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「消費者トラブルメール箱」 1年間のまとめ

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「消費者トラブルメール箱」 1年間のまとめ
平成 21 年 6 月 25 日
独立行政法人国民生活センター
報道発表資料
「消費者トラブルメール箱」 1年間のまとめ
2008 年度に調査した事案を中心に
国民生活センターでは、消費者被害の実態をリアルタイムで把握し、消費者被害の防止に役立てる
ため、2002 年 4 月にインターネットを利用した情報収集システム(「消費者トラブルメール箱」)
を開設した。受信件数は年々増加し、2007 年度、2008 年度は 1 万件を超え、商品・サービス別では、
「運輸・通信サービス」に関する情報が依然として多い。また、2008 年度は、よくある質問等への
回答を掲載する「FAQコーナー」を新たに設置したことで受信件数に変化が見られた。2008 年 4
月以降に寄せられた情報の受信件数等の概況と、追跡調査を実施した主な事案等についてまとめた。
1.受信件数等の概況
(1)受信件数の推移
表1 受信件数の推移
件数
対前年度比
2006年度
2007年度
2008年度
8,082
10,467
11,710
122%
130%
112%
※2005年度の受信件数6,649件
インターネットを利用したシステムであることからか、有料サイト等による「架空・不当請求」
に関する情報が依然として多い。2008 年度の受信件数は 11,710 件で、前年度より 12%上回った。
図 1 20 08 年 度 の ト ラ ブ ル メ ー ル 箱 月 別 受 信 件 数
件数
1200
1000
923
1050
1120
1138
1123
1000 988
981 966
906
954
800
561
600
400
200
3月
2月
1月
12
月
11
月
10
月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
0
2008 年度の月別受信件数については毎月 1,000 件前後で推移しているが、3 月の受信件数は前
月を大きく下回った。トラブルメール箱のトップページへのアクセス数は 2 月 27 日にFAQコー
ナーを設置した以降も減少しておらず、それによる情報提供が影響を与えたものとみられる。
1
(2)商品・サービス別受信件数
表2 商品・サービス別受信件数
2006年度
件数
2007年度
割合%
件数
2008年度
割合%
件数
割合%
3,917
48.5
4,127
39.4
4,443
37.9
1,028
12.7
1,471
14.1
1,647
14.1
490
6.1
547
5.2
616
5.3
309
3.8
573
5.5
583
5.0
177
2.2
385
3.7
548
4.7
286
3.5
438
4.2
541
4.6
372
4.6
503
4.8
486
4.2
246
3.0
333
3.2
438
3.7
156
1.9
263
2.5
337
2.9
191
2.4
320
3.1
336
2.9
175
2.2
233
2.2
277
2.4
122
1.5
244
2.3
274
2.3
115
1.4
225
2.1
271
2.3
91
1.1
214
2.0
222
1.9
104
1.3
161
1.5
170
1.5
72
0.9
90
0.9
107
0.9
47
0.6
74
0.7
84
0.7
42
0.5
62
0.6
80
0.7
29
0.4
64
0.6
73
0.6
19
0.2
21
0.2
49
0.4
44
0.4
38
0.5
49
0.5
13
0.2
13
0.1
33
0.3
24
0.2
6
0.1
18
0.2
29
0.4
36
0.3
14
0.1
13
0.1
8
0.1
3
0.0
100
8,082
100
10,467
100
11,710
※2008 年度の商品・サービス分類上位の主な商品サービス
「運輸・通信サービス」:有料サイト、移動電話サービス、出会い系サイト、オンラインゲーム等
「教養娯楽品」:パソコン、携帯電話機、コンピュータソフト等
「商品一般」:商品・サービスを特定できないトラブルの情報、架空請求等
「教養・娯楽サービス」:教養・娯楽サービスその他(競馬情報、パチンコ攻略法等)、外国語・会話教室等
運輸・通信サービス
教養娯楽品
商品一般
教養・娯楽サービス
食料品
住居品
金融・保険サービス
土地・建物・設備
他の役務
車両・乗り物
保健衛生品
被服品
レンタル・リース・貸借
保健・福祉サービス
内職・副業・相場
他の相談
工事・建築・加工
