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西和賀広域エコミュージアム構想

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西和賀広域エコミュージアム構想
西和賀広域エコミュージアム構想
《西和賀の人と自然と環境を守り育てる豊かな里づくり》
2002年3月25日
西和賀広域エコミュージアム推進協議会
西和賀広域エコミュージアム構想
《目 次》
[構想編]
はじめに
序
章
本構想の概要..........................................................1
第1章
西和賀広域エコミュージアム構想........................................3
第2章
エコミュージアム具現化のための活動....................................12
第3章
構想の推進に向けて....................................................23
[資料編]
1.本構想策定の背景等........................................................27
2.地域の現況と課題..........................................................31
3.地元学の取組状況..........................................................47
4.関連計画の概要............................................................53
5.構想の策定経過............................................................58
6.構想策定体制..............................................................59
〈本構想についてのお問い合せ〉
湯田町企画情報課
湯田町川尻40-40-71
TEL:0197-82-2111
FAX:0197-82-3111
沢内村総務課
沢内村太田2-81-1
TEL:0197-85-2111
FAX:0197-85-2119
はじめに
この構想をお読みの方は、一般住民の方であれ、行政、団体の方であれ、エコミュ
ージアムという言葉を初めてお聞きになった方がほとんどだと思います。
そこで、最初にエコミュージアムとは一体何なのか、事業なのか、組織なのか、方
法なのか、それとも場所のことなのか、エコミュージアムを西和賀でやるとは、何を
することで、一般住民や団体にどんな影響があるのか、そんな疑問をお持ちと思いま
す。
この構想をお読みになれば、エコミュージアムとは地域の全体の活動を分かりやす
く捉える一つの考え方だということがおわかりになるはずです。そして、そのような
考え方や視点で、みなさんの取り組みや活動を位置づけて行えば、複数の活動の間に
連携が生まれ、地域住民、周辺都市住民との交流も生まれ、あらゆる面でこの地域が
活性化されることも期待できます。
〔エコミュージアムとはこのようなものです〕
p.10,28∼30参照
エコミュージアムというのは、生きたままの博物館のようなものです。
従来の博物館は動物、植物、鉱物、歴史文化、その他、普段は目にすることができ
ないものを1つの建物の中に並べ、そこにそれに詳しい学芸員という人がいて、お客
様にそれを説明しながら案内するような所です。
一方エコミュージアムは、自然、伝統技術、地域特有の文化、自慢の料理、地域産
物(農産物、創作物)農業体験、自然観察会、家族菜園などを見たり体験したりする
ところです。そして、博物館の学芸員に当たる人は、そこに住んでいたり、何かを作
ったりしている普通の人です。そういうことなら今でもやっているし、今までと何も
変わらないと思うかも知れません。
〔地域の皆さんの協力と連携が必要です〕
これまでの博物館との大きな違いは、西和賀にエコミュージアムの拠点となる場所
ができて、いろいろな活動や事業の情報をそこに集約することです。そして 、「西和
賀エコミュージアム」としてそれらの内容を地域内外へ発信します。そして、この一
連の活動は、行政と住民が協同で行っていこうというところに意義があります。
もちろん、事業や活動自体は住民や団体がそれぞれ行うのですが、拠点となる場所
は 、外部に対して宣伝活動をしたり 、事業間の連携をとったり 、お客を割り振ったり 、
新しい事業を発掘したり、その事業の内容が西和賀にふさわしいものなのかのチェッ
クなどを行うようにしていく必要があります。
〔身近なものの中にこそ地域の宝があります〕
この構想では、西和賀にはどのような資源があり、それを活用した取り組みがどの
ように行われており、これからこの地域にとって、どんな取り組みがふさわしいか・
必要か、この取り組みを進めるための方法や組織のあり方などを考えてみました。サ
テライトとかディスカバリートレイルとか難しい言葉も出てきますが、それが、農家
の納屋だったり、裏山の作業道だったりするので、難しく考えることはありません。
〔一緒にエコミュージアムを盛り上げていきましょう〕
エコミュージアムが軌道に乗るまでには、5年から10年の歳月がかかるのが普通で
す。どうぞ構想を読んで、私たちと一緒に今後のエコミュージアムを盛り上げていこ
うではありませんか。
序
章
構想の概要
1.本構想の概要
○
構想の策定主体について
p.59∼60参照
本構想は、西和賀地区の住民、団体、行政の代表によって構成された西和賀広域
エコミュージアム推進協議会の下に設置された西和賀広域エコミュージアム構想策
定委員会が策定したものです。
○
西和賀広域エコミュージアムの理念とバックグラウンド
p.3∼4参照
西和賀地域には、雪や温泉といった地域を特徴付
ける要素の他に、ブナ林や貴重な動植物の生息等、 第1章 西和賀広域
県内でも極めて自然生態系が残っている地域であり、
エコミュージアム構想
四 季 折 々 の 色 彩 豊 か な 自 然 が あ り ま す 。「 食 」 に つ 1.西和賀広域エコミュージアム
いても、山の幸を中心に、伝統的な調理法や保存法
があり、大変豊かな地域ということができます。
の理念とバックグラウンド
2.西和賀広域エコミュージアム
また、人と人との助け合いやふれあいを大切にす
のキャッチフレーズ
る「結いの文化」が今でも残り、お年寄りや子供た 3.西和賀広域エコミュージアム
ちが活き活きとしている地域です。
の活動の柱となる5つの基
このような地域の特徴を背景として 、本構想は「 西
本方針
和賀の人と自然と環境を守り育てる豊かな里づくり」 4.コア施設とサテライト
を目指すものとします。
西和賀地域は、人が元気な地域であり、本物の自然が残り、これまでも、エコツ
ーリズムを中心として、都市住民との交流が行われてきた地域ということもエコミ
ュージアム定着の適切な条件となっています。
○
西和賀広域エコミュージアムの活動の柱となる5つの基本方針
p.5参照
西和賀の地域特性を活かした活動の柱として5つの基本方針を設定しました 。
「調
べ る 」 活 動 の 方 針 と し て 「 西 和 賀 『 地 元 学 』 の 推 進 」、「 守 る 」 活 動 は 「 自 然 環 境
の保全活 動 」、「伝える 」活動は 「文化の 伝承活動の推進 」、「創る」活動は「資源
循 環 を 基 調 と す る 地 域 社 会 の 構 築 」、「 集 う 」 活 動 は 「 地 域 資 源 を 活 か し た 交 流 活
動の推進」をそれぞれ方針としています。
○
コア施設とサテライト
p.10,28∼30参照
西和賀広域エコミュージアムにおいて、今後設定していくコア施設及びサテライ
トについて、それぞれの機能と候補を示しています。
コア施設の機能としては、事務局、調査研究、教育、情報受発信、たまり場など
の機能が想定されます。
コアの候補としては 、地域の中心的な位置にあって使い勝手の良い「 旧下前分校 」
を第一の候補とし、次の候補としては「沢内バーデン」や「雪国文化研究所」が考
えられます。
サテライトは、いわば「博物館資料」を現地において保存、保全、公開、展示す
- 1 -
る周辺施設で、地域内の様々な資源がサテライトに成り得ます。
代表的なサテライトの候補としては「 碧祥寺博物館 」
「 湯田町立歴史民俗資料館 」
などがあげられます。その他、地域内の自然、文化、歴史、産業に関連する資源、
目に見えない人の技術や技などもサテライトになります。
○
基本的な活動(システム構築と普及活動)
p.12参照
西和賀広域エコミュージアムの構築をめざすた
め、本構想では2つの基本的な活動として、エコ 第2章 エコミュージアム
ミュージアムの「システム構築」と「普及活動」
と考えました。
具現化のための活動
1.基本的な活動
システム構築のための活動内容としては、コア
(システム構築と普及活動)
施設の整備、サテライトの認定、サテライトの整 2.基本方針に沿った活動例
備、ディスカバリートレイルの設定、西和賀ガイ
3.重点プロジェクト
ドの養成です。また、普及活動の内容は、住民向
け説明会、広報誌の発行、普及パンフレットの作成、ホームページ等を活用した
情報発信などです。
○重点プロジェクト
p.16∼22参照
上に示した「西和賀広域エコミュージアムの活動の柱となる5つの基本方針」に
沿って、具体的に今後の活動のあり方を示すものとして 、「西和賀まるごと記録づ
くり」や「雪国データベースの作成 」、「古民家の再生と地域文化の伝承」など、2
0の「重点プロジェクト」を提示しています。
○
構想の推進に向けて
p.23∼24参照
第3章
構想の推進に向けて
この構想を実際に進めていくため、西和賀広域エ 1.構想の位置づけ
コミュージアム推進協議会の下に、エコミュージア 2.推進体制
ム事業推進部会(仮称)を設置し、より具体的な実 3.今後の進め方
施プランを作るとともに、湯田町・沢内村両町村と
の協力体制を強め、事務局を創りあげ、コア施設の整備はもとより、サテライトや
ディスカバリートレイルの整備、案内ガイドの養成などを進めるものです。
構想の推進には、地域内の協力が欠かせないことから、地区別の説明会をはじめ
とした啓発普及を図るとともに、協議会構成員の拡充もめざします。
○
資料編
p.26以降参照
資料編には、西和賀の現状、県や町村の基本計画、西和賀にすでにある各種活動
などが集められてあります。
- 2 -
第1章
西和賀広域エコミュージアム構想
1.西和賀広域エコミュージアムの理念とバックグラウンド
〔西和賀の人・自然・環境=西和賀の宝〕
西和賀の人々は周囲を山に囲まれた自然条件の中で自然の恩恵を受け、自然に負担
をかけない、自然の循環を大切にする生き方や互いに助け合いながら暮らしていく知
恵を育んできました。そして、先人達の智恵と努力による優れた文化や伝統、技術を
育み伝えてきました。美しい自然や景観、個性豊かな人間性などは21世紀、これから
の時代に誇れる大きな財産であり、これを後世に伝えるため守り育てていかなければ
なりません。
しかし、これら財産は、近年の生活・文化の都市化の中で失われているものも数多
くあり、保存・伝承の取り組みが必要となっています。このため、地域の資源・財産
をまずそこに住む住民自身が知り、住民自身が学習・保存・展示の活動を通じて地域
社会の発展へと結びつける取り組みが必要となっています。
〔西和賀を取りまく社会の状況〕
一方、西和賀は決して他から孤立した存在ではありません。西和賀は、岩手の中に
あり、岩手は日本の一部であり、地球上の一点であり、他からの影響を常に受けてい
ます。
しかし、西和賀と通じているその社会の情勢をみると、日本はもとより、世界中が
この数十年の間に、大きな変換期を迎えています。新しい技術や製品、システムが次
々に生み出されてきましたが、その結果として行き過ぎた貨幣経済が作りだした、お
金に立脚した価値観が確立されています。
確かに技術の進歩発展は、人々から病気や貧困をなくし、幸福をもたらしました。
しかし、一方では新たな不幸と混迷を生み出しています。
西和賀の人々もそれらの、恩恵と混迷の影響を受けながら、日々の生活を営んでい
ます。そして、西和賀に住む人々の中には、農業問題や観光産業の不景気などから、
普通であるよりむしろ、都会に比べて経済的には遅れていると感じている人も少なく
ないかもしれません。
しかし、現在または近未来を思うとき、これほどの自然と文化を残した地域は他の
地区から見たら、羨望の的となるでしょう。
〔西和賀のエコミュージアム〕
p.10,28∼30参照
そこで私たちは 、フランスで発祥したエコミュージアムに注目しました 。日本では 、
エコミュージアムの解釈として「環境と人間との関わりを探る博物館システム」と定
義されています。その定義を受けながら、西和賀独自のエコミュージアムのとらえ方
をまとめると、自然の恩恵を受けている地域の中、科学や技術の恩恵もある程度受け
つつ快適に生活している状況を、地域住民自身が再認識するとともに、外部の人に対
しても、体験や学習の機会として、また楽しみとして提供するという、自治体と住民
の結束した試みとなりました。また、このような生き方の中に、生き甲斐、快適さ、
幸福感が見つけられるということを実証する試みでもあります。
- 3 -
そして、このような実践活動を進めるならば、近い将来、西和賀の生き方が、自然
に立脚した地域社会のモデルとして注目されることになると予想されます。
〔テーマ=自然に立脚した生き方〕
この基本構想を作るに当たっては、進め方や、それぞれの取り組みの支援の仕方、
