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基本診療料(特定入院料と他科受診) - e-らぽ~る

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基本診療料(特定入院料と他科受診) - e-らぽ~る
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精神科医療関連制度基礎テキスト
第3章
「基本診療料(特定入院料と他科受診)」
Ⅰ.特定入院料
1.特定入院料とは
基本診療料
特掲診療料
特定入院料
入院基本料
入院基本料等加算
の一部
+
特掲診療料の一部又は殆どが包括
(精神科専門療法、手術、麻酔、放射線治療)
+
入院基本料等加算
の一部
(精神科措置入院診療加算、
地域加算、応急入院施設
管理加算等)
特定入院料は原則として入院基本料及び入院基本料等加算と特掲診療料を包括した入
院料で、22 種類に区分されています。しかし、入院基本料等加算の一部(精神科措置入院
診療加算、地域加算等)や、特掲診療料(精神科専門療法等)を別に算定できる特定入院
料もあります。平成 26 年度改定では、地域包括ケア病棟入院料が新設され、亜急性期入
院医療管理料は平成 26 年 9 月末で廃止されました。
(1)
救命救急入院料
(12)
回復期リハビリテ―ション病棟入院料
(2)
特定集中治療室管理料
(13)
地域包括ケア病棟入院料
(3)
ハイケアユニット入院医療管理料
(14)
特殊疾患病棟入院料
(4)
脳卒中ケアユニット入院医療管理料
(15)
緩和ケア病棟入院料
(5)
小児特定集中治療室管理料
(16)
精神科救急入院料(1)(2)
(6)
新生児特定集中治療室管理料
(17)
精神科急性期治療病棟入院料(1)(2)
(7)
総合周産期特定集中治療室管理料
(18)
精神科救急・合併症入院料
(8)
新生児治療回復室入院医療管理料
(19)
児童・思春期精神科入院医療管理料
(9)
一類感染症患者入院医療管理料
(20)
精神療養病棟入院料
(10)
特殊疾患入院医療管理料
(21)
認知症治療病棟入院料(1)(2)
(11) 小児入院医療管理料
(22)
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特定一般病棟入院料
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2.精神科関連の特定入院料
入院基本料等加算
特掲診療料
酔
病理診断
麻
置
術
放射線治療
処
手
射
精神科専門療法
薬
リハビリテーション
投
査
注
検
画像診断
在宅医療
医学管理等
褥瘡ハイリスク患者ケア加算
精神科応急入院施設管理加算
医療安全対策加算
感染防止対策加算
データ提出加算
患者サポート体制充実加算
地域連携認知症集中治療加算
精神科救急搬送患者地域連携受入加算
島 加 算
救急搬送患者地域連携受入加算
域 加 算
精神科救急搬送患者地域連携紹介加算
離
精神科措置入院加算
地
医師事務作業補助体制加算
臨床研修病院入院診療加算
摂食障害入院医療管理加算
強度行動障害入院医療管理加算
精神科身体合併症管理加算
重度アルコール依存症入院医療管理加算
精神科地域移行実施加算
妊産婦緊急搬送入院加算
入院基本料
非定型抗精神病薬加算
児童・思春期精神科
入院医療管理料
精神科救急入院料
精神科救急・
合併症入院料
精神科急性期
治療病棟入院料
1
2
2
※
2
※
精神療養病棟
入院料
*
1
※
2
※
2
※
認知症治療病棟
入院料
※1 認知症患者リハビリテ-ション料、リハビリテ‐ション総合計画評価料算定可
項目全部が別算定可能
項目全部が包括 ※2 除外薬剤、注射薬の費用算定可 *人工腎臓(60日以内)算定可
精神科関連の特定入院料には、児童・思春期精神科入院医療管理料(平成 24 年度改定
で新設)、精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料(平成 20 年度改定時に新設)、
精神科急性期治療病棟入院料(1)(2)、精神療養病棟入院料、認知症治療病棟入院料(1)(2)
があります。入院基本料と入院基本料の加算と特掲診療料は、ほとんど包括されています
が病棟の目的により出来高で算定できる項目があります。上記の図では、精神科関連の特
定入院料が別に算定が出来る項目を青の部分で示しています。
1)精神科における急性期の機能を担う病棟
該当する特定入院料は、精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料、精神科急性期
治療病棟入院料(1)(2)です。出来高算定できる項目は、院内標準診療計画加算、非定
型抗精神病薬加算等と入院基本料等加算である臨床研修病院入院診療加算、地域加算、離
島加算、医療安全対策加算、精神科措置入院診療加算、精神科応急入院施設管理加算等で
あり、特掲診療料では精神科専門療法の他、身体合併症のある患者が入院する可能性が高
いため手術、麻酔、放射線治療を算定することができます。
精神科身体合併症管理加算は、精神科救急入院料と精神科急性期治療病棟入院料(1)
(2)
で、妊産婦緊急搬送入院加算は精神科救急・合併症入院料、精神科急性期治療病棟入院料
(1)(2)で算定することができます。重度アルコ-ル依存症入院医療管理加算は、精神
科急性期治療病棟入院料では算定することができますが、精神科救急入院料・精神科救
急・合併症入院料では算定することができません。
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2)治療内容の変化が少ない長期の入院を担う病棟
該当する特定入院料は精神療養病棟入院料で、急性期の機能を担う精神科急性期治療病
棟入院料等よりも包括される範囲が広く、入院基本料等加算の精神科応急入院施設管理加
算及び褥瘡ハイリスク患者ケア加算と特掲診療料の手術、麻酔及び放射線治療は算定する
ことはできません。平成 20 年度改定で新設された精神科地域移行実施加算を算定するこ
とができますが、精神科身体合併症管理加算等を算定することはできません。平成 24 年
度改定では精神科救急搬送患者地域連携受入加算、患者サポート体制充実加算、感染防止
対策加算が、平成 26 年度改定ではデータ提出加算が新たに算定可能となりました。
3)認知症疾患を担う病棟
該当する特定入院料は、認知症治療病棟入院料(1)(2)です。精神療養病棟入院料と異な
る点は非定型抗精神病薬加算や精神科地域移行実施加算を算定することはできませんが、
精神科身体合併症管理加算を算定することができます。平成 24 年度改定では 精神科救急
搬送患者地域連携受入加算、地域連携認知症集中治療加算、患者サポート体制充実加算、
感染防止対策加算や特掲診療料「処置」の「入院後 60 日以内の人工腎臓(透析)」を、平
成 26 年度改定ではデータ提出加算や特掲診療料「リハビリテ-ション」の「リハビリテション総合計画評価料、認知症患者リハビリテ-ション料が新たに算定可能となりました。
4)児童・思春期精神疾患を担う病棟
該当する特定入院料は、平成 24 年度改定で新設された児童・思春期精神科入院医療管理
料です。包括対象外項目としては臨床研修病院入院診療加算、地域加算、離島加算、強度
行動障害入院医療管理加算、摂食障害入院医療管理加算、医療安全対策加算、感染防止対
策加算、患者サポート体制充実加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、救急搬送患者地域連
携受入加算、精神科救急搬送患者地域連携受入加算及びデータ提出加算並びに投薬、注射、
手術、麻酔及び病理診断・判断料となっています。他の精神科関連の特定入院料とは異な
り、精神科専門療法が包括評価されていますが、投薬・注射が出来高算定となっています。
5)包括外で算定可能な薬剤・注射剤
対
象
平成 20 年度改定では、HIV
血友病を伴う
HIV患者
包括外で算定
可能とする薬剤
血友病治療の血液凝固因子製剤及び
血液凝固因子抗体迂回活性複合体
や肝炎対策の推進のため、血友
抗ウイルス剤
る血液製剤・HIV 治療薬や B 型
インターフェロン製剤
及び C 型肝炎入院患者に対す
B型・C型肝炎患
者
病を伴う HIV 入院患者に対す
るインターフェロン製剤等に
抗ウイルス剤
精神療養病棟入院料、認知症病棟入院料、特殊疾患病棟入
院料、特殊疾患入院医療管理料、緩和ケア病棟入院料、後
包括外で算定可能 期高齢者特定入院基本料、療養病棟入院基本料、有床診療
な特定入院料等 所療養病床入院基本料、回復期リハビリテーション病棟入院
料、亜急性期入院医療管理料、診療所老人医療管理料、介
護老人保健施設
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ついては、薬剤費を包括してい
る精神療養病棟入院料、認知症
病棟入院料等であっても、包括
外で算定することが可能とな
りました。
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3.精神科救急入院料と精神科救急・合併症入院料
点数
精神科救急入院料 1
精神科救急入院料 2
精神科救急・合併症入院料
入院後30日以内
3,557点
3,351点
3,560点
入院後31日以上
3,125点
2,920点
3,128点
+200点/退院時1回
院内標準
診療計画加算
非定型
抗精神病薬加算
病院常勤
病棟常勤
統合失調症、統合失調型障害及び妄想性障害、気分(感情)障害の患者に対して、入院日から7日以内に医
師、看護師及び精神保健福祉士等が共同で、院内標準診療計画書を策定し、当該計画書に基づき診療を行
い、60日以内に退院した場合
+15点/日
統合失調症の患者に対して、計画的な医学管理の下に非定型抗精神病薬による治療を行い、かつ、療養上
必要な指導を行った場合(1日当たり使用している抗精神病薬が2種類以下に限る)
精神保健指定医 5名以上
精神科医 5名以上
精神保健指定医 1名以上
精神保健指定医 3名以上
医師 16:1以上、 精神保健福祉士 2名以上
看護職員(常時)
看護師 常時 10:1以上
夜勤帯の職員
看護師 常時 2名以上
併存する精神科病棟
精神病棟入院基本料 1~5 又は 特定入院料
1看護単位
60床以下
病棟隔離室
隔離室含む個室が半数以上(精神科救急・合併症入院料は、合併症ユニットを有し、個室として算入可)
検査体制
精神科救急
医療システム
必要な検査、CT撮影が必要に応じて速やかに実施できる体制(CT撮影は連携体制可)
●全入院形式受け入れ可能
●常時救急外来診療可能、時間外・休日・深夜受診件数(電話再診を除く)が年間200件以上、
又は以下の地域における人口万対2.5件以上、かつ、精神疾患に係る時間外、休日又は深夜
における入院件数が年間20件以上
イ. 所在地の都道府県(政令市の区域を含む)
ロ. 1精神科救急医療圏と1基幹病院が対となって明確に区分された圏域がある場合 (例えば政令市は
市立病院、政令市以外の地区は県立病院が救急基幹病院となる)は、当該圏域
精神科救急入院料 1
精神科救急入院料 2
精神科救急・合併症入院料
・措置入院患者、緊急措置入院患者又は応急入院患者
・入院前3月間に保険医療機関の精神病棟に入院(医療観察法入院を除く。)していない患者 ※
対象患者
新規入院した患者で入院期間が3ヶ月以内の患者
新規患者
年間の新規患者の6割以上が措置入院、緊急措置入院、医療保護入院,応急入院、鑑定入院
及び医療観察法入院
以下の地域における直近1年間の措置入院、緊急措置入院及び応急入院に係る新規入院のうち、4分の1以
上、又は20件以上の患者を受け入れ
イ. 所在地の都道府県(政令市の区域を含む)
ロ. 1精神科救急医療圏と1基幹病院が対となって明確に区分された圏域がある場合 (例えば政令市は
市立病院、政令市以外の地区は県立病院が救急基幹病院となる)は、当該圏域
対象外の患者
精神病棟15対1入院基本料を算定
入院日から起算して3月を限度として算定
1ヶ月間の当該病棟新規患者入院延べ日数/1ヶ月間の当該病棟の全患者入院延べ日数≧4割
算定要件
措置入院、鑑定入院患者、医療観察法入院を除いた
新規患者のうち6割以上が入院日から3ヶ月以内に退
院し在宅(居宅、精神障害者施設)へ移行
措置入院、鑑定入院患者、医療観察法入院を除いた
新規患者のうち4割以上が入院日から3ヶ月以内に退
院し在宅(居宅、精神障害者施設)へ移行
その他
加算項目
精神科身体合併症管理加算 ※1、妊産婦緊急搬送入院加算 ※2、医療事務作業補助体制加算、患者サポー
ト体制充実加算、精神科救急搬送患者地域連携紹介加算、データ提出加算、感染防止対策加算、医療安全対
策加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、非定型抗精神病薬加算、臨床研修病院入院診療加算、地域加算、離島加
算、精神科措置入院診療加算、精神科応急入院施設管理加算、精神科専門療法、手術、麻酔、放射線治療に
係る費用以外は当該入院料に含まれる。
(※1 : 精神科救急入院料のみ算定可、※2 : 精神科救急・合併症入院料のみ算定可)
留意事項
・医療法標準以上の員数の医師、看護師、准看護師が配置されていること
・医療法の規定に基づき許可を受けた病床数以上入院させてはならない
・精神科救急・合併症入院料の対象は、救命救急センタ-を有している病院
※ 精神科救急・合併症入院料の対象患者に精神病床のみを有する保険医療機関の精神病棟からの転院患者等を追加
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(1)精神科救急入院料
1)精神科救急入院料の概要
精神科救急入院料は、入院早期からの在宅への移行支援を更に推進するため、平成 20 年
度改定で在宅へ移行した実績に応じて 2 区分に分類されました。入院日から起算して 3 ヶ
