...

サポートブック - 青森県発達障害者支援センター「ステップ」

by user

on
Category: Documents
20

views

Report

Comments

Transcript

サポートブック - 青森県発達障害者支援センター「ステップ」
青森県発達障害者総合支援事業
「青森県発達障害者生活訓練研修事業」から
発達障害のある人を
支援するために
∼支援者のためのワンポイント∼
青森県発達障害者支援センター
はじめに
発達障害のある人の中には、なかなか就職できない、就職できても続かないと
いう人がいます。その原因の一つに、仕事に活かせるような知識や技術があって
も、規則正しい生活、食事、金銭管理などの健康管理や日常生活に関する課題、
職場におけるコミュニケーション、ストレスなどの職業生活に関する課題が就労の
継続を難しくしていることがあります。
青森県発達障害者支援センターでは、青森県から委託を受けて平成 24 年度と
平成 25 年度の2か年にわたり発達障害のご本人、ご家族、支援者を対象に、県内
6地区において、青森県発達障害者総合支援事業「青森県発達障害者生活訓練研修
事業」を行いました。
当研修では、公開講座と各地区ごとに4回∼5回の地区別研修会を実施しました。
公開講座は、平成 24 年度が宇都宮大学教育学部教授 梅永雄二氏と発達障害
当事者のヴォイスマネージ代表 村上由美氏のお二人に、平成 25 年度は独立行政
法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局研究部部長 志賀利一氏
にご講演していただき、いずれも大変ご好評をいただきました。
地区別研修会は、毎回、前半が就労準備支援、金銭管理、健康管理、感情
スキル等について講義、実技、ロールプレイの形で行い、後半が家族グループと
ご本人グループに分かれて懇談を行いました。
実施に際しまして、青森障害者職業センター、ハローワーク、青森県立精神
保健福祉センター、青森県消費生活センター、青森県長寿社会振興センター、
青森県自閉症協会のペアレントメンター、障害者就業・生活支援センターなどの
就労支援機関、相談支援事業所、自立訓練事業所の各種支援機関の皆様にご協力
いただいたことに感謝申し上げます。
今回、地区別研修会の資料を参考または引用しながら、支援者のためのワンポ
イントを作成しました。当該研修事業をベースにしたものですので、すべての領域
をカバーしたものではありませんが、参考にしていただければ幸いです。
平成 26 年3月
青森県発達障害者支援センター
目 次
1 相談を進める上で気をつけたいこと ・・・・・・・・・ 1
2 ニーズと課題を把握する ・・・・・・・・・・・・・・ 1
3 健康管理や日常生活管理の主な項目 ・・・・・・・・・ 3
「生活時間を確認しましょう(時間管理)」 ・・・・・・ 4
「地域や職場などで必要な感情スキル」・・・・・・・・ 5
「イライラエネルギーを頭から放出しましょう!!」・・・・・ 6
「上手な金銭管理を学びましょう」・・・・・・・・・・ 9
「訪問セールスの勧誘を断る」・・・・・・・・・・・ 12
4 職業生活 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
「就労のための社会資源を知り、支援を受ける」・・・・・ 15
1 相談を進める上で気をつけたいこと
発達障害のある人は様々な特性があり、そのことが生活上の支障をもたらしたり、
逆に優れた才能を発揮したりすることがあります。
面接の際は、発達障害の特性に配慮した相談場所の環境や面接の進め方が
大切です。
1)言葉だけでは、記憶しにくい、理解しにくい人がいます
メモやリーフレット、コミュニケーションボード等の文字や絵などの視覚的な
情報を添えて話をします。話し方も、簡潔に、具体的に、そして早口に
ならないように話します。
2)文字を書くことが苦手な人がいます
パソコンやタブレット端末などの活用も考えます。
3)電話が苦手な人がいます
電話以外のFAX、メール、手紙等の連絡方法も取り決めておきます
4)環境刺激に感覚が過敏な人がいます
隣の話し声、換気扇等の周囲の雑音がすべて同じレベルで聞こえるために、
面談者の話を聞きとるのが容易でない人がいますので、静かな環境を用意
します。
同様に、強い光や蛍光灯のちらつきに敏感な人がいますので、まぶしい光が
差し込んでくる窓などの方を向いて座らせるようなことは避けます。