資源の調査などにあたり、できるだけ、自然に立脚した生き方というテーマに沿った
ものにしていくべきであると考えました。また、資源やエネルギーに考慮すべきと考
えています。
このような考え方に沿って西和賀でエコミュージアムを進めるならば 、結果として 、
それが西和賀ファンを増やすことになり、より一層、豊かな地域になることを期待す
るものです。
本構想は、上に示した理念とバックグランドをもとに、地域の有する各種資源と地
域特性、地域課題を住民自身が見出す「地元学」の活動を推進するとともに、地域の
特色を活かした地域づくりの展開をめざして、地域全体を博物館の領域とみなし地域
の資源を活かした地域づくりをすすめる「西和賀広域エコミュージアム構想」です。
2.西和賀広域エコミュージアムのキャッチフレーズ
本地域に伝わる技術や暮らしの智恵、結いの文化、それらを伝承すると共に、自然
環境の保全や復元、地域特性を活かした持続可能で資源循環型産業の振興等による地
域づくりを基本として、西和賀広域エコミュージアムの構築をめざすものとします。
西和賀地域には、雪や温泉といった地域を特徴付ける要素の他に、ブナ林や貴重な
動植物の生息等、県内でも極めて自然生態系が残っている地域であり、四季折々の色
彩 豊 か な 自 然 が あ り ま す 。「 食 」 に つ い て も 、 山 の 幸 を 中 心 に 、 伝 統 的 な 調 理 法 や 保
存法があり、大変豊かな地域ということができます。
また、人と人との助け合いやふれあいを大切にする「結いの文化」が今でも残り、
お年寄りや子供たちが活き活きとしている地域です。
西和賀地域は、本物の自然が残り、人が元気な地域であり、これまで、エコツーリ
ズムを中心として、都市住民との交流が行われてきた地域です。
このような地域の特徴を背景として、本構想では、西和賀広域エコミュージアムの
キャッチフレーズを「西和賀の人と自然と環境を守り育てる豊かな里づくり」と設定
しました。
西和賀の人と自然と環境を守り育てる豊かな里づくり
- 4 -
3.西和賀広域エコミュージアムの活動の柱となる5つの基本方針
(1)西和賀「地元学」の推進
地域や学校での活動として、自然環境や伝統的な技術、暮らし、人、その他西和賀
地域の各種資源等についての西和賀「地元学」調査活動を推進します。
各種の西和賀「地元学」活動を推進することにより、西和賀地域の自然や歴史、文
化など地域に対する新たな認識や再発見をもたらし、結果として、地域住民の郷土へ
の愛着と誇りが一層醸成されることが期待されます。
(2)自然環境の保全活動の推進
原生的な自然や貴重種、里山などの身近な自然など、西和賀地域の自然環境につい
て、調査を進めると共に、保全や復元、意識啓発の活動を推進します。
このような活動の積み重ねによって 、さまざまな自然に対する関心が高まると共に 、
保護・保全の認識が広がり 、生活や産業活動に伴って生じる環境への負荷が軽減され 、
地域の生態系が守られることが期待されます。
(3)文化の伝承活動の推進
地域の風土に根ざした「食」や茅葺き屋根の保全などを通じた「結い」の文化の伝
承、西和賀地域ならではの郷土芸能等の振興と共に、地域の特性を活かした新たな文
化の創造など、文化活動の振興を図ります。
地域の文化を伝承、創造するさまざまな人材を掘り起こすと共に、それらの活動の
場を設けることによって、地域間や世代を超えた交流が進み、その結果として、若い
世代への伝統的な技や文化の伝承と人材育成効果が期待されます。
(4)資源循環を基調とする地域社会の構築
地域資源や地域特性を活かした農林漁業や商工観光業などの振興により、資源循環
を基調とする地域社会の構築を推進します。
これまで以上に、資源循環を重視した産業を進めることによって、山林や農地、地
域の自然が保全され、環境の世紀にふさわしい、いつまでも人々が暮らし続ける事の
できる豊かな地域の実現が可能となります。
(5)地域資源を活かした交流活動の推進
自然環境や伝統文化、歴史、産業をはじめとした各種地域資源を活用した地域づく
りと交流活動を推進します。
地域の技術や暮らし、文化、地域特性を活かした産業など、西和賀ならではのコア
施設や各種サテライトを設定、整備、運営することによって、都市住民等との交流促
進が図られ、そのことによって交流人口増加がもたらされ、より一層、関連した各種
の起業化が可能になるなど、地域振興効果が期待されます。
- 5 -
図−西和賀広域エコミュージアムの活動の柱となるの5つの基本方針
守る
調べる
自然環境の
保全活動の推進
西和賀
「地元学」の推進
伝える
文化の
集う
伝承活動の推進
地域資源を活かした
交流活動の推進
創る
資源循環を基調とする
地域社会の構築
■調べる・・・・西和賀「地元学」の推進
■守る・・・・・・自然環境の保全活動の推進
■伝える・・・・文化の伝承活動の推進
■創る・・・・・・資源循環を基調とする地域社会の構築
■集う・・・・・・地域資源を活かした交流活動の推進
- 6 -
4.コア施設とサテライト
西和賀広域エコミュージアムにおいて、今後設定していくコア施設およびサテライ
トについて、それらの機能と候補を、以下のとおり整理します。
p.10,28∼30参照
(1)西和賀広域エコミュージアムにおけるコア施設とサテライトの機能
1)コア施設の機能
機能の第一に、全体の運営に関わる「事務局機能」があげられます。
また、博物館としての「調査研究機能 」、「教育機能」をはじめ、来訪者や地域内外
に情報を提供する「情報受発信機能」のほか、活動の拠点としての「たまり場機能」
の整備をめざします。
さらに、誰でも利用できるようにバリアフリーやユニバーサルデザインの配慮を行
うほか、エコロジーの面を象徴する新エネルギーについても、導入をめざします。
図−西和賀広域エコミュージアムにおけるコア施設の機能
事務局
情報受発信
その他
たまり場
調査研究
教育
- 7 -
バリアフリー
新エネルギー
表−西和賀広域エコミュージアムにおけるコア施設の機能
機
能
事務局機能
概
要
●企画と運営
・企画開発(プロデュース)
・サテライト機能の調整(ネットワーク化)
●地域住民、団体など関係者間のコーディネート
・地域内の調整、利用者との調整
●事務局担当者の常駐
・常駐者の確保(専任、兼任、ボランティアスタッフ等)
調査研究機能
●地元学の実践拠点
・地元学のためのノウハウの蓄積と提供
●資源情報の集積
・地域資源データの集積によるデータベースの構築と検索
教育機能
●学習の場
・地元学等の実践を通した人材育成
・各種研修の実施
情報受発信機能
●情報センター
・インフォメーション、ビジターセンター(南北の玄関口)
・西和賀に関する各種メニューなど情報の提供
・パソコンによる情報提供や写真パネル等の展示
●外部への情報発信
・各種情報の管理と内外への情報発信(ホームページ等)
たまり場機能
●集会施設、人が集まるたまり場
・地域の人が集える空間の確保
・必ず誰かがいる(事務局担当者の常駐)
その他の機能
●バリアフリー、ユニバーサルデザイン
・誰もが使えるように配慮した施設の整備
●新エネルギー
・木質バイオマスや太陽光、風力、小水力等の導入
- 8 -
2)サテライトの機能
サテライトは、いわば「博物館資料」を現地において、保存、保全、公開、展示す
る周辺施設です。
したがって、自然や歴史、生活、産業など、さまざまな分野のものが想定されるも
ので、それぞれの性格に応じたあり方となります。
つまり、モノとして存在するものはあるべき場所が、また、民俗芸能や演劇などは
それらを演じる場所が、それぞれサテライトということになります。
また、形となって現れない人の知恵や技などもサテライトの1つとして位置づける
ことができます。
(2)コア施設とサテライトの候補
1)コア施設の候補
第一の候補として、地域の中心的な位置にあり、使い勝手の良い「旧下前分校」を
コア施設として整備、活用していくことを検討します。
また、次の候補としては 、「沢内バーデン」や「雪国文化研究所」が考えられます。
2)サテライトの候補
p.38∼43参照
サテライトの候補として第一に、地域の歴史、文化、産業など総合的な資料を収集
展示している「碧祥寺博物館 」、「湯田町立歴史民俗資料館」があげられます。
また、地域に点在する各種の資源について、仮の分類として「自然 」、「文化 」、「歴
史 」、「産業」を想定すると、次のような具体的な候補があげられます。
表−西和賀広域エコミュージアムにおけるサテライトの候補の例
分類
具体的な候補
自
然
・白糸の滝 ・白木峠と散策道 ・廻戸小屋
・ウサギ平 ・小動物の生息する場所 ・ヤス穴
・和賀岳 ・真昼岳 ・女神山 ・笹峠 ・萱峠
・山伏峠 ・中山峠 ・仙人峠
・貝沢(ハッチョウトンボ、クロビイタヤ、湿地、高原等)
・天ケ瀬橋近く日本ナダレ学発祥の地(百間びら)
・南本内岳 ・未来の森
文
化
・雪国文化研究所
・高齢者創作館
・湯本博物館
・銀河ホール
・川村美術館
歴
史
・草木供養経 ・清吉稲荷とその周辺
・清吉稲荷 ・各種指定文化財
・川舟の家
産
業
・湯夢プラザ ・ミート工房
・銀河高原
・温泉旅館 ・ふれあいゆう星館
暮らし、人
・食文化
・生活の知恵
・暮らしの技術
・地域の人
注)これらの候補例は、委員会(ワークショップ)での協議結果であり、今後「地
元学」の展開等により、多数の候補があがることが予想されるものです。
- 9 -
図−西和賀広域エコミュージアムの概念図
カタクリ
ブナ林
自然
観察会
サテライト
カタクリ通信
発行
マタギ
の文化
サテライト
トレッキング
古民家
保存
方言研究
昔の
文化伝承
和賀岳
カタクリの里
昔の
生活用具
パノラマ
展望
川舟の家
サテライト
サテライト
サテライト
ディスカバリー
トレイル
コア施設
自然探索
沢内バーデン
スライド
鑑賞
碧祥寺博物館
旧下前分校
雪国
生活用具
サテライト
食文化
伝承
乳搾り
体験
ディスカバリー
トレイル
サテライト
郷土料理
ふれあい
ゆう星館
サテライト
白木峠
野菜収穫
体験
つる細工
わら細工
昔の
生活用品
ディスカバリー
トレイル
自然観察
湯夢プラザ
ハイキング
・コア施設を中心として 、地域内の各サテライトをディスカバリートレイルで結びます 。
・コア施設には、事務局、調査研究、教育、情報受発信、たまり場などの機能を整備し
ます。
・各サテライトは、現地における保存、保全、公開、展示の機能を整備します。
・西和賀広域エコミュージアムへの来訪者は、最初にコア施設で地域の状況を把握した
り、各サテライトに関する情報を得て、ディスカバリートレイルを通って目的のサテ
ライトを自由に巡ります。
- 10 -
(3)西和賀広域エコミュージアムコア施設とサテライトのイメージ
西和賀広域エコミュージアムで想定されるコア施設とサテライトのイメージは、以
下に示すとおりです。
図−西和賀広域エコミュージアム(コア施設とサテライト)のイメージ
- 11 -
第2章
エコミュージアム具現化のための活動
1.西和賀広域エコミュージアムの2つの基本的な活動
(システム構築と普及活動)
西和賀広域エコミュージアムを構築するための2つの基本的な活動を、エコミュー
ジアムの「システム構築」と「普及活動」として、以下のように整理しました。
図−システム構築と普及活動
システム構築
コア施設の整備
サテライトの認定
サテライトの整備
ディスカバリートレイルの設定
西和賀ガイドの養成
普及活動
住民向け説明会
広報誌の発行
普及パンフレットの作成
HP等を活用した情報発信
協議会会員の拡大
- 12 -
(1)システム構築
「システム構築」は、コア施設、各種サテライト、それらを結ぶディスカバリ
ートレイル整備といったエコミュージアムを構成する基本となる要素を整備する
と 共 に 、「 住 民 一 人 一 人 が学 芸 員」 を め ざし て 、 西和 賀 地 域を ガ イド す る 人材 の
育成及びシステム構築を図るものです。
1)コア施設の整備
・コア施設候補の選定
・整備プランの検討
・事務局等運営体制の検討
2)サテライトの認定
・サテライトの候補のピックアップ
・認定基準の設定
・サテライトの認定
3)サテライトの整備支援
・案内サインやアクセス道の整備内容(仕様・デザイン)
・説明看板、その他必要な設備等の整備方策
4)ディスカバリートレイルの整備
・西和賀300kmネイチャートレイルの設定
・西和賀モデルサイクリングコースの設定
・自転車の調達、管理方法の検討など概略計画の検討
・案内サイン等の整備
・パンフレット等の作成
・ホームページ等による情報発信
5)西和賀ガイドの養成
・地域の人材掘り起こし調査の実施
・登録および運営システムの検討(コーディネーター、ボランティア等)
・他地域における案内ガイド制度の研究
・登録制度の設立と人材リストの作成
・博物館学芸員養成課程と連動した研修の実施
・外部研修の実施(観光ガイド、岩手県立博物館ほか)
- 13 -
(2)普及活動
「 普及活動 」は 、本構想の考え方やめざすもの 、今後進めたい活動等について 、
地域住民に説明し、理解を求める活動です。
また、インターネット等を活用し、地域内外に向けて広く情報発信をすすめる
ものです。
それらの活動を通して、本協議会の拡充をめざします。
1)住民向け説明会
・地区公民館等における住民説明会の開催
・公共施設等での展示など
2)広報誌の発行
・西和賀広域エコミュージアムニュース(仮称)の発行
・両町村の広報誌折り込み等による住民への配布
3)普及パンフレットの作成
・構想概要書をはじめ啓発普及用パンフレットの作成
・両町村の広報誌折り込み等による住民への配布
・公共施設等での配布
4)HP等を活用した情報発信
・西和賀広域エコミュージアムホームページの開設と運用
・西和賀広域エコミュージアム・メールマガジンの発行
・各種媒体を活用した情報ネットワークの構築
