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参加的予算管理における情報非対称性の 業績に及ぼす影響

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参加的予算管理における情報非対称性の 業績に及ぼす影響
弘 前 大 学 経 済 研 究 第1
2
号
〔論文〕
Decembe
r1
9
8
9
参加的予算管理における情報非対称性の
業績に及ぼす影響
新
井 一
目次
夫
1 は じめに
したがって, 一般に予算編成への部下の参加は,
業績改善のためには有効な手段て。あるに違いな
2 期待理論に基づく実証研究
い と考えられてきたのである。
3 情報非対称性の問題
ところが,残念なことに,予算編成への参加
4 報酬体系による解決
とい えども,あらゆる状況において常時有効 な
5 おわりに
手段という訳にはいかないということがしだい
はじめに
を向上させるほどの影響力があるのか否か,と
に明らかになってきた。とくに,それは, 業績
いう点において問題が生じてきたのである。そ
企業予算は,変化の激しい環境下にあって,
の原因としては次の 2点を挙げることができる
企業活動を合理的かつ円滑に運営する手段とし
であろう。すなわち,( 1)それまで考慮外にあっ
て考案された。しかし,最近のように企業内外
た影響要因に帰国する場合,(2)研究方法自体に
の予想を超える激しい状況の変化に直面すると,
統一性が欠けていたために生 じた場合,という
従来有効と思われてきた予算管理の手法でも,
2点である。前者については, トシ (H
.Tos
i
)
その有効性に関して再検討が要請されるように
やロ ーネン =リビングストン (
J
.RonenandJ
.
なっている。そのひとつに,
L
.L
ivi
ng
s
t
one)の研究が,そ の原因をさらに
「予算編成におけ
る部下の参加JとL、う管理手法が挙げられる。
細分して, (
1
)参加に対する個人的な反応,(
2)
管
かつて,ほとんどの管理会計の文献では,予算
3
)組織階層,(
4)部下の 参加
理者の能力の相違,(
編成への参加は,企業にとって積極的な効果を
するグループの影響,という 4項目を考慮に値
もっと説明されてきた。たとえば, 1
95
0年代初
頭におけるア ージリス( C.
Argyris)の主張以来,
するものとして挙げている。 2)一方,後者の原
因については, コリ ンズ( F.C
o
l
l
i
n
s)が「行動
ホフステイド( G
.H
.H
o
f
s
t
e
de),シアホス=モ
的な会計の研究は, 一貫性を欠いていることに
ンツカ(D
.G
.S
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s
sandR
.M.Monczka)
,
特徴がある。つまり各研究者は,無関係な,そ
スウィ ー リンガ=モンカ ー (
R
.J
.Swieringa
andR
.H
.Moncur)などの研究がその考えを支
して時には背反するような知識の断片を切り聞
いているようである」 3〕 と痛烈に批判した言葉
持してきた。 1) このような文献では,参加を実
がそのままあてはまると思われる。
施すると,部下は職務満足を高め,目標への個
人的献身を強め,予算達成へのモチベーション
を強めるなどの効果があると報告されている。
2
)詳細については,拙右足
j「予算管理における問題と経路
一 目標理論および SEUモデルJ 『
文経論毅』第 1
9巻,
2合併号, 1
9
8
4
,p
p
.1
1-1
5を参照していただきた
第 l・
"
、
。
1
)詳細については,拙稿「参加的予算管理の研究に関す
会計』第 1
1
6
巻,第 2号,1
9
7
9,
る三つのアプロ ーチJ 『
pp.14
0-14
8を参照していただきたい。
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8
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.3
31
.
参加的予算管理における情報非対初、性の業績に及ぼす影響
たしかにこれら二つの問題点は,いずれも重
方法には一貫性が見られず,相互に結果を比較
大なものであるが,両者を解決するアプロ ーチ
することが困難であった。そこで,予算をめぐ
を見い出すことができると思われる。それは,
る真実の事実を発見しようとする試みを阻害す
各研究成果を統合化する能力をもっ期待理論を
るこのような状況にあっては,
「モチベー シ ョ
中心概念に据えて考察するという方法である。 4)
ン」のような要素を一つの理論の枠組みの中で
本稿では,こ の考えに従って ,(
1)期待理論に基
把握することが理にかなっていると思われる。
づいて,予算編成への参加が業績に好ま しい影
筆者は,その理論として期待理論が最善と考え
響を及ぼしているか否かを実証的に解明する,
ている。なぜなら,ロ ーネン=リビングストン
2)参加 と業績 向上が結びつかない原因
ついで, (
も主張するように,7)期待理論は,( 1)予算管理
のひとつとして情報非対称性が存在するか否か
とし、う状況において十分な記述的有効性を持っ
を実証研究の結果から考察する,そして最後に,
ているということに加えて,( 2)モチベ ーション
{
3)情報非対称性の問題を解決する方策としての
を構成するどの要素に参加が影響を及ぼしてい
報酬体系の役割を考察する,という順序で論じ ,
るかという点まで詳細に分析する能力が備わっ
予算編成への参加が業績に良い影響を及ぼすこ
ているからである。
とのできる方策について,一つの方向を示そう
このような認識に基づき,以下では,プラウ
と思う。
.Browne
l
landM.Mcネル =マックインズ( P
I
n
n
e
s)の研究めに沿って,期待理論を理論的フ
2 期待理論に基づく実証研究
レームワ ークとしながら , 「参加」と「モチベ
予算編成への部下の参加が,部下の業績に良
することにする。まず,この研究の重要な点で
い影響を及ぼすか否かについて, これまで多 く
ある フレ ームワ ークは,第 l図のようになって
の研究がなされてきた。なかには,参加が業績
し
、
る
。
に良い影響を及ぼすのは,部下の予算達成への
巴三E
ーショソ」および「業績」 の 3者の関係を考慮
そチベ ーションを高めるという経路によるとい
/
;
よ
P31
~
\
|治
う結論を下した研究も見うけられた。たとえば,
ホフステイドは,「
参加」は「モチベ ーシ ョン」
ベー
に及ぼす効果が非常に大きいとし、う事実を,両
者に相関関係があるというデータから発見して
いる 。めま た,シアホス=モンツカは,「知覚さ
れた参加」とし、う変数と予算達成の「モチベ ー
ション」と の関係は強く支持されたと報告して
いる P しかし,この二つの研究をと りあげた
第 1図研究のつレームワーク
ここ で
, X1∼ Xaはモテ。ルの変数で、ある参加,
だけでも両者の「モチベ ーショ ン」を測定する
モチベ ーション,業績を表わし , RM, Rvはモ
4)期待理論が統一理論としての有効性を持つ ことについ
ては,拙稿「予算管理における期待理論の役割」 『
文経
論叢』第1
4
巻,第 4号
, 1
9
7
9.p
p
.2
7
-4
3を参照してい
ただきたい。
5
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, G.
