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第二年次指導書 - 東京学芸大学

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第二年次指導書 - 東京学芸大学
「子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト」
モンゴル国教育文化科学省
JICA 共同プロジェクト
L. Choijoovaanchig, L. Munkhtuya , B. Zolzaya,
D. Tsedevsuren, Ch. Dolgorjav
問題を解決しながら情報を知識に変換する指導法
教育水準: 中等教育
教科: IT
単元: 情報
2年次指導書
著作権はモンゴル国教育文化科学省と
国際協力機構に帰属し無断複製を禁ずる
ウランバートル市
2008 年
DDC
020’023
CH-754
執筆者:
L. Choijoovaanchig
L. Munkhtuya
B. Zolzaya
D. Tsedevsuren
Ch. Dolgorjav
教科専門家:
篠原 文陽児
モンゴル国立教育大学コンピュータ情報技術学部長
准教授
モンゴル国立教育大学コンピュータ情報技術学部教員
モンゴル国立教育大学コンピュータ情報技術学部教員
モンゴル国立教育大学コンピュータ情報技術学部
プログラミング教授法学科主任
モンゴル教育大学コンピュータ情報技術学部
ネットワーク、情報システム学科主任
東京学芸大学教授
専門家:
D.Ulam-Orgikh
S.Erdenetsetseg
試行授業担当教員:
D.Altantuya
D.Narantuya
B.Byambakhand
Ts.Baasanjav
D.Delgertsetseg
B.Erdenechimeg
G.Giikhtuya
Ts.Altantsooj
L.Lkhamkhuu
Kh.Solongo
A.Nyamtuya
T.Dolgormaa
Ch.Sarangerel
モンゴル国立大学物理電子研究科教務課長、教授、博士
モンゴル国立教育大学教育学部副学部長、博士
ウランバートル市教育文化局教育主事
セレンゲ県教育文化局教育主事
ドルノド県教育文化局教育主事
ウランバートル市 97 学校教員
ウランバートル市 45 学校教員
ウランバートル市セトゲムジ校教員
セレンゲ県 1 学校教員
セレンゲ県 4 学校教員
セレンゲ県ホシャットソム校教員
ドルノド県 5 学校教員
ドルノド県ハンウール統合校教員
ドルノド県マタドソム校教員
ドルノド県マタドソム校教員
ISBN 978-99929-0-595-6
目次
序論 ……………………………………………………………………………………i
指導書の利用方法……………………………………………………………………vi
第1章 中等教育における情報学教科指導、学習活動を計画する指導法
1.1 中等教育における情報学教科指導の現状…………………………………1
1.2 情報学教科で総合能力を育成することについて…………………………2
1.3 中等教育において情報学教科の学習を活性化させる方法………………4
第2章
2.1
2.2
2.3
2.4
2.5
情報学の授業における技術を改善する指導法
「情報」領域に基づいて知識を創造する指導法…………………………11
「情報」単元と教材研究……………………………………………………21
試行単元における教材の準備と作成方法…………………………………25
試行授業の単元指導…………………………………………………………35
試行授業の結果と結論………………………………………………………79
第3章 情報の授業における躓きの研究
3.1 躓きの研究……………………………………………………………………86
3.2 生徒の自己評価用シート作成方法…………………………………………89
3.3 単元に関する課題例のパターン……………………………………………94
添付資料
添付資料Ⅰ
添付資料Ⅱ
教員に向けた理論の追加内容………………………………………96
用語解説………………………………………………………………111
参考文献…………………………………………………………………………………112
i
第 2 年次指導書刊行にあたって
JICA 子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト
石井 徹弥
2008 年 9 月の新学期を前に「子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト」に
よる 2 年目の指導書 8 冊を刊行できることを嬉しく思います。
モンゴルの基礎教育セクターは現在、さまざまな変革が行なわれています。12 年制
度への移行と 6 歳児入学もその一つです。12 年制度への移行とともに新たな教科書が
使用されていくことになるでしょう。この指導書は特定の教科書に即して作られたの
ではありません。どの教科書であっても、子どもが自ら学ぶ力を引き出すような授業
をするにはどうしたらいいのかという観点から作成されています。
この指導書は、モンゴル国立大学とモンゴル国立教育大学の教員を中心とする8つ
の科目別ワーキンググループが、モデル校 9 校での試行授業を経て完成させたもので
す。より正確に説明させていただくと、
1)ワーキンググループがモデル校教員とともに協議のうえ、指導書の内容を検討し、
2)日本人専門家の助言を受け、
3)ドラフトした指導書を、
4)ウランバートル、セレンゲ、ドルノド県の9つのモデル校での 3 学期および 4 学
期(冬季)に行なわれた試行授業の結果を反映させ、
約 1 年間かけて完成させたものです。
2 年目の指導書作りの特徴はこのようにセレンゲ、ドルノド県というウランバート
ル市以外の学校の視点を積極的に取り入れたことです。
試行授業にご協力いただいたウランバートルの 45 学校、97 学校、セトゲムジ校、
セレンゲ県の1学校、4学校、ホシャットソム校、ドルノド県のハンウール統合校、
5 学校、マタドソム校の校長、教頭、先生たち、ウランバートル市、セレンゲ県、ド
ルノド県の指導主事の皆さんに感謝いたします。
9 つのモデル校の皆さんには、このプロジェクトでの経験を可能な限り近隣の学校
にお伝えて下さいますようお願いいたします。
8 つのワーキンググループの皆さんの指導書を完成させるまでのハードワークは感
動にたえません。
本指導書が、モンゴルで今後、新たに制定される教育スタンダード、教科書作りに
も役立つことを願ってやみません。
ii
-第 2 年次指導書刊行にあたって-
東京学芸大学
篠原 文陽児
「児童生徒が自ら学ぶ力を引き出し、彼らの発達を支援する指導法の開発と改善」
に寄与すると信ずるに足る本書を、ここにお届けできることは、筆者の大きな喜びで
ある。
本書の執筆と編集に直接当たられた先生方に対する心からのねぎらいと感謝を申
し上げる。同時に、プロジェクト活動の遂行に関係されているモンゴル国教育文化科
学省をはじめとする関係諸機関、試行学校、県教育局、地域及び家庭にある関係者の
多くに対しても、それぞれが示された深いご理解とご支援に、大きな謝意を表したい。
本書は、2007 年刊行の第1年次 IT 教育指導書とは異なり、ウランバートル市での
試行授業のみに基づくのではなく、特に本プロジェクトにおいて第 2 年次からモデル
県とされたセレンゲ県とドルノド県における特色ある IT 教育に係る試行授業の結果
を反映させて執筆されている。いわば、中央と地方それぞれの都市における地域の良
さと地域特有の学校の実態及び児童生徒の発達段階の特色の両者を踏まえた IT 教育
の理論と実践に関する第 2 年次の成果である。同じく、プロジェクト開始当初から配
慮すべき重要な事項の一つと考えられていた他の教科や領域での IT 活用も視野に入
れ、それぞれに共通する包括的な指導法の概念・手法の確立も強く意識し、まとめら
れている。
一方、本書では、いわゆる教材研究に重点をおいた記述が見られる。
教材研究とは、「目標を効果的に達成するために、教師の教授機能を助け、生徒の
学習活動を助けるものとして作り出されたり、選び出されたりする素材の研究」であ
る。端的に言えば、教材研究とは、教授や学習の目標の効果的な達成と、個々の児童
生徒の学習の過程を最適化し教授と学習を成立させるため、授業ストラテジー、学習
スタイル、メディア、素材を身の回りに見つけたり、これらが無ければ作ったり検討
したりして、これらすべてを指導案の中に周到に取り込み組織化する、教師間の共同
作業である。したがって、教材研究の究極の課題は、1 人ひとりの子どもの発達と教
科の科学的な発展を考慮して授業の目標に最適な指導案の内容作りにある。つまり、
教材研究の究極の目的は、教科書作り、授業作りにあり、目標の設定、目標の明細化、
内容の選択、素材とメディアの選択と開発、評価である。
「個体発生は系統発生を繰り返す」という。つまり、ひと 1 人ひとりの発達は、人
間の発達の縮図である。
発達段階にそった指導と学習という観点では、学習者の回答を即座に「間違い」で
あると断定する愚は避けなければならない。例えば、J.ピアジェによれば、一般的に、
初等教育段階では「重さと加速度」が分化していなくても間違いではない。しかし、
中等教育段階以降、特に高等学校レベルでは、「重さ」と「加速度」が違うことを説
明できなければ、間違いとなる。ただし、これも、そうした事前の周到な準備と、そ
れであっても、子どもを前にした実践の場で、地域と子どもの実態に敏感に対応し、
変更することもいとわない指導がなされていればの話、である。
iii
まさに、人間一人ひとりの発達は、アリストテレス的思考からガリレオ的な思考へ
の発展、つまり近代科学への転換である。
IT 教育で言えば、例えば、「情報」「データ」「知識」が分化していなくても、初
等教育段階では、間違いではない、ということである。初等教育段階の後半から中等
教育段階に学習内容が進行するにつれ、日常概念から科学的な概念への深化と分化が
起こり、情報が生きて働く科学的な知識として蓄積されるとともに、日常用語が科学
的な用語に発展していくように指導がなされなければならないのである。こうした指
導の後にでも、概念と言葉の科学化がなされていなければ、初めて、間違いとすべき
であり、間違いの理由の解明とこれらを指導方法の改善に向ける努力が教師に求めら
れている。
日本国文部科学省は、2008 年(平成 20 年)3 月 28 日、新しい幼稚園教育要領、小
学校学習指導要領及び中学校学習指導要領等を公示した。1947 年の試案、1951 年の
第 1 回改定以来、ほぼ 10 年単位で改定を重ねてきた学習指導要領の第 7 回目の改定
である。
新しい小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領では、それぞれ「第1章 総則」
の中で、前回平成 10 年の学習指導要領では 1 度だけ記述されていた「発達段階」と
いう言葉が、3 箇所で追加記述されていることは、注目に値する。うちひとつは冒頭
の「学校の教育活動を進めるに当たっては」で始まるパラグラフに、他の2つは、「学
校における道徳教育は」と「学校における体育・健康に関する指導は」のパラグラフ
である。
児童生徒の発達の段階に適った教育を、今日に至ってもなお、あるいは、不安定な
不確実な時代だからこそ、日本国の教育においても、いっそう強調する姿勢をうかが
うことができる。
本プロジェクトの上位目標は、「子どもの発達を支援する指導法」がモデル県にお
いて普及されることであり、「子どもの発達を支援する指導法」がモンゴル全国に普
及されることである。今こそ正念場である。
本指導書は、モンゴル国におけるモデル校などプロジェクト参加校のみならず多く
の学校で活用される必要がある。活用の結果は、近くにいる関係者あるいは本書に記
された執筆者に報告などされ科学的な処理と考察を経て公表されることにより、本書
がさらに充実し、モンゴル国の教育の発展と日本国の教育の発展にいっそう寄与する
に違いない。
本書が、IT 教育担当者のみではなく、IT を活用し、子ども中心の充実した確かな
教育の発展を願うすべての教員等に活用されることが期待されている。
iv
序論
ここに「子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト」の「問題を解決しなが
ら情報を知識に変換する指導法」という2年次指導書を刊行する。
初等教育では、初めての概念である情報通信技術ツールを視覚教材として生徒に与
え、興味を持たせて知識を習得させている。教員の指導法に対する支援、改善に配慮
し、「情報」領域における指導案の作成方法に基づき、1年次指導書を刊行した。
中等教育では情報通信技術教材ツールを扱う、情報を交換する、文章を作成する、
最も普及している現代のプログラムソフトを使う知識や能力、習慣を習得させること
を目指す授業を組み立てている。
この指導書では、問題を解決するために情報通信技術をどのように利用するか、対
象とする生徒の年齢、特徴に応じて知識を創造する指導法、また情報学教科を活性化
させる工夫を導入した。7、8年生を対象に「情報」単元10時間の授業を上記の指導法
を基に試行授業を行った結果を載せた。しかし一部の教員には、一つの「領域」を教
えてから次へ移るという傾向が見受けられ、プロジェクト実施中、上記の場合どのよ
うに改善するかについての研究を進めている。情報学教科教育スタンダードや利用さ
れている教科書に、領域それぞれの知識を習得させ、能力、総合能力を形成させるよ
うに記述されていることとも関連があることを否定できない。
生徒がどのように積極的、自発的に参加するかは、殆どの場合、教員の授業準備に
左右される。そのため、教材は科学的根拠を持つ、興味深い形態で用意されることが
重要である。この指導書では、プレゼンテーションや資料を作成する方法に関して、
どのような指導法を用いて、どのように実施するかについて明確な事例を取り上げた。
試行してみるよう提案したい。
皆様のご成功を祈念して。
意見や要望についてはモンゴル国立教育大学コンピュータ情報技術学部 「IT教育
指導法開発センター」まで。
v
指導書の利用方法
この指導書では、問題を解決しながら情報をどのように知識に変えるか、教室で知
識を創造する指導法をどのように活用するか、生徒の発達によって指導法を計画する、
生徒の学習過程で生じる躓きとその理由、その躓きから学ぶ際の教員からの支援など、
重要な問題を扱い、また試行教員の経験を基に執筆されたものである。そのため各単
元をよく読み、新たな指導法を試行し、現場で活用されるものと期待する。
下記について再度注意して利用して欲しい。
1. 指導案作成の方法を参考にして、中等教育課程の 7、8 年生を対象に「情報」
領域内で単元及び単位授業指導案を作成する;
2. 情報学教科で使われる指導法を活用し、授業を積極的で創造的に行い、学習活
動を支援し、生徒の活動を支援し、発達させるために、授業を計画しているこ
と;
3. 指導書の内容は情報教育スタンダードに緊密に連携しており、内容的に縦横の
関係を詳しく示すよう配慮したことに注意すること;
4. もし教員が指導書の課題例通りに学習活動を計画しているのならば、生徒のレ
ベルと知識を確認し、授業の準備を周到に行うこと;
5. 教員の授業準備のために追加情報、評価モデル、知識レベルの確認項目、及び
総合能力形成を評価する課題について例を添付資料として入れたので授業に
十分に活用して欲しい。
vi
第1章
中等教育における情報学教科指導、学習活動を計画する指導法
1.1
中等教育における情報学教科指導の現状
情報学の教員再訓練研修に参加した教員(普通教育校の35名の教員)を対象に行っ
た調査に基づいて、中等教育における情報学教科実施の現状を簡単に取り上げる:
- 教材は置かれている状況に応じて加工し、使用している。授業で使用する電子
教材が整備された。
- 情報学教科に生徒は興味を持っている。社会の発展に伴い、情報通信技術を日
常的に使うようになった。
- 授業を上手く教えるためには準備を周到に行うことが必要である。しかし情報
学担当教員の多数は学校の事務を非正規に兼務し、またPCルームのコンピュー
タを初期化する、ソフトをインストールする、学校の統計調査資料を作成する
などに少なくない時間を割かれている。
- コンピュータの台数が限られているので、3、4人で一台を使う場合がある。あ
る場合には情報学教室で授業が行われていないため、授業の質に大きな影響を
及ぼす。
-
教員は一定の時間をかけて指導案を作成しているが、それを全て活用できる
訳ではない。それは教科書、テキスト、利用可能な資材が不足していることに
よることが明らかであり、今年度の場合には7、8年生のみで教科書が利用され
ている。
- コンピュータを扱う技能は生徒によって異なる。そのため与える課題を様々な
パターンで作成する必要がある。
- 教員は「領域の計画を作成する指導法」という指導書を参考にし、試行してい
る。また刷新は自分で始めるのだという前向きな気持ちでいることを表明して
いた。つまり、プロジェクトについて知り、次回の指導書が質の高いものであ
ることを願っていた。
上記を通して、どのように情報学の授業が行われているか現状が把握できる。どの
ような学習環境でも、教員が指導法を適切に選択し、その学習を質の高いものにする
必要が生じている。初等教育レベルで生徒が情報学の初歩的な科学的理解を得たとす
ると、中等教育ではコンピュータを使って、情報通信技術を活用し、あらゆる問題を
解決できる能力を形成することが重要である。この目的をどのように果たすかという
質問に対しての回答が本指導書となる。
1
1.2
情報学教科で総合能力を育成することについて
「子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト」の情報学教員を対象とした指
導書は、中等教育における情報学教科の指導、学習行動を実施する指導法で構成され
ているということが特徴である。
中等教育の情報学の指導法の発達について情報学教育スタンダードには、生徒が積
極的かつ自力でコンピュータを扱う、教員と生徒のコンピュータを通じた協力が「コ
ンピュータ-教員-生徒」という3者の関係であると規定されている。
情報学教育によって生徒に形成される総合能力を評価する項目は、下記のように
理解することができる。 (教育レベルに関して)
初等教育の場合:
第 1 項目
知識、技能、作品を区別する、記憶する、名称を分かる能力;
第 2 項目
知識、技能、作品の性質を感じる、使い方を説明する能力が中心だっ
た。
中等教育の場合:
第 3 項目
知識、技能、作品の背景、成果、関係を意識し、運用する能力に基づ
くべきである。
実際に、初等教育では情報学の科学的な基礎的理解についての情報を生徒が習得し
ていたが、教育レベルが上がることによって知り得た知識、情報を考え、実行し、生
徒が自分自身で知識を創造することを支援、指導することが必要である。
教員は学習方法を習得させるため、以下の役割を果たす。
1. 教員は生徒に学習方法、技能とは何か、どのように発展させることが可能かに
ついて説明する。
2. 授業では課題は易しいものから難しいものへと段階的に引き上げ、そこで生徒
が与えられた課題を自律的に解決する能力を形成するという目標を達成させ
る必要がある。
3. 生徒が課題を解決することが出来るかどうかを自分で判断する。こうすること
で、様々な新しい環境や条件で能力を活用する機会を教員が与える。
4. 生徒が課題を解決する時は、課題を解決する能力をどのように得たかに応じて
質問をする、生徒の答えや説明を聞く、他者と意見交換しているなどの状況か
ら明らかにする。
2
6. 教員は評価する色々な方法を場面に応じて適切に活用し、教員自身が教えた授
業内容、考え方、生徒の学ぶ能力との関連を分析し、これからの発展に繋げて
いればよい。
上記のことを解決するため、この指導書は下記の意義があるとみている:
- 教員は情報学教科で練習問題や課題を行わせることで、生徒に理論的な知識を
習得させ、総合能力を明確な段階を追って形成させる方法を身につけ、実施し
ていく。
- 生徒は興味がある物事に対して、より関心を向けることを考え、教材を面白く、
適切に、効果的に準備する、また適切に利用する方法を調べる、開発する。
- 授業の終わりに、生徒がどのように成長しているかについて教員は注目し、自
身の行動に活用する。
- 情報通信技術に関する総合能力を持つ市民を形成するという目的を果たすた
めの準備として、生徒が問題を解決するために情報通信技術を効果的に活用す
る可能性をどのように開くことができるか、というアイディアを得ることがで
きるような教具を反映させた。
教員は生徒が課題の解き方を理解しているかどうかよりも、生徒が内容を理解して
いるか、課題を解くことができるかできないかに注目し、ほとんどの場合、認識過程
の成長ではなく、テストの点数に注目している。以後は、上記のような場面を避け、
学習方法をどのように、いつ活用できるのかという生徒の問いかけに対して、まず解
答を得たいという希望を抱かせることを重視すべきである。それができてこそ、総合
能力を形成させることを教員自身も学んでいくのである。
プロジェクトが実施された昨年度の効果の1つは、モデル校の教員の指導法や技
能が明らかに向上したことである。例えば:2007年ウランバートル市の各区で行われ
る『教員技能コンテスト』に試行教員が参加し、Ts.Baasanjabが第2位、D.Delgertsetseg
が第3位に入賞した。
教員の指導法改善に関して少なくない成功がみられたが、注意すべき点もあった。
例えば、情報学の単位授業をどのように計画し、実施するか。作成した指導案をどの
ように活用するか。情報学の授業で活用される指導法を単位授業にどのように応用す
るかなど。このため、以上の点に注意を払いながら、実施する必要がある。
3
情報学の授業で、教員が知識を創造する活動を指導する時には、学習を活発化させ
る方法を合理的に実施し、学習にマルチメディア教材、機器を利用するべきである。
また生徒の発展レベルに応じて、情報技術機器の適切な取り扱い方を習得することが
授業過程に対して大きな影響を与える。
教員が単位授業の指導案の中で、学習を活性化させる方法を記述しているが、授業
のどの段階でどう実施されているかや、それが効果的であったかどうかが明確ではな
い。
そのためにこれらの指導法のどれがメリットで、どれがデメリットであるかを判断
する前に、その指導法が当該授業の目的、目標、生徒の発展段階に関連していること、
教員に合ったものであるかに注意することが重要である。
われわれは授業の中で、既存の情報を与えることをやめ、情報を受けとめ、処理す
る方法、知識を創造する方法を教えることを目指している。情報学の授業では、生徒
がどのように学び、どのように発達するかを研究し、指導法を決定するのが良いであ
ろう。
1.3
中等教育において情報学教科の学習を活性化させる方法
教員を対象にした独創的な思考を習得させる研修が少なからず行われているが、そ
れを授業にどのように活用していくことについて、彼らの考え方や技能は様々である。
良い教員は与えている課題、質問の問いかけを通して、生徒の興味や探究する過程を
活性化させている。生徒が自分自身の知識レベルや範囲の中で、物事を発見する行動
が多く行われるようになった時、学習活動が最も活発になると考えられる。下記の表
で、創造的な思考やそれによって形成される考え方が、情報学の授業のテーマにどの
ように反映されているかを示す。
№
1
2
表 1.創造的思考の方法、そこで形成される考え方