光熱水品
修理・補修
クリーニング
教育サービス
管理・保管
他の行政サービス
役務一般
他の商品
計
商品・サービス別受信件数では、2008 年度も「運輸・通信サービス」に関連する情報が最も多く
寄せられている。次いで、パソコンや携帯電話機等「教養娯楽品」に関する情報が多かった。
(3)内容別受信件数(マルチカウント)
表3 内容別受信件数
2006年度
件数
2007年度
割合%
件数
割合%
2008年度
件数
割合%
契約・解約
2,976
36.8
4,967
47.5
5,150
44.0
品質・機能
3,109
38.5
3,302
31.5
3,682
31.4
販売方法
2,017
25.0
1,903
18.2
3,121
26.7
接客対応
1,765
21.8
1,884
18.0
2,994
25.6
価格・料金
488
6.0
791
7.6
1,326
11.3
表示・広告
371
4.6
585
5.6
852
7.3
安全・衛生
273
3.4
572
5.5
637
5.4
その他
228
2.8
202
1.9
263
2.2
法規・基準
96
1.2
147
1.4
150
1.3
包装・容器
5
0.1
14
0.1
19
0.2
買物相談
9
0.1
19
0.2
15
0.1
計量・量目
2
0.0
14
0.1
12
0.1
施設・設備
0
0.0
15
0.1
6
0.1
生活知識
5
0.1
1
0.0
3
0.0
※内容別分類は複数回答(マルチカウント)項目。割合は年度別総件数を100とした値。
内容別受信件数についても、2008 年度は「契約・解約」「品質・機能」に関する情報が上位を
占める。「販売方法」「接客対応」の件数が大きく伸びたほか、価格や表示、広告に関する情報
提供の件数も増えた。また、契約の自動更新に関する情報提供が目立っている。
2
(4)送信者の属性
表4 送信者の属性
2006年度
件数
性 男性
別 女性
計
年 20歳未満
代 20歳代
別 30歳代
40歳代
50歳代
60歳代
70歳以上
計
職 給与生活者
業 自営・自由業
別 無職
家事従事者
学生・生徒
計
5,875
2,207
8,082
269
2,132
3,155
1,791
580
115
40
8,082
4,978
1,242
597
549
716
8,082
2007年度
割合%
件数
72.7
27.3
100
3.3
26.4
39.0
22.2
7.2
1.4
0.5
100
61.6
15.4
7.4
6.8
8.9
100
6,821
3,646
10,467
209
2,004
4,097
2,936
924
233
64
10,467
6,741
1,496
840
801
589
10,467
割合%
65.2
34.8
100
2.0
19.1
39.1
28.1
8.8
2.2
0.6
100
64.4
14.3
8.0
7.7
5.6
100
2008年度
件数
7,769
3,941
11,710
176
1,992
4,491
3,414
1,231
351
55
11,710
7,553
1,801
924
906
526
11,710
割合%
66.3
33.7
100
1.5
17.0
38.4
29.2
10.5
3.0
0.5
100
64.5
15.4
7.9
7.7
4.5
100
送信者の属性は、性別では 2008 年度も男性、女性とも件数が増加し、男性の割合が 6 割以上を
占めている。また、年代別では 30~40 歳代で 7 割近くを占めている。20 歳代以下が減少した一方、
主に 30 歳代~50 歳代が増加した。また、60 歳代以上の割合も徐々に増加しており、送信者の年
代は広がりを見せている。職業別に見ると、2008 年度も「給与生活者」が 6 割以上を占めた。
2.追跡調査を実施した主な事案
トラブルメール箱に寄せられた情報のうち、全国の消費生活センターに寄せられる相談にも散見さ
れる事例、新手のもの、緊急性を有するものや、重篤な事故などについて、当センターでは追跡調査
を実施しており、以下に特徴的な追跡事案を紹介する。
(1)通信サービス関連
SNS で知り合った人に誘われて登録したサイトから突然料金を請求された<2008 年 5 月~受信>
○寄せられた情報:
「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で知り合った人から誘導され、出会い系の
サイトに登録した。無料だと聞いていたが、後日、サイト使用料が必要だと分かったので退会
を試みたが、退会できない。管理人宛に退会の旨メールを送っても無視され、料金支払いの督
促メールが来る」という情報が複数寄せられた。
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