5)新しい場所や場面、初対面の人に、緊張や不安がとても高まる人がいます。
見通しが立てられるように、最初に面接の流れ等を説明しておくとよいでしょう。
6)疲れやすい、集中力が途切れやすい人がいます。
時間を決めて休憩を入れるか、または別な日に何回かに分けて面接を行います。
2 ニーズと課題を把握する
青年や成人の相談は「就職」が中心となることが多いと思われます。
しかし、知識や技能があればすぐに就職できるとは限りません。就職し、
勤務し続けるためには、次頁の「働くための準備」の図に示されているように、
交通機関の利用、自立的な生活を営むのに必要な炊事、整理整頓、金銭管理、
規則正しい生活などの「日常生活の力」、また、職場の人間関係や仕事に
つきもののストレスとうまく付き合うための感情コントロールなどの「健康管
理の力」、 仕事を円滑に進めるための報告・連絡・相談や、欠勤・遅刻時の職場
ー1ー
への連絡などの「職業生活の力」が必要とされます。
「就職したい」
「働きたい」という希望をかなえるためには、これらの「仕事の力」
「職業生活の力」「日常生活の力」「健康管理の力」の状況や課題を確認する必要が
あります。
「職業生活の力」と働くことを支える「日常生活の力」の一部については、青森障
害者職業センターにおいて発達障害の人のための職業リハビリテーションとして
職業準備支援を行っています。
また、体力や生活リズムなどの点からすぐに職業準備支援を利用することが難しい
人は、精神保健福祉センターのデイケア(精神科リハビリテーション)や地域の
支援機関の福祉サービス等が提供する様々な活動を通して生活リズムを整える、
体力の向上、対人関係の改善を図った上でステップアップすることが考えられます。
働くための準備
仕事の力
~仕事の力~
適性 ・ 技能 ・ 知識 ・ 資格 ・ 経験 など
~職業生活の力~
定時出勤、欠勤時の連絡、集中力 ・ 持続力、
職場における対人技能 など
職業生活の力
日常生活の力
~日常生活の力~
起床 ・ 就寝、食事 ・ 栄養、体力 ・ 休養、
清潔 ・ 整容、移動、金銭管理 など
~健康管理の力~
定期的な通院 ・ 服薬、不調サインへの
気づきと受診、ストレス対策 など
健康管理の力
○本人の努力だけですべての課題の解決は困難と思われます。
福祉サービスなどの利用やIT機器などのツールの活用など、工夫や
柔軟な支援が大切です。例えば、調理ができなくてもグループホーム
の利用で単身生活が可能となります。
○発達障害のある人が一般社会のやり方そのままに行うことは大変難しく、
自己肯定感を損なうことがあります。発達障害のある人が一般社会の
ルールを知った上で自分なりの対処法や生活スタイルを見つけ、一般
社会と折り合いをつけながら豊かで幸福な生活を目指すという考え方
が大切と思われます。
ー2ー
3 健康管理や日常生活管理の主な項目
健康管理や日常生活管理の主な項目には次のようなものが考えられます。
相談を進める上で、チェック式や記入式などの目に見えるものを活用すると発達
障害のある人は、理解しやすいことが多く、また自己理解を進めるのに役立つと
思われます。
ただ、文字を書くのが苦手な人もいますので、チェック式にするなどの柔軟な
対応をすることが大切です。
(1)金銭管理
家計簿等での収入や支出の管理、金銭の使用計画、貯金など
(2)時間管理 生活のスケジュールづくりと規則正しい生活など
(3)健康管理
ストレスマネージメント、通院服薬、病気の時の受診、生活習慣(酒等)など
(4)家事遂行
掃除や整理整頓、洗濯、調理、買い物など
(5)身だしなみ
季節や寒暖に応じた衣類の選択、清潔整容など
(6)交通システム理解
公共交通機関の利用や交通ルールの理解など
(7)悪徳商法・詐欺等への対処
(8)公共機関・施設等のシステム理解
役所や銀行等の手続、地域の社会資源を知り相談や社会的支援を求めるなど
例
はい
項 目
簡単な食事の支度ができる
食材の計量や味付けが必要な調理ができる
ー3ー
少し
いいえ
「生活時間を確認しましょう(時間管理)」
発達障害のある人の中には、一つのことに集中しすぎて時間の経過を忘れて
しまう、夜の方が落ち着く、活動の目標が明確でないといったことから夜更かしを
して生活リズムが夜型になっていることがあります。
このため、いざ就職といったときに出勤時間に合わせた生活リズムの立て直しに
苦労される人もいます。そのような場合、ご本人に生活時間の使い方を振り返って