創造的思考の方法で形成される
情報学の授業テーマと
学習方法
考え方
の関連する例やモデル
既習知識に基づいて既知のものをを未 MS WORD ソフトを学
知のものと比較することは、知識を現 ぶため、既習した
INSERT
実的に受け取める機会を創出する。
WORD PAD ソフトと比
較するなど。
創造的思考は驚くことで始まり、創造 どんなサイズで写真を
教員の質問 的な質問が好奇心を引き起こし、物事 現象するか。どんな種
の方法
の意味を知りたいという人間に本来あ 類、サイズの紙がある
る性質に基づくべきである。
か。
4
3
4
5
6
7
8
9
10
11
創造的思考の一つの方法は情報をあり Windows Explorer ,
さいころを 得るすべてのパターンに変換し、比較 My Computer,
My Documents ソフトの
使って説明 する方法である。
特性、共通点と相違点を
する方法
説明する。
世界には一般的に同じ性質を持たない コンピュータのパフォ
グループに 物はないが、物にはそれぞれの特性が ーマンス名を挙げる。
ある。情報分析と結論の関係、その特 (Pentium III, Pentium IV
する方法
徴を理解することが重要である。
など)
講義内容は興味を引きつける、皆に役 「コンピュータの歴史」
講義の方法 立つものである、つまり学習は常に退 というテーマを教える
屈なものであってはならない。
際、実物を使う。
生徒が自分の価値や名誉に自信を持つ Windows Movie Maker
ように自由な環境が整えられ、新しい ソフトを使って、ビデオ
編集の方法
アイディア、多様な思考を交換する機 編集に関する課題を用
(JIGSAW)
会が備えられ、更に情報処理する能力 意する。
を習得できるようサポートする。
相手の話を聞き、意見交換するという MS WORD ソフトで表
PAIRSHARE
のは協力の価値を感じる助けとなる。 彰状と招待状のサンプ
(ペアで行動
ルを作る。 Template フ
する)
ァイルを起こす。
良い評価は全ての活動(人間)を向上 8 年生を対象にした試
単元評価の
させるためにある。
行授業 5 番を参照のこ
方法
と(72 ページ)。
グループで 生徒が皆に対して、自分に対して役割 8 年生対象の試行授業
評価する
を担わせるという評価は意識的な協 1番を参照のこと(58
方法
力活動に引き込む。
ページ)。
書くというのは「ある人がある事柄に 「私の生活におけるコ
作文で評価 ついてある相手と対話している」とい ンピュータの役割」など
する方法
うことである。
のテーマで作文を書か
せて批評し、議論する。
イラストを 創造的思考の発達に終わりはない。
イラストのスキャニン
説明する
グを手順通りに行う。
上記には、情報学の授業でより取り入れ易いであろうと考えられる方法を選択し、
学習で用いる方法を以下に説明した。試行授業の指導案にはこれらの方法をどのよう
に用いているかを示すこととする。
さいころを利用して説明する指導法
目的:
1. 課題を多面的に判断し、意見を自由に表現する事によって生徒の論理的思考が
発達する。
2. 単元を組に分ける、系統化する、比較する、分析する学習方法を身に付ける。
5
教員の準備:
1. 生徒がどのように行うかのパターンを選ぶ。
2. 小箱を紙に包み、各グループのさいころを用意する。生徒に作らせてもよい。
3. さいころで説明する方法を用いて教えたいテーマを適切に選び、さいころの各
面に書く質問を選んでおく。
4. さいころで説明する方法の説明を用意しておく。
活動の進め方:
1. 生徒全員が 2 人から 4 人のグループになる。
2. 各グループに 6 面に説明が書かれているさいころを1個ずつ配る。テーマによ
ってその説明を変えることが可能であり、グループの人数も少なくすることが
できる。
3. テーマを与え、与えられたテーマをさいころの各面の問いに沿って短時間で自
由に書かせる(発表させるのも可能)。
4. 時間になったら生徒がさいころの各面に書いた答えについて意見交換する。
5. 2 人 1 組で話し合い、互いを結論し、なぜその結論になったのかを説明しるこ
とができる他に、2 人以上のグループで活動した場合、1人の発表後、他の生
徒が賛成する意を述べたり、質問をしてもよい。
下記の例を見てみよう。
教員はさいころの6つの面に下記のソフトウエアの名称を書いておく。生徒はその
機器についての紹介をいずれかのソフトを使って作成する。教員は各機器についての
情報を配布資料として用意しておく。7年生を対象にした試行授業で下記の機器をど
のように使用しているかについて40ページを参照のこと。
スキャ
ナー
スキャナー、
デジタル
プリンター、
カメラ
コピー機
デジタル
ビデオ
カメラ
デジタルカメラ
ウェブ
カメラ
マ ザ ー
ボード
6
配布資料1スキャナー
配布資料2プリンター
写真、テキストなど紙にあるイラスト情報
を読み取り、それを数字形式に変換し、特
別なソフトを利用してコンピュータに入力
し、イラストデータにして保存する役割を
果たす。スキャナーの技能を DPI (Dot Per
Inch) 1 インチ四方の点密集で定義する。例
えば:300 DPI スキャナーの画素は縦 300、
横 300 であるが、1インチ四方には 90000
ということである。
処理したデータを紙に印刷するための装置
で、カラーと黒白の 2 種類がある。プリンタ
ーの種類は:
-マトリックス、トナー、レーザーに分かれる。
プリンターの品質の評価要素:
DPI (画素)
印刷スピード
メモリー容量
ペーパーフォーマット(種類)など
近年機能が多く付いたプリンターが開発され
ている。
配布資料 3 デジタルカメラ
デジタルカメラで写真を撮る時、
CCD(Charged Couple Device) 装置が大きな役
割を果たし、写真を処理し、バッファーに送
る。圧縮され、JPEG フォーマットに変換され
る。処理された写真はカメラの記憶装置に送
られる。デジタルカメラの機能は画素で計れ
る。写真は 10×15 センチ、スタンダードフォ
ーマットで印刷のため、1300×1000 画素であ
る。デジタルカメラのレンズの接写は Zoom、
写真撮影の画素は Megapixel、動いた場合に画
像の質がどのように変化するかをスピードで
はかる。
配布資料4デジタルビデオカメラ
デジタルビデオカメラで録画すると、上記の
CCD(Charged Couple Device) 装置で処理を行
い、AVI フォーマットにして、ビデオデータ
をメモリーカードに保存する。
‐ 完全デジタル-メモリーカードに録画
する。その際、画素を調整できる。例
えば:300×280, 600×800 など。
‐ 半デジタル―フィルムに録画する。SP
mode、LP mode の 2 種類がある。前者
は画素が高く短時間しか録画できない
が、後者は画素は低いが長時間録画で
きる。
配布資料 5 ウエブカメラ
配布資料 6 マザーボード
マザーボードにはコンピュータ装置の主な要
素が含まれ、マイクロプロセッサー、記憶装
置、保存機器、入出力装置相互を結ぶ機器で、
それらの動作も調整する。下記のように分類
できる:
1. Onboard motherboard 本体に後付カードを
持っている。例えば:LAN カード、オン
ラインカード、VGA つまりディスプレイ
カードを構成する部品を含む。
2. Non onboard 本体に加工のカードを持た
ないが、機能がより良いと考えられてい
る。
USB で直接コンピュータに接続し、Yahoo、
MNS、 Skype などのメッセンジャーソフト
を利用して、画像を送る。インターネットで
画像を送るため、画素は低い。
7
ベン図の方法
目的:
1. テーマの主要内容を詳しく研究し、習得するために、他のテーマや物事や現象
と比較する、相似させる方法で論理的思考を発達させる。
2. 与えられた知識や情報からアイディアを得て、膨らませ、比較し、相似させる
方法で思考を発達させる。
教員の準備:
1. クラスの生徒にどのように行わせるか、パターンを選ぶ。
2. 生徒全員に見えるように準備したベン図を設置する。
3. ベン図は重なった 2 つ及びそれ以上の数の大きな円形から成り立つが、それら
の円の重なった部分は一定のスペースが確保すること。
活動の進め方:
1. 生徒をグループに分ける。経験上、2 つの現象を比較しようとすれば 2 人ずつ、
3 つの現象を比較しようとすれば 3 人ずつグループにするとよい。
2. 比較する(テーマ) 現象を説明する。
3. 円形の重ならない部分に当該物の他と異なる点を書く。重なった部分には比較
する物に共通する特質を書く課題を与える。
4. あるグループのベン図を掲示し、他のグループの意見を聞く。
5.
例: デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラのそれぞれの相違点と
共通点を比較し、ベン図で表しなさい。
8
パッキングの方法
目的:
1. テーマを確認し、学習する前に思考を刺激する。
2. 学んだことをまとめる、当該テーマと他のテーマとの新しい関係を見つける。
3. 当該テーマについて何を理解したか秩序立てて発表する方法を学ばせる。
4. 書く作業を論理的に理解させる。
教員の準備:
1. クラスの生徒にどのように行わせるかパターンを選ぶ。
2. テーマを選ぶ。
3. パッキングの方法の説明を用意する。
活動の進め方:
1. 生徒を 4、5 人ずつのグループに分ける。
2. パッキングする文章や言葉を、紙または黒板の真ん中に書く。
3. 時間を決めて各グループに1枚ずつ大きい紙を配り、選んだテーマに応じて頭
に浮かんでくる言葉や文章を縦に並べるように課題を出す。
4. 頭に浮かんだ言葉と文章を並べると同時に、関係のある言葉と文章を線で結び
つける。
5. 時間が来るまでに頭に浮かんだ物をすべて記録する。
パッキングの方法を用いる際に守るべき基本的な決まり
1. 頭に浮かんだ意見は何も考えずに、全てを縦に並べる。
2. もし新しいアイディアが思い浮かばなかった場合は、先ほど記録した物を線で
結び付ける。
3. できるだけ多くを結びつけるように努力する。
4. パッキングの方法は全体が含まれるようなテーマを選ぶ。
7年生を対象とした「情報のプロセス」単元を学習した後、生徒が習得した知識や
能力をパッキング方法でまとめる、結論づけるパターンの制作に努力した。教員は学
習した各単元の最後に上記の方法を活用することで、生徒は知識を秩序立てて発表す
る方法を少しずつ習得する。
9
図 1. 「情報プロセス」単元でパッキング方法を用いた例
コンピュータ
CD
DVD
E-mail
Digital camera
情報の保存
情報の処理
画像を編集する
画像から画像へ移
動する
MOVIE MAKER
情報の転換
情報の処理
情報を表す
絵
音声
絵、音声、動画
Windows Media
Player など
ビデオ
デジタル
カメラ
画像に文字を書く
10
第2章
情報学の授業における技術を改善する方法
2.1 「情報」領域に基づいて知識を創造する指導法
われわれの生徒は誰なのか
本プロジェクトの1年次では5、6年生を対象に試行授業を行った。2年次では7、8
年生を対象に試行授業を行うことを予定しているが、対象生徒の年齢的、精神的特徴
を下記に示す。
対象学習者:






12才以上の生徒は具体的及び抽象的思考の総合能力を身に付ける。(J.ピアジ
ェの平衡理論)
自分に更に自信を持ち、自由に振舞うことができる。
14才から現状を詳細に分析し、まとめて結論する能力が身に付き始める。
興味の対象を絞り込む選択力が身に付く。
時間をあまり守らない。
様々なサークルやクラブに参加することを好むようになり、人々の中にいたい
と強く望む。
上記の特徴を持つ生徒に応じた知識を創造する方法は、どのようなものがあるか
取り上げたい。
われわれが「子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト」では、情報学教科
の単位授業の質をどのように向上させるかを重視している。もちろん、まず教員自身
が変わるべきである。学習の過程で「知識でいっぱいにする」のではなく、「知識を
創造する」という原則を守り、授業を行う努力をしているが、十分に実行できていな
いことは隠しようがない。
知識を創造する過程について下記の理論がある。
-
個人が知識を創造する活動-平衡理論( J.ピアジェ)
環境の影響により個人が知識を創造する活動-活動理論(L.S.ヴィゴツキー)
情報環境で個人が知識を創造する活動-情報を積極的に創造する理論 (アン
デルセン、ジョンソン)
知識の外部、内部の影響により個人が知識を創造する活動-知識の理論 (リプ
レゼンテーション)
知識を創造する過程を下記の図のように表すことができる。
11
知識を創造する過程
情報源
課題
インプット
(テーマの導入)
アウトプット
(新しい知識)
協議
知識を創造する過程において教員の進め方:
-
授業を計画する。
情報のデータベースを作成する。
指導する。
アドバイスする。
学習活動を支援する、方向付ける。
生徒を評価する役割をもって参加する。
生徒が自身で知識を創造する活動は、習得の法則に基づき、行動を区別する、行動
を身に付ける、行動を用いて発達させるという 3 つの段階がある。
1. 生徒が行動を区別する最初の段階では、情報の種類、それを選択する、あるい
は解決する問題を提示する、それを理解し、情報を処理する、問題解決の方法、計画
を立てる、理解した事を自分の言葉で説明する、記録する、実習や実験をする、予測
するなどの行動をする。
2. 行動を身に付ける段階では、ある内容において確信し、情報交換及び生徒同士
の自立した協力活動が形成され、具体的行動(書く、描く、話す、計算するなど)の幅
が広くなる。このとき、思考を分析する(アナライズ)、総合し、結論する(シンセシ
ス)行動を行う。更に身に付けた知識を同じ条件で応用する力が付き始める。
下記の思考行動を現象の性質や関係を発見し、明らかにする過程で習得させること
が重要である。
-
分析する
統合する
比較する
抽象する
明らかにする
総括する
12
これらのうち、思考の分析、統合し、結論する行動について簡単に説明する。
思考分析行動
学習している物事や現象を頭の中で、あるいは現物で、モデルを使って構成要素を
調べ、性質や関係を明らかにすることをいう。
その分析行動の結果として受け止めた情報の主要な関係とそうではない関係を区
別し、明らかにする。
例:

コンピュータのハードウェアを並べ、以下の 5 通りに分類しなさい。ハードウェ
ア同士の関係を自分の言葉で説明しなさい。
ハードウエア
接続用
アウトプット
情報の保存
処理
キーボード
モニター
ディスク
マウス
プリンター
スキャナー
モデム
マイク
ラン
メインプロセッサーなど。
インプット
-
思考統合行動
分析行動に基づいて区別した部分、主たる性質、関係を頭の中で統合し、物事を完
全な形で総合的に全体として考えることをいう。
例:

コンピュータ動作を図に示し、自分の言葉で説明しなさい。
学んでいる問題の始めに与えられた事や内容が不明であれば分析活動が優先され
る。
それに対して、始めから明確であれば思考がスムーズに進み、統合活動が優先され
る。
13
1. 態度を評価し発達させる段階では、生徒の具体的な行動より思考行動が優先さ
れ、情報の内容を組み立て、簡略表現や文章に移行する、課題に対して批判的
に対応する、身に付けた知識を新たな条件で積極的に利用する能力が形成され
る。
問題解決方法で情報を知識に変換する指導法を習得させる
情報技術世紀においてコンピュータは社会の様々な分野のみならず、個人にも幅広
く利用されている。つまりコンピュータや情報通信技術を使わずに、何かの仕事や問
題を素早く片付ける、解決することは考えられなくなっている。
情報学学習には大きな特徴がある。それはコンピュータ科学が非常に急速に発展して
いる現代では、ある内容を 1 つの指導法だけで教えることは不可能であるということ
だ。そのため教員は生徒の「需要、ニーズ」に基づいて、『問題を解決する』力を形
成させる方法を計画することで、大きな成果を得られると考えている。
教員が授業を成功させることができるように、下記の情報を提供している。必ず読
んでほしい。
教科書は 「小説」を読むこととは違う。生徒は教科書に載っている情報を読んで、
何を読み取ったかを何度も熟考することによって、生徒の学びの手法が向上する。つ
まり『読む』ためではなく、『理解して、認識する』ために教科書などの情報源を扱
う能力を習得させるという問題である。
全ての教員が『知識を自分で創造する』という構造論理を知っている。生徒の読ん
だことを考えさせ、既に知っていることとどう対応しているかを意識させる。また読
んだ情報を利用して、何をどのように作成できるか考えるべきである。そのため教科
書を書き写す、読むなどの課題は避ける必要がある。実際には、試行授業中にそれら
の場面が多く見られていた。
人はそれぞれの生涯で様々な困難に直面し、それを一定程度、解決している。生徒
に下記の実習を取り入れ、「情報学」の授業における多くの既習知識を思い出させて
も良い。 例えば: 情報を受け取るなど
14
表 1. 課題を解決する
課題
難易度
解決方法
中
WordPad, Wordなどのソフトを使
い、作成し、印刷、配布する。
外国にいる友達と電話で話す。
難
ネットサーフィンをするのであれ
ば特別なソフトを利用し、安価で
長時間通話できるものを用いる。
将来、習得する専門について資
料を手に入れる。
中
友達、本、インターネットで検索
する、作成する。
授業を効果的に復習する。
易
コンピュータを購入する。
難
誕生日パーティーの招待状
一定期間、定期的に宿題をするこ
とに慣れる。
自分のニーズに合ったコンピュー
タを選ぶ。価格調査する。これら
の活動全てに、コンピュータにつ
いて膨大な知識が要求される。
問題解決する過程には下記の形態があるが、問題解決の方法、与えられた条件から
最後の目的に達する計画は様々である。
最初に与えられ
た条件
А
目的による条件
В
А から В に達するため
にできること。
図 3. 最初の条件から最終目的に達するための問題解決過程
解決する問題が現実的に提示され、定義されているかどうか
1.
2.
3.
4.
最初の状況が明確に表現されている。
目的が明確に表現されている。
最初の条件から目的に達するための潜在能力が明確に表現されている。
自己の「潜在能力」、つまり最終目的に達する際に要求される知識、能力、エ
ネルギーという 4 つの要素が成立しているかによって決定される。
情報学の学習では「その授業」で学習した知識、能力は将来、日常生活の中で 「コ
ンピュータを使って問題を解決できる」基礎となっている点で重要である。
そのため教員は教えている内容を「領域」に配分するのではなく領域同士の連携、需
要やニーズを満たすことができる条件を考え、計画することが重要である。
総合問題を解決することは教育改革と関係している。
15
例 1:
われわれが MS WORD ソフトを利用して、書類作成の方法を学習することをあらか
じめ説明し、生徒に書類についての正確な理解を与え、それに課される条件などを同
時に教えていくべきである。つまり、実生活では様々な種類の書類を扱うからである。
例:
- 招待状、表彰状、記念
- 手紙、ハガキ
- 授業時間割
- 名刺
- カレンダー
- 契約書
- 請求書など。
MS WORDソフトを利用し、既成のサンプルを活用できることも理解させる方が良
い。
例 2:
この例は『数値システム』テーマを教える際の動機付けの段階に活用することがで
きる。
ローマ数字例(I, V, X, Lなど)
アラビア数字例(1, 5, 10,50など)
ローマ数字とアラビア数字で与えられた課題をどのように解くことができるかに
ついての面白い例を取り上げる。上記の 2 つの形式で数字を書くことが多いだろう。
例えば:
アラビア数字は多くの数を書くが、掛け算、割り算と分数がより簡単に書ける(詳
しい情報は指導書 105 ページを参照のこと)。
下記の例を生徒によく観察 I II III IV V VI VII VIII
させ、生徒自身に発表させる。 IX X XI XII XIII
MCMLX XVIII:XXVIII
1
9
2 3 4 5 6 7 8
10 11 12 13 …
1968:28
MMLXXII
×
XXVII
2072
×
図 4. ローマ数字とアラビア数字を利用した計算の仕方
16
27
例 3:
人はそれぞれの生活の中で「情報のデータベース」を使う。つまり携帯電話のアド
レス帳、電話帳、公式のまとめ、辞書、コンピュータに保存されたファイルなどであ
る。それらで必要な情報を検索し、問題を解決する。7 年生を対象に Windows Explorer
ソフトの発展的内容を教える際に参考になると考え、上記の例を示した。
6 年生はファイル及びフォルダについての知識を既に習得済みである。そこで
Windows Explorer ソフトを利用して、ファイル及びフォルダーを整理して保存、コピ
ー、移動、削除、検索したり、必要な情報を迅速に検索する知識、能力をニーズに応
じて、簡単な方法で身に付けさせることが重要である。生徒にハードディスクを利用
する時にどんな需要が生じるか、それをどのように解決できるようになるかを自分自
身で述べさせる。下記の回答が返って来るかもしれない。




宿題を電子形式で提出するために、ハードディスクに保存する。
外国にいる伯父さんや伯母さんと写真を送受信する、ハードディスクに保存する。
インターネットから情報をダウンロードして、ディスクに保存する。
友達からコンピュータゲームソフトをコピーするなど。
このようなプログラムの利用方法を指導する場合、下記を重視すべきである。
1. フォルダからディスクに、ディスク同士に、ディスクからフォルダにファイルを
コピーすれば条件は変わるが、コピー方法は同じである。(Copy)
2. ファイル検索は色々な条件で検索できる。条件が明確であればあるほど、早く見
つかる。(Search)
3. データベース及びファイルを作成する時、その作業内容を表現した名前を付ける
ことを学ぶ。通常、簡単に思い出せるように電話番号や生年月日をつけてしまう
ことに注意を払わせる。
4. ディスクの使用領域と空き領域の見方を教える。それは次回の合計サイズを圧縮
することを教えるための基盤となる。
検索コマ
ンド
ハードディス
クの名称
USBメモ
リーの名称
図 5 Windows Explorer ソフトの構成
17
上記の知識を「総合」的に身に付けることによって、これからどんな種類の電子情報
源にある情報をも活用する能力を身に付ける。
例4:
7 年生を対象として、表の情報処理計算ソフト MS Excel について知識、能力を習得
させる過程でこのような例を取り上げ、用いることが可能である。どのような状況で
も自分にある様々なツールを利用して計算する能力を生徒に習得させる。情報通信技
術が急速に発展している現代では携帯電話の利用は日に日に拡大していることに注
意すべきである。それらの機器の相違点と類似点を生徒に見つけさせ、説明させる。
図6. 計算機器
類似点
相違点
上記の例によれば、あらゆる資源(数システム、ソフト、携帯電話、電卓など)を用
いて問題解決でき、習得した情報で「知識」という武器を作り、その後どのような条
件でも「変換して」使える能力を生徒に形成させることは、教員の指導法に不可欠な
ことであるべきと考えることができる。
問題を解決する資源は下記の 5 つである。
1.
2.
3.
4.
5.