5)協議会会員の拡大
・関連団体等への趣旨説明と意見交換の場の設定
・活動団体や個人等の加入促進
- 14 -
2.基本方針に沿った活動例
西和賀広域エコミュージアムを具現化するための 、基本方針に沿った活動例として 、
以下のようなものがあげられます。
表−基本方針に沿った活動の例
基本方針
西和賀「地元学」の推進
活動例
・鉱山についての歴史調査
・西和賀地域の舘跡調査
・俳句の里づくり(俳句コンクールなど)
・西和賀の里ことば、方言ウォッチング
・各種調査活動の発表会
自然環境の保全活動の推進
・レッドデータブック(RDB)モニタリング調査
・貴重な動植物、地域の生態系の保全活動
・カタクリ群生地などの観察会
文化の伝承活動の推進
・西和賀地方の方言に関する調査
・高齢者のお話を聞く会の開催
・西和賀新風土記調査(かつての「沢内風土記」の
現代版調査)
・伝統的な技能や技術
・地域に伝わる食文化
資源循環を基調とした地域
・木質バイオマスの利活用
社会の構築
・山菜の栽培、加工、流通、販売
・温泉や雪の利用活用
地域資源を活かした交流活
・農林業の作業体験
動の推進
・クラフト素材ツアー
・雪を活かした固雪渡り体験
・アイスクライミング
・サバイバル体験
・サイクリング
・どぶろく作り
注)これらの活動例は、委員会(ワークショップ)での協議結果で、次頁以降のプロジェク
ト等をすすめる際に、具体的に検討される内容となります。
- 15 -
3.重点プロジェクト
図−基本方針とプロジェクト
西和賀「地元学」の推進
1)西和賀まるごと記録づくり
2)雪国データベースの作成
3)西和賀・昔の生活写真展
4)西和賀「風土暦」の作成
自然環境の保全活動の推進
5)レッドデータブックモニタリング調査
6)西和賀の生態系保全
7)西和賀・自然観察会
文化の伝承活動の推進
8)古民家の再生と地域文化の伝承
9)小学校廃校の利活用
10)西和賀の食文化伝承と創造
資源循環を基調とした地域社会の構築
11)循環型農業の推進
12)西和賀・産業デイサービス
13)コミュニティビジネス起業化
14)カタクリの里づくり
15)新エネルギーの導入
地域資源を活かした交流活動の推進
16)西和賀の自然体験
17)農業体験
18)創作体験
19)西和賀クラインガルテン
20)炭焼き体験
- 16 -
1)西和賀まるごと記録づくり
主な内容
・調査活動の計画づくり
・西和賀「地元学」の実践
・全戸調査の結果のデータベース作り
・資源データ検索システムの作成
・教育委員会、総合的学習との関連づけ
想定される実施主体
・西和賀広域エコミュージアム推進協議会
各地区公民館、各小中学校など
実施時期等
・実施中
2)雪国データベースの作成
主な内容
・雪国文化研究所の研究成果の整理、報告書の作成
・公開・企画展等の実施
・ホームページ等を活用した情報発信
・啓発普及パンフレット、冊子の作成
想定される実施主体
・雪国文化研究所、西和賀広域エコミュージアム推進協
議会
実施時期等
・平成14年度∼
3)西和賀・昔の生活写真展
主な内容
・昔の生活を偲ばせる写真募集によるイベントの実施
・お年寄りと子どもとの連携事業(語り部など)
・写真展と関連づけた炭焼き体験などの実施
想定される実施主体
・西和賀文化遺産伝承協会、教育委員会、各小中学校
実施時期等
- 17 -
4)西和賀「風土暦」の作成
主な内容
・西和賀地域に伝わる季節毎の行事の掘り起こし
・自然の移り変わりなどの記録を整理(「 風土暦」作成)
・かつての「沢内風土記」現代版としての調査
想定される実施主体
・西和賀文化遺産伝承協会
実施時期等
5)レッドデータブックモニタリング調査
主な内容
・西和賀地方の貴重種に関する調査の実施
想定される実施主体
・カタクリの会、森っこの会
実施時期等
6)西和賀の生態系保全
主な内容
・原生林、二次林など山林の維持管理
・貴重な動植物の保護、保全活動
・里山や河川や水路など、身近な自然の維持、保全活動
想定される実施主体
・カタクリの会、森っこの会、小中高等学校
実施時期等
7)西和賀・自然観察会
主な内容
・自然の仕組みやすばらしさの理解を促す啓発活動
想定される実施主体
・カタクリの会、森っこの会
実施時期等
- 18 -
8)古民家の再生と地域文化の伝承
主な内容
・地域文化の伝承(昔話、結いの文化)
・地域内の茅葺き小屋の発見(調査の実施)
・川舟の古民家の利用法検討
・古民家利活用の計画づくり
・川舟の古民家の周辺に農地を確保
・子どもの農業体験の企画と実施
想定される実施主体
・西和賀文化遺産伝承協会
実施時期等
・実施中
9)小学校廃校の利活用
主な内容
・下前分校の活用の検討(廃校利用研究会の設立)
→コア施設整備でも検討
・地域住民を交え、左草、下前廃校利用計画を検討
想定される実施主体
・西和賀広域エコミュージアム推進協議会、湯田町、沢
内村
実施時期等
・平成14年度∼
10)西和賀の食文化伝承と創造
主な内容
・郷土料理のレシピ本製作
・西和賀地域の素材を活かした加工品や創作料理コンク
ールの実施
・食の匠はじめとした「名人」による伝承活動の実施
想定される実施主体
・商工会、農業改良普及センター、各グループ
実施時期等
・実施中
- 19 -
11)循環型農業の推進
主な内容
・循環型農業システム構築にむけた研究
・農業支援事業として、山菜の栽培事業などの推進
・循環型農業システムの普及、啓発活動
想定される実施主体
・湯田町、沢内村、西和賀農協
実施時期等
・平成14年度∼
12)西和賀・産業デイサービス
主な内容
・旧下前分校周辺の農地を借用
・高齢者による地域に伝わる作物の栽培( 野菜 、雑穀等 )
・伝統技術による農産加工
想定される実施主体
・西和賀広域エコミュージアム推進協議会、湯田町、沢
内村など
実施時期等
13)コミュニティビジネス起業化
主な内容
・コミュニテイビジネスの研究(先進事例等)
・地域資源を活かした起業化の検討
・起業化グループづくり
想定される実施主体
・商工会、西和賀広域エコミュージアム推進協議会
実施時期等
- 20 -
14)カタクリの里づくり
主な内容
・生態系保全に係る活動の推進(希少種やカタクリ群生
地の保全活動)
・各種自然観察会の実施
・カタクリの利活用の検討
・意識啓発のための情報発信
想定される実施主体
・カタクリの会、森っこの会
実施時期等
・平成14年度∼
15)新エネルギーの導入
主な内容
・木質バイオマス利活用の推進
・雪エネルギーの利活用研究
・太陽光、太陽熱利用の推進
・小水力発電の検討
想定される実施主体
・湯田町、沢内村、雪国文化研究所
実施時期等
・実施中
16)西和賀の自然体験
主な内容
・地域の特性を活かした自然体験の実施
・体験受け入れ実施体制づくり
・体験メニューの開発
・指導者の育成
・地域活動の連携推進
・PR活動
想定される実施主体
・関連団体、グループ等
実施時期等
・実施中
- 21 -
17)農業体験
主な内容
・地域の特性を活かした体験メニューの検討
・体験受け入れ実施体制づくり
・体験ツアー等の企画と実施
想定される実施主体
・関連団体、グループ等
実施時期等
・実施中
18)創作体験
主な内容
・地域の特性を活かした体験メニューの検討
(染色、わら・つる細工、押し花、リースなど)
・体験受け入れ実施体制づくり
・体験ツアー等の企画と実施
想定される実施主体
・関連団体、グループ等
実施時期等
・実施中
19)西和賀クラインガルテン
主な内容
・地域の特性を活かした体験メニューの検討
・体験受け入れ実施体制づくり
・体験ツアー等の企画と実施
※クラインガルテン:ドイツ語で、クライン(Klein)=小さな、ガルテン(Gart
en)=庭の訳。通称、市民農園です。
想定される実施主体
・湯田町、沢内村、西和賀農協、関連団体、各グループ
実施時期等
20)炭焼き体験
主な内容
・地域の特性を活かした体験メニューの検討
・体験受け入れ実施体制づくり
・体験ツアー等の企画と実施
想定される実施主体
・関連団体、グループ等
実施時期等
- 22 -
第3章
構想の推進に向けて
1.構想の位置づけ
本構想は、西和賀地域における広域的なエコミュージアムのあり方とその具現化に
向けた取組みについて、検討結果をとりまとめたものです。
したがって本構想は、今後西和賀広域エコミュージアムを推進するにあたって、本
協議会の活動指針となるとともに 、行政や関係機関 、団体そして地域の住民に対して 、
協力・連携、活動への参画を呼びかけるものです。
2.推進体制
(1)西和賀広域エコミュージアム推進協議会
本構想の推進にあたっては、各種団体、関係組織、地域住民、行政等から構成され
る「西和賀広域エコミュージアム推進協議会」を推進母体とします。
協議会の役割は、本構想に沿って西和賀広域エコミュージアムの構築・運営を積極
的に推進するとともに、エコミュージアムに関係する西和賀地域の様々な組織や事業
をコーディネートするものです。
さらに、西和賀広域エコミュージアムの具現化に向けては、地域内の協力が欠かせ
ないことから、事業趣旨の普及啓発を図りながら、本協議会構成員(団体、個人等)
の拡充を進めます。
(2)エコミュージアム事業推進部会の設置
西和賀広域エコミュージアム推進協議会の下に 、「エコミュージアム推進事業部会」
を設置し 、「地元学推進部会」とともに2つの部会として位置づけます。
地元学推進部会は、既に活動を実施していることから、今後も継続して地元学によ
る地域資源調査を進めます。具体的には、本構想において示した活動の基本方針のう
ち 、「西和賀『地元学』の推進」に関わる活動を積極的に展開します。
エコミュージアム事業推進部会は、本構想の内容に沿って、事業を実施するための
「 事 業 計 画 ( 実 施 計 画 )」 を 作 成 す る と 共 に 、 各 種 補 助 事 業 等 を 活 用 し た 事 業 を 推 進
します。
(3)事務局員の配置
平成14年度以降の取り組みにあたっては 、専従の事務局員をおくことが不可欠です 。
このため、西和賀広域エコミュージアム推進協議会の内部に西和賀地域を構成する
湯田町、沢内村両町村の職員と民間を含む専従事務局員を設置します。
- 23 -
3.今後の進め方
(1)事業計画(実施計画)
平成14年度以降の事業計画(実施計画)は、今後設置する上記エコミュージアム事
業推進部会が、緊急性や優先順位、熟度等を考慮しながら作成していきます。
(2)重点プロジェクト
重点プロジェクトのうち、既に実施中の活動については、積極的に活動を促進する
とともに、実施主体と西和賀広域エコミュージアム推進協議会との連携を図りながら
活動を推進していきます。
今後活動を開始する重点プロジェクトについては、エコミュージアム推進事業部会
の中にプロジェクトチーム等を設け、事業計画を順次作成していきます。
(3)システム構築及び普及活動
エコミュージアムの基本的な活動(システム構築及び普及活動)については、西和
賀広域エコミュージアム推進協議会が緊急性や優先順位等を考慮しながら実施してい
きます。
現時点において平成14年度以降、早急に実施すべきものとしては、普及パンフレッ
トの作成、住民向け説明会の開催、西和賀ガイドの養成、コア施設の整備、サテライ
トの認定などが想定されます。
- 24 -
【西和賀広域エコミュージアム】
西和賀の人と自然と環境を守り育てる豊かな里づくり
【活動実施主体】
【エコミュージアム具現化のための活動】
西 和 賀 広 域 エ コ ミ ュ ー ジ ア ムの2つの基本的な活動
西和賀広域エコミュージアム
推進協議会
システム構築
事務局
普及活動
行政
(湯田町)
(沢内村)
民間
住民
西和賀広域エコミュージアムの活動の柱となる
5つの基本方針
エコミュージアム
事業推進部会
地元学推進部会
西和賀「地元学」の推進
自然環境の保全活動の推進
文化の伝承活動の推進
その他の組織
湯田町・沢内村
湯田町教育委員会 沢内村教育委員会
・
湯田町商工会・沢内村商工会
西和賀広域観光連絡協議会
各地区公民館
各小中学校
関連団体・関連グループ
湯田町森林組合・沢内村森林組合
湯田温泉峡旅館組合
湯田産業公社
西和賀農協
沢内バーデン
沢内銀河高原
沢内雪国文化研究所
- 25 -
各地区婦人グループ
(2)人と人との関わり
●結いの文化(互助・互恵)
●歴史と伝統(文化)
●人々の輝き(お年寄り・子供)
●本物との出会い(本物体験)
●県境を越えた往来(峠の文化)
各地区生活改善グループ
(1)自然と人との関わり
●色彩豊かな自然(自然・四季)
●負の資源をプラス資源へ転換(雪)
●温もりある泉(温泉)
●水の恵み(川・沢)
●豊かな食彩(食文化)
森っこの会
【西和賀地域の特性】
カタクリの会
地域資源を活かした交流活動の推進
西和賀文化遺産伝承協会
資源循環を基調とする地域社会の構築
資料編
1.本構想策定の背景等.......................................................27
(1)構想策定の背景.........................................................27
(2)構想の対象地域.........................................................27
(3)構想の改訂.............................................................27
(4)エコミュージアムとは何か...............................................28
1)エコミュージアム=エコ+ミュージアム...................................28
2)エコミュージアムの特徴.................................................28