もらい、自己理解を進めてもらう方法があります。
○ご自分の生活時間を振り返ってみましょう。下の図に起床・就寝など1日の生活の
流れを書いてみましょう。
【平日】
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
【働く場合】
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
【休日】
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
○自由な時間の過ごし方がわからないという人もいます。余暇活動や
趣味を持つことは、ストレス対処のツールにもなります。
○通院、求職活動、家事手伝い、余暇活動など活動目標を明確にして
規則正しい生活を維持しましょう。
○夜更かしを避けるためにも、夜の活動は時間を決めるか、一定の時
間で終わるような活動をしましょう。
ー4ー
「地域や職場などで必要な感情スキル ~イライラ対策を見つけましょう~」
○感情と体の関係
感情(気持ち)と体はつながっていて、感情によって体の状態は変わって
いき、行動に現れることもあります。例えば、『頭』が怒りモードだと『体』も
怒りモードで、乱暴な言動になりやすいです。
気分がいいときは体の力も抜けて、呼吸も落ち着いて気持ちいい感じになり
ますが、この状態を「リラックスしている」と言います。リラックスすると
イヤな気持ちがだんだん消えていっていい気分になってくることがあります。
感情が「怒り」の
状態のとき
思考・考えが混乱し
冷静に考えられない
対人関係や仕事で失敗
する可能性が高くなる
心も体もイライラモード、あるいは
緊張モードで疲れやすくなります
気分がいい
冷静に考えられ、
考えもよくまとまる
対人関係や仕事におい
て、きちんと判断して
対応することができる
体の力が抜けて呼吸も
落ち着いてリラックス
○感情の種類
人には、
「喜怒哀楽」などいろいろな感情(気持ち)があります。
うれしい
よろこび・楽しい・感激・幸せ 等
怒り
イライラ・不満がある・悔しい・敵意 等
不安
恐怖・おびえる・自信がない 等
悲しい
おちこむ・がっかりする・さびしい 等
誇らしい
勇気がある・得意・光栄・自信 等
安心感
おだやか・ほっとする・心地良い 等
親しみ
好き・親しみ・愛する・親切 等
ー5ー
〇感情(気持ち)の調子が悪くなると、様々な影響を受けることが心配されます。
・不眠
・過食や食欲の低下 ・泣くことが増える ・ミスの増加 ・疲労感
・動悸
・吐き気がする ・めまい ・集中できなくなる ・決断できなくなる ・考え方が混乱する
・無気力 ・物忘れが激しくなる ・アルコールやたばこの増加 ・自己否定 ・他者否定
など
~イライラエネルギーを頭から放出しましょう!!~
〇「感情の回復の方法」
感情(気持ち)は変えられます。自分の感情(気持ち)の切り替え方法、リラックス
方法を見つけましょう。家族や支援者など関わりのある周りの人と相談・確認
して自分の感情の回復方法をみつけるのもよい方法の1つです。
〇どのタイミングで感情(気持ち)を切り替えるといい?
『深呼吸をしたり』『いいイメージを思い浮かべること』がいいのはわかって
いるけど、怒り爆発の時に感情(気持ち)
を切り替えるのは難しいこと。
切り替えのタイミングは⇒「ちょっとムッとしているとき」「ちょっとイライラするとき」
○感情(気持ち)の悪化には段階があります
段階1 ぜんぜん平気(体から力が抜けて、リラックスしている)
段階2 ちょっとムッとする
段階3 ちょっとイライラする
段階4 イライラする
段階5 気持ちのコントロールがむずかしくなる
段階6 イライラエネルギーがばくはつする
ー6ー
○イライラエネルギー発散の方法
運動で発散する方法
・ウォーキング・ランニング・ダンス・サイクリング・水泳 ・適切なパンチング・キック(特定の道具を用いて)
・リサイクル(空き缶・ペットボトル・段ボール潰し、紙を破く、古着を破く、割り箸を折る等)
・園芸活動 など
リラックスした気分にさせる活動で発散する方法
・ゆっくり呼吸する ・身体の力を抜く ・お気に入りの音楽を聴く
・お気に入りの本を読む ・絵を描く ・マッサージ
・知っているパズルをする等、同じ活動を繰り返す
・一人になる ・睡眠 ・手伝いをする ・自分の興味関心のあることに取り組む など
他の人と交流することで発散する方法
・家族や友達と話をする ・ペットに話しかける