月以内に退院し、在宅へ移行した割合が 6 割以上の算定要件を満たせば精神科救急入院料
1を、在宅へ移行した割合が改定前の算定要件である 4 割以上であれば、精神科救急入院
料 2 を算定することができます。
在宅へ移行とは、「患家」又は「精神障害者施設」へ移行することが該当しますが、死亡
退院及び退院後 3 か月以内に再入院をした場合は在宅へ移行したことになりません。
「患家」とは退院先のうち、他の保険医療機関へ転院した場合及び介護老人保健施設に
入所した場合を除いたものが該当します。「精神障害者施設」とは障害者総合支援法に規定
する障害福祉サービスを行う施設(グル-プホ-ム等)若しくは福祉ホ-ムが該当します。
精神科救急入院料等は、入院日から起算して 3 ヶ月を限度として算定することができま
すが、算定対象外の患者が当該病棟に入院した場合は精神病棟 15 対 1 入院基本料を算定す
ることになります。
なお、平成 24 年度改定で精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料及び精神科急性
期治療病棟入院料の算定病棟の入院患者が、手術等の目的で一時的に転棟、あるいは転院
した後、再入院した場合は、再転棟や再入院時に再算定することができますが、入院日は
再転棟や再入院の日ではなく、最初の入院日となります。
平成26年度改定では消費税率引上げに伴う医療機関等の課税仕入れにかかるコスト増へ
の対応分として本体報酬が約2.7%上乗せされました。
2)対象患者
対象患者は新規患者となっており、新規患者とは、①「措置入院患者、緊急措置入院患
者又は応急入院患者」、②「①以外の入院前 3 ヶ月間に保険医療機関の精神病棟に入院(医
療観察法入院を除く。)していない患者」
が該当します。医療観察法入院処遇終了者を受
入れた場合は新規患者として算定することが可能で、措置入院等と同様に受入れた月の入
院患者数から除外して取り扱われます。
ただし、精神科救急入院料及び精神科救急・合併症入院料、精神科急性期治療病棟入院
料の算定対象となる患者は、下記の障害を有する患者に限られます。また、疾患に該当し
ても、単なる認知症症状や単なる酩酊状態のアルコール依存症患者は除外されています。
精神疾患を有する状態に限り、単なる認知症
症状性を含む器質性精神障害
の症状を除く
精神作用物質使用による
アルコール依存症では単なる酩酊状態除く
精神及び行動障害
統合失調症、統合失調症型
注釈なし
障害及び妄想障害
対象疾患
気分(感情)障害
注釈なし
自殺・自傷行為及び栄養障害・脱水等の生命的
神経症性障害、ストレス関連
障害及び身体表現性障害
危険を伴なう状態に限る
成人の人格及び行動の障害
精神疾患を有する状態に限る
知的障害
精神疾患を有する状態に限る
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3)主な施設基準
精神科救急入院料は、病院に常勤の精神保健指定医 5 名以上を、病棟に入院患者数 16
名に対して 1 名以上の医師を配置し、そのうち 1 名が常勤の精神保健指定医であることが
必要です。さらに、病棟には常勤の精神保健福祉士 2 名以上と看護師を常時入院患者数 10
名に対し 1 名以上、日勤帯以外の時間は看護師を常時 2 名配置することが必要です。
設備構造面では、病床数の半数以上が隔離室を含む個室で、入院時の検査及び CT 撮影
が他の保険医療機関との連携を含め速やかに実施できる体制が必要です。
また、精神科急性期治療病棟入院料と同様に、1 ヶ月間の当該病棟の全患者の入院延べ
日数のうち、4 割以上が新規患者の延べ日数であることが必要ですが、精神科救急入院料
及び精神科救急・合併症入院料の算定病棟は、精神科救急医療体制整備事業において基幹
的な役割を果たす病棟であることから、施設基準のハードルが高くなっており、以下の基
準を満たす必要があります。
①常時精神科救急外来診療が可能で、精神疾患に係る時間外、休日又は深夜における診療(電
話再診を除く)件数が年間 200 件以上、又は指定された地域における人口万対 2.5 件以上であ
ること。
【指定された地域】
イ. 所在地の都道府県(政令市の区域を含む)
ロ. 1精神科救急医療圏と1基幹病院が対となって明確に区分された圏域が
ある場合(例えば政令市は市立病院、政令市以外の地区は県立病院が救急基幹病院
となる)は当該圏域
②精神疾患に係る時間外、休日又は深夜における入院件数が年間 20 件以上
③全ての入院形態の患者受け入れが可能であること。
④当該病棟の年間の新規患者の 6 割以上が措置入院、緊急措置入院、医療保護入院、応急入
院、鑑定入院又は医療観察法入院であること。
⑤指定された地域における直近 1 年間の措置入院、緊急措置入院および応急入院の年間新規入
院患者数の 4 分の 1 以上、又は 20 件以上の患者を受け入れていること。
措置入院・緊急措置入院・応急入院等の入院患者数は、精神科救急入院料が新設された
平成 14 年には 5,374 人であったのが、平成 24 年には 3,330 人まで減少しています。
そのため、平成 26 年度改定では措置入院、緊急措置入院及び応急入院が全体として減少
している現状を踏まえ、「精神科救急入院料及び精神科救急合併症入院料の施設基準の実
績要件は、地域における1年間における措置入院、緊急措置入院及び応急入院の受入実績」
を「30 件以上」から「20 件以上」に見直されました。
また、施設基準の新たな要件として「夜間休日の救急の受入れ実績」(精神疾患に係る
時間外、休日又は深夜における入院件数が年間 20 件以上)が追加されました。
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4)院内標準診療計画加算(平成 26 年度改定で新設)
院内標準
診療計画加算
対象者
入院日から7日以内に医師、看護師、精神保健福祉
士等が共同で、院内標準診療計画書を策定し、当該
計画書に基づき診療を行い、60日以内に退院した場
合は、所定点数に加算
+200点/退院時 1 回
①統合失調症、統合失調型障害及び妄想性障害、②気分(感情)障害
急性期のクリティカルパスを導入することにより平均在院日数の短縮や在宅期間の延長
及び再入院率の低下につながっています。
平成 26 年度改定では、急性期の精神疾患患者に対するチーム医療を推進し、早期退院を
促すため、精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料、精神科急性期治療病棟入院料
1(精神科急性期医師配置加算を算定するものに限る)の算定患者のうち、統合失調症及
び気分障害の患者に対して、計画に基づいた医療を提供した場合の評価が新設されました。
統合失調症、統合失調型障害若しくは妄想性障害又は気分(感情)障害の患者に対して、
入院日から7日以内に、医師、看護師、精神保健福祉士等の関係職種が共同して、院内標
準診療計画書を策定し、患者又は家族等に対して説明の上、当該計画に基づき患者が 60 日
以内に退院した場合に、退院時1回 200 点を加算することができます。ただし、死亡又は
他の医療機関への転院による退院については、算定することはできません。
5)非定型抗精神病薬加算
精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神療養病棟入院料の加算
非定型
抗精神病薬加算
平成26年度改定で種類数制限のない
非定型抗精神病薬加算2を廃止
+15点/日
算定方法
非定型抗精神病薬(※)を投与している統合失調症患者に対して、計画的な治療管理
を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め療養上必要な
指導を行なった場合に算定
対 象 者
精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精
神療養病棟入院料を算定している病棟に入院している統合失調症患者
算定要件
1日当たり使用している抗精神病薬が2種類以下 (種類数は、一般名で計算)
【非定型抗精神病薬】
○クエチアピンフマル酸塩、〇 ペロスピロン塩酸塩水和物(ペロスピロン塩酸塩)、
〇 オランザピン、〇 アリピプラゾール、〇 ブロナンセリン、〇 クロザピン、〇 パリペリ
ドン、〇△ リスペリドン 、〇△ パリペリドンパルミチン酸エステル
対象となる抗精神病薬
〇:非定型抗精神病薬
△:持続性抗精神病注射薬剤
算定上の留意点
【定型抗精神病薬】
クロルプロマジン塩酸塩、クロルプロマジンフェノールフタリン酸塩、ペルフェナジンフェ
ンジゾ酸塩、ペルフェナジン(塩酸ペルフェナジン)、プロペリシアジン、トリフロペラジン
マレイン酸塩、フルフェナジンマレイン酸塩、プロクロルペラジンマレイン酸塩、レボメプ
ロマジン、ピパンペロン塩酸塩、オキシペルチン、スピペロン、スルピリド、ハロペリドー
ル、ピモジド、ゾテピン、チミペロン、ブロムペリドール、カルピプラミン塩酸塩水和物、ク
ロカプラミン塩酸塩水和物、カルピプラミンマレイン酸塩、スルトプリド塩酸塩、モサプラ
ミン塩酸塩、ネモナプリド、モペロン塩酸塩、レセルピン、△ ハロペリドールデカン酸エ
ステル、△ フルフェナジンデカン酸エステル
・1月に1度、非定型抗精神病薬の治療計画及び効果、副作用等の指導内容の要点を
診療録に記載
・投与薬剤の名称を診療報酬明細書に記載
非定型抗精神病薬加算は、精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料、精神科急性
期治療病棟入院料、精神療養病棟入院料を算定している病棟に入院している統合失調症患
者に、計画的な医学管理のもと、非定型抗精神病薬による治療を行い、かつ、この薬剤の
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効果及び副作用の説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に、加算することができま
す。ただし、非定型抗精神病薬を臨時薬や屯服として処方された場合は算定することはで
きません。
平成 26 年度改定では、非定型抗精神病薬の適切な投薬を推進するため、非定型抗精神病
薬加算のうち、種類数制限のない非定型抗精神病薬加算 2(+10 点/日)が削除され、従前
の非定型抗精神病薬加算1は非定型抗精神病薬加算となり、一日当たりの使用している抗
精神病薬の種類が 2 種類以下の場合に 1 日 15 点を加算することができます。
対象となる非定型抗精神病薬は、クエチアピンフマル酸塩、ペロスピロン塩酸塩水和物
(ペロスピロン塩酸塩)
、オランザピン、アリピプラゾール、ブロナンセリン、クロザピン、
パリペリドン、リスペリドン、パリペリドンパルミチン酸エステルです。また、対象とな
る抗精神病薬は、適応症が統合失調症となっている上記の非定型抗精神病薬を含む薬剤で
あり、種類数については一般名で計算することになります。
なお、非定型抗精神病薬加算を算定した場合は、1 月に 1 回、治療計画及び指導内容を診
療録に記載し、投与した薬剤名を診療報酬明細書に記載することが必要です。
6)出来高算定が可能な項目
出来高算定できる項目は、院内標準診療計画加算、非定型抗精神病薬加算と入院基本料
等加算である臨床研修病院入院診療加算、医師事務作業補助体制加算、地域加算、離島加
算、精神科措置入院診療加算、精神科応急入院施設管理加算、精神科身体合併症管理加算、
医療安全対策加算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、褥瘡ハイリスク患者
ケア加算、精神科救急搬送患者地域連携紹介加算及びデータ提出加算であり、特掲診療料
では精神科専門療法の他、身体合併症のある患者が入院する可能性が高いため手術、麻酔、
放射線治療を算定することができます。
7)留意すべき事項
精神科救急入院料及び精神科救急・合併症入院料を算定する病院は、医師及び看護職員
の数が医療法標準人員以上配置することが必要です。また、医療法規定に基づき許可を受
けた病床数以上の患者を入院させることはできません。
(2)精神科救急・合併症入院料(平成 20 年度改定時に新設)
1)精神科救急・合併症入院料の概要
いわゆる総合病院等の身体合併症治療を含めた精神科救急医療を適切に評価するため、
平成 20 年度改定で精神科救急・合併症入院料が新設されました。
精神科救急・合併症入院料は、都道府県が定める救急医療に関する計画に基づいて運営
される救命救急センターを有している病院で、精神病棟を単位として当該病棟に合併症ユ
ニットを有していることが必要です。
精神科救急・合併症入院料は、入院日から起算して 3 ヶ月以内に退院し、在宅へ移行し
た割合が 4 割以上であれば算定することができます。平成 26 年度改定では、消費税率引上
げに伴う医療機関等の課税仕入れにかかるコスト増への対応分として精神科救急・合併症
入院料の本体報酬が約 2.7%上乗せされています。
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精神科救急・合併症入院料の施設基準等は、精神科救急入院料と同じ内容となっていま
すが、「医師の人員配置の要件」、「算定対象患者」及び「算定可能な入院基本料等加算」が
一部異なっています。
医師の人員配置要件では、
「病院に常勤の精神科医 5 名以上及び当該病棟に常勤の精神保
健指定医 3 名以上配置」である点が精神科救急入院料と異なっています。
また、算定対象患者は、①「措置入院患者、緊急措置入院患者又は応急入院患者」、②「①
以外の入院前 3 ヶ月間に保険医療機関の精神病棟(精神病床のみを有する保険医療機関の精
神病棟を除く)に入院(医療観察法入院を除く。
)していない患者」、③「②に関わらず、当
該病棟における治療中に当該保険医療機関においてより高度な管理を行った後、当該病棟