教育と
学習
人間の創造的な知力
機器
蓄積された情報
教育と学習
期間
創造的な
知力があ
る
機器
蓄積さ
れた情
報
図 7. 問題解決の 4 つの基本資源
18
問題を解決するために上記の資源 (図 7) が利用され、その資源が問題解決のため
に相互に連携する。その他に「期間」は資源である。 期間は以下の 2 つの形態を持
っている。


問題解決の前に費やされた時間。それは一般的及び特殊な知識、能力を身に付け
るため、つまり応じて知力と体力を発達させるための時間である。
具体的な問題を解決する、あるいは実際の役割を果たすための時間である。その
期間は数秒でも数年でもあり得る。
現代では問題を解決する機器はコンピュータと密接な関係がある。コンピュータは
情報処理の装置である。
ユーザー
(課題目標と
解決者)
А
解決されて
いる問題
В
ハードウエア
とソフトウエ
アの開発者
コンピュータ
ハードウエア
ソフトウエア
D
C
図 8. 問題解決するコンピュータの環境
コンピュータを活用して問題解決する過程は、問題条件と目的を認識することから
始まる。(図 6A、B)
人間は問題(A)をコンピュータシステムの(C)を使って解決する。普通、全体の結論
を決定すると同時に、A、B、C 同士の現実的な相互作用が要求される。問題解決の際
にサポート及び利用されるプログラム及びハードウェア開発者(D)が含まれる。
コンピュータをツールとして利用する時に、あなたは上記の人々の作品上で作業を
しているということである。
問題解決の際に、「コンピュータを利用する機会」を下記のように分類することが
できる。
19
1
少しまたは全
然利用しない
2
3
普通
4
5
良く利用する
図 9. コンピュータを利用する機会
ソフトウェアは人々の協力により問題解決に向けて開発されている。教員は使用中
のハードウエアが本当に必要であるかに注意しながら選択することが必要である。例
えば: Windows Movie Maker ソフトは生徒が使い易く、興味を引く。このソフトの学
習には生徒をグループ活動させる(カメラマン、監督、編集者など)が非常に重要であ
る。使用前にいくつかの準備を行う。
1. 写真のデータベースを作る。(デジカメラ、携帯電話、スキャナーなどの機器
を使う)
2. 歌と詩のデータベースを作る。(ワードソフトに保存する)
3. 編集したビデオを見るソフトを選ぶ。(Windows Media Player など)
図 10. Windows Movie Maker ソフトの構成
20
結論:
情報通信技術の利用はどこでも、いつでも進化している。そのため、われわれが「情
報学」という授業を行うということは、生徒の習得した情報に基づいて、それを生活
の中で創造的に活用する、「問題解決」して「知識」に変換することができるように
するということである。指導書 2.4 章の試行授業の指導案では、授業の時に生徒が手
に入れた情報をどのように知識に変換しているかを見ることができる。
2.2 「情報」単元と教材研究
1 年次指導書は領域の指導案を作成する指導法を試行したが、今回の試行対象は授
業の質を改善させ、生徒の年齢に応じた情報通信技術を利用して、情報を知識に変換
するための指導法を研究することである。日本人教員が研究に用いる「教材研究」と
いう概念について、教科専門家の篠原文陽児教授と高畑弘教授の講演を情報学の授業
にどのように応用することができるかについて考えよう。
教材研究(授業準備 – 指導案の研究)とは何か
授業準備 – 指導案の研究は目的に達するための研究である。目的に達するために
はどのような事をすればよいかということを教員はいつも工夫すべきだ。どんな教材
を活用するか、どんな発問をすれば達成できるのか、生徒にある授業でその概念を理
解させるために情報技術をどのように活用するのかなど、授業の目的を達成するため
に行われている事柄が含まれる。


抽象的な概念 領域、単元、単位授業それぞれの目標を達成するために使用され
る材料
分かりやすい定義 領域、単元、単位授業それぞれの目標を達成するために授業
中に取り入れられる全ての物である。例えば:情報プロセス授業の具体的な概念、
定義、規則、問題、練習、課題など。
プロジェクト実施過程で単位授業の質を改善させることに注目した目標を設定し
たが、それは単位授業を計画する研究をよく進め、授業をよく計画することによって
生徒を成長させるという目的が達成されると考えたからである。授業準備―指導案の
1
研究では理論面から下記のように説明することができる。
授業準備 ― 指導案の研究とは下記の研究の総合的形態である。
1
日本人教科専門家の講演より(2007年5月総合セミナー)
21
1.
2.
3.
4.
5.
学習内容の研究
知識習得過程の研究
指導法の研究
評価の研究
教具の研究
授業準備 ― 指導案の研究 については執筆中の指導書の7年生を対象とした「情
報」単元の例で取り上げる。
教員は常に授業準備をしていることが大切である。7、8年生を対象にした「情報」
単元での学習内容の研究については、本書の96ページ、「教員に向けた追加情報」に
反映した。教員が以前、当該テーマを教えた経験がない場合には、新たに内容を作成
する必要がある。その時、どの情報源から、どの言語で、どの資料を集め、どのくら
いの期間で処理し、そしてそれをどのように自分のものにするかに注目することが重
要である。
教員はそれぞれ自分自身の手法を持っているが、決まりきった手法で質の高い学習
が行えるかどうかは疑わしい。指導法の研究を情報学の学習に活用することが可能な
学習を活性化させる指導法の中から選択し、具体的な例に反映させた。たとえば:6
ページではさいころを利用して説明する方法に関して、「ソフトウエアについての理
解」テーマにおいて、どのように活用できるかについて簡単に取り上げた。それは次
回の「情報プロセス」授業と関係がある。この指導法は情報学をどのような形態で組
み立てても活用が可能である。当該内容を習得させるためは、指導法を的確に選んで
活用することが重要である。
情報通信技術は学習過程に活用することについて、教員それぞれが意見を持ち、一
定のレベルで利用しているが、作成している教材が学習のための教材として納得でき
るものであるかどうかについての評価はまだ成立していないと考えられる。そのため
マルチメディアプレゼンテーションの形式、その作成の際に守るべき一部の条件につ
いて本書23ページに詳しく述べ、教材研究を行った。読んで終わらずに、是非とも試
行してみること。
また学習課程に欠かせないもう一つが、評価である。生徒自身が自己評価をする
ことを取り入れ、そのための項目作成の方法、一部の教材をどのように作るかについ
て「生徒の自己評価」の電子教具の方法を作成することで評価の研究を行った。これ
は一般的なMS EXCELソフトを利用していることが特徴であるが、MACROソフトに
ついての理解を加えて学習すれば十分である。この研究をすることによって少しでも
問題を解決し、現実的な貢献をしていることに意義がある。
必ず試行して、自分なりに充実させ改良して活用すること。
22
情報の容量
情報のプロセス
情報とその性質
副単元名
学習計画原則を実施するため
の授業計画
(7 年生対象の情報教科)
表2
目的
創造的な思
考
基本活動
教員
利用されているメディア
とその他の機械
生徒
教員
生徒
À. 情 報 が 真 ニーズに応
実、確実であ じた情報を
ることを評価 理解する。
する。
利用されているハード
ウエア
教員
Word
Powerpoint
Word
À.機器を利用 コンピュー 情報プロセスに 生徒が問題を提
して情報処理 タとデジタ ついて学んだ知 示し、それを解
をする。
ル機器との 識を基に、コン 決するためにソ
関係を理解 ピュータその他 フトウエアとハ
する。
の機器やソフト ードウエアを利
B. 情 報 処 理 ソフトを利 を利用して、情 用して、目的を
の基本段階を 用して情報 報 を 処 理 し た 達成し、その結
習得したこと を収集、保 り、変換したり 果を皆に発表す
によって機器 存、処理、 することを理解 る。
を利用して、 転換する能 させる。テーマ
テキストとイ 力を習得す それぞれにおい
て、学習内容の
ラストの情報 る。
5 つの領域を入
を処理する。
れる。
À. 情 報 の 容 ディスク、 データとディス 生徒が1つ、あ
量、性質を定 コンピュー クの容量をどの るいは幾つかの
義する。
タ等などの ように測るかと データを選ぶな
機器を利用 いう方法を習得 ど自主的な行動
する時には する。
に基づく。
情報容量を
測る。
Audio
recorder for
FREE
Windows
Movie
Maker
Windows
Movie
Maker,
Windows
Media
Player
備考
生徒
教員は授業準備 生徒を自由に話 ビデオ、オー Tux Paint,
を よ く し て お し合わせ、意見 ディオ録画用 Paint
く。
を聞き、考え方 の機器
をまとめる。
B.情報が社会 収集してい 情報、その役割
に果たす役割 る情報をま について説明を
する。
を説明する。 とめる
Audio recorder
for
FREE
windows
Media player
方法
ベン図の方
法など。
地方の特色によ
って資料を適切
に選ぶことが大
切である。例:
ラジオ、テレ
ビ、新聞、イン
ターネットな
ど。
さいころで グループ活動、
説明する方 学習機器、携帯
法、基本指 電話、デジタル
導 方 法 な カメラ、フラッ
ど。
ジュメモリーな
ど。
パッキング
方法、基本 学校に設置され
指導方法な たコンピュータ
ど。
によって学習ソ
フトを教員が選
ぶ。
Windows
Explorer,
Control panel
Windows
Windows Explorer, Excel,
Explorer,
Word のチャートなど。
フロッピ
ーディス
ク。
比較方法等 ハードディスク
など。
とフラッシュメ
モリー、データ
の容量を比較で
きるように練習
させる。
説明
授業準備-指導案の研究は、まず授業の目的を明らかにすることから始まると教科
専門家は述べていた。上記の表では下記の内容を表すことを目指した:
1. 指導案を作成さえすれば準備は終了したという理解を変えることがわれわれ
全てにとって重要である。単元や単位授業を教える前に上記の表を観察して、
自身の活動に反映させて、試行することが大切である。
2. 情報通信技術を利用して学習を行う前には教員にとって多くの準備が必要と
なる。教員用のコンピュータ、ソフトは生徒用コンピュータと異なる場合があ
るので、あらかじめ計画を立て、よく研究しておく必要がある。
3. 情報学の授業は特別な環境を必要とすることが特徴的であるが、各学校の特徴
によって利用できるメディア装置、技術、ソフトは異なることがある。そのた
め、どの授業で、どの教材を利用するかをあらかじめ研究し、計画を立てるこ
とが大切である。
4. また生徒にとっても同様である。授業中にどのソフトでどのような作業をする
かの手順やアドバイスをあらかじめ準備しておくこと。各生徒でコンピュータ
や他の技術機器を扱う能力が異なることを忘れてはならない。
5. 授業の40分間で情報通信技術を利用した、あるいは全く利用しなかったという
ことで授業の良し悪しが決まるわけではない。授業の流れのどこかで、決めら
れた時間で適切に利用することが大切であるので、あらかじめ研究し、準備し
ておくこと。
6. 当該テーマを指導中に教員と生徒の活動がどのようなものであるかをよく研
究したほうが良いと考える。つまりK1-K4の総合能力技能を当該テーマの特徴
に応じて、どのように形成させるかについて計画を立てることが大切である。
7. 授業準備-指導案の研究は1年に1回行うのではなく、年度毎に改正、改善、
他の教員との意見交換を行うなどして、継続的に向上させた方が良いと考えら
れる。コンピュータ科学が急速に開発されている現代では、上記の要求が満た
されるべきである。
授業準備 – 指導案の研究をうまく行うことで、生徒にあらゆる問題を単一の方法
ではなく、多様な方法で解決できる創造的な思考を形成させる。
24
2.3 試行単元における教材の準備と作成方法
授業のマルチメディアプレゼンテーション作成の指導法
現代の学習は情報通信技術の成功に基づいて行われるようになった。それに関して
各教員が情報通信技術を学習活動に活用することについて話題にし使用しているが、
作成している教材が学習に用いるべく充実したものであるかを明らかにするための
基準がないこと、それと共に授業用プレゼンテーションを作成するマニュアルや指導
書がまだ作られていない。そのため教材の一形態であるマルチメディアプレゼンテー
ションの形式と作成するときに守るべき幾つかの要素について示した。
マルチメディアプレゼンテーションとは何か
プレゼンテーションのスライドには文章情報のほかに絵、図、動画を幅広く利用し
て、情報をより分かりやすく、興味を持たせるように設定できる。それがマルチメデ
ィアプレゼンテーションである。マルチメディアプレゼンテーションを学習に利用す
ることによって教材をより分かりやすく、明確に生徒に理解させることができる一つ
の方法である。マルチメディアプレゼンテーションの構成によって、スタティック、
ダイナミックに分けることがある。ここではスタティックマルチメディアプレゼンテ
ーションについて説明する。
スタティックマルチメディアプレゼンテーションのスライドの中身は変更できない
(つまり PowerPoint を使用してプレゼンテーションを作成し、F5 キーを押すか Slide
Show コマンドを与えるとプレゼンが作動するが、その場合にスタティックプレゼン
テーションの内容を変更できない)ためにこの名称が付いた。スタティックプレゼン
テーションはある質問の回答を書いて示すなどの対応ができない。その対象は発表及
び参考資料、オリエンテーション用資料、授業教材、内容の作成に活用することがで
きる。
マルチメディアプレゼンテーションの計画と作成段階
段階
計画を立てる
プレゼンテーシ
ョンを企画する
作業段階のリスト
 マルチメディアプレゼンテーションの形式を決める。(静的あるいは
動的)
 プレゼンテーションを発表する環境を確認する。
 マニュアル図式を選ぶ。
 スライドのデザインを作る。
25
段階
情報の収集
プレゼンテーシ
ョン作成
確認
試行
改善




作業段階のリスト
スライド作成に当たって 文章と視覚資料を用意する。
音響の調整をする。
ビデオの添付を用意する。
オーディオ、ビデオ、動画ファイル、Microsoft Office とその他のソ
フト、グラフファイルを用意する。




情報の素材でプレゼンテーションのスライドを用意する。
スライドの色合わせとデザインを調整する。
動画を入れる。動画させる。
マニュアル構成にメニューの要素を導入する。
 文章と視覚資料の間違いを修正する。
 マルチメディアの動画操作を確認する。
 マニュアル要素の操作を確認する
授業に利用する。
マルチメディアプレゼンテーションを改善する。
授業用プレゼンテーションを用意する場合、下記の事項が要求される。
1. 鍵となる理解を決定する。話そうとする内容の鍵となる概念を明らかにし、プ
レゼンテーションに導入する。
2. プレゼンテーションの色あわせを考える。生徒の興味に応じて背景と文字の色
を選択する。
3. 動画イラスト。図表を幅広く利用する。イラストと図表を上手に選ぶことで何
千の言葉の代わりになる。そのため上手に選択した絵、図式、動画などを使用
した方がよい。
4. 生徒の積極的な参加を考えて作成する。授業用の各プレゼンテーションは知識
を創造する技術を目指したものであるべきである。つまり生徒の積極的な参加
を考えてプレゼンテーションを作成することが大事である。
5. 授業の総括するものであること。授業用の各プレゼンテーションはできるだけ
その授業のまとめと共に練習問題や自習課題などが含まれていた方がよい。
図 11 ではマルチメディアプレゼンテーション作成の段階がフィードバックする関係
にあることを略図に示した。
26
計画を立てる
プレゼンを企画する
情報収集
プレゼン作成
確認
試行
改善
図 11. マルチメディアプレゼンテーション作成の図式
マルチメディアプレゼンテーションのマニュアル図式
プレゼンテーションのスライドの設定は色々である。それはマニュアル図式で明ら
かにされ、このような図式はスライド同士の移動やスライドから他のソフトへの移動
などを表示し、それを計画する機会を与える。例えば:プレゼンテーションから Word,
Excel、Internet Explorer、Paint などのソフトへ移動した授業教材やその他の必要事
項を示すことができる。
それに応じてスライドでメニューを使う。
スタティックマルチメディアプレゼンテーションのマニュアル図式は下記の形式
が一般的である。
-
ライナーマニュアル図式;
階段式マニュアル図式;
アンライナーマニュアル図式;
ミキシングマニュアル図式;
これらを下記に取り上げる。
27
図 12. ライナーマニュアル図式
図 13. エンドバックライナーマニュアル図式
図 14. アウト&エンドバックライナーマニュアル図式
図 14 のプレゼンテーションはライナーマニュアル図式を示している。ライナーマ
ニュアル図式のプレゼンテーションの各スライドは連続的に設定されている。図 12
のプレゼンテーションには、中間のすべてのスライドに矢印が付いている。それは当
該スライドから前後に位置するスライドに移動できることを示している。
スライドのメニュー項目数はスライドに付いている矢印の数と同じである。図 12
に示したプレゼンテーションは最初と最後のスライドからすべてのスライドにメニ
ューが 2 つ付いている。図 13 は最後のプレゼンテーションは前方ではなく、それに
対して最初のスライドの方に示したものである。そのプレゼンテーションの最初のス
ライド以外のすべてのスライドにメニューが 2 つ付いている。
図 14 に示したように、ライナーマニュアル図式は最初のスライドへ全てのスライ
ドがフィードバック設定で示されている。3 つ目のスライドを始め、最後のスライド
の前のスライドまでメニューが 3 つ付く。つまり表紙のスライド、前のスライド、次
のスライド移動という 3 種類のメニューが設定される。
階段式のマニュアル図式(図 15-18)はスライド同士の移動を木の枝のような構成で
示している。一般のプレゼンテーションは階段式の図式で表示されることが多い。ラ
イナーマニュアル図式に対してライナー図式のメニュー付きのスライドであり、その
メニューは他のスライドに移る役目がある。
28
メニュー
付けのス
レベル 1
レベル 2
レベル 3
レベル 4
図 15. 階段式のマニュアル図式
図 16. 階段式エンドバック
図 17. 階段式エンドバックと
のマニュアル図式
ミドルのマニュアル図式
階段式の図式は最後と中間に位置するスライドからメニュースライドにバック移
動するように設定ができる。それは図の 16-18 に示した。量が多いプレゼンテーショ
ン設定は図 16 から 18 に示した図式を利用することが多い。つまり図式の中でメニュ
ー付きのスライドのメニュー項目は発表のタイトルを入力するように設定されてい
る。
29
図 19. アンライナーマニュアル図式
図 18. 階段式のミドルバックマニュア
ル図式
プレゼンテーション設定ではアンライナーマニュアル図式(図 19)は スライド同士
で移動できるような設定を示した。
上記の図式がミキシングするようにプレゼンテー
ションを設定できる。その図式を図 20 に示した。
他のプレゼンに繋
ぐ
インターネッ
トに繋ぐ
文章に繋ぐ
図 20. ミキシングマニュアル図式
量の多いプレゼンテーション作成において一般ソフトやインターネットに接続す
るリンクをスライドに設定することが便利である。それを図 11 に示した。そのよう
に移動する場合はメニュー(あるいはリンク)を使う。
30
階段式及びノンライナーマニュアル図式付きプレゼンテーションの活用
階段式及びアンライナーマニュアル図式設定のスライド同士移動の場合にメニュ
ーが使われることについて上述した。図 22-23 にはメニュー付きスライドの形式を示
した。下記のように薄い色付き長方形で選択したメニューを示した。つまりそのメニ
ューに入力すると下記の図 24 のスライドが表示される。右下に 4 つのメニュー(マ
ニュアル要素)がある。異なるメニューもあり得るし、メニュー表示が異なる場合も
ある。
図 22. メニュー項目が並んだ
状態
図 23. メニュー項目が列に
並んだ状態
メニューから選択されたスライド
教材
X
プレゼンテーション終了
副スライドに移動する
前のスライドに移動する
次のスライドに移動する
図 24. メニューの選択されたメニ
ューに関するスライド
アンライナーマニュアル図式設定でプレゼンテーションでメニューを利用する
アンライナーマニュアル図式設定を使う場合、各スライドにメニューが設定される。
図 25、26、27 はメニューの位置付けを示したが、項目の位置が左、右、下に付けら
れることを示した。
31
下に項目が位置したメニュー
左に項目が位置した
メニュー
教材
右に項目が位置した
メニュー
教材
図 25. 下に項目が位置したメニュー
教材
図 26. 左に項目が位置し
たメニュー
図 27. 右に項目が位置した
メニュー
プレゼンテーションの種類や形式に応じて 2 項目、それ以上の項目付きのメニュー
が使える。1項目のメニューを選択した場合、2 項目のメニューを含めたスライドが
起動する。
プレゼンテーション作成の事例
例としてわれわれが「情報プロセス」授業のプレゼンテーションの例を示す。授業
のプレゼンテーションは階段式、フィードバック図式で設定される。そのプレゼンテ
ーションのマニュアル図式は図 28 で指し示し、スライド番号を表示した。
1
2
3
8
1
4
4
9
1
5
5
1
0
1
6
6
1
1
1
7
7
1
2
1
8
1
3
図 28. 添付したプレゼンテーションのマニュアル図式
32
添付資料
情報プロセス 」プレゼンテーション
モンゴル国立教育大学
内容
コンピュータIT技術学部
プログラミング指導学科
• 情報プロセスの種類
情報保存
領域: 情報
テーマ: 情報プロセス
情報伝達
作成者: D.Tsedevsuren
情報作成
電子メール: [email protected]
開始
終了
情報保存
情報保存
• 外部媒体 – 外部記憶
• 人間は記憶に保存する
– 情報をより長期間確実に保存する。例えば
• 紙
それは内部記憶という。人間の内部記憶は確実で
はない。人間は忘れないということは少ない。
情報の保存
情報保存
• 外部媒体 – 外部ハードディスク
– 外部媒体 – 外部記憶
– ディスク... 等々の装置に保存する。
• テープ
情報の保存
情報伝達
• 一人一人が殆ど場合、 情報伝達プロセス
に参加している。
• 以下の課題について話しなさい。既知の情
報媒体とそれらの特徴について話してくださ
い。
人間同士の
直接対話で
情報が伝達さ
れる。
33
情報伝達
情報伝達
電話で情報
交換できる。
書類交換において
情報が交換できる。
情報伝達
ラジオ
情報伝達
通信機械を情報伝達機器という。情報伝達
は二つの過程を持つ。
人間は情報発信源から情報受信者になり、
受信者であったものが発信源になることもあ
る。
テレビ
等々通信機器によって行う。
情報伝達
情報作成
• 以下の問題について話しなさい。
• 情報作成の形式:
– 昔の情報伝達の歴史を話しなさい。
– 計算する
– 現代生活の中でどのような機器で情報を伝達
しているのか。
情報作成
情報作成
• 情報作成:
• 文書をある言
語から他言語
に訳す
– 情報をコード化する
– 情報をランク付けする
– 情報検索
34
情報作成
情報作成
• 下記の課題でグループに分かれて行動しなさい。
• 情報作成過程の様々な例を出しなさい。
• 情報作成のどのようなソフトを知っているか。それ
について発表しなさい。
• 情報ランク付けの例を出しなさい。
• 情報をどのようにすれば早く検索することができる
か。
• コード化する・コード化のプロセスは情報を表す一
つの形式で、保存、伝達、作成に適した新たな形
式にする変換である。
結論
情報通信技術を学習に利用するとは、教材のプレゼンテーションの作成だけにとらわ
れる考え方ではない。一般的に情報通信技術を利用した授業の準備には非常に多くの時
間を必要とする。このように時間がかかる作業のため、計画をたて、 質の高いものにす
ることが授業を上手に行うための一つの基礎になるのである。そのためマルチメディア
プレゼンテーション作成は、手順を的確に計画することを初め、必要な添付資料を準備
する、スライドが見える状態を確認する、プレゼンテーションに入れる教材を指導法的
に整える、試行する、改善するなどの活動をどう構成するかなどを考える際のアイデア
として、上記の内容が少しでも貢献することを祈る。
2.4 試行授業の単元指導案
1. 対象:
教員は学習を行う前に、対象クラスの年齢的特徴や知識レベル、既成概念を理解し
ておくこと。例えば昨年度に学習した内容について、担任教員から生徒についての調
査結果を受け取る、生徒がコンピュータを持っているかなど。今回の試行では 11 年
制学校の 7、8 年生、つまり 13-15 才が対象となる。その年齢的特徴については上記
で取り上げた。
2. 需要:
社会の発展に伴って情報通信技術が著しく発展している現代においては、情報受信、
送信、情報の処理を行う必要性が各人に不可欠なものとなってきている。
3. 目的:
時間、場所にとらわれずに、情報検索し、処理し、情報通信技術を利用してあらゆ
る問題を解決する力を習得させる。
35
4. 目標:
この単元で生徒に下記の総合能力を形成する。
2M31:K1 情報を認知する総合能力:
-情報が社会に果たす役割を説明する、情報を抽象的に表現する本質を知る。
ニュースと情報を区別する、認知する、分類する、表現する、特定の情報に基づい
て知識を創造する能力。
2M31:K2 情報を受信し、説明する総合能力:
-文字や図で表された情報を処理する。
単純なデータに基づいて情報を受信し、保存した上で処理し、伝達することを理解
する、他人に説明することで入力および出力された情報を理解する、それを説明する、
特定の目的を解決に導くプロセスを口頭で説明する、言葉で表現して書き記す、図形
で表す、情報の性質を分析して結論づける、情報の内容や容量、領域や性質を評価す
る能力
2M31:K3 情報をモデル化して処理する総合能力:
-情報を基本形式で表現する、必要な情報を収集して処理する
情報とその対象の処理が IT であることを理解し、情報をモデル化する、確認する、
コンピュータを使って作図する、文書を作成することなどが IT の利用であることを
理解し、IT を利用できる能力
2M31:K4 情報を共同利用する総合能力:
-情報を扱うマナーを身に付ける、情報を評価できるようになる、情報を他人と分
け合う、共有する
人が環境や生活に慣れることと、人々のコミュニケーションの源が情報とその処理、
交換であることを理解する、共同目的を解決するための活動手順を他人と協力して作
成する、実行する、情報製品を共同利用する、秘密や保護、規則に従う、技術を用い
る領域を守る、ネットワーク環境において活動を行う際の義務を負う、マナーを守る、
他人の努力を尊重する能力
36
内容:
学
年
番
号
学習内容
テーマ
1
情報の性質
情報と知識
2
7
3
4
5
情報プロセス
情報量
1
数と記数法
2
3
4
情報をどのよう
に保存するか?