H
.
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チベ ーションと業績との説明されない部分を各
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) Ronen, J
.
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.
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0
0
.
各表わしている。また ρは変数聞のパス係数を
算呂標を達成しようとする行動から生じる内部
示すものである。この図からわかるように,業
的誘意性 (
!V
b)とし、う要素と ,その行動が 目擦
績に影響が及ぼされるプロセスは, 2通りある
を達成する確率 C
P
1)に,達成からもたらされ
ことが仮定されている。つまり , 「
参加」か ら
α〉および外部的諸報酬の期
る内部的誘意性 (IV
「業績」へと直接影響が及ぶプロセスと,
「
参
加」が「モチベ ーション」に影響を与え,その
結果 として業績に影響が及ぶ,いわば間接的な
プロセスという 2通りが考えられている。とこ
待値( ~ C
P
2
i
E
V
;
)
) を乗じた要素とか ら成っ
ている。 これを図示すれば,第 2図の ようにな
るであろう 。
ろが,プラウネル=マックインズは,このうち
後者のプロセスのみが業績に影響を与える唯一
のプロセスになっているという仮説をたててい
外部的鋭意性
j
間待 (
Pi)
期待 (
?21)
目標桁向 一一一一一一一一+ 仕事目傾向 τーーーー
ー
ー ・ EVz
達成、、
行動
る。したがって,彼らの研究では「参加」と
、
「モチベ ーション J
,「モチベーショ ン」と「業
ω
とくに前者の関係では,期待 理 論 を 用 い て,
’
的性
部意
心
内誘竹
引
績」 という 2者聞の関係が調査の対象となり ,
(Pm)
、
、
、
、
EVn
内部的
誘立性
(!Vb
)
「
参加」 が 「モチベーショ ン」のどの構成要素
に影響を与え ているかが詳細に研究されるの で
ある。その過程で彼らの使用 した期待理論の モ
第 2図期待理論における個人のモチベーション
デルは, ローネン=リビングストンの用いたも
さて,ブラウネル=マックインズは,参加が
のであり, (
1)式のように示されている。
モチベーションのどの要素に影響を与えると予
測 したであろうか。彼らは, まず,期待につい
‘L
’JC
M =!Vb
+P1〔I
Vα+ .
PuEV;)〕…
・
・
(1
)
iにも p
2
iにも 良い影響があると仮定し
ては P
t=l, ー・
・
・
, n
ただし
た。その理由として,次の点を挙げている 。ま
M =モチベーション
!Va=仕事の目標を達成したことに関
する内部的誘意性
ず P
1の場合には,参加に伴う情報交換によっ
て,管理者は経路一目標関係をより 一層明確に
知る こと ができるようになり ,その結果として,
!V
b
=目標指向行動に関連する内部的
自己の予算指向行動が予算の達成をもたらす確
率(P
1)を高く見積る ことができるよ うになる
誘意性
EV;=目標達成に依存する i番目の外
と考えた。また,別の考え方をすれば,管理者
部的報酬に関連する外部的誘意
は参加する こと によ って,より一層達成しやす
性
い予算を獲得するかもしれず,その場合にも P
i
P1=目標指向行動が仕事目標の達成
を高めると予測されるのである。こうして,い
ずれの場合にも参加は P
iを高めると予測され
をもたらす期待
P2
i=仕事目標の達成が i番目の外部
た。他方,
P2,の場合は,参加的に設定された
予算目標は,管理者がその目標を達成でき なか
的報酬をもたら す期待
この期待モデルは,ある行動が結果に到達す
った時にも ,目 標が不適切な水準にあっ たとい
る可能性,つまり「期待」と,そ の結果がも っ
う言い訳を彼が行う余地をせばめるので,賞罰
魅力ない し価値,すなわち「誘意性」との乗法
と予算達成 との結びつきを 強め, P討を高める
的な関係から現在の行動を説明しようとするも
と予測し ている。
のである。より具体的に言えば,管理者の予算
つぎに,誘意性について見てみると,参加は
達成への モチベ ーションの強さは,管理者が予
目標達成時の内部的誘意性である IV
αには顕著
- 64 ー
参加的予算管理における情報非対称性の業績に及ぼす影響
上述の仮説をまとめてみると,次のように表
な影響がある と予測された。それは,ロー ネン
=ロピングストンが下した次のような結論に根
わすことができるであろう。
拠を置いて いる。すなわち, 彼らは「紗制可能
仮説 1
. 参加は IVαに正の関係をもっ。
と感じられる仕事を行うことは,より一層高い
. 参加は P1に正の関係をもっ。
仮説 2
内部的誘意性に結びついている 」
め と述べてい
2
iに正の関係をもっ。
仮説 3.参加は p
るが, このことは自分の 決めた目標を達成した
. 参加はモチベ ーショ ンに正の関係を
仮説 4
もつ。
時の方が満足感が大きいということを意味して
仮説 5.モチベ ーション と業績には正の関係
おり ,それは一般に妥当なもののように思われ
がある。
る。他方,目標指向行動自体に関連する内部的
仮説 6 参加が業績に及ぼす影響はモチベ ー
!V
b)が参加によ って 高まるかどうか と
誘意性 (
ションを通じるもののみである。
いう点については,予測が困難に思われた。 な
ぜなら ,参加は,一方では,職務充実を通じて
を改善するかもしれ
仕事中の満足を高めて !Vb
さて,ブラウネル=マックインズは,上記の・
ない。しかし ,他方では,前述のように参加は
仮説を検証するために, エレクトロニクスの 2
目標不達成時の言い訳の余地をせばめることに
社と鉄鋼業の l社の計 3社から ,種々の職能領
よって,予算不達成と罰との 関連性を強め,目
2
4人のミドル ・レベルの管理者を
域にわたる 2
標指向行動にストレスを増し加え,そ の結果 と
選び,彼らに質問紙を送ってデータを集めたの
bに悪影響を与えるか もしれないからで
して !V
である。その際に,原価に対す る統制が管理者
ある。同様に,目標達成時の外部報酬に関連す
の「業績」の重要な要素とされ,原価そのもの
る誘意性 EViも,参加によって質量ともに改善
が「予算」とされた。質問の内容は,予算編成
できるという場合を見い出すのは困難なように
への参加,モチベ ーション,業績を測定する項
思われると ,彼らは述べている。
目から成っていた。ここで注目すべきことは,
, P2
iに対して
結論として,参加は IVα, P1
予算編成への参加の程度を測定する 際には,
KenMilani
)
l
l)
とホフステイドの両尺
ラーニ (
は正の関係をもつが, !V
b
,EViに影響がない
と仮定して,モチベ ーションへの全体的な影響
度を用いた ことで,このことにより,彼らの研
としては正の効果があると仮定したのである。
究結果との比較が可能になると思われた。
以上で,
「参加」と「モチベ ーション」の関
係を考察したので,つぎは「モチベ ーション 」
と「業績」との関係をと りあげよう。この関係
.0
.Rockness)が
については,ロックネス( H
さて,
0
8
.
