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2005年10月

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2005年10月
院内学級の仲間たち
ニュースレターVol.3
院内学級での学習:こども病院N.Mさん(小5)の作品
平成17年10月
長野県教育委員会義務教育課・県立こども病院院内学級
・・・・・・・・・・・
はじめに ・・・・・・・・・・・
今回は、病気療養児の教育を考える会の太田直子さんにお願いいたしました。
『英語の勉強をしている時が楽しいから、勉強する。』
中学1年だった娘が、「勉強どうする?」と聞いた私に言いました。検査と検査の間をぬうように
してO先生との英語の勉強はその日も15分程で終わりました。
『ありがと・・・』 『じゃあまた明日ね。』と別れ、次の朝息を引き取りました。
この最後の授業を見ていたのは、介護休暇が取れてようやく初めて一日中付き添いをしてい
た主人でした。吐血、下血の続く体でも、中学生として生きる時間をいただけたのは、医療スタ
ッフの日々のケア、加えて教育の力だと感謝しています。そして娘の姿から「学ぶことは、生き
る喜びなんだ。明日に向かう心を育み、同時に病気に立ち向かう勇気も培う。」と教えられまし
た。だから「どんな時も一日一日成長している子どもに、教育を途切れさせてはいけない。」と確
信し、勉強したい時、ベッドにいても教育を選択できるしくみを思い描いていました。
2003年2月新聞で、「県民参加の政策提案」の記事を読み応募しました。検討会の「考える
会」には病気の子どもの家族、医療スタッフ、教師、ボランティアの皆様が、快く参加し意見を交
わしてくださいました。3月の採用決定から8月の県庁での公開提案会までに14回の集まりを
持ち、次の事を行いました。
1、現状の問題を捉える(当事者、家族、院内学級の先生へのアンケート実施)
2、大切な情報を多くの人と共有する(谷川先生(注)の講演、学習会で全国の状況を知る)
(注)西南女学院大学保健福祉学部教授で、全国における院内学級の立ち上げに深く関わっておいでになられます。
3、病気の子どもに関わる多くの人の意見を伺う(公開検討会、準備会)
会を重ねるにつれ、アンケートに詰まった皆様の言葉や心が少しずつ提案文に形を変えてい
きました。本当に多くの時間と智恵をいただき政策提案ができました。心を寄せていただいた皆
様にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。
「困っているの、助けて。」と、もっと気軽に言える社会、そして病気の子どもをやわらかく受け
止める学校や社会であったらと願います。それは遠くの夢ではなく、私自身を見つめ身の回り
から始める道の先にあるものと思います。
1
今年4月から長期入院児童生徒訪問支援事業が始まっています。県教委がこの新規事業
を考え、予算を付けて県会に提案すると知った日、私は「うれしい。
」を言いながら小さな
ジャンプを繰り返していました。買い物しながら店の中でも。言い尽くせないうれしさは、
新婚の時以上でした。
ぜひ、訪問支援の先生には、病気の子どもの心に寄り添い、「早くこないかなー。」と楽
しみに待たれるような人になっていただきたいと願います。
・・・・・病気のお子さんのお父さんお母さんへのお願い・・・・
娘の入院中、我が家では夫婦間で離婚届の紙が行き来した時期がありました。暮らしが
変わり、夫婦とも緊張の強いられる生活が続き、ニ人の心に大きなズレができました。老
いた父、母、3人の家に残った子ども達のこと。お互いを思いやることも出来ず、一方通
行の言葉のやり取り。
今思い返せば、父親と母親では考え方も違うのは当然で、家を守る人がいるからこそ病
気の子に付き添う時間をいただけたこと、ついてやれない父親のつらさなど、時が経って
解かることが本当にたくさんあります。6年の時を経て思うのは、私が娘の愛に守られて
いたこと。
どうか、お願いです。
一生懸命病気を治そうと頑張っている子どもの帰りたい場所、それはお父さんお母さん
が居る家族の中です。元のその場所に帰っていけるように、つらくても歯を食いしばって
踏ん張っていただきたいと、老婆心ながら切にお願いをいたします。
病気療養児の教育支援を考える会
豊科南小学校
貝原校長先生の作品
2
代表
太田直子
も
く
じ
ページ
1 はじめに
今回は、病気療養児の教育支援を考える会の代表であります太田直子さんにご寄稿をいただき、
ありがとうございました。
太田さんらの「考える会」では、すべての病気療養児の学ぶ喜びを途切れさせないように、様
々な視点から政策提言を行っておいでになります。詳細は、「いのちのかがやき vol.2」において
紹介させていただいておりますが、多くの方々のお力をいただきながら、一歩でも二歩でもより
良い方向に進んでまいりたいと思います。
(次回は他の人にお願いしたいと思いますのでその際はご協力お願いいたします。)
1
2 院内学級保護者等関係者による打ち合わせ会の概要について
4
平成17年2月12日に、こども病院において、こども病院・信州大学附属病院院内学級の保
護者等関係者にお集まりいただき、打ち合わせ会を開催いたしました。この院内学級は在籍する
子ども達が特に多いために、平成16年度に初めてコーディネーター教員を配置したところです。
今回、コーディネーター教員である柳沢先生や高野先生のお二方から、日頃の活動をご報告い
ただきました。
また、野池義務教育課長からは、予てから強い要望のありました児童生徒数の減少によらない
安定した教員の配置について、また来年度に向けた新規施策としての「長期入院児童生徒訪問支
援事業」の構想などについて説明があり、お集まりの皆さんと忌憚のない意見交換を行うことが
できました。
☆☆☆ 2月の会議資料(一部を参考掲載しました)☆☆☆
・県立こども病院院内学級の状況とコーディネーター報告
・信州大学附属病院院内学級の状況とコーディネーター報告
・長期入院児童生徒訪問支援事業の概要と院内学級を核とした長期入院児童生徒支援
◇◇◇
豆知識ポケット・・・成人した小児慢性疾患患者が加入できる任意保険・・・
◇◇◇
小児がん経験者にとって福音となりそうな情報について、西南女学院大学保健福祉学部福祉学科
教授の谷川弘治先生からいただきました。(平成17年7月)
これまで成人した小児慢性疾患患者が加入できる「任意保険」がない、あるいは加入できても保険料が高く、さらに
様々な制限がかかっていることが多いという問題がありました。最近、新潟の皆さんが小児がん経験者の独自の保険を
検討しているという話は聞いておりましたが、それができあがったそうです。
「ハートリンク共済」といって、①小児がん治療終了後 7 年以上経過した現在健康な人、②15 歳から 60 歳未満の人、
③診断書(最終治療日の確認、健康状態確認)が条件だそうです。保険料はプランで違いますが、本人プランで 15 歳
から 34 歳まで月額 2500 円とのことです。次のHPに詳しく紹介されていますので、興味のある方はどうぞアクセス
してみて下さい。http://hartlink.net/
この共済は「治療が終わっている」
「現在健康」という条件がありますので、他の慢性疾患で同じようなことができ
るかどうかわかりません。どうあるべきかを考えるきっかけになるとよいと思います。
◇◇◇「笑顔の復学訪問支援リーフレット」が皆さんの手によって作成されました
◇◇◇
詳しくは最後のページをご覧ください。
表紙の絵:こども病院院内学級のN.Mさんが、小学校5年生の時に院内学級での学習の様子を上手に版画にしてく
れました。病気も直り、既に退院されておりますが、現在は中学校1年生で、元気良く学校に通っているとのことです。
☆☆☆お願い☆☆☆
ご意見、ご感想、投稿は次までお願いいたします。
Email: [email protected]
FAX:026-235-7494(義務教育課あて)
(注)「ニュースレターVol.1,2」は県HPhttp://www.nagano-c.ed.jp/kenkyoi/jouhou/gakkou/innaigakkyu/index.htm で掲載中です。
3
院内学級保護者等関係者打ち合わせ会について
◇
平成17年2月12日の土曜日に第2回目を開催したところ、皆さんお忙しい折にも関わら
ず、50名にものぼるご出席をいただきありがとうございました。
◇
平成16年度に初めて配置したコーディネーター教員の役割や期待することについては、4
月の第1回目の打ち合わせ会で、様々なご意見を伺ったところですが、次のようなことに集約
されました。
(1)ベットサイド学習をより充実させ、こども達の学ぶ意欲を途切れさせないようにする。
(2)児童生徒・保護者の意向に添った形で、地元校と連携しスムーズな復学を支援する。
(3)医教連絡会等により医療関係者と連携を密にし、こどもへの理解を深め、サポートする。
◇
そこで、コーディネーター教員を配置して、概ね1年経ちますが、それぞれの院内学級から
の事例報告や保護者の方々からのご意見をお伺いしながら、改めて課題を整理してまいります。
◇
その他、こども病院や信大附属病院の特殊性・専門性を考慮した安定した教員配置、文部科
学省へ働きかけた経過を含めた教科書の扱いなども資料をもとに説明いたします。
◇
院内学級の子ども達の教育環境における様々な課題は、コーディネーターを配置することで
全て解決するものではありませんが、このような会を通じて課題を共通のものにすることで、
教育環境の向上に向けて、一歩一歩前進したいと考えております。
◇
打ち合わせ会の発言は、出来るだけ、忠実に記載しました。長いかも知れませんが、意図す
るところをお汲みいただければと考えています。
院内学級保護者等関係者打ち合わせ会
発言要旨
平成17(2005)年2月12日(土)
10時∼12時50分
県立こども病院
北棟2階会議室
野池義務教育課長
本日は、大変皆さんお忙しいところ、院内学級の関係の方に多くお集まりをいただきまして、
第 2 回目の開催することができました。本当にありがとうございます。人数だけを見ても、50 人
を超えるお集まりをただいておりまして、フットワークがさらに広がってきたような感じがいた
しまして、うれしく感じております。4 月に第 1 回目を開催いたしましたところ、色々な方のお
話をお聞きすることができました。ベッドサイド学習をより充実をして欲しい、また、地元の籍
を置く学校と院内学級との連携、特にスムーズな学校間の連携が重要であるとか、それから医療
関係の先生方と学校関係の先生方との連絡会等の医・教の連携を密にする、そんなことの重要性
もご指摘をいただきました。また、そのほかの課題として、学籍をどこに置くのが、一番子ども
さんにとってよろしいのか。ともすると、子どもさんの気持ちにそぐわない扱いが、おそらく現
状にはある、というようなことも分かりました。それから、子どもにとって院内学級の先生とい
うものが持つ、大変な重みを考えると、何としても、年々によって減ったりしない、安定した教
員配置をお願いしたいというようなご要望もいただきました。また、学習の一番基本になる教科
4
書の問題で、保護者の皆さんにできるだけ負担をおかけしない扱い、現状では、教科書を買って、
院内学級の学習を受けるために、対応していかなければならない状況もあるということもいただ
きました。こういった点につきまして、私ども、出来るところから早急に予算化して対応してい
かなければいけないと考えております。これから議会の審議をいただくわけですが、来年度の予
算案に盛り込まれた事業も後ほど資料でご説明させていただきたいと思います。それから、第 2
号のニュースレターが発刊されました。第 2 号につきましては、信州すずらんの会の宮越さんか
ら巻頭言をいただきました。それから全国の院内学級にご支援をいただいております谷川先生か
ら特別寄稿をいただきましたり、伊那中央病院の院内学級の吉田先生からは、院内学級の日常か
ら、その感動を綴ったエッセーをいただいたりしております。教科書問題も今回のニュースレタ
ーの中で、私と担当の鶴田と、文部科学省に行きまして、直接、現行の法的な制度はあるにして
も、現状をどうしても理解して欲しい点があるということで、文部科学省の担当の方と、色々意
見交換をしてまいりました。これについての明確な結論が出ていない状況ではありますが、経過
報告を後ほどさせていただきたいと思っております。それから、本日は、コーディネーターの先
生方、それぞれ本年 4 月から配置をさせていただきまして、1 年が経とうとしております。それ
ぞれの院内学級の先生の目から見た、いろんな現状や課題、そんなものもご報告をいただきまし
て、また重ねて、関係者、保護者、あるいは病院の先生方からもご意見を伺いながら、改めて課
題を整理して、一歩一歩という、みなさんの目からすれば映ると思うのですけれども、さらに前
進をしていきたいといふうに考えております。限られた時間ではありますが、ぜひ忌憚(きたん)
のないご意見を、今日も頂戴したいというふうに考えております。本日の進め方ですけれども、
この後、自己紹介をし、その後、コーディネーターの先生方からのご報告、そして、私どもの方
から来年度の施策ですとか、教科書の問題、そんなものを報告させていただきまして、本日の材
料を共有させていただいた上で、それぞれの皆さんに、ざっくばらんなご意見をいただいて、課
題を整理して、さらに今後につなげるというような形にしていきたいというふうに考えておりま
す。本日は、よろしくお願い申し上げます。
(各自
自己紹介)略
野池義務教育課長
今年 1 年が経とうとしている、この間を振り返りまして、院内学級のコーディネーターのお二
方の先生、柳沢先生、高野先生の方から課題やら現状やら、思ったことを率直なご感想で結構で
す。資料を用意していただきましたので、それに基づきまして、ご報告の方をお願いしたいと思
います。
柳沢先生(こども病院院内学級コーディネーター)
それでは改めまして、こども病院の院内学級の柳沢といいます。よろしくお願いします。では
座ったままで失礼します。この 4 月から、ずっと私が右往左往してきた様子を、これから具体的
な事例を通してお話したいと思いますので、よろしくお願いします。最初に、お手元の資料の 4
ページをお開きください。概要ですけども、こども病院の院内学級の児童、生徒数の推移という
ことで、それぞれの月の1日の日に、その一番上の表、在籍者数、学籍があって在籍している児
童、生徒が何名か。それから次の通級というのは、学籍は在籍していないんですけども、実際に
通っていたという子どもの数です。それを見ると、ほぼ毎月、少ない月でも 10 名。多い月で 16
名ぐらいで、10 数名でずっと年間を通して変わらずに、児童、生徒数が推移していることが分か
ります。尚、一番下にちょっと記してありますが、この資料は、月の一日締めでありますので、
月の中旬から下旬までいたというお子さんも、何人かおりますので、実際は、これに若干の数が
プラスされます。私どものこの院内学級は、豊科南小学校と南中学校の方から職員が来ています
5
が、本校との関係、交流について、その 2 番目の表に記してあります。そこにありますように、
小学校、中学校の方から、たくさんの応援、支援をいただいていますが、子ども同士の交流とい
うのは、性格上、病気の子と外へ出ていったりなど、難しい面がありますので、限られた交流で
あると感じられました。小学校の方では、今年、なるべく多く、本務校南小の先生方に、院内学
級を訪問して、様子を見て、それからそれをまた自分の学級の方に返してくださいということで、
職員会等も含めて、校長先生の方からも、全職員にお願いをしてきました。中学校の方は、そこ
にありますように、2 人だけの先生ですけれども、南中学校の方から、それぞれ教科の方で、先
生が訪れて指導していただきました。来年以降も、さらに多くの先生にこのように授業をしてい
ただけるとありがたいかなあと思っています。それから院内学級の職員の本務校での仕事という
ことになりますが、南小学校の方では、校務の軽減にとても配慮していただき、院内学級の授業