・自分が誰かの手助けをする ・ボランティア活動をする など
考えることで発散する方法
・いいイメージ(頭の中に浮かんでくる絵や映像など)を思い浮かべる
※いい気分の時はいいイメージ。悪い気分の時は悪いイメージになりやすい。
・自分の好きなこと、楽しいこと、リラックスできる場所等を思い浮かべる
※「お楽しみブック」の活用はより効果的!! など
ポジティブワードをいうことで発散する方法
~悪いこともいい方に切り替えていく考え方~
・「まぁいいか」 ・「がんばったから大丈夫」 ・「これでもいいか」 ・「なんとかなる」
・「気にしない、気にしない」 ・「これくらいでよしとしよう」
・「また次もあるさ」 ・「わたしは感情をコントロールすることができる」
・「わたしは冷静でいられる」 ・「わたしは大丈夫」 ・「誰かに助けを求めることはよい方法である」 など
ー7ー
※イメージと感情(気持ち)はつながっています。感情はイメージにつられます。
(例)
1.仕事や学校で怒られた時を思い出してください。
2.楽しいこと、大好きなこと、リラックスできることを思い浮かべてください。
※お楽しみブック作成のお勧め
◎『楽しい』『幸せだ』『うれしい』と感じる状況を表す絵や写真をそこに
貼り付けます。
(例)
・好きな食べもの ・好きな活動 ・好きな文字 ・好きな写真 ・好きなチケット ・好きな人 ・好きな動物 ・好きな場所 ・好きな物
・好きな押し花 ・楽しい、幸せだと思っている人たちの写真 等
◎「お楽しみブック」を見る事で、自分の感情を立て直さなければならない
時に効果が期待されます。
〇イライラエネルギー発散の時(感情の回復の時)、活用しない方が
よいと思われる方法 ・ 他人にイライラをぶつける
・言い争い(ケンカ)をしてエネルギーを放出する
・ 自分の家族や友達など関わりのある人を相手に憂さ晴らしをする
・ 仕返しをする
・ 自分を傷つける
・ 自分や周りの人にとって大切な物を破壊する
・ 過度なアルコールの飲酒
・ 長時間 1 人でいすぎること(他の人とまったく関わらなくなること)
・ ファンタジーの世界に引きこもり続ける など
ー8ー
「上手な金銭管理を学びましょう」
地域の中で、自立した豊かな生活、安定した生活を送るために必要な生活費のおおよ
その金額を把握して、収入の範囲内で生活することが大切です。
そのためには、1か月間の「収入(入ってくるお金)」と「支出(出ていくお金)」を
把握しますが、雪国では冬場に暖房費(灯油代・電気代・ガス代)等が必要となるなど季節
ごとに支出の種類・金額が変動します。
このように収入と支出を整理・把握することで、あまり必要でない物を買っていること
に気づいたり、高額な物を購入するために計画的に預貯金をすることができます。
表1
1か月の収入と支出
科
目 標
目
金
額
金
収入(入ってくるお金)
給
収入
料
円
円
障害基礎年金
円
円
その他(小遣いなど)
円
円
合計・・・①
円
円
支出(物を買ったり、サービスを受けるために支払うお金)
支出
食費(食材費・外食費)
円
円
光熱水費(ガス・水道・電気)
円
円
通信費(携帯電話の通信料金等)
円
円
税金
円
円
住居費
円
円
交通費(バス代・ガソリン代等)
円
円
生活消耗品費(日用品や衣服等)
円
円
医療費(病気やけがの時の病院代)
円
円
娯楽費
円
円
その他(借金返済など)
円
円
合計・・・②
円
円
円
円
残
額
高
(①―②)
全部使い切らずに蓄えることです。それには、給料などお金を
ポイント
もらったら、通帳・貯金箱・仕訳袋などにお金を入れることです。
1か月の収入と支出を確認するためには、毎日の記録をつけてみましょう。
書店で売っている家計簿帳でも、ノートに線を引いて自分で作ってもよいでしょう。
ー9ー
4 月 何月なのか書きます。
日・・・日付を書きます
何に使ったのかわからない時は
?マークを書きます
表1の「1か月の収入と支出」の科目に合わせて、その月の収入と支出を合計してみます。
~それは本当に欲しいものですか?~
私たちは欲しいものが多くあります。それをすべて買っているとお金が足りなくなるときが
あります。買った後で、それほど必要性がなかったということもあります。
1 まず手に入れたい物を書き出してみましょう
□
□ □ □
□ □ 2 次にチェックボックスに「必要な物」には○印を、「欲しい物」には△印をつけます
3 次に、値段が一番高い物を○で囲みます
4 さて、本当に買いたいと思う物が決まりましたか?