このよ うな質問によって得られた 1
第 1表参加, モチベーション,業績の問の相関
仮説
関
係
参加の測定尺度
予算達成によって報酬がもたらされる確率が高
くなるにつれて(つまりモチベ ーションが高く
1
なるにつれて〉,実績が単調に増加 す る こ と を
0)この他にも,両者の聞には正の
示している。 1
関係があることを示している研究は少なくない。
したがって,モチベ ーションと 業績には正の関
2
4
5
参加/I
V.
0.1
58
* -0.093
参加/!Vb
-0.1
7
1* -0.1
0
2
参加/
P,
0
.
2
1
2
** 0.
1
8
0
*
参加/モチベーショ ン 0.113
0
.1
3
9
モチベ ーション/業綴
0
.
2
4
8
*
*
ρ<0.10
β <O
.0
5
*
係があるとし、う仮定は妥当と思われる。
キ*
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) Ronen
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.
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.
。
第 2表 参 加 と P2
,
; E V;との相関
EV;
Pu(
仮説 3)
皇塁
うに思われる。というのは,仮説 1,仮説 2の
Va
, !Vbと負
結果から わかるように,参加は !
の相闘があるから,参加がたとえ P1を高め て
I
イド
1
.昇給
も
,
0
.
2
3
2
キ* 0
.
1
6
8
キ
0.0
6
3
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.1
4
3
0
.
1
9
6
キキ -0
0.
2
4
2*
*
.
1
6
1* 0
.
0
7
6
で
, 結果 として,モチベーションを十分に増加
2高給
3
.上司から 0
0
5
2
.
0
6
7 -0.
0
.0
1
7
0
.
0
6
0
の尊重
比仲間から -0.0
4
9 -0.
7
3 -0.0
0
1
7 0
.1
4
1
の尊重
5.
賛辞
6独 立
7
.友人をつ
9
.昇進
させ ること ができなか ったと考えられるからで
ある
。
最後に,第 1表 では仮説 5の結果が示されて
いる 。その結果によ れば,予想 どおりモチベ ー
2
0
1料
0
9
7 -0.0
0
.
1
9
4*
*-0.
2
4 -0.
0
.0
1
0
0
.
1
9
6*
* 0.
1
0
4 -0.
0
4
5 -
.1
2
0
くる機会 0
8
.特別な報 。目0
7
7
制
|
0
.
2
58
料
シ ョンは業績 と有意な、
正の相関を示しており,
仮説 5を支持していた。
9
2
料 -0
.
0
4
9
0
.
2
0
1*
*-0.1
0
.
0
7
0
つ ぎに,第 2表を見てみると, 参加と P2;お
2
4
0
.
0
1
3 -0.0
0
.
1
9
2*
*-0.0
5
0
!Va
,!Vbという 誘意性を下げてしまうの
;の各指標 との相関が示 されている 。仮
よび EV
説 3は,参加と 仕事 目標の達成によって外部的
0
.1
2
8
ρ<0.10
** ρ
<O
.0
5
報酬が得られる期待( P心 とが正の相闘を持つ
*
というもの であったが,第 2表の最初の 2列か
のサンプルによる調査結果は,第 1表 と第 2表
ら,その関係について興味深い事実がわか った。
に示されてい る
。 まず第 1表では,仮説 1につ
つ まり , 1
8ある指標のうち有意 とな った 9指標
いて驚く べきこと が判明した
。 それは,参加が
はすべて正の値を取 っていたとい うことと, 参
仕事 目標の達成に伴う 内部的誘意性 CIV
a
)に対
加の 2指標すべてに有意性を 示 し た 「昇給」,
して正の相関があることを予想 したにも かかわ
「
高給」,「昇進」とし、う 要素は,ほとんどの企
らず,いずれの係数も負であ った という ことで
業が公式的な報酬体系に組み込んでい るも ので
ある。 しかも ,その 負の関係には有意であ った
ある という こと である。 このこと は,参加が,
ものさえ含まれていたのであ る。 したがっ て
,
予算達成に基づいて公式的な報酬が与えられる
仮説 1は予想に反 して 棄却 されるべきである こ
とい う期待を高める とい う意味で, 仮説 3を強
とが判明 した。また,仮説 として はとりあげら
く支持 していると結論を下すこと ができ るであ
れなかったが,参加が 目標指向行動に関連する
内部的誘意性 (
!Vb
)に対 し負の相関をもつ こと
ろう。
つぎに,第 2表で扱われている もう 一つの指
がわか った
。
;につい て考え てみよう。目 標達成に よ
り
標 EV
つ ぎに仮説 2では,参加と 目標指向行動が予
得られる報酬に関連する外部的誘意性 (
EV;)と
算達成を もたら す期待( P
1)とは正の相関関係
参加 との関係は,一貫 した ものが見 られないで
がある と予想 されたが,結果は予想どおり ,参
あろ うとの予想から ,仮説 として取 りあげ るこ
加の両尺度 とも有意で正の相関のある こと を示
ともなか ったが,第 2表の結果において も,予
していた。 したが って, 仮説 2は強く支持され
想どおり明確な関係を見いだす ことができなか
たもの と解釈できる。
った。
最後に,参加が業績に影響す るのは,モチベ
第 1表から 判明す るつ ぎの関係は,仮説 0こ
関するもの である。そ の仮説では,参加とそチ
ーショ ンを媒介にする場合のみであるとする仮
ベーションとは正の相関関係にあ ると予想 され
説 6については何と 言えるだろうか。上記の表
たが,いずれの参加尺度にも有意な正の関係を
に結果は示されていないが, 参 加がモチベーシ
見い出すことはできず,仮説は支持されなかっ
ョンと の有意な相闘を持たないことから容易に
た。しかし,この結果は驚くには当たらないよ
想像でき るように,仮説 6は支持されなかった。
- 66ー
参加的予算管理における情報非対称性の業績に及ぼす影響
プラウネル =マック インズは後に,別な分析方
報酬を期待すること が,参加によって,より 一
法に よって, 参加と 業績には正の相闘が強く 見
層強く予期できる のであれば,より一層達成の
られるにもかかわらず,モチベ ーション を通じ
容易な予算を交渉によ って得るとい う動機が提
て業績が改善され ることは少ない とい うことを,
2)
これら の主張の意味する
供されるのである 」
。1
再度確証している。
ところは,予算を達成 した時に報酬を受け取る
このよ うに して,プラウ ネル =マ ックインズ
こと が期待される時には,だれでも予算を達成
の研究によって判明したことを表にまとめると,
しよう と努力するはずである。 しかも ,参加に
第 3表のようになる であろう。
よって達成容易な予算を獲得できるの であれば,
だれしもより 達成の容易な予算を獲得し て,少
第 3表 ブラウネル=マ ックインズの研究結果
仮説 ・その他
1
.参加と IV.