を中心に、活動が行えるような体制を組んでいただいて、とてもありがたく思っています。これ
からもこの方法で進めていただけると、ありがたいなあと思っています。中学校の方は、若干そ
こに本務校の南中の生徒とのかかわりがあるのですけれども、かえって中学の先生の方は、学校
の様子が分かったり、他の先生とのコミュニケーションを取れていけたりするので、このような
方向でも、とてもありがたいというご意見でした。それでは、続いて資料の 5 ページをお開きく
ださい。ここには、5 つの事例が載せてありますが、この 5 つとも共通するテーマは、出身校へ
の円滑な復学というテーマです。1 つ目の事例ですけども、これは、整形外科関係のお子さんの
復学の事例です。ペルテスという病気を経て、復学するお子さんは、退院した後もローマ字のA
という字なのですけども、A型装具を足に装着して、しばらくの間、1 年ぐらい学校生活を送り
ます。この装具は、両足が伸びきったままの状態で、車椅子等を使用しての学校生活となります。
そのため、それぞれの学校へ帰ったところで、車椅子の走行をする際の障害の解消とか、手洗い
内での手すり等の補助施設、それから階段の昇降等が、学校生活における課題となります。復学
にあたっては、主治医の先生から、学校生活上の留意点を私の方でお聞きして、出身校の先生の
ところに説明に行くことを中心にしてきました。ここで、私が注意していることは、医療的な面
からの助言はできませんし、それをする立場にないので、そのことは避けて、あくまでも学校生
活のみの話に限定して、話を進めてきました。医療的な面からは、主治医の先生、それからリハ
ビリ科等の方から直接指導していただくことがよろしいかと思われます。本年度は今までに 4 名
の児童が、病気を経て復学していったのですけれども、どの学校においても、とても親身になり、
先ほど述べたいろんな障害解消補助設備の設置みたいな点から、学校施設を見直してくださいま
した。足りない点は、すぐに補充工事等をしてくださいました。その 4 名の児童のうちの 2 名は、
教室が 2 階でした。そして残りの 2 名の子が、教室が 3 階でした。特に、教室が 3 階にある 2 名
の児童の学校では、教室を、特別に 1 階に下ろしてくださったのです。特につい最近、1 月ほど
前に退院していった児童の学校では、この学年の残りが 1 カ月ということでしたが、その 1 カ月
という短い期間にもかかわらず、ためらわれることなく教室を 1 階に下ろしていただきました。
この教室を下ろしていただくということは、本人とか保護者の方からも、
「クラスのほかの友達に
迷惑がかかるのでとても心苦しい」と、ご配慮される、遠慮される面もありましたので、それぞ
れの学校にお話するときには、学校の都合もあると思いますので、強いお願いではなく、えん曲
的にお願いしてきましたけれども、どこの学校でも、こちら側の意を汲んで対応してくださいま
した。2 つ目の事例ですけども、これは、血液腫瘍科関係のお子さんの復学の事例です。集団内
学習困難児童って、ちょっと分かりにくく書いてありますけれども、血液腫瘍科のある病気を経
て、それで復学するお子さんは、退院した後も、免疫力とか感染の関係から、すぐに教室へ入っ
て集団の中での学習が難しい場合があります。そのような場合は、学習室、校長室等、他のお子
さんとは別の部屋を提供していただいて、そこで学習を進めていく場合が多いです。併行して、
体の調子を、この病院のお医者さんに診ていただきながら、少しずつ集団の中に入って行く、そ
のようなケースが多いです。ここで言う 2 番では、小学校 3 年生のK君の事例ですけれども、こ
6
のK君は、1 年間以上の入院生活を送ってきました。1 年間以上の病院での生活ということで、復
学にあたって、特に念入りに復学に向けてプログラムを組みました。まず一番最初に、退院予定
日のかなり前の日から、出身校の学級担任の先生や、校長先生とお話を進めて、どのようにして
出身校として受け入れ体制をつくっていくのかを一緒に話し合いました。というのは、個別学習
を進めていく際は、多くの学校では、その時々に時間の都合のつく先生と学習する形が取られて
います。本当は、専属に近い形が取れる先生が理想的なのですけども、そうしたこと 1 つ取って
みても、1 人の先生が片手間で進められるものではありません。ですから、学年、あるいは学校
全体で考えていかなければならない大きな問題とも思われます。そこで、なるべく早い時期から
話題を提供して、学校の体制の中で考えていただくようにしました。そのK君の場合は、さらに
1 年以上間が空いていましたので、詳しい説明が必要と思われました。先ほど述べましたように、
私には、医療的な説明はできませんので、このK君の場合、主治医の先生に、出身校まで一緒に、
同行していただいて、関係の先生方に、医療的な立場からお話をしていただきました。そのよう
な話し合いや説明を経まして、K君のこの小学校では、ちょうど県の教育委員会の方で、緊急雇
用施策という、教員の先生を配置してくれるという、そういう施策がありまして、専属に近い形
の先生を充当してくださいました。K君は、復学する際に、最初、午前中に 2 時間、別室で個別
にその先生と一緒に学習から始まり、現在今、午前中 3 時間程度の学習時間に延長して、お弁当
をその先生と一緒に食べられ、下校する毎日が続いています。この 2 番のところで、もう1つ、
割と円滑に復学できた事例を紹介します。資料にはありませんけれども、中学生の事例です。A
君という中学生がいるんですけども、飯田市の中学生です。復学にあたって、出身校の学級担任
の先生を交えて、院内学級の方で話し合いを持ちました。そして、それぞれのところで、このよ
うに役割分担を考えてみました。出身校での個別学習は、すでに学校の方が始まっていて、新た
な職員の配置等、現況ではとても難しいというお話を聞きました。そこで、同じ飯田市の中に、
飯田市立病院の院内学級があるので、そこを活用できないかと考えました。そこで、主治医の先
生から、飯田市立病院の方に、病気の面も含め見ていただくことが可能かどうか、まず連絡を取
っていただき、了解を得ることができました。次に、飯田市の教育委員会の方に連絡を取ってみ
ますと、飯田市の市立病院の院内学級は、その子が戻る学校と違う学校に所属するのですけれど
も、同じ飯田市の教育委員会ということで、そこへ通うことは可能ですよという確認を取りまし
た。そこで、集団での学校生活が可能になるまでに、飯田市立病院の中の院内学級では、数学、
社会、理科を中心に学習を進めていく。それからこども病院の院内学級では、国語、英語を中心
に学習を進めていき、出身校の方では、学級担任の先生を中心に、生活面や学校とのつながりか
ら指導を進めていくという役割を分担して、学習を進めていきました。現在A君は、出身校に復
学し、朝から帰る時まで集団の中で、終日過ごせるようになっています。このように 2 つほどう
まくいった事例なんですけども、はっきり言ってうまくいった例ばかりではありません。なかな
かうまくいかなかった場合も、実はあります。特に、学籍がこの院内学級を離れて出身校へ戻っ
た時には、指導の面で難しい問題もあります。でも、これからも、1 つ 1 つのケースとか、一人
ひとりに寄り添っての、円滑な復学を考えていくことは、もちろん大切なことだなと思っていま
す。3 つ目の事例ですけども、それは同じく、血液腫瘍科関係のお子さんの事例です。骨髄移植
を受けるお子さんは、無菌室、クリーンルームで 1 月ほど外部と離れて生活をします。その間、
クリーンルームの中へ入るのは、ほとんどお医者さん、それから看護師さんの方に限られていて、
学習をどのようにするのかということが課題になっていました。そこで、このこども病院の中で
は、コンピューターの回線が引かれていますので、テレビ会議システムのようなものを使って、
院内学級とクリーンルームを結んで、画像を通して、朝の会などに参加することができます。た
だ、画面を通してだけの学習は、やはり深みがない点もありますので、直接中に入っての指導が
いいのではないかということで、お医者さんの方から要請されて、入っている間、そこで 1 日 1
∼2 時間、直接ベッドサイドで学習をするようにしました。ですから、この直接の学習、それか
7
らコンピューターの回線を結んだ学習は、それぞれの特長を生かせば、とても効果的だと思われ
ます。ただ、1 つ不満というのは、私のように医療的に素人の者が中に入るということで、私の
精神的負担がとても大きいことですが、何かあったらどうしようということで、入るときには、
お医者さんに色々注意を受けて、クリーンルームに入るようになってから、私も清潔に注意して、
手洗いとか、風呂にも入るようになって、家族はとても喜んでいます(笑)。次の 4 番目の事例で
すけれども、これは神経科関係のお子さんの事例です。病院を退院した後で、慣らし登校という
か、集団生活への適合状態を見る試験登校という形を取る場合がありますが、この試験登校が必
ずしもすんなりと順調に行かずに、この院内学級でもう 1 回再調整をしたという事例です。この
お子さんは、中学校の 3 年生でしたが、夏休み前の試験登校中、集団生活にうまく適合できずに、
友達関係で少しトラブルが生じました。すぐに出身校への再度の復学は難しくなりましたので、
主治医の先生も交えて、関係者で話し合いが持たれ、もう 1 度院内学級で生活習慣の立て直しを
図っていこうということになりました。9 月以降、この子は、午前中を中心に院内学級に登校し
て来て、主として、手の空いている私と学習を進めてきました。そうこうしているうちに、欠席
もなく毎日学習を進めるという習慣が身に付き、現在、表情も和らぎ、穏やかな生活が送れてい
ると思います。現在は学籍を出身校の方にもう移してありますが、学習は院内学級が主となり進
めて、卒業関係につきましては、出身校の方で卒業したいという希望がありますので、出身校の
方で主として進める役割分担を取っています。つい先日も、出身校の方と協力して、高校見学が
できるなど、卒業に向けて、少しずつではありますが順調に歩を進めているところだと思います。
5 つ目の事例ですけども、これは、この病院を退院した後のお子さんの、トータルケアの事例で
す。こども病院を退院した後、出身校に学籍が移りますと、院内学級とは直接の関係が切れるお
子さんがいます。しかし、医療面でのつながりは継続して、外来の診察等でこども病院を訪れる
お子さんはたくさんいます。私どもは、そのような外来診察の際に、
「こんなことがあったよ」っ
てお話を、お医者さん、それから看護師さんの方、リハビリ科の方からお聞きして、必要と思わ
れる情報はできるだけ出身校の方へお知らせしていきたいと考えています。幾つかの事例を今、
紹介しましたが、次の 6 ページをお開きください。私は毎日このようなことをしているわけでは
なくて、その 6 ページの 1 にありますように、基本方針ですけれども、院内学級の担任の先生は、
なるべく教室内授業に専念できる態勢をつくることを目標としていまして、私の日々のほとんど
の活動は、ここに記載されていますように、訪室指導にあてられています。院内学級に在籍して
いても、治療の関係等で院内学級に登校できないお子さんがいますので、そのお子さんのベッド
サイドに出向き、学習することが主な仕事です。6 ページ、7 ページのところで、そのような様子、
それ以外の細かなことなども記されていますので、ご参照ください。幾つかの事例を通して、私
の感じたことですが、これらの事例は、私が何か活躍したとか、そういうものによって得られた
成果ではなくて、私がいなくても、私に関係なくスムーズに全部できたことではないかと思われ
ます。でも、ただ、1 人のお子さんが、長い闘病生活を経て、それから出身校に笑顔で復学でき
る、そういう裏には、さまざまな細やかな配慮とか、多くの方の協力が必要なのだなということ
を、この 1 年で感じました。以上です。ありがとうございました。
野池義務教育課長
柳沢先生、ありがとうございました。具体的な事例から、成果や課題をお話しいただきまして、
具体的に今後、材料が出てきたような感じがいたします。また、各学校の校長先生におかれまし
ては、ここに見えている先生方が専念できるように、校務を減らすというお取り組みをしていた
だいたり、それから、学校全体で院内学級に出向いて支援をするという校内態勢をひいていただ
きまして、本当に感謝を申し上げます。また校長先生方から、補足等あると思いますけれども、
次に信大附属病院の関係で、高野先生からご報告の方をお願いしたいと思います。
8
高野先生(信州大学附属病院院内学級コーディネーター)
よろしくお願いいたします。8 ページをご覧ください。こども病院の方と同じように、院内学
級の児童、生徒数を書いております。そこもご覧になれば分かりますように、多い時には 17 名、
通級の生徒も合わせて 17 名とか、ほとんど 10 名以上というような形になっております。年度途
中から小学部の方に 1 人先生が来られるようになりまして、4 名というような形になっておりま
す。9 月から緊急雇用ということで、10 時から 3 時ということで、先生がもう 1 人お入りになっ
ています。やはりベッドサイド学習が多いので、その時間を確保するということで、本当に 4 人
から 5 人のフル回転というような形でやってまいりました。2 番目の真ん中の表をご覧ください。
小学部の方は、夏休みに本校の方から先生方に来ていただいて、教科学習をやるというようなこ
とを実施しましたが、かなり難しい部分もあったということで、どういう辺りかといいますと、
やはり初めて出会う子どもに、自分の教えたいことを目いっぱい頑張ろうと思って来てくださる
先生がほとんどであったので、なかば詰め込み的な学習になってしまって、子どもも疲れてしま
ったようなことがありました。先生的には大変頑張っていただいたと思います。中学部の方は、
その時それほど子どもがおりませんでしたので、中学校からの応援はありませんでした。その次
の表ですが、こちらの方の教員が本校の方へお手伝いということで、行事とか研究授業を小学部
の方で行いました。その関係で、院内学級の方も、
「今日はお休みだよ」ってことになってしまう
ことも数日ですがありました。中学校の方も、かなり授業などもありまして、教科学習と、あと、
学年の方に所属して、部活とか、研究授業、行事、修学旅行、1日学習のようなところには行く
というようなことになっておりました。かなり、多岐にわたってやってきたような気もいたしま
す。子供同士の交流ということでは、やはり直接は行えなかったのですけれど、校内発表会の時
にメッセージを書いて、書き集めたものを送るというようなことを行いました。下の 3 番のとこ
ろですが、こども病院と同じように、月の途中から月末にかけて学習したお子さんが何人かいま
す。それから、保育園児が、やはり病棟に帰ると同じ部屋にいて、
「いいな。院内学級に行きたい
な」というようなことで、その時にちょっと手が空いていたりすると、
「じゃあおいで」というよ
うなことを言っていましたら、結構ずるずると大勢が来てというような時期もありました。その
辺りも、ボランティアの方に頼んで、デイルーム辺りで楽しい学習ができればいいのかなと思い
ながらやってまいりました。それからあと、高校生で、以前院内学級にいた方で、顔を出してく
ださった生徒さんがいまして、そんなに全教科を持ってという感じではないんですけれど、やは
り学べる場があるといいのかなという感じがいたしました。9 ページをご覧ください。柳沢先生
と同じように、児童、生徒と担任が協力しながらかかわってきました。小学部、中学部の授業も
一緒にお手伝いしながら行ってきたわけですが、やはり、職員が 1 名増えたというような部分で
は、音楽会とか調理実習など、手のかかるときのお手伝いができたりとか、あと、5、6 年生でキ
ャンプに行けなかった子供さんたちを対象に、院内学級にテントを張ってカレーを作って食べた
というような活動も盛り上げることができたんじゃないかなと思います。それから、前ページで
言いましたように、保育園児、来入児が 5 名いたのですけれど、原籍校と連絡をとって、知能検