情報の伝達
情報の処理
情報を測ろう
コンピュー
タで情報を
表現する
時
技能
間
1
a)情報の容量と性質を求める。
b)情報の不正であるか、事実であるかを
評価する。
c)情報が社会に果たす役割を説明する。
3
a)情報の処理、記号化、保護、秘密、判
断、検索の基礎を説明する。
b)機械を利用して情報処理を行う。
c)情報を処理する基本手順を認知した
上で、機械を利用してテキストや図の
1
情報を処理する、それらを評価する。
d)教科書の一枚のページにはどれくら
いの情報量があるかを定義する。意見
を言う、意見交換する。
位置づけのある
2
記数法
位置づけのない
記数法、トランプ
を当てよう
情報をコンピュ
2
ータでどのよう
に表現するか?
復習
8
1
5
情報プロセ
ス
情報の受信、
分布
a)情報を処理する基本段階、情報を記号
化する。
b)数の記数法相互の変換
a)情報を表現する基本形式を説明する。
b)情報を表現する基本形式を活用する、
比較する。
c)特定の情報を多様な形でわかり易く
表現する。
コンピュータで処理した情報を分析す
る、評価する。
-多様な形で表現された情報を収集し
て、分析を行う。
-教科書に 1 ページに書かれた情報の
数量を求める、意見を述べる、他人と
分け合う。
-身に周りやメディアから生活に必要
な、価値のあるアドバイスを選択して
活用する。
指導法
「1年次指導書」では習得段階の計画をどのように立てるかを示した。中等教育で
は、生徒が情報通信技術を利用して問題を解決する知識、能力を身に付けることを目
指して、それを形成させるために教員が指導法を的確に組み立てることが重要であ
る:
- 本書21ページの授業準備-指導案の研究について読み、研究する。
37
- 教員は学習技術刷新において、新たな指導法を自身で習得していることを理解
して、創造的に利用する。
- 生徒全員の参加を高めることを重視し、指導法を的確に選ぶ。
- テーマ~テーマ、テーマと授業との関連を考えて指導案に反映させ、利用する。
例えば:
「情報プロセス」テーマを対象として既習知識をどのように広げるか、
どのような指導法やどのような教材を利用するかなどをよく考える。
- 生徒に既存物を伝える、また自主的な行動をさせているといって勝手にさせず、
授業を適切な形式で組み立て、「問題を解決する」雰囲気を作り、アドバイス
をするなど。
教材
テーマそれぞれに対応した教具を適切に選ぶ。地域の特徴、他の国々の歴史文化
についての情報が載った教具を7、8年生の年齢の特性や知識レベルに対応させた内容
で幅広く構成する。下記の表に試行授業中に使用された配布資料や視覚資料を示した。
クラ
ス
図3. 試行授業で使用された配布資料、視覚資料
テーマ
視覚資料
配布資料
41
1.1-1.4
1.1-1.2
情報プロセス
48 – 52
2.1-2.6, 3.1-3.5
4.1-4.2
2.1-2.2
3.1
情報量
56 – 57
5.1-5.10
5.1-5.4
数値システム
59 – 63
1.1-1.3, 2.1-2.4
1.1-1.3
2.1-2.2
コンピュータで情報を表
す
66 – 72
3.1-3.2, 4.1-4.5
3.1-3.7
4.1-4.2
情報プロセス
73 – 76
5.1-5.3
5.1-5.6
7年生
情報の性質
8年生
教材
ページ数
例として使い方を紹介している。興味のあるテーマを選んで、指定されたページで
試行授業の指導案を参照することができる。視覚資料1.1-1.4は7年生を対象とした
「情報の性質」テーマのパターン1、視覚資料3.1-3.5 は7年生を対象とした「情報
のプロセス」テーマのパターン3で使用されていることを示している。
38
評価
・各授業で生徒が具体的な問題について仮説を立て、授業中にその仮説について話
し合う、実習、ディスカッションをしてまとめて結論する、確認する、結果を出
す、それを仮説と比較する。
・生徒の評価が現実的なものであること、教員の評価方法を向上させることを目指
して、89ページに「電子評価」する指導法を詳しく反映している。参考にするこ
と。生徒の理論的知識を評価するだけでなく、コンピュータの利用能力を同時に
習得させていることが特徴である。生徒は時間にとらわれず、自分なりの自己評
価ができる。
単位授業指導案のモデル
プロジェクト実施中に教員が協同で企画し、試行した単位授業指導案をそのまま修
正なしで掲載した。また当該授業を観察し、分析した教員の意見とアドバイスも説明
として取り入れた。
7年生を対象とした単位授業指導案
授業1 (パターン1)
対象: 7年生
テーマ: 情報と知識
授業目的: 情報と知識について理解する、また情報の性質を定義できるようになる。
授業目標:
・情報とは何か。
・知識とは何だろうか。
授業形態
目的を達成させる形態:
-新しい知識を習得させる
組織形態:
-生徒全員が参加する。
-各生徒に向かい合う。
教材: LCD、presentation (視覚資料1.1-1.4)、コンピュータ、課題(課題1.1-1.2)
指導法: 話し合い、見せて理解させる、自由討論、創造的な行動の方法
39
授業展開:
授業要素
動機付けと
復習の段階
学習活動
教員の発問(K)
生徒の答え(S)
☆ 評価
● 教員の意見
□ 注意点
K: 情報とは何か。視覚資料1.1-1.4
S: 情報–知識が作られる基
S: 情報–各人が一定レベルまで増やし
ている、われわれを囲む環境につ
いての情報
□できるだけ大勢の生
徒を参加させる。
☆ 情報とは何かを自分
の言葉で発表できる
か。
生徒の答え
はまだ不
明。教員は
自分の考え
を押し付け
ているよう
だ。
短かめの面白いビデオを見せる(ハン □ ビデオを準備する
バーガーについて)
K:このビデオはどのような情報につい
□ 情報の5つの性質に
てのものか。ハンバーガーを作る時
あった例を適切に選
にどのような材料が必要か知ってい
ぶ、課題1.1.
るか、など質問する。
地域の特性
に応じた例
を取り出す。
K:知識って何だろう。
問題提示
S:人間が受け取って、処理した情報を
知識という。
K:性質それぞれについて1つずつ例を
出し、それはどのような情報なのか
を話し合う。
S:-情報は真実であること
-情報は需要があること
-情報はわかりやすいこと
-情報は価値があること
情報の性質
でと説明す
ることが正
確だ。情報と
知識の連携
を自分の言
葉で発表で
きる能力を
習得する
-情報は完全であること
問題解決
復習と
まとめ
宿題
K:クロスワードパズルを解く、配布資 □ 生徒の年齢、思考に
料1.2
対応したパズルを準
備する。
S:どんな言葉ができたかを話し合う
● グループを回ってア
情報という言葉ができる。
ドバイスをする。
S:人間のための情報 – これが知識で
あるという理解に辿り着く。
情報保存媒体について調べる。
40
どんな問題
が解決され
たのかが不
明である。
視覚資料 1.1
視覚資料1.2
視覚資料1.3
視覚資料1.4
課題 1.1
課題1.2
41
授業1 (パターン2)
テーマ
情報と知識
対象
7年生
目的
情報に基づいて知識を創造できる、情報の性質を定義す
る。
目標
 情報の性質を知る、例を挙げる。
認識したことについて他者と意見交換する。
 情報は知識になることができるか。
 個人の知識と一般知識
授業形態
目的を達成する形態:
 新しい知識を与える
 復習する
 修正する
指導法
話し合い、視覚資料、自由討論
教具
LCD、presentation、コンピュータ、教科書
組織形態:
 理論講義
 生徒全員の参加
質疑応答
 二人一組で行動
授業展開
40分
流れ
教員の活動
生徒の活動
1
クラスの準
備
 授業の準備を行う。
 挨拶
 コンピュータに電源を
入れる
 挨拶
 授業の準備を行う。
 コンピュータを規則通り
に安全に正しく利用す
る。
2
動機付け
生徒にクロスワードパズル
を解かせ、授業のテーマを
理解させる。
(生徒にプレゼンを見せな
がら話し合う。)
情報と知識について生徒と
話し合う
例:次の質問をする。
 情報とは何か
 知識とは何か
教員の質問に答える形でパ
ズルを解き、情報という言
葉を出す。
授業展開
40分
人間は多くの情報を受け取
る。広義の意味を持つ知識
にしている情報はを情報と
いう。知識は秩序正しく保
存した情報のことである。
流れ
教員の活動
生徒の活動
42
どのような目
的でパズルを
解かせたのか
教員は生徒の
答えを殆ど自
分で論理的に
書いてしまっ
ている。
3
新しい知識
を習得させ
る
人間のための情報-それが
1 コンピュータ起動と終了
知識である。知識を2つに分
ができる。
類する。
1 個人の知識(人間が受け
取り、整理し、記憶して
いる情報)
2 一般知識(本、ドラマ、
写真、絵や他に保存され
ている全ての人々の知
識)
この2つの知識の例を発表
させる。
2 ペンギンがどこに住ん
でいるか知らない。しかし、
本を通して知ることができ
る。
4
新しい知識
を確認する
生徒にプレゼンテーション
を見せ、情報の5つの性質に
ついて発表させる。
情報1、情報2を紹介して、
情報は真実であることを発
見させる。
5
評価
授業に参加した積極性で生徒を評価する
6
宿題
グループ毎に情報の5つの
性質に適した情報を収集
し、準備する。
7
結論
今日の授業では情報は知識になるかについて、情報の性
質について知り、日常生活での例を学んだ。
43
1
2
3
4
5
プレゼンテー
ション形式で
はなく、課題を
行わせると良
い。さいころを
使って説明す
る方法を利用
することが可
能であった。
情報は真実である
情報は完全である
情報は価値がある
情報はニーズがある
情報はわかりやすい
宿題をメモする
グループをど
のように作っ
たかが不明で
ある。
1. 情報は真実であること
情報-1
どうすれば百万長者になれるか
人間は多様な方法で財産を作る。一部の人々は自分の才能や知恵で金持ちになるが、
ある人々は儲かるビジネスを営んで金持ちになる。人は金を持てば持つほど、更に増
やそうと努力する。その努力の結果として百万長者や億万長者になる。
情報-2
どうすれば百万長者になれるか
人々は陰暦の満月が出たとき、満月に向かって「お月様、私を金持ちにしてくださ
い」と7回繰り返し、財布を7回振り、3回豚の鳴き真似をしてから、金を枕の下に入
れて寝れば、財布の中の金が増えて百万長者になる。
2. 情報は完全であること
タイヤの歴史
 人間は長い歴史の中で重要な発見をした。その1つがタイヤ
の創造である。それが乗り物が誕生するきっかけになった。
 今から5000年位前に、互いを結びつけた丸太のタイヤ付きの
車に乗っていた。
 4000年位前、最初のタイヤが作られたことにより、車が軽く、
スピードが速くなった。
 ほんの200年前の1800年代には木のタイヤの周りに鉄をかぶ
せ、磨耗を防いでいた。
 1900年頃にゴム製タイヤができた。
44
タイヤができた
おかげで
 1769年フランスのニコル・クニオが製作したトラクターは、
動物の力を借りずに自走できる初の車となった。その車のス
ピードは時速47キロだった。
 1865年ドイツのゴトリブ・ダイムラーが2輪車にエンジンを
取りつけ、初めてのモーター付き二輪車が作られた。
 1913年アメリカのへンリー・フォードが工場でベルトコンベ
アを普及させた結果、生産能力が向上し、1日1000台の『フ
ォルドT』型自動車を生産した。
・ 1988年『ジェネラルモータース』社は太陽エネルギーパネル
で電流を流してエンジンが動く『サンライサー』自動車を開
発した。それは時速78キロのスピードである。
3. 情報は価値があること
生徒と天気予報について話し合う。
4. 情報は需要があること
ビンから出る噴水
用意するもの:
色付きインク、蓋付きビン、
ストロー、粘土、大きいガラ
スのボール
食品
様々な食品が人間の身体に色々な影響を及ぼす。食品は少量
ずつ摂取すれば健康に良い。
1.ビンの蓋にストローが入
るくらいの穴を開ける。
2.ビンの半分まで水を入れ
て、色をつけて、きちんと蓋
を閉める。
肉、魚、卵は身体の成長に大切である。
イモ、米、麺、パン、菓子は体に熱量及びカロリーを与える。
3.ストローを蓋に通し、下
部を水の中にいれ、蓋とスト
ローの隙間を粘土でよく塞
ぎ、ストローの上部を粘土で
塞ぐ。
牛乳、チーズ、ヨーグルト、乳製品は歯と骨を丈夫にする。
果物と野菜は多くのビタミンが豊富で身体の活発な活動を支
える。
大きいボールの温水がビン
の空気を温める。温まった空
気が膨張し、水を底に圧縮す
る結果、ストローを通って水
が上昇し、吹き上げる。
45
アイスクリーム、炭酸飲料に
は砂糖、またフライには油が
大量に含まれるため、あなた
の健康に良くない。
6. 情報は分かりやすいこと
あなたはどのように成長しているか?