の正
負の相関
の正の
2相
参
加
関 とP,
正の相関 支持
の相関
ない努力 で高い報酬を得ょう とするにちがし
、
な
果 | 判 定 ・意 味
い,とい うことである。
棄却
これは,参加を許された部下は,組織スラッ
クの多い予算を獲得すると い うことを意味して
いる。ここで用いた組織スラックとし、う用語は,
正の相関 支
的
持
な
報
(
参
酬
加
が
予
は
公
式
達
| の相関
与え
成に基づいて算
られるとし、う期待
を高める〉
4
.参加とモ チベー 相関なし 棄却
ションの正の相
関
5
.モチベ ーション 正の相関 支持
と業績の正の相
関
棄却
6.
参加はモチベ ー
ション績
を通じて
のみ業に影響
7
.その他
(
イ
)
参
関
加
係 と!Vo
の 負の相関
3
.参加と P2
iの正
R
. M.Cy
e
r
t and ]
.G
.
サイアート=マーチ (
March)によれば, 「資源の総量と必要なベ イ
メントの総量との差がいわゆる 組織ス ラックで
ある。スラックは組織を維持するに要するぺイ
メントを上 まわって,連合体メンパ ーになされ
るべイメントに含まれる jl3)と定義されている。
ただしベイメントには賃金,給与といった金銭
でなされるものだけではなく ,個人的な権限の
付与といった非貨幣的なものまで含まれている。
したがって,こ のような意味でのベイメントが
必要以上に支払われる時,組織スラックが発生
の 明確な相
(め参加と EV,
関係
関なし
して いるこ とになるのである。また,組織ス ラ
ックが予算に含まれている場合には,企業から
与えられる報酬のうち業績の向上にふり向けら
3.情報非対称性の問題
れるのはその一部であり ,それを超えた部分は,
組織スラックとして 参加を行なう部下の支配下
さて,前節で、掲げた結果をどのように解釈す
に置かれるのである 。言い換えれば,同じ報酬
べきであろうか。当初の予測では,予算編成へ
が提供されたと しても,組織スラックのある管
の参加を行なえばその結果として業績が上がる
理者の方が,それのない管理者よりも業績が悪
はずであったが,期待モテ’ルの IVαが参加と負
くなるということを 意味 してい る
。
の相闘を示すとし、う予想外の効果のために,予
では,予算編成への管理者の参加に際して,
想が外れてしまった。 この原因について,ブラ
管理者が組織スラックを実際に導出させている
ウネル=マックインズは,予算水準の程度つま
という 具体的な証拠があるのであろうか。また,
り達成困難性の問題をとりあげ,つぎのように
そのメカニズムはし、かなるものであろうか。そ
述べてい る
。
「達成容易な予算は,研究で見ら
の増加 と複数の IV の減少とを
れたよ うに, P1
もたらすであろう。 ……予算達成による公式の
- 61-
1
2
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3
6
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オLらの疑問に対して一つの答えを与えているの
はオンシ( MohamedOns
i)である。 H)彼は,
スラックに及ぼす影響について, より厳密な考
察を試みるものである 。
多国籍企業 7社の 各部門管理者を対象に,質問
もともと彼らの研究は,組織行動の研究と エ
紙による調査を行っ た結果と して, 次のように
ージェンジ一理論の研究との両者がもっ欠点を
述べている。
補完する目的で企画されたものであった。つま
「
参加とスラック態度との相闘は,
り,組織行動の研究の重点は, 目標の有無とか,
参加が予算 スラック創出の必要性を減ら すこと
を示している。 このことは,スラ ックを創出す
目標の達成困難性,目 標設定の方法が割りあ て
べき圧力下にはいない と感 じさせるような正の
方式か参加方式かというような点に置かれてい
コミュニケーショ ンを,参加が管理者に対し て
て,金銭上の賞罰に対する 考慮が足 りないとい
もたらすことを意味 して いる。しか し
, 予算態
う欠点があ った。他方,エイジェ ンジ 一理論の
度とス ラッ ク態度との相関は,予算がゲ ームで
方は,こ の逆に,経済的な報酬には多くの考慮
あり会計用具にすぎないという 負の態度をも っ
が払われてい るのに対 して,非経済的な要因 に
管理者は,スラックを創出するということを示
は配慮が なく ,加えて広範な実証研究が欠けて
している 。過去にスラックを創出した,あるい
いるという限界をもつのである。そこで彼らの
はそれを滅ら すよう に強いられなかった管理者
実験では, これ らの限界をふまえ,両者の欠け
は,管理用具 とし ての予算に負の態度をとるで
ている点を補完するために,雇用 と報酬の契約
あろう。」つまり ,過去の経験から ,予算 とは
の中に予算を明確に盛り込む こと によって経済
スラックをどれだけ取り 出せるかを試みる一種
的報酬を明確化すると共に,それが予算スラッ
のゲ ーム のようなものだという態度をもつよう
クにどのように影響を与えるかという点につい
にな った管理者には,予算編成への参加はスラ
て詳細な実証研究を行ったのである。
ック創出の格好の機会にな ってし まう と
, オン
シは警告するのである。
このような背景の中で,参加とスラ ックに影
響を与える と考えられたのは, 情報の非対称性
以上の研究からもわかるように,予算編成へ
および報酬体系というこつの要素であった。こ
の管理者の参加 と
し づ 方 法 は,一定の条件が満
こで取り 上げられた情報の非対称性 とは,予算
たされると , スラックを創出 してし まう危険を
編成という計画設定に必要な情報について は,
含んでいる。 しかも ,そ の条件について ,オン
上司よりも部下の方が質,量 ともに優れた情報
シは管理者の態度と いう 個人的な要素を取り 上
を持っているということを意味している。この
げたが,他方では,組織のあり方にかかわらせ
こと から次のような問題が派生する。 すなわち,
て,その条件を解明する努力が続けられている。
部下の管理者が予算を達成することと 報酬 とが
結びついていることを知 った場合には,彼は 自
この後者の流れに沿って成果を報告 してい るの
カ入チョウ =クーパー=ウェ ーラー (C.