3)エコミュージアムと地域づくりとの関係...................................28
4)エコミュージアムの構造.................................................29
5)エコミュージアムのイメージ.............................................29
(5 )『日本エコミュージアム憲章2001......................................30
2.西和賀地域の現況と課題...................................................31
(1)西和賀地域の自然のすがた...............................................31
1)位置および地形.........................................................31
2)気温および降水量.......................................................32
3)雪との共生.............................................................32
4)多彩な動植物...........................................................33
5)バラエティーに富んだ温泉...............................................33
(2)西和賀地域の社会のすがた...............................................34
1)あゆみ.................................................................34
2)文化芸能...............................................................35
3)人口...................................................................36
4)交通体系...............................................................36
5)産業...................................................................37
6)観光...................................................................37
7)イベント...............................................................38
8)特産物・郷土食.........................................................39
9)施設等の状況...........................................................40
10)各種団体の活動状況.....................................................42
(3)西和賀の地域特性.......................................................44
1)自然と人との関わり.....................................................44
2)人と人との関わり.......................................................45
(4)エコミュージアム構築に向けた西和賀地域の主な課題.......................46
1)地域資源の掘り起こし...................................................46
2)地域産業の振興.........................................................46
3)伝承と人づくり.........................................................46
4)拠点機能の確立.........................................................46
5)運営システムの整備.....................................................46
3.地元学の取組経過..........................................................47
4.関連計画の概要...........................................................53
5.構想の策定経過...........................................................58
6.構想策定体制.............................................................59
(1)事務局と協議会.........................................................59
(2)西和賀広域エコミュージアム推進協議会名簿...............................59
(3)西和賀広域エコミュージアム構想策定委員会名簿...........................60
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1.本構想策定の背景等
(1)構想策定の背景
西和賀地域は厳しくも豊かな自然の中、先人達の智恵と努力で優れた伝統や文化、
技術を育み伝えてきました。加えて、美しい景観や自然、個性豊かな人間性などは21
世紀、これからの時代に誇れる大きな財産であり、これを後世に伝えるため守り育て
ていかなければなりません。
しかし、これら財産は、生活・文化の都市化の状況下により失われているものも数
多くあり、保存・伝承の取り組みが必要となっています。この取り組みのためには、
これら地域の資源・財産をまずそこに住む住民自身が知り、住民自身が学習・保存・
展示の活動を通じて地域社会の発展へと結びつける取り組みが必要となっています。
ついては、フランスで発祥したエコミュージアムの手法を取り入れ、西和賀地域の
独自性を活かした地域づくりを進めるため、湯田・沢内両町村の関係者による「西和
賀 広 域 エ コ ミ ュ ー ジ ア ム 推 進 協 議 会 ( 仮 称 )」 を 設 置 し 、 そ の 取 り 組 み を 推 進 す る も
のです。
なお 、県においては 、岩手県総合計画の中で「 いわて地元学 」の実践という方法で 、
地域を学び生活文化を創造していく取り組みを推進しており、今回のエコミュージア
ムと同様の取り組みを推進しているところです。
本構想は、地域の有する各種資源と地域特性、地域課題を住民自身が見出す「地元
学 」の活動を推進するとともに 、地域の特色を活かした地域づくりの展開をめざして 、
地域全体を博物館の領域とみなし地域の資源を活かした地域づくりをすすめる「西和
賀エコミュージアム構想」を策定するものです。
(2)構想の対象地域
本構想の対象地域は、西和賀地域(湯田町及び沢内村)全域です。
(3)構想の改訂
本構想は、今後の活動の展開に応じ、充実を図るために随時改訂していきます。
- 27 -
(4)エコミュージアムとは何か
エコミュージアムの考え方について、その概要は以下のとおりです。
1)エコミュージアム=エコ+ミュージアム
①「エコ」は、エコロジー(Ecology)の概念を基盤とし、EcologyはEconomyと同
様に、語源はギリシャ語の オイコス(Oikos:家族、生活の場)に由来していま
す。
②エコミュージアムは、自然、人々の生活、経済、文化、人間と環境との関係をト
ータルとして扱う博物館の一種です。
③博物館の一種ではありますが、従来型の伝統的な博物館とは異なる理念の上に成
り立っている点が特徴です。
④エコミュージアムの始まりは、1970年頃のフランスであり、博物館の専門職員で
ある学芸員が従来型の博物館への疑問を感じて、改革を進めたことが起源です。
⑤日本における紹介者は、新井重三氏であり、当初は 、「生活・環境博物館」とい
う 訳 語 が 与 え ら れ て い ま す 。 近 年 では 「 地 域 ま る ご と 博 物 館 」、「 ラ イ ブ ミ ュ ー
ジアム」といった表現も見受けられます。
2)エコミュージアムの特徴
エコミュージアムの特徴を整理すると、以下のような点があげられます。
①地域全体を、ミュージアムとしてとらえること。
②住民参加型で 、
「 住民一人一人が学芸員 」の地域資源掘り起こし活動であること 。
③掘り起こされた資源については、本来それがあるべきところに 、「あるがままに
保存 」、「動態保存」を基本とすること。
④地域が形成されてきた過程や自然 、文化 、歴史 、産業などの成り立ちをしめす「 時
間の博物館」ということができること。
⑤地域に分散した遺産や資源を現地において公開するという意味から 、「空間の博
物館」といえること。
3)エコミュージアムと地域づくりとの関係
①エコミュージアムは、地域に固有の歴史・文化・自然等を対象として、それらを
現地において復元・保存しようとする点、住民参加を要件とする点で、地域づく
りと密接な関係を持ちうるといえます。
②一方、地域づくりの分野でも 、「地域らしさ」が重視され、そのために地域の歴
史や文化 、自然といった地域資源を見直して 、これらを保護 、保全 、復元したり 、
あるいはこれらを活用したイベントや環境整備を行うことが主流になりつつあ
り、そういった面から、エコミュージアムの展開と接点があるといえます。
- 28 -
4)エコミュージアムの構造
①地域内の拠点的施設としての「コア施設」
一般的なコア施設の機能として 、
「 事務局 」、
「 情報収集 」、
「 調査研究 」、
「 展示 」、
「情
報発信 」、「教育普及 」、「情報サービス」等があげられます。
②地域資源を現地において公開する「サテライト」
その地域の特性に応じて、自然環境をはじめ、文化、歴史、産業等、さまざまなも
のが、サテライトとなります。
③コア施設やサテライトを結ぶ「ディスカバリートレイル 」(発見の小径)
コア施設からサテライトへ、サテライトから別のサテライトへと移動する際のルー
トもまた、地域を再発見する場となります。徒歩、自転車、車など、移動手段を想定
しながら、周遊ルートを設定、整備するものです。
④エコミュージアムの範囲「テリトリー」
歴史や文化などある一定の共通の要素を持った地域を、エコミュージアムの範囲と
して捉え、この地域をテリトリーと呼びます。
5)エコミュージアムのイメージ
以上の基本的なエコミュージアムの要素を図示すると、以下のようになります。
なお、サテライトとなりうる地域資源は、その地域の特性によって、異なったもの
になることはいうまでもありません。
図−エコミュージアムの構成イメージ
文化遺産
自然遺産
展示・情報サービス
展示・情報サービス
支援・協力
サテライト
支援・協力
エコミュージアム
事
務
局
調査研究
収集保存
センター
展
示
(コア施設)
情報サービス
支援・協力
支援・協力
教育普及
利用者サービス
ライブラリー
産
公共施設
業
展示・情報サービス
展示・情報サービス
ディスカバリートレイル
(発見の小径)
展示・情報サービス
- 29 -
(5) 『日本エコミュージアム憲章2001』
本構想では、以下の「日本エコミュージアム憲章2001」を、エコミュージアム
の基本的な考え方としています。
【定義】
エコミュージアムは、環境と人間との関わりを探る博物館システムである。そ
れは、ある一定の地域において、住民の参加により、研究・保存・展示を行う常
設の組織であり、地域社会の持続的な発展に寄与するものである。
【対象】
エコミュージアムは、ある一定の地域の多様な自然環境とそこにおいて成立し
た有形無形の生活・文化・産業の遺産や記憶・様式等を、過去・現在・未来を通
じて、綜合的・統合的に対象とする。
【組織】
エコミュージアムは、住民と行政が協働し、住民の参画のもと、広義の非営利
組織がおこなう 。推進にあたっては 、各分野からの参加による企画運営の委員会 、
専門家との連携による学術的研究の委員会 、利用者の委員会をそれぞれ組織する 。
【学校】
エコミュージアムは、地域を学び知り、地域をつくる担い手を育む住民の学校
として、展示、教育、普及活動をおこなう。
【研究所】
エコミュージアムは、地域のための研究所として、専門家と共に科学性をふま
え学際的な調査・研究をおこなう。
【保存機関】
エコミュージアムは、地域環境の多様な遺産や生活文化の保存機関として、記
憶の収集および保全をおこなう。
この憲章は、エコミュージオロジーの正しい理解に基づき日本におけるエコミ
ュージアムの健全な発展を祈り、その基本的な意義と役割を相互に確認するため
に、2001年5月の時点での社会状況を鑑み、日本エコミュージアム研究会第7回
大会において提唱された。
(2001年5月26日
(2001年10月28日
日本エコミュージアム研究会・第7回大会で発表)
日本エコミュージアム研究会・研究大会で討議)
