や千浜小学校区
ですが、そのほかには第二小学校区や中央小学校区など住宅や商店、工場が多い学区
や、農地を整備する圃場整備が広く行われている学区でした。
一方、在来種率が高く土地改変進行度の低い地域は、倉真小学校区や日坂小学校区
などの、住宅や工場が少ない学区でした(表Ⅰ-21・図Ⅰ‐21)。
表Ⅰ‐21 小学校区別の在来種率と土地改変進行度
小学校区
在来種率
進行度
小学校区
在来種率
進行度
日坂小
71.4%
3
原谷小
69.6%
4
東山口小
37.5%
7
原田小
62.5%
4
西山口小
100.0%
1
西郷小
0.0%
‐
上内田小
63.6%
4
倉真小
80.0%
2
城北小
57.1%
5
土方小
43.8%
6
第一小
55.9%
5
佐束小
45.0%
6
第二小
46.5%
6
中小
50.0%
5
中央小
41.7%
6
大坂小
68.3%
4
曽我小
60.7%
4
千浜小
39.3%
7
桜木小
56.3%
5
横須賀小
47.3%
6
和田岡小
65.5%
4
大渕小
0.0%
‐
全域
55.7%
5
※ 西郷小学校は調査が行われませんでした。大渕小学校は在来種と外来種の区別が全員
分かりませんでした。
進行度
10
9
8
7
6
表Ⅰ‐22
土地改変進行度の目安
在来種率
進行度
0~10%未満
5
10~20%未満
4
20~30%未満
3
30~40%未満
2
40~50%未満
1
25
在来種率
50~60%未満
60~70%未満
70~80%未満
80~90%未満
90~100%
図Ⅰ‐21 小学校区別の土地改変進行度
26
ケ
在来タンポポと外来タンポポの生育地の環境
調査地点数の多い環境の在来タンポポと外来タンポポの生育地環境を比較すると、
在来タンポポは、川の土手や畑での確認割合が高く、外来タンポポは空き地や道路脇
などで確認割合が高くなっています(表Ⅰ-23・24、図Ⅰ‐22)。
表Ⅰ-23 調査環境とタンポポの種類
外来タンポポ
在来タンポポ
調査地数
調査環境
割合
地点数
地点数 割合
301
44.2%
53.2%
家の庭
133
162
122
50.0%
60.7%
公 園
61
74
43
58.1%
58.1%
川の土手(土)
25
25
142
50.0%
64.8%
道路脇
71
92
81
49.4%
74.1%
空き地
40
60
67
52.2%
53.7%
畑
35
36
80.0%
70.0%
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
在来
20.0%
外来
10.0%
0.0%
家
の
庭
公
園
川
の
土
手
(
土
)
道
路
脇
空
き
地
図Ⅰ‐22 調査環境とタンポポの種類
27
畑
28
表Ⅰ‐24 環境別のタンポポの確認状況
3 小学生調査とボランティア調査の比較
(1)タンポポの花の色と生育地割合
確認したタンポポの花の色の生育地の割合を比較すると、黄色の花のタンポポが咲く
地点が最も多く、それぞれの生育地の割合はどちらも同じような割合でした。
シロバナタンポポの生育地は少なかったが、確認した小学校区は、調査地点数の多い
小学生調査の方が多くの学区で生育を確認しました(表Ⅰ-25・図Ⅰ‐23・24)
。
表Ⅰ‐25 確認したタンポポの色別生育地点数と割合
小学生調査
花の色
ボランティア調査
生育地数
割合
生育地数
割合
黄色い花
215
89.2%
607
91.7%
黄色と白色の花
19
7.9%
45
6.8%
白色の花
7
2.9%
10
1.5%
合
計
241
100.0%
662
100.0%
黄色と白色,
7.9%
ボランティア調査
黄色い花, 89.2%
白色,
2.9%
黄色と白色,
6.8%
小学生調査
黄色い花, 91.7%
白色,
1.5%
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
図Ⅰ‐23 確認したタンポポの色別生育地割合
29
80.0%
100.0%
30
小学生調査
図Ⅰ‐24 シロバナタンポポの生育確認学区の比較
ボランティア調査
(2)在来タンポポと外来タンポポの生育地数
黄色い花の咲くタンポポが生育していた調査地(黄色の花のみと黄色と白色)のタン
ポポを、総苞片の反り具合により在来タンポポと外来タンポポに分類した割合を比較す
ると在来タンポポのみの生育地はどちらも大きな違いがありませんでした。
一方、外来タンポポの生育地も、外来のみと在来との混生地を合わせた生育地の割合
は、ボランティア調査では 70.5%、小学生調査は 71.3%と違いはありませんでした。
しかし、在来と外来の混生地の割合は、小学生調査の方が 10%程度高くなりました(表
1-26・図Ⅰ-25)
。
表Ⅰ‐26 在来タンポポと外来タンポポの生育地数の比較
ボランティア調査
小学生調査
生育状況
生育地数
割 合
生育地数
割 合
在来タンポポのみ
69
29.5%
172
28.6%
在来と外来
44
18.8%
171
28.5%
外来タンポポのみ
121
51.7%
258
37.9%
合
計
234
100.0%
601
100.0%
ボランティア調査
在来タンポポの
み, 29.5%
小学生調査
在来タンポポの
み, 28.6%
0%
20%
在来と外来,
18.8%
外来タンポポの
み, 51.7%
外来タンポポの
み, 37.9%
在来と外来,
28.5%
40%
60%
80%
図Ⅰ‐25 在来タンポポと外来タンポポの生育地数の比較
31
100%
4 これまでの調査結果との比較
(1)ボランティア調査
ア 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(全域)
今回の調査結果を5年前の平成 21 年度の結果と比較すると、在来タンポポのみの生
育地は、平成 21 年度の 35.2%から 29.5%に減少しました。
一方外来タンポポのみの生育地は、平成 21 年度の 38.4%から 51.7%に増加しまし
た。
また、在来と外来の混生地の割合は、26.4%から 18.8%に減少しましたが、外来タ
ンポポのみの生育地割合が増加したので、それぞれの生育地に混生地を加えた割合は、
在来タンポポは 61.6%から 48.3%に減り、
外来タンポポの生育地は、64.6%から 70.5%
に増加しました(表 1-27・図Ⅰ-26)
。
表Ⅰ‐27 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(全域)
平成 21 年度
平成 26 年度
生育状況
生育地数
割 合
生育地数
割 合
在来タンポポのみ
76
35.2%
69
29.5%
在来と外来
57
26.4%
44
18.8%
外来タンポポのみ
83
38.4%
121
51.7%
合
計
216
100.0%
234
100.0%
在来タンポポの
み, 35.2%
平成21年度
在来タンポポの
み, 29.5%
平成26年度
0%
20%
在来と外来,
26.4%
外来タンポポの
み, 38.4%
外来タンポポの
み, 51.7%
在来と外来,
18.8%
40%
60%
80%
図Ⅰ‐26 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(全域)
32
100%
イ
在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(掛川区域)
さらに、
平成 16 年度から調査を行っている掛川区域についての結果を比較すると、
在来タンポポのみの生育地は、平成 16 年度の 26.6%が、平成 21 年度には 33.7%に
増加しましたが、平成 26 年度には 33.0%へとやや減少しました。
一方外来タンポポのみの生育地は、平成 16 年の 25.3%が平成 21 年には 36.7%、
平成 26 年には 52.3%へと次第に増加してきました。
また、在来と外来の混生地は、平成 16 年度の 48.0%が平成 21 年度には 29.5%、
平成 26 年度には 14.8%へと次第に減少してきました(表 1-28・図Ⅰ-27)
。
表Ⅰ‐28 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(掛川区域)
生育状況
平成 16 年度
生育地数
割 合
在来タンポ
ポのみ
在来と外来
外来タンポ
ポのみ
合
計
26.6%
56
33.7%
58
33.0%
74
48.0%
49
29.5%
26
14.8%
39
25.3%
61
36.7%
92
52.3%
154
100.0%
166
100.0%
176
100.0%
平成21年度
在来タンポポの
み, 33.7%
平成26年度
在来タンポポの
み, 33.0%
0%
平成 26 年度
生育地数
割 合
41
在来タンポポの
み, 26.6%
平成16年
平成 21 年度
生育地数
割 合
20%
在来と外来,
48.0%
外来タンポポの
み, 36.7%
在来と外来,
29.5%
外来タンポポの
み, 52.3%
在来と外来,
14.8%
40%
外来タンポポの
み, 25.3%
60%
80%
図Ⅰ‐27 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(掛川区域)
33
100%
(2)小学生調査
ア タンポポの花の色と生育地割合の変化(全域)
今回の調査結果を5年前の平成 21 年度の調査結果と比較すると、確認したタンポポ
の花の色は、黄色い花のみが咲く生育地が両年とも圧倒的に多く、大きな割合の変化
もありませんでした。
一方白色の花の咲くシロバナタンポポの生育地点は、平成 21 年度には黄色い花との
混生地が多くシロバナタンポポしか生育しない生育地は 1 地点しかなく、黄色い花と
の混生地の割合が多かったのですが、本年は白色との混生地の割合が減少し、シロバ
ナタンポポのみが生育する生育地が増加しました。
シロバナタンポポの生育は、平成 21 年度には調査を行ったすべての小学校区で確認
できましたが、本年は7小学校区でシロバナタンポポの生育を確認することができま
せんでした(表 1-29・図Ⅰ-28・29)
。
表Ⅰ‐29 タンポポの花の色と生育地点割合の変化(全域)
平成 21 年度
平成 26 年度
花の色
生育地数
割合
生育地数
割合
黄色の花
654
88.3%
607
91.7%
黄色と白色の花
86
11.6%
45
6.8%
白色の花
1
0.1%
10
1.5%
合
計
741
100.0%
662
100.0%
平成21年度
黄色と白色,
11.6%
黄色の花, 88.3%
白色の花,
0.1%
平成26年度
黄色と白色,
6.8%
黄色の花, 91.7%
白色の花,
1.5%
0%
20%
40%
60%
80%
図Ⅰ‐28 タンポポの花の色と生育地割合の変化(全域)
34
100%