ー 10 ー
5
ところで、こんな時どうしますか?
私は
を買いたいと思っていますが、お金が足りません。
さて、こんな時、自分だったらどうしますか?
①
②
③
④
⑤
お金を貯めてから買う
貯金をおろして使う
親、兄弟、友人から借りる
銀行などから借りる
あきらめる
買う方法
上の欄の①から⑤について
①お金を貯めてから買う
→欲しい物を買うまで
時間がかります
②貯金をおろす
→貯金が切り崩される
(そもそも貯金がないと
おろせない)
③友達から借りる
→借金です!(友達で
も)返さないと関係が
悪くなります
⑤買うのをあきらめる
④金融機関から借りる
→利息がかかって、借りたお金より
多く支払うことになります
物を買うときは、よく考えてから買いましょう
物は大切に扱いましょう
友だちと、お金の貸し借りはしないようにしましょう
ー 11 ー
「訪問セールスの勧誘を断る」
発達障害の人の中には、セールス等の勧誘をなかなか断れず、必要でない物を買ってしま
う人もいます。訪問セールスを断る方法を身につけましょう!
1 相手の顔を見る! (目と目は合わせなくていいです)
2 はっきりとした声で「いりません」と言う!
いりませーん!
り ま せ ー
ん!
¥
3 しつこい場合、「いりません」をくりかえす!
(紙に書いたものを日頃から用意しておく方法もあります)
4 必要なら、その場からいなくなる!
インターネット等の、次のような詐欺商法にも気をつけましょう!
ネットサクラ詐欺の手口
・きっかけは、求人サイトや懸賞サイト、占いサイトなどから誘って、自分たちが
運営する別のサイトに登録させるものです。
・こんな誘い文句に気を付けます。 例「あなたは車や電化製品にあたりました」
、
「相談にのるだけの高額のアルバイトができる」
、「占いが無料でできる」
☆消費者トラブルは、すぐに「青森県消費生活センター」に相談します。
☆電話をかけることがとても苦手な発達障害の人から相談を受けた地域の支援機関は
消費生活センターにつないであげましょう。
☆トラブルや心配なことを相談する方法を身につけましょう!
1.安心して話せる人を(家族や支援機関等)決めておく!
2.聞いてくれることを頼む!・・・「私の相談を聞いてもらえますか?」
3.できるだけ細かく伝える!
・・・
「いつ、何を、どうして、どうなったのか、何を困っているのか?」
4.これからどうしたらいいか聞く!・・・「これからどうしたらいいでしょうか?」
ー 12 ー
4 職業生活 ~働くことについて考えてみましょう ~
⑴やりたい仕事
「やりたい仕事」は意欲が高まります。
でも、「できる仕事」とは限りません。
い
やりたいこと
「やりたい仕事」で「できる仕事」だと
良いのですが、就職した会社で、その様
(仕事)
な 仕事をやらせてもらえるとは限りません。
できること
(仕事)
やらせてもらえる
こと(仕事)
やらせてもらえた仕事を「できた」ことで
「喜び」や「達成感」につながり、「やり
たい仕事」になっていくことがあります。
⑵ジョブマッチング
「やらせてもらえる仕事」と言っても、発達障害の特性に照らしてミスが生じやすい、
達成感が得られにくいといった仕事もあるので、比較的適していると思われる職業を
選択することも大切です。
発達障害のある人は、
①臨機応変に何にでも対応できるジェネラリストよりも、専門職での活躍が向いている
②関心ある分野に集中できること、こつこつと努力を積み重ねられるところが強み
IT関連の仕事や研究職、職人、製造、品出しなどの仕事などが考えられます。
反対に、
①異なる複数の要求を同時に処理・対応したりすることが苦手
②予測不能な問題や課題にその場で柔軟に対応することが苦手
③先を見通して行動することが苦手
ウェイター、ウェイトレス、営業、対人サービスなどは一般的に向いていないと
思われる仕事です。
ー 13 ー
⑶求職活動のため整理しておくこと
発達障害のある人の中には、求職活動に必要な情報が不足していたり、仕事内容のイメージが
持てない人がいます。逆に、情報過多で混乱している場合もあります。
地域の支援機関は、本人がどのような働き方や生活の仕方を考えているか聞き、どんな
ことを決めなければならないのか整理できるように支援します。
働きたい?