W.Cho
w
,
ale
r)の研究であ
]
.C.
Co
ope
r, and W.
S
.羽T
分の持っている情報(た とえば自分の能力につ
1
5〕すなわち,彼らの研究は,企業組織内の
る。
易な予算を設定 し,スラックを創出するという
グル ープ間での「情報の非対称性」と い う要素
問題が生じるのである。
つぎに,報酬体系とは,情報非対称性の問題
を取り上げ,それを通じて,参加的予算管理が
1
4)O
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Vol
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3
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9
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8
, pp.111-1
2
2
.
いて の情報〉 を歪める ことによって,比較的容
に付随して考えられるも ので,真実の コミュ ニ
ケーションを行うことへの正当な誘因を報酬体
系に含めるかどうかという ことが問題 となる。
もし
, そのような誘因を報酬体系に含めること
によって情報非対称性に伴う前述のよう な問題
が解決で きるならば,非常に好都合であろう 。
- 68ー
参加的予算管理における情報非対称性の業績に及ぼす影響
さて
, 参加的予算管理 という 環境下で上記の
果は被験者にフィ ードパ 吹クされると同時
2要因が,はた してスラ ックにどのような影響
に,上司に対して業績 レポートとして報告
を与えるのであろうか。チ ョウ=クーパー=ウ
される。
こうした条件で,最初に 5分間の実習を,
ェーラ ーらはこの点につき以下のような仮説を
0分間 の練習を行う。
つぎに 3
たてて検定を行な った。
第 3ステップ :
仮説 1
. スラックはスラックを導く報酬l
体系
会計担当者が,真実を導くク守ル ープには
の時よりも ,真実を導く報酬体系の
真実導出報酬体系表を, またス ラック を導
時の方が低い。
仮説 2.スラ
y
クを導く報酬体系の時と真実
くグループにはスラック導出報酬体系表を
を導く報酬体系の時とのスラックの
与える。さらに,新たに行う 3
0
分の本作業
差は,部下の遂行能力についての上
期間中の業績に対 しては, 現金で支払いが
司と部下問での情報非対称性が存在
なされる旨の通知がなされる。ついで,被
する時の方が大きい。
験者は予算編成会議において上司から一応
予算が提示されるが,もし被験者が代替的
な予算を選択するなら ,それは自動的に採
ここ で仮説 1は,真実を導く報酬体系よりも
用される旨が知らされる。
久ラックを導く報酬体系の方がスラックを多く
第 4ステップ :
創出させるという当然、の仮説であり ,し かも ,
予算編成会議に出席し,上司から予算が
その傾向は,情報非対称性の存在によって強化
提示された後,被験者の選択 した予算があ
されるというのが仮説 2である。
ιF
|
竺
ればそれを提示する。
第 4表被験者に割り当てられる課題
有
第 5ステップ :
被験者の選択した予算を契約書に記載す
無
る。つぎに被験者は業績見積りを行う。
1
2
3
4
第 6ステップ :
0
分間の本作業を行なう。その
被験者は 3
後,情報非対称性 と報酬体系の操作上のチ
これらの仮説の検定はつぎのように行われた。
ェックを行なうアンケ ート に答える。
0人の大学生が被験者として選ばれ,割
まず,4
り当てる課題の種類に従って,第 4表にある よ
以上の 6ステッ プにより仮説を検証するため
うな四つのグル ー プに分けら れた。その後,実
の各変数が測定される ことになる。たとえば,
!
験は以下の 6段階の基本ス テップに従って行わ
業績変数は,本作業期間中に成し遂げられた作
れた。
業量で測定された。また,予算は,被験者が予
第 1ステップ :
算編成会議で選択したものと した。さらに,期
被験者は上司から簡単な仕事の説明を受
ける。
待業績変数は被験者が行った業績見積り で,ま
た,スラック変数は被験者の期待業績 と予算 と
第 2ステップ:
の差額として,それぞれ測定した。なお,スラ
ックに影響を与える可能性のある変数として,
情報非対称性の有るクツレープは,被験者
自身が業績を測定し,自分だけが聞く こと
遂行能力を加えることにした。これは,遂行能
のできる封筒に保管する。 他方, 情報非対
力の高い者ほど期待業績が高くなる こと を通じ
称性の無いクゃル ープでは,会計担当者の役
て
, スラックに影響があ ると考えられたからで
を演じる実験助手が業績を測定し,そ の結
ある。この遂行能力は, 3
0分間の練習期間の業
- 69ー
績によって測定ぎれた。
第 7表 報 酬 体 系グループ問およ びグループ内で
の遂行能力,期待業績お よび予算水準の
比較
さて,仮説 1と 2の検定は,スラックと業績
を従属変数 とし,報酬体系と情報非対称性を因
t
1
{
直
子,遂行能力を共変量 として用い る共分散分析
によって行われた。その結果は第 5 ・第 6表に
報酬体系グノレ ープ間の比較
遂行能力
期待業絞
予算水準
スラック導出体系ク’ル ープ
内の比較
期待業績対予算水準
遂行能力対期待業績
遂行能力対予算水準
示されている。
第 5表 ス ラックの共分散分析
共変量
遂行能力
主な影響力
報酬i
体系
情報非対称性
組み合わせの影響力
報酬!体系と情報非対称性
F{
1
直
確率
1
1
.5
2
0
.