35
図Ⅰ‐29 シロバナタンポポの生育確認学区の変化
平成 21 年
平成 26 年
イ
在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(全域)
今回の調査結果を5年前の平成 21 年度の結果と比較すると、在来タンポポのみの
生育地は、平成 21 年度の 21.2%から 28.6%に増加しました。
一方外来タンポポのみ生育地も、平成 21 年度の 41.3%から、42.9%にやや増加し
ました。
また、在来と外来の混生地の割合は、37.5%から 28.5%に減少したので、それぞ
れのみの生育地に混生地を加えた割合は、在来タンポポは 58.7%から、57.1%にや
や減少し、外来タンポポの生育地は、78.8%から 71.4%に減少しました(表Ⅰ‐30・
図Ⅰ‐30)
。
表Ⅰ‐30 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(全域)
平成 21 年度
平成 26 年度
生育状況
生育地数
割 合
生育地数
割 合
在来タンポポのみ
157
21.2%
172
28.6%
在来と外来
277
37.5%
171
28.5%
外来タンポポのみ
305
41.3%
258
42.9%
合
計
739
100.0%
601
100.0%
平成21年度
在来タンポポの
み, 21.2%
在来タンポポの
み, 28.6%
平成26年度
0%
20%
在来と外来,
37.5%
外来タンポポの
み, 41.3%
在来と外来,
28.5%
40%
外来タンポポの
み, 42.9%
60%
80%
図Ⅰ‐30 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(全域)
36
100%
ウ
在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(掛川区域)
さらに、
平成 16 年度から調査を行っている掛川区域についての結果を比較すると、
在来タンポポのみの生育地は、平成 16 年度の 22.8%が、平成 21 年には 17.0%に減
少しましたが、平成 26 年度には 27.7%に増加しました。
一方外来タンポポのみの生育地は、平成 16 年の 54.0%が平成 21 年には 46.1%、
平成 26 年には 41.0%へと次第に減少してきました。
また、在来と外来の混生地は、平成 16 年の 23.2%が平成 21 年度には 36.9%に増
加しましたが平成 26 年度には 31.4%へと再び減少しました(表Ⅰ‐31・図Ⅰ‐31)
。
表Ⅰ‐31 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(掛川区域)
平成 16 年度
平成 21 年度
平成 26 年度
生育状況
生育地数
割 合
生育地数
割 合
生育地数
割 合
在来タンポ
ポのみ
180
22.8%
85
17.0%
121
27.7%
在来と外来
183
23.2%
184
36.9%
137
31.4%
426
54.0%
230
46.1%
179
41.0%
789
100.0%
499
100.0%
437
100.0%
外来タンポ
ポのみ
合
計
平成16年度
平成21年度
在来タンポポの
み, 22.8%
在来タンポポの
み, 17.0%
0%
10%
20%
外来タンポポの
み, 46.1%
在来と外来,
36.9%
在来タンポポの
み, 27.7%
平成26年度
外来タンポポの
み, 54.0%
在来と外来,
23.2%
外来タンポポの
み, 41.0%
在来と外来,
31.4%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
図Ⅰ‐31 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(掛川区域)
37
100%
エ
在来タンポポの生育地割合(在来種率)の変化(全域)
小学校区別の在来タンポポとシロバナタンポポの生育地をタンポポの生育が認めら
れた地点で割った在来種率を平成 21 年度の結果と比較すると、全体では平成 21 年度
の 48.7%から本年は、55.7%と上がりました。
小学校区別では、掛川区域の小学校区はすべて在来種率が高くなりましたが、大東
区域の土方小学校区、佐束小学校区、大須賀区域の横須賀小学校区などは、下がりま
した(表Ⅰ‐32・図Ⅰ‐32)
。
表Ⅰ‐32 小学校区別の在来種率の変化(全域)
小学校区
平成 21 年度
平成 26 年度
日坂小
71.4%
東山口小
36.5%
37.5%
西山口小
46.0%
100.0%
上内田小
41.7%
63.6%
城北小
39.4%
57.1%
第一小
46.2%
55.9%
第二小
27.9%
46.5%
中央小
33.7%
41.7%
曽我小
25.0%
60.7%
桜木小
45.0%
56.3%
和田岡小
‐
65.5%
原谷小
53.8%
69.6%
原田小
60.4%
62.5%
西郷小
62.5%
倉真小
46.7%
80.0%
土方小
58.3%
43.8%
佐束小
45.7%
45.0%
中小
46.0%
50.0%
大坂小
58.1%
68.3%
千浜小
40.7%
39.3%
横須賀小
75.5%
47.3%
大渕小
13.8%
0.0%
全域
48.7%
55.7%
※平成 21 年度は和田岡小と日坂小は調査に参加しませんでした。
※平成 26 年度は西郷小が調査に参加しませんでした。大渕小は調査に参加しましたが、
すべてが在来種と外来種の記載がありませんでした。
38
39
図Ⅰ‐32 小学校区別の在来種率の変化(全域)
オ
在来タンポポの生育地割合(在来種率)の変化(掛川区域)
掛川区域の小学校区別の在来種率は、全体では平成 16 年度は 44.8%でしたが、平成
21 年度は 52.9%に上がり、本年度は 50.0%に下がりりました。
小学校区別では、東山口小学校区が平成 16 年度に比較して在来種率が下がっていま
す。その他の小学校区は平成 16 年度から平成 21 年度の間には在来種率が下がった小
学校区もありましたが、本年度は平成 21 年度に比較して在来種率が高くなっています
ので、平成 16 年度と比較して在来種率が上がりました。中でも平成 16 年度に在来種
率が低かった市街地の第一小学校区、第二小学校区、中央小学校区などの変化が目立
ちます(表Ⅰ‐33・図Ⅰ‐33)
。
表Ⅰ‐33 小学校区別の在来種率の変化(掛川区域)
小学校区
平成 16 年度
平成 21 年度
平成 26 年度
日坂小
55.8%
71.4%
東山口小
40.3%
36.5%
37.5%
西山口小
35.2%
46.0%
100.0%
上内田小
42.9%
41.7%
63.6%
城北小
40.8%
39.4%
57.1%
第一小
12.7%
46.2%
55.9%
第二小
35.7%
27.9%
46.5%
中央小
29.4%
33.7%
41.7%
曽我小
45.8%
25.0%
60.7%
桜木小
65.4%
45.0%
56.3%
和田岡小
50.0%
‐
65.5%
原谷小
46.4%
53.8%
69.6%
原田小
54.4%
60.4%
62.5%
原泉小
55.6%
50.0%
西郷小
68.4%
62.5%
倉真小
60.9%
46.7%
80.0%
全 域
44.8%
52.9%
50.0%
40
41
図Ⅰ‐33 小学校区別の在来種率の変化(掛川区域
5 まとめと考察
(1)調査目的と方法
掛川市内の自然環境の変化を把握するため、タンポポの分布状態の調査を行いました。
調査は市内の4年生(新5年生)と広報などで参加を呼び掛けた市民ボランティアに、自宅
周辺などでタンポポの生育の有無と生育しているタンポポの花の色、在来種と外来種な
どの区別を調査していただきました。
在来種と外来種の区別は、見分け方を図示した調査のしおりを配布し理解を深めるよ
うにし、調査結果をまとめた調査票を提出していただきそれを集計しました。
(2)参加者数と調査地点
調査には 44 組 84 人の市民ボランティアと 21 小学校 760 名の児童が参加して下さり、
それぞれ 243 地点と 760 地点で調査が行われました。
(3)確認地点数
調査でタンポポの生育を確認したのは、ボランティア調査が 99.2%、小学生調査では、
89.9%の地点でタンポポの生育を確認しました。
(4)タンポポの花の色と生育地点数
確認したタンポポの花の色は、ボランティア調査では生育を確認した地点の 89.2%が
小学生調査では 91.7%が、黄色い花を咲かせるタンポポの生育地でした。
シロバナタンポポは、黄色い花を咲かせるタンポポとの混生地が多く、生育地点数は
少なかったのですが、市内に広く分布していました。
(5)在来タンポポと外来タンポポの生育地数
黄色い花の咲くタンポポが生育していた生育地の在来タンポポと外来タンポポの生育
地割合は、どちらの調査も外来タンポポのみの生育地が最も多く、在来タンポポと外来
タンポポが混生する生育地数を加えると、外来タンポポの生育地が 65~70%と外来タン
ポポの生育地が多いことが分かりました。
(6)混生地の在来タンポポと外来タンポポの生育割合
黄色い花を咲かせる在来タンポポと外来タンポポが一緒に生育している混生地につい
て、在来タンポポと外来タンポポの生育数の割合を比較すると、どちらの調査でも外来
タンポポの生育数が在来タンポポの生育数より多い生育地が在来タンポポの多い生育地
の割合を大きく上回り、在来タンポポと外来タンポポの混生地では、生育数で外来タン
ポポが優勢なことが分かりました。
(7)外来タンポポの種類
ボランティアの皆さんには外来タンポポを種の色から、セイヨウタンポポとアカミタ
ンポポに分けて記録をしていただきました。
その結果、外来タンポポの生育地の 1/4 はセイヨウタンポポでした。
(8)在来タンポポと外来タンポポの生育地の環境
調査地点数の多い環境の在来タンポポと外来タンポポの生育地環境を比較すると、在
来タンポポは、川の土手や畑での確認割合が高く、外来タンポポは空き地や道路脇など
で確認割合が高くなっていました。
(9)小学校区別の在来タンポポ生育地の割合
小学校区別の在来タンポポに生育地の割合を比較すると、在来種の生育地の割合が高
42
い小学校区は、倉真小学校区や日坂小学校区などの住宅や工場が少なく、山林や農耕地
の多い小学校区でした。一方在来種率が低い小学校区は、東山口小学校区、第二小学校
区、中央小学校区など最近工業団地の造成工事が行なわれたり、住宅や商店などが多い
学区でした。
(10)これまでの調査結果との比較
ア 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(全域)
在来タンポポと外来タンポポの生育地の割合を平成 21 年と比較すると、ボランティ