において治療を行う患者」
が該当します。
平成 26 年度改定前では、他の精神科単科病院から受け入れた身体疾患を合併する精神疾
患の患者や精神科救急・合併症入院料を算定した後に、手術等により一時期 ICU 等で治療
を受け再入棟した場合は、精神科救急・合併症入院料を算定することができないため、精
神病棟 15 対 1 入院基本料を算定していました。
平成 26 年度改定では、身体疾患を合併する精神疾患患者への適切な医療を推進するため、
精神病床のみを有する精神科単科病院に入院している身体合併症患者を、いわゆる総合病
院等の精神科救急・合併症入院料算定病棟で受け入れた場合や精神科救急・合併症入院料
を算定した後に、手術等により一時期当該医療機関の ICU 等で治療を受け、再入棟した場
合についても算定することが可能になりました。
なお、入院基本料等加算として精神科救急入院料で算定可能な精神科身体合併症加算を
算定することはできませんが、妊産婦緊急搬送入院加算を算定することができます。
2)合併症ユニットの要件
精神科救急・合併症入院料の施設基準として必要な合併症ユニットは、当該病棟の病床
数の 2 割以上の治療室が必要で、当該治療室に入院する患者の常時 8 割以上が、以下の身
体疾患を合併した精神障害者となります。
1. 呼吸器系疾患(肺炎、喘息発作、肺気腫)
2. 心疾患(New York Heart Association の心機能分類のⅢ度、Ⅳ度相当心不全、
虚血性心疾患、モニター監視を必要とする不整脈)
3. 手術又は直達・介達牽引を要する骨折
4. 重篤な内分泌・代謝性疾患(インスリン投与を要する糖尿病、専門医の診察を要す
る内分泌疾患、肝硬変に伴う高アンモニア血症)
5. 重篤な栄養障害(Body Mass Index 13 未満の摂食障害)
6. 意識障害(急性薬物中毒、アルコール精神障害、電解質異常、代謝性疾患に
よるせん妄等)
7. 全身感染症(結核、後天性免疫不全症候群、梅毒1期、2 期、肺血症)
8. 急性腹症(消化管出血、イレウス等)
9. 悪性症候群、横紋筋融解症
10. 広範囲(半肢以上)熱傷
11. 手術、化学療法又は放射線療法を要する悪性腫瘍
12. 人工透析中又は腎不全で透析導入を要する状態
13. 手術室での手術を必要とする状態
14. 合併症妊娠・出産
15. 膠原病(専門医による管理が必要とする状態)
また、身体合併症管理を行うために必要な緊急蘇生装置、除細動器、心電計、呼吸循環
監視装置を当該治療室内に常時備えておくことが必要です。
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4.精神科急性期治療病棟入院料
点数
精神科急性期治療病棟入院料1
精神科急性期治療病棟入院料2
入院後30日以内
1,984点
1,881点
入院後31日以上
1,655点
1,552点
精神科急性期
医師配置加算
院内標準
診療計画加算
非定型
抗精神病薬加算
施設基準を満たし、常勤医師を⼊院患
者16⼈に対して1⼈以上配置した場合
+500点
(1日)
+200点
(退院時1回)
統合失調症、統合失調型障害及び妄想性
障害、気分(感情)障害の精神科急性期医
師配置加算の算定患者に対して、入院日
から7日以内に医師、看護師及び精神保
健福祉士等が共同で、院内標準診療計画
書を策定し、当該計画書に基づき診療を
行い、60日以内に退院した場合 ※1
算定不可
※1 精神科急性期医師配置加算算定患者
に限る
+15点/日
統合失調症の患者に対して、計画的な医学管理の下に非定型抗精神病薬による治療を行い、かつ、療養上
必要な指導を行った場合 ( 1日当たり使用している抗精神病薬が2種類以下に限る )
病院常勤
精神保健指定医 2名以上
病棟常勤
精神保健指定医 1名以上
精神保健福祉士又は臨床心理技術者
看護職員(常時)
13 : 1 以上(4割以上看護師)
看護補助者(常時)
15 : 1 以上(4割以上看護師)
30 : 1 以上
夜勤帯の職員(常時)
看護要員 2名以上 ( 看護師1名以上 )
併存する精神科病棟
精神病棟入院基本料 1~5 又は 特定入院料
1看護単位
精神病床300床以下
精神病床300床超
60床以下
60床以下
2割 以下
病棟隔離室
必 要
精神科救急
医療システム
当該地区における精神科救急医療体制の確保のために整備された精神科救急医療施設
精神科急性期治療病棟入院料 1
精神科急性期治療病棟入院料 2
対象患者
入院前3月間に保険医療機関の精神病棟に入院(医療観察法入院を除く。)していない患者
新規患者
新規入院した患者で入院期間が3ヶ月以内の患者
転棟患者
急性増悪のため指定医が集中的治療の必要性を認めた、他病棟からの転棟患者又は、当該
病棟で当該入院料を算定していない患者 ( 1年(暦年)に1回限り、1月が限度 )
対象外の患者
精神病棟15対1入院基本料を算定
入院日から起算して3月を限度として算定
1ヶ月間の当該病棟新規患者入院延べ日数/1ヶ月間の当該病棟の全患者入院延べ日数≧4割
算定要件
措置入院、鑑定入院患者、医療観察法入院を除いた新規患者のうち4割以上が入院日から3ヶ月以内に退院
し在宅(居宅、精神障害者施設)へ移行
その他
加算項目
医療事務作業補助体制加算 ※、患者サポート体制充実加算、精神科救急搬送患者地域連携紹介加算、デー
タ提出加算、感染防止対策加算、重度アルコール依存症入院医療管理加算、精神科身体合併症管理加算、妊産
婦緊急搬送入院加算、医療安全対策加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、非定型抗精神病薬加算、臨床研修病院
入院診療加算、地域加算、離島加算、精神科措置入院診療加算、精神科応急入院施設管理加算、精神科専
門療法、手術、麻酔、放射線治療に係る費用以外は当該入院料に含まれる。
留意事項
・医療法標準以上の員数の医師、看護師、准看護師が配置されていること
・医療法の規定に基づき許可を受けた病床数以上入院させてはならない
※2 精神科急性期治療病棟入院料1のみ算定可
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(1)精神科急性期治療病棟入院料の概要
精神科急性期治療病棟入院料「1」及び「2」は看護職員の人員配置で区分されています。
つまり、医療法上の看護職員の人員配置標準[入院患者に対して常時 13:1以上]を満た
していれば「1」に、[入院患者に対して常時 15:1以上]であれば「2」に区分され、入
院後 30 日以内と 31 日以上で算定点数が異なります。
その他の人員配置基準としては、看護補助者数は[入院患者に対して常時 30:1以上]
で、夜勤帯の職員は看護要員を常時 2 名以上(看護師 1 人以上)の配置が必要です。
算定対象患者は、①入院前 3 ヶ月間に保険医療機関の精神病棟に入院していない患者、
②転棟患者等(他の病棟からの転棟患者又は精神保健指定医が急性増悪のため集中的な治
療の必要性を認めた当該病棟で当該入院料を算定していない患者)です。
精神科急性期治療病棟入院料等は、入院日から起算して 3 ヶ月を限度として、転棟患者
等は 1 年に 1 回に限り 1 ヶ月を限度として算定することができます。算定対象外の患者が
当該病棟に入院した場合は、精神病棟 15 対 1 入院基本料を算定することになります。
平成 22 年度改定では、精神科急性期治療病棟入院料においても、入院早期(30 日以内)
の評価が引き上げられ、算定要件の一つである「当該病院の全病床数の 7 割以上又は 200
床以上が精神病床である若しくは特定機能病院である。」が削除となりました。つまり、い
わゆる総合病院併設の精神病棟でも算定することが可能となりました。
また、精神科救急入院料、精神科救急・合併症入院料と同様に、医療観察法の入院処遇
終了者を受入れた場合、新規入院患者として算定することが可能となるとともに、措置入
院等と同様に受入れた月の入院患者数から除外して扱われます。
また、平成 20 年度改定で新設された入院基本料等加算(精神科身体合併症管理加算や妊
産婦緊急搬送入院加算)や、平成 22 年度改定で新設された重度アルコール依存症入院医療
管理加算を算定することができます。
平成 24 年度改定では、診療報酬項目の簡素化の観点から、入院基本料等加算である褥瘡
患者管理加算及び栄養管理実施加算が廃止され、精神科急性期治療病棟入院料の本体報酬
を引き上げ、栄養管理体制と褥創患者管理体制が精神科急性期治療病棟入院料の算定要件
となりました。また、医師事務作業補助体制加算(精神科急性期治療病棟入院料 2 を除く)、
精神科救急搬送患者地域連携紹介加算、患者サポート体制充実加算、感染防止対策加算が
新たに算定可能となりました。
平成 26 年度改定では、消費税率引上げに伴う医療機関等の課税仕入れにかかるコスト増
への対応分として本体報酬が約 2.7%上乗せされ、精神科急性期治療病棟入院料1の加算と
して、精神科急性期医師配置加算と院内標準診療計画加算(精神科急性期医師配置加算算
定患者に限る)が新設されました。
(2) 算定病棟の病床数
算定病棟の病床数は当該病院の精神病床数が 300 床以下なら 60 床以下、300 床を超えて
いたら 2 割以下と定められていますが、精神科救急入院料や精神科救急・合併症入院料に
はそのような基準はありません。
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(3)主な施設基準
精神科急性期治療病棟入院料は、病院に常勤の精神保健指定医 2 名以上配置し、当該病
棟に常勤の精神保健指定医 1 名以上及び常勤の精神保健福祉士又は臨床心理技術者を配置
し、当該病棟に隔離室が必要です。
また、措置入院、鑑定入院患者、医療観察法入院を除いた新規患者のうち 4 割以上が入
院日から 3 ヶ月以内に退院し在宅(居宅、精神障害者施設)へ移行すること、1 ヶ月間の
当該病棟の全患者の入院延べ日数のうち、4 割以上が新規患者の延べ日数であることが必
要です。
(4)精神科急性期医師配置加算(平成 26 年度改定で新設)
精神科急性期
常勤医師を入院患者 16 人に対して 1 人以上配置し
医師配置加算
た場合
+500点/日
新規入院患者のうち6割以上が、入院日から起算して3月以内に退院し、
在宅へ移行
施設基準
過去 1 年間の時間外、休日又は深夜
外来対応件数 20 件以上、かつ、
入院件数8件以上
急性期病床では、100 床あたりの医師数が多いほうが平均在院日数を短縮しているため、
急性期病床への医師の重点的な配置により早期退院が期待されています。
精神科救急入院料及び精神科救急・合併症入院料の施設基準では、医療法における一般
病床の医師の人員配置基準(入院患者 16 人に対して医師 1 人以上)と同じ配置となって
いますが、急性期を担う精神科急性期治療病棟入院料の施設基準では、精神療養病棟入院
料と同じ医師配置(入院患者 48 人に対して医師 1 人以上)となっています。
平成 26 年度改定では、精神病床の機能分化を推進し、病床の機能に応じた人員配置と
するため、急性期病床において密度の高い医療を提供し、平均在院日数の短縮を図る観点
から、医師を重点的に配置した場合の評価が新設されました。そのため、精神科急性期治
療病棟入院料1では、施設基準を満たし常勤医師を入院患者 16 人に対して 1 人以上配置
した場合は、精神科急性期医師配置加算として 1 日 500 点を加算することができます。
施設基準としては、1)新規入院患者のうち6割以上が入院日から起算して 3 月以内に
退院し、在宅へ移行すること、2)過去 1 年間の時間外、休日又は深夜における外来診療
件数 20 件以上(電話再診を除く)、かつ、入院件数 8 件以上であることが必要となります。
(5)出来高算定が可能な項目
精神科急性期治療病棟入院料の加算として、平成 26 年度改定で新設された精神科急性
期医師配置加算(精神科急性期治療病棟入院料1を算定するものに限る)及び院内標準診
療計画加算(精神科急性期医師配置加算を算定している精神科急性期治療病棟入院料1算
定するものに限る)を、さらに非定型抗精神病薬加算を算定することができます。院内標
準診療計画加算と非定型抗精神病薬加算の詳細な内容については、精神科救急入院料の項
目(89 ページ)を参照ください。
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出来高算定できるその他の項目としては、入院基本料等加算である臨床研修病院入院診
療加算、妊産婦緊急搬送入院加算、医師事務作業補助体制加算(精神科急性期治療病棟入
院料1を算定するものに限る)、地域加算、離島加算、精神科措置入院診療加算、精神科
応急入院施設管理加算、精神科身体合併症管理加算、重度アルコール依存症入院医療管理
加算、医療安全対策加算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、褥瘡ハイリス
ク患者ケア加算、精神科救急搬送患者地域連携紹介加算及びデータ提出加算であり、特掲
診療料では精神科専門療法の他、身体合併症のある患者が入院する可能性が高いため手術、
麻酔、放射線治療を算定することができます。
(6)留意すべき事項
精神科急性期治療病棟入院料を算定する病院は、医師及び看護職員の数が医療法標準人
員以上配置することが必要です。また、医療法規定に基づき許可を受けた病床数以上の患
者を入院させることはできません。
なお、同一保険医療機関内に精神科急性期治療病棟入院料 1 と精神科急性期治療病棟入
院料 2 の算定病棟が混在することはできません。
【
参考情報
】
精神科医療の連携に係る主な診療報酬について
(模式図、現状)
精神科以外の病棟
精神病棟
※1
救急救急
救急
救命救急入院料 等
精神科救急入院料
改
精神科急性期治療病棟入院料
改
精神科救急・合併症入院料
救急搬送患者
地域連携紹介加算
