...

(1)貫流電熱の抑制(PDF形式 808 キロバイト)

by user

on
Category: Documents
18

views

Report

Comments

Transcript

(1)貫流電熱の抑制(PDF形式 808 キロバイト)
放熱の抑制
(1) 貫流伝熱の抑制
ア 断熱性のある、熱を逃がさない被覆資材を使用しよう!
断熱性の違いは、被覆資材の材質によるところが大きい
結露の防止は、省エネ対策として重要!
被覆資材の厚さの違いによる伝導伝熱量の違いは、厚さ数mm以下では極めて小さく、被覆資材
の断熱性の違いは、材質によるところが大きい。
表 - 1 被覆資材の赤外放射特性
(数字は0.05単位でまるめてある) (岡田、1986に加筆)
放射特性指数2)
厚さ
吸収率
透過率
反射率
内面に水滴付着
資材
乾燥状態
(mm)
(推定値)
農ポリエチレン
0.05
0.05
0.85
0.1
-0.75
-0.4~-0.25
(PE)
0.1
0.15
0.75
0.1
-0.65
-0.35~-0.2
農酢酸ビニル共重合 0.05
0.15
0.75
0.1
-0.65
-0.35~-0.2
(EVA)
0.1
0.35
0.55
0.1
-0.45
-0.25~-0.15
農塩化ビニル
0.05
0.45
0.45
0.1
-0.35
-0.2~-0.1
(PVC)
0.1
0.65
0.25
0.1
-0.15
-0.1~-0.05
農ポリオレフィン系特殊 0.075 0.35~0.60 0.30~0.50
0.1
-0.20~-0.40
-
(PO)
0.1
0.60
0.30
0.1
-0.20
ポリビニルアルコール
0.9>
-
0.1<
0.1<
0.05<
ガラス
0.95
-
0.05
0.05
0.05<
0.90
-
0.1
0.10
0.05<
硬質板1)
アルミ粉利用ポリエチレン
0.65~0.75
-
0.25~0.35 0.25~0.35
0.05<
五訂 施設園芸ハンドブックから抜粋
1)硬質板(ガラス繊維強化アクリル、アクリル、ポリカーボネート等)
2)放射特性指数:被覆資材をハウスに展帳したときの放射伝熱に対する断熱性を表す指標として提案され
ており、指数の値が大きい(高い)ほど断熱性が高いことを示す。
断熱性の違いは、主に赤外(長波)放射特性に違いが関係しており、反射率が同じ場合、吸
収率が高く、透過率が低いほど放射抑制効果が高くなる。そのため、軟質フィルム間の断熱性
(保温性)は、農ビ(PVC) > 農PO > 農酢ビ(EVA) > 農ポリ(PE) の順となる。
反射性資材は、長波反射により保温性は高くなる。また、反射率の高い面を外側にした方が、
断熱性及び保温性が高くなる。なお、水は長波吸収率が高いことから、反射性資材の表面に水滴
が付着すると反射率は低下する。したがって、結露の防止は省エネ対策として重要である。
- 6 -
イ 被覆枚数を増やそう!
効果的な手段は、被覆を多層化すること!
カーテン式保温被覆は、隙間から逃げる熱を抑制する効果もある
断熱性を高める効果的な手段は、被覆を多層化することである。保温するために付加する被覆
を保温被覆と呼び、固定式の被覆を被覆枚数により1重・2重と呼ぶ。固定被覆は、開閉ができ
ないため、昼間の光量減少などの問題があり、カーテン式の保温被覆が主流となっている。カー
テン式は、被覆内数により1層・2層と呼んでいる。また、2層カーテンを個別に開閉する2軸
2層方式もある。被覆資材の保温性と保温方法による熱節減率は、表-3のとおりである。また、
カーテン式保温被覆は、隙間換気伝熱の抑制効果もある。
被覆の多層化は、ハウス内湿度が高くなり、日中の被覆は日照不足を生じやすいので、開閉等
の管理には注意が必要である。
表 - 2 カーテンに使用される被覆資材の種類と特徴 (五訂 施設園芸ハンドブック)
種
特
類
農ポリエチレン
透明でべたつきがない。保温力は、塩化ビニルよりやや低い
(PE)
農塩化ビニル
透明。カーテン用製品はべたつきが少ない。
(PVC)
農ポリオレフィン系特殊
(PO)
農酢酸ビニル共重合
(EVA)
反射フィルム
表 - 3 保温被覆時の熱節減率
1層カーテン
2層カーテン
外面被覆
農ポリと農ビの中間的な性質である。
光線透過率は透明フィルムより低い(遮光を兼ねることができる)。や
やごわごわする。透湿・透水性であるため室内の高湿と作物への水