ア調査では、在来タンポポのみが生育している生育地の割合は減少しましたが、小学
生調査では増加しました。
これはボランティア調査の多くが、在来タンポポの開花時期より遅れて行われたこ
とと、小学生調査の方が調査調査地点数が多いため、市内に広く調査地点があること
から掛川市全域の様子がより反映されており、掛川市内でも次第に在来タンポポの生
育地の割合が増えて来ているものと考えられます。
イ 在来タンポポと外来タンポポの生育地割合の変化(掛川区域)
掛川区域の在来タンポポと外来タンポポの生育地の割合を平成 16 年から比較すると、
ボランティア調査では、在来タンポポのみの生育地は減少しましたが、小学生調査で
は増加しました。
この理由は前項でも述べたように調査地点数の違いが結果に反映したと考えられま
す。
(11)参加者の感想
調査を行って下さった小学生やボランティアの皆さんからは、
 身近な自然に目を向けるこのような調査は子供たちの興味をつくるうえでとても
いい企画です(小学校の先生)。
 同じように緑豊かといっても緑色だけで実は種の多様性が失われつつあるのでは
と危機感を感じました。少しは在来種があるのかと思ったけどありませんでした。
 西の方に多い白い花のタンポポがどうやって種が飛んできたか不思議だった。
 沢山タンポポがあったが人があまり入らない所に白い花があった。久しぶりに見
たのでうれしかった。
 自然豊かな場所なのに外来タンポポン方が多かった。すごく大きな花なので在
来・外来の違いがよくわかった。
 資料に書いてある通り庭や公園には外来タンポポが多く、少し山の中や畑のまわ
りには在来タンポポが多かったです。花では全く区別がつきません。
 白いタンポポは見つからなかった。
 外来タンポポが多いのにびっくりした。白色タンポポが見たいです。
 家の付近にもまだ在来タンポポがあってうれしかった。
 在来タンポポが確認できてうれしかった。
 子どもが調査を終えてからも興味を持ちタンポポの花を裏返すようになった。ひ
とつの植物を調査するだけで、環境変化の背景を感じることができた。
 意外と日本のタンポポもあった。
 日本のタンポポは一ヶ所にまとまっているのに対し、外来はバラバラに広がって
いる。
などの感想が寄せられました。
6 今後の課題
タンポポ調査に参加された小学生やボランティアの方から寄せられた感想をからは、
43
本調査を通じて参加された皆さんが、身近な自然への関心や興味を抱いていただき、そ
の変化について考えていただけたと感じました。
自然への理解は、身近な自然に関心や興味を感じていただくことから始まります。
今後もこのような調査を通じて多くの市民の皆さんに自然への関心を持っていただけ
るような機会を作っていくことが大切です。
7 謝 辞
掛川市内の小学4年生(新5年生)の皆さんに調査をしていただくについては、資料の配
布と回収をはじめ調査にあたっての指導を各学校の先生がして下さいました。
また、下記に示す方が、ボランティアとして調査にご協力いただきました。本章の最後
になりましたが、改めてお礼を申し上げます。
【調査にご協力いただいたボランティアの皆さん】
窪野俊明 鈴木恭彦・美聡・茉友佳 佐藤富士男 柴藤昌隆・隆汰・隆巳 佐藤方弘
田辺佳恵・郁歩 石田里織・光希 鈴木尚史・美月 稲垣琢也・晴太・陽太 金原正直
大角晴香・奏 小関謙吾・さつき・将平 窪野 学・輝正・路子 佐藤 高 青野竜洋
野田栄次・恵子・杏花里 神野嵩之 林 実芳 平野真己 石山基和・花音・実音
柴田敦司 藤井康子 住本 啓・由起子・渉・環 寺田正子 中山 学 金原ようこ
浅井幸治・元気・大樹・めい 平井副代 松浦八重子 太田和也 松田賢都 大屋顯雄
柴山尚範・佳輝 原田淳子・芽衣奈・結衣奈 出羽歩美・卯生子・永都 松本愛羅
大久保悦志・美咲 尾内人美 浅井愛光・愛衣 大石幸江 勅使河原有希子 芽衣
谷口由美子・由衣 小野田貴文 森田晴江・夏生 木曽美雪・遼我 井浦夏奈子・一幸
鈴木理恵 本目あすか・拓
※順不同、敬称は省かせていただきます。
44
第Ⅱ章 猛禽類調査
1 調査の概要
(1)調査の目的
自然の世界は、たくさんの生きものがさまざまなかかわりを持ち、食べたり食べられ
たりする食物連鎖によりバランスが保たれています。
猛禽類=タカ類は、そのような生態系の頂点に位置し、広い行動圏を持つとともに多
くの生きものとかかわりをもって生活しています。
また、種類ごとに生息環境や採餌の仕方、エサなどもちがい自然の中でうまく共存し
ています。
さらに一部の種類は春秋に長距離の渡りを行い、渡りの経路は東南アジアの各地にま
で及ぶことから、広い範囲の自然や生態系とかかわりを持っています。
このような生態から、いくつかの種は指標種(=ものさし)や、食物連鎖の頂点の消
費者で生態系ピラミッドの下位にある動植物や広い面積の生物多様性・生態系を傘を広
げるように保護できると考えられるアンブレラ種として、地域の環境を評価する対象と
なります。
このような種の生息の動向を調査することにより、掛川市内の自然環境の変化を把握
することを目的に行いました。
生態系ピラミッドの概念
45
(2)調査種の概要
ア クマタカ(Spizaetus nipalensis)タカ目タカ科
環境省レッドリスト(2013)
:絶滅危惧ⅠB類
静岡県レッドデータブック(2004):絶滅危惧Ⅱ類
掛川市指定希少野生動植物種
【形 態】
大型の猛禽類で、オスは全長 70~74cm、メスは
77~83cm でメスが一回り大きく、北にすむ個体ほ
ど大きな傾向があります。
体色は雌雄が似ていて全体が暗褐色で、黒い顔
に黄色の目を持ち、後頭部冠状に逆立つ羽毛があ
る精悍な感じのタカです。
胸には褐色の太い縦班、腹には褐色または暗褐
色の太い横判があります。
翼は幅が広く、広げた長さは、オス 140 ㎝~メ
ス 165 ㎝あります。
幼鳥の目は灰青色で体色は白っぽい淡褐色をし
ていて、年齢とともに褐色が濃くなります。
クマタカのオス
【生態】
北海道から九州の低山から亜高山の林に一年を通して生息します。
繁殖活動は早く 12 月下旬から始まり、1 月中旬には巣づくりが始まります。
巣は、森林内のモミ、スギなどの針葉樹やシイなどの広葉樹の樹高 20m以上、胸高直
径 60 ㎝以上の大径木の横枝上に木の枝を積んで皿形の巣を作ります。
営巣場所の標高は、行動圏内の最低標高と最高標高の 1/2 またはやや高い位置のこと
が多く、そこに急傾斜面が存在し、周りに上記のような大木が生育していることが不可
欠な要素になっています。
多くは3月上旬から下旬に産卵が行われ、通常一腹卵数は一個です。産卵直後からほ
とんどメスが抱卵し、47 日で孵化します。
孵化後約 70 日で巣立ちをしますが、巣立ち後も巣の周辺にとどまり、親鳥が次の繁殖
期を迎える 12 月から 1 月頃までは、営巣林を中心に半径 250mの円内から出ることがな
く、親鳥から餌をもらい狩りの仕方を学びます。
行動圏の面積は、地域の植生により違いがあり、つがいあたりおおよそ8~48 ㎢とい
われています。
クマタカの行動圏には、年間を通じて生息するのに必要な獲物を確保する採餌場所と、
繁殖に必要な繁殖テリトリーの二つの重要な場所が含まれています。
採餌は、斜面を飛行しながら獲物を探す飛行タイプと森林内や林縁部の枯れ木や横枝
に止まり、獲物が出現するのを待つ待ち伏せ型の二つがあります。
狩りを行う環境は、林内に十分空間があり飛翔して獲物を追うことができる 20m以上
の成熟した高木林と、伐採跡地や自然裸地などの開放的な空間をよく利用します。
獲物はノウサギやヘビ類、ヤマドリなどの小型から中型の鳥類、哺乳類、爬虫類など
幅広く利用しています。
個体数は、近年の推定によれば、全国の最少繁殖個体数は約 2,000 羽程度とされてい
ますが、実際の生息個体数はこれより多いと推測されています(2012 年 環境省)
。
しかしながら、現在調査されている全国的な繁殖率は 30%を切る地域も多く、これは
戦後の拡大造林や森林資源の利用の激減により、採餌環境の悪化のよるものと考えられ
ています。
46
イ オオタカ(Accipiter gentillis)タカ目タカ科
環境省レッドデータリスト(2013)
:準絶滅危惧
静岡県レッドデータブック(2004)
:絶滅危惧Ⅱ類
掛川市指定希少野生動植物種
【形 態】
体長は雄 50cm・雌 56.5cm 翼開長 105
~130cm です。幅が広く短い翼と長い
尾を持ち、雄はハシボソガラス大、雌
はさらに大きい雌雄Ⅱ型です。頭上、
背、翼の上面、尾は暗青灰色で、尾に
は4本の黒帯があります。頬は青黒色
で眉斑は明瞭。下面は白地に黒くて成
鳥は細い横斑が一面にあります。嘴は
灰黒色で、脚は黄色です。
幼鳥の背中は褐色で、下面は淡褐色
で胸から腹にかけて暗褐色の縦班が
あります。
オオタカのオス
【生態】
山地の林で繁殖し、秋冬には全国の平地から山地の林に住み、農耕地や市街地にも出
現します。ほとんど鳴きませんが警戒したときには、「ケッケッケッ」という声や繁殖期
にはつがいで「ピエーピエー」などと鳴き交わすこともあります。
繁殖期は2月から8月で、巣は山林内のスギやアカマツの地上 10mほどのところに、
直径 80~90cm の大きさのものをつくり、2~4個の卵を産みます。
卵は約 30 日で孵り、その後 35 日ほどで雛は巣立ちし、1ヶ月半ほど巣の周辺で親鳥
の給餌を受けその後繁殖地を離れ独立します。
オオタカの営巣地は人の出入りや周囲の影響が少なく、林齢の高い林内空間がある林
を多く利用します。繁殖期の行動圏はおおよそ 30ha 位で、営巣地は森林や農耕地などが
混在しているところを好み、ヒヨドリやハト類、コジュケイなどの中型の鳥類を主な餌
にしています。
最近の調査では、1990 年代になって全国的にオオタカの繁殖分布が広がり、各地で繁
殖するようになりました。
このような分布の拡大は、戦後の森林回復とオオタカを取り巻く法律の整備によるも
のと考えられています。
また、環境の変化に対する適応力も高く、都市部の公園などでも繁殖地を広げている
事例も報告され 2014 年には「絶滅の恐れのある野生動植物種の保存に関する法律」の「国
内希少野生生物種」の指定が解除されました。
しかし、現在のオオタカの主要な生息地である農地や森林が混在する地域は、農業や
林業により人が作ってきた環境であるため、今後の経済状況の変化で、耕作放棄地が増
大したり、森林の荒廃が進むと採餌環境に変化が生じ、それにともないオオタカの繁殖
密度や繁殖状況にどのように影響を与えるか注意深く観察して行く必要が指摘されてい
ます(2013 樋口ほか)
。
47
(3)調査の方法
調査は、掛川市が含まれる国土地理院の 1/25,000 地形図(森・八高山・山梨・掛川・袋
井・下平川・千浜)をそれぞれ 1/4 に区切り調査メッシュとしました(図Ⅱ‐3)
。
その調査メッシュごとに平成17年度において生息が確認されている生息地(クマタカ・6