同種の事例は複数寄せられており、出会い系のサイトも複数見られた。出会い系サイトへ誘
導する人物は、SNS の仕組みが比較的匿名性が低いことを利用し、自らを信頼できる人物と思
わせて出会い系サイトへ誘導を行っている。そこで、当センターから SNS 事業者に、ユーザー
管理について問合わせたところ、「規約で禁止している行為(商品の売買、出会い系サイトへ
の誘導、マルチ取引への勧誘)やその他の利用規約に違反していないかを、24 時間 365 日態勢
で監視している。利用規約に反する書き込みを発見した場合は即座に削除するほか、悪質なユ
ーザーは強制退会の処分を実施している。出会い系サイト業者に対しては、社内でも重点的に
対応しており、出会い系サイト業者と思われる登録者の強制退会は多い」との説明があった。
3
当センターに同種のトラブルが複数件寄せられていることから、「ID を複数持ち、処分され
ても ID を次々と乗り換え、違反行為を繰り返している業者もいるのではないか」と指摘したと
ころ、「2008 年 4 月 6 日から複数登録・再登録を防ぐため、登録時に携帯電話のメールアドレ
スの入力を必須にした。その結果、違反行為や被害にあったという申し出件数が激減した」と
のことだった。それ以来、当センターへの情報提供数も減少している。
(2)ネットショッピング関連
① ネットショッピングモールでプラモデルを購入し代金を支払ったが商品が届かない
<2008 年 4 月受信>
○寄せられた情報:
「ショッピングモールの運営会社に、銀行振り込みによる前払いでプラモデルを注文したとこ
ろ、発送予定を過ぎても商品が届かないので販売会社に電話をしたが通じない。ショッピング
モールの運営会社も販売会社と連絡がとれない状態だという。今後、商品が届かないなら、返
金してほしい」との情報が複数寄せられた。
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
ネットショッピングモール(以下「モール」)で商品を購入し、代金を支払ったのに商品が
届かず、連絡もとれないという情報だったことから、当センターからモール運営会社に状況の
聴き取りを行った。モール運営会社は、「出店に際して販売会社から一定の費用を徴収してい
るが、消費者と直接契約関係がない。販売会社の経営状況を把握し、ネット上で消費者に案内
している」等の説明があった。当センターはモール運営会社に対し、大手モールであるからこ
そ信頼して購入するという消費者行動を考慮した上で善処するよう求めた。
当初はモール運営会社から「補償を行うことは難しい」「商品が届かない場合の補償サービ
スはあるが、これまで適用となった事例がない。今回も適用できるか分からない」という回答
であったが、交渉を続けたところ、モール運営会社より当該販売会社について同じ苦情が寄せ
られた場合には全額補償されることになった。
*参考:観劇チケットをインターネットオークションで落札したが、出品者から送付された
チケットが偽造チケットであったため、オークション運営会社の補償規定に基づき補償を申
請したが、補償対象外とされたトラブル(2007 年 10 月 5 日:公表)
② ネット通販で注文し、メール便で送られた商品が届かない<2008 年 7 月受信>
○寄せられた情報:
「ネット通販で商品を購入した。商品は通販業者の判断によりメール便で配送されるとのこと
だったが、一向に商品が届かない。通販業者に連絡し調査の依頼をしたが回答がない。この場
合、商品の補償はどうなるのか」との情報が複数寄せられた。
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
本件では通販業者の判断により商品をメール便で送っていることから、当センターからメー
ル便を取り扱っている主な宅配業者に確認をしたところ、
・ メール便は宅配便と異なり、証印(サイン)が必要ないため、宅配先のポスト投函をもって
配達完了となる。
4
・ 送料は宅配便と比べかなり安価であるが、紛失時の補償は送料のみとなっているため、荷物
の中身は、“補償がなくてもよいもの、付加価値がないもの”等を対象としている。
・ 差出人には中身の補償がないことを理解した上で利用するよう案内している。
とのことだった。通販業者に宅配業者の意向を伝えたところ、「万が一、メール便で送った商
品が紛失してしまった場合は、当社の責任で返金もしくは再配送をする」とのことだったが、
メール便による商品発送はポスト投函であることから宅配便と比べ紛失のリスクが高いもの
と思われる。さらに「納品書等が同封されているので紛失時に個人情報が心配」等という情報
提供も寄せられていることから、当センターから当該通販業者に、「メール便の特徴(リスク