- 30 -
2.西和賀地域の現況と課題
(1)西和賀地域の自然のすがた
1)位置および地形
西和賀地域は、岩手県の内陸部中央の最も西側に位置し、北側は雫石町、南側
は胆沢町、東側は北上市及び花巻市、西側は秋田県仙北郡・平鹿郡と接していま
す。
奥羽山脈の山岳部に沿って広がる地域で、北部には自然環境保全地域として指
定されている和賀岳、南部には栗駒国定公園、その他湯田温泉峡県立自然公園が
あるほか、雄大な自然に囲まれています。
また、地域内では南北に和賀
川が貫き、湯田町中央部で錦秋
湖へ注いでいるほか、多数の河
川があり、水資源は地域住民の
生活や生産活動はもとより、自
然の生態系維持にも大きな役割
八戸自動車道
を果たしています。
西和賀地域
(湯田町+沢内村)
もりおか
秋田新幹線
北上西IC
しんはなまき
きたかみ
東北自動車道
湯田IC
みずさわえさし
東北新幹線
いちのせき
- 31 -
2)気温および降水量
年平均気温は、湯田町で9.6℃、沢内村で9.4℃となっており、県都盛岡と比較
すると、1度弱低い気温となっています。
年間降水量は、湯田町で2166.0mm、沢内村で2395.0mmで、特に、冬季間の
降水量が多いことから、県内有数の豪雪地帯として知られています。
300
気温および降水量
(単位:mm)
(単位:℃)
30
25
250
20
200
15
150
10
100
5
50
0
0
-5
1月
2月
3月
盛岡
4月
湯田
5月
6月
沢内
7月
8月
盛岡
9月
10月
湯田
11月
12月
沢内
3)雪との共生
西和賀地域では、平年積雪が1.5∼2.0m程に達し、積雪期間が5カ月にも及ぶ
気象条件のなか、雪と共存できる体制づくりを行っています。
雪対策としては、幹線道路にスノーシェルターや吹払柵、人家が密集している
地区には流雪溝などの防雪施設の整備が進んできています。
一方、雪の活用も進んでおり、雪国文化研究所を中心に産業振興への活用を図
ってきているほか、雪を冷熱源とした氷室や雪室は、野菜、花、農産物などの長
期保存等農業振興施設として活用されています。
さらに、氷雪まつりや雪あかり、雪合戦大海など雪を利用したイベント等が開
催されています。
- 32 -
4)多彩な動植物
西和賀地域は 、自然が豊かであることから貴重な動植物が多く生息しています 。
奥羽山脈に連なる真昼山地の最高峰である和賀岳の山腹はブナの原生林に覆わ
れ、東麓から流れる和賀川付近には貴重な動植物が生息しており、かつては仙北
マタギ(秋田県 )・沢内マタギの猟場でした。
このほか、白木峠のユキツバキの群生地、貝沢野湿原、長橋川沿いミズバショ
ウ群生地、大荒沢川カタクリ群生地、蝦山ミズバショウ群生地、碧祥寺の雪ツバ
キ(北限)などがあります。
5)バラエティーに富んだ温泉
西和賀地域内には多くの温泉があり、地域の特色の1つとなっています。
昔から続く温泉としては、湯本温泉や湯川温泉などがあります。比較的新しい
温泉としては、巣郷温泉や薬師温泉、砂ゆっこ、ほっとゆだ、大沓温泉、穴ゆっ
こ、ゆう星館、沢内銀河高原、沢内バーデン等があります。
温泉の多目的活用も進んでおり、水産面ではスッポン養殖、農業利用ではハウ
スの花卉栽培、一般家庭や公共駐車場における消雪などがあります。
さらに、環境にやさしいエネルギー源としても、その可能性が検討されていま
す。
- 33 -
(2)西和賀地域の社会のすがた
1)あゆみ
●西和賀の歴史の始まり
地域の歴史的な背景をみると、大台野遺跡から出土した旧石器から、約18,500
年前にはこの地で人間の生活が営まれていたと推定されています。
●藩政時代
千年ほど前に、この地域は和賀と呼ばれ、平泉の藤原氏によって鉱山が開かれ
ました。江戸時代に入ると、その領地は南部藩の領地でありながら、藩内との交
通は不便で、交易などはむしろ秋田の佐竹藩と盛んに行われていました。
寒冷多雪の気候から、決して裕福な地ではありませんでしたが、それでも西和
賀でなければ味わうことの出来ない本来の豊かさがあり 、西和賀を愛する人々が 、
地域を守り一生懸命に暮らしてきました。
●高度経済成長期
この地に、文明開化の波が押し寄せて、暮らしに急激な変化を与えたのは、秋
田県の横手と岩手県の黒沢尻(現在の北上市)の間に奥羽山脈を横断する鉄道が
開通してからでした 。それは今から七十余年前の大正十三年( 1924年 )のことで 、
当時は横手と黒沢尻の頭文字をとって「横黒線」と呼んでいました。現在のJR
北上線です。その頃は、鉱山地としても非常に賑わいがありましたが、昭和30∼
40年代に閉山が相次ぎ、多くの人が職を求めて他の土地に移っていきました。
●現在のまちづくり
現在では、人口の減少傾向は続いているものの、安心して快適に暮らすことの
できる居住地域として、また、地域の豊かな自然や温泉など多様な資源を活かし
てエコツーリズムを行うなど、魅力ある観光地域などとしてまちづくりがすすめ
られています。
特色ある地域文化を活かした広域的な交流も活発的に行われており、地域間交
流としては全国五名湯「湯本温泉サミット」や平和街道サミット、雪サミット、
みるきぃうえいサミット、国際演劇祭やロシア民俗アンサンブル公演などが開催
されています。
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2)文化芸能
西和賀地域には、以下のような地域色豊かな伝統文化や芸能が伝承されてい
ます。
沢内甚句
沢内村を代表する民謡。昔南部藩の隠し田、三千石の米どころといった歴史か
ら生まれました。沢内村民謡保存会などが今に伝えています。
川舟田植踊り
豊作を願い踊られる踊りで、華やかさより土着の素朴さが特徴です。川舟地区
にある保存会によって伝承され、広く沢内村の踊りとして親しまれています。
(沢内村指定無形民俗文化財)
坂本神楽
坂本神社に伝わる山伏系神楽です。言い伝えでは、安政6年(1859)神職高橋
右内が和賀郡藤根の神楽師善嘉助を招いて習得したもの。36演目の山伏神楽の
うち、坂本に12演目、他に藤根及び岩崎にそれぞれ12演目を分ち伝えたといい
ます。
沢内太鼓百年座
平成元年村制施行百周年を記念し誕生しました。いわて太鼓フェスティバル第
1回から出場しています。村内の小学校を回り、後継者育成の活動も行ってい
ます。
湯本鬼剣舞
現在、この地方の代表的な民俗芸能として有名な鬼剣舞は、その昔、修験者が
念仏普及、悪魔退散、衆生済度の踊りとして広めたものといわれ、この剣舞の
ひとつで、鬼のような面をつけて踊ることから鬼剣舞と呼ばれています。(湯
田町無形民俗文化財指定)
湯田明神太鼓
昭和62年4月に湯田町湯田地区に発足しました。聴く人、打つ人の心に残る地
域独自の太鼓を目指しています。
川尻みかぐら
田植えから刈り取り、豊作の喜びまでを太鼓、お囃子に合わせた踊りによって
表現する民俗芸能です。もともと川尻小学校の児童たちに先生が教えていたも
のを父兄がとりいれ、秋田県わらび座の指導を受けて創作を重ね、現在の形に
たどりついたものです。
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3)人口
平成12年10月における西和賀地域の総人口は7,983人で、人口が最も多かった
昭和35年(19,364人)以降、減少傾向が続いています。
また、年齢別人口構成比をみると、少子高齢化が顕著であり、昭和35年と平成
12年を比較すると、0∼14歳の年少人口の割合は約3割に減少しているのに対し
て、65歳以上の老齢人口はの割合は約7倍に増加しています。また、平成12年に
おける老年人口の割合は33.8%で、県全体の21.4%と比較すると、大幅に上回っ
ています。
4)交通体系
鉄道は、JR北上線が湯田町中央部を
東西に通っており 、湯田町内の駅として 、
ゆだ錦秋湖駅、ほっと湯田駅、湯田高原
駅が設置されています。
また、東北横断自動車道(秋田自動車
道)も湯田町を東西に通り、湯田ICが
あるほか、錦秋湖の南側に位置する錦秋
湖SAには峠山パークランド・オアシス
館あります。
主要な道路としては、JR北上線と東
北 横 断 自 動 車 道 と 並 行 し て 国 道 107号 が
走 っ て お り 、 湯 田 町 中 央 部 で 国 道 107号
から沢内村の週奥部を北へ向かう主要地
方道盛岡横手線が伸びています。
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5)産業
西和賀地域の産業は、古くから鉱業と農林業を中心とした経済活動の中で栄え
てきましたた。しかし、昭和30年代∼40年代の閉山により、地域の情勢は大きく
変化しました。
農業は、経営規模1ha程度の農家が多く、加えて厳しい気象条件や兼業化の
進展、農産物の自由化、就業者の高齢化等、農業をとりまく厳しい環境のなかに
あって、生産基盤や経営近代化施設の整備、温泉や雪資源のエネルギーを活用等
が行われ、米プラス畜産、野菜、花卉等の複合経営化を図りながら農家の自立経
営や後継者育成に努めています。
林業については、森林組合、製材業者が中心となって生産活動を展開していま
すが、外材の輸入、木材の代替素材の普及、労働力不足や従事者の高齢化の進展
などから、その生産活動は低迷しています。しかし、地域の約9割を森林原野が
占めており、この豊富な森林資源を有効に活用することが重要な課題であり、そ
のために林道整備や森林の持つ保健機能、特用林産物の生産拡大等の振興を図る
必要があります。
商業は、小規模経営の小売業が大部分で、年間販売額は増加しているものの、
商店数は減少が続いています。また、近隣市町村への大型店の出店や交通の利便
性の向上によって、商業圏間の競争が激しくなっており、地域ニーズに対応した
商業振興が求められています。
6)観光
西和賀地域の観光は、豊かな自然資源と恵まれた自然景観を活用しながら誘客
を図ってきましたが、今後も地域全体を広域的な吸引力を持つ観光エリアとして
整備することが課題となっています。現在の観光産業は、観光ニーズの多様化、
経済の低迷などにより「安・近・短」型の観光指向が強まる一方、拠点型観光へ
のニーズも高まってきています。また、家族や小グループの形態による旅行が増
加し て い ると と もに 、「 本物 を 求め る 」「 自ら 体 験 する 」 な どの ニ ーズが より強
くなっており、今後もこの傾向は続くものと予想されます。今後は、観光業と1
次産業、二次産業が互いに関わり合える可能性があり、観光産業を総合産業と捉
え、各産業がお互いに連携を取り相乗効果をあげる体制づくりが重要となってい
ます。
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7)イベント
西和賀地域では、地域資源等を活かした様々なイベントが開催されています。
主なイベントは以下のとおりです。
時期
5月最終日曜日
イベント名
錦秋湖湖水まつり
錦秋湖マラソン
6月最終日曜日
7月第1日曜日
7月初旬∼中旬
南本内岳山開き
和賀岳山開き登山
湯田温泉峡あやめ
まつり
和賀川ゴムボート川下
り大会
湯本温泉丑まつり
7月中旬
7月下旬
7月下旬
8月上旬
9月23日
10月上旬
1月19日
旧暦12月12日
1月中旬
2月上旬
2月上旬
2月中旬
2月中旬
2月中旬
2月下旬
3月上旬
3月
内容
錦秋湖マラソン大会前夜祭として行われるのが錦秋湖水まつ
り。七色の花火が打ち上げられ湖面を彩る。錦秋湖マラソン
は錦秋湖畔30キロ公認コースで行われる。参加選手は全国
から集まる。
錦 秋 湖 川 尻 総 合 公 園 で 開 催 。 約 2.5h a に 色 と り ど り の あ や
め約12万本が植えられている。
2 人 1 組 み で ゴ ム ボ ー ト を あ や つ り 、 約 6.5k m の 和 賀 川 の
コースを下る。
土用丑の日にちなんだ郷土色豊かなこのまつりは、多彩な催
しで温泉街はたくさんの人で賑わう。
子 規 「 は て し ら ず の 道 」 全国からプロアマ問わず 、様々な俳人が集まり競い合います 。
俳句大会
さわうち夏まつり
ヤサラ
沢内甚句全国大会
沢内甚句発祥の地沢内で、唄と踊りの全国一を目指します。
湯川温泉きのこ
町内で豊富に採れるきのこを味わうこととができ、郷土芸能
まつり
や物産も紹介している。
白木野人形送り
主役は村人たちによって作られるワラ人形。この人形は村中
(湯田町)
の厄を一身にになって旅立つ役。村に悪い病気など入ってこ
ないよう人々は手をあわせ一年間の無病息災を祈る。
長松垢離とり
苦難に耐えて厳しい父祖の業を引き継いでいくことを山神に
(湯田町)
誓う厳粛な儀式。山に働く人らしい厳しい祭り。
湯田町温泉プール
町営屋内温泉プールを会場として、東北各地から小中学生・
競技会
一般が参加して熱戦が繰り広げられる。
謝湯・雪中神輿
豊かな温泉に感謝を込めて湯本温泉内を「謝湯・雪中神輿」
(雪中みこし)
が勇壮に練り歩く。県内をはじめ、長野・神奈川などから十
数団体が参加する。
雪上大相撲大会
旅館で使い古された布団を体につけ、かつらをかぶったり、
マスクをつけたり、缶ビール持参で土俵に上がったり、ユニ
ークな取り組みで賑わう。
北日本雪合戦大会
東北各地から50チーム近くが参加して「雪合戦」が繰り広
げられる。
湯田温泉峡雪あかり
町のあちらこちらに雪国ならではの情緒あふれる雪あかりの
雪像が並ぶ 。ゆらゆらとローソクの幻想的なあかりがともり 、
雪道を彩る。
左草人形送り
沢内雪あかり
道路沿いにロウソクの火が灯る。雪の中にやわらかな明りが
幻想の世界をつくり出す。この時期に合わせてミニスキー大
会が開催される。
下前人形送り
沢 内 ク ロ ス カ ン ト リ ー 志賀来スキー場クロスカントリーコースで開催される、県内
スキー大会
小中学生の大会。
.