地点、オオタカ・13地点)を整理し、平成24年12月に改定された環境省の「 猛禽類保護の
進め方(改訂版)」を参考に図Ⅱ‐1~2に示すディスプレーや鳴き交わしが頻繁に行われ
る時期(求愛造巣期)に双眼鏡や望遠鏡を用いた定点観察を行い生息状況を確認しました。
生息状況調査において繁殖の可能性がある地点では、その後の観察を通じて営巣地を推
測し、繁殖後期に営巣地内を踏査し営巣木を確認し、繁殖状況の調査を行いました。
図Ⅱ‐1 クマタカの繁殖ステージと調査時期
図Ⅱ‐2 オオタカの繁殖ステージと調査時期
48
図Ⅱ‐3 調査メッシュ
49
2 調査結果
(1)クマタカ
ア 調査地点
調査は、平成 17 年度掛川市自然環境調査においてクマタカの生息が確認された地点に
その後に生息情報が得られた生息地を加えた8地点で行いました(表Ⅱ‐1・図Ⅱ‐4)
。
№
1
2
3
4
5
6
7
8
表Ⅱ‐1 クマタカの調査地点
メッシュ
地区
平成 17 年度の生息状況
原 泉
繁殖成功
B-1
原 泉
繁殖の可能性
原 泉
繁殖の可能性
B-3
原 泉
繁殖の可能性
A-4
原 泉
繁殖の可能性
B-3
倉 真
―
D-1
倉 真
繁殖成功
C-2
桜 木
50
図Ⅱ‐4 クマタカの調査地点
51
イ 調査日
調査は図Ⅱ‐1に示すクマタカの繁殖ステージに合わせ、平成 25 年4月から平成 27
年の 1 月にかけて、雌雄の鳴き交わしや飛翔が多くなる 12 月から2月とエサ運びの回数
が多くなる6月、ヒナが巣立ちをして飛び出す9月から 10 月などを中心に表Ⅱ-2に示
す日に行いました。
表Ⅱ-2 クマタカ生息地の調査日
※網掛けの調査日は、平成 25 年度自然環境調査の調査日です。
52
ウ 生息状況
現地調査の結果をもとに、調査地の生息状況を表Ⅱ‐3に示す判定区分に依り4段階
に分けて評価を行いました。
本調査では、2地点で繁殖を確認しましたが、3地点では生息の確認ができませんで
した(表Ⅱ-4)
。
各生息地の生息状況の詳細は表Ⅱ-5・図Ⅱ-5・6の通りです。
ランク
a
b
c
d
表Ⅱ‐3 生息状況区分と判定項目
生 息 状 況
繁殖を確認した。
生息を確認し、繁殖の可能性がある。
生息を確認したが、繁殖については不明である。
生息が確認できなかった。
判
ランク
成鳥につ
いて
a
巣につい
て
幼鳥につ
いて
コード
1
2
3
4
5
6
7
8
9
成鳥につ
いて
b
10
11
12
13
c
幼鳥につ
いて
巣につい
て
成鳥につ
いて
14
15
16
定
項
目
観察事項
成鳥が巣に繰り返し出入りしているのを見た。
成鳥が抱卵または抱雛しているのを見た。
成鳥が明らかに巣の雛に餌を運搬している。
使用中あるいは、巣立ち直後の巣がある。(その近くで
卵殻が見つかった。巣の周辺に糞が落ちている。巣の周
辺に採餌痕がある。)
雛のいる巣を見た。
巣からほとんど移動していないと思われる幼鳥を見た。
巣の周辺で幼鳥の声を聞いた。
ディスプレー飛翔が観察されるとともに、繁殖前・後期
を通じて生息を確認した。
鳴き交わしの声を聞くとともに、繁殖前・後期を通じて
生息を確認した。
餌渡しを見た。
交尾行動を見た。
威嚇行動や警戒声により、付近に巣または雛が存在する
ことが考えられる。
造巣行動を見た。
繁殖期に生息を確認したが、bランク以上の行動は観察
されなかった。
生息を確認した付近で、今年あるいは昨年使用形跡のあ
る巣を発見した。
繁殖期に生息を確認したが、bランク以上の行動は観察
されなかった。
53
ランク
a
b
c
d
№
1
2
3
4
5
6
7
8
表Ⅱ‐4 クマタカの生息地の生息状況結果
生 息 状 況
繁殖を確認した。
生息を確認し、繁殖の可能性がある。
生息を確認したが、繁殖については不明である。
生息が確認できなかった。
2
1
2
3
表Ⅱ-5 クマタカの生息地の生息状況結果
生息状況
メッシュ
地区
判定区分
判定コード
8
原 泉
生息を確認し、繁殖の可能性がある。
B-1
原 泉
生息を確認できなかった。
原 泉
生息を確認できなかった。
B-3
3・6
倉 真
繁殖を確認した。
16
原 泉
生息を確認したが、繁殖については不
A-4
明である。
16
倉 真
生息を確認したが、繁殖については不
B-3
明である。
3・6
D-1
倉 真
繁殖を確認した。
C-2
桜 木
生息を確認できなかった。
4
3
3
2
地点数
2
2
1
1
0
繁
殖
を
確
認
し
た
生
息
確
認
生
息
確
認
繁
殖
の
可
能
性
繁
殖
不
明
図Ⅱ-5 クマタカの生息状況結果
54
生
息
が
確
認
で
き
な
か
っ
た
図Ⅱ-6 クマタカの生息地の生息状況結果
55
エ 前回調査からの変化
各生息地の生息状況を平成 17 年度の結果と比較すると、前回の調査で繁殖を確認した
2地点は、今回の調査でも1地点で繁殖を確認し、残りの1地点も平成 26 年度の秋にデ
ィスプレーが観察され平成 27 年度に繁殖する可能性が考えられます。
前回の調査で繁殖の可能性があった4地点では、1地点で繁殖を確認しましたが、2
地点は生息の確認ができず、1地点は生息の確認はしましたが、繁殖については不明の
状態でした(表Ⅱ-6・7、図Ⅱ-7)
。
表Ⅱ-6 平成 17 年度からの生息状況の変化
平成 17 年度
平成 25・26 年度
ランク
地点数
ランク
地点数
繁殖を確認した。
1
繁殖を確認した。
2
生息確認。繁殖の可能性がある。
1
繁殖を確認した。
1
繁殖の可能性
4 生息確認。繁殖不明である。
1
生息を確認できなかった。
2
生息確認。繁殖不明である。
1
その他
2
1
生息を確認できなかった。
表Ⅱ-7 各生息地の平成 17 年度からの生息状況の変化
№
1
2
3
4
メッシュ
B-1
B-3
地区
生息状況
平成 17 年度
原
泉
繁殖を確認した。
原
原
倉
泉
泉
真
繁殖の可能性がある。
繁殖の可能性がある。
繁殖の可能性がある。
繁殖の可能性がある。
5
A-4
原
泉
6
B-3
倉
真
7
8
D-1
C-2
倉
桜
真
木
―
繁殖を確認した。
―
56
平成 25・26 年度
生息を確認し、繁殖の可能性
がある。
生息を確認できなかった。
生息を確認できなかった。
繁殖を確認した。
生息を確認したが、繁殖につ
いては不明である。
生息を確認したが、繁殖につ
いては不明である。
繁殖を確認した。
生息を確認できなかった。
繁殖確認
生息確認・繁殖の可能性
生息確認・繁殖不明
生息確認できない
4.5
4
3.5
3
2
2
2.5
2
4
1.5
1
1
2
2
0.5
1
0
17年度
26年度
17年度
繁殖確認
26年度
繫殖の可能性
図Ⅱ-7 平成 17 年度の生息地の生息状況の変化
57
(2)オオタカ
ア 調査地点
調査は、平成 12 年度・平成 16 年度・平成 17 年度掛川市自然環境調査においてオオタ
カの生息が確認された地点に加え、その後の各種の開発行為に伴う環境調査により確認
された生息地を加えた 14 地点で行いました(表Ⅱ‐8・図Ⅱ‐8)
。
№
メッシュ
1
2
3
4
A-4
C-2
5
6
7
D-1
D-3
8
地区
表Ⅱ‐8 オオタカの調査地点
平成 12 年度
平成 16 年度
の生息状況
の生息状況
原
田
繁殖確認(成功) 繁殖確認(成功)
原
原
田
田
桜
木
西
郷
倉
真
繁殖確認(成功) 繁殖確認(失敗)
―
―
生息確認。
繁殖確認(成功)
繁殖なし。
繁殖確認(成功) 繁殖確認(成功)
生息確認。
繁殖確認(成功)
繁殖なし。
生息確認。
―
繁殖なし。
繁殖確認(成功) 繁殖確認(成功)
生息確認。
繁殖確認(成功)
繁殖なし。
―
―
西山口
桜
木
9
D-4
東山口
10
E-2
11
E-4
12
F-1
13
F-3
曽 我
大須賀
南部
西南郷
大須賀
東部
14
D-2
東
山
平成 17 年度
の生息状況
生息確認。
繁殖なし。
繁殖の可能性。
繁殖の可能性。
繁殖の可能性。
繁殖確認(成功)。
生息確認。
繁殖なし。
繁殖確認(成功)。
繁殖確認(成功)
生息確認。
繁殖なし。
繁殖確認(成功)
生息確認。
―
―
繁殖なし。
繁殖確認(成功) 繁殖確認(成功) 繁殖確認(成功)。
―
―
繁殖の可能性。
繁殖確認(成功)
―
生息確認。
繁殖なし。
58
図Ⅱ‐8 オオタカの調査地点
59
イ 調査日
調査は図Ⅱ‐2に示すオオタカの繁殖ステージに合わせ、平成 25 年4月から平成 27
年の 1 月にかけて、雌雄の鳴き交わしや飛翔が多くなる2月から4月とエサ運びの回数
が多くなる 6 月、ヒナが巣立ちをして飛び出す 7 月などを中心に行いました(表Ⅱ-9)
。
表Ⅱ-9 オオタカの生息地の調査メッシュの調査日(1)
60
表Ⅱ-9 オオタカの生息地の調査メッシュの調査日(2)
61
ウ 生息状況
現地調査の結果をもとに、調査地の生息状況を表Ⅱ‐3に示す判定区分に依り4段階
に分けて評価を行いました。
本調査では、4地点で繁殖を確認しましたが、5地点では生息の確認ができませんで
した(表Ⅱ-10)
。
各生息地の生息状況の詳細は表Ⅱ-11・図Ⅱ-9・10 の通りです。
ランク
a
b
c
d
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
表Ⅱ‐10 オオタカの生息状況結果
生 息 状 況
繁殖を確認した。
生息を確認し、繁殖の可能性がある。
生息を確認したが、繁殖については不明である。
生息が確認できなかった。
地点数
4
1
4
5
表Ⅱ‐11 オオタカの生息地の生息状況の詳細
生息状況
メッシュ
地区
判定区分
判定コード
原 田 生息が確認できなかった。
原 田 生息が確認できなかった。
A-4
生息を確認したが、繁殖については
原 田
16
不明である。
生息を確認したが、繁殖については
C-2
桜 木
16
不明である。
西 郷 繁殖を確認した。
4
D-1
倉 真 繁殖を確認した。
4
生息を確認したが、繁殖については
西山口
16
不明である。
D-3
桜 木 繁殖を確認した。
4
生息を確認したが、繁殖については
D-4
東山口
16
不明である。
E-2
曽 我 生息が確認できなかった。
大須賀
E-4
生息が確認できなかった。
南部
F-1
西南郷 生息を確認し、繁殖の可能性がある。
3
大須賀
F-3
生息が確認できなかった。
東部
東 山 繁殖を確認した。
4
D-2
62
6
5
4
5
4
4
3
2
1
1
0
繁
殖
を
確
認
し
た
生
息
確
認
生
息
確
認
繁
殖
の
可
能
性
繁
殖
不
明
図Ⅱ‐9 オオタカの生息状況結果
63
生
息
が
確
認
で
き
な
か
っ
た
図Ⅱ-10 オオタカの生息地の生息状況
64
エ 前回調査からの変化
各生息地の生息状況を平成 17 年の結果と比較すると、前回の調査で繁殖を確認した5
地点のうち、今回の調査でも繁殖を確認したのは2地点でした。前回繁殖の可能性があ