成長が最も著しいのは子宮内だが、生後 2 年間も成長が著しい。
成長は脳中にある脳下垂体から分泌される成長ホルモンによる。生殖線刺激ホルモンは体形を変化させる、女
子で 10-14 歳、男子で 12-14 歳である。身体が成長するとともに思考が発達し、色々な問題を解決する能力を
習得する。
背が高くなったり、低くなったりすること
成長ホルモンの余剰により、背は伸びるが、そのホルモンが不足すると背は低くなる。
現代はそういった人々に治療を施し、普通の成長が望めるようになった。
生後 8 ヶ月になると、
子供の手と足の動きが
安定し、座れるように
なる。その時期に歯が
生え始める。
7歳の子供は自分の手
で非常に複雑なものを
作ることができるよう
になるが、その時期に
は集中力が高まる。
12-14歳では日常の活
動パターンが形成さ
れ、成長が早くなる。
今わかったよ。
2歳のときには、200程
度の言葉を理解できる
ようになる。
18-20歳の時期は成熟
して、思考が安定さ、
成人する。
20 歳以降は老いが始まる
が、最初は気が付かない。
年齢が上がるに連れて、
年を取ったことを感じる
ようになり、頭髪が白く
なり、顔に皺ができ、肉
体が衰え、集中力が衰え
始める。人それぞれの生
活環境によって異なる。
クロスワードパズル
5
6
8
4
1. ねずみの英語名
2. モンゴル人の昔からの住居
3. コンピュータの保存機器
4. モンゴルの民族衣装
5. テレビ形のコンピュータ装置
6. キャノンという装置をモンゴ
ル語でいうと
7. アルファベットの最後から3
番目の文字
8. プリンターという装置をモン
ゴル語でいうと
2
1
3
7
46
授業2 (パターン1)
対象: 7年生
テーマ: 情報をどのように保存するか
目的: 情報の媒体とコンピュータに情報を保存する方法について理解する。
目標:
・ 情報はどこに保存されるか。
・ 情報の媒体について
・ 情報を保存する方法について
形式
目的を達成する形態:
- 新しい知識を習得させる
組織形態:
- 全員で行動する
- 各生徒と向かい合う。
教材: LCD, presentation (視覚資料2.1-2.6)、コンピュータ、課題(課題2.1-2.2)
指導法: 話し合う、見せて理解させる、2人1組で行う、創造的な行動
授業の展開:
授業要素
動機付けと
復習
学習活動
教員の質問 (K),
生徒の答え(S)
☆ 評価
● 教員の意見
□
注意点
K: 次の4枚のイラストはどのような意 ☆イラストの意味を説
味を持っているか(視覚資料2.1) 明できた生徒をスタ
ンダード以外の項目
S: チンギスハーンの肖像が彫られた
で評価する。
壁画、亀石とホルギーントゴーな
どは自然の特殊な成り立ちで素晴
らしい情報を保存してきたもので
ある。
K: 情報を運ぶ媒体とは何か。視覚資料 ●情報を運ぶ媒体は何
2.2-4
のことか、媒介には
どれが含まれるかを
S: 情報を保存している物が情報の媒
生徒に発表させる。
体である。
K: 情報を運ぶ媒体に含まれるものは
どれか。
問題提示
S: 本、CD、メモリー、レーザーディス ●歴史的作品『モンゴ
ク、インターネットが含まれる。 ル秘史』はモンゴル人
の生活、政治体制につ
短いビデオを見せる。
いてなどたくさんの事
視覚資料2.5 -2.6
柄がきさいされて折
S: ハードディスクに『モンゴル秘史』 り、現代まで伝えられ
の短い引用をコンピュータに打ち込 てきたものである。
み、保存する。配布資料 2.1
47
6 年生で既
習の知識が
どのように
深められる
かを考える。
RAM, ROM,
CD-R,
CD-RW を
理解させ、比
較させる。
なぜ情報の
媒体を開発
し、利用して
いるかを発
表させる。
ビデオにつ
いてはっき
りと説明す
る。それは今
後の情報マ
ナーを習得
し、著作権を
尊重するな
どを理解し、
習得させる
際に有利で
ある。
S:私達の打ち込んだ情報はハードに保
存されている。
問題解決
復習
宿題
S: バヤルが「あなたの電話番号を覚え
てしまった」と言った。バヤルはこ
の情報をどこに保存したか。配布資
料2.2
S: 頭の中に
S:情報保存用の....特別な機関がある
S: 図書館、文書保管庫、博物館
K: 情報保存のためにはコンピュータ
のどの装置を利用するか。
S: ハードディスク
-人間は情報を記憶する
-情報保存する対象を情報媒体と言
う。
-情報保存の最も良い方法は電子化
することである。
情報をどのような媒体がいかに保存するかを調べ、ノートに書
いてくる。
視覚資料 2.1
視覚資料2.2
視覚資料2.3
視覚資料2.4
48
視覚資料2.5
視覚資料2.6
課題 2.1
課題2.2
授業3 (パターン1)
対象: 7年生
テーマ: アルバムを作ろう
目標:
・情報プロセスについて理解する。
・クラスのアルバムを作る。
授業段階
動機付け
学習活動
教員の質問 (K)
生徒の答え(S)
☆ 評価
● 教員の意見
□ 注意点
K:モンタージュ、写真アルバムな
どMovie Maker ソフトを利用し
て編集した作品を見せる。
S:いいと。私もこのように編集し
たい。
49
● 視 覚 資 料 3.1-3.4 を提
案する。
●アルバムはどのような
形が可能か、使うことの
できるソフトを生徒に発
言させるようにする。
情報プロセス
について理解
を拡大すると
言うほうがよ
い。すでにこ
れらは理解し
ているだろ
う。
問題提示
問題解決
宿題
K: このアルバムのように音声、動
画、字幕が付いたアルバムを作ろ
う。
今日の授業の目標を紹介する。
S: 授業タイトルを書く。
K:情報のプロセスは何か。
S: 情報の保存、伝達、処理
K: 知識を広げて学ぶ。
S: 話し合う。
●アルバム作りのために
まず計画を立て利用可
能なソフトを調べる。
□この表を配る。 配布資
料 3.1
この段階では
知識交換の状
態が不明。
K: 視覚資料3.5
●例えば:計画は下記のよ
グループ活動を提案する。
うにする。
過程ごとに作業を計画する。
S: 7チームに分ける。計画を立て ●1人1人の役目を計画に
る。
入れる。
 アルバムに入れる写真を集める
 今のクラスの写真を撮る
 写真全部(デジタル形式)をコンピュータに入力
問題解決前に
計画を立てる
ことが大切で
あるとを理解
させる。
結論段階で情
報検索、収集の
様々な方法が
あることにつ
いてまとめて
説明する。
視覚資料3.2
50
どんなグルー
プに分かれて
いるか明確
化。
利用する機器
を思い出させ
る。例:携帯
電話、デジタ
ルカメラ、ビ
デオカメラ、
スキャナーな
ど。
教材:
編集 (視覚資料3.1-3.5)
アルバム(課題3.1)
Movie Makerソフトを利用して作った作品
教員が準備したスライド
教員が作ったアルバム
視覚資料3.1
既知の事柄に
基づいて教材
を利用し、問
題解決能力を
習得させるこ
とを明確化。
視覚資料3.3
視覚資料3.4
展示資料3.5
配布資料 3.1
授業4 (パターン1)
対象: 7年生
テーマ:アルバムを作ろう
目標:
・集めた情報、処理した情報を編集する。
・アルバムを作る。
授業段階
動機付け
学習活動
教員の質問 (K)
生徒の答え(S)
☆ 評価
● 教員の意見
□ 注意点
K:前の授業で見せたアルバム ●視覚資料 4.1
を覚えているか。どのような
ソフトを利用していたか。
S:Movie Makerソフト
51
問題提示
問題解決
結論
宿題
K:今日は何をする計画を立て ●グループそれぞれに目的
て来たか。
を定義させる。教員が目標
S:ソフトを学ぶ 。
を紹介する。
K:今日の目標を紹介する。
S:授業タイトルを書く。「アル
バ ム を 作 る 」 た め Movie
Maker ソフトを利用する。
グループに分ける、配布資料 教員の指示通りにコンピ
を配る
ュータで処理する。
グループ活動を勧める
各グループでコンピュー
・ 教 員 の 指 示 通 り に Movie
タ利用
Makerソフトを調べる。
グループ1:
-ソフト利用しアルバム作成
グループ2
-グループを回ってアドバイ
グループ3:
ス。
グループ4:
-編集した作品の保存
グループ5:
グループ6:
グループ7:
Movie Makerソフト利用してア 生徒は自分のグループの目
ルバム編集した
標達成度を発表する。次の目
標を示す。視覚資料4.2
編集したアルバムをいかに改善するかについて計画を立て
てくる。アルバムを家族に見せる。
教材:
・グループごとにコンピュータ。
・配布資料
・教員が用意したスライド(視覚資料4.1-4.2)
・教員が作成したアルバム
視覚資料4.1
視覚資料4.2
52
Movie Maker ソ
フト構造につい
てのマニュアル
を作り、使わせる
ほうがよい。
どの配布資料を
どのような目的
で使用するかを
指導案に明確に
書かれていな
い。
何分でどのくら
い編集できてい
るかを判断する。
授業4 (パターン2)
対象: 7年生
テーマ: 情報伝達
目的: いかに情報伝達するか
目標:
・情報伝達過程を理解する
・情報をコンピュータでいかに伝達することについての知識を習得する。
教材: LCD、教科書、コンピュータ
指導法: 話し合い、視覚資料
授業展開:
復習 – 6分
新しい知識を習得する– 10分
自習活動 – 15分
評価 – 7分
宿題
– 2分
授業課程:
1. 復習
・教員は情報、情報プロセスについて知っていることについて話し合い、以前の
授業を思い出させる。(3分)
・情報を伝達する方法について話し合い、情報を与える。(3分)
2. 新しい知識を習得する
・生徒と下記のゲームを行う。生徒を丸い形に並ばせる。誰か1人の耳に言葉を
言う。聞き取った生徒が隣の生徒に伝達し、最後の生徒が伝達されてきた言葉
の情報を皆に発表する。このゲームの規則に情報伝達過程があることを教えて
から新しい授業に入る。(4 分)
・情報を伝達する過程を理論的に説明した視覚資料や図式を説明する。(4分)
53
・情報伝達中に間違いが起こり得るかと質問し、答える。(2分)
これらの情報伝達機器
の役目について、情報
をいかに確実に伝達す
るかなどの問題を提示
しながら、話し合う。
3. 自習活動
・家族についての簡単な情報、あるいは友達に手紙を書くことを勧める。(どこ
に保存するかを教える。(10分)
・情報をネットワークを利用して、友人のコンピュータに送り、
友人が情報を受け取る。(2分)
どこにではなく、どのデ
ィスクに、どのファイル
に保存するかなど専門
用語で書く。生徒にもそ
のように書かせる。
・教員がインターネットの情報を与える。
4. 評価: 生徒を評価する。
どんな方法でいかに評
価するかをはっきり書
く。
5. 宿題: 下記のテーマで作文を書きなさい。
・情報伝達の方法
・情報伝達の現代的方法
・情報を他者にいかに素早く伝達できるか。
授業5 (パターン1)
対象: 7年生
テーマ: 情報を測ろう。
目的: 情報量を定義することを学ぶ。
目標:
・字母、その力についての理解
・情報を測るビット、バイト、キロバイト、メガバイト、ギガバイトについて
形式
目的を達成する形態:
- 新しい知識を習得させる
組織形態:
- 全員で行動する
- 各生徒と向かい合う。
教材: LCD、プレゼン、コンピュータ、配布資料
指導法: 話し合い、見せて理解させる(視覚資料5.1-5.10)、ゲーム、創造的な行動の
方法 (配布資料5.1-5.4)
54
授業展開:
授業段階
40分
動機付けと
復習
学習活動
教員の質問 (K)
生徒の答え(S)
☆ 評価
● 教員の意見
□ 注意点
K:長さの単位、時間の単位、重さの単 ●視覚資料5.1-5.10
位を用いて情報の単位について理
解させる。
どれが重いか。視覚資料5.1
なぜそのテーマ
を選んだか説明
する。
S: 単位が同じ。
K: 字母とは何か。皆は知っているか。 ●字母について話し
合う視覚資料5.2
S:情報を表すために利用されている記
号の集まりを字母と言う。
K:字母の記号の数を字母の力という。
キリル文字と記号で成り立つ字母
●ビットを理解する
の力は56に等しい。35文字+10(数
問題を取り
ためには簡単な事
字)+11点、記号
上げる
例としてトランプ
K: ビットとは何か。
を解くゲームのマ
トランプの2から9までの計32枚を想
ニュアルをよく教
像し、下のイエスノーゲームで遊ぼ
える。展示資料5.3
う。1人が質問、1枚を取ってよく見
課題5.1-5.2、トラ
る。もう1人が返答、その1枚を当
ンプを用意する
てるゲームである。聞き手はイエス
あるいはノーと答える。
●質問の手助けをす
る。視覚資料
S: 2進法(0 と 1)で表す情報量がビッ
5.6-5.10
トだということを理解する。
トランプを当て
終わったら、当っ
た、当らなかった
場面を話し合う。
もう一度役目を
交替してゲーム
する。理由を明確
に話す。
K: ビットとは何か。
問題解決
K: 10010、100001010これは何ビットの
●1キロ =?グラム
情報になるか。
1キロ =?メートル
S: 5、9ビット
1キロバイト=? バ
K: 1バイトは何ビットになるか。
イト
S:1バイト= 8ビット
そこで1k=103と言わ
せる。
1キロバイト = 1024バイト
情報の量がわか
ることによって
どんな問題を解
決できるように
なったか。
1メガバイト = 1024キロバイト
1ギガバイト= 1024 メガバイト
S: 課題5.3
結論
1. 問題を解いて結果を出す。
2. 2人1組でコンピュータを利用。
S: 40×60=2400バイト 150×2400
=360000バイト=35.1キロバイト
宿題
英語の字母の力を理解し、記録する。
55
●課題5.3をいかに解
いたかについて話
し合って、評価す
る。課題5.4
ディスク、ファイ
ルの容量を定義
する簡単な知識、
能力を習得する
ことを復習する。
視覚資料 5.1
視覚資料5.2
視覚資料5.3
課題 5.1
課題5.2
課題5.6
56
視覚資料 5.7
視覚資料5.8
視覚資料5.9
視覚資料5.10
課題5.3
課題5.4
57
8年生を対象にした指導案
授業1 (パターン1)
対象: 8年生
テーマ: 位置づけのある、位置づけのない記数法
目的: 記数法について理解させ、位置づけのある、位置づけのない記数法の相違を理
解する。
目標:
・位置づけのある記数法
・位置づけのない記数法
形式
-
目的を達成する形態:
新しい知識を習得させる
組織形態:
- 全員で行動する
- 各生徒と向かい合う。
教材: LCD、プレゼン(展示資料1.1-1.3)、コンピュータ、課題(課題1.1-1.3)
指導法: 話し合う、見せて理解させる、2人1組で行う、創造的な行動
授業展開:
学習活動
教員の質問 (K)
生徒の答え(S)
授業段階
☆ 評価
● 教員の意見
□ 注意点
動機付けと K:数と数字という概念の間に相違があ ●数と数字という
復習
るか。(視覚資料1.1、視覚資料1.2、
概念の間に相違
視覚資料1.3)
があることが理
解できたか。
S: 数は大まかな理解、数字は対象の数
を記録する書き方
5数= 5数字
位置づけのある、
位置づけのない記
数法をなぜ学んで
いるか。今後どん
なテーマ範囲内
で、いかに利用す
るかを説明する。
S: 数を表すために数字と言われる特別
な記号を作った。
K: 物を数えるときにどんな数を使って ●人間の10本の指
いるか。
は天然の計算器
である。
S: 物を数えるときの数字をアラビア数
問題提示
字という0,1,2,3,4,5,6,7,8,9
S: 記数法と言うのは何か。
●記数法を説明す
る。
S: 数を表して書いたり、数字の働く規
則的なシステムを記数法といいます。
S: ?
K: 3の数字が入った数を作ろう。
問題解決
●ここでどんな位
置にあるかによ
S: 3, 32, 543, 8361, 3987,...
って数の意味が
S: 一桁では 3, 10の数では30、100の数
変化する。
では300、1000の数では3000になる
●位置づけのある
K: すると上記はどんな記数法か。
記数法を利用し
S: 位のある記数法
て、計算するこ
58
数学に関連させ
て、説明する。
K: アラビア数字を(位置づけのある記
とはいかが?
数法)を使って、計算しよう。 (配布 ●位置づけのあ
資料 1.1)
る、位置づけの
S: 1534768 28÷4=, 1.3×0.4=
ない記数法の相
違が理解できた
K: 世紀、本や小説などの目次にはどん
か。
な数字を使うか。
S: I, II, III, IҮ, Ү, X, L, C, D, M (ロ
ーマ数字)大きな数字をローマ数字で
記すのは不便である。
授業中、生徒がロ
ーマ数とアラビア
数につまずいてい
る。数字と言い慣
れる様に理解させ
る。
K: 例: XC, LҮをいくつと読むか(配布資
料 1.2)
S: XC=(100-10)=90 大きい数字の前に
小さい数字があれば大きい数字から
小さい数字を引いて読む。
LҮ=(50+5)=55
小さい数字の前に大きい数字があれ
ばそれらを足して読む。
今日の授業の確認問題を解きなさい。
(配布資料 1.3)
生徒が結論を話
し合う。
次の数字をローマ数字で書け。
35,
666
結論
ローマ数字で書かれたVC, CCXXXIの
数字を10進法で表すといくつになる
か。
2008.3.14 の数字
をモンゴルの伝統
的な陰暦で記し、説
明しなさいなどの
宿題を与える。
2,5,10進法の数字を書いてください。
いくつの数字がありますか?
宿題
8, 16 進法の数字を書いてきなさい。自分で考えて2-4つの
例を考えなさい。
視覚資料 1.1
視覚資料1.2
59
視覚資料1.3
課題 1.1
課題1.2
課題1.3
授業1 (パターン2)
テーマ: 位置づけのある記数法
対象: 8年生
目的: 記数法の理解、活用について知識を創造する。
目標:
・アラビア数字がいかに発生したかを理解する。
・記数法とは何かを理解する。
・記数法の基、それをいかに表すかについて知識能力を習得する。
教材: LCD、配布資料
指導法: 話し合う、グループ活動、自由討論
60
授業展開:
授業段階
動機付け
(6 分)
新しい知識
を与える、知
識交換し、協
同活動する
段階
(12分)
教員の活動
生徒の活動
○ 数とは何か。
○ 皆は日常生活でどのよう
な数を使っているか。例を
挙げなさい。
対象の個数を記すときには
数を用いる。ローマ数字(Ⅰ,
Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴなど)
アラビア数字
(1, 2,3..10, 11…)
皆の使っているアラビア数字は、位置づけのある記数法の一
例である。位置づけのある記数法は対象数字がどこに位置し
ているかによって数の意味が変わってくる。
例: 1の数字が1個であれば1、10個あれば10、100個あれば
100など、色々な意味を表す。アラビア数字は10進法という。
英語で10進法をdecimalという。また位置づけのある記数法
には2進法や16進法が含まれる。情報学では2進法が良く使わ
れている。コンピュータには情報を2進法でコード化し、保
存している。10進法を2進法へ、2進法を10進法へ変換する方
法を見てみよう。
生徒1人1人にアドバスし、 1. 下記の数はどんな記数法
援助する。ヒントとなる質問
で記されているかを言
をする。方向付ける。
う。
111B, 1010D, 1111В
創造的な活
2. 下記の数を10進法に変換
動、自習活動
しなさい。124, 64, 27, 16,
の段階
21, 15
(13分)
3. 下記の数は2進法に転換
しなさい。
111, 101, 110, 1001, 1000,
1010
結論と確認
(5分)
評価
(2分)
宿題
(2分)
2進法の数字はどんな数字の
生徒の回答を聞く。
ことを言うか。
どんな目的で学ぶ
のか、今後のテー
マとの関連を教え
る。
記数法に移るこ
とを指導する。
参加度や積極性に応じて評価する。
下記の数は3進法に変換する
方法を両親らと一緒に考え
て、変換しなさい。
124, 64, 27, 16, 21, 15
ハンウール統合校では英語
とロシア語を学習している。
8в 組の 11000В %が英語学習
で、残りの 1101В がロシア
語を学んでいる。8в 組は全
員何人ですか。記録する。
自習課題
1. 111B, 1010D, 1111В 右の数はどんな記数法で記されているか。
2. 124D, 64D, 27D, 16D, 21D, 15D 割り算を使って2進法に変換しなさい。
3. 111B, 101B, 110B, 1001B, 1000B, 1010B 右の数を10進法に変換しなさい。
61
授業2 (パターン1)
対象: 8年生
テーマ: 復習授業
目的: 2進法で数を表す、10進法の数を2進法に変換する。
目標:
・2, 5, 20, 12, 16進法について理解する
・記数法の基
・10進法から2進法に変換する
形式
目的を達成する形態:
組織形態:
- 新しい知識を習得させる。
- 全員で行動する。
- 各生徒と向かい合う。
教材: LCD、プレゼンテーション(視覚資料2.1-2.4)、コンピュータ、配布資料(配布
資料2.1-2.2)
指導法: 話し合い、グループ活動、自由討論、創造的活動の方法
授業展開:
授業段階
40分
動機付けと
復習
問題提示
問題解決
学習活動
教員の質問 (K)
生徒の答え(S)
☆ 評価
● 教員の意見
□ 注意点
K: 10進法について知っているか。
S: 私たちの日常生活で利用している記
数法は10進法である。0 1 2 3 4 5 6
7 8 9 という計10個の数字を使い、
数を表す。
K: 生活には多くの記数法がある。
●下記の記数法の活用
視覚資料 2.1
を説明する
S: 2, 5, 8, 10, 12, 16
●記数法の基礎につい
K: 位置づけのある記数法で数字を表す
て理解したか。
ときに使う記号の数を記数法の基と
言います。
K: 0と1の2つで表す情報を2進法といい
ます。8進法はいくつの数字からなる
か。視覚資料 2.2
S: 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7
K: 10111012
36718
3В2F 16 上記の 3つの数を読ませ、ど
の記数法に変換するか発表させる。視
覚資料 2.3
K: 記数法の対応を見せ、9という10進法 ●記数法の対応を使っ
の数が2進法では1001になるかを記しな
て計算する。視覚資
さい。視覚資料 2.4
料2.4
下記の方法で計算す
ることを勧める。
9:2=4(1)
62
97 ページに 2
番目の方法で
間違いを説明
した。
4:2=2(0)
2:2=1(0)
1:2=0(1)
確認と結論
宿題
1.次の10進法の記号を2進法で書きな
さい。 247, 60
2.2進法を図で表しなさい。
(配布資料2.1、2.2)
生徒の計算の解答につ
いて話し合う、自分で
誤りについて考える。
方眼ノートに黒、白の色で絵を書き、それを2進法に変換しなさ
い。
視覚資料 2.1
視覚資料2.2
視覚資料2.3
視覚資料2.4
課題 2.1
課題2.2
63
記数法だけ理
解するのでは
なく、2 進法を
コンピュータ
で利用するこ
とについて理
解する。
授業2 (パターン2)
テーマ: 位置づけのない記数法
対象: 8年生
目的: 位置づけのあると位置づけのない記数法を理解させる
目標:
・位置づけのない記数法とは何かを理解する
・ローマ数字をアラビア数字へ変換する能力を習得する
・その活用と記号を知る。
教材: LCD、配布資料
指導法: 話し合い、グループ活動、自由討論
授業展開:
授業段階
教員の活動
生徒の活動
動機付け
(3分)
・既知の記数法以外にどのよ
うな数を数学記号に使って
いるか、例を挙げて説明す
る。
ローマ数字(I, II, III, IҮ,
Ү など)
ア ラ ブ 数 字 (1, 2, 3..10,
11…)
皆の利用しているローマ数字は位置づけのない記数法の一
例である。位置づけのない記数法は対象数字がどこに位置し
ているかによって数の意味が変わらない記数法である。位置
づけのない記数法では良く使われているのはローマ数字で
新しい知 ある。この記数法で記された数の数字の意味はそれの数字の
識を与え、 合計が引き算で定義される。数字:
知識交換 1(I), Ү(5), X(10), L(50), C(100), D(500), M(1000)
し、協同で ローマ数字を表す3つの規則がある。
活動する
1. 小さな数字の前に大きな数字があればそれらの値を足
段階
し算する。
(10分)
2. 大きい数字から小さい数字を引いて読む。
3.
並んだ同じ4文字で書かない。
-理論的な情報を聞く。
-生徒は教員の指示通りに例を挙げる。
生徒一人一人にアドバスし、援 1. 400, 900, 500, 5768,
助する。ヒントとなる質問をす 1692, 13, 99, 444, 666
創造的な る。管理する。
上記の数をローマ数字で表
す。
活動、自習
2. MCMIII, DLҮ, XL, DCIII,
活動の段
階
MCLҮ, XI, IX, LX, CLX,
(20分)
MDCXLҮIII
上記の数をアラビア数字で
表し、2進法に変換する。
64
ローマ数ではなく、
数字だと言うこと
に気づく.
3. DC+45= 1120+CXXC=
確認と結
論
(3分)
今日は目標を達成することが
できたか。
・位置づけのない記数法とは何
回答を聞く。
か。
ローマ数字がいくつの数字
で成り立つか。
評価
(2分)
参加度、積極性に応じて評価する。
宿題
(2 分)
下記の数字を棒を使ってロー
マ数字に変換し、一本を動かし
て正しい数の方程式にしなさ
い。家族の協力を得る。6-4=11
3-4=8 6+4=1
2+2=2
書き取る。次の「情報をコ
ンピュータでいかに表現す
るか」テーマを学習する。
情報の表現について情報を
集めてきなさい。
自習課題
1. 400, 900, 500, 5768, 1692, 13, 99, 444, 666
さい。
右の数をローマ数字で表しな
2. MCMIII, DLҮ, XL, DCIII, MCLҮ, XI, IX, LX, CLX, MDCXLҮIII
に変換し、2進法で表しなさい。
をアラビア数字
3. DC+45= 1120+CXXC=
授業3 (パターン1)
対象: 8年生
テーマ: 情報を表現する
目的: 情報を表現する形を学ぶ
目標:
•
•
形式
数字、テキスト、グラフィックなどが混ざった情報について学ぶ
情報を様々な形で表す
目的を達成する形態:
- 新しい知識を習得させる。
組織形態:
- 全員で行動する。
- 各生徒と向かい合う。
教材: LCD、プレゼンテーション(視覚資料3.1-3.2)、コンピュータ、課題(課題3.1-3.2)
指導法: 話し合い、グループ活動、自由討論
65
授業過程:
学習活動
教員の質問 (K)
生徒の答え(S)
授業段階40分
動機付け
K: 247はどのような意味を表しているか。 (視覚
資料3.1)
S: 私はあなたが好き、I love you, CCIIIL,
トゥグルグ、部屋の番号
K: 247をどのように表すことができるか。
S: にひゃくよんじゅうなな、CCIIIL
問題提示
問題解決
まとめと
認
宿題
☆ 評価
● 教員の意見
□ 注意点
確
以前に学
んだ情報
を以下に
広げるか
を考える
なぞなぞを解いて遊ぶ
K: グループに分け、グループで守る規則を紹介
する。(視覚資料3.2)
次に各グループになぞなぞを書いたカードを
配る。(課題3.1)
S: 時間制限つきでなぞなぞを出す。時間が経過
したらなぞなぞの答えを絵で書いたり、詩や動
きで表現する。
□グループに分け
る。なぞなぞを書
いたカードを用
意する。(課題
3.1)
●グループで規則
を紹介。А3用紙、
マーカー、セロテ
ープを用意する。
S: グループ員は責任を持って役割を果たし他の
グループと話し合って結論を出す。
1つの情報を様々に表現できる。
・会話は情報を表す最も適切な形である。
・数字で情報を表す
・テキスト情報を保存する適切な方法はタイプし
て表すこと。
・絵、図、写真、表、図などはグラフィック情報
である。
数字、テキスト、グラフィックが混ざった情報も
表現できることを発表させる。
☆グループ活動で
生徒を評価。
課題 3.2
1.以下の情報に合う例を挙げ、書きなさい。
2.グラフィック情報を数字とテキスト情報で表
しなさい。
☆課題を集め、今日
の授業をどれく
らい理解したか
を評価する。
アナログとデジタルの違いを両親に聞いてきなさい。
視覚資料3.1
視覚資料3.2
66
提示された問
題が合理的で
はない。コン
ピュータで情
報を表現する
形式を理解さ
せる
Word Pad,
Paint,
Word など
具体的な
ソフトで
作業させ
る
他の情報
源につい
ても説明
する。
課題 3.1
課題3.2
なぞなぞ
赤い子牛
水の腹を持っている (......)
羽を持っているが飛ばない
足がないのに歩きがち (......)
寒い真冬に裸なのに
暑い盛夏にデールを着る(......)