査のようなものも行いました。2 番目ですが、保護者との懇談は、最初に、入院時になるべく担
任の先生と一緒に話をして、説明ができるようにいたしました。最後のところですが、その病気
について、大変な思いをされている保護者の人たちに、どのように言葉をかけていったらよいか
という部分が本当に難しくて、なかなか思うようにいかなかったかなと思います。3 番ですが、
原籍校との連絡ですが、お忙しい時期ではあるので、入院する時にも、本当はきちっとした場を
設けてということも必要だったかと思うのですけれど、とにかく、こどもとお見舞いに来たよう
な先生をつかまえまして、そんな話をするような形を取りました。途中とか、これから長期の入
院に渡っていくお子さんについては、きちんとした形でカンファレンスを設けた方がいいのかな
とも思っております。10 ページをご覧ください。最近のカンファレンスということで、今年は、
年度始めだからそれを行いましょうということで、なるべく全員の方にというふうに考えて行っ
9
てきましたが、1 カ月ちょっとぐらいのお子さんとかが夏休みに退院してしまう、急に退院が決
まって退院されてしまった方とか、どうしても受験期で、担任の先生がお忙しくて来られないと
いうような方々については行えませんでした。参加者は、そこに書いてあるとおりです。カンフ
ァレンス件数が、小学部 12 件、中学部 2 件あります。中学部は、大変入院期間の少ないこどもさ
んが多かったということもありまして、2 件になっています。内容は、そこに書いてあるとおり
で、一応進めてきました。大変ありがたかったのは、病棟の師長さんとか院内学級で担当の看護
師さんを決めておいていただきまして、その方たちの協力がありまして、こういう形になってい
けたかなと思います。それから例えば治療によって髪の毛が抜けてしまったお子さんについて、
学校ではどうしていくのというのを、あまり院内学級の担任からはうまく伝えられませんが、看
護師さんとか病棟で生活をともにしてきた方に言っていただけたということで、いろいろ話をの
んでいただけたかなと思います。またドクターの方から、退院して学校へ行けるようになったと
きに、ぜひ朝から行きましょうというお話をいただいて、原籍校の先生は大変過敏になっており
まして、4 時間目にきて1時間したら帰っていけばいいよという思いのある方が多かったと思う
のですが、朝が体調がいいなら朝から来てみんなと一緒に始めて、それで具合が悪くなったら帰
ればいいというアドバイスをしていただいたりして、それは大変メンタル的な部分ではよかった
なと思います。4 番なのですが、なかなかうまくいかなかったところもあります。病名について
プライバシーにかかわることなので、親御さんと共にあまり皆さんに紹介しないで伏せていた部
分があったのですが、退院のカンファレンスのときに病棟に直接担任の先生が行ってしまって、
病名を教えてくださいというような形になってしまったことがあります。4 月か 5 月か、最初の
ころに 1 件ありました。2 番目の事例なのですが、カンファレンスが進む中で、やはり原籍校の
先生が、それならまだ治っていないのですかと、本人の前で話す場面がありまして、こちら側に
控えていたのですが、本当にもっと上手な形で進めていかなければいけないと、あの時は反省を
しました。5 番目ですが、カンファレンスができずに退院してしまった子どもさんなのですが、
やはり先ほども言いました担任の先生が、大変過剰に心配しておりまして、4 時間目くらいから
時間が来たら入ればいいからみたいな、本人は後から行きたいと言っているのですが、待ったが
かかったという話を聞きました。外来へ来たときに、このまま院内学級に寄って、そのように話
をしていくことが多いので、ちょっと様子を見ながら、すぐ聞いて帰ってからすぐに担任の先生
からこのように聞いているがというようになってしまってもいけないので、様子を聞きながら何
かのついでに電話をしたりして、対応していこうと考えておりますが、気を付けていかなければ
いけないところかなと思っています。6 番は、そのとおりで、病棟の看護師さん、師長さん、ド
クターにいろいろ相談しながらやっていかなければいけないと思いますので、もっともっと協力
していただいて、またこちらもいろいろお世話になりながらやっていきたいと思っております。
それから、院内学級担当の看護師さんが研修の場で、院内学級のことについて報告してくださっ
て、カンファレンスに参加した看護師さんからのご意見なども集めていただきました。私がちょ
っとノロノロしていて、まだまとめていないのですが、退院された保護者の方とか、原籍校の担
任の先生に実質調査を行ってカンファレンスをより充実していくものになるように考えていきた
いと思っています。そこには書いてありませんが、院内学級の中学部におりまして、来年、本校
の旭町中学に復学する予定の生徒がおります。中 3 なのですが、留年を本人が希望しまして、も
う 1 年 3 年生をやるということで退院に向けて準備をしております。車いすなので、車いすで入
れるようにトイレを改修するとか段差をなくすとかいうことを、おうちの人が中心になって準備
をしていただいていまして、本校の場合は院内学級がよく分かっていてというつながりはあるの
ですが、やはり離れた学校でも、そのような形で、もし生徒が行きましたらやっていかなければ
いけないと考えております。11 ページをご覧ください。朝の連絡ということで、5 番ですが、フ
ァイルを用意して書いて行き来ができるように書いたもので分かる、というようなことをやって
きました。それから小中担任の連絡会ということで、なかなか本校の授業とかの関係で、朝の会
10
を一同に会してできないということがあるので、こども病院を見に行かせていただいたときは、
朝会を小中全員でやって、それから授業に分かれていくような感じだったのですが、信大はその
ようになっておりません。それができれば理想だと思うのですが、今年は小中で連絡会を持つよ
うにしてきました。7 番ですが、病棟懇談会ということで今まで 3 回行っておりまして、4 回目が
3 月 10 日に予定されております。参加者がそこに書いてあるとおりで、病棟を越えた情報のやり
とり、小児科病棟はかなりうちの生徒さんが多いので、いろいろご存じの先生方が多いですが、
その他の病棟の先生方にも院内学級について理解していただくいい場ではないかなと思ってそう
しています。8 番ですが、ボランティアさんの会ということで、ほとんど小学部の方にかかわっ
ていただいたのですが、ボランティアさんの会を置きまして、諸注意などを行いました。また、
いつも慌しく動いてくださっている方に、いろいろな気持ちを込めてお茶会などをして行き来し
ました。こども病院の方は書道の先生とか、いろいろな活動が午後の時間に入っているようでい
いなと思っていたのですが、なかなかこちらはできずに残念だったのですが、信濃美術館の方の
協力で東山魁夷の絵画から美術的なことに広げていくような授業をしていただくことができまし
た。3 回行って、また次回も予定されています。その他ですが、先ほど言いましたように、カン
ファレンスをより充実していくように頑張っていきたいなと思っています。それから研修の場が
少ないということで、やはりなかなか県内だけでは少ないので、県外の研修の場になかなか行く
機会がなかったということを反省しています。谷川先生も信大の方にお招きして、一度だけお話
を聞くことができました。太田さん、鈴木さんのご協力も得て、そのような会も開かせていただ
いたことも大変有意義でしたので、今後そのような会もぜひ利用しながら勉強していきたいと思
います。以上です。ありがとうございました。
野池義務教育課長
高野先生、ありがとうございました。本当に日常の中で、いろいろな壁に当たりながらも、工
夫をしていただいた様子がよく分かりまして、感謝申し上げます。お話の中でありました、医療
に従事する皆さまにとっての病気に関する個人の情報の扱いと、それから学校に限らず医療現場
の外にいるものの医療情報の扱いに、温度差があるという経験を私自身もいたしました。こうい
ったことについては、医療に携わる皆さんの専門的なアドバイスをいただいて、何よりも個人の
お気持ちに配慮した、そんな情報の扱いをしなければいけないなと思っております。続いて、一
方的な説明で恐縮なのですが、簡単に私どもが用意させていただきました来年度の取り組みに関
してご説明させていただきたいと思います。まず 12 ページでございます。新しく「長期入院児童
生徒訪問支援事業」ということで、お 2 人もそうなのですが院内学級に在籍をしておられるお子
さんの支援ということで、これまで教員の先生の配置だとか、あるいはお 2 人の先生のようなコ
ーディネーターの配置だとか、色々一歩一歩取り組みを進めてきたところなのですが、院内学級
のない病院は、県内にも大きな病院で 20 くらいございます。また、院内学級のない病院で病気と
闘っておられるお子さん、長期入院を余儀なくされているお子さんは大体 40 名前後ぐらいいるの
ではないかと、政府の統計から推測をしております。院内学級のない病院で長期入院している子
どもさんに対しましても支援の手をぜひ入れていきたいということで、今、予算案に盛られてい
る事業でございます。右側に、ちょっとややこしい流れがありますけれども、要するに県内各地
で、教員の経験のある方に登録をあらかじめしていただきます。そしておおむね 1 カ月を越える
ような長期入院のお子さんで院内学級がないという場合に、登録されている教員経験者を派遣し
て、ベッドサイドの学習ですとか、あるいは復学の支援、在籍校との連絡調整、そういった任務
にあたっていただくというような事業でございます。12 ページの右下に 4 番として大切にしてい
きたい点とありますけれども、入院生活にリズムを作る。子どもたちの生活に張り合いになるよ
うな学習を目指す、そんな気持ちを大切にしていきたいと思っておりますし、院内にあってもで
きる限り楽しい学習、分かる学習、こういったものを目指して、勉強というものを接点にして、
11
生活に張り合いと学ぶ喜びを子どもさんに与えていきたいという気持ちでおります。それから 3
番目は病院、保護者、学校と、何としても院内学級のない場所でも連携を深めていきたいという
ことで、子どもたちが今まで培ってきた友達との関係、それから大きな不安を抱くことなく、学
校に戻れるよう、みんなで力を合わせていきたいと、その 3 点を大事にしていきたいと考えてお
ります。予算といたしますと、650 万余でございます。1 回の訪問につきまして、2,800 円の報酬
というものを用意する事業でございます。それから資料にはないのですが、今お話を聞きました
ら、お 2 人の先生から緊急雇用という言葉が出ました。これは国の雇用政策として、仕事から離
れざるを得ない状況にある方を雇用することを第一とした事業でございまして、平成 14 年 1 月か
らずっと実施してきたのですが、その緊急雇用で、市町村もそうですし、県の教育委員会でもそ
うですけれども、国からの緊急雇用創出特別基金を財源にいたしまして、障害を持ったお子さん
とか、外国籍のお子さんとか、そういったところに直接先生を配置するという事業を行ってまい
りました。ところが今年度、国の方で事業が終わりになってしまうということで、長野県全体い
ろんな方面の緊急雇用の財源を活用して、いろんなことをやっていましたが、必要性の高い事業
につきましては継続ではなくて、新たな事業としてきちんと組んでいくという県全体の姿勢の中
で、私ども教育委員会もこういったお子さんに対する支援は、何としても現場の声を聞くと途切
れさせるわけにはいかないということで、要望を強くいたしまして予算案の中に反映をされてい
ます。若干厳しい財政の中ですので、先生方の 1 時間当たりの単価が若干下げられるようなこと
がございますけれども継続をしております。それから 13 ページでございます。院内学級を核とし
た子どもさんの支援体制ということで、色々いただいている声の中には、子供たちの数が減れば、
教員配置に関して非常に不安定な状況に置かれるのではないかというような声もございました。
そこで、私どもとしては、こども病院、信大病院という核となる病院には、教員の配置はこれか
らも現状を考えると 4 名を配置させていただくことを常態としたいと考えております。また、た
だ今のコーディネーターの先生方のお話もありました小中別々ということではなくて、小中が連
携をして院内学級の運営にあたることが、大変効果が高いと思っております。松本市あるいは豊
科町の教育委員会の皆さまにもご意見を伺ったり、ご理解をいただいたりして、この小中の連携
をさらに深めていきたいと思っています。ここでの中核病院での取り組みをさらに県内の院内学
級の取り組みに生かして、広げていきたいという思いもございます。また、大きな輪の中に院内
学級のない病院に対する支援、そんなことも合わせて取り組んでいきたいと思っております。県
内各地で教育経験者にご協力をいただくわけですが、ぜひ関係の皆さまにご協力をいただきまし
て、1 人でも多くの登録していただける教育経験者が増えますように今後ご協力いただくことが
あるかと思いますが、よろしくお願いいたします。それにつきましても、下の方の枠内にありま
す、こども病院の藤岡先生のお言葉でございます、
「子どもにとって治療していく上でも日常が大
切である。その日常というのは、お父さん、お母さんがいることと、学校があることだ」という
この言葉を大事にして教育関係者一丸となってあたっていくことを考えております。それから、
簡単ではございますが、教科書の問題、宿題とさせていただいておりました。ニュースレターの
20 ページに豆知識ということでまとめてございます。これにつきまして、私ども鶴田の方から、
ごく簡単に経過を説明させていただきたいと思います。
義務教育課
鶴田
簡単に述べさせていただきます。お手元のニュースレターVol.2 の 20 ページでございます。文
科省の教科書課に野池課長とまいりまして、そのとき提出した資料が、資料 1 から 3 で、資料 1
では現状をお伝えし、資料 2 で、長野県の採択地区の状況、太く囲ってあるのはこども病院が属
する採択地区である南安曇地区で、他の地区と教科書がどの程度違うのかということ示したもの
でございます。めくっていただきますと 22、23 ページに資料 3 ということで教科書の実態、こど
も病院の先生にご協力いただきまして、新たに購入した教科書について資料化したのでございま
12
す。24、25 ページ、現行法下における現段階での中間報告となります。やはり採択地区の縛りに
より法律上の規制が引っ掛かってきます。それならば別の方策をということ、院内学級で使う教
科書を、特別な教育課程を編成するため特殊な教科書を使うという意味で捉え(いわゆる 107 条
教科書)、107 条本として色々弾力的に運用できないものかと思って折衝してみたのですけれども、
これも難しい。資料中に、黒い星というか四角がある二つめのところですが、やはり現行の無償
給付、無償措置法の関係の中では、107 条であっても教科書の採択地区によって教科書が決まっ
てしまう、つまり同一の採択地区ごとに教科書を採択しなくてはならないというのが法律上の規
定というのが結論です。文部科学省の教科書課の方でも 107 条教科書という位置付けの元で、下
学年の検定教科書を使用するのであれば採択地区を問わず原籍校の教科書を使用できるかどうか、
前向きに検討してみたいというお話をいただいております。以上が途中経過でございますが、右
の 25 ページ、来年 4 月から必要な教科書ですので、いろいろな問題はあるにしても、当面色々な
方法が考えられるのではないかというのが、黒星の 2 つめの①∼④という形で書いてあります。
④番に、南安曇地区以外の採択地区分の教科書を事前に院内学級用として購入しておくというの
が、一番現実的な方法なのかなという感じは持っております。また引き続き、文科省にお願いし
てまいりたいと思っております。以上です。
野池義務教育課長
これにつきましては、さらに文部科学省に一定の理解をいただいている前提で、さらに要請を