った3生息地では、繁殖についての確認はありませんでした。
前回の調査で生息を確認したが、繁殖については不明だった6地点では、今回の調査
で2地点で繁殖を確認しましたが、2地点では生息を確認できませんでした(表Ⅱ-12・
13、図Ⅱ-11)
。
表Ⅱ-12 平成 17 年度からの生息状況の変化
平成 17 年度
平成 25・26 年度
ランク
地点数
ランク
地点数
繁殖を確認した。
2
生息確認。繁殖の可能性がある。
1
繁殖を確認した。
5
1
生息確認。繁殖は不明。
1
生息を確認できなかった。
生息確認。繁殖は不明。
2
生息確認。
3
繁殖の可能性。
生息を確認できなかった。
1
繁殖を確認した。
2
生息確認。
1
6 生息確認。繁殖は不明。
繁殖不明。
3
生息を確認できなかった。
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
表Ⅱ-13 各生息地の平成 17 年度からの生息状況の変化
平成 17 年度
平成 26 年度
メッシュ
地区
の生息状況
の生息状況
生息を確認できなかっ
原 田 生息確認。繁殖不明。
た。
生息確認。
生息を確認できなかっ
A-4
原 田
繁殖の可能性。
た。
生息確認。
生息を確認。繁殖は不
原 田
繁殖の可能性。
明。
生息確認。
生息を確認。繁殖は不
C-2
桜 木
繁殖の可能性。
明。
西 郷 繁殖を確認した。
繁殖を確認した。
D-1
倉 真 生息確認。繁殖不明
繁殖を確認した。
西山口 繁殖を確認した。
生息確認。繁殖は不明。
D-3
桜 木 繁殖を確認した。
繁殖を確認した。
生息を確認。繁殖は不
D-4
東山口 生息確認。繁殖不明。
明。
生息を確認できなかっ
E-2
曽 我 繁殖を確認した。
た。
大須賀
生息を確認できなかっ
E-4
生息確認。繁殖不明。
南部
た。
生息確認。
F-1
西南郷 繁殖を確認した。
繁殖の可能性。
大須賀
生息を確認できなかっ
F-3
生息確認。繁殖不明。
東部
た。
D-2
東 山 生息確認。繁殖不明
繁殖を確認した。
65
繁殖確認
生息確認・繁殖の可能性
生息確認・繁殖不明
生息確認できない
8
7
6
5
1
4
3
2
4
3
1
5
1
1
2
1
3
6
1
2
2
0
17年度
26年度
繁殖確認
17年度
26年度
17年度
繫殖の可能性
図Ⅱ-11 平成 17 年度からの生息状況の変化
66
26年度
生息確認
繁殖不明
オ 平成 12 年度からの変化
平成 12 年度の調査で繁殖を確認した掛川区域の生息地について、今回の調査結果と比
較すると、前回調査で繁殖を確認した9地点のうち今回調査で繁殖が確認されたのは4
地点でエサ運びなどが確認され繁殖の可能性がある生息地は1地点でした。
他の地点では、生息は確認できましたが確認回数が少なくて繁殖について不明な地点
が2地点、調査期間に生息の確認ができなかった地点が2地点でした。
(表Ⅱ-14・15・図Ⅱ-12)
。
表Ⅱ-14 平成 12 年度からの生息状況の変化(掛川区域)
平成 12 年度
平成 26 年度
ランク
地点数
ランク
地点数
繁殖を確認した。
4
生息確認。繁殖の可能性。
1
繁殖を確認した。
9
2
生息確認。繁殖不明。
2
生息を確認できなかった。
表Ⅱ-15 各生息地の平成 12 年度からの生息状況の変化(掛川区域)
平成 12 年度
平成 26 年度
№ メッシュ
地区
の生息状況
の生息状況
生息を確認できなかっ
1
原 田 繁殖を確認した。
た。
A-4
生息を確認できなかっ
2
原 田 繁殖を確認した。
た。
生息確認。
4
C-2
桜 木 繁殖を確認した。
繁殖不明。
5
西 郷 繁殖を確認した。
繁殖を確認した。
D-1
6
倉 真 繁殖を確認した。
繁殖を確認した。
8
D-3
桜 木 繁殖を確認した。
繁殖を確認した。
生息確認。
9
D-4
東山口 繁殖を確認した。
繁殖不明。
生息確認。
12
F-1
西南郷 繁殖を確認した。
繁殖の可能性。
14
D-2
東 山 繁殖を確認した。
繁殖を確認した。
67
繁殖確認
生息確認・繁殖の可能性
生息確認・繁殖不明
生息確認できない
10
9
8
2
7
6
5
4
2
9
1
3
2
4
1
0
12年度
26年度
図Ⅱ-12 平成 12 年度からの生息状況の変化
68
3 まとめと考察
(1)調査目的と方法
生態系の頂点に位置し、広い行動圏を持つとともに多くの生きものとかかわりをもっ
て生活している猛禽類の生息状況を調査することにより、掛川市の生態系の変化を把握
することを目的として、山地と人里の生態系の頂点に立つとされるクマタカとオオタカ
の既存の生息地で、平成 25 年 4 月から 27 年 1 月に延べ 106 日の生息状況を確認する調
査を行いました。
(2)生息状況
現地調査結果をもとにした、調査地の生息状況は、
 繁殖を確認した。クマタカ2、オオタカ4
 生息を確認し繁殖の可能性がある。クマタカ1、オオタカ1
 生息を確認したが、繁殖については不明である。クマタカ2、オオタカ4
 生息を確認できなかった。クマタカ3、オオタカ5
でした。
(3)平成 17 年度からの変化(クマタカ)
今回の調査結果を平成 17 年度の結果と比較すると、前回に繁殖を確認した2地点のう
ち、1地点では繁殖を確認しましたが、他の1地点は平成 25 年度 26 年度には繁殖が行
われず、平成 27 年度の繁殖の可能性が確認されました。
また、前回繁殖の可能性のあった4地点のうち1地点で繁殖を確認しましたが、2地
点では生息の確認ができませんでした。
クマタカは近年各地で繁殖成功率が大きく低下していることが報告されています
(2012 環境省)
。
今回の調査でも平成 25 年 26 年度の二年間は繁殖が行われず。3年目の平成 27 年度の
繁殖の可能性が確認できた調査地 1 や平成 25 年度に繁殖を確認しましたが、その後平成
26 年度には繁殖が確認できず、平成 27 年度にかけての繁殖の可能性がある行動が観察さ
れていない調査地7などクマタカの繁殖間隔がひらいている可能性が推測できました。
調査地1は今から 40 年前の 1975 年から生息が観察されており、この頃にはほぼ一年
おきに繁殖が行われていました(太田未発表)。
クマタカの繁殖成功率の低下は、人工林の増加や巣をつくる大径木の減少、林業の人
手不足による放置森林の増加などが指摘されています。
隔年で繁殖していた 1970 年頃の調査地1の空中写真と近年の空中写真を比較すると、
1970 年当時はまだ森林の伐採と植林が行われており、伐採地や植林がされて間もない林
が見られます。
開けた場所でノウサギやヘビなどを狩って餌にするクマタカにとっては、伐採地やま
だ木が小さな植林地は、餌になる動物のすみかであり良好な狩場でした。
しかしそれから 40 年を経たこの地域は、伐採も行われず当時植林された木も育ち一面
が森林に被われて、餌動物の餌になるノウサギやヘビの数も減少し、大きな翼をもつク
マタカは木の数が多く、手入れのされていない林は飛び回って餌を狩るには不適な場所
になってしまいました。
このような環境の変化が、今回の調査では前回に比較しクマタカの繁殖確認地が減少
した原因と考えられます。
69
1970 年代の空中写真
2010 年代の空中写真
図Ⅱ-13 クマタカ調査地1の環境の変化
(4)平成 17 年度からの変化(オオタカ)
今回の調査結果を平成 17 年度の結果と比較すると、前回に繁殖を確認した5地点のう
ち、2地点で繁殖を確認し、1地点で繁殖の可能性を確認しましたが、他の2地点では
繁殖を確認できませんでした。
また、前回生息を確認したが繁殖の確認ができなかった9地点のうち今回の調査で繁
殖を確認したのは2地点で、生息を確認したが繁殖については不明な地点が3地点、生
息が確認できなかった地点が4地点と営巣地や生息地が減少している傾向が確認されま
した。
オオタカは全国的には個体数や分布の拡大が報告されていますが、本調査では、生息
数の増加は確認できませんでした。
同様な傾向は、埼玉県でもあることが知られています(内田私信)。
(5)平成 12年度からの変化(オオタカ・掛川区域)
平成 12 年度の掛川区域の調査と比較すると、平成 12 年に繁殖した9調査地のうち今
回の調査で繁殖を確認したのは4地点、繁殖の可能性があるのは1地点で今回の調査で
繁殖の確認や可能性があった地点は、すべて平成 12 年度からの生息地でした。
オオタカの寿命についての報告はありませんが、15 年を経た本年度も調査地5・8・
14 の個体は、平成 12 年度の営巣木を再び使用したり、50m以内にある木を使用していま
した。
このような生息地の環境の変化を空中写真で比較すると、営巣地周辺には森林がまと
まってあり、当時やそのずっと以前からあまり環境が変わっていません(図Ⅱ-14)。
一方、今回の調査では出現回数が少なく繁殖について確認ができなかった生息地は、
平成 12 年以前にあった森林が大規模に減少し、茶園に造成されています。このような生
息環境の変化が、オオタカの生息に影響を及ぼした可能性も考えられます(図Ⅱ-15)
。
70
平成 12 年頃
現在
現在
図Ⅱ-14 平成 12 年から繁殖が行われている営巣地の環境の変化
昭和 55 年頃
平成 10 年頃
現在
図Ⅱ-15 本年は繁殖が確認されなかった営巣地の環境の変化
71
4 今後の課題
調査を通じて生態系の頂点に立つ猛禽類は、前年に行ったサシバとともに掛川市では
生息数や繁殖地が次第に減少していることが明らかになりました。
減少の原因はいくつか考えられますが、経済環境の変化による農地や山林の荒廃もそ
の一つとみられます。
クマタカが生息する市内の北部の森林は戦後の造林政策により、スギやヒノキの針葉
樹が植えられた人工林が多くの面積を占めています。これらの林はその後の木材需要の
減少や価格の低下、人手不足により間伐などの手入れがされず放置されることにより、
林の中に光が入らず林内に生える植物の種類が減少している林がいたるところで見られ
ます。このような林は、クマタカの餌になるノウサギやヘビなどの餌動物の減少を招き
クマタカの繁殖成功率の減少や繁殖間隔が広くなるなどの影響を及ぼしています(2013
樋口)
。
図Ⅱ-15 間伐がされないスギ林
このような林も間伐をすることにより、林床に光が入り林内は植物が生育ができるよ
うになります(本稿第三章参照)
営巣地周辺の広い面積の人工林が間伐により整備されている調査地4では平成 19 年以
降ほぼ隔年に繁殖活動が行われ雛の巣立ち(太田未発表)がされています。今後も市内
に広面積に存在する未整備の人工林の整備を進めることは、クマタカの生息にとっては
有効な手立ての一つと考えられます。
クマタカの古巣
クマタカの巣立ち幼鳥
72
また、
営巣地の確認数が大きく減少したオオタカも平成 12 年からの営巣地の約半数は、
この間世代交代などの可能性も考えられるにもかかわらず当時の営巣木やその周辺で繁