授業3-4 (パターン2)
テーマ: コンピュータで情報を表す
対象: 8年生
目的: コンピュータで文章、絵、音声を暗号化する。
目標: コンピュータで
・テキストを書く
・絵を描く
・2進法の暗号化を行う。
授業形式:
目的を達成する形態:
・新しい知識を習得する
・確認する
・結論する
組織形態:
・理論講義の形式
・クラス全員の協同活動
・質疑応答
指導法: 話し合う、見せて理解させる、自由討論
教材: LCD、プレゼンテーション、コンピュータ、教科書
授業段階
40分
活動
教員の活動
1
授業準備
生徒の活動
授業準備
挨拶する。
挨拶する。
授業準備
コンピュータを用意する。
67
2
3
4
動機付け
新しい
知識習得
新しい知識を
確認する
パズルを埋めさせ、授業名を
出す。(プレゼンテーション
を見せる。)0と1で表した情
報を解読する。
質問する
コンピュータに入力した
情報はどう画面に映るか。
 文章、絵をどう表すか。
 音声をどう表すか。
教員の質問に回答しながらパ
ズルを埋め、情報という単語を
出す。つまり1という欄を塗る
ことで文字を作り、それで表現
という言葉を出す。
6010 を2進法に変換する。文章
に表す。
ASCIIコードを説明し、配布
資料1をする。0-127記号,
128-256 は対象国の記号コ
ードである。絵を描く。
60:=30 (0) 30:2=15(0)
15:2=7(1)
7:2=3(1)
3:2=1(1)
1:2=0(1)
6010=1111002
課題2、3を生徒に行わせ、最
初の曲線と比較して、どちら
が最初の絵に近いかを判断
させる。歌を表現する。
配布資料2、3の絵の部分の塗り
残しをそのままにおいておく。
塗った穴を1で、ぬらなかった
ものを0で記し、絵を2進法でコ
ード化する。そこで絵を表す点
が多い、つまり密度が高ければ
細かい絵になるという理解を
得る。
テキストの与えられたコー
ドを10進法に変換する。暗号
化された絵を思い出させる。
配布資料4を行い、グループ
が相互に制作したものを交
換し、評価する。マイナスの
数字をどう暗号化するか。順
番を教える。デジタル式のど
のような機械を知っている
か。各デジタルカメラの違い
について。デジタルというの
は数の技術である。
デジタルビデオカメラは画
像と音声も記録する。
1 1 1 1 0 02=125 +124 +123
+122
+021 +020=32+16+8+4=6010
入力した情報はプロセッサー
の中で2進法の暗号と画面での
色の点が点滅する。
配布資料1の問題をグループで
解き、黒板に貼る。
デジタルカメラ
デジタルビデオカメラ
点の密度である画素が高いほ
ど質の良いカメラである。
絵、音声、画像の全てを数のコ
ードにして保存する。音も2進
法で暗号化される。
5
評価
グループそれぞれがどのような知識を創造したかを発表し
て、まとめる。
6
宿題
前の学年で学習した情報受
信源を思い出す。
7
結論
教員はパズル
が好きだ。色々
な動機付けの
場面を工夫す
る。
デジタルカメ
ラ、ビデオカメ
ラを活用して
みる。現像カメ
ラとの違い。
宿題を書き取る。
今日の授業では文章や絵をコンピュータでいかに暗号化さ
れるかについての知識を創造した。
68
課題が明確で
はない、創造的
なものである
ことが必要。
5
6
7
4
9
2
8
1
3
10
1. ねずみの英語名
2. モンゴル人が昔から住む住居
3. コンピュータの保存機器
4. モンゴルの民族衣装
5. テレビ形のコンピュータ装置
6. キャノンという装置をモンゴル語で
いうと
7. アルファベットの最後から3番目の
文字
8. プリンターという装置をモンゴル語
でいうと
9. コンピュータに保存された情報の最
も小さい単位
10.コンピュータに情報入力する装置
課題3.3
下記の記号を2進法の暗号に変換する
記号
M
O
U
S
E
10進法
77
79
55
53
45
2進法
課題 3.4
課題3.5
絵の最小部分でも入っていれば、それを塗って、
絵の最小部分でも入っていれば、それを塗っ
塗った穴を1、塗らないものを0に変えて、暗号
て、塗った穴を1、塗らないものを0に変えて、
化しなさい。
暗号化しなさい。
1.
2.
3.
4.
課題3.6
110112 の数を10進法に変換しなさい。
1100 1100 010 11112 のコードをイラストで表しなさい。
100112+11012 の演算をしなさい。
10011012-110112 の演算をしなさい。
69
課題5
授業4 (パターン1)
対象: 8年生
テーマ: コンピュータで情報を表現する
目的: コンピュータでどのように情報を表現するか
目標:
・アナログとデジタルの相違を理解する。
・数字、テキスト、絵、イラストの情報がコンピュータで表現される形
形式
-
目的を達成する形態:
新しい知識を習得させる。
組織形態:
- 全員で行動する。
- 各生徒と向かい合う。
教材: LCD、プレゼンテーション(視覚資料4.1-4.5)、コンピュータ、課題(課題4.1-4.2)
指導法: 話し合い、グループ活動、自由討論、創造的な活動
授業展開:
授業段階40
分
学習活動
教師の質問 (K),
生徒の答え(S)
☆ 評価
● 教員の意見
□ 注意点
動機付けと
復習
K: アナログの容量、デジタルの容
量の違いがわかるかと聞く。
それに関する例を出す。(視覚資料
4.1)
S: 当該物を表現している対象物
ではなく、表している情報をアナ
ログ、デジタルということを理解
する。
70
●アナログとデジタ
ルの簡単な例を挙
げさせる。
問題提示
問題解決
確認と
まとめ
宿題
K: 数字、テキスト、音声、イラス ●Aというアルファ
トの情報をコンピュータでどう
ベットを
表すか。(視覚資料4.2-4.5)
01000001、aという
S: コンピュータは使う数字を 0、
アルファベット
1の2つの数字で表す。
01100001で表すこ
S: コンピュータはテキストを2進
とを教える。
法で表し、8ビット(1バイト)の
アルファベットや記号で表す。 □2枚のイラストを
S: 数字やテキストも同様に0、1で
用意する。(デー
表す。
タで)
S: 音声と同様に絵も0、1で表す。 ●2枚の絵を見せ、違
点が密集していればいるほどき
いを言わせる。
れいです。
(絵、イラスト)
S: コンピュータは数字、テキス
☆この結論を出した
ト、音声、絵の情報を2進法で表す。
生徒をスタンダー
ド評価する。
□見た目は変わって
いないが2進法に
変換されているこ
とを理解させる。
S: 課題4.1を行ってから、話し合
う。
詳しく読む資料を教
えてあげる。例:教
科書。教員が用意し
てきた資料を渡して
も良い
生徒がすぐにこのよ
うに判断するかが疑
わしい。そこで教員
が復習のために多く
のパターンで例をあ
げる。
□課題を人数分コピ
ーしておく。
☆課題の実施状況に
よって。
「コンピューターゲームのメリットとデメリット」とい
う題で作文を書いてくる
視覚資料4.1
視覚資料4.2
71
配布資料で創造的に
活動できる環境を整
えておく。どんな目
的で記入しているか
に注意する。.
視覚資料4.3
視覚資料4.4
視覚資料4.5
課題 4.1
授業5 (パターン1)
対象: 8年生
テーマ: 電子機器で情報を表す。
目的: 入力装置を利用して、コンピュータに情報を入力してデジタル式に変換してい
ることを理解する。
目標:
・入力装置の役割を理解する(キーボード、マイク、スキャナー、カメラ)
・上記を利用して情報をコンピュータに入力する。
形式
目的を達成する形態:
-新しい知識を習得させる
組織形態:
- 全員で行動する
- 各生徒と向かい合う。
教材: LCD、プレゼンテーション(視覚資料5.1-5.3)、コンピュータ、課題(課題5.1-5.6)、
カメラ、マイク、スキャナー
指導法: 話し合い、見せて理解させる、自由討論、創造的な体制
72
授業展開:
学習活動
教師の質問 (K)
生徒の答え(S)
授業段階40分
☆ 評価
● 教員の意見
□ 注意点
動機付けと復習 S: コンピュータで情報をいか
に表現するか。
K: コンピュータは数、テキス
ト、音声、グラフィックなど
の情報を数字で表している。
問題を
取り上げる
問題解決
確認と
結論
S: 情報を入力するどのような □1, 2, 3, 4グループ
装置を知っているか(視覚資
の活動マニュアル
料 5.1-5.3)
をコピーする。マイ
K: キーボード、マウス、
ク、スキャナー、カ
マイク、スキャナー、デジタ
メラを用意する。
ルカメラ、携帯電話
(課題 5.1-5.4)
S: 4つのグループに分け、マニ
ュアルを配る。(課題
5.1-5.4)
K: 各グループが情報入力装置 ●グループ1は音声情
を利用し、情報を入力する。 報
グループ2はイラス
ト情報
グループ3は数字、
テキスト情報
グループ4はビデオ
を撮り、コンピュー
タに入力する。
グループは作業内容を発表し、 ☆グループ活動をスタ
結論する。
ンダード評価をす
K: 音声はアナログのデータで
る。
ある。アナログデータをデジ
タルに変換した。(マイク)
実物をデジタル方式に変換
した。(カメラ)
課題5.1
О.Dashibalbar
生きているときに互いを愛そう、人々よ
生きているときに互いを愛そう、人々よ
あらゆる素晴らしいものを与えることを惜しむな
言葉の剣で私の心を刺すな
誰かを暗い闇へ突き落とすな
酒飲みをあざ笑うな
あなたの父親かも知れない
人より先に成功したならば
その幸せの窓を他の人のために開けよう
受けたは恩を決して忘れるな...
73
課題 5.2 を解かせると
きに携帯電話の録音と
録画のカメラを利用す
る、Windows ソフトの
Sound Recorder など日
常使われている身近な
装置を使う。
課題 5.2 このような
ソフトをインターネッ
トからダウンロードで
きる。アドレスは
http://www.audio-tool.net
/AudioRecorderForFree.e
xe
課題 5.2
マイクの使い方
1. マイクをコンセントにつなぐ
2. マイク本体についている ON、OFF を ON にして電源を入れる。
3.
ここをクリック
する
4.
ここをクリック
する
74
5.
ここに 8g と書き、
OK をクリックする
これをクリックし
起動させる
6.
視覚資料 5.1
視覚資料5.2
75
視覚資料5.3
課題 5.3
課題5.4
課題5.5
課題5.6
授業5 (パターン2)
テーマ: 情報のプロセス
対象: 8年生
目的: 情報を分析し、処理し、評価する。
目標:
・情報を分析する
・情報を処理する
・情報を評価し、他者に説明する。
76
授業段階:
目的を達成させる形態:
・新しい知識を習得させる。
組織形態:
- クラス全員の活動
- 質疑応答
- 2人1組
- 確かめ、結論する。
教材: LCD、presentation、コンピュータ、教科書、教員が用意した情報、課題
授業段階:
動機付けと復習
5分
新しい知識を習得させる
12分
創造的な活動、自習活動の段階
13分
評価、結論
8分
宿題
2分
指導法: 話し合い、見せて理解させる、課題
授業展開:
¹
1
2
3
4
学習活動
授業段階
40分
授業準備
動機付け
教員の活動




生徒の活動
授業準備をする
挨拶する。
コンピュータを用意する。
6つのグループに分ける。
Болгоомжтой!
Be carefull
●~* ☠上記の記号はどの
ような意味を持っているか、
この情報をどこで知ったか。
情報収集、情報を得るために
どのような活動をするか。




挨拶する
授業準備をする
グループの席に座る。
コンピュータを安全に手
順通りに利用する。
その他に交通規
則をイラストで
表した例など日
常の身近な例を
挙げる。
危険についての情報
事前に知っていた...
検索する、質問する、読む、見
学する、観察する、研究する...
各グループに1つずつ情報を
与え、処理したり、分析した
りして、情報を
新しい知識を - 収集
習得させる
- 処理
- 伝達
- 保存
- 検索
- 保護する課題を出す。
教員の与えた情報を処理し、課
題を行う。
課題を行うとき、どのような
新しい知識の 知識が得られたか。情報プロ
確認
セスについて説明する。
グループのメンバーはその課
題を行うためにどのような知
識を活用したかを他のグルー
プに説明する。
宿題は生徒が行
うことができる
程度の、わかり
やすく、明らか
なものであるこ
と。
77
5
評価
6
宿題
7
結論
参加度、積極性で評価する。
宿題を書き取る
今日の授業で学んだことをノ
ートに整理する。
今日の授業で習得した知識を
ノートに整理する。
処理グループ
下記の情報をモンゴル文字にしなさい。
2008年3月22日
今日は世界のどこでも昼と夜が同じになる日なので、カザフ民族は祝日の『ナオリズ』
をお祝いしている。
検索グループ
下記の情報をコンピュータを利用して検索しなさい。...(..番コンピュータを利用)
保護グループ
下記の情報を違法ユーザーからいかに保護するか。(教科書19ページ「3.6. 情報を
保護する」テーマを読む)
今日は世界のどこでも昼と夜が同じになる日なので、カザフ民族は祝日の『ナオリズ』
をお祝いしている。
収集グループ
下記の情報から数字に関する情報を集めなさい。
伝達グループ
下記の情報を他人にいかに伝達するか(可能なパターンをグループで協力して話し合
い、記録する)
78
保存グループ
下記の文章を打ち込み、下記のデータベースに保存しなさい。
My document\8b class\Project lesson\Harry Potter
「McGonagall教授は再び話し始めるとき、声が震え『これも全部ではない。彼がポッ
ターの息子ハリーを殺そうとしていたと聞いた。でもできなかった。彼はその息子を
殺せなかった。理由が誰にも分からず、自分の手でハリーポッターを殺せなかったた
め、急に力が萎えて逃げだしたという噂を聞いた。』と述べた。
Dumbledoreは顔が黒くなり、うなずいた。
『it’s --- it’s true?』とMcGonagall教授は聞き、『全部を終わらせてから... われわれ
の殆どを殺してから... あの少年を殺せなかったとは。本当に驚くべきことだ。...
彼を諦めさせようとどれほど努力したことか... そのためにはどのような方法でも
使っただろう... しかしハリーが命を奪われなかったとは考えられない』と述べた。
『われわれが推測しているだけだ。決して事実を知ることはないだろう。』と
Dumbledoreが答えた。
2.5. 試行過程の結果と結論
情報教科の授業研究
「子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト」の1年次では授業研究の方法
を習得した。今年度の特徴はウランバートル市のみならず、ドルノド県とセレンゲ県
を含めて試行が行われたことである。 試行授業を行う環境はそれぞれ異なっていた
が、教員は全力を尽くして、新たな指導法を試行することに尽力したことを特に記す。
モニタリングの方法
モニタリングの方法は試行の全ての過程において、例えば、試行の準備をする、試
行を行う、その結果の分析、結論を出すために用いる原則、規則、手法、方法論の総
2
合である。
教員は指導法改善、学習活動を発達させることを目指して試行を行い、モニタリン
グを行っている。プロジェクト2年次はモデル校における「モニタリングの実施法」
についての総合セミナーやワーキンググループセミナーにおいて、更に地方では教育
主事やワーキンググループメンバーが出張して研修を実施し、アドバイスを行った。
試行授業中は当該地方の他の学校の情報担当教員が予定表に沿って授業を見学し、
意見やアドバイスをくれたことが(これはドルノド県情報教育主事B.ビャンバハンド
のアイデアであった)大きな効果を挙げた。本書35-79ページに試行授業それぞれの指
導案にモニタリングのアイデアを全て反映させることを目指した。これはこれからの
教員に貴重なアイデアをもたらすものとみている。
2
モニタリング実施法、2008年
79
モニタリングの結論
情報指導書に述べたテーマの内容通りに7、8年生を対象として、1週間に1時間程度、
計10時間の試行授業を行った。2008年2月27日から3月21日までの計4週間の期間で指導書
の内容通りに試行授業を行い、研究を進めた。試行中に生徒の姿勢に変化が見られた所、
長所、短所、それらを改善する指導法について参加者や教員の意見を総合的に掲載した。
生徒の姿勢に見られた変化
・既習の知識を生かしていた。
・意見、考え方を様々に自由に発言していた。
・授業参加度合が良くなった。
・理解しようとしていた。
・グループ活動の力が伸びた。グループ活動を生かして、知識を創造していた。
・自発的に、積極的に参加している。
・知識が不足しているので、もっと学びたいという好奇心が見られた。
・好奇心があっても、残念ながら設備が不十分であった。(グループで)
・協同活動に学んでいた。
・関心を抱いている態度が見られ、学習意欲が湧いている様子である。
・好奇心を持って積極的に参加している。以前一度も参加しなかった生徒が良く
参加していた。
・説明力と発表力が伸びている。
・学習用機器、LCDプロジェクターの活用は授業参加の動機付けになっている。
・相互に相談して、最終的な結論をするようになってきた。
・積極性が高まった。グループ活動が良くなった。結論しようと生徒全員が努力
していた。ノートを取ることが習慣になった。
良い点
・自主性が高まり、関心を持ち、答えようと努力していた。生徒は自分の作品に
満足していた。
・グループ活動の力がついた。意見と考えを自由に発言していた。
80
・生徒は2人一組で行動することを学び、コンピュータへの情報入力を学んでいた。
・グループ活動が問題解決に必要であることを理解し、意見を自由に発言できる
ようになった。
・グループ活動の際、生徒はオープンに、自由に意見交換していた。
・生徒の自主性が高まった。
・生徒の学習意欲が高まり、自分に自信がついて、意見や考えを自由に発言しよ
うという気持ちを持つようになったことが見られた。
・学びの方法を学んでいる。発表する力、結論する力が伸びた。他に質問したり、
記録したり、会話能力を習得している。生徒は間違って理解していたことにつ
いて教員に聞き、答えをもらえるようになった。
・黒板の使用の際に、何が必要なのかを的確に述べることができた。
・生徒全員を対象にして、作成した物を皆に発表している。
・参加していなかった生徒が参加するようになった。
・クロスワードパズルを利用したことは学習意欲に繋がった。教員は授業準備を
周到に行い、教具の選び方が良かった。
・動機付けを的確に行ったことが、授業を活発なものにしていた。
・課題、教材を適切に上手に整えていたことが授業参加度を上げていた。教員は
評価をよく計画していた。
・動機付けはゲームの方法で行い、盛り上げていた。結論は生徒が行っていた。
・生徒が自分の意見を発言していた。
・ニーズを捉えて授業を行ったため、生徒の意欲や興味をそそった。
改善点、その方法
-
教員に答えていない生徒がいた。
授業参加度が低い生徒を引き入れ、活発化させるため、励ます、全員に注意を
払う。
- 生徒のタイピング能力が様々である。
タイピングを観察して、その能力に応じた課題を出す。
- 一部の生徒は自分に自信が持てずにいる。
81
自分に自信がない生徒を励まし、援助し、自信を持たせる。評価を適切に行う。
授業の結論が明確であること。
- 教員に対しての反応が比較的鈍い。
生徒の活動や反応に基づいて、授業を進める。
- ディスカッションの能力が低い、他人に従っている生徒がいる。生徒のなかには
グループ内だけで役割を果たすという姿勢が見られた。
教員は生徒1人1人の参加に基づいて計画し、理由を説明させる、グループで
活動する能力を習得させる、他の発表を聞かせて結論させる。
- 数名の生徒の授業参加度合い低かった。一部の生徒ができるだけ参加していたが、
作業の本質や意味を理解しないまま、真似をしているだけのようである。
授業中は、学習意欲や興味、観察力を失わない、学習の負荷に慣れる、それを
乗り越える、皆に遅れない、学習している授業の多様な概念、習得した知識を
日常生活に関連させる。
- 質問するときにあらかじめ考え、誰に対して、何について質問するか、答えを書
き取る、答えを理解できなければ再度聞くという点が不十分である。
学習していることと発言していることの意味を理解する、言語を思考の手段と
して生かす、証拠を基に意見を自由に発言する。
- 報告している生徒を観察したところ、読む力が弱い。
下記のように報告させれば、改善される。
・関連資料を読む。
・時間の計画を立てる。
・ノートに必ずメモを取る。