していきたいと思っております。どんな方法が現実的に取れるのか、もうちょっと時間をいただ
いて、保護者の皆さんのご要望に添えるような方向、仕組みを検討していきたいと思っています。
先ほどの来年度の予算につきましては、県全体の予算の発表になったときに、ある新聞の見出し
に「弱者少数者の声を重点配布した予算」のような見出しが付いておりましたけれども、予算編
成をする場面では、
「こういうお子さんに対する施策こそ大事に考えないといけない」という県の
理事者の言葉もありました。ほかの部の大変厳しい予算編成状況から見ると教育委員会の部門が
大変うらやましく思われているようなのですけれども、私どもは貴重な税金をこういったところ
にやっていただけるという予算案ですので、実現した暁にはなんとしても成果に結びつけていき
たいと、そんな決意でおります。それでは、これから 12 時半ごろまで、皆さま方からいろんなご
意見やご提案をいただいて、相互に話し合いを進めていきたいと思います。特に話題に制限はな
いわけですが、私どもとしますと、今年度から始めたコーディネーターの今後さらに期待される
役割、そんなことにもぜひ話題に触れていただけるとありがたいなと思っております。保護者の
皆さまなどの意見を踏まえて院内学級とその先生が属する本務校の支援体制の在り方ですとか、
今日、教育委員会の自律教育課にも来ていただいております。場合によれば養護学校の連携だと
かに話題がいっても承れる体制でまいっておりますので、幅広くご意見を伺えればと思っていま
す。皆さまからお話しいただく前に、病院の関係の方からコメントがあればいただければと思っ
ているのですが。こども病院の副院長先生からお願いします。お気付きの点で結構ですので、何
かコメントがあれば。
県立こども病院
川合副院長
紹介いただきましたこども病院の副院長をしている川合といいます。よろしくお願いいたしま
す。今、コメントのお話があったのですが、感想といいますか、感謝をお話させていただきたい
と思います。平成 6 年に、こども病院に院内学級がスタートしました。今回、この会に出席させ
ていただいて、こども病院の院内学級、入院中の子ども達や病気でちょっと療養している子ども
たちに対する教育という想いが、非常に大きなものになっているのは非常にうれしく、心強く思
っております。医者になって 30 年ちょっと超しているのですが、私が学生時代に小児医科学を初
めて勉強したころ、
「子どもというのは大人を小さくしたものではない」ということを小児科の先
13
生から教わったのです。
「子供の特性というものは、常に発育発達していくのが子供の特性であっ
て、それを診るのが小児科なので、大人を小型化したものではないのだ」ということを教えてい
ただいたことが、ずっと小児科医になってからも心に残っているのです。やはり子どもというの
は、どんな状況にあっても常に発育発達をしていく、これが一番大事なことなのです。たとえ病
気で入院していたり、療養していたりしても、常に発育発達できる環境を与えてあげることが非
常に重要だと思います。その点では院内学級の果たす役割は非常に大きなものがあります。単に
勉強だけではなくて、子どもたちが発達していく、社会的にも成熟していくには、子ども同士が
交わる機会が一番大事なのです。そういう点からも今日の院内学級の果たす役割は本当に非常に
大きなものであると思います。そういった院内学級というものがこれだけ大勢の方が支えてくだ
さるということは、本当にうれしく、力強く思っております。本日はありがとうございました。
野池義務教育課長
突然お話をお伺いしまして申し訳ございませんでした。ありがとうございました。それでは信
大病院の先生から簡単にコメントいただければ。
信州大学附属病院
中沢Dr
信州大学の中沢です。この数年間の院内学級の充実は我々から見ましても目を見張るものがあ
ります。以前ですと、ほんとに治療の合間の自分の状態のいいときのみ学校に行って勉強できる。
多くのお子さんは病気で授業を受けられない状況だったのですが、先生方が非常に増えたことに
よりまして、ベッドサイドに来ていただきまして授業されているということで、子どもや保護者
の方に大変好評となっております。以前院内学級に在籍していた方で退院されたのですが、病状
が悪くなって最近もう 1 回入院された保護者の方から、本当に以前との教育システムの違いに驚
かれているようです。コーディネーターということについてなのですが、以前は先生方の数が少
ないうえに、院内学級に在籍する生徒が少ないと、さらに先生方の数が減ってしまうという危機
がこちらの方にありまして、子どもが退院していくのは大変うれしいのですが、先生が欠けてし
まうことが昔は心配されたのですが、コーディネーターの方が配置されて、先生方がそこへ従事
されて、常に安定してそのひとつひとつが丁寧な状況にあると思います。あともう1点、先ほど、
こども病院のコーディネーターの先生の方からお話しがあったクリーンルームでの授業というこ
とがありまして、われわれの方でもそういったことをちょっと参考にさせていただきたいと思い
ます。以上です。
野池義務教育課長
先生、どうもありがとうございました。それでは、今日、保護者の方、関係者の方がたくさん
見えておられますので、どなたからでも結構ですが、口火を切っていただければありがたいなと
いうふうに思っております。よろしくお願いいたします。こども病院の関係の保護者の方が大勢
見えていただいております。こども病院の保護者の方から、どなたかご意見、ご提案、感想、ど
んなことでも結構です。気軽にお話しいただけたらと思います。
保護者
K さん
私の息子ですけれど、年少の 4 歳になったときに病気が分かりまして、それから、こちらのこ
ども病院にお世話になっております。小学校 1 年に上がりまして、1 カ月は地元の学校に通った
のですが、5 月に、またちょっと悪いのが入りまして、急に入院することになり、それから院内
学級の方にお世話になっております。一度退院したのですが、3 カ月の自宅生活を経た後、また
悪くなりまして、1 月からこちらの方にお世話になっております。また院内学級にお世話になっ
ているわけですが、その都度、やはり一応学籍を移動させるという、私たちにとっては、そんな
14
に大した、書類をちょっと書く程度なのですけれども、そういったことが必要であるということ
が複雑だなあと思います。その他に関しましては、前回の入院時、原籍校の先生とは学校のプリ
ントをファクスでいただくという程度のやりとりはあったのですけれども、こちらも初めてのこ
とだったので、どのようにかかわっていいか分からず、あいまいに過ごしてきてしまいました。
そのために子どもも学習意欲がないというか、あまり意欲がわかなかったのか、だらだらと過ご
してしまった感があります。今回の入院に際しましては、先生にはご厄介かとは思ったのですけ
れども、毎日、学校の授業内容を、その都度報告していただくようにしました。そうしたら、子
どもの方もやる気が出まして、みんなと一緒だという連帯感というか、そういう気持ちが沸いた
のか、すごく勉強に張り合いができ、また、本人も成長したのだと思いますけれども、ちゃんと
院内学級でやってくれているようです。そんな感じです。
野池義務教育課長
ありがとうございました。学籍を移すにあたって、どうしても手続き的にお手間を取らせるこ
とがあるのですけれども。学籍というのは、子どもにとって一番の基本の学級・学校というもの
があって、それに伴っていろいろ関係する手続きが同時に進むことになりますので、ちょっとお
手間で申し訳ないのですけれども、よろしくお願いいたします。それから、今の学校と原籍校と
の先生がいろいろな接点を持ってくれることによって、連帯感、本当に学級と自分が離れていな
いという実感が得られると思います。これは、院内学級のある病院、ない病院、さらには長期入
院だけではなくて、期間の短い病気の場合にでも、担任の先生の役割というのは、本当に大事だ
というふうに思います。院内学級の有無、入院の期間の長短にかかわらず、私ども、これから病
気のお子さんのいる学級の担任の先生には、そんな配慮といいますか、暖かい気持ちをお届けい
ただけるように呼び掛けていきたいなというふうに考えております。ありがとうございました。
ほかに、どんなことでも結構ですのでご要望、ご意見、ご提案、私どもにとって耳の痛いお話し
も大歓迎ですので、お願いいたします。
石井さん(こども病院ボランティア)
ボランティアをさせていただいている石井です。今の野池さんのコメントで、少しお聞きした
いのですが、やはり柳沢先生も先ほど事例の中で、原籍校に戻って行く場合がすぐの場合もある
けれど、とても難しいものがあるとおっしゃっていました。実はそこの部分を、もし差し支えな
ければ、どういうところが難しいのか、もうひとつ伺いたいところではあるのですが、その中に、
やはり学級担任の先生の対応によってすごく違いがあるなということを感じております。今、野
池さんが、学級担任の先生にこの温かい思いやりの部分を分かっていただくように、伝えていき
たいとおっしゃっていただいた、そこをどのように伝えていっていただけるのか、そこが、やは
りすごく私達としては、お願いしたいところであり、いつもいただくお言葉ですが、具体的な方
法を伺いたいと思います。すみません、それと、すごく、こんな言い方をしてはいけないのです
が、学級の先生が分かってくださっていても、その上の年齢の方が分かっていただけていないケ
ースも多々あると思いますので、すみません、そこら辺をよろしくお願いします。
野池義務教育課長
先ほどのコーディネーターの方のご報告の中でも、うまくいった事例、うまくいかない事例が
ございました。私ども、できれば、これから一年度が終わり、新しい年度を迎えるということに
なるのですけれども、
「こういうふうにやってほしい。こういうふうにやりなさい」というような
指示的なものではなくて、コーディネーターの方を始めとする、いろいろな具体的な事例を交え
た資料みたいなものを作りまして、各学校にお届けをするそんな取り組みの方が、先生方の気持
ちにすっと入っていくのかなというふうに思っています。今、お話しにもありました、今日の会
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議で議論いただく十分な時間がないかもしれないのですが、先ほど貴重なご報告をいただきまし
たので、さらに私の方から追加でどんなところが隘路で、どんなところにネックがあって復学が
うまくいかなかったのか、そんなことも後ほどでも結構ですので、ちょっと伺おうと思っており
ました。そんな取り組みがいいかなと思っています。それから、とにかくお話にありましたよう
に、学校の一番のトップというと校長先生になるわけですが、校長先生のご配慮によっても、だ
いぶこの問題だけではなくて学校全体が大きく変わるきっかけになるというお話しも聞いており
ます。校長先生、あるいは教頭先生だけの学校運営の研修会がございます。これは、お互いに議
題を持ち寄って、少人数のグループに分かれて議論を深めるというようなスタイルを取っており
ます。私が今考えておりますのは、そんな議題の中に人権の問題とか、それから体罰の問題とか、
いろいろな問題が年々によって入るのですけれども、来年は、ぜひ、そのテーマの 1 つに病気を
持ったお子さんへの支援、そういったものをテーマに加えてやっていただけるように話をさせて
いただこうかなとそんなふうに思っている次第です。
山本先生(こども病院院内学級)
前回は、今年度の 4 月 24 日でしたか、そうですね。ここで、やはり同じようにこうやって会議
をやっていただいたわけですが、本当にありがたかったわけです。そこに出た話が、もう 3 日後
ぐらいには、実際に現場の方へ話が回っていって、どのような対応をするかというようなことで
やっていただいた事例があります。かなり改善されまして、我々はとても喜んだわけであります
が、現在は多少問題が残っているかなと私は思っておりますので、その辺は事後報告でいいこと
と、ちょっとまだ困っているよというそういうところをお話しいただけたらと思うのですが。
保護者
S さん
今日は、こんなに大勢の方の前で話をするので、ちょっとドキドキしているのですけれども。
うちの子どもは、小学校 6 年の卒業前に病気になって、それから 10 カ月間程入院しました。それ
からまださらに免疫力の低下ということで、中学 2 年の 1 学期の間までずっと原学級で学習する
ことができなかったのですけれども、退院してすぐに学校の校長先生や教頭先生や担任の先生と、
本人も一緒に、どうしたらいいかということを話した時に幾つかのいろいろな方法が挙げられた
のです。本人が、学校に行けるのなら学校に行きたいということで、1 日 1 時間から 2 時間、別
のクラスで、やらせていただくという方法だったのですけれども、4 月になり担任の先生が変わ
ったときに、どうしてもちょっとそれには無理があるということでした。それからちょっと学校
側の対応がなかったのですが、ちょうど4月にこの会議がありまして、そのときに申し上げまし
たら、すぐに動いていただきまして、2 日後ぐらいに校長先生の方から「申し訳なかった」と。
担任の先生と学校側とスムーズに連絡が取れていなかったということで、また再度どうしたらい
いかということで話し合いを持ちました。おかげさまでM中学には、飯田市立病院の院内学級の
教室がありまして、そちらに行こうということに話が決まって、それからずっと通わさせていた
だきました。おかげさまで本人もすごく喜んで行っておりました。本当にありがとうございまし
た。それで、2 学期から、原学級に少しずつ戻っていいという主治医の許可が出ましたので、そ
の旨を学校の方に伝えまして、1 日 1 回ぐらいから始めようというので通い始めました。けれど
も、なかなか本人も何となく行きづらいというのと、あと、やはり中学生という心身ともに大き
く変化する年齢の子どもたちにとっても、1 年半のブランクは大きくて、互いに声を掛けること
ができなくて、うまく復学できなかったと子どもから聞きました。市立病院の院内学級の先生が、
戻ったときに困らないようにと、一生懸命、勉強の方も教えていただきました。
「じゃあ、頑張っ
て学校へ行ってみようよ」ということを院内学級の先生の方から、よく指導をいただきまして、
本人もその気になって、今では朝から半日程度行けるようになりました。時間は掛かりましたけ
れども大勢の方のご協力によって、石井先生やコーディネーターの柳沢先生からも、学校の方へ
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何回かお電話をしていただきまして、ここまでにようやくなりました。ただ、中学生というのは、
ちょっとやはり難しいなと感じております。新聞にも以前、ゆとり教育とか、学校完全週5日制
ということが出ていましたけれども、実際は、先生方のゆとりもなくなって、先生方の空き時間
が少なくなったということなのですね。それで、うちみたいな子に対する 1 時間なり、2 時間な
りの個人的な指導ができなくなったということなのですけれども。何より中学というのは、担任
の先生が 1 日つきっきりで授業をしているわけではなくて、いろいろな先生が代わる代わるやっ
ていまして、担任の先生とのかかわりというのは、朝の学活の時間、それからお昼程度なのです
ね。だから、本人は結構すごい不安があるわけなのです。誰も間に入ってくれる先生がいらっし
ゃらないということと、子どもたちも声を掛けづらいから、ついつい掛けずにということで、こ
れは本人が頑張ってやっていかなければ仕方がないなと思いますけれども、本当に時間を掛けて
復学に一生懸命やっているところです。それと、ちょっと言いにくいのですけれども、やはり担
任の先生の考え方や、指導 1 つによっても変わってくると思います。例えば、一生懸命こちらで
言っていただいても、じゃあと言ったところで、担任の先生がどうしたらいいのかなと考えたと
きに、どうしたらいいか分からない。どうやって声を掛けたらいいか分からないということで、
うちの場合も、ただ電話やうちに来て何か話し掛けていただいて、「頑張って出てきてみようよ」