+1,000点(退院時1回)
新 精神科救急搬送患者
地域連携紹介加算
+1,000点(退院時1回)
改
救急搬送患者
地域連携受入加算
+2,000点(入院初日)
※2
新 精神科救急搬送患者
地域連携受入加算
+2,000点(入院初日)
救急支援精神病棟
初期加算+100点
地域連携受入加算
(14日以内)
+2,000点(入院初日)
一般病棟 等
精神病棟入院基本料
新
後方病床
後方病床
改 救急搬送患者
精神療養病棟入院料
認知症治療病棟入院料
児童・思春期精神科入院医療管理料
※1 精神科救急入院料等の要件を見直し、手術等の目的で一時的に転棟あるいは転院した場合、再転棟や再入院時に再算定できる。
※2 救急搬送患者地域連携受入加算の要件を見直し、精神病棟入院基本料においても算定できる。
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5.精神療養病棟入院料
精神療養病棟入院料
項目
点
数
1,090点
病院常勤者
精神保健指定医2名以上
精神保健福祉士又は臨床心理技術者
病棟常勤者
専任の精神科医1名以上
作業療法士又は作業療法の経験がある看護職員(専門機関研修修了者)
看護職員(常時)
30 : 1以上 ( 2割以上は看護師 )
看護補助者数(常時)
30 : 1以上
夜勤帯の職員数
看護要員 常時 2人以上(看護職員1名以上)
1看護単位
60床以下
1病室ベッド数
6床以下
病棟面積
内法18㎡以上/患者1人
治療室、食堂、談話室、面会室、浴室、廊下、ナースステーション、便所等
病床床面積
内法5.8㎡以上/患者1人
必要設備
談話室、食堂、面会室、浴室(シャワー室)、公衆電話
談話室、食堂、面接室は兼用可
鉄格子
ないこと(届け出後1年経過措置あり)
作業療法室、
生活機能回復訓練室
病院に専用の施設があること
金銭管理
適切に行われていること
項目
精神療養病棟入院料
精神保健福祉士
配置加算
病棟配置の専従の常勤精神保健福祉士が、当該病棟の全ての入
院患者に、多職種と共同で退院支援計画を作成し、在宅療養に向
けた調整を行った場合 ※
+30点/日
非定型
抗精神病薬加算
統合失調症の患者に対して、計画的な医学管理の下に非定型抗精神病薬によ
る治療を行い、かつ、療養上必要な指導を行った場合
(1日当たり使用している抗精神病薬が2種類以下に限る)
+15点/日
1
精神科救急医療体制に協力している医療機関 で、
算定日にGAFスコア30以下の患者
+60点/日
2
算定日にGAFスコア40以下の患者
+30点/日
退院支援計画等を作成し、
退院支援部署による退院調整を行った場合
+500点/退院時
重症者加算
退院調整加算
その他
加算項目
医療機関内に退院支援部署を設置し、専従の精神保健福祉士及び専従する1 人の従事者(看
護師、作業療法士、精神保健福祉士、社会福祉士又は臨床心理技術者のいずれか)が勤務
デ-タ提出加算、精神科救急搬送患者地域連携受入加算、患者サポート体制充実加算、感染
防止対策加算、精神科地域移行実施加算、医療安全対策加算、非定型抗精神病薬加算、臨床
研修病院入院診療加算、地域加算、離島加算、精神科措置入院診療加算、精神科専門療法並
びに除外薬剤・注射薬以外は当該入院料に含まれる
医療法標準以上の員数の医師が配置されていること 。ただし、看護職員を入院患者25人対して
1人以上(平成30年3月31日までは看護職員を入院患者30人に対して1人以上)の配置を満たす
場合は除く
その他の規定
医療法標準以上の員数の看護師、准看護師が配置されていること
平成26年4月1日以降当該病棟に入院した患者1人につき退院支援相談員を1人以上指定し、対
象患者に対して退院支援委員会を毎月開催
医療法の規定に基づき許可を受けた病床数以上入院させてはならない
※ 精神保健福祉士配置加算を算定した場合は、精神療養病棟入院料の退院調整加算、精神科地域移行実施加算、精神科退院指導料、
精神科退院前訪問指導料の算定不可
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(1)精神療養病棟入院料の概要
精神療養病棟入院料は看護職員数が常時 30 人に 1 人以上であれば算定することができ
ますが、平成 18 年 3 月 1 日から精神病床における医療法上での看護職員数が 6:1 から 4:
1(当分の間は経過措置として看護職員数 5:1 を確保し、看護補助者と合わせて 4:1 で
も可能)に引き上げられたため、病棟単位としては医療法標準人員を下回っています。ま
た、看護師数が看護職員数に占める割合も、精神病棟入院基本料や精神科急性期治療病棟
入院料では 4 割以上が必要ですが、2 割以上であっても施設基準を満たすことができます。
ただし、精神療養病棟入院料を算定する病院は、当該病院に医師及び看護職員の数が医
療法標準人員以上配置することが必要であり、医療法規定に基づき許可を受けた病床数以
上の患者を入院させることはできません。
平成 26 年度改定では、消費税率引上げに伴う医療機関等の課税仕入れにかかるコスト
増への対応分として本体報酬が約 2.7%上乗せされました。新設された精神療養病棟入院
料の加算である精神保健福祉士配置加算と入院基本料等加算であるデータ提出加算が算
定可能となりましたが、精神療養病棟入院料の加算である種類数制限のない非定型抗精神
病薬加算 2 が削除されたため、1日当たり 3 種類以上の抗精神病薬(非定型抗精神病薬を
最低 1 種類含む)を使用している場合は 1 日 10 点を算定することができなくなりました。
また、施設基準は、2 つの要件(1.病棟常勤医師の配置基準、2.当該病院に医療法
標準以上の員数の医師配置)が緩和されましたが、新たに 1 つの要件(入院当初から早期
の退院を目指した手続き)が追加されています。
(2)施設基準「病棟常勤医師の配置基準」の見直し(平成 26 年度改定)
精神科療養病棟入院料を算定する病棟に入院する患者は、病態が比較的安定しており、
精神保健指定医の判断が必要とされる隔離・身体拘束等が少ないこと等を踏まえ、平成 26
年度改定では「当該病棟に常勤精神保健指定医を 1 名以上配置」から「当該病棟に専任の
精神科医師を 1 名配置」に見直されました。ただし、当該病棟に配置される専任の精神科
医師は他の病棟に配置される医師を兼任することはできません。
なお、病棟に配置される精神科医師は専従ではなく専任であるため、当該業務に支障の
ない範囲で他の業務を行うことができますが、当該医師の外来業務及び他病棟の入院患者
の診療業務への従事は週 2 日以内とされています。
(3)施設基準「医療法標準以上の員数の医師配置」の見直し(平成 26 年度改定)
精神療養病棟入院料の施設基準では、当該病院に医療法標準以上の員数の医師を配置す
ることが規定されています。ただし、平成 26 年度改定では、看護職員を入院患者 25 人対
して 1 人以上(平成 30 年 3 月 31 日までは看護職員を入院患者 30 人に対して 1 人以上)の
配置を満たす場合は、当該病院に医療法標準以上の員数の医師配置の要件は除外されるこ
とになりました。つまり、平成 26 年 3 月 31 日までは、病院全体で医療法標準以上の員数
の医師を配置していなければ精神療養病棟入院料を算定することができませんでしたが、
平成 26 年 4 月 1 日以降は、精神療養病棟入院料の算定病棟に看護職員を入院患者 25 人に
対して 1 人以上(平成 30 年 3 月 31 日までは看護職員を入院患者 30 人に対して 1 人以上)
配置していれば、病院全体で医療法に規定されている標準人員の医師数に対して 3 割未満
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の標欠であれば、精神療養病棟入院料を算定することが可能となりました。
(4)「入院当初から早期の退院を目指した手続き」を施設基準に追加(平成 26 年度改定)
慢性期病棟(精神療養病棟入院料等の算定病棟)に入院している患者は 1 年以上の長期
入院患者が多数を占め、退院支援が課題となっています。また、退院が困難な理由として
は、家族の受け入れ困難及び介護者不在等受け入れ先の問題も大きく影響しています。
平成 26 年度改定では、精神保健福祉法改正に伴い平成 26 年 4 月から導入された医療保
護入院における「入院当初から早期の退院を目指した手続き」を参考に、「退院後生活環境
相談員」及び「医療保護入院者退院支援委員会」の仕組みが精神療養病棟入院料の施設基
準として新たに規定されました。
精神療養病棟入院料の施設基準では、精神保健福祉法上で規定された「退院後生活環境
相談員」は「退院支援相談員」に、
「医療保護入院者退院支援委員会」は「退院支援委員会」
に該当します。ところが、精神保健福祉法上では医療保護入院者を対象としていますが、
精神療養病棟入院料の施設基準では当該病棟の全入院患者を対象としているため、内容及
び対応が一部異なっていることに注意が必要です。
実施者
精神療養病棟入院料の施設基準
精神保健福祉法の規定
退院支援相談員
退院後生活環境相談員
①精神保健福祉士
②保健師、看護師、准看護師、作業療
法士又は社会福祉士として、精神障害
者に関する業務に従事した経験を3年
以上有する者
①精神保健福祉士
②看護職員(保健師を含む。)、作業療法
士、社会福祉士として、精神障害者に関
する業務に従事した経験を有する者
③3年以上精神障害者及びその家族等と
の退院後の生活環境についての相談及
び指導に関する業務に従事した経験を有
する者であって、かつ、厚生労働大臣が
定める研修を修了した者
対象者
平成 26 年 4 月 1 日以降に精神療養病
棟入院料算定病棟に入院した患者
医療保護入院者全員
担当人数
・1 人の退院支援相談員が同時に担当
する患者数は 60 人以下
・担当する患者の一覧を作成
退院後生活環境相談員 1 人が概ね 50 人
以下の医療保護入院者を担当
退院支援委員会
医療保護入院者退院支援委員会
開催日
審議結果
当該患者 1 人につき月 1 回以上
医療保護入院の推定入院期間を経過す
る時期の概ね 2 週間以内
会議の記録を作成し、その写しを診療
録に添付
・審議記録に記載して記録し、診療録に委
員会の開催日の日付を記録
・定期病状報告書に審議記録を添付
1)退院支援相談員
平成 26 年度改定では、精神療養病棟入院料の施設基準に、当該病棟の入院患者に対して
退院に向けた相談支援業務等を行う者(退院支援相談員)を、平成 26 年 4 月 1 日以降に精
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神療養病棟入院料算定病棟へ入院した入院患者 1 人につき 1 人以上指定し、当該保険医療
機関に配置することが追加されました。
退院相談支援員とは、当該病棟の入院患者に対して退院に向けた相談支援業務を行う者
であり、1 人の退院支援相談員が同時に担当する患者の数は 60 人以下で、退院支援相談員
が担当する患者の一覧を作成することになります。
退院支援相談員を担当する者は、①精神保健福祉士、②保健師、看護師、准看護師、作
業療法士又は社会福祉士として精神障害者に関する業務に従事した経験を 3 年以上有する
者となっており、改正精神保健福祉法に規定された退院後生活環境相談員の資格者と一部
異なっていることに注意が必要です。
退院支援相談員の業務内容としては、1)退院に向けた相談支援業務、2)退院支援員
会に関する業務、3)退院調整に関する業務となっています。
2)退院支援委員会
平成 26 年度改定では、精神療養病棟入院料の施設基準に、当該病棟の入院患者について
退院に向けた支援を推進するための委員会(退院支援委員会)を設置することが追加され
ました。
退院支援委員会の出席者は、①当該患者の主治医、②看護職員(当該患者を担当する看
護職員が出席することが望ましい)、③当該患者について指定された退院支援相談員、④
①~③以外の病院の管理者が出席を求める当該病院職員、⑤当該患者、⑥当該患者の家族
等、⑦相談支援事業者等の当該精神障害者の退院後の生活環境に関わるもの、となってお
り、改正精神保健福祉法に規定された医療保護入院者退院支援委員会と同じ内容となって
います。なお、⑤及び⑥については、必要に応じて出席することになります。⑦について
は、当該患者の同意を得ることが必要です。
退院支援委員会の開催は、当該患者 1 人につき月 1 回以上行うことになるため、改正精
神保健福祉法に規定された医療保護入院者退院支援委員会の開催方法とは異なっています。
退院支援委員会の開催に当たっては、会議の記録を作成し、その写しを診療録に添付す
ることが必要です。
(5)退院調整加算(平成 24 年度改定で新設)
平成24年度改定では、早期の地域移行を促進するため、精神療養病棟において退院支援
の部署を設置し、退院調整を行った場合の評価(精神療養病棟入院料の退院調整加算)が
新設されました。
精神療養病棟入院料算定病棟の入院患者の退院支援計画を作成し、退院支援部署による
退院調整を行った場合は、退院調整加算500点を退院時に算定することができます。
施設基準としては、病院内に退院支援部署を設置し、専従の精神保健福祉士及び専従す
る1人の従事者(看護師、作業療法士、精神保健福祉士、社会福祉士又は臨床心理技術者
のうちいずれか1名)を配置し、退院支援計画の作成等の退院調整を行うことが必要とな
ります。
なお、精神保健福祉士は、精神科地域移行実施加算の地域移行推進室と兼務することが
でき、退院支援部署と地域移行推進室は同一でも良いことになっています。
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(6) 重症者加算(平成22年度改定で新設)
平成 22 年度改定では精神療養病棟入院料 1,090 点は 1,050 点に引き下げられましたが、
重症度に応じた加算(重症者加算)1 日 40 点が新設されました。