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8)特産物・郷土食
湯田町および沢内村で推奨している主な特産品には以下のようなものがありま
す。また、郷土食としては、納豆汁や粕汁が知られています。
お菓子
全国推奨観光土産菓子の「雪わらし」や県推奨菓子の「なめこようかん」沢内
甚句の伝説にちなんで名付けられた「およねまんじゅう 」、「しそ最中 」「しそ
よ う か ん 」「 山 ぶ ど うせ ん べ い」 ヨ ー ロッ パ 風の 「 一 日物 語 」。 古く から 伝 わ
る健康食「南部ぽんせん」など。
乳製品
湯田の乳製品は町を代表する特産品、土産物となっています。その特 徴は全
て本物の牛乳を使用していることとその種類の豊富さにあります。牛乳、プリ
ン、ヨ−グルト、カフェオ−レ、アイスクリ−ムなどで、直売所「結ハウス」
をはじめ町内の生鮮食料店で販売されています。
農産物加工品(ジャム・フキの佃煮等)
地場で生産するイチゴやカボチャを使ったジャムやフキ・ゼンマイ・ワラビや
ナメコなどの山菜・キノコを加工した製品が特産物。特に山菜は、豪雪の影響
で柔らかく独特の甘味をもっています。
アケビ蔓細工
山の幸を利用してつくった民具には古くから受け継がれてきた技術がみられま
す。自然の感触と素朴な編み方が人気。アケビの細いツルを丸ごと編んだかご
は、ツルの一本一本に頑張りがきいて、踏んでもビクともしないほど丈夫で、
使うほどに光沢が増してきます。
クラフト製品(天然木)
奥羽山脈の山ふところで育まれたトチ、セン、ケヤキ、クリなどの大樹を素材
として作られた製品です。木の持つ温かさを大切に一つ一つ手で削り、みがき
あげたものです。
地ビール
沢内銀河高原にて、出来立ての地ビールとドイツ料理を本場ドイツのビアレス
トラン気分で飲食することができます。
アイスクリーム
ありのままの自然の中で育った牛からしぼった牛乳を100%使用しています。味
わいが深く、爽やかな甘味が特徴です。
納豆汁
( 郷土食 )
左草婦人部グループの岩手県食の匠に認定されている納豆汁は、冬には特にお
いしい一品です。
粕汁
鍋に大根、ごぼう、突きこんにゃく、焼いたサケまたは塩マスを入れ、水を加
えて魚のだしが出るまで煮た後に酒粕を加え、味噌で味を調えたものです。
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9)施設等の状況
沢内バーデン
沢内村が建設し、第3セクターが運営する保養施設です。8種類の風呂や緑に
囲まれ、春のカタクリなど山野草が楽しめる環境が自慢で、60人ほどの宿泊
が可能です。大広間や大型スクリーンなどの音響施設も完備、各種研修や会議
にも広く利用可能です。
沢内銀河高原
平成8年にできた民間のレジャー施設です。東北で初めての地ビール工場を備
えたレストランやホテル、ホール、温泉、トナカイ牧場などから構成されていま
す。
碧祥寺博物館
真宗大谷派に属する碧祥寺に所属する博物館。国の重要有形文化財である丸木
舟・マタギ関連資料・雪国生活用具を始め、民間信仰から蓄音機などまで多く
のものを所蔵しています。マタギ関連資料は東北地方の猟師であったマタギの
狩猟から生活に係わる486点の資料が保存展示されています 。雪国生活用具は 、
カンジキなどの雪上歩行用具を始め1,792点の資料を所蔵しています。これら
を含め5施設からなる博物館です。
真昼温泉
沢内村直営で村の中で最も古い温泉で、下の沢地区にあります。皮膚などに効
能大。施設は大きくありませんが、平成8年に改築したきれいな施設です。
高下ふるさとハウス
地元の農家が共同で運営している産直店です。季節の野菜や花、そして沢内な
らではの山菜が並びます 。(冬期間は休み)
農家高齢者創作館
会員相互の仲間意識を高めながら地域に賦存する素材の活用によるすぐれた生
活技術を次世代に伝承するため、創作活動に意欲的に取り組んでいます。内容
としてワラ細工、木杓子つくりやアケビ蔓、木の皮細工などがあります。
高原ふれあい産直ハウス
「銀河高原」近くの農家が共同で運営している産直ハウスです。季節のとりた
ての野菜花が売られています。
湯田町立歴史民俗資料館
川尻から西へ3km、大台野という所に、後期旧石時代(約二万年前)の大台
野遺跡があります。遺跡の資料は歴史民俗資料館に保存、展示されています。
さらに、縄文時代から奈良平安時代までの土器石器類。藩政時代の「からかさ
連判状」と呼ばれる珍しい古文書。昔の人々の生活がしのばれる民具など色々
な資料が展示されています。
湯本博物館
湯本温泉街にあるこの博物館は、隣接する旅館、一休館の主人が30数年かかっ
て集めたコレクションが展示されています。この地方の民具をはじめ、めずら
しい鉱山用具など6,000点のほか、近くの人々の寄贈や預託品も展示され、雪
国に住む人々の知恵や暮らしに直かにふれることができます。
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川村美術館とデッサン館
湯田町立川村美術館は川村勇画伯から寄贈を受け昭和60年10月27日に開館した
ものです 。美術館には 、川村氏が30年間描き続けた作品が展示されております 。
デッサン館は、川村氏のデッサンを中心にコレクションや画具を展示され、素
描90数点が展示されています。
ふれあいゆう星館
温泉施設のほかに、多目的質及び農村文化生活体験室、ファミリーふれあい室
があり、体験交流などで訪れた場合、宿泊することもできる。
結いハウス
昔からこの地方で行われる「結っこ(ゆいっこ )」と呼ばれる共同作業にちな
んで 、「結ハウス」と名付けられた土産物屋さん。
県内外からの観光客が訪れるこの結ハウスが、町とお客様の結び役になってほ
しいという願いも込められています。
湯夢(ゆめ)プラザ
温泉のある駅「ほっとゆだ」駅前にある複合型商工会館です。この施設には湯
田町商工会、(株)湯田産業公社、湯田温泉峡旅館組合、湯田町観光協会の事務
所が置かれ、相互連携をとりながら商工・観光業の振興に取り組んでいます。
施設の1階には観光案内所や特産品販売コーナー、レストラン、インフォメー
ションホールなどが設けられ 、イベントや名所などの観光情報を提供するほか 、
観光案内所には常時職員が配置され 、土日祝祭日も観光案内に対応しています 。
また、インターネットを利用して情報提供も行っています。
ゆだ文化創造館
プロセニアム形式で338席の銀河ホール、稽古・展示・集会などに利用する多
目的スペースと談話室兼展示ギャラリーを持つUホールからなっています。銀
河ホールでは 、長い活動歴を持つ地域劇団岩手ぶどう座が活動を進めています 。
ぶどう座では毎年自主事業として「銀河ホール地域演劇祭」を開催し、通算4
1劇団が参加上演しています。単に公演ばかりでなく、地域演劇に関するシン
ポジウムや交流会を意識的に併催し、全国各地の地域劇団の出会いの場として
着実な成果を上げつつあります。
道の駅・錦秋湖
北上と横手の中間地点の湯田ダムのダムサイト寄りの場所にあり、冬場は「避
難所」としての性格も備え、内部には食堂、お土産売場、トイレなどが完備し
ています。
峠山パークランド・オアシス館
秋田自動車道錦秋湖サービスエリアに隣接する温泉施設です。サービスエリア
で温泉でリラックスできるのです。錦秋湖を見下ろせる展望風呂、大浴場、家
族で利用できる貸切風呂やレストラン、土産物店などがあります。
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10)各種団体の活動状況
西和賀地域では住民活動が活発で、以下のような活動が行われています。
雪国文化研究所(沢内村の未利用資源調査・雪国体験の指導)
・雪に関する基礎調査(雪質、雪量調査、酸性雪調査)
・雪関連情報の収集と分析
・雪国の文化の発掘と伝承(かんじき、地名、雪形、食文化等)
・沢内村の動植物調査
・雪冷房の開発
・( 沢内村社会福祉協議会として)吹雪体験ツアー等
・冬季沢内村での体験事業でのカンジキ体験
・雪上観察指導
・雪明かり・スノーランタン・アイスキャンドル指導
・その他体験プログラム作成指導
カタクリの会(奥羽自然観察会)
・西和賀地域で毎月1回自然観察会を行い西和賀の自然のすばらしさ、大切さ
を伝える活動をしている。1990年から始め、2000年8月で128回を数え、延
べ5千人ほどが参加。年6回隔月でカタクリ通信を発行し、全国に400人ほ
どの購読者がいる。1996年にはカタクリの里フェスティバルを開催。
森っこの会(環境教育の指導、実施)
・自然観察会をほぼ定期的に行い、自然の仕組み等の理解を促し、自然を大切
にする価値観の啓蒙
・保育所・小学校の依頼に応じ、周辺の自然観察、和賀川の水深調査等の学習
指導、援助
ほっとゆだ地域づくり委員会(ほっとゆだ“食・動・学”ふれあいツアー夏休みちびっこ自然体験教室)
平成13年度前半期は6回実施 。下半期は「奥羽の秋・紅葉紀行」で4回実施予定 。
食:西和賀でとれた食材と中心にしたヘルシーな料理“山里料理”に親しむ
動:自然を大切にし、自然から学ぶ。観察中心のウォーキング、登山など
学:地域に伝わる伝統技術や技能を学ぶ
森の体験教室/森の工作教室/畑の教室/牧場見学
ウィンナーソーセージ手づくり実験/湯田の昔話語り聞かせ
沢内バーデン
沢内バーデンの来館者の自然探検をエスコートする。自然界の不思議な営みを
説明しながら、自然の偉大さや恵み、保護を理解させる。
エコツーリズム運営協議会(自然観察ガイド紹介事業)
・広く西和賀の自然と風土を知ってもらうためのガイド紹介事業。
・自然観察員や山岳協議会員の資格を持つ町民をガイドとして登録、観光客に
紹介する。ガイド登録者は現在10名
間木野漬物同好会(伝統食づくり(漬け物 ))
・自家用として栽培している野菜(山菜)の余剰品を塩蔵保存し、農閑期に入
って加工活動をする。11月から4月頃まで。代表的なものは、香味漬(きゅ
うり、ちょろぎ、人参、シソの実他 )。
・各自の塩蔵野菜をグループで買い上げ、全員で加工する。
・真空包装して販売する。地産地消を原則とし、特別町民用としても活用され
ている。
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ちょっぴり農業体験組合(農産物加工)
・野菜なんでも収穫体験:ジャガイモ掘り、トマト、きゅうり、枝豆等
・花寄植体験:カサブランカ、植え付け、切り取り体験(オーナー制あり)
・田植え・稲刈り体験:米は希望量を発送している
・ミルキィウェイin西和賀:農業体験コースを担当し多人数をインストラクタ
ーのメンバーで対応している。ふれあい市の人と合同で屋台村も担当。
・ホワイトツーリズム(町行事の雪明かり ):ゆう星館で郷土食を屋台村方式
で準備し、地域の一体の交流を深めている(都市住民も入る )。
左草婦人グループ(農産物加工)
・食文化の伝承、岩手県「食の匠」の認定を受けている(納豆汁)昔からの食
文化の良さを最大限に広め、子どもから孫へと伝えていけるよう、活動の1
つとして行っている。
・西和賀生活研究連絡協議会に加入して、各々の資質を高め多方面との交流を
図り、教養を身につけるよう努力している。
長瀬野生活改善グループ(長瀬野漬物研究)
漬物づくり 3∼4種/切り干し大根づくり/ゆき納豆づくり(伝承活動)
農業祭り参加(農の生け花・料理コンクール
夢追い人カジカ組合
「カジカを養殖して、和賀川に放流できないだろうか」と郷土を愛するメンバ
ーが 、巡回式の養殖場をつくった組合 。カジカとは金沢の高級料理「 ゴリ料理 」
のゴリのこと。
新田郷創作グループ(わら細工)
わら人形、ミノ、ワラジ、草履、わら沓、しめ飾り作り
花染工房りんどうの会(りんどう染め)
りんどう花による染色/生活改善グループ活動、イベント参加/染色製品の販売
西和賀地方の花をししゅうしたハンカチ(オリジナル)の染色
沢内村民謡保存会(正調沢内甚句をはじめとする民謡・民舞の保存伝承)
伝承のためのお稽古/学校、成人式、保育所などでの伝承活動
沢内村を訪れた人へ鑑賞していただく活動/他の町村の民謡愛好会の伝承
さわうち太鼓「百年座」
平成元年村制施行百周年を記念し誕生。いわて太鼓フェスティバル第1回から
出場。村内の小学校を回り、後継者育成の活動も行っている。
スノーバスターズ(高齢者世帯の雪払いボランティアグループ)
沢内村で始まった除雪ボランティアが、県内各地に広がり広域的なスノーバス
ターズ連絡協議会に発展。
ハウスヘルパー(住宅補修専門のボランティアグループ)
ひとり暮らしのお年寄り宅や老人だけの世帯を訪問し、引き戸や敷居の立て付
けなどを直すボランティアグループ。
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(3)西和賀の地域特性
第4回構想策定検討委員会で行ったワークショップの結果をもとに西和賀の地域特性
を整理すると、以下のようになります。
1)自然と人との関わり
●四季彩豊かな自然(自然・四季)
自然が豊かな西和賀地域であるだけに、地域の主要な資源として最初にあげられる
のが自然・四季です。西和賀地域は、自然と日常生活が密接に結びつき、共生して暮
らすことが出来る「自然先進地」であり、生活や産業のなかに「西和賀自然エッセン
ス」が潤いを与えています。また、白・緑・青・紅など四季彩を楽しむことができる
地域でもあります。
●負の資源をプラスの資源へ転換(雪)
西和賀地域は県内有数の豪雪地帯に数えられ、これまで負の資源としての雪のイメ
ージが強くありましたが、雪と共生する暮らしに転換して、雪を活用したイベントや
産業が進展している現在は、プラスの資源として雪が捉えられます。スノーハイキン
グやテレマークスキー、クロスカントリースキー、雪合戦大会など 、“雪国大好き”
という気持が地域の“元気”を盛り上げています。
●温もりある泉(温泉)
地域内に数多く整備されている温泉施設は、住民に親しまれているだけではなく、
温泉のある駅や砂湯、洞窟をイメージした温泉など、ひと味変わった温泉があること
から、多くの観光客にも利用されています。冬季間は雪に覆われる厳寒地であるだけ
に、体と心を癒す温泉は大切な地域資源として位置づけられます。
●水の恵み(川・沢)