くらいだったので、ちょっと悲しいところもありましたけれども、忙しいなら仕方がないかなと
こちらであきらめてしまうということもありました。本当に今、市立病院の院内学級の先生を通
して、復学を頑張っているという感じになっています。結果としては同じものですけれども、ほ
かの中学に戻ったお子さんが、今どういう状況にいるのかは分かりませんけれども、うまくいっ
た方からもお話を聞いたりはしますけれども、いろいろな問題もあるのかなと思っています。
山本先生(こども病院院内学級)
すみません、時々間に入ってしまいまして。多少知っている者がしゃべる方がうまく行くかな
と思って、出しゃばってすみません。ほかの中学生の問題も幾つかありまして、またそういうの
に触れていただけるといいなと。そのお宅の保護者の方がおいでになっていないので、コーディ
ネーターさんにお話しいただこうかなと思うのですけれども・・・。これは学級経営の問題だと
思うのです。人材を 1 人その子のために付けてほしいという、こういうものの言い方もあるわけ
ですけれども、その前にわれわれはやはり学級経営を、または学校経営をどうするかというそう
いうところに戻ってみる必要があるのではないでしょうか。例えばうんと簡単に言えば、
「思いや
りを」
「思いやりを」と一生懸命に口で叫ぶ方がいますけれども、そんなのは教育にならないとい
うことをぜひしっかり申し上げたいと思っております。小さな親切とか見えるところでの形のも
のを一生懸命追い求めても、それはなかなか難しいので。形からはいるということもありますけ
れども、本当に心の中から変わっていくことが必要だと思っています。例えば何々ちゃん係でも
いいです。そういうその子に関しての係を置いておく。またはその班はその子のことを一生懸命
考える係。学級担任は本当に 1 日に 3 回ぐらいしか学級へ行かれない。私も音楽教師をやってい
ましたから、本当に 3 年生になったらもうとても大変。お昼の食事を 5 分ぐらいで食べて、あと
の時間で進路指導をやったり生徒指導をやったり、本当にどうやって学級経営をしていこうかと
いう、そういう悩みの中で毎日暮らしておりました。先ほどのような話に戻りますが、担任の先
生の中には声掛けはしてくれるのだけれども、家庭訪問というわけでもないし、学校へ来なくな
ってしまった子供のところへ周りのお子さんたちが集まってきてしまってたむろしているという
ような状況があるのだけれども、生徒指導の係りも動いていないとか、または校長さん教頭さん
の方も知ってはいるのだけれどもという、実情をここで申し上げてしまっていいかどうかとは思
うのですけれども、何か現場ではないような発言を聞かされて憤りを感じられることもあります。
それは学校ではないという思いもあります。どういう気持ちでそういう子どもに対応するか。人
権教育とあらためてやるのではなくて、自分たちの身の回りにある現実を本気で抱え込んでもら
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うという、それが大事ではないかなということを常々思っておりまして、そういうようにやって
いただくことでとてもうまく行っている例もあります。
今日はご兄弟の都合で「すみません」と言って休まれましたM村の K さんですが、本当にM小学
校との連携プレーがうまく行っておりまして、ここなんかは毎年学級担任が替わってしまってい
るのです。本当に「あ、また替わるの、また替わるの」と 3 年間。小学校 3 年生から今 5 年生ま
で院内学級で勉強しているわけですが、本当に毎日向こうの学校に、今日行ったってすぐみんな
と話ができたり、一緒に授業ができたり、何かやるって言えばこっちで用意しておいてぱっとや
れば一緒にできる。習字展があれば向こうに合わせて作品を出す。それから絵を描けば向こうの
教室にも飾ってもらえると。彼女にとっては 2 つ教室があって両方現在進行形で動くと。そうい
うようなこともできている学校もあるわけですが、中には「うちの子は引き出しを返されちゃっ
たけど、机はあるのでしょうかね。確かめるのが怖いから行ってみないのです」と、そういうよ
うな学級も出てきているのです。同じ小学校の対応でもこれはすごい違いではないですか。
今、毎日院内学級のファクスに子ども宛てのお手紙が、4 人くらい届いています。そうやって本
当に両方が現在進行形、明日の勉強の予定表まで全部送られてきているというようなとてもいい
状況にあります。これはコーディネーターさんを頂いたということがいろんなことでこういうと
ころまで生きてきているわけで、私が一生懸命思っていたことがなかなかできなかったけれども、
こうやって 1 人増やしていただいたことでこんなに変わったのだよということを今日はぜひ申し
上げたい。それからこれからも学校でもう少し知恵を出していただくといいと思います。いろん
なことを、表面的にたくさん仕事をやらなくてはいけないという思いではなくて、1 つのことで
いろんな面から教育ができるという、われわれはそういう有機的な生活をしなければいけない、
仕事をしなければいけない、そういうように思います。何か報告書作りに追われるようなそうい
う計画であってはならないとそんなふうに思います。ちょっと言い過ぎましたけれども。
野池義務教育課長
ありがとうございました。
盛田さん(信州すずらんの会)
先ほどの保護者の方のお話をお伺いして、うちの子どももそのような日々もあったのでちょっ
とだけ思うことをお話しさせていただきたいのですけれども。うちの息子もやはり中学 1 年、2
年とほとんど入院していて、中学 3 年の時に退院したのです。結構スムーズに行った方なのです
けれども、ちょうどお母さんが言われたようにやはり行きたくないというようなことというのは
多分あったと思うのです。初日 1 時間とか行ったときに、非常に汗をかいたというのです。1 時
間そこに座っているだけですごく汗が出てしまってくたびれたと言っていましたので、先生にど
ういう状況だったか聞いたら、一番前の席に座らせてくれたと。それは先生が配慮なさったのだ
と思うのですけれども、本人にしたら一番前の席はみんなに見られているような気がして、バン
ダナもしていたしというのを話して、すごく嫌だったということで、先生にそういうこともお話
をしたら、では中間ぐらいにしようかとか後ろにしようかとか、それも徐々に変えていってくれ
たりとか。あと、心配になることはということで、まだ少しだけ免疫不全があったので、とにか
く咳をする子がいると一日中ドキドキしてしまって授業にならないということだったので、それ
も担任の先生にお話したら、本人もマスクをしていますけれども、咳をしている子にはマスクを
させて席を遠くに置いてくれるというような配慮もしてくれました。それと「怖いことは」と尋
ねていただいたときに、クラスの子は病気のことを知っているけれども、やはり移動があります
よね。そのときにはどんなふうに見られるかとても心配だということでそれも話し合って、常に
隣に護衛をしてくれるような友達がいて移動をさせてくれたということで、玄関まで送り迎えを
していただいたようなことで。先生達もどうやってあげていいか分からないというのもあったり、
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子ども達も優しくしてあげたいのだけれども、1 年、2 年と一緒にいなかったのでその子の思って
いることや感じていることが分からないと思うのです。そういうところを 1 つずつ具体的に担任
の先生にお話ししたら、もう少し改善してくれるようなところや、本人も言うことによって気持
ちが相手に伝わるということも経験していくのではないかななんて思って、本当に頑張って欲し
いなと思います。くだらないようなことなのですけど、中学生はやはり純情なところがあって、
女の子もいるし男の子もいるし、女の子の目というのもすごく気になるしというのがあるので、
担任の先生の気持ち 1 つというのもありますけれども、そういうことを親ももう少しプッシュし
て守ってあげたらいいかななんて思いました。
西垣さん(カンガルーの会)
今いろいろなお話を承らせていただいたのですが、中学校のご父母の方のお話だっただろうと
思いますが、多分中学校というのは非常に大きな問題が幾つかあるかと思います。小学校なら問
題ないということではないのですが、ちょっとその中学の問題というのを引き継がせていただき
たいと思って発言をさせていただきます。もちろん中学校時代というのはいわゆる思春期に掛か
るところで、発達上、非常に困難な時期だということもありますが、中学校でのもう 1 つ大きな
課題というのは恐らく高校進学の問題だろうと思うのです。クラスの担任の先生の立場からして
みれば、入試に失敗させるわけにはいかないし、どこの学校に入れるかという色々難しい問題が
非常に大きな負担になってきています。そういう中で病気の子どもさん達への配慮というのがな
かなか現実問題としてはできにくいということもあったと思います。そういう中で今日は義務教
育課の方がおいでいただいて院内学級のことを議論することは非常にありがたいわけですが、も
う少し教育全体の視点というか、そういう向きでお話をさせていただきたいのです。私は実は、
松本市内の通信制の高等学校の職員です。学校のPRをする気はさらさらございませんが、通信
制の学校というものをぜひ皆さんにご理解をいただきたいと思って話をさせていただきたいと思
います。実は 2003 年に松本市内にS高校という高等学校が開学をいたしました。これは通信制の
学校でございます。現在開校 2 年目を向かえております。主たる対象としては、不登校の生徒さ
ん達を受け入れたいということでスタートいたしました。2 年目で 330 名ほどの生徒さんを擁し
ております。それだけこの地域、長野県を中心に全県入るわけですけれども、不登校の生徒さん
が多いわけですが、学校創立のときに通信制の学校であれば当然病気で自宅療養していたりある
いは入院していたりする生徒さんにも勉強してもらうことが可能ですねという話をして、たまた
ま理事会がそれではそういう病気の子ども達の教育も本校としては 1 つの柱として考えていこう
ということを採択してくれたものですから、実は私もそこの職員になったというような経過があ
ります。そういうことで現在もこちらのこども病院さんからも 4 名の関係者の方が、今入学手続
きをしつつある方、既に入学している方、それから相談に見えている方というようなことでご案
内いただいております。先ほど 12 ページの資料の中にもありましたが、精神性の疾患の場合には
やはり関連病院から既に 2 けたに及ぶ方を受け入れています。中には病院に入院中でそこから通
学しているという生徒もおります。それからあとK養護学校との連携も現在取れております。そ
んなことでぜひ通信制高校の可能性というものを皆さんにご理解をいただきたいと思うわけです。
さらに言えば、大学教育といったものにつきましても私どもでは少し構想しているものがありま
して、おそらく病気のことというのはハンディではなくて、十分その特性を生かして高等教育も
実現できるだろうというふうに思っております。実は私どもは、基本的には各中学校さん等に生
徒募集には伺わないことになっています。というのは県の私学審議会で設置が認可されたときの
条件として、今は少子化の時代で新設校というのは現状を大きくかく乱しないという条件があり
まして、ついてはS高校というのはそういう特種な条件が合っている子どもさんにはもちろん門
戸を広げていいのだけれど、一般的な募集活動はするなというお話をいただいているものですか
ら、実はほとんどの学校さんに説明に上がったことはありません。だからこの先々としてはもし
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可能であれば信大病院さんの院内学級さんに対しては、こういった施設があって利用していただ
けるのならばしていただきたいということをこのように申し上げるようなこともさせていただき
たいと思いますが、そういった色々の可能性が、教育には色々な方法があります。ぜひ、そうい
う広い観点でお考えをいただければと思います。以上です。
大沢さん(カンガルーの会)
カンガルーの会の大沢です。提言をする学習会とグループに参加して提言して、こういうコー
ディネーターの人が配置されて、1 年間こういう形になって、しかもこういうたくさんの人が集
まる会議が行われるというのは、本当にありがたいな、うれしいなという気持ちで参加していま
す。そのときに 1 つ大事なことは、私たちが提言したときの基本的な発想だと思うのですけれど
も、立派な支援システムを作ったり学校制度を作ったり行政を作ったりというのが、あくまで結
果であったり手段であるわけで、そこに思いもよらず病気になってしまう子どもがいる、家庭が
ある、人々がいる。その 1 人の子どもが本当に生き生きと生きて成長していくことに焦点を合わ
せて支援をして、そのことがひいては大きな意味でこの日本の社会が本当の意味で豊かな社会に
なっていく道筋なのだというつもりで提言したし、それを受け止めてくださって、だからこうい
う会にもいつも病気の子どもの視点とか、親御さんが、あるいは私達みたいな市民グループがメ
ンバーとして参加できるような会が設定されているのだというふうに思うのです。ですから先ほ
どの中学生の子どもたちが復学していくということはとても大変だというような生の声を大事に
ここで聞く、聞き続ける、いつもそこに立ち返って自分たちのやっていること、施策、行政、学
校、いろんなことを考え直していくという、そこの一番の 1 人の子どもの状況に立ち返るという
視点をやはり大事にしていくことに意義があると思うのです。それが 1 つのことです。その上で
今日、その復学の話の難しさの中で焦点が合ってきたのは正直言ってやはり原籍校、出身校の担
任の先生のパーソナリティーとか理解とか、その方の力量とか、あるいはその人を支える現場の
学校の校長先生を含めたチームワークの問題とかの問題点が出てきていると思うのです。私たち
が提言してコーディネーターを配置したということの報告が今日出て、私はとてもすばらしい報
告を 2 人の先生からいただいたと思ってそれ自体について少し内容をこの後コーディネーターの
働きみたいなことで議論を詰めていった方がいいと思います。しかし今出てきた問題は、コーデ
ィネーターができたことによって、逆に現場の担任の先生達のそういうばらつきというのがかな
りはっきりと出てきて、苦労しているなということだと思うのです。その力量をアップしていく、
その現場の理解、あるいは各小学校全体の力量を上げていくというようなことについては、もう
1 つ大きな主題だから丁寧に話した方がいいし、一律にこうすべきだなんていうと、例えば私は
先ほどのM小学校の丁寧な応対というのはとてもありがたいと思うのですけれども、正直言って
一方で自分が担任の立場だったらとてもたまらないなという気もするわけ。ものすごい現場の実
務がある中で、毎日ファクスを送るべきだなんて言われてしまったら困ってしまうようなところ
が実際にはあると思うのです。私は自分の子どもも病気をしましたから、そのときに担任の先生
が本当に親切にしてくださってありがたいと思いましたけれども、これを「べきだ」と要求はで
きない。ほかの子どもを抱えている中で要求できないなということを思って、私は昼間いるもの
ですから、今のコーディネーターみたいな働きとか、学校に行って説明するお医者さんの働きと
か、そういうのを全部親がやったところがあるわけです。だから個別の問題としていろんな解決
をしなければいけないと思うけれど、とにかく今お話の中で出てきたのは、小学生とまた中学生
という担任の先生が張り付いていられないような中での受け取りといったら実際に本当にばらつ
きがあるし、すごくよくやってくれる先生もあるし、とても困るというところもある。これは力
量を何とかアップしていくということが、大きな主題として浮かび上がったというのが 1 つ大事
なことで、メモしておく必要があるというふうに思うのです。そのためにどうしたらいいか。私
は主題をこのコーディネーターの働きに戻したいと思っているのですけれども、私たちが去年提