平成24年度改定では、精神療養病棟入院料の重症者加算は2区分に見直され、平成24年度
改定前の重症者加算は重症者加算2となり40点から30点に引き下げられましたが、精神科救
急医療体制整備事業に協力している保険医療機関であって、算定する日にGAFスコアが
30以下の患者である場合は重症者加算1を1日60点算定することができます。
精神科救急医療体制整備事業に協力している保険医療機関とは、以下の施設基準の要件
を満たすことが必要となりますが、平成25年3月31日までは以下の要件を満たしているとの
経過措置があります。そのため、重症者加算1を算定する場合は、平成25年4月1日から精神科
救急医療体制の確保への協力状況などの届出が必要となります。
重症者加算1を届け出る場合は、当該医療機関又は当該医療機関の常勤の精神保健指定
医の届出前直近1年間の実績で以下の施設基準の(1)、(2)又は(3)のいずれかの要件を
満たすことが必要で、実績等については照会に対し速やかに回答できるように医療機関で
保管しなければなりません。
精神療養病棟入院料 重症者加算1の施設基準
当該病棟を有する保険医療機関が(1)(2)(3)のいずれかの要件を満たすこと。
精神科救急医療体制整備事業で以下のいずれかの該当施設であること。
(1)
●常時対応型精神科救急施設
●地域搬送受入対応施設
●身体合併症対応施設
●身体合併症後方搬送対応施設
精神科救急医療体制整備事業で以下のいずれかの該当施設で、①又は②の要件を満たすこと。
当該保険医療機関の時間外、休日又は深夜における入院件数が年4件以上であること。
①
(2)
①のうち、1件以上が以下施設からの依頼であること
・精神科救急情報センター ・救急医療情報センター ・都道府県 ・市町村 ・保健所
・警察 ・消防(救急車) ・救命救急センター ・一般医療機関等
当該保険医療機関の時間外、休日又は深夜における外来対応件数が年10件以上であること。
②
②のうち、以下の依頼の場合(夜間、休日又は深夜以外の依頼件数も含む)は日中の依頼件数も含まれる。
・精神科救急情報センター ・救急医療情報センター ・都道府県 ・市町村 ・保健所
・警察 ・消防(救急車) ・救命救急センター ・一般医療機関等
当該医療機関の常勤の精神保健指定医が、精神科救急医療体制の確保に協力していること。
具体的には、③又は④のいずれかに該当すること。
(3)
③
当該保険医療機関の常勤の精神保健指定医が、他医療機関で時間外、休日又は深夜の外来診療や、救
急医療機関で診療協力(外来、当直、対診等)を年6回以上行っていること。
当該保険医療機関の常勤の精神保健指定医が、都道府県等に協力し診察業務等を年1回以上行っている
④ 具体的には、都道府県に連絡等を登録し、都道府県の依頼による公務員の業務等に参画し、診察あるい
は業務を年1回以上行うこと。
※重症者加算1を届ける場合、当該保険医療機関又は当該保険医療機関の常勤の精神保健指定医の届出前直近1
年間の実績を記載し、(1)、(2)、(3)のいずれかの要件を満たすこと。実績等については、照会に対し速やかに回答
できるように医療機関で保管すること。
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(7)精神保健福祉士配置加算(平成26年度改定で新設)
精神保健福祉士
配置加算
当該病棟の全ての入院患者に対して、医師、看護師、作
業療法士、臨床心理技術者等の関係職種と共同で退院支
援計画を作成し、必要に応じて患者の居宅等を訪問し、
患者の希望を踏まえ、適切な保健医療サ-ビス又は福祉
サ-ビス等を受けられるよう、障害福祉サ-ビス事業
所、相談支援事業所等と連携しつつ、在宅療養に向けた
調整を行った場合に算定
+30点/日
施設基準
①当該病棟に専従の常勤精神保健福祉士を1名以上配置
②当該保険医療機関に退院支援部署を設置し、専従の常勤精神保健福祉士
を 1 名以上配置
③措置入院、鑑定入院、医療観察法入院で当該保険医療機関に入院となっ
た者を除いた当該病棟の入院患者のうち7割以上(精神病棟入院基本料算
定病棟は9割)が入院日から起算して1年以内に退院し、在宅へ移行
留意事項
・退院支援部署は退院調整加算又は精神科地域移行実施加算の退院支援部
署又は地域移行推進室と同一でも可
・本加算を算定した場合は、精神療養病棟入院料の退院調整加算(500 点/
退院時)、精神科地域移行実施加算(10 点/日)、精神科退院指導料(320
点/入院中 1 回)、精神科退院前訪問指導料(380 点/回、1 回の入院につ
き 3 回又は 6 回)の算定不可
慢性期の病棟では精神保健福祉士を配置することにより平均在院日数が短縮しているこ
とから、平成 26 年度改定では入院中の患者の早期退院を図るため、精神保健福祉士を精神
療養病棟入院料算定病棟に配置した場合の評価として精神保健福祉士配置加算が新設され
ました。精神保健福祉士配置加算の詳細については、29 ページに紹介している精神病棟入
院基本料の項目を参照ください。
(8)出来高算定が可能な項目
精神療養病棟入院料で、急性期の機能を担う精神科急性期治療病棟入院料等よりも包括
される範囲が広く、入院基本料等加算の精神科応急入院施設管理加算及び褥瘡ハイリスク
患者ケア加算、精神科身体合併症管理加算等と特掲診療料の手術、麻酔及び放射線治療は
算定することはできませんが、精神科地域移行実施加算、精神科救急搬送患者地域連携受
入加算、除外薬剤・注射薬に係る費用を算定することができます。非定型抗精神病薬加算
の詳細な内容については、精神科救急入院料の項目(P89)を参照ください。
つまり、出来高算定できる項目としては、精神療養病棟入院料の加算である精神保健福
祉士配置加算、非定型抗精神病薬加算、重症者加算、退院調整加算、入院基本料等加算で
ある臨床研修病院入院診療加算、地域加算、離島加算、精神科措置入院診療加算、精神科
地域移行実施加算、医療安全対策加算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、
精神科救急搬送患者地域連携受入加算及びデータ提出加算、特掲診療料では精神科専門療
法の他、除外薬剤・注射薬に係る費用となっています。
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6.認知症治療病棟入院料
項
点
数
目
30日以内
31日以上60日以内
61日以上
対象先
病院勤務
病棟専従勤務
看護職員数(常時)※2
看護補助者数(常時)※2
夜勤帯の職員数
1 看護単位
病棟床面積
廊下の形式
生活機能回復訓練室
生活機能回復訓練
認知症治療病棟入院料1
認知症治療病棟入院料2
1,809点
1,316点
1,501点
1,111点
1,203点
987点
精神科を標榜している病院(保険医療機関)
精神科医師 1 名
専従の精神保健福祉士又は専従の臨床心理技術者が 1 名以上
作業療法士 1 名以上
作業療法士 1 名以上
(経験を有する看護師可 ※1)
20:1以上(2 割以上看護師)
30:1以上(2 割以上看護師)
25:1以上
・看護職員 2 名以上
(補助者が行う場合 1 名は看護職員)
・看護補助者 2 名以上
看護職員 1 名以上
(看護職員が行う時は2から看護職員
数を減じた数)
概ね 40~60 床
概ね 60 床を限度
内法18m2以上(管理部分を除く) *1
デイルーム等の共有空間がある等
規定なし
高齢者の行動しやすい廊下
内法60m2以上 *2
患者 1 人 1 日 4 時間、週 5 回
・全ての患者に生活機能回復訓練等を行う
・医師の指導下、作業療法士、看護師、精神保健福祉士により集中的に行う
・治療計画に基づいて行い、定期的な評価を行なう等計画的治療を行う
・実施内容の要点及び実施に要した時間を診療録等に記載
+300点/退院時
退院調整加算
・認知症治療病棟の 6 ヶ月以上の入院患者に対して退院支援計画を作成し、退院支援
部署による退院調整を行った場合に算定
・医療機関内に退院支援部署を設置し、専従の精神保健福祉士及び専従する 1 人の
従事者(看護師、作業療法士、精神保健福祉士、社会福祉士又は臨床心理技術者の
いずれか)が勤務
+84/日
認知症夜間対応加算
その他の項目
入院日から 30 日以内で、かつ、夜間に看護補助者を配置し、夜勤を行う看護要員が
3人以上(看護職員が夜勤を行う場合は、3 から看護職員の数を減じた数以上)の場合
デ-タ提出加算、リハビリテ-ション総合計画評価料、認知症患者リハビリテ-ション
料、精神科救急搬送患者地域連携受入加算、地域連携認知症集中治療加算、患者
サポート体制充実加算、感染防止対策加算、精神科身体合併症管理加算、医療安全
対策加算、臨床研修病院入院診療加算、地域加算、離島加算、精神科措置入院診療
加算、精神科専門療法、人工腎臓(入院日から 60 日以内)並びに除外薬剤・注射薬以
外は当該入院料に含まれる
急性期の集中的な治療を要する精神症状及び行動異常が特に著しい重度の認知症疾患の患者
ADL にかかわらず認知症に伴う幻覚、妄想、夜間せん妄、俳徊、弄便、異食等の症状
が著しく看護が困難な患者
同一保険医療機関内に認知症治療病棟入院料 1 と 2 を混在不可
※1作業療法士が週1回以上患者の作業療法の評価を行った場合
102
※2最小必要数の半数以上は精神科病棟勤務経験者
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(1)認知症治療病棟入院料の概要
認知症治療病棟入院料を算定するためには、厚生労働大臣が定める施設基準に適合する
ことが必要で、「1」と「2」は看護職員の人員配置で区分されています。つまり、医療法上
の看護職員の人員配置標準[入院患者に対して常時 20:1以上]を満たしていれば「1」
に、
〔入院患者に対して常時 30:1以上〕であれば「2」に区分され、入院後 30 日以内、31
日以上 60 日以内と 61 日以上で算定点数が異なります。
平成 20 年度改定では、入院対象となる患者が老人に限られないことや医療の内容が患者
等に分かりやすくするために名称が認知症病棟入院料に改められ、平成 22 年度改定では、
認知症に対する入院医療は、認知症の行動・心理症状(BPSD)や身体合併症等への対
応などが重要であることから、入院期間の区分が「90 日以内」「91 日以上」から「60 日以
内」
「61 日以上」に見直され、手厚い対応が特に必要な入院早期の評価が引き上げられると
ともに認知症病棟入院料の名称が認知症治療病棟入院料に改められました。
平成24年度改定では、認知症の行動・心理症状(BPSD)の改善に入院日から概ね1ヶ
月程度の治療が重要であることを踏まえ短期集中的な認知症治療の推進を図るため、入院
日数に応じた3区分(30日以内、31日以上60日以内、61日以上)の評価体系に見直し、入院30
日以内の評価が引上げられましたが、入院61日以降の評価が引下げられました。
平成26年度改定では、消費税率引上げに伴う医療機関等の課税仕入れにかかるコスト増
への対応分として本体報酬が約2.7%上乗せされ、入院基本料等加算であるデータ提出加算
と平成26年度改定で新設された特掲診療料「リハビリテーション」の認知症患者リハビリ
テーション料、リハビリテーション総合計画評価料が算定可能となりました
(2) 対象患者
認知症治療病棟入院料は、急性期の集中的な治療を要する精神症状及び行動異常が特に
著しい重度の認知症疾患患者、つまり、ADLにかかわらず認知症に伴う幻覚、妄想、夜
間せん妄、俳徊、弄便、異食等の症状が著しく看護が困難な患者が対象となっています。
(3) 主な施設基準
精神科を標榜している病院(保険医療機関)に精神科医師及び専従する精神保健福祉士
又は専従する臨床心理技術者がいずれか1人以上、当該病棟に専従の作業療法士を 1 名以
上配置することが必要です。当該病棟に勤務する看護職員の最小必要数の半数以上は、精
神病棟に勤務した経験を有する看護職員で、精神療養病棟入院料と同様に看護師比率は看
護師数が看護職員数の 2 割以上であり、当該病棟に勤務する看護補助者数は入院患者に対
して常時 25 対 1 以上で、最小必要数の半数以上は、精神病棟に勤務した経験を有する看護
補助者であることが必要となります。
当該病棟における1看護単位は、概ね 40~60 床が上限であり、当該病棟の患者1人当た
りの面積は、内法による測定で 18 平方メートル(管理部分を除く。)*1を標準としていま
す。また、認知症治療病棟入院医療を行うにふさわしい、内法による測定で広さ 60 平方メ
ートル以上の専用の生活機能回復訓練室を有し、当該病棟に入院しているすべての患者に
対して、生活機能回復訓練等を行うことが必要となります。
病室や機能訓練室等の面積の測定に当たっては、一部の基準について、壁芯または内法
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により行うのか不明確であったため、施設基準に規定された室内面積や廊下幅の算出にあ
たっては、壁芯ではなく内法による測定に統一し、平成27年4月1日より適用されました。
平成27年4月1日以降に新規に届け出た場合は、内法による測定で面積基準等を満たすこ
とが必要となります。廊下幅は、柱等の構造物(手すりを除く)も含めた最も狭い部分に
おいて基準を満たすことが要件となります。
ただし、平成26年3月31日までに届け出た場合は、壁芯による測定であっても、平成27年
4月1日以降も当該病棟の増築又は全面的な改築を行うまでの間に限って有効なものとして
取扱われます。
なお、平成20年3月31日時点で特殊疾患療養病棟入院料2を算定している病棟から移行し
た場合は以下のような経過措置が設けられています。
【平成 20 年 3 月 31 日時点で特殊疾患療養病棟入院料2を算定している病棟から移行した場合】
*1 当分の間、内法による測定で 16 ㎡(治療室、機能訓練室、浴室、廊下、デイルーム、食堂、面会室、
ナースステーション、便所等の面積含む。)であっても可