滴落下を防止する。保温力はポリエチレンよりやや低い。
不織布
2重被覆
ポリエチレンやエチレン・酢酸ビニル共重合の多重構造となっている。べたつ
きがなく軽い。赤外線吸収剤を配合したフィルムでは、保温力は農ビ
に近い。
光線を通さない。べたつきは少ない。保温力は透明フィルムより高い。
(シルバーポリ)
保温方法
徴
(岡田、1980に加筆)
(五訂 施設園芸ハンドブック)
熱節減率1)
保温資材
ガラス室
ガラス・塩化ビニルフィルム
ポリエチレンフィルム
ポリエチレンフィルム
塩化ビニルフィルム
不織布
アルミ割布(シルバ2:透明1)
アルミ混入フィルム
アルミ蒸着フィルム
ポリ + ポリ
ポリ +不織布
農ビ+ポリ
農ビ+不織布
農ビ+ 農ビ
農ビ+ アルミ割布(シルバ2:透明1)
ポリ+ アルミ蒸着
温室用ワラゴモ
0.40
0.35
0.30
0.35
0.25
0.35
0.40
0.50
0.45
0.45
0.50
0.50
0.55
0.55
0.65
0.60
1)熱節減率は、被覆資材を通過する熱量を算出する際の係数で大きいほど保温効果が高い
2)保温効果は、1層ポリエチレンフィルムカーテンを100とした場合の相対値
- 7 -
(参考)保温効果2)
ビニルハウス
0.45
0.40
0.35
0.40
0.30
0.40
0.45
0.55
0.45
0.45
0.50
0.50
0.55
0.55
0.65
0.65
ガラス室 ビニルハウス
133%
117%
100%
117%
83%
117%
133%
167%
150%
150%
167%
167%
183%
183%
217%
200%
129%
114%
100%
114%
86%
114%
129%
157%
129%
129%
143%
143%
157%
157%
186%
186%
(ア) 内張多層カーテンの被覆方法
①
ハウス内外の気温差が20℃以下の場合、2層カーテンで十分である。
②
ハウスサイドは、放熱する度合いが大きいため、側面カーテンは保温性の高い資
材を使用する。
③
断熱性の高い資材は外側(外層)に使用する。
④
カーテン間(被覆層間)は、1cm以上の層間隔をとる。
しかし、層間隔が大きいと、中で対流が生じ、また、たるみ等により被覆資材同
士が密着すると保温効果が低下するため、層間隔は5~10cm程度が良い。
⑤
2層カーテン間は、軒部でしっかり塞がないと保温性は低下する。
表-4
表-5
2重張りハウスの気・地温(福川ら)
測定時刻AM6 屋外気温1℃
2層の間隔 測定の高さ
5cm
10cm
20cm
上部
下部
上部
下部
上部
下部
各位置の気温
中央
西
東
北
南
4.2
4.4
4.9
4.9
6.2
6.4
3.6
4.8
5.6
5.8
5.4
5.9
4.7
5.3
5.1
6.4
5.8
6.0
3.7
5.6
5.1
5.4
6.1
6.4
4.7
4.9
5.3
5.4
5.2
5.5
図-2
- 8 -
平均 地温
℃
℃
4.6
8.9
5.4
9.7
5.9
8.7
カーテン
隙間は塞ぐ
隙間は塞ぐ
図-3
2層カーテン間の隙間(五訂 施設園芸ハンドブックに加筆)
Aハウス
極弱い対流
Bハウス
弱い対流
Cハウス
やや強い対流
図-4 内張カーテンの被覆(施設園芸の環境調節新技術 から作図)
内張カーテンは、外張り被覆資材に対するハウス内対流伝熱抵抗を増大し、被覆層
間の気温をカーテン内気温より低く維持することが目的となる。
Aハウスは被覆層間の対流が極弱く目的にかなっているが、Bハウスに比べ表面積
が大きいため、放熱が若干大きい。また、天井部のつなぎ目に隙間が生じやすい。
Bハウスは、弱い対流が生じるため、対流伝熱抵抗はAハウスより若干落ちるが、
表面積が少なくまた、天井部の隙間も生じにくいため、放熱は少ない。
Cハウスは、隙間が生じているため、ハウス内全体に対流が生じ、対流伝熱抵抗は
低く、そのため保温効果が大きく低下する。
(イ) 内張カーテンの開閉は、日照量・日射量に応じてこまめに実施する!
①
ハウス内の気温が作物の昼間適温まで十分上昇してから内張カーテンを開ける。
②
午後は、ハウス内温度が下がらないうち閉める。ハウス換気を行った場合は、ハ
ウスを閉めきり、一旦ハウス内気温を昼間適温程度まで上昇させてから閉める。
③
時期により、日中内張カーテンを閉めきっておくと、ハウス内が高温・多湿にな
ることがあるので、カーテンの開閉はこまめに行う。
- 9 -
Fly UP