...

携帯テレビ電話を活用した牛の分娩監視システムの開発

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

携帯テレビ電話を活用した牛の分娩監視システムの開発
携帯テレビ電話を活用した牛の分娩監視システムの開発
1)
2)
3)
山科一樹・紺博昭・高橋正樹 ・吉田稔 ・成川和彦
1)
2)
3)
(富山県農業技術センター・ 富山県農林水産部農産食品課・ 富山県農林水産部耕地課・ 日本エレ
クトロニクスサービス(株))
研究の背景
近年、畜産経営の大規模化にともない、飼養管理に掛かる畜産農家の労力も過大となってきている。中で
も牛の分娩監視は、分娩時の母牛への適切な助産や出生子牛の速やかな処置のために重要である。
しかし分娩開始時刻を正確に予測するのは困難であり、畜産農家は昼夜を問わず監視する必要があり、肉
体的、精神的にも大きな負担となっている。特に近年は多頭化傾向にあり、分娩監視を不十分にし、難産等
不測の事態に対処できず、子牛や母牛を分娩事故死させるケースが多い。このため、分娩管理の省力化と
分娩事故の減少を図ることが重要な課題となっている。
目 的
このように畜産農家の負担となっている分娩監視の労力を軽減し、分娩事故の防止を図るため、
牛の分娩開始を離れた場所にいる農家に適時、正確に知らせ、また、携帯電話の動画により牛
の状態を確認できる牛の分娩監視システムを開発する。
分娩監視装置の開発
1.分娩監視システムの概要
膣に挿入
分娩時の一次破水等により
体外に排出
分娩感知センサー
温度と明るさの変化
により信号発信
リアルタイム動画で携帯電話に通知
携帯電話
分娩監視装置
2.分娩監視システム機器の特徴
分娩感知センサー
携帯電話の画像で分娩前後の状況確認
① 体内留置用にブローブに違和感の少ないシリコン性の羽を設置。
② 体内留置を確認できるコードの取り付け。
③ 温度センサーと照度センサーの併用により夜間や高温時等の牛舎内環境
の変化に対応。
分娩監視装置
① 携帯電話への動画・音声の自動送信。
② 10個のセンサーが登録可能で多頭数の監視に対応。
③ 携帯電話から制御できる照明用電源を持ち、夜間の分娩監視に対応。
3.分娩監視システムの特徴
(1) 携帯電話への通知はリアルタイム動画で行われ、畜産農家は畜舎に行かなくても分娩予 定牛の状態を把握できる。
(2) 携帯電話から分娩監視装置に電話を入れることにより分娩予定牛や牛舎内の状況が確認
できるとともに音声を聞くこともできる。
(3) 携帯電話から分娩監視装置に接続されたライトの点灯・消灯の制御ができ、夜間でも動画で
の確認が可能。
(4) 北海道で実証したところ、携帯電話への通報から分娩までの所要時間は平均1時間23 分で 装置の故障等もなかった。
(5) 北海道では、2戸の肉用牛繁殖農家と3戸の酪農家で実証を行い、有効であることが確認さ れた(表1)。
表1 北海道での実証試験結果
A牧場
(肉 用 牛 )
B牧場
C牧 場
D牧 場
(肉 用 牛 )
E牧場
平均
仕様
分娩状況
正常
正常
正常
正常
正常
正常
正常
正常
正常
正常
正常
正常
正常
正常
正常
携帯電話への通報か
装 置の 故障 ら分 娩まで の所 要時 間
なし
0時 間 44分
なし
0時 間 38分
なし
0時 間 15分
なし
1時 間 06分
なし
1時 間 30分
なし
1時 間 17分
なし
3時 間 32分
なし
1時 間 46分
なし
2時 間 47分
なし
0時 間 54分
なし
1時 間 54分
なし
0時 間 40分
なし
1時 間 17分
なし
1時 間 21分
なし
1時 間 00分
1時 間 23分
●分娩感知センサー
●送受信機
項目
電源電圧
消費電力
センサー
微弱無線機
項目
電源電圧
消費電力
微弱無線機
映像
カメラ
環境条件
寸法
筺体
重量
仕様
DC3V(ボタン電池CR2032)
送信時10mW、待受時1mW 以下
温度センサー、照度センサー内蔵※1
送信機内蔵、到達距離は見通しで10m 以内
使用周波数314.95MHz±50kHz
送信出力500μV/m 以下※2
動作温度範囲:0 ~ 40℃
相対湿度範囲:30 ~ 80%R.H.(非結露状態)
最大120×100×100 ㎜(突起部除く)
プローブ、キャップ:ポリエチレン、ハネ:シリコン
100g 以下(ボタン電池込み)
※1 夜間などの暗闇の中で、且つ周囲の温度が32℃以上の場合、ご利用になれ
ません。
※2 分娩感知センサーの送信出力は、電波法で定められている微弱な無線局で
携帯電話の1/160,000 です。
仕様
AC100V±10% 50/60Hz
テレビ電話時7W、待受時4W
受信機内蔵
単焦点レンズ一体型1/7CMOS イメージセンサ
フォーカス範囲10cm ~∞、水平画角52°
画像伝送速度 最大15 フレーム/ 秒
画像解像度
QCIF(縦176× 横144 ピクセル)
通信
動画像通信
64kbps と32kbps/3G-324M 準拠
インターフェース
PC カードスロット(内部)※3
照明ランプ制御用コンセント 防水コンセント、許容値500W(AC100V)以下
環境条件
動作温度範囲:5 ~ 35℃
相対湿度範囲:30 ~ 80%R.H.(非結露状態)
取付金具穴
1/4-20 UNC×1 穴、φ9×2 穴
寸法
250(W)×100(D)×175(H) ㎜(突起部除く)
筺体
ABS 樹脂、色:ホワイトグレー
重量
2.3kg 以下
※3 本製品は、カードタイプFOMA を内部に装着し携帯電話へ映像や音声を配
信しております。
1. 本書の著作権は日本エレクトロニクスサービス株式会社に帰属します。本書の一部あ
本製品で使用できるカードタイプFOMA、携帯電話は以下の通りです。
るいは全部を日本エレクトロニクスサービス株式会社からの事前の許諾を得ることな
●カードタイプFOMA
く転載することを固くお断りします。
NTT DoCoMo テレビ電話対応PC カード一体型FOMA
2. 本書の内容について、将来予告なしに変更する場合があります。
●携帯電話(3G-324M 対応機種)
3. 本書の内容については、万全を期して作成いたしましたが、万一誤り、記載もれなど
NTT DoCoMo テレビ電話対応FOMA
お気づきの点がありましたら、ご連絡ください。
FOMA は株式会社NTT ドコモの登録商標です。
4. 本製品の使用を理由とする損害、逸失利益等の請求につきましては、上記にかかわらず、
AirView は株式会社ナナオの登録商標です。
いかなる責任も負いかねますので、あらかじめご了承ください。
その他各会社名、各製品名は、各社の商標または登録商標です。
特許申請状況
特許公開2005-318988、特許出願2006-007567
製 造
日本エレクトロニクスサービス株式会社(富山市)
販 売
株式会社ロールクリエート(北海道芽室町)
Fly UP