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言してコーディネーターが配置されたことはありがたいことで、そのことによって先ほどの信大
の先生が言われたみたいに安定した院内学級が、少なくとも中核のこの 2 施設ではできるという
ことがこの 1 年保障されたと。私はこれはとてもよかったということを確認して、やはりこれは
継続していただきたいというようなこと。それで、継続しようというお答えがあったように聞い
ているのです。それがどんどん広がっていくという一歩だったと。今日のお話を聞いた正直な感
想なのですが、お 2 人の先生方あるいはこども病院と信大のニュアンスの違いというのがお 2 人
の中にあるなという気が少ししたのです。これは報告に漏れているのかもしれませんけれども、
こども病院の報告を伺っていて、私は復学していくときの個別の事例報告というのがとても印象
に残って、こういう仕方でコーディネーターの働きというのが 1 つあるのだな、また、してくだ
さったのだなということでとても感謝しているところがあるわけです。つまり、子どもたちが退
院して現場に行くときに、そこにフォローしていく人たちが今までいなかったわけですから、そ
のことによっていろんな折衝とかあるいは理解は深まるし、そういうまさにコーディネートをし
てくださったなということがとてもありがたい。それが 1 つ大きな働きだというふうに思うので
す。それから私は信大の方の院内学級の報告を聞かせていただいて、カンファレンスのことが書
いてあり、こういうことをしてくださったのだなと思ってびっくりしました。お聞きしたかった
のは、1 つはカンファレンスをやったのが小学部 12 件、中学部 2 件ということが書いてあるので
すが、こういう報告の場合には、その間退院の対象になった人々が、全部で何人おられて何件で
きたというと統計上は意味が出てくるのです。この件数だけではできたというだけの報告で、こ
れだけだと印象報告になってしまうので、退院してカンファレンスを本当は開くべきと言います
か、開きたいと思った件数は何件あったけれども、そのうち 14 件できましたよということになる
と、逆にできなかったという件数が浮かび上がりますから、ここら辺を全部で何件だったのかと
いうのを信大に関してはお聞きしたいと思ったのが 1 つ。それからもう 1 つは中核施設が 2 つ、
県立こども病院と信大病院の両方があって、それぞれがコーディネーターを配置されて、その担
当者のやり方、その状況によって違った取り組みを考えられたときに、2 つあるというのはすご
く意味があるのは相互に刺激しあって互いに学び合う可能性があるということで、今日はそうい
う機会だと思うのですが、そうするとカンファレンスは信大病院では行ったけれどこども病院で
は実際にはどうだったのだろうかというようなことは、逆に柳沢先生の方にお聞きしたいという
か、質問なのです。その場合も、私は一律にカンファレンスを絶対にやるべきだとは、あんまり
思ってないところがあるのです。というのは、これだけのメンバーがこれだけ集まるのはものす
ごく大変なエネルギーで、ここで「ではいいことだから一律にやりましょう」などとなってしま
ったら、逆に現場の人は困ってしまうような気がするのです。だから、お互いに刺激しあってい
くために生の情報を提供して、いいところ悪いところを吟味しあって、ではうちもやってみよう
かということになればいいものですから。そこら辺では先ほどのこども病院のコーディネーター、
現場に出てくる働きがコーディネーターの大きな要素だけれども、病院を出るというときにあた
ってどういう仕方をしたかということについて、カンファレンスをやったことちょっと教えてね
と。これが第 2 番目のすごく大きな働きではないかなというふうには思うのです。それから 3 番
目は、院内学級のそこでの授業に専念できるような体制づくりという、病院の中での院内学級の
コーディネーターとしての働きが、先ほど幾つか出てきたと思うのですが、そういうのを 1 つ 1
つここで確認して、来年はこんなことをしたらいいのではないかというふうになってくると意味
があったのではないかなという気がするのです。質問はカンファレンスのことだけ、もしお答え
いただければ教えていただきたいと思います。
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高野先生(信州大学附属病院院内学級コーディネーター)
カンファレンスも必要ないかなという方もいらっしゃって、それは在院の期間が比較的短かっ
たりとか、後はお父さんがお医者さんだったとかそういうような場合とか、そのような数がある
のでここで簡単には即答できないのですけれども、小学部の場合は 15 件中 12 件ではないかと。
あやふやですみません。中学部の場合は、3 件中 2 件です。
柳沢先生(こども病院院内学級コーディネーター)
資料の 6 ページの方を開いてください。単に幾つとかそういうのは明記してありませんけれど
も、こども病院でもカンファレンスはたくさんありまして、6 ページの下から 4 行目あたりのと
ころに、児童生徒についての医療カンファレンスが開かれているときに院内学級の方にも声を掛
けていただいていますので、QOLのカンファレンス、それから定期的に週 1 回ある、お子さん
を見ていくこのカンファレンス等には出席させていただいています。それから退院するお子さん
について、必要だと思われるお子さんについては、担任の先生、それからお医者さんの下に全員
来ております。後は小学校 6 年生、中学校 3 年生なのですけれども、卒業生については卒業する
しないにかかわらず 1 月の前後の時期には全員カンファレンスを開いてこれから進路をどうする
か等の確認を行っています。私は、ずっと平均月に 6∼7 回参加させていただいています。以上で
す。
西垣さん(カンガルーの会)
退院のカンファレンスというのはやっていないのですか。
柳沢先生(こども病院院内学級コーディネーター)
退院時もやっています。退院をどうするかというカンファレンスは、必要と思われる子は全員
やっています。
西垣さん(カンガルーの会)
その出席者というのは信大の場合は本人、保護者、担当医師、担当看護師、ずっと書いてある
のですが。
柳沢先生(こども病院院内学級コーディネーター)
こども病院の方でもほぼ同じです。参考にすると 10 ページ、本人、保護者、担当医師、それか
ら看護師さんの方ではなくて、必要に応じてリハビリ科の方、それから原籍校の担任の先生、院
内学級の担任、それからコーディネーターで主に組んでやっています。
西垣さん(カンガルーの会)
担任の先生なんかも来てくれる?
柳沢先生(こども病院院内学級コーディネーター)
担任の先生は必ず来てくれます。教頭先生も、場合によっては来てくださる学校もあります。
西垣さん(カンガルーの会)
では両方の教員で退院に関しては、結構きちんとやっているのですね。
柳沢先生(こども病院院内学級コーディネーター)
退院については、なるべくやっています。
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山本先生(こども病院院内学級)
コーディネーターの役割で大きいのは、そのお子さんの学校へ出掛けていってもらえるという
のがすごいですね。
太田さん(病気療養児考える会)
すみません。お話をさせていただきたいと思います。今コーディネーターのことについてなの
でちょうどいいのでお話しさせていただきたいのですが、コーディネーターの役割がとても大事
だと思って提言したので、コーディネーターの先生の立場とか院内学級の充実をもう少し考えて
いただきたい、本務校が院内学級に対し協力とか支援をするということが、まずそこが充実して
いくこと大事であって、だからコーディネーターが生き生きと動いていただけるということを思
うのです。復学するときには、特に、本当にコーディネーターが大きな要だと思います。また、
ボランティアを受け入れているのは信大でも多いと伺いますし、こども病院においても来ていた
だいていますが、子どもや保護者が、院内学級の先生に、今そこのことをお願いしたいとか、ど
うだったのかということの報告をしたいときに、院内学級にはいない、先生が本務校の授業をさ
れていて不在という副次的な存在であってはならないし、不在であれば伝えられない。子どもや
保護者からダイレクトではなく、他の先生から伝えなくてはならないということでは、やはり 1
日を通して見ていくとコーディネーターっていろんな仕事ができると思うのに、そこで情報の空
白の時間があるということは、ちょっと不安だなと思います。100 人を任せて子ども達の指導が
できる力というものと、それが教師の力量みたいなことを思われているととても残念ですが、や
はり私は、1 人ひとりの気持ちに添った指導ができるということが教師の力ではないかなと思う
のですけれども、やはり、本務校の授業を受け持っているならば、コーディネーターを本務校の
授業のために、お願いします。派遣してくださいというふうに提言したつもりは全然ないもので
すから、コーディネーターの方が院内学級の子ども達のために本当に何か必要であれば、即、動
けるというか、これは外に出ていってお話をしなくてはいけないなと思ったら、それができると
いうことがとても大事ではないかなと思います。1 日のうちに本務校に行って体育の授業をした
りとか、社会の授業をしたりということは場合によってはあってもしかたがないとは思いますが、
しかし、その分院内学級の授業を埋めるものとか、後は教科の先生が内部にたくさんいらっしゃ
って、院内学級を休講にしたのと同じ時間を他の先生が埋めてくださるということがあるのかど
うかということも確認したいわけでして、ただ行きっ放しで院内学級は休講という状態ではちょ
っと困ると思います。そういうことで、何とかお願いしたいということで。後はQOLというこ
ともありましたし、トータルケアという話も出ましたけれども、やはりQOLは客観的には 3 つ
あって、最後の、人生の質というものを決めていくのは教育ではないかなと思いますので、子ど
もたちが原籍校に戻っていくときに、やはり制度の中でも自分たちはちゃんと見てもらえている
のだとか、受けた教育をたどっていけば、何か将来が開けるのではないかと思えることを、胸に
ちゃんと持てるように、誰からも見てもらえないのだ、見捨てられたのだ、ということがないよ
うにしていただきたいので、本当に人生の質を決める大きな教育を担っていることを、先生方に、
これからも理解していただきたいと思います。先ほど、校長先生たちを集めて、運営のことを話
す会があるということで、その中の議題にどうかという話が野池課長さんにいただきましたけれ
ども、やはりここは、トータルケアも含めて、医療関係者とか、ドクターが行っていただいて、
「こうなっていますよ」と。今、医学が進歩していますよね。本当に教育界より、さらにいろん
なことがどんどん変わっていっているので医療関係者から、お話をしていただくということも加
えていただければと思うのです。以上です。
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大沢さん(カンガルーの会)
太田さんも院内学級の先生も、立場があるからはっきり言えない、あいまいな言い方になって
いると思うので明確に言いたいのですが、資料の4ページと8ページに、院内学級の先生が在籍校
に応援するということが書いてあるわけです。これは院内学級の先生たちは、学校の仕組みの中
での先生ですからこの通りなのでしょうけれども、外の人間からすると、例えば4ページで、院内
学級の先生が小学校でも中学校でも、PTA作業とか、入学式とか、学校当番とか、部活動指導
とかで、本務校の方へいろいろ出掛けるわけです。そのときに、4ページでは右側、とても配慮し
ていただいてありがたいということだから、これも配慮してください、継続してくださいという
ことでいいと思いますが、下には、コミュニケーションが取れるので、できるだけ協力していき
たいというのは、これからもやりたいという言い方に読めるのだけれども、正直言って、実際に
は結構大変だと思うのです。しかし先生仲間ですから、本務校での協力関係やコミュニケーショ
ンができたらいいに違いないわけですから、これは文字通り私は読みたいと思うのですが、この
裏側に、大変だというのがありはしないですか、というのが正直、私の気持ちです。そのことが8
ページの方に書いてあるわけで、8ページの方が信大病院の方で、課題の所にやはり同じ内容で、
行事、研究授業などというふうに書いてあって、中学校はブランクになっているのですが、さっ
きのお話の中では、部活、研究指導、修学旅行に行ったという説明ですので、だからこれは表に
書くべき事項なのですね。それから、右側の、院内を休みにした日もあったというふうに、ちょ
っと不明確ですが、院内学級を休みにした日も数日あったという話に最後になっているわけです。
それからその下に中学校の方も、やはり私の聞いた限りでは、そういうふうに言われなかったけ
れども、院内学級の活動にしわ寄せがあったと私は聞いたのです。そういうことを積極的に書け
ないというのは組織の中の立場で当然だから、私はあえてここではっきり言うのですが、やはり
協力関係はいいけれども、特にこの場で教頭先生や校長先生たちのお話も後で聞きたいぐらいで
すが、院内学級の先生にも配置されている本務校があるわけだけれども、院内学級は、やはり独
自な視点があるわけだから、そこの独自性とか、そこの活動の一貫性というようなことで、本校
の先生なのだから、生徒の学籍はどこにあるというのと同じで、先生の籍はここにあるのだから
という仕方で当番等が職制上あるというのは、私なんかはよそから見ていると納得できないとい
うところがあるのです。いくら私が言ったって、結論的にはなかなか難しいと思いますが、あえ
て外の人間、外というか、関わりのある人間の立場ではっきり言っておきたいという気がいたし
ました。
山本先生(こども病院院内学級)
今、こども病院の院内学級は小学生が急激に増えまして、前半よりも倍くらいになっておりま
すけれども、10人とかですね。多い日には14人になったこともありますけれども、もうどうにも
やりきれなくなったので、コーディネーターさんにお願いをして、ちょっと朝の会とかそういう
ところで、小、中合わせて動いていただく。大体、中学校の先生お一人は、小学校を応援してく
ださるということで来ていただいたわけですから、今年もそのように私は解釈していたのですが、
そういうことで、ぜひ小学校を応援していただきたい。そういうことでコーディネーターさんの
方で計画を立てていただいて、やらせていただいたのですが、そういうことを思いますに、やは
りわれわれは、共同で一緒に仕事をしているという意識は持ってはいるのですけれども、ちょっ
と一緒にできない、一緒にやろうと思うのだけどなかなかできないところがありまして、今、大
沢先生から我々の言いにくいところを言っていただいたのですけれども、例えば、朝の会を開こ
うと思っても、いや、お互いちょっと都合があって、今朝は間に合わないよとか、実は今年から
院内学級の職員会をやろうという発想が提案されたわけで、それは私は喜んでいたのですけれど
も、ここのところ、ちょっとやってないよねとか、そういうようなことも起きてしまったわけで
す。そういうことを思いますと、何か、仕事をするという形の組織ではないように思うのです。
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普通、会社等ではプロジェクトを持っております。ですから、そこで、いろいろなところからお
いでいただくわけですけれども、それぞれのお力を発揮していただいて、またそのプロジェクト
の中のプロジェクトリーダーもつくっていただくという。今、こども病院の場合には、誰もリー
ダーはおりません。4人とにかく集まって、さあ、どうするかというので、多少私が年寄りなもの
ですから、私の方からいろいろ「すみませんね」というような形でお願いをするわけですけれど
も、そういう大事な仕事をしているにも係わらず、その仕事の核になる人が指名されていないと