殖活動を行っていました。
このような営巣地は周囲に大径木のある林がまとまってあることが特徴でした。全国
的には生息数の増加が見られ、市街地の小面積の緑地でも繁殖をする事例が報告されて
いるオオタカですが、このような場所でも今後も繁殖が続いて行くのか継続的に調査を
して行くことが大切です。
図Ⅱ-16 スギの大径木に作られたオオタカの巣
図Ⅱ-17 巣に餌を持ってきたオオタカの親鳥
73
第Ⅲ章 帰化植物調査
1 調査の概要
(1)調査の目的
市内に見られるさまざまな植生において、帰化植物の割合を調査し、人為作用の強さ
と生物多様性の関係を把握するとともに、前回調査からの変化を比較し、環境の様子を
把握するために行いました。
(2)調査の方法
掛川市内の代表的な環境と植生から、平成 21 年度に調査を行った大須賀区域の調査地
で、森林については 10m×10m(100 ㎡)農耕地や堤防などの草地については5m×5
m(25 ㎡)の方形区に生育する植物の種類を記録し、全植物種類数に占める帰化植物の
割合(帰化率※)を求めました(表Ⅲ‐1)
。
なお調査結果のとまとめについては、平成 25 年度に二巡目の調査を行った大東区域の
調査地の結果も含めて行いました。
表Ⅲ‐1 調査を行った環境と面積
環境分類
植
生
面
積
アカマツ林
100 ㎡
森 林
常緑広葉樹林
100 ㎡
常緑針葉樹林
100 ㎡
農耕地
耕作水田
25 ㎡
草 地
採草地
25 ㎡
川 原
川 原
25 ㎡
砂 地
海岸砂地
25 ㎡
※帰化率はその土地に対する人間の働きかけ(人為作用)の強さの程度の指標(ものさ
し)とされていて次の式で求められます。
帰化率(%)=(帰化植物の種類数÷植物の全種類数)×100
74
2 調査結果
(1)調査地点と環境
調査は、表Ⅲ‐2・図Ⅲ‐1・2に示す平成 21 年度掛川市自然環境調査において調査
を行った大東・大須賀区域の 11 地点で行いました。
表Ⅲ‐2 調査を行った地点と環境
№
調査地点と植生
地区と環境
33 川 原3
千浜 菊川左岸中敷堤防
34 海岸砂地2
千浜 菊川河口左岸の海岸
千浜 圃場整備がされた水田。9月に稲刈りがされてい
35 耕作水田 4
る。
25
年 36 堤 防 下小笠川 土方 近自然工法で改修した堤防。
度
土方 茶園への敷き草採取のため毎年草刈りがされて
37 採草地5
調
いる茶園脇の北向き斜面下部。
査 38 常緑広葉樹林3
土方 小笠神社西の尾根上のアカガシ林
針葉樹林
土方 小笠神社西の尾根に沿った北向き斜面上部のア
39
アカマツ
カマツ林
40 常緑広葉樹林4
土方 小笠神社から北に延びる尾根上のウバメガシ林
石津 圃場整備がされた水田。9月に稲刈りがされてい
26
31 耕作水田3
る。
年
度 32 海岸砂地1
沖之須 大須賀弁財天川河口左岸の海岸
調
針葉樹林
本谷 林齢 35 年ほどの谷内にあるヒノキ林。前回調査
41
査
ヒノキ3
以後間伐施業がされた。
※調査地番号は整理の都合上平成 21 年度掛川市自然環境調査の番号を使用しています。
№33 川 原3
№34 海岸砂丘2
№35 耕作水田4
№36 堤 防
図Ⅲ‐1(1) 調査地の状況
75
№37 採草地5
№38 常緑広葉樹林3(アカガシ)
№39 針葉樹林(アカマツ)
№40 常緑広葉樹林4(ウバメガシ)
№31 耕作水田3
№32 海岸砂地1
№41 常緑針葉樹林3
図Ⅲ‐1(2) 調査地の状況
76
(2)調査日
調査は下記の日に行いました(表Ⅲ‐3)。
表Ⅲ‐3 調査を行った地点と環境
調査年
№
調査地点と植生
調査日
33
川 原 3
10 月 7 日
34
海岸砂地 2
10 月 7 日
35
耕作水田 4
10 月 7 日
36
堤 防 下小笠川
10 月 3 日
25 年
度調査
37
採草地 5
10 月 8 日
38
常緑広葉樹林 3
9 月 30 日
39
針葉樹林林 アカマツ
9 月 30 日
40
常緑広葉樹林 4
10 月 3 日
31
耕作水田 3
10 月 15 日
26 年
32
海岸砂地 1
10 月 15 日
度調査
41
針葉樹林 ヒノキ 3
10 月 15 日
77
図Ⅲ‐2 調査地点(赤字が平成 26 年度調査地点)
78
(3)確認種類数
調査を行った地点の確認種類数と帰化植物種数を比較すると、毎年草刈りをする採草
地の確認種類数は本調査の中で最も多い 50 種類を記録しました。帰化植物はありません
でした。
耕作水田は、延べ 15 種類の植物を記録し、それぞれの調査地で生育している植物は異
なっていました。
一方、堤防や川原は確認種類数が少なく、帰化植物の種類数が多く帰化率は高くなり
ました。
海岸砂地はハマボウフウやコウボウシバなどの在来の海岸植物も見られましたが、帰
化植物も多く、帰化率は高くなりました。
また、森林の確認種類数は、針葉樹林の方が広葉樹林より多く、帰化植物はどちらの
種類の森林でも確認はありませんでした(表Ⅲ‐4・図Ⅲ‐3)
。
№
31
35
33
36
32
34
38
40
39
41
37
表Ⅲ‐4 確認種類数
確認種類数
調査地点と植生
(帰化植物種類数)
耕作水田 3
5(1)
耕作水田 4
11(1)
川 原 3
15(7)
堤 防 下小笠川
16(8)
海岸砂地 1
4(2)
海岸砂地 2
9(3)
常緑広葉樹林 3
18(0)
常緑広葉樹林 4
15(0)
針葉樹林 アカマツ
21(0)
針葉樹林 ヒノキ 3
29(0)
採草地 5
50(0)
79
帰化率
20.0%
9.1%
46.7%
50.0%
50.0%
33.3%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
60
在来種
帰化植物
60.0
帰化率
50
50.0
40
40.0
30
30.0
50
20
10
0
1
4
耕
作
水
田
3
1
7
20.0
8
2
10
8
8
耕
作
水
田
4
川
原
3
堤
防
下
小
笠
川
3
2
6
海
岸
砂
地
1
海
岸
砂
地
2
18
15
常
緑
広
葉
樹
林
3
常
緑
広
葉
樹
林
4
21
29
10.0
0.0
針
葉
樹
林
針
葉
樹
林
ア
カ
マ
ツ
ヒ
ノ
キ
3
図Ⅲ‐3 確認種類数と帰化率
80
採
草
地
5
(4)前回調査との比較
ア 確認種類数
今回行った調査地の確認種類数を平成 21 年度の結果と比較すると前回から確認種類
数が増えた調査地は、耕作水田4、川原、堤防、海岸砂地2、採草地5などでした。
一方減少したのは、耕作水田3、海岸砂地1、常緑広葉樹林4、針葉樹林アカマツ
などでした。
常緑広葉樹林3や針葉樹林ヒノキ3は変わりませんでした(表Ⅲ‐5・図Ⅲ‐4)。
前回から確認種類数が減少した海岸砂地1は地面を被う植物の株数も減少し、平成
21 年と比較すると植物が地面を被う割合(植被率)は、平成 21 年は 70%だったものが、
本年度は、30%に半減していました。
減少の原因は、海岸に乗り入れる自動車により植物が踏み荒らされるためで、植物
に覆われている地面が露出すると、風により砂が吹き飛ばされて海岸が浸食されてゆ
く原因になります(図Ⅲ‐5)
。
また、ヒノキ林3は前回の調査の一年前に間伐施業がされていました。
その後は林内に入る光が増加した為、植物の種類数には変化はありませんでしたが、
今まで生長が抑えられていたヒサカキなどの低木が伸びてきて、林床の植物の植被率
は 10%から 30%に上がりました(図Ⅲ‐6)
。
採草地5は毎年秋に草刈りがされており、帰化植物の侵入もなく植物の確認種類数
も増加しました(図Ⅲ‐7)
。
前回と大きな変化がなかった常緑広葉樹林は、どちらも神社の社寺林で大木が伐採
されることなく残っている安定した環境です(図Ⅲ‐8)
。
№
31
35
33
36
32
34
38
40
39
41
37
表Ⅲ‐5 前回調査との確認種類数の比較
平成 21 年度
平成 25・26 年度
調査地点と植生
確認
帰化
確認
帰化
種数
種数
種数
種数
耕作水田 3
7
0
5
1
耕作水田 4
8
1
11
1
川 原 3
7
3
15
7
堤 防 下小笠川
14
8
16
8
海岸砂地 1
6
3
4
2
海岸砂地 2
6
2
9
3
常緑広葉樹林 3
18
0
18
0
常緑広葉樹林 4
18
0
15
0
針葉樹林 アカマツ
25
0
21
0
針葉樹林 ヒノキ 3
29
0
29
0
採草地 5
41
0
50
0
81
平成21年度
平成25・26年度
60
50
40
30
20
10
0
耕
作
水
田
3
耕
作
水
田
4
川
原
3
堤
防
下
平
川
海
岸
砂
地
1
海
岸
砂
地
2
常
緑
広
葉
樹
林
3
常
緑
広
葉
樹
林
4
針
葉
樹
林
ア
カ
マ
ツ
針
葉
樹
林
ヒ
ノ
キ
3
図Ⅲ‐4 前回調査との確認種類数の比較
平成 21 年度
平成 25 年度
図Ⅲ‐5 車の乗り入れで植被率が減少した海岸砂地1
平成 21 年度
平成 25 年度
図Ⅲ‐6 間伐により低木や草本が伸びて来たヒノキ林3
82
採
草
地
5
平成 21 年度
平成 25 年度
図Ⅲ‐7 良好な環境が維持されている採草地5
平成 21 年度
平成 25 年度
図Ⅲ‐8 安定した環境が維持されている常緑広葉樹林3(アカガシ)
平成 21 年度
平成 25 年度
図Ⅲ‐9 安定した環境が維持されている常緑広葉樹林4(ウバメガシ)
83
イ 帰化率
今回行った調査地の帰化率を平成 21 年度の結果と比較すると、常緑広葉樹林や針葉
樹林の森林や採草地は、どちらも帰化植物の確認がなく帰化率は 0.0%でした。
海岸砂地は確認種類数の増減はありましたが、帰化率に変化はありませんでした。
堤防は、改修工事から期間が経たため帰化植物の種類数は変わりませんでしたが、
在来植物の数が増加したため、帰化率が低下しました。
帰化率が増加したのは耕作水田3と川原3でした。中でも川原3は確認種数が増加
しましたが、新たに確認した 11 種類の植物のうち、帰化植物は7種類あり川の増水に
伴い様々な植物の種子が流れてくる川原は、帰化植物が定着しやすい環境といえます
(表Ⅲ‐6・図Ⅲ‐10)
。
表Ⅲ‐6 前回調査との帰化率の比較
平成
平成 25・
№
調査地点と植生
21 年度
26 年度
31
耕作水田 3
0.0%
20.0%
35
耕作水田 4
12.5%
9.1%
33
川 原 3
42.9%
46.7%
36
堤 防 下小笠川
57.1%
50.0%
32
海岸砂地 1
50.0%
50.0%
34
海岸砂地 2
33.3%
33.3%
38
常緑広葉樹林 3
0.0%
0.0%
40
常緑広葉樹林 4
0.0%
0.0%
39
針葉樹林 アカマツ
0.0%
0.0%
41
針葉樹林 ヒノキ 3
0.0%
0.0%
37
採草地 5
0.0%
0.0%
50.0%
海岸砂地1
50.0%
33.3%
海岸砂地2
33.3%