働く力は?
~
企業・会社で働きたい?
どんな仕事がしたい?
~
どんな仕事ができる?
どんな仕事が向いている?
福祉施設で働きたい?
など
働き続ける力はついている?
どんな働き方?
仕事の探し方は?
支援を受ける?
~
~
~
フルタイム?
パートタイム?
など
正社員?
週何日働ける? 給料は? 通勤時間は?
現在住んでいる所? 県内? 県外?
など
求人情報をどこから入手する?
企業・会社に障害を伝える?
ハローワーク?
など
自分の力だけでやってみる?
就労支援機関を利用する?
支援制度を利用する?
など
〇 話を進める過程で、
「〇〇ができていないから△△は無理」と否定しない
ことが大切です。 例えば、調理ができなくてもグループホームの利用等が
考えられるように、社会資源の利活用や工夫の仕方も検討します。
〇 本人に漠然と判断を求めても困惑することがあるので、選択枝を示して
それぞれのメリットやデメリットを提示して判断しやすいようにします。
ー 14 ー
「就労のための社会資源を知り、支援を受ける」
1
「支援を受ける場合」と「受けない場合」
自分の障害のことをどの程度までオープンにする(伝える)かで、下の表にあるように
求職登録する際のハローワークの窓口や受けられる支援に違いが出てきます。
特別な支援を受ける場合でも、ハローワークには障害のことをオープンにする(伝える)
が、就労先の事業所(会社等)に障害のことをオープンにするかクローズドにする(伝え
ない・隠す)かで、受けられる支援に違いが出てきます。
特別な支援を受けない
障害を伝え
障害をオープンにしな
る・伝えない
い(隠す)
求職登録
ハローワークの
専門援助窓口
専門援助窓口
職業紹介
の支援
就労先)の両方に伝える
ハローワークの
の支援
職場適応へ
先)には伝えない
支援機関と事業所(会社等の
一般窓口
短時間の職業相談
階での支援
〇事業所(会社等の就労
ハローワークの
求職段階で
採用面接段
特別な支援を受ける
〇支援機関には伝える
支援なし(自力対応)
支援なし(自力対応)
〇時間をかけた職業相談
〇時間をかけた職業相談
〇職業リハビリテーショ
〇職業リハビリテーションの
ンの利用
支援なし(自力対応)
利用
〇面接への同行
〇事業主への受け入れ支援
〇職場内での支援なし
〇職場内での支援あり
〇職場外での相談は可能
〇職場外での相談も可能
障害者手帳の交付を受けて、障害のことをオープンにして働いた場合、
◎ 職場への定着に向けて、ジョブコーチの派遣が可能となります。
◎ 発達障害の特性を考慮した職場環境づくりや仕事内容、雇用管理が期待できます。
◎ 障害者雇用率等で雇用主にもメリットがあります。
2
職業準備支援
ハローワークの委託訓練等で資格取得にチャレンジすることは「働くための準備」の図
で示される「仕事の力」をつけるための支援ですが、「職業生活の力」に相当する部分を
主に支援してくれるのが、障害者職業センターが行う「職業準備支援」です。
作業と講座を通して、
「労働習慣の体得、職場で求められるマナーを身につける」
、
「体
験を通して自己理解を深める」など、就職に向けた移行を目指します。
発達障害者を対象としたプログラムは標準12週間で、利用者の目標に合わせて「個別の
カリキュラム」を作成して「職業準備支援」が行われます。
ー 15 ー
【職業準備支援の流れ】
一つの職場で
ストレスと上手に
合っている仕事が
長続きしない
付き合いたい
わからない
仕事でミスを
繰り返してしまう
職場の人と上手に
付き合えない
職業相談・職業評価
自分に合った仕事選びや継続就労を実現するための
個別の職業リハビリテーション計画の策定
~
就労支援カリキュラム
各種講習
(例)
面接の受け方
履歴書の書き方
など
個別相談
社会生活技能や作業遂行力の
向上を目的とした講座を受講
センター内作業支援
自分に合った作業や
上手なやり方をみつ
します
けます
技能体得講座
求職活動に役立つ
知識を身につけます
~
対人技能
問題解決技能
作業マニュアル
作成
(例)
事務
商品管理
清掃
組立分解
ストレス対処
企業実習体験
カリキュラムで学んだ内容を企業実習で実践してみる
求職活動支援
ハローワークと協力して企業面接への同行等を行います
就職後のフォローアップ(ジョブコーチ)
ー 16 ー
【就労支援カリキュラムのおおよその内容】
⑴ 職業準備支援カリキュラム共通講座(他障害の方との共通講座)