等)をホームページ等に掲載した上で、消費者が発送方法を自由に選択できるようにしてほし
い」と求めたところ、通販業者より、「紛失時の対応を迅速に進めるとともに、消費者が追加
手数料を支払うことで宅配便を選択できる旨をホームページに記載する」との回答があった。
しかし、メール便のリスクに関する情報の掲載はされなかったので、当センターでは同様の
トラブルに関する情報について注視を続けている。
③ ネットで販売されているショーのチケット購入後に出演者が変更された<2008 年 8 月受信>
○寄せられた情報:
「アイススケートショー公式ホームページで有名選手が出演するという記載を見て、インター
ネット販売でチケットを購入した。開演時間の確認のため、購入した日の夜に同ホームページ
を見ると、有名選手の名前や写真が全て消えていた。出演しなくなったことに対するコメント
も何もない。この様な表示は虚偽広告とみなされないのか」との情報が複数寄せられた。
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
当センターより企画会社に聴き取ったところ、「有名選手の出演を表示したのはチケットを
販売するためではなく、出演交渉中であったのに担当者が最終決定したと勘違いしたためであ
る。当日はショーの会場に謝罪文を掲示し、開催前日までに申し出た人に対してチケットの払
い戻しを行う」とのことだった。
しかし、本件情報提供者のように、出演に関する記載を見て購入した消費者もいることから、
当センターから、企画会社に対し出演しないことを理由として解約を申し出る人に対しては払
い戻しを行うことをホームページ上に明記するよう要望したところ、後日、「本ホームページ
に掲出された、間違った出演情報をご覧になりご購入されたチケットの取り扱いにつきまして
も、上記電話番号にてご案内させていただきます」との一文が追加された。
(3)自動更新契約に関するトラブル
① オプション会員に無断で登録され会費を請求された<2009 年 1 月受信>
○寄せられた情報:
「送料無料で本をネットショッピングモール(以下「モール」)から買ったところ、後日、知
らぬ間にオプション会員に登録されたようで、本代以上の金額が口座から引き落とされていた。
モールの運営業者に聞くと『本を購入する際にオプション会員として登録している』と説明さ
れたが、登録した覚えはない」という情報が複数寄せられた。
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
当センターより、モールの運営業者に説明を求めたところ、「クレジットカード決済の利用
5
者は登録が簡単であるので誤って登録してしまう人もいるかもしれない。これらのトラブルを
防止するために、字を少し大きくしたうえ、色も変えて、注意書きを出来る限りわかりやすく
した。また万が一、誤って登録してしまった旨を申し出てもらえば返金する」とのことだった。
当方より、引き続き同種の相談が寄せられる場合は改めて表示の改善等を申し入れることを
伝えた。
②メディア再生ソフトのサイトの音楽配信サービス無料体験について内容・期間が不明確
<2008 年 11 月受信>
○寄せられた情報:
「パソコン向けメディア再生ソフトの音楽サービス、が数日間無料をうたっていながらも、ク
レジットカード情報を入力する必要があり、数日間を過ぎると自動的に有料の契約になってし
まう。解約はネット上では出来ないし、カスタマーセンターに電話してもなかなか繋がらない。
問題ではないか」という情報が複数寄せられた。
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
当センターから当該事業者に「電話が繋がらなくて、無料キャンペーン期間が過ぎてからの
解約になった」「カスタマーサービスセンターの返信メールが遅い」という苦情が寄せられて
いることについて問合せたところ、電話は週明け、受付開始 1 時間程度は電話が集中して繋が
りにくいことがあるが、何時間も繋がらないという状況ではないとのことだった。また、消費
者から解約したいと送られてくるメールに対しては2~3営業日中に返信しており、解約につ
いては申し出のあった日で処理しているとのことだった。
さらに、音楽配信サービスの無料体験に関する表示を確認すると、有料ソフトウェアと、有
料インターネット音楽配信サービスのボタンが別々になっているものの、いずれをクリックし
ても有料ソフトウェアと、有料インターネット音楽配信サービスの両方を契約する内容になっ
ており、契約内容の誤解を招きやすいと思われたほか、有料インターネット音楽配信サービス
ついては「価格○円/月⇒0円」と月単位の料金表示であることから数日間の無料体験と認識
されにくいとも思われた。表示の改善を求めたところ、後日無料体験の期間についての表示が
改められた。