いうか、じゃ、この方にお願いをして、何かあったらこの方に先に責任を持って動いていただく
というようなこともできない。で、今までいろんなことがあったわけですけれども、例えば、人
事の問題についても、小学校の校長先生のお伺いでやっていただいた人事、中学校の校長先生の
お伺いでやっていただいた人事、小、中の校長先生たち、もう10名ぐらいになりますか、かなり
大勢の方々と私はお付き合いさせていただいているのですが、校長先生が代わるたびに、お考え
がいろいろあるのです。今年の人事はこういうお考えでやられたのかなと想像しているのですけ
れども、その辺が多少、あれ、また違うな、また違うなというようなところがあるわけです。私
も、こういうことであってはならないと思って、実はこども病院の院内学級の運営協議会という
ようなものを、ぜひつくってほしいと思っているのです。これは私が院内学級にお邪魔したとき
から、ずっと申し上げてきたのですけれども、今度は豊科町の教育長さんが新しくおいでになら
れたので、まだお話ししていないのですけれども、ぜひそういう、ずっと何年かを見として、同
じ考えで院内学級が運営できるようにしていただけたらと。校長先生、教頭先生はお代わりにな
っていってしまうのですよ。そのたびに院内学級のやり方が変わっていってしまうのですね。で
すから、年に1回でもいいから、そういう、教育委員会を交えて、運営協議会というようなものを
つくって、そしてしかも、病院の院長先生にもおいでいただきたいのです。医教連絡会はやらせ
ていただいていて、現在とてもありがたいと思っているわけですけれども、基本的な考え方です
ね、人事に関するまでの基本的な問題、それから、どういうように予算の配当をしていくか。予
算のことも随分ごちゃごちゃしてしまいまして、ついにうちの教頭先生と私とで町の教育委員会
へ行って、院内学級の予算の取り方について、どうしましょうと言って色々お考えいただいて、
一応まとまったのですが、今まではあるべき予算がどこかへ消えてしまったりとか、何かとんで
もないことがいっぱい起きていたので、そういうことで、ここの仕事のできる体制をどうやって
つくっていくかということ。そこを皆さんで考えていただくとありがたいのです。中学校の場合
には1学級1.5人という教員配当が原則的にあるわけですから、そうやって考えてみていくと、院
内学級を1学級というようにカウントされるならば、0.5人分、つまり3教科分くらいは本校から来
て、成績まで付けて授業をやっていただいてもいいような感覚なのですけれども、実際には本校
の方は時間割がテープ方式で、こっちは固定制ですので、なかなか難しいということもあります。
ですから、簡単にはできないので、今みたいに一生懸命こうやって本務校から来ていただいて、
理科の実験をやっていただいたりしてありがたいわけですけれども、何かそういう原則的なこと
から見ても、まだまだいろんなことを考えなきゃいけないかなと思うのです。ですから、コーデ
ィネーターさんがおいでになられたことで、まずは、一応、小、中の懸け橋ができたと思います。
実は私は、コーディネーターをつくることは反対でした。とにかく足りないのは学級担任だから、
今もその思いは同じなのです。学級担任としての仕事をしていただけるといいなと思うけれども、
川上村の問題もあったものだから、学級担任を2人にしてしまうということは不可能だということ
は、私も承知はしているのですけれども、でも、そろそろその辺も、何か新しい形に切り替えて
いただけるかなというような思いもあります。来年度もコーディネーターさんを常時置いてくだ
さるというお話もいただいたので、今、小学校の場合には私の方は12名という人数になってきて
いますから、低学年学級、高学年学級と分けて、学級担任として細部にわたるところまで、仕事
を分けていただけるとうれしいなと思います。コーディネーターさんにも学級担任として、子ど
もの中に入っていただくということも可能かなと思います。長くなりました。どうも。
25
県立こども病院
笛木Dr
僕はこども病院の神経外科医で、コミュニケーションのハンディキャップとか、知的障害の人
とかを診ているのですけれども、うちの方の院内学級にかかわっている方というのは、やはり何
割かは退院のときにハンディキャップが残る方がいらっしゃるのです。そういう方に対してこの
間、今回コーディネーターの先生にうまく復学まで見ていていただいたのですけれども、そうい
うコミュニケーションにハンディキャップがある方を、そのまま原学級に帰すというのはやはり、
学校の先生がどんなに力量があっても難しいところがあります。そういう面で、やはり長期入院
されている方の発達評価をして、そういう数値的な面とか、コミュニケーションの面とか、そう
いうのをしておいて、それをうまく学校の方に伝えていく必要があるのではないかと思うのです。
一応そのチェックや発達評価をしていたのですが、やはりあくまで学校の方に伝えていくという
のはなかなか難しくて、コーディネーターの先生に非常にお世話になりました。それから、先ほ
どの中学校でのなかなか復学できないというのは、心理の人とかの方がかかわってはいるのだと
思うのですけれども、やはり学校のスクールカウンセラーの方がいらっしゃるところがあるかと
思うのですけれども、それがまだ、スクールカウンセラーの方は結構忙しいのですね。希望者が
多いというか。そういうところもちょっと、やはりそれぞれの学校で整えていかないとうまく帰
れない。だから院内学級が進んで、病気がある程度落ち着いたらすぐ戻れるというふうに考えて
いては駄目なのではないか。だからやはりこちらの方で、発達評価をしたりとか、後は学校の方
にうまくつなげられるように、退院前から準備をしていく。そういう体制が必要なのではないか
なと思います。
豊科南中学校
渡辺校長
先ほどの、本務校のお話が出たものですから、ちょっと中学校の方の話をさせていただきます
と、2人配置をさせていただいているわけなのですけれども、同じ学校の職員ということで、最低
限いろんなことをやっていただいています。それで、教科を1教科受け持っていただいているわけ
なのですけれども、これは彼女が講師という立場でありまして、いつまでも院内学級に勤めてい
るわけにはいかないということで、いつかはほかの所へ出ていかなければいけないと。そういう
ことを考えまして、社会を1教科担当していただいています。それは彼女がほかの学校へ移ったと
きに、すぐ社会の授業ができるということを配慮してやっているわけでして、その代わりに、で
きるだけこども病院の方へは負担を掛けないように、授業は1時間目に持っていって、授業を終わ
らせて飛んでくればこっちの授業には間に合うとか、午後に行く場合にはそこにいます上嶋先生
を代わりに配置するとか、今までそういう形でやってきています。それから、先ほど山本先生が、
本校から何人か来てという話をしましたけれども、内情を言いますと、私どもの学校は、院内学
級を足すと11学級になります。11学級というのは、学級数と先生のバランスが一番悪いというこ
とで、ほかの所では必ず加配がつきます。1人加配が、11学級加配ということで、県の方からつけ
ていただきます。ところが、おととしまでは全然そういう加配がなくて、一番バランスの悪い中
で授業をやっていました。ですから、1人の先生の持ち時間というのは、非常に多かったわけです。
去年、そのことについて前の教育長先生がお話をいただきまして、幸い今年から1名、11加配では
ありませんが、不適応加配という形で付けていただきました。そのおかげで、いくらか院内学級
の方へ何人か回ってこられるような状況になったわけです。それ以上回すようになりますと、も
う少し人数的には配置していただければ、回すことはできるというふうには考えますけれども、
そういう、12学級ですが、11学級というような、そういう状況の中にあって、ぎりぎりの中でや
っているということをお考えいただければありがたいなというふうに思います。後はほかの職員
のコミュニケーションということを考えて、いろいろやっていただいていますが、それも多分、
多分という言い方はないですが、最低限でやっていただいているというふうに、私は思っており
ます。以上でございます。
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県立こども病院
石井Dr
こども病院の医者ですけれども、子ども達が退院していく時というのは、一番大変だと思うの
です。院内学級は非常にどこもよくやってくださっているのですが、今回コーディネーターをつ
けていただいた一番の理由というのは、院内学級から元の学校にいかにして戻っていくかという
ことが一番大切な点だからだと思うのですね。まあ飛行機で言えば、着陸するときが非常に大事
だという、そういうところで、そこで間違いが起きるといろいろ後がうまくいかなくなることが
ありますので。それで、こういう院内学級ができるまで、僕なんかが外来で見ているときに、退
院された子を見ているときに、お話をして、まず体のことを聞いて、最後にまあ学校はどうです
かというような形で聞いて、ご両親が何かそこで問題を提起していただけると、
「あ、これは何か
あるのだな」ということで、向こうの学校と掛け合ったりとかするのですが、何となくうまくい
っているようなことをおっしゃられると、そのまま、
「ああ、じゃあいいんだ」というふうに、つ
いそう思いがちなところがありまして、今日、盛田さんのお話なんかも聞いて、いろいろなこと
が僕の知らないうちにあったなと思うと、やはりそういう部分も把握しなくてはいけないのです
が、なかなかそういうところは、ご家族もどういうものかというのははっきり分からないところ
だし、彼らの帰る元の学校の担任の先生が配慮していろいろ言ったとしても、それは向こうの先
生も全然知らないと思うのですね。知らない者同士がみんな集まっていろいろ話をしても、なか
なか埒ちが明かないということになると思いますので、やはりコーディネーターの先生の方は、
ぜひできれば長い期間行っていただいて、できれば専門教育を受けて、子ども達が病院から元の
学校に戻るのに、どういうふうにしていったらいいかということを、うまくコーディネートでき
るような、そういう経験のある方にぜひなっていっていただきたいなと思います。その点ぜひこ
れからも、本当にコーディネーターの先生方は大変だと思うのですが、これからも子ども達のた
めに頑張っていっていただきたいなと思います。
豊科町教育委員会
山浦教育長
いいですか。教育委員会の立場から、3つばかり述べたいと思うのですが、1つは、先ほど山本
先生の方から予算関係のことも出ました。これは私たちの方の教委としては、町内の各小学校の
方への予算配分ということをいろいろ考えているわけであります。ということは、この施設は県
立の施設であると。だから私たちのところで直接いろいろ予算関係をどうこうできないと思うの
です。だから、学校の方へ配備した予算で多分、そちらの方へ充当していこうと。そのような関
係になっているのではないかと、こんなふうに思います。だから、この辺については県の方でも
少し考えていただきたい。それが一点であります。2番目の人事についてでありますけれども、こ
れは今、特に低学年の就学指導というのですか。騒動が大変な状況であります。県の方からも支
援教員というような形で、クラスの中に特別大変な子どもについては、1対1の授業をするという
ような、そんなような形を取っているわけですが、県の方から来る配当だけでは当然足りないの
で、私たちの方としても、プラス何人かをつけて、支援教員をやっております。従って、先ほど
の11学級プラス1名というようなことも、多分、私たちの方の町の予算で出ていったのではないか
なと、そんなことを思うわけであります。その辺の人事の配置についても、今年も町の方の財政
当局にお願いして、1名ずつ増加という形でとしております。そんなことでご理解をいただきたい
と。それからもう1つ、先ほど、初めのところで教科書の問題がちょっと出たのですが、ちょっと
見せてもらうと、小、中学校分として多分10冊用意すれば、全部充当するのではないかと、そう
いうふうに思います。もう既に教科書についてはもう発注済みになっていると思うのですが、そ
の辺のところは難しいから、もしその辺のところで、できれば予算は確保して、揃えることはで
きるのではないかと。そんなことを思うわけであります。以上です。
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信州大学附属病院
中沢Dr
話は変わるのですけれども、先ほど、こども病院の院内学級の先生の方からお話があったクリ
ーンルームでの教育の件なのですけれども、柳沢先生の方にお伺いしたいのはテレビ会議システ
ムなのですが、どれぐらいの規模、画面の大きさとか、そういうシステム的なものを院内と学校
の方に入れているのかということと。これも何かと予算的なもので学校側への予算なのか、病院
側の予算というのをもし知っていたら、それが1点と。山本先生の方にお伺いしたいのですが、実
際のクリーンルームにテレビ会議システムで入れるのはそれはそれでいいと思うのですが。ただ
子どもとしては、その画面を見てなので成績がどうなるのかというのが実際のところ知りたいの
と。あと、先生が実際にクリーンルームに入って授業を始められるということで、そういうふう
なところの感想等を教えていただければとお願いします。
柳沢先生(こども病院院内学級コーディネーター)
今、3 点出されましたけれども、私がクリーンルームに入ること等については石井先生の方か
らお聞きして、最初は、テレビ会議システムのことについては構築の計画とか詳細等については、
山本先生の方からお願いしたいと思います。
山本先生(こども病院院内学級)
度々、すみません。ご承知の方々もおいでるかと思いますが、院内学級のできた頃に、たくさ
んの子ども達が詩を作りました。それで、その詩が『電池が切れるまで』という本になって、今
45 万部くらい売れてロングセラーと言われているわけで、びっくりしているわけですけれども、
その関係で印税等がありまして、だいぶ皆さま方、県内の院内学級にもご利用いただけるような
方向(注
平成15年12月に県内8つの病院にある院内学級に物品等を寄付していただきました。)でやっております。
また、こども病院院内学級でも、大変使わせていただいているというわけでございます。その中
のお金で、何百万というお金を使わせていただいて、県の施設(こども病院)の中に、すずらん
の会のお金で院内学級ネットワーク工事等をさせていただいて使わせていただくということにな
りました。今、第 1 病棟、それから第 5 病棟辺りを中心に動かさせていただいております。多少、
私の思いと違うところもあるのですけれども、実は顔が見れたり、雰囲気とかお話しはうまくで
きるのですけれども、後は、ノートの文字をぜひ見て、学習指導をやりたいななんて、そんな課
題は残っておりますけれど。でも、本当にうまく使えるようになったということはうれしいこと
であります。特に、クリーンルームに入ったら、みんな勉強をあきらめてしまうのですが、クリ
ーンルーム内で休みなく勉強ができたというお子さんも出て参りました。われわれはクリーンに
入ったら、もう問題が起きたり、熱が出たり、もどしたりで何もできないという思いでしたけれ
ども。それが結構クリアできるお子さんが出てきたということは、これは大変なことだと。また
石井先生にご報告をいただきたいと思いますけれども、そういうことで日を追う事にうれしい結
果になっています。柳沢先生が担当してくださり本当に感謝申し上げています。
県立こども病院
石井Dr
クリーンルームの中のテレビは、やはりとてもいいですね。それで、クリーンルームの中に入
っていくとどうしても生活が不規則になってしまって、看護師と 1 対 1 で中にはけんか腰になっ
てしまったりとか、いろいろ大変なこともあるのですが、9 時ぐらいには朝礼がありまして、必
ず院内学級の方の映像が映し出されて、そのときに「ほら、学校だから」と言うと、子どもたち
もシャキッと起きてやってくれたりして、それから、始まっていくということで、やはり生活の