・適切な質問をする。
・方法を正しく選ぶ。
- 評価、ノートの整理、教室を視界に入れる必要がある。誰か一人が発言するとき
には他の生徒は聞くという規則を守る。
ノートに授業内容のまとめを常にさせることが必要である。評価は紙で集める。
一人が発表中には他の生徒は静かに積極的に聞く。
- 課題や教科書が少なかった。多様なパターンの課題を出さなかった。生徒に興味
を持たせたり、動機付けをしたりしなかった。
課題、教科書は十分に用意する。様々なパターンで作成する。生徒に興味を持
たせたり、動機付けを行う。
- コンピュータで情報を表すとき、台数が足りなかったため、グループの中で上手
な生徒のみが行い、他の生徒は見ていた。
台数を増やす。行わせる課題について明確にすることが必要である。
- スライドの視野に注意する、知識を創造する活動が足りなかった、教員が既成の
知識を教えていた、情報と知識との違いを明確に出せなかった。
授業展開の計画を良く立てる、例を適切に正反対の内容のものを出せばより効
果がある。質問をよく考える。
82
- 板書計画に注意する、質問は全体に対してしないこと。
均等に活発化させ、授業の流れを衰えさせないように心がけ、計画を立てる。
- 生徒の声が小さく、はっきりしていない、つまずきに気づき、修正してやる、宿
題の仕方を明確にする、参加度合が評価されていなかった、全員を対象にした質
問しないこと。
授業展開の計画を良く立てる、指名して質問する、答えを言わせる。
- ノートを取らなかった。
授業の重要な概念をどのようにノートを取るかについて計画する。
- 教員の発言が多かった。自主的な活動の意欲を上手く持たせることができなかった。
グループ活動を計画すれば、より効果的だった。知識を創造する場面において、
積極的な方法を活用する。
モニタリングF1統計表には学習の特色、変化、今後の改善についての報告を掲載し
た。そこから県のモデル校、ソムのモデル校でどのように試行授業が行われ、どのよ
うな変化が見られたかを調べて、現場に活用することができる。
特色
教材が様々なだけではな
く、指導法を適切に選ん
でいた。教員は授業の計
画を立てるとき、関連を
適切に考えていた。
変化
今後の改善
動機付け、生徒に知識を創造さ ノートを取らせる、創造的
せる指導法を選んだことは、指 な課題を与える。評価の形
導法の改善が行われていると
式を適切に選ぶ。
いうことである。
授業の目的、目標を簡単 生徒が意見を発言する機会を
に説明していた。教材選 与えていた。
択が良かった。
躓きに気づき、正確な返答
をする、授業内容の関連を
適切に計画する、動機付
け、知識を創造させ、指導
法と評価の形を適切に選
ぶ。
教員と生徒の協同活動
授業内容をよく研究する、
指導法、時間を適切に計画
する、教員が方向付けの役
割、生徒が知識を創造する
のだと思い出す。
教員の発言を注意して聞いて
いた。
教員と生徒の協同活動が 評価に注意して、準備してい
向上した。
る。生徒の自習活動は知識を創
造することを目指していた、教
具の選択が良かった。
83
授業内容をよく研究し、目
的を設定する、授業評価の
多くの形を選ぶ、つまずき
の修正に注意する。
特色
変化
今後の改善
動機付け、生徒に知識を 授業の計画を立てるとき、関連 準備を良く整える、ノート
創造させる指導法を選ん を適切に考えていた。生徒が自 を取らせる。
でいた。
分に自信を持って、意見を発言
しようと努力していた。
前の授業の躓きを繰り返 指導法、教材の選択が知識創造 宿題を適切に計画し、時間
さないように努力し、授 を目指している。教員と生徒の を計画する、授業のまとめ
業準備を適切に行った。 関係が良くなり、意見を自由に を上手く行う。
言えるよう努力している。
授業要素の関連、その順 正確な返答を聞き、意見が分か 時間の密度を改善させる、
序の結び付け方に特色が れた場合にディスカッション
時間を適切に計画する
ある。
させ、問題を提示し、結論を出
していく方法で生徒に自主的
に知識を創造させている。生徒
の追加資料を調べる、読む、結
論する力が伸びた。
教員の指導法改善は授業
準備、授業目標の設定、
指導法選択などに見られ
た。
授業に関する必要な追加資料を
得る、それを他の資料と比較す
る、他人に説明する、意見を言
う、相談する、教員と生徒の関
係が良くなっていた。
授業の結論、評価の形を適
切に選ぶ、つまずきに注意
する。授業を日常生活に関
連させる、宿題を様々な形
にする。
コンピュータ、機器の使
い方、教員の与えた配布
資料での作業を生徒が学
んでいる。
学習していることと発言して
いることの意味を理解し、証拠
資料を使って、意見を自由に発
言するよう努力している。教員
は指導法改善に努力している。
生徒に自主的に発見させ、
知識を創造させるため、教
員は授業研究して、準備を
整える
教員への意見
・教員は指導案に生徒の活動を直接計画してしまうことである。例:授業2 (パタ
ーン2)
・授業の各段階の計画が不明である。例:試行授業4 (パターン2) 生徒を評価す
るとのみ書いてあるところなど。本書81ページにおいて、生徒が自己評価できる
『電子教材』をMS EXCELソフトを利用して作成し、改善して利用すること。
指導書を執筆したワーキンググループの意見と結論
試行実施中はワーキンググループが各週月、水曜日にウランバートル市セトゲム
ジ学校、ウランバートル市45学校、ウランバートル市97学校、情報教育センター所長
L. Choijoobanchig博士がセレンゲ県、同センターL. Munxhtuya教員がドルノド県でモ
ニタリングを行い、アドバイスした。また教科専門家の東京学芸大学教授篠原文陽児
84
博士がウランバートル市モデル3校、セレンゲ県、ドルノド県へ赴き、アドバイスし
た。
2年次指導書の特徴は内容の範囲、容量、地方の特色によってテーマを合わせて各
教員が試行授業を行った。その教員それぞれの試行授業の指導案の内、1-2案を本書
に反映した。
試行過程、単位授業の準備、学習活動、討論会のとき、教員の意見や批判として学
校側が環境を整えることに注目して欲しいという意見があった。
学習を合理的に計画する、効果をあげる、目的、目標を達成させるために機器や設
備の整備が不可欠である。
試行教員を支援する、教員の活動をチェックし、注目する、試行中は過度の負担
を避ける、授業準備をするための時間を作ってやることが大切である。
討議会では、専門の教員を参加させる、対象学校に専門の教員が少ない場合、他の
学校の教員の参加を呼びかけて協力するための環境を整備する必要がある。
85
第3章
情報の授業における躓きの研究
3.1 躓きの研究
生徒の間違いによく注意を払うべきだと教科専門家は助言する。間違いのほとんど
は生徒の集中力と関係する。しかし理由があるからこそ間違いをするのである。間違
いの原因を説明しないまま授業を進めるとさらに間違いが増える。間違いは最初のう
ちに正しておくべきである。われわれは間違いの直せない生徒を頭が悪いと思いがち
である。間違いを正す方法はさまざまだが、アルゴリズムを教えることで正す方法が
一つとしてある。間違いをしたらその間違いを見出し、どのように正すべきかを考え
るのが重要である。そのためには習得させようとする事について教員がよく理解して
いるべきである。つまり授業準備-指導案の研究を良くしたほうがいい。生徒は殆ど
試験で躓いている。その躓きを研究する必要がある。最も簡単な方法は分析方法であ
る。分析方法は 2 つに分けられる。
教員が学習過程で行う分析:
1. 数的分析 - Error analysis
2. 質的分析 - Conception analysis
数字指標を出す分析及び非質的分析:
上記の分析は期間を下記のように決める。
・1週間
・単元学習後
・期末
・レベル検定
・年度末
上記の分析をするとき、生徒の躓きの理由を調べることが大切である。それが:
・教員の指導法の失敗による躓きか、
・授業内容が難易度によるものか、
・他の理由か、
・なぜ多数の生徒が躓いたのか。
ここでパーセンテージは重要ではない。なぜできなかったかの理由が大切である。
例えば:情報を入力して、処理する課題を出すとき、どのような躓きが起こり得るか
を予想して、課題を作成する必要がある。それは、
・宿題の内容の量に注意する– 生徒の書き写すスピードを考える、
・入力中の躓き、文章の文字の大きさ、スペース、大文字と小文字の違い–フォン
ト、キーの役目を理解させる。
・課題を終えたら保存すること–どこに、どのような名称で保存するかを良く説明
する。
86
また8年生対象の授業1 (パターン1)(58ページ)「位置がある、位置がない記数法」
のテーマを学習中には、そのテーマをなぜ学習しているか、今後どのテーマの範囲内
でどのように活用するかなどを説明する。授業ではローマ数字とアラビア数字で躓い
ている。数字という名称を予め理解させる。
教員の失敗によって生徒が躓いているのならば改善しなければならない。
学習内容が難しかった場合、次学期に移しておく。改善のために分析しておく。そ
れに基づいて授業を改善する。
質の分析:
質の面から分析する。最も難しい方法と見られている。
・Concept(コンセプト)というのは正確な答え、正確な考え方、正確な意見とい
う意味である。
・Conception(コンセプション)というのは生徒の発言した意見 (それは正確な
場合も間違っている場合もある)
授業では正確な答えはConcept(コンセプト)であり、生徒の発言した意見は
Conception(コンセプション)になる。知識を創造する授業ではConception(コンセ
プション)が大きな役割を果たす。
生徒が躓いたとき、自分自身の失敗に気をつけている教員の指導法は常に改善で
きる。それに対して、生徒の失敗だと考えている教員は決して発達できない。
知識創造において意見交換しながら正確な答えのみを受けて、他の答えを無視す
るのであれば、それは自動的に暗記するだけの授業になってしまう。
・教員は生徒の反応を予想しておいたほうが良い。予想しておかなかった「躓き」
が起きることは否定できない。もしその場面に遭遇したら「躓き」の理由を明
らかにするよう努力したほうがよい。理由を調べて話し合っているうち、他の
生徒から明らかにするための反応が少しずつ出てくるかも知れない。
・まず躓きではなく、その課すことができたことを励ましてあげて、躓きの理由を
明らかにしなければならない。明確にしてあげなければならない。
授業活動中は、躓いた後、いかに解決するかが大切である。
数学の問題はさまざまな方法を使っても同じ結果にたどりつけるがが、間違った方
法でも正しい結果が出ることがある。ここでの間違いを見つけるのは大変である。な
ぜこのように解いたのか、なぜこのような答えが出るのかなど教員は質問される。こ
のように情報の授業でもさまざまな情報を誤って受け止めることがあり得る。生徒が
電卓や複数のプログラム、何を使って学んだかは見た目ではわからない。そのため宿
題や課題を出すときにはその目的や意義、また手順をよく説明する必要がある。
生徒の躓きに対応する統一された態度というのはない。躓きは様々である。情報の
授業では、目的を正確に設定しておき、そこにどのようなアルゴリズムで達すること
87
ができるかをよく研究しておくことが必要である。そうすれば躓きの見込みがあって
も、それをどのように直すかを明らかにしやすくなる。試行授業の過程でも、躓きに
注意をしていた。2年次は問題を解決することで知識を創造することを目指し、単位授
業指導案は日本人教員の経験を基に構成し、試行したが、指導案に教員と生徒の質問、
反応を反映しておいた。しかし生徒の反応を予想しておいても、結論まで進めなかっ
た。これは専門の特徴に関係しており、反応の予想や幾つかの反応を計画立てること
が難しかった。そのためどのような躓きが多かったかを調べることができなかったこ
とに注意しておくべきである。生徒の躓きに正確に対応するためは、躓きの分析が重
要である。そこで生徒の毎日の学習活動や態度をよく観察しておくことも大切である。
生徒は何ができるかを調べ、またどこまでならできるかという想像が必要である。
生徒が理解できないという質問をすれば、それは良いことである。しかしそれを教員が
受け止めることができばければ大きな失敗となる。
生徒の躓きの奥には必ず理由がある。それを必ず探すことが大切である。失敗した
授業の躓きは否定できない。
例として10進法から2進法に変換する2つの課題を挙げる。試行授業中に教員と生徒
が共に同じテーマで躓いたことがあった。
課題:
記数法の対応表を見せて、9と11という10進法の数字が2進法では1001と1011とな
る。(63ページの視覚資料2.4) なぜ1001と1011になるのかの法則を調べさせる課題を
どのように与えるか。
方法 1.
9が1001になるのは:
11が1011になるのは:
88
方法 2.
方法 3.
ノモス出版社から発行された「情報Ⅰ」教科書では(9ページ)数字の29を2進法で下
記の方法で解かせている。ここにはどんな躓きがあるか確かめてほしい。
3.2
生徒の自己評価用シート作成方法
自分自身をテストで評価する:
Microsoft Excel、Microsoft PowerPoint、Macromedia Flashソフトを利用して、自己評
価テストを作成し配布することで、生徒が当該テーマのスタンダードに指定された知
識レベルをどのように習得したかを評価できる。上記のソフトは教員も良く知ってい
るソフトなので、その中で学習に使い易いという意味でMicrosoft Excelソフトを選ん
だ。
評価テスト作成における注意点:
1. 問題は学習のどれか大切な結果のみを調べる目的である。
2. 問題は何かの問題を解決するように出すことができるが、その問題はわかり易い
ものであること。
3. 問題、その解答の言葉が簡単ではっきりしていること。
4. 問題に否定の表現が含まれる場合には注意する。
5. 選択肢の正答は確実に正確なものであり、他の選択肢の中で最も適切なものであ
ること。
89
6. 各問題はそれぞれがテストの中で他の解答や問題に一切関わらず、独立している
こと。
7. 解答しやすく、明確な形で問題と解答を位置づける。
8. 空欄の間隔は均等で、十分であること。
9. テストの内容、種類、数量は生徒の年齢的、精神的特徴に合わせる。
マイクロソフトエクセルを利用した評価用電子教材の作成
エクセル追加で見える部分が閉じている(隠されている)、ワークシートの相互間移
動ができるキーで次(前)の問題の部分と評価の部分との相互間を移動できる、また生
徒が自己評価できる評価用電子教材を作成してみよう。それを易しく行うためには、
マクロコマンドを処理する方法と組み合わせており、情報教員を対象としているので、
皆が活用できることと期待している。
1.Sheet 1及びテストの表紙は下記のように処理する。
行と列の頭と罫線を隠すためには
ツールメニュからオプションコマンドをクリック
する。
罫線を消す 列と行の頭を消す
シートキーを隠す
注意: ワークシート相互間を移動するシートキーはテスト問題を処理し終得た時点
で、最後に隠せば便利である。
2. Sheet2及びテストの注意書きを下記のように処理することができる。
90
3. テストの各シートに指示キーを付け、マクロを利用して指示キーを設置する。
新しいマクロを起動するコマンドをクリックする。
自分の作成したマクロに名前を付けてOKをクリックする。
キーをクリックするとき、実施するコードを入力して、Stop Macroコマンドをク
リックする。もし入力せずに次へ進む場合は下記を読むこと。
 Formsのツールを出す。
マウスでクリックするキーをシートに入力するためには、ワークシートの下のリス
トに上記のマクロを選んでOKをクリックする。もしまだコードを入力することがで
きていなかったらEditキーをクリックする。
出てくるMicrosoft Visual Basicメニューに
activesheet.next.select と入力する。
注意: この行の前には[‘]記号をつけてはいけない。
 画面を閉じてエクセルに移動し、前にセットしたキーをクリックすればカーソル
が次のシートに移動していることを見ることができる。
 前のシートに移動するキーも上記のように設定するが、キーをクリックするマク
ロコードは下記の通り。activesheet.previous.select
 コードが正確に入力され、次の/前のシートに移動することが可能なキーを、次の
ワークシートにコピーすると、機能を失わずに作業することができる。
91
4. 小テスト及び1、2、3のテスト用紙:
小テストの質問は下記のように入力し、また解答のキー部分を埋めるように設定す
る。質問と解答、生徒がキーを埋める部分を1枚のシートに、捲くる必要な内容に一
枚に収めたほうが便利である。そのため下記の例では小テストの質問は5問ずつ1枚の
シートに書かれている。
第1問の答えを記入するcoeil1ページのM16欄
5. 成績及び点数集計用紙:
小テストの評価を処理するときは最後のdun
の名前のシート上の形になり、下記の公式を
使用する。
=if(logical_test, true_value, false_value)
例えば: 赤い印を付けているところに: =IF(coril1!M16=“A”,1,0) という公式を入力す
る。(テスト1の解答が記入されるセル)
 上記の公式の意味は「第一問に対して生徒が選択肢の中からАの答えをクリック
した場合、つまり解答欄のcoril1!M16 対象セルにАと記入すれば1点、あるいは0
点を与える」という意味である。そのワークシートの名前は coril1、対象セルM16
は、あなたの選ぶエクセルファイルによって異なる場合がある。
 上記のように第2-15問までの小テストの評価を公式によって処理できる。
 各セルの得点の合計が点数となる。
92
あなたのファイルにD6からD20までのセルの解答を集計す
るとすると、
= sum(D6:D20)の公式を入力して正答数がわかる。
・数値評価はセルの点数のパーセントを、文字評価は
セルに対応する文字評価を計算して出す。
D21
=D21*100/15の公式で占めるパーセンテージを計算
する。
=IF(D22<59,>F>,IF(D22<69,>D>,,,,の公式で数値評価に対応する文字評価を計算
しているところ
 一番目のワークシートから生徒の氏名やクラスなどの情報を成績の後ろに入れる
場合は、対象セルに=nuur!D7 (もし表紙のD7セルに必要な情報があるとするとき)
と入力すればよく、クラスや学校の情報も同じ方法で処理できる。
最後に変更修正から保護することが必要であり、そのため
には表紙のシートのデータを入れる4つのセルと小テスト
のシートのキー解答を埋めるセルを残して、他のセルをロ
ックすれば便利である。そのためには空けておくセルを選
択して、Locked 管理記号を取る必要がある。
次はシートをロックするコマンドをクリックすると出てくるウィンドウでSelect
Locked Cells 管理記号
を取り、必要なセルだけ
が生き残って、他のセル
が全てロックさせる。上
記をシートごとに処理
すること。
これでわれわれの作成した教具は準備完了である。エクセ
ルを利用してテストを作成し、生徒を評価することが可能になった。
なぜ、生徒を評価しなければならないのか。
・期末と年末の成績を出すために、
・生徒の学習過程について情報を取得するために、
93
・今後の学習活動の計画を立てるために、
・生徒が発達する動機付けのために、
生徒を評価するときにどのような方針に従うべきか。
・励ますこと、支援することを原則とする、
・結果で差別しない環境を作る。
・公平であること
・生徒の発達の基礎や動機付けになること
情報教科における生徒の評価の現在はどのような傾向で行っているか。
・生徒の学習活動中の評価
・ポートフォリオ評価
・ニーズに基づいた評価
・テストによる自己評価
3.3 単元に関する課題例のパターン
前回の指導書において、単元を把握した上で生徒の自発性を身に付けるための課題
を作成したところ、教員間で活用できるという評価を得たため、本書でも継続するこ
ととなった。今回の指導書では情報を教える教員らを幅広く参加させ、意見などを取
り入れたため、より適したものが作成できると思う。
これらの課題は書いたり読んだりするだけではなく、コンピュータや付属プログラ
ムを利用した上で情報から知識を得るためのものである。ここで教員は課題の難易度
を選ぶことができる。
課題:
1. 自分の名前で C ディスクを作成し、*.doc 拡張子で以下のファイルを 2 つコピ
ーしなさい。コピーしたらその手順をノートに書きなさい。
2. ディスク使用量を見るためには:
-このウィンドウはどのように開く
か?
-このウィンドウにはどのような情
報があるか?