00
2
1
.8
1
0
.
0
1
0
.1
9
0
0.
9
3
0
確率
0
.
4
1
0
.
4
7
2
.
6
5
0
.
6
3
0
.
6
4
0.
0
1
2
.
3
3
1
.3
3
2
.
3
3
0
.
0
3
0
.
2
0
0
.
0
6
その手がかりを与えている 。
第 7表の報酬体系 グ
ノ
レ ー プ間の 比較について
3
.
5
5
の分析結果から判明することは,スラ ック導出
0
.
0
7
0
体系 と真実導出体系 とでは予算水準に有意な差
第 6表 スラック変数の平均と標準偏差
異が見られる ということである。 つまり,スラ
ック 導出体系の方が,真実導出体系 より も,予
情報非対称性
真実導出報部||体系
スラック導出報酬体系
情報対称性
真実導出報酬体系
スラック導出報酬体系
全体
算水準が低いのである。このことは,スラック
81
91
.8
1
1
.6
1
69
.6
2
8
.
7
3
8.
0
4
2
.
5
7
4
.
0
4
8.
3
9
8.
3
目
導出体系グノレ ープ内で の分析において,予算水
準は遂行能力や期待業績 よりも低い値を示し,
その差は有意であ ること からも確証さ れている 。
これらの結果の意味するところは,スラ ック導
出体系の被験者は,真実導出体系の被験者に比
較 して, 予算を低く決定 してい るという ことで
ある 。 しかも,その低さは,彼らがすでに達成
第 5表および第 6表からわかるように,スラ
ックの平均値は,予想、
どおり ,スラックを導く
した業績水準(=遂行能力〉よ りも , また彼ら
報酬体系よりも真実を導く報酬体系の方が低か
が将来達成すると期待する 業績水準(=期待業
った。し かし,その差は有意ではなく,残念な
績〉よりも低く ,結果として, 報酬が容易に得
がら仮説 1は支持されなかった。 しかし
, 報酬
られるように予算を低 自に設定 し,スラックを
体系と情報非対称性とが相互作用を及ぼす時に
創出したということであった。
.0
7)影響
は,スラックに対して有意な〈 ρ=O
このように,情報非対称性が存在する 場合に
があったことは興味深い。その意味は,情報非
は,部下の管理者は,場合に よって は予算ス ラ
対称性が存在しないとスラックは両報酬体系間
ヅグを創出させる こと がわかる。そしてその主
で大差はないが,情報非対称性が存在すると,
要な原因は,参加に よって 部下が予算を低く押
スラック はス ラックを導く報酬体系の方が非常
さえ てしまう こと にある ということであ った。
に高くなるということである 。 このような結果
ただし,このような結果は,現実にはもっと穏
は仮説 2を支持するものと なる であろう。では,
やかな形で発生するものと思われる。なぜなら,
情報非対称性下でスラッ クが多くなるのは,ど
前述の実験が 1期間モテ’ルで、あるために,部下
のようなメカ ニズムによる のであろうか。 その・
は上司からの報復を恐れることなくスラックを
点、については,第 7表のような付加的な分析が
創出できたからである。いずれにしても, 情報
- 70ー
参加的予算管理における情報非対称性の業綴に及ぽす影響
非対称性とし、う要因は,予算からスラックをど
すことによって期待効用を最大化できるような
れだけ取 り出せるかを試みる一種のゲ ームのよ
報酬体系を,真実導 出体系と定義するので、ある。
うなもの,と し、う予算に対する誤った態度を助
た とえば,参加的予算管理にあっては,部下が
長する ものとなりかねない ということは言える
予算の値を彼 しか知 らない彼 自身の期待業績に
であろう。 これまでの研究で判明 したことを表
等しく設定する時に,部下 の期待効用が最大と
にまとめると,第 8表のようになる。
なるような報酬体系を意味している。このよう
な報酬体系を数式で表わせば,以下のようにな
第 8表 チョウ=クーパー=ウ エラーの研究結果
仮
説
1
.スラックはスラック導
導
出体系
系下よりも真実
出体下の方が低い。
2.
上記スラックの差は情
報非対大称性のある時の
方がきし、。
意
|結果|
る
。
味
y>y”のとき
y<y”のと き
支持
−
B=B’
+b
(
y” y’
〉
+ α(
y-y”
〉 ー…(
2
)
棄却
−
B=B’
+b
(
y” y’
)
+c
(y-y”〉−
・・
(3
・)
予算水準を低く
して スラックを
創出している。
ただし ,
では,スラックの創出を防止する方法は無い
B
=部下 の実際の報酬額
y
=実際の業績
のだろうか。 上記の研究結果では,情報の非対
B’ =上司が提示した最初の報酬額
称性 とスラック導出報酬体系とが相互作用を及
y’ =上司が提示した最初の予算
ぼす時に初めてスラックが創出されるというこ
y” = 参加を通 じて部下が改訂した予算
とがわかった。つまり ,情報非対称性下では部
α,
b
,
c=参加前に上司 が決定する賞罰係数
下は報酬体系の違いに非常に良 く反応するよう
になるということである。そこで,この点に注
この式は,部下の実際の報酬( B)
は,次の三
目して, 情報非対称性下でも 報酬体系を真実導
つの構成要素から成り 立っていること を示し て
出体系とすれば,問題は解決できるのではない
いる。すなわち,上司が最初に提示した報酬額
だろうか。このような意味で,次節では,スラ
C
Bつを表わす第 1項と ,上司の提示した予算を
ック創出の防止に役だっ真実導出体系とはどの
部下が参加して決定した予算が超える〈下 まわ
る〉ことによる報酬の増加分(減少分〉を表わ
ようなものかを明らかにしよう。
す第 2項と,そして ,実績の業績が参加予算を
4.報酬体系による解決
さらに超過した(下 まわ った〉ことによる報酬
チョウ=ク ーパー =ウ ェー ラーの研究では,
報酬は構成されるのである。
の増加分 (減少分〉を示す第 3項とで,部下の
ここ で,O<α<b<c と賞罰係数を定めれば,
情報非対称性が存在す る時にスラック創 出を防
ぐ方法は,真実導出体系と L、う報酬体系である
この報酬体系は真実導出体系 となる。その理由
こと が示唆された。 では, この体系とは一体ど
として は,以下の 3点を挙げる ことができる。
のようなものなのかについて,彼らの所説に従
い明らかにしよう。 16〕
第 1に y>y”のとき, a<bということは,部
まず,通常の場合,部下の管理者は自己の期
け下けγ
ことしても, (
2)式によれば,それによる
待効用を最大化する行動を選択するものである
報酬の増加分 ( a~yつはそれに伴う報酬の減少
という仮定がなされる。そして, この仮定に基
分 (b
ムyつより少ないために,報酬全体はかえ
づいて,部下が彼個人の情報を正直に言い表わ
下が参加によって予算( yつを意図的に ムy”だ
って 減少 してし まうこ とを意味している 。 した
がって, この場合,参加予算( yつは実績( y)に
1
6
)I
b
i
d
.