*2 内法による測定で広さ 60 ㎡以上の専用の生活機能訓練室とは、当分の間、代用的に生活機能回復
訓練等が行える場所(ディルーム等)でも可
(4) 夜間勤務体制
認知症病棟入院料1の夜間勤務帯には、看護職員は 2 名以上(看護補助者が行う場合は 1
名は看護職員)、看護補助者は 2 名以上(看護職員が夜勤を行う場合は 2 から看護職員数を
減じた数以上)の配置が必要です。
また、認知症病棟入院料 2 の夜勤勤務帯には看護職員 1 名以上の配置が必要となります。
(5) 認知症夜間対応加算(平成24年度改定で新設)
平成24年度改定では、認知症治療病棟入院料算定病棟で、夜間に手厚い体制で看護を行
っている場合の評価が新設されました。夜間に看護補助者を配置し、夜勤を行う看護要員
が3人以上(看護職員が夜勤を行う場合は、3から看護職員の数を減じた数以上)の場合は、
入院した日から起算して30日を限度として認知症夜間対応加算を1日84点算定することが
できます。
(6) 退院調整加算(平成22年度改定で新設)
認知症の入院に関しては、在宅あるいは介護保険との連携が非常に重要で、平成 22 年度
改定では認知症にかかわるネットワークの体制整備を進めていくため、退院調整加算が新
設されました。
平成24年度改定では早期退院を推進するため、退院調整加算の要件に認知症患者の退院
支援のための部署の設置を追加するとともに評価が200点引き上げられました。
認知症治療病棟入院料算定病棟に6ヶ月以上入院している患者の退院支援計画を作成し、
退院支援部署による退院調整を行った場合は、退院調整加算300点を退院時に算定すること
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ができます。
なお、施設基準は、精神療養病棟入院料の退院調整加算の施設基準と同じ内容に見直さ
れています。
(7)出来高算定が可能な項目
認知症治療病棟入院料は、精神療養病棟入院料と異なる点は非定型抗精神病薬加算や精
神科地域移行実施加算を算定することはできませんが、精神科身体合併症管理加算を算定
することができます。平成 24 年度改定では 精神科救急搬送患者地域連携受入加算、地域
連携認知症集中治療加算、患者サポート体制充実加算、感染防止対策加算や特掲診療料「処
置」の「入院後 60 日以内の人工腎臓(透析)」を、平成 26 年度改定ではデータ提出加算や
特掲診療料「リハビリテ-ション」のリハビリテ-ション総合計画評価料、認知症患者リハ
ビリテ-ション料が新たに算定可能となりました。
つまり、出来高算定できる項目としては、認知症治療病棟入院料の加算である退院調整
加算及び認知症夜間対応加算、入院基本料等加算である臨床研修病院入院診療加算、地域
加算、離島加算、精神科措置入院診療加算、精神科身体合併症管理加算、医療安全対策加
算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、精神科救急搬送患者地域連携受入加
算、地域連携認知症集中治療加算、データ提出加算、特掲診療料では「リハビリテーショ
ン」のリハビリテ-ション総合計画評価料、認知症患者リハビリテ-ション料、「精神科専門
療法」に係る費用、
「処置」の人工腎臓(入院した日から起算して 60 日以内の期間に限る。)
並びに除外薬剤・注射薬に係る費用を算定することができます。
なお、リハビリテ-ション総合計画評価料、認知症患者リハビリテ-ション料については、
第 8 章特掲診療料「リハビリテーション、検査」の「リハビリテーション」の項目(241 ペ
ージ)を参照ください。
(8) 留意すべき事項
生活機能回復のための訓練および指導を、生活機能回復訓練質等で患者 1 人当たり 1 日 4
時間、週 5 回行いますが、実施内容の要点及び実施に要した時間を診療録等に記載するこ
とが必要です。
また、同一保険医療機関内に認知症治療病棟入院料 1 と 2 を算定する病棟を混在するこ
とはできません。
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7.特殊疾患病棟入院料2
項目
特殊疾患病棟入院料1
特殊疾患病棟入院料2
点 数
2,008点
1,625点
対象患者
対象病棟
重度の肢体不自由児(者)(日常生活自立度のランクB以上
脊髄損傷等の重度障害者(脳卒中の後遺症の
に限る)等の重度の障害者(ただし、脊髄損傷等の重度障害
患者及び認知症の患者を除く。)、重度の意識障
者、筋ジストロフィー患者、神経難病患者、脳卒中の後遺症
害者、筋ジストロフィー患者又は神経難病患者
の患者及び認知症の患者を除く)
以下のいずれかの基準を満たす一般病棟又は精神病棟
・肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、国立高度専門
医療研究センター、独立行政法人国立病院機構設置の医
療機関で、厚生労働大臣の指定する医療機関
対象患者を概ね8割以上入院させる一般病棟
対象患者を概ね8割以上入院させる一般病棟又は精神病棟
人工呼吸器使用加算 +600点/日
(対象患者が1日5時間超の体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合)
加算
重症児(者)受入連携加算 + 2,000点/入院初日
(他の保険医療機関で新生児特定集中治療室退院調整加算1又は2を算定した患者を受け入れた場合 )
病棟勤務
専任の医師が常勤
看護職員数
常時 20:1 以上(2割以上が看護師)
看護補助者数
常時 20:1以上
日勤時間帯以外
の職員数
常時 看護要員(看護師、准看護師、看護補助者)2人以上
ただし、1名以上は看護職員
病棟床面積/患者1人
16㎡以上(治療室、機能訓練室、浴室、廊下、デイルーム、食堂、面会室、ナースステーション、便所等の面積を含む)
留意事項
デ-タ提出加算、臨床研修病院入院診療加算、超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算、
地域加算、離島加算、医療安全対策加算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、退院調整加算並び
に救急搬送患者地域連携受入加算(一般病棟に限る。)並びに除外薬剤・注射薬以外の費用は含まれる
(1)特殊疾患病棟入院料 2 の概要
平成 20 年 3 月 31 日に廃止予定であった特殊疾患療養病棟入院料及び特殊疾患入院医療
管理料は、期待される役割があることから改定後も存続することになり、特殊疾患療養病
棟入院料の名称が特殊疾患病棟入院料に名称が変更となりました。ただし、認知症の患者
及び脳卒中の後遺症患者は対象外となりました。
特殊疾患病棟入院料2の対象患者は、重度の肢体不自由児(者)(日常生活自立度のラン
クB以上に限る)等の重度の障害者となりますが、脊髄損傷等の重度障害者、筋ジストロ
フィー患者、神経難病患者、脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者は対象外です。
対象病棟は、対象患者を概ね 8 割以上入院させる精神病棟又は一般病棟であり、対象患
者が対象病棟に入院した場合に特殊疾患病棟入院料 2 を算定することができます。
平成 26 年度改定では消費税率引上げに伴う医療機関等の課税仕入れにかかるコスト増へ
の対応分として本体報酬が 2.8%上乗せされています。
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(2)主な施設基準
特殊疾患治療病棟入院料 2 の算定病棟は、看護職員及び看護補助者の数が入院患者に対し
て各々常時 20:1以上で、看護職員数の 2 割以上が看護師となります。夜勤を行う看護職
員及び看護補助者の数は 2 人以上で 1 名以上は看護職員であることが必要です。
また、当該病棟に専任の医師が常勤し、当該病棟に係る病棟床面積は内法による測定で
患者1人につき 16 平方メートル以上となりますが、病棟床面積の算定に当たっては当該病
棟内にある治療室、機能訓練室、浴室、廊下、デイルーム、食堂、面会室、ナースステー
ション、便所等の面積を算入することができます。
(3) 特殊疾患病棟入院料の加算
1)人工呼吸器使用加算
1日5時間を超えて体外式陰圧人工呼吸器を使用した場合は、人工呼吸器使用加算を1日
600点算定することができます。人工呼吸器使用に際しての酸素及び窒素の費用は、「酸素
及び窒素の価格」の定めに基づき算定することができます。
2)重症児(者)受入連携加算
他の保険医療機関で新生児特定集中治療室退院調整加算1又は2を算定した患者を特殊疾
患病棟で受け入れた場合は、重症児(者)受入連携加算を入院初日に2,000点を算定するこ
とができます。
(4)退院調整加算(入院基本料等加算)
退院困難な要因を有す
イ
30日以内
+800点(特定地域:+400点)
ロ
31日以上90日以内
+600点(特定地域:+300点)
ハ
91日以上120日以内
+400点(特定地域:+200点)
ニ
121 日以上
+200 点(特定地域:+100 点)
る在宅での療養を希望
退院調整加算2
(入院基本料等加算)
する特殊疾患病棟入院
料算定病棟の入院患者
に対して、退院調整を行
っ た 場 合 は、入 院 期 間
に応じ退院時1回算定
平成24年度改定では、効果的な退院調整を行うため、入院基本料等加算である慢性期病
棟等退院調整加算及び急性期病棟等退院調整加算は退院調整加算1及び2に再編され、入院
期間に応じた評価となりました。退院調整加算を算定するためには、退院困難な要因を有
する者を7日以内に抽出し、できるだけ早期に患者家族と退院後の生活について話し合い7
日以内に退院支援計画の作成に着手することが必要となりました。
平成26年度改定では、医療資源の少ない地域(特定地域:55ページ参照)における看護
師又は社会福祉士等の専従要件を専任に緩和した評価が新設されました。
退院困難な要因を有する在宅での療養を希望する特殊疾患病棟入院料算定病棟の入院患
者に対して、退院調整を行った場合は、入院期間に応じ退院調整加算2「30日以内 800点(特
定地域400点)、31日以上90日以内 600点(特定地域300点)、91日以上120日以内 400点(特定
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地域200点)、121日以上 200点(特定地域100点)」を退院時1回算定することができます。
ただし、この加算(入院基本料等加算)の対象は、特殊疾患病棟入院料や特殊疾患入院医
療管理料等であり、精神病棟入院基本料や精神療養病棟入院料等の精神科に関連する特定入
院料では算定することはできません。
ア 悪性腫瘍、認知症又は誤嚥性肺炎等の急性呼吸器感染症のいずれかであること
イ 緊急入院であること
ウ 介護保険が未申請の場合
(特定疾病を有する40歳以上65歳未満の者及び65歳以上の者に限る。)
エ 入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること
退院困難な要因
(必要と推測されること)
オ 排泄に介護を要すること
カ 同居者の有無にかかわらず、必要な介護を十分に提供できる状況にないこと
キ 退院後に医療処置(胃瘻等の経管栄養法を含む)が必要なこと
ク 入退院を繰り返していること
ケ その他患者の状況から判断してアからクまでに準ずると認められる場合
病院の場合は、以下の基準をすべて満たしていること。
イ 当該保険医療機関内に、退院調整・支援に関する部門を設置
施 設 基 準
ロ 当該部門に退院調整に係る業務に関する十分な経験を有する専従の看護師
又は専従の社会福祉士を配置
ハ 専従の看護師が配置されている場合は専任の社会福祉士を、専従の社会福祉士
が配置されている場合は専任の看護師を配置
病院における施設基準としては、入院患者の退院の調整・支援に関する部門が設置され
ており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は社会福祉士を1名以上配置し、
専従の看護師が配置されている場合は専任の社会福祉士を、専従の社会福祉士が配置され
ている場合は専任の看護師を配置していることが必要です。ただし、特殊疾患病棟入院料 2
(精神病棟に限る)を算定する病棟の患者に対して退院調整を行う場合は社会福祉士に代
えて精神保健福祉士の配置であっても可能となっており、
「特定地域」では専任の看護師及
び専任の社会福祉士が配置されていればよく、専従である必要はありません。「特定地域」
については、55 ページを参照ください。
(5)出来高算定が可能な項目
入院基本料等加算である臨床研修病院入院診療加算、超重症児(者)入院診療加算・準
超重症児(者)入院診療加算、地域加算、離島加算、医療安全対策加算、感染防止対策加
算、患者サポート体制
充実加算、退院調整加算、救急搬送患者地域連携受入加算(一般病棟に限る)、データ
提出加算並びに除外薬剤・注射薬以外の費用は特殊疾患病棟入院料に含まれ算定すること
はできません。
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8.児童・思春期精神科入院医療管理料(平成24年度改定で新設)
児童・思春期精神科入院医療管理料
点 数
病棟常勤
2,957点/日
児童・思春期精神科入院医療管理加算(入院基本料等加算)を廃止し、
児童・思春期精神科入院医療管理料(特定入院料)を新設(平成24年度改定)
・小児医療及び児童・思春期の精神医療の経験を有する医師2名以上(うち1名は精神保健指定医)配置
・専従の精神保健福祉士及び臨床心理技術者をそれぞれ1名以上配置
看護職員数
(常時)
看護師10:1以上
夜勤帯の職員
看護師 2人以上
対象患者
20歳未満の精神疾患を有する患者
(精神作用物質による精神及び行動の障害並びに知的障害の患者を除く)