リズムがとてもできると思います。非常にいいなと思うのですね。それを使った教育システムに
関しては、僕はよくは分かりませんけれども、とてもよくやってできていたのではないかなと思
います。パソコンで子どもたちが授業が始まるまでパソコンを使ってパソコンの中でゲームをや
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ったりとかしていましたし、いろいろ活用はしていたのです。ただ、学校の先生が入ってくださ
ることは、本当にもう素晴らしいことです。もうパソコンなんていうものではなくて、先生が入
っていただいて生の授業をしていただける、これはもう 30 分でも 1 時間でもやっていただけるの
だったら本当にありがたいと思います。子どもたちもすごく楽しみにしているので。で、医者と
か看護師とかだけがそばにいるということではなくて、臨床心理士の方も入っていただいている
のですが、臨床心理士と、それから学校の先生とか、交互に入っていただいたりしながら、子ど
もを勇気付けて元気付けてあげていってくれるということで、やはり闘病意欲が非常に出てくる
と思います。どうしても、1 日中横になって嫌なことばっかり考えていると、病気もどんどん悪
くなっていくのですが、その中で励ましてくれる人が入ってくれることによって、随分と合併症
も少なくなったのではないかなというような気がします。そんなに汚い(笑い)などと言わずに
どんどん入っていただいたら、それ以上の効果があると思います。
西垣さん(カンガルーの会)
今、クリーンルームの方の勉強の例ですけれども。ほぼ 7 年、8 年前になると思うのですが、
県外の K 小児病院で、やはり院内学級の先生がクリーンルームに入って、授業をされたという事
例があります。で、かなり年齢が上の生徒さんだったと思うのですが、結果としては、英検の準
1級を受かったという事例が 1 件、確か報告されていたように思います。
保護者
O さん
質問ですけどいいですか。今、こども病院で手術は初めてなのですけれど、1 年のときから 1
人で 2 年間入院しているのです。ことし受験がありまして、さっき旭町中の方の留年の話をお聞
きしましたが、私はM中学なのですけれど、そういう選択肢はありませんと言われたのです。手
術して遅れてはいるのですけれど、評点がないし、行ける点数で行くところしかないという状況
なのですよね。ちょっと聞いたものですから、そういう選択があったのかなと聞きたかったとい
う話です。
野池義務教育課長
留年という選択肢が選べたのかどうかということですか。
保護者
O さん
ありませんという学校の方の説明があったものですから、本人にはそういう話をしていないし、
本人が希望すればのことなのだけれど。経済的にも私立に行ったりして遅れたものを取り戻すと
いうと、経済的負担もかなり高いので、今のままでいられればなと思ったので、それでです。
旭町中学校
御子柴校長
はい。いろいろ話をしたら長くなるのですけれども、今の答えについてはもちろん根拠もあり
ます。市の管理規程も、市と村の規程は異なるかもしれないですけれども。それは、根拠のある
ことでできるのだと。専門的には、現級留置という言葉で言っていますが、一般的には卒年の際
に使われているのですが、学校長がその根拠に基づいて判断をし、そして、教育委員会に届ける
とそういうふうにしてやっています。先ほどの事例は、院内学級から他の院内学級、それから、
地元校に帰ったり旭町中の方へ行くということを繰り返している子どもがいて、保護者と本人の
判断で、半年 9 月、10 月ぐらいの時点で大きな判断をし留年を希望をされたので、私どもとしま
しては、その時点よりもう少し先までいって、卒業の可能性も残しながら 3 月ぐらいに判断をし
たらいいのではないですかというような話をしながら進めてきました。卒業するメリット、それ
から現学年に留まるというメリット、デメリット、両方を検討して進めてきたのです。
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話は少し変わりますが、先ほどの話と違って、言わなければいけないのかなと思いながら、私
は、院内学級と本務校の職員間の行き来というものがある程度必要だと前々から思っておりまし
た。ただし、今回その子の不得意な面があったり、他にもちょっと肢体不自由児の特別な病気を
持った子らが 3 人ほどいたもので、院内学級の先生に授業にコーディネーターに入っていただい
たということと、それから、部活動、卓球部等、行事等にも入っていただいて、その途中からち
ょっと負担させたかなと、来年度への反省としながらいこうかなと思っているのですが。保護者、
それから、本務校の方のガイドラインは、偶然 3 人のうち 2 人は院内とのかかわりができたとい
うこと。やりながらいっていいかなとは思っております。最初に言った行き来というものは、職
員の中で、比較的関心が薄いという言い方はいけないのですけれども、そういう関心を持たせる
意識を高めていくためにも、担任がどのようにやるのが良いのか考えていくためにも、研修のた
めにも必要だと思っているわけです。
大谷先生(こども病院院内学級)
それでは、豊科南中学校で、先ほど渡辺校長先生の方から、中学校の応援支援の内容について
のお話しをいただいて、ここ現場で実際やってみた私の感想をちょっと伝えたいなと思いまして
発言させていただきます。すみません。中学校の方の支援内容で部活の指導というのがあります
が、私ちょっと卓球部をやっていますが。あくまでも顧問という形で本当に格好付けぐらいで、
ほとんどたまには大会に行って応援する程度のことで、あまりやっていません。で、生徒会の顧
問という方も本当に顧問を 1 年間やってきたのですが、一度も生徒会には参加していないですし、
文化祭の準備でどの程度の内容でどういう準備したのだろうかと。後は地区顧問というのも一応
入っているのです。これも本当に格好付けで、1 年間 1 回も地区生徒会には出ていません。一応
行って 1 回、PTA のお母さんたちの懇談会に行かせていただいて、学校の子ども達がどういう感
じなのかみたいなことをお母さんと話あったりとかそのくらいやりました。あと、教科は社会を
持っているのですが、スライドなどを配慮していただいて、私、本当にまだ教員の経験が浅いの
で、実際の学校がどのように動いているかだとか、実際、子ども達がどういうふうに勉強してい
るのかどうか、本当に全然分からないまま院内学級でやって来たのですが、今年 1 年やってみて、
いろいろ勉強になった点もすごく多かったので、校長先生にもいろいろ相談に乗っていただいた
りだとかしました。私が 1 の 1 を持っている関係で上嶋先生に入ってもらえて、この間、私は社
会が主免なので、結構分かるのですが、ほかの教科はあまり分からなくて、上嶋先生に作ってい
ただいた担当分の資料をいただいたりとか、いろいろかかわっていただけてとてもよかったと思
っています。音楽会が年に 2 回、7 月と 12 月にコンサートがあるのですが、校長先生にいつも私
達が、院内学級でこうだったとか、いつもお茶のみ話で、いろいろと相談をしているのですが。
その間にコンサートがあると言ったら、校長先生はすごい忙しいと思うのですが、7 月と 12 月と
コンサートの、もう 2 週間ほど前から「楽譜はできたの」とか、後は練習にも何度か参加してい
ただいて、当日も来ていただいたりとか、学校とかかわることでいろいろな先生とコミュニケー
ションが取れたりとか情報交換ができることはとてもいいことだと思っていますので、また、こ
れからも助けていただきたいと思っています。あとは、保護者の方に来ていただいているので、
ちょっとマイクを回したいと思います。
鈴木さん(カンガルーの会)
今のお話しにも関係しているのですが、先ほど、校長先生が交流、相互交流そういうことを勧
めているので、こども病院の院内学級の先生の将来のことを考えてまでというふうに言われまし
たことは、とても大切なことだと、交流することもとても大切だと思います。ただ、もし院内学
級に学籍を移動して、病院の治療を続けながら勉強をしたいと言っている子どもたちのベッドサ
イドに、先生がもしお仕事で本務校に戻ったり、本務校の行事に参加されるということで、授業
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を受けられる態勢にある子どもが、もし授業を受けられないという、先生がいなくて受けられな
いということになるとしたら、それは、やはり先生の数が足りないのだと思います。なので、先
ほど、先生の教員免許状をお持ちでまだ仕事をなさっていない方のバンクのようなものをつくっ
ていくというお話がありましたけれども、もし、そういうどうしても先生が空いてしまって、勉
強したい子どもが病院にいるのだけれども、授業が受けられないというような時間がある場合は
ぜひそういう先生を、今もされているというお話があったのですけれども、もし本当に、先生が
いなくなってしまうというような状況が出てくるような場合は、ぜひそういう先生を配置してい
ただきたいと思っています。
野池義務教育課長
その他に、今回のニュースレターで、巻頭言をお寄せいただいた宮越さんからも何かあります?
宮越会長(信州すずらんの会)
すみません、もう時間がないと思ったもので。去年までの、私達が苦労して活動してきたこと
から考えるとものすごく良くなっている中での今日の協議で、すごく、うらやましさはもうしき
りです。しかし、地域によってこんなに違うのかと思うほど、やはり同じ長野県の中でも浸透し
ていない地域、
「こども病院」自体を知らない地域があり過ぎて、そういうところでは、学校の先
生たちも本当に遠のいているのではないかなと思いました。うちの子どもの場合、小学校へ入学
をすること自体も、とにかく学校へは行けないということだけで、それをどうしたらいいかとい
うことまでは、町も教えてくれないし、病院でも教えてくれなかったのです。だから、ただ入学
を遅らせるという手だてしか取れなかったことを今思い出しますと、今のお子さんたちは、もう
その頃からの援助を周囲がしてくださるのだなということ自体がすごく発展してきてくれてよか
ったと思います。県の方々のお考えが本当にとてもうれしく思いました。
小倉さん(信州すずらんの会)
ちょっと、いいでしょうか。すみません。今回コーディネーターの方のお話しを聞いていて本
当にうれしく思っています。長い長い道のりだったなあと思います。1 つのことが制度として実
現してくださって、それによって具体的な事例がたくさん出てきたということは、配置されて 1
年未満であるのに何とすばらしい成果を上げてくださったのだろうと本当に思っています。これ
で、事例が 1 年 1 年たまっていって、また、次の段階が見えてくるそんな希望が強く見いだされ
て、人的なことも、人の気持ちも大事ですけれども、そういう周りをその地盤を形作るというこ
とも非常に大事だなと。その中で、ある程度その方に任せた中で、やはりお考えに添って任せて
やっていっていただく、細かなことは、現場の方々が一番よく分かっていることでありますので、
1 つひとつのことをやって、また、そこから生の声を挙げていっていただいて、次の段階に結び
つけていっていただきたいと思います。今日は本当に、平成 9 年から始めた私達の院内学級を充
実して欲しいという声がやっとここまで、このように成果として現れたということがそれがうれ
しくて。すみません。時間がない中で一言。
野池義務教育課長
ありがとうございました。それでは、皆さんのご熱意の結果ということで、司会のまずさをカ
バーしていただいてありがとうございました。実はだいぶ時間が超過したわけでございますが、
本当に有意義な声を聞かせていただいたと思っております。コーディネーターの方、それから、
院内学級の担任の先生には、コーディネーター、特に初めての仕組みということで、大変戸惑う
場面が多かったと思いますけれども、ご熱心にこの制度を軌道に乗せていただきましてありがと
うございました。また、教育委員会の先生方、それから、学校の校長先生、本当に深いご理解を
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いただきまして、先ほども学校の大変厳しい日常をお話しいただきましたけれども、その中で最
大限のご配慮を賜ることができまして、心より感謝を申し上げます。来年度、また、院内学級の
ない病院への支援ということで取り組むわけでございますが、私どもの気持ちとすれば、やはり
こういった仕組みというものは、
「魂が入ってこそ」と思っております。山本先生も「本気」とい
うようなキーワードを出していただきました。教育に携わる者が本気になるということは、
「本気
になれ」と言って本気になるわけではなくて、魂を動かすものがなければいけないと思います。
それは、皆さま方のこういった声を、私どもが 1 人ひとりの教師の先生方に届けることが私ども
の役目かなと思っております。本日のニュースレターの一番最後にも書いてありますけれども、
本日の会議の結果を短時間でわたくしがそこにまとめるということも、とてもできない中身が会
議で出てきましたので、振り返りまして、もう一度打ち合わせ会で出された意見を述べさせてい
ただいて、そこから、浮き彫りになった課題が何なのか、こういったことを文字として歴史とし
て引き継ぐ、そんな意味も込めて第 3 回ということでニュースレターにまとめさしていただきた
いと思っております。また、時間の関係で発言したかったけれども、できなかったという方もい
らっしゃると思いますので、ファクス、あるいは電話とか、手段は問いませんので、もうちょっ
と言いたかったということがありましたら、お寄せいただければこのニュースレターの中で、工
夫をして織り込みたいと考えております。いずれにいたしましても、本日は、大変皆さまお忙し
い中、一堂に会していただきましてありがとうございました。心より御礼申し上げまして、会議
の終わりの御礼のごあいさつに代えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
(終了)
◇
過去の「ニュースレター」や「笑顔の復学訪問支援リーフレット」を県ホームページに掲載して
おります。ご利用ください。
・「ニュースレター」は県HPhttp://www.nagano-c.ed.jp/kenkyoi/jouhou/gakkou/innaigakkyu/index.htm で掲載中です。
・
「笑顔の復学訪問リーフレット」は県HPhttp://www.nagano-c.ed.jp/kenkyoi/jouhou/gakkou/homon/homon.htm で掲載中です。
このリーフレット (最後のページ参照) は、院内学級を支える親の会の皆様やこども病院院内学級の先
生方等が中心となって作成していただき、事業内容をコンパクトにまとめたものとなっています。ま
た、可愛らしいカットは豊科南小学校の貝原校長先生の作です。ありがとうございました。
事業の愛称は「笑顔の復学訪問支援」です。このリーフレットには、この事業をもっと多くの方々
に知っていただこうと、また子ども達が入院した際に入院案内と一緒に配布していただこうとの想い
が込められておりますので、ぜひご活用をお願いいたします。印刷については、できれば「若草色」
の用紙にプリントアウトをお願いします。
◇
次回のニュースレターVol.4 では、平成 17 年 10 月 15 日(土)に開催した「院内学級保護者等関係
者打ち合わせ会」における多くの方々からのご意見や提案、また長期入院や自宅療養している子ど
も達へ訪問支援をしていただいている先生方の報告などを掲載したいと思います。どうぞ、ご期待
ください。
◇
「子ども達の生きようとする力に学ぶ」を合言葉に、関係者が力を合わせて一歩でも前進してま
いりたいと思います。よろしくお願いいたします。
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2月の会議資料(抜粋)
・・・平成17年2月12日開催・・・
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