③ 通信販売サイトに「無料体験」登録したら、勝手に正式会員にされ年会費が引き落とされた
<2008 年 9 月受信>
○寄せられた情報:
「通信販売サイトの『1 ヶ月間無料体験キャンペーン』に登録した。体験期間完了後は自動的
に退会になると考えていたが、勝手に有料会員に登録され、クレジットカードで年会費が引き
落とされた。契約する意思はないので会費を返金してほしい」
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
当センターから通信販売サイトに問い合わせ、確認したところ、HP や申込時にメールで「申
し出がない場合は自動的に年間会員になる旨」を知らせており、無料体験期間終了日も会員専
用のページで確認できること、また、同ページにおいて「自動更新 OFF」を事前に設定できる
ことが分かった。
6
事業者からは、無料体験終了後、会員特典サービスを一度も利用していなければ年会費の返
金に応じる、利用してしまっている場合でも個別に対応するとの回答があった。
(4)製品の品質・販売方法
①電器店のチラシに載っている“数量限定なし”の商品が最初から無い<2008 年 12 月受信>
○寄せられた情報:
「電器店の広告に、ストーブが特価で『数量限定なし、お一人様1台まで』と書いてあったの
を見て、店で購入を申し出たが『それは去年の型でここでは販売していない』と言われ、別の
高い機種を勧められた。『行政の窓口におとり広告をしていると話す』と言うと、支店を探し
てやっと1台見つけてきた。こういう販売方法は許されないと思う」
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
当センターより当該電器店に問合せたところ、「直接対応した販売員が、店頭在庫もなく、
他店からの取り寄せもできないと説明したが、実際は他店からの取り寄せは可能な商品だった。
他店舗にも商品がない場合、当該商品と同等商品か、あるいは性能が高く高額な商品であって
もチラシ掲載商品と同金額で販売している。とは言え、本来このようなことは発生してはなら
ないとは思う。取り寄せる方法があることを案内すべきだった。販売員の説明が適切でなかっ
た」との回答があった。
当センターより、「購入者にとって“数量限定なし”という表現は一般的にチラシ掲載期間
中に店舗にて入手可能と受けとれる。ストーブや冷蔵庫などが故障しチラシを参考に来店すれ
ば、店頭に商品がなかった場合に、あきらめて高額な商品を購入する消費者も多くいると思わ
れる」と指摘すると、後日、電器店の本社から、「偶発的に商品を販売店に手配できなかった
という点を反省点としているが、店頭に商品がなかった場合、チラシでは取り寄せ可能である
ことは明記しており、おとり広告とは認識していない」「全店内における在庫は十分だった。
販売員が検索をすることによって全店内の在庫を確認できるシステムになっているにもかか
わらず、自店に在庫がある他商品を勧めてしまったのは事実であり今後の教育を徹底してい
く」との回答があった。
②返品・交換を受け付けてもらえなかった組立て家具<2009 年 3 月受信>
○寄せられた情報:
「組立て家具の組立て中に、ジョイント用の穴が小さかったためか、押し込んだところ 4 箇所
すべての穴で亀裂が生じた。組立て説明書には、日本語の表記が一切なく絵のみだった。販売
店に『組立て中の破損については一切保証しない』と言われたが、組立て時の注意事項の記載
も説明も無かった。返品・交換に応じてもらえないのは納得いかない」
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
当センターから販売店に同種の苦情がないか確認したところ、「この商品はクレームも少な
く品質上問題があるとは考えていない。また、世界各国で販売している物であり、組立て説明
書は絵のみの表示となっている。ただし、問い合わせがあれば説明しているほか、組立て中の
破損も個別に対応している」とのことだった。
当センターからは、販売している組立家具については個別の詳しい日本語の注意事項や説明
7
書などを同梱できないのか申し入れたところ、「求められればレジやサービスカウンターで組
み立て方の詳しい説明書を渡すほか、店内での紙による掲示にも努めている。同社では世界中
の同社の商品について組立て説明書は絵のみで表示するという基準を設けているため、すぐに
何らかの対応を取ることは難しいが、組立て方法がわかりにくい部分については、実物で組立
て方法を展示することなどを検討する」との回答があった。
(5)旅行業関連
出発直前になって追加請求された燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)<2008 年 4 月受信>
○寄せられた情報:
「旅行会社で航空券をインターネット予約し、航空利用料などの諸経費を含めた料金を支払っ
た。ところが、出発日直前になって『航空燃油価格の高騰に伴う燃油サーチャージの価格変更
があったので、追加請求を行う』とのメールが届いた。過去にも、同じように出発日直前にな
って追加請求があった。最近、燃油サーチャージ額が高額になってきているので、直前に言わ
れても支払いが難しい。もっと早く追加請求の案内がほしい」との情報が複数寄せられた。
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
当センターより当該旅行会社に問合せたところ、「サーチャージ額は、国交省で承認され
た後、航空会社から各旅行会社に知らされる。旅行会社は出発日が近い申込者から順に追加
請求の連絡を行うことになる。その結果、出発日直前にしか燃油サーチャージ額を伝えられ
ないことがある」とのことだったが、「7 月に燃油サーチャージの増額が決定しているので、
燃油サーチャージ込みの価格を表示すると共に、燃油サーチャージを追加請求する場合は、
速やかに連絡を入れるよう努める」と回答があった。
また、この問題は全ての旅行会社に共通する問題であることから、当センターから燃油サ
ーチャージの認可を行う国土交通省に、「燃油サーチャージに関する苦情が複数届いている
こと」「日本ではパック旅行の利用者が多く、旅行会社を通して航空券を購入することが多
い。その影響か、“旅行総額を知りたいのに、総額が分かりにくい”、“旅行会社から出発
直前になって追加請求されて困る”、などの声が多いこと」を伝えた。
その後、国土交通省から、海外旅行のパンフレットや広告に、航空会社が請求する燃油サ
ーチャージを含めた総額表示にするよう、旅行会社に通達が出された(2008 年 6 月)。
※燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃):航空燃油の価格高騰を受け、2005 年から導入された。燃油
価格が一定の水準に戻るまでという条件の下、各々の航空会社が国土交通省航空局に申請し許可されて
いるものである。航空会社や路線によって燃油サーチャージ額が異なり、3 ヶ月毎の改定で随時変更さ
れている。
(6)危害・安全性関連
① カラーコンタクトレンズの間違った使い方を紹介する女性向け雑誌<2008 年 6 月受信>
○寄せられた情報:
「女性向け雑誌で、カラーコンタクトレンズを裏返して使うなど、間違った使用方法を紹介し
ており問題である」
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
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当センターで当該雑誌および類似の雑誌を調査したところ、本件情報と同内容の記事が掲載
されていることが確認できた。そこで眼科の関係団体に情報提供を行った。
なお、カラーコンタクトレンズに関しては、過去にも当センターより注意喚起を行っている。
*参考:おしゃれ用カラーコンタクトレンズの安全性-視力補正を目的としないものを対象
に-(2006 年 2 月 3 日:公表)
また、厚生労働省からもコンタクトレンズ販売店に対して通知が出されている。
*参考:コンタクトレンズの使用に関する情報提供の徹底に係る通知の発出について
(2006 年 2 月 27 日:公表)
② ステロイドが含まれていないとうたった化粧品クリームの販売<2008 年 6 月受信>
○寄せられた情報:
「㈱ラバンナ(輸入元)の化粧品クリーム(NOATO クリーム)を生後 6 ヶ月の娘に使用したら、
かなりガサガサだった体が半日でツルツルになった。ステロイドより効くが何か有害な成分は
入っていないだろうか」
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
当センターで調査をしたところ、ラバンナの HP には“ステロイドが含まれていない”等の
うたい文句が確認された。また、同時期に寄せられた同社の同製品に関する複数の情報は、ス
テロイドホルモンに関する不安や使用後の状態を疑問視する内容であった。
当センターで同製品についてステロイドホルモンが含有していないかテストを実施したと
ころ、ステロイドホルモンの含有が確認された。薬事法違反に該当する可能性があるため、消
費者への注意喚起とともに行政へも早急な対応を要望した。
その結果、東京都が同社に対して製造販売中止と回収を指示し、同社では返品・返金対応す
ることとなった。
*注意!!-薬事法違反となるステロイド含有の化粧品クリーム-(2008 年 7 月 16 日:公表)
③ 全自動洗濯機で再び指切断事故発生<2008 年 8 月受信>
○寄せられた情報:
「10 年ぐらい前に購入した全自動洗濯機。脱水が終わらないうちにふたを開けて洗濯物を出
そうとしたため、洗濯ネットが手指にからまってしまい、右手薬指の第一関節を切断した」
◇国民生活センターの処理:
同種事故に関しては、当センターでは 2006 年 10 月に注意喚起情報を公表しているが、その
後も引き続き同種事故が起きているため、情報提供者からの事情を聴取し、情報を更新した。
*参考:洗濯機の脱水槽への巻き込まれに注意!-右手薬指切断の事故も-(2006 年 10 月 12
日:公表、2008 年 9 月 12 日:更新)
④ 回収漏れの衣類乾燥機による火災<2008 年 8 月受信>
○寄せられた情報:
「賃貸マンションに備え付けの米国メーカーの輸入ガス乾燥機を使用していて、今年 4 月に火
災が起き、ランドリー室が全焼し他の部屋にも被害が及んだ。輸入会社は 4 年前にリコールを
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出していたというが、自分のところには何の連絡もなかった。出火については消防署の調査等
で、乾燥機によるものであるということは明らかである」
◇国民生活センターの処理及び事業者等の対応:
当センターで調査したところ、当該製品については、2004 年 10 月に東京消防庁から経済産
業省に情報提供され、経済産業省と財団法人日本ガス機器検査協会が連携して原因究明や対応
策の検討に取り組み、2006 年 2 月から恒久的な安全対策が決まり、すでに改修が進められて
いた製品であった。
当センターより当該事業者に対し、何のためにリコールを行うのか、なぜリコールの必要が
あるのかをよく理解し、速やかに根気強く回収率 100%を目標に行ってほしい旨を要望した。
さらに、本ケースのようにエンドユーザーまで情報が十分に伝わっていないことも考えられ
ることから、更なる事故を防止するため消費者へ注意喚起を行った。
*米国製ガス衣類乾燥機により火災 -リコール対象品の改修漏れによる事故-(2008 年 10
月 9 日:公表)
⑤ ハロゲンヒーターの事故<2008 年 11 月他受信>
○寄せられた情報:
「ハロゲンヒーターが、電源スイッチを切っても発熱し続ける不具合があった。リコール対象
品ではなかったが不具合の内容が同じであり、使用をやめた」「4~5 年前に購入したハロゲ
ンヒーターがヒーター部より発火した。事業者に問合せたところ、リコール対象外であり廃棄
するようにといわれた」「ハロゲンヒーターを使用直後、内部のガラス状の部品が破裂し畳や
じゅうたんに飛散し焼きこげを作った(回収対象品)」など複数の情報が寄せられた。
◇国民生活センターの処理:
冬になると電気暖房機器による事故などの相談が寄せられるが、ここ数年は特にハロゲンヒ
ーターによるものが目立っている。
また、複数の事業者が発煙・発火のおそれなどによる自主回収を行っており、電気暖房機器
の中では社告の件数の多さが抜きん出ている。
しかしながら、回収の事実が消費者に周知されていなかったり、事業者が倒産していたりで、
回収が進んでいないケースもみられる。そのため、ハロゲンヒーターの事故を防止するため、
相談事例をまとめるなどして情報提供した。
*製品の不具合が目立つハロゲンヒーター(2008 年 11 月 19 日:公表)
なお、(独)製品評価技術基盤機構でも下記を公表し、注意喚起を行っている。
*参考:冬場の製品による事故防止について(注意喚起)(2008 年 12 月 18 日:公表)
*参考:ハロゲンヒーター(電気ストーブ)による事故防止について(注意喚起)(2009 年 2
月 13 日:公表)
3.FAQの設置
トラブルメール箱に寄せられる件数が年々増加し、また、トラブルの対応方法について問合せる内
容のものが多いことから、2009 年 2 月 27 日にFAQコーナーを設置した。
FAQの内容は全 50 件で、4 項目に分かれており、「相談や問い合わせ先」「情報提供や通報先」
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「商品の回収情報や行政処分情報先一覧」では他機関の紹介を行っているほか、「情報提供された代
表的な事例のQ&A」では、下記 28 件の事例を紹介している。
・見積り金額と当日請求された引越し料金が大きく違った。
・知らないうちにウィルス対策ソフトの期限が自動更新され、カード決済された。
・不用品を回収するという巡回業者にビデオデッキのリサイクル料金を徴収された。
・宅配便を装った新聞勧誘をうけた。
・原野商法で買わされた土地を測量すれば売れると言われた。
・クリーニングに出したらシミが付いて返ってきた。
・高額なリフォーム代の請求があり、敷金が返ってこない。
・ネットオークションをはじめる前に何を注意したらいいか?