講 座 名
内
就職活動の進め方
容
仕事に関する情報収集方法、就職希望条件を整理等
オープン・クローズドの 障害のオープン・クローズドの場合の働き方について、それぞれのメリッ
働き方
ト・デメリットをグループで話し合う
職場のマナーとルール
「暗黙の了解」を含めたマナーとルールの重要性について学ぶ
履歴書の書き方
履歴書作成のポイントを学び、履歴書作成の練習を行う
面接について
採用面接におけるポイントを学ぶ
面接個別指導・模擬面接 センタースタッフや所長と面接の実践練習を行う
書類整理
講座で使用した資料について、整理の仕方を学ぶ
ジョブコーチ支援とは
ジョブコーチ支援とはどのような支援なのかを知る
応募先、就職先の企業や支援者に対し、自分のこと(障害特性、得意・
自己紹介状の作成
不得意など)を知ってもらうためのツール(自己紹介状)を作成する
⑵ 就労支援カリキュラム(発達障害者向け)
講座区分
職場対人技能トレ
ーニング(JST)
講座内容
JSTについて
概要
職場における基本的な対人マナー等について、ロール
プレイを用いてトレーニングします。
リラクゼーション
職業生活について
ストレスに関する理解を深め、ストレスを感じたとき
技能トレーニング
~ストレスとは~
の自分に合った対処方法の紹介と実践練習を行います
マニュアル作成技
マニュアル作成につ 仕事を進めやすくするために、自分用のマニュアル作
能トレーニング
いて
問題解決技能
トレーニング
その他
SOCCSS 法について
発達障害について
成ができるよう、知識の付与、演習を行います
職場や仕事で生じる問題の解決技能を習得するための
トレーニングを行います
発達障害とはどのようなものか、一般的にはどのよう
な特徴があるのか学び、自己理解の一助とします
⑶ 作業支援
身体的作業(立ち仕事)
①共同ピッキング作業 ~・ライン作業 ・作業環境の変化への対応 ・他者との共同
②パッキング/袋だし作業 ~・菓子袋にシールを貼る作業
・丁寧さ
・衛生面への留意
デスクワーク(事務)
①OAワーク
~・パソコンを使用した数値入力、文章入力
②作業日報集計
~・作業ごと、従業員ごとの正確な計算と記入
・コピー&ペースト
③物品請求書作成 ~・与えられた条件に合う適切な物品の検索、正確な記入
④数値チェック
~・数字の照合作業
・納品書と請求書を見比べて間違いを見つける
ー 17 ー
○ 職業準備支援中の求職活動で就職先が見つかり、支援終了後あまり間を置かず
就労することが理想的です。間が空いて、生活リズムが崩れると就職も難しく
なります。
○ 障害者雇用をしてくれる企業等が見つからない場合には、見つかるまでの間、
障害者総合支援法による就労継続A型などの事業所の利用も考えられます。
3
障害者雇用に関する支援機関
支援機関名称
独 立 行 政法 人
住
所
高 齢・障 害
者・求職者支援機構
電
話
(電話)017-774-7123
青森市緑2丁目17-2
(FAX)017-776-2610
青森障害者職業センター
障害者就業・生活支援センター
青森藤チャレンジド
青森市奥野2丁目-25-9
就業・生活支援センター
津軽障害者
(FAX)017-722-3023
弘前市熊嶋字亀田184-1
就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援セン
(電話)017-722-3013
(電話)0172-82-4524
(FAX)0172-82-5730
八戸市廿三日町18
ターみなと
(電話)0178-44-0201
(FAX)0178-44-0201
つがる市森田町森田月見野
473-2
(電話)0173-26-4242
ター月見野
障害者就業・生活支援セン
三沢市本町1丁目-62-9
(電話)0176-27-6738
障害者就業・生活支援セン
ターみさわ
障がい者就業・生活支援セン
(FAX)0173-26-4243
(FAX)0176-27-6738
むつ市赤川町11番22号
ターしもきた
(電話)0175-23-8016
(FAX)0175-22-3888
公共職業安定所(ハローワーク)
青森公共職業安定所
青森市中央2-10-10
(電話)017-776-1561
八戸公共職業安定所
八戸市沼館4-7-120
(電話)0178-22-8609
弘前公共職業安定所
弘前市大字南富田町5-1
(電話)0172-38-8609