57.1%
堤防下平川
川原
50.0%
42.9%
3
耕作水田3
46.7%
0.0%
20.0%
12.5%
耕作水田4
9.1%
0.0%
10.0%
20.0%
平成21年度
30.0%
40.0%
平成25.26年度
図Ⅲ‐10 前回調査との帰化率の比較
84
50.0%
60.0%
3 まとめと考察
(1)調査の目的
市内に見られるさまざまな植生において、帰化植物の割合を調査し、人為作用の強さ
と生物多様性の関係を把握するとともに、前回調査からの変化を比較し、環境の様子を
把握することを目的に、大東・大須賀区域の調査地で、森林については 10m×10m(100
㎡)農耕地や堤防などの草地については5m×5m(25 ㎡)の方形区に生息する植物の
種類を記録し、全植物種類数に占める帰化植物の割合(帰化率※)を求めました。
(2)確認種類数
調査を行った植生別の確認種類数と帰化植物種数を比較すると下記のような結果にな
りました。
 採草地の確認種類数は本調査の中で最も多い 50 種類を記録し、帰化植物はありま
せんでした。
 耕作水田は、15 種類の植物を記録し、それぞれの調査地で生育している植物の種
類は異なっていました。
 堤防や川原、海岸砂地は確認種類数が少なく、帰化植物の種類が多く帰化率は高
くなりました。
 森林は針葉樹林の方が広葉樹林より種類数が多く、帰化植物はどちらの種類の森
林にもありませんでした。
(3)前回調査との比較
今回の結果を平成 21 年度の結果との比較は下記の様でした。
 確認種類数が増えた調査地は、耕作水田4、川原、堤防、海岸砂地2、採草地5
でした。
 減少したのは、耕作水田3、海岸砂地1、常緑広葉樹林4、針葉樹林アカマツで
した。
 常緑広葉樹林3や針葉樹林ヒノキ3は変わりませんでした。
4 今後の課題
今回行った調査地において、長期にわたって環境の変化のない常緑広葉樹林や針葉樹
林の森林や定期的に草刈りがされている採草地は、どちらも帰化植物の確認がありませ
んでした。
中でも採草地は確認した種類数も多く、地域の本来の植生がよく保たれていました。
一方堤防や川原は、堤防工事の植栽や川の増水に伴う土壌の攪乱など帰化植物が定着
しやすい環境にあり、高い帰化率でした。
また、海岸では砂浜への車の乗り入れに伴う海岸植生への影響も確かめられました。
その一方で、間伐がされたヒノキの人工林では、下層植物が次第に生育して林内を被
ってきていることが確認されました。
多くの植物が育つようになればそこに住みつく昆虫などの種類も多くなります。
今後も様々な市内の植生の変化を通じて、私たちの生活の仕方が植生にどのように影
響を及ぼし、豊かな植生を保つためにはどのような働きかけをすればいいのか考えて行
くことが大切です。
85
第Ⅳ章 アユ生息状況調査
1 調査の概要
(1)調査の目的
平成 21 年 10 月に市街地の逆川で大量のアユが目撃されたことが報道されました。
逆川は掛川市の市街地を流れ周囲の住宅地の生活排水が流入するため、過去には著しく
水質が悪化したこともありました。
しかし、近年は市街地の下水道の整備や周辺地域の合併浄化槽の普及により次第に水質
は改善されてきています。
このような中で、古くから川魚の代表として親しまれてきたアユの生息が逆川で確認さ
れたことから、水質改善の効果の証を示すことや市街地を流れる川への市民の関心を高め
るため、平成 23 年度から生息状況の調査を行いました。
平成 26 年度までの5月から7月には市街地の手前の調査地点までは、投網による捕獲で
アユの遡上が確認されましたが、市街地より上流では確認ができませんでした。
このため、本年も引き続きアユの生息調査を行い、生息状況の変化を把握することを目
的に行いました。
86
(2)調査種の概要(アユ Plecoglossus altivelis altivelis の生態)
アユは、サケ目アユ科に分類される両側回遊魚(一生を海水域と淡水域の両方で生活
する魚)です。産卵は川の中流から下流域で行われ、孵化した仔魚は秋に海に下り、翌
春までの幼魚期は海で生活します。
海からの遡上は3月から5月で、この頃の体長は 30~60mm です。遡上して河川中流域
に入ると、岩盤や石礫のあるところを好んで定住し、もっぱらそれらの表面の付着藻類
を食べて成長します。
遡上期には群れをなしていますが、河川に定住するようになるとなわばり行動を示す
ようになります。アユの友釣りはこのなわばり行動を利用した漁法です。
9月下旬ころから雌雄の生殖器官(卵巣・精巣)の成熟が進み、10 月上旬ころから次
第に産卵場所に降下を始めます。降下を始める前にはなわばりがなくなり、生育域で群
れるようになります。
産卵期は南方では 10 月下旬から 12 月で、河川の中流域と下流域の境目付近の砂礫底
の瀬に多数の親魚が集まり産卵をします。
産卵回数は 1 回で、1 回に産む卵の数は、体の大きさにほぼ比例し、体長 12 ㎝では、1
万から 2 万個だと言われています。
卵は2週間前後で孵化し、川の流れに乗って海に流れ下り、春の遡上まで沿岸域で、
主に動物プランクトンを食べて育ちます(図Ⅳ‐1)。
月
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
遡上期(30~60㎜)
河川定着期(10~25㎝)
成魚期
降下期(15~25㎝)
産卵期(15~25㎝)
ふ化・流下期(5~6㎜)
幼魚期
海域生活期(6~60㎜)
河口・海域生活期
図Ⅳ‐1 アユの生活
87
2
(3)調査地点
調査は・表Ⅳ‐1・図Ⅳ‐2に示す逆川の6地点で行いました。
地点番号
①
②
③
④
⑤
⑥
表Ⅳ‐1 調査地点の位置
地区
場所
領家
領家高橋下流
鳥居町
山麓橋上流(逆川・倉真川合流点)
城西
城下橋下流
葛川
馬喰橋下流・滝川橋上流
成滝
山口橋上流
伊達方
豊間橋上流
図Ⅳ-2 調査地点
88
調査地①
調査地②
調査地③
調査地④
調査地⑤
調査地⑥
図Ⅳ-3 調査地の状況
89
(4)調査方法
調査は、目合 18 節 9 ㎜ 800 目の投網を用い、アユの捕獲を行いました。投網は1調査
地点5投を基準とし、アユが確認できた地点においては投げ数を減らし、アユが捕獲で
きない地点においては、移動して投げ数を増やしました。
また、その他の魚類を確認するためタモ網やサデ網による捕獲、目視による確認も
行いました。捕獲した魚は、捕獲数の確認、体長の測定を行った後放流しました。
投網
タモ網
図Ⅳ-4 調査の様子
90
2 調査結果
(1)調査日
調査は、表Ⅳ‐2に示すようにアユのそれぞれの生活ステージに合わせた時期に行い
ました。
表Ⅳ‐2 調査日および天候
調査日
天候
アユの生活ステージ
5月 23 日
晴れ
遡上期
7月 2日
晴れ
河川定着期
9月 3日
曇り
河川定着期
9月 30 日
曇り
降下期
(2)捕獲数
本年アユが捕獲できたのは、調査地①②③⑤⑥でした。
調査地①は、5月と7月には投網で捕獲し、9月の河川定着期にも1匹を捕獲しまし
たが、降下期には捕獲ができせんでした。
調査地②は、前年と同様5月と9月に 1 匹を捕獲し、降下期は 2 匹捕獲しました。
調査地③は前年と同様に5月と9月上旬の調査で、それぞれ1匹ずつ捕獲しましたが
調査地④では、これまでと同様に確認はできませんでした。
調査地⑤は、本年初めて7月に1匹を捕獲しましたが、それ以外の調査日には確認で
きませんでした。
調査地⑥は調査開始後初めて5月と9月の河川定着期、降下期の3回にわたって捕獲
をし遡上を確認しました。
5月 23 日(調査地①)
7月2日(調査地②)
図Ⅳ-5 捕獲したアユ
91
表Ⅳ‐3 アユの捕獲数
調査
地
①
②
③
④
⑤
⑥
調査年度
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
平成 26 年
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
平成 26 年
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
平成 26 年
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
平成 26 年
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
平成 26 年
平成 23 年
平成 24 年
平成 25 年
平成 26 年
5月
遡上期
2
調査時期
7月
9 月上旬
河川定着期
河川定着期
7
8
7
13
4
5
17
3+多数
9
28
7
8+多数
14
1
1
9 月下旬
降下期
2
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
92
(3)捕獲個体の大きさ
捕獲したアユの遡上期にあたる5月の体長は、平成 24 年はすべて8cm 以下でしたが、
平成 24 年より5日遅い5月 23 日に捕獲を行った本年はすべて 10 ㎝以上で中には 14 ㎝
のものもありました(図Ⅳ-6)
。
さらに河川定着期の 7 月は 15 ㎝から 18 ㎝(図Ⅳ-7)と、前年より調査日が 10 日早
かったのですが成長は良好でした。
さらに9月に捕獲したものは体長は 18 ㎝程でしたが、体幅が広くよく肥えていました
(図Ⅳ-8・9)。
図Ⅳ-6
図Ⅳ-7
捕獲したアユ(5月 23 日)
捕獲したアユ(7 月 2 日)
93
図Ⅳ-8
捕獲したアユ(9月3日)
図Ⅳ-9
捕獲したアユ(9月 30 日)
94
(4)その他の魚類の確認状況
アユ以外に捕獲や目視により確認した魚類は、本年新たにヌマチチブが確認されたの
で、表Ⅳ‐4に示す5目6科 15 種になりました。
本年確認した種は、4目5科 11 種でした。オイカワは全期間を通じていずれの地点で
も投網で多数捕獲でき、稚魚も多数確認しました。
放流されたコイも、どの地点でも体長 50 ㎝以上のものが多数確認されました。
また、海水が混じる河口付近の汽水域で生育することの多いボラも、9月まで河口か
ら 20 ㎞も離れた調査地⑤まで遡上し、群れで生息しているのが観察できました。
特定外来生物に指定されているオオクチバスは、川幅が広く流れの緩やかな環境を好
むので、調査地②③には多数生息していて、20 匹以上の群が見られました。
表Ⅳ‐4 確認したその他の魚類
目
コイ
ナマズ
ダツ
ボラ
スズキ
科
コイ
ナマズ
メダカ
ボラ
サンフイッシュ
ハゼ
種名
カワムツ(Zacco sieboldii)
オイカワ(Zacco platypus)
ウグイ (Tribolodon hakonensis)
モツゴ (Pseudorasbora parva)
ニゴイ (Hemibarbus barbus)
カマツカ(Pseudogobio esocinus)
コイ
(Cyprinus carpio)
ギンブナ(Carassius sp.)