,pp.1
1
3
ー1
15.
近づけるほど期待報酬は大きくなるのである。
-7
l
--
第 2に,部下が予算を実績より高く設定した時
績を 6単位 と見積 った時,予算を 6単位にする
には (
y<y”〉,部下が参加によって予算 (
y”〉を
と最大報酬 1
2ドルを得られると 考えるにちがい
.
y”だけ上け’たとして も, b<c で
意図的に D
ない。このようにして,真実導出体系では,期
あるから,
(
3)式により,その時の報酬増加分
待業績と参加予算が一致すること, 言い換えれ
(
b
ムyつ は同 じ時の報酬減少分( c
ムyつよりも 小
ば,両者の差額としての予算スラックが存在し
さいので,この場合にも報酬全体は減少 してし
ないところに,その特徴を見い出すこと がで き
まうであろう。結果 として,
y”は yに近いほ
るであろう。さら に, O<αの意味は,たとえ
ど期待報酬は大 きくなるということ が言え るの
ば部下の業績も予算も ともに 6単位で報酬が 12
, 0<α<cというこ とは,
である。また,第 3に
ドルであった時でも ,部下は業績 (y)
を 7単位
実際の業績 (
y)を D
.
yだけ増加させる ことが,
にすれば報酬を 13ドルに増加す ることができる
(
2)式の場合 a
D
.
y
,(
3)式の場合 c
D
.
y だけ高い報
ように,たとえ予算を意図的に操作しない時で
酬をもたらす ことを意味している。取りも直さ
あっても , より高い業績を示す誘因が存在する
ず,この条件は,たとえ予算を意図的に操作し
ことを表わしているのである。
このような真実導出体系の特徴は,スラ ック
ない時にも ,よ り高い業績を求める誘因が存在
導出体系と 比較するな らより一層鮮明になる と
することを保証している のである。
これらの関係をより良く理解するためには,
えば b<α=cと定義される報酬体系のことであ
次の数値例が役だつであろう。
B’
= $1
0
,
a=$l
,
c= $3
'
る
。 y>y”の時の b<αという 条件は,真実導
y’
= 5単位,
b=$2
出体系の場合 と反対であるから ,部下は報酬を
増すために参加予算を意図的に下げる という こ
と仮定 して,業績 (y)と参加予算 (
y”〉との関
3
4
5
6
7
単位
単位
単位
単位
単位
y<y”の時の b<c
るから ,参加予算を実績に一致させようとする
参加予算と業績との関数としての報酬例
業 績 (y)
とを意味している。他方,
とい う条件は,真実導出体系の場合と同じであ
係を示 したの が,第 9表である。
第 9表
思、われる。ここでスラック導出体系とは,たと
誘因となる ということを意味 して いる。こう し
参加予算 (
y”〉
て,部下は参加予算の水準を期待業績( =実績〉
3単
位
[ 4単
位
[s
単
位
[ 6単
位
[ 7単位
に等しいかまたはそれ以下に決定することにな
$6
キ $ 5 $4 $ 3 $ 2
8本
7
7
6
5
1
0* 9
8
9
8
9
1
0
1
2* 1
1
1
1
4
キ
1
0
1
1
1
2
1
3 1
り,その両者の差額としてスラックが創出され
るのである。
この 関係を,y<y”の時は差がないので y>
y”の場合に限って図示してみよう。第 3図は
真実導出報酬体系下での部下の報酬を示 してい
本所与の業績の時の最大報J
i
額
る。当初,参加予算 (
y”〉を実績( y)
に一致さ
この表からわかることは,たとえば部下の業
せていない場合の部下 の報酬は Bである。しか
績
( y)
が 6単位の時は参加予算( yつ が 6単位
し
, 部下は y”を y と等しくすることによって,
の時に最大報酬 12ドルを得られ るというように,
つまり y-y” で表わされ るスラックをゼロに
y=y”の時に最大報酬を得られるという ことで
す ること によって,B を B”に まで増加させる
ある。 しかし
, 実際の業績というものは事後的
こと ができる。このように して,部下が期待業
にしか知 りえないものであるから ,部下の事前
績〈=実績〉どおり の参加予算を設定する時に
の行動としては,実績の代わりに期待業績を指
報酬を最大化できる報酬体系を真実導出体系 と
標 として利用する他に手だては無いはずである。
呼ぶのである。 一方, 第 4図は, スラック導出
したがって,前例の場合,部下は自己の期待業
体系下での部下の報酬を表わ しており,
- 72ー ー
y”を
参加的予算管理における情報非対称性の業績に及ぼす影響
y より も低く 下げるほど現在の報酬 Bを増加で
るべき,予算編成への参加がはた して業績を改
きるこ とが容易に理解できるであ ろ う
。 この時
善するか否かという問題を扱っている。その際,
yと y”の差 とし て示されるスラックは非常に
と くに期待理論をフレ ームワー クと して用いて,
大きし業績に悪影響がある報酬体系であると
実証研究の結果を考慮しながら上記の問題に取
り組んできた。ここで、期待理論を用いた理由は,
言えよう 。
(
1)
予算管理 とし、う状況において記述的有効性を
報
酬
持つ こと,(
2)モチベ ーションの構成要素ま で分
析する能力があること,という 2点であった。
‘ところが,実証研究の結果からは,予算編成
への参加はモチベ ーションを高めることもなく,
!