むつ公共職業安定所
むつ市若松町10-3
(電話)0175-22-1331
野辺地公共職業安定所
野辺地町字昼場12-1
(電話)0175-64-8609
五所川原公共職業安定所
五所川原市敷島町37-6
(電話)0173-34-3171
三沢公共職業安定所
三沢市桜町3-1-22
(電話)0176-53-4178
同 上 十和田出張所
十和田市西二番町14-12
(電話)0176-23-5361
黒石公共職業安定所
黒石市緑町2-214
(電話)0172-53-8609
ー 18 ー
4 障害者総合支援法による就労支援
下記の就労支援事業の利用を含めて福祉サービスの利用や、社会資源を活用するための
助言等の支援を「相談支援事業所」が行っています。住所・連絡先が不明な場合には、お
住まいの市町村障害福祉担当課にお問い合わせください。
就労継続支援事業
就労移行支援事業
A型
B型
一般企業への就職が可能と 一般企業に雇用されるのは難 一般企業に雇用されるのは難し
見こまれる方
(利用者の希望の例)
しいが、雇用契約に基づく就労 く、雇用契約に基づく就労も
が可能と見こまれる方
難しい方
(利用者の希望の例)
(利用者の希望の例)
一般企業への就職を希望し 一般就労するためにもう少し 就労移行支援事業で一般就職に
ている。
職業能力を高めたい。
チャレンジしたが難しかった。
就職するために体力や能力 離職したけれど一般企業に再 年齢や体力等の理由で離職したけ
を高める支援を受けたい。
チャレンジしたい。
れど作業は続けたい。
(支援の内容)
(支援の内容)
(支援の内容)
一般企業への就職に向けて 通所による雇用契約に基づく 通所による就労や生産活動の機会
作業や実習、仕事探し、職 就労の機会を提供。
場適応の支援を実施。
を提供(雇用契約は結ばない)。
就労に必要な力を高めて、一般 就労に必要な力を高めて一般企業
利用期間(2 年)の制限があ 企業への移行に向けて支援。
への移行に向けて支援。
ります。
5 その他の支援機関
青森県立
精神保健福祉センター
青森市三内字沢部
353-92
9:00~17:30
NPO法人
青森県消費者協会
平日
青森県消費生活センター
(年末年始は休みとなっております)
消費者ホットライン
土・日・祝
10:00~16:00
(お住まいの市町村窓口に
つながります)
ー 19 ー
こころの電話
017-787-3957
017-787-3958
(電話)
017-722-3343
(電話)
0570-064-370
6 補足
【ジョブコーチ支援】
○障害者の職場適応を図るため、障害のあるご本人、家族、事業主を支援します。
○ジョブコーチが事業所へ訪問し、ご本人には職場でのコミュニケーションの図り方や
ルールの習得など、事業所には障害特性に配慮した対応方法や効果的な指導方法・職
務内容の設定などについて支援します。
【障害者就業・生活支援センター】
○就職を希望している障害のある人、あるいは在職中の障害のある人が抱える課題に
応じて、雇用や福祉の関係機関と連携して、就業支援や生活支援の担当者が就業面や
生活面の一体的な支援を行います。
就業支援の例
・就業に関する相談支援や就職に向けた準備支援
・ハローワークへの同行など就職活動の支援
・職場訪問等職場定着に向けた支援
生活支援の例
・生活習慣の形成・健康管理・金銭管理等の日常生活や、住居・年金・余暇活動
等の地域生活に関する助言
発達障害のある人の中には、周囲に理解してもらえない辛い体験や失敗体験の
繰り返しで自己効力感や自己肯定感が低下している場合があります。
そのような中で、特性に由来する苦手なところを努力させる試みは、時として
本人を苦しめることになります。
本人の得意とするところを活かし、達成感が得られる「できる体験」を積み重ね
自己効力感・自己肯定感を取り戻すことが大切となります。
発達障害のことを理解し、発達障害のある人が健康で豊かな生活を送れるよう
支援していきましょう。
ー 20 ー
4月2日は世界自閉症啓発デーです
青森県発達障害者支援センター「ステップ」
〒 030 - 0822 青森市中央3丁目20番30号
県民福祉プラザ3階
電 話 : 017 - 777 - 8201
FAX : 017 - 777 - 8202
e-mail : [email protected]
URL : http://www16.ocn.ne./~aoshien/
Fly UP