精神科を標榜する病院
精神病棟 単位
治療室 単位(精神病床に係るもの)
病床は30床以下
特になし
浴室、廊下、デイルーム、食堂、面会室、便所、学習室を当該病棟の他の治療
室とは別に設置
病院内に学習室を設置
算定要件
直近1ヶ月間の入院患者の概ね8割以上が20歳未満の精神疾患を有する患者であること
医師、看護師、精神保健福祉士及び臨床心理技術者等が協議の上詳細な診療計画が作成され、保護者等に交付し十分
な説明を行う。診療計画の写しを診療録に添付すること
保護者、学校関係者等に対して面接相談等適切な指導を行うこと
医療法標準以上の医師、看護師、准看護師が配置されていること
算定要件に該当しない患者が当該病棟又は治療室に入院した場合は、精神病棟入院基本料の特別入院基本料を算定
留意事項
【包括対象外項目】臨床研修病院入院診療加算、地域加算、離島加算、強度行動障害入院医療管理加算、摂食障害入院
医療管理加算、医療安全対策加算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、救
急搬送患者地域連携受入加算、精神科救急搬送患者地域連携受入加算及びデータ提出加算並びに投薬、注射、手術、
麻酔及び病理診断・判断料
(1)児童・思春期精神科入院医療管理料の概要
平成 24 年度改定前は、小児病院と精神科病院とで小児の精神科入院医療の評価が制度上
異なっていたことから、小児の精神科入院医療が小児病院、精神科病院で適切な評価とな
るよう、精神病棟入院基本料及び小児入院医療管理料 5 の入院基本料等加算であった児童・
思春期精神科入院医療管理加算が廃止され、特定入院料である児童・思春期精神科入院医
療管理料が新設されました。
平成 26 年度改定では消費税率引上げに伴う医療機関等の課税仕入れにかかるコスト増へ
の対応分として本体報酬が 1.6%上乗せされています。
児童・思春期精神科入院医療管理料を算定する病棟又は治療室は、児童及び思春期の精
神疾患患者に対して、家庭及び学校関係者等との連携も含めた体制の下に、医師、看護師、
精神保健福祉士及び臨床心理技術者等による集中的かつ多面的な治療が計画的に提供され
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る病棟又は治療室となります。対象患者は、20歳未満の精神疾患を有する患者(精神作用
物質使用による精神及び行動の障害の患者並びに知的障害の患者を除く)です。
(2)算定方法
児童・思春期精神科入院医療管理料を算定するためには、厚生労働大臣が定めた施設基
準に適合し、地方厚生(支)局長に届け出た病棟又は治療室に入院している 20 歳未満の精神
疾患を有する患者の詳細な診療計画を、医師は看護師、精神保健福祉士及び臨床心理技術
者等と協力し保護者と協議の上作成し保護者等に説明の上交付するとともに、その写しを
診療録に添付することが必要です。なお、保護者、学校関係者等に対して面接相談等適切
な指導を適宜行うことが必要です。また、算定要件に該当しない患者が当該病棟又は治療
室に入院した場合は、精神病棟入院基本料の特別入院基本料を算定することになります。
(3)施設基準
施設基準としては、当該病棟又は治療室に小児医療及び児童・思春期の精神医療の経験
を有する常勤の医師を 2 名以上(精神保健指定医を 1 名以上)、看護師を常時 10:1 以上、
夜勤帯に看護師 2 人以上の配置や、直近 1 ヶ月間の入院患者数の概ね 8 割以上が 20 歳未満
の精神疾患を有する患者であること等が必要です。児童の修学環境を整備する必要性から、
学習室を設置することが必要で、届け出を行う時点で確認できる平面図を添付することに
なります。治療室単位で算定する場合は、精神病棟単位で算定する場合の病床数は 30 床以
下で浴室、廊下、デイルーム、食堂、面会室、便所、学習室を当該病棟の他の治療室とは
別に設置することが必要となります。
(4)出来高算定可能な項目
児童・思春期精神科入院医療管理料は特定入院料であるため、包括評価となりますが、
出来高算定できる主な項目としては臨床研修病院入院診療加算、地域加算、離島加算、強
度行動障害入院医療管理加算、摂食障害入院医療管理加算、医療安全対策加算、感染防止
対策加算、患者サポート体制充実加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、救急搬送患者地域
連携受入加算、精神科救急搬送患者地域連携受入加算及びデータ提出加算並びに投薬、注
射、手術、麻酔及び病理診断・判断料となっています。
児童・思春期精神科入院医療管理料は、精神病棟入院基本料の入院基本料等加算であっ
た児童・思春期精神科入院医療管理加算とは異なり、精神科専門療法が包括対象となるた
め、入院精神療法等は算定することはできません。そのため、精神科専門療法の入院精神
療法における児童・思春期精神科入院医療管理加算算定患者に対する加算が平成 24 年度改
定で廃止されました。
(5) 留意すべき事項
また、児童・思春期精神科入院医療管理料を算定する病院は、医師及び看護職員の数が
医療法標準人員以上配置することが必要となります。
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9.救命救急入院料の加算(救命救急センターを有する病院の一般病棟が対象)
厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機
救命救急入院料
関で、重篤な患者に救命救急医療が行われた場合に、当該基準の区分に従い、14 日
を限度として算定
●救急医療等で自殺企図の患者等に対する精神科医が行なう診
療の評価(精神科リエゾンに対する評価)
加
算
救命救急センターに搬送された自殺企図等による重篤な患者に、
+3,000点
精神疾患を有する患者又は家族等からの情報等に基づいて、精神
(最初の診療時)
保健指定医(自院以外の精神保健指定医を含む)又は自院の常
勤の精神科医が当該患者の診断・治療等を行った場合
急性薬毒物
1
中毒加算
2
急性薬毒物中毒患者の原因物質等について、日本中毒学会
+5,000点
によるガイドラインに基づいた機器分析を自院で行った場合
(入院初日)
急性薬毒物中毒患者の原因物質等について、機器分析以外
の検査を自院で行った場合
+350点
(入院初日)
(1) 救急医療等で自殺企図の患者等に対する精神科医が行なう診療に対する評価
平成 20 年度改定では、救命救急入院料の加算として救急医療等で自殺企図の患者等に対
する精神科医が行なう診療に対する評価が新設されました。対象となる精神疾患とは、統
合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)
、心因反応、
児童・思春期精神疾患、人格障害又は精神症状を伴う器質性障害等が該当します。
救命救急入院料に設けられている自殺企図等による重篤な患者への精神科救急診療に対
する加算は自院の精神保健指定医が診察を行った場合のみ算定することができましたが、
平成24年度改定で自院以外の精神保健指定医や自院の精神保健指定医以外の精神科医でも
算定することが可能となりました。そのため、対象は救命救急センターに搬送された自殺
企図及び自傷等により入院が必要な重篤な患者であって、精神疾患を有する患者又は家族
に対して、精神保健指定医(自院以外の精神保健指定医を含む。)又は自院の常勤の精神
科医が患者又は家族等からの情報等に基づいて、精神疾患の診断・治療等を行った場合は、
最初の診察時に救命救急入院料の所定点数に3,000点を加算することができます。
(2) 急性薬毒物中毒加算
平成26年度改定では、救命救急入院料における急性薬毒物中毒患者の評価(急性薬毒物
中毒加算)について、基準が不明確であることから評価を見直すとともに、算定可能な施
設を拡大し、自殺対策を含めた救急医療の推進が図られました。
急性薬毒物中毒加算1は、急性薬毒物中毒(催眠鎮静剤、抗不安剤による中毒を除く。)
が疑われる患者(急性薬物患者)の原因物質について、日本中毒学会が作成する「急性中
毒標準診療ガイド」における機器分析法に基づく機器分析を当該保険医療機関において行
い、必要な救命救急管理を実施した場合は、入院初日に5,000点を所定点数に加算すること
ができます。
平成26年度改定で新設された急性薬毒物中毒加算2は、急性薬毒物中毒患者の原因物質等
について、機器分析以外の簡易な検査を当該保険医療機関において行い、必要な救命救急
111
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管理を実施した場合は、入院初日に350点を所定点数に加算することができます。また、算
定可能な対象施設を高度救命救急センターだけでなく救命救急センターに拡大されました。
Ⅱ.短期滞在手術等基本料3
短期滞在
手術等
基本料3
短期滞在手術等基本料3は、4泊5日までの入院による手術及び検査を行うための環境及
び当該手術を行うために必要な術前・術後の管理や定型的な検査、画像診断等を包括的
に評価 ( 診療所は対象外 )
包括範囲を全診療報酬点数とし、入院 5 日目までに該当手術・検査を実施した患者(特別
入院基本料及び月平均夜勤時間超過減算を算定する場合を除く。)は、他の手術・検査を
実施した患者を除き、短期滞在手術等基本料 3 を算定(点数は手術、検査ごとに設定)
算定方法
「1」 携帯用装置を使用した場合
D237
終夜睡眠
ポリグラフィ-
「2」 多点感圧センサ-を有する睡眠評価装置を使用
した場合
「3」 1及び2以外の場合
留意点
16,773 点
9,383 点
9,638 点
本点数のみを算定した患者は平均在院日数の計算対象から除く
平成26年度改定では、短期滞在手術基本料の名称を短期滞在手術等基本料と改め、一定
程度治療法が標準化し、短期間で退院可能な検査・手術が存在していることを踏まえて、
短期滞在手術基本料3の対象の手術(2種類)を拡大するとともに、一部の検査(終夜睡眠
ポリグラフィ-等)についても短期滞在手術等基本料3の対象(21種類)となりました。
包括範囲を全診療報酬点数とし、入院5日目までに該当手術・検査を実施した患者(特別
入院基本料及び月平均夜勤時間超過減算を算定する場合を除く。)は、他の手術・検査を実
施した患者を除き、短期滞在手術等基本料3を算定することになります。
例えば、終夜睡眠ポリグラフィ-(D237)が短期滞在手術等基本料3の対象検査になっ
たため、携帯用装置を使用した場合は終夜睡眠ポリグラフィ-「1」として16,773点を、
多点感圧センサ-を有する睡眠評価装置を使用した場合は終夜睡眠ポリグラフィ-「2」と
して 9,383点を、終夜睡眠ポリグラフィ-「1」及び「2」以外の場合は、終夜睡眠ポリグ
ラフィ-「3」として9,638点を、算定することになります。
ただし、終夜睡眠ポリグラフィ-の「1」及び「2」については、これらの検査が原則と
して入院で実施されるべきものではないことから、急性冠症候群や急性脳血管障害等の緊
急入院であって、可及的に睡眠時無呼吸症候群の検査を実施する必要がある場合等、その
必要性について医学上の特別な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること
が必要です。
なお、入院6日目以降は通常の診療報酬を算定しますが、入院5日以内に他の保険医療機
関に転院した場合は、当該医療機関及び転院先の医療機関ともに、短期滞在手術等基本料3
を算定することはできません。診療所は入院料等が病院と異なること、診療所に関するデ
ータが存在しないため、短期滞在手術等基本料3は算定せず、出来高で算定します。また、
本点数のみを算定した患者は平均在院日数の計算対象から除かれます。
終夜睡眠ポリグラフィ-(D237)については、第8章特掲診療料「リハビリテ-ション、
検査」の「検査」の項目(249ページ)を参照ください。
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Ⅲ.入院中の患者の対診及び他医療機関受診の取扱い
1.入院中の患者の対診について
【 原 則 】
他医療機関での診察の必要性が生じた場合は、転医又は対診を求めること。
入院医療機関
○ 算定可能
× 算定不可 - 想定外
対診医療機関
包括部分
包括外部分
―
診療行為に係る費用
○
※1
初・再診料/往診料
―
○
対
初・再診料/往診料
出来高病棟
診
対
×
※1
診
特定入院料等
算定病棟
(DPC対象病
院を含む)
診療行為に係る費用
×
※2
○
○
※1
×
※1
※1 A 医療機関からB 医療機関に合議で精算
※2 DPC対象病院は、対診医療機関が提供する診療行為を含めて診断群分類等を決定
入院患者が、当該入院の原因となった傷病以外の傷病に罹患し、他医療機関での診察の
必要性が生じた場合は、転医又は対診を求めることが原則となっています。
出来高病棟では、立合診療(対診)を求められて診療を行った他医療機関(対診医療機
関)は初・再診料及び往診料を算定することができますが、診療行為に係る費用は当該患
者が入院している医療機関(入院医療機関)が算定し、入院医療機関から対診医療機関に
合議の上で精算することになります。
また、特定入院料等(DPC対象病院を含む)を算定している病床では対診医療機関が
初・再診料及び往診料を算定することができますが、包括外の診療行為に係る費用は入院
医療機関が算定し、入院医療機関から対診医療機関に合議の上で精算することになります。
平成 22 度改定では診療報酬上の取扱いに変更はありませんが、定期的又は計画的に行わ
れる対診の場合は往診料を算定することができない旨が追加され、対診時に算定できる往
診料は臨時的な場合に限られることが明確化されました。
また、DPC対象病院は、当初特定機能病院に導入されたため、いわゆる総合病院の中
でも高度な医療を行う総合的な病院との考え方から対診等に関しては想定されていなかっ