日本海と太平洋の自然の分水嶺となっている和賀岳を源とする和賀川をはじめとし
て、西和賀地域内には多くの清流が流れています。また、カタクリやミズバショウの
群生地があるなど、水辺の植物が守られています。西和賀地域の人々は美しく清らか
な川や沢を活かし、生かされているといえます。
●豊かな食彩(食文化)
自然が豊かな西和賀地域では、その恩恵を“食”にも受けています。春の山菜や秋
のキノコなどを活かした豊かな食文化を育んでいます。また、納豆汁や粕汁など特徴
的な郷土食もあります。
地域の特産物でもあるミルクプリンなどの乳製品や一本漬けなどの漬物は、地域内
外の人々から好評を博しています。
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2)人と人との関わり
●結いの文化(互助・互恵)
茅葺き屋根の保全や農作業など、かつては互いに助け合い支え合う暮らしがありま
した。今では、その名残をとどめる程度ですが、西和賀地域には、未だにその精神を
引き継いでいる面があります。
自然と共生する暮らしや結いの文化 、人とのふれあいを大切にする西和賀の人々は 、
人情味が豊かであることも、地域の特色としてあげられます。
●歴史と伝統(文化)
西和賀地域では、地域内のどの地区にも伝統行事や伝統芸能があることから、伝統
の宝庫ということができます。これらの伝統的な文化を通した世代間交流の活動につ
いて、今後も一層活発にすすめ、人と人の触れ合いを大切にしていくことで、地域の
歴史と伝統が継承されることが望まれます。
●人々の輝き(お年寄り・子供)
西和賀地域は、今もなおマタギ(狩猟者)の住む里であり、テンド(手業)のある
元気なお年寄りも数多く暮らしています 。また 、子供たちの数が減ってはいるものの 、
都会ではみられない輝きに満ちていることが、この地域の特徴といえます。
一方、各種地域活動も以前から盛んに行われてきました。地域の人が自分自身の地
域について学ぶ活動から、都市住民との各種交流活動も行うなど、積極的な取り組み
が進められてきています。
●本物との出会い(本物体験)
西和賀は、以前よりエコツーリズムはじめ、農作業や創作活動などの体験受け入れ
が行われている地域です。また、元気なお年寄りが多いことから、地域ならではの昔
話を聞くこともできます。
これらの活動は、住民自身が地域について学び、地域に対する誇りを醸成できるだ
けでなく、周辺地域や都市部に住む人々の中に“西和賀ファン”の育成も期待するこ
とができます。
●県境を越えた往来(峠の文化)
岩手県と秋田県の境に位置し、奥羽山脈の山岳部に沿って広がる西和賀地域は、岩
手県秋田郡と呼んでもよいほど、以前から秋田県との往来が盛んでした。近年では、
東北横断自動車道の整備を契機として北上、花巻、水沢、釜石、大船渡、秋田県横手
や湯沢などの各市とも、地域連携が深まっています。
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(4)エコミュージアム構築に向けた西和賀地域の主な課題
1)地域資源の掘り起こし
・各種地域資源掘り起こし活動の継続
専門家の参加
記憶の記録
知識や経験を持った人材の掘り起こし
・各種地域資源の保全と利活用の検討
伝統技術
食文化
雪エネルギー
温泉
2)地域産業の振興
・地域特性を活かした特色ある産業振興
・産業間の連携
・各産業における後継者の育成
3)伝承と人づくり
・伝統的な技術や先人の智恵、暮らしの文化等の伝承
指導者の確保
世代間交流等による若い世代への伝承
・伝統芸能等、各種活動のPR
地域内外への情報発信
4)拠点機能の確立
・センター(コア)及びサテライト機能の設定と整備
核となる施設の確保
住民活動等の拠点施設の確保
サテライトの認定
・情報受発信システムの構築
各種組織間の交流及び情報交換
インターネット等の活用
5)運営システムの整備
・核となる組織の確立
地域住民の参加促進及び協力要請
・組織の運営活動資金の支援
・継続的活動が可能な運営システムづくり
・民間と行政の役割分担
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3.地元学の取組経過
本構想「 第1章 、3.西和賀広域エコミュージアムの活動の柱となる5つの基本方針 」
の1番目に挙げられている“西和賀「地元学」の推進”は、構想策定と並行して取組が
行われているので、その取組の経過などを以下に示します。
地元学とは、自分たちの暮らしや地域を見つめ直し、地域の宝を住民自身が発見、確
認し、その地域にしかない文化や資源を大切にしていく地域に根ざした活動で、地元学
は、地域づくりやエコミュージアムにおけるサテライトづくりの第一歩として、取組が
行われました。
地域の良さを発見するためには 、ヨソ者の力を借りると発見しやすいことから 、今回 、
岩手大学農学部の広田純一先生の指導、多くの生徒さんの参加をいただき、地域住民と
一緒になって進められました。
以下、湯田町の左草、下前地区、及び沢内村大野地区の取組事例をあげます。
● 最初に事前勉強会が行われました(2001.6.7:ふれあいゆう星館)
集落点検の作業手順確認、地図により班割り
ビデオにより作業内容を確認
左草、下前から約30人参加
各地区の班割り作業の状況
集落の地図で班割り
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● 第1回目地元学(2001.6.16∼6.17:旧左草小学校、下前分校)
集落点検を実施し、宝を沢山発見しました。
参加者は、左草地区43人、下前地区47人でした。
① 作業説明、班分け(左草5班、下前4班)
役割の分担
( 1)案内人:地域の人
(2)記録係:岩手大学学生
(3)写真係:地域の人
(4)点検係:地域の人、岩手大学学生
② 宝探し(野外、約2時間)
出発前に参加者全員で撮影
地区内を歩きながら「あるもの」や
「あったもの」発見、記録
寄り道などもしながら、あるものを
見つけたら案内人から話を聞きメモ
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③ お宝(資源)カード作成
左草地区 120枚、下前地区110枚のカード作成が作成されました。
資源カード例(座禅草)
④ 発表
参加者一人ひとりから、心に残ったカードについて発表
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● 第2回目地元学(2001.9.8∼9.9:旧左草小学校、下前分校、大野公民館)
お宝(資源)カードの分類を通じて地域の特徴を再発見しました。
参加者は、左草地区28人、下前地区33人、大野地区33人でした。
① 作業説明、班分け
② お宝(資源)カード加筆、修正
③ お宝(資源)カード分類(似たもの同士をまとめる)
④ 地域の特性を表現
① 作業説明
⑤ 発表
作業内容を確認
② お宝(資源)カードの加筆、修正
一枚一枚再確認
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③ お宝(資源)カード分類(似たもの同士を集めています)
④ 地域の特性を表現(似たもの同士に表題をつけました)
⑤ 発表
床に並べた状態で
参加者全員で囲みながら
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特性を模造紙にまとめました
地域の特徴がわかります
● 今後の地元学
① 地域マップの作成
集落点検によって沢山の資源が確認され、その資源を整理・分類することで
地域の特徴が見えてきました。
その特徴を一目でわかる地域マップとして作成し、作成したマップは公民館
などに掲示、また子供たちの地域学習資料として利用します。
② 地域課題などへの取組
集落の話し合いから、資源として大事で残していく必要のあるもの、復原が
必要なものなどをそれぞれ整理し、個々の生活の中で取り組んだり、集落全体
として取り組みを進める。
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4.関連計画の概要
湯田町総合計画(基本構想:平成13年度∼22年度)
■まちづくりの目標
『豊かな自然と潤いのある出湯の里』
■まちづくりの基本方向
(1)自然と共生し、特色ある産業をはぐくむまち
(2)地域をしっかりみつめ、そこから人や地域が育ち個性が輝くまち
(3)互いに支え合い、幸せを感じ健康で生きるまち
(4)快適で安全に暮らせる生活環境のまち
(5)地域の文化を大切に育み伝えるまち
■重点施策
(1)資源や産業を生かす6次化プロジェクト
農業生産部門と消費流通部門の連携による農業、観光の振興や温泉と医療の組み合わせによる
健康増進、温泉施設の機能向上など、産業や人などの多様な組み合わせにより、新しい資源価値
を生みだし、地域特有の産業づくりを推進します。
また、地域資源にこだわり効果的に生かすために資源の掘り起こしをするとともに、産業や人
が多角的、複合的に手を繋ぐ取り組みを支援する機能の充実を図ります。
(2)自然と共生した快適な環境プロジェクト
豊かで美しい自然、快適な生活環境が定住や交流を進めるための大切な要件となっていること
から、自然や環境に配慮し、景観を大事にした取り組みを進めます。
また、少子・高齢化に対処できる快適な生活環境づくりを進め、機能的に生活できる地域づく
りを進めます。
(3)人と地域が生きいき育まれるプロジェクト
人や地域が生きいきと活発な活動をしながら 、それぞれの地域が個性的で主体的な地域となり 、
まちづくりに取り組む人材が育つよう、地域別の計画づくり誘導を推進します。
また、自らが主体的に学習や交流できる環境づくりを進め、個性のある人材が育つとともに、
産業を担う人材の育成、ボランティア活動の組織化などを進めます。
新沢内村総合開発計画(基本構想:平成7年度∼平成16年度)
■将来像
『快適・活発−心と緑が美しい健康の村さわうち』
本村がめざす将来像は美しい自然や農村景観を村の最も大切な資源として捉え、先人が育んで
きた伝統や文化を尊重し、村民が主体となり、若者も高齢者も全ての村民が真の豊かさを享受で
きるような人と自然への思いやりを大切にする地域社会『快適・活発−心と緑が美しい健康の村
さわうち』の実現である。
■基本目標
(1)21世紀に対応した質の高い生活基盤の整備
(2)快適でうるおいのある生活環境の実現
(3)共に支え合う保健医療と福祉の里づくり
(4)豊かな心と文化をはぐくむ村づくり
(5)地域の特性を活かした産業の振興
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湯田町地域新エネルギービジョン(平成12年3月)
■湯田町がめざすところ(基本理念)
湯田町は、私たちの生命と暮らしを支え育むわが郷をわが地球の自然を子どのたちの未来に豊か
に引き次ぐため、話し合いによる認識の共有と相互協力を通じて、風土と生活文化を活かした、古
くて新しい暮らし方、人間同士も自然や風土も汚さない暮らしができる社会を築きます。
◇人と自然の共生◇
◇人の輪、話し合いによる認識の共有と相互協力◇
◇持続的とりくみによる循環型社会の構築◇
■基本方針
①自然と共生するまちづくりのための導入
新エネルギーの導入は、環境負荷の大きい石油の依存度を少なくし、地球温暖化に歯止めをか
けるために、環境負荷が少なく自然と共存できる新エネルギーを積極的に取り入れていきます。
②安全性、快適性の確保のための導入
学校・公民館といった避難予定場所や街灯・交通標識に新エネルギーを導入するなど、エネルギ
ーの多様化・分散化を図り 、災害時において必要な通信や照明のためのエネルギーを確保します 。
③住民主体による活動で、古くて新しい暮らしをめざした導入
21世紀の暮らしを昔からの地域の生活や風土、文化にあった形で見直す、住民自身からの提案
を湯田町では応援します。
④地域振興・活性化に寄与する導入(農業や観光産業への導入)
事業者においても、廃棄物の有効活用をはじめとする新エネルギーの導入を検討します。
⑤公共施設あるいは公共的な施設への優先的な導入
学校・福祉施設・文化施設などの公共施設では新築・改築時には新エネルギーの導入を検討します。
沢内村地域新エネルギービジョン(平成13年2月)
■基本理念:温故知・新エネルギー
■新エネルギー導入の基本方針
①水と雪の恵みをいかそう
沢内村に豊富にある資源として、まず、水と雪があげられる。これらは沢内村らしさを感じさ
せるる特徴ある資源であり、水・雪の活用を進めることは、エネルギーを得るという効果だけで
なく、特徴ある地域づくりにもつながる。
②森の恵みをいかそう
森林資源の活用は、村内に豊富な資源が存在するという理由からだけでなく、林業の活性化、
森林資源の保全の面からも早急な取り組みが必要となっている。今すぐ取り組めるものはもちろ
ん、たとえ時間がかかっても、林業の活性化や森林資源の保全につながるものについては、順次
取り組みを進める。
③産業活性化の起爆剤としよう
農業、商工業、観光などの既存産業に新エネルギーを導入することで、話題性を創出したり、
付加価値を図ることを目指す。
④沢内村の“21世紀型生活スタイル”を確立しよう
現在の生活スタイルや生産スタイル等を見直し、沢内村の気候や文化にあった、省エネルギー
型の新しい生活スタイルを標準化する。
⑤手をとりあって導入をすすめよう
役場内の各課、住民や学校、団体、企業などとの連携を深め、村一体となって、それぞれにで
きることに取り組むことが必要である。情報交換、共同セミナー、事業の共同実施など、積極的
に県や他地域との連携を進める。
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湯田町過疎地域自立促進計画(平成12年度∼平成16年度)
■地域自立促進の施策目標
①地場産業の振興と雇用機会の拡大
地場産業の振興が自立促進のもっとも重要な必要条件と捉え、この中でも観光産業を第一次∼
第三次産業のすべてが関わり合える総合産業と位置づけ、産業間の連携を深めながら交流人口の
増加による経済活動の拡大再生産を図り、その中から若者が定着するための働く場を確保する。
②豊かなな自然と快適で潤いある生活環境の確保