ナマズ (Silurus asotus)
メダカ(Oryzias latipes latipes)
ボラ
(Mugil cephalus cephalus)
オオクチバス(Micropterus salmoides)
ブルーギル(Lepomis macrochirus)
カワヨシノボリ(Rhinogobius flumineus)
ヌマチチブ(Tridentiger brevispinis
Katsuyama, Arai & Nakamura,)
本年確認地点
①②③④⑤⑥
①
②⑤
②
②③⑤
①②③④⑤⑥
④⑤⑥
①②③④⑤
②③
⑥
④
図Ⅳ-10 逆川で最も多くみられるオイカワ(左)とコイ(右)
95
ボラ
カマツカ
ニゴイ
ナマズ
ヌマチチブ
図Ⅳ-11 その他の魚類
96
3 まとめと考察
(1)アユの遡上状況
本年は遡上期から河川降下期の9月末まで市街地の調査地③でアユの遡上が確認でき
ました。
さらにこれまで確認がなかった市街地を越した調査地⑤と調査地⑥でも少数でしたが
アユの生息を確認しました。
調査地④の堰堤は、アユの遡上の情報を受けて魚類の遡上ができるように改良されて
います(図Ⅳ‐12)
。そのためこれまでも堰堤の上流にあたる調査地⑤でも、遡上してき
たボラの群れが確認されており、この堰の改良により魚類の遡上は妨げられることなく
行われていたことから、今回この上流でのアユの確認につながりました。
図Ⅳ-12 魚道がついた調査地④の堰堤
本年、初めてアユの生息を確認した調査地⑤は、昨年の台風による増水により川底に
砂礫が堆積して水深が浅くなって流れが速くなっていました(図Ⅳ-13)
。
そのため遡上してきたアユが定着し、今年の調査で確認ができたものと考えられます。
図Ⅳ-13(1)調査地⑤の平成 25 年度の状態
97
図Ⅳ-13(2) 調査地⑤の平成 26 年度の状態
さらに、調査地⑥は平成 24 年度から 25 年度に掛けて河川の整備が行われ、川底に堆
積した土砂や周囲を被っていた樹木や竹が取り払われて、水深が浅くなり早瀬ができた
り川面に日光が直接当たるようになりました(図Ⅳ-14)
。
図Ⅳ-14(1) 調査地⑥の河川の整備の様子
アユは、河川定着期には中流から上流域の大石や岩盤のある平瀬や早瀬、および淵の
一部になわばりをつくって定着します。
石や岩盤についた付着藻類を餌にするアユにとっては、大石や岩盤は、餌を得る大切
な場所です。
調査地⑥で本年度初めてアユの生息が確認できたのは、河川の整備により、今まで川
の淵で川底に泥がたまっていたところが取り除かれ、流れの早い瀬になり、川面に日光
が当たり、餌になる藻が付着するようになったことが理由だと考えられます。
98
図Ⅳ-14(2) 調査地⑥の河川整備前の様子(平成 25 年度)
図Ⅳ-14(3) 調査地⑥の河川整備後の様子(平成 26 年度)
99
一方前年多数の群れが5月から7月にかけて見られた調査地②は、赤い線で囲まれた
場所に上流から流れて来た砂礫が堆積し、川底の石や岩盤が砂礫に埋もれてしまいまし
た(図Ⅳ-15)
。
図Ⅳ-15(1) 調査地②の平成 25 年度の様子
図Ⅳ-15(2)調査地②の平成 26 年度の様子
100
(2)逆川の水質について
掛川市の市街地を流れ多くの生活排水が流入する逆川は、下水道の普及により近年水
質が改善されてきていますが、年によりアユの生息の条件とされる水産用水質基準とさ
れる BOD 3㎎/ℓを上回る年もあり(表Ⅳ-5 図Ⅳ‐16)さらなる努力が求められます。
表Ⅳ‐5 逆川の生物化学的酸素要求量(BOD・年平均値)の変化(単位;mg/L)
17 年度
18 年度
19 年度
20 年度
21 年度
22 年度
23 年度
24 年度
長谷橋
5.1
3.6
4.4
3.2
3.5
2.0
3.4
2.4
大手橋
4.6
3.0
4.8
2.8
1.6
4.4
1.8
2.5
(掛川市の環境より)
6
mg/L
5
4
水産用水質
基準
3
2
1
0
17年度
18年度
19年度
20年度
21年度
長谷橋
22年度
23年度
24年度
大手橋
図Ⅳ‐16 逆川の生物化学的酸素要求量(BOD・年平均値)の変化
101
4 今後の課題
ここ4年間にわたって逆川では、アユの遡上を確認でき本年はこれまで確認できなか
った市街地の上流でも、遡上が確認できました。
逆川は、市街地を流れ流域面積も短いため、アユの生息にはあまり適さない川ですが、
河川定着期には 10 匹以上も捕獲されるように群れで生息しているような生息環境が良好
な場所もあります。
その他の魚もこの間の調査で次第に増加し、5目6科 15 種の生息が確認されました。
これは市街地や農村地域に下水道や合併浄化槽が普及し、一時悪化した水質が次第に
改善されてきたことも大きく寄与しているものと考えられます。
その一方で、多数の放流したコイが大きく成長し多数みられるとともに、特定外来生
物のオオクチバスも多数生息しています。
コイは体長が大きく、雑食性なため底や水草に付着した貝類や水生昆虫、水草などを
はじめとして他の魚の卵も食べます。オオクチバスやブルーギルは肉食で、他の魚類の
魚類への影響が危惧をされ特定外来生物に指定されている魚類です。
これらの魚類は、逆川の生態系に大きく影響を及ぼしていると考えられ、今後はこの
3種の魚類に対する対策も検討しなくてはなりません。
102
【参考・引用文献】
本調査を行い、報告書を作成するにあたっては下記の資料や文献を参考にするとともに
引用をさせていただきました。
・ 沼田 『植物生態の観察と研究』 東海大学出版会 1997
・ 岩瀬ほか 『写真で見る植物用語』 全国農村協会 2004
・ 林 『野に咲く花改訂版』 山と渓谷社 2013
・ 佐竹ほか 『日本の野生植物』 平凡社 1996
・ 清水編 『日本の帰化植物』 平凡社 2003
・ 杉野 『静岡県の帰化植物』 2008
・ 静岡県自然保護室 『守りたい静岡県の野生生物 動物編』 羽衣出版 2004
・ (財)日本自然保護協会『 生態学からみた里やまの自然と保護』 講談社 2005
・ 内山他 『生物による環境調査事典』 東京書籍 2003
・ 広木他 『里山の生態学』 名古屋大学出版会 2002
・ 宇田川 『農山漁村と生物多様性』 家の光協会 2000
・ 佐藤・新里 『野生生物保全技術』 海游舎 2003
・ 守山 『水田を守るとはどういうことか』 農山漁村文化協会 1997
・ (財)日本自然保護協会 『指標生物-自然をみるものさし』 思索社
・ 樋口編 『日本のタカ学』 東京大学出版会 2013
・ (財)日本自然保護協会 『生態学からみた里やまの自然と保護』 講談社 2005
・ 盛岡他 『図鑑 日本のワシタカ類』 文一総合 1995
・ 東ほか 「サシバとその生息地の保全に関する地域生態学的研究」 我孫子市鳥と自然
の博物館調査研究報告 2004
・ 掛川市 『平成 12 年度掛川市環境基本計画自然環境調査報告書』 平成 13 年
・ 掛川市 『平成 15 年度掛川市自然環境調査報告書』
平成 16 年
・ 掛川市 『平成 16 年度掛川市自然環境調査報告書』
平成 17 年
・ 掛川市 『平成 17 年度掛川市自然環境調査報告書』
平成 18 年
・ 掛川市 『平成 21 年度掛川市自然環境調査報告書』
平成 22 年
・ 掛川市 『平成 25 年度掛川市自然環境調査報告書』
平成 26 年
・ 環境省ホームぺージ 「猛禽類の保護の進め方」 環境省記者発表資料 平成 25 年
・ 環境省ホームぺージ 「レッドリスト」 環境省記者発表資料 平成 25 年
・ 川那辺ほか 2010 年 『日本の淡水魚』 山と渓谷社 2002 年
・ 水産庁 『日本の希少な野生生物に関するデータブック』(社)日本水産資源保護協会
2000
・ 掛川市ホームページ 「掛川市統計書」
平成 25 年
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平成26年度掛川市自然環境調査
(タンポポ・希少動物生息状況・帰化植物・アユ)
報告書
平成27年3月
静岡県掛川市環境政策課
〒436-8650 静岡県掛川市長谷一丁目一番地の一
電話:0537-21-1218
調査請負者 有限会社 遊然舎
〒436-0031 静岡県掛川市高御所 1285-13
電話:0537-62-2473
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