・オンラインゲームの中で知り合った人にアイテムを売ったが代金が支払われない。
・以前から利用していたオンラインゲームが、突然、利用停止処分にされた。
・SNSサイト内で知り合った人から紹介され、連鎖販売業者の会員になったが、その後すぐに
紹介者に連絡がとれなくなってしまった。
・格安航空券のインターネット申し込みで代金を支払ったのにチケットが渡されなかった。
・商品がいつまでたっても届かないので、業者に確認したらメール便で送ったと言われた。
・在宅で仕事ができると言われ資格取得教材を契約したが、話が違うので解約したい。
・突然、職場に電話があり、過去に受けていた通信講座を完了するために高額な手数料が必要だ
と言われた。
・結婚相談所に入会したものの、思うようなサービスが得られない。
・利用した覚えのないネットオークションサイトから出品手数料を請求された。
・貴金属卸業者をかたる、車に乗った男から時計や指輪を買った。
・成人したばかりの若者に高額な手術費用を負担させる美容外科。
・水まわりの修繕工事を依頼したら、思いがけず高額な料金だった!
・突然、携帯電話に身に覚えのないサイトから料金請求メールがきた!どうしたらいいか?
・地上デジタル放送になったらテレビが見られなくなると言われ、ケーブルテレビを契約させられた。
・ネットサーフィン中にアダルトサイトの年齢認証ボタンを押したら、いきなり登録完了になった!
・ネットショッピングは初めてで不安だ。どんなことに注意すればよいか?
・代金を支払ったのに商品が届かない。どうしたらいいか?
・強引でしつこいマンションの勧誘電話を受けた。
・長時間勧誘により投資用分譲マンションを契約してしまった。
・エステティックサービス契約後エステサロンが倒産した。
以上のFAQは、トラブルメール箱の書き込み画面の前に閲覧できるようになっている。
4.まとめ
インターネットを利用したシステムであることからか、消費者トラブルメール箱にも、消費生活セ
ンターへの相談と同様に、有料サイト等による「架空・不当請求」に関する情報が依然として多い。
そのほかには不動産や新聞の強引な勧誘、また、情報商材(例えば「初心者でも月収 70 万!」と
稼ぎ方などを紹介するテキストや CD 等)の解約のほか、自動更新に関するものが目についた。なか
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でも自動更新については、ウィルスソフトや雑誌、保険、衛星放送、ネットレンタルやソフトウェア
の自動更新のほか、会員サービスの無料お試しキャンペーンなどで「無料お試し」を強調し、約款な
どに小さな文字で自動更新を表示することにより、自動更新契約が成立したとするものが目立ってい
る。
さらにその自動更新について明示されていないケースや、消費者自身が予め自動更新にするかどう
かを選択できないようになっているものが目立つ。そのため、消費者は契約をした自覚がないのに、
料金を引き落とされた後に気がつくケースが多い。
また、2008 年前半にはポータルサイトの ID が事業者により勝手に削除されたという情報が多数寄
せられた。これは第三者によって ID とパスワードが盗難・乱用されたため、ID の所有者に何の説明
もなく ID が削除されたことが原因と考えられる。2008 年 12 月から年明けにかけては、サーバのセ
キュリティメンテナンスのために 1 万円が告知なく引き落とされたケースについても多数情報が寄
せられた。
危害が発生した情報については、国民生活センターが追跡調査を行い、マスコミを通じて注意情報
を公表することにもつながったものもあった。
消費生活相談窓口と異なり、インターネットをツールとした消費者トラブルメール箱は、時間の制
限なく情報を受付けていることから、日中、相談窓口に電話をかけることが難しい、「男性」の「給
与生活者」からの割合が高いのも、消費者トラブルメール箱の特徴である。
これからも、消費者トラブルメール箱に寄せられる情報から消費者トラブルの実態をリアルタイム
で把握し、消費者被害の防止に役立てていきたい。
<title>「消費者トラブルメール箱」1年間のまとめ - 2008 年度に調査した事案を中心に - </title>
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