一
[ ーァ
ー心
!;
の
朝
さらにモチベ ーションを通じて業績に影響する
i
こともないという驚くべき事実が判明した。 こ
の原因のーっとして考えられたのは組織ス ラッ
クの存在であった。そこで,次に, 組織ス ラッ
ー
B
’ ト
クが創出される 条件を,とりわけ組織のあり方
に関連させて探求することに し その条件が上
司と 部下との情報非対称性,および報酬体系に
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あるという予想の下に,実証研究の結果を考察
した。予想、どお り,その結果は,情報非対称性
夕、
む
t
I
とスラックを導出しやすい報酬体系との相互作
g
r
用の存在する時にスラックが多く発生している
スラ γ ク
ということを示していた。また,スラッグ発生
第 3図 真実導出体系下での部下の報醐
のメカ ニズムについての研究からは,部下が予
報
開H
算編成に参加して予算を設定するに際し ,情 報
非対称性が存在する時には,部下は報酬を多く
得られるように予算を期待業績よりもはるかに
低く 設定することによって , スラックを創出さ
せていることが判明したのである 。
つぎに本稿では,情報非対称性と報酬体系と
は,両者の相互作用の結果と してスラックを創
出させているという点に注目し,もしその一方
が欠ければスラックは創出されないはずだと考
えた。すなわち,報酬体系をスラックを防止す
る性質のものとすれば,情報非対称性が存在し
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てもスラック創出とし、う問題は解決できるはず
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と考え,そうした報酬体系のひとつとして,真
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実を導く報酬体系を提示したのである 。 なお,
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一
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ー
ーー
ーー
ー
ー
ノ
ス
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.
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真実導出体系の本質は,期待業績と参加予算の
第 4図 ス
ヲ' '
lク導出体系下での部下の報酬
水準とを一致させる時に最大報酬を得られると
5.おわりに
い うメカ ニズムであった。
本稿では,経営管理において切実な問題とな
- 73ー
さて,こ れらの諸結果の現実的な意味をどの
ように解釈すべきであろうか。まず第 1に,今
実務的には良いのセはないかと思われる。上記
日の予算をとりまく実状からすれば,部下の遂
2点を改善 して も本稿 と同じ結論が導かれるか
という 点に ついて も調査が さらに必要であろう。
行能力についての情報は,部下自身が最も良く
保有しているのが普通であり ,必然的に,この
しかし,上記のような限界がありながらも本
情報については上司との間で情報非対称性が存
研究で提起された報酬体系の改善に取り組むこ
在すると言えよう。 したがって,情報非対称性
とは, 今後とも大きな意義がある と思われる。
から生じる問題を防ぐために何らかの方法が必
要となるであろう。伊丹教授は,この問題を モ
ラル ・ハザードと 位置づけ,その解決方法と し
1
)
モ ニタリング ・システム,(2)インセン テ
て,(
ィプ ・システムを考える必要があると述べて ν
る。
1
7〕本稿ではこのうち後者のインセンティプ
.システムのーっとしての真実導出報酬体系を
導入することが,参加的予算管理の成功におい
ては不可欠であることを示している。
具体的な真実導出報酬体系はどういうものに
なるのか という点については,はっきりしたこ
とはまだ言えないが,たとえば,最初は上司か
ら予算と報酬体系を提示し,部下がそれを超え
るような参加予算を自主的に設定した場合には,
当初の提示予算を超過した分を一定率で評価し
参考文献
〔1〕Brown
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l,P
.andMorrisMcinn巴s
,"Budge
taryPa
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c
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: The A
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1
, No.
4
,1
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6,pp.
5
8
76
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0
.
〔2〕Chow
, C.
W., J.C.Cooper, and W.
S.
1
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.1
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1
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〔3〕Col
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かも しれない。具体的な実施ともなれば,なお.
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3
, No.
2
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1
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7
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,p
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.32ι335.
〔4〕Cyer
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.M.andJ
.G.
March,A Be
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The
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eFirm,Prentice
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.
〔5〕Hof
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, G.H.
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.
,1
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.
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種々の問題が生 じると思われるが, 部下の行動
〔6〕Mi
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,Ken,"TheR
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l
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s
h
i
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fP
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i
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-
た付加的報酬を支払い,さらに実績が参加予算
をも超過した場合には,そ の超過分を上記の率
よりも低い率でもって評価した付加的報酬を払
うというような報酬体系を考えることができる
が全社的な利益に合致したものとする一つの方
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法と して,今後真実導出報酬体系の具体的実施
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方法の検討が課題となるべきである 。
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2
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.
また,情報非対称性に関する研究では, 1期
間モデルの実験であったために,部下は上司か
〔7〕Onsi, Mohamed
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r Analysis o
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らの報復を恐れることなくスラックを創出でき
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.
たのであって,現実にはもっと穏やかな形でス
ラックを創出するにちが L、ないという限界があ
る。さらに,実績が予算を超えた分に対して比
〔8〕Rockne
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.,"Exp巴ctancy Theory i
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例的に追加報酬が支払われるというのはあまり
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現実的ではない。むしろ, 実績が予算を超え た
時に一定額を追加報酬と して支払うとする方が
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7
7
,p
p
.8
9
39
0
3.
1
7)今井賢一,伊丹敬之,小池和男著 『内部組織の経済学』
98
2
,p
p
.6
7
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9
.
東洋経済新報社,1
〔9〕Rone
n,J
.andJ
.L.Livingstone
, "An ExyApproacht
othe Motip巴ctancy Th巴or
- 74ー
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参加的予算管理における情報非対称性の業績に及ぼす影響
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.5
0
, No.
4
,1
9
7
5
, pp.
6
7
1
6
8
5.
〔1
0
〕S
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f
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.and R.H.Monczka, "Per・
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Academy ofManagement j
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.
1
6,No.4
,1
9
7
3
,p
p
.5
4
15
5
4
.
1〕新井一夫稿 「参加的予算管理の研究に関する 三
〔1
つのアプロ ー チ」『会計』第 1
1
6巻,第 2号,
1
9
79
, pp.
1
4
0
1
4
8。
〔1
2
〕一一一一 「予算管理における期待理論の役割J
『文経論叢』(弘前大学人文学部〕第 1
4
巻,第 4
号, 1
9
7
9
,p
p
.2
74
3。
〔1
3
〕 一 一一「予算管理における問題点と 経路一 目
ノ
レ」 『文経論叢』第 1
9
標理論および SEUモデ
巻,第 1・
2合併号,1
9
8
4,p
p
.1
1
5。
〔1
4
〕今井賢一,伊丹敬之,小池和男著『内部組織の
経済学』東洋経済新報社,1
9
8
2
。
- 75 ー
Fly UP