交通・通信体系の整備による利便性ある生活、情報通信ネットワークを使用した行政サービス
の向上、 上下水 道等の 生活環 境施設の整備・充実を進め、快適で安心して暮らせる生活環境を実
現する。
③高齢化社会における暮らしやすい地域づくり
高齢者の健康づくりの推進や生きがい、生産活動の機会を積極的に確保するとともに、介護保
健等による充実したサービスの提供確保、居住環境の整備を推進し、高齢者が安心して暮らせる
地域づくりを進める。
④生涯学習、地域コミュニティ活動、まちづくり参加の推進
地域やグループ、集団等の学習・研修活動に住民自らが取り組みやすい基盤づくりを進めると
ともに、地域文化の保存伝承、イベントやスポーツ、文化活動、異世代間や都市等地域間の交流
活動を積極的に推進する。
沢内村過疎地域自立促進計画(平成12年度∼平成16年度)
■基本方針
本村が目標とする将来像は、村民が安定した所得を得られ、快適な生活環境の中で生産意欲に
満ちた活力ある村の姿である。将来像を実現するための第一の課題は、住民が安定した所得を確
保できる状態をつくり出すことであり、第二の課題は、村民が快適で安心して生活が送れる生活
環境をつくり出すことである。
■重点課題
①安定し活力ある地域社会を構築するための基礎として、先ず第一に生活基盤及び生活環境の整備
が不可欠である。そのため、本村の道路体系の柱となる村道東側幹線道路網整備と下水道整備を
行う。
②生活の向上と後継者の育成、若者の定着には所得の向上が不可欠であり、そのためには基幹産業
である農林業の振興が重要な事項となる。農業においては、大規模ほ場の整備に加え、豪雪地帯
であり北上川最大の支流である和賀川の源流部、日本有数のブナ林地帯という特性を活かし、雪
室等の施設の活用と安全 、安心という消費者要望の応える農業の推進や都市部住民との交流促進 、
さらに森林を新たなエネルギー源と捉えた林業等の展開を図る。また、恵まれた環境を活かした
交流活動の活性化を図り、交流人口の拡大と特産物の販売拡大を促進する。
③活発な生産活動が行われるためには、住民が健康で充実した生活ができる環境の確保が重要であ
る。このため、保健医療の充実として沢内病院の医療機器の整備、高齢者・障害者福祉の充実を
図るとともに、自然環境の保全や景観の向上、ゴミの減量化や資源リサイクル、地場エネルギー
の確保を推進する。また、住民の生きがいの充実を図るため、地域文化の向上や生涯学習の拠点
となる施設の整備を検討する。
- 55 -
岩手県総合計画(平成13年度∼平成22年度)
<地域計画/岩手中部広域生活圏>
■地域の将来像
『岩手をリードする技術・文化・交流の拠点“はなきた ”』
豊かな自然、歴史、文化に恵まれ、花巻空港、東北新幹線、東北縦貫自動車道、東北横断自動
車道釜石秋田線等の高速交通網の結節点である岩手中部地域は 、都市と農山村が有機的に結合し 、
産業経済、文化、生活など県内の先導的地域として、豊かな暮らしや世界に広がる交流がたのし
める新しい都市圏域が形成されています。
北上川流域地域は、高次な都市機能を擁し、県全体をリードする高度技術産業拠点を形成する
とともに、観光・レクリエーションの推進、地域特性を生かした収益性の高い農業の展開など、
地域産業と豊かな環境が調和した都市圏が形成されています。
中山間地域は、自然環境の保全、農林業と他産業が融合した産業の展開、特色ある地域資源を
活用した交流人口の拡大等により独創的な魅力ある地域づくりが進められています。
■地域の振興施策の方向
1)岩手の新しい機軸となる個性と魅力ある都市圏域の形成
2)県内工業をリードし、世界にはばたく北東北の高度技術産業拠点の形成
3)多様な産業と環境が調和した、快適で住みよい地域社会の形成
4)特色ある地域資源を活用した中山間地域の活性化
5)多彩な交流・連携が進み、世界に広がる交流ネットワークの形成
<プロジェクト/「美しいくにづくり」プロジェクト>
■物語りのあるふるさとづくり
a
「いわて地元学」の推進と心にやさしく響く、美しい岩手づくりの推進
b
グラウンドワーク活動の推進
c
「岩手型全県エコミュージアム」の推進
第四次岩手中部地区広域市町村圏計画(平成13年度∼平成22年度)
■圏域づくりの基本的な考え方
①「自発」・・・可能性を自ら拓く自発の圏域づくり
②「連携」・・・重層的で多様な連携による圏域づくり
③「共生」・・・創造的で戦略的な共生の圏域づくり
■圏域の将来像
「夢いっぱい
みんな元気な
さやわか郷土・いわて中部」
■みんなで取り組む圏域づくりの視点
①お互いに補完・連携して、安心で心豊かな暮らしを創り出す
・心かよう暮らしの絆をめざして
・みんなで携えあう安心ネットワークをめざして
・より頼もしい広域サービス環境をめざして
②お互いに協働して、共通の魅力ある郷土を創り出す
・時を越えた自然風土の継承をめざして/・自然風土と溶けあった多彩な「農」の展開をめざして
・さわやかな美しいまち・むらをめざして/・地域、圏域に根ざす魅力ある商店街をめざして
③広域的・一体的な相乗効果を発揮して、圏域の新価値を創り出す
・21世紀にふさわしい広域交流基盤の形成をめざして
・北東北を牽引する新産業拠点の形成をめざして
・圏域の一体化による観光交流圏の形成をめざして
・時代の風に呼応する圏域文化の創造をめざして
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北上地方中山間地域活性化対策推進プラン(平成10年9月/北上地方振興局)
<西和賀地域活性化支援プロジェクト> ∼交流人口の拡大と産業の相乗効果を目指して∼
①ヘルシーパーク形成
温泉を核として多彩な体験・交流メニューを組み合わせることにより、心身ともにリフレッシュ
できる、健康を全面に出した多面的なGTを構築し、交流人口の拡大とリピート化を推進する。
②食ッキングパーク形成
温泉旅館、飲食店等と農林業が連携した「西和賀の味づくり 」、商品化や農林業者自らの生産・加
工(調理)・販売等の取り組みによる農林産物等の地域流通・消費体制の構築及び高付加価値化を図る
とともに 、「食」を基軸とした西和賀の魅力作りにより交流人口の拡大を推進する。
③マイスターパーク形成
多面的なGTの先導役として、各分野で活躍する指導者の活動を支援するとともに、これらの方
々のもつ知識や技を後世に伝えることにより、永続的なGT体制の整備を推進する。
④わんパーク形成
都市部と農村の青少年交流を通じて、西和賀の豊かな自然や風土が果たす重要な役割に対する青
少年及びその親の理解を醸成するとともに西和賀地域の青少年のふるさとに対する誇りを喚起する 。
⑤ぐるっトリップパーク形成
周辺地域の都市部との交通アクセスの改善や地域内の交流体験スポット間の道路網の改善を図る
ことにより、周回型ツアールートを形成し、交流人口の拡大を促進する。
⑥ネイチャーパーク形成
既存の観光・交流体験スポットを充実するとともに、これらと有機的に結びついた新たなスポット
を形成し、多面的地域内周回型ツーリズムを形成し、交流人口の拡大を推進する。
⑦スノーパーク形成
これまで負の資源されてきた雪を地域活性化のための資源として多用に活用する取り組みを助長
し、産業の活性化を図るとともに、オールシーズン型ツーリズムの形成により交流人口の拡大を推進する。
岩手県自然環境保全指針(平成11年3月)
私たちのふるさと岩手に今日残されたこの自然は、私たちの貴重な財産というべきものであり、2
1世紀を担う次の時代に引き継ぐことは、私たちに課せられた重要な使命です。
そのためには、県民のひとりひとりが主役となり 、「人と自然の共生」の立場から、自然環境の「保
護」そして「利用」について考え、実行していくことが大切です。本指針においては、学術的な重
要性、貴重性という視点で捉えた自然環境である「優れた自然」と、親しみやすさ、ふれあいとい
う視点で捉えた自然環境である「身近な自然」の2つに区分して取り上げました
■「優れた自然」の保全
「優れた自然」については 、「生物的環境の評価」と「地形・地質・自然環境の評価」を統合し、メ
ッシュごとのポイントに応じたAからEの5段階の保全区分から成る総合評価にまとめたものです 。
A:自然度が高くかつ偏在する特に重要な植生を含む地域/特に重要な動植物が生息・生育する地域
B:自然度の高い重要な植生を含む地域/重要な動植物種が生息・生育する地域/特に重要な地形・
地質・自然景観が存する地域
C:二次的自然景観の中でも比較的自然度が高いと判断される重要な植生を含む地域/重要な動植
物種が生息・生育する地域/重要な地形・地質・自然景観が存在する地域
D:二次的自然環境の中でも、比較的人為性が強いと判断される環境を含む地域
E:自然環境が郷土に改変され、あるいはほとんど欠くことにより、おおむね人為的環境となって
いる地域
西和賀地域に関しては、集落が点在する幹線道路沿いはD又はEに分類されているものの、その
他の地域は大部分がBに分類される地域で、和賀岳山頂付近はAに分類されている。
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5.構想の策定経過
本構想策定の経過は、以下に示すとおりです。
西和賀エコミュージアム構想の策定経過
日付
項目
場所
内容
平成13年07月23日
第1回策定委員会
湯田町旧下前分校
構想の策定について
平成13年09月07日
第2回策定委員会
湯田町旧下前分校
構想の性格や位置づけ等について
平成13年09月27日
第3回策定委員会
湯田町旧下前分校
エコミュージアムの活動について
平成13年10月18日
事務局打合せ会議
湯田町役場
委託業務の内容等について
平成13年11月06日
第4回策定委員会
湯田町旧下前分校
西和賀地域の地域特性について
平成13年11月30日
第5回策定委員会
湯田町旧下前分校
エコミュージアムの活動について
平成13年12月20日
第6回策定委員会
湯田町湯本公民館
コア・サテライト候補等の検討
平成14年01月23日
第7回策定委員会
湯田町湯本公民館
重点プロジェクトについて
平成14年02月02日
フォーラム
沢内バーデン
中間報告会を兼ねたフォーラム
平成14年02月14日
事務局打合せ会議
湯田町役場
構想のとりまとめについて
平成14年02月25日
第8回策定委員会
湯田町役場
構想案について
平成14年03月07日
事務局打合せ会議
湯田町役場
構想最終案について
平成14年03月19日
第9回策定委員会
湯田町役場
構想最終案について
平成14年03月25日
第3回協議会
湯田町役場
構想最終案について
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6.構想策定体制
(1)事務局と協議会
構 想 策 定 の 事 務 局 は 、 湯 田 町 企 画 情 報 課 に お き 、 構 想 の 検 討 を 行 う た め 、「 西 和 賀
エ コ ミ ュ ジ ア ム 推 進 協 議 会 」( 以 下 、 協 議 会 ) を 設 置 し 、 協 議 会 の 下 に 地 域 資 源 の 掘
り起こし等を行う「西和賀地元学実践部会 」、構想の具体的事業計画等を検討する「西
和賀エコミュージアム構想策定検討委員会」を設置しました。
協議会には顧問を置くこととし、岩手県北上地方振興局及びその他協議会の目的に
賛同するもの等の代表をもって充てました。
なお、構想全体のとりまとめと関連した調査業務については、コンサルタントに委
託しました。
(2)西和賀広域エコミュージアム推進協議会委員名簿
機関・団体の名称
役職名
顧
北
上
地
方
振
興
局
氏
名
備
問
局
長
委
阿
部
丕
顕
員
森 林 管 理 署 湯 田 事 務 所
所
長
小
野
英
典
湯
田
町
商
工
会
会
長
佐
藤
一
久
監事
沢
内
村
商
工
会
会
長
松
川
厚
一
監事
合
組合長
合
組合長
西
和
湯
賀
農
田
業
森
協
同
林
組
組
佐々木
赤
祐
村
森
林
組
合
組合長
湯
田
町
観
光
協
会
会
長
真
壁
信
男
合
組合長
高
橋
繁
廣
西 和 賀 文 化 遺 産 伝 承 協 会
理事長
太
田
祖
電
広
治
(
株
温
)
泉
湯
峡
田
旅
牛
館
組
井
乳
公
社
代表取締役
高
橋
副会長
三
内
田
照
坂
覓
沢
湯
考
洸
沢
内
村
教
育
委
員
会
教育長
高
橋
湯
田
町
教
育
委
員
会
教育長
佐
藤
清
次
会長
繁
沢
内
村
村
長
加
藤
昭
男
副会長
湯
田
町
町
長
細
井
洋
行
副会長
- 59 -
(3)西和賀広域エコミュージアム構想策定検討委員名簿
機 関 ・ 団 体 の 名 称
役職名
氏
名
北上地方振興局企画総務部企画振興課
課
長
高
北上地方振興局農林部地域農政推進課
課
長
高
橋
栄
蔵
農業改良普及センター湯田地域普及所
所
長
佐々木
富
雄
湯
課
長
高
橋
定
信
岩手南部森林管理所湯田事務所
業 務 課 長
佐
藤
正
穂
沢
課
課
長
高
橋
義
雄
田
町
内
企
画
村
情
総
報
務
課
橋
備
厚
湯
田
町
商
工
会
事
務
局
局
長
田
口
光
昭
沢
内
村
商
工
会
事
務
局
局
長
高
橋
康
文
西 和 賀 文 化 遺 産 伝 承 協 会
事 務 局 長
広
瀬
龍
一
西
和
賀
農
協
生
活
課
長
課
長
溝
渕
郁
夫
湯
田
温
泉
峡
旅
館
組
合
事 務 局 長
細
川
春
雄
島
将
清
湯
田
産
業
公
社
常務取締役
中
沢
内
バ
ー
デ
ン
支
藤
沢
内
銀
河
高
原
総 支 配 人
十文字
沢 内 村 雪 国 文 化 研 究 所
研
員
小野寺
西和賀広域観光連絡協議会創造開発部
部
長
高
カ
会
代
表
瀬
川
強
会
代
表
増
田
洋
プ
代
表
高
橋
厚
長 瀬 野 生 活 改 善 グ ル ー プ
代
表
中
村
キミイ
高
橋
卓
タ
森
左
ク
っ
草
婦
リ
こ
人
の
の
グ
ル
ー
湯 田 町 農 業 振 興 専 門 推 進 員
- 60 -
配
究
人
田
橋
仁
忠
雄
聡
君
雄
子
巳
考
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