た現状があります。ところが、DPC対象病院の特性は変わってきており、ケアミックス
病院も対象となっているため、平成 22 年度改定では特定入院料算定病床と同様に整理され
ました。DPC対象病院は、対診医療機関の実施した診療行為を含めて診断群分類等を決
定することになります。
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2.入院中の患者の他科医療機関への受診について
入院医療機関(入院患者)
30%減額
入院基本料等
■精神病棟入院基本料、結核病棟入院
算定病棟
基本料又は有床診療所入院基本料の算
(出来高算定) 定患者が、透析又は共同利用を進めて
他医療機関(外来)
15%減額
診療行為に係る費用
を算定
55%減額
特定入院料等に含まれる
診療行為に係る費用を
算定する場合
15%減額
特定入院料等に含まれる
診療行為に係る費用を
算定しない場合
いる検査で、他医療機関を受診した場合
70%減額
■精神科救急入院料、精神科急性期治
療病棟入院料、精神科救急・合併症入院
料、児童・思春期精神科入院医療管理料、
精神療養病棟入院料又は認知症治療病
棟入院料の算定患者が、透析又は共同
特定入院料等 利用を進めている検査で他医療機関を
受診した場合
算定病棟
(包括病棟) ( 認知症治療病棟入院料の算定患者が
透析で、他医療機関を受診した場合は、
入院日61日以上が対象 )
30%減額
■認知症治療病棟入院料の算定患者が
透析で、他医療機関を受診した場合(入
院日から60日以内が対象)
DPC対象病院が他医療機関で行った診療行為の費用(初・再診料)あ
DPC対象病棟 るいは包括外部分の診療行為に係る費用を全て算定し、入院医療機
算定不可
関が外来医療機関に合議の上で精算
※ 「共同利用を進めている検査」とは、PET、光トポグラフィー又は中枢神経磁気刺激による誘発筋電図検査
(1)入院中の患者の他医療機関受診の取扱い
入院中の患者に対して、当該医療機関(入院医療機関)で診療を行うことができない専
門的な診療が必要となった等のやむを得ない場合に限って、入院中の患者が他医療機関(外
来医療機関)を受診した場合に、他医療機関において当該診療に係る費用を算定すること
ができます。
なお、平成 22 年度改定では、算定要件であった「入院医療機関に専門的な診療科がない
場合に限って」が「当該医療機関(入院医療機関)で診療を行うことができない専門的な
診療が必要となった等のやむを得ない場合に限って」に変更され、算定要件が一部緩和さ
れています。
入院中の患者が他医療機関(外来医療機関)を受診する場合には、外来医療機関に対し
て診療に必要な診療情報(算定入院料及び必要な診療科を含む。)を文書により提供すると
ともに、診療録にその写しを添付することが必要です。なお、これらに要する費用は入院
医療機関が負担することになります。
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(2)入院医療機関の取扱い
入院中の患者が他医療機関を受診した場合の取扱いについては、診療報酬上で包括評価
されている特定入院料算定病棟の入院患者のみが対象となっていましたが、平成 22 年度改
定で出来高算定(入院基本料等)病棟及びDPC算定病棟の入院患者も対象となりました。
平成24年度改定では、病棟の特徴から他医療機関受診の必要性がやむを得ないと考えら
れる精神病床、結核病床、有床診療所に入院中の患者が透析や共同利用をすすめている検
査のため他の医療機関を受診する場合の評価が見直されました。
1)出来高病床(入院基本料等算定病床)の入院患者
出来高算定である精神病棟入院基本料・特定機能病院入院基本料(精神病棟)算定病棟
に入院中の患者が他の医療機関を受診した場合は平成22年度改定で精神病棟入院基本料・
特定機能病院入院基本料(精神病棟)の本体報酬を30%減額した点数を算定することにな
りましたが、平成24年度改定で透析又は共同利用を進めている検査(PET、光トポグラ
フィー又は中枢神経磁気刺激による誘発筋電図検査)のために、他の医療機関を受診した
場合については精神病棟入院基本料の本体報酬の15%減額した点数を算定することになり
ました。
2)特定入院料算定病床の入院患者
病理診断
酔
放射線治療
麻
1
※
術
1
※
2
※
手
2
※
2
※
置
射
2
※
処
注
薬
※ 除外薬剤、注射薬の費用算定可
精神科専門療法
投
査
画像診断
検
在宅医療
医学管理等
包括されている項目
リハビリテーション
特掲診療料
算定可能な項目
児童・思春期
精神科入院医療管理料
精神科救急入院料
精神科救急・合併症入院料
精神科急性期
治療病棟入院料
精神療養病棟入院料
認知症病棟入院料
※1 認知症患者リハビリテ-ション料、リハビリテ‐ション総合計画評価料算定可
* 人工腎臓(60日以内)除外薬剤、注射薬の費用算定可
【
*
※2 除外薬剤、注射薬の費用算定可
他医療機関が特定入院料に包括されている診療の費用を算定する場合
】
特定入院料である精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神科救急・合併
症入院料、児童・思春期精神科入院医療管理料、精神療養病棟入院料又は認知症治療病棟
入院料算定病棟に入院中の患者が他の医療機関を受診し、他の医療機関が特定入院料に包
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括されている診療の費用を算定する場合は特定入院料の本体報酬の70%減額した点数を算
定することになりますが、平成24年度改定で透析又は共同利用を進めている検査(PET、
光トポグラフィー又は中枢神経磁気刺激による誘発筋電図検査)のために、他の医療機関
を受診した場合は特定入院料の本体報酬の55%減額した点数を算定することになりました。
ただし、平成24年度改定で認知症治療病棟入院料の包括範囲が見直され、入院60日以内
に限り、J-038人工腎臓(透析)が包括対象外となったため、認知症治療病棟入院料の入院中
の患者であって透析のみを目的として他医療機関を受診する患者については、入院日から
起算して61日以上の場合に限られます。
【
他医療機関が特定入院料に包括されている診療の費用を算定しない場合
】
特定入院料算定病棟に入院中の患者が他の医療機関を受診し、他の医療機関が特定入院
料に包括されている診療の費用を算定しない場合は特定入院料の本体報酬を30%減額した
点数を算定することになりますが、平成24年度改定で透析又は共同利用を進めている検査
(PET、光トポグラフィー又は中枢神経磁気刺激による誘発筋電図検査)のために、他
の医療機関を受診した場合は特定入院料の本体報酬の15%減額した点数を算定することに
なりました。
ところが、精神科関連の特定入院料である精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入
院料、精神科救急・合併症入院料、児童・思春期精神科入院医療管理料又は精神療養病棟
入院料は検査及び処置(透析)の項目は包括対象となっており、他の医療機関が包括され
ている診療の費用を算定しない場合に該当しないため、特定入院料の本体報酬を15%減額
した点数を算定することはできません。
ただし、認知症治療病棟入院料は、平成24年度改定で入院60日以内に限り、包括対象項
目であるJ-038人工腎臓(透析)を算定することが可能となったため、認知症治療病棟入院料
算定病棟に入院中の患者が透析のみを目的として他の医療機関を受診した場合は、入院60
日以内に限って他の医療機関が包括されている診療の費用を算定しない場合に該当するた
め、入院60日以内に限って認知症治療病棟入院料の本体報酬の15%減額した点数を算定す
ることができます。
3)DPC算定病棟の入院患者
DPC対象病院の入院患者が他医療機関(外来医療機関)を受診した場合は、平成 22 年
度改定で入院医療機関であるDPC対象病院が他医療機関で行った診療行為の費用(初・
再診料)あるいは包括外部分の診療行為の費用を全て算定し、入院医療機関から外来医療
機関に合議の上で精算されることになります。そのため、他医療機関が提供する診療行為
によっては診断群分類が変更される場合があります。他医療機関で行った診療行為の費用
をDPC対象病院で請求することになりますが、DPCの評価体系を改善していく上でも
データを一元管理するために導入された仕組みと考えられます。
4)算定上の留意点
入院医療機関では、診療報酬明細書の摘要欄に「他医療機関を受診した理由」、「他医療
機関で受診した診療科」及び「 他(受診日数:○日)」を記載します。出来高入院料を 15%
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減算する場合若しくは特定入院料等を 15%、30%又は 55%減算する場合は他医療機関(外
来医療機関)の診療報酬明細書の写しを添付することになります。
なお、1 点未満の端数があるときは、小数点以下第 1 位を四捨五入して計算します。
5)合議の上で精算
他医療機関(外来医療機関)が診療の費用を一切算定しない場合は、入院医療機関が他
医療機関で実施された診療の費用を算定し、入院基本料等の基本点数は控除せずに算定す
ることができますが、入院医療機関で算定している入院料等に包括されている診療の費用
を算定することはできません。なお、この場合の医療機関間での診療報酬の分配は、入院
医療機関が他医療機関(外来医療機関)に合議の上で精算することになります。
合議については、医療機関間相互の自由契約の元で金銭収受を行う事を意味しているた
め、明確なルールというものは示されていません。厚生労働省は、適切な精算を行うため、
保険局医療課の疑義解釈の事務連絡(平成22年7月28日)において、一部の医療機関の間で
はA医療機関からB医療機関へ患者が受診する際に、「医科点数表に則って算定した点数
を、全額当院に請求してください」という趣旨の連絡をして精算を行っている参考事例を
紹介しています。
(3)他医療機関(外来医療機関)の取扱い
専門的な外来医療を行う他医療機関(外来医療機関)は、入院医療機関から提供される
診療に必要な診療情報(算定入院料及び必要な診療科を含む。)を確認した上で、算定が可
能な診療行為の費用を請求することになります。
他医療機関受診で外来医療機関が算定可能な項目
算定の可否
基本診療料
初・再診料
医学管理等
○
×
特記事項
短期滞在手術基本料2及び3は算定不可
診療情報提供料、慢性維持透析患者外来医学管
理料、認知症専門診断管理料は算定可
在宅医療
検査
画像診断
全て算定不可
○
投薬
特掲診療料
注射
×
リハビリテーション
算定可
・当該専門的な診療に特有な薬剤を用いた受診日
の投薬又は注射の費用は算定可
・処方料、処方せん料、外来化学療法加算は算定
不可
言語聴覚療法の疾患別リハビリテーション料は算定可
精神科専門療法
処置
手術
麻酔
○
算定可
放射線治療
病理診断
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1)出来高病床(入院基本料等算定病床)及び特定入院料算定病床の入院患者
他医療機関は、外来で行った診療行為の費用を算定することができます。つまり、基本
診療料では初・再診料、短期滞在手術基本料1(短期滞在手術基本料2及び3は算定不可)
を、特掲診療料では検査、画像診断、精神科専門療法、処置、手術、麻酔、放射線治療、
病理診断を算定することができます。
そのため、特掲診療料の医学管理等(診療情報提供料、慢性維持透析患者外来医学管理
料、認知症専門診断管理料を除く)
、在宅医療、投薬・注射(当該専門的な診療に特有な薬
剤を用いた受診日の投薬又は注射の費用は除き、処方料、処方せん料及び外来化学療法加
算を含む)、リハビリテーション(言語聴覚療法の疾患別リハビリテーション料は算定可)
の費用は算定することはできません。
ただし、出来高入院料を算定する病床の入院患者が他医療機関を受診した場合は、専門
的な診療に特有な薬剤を用いた投薬にかかわる費用(調剤料、薬剤料、処方料又は処方せ
ん料等)を他医療機関(外来医療機関)で算定することができます。薬局において調剤し
た場合には、当該薬局において調剤に係る費用を算定することができます。
他医療機関において院内処方を行う場合は、他医療機関が入院医療機関に対して処方の
内容を情報提供することになります。他医療機関が処方せんを交付する場合は、処方せん
の備考欄に、①入院中の患者である旨、②入院医療機関の名称、③出来高入院料を算定し
ている患者であるか否かについて記載し交付することが必要であり、当該処方せんに基づ
き調剤を行った薬局は、調剤内容を入院医療機関に情報提供することになります。
また、入院患者に関しては退院時に診療情報提供料を 1 回算定することができましたが、
平成 22 年度改定で入院中であっても算定要件を満たせば他医療機関(外来医療機関)で算
定することができるようになりました。
2)DPC対象病院の入院患者
平成 22 年度改定では、DPC対象病院の入院患者が他医療機関(外来医療機関)で専門
的な診療を行った場合の診療行為の費用を算定することができるようになりましたが、外
来医療機関が診療行為の費用を算定するのではなく、診療報酬の請求はDPC対象病院が
行うことになります。そのため、外来医療機関は診療行為の内容をDPC対象病院に情報
提供を行い、入院医療機関であるDPC対象病院が外来医療機関に合議の上で精算するこ
とになります。
3)算定上の留意点
他医療機関(外来医療機関)では、入院医療機関から提供された患者の診療情報の文書
を診療録に添付するとともに、診療報酬明細書の摘要欄に「入院医療機関名」「患者の算定
する入院料」「受診した理由」、「入院医療機関の入院中の診療科」及び「 他(受診日数:
○日)」を記載します。
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