-ファイルを選択し、使用量を確か
める。
-自分の作成したファイルの使用量
を確認する。
-ディスクの使用量をノートに書き
記す。
3. あなたは情報をどの情報源から得ているか。
並べて書きなさい。情報源の種類をグループに分けて書きなさい。
94
4. モンゴルの国旗を Paint プログラムで描き、説明を横に書き、C ディスクの My
Documents ファイルに保存しなさい。デスクトップにも保存しなさい。
5. 1 インチはおおよそ 2.5cm 位である。家のテレビは何インチか。学校のコンピ
ューターの液晶画面のサイズも測りなさい。
6. 256mb のフラッシュディスクの容量は 40gb のディスクの何分の一か。この計算
をどのように行うか説明しなさい。学校のコンピュータディスクの容量を書き
記しなさい。
7. 以下のクロスワードパズルを埋め、中に入る言葉の意味を話し合いなさい。こ
こまでで生徒はパソコンについてどんな知識や能力を習得したか。
1.ねずみを英語で何というか。
2.モンゴルの伝統衣装
3.情報を保管する装置
4.林がないのに騒がしい、馬がないのに走る。
それは何か。
5.学問は価値がある。
6.コンピュータの基本装置の一つ
8. モンゴル文字が書けるか。パソコンにモンゴル文字のフォントがあるか。教員
と話し合いなさい。
9. ファイルはどのように検索するか。ファイルの名前が思い出せない場合にどの
ように検索するか。教科書または両親、兄弟に聞き、活用しなさい。
10.「私はパソコンを使って計算をしています」という文をどのようにコピーする
か。以下の表を使いなさい。
№
コピーする方法
特徴
手順
1
2
3
11.生徒の皆は英語の辞書で言葉をどのように調べるか。なぜアルファベット順に
書かれていると思うか。
12.教員はアリマーにクラスの全員の名前をパソコンに入力する宿題を与えた。ア
リマーは思いついた名前を書く。しかし今度は名前をアルファベット順にする
方法を忘れてしまった。彼女を助けなさい。
13.サロールは国旗を paint で描き、フラッシュメモリーに保存しなければならな
い。128mb のうち、36.2mb は使用されている。描いた 820kb の絵をフラッシュ
メモリーに入れると残量はどのくらいか。
95
14.情報を保管するディスクの容量を表に書きなさい。
ディスク
レーザーディスク
ハードディスク
フラッシュメモリー
容量
15.「みんな「私のパソコン」雑誌を読もう!」の文章は何ビットか。
□512
□464
□388
添付資料
添付資料 I
教員に向けた理論の追加内容
7 年生の授業の追加内容
人間の情報活動
情報というのは世の中に存在するすべてのものを意味する。すべてのものとは自然
界に存在するものすべてが含まれる。情報には保管するまたは伝えるという 2 つの情
報活動がある。この方法で情報を受け取り、利用することができる。科学分野では様々
な学者の意見があるが、人間の脳が唯一抽象的な考えや思想を見出し、活用できる動
物であることは承知されていることである。情報活動とは人間に生まれながらに身に
ついているものであるということである。
この脳の働きは他のすべての脳の情報操作と関わっている。われわれは人間の情報
活動の動きをこの視点から見て取る。
人間は周囲の物との関係を構築するために言葉を作り出した。言葉の力で人間は情
報を知識に転換できる。言葉を使って個人または複数の人数から相手へ集めた情報を
伝えることができる。
「人間の情報とは様々なものから得た知識である」と書いてある。人間が感じ取り、
得ることのできるものを情報といい、言葉を使って人はその得た情報をあらわす。人
間がいかに、何を利用して情報を伝えているかで時代を映し出す。情報革命はこれら
の方法が改善されるたびに起こる。
最初の革命は文字が生まれたときに起きた。文字によって歴史的な情報は評価を得
た。文字が生まれる前に利用されていた情報伝達方法は口承であり、情報を長く保存
することができなかった。
次の革命は印刷の発明によるものだった。現代において印刷物は誰でも利用するこ
とができる。印刷により大衆に教育についての情報が広がった。20 世紀における印刷
改革によって情報伝達はより一層向上した。
96
情報と知識
「情報」の力は誰もが知っている。もしあなたに情報とは何かと聞けば、新聞、ラ
ジオ、テレビなどを思い浮かべるかも知れない。なぜならこれらが情報源になる「ニ
ュース」、「速報」などを流すからである。ニュースの目的は人に情報を与えるため
にある。ニュースを聞くまではそれについての何の情報もわれわれにはないのである。
情報とは、さまざまな情報源から得る人間の知識である。
今知っていることはいつの間にか両親や教師、本、経験などから教えられて、頭の
中にあるものがほとんどである。本や雑誌、読んだすべてのものが情報となる。学校
教育とは情報を得、学ぶためにある。今、われわれの知識とは何かについて話し合お
う。
自分の知識を測るために次のようなリストを作って見よう。
97
図 29 チンギスハーンは 図 30 モンゴルの国旗の意 図 31 パソコンを点けたり消
1162 年に生まれたことを 味を知っている。
したりできる。
知っている。
図 32 ひまわりを植える 図 33 方程式を計算できる。 図 34 フブスグル湖が中央ア
ことができる。
ジアで 2 番目に透明度が高
いことを知っている。
これらの知識は 2 つに分けられる。最初の部類は「…の…を知っている」という種
類であり、宣言をする、または「説明した」形の知識である。
ここでは具体的な現象(地球は太陽の回りを回る)、活動(チンギスハーンは 1162 年
に生まれた)、対象的(フブスグル湖は中央アジアで 2 番目に透明度が高い)、関係(ピ
タゴラスの定理)の知識などが含まれる。
次の部類は「…がどのように…かを知っている」というもので活動についての知識
といいます。これらは何らかの目的に達するための(掛け算、パソコンで絵を描くな
ど)知識が含まれます。
知識の部類は科学に重要な役割を果たします。宣言または活動の知識と 2 つに分類
するのは一つの方法であり、唯一のものではない。情報はどれも知識をあたえるかと
いう質問に、例えば:あなたがもし英語を知らなければ英語の会話から情報を得るこ
とはできない。このように知識にならない情報を情報にならない情報といいます。
自分の知っている言語でも知識にならない情報はある。図 35 に書かれていること
はもちろん新しい知識にはならない。
図 35
図 35 は 1 年生にとっては情報になるが、7
年生にとっては知識にならない。
もうひとつの例を挙げる。
98
サイトのインターネットに登録されているアドレスを URL アドレスという。この
アドレスは http:// で始まるが、これだけでは知識に役立つ情報にはならない。これ
については次章の「情報テクノロジー」で詳しく取り上げる。情報が分かり易いかど
うかは人それぞれの知識によって異なる。
その人に取って新しい情報であればそれは知識になる。その人にとってその情報が
新しく、そして分かりやすい場合、初めて情報が知識となる。情報は簡単なものから
はじまり、複雑な情報を受け取ることができるようになります。
情報プロセス
われわれは常にどのような情報と接しているかを把握している。たとえば:読書、
買い物、計算、情報伝達、研究など人それぞれの専門で異なっている。人間の情報プ
ロセスは以下のように行われる。
受け取る
処理する
図 36
保存する
情報プロセス
伝達する
情報を保存する
人間は情報を頭の中または紙やレーザーディスクなどに保存する。情報は知識に変
わり、活用することができる。掛け算を覚えていれば 5×5=?を考える必要がない。
身近な人の住所や電話番号も覚えている。人間の情報処理速度は比較的「素早く」行
われるといえる。この記憶は体内記憶といい、図 37 を使った記憶方法を体外記憶と
いう。
図 37
対外記憶媒体
情報を活用するにはまず記憶する必要がある。たとえばノートにある電話番号を読
み、情報を覚えることで活用することができる。
われわれは記憶したことを忘れることがあるが、体外記憶に保存した情報はより長
く保存できる。(情報 5-6 年生用教科書 19-20 ページ参照)
対外記憶媒体によって人類は情報を時代から時代へと伝えてきたのである。
99
情報を伝える
人間は情報を伝えるプロセスを常に行っている。口述や書類を交わすことで、また
電話、ラジオ、テレビなど情報機器でも伝えることができる。生徒は次の機器でどの
ように情報を伝達するかについて話し合いなさい。
図 38 情報伝達機器
これらを情報伝達のための機器という。
情報伝達機器が故障していれば途中で情報が途切れるかも知れない。
電話の通信状態が悪いと話しにくいように情報伝達というのは両方の活動を必要
とする。読書または先生の話を聞くとき私たちは情報を受け取る側になる。そして授
業に参加することで情報源になる。この行動を繰り返しながら情報を伝えたり、受け
取ったりする。
情報を処理する
最も典型的な例は数学問題を解くことである。直角三角形の辺の長さがそれぞれ与
えられたとする。その面積を解く場合、生徒は数学の定理を身につけている必要があ
る。このとき直角三角形の直角を挟む辺の長さを掛け、半分に割るという計算をする。
ここから面積を求める。
この例は与えられた情報を計算した上で新しい情報を生み出す方法である。
計算は情報処理をするある一つの方法である。
人間の論理的行為とは、1つの情報からもう1つの情報を生み出す
論理システムである。
情報処理とは情報から情報を見出すことだけではない。たとえば教員が生徒に「パ
ソコンは私の友達」という題で作文を書かせた。教員は作文の間違いを正し、評価を
行った
100
作文の間違いを正すには、内容を変えずに直す必要がある。
翻訳も情報処理の一つの形であり、内容ではなく形が変わるということである。
図 39
情報処理
情報を暗号化するのも情報処理の方法の一つである
暗号化とは情報を保存、伝達、処理または表現するのに適した形に変換するという
ことである。
情報を保存、伝達、処理する機器(ラジオ、パソコン等)の発達とともに「暗号化す
る」という概念ができた。20 世紀初頭にはモールス信号を利用した暗号が使われてい
た。
情報処理のもう一つの形は情報を秩序正しい順序に入れることである。
生徒の皆は友人の電話番号や住所を書くときには簡単に見つけられるように書く
ようにする。名前はアルファベット順に書くとよい。情報科学ではいくつかの情報を
まとめて処理することを構造化するという。
情報検索も情報処理の一部である。
例:外国語の辞書で単語を捜す、電話帳で電話番号を探す、列車の時刻表で発車時
刻を探す、数学の教科書で定理を探す、図書館で必要な本を探す、パソコン内のファ
イルの検索など。これらはすべて情報検索のプロセスである。
人間の行う情報は保存、伝達、処理の 3 つのプロセスで構成される。
人間は情報を体内(脳)または体外にある物(紙、フィルムなど)に記憶する。
情報は情報機器を利用して情報源から受信者へ伝達される。情報処理は新しい情
報を与えられた情報から見出す、もしくはその形を変える、そして情報の検索を
するプロセスが含まれる。
101
情報の数量
情報はどのように計ることができるかについて話し合う。情報はいくつかの方法で
計ることができる。その中から「字母(ツァガーン-トルゴイ)」という方法を説明す
る。生徒の皆は距離、重量、時間などを計る単位についてよく知っていると思う。下
図を見ながら話し合いなさい。
図 40
単位を計る道具
字母(アルファベット)という方法を使うと外国語で書かれた文章も計ることがで
きる。文章に含まれるカッコや終止符、数字、スペースなども字母の方法に含まれま
す。
字母の全ての番号を「字母の力」と呼ぶ。この単位を N とする。キリル文字または
上記で述べた記号を含め字母の力は 56 である。(35+10+11) 35-文字、10-数字、
11-終止符、カッコ等。
このとき文字の記号はある程度の情報量を持つ。この情報量は字母の力によって異
なる。では字母には最低いくつの記号が含まれるのかという質問が出るかも知れない。
このような字母はパソコンに利用され、「0」、「1」という数字で表す 2 つの字母を
表している。これを 2 進法の字母という。
2 進法の字母の記号の情報量を情報伝達の単位とし、バイトとよぶ。
字母で書かれた情報の文字数と 0 と 1 の数は等しくなる。例えば:
110100101000101110010101101000111010010 には 40 バイトの情報が含まれる。しかし
これが何を表しているかについては分からない。これについては後で説明する。
字母の能力が向上するにつれて情報量は増える。例えば:4 つの記号からなる字母
の 1 つが 2 バイトとする。この 4 つの記号をそれぞれ組み合わせ可能な 2 進法の数字
に暗号化する。
表4
数字
2 進法の暗号
1
00
2
01
102
3
10
4
11
もし字母の力が 8 に等しい場合には一つの記号は 3 バイトになる。2 進法の数字を
利用してそれぞれ異なる 8 つの組を作ることができる。
表5
数字
2 進法の暗号
1
000
2
001
3
010
4
011
5
100
6
101
7
110
8
111
このように 4 バイトは 16 の記号からなる字母の 1 つの記号を表す。
字母の力(N)と記号の重量(i)の関係について:
表6
N
i
2
1 バイト
2=2、2×2=4、2×2×2=16
4
2 バイト
8
3 バイト
16
4 バイト
である。
ここから N は 2 を i 回、N を N で掛け算したのと等しい。
数学ではこれを乗数とよび、次のように書く。
21=2
22=4
23=8
24=16
2 の1乗は 2 に等しい
2 の 2 乗は 4 に等しい
2 の 3 乗は 8 に等しい
2 の 4 乗は 16 に等しい
一般的には 2i=N
2 の i 乗は N に等しいと読む。
字母の力(N)と記号の重量(i)との関係は2i=N と表す。
字母の量の乗数が整数の場合には計算がより簡単である。例えば:N=32 の場合 1
つの記号の重量は 5 バイトになる。なぜなら、
25 =2×2×2×2×2=32
字母の最高値に限界はないが、適当な数だけあれば十分である。それは 256 の容量
を持つ字母であり、ラテン文字やキリル文字、モンゴル字母の大小文字、数字、数の
記号、カッコ、終止符などが含まれる。
256=2×2×2×2×2×2×2×2=28
字母の 1 つの記号を 8 ビットとする。8 ビットの情報を 1 バイトとする。
1 バイト=8 ビット
103
私たちが手紙や書類を作成するとき、プログラムを利用する。図 41 のプログラム
はよく使われているかと思う。例を挙げる。パソコン内のプログラムを利用して作成
した本が 150 ページあるとする。1 ページは 40 行、行ごとのそれぞれスペースを含め
60 記号あるとする。この場合 1 ページは 40×60=2400 バイトの情報を持つ。本全体の
情報量を測る場合はページ数で掛け算をする。2400×150=360000 バイト。
図 41
ワードパッドプログラム
バイトというのははかり小さい単位をいう。しかしこれで図書館の本の全ての情報
量を測るのは困難なため、そのときは大きい単位を使う。
1 キロバイト=1kb=210 バイト=1024 バイト
1 メガバイト=1mg=210Kb=1024kb
1 ギガバイト=1gb=210Mb=1024Mb
例に挙げた本の情報量は 360Kb になる。計算すると 360000/1024=351.5625Kb、
351.5625/1024=0.34332275Mb になる。
字母の方法は情報を測る方法の一つである。全ての言語を書くために利用される
記号を字母-アルファベットという。字母の力とは含まれる全ての記号の数をい
う。N= 2 として字母一つの記号の情報量を測る単位とし、ビットと呼ぶ。力が N
である字母の記号の情報量を2i=N という記号で表す。
1 バイト-力が 28=256 である一つの記号の情報量を表す。
1 バイト=8 ビット
バイト、キロバイト、メガバイト、ギガバイトは情報を測る単位であり、1024(210)
倍ずつ増えていく。1 バイト=8 ビット
104
8 年生の追加内容
数と記数法
「数」は数学や情報学の分野でも最も重要な概念である。
記数法とは数を表す方法または数とその対応する数で何らかの作業をする規則のこ
とをいう。
記数法は位置づけのある、そして位置づけのないという 2 つに分けることができる。
位置づけのない記数法
人々は物を数えたり、数を覚え始めたその時から数を書いたり、表す必要がでてき
ました。そのころは次のような記号を利用していた。
図 42
数を表す方法
昔の人々は数字を数えるのに指を使っていたため最初は 5 か 10 を使ってしか数え
なかった。後に 10 の 10 倍から百、10 の 100 倍から千など新しい名前を編み出し、活
用するようになった。これらを表す記号を使うために数字が作りだされた。数字を表
す際に 2 つの百、5 つの十、そして 4 つと表す場合に、百の数字が 2 回、10 の数字が
5 回、そして 4 つが使われる。このシステムで使われる記号の位置は表す数字は関係
がないために位置づけのない記数法と呼ぶ。位置づけのない記数法は古代エジプト、
ギリシャ、ローマの人々が活用していました。ここから数字ローマ式の数字システム
がわれわれに受け継がれ、今でも世紀や本の章などを表す際に利用される。ローマ式
のシステムでは数字はラテン文字で書かれる。
I
1
V
5
X
10
L
50
C
100
D
500
M
1000
例えば CCXXXII では百が 2 個、十が 3 個、2 つの一が使われて 232 を表す。ローマ
数字では左から右へと数字を書く。小さい数字が大きい数字の左側に書かれた場合に
はその数字を引くことができる。
VI =5+1=6、もしくは IV=5-1=4
MCMXCVII=1000+(-100+1000)+(-10+100)+5+1+1=1997
105
位置づけのない記数法
位置づけのない記数法は古代バビロンで発明された。
位置づけのない記数法で使われる数字はその位置によって数字の数が変わる。
数字を表すのに利用する記号を位置づけのない記数法という。
現在使われている記数法は 10 進法である。0,1,2,3,4,5,6,7,8,9 という 10 個の数
字を利用するため、この方法の基盤は 10 に等しい。このシステムをアラビア数字と
いうが、5 世紀にインドで発明されたものである。ラテン語に訳されたアラビア科学
の書物などから 12 世紀にヨーロッパに普及したため、「アラビア数字」というよう
になった。
16 世紀になって初めてアラビア数字は科学的に承認され、使われ始めた。これによ
り演算が簡単になり、どんな単位も表すことができるようになった。この普及で数学
に大きな貢献を果たした。数字については小さいころから生徒の皆は良く知っている
かも知れないがこのように呼ばれていることは知らないかも知れない。
この数字に位置づけのあることを例にとって見てみよう。333 という数字の最初の
3 は 3 つの百を、2 つ目の 3 は 3 つの十を、そして 3 つ目の 3 は 3 つの一を表してい
る。このように数字の位置によりその数は異なる。
333=3×100+10+3
もう一つの例:
32478=3×1000+2×1000+4×100+7×10+8=3×104+2×103+4×102+7×101+8×100
ここでは 10 進法の数字と 10 乗の掛け算をしたものを足し算の形で表している。こ
れは分数の場合でも可能である。
26.357=2×101+6×100+3×10-2+7×10-3
「10」は位置付けのある記数法にのみ有効な基盤ではない。これについてロシアの
学者 N.N ルージンは「もし人類の指が 10 本ではなく 8 本であったなら 10 進法のシス
テムを使わなかったであろう。」といっている。上記に述べたバビロンのシステムは
60 を基盤にしている。モンゴルの古代の歴史書でも時間を 60 に分けて計っている。
そして現在でも 1 時間=60 分、1 分=60 秒のように時間を計る単位は使われている。
106
記数法の基盤がnである位置の数字を表す場合n個の字母が必要である。しかしn
≦10 の場合、最初のn個のアラビア数字を、n>10 の場合、10 個アラビア数字とラテ
ン文字が含まれる。いくつかのシステムの字母を例に挙げてみよう。
表7
基盤
記数法
n=2
n=3
n=8
n=16
字母
2 進法
3 進法
8 進法
16 進法
0,1
0,1,2、
0,1,2,3,4,5,6,7
0,1,2,3,4,5,6、
7,8,9、A,B,C,D,E,F
記数法の基盤を指数で表すこともできる。1011012、36718、3B 2F16 等。
整数の順序は 10 進法と同じである。まず 0-9 までの数字、そして 10,11,12....
と 99 までの数字、100、101,102,103,...999、そして 1000 と続きます。5 進法の
例をとってみよう。
1,2,3,4,10,11,12,13,14、20,21,22,23,24、30,31,32,33,34,40,
41,42,43,44,100,101、...444,1000、...これは 10 進法と比べると数字が
早く増えている。2 進法の数字はさらに早く増える。
次表では整数を 10 進法と 2 進法と比較した。
表8
10
2
1
1
2
10
3
11
4
100
5
101
6
110
7
111
8
1000
9
10
11
1001 1010 1011
記数法というのは数字を表す方法または数字に何らかの作業をする規則のこと
をいう。記数法を位置づけのある、位置づけのないものに 2 つに分類することが
できる。
位置づけのある記数法の数字はその位置で数字の数が変わる。
記数法の字母とはここで使われている数字の組をいう。記数法の基盤とはその力数字の数をいう。位置づけのある記数法の最低値は 2 である。これを 2 進法とい
う。アラビアシステムとは 10 進法の位置づけのある記数法のことをいう。
107
情報処理
私たちは周囲の環境から情報を受け取り、その情報を処理することで知識を得る。
人間の行う情報処理は最も重要である。環境に適した解決を見出すのに人々は常に情
報処理を行っている。
図 43 情報を受け取っている様子
人間は自分の記憶または何らかの道具を利用して情報を覚え、必要な期間だけ保存
する。
解決法を見出すためにはあらゆる情報を分析、評価、変換、計算する。
これらは全て情報処理をするプロセスであり、これにより情報交換が行われる。情
報処理のプロセスまたその特徴について話し合いたいと思う。
情報を受け取る
われわれは情報を意図的または偶然に得ることができる。例えば:
 生徒の皆は新聞のテレビ欄で子供番組を探すときに偶然に他の面白い欄を発
見することがある。
 読書中に誰かが電話している声を聞く
 バラの匂いから雨の湿気の匂いを感じ取る
 カバンの中で手帳を探している最中に家に忘れたことを思い出す
 お茶を沸かしているときに時計を見て遅れそうなのに気づく
図 44
パソコン雑誌
意図的に情報を受け取ることを情報検索という。もし検索中に情報分析を同時に行
い、選ぶ場合には情報を収集するという。
108
例えば:
・情報学の授業で「パソコンゲームのメリットとデメリット」という題で作文を
書く場合に多くの情報を集め、読む必要がある。
・質の高いパソコンを買うには、その評価と価格を分析する必要がある。
人間は記憶の中や周囲から情報を検索することができる。パソコンで行う検索はそ
の収容力による。
情報の分布
情報交換は空間や時間に分布している。情報が時空間へ広がることを情報伝達とい
う。ここにはある世代から次の世代へ、人から人へ情報が受け継がれることも含まれ
る。情報は情報源と受信者の間で交換される。
情報を保存、伝達するために何らかの形で表現する必要がある。情報を表す方法に
は数字、文字、図、音声などが含まれる。人間の考えや感覚を暗号化することで伝え
ることができる。
例えば:危険だということを「注意!」や「Be careful 」という言葉で、または
モールス信号で..._...、●~*、☠と表すことができる。
暗号化された情報をなんらかの媒体に書き記す必要がある。これにより保存、また
は伝達ができる。意図的に情報を流す場合には情報の保存場所やチャンネルが必ず必
要である。そして伝達の最中に情報が失われないように保護する必要もある。
情報の活用
われわれは周囲の環境と接することで常に膨大な情報を受け取っている。必要なも
のもあれば必要ではないものもある。そのときに必要な情報だったり、必要ではなく
なったものもある。容易に理解できる言葉だったり、時には翻訳する必要のある情報
もある。
図 45
情報処理機器
109
情報処理を行って結論を出す場合は多方面から分析、評価、確証、整理、計算する
必要がある。
与えられた情報の的確な処理は結果を出すための重要な段階である。このために
様々な機器を使うことが多い。例えば図 45 に示された機器を利用することができる。
情報処理には情報を翻訳する、膨大な情報を表にする、図にする、記号を解読する
などの作業が含まれることがある。
図 46
情報処理の作業
情報処理のプロセスは物理学、化学、生物学のように実在するものをいう。情報処
理は常に実在の物体と関連しているため環境の特徴も映し出す。われわれは周辺の情
報を的確に受け取り、それを活用することが重要である。
何らかの目的を持って情報を受け取ることを情報検索という。情報を収集するこ
とには必要な情報を探す、選ぶことが含まれる。パソコンは使う人の情報を保存
する。
情報を時空間で伝達するには伝達用機器が必要である。情報を保存、または伝達
するためには情報を何らかの形で表現する必要がある。
情報を表すには暗号化する。暗号化には数字、文字、図、音声などが含まれる。
情報を保護するのは情報伝達の最中に失われないようにするためである。情報は
結論を出すために使われる。情報を使う前にはそれがどれほど的確で信用できる
かを評価する必要がある。情報を活用するには情報を分かりやすい形にして、情
報処理することが重要である。
110
添付資料 II
教材研究
躓きの分析
用語解説
授業の準備計画で常に行われる手順と指導案の研究
「教材研究」:
 学年、学期、単元、各授業の目的、目標を総合的に位置づけて
計画するためには一定の段階に沿って行うという特徴がある。
 指導案の主要部分である内容(各授業構成及び生徒の認識度)、
指導法、教材、評価などを含むという総合的な特徴を持ってい
る。
 前回の授業の過程や結果を当日の授業で活用し、当日の授業を
次の授業の準備に活用するという継続的な特徴を持っている
教員の解決法、指導法改善のために生徒の躓きに対して行う分析をい
う。
「躓き」という言葉は日本語でけつまづく、よろけるという意味で、
モンゴルの「相撲取りが草にけつまずく」ということわざと同じ意味
を持っている。
教育で「躓き」という言葉は生徒が認識し学ぶ過程で少しそれてしま
い、才能が発揮できていないことをいう。
つまづきの分析をする際は「concept」「conception」「mis-conception」
という用語が重要である。
concept:正しい考え、正しい概念、観念
conception:生徒の編み出した観念(間違っていてもよい)
mis-conception:生活から編み出した、科学的には間違っている観念
「教員の間違いから生徒の躓きが発生した」と考える教員の指導法は
常に改善されていくが、「生徒の躓きは生徒自身の間違い」と考える
教員の指導法は改善されることはないのである。
111
参考文献
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2.E.K.ヘンネラM監修「情報
中等教育7-9年生用教科書」中等知識研究所、2000年
3.「情報と知識No.12」2004年
4.「モンゴルの教育分野に情報通信技術を普及させる方針」2000年6月4日第151号教
育省令、モンゴル政府教育省令集7号、ウランバートル市、1999年
5.モンゴル国立教育大学コンピュータ情報科学学部「情報担当教員の専門研修の手
引き」ウランバートル市、2005年
6.L.Munxhtuya, L. Choijoobanchig「領域の指導案作成方法」ウランバートル市、
2007年
7.「情報教育スタンダード」ウランバートル市、2005年
8.「情報教育スタンダード指導書」ウランバートル市、2005年
9.「領域の知識と新たな情報技術に向けた政策」第2回国際ユネスコ会議『知識と情
報』モスクワ、1996年1-5月、インフォ、1996年、No.6
10.Ts. Chimedlkham「情報授業の内容を実施するための指導法」ウランバートル、
2005年
11.Computer Science for Secondary Schools: Course Content, A Report of the Task Force on
Curriculum for Secondary Schools, Computer Science, Communications on the ACM
Vol 28, No 3, March, 1985.
12.Content Development with Flash and PowerPoint, The Associaion for Overseas Technical
Scholarship (AOTS), Japan, 2004
13.E-learning Design, The Associaion for Overseas Technical Scholarship (AOTS), Japan,
2004
14 . Informatics for Secondary Education, A Curriculum for Schools, United Nations
Educational, Scientific and Cultural Organization (UNESCO), Paris, 1994
15.Linux Textbook for secondary school, JICA and MOSTEC (draft version), 2002
16.Pennsylvania Bulletin, Volume 29, 1999, Harrisburg
112
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